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特表2024-518322道路セグメントの国際ラフネス指数を推定する方法及び関連システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】道路セグメントの国際ラフネス指数を推定する方法及び関連システム
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/01 20060101AFI20240423BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20240423BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240423BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20240423BHJP
【FI】
E01C23/01
G01M17/02
B60C19/00 H
B60W40/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565570
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022061044
(87)【国際公開番号】W WO2022229180
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021000010496
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ アレバ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ ボルドリーニ
(72)【発明者】
【氏名】マンフレディ マッシミラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットリオ ニコロシ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト イアナンチュオノ
【テーマコード(参考)】
2D053
3D131
3D241
【Fターム(参考)】
2D053AA33
2D053FA01
3D131BB03
3D131BC55
3D131LA34
3D241DB02Z
3D241DB10Z
3D241DB43Z
3D241DC41Z
(57)【要約】
本発明は、準備ステップ(1)と国際ラフネス指数推定ステップ(10)とを含む、道路又は道路セグメントの国際ラフネス指数(IRI)を推定する方法に関係する。準備ステップ(1)は、車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値(C、K)を収集すること(2)と、既知の国際ラフネス指数値又は既知の道路プロファイル(プロファイル)が関連する、道路セグメントに沿って一定の速度で駆動される自動車で測定される車両垂直方向加速度値(Az車両)並びに、測定された垂直方向加速度値(Az車両)と関連する、車両ジオリファレンスデータ及び所与の一定の速度を示す速度データを収集すること(3)とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路又は道路セグメントの国際ラフネス指数(IRI)を推定する方法であって、準備ステップ(1)と国際ラフネス指数推定ステップ(10)とを含み、
前記準備ステップ(1)は、
- 1つ又は複数の自動車の1つ又は複数のタイヤの車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値(C、K)を収集すること(2)と、
- a)既知の国際ラフネス指数値又は既知の第1の道路プロファイル(プロファイル)が関連する、1つ又は複数の道路又は道路セグメントに沿って1つ又は複数の所与の一定の速度で駆動される1つ又は複数の自動車で測定される第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)と、
b)前記測定された第1の垂直方向加速度値(Az車両)と関連する第1の車両ジオリファレンスデータと、
c)前記測定された第1の垂直方向加速度値(Az車両)と関連する所与の一定の速度を示す第1の車両速度データと
を収集すること(3)と、
- 前記車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値(C、K)、前記第1の車両ジオリファレンスデータ、前記第1の車両速度データ、並びに前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)に基づいて、第2の道路プロファイル(プロファイル)を判定すること(4)と
を含み、
前記準備ステップ(1)は、
- 前記第2の道路プロファイル(プロファイル)に基づく第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))、前記第2の垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))の第2の車両ジオリファレンスデータ、前記測定された第1の垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))と関連する前記所与の一定の速度を示す第2の車両速度データ、並びに前記車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値(C、K)を判定すること(5)と、
- 1つ又は複数の車両の1つ又は複数のサスペンションの車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値(C、K)を判定すること(6)と、
- 前記第1及び第2の車両垂直方向加速度値(Az車両、Az出力‐f(c、k))の第1及び第2の2乗平均平方根値をそれぞれ判定すること(7)と、
