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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】低摩擦ISBMボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240423BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240423BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B65D1/02 100
A23L5/00 G
B29C49/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566640
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022026660
(87)【国際公開番号】W WO2022232349
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,026
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391024559
【氏名又は名称】フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】マクロード,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー,フェンクイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,セオドア・ザサード
【テーマコード(参考)】
3E033
4B035
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033BB04
3E033BB05
3E033FA03
3E033GA02
4B035LC16
4B035LE11
4B035LP46
4B035LT16
4F208AA05
4F208AB06
4F208AB08
4F208AB12
4F208AG07
4F208AH55
4F208AR02
4F208AR06
4F208AR08
4F208LA01
4F208LA02
4F208LA04
4F208LB01
4F208LD14
4F208LG03
4F208LG28
4F208LN29
(57)【要約】
0.15~0.21の静的摩擦係数(COF)、0.06~0.1の動的COFを有する表面を含む射出延伸ブロー成形(ISBM)容器であって、表面が、直径14~16mmの水滴で表面を濡らした後、3分間まで76°以上の水接触角を保持し、容器が、GPCで測定して9以上の分散度(Mw/Mn);ASTM D-1238で測定して、ASTM D-1238;190℃/2.16kgで測定して1g/10分以上のMI2;及びASTM D-1693、Bで測定して100% Igepalでの>150時間の環境ストレス亀裂耐性(ESCR)を有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含むポリマー組成物で作製される、射出延伸ブロー成形(ISBM)容器が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出延伸ブロー成形(ISBM)容器であって:
0.15~0.21の静的摩擦係数(COF);及び
0.06~0.1の動的COF;
を有する表面と、
GPCで測定して9以上の分散度(Mw/Mn);
ASTM D-1238;190℃/2.16kgで測定して1g/10分以上のMI2;及び
ASTM D-1693、Bで測定して100% Igepalでの>150時間の環境ストレス亀裂耐性(ESCR)
有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含むポリマー組成物と、を含み、
前記表面は、直径14~16ミリメートルの水滴で表面を濡らした後、3分間まで76°以上の水接触角を有する、射出延伸ブロー成形(ISBM)容器。
【請求項2】
HDPE樹脂が、GPCで測定して9~12の分散度;ASTM D-1238;190℃/2.16kgで測定して1~8g/10分のMI2;及びASTM D-1693、Bで測定して100% Igepalでの180~300時間のESCRを有する、請求項1に記載のISBM容器。
【請求項3】
HDPE樹脂が:
ASTM D792で測定して0.94g/cc~0.97g/ccの密度;
15,000Pa・sec~250,000Pa・secのゼロ剪断粘度;及び
GPCで測定して20,000g/mol以上のピーク分子量
を有する、請求項1又は2に記載のISBM容器。
【請求項4】
HDPE樹脂が:
ASTM D-1238;190℃/2.16kgで測定して2.0g/10分のMI2;
ASTM D-638、タイプIV試験片、2インチ/分で測定して4,600psiの引張強度@降伏点;
ASTM D-638、タイプIV試験片、2インチ/分で測定して>600%の破断点伸び;
ASTM D-790で測定して210kpsiの曲げ弾性率;
ASTM D-1693、Bで測定して>200時間の環境ストレス亀裂耐性(ESCR)100% lgepal;
260°Fのビカー;及び
ASTM D-792で測定して0.959g/cmの密度
を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のISBM容器。
【請求項5】
容器の横断面に沿った容器のルーメンの断面が、円形、卵形、楕円形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、丸みを帯びた正方形、丸みを帯びた長方形、丸みを帯びた五角形、丸みを帯びた六角形、丸みを帯びた七角形、丸みを帯びた八角形、丸みを帯びた九角形、又は丸みを帯びた十角形である、請求項1~4のいずれか一項に記載のISBM容器。
【請求項6】
断面が、六角形又は丸みを帯びた六角形である、請求項5に記載のISBM容器。
【請求項7】
ポリマー組成物が添加剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のISBM容器。
【請求項8】
添加剤が、酸捕捉剤、酸化防止剤、UV吸収剤、核剤、着色剤、潤滑剤、加工助剤、可塑剤、流量調整剤、又はそれらのいずれかの組み合わせである、請求項7に記載のISBM容器。
【請求項9】
核剤が、カルボキシレート塩、ジカルボキシレート塩、脂肪酸塩、ソルビトール誘導体、ノニトール誘導体、又はそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項8に記載のISBM容器。
