(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】車両用のアクアプレーニング防止システムおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
B60B 39/02 20060101AFI20240423BHJP
B60S 1/48 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B60B39/02
B60S1/48 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566492
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 IB2022051746
(87)【国際公開番号】W WO2022229717
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021000011108
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523405801
【氏名又は名称】イージー レイン アイ.エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランディナ、ジョバンニ
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AF02
3D225AF03
3D225AF07
(57)【要約】
本明細書で開示されるのは、自動車用のアクアプレーニング防止システムであり、本システムは、-動作液用の貯蔵ユニット(2;102)、-混合ユニット(4;104)、-供給ユニット(6;106)、-分配ユニット(8;108)を含み、前記分配ユニット(8;108)は、自動車の前車軸の右輪(R)および左輪(L)の右接地面(RT)および左接地面(LT)それぞれの前方にある路面に液を噴射するように構成された少なくとも第1噴射器および第2噴射器(10、12;110、112)を有する。本システムは、主タンクおよび少なくとも1つの補助タンクに貯蔵された動作流体により定められた動作混合液を用いて動作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作液用の貯蔵ユニット、
混合ユニット、
供給ユニット、
分配ユニット、ここで前記分配ユニットが、自動車車軸の右輪(R)および左輪(L)の右接地面(RT)および左接地面(LT)それぞれの前方にある路面にそれぞれ液を噴射するように構成された少なくとも第1噴射器および第2噴射器を有する
を備え、
前記貯蔵ユニットが、主動作液を貯蔵するように構成された主タンク、および対応する補助動作液を貯蔵するように構成された少なくとも1つの補助タンクを有し、前記主タンクおよび少なくとも1つの補助タンクのそれぞれが前記供給ユニットへの液圧連結部を含み、
前記混合ユニットが、予め決められた量の前記主動作液を予め決められた量の前記補助動作液のうちの少なくとも1種と混合するように構成されていることにより、アクアプレーニング防止システムの動作混合液が定められ、
この供給ユニットが前記動作混合液を前記第1噴射器および前記第2噴射器へと送出するように構成されている、
自動車用のアクアプレーニング防止システム。
【請求項2】
前記供給ユニットが、注入ポートおよび送出ポートを含むポンプを有し、前記混合ユニットが、前記注入ポートに液圧連結されたマニホールドを有し、これに前記主タンクおよび前記少なくとも1つの補助タンクが液圧的に個々に連結されており、
前記混合ユニットが、前記主動作液および対応する補助動作液を混合できるようにするために、補助タンクごとに、前記補助タンクおよび前記マニホールドの間の前記液圧連結部における液の流れを選択的に有効にするように構成された電動バルブを有することによって、前記アクアプレーニング防止システムの前記動作混合液が定められ、前記供給ユニットが、前記動作混合液を前記マニホールドから前記注入ポートを通って吸引し、これを前記分配ユニットへと送出するように構成されている、請求項1に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システム。
【請求項3】
前記主タンクが前記自動車のフロントウィンドウウォッシャー液用のタンクである、請求項1または請求項2に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システム。
【請求項4】
前記主タンクが、フロントウィンドウウォッシャー液を分配するように構成された別の供給ユニットにも液圧連結されている、請求項3に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システム。
【請求項5】
前記分配ユニットが、
