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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】層状触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20240423BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20240423BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240423BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01J23/63 A ZAB
B01J35/57 L
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565244
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2022087933
(87)【国際公開番号】W WO2022222962
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/088742
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ウェイ リヤン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シヤオライ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チュン ユイ
(72)【発明者】
【氏名】ジアニ,アッティリオ
(72)【発明者】
【氏名】トラン,パスカリン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA17
3G091AB03
3G091BA01
3G091BA14
3G091BA15
3G091BA19
3G091GB06
3G091GB07
4D148AA06
4D148AA13
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4D148AB01
4D148AB02
4D148AB09
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4D148BA08X
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4D148BA18Y
4D148BA19X
4D148BA23Y
4D148BA25Y
4D148BA28Y
4D148BA30X
4D148BA31X
4D148BA33X
4D148BA35Y
4D148BA38Y
4D148BA39Y
4D148BA41X
4D148BA42Y
4D148BB02
4D148BB14
4D148BB16
4D148BB17
4D148CC31
4D148CC32
4D148CC47
4D148DA03
4D148DA11
4D148EA04
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA04A
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC13A
4G169BC13B
4G169BC40A
4G169BC42A
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC44A
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC71A
4G169BC71B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CA03
4G169CA09
4G169DA06
4G169EA18
4G169EA27
4G169EB12Y
4G169EC28
4G169EE06
4G169EE09
4G169FC08
(57)【要約】
本発明は、a)パラジウム(Pd)成分、白金(Pt)成分及びロジウム(Rh)成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が、1つ以上の担体に一緒に担持されている、トップ層;b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材を含む層状触媒物品に関し、ここで、パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において1:1超の比で担持されている。また、本発明はこの層状触媒物品を含む排気ガス処理システムにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)パラジウム(Pd)成分、白金(Pt)成分及びロジウム(Rh)成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が、1つ以上の担体に一緒に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含む層状触媒物品であって、
パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において1:1超の比で担持されている、層状触媒物品。
【請求項2】
前記トップ層が、Pd、Pt及びRh以外のPGMを実質的に含まない、請求項1に記載の層状触媒物品。
【請求項3】
前記トップ層における前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が、アルミナ以外の1つ以上の担体に一緒に担持されている、請求項1又は2に記載の層状触媒物品。
【請求項4】
前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、ジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項5】
前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項6】
前記白金成分の少なくとも70%、好ましくは前記白金成分の全てが、前記トップ層において前記ロジウム成分の少なくとも一部と一緒に1つ以上の担体に担持されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項7】
前記ロジウム成分の少なくとも10%、少なくとも30%、又は少なくとも50%が、前記トップ層において前記白金成分と一緒に1つ以上の担体に担持されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項8】
パラジウム成分が、前記トップ層及び前記ボトム層において、パラジウム元素として計算して、1:1超~10:1以下、好ましくは1.2:1~6:1の範囲、より好ましくは1.5:1~4:1の範囲、最も好ましくは2:1~4:1の範囲の比で担持されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項9】
a)パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の全部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、ジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含み、
パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において、1.2:1~6:1、好ましくは1.5:1~4:1、より好ましくは2:1~4:1の範囲の比で担持されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項10】
a)パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分の全部及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の全部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含み、
パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において、1.5:1~4:1、好ましくは2:1~4:1の範囲の比で担持されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項11】
前記層状触媒物品に含まれるパラジウム成分と白金成分との質量比が、パラジウム元素及び白金元素として計算して、1:1~10:1、例えば2.0:1~9:1、2.1:1~6:1、又は2.3:1~5:1の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項12】
前記ボトム層が前記基材上に適用され、前記トップ層が中間層なしで前記ボトム層上に適用される、請求項1から11のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項13】
