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特表2024-518278製品成形ユニットにおいてセルロースブランク構造体からセルロース製品を乾式成形するための方法および製品成形ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】製品成形ユニットにおいてセルロースブランク構造体からセルロース製品を乾式成形するための方法および製品成形ユニット
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/04 20060101AFI20240423BHJP
   D21B 1/06 20060101ALI20240423BHJP
   D04H 1/26 20120101ALI20240423BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20240423BHJP
   B27N 5/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B27N3/04 B
D21B1/06
D04H1/26
D04H1/425
B27N5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023562980
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022059512
(87)【国際公開番号】W WO2022218873
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/059810
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/059811
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】2151618-2
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518330431
【氏名又は名称】パルパック アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】PulPac AB
【住所又は居所原語表記】Amalia Jonssons gata 16,421 31 Vastra Frolunda, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーヴェ ラルソン
(72)【発明者】
【氏名】オレ ヘーグブロム
(72)【発明者】
【氏名】マーティン リュンベリ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード グイドッティ
(72)【発明者】
【氏名】ビョーン アルレロート
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ラルソン
【テーマコード(参考)】
2B260
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
2B260AA12
2B260BA07
2B260BA19
2B260BA27
2B260CB01
2B260CD02
2B260CD22
2B260EA01
2B260EA03
2B260EA11
2B260EB06
2B260EB13
2B260EB21
2B260EC08
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
4L047EA01
4L055AF09
4L055BA10
4L055CA08
4L055DA17
(57)【要約】
製品成形ユニットにおいてセルロースブランク構造体(2)からセルロース製品(1)を乾式成形するための方法。製品成形ユニットは、ブランク乾式成形モジュール(4)とプレスモジュール(6)とを有している。セルロースブランク構造体(2)は、ブランク乾式成形モジュール(4)内で成形ワイヤ(4c)上に空気成形される。プレスモジュール(6)は、セルロースブランク構造体からセルロース製品(1)をプレス動作において成形するための1つ以上の成形型(3)を有している。当該方法は、成形ワイヤを、プレス動作中に静止モードに置くステップを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品成形ユニット(U)においてセルロースブランク構造体(2)からセルロース製品(1)を乾式成形するための方法であって、前記製品成形ユニット(U)は、ブランク乾式成形モジュール(4)とプレスモジュール(6)とを有しており、前記セルロースブランク構造体(2)は、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において成形ワイヤ(4c)上に空気成形されていて、前記プレスモジュール(6)は、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)をプレス動作(O)において成形するための1つ以上の成形型(3)を有しており、当該方法は、
前記成形ワイヤ(4c)を、前記プレス動作(O)中に静止モード(MST)に置くステップを含む、方法。
【請求項2】
前記静止モード(MST)で、前記成形ワイヤ(4c)を停止状態(SST)に置き、前記停止状態(SST)の継続期間を、前記停止状態(SST)が、前記プレス動作(O)中に生じるように、前記プレス動作(O)の継続期間に同期させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記静止モード(MST)には搬送モード(MTR)が続いていて、前記搬送モード(MTR)では、前記成形ワイヤ(4c)を運動状態(SMO)に置き、当該方法は、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を、前記運動状態(SMO)にある前記成形ワイヤ(4c)によって、前記ブランク乾式成形モジュール(4)から離すように動かすステップをさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記運動状態(SMO)は、2つの連続するプレス動作(O)の間で少なくとも部分的に生じる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記セルロースブランク構造体(2)を、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において空気成形して、分離したセルロースブランク(2a)とする、または前記セルロースブランク構造体(2)を、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において空気成形して、連続的なセルロースブランク(2b)とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を成形温度(T)に加熱することにより、かつ前記セルロースブランク構造体(2)を前記プレス動作(O)において成形圧(P)でプレスすることにより、前記1つ以上の成形型(3)において前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するステップをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記成形温度(T)は、100~300℃の範囲に、好ましくは100~200℃の範囲にあり、前記成形圧(P)は、1~100MPaの範囲に、好ましくは4~20MPaの範囲にある、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記プレス動作(O)は、シングルプレス動作(OSP)である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を前記ブランク乾式成形モジュール(4)から前記プレスモジュール(6)へと搬送するステップをさらに含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記セルロースブランク構造体(2)を前記ブランク乾式成形モジュール(4)から前記プレスモジュール(6)へと間欠的に搬送する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記セルロースブランク構造体(2)を、第1の供給方向(DF1)で前記成形ワイヤ(4c)によって前記ブランク乾式成形モジュール(4)から間欠的に搬送し、第2の供給方向(DF2)で前記プレスモジュール(6)へと間欠的に搬送し、この場合、前記第2の供給方向(DF2)は、前記第1の供給方向(DF1)とは異なっている、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第1の供給方向(DF1)は、前記第2の供給方向(DF2)の逆、または実質的に逆である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1の供給方向(DF1)は上向き方向であり、前記第2の供給方向(DF2)は下向き方向である、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、セルロース原料(R)を提供し、前記セルロース原料(R)を前記ブランク乾式成形モジュール(4)へと供給するステップ;前記セルロース原料(R)から、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において前記成形ワイヤ(4c)上に前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するステップをさらに含む、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記ブランク乾式成形モジュール(4)は、ミル(4a)と成形チャンバ(4b)とをさらに有しており、前記成形ワイヤ(4c)は、前記成形チャンバ(4b)に接続されて配置されており、当該方法は、前記ミル(4a)において、前記セルロース原料(R)からセルロース繊維(F)を分離し、前記分離されたセルロース繊維(F)を、前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するために前記成形チャンバ(4b)内で前記成形ワイヤ(4c)上に分配するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
当該方法は、前記ミル(4a)を継続的に動作させるステップ;および前記セルロース原料(R)を前記ミル(4a)に継続的に供給するステップ、または前記セルロース原料(R)を前記ミル(4a)に間欠的に供給するステップをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記成形ワイヤ(4c)は、前記成形チャンバ(4b)の成形チャンバ開口(4e)に接続されて配置されている成形セクション(4d)を有しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記成形セクション(4d)上に空気成形するステップをさらに含む、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
前記成形セクション(4d)は、上向きのブランク成形方向(D)で延在しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記成形セクション(4d)上に空気成形し、前記成形されたセルロースブランク構造体(2)を前記成形ワイヤ(4c)によって前記上向きのブランク成形方向(D)で搬送するステップをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記成形セクション(4d)は、水平方向のブランク成形方向(DHF)で延在しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記成形セクション(4d)上に空気成形し、前記成形されたセルロースブランク構造体(2)を前記成形ワイヤ(4c)によって前記水平方向のブランク成形方向(DHF)で搬送するステップをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記成形ワイヤ(4c)は、前記成形チャンバ(4b)に面した第1の側(S1)と、前記成形チャンバ(4b)に接続されて配置された真空ボックス(4f)に面した第2の側(S2)とを有しており、前記真空ボックス(4f)は、前記成形チャンバ(4b)内の空気流を制御するように、かつ前記分離されたセルロース繊維(F)を前記成形ワイヤ(4c)上に分配するように構成されており、当該方法は、前記成形ワイヤ(4c)の前記第1の側(S1)上に前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するステップ;前記第1の側(S1)上への前記セルロース繊維(F)の付着を保証するために前記第2の側(S2)上に負圧(PNEG)をかけるステップをさらに含む、請求項15から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記製品成形ユニット(U)は、ブランクリサイクルモジュール(7)を有しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)の残余部分(2c)を前記プレスモジュール(6)から前記ブランク乾式成形モジュール(4)へと搬送するステップをさらに含む、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記ブランクリサイクルモジュールはリサイクル圧縮ユニット(7b)を有していて、当該方法は、前記プレスモジュール(6)から前記ブランク乾式成形モジュール(4)に搬送するときに、前記リサイクル圧縮ユニット(7b)において、前記セルロースブランク構造体(2)の前記残余部分(2c)を圧縮するステップをさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記プレスモジュール(6)は、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールであり、当該方法は、
