(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】NOxの選択的触媒還元及び炭化水素の分解及び転化のための触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/80 20060101AFI20240423BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20240423BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240423BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240423BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20240423BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01J29/80 A
B01J35/57 L ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 280
F01N3/08 B
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566778
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022061133
(87)【国際公開番号】W WO2022229237
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ドルナー,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ヤン マルティン
(72)【発明者】
【氏名】パチェット,ジョセフ エー
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む基材;基材の内壁の表面に配置されたコーティングであって、前記コーティングが、白金族金属、及び銅及び鉄のうちの1つ以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含み、10員環以上の多孔質ゼオライト材料をさらに含む、コーティング、を含む、NOxの選択的触媒還元、及び炭化水素の分解及び転化のための触媒に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む基材;
(ii)基材の内壁の表面に配置されたコーティングであって、前記コーティングが、白金族金属、及び銅及び鉄のうちの1つ以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含み、10員環以上の多孔質ゼオライト材料をさらに含む、コーティング
を含む、NOxの選択的触媒還元、及び炭化水素の分解及び転化のための触媒。
【請求項2】
前記コーティング(ii)が、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア及びセリアのうちの1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア及びシリカのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ又はジルコニアを含む非ゼオライト酸化物材料をさらに含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、好ましくはCHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは、前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有する、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、FER、MFI、BEA、MWW、AFI、MOR、OFF、MFS、MTT、FAU、LTL、MEI、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、好ましくはFAU、FER、MFI、BEA、MWW、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはFAU、FER、MFI及びBEAからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料であり、より好ましくは、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、好ましくは10員又は12員環の多孔質ゼオライト材料が、骨格型FAU又はFER又はMFI又はBEAを有するゼオライト材料である、請求項1から3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記コーティング(ii)に含まれる前記白金族金属がパラジウムである、請求項1から4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO
2:Al
2O
3として計算されるSiとAlのモル比が、2:1~60:1の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO
2:Al
2O
3として計算されるSiとAlのモル比が、4:1~20:1の範囲、好ましくは6:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲であり;又は
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型FERを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO
2:Al
2O
3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~30:1の範囲、好ましくは15:1~25:1の範囲、より好ましくは18:1~22:1の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO
2:Al
2O
3として計算されるSiとAlのモル比が、3:1~15:1の範囲、好ましくは4:1~10:1の範囲、より好ましくは4:1~8:1の範囲であり;又は
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO
2:Al
2O
3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~35:1の範囲、好ましくは20:1~32:1の範囲、より好ましくは25:1~30:1の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上を含み、
前記コーティング(ii)が、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を、それぞれの酸化物として計算して、前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~20質量%の範囲、より好ましくは5~20質量%の範囲、より好ましくは10~20質量%の範囲の量で含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
(ii)による前記コーティングが、
(ii.1)白金族金属及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む入口コート;及び
(ii.2)白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む出口コート;
を含み、好ましくは上記のものからなり、
前記入口コート(ii.1)が、(i)による前記基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、xが20~80、好ましくは30~60の範囲であり、
前記出口コート(ii.2)が、(i)による前記基材の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、yが20~80、好ましくは30~60の範囲である、請求項1から9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
前記入口コート(ii.1)中の前記白金族金属がパラジウムであり、前記入口コート(ii.1)中の前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含み;又は
前記入口コート(ii.1)中の前記白金族金属がパラジウムであり、前記入口コート(ii.1)中の前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは希土類元素成分を含み;又は
前記入口コート(ii.1)中の前記白金族金属がパラジウムであり、前記入口コート(ii.1)中の前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む、請求項10に記載の触媒。
【請求項12】
前記出口コート(ii.2)の8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO
2:Al
2O
3として計算されるSiとAlのモル比が、15:1~33:1の範囲、好ましくは15:1~20:1の範囲、又は好ましくは25:1~33:1の範囲である、請求項10又は11に記載の触媒。
【請求項13】
前記コーティング(ii)が単一コートである、請求項1から9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項14】
前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO
2:Al
2O
3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは15:1~20:1の範囲である、請求項13に記載の触媒。
【請求項15】
前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料と前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料との質量比が、2:1~15:1の範囲、好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である、請求項13又は14に記載の触媒。
【請求項16】
前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有し、鉄を含み;又は
前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有し、希土類元素成分を含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項17】
前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有し、鉄を含み;又は
前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FERを有する、請求項14から16のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項18】
NOxの選択的触媒還元、及び炭化水素の分解及び転化のための請求項1から17のいずれか一項に記載の触媒の、NOxの選択的触媒還元と炭化水素の分解及び転化を同時に行うための使用方法。
【請求項19】
ディーゼルエンジンから出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムが、
(a)入口端及び出口端を有する第1触媒であって、前記触媒が請求項1から17のいずれか一項に記載の触媒である、第1触媒;
(b)入口端及び出口端を有し、基材上に配置されたコーティングを含む第2触媒であって、前記コーティングが、非ゼオライト酸化物材料に担持された白金族金属を含み、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、第2触媒;
を含み、
(a)による前記第1触媒が、前記排気ガス処理システムの前記上流端の下流にある前記排気ガス処理システムの第1触媒であり、前記第1触媒の前記入口端が前記第1触媒の前記出口端の上流に配置されており;
前記排気ガス処理システムにおいて、(b)による前記第2触媒が、(a)による前記第1触媒の下流に配置され、前記第2触媒の前記入口端が、前記第2触媒の前記出口端の上流に配置されている、排気ガス処理システム。
【請求項20】
- 入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む基材;
- 基材の内壁の表面に配置された第1コーティングであって、前記コーティングが、非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属を含み、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、第1コーティング;
- 前記第1コーティングに配置された第2コーティングであって、前記コーティングが、白金族金属、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含み、10員環以上の多孔質ゼオライト材料をさらに含む、第2コーティング
を含む、NOxの選択的触媒還元、炭化水素の分解及び転化、及びアンモニアの酸化のための触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOxの選択的触媒還元及び炭化水素の分解及び転化のための触媒、並びに前記触媒及び下流の第2触媒を含む排気ガス処理システムに関する。さらに、本発明は、この触媒の調製方法、前記触媒及び前記システムの使用方法、並びにNOx及びHCを同時に転化するための方法に関する。さらに、本発明は、NOxの選択的触媒還元、アンモニア酸化、及び炭化水素の分解及び転化のための触媒、並びに前記触媒を含む排気ガス処理システムに関する。
【0002】
WO 2018/224651 A2は、パラジウム及びCu-ゼオライト材料を含むHC及びNOxの軽減のための第1触媒、及びそれに続いて、その下流にNOx還元成分及びアンモニア酸化成分を含む第2触媒を含む排気ガス処理システムに関する。
【0003】
US 10,589,261 B2は、第1SCR触媒を含有する第1ゾーン、及びアンモニアスリップ触媒(ASC)を含有する第2ゾーンを有する排気システムを開示しており、アンモニアスリップ触媒は第2SCR触媒及び酸化触媒を含有し、ASCはディーゼル酸化触媒(DOC)機能を有し、第1ゾーンは基材の入口側に位置し、第2ゾーンは基材の出口側に位置することが開示されている。
【0004】
さらに、CHA型の骨格構造を有する銅含有ゼオライト材料をベースとする密着型選択触媒還元(SCR)触媒は、エンジンから排出され、SCR触媒によって内部で生成される三酸化硫黄(SO3)により、上流の酸化触媒がないにもかかわらず、時間の経過とともに硫化する可能性があることが知られている問題である。ここで、「密着型」触媒という用語は、エンジンから排出される排気ガス流を受け取る最初の触媒を定義するために使用される。したがって、密着型SCR触媒は、硫酸化後のCARBのような超低の窒素酸化物(NOx)及び亜酸化窒素(N2O)の排出量を満たすのに十分な脱硝を提供できないという結果になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2018/224651 A2
【特許文献2】US 10,589,261 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、改善された触媒特性を示し、硫酸化失活後に完全に回復することができる、NOxの選択的触媒還元及び炭化水素の分解及び転化のための触媒を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、NOxの選択的触媒還元及び炭化水素の分解及び転化のための本発明の触媒は、改善された触媒特性を示し、硫化失活後に完全に回復できることが見出された。
【0008】
したがって、本発明は、
(i)入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む基材;
(ii)基材の内壁の表面に配置されたコーティングであって、前記コーティングが、白金族金属、及び銅及び鉄のうちの1つ以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含み、10員環以上の多孔質ゼオライト材料をさらに含む、コーティング
を含む、NOxの選択的触媒還元、及び炭化水素の分解及び転化のための触媒に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、2つの排気ガス処理システムの試験条件を示している。
【
図2】
図2は、2つの排気ガス処理システムの試験条件を示している。
【
図3】
図3は、2つの排気ガス処理システムの試験条件を示している。
【
図4】
図4は、305℃、325℃及び350℃の触媒1の入口温度を適用した場合の、比較用システムの触媒1及び触媒2の出口端で得られた異なる温度を示している。
【
図5】
図5は、305℃、325℃、350℃の触媒1の入口温度を適用した場合の、本発明のシステムの触媒1及び触媒2の出口端で得られた異なる温度を示している。
【
図6】
図6は、305℃、325℃及び350℃の触媒1の入口温度を適用した場合の、比較用システムの触媒1及び触媒2の出口端でのHCスリップを示している。
【
図7】
図7は、305℃、325℃、350℃の触媒1の入口温度を適用した場合の、本発明のシステムの触媒1及び触媒2の出口端でのHCスリップを示している。
【
図8】
図8は、実施例10及び12~15の触媒について、低温及び高温で測定したDeNOxを示している。
【
図9】
図9は、実施例10及び12~15の触媒について、低温及び高温で測定したN
2Oの生成を示している。
【
図10】
図10は、実施例10及び12~15の触媒について、低温及び高温で測定したNH
3スリップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる白金族金属は、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選択され、より好ましくは、パラジウム、白金及びロジウムからなる群から選択され、より好ましくは、パラジウム及び白金からなる群から選択される。コーティング(ii)に含まれる白金族金属がパラジウムであることがより好ましい。
【0011】
好ましくは、コーティングは、元素の白金族金属として計算して、2~100g/ft3の範囲、より好ましくは5~80g/ft3の範囲、より好ましくは7~60g/ft3の範囲、より好ましくは8~40g/ft3の範囲、より好ましくは10~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0012】
コーティング(ii)に関しては、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア及びセリアのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ、ジルコニア及びシリカのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ又はジルコニアを含む非ゼオライト酸化物材料をさらに含むことが好ましい。
【0013】
非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がジルコニアからなる。非ゼオライト酸化物材料の、より好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%がLa2O3として計算されるランタンからなる。
【0014】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有する。より好ましくは、コーティング(ii)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は、骨格型CHAを有する。
【0015】
8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなる。
【0016】
ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる。
【0017】
好ましくは、8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲である。8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、15:1~20:1の範囲であることがより好ましい。あるいは、8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、25:1~33:1の範囲であることがより好ましい。
【0018】
好ましくは、より好ましくは骨格型CHAを有する、コーティング(ii)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する。
【0019】
好ましくは、コーティング(ii)は、0.1~3.0g/in3の範囲、より好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.2g/in3の範囲、より好ましくは0.8~2.0g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0020】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は銅を含み、ここで、前記コーティングは、CuOとして計算して、コーティング(ii)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲の量で銅を含む。
【0021】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、FER、MFI、BEA、MWW、AFI、MOR、OFF、MFS、MTT、FAU、LTL、MEI、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、FAU、FER、MFI、BEA、MWW、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、FAU、FER、MFI及びBEAからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料である。より好ましくは、10員環以上の、より好ましくは10員又は12員環の多孔質ゼオライト材料は、骨格型FAU又はFER又はMFI又はBEAを有するゼオライト材料である。
【0022】
10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなる。
【0023】
10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる。
【0024】
好ましくは、10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、2:1~60:1の範囲、より好ましくは3:1~40:1の範囲、より好ましくは3:1~35:1の範囲である。
【0025】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、4:1~20:1の範囲、より好ましくは6:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である。
【0026】
あるいは、好ましくは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、骨格型FERを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~30:1の範囲、より好ましくは15:1~25:1の範囲、より好ましくは18:1~22:1の範囲である。
【0027】
あるいは、好ましくは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、3:1~15:1の範囲、より好ましくは4:1~10:1の範囲、より好ましくは4:1~8:1の範囲である。
【0028】
あるいは、好ましくは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~35:1の範囲、より好ましくは20:1~32:1の範囲、より好ましくは25:1~30:1の範囲である。
【0029】
本発明の文脈において、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む。あるいは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、そのH-形態であることが好ましい。
【0030】
より好ましくは、コーティング(ii)は、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を、それぞれの酸化物として計算して、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~20質量%の範囲、より好ましくは5~20質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、又はより好ましくは10~20質量%の範囲の量で含む。
