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特表2024-518311工業的に重要な原材料を管理するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】工業的に重要な原材料を管理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/30 20230101AFI20240423BHJP
   G01N 23/223 20060101ALI20240423BHJP
   G01N 23/207 20180101ALI20240423BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G06Q10/30
G01N23/223
G01N23/207
B29B17/00 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565243
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 IL2022050381
(87)【国際公開番号】W WO2022224240
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】282500
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】63/260,293
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518274043
【氏名又は名称】セキュリティ マターズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SECURITY MATTERS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ナホム,テヒラ
(72)【発明者】
【氏名】タル,ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】カプリンスキー,モル
(72)【発明者】
【氏名】シャーデー,ハギット
(72)【発明者】
【氏名】アロン,ハッガイ
(72)【発明者】
【氏名】ダフニ,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ナヒミアス,チェン
(72)【発明者】
【氏名】シムエリ,ガル
(72)【発明者】
【氏名】ムスニカウ,ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】ヨラン,ナダフ
(72)【発明者】
【氏名】ツェルディク,イェカテリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ブルク ザルツマン,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ファステンベルク,ミハエル
【テーマコード(参考)】
2G001
4F401
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA04
2G001BA18
2G001CA01
2G001KA20
2G001LA05
4F401BA13
4F401BB02
4F401CA42
4F401DB01
4F401FA20X
(57)【要約】
材料のリサイクルプロセスを管理するための方法およびシステムが提供される。プラスチックおよびゴム材料の状態データが提供され、これは、製品中の1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、1つまたは複数のプラスチック製品タイプと関連付けられた前記プラスチックの先行使用を示す。プラスチック材料の状態データが分析され、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、選別データが生成される。選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の少なくとも1つについて、マーキングデータが生成され、マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入される少なくとも1つのマーカを含み、プラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するために電磁放射信号を提供する。プラスチック材料状態データおよび選別データのうちの少なくとも1つが分析され、選別される前記プラスチック材料の現在の状態を特徴付ける証明書データが生成され記憶される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のリサイクルプロセスを管理するための方法であって、
製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に埋め込まれた1つまたは複数の第1の電磁放射線シグネチャを示す第1の測定データを提供する工程;
前記測定されたデータを分析して、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、それぞれのプラスチック材料状態データを決定する工程であって、前記それぞれのプラスチック材料状態データは、前記プラスチック材料の先行する使用を示す、工程;
前記それぞれのプラスチック材料状態に基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々について第1の選別データを生成する工程;および
前記第1の選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の少なくとも1つに対するマーキングデータを生成する工程であって、前記マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するための電磁放射線信号を提供するために、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入される少なくとも1つのマーカを示すデータを含む、工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記プラスチック材料の状態データおよび前記プラスチック材料の選別データの少なくとも1つを利用する工程、および、選別される前記プラスチック材料の現在の状態を特徴付ける証明書データを生成および記憶する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのマーカを示す前記データは、各プラスチック材料の再利用タイプについて、対応する1つまたは複数のマーカに関するマッチングデータと関連付けて、前記プラスチック材料のライフサイクルを示すデータを記憶する、データベースから取得されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのマーカを示すデータは、(a)リサイクルされる前記プラスチック材料の連続するライフサイクルの数、および(b)リサイクルされたプラスチック材料の再利用のための連続する製品タイプに対応するデータを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、前記それぞれのプラスチック材料状態は、前記プラスチック材料と前記製品に含まれる所定の天然材料との間の関係を示すことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の天然材料は、バージンプラスチック材料であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の測定データは、前記所定の天然材料の1つまたは複数の電磁放射シグネチャを示すデータを含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数のプラスチック材料は、少なくとも1つのポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の測定データを提供する工程は、前記測定データプロバイダと通信して、該測定データプロバイダから前記第1の測定データを受信する工程、および、前記1つまたは複数の第1の電磁放射線シグネチャを識別して、それを示す第1の測定データを生成するために、選別される前記製品に対して1つまたは複数の測定セッションを実行する工程のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マーキングデータを、前記製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に関連付けて、前記マーキングデータに応答するように構成され動作可能なマーキングシステムに通信する工程、および、前記1つまたは複数のマーキングセッションを実行して、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに少なくとも1つのマーカを導入する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に関連付けられた前記マーキングデータを利用する工程、および、前記マーキングシステムを動作させて、1つまたは複数のマーキングセッションを実行し、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに前記少なくとも1つのマーカを導入する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのマーカは、単一のマスターバッチ中の追加の添加剤と共に、単一のパッケージ中のプラスチック材料に導入されることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記マーキングを前記プラスチック材料中に導入することによって選別された後に前記プラスチック材料中に存在する1つまたは複数の汚染成分によって生じる1つまたは複数の第2の電磁放射線信号を示す第2の測定データを提供する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記マーキングを前記プラスチック材料中に導入することによって選別された後に前記プラスチック材料中に存在する1つまたは複数の汚染成分によって生じる1つまたは複数の第2の電磁放射線信号を示す第2の測定データを提供する工程、および、前記プラスチック材料を特徴付ける証明書データを更新する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項2~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の測定データを提供する工程は、前記測定データプロバイダと通信して、該測定データプロバイダから前記第2の測定データを受信する工程、および、前記1つまたは複数の第2の電磁放射線シグネチャを識別し、それを示す第2の測定データを生成するために、選別された後に前記製品に対して1つまたは複数の測定セッションを実行する工程のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記プラスチック材料に埋め込まれた前記マーキングデータに基づいて、リサイクルされるプラスチック材料の組成を示す検証データを提供する工程;前記検証データを分析する工程;および、前記プラスチック材料のリサイクルプロセス、前記リサイクルプラスチック材料を含む製品の製造プロセスのうちの少なくとも1つを特徴付ける制御データを生成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記検証データを提供する工程は、前記プラスチック材料に埋め込まれた前記マーキングデータに基づいて、リサイクルされるプラスチック材料に由来する電磁放射線信号を測定する工程を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記測定されたデータの電磁放射信号は、UV信号;X線回折(XRD)信号;蛍光X線(XRF)信号のタイプのうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記測定されたデータの電磁放射信号は、蛍光X線(XRF)信号を含み;前記少なくとも1つのマーカを示すデータは、XRF励起放射線に対するXRF応答信号によって応答する少なくとも1つのマーカに対応することを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
材料のリサイクルプロセスを管理するための方法であって、
製品中の1つまたは複数のプラスチック材料の各々について、1つまたは複数のプラスチック製品タイプに関連付けられた前記プラスチック材料の先行使用を示すプラスチック材料状態データを提供する工程;
前記プラスチック材料状態データを分析し、それぞれのプラスチック材料状態に基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて選別データを生成する工程;
前記選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の少なくとも1つに対するマーキングデータを生成する工程であって、前記マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入される少なくとも1つのXRFマーカを含み、前記プラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するための電磁放射線信号を提供する、工程;および
前記プラスチック材料状態データおよび前記プラスチック材料の選別データの少なくとも1つを利用し、選別される前記プラスチック材料の現在の状態を特徴付ける証明書データを生成および記憶する工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項21】
前記製品中の前記1つまたは複数のプラスチック材料に埋め込まれた1つまたは複数の蛍光X線(XRF)シグネチャを示す測定データを受信する工程;および、前記測定されたデータを分析して、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、それぞれのプラスチック材料状態データを決定する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載のリサイクル材料を管理するための方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのマーカは、励起XRF放射線に対してXRF信号によって応答するXRFマーカであり、各プラスチック材料再利用タイプについて、対応する1つまたは複数のXRFマーカに関するマッチングデータと関連付けられて前記プラスチック材料のライフサイクルを示すデータを記憶するデータベースから得られることを特徴とする、請求項20または21に記載のリサイクル材料を管理するための方法。
