(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電池パックの組立方法、電池パック及び車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/293 20210101AFI20240423BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240423BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240423BHJP
【FI】
H01M50/293
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/204 401F
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559042
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2022099306
(87)【国際公開番号】W WO2023273909
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110721306.6
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA37
5H040AS04
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY05
5H040CC13
5H040CC25
5H040JJ03
5H040LL06
5H043AA19
5H043GA23
5H043GA25
5H043HA04
5H043JA15
5H043JA21
5H043KA22
5H043KA24
5H043KA28
(57)【要約】
電池パックの組立方法を使用する電池パック及び車両である。該電池パックは、筐体及び電池モジュールを含み、筐体内にキャビティが設けられ、電池モジュールは、フォーム及び複数のセルを含み、隣接するセルの間にフォームが設けられる。該電池パックの組立方法は、電池モジュールを絶縁袋内に入れるステップと、絶縁袋を真空引きすることにより、フォームを圧縮して、電池モジュールの体積を縮めるステップと、体積が縮められた電池モジュールがキャビティ内に挿入された後、真空状態を解除して、電池モジュールの正負極を露出させるステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パック(1000)の組立方法であって、前記電池パック(1000)は、筐体(100)及び電池モジュール(200)を含み、前記筐体(100)内にキャビティ(110)が設けられ、前記電池モジュール(200)は、フォーム(210)及び複数のセル(220)を含み、隣接する前記セル(220)の間に前記フォーム(210)が設けられ、前記組立方法は、
前記電池モジュール(200)を絶縁袋(300)内に入れるステップと、
前記絶縁袋(300)を真空引きすることにより、前記フォーム(210)を圧縮して、前記電池モジュール(200)の体積を縮めるステップと、
体積が縮められた前記電池モジュール(200)が前記キャビティ(110)内に挿入された後、真空状態を解除して、前記電池モジュール(200)の正負極を露出させるステップと、を含む、ことを特徴とする電池パック(1000)の組立方法。
【請求項2】
前記絶縁袋(300)に破断予定部(310)が設けられ、前記破断予定部(310)を破損させて真空状態を解除する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック(1000)の組立方法。
【請求項3】
前記破断予定部(310)は、環状に形成され、破断して前記絶縁袋(300)の一部を除去することで、前記正負極を露出させる、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック(1000)の組立方法。
【請求項4】
前記絶縁袋(300)に取っ手(320)が設けられ、前記取っ手(320)を引っ張ることにより、前記破断予定部(310)を破損させる、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック(1000)の組立方法。
【請求項5】
前記絶縁袋(300)に防火層が塗布される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電池パック(1000)の組立方法。
【請求項6】
筐体(100)と、電池モジュール(200)と、を含む電池パック(1000)であって、
前記筐体(100)内には、キャビティ(110)が設けられ、
前記電池モジュール(200)は、前記キャビティ(110)内に設けられ、前記電池モジュール(200)は、フォーム(210)及び複数のセル(220)を含み、隣接する前記セル(220)の間に前記フォーム(210)が設けられ、前記電池モジュール(200)には、絶縁袋(300)が外嵌され、
前記電池モジュール(200)の正負極が前記絶縁袋(300)から延出する、ことを特徴とする電池パック(1000)。