【請求項10】
核剤が、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸二ナトリウム;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸のカルシウム塩;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、又はそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項8又は9に記載のISBM容器。
【請求項11】
着色剤が、二酸化チタン、カーボンブラック、多環式モノ-アゾ金属錯体、多環式ジ-アゾ金属錯体、又はそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のISBM容器。
【請求項12】
潤滑剤が、オレオアミド、エルカミド、ベヘンアミド、ポリエチレン中に分散されたシリカ修飾高分子量シロキサンポリマー、又はそれらのいずれかの組み合わせを含み、酸捕捉剤が、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルキト(hydrotalchite)、酸化亜鉛、又はそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のISBM容器。
【請求項13】
外面及び対向する内面を含み、内面が:
0.15~0.21の静的摩擦係数(COF);及び
0.06~0.1の動的COF
を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のISBM容器。
【請求項14】
液体又は半固体食品などの食品が、容器内に含まれ、内面の少なくとも一部と接触している、請求項1~13のいずれか一項に記載のISBM容器。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のISBM容器を製造するためのプロセスであって:
ポリマー組成物を射出成形してプリフォームを形成することと;
プリフォームを延伸ブローしてISBM容器を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項16】
プリフォームが所望の温度プロファイルを有するプリフォームを形成するように加熱調整され、所望の温度プロファイルを有するプリフォームは、ISBM容器を形成するように延伸ブローされる、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
1段階又は2段階射出延伸ブロー成形プロセスである、請求項15又は16に記載のプロセス。
【請求項18】
ポリマー組成物の射出成形条件が、350~550°Fの溶融温度及び/又は400~1000psiの射出圧力を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
延伸ブロー条件が、25~150cm/sの延伸速度及び/又は150~500psiの延伸圧力を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月28日に出願された米国仮特許出願第63/181,026号の優先権を主張し、該出願は、全目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
A. 発明の分野
本発明は、概して、射出延伸ブロー成形(ISBM)容器に関する。いくつかの局面では、本発明は、表面コーティングを使用することなく食品を容器から効率的に除去することを可能にする特性を有するISBM容器に関する。
【背景技術】
【0003】
B. 関連技術の説明
容器の内容物を空にした後に、より少ない残留内容物(例えば、食品)を保持する容器が求められている。そのような容器の利点は、廃棄物の低減、リサイクルの容易さ、使用の容易さ、環境への影響の低減、価格に対する価値の増大、及び/又は美的外観を含む。
【0004】
特許文献1は、潤滑表面コーティングを含む食品容器を開示している。この容器は、テクスチャ表面を濡らし、潤滑表面を提供する液体コーティングで含浸されたテクスチャ表面を含むことができる。このことは、容器からの内容物の除去を助けることができる。しかしながら、含浸液は容器の内容物と非混和性である必要があり、したがって、内容物と適合し又はカスタマイズされる必要がある。例えば、エネルギー飲料用の容器に使用される含浸液は、エネルギー飲料とは異なる特性(例えば、より高い親水性、より低い親水性、より高い疎水性、より低い疎水性など)を有する蜂蜜、サラダドレッシング、又は他の液体ではうまく機能しない場合がある。したがって、特許文献1に記載されるようなコーティングの使用は、容器製造業者が異なる内容物に対して異なる容器を作製することを望むという観点から、スケール経済性の欠如に起因する問題を被る可能性がある。異なるタイプの液体用の容器が異なる含浸液コーティングを含む可能性があり、したがって一緒にリサイクルされない可能性があることを考慮すると、このようなコーティングされた容器のリサイクルも、さらなる問題を引き起こす可能性がある。さらに、含浸液コーティングは、有毒であり、かつ/又は容器のバルクを構成する材料(例えば、熱可塑性材料)から除去するのが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9,371,173号明細書
【発明の概要】
【0006】
上述の問題の少なくともいくつかに対する解決策を提供する発見がなされた。一局面において、その解決策は、容器からの内容物(例えば、食品)の効率的な除去を可能にする表面特性を有する容器を製造するための、射出延伸ブロー成形(ISBM)プロセスと組み合わせた高密度ポリエチレン(HDPE)ポリマーの使用を含む。理論に拘束されることを望むものではないが、ISBMプロセスは、典型的に使用される押出ブロー成形(EBM)プロセスと比較して、HDPEポリマー組成物と組み合わせて、表面粗さ、摩擦係数、水接触角、及び/又は表面均一性にわたる容器の良好な表面特性を提供することができ、それによって、容器から内容物を除去することをより容易にすると考えられる。特定
