(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを使用した、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240423BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20240423BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240423BHJP
A61K 31/37 20060101ALI20240423BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240423BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/047
A61K31/352
A61K31/37
A61P1/04
A61P3/04
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A61P11/06
A61P29/00
A61P3/02 101
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562616
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2022061949
(87)【国際公開番号】W WO2022233922
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チー, ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ドグラ, シャイレイ, クマール
(72)【発明者】
【氏名】ダルディニエ, アドリアン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
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4B018ME01
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4C086AA01
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4C206ZA89
4C206ZB11
4C206ZC52
(57)【要約】
一態様は、イノシトール、エリスリトール又はソルビトールのうちの少なくとも1つを含有し、対象に投与するために製剤化された組成物であって、イノシトール、エリスリトール又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進する、組成物である。別の態様は、対象において病態を治療する、病態を予防する、病態の重症度を低減する、及び/又は病態の発生率を低減する方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを対象に投与することによって、対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進することを含む。更に別の態様は、対象において代謝効果、老化防止効果、又は抗炎症効果のうちの少なくとも1つを達成するための方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを対象に投与することによって、対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの増殖を生育することを含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを含み、対象に投与するために製剤化された組成物であって、前記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、前記対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進する、組成物。
【請求項2】
ポリフェノールを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリフェノールが、クメストロール又はケルセチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ビタミンを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ビタミンが、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、又はビタミンDのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、経口投与用に製剤化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記対象において、病態を治療する、病態を予防する、病態の重症度を低減する、及び/又は病態の発生率を低減するために使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記病態が、メタボリック状態、炎症状態、潰瘍性大腸炎又はクローン病などの炎症性腸疾患、喘息などの小児アレルギー、多発性硬化症、老化、又はフレイルのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、前記対象の前記マイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進することで、前記対象において代謝効果、老化防止効果、又は抗炎症効果のうちの少なくとも1つを発揮する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
対象において病態を治療する、病態を予防する、病態の重症度を低減する、及び/又は病態の発生率を低減する方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを前記対象に投与することによって、前記対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進することを含む、方法。
【請求項11】
前記対象が、ヒト乳児、ヒト小児、ヒト青年、ヒト成人、及びヒト高齢者からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、ポリフェノール又はビタミンのうちの少なくとも1つを更に含む組成物で投与される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリフェノールが、クメストロール又はケルセチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ビタミンが、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、又はビタミンDのうちの少なくとも1つを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、前記対象に経口投与される、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記病態が、メタボリック状態、炎症状態、潰瘍性大腸炎又はクローン病などの炎症性腸疾患、喘息などの小児アレルギー、多発性硬化症、老化、又はフレイルのうちの少なくとも1つを含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
