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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】はんだ付け先端部及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/08 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B23K1/08 320Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565245
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 GB2022051329
(87)【国際公開番号】W WO2022248859
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】2107447.1
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591250226
【氏名又は名称】ピラーハウス・インターナショナル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】モンク,ニゲル
(72)【発明者】
【氏名】マックマスター,サム
(72)【発明者】
【氏名】グレイブス,ジョン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ウー,リアン
【テーマコード(参考)】
4E080
【Fターム(参考)】
4E080AA01
4E080AB03
4E080CA01
4E080CA20
(57)【要約】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部及びはんだ付け装置のためのはんだ付け先端部を形成する方法であって、前記先端部は、第1の材料からなる本体と;選択的はんだ付け装置に前記先端部を取り付けるための近位端と;外表面を有する遠位端と、を含み、少なくとも前記外表面の領域は、前記第1の材料とは異なる第2の材料からなり、前記第2の材料は、前記第1の材料よりも大きなはんだぬれ性特性を示す。前記第1の材料は、チタン又はチタン合金であることが好ましく、前記領域は、最初に物理蒸着(PVD)プロセスを用いて、前記第1の材料上に形成され、少なくとも前記第1の材料の第1の部分上で第1のコーティングを形成し、前記第1の部分は、前記領域の下にあり、前記第2の材料で少なくともその第1のコーティングの一部をコーティングする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部であって、前記先端部が、
前記先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるための近位端を有し第1の材料から形成される本体を含み;
前記先端部は外表面も含み、少なくとも前記外表面のひとつの領域は、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない鋼合金から形成されることを特徴とするはんだ付け装置のためのはんだ付け先端部。
【請求項2】
前記第1の材料も鋼合金であり、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない、請求項1に記載のはんだ付け先端部。
【請求項3】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部であって、前記先端部が、
前記先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるための近位端を有する本体と;
少なくともそのひとつの領域が2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えない鋼合金から形成される外表面と、
を含むことを特徴とするはんだ付け装置のためのはんだ付け先端部。
【請求項4】
前記第1の材料も鋼合金であり、2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えない、請求項1に記載のはんだ付け先端部。
【請求項5】
前記鋼合金又は各鋼合金が2%のクロムを超えない、請求項1から4のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項6】
前記鋼合金又は各鋼合金の重量での鉄含有量が少なくとも90%である、請求項1から5のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項7】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.5~2%の炭素、0.1%~5%のクロム、0.1~1%のマンガン、0~1%のケイ素、0~0.5%のバナジウム、0~0.3%のリン、0~0.3%の硫黄、及び残部の鉄を有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項8】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.95~1.25%の炭素、0.35%~0.8%のクロム、0.2~0.45%のマンガン、0~0.4%のケイ素、0~0.12%のバナジウム、0~0.045%のリン、0~0.045%の硫黄、及び残部の鉄を有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項9】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.420~0.50%の炭素、0.60~0.90%のマンガン、0~0.040%のリン、0~0.050%の硫黄を有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項10】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成選択肢:0~0.4%のケイ素、0~0.4%のニッケル、0~0.4%のクロム、及び全体の残部の鉄を更に有する、請求項9に記載のはんだ付け先端部。
【請求項11】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.90~1.10%の炭素、0.25~0.70%のマンガン、0~0.030%のリン、0~0.025%の硫黄、0.10~0.35%のケイ素、0~0.4%のニッケル、1.2~1.65%のクロムを有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項12】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成選択肢:0~0.3%のニッケル、0~0.30%の銅、0~0.10%のモリブデン、及び全体の残部の鉄を更に有する、請求項11に記載のはんだ付け先端部。
【請求項13】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.10%の炭素、1.0%のマンガン、0.040%のリン、0.030%の硫黄、1.0%のケイ素、4.0~56.0%のクロム、0.40~0.65%のモリブデン、及び全体の残部の鉄を有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項14】
前記鋼合金が窒化されている、請求項1から13のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項15】
請求項4に従属しない場合、前記第1の材料がチタン又はチタン合金である、請求項1から14のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項16】
少なくとも前記領域の前記鋼合金が、前記第1の材料上に形成される、又は前記第1の材料に結合される、請求項1から15のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項17】
前記鋼合金から形成される前記外表面の前記領域が、前記はんだ付け先端部の遠位端の全周の周りに延びる、請求項1から16のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項18】
少なくとも前記領域の前記鋼合金が、前記第1の材料上のコーティングである、請求項1から17のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項19】
少なくとも前記領域の前記鋼合金が、1以上の中間接着層を介して、前記第1の材料をコーティングする、請求項18に記載のはんだ付け先端部。
【請求項20】
第1の接着層が、物理蒸着を用いて、前記第1の材料上に形成又は堆積される、請求項19に記載のはんだ付け先端部。
【請求項21】
前記第1の材料が母材を形成し、第1の接着層は前記母材の上に少なくとも部分的コーティングを提供し、その上に、少なくとも前記領域の前記鋼合金が形成又は提供されることができ、前記第1の接着層は前記母材とは異なる材料である、請求項1から20のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項22】
前記第1の接着層が、タングステンカーバイド、炭化チタン、及び窒化チタンの1以上を含む、請求項20から21のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項23】
前記本体が前記はんだ付け先端部の実質的な全長に延び、少なくとも前記領域の前記鋼合金がその上のコーティングである、請求項1から22のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項24】
前記はんだ付け先端部が前記はんだ付け先端部の遠位端を形成するための第2の部品を有し、その第2の部品は別々に形成された後、前記本体に取り付けられる、請求項1から22のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項25】
前記はんだ付け先端部が、はんだがはんだ付け先端部を流れるスルーホールを有するノズルである、請求項1から24のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項26】
前記スルーホールが、前記ノズルの長さを通る中心開口部である、請求項25に記載のはんだ付け先端部。
【請求項27】
前記はんだ付け先端部の遠位端が、前記スルーホールのはんだ流出端を囲むように形成される、請求項25から26のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項28】
前記本体が、前記はんだ付け先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるためのねじ状近位端を有する、請求項1から27のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項29】
前記外表面での前記鋼合金が硬化されている、請求項1から28のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項30】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部を形成するための方法であって、前記先端部は、
第1の材料からなる本体;
前記先端部を選択的はんだ付け装置に取り付けるための近位端と;
外表面を有し、少なくともその領域が前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成され、前記第2の材料が、前記第1の材料よりも大きなはんだぬれ性特性を示す遠位端と、
を含み、
前記方法が、以下によって特徴づけられ;
前記第1の材料がチタン又はチタン合金であり;
前記領域は、最初に物理蒸着(PVD)プロセスを使用して、前記第1の材料の少なくとも第1の部分の上に第1のコーティングを形成し、その第1の部分は前記領域の下地となり、次に前記第2の材料でその第1のコーティングの少なくとも一部をコーティングすることによって、前記第1の材料上に形成されることを特徴とする方法。
【請求項31】
前記第1のコーティングは、溶融はんだによってぬらすことができる金属又はセラミックで、電気めっき又は電着を使用して電気的にコーティングすることによってコーティングされる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
形成されたはんだ付け先端部は、請求項4に従属しない場合には、請求項1から29のいずれかに記載のはんだ付け先端部である、請求項30から31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
1以上のはんだ付け先端部を含むことを特徴とするはんだ付け装置であって、前記はんだ付け先端部が請求項1から29のいずれかに記載のはんだ付け先端部であることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項34】
前記はんだ付け先端部は、使用時に、前記はんだ付け装置のはんだ流が、前記はんだ付け装置の溶融はんだリザーバから前記はんだ付け先端部の上へ、及び前記はんだ付け先端部を通って流れることができるスルーホールを有する、請求項33に記載のはんだ付け装置。