フロントウィンドウウォッシャーノズル一式、
特に自動運転システム用のセンサの汚れを落とすためのセンサ洗浄ノズル一式
のうちの少なくとも1つも有し、
前記供給ユニットが前記フロントウィンドウウォッシャーノズル一式および前記センサ洗浄ノズル一式のうちの対応する1つに連結された少なくとも1つの別の供給ポートを有し、前記供給ユニットが、前記動作混合液の予め決められた供給ポートへの送出を選択的に有効にするように構成されている、請求項2に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システム。
【請求項6】
前記第1噴射器に関連した第1アキュムレータ、および前記第2噴射器に関連した第2アキュムレータを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システム。
【請求項7】
補助タンクごとに、電動バルブの上流に液圧配置されたベンチュリ効果フローエレメントをさらに備える、請求項4に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システムの分配ユニットに動作混合液を供給する方法であって、
前記供給ユニットにより供給される、前記分配ユニットの器具を決定する段階、
1つまたは複数の選択された補助タンクからの補助動作液の流れを有効にする段階、
前記主動作液を前記1つまたは複数の選択された補助タンクの前記補助動作液と混合することにより、前記アクアプレーニング防止システムの前記動作混合液を定める段階、
前記供給ユニットを介して前記決定した器具へと前記動作混合液を送出する段階
を備える方法。
【請求項9】
前記決定した器具に従って、前記供給ユニットのポンプの送出ポートを選択する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の自動車用のアクアプレーニング防止システムを備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明では、自動車用のアクアプレーニング防止システムについて言及する。具体的には、本発明は、接地面の前方に液体を噴射することに基づくアクアプレーニング防止システムに関連して開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、自動車の前輪の接地面の前方に液を噴射することに基づく車両用のアクアプレーニング防止システムをすでに開発し提案している。ここで、噴射される液は、自動車のフロントウィンドウウォッシャー液のタンクから吸引される。このようなシステムの一例が、イタリア発明特許出願第102014902296915号に記載されている。
【0003】
このようなシステムに影響を及ぼす最も一般的な技術的問題の1つが、フロントウィンドウウォッシャー液の特性にある。この液は通常、フロントウィンドウまたはリアウィンドウの汚れを落とすための水および界面活性剤ベースのクリーニング剤の溶液を含む。フロントウィンドウ洗浄システムの典型的な噴射圧力では、液中の界面活性剤の存在によって多量の泡が形成されることにはならないが、アクアプレーニング防止システムでは、噴射圧力が約100~150bar(10000~15000kPa)に及ぶことがあるので、かなりの量の泡が発生する。これは、液噴射の働きを危うくするので、本システムの性能に対して大きな悪影響があり、アクアプレーニング効果の軽減において本システムの効果をなくしてしまう。別の制約には、フロントウィンドウウォッシャー液のタンクが関係する。このタンクは、アクアプレーニング防止システムの供給用に改造することはできない。自動車タイプおよびその装備(アクアプレーニング防止システムの有無)に応じて仕様に違いがあるからである。さらに、タンクに含まれる液を区別することが必要になるはずで、アクアプレーニング防止システムがない自動車用の液およびアクアプレーニング防止システムがある自動車用の液の間には違いがある。
[発明の目的]
【0004】
本発明は、前項で言及した技術的問題の解決を目指している。具体的には、本発明が目指しているのは、複数の機能を設けることにより、車両に搭載されたアクアプレーニング防止システムおよびフロントウィンドウ洗浄装置の同時存在および同時動作を最適化することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、後に続く特許請求の範囲に記載された特徴を有するシステムおよび方法により実現され、これらは本発明との関連で本明細書に提供される技術的開示の不可欠な要素である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
これから、単なる非限定的な例として提供される以下の付属図を参照して、本発明を説明する。
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態によるアクアプレーニング防止システムの概略表示である。
