(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】物質混合物を分離するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/46 20060101AFI20240423BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20240423BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240423BHJP
B01D 15/18 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N30/46 A
G01N30/88 C
G01N30/26 E
G01N30/26 M
B01D15/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566496
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2022061251
(87)【国際公開番号】W WO2022229284
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523405890
【氏名又は名称】カーデー・ファルマ・ベクスバッハ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ギーセルマン・ギデオン
(72)【発明者】
【氏名】フロンツォーニ・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ラモス-テルセロ・エリア
(72)【発明者】
【氏名】ショポヴァ-ゴスポジノヴァ・デニツァ
【テーマコード(参考)】
4D017
【Fターム(参考)】
4D017AA11
4D017BA04
4D017BA07
4D017DA02
4D017DA03
4D017EA05
4D017EB01
4D017EB03
(57)【要約】
本発明は、クロマトグラフィーによって物質混合物から第1の物質を分離するための方法であって、前記物質混合物は、クロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも長い保持に付される少なくとも1種の第2の物質を有し、およびクロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも短い保持に付される第3の物質を含み、前記物質混合物は、複数の相互接続されたクロマトグラフィーカラム(2、3、4、5)を含むクロマトグラフィーのための装置(1)に供され、前記装置(1)に、前記物質混合物および溶離剤が供され、ならびに第2の物質がエキストラクトとしておよび第1の物質がラフィネートとして取り出される、前記方法に関する。本発明によれば、この課題は、第3の物質がエキストラクトとして取り出されることによって解決される。好適には、第3の物質および第2の物質が一緒にエキストラクトとして取り出される。本発明はさらに、前記方法の実施のための装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィーによって物質混合物から第1の物質を分離するための方法であって、前記物質混合物は、クロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも長い保持に付される少なくとも1種の第2の物質、およびクロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも短い保持に付される少なくとも1種の第3の物質を有し、
前記物質混合物は、複数の相互接続されたクロマトグラフィーカラム(2、3、4、5)を含むクロマトグラフィーのための装置(1)に供され、前記装置(1)に、前記物質混合物および溶離剤が供され、ならびに第2の物質がエキストラクトとしておよび第1の物質がラフィネートとして取り出される方法において、
第3の物質がエキストラクトとして取り出されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
第3の物質および第2の物質が一緒にエキストラクトとして取り出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
クロマトグラフィーカラム(2、3、4、5)がゾーン(I、II、III、IV)を形成し、
a)前記溶離剤の導入のためのデバイス(6)と前記エキストラクトの排出のためのデバイス(7)との間の第1のゾーン(I)、
b)前記エキストラクトの排出のためのデバイス(7)と前記物質混合物の導入のためのデバイス(8)との間の第2のゾーン(II)、
c)物質混合物の導入のためのデバイス(8)と前記ラフィネートの排出のためのデバイス(9)との間の第3のゾーン(III)、および
d)前記ラフィネートの排出のためのデバイス(9)と、前記溶離剤の導入のためのデバイス(6)との間の第4のゾーン(IV)、