【請求項35】
前記はんだ付け装置は、はんだ付けされる部品の脚部を、前記はんだ付け先端部の上、前記はんだ付け先端部の上部、若しくは前記はんだ付け先端部の周囲で、又は前記はんだ付け先端部から流れ出る、溶融はんだのバブル、ウエーブ又はジェットに浸漬させるディップはんだ付け装置である、請求項33又は請求項34に記載のはんだ付け装置。
【請求項36】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部を製造する方法であって、前記方法は、
前記はんだ付け装置に先端部を取り付けるための近位端を有する本体及び外表面を備えたはんだ付け先端部を形成することと、
これに硬化処理を施して、はんだ付け先端部の使用中に溶融はんだに接触する表面の少なくとも一部を硬化させることと、を含み、
少なくとも前記外表面のひとつの領域は、鋼合金から形成され、前記鋼合金は、2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えないことを特徴とする方法。
【請求項37】
前記硬化が窒化によるものである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を760~800℃に加熱する工程と;
ii)少なくとも温度が均一になるまで、前記はんだ付け先端部をオーステナイト化させる工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を水中で焼入れする工程と、
によって、硬化される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を800~850℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼なましする工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を炉内で冷却する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を870~920℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼ならしする工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を水、塩水、又は油に10~15分間浸漬する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と;
vi)前記はんだ付け先端部を550~600℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部の応力除去焼なましをする工程と;
vii)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に1時間浸漬する工程と;
viii)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と;
ix)前記はんだ付け先端部を820~850℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を硬化する工程と;
x)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に10~15分間浸漬する工程と;
xi)前記はんだ付け先端部を水、塩水、又は油で焼入れする工程と;
xii)前記はんだ付け先端部を400~650℃の範囲の温度に再加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼戻しする工程と;
xiii)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に1時間浸漬する工程と;
xiv)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と、
によって硬化される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を冷間加工又は加熱及び焼入れ工程によって硬化する工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を788℃に加熱する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を焼入れする工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を913℃で浸炭する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を更に焼入れする工程と、
によって硬化される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を829~871℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼なましする工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を徐々に炉冷する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を718~746℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部に更なる焼なまし工程を提供する工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を徐々に冷却する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を871~927℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を硬化する工程と;
vi)浸漬し、油焼入れし、その後204~760℃で焼戻しする工程と、
によって硬化される、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記はんだ付け先端部が請求項1から29のいずれかに記載のはんだ付け先端部である、請求項36から41のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル等のはんだ付け先端部及び前記先端部の製造方法、特に、選択的はんだ付け装置又はディップはんだ付け装置等のはんだ付け装置において、はんだ付け作業のために、そこを通って及び/又は覆って溶融はんだが流れることができるはんだ付け先端部に関する。
【0002】
典型的なはんだ付け装置において使用される従来のはんだ付け先端部は、一般的に、溶融はんだがぬれた状態でその上を流れることを可能にする、即ち、溶融はんだが容易にはんだ付け先端部に付着するような「スズめっきした(tinned)」表面を有する金属体を含む。これは、はんだが先端部上を滑らかに流れ、先端部と完全に接触するようにするためである。
【0003】
流動するはんだによって容易にぬれるはんだ付け先端部の表面は、通常、容易に「ぬれる」特性を与えるためにはんだで事前にコーティングされる。このコーティングは、先端部をコーティングする材料が純粋なスズではない可能性が高いにもかかわらず、一般的に「スズめっきした」表面と呼ばれる。その代わりに、典型的には、はんだのコーティングであり、歴史的にはスズ-鉛はんだであったが、現在ではスズ-銀-銅はんだやスズ-銀-銅-亜鉛(又はマンガン)はんだなどの鉛フリーはんだの方がより一般的である。
【0004】
他の元素もはんだに存在することがあり、はんだの特性を変えるために特別に提供されることができる。それにもかかわらず、先端部上のコーティングを構成する合金中のスズの使用は、「スズめっきした」表面に望ましいぬれ特性を与えることがよく知られている。
【0005】
典型的な選択的はんだ付け装置では、はんだ付け先端部は、通常、はんだが溶融はんだの槽又はリザーバからポンプで送り出される開口部を有する。このようなはんだ付け先端部は、通常、はんだ付けノズルと呼ばれ、所望のはんだ流に依存して、中心開口部又は他の形状を有する円形であることができる。これらのノズルの多くでは、はんだは、開口部のエッジ又は端部の上を流れ、そのエッジ又は端部は、通常、先端部の上部にある。したがって、一般的に、開口部は、ノズルの方向に方向自由を与えるように、実質的に丸いノズル上の中心開口部として提供される。
【0006】
選択的はんだ付け装置では、はんだ付け先端部は、流動はんだにはんだ付けされる物品をディップさせるように配置される。これらは、一般にディップはんだ付けとして知られている。多くの場合、ノズルは、垂直方向を直接指すように配置され、はんだは開口部を通って、及びそのエッジ上(多くの場合、全周エッジの周り)を流れ、そのエッジ上に、及びノズルの外側の下に、均一な流れを提供し、その外表面、場合によっては開口部のエッジ及び内側表面の一部がスズめっきされる。したがって、溶融はんだは、はんだ付けされる部品を浸すことができるはんだのバブル(bubble)を形成し、このバブルは、開口部の全周の周りに広がることがある。溶融はんだが開口部を通ってスズめっきされた外表面(先端の外側の側壁)の下に溢れていると、これは、電子部品の脚が、例えばPCBにはんだ付けするために浸すことができる先端部の開口端で、はんだの「バブル」又は放射状ウエーブ(radial wave)を提供する。したがって、これらのはんだ付け装置の種類は、バブルはんだ付け装置又は放射状ウエーブはんだ付け装置と呼ばれる。
【0007】
その外側の側壁のためのスズめっきした表面の提供は、はんだの流れが外側の側壁と一貫した接触を維持することを保証し、その後、開口部のエッジ上に規則化されたはんだの流れを示すので、鏡のような(光沢のあるボールベアリングのような)表面を有するきれいで安定したバブルを提供する。このようにして、それははんだぬれ特性を示し、その上のはんだの流れの規則性を可能にする。これは、予測可能かつ制御された方法でそのはんだ付け先端部を用いてはんだ付けプロセスを行うことができることを保証する。先端部のぬれ性特性が悪化した場合、開口部からのはんだの流れの均一性も悪化し、先端部の端部におけるはんだの流れは、安定でなくなり、より不規則となり(erratic)、滑らかさがなくなり、それによって信頼性、予測可能性及び制御性が低下する。その結果、はんだ付け装置を選択的はんだ付け用途に使用することが困難になる。例えば、通常は、規則的で視覚的に安定しているはんだ流(変化しない鏡面仕上げ)が、乱されたり、不規則になることがあり、予測不能なはんだ付けプロセス、例えば、PCB上のはんだ接続の欠落、はんだ過多又ははんだ飛散による意図しない接続(例えば、部品のブリッジ)をもたらす。
【0008】
また、ぬれ性能が低下すると、はんだの規則的な流れが少なくなり、周囲の空気にさらされるはんだの表面積が大きくなり、酸化が高くなるため、先端部周辺のドロスの蓄積も加速する。その結果、先端部のメンテナンスやクリーニングがより頻繁になり、はんだ付け装置の中断時間がより長くなる。
【0009】
他の形態のはんだ付け装置は、はんだ付けプロセスの目的で、先端部に供給される溶融はんだを使用しているにもかかわらず、代替はんだ供給機構又は手動はんだ供給を利用することができる。
【0010】
はんだ付け先端部のスズめっきした表面の劣化は、例えば、a)スズめっきした表面と流動している熱いはんだとの間の化学反応、b)流動している熱いはんだへのスズめっきした表面の溶解、又はc)流動している熱いはんだ内で、金属合金又はドロスとの外表面の相互作用による、スズめっきした表面、及び潜在的には最終的には下地金属(underlying metal)の浸食に起因する、先端の外表面の腐食又は摩耗によって、生じることがある。ドロス固体が熱いはんだに含まれている場合、その腐食又は摩耗を大幅に加速することがある。
【0011】
したがって、安定して長く持続する「スズめっきした」表面は、はんだ付け先端部にとって望ましい特性である。しかしながら、スズめっきした表面の摩耗性は、はんだ付け業界ではよく知られており、はんだ付け先端部はユーザ交換可能なアイテムである。また、所望のぬれ性能を回復するために、幾つかの先端部を再度スズめっき(re-tinned)又は再表面化(resurfaced)することができるので、それらは場合によっては、実用向きアイテムである。初期の「スズめっき」を必要としない材料から作られ、安定性があり、長持ちし、溶融はんだで容易にぬれるはんだ付け先端部は、はんだ付け先端部の製造、設置、及び保守に関連するコストを削減するので、非常に望ましい。
【0012】
本発明は、摩耗が少ないので、より長い耐用年数を有するはんだ付け先端部、及び溶融はんだで容易にぬれる、又はその後均一に溶融はんだを受けるために容易にスズめっき可能な(tinnable)はんだ付け先端部を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部が提供され、前記先端部が、
前記先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるための近位端を有し第1の材料から形成される本体を含み;
前記先端部は外表面も含み、少なくとも前記外表面のひとつの領域は、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない鋼合金から形成される。
【0014】
幾つかの実施形態では、前記第1の材料及び前記外表面は、1つであり同じ材料である。