トグルプレス(6a)と前記1つ以上の成形型(3)とを有する前記セルロース製品トグルプレスモジュールを提供するステップであって、前記トグルプレス(6a)は、プレス方向(D)で可動に配置されたプレス部材(6d)と、前記プレス部材(6d)に接続されたトグル機構(6e)と、前記トグル機構(6e)に接続されたプレスアクチュエータアセンブリ(6f)と、前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)に動作可能に接続された電子制御システム(6h)とを有しており、前記1つ以上の成形型はそれぞれ、前記プレス部材(6d)に取り付けられた可動の第1の型部分(3a)と、定置の第2の型部分(3b)とを有しているステップ、
前記トグルプレス(6a)を、主に水平方向(D)に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向(D)を有するように、具体的には前記水平方向(D)から20度以内に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向(D)を有するように、より具体的には前記水平方向(D)に対して平行な前記プレス方向(D)を有するように、設置するステップ、
前記セルロースブランク構造体(2)を、離間した前記第1および第2の型部分(3a,3b)によって画定されたプレス領域(A)内に供給するステップ、
前記トグル機構(6e)を使用して前記プレス方向(D)で前記プレス部材(6d)を駆動するように、そして前記各第1の型部分(3a)を前記定置の第2の型部分(3b)に対して押し付けることにより、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するように、前記電子制御システム(6h)によって、前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するステップ、
をさらに含む、請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
セルロースブランク構造体(2)からセルロース製品(1)を乾式成形するための製品成形ユニット(U)であって、前記製品成形ユニット(U)は、ブランク乾式成形モジュール(4)およびプレスモジュール(6)を有しており、前記セルロースブランク構造体(2)は、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において成形ワイヤ(4c)上に空気成形されていて、前記プレスモジュール(6)は、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)をプレス動作(O)において成形するように構成された1つ以上の成形型(3)を有しており、前記ブランク乾式成形モジュール(4)は、前記成形ワイヤ(4c)を、前記プレス動作(O)中に静止モード(MST)に置くように構成されている、製品成形ユニット(U)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製品成形ユニットにおいてセルロースブランク構造体からセルロース製品を乾式成形するための方法に関する。製品成形ユニットは、ブランク乾式成形モジュールとプレスモジュールとを有している。セルロースブランク構造体は、ブランク乾式成形モジュール内で空気成形される。プレスモジュールは、セルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するための1つ以上の成形型を有している。本開示はさらに、製品成形ユニットに関する。
【0002】
背景技術
セルロース繊維は、製品を製造するための、または製品を製作するための原料として使用されることが多い。セルロース繊維から成形される製品は、持続可能な製品を有する必要性がある多くの様々な状況で使用することができる。幅広い範囲の製品をセルロース繊維から製造することができ、いくつかの例は、使い捨て可能な皿およびカップ、カトラリー、蓋、ボトルキャップ、コーヒーポッド、ハンガー、および包装材料である。
【0003】
成形型は、セルロース繊維原料からセルロース製品を製造する際に一般的に使用されており、従来、セルロース製品は、湿式成形される。セルロース繊維製品の湿式成形に一般的に使用される材料は、湿式成形パルプである。湿式成形パルプはバイオマテリアルから製造されており、使用後にはリサイクル可能であるので、湿式成形パルプには、持続可能な包装材料として見なされるという利点がある。その結果、湿式成形パルプは、様々な用途に対して人気が急速に高まっている。湿式成形パルプ物品は、一般に、吸引成形型を、セルロース繊維を含む液体または半液体のパルプ懸濁液またはスラリーに浸漬することによって成形され、吸引が適用されると、パルプの塊は、成形型への繊維堆積によって所望の製品の形状で形成される。湿式成形技術にはいずれも、湿った成形製品を乾燥させる必要があり、このような乾燥は生産において時間とエネルギとを極めて消費する部分である。セルロース製品の審美性、化学的および機械的特性への要求は高まっており、そして湿式成形されるセルロース製品の特性により、機械的強度、柔軟性、材料厚さの自由度、および化学的特性には制限がある。また、湿式成形プロセスでは、製品の機械的特性を高精度で制御することも困難である。
【0004】
セルロース製品の製造分野における1つの開発は、湿式成形技術を使用することのない、乾式成形プロセスにおけるセルロース繊維の成形である。液体または半液体のパルプ懸濁液またはスラリーからセルロース製品を成形する代わりに、空気成形されたセルロースブランク構造体が使用される。空気成形されたセルロースブランク構造体が成形型内に挿入され、セルロース製品の成形中に、セルロースブランク構造体には、成形型内で高い成形圧および高い成形温度がかけられる。
【0005】
製品成形ユニットは、セルロース製品を乾式成形する際に使用され、製品成形ユニットは、一般的に、成形型を備えたプレスモジュールを使用する。このプレスモジュールに接続されて、例えば供給モジュールやブランク乾式成形モジュールなどの他のモジュールおよび構成要素が製品成形ユニット内に配置されている。製品成形ユニットは、通常、成形型内に高い製品成形圧を確立するために必要であるので、一般的には、鋼板などの他の材料を成形するために使用される、垂直型の液圧式プレスユニットなどの高容量のプレスモジュールを使用している。ブランク乾式成形モジュールは、一般的に、おむつ製造ユニットの成形モジュールなどの衛生産業から供給される。使用される製品成形ユニットは、使用される標準的なモジュールの形式により、および含まれるモジュールと構成要素とが多数であることにより、製造設備において大きなスペースを占める。
【0006】
他の目的のために開発された標準的なモジュールを使用することの1つの欠点は、様々な産業からの様々なモジュールを、空気成形されたセルロースブランク構造体からセルロース製品を製造するための製品形成ユニットに統合するためには、エンジニアリング作業が必要なことである。こうしたプロジェクトは、典型的には6~12ヶ月を要し、個々の製品成形ユニットに数人年かかる場合があり、通常は、複製やスケールアップの価値が低いカスタムメイドの産業ラインとして終わる。様々なモジュールを、別個に購入されたモジュールから成る1つの製品形成ユニットへ統合することは、多くのコンバータ(converter 加工業者)にとって、乾式成形への移行に対するハードルとなる。したがって、購入、出荷、設置、および運用の準備ができている、すべてが統合され、規格化された完全な製品成形ユニットが強く求められている。
【0007】
したがって、よりコンパクトなレイアウトと構造で、製品成形ユニットにおいて、空気成形されたセルロースブランク構造体からセルロース製品を製造するための改善された方法に対する需要がある。
【0008】
概要
本開示の課題は、上述した問題点を回避するような、製品成形ユニットにおいてセルロースブランク構造体からセルロース製品を乾式成形するための方法および製品成形ユニットを提供することである。この課題は、独立請求項の特徴により少なくとも部分的に解決される。従属請求項は、製品成形ユニットにおいてセルロースブランク構造体からセルロース製品を乾式成形するための方法のさらなる改良を含んでいる。
【0009】
本開示は、製品成形ユニットにおいてセルロースブランク構造体からセルロース製品を乾式成形するための方法に関する。製品成形ユニットは、ブランク乾式成形モジュールとプレスモジュールとを有している。セルロースブランク構造体は、ブランク乾式成形モジュール内で成形ワイヤ上に空気成形される。プレスモジュールは、セルロースブランク構造体からセルロース製品をプレス動作において成形するための1つ以上の成形型を有している。当該方法は、成形ワイヤを、プレス動作中に静止モードに置くステップを含んでいる。
【0010】
これらの特徴による利点は、製品形成ユニットのモジュール構造により、コンパクトなレイアウトを達成することができることである。静止モードは、製品成形ユニットの効率的な動作を提供し、ブランク乾式成形モジュールとプレスモジュールとの間でセルロースブランク構造体をバッファする必要がないので、極めてコンパクトなレイアウトを可能にする。従来の構成では、連続的に成形されるセルロースブランク構造体をブランク乾式成形モジュールから、間欠動作するプレスモジュールに供給するために、バッファモジュールが使用される。バッファモジュールは、製品成形ユニット内で大きなスペースを占めており、プレス動作中の静止モードを備えた設計により、バッファモジュールを省くことができる。ブランク乾式成形モジュールは、セルロースブランク構造体を予め製造する必要なしに、プレスモジュールに密接に接続した状態でセルロースブランク構造体を成形することを可能にする。さらに、製品成形ユニットの動作は、セルロースブランク構造体のインライン生産のために入力材料として使用されるセルロース原料により効率的である。プレス動作中、1つ以上の成形型は、セルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するために動作させられる。プレス動作は、1つ以上の成形型が、静止位置から動かされるときに開始される。静止位置では、1つ以上の協働する型部分が、互いに距離を置いて配置されていて、これらの型部分の間の成形位置において1つ以上の成形型内にセルロースブランク構造体を供給することができる。その後、これらの型部分は、セルロースブランク構造体に成形圧をかけるために互いに向かって動かされ、次いで、互いに離れるように動かされて静止位置へと戻される。型部分が再び静止位置へと達すると、プレス動作は完了する。したがって、プレス動作は、セルロースブランク構造体が成形圧に曝されるプレスサイクルとして定義され、プレス動作の継続期間は、1つ以上の型部分が静止位置から移動を開始する時点から、再び静止位置に到達するまでとして計算される。
【0011】
1つの実施形態では、このような静止モードでは、成形ワイヤは、停止状態に置かれる。停止状態の継続期間は、停止状態がプレス動作中に生じるように、プレス動作の継続期間に同期している。成形ワイヤは、プレス動作中の任意の時点で停止状態に置かれてよく、停止状態の継続期間は、プレス動作の継続期間の一部のみであってもよく、または代替的にプレス動作の全期間であってもよい。
【0012】
1つの実施形態では、静止モードには、搬送モードが続いている。搬送モードでは、成形ワイヤは運動状態に置かれる。当該方法は、空気成形されたセルロースブランク構造体を、運動状態にある成形ワイヤによって、ブランク乾式成形モジュールから離すように動かすステップをさらに含む。運動状態は、ブランク乾式成形モジュールからプレスモジュールへのセルロースブランク構造体の効率的な間欠搬送動作のために、空気成形されたセルロースブランク構造体のプレスモジュールへの供給に同期させられる。
【0013】
1つの実施形態では、運動状態は、2つの連続するプレス動作の間で少なくとも部分的に生じる。このようにして、製品成形ユニットの効率的な動作のために、運動状態は、少なくとも部分的に、1つ以上の成形型が静止位置にあるときに生じる。
【0014】
1つの実施形態では、セルロースブランク構造体が、乾式成形モジュールにおいて空気成形されて、分離したセルロースブランクとなる、またはセルロースブランク構造体が、乾式成形モジュールにおいて空気成形されて、連続的なセルロースブランクとなる。
【0015】
1つの実施形態では、当該方法は、セルロースブランク構造体を成形温度に加熱することにより、かつセルロースブランク構造体をプレス動作において成形圧でプレスすることにより、1つ以上の成形型においてセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するステップをさらに含む。
【0016】
1つの実施形態では、成形温度Tは、100~300℃の範囲に、好ましくは100~200℃の範囲にあり、成形圧Pは、1~100MPaの範囲に、好ましくは4~20MPaの範囲にある。これらのパラメータにより、強力な水素結合が形成されるセルロース製品の効率的な成形が提供されている。
【0017】
