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特表2024-518259積層製造用熱可塑性粉末を形成する改良方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】積層製造用熱可塑性粉末を形成する改良方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20240423BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240423BHJP
【FI】
C08J3/12 A CER
C08J3/12 CEZ
B33Y70/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561020
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2022029420
(87)【国際公開番号】W WO2022245720
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,609
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/217,451
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514073570
【氏名又は名称】ジャビル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ディッペル,ニコラス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クビアク,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】トロシアン,マシュー アルティン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ジョン ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】フライ,トーマス
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA41
4F070AA52
4F070AB14
4F070AB23
4F070DA46
4F070DC07
4F070DC09
(57)【要約】
有用な熱可塑性高分子粉末は、熱可塑性高分子からなる発泡体をその熱可塑性高分子の脆化温度より低く冷却する工程であって、この発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法を有する工程、および冷却された発泡体を粉砕する工程を含む方法により形成される。この方法は、改善された形態および流動補助剤を用いない乾燥流などの所望の特性を有する熱可塑性高分子の効率的な製粉を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ガラス転移温度を有する熱可塑性高分子からなる発泡体を、該ガラス転移温度より低い冷却温度に冷却して、冷却発泡体を形成する工程であって、該発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法を有する、工程、および
(ii)前記冷却発泡体を粉砕して熱可塑性高分子粉末を形成する工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記発泡体が10%から50%の気孔率を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記発泡体が最大40%の気孔率を有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記平均支柱寸法が20から300マイクロメートルである、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記平均支柱寸法が25から250マイクロメートルである、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記発泡体が、少なくとも10マイクロメートルのD10支柱寸法を有する、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記発泡体が、最大500マイクロメートルのD90支柱寸法を有する、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記発泡体が、前記平均支柱寸法より小さい平均セル寸法を有する、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記平均セル寸法が前記平均支柱寸法より少なくとも10%小さい、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性高分子粉末が、(i)約150μm未満のD90粒径、(ii)少なくとも10μmのD10、および(iii)約20μmから約150μmの平均粒径を有する、請求項1から9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性高分子粉末の数で少なくとも80%が、少なくとも約0.8の真円度を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記熱可塑性高分子粉末が、ASTM-Dの方法Aにより15mmのノズルを使用して、少なくとも0.5g/秒の流量を有する、請求項1から11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記流量が少なくとも1g/秒である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記発泡体が、0.5mmから50mmの等価球直径の平均サイズを有する、請求項1から13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記発泡体が少なくとも1.5から50のアスペクト比を有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記発泡体が、小板、管、および繊維の1つ以上からなる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記発泡体が、
(i)発泡剤を熱可塑性高分子中に、該熱可塑性高分子が溶融する温度と圧力下で取り込む工程、および
(ii)前記圧力を、前記発泡剤がガス状になって、熱可塑性発泡体を形成するのに十分に低下させる工程、
を含む過程により形成される、請求項1から16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記発泡体が、前記熱可塑性高分子を溶媒に溶かしてドープを形成し、該ドープを、該溶媒および逆溶媒を転相させるのに十分な量の逆溶媒と接触させ、該逆溶媒を除去して、前記発泡体を形成する工程を含む過程により形成される、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記発泡剤が、化学的発泡剤および物理的発泡剤の1つ以上からなる、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記発泡剤が超臨界二酸化炭素からなる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記熱可塑性高分子が半結晶性熱可塑性高分子である、請求項1から20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記熱可塑性高分子が脆化温度を有し、前記冷却温度が、該熱可塑性高分子の前記ガラス転移温度より低く、該脆化温度より高い、請求項1から21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記冷却温度が前記ガラス転移温度の20%以内である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記冷却温度が前記脆化温度の20%以内である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記発泡体が、