【0015】
幾つかの実施形態では、前記第1の材料も鋼合金であり、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない。
【0016】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、2%のクロムを超えず、1%のクロムを超えないことがより好ましい。パーセンテージは重量%である。
【0017】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金の重量での鉄含有量は、少なくとも90%であることが好ましく、92%以上がより好ましく、95%超又は97%超が最も好ましい。
【0018】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.5~2%の炭素、0.1%~5%のクロム、0.1~1%のマンガン、0~1%のケイ素、0~0.5%のバナジウム、0~0.3%のリン、0~0.3%の硫黄、及び理想的には全体の残部の鉄を有する。パーセンテージは重量%である。
【0019】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.95~1.25%の炭素、0.35%~0.8%のクロム、0.2~0.45%のマンガン、0~0.4%のケイ素、0~0.12%のバナジウム、0~0.045%のリン、0~0.045%の硫黄、及び理想的には全体の残部の鉄を有する。パーセンテージは重量%である。
【0020】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.420~0.50%の炭素、0.60~0.90%のマンガン、0~0.040%のリン、0~0.050%の硫黄を有する。
【0021】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0~0.4%のケイ素、0~0.4%のニッケル、0~0.4%のクロム、及び理想的には全体の残部の鉄を更に有する。典型的には、残部の鉄は、98.51~98.98%である。パーセンテージは重量%である。
【0022】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.90~1.10%の炭素、0.25~0.70%のマンガン、0~0.030%のリン、0~0.025%の硫黄、0.10~0.35%のケイ素、1.2~1.65%のクロムを有する。
【0023】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0~0.3%のニッケル、0~0.30%の銅、0~0.10%のモリブデン、及び理想的には全体の残部の鉄を更に有する。典型的には、残部の鉄は、96.5~97.32%である。パーセンテージは重量%である。
【0024】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.10%の炭素、1.0%のマンガン、0.040%のリン、0.030%の硫黄、1.0%のケイ素、4.0~5.0%のクロム、0.40~0.65%のモリブデン、及び理想的には全体の残部の鉄を有する。パーセンテージは重量%である。幾つかの実施形態では、鉄含有量は、93重量%である。
【0025】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、以下の組成選択肢の1以上を有する。
a)重量パーセントで、以下の量の炭素:0.10~1.10%、0.42~0.50%、0.43~0.50%、0.42~0.48%、0.980~1.10%、0.93~1.05%、0.90~1.05%、0.95~1.10%、又は約0.10%;
b)重量パーセントで、以下の量のマンガン:0.25~1.0%、0.60~0.90%、0.50~0.80%、0.250~0.450%、0.25~0.45、約0.50%、0.40~0.70%、又は約1.0%;
c)重量パーセントで、以下の量のリン:0%、≦0.040%、約0.04%、約0.03%、≦0.0250%、約0.025%、約0.030%、又は約0.040%;
d)重量パーセントで、以下の量の硫黄:0%、≦0.050%、約0.050%、約0.035%、≦0.0250%、約0.015%、約0.025%、又は約0.030%;
e)重量パーセントで、以下の量のケイ素:0%、0~1.0%,約0.4%、0.15~0.35%、0.150~0.300%、0.10~0.35%、又は1.0%;
f)重量パーセントで、以下の量のニッケル:0%、0~0.4%、約0.4%、約0.25%、又は約0.30%;
g)重量パーセントで、以下の量のクロム:0%、0~5%,約0.4%、1.30~1.60%、1.35~1.60%、1.35~1.65%、1.20~1.60%、又は4.0~5.0%;
h)重量パーセントで、以下の量の銅:0%、0~0.30%、又は約0.30%;
i)重量パーセントで、以下の量のモリブデン:0%、0~0.65%,約0.10%、又は0.40~0.65%。
理想的には、重量パーセントの全体の残部が鉄である。
【0026】
典型的には、鉄含有量は、重量で93%~98.98%、98.51~98.98%、96.5~97.32%、又は約93%である。パーセンテージは重量%である。
【0027】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、英国規格BS-1407、より具体的にはBS ISO1407:1970を満たす銀鋼(Silver steel)である。
【0028】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、欧州工業材料(European/Werkstoff)規格1.2210/115CrV3を満たす銀鋼である。
【0029】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、C45/1.1191のグレードを有して、欧州規格EN10083-2を満たすC45鋼である。
【0030】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、米国規格AISI1045を満たすC45鋼である。
【0031】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、1045のグレードを有して、米国規格ASTM A29を満たすC45鋼である。
【0032】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、S45Cのグレードを有して、日本工業規格JIS G4051を満たすC45鋼である。
【0033】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、535A99/EN31のグレードを有して、英国規格BS970を満たすEN31鋼である。
【0034】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、米国規格AISI 52100を満たすEN31鋼である。
【0035】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、52100のグレードを有して、米国規格ASTM A295を満たすEN31鋼である。
【0036】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、SUJ2のグレードを有して、日本工業規格JIS G4805を満たすEN31鋼である。
【0037】
幾つかの実施形態では、前記鋼合金又は各鋼合金は、100Cr6/1.3505のグレードを有して、ドイツ規格DIN17230を満たすEN31鋼である。
【0038】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、米国規格AISI501、ASTM A295;ASTM A193;ASTM A194;ASTM A314;ASTM A387(5);ASTM A473;ASTM A182(B5、F7);ASTM A193(501、B5);ASTM A194(501、3);AISI501;ASME SA194(タイプ3);ASME SA387(タイプ5);AMS 5502;AMS5602;UNS S50100、及びSAE J405(51501)のいずれか1つを満たす501ステンレス鋼である。
【0039】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、ドイツ規格DIN1.7362を満たす501ステンレス鋼である。
【0040】
幾つかの実施形態では、鋼合金は窒化される。これにより、材料に余分な硬さを与えて耐摩耗性を増加させるので、耐用年数を増加させることができる。幾つかの実施形態では、窒化は外表面の窒化であり、その外表面は、本体の遠位部の外表面であることができる。
【0041】
窒化は、ガス窒化として知られるプロセスによって行われることができる。ガス窒化のプロセスは、520℃で36時間かかることがある以下のプロセスによって鋼合金で行われることができる。まず、窒化される鋼合金の部品を、空気が実質的に空になっている加圧容器に入れる。その後、アンモニアは、チャンバを巡って循環し、表面に拡散し、下に拡散層を持つ化合物層を形成する。幾つかの実施形態では、化合物層は白層として知られている。幾つかの実施形態では、窒化される鋼合金は、銀鋼である。しかしながら、それは、上述したもののように、本発明の範囲内にある別の形態の鋼合金であることもできる。
【0042】
銀鋼の場合、窒化銀鋼の化合物層は、約3,442GPaの表面硬さ及び約2.197GPaの内部硬さの特性を有することができる。化合物層は、約8ミクロン厚である。
【0043】
幾つかの実施形態では、外表面の鋼合金は硬化される。これにより、本発明に記載されたはんだ付け先端部に耐摩耗性の向上と耐用年数の向上を提供することができる。
【0044】
本発明の更なる態様によれば、はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部を製造する方法を提供することができ、前記方法は、前記はんだ付け装置に先端部を取り付けるための近位端を有する本体及び外表面を備えたはんだ付け先端部を形成することと、これに硬化処理を施して、はんだ付け先端部の使用中に溶融はんだに接触する表面の少なくとも一部を硬化させることと、を含み、少なくとも前記外表面のひとつの領域は、鋼合金から形成され、前記鋼合金は、2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えない。
【0045】
幾つかの実施形態では、硬化は窒化によるものである。
【0046】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を760~800℃に加熱する工程と;
ii)少なくとも温度が均一になるまで、前記はんだ付け先端部をオーステナイト化させる工程と;
iii)はんだ付け先端部を水中で焼入れ(quenching)する工程と、
によって、硬化される。
【0047】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を800~850℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼なましする工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を炉内で冷却する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を870~920に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼ならし(normalising)する工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を水、塩水、又は油に10~15分間浸漬する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と;
vi)前記はんだ付け先端部を550~600℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部の応力除去焼なましをする(stress-relieving)工程と;
vii)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に1時間浸漬する工程と;
viii)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と;
ix)前記はんだ付け先端部を820~850℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を硬化する工程と;
x)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に10~15分間浸漬する工程と;
xi)前記はんだ付け先端部を水、塩水、又は油で焼入れする工程と;
xii)前記はんだ付け先端部を400~650℃の範囲の温度に再加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼戻しする(tempering)工程と;
xiii)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に1時間浸漬する工程と;