【0008】
【
図2】本発明の第2実施形態によるアクアプレーニング防止システムの概略表示である。
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1の参照符号1は一般に、本発明の第1実施形態による、自動車用のアクアプレーニング防止システムを指している。
【0011】
本実施形態および他の実施形態において、本システムは、-動作液用の貯蔵ユニット2、-混合ユニット4、-供給ユニット6、-分配ユニット8を含み、分配ユニットは、自動車の前車軸の右輪Rおよび左輪Lの右接地面RTおよび左接地面LTそれぞれの前方の位置にある路面に向かって液を噴射するように構成された少なくとも第1噴射器および第2噴射器10、12を有する。
【0012】
さらに、分配ユニット8は一般に、自動車のどの車軸にも(前車軸または後車軸のいずれか、またはその両方に)取り付けられてよいことに留意されたい;したがって、これを後車軸に取り付けることも可能であり、第1噴射器および第2噴射器10、12はそれに応じて、自動車の後車軸および/または自動車の前車軸の右輪および左輪の右接地面および左接地面の前方それぞれの路面に向かって液を噴射するように構成されている。
【0013】
本発明によれば、貯蔵ユニット2は、主動作液を貯蔵するように構成された主タンク14、および少なくとも1つの補助タンク16、18、(n)、20を含む。ここで参照符号(n)は一般に、可変数の補助タンクを示す第nタンクの存在を指している(本実施形態では、第nタンクに加えて3つの補助タンクを備えるが、その数は一般に最小数の1から動作上の必要性で規定される最大数まで変わる可能性がある)。各補助タンクは、対応する補助動作液を貯蔵するように構成されている。主動作液としては、従来のフロントウィンドウウォッシャー溶液(水およびクリーニング剤)または単なる水が含まれてよい。好ましい実施形態では、主タンク14が自動車のフロントウィンドウウォッシャー流体用のタンクとして選択されている。
【0014】
補助タンク16、18、(n)、20は補助動作液を貯蔵する。これは機能的には添加剤であり、分配ユニットに連結された器具に固有のものであり、主動作流体と混合するように構成されている。補助動作流体の例としては、その目的が以下の説明から明らかになるが、-消泡液、-水、-石鹸/クリーニング剤(必ずしもフロントウィンドウ洗浄に用いるものではない、下記参照)が含まれる。
【0015】
混合ユニット4はマニホールド22を含み、これには、主タンク14および少なくとも1つの補助タンク16、18、(n)、20が液圧的に個々に連結されている。具体的には、以下に挙げる連結部、すなわち、-主タンク14用の液圧連結部24、-補助タンク16用の液圧連結部26、-補助タンク18用の液圧連結部28、-補助タンク(n)用の液圧連結部(nc)、-補助タンク20用の液圧連結部30がマニホールド22につながっている。
【0016】
混合ユニット4はさらに、補助タンクごとに電動バルブを有し、具体的には、-補助タンク16の液圧連結部26に付いている電動バルブ32、ここでバルブ32は駆動信号S32で駆動される、-補助タンク18の液圧連結部28に付いている電動バルブ34、ここでバルブ34は駆動信号S34で駆動される、-補助タンク20の液圧連結部30に付いている電動バルブ36、ここでバルブ36は駆動信号S36で駆動される、-(一般に)第n補助タンク(n)の液圧連結部(nc)に付いている電動バルブ(nv)、ここでバルブ(nv)は駆動信号(sn)で駆動される、である。
【0017】
各電動バルブは、それぞれの補助タンクからマニホールド22へと向かう補助動作液の流れを選択的に有効にするように構成されている。したがって、各バルブは、閉位置をとって流れを遮断し、開位置をとって流れを有効にするように操作されてよい。
【0018】
本実施形態では、供給ユニット6は注入ポート38および送出ポート40を有するポンプを含む。
図1の略図では、マニホールド22およびそれに伴うタンク14、16、18、20、(n)がポンプの注入ポート38に液圧連結されていることが分かるであろう。補助タンクの場合、液圧連結が有効になるのはバルブ32、34、36、(nv)が開位置にあるときであり、主タンク14の液圧連結は常に有効になっている。
【0019】
したがって、各バルブ32、34、36、(nv)は、タンク14から流れてくる主動作液および対応する(選択された)補助動作液を混合するために、対応する補助タンクおよびマニホールド22の間にある液圧連結部における補助動作液の流れを選択的に有効にするように構成されており、これにより、本システムの動作混合液が定められる。特定の実施形態では、主動作液および補助動作液の特質に応じて、動作混合液は、主動作液および2種またはそれより多くの補助動作液を含む場合があることにさらに留意されたい。したがって、供給ユニット6は、マニホールド22から注入ポート38を通って動作混合液を吸引し、これを分配ユニット8へと、具体的には噴射器10、12へと送出するように構成されている。