【請求項23】
前記選別データは、(a)リサイクルされる前記プラスチック材料の連続するライフサイクルの数、および(b)リサイクルされたプラスチック材料の再利用のための連続する製品タイプ、に対応する少なくとも1つのマーカを示すデータを含むことを特徴とする、請求項20~22のいずれか一項に記載のリサイクル材料を管理するための方法。
【請求項24】
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法を実行するためのシステムであって、該システムは、データ入力ユーティリティおよびデータ出力ユーティリティと、メモリと、処理回路とを備えるコンピュータシステムとして構成され、前記処理回路は、以下:
前記測定されたデータを分析して、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、前記プラスチック材料の先行する使用を示すそれぞれのプラスチック材料状態データを決定する;
それぞれのプラスチック材料状態データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々についての選別データを生成する;および
前記選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々に対してマーキングデータを生成し、該マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々に導入される少なくとも1つのマーカを含み、前記プラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するために電磁放射線信号を提供する
を実行するように前記測定されたデータに応答することを特徴とする、システム。
【請求項25】
材料リサイクルプロセスを管理する際に使用するための管理システムであって、該システムは、データ入力ユーティリティおよびデータ出力ユーティリティと、メモリと、処理回路とを備えるコンピュータシステムとして構成され、
前記データ入力ユーティリティは、製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に埋め込まれた1つまたは複数の電磁放射線シグネチャを示す第1の測定データを含む入力データを受信するように構成され;
前記処理回路は、以下:
前記第1の測定データに応答して、それを分析し、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々について、前記プラスチック材料の先行する使用を示すそれぞれのプラスチック材料状態を決定するように構成され動作可能な分析器;
それぞれのプラスチック材料の状態に基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々についての選別データを決定するように構成され動作可能な選別データ生成器;および
前記選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々についてのマーキングデータを決定するように構成され動作可能なマーキングデータ生成器であって、前記マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々に導入されて前記プラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するための電磁放射信号を提供する少なくとも1つのマーカを含む、マーキングデータ生成器
を含むことを特徴とする、管理システム。
【請求項26】
測定データプロバイダと通信して、該測定データプロバイダから前記第1の測定データを受信するように構成され動作可能であることを特徴とする、請求項25に記載の管理システム。
【請求項27】
前記マーキングデータと通信して、1つまたは複数のマーキングセッションを実行して、前記少なくとも1つのマーカを前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入するように構成され動作可能であることを特徴とする、請求項25または26に記載の管理システム。
【請求項28】
前記製品に対して1つまたは複数の測定セッションを実行して、前記1つまたは複数のシグネチャを識別し、それを示す第1の測定データを生成するように構成され動作可能な測定ユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項25に記載の管理システム。
【請求項29】
1つまたは複数のマーキングセッションを実行して、前記少なくとも1つのマーカを前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入するように構成され動作可能なマーキングユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項25~28のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項30】
前記処理回路はさらに、前記プラスチック材料の状態データおよび前記プラスチック材料の選別データの少なくとも1つを利用し、選別される前記プラスチック材料の現在の状態を特徴付ける証明書データを生成および記憶するように構成され動作可能な証明書生成ユーティリティを備えることを特徴とする、請求項25~29のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項31】
プラスチック材料の再利用タイプごとに、対応する1つまたは複数のマーカに関するマッチングデータと関連付けて、前記プラスチック材料のライフサイクルを示すデータを記憶するデータベースと関連付けられたデータベース管理システムと通信し、前記データベース管理システムから少なくとも1つのマーカを示すデータを取得するように構成され動作可能であることを特徴とする、請求項25~30のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのマーカを示すデータは、(a)リサイクルされる前記プラスチック材料の連続するライフサイクルの数、および(b)リサイクルされたプラスチック材料の再利用のための連続する製品タイプに対応するデータを含むことを特徴とする、請求項25~31のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項33】
前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、それぞれのプラスチック材料状態は、前記プラスチック材料と前記製品に含まれる所定の天然プラスチック材料との間の関係を示すことを特徴とする、請求項25~32のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項34】
前記第1の測定データは、前記所定の天然プラスチック材料の1つまたは複数の電磁放射シグネチャを示すデータを含むことを特徴とする、請求項33に記載の管理システム。
【請求項35】
前記マーキングを導入することによって選別された後に前記プラスチック材料中に存在する1つまたは複数の汚染成分によって生じる1つまたは複数の第2の電磁放射線信号を示す第2の測定データを受信して分析するようにさらに構成され動作可能である、請求項25~34のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項36】
前記マーキングを導入することによって選別された後に前記プラスチック材料中に存在する1つまたは複数の汚染成分によって生じる1つまたは複数の第2の電磁放射線信号を示す第2の測定データを提供する工程、および、前記プラスチック材料を特徴付ける証明書データを更新する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項26~35のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項37】
前記プラスチック材料に埋め込まれた前記マーキングデータに基づいて、リサイクルされる前記プラスチック材料の組成を示す検証データを受信して分析し;前記プラスチック材料のリサイクルプロセス;前記リサイクルされたプラスチック材料を含む製品の製造プロセスの少なくとも1つを特徴付ける制御データを生成するようにさらに構成され動作可能であることを特徴とする、請求項25~36のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項38】
天然の非リサイクル製品および1つまたは複数のリサイクルプラスチック材料の組成を含む製品であって、前記天然の非リサイクル製品および前記リサイクルプラスチック材料の少なくとも1つは、特徴的な放射線シグネチャによって励起放射線に応答し、前記少なくとも1つのマーカの前記放射線シグネチャの読み取り値から検出可能な前記組成物の1つまたは複数の特性および状態を示すデータを埋め込むことができる少なくとも1つの所定のマーカを含むことを特徴とする、製品。
【請求項39】
前記非リサイクル製品は天然ゴムであることを特徴とする、請求項38に記載の生成物。
【請求項40】
前記少なくとも1つのマーカは、XRF識別可能マーカを含むことを特徴とする、請求項38または39に記載の生成物。
【請求項41】
前記リサイクルプラスチック材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)およびポリイソプレンから選択されることを特徴とする、請求項38~40のいずれか一項に記載の製品。
【請求項42】
XRF識別可能なポリマー原材料を提供するための方法であって、一定量のXRF識別可能マーカで前記ポリマー原材料のサンプルをマーキングする工程を含み、前記量は、前記原材料の組成および前記サンプルの製造プロファイルのうちの少なくとも1つを示す電磁放射線シグネチャを画定することを特徴とする、方法。
【請求項43】
前記ポリマー原料は天然材料であることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記天然材料はゴムであることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記原材料は少なくとも1つのリサイクル可能な材料を含むことを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記サンプルのマーキングは、サンプル製造の以下の段階:ラテックス収集段階中;樹液固化の前、最中または後;凝固前、凝固中または凝固後;および、サンプルゴム製品の乾燥後に、導入される1つまたは複数のマーキングを含むことを特徴とする、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、材料製造および原材料の工業的使用の分野にある。本発明は、材料のリサイクルプロセス、例えばプラスチック材料のリサイクルを管理するために特に有用である。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、世界で最も使用されている材料の1つである。プラスチックに関する問題は、それがどのように使用されるかではなく、それから作製される製品の使用後(end-of-life)管理にある。現在、リサイクルまたは再利用されるプラスチックはほんのわずかな割合しかなく、プラスチックの大部分は、埋立地において廃棄物となり、またはより悪いことには、自然界において廃棄される、および/または海洋へ流れ込む。この問題が大きくなることにより、プラスチック製品のリサイクルおよび再利用が緊急に必要とされている。
【0003】
プラスチック製品のリサイクルにおける主な問題は、プラスチック材料(例えば、ポリマー材料)の使用中、さらにそのリサイクルプロセス中の劣化であり、これは、例えば、強度、弾性、光学的および熱的特性、UV照射に対する耐性などのそれらの特性に影響を及ぼし得る。したがって、リサイクルプラスチック材料および/またはリサイクルプラスチック材料から作製された製品は、非リサイクルプラスチック材料と比較して低品質であり得る。さらに、プラスチック材料の品質は通常、材料が受けるリサイクルプロセス毎に低下する。すなわち、同じタイプの製品または異なる製品において、リサイクルおよび再利用された製品に組み込まれたプラスチック材料は、例えば、1回だけリサイクルプロセスを受けたプラスチック材料よりも低品質であり得る。同じタイプの製品で使用するために多くの「許容された」リサイクル段階を経たプラスチック材料は、前記製品タイプではもはや有用ではないかもしれないが、さらにリサイクルされる場合、別のタイプの製品を作製するのに適しているかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、適時に意思決定を行い、各プラスチック材料の対応する選別データを生成し、好ましくは前記プラスチック材料に割り当てられた対応する証明書を生成することによって、原材料を適切にマーキングし、そのようなマーキングされた原材料、特にプラスチック材料を含む様々な材料のリサイクルおよび再利用を、同じまたは異なるタイプの複数の製品における複数のライフサイクルの期間にわたって管理するための新規なアプローチを提供する。原材料ならびに各プラスチック材料の特性/状態のリアルタイム検査に基づいて生成されたそのような選別データは、前記プラスチック材料の連続的なリサイクルが製品におけるそのさらなる使用を可能にするかどうか、および適切な製品タイプを示す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術は、生産ラインで進行するプラスチック材料含有製品の自動検査および選別を可能にする。本発明の管理システムは、材料検査データに基づいて選別データおよび関連する割り当てられた証明書データを生成するものであり、検査ステーションの一部であってもよく、または検査ステーションとデータ通信するスタンドアロンシステムであってもよい。次いで、選別/証明書データは、検査ステーションの下流の選別ステーションで適切にアクセスされ、使用され得る。
【0006】