- 前記既知の国際ラフネス指数値又は前記第1の道路プロファイル(プロファイル)、前記第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))の前記第2の2乗平均平方根値、前記第2の車両ジオリファレンスデータ、及び第2の車両速度データに基づいて、前記第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))の前記第2の2乗平均平方根値及び前記所与の一定の速度における前記国際ラフネス指数値と数学的に関連している1つ又は複数の車両伝達関数を判定すること(8)と
を更に含み、
前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)は、
- 所与の道路又は道路セグメントで、ある運転速度で駆動される所与の自動車で測定される第3の車両垂直方向加速度値(Az)、前記第3の車両垂直方向加速度値(Az)と関連する第3の車両ジオリファレンスデータ、及び前記自動車の前記所与の運転速度を示す第3の車両速度データを取得すること(11)と、
- 前記第3の車両垂直方向加速度値(Az)の第3の2乗平均平方根値を計算すること(12)と、
- 前記準備ステップ(1)で判定された1つ又は複数の車両伝達関数、並びに前記第3の車両垂直方向加速度値(Az)の前記第3の2乗平均平方根値及び前記関連する第3の車両ジオリファレンスデータ及び前記第3の車両速度データに基づいて、前記所与の道路又は道路セグメントの国際ラフネス指数値を推定すること(13)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)、前記第1の車両ジオリファレンスデータ、及び前記第1の車両速度データは、既知の国際ラフネス指数値又は前記第1の道路プロファイル(プロファイル)が関連する、1つ又は複数の道路又は道路セグメントに沿って1つ又は複数の所与の一定の速度で駆動される、全く同一の所与の車両タイプ及び/又は全く同一の所与の車両モデルの1つ又は複数の自動車について、ステップa)、b)、及びc)で収集され、
前記第2の道路プロファイル(プロファイル)は、前記所与の車両タイプ及び/又はモデルに特有のものである、請求項1に記載の国際ラフネス指数を推定する方法。
【請求項3】
前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)、前記第1の車両ジオリファレンスデータ、及び前記第1の車両速度データは、異なる所与の車両タイプ及び/又は異なる所与の車両モデルの1つ又は複数の自動車の各々について、ステップa)、b)、及びc)で収集され、
前記第2の道路プロファイル(プロファイル)は、前記所与の車両タイプ及び/又はモデルの各々に特有のものである、請求項1に記載の国際ラフネス指数を推定する方法。
【請求項4】
前記国際ラフネス指数値は、前記準備ステップ(1)で判定された前記所与の自動車の車両タイプ/モデルに特有の車両伝達関数を使用することにより推定される(13)、請求項2又は3に記載の国際ラフネス指数を推定する方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の車両の前記1つ又は複数のサスペンションの前記車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値(C、K)を判定するステップ(6)は、
- 前記第2の道路プロファイル(プロファイル)に入力される前記車両の前記サスペンションの試験車両用サスペンション減衰及び剛性係数値(c、k)について、対応する第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))を判定すること(21)と、
- 前記第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))から生成される前記第2の加速度プロファイルが、前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)から生成される第1の加速度プロファイルと一致するかどうかを確認すること(22)と
を含み、
前記1つ又は複数の車両の前記1つ又は複数のサスペンションの前記車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値(C、K)を判定するステップ(6)は、
- 前記第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))から生成される前記第2の加速度プロファイルが前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)から生成される前記第1の加速度プロファイルと一致する場合、前記車両の前記サスペンションの前記試験車両減衰及び剛性係数値(c、k)が前記車両用サスペンション減衰及び剛性係数(C、K)であると判定すること(23)、又は
- 前記第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))から生成される前記第2の加速度プロファイルが前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)から生成される前記第1の加速度プロファイルと一致しない場合、前記試験車両用サスペンション減衰及び剛性係数値(c、k)の新規の値を判定すること(24)
を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の国際ラフネス指数を推定する方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の車両垂直方向加速度値(Az車両、Az出力‐f(c、k))の前記第1及び第2の2乗平均平方根値をそれぞれ判定するステップ(7)は、
- 前記第1の道路プロファイル(プロファイル)に基づいて、既知の異なる速度で既知の道路で駆動される自動車について、前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)の第1の2乗平均平方根値を計算すること(31)と、
- 前記第2の道路プロファイル(プロファイル)、前記車両用サスペンション減衰及び剛性係数値(C、K)に基づいて、同じ既知の道路で、同じ既知の異なる速度で駆動される自動車について、前記第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(c、k))の第2の2乗平均平方根値を判定すること(32)と、
