(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】運転支援方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240423BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240423BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240423BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240423BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240423BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240423BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240423BHJP
B60K 35/28 20240101ALI20240423BHJP
H04N 13/239 20180101ALI20240423BHJP
H04N 13/344 20180101ALI20240423BHJP
H04N 13/271 20180101ALI20240423BHJP
B60K 35/21 20240101ALI20240423BHJP
G06F 3/01 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G08G1/0969
G01C21/36
G02B27/02 Z
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
G09G5/37 320
G09G5/36 500
B60K35/28
H04N13/239
H04N13/344
H04N13/271
B60K35/21
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560632
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2022052467
(87)【国際公開番号】W WO2022208222
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021000007862
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501193001
【氏名又は名称】ポリテクニコ ディ ミラノ
【氏名又は名称原語表記】POLITECNICO DI MILANO
【住所又は居所原語表記】Piazza Leonardo da Vinci,3220133 MILANO-Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】コルノ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスケッティ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】サヴァレージ,セルジオ マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】センチュリオン,マルコ
【テーマコード(参考)】
2F129
2H199
3D344
5B050
5C182
5E555
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD21
2F129DD29
2F129EE02
2F129EE52
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2F129EE70
2F129GG17
2F129HH15
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2H199CA82
2H199CA92
2H199CA96
3D344AA21
3D344AA26
3D344AA30
5B050AA10
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5B050EA15
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5C182AA04
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5C182AB26
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5C182CC24
5C182DA44
5E555AA26
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC08
5E555BE17
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5H181AA01
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF05
5H181FF32
(57)【要約】
本発明は、車両(5)の運転を支援する方法(200,300)に関する。この方法(200,300)は、車両(5)に搭載されたHMD(10)と位置決めモジュール(20)とを備えるシステム(1)によって実施され、HMD(10)は、スクリーン(11)と、スクリーン(11)の主長さ方向に沿ってスクリーン(11)の反対側に配置された対のビデオカメラ(15)とを備える。方法(200,300)は、以下のステップを含む:a. HMD(10)によって対の画像(IL,IR)を取得する(301)ステップであって、各画像は、HMD(10)のそれぞれのカメラ(15)によって取得され、視野(FOV)の同じ部分をフレーミングし、視野(FOV)の同じ部分は、路面(OR0)の一部を構成するステップ;b.取得された対の画像とカメラの特性に基づいて、視野の同一部分に含まれる各点の三次元空間(VOL)における位置を推定する(303)ステップ;c. 取得された対の画像(IL,IR)と、対の画像(IL,IR)の取得の連続性において測位モジュール(5)によって決定された位置とに基づいて、路面の一部(OR0)を構成する三次元空間(VOL)の三次元関心領域(VC)を推定するシテップ(305);d. 視野(FOV)の同じ部分に構成され、三次元関心領域(VC)に構成される点のサブセットを選択するステップ(307);e. 選択された点のサブセットに含まれる点の推定位置に基づいて、路面(OR0)に対応する平面(RS)を計算するステップ(309);g. ステップeで算出された路面(OR0)に対応する平面(RS)上に配置されるように、HMD(10)のスクリーン(11)上に二次元画像(AR)を再生する(311、313、215)ステップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(5)に搭載されたHMD(10)と位置決めモジュール(20)とを含むシステム(1)によって実施される、車両(5)の運転を支援する方法(200,300)であって、HMD(10)は、スクリーン(11)と、スクリーン(11)の主長さ方向に沿ってスクリーン(11)の反対側に配置された対のビデオカメラ(15)とを備え、方法(200,300)は、
a. HMD(10)によって対の画像(IL,IR)を取得するステップであって、各画像は、HMD(10)のそれぞれのカメラ(15)によって取得され、視野(FOV)の同じ部分をフレーミングし、視野(FOV)の同じ部分は、路面の一部(OR0)を含む、ステップ(’303)と、
b.取得された対の画像とカメラの特性とに基づいて、視野(FOV)の同じ部分に含まれる各点の三次元空間(VOL)における位置を推定するステップ(303)と、
c. 対の画像(IL,IR)の取得の連続性において、取得された対の画像(IL,IR)と測位モジュール(5)によって決定された位置とに基づいて、路面の一部(OR0)を含む三次元空間(VOL)の三次元関心領域(VC)を推定するステップ(305)と、
d. 視野(FOV)の同じ部分に含まれ、三次元関心領域(VC)に含まれる点のサブセットを選択するステップ(307)と、
e. 選択された点のサブセットに含まれる点の推定位置に基づいて、路面(OR0)に対応する平面(RS)を計算するステップ(309)と、
g. ステップeで計算された路面(OR0)に対応する平面(RS)上に配置されるように、HMD(10)のスクリーン(11)上に二次元画像(AR)を再生するステップ(311、313、215)と、