前記基材がフロースルー基材又はウォールフロー基材である、請求項1から12のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【請求項14】
排気ガス流中の炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物の低減のための、請求項1から13のいずれか一項に記載の層状触媒物品の使用方法。
【請求項15】
内燃機関、特にガソリンエンジンの下流に配置されている請求項1から13のいずれか一項に記載の層状触媒物品を含む、排気ガス処理システム。
【請求項16】
前記層状触媒物品が、内燃機関の下流に、密接位置、床下位置、又はその両方に配置されている、請求項15に記載の排気ガス処理システム。
【請求項17】
前記層状触媒物品の後に、直接的又は間接的に四元触媒コンバーターが続く、請求項15又は16に記載の排気ガス処理システム。
【請求項18】
排気ガス流を処理する方法であって、前記排気ガス流を、請求項1から13のいずれか一項に記載の層状触媒物品又は請求項15から17のいずれか一項に記載の排気ガス処理システムと接触させることを含む、方法。
【請求項19】
前記層状触媒物品が、内燃機関、特にガソリンエンジンからの排気ガス流中の炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物の低減に特に有用である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層状のPt/Pd/Rh三金属触媒物品、この物品を含む排気ガス処理システム、及び層状触媒物品又は排気ガス処理システムを用いて排気ガス流を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx、例えばNO及び/又はNO)汚染物質の排出基準を満たすために、三元転換(TWC)触媒(以下、互換的にTWC触媒又はTWCとも呼ばれる)を含有する触媒コンバータが数年間利用されてきた。TWC触媒は、内燃機関、特にガソリンエンジンからの排気流において、未燃焼の炭化水素と一酸化炭素を同時に酸化し、窒素酸化物を低減することがよく知られている。
【0003】
TWC触媒は、触媒活性種として白金族金属(PGM)を利用する。特に、パラジウムは、少量のロジウムと一緒に、主要な白金族金属として通常使用される。近年、パラジウムの供給不足が深刻化し、パラジウム価格は白金の約2.6倍と高騰を続けているため、TWC触媒の分野では製造コストの上昇が大きな課題となっている。同時に、触媒活性種として白金を含有するディーゼル酸化触媒が一般的に使用されるディーゼルエンジン車の生産台数が減少しているため、白金価格の下落が予想される。したがって、パラジウムの少なくとも一部の代わりに白金を含むTWC触媒は、触媒のコストを大幅に削減するために望ましい。しかしながら、パラジウムを白金に単純に置き換えただけでは、触媒の性能が好ましくないか、満足のいくものにならないことが予想される。過去数十年間に、一定量の白金を含む様々なTWC触媒が開発されてきた。
【0004】
エンジンの排気ガスに関する規制がますます厳しくなる中、HC、CO及びNOxを効率的に除去し、低コストで製造できるTWC触媒の提供が引き続き求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、TWC触媒に使用され一定量のるパラジウムの代わりに白金を含み、HC、CO及びNOxの低減に関して同等の、又はさらに改善された総合的な触媒性能を有する触媒物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、
a)パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が、1つ以上の担体に一緒に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含む層状触媒物品を提供し、
ここで、パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において1:1超の比で担持されている。
【0007】
別の態様において、本発明は、内燃機関の下流に配置された、本明細書に記載の層状触媒物品を含む排気ガス処理システムを提供する。
【0008】
さらなる態様において、本発明は、排気ガス流を、本明細書に記載の層状触媒物品又は排気ガス処理システムと接触させることを含む、排気ガス流を処理するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、実施例1に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Rh二金属触媒物品の概略図であり;図1Bは、実施例2に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Pt/Rh三金属触媒物品の概略図であり;図1Cは、実施例3に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Pt/Rh三金属触媒物品の概略図である。
図2図2A、2B、2C及び2Dは、それぞれ実施例4、5、6及び7に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Pt/Rh三金属触媒物品の概略図である。
図3図3A及び3Bは、それぞれ実施例8及び9に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Pt/Rh三金属触媒物品の概略図である。
図4図4は、実施例10に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Pt/Rh三金属触媒物品の概略図である。
図5図5は、実施例11に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Pt/Rh三金属触媒物品の概略図である。
図6図6は、実施例12に従って調製された、例示的な層状構成を有するPd/Pt/Rh三金属触媒物品の概略図である。
図7図7は、実施例による触媒物品で排気ガスを処理した後のテールパイプHC排出量を示すグラフである。
図8図8は、実施例による触媒物品で排気ガスを処理した後のテールパイプCO排出量を示すグラフである。
図9図9は、実施例による触媒物品で排気ガスを処理した後のテールパイプNOx排出量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、様々な態様で具体化されることができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるものではないことを理解されたい。
【0011】
単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の参照語を含む。「含み」、「含む」等の用語は、「含有し」、「含有する」等と互換的に使用され、非限定的、開放的に解釈される。すなわち、例えば、さらなる成分又は要素が存在してもよい。「からなる」又は「本質的にからなる」又は同義語の表現は、「含む」又は同義語の中に包含されてもよい。
【0012】
本発明の一態様によれば、
a)パラジウム(Pd)成分、白金(Pt)成分及びロジウム(Rh)成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が、1つ以上の担体に一緒に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含む層状触媒物品が提供され、
ここで、パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において1:1超の比で担持されている。
【0013】
本発明による層状触媒物品は、TWC触媒として特に有効である。
【0014】
本明細書で使用する「パラジウム成分」、「白金成分」及び「ロジウム成分」という用語は、任意の可能な原子価状態のこれらの白金族金属の存在を表すことを意図しており、これらの白金族金属は、例えば、触媒活性形態としてのそれぞれの金属または金属酸化物であってもよく、又は、例えば、焼成又は触媒の使用により、分解するか、又は他の方法で触媒活性形態に変換するそれぞれの金属化合物、錯体などであってもよい。
【0015】
本明細書で使用する「層状触媒物品」という用語は、層状設計で基材上にコーティングされた触媒組成物を含む触媒物品を指す。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明による層状触媒物品におけるトップ層は、Pd、Pt及びRh以外のPGMを実質的に含まない。本明細書において、「実質的に含まない」という言及は、Pd、Pt及びRh以外のPGMが層に意図的に添加又は使用されていないことを意味することを意図している。当業者であれば、Pd、Pt及びRh以外のPGM(単数又は複数)が不純物としてトップ層に微量で存在する可能性があることを理解されたい。
【0017】