- 前記第2の車両垂直方向加速度値(Az出力‐f(C、K))の前記第2の2乗平均平方根値に対して、前記第1の車両垂直方向加速度値(Az車両)の前記第1の2乗平均平方根値をプロット(33)し、それにより、前記第2の道路プロファイル(プロファイル)が前記第1の道路プロファイル(プロファイル)の結果と十分に合致するほど適合しているかどうかを確認することと
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の国際ラフネス指数を推定する方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の国際ラフネス指数を推定する方法を実行するように設計された、国際ラフネス指数を推定するシステム(50、70、100)。
【請求項8】
- 前記国際ラフネス指数を推定する方法の前記準備ステップ(1)を実行するために使用される各自動車(90、110)に対する、
- 前記自動車(90、110)に車載して据え付けられ、
- 前記自動車(90、110)のそれぞれの車両バス(60)と結合し、
- 前記それぞれの車両バス(60)から、車両垂直方向加速度並びに車両ジオリファレンス及び速度データを取得するように構成される
それぞれの第1の取得デバイス(51)と、
- 前記国際ラフネス指数を推定する方法の前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)に関わる各所与の自動車(90、110)に対する、
- 前記所与の自動車(90、110)に車載して据え付けられ、
- 前記所与の自動車(90、110)のそれぞれの車両バス(60)と結合し、
- 前記それぞれの車両バス(60)から、前記第3の車両垂直方向加速度値(Az)並びに前記第3の車両ジオリファレンス及び前記第3の速度データを取得するように構成される
それぞれの第2の取得デバイス(51)と、
- 前記第1及び第2の取得デバイス(51)に接続され、前記第1及び第2の取得デバイス(51)から前記第1、第2、及び第3の車両垂直方向加速度値(Az車両、Az出力‐f(c、k)、Az)、前記第1、第2、及び第3の車両ジオリファレンス及び前記第1、第2、及び第3の車両速度データを受信し、
- 前記第1及び前記第2の2乗平均平方根値を計算し、前記車両伝達関数を判定し、
- 前記第3の2乗平均平方根値を計算し、前記国際ラフネス指数値を推定する
ように構成される
処理手段(52)と
を含む、請求項7に記載の国際ラフネス指数を推定するシステム。
【請求項9】
前記処理手段(52)は、前記取得デバイス(51)にリモートで接続され、前記準備ステップ(1)及び前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)の両方を実行するために使用されるクラウドコンピューティングシステム(72)を含む、請求項8に記載の国際ラフネス指数を推定するシステム。
【請求項10】
前記処理手段(52)は、
- 前記第1の取得デバイス(51)にリモートで接続され、前記準備ステップ(10)を実行するように構成されているクラウドコンピューティングシステム(72)と、
- 前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)に関わる各所与の自動車(90、110)に対する、前記所与の自動車(90、110)に車載して据え付けられ、前記それぞれの第2の取得デバイス(51)に接続され、前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)を実行するするように構成されているそれぞれの電子制御ユニット(102)と
を含む、請求項8に記載の国際ラフネス指数を推定するシステム。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の国際ラフネス指数を推定する方法の前記準備ステップ(1)及び前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)の両方、又はその前記準備ステップ(1)のみを実行するように構成されたクラウドコンピューティングシステム(72)。
【請求項12】
自動車(90、110)に車載して据え付けられるように設計され、請求項1~6のいずれか一項に記載の国際ラフネス指数を推定する方法の前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)を実行するように構成された電子制御ユニット(102)。
【請求項13】
- 処理手段(52、72、102)にロード可能であり、
- ロードされたとき、前記処理手段(52、72、102)が、請求項1~6のいずれか一項に記載の国際ラフネス指数を推定する方法の前記準備ステップ(1)及び/又は前記国際ラフネス指数推定ステップ(10)を実行するように構成されるようにする
1つ又は複数のソフトウェア及び/又はファームウェアコード部を含むコンピュータープログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、自動車及び道路舗装モニタリングセクターに関する。より具体的には、本発明は、国際ラフネス指数(IRI)を推定するシステム及び方法に関係する。特に、本発明の態様によれば、IRIの推定値が、車両の動きに関する物理量、例えば、垂直方向加速度、並びに車両自体に関する物理量、例えば、車両のサスペンション及び車両に取り付けられたタイヤの減衰及び剛性係数に応じて判定される。
【0002】
本発明は、乗用車、バス、キャンピングカーなど、人々を輸送するために使用される任意のタイプ道路車両、又は産業車両(トラック、トラクタートレーラーなど)もしくは(バンなどの)小型もしくは中型商用車両など、製品を輸送するために使用される任意のタイプ道路車両のどちらかに適用されてよい。一般性を失うことなく、1つ又は複数の乗用車及び/又はバス及び/又はトラック及び/又はモーターバイクなど、内燃エンジンを装着する自動車並びに/又はハイブリッド型及び/若しくは電気式自動車について言及する。
【背景技術】
【0003】
