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特表2024-518290電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/08 20060101AFI20240423BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240423BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240423BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20240423BHJP
   G01T 1/17 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H03F3/08
A61B6/03 573
A61B6/42 530R
G01T1/24
G01T1/17 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564057
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022061327
(87)【国際公開番号】W WO2022233699
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021111362.8
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521548733
【氏名又は名称】アーエムエス インターナショナル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】AMS INTERNATIONAL AG
【住所又は居所原語表記】Eichwiesstrasse 18b, Jona, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレウ ハラランボス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル フリドリン
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
5J500
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188CC29
2G188EE01
2G188EE03
2G188EE05
2G188EE17
2G188FF21
4C093EA07
4C093EB13
4C093EB20
4C093FC01
4C093FD09
5J500AA01
5J500AA50
5J500AA56
5J500AC13
5J500AC25
5J500AC33
5J500AC61
5J500AC81
5J500AF17
5J500AH09
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH44
5J500AK01
5J500AK05
5J500AK09
5J500AK11
5J500AK34
5J500AM08
5J500AM13
5J500AM17
5J500AS01
5J500AS15
5J500AT01
5J500LU01
5J500LV07
(57)【要約】
電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路(10)は、増幅回路(1100)とアクティブ動的フィードバック回路(1200)とを有する信号整形回路(1000)を含み、アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、信号整形回路(1000)のフィードバック経路(1001)内に配置されている。アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路(1201)内に配置された第1の入力トランジスタ(100)と、アクティブ動的フィードバック回路の第2の電流経路(1202)内に配置された第2の入力トランジスタ(200)(1200)と、を含む。第1の入力トランジスタ(100)は、信号整形回路(1000)の出力信号(Vout_shaper)を受け取るための制御ノードを有し、第2の入力トランジスタ(200)は、基準信号(Vref)を受け取るための制御ノードを有する。アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、第1及び第2の電流経路(1201、1202)を切り離すように配置されたバッファ回路(300)を含む。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路であって、
電磁放射センサに結合されて前記センサから入力信号(Iin)を受け取るように構成された入力端子(I10)と、
出力信号(Vout_shaper)を供給する出力端子(O10)と、
増幅回路(1100)とアクティブ動的フィードバック回路(1200)とを含む信号整形回路(1000)であって、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記信号整形回路(1000)のフィードバック経路(1001)内に配置されている、前記信号整形回路(1000)と、を含み、
前記増幅回路(1100)は、前記入力端子(I10)に結合された入力ノード(I1100a)と、前記出力信号(Vout_shaper)に結合された出力ノード(O1100)とを有し、前記出力ノード(O1100)は前記出力端子(O10)に結合され、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路(1201)内に配置された第1の入力トランジスタ(100)と、前記アクティブ動的フィードバック回路の第2の電流経路(1202)内に配置された第2の入力トランジスタ(200)(1200)と、を含み、
前記第1の入力トランジスタ(100)は、前記出力信号(Vout_shaper)を受け取るための制御ノードを有し、
前記第2の入力トランジスタ(200)は、基準信号(Vref)を受け取るための制御ノードを有し、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記第1及び第2の電流経路(1201、1202)を切り離すように配置されたバッファ回路(300)を含む、前記フロントエンド電子回路。
【請求項2】
前記第1の電流経路(1201)及び前記第2の電流経路(1202)はそれぞれ、基準電位(VSS)を供給する端子と前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の共通ノード(1210)との間に接続され、
前記バッファ回路(300)は、前記共通ノード(1210)と前記第1の入力トランジスタ(100)との間に配置される、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項3】
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、第3の電流経路(1203)を含み、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、供給電位(VDD)を供給する端子と前記共通ノード(1210)との間の前記第3の電流経路(1203)内に配置された電流源(400)を含み、
前記第3の電流経路(1203)は、前記第1及び前記第2の電流経路(1201、1202)のそれぞれに直列に接続されている、請求項2に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項4】
前記バッファ回路(300)は、第1及び第2の入力ノード(I300a、I300b)と出力ノード(O300)とを含み、
前記バッファ回路(300)の前記第1の入力ノード(I300a)は、前記共通ノード(1210)に接続され、
前記バッファ回路(300)の前記第2の入力ノード(I300b)は、前記バッファ回路(300)の前記出力ノード(O300)に結合され、
前記バッファ回路(300)の前記出力ノード(O300)は、前記第1の入力トランジスタ(100)に接続される、請求項3に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項5】
前記バッファ回路(300)は、トランジスタ(310)と電流源(320)とを含み、
前記トランジスタ(310)は、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の第4の電流経路(1204)内に配置され、
前記第1の電流経路(1201)及び前記第4の電流経路(1204)は、基準電位(VSS)を供給する端子と、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の第2の共通ノード(1220)との間に並列に接続され、