が形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ラフィネートの排出のためのデバイス(9)と前記溶離剤の導入のためのデバイス(6)との間のゾーン(IV)に、第3の物質をエキストラクトとして取り出せるような大きな流れが存在するように、物質の流れ、特に流入および/または流出が、導入デバイスおよび/または排出デバイス(6、7、8、9)を介して調節されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ラフィネートにおける第1の物質の含有率が、前記物質混合物における第1の物質の含有率よりも大きく、および好ましくは、エキストラクトにおける第2および/または第3の物質の含有率が、前記物質混合物における第2または第3の物質の含有率よりも大きいことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記溶離剤の導入のためのデバイス(6)、前記エキストラクトの排出のためのデバイス(7)、前記物質混合物の導入のためのデバイス(8)および前記ラフィネートの排出のためのデバイス(9)が、クロマトグラフィーカラム(2、3、4、5)の異なるカラムの間に複数の導入-または排出接続部(10、11、12、13)を有し、前記装置(1)における前記ゾーン(I、II、III、IV)が、クロマトグラフィーカラム(2、3、4、5)の異なるカラムにおいて異なって形成されるように、それぞれの物質の流れが、前記の導入-または排出接続部(10、11、12、13)を介して調節されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのセンサ(14)を用いて、前記ラフィネートおよび/または前記エキストラクトの物質特性、特に成分の含有率が決定され、前記装置(1)内の前記物質混合物、前記溶離剤、前記ラフィネートおよび/または前記エキストラクトの流れが、前記物質特性の決定の結果に応じて調節され、特に制御されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記物質混合物が、脂肪酸混合物、好ましくは不飽和、特に多価不飽和脂肪酸の混合物、ならびに/あるいはカルボン酸混合物、好ましくはカンナビノイドの混合物、ならびに/あるいは炎症収束性メディエーター(PRM)、好ましくは18-HEPE、17-HDHAおよび/または14-HDHAの、および/または特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、好ましくはリポキシン、レゾルビン、プロテクチンおよび/またはマレシンの混合物であるかまたはそれらを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
第1の物質が、多価不飽和脂肪酸、好ましくはエイコサペンタエン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)、あるいはカンナビジオール(CBD)またはテトラヒドロカンナビノール(THC)であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
a)第3の物質がステアリドン酸(SDA)であり、および/または第2の物質がアラキドン酸(ARA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)であるか、
b)第3の物質がステアリドン酸(SDA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)であり、および/または第2の物質がアラキドン酸(ARA)であるか、
あるいは
c)第3の物質がテトラヒドロカンナビノール(THC)、CBGAおよび/またはCBGであり、および/または第2の物質がCBDVA、THCVおよび/またはCBDVである
ことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
第1の物質が、多価不飽和脂肪酸の、好ましくはエイコサペンタエン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはドコサペンタエン酸(DPA)の代謝産物であるか、または前記代謝産物と同じ組成を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種の炎症収束性メディエーター(PRM)、好ましくは18-HEPE、17-HDHAおよび/または14-HDHA、および/または、少なくとも1種の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)、好ましくはリポキシン、レゾルビン、プロテクチンおよび/またはマレシンが、前記物質混合物から取り出されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
第1の物質が、炎症収束性メディエーター(PRM)および/または特異的炎症収束性メディエーター(SPM)であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
a)第3の物質が、炎症収束性メディエーター(PRM)および/または特異的炎症収束性メディエーター(SPM)であり、および/または第2の物質が、アラキドン酸(ARA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)であるか、
b)第3の物質が、炎症収束性メディエーター(PRM)および/または特異的炎症収束性メディエーター(SPM)であり、および/または第2の物質が、エイコサペンタエン酸(EPA)および/またはアラキドン酸(ARA)であるか、