【0020】
タンク14はさらに、従来のフロントウィンドウ洗浄ポンプ42にも連結されており、これは供給ユニット6のポンプより小型であり、自動車のウィンドウを洗浄するために主動作液をタンク14から直接的に吸引するように構成されている。
【0021】
システム1の動作は以下の通りである。
【0022】
混合ユニットによって、本件ではアクアプレーニング防止システムの噴射器10、12へと送出される、特定用途のために最適化された特徴を有する動作混合液を定めることが可能になる。タンク14および補助タンク16を1つだけ備える好ましい実施形態において、前者には通常、従来のフロントウィンドウウォッシャー水溶液が充填されており、そこからポンプ42が直接的に吸引することができるようになっているので、通常のフロントウィンドウ洗浄機能が有効になり、後者には液体消泡剤が充填されている。
【0023】
アクアプレーニング防止システム1を動作させる必要が生じた場合、本件ではタンク14に貯蔵されたフロントウィンドウウォッシャー溶液およびタンク16に貯蔵された消泡剤を含んだ動作混合液を得るために、バルブ32を開いてマニホールド22の中で混合できるようにする。それに応じて、供給ユニット6のポンプは、ポート38を通じて動作混合液を吸引し、これを60~100bar(6000~10000kPa)の圧力で噴射器10、12へと直接的に送出する。本システムの動作では、関連技術と異なり、消泡剤の存在によって、フロントウィンドウウォッシャー溶液中の界面活性剤が効力を失うので、泡の形成が抑えられる。
【0024】
システム1の別の実施形態では、補助タンク一式として、水だけが充填された(凍結防止剤が添加されている場合がある)タンク18も想定されてよい。この場合、動作混合液は、タンク14から吸引されたフロントウィンドウウォッシャー溶液、タンク16から吸引された消泡剤、およびタンク18から吸引された水の組み合わせで構成され得る(手順は同じであり、バルブ34を介して連結部28に入る流れが有効になり、マニホールド22の中で混合が行われる)。タンク18に入っている水は、噴射器10、12を介した噴射から生じる泡をさらに減少させるために、フロントウィンドウウォッシャー溶液を希釈するのに用いられてよい。
【0025】
さらに別の実施形態では、噴射器10、12の内部の汚れを落とすためのクリーニング剤を含んだ別のタンク20の存在を想定することが可能である。この場合、動作混合液は、噴射器用のクリーニング剤の働きを危うくしないように、タンク18からの水およびタンク16からの消泡剤を多量に含んでよいが、タンク20からのクリーニング剤だけを吸引して送出することも可能である。
【0026】
図2を参照すると、参照符号100が本発明の第2実施形態によるアクアプレーニング防止システムを指している。システム100は、貯蔵ユニットおよび混合ユニットについてはシステム1と同一であるが、供給ユニットおよび分配ユニットが異なる。いずれにしても、比較しやすくするために、本システムについてその全体を説明する。
【0027】
アクアプレーニング防止システム100は、-動作液用の貯蔵ユニット102、-混合ユニット104、-供給ユニット106、-分配ユニット108を含み、分配ユニットは、自動車の車軸(前車軸、後車軸、またはその両方)の右輪Rおよび左輪Lの右接地面RTおよび左接地面LTそれぞれの前方にある路面に向かって液を噴射するように構成された第1噴射器および第2噴射器110、112を有する。
【0028】
貯蔵ユニット102は、主動作液を貯蔵するように構成された主タンク114、および少なくとも1つの補助タンク116、118、(n)、120を含む。ここでも参照符号(n)は一般に、可変数の補助タンクを示す第nタンクの存在を指している(本実施形態では、第nタンクに加えて3つの補助タンクを備えるが、その数は一般に最小数の1から動作上の必要性で規定される最大数まで変わる可能性がある)。各補助タンクは、対応する補助動作液を貯蔵するように構成されている。
【0029】
主動作液は、従来のフロントウィンドウウォッシャー溶液(水およびクリーニング剤)または単なる水のいずれかを含んでよい。ここでも、主タンク114は自動車のフロントウィンドウウォッシャー液用のタンクとなるように選択されることが好ましい。
【0030】
補助タンク116、118、(n)、120は補助動作液を貯蔵する。これは機能的には添加剤であり、分配ユニット108に連結された器具に固有のものであり、主動作流体と混合するように構成されている。補助動作流体の例としては、その目的が以下の説明から明らかになるが、-消泡液、-本実施形態ではフロントウィンドウウォッシャー液、-水、-本実施形態では、例えば、先進運転者支援システム(ADAS)用の様々な特質のセンサの汚れを落とすセンサ洗浄液が含まれる。