xiv)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と、
によって硬化される。
【0048】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を冷間加工又は加熱及び焼入れ工程によって硬化する工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を788℃に加熱する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を焼入れする工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を913℃で浸炭する(carburizing)工程と;
v)前記はんだ付け先端部を更に焼入れする工程と、
によって硬化される。
【0049】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を829~871℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼なましする工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を徐々に炉冷する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を718~746℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部に更なる焼なまし工程を提供する工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を徐々に冷却する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を871~927℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を硬化する工程と;
vi)浸漬し、油焼入れし、その後204~760℃で焼戻しする工程と、
によって硬化される。
【0050】
上記鋼合金又は硬化された鋼合金は、溶融はんだに対して金属親和性であるため、はんだ付け先端部のぬれ性(一般に「スズめっきされた」と呼ばれる)表面を提供し、はんだでスズめっきされた先端部と比較して著しく改善された耐用年数を有することが出願人により指摘されている。
【0051】
上記鋼合金又は硬化された鋼合金は、はんだ付け先端部の全体を形成することができる。これは、それらがはんだに対して金属親和性であるので、はんだ付け先端部のためのぬれ性表面を提供すると同時に、はんだ付け装置への取り付けにも適しており、はんだでスズめっきされた従来の先端部と比較して著しく改善された耐用年数を有するためである。化学的及び/又は機械的摩耗に対する改善された(より高い)耐性を有することによって、これを達成する。
【0052】
幾つかの実施形態では、第1の材料はまた、そのような鋼合金又は硬化された鋼合金である。幾つかの実施形態では、先端部は、上記で詳述したように鋼合金であることができる単一の材料で作られる。しかしながら、前記第1の材料がチタン又はチタン合金であり、前記鋼合金又は硬化された鋼合金が第1の材料上に形成又は接合されることが好ましい。鋼合金又は硬化鋼合金は、第1の材料とは異なる第2の材料である場合、第1の材料、チタン及びチタン合金よりも大きなはんだぬれ性特性を示すことができるので選択され、全てではないにしても、殆どのはんだに関して疎金属特性(metallophobic characteristic)を有するので、本発明の文脈においてはぬれ性ではない。
【0053】
幾つかの実施形態では、第1の材料は、グレード2のチタン又は他の耐食性合金である。耐食性であることにより、はんだ付け装置の環境に耐える-熱いはんだがそれの上(通常は通って)を流れる。しかしながら、多くの耐食性材料ははんだに対して疎金属性である-即ち、はんだはそれにぬれない。チタンとその合金は、溶融はんだの連続的な流れにさらされても、優れた長期耐摩耗性という追加の利点を有する。
【0054】
幾つかの実施形態では、鋼合金から形成される外表面の領域は、はんだ付け先端部の遠位端の全周の周りに延びる。
【0055】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、第1の材料上のコーティングである。それは、第1の材料を直接コーティングしてもよいし、1以上の中間接着層を介してコーティングしてもよい。
【0056】
幾つかの実施形態では、第1の材料は、第2の材料と同じ材料である鋼合金又は硬化された鋼合金であるので、1つの材料からなるはんだ付け先端部を提供する。
【0057】
前記接着層又は各接着層は、第1の材料上に形成される又は堆積されるか、又はその後に形成される又は堆積される先行接着層の上に形成されるか又は堆積されることができ、その後、鋼合金は、これらの接着層の最後の層上に形成される又は堆積されることができる。
【0058】
幾つかの実施形態では、本体は、鋼合金及び任意の接着層がその上の単なるコーティングである状態で、はんだ付け先端部の実質的な全長に延びる。しかしながら、はんだ付け先端部は、代わりに前記はんだ付け先端部の遠位端を形成するための第2の部品を有することができ、その第2の部品は、別々に形成され、その後本体に取り付けられることができる。或いは、それは、本体内又は本体上に形成されることができる。例えば、遠位端は、本体内又は本体上に取り付けられる末端部に形成されることができる。遠位端は、例えば、ねじ状であることができる、又はその他の方法で本体上(又は本体内)に連結されることができる、又はしまりばめを介して取り付けられることができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、第1の材料が母材を形成し、第1のコーティング材料(又は接着層)は、母材の上に少なくとも部分的なコーティングを提供し、その上に鋼合金を形成又は提供されることができる。この目的のために、第1のコーティング材料は、好ましくは、鋼合金による更なるコーティングを受容するように選択される。
【0060】
幾つかの実施形態では、接着コーティング又は接着層と呼ばれることができる、第1のコーティング材料は、その上に鋼合金の電着(例えば)を促進するためであることができる。例えば、鋼合金は、物理蒸着(PVD)によって適用されることができる。これは、真空プラズマ堆積プロセスであり、潜在的に従来にない受容性の下地層上に様々な金属及びセラミックの堆積を可能にする。このようにして提供されるコーティングは、十分に硬く、耐摩耗性があり、従来のノズルよりも改善を提供する。
【0061】
PVDは視線上の(line-of-sight)プロセスであり、複雑な形状はコーティングが困難である。したがって、はんだが流れるための内部流路が通常存在するため、はんだ付けノズルには使用されていない。しかしながら、本発明者らは、ぬらす必要のあるノズルの領域の通常単純な形状のために(通常は、はんだ付け先端部の遠位端を囲む円錐台形の外表面又はそのセグメント、開口部の頂端外周(多くの場合環状)又はその一部(多くの場合平面状)、又はノズルの1以上の傾斜した側面又は外側領域(多くの場合円弧状又は平面状))(総称して、又は個々に、PVDコーティングシステム用のマグネトロンスパッタリングターゲットと呼ばれる)、PVDを使用して、ノズルの必要とされる部分を選択的にコーティングすることができ、PVDコーティングシステムが、通常、PVD技術を使用して、これらのぬれ性(金属親和性(metallaphillic))領域を選択的にコーティングすることができることを理解している。
【0062】
PVDでは、コーティングの特性は、それらが堆積される基板、基板の融点に関連して基板に到達するイオンの温度(比温度(homologous temperature)として知られる)、及びチャンバ内のガス流の圧力によって影響を受ける。これらのパラメータは、コーティングを形成するために集合するイオンのエネルギーに影響を及ぼす。結果として、この方法は広範囲の可能なコーティングを提供することができる。
【0063】
幾つかの実施形態では、このコーティングは、電着を使用して他のコーティングを堆積させることができるように、導電性であるべきである。しかしながら、幾つかの実施形態では、鋼合金は、無電解堆積を用いて「接着コーティング」上にコーティングされることができるので、下地層が導電性である必要はない。
【0064】
幾つかの実施形態では、第1のコーティング材料は、タングステンカーバイド、炭化チタン、及び窒化チタンの1以上を含む。
【0065】
幾つかの実施形態では、はんだ付け先端部は、はんだが流れるためのスルーホールを有するノズルである。
【0066】
幾つかの実施形態では、スルーホールは、ノズルの長さを通る中心開口部である。
【0067】
幾つかの実施形態では、遠位端は、開口部のはんだ流出端を囲むように形成される。幾つかの実施形態では、遠位端及び本体は、別々の部品として形成され、共に結合され、好ましくは、開口部は、はんだ付け先端部の本体及び遠位端の両方を通って延びる連続した開口部である。
【0068】
幾つかの実施形態では、本体は、はんだ付け先端部をはんだ付け装置に取り付けるためのねじ状近位端を有する。
【0069】
幾つかの実施形態では、はんだ付け先端部は、直径6mmの「万能な」(「AP」)ノズルであり、ディップ及びドロー(draw)はんだ付けのいずれか又は両方に使用するのに適している。上述したように、ディップはんだ付けは、はんだ付けされる部品及びノズルのいずれか又は両方を移動させることにより、はんだ付けされる部品の脚又は部品をバブルに浸すことを含むが、ドローはんだ付けは、はんだ付けされる部品及びノズルのいずれか又は両方を移動させることにより、はんだ付けされる部品の1以上の脚又は部品を横切ってバブルをドローする(draw)ことを含む。
【0070】
本発明の更なる態様によれば、はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部が提供され、前記先端部は、
前記先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるための近位端を有する本体と;
少なくともその領域が2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えない鋼合金から形成される外表面と、
を含む。
【0071】
幾つかの実施形態では、本体も鋼合金であり、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない。例えば、本体及び外表面は、単一であり、いずれも同じ鋼合金から形成される。
【0072】
幾つかの実施形態では、クロムの重量%範囲は、重量で、6%まで広がるが、前記鋼合金又は各鋼合金は、前述の態様のいずれかに従うことができ、幾つかの実施形態では、これは、例えば0%、約0.4%、1.30~1.60%、1.35~1.60%、1.35~1.65%、1.20~1.60%、又は4.0~6.0%であることができる。又は、材料は硬化された鋼合金であることができる。
【0073】
本発明の更なる態様によれば、はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部を形成する方法が提供され、前記先端部は、
第1の材料からなる本体と;
前記先端部を前記選択的はんだ付け装置に取り付けるための近位端と;
外表面を有し、少なくともその領域が前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成され、前記第2の材料が、前記第1の材料よりも大きなはんだぬれ性特性を示す遠位端と、
を含み、前記方法は、
前記第1の材料がチタン又はチタン合金であり;
前記領域は、最初に物理蒸着(PVD)プロセスを使用して、前記第1の材料の少なくとも第1の部分の上に第1のコーティングを形成し、その第1の部分は前記領域の下地となり、次に前記第2の材料でその第1のコーティングの少なくとも一部をコーティングすることによって、前記第1の材料上に形成されることを特徴づけられる。
【0074】
この方法では、その疎金属性特性のためにはんだでコーティングすることが一般的に困難である第1の材料(チタン又はチタン合金)は、(PVDを使用して)そこに第1のコーティングを適用させることができ、その第1のコーティングは、第1の材料よりもスズめっき(tinning)に対してより受容性のある材料を提供することができる。その後、その第1のコーティングは、第2の材料でスズめっき又はコーティングされることができる。これにより、耐摩耗性の高いチタン(又はチタン合金)を先端部の母材に使用しながら、先端部をスズめっきされることを可能にする。
【0075】
一実施形態では、第1のコーティングは、例えば、ぬらすことができる金属又はセラミック、即ち、金属親和性材料でそれを電気的にコーティングすることによってコーティングされる(例えば、電気めっき又は電着を使用して)。電気コーティングは、電気泳動又はアンダーポテンシャル析出等の技術を使用しても行うことができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、はんだ付け先端部は、本発明の第1の態様に従う。
【0077】
幾つかの実施形態では、先端部は、使用時に、前記はんだ付け装置からのはんだ流が、はんだ付け装置の溶融はんだリザーバからはんだ付け先端部の上へ、及びはんだ付け先端部を通って流れることができるスルーホールを有する。