前記電流源(320)は、供給電位(VDD)を供給する端子と前記第2の共通ノード(1220)との間の前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の第5の電流経路(1205)内に配置される、請求項3または4に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項6】
前記バッファ回路(300)は増幅器(330)を含み、前記増幅器(330)は、前記前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の共通ノード(1210)に接続された第1の入力ノード(I330a)と、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第2の共通ノード(1220)に接続された第2の入力ノード(I330b)と、前記トランジスタ(310)の制御ノードに接続された出力ノード(O330)と、を有する、請求項5に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項7】
前記第2の入力トランジスタ(200)の前記制御ノードに結合されて前記基準信号(Vref)を供給する基準信号生成回路(500)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項8】
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第1の電流経路(1201)と第6の電流経路(1206)との間に配置されて、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第1の電流経路(1201)からの電流を、前記第6の電流経路(1206)内に結合するカレントミラー(600)を含み、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第6の電流経路(1206)は、前記信号整形回路(1000)の前記増幅回路(1100)の前記入力ノード(I1100a)に接続される、請求項1~7のいずれか一項に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項9】
前記カレントミラー(600)は、前記第1の電流経路(1201)内に配置された第1のミラートランジスタ(610)と、前記第6の電流経路(1206)内に配置された第2のミラートランジスタ(620)とを含み、
前記カレントミラー(600)は、前記第1のミラートランジスタ(610)のゲートノードと前記第2のミラートランジスタ(620)のゲートノードとの間に配置された少なくとも1つの抵抗器(630)を含む、請求項8に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項10】
前記第1の入力トランジスタ(100)は弱反転において動作する、請求項1~9のいずれか一項に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項11】
前記第1及び前記第2の入力トランジスタ(100、200)は互いに整合しており、及び/または第1の電流源(400)及び第2の電流源(320)は互いに整合している、請求項1~10のいずれか一項に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項12】
前記信号整形回路(1000)は、前記増幅回路(1100)の前記入力ノード(I1100a)と前記増幅回路(1100)の前記出力ノード(O1100)との間に配置されたフィードバックコンデンサ(1300)を含み、
前記信号整形回路(1000)は、供給電位(VDD)を供給する端子と前記入力端子(I10)との間に配置された第3の電流源(1500)を含み、
第1の電流源(400)は前記第3の電流源(1500)と整合している、請求項1~11のいずれか一項に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項13】
前記増幅回路(1100)は、単一入力、単一出力構成、または差動入力、単一出力構成で具体化される、請求項1~12のいずれか一項に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項14】
光子計数回路であって、
請求項1~13のいずれか一項に記載のフロントエンド電子回路(10)と、
光子感知領域(21)を有する光子検出器(20)であって、前記光子検出器(20)は、光子が前記光子感知領域(21)に当たると電流パルスを生成するように構成されている、前記光子検出器(20)と、
前記フロントエンド電子回路(10)の前記出力端子(O10)に接続されたエネルギー弁別器(30)と、を含み、
前記光子検出器(20)は、前記フロントエンド電子回路(10)の前記入力端子(I10)に接続され、
前記フロントエンド電子回路(10)は、前記電流パルスが前記フロントエンド電子回路(10)の前記入力ノード(I10)に印加されると、前記フロントエンド電子回路(10)の前記出力ノード(O10)において電圧パルスを生成するように構成され、
前記エネルギー弁別器(30)は、前記電圧パルスのレベルに応じてデジタル信号を生成するように構成されている、前記光子計数回路。
【請求項15】
医療診断用デバイスであって、
請求項14に記載の光子計数回路(2)を含み、
前記デバイス(1)は、X線装置またはコンピュータ断層撮影スキャナとして構成されている、医療診断用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路に関し、特に、マルチエネルギースペクトルCT(コンピュータ断層撮影)などのX線画像化応用例または光子計数応用例に関する。本開示はさらに、フロントエンド電子回路を使用する光子計数センサ回路、及び医療診断用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なCT装置及びX線画像化製品では、間接変換型センサを使用している。間接変換型センサは、X線を可視光線に変換するシンチレーターを含んでいる。可視光線は、光検出器またはフォトダイオードによって取り込まれ、X線がシンチレーターの材料に当たることに応答して電気信号を生成する。
【0003】
間接検出原理を用いる従来のコンピュータ断層撮影とは対照的に、直接変換型センサでは、入射光子がCdTe/CZTなどの直接変換材料に当たると電気信号を生成することができる。直接変換材料とともに連続時間非同期フロントエンド電子機器によって、CT装置は光子計数システムの利点を活用することができる。光子計数医用画像化は、より優れた解像度及び/またはより低いドーズ、ならびにスペクトル情報など、典型的なアプローチに比べて多くの利点がある。
【0004】
光子計数画像化システムは、入力信号(入力電流パルス)の高速かつ非同期の連続時間処理を必要とする。詳細には、光子計数アプローチは、電流入力を受け取り、出力において、弁別器によるさらなる処理を容易にするために整形された電圧を供給するフロントエンド回路が必要である。
【0005】
フロントエンドトポロジは通常、単一段アプローチ及び二段アプローチである。入力容量が小さくて固定されている場合、単一段アーキテクチャを使用できる。これには、増幅回路とそれに続いて弁別器及びカウンタを含む信号整形回路が組み込まれている。
【0006】
図1に、単一段アプローチによるフロントエンド電子回路10を示す。フロントエンド電子回路10は、信号整形回路1000を含む。信号整形回路1000は、電磁放射センサ、たとえば光子検出器から入力信号Iinを受け取るための入力端子I10を有する。信号整形回路1000は、増幅回路1100を含む。増幅回路1100は、センサからの入力信号Iinと基準信号Vrefとを受け取る入力側と、フロントエンド回路の出力端子O10において出力信号Vout_shaperを供給する出力側とを有する。コンデンサ1300が、増幅回路1100の入力側と出力側との間のフィードバック経路1002内に配置されている。抵抗器として構成し得るフィードバック要素1400が、コンデンサ1300と並列にフィードバック経路1001内に配置されている。
【0007】
入射光子が光子検出器の直接変換材料に当たると、過渡電流信号が生成される。この電流は入射光子のエネルギーに比例する。電流は、入力信号/入力電流パルスIinとして入力端子I10に印加され、その後、信号整形回路1000によって処理されて、出力端子O10に整形された電圧が供給される。整形された電圧は、入力電流に比例し、したがってすべての単一入射光子のエネルギーに比例する。整形器の出力電圧は、いくつかの弁別器及びカウンタによってさらに処理できる。カウント数は入射光子の数に比例する。複数の弁別器及びカウンタを有すると、各入射光子のエネルギーレベルの情報がさらに得られる。
【0008】
入力容量が大きくて可変である場合、フロントエンド電子回路の二段アーキテクチャアプローチを使用できる。単一段信号整形回路の代わりに、二段フロントエンドアプローチの信号整形回路は、整形増幅器に結合された電荷感応型増幅器と、それに続いて弁別器及びカウンタを含む。フロントエンド電子回路の二段トポロジでは、信号整形段がフロントエンド電子回路の入力における入力容量から切り離されるが、電荷感応型増幅器はバッファとして機能するため、二段フロントエンド回路には、より高いノイズとパワーペナルティが伴う。