(i)前記熱可塑性高分子を溶媒に溶かして溶液を形成する工程、
(ii)非溶媒を添加することによって、前記熱可塑性高分子を沈殿させて、沈殿した熱可塑性高分子粒子を形成する工程、
(iii)前記沈殿した熱可塑性高分子粒子を合体させて、微粒子発泡体スラリーを形成する工程、および
(iv)前記溶媒および前記非溶媒を除去して、前記発泡体を形成する工程、
を含む方法により形成される、請求項1から24いずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記沈殿させる工程および前記合体させる工程の最中に、前記溶液および前記スラリーが撹拌される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記溶液および前記微粒子発泡体スラリーの1つ以上に気体が導入される、請求項26記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層製造に有用な熱可塑性粉末を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層製造の粉末を利用する方法には、以下のものがある。選択的レーザ焼結(SLS)は、連続層で粉末材料を溶融するためにレーザを使用する3Dプリンティング技術である(例えば、特許文献1を参照のこと)。高速焼結(HSS)およびマルチジェットフュージョン(MJF)3Dプリンティングでは、粉末材料上に赤外線吸収(IR吸収)インクの連続層を同様に堆積させる多数のジェットが利用され、その後、粉末層は、選択的溶融のためにIRエネルギーに暴露される。電子写真3Dプリンティングでは、物体を台座から層毎に構築する回転式光伝導体が利用される。
【0003】
選択的レーザ焼結(SLS)、マルチジェットフュージョン(MJF)、および高速焼結(HSS)3Dプリンティング方法では、同じタイプの浮遊性の固定されていない粉末床が使用され、ここで、粉末の各連続層は計量されて、良好な部品完全性を確保するために粉末の乾燥流が必要とされる。それらには、一般に、積層構築された物体が、溶融相を得るために加熱機構が異なるだけで、同様の応力を経験するので、プリンティングプロセスに適合するための同じ材料要件がある。典型的に、プリントされた物体に予測される残留応力を決定するために、3Dプリント物体の自由物体図を使用することができる。これは、物体をうまく構築するために必要である。残留応力が高すぎると、または粉末が適切に流動しないと、その物体は、変形するか、または許容できない欠陥を有することになる。
【0004】
残留応力は、典型的に、溶融温度と再結晶化温度との間に十分に大きい範囲(window)を有する結晶性または半結晶性熱可塑性高分子を使用することによって、これらの粉末床に基づく3Dプリンタについて最小にされてきた。残念ながら、これは、SLSおよびMJF法を使用して大きいまたは複雑な部品をプリントするためにうまく使用されてきた高分子(例えば、ポリアミド)に限定され、それゆえ、これらの積層製造方法の使用が制限されてきた。同様に、積層製造物品を製造するための加熱後の再結晶化の際に半結晶性高分子を使用すると、物品の性質が制限されることがある。
【0005】
特許文献2から5に記載されたようなポリカーボネートなどの高分子の誘起結晶化の例がいくつかある。これらの全てで、誘起結晶化がなされた粉末を形成するために、揮発性有機溶媒およびその溶媒からの粉末の分離(例えば、沈殿)が使用されていた。残念ながら、これらの溶媒を使用すると、そのような高分子物品、例えば、食品接触が求められる物品の使用が制限されることがある。
【0006】
一般に、必要な粒径を実現するために、粉末を溶融し、融合して、連続層を接着できるようにするには、高分子の凍結破砕と分類が必要である。凍結破砕は、残念ながら、エネルギーを大量に消費する骨の折れる過程である。同様に、破砕過程では、高分子塊の脆性破壊のために、角張った凹凸を有する粉末が得られる傾向にあり、また加熱し、再加工しなければならない過剰に微細な粒子が形成されることがある。製粉から生じる粒子の角張っていることと微細な粒子の存在のために、粒子の流れと分布により、製造された物品に欠陥が生じることがある。その結果、多くの場合、欠陥がなく、変形していない積層製造部品を実現するために、要求される均一性を有する粉末を乾燥計量できるように、流動補助剤が必要とされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5597589号明細書
【特許文献2】米国特許第3214407号明細書
【特許文献3】米国特許第4853462号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2021/0277180号明細書
【特許文献5】国際公開第2017/033146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、SLS、HSS、MJFなどの積層製造に有用な高分子粉末を製造するための1つ以上の問題を回避する方法を提供することが望ましいであろう。例えば、流動補助剤を必要としない有用な積層製造用粉末を実現するのにより効率的な方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、粒径、粒径分布および粒子形態の調整が可能であり、積層製造に有用な熱可塑性高分子粉末を製造するための以前の方法よりも効率的な方法を見出した。この方法は、効率的な製粉、並びに有用な粉末の粒径、粒径分布および微細構造の実現を可能にする特定の微細構造特性を有する高分子発泡体(多孔質高分子体)を形成する工程を含む。所望の最小の粒子よりも大きい支柱またはセル壁の最小肉厚を有する発泡体(多孔質熱可塑性高分子体)は、より効率的に、望ましくない小さな粒子が少なく粉砕できることが見出された。この発泡体は、周囲温度または高温で作られることがあり、発泡体の細孔またはセルは、平均支柱またはセル壁のサイズより小さい平均サイズを有することが望ましい。典型的に、その発泡体は、高分子粉末を形成するための所望の特性および効率的な破砕を実現するために、約2%から50%の気孔率を有する。
【0010】
その積層製造用の熱可塑性高分子粉末は、熱可塑性発泡体からなる発泡体を、熱可塑性高分子の脆化温度より低く冷却する工程であって、発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法を有する、工程、および冷却された発泡体を粉砕して熱可塑性高分子粉末を形成する工程を含む方法により作ることができる。
【0011】
下記の方法により形成された熱可塑性高分子粉末は、有向加熱または電磁エネルギーの印加によって、焼結または融合されて、積層製造物品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の方法に有用な発泡体の表面の300倍の光学顕微鏡写真
図2】本発明の方法に有用な発泡体の表面の100倍の光学顕微鏡写真
図3】本発明の方法に有用な発泡体の表面の200倍の光学顕微鏡写真
図4】本発明の方法に有用な発泡体の断面の200倍の光学顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、特定の実施の形態に関して記載されているが、本開示は、開示された実施の形態に限定されるものではなく、それどころか、付随の特許請求の範囲内に含まれる様々な改変および同等の配置を網羅することが意図されているのを理解すべきであり、その範囲は、法律の下で許容される、そのような改変および同等の構造の全てを包含するように最も広い解釈が与えられる。