【請求項7】
前記筐体(100)内には、順に配列された複数のキャビティ(110)が設けられ、各前記キャビティ(110)内には、絶縁袋(300)が外嵌された前記電池モジュール(200)が設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の電池パック(1000)。
【請求項8】
前記絶縁袋(300)は、前記キャビティ(110)の内壁と前記電池モジュール(200)との間に挟持される、ことを特徴とする請求項6に記載の電池パック(1000)。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の電池パック(1000)を含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年6月28日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202110721306.6で、出願名称が「電池パックの組立方法、電池パック及び車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池パックの製造の技術分野に属し、具体的には、電池パックの組立方法、電池パック及び車両である。
【背景技術】
【0003】
電池パックに関しては、製造過程において、通常、複数のセルを組み合わせて電池モジュールを構成し、電池モジュールを筐体内に組み立てて電池パックを構成し、優れた筐体は、電池モジュールの組立が容易であり、電池モジュールに十分な締付力を加えることができるという2つの要求を同時に満たす必要がある。
【0004】
従来技術において、筐体が電池モジュールに締付力を継続的に加えることができるように、通常、筐体のサイズが電池モジュールのサイズに相当するように設計されるが、電池パックの組立が非常に困難になり、手動で電池モジュールを筐体内に組み立てることができない。機械工具を使用して機械力を加えると、筐体又は電池モジュールに損傷を与える可能性が高い一方、着脱の難しさを増加させ、着脱効率を低下させる。
【0005】
上記問題を解決するために、筐体のサイズを電池モジュールのサイズより遥かに大きくすることにより、電池モジュールの組立を容易にする。しかし、このような筐体は、電池モジュールに十分な締付力を加えることができず、電池パックの体積利用率を低下させ、電池パックの体積を増加させるため、電池パックの車両底部での占有空間が大きくなり、電池パックの実用性を低下させる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つの目的は、従来技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することである。そのため、本開示は、電池パックの組立方法を提供し、該電池パックの組立方法によって組み立てられた電池パックは、組立効率を向上させるとともに、筐体が電池モジュールに締付力を継続的に加えることができることを保証し、従来技術における、電池パックの組立が困難であり、電池パックの組立が完了した後に筐体が電池モジュールに十分な締付力を加えることができず、かつ電池パックの体積利用率が低いという技術的課題を解決することができる。
【0007】
本開示の第2目的は、電池パックを提供することである。
【0008】
本開示の第3目的は、車両を提供することである。
【0009】
本開示の実施例に係る電池パックの組立方法において、前記電池パックは、筐体及び電池モジュールを含み、前記筐体内にキャビティが設けられ、前記電池モジュールは、フォーム及び複数のセルを含み、隣接する前記セルの間に前記フォームが設けられ、前記組立方法は、前記電池モジュールを絶縁袋内に入れるステップと、前記絶縁袋を真空引きすることにより、前記フォームを圧縮して、前記電池モジュールの体積を縮めるステップと、体積が縮められた前記電池モジュールを前記キャビティ内に組み立てた後、真空状態を解除して、前記電池モジュールの正負極を露出させるステップと、を含む。
【0010】
本開示の実施例に係る電池パックの組立方法において、隣接するセルの間にフォームが設けられるため、電池モジュールをキャビティに組み立てる前に、まず電池モジュールを絶縁袋内に入れ、絶縁袋を真空引きすることにより、電池モジュール内のフォームを圧縮して、電池モジュール全体の体積を小さくし、電池モジュールを筐体内に組み立てることを容易にし、組立効率を向上させ、電池モジュールがキャビティ内に組み立てられた後、真空状態を解除し、このとき、フォーム自体の高い反発性を利用して電池モジュールを元の体積に回復させることができ、電池モジュールが筐体の内部に当接し、ゼロギャップ組立を実現し、電池パックの体積利用率を向上させ、筐体が電池モジュールに締付力を継続的に加えることができることを保証し、このようにすることで、筐体のサイズを電池モジュールのサイズに相当するように設計して、筐体の体積を小さくし、さらに電池パックの体積を小さくし、実用性を向上させることができる。
【0011】
本開示の一実施例に係る電池パックの組立方法において、前記絶縁袋に破断予定部が設けられ、前記破断予定部を破損させて真空状態を解除する。