【0031】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる前記ゼオライト材料は鉄を含む。好ましくは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が鉄を含む場合、コーティング(ii)は、Fe2O3として計算して、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、2~8質量%の範囲、より好ましくは2.5~6質量%の範囲、より好ましくは3~5.5質量%の範囲の量で鉄を含む。
【0032】
あるいは、好ましくは、コーティング(ii)に含まれる前記ゼオライト材料が希土類元素成分を含む。好ましくは、希土類元素成分は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Er、Y及びYbのうちの1種以上を含み、より好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Y、Yb及びGdのうちの1種以上を含み、より好ましくは、La及びCeのうちの1種以上を含む。
【0033】
より好ましくは、希土類元素成分の60~100質量%、より好ましくは80~100質量%がLa及び/又はCeからなる。換言すれば、コーティング(ii)に含まれる希土類元素成分において、La及び/又はCeが主な元素(単数又は複数)であることが好ましい。
【0034】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が希土類元素成分を含む場合、コーティング(ii)は、それぞれの酸化物(単数又は複数)として計算して、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、10~20質量%の範囲、より好ましくは12~18質量%の範囲、より好ましくは14~17質量%の範囲の量で希土類元素成分を含む。
【0035】
好ましくは、コーティング(ii)は、基材の軸方向長さの95~100%、より好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたって延びる。
【0036】
好ましくは、(ii)によるコーティングは、
(ii.1)白金族金属及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む入口コート;及び
(ii.2)白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、より好ましくは前記で定義したもの、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む出口コート;
を含み、より好ましくは上記のものからなり、
ここで、入口コート(ii.1)が、(i)による基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、xが20~80、より好ましくは30~60の範囲であり、
出口コート(ii.2)が、(i)による基材の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、yが20~80、より好ましくは30~60の範囲である。
【0037】
好ましくは、入口コート(ii.1)は基材(i)の内壁表面に配置され、好ましくは、出口コート(ii.2)は基材(i)の内壁表面に配置され、yは100-xである。
【0038】
好ましくは、入口コート(ii.1)に含まれる白金族金属は、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む10員環以上の多孔質ゼオライト材料に担持されている。
【0039】
好ましくは、入口コート(ii.1)中の白金族金属はパラジウムであり、入口コート(ii.1)中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料は骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む。あるいは、好ましくは、入口コート(ii.1)中の白金族金属はパラジウムであり、入口コート(ii.1)中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料は骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは、鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは、前記で定義した希土類元素成分を含む。あるいは、好ましくは、入口コート(ii.1)中の白金族金属はパラジウムであり、入口コート(ii.1)中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料は骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む。
【0040】
本発明の文脈において、入口コート(ii.1)の、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及びより好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる。
【0041】
好ましくは、入口コート(ii.1)は非ゼオライト酸化物材料、より好ましくは前記で定義した非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、ここで、入口コート(ii.1)に含まれる白金族金属が前記非ゼオライト酸化物材料上に担持され、入口コート(ii.1)が、入口コート(ii.1)の質量に基づいて、より好ましくは5~50質量%の範囲、より好ましくは10~50質量%の範囲の量で非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0042】
好ましくは、入口コート(ii.1)中の白金族金属がパラジウムであり、非ゼオライト酸化物材料がジルコニア又はアルミナを含み、入口コート(ii.1)中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む。あるいは、好ましくは、骨格型BEAを有するゼオライト材料がH-形態である。
【0043】
入口コート(ii.1)の、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及び任意に鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる。
【0044】
好ましくは、入口コート(ii.1)は、元素の白金族金属として計算して、5~40g/ft3の範囲、より好ましくは10~35g/ft3の範囲、より好ましくは15~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0045】
好ましくは、入口コート(ii.1)は、1~2g/in3の範囲、より好ましくは1.1~1.5g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0046】
入口コート(ii.1)の、好ましくは最大0.1質量%、より好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が8員環多孔質ゼオライト材料からなる。換言すれば、好ましくは、入口コート(ii.1)は実質的に8員環多孔質ゼオライト材料を含まない、より好ましくは8員環多孔質ゼオライト材料を含まない。
【0047】
好ましくは、出口コート(ii.2)の白金族金属は、出口コート(ii.2)の非ゼオライト酸化物材料に担持されている。
【0048】
好ましくは、出口コート(ii.2)は、0.05~1g/in3の範囲、より好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0049】
好ましくは、出口コート(ii.2)の8員環多孔質ゼオライト材料と出口コート(ii.2)の非ゼオライト酸化物材料との質量比は、3:1~20:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である。
【0050】
好ましくは、出口コート(ii.2)の8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲、又はより好ましくは25:1~33:1の範囲である。
【0051】
好ましくは、出口コート(ii.2)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は銅を含み、ここで、前記出口コート(ii.2)が、CuOとして計算して、出口コート(ii.2)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.75~5.5質量%の範囲、より好ましくは3~3.75質量%の範囲、又はより好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む。
【0052】
好ましくは、出口コート(ii.2)中の白金族金属はパラジウムであり、出口コート(ii.2)の非ゼオライト酸化物材料はジルコニアを含む。
【0053】
好ましくは、出口コート(ii.2)は、元素の白金族金属として計算して、5~25g/ft3の範囲、より好ましくは10~20g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0054】
好ましくは、出口コート(ii.2)は、1~4g/in3の範囲、より好ましくは1.5~2.5g/in3の範囲の担持量で8員環多孔質ゼオライト材料を含む。
【0055】
好ましくは、出口コート(ii.2)は金属酸化物バインダーをさらに含み、ここで、金属酸化物バインダーが、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくは、アルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくは、ジルコニアを含む。
【0056】
好ましくは、出口コート(ii.2)は、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む。
【0057】
出口コート(ii.2)の、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、及びより好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーからなる。
【0058】
出口コート(ii.2)の、好ましくは最大0.1質量%、より好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が、10員環以上の多孔質ゼオライト材料からなる。換言すれば、好ましくは、出口コート(ii.2)は、実質的に10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含まない、より好ましくは10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含まない。
【0059】
あるいは、好ましくは、(ii)によるコーティングは、
(ii.1)10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む入口コートであって、入口コート(ii.1)の最大0.1質量%、より好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が白金族金属からなる、入口コート;及び
(ii.2)白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、より好ましくは前記で定義したもの、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む出口コート;
を含み、より好ましくは上記のものからなり、
ここで、入口コート(ii.1)が、(i)による基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、xが20~80、より好ましくは30~60の範囲であり、
出口コート(ii.2)が、(i)による基材の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、yが20~80、より好ましくは30~60の範囲である。入口コートの組成に関しては、換言すれば、入口コート(ii.1)が、好ましくは実質的に白金族金属を含まない、より好ましくは白金族金属を含まない。
【0060】
あるいは、好ましくは、(ii)によるコーティングは、
(ii.1)白金族金属及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む入口コート;及び
(ii.2)非ゼオライト酸化物材料、より好ましくは前記で定義したもの、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む出口コート;
を含み、より好ましくは上記のものからなり、
ここで、入口コート(ii.1)が、(i)による基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、xが20~80、より好ましくは30~60の範囲であり、
出口コート(ii.2)が、(i)による基材の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、yが20~80、より好ましくは30~60の範囲である。出口コートの組成に関しては、換言すれば、出口コート(ii.2)が、好ましくは実質的に白金族金属を含まない、より好ましくは白金族金属を含まない。
【0061】
本発明の文脈において、あるいは、好ましくは、コーティング(ii)は単一コートである。
【0062】
好ましくは、コーティング(ii)の非ゼオライト酸化物材料はジルコニア又はアルミナを含み、ここで、コーティング(ii)が、より好ましくは、0.05~1g/in3、より好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0063】
好ましくは、コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、より好ましくは15:1~20:1の範囲である。
【0064】
好ましくは、コーティング(ii)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は銅を含み、ここで、前記コーティングが、CuOとして計算して、コーティング(ii)に含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む。
【0065】
好ましくは、コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料とコーティング(ii)の非ゼオライト酸化物材料との質量比は、2:1~15:1の範囲、より好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である。
【0066】
好ましくは、コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料とコーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料との質量比は、2:1~15:1の範囲、より好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である。
【0067】
好ましくは、コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有し、鉄を含む。
【0068】
あるいは、好ましくは、コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有し、前記で定義した希土類元素成分を含む。
【0069】
あるいは、好ましくは、コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有し、鉄を含む。
【0070】
あるいは、好ましくは、コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FERを有する。
【0071】
好ましくは、コーティング(ii)は金属酸化物バインダーをさらに含み、ここで、金属酸化物バインダーが、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくは、アルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含む。
【0072】
好ましくは、コーティング(ii)は、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で金属酸化物バインダーを含む。
【0073】
コーティング(ii)の、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、任意に鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む10員環以上の多孔質ゼオライト材料、白金族金属、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、より好ましくは前記で定義した非ゼオライト酸化物材料、及びより好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーからなる。
【0074】
基材(i)は、好ましくはフロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、より好ましくはフロースルー基材である。
【0075】
好ましくは、フロースルー基材(i)は、セラミック物質を含み、より好ましくはセラミック物質からなり、ここで、セラミック物質が、より好ましくは、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、より好ましくはコージェライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、より好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージェライトのうちの1種以上、より好ましくはコージェライトを含み、より好ましくは、上記のものからなる。本発明の文脈において、好ましくは、セラミック基材を含む本発明の触媒は、排ガス処理システムにおいてコーティングされない/触媒活性を有しない電気加熱デバイスの下流に配置することができる。
【0076】
あるいは、好ましくは、フロースルー基材(i)が金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなる。金属基材を含み、より好ましくは金属基材からなる触媒の基材に関しては、基材が本発明の触媒の使用目的に適していれば特に制限はない。好ましくは、金属物質は、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含み、より好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とからなる。より好ましくは、基材は電気的に加熱される。
【0077】
好ましくは、本発明の触媒は、基材(i)及びコーティング(ii)からなる。
【0078】
さらに、本発明の目的は、NOxの選択的触媒還元と炭化水素の分解及び転化を同時に行い、発熱により温度を生成させて脱硫することができる排気ガス処理システムを提供することであった。驚くべきことに、本発明の排気ガス処理システムは、NOxの選択的触媒還元と炭化水素の分解及び転化を同時に行い、発熱により温度を生成させて脱硫することができることが見出された。
【0079】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンから出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムに関し、前記排気ガス処理システムは、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムは、
(a)入口端及び出口端を有する第1触媒であって、前記触媒が本発明による触媒である、第1触媒;
(b)入口端及び出口端を有し、基材上に配置されたコーティングを含む第2触媒であって、このコーティングが、非ゼオライト酸化物材料に担持された白金族金属を含み、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、第2触媒;
を含み、
(a)による第1触媒が、排気ガス処理システムの上流端の下流にある排気ガス処理システムの第1触媒であり、第1触媒の入口端が第1触媒の出口端の上流に配置されており;
排気ガス処理システムにおいて、(b)による第2触媒が、(a)による第1触媒の下流に配置され、第2触媒の入口端が、第2触媒の出口端の上流に配置されている。
【0080】
好ましくは、(a)による第1触媒の出口端は、(b)による第2触媒の入口端と流体連通しており、(a)による第1触媒の出口端と(b)による第2触媒の入口端との間には、第1触媒から出る排ガス流を処理するための触媒が排ガス処理システムに配置されていない。
【0081】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングの白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選択され、より好ましくは、白金、パラジウム及びロジウムからなる群から選択され、より好ましくは、白金及びパラジウムからなる群から選択される。より好ましくは、第2触媒(b)の白金族金属が白金である。
【0082】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングは、元素の白金族金属、より好ましくは元素Ptとして計算して、0.1~10g/ft3、より好ましくは0.2~5g/ft3、より好ましくは0.5~4g/ft3、より好ましくは1~3g/ft3の範囲の担持量で、白金族金属、好ましくはPtを含む。
【0083】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングの非ゼオライト酸化物材料が、チタニア、ジルコニア、シリカ、アルミナ及びセリアのうちの1種以上、より好ましくはチタニア、ジルコニア及びアルミナのうちの1種以上、より好ましくはチタニア及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはチタニアを含み、ここで、第2触媒(b)のコーティングが、0.05~1g/in3、より好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0084】
非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がチタニアからなる。非ゼオライト酸化物材料の、より好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%が、SiO2として計算されるケイ素からなる。
【0085】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングが、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料を含む。好ましくは、第2触媒(b)のコーティングのゼオライト材料は骨格型CHAを有する。
【0086】
第2触媒(b)のコーティングのゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなる。
【0087】
前記ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる。
【0088】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングのゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲である。
【0089】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングのゼオライト材料、より好ましくは骨格型CHAを有する第2触媒(b)のコーティングのゼオライト材料は、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する。
【0090】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングは、1~6g/in3の範囲、より好ましくは1.5~4g/in3の範囲、より好ましくは2~3g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0091】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングに含まれるゼオライト材料は銅を含み、ここで、前記コーティングは、CuOとして計算して、第2触媒(b)のコーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む。