対象において代謝効果、老化防止効果、又は抗炎症効果のうちの少なくとも1つを達成するための方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを前記対象に投与することによって、前記対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進することを含む、方法。
【請求項18】
前記対象が、ヒト乳児、ヒト小児、ヒト青年、ヒト成人、及びヒト高齢者からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、ポリフェノール又はビタミンのうちの少なくとも1つを更に含む組成物で投与される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリフェノールが、クメストロール又はケルセチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ビタミンが、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、又はビタミンDのうちの少なくとも1つを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、前記対象に経口投与される、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを含む組成物の単位剤形であって、前記単位剤形が投与される対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進するのに有効な量の前記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを含む、単位剤形。
【請求項24】
組成物が投与される対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進するための組成物を製造する方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを少なくとも1つの追加成分に添加することを含む、方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの追加成分が、ポリフェノール又はビタミンのうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリフェノールが、クメストロール又はケルセチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ビタミンが、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、又はビタミンDのうちの少なくとも1つを含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの追加成分が、アミノ酸、タンパク質、炭水化物、又は脂質のうちの少なくとも1つを含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを使用した、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]本開示は、概して、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Faecalibacterium prausnitzii)の生育を増進するのに有効な量で含む組成物に関する。本開示は更に、かかる組成物を製造する方法に関する。本開示はまた、例えば、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの状態の向上に伴う健康上の利益のために、そのような組成物を治療又は予防に使用する方法に関する。
【0003】
[0002]ヒトの健康における腸内微生物叢の重要性を示す科学的証拠が増えている。食事が腸内微生物叢の機能及び組成を形作るのに重要な役割を果たすことは周知であるが、腸内微生物叢の利益を最大化するための最適な栄養組成物は依然としてわかっていない。
【発明の概要】
【0004】
[0003]酪酸産生菌は、微生物叢における有益細菌の1種である。例えば、酪酸産生菌は、ヒトの結腸の健康において重要な役割を果たす。酪酸を産生する共通の能力を共有するにもかかわらず、この機能を共有する菌は、系統学的群において多様であり、酪酸の産生に用いる代謝経路が異なる。ヒト結腸から単離される主要な酪酸産生細菌はグラム陽性嫌気性細菌であり、その多くはファーミキューテス(Firmicutes)門並びにクロストリジウム(Clostridial)IV、XIVa及びXVIのクラスターに属する[1]。ヒトの腸において最も重要な群のうちの2つはフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(F.プラウスニッツィイ)及びユウバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)/ロゼブリア(Roseburia)属)であり、コプロコッカス(Coprococcus)属(C.カツス(catus)、C.オイタクツス(eutactus)、及びC.comes(コメス))も酪酸を産生することが知られている。
【0005】
[0004]酪酸は、消化不可能な炭水化物の酪酸産生菌による発酵から生じる主な短鎖脂肪酸の1つである。ヒトにおいて、酪酸は、結腸上皮細胞に対する主要エネルギー源として機能し、免疫系の重要な調節因子であることによって、結腸環境の恒常性を維持するのに不可欠となっている[2,3]。酪酸産生菌は、酪酸を産生することに加えて、その存在量がヒトの多くの状態(コンディション)と一致する。腸関連疾患ではF.プラウスニッツィイの数が少ないことが、クローン病で発見されている[4]。同様に、ロゼブリアは、結腸直腸がん[5]及び便秘型IBS[6]において少なかった。F.プラウスニッツィイの減少は、2型糖尿病及びメタボリックシンドロームを有する患者でも報告されている[7,8]。逆に、インスリン感受性が改善された人々は、酪酸産生菌が豊富な細菌集団を有していた[9]。酪酸が、免疫系調節能及び宿主細胞におけるミトコンドリア機能の調節に関与する機序は、腸恒常性及び消化管以外の他の器官に影響を及ぼすことが明らかになっている。腸では、酪酸産生菌は機能面で独特な細菌群であり、その存在量はヒトにおける疾患状態の主要な指標である。
【0006】
[0005]F.プラウスニッツィイは酪酸産生菌であるが、F.プラウスニッツィイの効果は酪酸産生だけではない。例えば、F.プラウスニッツィイは、ヒトの健康[10,11]、抗炎症[12,13]、潰瘍性大腸炎[14]、クローン病[15]、喘息などの小児アレルギー[16];IBD[17,18]及びフレイル[19]などの様々な状態における原因と関連する、ヒト腸内マイクロバイオーム生態系において重要な細菌である。
【0007】