【0009】
信号整形回路の出力のベースラインは、電荷感応型増幅器及び整形増幅器の両方の正入力端子に接続された基準電圧によって規定される。これらの増幅器は通常、差動入力及びシングルエンド出力の演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)である。
【0010】
光子計数フロントエンドの最も重要な性能パラメータは、低電力、低雑音、高い計数率、整形出力のパルス幅に関連する小さなFWHM(半値幅)、小さなシリコン面積、高直線性及び低い弾道欠損である。
【0011】
パルス幅、したがってFWHM性能も減らして、計数率を高めるためには、前述のトポロジでは大電力を消費する必要がある。これは、このようなシステムでは望ましくない熱及び熱安定性の影響など、他の問題を引き起こす。
【0012】
光子計数フロントエンドの最も重要な構成要素は、信号整形回路とともに、そのフィードバック要素である。このブロックの構成は、フロントエンドの性能、したがってシステム全体の性能を決定するために重大である。信号整形回路自体は、必要なバンド幅を達成するために高い相互コンダクタンスgmを示す必要がある。しかし、高い計数率を可能にする十分に高いバンド幅を達成するために、整形回路は著しい量の電力を消費する必要がある。
【0013】
ここで、フィードバック抵抗及びフィードバック容量であるフィードバック要素が発揮される。高い計数率を得るためにFWHMを減らし、パイルアップを最小限に抑えるためには、フィードバック容量を十分に小さくする必要がある。しかし、十分な位相マージンを維持し、安定性の問題を回避するために、最小限の容量が要求される。
【0014】
他方のフィードバック要素は抵抗であり、これは、標準抵抗器(たとえば、ポリシリコン抵抗器)または線形領域で動作するMOSトランジスタによって実装できる。後者が好ましい。なぜならば、面積を節約し、抵抗器値を非常に大きくできるだけでなく、入射放射がセンサのターゲット材料に当たるとき、パルス活動中に整形器出力がベースラインから離れるときに、飽和挙動が得られるからである。
【0015】
他のフィードバック実施態様では、アクティブトランスコンダクタを使用している。しかし、大きな入力エネルギーが存在し、入力パルスの大きな振幅につながる場合、またはパイルアップ事象が存在する場合は、既存のアクティブフィードバックトポロジは電流枯渇となり、したがって入力信号をさらに処理することができなくなる。
【0016】
電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路に対するアプローチであって、整形器出力のパルス幅、したがってFWHMを減らし、さらに、信号整形回路において過剰な量の電力を消費することなく、パイルアップからの回復を改善するアプローチを提供することが求められている。
【発明の概要】
【0017】
電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路であって、フロントエンド電子回路の信号整形器出力のパルス幅、したがってFWHMを強化し、さらに、パイルアップ中の計数率を改善するフロントエンド電子回路が、請求項1に記載されている。
【0018】
フロントエンド電子回路は、電磁放射センサに結合されてセンサから入力信号を受け取るように構成された入力端子と、出力信号を供給する出力端子とを含む。フロントエンド電子回路は信号整形回路を含む。信号整形回路は、増幅器と、増幅回路のフィードバック経路内に配置されたアクティブ動的フィードバック回路とを含む。増幅回路は、フロントエンド電子回路の入力端子に結合された入力ノードと、出力信号を供給する出力ノードとを有する。増幅回路の出力ノードは、フロントエンド電子回路の出力端子に結合されている。
【0019】
アクティブ動的フィードバック回路は、アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路内に配置された第1の入力トランジスタ含む。アクティブ動的フィードバック回路はさらに、アクティブ動的フィードバック回路の第2の電流経路内に配置された第2の入力トランジスタを含む。第1の入力トランジスタは、出力信号を受け取るための制御ノードを有する。第2の入力トランジスタは、基準信号を受け取るための制御ノードを有する。アクティブ動的フィードバック回路は、第1及び第2の電流経路を切り離すように配置されたバッファ回路を含む。
【0020】
提案されたアクティブ動的フィードバック回路により、パルス形状とFWHMとを強化することで、信号整形回路の入力ダイナミックレンジならびにパイルアップ事象中の電流枯渇制限を改善することができる。これを達成するために、提案されたアクティブ動的フィードバック回路は、フロントエンド電子回路のフィードバック経路において非線形フィードバック抵抗(1/gm)を実現することによって、非線形性を意図的に導入する。その結果、信号整形器増幅回路において過剰な量の電力を消費することなく、計数率が著しく向上する。トポロジは、PVT及び不一致に対して非常に頑強である。さらに、PVTとは独立して、整形器出力を基準信号の電圧レベルに調整することができる。
【0021】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、第1の電流経路及び第2の電流経路はそれぞれ、基準電位を供給する端子とアクティブ動的フィードバック回路の共通ノードとの間に接続される。バッファ回路は、共通ノードと第1の入力トランジスタとの間に配置されて、第1及び第2の電流経路を切り離す。
【0022】
バッファ回路は、第1の入力トランジスタ及び第2の入力トランジスタのそれぞれのバイアス電流をそれぞれ切り離すことができるため、第2の入力トランジスタを渇望させて出力のクリッピングを引き起こすことなく、整形器出力において大きな信号またはベースラインからの大きなずれを処理することができる。
【0023】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、アクティブ動的フィードバック回路は第3の電流経路を含む。アクティブ動的フィードバック回路はさらに、供給電位を供給する端子と共通ノードとの間の第3の電流経路内に配置された電流源を含む。第3の電流経路は、第1及び第2の電流経路のそれぞれに直列に接続されている。
【0024】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、バッファ回路は、第1及び第2の入力ノードと出力ノードとを含む。バッファ回路の第1の入力ノードは、共通ノードに接続されている。バッファ回路の第2の入力ノードは、バッファ回路の出力ノードに結合されている。可能な実施形態によれば、バッファ回路の第2の入力ノードは、バッファ回路の出力ノードに直接接続されているか、または、他の可能な実施形態によれば、バッファ回路の第2の入力ノードは、フィードバックネットワークを介してバッファ回路の出力ノードに結合されている。バッファ回路の出力ノードは、第1の入力トランジスタに接続されている。
【0025】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、バッファ回路は、トランジスタと電流源とを含む。トランジスタは、アクティブ動的フィードバック回路の第4の電流経路内に配置されている。第1の電流経路及び第4の電流経路は、基準電位を供給する端子とアクティブ動的フィードバック回路の第2の共通ノードとの間に並列に接続されている。電流源は、供給電位を供給する端子と第2の共通ノードとの間のアクティブ動的フィードバック回路の第5の電流経路内に配置されている。第2の共通ノードに結合された電流源によって、PVTに対して安定した電流定義が保証される。
【0026】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、バッファ回路は増幅器を含み、増幅器は、アクティブ動的フィードバック回路の共通ノードに接続された第1の入力ノードを有する。バッファ回路の増幅器はさらに、アクティブ動的フィードバック回路の第2の共通ノードに接続された第2の入力ノードを含む。バッファ回路の増幅器は、バッファ回路のトランジスタの制御ノードに接続された出力ノードを有する。
【0027】
バッファ回路の増幅器によって、第1の入力トランジスタ及びバッファ回路のトランジスタのそれぞれのバイアス電流をそれぞれ切り離すことができるため、第2の入力トランジスタを渇望させて出力のクリッピングを引き起こすことなく、また整形器出力の飽和を引き起こすことなく、整形器出力において大きな信号またはベースラインからの大きなずれを処理することができる。バッファ回路によって第1の電流経路と第4の電流経路とを切り離すことによって、アクティブ動的フィードバック回路の第2の共通ノードにおいて低インピーダンスノードを形成することができる。
【0028】