1つの実施形態では、プレス動作はシングルプレス動作である。シングルプレス動作とは、セルロース製品が、プレスモジュールにおいて1つの単一のプレス工程でセルロースブランク構造体から成形されることを意味する。シングルプレス動作では、2つ以上の繰り返されるまたは連続するプレス工程においてセルロースブランク構造体に成形圧と成形温度とが加えられることはない。
【0018】
1つの実施形態では、当該方法は、空気成形されたセルロースブランク構造体をブランク乾式成形モジュールからプレスモジュールへと搬送するステップをさらに含む。効率的な搬送のために、供給ベルトまたは供給ローラのような任意の適切な供給手段が使用されてよい。
【0019】
1つの実施形態では、セルロースブランク構造体は、ブランク乾式成形モジュールからプレスモジュールへと間欠的に搬送される。間欠的な供給は、間欠的に動作するプレスモジュール内へのセルロースブランク構造体の効率的な搬送を保証している。
【0020】
1つの実施形態では、セルロースブランク構造体は、第1の供給方向で成形ワイヤによってブランク乾式成形モジュールから間欠的に搬送され、かつ第2の供給方向でプレスモジュールへと間欠的に搬送される。第2の供給方向は、第1の供給方向とは異なっている。供給方向が異なることにより、製品成形ユニットのコンパクトなレイアウトが可能となっている。
【0021】
1つの実施形態では、第1の供給方向は、第2の供給方向の逆、または実質的に逆である。これにより、セルロースブランク構造体の効率的な供給が可能となり、この場合、セルロースブランク構造体は、第1の供給方向から第2の供給方向へと再方向付けされ、これらの方向は互いに逆であり、または互いに実質的に逆である。供給方向が異なっていることにより、コンバータのモジュールエンジニアスキルを全くまたは殆ど必要とせずに、複数のモジュールを、数ヶ月のうちに、貨物コンテナで輸送しコンバータの工場フロアに配置し接続して生産を開始することができる1つの単一のユニットまたは機械に統合することができる。さらなる利点は、供給方向が異なることにより、製品成形ユニットのよりコンパクトなレイアウトおよび構造が可能となることである。このような構造により、効率的かつコンパクトなレイアウトのために、従来とは異なる形式でモジュールを互いに対して位置決めすることができる。さらに、統合されたモジュール設計により、製品成形ユニットの重量を、個別に購入され、カスタムメイドの工業ラインとなるように整列された個々のモジュールを有する現行のユニットの数分の一に減じることができる。機械の重量は、一般的に、購入価格に関連するので、この解決手段は、コンバータのための複数回の投資コストも下げる。投資コストが減じられることにより、プラスチック材料の代わりにセルロース原料で作られた製品への転換がより迅速になる。
【0022】
1つの実施形態では、第1の供給方向は上向き方向であり、第2の供給方向は下向き方向である。これにより、製品成形ユニットの洗練された効率的なレイアウトが可能となり、ユニットは、コンパクトなレイアウトのために垂直方向に組み立てることができる。
【0023】
1つの実施形態では、当該方法は、セルロース原料を提供し、セルロース原料をブランク乾式成形モジュールへと供給するステップ;セルロース原料から、ブランク乾式成形モジュールにおいて成形ワイヤ上にセルロースブランク構造体を空気成形するステップをさらに含む。ブランク乾式成形モジュールは、セルロースブランク構造体を予め製造する必要なしに、プレスモジュールに密接に接続した状態でセルロースブランク構造体を成形することを可能にする。製品形成ユニットのモジュール構造により、コンパクトなレイアウトを達成することができる。さらに、製品成形ユニットの動作は、セルロースブランク構造体のインライン生産のために入力材料として使用されるセルロース原料により効率的である。
【0024】
1つの実施形態では、ブランク乾式成形モジュールは、ミルと成形チャンバとをさらに有している。成形ワイヤは、成形チャンバに接続されて配置されている。当該方法は、ミルにおいて、セルロース原料からセルロース繊維を分離し、分離されたセルロース繊維を、セルロースブランク構造体を空気成形するために成形チャンバ内で成形ワイヤ上に分配するステップをさらに含む。ミルは、セルロース原料からセルロース繊維を分離するように構成されていて、成形チャンバは、分離されたセルロース繊維を、セルロースブランク構造体を空気成形するために成形ワイヤ上に効率的に分配するように構成されている。
【0025】
1つの実施形態では、当該方法は、ミルを継続的に動作させるステップ;およびセルロース原料をミルに継続的に供給するステップ、またはセルロース原料をミルに間欠的に供給するステップをさらに含む。
【0026】
1つの実施形態では、成形ワイヤは、成形チャンバの成形チャンバ開口に接続されて配置されている成形セクションを有している。当該方法は、成形セクション上にセルロースブランク構造体を空気成形するステップをさらに含む。成形セクションは、成形ワイヤ上へのセルロースブランク構造体の成形を制御していて、さらに成形セクションは、セルロースブランク構造体を適切な外形に形状を整えるために使用することができる。
【0027】
1つの実施形態では、成形セクションは、上向きのブランク成形方向で延在している。当該方法は、成形セクション上にセルロースブランク構造体を空気成形し、成形されたセルロースブランク構造体を成形ワイヤによって上向きのブランク成形方向で搬送するステップをさらに含む。従来のものとは異なる、成形セクションの上向きの延在により、プレスモジュールへの直接の搬送のためにセルロースブランク構造体を上向きの方向で成形することができるので、製品成形ユニットのコンパクトなレイアウトが可能とされている。
【0028】
1つの実施形態では、成形セクションは、水平方向のブランク成形方向で延在している。当該方法は、成形セクション上にセルロースブランク構造体を空気成形し、成形されたセルロースブランク構造体を成形ワイヤによって水平方向のブランク成形方向で搬送するステップをさらに含む。このような従来の方向付けにより、効率的な成形プロセスに対する代替案が提供されている。
【0029】
1つの実施形態では、成形ワイヤは、成形チャンバに面した第1の側と、成形チャンバに接続されて配置された真空ボックスに面した第2の側とを有している。真空ボックスは、成形チャンバ内の空気流を制御し、分離されたセルロース繊維を成形ワイヤ上へ分配するように構成されている。当該方法は、成形ワイヤの第1の側上にセルロースブランク構造体を空気成形するステップ;第1の側へのセルロース繊維の付着を確実にするために、第2の側に負圧をかけるステップをさらに含む。
【0030】
1つの実施形態では、製品成形ユニットは、ブランクリサイクルモジュールを有している。当該方法は、セルロースブランク構造体の残余部分をプレスモジュールからブランク乾式成形モジュールへと搬送するステップをさらに含む。残余部分の搬送により、セルロースブランク構造体の使用されなかった部分を再利用できることが保証されている。
【0031】
1つの実施形態では、ブランクリサイクルモジュールは、リサイクル圧縮ユニットを有している。当該方法は、プレスモジュールからブランク乾式成形モジュールに搬送するときに、リサイクル圧縮ユニットにおいて、セルロースブランク構造体の残余部分を圧縮するステップをさらに含む。残余部分を圧縮することにより、ミルにおける効率的な動作が達成される。
【0032】
1つの実施形態では、プレスモジュールは、セルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールである。当該方法は、トグルプレスと1つ以上の成形型とを有するセルロース製品トグルプレスモジュールを提供するステップであって、この場合、トグルプレスは、プレス方向で可動に配置されたプレス部材と、プレス部材に接続されたトグル機構と、トグル機構に接続されたプレスアクチュエータアセンブリと、プレスアクチュエータアセンブリに動作可能に接続された電子制御システムとを有しており、この場合、1つ以上の成形型はそれぞれ、プレス部材に取り付けられた可動の第1の型部分と、定置の第2の型部分とを有しているステップ;トグルプレスを、主に水平方向に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、具体的には水平方向から20度以内に配置された、プレス部材のプレス方向を有するように、より具体的には水平方向に対して平行なプレス方向を有するように、設置するステップ;セルロースブランク構造体を、離間した第1および第2の型部分によって画定されたプレス領域内に供給するステップ;トグル機構を使用してプレス方向でプレス部材を駆動するように、そして各第1の型部分を定置の第2の型部分に対して押し付けることにより、セルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するように、電子制御システムによって、プレスアクチュエータアセンブリの動作を制御するステップ、をさらに含む。トグルプレスの向きが主に水平方向であることにより、セルロース製品成形ユニットの構成高さを低くすることができ、ブランク乾式成形モジュールからプレスモジュールへのセルロースブランク構造体の非直線的な材料流が可能となる。セルロース繊維材料の連続的なウェブは、典型的に、プレスモジュールのプレス方向に対してほぼ直角にプレスモジュールへと供給されるので、トグルプレスの主に水平な向きは、典型的には、連続的なセルロースブランク構造体の主に垂直に配置される供給流に関連する。したがって、主に水平方向に配置されたプレス部材を有する、具体的には水平方向から20度以内に配置されたプレス部材のプレス方向を有する、より具体的には水平方向に対して平行なプレス方向を有する、セルロース製品の効率的な生産のためのコンパクトなセルロース製品成形ユニットを開発するならば、主に水平方向に配置されたプレスモジュールが極めて有益であることは明白である。
【0033】
本開示はさらに、セルロースブランク構造体からセルロース製品を乾式成形するための製品成形ユニットに関する。製品成形ユニットは、ブランク乾式成形モジュールとプレスモジュールとを有している。セルロースブランク構造体は、ブランク乾式成形モジュール内で成形ワイヤ上に空気成形される。プレスモジュールは、セルロースブランク構造体からセルロース製品をプレス動作において成形するように構成された1つ以上の成形型を有している。ブランク乾式成形モジュールは、成形ワイヤを、プレス動作中に静止モードに置くように構成されている。静止モードは、製品成形ユニットの効率的な動作を提供し、ブランク乾式成形モジュールとプレスモジュールとの間でセルロースブランク構造体をバッファする必要がないので、極めてコンパクトなレイアウトを可能にする。ブランク乾式成形モジュールは、セルロースブランク構造体を予め製造する必要なしに、プレスモジュールに密接に接続した状態でセルロースブランク構造体を成形することを可能にする。さらに、製品成形ユニットの動作は、セルロースブランク構造体のインライン生産のために入力材料として使用されるセルロース原料により効率的である。
【0034】
本開示を、添付の図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示による製品成形ユニットを概略的に示す側面図である。
図2】本開示によるブランク乾式成形モジュールを概略的に示す斜視図である。
図3a】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す斜視図である。
図3b】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
図3c】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
図3d】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
図3e】本開示によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
図4a】本開示の選択的な実施形態によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
図4b】本開示の選択的な実施形態によるプレスモジュールを概略的に示す側面図である。
図5a】本開示による製品成形ユニット内におけるセルロースブランク構造体を送る経路の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図5b】本開示による製品成形ユニット内におけるセルロースブランク構造体を送る経路の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図6】本開示による選択的な実施形態の製品成形ユニットを概略的に示す側面図である。
【0036】
例示的な実施形態の説明
本開示の様々な態様を、添付の図面につき以下に説明するが、この態様は、説明するためのものであって本開示を限定するものではなく、その際、同様の名称は同様の要素を指し、説明された態様の変化態様は、具体的に示された実施形態に限定されず、本開示の他の変化態様に適用可能である。
【0037】
当業者であれば、本明細書で説明するステップ、サービスおよび機能は、個々のハードウェア回路を使用することによって、プログラミングされたマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータと共に機能するソフトウェアを使用することによって、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)を使用することによって、かつ/または1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を使用することによって実行され得ることを理解するだろう。また、本開示が方法に関して説明される場合、本開示は、1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリにおいて実施されてもよく、この場合、1つ以上のメモリは、1つ以上のプロセッサによって実行される際に、本明細書に開示されたステップ、サービスおよび機能を実行する1つ以上のプログラムを格納することを理解されたい。