【0014】
意外なことに、前記方法は、脆化温度より相当高い温度(すなわち、冷却温度)で行われることがある。例えば、その温度は、特定の高分子のガラス転移温度より低く、望ましくは脆化温度より高いどの温度であってもよい。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)、動的機械測定(DMA)、および熱機械分析(TMA)のような当該技術分野で公知の方法など、どの公知の方法によって決定されてもよい。実例として、Tgは、ASTM D3418またはISO 11357-2を使用して、加熱曲線(20℃/分の加熱速度)の直線からの逸脱からDSCによって決定されることがあり、ここで、Tgは、さらに“Measurement of Tg by DSC”, PETech-09, Thermal Analysis, PerkinElmer, Inc., 2000にW.J.Sichinaによって示されている偏差の中点である。一方で、緻密な高分子が使用される場合、粉砕には、ほぼ必ず、脆化温度に非常に近い(ケルビンで与えられる脆化温度の約5%以内)かまたはそれより低い温度が必要である。形状の改善は、脆化温度より高く、Tgまでの温度での製粉の使用により起因することがあり、形態の改善は、ケルビンで与えられるTgの25%以内、20%以内、または10%以内など、Tgに近い冷却温度で実現されることがある。しかしながら、脆化温度に近いより低い冷却温度(例えば、脆化温度の20%以内または10%以内で、製粉の効率が改善されることがある)。この方法は、通常は、熱可塑性高分子の、ガラス転移温度より低く脆化温度までの温度への冷却を含む。脆化温度は、ASTM D746またはISO 974に定義されている。前記温度は、脆化温度よりさらに低いことがある。冷却は、凍結製粉の技術分野で公知のものなど、どの適切な方法により行われてもよい。実例として、冷却は、冷凍またはドライアイスや液体窒素への曝露であることがある。凍結製粉の温度は、特定の熱可塑性高分子およびそのガラス転移温度と脆化温度に応じてどの適切な温度であってもよい。典型的な温度は、40℃以下、20℃以下、0℃以下、-25℃以下、-50℃以下から、約-75℃、-100℃、-150℃、または-190℃のどの温度であってもよい。
【0015】
熱可塑性高分子は、例えば、米国特許第6136948号明細書および国際公開第96/06881号に記載されているような、選択的レーザ焼結(SLS)などの浮遊性床3Dプリンティング方法で積層製造物品を製造するために使用できるどの熱可塑性高分子であってもよい。熱可塑性高分子は、国際公開第01/38061号に記載されているような、SIBプロセス(粉末の結合の選択的阻害(selective inhibition of bonding of powder))、欧州特許出願公開第0431924号明細書に記載されているような、3Dプリンティング、または米国特許第10479733号明細書に記載されているような、マイクロ波プロセスによって、物品を製造するのにも有用であろう。
【0016】
実例の熱可塑性高分子としては、以下に限られないが、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、上述したものの共重合体および上述したもののブレンドが挙げられる。熱可塑性高分子は、線状であっても、分岐していてもよい。熱可塑性高分子は、脂肪族であっても、芳香族であってもよい。熱可塑性高分子で、高分子の少なくとも一部が高分子主鎖内に繰り返し芳香族単位からなることが望ましいことがある。実例として、熱可塑性高分子は、高分子の5モル%、10モル%、25モル%または50モル%が芳香族である(例えば、芳香族基が高分子のモル質量の50%以上を構成する)ことがある。
【0017】
前記熱可塑性高分子は、一般に、半結晶性高分子からなり、ここで、半結晶性高分子は、そのような高分子を形成するまたは配合するときに通常経験する速度(例えば、約25℃の周囲温度から溶融温度までの加熱速度と冷却速度)で加熱し、冷却されたときに、少なくとも約5%の結晶化度から実質的に完全に結晶性を示す。すなわち、その高分子は、当該技術分野で公知のものなど(例えば、溶媒誘起結晶化など)の強制結晶化方法を行わずに結晶化度を示す。一般に、結晶化度の量は、少なくとも約5%、10%、15%または20%から約95%、75%、50%または30%である。結晶化度は、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な方法で決定されてもよい。実例として、結晶化度パーセントは、例えば、Rigaku SmartLab X線回折計を使用することなど、広角X線回折(WAXD)を含むX線回折により、またはASTM D3418-15を利用するTA Instruments DSC250示差走査熱量計を使用することなど、示差走査熱量測定(DSC)により、決定することができ、ここで、示差走査熱量測定(DSC)で結晶化度を決定する場合、特に明記のない限り、20℃/分の加熱または冷却速度が使用される。TおよびT(溶融温度および結晶化温度)は、ピークの中点を使用するASTM D3418に記載されているように、DSCの溶融/結晶化ピークから決定される。TおよびTピークの開始は、同様に、ASTM D3418またはISO 111357-2によって決定される(すなわち、直線からの走査の偏差)。
【0018】
半結晶性は、ここでは、ここに引用される同時係属の米国仮特許出願第63/289465号明細書に記載されているような、溶融温度より高く加熱したときに、非晶質に戻る誘起結晶化度を有する非晶質熱可塑性高分子を含む。
【0019】
有用なポリカーボネートの例としては、ここに引用される米国特許出願公開第2021/0277192号明細書の49から56段落に記載されたものが挙げられる。
【0020】
有用なポリスルホンの例としては、
【0021】
【化1】
【0022】
で表すことのできるポリアリールエーテルスルホン(PAES)が挙げられ、式中、nは、1、10、または20から1000、500または200kDaのどこかの重量平均分子量(Mw)を有するPAESを生じる任意の整数値であり、mは、典型的に、0から10で変動し、Rの各発生は、以下に限られないが、1,2-、1,3-、または1,4-フェニレン、もしくは以下に限られないが、4,4’-ジフェニレン等のジフェニレンなどの約5~10の炭素原子の芳香環または縮合環を表し、Rの各発生は、独立して、C~C20アルキル、C~C18またはC~C12芳香環もしくは5~10の炭素原子からなる縮合環、またはその組合せである。断片構造-R-S(=O)-R-も、式2および3に示された縮合複素環構造のいずれかを表すことがあり、R基の総数の少なくとも60%が芳香族であるか、または各Rは、少なくとも1つのC6~30の芳香族基を含む。断片構造-R-S(=O)-R-も、式2および3に示された縮合複素環構造のいずれかを表すことがある:
【0023】
【化2】
【0024】
または
【0025】
【化3】
【0026】
実施の形態において、RおよびRは、アリールまたはジアリール化合物の残基であることがある:
【0027】
【化4】
【0028】
別の実施の形態において、式(1)のPAESは、mは、ゼロ以上の整数値(典型的に、1から10、6、5、4、3、または2)を有し、各Rは、芳香族ジヒドロキシ化合物などのジヒドロキシ化合物の残基である:
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】