【0092】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングは金属酸化物バインダーをさらに含み、ここで、この金属酸化物バインダーが、より好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含む。
【0093】
好ましくは、第2触媒(b)のコーティングは、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料の質量に基づいて、1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む。
【0094】
好ましくは、第2コーティングの基材は、入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定される複数の通路を含み、ここで、より好ましくは、基材がフロースルー基材である。
【0095】
より好ましくは、第2触媒(b)のコーティングは、
- 基材の内壁の表面に配置されたボトムコートであって、前記ボトムコートが、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーを含む、ボトムコート;及び
- 前記ボトムコート上に配置されたトップコートであって、前記トップコートが、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーを含む、トップコート
を含む。
【0096】
好ましくは、ボトムコートは、基材の軸方向長さの入口端から出口端まで基材の軸方向長さのx%にわたって延び、ここで、xが90~100の範囲、好ましくは95~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲であり、トップコートは基材の軸方向長さの入口端から出口端まで基材の軸方向長さのy%にわたって延び、ここで、yが90~xの範囲、より好ましくはy=xである。
【0097】
あるいは、好ましくは、第2触媒(b)のコーティングは単一コートである。
【0098】
本発明の文脈において、好ましくは、第2触媒(b)の基材は、セラミック物質を含み、より好ましくはセラミック物質からなり、ここで、セラミック物質が、より好ましくは、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、より好ましくはコージェライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、より好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージェライトのうちの1種以上、より好ましくはコージェライトを含み、より好ましくは、上記のものからなる。あるいは、好ましくは、第2触媒(b)の基材は、金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなる。
【0099】
金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなる第2触媒(b)の基材に関して、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第2触媒の使用目的に適した基材であれば特に制限はない。好ましくは、金属物質は、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含み、より好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とからなる。基材は、さらに電気的に加熱することができる。
【0100】
好ましくは、第1触媒のコーティングが配置された第1触媒(a)の基材と、第2触媒のコーティングが配置された第2触媒(b)の基材とが一緒になって単一の基材を形成し、ここで、前記単一の基材が入口端及び出口端を有し、入口端が出口端の上流に配置されており、第1触媒のコーティングが、前記単一の基材の入口端から出口端に向かって、前記単一の基材上に配置され、第2触媒のコーティングが、前記単一の基材の出口端から入口端に向かって、前記単一の基材上に配置され、第1触媒のコーティングが基材長さの25~75%を覆い、第2触媒のコーティングが基材長さの25~75%を覆う。好ましくは、第1触媒のコーティングは、基材長さの30~70%、より好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を覆い、第2触媒のコーティングは、基材長さの30~70%、より好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を覆う。
【0101】
好ましくは、第1触媒のコーティングと第2触媒のコーティングは重ならない。
【0102】
本発明のさらなる目的は、改善された触媒特性を示し、硫化失活後に完全に回復することができる、NOxの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及び炭化水素の分解及び転化のための触媒を提供することであった。驚くべきことに、NOxの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及び炭化水素の分解及び転化のための本発明の触媒は、改善された触媒特性を示し、硫化失活後に完全に回復することができることが見出された。
【0103】
したがって、本発明は、
- 入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材軸方向の長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む基材;
- 基材の内壁の表面に配置された第1コーティングであって、前記コーティングが、非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属を含み、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、第1コーティング;
- 第1コーティングに配置された第2コーティングであって、前記コーティングが、白金族金属、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含み、10員環以上の多孔質ゼオライト材料をさらに含む、第2コーティング
を含む、NOxの選択的触媒還元、炭化水素の分解及び転化、及びアンモニアの酸化のための触媒に関する。
【0104】
好ましくは、第1コーティングは、元素の白金族金属、より好ましくは元素Ptとして計算して、0.1~20g/ft3の範囲、より好ましくは1~15g/ft3の範囲、より好ましくは3~10g/ft3の範囲、より好ましくは4~9g/ft3の範囲の担持量で、白金族金属、より好ましくはPtを含む。
【0105】
好ましくは、第1コーティングは、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料を含む。より好ましくは、第1コーティングのゼオライト材料は、骨格型CHAを有する。
【0106】
第1コーティングのゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなる。
【0107】
前記ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる。
【0108】
好ましくは、第1コーティングのゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲である。
【0109】
好ましくは、第1コーティングのゼオライト材料、より好ましくは骨格型CHAを有する第1コーティングのゼオライト材料は、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する。
【0110】
好ましくは、第1コーティングは、0.1~3g/in3の範囲、より好ましくは0.25~1g/in3の範囲、より好ましくは0.3~0.75g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0111】
好ましくは、第1コーティングに含まれるゼオライト材料は銅を含み、ここで、前記コーティングは、CuOとして計算して、第1コーティングに含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む。
【0112】
好ましくは、第1コーティングの非ゼオライト酸化物材料は、チタニア、ジルコニア、シリカ、アルミナ及びセリアのうちの1種以上、より好ましくはチタニア、ジルコニア及びアルミナのうちの1種以上、より好ましくはチタニア及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはチタニアを含む。
【0113】
好ましくは、第1コーティングは、第1コーティングに含まれる銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料の質量に基づいて、10~30質量%の範囲、より好ましくは15~25質量%の範囲の量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0114】
第1コーティングの非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がチタニアからなる。
【0115】
非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%は、SiO2として計算されるケイ素からなる。
【0116】
好ましくは、第1コーティングは金属酸化物バインダーをさらに含み、ここで、この金属酸化物バインダーが、より好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含む。
【0117】
好ましくは、第1コーティングは、第1コーティングに含まれる銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料の質量に基づいて、1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で金属酸化物バインダーを含む。
【0118】
好ましくは、第1コーティングは、
- 基材の内壁の表面に配置されたボトムコートであって、前記ボトムコートが、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーを含む、ボトムコート;及び
- 前記ボトムコート上に配置されたトップコートであって、前記トップコートが、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーを含む、トップコート
を含み、
ここで、ボトムコートが、より好ましくは、基材の軸方向長さの入口端から出口端まで基材の軸方向長さのx1%にわたって延び、x1が90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲であり、トップコートが、好ましくは、基材の軸方向長さの入口端から出口端まで基材の軸方向長さのy1%にわたって延び、y1が90~xの範囲、より好ましくはy1=x1である。
【0119】
あるいは、好ましくは、第1コーティングは単一コートである。
【0120】
本発明の文脈において、好ましくは、第1コーティングは、基材の軸方向長さの95~100%、好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたって延びる。
【0121】
あるいは、好ましくは、第1コーティングは、基材の軸方向長さの20~70%、好ましくは40~60%、より好ましくは45~55%にわたって延びる。より好ましくは、第1コーティングは、基材の出口端から入口端に向かって延びる。
【0122】
第1コーティングの、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーからなる。
【0123】
好ましくは、第2コーティングに含まれる白金族金属は、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選択され、より好ましくはパラジウム、白金及びロジウムからなる群から選択され、より好ましくはパラジウム及び白金からなる群から選択される。より好ましくは、第2コーティングに含まれる白金族金属はパラジウムである。
【0124】
好ましくは、第2コーティングは、元素の白金族金属として計算して、2~100g/ft3の範囲、より好ましくは5~80g/ft3の範囲、より好ましくは7~60g/ft3の範囲、より好ましくは8~40g/ft3の範囲、より好ましくは10~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0125】
好ましくは、第2コーティングは、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア及びセリアのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ、ジルコニア及びシリカのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ又はジルコニアを含む非ゼオライト酸化物材料をさらに含む。
【0126】
第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がジルコニアからなる。
【0127】
非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%が、La2O3として計算されるランタンからなる。
【0128】
好ましくは、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、CHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有する。より好ましくは、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は、骨格型CHAを有する。
【0129】
第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなる。
【0130】
ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる。
【0131】
好ましくは、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲、又はより好ましくは25:1~33:1の範囲である。
【0132】
好ましくは、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料、より好ましくは骨格型CHAを有する第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する。
【0133】
好ましくは、第2コーティングは、0.1~3.0g/in3の範囲、より好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.2g/in3の範囲、より好ましくは0.8~2.0g/in3の範囲の担持量で8員環多孔質ゼオライト材料を含む。
【0134】
好ましくは、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は銅を含み、ここで、前記コーティングが、CuOとして計算して、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲の量で銅を含む。
【0135】
好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、FER、MFI、BEA、MWW、AFI、MOR、OFF、MFS、MTT、FAU、LTL、MEI、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、好ましくは、FAU、FER、MFI、BEA、MWW、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくは、FAU、FER、MFI及びBEAからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料である。より好ましくは、10員環以上の、より好ましくは10員又は12員環の多孔質ゼオライト材料は、骨格型FAU又はFER又はMFI又はBEAを有するゼオライト材料である。
【0136】
10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなる。
【0137】
ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる。
【0138】
好ましくは、10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは3:1~40:1の範囲、より好ましくは3:1~35:1の範囲である。
【0139】
好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、4:1~20:1の範囲、より好ましくは6:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である。
【0140】
あるいは、好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FERを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~30:1の範囲、より好ましくは15:1~25:1の範囲、より好ましくは18:1~22:1の範囲である。
【0141】
あるいは、好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、3:1~15:1の範囲、より好ましくは4:1~10:1の範囲、より好ましくは4:1~8:1の範囲である。
【0142】
あるいは、好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~35:1の範囲、より好ましくは20:1~32:1の範囲、より好ましくは25:1~30:1の範囲である。
【0143】
本発明の文脈において、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む。あるいは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は、そのH-形態であることが考えられる。
【0144】
好ましくは、前記コーティングは、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を、それぞれの酸化物として計算して、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、1~20質量%の範囲、より好ましくは5~20質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、又はより好ましくは10~20質量%の範囲の量で含む。
【0145】
好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は鉄を含む。より好ましくは、第2コーティングは、Fe2O3として計算して、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、2~8質量%の範囲、より好ましくは2.5~6質量%の範囲、より好ましくは3~5.5質量%の範囲の量で鉄を含む。
【0146】
あるいは、好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は希土類元素成分を含み、ここで、この希土類元素成分が、より好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Er、Y及びYbのうちの1種以上を含み、より好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Y、Yb及びGdのうちの1種以上を含み、より好ましくは、La及びCeのうちの1種以上を含む。
【0147】
より好ましくは、希土類元素成分の60~100質量%、より好ましくは80~100質量%がLa及び/又はCeからなる。換言すれば、第2コーティングに含まれる希土類元素成分において、La及び/又はCeが主な元素(単数又は複数)であることが好ましい。
【0148】
好ましくは、第2コーティングに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が希土類元素成分を含む場合、第2コーティングは、より好ましくは、それぞれの酸化物(単数又は複数)として計算して、コーティング(ii)に含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、10~20質量%の範囲、より好ましくは12~18質量%の範囲、より好ましくは14~17質量%の範囲の量で希土類元素成分を含む。
【0149】
本発明の文脈において、好ましくは、第2コーティングは、基材の軸方向長さの95~100%、より好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたって延びる。
【0150】
好ましくは、第2コーティングは、
- 白金族金属及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む入口コート;及び
- 白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、好ましくは前記で定義したもの、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む出口コート;
を含み、より好ましくは上記のものからなり、
ここで、入口コートが、基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さのx2%にわたって延び、x2が20~80、より好ましくは30~60の範囲であり、
出口コートが、基材の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さのy2%にわたって延び、y2が20~80、より好ましくは30~60の範囲である。
【0151】
好ましくは、第2コーティングの入口コートは第1コーティング上に配置され、好ましくは、第2コーティングの出口コートは第1コーティング上に配置され、ここで、y2が100-x2である。
【0152】
好ましくは、第2コーティングの入口コートにおいて、白金族金属は、より好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む10員環以上の多孔質ゼオライト材料に担持されている。
【0153】
好ましくは、第2コーティングの入口コート中の白金族金属はパラジウムであり、好ましくは、第2コーティングの入口コート中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料は骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む。
【0154】
あるいは、好ましくは、第2コーティングの入口コート中の白金族金属はパラジウムであり、第2コーティングの入口コート中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料は骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは、鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは、前記で定義した希土類元素成分を含む。
【0155】
あるいは、好ましくは、第2コーティングの入口コート中の白金族金属はパラジウムであり、第2コーティングの入口コート中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料は骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む。
【0156】
第2コーティングの入口コートの、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及びより好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる。
【0157】
好ましくは、第2コーティングの入口コートは非ゼオライト酸化物材料、より好ましくは前記で定義した非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、ここで、第2コーティングの入口コートに含まれる白金族金属が前記非ゼオライト酸化物材料上に担持され、第2コーティングの入口コートがより好ましくは、第2コーティングの入口コートの質量に基づいて、より好ましくは10~50質量%の範囲の量で非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0158】
好ましくは、第2コーティングの入口コートに含まれる白金族金属はパラジウムであり、第2コーティングの入口コートに含まれる非ゼオライト酸化物材料はジルコニア又はアルミナを含み、第2コーティングの入口コートに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料は骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、ここで、前記ゼオライト材料が、より好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む。