【0078】
幾つかの実施形態では、先端上のぬれ性コーティングは、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない鋼合金から形成された領域を少なくとも有する。幾つかの実施形態では、これは代わりに6重量%までのクロムであることができる。
【0079】
幾つかの実施形態では、鋼合金の鉄含有量は、少なくとも90%であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、95%超又は97%超であることが最も好ましい。
【0080】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、2%のクロムを超えず、より好ましくは1%のクロムを超えない。パーセンテージは重量%である。
【0081】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、以下の組成:0.5~2%の炭素、0.1%~5%のクロム、0.1~1%のマンガン、0~1%のケイ素、0~0.5%のバナジウム、0~0.3%のリン、0~0.3%の硫黄、及び残部の鉄を有する。パーセンテージは重量%である。
【0082】
幾つかの実施形態では、第2の材料は、鋼合金であり、前記鋼合金は、以下の組成:0.95~1.25%の炭素、0.35%~0.8%のクロム、0.2~0.45%のマンガン、0~0.4%のケイ素、0~0.12%のバナジウム、0~0.045%のリン、0~0.045%の硫黄、及び残部の鉄を有する。パーセンテージは重量%である。
【0083】
幾つかの実施形態では、第2の材料は、鋼合金であり、前記鋼合金は、以下の組成:0.420~0.50%の炭素、0.60~0.90%のマンガン、0~0.040%のリン、0~0.050%の硫黄を有する。
【0084】
幾つかの実施形態では、第2の材料は、鋼合金であり、前記鋼合金は、以下の組成選択肢:0~0.4%のケイ素、0~0.4%のニッケル、0~0.4%のクロム、及び理想的には全体の残部の鉄を有する。典型的には、残部の鉄は、98.51~98.98%である。パーセンテージは重量%である。
【0085】
幾つかの実施形態では、第2の材料は、鋼合金であり、前記鋼合金は、以下の組成:0.90~1.10%の炭素、0.25~0.70%のマンガン、0~0.030%のリン、0~0.025%の硫黄、0.10~0.35%のケイ素、1.2~1.65%のクロムを有する。
【0086】
幾つかの実施形態では、第2の材料は、鋼合金であり、前記鋼合金は、以下の組成選択肢:0~0.3%のニッケル、0~0.30%の銅、0~0.10%のモリブデン、及び理想的には全体の残部の鉄を有する。典型的には、残部の鉄は、96.5~97.32%である。パーセンテージは重量%である。
【0087】
幾つかの実施形態では、第2の材料は、鋼合金であり、前記鋼合金は、以下の組成:0.10%の炭素、1.0%のマンガン、0.040%のリン、0.030%の硫黄、1.0%のケイ素、4.0~6.0%のクロム、0.40~0.65%のモリブデン、及び理想的には全体の残部の鉄を有する。パーセンテージは重量%である。幾つかの実施形態では、鉄含有量は、93重量%である。
【0088】
幾つかの実施形態では、第2の材料は、鋼合金であり、前記鋼合金は、以下の組成選択肢の1以上を有する。
a)重量パーセントで、以下の量の炭素:0.10~1.10%、0.42~0.50%、0.43~0.50%、0.42~0.48%、0.980~1.10%、0.93~1.05%、0.90~1.05%、0.95~1.10%、又は約0.10%;
b)重量パーセントで、以下の量のマンガン:0.25~1.0%、0.60~0.90%、0.50~0.80%、0.250~0.450%、0.25~0.45%、約0.50%、0.40~0.70%、又は約1.0%;
c)重量パーセントで、以下の量のリン:0%、≦0.040%、約0.04%、約0.03%、≦0.0250%、約0.025%、約0.030%、又は約0.040%;
d)重量パーセントで、以下の量の硫黄:0%、≦0.050%、約0.050%、約0.035%、≦0.0250%、約0.015%、約0.025%、又は約0.030%;
e)重量パーセントで、以下の量のケイ素:0%、0~1.0%、約0.4%、0.15~0.35%、0.150~0.300%、0.10~0.35%、又は1.0%;
f)重量パーセントで、以下の量のニッケル:0%、0~0.4%、約0.4%、約0.25%、又は約0.30%;
g)重量パーセントで、以下の量のクロム:0%、0~6%、約0.4%、1.30~1.60%、1.35~1.60%、1.35~1.65%、1.20~1.60%、又は4.0~6.0%;
h)重量パーセントで、以下の量の銅:0%、0~0.30%、又は約0.30%;又は
i)重量パーセントで、以下の量のモリブデン:0%、0~0.65%、約0.10%、又は0.40~0.65%
理想的には、重量パーセントの全体の残部が鉄である。
典型的には鉄含有量は、重量で93%~98.98%、98.51~98.98%、96.5~97.32%、又は約93%である。
パーセンテージは重量%である。
【0089】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、英国規格BS-1407、又はより具体的にはBS ISO1407:1970を満たす銀鋼である。
【0090】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、欧州工業材料(European/Werkstoff)規格1.2210/115CrV3.を満たす銀鋼である。
【0091】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、C45/1.1191のグレードを有する欧州規格EN10083-2を満たすC45鋼である。
【0092】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、米国規格AISI1045を満たすC45鋼である。
【0093】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、1045のグレードを有する米国規格ASTM A29を満たすC45鋼である。
【0094】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、S45Cのグレードを有する日本工業規格JIS G4051を満たすC45鋼である。
【0095】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、535a99/EN31のグレードを有する英国規格BS970を満たすEN31鋼である。
【0096】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、米国規格AISI52100を満たすEN31鋼である。
【0097】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、52100のグレードを有する米国規格ASTM A295を満たすEN31鋼である。
【0098】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、SUJ2のグレードを有する日本工業規格JIS G4805を満たすEN31鋼である。
【0099】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、100Cr6/1.3505のグレードを有するドイツ規格DIN17230を満たすEN31鋼である。
【0100】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、米国規格AISI501、ASTM A295;ASTM A193;ASTM A194;ASTM A314;ASTM A387(5);ASTM A473;ASTM A182(B5、F7);ASTM A193(501、B5);ASTM A194(501、3);AISI501;ASME SA194(タイプ3);ASME SA387(タイプ5);AMS5502;AMS5602;UNS S50100、及びSAE J405(51501)のいずれか1つを満たす501ステンレス鋼である。
【0101】
幾つかの実施形態では、鋼合金は、ドイツ規格DIN1.7362を満たす501ステンレス鋼である。
【0102】
幾つかの実施形態では、鋼合金は窒化される。これにより、材料に余分な硬さを与えて耐摩耗性を増加させるので、耐用年数を増加させることができる。
【0103】
窒化は、ガス窒化として知られるプロセスによって行われることができる。ガス窒化のプロセスは、以下のプロセスによって鋼合金で行われることができ、520℃で36時間かかることがある。まず、窒化される鋼合金の部品を、空気が実質的に空になっている加圧容器に入れる。その後、アンモニアは、チャンバを巡って循環し、表面に拡散し、下に拡散層を持つ化合物層を形成する。幾つかの実施形態では、化合物層は白層として知られている。幾つかの実施形態では、窒化される鋼合金は、銀鋼である。しかしながら、それは、上述したもののように、本発明の範囲内にある別の形態の鋼合金であることもできる。
【0104】
銀鋼の場合、窒化銀鋼の化合物層は、約3,442GPaの表面硬さ及び約2.197GPaの内部硬さの特性を有することができる。化合物層は、約8ミクロン厚であることができる。
【0105】
幾つかの実施形態では、鋼合金は硬化される。これにより、本発明に記載されたはんだ付け先端部に耐摩耗性の向上と耐用年数の向上を提供することができる。硬化プロセスは、前述のプロセスに従ってもよいし、以下に説明するようにしてもよい。
【0106】
本発明は、上記で定義される1以上のはんだ付け先端部を含むはんだ付け装置も提供する。
【0107】
好ましくは、はんだ付け装置は、選択的はんだ付け装置である。はんだ付けされる部品の脚部が、はんだ付け先端部の上、はんだ付け先端部の上部、若しくははんだ付け先端部の周囲で、又ははんだ付け先端部から流れ出る溶融はんだのバブル、ウエーブ(放射状又は側方)、又はジェット(又はアーチ)に浸されることを可能にするディップはんだ付け装置であることができる。
【0108】
一般的に断面は円形であるが、その代わりに、はんだ付け先端部は、伸長したスルーホール、又は長方形又はカスタム形状の断面を有するように、他の形状にも構成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
本発明のこれら及び他の特徴を、以下の添付の図面を参照して、純粋に例によって、更に詳細に説明する。
【0110】
図1図1は、一般的なはんだバブルノズルの形態で、概略的に示されたはんだ付け先端部を使用して、PCBの下側にはんだ付けされている電気部品の2本の脚を概略的に示す。
図2図2は、正しくはんだ付けされたこれらの脚、及びノズルの頂部でのはんだバブルを概略的に示す。
図3図3は、本発明によるはんだ付け先端部の第1の形態を概略的に示す。
図4図4は、本発明によるはんだ付け先端部の更なる形態を概略的に示す。
図5図5は、本発明によるはんだ付け先端部を含むはんだ付け装置を概略的に示す。
図6図6は、従来のAPノズル平均摩耗特性に対する様々な鋼合金の時間に対する質量差(ノズル上の質量損失)としての摩耗を示すグラフを示す。
【0111】
図1及び図2を参照して、一般的なはんだ付け先端部10を使用するはんだ付けプロセスが概略的に示される。この図示された例では、先端部10は、中央チャネル又はスルーホール16が先端部10を通って延びる丸いノズル(上から見たときに丸い部分)である。これにより、はんだ付け装置の槽又はリザーバ(図示せず)からの溶融はんだがスルーホール16を通って汲み上げられて出る際に、その頂部(遠位端20)で、溶融はんだ14の、一般的に丸型の(頂部で)バブル12、即ち放射状ウエーブを生成する。この丸型のバブル12は、それを形成するはんだ14がスルーホール16を出て、遠位端をあふれ出て、はんだ付け装置の槽に戻る際に、一般的に湾曲した外表面を有する。バブル12の中断されていない図については、図2を参照のこと。
【0112】
はんだ14が、はんだ付け先端部又はノズル10の中央チャネル又はスルーホール16を通って上方に流れると、はんだは、ノズル10の頂部の遠位端20に近づき、はんだ14はノズル10の頂部の遠位端20からあふれ出て、ノズル10の外表面22の下にあふれ出る。
【0113】
はんだ先端部の他の形態又はタイプも、ジェット、ウエーブ、及びカスタム設計を含む当技術分野で知られており、幾つかは、はんだがあふれ出るためのサイドポート又は非円形部分を代わりに有する。これらの全ては、本発明によって収容されることができる。
【0114】
図1に示されるように、溶融はんだのバブル12又は放射状ウエーブにより、電気部品24をPCB28にはんだ付けすることができる。この例では、2本の脚26を有する電気部品を有し、これは、代わりに1本又は2本以上の脚であってもよく、はんだバブル12に浸漬するように配置される。図1では、脚はすでに浸漬されている。
【0115】
この浸漬は、脚がはんだバブル12によって、前記脚(この例では)が通って延びているプリント(PCB)基板28にはんだ付けされることができるように行われる。
【0116】