[0006]更に、F.プラウスニッツィイは、劇的な食生活の変化又は抗生物質の使用など、腸内マイクロバイオーム生態系に対する複合的なストレス条件において影響を受ける。例えば、Mardinoglu et al.(Cell Metabolism 2018)は、ケトン食負荷下でF.プラウスニッツィイの減少を示した。同様に、Palleja et al.(Nature Microbiology 2018)は、抗生物質負荷下でF.プラウスニッツィイの減少を示した。更に、David et al.(Nature 2014)は、高脂肪食負荷下でF.プラウスニッツィイ存在量の減少の証拠を示した。
【0008】
[0007]本明細書において後に開示される実験例に示すように、F.プラウスニッツィイの存在量に差異を生じさせる栄養上の特徴を発見するための研究を実施した。モデル生物で、F.プラウスニッツィイのエネルギー基質としてのイノシトール、エリスリトール、及びソルビトールの効果が確認された。更に、クメストロールとソルビトール又はイノシトールとの組み合わせは、それぞれの成分単独の場合よりもF.プラウスニッツィイの生育を増進し、ソルビトールへのケルセチンの添加は、F.プラウスニッツィイのA2-165株の生育を増進した。
【0009】
[0008]したがって、本開示によって提供される実施形態には、(i)イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つと、(ii)任意選択で、クメストロール及び/又はケルセチンなどのポリフェノールと、(iii)任意選択で、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、又はビタミンDのうちの1つ以上などのビタミンとを含む組成物が含まれる。いくつかの実施形態では、単位剤形は、当該組成物が好ましくは経口的に投与される対象において、F.プラウスニッツィイの生育を増進するのに有効な量の組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、F.プラウスニッツィイの生育増進から、例えば、1つ以上の代謝効果、老化防止効果又は抗炎症効果を発揮することによって、病態を治療する、病態を予防する、病態の重症度を低減する、及び/又は病態の発生率を低減するために対象に投与される。
【0010】
[0009]更なる特徴及び利点が本明細書において記述されており、以下の図面、及び発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本明細書に開示される実験例で得られた訓練ROC曲線。栄養上の特徴のみに基づくモデル性能を示す。
【
図1B】本明細書に開示される実験例で得られたホールドアウト/試験曲線。栄養上の特徴のみに基づくモデル性能を示す。
【
図2A】本明細書に開示される実験例で得られたモデルにおける上位30種の栄養上の特徴を示す。
【
図2B】本明細書に開示される実験例で得られたモデルにおける上位30種の栄養上の特徴を示す。
【
図3A】本明細書に開示される実験例において糖アルコールから得た結果を示す。
【
図3B】本明細書に開示される実験例において糖アルコールから得た結果を示す。
【
図3C】本明細書に開示される実験例において糖アルコールから得た結果を示す。
【
図3D】本明細書に開示される実験例において糖アルコールから得た結果を示す。
【
図4A】本明細書に開示される実験例で得られた結果を示し、F.プラウスニッツィイのエネルギー基質としてのイノシトール及びソルビトールの効果を裏付ける。
【
図4B】本明細書に開示される実験例で得られた結果を示し、F.プラウスニッツィイのエネルギー基質としてのイノシトール及びソルビトールの効果を裏付ける。
【
図5A】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5B】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5C】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5D】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5E】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5F】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5G】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5H】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5I】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5J】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5K】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図5L】本明細書に開示される実験例で得られたポリフェノールのクメストロール及びケルセチンについての結果を示す。
【
図6A】本明細書に開示される実験例で得られたビタミンB類についての結果を示す。
【
図6B】本明細書に開示される実験例で得られたビタミンB類についての結果を示す。
【
図6C】本明細書に開示される実験例で得られたビタミンB類についての結果を示す。
【
図6D】本明細書に開示される実験例で得られたビタミンB類についての結果を示す。
【
図7A】本明細書に開示される実験例で得られたビタミンAについての結果を示す。
【
図7B】本明細書に開示される実験例で得られたビタミンAについての結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017]定義
[0018]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0013】
[0019]本明細書に記載する全ての百分率は、別途記載のない限り、組成物の総重量によるものである。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値のある範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは参照数字の-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0014】
[0020]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「ビタミン(a vitamin又はthe vitamin)」への言及は、単一のビタミンを有する実施形態と、2種以上のビタミンを有する実施形態との両方を包含する。
【0015】
[0021]用語「含む/備える(comprise)」、「含む/備える(comprises)」、及び「含んでいる/備えている(comprising)」は、排他的なものではなく、他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。しかしながら、本明細書に開示されている組成物は、本明細書において具体的に開示されていない要素を含まない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む/から本質的に構成される(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。
