(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】植物において殺虫特性を付与するための核酸分子
(51)【国際特許分類】
C12N 15/32 20060101AFI20240423BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240423BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240423BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240423BHJP
C12N 5/14 20060101ALI20240423BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20240423BHJP
A01H 6/46 20180101ALI20240423BHJP
A01H 6/20 20180101ALI20240423BHJP
A01H 6/54 20180101ALI20240423BHJP
A01H 6/82 20180101ALI20240423BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20240423BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20240423BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240423BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240423BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240423BHJP
C13K 1/00 20060101ALI20240423BHJP
C07K 4/10 20060101ALI20240423BHJP
A23J 1/00 20060101ALI20240423BHJP
A23J 1/12 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C12N15/32 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/14
A01H5/00 A
A01H6/46
A01H6/20
A01H6/54
A01H6/82
A01H5/10
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6876 Z
C12N15/09 110
C12Q1/6844 Z
C13K1/00
C07K4/10
A23J1/00 B
A23J1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567964
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022027372
(87)【国際公開番号】W WO2022235606
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】チョウ アイリン
(72)【発明者】
【氏名】アズハカナンダム カシマライ
(72)【発明者】
【氏名】コンヴィル ジャレド
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジョンイン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒョンスク エス
【テーマコード(参考)】
2B030
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
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2B030CB02
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4B065CA53
4H045AA10
4H045AA20
4H045CA30
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、細胞中に導入されるとき、殺虫性タンパク質の発現を付与する核酸配列、並びに関連する組成物及びその使用方法に関する。いくつかの態様では、本開示は、この核酸配列を含む植物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に対して少なくとも99%同一である核酸配列、又はその補体を含む核酸分子であって、前記核酸配列が、配列番号4の配列を含むポリペプチドをコードする、核酸分子。
【請求項2】
前記核酸配列が、配列番号3を含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記核酸配列が、配列番号1又は8~31のいずれか1つを含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記核酸分子が、単離されている、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、組換え核酸ベクター。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、トランスジェニック宿主細胞。
【請求項7】
前記細胞が、細菌細胞又は植物細胞である、請求項6に記載のトランスジェニック宿主細胞。
【請求項8】
前記細胞が細菌細胞であり、前記細菌細胞が、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、セレウス菌(Bacillus cereus)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属種、又はシュードモナス(Pseudomonas)属種細胞である、請求項7に記載のトランスジェニック宿主細胞。
【請求項9】
前記細胞が植物細胞であり、前記植物細胞が、トウモロコシ、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、オートムギ、芝生、牧草、コショウ、ジャガイモ、綿、イネ、ダイズ、サトウキビ、テンサイ、タバコ、オオムギ、又はセイヨウアブラナの細胞である、請求項7に記載のトランスジェニック宿主細胞。
【請求項10】
前記植物細胞が、トウモロコシ細胞である、請求項9に記載のトランスジェニック宿主細胞。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、トランスジェニック植物。
【請求項12】
前記植物が、単子葉植物である、請求項11に記載のトランスジェニック植物。
【請求項13】
前記植物が、双子葉植物である、請求項11に記載のトランスジェニック植物。
【請求項14】
前記植物が、トウモロコシ、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、オートムギ、芝生、牧草、コショウ、ジャガイモ、綿、イネ、ダイズ、サトウキビ、テンサイ、タバコ、オオムギ、又はセイヨウアブラナからなる群から選択される、請求項11に記載のトランスジェニック植物。
【請求項15】
請求項3の核酸分子を含む、トランスジェニックトウモロコシ植物全体。
【請求項16】
請求項15に記載の植物のあらゆる世代の子孫であって、前記子孫が、前記核酸分子を含む、子孫。
【請求項17】
請求項15に記載の植物の栄養繁殖体であって、前記栄養繁殖体が、前記核酸分子を含む、栄養繁殖体。
【請求項18】
請求項15に記載の植物の植物部位であって、前記植物部位が、前記核酸分子を含む、植物部位。
【請求項19】
前記植物部位が、種子である、請求項18に記載の植物部位。
【請求項20】
増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生する方法であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を植物に導入し、それによってトランスジェニック植物を産生することを含み、前記核酸分子が、有効な昆虫防除量のタンパク質を発現する、方法。
【請求項21】
増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生する方法であって、
a)請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を提供する工程と、
b)植物、組織培養物、又は植物細胞に工程(a)の前記核酸分子を導入し、増強した殺虫特性を有する形質転換植物、形質転換組織培養物、又は形質転換細胞を得る工程と、
c)前記形質転換植物を成長させるか、又は前記形質転換組織培養物、若しくは形質転換植物細胞から形質転換植物を再生させて、そのようにして増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生する工程と、
を含む、方法。
【請求項22】
トランスジェニック種子を産生する方法であって、
a)請求項11~15のいずれか一項に記載の稔性トランスジェニック植物を得る工程と、
b)前記植物を適切な条件下で成長させて、トランスジェニック種子を産生する工程と、
を含む、方法。
【請求項23】
増強した殺虫特性を有する稔性トランスジェニック植物のいずれかの世代の子孫を産生する方法であって、
a)請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含む増強した殺虫特性を有する稔性トランスジェニック植物を得る工程と、
b)前記トランスジェニック植物からトランスジェニック種子を収集する工程と、
c)前記収集したトランスジェニック種子を植え付ける工程と、
d)前記種子から前記子孫トランスジェニック植物を成長させる工程と、
を含み、
前記子孫が、非形質転換植物と比べて増強した殺虫特性を有する、方法。
【請求項24】
増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生するための方法であって、第1の親植物を第2の親植物と性的に交配させ、前記第1又は第2の親植物が、請求項11~15のいずれか一項に記載の植物であり、前記核酸分子を含む第1世代の子孫植物を産生する工程を含む、方法。
【請求項25】
増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生するための方法であって、
a)第1の親植物を第2の親植物と性的に交配させる工程であって、前記第1又は第2の親植物が、請求項11~15のいずれか一項に記載の植物である、性的に交配させる工程と、
b)増強した殺虫特性を有する第1世代の子孫植物を選択する工程であって、前記選択された子孫植物が、前記核酸分子を含む、選択する工程と、
を含む、方法。
【請求項26】
a)前記第1世代の子孫植物を自家受粉させて、それにより複数の第2世代の子孫植物を産生する工程と、
b)前記第2世代の子孫植物から増強した殺虫特性を有する植物を選択する工程であって、前記選択された第2世代の子孫植物が、前記核酸分子を含む、選択する工程と、
を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
鱗翅目害虫を防除する方法であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含む植物又は植物部位を前記害虫に摂食させることを含む、方法。
【請求項28】
前記鱗翅目害虫が、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)害虫である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
商品植物生産物を産生する方法であって、前記方法が、請求項11~15のいずれか一項に記載の植物を使用して、それから前記商品植物生産物を産生することを含む、方法。
【請求項30】
前記商品植物生産物が、穀粒、デンプン、種子油、シロップ、穀物粉、食用粉、デンプン、シリアル、又はプロテインである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
試料中の核酸分子の存在を検出する方法であって、前記方法が、
(a)前記試料を、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含むDNAとの核酸増幅反応で使用される場合、前記核酸分子の診断に役立つアンプリコンを産生する1対のプライマーと接触させることと、
(b)核酸増幅反応を実施して、それにより前記アンプリコンを産生することと、
(c)前記アンプリコンを検出することと、を含む、方法。
【請求項32】
試料中の核酸分子の存在を検出する方法であって、
(a)前記試料を、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を含むDNAと高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、前記核酸分子を含まない対照トウモロコシ植物のDNAとは高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズしないプローブと接触させることと、
(b)前記試料及びプローブを高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件に供することと、
(c)前記プローブの前記核酸分子へのハイブリダイゼーションを検出することと、を含む、方法。
【請求項33】
1対のポリヌクレオチドプライマーであって、試料中の請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子の存在下で一緒に機能する、試料中の前記核酸分子の存在の診断に役立つアンプリコンを産生する第1のポリヌクレオチドプライマーと第2のポリヌクレオチドプライマーとを含む、1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項34】
前記第1のポリヌクレオチドプライマーが、配列番号1又は8~31のいずれか1つに対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含み、前記第2のポリヌクレオチドプライマーが、配列番号1又は8~31のいずれか1つの逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、請求項33に記載の1対のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項35】
請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子を検出するためのキットであって、前記キットが、核酸検出法においてプライマー又はプローブとして機能するのに十分な長さの連続したヌクレオチドの少なくとも1つの核酸分子を含み、試料中の標的核酸配列の増幅又は標的核酸配列へのハイブリダイゼーション、それに続くアンプリコン又は前記標的配列へのハイブリダイゼーションの検出の際に、前記核酸分子の存在の診断に役立つ、キット。
【請求項36】
前記少なくとも1つの核酸分子が、配列番号1又は8~31のいずれか1つに相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
請求項6~10のいずれか一項に記載のトランスジェニック宿主細胞中に、又は請求項11~15のいずれか一項に記載のトランスジェニック植物中に存在する核酸分子中に修飾を導入し、それによって改変されたトランスジェニック宿主細胞又は改変されたトランスジェニック植物を産生することを含む、方法。
【請求項38】
前記修飾が、欠失、挿入、置換、重複、又は逆位、若しくはそれらの組合せである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記修飾が、前記核酸分子中に存在する選択可能なマーカーコード配列の一部又は全部の欠失を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記修飾が、ヌクレアーゼ又は相同組換え、若しくはそれらの組合せを使用して導入される、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ヌクレアーゼが、CRISPR-Casヌクレアーゼである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、前記改変されたトランスジェニック宿主細胞から植物を産生し、前記植物を自家受粉させるか、又は別の植物と交配させ、それによって改変されたトランスジェニック子孫植物を産生することを更に含む、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、前記改変されたトランスジェニック植物を自家受粉させるか又は別の植物と交配させ、それによって改変されたトランスジェニック子孫植物を産生することを更に含む、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、前記改変されたトランスジェニック子孫植物を少なくとも1つの追加の世代にわたって自家受粉させるか、又は異系交配させることを更に含む、請求項42又は43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月4日に出願された米国仮出願第63/183672号に対する優先権を主張するものであり、この仮出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、細胞又は植物中に導入される場合に、殺虫性タンパク質の発現を付与する核酸配列、並びに組成物及び方法に関する。
【0003】
配列表
本出願には、2022年3月14日に作成された“82347-PCT_ST25.txt”という名称のASCIIテキスト形式の配列表が添付され、これは、約395キロバイトのサイズである。この配列表は、その全体が参照により本明細書に援用される。この配列表は、EFS-Webを介して本明細書とともに提出され、米国特許施行規則(37C.F.R.)第1.824条(a)(2)~(6)及び(b)に準拠している。
【背景技術】
【0004】
植物害虫は、トウモロコシを含む世界の重要な農作物の損失の主な要因である。植物害虫は、主に化学殺虫剤の集中的な適用によって防除される。良好な害虫防除はこのように達成され得るが、これらの化学薬品は、時として有益な生物に影響を及ぼし得る。化学殺虫剤の広範囲にわたる使用からもたらされる別の問題は、抵抗性昆虫品種の出現である。これは、様々な抵抗性管理手法によって部分的に軽減されてきたが、代替害虫防除戦略に対するニーズが高まっている。1つのそのような代替案としては、トランスジェニック植物において殺虫性タンパク質をコードする外来遺伝子の発現が含まれる。このアプローチは、選択された害虫に対して駆除の有効な手段を提供しており、殺虫性毒素を発現するトランスジェニック植物が市販され、農業従事者が化学殺虫剤の適用を減らすことを可能にしている。
【0005】
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)Cryタンパク質(デルタエンドトキシンとも呼ばれる)は、ある特定の昆虫によって摂取されると、殺虫活性を保有することが知られているバチルス中で結晶マトリックスを形成するタンパク質である。Cryタンパク質をコードする遺伝子が単離されており、それらの農作物中の発現は、経済的に重要な害虫の防除のための別のツールを提供することが示されている。
【0006】
Cryタンパク質を発現するトランスジェニック植物の活用は、昆虫防除ツールボックスにおける別のツールではあるが、それは依然として抵抗性による破壊の影響を受けやすい。ある特定のトランスジェニック植物中で発現されるCryタンパク質に対して、現在抵抗性を有する害虫が知られている。例えば、ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))は、特定の国々においてCry1F、Cry1A.105及びCry2Ab2に対する圃場で発生した抵抗性が記録されている。その結果として、抵抗性の問題に対処するために、追加の殺虫性タンパク質に対するニーズがある。
【0007】
トランスジェニック植物で使用するための新しい殺虫性タンパク質発現カセットを作製することは、植物それ自体に対して負の効果(例えば、収量低下、不稔性、発育不良など)を引き起こすことなく、所望の活性(例えば、殺虫活性)を有するように、発現カセットがトランスジェニック植物内で十分なタンパク質を発現しなければならないため、困難な取り組みである。
【0008】
本明細書に提供されるのは、上述のニーズに対処するための核酸配列及び関連する組成物、並びに使用方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、1つ以上の殺虫性タンパク質を発現する核酸分子を提供する。本明細書に記載されるように、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)をコードする発現カセット(配列番号1)が作製された。この発現カセットは植物中に形質転換されると、鱗翅類(Lepidoptera)種、例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対する殺虫活性を付与する。
【0010】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、配列番号1に対して少なくとも90%同一(例えば、配列番号1に対して少なくとも90%同一、配列番号1に対して少なくとも91%同一、配列番号1に対して少なくとも92%同一、配列番号1に対して少なくとも93%同一、配列番号1に対して少なくとも94%同一、配列番号1に対して少なくとも95%同一、配列番号1に対して少なくとも96%同一、配列番号1に対して少なくとも97%同一、配列番号1に対して少なくとも98%同一、配列番号1に対して少なくとも99%同一、又は配列番号1に対して少なくとも99.5%同一)である核酸配列を含む核酸分子又はその補体を提供する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1によってコードされる同じタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号1若しくは8~31のうちのいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、1つ以上の鱗翅類害虫に対して殺虫性である、例えば、少なくともツスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対して殺虫性であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、オストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対して殺虫性であるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子が単離される。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号1に対して少なくとも95%同一(例えば、配列番号1に対して少なくとも95%同一、配列番号1に対して少なくとも96%同一、配列番号1に対して少なくとも97%同一、配列番号1に対して少なくとも98%同一、配列番号1に対して少なくとも99%同一、又は配列番号1に対して少なくとも99.5%同一)である核酸配列を含む核酸分子又はその補体を提供し、核酸配列は、配列番号4の配列を含むポリペプチドをコードするか、又は配列番号4及び6の配列を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号3若しくは配列番号3及び5、又は1つ以上のサイレント突然変異を含む前述のいずれかのその変異体を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体若しくは1つ以上のサイレント突然変異、又は配列番号1の機能に実質的に影響を及ぼさない他の突然変異を含む前述のいずれかのその突然変異のうちの任意の1つ以上を含む。
【0012】