本発明による層状触媒物品におけるボトム層は、層に意図的に添加又は使用されたPd以外のPGMを含まない。また、Pd以外のPGM(単数又は複数)が不純物としてボトム層に微量で存在してもよい。
【0018】
微量の不純物のPGM(単数又は複数)は、それぞれの層を調製するための原料に由来する可能性があり、及び/又は、触媒物品を調製するプロセスにおける担持、コーティング及び/又は焼成の間に起こり得る、層へのPGM(単数又は複数)の移動に由来する可能性がある。
【0019】
本明細書において、PGM(単数又は複数)の「微量」とは、層中のPGMの総担持量に基づいて、0.75質量%以下、0.5質量%以下、0.25質量%以下、又は0.1質量%以下を含む、1質量%以下を意味する。
【0020】
本明細書において、「担持された形態」の白金族金属への言及は、白金族金属が粒子の形態の担体上及び/又は担体中に担持されていることを意味することを意図している。白金及びロジウム成分が「一緒に担持されている」という言及は、2つの白金族金属が、例えばそれぞれの前駆体の担体粒子への同時又は逐次的な含浸によって、同じ担体粒子上及び/又は同じ担体粒子中に担持されていることを意味する。白金及びロジウム成分が一緒に担持されている場合、白金及びロジウムの両方が、担体の単一粒子上及び/又は単一粒子中に存在してもよいことが理解されたい。
【0021】
「担体」という用語は、触媒活性成分、例えば白金族金属(単数又は複数)、及び任意に1つ以上の他の成分、例えば安定剤、促進剤及びバインダーを受容し担持するための材料を指す。担体は、耐火性金属酸化物、酸素貯蔵成分、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0022】
排気ガス処理触媒物品において白金族金属の担体として広く使用されている耐火性金属酸化物は、一般に、高表面積アルミナベース材料、ジルコニアベース材料、又はそれらの組み合わせである。本発明の文脈では、「アルミナベース材料」とは、ベースとしてのアルミナ、及び任意にドーパントを含む材料を指す。同様に、「ジルコニア系材料」とは、ベースとしてのジルコニア、及び任意にドーパントを含む材料を指す。
【0023】
アルミナベース材料の好適な例としては、アルミナ、例えば、相当量のエタ相、カッパ相及びシータ相も含有するアルミナのガンマ相及びデルタ相の混合物、ランタナドープアルミナ、バリアドープアルミナ、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジウムドープアルミナ、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
ジルコニアベース材料の好適な例としては、ジルコニア、アルミナドープジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
例えば、耐火性金属酸化物は、アルミナ、ランタナドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ジルコニア、アルミナドープジルコニア、ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0026】
一般に、耐火性金属酸化物の量は、使用する場合、ボトム層又はトップ層の総質量に基づいて10~90質量%である。
【0027】
酸素貯蔵成分(OSC)とは、多価の状態を有し、酸化条件下では酸素又は窒素酸化物などの酸化剤と積極的に反応することができ、又は還元条件下では一酸化炭素(CO)又は水素などの還元剤と反応することができる物質を指す。典型的には、OSCは、1種以上の還元可能な希土類金属酸化物、例えばセリアを含む。OSCはまた、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、ユーロピア、サマリア、イッテルビア、イットリア、ジルコニア、ハフニアのうちの1種以上を含んで、セリアと複合酸化物を構成することもできる。好ましくは、酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される。
【0028】
一般に、酸素貯蔵成分の量は、使用する場合、ボトム層又はトップ層の総質量に基づいて20~80質量%である。
【0029】
本発明の文脈において、トップ層及びボトム層におけるパラジウム成分の担体に特に制限はない。パラジウム成分は、耐火性金属酸化物、酸素貯蔵成分、又はそれらの任意の組み合わせに担持されてもよい。いくつかの実施形態において、パラジウム成分は、アルミナベース材料及びジルコニアベース材料から選択される耐火性金属酸化物、及び酸素貯蔵成分から選択される1種以上の担体に担持されていてもよい。
【0030】
好ましくは、トップ層におけるパラジウム成分は、アルミナ、ランタナドープアルミナ、バリアドープアルミナ、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、ジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体、より好ましくは、アルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されてもよい。
【0031】
さらに又はあるいは、好ましくは、ボトム層におけるパラジウム成分は、アルミナ、ランタナドープアルミナ、バリアドープアルミナ、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体、より好ましくは、アルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されてもよい。
【0032】
トップ層におけるパラジウム成分の担体とボトム層におけるパラジウム成分の担体は、互いに独立して選択できることが理解されたい。すなわち、トップ層におけるパラジウム成分の担体は、ボトム層におけるパラジウム成分の担体と同じであっても異なっていてもよい。
【0033】
本発明の文脈において、トップ層における白金成分の少なくとも一部とロジウム成分の少なくとも一部は、アルミナ以外の1つ以上の担体に一緒に担持されることが望ましい。
【0034】
いくつかの実施形態において、白金成分の少なくとも一部及びロジウム成分の少なくとも一部は一緒に、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、ジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されてもよい。好ましくは、白金成分の少なくとも一部及びロジウム成分の少なくとも一部は、セリアドープアルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されてもよい。
【0035】
存在する場合、白金成分の残りの部分、すなわち、個別に担持された部分の担体は、特に制限されない。白金成分の個別に担持された部分の担体は、アルミナベース材料及びジルコニアベースの材料、及びパラジウム成分について本明細書で上記で定義した酸素貯蔵成分から選択される1つ以上であってよい。
【0036】
存在する場合、ロジウム成分の残りの部分、すなわち、個別に担持された部分の担体は、特に制限されない。いくつかの実施形態において、ロジウム成分の個別に担持された部分の担体は、アルミナ、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、ジルコニア、アルミナドープジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上であってもよい。好ましくは、ロジウム成分は、個別に担持される場合、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ジルコニア、アルミナドープジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニアから選択される1つ以上の担体に担持されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、ロジウム成分の少なくとも一部と一緒に担持される白金成分の部分は、白金成分の総量の少なくとも70%、例えば少なくとも85%を占める。特に、すべての白金成分はトップ層において、ロジウム成分の少なくとも一部と一緒に、1つ以上の担体に担持される。
【0038】
いくつかの実施形態において、すべてのロジウム成分は、白金成分と一緒に、1つ以上の担体に担持されている。他の実施形態では、ロジウム成分の一部は、白金成分と一緒に、1つ以上の担体に担持されており、ロジウム成分の残り部分は、1つ以上の担体に個別に担持されている。後者の実施形態では、白金成分と一緒に担持されるロジウム成分の部分は、ロジウム成分全体の少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%を占める。
【0039】
いくつかの特定の実施形態において、パラジウム成分は、トップ層及びボトム層において、パラジウム元素として計算して、1:1超~10:1以下、好ましくは1.2:1~6:1の範囲、より好ましくは1.5:1~4:1の範囲、最も好ましくは2:1~4:1の範囲、例えば2.5:1又は3:1の比で担持されている。
【0040】