【0016】
[0022]「X又はYのうちの少なくとも1つ」及び「X及び/又はY」のそれぞれの文脈において使用される「のうちの少なくとも1つ」及び「及び/又は」という用語は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」として解釈されるべきである。例えば、「イノシトール又はソルビトールのうちの少なくとも1つ」及び「イノシトール及び/又はソルビトール」は、「ソルビトールを含まないイノシトール」若しくは「イノシトールを含まないソルビトール」、又は「イノシトール及びソルビトールの両方」として解釈されるべきである。
【0017】
[0023]本明細書において使用する場合、用語「例」及び「例えば~など(such as)」は、その後に用語の列挙が続くときは特に、単に例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は包括的なものとみなされるべきではない。本明細書で使用するとき、別の状態「に関連する/伴う(associated with)」又は「と関連付けられる(linked with)」状態は、これらの状態が同時に起こることを意味し、好ましくは、これらの状態が同じ基礎症状によって引き起こされることを意味し、最も好ましくは、特定されている状態のうちの一方が他方の特定されている状態によって引き起こされることを意味する。
【0018】
[0024]「予防」は、状態又は障害のリスク、発生率及び/又は重症度の低減を含む。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」には、予防的又は抑止的治療(対象とする病的状態又は障害を予防する及び/又は発症を遅らせる治療)と、治癒的、治療的、又は疾患修飾的治療との両方が含まれ、例えば、診断された病的状態又は障害の治癒、遅延、症状の軽減、及び/又は進行の停止のための治療的手段、並びに、疾患に罹患する危険性がある患者、又は疾患に罹患した疑いのある患者、及び体調不良の患者、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の治療が含まれる。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」は、対象が全快するまで治療することを必ずしも意味するものではない。「処置/治療」及び「処置/治療する」という用語はまた、疾患に罹患してはいないが不健康な状態を招きやすい可能性のある個体の健康を維持及び/又は促進することも指す。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」はまた、1つ以上の主たる予防手段又は治療手段の相乗作用、又はそうでない場合強化を含むことも目的としている。非限定的な例として、処置/治療は、患者、介護者、医師、看護師、又は別の医療専門家によって行うことができる。
【0019】
[0025]本明細書で使用するとき、予防又は治療上の「有効量」は、個体において、欠乏を防ぐ量、疾患若しくは医学的状態を治療する量、又は、より全般的には、個体に対して、症状を低減する量、疾患の進行を管理する量、若しくは栄養学上の利益、生理学上の利益若しくは医療上の利益を提供する量である。相対的な用語「促進する」、「改善する」、「増加/向上させる」、「増進する」などは、ソルビトール、エリスリトール、及びイノシトールを含まないこと以外は同一に配合された組成物の投与によって得られる対象のマイクロバイオームにおけるF.プラウスニッツィイの状態と比較した、本明細書に開示される組成物(ソルビトール、エリスリトール、及び/又はイノシトールを含む)の投与後の、対象のマイクロバイオームにおけるF.プラウスニッツィイの増進状態を指す。本明細書で使用される場合、F.プラウスニッツィイの「生育増進」は、F.プラウスニッツィイの「増進状態」と互換可能に使用される。
【0020】
[0026]対象のマイクロバイオームにおけるF.プラウスニッツィイのこの増進状態は、(i)対象のマイクロバイオームにおけるF.プラウスニッツィイの総量(すなわちフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの総cfu)が高いこと、又は(ii)対象のマイクロバイオーム中の他の細菌と比較して、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの相対的割合(すなわち、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイのcfu/他の細菌のcfu)が高いことで特徴づけることができる。
【0021】
[0027]本明細書で使用するとき、用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、ヒト又は他の哺乳動物による経口摂取を意図し、かつヒト又は他の哺乳動物のための少なくとも1つの栄養素を含む、製品又は組成物を意味する。
【0022】
[0028]本明細書で使用するとき、「栄養組成物」及び「栄養製品」は、製品における機能上の必要性に基づき、かつ適用され得る全ての規制を完全に遵守して、任意の数の食品原材料及び場合により任意選択的な追加の原材料を含む。任意選択的な原材料は、例えば、1種以上の酸味料、追加の増粘剤、pH調節用緩衝液若しくはpH調節剤、キレート剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香料、ミネラル、浸透剤、製薬上許容可能な担体、防腐剤、安定剤、糖、甘味料、調質剤及び/又はビタミン類などの従来の食品添加物を含み得るが、これらに限定されない。任意選択の原材料は、任意の好適な量で添加することができる。
【0023】
[0029]「プロバイオティクス」は、宿主の健康又は幸福(well-being)に有益に働く微生物細胞調製物又は微生物細胞成分を意味する。(Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.et al.、「Probiotics:how should they be defined」、Trends Food Sci.Technol.、1999:10 107-10)。
【0024】
[0030]本明細書で使用される「メタボリック状態」という用語は、タンパク質、脂肪、及び炭水化物などの主要栄養素の身体による処理及び分布に負の変化をもたらす代謝異常を指す。代謝異常は、体内の異常な化学反応が正常な代謝プロセスを変化させた場合に起こり得る。代謝異常には、糖尿病(1型及び2型)、ゴーシェ病、グルコースガラクトース吸収不全症、遺伝性ヘモクロマトーシス、メープルシロップ尿症、フェニルケトン尿症、ハンター症候群などが含まれ得る。代謝異常は、2型糖尿病だけでなく心血管疾患の発症リスクも伴うメタボリックシンドロームにも関連する。メタボリックシンドロームは、次の5つの医学的状態のうちの少なくとも3つがまとめて発症することである:腹部肥満、高血圧、高血糖、血清トリグリセリドが高いこと、及び高密度リポタンパク質(HDL)が低いこと。
【0025】