【0038】
図1は、空気成形されたセルロースブランク構造体2からセルロース製品1を乾式成形するための製品成形ユニットUを概略的に示している。製品成形ユニットUは、水平方向または平面Dおよび垂直方向Dに延在を有する。製品成形ユニットUは、さらに後述するように、ブランク乾式成形モジュール4とプレスモジュール6とを備える。セルロース製品1は、製品成形ユニットUにおいてセルロースブランク構造体2から乾式成形される。プレスモジュール6は、セルロースブランク構造体2からセルロース製品1をプレス動作Oにおいて成形するための1つ以上の成形型3を有している。セルロースブランク構造体2は、ブランク乾式成形モジュール4内で成形ワイヤ4c上に空気成形されて、プレスモジュール6の1つ以上の成形型3へと供給される。したがって、セルロース製品1の成形は、プレスモジュール6において行われる。セルロース製品1は、好適には非平坦である。非平坦な製品とは、ブランクまたはシートなどの平坦な製品とは異なる、三次元の広がりを有する製品を意味する。
【0039】
空気成形されたセルロースブランク構造体2とは、セルロース繊維から製造された実質的に空気成形された繊維ウェブ構造体を意味する。セルロース繊維は、適切なセルロース原料R、例えば、パルプ材料に由来するものであってよい。適切なパルプ材料は、例えば、フラッフパルプ、紙構造体、または他のセルロース繊維含有構造体である。セルロースブランク構造体2の空気成形とは、セルロースブランク構造体2を製作するためにセルロース繊維が空気成形される乾式成形プロセスにおけるセルロースブランク構造体の成形を意味する。空気成形プロセスでセルロースブランク構造体2を空気成形する場合、搬送媒体としての空気によってセルロース繊維を搬送して繊維ブランク構造体2となるように成形する。これは、紙または繊維構造体を成形する際にセルロース繊維の搬送媒体として水が使用される通常の製紙プロセスまたは従来の湿式成形プロセスとは異なる。空気成形プロセスでは、セルロース製品の特性を変化させるために、少量の水または他の物質が、必要に応じてセルロース繊維に添加されてよいが、成形プロセスではなお、空気が搬送媒体として使用される。セルロースブランク構造体2は、適切であるならば、空気成形されたセルロースブランク構造体2を取り囲む雰囲気中の周囲湿度に主に対応する乾燥度を有していてよい。代替的に、セルロースブランク構造体2の乾燥度は、セルロース製品1を成形する際に適切な乾燥度レベルを有するように制御することができる。
【0040】
空気成形されたセルロースブランク構造体2は、図1および図2に示したようなブランク乾式成形モジュール4でセルロース繊維から成形されていて、様々な方法で構成されてよい。例えば、セルロースブランク構造体2は、セルロース製品1の所望の特性に応じて、繊維が同じ起源であるかまたは代替的に2種以上のセルロース繊維の混合物を含む組成を有していてよい。セルロースブランク構造体2に使用されるセルロース繊維は、セルロース製品1の成形プロセス中に水素結合によって互いに強く結合される。さらに後述するように、セルロース繊維は、他の物質または化合物と一定量まで混合されてよい。セルロース繊維とは、天然セルロース繊維または製造されたセルロース繊維などの、あらゆるタイプのセルロース繊維を意味する。セルロースブランク構造体2は、具体的には少なくとも95%のセルロース繊維を、またはより具体的には少なくとも99%のセルロース繊維を含んでいてよい。しかしながら、セルロースブランク構造体2は、別の適切な構造およびセルロース繊維量を有していてもよい。
【0041】
空気成形されたセルロースブランク構造体2は、単層構造または複層構造を有していてよい。単層構造を有するセルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む1つの層から形成された構造体を意味している。複層構造を有するセルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む2層以上から形成された構造体を意味しており、この場合、これらの層は、同じまたは異なる組成または構造を有していてよい。
【0042】
セルロース繊維を含む1つ以上の強化層が、セルロースブランク構造体2に追加されてもよい。1つ以上の強化層は、セルロースブランク構造体2のための支持層として配置されてよい。強化層は、セルロースブランク構造体2よりも高い引張強度を有していてよい。これは、セルロースブランク構造体2の1つ以上の空気成形された層が、低い引張強度の組成を有する場合に、セルロース製品1の成形中にセルロースブランク構造体2が破壊されることを避けるために有効である。より高い引張強度を有する強化層は、このようにして、セルロースブランク構造体2のための支持構造体として機能する。強化層は、セルロースブランク構造体2とは異なる組成物、例えば、セルロース繊維を含む組織層、セルロース繊維を有するエアレイド構造体、またはその他の適切な層構造体から成っていてよい。したがって、強化層は空気成形される必要はない。
【0043】
セルロースブランク構造体2はさらに、例えば、セルロース製品1が、飲料、食品、および他の含水物質と接触して使用される場合に、セルロース製品に液体を保持するまたは液体に耐える能力を与える1つ以上のバリア層を含んでいてよい、またはこのようなバリア層に接続されて配置されてよい。1つ以上のバリア層は、セルロースブランク構造体2のその他の層とは異なる組成物、例えば、バリア構造組織であってよい。
【0044】
セルロースブランク構造体2の1つ以上の空気成形された層は、ふわふわとした空気のような構造体であり、この構造体を形成するセルロース繊維は、互いに対して比較的ルーズに配置されている。ふわふわとしたセルロースブランク構造体2は、セルロース製品1の効率的な成形のために使用され、成形プロセス中に、セルロース繊維がセルロース製品1を効率的に成形することを可能にする。
【0045】
プレスモジュール6は、図1図3a~図3eおよび図6に示したように、1つ以上の成形型3を有しており、各成形型3は、第1の型部分3aと第2の型部分3bとを有している。対応する第1および第2の型部分は、プレスモジュール6におけるセルロース製品1の成形中にプレス動作Oにおいて互いに協働する。各第1の型部分3aと対応する第2の型部分3bとは、互いに相対的に可動に配置されていて、第1の型部分3aと第2の型部分3bとは、プレス方向Dで互いに相対的に動くように構成されている。
【0046】
図1図3a~図3e、および図6に示した実施形態では、第2の型部分3bは定置であり、第1の型部分3aは、プレス動作O中、プレス方向Dで第2の型部分3bに対して可動であるように配置されている。図3a~図3bに両方向矢印で示されたように、第1の型部分3aは、プレス方向Dで延在する軸線に沿った線形運動で、第2の型部分3bに向かって、そしてまた第2の型部分3bから離れるように両方向で動くように構成されている。
【0047】
代替的な実施形態では、プレス動作O中、第1の型部分3aが定置であってよく、かつ第2の型部分3bが第1の型部分3aに対して可動に配置されていてよく、または第1の型部分3aおよび第2の型部分3bの両方ともが、互いに対して可動に配置されていてもよい。
【0048】
プレスモジュール6は、シングルキャビティ構造または代替的にマルチキャビティ構造であってよい。シングルキャビティプレスモジュールは、図6に示されているように、第1および第2の型部分を備えた1つだけの成形型3を有している。マルチキャビティプレスモジュールは、それぞれ協働する第1および第2の型部分を備えた2つ以上の成形型3を有している。図1および図3aに示した実施形態では、プレスモジュール6は、第1および第2の型部分を備えた複数の成形型3を有するマルチキャビティプレスモジュールとして配置されており、型部分の動きは、同時の成形動作のために好適には同期されている。図3b~図3eに示されたプレスモジュール6の部分は、シングルキャビティ構造を、または代替的にマルチキャビティ構造の、1つの成形型3を備えた一区分を示している。以下では、プレスモジュール6を、マルチキャビティプレスモジュールに関して説明するが、本開示は、シングルキャビティプレスモジュールにも同様に適用可能である。
【0049】
本開示によるすべての実施形態について、プレス方向Dでの動きという表現は、プレス方向Dでの運動を含み、この運動は逆方向で行われてもよいことを理解されたい。この表現はさらに、型部分の線形の運動および非線形の運動の両方を含んでいてよく、この場合、成形中の運動の結果として、プレス方向Dで型部分が再配置される。
【0050】
プレス動作Oという表現は、セルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するための型部分の動作を意味する。プレス動作Oは、1つ以上の第1の型部分3aおよび/または1つ以上の第2の型部分が、静止位置Pから動かされるときに開始される。静止位置では、1つ以上の第1の型部分3aと1つ以上の第2の型部分3bとが、互いに距離を置いて配置されていて、1つ以上の第1の型部分3aと1つ以上の第2の型部分3bとの間の成形位置において成形型3内にセルロースブランク構造体2を供給することができる。その後、1つ以上の第1の型部分3aおよび/または1つ以上の第2の型部分3bは、セルロースブランク構造体2に成形圧をかけるために互いに向かって動かされ、次いで、互いに離れるように動かされて静止位置Pへと戻される。型部分が再び静止位置Pへと達すると、プレス動作Oは完了する。したがって、プレス動作Oは、セルロースブランク構造体が成形圧に曝されるプレスサイクルとして定義され、プレス動作Oの継続期間は、静止位置Pから1つ以上の第1の型部分3aおよび/または1つ以上の第2の型部分3bが移動を開始する時点から、再び静止位置Pに到達するまでとして計算される。
【0051】
成形圧は、プレス動作O中に1回だけのプレス工程でセルロースブランク構造体2に加えられてよいことを理解されたい。代替的には、成形圧は、プレス動作O中に2回以上の繰り返されるプレス工程で加えられてもよく、このようにして、型部分は、セルロースブランク構造体に成形圧を繰り返し加えている。
【0052】
好適には、プレス動作Oは、成形圧が、プレス動作O中に1回だけのプレス工程でセルロースブランク構造体2に加えられるシングルプレス動作OSPである。すなわち、シングルプレス動作OSPとは、セルロース製品1が、プレスモジュール6において1つの単一のプレス工程でセルロースブランク構造体2から成形されることを意味する。このシングルプレス動作OSPでは、1つ以上の第1の型部分3aと1つ以上の第2の型部分3bとが、単一の動作係合工程中に成形圧と成形温度とを確立するように互いに相互作用する。シングルプレス動作では、2つ以上の繰り返されるまたは連続するプレス工程においてセルロースブランク構造体2に成形圧と成形温度とが加えられることはない。
【0053】
空気成形されたセルロースブランク構造体2からセルロース製品1を製品成形ユニットUにおいて成形するために、セルロースブランク構造体2は、製品成形ユニットUのブランク乾式成形モジュール4でセルロース繊維から空気成形されて、プレスモジュール6に直接供給される。
【0054】
セルロース製品1は、セルロースブランク構造体2を成形温度Tに加熱することにより、かつセルロースブランク構造体2をプレス動作Oにおいて成形圧Pでプレスすることにより、1つ以上の成形型3においてセルロースブランク構造体2から成形される。成形温度Tは、100~300℃の範囲に、好ましくは100~200℃の範囲にあり、成形圧Pは、1~100MPaの範囲に、好ましくは4~20MPaの範囲にある。第1の型部分3aは、図3b~図3eに例示されるように、対応する第2の型部分3bとの相互作用により、セルロース製品1を成形するように配置されている。セルロース製品1の成形中、セルロースブランク構造体2は、各成形型3内で、1~100MPaの範囲の、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧Pに、かつ100~300℃の範囲の、好ましくは100~200℃の範囲の成形温度Tに曝される。したがって、セルロースブランク構造体2を100~300℃の範囲の、好ましくは100~200℃の範囲の成形温度Tに加熱することにより、かつセルロースブランク構造体2を1~100MPaの範囲の、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧Pでプレスすることにより、各第1の型部分3aと対応する第2の型部分3bとの間でセルロースブランク構造体2からセルロース製品1が成形される。セルロース製品1を成形する場合、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に配置されたセルロースブランク構造体2内のセルロース繊維間に強力な水素結合が形成される。温度レベルおよび圧力レベルは、例えば、セルロースブランク構造体2内のセルロース繊維内に、またはセルロース繊維に接続されて配置された適切なセンサによって、成形プロセス中にセルロースブランク構造体2において測定される。
【0055】
プレスモジュール6は、加熱ユニットをさらに有していてよい。加熱ユニットは、各成形型3内のセルロースブランク構造体2に成形温度Tを与えるように構成されている。加熱ユニットは、任意の適切な構造を有していてよい。加熱ユニットは、第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに組み込まれていてよくまたは鋳込まれていてよく、適切な加熱機器は、例えば、抵抗器素子のような電気ヒータまたは流体ヒータである。別の適切な熱源を使用することもできる。