本発明による層状触媒物品に含まれるパラジウム成分と白金成分の質量比は、パラジウム元素及び白金元素として計算して、1:1~10:1の範囲で変化し得る。例えば、層状触媒物品に含まれるパラジウム成分と白金成分の質量比は、2.0:1以上、2.1:1以上、2.3:1以上であってもよい。層状触媒物品に含まれるパラジウム成分と白金成分の質量比は、9:1以下、6:1以下、5:1以下、又は4:1以下であってもよい。したがって、いくつかの好ましい実施形態において、パラジウム成分及び白金成分は、2.0:1~9:1、2.1:1~6:1、2.3:1~5:1、又は2.3:1~4:1範囲の、パラジウム元素及び白金元素として計算されるPd/Pt質量比で、本発明による層状触媒物品に含まれてもよい。
【0041】
本発明による層状触媒物品において、ロジウム成分とパラジウム成分の質量比、ロジウム成分と白金成分の質量比、又はロジウム成分とパラジウム成分及び白金成分の合計との質量比には特に制限されない。例えば、本発明による層状触媒物品中において、ロジウム成分とパラジウム成分及び白金成分の合計との質量比は、それぞれの元素として計算して、2:3~1:200、1:2~1:50、1:3~1:20、又は1:3~1:10の範囲であってもよい。
【0042】
本発明による層状触媒物品におけるパラジウム成分と白金成分とロジウム成分との質量比は、それぞれの元素として計算して、例えば、1:1:1~10:1:0.2、2:1:1~9:1:0.3、又は2:1:1~5:1:0.5の範囲であってもよい。
【0043】
一般に、白金族金属は、それぞれの元素の合計として計算して、1~250g/ft、5~150g/ft、又は5~100g/ftの量でトップ層に担持されてもよい。さらに又はあるいは、パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、0.5~200g/ft、1~150g/ft、又は2~100g/ftの量でボトム層に担持されてもよい。
【0044】
トップ層の総担持量は、1.5~4.0g/in又は1.5~3g/inであってもよく、ボトム層の総担持量は、0.75~3.0g/in又は1.0~2.5g/inであってもよい。
【0045】
いくつかの例示的な実施形態において、本発明による層状触媒物品は、
a)パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の全部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、ジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含み、
ここで、パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において、1.2:1~6:1、好ましくは1.5:1~4:1、より好ましくは2:1~4:1の範囲の比で担持されている。
【0046】
さらなる例示的な実施形態において、本発明による層状触媒物品は、
a)パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分の全部及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分、及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含み、
ここで、パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において、1.5:1~4:1、好ましくは2:1~4:1の範囲の比で担持されている。
【0047】
好ましくは、上述した例示的な各実施形態において、白金成分と一緒に担持されるロジウム成分の部分は、ロジウム成分全体の少なくとも30%、少なくとも50%を占める。
【0048】
より好ましくは、上述した例示的な各実施形態において、ロジウム成分は、個別に担持される場合、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ジルコニア、アルミナドープジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニアから選択される1つ以上の担体に担持されている。
【0049】
本発明による層状触媒物品のいくつかの特定の実施形態では、ボトム層は基材上に適用され、トップ層は中間層なしでボトム層上に適用される。
【0050】
本明細書で使用する「基材」という用語は、触媒組成物が典型的にウォッシュコートの形態で担持されている内燃機関の排気ガス流で遭遇する条件に耐えるのに適した構造を指す。基材は一般に、構造の一端から他端まで延びる微細で平行なガス流通路を有するセラミック又は金属のハニカム構造である。
【0051】
「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野における通常の意味を有し、基材に適用された触媒又は他の材料の薄く付着したコーティングを指す。ウォッシュコートは一般に、液体ビヒクル中に一定の固形分(例えば15~60質量%)の粒子を含むスラリーを調製し、これを基材上に敵ようし、乾燥し、焼成してウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0052】
基材を構成するのに有用な金属材料としては、チタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、及び鉄が実質的な成分又は主要な成分である他の合金を挙げることができる。このような合金は、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムの1種以上を含有しでもよく、これらの金属の総量は有利に、少なくとも15質量%の合金、例えば、10~25質量%のクロム、3~8%のアルミニウム、及び最大20質量%のニッケルを含んでもよい。合金は、少量又は微量の、マンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1種以上の金属を含有してもよい。金属基材の表面は、高温、例えば1000℃以上で酸化されて基材表面に酸化物層を形成し、これにより、合金の耐食性を向上させ、金属表面へのウォッシュコート層の付着を容易にする。
【0053】
基材を構成するのに有用なセラミック材料としては、任意の好適な耐火材料、例えば、コージェライト、ムライト、コージェライト-アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカ-マグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、マグネシウムシリケート、ジルコン、ペタライト、アルミナ、及びアルミノシリケートが挙げられる。
【0054】
本発明の文脈において、基材の入口面から出口面まで延びる複数の微細で平行なガス流通路を有し、通路はそこを通る流体の流れに対して開口している、モノリシックフロースルー基材が好ましい。流体入口から流体出口まで実質的に直線状の通路は、通路を流れるガスが触媒材料に接触するように、触媒材料がウォッシュコートとして適用された壁によって画定される。モノリシック基材の流路は、薄壁のチャネルであり、台形、長方形、正方形、正弦波、六角形、楕円形、円形など、任意の好適な断面形状及びサイズとすることができる。このような構造は、断面の1平方インチ当たり約60~約900個以上のガス入口開口部(すなわち、セル)を含有してもよい。例えば、基材は、約400~約900個、より通常は約600~約750個のセル/平方インチ(「cpsi」)を有することができる。フロースルー基材の壁厚は様々で、典型的には2ミル~0.1インチの範囲である。代表的なフロースルー基材は、600cpsi又は750cpsiのセル密度、及び2ミルの壁厚を有するコージェライト基材である。
【0055】
また、基材が、基材の入口から出口面に沿って延びる複数の微細で平行なガス流通路を有するウォールフロー基材であり、交互の通路が反対側の端部で塞がれていることも可能である。この構成では、ガス流がウォールフロー基材の多孔質壁を通って出口面に到達する必要がある。ウォールフロー基材は、1平方インチ当たり最大約700個のセル(cpsi)、例えば約100~400cpsi、より典型的には約200~約300cpsiを含有してもよい。セルの断面形状は、上述のように変化させることができる。モノリス基材の流路は薄壁のチャネルであり、台形、長方形、正方形、正弦波、六角形、楕円形、円形など、任意の好適な断面形状及びサイズとすることができる。ウォールフロー基材の壁厚は様々で、典型的には2ミル~0.1インチの範囲である。
【0056】
本発明による層状触媒物品は、例えば、ボトムコートスラリーを堆積させてボトム層を得、その後にトップコートスラリーを堆積させてトップ層を得ることを含む方法によって、従来通りに調製することができる。
【0057】
一般に、スラリーは、触媒粒子、溶媒(例えば、水)、任意のバインダー、及び界面活性剤、pH調整剤、増粘剤などの任意の助剤を含む。特に、ボトムコートスラリーは、触媒粒子として担持した形態のパラジウム成分を含み、トップコートスラリーは、触媒粒子として、担持した形態のパラジウム成分、一緒に担持された白金成分及びロジウム成分、及び任意に個別に担持された白金成分及び/又はロジウム成分を含む。PGMの担体は、本明細書で上述した通りである。
