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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】免疫寛容の維持を追跡する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240423BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240423BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
A61P37/02 ZNA
A61P37/08
A61P29/00
A61K45/00
A61K39/00 A
C12Q1/02
A61K39/00 H
A61K39/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562871
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022024955
(87)【国際公開番号】W WO2022221622
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/175,973
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】515245424
【氏名又は名称】クール ファーマシューティカルズ ディベロップメント カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プイシス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ボイン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エルホフィ,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ポドジル,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォダルチク,グレタ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QR32
4B063QR48
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS33
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084NA06
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C085AA02
4C085EE01
(57)【要約】
本出願は、一般に、TIMPなどの抗原特異的免疫寛容化療法の投与中の抗原特異的免疫寛容の誘発及び長期維持を追跡するための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患又は状態のための免疫寛容化治療を受けている対象の免疫寛容状態を監視するための方法であって、
(a)治療の投与前に前記対象から1つ以上の生体試料を取得し、前記生体試料をアッセイすることによって前記対象の免疫寛容状態を決定するステップと、
(b)治療の投与後に前記対象から1つ以上の生体試料を取得し、前記生体試料をアッセイすることによって前記対象の前記免疫寛容状態を決定するステップと、
(c)治療の投与後に一定間隔で記対象から1つ以上の生体試料を取得し、前記生体試料をアッセイすることによって前記対象の前記免疫寛容状態を決定するステップと、
(d)ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果を、ステップ(a)及び/又は(b)の結果と比較して、免疫寛容シグネチャーを生成するステップと、
(e)前記免疫寛容シグネチャーが、免疫寛容の弱化、及び/又は喪失を示す場合、前記寛容化治療を再投与するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記疾患又は状態が、炎症性状態、自己免疫性状態、アレルギー、異常免疫応答、リソソーム蓄積疾患、酵素欠損症、タンパク質欠損症、遺伝子障害、及び/又は移植レシピエントからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自己免疫状態が、アトピー性アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、自己免疫性脊髄炎、脊髄炎、横断性脊髄炎、視神経脊髄炎(NMO)、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMSOD)、1型糖尿病(T1D)、2型糖尿病(T2D)、セリアック病(CD)、グレーブ病、重症筋無力症、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、脱毛症、リウマチ性関節炎、変形性関節症、強直性脊椎炎、自己免疫性心筋炎、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性皮膚疾患、自己免疫性ぶどう膜炎、水疱性類天疱瘡、ベーチェット症候群、脳変性症、慢性ニューロパチー、瘢痕性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、クローン病、炎症性腸疾患(IBD)、炎症性腸症候群(IBS)、寒冷症、疱疹状皮膚炎、イートン・ランバート病、脳脊髄炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑(erythema nodosa)、糸球体腎炎、グッドパスチャー病、肉芽腫症、ギラン-バレー症候群、橋本病、川崎病、溶血性貧血、過敏性血管炎、エリテマトーデス、混合性結合組織病、混合性本態性クリオグロブリン血症、多巣運動ニューロパチー、オプソノクローヌス(opsonoclonus)-ミオクローヌス、腫瘍随伴性天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、落葉状天疱瘡、悪性貧血、辺縁型胆汁性肝硬変、多発性血管炎重複症候群、結節性多発性動脈炎、多腺性不全、多腺性症候群、多発性筋炎/皮膚筋炎、乾癬、湿疹、網膜症、Reynaud症候群、サルコイドーシス、1型強皮症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、スティフマン症候群(Stiffman’s syndrome)、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺炎、潰瘍性大腸炎、免疫性血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、ANCA疾患、多発血管炎性肉芽腫症、及び顕微鏡的多発血管炎からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫寛容化治療が、1つ以上の自己免疫性抗原、アレルゲン、酵素置換療法、タンパク質療法、移植抗原、及び遺伝子療法ベクターからなる群から選択される抗原を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の自己免疫性抗原が、ミエリン塩基性タンパク質、アセチルコリン受容体、内因性抗原、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、環状ヌクレオチドホスホヒドロラーゼ、膵臓ベータ細胞抗原、インスリン、プロインスリン、膵島特異的グルコース-6-ホファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、11型コラーゲン、ヒト軟骨gp39、fp130-RAPS、フィブリラリン、核小体タンパク質、甲状腺刺激因子受容体、ヒストン、糖タンパク質gp70、ピルビン酸デヒドロゲナーゼデヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼ(PCD-E2)、毛包抗原、アクアポリン4、デスモグレイン1、デスモグレイン3、ニコチン酸アセチルコリン受容体、グリアジン、ADAMTS13、GPIIb/GPIIIa、CYP2D6、BP180、NC16、BP230、Ro60、MPO、甲状腺刺激ホルモン受容体、及びヒトトロポミオシンアイソフォーム5からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のアレルゲンが、バヒアグラス花粉(BaGP)、モモアレルゲン、ミルクアレルゲン、セロリアレルゲン、ナッツアレルゲン、ウシ血清アルブミン、ヘーゼルナッツアレルゲン、オボアルブミン、卵アレルゲン、ピーナッツアレルゲン、魚アレルゲン、貝類アレルゲン、及びスギ花粉からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記免疫寛容化治療が、抗原特異的である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫寛容化治療が、経口免疫療法(OIT)、皮下免疫療法(SCIT)、舌下免疫療法(SLIT)、及び免疫寛容化ナノ医療からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫寛容化ナノ医療が、寛容化免疫修飾粒子(TIMP)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)~(c)のうちのいずれか1つの前記生体試料が、前記治療の投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月前又は後に取得される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の生体試料が、全血、末梢血、末梢血単核球(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び骨髄生検からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の生体試料の前記アッセイが、分析細胞、細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、代謝産物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞が、免疫細胞及び/又は非免疫細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫細胞が、先天性免疫細胞及び/又は適応性免疫細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫細胞が、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、T細胞、B細胞、NK細胞、及びNK-T細胞からなる群から選択される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記T細胞が、T1細胞、T2a細胞、Treg細胞、Tr1細胞、及び/又はTeff細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記非免疫細胞が、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、及び/又はクッパー細胞からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(a)における1つ以上の生体試料の前記アッセイが、ベースラインでの前記対象の前記免疫寛容状態を決定するために使用される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ベースラインでの対象の免疫寛容状態が、ステップ(a)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果を、健康な対象から取得された試料のアッセイと比較することによって決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ベースラインでの前記対象の前記免疫寛容状態が、前記対象が寛容化治療を投与されているかを決定するために使用される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
ベースラインでの前記対象の前記免疫寛容状態が、弱い免疫寛容又は免疫寛容の不在を示す、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ベースラインでの前記対象の前記免疫寛容状態が、弱い免疫寛容又は免疫寛容の不在を示す場合、前記対象が、治療を投与される、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(a)及び/又は(b)における前記アッセイからの前記結果と比較されたステップ(c)におけるアッセイの前記結果が、免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、前記対象が、ステップ(e)における治療を再投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
対象の前記免疫寛容シグネチャーが、前記対象から取得され、かつインビボ及び/又はエクスビボで刺激された1つ以上の生体試料からのアッセイされた以下のパラメータのうちの1つ以上を使用して生成される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法:
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合、
b.前記全T細胞集団中のTreg細胞の割合、
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合、
d.特異的IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベル及び/若しくは比、
e.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
g.炎症性代謝産物のレベル、並びに/又は
h.抗炎症性代謝産物のレベル。
【請求項28】
(a)~(h)において列挙される2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、前記免疫寛容シグネチャーが、免疫寛容の維持を示す、請求項27に記載の方法。[
【請求項29】
上記(a)~(h)に列挙される少なくとも2/8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、前記対象が、TIMPでの治療を必要としないことが決定される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
免疫寛容が、免疫寛容の少なくとも1つのパラメータにおいて約5%~100%弱化及び/又は喪失される場合、前記対象が、治療を再投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
免疫寛容の前記少なくとも1つのパラメータが、前記対象から取得され、かつインビボ及び/又はエクスビボで刺激された1つ以上の生体試料からアッセイされた、
a.前記全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合、
b.前記全T細胞集団中のTreg細胞の割合、
c.前記全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合、
d.特異的IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベル及び/若しくは比、
e.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
g.炎症性代謝産物のレベル、並びに/又は
h.抗炎症性代謝産物のレベルからなる群から選択される、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
免疫寛容が、5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%弱化及び/又は喪失される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(d)の前記結果が、免疫寛容の少なくとも1つのパラメータにおいて約2~100倍の免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、前記対象が、ステップ(e)において治療を再投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
免疫寛容の前記少なくとも1つのパラメータが、前記対象から取得され、かつインビボ及び/又はエクスビボで刺激された1つ以上の生体試料からアッセイされた、
a.前記全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合、
b.前記全T細胞集団中のTreg細胞の割合、
c.前記全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合、
d.特異的IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベル及び/若しくは比、
e.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
g.炎症性代謝産物のレベル、並びに/又は
h.抗炎症性代謝産物のレベルからなる群から選択される、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
免疫寛容が、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍弱化及び/又は喪失される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(e)において投与された前記治療が、TIMPである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記TIMPが、約0.1~12mg/kgの用量レベルで投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記TIMPが、約0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6mg/kg、6.5mg/kg、7mg/kg、7.5mg/kg、8.0mg/kg、8.5mg/kg、9mg/kg、9.5mg/kg、10mg/kg、10.5mg/kg、11mg/kg、11.5mg/kg、又は12mg/kgの用量レベルで投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記TIMPが、約50mg~800mgの用量レベルで投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記TIMPが、約50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量レベルで投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記TIMPが、単回用量又は複数回用量で投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記TIMPが、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又は1年当たり1回投与される、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記TIMPが、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口投与される、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記寛容状態が、1つ以上の刺激後の1つ以上の生体試料のアッセイによって決定される、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記刺激が、インビボ及び/又はエクスビボで提供される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上の刺激が、1つ以上の抗原、アレルゲン、及び活性化剤からなる群から選択される、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗原及びアレルゲンが、治療される前記疾患又は状態と関連している、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗原及びアレルゲンが、治療される前記疾患又は状態と関連していない、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ以上の活性化剤が、抗体、化学剤、ウイルス成分、及び細菌成分からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年4月16日に出願された、米国仮特許出願第63/175,973号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、寛容化ナノ粒子療法を受けた後の対象における寛容誘発及び寛容の長期維持を監視及び追跡する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの炎症性疾患及び状態は、自己抗原(例えば、自己免疫疾患)、治療用タンパク質、及びアレルゲン(例えば、食物アレルゲン及び環境アレルゲン)のような抗原に対する過剰、異常、及び/又は調節不全免疫応答を特徴とする。先天性(例えば、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、及びミクログリア)並びに適応性免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、及びNK細胞)の調節不全機能は、これらの抗原に対する過剰及び異常免疫応答の主な駆動因子である。炎症の部位への免疫細胞の活性化及び移動、サイトカイン、ケモカイン、抗体、及び他の因子の異常産生、細胞代謝の変化、並びに改変された血管新生応答は、いくつかの炎症性疾患及び状態における病理に寄与する重要なプロセスのうちの1つである。いくつかの炎症性疾患及び状態を治療するための従来のアプローチは、疾患の根本原因に対処せず、症状緩和のみを提供し、感染症、悪性腫瘍、臓器不全、及びいくつかの場合では死亡さえもの増加したリスクなどの重大な副作用を引き起こす、広範囲の免疫抑制薬の慢性的な使用に依存する。
【0004】
抗原特異的免疫寛容(ASIT)の誘発は、いくつかの炎症性状態の治療のためのゴールドスタンダードとして仮定されている。ASITは、病理に関与する疾患特異的抗原に対する寛容を再構築するために免疫系をリプログラミングすることに依存する。
【0005】