【0056】
図3bでは、第1の型部分3aと第2の型部分3bとは静止位置Pに配置されていて、この静止位置から第1の型部分3aは、プレス動作Oを開始するために動かされることができる。図3bに示したように、セルロースブランク構造体2が第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間の成形位置に配置されている場合、第1の型部分3aは、図3cにおいて矢印で示されているように、プレス方向Dで第2の型部分3bに向かって動かされる。第1の型部分3aが第2の型部分3bに向かって動かされるとき、第1の型部分3aが第2の型部分3bに向かってさらに動かされて、図3dに示されているような、セルロースブランク構造体2に成形圧Pおよび成形温度Tがかけられる製品成形位置に達するまで、セルロースブランク構造体2は、型部分の間でますます圧縮される。各第1の型部分3aが、対応する第2の型部分3bに向かって押され、これらの型部分の間にセルロースブランク構造体2が配置されている状態で、セルロース製品1の成形中、セルロース製品1を成形するための成形キャビティCが、各第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に形成される。成形圧Pおよび成形温度Tが、各成形キャビティC内でセルロースブランク構造体2に加えられる。セルロース製品1の成形はさらに、プレスモジュール6における縁部成形動作および切断または分離動作を含んでいてよく、この場合、縁部はセルロース製品1に成形され、セルロース製品1は、セルロース製品1の成形中にセルロースブランク構造体2から分離される。型部分には、このような動作のために、例えば縁部成形装置および切断または分離装置が配置されていてよく、もしくは代替的に、縁部は、製品の切断または分離動作で成形されてもよい。セルロース製品1がプレスモジュール6内で成形されると、第1の型部分3aは、図3eにおいて示されているように、第2の型部分3bから離れる方向に動かされ、セルロース製品1を、例えば、エジェクタ棒または類似の装置を使用して、プレスモジュール6から取り出すことができる。第1の型部分3aが、図3bに示されたような静止位置Pに戻ると、プレス動作は完了する。
【0057】
成形圧を確立するための圧力分配エレメントEが、各第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに接続されて配置されていてよい。図3b~図3eに示された実施形態では、圧力分配エレメントEは、第1の型部分3aに取り付けられている。圧力分配エレメントEは、圧力がかけられると変形し、型部分の1つに接続させて圧力分配エレメントEを配置することにより、成形圧Pは、等化された成形圧力として形成されてよく、この場合、成形型3内の圧力は、様々な方向に効率的に分配される。圧力分配エレメントEは、プレス方向Dだけでなく、プレス方向Dとは異なる方向でも、例えば、プレス方向Dと、プレス方向Dに対して直交する方向との間の方向でも、成形型3内の成形圧分配を可能としている。等化された成形圧は、等方成形圧を含んでいてよい。
【0058】
第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bは、圧力分配エレメントEを有していてよく、圧力分配エレメントEは、セルロース製品1の成形中に、成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2に成形圧Pをかけるように構成されている。圧力分配エレメントEは、適切な取付け手段、例えば、接着剤または機械的な固定手段によって、第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに取り付けられてよい。セルロース製品1の成形中、圧力分配エレメントEは、成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2に成形圧Pをかけるために変形されて、圧力分配エレメントEの変形により、セルロース製品1が複雑な3次元形状を有していたとしても、またはセルロースブランク構造体2が可変の厚さを有していたとしても、等化された圧力分配が達成される。セルロースブランク構造体2に必要な成形圧Pをかけるために、圧力分配エレメントEは、力または圧力がかけられると変形することができる材料から形成されていて、圧力分配エレメントEは好適には、変形後にサイズと形状とを回復することができる弾性材料から形成されている。圧力分配エレメントEはさらに、セルロース製品1の成形時に使用される高い成形圧Pおよび成形温度Tレベルに耐える適切な特性を有した材料から形成されていてよい。
【0059】
ある種の弾性的なまたは変形可能な材料は、高い圧力レベルに曝されたときに流体のような特性を有する。圧力分配エレメントEがそのような材料から形成されているならば、またはそのような材料と組み合わせられているならば、成形プロセスにおいて等化された圧力分配を達成することができる。各圧力分配エレメントEは、弾性材料の適切な構造体から形成されていてよく、一例として、圧力分配エレメントEは、ゲル材料、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリクロロプレン、ゴム、または異なる適切な材料の組み合わせから成る構造体から形成されていてよい。
【0060】
上述したように、製品成形ユニットUは、図1図2および図6に示されたように、セルロース原料Rからセルロースブランク構造体2を空気成形するように構成されたブランク乾式成形モジュール4をさらに有している。セルロース原料Rは、適切な供給源から提供され、セルロース原料Rは、ブランク乾式成形モジュール4へと供給される。セルロースブランク構造体2は、セルロース原料Rから、ブランク乾式成形モジュール4内で成形ワイヤ4c上に乾式成形されて、その後、この空気成形されたセルロースブランク構造体2は、ブランク乾式成形モジュール4からプレスモジュール6へと搬送される。セルロースブランク構造体2は、乾式成形モジュール4内で空気成形されて、図2に示されているように、分離したセルロースブランク2aにすることができる。分離したセルロースブランク2aは、互いに分離された材料の分離片として成形され、例えば、成形後の材料残余を回避するために適切な外形に形状を整えることができ、これにより、使用されるセルロース材料の量は最小限に抑えられる。代替的に、セルロースブランク構造体2は、乾式成形モジュール4内で空気成形されて、図2および図6に示されているように、連続したセルロースブランク2bにすることができる。空気成形プロセスに応じて、空気成形されたセルロースブランク構造体2の坪量は、均一または可変であってよい。
【0061】
図1および図2に示されているように、ブランク乾式成形モジュール4は、ミル4aと、成形チャンバ4bと、成形チャンバ4bに接続して配置された成形ワイヤ4cとを有している。セルロース原料Rの繊維Fは、ミル4aでセルロース原料Rから分離され、分離されたセルロース繊維Fは、成形チャンバ4b内に分配されて、セルロースブランク構造体2を空気成形するために成形ワイヤ4c上へ到る。ミル4aは、セルロース原料Rからセルロース繊維Fを分離するように構成されていて、成形チャンバ4bは、分離されたセルロース繊維Fを、セルロースブランク構造体2を空気成形するために成形ワイヤ4cの成形セクション4d上に分配するように構成されている。成形セクション4dは、成形チャンバ4bの成形チャンバ開口4eに接続されて配置されている。図示した実施形態では、成形セクション4dは、上向きのブランク成形方向Dで延在している。セルロースブランク構造体2は、成形セクション4d上に空気成形されて、成形ワイヤ4cによって、成形セクション4dから上向きのブランク成形方向Dで搬送される。上向きのブランク成形方向Dは、製品成形ユニットUのコンパクトな構造およびレイアウトのために用いられ、製品成形ユニットUの様々なモジュールの互いに対する効率的な位置決めを可能にする。セルロースブランク構造体2が成形セクション4d上に成形された後、成形されたセルロースブランク構造体2は、成形セクション4dから上向きのブランク成形方向Dで搬送され、さらにプレスモジュール6に向かって搬送される。
【0062】
ミル4aは、セルロース原料Rからセルロース繊維Fを分離して、分離されたセルロース繊維Fを成形チャンバ4b内に分配している。使用されるセルロース原料Rは、例えば、フラッフパルプ、紙構造体、または他の適切なセルロース繊維含有構造体のベイル、シートまたはロールであってよく、これらがミル4a内に供給される。ミル4aは、例えば、ハンマーミル、ディスクミル、鋸歯ミル、または他の種類のパルプ解繊機等の任意の従来の形式のものであってよい。セルロース原料Rは、入口開口からミル4a内に供給され、分離されたセルロース繊維Fは、成形チャンバ4bに接続されて配置された、ミル4aの出口開口を通って成形チャンバ4bへと分配される。
【0063】
成形チャンバ4bは、分離されたセルロース繊維を、セルロースブランク構造体2を空気成形するために、成形ワイヤ4c上に分配するように配置されている。成形チャンバ4bは、成形ワイヤ4cに接続されたフード構造体または区画として配置されている。成形チャンバ4bは、分離されたセルロース繊維Fが、ミル4aから成形ワイヤ4cへと分配される容積を取り囲んでいる。セルロース繊維Fは、ミル4aによって発生させられた空気流によって分配され、この空気流は、成形チャンバ4b内の繊維を、ミル4aから成形ワイヤ4cへと搬送する。
【0064】
成形ワイヤ4cは、任意の適切な従来の形式のものであってよく、図1図2、および図6から理解されるように、無端ベルト構造として形成されていてよい。成形チャンバ4b内の空気流を制御し、分離されたセルロース繊維Fを成形ワイヤ4c上へ分配するために、真空ボックス4fが、成形ワイヤ4cおよび成形チャンバ4bに接続されて配置されてよい。成形ワイヤ4cは、成形チャンバ4bに面した第1の側S1と、真空ボックス4fに面した第2の側S2とを有している。第1の側S1へのセルロース繊維Fの付着を確実にするために、第2の側S2に負圧PNEGをかけながら、セルロースブランク構造体2はこのようにして、成形ワイヤ4cの第1の側S1上に空気成形される。
【0065】
図1および図2に示された実施形態のブランク乾式成形モジュール4は、ミル4aから成形チャンバ4bを通って成形ワイヤ4cへと向かう、セルロース繊維Fの水平分配方向を有する。したがって、空気の水平方向流が、セルロース繊維Fをミル4aから成形セクション4dへと供給し、この点では、空気の垂直方向流を用いる従来の乾式成形システムとは異なっている。成形チャンバ4bの内側の空気流による繊維搬送距離の長さは、乱流を最小限に抑えかつ/またはセルロース繊維Fの均一な流れを生じさせるのに十分な長さでなければならない。したがって、ブランク成形モジュール4の長さは、そのために、空気流による繊維搬送距離に依存している。上向きのブランク成形方向Dは、製品成形ユニットUのコンパクトな構造およびレイアウトを可能にしていて、従来の手段と比較して、製品成形ユニットUの長さを減じている。さらに、ブランク乾式成形ユニット4が工場の床レベルに配置されていることにより、高さを上げる床構造またはプラットフォームを追加することなく、ミル4aのメンテナンスのためのアクセスが工場の床レベルから可能になる。このような配置と空気の水平方向流とによって、垂直方向の空気流を使用する従来の手段と比較して製品成形ユニットUの高さを低くすることもできる。
【0066】
ブランク乾式成形モジュール4は、例えば、図1および図6に示されているように、プレスモジュール6の上流に配置されていて、このブランク乾式成形モジュール4は、セルロース原料Rに由来するセルロース繊維Fからセルロースブランク構造体2を空気成形するという目的を有している。プレスモジュール6の間欠動作に起因して、セルロースブランク構造体2をプレスモジュール6に間欠的に搬送しなければならない。
【0067】
プレスモジュール6へのセルロースブランク構造体2の間欠的な搬送は、セルロースブランク構造体2をプレスモジュール6に供給するように間欠的に制御される、例えばコンベヤベルトまたは供給ローラなどの適切な供給装置によって行われる。プレスモジュール6が、セルロースブランク構造体2に成形圧Pを加えるように動作させられるとき、セルロースブランク構造体2は非運動状態にある。換言すると、1つ以上の第1の型部分3aと1つ以上の第2の型部分3bとの間の成形位置へのセルロースブランク構造体2の供給は、型部分が少なくとも部分的に開放状態にあるときに行われる。少なくとも部分的に開放状態にあることにより、型部分による妨害となる相互作用なしに、1つ以上の第1の型部分3aと1つ以上の第2の型部分3bとの間にセルロースブランク構造体2を安全に配置することができる。成形ユニットUは、いかなるバッファモジュールもまたは類似の装置も備えることなく配置されているので、プレスモジュールへのセルロースブランク構造体の間欠的な搬送は、ブランク乾式成形モジュール4におけるセルロースブランク構造体2の空気成形と同期されていなければならない。このような同期は、本開示により、成形ワイヤ4cを、プレス動作O中に静止モードMSTに置くことにより達成される。このような静止モードMSTでは、成形ワイヤ4cは、停止状態SSTに置かれる。停止状態SSTの継続期間は、停止状態SSTがプレス動作O中に生じるように、プレス動作Oの継続期間に同期している。成形ワイヤ4cは、プレス動作O中の任意の時点で停止状態SSTに置かれてもよく、停止状態SSTの継続期間は、プレス動作Oの継続期間の一部のみであってもよく、または代替的にプレス動作Oの全期間であってもよい。
【0068】
