IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ尖端素材株式会社の特許一覧

特表2024-518359水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維、これを含む水処理分離膜用支持体、これを含む水処理用分離膜、およびこれを含むフィルターモジュール
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維、これを含む水処理分離膜用支持体、これを含む水処理用分離膜、およびこれを含むフィルターモジュール
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/14 20060101AFI20240423BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 71/42 20060101ALI20240423BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240423BHJP
   B01D 71/48 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
D01F8/14 B
C08G63/183
B01D69/10
B01D69/12
B01D69/02
B01D71/68
B01D71/42
C02F1/44 E
B01D71/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567021
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 KR2022012885
(87)【国際公開番号】W WO2023113144
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0180899
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520080171
【氏名又は名称】東レ尖端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INC.
【住所又は居所原語表記】(Imsu-dong)300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョンサン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ソングン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ソンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドヒョン
【テーマコード(参考)】
4D006
4J029
4L041
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006HA21
4D006MA09
4D006MA10
4D006MB20
4D006MC48
4D006MC54
4D006PA01
4D006PB27
4J029AA03
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD02
4J029AD06
4J029AE02
4J029BA03
4J029BA07
4J029BA10
4J029BF09
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029HA01
4J029HB02
4J029JB161
4J029JF321
4J029KE02
4L041AA07
4L041BA02
4L041BA05
4L041BA21
4L041BB07
4L041BC20
4L041BD06
4L041CA05
4L041CA12
4L041CA13
4L041DD15
4L041EE11
(57)【要約】
本発明は、重金属が溶出せず、人体に無害であり、色相の透明度および強度に優れた水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維、これを含む水処理分離膜用支持体、これを含む水処理用分離膜、およびこれを含むフィルターモジュールに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯部と;鞘部と;を含む芯鞘型複合繊維であって、
前記鞘部は、鞘部用ポリエステル樹脂を含み、
前記鞘部用ポリエステル樹脂は、酸成分と;ジオール成分と;をエステル反応および重縮合反応させた重縮合物を含み、
前記酸成分は、イソフタル酸(Isophthalic acid,IPA)20~40モル%と残量のテレフタル酸(terephthalic acid,TPA)を含み、
前記ジオール成分は、下記化学式1で表される化合物を含むことを特徴とする水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維。
[化学式1]
HO-R-OH
上記化学式1中、Rは、炭素数1~4の直鎖状アルキレン基、炭素数2~5の分岐鎖状アルキレン基または-ROR-であり、前記RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1~3の直鎖状アルキレン基である。
【請求項2】
前記鞘部用ポリエステル樹脂は、カルボキシル基(-COOH)の含有量が4.5×10eq/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維。
【請求項3】
前記芯鞘型複合繊維は、前記鞘部と芯部を1:1.5~1:4.0の重量比で含むことを特徴とする請求項1に記載の水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の芯鞘型複合繊維を含む水処理分離膜用支持体。
【請求項5】
前記支持体は、