【0058】
これらの触媒粒子は、可溶性塩及び/又はそれらの錯体のようなPGM(単数又は複数)の前駆体を、乾燥含浸(初期湿潤含浸又は毛管含浸とも呼ばれる)又は湿潤含浸のような従来の技術によってそれぞれの担体に含浸させ、任意に続いて乾燥及び/又は焼成することによって調製することができる。PGMの好適な前駆体は、PGMのアンミン錯塩、ヒドロキシル塩、硝酸塩、カルボン酸塩、アンモニウム塩、酸化物及びコロイドから選択することができる。非限定的な例としては、硝酸パラジウム、テトラアンミン硝酸パラジウム、硝酸ロジウム、テトラアンミン酢酸白金、硝酸白金、テトラアンミン酢酸白金、ヘキサヒドロキシ白金酸ジエタノールアミン塩((HOCHCHNH3)[Pt(OH)])及びコロイド白金が挙げられる。
【0059】
バインダーは、アルミナ、ベーマイト、シリカ、酢酸ジルコニウム、コロイド状ジルコニア、又は水酸化ジルコニウムから選択することができる。バインダーが存在する場合、バインダーは通常、ウォッシュコート総担持量の約0.5~約5.0質量%の量で使用される。
【0060】
スラリーは、例えば約20~60質量%、より特に約30~50質量%の範囲の固形分を有してもよい。スラリーは多くの場合、粒径を小さくするために粉砕される。典型的には、スラリーは、レーザー回折式粒度分布分析装置で測定して、粉砕後に、約3.0~約40ミクロン、好ましくは約10~約30ミクロン、より好ましくは約20ミクロン未満のD90粒径を有する。
【0061】
基材上又は下地コート上へのスラリーの堆積は、当該技術分野で公知の任意の技術によって行われてもよい。例えば、基材をスラリー中に1回以上浸漬するか、又はそうでなければ所望の長さまでスラリーでコーティングし、次いで、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、10分~3時間)乾燥し、より高い温度(例えば、400~700℃)で典型的には約10分~約3時間焼成することができる。焼成後のウォッシュコート担持量は、コーティングされた基材とコーティングされていない基材との質量差を計算することによって決定することができる。当業者には明らかなように、スラリーレオロジーを変更することにより、ウォッシュコート担持量を変更することができる。さらに、ウォッシュコートを生成するためのコーティング、乾燥、及び焼成を含む堆積プロセスは、所望の担持量レベル又は厚さの層を形成するために必要に応じて繰り返すことができ、すなわち、複数のウォッシュコートを適用することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、本発明による層状触媒物品は、液体担体を使用せずに気相担体を介して1つ以上の機能性材料を適用する「乾式コーティング」法によって適用された機能性層をさらに含んでもよい。これらの層状触媒物品では、基材は特にウォールフロー基材であり、機能性層は基材の多孔質壁の最も外側にある。
【0063】
本発明による別の態様によれば、内燃機関の下流に配置された本明細書に記載の層状触媒物品を含む排気ガス処理システムが提供される。層状触媒物品は、内燃機関、特にガソリンエンジンの下流に、密接位置、密接位置の下流位置、又はその両方に配置されてもよい。
【0064】
本発明によるさらなる態様によれば、排気ガス流を処理する方法が提供され、この方法は、排気ガス流を、本明細書に記載の層状触媒物品又は排気ガス処理システムと接触させることを含む。
【0065】
「排気ガス流」、「排気ガス」などの用語は、固体又は液体の粒子状物質を含有することができるあらゆるエンジン排気ガスを指す。
【0066】
本発明による層状触媒物品は、内燃機関、特にガソリンエンジンからの排気ガス流中の炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物の低減に特に有用である。
【0067】
実施形態
様々な実施形態を以下に列挙する。以下に列挙する実施形態は、本発明の範囲に従って、全ての態様及び他の実施形態と組み合わせることができることが理解されたい。
【0068】
1.特に三元転換に有用である層状触媒物品であって、
a)パラジウム(Pd)成分、白金(Pt)成分及びロジウム(Rh)成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が、1つ以上の担体に一緒に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含み、
パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において1:1超の比で担持されている、層状触媒物品。
【0069】
2.前記トップ層が、Pd、Pt及びRh以外のPGMを実質的に含まない、実施形態1に記載の層状触媒物品。
【0070】
3.前記トップ層における前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が、アルミナ以外の1つ以上の担体に一緒に担持されている、実施形態1又は2に記載の層状触媒物品。
【0071】
4.前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、ジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、実施形態1から3のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0072】
5.前記白金成分の少なくとも一部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、実施形態1から4のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0073】
6.前記白金成分の少なくとも70%、好ましくは全てが、前記トップ層において前記ロジウム成分の少なくとも一部と一緒に1つ以上の担体に担持されている、実施形態1から5のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0074】
7.前記ロジウム成分の少なくとも10%、少なくとも30%、又は少なくとも50%が、前記トップ層において前記白金成分と一緒に1つ以上の担体に担持されている、実施形態1から6のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0075】
8.パラジウム成分は、前記トップ層及び前記ボトム層において、パラジウム元素として計算して、1:1超~10:1以下、好ましくは1.2:1~6:1の範囲、より好ましくは1.5:1~4:1の範囲、最も好ましくは2:1~4:1の範囲、例えば2.5:1又は3:1の比で担持されている、実施形態1から7のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0076】
9.a)パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の全部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、ジルコニアドープアルミナ、セリア-ジルコニアドープアルミナ、ランタナ-ジルコニアドープアルミナ、バリア-ランタナドープアルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアドープアルミナ、ジルコニア、ランタナドープジルコニア、イットリアドープジルコニア、ネオジミアドープジルコニア、プラセオジミアドープジルコニア、チタニアドープジルコニア、チタニア-ランタナドープジルコニア、ランタナ-イットリアドープジルコニア、セリア、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含み、
パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において、1.2:1~6:1、好ましくは1.5:1~4:1、より好ましくは2:1~4:1の範囲の比で担持されている、実施形態1から8のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0077】
10.a)パラジウム成分、白金成分及びロジウム成分を含むトップ層であって、前記パラジウム成分、白金成分の全部及びロジウム成分が担持された形態で存在し、前記白金成分の全部及び前記ロジウム成分の少なくとも一部が一緒に、セリアドープアルミナ、セリア-ジルコニア複合酸化物、及び希土類安定化セリア-ジルコニア複合酸化物から選択される1つ以上の担体に担持されている、トップ層;
b)唯一の白金族金属成分として担持された形態のパラジウム成分を含むボトム層;及び、
c)前記トップ層及び前記ボトム層が担持されている基材
を含み、
パラジウム成分は、パラジウム元素として計算して、前記トップ層と前記ボトム層において、1.5:1~4:1、好ましくは2:1~4:1の範囲の比で担持されている、実施形態1から9のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0078】