[0031]本明細書で使用するとき、「単位剤形(unit dosage form)」という用語は、ヒト対象及び動物対象のための投与量単位として好適な物理的に小分けされた単位を指し、各単位は、製薬上許容可能な希釈剤、担体、又はビヒクルとともに、所望の効果をもたらすのに十分な量の、所定量の本明細書に開示される組成物を含有する。単位剤形の仕様は、使用される具体的な化合物、達成しようとする効果、及び宿主体内の各化合物に関連する薬力学によって決まる。
【0026】
[0032]「対象」又は「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0027】
[0033]実施形態
[0034]本開示によって提供される実施形態は、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを含み、対象に投与するために製剤化された組成物であって、上記イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つが、対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進する、組成物である。
【0028】
[0035]別の態様は、対象において病態を治療する、病態を予防する、病態の重症度を低減する、及び/又は病態の発生率を低減する方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを対象に投与することによって、対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進することを含む。
【0029】
[0036]更に別の態様は、対象において代謝効果、老化防止効果、又は抗炎症効果のうちの少なくとも1つを達成するための方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを対象に投与することによって、対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進することを含む。
【0030】
[0037]別の態様は、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを含む組成物の単位剤形であって、当該単位剤形は、単位剤形が投与される対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進するのに有効な量のイノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
[0038]更に別の態様は、組成物が投与される対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進するための組成物を製造する方法であって、イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つを少なくとも1つの追加成分に添加することを含む。
【0032】
[0039]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、好ましくは食品組成物などの組成物で経口投与される。イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、組成物中の唯一の糖アルコールであってもよく、あるいは組成物は1つ以上の追加の糖アルコールを含んでもよい。
【0033】
[0040]いくつかの実施形態では、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、総量が、組成物中の全糖アルコールの少なくとも50重量%、好ましくは組成物中の全糖アルコールの少なくとも60重量%、より好ましくは組成物中の全糖アルコールの少なくとも70重量%、更により好ましくは組成物中の全糖アルコールの少なくとも80重量%、最も好ましくは組成物中の全糖アルコールの少なくとも90重量%である。
【0034】
[0041]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、好ましくはポリフェノールを更に含む組成物で投与される。ポリフェノールは、クメストロール又はケルセチンのうちの少なくとも1つを、例えば組成物中の唯一のポリフェノールとして、あるいは1つ以上の他のポリフェノールとの組み合わせで、含むことができる。いくつかの実施形態において、クメストロール又はケルセチンのうちの少なくとも1つは、総量が、組成物中の全ポリフェノールの少なくとも50重量%、好ましくは組成物中の全ポリフェノールの少なくとも60重量%、より好ましくは組成物中の全ポリフェノールの少なくとも70重量%、更により好ましくは組成物中の全ポリフェノールの少なくとも80重量%、最も好ましくは組成物中の全ポリフェノールの少なくとも90重量%である。
【0035】
[0042]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、好ましくはビタミンを更に含む組成物で投与される。ビタミンは、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、又はビタミンDのうちの少なくとも1つを、例えば、組成物中の唯一のビタミンとして、あるいは1つ以上の他のビタミンとの組み合わせで、含むことができる。いくつかの実施形態では、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、又はビタミンDのうちの少なくとも1つは、総量が、組成物中の全ビタミンの少なくとも50重量%、好ましくは組成物中の全ビタミンの少なくとも60重量%、より好ましくは組成物中の全ビタミンの少なくとも70重量%、更により好ましくは組成物中の全ビタミンの少なくとも80重量%、最も好ましくは組成物中の全ビタミンの少なくとも90重量%である。
【0036】
[0043]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールの投与は、対象において病態を治療する、病態を予防する、病態の重症度を低減する、及び/又は病態の発生率を低減することができる。例えば、病態は、メタボリック状態、炎症状態、潰瘍性大腸炎又はクローン病などの炎症性腸疾患、喘息などの小児アレルギー、多発性硬化症、老化、又はフレイルのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、対象のマイクロバイオームにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイの生育を増進して、対象において代謝効果、老化防止効果、又は抗炎症効果のうちの少なくとも1つを発揮する。
【0037】
[0044]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールが投与される対象は、ヒト乳児、ヒト小児、ヒト青年、ヒト成人、及びヒト高齢者からなる群から選択することができる。
【0038】
[0045]いくつかの実施形態では、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、1つ以上のプロバイオティクスを更に含む組成物で投与される。あるいは、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、組成物中にいかなるプロバイオティクスも含有しない組成物で投与することができる。