純度99.9%以上の脱イオン水(DI water)1,000gに前記支持体を0.7gの重さで裁断した試験片を100時間沈積させた後に取り出して、前記脱イオン水に溶出した重金属元素の濃度を測定したとき、重金属の溶出量が1ppm以下であり、
前記重金属元素は、63~200Da(ダルトン)の原子量を有し、密度が4.0g/cm以上であることを特徴とする請求項4に記載の水処理分離膜用支持体。
【請求項6】
請求項4に記載の支持体と;
前記支持体の一面または両面に形成された支持層と;
前記支持層の表面に形成された活性層と;を含む水処理分離膜。
【請求項7】
前記支持層は、ポリスルホン(polysulfone)高分子、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)高分子およびポリエーテルスルホン(polyethersulfone)高分子の中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項6に記載の水処理分離膜。
【請求項8】
有孔管の外部面に、少なくとも1つ以上の請求項6に記載の水処理分離膜を螺旋状に巻き取ったフィルター;を含むフィルターモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維、これを含む水処理分離膜用支持体、これを含む水処理用分離膜、およびこれを含むフィルターモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのフィルターにおいて基材として使用する不織布は、ポリエチレンテレフタレート繊維であり、従来のポリエチレンテレフタレート繊維は、アンチモン系重合触媒を使用するので、水中に停滞時に重金属の一種であるアンチモン(Antimony)が溶出する問題があり、今後飲用水用フィルター市場で不織布から溶出した重金属の問題が有害物質発生イシューを引き起こす恐れがある。
【0003】
このような理由によって、前記ポリエチレンテレフタレート繊維を製造するに際して、従来からアンチモン化合物やゲルマニウム化合物に代わる触媒として多様な化合物が提案されており、その中でも、チタン(Titanium,Ti)化合物は、低価で、毒性問題がない点から、様々な種類が提案されている。しかしながら、チタン化合物を触媒とするポリエステル樹脂は、特有の黄色を帯び、また、熱安定性に劣り、例えば、重縮合時または溶融成形時に分解反応が起こり、アセトアルデヒドなどの副産物を多量で生成するという欠点がある。したがって、製造されたポリエステル樹脂の色調、熱安定性などの改善およびアセトアルデヒド含有量の低減などの問題を解決できるポリエステル樹脂の製造方法の開発が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述のような問題を解決するためになされたものであって、水処理膜の支持層との接合力に非常に優れ、人体有害性が顕著に少なく、色相の透明度および強度に優れた水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維、これを含む水処理分離膜用支持体、これを含む水処理用分離膜、およびこれを含むフィルターモジュールを製造する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維は、芯部と鞘部とを含む芯鞘型複合繊維であり、前記鞘部は、鞘部用ポリエステル樹脂を含む。
【0006】
本発明の好ましい一実施形態として、前記鞘部用ポリエステル樹脂は、酸成分と;ジオール成分と;をエステル反応および重縮合反応させた重縮合物を含み、前記酸成分は、イソフタル酸(Isophthalic acid,IPA)20~40モル%と残量のテレフタル酸(Terephthalic acid,TPA)を含み、前記ジオール成分は、下記化学式1で表される化合物を含んでもよい。
【0007】
本発明の好ましい一実施形態において、前記鞘部用ポリエステルカルボキシル基(-COOH)の含有量が4.5×10eq/g以下であってもよい。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態において、前記芯鞘型複合繊維は、前記鞘部と芯部を1:1.5~1:4.0の重量比で含んでもよい。
【0009】
本発明の他の目的として、上述した芯鞘型複合繊維を含んで水処理分離膜用支持体を製造することができる。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態において、前記水処理分離膜用支持体は、不織布であってもよい。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態において、前記水処理分離膜用支持体は、前記芯鞘型複合繊維の他にPET単繊維をさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態において、前記水処理分離膜用支持体は、芯鞘型複合繊維とPET単繊維を混繊および開繊した後、熱処理して製造したホットメルト不織布であってもよい。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態において、前記支持体は、純度99.9%以上の脱イオン水(DI water)1,000gに前記支持体を0.7gの重さで裁断した試験片を100時間沈積させた後に取り出して、前記脱イオン水に溶出した重金属元素の濃度を測定したとき、重金属の溶出量が1ppm以下であり、前記重金属元素は、63~200Da(ダルトン)の原子量を有し、密度が4.0g/cm以上であってもよい。
【0014】
本発明のさらに他の目的として、前記支持体と;前記支持体の一面または両面に形成された支持層と;前記支持層の表面に形成された活性層と;を含んで水処理分離膜を製造することができる。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態において、前記支持層は、ポリスルホン(polysulfone)高分子、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)高分子およびポリエーテルスルホン(polyethersulfone)高分子の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0016】