いくつかの態様では、本開示は、上述の実施形態のいずれか又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の核酸分子を含む(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む)組換え核酸ベクターを提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、バイナリーベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターはプラスミドである。いくつかの実施形態では、ベクターは、宿主細胞中に存在する。
【0013】
いくつかの態様では、本開示は、上述の実施形態のいずれか又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の核酸分子を含む(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む)トランスジェニック宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、植物細胞、酵母細胞、細菌細胞、又は昆虫細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、細菌細胞又は植物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は細菌細胞であり、細菌細胞は、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、セレウス菌(Bacillus cereus)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属種、又はシュードモナス(Pseudomonas)属種細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は植物細胞であり、植物細胞は、トウモロコシ、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、オートムギ、芝生、牧草、コショウ、ジャガイモ、綿、イネ、ダイズ、サトウキビ、テンサイ、タバコ、オオムギ、又はセイヨウアブラナの細胞である。いくつかの実施形態では、植物細胞は、トウモロコシ細胞である。いくつかの実施形態では、植物細胞は、植物中に存在する。いくつかの実施形態では、植物細胞は単離されている。いくつかの実施形態では、植物細胞は、植物を再生することができる。いくつかの実施形態では、植物細胞は、植物全体を再生することができない。
【0014】
いくつかの態様では、本開示は、上述の実施形態のいずれか又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の核酸分子を含む(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む)トランスジェニック植物を提供する。いくつかの実施形態では、植物は、単子葉植物である。いくつかの実施形態では、植物は、双子葉植物である。いくつかの実施形態では、植物は、トウモロコシ、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、オートムギ、芝生、牧草、コショウ、ジャガイモ、綿、イネ、ダイズ、サトウキビ、テンサイ、タバコ、オオムギ、又はセイヨウアブラナからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、植物は、トウモロコシ植物である。いくつかの実施形態では、植物は、植物全体である。いくつかの実施形態では、植物は、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む核酸分子を含むトランスジェニックトウモロコシ植物全体である。いくつかの実施形態では、植物は、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対して殺虫性である。いくつかの実施形態では、植物は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、及びオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対して殺虫性である。いくつかの実施形態では、植物は、対照植物、例えば、本核酸分子を含まない植物と比べて、例えば、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対して増強した殺虫特性を有する。いくつかの態様では、本開示は、植物のあらゆる世代の子孫を提供し、子孫は本核酸分子を含む。いくつかの態様では、本開示は、植物の栄養繁殖体を提供し、栄養繁殖体は、本核酸分子を含む。いくつかの態様では、本開示は、植物の植物部位を提供し、植物部位は本核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、植物部位は、胚、花粉、胚珠、種子、葉、花、枝、果実、穀粒、穂、穂軸、皮、茎、根、根端、葯、塊茎、又は根茎である。いくつかの実施形態では、植物部位は種子である。
【0015】
いくつかの態様では、本開示は、増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生する方法であって、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の核酸分子(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む核酸分子)を植物に導入し、それによってトランスジェニック植物を産生することを含み、核酸分子が有効な昆虫防除量のタンパク質を発現する、方法を提供する。いくつかの実施形態では、有効な昆虫防除量のタンパク質は、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)を防除するのに有効である。いくつかの実施形態では、有効な昆虫防除量のタンパク質は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、及びオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)を防除するのに有効である。
【0016】
いくつかの態様では、本開示は、増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生する方法であって、(a)上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の核酸分子(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む核酸分子)を提供する工程と、(b)植物、組織培養物、又は植物細胞中に工程(a)の核酸分子を導入して、増強した殺虫特性を有する形質転換植物、形質転換組織培養、又は形質転換細胞を得る工程と、(c)形質転換植物を成長させるか、又は形質転換組織培養若しくは形質転換植物細胞から形質転換植物を再生させて、そのようにして増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物が産生される工程と、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、増強した殺虫特性は、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対する増強した殺虫特性である。いくつかの実施形態では、増強した殺虫特性は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、及びオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対する増強した殺虫特性である。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、トランスジェニックトウモロコシ植物である。
【0017】
いくつかの態様では、本開示は、トランスジェニック種子を産生する方法であって、(a)上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)稔性トランスジェニック植物を得る工程と、(b)植物を適切な条件下で成長させて、トランスジェニック種子を産生する工程と、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック種子は、トランスジェニックトウモロコシ種子である。
【0018】
いくつかの態様では、本開示は、増強した殺虫特性を有する稔性トランスジェニック植物のあらゆる世代の子孫を産生する方法であって、(a)上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の核酸(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む核酸)を含む増強した殺虫特性を有する稔性トランスジェニック植物を得る工程と、(b)トランスジェニック植物からトランスジェニック種子を収集する工程と、(c)収集したトランスジェニック種子を植え付ける工程と、(d)種子から子孫トランスジェニック植物を成長させる工程と、を含み、子孫が非形質転換植物と比べて、増強した殺虫特性を有する、方法を提供する。いくつかの実施形態では、子孫植物は、トウモロコシ植物である。
【0019】
いくつかの態様では、本開示は、増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生するための方法であって、第1の親植物を第2の親植物と性的に交配させて、核酸分子を含む第1世代の子孫植物を産生する工程を含み、第1又は第2の親植物が、上述した実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)植物である、方法を提供する。いくつかの実施形態では、増強した殺虫特性は、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対する増強した殺虫特性である。いくつかの実施形態では、増強した殺虫特性は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、及びオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対する増強した殺虫特性である。
【0020】
いくつかの態様では、本開示は、増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生するための方法であって、(a)第1の親植物を第2の親植物と性的に交配させる工程であって、第1又は第2の親植物が、上述した実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)植物である、交配させる工程と、(b)増強した殺虫特性を有する第1世代の子孫植物を選択する工程であって、選択された子孫植物が核酸分子を含む、選択する工程と、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、増強した殺虫特性は、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対する増強した殺虫特性である。いくつかの実施形態では、増強した殺虫特性は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、及びオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対する増強した殺虫特性である。いくつかの実施形態では、第1世代の子孫植物は、トウモロコシ植物である。いくつかの実施形態では、方法は、(a)第1世代の子孫植物を自家受粉させて、それにより複数の第2世代の子孫植物を産生する工程と、(b)第2世代の子孫植物から増強した殺虫特性を有する植物を選択する工程であって、選択された第2世代の子孫植物が核酸分子を含む、選択する工程と、を更に含む。
【0021】
いくつかの態様では、本開示は、鱗翅目害虫を防除する方法であって、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子を含む植物又は植物部位を害虫に摂食させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、鱗翅目害虫は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)である。いくつかの実施形態では、鱗翅目害虫は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、及びオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)である。いくつかの実施形態では、植物又は植物部位は、トウモロコシ植物又はトウモロコシ植物部位である。
【0022】
いくつかの態様では、本開示は、商品植物生産物を産生する方法を提供し、方法は、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)植物を使用して、それから当該商品植物生産物を産生することを含む。いくつかの実施形態では、植物は、トウモロコシ植物である。いくつかの実施形態では、商品植物生産物は、穀物、デンプン、種子油、シロップ、穀物粉、食用粉、デンプン、シリアル、又はプロテインである。
【0023】
いくつかの態様では、本開示は、試料中の核酸分子の存在を検出する方法を提供し、方法は、(a)試料を、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号:配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子を含むDNAとの核酸増幅反応で使用される場合、核酸分子のための診断に役立つアンプリコンを産生する1対のプライマーと接触させることと、(b)核酸増幅反応を実施して、それによりアンプリコンを産生することと、(c)アンプリコンを検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、プライマーの対は、第1のプライマー及び第2のプライマーであり、第1のプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含み、第2のプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上の逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプライマーは、10~30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、試料は、トウモロコシ植物部位又は細胞から得られた試料である。
【0024】
いくつかの態様では、本開示は、試料中の核酸分子の存在を検出する方法を提供し、方法は、(a)試料を、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子を含むDNAと高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、この核酸分子を含まない対照トウモロコシ植物のDNAとは高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないプローブと接触させることと、(b)試料及びプローブを高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供することと、(c)プローブの核酸分子へのハイブリダイゼーションを検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、プローブは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上、或いはその逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プローブは10~50ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、試料は、トウモロコシ植物部位又は細胞から得られた試料である。
【0025】
いくつかの態様では、本開示は、試料中の核酸分子の存在の診断に役立つアンプリコンを産生するための試料中の1対のポリヌクレオチドプライマーであって、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子の存在中で一緒に機能する、試料中の第1のポリヌクレオチドプライマーと第2のポリヌクレオチドプライマーとを含む、1対のポリヌクレオチドプライマーを提供する。いくつかの実施形態では、試料は、トウモロコシ植物部位又は細胞から得られた試料である。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含み、第2のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上の逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプライマーは、10~30ヌクレオチド長である。
【0026】
いくつかの態様では、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子を検出するためのキットを提供し、キットは、核酸検出法においてプライマー又はプローブとして機能するのに十分な長さの連続したヌクレオチドの少なくとも1つの核酸分子を含み、試料中の標的核酸配列の増幅又は標的核酸配列へのハイブリダイゼーション、それに続くアンプリコンの検出又は標的配列へのハイブリダイゼーションの検出の際に、核酸分子の存在の診断に役立つ。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は1対のプライマーを含み、第1のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含み、第2のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上の逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプライマーは、10~30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上、或いはその逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含むプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、10~50ヌクレオチド長である。
【0027】
いくつかの態様では、本開示は、上述の実施形態のいずれか1つの核酸分子、トランスジェニック宿主細胞、又はトランスジェニック植物中に修飾を導入し、それによって修飾核酸分子、トランスジェニック宿主細胞、又は改変されたトランスジェニック植物を産生することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、修飾は、欠失、挿入、置換、重複(duplication)、又は逆位(inversion)、若しくはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、修飾は、核酸分子中に存在する選択可能なマーカーコード配列(例えば、PMI)の一部、又は全ての欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、ヌクレアーゼ又は相同組換え、若しくはその組合せを使用して導入される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、CRISPR-Casヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、方法は、改変されたトランスジェニック宿主細胞から植物を産生することと、この植物を自家受粉させるか、又は別の植物と交配させ、それによって改変されたトランスジェニック子孫植物を産生することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、改変されたトランスジェニック植物を自家受粉させるか、又は別の植物と交配させ、それによって改変されたトランスジェニック子孫植物を産生することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、改変されたトランスジェニック子孫植物を少なくとも1つの追加の世代にわたって自家受粉させるか、又は異系交配させることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】その核酸配列が配列番号2である、バイナリーベクター24795の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
配列表中の配列の簡単な説明
配列番号1は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードする発現カセットの核酸配列である。
【0030】
配列番号2は、配列番号1の発現カセットを含むバイナリーベクター24795の核酸配列である。
【0031】
配列番号3は、eCry1Gb.1Igをコードするコード配列の核酸配列である。
【0032】
配列番号4は、eCry1Gb.1Igのアミノ酸配列である。
【0033】
配列番号5は、PMIをコードするコード配列の核酸配列である。
【0034】
配列番号6は、PMIのアミノ酸配列である。
【0035】
配列番号7は、配列番号5と比較して、1つのヌクレオチド位置でサイレント突然変異を有するPMIをコードするコード配列の核酸配列である。
【0036】
配列番号8は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号7中にサイレント突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0037】
配列番号9は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0038】
配列番号10は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0039】
配列番号11は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0040】
配列番号12は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0041】
配列番号13は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0042】
配列番号14は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0043】
配列番号15は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0044】
配列番号16は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0045】
配列番号17は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0046】
配列番号18は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0047】
配列番号19は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0048】
配列番号20は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0049】
配列番号21は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0050】
配列番号22は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0051】
配列番号23は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0052】
配列番号24は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0053】
配列番号25は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0054】
配列番号26は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0055】
配列番号27は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0056】