抗原特異的免疫寛容を誘発するいくつかの試みが行われており、以前に記載されている(国際特許出願第2009/056332号、同第2009/056833A2号、同第2010/060155A1、同第2013/184976A2、同第2014159609を参照されたい)が、臨床翻訳は、ヒトにおける有効性の欠如、安全性懸念、及び複雑な製造のために困難であることが証明されている。最高でも、これらの療法は、抗原に対する脱感作を達成することはできたが、真の免疫寛容を達成することはできなかった。
【0006】
多くの場合混同される、脱感作及び真の免疫寛容は、異なる免疫学的メカニズムを介して達成され、異なる結果を有する。脱感作は、最大耐用量まで長期間にわたって増加する用量の抗原の投与によって達成される。重要なことには、脱感作療法は、偶発的な曝露に対して保護し、慢性的な投与を必要とし、療法が中止されるとすぐに脱感作効果が失われる。対照的に、寛容誘発は、例えば、サイトカイン分泌を修飾すること又はT細胞応答を修飾することによって、抗原又はアレルゲンに対する生理学的免疫応答の調節をもたらす免疫リプログラミングを促進する。最近、真の抗原特異的免疫寛容(ASIT)を誘発するための、寛容化免疫修飾粒子(TIMP)と呼ばれる、疾患関連抗原を封入するポリマーナノ粒子が記載されている(WO/2013/1952532A2及びWO/2015/023796A2を参照されたい)。セリアック病(CD)における攻撃性抗原であるグリアジンを封入するTIMPは、CD対象における第2相臨床試験においてグリアジンに対する寛容を誘発する有効性を実証した。この臨床試験における有効性は、治療後のグルテン摂取に対する炎症性免疫応答をアッセイすることによって、TIMPを受けているCD対象において構築された。よって、TIMPは、攻撃性抗原へのはるかに高いレベルの曝露に対して保護することによって、脱感作を超えている。
【0007】
既存の分析方法は、真の免疫寛容の誘発を評価するのに十分に適しておらず、代わりに脱感作の誘発を評価することに向けられている(WO2012/148549A、WO2019/028028)。これらのアプローチは、ただ1つでなければ、限られた、パラメータのセット(例えば、単一の細胞型又は限られたサイトカイン/ケモカインのパネル)をアッセイすることへのそれらの依存によって、治療上の決定を可能にすることができる免疫寛容の状態に関するより深い洞察を提供することができない。現在のアプローチの欠点は、真の免疫寛容の状態の包括的な見解ではなく、分析のために対象から試料を収集した特定の時間でのみ免疫系の評価を提供するそれらの能力である。
【発明の概要】
【0008】
ASITの成功に影響を与える重要な因子は、免疫寛容の長寿である。いくつかの生理学的及び免疫学的因子は、治療的介入によって誘導される免疫寛容の寿命を決定し、免疫寛容は、経時的に減少し始め得る。したがって、免疫寛容の維持を確認し、免疫寛容の変化、弱化、又は喪失が観察される場合に対象に寛容化療法を再投与するために、寛容化療法で治療された対象を定期的に監視することが重要である。しかしながら、我々の知る限り、真の免疫寛容を誘発することができる療法で治療された対象における免疫寛容の維持を監視するための既存の方法であって、疾患再発を防止するために抗原特異的免疫寛容の維持を確実にする再投与決定を通知するのに役立つ方法は存在しない。
【0009】
様々な実施形態では、本開示は、炎症性疾患又は状態のための治療を受けている対象の免疫寛容状態を監視し、対象が治療の再投与を必要とするかを決定するための方法を提供する。様々な実施形態では、方法は、(a)治療の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、当該生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(b)治療の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(c)治療の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(d)ステップ(c)において決定された免疫寛容状態が、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、治療を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果は、ステップ(a)及び/又は(b)における1つ以上の生体試料からの結果と比較されて、免疫寛容状態のシグネチャーが生成される。
【0010】
様々な実施形態では、対象から収集される生体試料は、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検である。様々な実施形態では、生体試料のアッセイは、細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、代謝産物、及び/又はそれらの組み合わせのレベル、及び/又は存在若しくは不在を分析することからなる。様々な実施形態では、1つ以上の生体試料のアッセイは、免疫寛容状態のシグネチャーを生成するために使用される。
【0011】
様々な実施形態では、ステップ(a)の1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月前に対象から収集される。様々な実施形態では、ステップ(b)の1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月後に収集される。様々な実施形態では、ステップ(c)の1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与後1~7日毎、1~4週間毎、及び/又は1~12ヶ月毎に収集される。様々な実施形態では、ステップ(c)の1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与後1~7日、1~4週間毎、及び/又は1~12ヶ月毎の間隔で収集される。様々な実施形態では、試料は、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、又は12ヶ月毎に収集される。
【0012】
様々な実施形態では、本開示は、免疫寛容を監視する方法を提供する。様々な実施形態では、対象は、免疫寛容化療法での治療を受けている。様々な実施形態では、対象は、脱感作療法での治療を受けている。様々な実施形態では、免疫寛容化療法は、抗原特異的である。様々な実施形態では、対象に投与される治療は、経口免疫療法(OIT)、皮下免疫療法(SCIT)、舌下免疫療法(SLIT)、及び免疫寛容化ナノ医療からなる群から選択される。様々な実施形態では、治療は、免疫寛容化ナノ医療である。様々な実施形態では、免疫寛容化ナノ医療は、寛容化免疫調節粒子(TIMP)からなる。
【0013】
様々な実施形態では、抗原特異的免疫寛容化療法は、ナノ医療である。様々な実施形態では、ナノ医療は、1つ以上の抗原に結合した粒子及び/又は1つ以上の抗原を封入する粒子からなる。様々な実施形態では、粒子は、生分解性である。様々な実施形態では、粒子は、鉄、酸化鉄、金、亜鉛、カドミウム、及び銀からなる群から選択される金属から作製される。様々な実施形態では、粒子は、負のゼータ電位を有する。様々な実施形態では、粒子のゼータ電位は、約-100mV~約0mVである。様々な実施形態では、粒子のゼータ電位は、約-100mV~約-30mV、約-80mV~約-30mV、約-75mV~約-35mV、約-70mV~約-30mV、約-60mV~約-35mV、又は約-50mV~約-30mVである。様々な実施形態では、ゼータ電位は、約-30mV、-35mV、-40mV、-45mV、-50mV、-55mV、-60mV、-65mV、-70mV、-75mV、-80mV、-85mV、-90mV、-95mV、又は-100mVである。
【0014】
様々な実施形態では、粒子の直径は、約0.02~10μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、約0.05~10μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、約0.1~5μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、0.2μm~約2μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、0.2μm~約2μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、約0.3μm~約5μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、約0.5μm~約3μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、約0.5μm~約1μmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、約20~10000nm、50~10000nm、50~5000nm、50~2000nm、100~1500nm、約300~1000nm、約400~800nm、又は約200~700nmである。様々な実施形態では、粒子の直径は、約20nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmの平均直径を有する。様々な実施形態では、負に帯電した粒子の直径は、300nm~800nmである。
【0015】
様々な実施形態では、TIMPは、1つ以上の抗原を封入する粒子からなる。様々な実施形態では、抗原は、自己免疫性抗原、移植抗原、アレルゲン、酵素補充療法、タンパク質治療剤、及び/又は遺伝子療法ベクター若しくはウイルスベクターである。
【0016】
様々な実施形態では、TIMPは、ミエリン塩基性タンパク質、アセチルコリン受容体、内因性抗原、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、環状ヌクレオチドホスホヒドロラーゼ、膵臓ベータ細胞抗原、インスリン、プロインスリン、膵島特異的グルコース-6-ホファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、11型コラーゲン、ヒト軟骨gp39、fp130-RAPS、フィブリラリン、核小体タンパク質、甲状腺刺激因子受容体、ヒストン、糖タンパク質gp70、ピルビン酸デヒドロゲナーゼデヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼ(PCD-E2)、毛包抗原、アクアポリン4、デスモグレイン1、デスモグレイン3、ニコチン酸アセチルコリン受容体、グリアジン、ADAMTS13、GPIIb/GPIIIa、CYP2D6、BP180、NC16、BP230、Ro60、MPO、甲状腺刺激ホルモン受容体、及びヒトトロポミオシンアイソフォーム5、バヒアグラス花粉(BaGP)、モモアレルゲン、ミルクアレルゲン、セロリアレルゲン、ナッツアレルゲン、ツリーナッツアレルゲン、ウシ血清アルブミン、ヘーゼルナッツアレルゲン、オボアルブミン、卵アレルゲン、ピーナッツアレルゲン、魚アレルゲン、貝類アレルゲン、チリダニ、ネコアレルゲン、イヌアレルゲン、花粉アレルゲン、ハチ毒、スギ花粉、酵素補充療法、治療用タンパク質、及びウイルスベクターからなる群から選択される1つ以上の抗原を封入する。
【0017】
様々な実施形態では、ピーナッツアレルゲンは、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、及びAra h8からなる群から選択される。様々な実施形態では、ピーナッツアレルゲンは、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h4、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、及びAra h17からなる群から選択される。
【0018】
様々な実施形態では、抗原は、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、イミグルシラーゼ、タリグルシラーゼアルファ、ベラグルセラーゼアルファ、アルグルセラーゼ、セベリパーゼアルファ、ラロニダーゼ、イドゥルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、アセチルガラクトサミン4硫酸塩、イドゥロニダーゼ、アルグルセラーゼ、グルコセレブロシダーゼからなる群から選択される酵素補充療法である。
【0019】
様々な実施形態では、タンパク質治療剤は、エリスロポエチン、インスリン、ヒト成長ホルモン、卵胞刺激ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン様成長因子、ウリカーゼ、キヌリナーゼ、L-アルギニンデアミナーゼ、アルギナーゼ、メチオニン-γ-リアーゼ、アスパラギナーゼ、アミノ酸分解酵素、グルテン分解酵素、ヌクレオチド分解酵素、IFN-γ、IL-2、IL-12、及びIL-15からなる群から選択される組換えタンパク質である。
【0020】
様々な実施形態では、タンパク質治療剤は、抗体である。様々な実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。様々な実施形態では、抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的、又は二重特異的T細胞エンゲージャーである。様々な実施形態では、抗体は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、EGFR、VEGF、VEGFR、PDGF、PDGFR、HER2/Neu、ER、PR、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、SIRP-α、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CD3、CD25、CD19、CD20、CD39、CD47、CD73、FAP、IL-1β、IL-12、IL-2R、IL-15、IL-15R、IL-23、IL-33、IL-2R、IL-4Rα、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、単球、及び/又は好中球を標的とする。様々な実施形態では、抗体は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、アベルマブ、アゼトリズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、ベズロトキスマブ、ブリナツモマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、デュルバルマブ、エファリズマブ、エミシズマブ、エトキマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、イキセキズマブ、インフリキシマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オララツマブ、オマリズマブ、オファチムマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペンブロリズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、セクキヌマブ、ウステキヌマブ、及びベドリズマブからなる群から選択される。
【0021】
様々な実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アルファウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、修飾アンカラウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ピコルナウイルス、タバコモザイクウイルス、ジャガイモウイルスx、コモウイルス、又はキュウリモザイクウイルスからなる群から選択される。様々な実施形態では、ウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスである。様々な実施形態では、ウイルスは、キメラウイルス、合成ウイルス、モザイクウイルス、又はシュードタイプウイルスである。様々な実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV12、Anc80、又はそれらの組み合わせである。
【0022】
様々な実施形態では、TIMPは、生分解性である。様々な実施形態では、TIMPは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸コグリコール酸)(PLGA)、ポリスチレン、リポソーム、脂質、PEG、シクロデキストラン、キトサン、及び多糖類からなる群から選択されるポリマーから作製される。
【0023】
様々な実施形態では、TIMPは、表面官能化される。様々な実施形態では、TIMPは、カルボキシル化によって表面官能化される。様々な実施形態では、TIMPは、負のゼータ電位を有する。様々な実施形態では、粒子のゼータ電位は、約-100mV~約0mVである。様々な実施形態では、粒子のゼータ電位は、約-100mV~約-30mV、約-80mV~約-30mV、約-75mV~約-35mV、約-70mV~約-30mV、約-60mV~約-35mV、又は約-50mV~約-30mVである。様々な実施形態では、ゼータ電位は、約-30mV、-35mV、-40mV、-45mV、-50mV、-55mV、-60mV、-65mV、-70mV、-75mV、-80mV、-85mV、-90mV、-95mV、又は-100mVである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、約0.05μm~約10μmである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、0.1μm~約10μmである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、0.1μm~約5μmである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、0.1μm~約3μmである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、0.3μm~約5μmである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、約0.3μm~約3μmである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、約0.3μm~約1μmである。様々な実施形態では、TIMPの直径は、約0.4μm~約1μmである。様々な実施形態では、粒子は、約100~10000nm、約100~5000nm、約100~3000nm、約100~2000nm、約300~5000nm、約300~3000nm、約300~1000nm、約300~800nm、約400~800nm、又は約200~700nmの直径を有する。様々な実施形態では、TIMPの直径は、約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmである。様々な実施形態では、負に帯電した粒子の直径は、400nm~800nmである。TIMPは、WO/2013/1952532A2及びWO/2015/023796A2に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
様々な実施形態では、本発明は、炎症性疾患又は状態のための治療を受けている対象の免疫寛容状態を監視し、対象が治療の再投与を必要とするかを決定するための方法を提供する。様々な実施形態では、本発明は、抗原特異的免疫寛容化療法で治療された対象が維持された免疫寛容を有するか、及び対象が抗原特異的免疫寛容化療法の再投与を必要とするかを監視するための方法を提供する。様々な実施形態では、方法は、(a)抗原特異的免疫寛容化療法の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(b)抗原特異的免疫寛容化療法の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(c)抗原特異的免疫寛容化療法の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(d)ステップ(c)において決定された免疫寛容状態が、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、抗原特異的免疫寛容化療法を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)において決定される免疫寛容状態は、ステップ(a)及び/又は(b)において決定される免疫寛容状態と比較される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果は、ステップ(a)及び/又は(b)における1つ以上の生体試料からの結果と比較されて、免疫寛容状態のシグネチャーが生成される。様々な実施形態では、生体試料のアッセイは、細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、及び/又はそれらの組み合わせの分析からなる。様々な実施形態では、ステップ(a)~(c)に記載される1つ以上の生体試料のアッセイは、免疫寛容シグネチャーを生成するために使用される。
【0025】
炎症性疾患又は状態のための寛容化治療を受ける対象の寛容状態を監視するための方法であって、(a)治療の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、当該生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(b)治療の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(c)治療の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(d)ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果をステップ(a)及び/又は(b)の結果と比較して、免疫寛容シグネチャーを生成するステップと、(e)免疫寛容シグネチャーが、免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、寛容化治療を再投与するステップと、を含む、方法も提供される。
【0026】
様々な実施形態では、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失は、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果を、ステップ(a)及び/又は(b)からの結果と比較することによって決定される。様々な実施形態では、ステップ(c)からの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)において免疫寛容化療法を再投与される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)又は(e)において免疫寛容化療法を再投与される。
【0027】