本発明のさらに他の目的として、前記水処理分離膜を少なくとも1つ以上含み、有孔管の外部面に螺旋状に巻き取ったフィルター;を含むフィルターモジュールを製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水処理膜の支持層との接合力に非常に優れ、人体有害性が顕著に少なく、色相の透明度および強度に優れた水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維、これを含む水処理分離膜用支持体、これを含む水処理用分離膜、およびこれを含むフィルターモジュールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を下記実施例に基づいて説明する。この際、下記実施例は、ただ発明を例示するために提示されたものであり、本発明の権利範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【0019】
本発明による水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維は、芯部と;鞘部と;を含んでもよい。
【0020】
この際、前記芯鞘型複合繊維は、芯部用樹脂と鞘部用樹脂を複合紡糸し、紡糸物を収得する第1段階と;前記紡糸物を延伸し、芯鞘型複合繊維を製造する第2段階と;を含む工程を行うことで製造することができる。
【0021】
前記第1段階の複合紡糸は、3,000~5,400mpmの紡糸速度で行うことができ、好ましくは、4,000~5,200mpmの紡糸速度で行うことができる。もし、
前記紡糸速度が3,000mpm未満の場合、後続延伸工程で所望の延伸比に達せず、延伸比が低下する問題があり、5,400mpmを超えると、紡糸時に繊維の糸切りの問題が発生し得る。
【0022】
次に、前記第2段階の延伸は、2.0~5.0倍で行うことができ、好ましくは、2.0~4.0倍で行うことができる。この際、前記延伸を2.0倍未満で行う場合、芯鞘型複合繊維の芯部および/または鞘部の配向不良によって糸均一性(均齊度)の不良が発生したり、芯部の強度低下が発生し得る。また、前記延伸を5.0倍を超過して行う場合、紡糸稼働性が不良となるだけでなく、鞘部の過延伸による融着速度が低下する問題があり得る。
【0023】
このように製造した前記芯鞘型複合繊維は、前記鞘部と芯部を1:1.5~1:4.0の重量比で、好ましくは、1:1.8~3.0の重量比で含んだ方が良い。この際、芯部の重量比が1.5未満であれば、複合繊維の強度などの機械的物性が低下する問題があり得、芯部の重量比が4.0の重量比を超えると、複合繊維の機械的物性に優れているが、複合繊維の熱接着強度が低い問題があり得る。
【0024】
[鞘部用樹脂]
前記鞘部用樹脂は、融点が150~200℃であってもよく、好ましくは、融点が160~190℃であってもよい。この際、鞘部用樹脂の融点が150℃未満であれば、熱接着特性を発現しない問題があり得、鞘部用樹脂の融点が200℃を超えると、物品が固くなり、やわらかい触感を顕著に低下させる問題があり得るので、鞘部用樹脂の融点が前記範囲を満たすように構成した方が良い。
【0025】
前記融点範囲を満たす鞘部用樹脂は、酸成分、ジオール成分をエステル反応させて、エステル化合物を製造する第1段階と;エステル化合物と前記化学式2で表されるチタンキレート触媒を含む混合物を重縮合反応させた重縮合反応生成物を製造する第2段階と;を行うことで鞘部用樹脂を製造することができる。
【0026】
また、前記重縮合反応生成物とトナーを混合する第3段階;をさらに行うことで鞘部用樹脂を製造することもできる。
【0027】
【化1】
【0028】
上記化学式2中、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~3の直鎖状アルキレン基であってもよく、好ましくは、それぞれ独立して、炭素数1~2の直鎖状アルキレン基であってもよく、より好ましくは、炭素数1の直鎖状アルキレン基であってもよい。
【0029】
この際、前記重縮合反応は、反応物に前記触媒をチタン(titanium)原子が5
~30ppmの含有量となるように添加することができ、好ましくは、10~20ppmの含有量となるように添加して反応を行うことができる。チタン原子の含有量が5ppm未満となる場合、反応速度が遅れて生産性が減少することができ、反対に、チタン原子の含有量が30ppmを超えると、反応性は十分であるが、触媒が異物として作用して、製造されたポリエステル樹脂を紡糸して製造された繊維の機械的強度および熱接着性などの物性が減少する恐れがある。
【0030】
また、前記エステル反応は、前記酸成分と前記ジオール成分を1:1~1:2.0のモル比で投入して行うことができ、好ましくは、1:1.1~1:1.5のモル比で投入して行うことができる。もし、前記ジオール成分のモル比が1:1より少きい場合、重合時に酸度(acidity)が過度に高くなり、副反応が促進され、前記ジオール成分のモル比が1:2.0より大ない場合、重合度が十分でない。
【0031】
以下、前記鞘部用樹脂の製造時、第1段階の酸成分とジオール成分について説明する。
【0032】
まず、前記酸成分は、イソフタル酸とテレフタル酸を含んでもよい。
【0033】
この際、前記イソフタル酸は、前記酸成分中20~40モル%で含んでもよいし、好ましくは、25~35モル%で含んでもよい。もし、前記イソフタル酸が20モル%未満の場合、製造された芯鞘型複合繊維の接着可能温度が高くなったり、熱接着特性が低下する問題があり得、40モル%を超えると、熱接着性に優れているが、複合繊維の製造時に紡糸性が良くないので、不良率が高くなる問題があり得る。
【0034】
また、前記テレフタル酸は、前記酸成分の中で前記イソフタル酸を除いた残量で含んでもよい。
【0035】