【0012】
本開示の一実施例において、前記破断予定部は、環状に形成され、破断して前記絶縁袋の一部を除去することで、前記正負極を露出させる。
【0013】
本開示の一実施例において、前記絶縁袋に取っ手が設けられ、前記取っ手を引っ張ることにより、前記破断予定部を破損させる。
【0014】
本開示の一実施例に係る電池パックの組立方法において、前記絶縁袋に防火層が塗布される。
【0015】
本開示の実施例に係る電池パックは、筐体と、電池モジュールと、を含み、前記筐体内には、キャビティが設けられ前記電池モジュールは、前記キャビティ内に設けられ、フォーム及び複数のセルを含み、隣接する前記セルの間に前記フォームが設けられ、前記電池モジュールには、絶縁袋が外嵌され、前記電池モジュールの正負極が前記絶縁袋から延出する。
【0016】
本開示の実施例に係る電池パックは、電池モジュールが筐体に形成されたキャビティ内に設けられることにより、筐体が電池モジュールを保護する役割を果たし、電池モジュールの耐用年数を延長し、電池モジュールの安全性を向上させることができ、かつ隣接するセルの間にフォームが設けられることにより、フォームの弾性変形を利用して電池モジュールの体積を変更し、電池パックの組立効率を向上させるとともに、筐体が電池モジュールに締付力を継続的に加えることができることを保証し、電池モジュールの正負極が絶縁袋から延出することにより、他の電池モジュールに接続されて電池パックを形成することを容易にする。本開示の電池パックは、組立が簡単であり、体積が小さく、軽量である。
【0017】
本開示の一実施例に係る電池パックにおいて、前記筐体内には、順に配列された複数のキャビティが設けられ、各前記キャビティ内には、絶縁袋が外嵌された前記電池モジュールが設けられる。
【0018】
本開示の一実施例において、前記絶縁袋は、前記キャビティの内壁と前記電池モジュールとの間に挟持される。
【0019】
本開示の実施例による車両は、前述の電池パックを含む。
【0020】
本開示の実施例に係る車両は、前述の電池パックを使用することにより、電池パックが車両底部の多大な空間を占有することなく、車両の軽量化を実現し、車両の航続距離を延長し、運転体験を向上させることができる。
【0021】
本開示の追加の態様及び利点は、以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施によって把握される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0023】
【
図1】本開示の一実施例に係る電池パックの組立方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の一実施例に係る電池モジュールと絶縁袋の分解図である。
【
図3】本開示の一実施例に係る電池パックの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示されるが、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子、或いは、同一又は類似の機能を有する素子を表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものであり、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものとして理解すべきではない。
【0025】
本開示の説明において、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「周方向」などの用語によって表される方位又は位置関係は、図面に基づいて示す方位又は位置関係であり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位において構成され、操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を限定するものとして理解すべきではない。
【0026】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例の電池パック1000の組立方法を説明する。
【0027】
図2及び
図3に示すように、本開示の実施例に係る電池パック1000の組立方法において、電池パック1000は、筐体100及び電池モジュール200を含み、筐体100内にキャビティ110が設けられる。
【0028】
図2に示すように、電池モジュール200は、フォーム210及び複数のセル220を含み、隣接するセル220の間にフォーム210が設けられる。
【0029】
図1に示すように、電池パック1000の組立方法は、
電池モジュール200を絶縁袋300内に入れるステップS1と、
絶縁袋300を真空引きすることにより、フォーム210を圧縮して、電池モジュール200の体積を縮めるステップS2と、
体積が縮められた電池モジュール200がキャビティ110内に挿入された後、真空状態を解除して、電池モジュール200の正負極を露出させるステップS3と、を含む。
【0030】