配列番号28は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0057】
配列番号29は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0058】
配列番号30は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0059】
配列番号31は、eCry1Gb.1Igタンパク質(配列番号4)並びに選択可能なマーカーとしてのPMI(配列番号6)をコードし、配列番号1と比べて追加の突然変異を含有する発現カセットの核酸配列である。
【0060】
配列番号32~75は、表3にある。
【0061】
詳細な説明
この説明は、本発明が実施され得る全ての異なる方法、又は本発明に追加され得る全ての特徴の詳細な目録であることを意図するものではない。例えば、一実施形態に関して例示される特徴は、他の実施形態に組み込まれてもよく、特定の実施形態に関して例示される特徴は、その実施形態から削除されてもよい。このように、本開示は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるいかなる特徴又は特徴の組合せも除外又は省略され得る。加えて、本明細書に示唆される様々な実施形態に対する多数の変形及び追加は、本開示から逸脱することなく、本開示に照らして当業者には明らかであろう。したがって、以下の説明は、本開示のいくつかの特定の実施形態を例証することを意図しており、それらの全ての順列、組合せ、及びバリエーションを網羅的に指定するものではない。
【0062】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。
【0063】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、これらの参考文献が提示されている文書及び/又は段落に関連する教示に関して、その全体が参照により組み込まれる。
【0064】
本明細書に提供されるヌクレオチド配列は、5’方向から3’方向に、左から右に提示され、37 CFR§§1.821-1.825及び世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)(WIPO)規準ST.25に記載されるようなヌクレオチド塩基を表現するための標準コードを用いて提示され、例えば:アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、及びグアニン(G)である。
【0065】
アミノ酸は、同様に、WIPO規準ST.25を用いて示され、例えば:アラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C)、グルタミン(Gln;Q)、グルタミン酸(Glu;E)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;1)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、スレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、及びバリン(Val;V)である。
【0066】
文脈上別の意味を示さない限り、本明細書に記載される本開示の様々な特徴は、任意の組合せで使用され得ることが具体的に意図される。更に、本開示はまた、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるいかなる特徴又は特徴の組合せも除外又は省略され得ることが企図される。例示すると、組成物が成分A、B、及びCを含むことを明細書が記述している場合、A、B、若しくはCのいずれか、又はそれらの組合せが省略され、単独で、又は任意の組合せで放棄されることが具体的に意図される。
【0067】
定義
明確にするために、本明細書で使用されるある特定の用語が定義され、以下のように提示される。
【0068】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上そうでないと明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a plant」への言及は、1つ以上の植物への言及であり、当業者に既知であるその等価物などを含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、単語「又は」は、文脈上そうでないと明確な指示がない限り、「及び/又は」も包含する。
【0070】
「約」という用語は、およそ、ほぼ、大体、又はその範囲にあることを意味するために本明細書で使用される。用語「約」が、数値範囲と併せて使用される場合、それは設定された数値の上下に境界線を広げることによってその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、指定された値の上下の数値に20パーセントの変動で、好ましくは10%の上又は下(高又は低)で変更するように本明細書で使用される。温度に関しては、「約」という用語は、±1℃、好ましくは±0.5℃を意味する。「約」という用語が本開示の文脈で使用される場合(例えば、温度又は分子量の値と組み合わせて)、正確な値(すなわち、「約」を伴わない)が好ましい。
【0071】
本明細書で使用される場合、「約XとYとの間」、「約Xと約Yとの間」、「X~Y」、及び「約X~約Y」という語句(並びに同様の語句)は、文脈上別の意味を示さない限り、X及びYを含むと解釈されるべきである。
【0072】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有している(having)」、及びそれらの活用語は、「含むが、それらに限定されない」を意味する。「からなる(consisting of)」という用語は、「含み、これらに限定される」を意味する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法、又は構造が追加の成分、工程及び/又は部分を含み得るが、追加の成分、工程及び/又は部分が特許請求される組成物、方法、又は構造の基本的及び新規な特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0073】
単位、接頭語及び記号は、SI承認形態で表され得る。特に示されない限り、核酸は、左から右に5’から3’の配向で描かれ、アミノ酸配列は、それぞれ左から右にN末端からC末端の配向で描かれる。アミノ酸は、本明細書では、それらの一般的に知られている3文字記号又はIUPAC-IUB生化学命名委員会(IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字記号のいずれかによって示され得る。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般的に認められた1文字コードによって示され得る。
【0074】
本開示の殺虫性タンパク質の「活性」は、殺虫性タンパク質が経口活性害虫(例えば、昆虫)防除剤として機能し、毒性作用を有し(例えば、害虫が生存、成長、及び/若しくは生殖するための能力を阻害する)、並びに/又は害虫の摂食を妨害若しくは阻止することができる(これらは、昆虫の死滅を引き起こしても、又は引き起こさなくてもよい)ことを意味する。本開示の殺虫性タンパク質が害虫に送達されるとき、その結果は、典型的には害虫の死滅であるか、又は殺虫性タンパク質を害虫に利用可能にする供給源をその害虫が摂食しないことである。
【0075】
本明細書で使用される「キメラポリヌクレオチド」又は「キメラタンパク質」(又は同様な用語)という用語は、単一の分子に組み立てられた異なる起源の2つ以上のポリヌクレオチド若しくはタンパク質、又はそれらのフラグメントを含む分子を指す。「キメラ構築物」、「キメラ遺伝子」、「キメラポリヌクレオチド」、又は「キメラ核酸」という用語は、限定されないが、(1)自然界では一緒に見出されない(すなわち、構築物中のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、その他のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つに対して異種である)制御ポリヌクレオチド及びコードポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(例えば、DNA)、又は(2)天然には隣接していないタンパク質の一部をコードするポリヌクレオチド、又は(3)天然には隣接していないプロモーターの一部を含有する任意の構築物又は分子を指す。更に、キメラ構築物、キメラ遺伝子、キメラポリヌクレオチド、又はキメラ核酸は、異なる供給源に由来する制御ポリヌクレオチド及びコードポリヌクレオチドを含んでもよく、又は同じ供給源に由来する制御ポリヌクレオチド及びコードポリヌクレオチドを含んでもよいが、自然界に見られるものとは異なる方法で配列され得る。本開示のいくつかの実施形態では、キメラ構築物、キメラ遺伝子、キメラポリヌクレオチド、又はキメラ核酸は、制御ポリヌクレオチドのコントロール下にある、特に植物又は細菌中で機能的な制御ポリヌクレオチドのコントロール下にある本開示のポリヌクレオチドを含む発現カセットを含む。ポリヌクレオチド又はタンパク質に関する「キメラ」及び「ハイブリッド」という単語は、本明細書では互換的に使用される。
【0076】
本開示の文脈において、「キメラ」タンパク質は、少なくとも2つの異なるタンパク質の全て、又は一部分を融合することによって作り出されたタンパク質である。キメラタンパク質はまた、1つ以上のアミノ酸の付加、置換、及び/又は欠失を含むように更に修飾されてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、単一のポリペプチド中に一緒に融合された2つの異なるCryタンパク質の全て、又は一部分を含むキメラCryタンパク質である。いくつかの実施形態では、キメラCryタンパク質は、1つ以上のアミノ酸の付加、置換、及び/又は欠失などの追加の修飾を更に含む。「キメラ殺虫性タンパク質」は、殺虫活性を有するキメラタンパク質である。
【0077】
本明細書で使用される際、「コドン最適化」配列は、コドンが、宿主細胞又は生物が有し得る特定のコドンバイアスを反映するように選択されるヌクレオチド配列を意味する。これは、典型的には、最適化されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を保存するような方法で行われる。特定の実施形態では、組換えDNA構築物のDNA配列は、構築物が発現される細胞(例えば、動物、植物又は真菌細胞)についてコドン最適化された配列を含む。例えば、植物細胞内で発現される構築物は、植物内で発現についてコドン最適化されたその配列(例えば、第1の遺伝子抑制要素又は遺伝子発現要素)の全て又は一部を有し得る。例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第6,121,014号明細書を参照されたい。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、植物細胞(例えば、双子葉植物細胞若しくは単子葉植物細胞)又は細菌細胞内で発現についてコドン最適化される。
【0078】
昆虫を「防除する」こととは、毒性作用を通じて、害虫の生存する、成長する、摂食する、及び/若しくは生殖する能力を阻害すること、並びに/又は作物における昆虫に関連する損傷若しくは損失を制限すること、及び/若しくは害虫の存在下で成長したとき、作物の生産力を保護することを意味する。昆虫を「防除する」こととは、昆虫を殺傷することを意味しても、意味しなくてもよいが、本開示のいくつかの実施形態では、昆虫を「防除する」とは、昆虫を殺傷することを意味する。
【0079】
本明細書で使用される「対照植物」又は「対照」は、本明細書でトランスジェニック植物を生成するために使用された親系統の非トランスジェニック植物であり得る。対照植物は、場合によっては、空ベクター又はマーカー遺伝子を含むが、評価されるトランスジェニック植物中で発現される本開示の組換えポリヌクレオチドを含有しないトランスジェニック植物系統であってもよい。一般に、対照植物は、トランスジェニック植物を特徴付ける特定の形質を付与する組換えDNAを欠如する、試験されるトランスジェニック植物と同じ系統又は品種の植物である。そのような特定の形質を付与する組換えDNAを欠如する前駆植物は、天然の野生型植物、選択された非トランスジェニック植物、又はトランスジェニック植物を特徴付ける特定の形質を付与する組換えDNAを含まないトランスジェニック植物であり得る。特定の形質を付与する組換えDNAを欠如する前駆植物は、特定の形質を付与する組換えDNAを有するトランスジェニック植物の同胞であり得る。そのような前駆同胞植物は、他の組換えDNAを含んでもよい。
【0080】
本開示に関して、「~に対応している」又は「~に対応する」は、参照配列のアミノ酸配列が、参照配列と異なる第2のアミノ酸配列(例えば変異体又は相同配列)と一致する場合、第2のアミノ酸配列中の特定の列挙される位置「に対応する」アミノ酸が参照アミノ酸配列中のこれらの位置と一致するが、本開示の特定の参照アミノ酸配列に関して必ずしも正確な数値の位置にあるわけではないものであることを意味する。
【0081】
本明細書で使用される場合、「Cryタンパク質」という用語は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の結晶デルタ-エンドトキシン型の殺虫性タンパク質を意味する。「Cryタンパク質」という用語は、プロトキシン形態又は部分的に処理された形態及び成熟毒素形態を含むその任意の殺虫活性フラグメント、若しくは毒素(例えば、N末端ペプチジルフラグメント及び/又はC末端プロトキシンテールを含まない)を指すことができる。
【0082】
組成物又は毒素を「送達する」又は「送達すること」とは、組成物又は毒素を昆虫と接触させて毒性作用をもたらし、昆虫を防除することを意味する。組成物又は毒素は、多くの認識された方法、例えば、トランスジェニック植物発現を介して、昆虫による摂取によって経口的に送達され得る。
【0083】
「ドメイン」という用語は、進化的に関連するタンパク質の配列のアライメントに沿って特定の位置で保存された一連のアミノ酸を指す。他の位置におけるアミノ酸は、ホモログ間で変化し得るが、特定の位置で高度に保存されたアミノ酸は、タンパク質の構造、安定性又は機能に不可欠である可能性が高いアミノ酸を示す。タンパク質ホモログのファミリーのアラインされた配列におけるそれらの高度な保存によって同定されて、それらは、該当する任意のポリペプチドが、予め同定されたポリペプチド群に属するかどうかを決定するための識別子として使用され得る。
【0084】
本開示の「操作された」タンパク質は、少なくとも1つの対応する親タンパク質と比較して、少なくとも1つのアミノ酸位置で異なる配列を有するタンパク質を指す。操作されたタンパク質は、例えば、親タンパク質と比べて1つ以上のアミノ酸位置の欠失、付加、及び/又は置換などの1つ以上の修飾を含有する突然変異体タンパク質であり得る。操作されたタンパク質は、キメラタンパク質であり得、例えば、少なくとも2つの親タンパク質からの1つ以上の交換又はシャッフルされたドメイン若しくはフラグメントを含有することができる。
【0085】
「有効な昆虫防除量」とは、毒性作用を通じて昆虫が生存し、成長し、食餌し、及び/又は生殖するための能力を阻害するか、又は作物における昆虫が関連する損傷若しくは損失を制限する1つ又は複数の毒素の濃度を意味する。「有効な昆虫防除量」は、昆虫を殺傷することを意味しても、意味しなくてもよいが、昆虫を殺傷することを意味することが好ましい。「殺虫性」は、好ましくは昆虫を殺傷することによって、昆虫を防除することができる毒性の生物活性として定義される。「増強した殺虫特性」を有するトランスジェニック植物は、有効な昆虫防除量で1つ又は複数のタンパク質を発現する植物であり、それによって、いくつかの実施形態では、植物は、形質転換されていない同じ種類の植物と比べて、増加した範囲の昆虫種に対して殺虫性である。この増加した範囲の昆虫種としては、鱗翅目害虫、例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)などの昆虫植物害虫が含まれる。
【0086】
「事象」という用語は、異種DNAを含む元の形質転換体及び/又は形質転換体の子孫を指す。「事象」という用語はまた、形質転換体と別のトウモロコシ系統との間の性的な異種交配によって産生された子孫を指す。反復親に対する繰り返された戻し交配後であっても、挿入されたDNA及び形質転換された親からのフランキングDNAは、同じ染色体位置での交配の子孫中に存在する。「事象」という用語はまた、挿入されたDNAと、挿入されたDNAを含む1つの親系統(例えば、元の形質転換体と自家受粉から得られた子孫)と挿入されたDNAを含有しない親系統との性的交配の結果として、子孫に引き継がれると予想される挿入されたDNAのすぐ隣のフランキングゲノム配列と、を含む元の形質転換体に由来するDNAを指す。典型的には、植物組織の形質転換は、複数の事象を産生し、その各々はDNA構築物の植物細胞のゲノム中の異なる位置への挿入に相当する。
【0087】
本明細書で使用される際の「発現カセット」は、適切な宿主細胞内の特定のヌクレオチド配列の発現を指令することが可能な核酸配列を意味し、1つ又は複数の導入遺伝子を含み、各導入遺伝子は、対象とするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含み、これは、終結シグナルに作動可能に連結されている。各導入遺伝子は、典型的には、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列も含む。対象とするヌクレオチド配列を含む発現カセットは、他の構成要素の少なくとも1つに対して異種であるその構成要素の少なくとも1つを有し得る。発現カセットは、天然に存在するが、異種発現に有用な組換え形態で得られたものでもあり得る。しかしながら、典型的には、発現カセットは、宿主に対して異種であり、すなわち、発現カセットの特定の核酸配列は、宿主細胞内に天然に存在せず、形質転換事象によって宿主細胞又は宿主細胞の祖先に導入されていなければならない。発現カセット中のヌクレオチド配列の発現は、宿主細胞がある特定の外部刺激に曝されたときにのみ転写を開始する構成的プロモーター又は誘導性プロモーターの制御下にあり得る。植物などの多細胞生物の場合、プロモーターは、特定の組織若しくは器官又は発達段階に特異的でもあり得る。
【0088】
対象とするヌクレオチド配列を含む発現カセットは、キメラであり得、これは、その構成要素の少なくとも1つが他の構成要素の少なくとも1つに対して異種であることを意味する。発現カセットは、その天然遺伝子を駆動する天然プロモーターを含むものでもあり得るが、それは、異種発現に有用な組換え形態で得られた。発現カセットのこのような使用は、それが導入された細胞内でそれが天然に存在しないようにする。
【0089】
発現カセットは、植物において機能的である1つ又は複数の転写領域及び/又は翻訳終結領域も任意に含み得る。様々な転写ターミネーターは、発現カセットにおける使用に利用可能であり、対象とする異種ヌクレオチド配列を越える転写の終結に関与し、mRNAポリアデニル化を修正する。終結領域は、転写開始領域にとって天然であり得るか、作動可能に連結された対象とするヌクレオチド配列にとって天然であり得るか、植物宿主にとって天然であり得るか、又は別の源由来(すなわちプロモーター、対象とするヌクレオチド配列、植物宿主又はそれらの任意の組合せにとって外来又は異種)であり得る。
【0090】
「遺伝子」はコード核酸配列を含み、典型的には、発現の制御に関与する、すなわち、コード部分の転写及び翻訳に関与する他の主に制御性の核酸も含む。遺伝子はまた、他の5’及び3’非翻訳配列と、終止配列とを含んでもよい。存在し得る更なる要素は、例えば、イントロンである。遺伝子の制御核酸配列は、自然界で見られるような関連する核酸配列に通常は作動可能に連結することができず、したがって、キメラ遺伝子である。
【0091】
「遺伝子源」という用語は、個体(例えば、植物)、個体の群(例えば、植物系統、品種若しくは科)、又は系統、品種、種、若しくは培養物から派生したクローンの、又はそれらからの遺伝物質を指す。一般に、遺伝子源は、生物若しくは細胞の一部であり得るか、又は生物若しくは細胞から分離することができる。一般に、遺伝子源は、遺伝物質に特定の分子構成を提供し、この分子構成は生物又は細胞培養物の遺伝的性質の一部又は全部に物理的基盤を提供する。本明細書で使用される場合、遺伝子源としては、新しい植物がそれから成長し得る細胞、種子若しくは組織、又は植物部位、例えば、植物全体に培養することができる葉、茎、花粉、又は細胞が挙げられる。
【0092】
「異種」という用語は、遺伝子又はポリヌクレオチド又はポリペプチドに関して使用されるとき、その自然な環境において存在しない(すなわちヒトの手により変更された)又はその部分を含む遺伝子又はポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。例えば、異種遺伝子は、別の種に導入されたある種からのポリヌクレオチドを含み得る。異種遺伝子は、何らかの方法(例えば、突然変異、複数のコピーで付加、非天然のプロモーター又はエンハンサーポリヌクレオチドに連結されるなど)で改変された、生物にとって天然のポリヌクレオチドも含み得る。異種遺伝子は、cDNA形態の植物遺伝子を含む植物遺伝子ポリヌクレオチドを更に含み得、cDNAは、センス(mRNAを産生するために)又はアンチセンス配向(mRNA転写産物に相補的なアンチセンスRNA転写産物を産生するために)のいずれかで発現され得る。本開示の一態様では、異種遺伝子は、異種遺伝子ポリヌクレオチドが、異種遺伝子によってコードされるタンパク質の遺伝子若しくは染色体中の植物遺伝子ポリヌクレオチドと天然に結合していないか、又は天然では見られない染色体の一部(例えば、遺伝子が通常発現されない遺伝子座で発現される遺伝子)と結合しているプロモーターなど、調節要素を含むポリヌクレオチドに典型的に結合される点で内因性植物遺伝子と区別される。更に、「異種」ポリヌクレオチドは、それが導入される宿主細胞と天然では結合しないポリヌクレオチドを指し、天然に存在するポリヌクレオチドの天然に存在しない複数のコピーを含む。
【0093】
「増加する(increase)」、「増加している(increasing)」、「増加した(increased)」、「増強する(enhance)」、「増強した(enhanced)」、「増強している(enhancing)」、及び「増強(enhancement)」という用語、並びに類似の用語は、本明細書で使用される場合、例えば、害虫を本開示の植物と接触させることによって(例えば、トランスジェニック発現によるか、又は局所適用法によるなど)、植物害虫の防除における上昇を説明する。防除における増加は、本開示の核酸分子の不在下(例えば、本核酸分子を含まない植物)での植物害虫の防除のレベルを参照することができる。したがって、実施形態では、「増加する」、「増加している」、「増加した」、「増強する」、「増強した」、「増強している」、及び「増強」という用語、並びに類似の用語は、好適な対照(例えば、本核酸分子を含まない植物、植物部位、植物細胞)と比較するとき、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、200%、300%、400%、500%以上の上昇を示すことができる。
【0094】