本発明は、例えばプラスチック材料に埋め込まれた特定のマーキングに基づいて、プラスチック材料の電磁放射シグネチャを(例えば特定の照射に応答して)読み取り、検出されたシグネチャから各プラスチック材料の特性/状態を決定するために、本出願の発明者によって開発された以前の技術を利用する。
【0007】
プラスチック材料のライフサイクルは、(バージンプラスチック材料またはリサイクルプラスチック材料としての)材料の製造からプラスチック材料の次のリサイクルまでの期間を指す。プラスチック材料のマーキングは、その製造中またはその後の任意の段階ですでに行うことができる。
【0008】
プラスチック製品の製造は、天然ゴムなどの天然産物または同様の産物の組成物およびそのような天然産物の組成物(非リサイクル製品)と、1つまたは複数のリサイクルプラスチック材料とを利用することができ、天然プラスチック材料は、リサイクルされなかった(例えば、バージン)が初めて製品に使用されたプラスチック材料であり得る。特定のプラスチック材料(さらなるリサイクルまたは再利用が決定される)の特性/状態は、プラスチック材料自体の放射線シグネチャの読み取り値に基づいて決定することができ、または検査される製品中の天然プラスチック材料とリサイクルプラスチック材料との間の関係(例えば、予め選択された割合)に基づいて決定することができる。このようにして、プラスチック製品は、その品質を確保しながら、特定の製品要件に従って、天然プラスチック材料と1つまたは複数のリサイクルプラスチック材料との間の予め選択された比率を有する材料の組成物から製造され得る。いくつかの場合において、リサイクルされたプラスチック材料は、1回、2回またはそれ以上リサイクルされたプラスチック材料の予め選択された濃度を含むように設定され得る。特定のプラスチック材料の大規模なリサイクルおよび再利用を可能にするために、天然およびリサイクルプラスチック材料の検出および同定が使用される。
【0009】
様々なプラスチック材料(例えば、ポリマー材料)が、リサイクルプロセス中(すなわち、使用済みプラスチック製品に由来するリサイクルプラスチック材料/製品の製造中)にマーキングされる。さらに、プラスチック材料は、その製造中またはバージンプラスチックが主成分であるプラスチック製品の製造中に、バージンプラスチックとしてマーキングされてもよい。
【0010】
プラスチック材料は、典型的には工業的に作製されたポリマー材料であり、ゴムは天然材料であるが、本明細書に開示される発明の目的のために、用語「プラスチック」は、天然および非天然または工業的に製造されたポリマーを包含する。したがって、プラスチック材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソプレン、天然ゴム(またはラテックス)、および他の種類のポリマー等のポリマーであってもよい。
【0011】
プラスチック材料は、プラスチック材料に埋め込まれた特定のマーキング(マーカ要素)によってマーキングされる。マーカは、好適な分光計(リーダ)によって検出され得る電磁信号の放出によって、励起/読み取り放射線に応答し得る。ある例において、入射電磁放射線に対するマーカの応答は、例えば、UV放射線、X線回折(XRD)、または蛍光X線(XRF)を含む。
【0012】
したがって、マーキングされたプラスチック材料は、励起/読み取り放射に応答して生成されるシグネチャによって特徴付けられる。以下の説明では、XRF技術の使用は、プラスチック材料の特性/状態を決定するためのプラスチック材料シグネチャの読み取りに関して、ならびにその選別データおよび証明書に従ってプラスチック材料をマーキングすることに関して例示される。しかしながら、本発明の新規な手法の原理は、この特定のタイプのシグネチャ/マーキングに限定されないことを理解されたい。
【0013】
XRFマーカは、それらの応答(シグネチャ)信号を検出および同定し得るXRF分光計(リーダ)による蛍光X線(XRF)分析によって検出および測定され得る。ある例において、XRFリーダは、エネルギー分散型蛍光X線(EDXRF)分光計である。XRFマーカは柔軟性がある、すなわち、それらのシグネチャ信号に悪影響を及ぼすことなく、様々な担体、材料、物質、および基質と組み合わせるか、ブレンドするか、またはそれらと化合物を形成するか、あるいはそれらに埋め込むことができる。
【0014】
XRFマーカは、例えば、無機塩、金属酸化物、ビまたはトリ金属原子分子、多原子イオン、および有機金属分子の形態であり得る(例えば、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第21009758号および国際公開第21009757号に記載されている)。ある例では、XRFマーカは、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2018/069917号に記載されるように、無機材料(例えば、金属)または有機材料(例えば、ポリマー)とブレンドまたは適用されてもよい。
【0015】
この柔軟性により、XRFマーカ、または複数のXRFマーカを含むマーキング組成物(場合によっては担体または添加剤などの追加の材料を含む)は、予め選択された特性セットを有するように設計され得る。さらに、XRFマーキングは、マーカが物体の表面自体の上ではなく表面下に存在する場合、例えば、物体が包装材料、汚れ、または埃によって覆われている場合に、検出および同定することができる。さらに、XRF分析は、材料内に存在するマーカの濃度ならびに材料内のマーカの比率(相対濃度)の測定を可能にする。
【0016】
本発明は、プラスチック材料のリサイクルおよび再利用に関する問題を克服するための新規なアプローチを提供する。特に、本発明は、ゴムなどの天然ポリマーのようなバージンポリマーまたは材料ポリマー、およびリサイクルプラスチック材料などのマーキングおよび識別を可能にする。さらに、本発明の技術は、ポリマー材料がリサイクルを受けた回数を同定することを可能にする。さらに、バージン材料とリサイクルプラスチック材料の両方を含む製品の場合、製品の組成は、バージン材料、1回リサイクルされたプラスチック材料、2回リサイクルされたプラスチック材料などの関係(例えば、比率)を測定することによって決定することができる。この目的のために、1つまたは複数のマーカのセットが、リサイクルプロセス全体の間に、リサイクルプロセスの各ラウンドにおいてリサイクルされた材料に導入される。さらに、本発明によれば、バージン材料は、例えば、バージン材料の製造中に、または重合プロセス、配合プロセス中に、またはホットメルト処理(例えば押出)中に、例えばバージン材料を含む製品の製造中に、バージン材料に導入することができる1つまたは複数のマーカによってマーキングすることもできる。
【0017】
1つまたは複数のマーカは、プラスチック材料内に埋め込まれ、マーキングされたプラスチック材料が得られ、マーキングされたプラスチック材料のライフサイクル中の任意の段階で、例えば、ペレットの物理的形態で、または製品の構成要素として、および製品の製造中および製造後に(例えば、XRF分析によって)検出および同定され得る。
【0018】
したがって、本発明の1つの広範な態様によれば、天然ゴムなどのXRF識別可能なポリマー原材料を提供するための方法が提供され、ポリマー原材料のサンプルを、所定の量のXRF識別可能なマーカでマーキングする工程を含み、その量が、原材料組成および/または生産プロファイル(原材料データ)を示す電磁放射線シグネチャを画定する。プロファイルは、1つまたは複数の製造日、製造場所、組成、非天然添加物の有無などを含み得る。
【0019】
本発明に従って使用される主なバージン材料の1つは、天然ゴムまたはラテックスである。
【0020】
当技術分野で知られているように、天然ゴムは、ある種の樹木、主にHevea brasiliensisの樹木、または適切な名前のゴムの樹木から、液体の樹液であるラテックスを抽出することによって作製される。ラテックスは、樹皮に切り込みを入れ、カップに液状の樹液を集めることによって、樹木から集められる。このプロセスはタッピングと呼ばれる。樹液が凝固するのを防ぐために、アンモニアを添加する。次いで、凝固と呼ばれるプロセスにおいて、酸を混合物に添加してゴムを抽出する。次いで、混合物をローラーに通して過剰の水を除去する。これが完了すると、ゴムの層をスモークハウス内のラックに掛けるか、または自然乾燥させる。数日後、それらはベールに折り畳まれて加工に供される。
【0021】
本発明によれば、ゴムは、その製造の任意の段階で、本明細書に詳述されるように、XRF識別可能マーカを用いてマーキングされ得る。ゴムが少なくとも1つの別の材料と混合される場合、ゴムは、少なくとも1つの別の材料と混合する前にマーキングされる。
【0022】
マーキングは、ラテックス収集段階中、すなわちタッピング中;固化剤による樹液固化の前、最中または後;凝固前、凝固中または凝固後;あるいは、ゴムの乾燥後に行うことができる。
【0023】
本発明の別の広範な態様によれば、天然非リサイクル製品と1つまたは複数のリサイクルプラスチック材料との組成物を含む製品が提供され、天然非リサイクル製品およびリサイクルプラスチック材料のうちの少なくとも1つが、特徴的な放射線シグネチャによって励起放射線に応答することができる少なくとも1つの所定のマーカを含み、前記少なくとも1つのマーカの前記放射線シグネチャの読み取り値から検出可能な前記組成物の1つまたは複数の特性および状態を示すデータを埋め込む。
【0024】
本発明はまた、材料のリサイクルプロセスを管理する方法を提供し、本方法は以下を含む:
製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に埋め込まれた1つまたは複数の第1の電磁放射線シグネチャを示す第1の測定データを提供する工程;
測定されたデータを分析して、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、それぞれのプラスチック材料状態データを決定する工程であって、それぞれのプラスチック材料状態データは、前記プラスチック材料の先行する使用を示す、工程;
それぞれのプラスチック材料状態に基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々について第1の選別データを生成する工程;
第1の選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の少なくとも1つに対するマーキングデータを生成する工程であって、前記マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するための電磁放射線信号を提供するために、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入される少なくとも1つのマーカを示すデータを含む、工程。
【0025】
いくつかの実施形態では、本方法は、前記プラスチック材料の状態データおよび前記プラスチック材料の選別データの少なくとも1つを利用する工程、および、選別される前記プラスチック材料の現在の状態を特徴付ける証明書データを生成および記憶する工程をさらに含む。
【0026】
少なくとも1つのマーカを示すデータは、プラスチック材料の再利用タイプごとに、対応する1つまたは複数のマーカに関するマッチングデータと関連付けて、前記プラスチック材料のライフサイクルを示すデータを記憶する、データベースから取得されてもよい。
【0027】
少なくとも1つのマーカを示すデータは、(a)リサイクルされる前記プラスチック材料の連続するライフサイクルの数、および(b)リサイクルされたプラスチック材料の再利用のための連続する製品タイプに対応するデータを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、プラスチック材料状態データは、前記プラスチック材料の内容物と製品中の所定の天然材料(例えばゴムなどのバージン材料)との間の関係を示す。例えば、第1の測定データはまた、本明細書で定義されるように、前記所定の天然材料から検出された1つまたは複数の電磁放射線シグネチャを示すデータを含む。
【0029】
1つまたは複数のプラスチック材料は、少なくとも1つのポリマー材料を含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の測定データの提供は、測定データプロバイダと通信して、測定データプロバイダから前記第1の測定データを受信することを含む。代替的または追加的に、第1の測定データの提供は、1つまたは複数の第1の電磁放射線シグネチャを識別し、それを示す第1の測定データを生成するために、選別される前記製品に対して1つまたは複数の測定セッションを実行することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、本方法は、マーキングデータを、製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に関連付けて、マーキングデータに応答するように構成され動作可能なマーキングシステムに通信する工程、および、1つまたは複数のマーキングセッションを実行して、1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに少なくとも1つのマーカを導入する工程をさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本方法は、製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に関連付けられたマーキングデータを利用する工程、および、マーキングシステムを動作させて、1つまたは複数のマーキングセッションを実行し、1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに少なくとも1つのマーカを導入する工程をさらに含む。
【0033】
少なくとも1つのマーカは、単一のマスターバッチ中の追加の添加剤と共に、単一のパッケージ中のプラスチック材料に導入することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本方法は、前記マーキングをプラスチック材料中に導入することによって選別された後にプラスチック材料中に存在する1つまたは複数の汚染成分によって生じる1つまたは複数の第2の電磁放射線信号を示す第2の測定データを提供する工程をさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本方法は、前記マーキングをその中に導入することによって選別された後にプラスチック材料中に存在する1つまたは複数の汚染成分によって生じる1つまたは複数の第2の電磁放射線信号を示す第2の測定データを提供する工程、および、プラスチック材料を特徴付ける証明書データを更新する工程をさらに含む。