第1及び第4の電流経路におけるそれぞれのバイアス電流を切り離すことによって、第1の電流経路における小さな電流が可能になり、信号整形回路のフィードバック経路における低い相互コンダクタンス、したがって高い抵抗が得られる。他方では、第1及び第4の電流経路におけるそれぞれのバイアス電流を切り離すことによって、第4の電流経路における大電流が可能になり、枯渇して出力のクリッピングを引き起こすことなく、信号整形回路の増幅回路の出力ノードにおいて生成される大きな信号によって要求される過電流を供給することができる。
【0029】
バッファ回路の増幅器は、バッファ回路の電流源のドレインにおけるアクティブ動的フィードバック回路の第2の共通ノードを、高インピーダンスから低インピーダンスに変換できるようにするインピーダンス変換を提供する。
【0030】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、第1の入力トランジスタは弱反転において動作する。前述したように、アクティブ動的フィードバック回路は、非線形フィードバック抵抗を実現することによって非線形性を導入する。非線形性は、たとえば、従来、信号整形回路のフィードバック経路内に設けられることが多いMOS抵抗器とは対照的に、とりわけ、第1の入力トランジスタを弱反転においてバイアスすることによって達成される。
【0031】
信号整形回路のフィードバック経路におけるMOS抵抗器は、バイアス発生器のPVT変動によって広がるそのゲートバイアスによる抵抗変化を減らすために、強反転においてバイアスする必要がある。さらに、非線形性は、第2の共通ノードの電位が、第4の電流経路におけるバッファ回路のトランジスタによって大電流により固定され、したがって、第2の共通ノードは低インピーダンスノードのようになるという事実によって達成される。第1の電流経路における電流と第4の電流経路における電流とを切り離すことは、バッファ回路の増幅器によって達成される。
【0032】
アクティブ動的フィードバック回路によって非線形性を信号整形段のフィードバック経路内に意図的に導入することによって、信号整形回路の増幅回路の出力ノードにおいて供給される出力信号の大きな信号振幅全体を、そうでなければ生じるバッファ回路の第2の共通ノードにおける電圧降下によって劣化することなく、第1の入力トランジスタのオーバードライブに適用できることが可能になる。
【0033】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、第1及び第2の入力トランジスタは互いに整合している。さらに、アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流源とバッファ回路の第2の電流源とを、互いに整合させることができる。
【0034】
フロントエンド電子回路の実施形態によれば、アクティブ動的フィードバック回路は、アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路と第6の電流経路との間に配置されて、アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路からの電流を、第6の電流経路内に結合するカレントミラーを含む。アクティブ動的フィードバック回路の第6の電流経路は、信号整形回路の増幅回路の入力ノードに接続されている。
【0035】
カレントミラーをアクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路と第6の電流経路との間に配置することによって、速度及び低オフセットを得るために十分に高い電流で第1の入力トランジスタをバイアスしながら、小さな実効相互コンダクタンス、すなわち高い等価抵抗を実現することができる。
【0036】
実施形態によれば、フロントエンド電子回路は、第2の入力トランジスタの制御ノードに結合されて基準信号を供給する基準信号生成回路を含む。
【0037】
アクティブ動的フィードバック回路に加えて、信号整形回路は、増幅回路の入力ノードと信号整形回路の増幅回路の出力ノードとの間に配置されたフィードバックコンデンサを含む。さらに、信号整形回路は、供給電位を供給する端子とフロントエンド電子回路の入力端子との間に配置された第3の電流源を含む。第1の電流源は第3の電流源と整合している。増幅回路は、単一入力、単一出力構成、または差動入力、単一出力構成で具体化することができる。
【0038】
光子計数回路におけるフロントエンド電子回路の可能な応用例の実施形態は、請求項14に記載されている。
【0039】
光子計数回路は、前述の実施形態のうちの1つによるフロントエンド電子回路を含む。光子計数回路はさらに、光子感知領域を有する光子検出器を含む。光子検出器は、光子が光子感知領域に当たると電流パルスを生成するように構成されている。光子計数回路はさらに、フロントエンド電子回路の出力端子に接続されたエネルギー弁別器を含む。
【0040】
光子検出器は、フロントエンド電子回路の入力端子に接続されている。フロントエンド電子回路は、電流パルスがフロントエンド電子回路の入力ノードに印加されると、フロントエンド電子回路の出力ノードにおいて電圧パルスを生成するように構成されている。エネルギー弁別器は、電圧パルスのレベルに応じてデジタル信号を生成するように構成されている。
【0041】
光子計数の原理を使用する医療診断用デバイスが、請求項15に記載されている。
【0042】
デバイスは、前述で記載したように、光子計数回路を含む。デバイスは、X線装置またはコンピュータ断層撮影スキャナとして構成してもよい。
【0043】
フロントエンド電子回路のさらなる特徴及び利点について、以下の詳細な説明で述べる。当然のことながら、前述の概要及び以下の詳細な説明は両方とも、単に典型的であり、特許請求の範囲の性質及び特性を理解するために概観または枠組みを提供することが意図されている。
【0044】
添付図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。したがって、本開示は、以下の詳細な説明を、添付の図と併せて取り入れることによって、より十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】抵抗フィードバックを備えた差動信号整形回路を含む電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路の従来の実施形態を示す図である。
図2A】アクティブ動的フィードバック回路を備えた差動入力信号整形回路を含む電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路の実施形態を示す図である。
図2B】アクティブ動的フィードバック回路を備えた単一入力信号整形回路を含む電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路の実施形態を示す図である。
図3A】パルス形状を強化することによって入力ダイナミックレンジならびにパイルアップ事象中の電流枯渇制限を改善するためのアクティブ動的フィードバック回路を含む電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路の実施形態を示す図である。
図3B】非線形フィードバック抵抗を実現することによって非線形性を導入するためのアクティブ動的フィードバック回路を含む電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路の第2の実施形態を示す図である。
図4A】折り返し補助増幅器を備えた電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路のアクティブ動的フィードバック回路の第1の実施形態を示す図である。
図4B】単一段補助増幅器を備えた電磁放射センサに対するフロントエンド電子回路のアクティブ動的フィードバック回路の第2の実施形態を示す図である。
図4C】折り返しカスコード補助増幅器を備えた電磁放射センサに対するフロントエンド電子回路のアクティブ動的フィードバック回路の実施形態を示す図である。
図5A】フロントエンド電子回路の単一段アプローチを備えた光子計数回路の第1の実施形態のアーキテクチャ図を示す図である。
図5B】フロントエンド電子回路の二段アプローチを備えた光子計数回路のアーキテクチャ図を示す図である。
図6】光子計数回路を含む医療診断用デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図2A及び2Bはそれぞれ、電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路10の実施形態を示す。フロントエンド電子回路10は、光子計数回路における光子計数整形器として使用してもよい。フロントエンド電子回路10は、電磁放射(たとえば、X線照射)に敏感なセンサに結合され、センサからの入力信号Iinを受け取るように構成された入力端子I10を含む。センサは、光子検出器として構成してもよい。フロントエンド電子回路はさらに、出力信号Vout_shaperを供給する出力端子O10を含む。
【0047】