【0159】
第2コーティングの入口コートの、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及びより好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる。
【0160】
好ましくは、第2コーティングの入口コートは、元素の白金族金属として計算して、5~40g/ft3の範囲、より好ましくは10~35g/ft3の範囲、より好ましくは15~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0161】
好ましくは、第2コーティングの入口コートは、1~3g/in3の範囲、より好ましくは1.5~2.5g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0162】
第2コーティングの入口コートの、好ましくは最大0.1質量%、より好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が8員環多孔質ゼオライト材料からなる。換言すれば、好ましくは、第2コーティングの入口コートは実質的に8員環多孔質ゼオライト材料を含まない、より好ましくは8員環多孔質ゼオライト材料を含まない。
【0163】
好ましくは、第2コーティングの出口コートの白金族金属は、第2コーティングの出口コートの非ゼオライト酸化物材料に担持されている。
【0164】
好ましくは、第2コーティングの出口コートは、0.05~1g/in3の範囲、より好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0165】
好ましくは、第2コーティングの出口コートの8員環多孔質ゼオライト材料と第2コーティングの出口コートの非ゼオライト酸化物材料との質量比は、3:1~20:1の範囲、より好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である。
【0166】
好ましくは、第2コーティングの出口コートの8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲である。より好ましくは、第2コーティングの前記出口コートは、CuOとして計算して、第2コーティングの出口コートに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.75~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む。
【0167】
あるいは、好ましくは、第2コーティングの出口コートの8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、15:1~33:1の範囲、より好ましくは25:1~33:1の範囲である。より好ましくは、第2コーティングの前記出口コートは、CuOとして計算して、第2コーティングの出口コートに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.75~5.5質量%の範囲、より好ましくは3~3.75質量%の範囲の量で銅を含む。
【0168】
好ましくは、第2コーティングの出口コートに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は銅を含み、ここで、第2コーティングの前記出口コートが、CuOとして計算して、第2コーティングの出口コートに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.75~5.5質量%の範囲、より好ましくは3~3.75質量%の範囲、又はより好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む。
【0169】
好ましくは、第2コーティングの出口コート中の白金族金属はパラジウムであり、第2コーティングの出口コートの非ゼオライト酸化物材料はジルコニアを含む。
【0170】
好ましくは、第2コーティングの出口コートは、元素の白金族金属として計算して、5~25g/ft3の範囲、より好ましくは10~20g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0171】
好ましくは、第2コーティングの出口コートは、1~4g/in3の範囲、より好ましくは1.5~2.5g/in3の範囲の担持量で8員環多孔質ゼオライト材料を含む。
【0172】
好ましくは、第2コーティングの出口コートは金属酸化物バインダーをさらに含み、ここで、金属酸化物バインダーが、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくは、アルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくは、ジルコニアを含む。
【0173】
好ましくは、第2コーティングの出口コートは、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む。
【0174】
第2コーティングの出口コートの、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、及びより好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーからなる。
【0175】
第2コーティングの出口コートの、好ましくは最大0.1質量%、より好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が、10員環以上の多孔質ゼオライト材料からなる。換言すれば、好ましくは、第2コーティングの出口コートは、実質的に10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含まない、より好ましくは10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含まない。
【0176】
あるいは、好ましくは、第2コーティングは単一コートである。
【0177】
好ましくは、第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料はジルコニア又はアルミナを含み、ここで、第2コーティングが、より好ましくは、0.05~1g/in3、より好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0178】
好ましくは、第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、より好ましくは15:1~20:1の範囲である。
【0179】
好ましくは、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料は銅を含み、ここで、前記コーティングが、CuOとして計算して、第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む。
【0180】
好ましくは、第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料と第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料との質量比は、2:1~15:1の範囲、より好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である。
【0181】
好ましくは、第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料と第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料との質量比は、2:1~15:1の範囲、より好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である。
【0182】
好ましくは、第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、好ましくは、第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有し、鉄を含む。
【0183】
あるいは、好ましくは、第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有し、前記で定義した希土類元素成分を含む。
【0184】
あるいは、好ましくは、第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有し、鉄を含む。
【0185】
あるいは、好ましくは、第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FERを有する。
【0186】
本発明の文脈において、好ましくは、第2コーティングは金属酸化物バインダーをさらに含み、ここで、金属酸化物バインダーが、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくは、アルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含む。より好ましくは、第2コーティングは、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む。
【0187】
第2コーティングの、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、任意に鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む10員環以上の多孔質ゼオライト材料、白金族金属、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、より好ましくは前記で定義した非ゼオライト酸化物材料、及びより好ましくは前記で定義した金属酸化物バインダーからなる。
【0188】
好ましくは、NOxの選択的触媒還元、炭化水素の分解及び転化、及びアンモニアの酸化のための触媒の基材は、好ましくはフロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、より好ましくはフロースルー基材である。より好ましくは、フロースルー基材は、セラミック物質を含み、より好ましくはセラミック物質からなり、ここで、セラミック物質が、より好ましくは、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、より好ましくはコージェライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、より好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージェライトのうちの1種以上、より好ましくはコージェライトを含み、より好ましくは、上記のものからなる。あるいは、より好ましくは、フロースルー基材は、金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなる。金属物質に関しては、基材がNOxの選択的触媒還元、炭化水素の分解及び転化、及びアンモニアの酸化のための本発明の触媒の使用目的に適していれば特に制限はない。好ましくは、金属物質は、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含み、より好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とからなる。好ましくは、基材は電気的に加熱される。
【0189】
好ましくは、NOxの選択的触媒還元、炭化水素の分解及び転化、及びアンモニアの酸化のための本発明の触媒は、基材、第1コーティング及び第2コーティングからなる。
【0190】
さらに、本発明は、
(1)コーティングされていない基材を提供する工程であって、前記基材が、入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む、工程と;
(2)水、白金族金属前駆体、好ましくはパラジウム塩、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、工程(1)で提供された基材の入口端から出口端に向かって基材の軸方向長さの90~100%にわたって、基材の内壁表面に配置する工程と;
(3)工程(2)により得られた基材上に配置されたスラリーを焼成し、HCの転化及びNOxの選択的触媒還元のための触媒を得る工程と
を含む、HCの分解及び転化、及びNOxの選択的触媒還元のための触媒、好ましくは、NOxの選択的触媒還元、及び炭化水素の分解及び転化のための本発明による触媒を調製する方法に関する。
【0191】
さらに、本発明は、
(1’)コーティングされていない基材を提供する工程であって、前記基材が、入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む、工程と;
(2’)水、白金族金属前駆体、好ましくはパラジウム塩、及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む第1スラリーを提供し、前記スラリーを、工程(1’)で提供された基材の入口端から出口端に向かって基材の軸方向長さのx%にわたって、基材の内壁表面に配置し、xが20~80、好ましくは30~60の範囲である、工程と;
(3’)工程(2’)により得られた基材上に配置されたスラリーを焼成し、入口コートを含む触媒を得る工程と、
(4’)水、白金族金属前駆体、好ましくはパラジウム塩、非ゼオライト酸化物材料、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む第2スラリーを提供し、前記スラリーを、工程(1’)で提供された基材の出口端から入口端に向かって基材の軸方向長さのy%にわたって、基材の内壁表面に配置し、yが20~80、好ましくは30~60の範囲である、工程と;
(5’)工程(4’)により得られた基材上に配置されたスラリーを焼成し、入口コート及び出口コートを含む触媒を得る工程と、
を含む、HCの分解及び転化、及びNOxの選択的触媒還元のための触媒、好ましくは、HCの分解及び転化、及びNOxの選択的触媒還元のための本発明による触媒を調製する方法に関する。
【0192】
さらに、本発明は、NOxの選択的触媒還元、及びHCの分解及び転化のための本発明による触媒の、NOxの選択的触媒還元とHCの分解及び転化を同時に行うための使用方法に関する。
【0193】
さらに、本発明は、
(i)NOx、アンモニア、一酸化窒素及び炭化水素のうちの1つ以上を含むガス流を提供する工程と;
(ii)工程(i)で提供されたガス流を本発明による触媒と接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元とHCの分解及び転化を同時に行う方法に関する。
【0194】
さらに、本発明は、HCの分解及び転化、NOxの選択的触媒還元、及びアンモニアの酸化のための本発明による触媒の、NOxの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及びHCの分解及び転化を同時に行うための使用方法に関する。
【0195】
さらに、本発明は、
(i’)NOx、アンモニア、一酸化窒素、及び炭化水素のうちの1つ以上を含むガス流を提供する工程と;
(ii’)工程(i’)で提供されたガス流を本発明による触媒と接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及びHCの分解及び転化を同時に行う方法に関する。
【0196】
さらに、本発明は、
HCの分解及び転化、NOxの選択的触媒還元、及びアンモニアの酸化のための本発明による触媒、及び
ディーゼル酸化触媒、触媒付きスートフィルター、選択触媒還元(SCR)触媒、SCR/AMOx触媒のうちの1つ以上
を含む、排気ガス処理システムに関する。
【0197】
好ましくは、このシステムは、HCの分解及び転化、NOxの選択的触媒還元、及びアンモニアの酸化のための触媒である本発明による触媒、ディーゼル酸化触媒、触媒付きスートフィルター、選択的触媒還元(SCR)触媒、及びSCR/AMOx触媒を含み、
ここで、本発明による触媒が、ディーゼル酸化触媒及び触媒付きスートフィルターの上流に配置され、ディーゼル酸化触媒がSCR触媒の上流に配置され、SCR触媒がSCR/AMOx触媒の上流に配置される。
【0198】
システムに使用されるSCR触媒については、NOxを選択的に触媒還元する効果のあるものであれば特に制限はない。任意の好適なSCR触媒を使用することができる。例えば、バナジウム含有SCR触媒を使用することができる。
【0199】
好ましくは、ディーゼル酸化触媒及び触媒付きスートフィルターを組み合わせて、フィルター上のディーゼル酸化触媒を得る。ディーゼル酸化触媒は、より好ましくは、スートフィルター上にコーティングされたディーゼル酸化触媒コーティングを含む。
【0200】
好ましくは、システムは、SCR触媒の上流及びディーゼル酸化触媒の下流に、還元剤インジェクター、より好ましくは尿素インジェクターをさらに含む。
【0201】
あるいは、好ましくは、システムは本発明による触媒及びディーゼル酸化触媒を含み、ここで、ディーゼル酸化触媒が本発明による触媒の上流に配置されている。
【0202】
好ましくは、システムは、ディーゼル酸化触媒の上流のHCインジェクター、ディーゼル酸化触媒の下流及び本発明による触媒の上流の還元剤インジェクター、より好ましくは尿素インジェクターをさらに含む。
【0203】
好ましくは、ディーゼル酸化触媒は、酸化物材料、より好ましくは非ゼオライト酸化物材料に担持された白金族金属を含み、ここで、ディーゼル酸化触媒が、より好ましくは層状DOC又は混合DOCである。
【0204】
さらに、本発明は、
(A)NOx、アンモニア、一酸化窒素、及び炭化水素のうちの1つ以上を含むガス流を提供する工程と;
(B)工程(A)で提供されたガス流を、本発明による排ガス処理システムに接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元と炭化水素の分解及び転化を同時に行い、発熱により温度を生成させて脱硫する方法に関する。
【0205】
本発明は、以下の第1セットの実施形態、及び示された従属関係及び後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって示される。このセットの実施形態は、以下に示されるように、以下の第2セットの実施形態と組み合わせることができる。特に、実施形態の範囲が言及される各例において、例えば、「実施形態1から4のいずれか一項に記載の触媒」などの用語の文脈において、この範囲内の全ての実施形態は、当業者に対して明示的に開示されることを意味する、すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2、3及び4のいずれか一項に記載の触媒」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。さらに、以下のセットの実施形態は、保護の範囲を決定する特許請求の範囲ではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様に向けられた説明の好適に構成された部分を表すことを明示的に留意されたい。
【0206】
1.(i)入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む基材;
(ii)基材の内壁の表面に配置されたコーティングであって、前記コーティングが、白金族金属、及び銅及び鉄のうちの1つ以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含み、10員環以上の多孔質ゼオライト材料をさらに含む、コーティング
を含む、NOxの選択的触媒還元、及び炭化水素の分解及び転化のための触媒。
【0207】
2.前記コーティング(ii)に含まれる前記白金族金属が、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選択され、好ましくはパラジウム、白金及びロジウムからなる群から選択され、より好ましくはパラジウム及び白金からなる群から選択され、より好ましくは、前記コーティング(ii)に含まれる前記白金族金属がパラジウムである、実施形態1に記載の触媒。
【0208】
3.前記コーティングが、元素の白金族金属として計算して、2~100g/ft3の範囲、好ましくは5~80g/ft3の範囲、より好ましくは7~60g/ft3の範囲、より好ましくは8~40g/ft3の範囲、より好ましくは10~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態1又は2に記載の触媒。
【0209】
4.前記コーティング(ii)が、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア及びセリアのうちの1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア及びシリカのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ又はジルコニアを含む非ゼオライト酸化物材料をさらに含む、実施形態1から3のいずれか一項に記載の触媒。
【0210】
5.前記非ゼオライト酸化物材料の、30~100質量%、好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がジルコニアからなり、
前記非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%がLa2O3として計算されるランタンからなる、実施形態4に記載の触媒。
【0211】
6.前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、好ましくはCHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは、前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有する、実施形態1から5のいずれか一項に記載の触媒。
【0212】
7.前記8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲、又はより好ましくは25:1~33:1の範囲であり;
前記ゼオライト材料の骨格構造の、より好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる、実施形態1から6のいずれか一項に記載の触媒。
【0213】
8.好ましくは骨格型CHAを有する、前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する、実施形態1から7のいずれか一項に記載の触媒。
【0214】
9.前記コーティング(ii)が、0.1~3.0g/in3の範囲、好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.2g/in3の範囲、より好ましくは0.8~2.0g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態1から8のいずれか一項に記載の触媒。
【0215】
10.前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が銅を含み、前記コーティングが、CuOとして計算して、前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の触媒。
【0216】
11.前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、FER、MFI、BEA、MWW、AFI、MOR、OFF、MFS、MTT、FAU、LTL、MEI、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、好ましくはFAU、FER、MFI、BEA、MWW、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはFAU、FER、MFI及びBEAからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料であり、より好ましくは、10員環以上の、好ましくは10員又は12員環の多孔質ゼオライト材料が、骨格型FAU又はFER又はMFI又はBEAを有するゼオライト材料である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の触媒。
【0217】
12.前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは3:1~40:1の範囲、より好ましくは3:1~35:1の範囲であり;
前記ゼオライト材料の骨格構造の、より好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる、実施形態1から11のいずれか一項に記載の触媒。
【0218】
13.前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、4:1~20:1の範囲、好ましくは6:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である、実施形態12に記載の触媒。