成形ワイヤ4cの静止モードMSTに、搬送モードMTRが続く。搬送モードMTRでは、成形ワイヤ4cは運動状態SMOに置かれていて、空気成形されたセルロースブランク構造体2は、運動状態SMOにある成形ワイヤ4cによって、ブランク乾式成形モジュール4から離される。1つ以上の第1の型部分3aおよび/または1つ以上の第2の型部分が、静止位置Pにあるとき、2つの連続するプレス動作Oの間で、運動状態SMOが少なくとも部分的に生じる。運動状態SMOは、ブランク乾式成形モジュール4からプレスモジュール6へのセルロースブランク構造体2の効果的な間欠搬送動作が行われるように、空気成形されたセルロースブランク構造体2のプレスモジュールへの供給に同期させられる。セルロースブランク構造体6は、好適には、成形ワイヤ4cから、セルロースブランク構造体2をプレスモジュール6へとさらに搬送する供給装置へと移送される。
【0069】
成形ワイヤ4cの様々なモードおよび状態は、製品成形ユニットUの効率的な動作のために制御ユニットによって適切に制御される。
【0070】
ミル4aは、乾式成形モジュール4内で空気成形されているセルロースブランク構造体2の構成に応じて様々な形式で動作させられてよい。ミル4aは、好適には連続的に動作する。1つの実施形態では、セルロース原料Rは、ミル4aに連続的に供給される。代替的な実施形態ではそうではなく、セルロース原料Rは、ミル4aに間欠的に供給される。
【0071】
図1に示された実施形態では、セルロースブランク構造体2を、第1の供給方向DF1で成形ワイヤ4cによってブランク乾式成形モジュール4から間欠的に搬送し、その後、第2の供給方向DF2でプレスモジュール6へと間欠的に搬送しており、この場合、第2の供給方向DF2は、第1の供給方向DF1とは異なっている。第1の供給方向DF1と第2の供給方向DF2とが異なることにより、製品成形ユニットUのコンパクトな構造およびレイアウトが可能となり、製品成形ユニットUの様々なモジュールの互いに対する効果的かつコンパクトな位置決めが可能となる。
【0072】
特定の実施形態では、第1の供給方向DF1は、第2の供給方向DF2の逆、または実質的に逆である。図1に示した実施形態では、第1の供給方向DF1は上向き方向であり、第2の供給方向DF2は下向き方向であり、これにより製品成形ユニットUのコンパクトかつ効果的な構造が可能となっている。
【0073】
図6に示された代替的な実施形態では、成形ワイヤ4cの成形セクション4dは、水平方向のブランク成形方向DHFで延在している。セルロースブランク構造体2は、この実施形態では、成形セクション4d上に空気成形されて、成形ワイヤ4cによって、成形セクション4dから水平方向のブランク成形方向DHFに搬送される。水平方向のブランク成形方向DHFは、製品成形ユニットUの従来の構造およびレイアウトのために用いられ、互いに対する、製品成形ユニットUの様々なモジュールの効率的な位置決めを可能にする。セルロースブランク構造体2が成形セクション4d上に成形された後、成形されたセルロースブランク構造体2は、成形セクション4dから水平方向のブランク成形方向DHFで、プレスモジュール6に向かってさらに搬送される。
【0074】
図6に示された実施形態のブランク乾式成形モジュール4は、ミル4aから成形チャンバ4bを通って成形ワイヤ4cへ向かう、セルロース繊維Fの垂直分配方向を有する。したがって、空気の垂直方向流が、セルロース繊維Fをミル4aから成形セクション4dへと供給している。
【0075】
プレスモジュール6は、例えば液圧プレスモジュールまたはトグルプレスモジュールなどの、任意の適切な構造を有していてよい。
【0076】
プレスモジュール6の1つの実施形態が、図3aに示されている。図示した実施形態では、プレスモジュール6は、セルロースブランク構造体2からセルロース製品1を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールである。セルロース製品トグルプレスモジュールは、図1および図3a~図3eに示したように、1つ以上の成形型3を有しており、各成形型3は、第1の型部分3aと第2の型部分3bとを有している。
【0077】
プレスモジュール6は、トグルプレス6aと1つ以上の成形型3とを有している。トグルプレス6aは、前側構造体6bと、後側構造体6cと、プレス方向Dで可動に配置されたプレス部材6dとを有している。トグル機構6eは、プレス部材6dに駆動接続されている。プレスアクチュエータアセンブリ6fは、トグル機構6eに駆動接続されていて、電子制御システム6hは、プレスアクチュエータアセンブリ6f、および1つ以上の成形型3に動作可能に接続されている。1つ以上の成形型3は、プレス部材6dに取り付けられた可動の第1の型部分3aと、定置の第2の型部分3bとを有している。電子制御システム6hは、上述したようにトグル機構6eを使用してプレス方向Dでプレス部材6dを駆動するように、そして第1の型部分3aを定置の第2の型部分3bに対して押し付けることにより、セルロースブランク構造体2からセルロース製品1を成形するように、プレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている。トグルプレス6aは、主に水平方向Dに配置された、プレス部材6dのプレス方向Dを有するように、具体的には水平方向Dから20度以内に配置された、プレス部材6dのプレス方向Dを有するように、より具体的には水平方向Dに対して平行なプレス方向Dを有するように、設置されている、または設置されるように配置されている。
【0078】
プレス部材6dは、前側構造体6bと後側構造体6cとの間に配置されている。トグル機構6eは、後側構造体6cとプレス部材6dとに接続されている。プレスアクチュエータアセンブリ6fは、トグル機構6eに接続されていて、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、トグル機構6eを使用してプレス部材6dをプレス方向Dで前側構造体6bに向かって駆動するように構成されている。プレスアクチュエータアセンブリ6fはさらに、1つ以上の成形型3内でセルロース製品1が成形されると、トグル機構6eを使用してプレス部材6dを前側構造体6bから離れるように駆動するように構成されている。トグルプレス6aはさらに、プレス力表示アセンブリ6gと、プレスアクチュエータアセンブリ6fおよびプレス力表示アセンブリ6gに動作可能に接続されている電子制御システム6hとを有している。電子制御システム6hは、プレス部材6dの動作を制御するように構成されている。1つ以上の成形型3はそれぞれ、プレス部材6dに取り付けられた第1の型部分3aと、前側構造体6bに取り付けられた第2の型部分3bとを有している。第1および第2の型部分3a,3bは、共にプレスされるときに、セルロースブランク構造体2からセルロース製品1を共に成形するように構成されている。
【0079】
セルロース製品1を成形する場合、図3bに例示されたように離隔されているときに第1の型部分3aと第2の型部分とによって画定されるプレス領域A内にセルロースブランク構造体2が供給される。プレスアクチュエータアセンブリ6fの動作は、トグル機構6eを使用してプレス部材6dをプレス方向Dで前側構造体6bに向かって駆動するように、電子制御システム6hによって制御される。このようにして、第1の型部分3aおよび第2の型部分3bのそれぞれは、共にプレスされるときに、セルロースブランク構造体2からセルロース製品1を共に成形する。
【0080】
プレスアクチュエータアセンブリ6fは、例えば、単一のまたは複数の液圧式または空気圧式の線形アクチュエータ、例えばシリンダ・ピストンアクチュエータを含んでいてよい。代替的に、回転する出力軸を備えるモータ、例えば、電気モータ、液圧式モータまたは空気圧式モータが、機械式アクチュエータを駆動するために使用されてもよく、またはプレスアクチュエータアセンブリ6fは、回転・線形変換装置を介してトグル機構6eに駆動接続された高トルク電気モータを含んでいてもよい。
【0081】
可動の第1の型部分3aは、プレス部材6dに直接的または間接的に取り付けられてよい。これは、例えば、可動の第1の型部分3aとプレス部材6dとの間に配置された中間部材、例えば、プレス力を検出するためのロードセル等があってもよいことを意味する。定置の第2の型部分3bは、典型的に、プレス作動中は静止しているが、しかしそれにもかかわらず、連続したプレス作動の間の期間において、プレス方向Dで調節可能であってもよい。図示した実施形態では、トグルプレス6aは、前側構造体6bおよび後側構造体6cを有し、トグル機構6eは、後側構造体6cにも接続されており、定置の第2の型部分3bは前側構造体6bに取り付けられている。定置の第2の型部分3bは、前側構造体6bに直接的または間接的に取り付けられてよい。これは、例えば、定置の第2の型部分3bと前側構造体6bとの間に配置された中間部材、例えば、プレス力を検出するためのロードセル等があってもよいことを意味する。
【0082】
前側構造体6bおよび後側構造体6cは、プレス作動中に前側構造体と後側構造体とが互いに分離しないことを保証するために、何らかの構造的に剛性の構造によって相互接続されなければならない2つの剛性の構造的に関連する部分を表している。前側構造体および後側構造体は、プレスモジュール6の特定の設計に応じて多くの異なる形状を有していてよい。例えば、前側構造体および後側構造体は、プレートのような形状、特に矩形のプレートのような形状を有していてよく、これにより、費用対効果の高い製造が可能となり、かつプレート形状の前側構造体および後側構造体の角隅領域を、前側構造体6bと、後側構造体6cと、前側構造体6bを後側構造体6cに接続する中間的なフレーム構造体とによって画定される共通の剛性のフレーム構造体への取付けのために利用することが可能となる。いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、前側構造体6bと、後側構造体6cと、前側構造体6bを後側構造体6cに接続する中間的な線形ガイドアセンブリ6iとによって画定される剛性のフレーム構造体を有する。プレス部材6は、線形ガイドアセンブリ6iに可動に取り付けられていて、プレス方向Dで可動である。剛性のフレーム構造体は、プレスモジュール6の所望の高さと角度傾斜とを提供するために、下にある支持フレーム6jに配置されていてもよい。
【0083】
トグルプレス6aの費用対効果が高くかつ強固なフレーム構造を可能にするために、中間的な線形ガイドアセンブリ6iは、4つのタイバーを有していてよく、これらのタイバーはプレート形状の前側構造体6bおよび後側構造体6cの各角隅領域に配置されている。タイバーは、例えば円筒状であって、前述のタイバーを収容するために、プレート形状の前側構造体6bおよび後側構造体6cの角隅領域には、対応する円筒状の孔が設けられていてよい。プレス部材6dは、任意の構造的な形状を有していてよい。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態では、プレス部材も、少なくとも部分的にプレートのような形状、特に矩形のプレートのような形状を有しており、これにより、費用対効果の高い製造が可能となり、かつプレート形状のプレス部材6dの角隅領域を、中間的な線形ガイドアセンブリ6iへの取付けのために利用することが可能となる。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、3プラテンプレスと称されてよい。
【0084】
トグルプレス6aは、主に水平方向Dに配置された、プレス部材6dのプレス方向Dを有するように、具体的には水平方向Dから20度以内に配置された、プレス部材6dのプレス方向Dを有するように、より具体的には水平方向Dに対して平行なプレス方向Dを有するように、設置されている、または設置されるように配置されている。
【0085】
図3aに示された実施形態では、トグルプレス6aは、水平方向Dに配置された、プレス部材6dのプレス方向Dを有するように設置されている。図4a~図4bに示された実施形態では、トグルプレス6aは、低い構成高さを有する製品成形ユニットUの全体的にコンパクトな設計を可能にする僅かに傾斜した状態で設置されている。図4a~図4bに示された実施形態では、トグルプレス6aは、0~20度の範囲の設置角度αを有するように配置された、プレス部材6dのプレス方向Dを有するように設置されており、この場合、前述の設置角度αは、図示したように、プレス方向Dと水平方向Dとによって規定される。
【0086】
いくつかの例示的な実施形態では、トグルプレス6aは、主に垂直方向の供給方向Dで1つ以上の成形型3内にセルロースブランク構造体2を供給するための供給装置6kをさらに有している。この供給装置6kは、セルロースブランク構造体2をプレス領域A内に供給するように、具体的にはセルロースブランク構造体2を垂直方向Dから20度未満の供給角度βで下向きにプレス領域A内へと供給するように、より具体的には、空気成形されたセルロースブランク構造体を垂直に下向きにプレス領域A内へと供給するように、配置されている。供給角度βは、図4a~図4bに概略的に示されている。
【0087】
上述したように、主に水平方向および主に水平にとは、垂直方向よりも、より水平方向に配置されている方向を意味する。主に垂直方向および主に垂直にとは、水平方向よりも、より垂直方向に配置されている方向を意味する。
【0088】
トグルプレス6aのトグル機構6eは、多種多様な設計および実装形態を有していてよい。トグル機構6eの基本的な要件は、プレス力の増幅を発生させることであり、これにより、プレス力の観点で、比較的低コストおよび低容量のプレスアクチュエータアセンブリ6fの使用が可能となる。プレス力の増幅は、プレスモジュールのプレス速度を対応させて低下させることにより達成される。したがって、トグル機構6eは、プレスアクチュエータアセンブリ6fの力/速度と比較して、プレス力を増幅させ/プレス速度を減速させる。
【0089】