式(3)、(4)、および(5)において、各R、R、およびRは、独立して、例えば、以下に限られないが、ハロゲン原子(例えば、塩素または臭素)、C3~20アルコキシ、C1~20ヒドロカルビル基(例えば、C1~20アルキル、ハロゲン置換C1~10アルキル、C6~10アリール、またはハロゲン置換C6~10アリール)であり、p、q、およびrは、各々独立して0から4の整数であり、よって、p、q、またはrが4未満である場合、環の各未置換炭素の価数は、水素で満たされ、Xは、2つのフェノール基を接続する架橋基を表し、ここで、各Cアリーレン基の架橋基とヒドロキシル置換基は、Cアリーレン基上で互いにオルト、メタ、またはパラ(好ましくはパラ)に配置され、X基は、例えば、単結合、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-(例えば、ビスフェノール-S)、-C(=O)-、または環式または非環式、芳香族または非芳香族であり得、さらに、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、またはリンなどの複素原子をさらに含み得る、C1~20有機基からなる。
【0032】
特別なジヒドロキシ化合物としては、以下に限られないが、レゾルシノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(アリール環の各々がパラ置換されており、Xは、式(3)におけるイソプロピリデンである、「ビスフェノールA」または「BPA」)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-フタルイミジン、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(「N-フェニルフェノールフタレインビスフェノール」、「PPPBP」、または3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルイソインドリン-1-オン)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(「イソホロンビスフェノール」としても公知である)が挙げられる。
【0033】
適切なポリアリールエーテルスルホンの例は、
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】
の任意の1つ以上であることがある。有用なPAES高分子の例に:テキサス州、アーリントン所在のCurbel Plastics Inc.から商標名RADELとして市販されているもの、UJU New Materials,Ltd.からPARYLSで市販されているもの、およびジョージア州、アルファレッタ所在のSolvay Specialty Polymers USA,LLCからUDELで市販されているものなどの、ポリエーテルスルホン(PSU、カタログ番号25667-42、式7)、ポリ(1,4-フェニレン-エーテル-エーテル-スルホン)(PESまたはPEES、カタログ番号28212-68-2、式8)、ポリフェニレンスルホン(PPSU、カタログ番号25839-81-0、式9)、およびポリ(ビスフェノール-Aスルホン)(PSF、カタログ番号25135-51-7、式10)がある。
【0039】
結晶化可能な高分子は、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンなどのエーテル繰り返し単位を有するポリケトンを含むポリケトンであることがある。エーテル繰り返し単位を持たない例示のポリケトンは、8族から10族の遷移金属触媒の存在下での一酸化炭素とアルケン単量体の反応により形成することができる。詳しくは、前記方法は、その各々がここに全て引用される、米国特許第4835250号、同第4894435号、および同第5138032号、並びに米国特許出願公開第2008/0058494号の各明細書に記載されたものの内のいずれか1つであることがある。詳しくは、その方法、反応条件、および単量体は、ここに具体的に引用される、米国特許第5138032号明細書の第2欄の第52行から第5欄の第17行までに記載されたものである。そのようなポリケトンは、典型的に、
【0040】
で表される繰り返し単位からなり、式中、Aは、飽和炭化水素基に転化されるアルケン単量体の残基であり、mは約1から6であり、nは、少なくとも約2から、本発明に有用な所望の数平均分子量(Mn)を実現するための任意の実際的な量までである。アルケン単量体が、2から12、8または6の炭素を有するオレフィンからなることが望ましい。実例として、アルケン単量体はエチレンであるか、またはアルケン単量体は、エチレンと、プロピレンなどの少なくとも1種類の他のオレフィン単量体を含む。ポリケトンがエチレンと別のオレフィン単量体(例えば、プロピレン)の共重合体である場合、エチレンと別のオレフィンの量は、米国特許第5138032号明細書の第2欄の第17行から第3欄の第14行に記載されたようなものである。そのポリケトンが、一酸化炭素、エチレンおよび別のアルケン単量体(例えば、3から12、8または6の炭素のオレフィン、特にプロピレン)のターポリマーであるものであることが望ましい。そのようなポリケトンは、無作為の繰り返し単位:
【0041】
で表されることがあり、式中、Gは、二重結合で重合した3から12、8または6の炭素のオレフィンの飽和残基であり、x/yは少なくとも2から100または50または20である。Gがプロピレンであることが望ましい。ポリケトンは、アルキル基、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、エーテル、またはその組合せなど、どの有用な基で終端されてもよい。特定の末端基は、メタノールなどの低分子量アルコールまたは水もしくはその組合せなどの溶媒を使用することにより生じることがある。市販のポリケトンの例に、韓国所在のヒョースンから商標名POKETONE(商標)で市販されているものがある。
【0042】
一般に、ポリケトンは、当該技術分野で公知のものなどのポリアリールエーテルケトン(PAES)であることがある。実例として、PAESは、当該技術分野で公知のもの、特に、ここに引用される米国特許第10364349号明細書の第2欄の第13行から第55行に記載されているような、非晶質PEKKなどのポリエーテルケトンケトン(PEKK)であることがある。PEKKは、米国特許第3065205号、同第3441538号、同第3442857号、同第3516966号、同第4704448号、同第4816556号、および同第6177518号の各明細書に記載されたものなど、公知の方法で製造することができる。
【0043】
前記ポリアミドは、当該技術分野で公知のもののいずれであってもよく、通常、ここに引用される米国特許第5391640号明細書の第4欄の第7行から第5欄の第22行に記載されているように半結晶性である。詳しくは、そのポリアミドは、ここに引用される米国特許第5391640号明細書の第5欄の第23行から第8欄の第12行に記載されているように非晶質であることがある。従来のポリアミドの例としては、ポリピロリドン(ナイロン4)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘプタノラクタム(ナイロン7)、ポリカプリルラクタム(ナイロン8)、ポリノナノラクタム(ナイロン9)、ポリウンデカンラクタム(ナイロン11)、ポリドデカノラクタム(ナイロン12)、ポリ(テトラメチレンジアミン-co-シュウ酸)(ナイロン4,2)、ポリ(テトラメチレンジアミン-co-アジピン酸)(ナイロン4,6)、ポリ(テトラメチレンジアミン-co-イソフタル酸)(ナイロン4,1)、ポリヘキサメチレンアゼライアミド(ナイロン6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサ-5メチレンイソフタルアミド(ナイロン6,IP)、ポリメタキシリレンアジポアミド(ナイロンMXD6)、n-ドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンのポリアミド(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンとn-ドデカン二酸のポリアミド(ナイロン12,12)、並びにそのコポリ10マーが挙げられ、その例には、ヘキサメチレンアジポアミド-カプロラクタム(ナイロン6,6/6)、ヘキサメチレンアジポアミド/-ヘキサメチレン-イソフタルアミド(ナイロン6,6/6IP)、ヘキサメチレンアジポアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6,6/6T)、トリメチレンアジポアミド-ヘキサメチル-15レン-アゼライカミド(ナイロントリメチル6,2/6,2)、およびヘキサメチレンアジポアミド-ヘキサメチレンアゼライカミドカプロラクタム(ナイロン6,6/6,9/6)、並びにここに特に記載されていないものがある。