【0219】
14.前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型FERを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~30:1の範囲、好ましくは15:1~25:1の範囲、より好ましくは18:1~22:1の範囲である、実施形態12に記載の触媒。
【0220】
15.前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、3:1~15:1の範囲、好ましくは4:1~10:1の範囲、より好ましくは4:1~8:1の範囲であり;又は
前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~35:1の範囲、好ましくは20:1~32:1の範囲、より好ましくは25:1~30:1の範囲である、実施形態12に記載の触媒。
【0221】
16.前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上を含み、
前記コーティング(ii)が、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を、それぞれの酸化物として計算して、前記コーティング(ii)に含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~20質量%の範囲、より好ましくは5~20質量%の範囲、より好ましくは10~20質量%の範囲の量で含む、実施形態1から14のいずれか一項に記載の触媒。
【0222】
17.前記ゼオライト材料が鉄を含み、又は
前記ゼオライト材料が希土類元素成分を含み、前記希土類元素成分が、好ましくはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Er、Y及びYbのうちの1種以上を含み、より好ましくはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Y、Yb及びGdのうちの1種以上を含み、より好ましくはLa及びCeのうちの1種以上を含み、前記希土類元素成分の60~100質量%がLa及び/又はCeからなる、実施形態16に記載の触媒。
【0223】
18.前記コーティング(ii)が、基材の軸方向長さの95~100%、好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたって延びる、実施形態1から18のいずれか一項に記載の触媒。
【0224】
19.(ii)による前記コーティングが、
(ii.1)白金族金属及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む入口コート;及び
(ii.2)白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、より好ましくは実施形態4又は5で定義した非ゼオライト酸化物材料、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む出口コート;
を含み、より好ましくは上記のものからなり、
前記入口コート(ii.1)が、(i)による前記基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、xが20~80、好ましくは30~60の範囲であり、
前記出口コート(ii.2)が、(i)による前記基材の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、yが20~80、好ましくは30~60の範囲である、実施形態1から18のいずれか一項に記載の触媒。
【0225】
20.前記入口コート(ii.1)が前記基材(i)の内壁表面に配置され、
前記出口コート(ii.2)が前記基材(i)の内壁表面に配置され、yが100-xである、実施形態19に記載の触媒。
【0226】
21.実施形態19が実施形態16又は17に従属する限り、前記白金族金属が、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料に担持されている、実施形態19又は20に記載の触媒。
【0227】
22.前記入口コート(ii.1)中の前記白金族金属がパラジウムであり、前記入口コート(ii.1)中の前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む、実施形態19から21のいずれか一項に記載の触媒。
【0228】
23.前記入口コート(ii.1)中の前記白金族金属がパラジウムであり、前記入口コート(ii.1)中の前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは実施形態17で定義した希土類元素成分を含む、実施形態19から21のいずれか一項に記載の触媒。
【0229】
24.前記入口コート(ii.1)中の前記白金族金属がパラジウムであり、前記入口コート(ii.1)中の前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む、実施形態19から21のいずれか一項に記載の触媒。
【0230】
25.前記入口コート(ii.1)の、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及び好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる、実施形態19から24のいずれか一項に記載の触媒。
【0231】
26.前記入口コート(ii.1)が非ゼオライト酸化物材料、好ましくは実施形態4又は5で定義した非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、前記入口コート(ii.1)に含まれる前記白金族金属が前記非ゼオライト酸化物材料上に担持され、前記入口コート(ii.1)が、前記入口コート(ii.1)の質量に基づいて、好ましくは5~50質量%の範囲、より好ましくは10~50質量%の範囲の量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態19又は20の記載の触媒。
【0232】
27.前記入口コート(ii.1)中の前記白金族金属がパラジウムであり、前記非ゼオライト酸化物材料がジルコニア又はアルミナを含み、前記入口コート(ii.1)中の前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む、実施形態26の記載の触媒。
【0233】
28.前記入口コート(ii.1)の、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及び任意に鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる、実施形態26又は27の記載の触媒。
【0234】
29.前記入口コート(ii.1)が、元素の白金族金属として計算して、5~40g/ft3の範囲、好ましくは10~35g/ft3の範囲、より好ましくは15~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態19から28のいずれか一項に記載の触媒。
【0235】
30.前記入口コート(ii.1)が、1~2g/in3の範囲、好ましくは1.1~1.5g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態19から29のいずれか一項に記載の触媒。
【0236】
31.前記入口コート(ii.1)の、最大0.1質量%、好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が8員環多孔質ゼオライト材料からなる、実施形態19から30のいずれか一項に記載の触媒。
【0237】
32.前記出口コート(ii.2)の白金族金属は、前記出口コート(ii.2)の非ゼオライト酸化物材料に担持されている、実施形態19から31のいずれか一項に記載の触媒。
【0238】
33.前記出口コート(ii.2)が、0.05~1g/in3の範囲、好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態19から32のいずれか一項に記載の触媒。
【0239】
34.前記出口コート(ii.2)の8員環多孔質ゼオライト材料と前記出口コート(ii.2)の非ゼオライト酸化物材料との質量比が、3:1~20:1の範囲、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である、実施形態19から33のいずれか一項に記載の触媒。
【0240】
35.前記出口コート(ii.2)の8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、15:1~33:1の範囲、好ましくは15:1~20:1の範囲、又は好ましくは25:1~33:1の範囲である、実施形態19から34のいずれか一項に記載の触媒。
【0241】
36.前記出口コート(ii.2)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が銅を含み、前記出口コート(ii.2)が、CuOとして計算して、前記出口コート(ii.2)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.75~5.5質量%の範囲、より好ましくは3~3.75質量%の範囲、又はより好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態19から35のいずれか一項に記載の触媒。
【0242】
37.前記出口コート(ii.2)中の白金族金属がパラジウムであり、前記出口コート(ii.2)の非ゼオライト酸化物材料がジルコニアを含む、実施形態19から36のいずれか一項に記載の触媒。
【0243】
38.前記出口コート(ii.2)が、元素の白金族金属として計算して、5~25g/ft3の範囲、好ましくは10~20g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態19から37のいずれか一項に記載の触媒。
【0244】
39.前記出口コート(ii.2)が、1~4g/in3の範囲、好ましくは1.5~2.5g/in3の範囲の担持量で8員環多孔質ゼオライト材料を含む、実施形態19から38のいずれか一項に記載の触媒。
【0245】
40.前記出口コート(ii.2)が金属酸化物バインダーをさらに含み、前記金属酸化物バインダーが、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくは、ジルコニアを含み、
前記出口コート(ii.2)が、銅及び鉄のうちの1種以上を含む前記8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む、実施形態19から39のいずれか一項に記載の触媒。
【0246】
41.前記出口コート(ii.2)の、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、及び好ましくは実施形態40で定義した金属酸化物バインダーからなる、実施形態19から40のいずれか一項に記載の触媒。
【0247】
42.前記出口コート(ii.2)の、最大0.1質量%、好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が、10員環以上の多孔質ゼオライト材料からなる、実施形態19から41のいずれか一項に記載の触媒。
【0248】
43.前記コーティング(ii)が単一コートである、実施形態1から18のいずれか一項に記載の触媒。
【0249】
44.前記コーティング(ii)の非ゼオライト酸化物材料がジルコニア又はアルミナを含み、前記コーティング(ii)が、好ましくは0.05~1g/in3、より好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態43に記載の触媒。
【0250】
45.前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは15:1~20:1の範囲である、実施形態43又は44に記載の触媒。
【0251】
46.前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が銅を含み、前記コーティングが、CuOとして計算して、前記コーティング(ii)に含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態43から45のいずれか一項に記載の触媒。
【0252】
47.前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料と前記コーティング(ii)の非ゼオライト酸化物材料との質量比が、2:1~15:1の範囲、好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である、実施形態43から46のいずれか一項に記載の触媒。
【0253】
48.前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料と前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料との質量比が、2:1~15:1の範囲、好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である、実施形態43から47のいずれか一項に記載の触媒。
【0254】
49.前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有し、鉄を含む、実施形態43から48のいずれか一項に記載の触媒。
【0255】
50.前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有し、実施形態17で定義した希土類元素成分を含む、実施形態43から48のいずれか一項に記載の触媒。
【0256】
51.前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有し、鉄を含む、実施形態43から48のいずれか一項に記載の触媒。
【0257】
52.前記コーティング(ii)の8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記コーティング(ii)の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FERを有する、実施形態43から48のいずれか一項に記載の触媒。
【0258】
53.前記コーティング(ii)が金属酸化物バインダーをさらに含み、前記金属酸化物バインダーが、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、
前記コーティング(ii)が、銅及び鉄のうちの1種以上を含む前記8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む、実施形態1から18及び43から52のいずれか一項に記載の触媒。
【0259】
54.前記コーティング(ii)の、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、任意に鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む10員環以上の多孔質ゼオライト材料、白金族金属、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、好ましくは実施形態4又は5で定義した非ゼオライト酸化物材料、及びより好ましくは実施形態40で定義した金属酸化物バインダーからなる、実施形態1から53のいずれか一項に記載の触媒。
【0260】
55.前記基材(i)が、フロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、好ましくはフロースルー基材である、実施形態1から54のいずれか一項に記載の触媒。
【0261】
56.前記フロースルー基材(i)が、セラミック物質を含み、好ましくはセラミック物質からなり、前記セラミック物質が、好ましくはアルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコージェライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージェライトのうちの1種以上、より好ましくはコージェライトを含み、より好ましくは、上記のものからなる、実施形態55に記載の触媒。
【0262】
57.前記フロースルー基材(i)が金属物質を含み、好ましくは金属物質からなり、前記金属物質が、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含み、より好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とからなる、実施形態55に記載の触媒。
【0263】
58.前記基材が電気的に加熱される、実施形態57に記載の触媒。
【0264】
59.基材(i)及びコーティング(ii)からなる、実施形態1から58のいずれか一項に記載の触媒。
【0265】
60.ディーゼルエンジンから出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムが、
(a)入口端及び出口端を有する第1触媒であって、前記触媒が実施形態1から58のいずれか一項に記載の触媒である、第1触媒;
(b)入口端及び出口端を有し、基材上に配置されたコーティングを含む第2触媒であって、前記コーティングが、非ゼオライト酸化物材料に担持された白金族金属を含み、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、第2触媒;
を含み、
(a)による前記第1触媒が、前記排気ガス処理システムの前記上流端の下流にある前記排気ガス処理システムの第1触媒であり、前記第1触媒の前記入口端が前記第1触媒の前記出口端の上流に配置されており;
前記排気ガス処理システムにおいて、(b)による前記第2触媒が、(a)による前記第1触媒の下流に配置され、前記第2触媒の前記入口端が、前記第2触媒の前記出口端の上流に配置されている、排気ガス処理システム。
【0266】
61.(a)による前記第1触媒の前記出口端が、(b)による前記第2触媒の前記入口端と流体連通しており、(a)による前記第1触媒の前記出口端と(b)による前記第2触媒の前記入口端との間には、前記第1触媒から出る排ガス流を処理するための触媒が前記排ガス処理システムに配置されていない、実施形態60に記載の排気ガス処理システム。
【0267】
62.前記第2触媒(b)のコーティングの白金族金属が、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選択され、好ましくは白金、パラジウム及びロジウムからなる群から選択され、より好ましくは白金及びパラジウムからなる群から選択され、より好ましくは、前記第2触媒(b)の白金族金属が白金である、実施形態60又は61に記載の排気ガス処理システム。
【0268】
63.前記第2触媒(b)の前記コーティングが、元素の白金族金属、好ましくは元素Ptとして計算して、0.1~10g/ft3、好ましくは0.2~5g/ft3、より好ましくは0.5~4g/ft3、より好ましくは1~3g/ft3の範囲の担持量で、白金族金属、好ましくはPtを含む、実施形態60から62のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0269】
64.前記第2触媒(b)の前記コーティングの前記非ゼオライト酸化物材料が、チタニア、ジルコニア、シリカ、アルミナ及びセリアのうちの1種以上、好ましくはチタニア、ジルコニア及びアルミナのうちの1種以上、より好ましくはチタニア及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはチタニアを含み、前記第2触媒(b)の前記コーティングが、0.05~1g/in3、好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態60から63のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0270】
65.前記非ゼオライト酸化物材料の、30~100質量%、好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がチタニアからなり、
前記非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%が、SiO2として計算されるケイ素からなる、実施形態64に記載の排気ガス処理システム。
【0271】
66.前記第2触媒(b)の前記コーティングが、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料を含み、より好ましくは、前記第2触媒(b)の前記コーティングのゼオライト材料が骨格型CHAを有する、実施形態60から65のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0272】
67.前記第2触媒(b)の前記コーティングのゼオライト材料の骨格構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲であり;
前記ゼオライト材料の骨格構造の、より好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる、実施形態60から66のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0273】
68.前記第2触媒(b)の前記コーティングの前記ゼオライト材料、好ましくは骨格型CHAを有する前記第2触媒(b)の前記コーティングの前記ゼオライト材料が、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する、実施形態60から67のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0274】
69.前記第2触媒(b)の前記コーティングが、1~6g/in3の範囲、好ましくは1.5~4g/in3の範囲、より好ましくは2~3g/in3の範囲の担持量で前記ゼオライト材料を含む、実施形態60から68のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0275】
70.前記第2触媒(b)の前記コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が銅を含み、前記コーティングが、CuOとして計算して、前記第2触媒(b)の前記コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態60から69のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0276】
71.前記第2触媒(b)の前記コーティングが金属酸化物バインダーをさらに含み、前記金属酸化物バインダーが、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、
前記第2触媒(b)の前記コーティングが、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む、実施形態60から70のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0277】
72.第2コーティングの基材が、入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定される複数の通路を含み、好ましくは、基材がフロースルー基材である、実施形態60から71のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0278】
73.前記第2触媒(b)の前記コーティングが、
- 基材の内壁の表面に配置されたボトムコートであって、前記ボトムコートが、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは実施形態62で定義した金属酸化物バインダーを含む、ボトムコート;及び
- 前記ボトムコート上に配置されたトップコートであって、前記トップコートが、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは実施形態71で定義した金属酸化物バインダーを含む、トップコート
を含む、実施形態72に記載の排気ガス処理システム。
【0279】
74.前記ボトムコートが、前記基材の軸方向長さの入口端から出口端まで前記基材の軸方向長さのx%にわたって延び、xが90~100の範囲、好ましくは95~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲であり、前記トップコートが、前記基材の軸方向長さの入口端から出口端まで前記基材の軸方向長さのy%にわたって延び、yが90~xの範囲、より好ましくはy=xである、実施形態73に記載の排気ガス処理システム。
【0280】
75.前記第2触媒(b)の前記コーティングが単一コートである、実施形態60から72のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0281】