を含む方法(200,300)。
【請求項2】
b.取得画像(IL,IR)は、行および列に沿って整列配置された複数の画素を含み、視野(FOV)の同じ部分に含まれる各点の三次元空間(VOL)における位置を推定するステップ(305)が、
- 視野(FOV)の同じ部分に含まれる同じ点に関連する対の他の画像(IR,IL)の対応する画素を識別するステップ(3031)と、
- 画素のセットに基づいて点の三角測量を行って、三次元空間(VOL)における点の位置を決定するステップ(3033)と、
を含む、請求項1に記載の方法(200,300)。
【請求項3】
対の他の画像(IR,IL)の対応する画素を識別するステップ(3031)が、
- 対の画像(IL,IR)を比較することによって視差マップを計算するステップ(3031)を含み、
三次元空間(VOL)における点の位置を決定するステップ(3033)が、
- 点の三角測量において、視差マップに含まれる対の画像(IL,IR)の対応する画素間の視差値を使用する、請求項2に記載の方法(200,300)。
【請求項4】
c.路面の一部(OR0)を含む三次元空間(VOL)の三次元関心領域(VC)を推定するステップ(305)が、
- 対の画像(IL,IR)の取得の連続性において、画像(IL,IR)の対と位置決めモジュール(5)によって決定された位置とに基づいて、路面の一部(OR0)のおおよその位置(P0)を推定するステップ(3051)と、
- 第1のオフセット値を計算または選択するステップと、
- 第2のオフセット値を計算または選択するステップと、
- 三次元関心領域(VC)を、路面の一部(OR0)のおおよその位置(P0)に第1のオフセット値を加えた高さに位置する第1の境界面(SU)と、路面の一部(OR0)のおおよその位置(P0)から第2のオフセット値を引いた高さに位置する第2の境界面(SB)とによって区切られる空間として定義するステップ(3053、3055)と、
を含む、請求項1から3の何れか1項に記載の方法(200,300)。
【請求項5】
三次元関心領域(VC)が、
- HMD(10)の位置から、車両(5)の長手方向の長さに平行な方向に最小しきい値以上の距離から開始し、HMD(10)の位置から、車両(5)の長手方向の長さと平行な方向において、最大しきい値以下の距離まで延びており、
好ましくは、最小しきい値は、5mと15mの間であり、より好ましくは、10mに等しく、好ましくは、最大しきい値は50mから150mの間、より好ましくは最大しきい値は100mに等しい、請求項4に記載の方法(200,300)。
【請求項6】
三次元関心領域(VC)が、車両(5)の長手方向の長さに直交する方向において、路面の幅(OR0)に実質的に対応する幅を有し、好ましくは、その幅は3m以上12m以下であり、より好ましくは、その幅は6mに等しい、請求項4または5に記載の方法(200,300)。
【請求項7】
e平面(RS)を計算するステップ(309)が、
- M推定サンプルコンセンサス(MSAC)タイプのアルゴリズムにより、三次元関心領域(VC)内に含まれる視野(FOV)の同じ部分の点のサブセットを精緻化するステップを含む、請求項1から6の何れか1項に記載の方法(200,300)。
【請求項8】
システムが、車両(5)の内部に配置された少なくとも1つの基準要素(40)をさらに備え、
HMD(10)のスクリーン(11)上に再現される各二次元画像(AR)が、三次元空間の点のセット({wp})によって定義される仮想オブジェクト(OA)を表し、
本方法はさらに、
- 位置決めモジュール(20)によって決定された位置と、HMD(10)のカメラ(15)によってフレーミングされた少なくとも1つの基準要素(40)の位置とに基づいて、HMD(10)の位置を決定する(201~205)ステップと、
- HMD(10)の位置に基づいて、HMD(10)の視野(FOV)に含まれる空間に対応する三次元空間(VOL)を決定するステップ(209)と、
- 二次元画像(AR)として再現される少なくとも1つの仮想オブジェクト(OA)が三次元空間(VOL))内に含まれる場合、HMD(10)のスクリーン(11)上に二次元画像を再現する(311、313、215)ステップgが、
- 位置決めモジュール(20)によって決定された位置と、ステップe.で計算された平面(RS)に基づいて、三次元空間の点の集合の点のセット({wp})を補正するステップ(311)と、
- 点のセット({wp})の正しい点に基づいて、仮想オブジェクト(OA)に関連する二次元画像(AR)を表示するスクリーン位置(AP’)を計算するステップ(313)と、
- 画面位置(AP’)において、HMD(10)のディスプレイ(11)上に二次元画像(AR)を再生するステップ(215)と、
を含む請求項1から7の何れか1項に記載の方法(200,300)。
【請求項9】
三次元空間の点のセット({wp})の各点を修正するステップ(311)が、
wp’=wp-(wp-p)・n→
ここで、wpは点の座標であり、wp’は点の補正座標であり、pは平面(RS)上のHMD(10)の位置の投影であり、n→は平面(RS)に対する法線ベクトル、
で表す式で各々の正しい点を計算する、請求項7に記載の方法(200,300)。
【請求項10】
車両(5)の運転を支援するシステム(1)であって、
- スクリーン(11)と、スクリーン(11)の長さ方向に沿ってスクリーン(11)の反対側に配置された対のビデオカメラ(15)とを含むHMD(10)と、
- 車両(5)の位置を検出するように構成された、車両に搭載された測位モジュール(20)と、
- 二次元画像(AR)として表示される仮想オブジェクト(OA)に関連付けられた少なくとも1セットの点が記憶されたメモリ領域(31)と、
- 位置決めモジュール(20)、HMD(10)に動作可能に接続され、請求項1から9の何れか1項に記載の方法(200,300)を実施するように構成された処理ユニット(30)と、を備えるシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロニクスの分野に関する。より詳細には、本発明は、運転支援方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、移動速度、燃料レベル、ナビゲーション方向等の情報のような運転情報は、車両のダッシュボードまたは車両が備える任意のインフォテインメントスクリーン上に表示される。 ダッシュボードもスクリーンも、運転者が道路環境から少なくとも部分的に目を離さなければならないような位置に車両内に設置されていることが多く、そのため、運転の安全性とそのような情報を利用する可能性の両方が低下している。
【0003】
自動車や航空分野では、この問題の部分的な解決策として「ヘッドアップディスプレイ」、略してHUDが提案されている。 HUDとは、自動車のフロントガラスに映像を投影するシステムである。 特にHUDは、車のフロントガラスに直接情報を投影できるため、ユーザは常に視線を道路に向け、運転に集中することができる。
【0004】
しかしながら、HUD1.0として知られるHUDの現在の標準は、古典的な車載計器によって提供される冗長な情報を表示するためにのみ使用される。 さらに、出願人は、HUD技術が拡張現実の要素を効果的に描写することを可能にしないことを観察した。 実際、ドライバーの視野を完全にカバーするために投影システムが必要とする拡張は、現在の技術水準で利用可能な技術よりもはるかに大きい。特に、車両のフロントガラスによって実質的に規定される主視野全体と、1つ以上のサイドウィンドウのような副視野を利用できるHUDは存在しない。
【0005】
HUDシステムと並んで、より最近では、ウェアラブルスクリーンに基づくシステムが提案されており、これは、「ヘッドマウントディスプレイ」(Head Mounted Displays)、略してHMDとしてよりよく知られており、例えば、車両を運転中にHMDを装着しているユーザに運転支援情報を提供するために、画像を再生することができる透明または半透明のスクリーンからなる。
【0006】
例えば、US 2016/084661、EP 2933707、US 2015/317834およびUS 2015/097864には、HMDを使用する運転支援システムが記載されている。
【0007】
さらに、G. Berg, Das Vehicle in the Loop: Ein Werkzeug fur die Entwicklung und Evaluation von sicherheitskritischen Fahrerassistenzsystemen, Munchen, Univ. der Bundeswehr, Diss., 2014には、車両に対するHMDによって取得された画像のポーズを正確に決定するために、HMDと静的(マーカ)および動的(ヘッドトラッカー)基準要素の使用からなる運転支援システムが記載されている。