様々な実施形態では、本開示は、炎症性疾患又は状態のための治療を受けている対象の免疫寛容状態を監視し、対象が治療の再投与を必要とするかを決定するための方法を提供する。様々な実施形態では、本開示は、抗原特異的免疫寛容化療法で治療された対象が維持された免疫寛容を有するか、及び対象が抗原特異的免疫寛容化療法の再投与を必要とするかを監視するための方法を提供する。様々な実施形態では、抗原特異的免疫寛容化療法は、対象に有効量のTIMPを投与することを含む。様々な実施形態では、方法は、(a)TIMPの投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(b)TIMPの投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(c)TIMPの投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、生体試料をアッセイすることによって対象の免疫寛容状態を決定するステップと、(d)ステップ(c)において決定された免疫寛容状態が、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、TIMPを再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果は、ステップ(a)及び/又は(b)における1つ以上の生体試料からの結果と比較されて、免疫寛容状態のシグネチャーが生成される。様々な実施形態では、生体試料のアッセイは、細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、及びそれらの組み合わせを分析することからなる群から選択される。様々な実施形態では、ステップ(a)~(c)に記載される生体試料のアッセイは、免疫寛容シグネチャーを生成するために使用される。
【0028】
様々な実施形態では、ステップ(a)の1つ以上の生体試料は、TIMPの投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月前に対象から収集される。様々な実施形態では、ステップ(b)の1つ以上の生体試料は、TIMPの投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月後に収集される。様々な実施形態では、ステップ(c)の1つ以上の生体試料は、TIMPの投与後1~7日毎、1~4週間毎、及び/又は1~12ヶ月毎に収集される。様々な実施形態では、ステップ(c)の1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与後1~7日、1~4週間毎、及び/又は1~12ヶ月毎の間隔で収集される。
【0029】
様々な実施形態では、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失は、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果を、ステップ(a)及び/又は(b)からの結果と比較することによって決定される。様々な実施形態では、ステップ(c)からの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)においてTIMPを再投与される。
【0030】
様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの結果のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、TIMPを再投与される。様々な実施形態では、TIMPは、約0.1mg/kg~12mg/kgの用量レベルで投与される。様々な実施形態では、TIMPは、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1.0mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6mg/kg、6.5mg/kg、7mg/kg、7.5mg/kg、8.0mg/kg、8.5mg/kg、9mg/kg、9.5mg/kg、10mg/kg、10.5mg/kg、11mg/kg、11.5mg/kg、又は12mg/kgの用量レベルで投与される。様々な実施形態では、TIMPは、約50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量レベルで投与される。様々な実施形態では、TIMPは、0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される。
【0031】
様々な実施形態では、TIMPは、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、吸入を介して、又は経口投与される。様々な実施形態では、TIMPは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、TIMPは、1週間間隔で2回の用量で投与される。様々な実施形態では、TIMPSは、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又は1年当たり1回投与される。
【0032】
様々な実施形態では、TIMPは、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与される。様々な実施形態では、追加の治療剤は、IgEの阻害剤、好塩基球活性化の阻害剤、マスト細胞活性化の阻害剤、抗ヒスタミン、又は小分子若しくは生物学的治療剤である。様々な実施形態では、追加の治療剤は、IgEを阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、好塩基球活性化を阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、マスト細胞活性化を阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、生体又は低分子である。様々な実施形態では、追加の治療剤は、抗IgE抗体、抗IL-4Rα抗体、抗IL13抗体、抗IL-33抗体、抗ヒスタミン、ステロイド、コルチコステロイド、ロイコトリエン修飾剤、又は非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。
【0033】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第一世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第二世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、ブロムフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、トリプロリジン、アゼラスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセトリジン、ドキシラミン、エバスチン、エンブラミン、エピネフリン、フェキソフェナジン、ロラタジン、及びオロパタジンからなる群から選択される。
【0034】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、ステロイドである。様々な実施形態では、ステロイドは、ベクロメタゾン、シクレソニド、フロ酸フルチカゾン、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、及びロテプレドノールからなる群から選択される。
【0035】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイドである。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0036】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。様々な実施形態では、NSAIDは、非選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-2選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-1選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、プロスタグランジンシンターゼ阻害剤である。様々な実施形態では、NSAIDは、ジクロフェナク、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラック、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、ケトロラック、ケトロラックトロメタミン、ケトプロフェン、トルメチン、トルメチンナトリウム、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、スリンダク、フェルビナク、ピロキシカム、メフェナム酸、メクロフェナメートナトリウム、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、セレコキシブ、エトドラック、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブからなる群から選択される。
【0037】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、ロイコトリエン修飾剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、抗ロイコトリエンである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン合成阻害剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、モンテルカスト、ジレウトン、及びザフィルルカストからなる群から選択される。
【0038】
様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、生体試料からの1つ以上の細胞をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる細胞は、免疫細胞、非免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせである。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる細胞は、免疫細胞である。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる免疫細胞は、先天性免疫細胞、適応性免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせである。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる免疫細胞は、先天性免疫細胞である。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる免疫細胞は、適応性免疫細胞である。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる先天性免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)である。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる先天性免疫細胞は、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、及び/又はそれらの組み合わせである。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる適応性免疫細胞は、エフェクター免疫細胞である。様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる適応性免疫細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、及び/又はそれらの組み合わせである。様々な実施形態では、T細胞は、エフェクターT細胞、Th1細胞、Th2a細胞、調節T細胞(Treg)、又は1型調節T細胞(Tr1)である。
【0039】
様々な実施形態では、生体試料からのアッセイされる細胞は、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、及び/又はクッパー細胞である。様々な実施形態では、生体試料からの1つ以上の細胞のアッセイは、免疫寛容状態のシグネチャーを生成するために使用される。
【0040】
様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、生体試料からの1つ以上の細胞表面タンパク質を分析することによって決定される。様々な実施形態では、細胞表面タンパク質は、CD1c、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、TACI、CD25、CD27、CD28、CD30、CD30L、CD31、CD32、CD32b、CD34、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40-L、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD45RA、CD45RO、CD48、CD52、CD55、CD56、CD58、CD61、CD66b、CD69、CD70、CD72、CD79、CD68、CD84、CD86、CD93、CD94、CD95、CRACC、BLAME、BCMA、CD103、CD107、CD112、CD120a、CD120b、CD123、CD125、CD127、CD134、CD135、CD140a、CD141、CD154、CD155、CD160、CD161、CD163、CD172a、XCR1、CD203c、CD204、CD206、CD207 CD226、CD244、CD267、CD268、CD269、CD355、CD358、CRTH2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2H、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR3DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、DAP12、KIR3DS、NKp44、NKp46、TCR、BCR、インテグリン、FcβεRI、MHC-I、MHC-II、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10R、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL-23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、PD-1、PD-1H、BTLA、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、2B4、B7-1、B7-2、B7-H1、B7-H4、B7-DC、DR3、LIGHT、LAIR、LTα1β2、LTβR、TIM-1、TIM-3、TIM-4、TIGIT、LAG-3、ICOS、ICOS-L、SLAM、SLAMF2、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、TL1A、HVEM、41-BB、41BB-L、TL-1A、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF5、BAFF、BAFF-R、APRIL、TRAIL、RANK、AITR、TRAMP、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、CLECL9a、DC-SIGN、IGSF4A、SIGLEC、EGFR、PDGFR、VEGFR、FAP、α-SMA、FAS、FAS-L、FC、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、ICAM-4、ICAM-5、PECAM-1、MICA、MICB、UL16、ULBP1、ULBP2、ILBP3、ULBP4、ULBP5、ULBP6、MULT1、RAE1α、β、γ、δ、及びε、H60a、H60b、H60c、GPR15、ST2、並びに/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態では、インテグリンは、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態では、TCRは、α、β、γ、δ、ε、ζ、及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。フローサイトメトリー及びマスサイトメトリー(CyTOF)を含む、細胞表面タンパク質発現をアッセイするためのいくつかの方法が文献に記載されている。
【0041】
様々な実施形態では、対象の寛容状態は、生体試料からの核酸を分析することによって決定される。様々な実施形態では、核酸は、DNA及び/又はRNAである。様々な実施形態では、核酸は、mRNA、rRNA、tRNA、siRNA、miRNA、lncRNA、並びにncRNA及びミトコンドリアDNAである。様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、生体試料からの遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫機能、抗体、異物(例えば、細菌、ウイルス、感染症、又は天然若しくは合成インプラント)応答、代謝、アポトーシス、細胞死、壊死、フェロトーシス、オートファジー、細胞移動、エンドサイトーシス、食作用、飲作用、タイトジャンクション調節、細胞接着、分化、及び/又はそれらの組み合わせに関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫抑制に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫活性化に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、調節機能に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、核酸分析は、免疫寛容シグネチャーを生成するために使用される。RNAシーケンシング(RNA-seq)、単一細胞RNAシーケンシング(scRNA-seq)、エクソームシーケンシング、及びマイクロアレイベース分析を含む、高スループット遺伝子発現分析のためのいくつかの方法論が文献に記載されている。
【0042】
様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、生体試料中のタンパク質を分析することによって決定される。様々な実施形態では、タンパク質は、免疫寛容状態は、免疫応答、異物応答、代謝、アポトーシス、細胞死、壊死、フェロトーシス、オートファジー、細胞移動、エンドサイトーシス、食作用、DNA損傷、飲作用、タイトジャンクション調節、細胞接着、分化、細胞型の存在及び/若しくは不在、並びに/又はそれらの組み合わせと関連している。様々な実施形態では、タンパク質は、サイトカイン及び/又はケモカインである。様々な実施形態では、タンパク質は、細胞シグナル伝達タンパク質である。様々な実施形態では、サイトカイン及びケモカインは、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-12p70、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-17、IL-18、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-27b、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35、IL-36、CCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1、CXCL2(MCP-1)、CXCL3(MIP-1α、CXCL4(MIP-1β、CXCL5(RANTES)、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、GM-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態では、タンパク質は、プロテアーゼである。様々な実施形態では、プロテアーゼは、アスパラギン酸プロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、及び/又はトレオニンプロテアーゼである。様々な実施形態では、ADAM1、ADAM2、ADAM7、ADAM8、ADAM9、ADAM10、ADAM11、ADAM12、ADAM15、ADAM17、ADAM18、ADAM19、ADAAM20、ADAM21、ADAM22、ADAM23、ADAM28、ADAM29、ADAM30、ADAM33、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP18、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、及びMMP28からなる群から選択される。様々な実施形態では、アポトーシスに関連するタンパク質は、P53、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、カスパーゼ11、カスパーゼ12、カスパーゼ13、カスパーゼ14、BCL-2、BCL-XL、MCL-1、CED-9、A1、BFL1、BAX、BAK、DIVA、BCL-XS、BIK、BIM、BAD、BID、及びEGL-1からなる群から選択される。生体試料からのタンパク質をアッセイするためのいくつかの方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、及び質量分析法を含む文献に記載されている。様々な実施形態では、タンパク質は、1つ以上の免疫グロブリン(Ig)である。様々な実施形態では、Igは、IgA、IgD、IgE、IgM、及び/又はそれらのバリアントからなる群から選択される。様々な実施形態では、免疫グロブリンは、抗原特異的である。生体試料からの免疫グロブリンの検出のためのいくつかの方法は、ELISA及びImmunoCapを含む文献に記載されている。
【0043】
様々な実施形態では、免疫寛容シグネチャーは、免疫活性化、エフェクター免疫応答、エフェクターメモリー応答、細胞傷害性応答、免疫下方調節、免疫抑制、調節免疫応答、抑制応答、TH1応答、TH2応答、抗体応答、及び/又はそれらの組み合わせを示す。
【0044】