また、前記酸成分は、前記イソフタル酸とテレフタル酸の他に、C6~14芳香族多価カルボン酸、C2~14の脂肪族多価カルボン酸およびスルホン酸(sulfonate)金属塩の中から選ばれた1つ以上をさらに含んでもよいし、好ましくは、前記酸成分としてテレフタル酸以外のC7~13芳香族多価カルボン酸およびC4~12の脂肪族多価カルボン酸の中から選ばれた1つ以上をさらに含むこともできる。
【0036】
この際、前記イソフタル酸およびテレフタル酸以外のC6~14芳香族多価カルボン酸は、ポリエステル樹脂の製造に使用される多価カルボン酸化合物として知られているものの中から制限なく選択することができるが、好ましくは、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)およびジメチルイソフタレート(dimethyl isophthalate)から成る群から選ばれたいずれか1つ以上を使用することができる。
【0037】
また、前記C2~14の脂肪族多価カルボン酸は、ポリエステルの製造に使用される多価カルボン酸として知られているものの中から制限なく選択することができるが、これに対する非制限的な例としては、シュウ酸(oxalic acid)、マロン酸(malonic acid)、コハク酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、スベリン酸(suberic acid)、クエン酸(citric acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、ペラルゴン酸(nonanoic acid)、デカン酸(decanoic acid)、ラウリン酸(lauric acidまたはdodecanoic acid)およびパルミチン酸(palmitic acidまたはhexadecanoic acid)の中から選ばれたいずれか1つ以上を使用することができる。
【0038】
なお、前記ジオール成分は、下記化学式1で表される化合物を含んでもよい。
【0039】
[化学式1]
HO-R-OH
【0040】
上記化学式1中、Rは、炭素数1~4の直鎖状アルキレン基、炭素数2~5の分岐鎖状アルキレン基または-ROR-であってもよく、前記Rは、好ましくは、炭素数1~3の直鎖状アルキレン基、炭素数3~4の分岐鎖状アルキレン基または-ROR-であってもよく、前記RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1~3の直鎖状アルキレン基であってもよく、好ましくは、炭素数1~2の直鎖状アルキレン基であってもよい。
【0041】
また、前記化学式1は、より好ましくは、下記化学式1-1~化学式1-4で表される化合物の中から選ばれた2種以上の化合物を含んでもよい。
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
好ましくは、前記化学式1-1で表される化合物は、全ジオール成分に対して13~40モル%、好ましくは、20~40モル%、より好ましくは、30~40モル%の含有量で含んでもよい。もし、前記化学式1-1で表される化合物の含有量が13モル%未満の場合、ポリエステル樹脂を紡糸して繊維を製造するとき、紡糸性に優れているが、接着可能温度が高くなったり、熱接着特性が低下することがあり、使用温度が制限される短所がある。また、前記化学式1-1で表される化合物の含有量が40モル%を超えると、紡糸性が悪くなり、相溶化が難しい問題点が発生する可能性があり、かえって結晶性が増大し
、熱接着特性が低下する恐れがある。
【0047】
なお、前記化学式1-1で表される化合物を20モル%以上で使用する場合、下記化学式1-2または化学式1-3の化合物と共に使用および反応させて製造したポリエステル樹脂を紡糸してポリエステル繊維を製造することによって、低温での熱接着特性をさらに向上させることができる。
【0048】
ジオール成分として前記化学式1-2で表される化合物を使用する場合、全ジオール成分に対して0.1~5モル%で使用した方が良く、ジオール成分として前記化学式1-3で表される化合物を使用する場合には、全ジオール成分に対して0.1~20モル%の含有量で使用した方が良い。
【0049】
また、ジオールとして化学式1-4で表される化合物を他のジオール化合物と混合使用する場合、ジオール内含有量は、前記化学式1-4で表される化合物は、前記化学式1-1~化学式1-3の中から選ばれた1種以上を含む化合物を除いた残量で含んでもよい。
【0050】
なお、前記ジオール成分として前記化学式1で表される化合物を除いた他のジオール成分をさらに含んでもよいし、これに対する非制限的な例示は、C2~14の脂肪族ジオール成分であってもよく、具体的には、1,3-プロパンジオール(1,3-propandiol)、1,4-ブタンジオール(1,4-butandiol)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexandiol)、テトラメチレングリコール(tetramethyl glycol)、ペンタメチルグリコール(pentamethyl glycol)、ヘキサメチレングリコール(hexamethylene glycol)、ヘプタメチレングリコール(heptamethylene glycol)、オクタメチレングリコール(octamethylene glycol)、ノナメチレングリコール(nonamethylene glycol)、デカメチレングリコール(decamethylene glycol)、ウンデカメチレングリコール(undecamethylene glycol)、ドデカメチレングリコール(dodecamethylene glycol)およびトリデカメチレングリコール(tridecamethylene glycol)から成る群から選ばれるいずれか1つ以上であってもよい。
【0051】
鞘部用樹脂の製造において、第1段階の前記エステル反応は、200~300℃下で行うことができ、好ましくは、230~270℃下で行うことができる。もし、前記エステル反応を200℃未満で行う場合、反応熱が不十分で重縮合反応が発生しないか、または低分子量の重縮合物が形成され、強度が低く、繊維化が難しい問題が発生し、300℃を超える温度で行う場合、高い反応熱に起因して重縮合物の分解が起こり、所望の高分子量の重縮合物の確保が困難であるか、分解反応以外の高い反応熱に起因して生成されるジエチレングリコールおよび各種ダイマー類の副反応物が生成され、これらが不純物として作用して、複合繊維の強度が低下し、黄変が発生する問題が発生し得る。