2つの核酸又はアミノ酸配列に関しての「同一性」又は「同一の」という用語は、2つの配列がグローバルアライメントされるとき、試験(「対象」)配列と比較して、参照(「クエリ」)配列(又はその相補鎖)の線状ポリヌクレオチド若しくはアミノ酸配列中の同一のヌクレオチド若しくはアミノ酸のパーセンテージを指す。特に明記しない限り、本明細書で使用される配列同一性は、Needleman-Wunschアルゴリズム((1970)J.Mol.Biol.48:443-453)を使用して得られた値を指し、Needleman-Wunschアルゴリズムは、タンパク質についてはデフォルトパラメータ(Gap Open=10、Gap Extend=0.5、End Gap Penalty=False、End Gap Open=10、End Gap Extend=0.5)、又は核酸のDNAfullではデフォルトパラメータ(Gap Open=10、Gap Extend=0.5、End Gap Penalty=False、End Gap Open=10、End Gap Extend=0.5)を用いるデフォルトマトリックスファイルEBLOSUM62を使用するEMBOSS Needleアライメントツール、又はその任意の同等のプログラムで実行される。EMBOSS Needleは、以下のウェブサイト:ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/などで、例えば、EMBL-EBIから入手可能であり、以下の刊行物に記載されている:“The EMBL-EBI search and sequence analysis tools APIs in 2019.”Madeira et al.Nucleic Acids Research,June 2019,47(W1):W636-W641。本明細書で使用される「同等のプログラム」という用語は、論議されている任意の2つの配列について、EMBOSS Needleによって生成された対応するアライメント比較する場合に、同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基の一致を有するアライメント、及び同一のパーセントの配列同一性を生成する任意の配列比較プログラムを指す。いくつかの実施形態では、実質的に同一な核酸又はアミノ酸配列は、実質的に同じ機能を実行し得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチド又はペプチドは、「単離されている」。用語「単離された」ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、その天然の環境においては、もはや存在しないポリヌクレオチド又はポリペプチドである。本開示の単離されたポリヌクレオチド又はポリペプチドは、精製形態で存在してもよいか、又はトランスジェニック細菌又はトランスジェニック植物中などの組換え宿主中に存在してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、「単離された」核酸分子は、核酸分子がトランスジェニック植物ゲノム中に含まれる場合、核酸分子を包含する。
【0096】
「単離された」という用語は、本開示の核酸分子又はポリヌクレオチドに関して使用されるとき、それぞれの供給源生物内で特定され、それぞれの供給源生物内のその染色体ポリヌクレオチドから単離/分離されているポリヌクレオチドを指す。単離された核酸又はポリヌクレオチドは、それが実際に天然に存在する対応物を有している場合、その自然な状況で発生するため核酸ではない。対照的に、単離されていない核酸は、DNA及びRNAなどの核酸であり、それらは、それが自然界で存在する状態で見出される。例えば、所与のポリヌクレオチド(例えば、遺伝子)は、隣接する遺伝子の近くの宿主細胞染色体上で見られる。単離された核酸分子は、一本鎖又は二本鎖の形態で存在し得る。或いは、それはセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含んでもよい(すなわち、核酸分子は二本鎖であり得る)。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は単離されている。
【0097】
本明細書で使用される場合、「トウモロコシ(maize)」という用語は、トウモロコシ(ズィー・メイス(Zea mays))及び野生トウモロコシ種を含むズィー・メイス(Zea mays)で育種され得る全ての植物品種を含む。「トウモロコシ(maize)」及び「コーン(corn)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0098】
「モチーフ」又は「コンセンサス配列」又は「シグネチャー」という用語は、進化的に関連しているタンパク質の配列中の短い保存された領域を指す。モチーフは、しばしば、ドメインの高度に保存された部分であるが、ドメインの一部分だけを含んでもよく、又は保存されたドメインの外側に位置してもよい(モチーフのアミノ酸の全てが、定義されたドメインの外側にある場合)。
【0099】
「天然」又は「野生型」核酸、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列は、天然に存在するか若しくは内因性の核酸、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列を指す。
【0100】
「核酸分子」又は「核酸」又は「ポリヌクレオチド」(これらは、本明細書では互換的に使用される)は、任意の供給源から単離又は合成され得る、一本鎖、二本鎖、若しくは部分的二本鎖DNA又はRNAのセグメント、若しくはそのハイブリッドである。本開示の文脈において、核酸分子は、典型的には、DNAのセグメントである。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、単離された核酸分子である。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、ベクター、植物、植物細胞、又は細菌細胞内に含まれる。これらの用語はまた、それらがストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、天然に存在するヌクレオチドと実質的に同じヌクレオチドにハイブリダイズする、及び/又は天然に存在するヌクレオチドと同じアミノ酸中への翻訳を可能にするという点で、天然リボヌクレオチドの本質的な性質を有するデオキシリボポリヌクレオチド、リボポリヌクレオチド、又はそれらの類似体への言及も含む。核酸分子は、天然若しくは異種の構造、又は制御遺伝子の完全長又は部分配列であり得る。別段の指示がない限り、この用語は、指定された配列、並びのその相補配列への言及を含む。したがって、安定性のために、又は他の理由で、修飾された骨格を有するDNA又はRNAは、本明細書で意図されている用語としての「ポリヌクレオチド」である。更に、ほんの2つの例を挙げれば、イノシンなどの珍しい塩基又はトリチル化塩基などの修飾塩基を含むDNA又はRNAは、本明細書で使用される用語としてのポリヌクレオチドである。当業者に既知である多くの有用な目的を果たす非常に多種多様な修飾が、DNA及びRNAに対して行われることが理解されよう。本明細書で使用されるようなポリヌクレオチドという用語は、ポリヌクレオチドのそのような化学的、酵素的、又は代謝的に修飾された形態、並びに、とりわけ単純型細胞及び複雑型細胞を含むウイルス及び細胞に特徴的なDNA及びRNAの化学的形態を包含する。
【0101】
「作動可能に連結した」は、一方の機能が他方の機能に影響を及ぼすように、単一の核酸分子に対するポリヌクレオチドの結合を指す。例えば、プロモーターは、それがコードポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼすことができるとき、コードポリヌクレオチドと作動可能に連結している(すなわち、そのコードポリヌクレオチドは、プロモーターの転写制御下にある)。センス配向又はアンチセンス配向にあるコードポリヌクレオチドは、制御ポリヌクレオチドに作動可能に連結され得る。
【0102】
「植物」という用語は、植物全体、植物器官、植物組織(例えば、葉、茎、根など)、種子、及び植物細胞、並びにその子孫への言及を含む。本明細書で使用される植物細胞としては、種子、懸濁培養物、胚、分裂組織部位、カルス組織、葉、根、若枝、配偶体、胞子体、花粉、及び小胞子が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の方法で使用され得る植物の種類は、一般に、以下の属:カボチャ属(Cucurbita)、バラ属(Rosa)、ブドウ属(Vitis)、クルミ属(Juglans)、オランダイチゴ属(Fragaria)、ミヤコグサ属(Lotus)、ウマゴヤシ属(Medicago)、(イガマメ属(Onobrychis)、シャジクソウ属(Trifolium)、フェヌグリーク属(Trigonella)、ササゲ属(Vigna)、ミカン属(Citrus)、アマ属(Linum)、フウロソウ属(Geranium)、イモノキ属(Manihot)、ニンジン属(Daucus)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、アブラナ属(Brassica)、ダイコン属(Raphanus)、シロガラシ属(Sinapis)、ベラドンナ属(Atropa)、トウガラシ属(Capsicum)、チョウセンアサガオ属(Datura)、ヒヨス属(Hyoscyamus)、トマト属(Lycopersicon)、タバコ属(Nicotiana)、ナス属(Solanum)、ペチュニア属(Petunia)、ジキタリス属(Digitalis)、ハナハッカ属(Majorana)、キクニガナ属(Ciahorium)、ヒマワリ属(Helianthus)、アキノノゲシ属(Lactuca)、スズメノチャヒキ属(Bromus)、クサスギカズラ属(Asparagus)、キンギョソウ属(Antirrhinum)、ワスレグサ属(Heterocallis)、ネメシス属(Nemesis)、テンジクアオイ属(Pelargonium)、キビ属(Panieum)、チカラシバ属(Pennisetum)、キンポウゲ属(Ranunculus)、キオン属(Senecio)、サルピグロッシス属(Salpiglossis)、キュウリ属(Cucumis)、ブロワリア属(Browaalia)、ダイズ属(Glycine)、エンドウ属(Pisum)、インゲンマメ属(Phaseolus)、ドクムギ属(Lolium)、イネ属(Oryza)、カラスムギ属(Avena)、オオムギ属(Hordeum)、ライムギ属(Secale)、ネギ属(Allium)及びコムギ属(Triticum)の種を含む単子葉植物及び双子葉植物の両方を含む、形質転換技術に適している高等植物の種類と同程度に広い。特に好ましい植物は、トウモロコシである。
【0103】
「植物細胞」は、プロトプラスト及び細胞壁を含む、植物の構造的及び生理学的単位である。植物細胞は、単離された単一細胞若しくは培養された細胞の形態であってもよく、又は、例えば、植物組織、植物器官、若しくは植物全体などのより高度な組織単位の一部としての形態であってもよい。
【0104】
「植物細胞培養物」は、例えば、プロトプラストなどの植物単位の培養物、細胞培養の細胞、植物組織、花粉、花粉管、胚珠、胚嚢、接合子、及び発生の様々な段階の胚における細胞の培養物を意味する。
【0105】
「植物物質」は、葉、茎、根、花若しくは花部、果実、花粉、卵細胞、接合子、種子、挿し木、細胞若しくは組織培養物、又は植物の任意の他の部位若しくは産物を指す。
【0106】
「植物器官」は、植物の明確で目に見える構造化され分化した部分、例えば、根、茎、葉、花芽、又は胚である。
【0107】
本明細書で使用される場合、「植物物質」、「植物部位」又は「植物組織」は、植物細胞、植物プロトプラスト、植物がそれから再生することができる植物細胞組織培養物、植物カルス、植物塊(clumps)、並びに植物又は植物部位中で、例えば、胚、花粉、胚珠、種子、葉、花、枝、果実、穀粒、穂、穂軸、皮、茎、根、根端、葯、塊茎、根茎などでインタクトな植物細胞を意味する。植えられている植物又は培養中の植物の任意の組織は、「植物組織」という用語に含まれる。
【0108】
本明細書で使用される場合、「植物試料」又は「生物試料」は、インタクトな若しくは非インタクトな(例えば、粉砕された種子又は植物組織、細断された植物組織、凍結乾燥組織)植物組織のいずれかを指す。それはまた、インタクトな若しくは非インタクトな種子又は植物組織を含む抽出物であってもよい。生物試料又は抽出物は、コーンフラワー、コーンミール、コーンシロップ、コーンオイル、コーンスターチ、及びトウモロコシ副産物を含むように全体で若しくは一部分で製造されたシリアルからなる群から選択され得る。
【0109】
「目的のポリヌクレオチド」又は「目的の核酸」は、生物、例えば、植物に導入される場合、例えば、昆虫抵抗性、病害抵抗性、除草剤耐性、抗生物質耐性、改善された栄養価、産業プロセスにおける改善された性能、商業的に価値のある酵素若しくは代謝産物の産生、変更された生殖能力などの所望の特性を生物に付与する、任意のポリヌクレオチドを指す。
【0110】
本開示のポリペプチドの「部分」又は「フラグメント」は、本開示の参照アミノ酸配列又は核酸配列と比べて減少した長さのアミノ酸配列又は核酸配列を意味することが理解されるであろう。本開示に係るこのような部分又はフラグメントは、必要に応じて、それが成分であるより大きいポリペプチド又は核酸(例えば、タグ化又は融合タンパク質又は発現カセット)に含まれ得る。実施形態では、「部分」又は「フラグメント」は、完全長タンパク質又は核酸の活性、例えば殺虫活性を実質的に保持し(例えば、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は更に100%の活性)又は完全長タンパク質)より更により高い活性、例えば殺虫活性を有する。
【0111】
本明細書で使用される場合、「栄養繁殖体」は、植物、好ましくはトランスジェニック植物を繁殖させるために使用される任意の材料を指す。栄養繁殖体は、種子、挿し木、又はトランスジェニック植物に由来する複数の細胞であってもよく、これらはトランスジェニック植物の作物を産生するために使用することができる。
【0112】
「タンパク質」、「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書において同義的に使用される。
【0113】
本明細書で使用される際の「プロモーター」という用語は、通常、コード配列の翻訳開始部位の上流(5’)のポリヌクレオチドを指し、これは、RNAポリメラーゼのための認識及び適切な転写に必要とされる他の要因を提供することにより、コード配列の発現を制御する。例えば、プロモーターは、RNAポリメラーゼによって認識される基底プロモーター要素を含有する領域、コード配列の5’非翻訳領域(UTR)及び任意にイントロンを含有する領域を含有し得る。
【0114】
「無花粉プロモーター」は、標的植物種の花粉中で検出可能な遺伝子発現をほとんど駆動しないか、又はまったく駆動しないプロモーターである。花粉中の目的のタンパク質のmRNA転写物の定量化は、qRT-PCR/RNA-Seqを含む様々な方法によって測定することができ、タンパク質は、一般的に使用されるELISA及びウェスタンブロットの方法論によって測定され得る。プロモーターが花粉中で本開示のタンパク質の発現を<10ng/mgのTSP(総可溶性タンパク質)で駆動する場合に、本開示では、プロモーターは無花粉と見なされる。
【0115】
本明細書で使用される際、「組換え」という用語は、自然界に通常見られない、したがって人の介入によって生成された核酸(例えば、DNA若しくはRNA)、タンパク質、細胞、組織、生物などの形態を指す。本明細書で使用される際、「組換え核酸分子」は、天然で一緒に存在せず、人の介入の結果である、ポリヌクレオチドの組合せを含む核酸分子、例えば互いに異種である少なくとも2つのポリヌクレオチドの組合せを含む核酸分子又は人工的に合成された核酸分子であり、例えば、ポリヌクレオチドは、組み立てられたヌクレオチド配列を用いて合成され、自然界に通常存在するポリヌクレオチドから逸脱したポリヌクレオチド又は宿主細胞のゲノムDNA及び宿主細胞のゲノムの関連した隣接DNAに人工的に組み込まれた導入遺伝子を含む核酸分子を含む。組換え核酸分子の別の例は、植物のゲノムDNA中への導入遺伝子の挿入から得られるDNA分子であり、これは、その生物における組換えRNA又はタンパク分子の発現を最終的にもたらし得る。本明細書で使用される際、「組換え植物」は、自然界に通常存在しない植物であり、人の介入の結果であり、そのゲノムに組み込まれ得る導入遺伝子又は異種核酸分子を含有する。このようなゲノム変化の結果として、組換え植物は、関連する野生型植物と明確に異なる。「組換え」細菌は、異種核酸分子を含む、自然界に見られない細菌である。このような細菌は、細菌を核酸分子で形質転換するか、又はある細菌株から別の細菌株へのプラスミドのコンジュゲーションのような移行によって生成され得、それにより、プラスミドは、核酸分子を含む。
【0116】
「低減する(reduce)」、「低減した(reduced)」、「低減している(reducing)」、「低減(reduction)」、「減少する(diminish)」、及び「抑制する(suppress)」(並びにそれらの文法的変形)という用語、及び同様の用語は、本明細書で使用される場合、例えば、害虫を本開示の植物と接触させることによる、植物害虫の生存、成長、及び/又は生殖における減少を指す。この生存、成長、及び/又は生殖における減少は、本開示の核酸分子の不在化で観察されたレベル(例えば、この核酸分子を含まない植物)を参照することができる。したがって、実施形態では、「低減する」、「低減した」、「低減している」、「低減」、「減少する」、及び「抑制する」(並びにそれらの文法的変形)という用語、及び同様の用語は、本開示の核酸分子と接触させていない植物(例えば、この核酸分子を含まない植物)と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の減少を意味する。代表的な実施形態では、この低減は、植物害虫の検出可能な生存、成長、及び/若しくは生殖をまったくもたらさないか、又は植物害虫の検出可能な生存、成長、及び/若しくは生殖を本質的にもたらさない(すなわち、わずかな量の、例えば、約10%未満、約5%未満、又は更には約1%未満)。
【0117】
「調節要素」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部又は下流(3’非コード配列)に位置するヌクレオチド配列を指し、関連するコード配列の転写、RNAプロセシング又は安定性若しくは翻訳に影響を与える。調節配列は、エンハンサー、プロモーター、翻訳エンハンサー配列、イントロン、ターミネーター及びポリアデニル化シグナル配列を含む。それらは、天然及び合成配列並びに合成及び天然配列の組合せであり得る配列を含む。調節配列は、発現レベル、発現の空間的及び時間的パターン並びにプロモーターのサブセットの場合には誘導条件(光、温度、化学物質及びホルモンなどの外部要因による調節)下での発現を決定し得る。
【0118】
本明細書で使用される場合、「選択可能なマーカー」は、発現されるとき、そのマーカーを発現する植物、植物部位、及び/又は植物細胞に異なる表現型を付与し、したがって、そのような形質転換植物、植物部位、及び/又は植物細胞が、マーカーを有さないものから区別されることを可能にするヌクレオチド配列を意味する。そのようなヌクレオチド配列は、マーカーが化学的手段によって、例えば、選択剤(例えば、抗生物質、除草剤など)を使用することによって、選択され得る形質を付与するかどうか、或いはマーカーが単純に、スクリーニングによるなどの観察又は試験を通して同定され得る形質(例えば、R遺伝子座形質)であるかどうかに応じて、選択可能なマーカー又はスクリーニング可能なマーカーのいずれかをコードすることができる。
【0119】
「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、核酸が標的配列に他の配列よりも検出可能に大きな程度まで(例えば、非標的配列よりも少なくとも2倍)選択的にハイブリダイズするようになる条件への言及を含み、任意に非標的配列への結合を実質的に除外し得る。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況下で異なるであろう。ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件のストリンジェンシーを制御することによって、参照ヌクレオチド配列に対して最大100%相補的であり得る標的配列を同定することができる。或いは、中程度又は低度のストリンジェンシーの条件は、配列類似性のより低い程度の配列類似性が検出されるように、配列中のいくらかのミスマッチを許容するために使用され得る。例えば、当業者は、プライマー又はプローブとして機能するために、核酸配列は、採用された条件下で安定した二本鎖構造を形成するために、それらに実質的に結合するのに標的配列に対して十分に相補的である必要があるに過ぎないことを理解するであろう。したがって、プライマー又はプローブは、高い、中程度の、又は更には低いストリンジェンシーの条件下で使用することができる。同様に、低い又は中程度のストリンジェンシーの条件は、高度にストリンジェントな条件下で同定されるより低い程度の配列同一性を有するホモログ、オーソログ、及び/又はパラログ配列を検出するために有利であり得る。典型的には、ストリンジェントな条件は、pH7.0~pH8.3で塩濃度が約1.5M未満のNaイオン、典型的には約0.01~1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩)であり、温度が短いプローブ(例えば、10~50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチド長)では少なくとも約60℃であるものである。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミド又はデンハルト溶液(500mlの水中、5gのフィコール、5gのポリビニルピロリドン、5gのウシ血清アルブミン)などの不安定化剤を添加することによって達成されてもよい。例示的な低ストリンジェンシー条件は、37℃での30%~35%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)のバッファー溶液でのハイブリダイゼーション、及び50℃~55℃での1×~2×SSC(20×SSC=3.0MのNaCl/0.3Mのクエン酸三ナトリウム)中の洗浄を含む。例示的な中程度のストリンジェンシー条件は、37℃での40%~45%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDS中のハイブリダイゼーション、及び55℃~60℃での0.5×~1×SSC中の洗浄を含む。例示的な高ストリンジェンシー条件は、37℃での50%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDS中のハイブリダイゼーション、及び60℃~65℃での0.1×SSC中の洗浄を含む。高ストリンジェンシー条件の更に非限定的な例は、65℃での4×SSC、5×デンハルト溶液、0.1mg/mlの煮沸処理サケ精子DNA、及び25mMのリン酸Na中のハイブリダイゼーション、及び65℃での0.1×SSC、0.1%のSDS中の洗浄を含む。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の別の例は、50℃での7%のSDS、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中のハイブリダイゼーションとともに、50℃での2×SSC、0.1%のSDS中の洗浄を含むか、或いは50℃での1×SSC、0.1%のSDS中の洗浄を伴うか、或いは50℃での0.5×SSC、0.1%のSDS中の洗浄を伴うか、或いは50℃での0.1×SSC、0.1%のSDS中の洗浄を伴うか、又は更には65℃での0.1×SSC、0.1%のSDS中の洗浄を伴う。当業者は、特異性が典型的には、ハイブリダイゼーション後洗浄の典型的な関数であり、関連因子が最終洗浄溶液のイオン強度及び温度であることを理解するであろう。
【0120】
本明細書で使用される「安定した形質転換」又は「安定して形質転換された」は、核酸が細胞中に導入され、細胞のゲノムに組み込まれることを意味する。したがって、組み込まれた核酸は、それらの子孫によって、より具体的には複数の連続した世代の子孫によって受け継がれることができる。本明細書で使用される「ゲノム」は核及び色素体ゲノムを含み、したがって、核酸の、例えば、葉緑体ゲノムへの組込みを含む。本明細書で使用される安定な形質転換はまた、染色体外で、例えば、微小染色体として維持される導入遺伝子を指すことができる。
【0121】
本明細書で使用される場合、遺伝子又は形質「スタッキング」は、所望の遺伝子又は形質を1つのトランスジェニック植物系統に組み合わせることである。1つのアプローチとして、植物育種家は、それぞれが所望の形質を有する親間で交配を行い、次いで、これらの所望の形質の両方を有する子孫を特定することによってトランスジェニック形質をスタックする(いわゆる「ブリーディングスタック」)。遺伝子をスタックする別の方法は、2つ以上の遺伝子を形質転換の間に同時に植物の細胞核に導入することによるものである。遺伝子をスタックする別の方法は、トランスジェニック植物を目的の別の遺伝子で再形質転換することによるものである。例えば、遺伝子スタッキングは、2つの異なる昆虫抵抗性形質、昆虫抵抗性形質と病害抵抗性形質、又は除草剤耐性形質(例えば、Bt11など)を組み合わせるために使用することができる。目的の遺伝子に加えて、選択可能なマーカーの使用もまた、遺伝子スタッキングと見なされる。