【0036】
第2の測定データは、測定データプロバイダと通信し、測定データプロバイダから前記第2の測定データを受信することによって提供され得る。代替的または追加的に、第2の測定データは、1つまたは複数の第2の電磁放射線シグネチャを識別し、それを示す第2の測定データを生成するために、選別された後に前記製品に対して1つまたは複数の測定セッションを実行することによって提供され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法は、プラスチック材料に埋め込まれた前記マーキングデータに基づいて、リサイクルされているプラスチック材料の組成を示す検証データを提供する工程;検証データを分析する工程、および、前記プラスチック材料のリサイクルプロセス;リサイクルプラスチック材料を含む製品の製造プロセスのうちの少なくとも1つを特徴付ける制御データを生成する工程、をさらに含む。
【0038】
検証データは、プラスチック材料に埋め込まれた前記マーキングデータに基づいて、リサイクルされるプラスチック材料に由来する電磁放射線信号を測定することによって提供され得る。
【0039】
測定されたデータの電磁放射信号は、以下のタイプのうちの少なくとも1つであってもよい:UV信号;X線回折(XRD)信号;蛍光X線(XRF)信号。
【0040】
好ましくは、測定データの電磁放射線信号は、蛍光X線(XRF)信号を含む;少なくとも1つのマーカを示すデータは、XRF励起放射線に対するXRF応答信号によって応答する少なくとも1つのマーカに対応する。
【0041】
本発明のさらに別の広範な態様によれば、以下を含む材料のリサイクルプロセスを管理するための方法が提供される:
製品中の1つまたは複数のプラスチック材料の各々について、1つまたは複数のプラスチック製品タイプに関連付けられた前記プラスチック材料の先行使用を示すプラスチック材料状態データを提供する工程;
プラスチック材料状態データを分析し、それぞれのプラスチック材料状態に基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて選別データを生成する工程;
選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の少なくとも1つに対するマーキングデータを生成する工程であって、前記マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入される少なくとも1つのXRFマーカを含み、前記プラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するための電磁放射線信号を提供する、工程;および
プラスチック材料状態データおよび前記プラスチック材料の選別データの少なくとも1つを利用し、選別される前記プラスチック材料の現在の状態を特徴付ける証明書データを生成および記憶する工程。
【0042】
本発明のさらなる広範な態様によれば、材料リサイクルプロセスの管理に使用するための管理システムが提供され、このシステムは、データ入力ユーティリティおよびデータ出力ユーティリティと、メモリと、処理回路とを備えるコンピュータシステムとして構成され:
データ入力ユーティリティは、製品中の1つまたは複数のプラスチック材料に由来する1つまたは複数の電磁放射線シグネチャを示す第1の測定データを含む入力データを受信するように構成され;
前記処理回路は、以下を含む:
第1の測定データに応答して、それを分析し、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々について、前記プラスチック材料の先行する使用を示すそれぞれのプラスチック材料状態を決定するように構成および動作可能な分析器;
それぞれのプラスチック材料の状態に基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々についての選別データを決定するように構成および動作可能な選別データ生成器;および
選別データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々についてのマーキングデータを決定するように構成され動作可能なマーキングデータ生成器であって、前記マーキングデータは、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々に導入されて前記プラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するための電磁放射信号を提供する少なくとも1つのマーカを含む、マーキングデータ生成器。
【0043】
管理システムは、測定データプロバイダと通信して測定データを測定データプロバイダから受信するように構成され動作可能であり得る;および/または、1つまたは複数のマーキングセッションを実行して、前記少なくとも1つのマーカを前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入するように構成され動作可能なマーキングシステムに、マーキングデータを通信するように構成され動作可能であり得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、管理システムは、1つまたは複数のシグネチャを識別し、それを示す第1の測定データを生成するために、製品に対して1つまたは複数の測定セッションを実行するように構成され動作可能な測定ユニットを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、管理システムは、1つまたは複数のマーキングセッションを実行して、前記少なくとも1つのマーカを前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに導入するように構成され動作可能なマーキングユニットを含む。
【0046】
好ましくは、管理システム(その処理回路)は、プラスチック材料の状態データおよび前記プラスチック材料の選別データの少なくとも1つを利用し、選別される前記プラスチック材料の現在の状態を特徴付ける証明書データを生成および記憶するように構成され動作可能な証明書生成ユーティリティをさらに備える。
【0047】
いくつかの実施形態では、管理システムは、プラスチック材料の再利用タイプごとに、対応する1つまたは複数のマーカに関するマッチングデータと関連付けて、プラスチック材料のライフサイクルを示すデータを記憶するデータベースと関連付けられたデータベース管理システムと通信し、データベース管理システムから少なくとも1つのマーカを示すデータを取得するように構成され動作可能である。
【0048】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、実際にどのように実行され得るかを例示するために、非限定的な例としてのみ、添付の図面を参照して実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】プラスチック材料のリサイクルプロセスを管理するための本発明の例示的なシステムのブロック図
図2】本発明で使用するのに適したデータベース管理システムの構成および動作の一例を概略的に示すブロック図
図3】材料リサイクルプロセスを管理するための本発明の方法を例示するフローチャート
図4】本発明の技術のさらなる例のフロー図
図5】本発明の技術のさらなる例のフロー図
図6】本発明の技術のさらなる例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の詳細な説明では、本開示の主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示の主題は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には理解されよう。他の例では、よく知られている方法、手順、および構成要素は、本開示の主題を不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。
【0051】
図面および説明において、同じ参照番号は、異なる実施形態または構成に共通する構成要素を示す。
【0052】
特に別段の記載がない限り、以下の説明から明らかなように、明細書全体を通して、「提供する」、「分析する」、「生成する」、「更新する」、「通信する」、「受信する」などの用語を利用する説明は、データを操作および/または他のデータに変換するコンピュータの動作および/またはプロセスを含み、前記データは、物理量、例えば電子量として表される、および/または前記データは物理オブジェクトを表すことを理解されたい。「コンピュータ」、「プロセッサ」、「処理回路」、および「コントローラ」なる用語は、非限定的な例として、パーソナルデスクトップ/ラップトップコンピュータ、サーバ、コンピューティングシステム、通信デバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートテレビ、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)、様々なタスクのパフォーマンスを共有する複数の物理マシンのグループ、単一の物理マシン上に共存する仮想サーバ、任意の他の電子コンピューティングデバイス、および/またはそれらの任意の組合せを含む、データ処理能力を有する任意の種類の電子デバイスを包含するように広範に解釈されるべきである。
【0053】
本明細書の教示による動作は、所望の目的のために特別に構築されたコンピュータシステムによって、または非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムによって所望の目的のために特別に構成された汎用コンピュータによって実行され得る。「非一時的」という用語は、本明細書では、一時的な伝搬信号を除外するために使用されるが、そうでなければ、用途に適した任意の揮発性または不揮発性コンピュータメモリ技術を含む。
【0054】
本明細書で使用されるように、「例えば」、「など」、「例として」という語句およびその変形は、本開示の主題の非限定的な実施形態を記載する。本明細書における「1つの場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」、またはそれらの変形への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つの場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」という語句またはそれらの変形の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0055】
特に別段の記載がない限り、明確にするために別個の実施形態の文脈で説明されている本開示の主題のいくつかの特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供することもできることを理解されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明される、本開示の主題の様々な特徴はまた、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供され得る。
【0056】
図1は、ブロック図により、本開示の主題に従って構成され動作可能なシステム100を示す。図1の各モジュール/ユーティリティは、本明細書で定義および説明される機能を実行するソフトウェア、ハードウェアおよび/またはファームウェアの任意の組合せで構成することができる。図1のモジュール/ユーティリティは、本明細書で詳述されるように、1つの場所に集中されてもよく、または複数の場所にわたって分散されてもよい。本開示主題の他の実施形態では、システムは、図1に示されるものよりも少ない、多い、および/または異なるモジュールを備えてもよい。
【0057】
本明細書における方法への言及は、その方法を実行することができるシステムに準用されるべきであり、コンピュータによって実行されるとその方法の実行をもたらす命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0058】
本明細書におけるシステムへの言及は、システムによって実行され得る方法に準用されるべきであり、システムによって実行され得る命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0059】
本明細書における非一時的コンピュータ可読媒体への言及は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することができるシステムに準用されるべきであり、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を読み取るコンピュータによって実行され得る方法に準用されるべきである。
【0060】
本開示の主題の技術によれば、プラスチック材料は、そのリサイクルプロセス中(例えば、使用済みの1つまたは複数のプラスチック製品に由来するリサイクルポリマー材料の製造中)にマーキングされ得る。さらに、プラスチック材料組成物は、プラスチック製品の製造中に導入されるゴムまたはラテックスなどの1つまたは複数の天然(例えば、バージン)材料(例えば、ポリマー)を含むことができ、天然材料は、リサイクルされていない未使用成分である。
【0061】
製品のプラスチック材料組成物は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド 6 Volgamid(登録商標)27などの1つまたは複数のポリマー、または特定のタイプの製品における使用に好適であり得る任意の他のタイプの1つまたは複数のポリマー材料を含み得る。天然ゴム、ラテックスおよび関連材料もまた、特にバージン材料として使用され得る。
【0062】
本開示の主題によれば、定義されるように、使用済みまたはバージンのプラスチック材料は、プラスチック材料に埋め込まれ得るかまたはその表面上に提示され得る1つまたは複数のマーカ要素によってマーキングされる。これらのマーカ要素は、電磁放射線応答によって、適切なリーダ(例えば、分光計など)による応答信号の検出を可能にする励起放射線に応答するタイプのものである。例えば、そのようなマーキング技法は、紫外線(UV)応答信号またはX線応答信号、例えば、X線回折(XRD)応答信号または蛍光X線(XRF)応答信号を読み取ることに基づいてもよい。
【0063】