【0052】
鞘部用樹脂の製造において、第2段階の前記混合物は、熱安定剤としてリン(phosphorus)化合物をさらに含んでもよい。この際、前記リン化合物は、リン酸(phosphoric acid)、モノメチルリン酸(monomethyl phosphoric acid)、トリメチルリン酸(trimethyl phosphoric acid)およびトリエチルリン酸(triethyl phosphoric acid)などのリン酸類およびその誘導体を使用することが好ましく、この中でも、特にトリメチルリン酸またはトリエチルリン酸が、その効果に優れていて、好ましい。
【0053】
前記リン化合物の含有量は、製造された全樹脂に対してリン原子の重量が10~30p
pmとなる含有量で含ませることが好ましい。もし、リン化合物がリン(P)が10ppm未満となる含有量で含まれる場合、過度の副反応に起因して物性が弱くなる問題があり得、反対に、リン(P)が30ppmを超える含有量で含まれる場合、反応速度が遅くなる問題があり得る。
【0054】
なお、前記ポリエステル樹脂は、消臭剤をさらに含んでもよい。消臭剤としては、遷移金属がドープされた光触媒酸化物を使用することができ、前記遷移金属は、特別な制限はないが、反応性を考慮して、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Cr)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、白金(Pt)および金(Au)から成る群から選ばれた2種以上を使用した方が良い。前記光触媒酸化物の具体的な例示としては、TiO、SrTiO、ZrO、SnO、WO、BiおよびFeなどが挙げられるが、特にTiOが好ましく、より好ましくは、アナターゼ(Anatase)構造を有するTiOを使用した方が良い。
【0055】
鞘部用樹脂の製造において、前記第3段階は、トナーを適用するための工程であり、前記トナーは、前記鞘部用樹脂(または複合繊維の鞘部)の全重量中、0.1~20ppm、好ましくは、0.1~15.0ppmで、より好ましくは、1.0~10.0ppmで含んでもよい。この際、トナーの使用量が0.1ppm未満であれば、その使用量が少なすぎて、トナーの使用による複合繊維の色調調節効果が不十分であり、20ppmを超えて使用することは、過剰使用であり、かえって複合繊維の色調b値の調節が難しいので、前記範囲内で使用した方が良い。
【0056】
また、前記トナーは、人体有害性が低い非コバルト系染料を使用した方が良く、好ましくは、非コバルト系青色(blue)染料および非コバルト系赤色(red)染料の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、さらに好ましくは、色調の微細制御の観点から、前記非コバルト系青色染料および非コバルト系赤色染料2種を混合して使用することができる。芯部用樹脂の製造時にトナーを混合使用する場合、非コバルト系青色染料および非コバルト系赤色染料を1:0.3~0.8の重量比、好ましくは、1:0.3~0.6の重量比で混合して使用することが、製造しようとする複合繊維の適正色相(色調)を合わせるのに適切である。
【0057】
上述した方法で製造した鞘部用ポリエステル樹脂は、カルボキシル基(-COOH)含有量が4.5×10eq/g以下であってもよく、好ましくは、(1.0~4.0)×10eq/gであってもよい。また、前記カルボキシル基含有量の測定方法の一例を挙げると、アルコール性NaOH滴定法による測定方法で測定することができ、ベンジルアルコール溶媒を用いてポリエステル樹脂を240℃のオイル浴(Oil bath)で溶解させた後、1/100Nアルコール性NaOHを滴定して測定することができる。この際、カルボキシル基含有量が4.5×10eq/gを超えると、鞘部用ポリエステル樹脂の収率が低く製造され、鞘部用ポリエステル樹脂の分子量が低いか、または固有粘度が低すぎ、これを用いて製造した繊維の強度が低い問題があり得る。
【0058】
また、前記鞘部用ポリエステル樹脂は、L表色系のカラーb値が2.5~8であってもよく、好ましくは、2.5~5であってもよい。
【0059】
また、前記鞘部用ポリエステル樹脂は、好ましくは、非結晶性を帯びることができ、これを芯鞘型複合繊維の中に鞘部として含む場合、優れた繊維接着機能を発揮することができ、接着後に接着部位の触感も良好な特性を具現することができる。
【0060】
なお、上述した方法で製造された芯鞘型複合繊維は、鞘部と芯部を1:1.5~4.0
の断面積比で含んでもよいし、好ましくは、1:1.8~3.0の断面積比で含んでもよい。もし、前記芯部の断面積比が1.5倍未満であれば、複合繊維の強度が低下するにつれて支持体の強度も低下する問題が発生し得、4.0倍を超えると、支持体の接着強度が低下する問題が発生し得る。
【0061】
[芯部用樹脂]
次に、芯鞘型複合繊維の芯部の製造に使用される前記芯部用樹脂は、融点が230~260℃であってもよく、好ましくは、融点が235~245℃であってもよい。
【0062】
前記芯部用樹脂は、酸成分とジオール成分をエステル反応させて、エステル化合物を製造する第1段階と;前記エステル化合物と前記化学式2で表されるチタンキレート触媒を含む混合物を重縮合反応させて、重縮合反応生成物を製造する第2段階と;を含む工程を行うことで製造することができる。
【0063】
また、前記重縮合反応生成物とトナーを混合する第3段階;をさらに行うこともできる。
【0064】
芯部用樹脂の製造において、第1段階の前記酸成分は、テレフタル酸を含んでもよい。
【0065】
また、第1段階の前記ジオール成分は、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールおよびイソプロパノールの中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、好ましくは、エチレングリコールおよび1,3-プロパンジオールの中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0066】