11.前記層状触媒物品に含まれるパラジウム成分と白金成分との質量比が、パラジウム元素及び白金元素として計算して、1:1~10:1、例えば2.0:1~9:1、2.1:1~6:1、又は2.3:1~5:1、又は2.3:1~4:1の範囲である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0079】
12.前記層状触媒物品における、ロジウム成分と、パラジウム成分及び白金成分の合計との質量比が、それぞれの元素として計算して、2:3~1:200、1:2~1:50、1:3~1:20、又は1:3~1:10の範囲である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0080】
13.前記層状触媒物品における、パラジウム成分と白金成分とロジウム成分との質量比が、それぞれの元素として計算して、1:1:1~10:1:0.2、2:1:1~9:1:0.3、又は2:1:1~5:1:0.5の範囲である、実施形態1から12のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0081】
14.白金族金属が、それぞれの元素の合計として計算して、1~250g/ft、5~150g/ft、又は5~100g/ftの量で前記トップ層に担持され、及び/又は、パラジウム成分が、パラジウム元素として計算して、0.5~200g/ft、1~150g/ft、又は2~100g/ftの量で前記ボトム層に担持されている、実施形態1から13のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0082】
15.前記ボトム層が前記基材上に適用され、前記トップ層が中間層なしで前記ボトム層上に適用される、実施形態1から14のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0083】
16.前記基材がフロースルー基材又はウォールフロー基材である、実施形態1から15のいずれか一項に記載の層状触媒物品。
【0084】
17.排気ガス流中の炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物の低減のための、実施形態1から16のいずれか一項に記載の層状触媒物品の使用方法。
【0085】
18.内燃機関、特にガソリンエンジンの下流に配置されている実施形態1から16のいずれか一項に記載の層状触媒物品を含む、排気ガス処理システム。
【0086】
19.前記層状触媒物品が、内燃機関の下流に、密接位置、床下位置、又はその両方に配置される、実施形態18に記載の排気ガス処理システム。
【0087】
20.前記層状触媒物品の後に、直接的又は間接的に四元触媒コンバーターが続く、実施形態18又は19に記載の排気ガス処理システム。
【0088】
21.排気ガス流を処理する方法であって、前記排気ガス流を、実施形態1から16のいずれか一項に記載の層状触媒物品又は実施形態18から20のいずれか一項に記載の排気ガス処理システムと接触させることを含む、方法。
【0089】
22.前記層状触媒物品が、内燃機関、特にガソリンエンジンからの排気ガス流中の炭化水素、一酸化炭素及び窒素酸化物の低減に特に有用である、実施形態21に記載の方法。
【実施例
【0090】
本発明の態様は、以下の実施例によってより完全に説明されるが、これらの実施例は、本発明の特定の態様を説明するために記載されたものであり、これらを限定するものとして解釈されるものではない。
【0091】
実施例1:層状の二金属触媒物品(参照、BMC-1、Pt/Pd/Rh=0/50/10、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒の概略図を図1Aに示している。
【0092】
ボトムコートスラリー:18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、及び822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0093】
トップコートスラリー:
45.29グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0094】
22.65グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を、144グラムのジルコニア及び241グラムのセリア-ジルコニア(70%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0095】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0096】
ボトムコートスラリーを、直径132.1mm、長さ50mmの600/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は40g/ftのPd及び10g/ftのRhからなった。
【0097】
実施例2:層状の三金属触媒物品(参照、TMC-1、Pt/Pd/Rh=15/35/10、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図1Bに示している。この触媒品(TMC-1)は、トップコート中の30%のPdをPtで単純に置換した触媒物品(BMC-1)の変形を表す。
【0098】
ボトムコートスラリー:18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0099】
トップコートスラリー:
初期湿潤含浸で、まず、20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に含浸させ、次に28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0100】
22.65グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を、144グラムのジルコニア及び241グラムのセリア-ジルコニア(70%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0101】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0102】
ボトムコートスラリーを、直径132.1mm、長さ50mmの600/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び10g/ftのRhからなった。
【0103】
実施例3:層状の三金属触媒物品(本発明、TMC-2、Pt/Pd/Rh=15/35/10、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。トップコートにおいて、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を一緒に担持した。この触媒物品の概略図を図1Cに示している。
【0104】
ボトムコートスラリー:18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0105】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0106】
初期湿潤含浸で、まず、20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、144グラムのジルコニア及び241グラムのセリア-ジルコニア(70%のジルコニア)に含浸させ、次に22.65グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0107】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0108】
ボトムコートスラリーを、直径132.1mm、長さ50mmの600/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び10g/ftのRhからなった。
【0109】
実施例4:層状の三金属触媒物品(本発明、TMC-3、Pt/Pd/Rh=15/35/4、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図2Aに示している。
【0110】
ボトムコートスラリー:18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0111】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0112】
初期湿潤含浸で、まず、20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、385グラムのセリア-ジルコニア(75%のジルコニア)に含浸させ、次に9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0113】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0114】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び4g/ftのRhからなった。