【0031】
混合ユニット104はマニホールド122を含み。これには、主タンク114および少なくとも1つの補助タンク116、118、(n)、120が液圧的に個々に連結されている。具体的には、以下に挙げる連結部、すなわち、-主タンク114用の液圧連結部124、-補助タンク116用の液圧連結部126、-補助タンク118用の液圧連結部128、-補助タンク(n)用の液圧連結部(nc)、-補助タンク120用の液圧連結部130がマニホールド122につながっている。
【0032】
混合ユニット104はさらに、補助タンクごとに電動バルブを有し、具体的には、-補助タンク116の液圧連結部126に付いている電動バルブ132、ここでバルブ132は駆動信号S132で駆動される、-補助タンク118の液圧連結部128に付いている電動バルブ134、ここでバルブ134は駆動信号S134で駆動される、-補助タンク120の液圧連結部130に付いている電動バルブ136、ここでバルブ136は駆動信号S136で駆動される、-(一般に)第n補助タンク(n)の液圧連結部(nc)に付いている電動バルブ(nv)、ここでバルブ(nv)は駆動信号(sn)で駆動される、である。
【0033】
各電動バルブは、それぞれの補助タンクからマニホールド122へと向かう補助動作液の流れを選択的に有効にするように構成されている。したがって、各バルブは、閉位置をとって流れを遮断し、開位置をとって流れを有効にするように駆動されてよい。
【0034】
本実施形態では、供給ユニット106は注入ポート138および複数の送出ポートを有するポンプを含む。具体的には、供給ユニット106のポンプは、第1送出ポート140、第2送出ポート142、および第3送出ポート144を含む。
【0035】
第1送出ポート140は、噴射器110および噴射器112にそれぞれ関連した第1アキュムレータ146および第2アキュムレータ148に液圧連結されている;アキュムレータ146および148は、動作混合液を加圧状態で貯蔵するように構成されており、対応する噴射器110、112に液圧連結されている。
【0036】
第2送出ポートはフロントウィンドウウォッシャーノズル150一式に液圧連結されており、第3送出ポートは、例えば、先進運転者支援システム(ADAS)用のセンサを洗浄するように構成されたセンサ洗浄ノズル152一式に液圧連結されている。
【0037】
それぞれのアキュムレータ146、148を備えた噴射器110、112、フロントウィンドウウォッシャーノズル150一式、およびセンサ洗浄ノズル152一式は、分配ユニット108の器具である。
【0038】
図1の略図では、マニホールド122およびそれに伴うタンク114、116、118、120、(n)がポンプの注入ポート138に液圧連結されていることが分かるであろう。補助タンクの場合、液圧連結が有効になるのはバルブ132、134、136、(nv)が開位置にあるときであり、主タンク114の液圧連結は常に有効になっている。
【0039】
したがって、各バルブ132、134、136、(nv)は、タンク114から流れてくる主動作液および対応する(選択された)補助動作液を混合するような方法で、対応する補助タンクおよびマニホールド122の間にある液圧連結部における補助動作液の流れを選択的に有効にするように構成されているので、本システムの動作混合液が定められる。特定の実施形態では、主動作液および補助動作液の特質に応じて、動作混合液は、主動作液および2種またはそれより多くの補助動作液を含む場合があることにさらに留意されたい。供給ユニット6と異なり、供給ユニット106のポンプは、マニホールド122から注入ポート38を通って動作混合液を吸引し、吸引された動作混合液を分配ユニット108へと送出することになる送出ポート140、142、または144を選択するように構成されている。
【0040】
システム100の基本動作はシステム1と同一である;しかしながら、システム100には以下で説明する別の機能が実装されている。
【0041】
混合ユニット104によって、分配ユニット108の1つ1つの器具に対して、特定の動作混合液を定めることが可能になる。
【0042】
噴射器110、112用の動作混合液は、前項で説明した手順に従って、すなわち、タンク114に貯蔵されたフロントウィンドウウォッシャー液をタンク116に貯蔵された消泡剤と混合することにより定められてよい。システム1と異なり、システム100では、供給ユニット106のポンプは小型でよい(すなわち、少ない流量でよい)。後者のポンプでは、アキュムレータ146および148を搭載することでシステム1と同様の圧力状態を実現できるからである(送出ポート140を通るフローF140)。また、アキュムレータが噴射器110、112の近くにあることによって、本システムの動きがより高速になるという別の利点も提供される。
【0043】