【発明の概要】
【解決すべき課題】
【0008】
出願人は、公知のシステムは、製造が非常に複雑であり、ユーザの視野に拡張現実画像を配置する際の品質が限定的であると指摘した。実際、出願人は、公知のシステムでは、拡張現実画像は、HMDによって縁取られた現実環境と調和しないことを観察した。 特に、路面のような平坦な表面上に重なって表示されるように意図された拡張現実画像の場合、および/または、観察点から、すなわち、HMDの位置からかなり離れた、例えば、100メートルのオーダーの距離にある拡張現実オブジェクトの場合、拡張現実画像は、意図された配置に対してオフセットされた位置に表示される。
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。
【0010】
特に、本発明の目的は、HMDを通してユーザによって観察される周辺環境と調和するように、HMDを通して拡張現実画像を再現するように構成された運転支援方法および相対システムを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、表面、特に路面に重ね合わせることを意図した拡張現実オブジェクトを最適な方法で再現することを可能にする方法および相対システムを提案することである。
【0012】
本発明のこれらおよび他の目的は、本明細書の不可欠な部分を形成する添付の特許請求の範囲の特徴を組み込んだシステムによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様によれば、本発明は車両運転支援方法に向けられている。 この方法は、車両に搭載されたHMDと測位モジュールとを含むシステムによって実施され、HMDは、スクリーンと、スクリーンの主長さ方向に沿ってスクリーンの反対側に配置された対のビデオカメラとを備える。
本方法は、
a. HMDによって対の画像を取得するステップであって、各画像は、HMDのそれぞれのカメラによって取得され、視野の同じ部分をフレーミングし、視野の同じ部分は、路面の一部を含む、ステップと、
b.取得された対の画像とカメラの特性とに基づいて、視野の同じ部分に含まれる各点の三次元空間における位置を推定するステップと、
c.対の画像の取得の連続性において、取得された対の画像と測位モジュール(5)によって決定された位置とに基づいて、路面の一部を含む三次元空間の三次元関心領域を推定するステップと、
d. 視野の同じ部分に含まれ、三次元関心領域に含まれる点のサブセットを選択するステップと、
e. 選択された点のサブセットに含まれる点の推定位置に基づいて、路面に対応する平面を計算するステップと、
g. ステップeで計算された路面に対応する平面上に配置されるように、HMDのスクリーン上に二次元画像を再生するステップ(311、313、215)と、
を含む。
【0014】
この解決策のおかげで、二次元画像、すなわちスクリーンによって再現される拡張現実画像は、HMDを装着しているユーザによって、例えばHMDを装着しているユーザから数百メートルのオーダーのような遠距離であっても、視野内に正しく配置された(仮想)オブジェクトとして知覚される。 特に、路面の連続として表示される拡張現実オブジェクトは、あたかも路面に描かれた画像や路面に置かれた物理的な3次元オブジェクトであるかのように、その上に正しく配置される。その結果、現実環境とHMDスクリーン上に再現される拡張現実画像との間の調和の欠如により、HMDを装着したユーザの知覚および/または運転性能に悪影響を及ぼす可能性がある、所謂「不気味の谷」効果が回避される。
【0015】
一実施形態では、各取得画像はデジタル画像であるため、行と列に沿って整列配置された複数の画素からなる。このような場合、視野の同じ部分に含まれる各点の三次元空間における位置を推定するステップb.は、
- 視野の同じ部分に含まれる同じ点に関連する対の他の画像の対応する画素を識別するステップと、
- 画素のセットに基づいて点の三角測量を行って、三次元空間における点の位置を決定するステップと、
好ましくは、対の他方の画像の対応する画素を特定するステップは、対の画像を比較することにより視差マップを算出するステップを含み、さらに、3次元空間における点の位置を決定するステップは、点の三角測量において、視差マップに含まれる対の画像の対応する画素間の視差値を使用する。
【0016】
HMDスクリーンによって間隔を置かれた視点から取得された画像を利用することによって、以下のことが可能になる。
【0017】
一実施形態では、路面の一部を構成する三次元空間の三次元関心領域を推定するステップc.は、
- 対の画像と、対の画像の取得時に測位モジュールによって決定された位置とに基づいて、路面の一部のおおよその位置を推定するステップと、
- 第1のオフセット値を計算または選択するステップと、
- 第2のオフセット値を計算または選択するステップと、
- 三次元関心領域を、路面の一部のおおよその位置に第1のオフセット値を加えた高さに位置する第1の境界面と、路面の一部のおおよその位置から第2のオフセット値を引いた高さに位置する第2の境界面とによって区切られる空間として定義するステップと、
を含む。
【0018】
このようにして、(取得された画像から得られる)三次元空間内の路面に属する点を効果的に分離することができるフィルタを得るという結果を伴って、路面を含む関心領域を、計算上特に単純かつ高速な方法で決定することができる。
【0019】
好ましくは、三次元関心領域は拡張し、
- HMDの位置から、車両の長手方向に平行な方向において、最小しきい値以上の距離から開始し、好ましくは、最小しきい値は、5mと15mの間に含まれ、より好ましくは、最小しきい値は、10mに等しく、
- HMDの位置から、車両の長手方向に平行な方向において、最大閾値に等しいかそれ以下の距離まで、好ましくは最大閾値は50mと150mの間に含まれ、より好ましくは最大閾値は100mに等しい。
【0020】
加えて又は代替的に、三次元関心領域は、車両の長手方向長さに横切る方向における路面の幅に実質的に対応する幅を有し、好ましくは、その幅は、3mと12mとの間であり、より好ましくは、その幅は、6mに等しい。
【0021】
本出願人は、これらの値の間隔により、拡張現実画像の最適な位置決めを提供する方法の有効性を実質的に低下させることなく、方法の計算の複雑さを抑制することができると判断した。
【0022】
一実施形態では、平面表面を計算するステップe.は、M-エスティメータ・サンプル・コンセンサス(MSAC)タイプのアルゴリズムによって、三次元関心領域に含まれる視野の同じ部分の点のサブセットを精緻化するステップを含む。
【0023】
本出願人は、MSACタイプのアルゴリズムが、路面に対応する平面を計算する際に特に効率的で信頼性が高いと判断した。
【0024】
一実施形態では、システムは、車両内部に配置された少なくとも1つの基準要素をさらに備える。さらに、HMD画面上に再現される各二次元画像は、三次元空間内の点の集合によって定義される仮想物体を表す。このような場合、本方法はさらに、
- 位置決めモジュールによって決定された位置と、HMDのカメラによってフレーミングされた少なくとも1つの基準要素の位置に基づいて、HMDの位置を決定するステップと、
- HMDの位置に基づいて、HMDの視野に含まれる空間に対応する視野空間を決定するステップと
- 二次元画像として再現されるべき少なくとも一つの仮想オブジェクトが三次元空間に含まれる場合、HMDのスクリーン上に二次元画像を再現するステップg.と、
- 位置決めモジュールによって決定された位置と、ステップe.で計算された平面の位置に基づいて、三次元空間の点の集合の各点を補正するステップと、
- 仮想オブジェクトに関連する二次元画像を表示するスクリーン位置を、集合の正しい点に基づいて計算するステップと、
- 画面位置でHMDのディスプレイ上に二次元画像を再現するステップと、
を含む。
【0025】
好ましくは、3次元空間における点の集合の各点を補正することは、以下のステップを含む:
- 各補正点を次のように計算する:
wp’=wp-(wp-p)・n→、
ここで、wpは点の座標、wp’は点の補正座標、pは平面上のHMDの位置の投影、n→は平面の法線ベクトルである。
【0026】
仮想物体を定義する3次元空間の点を平面に基づいて再計算することにより、結果として得られる拡張現実の2次元画像は、路面に対して正確に位置決めされた仮想物体の知覚をユーザにもたらす。
【0027】
本発明の別の態様はで、運転支援システムが、
- スクリーンと、該スクリーンの主長さ方向に沿って該スクリーンの反対側に配置された対のビデオカメラとを含むHMDと、
- 車両に搭載され、車両の位置を検出するように構成された測位モジュールと