より具体的には、本開示の主題は、XRFマーカによって要素をマーキングし、マーキングされたプラスチックのXRFシグネチャを読み取るために特に有用であり、したがって、本開示の主題は、この具体例に関して以下で例示されるが、本明細書で開示される原理は、XRF技法ならびに任意の他の特定のマーキングおよび読み取り技法に限定されないことを理解されたい。
【0064】
本明細書で使用されるマーキング要素、XRFマーキング、またはマーカという用語は、XRF分析によって識別され得る要素、すなわち、要素を特徴付けるスペクトル特徴(すなわち、特定の波長におけるピーク)を有するX線応答信号(二次放射線または励起放射線)の放出によって、励起X線またはガンマ線放射線(一次放射線)に応答する要素を指すことに留意されたい。以下の説明では、このようなX線応答信号をXRFシグネチャと呼ぶ。それにもかかわらず、本開示の主題ではXRFマーカに言及しているが、決して限定するものではなく、本明細書の教示は、任意の他のマーカに準用することができることにも留意されたい。概して、前記マーカは、例えば、紫外線(UV)応答信号、X線応答信号、例えば、X線回折(XRD)応答信号または蛍光X線(XRF)応答信号などの、入射電磁放射線に応答して信号を放出することができる。当技術分野で知られているように、XRFマーカは、例えば、蛍光X線(XRF)分析によって、そのX線応答信号(本明細書では「XRFシグネチャ」とも呼ばれる)を検出および測定し得るXRFリーダ(例えば、分光計など)を利用することによって、検出および測定され得る。ある例では、XRFリーダは、エネルギー分散型蛍光X線(EDXRF)分光計であってもよい。
【0065】
本開示の主題によれば、任意選択で1つまたは複数の製品における数ライフサイクルの期間にわたって、1つまたは複数のプラスチック材料のリサイクルプロセスおよび再利用を管理するためのシステムおよび方法が提供される。管理プロセスは、製品に含まれる各プラスチック材料について、該プラスチック材料がさらなる使用(すなわち、さらなるリサイクル段階)に進み得るか否か、およびそうである場合、どのタイプの製品においてそのようなリサイクルされたプラスチック材料が使用され得るかを決定することを含む。したがって、リサイクルプラスチック材料のさらなる使用のための製品は、同じタイプの製品または異なるタイプの製品であり得る。
【0066】
ライフサイクルは、特定のプラスチック材料の製造からその最初のリサイクルまでの期間であり得る。製造プロセスの間、および各リサイクルプロセスの間、プラスチック材料は、プラスチック材料の固有のシグネチャを形成する1つまたは複数のマーカによってマーキングされ、これは適切に検出することができる。場合によっては、そのような各段階(製造およびリサイクル)において、特定のバージンポリマー材料は、製品のプラスチック材料組成物に導入されてもよく、また、1つまたは複数のマーカによってマーキングされてもよい。これは、例えば、重合プロセス、配合プロセス、ホットメルトプロセス(例えば、押出)、バージンポリマー材料を含む製品の製造プロセスなどによって実施することができる。
【0067】
したがって、1つまたは複数のマーカは、プラスチック材料内に埋め込まれてマーキングされたプラスチック材料を得ることができ、それによって、プラスチック材料の状況および/または状態に対応する検出可能かつ識別可能なXRFシグネチャを生じさせ、マーカは、マーキングされたプラスチック材料のライフサイクル中の任意の段階で検出および識別することができる。したがって、プラスチック材料は、製品の製造中および/または製造後に、ペレットまたは製品の構成要素の物理的形態であり得ることに留意されたい。
【0068】
場合によっては、汚染成分および/または不純物は、プラスチック材料内および/または表面上に存在し得る(例えば、使用中の拡散によるか、またはプラスチック材料の製造もしくはリサイクルプロセス中の汚染による)。これらの汚染成分および/または不純物は、励起放射線に対する特徴的な応答(例えば、XRFシグネチャ)を有し得、これは、リサイクルプロセスのためにまたはリサイクルプロセス中に、プラスチック材料またはプラスチック材料のバッチを特徴付けるのを助けるために測定され得る。汚染成分および/または不純物のXRFシグネチャは、それ自体で、またはプラスチック材料に埋め込まれた1つまたは複数のマーカと組み合わせて利用して、リサイクルプラスチック材料対天然(例えば、バージン)プラスチック材料の存在および/または割合を同定する、および/または天然プラスチック材料とリサイクルプラスチック材料との間の比率を測定することができる。
【0069】
さらに、1つまたは複数のXRFマーカの同定および測定は、1つまたは複数のXRFマーカに関連付けられたプラスチック材料がリサイクルを受けた回数の決定を可能にする。場合によっては、製品が主成分として天然プラスチック材料およびリサイクルプラスチック材料を含む場合、プラスチック材料に埋め込まれたXRFマーカは、製品の組成決定を可能にし得る(例えば、バージン材料、1回リサイクルされたプラスチック材料、2回リサイクルされたプラスチック材料などの1つまたは複数の間の比率を決定することができる)。
【0070】
これを念頭に置いて、本開示の主題によるプラスチック材料リサイクルプロセスを管理するためのシステム100を示す図1を参照する。
【0071】
管理システム100は、測定データプロバイダシステム200およびデータベース管理システム300に関連付けられ、場合によってはXRFマーキングシステム400にも関連付けられ、有線または無線通信による通信ネットワークを介したこれらのシステムとデータ通信するように構成される。通信ネットワークは、例えば、セルラーネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネットなどの任意の既知の好適な種類であってもよいが、これらに限定されない。
【0072】
管理システム100は、典型的には、とりわけ、データ入力ユーティリティ110、メモリ120、データ出力ユーティリティ130、ならびにデータプロセッサおよび分析器ユーティリティ(概して、データ処理回路)140などの機能的ユーティリティ(ソフトウェア/ハードウェア)を含む、コンピュータシステムとして構成される。
【0073】
管理システム100は、データベース管理システム300とのデータ交換のために構成され得る。例えば、管理システムは、1つまたは複数のプラスチック材料に関連する事前に記憶されたデータ(例えば、それぞれのプラスチック材料の先行するリサイクル状態を記述する証明書)を、データベース管理システム300から(要求に応じて)選択的に受信してもよく、本明細書でさらに説明されるように、データベースを更新するために、前記プラスチック材料の新しい(連続した)証明書データをデータベース管理システム300に選択的に通信してもよい。
【0074】
測定データプロバイダは、外部記憶装置によって構成されてもよく、測定装置によって生成され、検査中の1つまたは複数のプラスチック材料の測定された電磁放射シグネチャを示す測定データが記憶されている;あるいは、測定装置のメモリユーティリティであってもよい。いくつかの実施形態では、管理システム100は、場合によっては、測定装置と一体化することができる。例えば、1つまたは複数のプラスチック材料を含む製品は、製造ライン上で検査ステーションを通って検査ステーションの下流の選別ステーションに向かって進む間に検査される;また、管理システム100は、検査ステーションにおける測定装置の一部であってもよく、またはそれとデータ通信してもよく、管理システムによって生成されたデータは、選別ステーションのコントローラによってアクセスされてもよい。いくつかの他の実施形態では、管理システム100は、データベース管理システム300の一部であってもよく、測定装置から来る測定データに応答して、測定データを処理および分析し、対応する選別データを生成してもよい。またさらなる実施形態では、データ処理回路140のソフトウェアユーティリティ/モジュールは、測定装置200のプロセッサとデータベース管理システム300との間に分散されてもよい。概して、データベースは、外部管理システム300(例えば、サーバシステム)によって記憶および管理される、および/または管理システム100の処理回路によって記憶および管理されるかのいずれかであり、とりわけ、各プラスチック材料再利用タイプについて、対応する1つまたは複数のXRFマーカに関するマッチングデータと関連付けられる前記プラスチック材料のライフサイクルを示すデータを含む、事前に記憶された(および適切に更新された)データを含む。
【0075】
測定装置自体は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる上記の特許出願に記載されているような、任意の既知の適切なタイプのものであってもよい。測定装置の構成および動作は、本発明の一部を形成しておらず、したがって、詳細に説明される必要はないが、プラスチック材料またはプラスチック材料組成物を含有する製品/サンプルを励起し、プラスチック材料またはプラスチック材料組成物に由来する電磁放射線信号を検出し、前記プラスチック材料またはプラスチック材料組成物に対応する電磁放射シグネチャを示す測定データを生成することを含む、1つまたは複数の測定セッションを実行することが可能であることに留意されたい。
【0076】
したがって、管理システム100は、そのデータ入力ユーティリティ110を介して、測定データプロバイダ200から入力測定データMDを受信する。以下で説明するように、測定データMDは、製品中のまたは製品を形成する1つまたは複数の対象のプラスチック材料に埋め込まれるか、またはそれによって担持される1つまたは複数の電磁放射シグネチャ(本明細書ではXRFシグネチャと呼ぶ)を示す少なくとも第1の測定データを含む。
【0077】
そのような製品は、バージンプラスチック材料、1回リサイクルされたプラスチック材料、2回リサイクルされたプラスチック材料など、またはそれらの組合せを含み得る。製品は、とりわけ、その製造プロセス後の製品、リサイクル前の使用済み製品、リサイクルプロセスを受けた製品、または未加工のポリマー材料(例えば、バージンおよび/またはリサイクルポリマー材料)であり得ることに留意されたい。場合によっては、プラスチック材料は、1つまたは複数の製品の主成分であってもよい。ある例において、製品は、プラスチックフィルムおよび/またはプラスチック包装であってもよく、その中に主成分としてポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料は、例えば、限定されないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状LDPE(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ塩化ビニル(PVC)などであり得る。
【0078】
管理システム100において受信および/または生成されるデータは、メモリ120に格納されてもよい。
【0079】
データ処理回路140は、1つまたは複数の処理ユニット(例えば、限定ではないが、中央処理ユニット)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(例えば、限定ではないが、マイクロコントローラユニット(MCU))、または、複数のおよび/または並列および/または分散処理ユニットを含む任意の他のコンピューティングデバイスまたはモジュールを含んでもよく、これらは、関連管理システム100のリソースを制御し、管理システム100のリソースに関連する動作を可能にするために、データを独立してまたは協調的に処理するように適合される。
【0080】
本発明によれば、データ処理回路140は以下を含む:測定されたデータ(少なくとも第1の測定データ)に応答して、それを分析し、1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて、それぞれのプラスチック材料状態データPMCDを決定するように構成され動作可能である、分析器142;それぞれのプラスチック材料状態データに基づいて、前記1つまたは複数のプラスチック材料の各々についての選別データSD(以下で説明するように、少なくとも第1の選別データ)を決定するように構成され動作可能である、選別データ生成器144;証明書データ生成器148;および、場合によっては、マーキングデータ生成器146。証明書データ生成器148は、分析器142から直接受信されるそれぞれのプラスチック材料状態データPMCDに基づいて、および/または選別データ生成器144から受信される選別データSDに基づいて、検査される各プラスチック材料に証明書データ(電子証明書)を割り当てるように構成され動作可能である。
【0081】
マーキングデータ生成器146は、選別データ(または証明書データ)を分析し、プラスチック材料/製品に適用される1つまたは複数のマーキングを示すマーキングシステム400への動作データを選択的に生成して、その現在の状態に対応する(そのさらなるリサイクル/再利用に関して)プラスチック材料の更新された電磁放射線シグネチャを形成するように構成され動作可能である。そのような更新されたシグネチャのその後の読み取りは、プラスチック材料のさらなる使用について決定するために選別ステーションで使用され得る。
【0082】
分析器142によって決定されたプラスチック材料状態データPMCDは、プラスチック材料の先行する使用を示すデータを含む。このようなデータは、プラスチック材料がリサイクルされた回数を示すデータを含み、好ましくは、システム100による現在の検査の前にプラスチック材料が使用された製品の種類も含む。
【0083】
測定データMDは、製品に埋め込まれたまたは製品を形成する1つまたは複数のプラスチック材料の1つまたは複数のXRFシグネチャを含む。プラスチック材料条件データPMCDを決定するために、特定のプラスチック材料ごとに、データ処理回路140(分析器142)は、予め記憶されたデータ(例えば、j番目のプラスチック材料のi番目のXRFシグネチャを示すデータ、または場合によっては、特定の製品タイプPTに関連して前記プラスチック材料の製造またはリサイクルプロセスである、先行するi番目のリサイクルプロセスの先行する検査段階において生成および記憶された証明書データ)を利用する。このため、分析器142は、データベース管理システム300と通信して、対応する証明書関連データを検索することができる。
【0084】