あるいは
c)第3の物質が、炎症収束性メディエーター(PRM)および/または特異的炎症収束性メディエーター(SPM)であり、第2の物質がドコサペンタエン酸(DPA)である
ことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
クロマトグラフィーによって物質混合物から第1の物質を分離するための装置であって、複数の相互接続されたクロマトグラフィーカラム(2、3、4、5)を備え、前記物質混合物の導入のためのデバイス、溶離剤の導入のためのデバイス、エキストラクトの排出のためのデバイスおよびラフィネートの排出のためのデバイスを有し、前記物質混合物は、前記クロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも長い保持に付される少なくとも1種の第2の物質を有し、および前記クロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも短い保持に付される少なくとも1種の第3の物質を含み、第2の物質がエキストラクトとしておよび第1の物質がラフィネートとして取り出されるように設計されている装置において、
第3の物質がエキストラクトとして取り出されるように設計されていることを特徴とする、前記装置。
【請求項16】
第3の物質を第2の物質と一緒にエキストラクトとして取り出せるように、前記物質混合物、前記溶離剤、前記ラフィネートおよび/または前記エキストラクトの流入および/または流出を調節するためのデバイスを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ラフィネートおよび/または前記エキストラクトの物質特性、特に成分の含有率を決定するための少なくとも1つのセンサ(14、15)による決定の結果に応じて導入-および/または排出デバイス(6、7、8、9)を介して、物質の流れ、特に流入および/または流出を制御および/または調整するためのデバイス(16)を特徴とする、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロードすることができ、および、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行される際に、物質分離装置の調整および/または制御のための方法のステップを実施するソフトフェアセクションを含む、コンピュータプログラム製品であって、前記物質分離装置は、複数の相互接続されたクロマトグラフィーカラム(2、3、4、5)を備え、物質混合物から第1の物質を分離することが意図され、前記物質混合物は、クロマトグラフィーの実施において第1の物質よりも長い保持に付される少なくとも1種の第2の物質を有し、およびクロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも短い保持に付される第3の物質を有し、装置(1)に前記物質混合物および溶離剤が供され、ならびに第2の物質がエキストラクトとしておよび第1の物質がラフィネートとして取り出されるコンピュータプログラム製品において、
装置(1)において、物質の流れ、特に、前記物質混合物、前記溶離剤、前記ラフィネートおよび/または前記エキストラクトの流入および/または流出が、第3の物質がエキストラクトとして取り出されるように調節されることを特徴とする、前記コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラム製品を転送する、データキャリア信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィーによって物質混合物から第1の物質を分離するための方法であって、前記物質混合物は、クロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも長い保持に付される少なくとも1種の第2の物質を有し、およびクロマトグラフィーにおいて第1の物質よりも短い保持に付される第3の物質を含み、前記物質混合物は、複数の相互接続されたクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィーのための装置に供され、前記装置に、前記物質混合物および溶離剤が供され、ならびに第2の物質がエキストラクトとしておよび第1の物質がラフィネートとして取り出される、前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプのクロマトグラフィー法は、利用によって知られている。分離すべき物質混合物は、例えば多孔質材料でできたいわゆる充填物を含む固定相を有するクロマトグラフィーカラムを通して導かれる。物質混合物の異なる物質は、固定相を通って流れる際に異なる保持に付され、すなわちそれらは、固定相における強さの異なる相互作用のために、異なる速さで固定相を通って流れる。これが分離を可能にする。
【0003】
クロマトグラフィーは、分離が常に単一ステップで行われるいわゆるバッチ法で実施することができるが、クロマトグラフィーの連続的な実施のために、複数のクロマトグラフィーカラムが相互接続された方法が開発されてきた。工業的規模で実施されるそのようなクロマトグラフィー法は、真の移動床クロマトグラフィー(TMB:True Moving Bed Chromatographie)および擬似移動床クロマトグラフィー(SMB:Simulated Moving Bed Chromatographie)である。