上記方法から分かるように、本開示の実施例の電池パック1000の組立方法において、隣接するセル220の間にフォーム210が設けられ、フォーム210は、外力の作用下で変形し、外力が取り除かれると、元の大きさ及び形状に回復することができるため、本開示は、フォーム210自体の特性を利用し、電池モジュール200がキャビティ110に挿入される前に、まず電池モジュール200を絶縁袋300内に入れ、絶縁袋300を真空引きすることにより、電池モジュール200内のフォーム210及び隣接するセル220の間のギャップを圧縮して、フォーム210の体積を小さくし、さらに隣接するセル220の間の距離を小さくし、電池モジュール200全体のサイズを小さくし、電池パック1000を具体的に組み立てる過程において、体積が小さい電池モジュール200を筐体100のキャビティ110内にスムーズに組み立て、組立効率を向上させ、電池モジュール200と筐体100との間の摩擦を低減し、摩耗を低減し、電池モジュール200及び筐体100の耐用年数を延長することができる。
【0031】
電池モジュール200がキャビティ110内に挿入された後、絶縁袋300の真空状態を解除し、このとき、フォーム210が自体の高反発性を利用して元の大きさ及び形状に回復し、さらに隣接するセル220の間の距離を増加させ、電池モジュール200が元の体積に回復して、筐体100の内部に当接し、ゼロギャップ組立を実現し、電池パック1000の体積利用率を向上させる。
【0032】
電池モジュール200が筐体100の内部に当接するため、筐体100の側壁が電池モジュール200に十分な締付力を加えて、電池モジュール200の位置を安定させることができる。
【0033】
なお、上記組立方法を使用して電池パック1000を組み立てることにより、筐体100の製造過程において、筐体100のサイズを電池モジュール200のサイズに相当するように製造することができ、サイズの大きい筐体100を特別に製造することなく、電池モジュール200を筐体100内に迅速かつ正確に組み立てることができ、組立の難しさを低減するとともに、筐体100の体積を小さくすることができ、第1に、筐体100の使用材料を減少させ、製造コストを低減し、第2に、電池パック1000の体積を小さくし、電池パック1000を車両に取り付けると、車両底部の多大な空間を占有せず、電池パック1000の実用性を向上させ、第3に、電池パック1000の重量を軽減し、電池パック1000の軽量化を実現し、車両の航続距離を延長することができる。
【0034】
電池モジュール200の正負極を露出させることにより、隣接する電池モジュール200が正負極によって接続されて電池パック1000を形成することを容易にする。
【0035】
本開示の電池パック1000の組立方法を使用して電池パック1000を組み立てることにより、組立が困難であり、或いは筐体100が電池モジュール200に十分な締付力を加えることができないという技術的課題が発生せず、上記組立方法を使用して組み立てられた電池パック1000は、電池パック1000の組立効率を向上させるとともに、筐体100が電池モジュール200に十分な締付力を加えることができることを保証し、ゼロギャップ組立を実現し、電池パック1000の体積利用率を向上させ、電池パック1000の体積を小さくすることができることを理解されたい。
【0036】
本開示の説明において、別に説明しない限り、「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0037】
本開示の一実施例において、絶縁袋300は、一端に開口(図示せず)が形成され、開口に封止構造が設けられる。封止構造は、開口を開閉する。電池モジュール200を絶縁袋300内に入れる必要があれば、封止構造により開口を開いて、開口を通って電池モジュール200を絶縁袋300の内部に入れ、電池モジュール200を絶縁袋300の内部に入れた後、封止構造により開口を閉じて、絶縁袋300が密閉構造を形成し、その後の絶縁袋300の真空引きを容易にする。
【0038】
本開示の一実施例において、絶縁袋300に空気弁(図示せず)が設けられ、絶縁袋300を真空引きする過程において、空気弁に接続された排気ポンプを利用することができ、排気ポンプが動作して絶縁袋300内の空気を抽出することができる。
【0039】
主な原理は、フォーム210の内部の空気を抽出し、大気圧を利用して本来膨張しているフォーム210を押し潰して、フォーム210の体積を小さくし、さらに隣接するセル220の間の距離を小さくし、電池モジュール200全体のサイズを小さくすることにより、電池モジュール200がキャビティ110にスムーズに組み立てられることを保証し、電池パック1000の組立効率を向上させることである。
【0040】
本開示の一実施例において、空気弁は、一方向空気弁であり、空気弁によって絶縁袋300内の空気を一方向のみに抽出できることを保証し、絶縁袋300内の空気の逆流を防止する。絶縁袋300の真空状態が解除されていない場合、絶縁袋300が常に真空状態にあることを保証し、電池モジュール200がキャビティ110内に挿入されることを容易にする。
【0041】