測定データおよび/または証明書データは、例えばクラウドコンピューティング技術を使用して、検査される1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれに関連して適切に記憶され得ることに留意されたい。以下に記載するように、本発明の技術を用いて製造されたリサイクルプラスチック材料および/またはリサイクルプラスチック材料を含む製品は、XRFシグネチャを検出し、リサイクルプロセス自体および/または製品製造プロセスを制御する目的で検証分析および制御データの生成を行うためにさらに測定され得る。例えば、クラウドコンピュータ技術は、リサイクルに関与する様々な当事者、例えば、様々なポリマー材料または製品の製造業者、ポリマー材料または製品の供給業者、製品の小売業者、および製品のエンドユーザのための「グリーン」クレジットシステムを管理するために使用することができる。ある例では、クラウドシステムは、分散型ブロックチェーンシステムであってもよい。
【0085】
この点に関して、図2を参照すると、本発明と共に使用するのに適したデータベース管理システム300の機能的特性をブロック図によって例示している。
【0086】
データベース管理システム300は、とりわけ、様々なプラスチック材料およびその証明書データならびに様々な製品タイプなどに関連付けられたXRFシグネチャ関連データ片を含むデータを記憶するように構成されたデータリポジトリ310(例えば、データベース、記憶システム、読み取り専用メモリ-ROM、ランダムアクセスメモリ-RAM、または任意の他のタイプのメモリなどを含むメモリ)を含む。データリポジトリ310は、記憶されたデータの検索および更新を可能にするように構成される。場合によっては、データリポジトリ310は、管理システム100内および/または他の場所にかかわらず、複数の場所にわたって分散され得ることに留意されたい。場合によっては、特定のプラスチック材料および/または製品に関する関連情報は、特定のプラスチック材料および/または製品のXRF信号測定を実行/受信する前または後に、データリポジトリ310にロードすることができることに留意されたい。
【0087】
したがって、この特定の非限定的な例に示されるように、データリポジトリ310は、電磁放射シグネチャXRF、XRF...XRFを示すデータを含む複数のS個のデータ片を含み、これは、例えば、プラスチック材料に埋め込まれた様々なマーキングに基づいて、様々なプラスチック材料および/または製品から読み取ることができる。データリポジトリ310にはさらに、プラスチック材料関連データ片PM(1) …PM(k) , PM(1) …PM(k) , …., PM(1) …PM(k) が提供され、これは、複数のN個のプラスチック材料中の各プラスチック材料について、複数のG個の製品タイプPT…PTからの1つまたは複数のプラスチックベースの製品タイプに関連して許容されるK個のリサイクル/再利用サイクルの数を示す。
【0088】
また、データリポジトリ310は、特定のマーキングXRFM,XRFM…XRFMを示すデータを含む複数のM個のデータ片を含んでもよく、これは、その現在の状態に従ってプラスチック材料のさらなるリサイクル/再利用に対応する/示すそのリサイクルプロセスにおいてプラスチック材料および/または製品をマーキングするために使用され得る。代替的に(または追加的に)、そのようなマーキング関連データは、管理システム100の内部メモリに記憶されてもよく、適切なデータ片は、データベース管理システム300から受信したデータに基づいて、データ処理回路(選別データ生成器)によって決定/選択される。
【0089】
したがって、分析器142は、測定されたデータMD、ならびに場合によっては特定のプラスチック材料および/または製品タイプに関するいくつかの先験的に知られているデータに基づいて、プラスチック材料状態データPMCDを決定する。この目的のために、管理システム100(分析器)は、受信された測定データ(および場合によっては測定データのいくつかの予備分析)に基づいて、データベースマネージャ300への要求データを生成し得る。そのような要求データは、i番目の先行使用(例えば、i番目のリサイクル段階)に対応する既知のp番目の製品タイプPTにおける特定のj番目のプラスチック材料PM(j)について測定されたシグネチャXRF(例えば、プラスチック材料に予め埋め込まれたXRFマーキングに関連付けられる)、すなわちXRF-PM-PTを示し得る。
【0090】
この要求データに基づいて、データベースマネージャ300は、それぞれのプラスチック材料の証明書データC(j) を決定し、このデータを分析器142に通信することができ、分析器は、次いで、選別データ生成器144にプラスチック材料状態データPMCDを生成する。後者は、メモリに予め記憶されたデータを使用すること、および/またはデータベース管理システム300と通信することによって、このデータを分析し、さらなる許可されたリサイクル/再利用プロセスの対応する数t(t≧0)を選択し、場合によっては(t≠0の場合)、前記プラスチック材料の少なくとも1つの対応する製品タイプPT(現在の製品タイプPTと同じであるか、または同じでない)を選択し、選別データPM(j) -PTを生成することができる。このデータは、証明書データ生成器148によって利用されて、更新された証明書データCD(j) を生成し、これをシステムメモリ120に記憶し、場合によってはデータベース管理システム300への対応する証明書更新通知も生成する。
【0091】
分析器142が、測定データMDを分析し、プラスチック材料状態データPMCD、すなわち、特定のp番目の製品タイプPT(プラスチック材料の現在の証明書データC(j) に対応する)に含まれる特定のj番目のプラスチック材料PM(j) について既にリサイクル処理された数iを示すデータを決定し、このデータを選別データ生成器144に伝達するように事前にプログラムされる場合であり得ることに留意されたい。選別データ生成器144は、上述のようにデータベース管理システム300と通信して、選別データPM(j) -PTを決定することができ、このデータは証明書データ生成器148によって利用されて、更新された証明書データCD(j) を生成し、これをシステムメモリ120に記憶し、場合によってはデータベース管理システム300への対応する証明書更新通知も生成する。
【0092】
次いで、マーキングデータ生成器146は、選別データを利用して、データ管理システム300と通信して(または、場合によっては、管理システム100のメモリ120に事前に記憶された関連データを利用することができる)、選別データに従ってプラスチック材料をマーキングするために、複数のM個のマーキングデータ片から適切なh番目のマーキングデータ片XRFMを決定/選択する。
【0093】
場合によっては、S個のシグネチャのうちの少なくとも1つは、1つまたは複数のプラスチック材料と関連付けられてもよい。例えば、XRFは、1回のリサイクルサイクルを受けた第1のプラスチック材料タイプPM (1)に埋め込まれた(検出された/読み取られた)マーキング、および/または3回のリサイクルサイクルを受けた第2のプラスチック材料タイプPM (3)に埋め込まれた(検出された/読み取られた)マーキングに対応し得る。すなわち、プラスチック材料タイプが既知であるとすると、その中に埋め込まれたXRFマーキングのXRFシグネチャを測定することによって、このプラスチック材料タイプが受けたリサイクルサイクルの回数を決定することができる。
【0094】
場合によっては、特定のシグネチャは、単に1つのプラスチック材料タイプに関連付けられてもよい。したがって、そのような場合、プラスチック材料の種類およびこのプラスチック材料の種類が受けたリサイクルサイクルの数の両方を、その中に埋め込まれたXRFマーキングのXRFシグネチャ測定値に基づいて決定し得る。
【0095】
いくつかの他の場合において、複数のXRFシグネチャは、所与のプラスチック材料タイプと関連付けられ得る。製品タイプが、1つまたは複数のマーキングおよび/または1つまたは複数のプラスチック材料タイプおよび/またはそれらの組み合わせと関連付けられ得るような場合であり得ることも理解されたい。
【0096】
さらに、プラスチック材料のリサイクル状態を示す証明書データは、所与の製品および/またはプラスチック材料の種類に関する情報を含み得ることに留意されたい。そのような情報は、例えば、以下のうちの1つまたは複数を含んでもよいが、それらに限定されない:内部に埋め込まれたXRFマーカ、製品のプラスチック材料組成、製品を形成するプラスチック材料間の比率(例えば、本明細書にさらに記載される)、汚染成分および/または不純物の存在および/または濃度(例えば、本明細書にさらに記載される)、それに関連するリサイクルサイクルの数、可能な追加のリサイクルサイクルの数、次のリサイクルサイクル中に導入されるXRFマーカ、リサイクルおよび再利用されるプラスチック材料および/または製品の品質またはグレードを同定する表示、製造業者、製造日、バッチ番号、製品販売業者、リサイクル後に製造され得る連続製品タイプ(すなわち、リサイクルプラスチック材料の再利用のための連続製品タイプ)、将来の製品目的地(例えば、小売業者)、および/またはそれらの任意の組み合わせ、および/またはそれらに関連する任意の他の情報。
【0097】
図1に戻って参照すると、分析器142は、各所与のプラスチック材料について、(測定データプロバイダ200によって提供される)各測定XRFシグネチャについてデータリポジトリ310によって生成された証明書データCD(j)を取り出すことができる。分析器142は、測定されたXRFシグネチャおよびそのそれぞれの証明書データの分析に基づいて、所与のプラスチック材料ごとに、所与のプラスチック材料がリサイクルを受けた回数および関与する製品タイプを示すそれぞれのプラスチック材料状態を決定する。さらに、分析に基づいて、プラスチック材料(例えば、ポリメトリック材料)がバージンプラスチック材料であるか、以下でさらに説明するように1つまたは複数のリサイクルサイクルを受けたリサイクルプラスチック材料であるかを決定することができる。
【0098】
図3を参照すると、本発明によるプラスチック材料のリサイクルを管理するための本発明の方法のフローチャート500が、自己説明的に例示されている。製品中のプラスチック材料またはプラスチック材料組成物の1つまたは複数の電磁放射シグネチャを示す測定データが提供される(ブロック510)。この目的のために、データ処理回路140は、上述のように動作して、測定データプロバイダ200(外部記憶システムまたは測定装置)と通信し、1つまたは複数の測定セッションにおいて取得されたそのような測定データをそこから受信することができる。XRFシグネチャは、例えば、プラスチック材料の重合プロセス中に、および/または製品の製造プロセス中に行われるホットメルト処理(例えば、押出成形)中に、プラスチック製品を形成するプラスチック材料に導入され得るそれぞれのXRFマーカに関連付けられてもよく、プラスチック材料はその中に含有される。
【0099】
プラスチック材料は、例えば異なる製品および/または製造業者などの異なる供給源に由来し得る。製品のいくつかは、異なるプラスチック材料状態を有するプラスチック材料の組成物を含み得る。例えば、組成物は、バージンプラスチック材料と、少なくとも1つのリサイクルサイクルを受け、それに応じて1つまたは複数のXRFマーカによってマーキングされたリサイクルプラスチック材料とを含むことができる。そのような場合、第1の測定データは、組成物に埋め込まれたXRFマーカに対応するXRFシグネチャを含み得る。
【0100】
場合によっては、本方法は、プラスチック材料内に存在する1つまたは複数の汚染成分から到来したXRF信号を示す第2の測定データの提供を利用してもよい。汚染成分および/または不純物は、プラスチック製品を形成するプラスチック材料(例えば、ポリマー材料)中に存在し得る。典型的には、ポリマー材料は軽量であり、XRF強度ピーク(例えば、スペクトル中のバックグラウンドレベルより高い強度を有するXRFピーク)への主な寄与は、ポリマー材料中に存在し得る汚染成分および/または不純物によるものであり得る。このような汚染成分(例えば、Zn、Ca、Ti、Fe、Ca、Fe)および/または不純物は、XRF分析によって検出することができる。
【0101】
場合によっては、汚染成分および/または不純物は、プラスチック製品を形成するプラスチック材料の製造プロセス、例えば、プラスチック材料の汚染重合プロセスに由来してもよく、および/またはプラスチック製品(いくつかの場合において、主にポリマー材料から製造され得る)の製造プロセス、例えば、製品の製造プロセス中に行われるホットメルト処理(例えば、押出成形)に由来してもよい。
【0102】
他の場合において、汚染成分は、製品の使用に由来し得る。例えば、製品は、汚染成分が例えばプラスチックフィルムまたはプラスチックパッケージに拡散する可能性がある他の製品および/または材料と物理的に密接に接触して使用され得るプラスチックフィルムまたはプラスチックパッケージ(例えば、LDPEがポリマー材料としてその中に含まれるプラスチックフィルム)とすることができる。
【0103】
測定されたデータは、上述のように分析されて、1つまたは複数のプラスチック材料の各々について、前記プラスチック材料の先行する使用(プラスチック材料がリサイクルを受けた回数および関与する製品タイプ)を示すそれぞれのプラスチック材料状態データPMCDを決定する(ブロック520)。
【0104】
概して、プラスチック材料状態データは、以下のうちの1つまたは複数を示し得る:所与のプラスチック材料がリサイクルを受けた回数、プラスチック材料(例えば、ポリメトリック材料)がバージン材料であるかリサイクルプラスチック材料であるかを示すデータ、プラスチック材料と製品に含まれる所定の天然材料(例えば、バージン材料)との比率。上述のように、場合によっては、測定されたデータを分析して、プラスチック製品またはその製品を形成するプラスチック材料に含まれる汚染成分(例えば、外来元素)および/または不純物を同定し、その中のそれらの濃度を評価することができる。他の場合では、適用可能な場合(例えば、それぞれが異なるプラスチック材料状態を有するプラスチック材料の組成物で作られた製品)、測定データを分析して、製品を形成するプラスチック材料の組成物中のバージン材料およびリサイクルプラスチック材料の相対部分、および任意選択で、組成物に含まれる全体的なリサイクルプラスチック材料の相対部分に対するリサイクルプラスチック材料の各々の相対部分を決定することができる。
【0105】