既知のように、道路舗装は、その道路で駆動される自動車についての安全性及び快適性に関する要件を満たすため、ほぼ規則正しくまた変形がほとんどない転がり面を確保するように設計される必要がある。実際、道路舗装上の(穴(pothole)又はへこみなどの)障害物に対する/障害物上での自動車のホイールの衝撃は、ホイールのタイヤ、特に、そのカーカス(すなわち、ケーシング)に損傷を与えるおそれがある。例えば、タイヤのサイドウォールの外側への膨らみは、へこみ及び穴のような対象物上での走行が個々のコードを破損させうるため、障害物に対する/障害物上での衝撃に起因して、カーカス内でコードが破損していることを典型的に示す。損傷したタイヤ(例えば、幾つかのコードが破損しているタイヤ)が即座に検出されず、またしたがって、早急には修理/交換されないと、運転手が損傷したタイヤでの走行を続ける場合、タイヤのカーカスを完全に破損/破壊する、さらにホイールリム及び/又はサスペンションを破損するリスクがある(例えば、損傷したタイヤが他の障害物に対して/他の障害物に更に衝突する場合)。
【0004】
最近では、時折、主にメンテナンス作業を計画する目的で、個々の道路の規則性/平滑性レベルの周期的なモニタリングが実施されている。典型的に、このようなモニタリングは、道路舗装の凹凸(irregularity)に対して最も一般的に使用されるラフネス指数である、国際ラフネス指数(IRI)の計算に基づいている。IRIは、典型的に、縦断道路プロファイル(より具体的には、道路舗装の高さの縦断プロファイル)を測定することにより得られ、特に、クォーターカー車両数理モデル(クォーターカーモデル(QCMと略)としても知られる)又はフルカー車両数理モデル(フルカーモデル(FCMと略)としても知られる)を使用することにより、その応答が蓄積され、傾きの単位(in/m、m/kmなど)を有するラフネス指数がもたらされる。
【0005】
残念ながら、IRI測定は、実際はかなり高価で、企業により管理される道路網全体で大規模に実施するのは難しい。
【0006】
そのため、自動車及び道路舗装モニタリングセクターにおいて、道路舗装の凹凸/むら(unevenness)をより早く、より簡易に検出可能な革新的な技術ソリューションの必要性が顕著に感じられる。
【0007】
例えば、道路舗装の凹凸を認識する方法及びシステムを開示する特許出願である国際公開第2020/225699号において、既知のソリューションの一例が開示されている。特に、国際公開第2020/225699号は、
a)予備的試験ステップであって、順次に、
- 自動車の異なる速度で異なる凹凸上において空気タイヤを走行させる及び/又は衝撃を受けさせることによって試験を実施するサブステップ、
- 試験中に垂直方向加速度を(都合よくは、少なくとも10Hzのサンプリングレートで)取得するサブステップ、及び
- 実施した試験に関する垂直方向加速度の標準偏差を舗装道路の凹凸に関連付けるための少なくとも第1モデルを構築するサブステップ、
を含む、該予備的試験ステップと、
b)実認識ステップであって、順次に、
- 前記垂直方向加速度を(都合よくは、少なくとも10Hzのサンプリングレートで)取得するサブステップ、
- 垂直方向加速度の高域通過フィルタ処理を遂行するサブステップであり、好適には、高域通過フィルタにおける最小フィルタ処理閾値を0.1Hz以下とし、高域通過フィルタ処理のサブステップは、直線的2~25メートルの長さ、好適には、直線的5~10メートルの長さを有する可変長さの舗装道路の基準区域上で実施する、該垂直方向加速度の高域通過フィルタ処理サブステップ、
- 前記垂直方向加速度を高速フーリエ変換(FFT)によって処理するサブステップ、
- 前記処理した垂直方向加速度の前記標準偏差を関連周波数でのFFTによって計算するサブステップであって、前記関連周波数は、好適には、1.5Hz~3Hzである前記自動車のサスペンションシステムの第1振動周波数レンジを有する、該計算サブステップ、及び
- 前記第1モデルと、前記関連周波数でのFFTによって処理した垂直方向加速度の標準偏差との比較に基づいて前記舗装道路における凹凸の存在及び寸法を認識するサブステップ、
を含む、該実認識ステップと、
を備える、方法に関係する。
【0008】
国際公開第2020/225699号によれば、前記関連周波数は、自動車シャシーの第2の振動周波数レンジを都合よく含み、前記ステップb)は、さらに、GPS信号によって車両位置に関する情報を取得するサブステップ、及び前記車両位置に基づいていかなる凹凸をも位置付けするサブステップを都合よく含み、前記ステップa)は、さらに、異なるタイプの自動車における異なるタイプのタイヤを走行させる及び/又は衝撃を受けさせることによって前記試験を実施するサブステップ、及び前記垂直方向加速度の標準偏差をタイヤのタイプ及び/又は自動車に関連付けるため、多数のモデルを構築するサブステップを都合よく含む。
【0009】
追加的に、国際公開第2020/225699号によれば、前記ステップa)は、好適には、以下のサブステップ、すなわち、
- 前記実施される試験中に、前記ホイール速度及び自動車の速度を取得し、実施される前記試験に関する正規化したホイール速度を、前記自動車のホイール速度と対応するそれぞれの自動車の速度との間における比によって計算するサブステップ、及び
- 前記正規化したホイール速度の標準偏差を前記舗装道路の凹凸に関連付けするため、少なくとも1つの第2モデルを構築するサブステップ
も含む。
【0010】
最後に、国際公開第2020/225699号によれば、前記ステップb)は、好適には、以下のサブステップ、すなわち、
- 前記自動車のホイールにおけるステアリング角度を取得するサブステップ、
- 前記自動車のホイールにおけるステアリング角度をFFTによって取得するサブステップ、
- 前記FFTによって処理される前記ホイールにおけるステアリング角度の周波数成分内で最小閾値を決定するサブステップ、
- 前記ホイール速度を取得するサブステップ、
- 前記自動車の速度を取得するサブステップ、
- 前記ホイール速度とそれぞれに対応する前記自動車の速度との間における比によって、前記正規化したホイール速度を計算するサブステップ、
- 前記ホイール速度又は前記正規化したホイール速度の高域通過フィルタ処理を前記最小閾値の適用により実施するサブステップ、
- 前記正規化したホイール速度の標準偏差を計算するサブステップ、
を含み、