フロントエンド電子回路は、信号整形回路1000を含む。信号整形回路1000は、増幅回路1100とアクティブ動的フィードバック回路1200とを含む。アクティブ動的フィードバック回路1200は、フロントエンド電子回路1000のフィードバック経路1001内に配置されている。増幅回路1100は、フロントエンド電子回路の入力端子I10に結合された入力ノードI1100aと、出力信号Vout_shaperを供給する出力ノードO1100とを有する。増幅回路1100の出力ノードO1100は、フロントエンド電子回路10の出力端子O10に結合されている。フィードバックコンデンサ1300が、増幅回路1100の入力ノードI1100aと増幅回路1100の出力ノードO1100との間に配置されている。
【0048】
図2Aに、差動入力整形器アプローチを示す。増幅回路1100は、差動入力、単一出力構成で具体化されている。差動入力増幅回路1100は、入力信号Iinを受け取る入力ノードI1100aと、基準信号Vrefを受け取る第2の入力ノードI1100bとを有している。
【0049】
図2Bに、フロントエンド電子回路10の単一入力アプローチを示す。増幅回路1100は、単一入力、単一出力構成で具体化されている。図2Aに示す差動入力整形器アプローチと比較すると、図2Bの増幅回路1100は、入力信号Iinを受け取る単一入力ノードI1100aのみを含む。増幅回路1100は、単一入力ノードI1100aに結合された制御ノードを有する入力トランジスタ1110を含む。増幅回路1100はさらに、入力トランジスタ1110と直列に配置された電流源1120を含む。
【0050】
図1に示したような抵抗フィードバックを含むフロントエンド電子回路とは対照的に、図2A及び2Bに示すフロントエンド電子回路10は、信号整形回路1000のフィードバック経路1001内にアクティブ動的フィードバック回路1200を含んでいる。アクティブ動的フィードバック回路1200は、図1のフロントエンド回路における信号整形回路のフィードバック抵抗器と置き換わっている。
【0051】
提案されたアクティブ動的フィードバック回路1200は、非線形フィードバック抵抗(1/gm)を実現することによって非線形性を導入する。このアプローチによって、整形器出力のパルス幅、したがって半値幅(FWHM)が著しく減り、したがってパイルアップ中の計数率が向上する。また、フロントエンド電子回路10によって、パイルアップからの回復が改善される。したがって、信号整形回路において過剰な量の電力を消費することなく、入力ダイナミックレンジならびに計数率が増加する。
【0052】
また、提案されたアクティブ動的フィードバック回路は、信号整形回路の高速経路内に制御ループを必要としないため、最高速度と位相マージンが得られる。さらに、提案されたアクティブ動的フィードバック回路によって、図2Bに示したように、演算相互コンダクタンス増幅器として構成してもよい単一入力増幅回路1100を利用することができ、電力消費ならびにフロントエンドのノイズがさらに減るであろう。図1のフロントエンド回路アプローチの抵抗素子1400と置き換わるフィードバック経路1001における提案されたアクティブ動的フィードバック増幅器を使用しないでは、信号整形回路の単一入力増幅回路は実現できない。
【0053】
アクティブ動的フィードバック回路1200は、その相互コンダクタンスgmを介して抵抗として機能するだけでなく、出力ノードO1100/出力端子O10におけるベースラインを基準電圧Vrefに調節する。さらに、提案されたアクティブ動的フィードバック回路によって、信号整形回路の電力消費及びFWHMの点で性能も著しく向上する。
【0054】
前述の要件を有する信号整形回路1000のフィードバック経路1001内にアクティブ動的フィードバック回路を実装することは、困難である。課題の背後にある理由は、このような回路が満たさなければならない以下の要件である。
【0055】
第1に、アクティブ動的フィードバック回路1200は抵抗に似ていなければならない。アクティブ動的フィードバック回路1200が、同じテールノードを共有する一対の入力トランジスタを含む演算相互コンダクタンス増幅器として実現されると仮定すると、これは、増幅器の入力トランジスタのうちの1つが有する抵抗1/gmを使用して達成され得る。しかし、アクティブ動的フィードバック回路1200は非常に高い抵抗値を提供しなければならないため、入力トランジスタの相互コンダクタンスgmは非常に小さくなければならず、これは、小さなバイアス電流と大きなオーバードライブ電圧との組み合わせによって達成できる。大きなオーバードライブ電圧は通常、供給電圧と共通テールノードに結合された電流源の飽和とによって制限されるが、小さなバイアス電流は、アクティブ動的フィードバック回路が動作できる速度ならびにダイナミックレンジに影響を及ぼす。大きなダイナミックレンジ、すなわち、大きなパルスまたはパイルアップ事象を処理すると、同じコモンモードテール電流を共有するトランジスタの入力対の他方のトランジスタの渇望が生じる。
【0056】
第2に、アクティブ動的フィードバック回路1200はFWHMを改善しなければならない。アクティブ動的フィードバック回路は、振幅が大きなパルスに対するパルス幅またはパイルアップ事象中のパルス幅を低減することによってFWHMを改善することができる。これは非線形スキームで行われ、フィードバック要素として抵抗を使用することと比べて、FWHMが著しく改善される。しかし、この役割を果たすために、アクティブ動的フィードバック回路は、整形器出力パルスを非常に高速に処理しなければならず、効果的に反応して出力パルスを再整形できるハイダイナミックレンジを有する必要がある。したがって、入力デバイスにおける比較的大きな電流を意味する高い相互コンダクタンスgmが必要になる。これは、十分に大きなフィードバック抵抗を得るために小さな電流が必要であるという第1の前述の要件と矛盾する。
【0057】
第3に、アクティブ動的フィードバック回路1200は、低いオフセットを達成しなければならない。アクティブ動的フィードバック回路はさらに、基準電圧を追跡し、フィードバックを介して信号整形回路の出力ベースラインを調整する役割を果たす。したがって、ミスマッチに起因するオフセットは、信号整形回路の出力ノードにおいてベースラインに対するずれを誘発する。あるレベルのずれは、比較器入力においてDACによって補正できるため、許容できる。しかし、過剰なずれは、相互コンダクタンス増幅器/比較器を入力コモンモード範囲から外してしまうため、許容できない。
【0058】
図3Aに、電磁センサ応用例のための(たとえば、光子計数フロントエンドのための)フロントエンド電子回路10の実施形態を示す。この実施形態に含まれる信号整形回路1000は、増幅回路1100、アクティブ動的フィードバック回路1200、及びフィードバックコンデンサ1300を備えている。信号整形回路1000は、供給電位VDDを供給する端子とフロントエンド電子回路10の入力端子I10との間に配置された電流源1500を含む。フロントエンド電子回路10によって、信号整形回路の差動入力増幅回路の性能を向上させることができる。さらに、フロントエンド電子回路10の提案された実施形態によって、信号整形回路に対する単一入力増幅回路の実現が可能になる。
【0059】
図3Aのフロントエンド電子回路10を参照して、アクティブ動的フィードバック回路1200は、アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路1201内に配置された第1の入力トランジスタ100を含む。アクティブ動的フィードバック回路1200は、アクティブ動的フィードバック回路1200の第2の電流経路1202内に配置された第2の入力トランジスタ200を含む。第1の入力トランジスタ100は、増幅回路1100の出力ノードO1100において生成された出力信号Vout_shaperを受け取るための制御ノードを有する。第2の入力トランジスタ200は、基準信号/電圧Vrefを受け取るための制御ノードを有する。アクティブ動的フィードバック回路1200はさらに、第1の電流経路1201と第2の電流経路1202とを切り離すように配置されたバッファ回路300を含む。
【0060】
したがって、バッファ回路300によって、第1及び第2の電流経路1201、1202におけるバイアス電流を切り離すことができ、これにより、第2の入力トランジスタ200を渇望させることなく、かつ出力のクリッピングを引き起こすことなく、信号整形回路1000の増幅回路1100の出力ノードO1100における大きな信号またはベースラインからの大きなずれを処理することがさらに可能になる。
【0061】
第1の電流経路1201及び第2の電流経路1202はそれぞれ、基準電位VSSを供給する端子とアクティブ動的フィードバック回路1200の共通ノード1210との間に接続されている。
【0062】
アクティブ動的フィードバック回路1200は第3の電流経路1203を含む。アクティブ動的フィードバック回路1200はさらに、供給電位VDDを供給する端子と共通ノード1210との間の第3の電流経路1203内に配置された電流源400を含む。第3の電流経路1203は、第1及び第2の電流経路1201及び1202のそれぞれに直列に接続されている。
【0063】