また、前記エステル反応は、前記酸成分とジオール成分を1:1.0~2.0のモル比で含んで行うことができ、好ましくは、1:1.1~1.5のモル比で含んで行うことができる。この際、前記ジオール成分のモル比が1未満であれば、所望の製造されたエステル化合物を用いた重縮合物の繊維化が難しい問題が発生し得、ジオール成分のモル比が2を超えると、副産物が過多に発生し得るので、前記範囲内で使用した方が良い。
【0067】
また、芯部用樹脂の製造において、第1段階の前記エステル化反応は、200~300℃、好ましくは、230~270℃および1,000~1300torr、好ましくは、1,050~1,200torrの圧力下で行うことができる。
【0068】
芯部用樹脂の製造において、第2段階の前記混合物は、第1段階の前記エステル化合物と、前記化学式2で表されるチタンキレート触媒を含んでもよい。
【0069】
第2段階の前記重縮合反応は、反応物に前記チタンキレート触媒をチタン(titanium)原子が5~30ppmの含有量となるように添加することができ、好ましくは、10~20ppmの含有量となるように添加して反応を行うことができる。チタン原子の含有量が5ppm未満となると、反応速度が遅れて生産性が減少することができ、反対に、チタン原子の含有量が30ppmを超えると、反応性は十分であるが、触媒が異物として作用して、製造されたポリエステル樹脂を紡糸して製造された繊維の機械的強度および熱接着性などの物性が減少する恐れがある。
【0070】
芯部用樹脂の製造において、第2段階の前記混合物は、消臭剤をさらに含んでもよい。消臭剤としては、遷移金属がドープされた光触媒酸化物を使用することができ、前記遷移金属は、特別な制限はないが、反応性を考慮して、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Cr)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、タングステン(W)、ビスマス(
Bi)、白金(Pt)および金(Au)から成る群から選ばれた2種以上を使用した方が良い。前記光触媒酸化物の具体的な例示としては、TiO、SrTiO、ZrO、SnO、WO、BiおよびFeなどが挙げられるが、特にTiOが好ましく、より好ましくは、アナターゼ(Anatase)構造を有するTiOを使用した方が良い。
【0071】
また、第2段階の前記混合物は、繊維の表面光沢を向上させることができる消光剤として二酸化チタンをさらに含んでもよいし、セミダル(SD)の場合、混合物の全重量中、約0.2重量%以上、好ましくは、0.3~1.4重量%程度で使用することができ、フルダル(FD)の場合、混合物の全重量中、1.5重量%以上で使用することができる。
【0072】
また、第2段階の前記混合物は、熱安定剤をさらに含んでもよいし、前記熱安定剤は、リン(phosphorus)化合物を含んでもよい。この際、前記リン化合物は、リン酸(phosphoric acid)、モノメチルリン酸(monomethyl phosphoric acid)、トリメチルリン酸(trimethyl phosphoric acid)およびトリエチルリン酸(triethyl phosphoric acid)などのリン酸類およびその誘導体を使用することが好ましく、この中でも、特にトリメチルリン酸またはトリエチルリン酸が、その効果に優れていて、好ましい。前記リン化合物の含有量は、製造された全樹脂に対してリン原子の重量が10~30ppmとなる含有量で含ませることが好ましい。もし、リン化合物がリン(P)が10ppm未満となる含有量で含まれる場合、過度の副反応に起因して物性が弱くなる問題があり得、反対に、リン(P)が30ppmを超える含有量で含まれる場合、反応速度が遅くなる問題があり得る。
【0073】
また、第2段階の前記重縮合反応は、230~320℃下で、好ましくは、270~300℃下で行うことができる。
【0074】
また、前記重縮合反応は、0.1~5.0torrの圧力下で行うことができ、好ましくは、圧力0.3~1.0torrの圧力下で行った方が良く、これに制限されない。
【0075】
また、前記第3段階は、トナーを適用するための工程であり、前記トナーは、前記芯部用樹脂(または複合繊維の芯部)の全重量中、0.1~12ppm、好ましくは、1.0~10.0ppmで、より好ましくは、1.0~5.0ppmで含んでもよい。この際、トナーの使用量が0.1ppm未満であれば、その使用量が少なすぎて、トナーの使用による複合繊維の色調調節効果が不十分であり、10ppmを超えて使用することは、過剰使用であり、かえって複合繊維の色調b値(b)の調節が困難であるので、前記範囲内で使用した方が良い。
【0076】
また、前記トナーは、人体有害性が低い非コバルト系染料を使用した方が良く、好ましくは、非コバルト系青色(blue)染料および非コバルト系赤色(red)染料の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、さらに好ましくは、色調の微細制御の観点から、前記非コバルト系青色染料および非コバルト系赤色染料2種を混合して使用することができる。芯部用樹脂の製造時にトナーを混合使用する場合、非コバルト系青色染料および非コバルト系赤色染料を1:0.4~1.2の重量比、好ましくは、1:0.4~1.0の重量比で混合して使用することが、製造しようとする複合繊維および/またはトリコットろ過織物の適正色相(色調)を合わせるのに適切である。
【0077】
なお、本発明の他の目的として、上述した芯鞘型複合繊維を含む水処理分離膜用支持体を製造することができる。
【0078】
この際、前記支持体は、63~200Da(ダルトン)の原子質量を有し、密度が4.0g/cm以上の重金属元素を下記測定方法によって測定したとき、1ppm以下で含んでもよいし、好ましくは、0.7ppm以下で含んでもよい。
【0079】
[測定方法]