【0122】
「合成」は、天然の配列には存在しない塩基又は構造的特徴を含むヌクレオチド配列を指す。例えば、双子葉植物又は単子葉植物遺伝子のG+C含量、及び正常なコドン分布によく似ている本開示のタンパク質をコードする人工配列は合成と言われる。
【0123】
本明細書で使用される場合、害虫に対して「毒性」である本開示のタンパク質は、タンパク質が害虫を殺傷するために経口的に活性な昆虫防除剤として機能すること、又はタンパク質が昆虫の接触を妨害若しくは抑止することができるか、又は害虫に対して成長阻害を引き起こすことを意味し、この両方とも昆虫の死滅を引き起こしても引き起こさなくてもよい。本開示の毒性タンパク質が昆虫に送達されるか、又は昆虫が毒性タンパク質と経口接触する場合、その結果は、典型的には昆虫の死滅であるか、又は昆虫の成長が遅らされるか、又は毒性タンパク質を昆虫に利用可能にした供給源に対する昆虫の摂食を停止させることになる。
【0124】
「毒素フラグメント」及び「毒素部分」は、本開示のより長い(例えば、完全長)殺虫性タンパク質のフラグメント又は一部を指すために互換的に使用され、ここで「毒素フラグメント」又は「毒素部分」は、殺虫活性を保持している。例えば、天然Cryタンパク質が、プロトキシンとして発現され、これがN末端及びC末端で処理されて、成熟毒素を産生することが、当該技術分野において知られている。実施形態では、本開示のキメラ殺虫性タンパク質の「毒素フラグメント」又は「毒素部分」は、N末端及び/又はC末端で切断される。実施形態では、「毒素フラグメント」又は「毒素部分」は、N末端で切断され、N末端ペプチジルフラグメントの一部又は全部を除去し、任意に、本明細書に具体的に記載される殺虫性タンパク質の少なくとも約400、425、450、475、500、510、520、530、540、550、560、570、580、若しくは590個の連続するアミノ酸を含むか、又はそれらに実質的に等しいアミノ酸配列を含む。したがって、実施形態では、殺虫性タンパク質の「毒素フラグメント」又は「毒素部分」は、N末端で切断され(例えば、ペプチジルフラグメントの一部又は全部を除外するために)、例えば、1つのアミノ酸若しくは2つ以上のアミノ酸、例えば、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60個以上のアミノ酸のN末端切断が行われる。実施形態では、殺虫性タンパク質の「毒素フラグメント」又は「毒素部分」は、C末端で切断され(例えば、プロトキシンテールの一部又は全部を除外するために)、例えば、1つのアミノ酸若しくは2つ以上のアミノ酸、例えば、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、560個以上のアミノ酸のC末端切断が行われる。実施形態では、「毒素フラグメント」又は「毒素部分」は、ドメイン1及び2と、コアドメイン3と、を含む。実施形態では、「毒素フラグメント」又は「毒素部分」は、成熟(すなわち、処理された)毒素(例えば、Cry毒素)である。
【0125】
「形質転換」は、異種核酸を宿主細胞又は生物中に導入するためのプロセスである。特定の実施形態では、「形質転換」は、対象とする生物のゲノム(核又は色素体)へのDNA分子の安定した統合を意味する。ある特定の実施形態では、植物、植物部位及び/又は植物細胞中への導入は、細菌媒介性形質転換、粒子衝撃形質転換、リン酸カルシウム媒介性形質転換、シクロデキストリン媒介性形質転換、エレクトロポレーション、リポソーム媒介性形質転換、ナノ粒子媒介性形質転換、ポリマー媒介性形質転換、ウイルス媒介性核酸送達、ウィスカー媒介性核酸送達、マイクロインジェクション、超音波処理、浸潤、ポリエチレングリコール媒介性形質転換、プロトプラスト形質転換又は植物、植物部位及び/若しくはその細胞中への核酸の導入をもたらす任意の他の電気的、化学的、物理的及び/若しくは生物学的機構又はそれらの組合せを介する。植物を形質転換するための手順は、当技術分野で周知且つ日常的であり、文献を通して記載される。植物の形質転換のための方法の非限定的な例としては、細菌媒介性核酸送達(例えば、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)からの細菌を介する)、ウイルス媒介性核酸送達、炭化ケイ素又は核酸ウィスカー媒介性核酸送達、リポソーム媒介性核酸送達、マイクロインジェクション、微小粒子衝撃、リン酸カルシウム媒介性形質転換、シクロデキストリン媒介性形質転換、エレクトロポレーション、ナノ粒子媒介性形質転換、超音波処理、浸潤、PEG媒介性核酸取り込み並びに植物細胞中への核酸の導入をもたらす任意の他の電気的、化学的、物理的(機械的)及び/又は若しくは生物学的機構(それらの任意の組合せを含む)を介する形質転換が挙げられる。当技術分野で公知の様々な植物形質転換方法の一般的な指針としては、Miki et al.(“Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants”in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick,B.R.and Thompson,J.E.,Eds.(CRC Press,Inc.,Boca Raton,1993),pages 67-88)及びRakowoczy-Trojanowska(2002,Cell Mol Biol Lett 7:849-858(2002))が挙げられる。
【0126】
「形質転換された」及び「トランスジェニック」は、異種核酸分子が導入された細菌又は植物などの宿主生物を指す。核酸分子は、宿主のゲノム中に安定的に統合され得るか、又は核酸分子は、染色体外分子としても存在し得る。このような染色体外分子は、自己複製し得る。形質転換された細胞、組織又は植物は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、そのトランスジェニック子孫も包含することが理解される。「非形質転換」、「非トランスジェニック」又は「非組み換え」宿主は、異種核酸分子を含まない野生型生物、例えば細菌又は植物を指す。
【0127】
「トランスジェニック植物」という用語は、異種核酸分子が導入された植物への言及を含む。一般に、異種核酸配列は、核酸配列が後続の世代に受け継がれるように、ゲノム内に安定して組み込まれる。異種核酸配列は、ゲノム単独に組み込まれてもよく、又は組換え発現カセットの一部として組み込まれてもよい。「トランスジェニック」は、任意の細胞、細胞系統、カルス、組織、植物部位、又は植物を含むように本明細書で使用され、それらの表現型は、最初にそのように変更されているトランスジェニックのもの、並びに性的交配によって、又は初期トランスジェニックから無性繁殖によって作り出されたものを含む異種核酸配列の存在によって変更されている。
【0128】
「ベクター」という用語は、核酸(又は複数の核酸)を細胞中に移送、送達又は導入するための組成物を指す。ベクターは、移送、送達又は導入されるヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。例のベクターとしては、プラスミド、コスミド、ファージミド、人工染色体、ファージ又はウイルスベクターが挙げられる。
【0129】
「収量」という用語は、穀物水分に対して調整された(例えば、トウモロコシについては、典型的には15%)、及び生成された生物量の体積について調整された(アルファルファなどの飼料作物及び複数の作物については、植物の根のサイズ)、収穫時の穀物作物の1エーカー当たりのブッシェルへの言及が含まれ得る。穀物水分は、収穫時に穀物で測定される。穀物の調整された試験重量は、収穫時での穀物水分レベルに対して調整された1ブッシェル当たりのポンドでの重量で決定される。生物量は、生成された収穫可能な植物材料の重量として測定される。収量は、植物の高さ、穂の数、植物上の穂の位置、節間の数、割れた穂の出現率、穀粒のサイズ、根粒着生及び窒素固定の効率、栄養同化の効率、炭素同化、植物構造、発芽率、種子活力、並びに幼植物の形質が挙げられるが、これらに限定されない多くの特性によって影響を受け得る。収量はまた、発芽効率(ストレス条件下での発芽を含む)、成長速度(ストレス条件下での成長速度を含む)、穂数、1つの穂当たりの種子数、種子のサイズ、種子の組成(デンプン、油、タンパク質)、種子充填の特性によっても影響を受け得る。植物の収量は、重量検査、植物当たりの種子数、種子重量、単位面積当たりの種子数(すなわち、1エーカー当たりの種子、又は種子の重量)、1エーカー当たりのブッシェル、1エーカー当たりのトン、又は1ヘクタール当たりのキロを含む多くの方法で測定することができる。例えば、トウモロコシの収量は、単位面積当たりの皮のついたコーンカーネルの生産量として、例えば、1エーカー当たりのブッシェル、1ヘクタール当たりのメートルトンとして測定されてもよく、多くの場合、例えば、15.5パーセントの水分で、調整された水分に基づいて報告される。更に、トウモロコシのブッシェルは、アイオワ州の法律により56ポンド重量と定義されており、トウモロコシ収量の有用な変換係数は、次の通りである:1エーカー当たり100ブッシェルは、1ヘクタール当たり6.272メートルトンに相当する。収量についての他の測定は、当該技術分野において一般的な慣行である。本開示のある特定の実施形態では、収量は、ストレス条件下及び/又は非ストレス条件下で増加され得る。
【0130】
核酸分子
本開示は、有害な害虫を防除するための組成物及び方法を提供する。特に、本開示は、細胞中で発現されるとき、細胞に対して殺虫特性、例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)などの鱗翅目害虫に対する殺虫活性を付与する核酸分子を提供する。
【0131】
異なる発現カセットに関して、発現されたタンパク質の有効性及び農学的影響を決定するために、複数の異なる構築物が産生された。驚くべきことに、1つのベクター、配列番号2は、トウモロコシ植物中で形質転換されると、トランスジェニック植物の栄養発生又は生殖能力に悪影響を及ぼさないか、最小限の悪影響で優れた殺虫特性を付与した。ベクターからの発現カセットは、配列番号1である。
【0132】
当業者は、配列番号1などの核酸分子の細胞への挿入中に挿入された分子の5’末端及び/又は3’末端が、欠失若しくは再構成され得ることを認識するであろう。そのような欠失若しくは再構成は、挿入された分子の機能に影響することはなく、これらの比較的小さな変化は、配列番号1と実質的に同一であると見なされ得る挿入された分子をもたらす。当業者はまた、配列番号1を含むものなどの核酸分子が、挿入事象中に完全若しくは部分的再構成又は重複を受けてもよく、それによって挿入された分子が、出発核酸分子の完全若しくは部分的再構成又は重複であることも認識するであろう。当業者は、この挿入された分子が出発分子と同じ特性及び/又は形質を依然として有することができ、それによって挿入された分子が、配列番号1と実質的に同一であり、形質転換細胞又は得られた形質転換植物が、依然として望ましいものであることを認識するであろう。
【0133】
当業者は、配列番号1を含む核酸分子などの商業的用途のための導入遺伝子が政府の規制基準に準拠するためには、核酸配列に比較的小さな変更を必要とし得ることを認識するであろう。そのような変更は、得られた分子の機能に影響を及ぼさないはずであり、得られた分子は、配列番号1と実質的に同一であるだろう。当業者は、改変された核酸分子が開始分子と本質的に同じであることを認識するであろう。
【0134】
したがって、本開示は、配列番号1と実質的に同一の核酸分子も包含し、配列番号1のある特定のヌクレオチドは、欠失、置換、又は再構成され、突然変異した配列番号1をもたらし、突然変異した配列番号1の機能性は出発分子と同じである。したがって、いくつかの態様では、本開示は、配列番号1と少なくとも90%同一である(例えば、配列番号1と少なくとも90%同一である、配列番号1と少なくとも91%同一である、配列番号1と少なくとも92%同一である、配列番号1と少なくとも93%同一である、配列番号1と少なくとも94%同一である、配列番号1と少なくとも95%同一である、配列番号1と少なくとも96%同一である、配列番号1と少なくとも97%同一である、配列番号1と少なくとも98%同一である、配列番号1と少なくとも99%同一である、又は配列番号1と少なくとも99.5%同一である)核酸配列、又はその補体を含む核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1によってコードされる同じタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、核酸配列は、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、1つ以上の鱗翅目害虫に対して殺虫性である、例えば、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対して殺虫性であるタンパク質を産生する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、及びオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対して殺虫性であるタンパク質を産生する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、単離されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、植物中に存在する。
【0135】
本開示の核酸分子(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上)によってコードされる開示された殺虫性タンパク質は、鱗翅目害虫に対して殺虫活性を有する。いくつかの実施形態では、殺虫性タンパク質は、以下の鱗翅目害虫の非限定的な例のうちの1つ以上に対して活性を有する:スポドプテラ(Spodoptera)属種、例えば、S.フルギペルダ(S.frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、S.リットラリス(S.littoralis)(エジプトコットンリーフワーム)、S.オルニトガリイ(S.ornithogalli)(イエローストライプトアーミーワーム)、S.プラエフィカ(S.praefica)(ウェスタンイエローストライプトアーミーワーム)、S.エリダニア(S.eridania)(サウザンアーミーワーム)、S.リチュラ(S.litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、S.コスミオイデス(S.cosmioides)(ブラックアーミーワーム)、S.エクセムプタ(S.exempta)(アフリカンアーミーワーム)、S.マウリチア(S.mauritia)(ローンアーミーワーム)、及び/又はS.エクシグア(S.exigua)(シロイチモジヨトウ);アワノメイガ(Ostrinia)属種、例えば、O.ヌビラリス(O.nubilalis)(ヨーロピアンコーンボーラー)、及び/又はO.フルナサリス(O.furnacalis)(アジアンコーンボーラー);プルテラ(Plutella)属種、例えば、P.キシロステラ(P.xylostella)(コナガ);アグロチス(Agrotis)属種、例えば、A.イプシロン(A.ipsilon)(ブラックカットワーム)、A.セゲトゥム(A.segetum)(コモンカットワーム)、A.グラディアリア(A.gladiaria)(クレイバックドカットワーム)、及び/又はA.オルトゴリア(A.orthogonia)(ペールウェスタンカットワーム);ストリアコスタ(Striacosta)属種、例えば、S.アルビコスタ(S.albicosta)(ウエスタンビーンカットワーム);ヘリコベルパ(Helicoverpa)属種、例えば、H.ゼア(H.zea)(アメリカタバコガ/ダイズポッドワーム)、H.プンクティゲラ(H.punctigera)(ニセアメリカタバコガ)、及び/又はH.アルミゲラ(H.armigera)(コットンボールワーム);ヘリオチス(Heliothis)属種、例えば、H.ウィレセンス(H.virescens)(タバコバッドワーム);ジアトラエア(Diatraea)属種、例えば、D.グランディオセラ(D.grandiosella)(サウスウェスタンコーンボーラー)、及び/又はD.サッカラリス(D.saccharalis)(サトウキビボーラー);トリコプルシア(Trichoplusia)属種、例えば、イラクサギンウワバ(T.ni)(キャベツルーパー);セサミア(Sesamia)属種、例えば、S.ノナグロイデス(S.nonagroides)(地中海アワノメイガ)、イネヨトウ(S.inferens)(ピンクステムボーラー)、及び/又はS.カラミスティス(S.calamistis)(ピンクステムボーラー);ペクチノホラ(Pectinophora)属種、例えば、ワタアカミムシガ(P.gossypiella)(ピンクボールワーム);コチリス(Cochylis)属種、例えば、・C.ホスペス(C.hospes)(バンデッドサンフラワーモス);マンデュカ(Manduca)属種、例えば、タバコスズメガ(M.sexta)(タバコホーンワーム)、及び/又はトマトスズメガ(M.quinquemaculata)(トマトホーンワーム);エラスモパルパス(Elasmopalpus)属種、例えば、E.リグノセルス(E.lignosellus)(モロコシマダラメイガ);シュードプルシア(Pseudoplusia)属種、例えば、P.インクルデンス(P.includens)(ダイズシャクトリムシ);アンチカルシア(Anticarsia)属種、例えば、A.ゲンマタリス(A.gemmatalis)(ベルベットビーンキャタピラー);プラチペナ(Plathypena)属種、例えば、P.スカブラ(P.scabra)(グリーンクローバーワーム);ピエリス(Pieris)属種、例えば、P.ブラシカエ(P.brassicae)(オオモンシロチョウ);パパイペマ(Papaipema)属種、例えば、P.ネブリス(P.nebris)(ストークボーラー);シューダレチア(Pseudaletia)属種、例えば、ヨトウムシ(P.unipuncta)(コモンアーミーワーム);ペリドローマ(Peridroma)属種、例えば、ニセタマナヤガ(P.saucia)(variegated cutworm);ケイフェリア(Keiferia)属種、例えば、K.リコペルシセラ(K.lycopersicella)(トマトピンワーム);アルトゲイア(Artogeia)属種、例えば、モンシロチョウA.rapae(imported cabbageworm);フトリマエア(Phthorimaea)属種、例えば、P.オペルクレラ(P.operculella)(ジャガイモキバガ);クリソデイキス(Chrysodeixis)属種、例えば、C.インクルデンス(C.includens)(ダイズルーパー);フェルチア(Feltia)属種、例えば、F.デュセンス(F.ducens)(デンジーカットワーム);ニカメトチョウ(Chilo)属種、例えば、C.スプレサリス(C.suppressalis)(ストライプトステムボーラー)、C.アガメムノン(C.Agamemnon)(オリエンタルコーンボーラー)、及びC.パルテルス(C.partellus)(スポッティドストークボーラー);クナファロクロシス(Cnaphalocrocis)属種、例えば、コブノメイガ(C.medinalis)(イネリーフフォルダー);コノゲテス(Conogethes)属種、例えば、モモノゴマダラノメイガ(C.punctiferalis)(イエローピーチモス);ミシムナ(Mythimna)属種、例えば、アワヨトウ(M.separata)(オリエンタルアーミーワーム);アセチス(Athetis)属種、例えば、コウスイロヨトウ(A.lepigone)(ツースポッティドアーミーワーム);ブセオラ(Busseola)属種、例えば、B.フスカ(B.fusca)(トウモロコシストークボーラー)、エティエラ(Etiella)属種、例えば、シロイチモジマダラメイガ(E.zinckenella)(パルスポッドボーラー)、レグミニボラ(Leguminivora)属種、例えば、マメシンクイガ(L.glycinivorella)(ダイズボッドボーラー);ハマキガ(Matsumuraeses)属種、例えば、マメヒメサヤムシガ(M.phaseoli)(アズキサヤムシガ);オミオデス(Omiodes)属種、例えば、O.インディカータ(O.indicata)(ダイズリーフフォルダー/ビーンリーフウェブワーム);ラチプルシア(Rachiplusia)属種、例えば、R.ヌ(R.nu)(サンフラワールーパー)、又は前述の任意の組合せ。いくつかの実施形態では、核酸分子によってコードされる殺虫性タンパク質のうちの少なくとも1つは、ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))に対する殺虫活性を有する。いくつかの実施形態では、核酸分子によってコードされる殺虫性タンパク質のうちの少なくとも1つは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、オストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対して殺虫活性を有する。いくつかの実施形態では、殺虫性タンパク質は、任意に、別の殺虫性タンパク質(例えば、Btタンパク質など)を含む別の殺虫剤に対して耐性を有するツマジロクサヨトウ害虫又はコロニーに対する殺虫活性を有し得る。いくつかの実施形態では、殺虫性タンパク質は、Vip3Aタンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象MIR162を含むVip3Aa)、Cry1Fタンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象TC1507若しくはDP-4114を含むCry1Fa)、Cry1Aタンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象MON89034を含むCry1A.105)、又はCry2タンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象MON89034を含むCry2Ab)に耐性であるツマジロクサヨトウコロニーに対する殺虫活性を有する。
【0136】