【0039】
[0046]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、経口、局所、経腸、及び非経口からなる群から選択される少なくとも1つの経路によって個体に投与され得る。例えば、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、完全栄養製品、飲料、ダイエタリー・サプリメント、置き換え食、食品添加物、食品製品への補給剤、溶解用粉末、経腸栄養製品、乳児用フォーミュラ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される組成物で投与され得る。
【0040】
[0047]いくつかの実施形態では、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、炎症の治療、予防、炎症の発生率の低減、及び/又は炎症の重症度の低減に有効な量で投与することができる。このような炎症の非限定的な例は、急性炎症、皮膚炎症、クローン病及び/又は潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群、肝臓炎(NASH、NAFLD、アルコール誘発性肝損傷)、アレルギー、アトピー、骨の炎症、関節リウマチ、全身性狼瘡、グジェロー・シェーグレン(Gougerot-Sjogren’s )症候群、ライター症候群、灰白髄炎、皮膚筋炎、甲状腺炎、バセドウ、橋本病、I型糖尿病、アジソン病、自己免疫性肝炎、セリアック病、ビールマー病(Biermer’s disease)、多発性硬化症、筋無力症、眼炎、肥満関連炎症(obesity-associated inflammation)、加齢性軽度炎症(age-related low-grade inflammation)、ブラウ症候群、アルツハイマー症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、歯肉炎、パロンディティス(paronditis)、食物感受性、セリアック病、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0041】
[0048]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールによって治療又は予防される炎症は、IBD、例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎であり得る。
【0042】
[0049]いくつかの実施形態では、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールが投与される対象は、乳児、小児、青年、成人、及び高齢者からなる群から選択される。
【0043】
[0050]任意選択で、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールは、プレバイオティクス、アミノ酸、タンパク質、ヌクレオチド、魚油、非海洋性のオメガ-3脂肪酸源、植物栄養素、抗酸化剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分を更に含む組成物で投与される。
【0044】
[0051]「プレバイオティクス」は、腸内の有益バクテリアの生育を促進させる食物である。プレバイオティクスは、プレバイオティクスを摂取する個体の胃内で分解されず、又はGI管に吸収されないが、プレバイオティクスは、胃腸微生物叢及び/又はプロバイオティクスによる発酵を受ける。イノシトール、エリスリトール、又はソルビトールのうちの少なくとも1つと共に使用され得るプレバイオティクスは、特に限定されず、腸内でのプロバイオティクスの生育を促進する全ての食物物質を含む。好ましくは、プレバイオティクスは、任意選択でフルクトース、ガラクトース、マンノースを含有するオリゴ糖;食物繊維、特に可溶性繊維、大豆繊維;イヌリン;又はこれらの混合物、からなる群から選択することができる。好ましいプレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖(fructo-oligosaccharide:FOS)、ガラクトオリゴ糖(galacto-oligosaccharide:GOS)、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ダイズオリゴ糖、グリコシルスクロース(glycosylsucrose:GS)、ラクトスクロース(lactosucrose:LS)、ラクツロース(lactulose:LA)、パラチノースオリゴ糖(palatinose-oligosaccharide:PAO)、マルトオリゴ糖、ヘミセルロース性多糖(例えば、アラビノキシラン)、ペクチン、及び/又はこれらの加水分解物である。
【0045】
[0052]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物は、食品製品、動物食品製品、又は医薬組成物であり得る。例えば、製品は、栄養組成物、ニュートラシューティカル、飲料、食品添加物、又は医薬品であり得る。食品添加物又は医薬品は、例えば、錠剤、カプセル、トローチ、液体、又はサシェ中粉末の形態であってもよい。
【0046】
[0053]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物は、好ましくは、乳粉末ベースの製品;インスタント飲料;レディ・トゥ・ドリンク処方;栄養粉末;栄養液体;乳ベースの製品、特にヨーグルト又はアイスクリーム;シリアル製品;飲料;水;コーヒー;カプチーノ;麦芽飲料;チョコレート風味飲料;調理製品;スープ;錠剤;及び/又はシロップからなる群から選択される。
【0047】
[0054]組成物は、任意選択で、例えばウシの乳、ヒトの乳、ヒツジの乳、ヤギの乳、ウマの乳、ラクダの乳、米乳、又は豆乳のうちの1つ以上などの、動物性又は植物性供給源から得られる任意の乳を含んでもよい。追加的又は代替的に、乳由来タンパク質画分又は初乳を使用してもよい。
【0048】
[0055]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物は、保護親水コロイド(ガム、タンパク質、加工デンプンなど)、バインダー、皮膜形成剤、封入剤/封入材、壁/シェル材料、マトリックス化合物、コーティング、乳化剤、表面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、担体、充填剤、共化合物、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動化剤、矯味剤、増量剤、ゼリー化剤、ゲル形成剤、抗酸化剤、及び抗菌剤を更に含有してもよい。イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物はまた、従来の医薬品添加物及び補助剤、賦形剤及び希釈剤を含有してもよく、これには、水、任意の原材料に由来するゼラチン、植物ガム、リグニンスルホネート、タルク、糖、デンプン、アラビアガム、植物油、ポリアルキレングリコール、着香料、防腐剤、安定剤、乳化剤、緩衝剤、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などが挙げられるが、これらに限定されない。更に、イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物には、経口又は経腸投与に好適な有機又は無機担体材料に加え、USRDAなどの政府機関の推奨に従い、ビタミン類、ミネラル類、微量元素及びその他の微量栄養素を含有させることもできる。