の一局面では、ISBM容器を作製するために使用されるHDPEポリマー組成物は、(1)GPCで測定して9以上の分散度(Mw/Mn)、(2)ASTM D-1238、190℃/2.16kgで測定して1g/10分以上のMI2、(3)ASTM D-1238で測定して40以上の剪断応答(HLMI/MI2)、及び(4)ASTM D-1693、Bで測定して100% Igepalでの>150時間の環境ストレス亀裂抵抗(ESCR)を有することができる。本発明の容器の利点は、例えば、リサイクルプロセス中に容器の内容物を除去するために、より少ない水又は他の液体を使用することによって、より容易にリサイクルできることである。別の利点は、より容易な内容物の除去により、容器が「空」であるために「捨てられる」前に内容物を実際に使用できるため、容器の内容物の無駄を減らすことができることである。さらに、本発明の容器の別の利点は、容器が収容する内容物と容器を一致させる必要が低減され又はないため、容器を量産することができることである。すなわち、本発明の容器は、特定の内容物(例えば、食品内容物)にカスタマイズされる現在利用可能な容器で見られるカスタマイズ問題を回避又は低減することができる。さらに、コーティングを使用しないため、本発明の容器は一緒にリサイクルすることができるが、異なるコーティングを有するいくつかの現在利用可能な容器は、使用される異なるタイプのコーティングのために別々にリサイクルされる。
【0007】
本発明の一局面は、射出延伸ブロー成形(ISBM)容器に関する。このISBM容器は、0.15~0.21の静的摩擦係数(COF)及び0.06~0.1の動的COFを有する表面を含むことができる。この表面は、14~16mm、例えば約15mmの水滴で表面を濡らした後、3分間まで、水接触角76°以上を保持することができる。この表面は、容器の内部表面、例えば、容器内部の材料と接触する表面であり得る。材料及び内容物は、本明細書を通して交換可能に使用することができる。容器はHDPEを含むポリマー組成物の射出延伸ブロー成形によって作製することができ、HDPEは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して9以上の分散度(Mw/Mn);ASTM D-1238、190℃/2.16kgで測定して1g/10分以上のメルトインデックス(MI2);ASTM D-1238で測定して40以上の剪断応答(HLMI/MI2);及びASTM D-1693、Bで測定して100% Igepalでの>150時間の環境ストレス亀裂抵抗(ESCR)を有する。Mwは、GPCで測定したHDPEの重量平均分子量であり得る。Mnは、GPCで測定したHDPEの数平均分子量であり得る。HLMIは、高負荷メルトインデックスであり得る。いくつかの局面では、上述の表面特性を有する容器の表面は、コーティングを含まないか、又はコーティングを被覆されない。このような局面では、HDPEポリマー組成物は、容器の表面を形成する。
【0008】
いくつかの局面では、HDPEは、GPCで測定して9~12の分散度;ASTM D-1238、190℃/2.16kgで測定して1g/10分~8g/10分のMI2;ASTM D-1693、Bで測定してIgepalでの180~300時間のESCR
100%;又はそれらのいずれかの組み合わせを有することができる。いくつかの局面では、HDPE樹脂は、ASTM D792で測定して0.94g/cc~0.97g/ccの密度;15,000Pa・sec~250,000Pa・secのゼロ剪断粘度;GPCで測定して20,000g/mol以上のピーク分子量;又はそれらのいずれかの組み合わせを有することができる。いくつかの局面では、HDPEは、GPCで測定して9~12の分散度;ASTM D-1238、190℃/2.16kgで測定して1g/10分~8g/10分又は2/10分のMI2;ASTM D-1693、Bで測定してIgepalでの180~300時間のESCR 100%;ASTM D792で測定して0.94g/cc~0.97g/ccの密度;15,000Pa・sec~250,000Pa・secのゼロ剪断粘度;及びGPCで測定して20,000g/mol以上のピーク分子量を有することができる。いくつかの特定の局面では、HDPE樹脂は、ASTM D-1238、190℃/2.16kgで測定して2g/10分のMI2;ASTM D-638、タイプIV試験片、2インチ/分で測定して4,600の引張強度@
降伏点;ASTM D-638、タイプIV試験片、2インチ/分で測定して>600%の破断点伸び;ASTM D-790で測定して210kpsiの曲げ弾性率;ASTM
D-1693、Bで測定して>200時間のESCR 100% lgepal;及びASTM D-792で測定して0.958g/cmの密度を有することができる。
【0009】
例えば、ISBMによって本発明の容器を作製するために使用されるポリマー組成物は、少なくとも99重量%、又は99重量%~99.9重量%、又は99重量%~100重量%のHDPE及び任意的に1つ以上の添加剤を含むことができる。1つ以上の添加剤は、酸捕捉剤、酸化防止剤、UV吸収剤、核剤、着色剤、潤滑剤、加工助剤、可塑剤、流量調整剤、及びそれらのいずれかの組み合わせを含む群から選択することができる。いくつかの局面では、1つ以上の添加剤は、酸捕捉剤、核剤、着色剤及び/又は潤滑剤を含むことができる。核剤は、カルボキシレート塩、例えばジカルボキシレート塩及び/若しくは脂肪酸塩、ソルビトール誘導体、ノニトール誘導体、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、核剤は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸二ナトリウム;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸のカルシウム塩;ステアリン酸亜鉛;ステアリン酸カルシウム;1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール;タルク;安息香酸ナトリウム;又はそれらのいずれかの組み合わせであり得る。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、任意的に、0.01重量%~1重量%の核剤を含むことができる。着色剤は、二酸化チタン;カーボンブラック;多環式モノ-アゾ金属錯体、及び/若しくは多環式ジ-アゾ金属錯体などの有機染料;又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、0.01重量%~1重量%の着色剤を任意的に含むことができる。潤滑剤は、オレオアミド、エルカミド、ベヘンアミド、ポリエチレン中に分散されたシリカ修飾高分子量シロキサンポリマー、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、任意的に、0.01重量%~1重量%の潤滑剤を含むことができる。いくつかの局面では、酸捕捉剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、酸捕捉剤は、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、200~3000重量ppm、あるいは200~2000重量ppmの酸捕捉剤を任意的に含むことができる。