- 二次元画像として表示される仮想オブジェクトに関連付けられた少なくとも1セットの点が記憶されたメモリ領域と、
- 測位モジュール、HMDに動作可能に接続され、上述した実施形態のいずれか1つによる方法を実施するように構成された処理ユニットと、
を含む。
【0028】
このように構成されたシステムにより、本方法の考慮された実施形態について上述した利点を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、車両に設置された本発明の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によるシステムが設置された走行車両の概略上面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態によるシステム較正手順のフロー図である。
【
図4a】
図4aは、
図1および
図2のシステムで構成されるHMDのポーズのバリエーションを示す概略図である。
【
図4b】
図4bは、
図1および
図2のシステムで構成されるHMDのポーズのバリエーションを示す概略図である。
【
図5a】
図5aは、HMDを通して見える視野を概略的に示す図である。
【
図5b】
図5bは、HMDを通して見える視野を概略的に示す図である。
【
図5c】
図5cは、HMDを通して見える視野を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図1のシステムのマーカの方向および位置の識別および決定ステップを示す概略等角図である。
【
図7】
図7は、異なる向きおよび位置を有する
図1のシステムの3つのマーカを概略的に示す軸幾何学図である。
【
図8a】
図8aは、本発明の実施形態によるシステムのボアサイト手順の主要ステップを示す概略図である。
【
図8b】
図8bは、本発明の実施形態によるシステムのボアサイト手順の主要ステップを示す概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、HMD上に拡張現実要素を動的に表示するための操作手順のフロー図である。
【
図10】
図10は、本発明による拡張現実画像の正確な位置決めのためのサブ手順を実行しながら、HMDによって取得された画像の対から出発して処理されるポイントクラウドの定性的な図である。
【
図11a】
図11aは、それぞれ、路面上の車両および本発明による拡張現実画像の正確な位置決めのためのサブ手順を実行しながら処理された封じ込め空間の概略側面図および平面図である。
【
図11b】
図11bは、それぞれ、路面上の車両および本発明による拡張現実画像の正確な位置決めのためのサブ手順を実行しながら処理された封じ込め空間の概略側面図および平面図である。
【
図12】
図12は、本発明による拡張現実画像の正確な位置決めのためのサブプロシジャを実行する間に決定された路面に属するポイントクラウドのポイントのサブセットの定性的な図である。
【
図13】
図13は、本発明による拡張現実画像の正確な位置決めのためのサブプロシジャの点の位置補正を示す概略図である。
【
図14】
図14は、システムのHMD上の対応する関心対象に関連付けられた画像の表示を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、非限定的な例として提供され、添付の図面に図示された特定の実施例を参照して以下に説明される。これらの図面は、本発明の異なる態様および実施形態を示し、異なる図面における構造、構成要素、材料、および/または同様の要素を示す参照数字は、適切な場合、同様の参照数字によって示される。
【0031】
本発明は様々な変更および代替構造の影響を受け得るが、特定の好ましい実施形態を図面に示し、以下に詳細に説明する。いずれにしても、本発明を図示された特定の実施形態に限定する意図はなく、逆に、本発明は、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲内に入るすべての変更、代替、および同等の構造をカバーすることを意図していることを理解しなければならない。
【0032】
「例えば」、「等」、「又は」の使用は、特に断りのない限り、限定することなく非排他的な選択肢を示す。「含む」の使用は、特に断りのない限り、「含むが、これに限定されない」ことを意味する。
【0033】
図を参照すると、本発明の実施形態によるシステム1は、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)またはHMD10の名称で呼ばれる装着型スクリーンと、測位モジュール、例えばGNSSモジュール20(Global Navigation Satellite System)と、GNSSモジュール20およびHMD10に接続するように構成された処理ユニット30と、1つまたは複数の基準要素、例えばArUco型マーカ40とを備える。
【0034】
GNSSモジュール20は、定期的に、および/または要求に応じて、検出された位置に関する表示を提供するように構成される。例えば、GNSSモジュール20はGPSナビゲータから構成され、GNSSモジュール20によって検出されたグローバルな位置、したがって車両5の位置を示す地理的座標のセットを提供するように構成される。好ましくは、GNSSモジュール20によって提供される座標セットは、上方から観察される車両5の中央部分(すなわち、その平面図に関する車両の中央部分)を参照する。
【0035】
HMD10は、HMD10を装着したユーザがスクリーン11(
図5aおよび
図6に模式的に示されている)を通して見ることができるように、透明および/または半透明のスクリーン11から構成されている。さらに、HMD10は、HMD10を装着しているユーザの視野(FOV)に存在するもの(以下、簡潔にするために「HMD10の視野FOV」と呼ぶ(
図2に模式的に図示))に重畳される画像をスクリーン11上に表示するように構成され(例えば、適切な回路(図示せず)により構成され)、これにより、拡張現実効果を創出する。この目的のために、HMD10は、処理ユニット30によって提供されるデータおよび/または命令に基づいて表示される画像を生成するように構成されたローカル処理ユニット13を備えることができる。
【0036】
HMD10は、(
図5cに概略的に示されるように)異なる視点から空間の実質的に同じ領域をフレーミングするように構成された対のカメラ15を備える。有利には、HMD10のカメラ15は、HMD10のスクリーン11のフレームの反対側に配置される。換言すれば、対のカメラ15は、スクリーン11の主な長さ方向に沿って、好ましくはHMD10を装着したユーザの目を結ぶ線に平行に、既知の一定の距離だけ互いに離れている。カメラ15の各々は、HMD10のFOVに実質的に対応する1つ以上の画像を取得するように構成される。
【0037】
処理ユニット30は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、汎用プロセッサ(例えば、CPU)および/またはグラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、DSP、FPGA、ASIC、メモリモジュール、処理ユニット30の様々な構成要素にエネルギーを供給するための電源モジュール、および好ましくは、他の装置への接続および/または他のエンティティ(例えば、HMD10、GNSSモジュール20、リモートサーバなど)とのデータ交換のための1つまたは複数のインターフェースモジュールのうちの1つまたは複数から構成される。
【0038】
処理ユニット30はまた、メモリ領域31を具備し、および/またはメモリモジュール(図示せず)に接続され、このメモリ領域に、1つまたは複数の拡張現実オブジェクトOA、すなわち仮想オブジェクトに関連する情報を記憶することができる。拡張現実オブジェクトOAの例は、停止空間OA1、最適軌道OA2、および仮想標識OA3(
図2に模式的に図示)を含む。
【0039】
一実施形態では、少なくとも拡張現実オブジェクトOAは、専門用語で「ワールド点」と呼ばれる点の集合{wp}によって定義される。一般に、ワールド点{wp}の一般的なセットの各ワールド点は、3次元空間の座標のベクトルを含む。考慮される例では、ワールド点の集合{wp}は、グローバル参照系を通じて定義される三次元空間におけるそれぞれの拡張現実オブジェクトの形状を定義する。
【0040】
好ましくは、メモリ領域31は、1つ以上の実オブジェクトORに関する情報を記憶するように構成される。
【0041】
実オブジェクトORの例としては、車両5が走行する道路OR0、横断歩道OR1、走行道路のカーブOR2(
図2に模式的に図示)、建物、記念碑、看板、文化的名所、ビューポイントなどが挙げられる。
【0042】