概して、図3aの例示的な実施形態を参照すると、トグル機構6eはリンク部材を有していて、プレスアクチュエータアセンブリ6fは、プレスアクチュエータアセンブリ6fの作動の結果、プレス部材6dが運動するように、リンク部材に直接的に駆動接続されている、または間接的に駆動接続されている。
【0090】
空気成形されたセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するためにトグルプレスモジュールを使用することには、従来の大型の線形の液圧プレスの使用を上回る多くの利点、例えば低コスト、低重量、高速のサイクル動作、およびコンパクトであるといった利点がある。プレス力表示アセンブリ6gから受け取った、プレス力を示すフィードバック情報に基づいてプレスアクチュエータアセンブリ6fの動作を制御するように構成されている電子制御システム6hを有していることにより、トグルプレスモジュールは、従来の線形液圧プレスの有利な代替物となる。
【0091】
製品成形ユニットUは、プレスモジュール6の上流に配置された、図示されていないバリア塗布モジュールをさらに有していてよい。バリア塗布モジュールは、1つ以上の成形型3でセルロース製品1を成形する前に、セルロースブランク構造体2にバリア組成物を塗布するように構成されている。
【0092】
セルロース製品1の1つの好ましい特性は、例えば、セルロース製品が、飲料、食品、および他の含水物質と接触して使用される場合などの、液体を保持するまたは液体に耐える能力である。バリア組成物は、セルロース製品を製造する際に使用される1種以上の添加剤、例えばAKDまたはラテックス、または他の適切なバリア組成物であってよい。他の適切なバリア組成物は、AKDおよびラテックスの組み合わせであり、この場合、試験によれば、セルロース製品1を成形する際に、空気成形されたセルロースブランク構造体2に添加されたAKDおよびラテックスの組み合わせにより、固有の製品特性が達成され得ることが示されている。AKDおよびラテックスの組み合わせを使用する場合、高レベルの疎水性を達成することができ、その結果、セルロース製品1の機械的特性に悪影響を及ぼすことなく、水などの液体に耐える高い能力を有するセルロース製品1が得られる。
【0093】
バリア塗布モジュールは、フード構造体としてセルロースブランク構造体2に接続されて配置されていてよく、このフード構造体は、バリア組成物をセルロースブランク構造体2に連続的または間欠的に噴霧するスプレーノズルを有している。このようにして、バリア組成物は、バリア塗布モジュールにおいてセルロースブランク構造体2に塗布される。バリア組成物は、セルロースブランク構造体の片面にのみ、または代替的に両面に塗布されてよい。バリア組成物はさらに、セルロースブランク構造体2の表面全体にわたって塗布されてよく、もしくはセルロースブランク構造体2の表面の一部にのみまたはいくつかの区分にのみ塗布されてよい。バリア塗布モジュールのフード構造体は、バリア組成物が周囲の環境に飛び散ることを阻止している。バリア構造体を塗布するための他の塗布技術には、例えば、スロットコーティングおよび/またはスクリーン印刷が含まれてよい。
【0094】
明確にするために、図1の例示的な実施形態のセルロースブランク構造体2の供給経路および供給方向が、図5aに概略的に示されており、セルロース製品圧縮成形プロセスの従来の直線的な水平方向の経路と比較した場合、最初に主に上向き、次いで主に水平、次いで主に下向きにセルロースブランク構造体2を送ることによって可能になる製品成形ユニットUのコンパクトな構成およびレイアウトが明瞭に理解可能である。
【0095】
代替的に、図5bに概略的に示されたように、ブランク乾式成形モジュール4は、セルロースブランク構造体2を上向きに、次いで主に水平に、続いて主に下向きにプレスモジュール6に送り込む前に、成形チャンバ開口の領域において主に水平方向に向けられた成形ワイヤを有する、セルロースブランク構造体2の主に水平方向に向けられた供給経路および供給方向を有するように配置されていてもよい。製品成形ユニットUのこのようなレイアウトも、コンパクトな製品成形ユニットUを提供するために利用されてよい。
【0096】
図5a~図5bを参照すると、ブランクリサイクルモジュール7を考慮しない場合、ブランク乾式成形モジュール4は、典型的には供給経路の開始部をなし、プレスモジュール6は、典型的には供給経路の終了部をなす。バリア塗布モジュールなどの他のモジュールは、乾式成形モジュール4とプレスモジュール6との間の、乾式成形モジュール4の下流かつプレスモジュール6の上流の適切な位置に配置されている。
【0097】
プレスモジュール6を通過する間にセルロースブランク構造体を主に下向きに送ることは、セルロースブランク構造体2の簡単な供給、および成形プロセス完了後の、プレスモジュール6を離れるときのセルロース製品1の簡単な取出しという点で有益である。
【0098】
特に、ブランク乾式成形モジュール4からプレスモジュール6へのセルロースブランク構造体2の高速の間欠的な供給は、セルロースブランク構造体2の損傷、またはセルロースブランク構造体2の特性、例えばセルロースブランク構造体2の厚さの変化なしには、実施が困難であり得る。しかしながら、トグルプレスを主に水平方向Dに配置し、セルロースブランク構造体を主に下向きにプレスモジュール6に供給することにより、重力によってこの供給プロセスが支援され、これにより、セルロースブランク構造体2をプレスモジュール6のプレス領域Aに供給するために供給装置によって加えるべき必要な力はより少なくて済み、それによりセルロースブランク構造体2の損傷および/または特性の変化のリスクが低減される。
【0099】
さらに、成形プロセス完了後の、完成して排出されたセルロース製品1の取出しも、成形型3を通るセルロースブランク構造体2の主に垂直方向の送りによって簡単になり得る。なぜなら、この場合も、重力が、完成して排出されたセルロース製品1の成形型3からの取出し、およびその後の貯蔵チャンバ、コンベヤベルト等への搬送を支援し、簡単にすることができるからである。
【0100】
さらに、図1および図6に示された実施形態では、製品成形ユニットUは、セルロース繊維をリサイクルするためのブランクリサイクルモジュール7を有している。ブランクリサイクルモジュール7は、セルロース製品1の成形後にセルロースブランク構造体2の残余部分2cを、プレスモジュール6からブランク乾式成形モジュール4に戻し搬送するように構成されている。ブランクリサイクルモジュール7は、残余セルロースブランク繊維材料をプレスモジュール6からミル4aに搬送するように配置されている。成形型3においてセルロース製品1を成形した後、セルロースブランク繊維材料を含むセルロースブランク構造体の残余部分2cが生じ得る。ブランクリサイクルモジュール7によって、残余セルロース繊維または残っているセルロース繊維を再循環させて、セルロース原料からの繊維と一緒に新しいセルロースブランク構造体2を形成するために再利用することができる。図1には、ブランクリサイクルモジュール7の例示的な実施形態が概略的に示されている。ブランクリサイクルモジュール7は、供給ベルト、コンベヤ構造体、または残余部分2cを成形型3からミル4aに搬送するための他の適切な手段などの供給構造体7aを含む。ミル4aは、残余材料のための別個の入口開口を備えて配置されてよく、この入口開口から、セルロースブランク構造体2の残余部分2cは、ミル4a内へと供給される。
【0101】
ブランクリサイクルモジュール7は、リサイクル圧縮ユニット7bを有していてよい。リサイクル圧縮ユニット7bは、プレスモジュール6からブランク乾式成形モジュール4に搬送する際に、セルロースブランク構造体2の残余部分2cを圧縮する。好適には、リサイクル圧縮ユニット7bは、図1に示したようにセルロースブランク構造体2の残余部分2cを圧縮する一対の協働するローラとして配置されている。
【0102】
図示されていない実施形態では、上述した構成ではなく、ブランクリサイクルモジュール7は、成形型3に接続されて配置された入口部分を備えるチャネル構造を有していてよく、セルロースブランク構造体の残余部分2cは、ミル4aへのさらなる搬送のためにこの入口部分内に吸い込まれてよい。チャネル構造は、さらに、組み合わされた適切なミルおよびファンユニットを備えて配置されていてもよく、このユニットが、残余材料を少なくとも部分的に分離するために使用されてから、ミル4aに接続された出口部分へのさらなる搬送が行われる。
【0103】
製品成形ユニットUは、異なるモード間でセルロースブランク構造体2を間欠的に供給するための搬送または供給装置をさらに有していてよい。搬送装置は、コンベヤベルト、真空ベルト、または効率的な搬送のための類似の装置として配置されていてよい。いくつかの例示的な実施形態によれば、供給装置には、細長い真空ベルトフィーダ、細長いトラクターベルトフィーダ等が含まれてよい。
【0104】
上述したモジュールによって、製品成形ユニットUのコンパクトな構造が可能となり、複数のモジュールを、貨物コンテナで輸送可能な1つの単一の製品成形ユニットUに統合することができ、コンバータの工場フロアに簡単に配置することができる。供給方向が異なることにより、製品成形ユニットUのよりコンパクトなレイアウトおよび構造が可能となる。
【0105】
本開示を、特定の実施形態につき上記に提示した。しかしながら、上記に説明したものとは別の実施形態も可能であり、本開示の範囲内にある。ハードウェアまたはソフトウェアによって方法を実施する、上記で説明したものとは異なる方法ステップが、本開示の範囲内で提供されてもよい。したがって、例示的な実施形態によれば、制御システムの1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、この1つ以上のプログラムは、上述した実施形態のいずれか1つによる方法を実行するための命令を含んでいる。代替的に、別の例示的な実施形態によれば、クラウドコンピューティングシステムを、本明細書で提示された方法の態様のいずれかを実行するように構成することができる。クラウドコンピューティングシステムは、1つ以上のコンピュータプログラム製品の制御下で本明細書に提示した方法の態様を共同で実行する分散クラウドコンピューティングリソースを含むことができる。さらに、プロセッサは、外部エンティティ、例えばセンサ、オフサイトサーバ、またはクラウドベースサーバとデータを受信および/または送信するための1つ以上の通信インタフェースおよび/またはセンサインタフェースに接続されていてよい。
【0106】
制御システムに関連するプロセッサは、データ処理または信号処理を行うために、もしくはメモリに格納されたコンピュータコードを実行するために、任意の数のハードウェアコンポーネントであってもよいし、それらを含んでいてもよい。システムは、関連するメモリを有していてよく、メモリは、本明細書に記載の様々な方法を完了するまたは容易にするためのデータおよび/またはコンピュータコードを格納するための1つ以上の装置であってよい。メモリは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリを含むことができる。メモリは、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、または本明細書の様々なアクティビティをサポートするための任意の他の種類の情報構造を含むことができる。例示的な実施形態によれば、本明細書のシステムおよび方法と共に、任意の分散メモリまたはローカルメモリ装置が利用されてよい。例示的な実施形態によれば、メモリは、(例えば、回路または任意の他の有線接続、無線接続、またはネットワーク接続を介して)プロセッサに通信可能に接続されており、本明細書に記載された1つ以上のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含んでいる。
【0107】
上記の説明は本質的に単に例示的なものであり、本開示の用途または使用を限定するものではないことが理解されるだろう。特定の例が明細書に記載され、かつ図面に示されているが、当業者であれば、特許請求の範囲に規定された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてよく、かつ等価物がその要素の代わりに用いられてもよいことを理解するだろう。さらに、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を、本開示の教示に適合させるために改変がなされてもよい。したがって、本開示は、図面によって示され、本開示の教示を実施するために現在考えられる最良の形態として明細書に記載された特定の例に限定されるものではなく、本開示の範囲は、前述の説明および添付の特許請求の範囲に含まれる任意の実施形態を含むことになる。請求項に記載された参照符号は、請求項によって保護されている事項の範囲を限定するものと見なすべきではなく、参照符号の唯一の機能は、請求項を理解しやすくすることである。
【符号の説明】
【0108】
1 セルロース製品
2 セルロースブランク構造体
2a 分離したセルロースブランク
2b 連続したセルロースブランク
2c 残余部分
3 成形型
3a 第1の型部分
3b 第2の型部分
4 ブランク乾式成形モジュール
4a ミル
4b 成形チャンバ
4c 成形ワイヤ
4d 成形セクション
4e 成形チャンバ開口
6 プレスモジュール
6a トグルプレス
6b 前側構造体
6c 後側構造体
6d プレス部材
6e トグル機構
6f プレスアクチュエータアセンブリ
6g プレス力表示アセンブリ
6h 電子制御システム
6i ガイドアセンブリ
6j 支持フレーム
7 ブランクリサイクルモジュール
7a 供給構造体
7b リサイクル圧縮ユニット
C 成形キャビティ
供給方向
F1 第1の供給方向
F2 第2の供給方向
水平方向
プレス方向
HF 水平方向のブランク成形方向
上向きのブランク成形方向
垂直方向
E 圧力分配エレメント
F 繊維
プレス動作
SP シングルプレス動作
成形圧
NEG 負の成形圧
静止位置