【0044】
前記ポリイミドは、当該技術分野で公知のもののいずれであってもよく、公知の芳香族ポリイミドであることが望ましい。実例として、適しているであろう芳香族ポリイミドが、それぞれ引用される、米国特許第3179631号、同第3249588号、および同第4755555号の各明細書に記載されている。
【0045】
前記熱可塑性発泡体は、10から500マイクロメートルに及ぶ平均支柱またはセル壁肉厚を有するものである。この平均支柱またはセル壁肉厚は、必要に応じて、樹脂が充填されることのある、切断または破断断面の光学顕微鏡法または走査電子顕微鏡法など、どの適切な技術を使用した発泡体の断面の顕微鏡写真を使用して決定されてもよい。この平均支柱またはセル壁肉厚は、発泡体の断面の約2mmの面積の100倍の顕微鏡写真1つ以上で少なくとも約25の無作為に選択された壁の壁厚を測定することによって決定されることがある。平均支柱寸法が、少なくとも20、30または50マイクロメートルから400、300または250マイクロメートルであることが望ましい。
【0046】
その支柱またはセル壁肉厚が、下記に記載されるように、流動補助剤を用いずに所望の流れを実現する分布を有することが望ましい。一般に、D10支柱寸法が少なくとも1、5または10マイクロメートルであることが望ましい。D10支柱寸法は、支柱の少なくとも90%が、ここに決定されるようなD10支柱寸法よりも大きいサイズを有するものである。同様に、D90支柱寸法が、最大約1mm、750マイクロメートルまたは500マイクロメートルであることが望ましい。
【0047】
前記発泡体が、低い気孔率も有しつつ、所望の支柱寸法を達成することが望ましい。これにより、制限なく、積層製造に有用な熱可塑性高分子粉末を形成するための熱可塑性高分子の破砕の効率が高められると考えられる。実例として、気孔率は、少なくとも2%、5%、10%から、最大70%、60%または50%であることがある。気孔率は、水銀法、ヘリウムピクノメトリーまたはアルキメデス法(低い気孔率について、ISO 18754:2020の方法A)などの当該技術分野で公知のものなどの任意の適切な方法により、または発泡体の質量と体積を決定すること(これは、不規則な発泡体を被覆して、開放細孔を封鎖し、液体変位で体積を決定することによって、容易になるであろう)により、決定されてもよい。発泡体の気孔率は、開いていても、閉じていてもよいが、開放気孔率からなることが望ましい。実例として、気孔率の少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%または実質的に全てが開放気孔率である。
【0048】
細孔セルのサイズは、支柱寸法がここに記載されたようなものである限り、いずれであってもよい。しかし、セルの細孔サイズが支柱寸法よりも小さいことが望ましいであろう。例えば、平均セルサイズは、平均支柱寸法より10%、20%または50%小さいことがある。細孔サイズは、支柱寸法を決定するためのものに類似の方法で顕微鏡写真的に決定されても、または水銀圧入ピクノメーターを使用してもよい。
【0049】
形成される発泡体の断面形状は、有用であるどのようなものであってもよく、限定されない。例えば、発泡体は、任意の断面形状などの、小球体、対称または非対称ビーズ、繊維(単繊維)、ペレット、小板、カットシート、カットロッドおよび管であることがある。発泡体は、粉砕に適したどのサイズのものであってもよい。発泡体のサイズは、所望の熱可塑性高分子粉末に粉砕するのに適したいずれであってもよい。実例として、発泡体は、0.5mmから50mmの等価球直径の平均粒径を有する。発泡体は、最初は、これより大きくてもよく、ワイヤカッターまたは線鋸などの公知のカッターで押出発泡体を切断するなどの公知の方法で、粉砕前にサイズを減少させてもよい。発泡体は、先に記載された形状のいずれか1つなど、球状、対称または非対称であることがある。典型的に、粉砕すべき発泡体は、約0.5mmmから50、25または10mmの等価球直径を有する。粉砕前の発泡体は、1以上、1.5、2から50、75または100のアスペクト比を有することがある。アスペクト比は、市販のデジタル・ビジョン・ソフトウェアを使用して、または公知の方法で手動により、無作為に選択された発泡体粒子(約100)の最長と最短の軸の顕微鏡写真から測定されることがある。
【0050】
熱可塑性高分子発泡体は、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な方法で製造されてもよい。その方法は、発泡剤を使用する、または機械的に誘起された起泡を使用したいずれであってもよい。発泡が、重合させて高分子を形成したときに溶媒から沈殿したとき、または当該技術分野で公知のものなどの任意の適切な方法で溶解と沈殿の導入の際など、高分子粒子の融合により実現されることが望ましい。これらの発泡体(多孔質体)が、本発明の方法に特に適しており、流動補助剤を使用せずに、乾燥粒子流の所望の特性をもたらすことが見出された。すなわち、どのような流動補助剤も添加しない粉末は、ASTM D1895の方法Aで決定される、少なくとも約0.5g/秒、1g/秒または2g/秒から、15mmのノズルを使用して任意の実際的に達成可能な速度(例えば、50g/秒)の流動性(流量)を有することがある。
【0051】
必要特性を有する発泡体または多孔質体は、ここに引用される米国特許第5138032号明細書の第2欄の第17行から第3欄の第14行に記載されているものなどの反応媒体から沈殿する高分子の重合により実証されるであろう。
【0052】
発泡体は、発泡剤(例えば、化学的または物理的発泡剤)の導入または十分な撹拌を提供しつつ、熱可塑性高分子を溶媒に溶かし、それを溶液から沈殿させることによって、形成されることがある。空気または空気の任意の気体成分を使用してもよい。
【0053】
実例として、発泡体は、加熱で熱可塑性高分子を溶媒に溶かすことによって作られることがある。典型的に、加熱は、50℃より高く、溶けた熱可塑性高分子からなる溶液を形成するための熱可塑性高分子の溶融開始温度より低い。典型的に、溶媒は、100℃より高い温度から、特定の熱可塑性高分子の溶融開始温度(ここに記載されたように、示差走査熱量測定(DSC)で決定される)より低い温度に加熱される。実例として、溶媒は、75℃または100℃より高く、熱可塑性高分子の溶融開始温度より5%、10%または20%低い温度に加熱され、その例は、最高約200℃、180℃、170℃または160℃である。
【0054】
最高加熱温度(溶解温度)での時間は、熱可塑性高分子の所望の溶解を実現する任意の時間である(典型的に、3または4分から3または4時間)。この過程中に、複数の高温が使用される(に保持される)ことがある。例えば、熱可塑性高分子を溶かすために、より高い温度(溶解温度)が使用されることがあり、熱可塑性高分子を沈殿させるときに、より低い温度(沈殿温度)が使用されることがある。沈殿温度は、熱可塑性高分子が冷却されて沈殿を開始する温度または非溶媒の添加により沈殿が誘発される温度である。沈殿温度は、約20℃の周囲温度以上から、溶解温度(非溶媒の添加により沈殿した場合)まで、溶解温度より低い温度(例えば、130℃、125℃、100℃、75℃、または50℃)までの有用ないずれの温度であってもよい。沈殿温度が、非溶媒が沸騰し始める温度(ここで溶融ピークが決定されるのと同じやり方でDSCにより決定されるような沸騰開始温度)より低いことが望ましい。任意の部分または全過程で撹拌が使用されることがあり、剪断は、その過程の異なる段階での所望の発泡体特性に応じて変化した。
【0055】