76.前記第2触媒(b)の前記基材が、セラミック物質を含み、好ましくはセラミック物質からなり、前記セラミック物質が、好ましくは、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコージェライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージェライトのうちの1種以上、より好ましくはコージェライトを含み、より好ましくは、上記のものからなる、実施形態60から75のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0282】
77.前記第2触媒(b)の前記基材が、金属物質を含み、好ましくは金属物質からなり、前記金属物質が、好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含み、より好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とからなる、実施形態60から75のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0283】
78.前記基材が電気的に加熱される、実施形態77に記載の排気ガス処理システム。
【0284】
79.前記第1触媒のコーティングが配置された前記第1触媒(a)の基材と、前記第2触媒のコーティングが配置された前記第2触媒(b)の基材とが一緒になって単一の基材を形成し、前記単一の基材が入口端及び出口端を含み、前記入口端が前記出口端の上流に配置されており、前記第1触媒のコーティングが、前記単一の基材の入口端から出口端に向かって、前記単一の基材上に配置され、前記第2触媒のコーティングが、前記単一の基材の出口端から入口端に向かって、前記単一の基材上に配置され、前記第1触媒のコーティングが基材長さの25~75%を覆い、前記第2触媒のコーティングが基材長さの25~75%を覆う、実施形態60から78のいずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【0285】
80.前記第1触媒のコーティングが、基材長さの30~70%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を覆い、前記第2触媒のコーティングが、基材長さの30~70%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を覆う、実施形態79に記載の排気ガス処理システム。
【0286】
81.前記第1触媒のコーティングと前記第2触媒のコーティングは重ならない、実施形態79又は80に記載の排気ガス処理システム。
【0287】
82. - 入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む基材;
- 基材の内壁の表面に配置された第1コーティングであって、前記コーティングが、非ゼオライト酸化物材料上に担持された白金族金属を含み、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、第1コーティング;
- 前記第1コーティングに配置された第2コーティングであって、前記コーティングが、白金族金属、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含み、10員環以上の多孔質ゼオライト材料をさらに含む、第2コーティング
を含む、NOxの選択的触媒還元、炭化水素の分解及び転化、及びアンモニアの酸化のための触媒。
【0288】
83.前記第1コーティングが、元素の白金族金属、好ましくは元素Ptとして計算して、0.1~20g/ft3の範囲、好ましくは1~15g/ft3の範囲、より好ましくは3~10g/ft3の範囲、より好ましくは4~9g/ft3の範囲の担持量で、白金族金属、好ましくはPtを含む、実施形態82に記載の触媒。
【0289】
84.前記第1コーティングが、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料を含み、より好ましくは、前記第1コーティングのゼオライト材料が骨格型CHAを有する、実施形態82又は83に記載の触媒。
【0290】
85.前記第1コーティングの前記ゼオライト材料の骨格構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲であり;
前記ゼオライト材料の骨格構造の、より好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる、実施形態82から84のいずれか一項に記載の触媒。
【0291】
86.前記第1コーティングのゼオライト材料、好ましくは骨格型CHAを有する前記第1コーティングのゼオライト材料が、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する、実施形態82から85のいずれか一項に記載の触媒。
【0292】
87.前記第1コーティングが、0.1~3g/in3の範囲、好ましくは0.25~1g/in3の範囲、より好ましくは0.3~0.75g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態82から86のいずれか一項に記載の触媒。
【0293】
88.前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が銅を含み、前記コーティングが、CuOとして計算して、前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態82から87のいずれか一項に記載の触媒。
【0294】
89.白金族金属を担持する前記第1コーティングの非ゼオライト酸化物材料が、チタニア、ジルコニア、シリカ、アルミナ及びセリアのうちの1種以上、好ましくはチタニア、ジルコニア及びアルミナのうちの1種以上、より好ましくはチタニア及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはチタニアを含み、前記第1コーティングが、前記第1コーティングに含まれる銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは10~30質量%の範囲、より好ましくは15~25質量%の範囲の量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態82から88のいずれか一項に記載の触媒。
【0295】
90.前記第1コーティングの前記非ゼオライト酸化物材料の、30~100質量%、好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がチタニアからなり、
前記非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%が、SiO2として計算されるケイ素からなる、実施形態89に記載の触媒。
【0296】
91.前記第1コーティングが金属酸化物バインダーをさらに含み、前記金属酸化物バインダーが、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、
前記第1コーティングが、前記第1コーティングに含まれる銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む、実施形態82から90のいずれか一項に記載の触媒。
【0297】
92.前記第1コーティングが、
- 基材の内壁の表面に配置されたボトムコートであって、前記ボトムコートが、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは実施形態91で定義した金属酸化物バインダーを含む、ボトムコート;及び
- 前記ボトムコート上に配置されたトップコートであって、前記トップコートが、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは実施形態91で定義した金属酸化物バインダーを含む、トップコート
を含み、
前記ボトムコートが、好ましくは、基材の軸方向長さの入口端から出口端まで基材の軸方向長さのx1%にわたって延び、x1が90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲であり、前記トップコートが、好ましくは、基材の軸方向長さの入口端から出口端まで基材の軸方向長さのy1%にわたって延び、y1が90~xの範囲、より好ましくはy1=x1である、実施形態82から91のいずれか一項に記載の触媒。
【0298】
93.前記第1コーティングが単一コートである、実施形態82から91のいずれか一項に記載の触媒。
【0299】
94.前記第1コーティングが、基材の軸方向長さの95~100%、好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたって延び、又は
前記第1コーティングが、基材の軸方向長さの20~70%、好ましくは40~60%、より好ましくは45~55%にわたって延び;より好ましくは、前記第1コーティングが基材の出口端から入口端に向かって延びる、実施形態82から93のいずれか一項に記載の触媒。
【0300】
95.前記第1コーティングの、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは実施形態91で定義した金属酸化物バインダーからなる、実施形態82から94のいずれか一項に記載の触媒。
【0301】
96.前記第2コーティングに含まれる白金族金属が、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群から選択され、好ましくはパラジウム、白金及びロジウムからなる群から選択され、より好ましくはパラジウム及び白金からなる群から選択され、より好ましくは、前記第2コーティングに含まれる白金族金属がパラジウムである、実施形態82から95のいずれか一項に記載の触媒。
【0302】
97.前記第2コーティングが、元素の白金族金属として計算して、2~100g/ft3の範囲、好ましくは5~80g/ft3の範囲、より好ましくは7~60g/ft3の範囲、より好ましくは8~40g/ft3の範囲、より好ましくは10~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態82から96のいずれか一項に記載の触媒。
【0303】
98.前記第2コーティングが、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア及びセリアのうちの1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア及びシリカのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはアルミナ又はジルコニアを含む非ゼオライト酸化物材料をさらに含む、実施形態82から97のいずれか一項に記載の触媒。
【0304】
99.前記第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料の、30~100質量%、好ましくは50~99質量%、より好ましくは70~95質量%、より好ましくは80~92質量%がジルコニアからなり、
前記非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは5~15質量%、より好ましくは6~12質量%が、La2O3として計算されるランタンからなる、実施形態98に記載の触媒。
【0305】
100.前記第2コーティングに含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFX、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは、前記第2コーティングに含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が、骨格型CHAを有する、実施形態82から99のいずれか一項に記載の触媒。
【0306】
101.前記第2コーティングに含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは15:1~33:1の範囲、より好ましくは15:1~20:1の範囲、又はより好ましくは25:1~33:1の範囲であり;
前記ゼオライト材料の骨格構造の、より好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる、実施形態82から100のいずれか一項に記載の触媒。
【0307】
102.前記第2コーティングに含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料、好ましくは骨格型CHAを有する前記第2コーティングに含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の、走査型電子顕微鏡によって決定される平均結晶子サイズを有する、実施形態82から101のいずれか一項に記載の触媒。
【0308】
103.前記第2コーティングが、0.1~3.0g/in3の範囲、好ましくは0.5~2.5g/in3の範囲、より好ましくは0.7~2.2g/in3の範囲、より好ましくは0.8~2.0g/in3の範囲の担持量で8員環多孔質ゼオライト材料を含む、実施形態82から102のいずれか一項に記載の触媒。
【0309】
104.前記第2コーティングに含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料が銅を含み、前記コーティングが、CuOとして計算して、前記第2コーティングに含まれる前記8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~15質量%の範囲、より好ましくは1.25~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~7質量%の範囲、より好ましくは2~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態82から103のいずれか一項に記載の触媒。
【0310】
105.前記第2コーティングに含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、FER、MFI、BEA、MWW、AFI、MOR、OFF、MFS、MTT、FAU、LTL、MEI、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、好ましくはFAU、FER、MFI、BEA、MWW、MOR、それらの2種以上の混合物、及びそれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはFAU、FER、MFI及びBEAからなる群から選択される骨格型を有するゼオライト材料であり、より好ましくは、10員環以上の、好ましくは10員又は12員環の多孔質ゼオライト材料が、骨格型FAU又はFER又はMFI又はBEAを有するゼオライト材料である、実施形態82から104のいずれか一項に記載の触媒。
【0311】
106.前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料の骨格構造の、95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がSi、Al及びOからなり、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは2:1~60:1の範囲、より好ましくは3:1~40:1の範囲、より好ましくは3:1~35:1の範囲であり;
前記ゼオライト材料の骨格構造の、より好ましくは最大1質量%、より好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.1質量%がPからなる、実施形態82から105のいずれか一項に記載の触媒。
【0312】
107.前記第2コーティングに含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、4:1~20:1の範囲、好ましくは6:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である、実施形態106に記載の触媒。
【0313】
108.前記第2コーティングに含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FERを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~30:1の範囲、好ましくは15:1~25:1の範囲、より好ましくは18:1~22:1の範囲である、実施形態106に記載の触媒。
【0314】
109.前記第2コーティングに含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、3:1~15:1の範囲、好ましくは4:1~10:1の範囲、より好ましくは4:1~8:1の範囲である、実施形態106に記載の触媒。
【0315】
110.前記第2コーティングに含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有するゼオライト材料である場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、10:1~35:1の範囲、好ましくは20:1~32:1の範囲、より好ましくは25:1~30:1の範囲である、実施形態106に記載の触媒。
【0316】
111.前記第2コーティングに含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料が、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上を含み、
前記コーティングが、鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を、それぞれの酸化物として計算して、前記第2コーティングに含まれる前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~20質量%の範囲、より好ましくは2~19質量%の範囲、より好ましくは3~18質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲、又はより好ましくは10~18質量%の範囲の量で含む、実施形態82から110のいずれか一項に記載の触媒。
【0317】
112.前記第2コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が鉄を含み、又は
前記第2コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が希土類元素成分を含み、前記希土類元素成分が、好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Er、Y及びYbのうちの1種以上を含み、より好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Y、Yb及びGdのうちの1種以上を含み、より好ましくは、La及びCeのうちの1種以上を含み、前記希土類元素成分の60~100質量%がLa及び/又はCeからなる、実施形態111に記載の触媒。
【0318】
113.前記第2コーティングが、基材の軸方向長さの95~100%、好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたって延びる、実施形態82から112のいずれか一項に記載の触媒。
【0319】
114.前記第2コーティングが、
- 白金族金属及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む入口コート;及び
- 白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、好ましくは実施形態98又は99で定義した非ゼオライト酸化物材料、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む出口コート;
を含み、好ましくは上記のものからなり、
前記入口コートが、基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さのx2%にわたって延び、x2が20~80、好ましくは30~60の範囲であり、
前記出口コートが、基材の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さのy2%にわたって延び、y2が20~80、より好ましくは30~60の範囲である、実施形態82から113のいずれか一項に記載の触媒。
【0320】
115.前記第2コーティングの前記入口コートが前記第1コーティング上に配置され、
前記第2コーティングの前記出口コートが前記第1コーティング上に配置され、y2が100-x2である、実施形態114に記載の触媒。
【0321】
116.実施形態114が実施形態112又は113に従属する限り、前記第2コーティングの入口コートにおいて、前記白金族金属が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む前記10員環以上の多孔質ゼオライト材料に担持されている、実施形態114又は115に記載の触媒。
【0322】
117.前記第2コーティングの前記入口コート中の白金族金属がパラジウムであり、前記第2コーティングの前記入口コート中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む、実施形態114から116のいずれか一項に記載の触媒。
【0323】
118.前記第2コーティングの前記入口コート中の白金族金属がパラジウムであり、前記第2コーティングの前記入口コート中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは実施形態112で定義した希土類元素成分を含む、実施形態114から116のいずれか一項に記載の触媒。
【0324】
119.前記第2コーティングの前記入口コート中の白金族金属がパラジウムであり、前記第2コーティングの前記入口コート中の10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む、実施形態114から116のいずれか一項に記載の触媒。
【0325】
120.前記第2コーティングの前記入口コートの、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及び好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる、実施形態114から119のいずれか一項に記載の触媒。
【0326】
121.前記第2コーティングの前記入口コートが非ゼオライト酸化物材料、好ましくは実施形態4又は5で定義した非ゼオライト酸化物材料をさらに含み、前記第2コーティングの前記入口コートに含まれる白金族金属が前記非ゼオライト酸化物材料上に担持され、前記第2コーティングの前記入口コートが好ましくは、前記第2コーティングの前記入口コートの質量に基づいて10~50質量%の範囲の量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態114又は115に記載の触媒。
【0327】
122.前記第2コーティングの前記入口コートに含まれる白金族金属がパラジウムであり、前記第2コーティングの前記入口コートに含まれる非ゼオライト酸化物材料がジルコニア又はアルミナを含み、前記第2コーティングの前記入口コートに含まれる10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有するゼオライト材料であり、前記ゼオライト材料が、好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄及び希土類元素成分のうちの1種以上、より好ましくは鉄を含む、実施形態121に記載の触媒。
【0328】
123.前記第2コーティングの前記入口コートの、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、10員環以上の多孔質ゼオライト材料、及び好ましくは鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上からなる、実施形態121又は122に記載の触媒。
【0329】
124.前記第2コーティングの前記入口コートが、元素の白金族金属として計算して、5~40g/ft3の範囲、好ましくは10~35g/ft3の範囲、より好ましくは15~30g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態114から123のいずれか一項に記載の触媒。
【0330】
125.前記第2コーティングの前記入口コートが、1~3g/in3の範囲、好ましくは1.5~2.5g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態114から124のいずれか一項に記載の触媒。
【0331】
126.前記第2コーティングの前記入口コートの、最大0.1質量%、好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が8員環多孔質ゼオライト材料からなる、実施形態114から125のいずれか一項に記載の触媒。
【0332】