様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、ベースラインでの1つ以上の生体試料のアッセイによって決定される。様々な実施形態では、ベースラインは、免疫寛容化療法の投与前又は後に収集された1つ以上の生体試料のアッセイから定義される。様々な実施形態では、ベースラインは、免疫寛容化療法の投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月前又は後に収集された1つ以上の生体試料のアッセイから定義される。様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、1つ以上の刺激に応答した1つ以上の生体試料のアッセイによって決定される。様々な実施形態では、刺激は、インビボで提供される。様々な実施形態では、インビボ刺激は、1つ以上の抗原である。様々な実施形態では、抗原刺激は、1つ以上の抗原の摂取、1つ以上の抗原の皮内注射、又は1つ以上の抗原の鼻腔内投与を含む。様々な実施形態では、抗原は、治療される疾患又は状態と関連している。様々な実施形態では、抗原は、治療される疾患又は状態と関連していない。様々な実施形態では、1つ以上の刺激は、エクスビボである。様々な実施形態では、エクスビボ刺激は、対象からの1つ以上の生体試料の1つ以上の抗原とのインキュベーション、又は1つ以上の活性化剤とのインキュベーションによって提供される。様々な実施形態では、1つ以上のエクスビボ刺激は、抗体、化学物質、細菌、及び/又はウイルス成分からなる免疫活性化剤によって提供される。様々な実施形態では、免疫活性化剤は、トール様受容体(TLR)アゴニストを含む。様々な実施形態では、免疫活性化剤は、STINGアゴニストを含む。様々な実施形態では、免疫活性化剤は、化学剤(例えば、イオノマイシン、ホルボールミリステートアセテート(PMA)、又はカルシウムチャネルアクチベーター)である。様々な実施形態では、免疫活性化剤は、T細胞活性化剤である。様々な実施形態では、免疫活性化剤は、抗CD3、抗CD28、CD40L、イオノマイシン、ホルボールミリステートアセテート(PMA)、又はリポ多糖(LPS)からなる群から選択される。
【0045】
様々な実施形態では、方法は、(a)免疫寛容化療法の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料における細胞表面タンパク質発現をアッセイするステップと、(b)免疫寛容化療法の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料における細胞表面タンパク質発現をアッセイするステップと、(c)寛容化療法の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料における細胞表面タンパク質発現をアッセイするステップと、(d)ステップ(c)において決定された細胞表面タンパク質発現が、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、寛容化療法を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)からの細胞表面タンパク質発現は、ステップ(a)及び/又は(b)からの結果と比較される。様々な実施形態では、ステップ(c)からの細胞表面タンパク質発現のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの細胞表面タンパク質発現のステップ(a)及び/又は(b)からの結果との比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞表面タンパク質発現のステップ(a)及び/又は(b)からの細胞表面タンパク質発現との比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、免疫寛容化療法を再投与される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞表面タンパク質発現のステップ(a)及び/又は(b)からの細胞表面タンパク質発現との比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、免疫寛容化療法を再投与される。
【0046】
様々な実施形態では、方法は、(a)免疫寛容化療法の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中のケモカイン及び/又はサイトカインレベルをアッセイするステップと、(b)免疫寛容化療法の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中のケモカイン及び/又はサイトカインレベルをアッセイするステップと、(c)寛容化療法の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中のケモカイン及び/又はサイトカインレベルをアッセイするステップと、(d)ステップ(c)において決定されたケモカイン及び/又はサイトカインレベルが、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、寛容化療法を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからのサイトカイン/ケモカインレベルのステップ(a)及び/又は(b)からのサイトカイン/ケモカインレベルとの比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからのサイトカイン/ケモカインレベルのステップ(a)及び/又は(b)からのサイトカイン/ケモカインレベルとの比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからのサイトカイン/ケモカインレベルのステップ(a)及び/又は(b)からのサイトカイン/ケモカインレベルとの比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)において免疫寛容化療法を再投与される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからのサイトカイン/ケモカインレベルのステップ(a)及び/又は(b)からのサイトカイン/ケモカインレベルとの比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)において免疫寛容化療法を再投与される。
【0047】
様々な実施形態では、方法は、(a)免疫寛容化療法の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料における遺伝子発現パターンをアッセイするステップと、(b)免疫寛容化療法の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料における遺伝子発現パターンをアッセイするステップと、(c)寛容化療法の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料における遺伝子発現パターンをアッセイするステップと、(d)ステップ(c)において決定された遺伝子発現パターンが、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、寛容化療法を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの遺伝子発現のステップ(a)及び/又は(b)からの遺伝子発現との比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの遺伝子発現のステップ(a)及び/又は(b)からの遺伝子発現との比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの遺伝子発現のステップ(a)及び/又は(b)からの遺伝子発現との比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、免疫寛容化療法を再投与される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの遺伝子発現のステップ(a)及び/又は(b)からの遺伝子発現との比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、免疫寛容化療法を再投与される。
【0048】
様々な実施形態では、方法は、(a)免疫寛容化療法の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の細胞内タンパク質のレベルをアッセイするステップと、(b)免疫寛容化療法の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の細胞内タンパク質のレベルをアッセイするステップと、(c)免疫寛容化療法の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の細胞内タンパク質のレベルをアッセイするステップと、(d)ステップ(c)において決定された細胞内タンパク質のレベルが、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、免疫寛容化療法を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞内タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞内タンパク質のレベルとの比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞内タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞内タンパク質のレベルとの比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞内タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞内タンパク質のレベルとの比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)において免疫寛容化療法を再投与される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞内タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞内タンパク質のレベルとの比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、免疫寛容化療法を再投与される。
【0049】
様々な実施形態では、方法は、(a)免疫寛容化療法の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の細胞外タンパク質のレベルをアッセイするステップと、(b)免疫寛容化療法の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の細胞外タンパク質のレベルをアッセイするステップと、(c)免疫寛容化療法の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の細胞外タンパク質のレベルをアッセイするステップと、(d)ステップ(c)において決定された細胞外タンパク質のレベルが、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、免疫寛容化療法を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞外タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞外タンパク質のレベルとの比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞外タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞外タンパク質のレベルとの比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞外タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞外タンパク質のレベルとの比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)において免疫寛容化療法を再投与される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞外タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの細胞外タンパク質のレベルとの比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、免疫寛容化療法を再投与される。
【0050】
様々な実施形態では、方法は、(a)免疫寛容化療法の投与前に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の代謝産物のレベルをアッセイするステップと、(b)免疫寛容化療法の投与後に対象から1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の代謝産物のレベルをアッセイするステップと、(c)免疫寛容化療法の投与後に対象から一定間隔で1つ以上の生体試料を取得し、収集された生体試料中の代謝産物のレベルをアッセイするステップと、(d)ステップ(c)において決定された代謝産物のレベルが、免疫寛容の変化、弱化、及び/又は喪失を示す場合、免疫寛容化療法を再投与するステップと、を含む。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの細胞外タンパク質のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの代謝産物のレベルとの比較は、免疫寛容の約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、又は50%の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの代謝産物のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの代謝産物のレベルとの比較は、免疫寛容の約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す。様々な実施形態では、ステップ(c)からの1つ以上の生体試料のアッセイからの代謝産物のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの代謝産物のレベルとの比較が、免疫寛容の約>5%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、ステップ(d)において免疫寛容化療法を再投与される。様々な実施形態では、ステップ(c)における1つ以上の生体試料のアッセイからの代謝産物のレベルのステップ(a)及び/又は(b)からの代謝産物のレベルとの比較が、免疫寛容の約>2倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100倍、これらの値の間の全ての値及び範囲を含む)の弱化及び/又は喪失を示す場合、対象は、免疫寛容化療法を再投与される。
【0051】
様々な実施形態では、対象の免疫寛容シグネチャーは、対象から取得され、かつインビボ及び/又はエクスビボで刺激された1つ以上の生体試料からのアッセイされた以下のパラメータのうちの1つ以上を使用して生成される:
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合、
b.全T細胞集団中のTreg細胞の割合、
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合、
d.特異的IgG、IgA、IgM、及び/又はIgEのレベル及び/又は比、
e.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
g.炎症性代謝産物のレベル、並びに
h.抗炎症性代謝産物のレベル。
【0052】
様々な実施形態では、生体試料は、抗原、アレルゲン、及び1つ以上の活性化剤からなる群から選択される1つ以上の刺激でのインビボ及び/又はエクスビボ刺激後に任意にアッセイされる。様々な実施形態では、T細胞、B細胞、及び免疫グロブリンは、抗原特異的である。様々な実施形態では、T細胞は、エフェクターメモリーT細胞、抗原特異的T細胞、活性化抗原特異的T細胞、Th1細胞、病原性Th2a+細胞、Th17細胞、T濾胞性ヘルパー(TFH)細胞、又はTh0細胞である。様々な実施形態では、B細胞は、エフェクターB細胞、メモリーB細胞、形質B細胞、及び調節(Breg)細胞である。様々な実施形態では、T細胞は、表Aに記載されるタンパク質の発現に基づいて特定される(詳細な説明を参照されたい)。
【0053】
様々な実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のパラメータを使用して生成される対象の免疫寛容シグネチャーは、以下の場合、TIMPでの治療前又は後に免疫寛容の弱化及び/又は不在を示す:
【0054】
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合が、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)である、かつ/又は
【0055】
b.全T細胞集団中のTreg細胞の割合が、1~3%である、かつ/又は
【0056】
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合が、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)である、かつ/又は
【0057】
d.IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベル及び/若しくは比が、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0058】
e.炎症性サイトカイン/ケモカインのレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0059】
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している、かつ/又は
【0060】
g.炎症性代謝産物のレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0061】
h.抗炎症性代謝産物のレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している。
【0062】
様々な実施形態では、上記(a)~(h)に列挙されるいずれか1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の弱化及び/又は不在を示す。様々な実施形態では、上記(a)~(h)に列挙される少なくとも2/8つのパラメータが、免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の弱化及び/又は不在を示す。様々な実施形態では、上記(a)~(h)に列挙される1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の弱化及び/又は不在を示すことが決定される場合、対象は、TIMPを投与される。様々な実施形態では、上記(a)~(h)に列挙される少なくとも2/8つのパラメータが、免疫寛容の弱化及び/又は不在を示すことが決定される場合、対象は、TIMPを投与される。
【0063】
様々な実施形態では、(a)~(h)に記載される1つ以上のパラメータを使用して生成される対象の免疫寛容シグネチャーは、以下の場合、TIMPでの治療後に免疫寛容の維持を示す:
【0064】
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合が、<5%である;
【0065】
b.全T細胞集団中のTreg細胞の割合が、少なくとも3%又は>3%である;
【0066】
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合が、<5%である;
【0067】
d.IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベル及び/若しくは比が、TIMPでの治療前に収集された1つ以上の生体試料から決定されたベースラインと比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している;
【0068】
e.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルが、TIMPでの治療前に収集された1つ以上の生体試料から決定されたベースラインと比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している;
【0069】
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルが、TIMPでの治療前に収集された1つ以上の生体試料から決定されたベースラインと比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している;
【0070】
e.炎症性代謝産物のレベルが、TIMPでの治療前に収集された1つ以上の生体試料から決定されたベースラインと比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している;並びに/又は
【0071】
h.抗炎症性代謝産物のレベルが、TIMPでの治療前に収集された1つ以上の生体試料から決定されたベースラインと比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している。
【0072】
様々な実施形態では、上記(a)~(h)において列挙される1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の維持を示す。様々な実施形態では、(a)~(h)において列挙される少なくとも2/8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の維持を示す。様々な実施形態では、上記(a)~(h)において列挙される1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPでの治療を必要としないことが決定される。様々な実施形態では、上記(a)~(h)において列挙される少なくとも3/8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPでの治療を必要としないことが決定される。
【0073】
様々な実施形態では、対象は、治療の投与後1~3ヶ月間免疫寛容を維持する。様々な実施形態では、対象は、1~12週間免疫寛容を維持する。様々な実施形態では、対象は、1、2、又は3ヶ月間寛容を維持する。様々な実施形態では、<3ヶ月間の免疫寛容の維持は、治療の再投与を必要とする短期寛容を示す。様々な実施形態では、対象は、治療の投与後3~6ヶ月間免疫寛容を維持する。様々な実施形態では、対象は、12~24週間免疫寛容を維持する。様々な実施形態では、対象は、6~12ヶ月間免疫寛容を維持する。様々な実施形態では、対象は、13~52週間免疫寛容を維持する。様々な実施形態では、対象は、>12ヶ月間寛容を維持する。様々な実施形態では、>12ヶ月間の免疫寛容の維持は、長期寛容を示す。
【0074】