開示された殺虫性タンパク質はまた、鞘翅目(Coleopteran)、半翅目(Hemipteran)、双翅目(Dipteran)、ライグス(Lygus)属種、及び/又は他の刺して吸う昆虫、例えば、直翅目(Orthoptera)若しくは総翅目(Thysanoptera)に対する殺虫活性も有し得る。いくつかの実施形態では、殺虫性タンパク質は、以下の非限定的な例のうちの1つ以上に対する活性を有する:鞘翅目(Coleopteran)害虫:ジアブロティカ(Diabrotica)属種、例えば、D.バルベリ(D.barberi)(ノーザンコーンルートワーム)、D.ヴィルギフェラヴィルギフェラ(D.virgiferavirgifera)(ウェスタンコーンルートワーム)、D.ウンデシムプンクタータ・ホワルディ(D.undecimpunctata howardii)(サウザンコーンルートワーム)、D.バイテラタ(D.balteata)(バンデッドキューカンバービートル)、D.ウンデシムプンクタータ・ウンデシムプンクタータ(D.undecimpunctata undecimpunctata)(ウェスタンスポッティドキューカンバービートル)、D.シグニフィカタ(D.significata)(スリースポッティドリーフビートル)、D.スペシオサ(D.speciosa)(ウリハムシ)、D.ヴィルジフェラ・ゼアエ(D.virgifera zeae)(メキシカンコーンルートワーム)、D.ベニエンシス(D.beniensis)、D.クリスタタ(D.cristata)、D.カービプルスタラタ(D.curviplustalata)、D.ディシミリス(D.dissimilis)、D.エレガンチュラ(D.elegantula)、D.エモルシタンス(D.emorsitans)、D.グラミネア(D.graminea)、D.ヒスパンロエ(D.hispanloe)、D.レムニスカータ(D.lemniscata)、D.リンスレイー(D.linsleyi)、D.ミレリ(D.milleri)、D.ヌムラリス(D.nummularis)、D.オクルサル(D.occlusal)、D.ポレセア(D.porrecea)、D.スクテラタ(D.scutellata)、D.チビアリス(D.tibialis)、D.トリファシアタ(D.trifasciata)、及び/又はD.ビリデュラ(D.viridula);レプチノタルサ(Leptinotarsa)属種、例えば、コロラドハムシ(L.decemlineata)(コロラドポテトビートル);クリソメラ(Chrysomela)属種、例えば、コットンハムシ(C.scripta)(コットンウッドリーフビートル);ヒポテネムス(Hypothenemus)属種、例えば、コーヒーノミキクイムシ(H.hampei)(コーヒーベリーボーラー);シトフィリス(Sitophilus)属種、例えば、コクゾウムシ(S.zeamais);エピトリキス(Epitrix)属種、例えば、タバコノミハムシ(E.hirtipennis)及び/又はE.ククメリス(E.cucumeris)(ポテトノミハムシ);フィロトレタ(Phyllotreta)属種、例えば、P.クルシフェラエ(P.cruciferae)(アブラナノミハムシ)及び/又はP.プシラ(P.pusilla)(ウェスタンブラックノミハムシ);アントノムス(Anthonomus)属種、例えば、A.エウゲニイ(A.eugenii)(コショウゾウムシ);ヘミクレピダス(Hemicrepidus)属種、例えば、H.メムノニウス(H.memnonius)(ワイヤーワーム);メラノツス(Melanotus)属種、例えば、M.コムニス(M.communis)(ワイヤーワーム);シュートリンクス(Ceutorhychus)属種、例えば、キャベツサヤゾウムシ(C.assimilis)(キャベツシードポッドウィービル);フィロトレタ(Phyllotreta)属種、例えば、P.クルシフェラエ(P.cruciferae)(アブラナノミハムシ);アエオルス(Aeolus)属種、例えば、A.メリリウス(A.mellillus)(ワイヤーワーム);アエオルス(Aeolus)属種、例えば、A.マンクス(A.mancus)(コムギワイヤーワーム);ホリストノツス(Horistonotus)属、例えば、H.ウーレリイ(H.uhlerii)(サンドワイヤーワーム);スフェノホルス(Sphenophorus)属種、例えば、S.マイディス(S.maidis)(トウモロコシゾウムシ),オオアワガエリゾウムシ(S.zeae)(チモシービルバグ)、S.パルヴルス(S.parvulus)(ブルーグラスビルバグ)、及びS.カロスス(S.callosus)(サウザンコーンビルバグ);フィロファガ(Phyllophaga)属種(コガネムシ(Whitegrubs));カエトクネマ(Chaetocnema)属種、例えば、C.プリカリア(C.pulicaria)(トウモロコシノミハムシ);ポピリア(Popillia)属種、例えば、マメコガネ(P.japonica)(ジャパニーズビートル);エピラクナ(Epilachna)属種、例えば、インゲンテントウ(E.varivestis)(メキシカンビーンビートル);セロトマ(Cerotoma)属種、例えば、C.トリフルカテ(C.trifurcate)(ビーンリーフビートル);エピカウタ(Epicauta)属種、例えば、E.ペスティフェラ(E.pestifera)及びE.レムニスカータ(E.lemniscata)(ツチハンミョウ);又は前述のいずれかの組合せ。半翅目(Hemiptera)における昆虫としては、限定されないが、チナビア・ヒラリス(Chinavia hilaris)(アオカメムシ);アナサ・トリスティス(Anasa tristis De Geer(スカッシュバグ);アメリカコパネナガカメムシ(Blissus leucopterus)(チンチバグ);コリトゥカ・ゴシッピイ・ファブリシウス(Corythuca gossypii Fabricius)(コットンレースバグ);シルトペルティス・モデスタ(Cyrtopeltis modesta Distant)(トマトバグ);ディスデルクス・スツレルス(Dysdercus suturellus Hern ch-Schaffer)(コットンステイナー);ユースキスツス・セルバス(Euschistus servus Say)(ブラウンスティンクバグ);E.バリオラリウス(E.variolarius Palisot de Beauvois)(ワンスポテッドスティンクバグ);グラプトステサス(Graptostethus)属種(シードバグの複合体);レプトグロッスス・コルクルス(Leptoglossus corculus Say)(リーフフットパインシードバグ);リグス・リネオラリス(Lygus lineolaris Palisot de Beauvois)(ターニッシュトプラントバグ);L.ヘスペルス(L.Hesperus Knight)(ウエスタン・ターニッシュト・プラントバグ);L.プラテンシス(L.pratensis Linnaeus)(コモンメドウバグ);L.ルグリペンニス(L.rugulipennis Poppius)(ヨーロピアンターニッシュトプラントバグ);リゴコリス・パブリヌス(Lygocoris pabulinus Linnaeus)(コモングリーンキャプシド);ネザラ・ヴィリドゥラ(Nezara viridula Linnaeus)(サウザングリーンスティンクバグ);オエバルス・プグナス)Oebalus pugnax Fabricius(イネスティンクバグ);オンコペルトゥス・ファスキアトゥス(Oncopeltus fasciatus Dallas)(ラージミルクウィードバグ);シューダトモスセリス・セリアトゥス(Pseudatomoscelis seriatus Reuter)(コットンリープホッパー)、カロコリス・ノルウェギクス(Calocoris norvegicus Gmelin)(ストロベリーバグ);オルトプス・カムペストリス・リンナエウス(Orthops campestris Linnaeus);プレシオコリス・ルギコリウス(Plesiocoris rugicollis Fallen)(アップルキャプシド);クリプトペルティス・モデストゥス(Cyrtopeltis modestus Distant)(トマトバグ);クリプトペルティス・ノタトゥス(Cyrtopeltis notatus Distant)(サックフライ(suckfly));スパナゴニクス・アルボファシアトゥス(Spanagonicus albofasciatus Reuter)(ホワイトマークトフレアホッパー);ディアフノコリス・クロリオニス(Diaphnocoris chlorionis Say)(ハニーローカストプラントバグ);ラボピディコラ・アリイ(Labopidicola allii Knight)(オニオンプラントバグ);シューダトモスセリス・セリアトゥス(Pseudatomoscelis seriatus Reuter)(コットンフレアホッパー);アデルフォコリス・ラピドゥス(Adelphocoris rapidus Say)(ラピッドプラントバグ);ペチロパススス・リネアトゥス(Poecilocapsus lineatus Fabricius)(フォーラインドプラントバグ);ニシウス・エリカエ(Nysius ericae Schilling)(フォルスチンチバグ);ニシウス・ラファヌス(Nysius raphanus Howard)(フォルスチンチバグ);ネザラ・ヴィリドゥラ(Nezara viridula Linnaeus)(サウザングリーンスティンクバグ);エウリガステル(Eurygaster)属種;コレイダエ(Coreidae)属種;ピロコリダエ(Pyrrhocoridae)属種;チニダエ(Tinidae)属種;ブロストマチダエ(Blostomatidae)属種;サシガメ(Reduviidae)属種、及びシミシダエ(Cimicidae)属種が挙げられる。双翅目(Diptera)における昆虫としては、限定されないが、リリオミザ(Liriomyza)属種、例えば、マメハモグリバエ(L.trifolii)、及びL.サチヴァエ(L.sativae)(ヤサイハモグリバエ);スクロビパルプラ(Scrobipalpula)属種、例えば、S.アブソルタ(S.absoluta)(トマトガ);デリア(Delia)属種、例えば、D.プラトゥラ(D.platura)(シードコーンバエ)、D.ブラシカエ(D.brassicae)(キャベツバエ)、及びD.ラディクム(D.radicum)(キャベツ根バエ);プシリア(Psilia)属種、例えば、P.ロザエ(P.rosae)(ニンジンサビバエ);テタノプス(Tetanops)属種、例えば、T.ミオペフォルミス(T.myopaeformis)(テンサイルートマゴット);並びに前述の任意の組合せが挙げられる。直翅目の昆虫としては、限定されないが、メラノプルス(Melanoplus)属種、例えば、M.ディファレンシアリス(M.differentialis)(ディファレンシャルグラスホッパー)、M.フェムルルブルム(M.femurrubrum)(レッドレッグドグラスホッパー)、M.ビヴィタトゥス(M.bivittatus)(ツーストライプトグラスホッパー);及びこれらの任意の組合せが挙げられる。総翅目における昆虫としては、限定されないが、フランクリニエラ(Frankliniella)属種、例えば、ミカンキイロアザミウマ(F.occidentalis)(western flower thrips)及びウスグロアザミウマ(F.fusca)(タバコアザミウマ);及びトリプス(Thrips)属種、例えば、ネギアザ
ミウマ(T.tabaci)(タマネギアザミウマ)、ミナミキイロアザミウマ(T.palmi)(メロンアザミウマ);並びに前述の任意の組合せが挙げられる。
【0137】
開示された殺虫性タンパク質はまた、以下のうちのいずれか1つ以上に対する殺虫活性を有し得る:フィロファガ(Phyllophaga)属種、ロパロシブム・マイディス(Rhopalosiphum maidis)、プラティレンクス・ペネトランス(Pratylenchus penetrans)、メラノタス・クリブロサス(Melanotus cribulosus)、シクロセファラ・ルリダ(Cyclocephala lurida)、リモニウス・カリフォルニクス(Limonius californicus)、テトラニクス・ウルチカエ(Tetranychus urticae)、ハプロトリプス・アクレアツス(Haplothrips aculeatus)、テトラニクス・トランカテス(Tetranychus truncates)、アノマラ・コルプレンタ(Anomala corpulenta)、オエダレウス・インフェリナリス(Oedaleus infernalis)、フランクリニエラ・テヌイコルニス(Frankliniella tenuicornis)、テトラニカス・シンナバリナス(Tetranychus cinnabarinus)、アイオロプス・タラシナス・タムルス(Aiolopus thalassinus tamulus)、トラキア・トキオニス(Trachea tokionis)、ラオデルファクス・ストリアテルス(Laodelphax striatellus)、ホロトリキア・オブリタ(Holotrichia oblita)、ディコノコリス・フルカツス(Dichelops furcatus)、ディロボデルス・アブデル(Diloboderus abderu)、ダルブルス・マイディス(Dalbulus maidis)、アスティルス・ヴァリエガトゥス(Astylus variegathus)、スカプトコリス・カスタネア(Scaptocoris castanea)、ロクスタ・ミグラトリア・マニレンシス(Locusta migratoria manilensis)、アグチオテス・リネアトゥス(Agriotes lineatus)、ペレグリヌス・マイディス(Peregrinus maidis)、オシネラ・フリト(Oscinella frit)、フランクリニエラ・ウィリアムシ(Frankliniella williamsi)、ジギニディア・マナリエンシス(Zyginidia manaliensis)、アテリゴナ・ソッカータ(Atherigona soccata)、ニセントリテス・テスタセイペス(Nicentrites testaceipes)、ミロセルス・ウンデシムプストゥラトゥス(Myllocerus undecimpustulatus)、アンテリゴナ・ナクイ(Atherigona naquii)、アムサクタ・アルビストリガ(Amsecta albistriga)、プロディア・インテルプンクテラ(Plodia interpuctella)、メラノトゥス・コウデックス(Melanotus caudex)、ミクロテルメス(Microtermes)属種、アテリゴナ・オリゼー(Atherigona oryzae)、タニメクス・ディラティコリス(Tanymecus dilaticollis)、デルファコデス・クシェリー(Delphacodes kuschelli)、レピディオータ・スティグマ(Lepidiota stigma)、フィロファガ・ヘレリー(Phyllophaga hellery)、トリボリウム・カスタネウム(Tribolium castaneum)、ペロピダス・マティアス(Pelopidas mathias)、オキシア・キネンシス・ツンベルグ(Oxya chinensis(Thunberg))、ステノクラヌス・パシフィクス(Stenocranus pacificus)、スクチゲレラ・イマクラタ(Scutigerella immaculata)、クリソディクシス・カルサイト(Chrysodeixis chalcites)、ユープロクティス(Euproctis)属種(リマントリアイディ(Lymantriidae))、フィロトレタ(Phyllotreata)属種(ウンドゥラタ(undulata))、レプタルス・パンツァー(Reptalus panzer)、クリタカンタクリス・タルタリカ・リナエウス(Cyrtacanthacris tartarica Linnaeus)、オルジア・ポスティカ(Orgyia postica)、ダクチリスパ・ラメイー(Dactylispa lameyi)、パタンガ・サクシンタ・ジョンソン(Patanga succincta Johanson)、テトラニクス(Tetranychus)属種、カロミクテルス(Calomycterus)属種、アドレトゥス・コンプレスス・ウェバー(Adoretus compressus Weber、及びパラテトラニクス・スティックニー(Paratetranychus stickney)。
【0138】
いくつかの態様では、本開示は、本開示の核酸分子を含むベクターを提供する。ベクターの例としては、プラスミド、コスミド、ファージミド、人工染色体、ファージ又はウイルスベクターが挙げられる。実施形態では、ベクターは、例えば、植物の形質転換で使用するための植物ベクターである。実施形態では、ベクターは、例えば、細菌の形質転換で使用するための細菌ベクターである。植物、細菌、及び他の生物に好適なベクターは、当該技術分野において既知である。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子又はベクターは、殺虫性タンパク質に加えて、他の所望の形質をコードする配列も含み得る。積み重ねられた形質を含むそのような発現カセットは、積み重ねられた形質(すなわち、分子積層)を備えた所望の表現型を有する植物、植物部位、又は植物細胞を作り出すために使用され得る。植物におけるそのような積み重ねられた組合せはまた、任意の従来の方法論によって植物を異種交配することを含むが、それに限定されない他の方法によっても作り出すことができる。植物を遺伝的に形質転換することによって積み重ねられる場合、目的のヌクレオチド配列は、いつでも、どの順序でも組み合わせることができる。例えば、1つ以上の所望の形質を含むトランスジェニック植物は、その後の形質転換によって更なる形質を導入するために標的として使用され得る。追加のヌクレオチド配列は、本開示の核酸分子又はベクターと共形質転換プロトコルにおいて同時に導入することができる。例えば、2つのヌクレオチド配列が導入される場合、それらは、別個のカセットに組み込むことができる(トランス)か、又は同じカセットに組み込むことができる(シス)。ポリヌクレオチドの発現は、同じプロモーターによって、又は異なるプロモーターによって駆動することができる。ポリヌクレオチドが部位特異的ヌクレアーゼ又は組換えシステム(例えば、FRT/Flp、Cre/Lox、TALE-エンドヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPR/Cas及び関連する技術)を使用して所望のゲノム位置で積み重ねることができることが更に理解される。米国特許第US7214536号明細書、同第US8921332号明細書、同第US8765448号明細書、同第US5527695号明細書、同第US5744336号明細書、同第US5910415号明細書、同第US6110736号明細書、同第US6175058号明細書、同第US6720475号明細書、同第US6455315号明細書、同第US6458594号明細書、及び米国特許公開第US2019093090号明細書、同第US2019264218号明細書、同第US2018327785号明細書、同第US2017240911号明細書、同第US2016208272号明細書、同第US2019062765号明細書を参照されたい。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子又はベクターは、主に種子会社、栽培者、又は穀物加工業者に有益である農業形質についての目的の1つ以上のポリヌクレオチド、又は二本鎖RNA分子(dsRNA)の追加のコード配列を含み得る。目的のポリペプチドは、目的のヌクレオチド配列によってコードされる任意のポリペプチドであり得る。植物の産生に好適である目的のポリペプチドの非限定的な例としては、除草剤抵抗性(時には、「除草剤耐性」とも称される)、ウイルス抵抗性、細菌病原体抵抗性、昆虫抵抗性、線虫抵抗性、又は真菌抵抗性などの農学的に重要な形質をもたらすものが挙げられる。例えば、米国特許第5,569,823号明細書、同第5,304,730号明細書、同第5,495,071号明細書、同第6,329,504号明細書、及び同第6,337,431号明細書を参照されたい。ポリペプチドはまた、植物の活力若しくは収量を増加させるもの(植物を異なる温度、土壌条件、並びに日光及び降水量のレベルで成長させる形質を含む)、又は目的の形質を示す植物の同定を可能にするもの(例えば、選択可能なマーカー、種皮色など)であり得る。様々な目的のポリペプチド、並びにこれらのポリペプチドを植物中に導入するための方法は、例えば、米国特許第4,761,373号明細書、同第4,769,061号明細書、同第4,810,648号明細書、同第4,940,835号明細書、同第4,975,374号明細書、同第5,013,659号明細書、同第5,162,602号明細書、同第5,276,268号明細書、同第5,304,730号明細書、同第5,495,071号明細書、同第5,554,798号明細書、同第5,561,236号明細書、同第5,569,823号明細書、同第5,767,366号明細書、同第5,879,903号明細書、5,928,937号明細書、同第6,084,155号明細書、同第6,329,504号明細書、及び同第6,337,431号明細子、並びに米国特許公開第2001/0016956号に記載されている。
【0141】
イミダゾリノン又はスルホニル尿素などの成長又は分裂組織を阻害する除草剤に対する抵抗性/耐性を付与するポリヌクレオチドもまた、いくつかの実施形態において好適であり得る。このカテゴリーにおける例示的なポリヌクレオチドは、例えば、米国特許第5,767,366号明細書、及び同第5,928,937号明細書に記載されるように、突然変異体ALS及びAHAS酵素をコードする。米国特許第4,761,373号明細書、及び同第5,013,659号明細書は、様々なイミダザリノン又はスルホンアミド除草剤に対して抵抗性の植物を目的としている。米国特許第4,975,374号明細書は、GSを阻害することが知られている除草剤、例えば、ホスフィノトリシン及びメチオニンスルホキシミンによる阻害に対する突然変異体グルタミンシンターゼ(GS)をコードする核酸を含有する植物細胞及び植物体に関する。米国特許第5,162,602号明細書は、シクロヘキサンジオン及びアリールオキシフェノキシプロパン酸除草剤による阻害に対して抵抗性を示す植物を開示している。抵抗性は、改変されたアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)によって付与される。
【0142】
グリホセートに対する抵抗性を付与するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドも本開示に好適である。例えば、米国特許第4,940,835号明細書、及び米国特許第4,769,061号明細書を参照されたい。米国特許第5,554,798号明細書は、トランスジェニックグリホセート抵抗性トウモロコシ植物を開示しており、その抵抗性は、改変された5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸(EPSP)シンターゼ遺伝子によって付与される。
【0143】
ホスホノ化合物、例えば、グルホシネートアンモニウム又はホスフィノトリシン、及びピリジノキシ若しくはフェノキシプロピオン酸、並びにシクロヘキソン(cyclohexones)に対する抵抗性をコードするポリヌクレオチドも好適である。欧州特許出願第0242246号明細書を参照されたい。また、米国特許第5,879,903号明細書、同第5,276,268号明細書、及び同第5,561,236号明細書も参照されたい。
【0144】
他の好適なポリヌクレオチドとしては、光合成を阻害する除草剤、例えば、トリアジン及びベンゾニトリル(ニトリラーゼ)に対する抵抗性をコードするものが含まれる。例えば、米国特許第4,810,648号明細書を参照されたい。除草剤抵抗性をコードする追加の好適なポリヌクレオチドとしては、2,2-ジクロロプロピオン酸、セトキシジム、ハロキシホップ、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、s-トリアジン除草剤、及びブロモキシニルに対する抵抗性をコードするものが挙げられる。また、プロトックス酵素に対する抵抗性を付与するポリヌクレオチド、又は植物病害に対して増強した抵抗性、限定されないが、干ばつ、過度の寒さ、過度の暑さ、又は過度の土壌塩分、又は極端な酸性度若しくはアルカリ度が挙げられる有害な環境条件(非生物的ストレス)の増強した耐性、並びに発育タイミングにおける変化を含む植物構造又は発育における変更を提供するポリヌクレオチドも好適である。例えば、米国特許公開第2001/0016956号明細書、及び米国特許第6,084,155号明細書を参照されたい。
【0145】
追加の好適なポリヌクレオチドとしては、殺虫性ポリペプチドをコードするものが含まれる。これらのポリペプチドは、例えば、害虫を防除するのに十分な量で(すなわち、昆虫防除量で)産生され得る。昆虫又は他の害虫を防除するために必要な植物中の殺虫性ポリペプチドの産生の量は、栽培品種、害虫の種類、環境的要因などに依存して変化し得ると理解される。追加の昆虫又は害虫抵抗性に有用なポリヌクレオチドとしては、例えば、バチルス属(Bacillus)で同定された毒素をコードするものが含まれる。いくつかの亜種に由来するバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)Cryタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドはクローニングされ、組換えクローンは、鱗翅目、双翅目、及び/又は鞘翅目の昆虫幼虫に対して毒性であることが見出されている。そのようなBt殺虫性タンパク質の例としては、Cryタンパク質、例えば、Cry1Aa、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1Ea、Cry1Fa、Cry3A、Cry9A、Cry9B、Cry9Cなど、並びに栄養成長期(vegetative)殺虫性タンパク質、例えば、Vip1、Vip2、Vip3などが挙げられる。Bt由来タンパク質の完全なリストは、サセックス大学によって管理されたBacillus thuringiensis Toxin Nomenclature Databaseにおけるワールドワイドウェブで見出すことができる(また、Crickmore et al.(1998)Microbiol.Mol.Biol.Rev.62:807-813を参照されたい)。
【0146】