プラスチック材料状態データに基づいて、選別データ(第1の選別データ)が、前記1つまたは複数のプラスチック材料のそれぞれについて上述のように生成される(ブロック530)。例えば、プラスチック製品が同じ種類のプラスチック材料から作製される場合において、選別データは、各製品を、1回リサイクルされたプラスチック材料を含む1回製品、2回リサイクルされたプラスチック材料を含む2回製品などに選別/区別することができる。プラスチック製品が、例えばバージンポリマー材料および1つまたは複数のk回リサイクルされたポリマー材料を含むような、2つ以上の異なるタイプのプラスチック材料から作製される他の場合において、選別データは、事前に選択された基準に従ってプラスチック製品を選別/区別し得る。例えば、基準は、製品の所与のプラスチック材料組成(例えば、所定の割合のバージンポリマー材料およびk回リサイクルされたポリマー材料)であってもよい。場合によっては、例えば、基準は、プラスチック材料組成物に含まれるバージンポリマー材料の予め選択されたパーセンテージ範囲(例えば、10~20%、20~30%など)であってもよい。
【0106】
いくつかの場合において、選別データは、プラスチック製品および/または製品を形成するプラスチック材料に関連する証明書データに基づいて生成され得る。すなわち、選別データは、以下のうちの1つまたは複数に基づいて生成され得る:プラスチック製品および/または製品を形成するプラスチック材料に埋め込まれたXRFマーカ、製品のプラスチック材料組成、製品を形成するプラスチック材料間の比率、汚染物質および/または不純物の存在および/または濃度、それに関連するリサイクルサイクルの数、可能な追加のリサイクルサイクルの数、次のリサイクルサイクル中に導入されるXRFマーカ、製造業者、製造日、バッチ番号、製品販売業者、リサイクル後に生産され得る連続製品タイプ(すなわち、リサイクルプラスチック材料の再利用のための連続製品タイプ)、将来の製品宛先(例えば、小売業者)、および/またはそれらの任意の組み合わせ、および/またはそれらに関連する任意の他の情報。いくつかの場合において、選別データ生成器144によって生成される選別データは、以下に対応する少なくとも1つのXRFマーカを含み得る:リサイクルおよび再利用されるプラスチック材料の連続ライフサイクルの数、およびリサイクルプラスチック材料の再利用のための連続製品タイプ。
【0107】
PMCDおよび/またはSDに基づいて、証明書データが、上述のように、関心のある各プラスチック材料について生成される(ブロック540)。
【0108】
さらに、選別データを使用して、関心のある各プラスチック材料のマーキングデータ、すなわち、そのリサイクル/再利用プロセスをさらに管理するためにプラスチック材料に導入されるマーキングを示すデータを生成する(ブロック550)。マーキングデータは、第1の選別データに基づいて生成されてもよく、プラスチック製品および/またはその製品を形成するプラスチック材料にその次のリサイクルプロセス中に導入される1つまたは複数のマーカを含んでもよい。いくつかの場合において、少なくとも1つのXRFマーカは、所定のデータベースから選択されてもよく、これは、各プラスチック材料の再利用タイプ(例えば、リサイクルおよび再利用されるプラスチック材料)について、対応する1つまたは複数のXRFマーカについてのマッチングデータと関連して、前記プラスチック材料の連続ライフサイクル(例えば、可能な追加のリサイクルサイクルの数)を示すデータを記憶する。
【0109】
いくつかの場合において、マーキングデータは、プラスチック製品および/または製品を形成するプラスチック材料中に存在し得る1つまたは複数の汚染物質元素および/または不純物から到来したXRF信号を示す第2の測定データ(これは、第2の選別データに基づいてもよい)にも基づいて生成されてもよい。そのような場合、マーキングデータは、プラスチック製品および/またはその製品を形成するプラスチック材料にその次のリサイクルプロセス中に導入される1つまたは複数のマーカを含むことができ、これらのマーカは、汚染成分および/または不純物のXRF信号に干渉しないように選択される。例えば、XRFリーダでプラスチック製品および/または製品を形成するプラスチック材料を検査すると、汚染成分は、特定のエネルギー(例えば、周波数)で比較的高い強度の応答信号を発し得る。したがって、そのような場合、マーキングデータは、プラスチック材料の次のリサイクルプロセス中にプラスチック材料に導入される1つまたは複数のXRFマーカを含むことができ、これらのマーカは、それらが(例えば、XRF検査時に)放出する信号が汚染成分の高強度信号とは異なる周波数であるように選択することができる。
【0110】
いくつかの場合において、第2の測定データは、プラスチック製品および/またはプラスチック製品を形成する1つまたは複数のプラスチック材料に対して1つまたは複数のXRF測定セッションを実行することによって決定され、選別データによって分類されて、XRF信号を識別し、XRF信号を示す第2の測定データを生成する。
【0111】
証明書データ(更新された証明書)は、製造業者、製造日、バッチ番号、製品販売業者、リサイクル後に生産され得る連続製品タイプ(すなわち、リサイクルプラスチック材料の再利用のための連続製品タイプ)、将来の製品宛先(例えば、小売業者)、および/またはそれらの任意の組み合わせ、および/またはそれに関連する任意の他の情報などの、先行する証明書データまたは少なくともその一部を示すデータを含んでもよいことに留意されたい。
【0112】
典型的には、プラスチック材料(例えば、ポリマー材料)および/またはプラスチック製品のリサイクルプロセスにおいて、プラスチック材料は、ホットメルト処理(例えば、押出)を受けて、リサイクルされたプラスチック材料から作製された新しい製品を生成する。一例では、プラスチック材料は押出機に供給され、フィラメントに押し出され、次いでリサイクル製品としてビーズまたはペレットに細断される。1つまたは複数のマーカは、ペレット、粉末、または液体の形態で、標準フィーダーまたはホッパーを介して押出プロセスに供給され得る。
【0113】
プラスチック材料のリサイクルプロセス中、典型的にはマスターバッチの形態で、添加剤を添加してもよく、リサイクルプロセスおよびリサイクル前の製品におけるプラスチック材料の先行使用に起因して減少し得るこれらのプラスチック材料の様々な特性を改善する。例えば、強度および弾性などの所望の機械的特性、透明性、色、光沢などの光学的特性、熱的特性、ならびに酸素、熱および/または光などによる分解に対する安定化を含む他の特性を改善するために、添加剤を添加してもよい。添加剤は、通常、押出または他のホットメルト加工法の間にマスターバッチの形態で添加される。本開示の主題によれば、1つまたは複数のマーカは、プラスチック材料のリサイクルプロセス中に、単一のマスターバッチ中の追加の添加剤とともに単一のパッケージ中でプラスチック材料に導入することができる。1つまたは複数のマーカをプラスチック材料に埋め込むこの形態は、追加の設備(例えば、追加のフィーダー)または標準的な押出設備への調整なしで実施することができるので有利である。
【0114】
ここで、本発明のいくつかの具体的であるが限定的ではない実施例による方法のフロー図を示す図4図5および図6を参照する。
【0115】
図4の例では、方法図600が示されており、プラスチック材料状態データは、製品の製造中または製造後にプラスチック製品中のバージンポリマー材料およびリサイクルされたポリマー材料の相対部分を推定すること、すなわち、得られた製品から相対部分を推定することに基づいて決定される。より具体的には、リサイクルおよび再利用されるポリマー材料を含む1つまたは複数の製品が提供される(工程610)。概して、ポリマー材料は、1つまたは複数の製品の主成分である。例えば、製品はプラスチックフィルムまたはプラスチック包装であり、主成分として、以下のタイプの1つまたは複数であり得るポリマー材料を含む:低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状LDPE(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ乳酸(PLA)、またはポリ塩化ビニル(PVC)。特に、プラスチックフィルムまたはプラスチック包装は、主にLDPEまたはLLDPEから構成される。
【0116】
プラスチック材料は、ゴムまたはラテックスなどの天然ポリマー材料であってもよく、これらは、単独で、または工業用もしくは合成プラスチックポリマーと組み合わせて使用されてもよい。
【0117】
1つまたは複数の製品から到来するXRF信号の第1のXRFスペクトルが測定され、分析されて(工程620)、1つまたは複数のXRFマーカのXRFシグネチャが検出され、これは、ポリメトリック材料がバージンポリマー材料であるか、またはすでに1つまたは複数のリサイクルプロセスを受けたリサイクルポリマー材料であるかを示す。リサイクルされたポリマー材料がリサイクルを受けたことを示す1つまたは複数のマーカは、リサイクルプロセス中に導入されている(以下に説明される)。これらのマーカはまた、ポリマー材料がリサイクルされた回数を示す。
【0118】
ポリマー材料はまた、重合中に、すなわちマーキングされたバージンポリマー材料をもたらす間に、または配合中、または、ホットメルト処理(例えば押出)中、例えばポリマー材料を含有する製品の製造中に、ポリマー材料に導入された1つまたは複数のXRFマーカを含んでもよい。1つまたは複数のマーカは、ポリマー材料が未だリサイクルされていないバージンポリマー材料であることを示すことができる。さらに、1つまたは複数のXRFマーカを使用して、例えば、製品の種類(例えば、主に1つまたは複数のポリマー材料を含む組成)、ならびにポリマー材料の製造業者または製品の製造業者、製品の製造日、製品のバッチ番号、製品の販売業者、製品の目的地(例えば小売業者)ならびに製品のさらなる他の情報(カテゴリ)を示すことができる。
【0119】
選別データが生成され(工程630)、個々の製品に含まれるポリマー材料がリサイクルを受けた回数に従って製品を選別することを可能にする。すなわち、製品は、1回リサイクルしたポリマー材料を含む1回の製品、2回リサイクルした材料を含む2回の製品などに分離してもよい。さらに、2つ以上のポリマー材料を含む製品、例えば、バージン材料および1つまたは複数のN回リサイクルされたポリマー材料を含む製品は、バージン材料とN回リサイクルされたポリマー材料との相対的割合(すなわち、ポリマー材料の組成)によって、および、製品が初回製品であるか2回目の製品であるかどうかなど予め選択された基準に基づいて決定されることによって決定される、予め選択された基準に従って選別され得る。
【0120】
上述のように実行されたデータ分析の結果はまた、製造業者、目的地、または意図されたユーザ(例えば、小売業者または流通業者)、および製品に関連するさらなる他の情報(カテゴリ)に従って、製品を選別することを可能にし得る。
【0121】
選別日に基づいて、測定されたXRFスペクトルに従って、リサイクルされたポリマー材料に導入される1つまたは複数のマーカが選択される(工程640)。リサイクルプロセス中にリサイクルされたポリマー材料に導入される1つまたは複数のマーカは、材料がリサイクルプロセスを受けたことの指標ならびにポリマー材料がリサイクルされた回数を提供するように適合される。さらに、選択されたマーカは、リサイクルされたポリマー材料の組成に関する指標(すなわち、バージン材料とリサイクルされたポリマー材料との間の比率、ならびに異なるN回のリサイクルされたポリマー材料間の比率の指標)を提供するように適合され得る。さらに、1つまたは複数のマーカは、リサイクルされたポリマー材料の品質またはグレード、リサイクル施設、リサイクルされたポリマー材料の目的地、製造日、バッチ番号などを識別する指標を提供することができる。
【0122】
マーキングデータ(1つまたは複数のマーカ)は、好ましくは、ポリマー材料中に存在する汚染物質および/または不純物がマーカの検出および同定を妨害しないように選択されることを理解されたい。すなわち、XRFリーダでリサイクルされたポリマー材料を検査すると、汚染物質は、特定のエネルギー(周波数)で比較的高い強度を有する応答信号を放出し得るが、リサイクルされたポリマー材料に導入されるマーカは、(XRF検査時に)放出する信号が汚染物質の高強度信号とは異なる周波数であるように選択される。
【0123】
次いで、リサイクルプロセス(工程650)中に、1つまたは複数のマーカが、リサイクルされたポリマー材料に導入され、リサイクルされるポリマー材料は、(通常、洗浄および細断後に)ホットメルトプロセスを受け、リサイクルされたポリマー材料を含む新しい製品が製造される。ある例において、ポリマー材料は押出機に供給され、フィラメントに押し出された後、リサイクル製品としてビーズまたはペレットに細断される。1つまたは複数のマーカは、ペレット、粉末、または液体の形態で、標準フィーダーまたはホッパーを介して押出プロセスに供給され得る。
【0124】
上述のように、リサイクルポリマー材料の製造において、添加剤は、通常、マスターバッチの形態でリサイクルポリマー材料に添加され、リサイクルプロセスおよびリサイクル前の製品におけるポリマー材料の先行使用により減少し得る様々な特性を改善する。例えば、強度および弾性などの所望の機械的特性、透明性、色、光沢などの光学的特性、熱的特性、ならびに酸素、熱および/または光による分解に対する安定化を含む他の特性を改善するために、添加剤を添加してもよい。添加剤は、通常、押出または他のホットメルト加工法の間にマスターバッチの形態で添加される。1つまたは複数のマーカは、単一のマスターバッチ中の追加の添加剤と共に、単一のパッケージ中のリサイクルされたポリマー材料中に導入され得る。1つまたは複数のマーカをリサイクルされたポリマー材料に埋め込むこの形態は、追加の設備(例えば、追加のフィーダー)または標準的な押出設備への調整なしに行うことができるので有利である。
【0125】
図5は、本発明のいくつかの他の実施形態によるポリマー材料のリサイクルを管理するためのフロー図700を例示する。同様に、リサイクルおよび再利用されるポリマー材料を含む1つまたは複数の製品が提供される(工程710)。概して、ポリマー材料は、1つまたは複数の製品の主成分である。1つまたは複数のプラスチック製品中のポリマー材料から到来するXRF信号の第1のXRFスペクトルを測定し、分析して(工程720)、1つまたは複数のXRFマーカのXRFシグネチャを検出する。1つまたは複数のXRFマーカは、リサイクル中にポリマー材料に導入され、ポリマー材料がリサイクルされた回数に関する指標を提供し得る。加えて、XRFマーカの一部は、バージンポリマー材料の製造中に導入された可能性があり、ポリマー材料の製造業者または製品の製造業者、製品の製造日、製品のバッチ番号、販売業者、製品の目的地(例えば小売業者)、ならびにさらなる他の情報(カテゴリ)に関する指標を提供し得る。
【0126】