【0004】
SMBクロマトグラフィーでは、複数のクロマトグラフィーカラムが互いに直列に接続される。クロマトグラフィーカラム間の異なる接続部位に、物質混合物と溶離剤が導入される。同様に、ラフィネートとエキストラクトは別の接続部位で取り出され、ここで、クロマトグラフィーにおいてより短い保持に付される1種の物質または任意選択的に複数の物質はラフィネートとして取り出され、クロマトグラフィーにおいてより長い保持に付される1種の物質または複数の物質はエキストラクトとして取り出される。従って、物質混合物は、公知のクロマトグラフィー法を用いると、クロマトグラフィーの操作に応じて、2つの異なる物質サブ混合物に分離することができ、ここで、第1の物質サブ混合物は、より短い保持に付される物質を含有し、第2の物質サブ混合物は、より長い保持に付される物質を含有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、クロマトグラフィーを用いる物質の分離を、より柔軟に行えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、前記第3の物質がエキストラクトとして取り出されることによって解決される。
【0007】
本発明により、物質を物質混合物中から分離することが、当該物質混合物中にクロマトグラフィーの際に前記の分離すべき物質よりもそれぞれ長いもしくは短い保持に付される別の物質が存在する場合であっても、可能である。これまでは、匹敵する結果を達成するためには複数のクロマトグラフィーを次々に実施することが必要であったが、本発明の方法を使用することによって、分離すべき物質を単一のクロマトグラフィーの実施によって分離することができる。分離プロセスを実施するための労力・コストが、著しく低減される。
【0008】
本発明の一実施形態において、クロマトグラフィーカラムはゾーンを形成し、
a)溶離剤の導入のためのデバイスとエキストラクトの排出のためのデバイスとの間の第1のゾーン、
b)エキストラクトの排出のためのデバイスと物質混合物の導入のためのデバイスとの間の第2のゾーン、
c)物質混合物の導入のためのデバイスとラフィネートの排出のためのデバイスとの間の第3のゾーン、および
d)ラフィネートの排出と、溶離剤の導入のためのデバイスとの間の第4のゾーン、
が形成される。
【0009】
好適には、物質の流れ、特に流入および/または流出が、ラフィネートの排出のためのデバイスと溶離剤の導入のためのデバイスとの間のゾーンに、第3の物質をエキストラクトとして取り出せるような大きな流れが存在するように、上述の導入および/または排出デバイスを介して調節される。クロマトグラフィー装置がこのように調節されると、第3の物質が、既知のクロマトグラフィー法で通常であるものとは違って、ゾーンI(ここからエキストラクトが取り出される)に圧入される。第3の物質は、公知のクロマトグラフィー法を使用すると、第1の物質と比較して短い保持のためにラフィネートとして取り出されるが、本発明によるとそれはエキストラクトとして取り出される。
【0010】
第3の物質を、第2の物質と一緒にエキストラクトとして取り出すことが特に有利であることが見出された。
【0011】
本発明の一実施形態では、溶離剤の導入のためのデバイス、エキストラクトの排出のためのデバイス、物質混合物の導入のためのデバイス、ラフィネートの排出のためのデバイスは、複数の導入-または排出接続部を有し、これらは、クロマトグラフィーカラムの異なるものの間に配置される。導入接続部または排出接続部には、好ましくは弁が設けられており、それらによって、物質混合物、溶離剤、エキストラクトおよび/ラフィネートのそれぞれの物質の流れ、特に流入および/または流出を、それぞれの導入接続部または排出接続部を介して調節することができる。本発明によれば、それぞれの物質の流れが、ゾーンが装置内において、異なるクロマトグラフィーカラムにおいて異なって/様々に形成されるように調節される。このようにして、本発明によるクロマトグラフィー法は、TMB-またはSMB法として実施することが可能である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、ラフィネートにおける第1の物質の含有率は、物質混合物における第1の物質の含有率よりも大きく、および好ましくは、エキストラクトにおける第2および/または第3の物質の含有率は、物質混合物における第2または第3の物質の含有率よりも大きい。好適には、ラフィネートにおける第1の物質の含有率が最大化され、および特に、エキストラクトにおける第2および/または第3の物質の含有率が最大化される。
【0013】
好適には、エキストラクトにおける第1の物質の含有率は、物質混合物における第1の物質の含有率よりも少なく、および好ましくは、ラフィネートにおける第2および/または第3の物質の含有率は、物質混合物における第2または第3の物質の含有率よりも少ない。
【0014】
好ましくは、エキストラクトにおける第1の物質の含有率は、ラフィネートにおける第1の物質の含有率よりも少なく、および好ましくは、ラフィネートにおける第2および/または第3の物質の含有率は、エキストラクトにおける第2または第3の物質の含有率よりも大きい。
【0015】