前記舗装道路における凹凸の存在を認識するサブステップは、前記第1モデルと、前記関連周波数でのFFTにより処理した垂直方向加速度の標準偏差との間の比較、及び前記第2モデルと前記正規化したホイール速度の標準偏差との間の比較の双方を使用することを都合よく含む。
【発明の概要】
【0011】
上述したものを考慮して、本出願人は、従来のIRI測定より実施が容易で、頻繁に実施されうる、概して、より早く、より簡易な道路舗装の粗さの定量化、特に、IRI等の推定を可能にする革新的な技術ソリューションの開発を試みるため、徹底的な調査を実行する必要性を感じ、それにより本発明に到達した。
【0012】
それゆえ、本発明の目的は、従来のIRI測定より実施が容易で、頻繁に実施されうる、概して、より早く、より簡易な道路舗装の粗さの定量化、特に、IRI等の推定を実施する技術ソリューションを提供することである。
【0013】
本目的及び他の目的は、本発明が、添付の特許請求の範囲において定義されるように、IRIを推定するシステム及び方法に関連するため、本発明により達成される。
【0014】
本発明をより理解するため、単に非限定例として意図される、好適な実施形態を、以下、添付の図面(全て縮尺通りではない)を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の好適な実施形態にかかるIRI推定方法の準備ステップを概略的に示す図である。
図2】本発明の好適な実施形態にかかるIRI推定方法のIRI推定ステップを概略的に示す図である。
図3】車両に対するパラメーターを判定する、準備ステップの一ステップを概略的に示す図である。
図4】異なる道路プロファイルにかかる垂直方向加速度値の傾向を概略的に示す図である。
図5】車両に対するパラメーターを有効化する、準備ステップの一ステップを概略的に示す図である。
図6】実際の道路プロファイル及びデジタル化された道路プロファイルに従って得られたそれぞれの車両垂直方向加速度値の2乗平均平方根値の相互関係を示すプロットを概略的に示す図である。
図7】IRI値を、異なる一定の車両速度における車両垂直方向加速度値の2乗平均平方根値と相互に関連付けるプロットを概略的に示す図である。
図8】IRI推定システムの好適な実施形態を概略的に示す図である。
図9】IRI推定システムの好適な実施形態を概略的に示す図である。
図10】IRI推定システムの好適な実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、当業者が本発明を作成し、使用できるように、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。記載された実施形態の様々な修正が、当業者には直ちに明らかであり、記載された一般的な原理は、添付の特許請求の範囲において定義された本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用可能である。そのため、本発明は、本明細書において説明され、示された実施形態に限定されると見なされるべきではなく、説明され、特許請求された特徴と一致する最も広い保護範囲が与えられるべきである。
【0017】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明に関連する分野において通常の経験を有する人により一般的に使用されるものと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合、提供された定義を含む本記載が拘束力を持つ。さらに、実施例は、例示のみを目的として提供されるのであって、制限するものと見なされるべきではない。
【0018】
特に、添付の図面に含まれ、以下で説明されるブロック図は、構造特性の表現、又は構造的な制限として意図されるものではなく、機能特性の表現、すなわちデバイスの固有特性として解釈され、得られる効果又は機能的制約により定義されなければならず、様々な方法で実施されうる、そのため、デバイスの機能性(機能する可能性)を保護するためである。
【0019】
本明細書に記載の実施形態の理解を促すため、幾つかの特定の実施形態について言及され、それらを説明するために特定の言語が使用される。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0020】
本発明は、特に、車両の動きに関する物理量、例えば、垂直方向加速度、並びに車両自体に関する物理量、例えば、車両のサスペンション及び車両に取り付けられたタイヤの減衰及び剛性係数、に応じた国際ラフネス指数(IRI)を推定する方法に関係する。
【0021】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る方法は、準備ステップ1及びIRI推定ステップ10を含む。さらに、以下、1つ又は複数の乗用車及び/又はバス及び/又はトラック及び/又はモーターバイクなど、内燃エンジンを装着する自動車並びに/又はハイブリッド型及び/若しくは電気式自動車について言及する。
【0022】
特に、図1は、本発明に係るIRIを推定する方法の準備ステップ1を概略的に示す。詳細には、準備ステップ1は、
- 1つ又は複数の自動車の1つ又は複数のタイヤ(図示せず)の車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値C、Kを収集すること(ブロック2)と、
- a)既知の国際ラフネス指数値又は既知の第1の道路プロファイル、プロファイルが関連する、1つ又は複数の道路又は道路セグメントに沿って1つ又は複数の所与の一定の速度で駆動される1つ又は複数の自動車で測定される第1の車両垂直方向加速度値Az車両と、
b)測定された第1の垂直方向加速度値Az車両と関連する第1の車両ジオリファレンスデータと、
c)測定された第1の垂直方向加速度値Az車両と関連する所与の一定の速度を示す第1の車両速度データと
を収集すること(ブロック3)と、
- 第1の車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値C、K、第1の車両ジオリファレンスデータ、第1の車両速度データ、並びに第1の車両垂直方向加速度値Az車両に基づいて、第2の道路プロファイル、プロファイルを判定すること(ブロック4)と
を含む。
【0023】
準備ステップ1は、