127.前記第2コーティングの前記出口コートの白金族金属が、前記第2コーティングの前記出口コートの非ゼオライト酸化物材料に担持されている、実施形態114から126のいずれか一項に記載の触媒。
【0333】
128.前記第2コーティングの前記出口コートが、0.05~1g/in3の範囲、好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態114から127のいずれか一項に記載の触媒。
【0334】
129.前記第2コーティングの前記出口コートの8員環多孔質ゼオライト材料と前記第2コーティングの前記出口コートの非ゼオライト酸化物材料との質量比が、3:1~20:1の範囲、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲である、実施形態114から128のいずれか一項に記載の触媒。
【0335】
130.前記第2コーティングの前記出口コートの8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比は、15:1~33:1の範囲、好ましくは15:1~20:1の範囲、又は好ましくは25:1~33:1の範囲である、実施形態114から129のいずれか一項に記載の触媒。
【0336】
131.前記第2コーティングの前記出口コートに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料が銅を含み、前記第2コーティングの前記出口コートが、CuOとして計算して、前記第2コーティングの前記出口コートに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.75~5.5質量%の範囲、より好ましくは3~3.75質量%の範囲、又はより好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態114から130のいずれか一項に記載の触媒。
【0337】
132.前記第2コーティングの前記出口コート中の白金族金属がパラジウムであり、前記第2コーティングの前記出口コートの非ゼオライト酸化物材料がジルコニアを含む、実施形態114から131のいずれか一項に記載の触媒。
【0338】
133.前記第2コーティングの前記出口コートが、元素の白金族金属として計算して、5~25g/ft3の範囲、好ましくは10~20g/ft3の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態114から132のいずれか一項に記載の触媒。
【0339】
134.前記第2コーティングの前記出口コートが、1~4g/in3の範囲、好ましくは1.5~2.5g/in3の範囲の担持量で8員環多孔質ゼオライト材料を含む、実施形態114から133のいずれか一項に記載の触媒。
【0340】
135.前記第2コーティングの前記出口コートが金属酸化物バインダーをさらに含み、前記金属酸化物バインダーが、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、
前記第2コーティングの前記出口コートが、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む、実施形態114から134のいずれか一項に記載の触媒。
【0341】
136.前記第2コーティングの前記出口コートの、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、白金族金属、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、及び好ましくは実施形態135で定義した金属酸化物バインダーからなる、実施形態114から135のいずれか一項に記載の触媒。
【0342】
137.前記第2コーティングの前記出口コートの、最大0.1質量%、好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは最大0.001質量%が、10員環以上の多孔質ゼオライト材料からなる、実施形態114から136のいずれか一項に記載の触媒。
【0343】
138.前記第2コーティングが単一コートである、実施形態82から113のいずれか一項に記載の触媒。
【0344】
139.前記第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料がジルコニア又はアルミナを含み、前記第2コーティングが、好ましくは0.05~1g/in3、より好ましくは0.1~0.5g/in3の範囲の担持量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、実施形態138に記載の触媒。
【0345】
140.前記第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料の骨格構造において、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiとAlのモル比が、より好ましくは15:1~20:1の範囲である、実施形態138又は139に記載の触媒。
【0346】
141.前記第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料が銅を含み、前記コーティングが、CuOとして計算して、前記第2コーティングに含まれる8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは4.5~5.25質量%の範囲の量で銅を含む、実施形態138から140のいずれか一項に記載の触媒。
【0347】
142.前記第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料と前記第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料との質量比が、2:1~15:1の範囲、好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である、実施形態138から141のいずれか一項に記載の触媒。
【0348】
143.前記第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料と前記第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料との質量比が、2:1~15:1の範囲、好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である、実施形態138から142のいずれか一項に記載の触媒。
【0349】
144.前記第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型BEAを有し、鉄を含む、実施形態138から143のいずれか一項に記載の触媒。
【0350】
145.前記第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FAUを有し、実施形態112で定義した希土類元素成分を含む、実施形態138から143のいずれか一項に記載の触媒。
【0351】
146.前記第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型MFIを有し、鉄を含む、実施形態138から143のいずれか一項に記載の触媒。
【0352】
147.前記第2コーティングの8員環多孔質ゼオライト材料が骨格型CHAを有し、前記第2コーティングの10員環以上の多孔質ゼオライト材料が骨格型FERを有する、実施形態138から143のいずれか一項に記載の触媒。
【0353】
148.前記第2コーティングが金属酸化物バインダーをさらに含み、前記金属酸化物バインダーが、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2種以上を含む混合酸化物のうちの1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、
前記第2コーティングが、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲の量で前記金属酸化物バインダーを含む、実施形態82から113又は138から147のいずれか一項に記載の触媒。
【0354】
149.前記第2コーティングの、99~100質量%、好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、任意に鉄、銅及び希土類元素成分のうちの1種以上を含む10員環以上の多孔質ゼオライト材料、白金族金属、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、好ましくは実施形態98又は99で定義した非ゼオライト酸化物材料、及びより好ましくは実施形態148で定義した金属酸化物バインダーからなる、実施形態82から148のいずれか一項に記載の触媒。
【0355】
150.前記基材が、フロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、好ましくはフロースルー基材である、実施形態82から149のいずれか一項に記載の触媒。
【0356】
151.前記フロースルー基材が、セラミック物質を含み、好ましくはセラミック物質からなり、前記セラミック物質が、好ましくはアルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコージェライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアのうちの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコージェライトのうちの1種以上、より好ましくはコージェライトを含み、より好ましくは、上記のものからなる、実施形態150に記載の触媒。
【0357】
152.前記フロースルー基材が、金属物質を含み、好ましくは金属物質からなり、前記金属物質が、好ましくは酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含み、より好ましくは酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とからなる、実施形態151に記載の触媒。
【0358】
153.前記基材が電気的に加熱される、実施形態152に記載の触媒。
【0359】
154.前記基材、前記第1コーティング及び前記第2コーティングからなる、実施形態82から153のいずれか一項に記載の触媒。
【0360】
155.(1)コーティングされていない基材を提供する工程であって、前記基材が、入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む、工程と;
(2)水、白金族金属前駆体、好ましくはパラジウム塩、非ゼオライト酸化物材料、銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料、及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、工程(1)で提供された基材の入口端から出口端に向かって基材の軸方向長さの90~100%にわたって、基材の内壁表面に配置する工程と;
(3)工程(2)により得られた基材上に配置されたスラリーを焼成し、HCの転化及びNOxの選択的触媒還元のための触媒を得る工程と
を含む、HCの分解及び転化、及びNOxの選択的触媒還元のための触媒、好ましくは実施形態1から59のいずれか一項に記載の触媒を調製する方法。
【0361】
156.(1’)コーティングされていない基材を提供する工程であって、前記基材が、入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれを貫通して延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含む、工程と;
(2’)水、白金族金属前駆体、好ましくはパラジウム塩、及び10員環以上の多孔質ゼオライト材料を含む第1スラリーを提供し、前記スラリーを、工程(1’)で提供された基材の入口端から出口端に向かって基材の軸方向長さのx%にわたって、基材の内壁表面に配置し、xが20~80、好ましくは30~60の範囲である、工程と;
(3’)工程(2’)により得られた基材上に配置されたスラリーを焼成し、入口コートを含む触媒を得る工程と、
(4’)水、白金族金属前駆体、好ましくはパラジウム塩、非ゼオライト酸化物材料、及び銅及び鉄のうちの1種以上を含む8員環多孔質ゼオライト材料を含む第2スラリーを提供し、前記スラリーを、工程(1’)で提供された基材の出口端から入口端に向かって基材の軸方向長さのy%にわたって、基材の内壁表面に配置し、yが20~80、好ましくは30~60の範囲である、工程と;
(5’)工程(4’)により得られた基材上に配置されたスラリーを焼成し、入口コート及び出口コートを含む触媒を得る工程と、
を含む、HCの分解及び転化、及びNOxの選択的触媒還元のための触媒、好ましくは実施形態19から42のいずれか一項に記載の触媒を調製する方法。
【0362】
157.NOxの選択的触媒還元、及びHCの分解及び転化のための実施形態1から59のいずれか一項に記載の触媒の、NOxの選択的触媒還元とHCの分解及び転化を同時に行うための使用方法。
【0363】
158.(i)NOx、アンモニア、一酸化窒素及び炭化水素のうちの1つ以上を含むガス流を提供する工程と;
(ii)工程(i)で提供されたガス流を実施形態1から59のいずれか一項に記載の触媒と接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元とHCの分解及び転化を同時に行う方法。
【0364】
159.HCの分解及び転化、NOxの選択的触媒還元、及びアンモニアの酸化のための実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒の、NOxの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及びHCの分解及び転化を同時に行うための使用方法。
【0365】
160.(i’)NOx、アンモニア、一酸化窒素、及び炭化水素のうちの1つ以上を含むガス流を提供する工程と;
(ii’)工程(i’)で提供されたガス流を実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒と接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及びHCの分解及び転化を同時に行う方法。
【0366】
161.HCの分解及び転化、NOxの選択的触媒還元、及びアンモニアの酸化のための実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒、及び
ディーゼル酸化触媒、触媒付きスートフィルター、選択触媒還元(SCR)触媒、SCR/AMOx触媒のうちの1つ以上
を含む、排気ガス処理システム。
【0367】
162.実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒、ディーゼル酸化触媒、触媒付きスートフィルター、選択的触媒還元(SCR)触媒、及びSCR/AMOx触媒を含み、
実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒が、前記ディーゼル酸化触媒及び前記触媒付きスートフィルターの上流に配置され、前記ディーゼル酸化触媒が前記SCR触媒の上流に配置され、前記SCR触媒が前記SCR/AMOx触媒の上流に配置される、実施形態161に記載のシステム。
【0368】
163.前記ディーゼル酸化触媒及び前記触媒付きスートフィルターが組み合わされている、実施形態162に記載のシステム。
【0369】
164.前記SCR触媒の上流及び前記ディーゼル酸化触媒の下流に、尿素インジェクターをさらに含む、実施形態162又は163に記載のシステム。
【0370】
165.実施形態1から59のいずれか一項又は実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒、及びディーゼル酸化触媒を含み、
前記ディーゼル酸化触媒が実施形態1から59のいずれか一項又は実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒の上流に配置されている、実施形態161に記載のシステム。
【0371】
166.前記ディーゼル酸化触媒の上流のHCインジェクター、及び前記ディーゼル酸化触媒の下流及び実施形態1から59のいずれか一項又は実施形態82から154のいずれか一項に記載の触媒の上流の尿素インジェクターをさらに含む、実施形態165に記載のシステム。
【0372】
167.前記ディーゼル酸化触媒が、酸化物材料、好ましくは非ゼオライト酸化物材料に担持された白金族金属を含み、前記ディーゼル酸化触媒が、好ましくは層状DOC又は混合DOCである、実施形態161から166のいずれか一項に記載のシステム。
【0373】
168.(A)NOx、アンモニア、一酸化窒素、及び炭化水素のうちの1つ以上を含むガス流を提供する工程と;
(B)工程(A)で提供されたガス流を、実施形態60から81のいずれか一項又は実施形態161から167のいずれか一項に記載の排ガス処理システムに接触させる工程と
を含む、NOxの選択的触媒還元と炭化水素の分解及び転化を同時に行い、発熱により温度を生成させて脱硫する方法。
【0374】
本発明の文脈では、「内壁の表面」という用語は、特に明記しない限り、壁の「裸の」又は「覆いがない」又は「空白の」表面、すなわち、表面が汚染される可能性のある不可避の不純物を除いて、壁の材料からなる未処理の状態の壁の表面として理解される。
【0375】
さらに、本発明の文脈において、「XはA、B及びCのうちの1つ以上である」(ここで、Xが所定の特徴であり、A、B及びCのそれぞれが当該特徴の具体的な実現を表す)という用語は、XがA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCのいずれかであることを開示していると理解される。この点に関して、例えば、Xが化学元素であり、A、B及びCがLi、Na及びKのような具体的な元素である場合、又はXが温度であり、A、B及びCが10℃、20℃及び30℃のような具体的な温度である場合、当業者は、上記の抽象的な用語を具体的な例に移すことができることに留意されたい。この点に関して、当業者は、上記の用語を、前記特徴のより具体的でない実現に拡張することができ、例えば、「XはA及びBのうちの1つ以上である」は、XがA、又はB、又はA及びBのいずれかであることを開示し、例えば、「Xは、A、B、C及びDのうちの1つ以上である」は、XがA、又はB、又はC、又はD、又はA及びB、又はA及びC、又はA及びD、又はB及びC、又はB及びD、又はC及びD、又はA及びB及びC、又はA及びB及びD、又はB及びC及びD、又はA及びB及びC及びDのいずれかであることを開示することにさらに留意されたい。
【0376】
さらに、本発明の文脈において、(g/in3又はg/ft3での)「所与の成分/コーティングの担持量」という用語は、基材の体積あたりの前記成分/コーティングの質量を指し、ここで、基材の体積が、基材の断面に、前記成分/コーティングが存在する基材の軸方向長さを乗じた体積である。例えば、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、Xg/in3の担持量を有する第1コーティングの担持量について言及する場合、前記担持量は、基材全体の体積(in3で表示する)のx%あたりの第1コーティングのXグラムを指す。
【0377】
本発明の文脈において、「10員環以上の多孔質ゼオライト材料」という用語は、好ましくは10員環の多孔質ゼオライト材料、12員環の多孔質ゼオライト材料又は14員環の多孔質ゼオライト材料、より好ましくは10員環の多孔質ゼオライト材料又は12員環の多孔質ゼオライト材料を意味する。
【0378】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0379】
参考例1:Dv90値の決定
Sympatec HELOS装置を用いた静的光散乱法により粒径分布を測定し、ここで、サンプルの光学濃度が5~10%の範囲であった。
【0380】
参考例2:Cu-CHAゼオライトの調製
US 8 293 199 B2の教示に従って、本明細書の実施例で使用する、Cuを含む骨格構造型CHAを有するゼオライト材料を調製した。特に、US 8 293 199 B2の第15欄の26行~52行の発明実施例2を参照した。
【0381】
参考例3:BET比表面積の測定
DIN 66131又はDIN ISO 9277に従って、液体窒素を用いてBET比表面積を測定した。
【0382】
参考例4:一般的なコーティング方法
フロースルー基材を1つ以上のコーティングでコーティングするために、フロースルー基材を、好適には、適用するコーティングの目標長さに等しい基材の特定の長さだけ、所定の混合物の一部に垂直に浸漬し、真空を適用した。このようにして、混合物は基材の壁に接触した。サンプルを混合物中に一定時間、通常1~10秒間放置した。混合物を基材に引き込むために真空をかけた。その後、基材を混合物から取り出した。基材をその軸を中心に回転させ、浸漬面が上を向くようにし、高圧の空気で充填した混合物を基材に押し込んだ。
【0383】
参考例5:本発明によらない触媒の調製
ジルコニウムベースの酸化物担体(88質量%のZrO2、10質量%のLa2O3、及び2質量%のHfO2、67m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する)へのPdの初期湿潤含浸。まず、酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をZrベース酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、Pd含浸ZrO2混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:3.25質量%、25マイクロメートルのDv90、31:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)を脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は43質量%であった。
【0384】
この時点で、Pd含浸ZrO2混合物をCu-CHA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。基材の入口端から基材の出口端に向かって1回、基材の出口端から基材の入口端に向かって1回、基材の軸方向全長(3インチ)にわたって、基材をコーティングし、目標とする2.4g/in3の入口ウォッシュコート担持量を達成した。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、2.05g/in3のCu-CHA、0.24g/in3のジルコニア/HfO3/La2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0385】
参考例6:本発明によらない多機能触媒の調製
コーティング:
ボトムコート:
Siドープチタニア粉末(10質量%のSiO2、200m2/gのBET比表面積、20マイクロメートルのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。590℃で焼成した後、最終的なPt/Siチタニアは、Siチタニアの質量に基づいて0.46質量%のPt含有量を有した。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られたDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。Cu-CHAゼオライト材料の水性スラリーに(5.1質量%のCuO及び18:1のSiO2:Al2O3モル比)ジルコニル-アセテート混合物を添加し、ゼオライト材料の質量に基づいて、焼成後に5質量%のZrO2を達成した。このCu-CHAスラリーにPt含有スラリーを添加して攪拌し、最終スラリーを作製した。次に、この最終スラリーを、参考例4に記載されているコーティング方法を用いて、コーティングされていないハニカムフロースルーコーディエライトモノリス基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)の全長にわたって、基材の入口側から出口側に向かって配置し、ボトムコートを形成した。その後、コーティングした基材を90℃で約30分間乾燥し、590℃で約30分間焼成した。焼成後のボトムコートの担持量は、1.67g/in3のCu-CHA担持量、0.08g/in3のZrO2担持量、0.25g/in3のSi-チタニア担持量及び2.5g/ft3のPGM担持量を有する約2g/in3であった。
【0386】
トップコート:
Cu-CHAゼオライト材料の水性スラリーに(Cu-CHAの質量に基づいて5.1質量%のCuO、及び18:1のSiO2:Al2O3モル比)ジルコニル-アセテート溶液を添加し、ゼオライト材料の質量に基づいて焼成後に5質量%のZrO2を達成した。次いで、スラリーを、第1コーティングでコーティングされたハニカムコージェライトモノリス基材の全長にわたって、基材の入口側から出口側に向かって配置し、参考例4に記載のコーティング方法を用いて第1コーティングをコーティングした。その後、コーティングした基材を乾燥し、焼成した。焼成後のトップコートの担持量は2.0g/in3であった。焼成後の触媒中の最終的な触媒担持量(ボトムコート+トップコート)は約2.5g/in3であった。