純度99.9%以上の脱イオン水(DI water)1,000gに前記支持体を0.7gの重さで裁断した試験片を100時間沈積した後に取り出し、前記脱イオン水に溶出した金属元素の濃度を測定する。
【0080】
また、前記支持体は、平均気孔サイズが0.5μm以下であってもよく、好ましくは、0.1μm以下であってもよい。
【0081】
また、前記支持体は、平均厚さが50~200mmであってもよく、好ましくは、90~150mmであってもよい。
【0082】
また、上記で説明した芯鞘型複合繊維を用いて製造した水処理分離膜用支持体は、複合繊維の製造に使用される鞘部および芯鞘用ポリエステル樹脂に有機系トナーを適用して製造した場合、修正された(modified)ASTM-D-1925法に基づいて色調を測定するとき、L(L値)値は、82.0~95.0を、好ましくは、84.0~94.0を、より好ましくは、85.0~92.0を満たすことができる。また、b(b値)値は、1.0~6.5を、好ましくは、1.5~5.0を、より好ましくは、1.8~4.4を満たすことができる。
【0083】
また、前記支持体は、接着強度が118~135N/mm、好ましくは、120~130N/mmを有していてもよい。
【0084】
また、前記水処理分離膜用支持体は、不織布であってもよく、前記不織布を製造する好ましい一例を挙げると、上記で説明した芯鞘型複合繊維とPET(polyethylenephthalate)単繊維を混繊および開繊した後、1:0.5~1.5の重量比で混繊および開繊した後、120℃、140℃および160℃の温度条件で多段熱処理し、坪量が20~50g/mのホットメルト不織布を製造することができる。また、前記PET単繊維は、繊維長30~80mm、繊度2.0~6.0deであってもよい。
【0085】
また、本発明の水処理分離膜の製造方法は、上述した支持体の一面または両面に1次コーティングおよび2次コーティングを行うことで、支持層を形成する段階と;前記支持層の表面に活性層を形成させる段階と;を含んでもよい。
【0086】
この際、前記支持体は、上記と同じであるので省略する。
【0087】
まず、前記1次コーティングは、ポリスルホン(polysulfone)高分子、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)高分子およびポリエーテルスルホン(polyethersulfone)高分子の中から選ばれた1種以上をコーティングさせて行うことができる。
【0088】
次に、前記2次コーティングは、一般的に知られている高分子であれば、制限なく使用することができ、好ましくは、多孔性基材に機能性を付与できる機能性高分子をコーティングさせて行うことができる。
【0089】
次に、前記活性層は、好ましくは、ポリアミド活性層であってもよく、 一般的に知ら
れているポリアミド活性層であれば、本発明に制限なく用いることができるので、本発明
では、活性層に関する具体的な説明を省略する。
【0090】
上述した方法で製造した水処理分離膜は、前記支持体と;前記多孔性支持体の一面または両面に形成された支持層と;前記支持層の表面に形成された活性層と;を含んでもよい。
【0091】
また、前記水処理用分離膜は、逆浸透分離膜またはナノろ過膜であってもよい。
【0092】
本発明のさらに他の目的として、上記した水処理分離膜を含み、有孔管の外部面に螺旋状に巻き取ったフィルターを含むフィルターモジュールを製造することができる。
【0093】
この際、前記フィルターモジュールは、前記水処理分離膜を少なくとも1つ以上含んでもよいし、好ましくは、複数層を積層して巻き取ったものであってもよい。
【0094】
また、前記フィルターモジュールは、円筒形フィルターモジュールであってもよい。
【0095】
以下では、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例が本発明の範囲を制限するものではなく、これは、本発明の理解を助けるものと解すべきである。
【0096】
[実施例]
準備例1:水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維の製造
(1)鞘部用ポリエステル樹脂の製造
エステル反応槽にテレフタル酸(TPA)70モル%、イソフタル酸(IPA)30モル%を含む酸成分、下記化学式1-3で表される化合物12モル%および下記化学式1-4で表される化合物88モル%を含むジオール成分を1:1.2のモル比で投入した後、250℃、1,140Torrの条件で反応させて、エステル反応物を得た。形成されたエステル反応物を重縮合反応器に移送し、重縮合触媒として下記化学式2で表される化合物15ppm(Ti元素の含有量基準)、熱安定剤としてトリエチルリン酸25ppm(P元素の含有量基準)を投入し、最終圧力が0.5Torrとなるように徐々に減圧しつつ、280℃まで昇温して、縮重合反応を行うことで、重縮合反応生成物を製造した。
【0097】
次に、前記重縮合反応生成物と非コバルト系青色染料および非コバルト系赤色染料1:0.4の重量比で混合された有機系トナーを混合し、鞘部用ポリエステル樹脂を製造した。この際、鞘部用ポリエステル樹脂内前記有機系トナー含有量は、3.0~6.0ppmである。
【0098】
また、製造された前記鞘部用ポリエステル樹脂は、融点が175℃である。
【0099】
【化6】
【0100】
【化7】
【0101】
【化8】
【0102】
上記化学式2-1中、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1のアルキレン基である。
【0103】
(2)芯部用ポリエステル樹脂の製造
前記鞘部用ポリエステル樹脂と同一に組成および方法で製造するものの、エステル反応物を製造時、酸成分としてテレフタル酸およびジオール成分としてエチレングリコールを1:1.2のモル比で混合し、芯部用ポリエステル樹脂を製造した。この際、前記芯部用ポリエステル樹脂の融点は、245℃である。
【0104】
(3)芯鞘型複合繊維の製造
前記芯部用ポリエステル樹脂を芯部とし、前記鞘部用ポリエステル樹脂を鞘部として5,000mpmで紡糸した後、2.2倍の延伸比で延伸して、芯鞘型複合繊維を製造した。製造された芯鞘型複合繊維は、鞘部と芯部を1:2.33の重量比で含む。