フロントウィンドウウォッシャーノズル150一式用の動作混合液は、タンク114からフロントウィンドウウォッシャー液を吸引するだけで、且つポート142を通ってこれを送出することで定められてよく(フローF150)、センサ洗浄ノズル152一式用の動作混合液を得るには、タンク114に貯蔵されたフロントウィンドウウォッシャー液をタンク118に貯蔵されたセンサ洗浄液と混合すればよい。システム100の特徴によって、(凍結防止剤の任意選択的な添加を伴う)単なる水だけでタンク112を充填し、タンク116、118、120のそれぞれに、分配ユニット108の様々な器具で必要とされる薬剤、すなわち、消泡剤(システム100の噴射器110、112)、フロントウィンドウウォッシャー液(150一式)、およびセンサ洗浄液(152一式)に対応する補助動作液を割り当てることが可能になることがさらに分かるであろう。この場合、噴射器を汚れのない状態に保つために、消泡剤をクリーニング剤に置き換えることがさらに可能になる。
【0044】
したがって、当業者であれば、システム1、100によって、フロントウィンドウ洗浄用の通常の搭載装備と、様々な異なる機能を行うのに必要な添加剤または薬剤を添加するためのオンデマンド型の混合機器を、フロントウィンドウウォッシャー流体の通常容器(タンク14、114)の改造を必要とすることなく組み合わせることが可能になると理解するであろう。混合ユニット4、104は、器具に基づく必然性によって要求に応じて動作混合液を提供するので、システム1、100がきわめて適応性の高い効果的なものになる。噴射器10、12または110、112だけの動作については、システム1、100は、消泡剤の添加という可能性によって、噴射中の泡の発生を完全に排除し、さらに、主動作液として用いられるフロントウィンドウウォッシャー液を希釈するために水を別々に混合するという可能性によって別の適応性がもたらされる。システム100の場合、噴射器110、112のすぐ上流にある加圧液を常に利用できることがアキュムレータ146、148により保証されているので、本システムの介入ダイナミクス(intervention dynamics)を向上させるという別の可能性がある。
【0045】
最後に、
図3および
図4を参照すると、システム1およびシステム100の好ましい実施形態において、混合ユニット4、104は、補助タンク16、116、18、118、20、120同士の間の液圧連結部ごとに、電動バルブ32、132、34、134、36、136の上流に液圧配置されたベンチュリ効果フローエレメントV16、V116、V18、V118、V20、V120(少なくとも概略で、キャブレタージェットに類似している)を含む。
図1、2のシステム1、100の実施形態と比較すると、ベンチュリ効果フローエレメントを備えることで、キャブレターで空気および燃料を混合する場合と同様に(ただし、部分的に類似したプロセスだけを用いて)、混合ユニットによって主液と混合される補助液の量を(例えば、フローエレメントV16、V116、V18、V118、V20、V120の内径を選択することによって)正確に調整することが可能になる。
図3の図には、1つより多くの補助タンクの存在を想定した実施形態が例示されており、
図4には、補助タンク16、116を1つだけ有する、特定の応用例に好ましい実施形態が例示されている。
【0046】
システム100の一実施形態において、
図4の構成は補助流体としてフロントウィンドウウォッシャー液を貯蔵したタンク116を想定してよい。この補助流体は、フローF_INを噴射器110、112へ送出する必要がない場合に限り、すなわち、フロントウィンドウまたはリアウィンドウの汚れを落とすのに水およびフロントウィンドウウォッシャー液を混合することが必要な場合に限り、主液(水)とだけ混合される。反対に、フローF_INを噴射器110、112へ送出することが必要な場合、フロントウィンドウウォッシャー液を主タンク114の水と混合することが禁止される。
【0047】
当然ながら、実装形態の詳細および実施形態は、付属した特許請求の範囲で定められる本発明の範囲から逸脱することなく、顕著であっても、本明細書で説明し且つ例示したことから変わることがある。
(他の可能な項目)
(項目1)
動作液用の貯蔵ユニット(2;102)、
混合ユニット(4;104)、
供給ユニット(6;106)、
分配ユニット(8;108)、ここで前記分配ユニット(8;108)が、自動車車軸の右輪(R)および左輪(L)の右接地面(RT)および左接地面(LT)それぞれの前方にある路面にそれぞれ液を噴射するように構成された少なくとも第1噴射器および第2噴射器(10、12;110、112)を有する
を備え、
前記貯蔵ユニット(2;102)が、主動作液を貯蔵するように構成された主タンク(14;114)、および対応する補助動作液を貯蔵するように構成された少なくとも1つの補助タンク(16、18、20;116、118、120)を有し、前記主タンク(14;114)および少なくとも1つの補助タンク(16、18、20;116、118、120)のそれぞれが前記供給ユニット(6;106)への液圧連結部(22、24、26、28、30;122、124、126、128、130)を含み、