本開示の一実施例において、絶縁袋300は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリイミドなどの絶縁材料で製造されてもよい。上記材料は、いずれも絶縁袋300が良好な絶縁効果を有することを保証し、電池パック1000が移動したり衝突を受けたりするとき、隣接する2つの電池モジュール200が接触して内部短絡を引き起こすことがないことを保証し、電池モジュール200の耐用年数を延長し、電池モジュール200の安全性を向上させることができる。
【0042】
図2及び
図3に示すように、本開示のいくつかの実施例において、絶縁袋300に破断予定部310が設けられ、破断予定部310を破損させて真空状態を解除する。つまり、体積が縮められた電池モジュール200がキャビティ110内に挿入された後、絶縁袋300の真空状態を解除する必要があれば、破断予定部310を破損させるだけで、絶縁袋300の真空状態を解除することができ、フォーム210が自体の高反発性を利用して元の大きさ及び形状に回復し、電池モジュール200が元の体積に回復することにより、電池モジュール200と筐体100のゼロギャップ組立を実現する。
【0043】
もちろん、絶縁袋300は、一端に開口が形成され、開口に封止構造が設けられる。絶縁袋300の真空状態を解除する必要があれば、封止構造により開口を開いてもよく、このとき、外部空気が開口を通って絶縁袋300の内部に入って、絶縁袋300の真空状態を解除して、フォーム210が元の大きさ及び形状に回復し、電池モジュール200が元の体積に回復する。
【0044】
なお、破断予定部310によって絶縁袋300の真空状態を解除することは、主に絶縁袋300の一部を除去し、絶縁袋300の真空状態が解除された後に電池モジュール200の正負極を絶縁袋300の外部に露出させることを保証し、隣接する電池モジュール200が正負極によって接続されるためである。
【0045】
本開示の一実施例において、破断予定部310は、環状に形成され、破断して絶縁袋300の一部を除去することで、正負極を露出させる。ここでいう環状とは、破断予定部310が絶縁袋300の周方向に一周するように設けられることを指し、破断予定部310が破断すると、破断予定部310の両側に位置する絶縁袋300を分離して、電池モジュール200の正負極に近接する絶縁袋300を除去することで、電池モジュール200の正負極を露出させる。
【0046】
なお、上記破断予定部310の破損と破断は、2種類の異なる状態であり、破断予定部310の破損とは、絶縁袋300が破断予定部310で破れることを指し、破断予定部310が破損し始めると、絶縁袋300の真空状態が解除されるが、電池モジュール200の正負極が絶縁袋300の外部に露出せず、破断予定部310が破損から破断に発展すると、電池モジュール200の正負極が絶縁袋300の外部に露出する。
【0047】
図4に示すように、本開示の一実施例において、絶縁袋300に取っ手320が設けられ、取っ手320を引っ張ることにより、破断予定部310を破損させて破断させる。ユーザが絶縁袋300の真空状態を解除する必要があれば、取っ手320は、ユーザと絶縁袋300の接触面積を増加させ、ユーザは、取っ手320により、絶縁袋300に作用する、破断予定部310がスムーズに破損するのに十分な力を加えて、絶縁袋300の真空状態を解除し、その後、ユーザは、破断予定部310が破損から破断状態に発展して、破断予定部310の両側に位置する絶縁袋300を分離し、電池モジュール200の正負極を絶縁袋300の外部に露出させるように、作用力を加え続ける。
【0048】
図4に示すように、本開示の一実施例において、取っ手320は、絶縁袋300の一端に設けられ、絶縁袋300から離れる方向に向かって延びる。取っ手320の面積を増加させることにより、ユーザが容易に取っ手320に接触して、取っ手320によって破断予定部310を破損させて破断させる力を加え、破断予定部310がスムーズに破損して破断することができる。
【0049】
図3及び
図4に示すように、本開示の一実施例において、破断予定部310は、絶縁袋300の一端に設けられ、取っ手320に近接する。破断予定部310と取っ手320との間の距離を小さくすることにより、ユーザが取っ手320を引っ張ると、破断予定部310をスムーズに破損させて破断させることができる一方、電池モジュール200がキャビティ110内に挿入された後のみに取っ手320を引っ張って破断予定部310を破損させるため、破断予定部310が破損すると、電池モジュール200が筐体100の内壁に当接し、このとき、絶縁袋300が電池モジュール200と一緒に筐体100の内壁に当接し、このようにすることで、破断予定部310と取っ手320との間の絶縁袋300と筐体100の接触面積を小さくし、破断予定部310が破断した後、破断予定部310と取っ手320との間に位置する絶縁袋300が筐体100からスムーズに除去され、電池モジュール200の正負極を露出させることを保証することができる。
【0050】
もちろん、破断予定部310と取っ手320との間の距離は小さ過ぎてはいけない。破断予定部310と取っ手320との間の距離が小さ過ぎると、破断予定部310と取っ手320との間に位置する絶縁袋300が除去された後、電池モジュール200の正負極を露出させることができない。