各実オブジェクトORは、空間における実オブジェクトORの位置を定義するグローバル参照系の座標セットに関連付けられている。
【0043】
1つまたは複数の拡張現実オブジェクトOAのワールド点の集合{wp}は、絶対的な用語で定義することができ、例えば、各ワールド点は、グローバル参照系の座標の集合に対応し、または、例えば、現実オブジェクトORの座標の関数として関連付けられる。例えば、停止空間OA1のワールド点の集合{wp1}は、横断歩道OR1の座標の集合の関数として定義することができる。
【0044】
任意選択で、メモリ領域31は、画像および/またはテキスト情報など、1つまたは複数の現実オブジェクトOR拡張現実オブジェクトOAに関する1つまたは複数の追加情報を記憶するように構成される。
【0045】
好ましい実施形態では、処理ユニット30は、車両5のオンボードセンサ(図示せず)によって提供されるデータ(例えば、速度、加速度、操舵角など)にアクセスするため、コンピューティング能力、ユーザインタ-フェスを利用するため、および/または車両5のオンボードコンピュータ(図示せず)の接続性を利用するために、慣性測定ユニット、すなわちIMU6、および/または処理ユニット30が搭載された車両5のデータBUS55(例えば、LIN/CANバス)に接続するように構成される。
【0046】
各マーカ40は、フィデューシャルパターン(例えば、実質的に白または黒の画素からなるバイナリマトリックス)から構成され、これにより周囲の環境から容易に識別することができる。有利なことに、各マーカ40のフィデューシャルパターンには、当該マーカ40を一意に識別することを可能にする識別コードが含まれている。
【0047】
好ましくは、非限定的な態様ではあるが、マーカ40は、マーカ40のフィデューシャルパターンをバックライトで照らすように構成されたバックライトアセンブリ(図示せず)を含んでいてもよく、これにより、画像に基づいて、特にHMD10のカメラ15によって取得された画像の処理を通じて、マーカ40およびそのフィデューシャルパターンの識別が容易になる。
【0048】
設置ステップでは、マーカ40が車両5の乗客室51内に配置され、主基準要素として動作し、好ましくは、可変数の副基準マーカ40(図中の例では3つ)が乗客室内に配置され、副基準要素として動作することができる(ブロック101)。
【0049】
検討した例では、マーカ40は、車両の乗客室51内で、車両5のフロントガラス53上、またはフロントガラス53と連続する位置に配置されている。これにより、マーカ40に対するHMD10の向きと位置を特定することができ、したがって、ユーザが周囲の環境を観察する車両5のフロントガラス53に対するHMD10の向きと位置を特定することができる。これにより、HMD10の視野FOVを、車両5の乗客コンパートメント51に対して、特にフロントガラス53に対して決定することが可能になる。有利なことに、マーカ40に対するHMD10の位置および向きを特定することで、以下に説明するように、画像を表示するスクリーン11の表示領域Rを決定することもできる。
【0050】
例えば、図示されているように運転位置が左側にある車両5を考慮すると、例示的な配置(HMD10の向きと位置を特に信頼性の高い方法で識別することを可能にする)には、フロントガラス53の一方の左端の連続位置に第1のマーカ40を配置すること、ユーザの位置に対して正面位置に(進路の視界を妨げないように)第2のマーカ40を配置すること、およびフロントガラス53の横方向の延長線に対して中央位置の連続位置に第3のマーカ40を配置することが含まれる。
【0051】
(
図1に概略的に示すように)車両5の客室51内にシステム1を設置した後、較正手順100にかける。較正手順100は、アライメントステップとボアサイトステップを含む。
【0052】
アライメントステップでは、HMD10は、所定の運転姿勢を維持するユーザによって装着され、好ましくは、(例えば、
図4aに概略的に示すように)頭部、ひいてはHMD10がフロントガラス53を向く。対の画像ILおよびIRが、実質的に同じ瞬間にカメラ15を介して取得される(ブロック101)。好ましくは、画像ILおよびIRのセットのシーケンスは、HMD10が同じ位置に保持されるか、または(例えば、HMD10を装着するユーザによって行われる通常の姿勢補正または変化による)ゆっくりと動かされる時間間隔の間に取得される。
【0053】
HMD10のスクリーンの側面にカメラ15を配置すると、両方の画像ILおよびIRは、HMD10の実質的に同じ視野FOVを再現するが、(
図5a~
図5cで理解できるように)異なる観察点f1およびf2から観察される。
【0054】
カメラ15の画像ILおよびIRの各々は、マーカ40を認識するために処理される(ブロック103)。例えば、マーカ40に対応する輪郭が画像ILおよびIRにおいて識別され、単一のマーカ40は対応する基準パターンを識別することによって認識される。
【0055】
画像ILおよびIRの各々において識別された各マーカ40について、画像ILおよびIRを取得したそれぞれのカメラ15に関連付けられた基準系に関して相対位置および向きが計算される(ブロック105および
図6)。好ましくは、各マーカ40の位置は、各画像IL、IRにおけるマーカ40の中心点を求めることによって特定される。例えば、各画像IL,IRにおけるマーカ40の中心点の座標からなる位置ベクトルtL,tRが算出される。これに対して、各マーカ40の向きは、まず、マーカ40の表面を特定し、次に、HMD10の基準系に対するマーカ40の表面の向きを特定することによって決定される。例えば、各画像IL,IRにおけるマーカ40の表面の回転角度からなる方位行列RL,RRが計算される。
【0056】
次に、HMD10に関連する基準系、すなわち、HMD10を装着したユーザの視点を実質的に中心とする三次元基準系に関して、相対的な位置および向きが計算される(ブロック107)。好ましくは、各マーカ40の組み合わされた位置および向きは、画像ILおよびIRから開始して計算された各マーカ40の位置および向きを三角測量することによって計算される。詳細には、一般的なマーカ40の組み合わされた位置は、画像ILおよびIRから開始して決定されたマーカ40の中心点の位置からの三角測量によって計算される。同様に、一般的なマーカ40の組み合わせの向きは、画像ILとIRから開始して計算されたマーカ40の表面の向きから三角測量によって計算される。すなわち、画像ILと画像IRから求めた位置ベクトルと方位行列のセット[tL,RL]と[tR,RR]を合成して、合成位置ベクトルと方位行列のセット[tHMD,RHMD]を求める。例えば、上述の三角測量操作は、Hartley, R. and A. Zisserman:”Multiple View Geometry in Computer Vision” Cambridge University Press, p. 312, 2003に従って実行される。
【0057】
マーカ40がメインマーカとして選択される(ブロック109)。例えば、取得された画像IL及びIRにおいて最も視認性の良いマーカ40、又は予め定義された識別コードを有するマーカ40がメインマーカとして選択される。
【0058】
次に、各マーカ40の位置と主マーカ40の位置を結ぶ関係が計算される(ブロック111および
図7)。好ましくは、マーカ40間の関係は、回転変換演算、すなわち同次変換の行列演算によって定義される。
【0059】
較正手順100のボアサイトステップは、GNSSモジュール20の位置とHMD10の実際の位置との間の補償の法則を確立する。
【0060】
好ましい実施形態では、補償則は、基準マーカ40に関連付けられた相対基準系とGNSSモジュール20に関連付けられたグローバル基準系との間の回転変換関係を特定することによって定義される。
【0061】
図8Aおよび
図8Bを特に参照すると、最初に、車両5、特にGNSSモジュール20は、所定の距離dに位置決めされ、ボアサイト対象物OB(例えば、実際の物理的対象物)に対して既知の向きで位置決めされる(ブロック113)。したがって、ボアサイト対象物OBに関連するボアサイト位置PB(すなわち、グローバル基準系の座標セット)は既知である。本出願人は、システム1の正確なボアサイト計測を可能にするために、ボアサイト対象物OBとして直線セグメントを使用できることを確認した。しかし、本出願人は、多角形および/または三次元の物体を使用することにより、ユーザがより簡単にボアサイトステップを完了できることを発見した。
【0062】
GNSSモジュール20によって測定されたボアサイト位置PBと車両の位置PVは、HMD10のスクリーン11上に再現される対応する(二次元)ボアサイト(拡張現実)画像ARBを決定するために使用される(ブロック115)。
【0063】