様々な実施形態では、対象は、疾患若しくは状態に罹患しているか、又はそのために治療されている。様々な実施形態では、対象は、自己免疫性状態、アレルギー、炎症性疾患、異常免疫応答、過剰炎症性状態、神経変性状態、リソソーム蓄積疾患、酵素欠損症、タンパク質欠損症、遺伝子障害を有するか、若しくはそれについて治療されているか、かつ/又は移植レシピエントである。
【0075】
様々な実施形態では、自己免疫性状態は、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、自己免疫性脊髄炎、脊髄炎、横断性脊髄炎、視神経脊髄炎(NMO)、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMSOD)、1型糖尿病(T1D)、2型糖尿病(T2D)、セリアック病(CD)、グレーブ病、重症筋無力症、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、脱毛症、リウマチ性関節炎、変形性関節症、強直性脊椎炎、自己免疫性心筋炎、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性皮膚疾患、自己免疫性ぶどう膜炎、水疱性類天疱瘡、ベーチェット症候群、脳変性症、慢性ニューロパチー、瘢痕性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、クローン病、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、炎症性腸症候群(IBS)、寒冷症、疱疹状皮膚炎、イートン・ランバート病、脳脊髄炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑(erythema nodosa)、糸球体腎炎、グッドパスチャー病、肉芽腫症、ギラン-バレー症候群、橋本病、川崎病、溶血性貧血、過敏性血管炎、エリテマトーデス、混合性結合組織病、混合性本態性クリオグロブリン血症、多巣運動ニューロパチー、オプソノクローヌス(opsonoclonus)-ミオクローヌス、腫瘍随伴性天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、落葉状天疱瘡、悪性貧血、辺縁型胆汁性肝硬変(PBC)、多発性血管炎重複症候群、結節性多発性動脈炎、多腺性不全、多腺性症候群、多発性筋炎/皮膚筋炎、乾癬、湿疹、網膜症、Reynaud症候群、サルコイドーシス、1型強皮症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、スティフマン症候群(Stiffman’s syndrome)、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺炎、潰瘍性大腸炎、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、ANCA疾患、多発血管炎性肉芽腫症、及び顕微鏡的多発血管炎からなる群から選択される。
【0076】
様々な実施形態では、対象は、食物アレルギー及び/又は環境アレルギーを有する。様々な実施形態では、食物アレルギーは、ピーナッツアレルギー、ツリーナッツアレルギー、ナッツアレルギー、魚アレルギー、ミルクアレルギー、貝類アレルギー、セロリアレルギー、モモアレルギー、肉アレルギー、大豆アレルギー、及び小麦アレルギーからなる群から選択される。様々な実施形態では、環境アレルギーは、チリダニアレルギー、花粉アレルギー、カビアレルギー、鱗屑アレルギー、スギ花粉アレルギー、チリダニアレルギー、ネコアレルギー、イヌアレルギー、及びハチ毒アレルギーからなる群から選択される。
【0077】
様々な実施形態では、対象は、自己免疫性状態、アレルギー、炎症性疾患、異常免疫応答、リソソーム蓄積疾患、酵素欠損症、タンパク質欠損症、遺伝子障害のための治療を受けているか、かつ/又は移植レシピエントである。様々な実施形態では、対象は、抗原特異的免疫寛容化療法での治療を受けている。様々な実施形態では、抗原特異的免疫寛容化療法は、自己免疫性抗原、移植抗原、アレルゲン、酵素補充療法、タンパク質治療剤、及び/又は遺伝子療法ベクターに対する免疫寛容を誘発する。
【0078】
様々な実施形態では、自己免疫性抗原は、ミエリン塩基性タンパク質、アセチルコリン受容体、内因性抗原、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、環状ヌクレオチドホスホヒドロラーゼ、膵臓ベータ細胞抗原、インスリン、プロインスリン、膵島特異的グルコース-6-ホファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、11型コラーゲン、ヒト軟骨gp39、fp130-RAPS、フィブリラリン、核小体タンパク質、甲状腺刺激因子受容体、ヒストン、糖タンパク質gp70、ピルビン酸デヒドロゲナーゼデヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼ(PCD-E2)、毛包抗原、アクアポリン4、デスモグレイン1、デスモグレイン3、ニコチン酸アセチルコリン受容体、グリアジン、ADAMTS13、GPIIb/GPIIIa、CYP2D6、BP180、NC16、BP230、Ro60、MPO、甲状腺刺激ホルモン受容体、及びヒトトロポミオシンアイソフォーム5からなる群から選択される。
【0079】
様々な実施形態では、アレルゲンは、バヒアグラス花粉(BaGP)、モモアレルゲン、ミルクアレルゲン、セロリアレルゲン、ナッツアレルゲン、ウシ血清アルブミン、ヘーゼルナッツアレルゲン、オボアルブミン、卵アレルゲン、ピーナッツアレルゲン、魚アレルゲン、貝類アレルゲン、花粉アレルゲン、ツリーナッツアレルゲン、ネコアレルゲン、イヌアレルゲン、チリダニアレルゲン、及びスギ花粉からなる群から選択される。様々な実施形態では、ピーナッツアレルゲンは、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、及びAra h8からなる群から選択される。様々な実施形態では、ピーナッツアレルゲンは、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18からなる群から選択される。
【0080】
様々な実施形態では、酵素補充療法は、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、イミグルシラーゼ、タリグルシラーゼアルファ、ベラグルセラーゼアルファ、アルグルセラーゼ、セベリパーゼアルファ、ラロニダーゼ、イドゥルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、アセチルガラクトサミン4硫酸塩、イドゥロニダーゼ、アルグルセラーゼ、グルコセレブロシダーゼ、又はそれらのバージョンからなる群から選択される。
【0081】
様々な実施形態では、タンパク質治療剤は、組換えタンパク質である。様々な実施形態では、タンパク質治療剤は、エリスロポエチン、インスリン、ヒト成長ホルモン、卵胞刺激ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン様成長因子、ウリカーゼ、キヌリナーゼ、L-アルギニンデアミナーゼ、アルギナーゼ、メチオニン-γ-リアーゼ、アスパラギナーゼ、アミノ酸分解酵素、グルテン分解酵素、ヌクレオチド分解酵素、IFN-β、IL-2、IL-12、及びIL-15からなる群から選択される。
【0082】
様々な実施形態では、タンパク質治療剤は、抗体である。様々な実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。様々な実施形態では、抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的、又は二重特異的T細胞エンゲージャーである。様々な実施形態では、抗体は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、EGFR、VEGF、VEGFR、PDGF、PDGFR、HER2/Neu、ER、PR、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、SIRP-α、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CD3、CD25、CD19、CD20、CD39、CD47、CD73、FAP、IL-1β、IL-12、IL-2R、IL-15R、IL-23、IL-33、IL-2R、IL-4Rα、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、単球、及び/又は好中球を標的とする。様々な実施形態では、抗体は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、アベルマブ、アゼトリズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、ベズロトキスマブ、ブリナツモマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、デュルバルマブ、エファリズマブ、エミシズマブ、エトキマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、イキセキズマブ、インフリキシマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オララツマブ、オマリズマブ、オファチムマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペンブロリズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、セクキヌマブ、ウステキヌマブ、及びベドリズマブからなる群から選択される。
【0083】
様々な実施形態では、遺伝子療法ベクターは、ウイルス又は細菌ベクターである。様々な実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アルファウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、修飾アンカラウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ピコルナウイルス、タバコモザイクウイルス、ジャガイモウイルスx、コモウイルス、又はキュウリモザイクウイルスからなる群から選択される。様々な実施形態では、ウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスである。様々な実施形態では、ウイルスは、キメラウイルス、合成ウイルス、モザイクウイルス、又はシュードタイプウイルスである。様々な実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV12、Anc80、又はそれらの組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】対象がTIMPでの治療後に免疫寛容を維持しているか、及び免疫寛容の維持のためにTIMPの再投与が必要であるかを決定するための手順の試料スケジュール。
図2】1つ以上の血液試料からTIMPで治療されている対象の免疫寛容状態を決定するための試料ワークフロー。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本開示は、免疫療法を受けた後の対象における免疫寛容の誘発及び維持を監視するための方法論を提供する。本出願は、療法の投与前、投与中、及び投与後の対象の免疫応答の複数のパラメータのアッセイ及びリードアウトのシステムを開示する最初のものであり、対象が抗原特異的寛容を維持しているか、又は寛容が減少しており、追加の寛容化療法が必要であるかを決定するための方法を提供する。
【0086】
定義
別段に記載されない限り、本明細書及び特許請求の範囲を含む、本出願で使用される以下の用語は、以下に与えられる定義を有する。
【0087】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」並びに定冠詞「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数及び単数の指示対象を含む。
【0088】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容誤差を意味し、それは値がどのように測定又は決定されるかに一部依存する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。一連の2つ以上の数値における最初の数値に「約」又は「およそ」という用語が先行するときはいつでも、「約」又は「およそ」という用語は、その一連における数値の各1つに適用されることが理解される。
【0089】
本明細書で使用される「粒子」は、任意の非組織由来組成物を指し、スフェア若しくはスフェア様実体、ビーズ、又はリポソームであり得る。「粒子」という用語、「免疫修飾粒子」という用語、「担体粒子」という用語、及び「ビーズ」という用語は、文脈に応じて交換可能に使用され得る。追加的に、「粒子」という用語は、ビーズ及びスフェアを包含するように使用され得る。
【0090】
本明細書で使用される「負に帯電した粒子」は、ゼロ未満である実効表面電荷を有するように修飾された粒子を指す。
【0091】
「カルボキシル化粒子」又は「カルボキシル化ビーズ」又は「カルボキシル化スフェア」は、その表面上にカルボキシル基を含有するように修飾された任意の粒子を含む。いくつかの実施形態では、カルボキシル基の付加は、例えば、MARCOなどのスカベンジャー受容体との相互作用を通して、循環からの粒子の食細胞/単球取り込みを増強する。粒子のカルボキシル化は、カルボキシル基を付加する任意の化合物を使用して達成することができる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「Th細胞」又は「ヘルパーT細胞」という用語は、CD4細胞を指す。CD4T細胞は、B細胞の形質細胞及びメモリーB細胞への成熟、並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む、免疫学的プロセスで他の白血球を補助する。T細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上で発現される、MHCクラスII分子によってペプチド抗原を提示されるときに活性化される。
【0093】
本明細書で使用される場合、「Th1細胞」という用語は、炎症誘発性メディエーターを産生するTh細胞のサブセットを指す。Th1細胞は、サイトカインを分泌して免疫応答を促進し、部分的には好中球及びマクロファージの感染組織への動員を媒介することによって、病原体に対する宿主防御において役割を果たす。Th1細胞は、IFN-ガンマ、IL-2、IL-10、及びTNFアルファ/ベータを含むサイトカインを分泌して、ウイルス及びいくつかの細菌などの細胞内病原体に対する防御を調整する。
【0094】
本明細書で使用される場合、「Th2細胞」という用語は、細胞外寄生虫、細菌、アレルゲン、及び毒素に対する抗体媒介性免疫応答の活性化及び維持を媒介するTh細胞のサブセットを指す。Th2細胞は、抗体産生、好酸球活性化、及びいくつかのマクロファージ機能の阻害に関与する、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-13、及びIL-17E(IL-25)などの様々なサイトカインを産生することによってこれらの機能を媒介し、よって食細胞に依存しない保護応答を提供する。
【0095】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合又はペプチド結合アイソステアを介して結合した、アミノ酸残基、関連する天然に存在する構造バリアント、及びその合成の天然に存在しないアナログで構成されるポリマーを指す。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を使用して、合成することができる。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、産生物の最小長に限定されない。「タンパク質」という用語は、典型的には、大きなポリペプチドを指す。「ペプチド」という用語は、典型的には、短いポリペプチドを指す。よって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などが定義内に含まれる。完全長タンパク質及びその断片の両方が定義によって包含される。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語はまた、ポリペプチド又はタンパク質の発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。更に、本開示の目的のために、「ポリペプチド」は、ネイティブ配列への、「修飾」、例えば、欠失、付加、置換(本質的に保存的であり得るか、あるいはヒトタンパク質に一般的に存在する20個のアミノ酸のいずれか、又は任意の他の天然に存在するか若しくは天然に存在しないか若しくは非定型のアミノ酸での置換を含み得る)、及び化学修飾(例えば、ペプチド模倣物の付加又はそれでの置換)を含むことができる。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を通して、又は化学部分を除去若しくは結合するためのアミノ酸の化学修飾を通して、意図的であり得るか、あるいはタンパク質を産生する宿主に起因する変異を通して、又はPCR増幅に起因するエラーを通して、偶発的であり得る。
【0096】
本明細書で使用される「抗原性部分」又は「抗原」は、宿主の免疫系によって認識される任意の部分、例えば、ペプチドを指す。抗原性部分の例としては、これらに限定されないが、自己抗原、アレルゲン、酵素、治療用タンパク質、及び/又は細菌若しくはウイルスタンパク質、ペプチド、薬物、又は薬物製剤中に存在する成分(例えば、担体、緩衝剤、及び賦形剤)が挙げられる。
【0097】
本明細書で使用される「免疫寛容状態」は、寛容化療法を受ける前、その間、又はその後のいずれかの対象における抗原特異的寛容のレベルを指す。免疫寛容状態は、免疫寛容を示す、本明細書に記載される1つ以上のパラメータ、例えば、細胞表面マーカーのレベル、サイトカインプロファイル、抗原に応答する細胞増殖、免疫細胞集団の数及び比を使用して決定することができる。本明細書で使用される「免疫寛容シグネチャー」は、対象が寛容化療法前、その間、又はその後に有し得る免疫寛容アッセイの集合的なパターンを指す。例えば、対象は、測定された1、2、3、4、5、6、7つ以上の寛容パラメータに基づいて寛容の存在又は不在を示す免疫寛容シグネチャーを有し得る。例示的な寛容パラメータには、全T細胞集団におけるエフェクターT細胞の割合、全T細胞集団におけるTreg細胞の割合、全B細胞集団におけるエフェクターB細胞の割合、特異的IgG、IgA、IgM、及び/又はIgEのレベル、炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、炎症性代謝産物のレベル、並びに抗炎症性代謝産物のレベルが含まれる。
【0098】
本明細書で使用される「免疫寛容の弱化及び/又は喪失」は、対象における免疫寛容の喪失を示す、対象において測定される寛容パラメータの変化を指す。そのようなパラメータには、抗原特異的T細胞の増加、全T細胞集団におけるTreg細胞の割合の減少、全B細胞集団におけるエフェクターB細胞の割合の減少、特異的IgG、IgA、IgMのレベルと比較したIgEレベルの増加、炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルの増加、抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルの減少、炎症性代謝産物のレベルの増加、並びに抗炎症性代謝産物のレベルの減少が含まれる。例えば、寛容の弱化又は喪失を示すパラメータには、これらに限定されないが、CD4+Tエフェクター細胞の頻度の増加、抗原特異的Treg細胞の頻度の減少、抗原特異的抗体のレベルの増加、PBMCからのIFN-γ産生の増加、及びインビトロでの細胞活性化後のIL-5対IFN-γの比の減少が含まれる。
【0099】
「抗炎症性代謝産物のレベル」は、炎症性免疫応答の抑制又は下方調節に関連する代謝の中間体又は最終産生物を指す。炎症性免疫応答の抑制及び/又は負の調節に関連する代謝産物の例としては、主要クラスの代謝産物が挙げられるが、酸、脂質、糖、及びアミノ酸に限定されない。そのような代謝産物の例としては、キヌレニン、3-ヒドロキシキヌレニン、2-アミノ-3-カルボキシムコン6-セミアルデヒド、ピコリン酸、アントラニル酸、3-ヒドロキシルアントラニル酸、グルタリルco-A、NAD+、キノリン酸、アルギニン、酪酸塩、及びアデノシンが挙げられるが、これらに限定されない。生体試料からのアッセイすることができるヒト代謝産物のリストは、(Psychogios et al.,2011)、(Wishart et al.,HMDB:the Human Metabolome Database.Nucleic Acids Res.2007 Jan;35(Database issue):D521-6,2007)、及びHuman Metabalome Database(HMDB)を含む文献に見出すことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
「炎症性代謝産物のレベル」は、炎症性免疫応答の誘発及び/又は上方調節に関連する代謝の中間体又は最終産生物を指す。炎症性免疫応答の誘発及び/又は上方調節に関連する代謝産物の例としては、主要クラスの代謝産物が挙げられるが、酸、脂質、糖、及びアミノ酸に限定されない。例としては、乳酸塩、トリメチルアミンN-オキシド、O-アセチルカルニチン、L-カルニチン、コリン、コハク酸塩、グルタミン、脂肪酸、コレステロール、3-ヒドロキシ酪酸塩、3’-シアリルラクトース、アラキドン酸、プロスタグランジン(G2及びH2)、PGD2、PGE2、PGF2a、PGI2、TXA2、ロイコトリエン(A4、B4、C4、D4、E4)、リポキシンA4、及びリポキシンB4が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
「薬学的に許容される担体」は、標準的な薬学的担体、緩衝剤などのいずれか、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロースの5%水溶液、及びエマルジョン(例えば、油/水又は水/油エマルジョン)を指す。賦形剤の非限定的な例としては、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤が挙げられる。好適な薬学的担体、賦形剤、及び希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(Mack Publishing Co.,Easton,1995)に記載される。好ましい薬学的担体は、活性剤の意図される投与様式に依存する。典型的な投与様式には、経腸(例えば、経口)又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、若しくは腹腔内注射、又は局所、経皮、若しくは経粘膜投与)が含まれる。