【0010】
本発明の容器は、いずれかの適切な形状及びサイズであり得る。いくつかの局面では、横断面、例えば、容器の長手方向軸に直交する面に沿った容器のルーメンの断面は、円形、卵形、楕円形、三角形、正方形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、丸みを帯びた三角形、丸みを帯びた正方形、丸みを帯びた長方形、丸みを帯びた五角形、丸みを帯びた六角形、丸みを帯びた七角形、丸みを帯びた八角形、丸みを帯びた九角形、又は丸みを帯びた十角形であり得る。いくつかの特定の局面では、断面は、六角形又は丸みを帯びた六角形であり得る。他の形状及び/又は断面形状を有する容器を容易に作製することができる。容器の長手方向軸に直交する面に沿ったルーメンの断面は、長手方向軸の長さに沿って形状及びサイズが変化し得る。容器の壁は、0.05~2mm又は0.1~1mmの厚さを有することができる。容器は、均一又は不均一な厚さを有する壁を有することができる。
【0011】
一局面は、ISBM容器を作製するためのプロセスに関する。ISBM容器は、ポリマー組成物の射出延伸ブロー成形によって作製することができる。射出延伸ブロー成形プロセスは、プリフォームを形成するためのポリマー組成物の射出成形、及びISBM容器を形成するためのプリフォームの延伸ブローを含むことができる。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、300~600°F、若しくは350~550°F、若しくは450~500°Fの溶融温度で溶融させることができ、及び/又は溶融したポリマー組成物を、
射出圧力400~1000psiでプリフォーム型に射出して、プリフォームを形成することができる。ポリマー組成物の射出成形は、押出機内で行うことができる。溶融温度は、ポリマー組成物に依存することができ、溶融温度は、溶融ポリマー組成物が押出機バレル内を自由に流れるが、溶融ポリマー組成物の比較的少ない分解が観察されるほど十分に低いように、十分に高くすることができる。いくつかの局面では、プリフォームは、管状の形状を有することができる。プリフォームは、フィニッシュとして知られる、ねじ山を含む形成されるISBM容器のネックを含むことができる。いくつかの局面では、所望の温度プロファイルを有するプリフォームを形成するようにプリフォームを調整することができ、所望の温度プロファイルを有するプリフォームを延伸ブローして、ISBM容器を形成することができる。いくつかの局面では、プリフォーム、例えば所望の温度プロファイルを有するプリフォームを25~150cm/sの延伸速度及び/又は150~500psiの延伸圧力で延伸ブローしてISBM容器を形成することができる。理論によって制限されることを意図するものではないが、伸縮速度は最終部品における材料分布に影響を及ぼし、圧力は部品の詳細及び充満度に影響を及ぼすと考えられる。圧力が低すぎる場合、生成された部品は、全ての所望の特徴を有しないことがある。
【0012】
ISBMプロセスは、1段階ISBMプロセス又は2段階ISBMプロセスであり得る。1段階ISBMプロセスでは、典型的にはプリフォームを形成する工程、プリフォームを調整する工程、及びプリフォームを延伸ブローする工程は、単一の機械で実行される。比較すると、典型的にはプリフォームを形成する工程である2段階ISBMは、プリフォームを調整する工程及び/又はプリフォームを延伸ブローする工程とは別の機械で実行される。いくつかの局面では、前述の表面特性を有する生成された容器の表面は、コーティングを含まないか、又はコーティングで被覆されない。このような局面では、HDPEポリマー組成物は、容器の表面を形成する。
【0013】
本発明の他の態様は、本出願を通して論じられる。本発明の一局面に関して議論されるいずれかの態様は、本発明の他の局面にも適用され、逆もまた同様である。本明細書に記載の各態様は、本発明の他の局面に適用可能な本発明の態様であると理解される。本明細書で論じられるいずれの態様又は局面も、本明細書で論じられる他の態様又は局面と組み合わせることができ、かつ/又は本発明のいずれかの方法又は組成物に関して実行することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物及びシステムを使用して本発明の方法を達成することができる。
【0014】
以下は、本明細書を通して使用される様々な用語及び語句の定義を含む。
【0015】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって理解されるものに近いものとして定義される。非限定的な一態様では、この用語は、10%以内、又は5%以内、又は1%以内、及び又は0.5%以内であると定義される。
【0016】
用語「重量%」、「体積%」、又は「mol%」は、それぞれ、成分を含む総重量に基づく、材料の総体積に基づく、又は総モルに基づく、成分の重量百分率、成分の体積百分率、又は成分のモル百分率を指す。非限定的な例では、材料100グラム中の成分10グラムは、成分10重量%である。
【0017】
用語「実質的に」及びその変形は、10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0018】
用語「阻害する」又は「減少させる」又は「防止する」又は「回避する」又はこれらの用語のいずれかの変形は、特許請求の範囲及び/又は明細書において使用される場合、所望の結果を達成するためのいずれかの測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0019】
用語「効果的」は、その用語が明細書及び/又は特許請求の範囲で使用される場合、所望の、予想される、又は意図される結果を達成するのに十分であることを意味する。
【0020】
特許請求の範囲又は明細書において用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「有する(having)」と併せて使用される場合、単語「a」又は「an」の使用は、「1つ」を意味する場合があるが、これはまた「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は1つを超える」とも一致する。
【0021】
語句「及び/又は」は、「及び」又は「又は」を含むことができる。例示すると、A、B、及び/又はCは、A単独、B単独、C単独、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、又はAとBとCの組み合わせを含むことができる。
【0022】