本発明の特に好ましい実施形態では、それぞれの物質の流れが、ラフィネートまたはエキストラクトにおいて上述の含有率比の少なくとも1つが達成されるように調節される。前記調節は、連続的に、特に好ましくは制御(Regelung)および/または調整(Steuerung)として行われる。
【0016】
好適には、クロマトグラフィー装置は、ラフィネートおよび/またはエキストラクトの物質特性の決定のための、任意選択的にさらに物質混合物および/または溶離剤の物質特性の決定のための少なくとも1つのデバイスを備え、特にラフィネート、エキストラクト、物質混合物および/または溶離剤の成分の含有率が決定される。
【0017】
好適には、前記装置内の物質混合物、溶離剤、ラフィネートおよび/またはエキストラクトの流れは、センサによる物質特性の決定の結果に応じて調節され、特に好ましくは制御される。
【0018】
本発明の一実施形態では、ラフィネートにおいて第1の物質の含有率が最大化され、および好ましくはラフィネートにおいて第2および/または第3の物質の含有率が最小化されるように、調整および/または制御される。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記の物質混合物は、脂肪酸混合物、好ましくは不飽和、特に多価不飽和脂肪酸の混合物であるか、またはそれを含む。特に好ましくは、脂肪酸混合物は、オメガ-3-脂肪酸を含有する。
【0020】
第1の、脂肪酸混合物から分離すべき物質は、好適には、多価不飽和脂肪酸、好ましくはオメガ-3-脂肪酸、特に好ましくはエイコサペンタエン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)である。EPAが第1の物質として物質混合物から分離される場合、DHAおよび/またはアラキドン酸(ARA)が、クロマトグラフィーの際により長い保持に付される第2の物質を形成することができる。クロマトグラフィーの際にEPAよりも長い保持に付され、エキストラクトとして取り出される第3の物質は、ステアリドン酸(SDA)であり得る。オメガ-3-脂肪酸の、特にエイコサペンタエン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)の取り出しの目的は、それぞれのオメガ-3脂肪酸を特に高濃度で含有する生成物を生成することであり得る。
【0021】
さらに、前記方法は、物質混合物中の所定の物質の含有率を減少させることを目的として実施することができる。例えば、前記方法により、アラキドン酸の含有率を低下させるために、アラキドン酸を第1の物質として、従ってラフィネートとして、オメガ-3-脂肪酸から取り出すことができる。引き続き、標的生成物がエキストラクトとして取り出される。
【0022】
本発明のさらなる実施形態において、物質混合物は、カルボン酸混合物、好ましくはカンナビノイド含有混合物であるか、またはそれを含む。第1の物質は、適当なカンナビジオール(CBD)である。あるいは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、特にΔ9-THCおよび/またはΔ8-THCが、第1の物質を形成することができる。これは、カルボン酸混合物から、特にカンナビノイドからTHCを除去すべき場合に、有利であることが分かる。
【0023】
CBDが第1の物質としてカルボン酸から分離される場合、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)および/またはカンナビジバリン酸(CBDVA)が第2の物質中で形成され得る。第3の物質は、カンナビゲロール(CBG)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCBA)、Δ9-および/またはΔ8-THC、および/またはカンナビゲロール酸(Cannibigerolsaeure)(CBGA)であり得る。
【0024】
本発明のさらなる実施形態において、前記物質混合物は、炎症収束性メディエーター(PRM:pre-resolving mediators)、好ましくは18-HEPE、17-HDHAおよび/または14-HDHA、および/または特異的炎症収束性メディエーター(SPM:specialized pre-resolving mediator)、好ましくはリポキシン、レゾルビン、プロテクチンおよび/またはマレシンの混合物であるか、またはそれを含む。
【0025】
本発明のさらなる実施形態において、第1の物質は、多価不飽和脂肪酸の、好ましくはエイコサペンタエン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはドコサペンタエン酸(DPA)の代謝産物であるか、または前記代謝産物と同じ化学組成を有する。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記方法は、好適には、好ましくはEPA、DHAにおよび/またはDPAに由来する、少なくとも1種の炎症収束性メディエーター(PRM)および/または少なくとも1種の特異的炎症収束性メディエーター(SPM)が、前記物質混合物から分離されるように実施される。
【0027】
炎症収束性メディエーター(PRM)は、好ましくは、18-HEPE、17-HDHA、14-HDHAの物質群からの少なくとも1種の物質である。
【0028】