【0102】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」とは、生物学的に又は別段に望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、材料は、いずれの望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく、あるいはそれが含まれる組成物の成分のいずれとも、又は個体の体上若しくは体内に存在するいずれの成分とも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。
【0103】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人猿及びサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物;ラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類などを含む実験動物が挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例としては、鳥類、魚類などが挙げられるが、これらに限定されない。用語は、特定の年齢又は性別を示すものではない。
【0104】
「エピトープ」という用語は、抗原結合領域のうちの1つ以上で選択的結合剤によって認識され、結合することができる任意の分子の部分を指す。エピトープは、通常、アミノ酸又は炭水化物側鎖などの、分子の化学的に活性な表面グルーピングからなり、特異的三次元構造特徴及び特異的電荷特徴を有する。本明細書で使用されるエピトープは、連続又は不連続であり得る。また、エピトープは、抗体を生成するために使用されるエピトープと同一であるが、抗体免疫応答を刺激するために使用された標的において見出されたアミノ酸残基のいずれも含まないか、又はいくつかのみを含む、三次元構造を含むという点で、模倣(ミモトープ)であり得る。本明細書で使用される場合、ミモトープは、選択的結合剤によって結合したエピトープとは異なる抗原とみなされず、選択的結合剤は、エピトープ及びミモトープの同じ三次元構造を認識する。
【0105】
「治療有効量」という用語は、本明細書では、治療される疾患の症状又は徴候を改善又は軽減するのに有効である本開示の抗原特異的組成物の量を示すために使用される。
【0106】
本明細書における方法に関して使用される「治療する」、「治療される」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、一時的又は永続的のいずれか、部分的又は完全のいずれかで、事象、疾患、又は状態の臨床症状、兆候、又は進行を排除すること、低減すること、抑制すること、又は改善することを指す。そのような治療することは、有用であるために絶対的である必要はない。
粒子
【0107】
粒子のサイズ及び電荷は、許容誘発のために重要である。粒子は、粒子内に封入された抗原に基づいてサイズ及び電荷が異なるが、一般に、本開示の粒子は、それらが約100ナノメートル~約1500ナノメートルであり、0~約100mVの電荷を有するとき、寛容を誘発するのに有効である。様々な実施形態では、粒子は、直径が400~800ナノメートルであり、約-25mV~-70mVの電荷を有する。平均粒子サイズ及び粒子の電荷は、凍結乾燥プロセスにおいてわずかに改変され得、したがって、合成後平均及び凍結乾燥後平均の両方が記載される。本明細書で使用される場合、「合成後サイズ」及び「合成後電荷」という用語は、凍結乾燥前の粒子のサイズ及び電荷を指す。「凍結乾燥後サイズ」及び「凍結乾燥後電荷」という用語は、凍結乾燥後の粒子のサイズ及び電荷を指す。
【0108】
いくつかの実施形態では、粒子は、非金属である。これらの実施形態では、粒子は、ポリマーから形成され得る。好ましい実施形態では、粒子は、個体において生分解性である。この実施形態では、粒子は、個体における粒子の蓄積なしに、複数回の用量にわたって個体において提供することができる。好適な粒子の例としては、ポリスチレン粒子、PLGA粒子、PLURIONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、及びダイヤモンド粒子が挙げられる。
【0109】
好ましくは、粒子表面は、非特異的又は望ましくない生物学的相互作用を最小限に抑える材料で構成される。粒子表面と間質との間の相互作用は、リンパ取り込みにおいて役割を果たす因子であり得る。粒子表面は、非特異的相互作用を防止又は減少させる材料でコーティングされ得る。ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びそのコポリマー、例えば、PLURONICS(登録商標)(ポリ(エチレングリコール)-bl-ポリ(プロピレングリコール)-bl-ポリ(エチレングリコール)のコポリマーを含む)などの親水性層で粒子をコーティングすることによる立体安定化は、皮下注射後の改善されたリンパ取り込みによって実証されるように、間質のタンパク質との非特異的相互作用を低減し得る。これらの事実の全ては、リンパ取り込みの観点から、粒子の物理的特性の関連性を示す。生分解性ポリマーは、ポリマー及び/又は粒子及び/又は層の全部又は一部を作製するために使用され得る。生分解性ポリマーは、例えば、官能基が溶液中の水と反応する結果によって、分解され得る。本明細書で使用される「分解」という用語は、分子量の低減又は疎水性基の親水性基への変換のいずれかによって、可溶性になることを指す。エステル基を有するポリマー、例えば、ポリラクチド及びポリグリコリドは、一般に、自発的加水分解に供される。
【0110】
本開示の粒子はまた、追加の成分を含有し得る。例えば、担体は、担体に組み込まれるか、又はコンジュゲートされた造影剤を有し得る。現在市販されている造影剤を有する担体ナノスフェアの例は、Kodak X-sightナノスフェアである。量子ドット(QD)として知られる、無機量子閉じ込め発光ナノ結晶は、FRET用途において理想的なドナーとして現れた:それらの高い量子収率及び調節可能なサイズ依存的ストークスシフトは、単一の紫外線波長で励起されるとき青から赤外線まで異なるサイズを放出することを可能にする。(Bruchez,et al.,Science,1998,281,2013、Niemeyer,C.M Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5796、Waggoner,A.Methods Enzymol.1995,246,362、Brus,L.E.J.Chem.Phys.1993,79,5566)。デンドリマーとして知られるポリマーのクラスに基づくハイブリッド有機/無機量子ドットなどの、量子ドットは、生物学的標識、イメージング、及び光学バイオセンシングシステムにおいて使用され得る。(Lemon,et al.,J.Am.Chem.Soc.2000,122,12886)。無機量子ドットの従来の合成とは異なり、これらのハイブリッド量子ドットナノ粒子の合成は、高温又は高毒性の、不安定な試薬を必要としない。(Etienne,et al.,Appl.Phys.Lett.87,181913,2005)。
【0111】
粒子は、広範囲の材料から形成することができる。粒子は、好ましくは、生物学的使用に好適な材料で構成される。例えば、粒子は、ガラス、シリカ、ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ジカルボン酸のポリ無水物、又はヒドロキシカルボン酸及びジカルボン酸のコポリマーで構成され得る。より一般的には、担体粒子は、直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、線状若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシヒドロキシ酸のポリエステル、又は直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、線状若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシジカルボン酸のポリ無水物で構成され得る。追加的に、担体粒子は、量子ドットであり得るか、又は量子ドットポリスチレン粒子など、量子ドットで構成され得る(Joumaa et al.(2006)Langmuir 22:1810-6)。エステル及び無水物結合の混合物(例えば、グリコール酸及びセバシン酸のコポリマー)を含む担体粒子も使用され得る。例えば、担体粒子は、ポリグリコール酸ポリマー(PGA)、ポリ乳酸ポリマー(PLA)、ポリセバシン酸ポリマー(PSA)、ポリ(乳酸-co-グリコール)酸コポリマー(PLGA又はPLG、用語は交換可能である)、[rho]oly(乳酸-co-セバシン)酸コポリマー(PLSA)、ポリ(グリコール-co-セバシン)酸コポリマー(PGSA)、ポリプロピレンスルフィドポリマー、ポリ(カプロラクトン)、キトサンなどを含む材料を含み得る。本発明において有用な他の生体適合性、生分解性ポリマーには、カプロラクトン、炭酸塩、アミド、アミノ酸、オルトエステル、アセタール、シアノアクリレート、及び分解性ウレタンのポリマー又はコポリマー、並びにこれらの直鎖又は分岐、置換又は非置換、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルケニル、又は芳香族ヒドロキシ若しくはジカルボン酸とのコポリマーが含まれる。加えて、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、及びシステインなどの、反応性側鎖基を有する生物学的に重要なアミノ酸、又はそれらのエナンチオマーは、抗原ペプチド及びタンパク質にコンジュゲートするための反応性基及びコンジュゲート部分を提供するために、前述の材料のいずれかとのコポリマーに含まれ得る。本発明に好適な生分解性材料には、ダイヤモンド、PLA、PGA、ポリプロピレンスルフィド、及びPLGAポリマーが含まれる。生体適合性であるが非生分解性の材料も、本発明の担体粒子に使用され得る。例えば、アクリレート、エチレン-ビニルアセテート、アシル置換セルロースアセテートの非生分解性ポリマー、非分解性ウレタン、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルイミダゾール、クロロスルホン化オレフィン、エチレンオキシド、ビニルアルコール、TEFLON(登録商標)(DuPont、Wilmington、Del.)、及びナイロンが使用され得る。
【0112】
特定の実施形態では、粒子は、約80:20~約100:0のモル比を有するコポリマーである。本免疫修飾粒子の好適なコポリマー比は、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0であり得る。特定の実施形態では、粒子は、PLURONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、ポリグリコール酸粒子(PGA)、ポリ乳酸粒子(PLA)、又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)粒子である。特定の実施形態では、粒子は、ポリ乳酸/ポリグリコール酸80:20:ポリ乳酸/ポリグリコール酸90:10、又はポリ乳酸:ポリグリコール酸/50:50のコポリマー比を有する。様々な実施形態では、粒子は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)粒子であり、約50:50ポリ乳酸:ポリグリコール酸のコポリマー比を有する。
【0113】
粒子は、界面活性剤を更に含み得ることが企図される。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性であり得る。ポロキサマー及びポロキサミンファミリーの界面活性剤は、粒子合成に一般的に使用されている。使用され得る界面活性剤としては、これらに限定されないが、PEG、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、プルロニックL-63、PVA、PAA、メチルセルロース、レシチン、DMAB、及びPEMAが挙げられる。追加的に、生分解性及び生体適合性界面活性剤は、ビタミンE TPGS(D-a-トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩)、ポリアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、チロシン、及びシステインのポリマー、又はそれらのエナンチオマー)、及び硫酸塩ポリマーを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、2つの界面活性剤が使用される。例えば、粒子が二重エマルジョン法によって産生される場合、2つの界面活性剤は、第1のエマルジョンのための疎水性界面活性剤、及び第2のエマルジョンのための疎水性界面活性剤を含むことができる。特定の実施形態では、ポリペプチド抗原は、単一エマルジョンプロセスによって粒子中に封入される。更なる実施形態では、ポリペプチド抗原は、より疎水性である。時には、二重エマルジョンプロセスは、親水性活性成分の漏出及び低い捕捉効率をもたらし得る大きな粒子の形成をもたらす。合体及びオストヴァルト熟成は、二重エマルジョン液滴を不安定化し得る2つのメカニズムであり、親水性活性成分の有機相を通した拡散は、低レベルの捕捉活性成分の原因となる主なメカニズムである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子サイズを低減することが有益であり得る。これを達成するための1つの戦略は、第2の強力なせん断速度を適用することである。漏出効果は、高ポリマー濃度及び高ポリマー分子量を使用することによって低減することができ、内部水相の粘度の増加及び界面活性剤分子量の増加を伴う。特定の実施形態では、抗原を封入する粒子は、ナノ沈殿、共沈殿、不活性ガス縮合、スパッタリング、マイクロエマルジョン、ゾル-ゲル法、レイヤー-バイ-レイヤー技法、又はイオンゲル化法によって製造される。ナノ粒子を製造するためのいくつかの方法は、文献に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる(Sanchez,Mejia,and Orozco 2020、Zielinska et al.2020)。
【0114】
抗原
抗原は、分子の個別部分、例えば、ポリペプチド又はペプチド配列、ポリペプチド又はペプチドの3D構造形成、宿主免疫細胞によって認識され得る多糖又はポリヌクレオチドを指す。抗原特異的とは、対象の宿主細胞が、エピトープ又はミモトープと同様に、抗原単独に対する、又は抗原に非常に類似した分子に対する免疫応答を認識し、生成する能力を指す。
【0115】
「アナジー」、「寛容」、又は「抗原特異的寛容」は、T細胞受容体媒介性刺激に対するT細胞の非感受性を指す。そのような非感受性は、一般に、抗原特異的であり、抗原性ペプチドへの曝露が停止した後に持続する。例えば、T細胞におけるアナジーは、サイトカイン産生、例えば、IL-2の欠如を特徴とする。T細胞アナジーは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナル(共刺激シグナル)の不在下で第1のシグナル(T細胞受容体又はCD-3媒介性シグナル)を受けるときに発生する。これらの条件下では、細胞の同じ抗原への再曝露は(共刺激分子の存在下で再曝露が発生する場合でも)、サイトカイン産生の失敗、及びその後の増殖の失敗をもたらす。よって、サイトカイン産生の失敗は、増殖を防止する。しかしながら、アナジー性T細胞は、サイトカイン(例えば、IL-2)で培養される場合に増殖することができる。
【0116】
本明細書に記載される寛容化療法は、抗原特異的であることが企図される。例えば、寛容化療法において投与されるTIMPは、当該寛容化療法、及び治療される関連疾患又は状態に関連する1つ以上の抗原を封入する。様々な実施形態では、抗原は、自己免疫性抗原、移植抗原、アレルゲン、酵素補充療法、タンパク質治療剤、及び/又は遺伝子療法ベクター若しくはウイルスベクターである。
【0117】
例示的な抗原は、ミエリン塩基性タンパク質、アセチルコリン受容体、内因性抗原、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、環状ヌクレオチドホスホヒドロラーゼ、膵臓ベータ細胞抗原、インスリン、プロインスリン、膵島特異的グルコース-6-ホファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、11型コラーゲン、ヒト軟骨gp39、fp130-RAPS、フィブリラリン、核小体タンパク質、甲状腺刺激因子受容体、ヒストン、糖タンパク質gp70、ピルビン酸デヒドロゲナーゼデヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼ(PCD-E2)、毛包抗原、アクアポリン4、デスモグレイン1、デスモグレイン3、ニコチン酸アセチルコリン受容体、グリアジン、ADAMTS13、GPIIb/GPIIIa、CYP2D6、BP180、NC16、BP230、Ro60、MPO、甲状腺刺激ホルモン受容体、及びヒトトロポミオシンアイソフォーム5、バヒアグラス花粉(BaGP)、モモアレルゲン、ミルクアレルゲン、セロリアレルゲン、ナッツアレルゲン、ツリーナッツアレルゲン、ウシ血清アルブミン、ヘーゼルナッツアレルゲン、オボアルブミン、卵アレルゲン、ピーナッツアレルゲン、魚アレルゲン、貝類アレルゲン、チリダニ、ネコアレルゲン、イヌアレルゲン、花粉アレルゲン、ハチ毒、スギ花粉、酵素補充療法、治療用タンパク質、及びウイルスベクターを含む。
【0118】
15を超えるピーナッツアレルゲン、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18を含む、Ara h1~Ara h18が、WHO/IUIS Allergen Nomenclature Sub-Committee(www.allergen.org)によって正式に認識される。ピーナッツアレルゲンは、Ara h1、h2、h3、h5、h6、及びh8に基づくそれらのアーキテクチャー(例えば、トリマー、モノマー、クピン、アルブミン、プロラミン、プロフィリン、オレオシン、ディフェンシン、ビンシリン、非特異的脂質輸送タンパク質(nsLTP))に基づいて異なる群に分類することができ、これらの群の各々は、異なる程度のアレルゲン効力を有する(Ozias-Akins et al.,Allergy 74:888-898,2019)。既知のピーナッツアレルゲンには、Arachis hypogaeaAra h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、及びAra h8、及びAra h18に由来するものが含まれる。例えば、Ara h1ポリペプチド配列(配列番号1)を示すUNIPROTデータベース番号E5G076、Ara h2ポリペプチド(配列番号2)についてのUNIPROTデータベース番号A0A445BYI5、Ara h3ポリペプチド(配列番号3)についてのUNIPROTデータベース番号E5G077(それぞれ、Ara h3イソアレルゲン1及び2(以前のAra h4)についてのUNIPROTデータベース番号O82580(配列番号4)及びQ9SQH7(配列番号5)も参照されたい)、Ara h5ポリペプチド(配列番号6)についてのUNIPROTデータベース番号L7QH52、Ara h6ポリペプチド(配列番号7)についてのUNIPROTデータベース番号A5Z1R0、Ara h7ポリペプチド(配列番号8)についてのUNIPROTデータベース番号B4XID4、Ara h8ポリペプチド配列(配列番号9)についてのUNIPROTデータベース番号Q6VT83、Ara h9、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号B6CEX8及びB6CG41、(配列番号10及び11)、Ara h10、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号Q647G5及びQ647G4、(配列番号12及び13)、Ara h11、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号Q45W87及びQ45W86、(配列番号14及び15)、Ara h12 UNIPROTデータベース番号B3EWP3(配列番号16)、Ara h13、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号B3EWP4及びC0HJZ1、(配列番号17及び18)、Ara h14、イソアレルゲン1、2、及び3、それぞれ、UNIPROTデータベース番号Q9AXI1、Q9AXI0、及びQ6J1J8、(配列番号19~21)、Ara h15、UNIPROTデータベース番号Q647G3(配列番号22)、Ara h16、UNIPROTデータベース番号A0A509ZX51(配列番号23)、Ara h17、UNIPROT Aデータベース番号0A510A9S3(配列番号24)、並びにAra h18、UNIPROTデータベース番号A0A444XS96(配列番号25)を参照されたい。
【0119】
特定の実施形態では、1つ、2つ、3つ、又はより多数の抗原又は抗原性ペプチドがTIMPにおいて使用される。特定の実施形態では、1つ以上の抗原は、粒子の内面への共有結合によってTIMPに封入される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2019/0282707号を参照されたい)。特定の実施形態では、2つ以上の抗原の配列が、融合タンパク質において結合しており、本明細書に記載されるTIMP内に封入されることが企図される。結合したエピトープを有するTIMPを作製するための方法は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2019/0365656号に記載される。
【0120】
酵素補充療法(ERT)は、多くの場合、タンパク質又は酵素が対象において機能不全であり、外因性タンパク質の投与が治療される障害の症状を低減することができる、遺伝性疾患、例えば、リソソーム蓄積症又は血友病を治療するために使用される。しかしながら、特定の状況では、ERTは、投与されるタンパク質に対する抗体又は他の免疫反応を誘発することができる。そのようなものとして、これらの考えられる免疫効果を低減する方法は、ERTで使用されるタンパク質を含有するTIMPの投与を含む。TIMPに封入される例示的な酵素補充療法タンパク質は、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、イミグルシラーゼ、タリグルシラーゼアルファ、ベラグルセラーゼアルファ、アルグルセラーゼ、セベリパーゼアルファ、ラロニダーゼ、イドゥルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、アセチルガラクトサミン4硫酸塩、イドゥロニダーゼ、アルグルセラーゼ、又はグルコセレブロシダーゼを含む。
【0121】
例示的なタンパク質治療剤は、エリスロポエチン、インスリン、ヒト成長ホルモン、卵胞刺激ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン様成長因子、ウリカーゼ、キヌリナーゼ、L-アルギニンデアミナーゼ、アルギナーゼ、メチオニン-γ-リアーゼ、アスパラギナーゼ、アミノ酸分解酵素、グルテン分解酵素、ヌクレオチド分解酵素、IFN-γ、IL-2、IL-12、又はIL-15からなる群から選択される組換えタンパク質を含む。