【0387】
実施例1:本発明による多機能触媒の調製
コーティング:
出口コート:
ジルコニウムベースの酸化物担体(88質量%のZrO2、10質量%のLa2O3、及び2質量%のHfO2、67m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する)へのPdの初期湿潤含浸を行った。まず、非ゼオライト酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をZrベース酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、Pd含浸ZrO2混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:3.25質量%、25マイクロメートルのDv90、31:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)を脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は43質量%であった。
【0388】
この時点で、Pd含浸ZrO2混合物をCu-CHA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。基材の出口端から基材の入口端に向かって、基材の軸方向長さの50%(1.5インチ)にわたって、基材をコーティングし、目標とする2.4g/in3の入口ウォッシュコート担持量を達成した。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中の出口コートの最終的な担持量は、2.05g/in3のCu-CHA、0.24g/in3のジルコニア/HfO3/La2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0389】
入口コート:
これとは別に、鉄でイオン交換したBEA構造型のゼオライト材料(Fe-BEA:Fe-BEAの質量に基づいてFe2O3として計算して4.5質量%のFe、600m2/gのBET比表面積及び10:1のSiO2:Al2O3モル比を有するBEA)へのPdの初期湿潤含浸を行った。まず、ゼオライトの利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をFe-BEAゼオライト担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまで混合物を粉砕した。次に、この混合物を、参考例4に記載されたコーティング方法を用いて、基材の入口端から基材の出口端に向かって、第1コーティングでコーティングされた基材の軸方向長さの50%(1.5インチ)にわたって配置した。その後、コーティングした基材を乾燥し、第1コーティングとして焼成した。焼成後の入口コートの担持量は1.575g/in3であった。焼成後の触媒中の入口コートの最終的な担持量は、1.43g/in3のFe-BEA、0.15g/in3のジルコニア(バインダー)、及び30g/ft3のPd担持量を含む、1.575g/in3であった。
【0390】
触媒中の最終的な総触媒担持量(入口コート+出口コート)は22.5g/ft3のPd総担持量を有する1.99g/in3であった。
【0391】
実施例2:本発明による多機能触媒の調製
酸化アルミニウム(200m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する)へのPdの初期湿潤含浸を行った。まず、非ゼオライト酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をアルミニウム酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。
【0392】
これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)、及びFe(Fe2O3として計算して3.5質量%)イオン交換したMFIゼオライト材料(375m2/gのBET比表面積及び27.5:1のSiO2:Al2O3モル比を有する)を約9:1の質量比で脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水、Fe-MFI及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0393】
この時点で、Pd含浸Al2O3混合物をCu-CHA/Fe-MFI混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。参考例4で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFe-MFI、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0394】
実施例3:本発明による多機能触媒の調製
酸化アルミニウム(200m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する)へのPdの初期湿潤含浸を行った。まず、非ゼオライト酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をアルミニウム酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。
【0395】
これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)、及び希土類(RE)金属でイオン交換されたゼオライトY(FAU骨格型)(RE-Yの質量に基づいてRe2O3として計算して、RE(主にLaとCeを含む):約16質量%、700m2/gのBET比表面積及び5:1のSiO2:Al2O3モル比を有するゼオライトY)を約7:1の質量比で脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水、RE-ゼオライトY及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0396】
この時点で、Pd含浸Al2O3混合物をCu-CHA/RE-ゼオライトY混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。一般的なコーティング方法で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のRE-ゼオライトY、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0397】
実施例4:本発明による排気ガス処理システムの調製
実施例1の触媒(触媒1)及び参考例6の触媒(触媒2)を組み合わせることにより、本発明による排気ガス処理システムを調製し、ここで、参考例6の触媒を実施例1の触媒の下流に配置した。
【0398】
比較例1:本発明によらない排気ガス処理システムの調製
参考例5の触媒(触媒1)及び参考例6の触媒(触媒2)を組み合わせることにより、本発明によらない排気ガス処理システムを調製し、ここで、参考例6の触媒を参考例5の触媒の下流に配置した。
【0399】
実施例5:実施例4及び比較例1の排気ガス処理システムの試験
HC酸化能力について2つの異なるシステムを試験するために、定常状態のポイントを実行した。試験はヘビーデューティディーゼルエンジンの下流で行った。試験条件を
図1~3に示している。触媒1の入口温度は305℃、325℃及び350℃で、目標とする触媒の出口温度は450℃であった。2つのシステムにおいて、触媒1の下流温度及び触媒2の下流温度を測定した。結果を
図4と6(比較例1)、及び
図5と7(本発明の実施例4)に示している。
【0400】
図4及び
図5から分かるように、目標とする450℃の触媒出口温度は、比較システムと比較してより高い発熱を達成することができる本発明によるシステムでのみ達成した。さらに、試験したシステムの触媒1及び触媒2の出口端においてHCスリップを示す
図6及び
図7に関して、完全な発熱が達成された場合(450℃)、本発明のシステムではHCスリップが非常に低いことに留意されたい。
【0401】
実施例6:本発明による多機能触媒の調製
アンモニウム形態の骨格型FERを有し、400m2/gのBET比表面積及び20:1のSiO2:Al2O3を有するゼオライト材料へのPdの初期湿潤含浸。まず、ゼオライトの利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をFERゼオライト材料担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)を脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0402】
この時点で、Pd含浸FER混合物をCu-CHA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。参考例4で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、2.05g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFER、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0403】
実施例7:本発明による多機能触媒の調製
鉄でイオン交換した骨格型BEAを有するゼオライト材料(Fe-BEAの質量に基づいてFe2O3として計算して、Fe:4.5質量%、600m2/gのBET比表面積及び10:1のSiO2:Al2O3モル比を有する)へのPdの初期湿潤含浸。まず、ゼオライトの利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をFe-BEAゼオライト担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)を脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0404】
この時点で、Pd含浸Fe-BEA混合物をCu-CHA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。参考例4で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、2.05g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFe-BEA、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0405】
実施例8:本発明による多機能触媒の調製
200m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する酸化アルミニウムへのPdの初期湿潤含浸。まず、非ゼオライト酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をアルミニウム酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。
【0406】
これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)、及びFe-BEAゼオライト材料(Fe-BEAの質量に基づいてFe2O3として計算して、Fe:4.5質量%、600m2/gのBET比表面積及び10:1のSiO2:Al2O3モル比を有するBEA)を約9:1の質量比で脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水、Fe-BEA及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0407】
この時点で、Pd含浸Al2O3混合物をCu-CHA/Fe-BEA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。参考例4で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFe-BEA、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0408】
実施例9:本発明による多機能触媒の調製
実施例9の触媒は、アルミナ酸化担体をジルコニウム酸化担体(88質量%のZrO2、10質量%のLa2O3及び2質量%のHfO2を有し、67m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する)に置き換えた以外は、実施例8の触媒と同様に調製した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFe-BEA、0.25g/in3のジルコニア/HfO3/La2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0409】
実施例10:本発明による多機能触媒の調製
200m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する酸化アルミニウムへのPdの初期湿潤含浸。まず、非ゼオライト酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をアルミニウム酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。
【0410】
これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)、及びアンモニウム形態のFERゼオライト材料(400m2/gのBET比表面積及び20:1のSiO2:Al2O3モル比を有する)を約9:1の質量比で脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水、FER及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0411】
この時点で、Pd含浸Al2O3混合物をCu-CHA/FER混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。一般的なコーティング方法で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFER、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0412】
実施例11:本発明による多機能触媒の調製
コーティング:
出口コート:
ジルコニウムベースの酸化担体を、200m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する酸化アルミニウムに置き換えた以外は、実施例11の出口コートと同様に、実施例11の出口コートを調製した。焼成後の触媒中の出口コートの最終的な担持量は、2.05g/in3のCu-CHA、0.24g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0413】
入口コート:
200m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する酸化アルミニウムへのPdの初期湿潤含浸。まず、酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をアルミニウム酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。
【0414】
これとは別に、鉄でイオン交換したBEAゼオライト材料(Fe-BEAの質量に基づいてFe2O3として計算して、4.5質量%のFe、600m2/gのBET比表面積及び10:1のSiO2:Al2O3モル比を有するBEA)を脱イオン水に添加した。さらに、水及びFe-BEAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0415】
この時点で、Pd含浸Al2O3混合物をFe-BEA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材上に配置する準備ができた。焼成後の触媒中の入口コートの最終的な担持量は、2.05g/in3のFe-BEA、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0416】
実施例12:本発明による多機能触媒の調製
600m2/gのBET比表面積及び800:1のSiO2:Al2O3モル比を有する、そのH-形態で骨格型BEAを有するゼオライト材料へのPdの初期湿潤含浸。まず、ゼオライトの利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をBEAゼオライト担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)を脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0417】
この時点で、Pd含浸BEA混合物をCu-CHA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。一般的なコーティング方法で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、2.05g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のBEA、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0418】
実施例13:本発明による多機能触媒の調製
200m2/gのBET比表面積、3マイクロメートルのDv50、及び16マイクロメートルのDv90を有する酸化アルミニウムへのPdの初期湿潤含浸。まず、酸化物担体の利用可能な細孔容積を決定し、この値に基づいて、利用可能な細孔容積に等しい体積の希釈したパラジウム塩溶液を作製した。次に、この希釈した溶液をアルミニウム酸化物担体に、連続攪拌しながら30分かけて滴下添加して、湿潤の材料を得た。次に、得られた材料を590℃のオーブンで焼成し、冷却した。焼成後、得られた粉末を蒸留水と混合して固形分40%の水性混合物を形成し、有機酸を用いてpHを3.75に調整した。この時点で、混合物の粒子のDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。これとは別に、Cu-CHAゼオライト材料(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、25マイクロメートルのDv90、18.5:1のSiO2:Al2O3モル比、及び約625m2/gのBET比表面積を有するCHA)、及び600m2/gのBET比表面積及び800:1のSiO2:Al2O3モル比を有するそのH-形態のBEAゼオライト材料を約9:1の質量比で脱イオン水に添加し、混合物を形成した。さらに、水、BEA及びCu-CHAを含む混合物に、可溶性ジルコニウム溶液(30質量%のZrO2)をバインダーとして添加した。pHを7に調整した。最終的な混合物の固形分は38質量%であった。
【0419】
この時点で、Pd含浸Al2O3混合物をCu-CHA/BEA混合物に混合し、pHを再び7に調整した。最終的な混合物は、ハニカムフロースルーモノリスコーディエライト基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)上に配置する準備ができた。一般的なコーティング方法で定義したコーティング方法に従って、この基材を最終的な混合物でコーティングした。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のBEA、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0420】
実施例14:本発明による多機能触媒の調製
パラジウムを白金に置き換えた以外は、実施例10の触媒と同様にして実施例14の触媒を調製した。焼成後の触媒中のコーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFER、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPt担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0421】
実施例15:本発明による多機能触媒の調製
第1(ボトム)コーティング:
Siドープチタニア粉末(10質量%のSiO2、200m2/gのBET比表面積、20マイクロメートルのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。590℃で焼成した後、最終的なPt/Siチタニアは、Siチタニアの質量に基づいて0.46質量%のPt含有量を有した。この材料を水に添加し、得られたDv90が10マイクロメートルになるまでスラリーを粉砕した。Cu-CHAゼオライト材料の水性スラリーに(Cu-CHAの質量に基づいてCuOとして計算して、Cu:5.1質量%、18:1のSiO2:Al2O3モル比を有するCHA)ジルコニル-アセテート溶液を添加し、ゼオライト材料の質量に基づいて、焼成後に5質量%のZrO2を達成した。このCu-CHAスラリーにPt含有スラリーを添加して攪拌し、最終スラリーを作製した。次に、コーティングされていないハニカムフロースルーコーディエライトモノリス基材(1平方センチメートルあたり400/(2.54)2のセル、及び0.10ミリメートル(4ミル)の壁厚を有する、直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の円筒形状の基材)の出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さの50%にわたって、この最終スラリーを配置した。その後、基材を、120℃で10分間、及び160℃で30分間乾燥させ、その後、450℃で30分間焼成した。焼成後、第1コーティングの担持量は、0.25g/in3のCu-CHA担持量、0.04g/in3のZrO2担持量、0.21g/in3のSi-チタニア担持量及び5g/ft3のPt担持量を有する、約0.5g/in3であった。
【0422】
第2(トップ)コーティング:
第2コーティングを調製するためのスラリーは、実施例10のコーティングを調製するためのスラリーと同様に調製した。次に、このスラリーを、一般的なコーティング方法(参考例4)に従って、第1コーティングでコーティングした基材の出口端から入口端に向かって、全長にわたって配置した。目標とする2.4g/in3のウォッシュコート担持量を達成するために、基材の出口端から入口端までその全長にわたって、基材を1回コーティングし、コーティング工程の後に乾燥及び焼成工程を行った。コーティングした基材を乾燥させるため、基材を90℃のオーブンに約30分間放置した。乾燥後、コーティングした基材を590℃で30分間焼成した。焼成後の触媒中の第2(トップ)コーティングの最終的な担持量は、1.8g/in3のCu-CHA、0.25g/in3のFER、0.25g/in3のAl2O3、0.1g/in3のジルコニア(バインダー)、及び15g/ft3のPd担持量を含む、2.4g/in3であった。
【0423】
実施例16:実施例10及び12~15の多機能触媒の試験-DeNOx、N2Oの生成及びNH3スリップ
新鮮な触媒の試験は、定常状態におけるヘビーデューティディーゼルエンジンで行った。異なる条件下で、DeNOx、N2Oの生成及びNH3スリップを測定した:
- 200℃、約250kg/hの排気流量で;約1000ppmのNOx(測定は安定化時間20分後に行った;図に報告されている平均値は、安定化後の最後の2分間で計算した);
- 350℃、約250kg/hの排気流量で;約1800ppmのNOx(測定は安定化時間20分後に行った;図に報告されている平均値は、安定化後の最後の2分間で計算した)。
【0424】
【0425】
実施例10、12及び13(Pdのみ)についてのコメント:
図8及び
図9から分かるように、すべてのPdベースの多機能触媒(MFC)は、低温及び高温の両方で同等のDeNOxを示した。高いSi/Al比を有するゼオライトを含有するMFC(実施例12及び13)は、実施例10のMFCよりも高いN
2O生成を示した。
【0426】
実施例14及び15(Pt含有)についてのコメント:
図9及び
図10から分かるように、Pdの代わりにPtをMFCに含まれる場合(実施例14)、MFCは高温でより低いDeNOx(高温で主に起こるNH
3の酸化に起因する)、結果として低いNH
3スリップを示している。同時に、Ptのみを有するMFCは、より高いN2O生成を示した。さらに、
図8~10から分かるように、PGM含有ボトムコート(=AMOX)がMFCに含まれる場合(実施例15)、高温DeNOxは実施例14と比較しても影響を受けず、他のすべてのMFCと同等の低温DeNOxを示している。同時に、NH
3スリップは低く、すなわち10ppm未満である一方、N
2Oの生成が実施例14よりも著しく低い。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、Ptは200℃ではNH
3酸化に対して活性ではないため、低温NH
3スリップは貯蔵効果による影響が大きいことに留意されたい。
【0427】
引用文献
- WO 2018/224651 A2
- US 10,589,261 B2
- US 5788 834 B
【国際調査報告】