単語「含む(comprising)」(及び含む(comprising)のいずれかの形態、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(及び「有する(having)」のいずれかの形態、例えば「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含む(including)」(及び含む(including)のいずれかの形態、例えば「含む(includes)及び含む(include)」)、又は「含む(containing)」(及び含む(containing)のいずれかの形態、例えば「含む(contains)」及び「含む(contain)」)は、包括的又は開放的であり、追加の、引用されていない要素又は方法工程を排除しない。
【0023】
本発明のプロセス及びシステムは、明細書を通して開示される特定の成分(ingredients)、成分(components)、組成物、工程などを「含む」、「から本質的になる」、又は「からなる」ことができる。移行句「から本質的になる」に関して、非限定的な一局面では、本発明の容器及び容器の製造プロセスの基本的かつ新規な特徴は、0.15~0.21の静的摩擦係数(COF)及び0.06~0.1の動的COFを有する表面を有するISBM HDPE容器を含むことができる。
【0024】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明、及び実施例から明らかになるであろう。しかしながら、図面、詳細な説明、及び実施例は本発明の特定の態様を示しているが、例示のためだけに与えられており、限定することを意図しないことを理解するべきである。さらに、本発明の趣旨及び範囲内の変更及び修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになることが企図される。さらなる態様では、特定の態様の特徴が他の態様の特徴と組み合わされる場合がある。例えば、一態様の特徴が他の態様のいずれかの特徴と組み合わされる場合がある。さらなる態様では、本明細書に記載の特定の態様にさらなる特徴が追加される場合がある。
【0025】
本発明の利点は、以下の詳細な説明の恩恵を受け、添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例によるISBM HDPE容器の図。
図2】各容器から水を空にした後の、本発明のISBM HDPE容器とHDPE押出ブロー成形(EBM)容器との目視比較。
図3】直径約15mmの水滴で表面を濡らした後の、本発明のISBM HDPE容器とEBM HDPE容器の経時的な水接触角の比較。
図4】A)EBM HDPE及びB)ISBM HDPE容器表面の光学顕微鏡画像。
図5】A)EBM HDPE及びB)ISBM HDPE容器表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像。
図6】ISBM HDPE及びEBM HDPE容器表面の静的COF及び動的COF。
【0027】
本発明は様々な修正及び代替形態が可能であるが、その特定の態様が例として図面に示されている。図面は、縮尺通りではない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
容器から内容物を取り出すことに関する上述の問題の少なくともいくつかに対する解決策を提供する発見がなされた。一局面において、この解決策は、HDPEを含むポリマー組成物を含むISBM容器を提供することを含む。実施例において非限定的な方法で例示されるように、GPCで測定して9以上の分散度(Mw/Mn);ASTM D-1238、190℃/2.16kgで測定して1g/10分以上のMI2;ASTM D-1238で測定して40以上の剪断応答(HLMI/MI2);及びASTM D-1693、Bで測定して100% Igepalでの>150時間の環境ストレス亀裂抵抗(ESCR)を有するHDPEから作製されたISBM容器は、0.15~0.21の静的COF及び0.06~0.1の動的COFなどの比較的低い摩擦を有する表面を有することができる。
【0029】
本発明のこれらの局面及び他の非限定的な局面は、以下のセクションでさらに詳細に論じられる。
【0030】
A. 射出延伸ブロー成形(ISBM)容器
本発明のISBM HDPE容器は、HDPEを含むポリマー組成物の射出延伸ブロー成形によって作製することができる。この容器は、いずれかの適切な形状及び/又はサイズを有することができる。いくつかの局面において、容器は、0.1L~10Lのサイズ、又は少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10Lのいずれか1つのサイズ、又はこれらのいずれか1つに等しいサイズ、又はこれらのいずれか2つの間のサイズを有することができる。容器の壁は、0.05mm~2mm、又は0.1~1mmの厚さ、又は少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9及び2のいずれか1つの厚さ、又はこれらのいずれか1つに等しい厚さ、又はこれらのいずれか2つの間の厚さを有することができる。容器の壁は、独立して、均一及び/又は不均一な厚さを有することができる。
【0031】
いくつかの局面において、横断面、例えば、容器の長手方向軸に直交する面に沿った容器のルーメン又はボアの断面は、円形、卵形、楕円形、星形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、丸みを帯びた星形、丸みを帯びた三角形、丸みを帯びた正方形、丸みを帯びた長方形、丸みを帯びた五角形、丸みを帯びた六角形、丸みを帯びた七角形、丸みを帯びた八角形、丸みを帯びた九角形、丸みを帯びた十角形又は不規則な形状であり得る。容器は、均一又は不均一な形状を有することができる。図1を参照すると、本発明の一態様によるISBM容器100が示されている。容器は、長手方向軸101を有することができる。面102は、長手方向軸101に直交する平面であり得る。103は、面102に沿った容器100のルーメン又はボア104の断面を示す。長手方向軸101に直交する様々な面に沿ったルーメンの断面は、同様の又は異なる形状及び/又はサイズを有することができる。いくつかの特定の局面では、断面は、六角形又は丸みを帯びた六角形であり得る。本明細書で使用するとき、丸みを帯びた多角
形、例えば丸みを帯びた六角形は、丸みを帯びた角/縁を有する六角形を指すことができる。
【0032】