PCB28及び電気部品24は、バブル又は放射状ウエーブの上に位置されて、下げられ、はんだから持ち上げられ(又は、バブルが上げられ、下げられる)、はんだ流(バブル12)中で脚の浸漬を達成するので、はんだ付けプロセスの完了も達成する。同様の浸漬は、ウエーブ又はジェットはんだ付け機でも同様に行われるが、その代わりに、バブルが先端部から出るときにウエーブ又はジェットとして異なって配置される。
【0117】
はんだ付けされると、脚はPCBに接続され、従来の方法で機能する。
【0118】
このはんだ付けプロセスが反復可能で均一となるためには、バブル又は放射状ウエーブ(又は直線/側方のウエーブ又はジェット)の均一性が重要である。例えば、バブル(又はウエーブ又はジェット)内のはんだの流れの不規則性は、不完全なはんだ接合をもたらすことがある。これらの不規則性は、バブル(又はウエーブ又はジェット)内の波形(ripple)、又は最悪の場合、ノズルのはんだはじき(dewetting)又ははんだ流内を流れるドロスのいずれかであることがある。先端を良好にぬらす(はんだ流がはんだ付け先端部の外表面に付着する)ことは、はんだはじき(はんだ流が外表面から脱付着する)及びドロス形成を回避するのに役立つ。ドロス形成は、一般的に、はんだはじきの開始時に加速される。
【0119】
これらの欠陥の開始又は促進の一般的な原因は、ノズルのぬれ性表面又はノズル自体(例えばスルーホール内)が摩耗し、はんだ流の凍結(freezing)又は噴出、又はノズル内、ノズルの上、又はノズルの周りのはんだ流におけるドロスの蓄積の増加にもたらすことがある状況を含む。
【0120】
本発明では、標準のスズめっきした先端部(先端部は、典型的には、はんだ材料でプレコートされている)を新しい設計のはんだ付け先端部で置き換えられる。
【0121】
図3に示されるように、はんだ付け先端部10の第1の形態が示され、先端部10は、第1の材料(本明細書では、チタン又はチタン合金)で形成された本体40を含み、先端部10をはんだ付け装置42に取り付けるための近位端28を有する。例えば、図5を参照とのこと。この目的のために、この例は、ねじ状近位端28を有する。また、図5にも示されるように、先細り内部開口部16を有することが示され、はんだ付け装置42のリザーバ又はタンク44から滑らかな壁の通路46を通って、リザーバ又はタンク44からはんだ付け先端部10へ送達管48を介して、溶融はんだ14が汲み上げられることを可能にする。通路46に段差がないことにより、溶融はんだが停滞する可能性のある領域を回避することができる。したがって、代わりに、通路46は、滑らかな遷移で、はんだ付け先端部10を通って、スルーホール16に接続する。
【0122】
図4では、代わりに、より広いスルーホール16が設けられている。
【0123】
図3(及び同様に図4)におけるはんだ付け先端部10は、図2に示されるものと同様に、また図5にも示されるように、溶融はんだのバブル12を形成するためにはんだが流れることができる遠位端20も含む。
【0124】
はんだ付け先端部10は、少なくともその領域が鋼合金から形成される外表面22も有する。この実施形態では、鋼合金は、本体40上のコーティング36である。図4は、異なる構成を有する。
【0125】
鋼合金は、溶融合金がはんだ付け先端部10の外表面22をぬらすことができるように提供される。チタン及びチタン合金は一般的に疎金属性であり、溶融はんだによって容易にぬれないため、それが必要とされる。これは、チタンが急速に酸化物コーティングを形成し、はんだが容易に酸化物に付着しにくくするためであると考えられている。したがって、鋼合金は、チタン上の表面よりもはんだによるぬれに対するより大きな親和性を有するように選択される。この目的のための好ましい鋼合金は、その組成において2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない。ステンレス鋼と比較してクロムが減少すると、合金中の鉄のより高い割合を達成する傾向があり、これははんだ接着を促進することが理解されている。
【0126】
幾つかの実施形態では、6%ものクロムを提供することができる。
【0127】
幾つかの実施形態では、鋼合金の鉄含有量は、少なくとも90%であることが好ましく、より好ましくは92%以上、最も好ましくは95%超又は97%超である。これらのパーセンテージも重量%である。
【0128】
典型的なステンレス鋼では、少なくとも10%のクロムがあり、炭素を含む他の様々な元素の割合も低い。これらのステンレス鋼合金は殆ど適していないことが分かっている。
【0129】
幾つかの実施形態では、鋼合金は2%のクロムを超えず、より好ましくは1%のクロムを超えない。これらのパーセンテージも重量%である。
【0130】
本発明者らは、特に有益なぬれ特性が、以下の組成:0.5~2%の炭素、0.1%~5%のクロム、0.1~1%のマンガン、0~1%のケイ素、0~0.5%のバナジウム、0~0.3%のリン、0~0.3%の硫黄、及び残部の鉄、又はより好ましくは0.95~1.25%の炭素、0.35%~0.8%のクロム、0.2~0.45%のマンガン、0~0.4%のケイ素、0~0.12%のバナジウム、0~0.045%のリン、0~0.045%の硫黄、及び残部の鉄を有する鋼合金によって示されることを言及した。これらの後者の割合は、英国規格BS-1407、より具体的にはBS ISO1407:1970を満たす銀鋼として知られる鋼合金によって満たされることができる。同様に、同等の欧州工業材料(European/Werkstoff)規格1.2210/115CrV3を満たす銀鋼によって満たされることができる。
【0131】
また、本発明者らは、このような鋼合金からの良好な耐摩耗性にも言及した。
【0132】
同様に、本発明者らは、特に有益なぬれ性及び耐摩耗性特性が、以下の組成:0.420~0.50%の炭素、0.60~0.90%のマンガン、0~0.040%のリン、0~0.050%の硫黄を有する鋼合金によって示されることを言及した。
【0133】
同様に、本発明者らは、特に有益なぬれ性及び耐摩耗性特性が、以下の組成選択肢:0~0.4%のケイ素、0~0.4%のニッケル、0~0.4%のクロム、及び理想的には全体の残部の鉄を更に有する鋼合金によって示されることを言及した。典型的には、残部の鉄は、98.51~98.98%である。パーセンテージは重量%である。
【0134】
同様に、本発明者らは、特に有益なぬれ性及び耐摩耗性特性が、以下の組成:0.90~1.10%の炭素、0.25~0.70%のマンガン、0~0.030%のリン、0~0.025%の硫黄、0.10~0.35%のケイ素、1.2~1.65%のクロムを有する鋼合金によって示されることを言及した。
【0135】
同様に、本発明者らは、特に有益なぬれ性及び耐摩耗性特性が、以下の組成選択肢:0~0.3%のニッケル、0~0.30%の銅、0~0.10%のモリブデン、及び理想的には全体の残部の鉄を更に有する鋼合金によって示されることを言及した。典型的には、残部の鉄は、96.5~97.32%である。パーセンテージは重量%である。
【0136】
同様に、本発明者らは、特に有益なぬれ性及び耐摩耗性特性が、以下の組成:0.10%の炭素、1.0%のマンガン、0.040%のリン、0.030%の硫黄、1.0%のケイ素、4.0~5.0%(又は6%まで)のクロム、0.40~0.65%のモリブデン、及び理想的には全体の残部の鉄を有する鋼合金によって示されることを言及した。パーセンテージは重量%である。幾つかの実施形態では、鉄含有量は、93重量%である。
【0137】
同様に、本発明者らは、特に有益なぬれ性及び耐摩耗性特性が、以下の組成選択肢を更に有する鋼合金によって示されることを言及した。
a)重量パーセントで、以下の量の炭素:0.10~1.10%、0.42~0.50%、0.43~0.50%、0.42~0.48%、0.980~1.10%、0.93~1.05%、0.90~1.05%、0.95~1.10%、又は約0.10%;
b)重量パーセントで、以下の量のマンガン:0.25~1.0%、0.60~0.90%、0.50~0.80%、0.250~0.450%、0.25~0.45%、約0.50%、0.40~0.70%、又は約1.0%;
c)重量パーセントで、以下の量のリン:0%、≦0.040%、約0.04%、約0.03%、≦0.0250%、約0.025%、約0.030%、又は約0.040%;
d)重量パーセントで、以下の量の硫黄:0%、≦0.050%、約0.050%、約0.035%、≦0.0250%、約0.015%、約0.025%、又は約0.030%;
e)重量パーセントで、以下の量のケイ素:0%、0~1.0%、約0.4%、0.15~0.35%、0.150~0.300%、0.10~0.35%、又は1.0%;
f)重量パーセントで、以下の量のニッケル:0%、0~0.4%、約0.4%、約0.25%、又は約0.30%;
g)重量パーセントで、以下の量のクロム:0%、0~5%(又は0~6%)、約0.4%、1.30~1.60%、1.35~1.60%、1.35~1.65%、1.20~1.60%、又は4.0~5.0%(又は4.0~6%);
h)重量パーセントで、以下の量の銅:0%、0~0.30%、又は約0.30%;又は
i)重量パーセントで、以下の量のモリブデン:0%、0~0.65%、約0.10%、又は0.40~0.65%
理想的には、重量パーセントの全体の残部が鉄である。
典型的には鉄含有量は、重量で、93%~98.98%、98.51~98.98%、96.5~97.32%、又は約93%である。
パーセンテージは重量%である。
【0138】
母材としては、典型的には、グレード2のチタン等、チタン又はチタン合金である。他の耐食性合金も使用することもでき、その上に上記の鋼合金が形成又は装着されることができる。この母材は、主に耐食性と耐摩耗性のために選択される。
【0139】
母材は、代わりに、上記開示された鋼合金又は硬化された鋼合金の1つであることができる。表面は、同様に、鋼の合金であることもできるので、はんだ付け先端部全体は、上述の鋼合金又は硬化された鋼合金の1つで形成されることができる。例えば、上記の鋼合金又は硬化された鋼合金は、はんだ付け先端部の全体を形成することができる。それらははんだに対して金属親和性であるため、そのような材料は、はんだ付け先端部のためのぬれ可能な(一般的に「スズめっきされる」と呼ばれる)表面を提供する一方で、はんだでスズめっきされた従来の先端部と比較して著しく改善された耐用年数、及び化学的又は機械的摩耗に対する耐性を有する。
【0140】
しかしながら、チタン及び殆どの(全てではないが)チタン合金がはんだに対して効果的に疎金属性であるため、はんだ付け先端部全体は、チタン又はチタン合金で作られるべきではない。言い換えれば、はんだはそれにぬれない。この特性は、溶融はんだにさらされたときにチタンの優れた長期耐摩耗性に貢献するが、溶融はんだでぬらす必要がある表面には適していない。選択的はんだ付け適用での最適なはんだ流は、はんだが先端部/ノズルにぬれることを必要とする。ぬれたときにのみ、はんだ付け先端部の頂部に安定したはんだドーム(バブル12)が促進される。したがって、図3の実施形態では、鋼合金を使用して、母材をコーティング又は被覆する。その代わりに、鋼合金は溶融はんだによる先端部のぬれを促進する。
【0141】
必要に応じて、母材のコーティング又は被覆は、任意の既知の方法によって実施又は適用されることができるが、特に望ましい手法は、電着技術、及び母材との間の1つ以上の中間接着コーティングを使用することである。中間接着コーティングを使用することは、母材に接着する材料として選択されることができ、後続のコーティングとして鋼合金を受け取ることにも適合するので有益である。これは、母材への鋼合金の永久接着を促進する。又は、銀鋼をチタンに接着しようとすることは、非常に困難である。
【0142】
外側コーティングのためのより広い材料の選択を提供することができるため、1超の中間接着コーティングを使用することができる。これは、両方への接着に適合する単一の適切な中間材料の選択肢がない場合でも、ベースコートとトップコートのための材料を選択することができるので、より広い範囲の鋼合金の使用を容易にする。
【0143】
母材としてのチタン及びチタン合金では、中間接着コーティングを取り付けることさえ困難な場合がある。したがって、好ましい手法は、物理蒸着(PVD)を使用することである。これは、母材がそのようなコーティングに耐性がある場合でも、母材上に様々な金属やセラミックの堆積を可能にする真空プラズマ堆積プロセスである。コーティングの特性は、堆積された基板によって影響を受けるので、この手法を用いて適用されたコーティングは、母材と同様に、硬く、耐摩耗性を有する傾向がある。
【0144】
中間コーティングは、必要に応じて、その上の鋼合金コーティング、又は更なる中間コーティングの電着を促進するために選択されることができる。
【0145】
PVDの使用により、コーティングの特性も制御することができる。上記のように、コーティングの特性は、堆積される基板によって影響を受けることがある。また、コーティングの特性は、基板の融点に関連して基板に到達するイオンの温度(比温度として知られる)、及びチャンバ内のガス流の圧力によって影響を受けることもある。これらのパラメータは、コーティングを形成するために集合するイオンのエネルギーに影響を及ぼす。これらのパラメータは全て制御できるため、本明細書ではPVDの使用が特に有利である。
【0146】
蒸着されたコーティングは、無電着も可能であるが、他のコーティング(更なる中間接着層又は最終的な鋼合金コーティング)が電着を用いてその上に堆積されることを可能にするために、一般的に導電性である。