好ましくは、ボアサイト画像ARBは、車両5のフロントガラス53を通して見えるボアサイト対象物OBに対応するような輪郭を有する。
【0064】
ボアサイト画像ARBのHMD10のスクリーン11上のスクリーン位置PAR、すなわち、ボアサイト画像ARBを表示するために使用されるHMD10のスクリーン11のピクセルの座標は、対応するボアサイト拡張現実オブジェクトOABに関連付けられたワールド点{wpB}のセットから出発して計算される。特に、ボアサイト用拡張現実オブジェクトOABは、ボアサイト用オブジェクトOBの仮想レプリカであり、そのワールド点{wpB}のセットは、GNSSモジュール20によって提供される車両VPの位置に基づいて定義される。
【0065】
GNSSモジュール20とHMD10の位置が異なるため、一般に、ボアサイト画像ARBはボアサイト・オブジェクトOBに重畳されない。
【0066】
こうして、ボアサイト画像ARBは、ボアサイト画像ARBが、車両5のフロントガラス53を通して見える、新しいスクリーン位置PAR’-のボアサイト対象物OBに重畳されるまで、HMD10のスクリーン11に沿って並進される(ブロック117)。例えば、処理ユニット30は、例えば処理ユニット30のユーザインタフェース(図示せず)を介して、又は処理ユニットに接続されたデバイス(例えばHMD10自体、又はパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、車両5のオンボードコンピュータ等)のユーザインタフェースを介して、ユーザがボアサイト画像ARBを移動させることができるように構成され得る。
【0067】
従って、ボアサイト画像ARBとボアサイト対象物OBとの間の重ね合わせをもたらすHMD10のスクリーン11上の並進は、ボアサイト画像ARBとボアサイト対象物OBとの間の不一致またはオフセットを補償することができる補償則を決定するために処理される(ブロック119)。
【0068】
例えば、補償則は、ボアサイト画像ARBが対応するボアサイト拡張現実オブジェクトOABに関連するワールド点{wpB}のセットと、ボアサイト対象物OBに関連するボアサイト位置PBとの間の回転変換関係に基づく補償行列によって定義することができる。
【0069】
言い換えれば、較正手順100は、グローバル基準系の座標によって定義される周辺環境、グローバル基準系に対するGNSSモジュール20によって提供される車両5の位置、画像IL、IRが取得されるHMD10の位置、およびHMD10のカメラ15によって撮影される車両5の乗客コンパートメントの位置(特に、フロントガラス53)の間の関係を確立する。
【0070】
較正手順100が完了すると、システム1は、それぞれが対応する拡張現実オブジェクトOAに対応する1つまたは複数の拡張現実画像ARを、視野FOVで見えるものと統合するように、HMD10のスクリーン11上にリアルタイムで再現することができる。
【0071】
特に、システム1は、拡張現実要素の動的表示の動作手順200を実行し(
図9に概略的に図示)、これは、最初に、マーカ40に対するHMD10の姿勢を決定することを提供する(ブロック201)。
【0072】
言い換えれば、各マーカ40に対する各カメラ15の姿勢の計算は、カメラ15とマーカ40との間の相対的な位置および向きを識別するために、カメラ15を介して画像ILおよびIRのセットを取得することによって実行され、続いて、これらの位置および向きが、較正手順100の位置合わせステップ中に決定された関係を利用することによって、マーカ40に対するHMD10の位置および向きを決定するために組み合わされる。
【0073】
その後、または並行して、GNSSモジュール20を介して車両位置PVが検出される(ブロック203)。 好ましくは、車両PVの位置は、対の画像の取得と同時に検出され、さらに好ましくは、車両PVの位置は、対の画像の取得と同時に検出される。
【0074】
このようにして、車両PVの位置は、グローバル基準系に対するHMD10の位置を決定するために、較正手順100のボアサイトステップ中に定義された補償則を適用することによって修正される(ブロック205)。
【0075】
要約すると、操作手順200のステップ203~205は、グローバル基準系に対するHMD10の位置および向きをリアルタイムで確実に決定する。
【0076】
好ましくは、1つまたは複数の識別されたマーカ40を使用して、画像が表示されるスクリーン11の表示領域Rの形状および拡張を定義することができ、例えば、
図4aおよび
図4bに概略的に示されるように)画像が、車両5のフロントガラス53上またはフロントガラス53を通して見える外部環境のオブジェクト上に重なって表示されるようにする(ブロック207)。
【0077】
グローバル基準系に対するHMD10の位置および向きに基づいて、三次元空間VOL、すなわちHMD10の視野FOV内に含まれる空間のボリュームが決定される(ブロック209)。好ましくは、三次元空間VOL(
図2に模式的に図示)は、所定の距離内に広がる。所定の距離は、例えば、HMD10の現在位置によって予め決定された距離(例えば、視野FOVの深さ)であって、IMU6によって取得されたパラメータおよび/または車両5の速度および/または加速度などの車両5のセンサによって取得されたパラメータに基づいて変更される可能性がある距離である。
【0078】
その後、メモリ領域に記憶された1つまたは複数の拡張現実オブジェクトOAが三次元空間VOL内に含まれる否かが検証される(決定ブロック211)。そうでない場合(ブロック211の出力ブランチN)、アクションは取られない。
【0079】
代わりに、1つまたは複数の拡張現実オブジェクトOAが三次元空間VOL内に含まれる場合(ブロック211の出力ブランチY)、各拡張現実オブジェクトOAについて、HMD10を装着しているユーザがそれぞれのワールド点{wp}のセットの連続性において対応する拡張現実オブジェクトOAを見ることができるように、スクリーン11上の対応するスクリーン位置APが計算される(ブロック213)。有利には、スクリーン位置APは、車両5の位置と、グローバル基準系の座標セットにおけるワールド点{wp}のセットの位置とに基づいて計算される。
【0080】
好ましい実施形態では、操作手順200は、(
図9のフロー図に示されるように)正確な位置決めサブ手順300からなり、このサブ手順は、拡張現実オブジェクトOAを、HMD10および車両5のフロントガラス53を通してユーザによって観察される周辺環境と最適に統合するように再現するように構成される。特に、サブ手順300は、(ユーザによって知覚される)仮想オブジェクトOAとHMD10を通して見ることができる路面OR0との間の最適な重ね合わせを得ることを可能にする。
【0081】
正確な位置決め手順300は、HMDのカメラ15によって取得された対の画像IL、IRを使用して、好ましくは同じ瞬間に行う(ブロック301)。有利には、画像IL、IRは、視野FOVおよび視野空間VOLを決定するための手順200によって使用されるものと同じである。
【0082】
既に上記で考察したように、対の画像IL、IRは、HMD10を装着した観察者に見える視野FOVの同じ部分をキャプチャする。言い換えれば、画像ILの少なくとも一部は、画像IRの対応する部分と重ね合わせ可能であり、その逆も同様である。
【0083】
特に、HMD10が車両5のフロントガラス53に面している場合を考えると、取得された画像IL,IRは、車両5の外部の環境、特に車両5の前方の路面OR0の一部を描写することになる。
【0084】
対の画像IL,IRを処理することにより、互いに重ね合わせることができる部分に属する画像IL,IRの各点(例えば各画素)の三次元空間における位置が推定され、いわゆるポイントクラウドPCが得られる(ブロック303および
図10)。すなわち、両画像IL,IRに描かれた各点の三次元空間VOL内の位置が推定される。
【0085】
一実施形態では、三次元空間における点の位置を推定することは、まず、対の画像IL,IRの同じ点に対応する画素間の視差マップ(サブブロック3031)を他方に関して計算し、次に、例えば、対応する画素の対と視差マップによって識別される関連する視差値とから出発して各点を三角測量することによって、対応する画素の対(サブブロック3033)に基づいて両画像に描写される各点の三次元空間における位置を計算することを提供する。
【0086】
好ましい実施形態では、視差マップは、以下に記載されている内容に従って計算される。さらに、画像IL,IRの点の三角測量は、以下に記載されている内容に従って計算される。R. Hartley, A. Zisserman, ”Multiple View Geometry In Computer Vision” CUP, Cambridge, UK, 2003, p. 312.