特異的炎症収束性メディエーター(SPM)は、好ましくは、リポキシン、レゾルビン、プロテクチン、マレシンの物質群からの少なくとも1種の物質である。
【0029】
リポキシンは、好ましくは、LxA4(5S,6R,15S-トリヒドロキシ-7E,9E,11Z,13E-ETE)、LxB4(5S,14R,15S-トリヒドロキシ-6E,8Z,10E,12E-ETE)、15-epi-LxA4(5S,6R,15R-トリヒドロキシ-7E,9E,11Z,13E-エイコサテトラエン酸)、15-epi-LxB4(5S,14R,15R-トリヒドロキシ-6E,8Z,10E,12E-エイコサトリエン酸)の物質群からの少なくとも1種の物質である。
【0030】
レゾルビンは、好適には、EPA、DHAおよび/またはDPAに由来する。
【0031】
レゾルビンは、好ましくは、少なくとも
- RvE1(5S,12R,18R-トリヒドロキシ-6Z,8E,10E,14Z,16E-EPA)、18S-RvE1(5S,12R,18S-トリヒドロキシ-6Z,8E,10E,14Z,16E-EPA)、RvE2(5S,18R-ジヒドロキシ-6E,8Z,11Z,14Z,16E-EPA)、RvE3(17R,18R/S-ジヒドロキシ-5Z,8Z,11Z,13E,15E-EPA)の物質群からの物質、
および/または
- RvD1(7S,8R,17S-トリヒドロキシ-4Z,9E,11E,13Z,15E,19Z-DHA)、RvD2(7S,16R,17S-トリヒドロキシ-4Z,8E,10Z,12E,14E,19Z-DHA)、RvD3(4S,11R,17S-トリヒドロキシ-5Z,7E,9E,13Z,15E,19Z-DHA)、RvD4(4S,5R,17S-トリヒドロキシ-6E,8E,10Z,13Z,15E,19Z-DHA)、RvD5(7S,17S-ジヒドロキシ-4Z,8E,10Z,13Z,15E,19Z-DHA)、RvD6(4S,17S-ジヒドロキシ-5E,7Z,10Z,13Z,15E,19Z-DHA)の物質群からの物質、
および/または
- RvT1(7,13R,20-トリヒドロキシ-8E,10Z,14E,16Z,18E-DPA)、RvT2(7,8,13R-トリヒドロキシ-9E,11E,14E,16Z,19Z-DPA)、RvT3(7,12,13R-トリヒドロキシ-8Z,10E,14E,16Z,19Z-DPA)、RvT4(7,13R-ジヒドロキシ-8E,10Z,14E,16Z,19Z-DPA)の物質群からの物質、
である。
【0032】
プロテクチンは、好適には、DHAにおよび/またはDPAに由来する。
【0033】
プロテクチンは、好ましくは、少なくとも
- PD1またはNPD1(10R,17S-ジヒドロキシ-4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z-DHA)、PDX(10S,17S-ジヒドロキシ-4Z,7Z,11E,13Z,15E,19Z-DHA)、22-ヒドロキシ-PD1(10R,17S,22-トリヒドロキシ-4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z-DHA)、17-epi-PD1またはAT-PD1(10R,17R-ジヒドロキシ-4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z-DHA)、10-epi-PD1またはent-AT-NPD1(10S,17S-ジヒドロキシ-4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z-DHA)の物質群からの物質、
および/または
- PD1n-3(10,17-ジヒドロキシ-7,11,13,15,19-DPA)、PD2n-3(16,17-ジヒドロキシ-7,10,12,14,19-DPA)の物質群からの物質、
である。
【0034】
マレシンは、好適には、DHAにおよび/またはDPAに由来する。
【0035】
マレシンは、好ましくは、少なくとも
- MaR1(7R,14S-ジヒドロキシ-4Z,8E,10E,12Z,16Z,19Z-DHA)、MaR2(13R,14S-ジヒドロキシ-4Z,7Z,9E,11E,16Z,19Z-DHA)、7-epi-MaR1(7S,14S-ジヒドロキシ-4Z,8E,10Z,12E,16Z,19Z-DHA)、MaR-L1(14S,22-ジヒドロキシ-4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z-DHA)、MaR-L2(14R,22-ジヒドロキシ-4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z-DHA)の物質群からの物質、
および/または
- MaR1n-3(7S,14S-ジヒドロキシ-8E,10E,12Z,16Z,19Z-DPA)、MaR2n-3(13,14-ジヒドロキシ-7,9,111,16,19-DPA)、MaR3n-3(13,14-ジヒドロキシ-7,9,111,16,19-DPA)の物質群からの物質、
である。
【0036】
本発明はさらに、上記の分離方法を実施することができる装置に関する。前記装置は、上述のクロマトグラフィーカラムに加えて、上述の導入-および/または排出デバイス、好ましくはラフィネートおよび/またはエキストラクトの物質特性の決定のための、特に成分の含有率の決定のためのデバイスを備える。検出デバイスによって、好ましくは、物理的特性、特に、光吸収、蛍光、光散乱および/または熱伝導率、および/または、化学的特性、例えば呈色などが決定され、それによって、物質含有率が決定される。