【0051】
なお、破断予定部310と取っ手320との間の距離は、具体的に限定されず、破断予定部310が破断した後、破断予定部310と取っ手320との間に位置する絶縁袋300が筐体100内からスムーズに除去され、かつ電池モジュール200の正負極を絶縁袋300の外部に露出させすることができることを保証すればよい。
【0052】
本開示の一実施例において、絶縁袋300の製造過程において、絶縁袋300の破断予定部310の厚さを絶縁袋300の他の位置の厚さより小さくすることにより、破断予定部310を形成し、ユーザが取っ手320を引っ張ると、絶縁袋300が破断予定部310で破損して破断することを保証する。
【0053】
本開示のいくつかの実施例において、絶縁袋300に防火層が塗布される。防火層は、熱暴走の伝播経路を効果的に遮断することができ、電池パック1000が熱暴走した場合、防火層が塗布された絶縁袋300は、火炎及び熱の伝播を効果的に阻止し、電池モジュール200の安全性を向上させることができ、セル220が熱暴走した場合、絶縁袋300は、火炎及び熱が電池モジュール200の外部に伝達されないことを効果的に保証することができ、ユーザの安全を損なうことがない。
【0054】
本開示の一実施例において、電池モジュール200の製造過程において、絶縁袋300の表面に高温防火層を形成するように、テフロン(登録商標)をスプレーしたり、マイカ紙で覆ったりすることができる。それにより熱の伝達を効果的に遮断することができる。
【0055】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例の電池パック1000を説明する。
【0056】
図2及び
図3に示すように、本開示の実施例に係る電池パック1000は、筐体100及び電池モジュール200を含み、筐体100内にキャビティ110が設けられ、電池モジュール200がキャビティ110内に設けられる。
【0057】
図2に示すように、電池モジュール200は、フォーム210及び複数のセル220を含み、隣接するセル220の間にフォーム210が設けられる。
【0058】
図2及び
図3に示すように、電池モジュール200に絶縁袋300が外嵌され、電池モジュール200の正負極が絶縁袋300から延出する。つまり、電池モジュール200の正負極は、絶縁袋300の外部まで延出する。
【0059】
上記構造から分かるように、本開示の実施例の電池パック1000は、筐体100内にキャビティ110が設けられ、キャビティ110が電池モジュール200の配置のために逃げ空間を提供することにより、電池モジュール200を筐体100の内部に組み立てることができることを保証し、電池モジュール200をキャビティ110内に組み立てると、キャビティ110が電池モジュール200を保護する役割を果たし、電池パック1000が衝撃を受けたとき、キャビティ110が潰れてエネルギーを吸収し、筐体100が自体の強度及び剛性を利用して衝撃力の一部を吸収し、衝撃力による電池モジュール200の損害を軽減する一方、キャビティ110は、電池モジュール200に取付空間を提供するとともに、電池モジュール200の最大移動位置を制限し、電池パック1000が衝撃を受けたとき、電池モジュール200がずれて電池パック1000の他の位置に移動することを防止し、電池モジュール200の位置安定性を向上させる。
【0060】
隣接するセル220の間にフォーム210が設けられることにより、電池モジュール200の組立過程において、フォーム210は、緩衝の役割を果たし、隣接するセル220の間に衝突が発生しないことを保証し、セル220の耐用年数を延長することができ、フォーム210は、初期の複数のセル220の組立時に一定の締付力を提供するだけでなく、後期の電池モジュール200の使用時にセル220による膨張力を吸収することができる。
【0061】
電池モジュール200と筐体100の組立過程において、フォーム210を利用して電池モジュール200の体積を小さくし、電池モジュール200を筐体100に形成されたキャビティ110内に組み立てることを容易にし、電池モジュール200と筐体100の組立効率を向上させ、組立の難しさを低減することができ、電池モジュール200と筐体100の組立が完了した後、さらにフォーム210を利用して電池モジュール200を元の体積に回復させて、電池モジュール200を筐体100の内壁に当接させることもでき、筐体100の側壁が電池モジュール200に十分な締付力を加えて、電池モジュール200の位置を安定させ、ゼロギャップ組立を実現し、電池パック1000の体積利用率を向上させることができる。
【0062】
電池モジュール200に絶縁袋300が外嵌されることにより、電池パック1000が移動したり衝突を受けたりするとき、隣接する2つの電池モジュール200が接触して内部短絡を引き起こすことがなく、電池モジュール200の耐用年数を延長し、電池モジュール200の安全性を向上させることができる。
【0063】
電池モジュール200の正負極が絶縁袋300の外部まで延出することにより、電池パック1000内の電池モジュール200は、正負極によって接続されて電池パック1000を形成することができる。