【0087】
その後、路面OR0を構成する封じ込め空間VCを推定することが想定されている(ブロック305)。
【0088】
考慮される実施形態では、路面OR0を構成する封じ込め空間VCの推定は以下のように実施される。
【0089】
最初に、路面を識別し、上述の手順200のステップを適用することによって、取得された画像IL,IRから出発して、路面OR0の位置の第1の推定が実行される(サブブロック3051)。換言すれば、グローバル参照系においてそれぞれの座標セットが関連付けられた現実オブジェクトORである三次元空間VOL内に含まれる路面OR0の少なくとも一部に重畳された拡張現実オブジェクトOAの位置が推定される。換言すれば、拡張現実オブジェクトOAは、ブロック213に関連して説明した操作までの手順200に従って、すなわち画像IL,IRのセットと、画像IL,IRの取得の連続性において検出された車両5の位置とに基づいて決定された路面OR0の位置の推定値に対応する。
【0090】
スプリアス要素の存在を制限するために、封じ込め空間VCは、HMD10の位置から、車両5の移動方向に対して平行な方向、より一般的には、車両5の長手方向の長さに対して平行な方向において、例えば5mと15mとの間、好ましくは10mと等しい最小閾値以上の距離を有する三次元空間VOLの一部を含む。このようにして、車両5の客室内に関連する点群PCの点およびフロントガラス53を通して見える車両5の前方部分を除外することが可能であり、したがって、三次元空間VOLに含まれる。
【0091】
さらに、計算負担を軽減するために、封じ込め空間VCは、HMD10の位置から、車両5の移動方向に対して平行な方向、より一般的には、車両5の長手方向の長さに対して平行な方向に、例えば50mと150mとの間、好ましくは100mと等しい最大閾値以下の距離を有する三次元空間VOLの一部を含む。
【0092】
有利なことに、封じ込め空間VCはまた、例えば3mと12mの間、好ましくは6mの間に含まれるような、路面の幅に実質的に対応する幅-車両5の移動方向およびその長手方向の長さに横方向の幅-を有する視界容積VOLの一部に限定される。
【0093】
封じ込め空間VCは、路面OR0の推定位置P0(
図11aおよび
図11bに模式的に示す)から計算される。空間VCは、路面OR0の推定位置P0に平行な対の表面SUおよびSBの間に含まれ、HMD10と路面OR0の考慮される部分との間の距離の最小閾値の連続性において、横断面STから平行な表面SUおよびSBまで延びる。詳細には、対の平行面の上面SUは、路面部分OR0の推定位置P0の各点のグローバル参照システムの座標の標高値に第1のオフセット値OFF1を加算することによって決定される(サブブロック3053)。同様に、路面部分OR0の推定位置P0の各点のグローバル基準系の座標の標高値から第2のオフセット値OFF2を減算することによって、対の路面の下面SBが決定される(サブブロック3055)。
【0094】
好ましい実施形態では、第1のオフセット値OFF1および第2のオフセット値OFF2は、カメラ15の特性および車両5の特性に対応し、それに基づいて決定される。詳細には、オフセット値OFF1およびOFF2は、カメラの精度が高くなるにつれて、または同様に、カメラの光学収差などの非理想性が低くなるにつれて、減少する。さらに、オフセット値OFF1およびOFF2は、車両5が移動中に受ける応力と、応力に対する車両5の応答とに直接依存する。例えば、車両5のサスペンションが硬いほど、移動中に車両5が経験するピッチングが小さくなり、その結果、ピッチングを補正するために必要なオフセットが小さくなる。
【0095】
続いて、封じ込め空間VC(ブロック307)に含まれる点群PCの点のサブセットが決定される。言い換えれば、封じ込め空間VCは、実際に路面OR0に属する可能性が最も高いポイントクラウドPCの点のサブセットを分離するように、ポイントクラウドPCをフィルタリングするように構成される。
【0096】
路面OR0に属する点群PCの点のサブセットは、路面OR0に対応する平面RSを計算するために処理される(ブロック309)。
【0097】
好ましい実施形態では、点群PCの点のサブセットは、点群の三次元参照系で平面RSを表現する数式を決定することを可能にするM-エスティメータ・サンプル・コンセンサス(MSAC)型のアルゴリズムによって処理される。好ましくは、平面RSの数式は、以下の形式となる。
【0098】
αx+βy+γz=δ, (1)
ここで、α、β、γ、δは、点群PCの点のサブセットに基づいてMSAC型アルゴリズムによって決定される係数である。
【0099】
例えば、ポイントクラウドの点のサブセットは、P.H.S. Torr, A. Zisserman: ”MLESAC: A New Robust Estimator with Application to Estimating Image Geometry”, Computer Vision and Image Understanding, Volume 78, Issue 1, 2000, pages 138-156に記載されているように処理される。
【0100】
続いて、拡張現実オブジェクトOAのワールド点{wp}のセットの各ワード点wpが、平面曲面RSに基づいて再計算される(ブロック311および
図13)。
【0101】
計算された平面RSは、HMD10を介して表示される拡張現実オブジェクトOAの位置決めを補正するために使用される。特に、路面OR0に重畳して表示される拡張現実オブジェクトOA-最適トラックOA1および停止バンドOA2など)は、平面RSから開始して行われる補正のおかげで、ユーザの視野FOV内の路面OR0に正しく重畳される。
【0102】
詳細には、路面OR0上に配置される拡張現実オブジェクトOAのワールド点{wp}のセットの一般的なワールド点wpが与えられると、補正されたワールド点wp’が次のように計算される。
【0103】
wp’ = wp - (wp - p)・n→、
ここで、pは平面上のHMD10の位置の投影であり、n→は平面の法線ベクトルである。
【0104】
次に、正しいワールド点{wp’}のセットは、スクリーン11上の対応する正しいスクリーン位置AP’を決定するために使用される(ブロック313)。したがって、手順200のブロック215に関連して説明したステップにおいて、スクリーン上のスクリーン位置AP’の連続性において拡張現実(二次元)画像ARが再現される。このようにして、HMD10を装着しているユーザは、それぞれの正しいワールド点{wp’}のセットの連続性において拡張現実オブジェクトOAを見る。
【0105】
したがって、各拡張現実オブジェクトOAについて、対応する拡張現実画像ARが、対応する正しいスクリーン位置AP’においてHMD10のスクリーン11上に再現される(ブロック215)。好ましくは、各拡張現実画像ARは、車両5のフロントガラス53に重畳されたスクリーン11の表示領域Rに含まれる場合に再現される。
【0106】
有利には、スクリーン11上に再現される拡張現実画像ARは、HMD10と、グローバル参照系における対応する拡張現実オブジェクトOAのワールド点{wp}のセットとの間の距離および相対位置に従ってスケーリングされ、方向付けられる。
【0107】
例えば、
図14を参照すると、HMD10を装着しているユーザが視野FOV内のそれぞれのワールド点{wp1-3}のセットの連続性において各拡張現実オブジェクトOA1-3を見るように、各拡張現実オブジェクトOA1-3に対応する拡張現実画像AR1-3を再生するスクリーン11上のスクリーン位置AP’1-3を計算するように提供される。
【0108】