【0037】
前記装置は、好ましくは、物質混合物、溶離剤、ラフィネートおよび/またはエキストラクトの、物質の流れ、特に流入および/または流出を調節するためのデバイスをさらに含む。
【0038】
本発明の特に好ましい実施形態において、前記装置は、物質の流れ、特に流入および/または流出を、検出デバイスによる決定の結果に応じて導入-および/または排出デバイスを介して、制御および/または調整するためのデバイスを備える。好ましくは、制御-および/または調整デバイスは、ラフィネートまたはエキストラクトにおいて上述の含有率比の少なくとも1つが達成されるように、それぞれの物質の流れを調節することが意図される。
【0039】
本発明はさらに、本発明による方法を実行することができるコンピュータプログラム製品に関する。前記コンピュータプログラム製品は、好適には、デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロードすることができ、および、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されているときに本発明による方法のステップを実行することができるソフトウェアセクションを含む。前記コンピュータプログラム製品は、好ましくは、本発明による装置と相互に作用するためのインターフェースを有する。前記コンピュータプログラム製品は、上述の調整-および/または制御デバイスを形成することができ、またはその一部であることができる。好ましくは、前記コンピュータプログラム製品は、特に前記インターフェースに基づいて、検出デバイスによる決定の結果を処理し、導入-および/または排出デバイスを調節することが意図される。
【0040】
好適には、上述のコンピュータプログラム製品は、コンピュータ上で実行される場合に、単一の方法ステップ、複数の方法ステップまたは全ての方法ステップを実行することが意図される。
【0041】
前記コンピュータプログラムは、好ましくは、揮発性または不揮発性データキャリア、好ましくはRAM、ROM、DRAM、SRAM、EPROM、EEPROMなどに、または機器、特にパーソナルコンピュータ、組み込みプロセッサを有する機器に記憶されたコンピュータプログラム製品、あるいは、コンピュータネットワーク、特にインターネットを介した送信に適した、データを表す信号系列である。
【0042】
本発明はさらに、上述のコンピュータ製品を転送するデータキャリア信号に関する。
【0043】
本発明を以下で、実施例および実施例に関する添付の図面に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図4】
図4および5は、異なる物質混合物の物質の保持時間に関する概略図を示す。
【
図5】
図4および5は、異なる物質混合物の物質の保持時間に関する概略図を示す。
【0045】
図1は、本発明によるクロマトグラフィー装置1を概略的に表しており、当該装置はクロマトグラフィーカラム2、3、4、5を含み、これらは互いに、これらが互いに流通接続するように接続されている。クロマトグラフィーカラム間に、接続部10、11、12、13が配置される。接続部10、11、12、13のいずれも、溶離剤の導入のためのデバイス6、エキストラクトの排出のためのデバイス7、物質混合物の導入のためのデバイス8、およびラフィネートの排出のためのデバイス9に接続されている。上記デバイス6、7、8、9はそれぞれ弁を有し、それらによって物質の流れ、特に溶離剤、エキストラクト、物質混合物またはラフィネートの流入/流出、特にそれぞれの流れの量を調節できる。
【0046】
前記装置は、エキストラクト中の第1の物質の含有率を決定するためのセンサ14と、ラフィネート中の第1の物質の含有率を決定するためのセンサ15とを備える。
【0047】
さらに、装置1は、特に上記弁の調節による、上記流入および/または流出の制御および/または調整のためのデバイス16を有する。制御および/または調節デバイス16は、好ましくは、センサ14、15によって提供されるデータの処理下で前記制御および/または調整を実行するように意図されたコンピュータプログラムが記憶されている組み込みプロセッサを備える。
【0048】
異なる弁の開位置または閉位置に応じて、溶離剤または物質混合物が供給される位置、ならびにエキストラクトまたはラフィネートが排出される位置を調節することができる。従って、異なるクロマトグラフィーカラム2、3、4、5において、様々に/異なってゾーンI、II、III、IVを形成することができ、
a)それぞれ、そこを介して溶離剤が導入される接続部と、そこを介してエキストラクトが排出される接続部との間の第1のゾーンI、
b)そこを介してエキストラクトが排出される接続部と、そこを介して物質混合物が導入される接続部との間の第2のゾーンII、
c)そこを介して物質混合物が導入される接続部と、そこを介してラフィネートが排出される接続部との間の第3のゾーンIII、および
d)そこを介してラフィネートが排出される接続部と、そこを介して溶離剤が導入される接続部との間の第4のゾーンIV、
が形成される。
【0049】