- 第2の道路プロファイル、プロファイルに基づく第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)、第2の垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)の第2の車両ジオリファレンスデータ、測定された第1の垂直方向加速度値Az車両と関連する所与の一定の速度を示す第2の車両速度データ、並びに車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値C、Kを判定すること(ブロック5)と、
- 1つ又は複数の車両の1つ又は複数のサスペンションの車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値C、Kを判定すること(ブロック6)と、
- 第1及び第2の車両垂直方向加速度値Az車両、Az出力‐f(c、k)の第1及び第2の2乗平均平方根値をそれぞれ判定すること(ブロック7)と、
- 既知の国際ラフネス指数値又は第1の道路プロファイル、プロファイル、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)の第2の2乗平均平方根値、第2の車両ジオリファレンスデータ、及び第2の車両速度データに基づいて、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)の第2の2乗平均平方根値及び所与の一定の速度における国際ラフネス指数値と数学的に関連している1つ又は複数の車両伝達関数を判定すること(ブロック8)と
を更に含む。
【0024】
図2は、本発明に係るIRIを推定する方法のIRI推定ステップ10を概略的に示す。特に、IRI推定ステップ10は、
- 所与の道路又は道路セグメントで、ある運転速度で駆動される所与の自動車で測定される第3の車両垂直方向加速度値Az、第3の車両垂直方向加速度値Azと関連する第3の車両ジオリファレンスデータ、及び自動車の所与の運転速度を示す第3の車両速度データを取得すること(ブロック11)と、
- 第3の車両垂直方向加速度値Azの第3の2乗平均平方根値を計算すること(ブロック12)と、
- 準備ステップ1で判定された1つ又は複数の車両伝達関数、並びに第3の車両垂直方向加速度値Azの第3の2乗平均平方根値及び関連する第3の車両ジオリファレンスデータ及び第3の車両速度データに基づいて、所与の道路又は道路セグメントの国際ラフネス指数(IRI)値を推定すること(ブロック13)と
を含む。
【0025】
本発明の態様によれば、所与の自動車の第3の車両ジオリファレンスデータは、すなわち、所与の自動車の2D/3D位置、例えば、GPS位置を示すデータである。
【0026】
本発明の態様によれば、第1の車両垂直方向加速度値Az車両、第1の車両ジオリファレンスデータ、及び第1の車両速度データは、国際ラフネス指数値又は第1の道路プロファイル、プロファイルが既知である、1つ又は複数の道路又は道路セグメントに沿って1つ又は複数の所与の一定の速度で駆動される、全く同一の所与の車両タイプ及び/又は全く同一の所与の車両モデルの1つ又は複数の自動車について、ステップa)、b)、及びc)で収集される。さらに、第2の道路プロファイル、プロファイルは、当該所与の車両タイプ及び/又はモデルに特有のものである。
【0027】
本発明の別の態様によれば、第1の車両垂直方向加速度値Az車両、第1の車両ジオリファレンスデータ、及び第1の車両速度データは、異なる所与の車両タイプ及び/又は異なる所与の車両モデルの1つ又は複数の自動車の各々について、ステップa)、b)、及びc)で収集される。さらに、第2の道路プロファイル、プロファイルは、当該所与の車両タイプ及び/又はモデルの各々に特有のものである。
【0028】
そのため、本発明の態様によれば、国際ラフネス指数値は、準備ステップ1で判定された所与の自動車の車両タイプ/モデルに特有の車両伝達関数を使用することにより推定される(ブロック13)。
【0029】
図1を再度参照すると、準備ステップ1において、車両用タイヤ減衰及び剛性係数C、Kは、例えば、専用のたわみ試験などの、タイヤ試験を通して判定される。
【0030】
さらに、本発明の態様によれば、第1の車両垂直方向加速度値Az車両、第1の車両ジオリファレンスデータ、及び第1の車両速度データを収集するステップ(ブロック3)は、車両テレメトリーデータ取得を含み、ここで、車両は、所定の取得周波数で、第1の車両垂直方向加速度値Az車両と、車両のGPS位置としての第1の車両ジオリファレンスデータとを取得するデータロガーユニットを都合よく備える。さらに、テレメトリーデータは、(例えば、2G、3G、4G、又は5Gセルラー技術に基づいて)無線接続経由でリモートコンピューティングシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)に自動的に送信される。特に、第1の車両ジオリファレンスデータについての取得周波数は、例えば、1Hzより大きい。さらに、第1の車両垂直方向加速度値Az車両を判定するため、車両は、既知の形状の(すなわち、例えば、第1の道路プロファイル、プロファイルに従った)へこみを通って、低速(例えば、40km/h以下)で駆動される。更に詳細には、第1の車両垂直方向加速度値Az車両の取得周波数は、10Hz以上である。追加的に、車両テレメトリーデータ取得には、所定の期間(例えば、3か月)が都合よく考慮され、当該所定の期間は、好適には、IRI値の測定のデータを含む。
【0031】
本発明の態様によれば、準備ステップ1において、道路に関連するIRI値が、対応する第1の道路プロファイル、プロファイルに従って判定され、第1の道路プロファイル、プロファイルrは、標準手続きに従って判定される。例えば、第1の道路プロファイル、プロファイルは、所与の自動車の車両タイプ/モデルに特有の一定の条件(例えば、低速且つ既定の取得周波数)に従って判定された、垂直方向加速度の前もって測定された値を補間することにより判定される。
【0032】
本発明の更なる態様によれば、準備ステップ1及びIRI推定ステップ10のいずれかにおいて測定が実施される道路に車両を位置付けるために、GPSが使用される。
【0033】