【0147】
接着コーティングのための好ましい材料、特に母材上の第1の層は、タングステンカーバイド、炭化チタン、及び窒化チタンを含む。
【0148】
PVDは視線上のプロセスであり、複雑な形状をコーティングをするためにPVDを使用することは困難である。しかしながら、図3に示されるように、はんだ付け先端部の形状はシンプルで、大部分は、晒された到達可能な外側の形状を有する、円錐台形形状である。視線が届かない表面を形成する突出部や凹部はない。したがって、この目的のためにPVDを使用するのは簡単である。即ち、PVDコーティングシステムにマグネトロンスパッタリングターゲットを配置して、母材の外表面を選択的にコーティングできるようにするのは簡単である。例えば、図3に示されるように、母材の頂端の外周及び傾斜した側面は、選択的にコーティングされることができる。
【0149】
1つ以上の接着コーティングが適用された後、最終的な「ぬれ性」の頂部層コーティングを適用することができる。これは、はんだ付け先端部10が溶融はんだ14によってぬれることを可能にするように選択された鋼合金から形成される。好ましい実施形態では、これは、電気めっきによって接着層上に堆積される。
【0150】
鋼合金ために選択される金属は、はんだがぬれるものである(はんだが薄い拡散層を形成することを必要とする)。その上に拡散層を形成するはんだと、はんだに金属コーティングを溶解させるはんだとの間でバランスを取る必要がある。>90%鉄含有量鋼合金は、一般的にこの目的に適している。
【0151】
従来のはんだ付け先端部では、銅とスズは共に容易にぬれ、はんだ自体の構成元素であるため、スズめっきした表面の優れた選択肢として知られている。したがって、はんだに溶解しても、はんだ流に不純物を導入しない。先行技術では金とニッケルも使用されているが、金は急速にはんだに溶解し、十分な量の金を使用するとはんだが脆くなり、ニッケルを使用すると最終的にはんだが飽和してスズ-ニッケル金属間化合物(一般的には針状結晶(needles))が形成されるため、これらは不適切な選択であると考えられている。抑制又は濾過されなければ、これらの金属間針状結晶ははんだ流(folder flow)で大きくなり、問題となることがある。これらの針状結晶の長さは最大10mmに達し、はんだ流の深刻な劣化につながることが知られている。
【0152】
発明者らは、上記で説明した特定の鋼の合金は、材料の表面及び先端部の本体に優れた選択肢を提供することができることを述べている。それらは、良好なぬれ性を与え、摩耗しない特性を有する。
【0153】
本発明では、好ましい鋼合金は、上述したように、その代わりとして、銀鋼である。他の好ましい鋼合金は、上述したように、C45鋼、EN31鋼、及び501ステンレス鋼を含む。
【0154】
図3の実施形態に従って、及び上述したように、これは、中間接着層を介して母材上に堆積されることができる。しかしながら、代わりに、これは、機械的に取り付けられたキャップ、例えば、はんだ付け先端部の遠位端及び側壁を包含するものであることもできる。しかしながら、好ましい代替配置が図4に示され、鋼合金は、はんだ付け先端部10の近位本体部分40に、又は近位本体部分40の中に又はその上に取り付けられる末端部38として、代わりに取り付けられる。図4において、これはしまりばめ48によって達成されるが、代わりにねじ状の嵌め合い(screw-fit)を使用することもできる。
【0155】
したがって、図4において、近位本体部分40は、はんだ付け先端部をはんだ付け装置42の送達管48に接続するための図3の実施形態と同様のねじ状接続部28と、そこからはんだ付け先端部10の遠位端20の上部(頂部)開口部に延びるスルーホール16とを有する。しかしながら、はんだ付け先端部10の材料は、近位本体部分40と末端部38との間で移行し、本体部分40は母材からなり、末端部38は鋼合金、好ましくは銀鋼からなる。
【0156】
この移行は、この実施形態では、本体部の遠位端における凹穴、及びその近位端で末端部38から延びる境界環状ハブ(interfacing annular hub)を設けることによって生じた。穴よりも部分的に大きいハブは、しまりばめを可能にするので、それらを一緒に押してロックすることができる。鋼の膨張係数は、典型的にはチタンの膨張係数よりも高いので、鋼合金がハブを有し、チタンが穴を有し、それによって、溶融はんだの温度まで加熱されるときに末端部が緩まないことが好ましい。
【0157】
図5において、本発明に開示されるはんだ付け機械の実施形態を以下に示す。
【0158】
図6に、ノズルのぬれ性からはんだ堆積物による質量増加を補正したサンプルノズルの質量差(%変化)を時間に対して提供する。下の水平線は、ノズルの寿命の期間(cut-off)を示す(17%の質量損失は、ノズルが十分に劣化し、安定したはんだ付け操作に対してバブルが十分に安定しなくなるリスクがあることを示す)。上の水平線は、開始質量(劣化していない)である。図に見られるように、本発明の特性を有する鋼合金、即ち、銀鋼、硬化した銀鋼、C45鋼、EN31鋼、及び501ステンレス鋼はいずれも、劣化速度がはるかに遅い(勾配が少ない)ため、AP平均より著しく寿命が長い。
【0159】
鋼合金の好ましい材料の1つとしての銀鋼は、英国及び欧州において、以下の表に示すような標準化された配合を有し、この表は、鋼合金内の種々の元素の最小値及び最大値(及び英国規格では標準値)パーセンテージ(重量%)を示す。
【0160】
【表1】
【0161】
C45鋼は、鋼合金の好ましい材料の別の1つとして、米国、欧州、及び日本において、以下の表2に示されるような標準化された配合を有し、この表は、本基準に適合するための鋼合金内の様々な元素の最小値及び最大値を例示する。しかしながら、以下のより一般的な組成も望ましい。
【表2-1】
【表2-2】
表2 様々な規格によるC45鋼の組成
【0162】
EN31鋼は、鋼合金用の好ましい材料の別の1つとして、英国及び欧州において、下記の表3に示されるような標準化された配合を有して、この表は、規格に適合するための鋼合金中の各種元素の最小値及び最大値(英国規格では標準値)パーセンテージ(重量%)を示す。しかしながら、以下のより一般的な組成も望ましい。
【表3-1】
【表3-2】
表3 EN31鋼の組成
【0163】
鋼合金の好ましい材料の1つとしての501ステンレス鋼は、英国及び欧州において、以下の表4に示されるような標準化された配合を有し、この表は、規格に適合するための鋼合金内の種々の元素の最小値及び最大値(及び英国規格では標準値)パーセンテージ(重量%)を示す。
【表4】
表4 501ステンレス鋼の組成
【0164】
幾つかの実施形態では、鋼合金-コーティング、キャップ、又は末端部のいずれか-は、更に窒化されることができる。例えば、窒化は、ガス窒化として知られるプロセスによって実行されることができる。ガス窒化のプロセスは、銀鋼を含む鋼合金上で、おそらく約36時間の期間をかけて、窒化される鋼合金の部分を、実質的に空気が空になっている圧力容器に入れ、約520℃でチャンバを巡って、アンモニアを循環させ、アンモニアが表面に拡散し、下に拡散層を有する化合物層を形成することによって実行されることができる。幾つかの実施形態では、化合物層は、白層として知られている。典型的には、この方法で窒化物となる鋼合金は、銀鋼である。しかしながら、それは、上述したもののように、本発明の範囲内にある別の形態の鋼合金であることもできる。表面に窒素を拡散させることによって(大きなチャンバ圧力室又はおそらくプラズマプロセスのいずれかで)、材料内の特定の深さまで、一定量の窒化物化合物を生成することが可能である。これは表面を硬化させることができるか、又ははんだからの表面腐食を減少させたりすることができ、実際において、表面コーティングが下にある母材と接着層を完全に覆っていない場合には、表面コーティングで、又は下にある基材及び接着層によって、はんだが有することができる任意の反応を遅くする。
【0165】
銀鋼の場合、窒化銀鋼の化合物層は、以下の表5に示されるように、以下の特性を有することができる。
【表5】
【0166】
幾つかの実施形態では、鋼合金-コーティング、キャップ、又は末端部のいずれか-は、硬化させることができる。これにより、本発明に記載されたはんだ付け先端部に耐摩耗性の向上と耐用年数の向上をもたらすことができる。
【0167】
用いられることができる様々な硬化プロセスは、以下の通りである。
1.鋼合金、幾つかの実施形態では、銀鋼は、以下の工程によって硬化させることができる。まず、材料を760~800℃まで(通常はゆっくりと)加熱する。温度範囲の上端は、低炭素含有鋼合金に用いられ、温度範囲の下端は低炭素含有鋼合金に用いられる。次に、少なくとも温度が均一になるまで、材料をオーステナイト化させる。最後に、材料をよく攪拌した水に焼入れし、硬化プロセスをロック(lock)する。
2.鋼合金、幾つかの実施形態ではC45鋼は、以下の工程によって硬化させることができる。まず、この範囲において均一な温度になるまで、800~850℃に加熱することによって、材料を焼なましし、その後、材料は炉内で冷却される。次に、この範囲において均一な温度になるまで、870~920℃に加熱することによって材料を焼ならし、その後、水、塩水、又は油に材料を10~15分間浸漬し、(通常は静止した)空気中で冷却される。第三に、この範囲において均一な温度になるまで、550~600℃に加熱することによって材料の応力除去焼なましを行い、その後材料は、断面25mmごとに1時間水、塩水、又は油に浸漬され、(通常は静止した)空気中で冷却される。第四に、この範囲において均一な温度になるまで、820~850℃に加熱し、その後、断面25mmごとに10~15分間水、塩水、又は油に、材料を浸漬し、その後、水又は塩水[又は油]で焼入れすることによって、材料を硬化する。最後に、材料を焼戻しする。必要又は所望により、この範囲において均一な温度になるまで、400~650℃の範囲の温度に、材料を再加熱し、断面25mmごとに1時間水、塩水、又は油に材料を浸漬し、(通常は静止した)空気で冷却する。
3.鋼合金、幾つかの実施形態ではEN31又はAISI52100鋼合金は、以下の工程によって硬化させることができる。冷間加工又は加熱及び焼入れ工程によって、材料を硬化する。その後、材料を788℃に加熱し、続いて焼入れを行う(以前に行われた場合は2回目)。次に、材料を913℃で浸炭し、その後更に焼入れすることができる。
4.鋼合金、幾つかの実施形態では501ステンレス鋼は、以下の工程によって硬化させることができる。第一に、829~871℃に加熱することによって、材料に完全な焼なましを施し、その後段階的な炉冷却を行うことができる。第二に、材料を718~746℃に加熱し、その後段階的に冷却することによって、材料を低温で焼なましをすることができる。最後に、材料を871~927℃に加熱し、その後浸漬、油焼入れ、204~760℃で焼戻しすることによって、材料を硬化することができる。
5.上記の「窒化」プロセス。
以下の表(表6)は、銅とスズめっきを施した純鉄製の標準ノズルと比較したノズル寿命の変化を示し、本発明の選択された材料組成の有利な利点を示す。
【表6】
表6 ノズル寿命及び改善(パーセンテージ)
【0168】
いずれの場合も、標準ノズルと同じ質量損失に達するのに要する時間は、著しく長く、殆どの場合、2倍以上又は4倍もの時間がかかる。
【0169】
したがって、本発明は、好ましい態様において、はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部及びはんだ付け装置のためのはんだ付け先端部を形成する方法を提供する。前記先端部は、
第1の材料からなる本体と;
前記先端部を選択的はんだ付け装置に取り付けるための近位端と;
外表面を有し、少なくともその領域が前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成され、前記第2の材料が、前記第1の材料よりも大きなはんだぬれ性特性を示す遠位端と、を含む。前記第1の材料は、好ましくはチタン又はチタン合金であり、好ましくは、前記領域は、前記第1の材料の少なくとも第1の部分上に第1のコーティングを形成するために、最初に物理蒸着(PVD)プロセスを使用して、前記第1の材料上に形成され、その第1の部分は前記領域の下にあり、前記第2の材料でその第1のコーティングの少なくとも一部をコーティングする。
【0170】
コーティングは、例えば、PVDを使用して、完全なコーティングであってもよいし、部分的なコーティングであってもよい。下にある材料は、コーティングを通して見えることもできる
【0171】
したがって、本発明は、純粋に例として上述した。本発明の詳細な修正は、本明細書に添付された特許請求の範囲内で行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部であって、前記先端部が、
前記先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるための近位端を有し第1の材料から形成される本体を含み;
前記先端部は外表面も含み、少なくとも前記外表面のひとつの領域は、鋼合金から形成され、前記鋼合金は、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えず、0重量%又は0重量%~0.1重量%又は0.04重量%~0.65重量%のモリブデン;0重量%~0.4重量%のニッケル;及び0重量%~0.04重量%のリンを含むことを特徴とするはんだ付け装置のためのはんだ付け先端部。
【請求項2】