前記混合ユニット(104)が、予め決められた量の前記主動作液を予め決められた量の前記補助動作液のうちの少なくとも1種と混合するように構成されていることにより、アクアプレーニング防止システムの動作混合液が定められ、
この供給ユニット(6;106)が前記動作混合液を前記第1噴射器および前記第2噴射器(10、12;110、112)へと送出するように構成されている、
自動車用のアクアプレーニング防止システム(1;100)。
(項目2)
前記供給ユニット(6;106)が、注入ポート(38;138)および送出ポート(40;140)を含むポンプを有し、前記混合ユニット(4;104)が、前記注入ポートに液圧連結されたマニホールド(22;122)を有し、これに前記主タンク(14;114)および前記少なくとも1つの補助タンク(16、18、20;116、118、120)が液圧的に個々に連結されており、
前記混合ユニット(4;104)が、前記主動作液および対応する補助動作液を混合できるようにするために、補助タンク(16、18、20;116、118、120)ごとに、前記補助タンク(16、18、20;116、118、120)および前記マニホールド(22;122)の間の前記液圧連結部における液の流れを選択的に有効にするように構成された電動バルブ(32、34、36;132、134、136)を有することによって、前記アクアプレーニング防止システムの前記動作混合液が定められ、前記供給ユニット(6;106)が、前記動作混合液を前記マニホールド(22;122)から前記注入ポートを通って吸引し、これを前記分配ユニット(8;108)へと送出するように構成されている、項目1に記載のアクアプレーニング防止システム(1;100)。
(項目3)
前記主タンク(14;114)が前記自動車のフロントウィンドウウォッシャー液用のタンクである、項目1または項目2に記載のアクアプレーニング防止システム(1;100)。
(項目4)
前記主タンクが、フロントウィンドウウォッシャー液を分配するように構成された別の供給ユニット(42)にも液圧連結されている、項目3に記載のアクアプレーニング防止システム(1)。
(項目5)
前記分配ユニット(108)が、
フロントウィンドウウォッシャーノズル(150)一式、
特に自動運転システム用のセンサの汚れを落とすためのセンサ洗浄ノズル(152)一式
のうちの少なくとも1つも有し、
前記供給ユニット(106)が前記フロントウィンドウウォッシャーノズル(150)一式および前記センサ洗浄ノズル(152)一式のうちの対応する1つに連結された少なくとも1つの別の供給ポート(140、142、144)を有し、前記供給ユニット(106)が、前記動作混合液の予め決められた供給ポート(140、142、144)への送出を選択的に有効にするように構成されている、項目2に記載のアクアプレーニング防止システム(100)。
(項目6)
前記第1噴射器(110)に関連した第1アキュムレータ(146)、および前記第2噴射器(112)に関連した第2アキュムレータ(148)を含む、項目1から5のいずれか一項に記載のアクアプレーニング防止システム(100)。
(項目7)
補助タンク(16、18、20;116、118、120)ごとに、電動バルブ(32、34、36;132、134、136)の上流に液圧配置されたベンチュリ効果フローエレメント(V16、V18、V20;V116、V118、V120)をさらに備える、項目4に記載のアクアプレーニング防止システム(100)。
(項目8)
項目1から7のいずれか一項に記載のアクアプレーニング防止システムの分配ユニット(8;108)に動作混合液を供給する方法であって、
前記供給ユニット(6;106)により供給される、前記分配ユニット(8;108)の器具(10、12;110、112、150、152)を決定する段階、
1つまたは複数の選択された補助タンク(16、18、20;116、118、120)からの補助動作液の流れを有効にする段階、
前記主動作液を前記1つまたは複数の選択された補助タンク(16、18、20;116、118、120)の前記補助動作液と混合することにより、前記アクアプレーニング防止システムの前記動作混合液を定める段階、
前記供給ユニットを介して前記決定した器具(10、12;110、112、150、152)へと前記動作混合液を送出する段階
を備える方法。
(項目9)
前記決定した器具に従って、前記供給ユニット(106)のポンプの送出ポート(140、142、144)を選択する段階を含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
項目1から7のいずれか一項に記載のアクアプレーニング防止システムを備える自動車。
【国際調査報告】