図1を参照すると、準備ステップ1において、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)を判定するステップ(ブロック5)は、
- 車両用タイヤ減衰及び剛性係数の値C、Kにより入力がなされたとき、第2の道路プロファイル、プロファイルにより出力される加速度値である第4の車両垂直方向加速度値Az出力と、
- パラメーターc及びkによって決まる車両垂直方向加速度関数f(c、k)と
を判定することを含む。
【0034】
特に、パラメーターc及びkは、考慮された車両の1つ又は複数のサスペンション(図示せず)の車両用サスペンション減衰及び剛性係数値である。従って、(車両垂直方向加速度の値である)第2の道路プロファイル、プロファイルの出力は、考慮された自動車の1つ又は複数のサスペンションの車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値c、kによって直接的に決まる。
【0035】
図3を参照すると、1つ又は複数の車両の1つ又は複数のサスペンションの車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値C、Kを判定するステップ(ブロック6)は、
- 第2の道路プロファイル、プロファイルに入力される車両のサスペンションの試験車両用サスペンション減衰及び剛性係数値c、kについて、Az出力‐f(c、k)とも呼ばれる、対応する第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)を判定すること(ブロック21)と、
- 第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)から生成される第2の加速度プロファイルが、第1の車両垂直方向加速度値Az車両から生成される第1の加速度プロファイルと一致するかどうかを確認すること(ブロック22)と
を含む。
【0036】
さらに、1つ又は複数の車両の1つ又は複数のサスペンションの車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値C、Kを判定するステップ(ブロック6)は、
- 第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)から生成される第2の加速度プロファイルが第1の車両垂直方向加速度値Az車両から生成される第1の加速度プロファイルと一致する場合、車両の前記サスペンションの試験車両減衰及び剛性係数値c、kが車両用サスペンション減衰及び剛性係数C、Kであると判定すること(ブロック23)、又は
- 第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)から生成される第2の加速度プロファイルが第1の車両垂直方向加速度値Az車両から生成される第1の加速度プロファイルと一致しない場合、試験車両用サスペンション減衰及び剛性係数値c、kの新規の値を判定すること(ブロック24)
を更に含む。
【0037】
従って、本発明の態様によれば、判定するステップ(ブロック21)及び確認するステップ(ブロック22)は、車両のサスペンションの試験車両減衰及び剛性係数値c、kが、確認するステップ(ブロック22)の要件を満たし、従って、車両用サスペンション減衰及び剛性係数C、Kとして定義されうるまで繰り返される。
【0038】
判定するステップ(ブロック6)の最後に、1つ又は複数の車両の1つ又は複数のサスペンションの車両用サスペンション減衰及び剛性係数の値C、Kは、第2の道路プロファイル、プロファイルの出力として判定される。
【0039】
図4は、第1及び第2の車両垂直方向加速度値Az車両、Az出力‐f(c、k)から生成される第1及び第2の加速度プロファイルの例を概略的に示し、ここで、c及びkは、車両用サスペンション減衰及び剛性係数値C、Kに等しい。
【0040】
さらに、図5を参照すると、準備ステップ1において、第1及び第2の車両垂直方向加速度値Az車両、Az出力‐f(c、k)の第1及び第2の2乗平均平方根値をそれぞれ判定するステップ(ブロック7)は、
- 第1の道路プロファイル、プロファイルに基づいて、既知の異なる速度で既知の道路で駆動される自動車について、第1の車両垂直方向加速度値Az車両の第1の2乗平均平方根値を計算すること(ブロック31)と、
- 第2の道路プロファイル、プロファイル、車両用サスペンション減衰及び剛性係数値C、Kに基づいて、同じ既知の道路で、同じ既知の異なる速度で駆動される自動車について、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)の第2の2乗平均平方根値を判定すること(ブロック32)と、
- 以下、Az出力‐f(C、K)とも呼ばれる、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)の第2の2乗平均平方根値に対して、第1の車両垂直方向加速度値Az車両の第1の2乗平均平方根値をプロット(ブロック33)し、それにより、第2の道路プロファイル、プロファイルが第1の道路プロファイル、プロファイルの結果と十分に合致するほど適合しているかどうかを確認することと
を含む。
【0041】
特に、プロットするステップ(ブロック33)は、考慮された道路の既知のIRI値と共に、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(C、K)の第2のRMSVAに対して、第1の車両垂直方向加速度値Az車両の第1のRMSVAをプロットすることにより実施される。図6は、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(C、K)の第2のRMSVAに対して、1.5Hzでフィルタ処理した、第1の車両垂直方向加速度値Az車両の第1のRMSVAをプロットすることにより実施されたプロットするステップ(ブロック33)を通して得られたプロットを示す。図6でわかるように、異なる速さが考慮されている。
【0042】