【0105】
準備例2~準備例7および比較準備例1~比較準備例4:水処理分離膜の支持体用芯鞘型複合繊維の製造
準備例1と同じ方法で製造するものの、下記表1~表2の条件で準備例2~準備例7および比較準備例1~比較準備例4を実施した。
【0106】
【化9】
【0107】
【化10】
【0108】
【化11】
【0109】
【化12】
【0110】
実験例1:末端基の分析
準備例1~準備例9および比較準備例1~比較準備例6で製造した鞘部用ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基(-COOH)含有量を1/100Nアルコール性NaOH滴定法によって測定した。
【0111】
20メッシュ(mesh)のサイズに粉砕したポリエステル樹脂粉末0.15gを精密に測定して試験管に入れ、5mlのベンジルアルコールを加えて、超小型撹拌機で撹拌しつつ、150秒間にわたって240℃で加熱溶解させた。溶解直後、試験管を25℃の水に7秒間浸漬して急冷させ、10mlのクロロホルムが入っている50mlのビーカーに内容物を注いだ後、さらに、5mlのベンジルアルコールを試験管に入れ、60秒間撹拌させながら、残っているポリエステル樹脂溶液を完全に洗浄し、ビーカーに直ちに加えて、これを被滴定液として使用した。カルボキシ基含有量は、フェノールレッド(0.1%ベンジルアルコール溶液)を指示薬として0.1N水酸化ナトリウムベンジルアルコール溶液をマイクロシリンジ(microsyringe、容量100μl)を用いて中和滴定し、滴定決定値を滴定試薬に対する背景試験結果によって補正して計算した。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
実施例1:水処理分離膜用支持体の製造
準備例1の芯鞘型複合繊維とポリエチレンテレフタレート(PET)単繊維(繊維長51mm、繊度4.0de)を1:1の重量比で混繊および開繊した後、120℃、140℃および160℃の温度条件で多段熱処理して、坪量が35g/mのホットメルト不織布を製造した。製造した水処理膜支持体は、平均気孔サイズが0.05μmであり、平均厚さが125μmであった。
【0115】
実施例2~実施例7および比較例1~比較例4:水処理分離膜用支持体の製造
実施例1と同じ方法で支持体を製造するものの、下記表3の条件で実施例2~実施例7および比較例1~比較例4を実施した。
【0116】
実験例2:支持体の物性および性能の評価
実施例1~実施例7および比較例1~比較例4で製造した水処理分離膜用支持体の物性および性能を下記のような方法で評価し、下記表3に示した。
【0117】
(1)重金属溶出量の測定
具体的には、99.9%純度の脱イオン水(DI water)に前記支持体の試験片を準備した。それぞれの試験片の重さは、0.7gであった。
次に、前記試験片をそれぞれ前記脱イオン水に沈積し、常温で放置した。
次に、それぞれ、24時間、48時間、70時間および90時間が経過したとき、脱イオン水をICP-MS(Perkin Elmer,NexION 300X)を用いて重金属溶出量を測定した。この際、前記重金属は、アンチモンを意味する。
【0118】
(2)色差計値の測定
前記水処理分離膜用支持体を5cm×5cmのサイズに切って試験片を製造し、前記試験片をコニカミノルタ(Konica Minolta)社の分光光度計(Spectrophotometer)のセルに位置させた後、Lとb値を測定した。
【0119】
(3)接着強度の測定
前記水処理分離膜用支持体を100mm(L)×20mm(W)×10mm(D)のサイズで試験片を製作し、KSMISO36方法に基づいてUTM(universal testing machine)を用いて接着強度を測定した。
【0120】
【表3】
【0121】
前記表3の支持体物性の測定結果を見ると、実施例1~7の支持体は、重金属溶出量がなく、適正な色差値を有し、高い接着強度を有することを確認することができた。鞘部用ポリエステル樹脂の製造時、IPAを20モル%未満の18モル%で使用した樹脂で製造した芯鞘型複合繊維を含む支持体は、実施例2(IPA25モル%使用)と比較して、支持体の接着強度が急激に低くなる問題があった。
【0122】
鞘部用ポリエステル樹脂の製造時、IPAを40モル%超の50モル%で使用した樹脂で製造した芯鞘型複合繊維を含む支持体は、実施例3(IPA35モル%使用)と比較して、接着強度に非常に優れた結果を示した。しかしながら、芯鞘型複合繊維の製造時に紡糸性が良くないので、不良率が非常に高い問題があった。
【0123】
鞘部と芯部の断面積比が1:1.5未満の複合繊維で製造した支持体である比較例3の場合、実施例1および実施例6と比較して、相対的に接着強度に優れているが、複合繊維の強度が低く、その結果、支持体の強度も良くなかった。
【0124】
また、鞘部と芯部の断面積比が1:4.0を超えた複合繊維で製造した支持体である比較例4の場合、実施例1および実施例7と比較して、相対的に接着強度が非常に低い問題があることを確認することができた。
【0125】
製造例1:水処理分離膜の製造
実施例1で製造した支持体上に1次コーティングおよび2次コーティングを行うことで、支持層を形成した。
【0126】
この際、前記1次コーティングは、ポリスルホン(Polysulfone)高分子をコーティングさせて行い、前記2次コーティングは、機能性原料をコーティングさせて行った。
次に、前記支持層の表面にポリアミド活性層を形成させて、水処理用分離膜を製造した。
【0127】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の思想は、本明細書に提示される実施形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は、同じ思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施形態を容易に提案できるが、これも、本発明の思想範囲内に入ると言える。
【国際調査報告】