バッファ回路300は、第1の電流経路1201を第2の電流経路1202から切り離すために、共通ノード1210と第1の入力トランジスタ100との間に配置されている。バッファ回路300は、第1の入力ノードI300a、第2の入力ノードI300b、及び出力ノードO300を含む。バッファ回路300の第1の入力ノードI300aは、共通ノード1210に接続されている。バッファ回路300の第2の入力ノードI300bは、出力ノードO300に結合されている。これは、バッファ回路300の第2の入力ノードI300bは、出力ノードO300に直接接続することができるか、またはフィードバックネットワークを介して出力ノードO300に結合できることを意味する。
【0064】
アクティブ動的フィードバック回路1200によって、非線形性が導入される。これは、とりわけ、従来の信号整形回路のフィードバック経路内に配置できる従来のMOS抵抗器とは対照的に、第1の入力トランジスタ100は弱反転において動作できるという事実によって達成される。従来のMOS抵抗器は、バイアス発生器のPVT変動によって広がるそのVgateバイアスによる抵抗変化を減らすために、強反転においてバイアスする必要がある。
【0065】
アクティブ動的フィードバック回路1200は、第2の入力トランジスタ200の制御ノードに結合されて基準信号/電圧Vrefを供給する基準信号生成回路500を含んでいてもよい。アクティブ動的フィードバック回路のオフセットは、基準信号生成回路500によって補正することができる。基準信号生成回路は、アクティブ動的フィードバック回路増幅器のオフセットを補正するために、抵抗性DAC(デジタルアナログコンバーター)として構成してもよい。
【0066】
図3Bに、バッファ回路300の有利な実施形態を備えた図3Aのフロントエンド電子回路10を示す。
【0067】
バッファ回路300は、アクティブ動的フィードバック回路1200の第4の電流経路1204内に配置されたトランジスタ310を含む。第1の電流経路1201及び第4の電流経路1204は、基準電位VSSを供給する端子とアクティブ動的フィードバック回路1200の第2の共通ノード1220との間に、並列に接続されている。バッファ回路300はさらに電流源320を含む。電流源320は、供給電位VDDを供給する端子と第2の共通ノード1220との間のアクティブ動的フィードバック回路1200の第5の電流経路1205内に配置されている。
【0068】
フロントエンド電子回路10の有利な実施形態によれば、第1及び第2の入力トランジスタ100、200は互いに整合している。また、電流源400は電流源1500と整合している。さらに、電流源400及び電流源320は互いに整合している。
【0069】
バッファ回路300はさらに(補助)増幅器330を含む。増幅器330は、アクティブ動的フィードバック回路1200の共通ノード1210に接続された第1の入力ノードI330aを有する。増幅器330は、アクティブ動的フィードバック回路1200の第2の共通ノード1220に接続された第2の入力ノードI330bと、トランジスタ310の制御ノードに接続された出力ノードO330とを有する。
【0070】
第1の電流経路1201におけるバイアス電流と第4の電流経路1204におけるバイアス電流とを切り離すことによって、第2の共通ノード1220において低インピーダンスを形成することができる。(補助)増幅器330はインピーダンス変換を提供する。詳細には、電流源320のドレインにおける共通テールノード1220を、高インピーダンスから低インピーダンスに変換することができる。
【0071】
非線形性は、共通テールノード1220の電位を(補助)増幅器330によって大電流により固定でき、共通テールノード1220が低インピーダンスノードのようになるという事実によって達成される。第1の電流経路1201における入力電流を第4の電流経路1204における補助電流と切り離すことは、(補助)増幅器330を介して達成される。したがって、整形器出力は、その大きな信号振幅全体を、そうでなければ生じるテール共通ノード1220における電圧降下によって劣化することなく、第1の入力トランジスタのオーバードライブに行使することができる。
【0072】
最終的に、(補助)増幅器がないと、アクティブ動的フィードバック回路の増幅器1100の負入力ノードI1100bは、特に高エネルギー及び/またはパイルアップ事象において、枯渇し、したがって出力をクリップする。正及び負の入力バイアス電流を切り離すことによって、正入力における小さな電流、すなわち第1の電流経路1201における小さな電流が可能になり、フィードバック経路1001における低い相互コンダクタンス、したがって高い抵抗が得られ、また負入力、すなわち第4の電流経路1204における大電流が可能になり、枯渇して出力のクリッピングを引き起こすことなく、整形器出力の大きな信号によって要求される過電流を供給することができる。
【0073】
信号整形回路1000のフィードバック経路1001内にアクティブ動的フィードバック回路1200を含むフロントエンド電子回路の主な技術的利点は、以下のようにまとめることができる。
【0074】
信号整形回路1000のフィードバック経路1001内にアクティブ動的フィードバック回路1200を設けることによって、差動入力整形器の性能を向上させることができ、また図3Bに示したように、単一入力整形器の実現が可能になる。提案されたアクティブ動的フィードバック回路は、パルス幅を改善する、すなわち縮小することによってより低いFWHMを達成し、したがってより高い計数率において動作する。これは、ポリシリコン抵抗器の場合の線形関係、またはバルク及びソースが整形器出力に接続されたMOS抵抗器(NMOS)の場合の二次関係とは対照的に、入力電圧と出力電流との間に高度に非線形フィードバック抵抗(1/gm)を意図的に導入することによって達成される。
【0075】
入力トランジスタの差動対の非線形性は、第1の入力トランジスタ100がゲートソース電圧としてフル整形器出力電圧を受けるように、アクティブフィードバックループを使用してそのテールノード1220を強制的に定電圧にすることによって高められる。したがって、(MOS)第1の入力トランジスタ100ドレイン電流対ゲートソース電圧の完全な非線形関係が利用される。
【0076】
弱反転においてバイアスすると、フィードバック経路における抵抗の指数関数的な特性を実現することができ、FWHMが向上する。これにより、光子計数システムの速度及びパイルアップ中の計数率の性能が向上する。弱反転においてバイアスすることが可能であるのは、アクティブフィードバックループ用の適切な基準電圧生成、すなわち基準電圧Vrefに入力トランジスタ200のゲートソース電圧を加えたものによって、第1の入力トランジスタ100のオーバードライブを整形器のベースラインから切り離すことができるからである。
【0077】
同時に、標準的な差動トランジスタ対の場合と同様に、テール電流源320によって、PVTに対して安定した電流定義が保証される。アクティブフィードバックループは、第2の共通ノード1220におけるテール電位を規定するため、第4の電流経路1204における電流を第1の電流経路1201における電流から切り離す。これにより、標準的な差動対の場合のような整合制限なしに、第1の入力トランジスタ100とバッファ回路300のトランジスタ310との高度に非対称なバイアスが可能になる。
【0078】
一方で、第1の入力トランジスタ100は、高いフィードバック抵抗要件に従って、より低い電流によりバイアスすることができるが、バッファ回路300のトランジスタ310は、第2の共通ノード1220における低いテールノードインピーダンスを実現し、アクティブフィードバックループがそれほど効果的ではない高周波の場合でもテール電位クランピングを達成するために、大電流によりバイアスすることができる。
【0079】
アクティブフィードバックループと低いテールノードインピーダンスとにより、整形器出力とは関係なく第2の共通ノード1220におけるテールノード電位が一定に保たれるため、典型的な差動対アプローチの場合と同様に、大きな整形器ピークに対する電流枯渇の可能性はない。第1の入力トランジスタ100が、大きな整形器ピークに応答して過剰電流を引き出すと、その電流は、アクティブフィードバックループまたはバッファ回路300の非対称に高バイアスされたトランジスタ310のいずれかによって供給される。その結果、アクティブフィードバックループとバッファ回路300のトランジスタ310とが、第1の電流経路1201内に過電流を供給できるため、大きな整形器ピークに対する電流枯渇はない。
【0080】
結果として、パイルアップ保護には制限がない。また、高速経路におけるアクティブ動的フィードバック回路の相互コンダクタンスを制御する相互コンダクタンスコントローラを設ける必要がなく、アクティブ動的フィードバック回路1200を高速で動作させることができる。
【0081】