【0049】
[0056]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物は、任意選択で、特に食品製品である組成物の実施形態において、1つ以上のアミノ酸、タンパク質源、炭水化物源、及び/又は脂質源を含有し得る。
【0050】
[0057]任意の好適な食品由来のタンパク質、例えば、動物性タンパク質(乳タンパク質、肉タンパク質、及び卵タンパク質など);植物性タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、及びエンドウ豆タンパク質など);遊離アミノ酸の混合物;又はこれらの組み合わせが挙げられる。カゼイン及びホエイタンパク質等の乳タンパク質、並びに大豆タンパク質が特に好ましい。
【0051】
[0058]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物は、ヒト又は動物、特にコンパニオンアニマル、ペット、又は家畜に投与され得る。この組成物はいずれの年齢層にも有益な効果を有する。好ましくは、組成物は、乳児、若年者、成人、又は高齢者に投与するために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、乳児を治療するために妊娠中及び授乳中の母親へ投与できる。
【0052】
[0059]イノシトール、エリスリトール、及び/又はソルビトールを含む組成物は、1週間に少なくとも1日、好ましくは1週間に少なくとも2日、より好ましくは1週間に少なくとも3日又は4日(例えば、1日おき)、最も好ましくは1週間に少なくとも5日、1週間に6日、又は1週間に7日、投与することができる。投与期間は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1カ月間、より好ましくは少なくとも2カ月間、最も好ましくは少なくとも3カ月間、例えば、少なくとも4カ月間であり得る。一実施形態では、投与は少なくとも毎日であり、例えば、対象は1日に1回以上投与を受け得る。いくつかの実施形態では、投与は、個体の残りの寿命にわたって継続される。他の実施形態では、投与は、医学的状態について検出可能な症状がなくなるまで行われる。具体的な実施形態では、投与は、少なくとも1つの症状について検出可能な改善が起こるまで行われ、更なる場合においては、寛解を維持するために継続される。
【実施例】
【0053】
[0061]以下の非限定的な実施例は、概して、本明細書に開示される実施形態の基礎となる概念を示す。
【0054】
[0062]実施例1:食物摂取頻度データの栄養素への変換
[0063]American Gut Project(AGP)と呼ばれる公的に利用可能な市民科学プロジェクト(McDonald D.,et al.mSystems.2018)の参加者から得た食物摂取データが、vioscreenと呼ばれるツールを使用して栄養素摂取量に変換され、AGPによって公開された。
【0055】
[0064]実施例2:フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Fprau)の相対量を推定するためのモデルの構築
[0065]予測モデルを構築して、個々の対象のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(Fprau)の相対量を決定した。具体的には、モデルは、数個の特徴パラメータによってFprauの相対量を予測し、対象が、上で定義したカテゴリーの「低」又は「非低」;「高」又は「非高」;「低」又は「高」Fprau量を有するか否かを判定する。
【0056】
[0066]Fprauの量を異なるカテゴリーにビニングする前に、立方根変換を行って正規分布させた。ビンの様々な定義の値は、第1/下位四分位数-0.2819、第3/上位四分位数-0.4666、平均-std-0.1954、及び平均+std-0.5220とした。
【0057】
[0067]分類モデルを構築するために、データを訓練セット「訓練」と試験セット「ホールドアウト/試験セット」とに分割した。最適なモデル性能のために、ダウンサンプリングにより、ビンの定義に基づいて発生し得る不均衡なクラスのバランスをとった。
【0058】
[0068]訓練セットは、モデルを訓練するために機械学習アルゴリズムによって使用された。訓練セットは、群を分類するために使用する変数(即ち、特徴)及び閾値(又は係数)を見つけることを含んでいた。データからの学習は、交差検証様式で行われ、訓練データが複数のパーティションへと分割されて、いくつかの部分がモデルの訓練に使用され、かつ他の部分が内部試験に使用された(k倍交差検証、例えば3倍)、又はこのプロセスが数回繰り返された(反復k倍交差検証、例えば10倍、10回反復)。
【0059】
[0069]ホールドアウト/試験セットは最終訓練モデルの性能をチェックするためにのみ使用された。したがって、このホールドアウト/試験データセットは、モデル訓練段階では使用されなかった。この研究は、自由に入手可能なツール(Rソフトウェア、Python)を用いて複数の統計モデル(異なる機械学習アルゴリズム)を評価し、かつFprau量の「低」対「非低」、「高」対「非高」、及び「低」対「高」について最良のモデルを特定した。
【0060】
[0070]モデル性能の評価は、モデリングの全ての段階において重要であった。訓練したモデルを、訓練段階では使用しなかったホールドアウト/試験データに適用した。モデルはそれぞれの群(例えば、「低」、「非低」)に属する確率を計算した。この確率に基づいて最終決定を行った。したがって、閾値の使用が必要であった。この閾値は、対象が正しく分類されたか否かにかかわらず、対象の最終的な分類に影響を与えた。したがって、閾値の異なる選択についてエラーを評価した。所与の各閾値について、混同行列を計算した。この混同行列は、正しく分類された対象及び誤って分類された対象の数を本質的に列挙した。異なる閾値を用いることにより、多くの混同行列を生成し、次に、これを使用して異なる閾値で感度及び特異度を導出した。これらの2つのメトリック(感度及び特異度)は、共通して受信者操作曲線(ROC)の形式で示され、いくつかの閾値にわたるモデル性能を要約した。
【0061】
[0071]このモデルについて、受信者操作特性(ROC)曲線を作成した。この研究は、「低」対象の群(及び「非低」群)を定義し、かつ対象がこの群に入る確率を予測した;又は、「高」群(及び「非高」群)に入る対象を定義し、かつ対象がこの群に入る確率を予測した;又は、「低」群(及び「高」群)に入る対象を定義し、かつ対象がこの群に入る確率を予測した。
【0062】
[0072]前述のように、予測モデルの例に使用したデータセットは、American Gut Project(AGP)データベースに由来する(http://americangut.org)。
【0063】
[0073]実施例3:摂取栄養素量データからの「低」Fprau量の推定(I)
[0074]以下のパラメータを用いて、低Fprau量対非低Fprau量のモデルで学習した:ビン定義:(平均-1