ポリマー材料は、いくつかの供給源および製品/製造業者に由来し得る。製品のいくつかは、バージンポリマー材料と、すでにリサイクルされ、1つまたは複数のXRFマーカによってマーキングされたリサイクルポリマー材料との両方のブレンドを含むポリマー材料を含み得る。これらの1つまたは複数のXRFマーカは、第1のXRF測定によって検出される。さらに、XRFスペクトルを分析することによって、バージンポリマー材料およびリサイクルポリマー材料の相対部分、ならびにN回リサイクルされたポリマー材料(N回リサイクルされたとは、N回リサイクルされたポリマー材料である)の各々の相対部分を得ることができる。
【0127】
選別データが生成され(工程730)、測定されたXRFスペクトルに従ってリサイクルされる製品を選別することが可能になる。製品は、製品に含まれるポリマー材料がリサイクルを受けた回数に従って選別され得る。さらに、ブレンドされたポリマー材料(バージンポリマー材料と、1つまたは複数のN値に対して1つまたは複数のN回リサイクルされたポリマー材料とを含む)は、バージンおよびN回リサイクルされた材料の相対部分によって決定される予め選択された基準に従って選別され得る。例えば、選別は、予め選択された割合(例えば、10~20%、20~30%など)の間のバージンポリマー材料を含む製品をバッチで(同様の方法でさらに処理される)グループ化することができる。さらに、製品は、ポリマー材料に埋め込まれたXRFマーカから推測され得る追加の基準に従って、例えば、製品の製造業者、製品の目的地または意図されたユーザ(例えば、小売業者または販売業者)および他のさらなる情報(カテゴリ)に従って選別され得る。
【0128】
次いで、選別されたポリマー材料の第2のXRFスペクトルが測定および分析され(工程740)、選別されたポリマー材料のバッチのそれぞれに存在し得る汚染物質に関する第2のXRFシグネチャを得ることができる。選別されたポリマー材料は、選別されたポリマー材料のバッチにわたる汚染物質の平均濃度に対応するスペクトルを得るように実施される測定の前に粉砕または細断を受けることができる。これは、例えば、検査された選別されたポリマー材料とXRFリーダとの相対移動(例えば、検査された材料をコンベヤ上で移動させる)中の期間にわたって第2のXRF信号を収集することによって達成することができる。測定された第2のXRFスペクトルの分析は、選別されたポリマー材料中の汚染物質に関連するスペクトル中の1つまたは複数の元素ピークに対応する特徴的なXRFシグネチャを同定するために使用され得る。
【0129】
マーキングデータが生成され(工程750)、これは、ポリマー材料中に埋め込まれた1つまたは複数のマーカに関連する測定された第1のXRFスペクトル、および任意選択で、選別されたポリマー材料中に存在し得る1つまたは複数の汚染物質元素に関連する第2のXRFスペクトルに従って、選別されたポリマー材料中に導入される1つまたは複数の選択されたマーカを示す。
【0130】
次いで、マーキングデータを使用して、リサイクルプロセス中に選別されたポリマー材料に選択された1つまたは複数のマーカを導入することができる(工程760)。リサイクルプロセスにおいて、選別されたポリマー材料は、ホットメルトプロセスを受けて、リサイクルされたポリマー材料を生成する。ある例において、選別されたポリマー材料は押出機に供給され、フィラメントに押し出された後、ビーズまたはペレットの形態の製品に細断される。1つまたは複数のマーカは、ペレット、粉末、または液体の形態で、標準フィーダーまたはホッパーを介して押出プロセスに供給され得る。
【0131】
1つまたは複数のマーカは、概して、上記で説明されるプロセスと同様の様式で、種々のプラスチック添加剤とともに、単一マスターバッチとして、リサイクルされたポリマー材料に添加される。リサイクルされたポリマー材料を含有する製品の製造において、上記のように選別された様々なバッチを、押出機においてバージン材料と共にブレンドして、バージン材料およびN回リサイクルされたポリマー材料を予め選択された比率で含有するリサイクル製品を形成し得る。あるいは、バージン材料は、リサイクルプロセス自体の間ではなく、後の段階で、例えば室温での混合で、または例えば製品の製造プロセス中に、リサイクルされたポリマー材料とブレンドされてもよい。より具体的な例では、製品は、プラスチックフィルム(例えば、主にLDPEまたはLLDPEを含むプラスチックフィルム)であってもよく、製造用バージンポリマー材料とリサイクルポリマー材料とがホットメルトプロセスでブレンドされる。
【0132】
次いで、検証プロセスが実行され(工程770)、リサイクルされたポリマー材料が、XRF分析(すなわち、XRF分析器でポリマー材料を検査し、得られた第3のXRFスペクトルを分析する)によって、バージンポリマー材料とN回リサイクルされたポリマー材料との比率に関して適切な組成を有することを検証する。比率の推定において、以下の両方に依存し得る:リサイクルおよび製造の様々な段階においてポリマー材料に埋め込まれたマーカ;およびリサイクルされたポリマー材料の製造に使用されるポリマー材料のバッチを特徴付ける汚染物質。一例では、リサイクルプロセス中にポリマー材料に埋め込まれた対応するマーカを測定することによって、リサイクルプロセスの数(または、リサイクルされたポリマー材料の少なくとも一部が受けるリサイクルプロセスの最高数)を決定し、リサイクルされたポリマー材料中に存在する汚染物質の測定に従って、N回リサイクルされたポリマー材料とバージン材料との比率を推定することができる。
【0133】
リサイクルされたポリマー材料の組成の検証は、プロセスおよびリサイクルされた材料の品質を保証するリサイクルプロセスの品質保証のために利用され得る。さらに、検証は、リサイクルされたポリマー材料を含む製品の製造プロセスの品質保証のために使用され得る。さらに、ポリマー材料を含む製品がリサイクル施設で別のライフサイクルを終えると、次のリサイクルプロセスで検証を行うことができる。検証プロセスは、特定のプラスチック材料のリサイクルプロセスおよび/またはそのようなプラスチック材料を含む製品の製造プロセスを特徴付ける制御データを提供する。
【0134】
さらに、マーカは、ポリマー材料内に埋め込まれ、製品中の成分としても読み取られ(測定され)得るので、検証は、ポリマー材料がリサイクルされたポリマー材料から作製されていること、またはポリマー材料が選択された量のリサイクルされたポリマー材料を含有することをユーザに対して検証するために利用され得る。検証は、プラスチックリサイクルのためのクレジットスキームにおいて利用することができ、この場合、リサイクルされた製品を購入するユーザ、リサイクル当事者、または以前のユーザは、クレジットポイントを受け取るか、または選択された数量の製品をリサイクルする。
【0135】
測定されたXRFスペクトルまたはXRFスペクトル(上述のプラスチック材料検査段階の目的のために測定されたもの、ならびに検証プロセスにおいて測定されたもの)および/またはXRFスペクトルまたはXRFスペクトルによって符号化された情報(例えば、バージン対リサイクル材料の量)は、(例えば、XRFリーダまたは他のデバイスによって)アップロードされ、クラウドシステムに記憶され得ることに留意されたい。クラウドシステムは、リサイクルに関与する種々の当事者、例えば、種々のポリマー材料または製品の製造業者、ポリマー材料または製品の供給業者、製品の小売業者、および製品のエンドユーザのための「グリーン」クレジットシステムを管理するために使用されてもよい。ある例では、クラウドシステムは、分散型ブロックチェーンシステムであってもよい。例えば、国際公開第2018/207180号、同第2019/175878号、および同第2021/070182号に記載されるブロックチェーンシステムはすべて本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
本発明のいくつかの他の実施形態では、選別されたポリマー材料中に存在する汚染物質元素のXRFシグネチャを提供するように構成された第2のXRFスペクトルは、1つまたは複数のXRFマーカがリサイクルされたポリマー材料に導入されるリサイクルプロセスの後に実行される。
【0137】
図6は、本発明のさらに別の実施形態による方法のフロー図800を例示する。ここで、先の実施例と同様に、リサイクルおよび再利用されるポリマー材料を含む1つまたは複数の製品が提供される(工程810);1つまたは複数の製品中のポリマー材料から到来するXRF信号の第1のXRFスペクトルが測定され、分析される(工程820);選別データは、上述のように、測定されたXRFスペクトルに従って生成される(工程830)。次いで、ポリマー材料に埋め込まれた1つまたは複数のマーカに関連する測定された第1のXRFスペクトルに従って、選別されたポリマー材料に導入される1つまたは複数の選択されたマーカを示すマーキングデータが生成される(工程840)。
【0138】
1つまたは複数のマーカは、概して、上記で説明される実施例と同様に、リサイクルプロセス(工程850)中に選別されたポリマー材料に導入されてもよい。次いで、リサイクルされたポリマー材料から(すなわち、リサイクルプロセスを受けた後の選別されたポリマー材料から)到来する信号の第2のXRFスペクトルが測定され、分析される(工程860)。この第2のXRFスペクトルは、リサイクルプロセスで導入された1つまたは複数のXRFマーカを示す信号(強度ピーク)と、以前に(以前のリサイクルプロセスにおいて、おそらくバージンポリマー材料として)選別されたポリマー材料に埋め込まれているXRFマーカとを含み得る。さらに、XRFスペクトルは、リサイクルされた材料中に存在する汚染物質からの信号を含み得る。これらの汚染物質は、選別された様々な製品中に存在し得る。ホットメルト処理を含むリサイクルプロセスの後、これらの汚染物質は、リサイクルされたポリマー材料中に均質に分布する。したがって、これらの汚染物質は、場合によっては1つまたは複数のマーカと組み合わせて、リサイクルされたポリマー材料のXRF信号として使用することができる。このシグネチャは、リサイクルされたポリマー材料が使用される任意のプラスチック製品において、リサイクルされたポリマー材料とバージンポリマー材料との間の比率を測定するために利用することができる。リサイクルされたポリマー材料がバージンポリマー材料とブレンドされると(製品において)、XRFシグネチャの強度は減少し、バージン対リサイクルされた比率の評価を可能にする。1つまたは複数のXRFマーカは、製品内のリサイクルされたポリマー材料がリサイクルされた回数を決定するために使用され得る。
【0139】
以下は、マーキングされた材料またはそのようなマーキングされた材料を含有する製品の特徴的なシグネチャを形成する、再利用可能なプラスチック材料および/または天然材料のマーキングに使用されるのに適したマーカ;マーキング技術;および検出/読み取り技術のいくつかの具体的であるが限定されない実施例である。
【0140】
実施例1:マーカ
概して言えば、XRFシグネチャは、当技術分野で既知の任意の手段によって、XRF識別可能な分子または原子であり得る任意の量のXRFマーカをポリマーに添加することによって形成される。分子は、XRF識別可能な周期表の原子を含む任意のそのような分子であり得る。原子は、塩、錯体、有機化合物または無機化合物として存在し得る。例えば、マーカが金属または金属含有材料、例えば、有機金属材料または金属塩である場合、金属原子は、アルミニウム(例えば、硫酸アルミニウムとして提供される)、チタン(例えば、硫酸チタンとして提供される)、コバルト(例えば、硝酸コバルト六水和物、グルコン酸コバルト水和物、グリシン酸コバルトとして提供される)、ニッケル(硝酸ニッケル水和物、グリシン酸ニッケルとして提供される)、イットリウム(例えば、硝酸イットリウム六水和物として提供される)、カドミウム(例えば、硝酸カドミウム四水和物として提供される)、スズ(例えば、塩化スズとして提供される)、スカンジウム、ニオブ、銀、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、マンガン、銅、鉛、モリブデン、バナジウム、ビスマス、アンチモン、タンタルおよびセシウム(例えば、炭酸セシウムとして提供される)から選択され得る。他の金属も同様に有用である。
【0141】
他の金属系マーカは、水不溶性形態で提供され得る。そのようなものとしては、酸化アルミニウム、酢酸スカンジウム、酸化チタン、アセチルアセトン酸コバルト、炭酸コバルト、ジブロモコバルト、アセチルアセトン酸ニッケル、アクリル酸ニッケル、酸化イットリウム、酸化ニオブ、炭酸銀、塩化銀、エチルヘキサン酸スズ、酸化タングステンなどが挙げられる。
【0142】
ハロゲン化物系マーカとしては、トリヨードフェノール(TIP)、トリブロモフェノール(TBP)、トリクロロフェノール(TCP)、2,2-ビス(ブロモメチル)プロパン-1,3-ジオール、2,4,6-トリブロモアニリン、ペンタブロモベンジルアクリレート、4,5,6,7-テトラブロモイソベンゾフラン-l,3-ジオン、臭化アンモニウムなどが挙げられる。
【0143】
マーカは、水溶性または水不溶性であり得る。
【0144】
マーカは、その製造または使用の任意の段階でポリマーに添加される。マーカは、ポリマーが形成されたときに添加されてもよい、または天然ゴムなどの天然に存在する材料の場合には、さらなる処理前またはその処理中に添加されたときに添加されてもよい。マーカは、ポリマー樹脂または原材料に直接混合することによって添加されてもよい、または加工中にポリマー内に埋め込まれてもよい。マーカは、そのまま添加されてもよく、またはキレート化形態で添加されてもよい。
【0145】
実施例2:マーキングされたゴム試料1の調製
天然ゴムを採取し、水溶性および水不溶性マーカで処理した。いずれの場合も、マーキングされるゴムの量に基づいて(すなわち、所定の濃度で)、さらなる重合および加工の前に、一定量のマーカをゴム(ラテックス)に添加した。マーカをその組成、量および分布に基づいて選択して、識別可能なXRFシグネチャを提供した。
【0146】
水溶性マーカを、撹拌/混合したゴム試料に溶液を滴下することにより、水溶液として添加した。水不溶性マーカの場合、ゴムに一定量をそのまま添加する、または例えば有機媒体中で添加し、撹拌/混合した。マーカの均質な分布が達成されるまで試料を撹拌した。
【0147】
実施例3:マーキングされたゴム試料2の調製
実施例2に記載の添加と同様の様式で、マーカをミリングロールによってゴム試料に添加した。
【0148】
実施例4:ポリマーまたはゴム試料からのXRF信号の読み取り
プラスチック試料およびゴム試料を含む、上記のようにマーキングされた試料を、本明細書に記載の方法に従ってXRFによって読み取り、先行するマーキングに由来するXRFシグネチャを同定した。
【0149】
全ての試料において、読み取り値は、試料を示すシグネチャを同定した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】