撹拌とは、一般に、固定子内で回転する羽根車を使用して、剪断力が生じて、流れと乱流のパターンを作り出す条件下で、液体または懸濁混合物中で成分をかき混ぜるものと、一般に理解される。かき混ぜは、発泡体または多孔質体が形成される剪断速度を実現するのに有用ないずれであってもよい。羽根車が一旦、混合物を中に引きつけたら、混合物が遠心力で固定子の壁に接触するか、もしくは、方向と加速の最終変化における圧力および速度下で、固定子の孔に押し通される(これにより、泡立ちと空気の取込みが誘発されることがある)ように、方向と加速の急な変化に混合物は曝される。
【0056】
所望の剪断を実現するために、例えば、羽根車、磁気撹拌装置、ホモジナイザー、コロイドミル、超音波撹拌、キャビテーションなどの使用を含む、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な撹拌方法を使用してもよい。有用な撹拌の例は、どの市販のミキサで実現されてもよい。
【0057】
雰囲気が、溶媒と他の化学物質がその雰囲気と有害に反応しない、いずれかであることが望ましい。典型的に、揮発損失を最小にするために、密閉容器内において周囲圧力またはその近くでの印加圧力(例えば、大気圧の±10%、±1%または±0.1%)で溶解が行われる。高圧が使用されることがあり、使用される特定の溶媒に応じて、高圧が望ましく、必要なことがある(例えば、超臨界二酸化炭素の使用)。例示の雰囲気としては、溶媒に応じて、窒素または希ガス(例えば、アルゴン)もしくはその組合せまたは空気(例えば、個別かまたは組合せでの、乾燥空気および空気中の任意の成分)が挙げられるであろう。
【0058】
溶媒に溶ける熱可塑性高分子の量は、次に、冷却、非溶媒の導入またはその組合せの際に溶液から沈殿することのある、どの有用な量であってもよい。実例として、溶ける熱可塑性高分子の量は、1質量%、5質量%、10質量%から、任意の実際的な量(ゲル化しない)、50質量%、40質量%、30質量%または25質量%までであろう。
【0059】
溶媒は、極性非プロトン性溶媒などの、熱可塑性高分子を溶かすためのどの有用な溶媒であってもよい。典型的に、溶媒は、沈殿した熱可塑性高分子を溶媒から分離する工程など、その後の処理工程での除去を容易にできる揮発性または低粘度を有する。典型的に、溶媒は、周囲条件での水の粘度の一桁以内の粘度(例えば、約20℃から25℃および1気圧(約101kPa)で約1センチポアズ)または希釈(例えば、超臨界流体)する温度と圧力での同様の粘度を有する。すなわち、粘度は、典型的に、溶解温度で10センチポアズ未満から0.1センチポアズ(cp)である。同様に、1気圧(約101kPa)での沸点(または沸点範囲)で測定される揮発性は、典型的に、約30℃、50℃または75℃から150℃、200℃または250℃である。溶媒は、典型的に、最大約500g/モル、200g/モル、またさらには150g/モルから少なくとも約30g/モルまでのMwの分子量(重量平均Mw)を有する。ある場合には、溶媒は、周囲条件で固体であることがあるが、上述した沸点および溶解が行われる高温で有用な粘度(例えば、約100cp未満または10cp未満)を有すると理解される。同様に、溶媒は、周囲条件で気体状であることがあり、溶解温度と圧力で液体であることがある。
【0060】
溶媒は、溶媒の混合物であることがある。実例として、溶媒は、室温で液体である溶媒と、その液体溶媒中に溶ける室温で固体である別の溶媒との混合物であることがあり、溶けた溶媒は、1つ以上の所望の特性(例えば、熱可塑性高分子の改善された溶解度または溶液から高分子を沈殿させるために非溶媒を使用するときの粒子の形成)を与える。
【0061】
例示の溶媒としては、ここに引用される、T.FryおよびJ.Eue等により本出願と同日に出願され、「Polyketone Powder for Laser Sintering」と題する同時係属の米国特許出願の第26段落から第34段落に記載されたものが挙げられる。前記方法は、同時係属の米国仮特許出願第63/289465号明細書に記載されたような二酸化炭素などの超臨界流体において、その二酸化炭素または先に記載された他の溶媒中に溶かすための温度、濃度および圧力で行われることもあり、二酸化炭素または他の溶媒に非溶媒を添加することによって、沈殿が生じる。撹拌は、所望の発泡体中の粒子の形成とクラスター形成を促進するために、沈殿中に変えられることがある。例えば、剪断は、沈殿粒子の核形成中の非溶媒の初期注入の最中に高く、次いで、初期沈殿粒子のクラスター形成を促進するために低くなり、次いで、所望の発泡体の気孔率と構造を実現するために、再び上昇させられることがある。
【0062】
沈殿温度で沈殿を誘発するために使用される非溶媒は、使用される溶媒と熱可塑性高分子に基づいてどの適切なものであってもよい。実例として、溶媒は、NMP、DMPU、PGMEAまたはHMPAであることがあり、非溶媒は、脂肪族ポリケトンを沈殿させる場合、水、低分子量アルコール(例えば、C1からC4アルコール)またはその混合物などのプロトン性溶媒であることがある。非溶媒の量は、所定の沈殿温度で沈殿を生じるのに必要ないずれの量であってもよく、その量は、所望の沈殿した熱可塑性高分子の粒径、粒径分布および形態を実現するのに有用ないずれかである。典型的に、添加される非溶媒の濃度は、溶媒と非溶媒の0.1体積%、1体積%、5体積%または10体積%から、典型的に75体積%、50体積%または25体積%であることがある。
【0063】
前記発泡体は、発泡体/多孔質体を形成するための転相(phase inversion)プロセスで作られることがある。典型的に、転相方法は、溶媒中に熱可塑性高分子を溶かしてドープを形成する工程、そのドープを溶媒と逆溶媒を転相するのに十分な量の逆溶媒と接触させる工程、および逆溶媒を除去して発泡体を形成する工程を含む。このドープは、例えば、ドープの押出物を形成し、それを、ポリイミド膜を製造するために記載された(例えば、米国特許出願公開第2015/0011815号明細書)ような気体分離膜を形成するときに一般的なものなどの非溶媒に通すことによって、発泡体の連続形成を可能にするペーストの特性を有することがある。転相は、Tissue Engineering、Part B、Vol.19、2013年11月3日に記載されたような、液体または超臨界二酸化炭素を使用して行うことができる。
【0064】
その発泡体は、ダイから出るときに発泡を生じる化学的または物理的発泡剤を中に有する高分子の押出しにより製造されることがある。揮発性液体または気体は、二酸化炭素であることがある。例示の方法が、各々ここに引用される、米国特許第4824720号、同第6284810号、並びに米国特許出願公開第2017/0282430号および同第2005/0276967号の各明細書に記載されている。ある場合には、熱可塑性高分子粉末は、流動補助剤を使用せずに、流動が改善される形態を有することが見出された。ポリケトンが、必要な無支援流動を実現するのに十分な真球度(sphericity)を有することが望ましい。流動性を支援し、個々の粒子の顕微鏡画像から導かれる、粒子形状、特に粒子の丸みに関して、円形特徴、または真円度(circularity)で表されることがあり、ここで、個々の粒子の真円度は、4πA/Pと定義され、式中、両方とも、無作為の視点から見て、Aは粒子の面積であり、Pは粒子の外周長さである。関連パラメータである真球度は、真円度の平方根として導かれる。真円度は、ゼロより大きく、1以下の数値である。完全に円形の粒子は、1.00の真円度を有すると称される。様々なレベルの真円度(例えば、0.65、0.75、0.85、0.90、および0.95)に、表の値より大きい真円度を持つ粒子試料集団の百分率が付随するようなやり方で、集団真円度データの表が提示されている。真円度は、0.9または0.95のソリディティ・フィルタ(solidity filter)レベルで決定される。ソリディティ・フィルタは、市販の画像解析ソフトウェアで利用できる二次元顕微鏡写真において重複する粒子を取り除くために使用されるフィルタである。ソリディティは、本質的に、二次元顕微鏡写真における粒子面積の主軸と単軸で規定される区域の面積上にある粒子の面積(粒子面積)である。粒子のサイズと形状は、直径で粒径を測定するための当該技術分野で公知のどの適切な方法で測定しても差し支えない。いくつかの実施の形態において、粒子のサイズと形状は、当該技術分野で公知のようにレーザ回折で決定される。例えば、粒径は、粒子の取り込み画像を解析するためのPartAnSIソフトウェアを使用して、静止画像解析アクセサリを備えたMicrotrac S3500などのレーザ回折計を使用して、決定することができる。粒子の少なくとも約65%、70%、80%、95%または99%(数で)が、精製以外にさらに処理を行わずに、反応器から分離され、分類された粉末について、少なくとも約0.8、0.85、0.9または0.95の真円度を有することが望ましい。