特に、路面上に表示される2次元の拡張現実オブジェクトOAの場合、例えば、車両5が辿るべき軌道を示すストリップや停止線などである。本システムは、車両の移動方向と直交する方向に沿って拡張現実オブジェクトOAの第1の点のセットを生成し、拡張現実オブジェクトOAの範囲に達するまで、車両と平行な方向に点を並進させることを提供する。換言すれば、一旦、拡張現実オブジェクトOAの最初の点が推定平面上に「配置」されると、拡張現実オブジェクトOAは、平面上に投影されたその最初の点から正確に出発して、所望される所望の寸法(例えば、幅および長さ)、例えば、離隔位置または軌跡を投影するために-まで増大される。このようにして、(その頂点が平面上にあるので)拡張現実オブジェクトOAの全体が平面に属し、ユーザによって知覚される寸法が(投影エラーや歪みなしに)正確に所望の寸法であることが保証され得る。
【0109】
この手順200は、車両5およびHMD10の位置の時間的変化、したがって視野FOVおよび視野空間VOLの時間的変化の関数として、拡張現実画像の表示をリアルタイムで更新するように、HMD10の使用中に継続的に繰り返される。
【0110】
結論として、上記に提示された手順100、および200、ならびにサブ手順300の組み合わせは、特に、ユーザによって装着されたHMD10のスクリーン11上に拡張現実画像を再現することによって、ユーザにリアルタイムの情報を提供するように構成された運転支援方法を形成する。
【0111】
しかしながら、上記の実施例は限定的な意味で解釈されてはならないことは明らかであり、このようにして考え出された本発明は、多数の修正および変形が可能である。
【0112】
例えば、同じ手順または異なる手順の1つまたは複数のステップを、互いに並行して、または上述した順序とは異なる順序に従って実行することができる。同様に、上述した手順の1つまたは複数から、1つまたは複数の任意の手順を追加または削除することができる。
【0113】
一実施形態では、F. Ababsa, M. Mallem, ”Robust Camera Pose Estimation Using 2D Fiducials Tracking for Real-Time Augmented Reality Systems” International conference on Virtual Reality continuum and its applications in industry, pages 431-435, 2004に記載されているものに基づくアルゴリズムによって、マーカ40に対する各カメラ15の姿勢、すなわち相対的な位置および向きを特定することができる。
【0114】
しかし、マーカ40を使用せず、HMD10の位置と向きを代替手段、例えば、ユーザを撮影し、HMD10の位置と向きを検出するように構成された撮影システムによって決定する実施形態を実施することを妨げるものは何もない。
【0115】
追加的または代替的に、カメラのポーズを識別するように構成されたアルゴリズムは、Madjid Maidi, Jean-Yves Didier, Fakhreddine Ababsa, Malik Mallem: ”A performance study for camera pose estimation using visual marker-based tracking”, published in Machine Vision and Application, Volume 21, Issue 3, pages 265-376, year 2010, and/or in Francisco J. Romero-Ramirez, Rafael Munoz-Salinas, Rafael MedinIRCarnicer: ”Speeded Up Detection of Squared Fiducial Markers ”がImage and Vision Computing, Volume 76, year 2018に掲載された教唆に基づくことができる。
【0116】
一実施形態では、拡張現実画像ARは、ソフトウェア製品MATLAB(登録商標)”成され、The MathWorks, Inc.による2019年3月、バージョン9.0(リリースR2019a)用の「Computer Vision Toolbox”リファレンス」改訂版に記載されているComputer Vision Toolbox”の関数「worldToImage」の類似のアルゴリズムを実装することによって、ワールド点{wp}のできるだけ多くのセットに対応するそれぞれのスクリーン位置PAに表示されるように生成され得る。
【0117】
一実施形態では、手順200は、HMD10のスクリーン11上に再現される各拡張現実画像ARを、たとえば、スケール、遠近法の変更などによって、HMD10の位置および対応する拡張現実オブジェクトOAのワールド点のセット{wp}の時間の関数としての変動の関数として、修正することを提供する。言い換えれば、対応する拡張現実オブジェクトOAがHMD10を装着したユーザの三次元空間VOL内に含まれるまで、各ワールド点wpの追跡が提供される。
【0118】
一実施形態では、サブ手順300は、路面の一部OR0上に配置されるべき拡張現実オブジェクトOAに関連する拡張現実画像IRを生成するためだけに実施される。路面OR0上に重畳されていない拡張現実オブジェクトOAの場合、システム1は、サブ手続き300を省略することを提供し、したがって、拡張現実画像は、位置APにおいてスクリーン上に直接再生される(すなわち、ブロック213からブロック215に切り替えられる)。
【0119】
別の実施形態では、サブ手続き300は、位置が道路平面に対して垂直座標で表される拡張現実オブジェクトOAに関連する拡張現実画像IRを生成するためだけに実施される。
【0120】
一実施形態では、路面OR0の推定は、ステップ213で位置APが計算された路面OR0に重畳して表示される同じオブジェクトOAまたはその一部を用いて実行される。
【0121】
有利には、オフセット値OFF1およびOFF2は、既知のテスト条件を参照するポイントクラウドの路面に関連するすべての点から封じ込め空間VCが含まれることが検証されるボアリグシングステップと同様の較正ステップにより、既知の条件下で較正される。好ましくは、オフセット値OFF1およびOFF2は、車両5のデータバス55を介して取得されるショックアブソーバの動作に関する情報に基づいて、車両5の移動中に動的に補正される。
【0122】
一実施形態では、手順200および/またはサブ手順300は定期的に繰り返される。好ましくは、手順200および/またはサブ手順300の反復の頻度は、ユーザの頭部の動きの頻度-HMD10のセンサによって、またはカメラ15によって取得された画像のFOVの変動によって測定される、および/または車両5の回転運動、すなわちロールおよびピッチングの関数として可変である。好ましくは、手順200および/またはサブ手順300の繰り返しの周波数は、30Hz以上、好ましくは40Hz以上である。
【0123】
追加的又は代替的に、手順200及び/又はサブ手順300の反復の周波数は、車両5の速度の関数として可変であり、例えば、車両5の速度が増加するにつれて増加する。
【0124】
一実施形態では、アライメントステップは、使用されるカメラ15の特定の特性によってもたらされる変形及び/又は収差を補正するためのスケール値及び/又は補正係数を決定することを提供する。代替的または追加的に、HDM10に対する各マーカ40の位置および計算された方位は、ノイズを除去するために経時的にフィルタリングすることができる。
【0125】
一実施形態では、アライメントステップは、後続の時間瞬間に取得された画像ILとIRの対を分析することによって決定されたマーカ40の各位置について、各マーカ40の位置をメインマーカ40にリンクする回転変換を計算することを提供する。各マーカ40について計算された回転平行移動は、次に、メインマーカ40に対する各マーカ40の単一の回転平行移動が得られるように時間に平均化される。
【0126】
当然ながら、すべての詳細は、技術的に同等な他の要素に置き換えることができる。
【0127】
結論として、使用される材料、ならびに前述の装置、機器および端末の偶発的な形状および寸法は、それによって以下の特許請求の範囲の保護範囲を放棄することなく、特定の実装要件に従って任意である。
【国際調査報告】