容器は、0.15~0.21の静的摩擦係数(COF)及び0.06~0.1の動的COFを有する内面、例えば内面の少なくとも一部又は内面全体を有することができる。内面に対向する外面は、同じ又は異なるCOFを有することができる。摩擦係数は、鋼に対して、表面に加えられる16.71Nの法線力で測定することができる。内面と鋼板との間のCOFは、2.5インチ×2.5インチスレッドにサイズ2.5インチ×1インチの容器の壁部を取り付けることにより測定できる。スレッドは、容器の壁面に加えられる法線力が16.71Nであるように装填することができる。スレッドは、6インチ/分の速度で引くことができる。静的COFは、移動の開始時に必要な力から計算することができ、動的COFは、2インチ~6インチの距離を引くのに必要な平均力から計算することができる。内面は、直径14~16mm又は約15mmの水滴で表面を濡らした後、76°以上、又は76°~82°の水接触角を3分間まで保持することができる。内面に対向する外面は、同じ又は異なる水接触角値又は特性を有することができる。いくつかの局面では、内面及び/又は外面は、コーティングで被覆されていない。このような局面では、HDPEポリマー組成物が容器の表面を形成する。
【0033】
本発明のISBM HDPE容器は、食品及び/又は消費者製品を収容するために使用され得、又は使用することができる。食品及び/又は消費者製品は、液体又は半固体製品を含むことができる。半固体製品は、典型的には、液体製品よりも高い粘度を有する。食品及び/又は消費者製品の非限定的な例は、ケチャップ、マスタード、マヨネーズ、シロップ、蜂蜜、ゼリー、ピーナッツバター、バター、チョコレートシロップ、ショートニング、バター、マーガリン、オレオ、グリース、ディップ、ヨーグルト、サワークリーム、アイスクリーム、粘着性食品(例えば、キャンディー、チョコレートシロップ、マッシュ、イーストマッシュ、ビールマッシュ、タフィー)、食品油、魚油、マシュマロ、生地、衣、焼き菓子、チューインガム、バブルガム、バター、チーズ、クリーム、クリームチーズ、マスタード、ヨーグルト、サワークリーム、カレー、ソース、アイバル、カレーウーストソース(curry wurst sauce)、サルサ・リサーノ、チャツネ、ペブレ、魚醤、ザジキ、シラチャーソース、ベジマイト、チミチュリ、HPソース/ブラウンソース、ハリッサ、コチュジャン、ホイシンソース、キムチ、チョルーラ・ホットソース、タルタルソース、タヒニ、フムス、七味唐辛子、ケチャップ、パスタソース、アルフレードソース、スパゲティソース、アイシング、デザートトッピング、ホイップクリーム、食品添加剤(例えば、オレイン酸エチル)、脂肪酸、タンパク質、植物油(例えば、オリーブ油、ライトオリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、菜種油、亜麻仁油(linseed oil)、ブドウ種子油、亜麻仁油、亜麻仁油(flaxseed oil)、キャノーラ油、ピーナッツ油、ベニバナ油、ヒマワリ油)、殺菌剤、化粧品、シャンプー、ローション、クリーム、ヘアジェル、練り歯磨き、及び/又は液体石鹸を含むが、これらに限定されない。
【0034】
B. HDPEポリマー組成物
ポリマー組成物又は樹脂は、少なくとも99重量%、又は99%重量%~99.9重量%、又は99重量%~100重量%、又は少なくとも99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9及び100%のいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間のHDPE、及び任意的に、0~1重量%、又は少なくとも0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9及び1重量%のいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間の総添加剤含有量を有する1つ以上の添加剤を含むことができる。
【0035】
i. HDPE
HDPEは、GPCで測定して100000~250000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。HDPEは、GPCで測定して9以上、又は9~12の分散度(Mw/Mn)を有することができる。HDPEは、GPCで測定して20,000g/mol以上、又は20,000~50000g/molのピーク分子量を有することができる。HDPEは、ASTM D-1238;190℃/2.16kgで測定して1g/10分以上、又は1g/10分~8g/10分、又は少なくとも1、2、3、4、5、6、7及び8g/10分のいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間のMI2を有することができる。HDPEは、ASTM D-1693で測定して100% Igepalでの150時間超、又は160時間超、又は170時間超、又は180時間超、又は180時間~300時間の環境ストレス耐性(ESCR)を有することができる。HDPEは、ASTM D792で測定して0.94g/cc~0.97g/ccの密度、又は少なくとも0.94、0.945、0.95、0.955、0.96、0.965及び0.97g/ccのいずれか1つの密度、又はそれらのいずれか1つに等しい密度、又はそれらのいずれか2つの間の密度を有することができる。HDPEは、15000Pa・sec~250000Pa・secのゼロ剪断粘度、又は少なくとも15000、25000、50000、75000、100000、125000、150000、175000、200000、225000及び250000Pa・secのいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間のゼロ剪断粘度を有することができる。HDPEは、メタロセン又は非メタロセンHDPEであり得る。HDPEは、単峰性又は二峰性HDPEであり得る。特定の局面では、HDPEは、非メタロセン二峰性HDPEであり得る。
【0036】
使用されるHDPEは、本明細書に記載の特性のうちの少なくとも1つ、又はそれらのいずれかの組み合わせ、又はそれらの全てを有することができる。
【0037】
いくつかの局面では、例えば異なる特性を有する2つ以上のHDPEの組み合わせを使用することができる。市販のHDPEの非限定的な例は、TOTALから入手可能な9260、SB1359NAを含む。
【0038】
ii. 添加剤
ポリマー組成物は、任意的に、1つ以上の添加剤を含むことができる。任意的な1つ以上の添加剤は、酸捕捉剤、酸化防止剤、UV吸収剤、核剤、着色剤、潤滑剤、加工助剤、可塑剤、流量調整剤、及びそれらのいずれかの組み合わせを含む群から選択することができる。
【0039】