【0065】
同様に、前記方法により、望ましくなく小さいかまたは大きい粒子のさらなる分類または分離を行わずに、有用な粉末を形成することができる。実例として、熱可塑性高分子粉末は、一般に、積層製造物品を製造するのに有用な粒径とサイズ分布を有し、典型的に、体積で、約1マイクロメートル(μm)、10μm、20μm、30μmまたは40μmから、150μm、125μm、110μmまたは100μmの、平均または中央粒径(D50)を有する。同様に、粉末の一貫した加熱と溶解を可能にするために、粉末が、最大で300μm、200μmまたは150μmのD90を有することが望ましい。流動性に役立つように、熱可塑性高分子粉末は、体積で、少なくとも0.1μm、0.5μmまたは1μmのD10を有することが望ましい。D90は、粒子の90体積%がそのサイズ以下である、粒径分布における粒径(相当球径)を意味し、同様に、D50は、粒子の少なくとも50体積%がそのサイズ未満である、粒径分布における粒径(相当球径)を意味し、D10は、粒子の少なくとも10体積%がそのサイズ未満である、粒径分布における粒径(相当球径)を意味する。粒径は、例えば、十分な数の粒子(約100から約200の粒子)のレーザ回折または顕微鏡写真の画像解析を含む、当該技術分野で公知のものなど、どの適切な方法によって決定されてもよい。代表的なレーザ回折計は、Microtrac S3500などのMicrotracにより製造されているものである。
【実施例
【0066】
実施例1:
ポリケトン粉末を、米国特許第5138032号明細書の第2欄の第52行から第5欄の第17行に記載されたやり方の過程で製造する。フレークは、約90から99%の理論密度%を有する。そのポリケトンは、約27℃のガラス転移温度を有する。
【0067】
熱可塑性発泡体を、最大限の75%で運転している逆回転ピンミルを使用して製粉する。この発泡体は、1700m/時の空気流量および1100rpmの分類速度で、空気分級機中への中央にある吐出口では、わずかに真空にして、ミルに重力送りされる。この発泡体と装置は、-35℃に冷却され、発泡体が製粉されている期間に亘り、その温度に維持される。平均供給速度は、97.5kg/時である。平均生成物吐出量は77kg/時であり、大過ぎるものはミルに戻すように再循環される。生成物では、106マイクロメートル未満の粒子が98.5質量%である。106マイクロメートル未満サイズの上限に基づく有効生成物処理量は、75.89kg/時である。
【0068】
比較例1:
実施例1に記載されたのと同じやり方で製造されたポリケトン押出ペレットを、以下のことを除いて、同じやり方で粉砕する。供給ペレットは、実質的に緻密であり、概して、直径が約2mm、長さが2mmのペレットである。ペレットを-40℃に冷却する。供給速度は、28.5kg/時である。生成された大過ぎる材料が多量に再循環されるために、供給物は減少している。平均吐出量は22kg/時である。この生成物では、106マイクロメートル未満の質量が約34.8質量%である。106マイクロメートル未満の生成物の粒径に基づく有効生成物処理量は、7.6kg/時である。このことから、より低い供給速度でさえ、生成された粉末は、所望のサイズにそれほど効果的には製粉されていないのが容易に分かる。すなわち、本発明の熱可塑性高分子発泡体を使用することは、積層製造に有用な望ましい熱可塑性高分子粉末を実現するのに10倍を超えて効率的である。
【0069】
実施例2:
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)粉末を、実施例1と同様に逆回転ピンミルないで製粉するが、温度が0℃からPEKKの脆化温度の20%以内までの範囲内である。発泡体が、図1~4に示されている。発泡体の典型的なサイズは、厚さが約100マイクロメートルから3mmの不規則なフレークである。平均支柱サイズは、約82マイクロメートルである。図面から、少なくとも10%の相当な気孔率(すなわち、約90%未満の理論密度)があるのが容易に明白である。発泡体は、実施例1と似たやり方で、迅速に製粉され、著しく大過ぎる材料がなく、所望の粒径であり、効率が高い。ポリエーテルケトンケトンは、約160℃のTg、約305℃の溶融温度、および約60:40のT:l比を有する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
実施例2:
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)粉末を、実施例1と同様に逆回転ピンミルないで製粉するが、温度が0℃からPEKKの脆化温度の20%以内までの範囲内である。発泡体が、図1~4に示されている。発泡体の典型的なサイズは、厚さが約100マイクロメートルから3mmの不規則なフレークである。平均支柱サイズは、約82マイクロメートルである。図面から、少なくとも10%の相当な気孔率(すなわち、約90%未満の理論密度)があるのが容易に明白である。発泡体は、実施例1と似たやり方で、迅速に製粉され、著しく大過ぎる材料がなく、所望の粒径であり、効率が高い。ポリエーテルケトンケトンは、約160℃のTg、約305℃の溶融温度、および約60:40のT:l比を有する。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
(i)ガラス転移温度を有する熱可塑性高分子からなる発泡体を、該ガラス転移温度より低い冷却温度に冷却して、冷却発泡体を形成する工程であって、該発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法を有する、工程、および
(ii)前記冷却発泡体を粉砕して熱可塑性高分子粉末を形成する工程、
を有してなる方法。
実施形態2
前記発泡体が10%から50%の気孔率を有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記発泡体が最大40%の気孔率を有する、実施形態2に記載の方法。
実施形態4
前記平均支柱寸法が20から300マイクロメートルである、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
実施形態5
前記平均支柱寸法が25から250マイクロメートルである、実施形態3に記載の方法。
実施形態6
前記発泡体が、少なくとも10マイクロメートルのD 10 支柱寸法を有する、実施形態1から4いずれか1つに記載の方法。
実施形態7
前記発泡体が、最大500マイクロメートルのD 90 支柱寸法を有する、実施形態1から6いずれか1つに記載の方法。
実施形態8
前記発泡体が、前記平均支柱寸法より小さい平均セル寸法を有する、実施形態1から7いずれか1つに記載の方法。
実施形態9
前記平均セル寸法が前記平均支柱寸法より少なくとも10%小さい、実施形態8に記載の方法。
実施形態10
前記熱可塑性高分子粉末が、(i)約150μm未満のD 90 粒径、(ii)少なくとも10μmのD 10 、および(iii)約20μmから約150μmの平均粒径を有する、実施形態1から9いずれか1つに記載の方法。
実施形態11