【0064】
本開示の一実施例において、セル220とフォーム210は、構造用接着剤により接着されることにより、セル220とフォーム210との間の位置を限定し、電池モジュール200の構造安定性を向上させることができる。
【0065】
図3に示すように、本開示のいくつかの実施例において、筐体100内には、順に配列された複数のキャビティ110が設けられ、各キャビティ110内には、絶縁袋300が外嵌された電池モジュール200が設けられる。つまり、本開示の筐体100内には、複数の電池モジュール200が設けられ、複数のキャビティ110は、複数の電池モジュール200を分離し、電池パック1000の動作中に隣接する2つの電池モジュール200が接触しないことを保証し、電池モジュール200の安全性を向上させ、電池モジュール200に絶縁袋300が外嵌されることにより、絶縁袋300は、電池モジュール200の安全性をさらに向上させ、本開示は、電池パック1000内に複数の電池モジュール200を設けることにより、車両の大容量及び高電圧の電池に対する需要を満たし、車両の航続距離を延長することができる。
【0066】
本開示のいくつかの実施例において、絶縁袋300は、キャビティ110の内壁と電池モジュール200との間に挟持される。つまり、電池モジュール200がキャビティ110内に挿入された後、電池モジュール200の外部に包まれた絶縁袋300を除去することなく、電池パック1000の組立の難しさを低減する一方、電池モジュール200の外部に包まれた絶縁袋300が絶縁の役割を果たし、電池モジュール200の安全性を向上させることができる。
【0067】
以下、本開示の実施例の車両を説明する。
【0068】
本開示の実施例に係る車両は、前述の電池パック1000を含む。
【0069】
上記構造から分かるように、本開示の実施例の車両は、前述の電池パック1000を使用することにより、電池パック1000が車両底部の多大な空間を占有することなく、車両の軽量化を実現し、運転体験を向上させ、車両の航続距離を延長することができる。
【0070】
以下、図面を参照しながら本開示の具体的な実施例における電池パック1000の具体的な構造を説明する。本開示の実施例は、下記具体的な実施例に限定されず、前述の複数の技術手段を組み合わせた全ての実施例であってもよく、これらの実施例は、いずれも本開示の保護範囲内にある。
【実施例1】
【0071】
図2及び
図3に示すように、電池パック1000は、筐体100及び電池モジュール200を含み、筐体100内にキャビティ110が設けられ、電池モジュール200がキャビティ110内に設けられる。
【0072】
図2に示すように、電池モジュール200は、フォーム210及び複数のセル220を含み、隣接するセル220の間にフォーム210が設けられる。
【0073】
図2及び
図3に示すように、電池モジュール200に絶縁袋300が外嵌され、電池パック1000を組み立てるとき、電池モジュール200を絶縁袋300内に入れ、絶縁袋300を真空引きすることにより、フォーム210を圧縮して、電池モジュール200の体積を縮め、体積が縮められた電池モジュール200がキャビティ110内に挿入された後、真空状態を解除して、電池モジュール200の正負極が絶縁袋300から延出する。
【実施例2】
【0074】
電池パック1000は、実施例1に基づいて、絶縁袋300に取っ手320が設けられ、絶縁袋300に破断予定部310が設けられ、破断予定部310が環状に形成され、取っ手320を引っ張ることにより、破断予定部310を破損させて、絶縁袋300の真空状態を解除する。
【0075】
破断予定部310は、破断して絶縁袋300の一部を除去することで、電池モジュール200の正負極を露出させる。
【0076】
なお、本開示の説明において、別に明確な規定と限定がない限り、用語「取付」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本開示における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0077】
本開示の実施例に係る電池パック1000の組立方法、電池パック1000及び車両の他の構成、例えば、絶縁袋300を真空引きする原理は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0078】
本明細書の説明では、用語「実施例」、「例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるわけではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0079】
本開示の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本開示の原理及び目的を逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【符号の説明】
【0080】
1000 電池パック
100 筐体
110 キャビティ
200 電池モジュール
210 フォーム
220 セル
300 絶縁袋
310 破断予定部
320 取っ手
【国際調査報告】