アクティブ動的フィードバック回路1200はさらに、アクティブ動的フィードバック回路1200の第1の電流経路1201と第6の電流経路1206との間に配置されたカレントミラー600を含む。カレントミラー600は、第1の電流経路1201内に配置されたトランジスタ610と、第6の電流経路内に配置されたトランジスタ620とを含む。カレントミラー600によって、アクティブ動的フィードバック回路1200の第1の電流経路1201からの電流を第6の電流経路1206内に結合することができる。アクティブ動的フィードバック回路1200の第6の電流経路1206は、信号整形回路100の増幅回路1100の入力ノードI1100aに接続されている。トランジスタ610及び620のそれぞれのゲートノードは、ミラーポール補償を提供するために、少なくとも1つの抵抗器630を介して接続してもよい。
【0082】
カレントミラー600によって、第1の電流経路1201における電流のダウンスケーリングが可能になる。結果として、電流経路1201内の電流をダウンスケーリングすることによって、速度及び低オフセットのために十分に高い電流により第1の入力トランジスタ100をバイアスしながら、小さな実効相互コンダクタンスを実現することができる。
【0083】
図4A、4B、及び4Cに、図3A及び3Bに示したアクティブ動的フィードバック回路1200に対する可能な実施態様を示す。図4A~4Cでは、図3A及び3Bと同じ要素には同じ引用符号により印を付けている。
【0084】
図4Aには、バッファ回路300の折り返し補助増幅器330を備えたアクティブ動的フィードバック回路1200に対する実施態様を示す。補助増幅器は、バイアス電流源333に結合された差動トランジスタ対331、332を含む。折り返し補助増幅器330はさらに、バイアストランジスタ334、カスコードトランジスタ335、及びカレントミラー336を含む。
【0085】
図4Bには、バッファ回路300の折り返しカスコード補助増幅器330を備えたアクティブ動的フィードバック回路1200に対する実施態様を示す。折り返しカスコード補助増幅器330は、差動トランジスタ対331、332、バイアス電流トランジスタ333、バイアストランジスタ334、第1のカスコード段335のトランジスタ、第2のカスコード段337、及びカレントミラー336を含む。
【0086】
図4Cには、バッファ回路300の単一段補助増幅器330を備えたアクティブ動的フィードバック回路1200の可能な実施態様を示す。補助増幅器330は、差動トランジスタ対331、332、バイアストランジスタ333、及びカレントミラー338を含む。
【0087】
フィードバック経路1001内にアクティブ動的フィードバック回路1200を備えた信号整形回路1000を含むフロントエンド電子回路10の提案されたデザインは、図5Aに示したような単一段アーキテクチャまたは図5Bに示したような二段アーキテクチャアプローチを有する光子計数回路内に設けることができる。図5A及び5Bに、差動入力構成でのアクティブ動的フィードバック回路1200を示す。単一入力構成でのアクティブ動的フィードバック回路1200の実施態様も可能である。
【0088】
図5Aの光子計数回路2の単一段アーキテクチャを参照して、光子感知領域21を有する光子検出器20がフロントエンド電子回路10の入力端子I10に接続されている。光子検出器20は、光子が光子感知領域21に当たると電流パルスを生成するように構成されている。
【0089】
フロントエンド電子回路10は、光子検出器20によって生成された電流パルスがフロントエンド電子回路10の入力端子I10に印加されると、出力ノードO10において出力信号Vout_shaperの電圧パルスを生成するように構成されている。その後、整形器の出力電圧Vout_shaperは、エネルギー弁別器30のいくつかの弁別器回路30a、...、30nによってさらに処理される。エネルギー弁別器30は、出力端子O10における電圧パルスのレベルに応じてデジタル信号を生成するように構成されている。その後、弁別器の出力は、カウンタ40のカウンタ回路40a、...、40n内に供給される。カウント数は入射光子の数に比例する。複数の弁別器回路30a、...、30n及びカウンタ回路40a、...、40nを有すると、各入射光子のエネルギーレベルに関する情報が得られる。カウンタ出力は、図5Aには示していないDSP(デジタル信号プロセッサ)によって処理してもよい。
【0090】
入力容量が小さくて固定されている場合、図5Aに示す光子計数回路2の単一段アーキテクチャを使用することができる。入力容量が大きくて可変である場合、図5Bに示すような光子計数回路2の二段アーキテクチャアプローチを使用することができる。
【0091】
図5Bの光子計数回路2の二段アーキテクチャアプローチを参照して、信号整形回路1000は、電荷感応増幅回路2000を介して入力端子I10に結合されている。電荷感応増幅回路2000は、入力端子I10における入力容量から信号整形回路1000を切り離すバッファとして機能する。電荷感応増幅回路2000は、演算相互コンダクタンス増幅器2100、フィードバック抵抗器2200、及びフィードバックコンデンサ2300を含む。電荷感応増幅回路2000及び信号整形回路1000は、抵抗器3100及びコンデンサ3200の並列接続を含む結合ネットワーク3000によって結合されている。
【0092】
光子計数応用例のフロントエンド電子回路の信号整形回路においてアクティブ動的フィードバック回路1200を使用する場合、速度及び計数率の点でバジェットを提供する小さなFWHMが達成されて、フィードバックコンデンサ1300の容量を増加させ得る。コンデンサ1300の容量を増加させることにより、低い弾道欠損を達成することができる。
【0093】
光子計数応用例においてフロントエンド電子回路10を使用することに加えて、図3A、3Bまたは4A~4Cに示したようなアクティブ動的フィードバック回路1200を含むフロントエンド電子回路10の提案された構成を、種々のX線画像化応用例、たとえば、コンピュータ断層撮影、セキュリティ、食品または手荷物検査、材料及び電子機器の欠陥検査などに使用してもよい。
【0094】
図6に、図3A、3B、または4A~4Cに示すアプローチのうちの1つによるフロントエンド電子回路10を備えた光子計数回路2を、医療診断用のデバイス1内に設ける応用の例を示す。医療診断用のデバイス1は、たとえば、X線装置またはコンピュータ断層撮影スキャナとして構成してもよい。
【0095】
本明細書で開示したフロントエンド電子回路の実施形態を、読者にフロントエンド回路のデザインの新規な態様を知ってもらうことを目的として説明してきた。好ましい実施形態について図示して説明してきたが、開示した考え方の多くの修正、変更、均等物、及び置換が、特許請求の範囲から不必要に逸脱することなく当業者によってなされ得る。
【0096】
詳細には、フロントエンド電子回路のデザインは、開示した実施形態に限定されず、説明した実施形態に含まれる特徴について可能な限り多くの代替案の例を示す。しかし、開示した考え方の任意の変更、均等物、及び置換が、本明細書に添付される特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0097】
別個の従属請求項に記載された特徴は、有利に組み合わせてもよい。また、特許請求の範囲において使用される引用符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されることに限定されない。
【0098】
さらに、本明細書で使用する場合、項目「含む(comprising)」は他の要素を除外するものではない。さらに、本明細書で使用する場合、冠詞「a」は、1つ以上の構成要素または要素を含むことが意図されており、1つだけを意味するものと解釈されることに限定されない。
【0099】
本特許出願は、ドイツ特許出願、出願第102021111362.8号の優先権を主張する。この文献の開示内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0100】
1 医療診断用デバイス
2 光子計数回路
10 フロントエンド電子回路
20 光子検出器
30 エネルギー弁別器
40 カウンタ
100 第1の入力トランジスタ
200 第2の入力トランジスタ
300 バッファ回路
310 トランジスタ
320 電流源
330 増幅器
400 電流源
500 基準信号生成回路
600 カレントミラー
1000 信号整形回路
1100 増幅回路
1200 アクティブ動的フィードバック回路
1300 コンデンサ
2000 電荷感応増幅回路
2100 演算相互コンダクタンス増幅器
2200 フィードバック抵抗器
2300 コンデンサ
3000 結合ネットワーク
3100 コンデンサ
3200 抵抗器
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射センサ応用例のためのフロントエンド電子回路であって、
電磁放射センサに結合されて前記センサから入力信号(Iin)を受け取るように構成された入力端子(I10)と、
出力信号(Vout_shaper)を供給する出力端子(O10)と、
増幅回路(1100)とアクティブ動的フィードバック回路(1200)とを含む信号整形回路(1000)であって、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記信号整形回路(1000)のフィードバック経路(1001)内に配置されている、前記信号整形回路(1000)と、を含み、