核剤は、ジカルボキシレート塩及び/若しくは脂肪酸塩などのカルボキシレート塩、ソルビトール誘導体、ノニトール誘導体、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、核剤は、ヘキサヒドロフタル酸(HHPA)塩、例えば、HHPAのカルシウム、ストロンチウム、リチウム又は一塩基性アルミニウム塩;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸塩、例えば1,2-シクロヘキサンジカルボン酸のカルシウム塩;脂肪酸のリチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム又は亜鉛塩、例えばステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウム;1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール;タルク;安息香酸ナトリウム;又はそれらのいずれかの組み合わせであり得る。理論に拘束されることを望むものではないが、核剤を添加することによって比較的高い結晶化度及び均一な結晶構造を有する組成物を得ることができると考えられる。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、任意的に、0.01重量%~1重量%、又は少なくとも0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9及び1重量%のいずれか1つ、又はそれらのいずれ
か1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間の核剤を含むことができる。
【0040】
着色剤は、有機顔料、無機顔料、カーボンブラック、白色顔料、及び/又はアルミニウム顔料であり得る。有機顔料は、多環式モノ-アゾ金属錯体及び/又は多環式ジ-アゾ金属錯体などの有機染料であり得る。無機顔料は、金属塩、又は二酸化チタンなどの金属酸化物であり得る。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、任意的に、0.01重量%~1重量%、又は少なくとも0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、及び1重量%のいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらいずれか2つの間の着色剤を含むことができる。
【0041】
潤滑剤は、オレオアミド、エルカミド、ベヘンアミド、商品名MB50-802でDOW CORNINGから入手可能なポリエチレン中に分散されたシリカ修飾高分子量シロキサンポリマー、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、0.01重量%~1重量%、又は少なくとも0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、及び1重量%のいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間の潤滑剤を任意的に含むことができる。
【0042】
酸捕捉剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、若しくは酸化亜鉛、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、酸捕捉剤は、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、ポリマー組成物は、200~3000ppm、あるいは200~2000ppm、又は少なくとも200、400、600、800、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800及び3000ppmのいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間の酸捕捉剤を含むことができる。
【0043】
C. ISBM HDPE容器の調製方法
本発明のISBM HDPE容器は、HDPEポリマー組成物の射出延伸ブロー成形により調製することができる。射出延伸ブロー成形プロセスは、HDPEポリマー組成物を射出成形してプリフォームを形成し、プリフォームを延伸ブローしてISBM容器を形成することを含むことができる。いくつかの局面では、射出成形プロセスは、ポリマー組成物の成分、例えばHDPE及び任意的な1つ以上の添加剤を混合、例えば乾燥ブレンドすること、ポリマー組成物を溶融すること、及び溶融したポリマー組成物をプリフォーム型に射出することを含むことができる。射出成形プロセスは、押出機を用いて行うことができる。使用される押出機は、当技術分野で公知の適切な押出機であり得る。溶融したHDPEポリマー組成物の温度は、溶融HDPEポリマー組成物が押出機バレル内を自由に流れるが、ポリマー組成物の比較的少ない分解が観察されるほど十分に低いように、十分に高くすることができる。いくつかの局面において、HDPEポリマー組成物は、300~600°F、又は350~550°F、又は450~500°F、又は少なくとも300、350、400、450、500、550、及び600°Fのいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間の溶融温度で溶融することができる。射出成形プロセスの射出圧力は、400~1000psi、又は少なくとも400、500、600、700、800、900、及び1000psiのいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間であり得る。プリフォーム型は、マルチキャビティ型であってもよく、例えば、複数のプリフォームを一緒に形成することができる。プリフォームは、1mm~8mmの壁厚、8cm~15cmの長さ、及び/又は30mm~40mmの断面直径若しくは幅を有することができる。プリフォームは、フィニッシュとして知られる、ねじ山を含む形成されるISBM HDPE容器
のネックを含むことができる。いくつかの局面では、射出成形によって形成されるプリフォームは、所望の温度プロファイルを有するプリフォームを形成するように調整することができ、所望の温度プロファイルを有するプリフォームを延伸ブローしてISBM HDPE容器を形成することができる。いくつかの局面では、調整プロセスは、プリフォームを適切なデバイス、例えば反射式放射熱オーブン、エアナイフなどで加熱すること、及び任意的にプリフォームを通して熱を分散させることを含むことができる。
【0044】