R セルロース原料
S1 第1の側
S2 第2の側
成形温度
U 製品成形ユニット
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品成形ユニット(U)においてセルロースブランク構造体(2)からセルロース製品(1)を乾式成形するための方法であって、前記製品成形ユニット(U)は、ブランク乾式成形モジュール(4)とプレスモジュール(6)とを有しており、前記セルロースブランク構造体(2)は、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において成形ワイヤ(4c)上に空気成形されていて、前記ブランク乾式成形モジュール(4)は、ミル(4a)と成形チャンバ(4b)とをさらに有しており、前記成形ワイヤ(4c)は、前記成形チャンバ(4b)に接続されて配置されており、前記プレスモジュール(6)は、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)をプレス動作(O)において成形するための1つ以上の成形型(3)を有しており、当該方法は、
セルロース原料(R)を提供し、前記セルロース原料(R)を前記ブランク乾式成形モジュール(4)へと供給するステップ;
前記ミル(4a)において、前記セルロース原料(R)からセルロース繊維(F)を分離し、前記分離されたセルロース繊維(F)を、前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するために前記成形チャンバ(4b)内で前記成形ワイヤ(4c)上に分配することにより、前記セルロース原料(R)から、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において前記成形ワイヤ(4c)上に前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するステップ;および
前記成形ワイヤ(4c)を、前記プレス動作(O)中に静止モード(MST)に置くステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記静止モード(MST)で、前記成形ワイヤ(4c)を停止状態(SST)に置き、前記停止状態(SST)の継続期間を、前記停止状態(SST)が、前記プレス動作(O)中に生じるように、前記プレス動作(O)の継続期間に同期させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記静止モード(MST)には搬送モード(MTR)が続いていて、前記搬送モード(MTR)では、前記成形ワイヤ(4c)を運動状態(SMO)に置き、当該方法は、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を、前記運動状態(SMO)にある前記成形ワイヤ(4c)によって、前記ブランク乾式成形モジュール(4)から離すように動かすステップをさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記運動状態(SMO)は、2つの連続するプレス動作(O)の間で少なくとも部分的に生じる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記セルロースブランク構造体(2)を、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において空気成形して、分離したセルロースブランク(2a)とする、または前記セルロースブランク構造体(2)を、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において空気成形して、連続的なセルロースブランク(2b)とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を成形温度(T)に加熱することにより、かつ前記セルロースブランク構造体(2)を前記プレス動作(O)において成形圧(P)でプレスすることにより、前記1つ以上の成形型(3)において前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するステップをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記成形温度(T)は、100~300℃の範囲に、好ましくは100~200℃の範囲にあり、前記成形圧(P)は、1~100MPaの範囲に、好ましくは4~20MPaの範囲にある、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記プレス動作(O)は、シングルプレス動作(OSP)である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、前記空気成形されたセルロースブランク構造体(2)を前記ブランク乾式成形モジュール(4)から前記プレスモジュール(6)へと搬送するステップをさらに含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記セルロースブランク構造体(2)を前記ブランク乾式成形モジュール(4)から前記プレスモジュール(6)へと間欠的に搬送する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記セルロースブランク構造体(2)を、第1の供給方向(DF1)で前記成形ワイヤ(4c)によって前記ブランク乾式成形モジュール(4)から間欠的に搬送し、第2の供給方向(DF2)で前記プレスモジュール(6)へと間欠的に搬送し、この場合、前記第2の供給方向(DF2)は、前記第1の供給方向(DF1)とは異なっている、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第1の供給方向(DF1)は、前記第2の供給方向(DF2)の逆、または実質的に逆である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1の供給方向(DF1)は上向き方向であり、前記第2の供給方向(DF2)は下向き方向である、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、前記ミル(4a)を継続的に動作させるステップ;および前記セルロース原料(R)を前記ミル(4a)に継続的に供給するステップ、または前記セルロース原料(R)を前記ミル(4a)に間欠的に供給するステップをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項15】
前記成形ワイヤ(4c)は、前記成形チャンバ(4b)の成形チャンバ開口(4e)に接続されて配置されている成形セクション(4d)を有しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記成形セクション(4d)上に空気成形するステップをさらに含む、請求項または14記載の方法。
【請求項16】
前記成形セクション(4d)は、上向きのブランク成形方向(D)で延在しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記成形セクション(4d)上に空気成形し、前記成形されたセルロースブランク構造体(2)を前記成形ワイヤ(4c)によって前記上向きのブランク成形方向(D)で搬送するステップをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記成形セクション(4d)は、水平方向のブランク成形方向(DHF)で延在しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記成形セクション(4d)上に空気成形し、前記成形されたセルロースブランク構造体(2)を前記成形ワイヤ(4c)によって前記水平方向のブランク成形方向(DHF)で搬送するステップをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記成形ワイヤ(4c)は、前記成形チャンバ(4b)に面した第1の側(S1)と、前記成形チャンバ(4b)に接続されて配置された真空ボックス(4f)に面した第2の側(S2)とを有しており、前記真空ボックス(4f)は、前記成形チャンバ(4b)内の空気流を制御するように、かつ前記分離されたセルロース繊維(F)を前記成形ワイヤ(4c)上に分配するように構成されており、当該方法は、前記成形ワイヤ(4c)の前記第1の側(S1)上に前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するステップ;前記第1の側(S1)上への前記セルロース繊維(F)の付着を保証するために前記第2の側(S2)上に負圧(PNEG)をかけるステップをさらに含む、請求項から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記製品成形ユニット(U)は、ブランクリサイクルモジュール(7)を有しており、当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)の残余部分(2c)を前記プレスモジュール(6)から前記ブランク乾式成形モジュール(4)へと搬送するステップをさらに含む、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記ブランクリサイクルモジュールはリサイクル圧縮ユニット(7b)を有していて、当該方法は、前記プレスモジュール(6)から前記ブランク乾式成形モジュール(4)に搬送するときに、前記リサイクル圧縮ユニット(7b)において、前記セルロースブランク構造体(2)の前記残余部分(2c)を圧縮するステップをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記プレスモジュール(6)は、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するためのセルロース製品トグルプレスモジュールであり、当該方法は、
トグルプレス(6a)と前記1つ以上の成形型(3)とを有する前記セルロース製品トグルプレスモジュールを提供するステップであって、前記トグルプレス(6a)は、プレス方向(D)で可動に配置されたプレス部材(6d)と、前記プレス部材(6d)に接続されたトグル機構(6e)と、前記トグル機構(6e)に接続されたプレスアクチュエータアセンブリ(6f)と、前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)に動作可能に接続された電子制御システム(6h)とを有しており、前記1つ以上の成形型はそれぞれ、前記プレス部材(6d)に取り付けられた可動の第1の型部分(3a)と、定置の第2の型部分(3b)とを有しているステップ、
前記トグルプレス(6a)を、主に水平方向(D)に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向(D)を有するように、特に前記水平方向(D)から20度以内に配置された、前記プレス部材(6d)の前記プレス方向(D)を有するように、より好ましくは前記水平方向(D)に対して平行な前記プレス方向(D)を有するように、設置するステップ、
前記セルロースブランク構造体(2)を、離間した前記第1および第2の型部分(3a,3b)によって画定されたプレス領域(A)内に供給するステップ、
前記トグル機構(6e)を使用して前記プレス方向(D)で前記プレス部材(6d)を駆動するように、そして前記各第1の型部分(3a)を前記定置の第2の型部分(3b)に対して押し付けることにより、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するように、前記電子制御システム(6h)によって、前記プレスアクチュエータアセンブリ(6f)の動作を制御するステップ、
をさらに含む、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
セルロースブランク構造体(2)からセルロース製品(1)を乾式成形するための製品成形ユニット(U)であって、前記製品成形ユニット(U)は、ブランク乾式成形モジュール(4)およびプレスモジュール(6)を有しており、前記セルロースブランク構造体(2)は、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において成形ワイヤ(4c)上に空気成形されていて、前記ブランク乾式成形モジュール(4)は、ミル(4a)と成形チャンバ(4b)とをさらに有しており、前記成形ワイヤ(4c)は、前記成形チャンバ(4b)に接続されて配置されており、前記プレスモジュール(6)は、前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)をプレス動作(O)において成形するように構成された1つ以上の成形型(3)を有しており、前記製品成形ユニット(U)は、セルロース原料(R)を前記ブランク乾式成形モジュール(4)へと供給するように構成されており、前記ブランク乾式成形モジュール(4)は、前記ミル(4a)において、前記セルロース原料(R)からセルロース繊維(F)を分離し、前記分離されたセルロース繊維(F)を、前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するために前記成形チャンバ(4b)内で前記成形ワイヤ(4c)上に分配することにより、前記セルロース原料(R)から、前記ブランク乾式成形モジュール(4)において前記成形ワイヤ(4c)上に前記セルロースブランク構造体(2)を空気成形するように構成されており、前記ブランク乾式成形モジュール(4)は、前記成形ワイヤ(4c)を、前記プレス動作(O)中に静止モード(MST)に置くように構成されている、製品成形ユニット(U)。
【国際調査報告】