【0115】
実施例5:層状の三金属触媒物品(比較用、TMC-4、Pt/Pd/Rh=15/35/4、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図2Bに示している。
【0116】
ボトムコートスラリー:28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0117】
トップコートスラリー:
18.10グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0118】
初期湿潤含浸で、まず、20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、385グラムのセリア-ジルコニア(75%のジルコニア)に含浸させ、次に9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0119】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0120】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、10g/ftのPd及び4g/ftのRhからなった。
【0121】
実施例6:層状の三金属触媒物品(比較用、TMC-5、Pt/Pd/Rh=15/35/4、g/ft)の調製
PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するボトムコートと、唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図2Cに示している。
【0122】
ボトムコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0123】
初期湿潤含浸で、まず、20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、385グラムのセリア-ジルコニア(75%のジルコニア)に含浸させ、次に9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0124】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0125】
トップコートスラリー:
18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0126】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が2.5g/inのボトムコートを得、ボトムコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び4g/ftのRhからなった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が1.5g/inのトップコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。
【0127】
実施例7:層状の三金属触媒物品(比較用、TMC-6、Pt/Pd/Rh=15/35/4、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図2Dに示している。
【0128】
ボトムコートスラリー:18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0129】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0130】
初期湿潤含浸で、まず、20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、385グラムのアルミナに含浸させ、次に9.06グラムの10%の硝酸Rh水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0131】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0132】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び4g/ftのRhからなった。
【0133】
実施例8:層状の三金属触媒物品(本発明、TMC-7、Pt/Pd/Rh=15/35/4、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図3Aに示している。
【0134】
ボトムコートスラリー:18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0135】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0136】
初期湿潤含浸で、まず、20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、385グラムのセリア-アルミナ(90%のアルミナ)に含浸させ、次に9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0137】
スラリー形態の2つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0138】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び4g/ftのRhからなった。
【0139】
実施例9:層状の三金属触媒物品(比較用、TMC-8、Pt/Pd/Rh=15/35/4、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図3Bに示している。
【0140】
ボトムコートスラリー:18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0141】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0142】
20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、257グラムのセリア-アルミナ(90%のアルミナ)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0143】
まず、9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を、128グラムのセリア-アルミナ(90%のアルミナ)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第3成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0144】
スラリー形態の3つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0145】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び4g/ftのRhからなった。
【0146】
実施例10:層状の三金属触媒物品(比較用、TMC-9、Pt/Pd/Rh=15/35/4、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図4に示している。
【0147】
ボトムコートスラリー:
18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0148】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0149】
20.34グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、257グラムのセリア-ジルコニア(75%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0150】
まず、9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を、128グラムのセリア-ジルコニア(75%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第3成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0151】
スラリー形態の3つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0152】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は15g/ftのPt、25g/ftのPd及び4g/ftのRhからなった。
【0153】
実施例11:層状の三金属触媒物品(本発明、TMC-10、Pt/Pd/Rh=13/35/6、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図5に示している。