さらに、準備ステップ1において、既知の国際ラフネス指数値又は第1の道路プロファイル、プロファイル、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)の第2の2乗平均平方根値、第2の車両ジオリファレンスデータ、及び第2の車両速度データに基づいて、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(c、k)の第2の2乗平均平方根値と数学的に関連している1つ又は複数の車両伝達関数と、所与の一定の速度における国際ラフネス指数値とを判定すること(ブロック8)は、IRI値と、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(C、K)の第2のRMSVAとの間の関連する数学的相関関係を特定することを含み、それにより、車両伝達関数
が判定される。この点について、図7は、異なる一定の車両速度における
グラフの例を示し、ここで、異なる一定の車両速度におけるIRI値がプロットされ、第2の車両垂直方向加速度値Az出力‐f(C、K)から判定された第2のRMSVAがプロットされる。特に、図7に示す伝達関数の例は、以下の通りである:

式中、
は、車両速度を指す。
【0043】
図2を再び参照すると、IRI推定ステップ10において、且つ第3の車両垂直方向加速度値Azに関して、準備ステップ1において判定された1つ又は複数の車両伝達関数、並びに第3の車両垂直方向加速度値Azの第3の2乗平均平方根値及び関連する第3の車両ジオリファレンスデータ及び第3の車両速度データに基づいて、所与の道路又は道路セグメントの国際ラフネス指数値を推定するステップ(ブロック13)は、逆計算を行うことにより実施される。実際、準備ステップ1において、少なくとも1つの伝達関数が一旦判定されると、第3の車両垂直方向加速度値Azから判定される第3の2乗平均平方根値、及び一般的な道路における所与の車両の運転速度
は既知であり、推定IRI値を計算することが可能である。
【0044】
本発明は、上記のIRI推定方法を実行するように設計されたシステムにも関係する。この点について、図8は、本発明の好適な実施形態にかかるIRI推定システム50の機能的構造を、ブロック図を用いて概略的に示す。
【0045】
特に、IRI推定システム50は、
- 乗用車又はバス又はトラック又はモーターバイクなどの、内燃エンジンを装着する自動車又はハイブリッド/電気式自動車(図8に図示せず)に車載して据え付けられ、
- 当該自動車の(例えば、標準コントローラエリアネットワーク、CAN、バスに基づいている)車両バス60と結合し、
- 当該車両バス60から、車両垂直方向加速度並びに車両ジオリファレンス及び速度データを取得するするように構成される
取得デバイス51を備える。
【0046】
本発明の好適な実施形態によれば、それぞれの取得デバイス51は、
- 準備ステップ1を実行し、当該自動車のそれぞれの車両バス60から、第1及び第2の車両垂直方向加速度値Az車両、Az出力‐f(c、k)並びに第1及び第2の車両ジオリファレンス及び第1及び第2の車両速度データを取得するために使用される各自動車と、
- 当該所与の自動車のそれぞれの車両バス60から、第3の車両垂直方向加速度値Az並びに第3の車両ジオリファレンス及び速度データを取得する、IRI推定ステップ10に関わる各所与の自動車と
に車載して据え付けられる。
【0047】
追加的に、IRI推定システム50は、有線又は無線で、取得デバイス51に接続され、そこから第1、第2、及び第3の車両垂直方向加速度値Az車両、Az出力‐f(c、k)、Az並びに第1、第2、及び第3の車両ジオリファレンス並びに第1、第2、及び第3の車両速度データを受信し、
- 第1及び第2の2乗平均平方根値Az車両、Az出力‐f(c、k)を計算し、車両伝達関数を判定する(ブロック8)、且つ
- 第3の2乗平均平方根値を計算し、IRI値を推定する(ブロック13)
ようにプログラム化された処理手段52を更に備える。
【0048】
図9及び図10は、図8のシステム50の処理手段52を実装する更なる好適な実施形態を概略的に示す。
【0049】
特に、図9を参照すると、(全体として70で示される)第1の好適な実施形態において、処理手段52は、(例えば、GSM、GPRS、EDGE、HSPA、UMTS、LTE、LTE Advanced、5Gなどの、1つ又は複数のセルラー技術を介して)取得デバイス51に無線で、リモートで接続され、準備ステップ1及びIRI推定ステップ10の両方を実行するために都合よく使用されるクラウドコンピューティングシステム72を用いて実装/実施される。
【0050】
代わりに、図10を参照すると、(全体として100で示される)第2の好適な実施形態において、処理手段52は、自動車110に車載して据え付けられた(自動車)電子制御ユニット(ECU)102を用いて実装/実施され、ここで、当該ECU102は、都合よく、特にIRI推定専用のECU、又はIRI推定も含む幾つかのタスク専用のECUであってよい。
【0051】
好適には、クラウドコンピューティングシステム72は、準備ステップ1を実行するのに使用される一方、ECU102は、IRI推定ステップ10を実行するのに使用される。特に、それぞれのECU102は、それぞれの取得デバイス51から、第2の車両垂直方向加速度値並びに第2の車両ジオリファレンス及び速度データを取得するIRI推定ステップ10に関わる各所与の自動車110に車載して都合よく据え付けられうる。
【0052】
上記より、本発明の技術的優位性及び革新的特徴は、当業者には直ちに明らかになる。
【0053】
特に、本方法によれば、道路測定手順で使用される通常の一般的な方法より高い頻度で、所与の一定の速度における車両垂直方向加速度値を利用して、駆動される道路において準備なIRI値を測定することが可能になる。
【0054】
さらに、本方法は、道路管理会社が特定の道路セグメントにおけるより正確な測定を優先できるようになる、より広く、より頻度の高い測定ネットワークを有する。
【0055】
追加的に、本方法によれば、道路舗装の粗さのより早く、より簡易な定量化、特に、IRI等の推定の実施が可能になり、本発明は、従来のIRI測定より実施が容易で、頻繁に実施されうる。
【0056】
最後に、本発明に対して、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内に含まれる、多数の修正及び変形がなされうることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】