延伸ブロープロセスは、プリフォームに空気を吹き込むことを含むことができる。いくつかの局面において、プリフォーム、例えば所望の温度プロファイルを有するプリフォームは、25~150cm/秒の延伸速度、又は少なくとも25、50、75、100、125及び150cm/秒のいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれか2つの間の延伸速度で、及び/又は150~500psiの延伸圧力、又は少なくとも150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、及び500psiのいずれか1つ、又はそれらのいずれか1つに等しい、又はそれらのいずれかの2つの間の延伸圧力で、加圧空気を用いて延伸ブローすることができる。特定の局面では、加圧空気で延伸ブローする前に、プリフォーム、例えば所望の温度プロファイルを有するプリフォームを、任意的に、中心ロッドによって軸方向に延伸して軸方向に延伸されたプリフォームを形成することができ、軸方向に延伸されたプリフォームを加圧空気で延伸ブローしてISBM容器を形成することができる。
【0045】
ISBMプロセスは、1段階ISBMプロセス又は2段階ISBMプロセスであり得る。1段階ISBMプロセスでは、典型的には、プリフォームを形成する工程、プリフォームを調整する工程、及びプリフォームを延伸ブローする工程は、単一の機械によって行うことができる。比較すると、2段階ISBMプロセスでは、典型的には、プリフォームを形成する工程は、プリフォームを調整する工程及び/又はプリフォームを延伸ブローする工程とは別の機械で行われる。
【実施例
【0046】
本発明を特定の実施例によってより詳細に説明する。以下の実施例は、説明の目的のためだけに提供され、決して本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更又は修正することができる様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【0047】
実施例1
射出延伸ブロー成形(ISBM)及び押出ブロー成形(EBM)容器
【0048】
TOTALから入手可能なHDPE樹脂SB1359NA(表1)の射出延伸ブロー成形によって、一般的なGatorade型ボトルに類似し、サイズ0.5リットルの六角形断面を有する射出延伸ブロー成形(ISBM)容器を製造した。比較実験では、正方形の押出ブロー成形(EBM)ボトルを、TOTALから入手可能なHDPE樹脂5502(表1)の押出ブロー成形によって調製した。用いたISBM条件を表2に提供する。EBMボトルは、UNILOY 250R1ブロー成形機で製造した。図2は、製造したボトルの幾何学的形状を示し、前列のボトル1~5はEBMボトルであり、後列のボトル1~5はISBMボトルである。
【表1】
【表2】
【0049】
ボトルを保水性に関して試験した。各セット、ISBM及びEBMボトルについて、5つのボトルを採取した。清潔で乾燥したボトルにラベルを付け、個々に秤量した。ボトルを水で満たし、5分間静置した。その後、ボトルを空にした。空にしている水がボトルの外面上に飛び散らないように注意した。ボトルを1回軽く振り、次いで直ちに秤量した。初期重量、最終重量、及びボトル内の水を空にした後に残った残留水の重量を表3に示す。表3に示すデータは、EBMボトルがISBMボトルと比較して、空にした後に、およそ2倍の残留水を保持することを示す(EBMで0.42g対ISBMで0.20g)。
【表3】
【0050】
残留水現象を補うために、内部ボトル表面を詳細に調査した。ボトルの内面の水接触角を、光学顕微鏡及び精密滴下装置を用いて測定した。ボトルの内面を直径約15mmの水滴で湿らせ、水接触角を1分間の増分で4分間モニターした。各ボトルタイプについて、実験を5回繰り返した。図3は、初期湿潤後4分間にわたるボトル表面の水接触角を示す。図3に示すように、両方の表面は、水滴が広がるにつれて接触角が徐々に低下する。ISBM表面は、より大きい接触角(EBMよりもおよそ5~6°大きい)を示し、より疎水性の表面を示す。ISBM表面はより疎水性であるので、空にする間の表面上の水のより容易な流れを予想することは合理的である。
【0051】
また、ボトル内面を光学及び走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて研究した。図4A及び4Bは、それぞれ、EBMボトルの内面及びISBMボトルの内面の光学顕微鏡画像を
示す。図4から分かるように、EBM表面はより無秩序な表面を示し、一方、ISBM表面は、より配向性があり、均一である。光学分光法で見られる現象は、表面のSEM画像でより詳細に観察することができる。図5A及び5Bは、それぞれ、EBMボトルの内面及びISBMボトルの内面のSEM画像を示す。図5から分かるように、EBM表面は材料のランダムな凝集体を含むように見え、一方、ISBM表面は高度に配向したポリマー鎖を含むように見える。
【0052】
鋼に対するボトル表面の静的及び動的摩擦係数(COF)を測定した。サイズ2.5インチ×1インチのボトル壁部を2.5インチ×2.5インチのスレッドに取り付け、静止鋼板を横切って引くことによりボトルの内面と鋼板との間のCOFを測定した。スレッドは、ボトル表面に加えられる法線力が合計16.71Nとなるように装填された。スレッドを6インチ/分の速度で引っ張った。次いで、移動の開始時に力を測定し(静的COFを計算するために使用)、2インチ~6インチの引張距離にわたって平均化した(動的COFを計算するために使用)。このプロセスを良好な再現性で三度繰り返した。ISBM及びEBM表面について得られた静的及び動的COFを図6に示す。図6から分かるように、ISBMボトルの内面は、EBMボトルの内面と比較して、著しく低い静的及び動的COFを示す。
【0053】
本出願の態様及びそれらの利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される態様の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び改変を本明細書で行うことができることを理解するべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、及び工程の特定の態様に限定されるものではない。当業者が上記の開示から容易に理解するように、現在存在するか、又は本明細書に記載される対応する態様と実質的に同じ機能を実行するか、若しくは実質的に同じ結果を達成する、後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又は工程を使用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又は工程をその範囲内に含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】