【0154】
ボトムコートスラリー:
18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0155】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0156】
初期湿潤含浸で、まず、17.63グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、257グラムのセリア-アルミナ(90%のアルミナ)に含浸させ、次に4.53グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0157】
まず、9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を、128グラムのジルコニアに、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第3成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0158】
スラリー形態の3つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0159】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は13g/ftのPt、25g/ftのPd及び6g/ftのRhからなった。
【0160】
実施例12:層状の三金属触媒物品(本発明、TMC-11、Pt/Pd/Rh=13/35/6、g/ft)の調製
唯一のPGMとしてパラジウム(Pd)を有するボトムコートと、PGMとしてパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)を有するトップコートとを含む触媒物品を調製した。この触媒物品の概略図を図6に示している。
【0161】
ボトムコートスラリー:
18.1グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液、109グラムのアルミナ、822グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。酢酸の添加によりpHを約4.0に調整し、次に18グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0162】
トップコートスラリー:
28.31グラムの20%の硝酸パラジウム水溶液を、240グラムのアルミナ及び335グラムのセリア-ジルコニア(50%のジルコニア)に、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第1成分を調製した。この工程の後、150℃で1時間乾燥し、次に500℃で2時間焼成し、担体上にPGMを固定させた。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0163】
初期湿潤含浸で、まず、17.63グラムの16%のヘキサヒドロキシプラチン酸ジエタノールアミン塩水溶液を、257グラムのセリア-ジルコニア(75%のジルコニア)に含浸させ、次に4.53グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を含浸させることにより、第2成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0164】
まず、9.06グラムの10%の硝酸ロジウム水溶液を、128グラムのジルコニアに、初期湿潤含浸で含浸させることにより、第3成分を調製した。生成物を水と混合し、次にD90が18μm未満になるまで粉砕した。
【0165】
スラリー形態の3つの成分を混合した。水酸化バリウム及び硝酸の添加によりpHを約8.0に調整し、次に20グラムのアルミナバインダーを添加した。
【0166】
ボトムコートスラリーを、直径25.4mm、長さ76.2mmの750/2(cpsi/ミル)フロースルーセラミック基材上にコーティングし、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコートの担持量が1.5g/inのボトムコートを得、ボトムコーティングのPd担持量は10g/ftであった。その後、トップコートスラリーを適用し、150℃で1時間乾燥し、その後、500℃で2時間焼成した。ウォッシュコート担持量が2.5g/inのトップコートを得、トップコートのPGM担持量は13g/ftのPt、25g/ftのPd及び6g/ftのRhからなった。
【0167】
実施例13:触媒性能試験
表1にまとめた触媒物品サンプルは、条件1)又は条件2)でエージングさせた:
1)入口温度が875℃のGM 8.1L V8エンジンでの発熱エージング;
2)リーン/リッチ交互雰囲気下(リーン:3体積%のO、10体積%のHO、残りのN;リッチ:1体積%のH、3体積%のCO、10体積%のHO、残りのN、5分ごとに交互)1050℃でのエージング。
【0168】
【表1】
【0169】
エージングしたサンプルは、中国-6「タイプI」(GB 18352.6-2016)に従って乗用車等の国際調和排出試験サイクル(WLTC)を用いて試験した。中国-6「タイプI」従って、1つの試験サイクルからテールパイプの全炭化水素(THC)、CO及びNOx排出量を測定することによって、試験サンプルの性能を評価した:
P1:0~589秒の低速段階、
P2:590秒~1022秒の中速段階、
P3:1023秒~1477秒の高速段階、
P4:1478秒~1800秒の超高速段階。
【0170】
サンプルS1~S3は、Daimlerの2.0Lエンジンベンチで試験し、サンプルS4~S13は、温度、流速(速度)、排気ガス組成(例えば、CO、HC、NO、H2O、CO2)などのWLTC下での車両走行条件をシミュレートできるベンチリアクター(ガソリン車シミュレータ-GVS)で試験した。
【0171】
各サンプルを3回試験し、その平均値を試験結果として表2~4にまとめた。
【0172】
【表2】
【0173】
【表3】
【0174】
【表4】
【0175】
エンジン排気ガスの組成は、例えば、エンジンの運転時間及び運転距離などのエンジン条件に応じて変化することができることが理解されたい。試験サンプルの入口排気ガスが実質的に同じ組成であり、測定された排出量に関してサンプルの比較を可能にすることを保証するために、サンプルS1~S3は実質的に同じエンジン条件下で試験した。また、表に示した同じグループの残りのサンプルは、実質的に同じGVS条件下で試験した。
【0176】
測定された排出量から分かるように、参照サンプルS2は、参照サンプルS1と比較して、約17%高いTHC、約32%高いCO、及び約29%高いNOx排出量を示した。サンプルS1とサンプルS2の試験結果を比較すると、TWC触媒のPdの一部を単純に置き換えることによってPtを組み込むことが、当該技術分野で一般的に認識されているように、THC、CO及びNOxの排出の制御が悪化することが確認された。驚くべきことに、PdをPtで置換すると排出量が悪化するという傾向に反して、本発明による触媒組成及び構成を有する本発明のサンプルS3は、参照サンプルS1と比較して、約2%低いCO、及び約8%低いNOx排出量を示している。
【0177】
また、本発明による層状の三金属触媒物品は、触媒組成及び構成に関して、層状の三金属触媒物品の様々な変形例と比較して、排出の制御を改善できることが分かる。
【0178】
ボトムコートとトップコートのPd担持量を入れ替えて得られた本発明のサンプルS4の変形例である比較用サンプルS5は、サンプルS4と比較して、約10%高いTHC、約2%高いCO、及び約15%高いNOx排出量を示した。
【0179】
ボトムコートとトップコートを入れ替えて得られた本発明のサンプルS4の変形例である比較用サンプルS6は、サンプルS4と比較して、約4%高いTHC、約3%高いCO、及び約3%高いNOx排出量を示した。
【0180】
Pt及びRhを共に担持する担体をアルミナに置き換えて得られた本発明のサンプルS4の変形例である比較用サンプルS7は、サンプルS4と比較して、約8%高いTHC、約18%高いCO、及び約25%高いNOx排出量を示した。
【0181】
PtとRhを個別に担持して得られた本発明のサンプルS8の変形例である比較用サンプルS9は、サンプルS8と比較して、約4%高いTHC、約4%高いCO、及び約10%高いNOx排出量を示した。
【0182】
PtとRhを個別に担持して得られた本発明のサンプルS10の変形例である比較用サンプルS11は、サンプルS10と比較して、約6%高いTHC、約3%高いCO、及び約6%高いNOx排出量を示した。
【0183】
本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理及び応用を単に例示するものであることを理解されたい。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の方法及び装置に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】