調整および/または制御デバイス16は、物質の流れ、特に流入および/または流出を調節するために、センサ16の信号に応じて弁の位置を調節するように設計される。異なるバルブの調節により、ゾーンI、II、III、IVを、クロマトグラフィーカラム2、3、4、5において様々に割り当てることができる。弁の位置の調節は、第1の物質をラフィネートとして取り出すことができるように行われる。
図2aは、クロマトグラフィーカラム2がゾーンIを形成し、クロマトグラフィーカラム3がゾーンIIを形成し、クロマトグラフィーカラム4がゾーンIIIを形成し、クロマトグラフィーカラム5がゾーンIVを形成する弁切換位置における本発明による装置1を示す。
【0050】
弁の切り替えによって、ゾーンI、II、III、IVをそれぞれ別のクロマトグラフィーカラム2、3、4、5において形成させることができ、例えば適切に弁を切り替えると、
図2bに示されるように、クロマトグラフィーカラム2はゾーンIVを、クロマトグラフィーカラム3はゾーンIを、クロマトグラフィーカラム4はゾーンIIを、クロマトグラフィーカラム5はゾーンIIIを形成することができる。弁の切り替えは、基本的には、公知のTMBまたはSMBクロマトグラフィー法で知られているように行われるが、以下に説明する条件を考慮して行われる。
【0051】
本発明による方法の実施を、物質混合物の異なる物質A、B、C、DおよびEの保持時間を示す
図3に基づいてより詳細に説明する。物質Dを、物質混合物から分離すべきである。物質Dは、
図3に示されるように、物質A、B、Cよりも長い保持時間を有し、物質Eよりも短い保持時間を有する。ラフィネートとして物質Dを取り出せるように、流入および流出を、ゾーンIIIを通って流れた後に物質Dをラフィネートとして取り出せるように調節する。物質Dよりも短い保持時間を有する物質A、B、Cは、ゾーンI後にエキストラクトとして取り出される。さらに、本発明によれば、前記流入および流出が特に、物質EがゾーンIに圧入され、ゾーンIにおいて物質A、B、Cと一緒にエキストラクトとして取り出せるような流れがゾーンIVにおいて形成されるように調節される。
【0052】
第1の具体的な実施例において、本発明による分離方法は、多価不飽和脂肪酸の物質混合物で実施される。前記物質混合物、特に油、例えば魚油、藻類油(Algenoel)および/または亜麻仁油は、DHA、ARA、EPAおよびSDAを有する。対応する保持時間を
図4に示す。EPAをラフィネートとして取り出すべきである。DHAおよびARAは、EPAよりも短い保持時間を有する。一方、SDAは、より長い保持時間を有する。従来のクロマトグラフィー法によれば、最初に一方ではDHAおよびARAに、他方ではEPAおよびSDAに基づいて物質分離を行い、次いで、EPAおよびSDAを含む既に分離された部分を、上記2つの成分の分離を行うためにさらに分離することが必要であろうが、上記で説明したように、本発明に従う方法の実施では、DHAおよびARAがエキストラクトとして取り出されるだけでなく、さらに、前記流入および流出を適切に調節すると、SDAもエキストラクトとして取り出される。EPAの取り出しは、専らラフィネートとして行われる。
【0053】
【表1】
表1は、ゾーンIVにおいて異なる流れQ
IVが調節される場合に、ラフィネート中に異なるSDAおよびEPAの含有率が得られることを示す。ゾーンIVに相対的により大きな流れが調節される場合、SDAの最低含有率を得ることができる。表1からも分かるように、ゾーンI、II、III、IVにおける異なる流れの調節は、異なる物質の流れ、特に、溶離剤(Q
Eluent)、物質混合物(Q
SG)、ラフィネート(Q
Raf)およびエキストラクト(Q
Extr)の流入および/または流出を調節することによって、達成される。
【0054】
さらなる実施例では、同じ物質混合物(
図4において保持時間が示されている)からアラキドン酸を除去するために、当該物質混合物からARAをラフィネートとして取り出すことが意図される。この場合、EPAおよびSDAがゾーンIに圧入され、それによってそれらがDHAと一緒にエキストラクトとして取り出せるように、物質の流れが調節される。そのためには、SMBクロマトグラフィーの従来の使用と比較して、より大きい流量がゾーンIVに供給されなければならないことが理解される。
【0055】
さらなる実施例では、カンナビジオールを含有する物質混合物の分離プロセスが実施される。
図5は、前記物質混合物の個々の選択された物質の保持時間、すなわち、CBDVA、CBD、Δ9-THC、Δ8-THCおよびCBGAの保持時間を、ダイアグラムにおいて概略的に示す。
【0056】
前記物質混合物からCBDを得ることが意図され、そのために、物質の流れが、クロマトグラフィーの実施の際に、CBDを唯一のラフィネートとして取り出せるように調節される。CBDよりも短い保持時間を有するCBDVA、ならびにCBDよりも長い保持時間を有するΔ9-THC、Δ8-THCおよびCBGAが、エキストラクトとして一緒に取り出される。
【0057】
さらに、Δ9-THCおよびΔ8-THCがラフィネートとして一緒に取り出されるように物質の流れを調節することによって、本発明の方法により、最後に挙げたカンナビジオール物質混合物からTHCを除去することが可能である。Δ9-THCおよびΔ8-THCよりも短い保持時間を有するCBDVAおよびCBD、ならびにΔ9-THCおよびΔ8-THCよりも長い保持時間を有するCBGAが、エキストラクトとして一緒に取り出される。
【国際調査報告】