【0122】
特定の実施形態では、タンパク質治療剤は、抗体、例えば、モノクローナル又はポリクローナル抗体である。抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的、又は二重特異的T細胞エンゲージャーであることも企図される。様々な実施形態では、抗体は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、EGFR、VEGF、VEGFR、PDGF、PDGFR、HER2/Neu、ER、PR、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、SIRP-α、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CD3、CD25、CD19、CD20、CD39、CD47、CD73、FAP、IL-1β、IL-12、IL-2R、IL-15、IL-15R、IL-23、IL-33、IL-2R、IL-4Rα、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、単球、及び/又は好中球を標的とする。様々な実施形態では、抗体は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、アベルマブ、アゼトリズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、ベズロトキスマブ、ブリナツモマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、デュルバルマブ、エファリズマブ、エミシズマブ、エトキマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、イキセキズマブ、インフリキシマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オララツマブ、オマリズマブ、オファチムマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペンブロリズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、セクキヌマブ、ウステキヌマブ、及びベドリズマブからなる群から選択される。
【0123】
遺伝子療法又はがんワクチンなどの、いくつかの治療剤は、ウイルスベクターを使用して送達される。しかしながら、多くの個体は、特定のウイルスベクターに対する抗体を天然に保有しており、抗ウイルス抗体及びウイルスベクターに対する他の免疫活性は、治療の結果として生じ得る。そのようなものとして、ウイルスベクターに対する寛容は、ウイルスベクターを使用する療法を改善することができる。特定の実施形態では、TIMPは、ウイルスベクターの全部又は一部を含む。ウイルスベクターとして有用な例示的なウイルスベクターとしては、これらに限定されないが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アルファウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、修飾アンカラウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ピコルナウイルス、タバコモザイクウイルス、ジャガイモウイルスx、コモウイルス、又はキュウリモザイクウイルスが挙げられる。様々な実施形態では、ウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスである。様々な実施形態では、ウイルスは、キメラウイルス、合成ウイルス、モザイクウイルス、又はシュードタイプウイルスである。様々な実施形態では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV12、Anc80、又はそれらの組み合わせである。
使用方法
【0124】
本方法は、寛容化療法を受けている対象における寛容の誘発、及びより重要なことには、その維持を監視及び追跡するのに有用である。本方法は、治療を受けている個体における免疫シグネチャーを決定するのに有用であり、免疫シグネチャーを構築することは、対象が持続する免疫寛容を有するか、又は抗原特異的寛容が減少しており、寛容化療法での追加の治療が必要であるかを示す。方法はまた、療法を受ける個体に投与を通知するのにも有用であり、免疫シグネチャーは、より高用量又はより低用量の寛容化治療剤が対象において正当化されることを示し得る。
【0125】
様々な実施形態では、対象は、免疫寛容化療法での治療を受けている。様々な実施形態では、対象は、脱感作療法での治療を受けている。治療は、経口免疫療法(OIT)、皮下免疫療法(SCIT)、舌下免疫療法(SLIT)、及び免疫寛容化ナノ医療を含む。様々な実施形態では、治療は、免疫寛容化ナノ医療である。様々な実施形態では、免疫寛容化ナノ医療は、寛容化免疫調節粒子(TIMP)である。
【0126】
様々な実施形態では、TIMPは、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与される。様々な実施形態では、追加の治療剤は、IgEの阻害剤、好塩基球活性化の阻害剤、マスト細胞活性化の阻害剤、抗ヒスタミン、又は小分子若しくは生物学的治療剤である。様々な実施形態では、追加の治療剤は、IgEを阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、好塩基球活性化を阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、マスト細胞活性化を阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、生体又は低分子である。様々な実施形態では、追加の治療剤は、抗IgE抗体、抗IL-4Rα抗体、抗IL13抗体、抗IL-33抗体、抗ヒスタミン、ステロイド、コルチコステロイド、ロイコトリエン修飾剤、又は非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。
【0127】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第一世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第二世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、ブロムフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、トリプロリジン、アゼラスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセトリジン、ドキシラミン、エバスチン、エンブラミン、エピネフリン、フェキソフェナジン、ロラタジン、及びオロパタジンからなる群から選択される。
【0128】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、ステロイドである。様々な実施形態では、ステロイドは、ベクロメタゾン、シクレソニド、フロ酸フルチカゾン、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、及びロテプレドノールからなる群から選択される。
【0129】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイドである。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0130】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。様々な実施形態では、NSAIDは、非選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-2選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-1選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、プロスタグランジンシンターゼ阻害剤である。様々な実施形態では、NSAIDは、ジクロフェナク、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラック、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、ケトロラック、ケトロラックトロメタミン、ケトプロフェン、トルメチン、トルメチンナトリウム、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、スリンダク、フェルビナク、ピロキシカム、メフェナム酸、メクロフェナメートナトリウム、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、セレコキシブ、エトドラク、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブからなる群から選択される。
【0131】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、ロイコトリエン修飾剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、抗ロイコトリエンである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン合成阻害剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、モンテルカスト、ジレウトン、及びザフィルルカストからなる群から選択される。
【0132】
寛容を評価するために、生体試料は、療法前及び療法中に対象から取得され、本明細書に記載される寛容の様々なパラメータについてアッセイされる。生体試料は、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検を含む。様々な実施形態では、生体試料のアッセイは、細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、代謝産物、及び/又はそれらの組み合わせのレベル、及び/又は存在若しくは不在を分析することを含む。
【0133】
生体試料からのアッセイされる細胞は、免疫細胞、非免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせを含む。免疫細胞は、先天性免疫細胞、適応性免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせを含む。生体試料からのアッセイされる先天性免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)である。生体試料からのアッセイされる例示的な先天性免疫細胞は、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、及び/又はそれらの組み合わせを含む。生体試料からのアッセイされる適応性免疫細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、及び/又はそれらの組み合わせなどの、エフェクター免疫細胞を含む。様々な実施形態では、T細胞は、TH1細胞、TH2a細胞、Treg細胞、及びTr1細胞である。
【0134】
特定の実施形態では、生体試料からのアッセイされる細胞は、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、及び/又はクッパー細胞である。
【0135】
対象の免疫寛容シグネチャーは、対象から取得され、かつインビボ及び/又はエクスビボで刺激された1つ以上の生体試料からのアッセイされた以下のパラメータのうちの1つ以上を使用して生成される:
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合、
b.全T細胞集団中のTreg細胞の割合、
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合、
d.特異的IgG、IgA、IgM、及び/又はIgEのレベル及び/又は比、
e.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
g.炎症性代謝産物のレベル、並びに
h.抗炎症性代謝産物のレベル。
【0136】
上記(a)~(h)において列挙される1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の維持を示す。様々な実施形態では、(a)~(h)において列挙される少なくとも2/8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の維持を示す。様々な実施形態では、上記(a)~(h)において列挙される1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPでの治療を必要としないことが決定される。様々な実施形態では、上記(a)~(h)において列挙される少なくとも3/8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPでの治療を必要としないことが決定される。
【0137】
本明細書に記載される1つ以上のパラメータを使用して生成される対象の免疫寛容シグネチャーは、以下の場合、寛容化療法、例えば、TIMPでの治療前又は後に免疫寛容の弱化及び/又は不在を示す:
【0138】
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合が、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)である、かつ/又は
【0139】
b.全T細胞集団中のTreg細胞の割合が、1~3%である、かつ/又は
【0140】
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合が、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)である、かつ/又は
【0141】
d.IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベル及び/若しくは比が、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0142】
e.炎症性サイトカイン/ケモカインのレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0143】
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している、かつ/又は
【0144】
g.炎症性代謝産物のレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0145】
h.抗炎症性代謝産物のレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している。
【0146】
方法において使用される1つ以上の生体試料は、寛容化療法を受ける対象から、免疫寛容化療法の投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月前に収集されることが企図される。様々な実施形態では、1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与の1~7日、1~4週間、及び/又は1~12ヶ月後に収集される。様々な実施形態では、1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与後1~7日毎、1~4週間毎、及び/又は1~12ヶ月毎に収集される。様々な実施形態では、1つ以上の生体試料は、免疫寛容化療法の投与後1~7日、1~4週間毎、及び/又は1~12ヶ月毎の間隔で収集される。様々な実施形態では、試料は、1週間、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、又は12ヶ月毎に収集される。
【0147】
スクリーニング方法
本明細書に記載される寛容化療法を受ける対象からの細胞型、サイトカイン、核酸、又は寛容の他の尺度についてのスクリーニングの方法は、当該技術分野で既知である。寛容を評価する方法は、フローサイトメトリー、質量サイトメトリー(CyTOF)、ELISA、ELISPOT、インビボ/エクスビボ細胞刺激アッセイ(細胞増殖アッセイ、好塩基球活性化試験(BAT)、マクロファージ刺激アッセイを含むが、これらに限定されない)、例えば、ImmunoCapアッセイによって、自己抗体を測定すること又はIg血清型を測定することなどの技法を使用して行われる。
【0148】
対象の免疫寛容状態、及び免疫シグネチャーの一態様は、生体試料からの1つ以上の細胞表面タンパク質を分析することによって決定される。様々な実施形態では、細胞表面タンパク質は、CD1c、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、TACI、CD25、CD27、CD28、CD30、CD30L、CD31、CD32、CD32b、CD34、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40-L、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD45RA、CD45RO、CD48、CD52、CD55、CD56、CD58、CD61、CD66b、CD69、CD70、CD72、CD79、CD68、CD84、CD86、CD93、CD94、CD95、CRACC、BLAME、BCMA、CD103、CD107、CD112、CD120a、CD120b、CD123、CD125、CD127、CD134、CD135、CD140a、CD141、CD154、CD155、CD160、CD161、CD163、CD172a、XCR1、CD203c、CD204、CD206、CD207 CD226、CD244、CD267、CD268、CD269、CD355、CD358、CRTH2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2H、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR3DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、DAP12、KIR3DS、NKp44、NKp46、TCR、BCR、インテグリン、FcβεRI、MHC-I、MHC-II、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10R、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL-23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、PD-1、PD-1H、BTLA、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、2B4、B7-1、B7-2、B7-H1、B7-H4、B7-DC、DR3、LIGHT、LAIR、LTα1β2、LTβR、TIM-1、TIM-3、TIM-4、TIGIT、LAG-3、ICOS、ICOS-L、SLAM、SLAMF2、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、TL1A、HVEM、41-BB、41BB-L、TL-1A、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF5、BAFF、BAFF-R、APRIL、TRAIL、RANK、AITR、TRAMP、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、CLECL9a、DC-SIGN、IGSF4A、SIGLEC、EGFR、PDGFR、VEGFR、FAP、α-SMA、FAS、FAS-L、FC、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、ICAM-4、ICAM-5、PECAM-1、MICA、MICB、UL16、ULBP1、ULBP2、ILBP3、ULBP4、ULBP5、ULBP6、MULT1、RAE1α、β、γ、δ、及びε、H60a、H60b、H60c、GPR15、ST2、並びに/又はそれらの組み合わせを含む。インテグリンは、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、及び/又はそれらの組み合わせを含む。TCRは、α、β、γ、δ、ε、ζ鎖、及び/又はそれらの組み合わせを含む。フローサイトメトリー及びマスサイトメトリー(CyTOF)を含む、細胞表面タンパク質発現をアッセイするためのいくつかの方法が文献に記載されている。
【0149】
特定の実施形態では、対象の寛容状態は、生体試料からの核酸を分析することによって決定される。様々な実施形態では、核酸は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、mRNA、rRNA、tRNA、siRNA、miRNA、長い非コードRNA(長いncRNA、lncRNA)、及び非コードRNA(ncRNA)、並びにミトコンドリアRNAを含むが、これらに限定されない、DNA及び/又はRNAである。様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、生体試料からの遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫機能、抗体、異物応答、代謝、アポトーシス、細胞死、壊死、フェロトーシス、オートファジー、細胞移動、エンドサイトーシス、食作用、飲作用、タイトジャンクション調節、細胞接着、分化、及び/又はそれらの組み合わせに関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫抑制に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫活性化に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、調節機能に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、核酸分析は、免疫寛容シグネチャーを生成するために使用される。RNAシーケンシング(RNA-seq)、単一細胞RNAシーケンシング(scRNA-seq)、エクソームシーケンシング、及びマイクロアレイベース分析を含む、高スループット遺伝子発現分析のためのいくつかの方法論が文献に記載されている。
【0150】
生体試料は、抗原、アレルゲン、及び1つ以上の活性化剤などの1つ以上の刺激でのインビボ及び/又はエクスビボ刺激後に任意にアッセイされる。アッセイにおいて使用されるT細胞、B細胞、及び免疫グロブリンは、抗原特異的であることが企図される。例示的なT細胞は、エフェクターメモリーT細胞、抗原特異的T細胞、活性化抗原特異的T細胞、Th1細胞、病原性Th2a+細胞、Th17細胞、T濾胞性ヘルパー(TFH)細胞、Th0細胞、又は他の抗原特異的T細胞を含む。B細胞は、エフェクターB細胞、メモリーB細胞、形質B細胞、及びBreg細胞を含む。特定の実施形態では、T細胞は、表Aに記載されるタンパク質の発現に基づいて特定される。