前記増幅回路(1100)は、前記入力端子(I10)に結合された入力ノード(I1100a)と、前記出力信号(Vout_shaper)に結合された出力ノード(O1100)とを有し、前記出力ノード(O1100)は前記出力端子(O10)に結合され、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記アクティブ動的フィードバック回路の第1の電流経路(1201)内に配置された第1の入力トランジスタ(100)と、前記アクティブ動的フィードバック回路の第2の電流経路(1202)内に配置された第2の入力トランジスタ(200)(1200)と、を含み、
前記第1の入力トランジスタ(100)は、前記出力信号(Vout_shaper)を受け取るための制御ノードを有し、
前記第2の入力トランジスタ(200)は、基準信号(Vref)を受け取るための制御ノードを有し、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記第1及び第2の電流経路(1201、1202)を切り離すように配置されたバッファ回路(300)を含む、前記フロントエンド電子回路。
【請求項2】
前記第1の電流経路(1201)及び前記第2の電流経路(1202)はそれぞれ、基準電位(VSS)を供給する端子と前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の共通ノード(1210)との間に接続され、
前記バッファ回路(300)は、前記共通ノード(1210)と前記第1の入力トランジスタ(100)との間に配置される、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項3】
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、第3の電流経路(1203)を含み、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、供給電位(VDD)を供給する端子と前記共通ノード(1210)との間の前記第3の電流経路(1203)内に配置された電流源(400)を含み、
前記第3の電流経路(1203)は、前記第1及び前記第2の電流経路(1201、1202)のそれぞれに直列に接続されている、請求項2に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項4】
前記バッファ回路(300)は、第1及び第2の入力ノード(I300a、I300b)と出力ノード(O300)とを含み、
前記バッファ回路(300)の前記第1の入力ノード(I300a)は、前記共通ノード(1210)に接続され、
前記バッファ回路(300)の前記第2の入力ノード(I300b)は、前記バッファ回路(300)の前記出力ノード(O300)に結合され、
前記バッファ回路(300)の前記出力ノード(O300)は、前記第1の入力トランジスタ(100)に接続される、請求項3に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項5】
前記バッファ回路(300)は、トランジスタ(310)と電流源(320)とを含み、
前記トランジスタ(310)は、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の第4の電流経路(1204)内に配置され、
前記第1の電流経路(1201)及び前記第4の電流経路(1204)は、基準電位(VSS)を供給する端子と、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の第2の共通ノード(1220)との間に並列に接続され、
前記電流源(320)は、供給電位(VDD)を供給する端子と前記第2の共通ノード(1220)との間の前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の第5の電流経路(1205)内に配置される、請求項3または4に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項6】
前記バッファ回路(300)は増幅器(330)を含み、前記増幅器(330)は、前記前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の共通ノード(1210)に接続された第1の入力ノード(I330a)と、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第2の共通ノード(1220)に接続された第2の入力ノード(I330b)と、前記トランジスタ(310)の制御ノードに接続された出力ノード(O330)と、を有する、請求項5に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項7】
前記第2の入力トランジスタ(200)の前記制御ノードに結合されて前記基準信号(Vref)を供給する基準信号生成回路(500)を含む、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項8】
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)は、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第1の電流経路(1201)と第6の電流経路(1206)との間に配置されて、前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第1の電流経路(1201)からの電流を、前記第6の電流経路(1206)内に結合するカレントミラー(600)を含み、
前記アクティブ動的フィードバック回路(1200)の前記第6の電流経路(1206)は、前記信号整形回路(1000)の前記増幅回路(1100)の前記入力ノード(I1100a)に接続される、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項9】
前記カレントミラー(600)は、前記第1の電流経路(1201)内に配置された第1のミラートランジスタ(610)と、前記第6の電流経路(1206)内に配置された第2のミラートランジスタ(620)とを含み、
前記カレントミラー(600)は、前記第1のミラートランジスタ(610)のゲートノードと前記第2のミラートランジスタ(620)のゲートノードとの間に配置された少なくとも1つの抵抗器(630)を含む、請求項8に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項10】
前記第1の入力トランジスタ(100)は弱反転において動作する、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項11】
前記第1及び前記第2の入力トランジスタ(100、200)は互いに整合しており、及び/または第1の電流源(400)及び第2の電流源(320)は互いに整合している、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項12】
前記信号整形回路(1000)は、前記増幅回路(1100)の前記入力ノード(I1100a)と前記増幅回路(1100)の前記出力ノード(O1100)との間に配置されたフィードバックコンデンサ(1300)を含み、
前記信号整形回路(1000)は、供給電位(VDD)を供給する端子と前記入力端子(I10)との間に配置された第3の電流源(1500)を含み、
第1の電流源(400)は前記第3の電流源(1500)と整合している、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項13】
前記増幅回路(1100)は、単一入力、単一出力構成、または差動入力、単一出力構成で具体化される、請求項1に記載のフロントエンド電子回路。
【請求項14】
光子計数回路であって、
請求項1に記載のフロントエンド電子回路(10)と、
光子感知領域(21)を有する光子検出器(20)であって、前記光子検出器(20)は、光子が前記光子感知領域(21)に当たると電流パルスを生成するように構成されている、前記光子検出器(20)と、
前記フロントエンド電子回路(10)の前記出力端子(O10)に接続されたエネルギー弁別器(30)と、を含み、
前記光子検出器(20)は、前記フロントエンド電子回路(10)の前記入力端子(I10)に接続され、
前記フロントエンド電子回路(10)は、前記電流パルスが前記フロントエンド電子回路(10)の前記入力ノード(I10)に印加されると、前記フロントエンド電子回路(10)の前記出力ノード(O10)において電圧パルスを生成するように構成され、
前記エネルギー弁別器(30)は、前記電圧パルスのレベルに応じてデジタル信号を生成するように構成されている、前記光子計数回路。
【請求項15】
医療診断用デバイスであって、
請求項14に記載の光子計数回路(2)を含み、
前記デバイス(1)は、X線装置またはコンピュータ断層撮影スキャナとして構成されている、医療診断用デバイス。
【国際調査報告】