前記第1の材料も鋼合金であり、2重量%の炭素及び5重量%のクロムを超えない、請求項1に記載のはんだ付け先端部。
【請求項3】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部であって、前記先端部が、
前記先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるための近位端を有する本体と;
少なくともそのひとつの領域が2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えず、0重量%又は0重量%~0.1重量%又は0.04重量%~0.65重量%のモリブデン;0重量%~0.4重量%のニッケル;及び0重量%~0.04重量%のリンを含む鋼合金から形成される外表面と、
を含むことを特徴とするはんだ付け装置のためのはんだ付け先端部。
【請求項4】
前記第1の材料も鋼合金であり、2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えない、請求項1に記載のはんだ付け先端部。
【請求項5】
前記鋼合金又は各鋼合金が2%のクロムを超えない、請求項1から4のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項6】
前記鋼合金又は各鋼合金の重量での鉄含有量が少なくとも90%である、請求項1から5のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項7】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.420~0.50%の炭素、0.60~0.90%のマンガン、0~0.040%のリン、0~0.050%の硫黄を有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項8】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成選択肢:0~0.4%のケイ素、0~0.4%のクロム、及び全体の残部の鉄を更に有する、請求項7に記載のはんだ付け先端部。
【請求項9】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.90~1.10%の炭素、0.25~0.70%のマンガン、0~0.030%のリン、0~0.025%の硫黄、0.10~0.35%のケイ素、0~0.4%のニッケル、1.2~1.65%のクロムを有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項10】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成選択肢:0~0.3%のニッケル、0~0.30%の銅、0~0.10%のモリブデン、及び全体の残部の鉄を更に有する、請求項9に記載のはんだ付け先端部。
【請求項11】
前記鋼合金又は各鋼合金が以下の組成:0.10%の炭素、1.0%のマンガン、0.040%のリン、0.030%の硫黄、1.0%のケイ素、4.0~6.0%のクロム、0.40~0.65%のモリブデン、及び全体の残部の鉄を有する、請求項1から6のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項12】
前記鋼合金が窒化されている、請求項1から11のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項13】
請求項4に従属しない場合、前記第1の材料がチタン又はチタン合金である、請求項1から12のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項14】
少なくとも前記領域の前記鋼合金が、前記本体上に形成される、又は前記本体に結合される、請求項1から13のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項15】
前記鋼合金から形成される前記外表面の前記領域が、前記はんだ付け先端部の遠位端の全周の周りに延びる、請求項1から14のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項16】
少なくとも前記領域の前記鋼合金が、前記本体上のコーティングである、請求項1から15のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項17】
少なくとも前記領域の前記鋼合金が、1以上の中間接着層を介して、前記本体をコーティングする、請求項16に記載のはんだ付け先端部。
【請求項18】
第1の接着層が、物理蒸着を用いて、前記本体上に形成又は堆積される、請求項17に記載のはんだ付け先端部。
【請求項19】
前記本体が母材を形成し、第1の接着層は前記母材の上に少なくとも部分的コーティングを提供し、その上に、少なくとも前記領域の前記鋼合金が形成又は提供されることができ、前記第1の接着層は前記母材とは異なる材料である、請求項1から18のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項20】
前記第1の接着層が、タングステンカーバイド、炭化チタン、及び窒化チタンの1以上を含む、請求項18から19のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項21】
前記本体が前記はんだ付け先端部の実質的な全長に延び、少なくとも前記領域の前記鋼合金がその上のコーティングである、請求項1から20のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項22】
前記はんだ付け先端部が前記はんだ付け先端部の遠位端を形成するための第2の部品を有し、その第2の部品は別々に形成された後、前記本体に取り付けられる、請求項1から20のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項23】
前記はんだ付け先端部が、はんだがはんだ付け先端部を流れるスルーホールを有するノズルである、請求項1から22のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項24】
前記スルーホールが、前記ノズルの長さを通る中心開口部である、請求項23に記載のはんだ付け先端部。
【請求項25】
前記はんだ付け先端部の遠位端が、前記スルーホールのはんだ流出端を囲むように形成される、請求項23から24のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項26】
前記本体が、前記はんだ付け先端部を前記はんだ付け装置に取り付けるためのねじ状近位端を有する、請求項1から25のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項27】
前記外表面での前記鋼合金が硬化されている、請求項1から26のいずれかに記載のはんだ付け先端部。
【請求項28】
1以上のはんだ付け先端部を含むことを特徴とするはんだ付け装置であって、前記はんだ付け先端部が請求項1から27のいずれかに記載のはんだ付け先端部であることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項29】
前記はんだ付け先端部は、使用時に、前記はんだ付け装置のはんだ流が、前記はんだ付け装置の溶融はんだリザーバから前記はんだ付け先端部の上へ、及び前記はんだ付け先端部を通って流れることができるスルーホールを有する、請求項28に記載のはんだ付け装置。
【請求項30】
前記はんだ付け装置は、はんだ付けされる部品の脚部を、前記はんだ付け先端部の上、前記はんだ付け先端部の上部、若しくは前記はんだ付け先端部の周囲で、又は前記はんだ付け先端部から流れ出る、溶融はんだのバブル、ウエーブ又はジェットに浸漬させるディップはんだ付け装置である、請求項28又は請求項29に記載のはんだ付け装置。
【請求項31】
はんだ付け装置のためのはんだ付け先端部を製造する方法であって、前記方法は、
前記はんだ付け装置に先端部を取り付けるための近位端を有する本体及び外表面を備えたはんだ付け先端部を形成することと、
これに硬化処理を施して、はんだ付け先端部の使用中に溶融はんだに接触する表面の少なくとも一部を硬化させることと、を含み、
少なくとも前記外表面のひとつの領域は、鋼合金から形成され、前記鋼合金は、2重量%の炭素及び6重量%のクロムを超えず、0重量%又は0重量%~0.1重量%又は0.04重量%~0.65重量%のモリブデン;0重量%~0.4重量%のニッケル;及び0重量%~0.04重量%のリンを含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記硬化が窒化によるものである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を760~800℃に加熱する工程と;
ii)少なくとも温度が均一になるまで、前記はんだ付け先端部をオーステナイト化させる工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を水中で焼入れする工程と、
によって、硬化される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を800~850℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼なましする工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を炉内で冷却する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を870~920℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼ならしする工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を水、塩水、又は油に10~15分間浸漬する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と;
vi)前記はんだ付け先端部を550~600℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部の応力除去焼なましをする工程と;
vii)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に1時間浸漬する工程と;
viii)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と;
ix)前記はんだ付け先端部を820~850℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を硬化する工程と;
x)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に10~15分間焼入れ及び浸漬する工程と;
xi)前記はんだ付け先端部を400~650℃の範囲の温度に再加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼戻しする工程と;
xii)前記はんだ付け先端部を、25mmの部分毎に水、塩水、又は油に1時間浸漬する工程と;
xiii)前記はんだ付け先端部を空気中で冷却する工程と、
によって硬化される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を冷間加工又は加熱及び焼入れ工程によって硬化する工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を788℃に加熱する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を焼入れする工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を913℃で浸炭する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を更に焼入れする工程と、
によって硬化される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記鋼合金が、以下の工程:
i)前記はんだ付け先端部を829~871℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を焼なましする工程と;
ii)前記はんだ付け先端部を徐々に炉冷する工程と;
iii)前記はんだ付け先端部を718~746℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部に更なる焼なまし工程を提供する工程と;
iv)前記はんだ付け先端部を徐々に冷却する工程と;
v)前記はんだ付け先端部を871~927℃に加熱することによって、前記はんだ付け先端部を硬化する工程と;
vi)浸漬し、油焼入れし、その後204~760℃で焼戻しする工程と、
によって硬化される、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記はんだ付け先端部が請求項1から27のいずれかに記載のはんだ付け先端部である、請求項31から36のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】