【表1】
表A
【0151】
試料における細胞型及びサイトカインの測定は、フローサイトメトリーによって行うことができる。例えば、PBMCは、エクスビボで24~48時間、特異的抗原で活性化され、染色され、フローサイトメトリーによって分析されて、異なる細胞型、例えば、Teff、Treg、Th1、B細胞など、及びサイトカインIL5、IFNγが決定される。
【0152】
BATアッセイは、複数の濃度での抗原によるエクスビボ活性化後に新鮮な血液から行われる。分析は、最大好塩基球活性化の50%で有効濃度(EC50)(CD203c+/CD63+/-好塩基球活性化)を提供するために行われる。
【0153】
免疫グロブリンアイソタイプの測定は、ImmunoCapアッセイによって実施することができる。
【0154】
薬学的製剤
本明細書に記載されるTIMP及びn抗原を含有する本開示の薬学的組成物は、投与経路に応じて、薬学的に許容される担体又は添加剤を含有し得る。そのような担体又は添加剤の例としては、水、薬学的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、薬学的に許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加剤は、本開示の剤形に応じて、必要に応じて、上記又はそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0155】
薬学的組成物の製剤は、選択される投与経路(例えば、溶液、エマルジョン)に従って変動するであろう。投与される治療剤を含む適切な組成物は、生理学的に許容されるビヒクル又は担体中で調製することができる。溶液又はエマルジョンについて、好適な担体としては、例えば、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水性又はアルコール性/水性溶液、エマルジョン又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル又は固定油を含むことができる。静脈内ビヒクルは、様々な添加剤、保存剤、又は液体、栄養素、若しくは電解質補充剤を含むことができる。
【0156】
様々な水性担体、例えば、無菌リン酸緩衝生理食塩水、静菌水、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどは、軽度化学修飾などに供された、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどのような、増強された安定性のための他のタンパク質を含み得る。
【0157】
阻害剤の治療用製剤は、所望の純度を有する阻害剤を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、任意の生理学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、保存用に調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギン、若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0158】
インビボ投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
【0159】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合した活性化合物を含有し得る。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、又は酸化アルキレンと脂肪酸との縮合産生物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又は酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産生物、例えば、ヘプタデカエチル-エンオキシセタノール、又は酸化エチレンと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合産生物、例えば、ソルビトールモノステアリン酸ポリオキシエチレン、又は酸化エチレンと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合産生物、例えば、モノステアリン酸ポリエチレンソルビタンであり得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤、例えば、エチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸塩を含有し得る。
【0160】
本明細書に記載される抗原を含むTIMPは、保存のために凍結乾燥させ、使用前に好適な担体中で再構成することができる。
【0161】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、修飾粒子は、少なくとも1つの不活性な、薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、並びに/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤若しくはエクステンダー、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレーなどの吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル酸ナトリウムなどの潤滑剤、並びにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
キット
【0162】
追加の態様としては、本開示は、本開示の方法を実施するためのそれらの使用を促進する方法でパッケージされた1つ以上の化合物又は組成物を含むキットを含む。一実施形態では、そのようなキットは、本明細書に記載される化合物又は組成物(例えば、TIMPを単独で、又は別の抗体若しくは第3の薬剤と組み合わせて含む組成物)を含み、密封されたボトル又はベッセルなどの容器にパッケージされ、方法の実施における化合物又は組成物の使用を説明する、容器に貼付されるか又はパッケージに含まれるラベルを有する。好ましくは、化合物又は組成物は、単位剤形でパッケージされる。キットは、特定の投与経路に従って組成物を投与するため、又はスクリーニングアッセイを実施するため、好適なデバイスを更に含み得る。好ましくは、キットは、阻害剤組成物の使用を説明するラベルを含む。
【0163】
本開示の追加の態様及び詳細は、限定的ではなく例示的であることが意図される、以下の例から明らかであろう。
【実施例
【0164】
実施例1
免疫寛容の維持は、ピーナッツ抗原を封入するTIMP(TIMP-PPE)からなる抗原特異的寛容化療法で治療されているか、又はその治療を受けようとしているピーナッツアレルギーに罹患している対象において監視されることが企図される。対象は、1日目及び8日目に1週間間隔で2回用量のTIMP-PPEを受けることが予想される。
【0165】
簡潔には、対象の免疫寛容状態は、第1のTIMP-PPE投与の日の用量前(1日目)、第2の用量の投与後14日、次いで第2の用量後90日毎(例えば、第2の用量後90、180、270、及び360日目)に対象から1つ以上の全血試料を取得することによって決定される。全血は、下流分析のためにPBMC、好塩基球、好中球、血漿、及び血清を単離するために処理される。
【0166】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から収集され、精製された抗原性ピーナッツタンパク質でエクスビボで刺激された1つ以上の血液試料から単離されたPBMCのアッセイから調べることができる:
【0167】
a.フローサイトメトリーによって決定されるTh2a+T細胞(Th2a+細胞/全ピーナッツ反応性T細胞)の割合。Th2a+細胞は、CRTH2+/CD161+/CD154+/CD27-として定義される。全ピーナッツ反応性化合物は、CRTH2-/CD161+/CD154+/CD27-として定義される。
【0168】
b.フローサイトメトリーによって決定される活性化されたピーナッツ特異的T細胞(活性化ピーナッツ特異的T細胞/非活性化ピーナッツ反応性T細胞)の割合。活性化ピーナッツ反応性T細胞は、CD154+/CD38+として定義される。非活性化ピーナッツ特異的T細胞は、CD154+として定義される。
【0169】
c.フローサイトメトリーによって決定されるT調節細胞集団(CD4+/CD25+/FoxP3+/Helios+/IL-10+)の頻度。マルチカラーフロー分析を行い、ピーナッツ特異的T調節細胞(ピーナッツ特異的T調節細胞/ピーナッツ特異的CD4+エフェクターメモリー細胞)の割合を提供する。
【0170】
d.例えば、Luminex 200によって検出される、ピーナッツ抗原タンパク質でのエクスビボ刺激後のPBMC培養上清中のIL-5対IFN-γの比。
【0171】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から収集され、精製された抗原性ピーナッツタンパク質でエクスビボで刺激された1つ以上の血液試料から単離された好塩基球のアッセイから調べることができる:好塩基球活性化試験(BAT)(Santos and Lack 2016)を使用した精製抗原性ピーナッツタンパク質でのエクスビボ刺激後の活性化CD203+/CD63+/-の割合、並びに活性化好塩基球がCD203+/CD63+/-である、好塩基球活性化試験を使用して測定された精製抗原性ピーナッツタンパク質でのエクスビボ刺激後の最大好塩基球活性化の50%での有効濃度(EC50)。最大好塩基球活性化の50%での有効濃度(EC50)を提供するために分析が実施される。
【0172】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から取得された1つ以上の血液試料から単離された血清のアッセイから調べることができる:ImmunoCapアッセイによって測定されるピーナッツ特異的IgE対IgGの比。
【0173】
組み合わせて、上記分析の結果を使用して、免疫寛容シグネチャー、及び対象が免疫寛容を維持しているかどうかを決定することができる。そのような分析が免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、TIMP-PPEは、免疫寛容を回復するために対象に再投与され得る。
【0174】
例えば、用量前1日目時点でのTh2a+細胞の割合は、ピーナッツアレルギー対象において>15%であることが予想される。TIMP-PPEでの治療は、免疫寛容の誘発を示す第2の用量の14日後にTh2a+細胞の割合を<15%に低減することが予想される。後続の時点(例えば、用量後90、180、270、及び360日目)のうちのいずれかでの>15%へのTh2a+細胞の割合の増加は、免疫寛容の弱化を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-PPEの再投与を正当化するであろう。
【0175】
例えば、TIMP-PPEでの治療後14日目でのピーナッツ抗原タンパク質でのエクスビボ刺激後のPBMC培養上清中のIL-5対IFN-γの比は、TIMP-PPEでの治療前のベースラインでの比と比較して有意に減少していると予想される。後続のサンプリング及びアッセイ時点(例えば、用量後90、180、270、及び360日目)のいずれかでのIL-5対IFN-γの比の統計的に有意な増加(例えば、>10%又は>1.5倍)は、免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-PPEの再投与を正当化するであろう。
【0176】
例えば、TIMP-PPEで治療された対象の血液中のピーナッツ特異的IgE対IgGの比は、TIMP-PPEでの治療前のベースラインでのピーナッツ特異的IgE対IgGの比と比較して、治療後60日目に有意に低減することが予想される。いずれかの後続のサンプリング及びアッセイ時点(例えば、用量後90、180、270、及び360日目)でのピーナッツ特異的IgE対IgGの比の統計的に有意な増加(例えば、>10%又は>1.5倍)は、免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-PPEの再投与を正当化するであろう。
【0177】
実施例2
免疫寛容の維持は、1型糖尿病(T1D)抗原を封入するTIMP(TIMP-T1D)からなる抗原特異的寛容化療法で治療されているか、又はその治療を受けようとしているT1Dに罹患している対象において監視され得ることが企図される。対象は、1日目及び8日目に1週間間隔で2回用量のTIMP-T1Dを受けることが予想される。
【0178】
簡潔には、対象の免疫寛容状態は、第1のTIMP-T1D投与の日の用量前(1日目)、第2の用量の投与後14日、次いで第2の用量後90日毎(例えば、第2の用量後90日目、180日目、270日目、及び360日目)に対象から1つ以上の全血試料を取得することによって決定され得る。次いで、全血を処理して、下流分析のためにPBMC、好塩基球、好中球、血漿、及び血清を単離することができる。
【0179】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から収集され、精製されたT1D抗原性タンパク質でエクスビボで刺激された1つ以上の血液試料から単離されたPBMCのアッセイから調べることができる:
【0180】
a.フローサイトメトリーによって決定されるPBMCにおけるTreg/Tr1細胞(CD4+/CD25+/FoxP3+/Helios+/IL-10+)の頻度。
【0181】
b.フローサイトメトリーによって決定されるPBMCにおけるPD-L1+マクロファージの頻度。
【0182】
c.フローサイトメトリーによって決定されるPBMCにおけるCD206+マクロファージの頻度。
【0183】
d.T1D抗原でエクスビボで刺激されたPBMCによって産生されたIL-10のレベル。
【0184】
e.T1D抗原でエクスビボで刺激されたPBMCによって産生されたIFN-γのレベル。
【0185】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から取得された1つ以上の血液試料から単離された血清のアッセイから調べることができる:T1D抗原特異的自己抗体のレベル。
【0186】
組み合わせて、上記分析の結果を使用して、免疫寛容シグネチャー、及び対象が免疫寛容を維持しているかどうかを決定することができる。そのような分析が免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、TIMP-T1Dは、免疫寛容を回復するために対象に再投与され得る。
【0187】
例えば、用量前1日目時点でのTreg/Tr1細胞の頻度は、T1D対象において約1%であることが予想される。TIMP-T1Dでの治療は、免疫寛容の誘発を示す第2の用量後14日に2~5%へのTreg/Tr1細胞の頻度の増加をもたらすことが予想される。後続の時点(例えば、用量後90、180、270、及び360日目)のうちのいずれかでの1%以下へのTreg/Tr1細胞の頻度の減少は、免疫寛容の弱化を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-T1Dの再投与を正当化するであろう。
【0188】
PBMCにおけるPD-L1+及びCD206+マクロファージの頻度は、1日目の用量前試料において<1%であることが予想される。TIMP-T1Dでの治療は、第2の用量後14日の約5~10%へのPD-L1+及びCD206+マクロファージの頻度の増加を誘導することが予想される。後続の時点(例えば、用量後90、180、270、及び360日目)のうちのいずれかでの<2%へのPD-L1+及びCD206+の頻度の減少は、免疫寛容の弱化を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-T1Dの再投与を正当化するであろう。
【0189】
T1D抗原でのPBMCのエクスビボ刺激は、免疫寛容の誘発を示す用量前1日目時点と比較されるとき、第2の用量後14日に収集された試料中のIL-10のレベルの2~10倍の誘発を誘発することが予想される。第2の用量後14日に収集された試料と比較して2~10倍の、T1D抗原でエクスビボで刺激された後続の用量後時点のいずれかで収集されたPBMCからのIL-10産生の低減は、TIMP-T1Dの再投与を正当化する免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示すであろう。
【0190】
T1D抗原でのPBMCのエクスビボ刺激は、免疫寛容の誘発を示す用量前1日目時点と比較されるとき、第2の用量後14日に収集された試料中のIFN-γのレベルの2~10倍の低減をもたらすことが予想される。第2の用量後14日に収集された試料と比較して2~10倍の、T1D抗原でエクスビボで刺激された後続の用量後時点のいずれかで収集されたPBMCからの増加したIFN-γ産生は、TIMP-T1Dの再投与を正当化する免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示すであろう。
【0191】
TIMP-T1Dでの治療は、免疫寛容の誘発に成功したことを示す用量前1日目試料と比較されるとき、第2の用量後14日に収集された血清試料中のT1D特異的自己抗体のレベルの2~10倍の低減をもたらすことが予想される。第2の用量後14日に収集された血清試料から決定されたレベルと比較して2~4倍の、後続の時点のいずれかで収集された血清試料中のT1D特異的自己抗体のレベルの増加は、TIMP-T1Dの再投与を正当化する免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示すであろう。
【0192】
実施例3
免疫寛容の維持は、原発性胆汁性胆管炎(PBC)抗原を封入するTIMP(TIMP-PBC)からなる抗原特異的寛容化療法で治療されているか、又はその治療を受けようとしているPBCに罹患している対象において監視され得ることが企図される。対象は、1日目及び8日目に1週間間隔で2回用量のTIMP-PBCを受けることが予想される。
【0193】
簡潔には、対象の免疫寛容状態は、第1のTIMP-PBC投与の日の用量前(1日目)、第2の用量の投与後14日、次いで第2の用量後90日毎(例えば、第2の用量後90日目、180日目、270日目、及び360日目)に対象から1つ以上の全血試料を取得することによって決定され得る。次いで、全血を処理して、下流分析のためにPBMC、好塩基球、好中球、血漿、及び血清を単離することができる。
【0194】
免疫寛容状態の以下の指標は、抗CD40抗体と組み合わされたPDC-E2160-175抗原性エピトープなどのPBC疾患関連抗原で12~14時間エクスビボで刺激されたPBMCからアッセイされ得る:
【0195】
a.CD4+ Tエフェクター細胞(CD4+ CD154+ CD137+)の頻度。
【0196】
b.抗原特異的CD8+ Teff(CD8+CD69+CD137+)の頻度。
【0197】
c.抗原特異的Treg細胞(CD4+ CD25+ CD127-CD154-CD137+GARP+/-)の頻度。
【0198】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から取得された1つ以上の血液試料から単離された血清のアッセイから調べることができる:抗ミトコンドリア抗体のレベル。
【0199】
用量前及び各用量後試料から評価された上記パラメータの分析からの結果は、対象が免疫寛容を維持しているかを決定するために比較され得る。そのような分析が免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、TIMP-T1Dは、免疫寛容を回復するために対象に再投与され得る。
【0200】
TIMP-PBCの治療前に収集された試料からのエクスビボ刺激PBMC培養物におけるCD4+ T細胞の頻度は、約20~30%であろうと予想される。TIMP-PBCでの治療は、TIMP-PBCの第2の用量の14日後に収集された試料においてCD4+ Tエフェクター細胞の頻度を約10~12%に低減することが予想される。後続の時点で取得された試料におけるCD4+ Tエフェクター細胞の頻度の15%~20%への増加は、免疫寛容の弱化を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-PBCの再投与を正当化するであろう。
【0201】
TIMP-PBCの治療前に収集された試料からのエクスビボ刺激PBMC培養物における抗原特異的CD8+ Teffの頻度は、約30~35%であろうと予想される。TIMP-PBCでの治療は、TIMP-PBCの第2の用量の14日後に収集された試料においてCD8+ Tエフェクター細胞の頻度を約10~15%に低減することが予想される。後続の時点で取得された試料におけるCD8+ Tエフェクター細胞の頻度の15%~20%への増加は、免疫寛容の弱化を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-PBCの再投与を正当化するであろう。
【0202】
TIMP-PBCの治療前に収集された試料からのエクスビボ刺激PBMC培養物における抗原特異的Treg細胞の頻度は、約1~2%であろうと予想される。TIMP-PBCでの治療は、TIMP-PBCの第2の用量の14日後に収集された試料において、抗原特異的Treg細胞の頻度を約5~10%に増加させることが予想される。後続の時点で取得された試料における抗原特異的Treg細胞の頻度の<2%への低下は、免疫寛容の弱化を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-PBCの再投与を正当化するであろう。
【0203】
T細胞の追加の分析は、細胞表面マーカー(CD4、CD45RA)、成熟マーカー(CCR7、CD27)、インビボ活性化のマーカー(CD38)、インビトロ活性化のマーカー(CD69、GARP、OX40)、疲弊マーカー(TIGIT、PD1、KLRG1)、及びケモカイン受容体(CRTH2、CXCR5、CXCR3、CCR6、CCR4)のアッセイによって行われ得る。
【0204】
TIMP-PBCでの治療は、免疫寛容の誘発に成功したことを示す用量前1日目試料と比較されるとき、第2の用量の14日後に収集された血清試料中の抗ミトコンドリア抗体のレベルの2~10倍の低減をもたらすことが予想される。第2の用量の14日後に収集された血清試料から決定されたレベルと比較して2~4倍の、後続の時点のいずれかで収集された血清試料中の抗ミトコンドリア特異的抗体のレベルの増加は、TIMP-PBCの再投与を正当化する免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示すであろう。
【0205】
上記の例示的な例において示されるような本発明の多くの修飾及び変形は、当業者には起こると予想されている。結果として、添付の特許請求の範囲において現れるような限定のみが、本発明に課されるべきである。
図1
図2
【配列表】
2024518277000001.app
【国際調査報告】