*std)対残り;特徴カットオフ:なし;アルゴリズム:ランダムフォレスト;訓練モード:cv-splits-3、cv-repeats-3;処理後訓練サイズ:896;及びホールドアウト/試験サイズ(オリジナル/処理前訓練の前/試験split):764(試験パーセンテージ:20.0%)。交差検証において訓練について得られた結果は、精度-0.58±0.02、感度-0.61±0.05、及び特異度-0.58±0.03であった。訓練ROC曲線を
図1Aに示す。ホールドアウト/試験セットについて得られた結果は、精度-0.64、感度-0.56、及び特異度-0.65であった。ホールドアウト/試験ROC曲線を
図1Bに示す。
【0064】
[0075]実施例4:Fprau量を維持又は改善するための栄養
[0076]重要な特徴及びそれらのFprau量との関連を
図2A及び
図2Bに示す。具体的には、実施例3に提示されたモデルについて、モデルを構成する上位30種の特徴が
図2A及び
図2Bに示されており、これらはSHAPアルゴリズム解析を実行することによって得られた。
図2Aは、モデル出力に対する特徴ごとの平均影響を重要度高から低の順に示す。主要/最良の特徴は上部の水平バーである。次に最良の特徴は第2の水平バーである、などのように続く。
図2Bは、モデル出力に対するインスタンス/サンプルごとの特徴の影響をより詳細に示す。灰色から黒色へのカラーグラデーションは、その特徴の低い値から高い値を示す。0.00の垂直線は、影響の方向性を定義する(左側はモデル出力に対する負の影響であり、右側はモデル出力に対する正の影響である)。ここで、SHAP解析出力は、「低」である参照クラスに関するものであった。
【0065】
[0077]特徴が0.00の垂直線の右側に向かって黒色値を有する場合、これは、この特徴のより高い値がモデル出力へ正に寄与することを示す。逆もまた同様であり、0.00の垂直線の左側に向かって黒色値を有する特徴は、この特徴のより高い値がモデル出力へ負に寄与することを示す。同様に、0.00の垂直線の右側に向かって灰色値を有する特徴は、この特徴のより低い値がモデル出力へ正に寄与することを示す。逆もまた同様であり、0.00の垂直線の左側に向かって灰色値を有する特徴は、この特徴のより低い値がモデル出力へ負に寄与することを示す。
【0066】
[0078]
図2A及び
図2Bからわかるように、一例として、低Fprau量対非低Fprau量を予測するためのこのモデルの重要な特徴は、イノシトール(g単位のイノシトール)と関係があった。
【0067】
[0079]
図3A~
図3D、
図5A、
図6A~
図6C、
図7A及び
図7Bでは、特徴ごとに、SHAP依存性プロットが、各データインスタンス/サンプルについて、x軸上に特徴値を有し、y軸上に対応するシャープレイ値を有する点を示している。SHAPは、予測に対する各特徴の寄与を計算することによって各インスタンスの予測を説明した。シャープレイ値の説明は、加法的特徴の帰属方法として、線形モデルとして表した。ここでの参照クラスは「低」であったため、特徴の対応するx値のSHAP値の正の係数は、「低」クラスを予測する際にこの特徴によってモデルがどの程度影響を受けたかを示す。
【0068】
[0080]ここからわかるように、イノシトールはFprau量に影響を及ぼした-Fprau量は、このモデルで使用した最も上位の特徴の1つであった(
図2A及び
図2B)。
図3Aに示されるように、イノシトールの特定の摂取値は、モデル出力への影響と関係があり、イノシトール摂取が低いと、Fprau状態が低くなる傾向があり、一方、イノシトールの摂取量が高いと、Fprau状態が「非低」クラスになる傾向があった。したがって、Fprau状態は、食事からより多くのイノシトール、好ましくは1日あたり0.2gを超えるイノシトールを摂取することから利益を得る。
【0069】
[0081]
図3B~
図3Dはそれぞれ、キシリトール、エリスリトール、及びソルビトールについてのSHAP依存性プロットを示す。
【0070】
[0082]実施例5:
[0083]モデル生物を使用して、イノシトール及びソルビトールのF.プラウスニッツィイに対するエネルギー基質としての効果が確認された(
図4A及び
図4B)が、キシリトールでは確認されなかった。したがって、全ての糖アルコールがF.プラウスニッツィイに対して同じ効果を有すると仮定することはできない。
【0071】
[0084]実施例6:
[0085]
図5Aに示されるように、クメストロールの特定の摂取値は、モデル出力に対する影響と関係があった。この結果は、クメストロールの非線形効果を示唆している。
【0072】
[0086]クメストロール単独、又はソルビトール及びイノシトールとの組み合わせのインビトロ試験を
図5B及び
図5Cに示す。クメストロールとソルビトール又はイノシトールとの組み合わせは、F.プラウスニッツィイ株DSMZ A2-165の生育を、各成分単独よりも増進する。
図5Dに示されるように、F.プラウスニッツィイ株DSMZ A2-165におけるクメストロールによる生育促進効果も、グルコースと組み合わせた場合に観察される。
図5Eは、F.プラウスニッツィイ株DSMZ A2-165におけるケルセチンとソルビトールとの組み合わせによる生育促進効果を示す。
図5F及び
図5Gは、それぞれ、F.プラウスニッツィイのDSMZ A2-165株及びATCC 27768株に対するケルセチンとイノシトールとの生育促進効果を示す。
図5H~
図5Lは、ケルセチンとグルコースとの組み合わせの生育促進効果が、F.プラウスニッツィイのDSMZ A2-165株及びATCC 27768株において最もプラスであることを示す。
【0073】
[0087]実施例7
[0088]
図6A~
図6Cは、このモデルが、F.プラウスニッツィイの生育に寄与する栄養素としてビタミンBを特定したことを示す。
図6Dは、ビタミンB12の添加、並びにビタミンB5、B6及びB12の混合物の添加がそれぞれ、基質としてグルコースを使用した場合に対照よりもF.プラウスニッツィイの生育を増進することを示す。
【0074】
[0089]実施例8
[0090]
図2A及び
図2Bからわかるように、一例として、低Fprau量対非低Fprau量を予測するためのモデルにとって重要な特徴は、ビタミンAに関連していた(vita_iu-IU単位の総ビタミンA活性、vita_rae-mcg単位の総ビタミンA活性レチノール活性当量、及びvita_re-mcg単位の総ビタミンA活性レチノール当量)。
【0075】
[0091]
図7A及び
図7Bは、ビタミンAの量の増加が、Fprau量に対して所望の効果を有することを示す。この効果は、vita_rae(mcg単位の総ビタミンA活性レチノール活性当量)及びvita_re(mcg単位の総ビタミンA活性レチノール当量)としてAGPデータに取り込まれた。1IUのレチノールは、約0.3マイクログラム(300ナノグラム)に相当する。
図7A及び
図7Bによれば、vita_rae>2000mcg及びvita_re>3000mcgは、Fprau量に対して所望の効果を有した。
【0076】
[0092]本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0077】
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【国際調査報告】