前記熱可塑性高分子粉末の数で少なくとも80%が、少なくとも約0.8の真円度を有する、実施形態10に記載の方法。
実施形態12
前記熱可塑性高分子粉末が、ASTM-Dの方法Aにより15mmのノズルを使用して、少なくとも0.5g/秒の流量を有する、実施形態1から11いずれか1つに記載の方法。
実施形態13
前記流量が少なくとも1g/秒である、実施形態12に記載の方法。
実施形態14
前記発泡体が、0.5mmから50mmの等価球直径の平均サイズを有する、実施形態1から13いずれか1つに記載の方法。
実施形態15
前記発泡体が少なくとも1.5から50のアスペクト比を有する、実施形態14に記載の方法。
実施形態16
前記発泡体が、小板、管、および繊維の1つ以上からなる、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
前記発泡体が、
(i)発泡剤を熱可塑性高分子中に、該熱可塑性高分子が溶融する温度と圧力下で取り込む工程、および
(ii)前記圧力を、前記発泡剤がガス状になって、熱可塑性発泡体を形成するのに十分に低下させる工程、
を含む過程により形成される、実施形態1から16いずれか1つに記載の方法。
実施形態18
前記発泡体が、前記熱可塑性高分子を溶媒に溶かしてドープを形成し、該ドープを、該溶媒および逆溶媒を転相させるのに十分な量の逆溶媒と接触させ、該逆溶媒を除去して、前記発泡体を形成する工程を含む過程により形成される、実施形態1から7いずれか1つに記載の方法。
実施形態19
前記発泡剤が、化学的発泡剤および物理的発泡剤の1つ以上からなる、実施形態17に記載の方法。
実施形態20
前記発泡剤が超臨界二酸化炭素からなる、実施形態19に記載の方法。
実施形態21
前記熱可塑性高分子が半結晶性熱可塑性高分子である、実施形態1から20いずれか1つに記載の方法。
実施形態22
前記熱可塑性高分子が脆化温度を有し、前記冷却温度が、該熱可塑性高分子の前記ガラス転移温度より低く、該脆化温度より高い、実施形態1から21いずれか1つに記載の方法。
実施形態23
前記冷却温度が前記ガラス転移温度の20%以内である、実施形態22に記載の方法。
実施形態24
前記冷却温度が前記脆化温度の20%以内である、実施形態22に記載の方法。
実施形態25
前記発泡体が、
(i)前記熱可塑性高分子を溶媒に溶かして溶液を形成する工程、
(ii)非溶媒を添加することによって、前記熱可塑性高分子を沈殿させて、沈殿した熱可塑性高分子粒子を形成する工程、
(iii)前記沈殿した熱可塑性高分子粒子を合体させて、微粒子発泡体スラリーを形成する工程、および
(iv)前記溶媒および前記非溶媒を除去して、前記発泡体を形成する工程、
を含む方法により形成される、実施形態1から24いずれか1つに記載の方法。
実施形態26
前記沈殿させる工程および前記合体させる工程の最中に、前記溶液および前記スラリーが撹拌される、実施形態25に記載の方法。
実施形態27
前記溶液および前記微粒子発泡体スラリーの1つ以上に気体が導入される、実施形態26に記載の方法。

【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ガラス転移温度を有する熱可塑性高分子からなる発泡体を、該ガラス転移温度より低い冷却温度に冷却して、冷却発泡体を形成する工程であって、該発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法および該平均支柱寸法より小さい平均セル寸法を有する、工程、および
(ii)前記冷却発泡体を粉砕して熱可塑性高分子粉末を形成する工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記発泡体が2%から50%の気孔率を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記平均支柱寸法が20から300マイクロメートルである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記発泡体が、少なくとも10マイクロメートルのD10支柱寸法を有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記発泡体が、最大500マイクロメートルのD90支柱寸法を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記平均セル寸法が前記平均支柱寸法より少なくとも10%小さい、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記平均セル寸法が前記平均支柱寸法より少なくとも20%小さい、請求項6記載の方法。
【請求項8】
(i)ガラス転移温度を有する熱可塑性高分子からなる発泡体を、該ガラス転移温度より低い冷却温度に冷却して、冷却発泡体を形成する工程であって、該発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法を有する、工程、および
(ii)前記冷却発泡体を粉砕して熱可塑性高分子粉末を形成する工程であって、該熱可塑性高分子粉末が、(i)約150μm未満のD90粒径、(ii)少なくとも10μmのD10、および(iii)約20μmから約150μmの平均粒径を有し、該熱可塑性高分子粉末の数で少なくとも80%が、少なくとも約0.8の真円度を有する、工程
を有してなる方法。
【請求項9】
前記発泡体が、0.5mmから50mmの等価球直径の平均サイズを有する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
(i)ガラス転移温度を有する熱可塑性高分子からなる発泡体を、該ガラス転移温度より低い冷却温度に冷却して、冷却発泡体を形成する工程であって、該発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法を有する、工程、および
(ii)前記冷却発泡体を粉砕して熱可塑性高分子粉末を形成する工程、
を有してなる方法において、
前記発泡体が、
泡剤を熱可塑性高分子中に、該熱可塑性高分子が溶融する温度と圧力下で取り込む工程、および前記圧力を、前記発泡剤がガス状になって、熱可塑性発泡体を形成するのに十分に低下させる工程を含む第1の方法
前記熱可塑性高分子を溶媒に溶かしてドープを形成し、該ドープを、該溶媒および逆溶媒を転相させるのに十分な量の逆溶媒と接触させ、該逆溶媒を除去して、前記発泡体を形成する工程を含む第2の方法、および
前記熱可塑性高分子を溶媒に溶かして溶液を形成する工程、非溶媒を添加することによって、前記熱可塑性高分子を沈殿させて、沈殿した熱可塑性高分子粒子を形成する工程、前記沈殿した熱可塑性高分子粒子を合体させて、微粒子発泡体スラリーを形成する工程、および前記溶媒および前記非溶媒を除去して、前記発泡体を形成する工程を含む第3の方法、
の内の1つを含む過程により形成される、方法。
【請求項11】
前記発泡体が、前記熱可塑性高分子を重合させ、それを反応媒体から沈殿させることによって形成される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記発泡剤が、化学的発泡剤および物理的発泡剤の1つ以上からなる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
(i)ガラス転移温度を有する熱可塑性高分子からなる発泡体を、該ガラス転移温度より低い冷却温度に冷却して、冷却発泡体を形成する工程であって、該発泡体は10から500マイクロメートルの平均支柱寸法を有し、前記熱可塑性高分子脆化温度を有し、前記冷却温度、該熱可塑性高分子の前記ガラス転移温度より低く、該脆化温度より高い、工程、および
(ii)前記冷却発泡体を粉砕して熱可塑性高分子粉末を形成する工程、
を有してなる方法。
【請求項14】
前記冷却温度が前記脆化温度の20%以内である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記冷却温度が前記ガラス転移温度の20%以内である、請求項13記載の方法。
【国際調査報告】