実施形態では、追加のポリペプチドは、アルファ-アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、パタチン、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、ウレアーゼ、アルファ-アミラーゼ阻害剤、孔形成タンパク質、キチナーゼ、レクチン、操作された抗体若しくは抗体フラグメント、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)殺虫性タンパク質、ゼノラブダス(Xenorhabdus)属種(X.ネマトフィラ(X.nematophila)又はX.ボビエニー(X.bovienii)など)殺虫性タンパク質、フォトラブダス(Photorhabdus)属種(P.ルミネッセンス(P.luminescens)又はP.アシモビオティカ(P.asymobiotica)など)殺虫性タンパク質、ブレビバチルス(Brevibacillus)属種(B.ラテロスポルス(B.laterosporous)など)殺虫性タンパク質、リシニバチルス(Lysinibacillus)属種(L.スファエリクス(L.sphearicus)など)殺虫性タンパク質、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属種(C.サブツガエ(C.subtsugae)又はC.ピスシーナ(C.piscinae)など)殺虫性タンパク質、エルシニア(Yersinia)属種(Y.エントモファーガ(Y.entomophaga)など)殺虫性タンパク質、パエニバシラス(Paenibacillus)属種(P.プロピュライア(P.propylaea)など)殺虫性タンパク質、クロストリジウム(Clostridium)属種(C.ビフェルメンタンス(C.bifermentans)など)殺虫性タンパク質、シュードモナス(Pseudomonas)属種(P.フルオレッセンス(P.fluorescens)など)、及びリグニンが挙げられるが、これらに限定されない非Bt供給源に由来する殺虫性ポリペプチドである。
【0147】
植物中での産生のために好適であるポリペプチドとしては、例えば、増加若しくは変更された炭水化物含有量又は分布、改善された発酵特性、増加された油含有量、増加されたタンパク質含有量、改善された消化率、及び栄養補助物質含有量、例えば、増加したフィトステロール含有量、増加したトコフェロール含有量、増加したスタノール含有量、若しくは増加したビタミン含有量を含む、収穫した植物又は植物部位の商業的に有用な製品への転換を改善又は別途促進するものが更に含まれる。目的のポリペプチドはまた、例えば、収穫された作物中の不必要な成分、例えば、フィチン酸、又は糖分解酵素の含有量の低減をもたらすか、又は寄与するものも含まれる。「もたらす」又は「寄与する」とは、目的のポリペプチドが目的の形質の存在に直接的又は間接的に寄与すること(例えば、異種セルラーゼ酵素の使用によってセルロース分解を増加させる)を意図することである。
【0148】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、食物又は飼料についての改善した消化率に寄与する。キシラナーゼは植物細胞壁の分解を改善し、動物による植物栄養素のよりよい利用につながるヘミセルロース分解酵素である。これは、改善された成長速度及び飼料転換をもたらす。また、キシランを含有する飼料の粘度は低減され得る。植物細胞中のキシラナーゼの異種産生はまた、工業加工における発酵性糖へのリグノセルロース転換を促進することができる。
【0149】
真菌及び細菌微生物に由来する多数のキシラナーゼが同定され、特性化されている(例えば、米国特許第5,437,992号明細書;Coughlin et al.(1993)“Proceedings of the Second TRICEL Symposium on Trichoderma reesei Cellulases and Other Hydrolases”Espoo;Souminen and Reinikainen,eds.(1993)Foundation for Biotechnical and Industrial Fermentation Research 8:125-135;米国特許公開第2005/0208178号;及びPCT公開第WO03/16654号を参照されたい)。特に、3つの特異的なキシラナーゼ(XYL-I、XYL-II、及びXYL-III)が、トリコデルマ・リーゼイ(T.reesei)において同定されている(Tenkanen et al.(1992)Enzyme Microb.Technol.14:566;Torronen et al.(1992)Bio/Technology 10:1461;及びXu et al.(1998)Appl.Microbiol.Biotechnol.49:718)。
【0150】
他の実施形態では、本開示に有用なポリペプチドは、多糖類分解酵素であり得る。そのような酵素を産生する本開示の植物は、例えば、バイオプロセスのための発酵原料を生成するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、発酵プロセスに有用な酵素としては、アルファアミラーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、シクロデキストリングリコトランスフェラーゼ、リパーゼ、フィターゼ、ラッカーゼ、オキシダーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、粒状デンプン加水分解酵素、及び他のグルコアミラーゼが挙げられる。
【0151】
多糖類分解酵素としては、デンプン分解酵素、例えば、α-アミラーゼ(EC3.2.1.1)、グルクロニダーゼ(E.C.3.2.1.131);エキソ1,4-α-Dグルカナーゼ、例えば、アミログルコシダーゼ及びグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)、β-アミラーゼ(EC3.2.1.2)、α-グルコシダーゼ(EC3.2.1.20)、並びに他のエキソ-アミラーゼ;デンプン枝切り酵素、例えば、a)イソアミラーゼ(EC3.2.1.68)、プルラナーゼ(EC3.2.1.41)など;b)セルラーゼ、例えば、エキソ-1,4-3-セロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)、エキソ-1,3-β-D-グルカナーゼ(EC3.2.1.39)、β-グルコシダーゼ(EC3.2.1.21);c)L-アラビナーゼ、例えば、エンド-1,5-α-L-アラビナーゼ(EC3.2.1.99)、α-アラビノシダーゼ(EC3.2.1.55)など;d)ガラクタナーゼ、例えば、エンド-1,4-β-D-ガラクタナーゼ(EC3.2.1.89)、エンド-1,3-β-D-ガラクタナーゼ(EC3.2.1.90)、α-ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.22)、β-ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)など;e)マンナナーゼ、例えば、エンド-1,4-β-D-マンナナーゼ(EC3.2.1.78)、β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.25)、α-マンノシダーゼ(EC3.2.1.24)など;f)キシラナーゼ、例えば、エンド-1,4-β-キシラナーゼ(EC3.2.1.8)、β-D-キシロシダーゼ(EC3.2.1.37)、1,3-β-D-キシラナーゼなど;並びにg)他の酵素、例えば、α-L-フコシダーゼ(EC3.2.1.51)、α-L-ラムノシダーゼ(EC3.2.1.40)、レバナーゼ(EC3.2.1.65)、イヌラナーゼ(EC3.2.1.7)などが挙げられる。一実施形態では、α-アミラーゼは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,093,453号明細書に記載される合成α-アミラーゼのAmy797Eである。
【0152】
本開示で使用され得る更なる酵素としては、真菌及び細菌プロテアーゼなどのプロテアーゼが含まれる。真菌プロテアーゼとしては、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ケカビ属(Mucor)、及びリゾプス属(Rhizopus)、例えば、A.ニガー(A.niger)、A.アワモリ(A.awamori)、A.オリゼ(A.oryzae)、及びM.ミーヘイ(M.miehei)から得られたものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、セロビオヒドロラーゼ(CBH)酵素(EC3.2.1.91)であり得る。一実施形態では、セロビオヒドロラーゼ酵素は、CBH1又はCBH2であり得る。
【0153】
本開示で有用な他の酵素としては、ヘミセルラーゼ、例えば、マンナーゼ及びアラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55);リグニナーゼ;リパーゼ(例えば、E.C.3.1.1.3)、グルコースオキシダーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、トランスグルコシダーゼ、アルファ1,6グルコシダーゼ(例えば、E.C.3.2.1.20);エステラーゼ、例えば、フェルラ酸エステラーゼ(EC3.1.1.73)、及びアセチルキシランエステラーゼ(EC3.1.1.72);及びクチナーゼ(例えば、E.C.3.1.1.74)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
本開示で有用な二本鎖RNA分子としては、標的昆虫遺伝子を抑制するものが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「遺伝子抑制」という単語は、まとめると、mRNAへの遺伝子転写及びそれに続くmRNAの翻訳の結果として産生されたタンパク質のレベルを低減させるための周知の方法のいずれかを指すことを意図する。遺伝子抑制はまた、転写後遺伝子抑制及び転写抑制を含む遺伝子又はコード配列からのタンパク質発現の低減を意味するように意図する。転写後遺伝子抑制は、抑制のために標的化された遺伝子又はコード配列から転写されたmRNAの全部又は一部と抑制のために使用された対応する二本鎖RNAとの間の相同性によって媒介され、リボソームによる結合のために、細胞中で入手できる利用可能なmRNAの量の実質的且つ測定可能な低減を指す。転写されたRNAは、いわゆる共抑制に影響を与えるセンス配向、いわゆるアンチセンス抑制に影響を与えるアンチセンス配向、又はいわゆるRNA干渉(RNAi)に影響を与えるdsRNAを生成する両方の配向にあり得る。転写抑制は、遺伝子抑制剤であるdsRNAの細胞内の存在によって媒介され、プロモーターDNA配列又はその補体に対して実質的な配列同一性を示し、プロモーターのトランス抑制と称されるものに影響を与える。遺伝子抑制は、例えば、形質に関連する天然の遺伝子に対して有効である場合があり、植物に天然遺伝子によってコードされるタンパク質の低減したレベルを提供するか、又は影響された代謝産物の増強若しくは低減されたレベルを提供する。遺伝子抑制はまた、遺伝子抑制剤、具体的には害虫の細胞中の1つ以上の相同配列又は相補的配列の発現を阻害、若しくは抑制するように設計されたものを含有する植物材料を摂取するか、それと接触し得る植物害虫における標的遺伝子に対して有効であり得る。抑制のために標的化されたそのような遺伝子は、必須タンパク質をコードすることができ、その予測される機能は、筋肉形成、幼若ホルモン形成、幼若ホルモンの調節、イオン調節及び輸送、消化酵素合成、細胞膜電位の維持、アミノ酸生合成、アミノ酸分解、精子形成、フェロモン合成、フェロモン感知、触覚形成、羽形成、脚形成、発生及び分化、卵形成、幼虫の成熟、消化酵素形成、血リンパ合成、血リンパ維持、神経伝達、細胞分裂、エネルギー代謝、呼吸、及びアポトーシスからなる群から選択される。
【0155】
トランスジェニック細胞、植物、植物部位
いくつかの態様では、本開示は、本開示の核酸分子又はベクターを含む(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む)トランスジェニック細胞、植物、植物部位などを更に提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の核酸分子又はベクターを含む非ヒト宿主細胞を提供する。トランスジェニック非ヒト宿主細胞としては、植物細胞(単子葉植物細胞及び/若しくは双子葉植物細胞を含む)、酵母細胞、細菌細胞、又は昆虫細胞を挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、バチルス属(Bacillus)、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、ゼノラブダス属(Xenorhabdus)、フォトラブダス属(Photorhabdus)、パストゥリア属(Pasteuria)、エシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、エルビニア属(Erwinia)、セラチア属(Serratia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、サルモネラ属(Salmonella)、パスツレラ属(Pasteurella)、キサントモナス属(Xanthomonas)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、リゾビウム属(Rhizobium)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、メチロフィルス属(Methylophilius)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アセトバクター属(Acetobacter)、ラクトバチルス属(Lactobacillus),アルスロバクター属(Arthrobacter)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、又はアルカリゲネス属(Alcaligenes)から選択される細菌細胞が提供される。
【0156】
いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物細胞は、双子葉植物細胞又は単子葉植物細胞である。追加の実施形態では、双子葉植物細胞は、ダイズ細胞、ヒマワリ細胞、トマト細胞、コールクロップ細胞、ワタ細胞、テンサイ細胞、又はタバコ細胞である。更なる実施形態では、単子葉植物細胞は、オオムギ細胞、トウモロコシ細胞、オーツムギ細胞、イネ細胞、ソルガム細胞、サトウキビ細胞、又はコムギ細胞である。好ましい実施形態では、単子葉植物細胞は、トウモロコシ細胞である。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の核酸分子又はベクターを含む複数の双子葉植物細胞又は単子葉植物細胞(例えば、本開示の核酸分子又はベクターを含む複数のトウモロコシ細胞)を提供する。実施形態では、複数の細胞は並置されてアポプラストを形成し、自然の日光で成長される。実施形態では、トランスジェニック植物細胞は、植物全体を再生することはできない。
【0157】
本開示の他の実施形態では、本開示の核酸分子は、高等生物、例えば、植物中で発現される。そのようなトランスジェニック植物は、有害害虫などの植物害虫を防除するために、核酸分子によってコードされる有効量の殺虫性タンパク質を発現する。昆虫が、そのようなトランスジェニック植物を摂食し始めると、それは発現された殺虫性タンパク質を摂取することになる。これにより、昆虫が植物組織に更に噛みつくことが阻止され、又は昆虫に害を与えたり若しくは殺傷したりもする。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子は、植物のゲノム中に安定して組み込まれる。他の実施形態では、本開示の核酸分子は、非病原性自己複製ウイルス中に含まれる。
【0158】
いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対して殺虫性である。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ)、オストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対して殺虫性である。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物は、例えば、本核酸分子を含まない対照植物と比べて、例えば、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対して増強した殺虫特性を有する。
【0159】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の核酸分子を含むトランスジェニック植物細胞は、根、葉、種子、花、果実、花粉細胞、器官若しくは植物培養など、又はカルス細胞若しくは培養が挙げられるが、これらに限定されない植物部位、植物器官、又は植物培養(それぞれ、本明細書に記載されるような)の細胞である。
【0160】
本開示に従って形質転換されたトランスジェニック植物又は植物細胞は、単子葉植物若しくは双子葉植物又は植物細胞であってもよく、コーン(トウモロコシ)、ダイズ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、オーツムギ、ソルガム、キビ、ヒマワリ、ベニバナ、テンサイ、ワタ、サトウキビ、アブラナ、アルファルファ、タバコ、ピーナッツ、サツマイモ、マメ、エンドウ、チコリ、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ニンジン、ナス、キュウリ、ダイコン、ピーマン、ジャガイモ、トマト、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、メロン、コショウ、セロリ、スカッシュ、カボチャ、ズッキーニを含む野菜、リンゴ、ナシ、マルメロ、プラム、サクランボ、モモ、ネクタリン、アプリコット、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイア、マンゴー、バナナを含む果実、及びアラビドプシス属(Arabidopsis)などの園芸植物、並びに針葉樹及び落葉樹などの木本植物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは本開示の植物は、トウモロコシ、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科植物、コショウ、ジャガイモ、綿、イネ、ダイズ、テンサイ、サトウキビ、タバコ、オオムギ、セイヨウアブラナなどの作物植物である。
【0161】
所望の核酸分子が特定の植物種に形質転換されると、それは、伝統的育種技術を含む任意の適切な技術を使用して、その種の中で繁殖することができるか、又は特に市販の品種を含む同じ種の他の品種に移すことができる。
【0162】
本開示の核酸分子によってコードされる殺虫性タンパク質は、昆虫防除剤として、植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫された産物、加工された産物、又は抽出物などで機能することができる。言い換えれば、殺虫性タンパク質は、トランスジェニック植物中にそれが有していた殺虫機能を引き続き実行することができる。核酸分子は、殺虫性タンパク質を発現するように機能することができる。本開示の殺虫性タンパク質を発現する代わりとして、いくつかの実施形態では、核酸分子は、この核酸分子を含む本開示のトランスジェニック植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫された産物、加工された産物、又は抽出物を同定するために機能することができる。
【0163】
実施形態では、本開示のトランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官、又は種子は、本開示の核酸分子に対して半接合型である。実施形態では、トランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官、又は種子は、本開示の核酸分子に対してホモ接合型である。
【0164】
本開示の追加の実施形態は、本開示のトランスジェニック植物又はその部位から産生された収穫された産物、並びに収穫された産物から産生された加工された産物を含む。収穫された産物は、本明細書に記載されるような植物全体又は任意の植物部位であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、収穫された産物の非限定的な例としては、種子、果実、花又はその部位(例えば、葯、柱頭など)、葉、茎などは挙げられる。他の実施形態では、加工された産物としては、穀物粉、食用粉、油、デンプン、シロップ、シリアル、及び本開示の収穫された種子、又は他の植物部位から産生された類似のものが挙げられるが、これらに限定されず、当該種子又は他の植物部位は、本開示の核酸分子を含む。
【0165】
他の実施形態では、本開示は、本開示のトランスジェニック種子又はトランスジェニック植物からの抽出物を提供し、この抽出物は、本開示の核酸分子を含む。植物又は植物部位からの抽出物は、当該技術分野において周知の手順に従って作製することができる(de la Torre et al.,Food,Agric.Environ.2(1):84-89(2004);Guidet,Nucleic Acids Res.22(9):1772-1773(1994);Lipton et al.,Food Agric.Immun.12:153-164(2000)を参照されたい)。そのような抽出物は、例えば、本開示の核酸分子の存在を検出するための方法において使用されてもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫された産物、加工された産物、又は抽出物は、本開示の核酸分子を含まない好適な対照と比較して、1つ以上の害虫(例えば、鱗翅目害虫)に対する増加した殺虫活性を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫された産物、加工された産物、又は抽出物は、少なくともスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)に対する増加した殺虫活性を有する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫された産物、加工された産物、又は抽出物は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、オストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)に対して増加した殺虫活性を有する。
【0167】
植物形質転換及び育種
植物を形質転換するための手順は、当該技術分野において周知且つ日常的であり、文献全体に記載されている。植物の形質転換のための方法の非限定的な例としては、細菌媒介性核酸送達を介した形質転換(例えば、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)を介した)、ウイルス媒介性核酸送達、シリコンカーバイド又は核酸ウィスカー媒介性核酸送達、リポソーム媒介性核酸送達、マイクロインジェクション、微粒子銃法、リン酸カルシウム媒介性形質転換、シクロデキストリン媒介性形質転換、エレクトロポレーション、ナノ粒子媒介性形質転換、超音波処理、浸透法(infiltration)、PEG媒介性核酸取り込み、並びに核酸分子の植物細胞への導入をもたらす任意の他の電気的、化学的、物理的(機械的)、又は生物学的メカニズム(それらの任意の組み合わせを含む)が挙げられる。当該技術分野において既知の様々な植物形質転換法に対する一般的な指針としては、Mikiら(“Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants”in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick,B.R.and Thompson,J.E.,Eds.(CRC Press,Inc.,Boca Raton,1993),pages 67-88)及びRakowoczy-Trojanowska(Cell.Mol.Biol.Lett.7:849-858(2002))が挙げられる。
【0168】
アグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介性形質転換については、バイナリーベクター又は少なくとも1つのT-DNAボーダー配列を担持するベクターが一般的に好適であるが、一方、遺伝子直接導入(例えば、微粒子銃など)については、任意のベクターが好適であり、目的の構築物のみを含有する線状DNAを使用することができる。遺伝子直接導入の場合、単一のDNA種による形質転換、又は共形質転換を使用することができる(Schocher et al.,Biotechnology 4:1093-1096(1986))。遺伝子直接導入及びアグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介性遺伝子導入の両方については、形質転換は、通常(しかし、必ずしもそうではないが)、抗生物質(例えば、カナマイシン、ヒグロマイシン、若しくはメトトレキサート)、又は除草剤(例えば、グリホセート若しくはグルホシネート)に対する抵抗性を提供する正の選択であり得る選択可能なマーカー(例えば、ホスホマンノースイソメラーゼ)を使用して行われる。しかしながら、選択可能なマーカーの選択は、本開示に重要ではない。
【0169】
アグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介性形質転換は、その形質転換の高い効率のために、及びその多くの異なる種との汎用性のために、植物を形質転換するために一般的に使用されている方法である。アグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介性形質転換は、典型的には、目的の外来DNAを担持するバイナリーベクターの適切なアグロバクテリウム属(Agrobacterium)株への導入を伴い、それは共存するTiプラスミド又は染色体上のいずれかにある宿主アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株によって運ばれるvir遺伝子の補体に依存し得る(Uknes et al.(1993)Plant Cell 5:159-169)。組換えバイナリーベクターのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)への導入は、標的アグロバクテリウム属(Agrobacterium)株へ組換えバイナリーベクターを動員することができるプラスミドを運ぶヘルパー大腸菌(E.coli)株である組換えバイナリーベクターを担持する大腸菌(Escherichia coli)を使用するtriparental mating手順によって達成され得る。或いは、組換えバイナリーベクターは、核酸形質転換によってアグロバクテリウム属(Agrobacterium)に導入され得る((Hoefgen & Willmitzer(1988)Nucleic Acids Res.16:9877)。
【0170】
双子葉植物並びに単子葉植物は、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)を使用して形質転換され得る。イネのアグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介性形質転換のための方法は、以下のいずれかに記載されているものなどのイネ形質転換のための周知の方法が挙げられる:欧州特許出願第EP1198985号明細書、Aldemita and Hodges(Planta 199:612-617,1996);Chan et al.(Plant Mol Biol 22(3):491-506,1993),Hiei et al.(Plant J 6 (2):271-282,1994)(それらの開示は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる)。トウモロコシ形質転換の場合には、方法としては、Ishida et al.(Nat.Biotechnol 14(6):745-50,1996)又はFrame et al.(Plant Physiol 129(1):13-22, 2002)のいずれかに記載されているものが挙げられる(これらの開示は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる)。当該方法は、例として、B.Jenes et al.,Techniques for Gene Transfer,in:Transgenic Plants,Vol.1,Engineering and Utilization,eds.S.D.Kung and R.Wu,Academic Press(1993)128-143及びPotrykus Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Molec.Biol.42(1991)205-225)において、更に記載されている。発現される核酸又は構築物はベクター中にクローニングされることが好ましく、このベクターは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を形質転換するのに好適であり、例えば、pBin19である(Bevan et al.,Nucl.Acids Res.12(1984)8711)。そのようなベクターによって形質転換されたアグロバクテリア(Agrobacteria)は、次いで、傷を付けた葉若しくは切り刻んだ葉をアグロバクテリア溶液中に浸漬させ、次いで、それらを好適な培地中で培養することによって、植物、例えば、アラビドプシス属(Arabidopsis)のようなモデルとして使用される植物、又は例として、タバコ植物などの作物植物の形質転換のための既知の方法で使用することができる。アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いる植物の形質転換は、例えば、Hagen and WillmitzerによってNucl.Acid Res.(1988)16,9877に記載されており、又はとりわけ、F.F.White,Vectors for Gene Transfer in Higher Plants;in Transgenic Plants,Vol.1,Engineering and Utilization,eds.S.D.Kung and R.Wu,Academic Press,1993,pp.15-38から知られている。
【0171】
ダイズ植物材料は、好適に形質転換することができ、当業者に周知である多くの方法によって稔性植物が再生されている。ダイズ形質転換法の例は、米国特許第5,024,944号明細書;Finer and McMullen (1991)In Vitro Cell Dev.Biol.27P:175-182;McCabe et al.(1988)Bio/technology 6:923-926;Khalafalla et al.(2006) African J.of Biotechnology 5:1594-1599;米国特許第7,001,754号明細書;Hinchee et al.(1988)Bio/Technology 6:915-922;米国特許第7,002,058号明細書;米国特許出願公開第20040034889号明細書;米国特許出願公開第20080229447号明細書;及びPaz et al.(2006)Plant Cell Report 25:206-213で見ることができる。
【0172】
トランスジェニック植物は、異なる形質転換法を用いて、選択可能なマーカー遺伝子を含有するこれまで記載されたバイナリーベクターで生成することができる。例えば、ベクターは、メソトリオンなどのHPPD阻害剤を選択剤として使用して、トランスジェニックHPPD植物を直接生成するために、記載されるように未成熟な種子標的を形質転換するために用いられる(例えば、米国特許出願公開第20080229447号を参照されたい)。任意に、他の除草剤耐性遺伝子は、例えば、カナマイシン、ヒグロマイシン、ホスフィノトリシン、ブタフェナシル、又はグリホセートに対する抵抗性を提供する既知の遺伝子を含む形質転換された組織の選択/同定の追加の手段を提供する他の配列と一緒にポリヌクレオチド中に存在することができる。例えば、PAT又はEPSPS選択可能なマーカー遺伝子を含有する異なるバイナリーベクターは、記載されるように、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)媒介性形質転換及びグルホシネート若しくはグリホセート選択を使用して形質転換される(例えば、米国特許出願公開第20080229447号明細書を参照されたい)。
【0173】
組換えアグロバクテリウム属(Agrobacterium)による植物の形質転換は、通常、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)と植物からの外植片との共培養を伴い、その後当該技術分野において周知の方法が続く。形質転換された組織は、バイナリープラスミドT-DNAボーダー間で抗生物質又は除草剤抵抗性マーカーを運ぶ選択培地上で再生される。
【0174】
以前に論議したように、植物、植物部位、及び植物細胞を形質転換するための別の方法は、不活性又は生物学的に活性な粒子を植物組織及び細胞において推進させることを伴う。例えば、米国特許第4,945,050号明細書、同第5,036,006号明細書、及び同第5,100,792号明細書を参照されたい。一般に、この方法は細胞の外表面を貫通し、その内部中への組込みをもたらす条件下で不活性又は生物学的に活性な粒子を植物細胞において推進させることを伴う。不活性粒子が利用される場合、ベクターは、目的の核酸を含有するベクターで粒子をコーティングすることによって細胞中に導入され得る。或いは、細胞は、ベクターが粒子の後を追って細胞中に運ばれるようにベクターによって包囲され得る。生物学的に活性な粒子(例えば、それぞれが導入されようとする1つ以上の核酸を含有する、乾燥酵母細胞、乾燥細菌若しくはバクテリオファージ)もまた、植物組織に推進され得る。
【0175】
他の実施形態では、本開示の核酸分子は、プラスチドゲノムに直接形質転換され得る。プラスチド形質転換技術は、米国特許第5,451,513号明細書、同第5,545,817号明細書、及び同第5,545,818号明細書に、PCT出願第WO95/16783号に、並びにMcBride et al.(1994)Proc.Nati.Acad.Sci.USA 91,7301-7305に広範囲に記載されている。
【0176】
形質転換されたトランスジェニック植物、植物細胞、又は植物組織培養物を選択する方法は、当該技術分野において日常的であり、本明細書に提供される本開示の方法において採用することができる。例えば、本開示の核酸分子又はベクターは、形質転換された植物、植物部位、又は植物細胞を選択するために使用することができる選択可能なマーカーのためのヌクレオチド配列を含む発現カセットも含み得る。
【0177】
選択可能なマーカーの例としては、限定されないが、カナマイシンG418などに対する抵抗性を付与するneo又はnptIIをコードするヌクレオチド配列(Potrykus et al.(1985)Mol.Gen.Genet.199:183-188);ホスフィノトリシンに対する抵抗性を付与するbarをコードするヌクレオチド配列;グリホセートに対する抵抗性を付与する改変された5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸(EPSP)シンターゼをコードするヌクレオチド配列(Hinchee et al.(1988)Biotech.6:915-922);ブロモキシニルに対する抵抗性を付与するクレブシラ・オザエナエ(Klebsiella ozaenae)からのbxnなどのニトリラーゼをコードするヌクレオチド配列(Stalker et al.(1988)Science 242:419-423);イミダゾリノン、スルホニル尿素、又は他のALS阻害薬品に対する抵抗性を付与する改変されたアセトラクテートシンターゼ(ALS)をコードするヌクレオチド配列(欧州特許出願第154204号明細書);メトトレキサート抵抗性ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードするヌクレオチド配列(Thillet et al.(1988)J.Biol.Chem.263:12500-12508)ダラポンに対する抵抗性を付与するダラポンデハロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列;マンノースを代謝するための能力を付与するマンノース-6-リン酸イソメラーゼ(ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)とも称される)をコードするヌクレオチド配列(米国特許第5,767,378号明細書、及び同第5,994,629号明細書);5-メチルトリプトファンに対する抵抗性を付与する改変されたアントラニレートシンターゼをコードするヌクレオチド配列;又はヒグロマイシンに対する抵抗性を付与するhphをコードするヌクレオチド配列が挙げられる。当業者は、本開示の発現カセットで使用するために好適な選択可能なマーカーを選択することができる。
【0178】
追加の選択可能なマーカーとしては、限定されないが、様々な発色基質が知られている酵素をコードするβ-グルクロニダーゼ又はuidA(GUS)をコードするヌクレオチド配列;植物組織中のアントシアニン色素(赤色)の産生を調節する産物をコードするR-遺伝子座ヌクレオチド配列(Dellaporta et al.,“Molecular cloning of the maize R-nj allele by transposon-tagging with Ac”263-282 In:Chromosome Structure and Function:Impact of New Concepts,18th Stadler Genetics Symposium (Gustafson & Appels eds.,Plenum Press 1988));様々な発色基質(例えば、PADAC、発色性セファロスポリン)が知られている酵素であるβ-ラクタマーゼをコードするヌクレオチド配列(Sutcliffe(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3737-3741);カテコールジオキシゲナーゼをコードするxylEをコードするヌクレオチド配列(Zukowsky et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1101-1105);チロシンをDOPA及びドーパキノンに酸化することができ、これが次に縮合してメラニンを形成する酵素であるチロシナーゼをコードするヌクレオチド配列(Katz et al.(1983)J.Gen.Microbiol.129:2703-2714);発色基質が存在する酵素であるβ-ガラクトシダーゼをコードするヌクレオチド配列;生物発光検出を可能にするルシフェラーゼ(lux)をコードするヌクレオチド配列(Ow et al.(1986)Science 234:856-859);カルシウム感受性生物発光において利用することができるエクオリン(aequorin)をコードするヌクレオチド配列(Prasher et al.(1985)Biochem.Biophys.Res.Comm.126:1259-1268);又は緑色蛍光タンパク質(Niedz et al.(1995)Plant Cell Reports 14:403-406)若しくは他の蛍光タンパク質、例えば、dsRed又はmCherryをコードするヌクレオチド配列が挙げられる。当業者は、本開示の発現カセットで使用するために、好適な選択可能なマーカーを選択することができる。
【0179】
更に、当該技術分野において周知であるように、インタクトなトランスジェニック植物は、形質転換された植物細胞、植物組織培養物、又は培養されたプロトプラストから様々な既知の技術のいずれかを使用して再生することができる。植物細胞、植物組織培養物、又は培養されたプロトプラストからの植物の再生は、例えば、Evans et al.(Handbook of Plant Cell Cultures,Vol.1,MacMilan Publishing Co.New York(1983));及びVasil I.R.(ed.)(Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,Acad.Press,Orlando,Vol.I(1984),and Vol.II(1986))に記載されている。
【0180】
更に、上記の本開示のトランスジェニック種子及び植物、植物部位、又は植物細胞中に組み込まれた遺伝的特性は、有性生殖又は栄養成長によって受け継がれることができ、したがって、子孫植物で維持及び繁殖することができる。一般に、維持及び繁殖は、収穫、播種、又は耕作などの特定の目的に適合するように開発された既知の農法を利用する。
【0181】
したがって、本開示の核酸分子は、上述のような当該技術分野において周知であるあらゆる方法で、植物、植物部位、又は植物細胞に導入することができる。したがって、核酸分子を植物に導入するための、特に頼るべき方法はないが、むしろ核酸分子を植物のゲノム中に安定して組み込まれることを可能にするあらゆる方法を使用することができる。2つ以上のポリヌクレオチドが導入される場合、それぞれのポリヌクレオチドは、単一の核酸分子の一部として、又は別個の核酸分子として組み立てられることができ、同じ又は異なる核酸分子上に位置することができる。したがって、ポリヌクレオチドは、単一の形質転換事象において、別個の形質転換事象において、又は例えば、植物中で育種プロトコルの一部として目的の細胞に導入することができる。
【0182】
所望の核酸分子が特定の植物種に形質転換されると、それはその種で繁殖するか、又は同じ種の他の品種、特に商業的品種に伝統的な育種技術を使用して移動することができる。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示のトランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫された産物、加工された産物、又は抽出物は、1つ以上の入力形質(例えば、昆虫抵抗性、除草剤抵抗性、真菌抵抗性、ウイルス抵抗性、ストレス耐性、病害抵抗性、雄性不稔性、茎の強さなど)及び/又は出力形質(例えば、収量の増加、変更されたデンプン、改善された油プロファイル、バランスのとれたアミノ酸、高リジン又はメチオニン、消化率の改善、繊維品質の改善、耐乾性など)を提供する目的の1つ以上の他の核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のトランスジェニック植物は、目的の1つ以上の他の核酸を含む別のトランスジェニック植物とともに育種することができる。
【0184】
いくつかの実施形態では、目的の1つ以上の他の核酸は、1つ以上の第2の害虫防除剤、例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)殺虫性タンパク質、及び/又は限定されないが、ゼノラブダス(Xenorhabdus)属種殺虫性タンパク質、フォトラブダス(Photorhabdus)属種殺虫性タンパク質、ブレビバチルス・ラテロスポルス(Brevibacillus laterosporus)殺虫性タンパク質、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)殺虫性タンパク質、プロテアーゼ阻害剤(セリン及びシステイン型の両方)、レクチン、アルファ-アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、若しくは二本鎖RNA(dsRNA)分子が挙げられる非Bt殺虫剤をコードする。追加の実施形態では、第2の害虫防除剤は、Cryタンパク質、栄養成長期殺虫性タンパク質(VIP)、及び前述の殺虫性タンパク質のいずれかの殺虫性キメラが挙げられるが、これらに限定されないバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)殺虫性タンパク質のいくつかの1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、第2の害虫防除剤は非タンパク質性であり、例えば、dsRNAなどの干渉RNA分子であり得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、第2の害虫防除剤は、以下の事象のうちのいずれかで存在する殺虫性タンパク質、又はdsRNAのうちのいずれか1つ以上を含む:Bt11事象(米国特許第US6114608号明細書を参照されたい)、MIR604事象(米国特許第US8884102号明細書を参照されたい)、MIR162事象(米国特許第8232456号明細書を参照されたい)、5307事象(米国特許第US10428393号明細書を参照されたい)、MZIR098事象(米国特許出願第US20200190533号を参照されたい)、TC1507事象(米国特許第US7288643号明細書を参照されたい)、DAS-59122-7事象(米国特許第US7323556号明細書を参照されたい)、MON810事象(米国特許第US6713259号明細書を参照されたい)、MON863事象(米国特許第US7705216号明細書を参照されたい)、MON89034事象(米国特許第US8062840号明細書を参照されたい)、MON88017事象(米国特許第US9556492号明細書を参照されたい)、DP-4114事象(米国特許第US9725772号明細書を参照されたい)、MON87411事象(米国特許第US9441240号明細書を参照されたい)、DP-032218-9事象(米国特許出願第US2015361447号明細書を参照されたい)、DP-033121-3事象(米国特許出願第US2015361446号明細書を参照されたい)、DP-023211-2事象(PCT公開第WO2019209700号)、MON95379事象(米国特許出願第US2020032289号明細書)、DBN9936事象(PCT公開第WO2016173361号を参照されたい)、DBN9501事象(PCT公開第WO20207125号を参照されたい)、GH5112E-117C事象(PCT公開第WO17/088480号を参照されたい)、LP007-1(中国特許出願第CN112852801号明細書を参照されたい)、LP007-2(中国特許出願第CN112831584号明細書)、LP007-3(中国特許出願第CN112877454号明細書)、LP007-4(中国特許出願第CN112831585号明細書)、LP007-5(中国特許出願第CN113151534号明細書)、LP007-6(中国特許出願第CN113151533号明細書)、LP007-7(中国特許出願第CN112852991号明細書)、LP007-8(中国特許出願第CN113980958号明細書)、Ruifeng8、ND207、又はRuifeng125事象(中国特許出願第CN105017391号明細書を参照されたい)。いくつかの実施形態では、第2の害虫防除剤は、以下の事象のうちのいずれか1つ以上を含む:Bt11事象(米国特許第US6114608号明細書を参照されたい)、MIR604事象(米国特許第US8884102号明細書を参照されたい)、MIR162事象(米国特許第8232456号明細書を参照されたい)、5307事象(米国特許第US10428393号明細書を参照されたい)、MZIR098事象(米国特許出願第US20200190533号明細書を参照されたい)、TC1507事象(米国特許第US7288643号明細書を参照されたい)、DAS-59122-7事象(米国特許第US7323556号明細書を参照されたい)、MON810事象(米国特許第US6713259号明細書を参照されたい)、MON863事象(米国特許第US7705216号明細書を参照されたい)、MON89034事象(米国特許第US8062840号明細書を参照されたい)、MON88017事象(米国特許第US9556492号明細書を参照されたい)、DP-4114事象(米国特許第US9725772号明細書を参照されたい)、MON87411事象(米国特許第US9441240号明細書を参照されたい)、DP-032218-9事象(米国特許出願第US2015361447号明細書を参照されたい)、DP-033121-3事象(米国特許出願第US2015361446号明細書を参照されたい)、DP-023211-2事象(PCT公開第WO2019209700号を参照されたい)、MON95379事象(米国特許出願第US2020032289号明細書を参照されたい)、DBN9936事象(PCT公開第WO2016173361号を参照されたい)、DBN9501事象(PCT公開第WO20207125号を参照されたい)、GH5112E-117C事象(PCT公開第WO17/088480号を参照されたい)、LP007-1(中国特許出願第CN112852801号明細書を参照されたい)、LP007-2(中国特許出願第CN112831584号明細書)、LP007-3(中国特許出願第CN112877454号明細書)、LP007-4(中国特許出願第CN112831585号明細書)、LP007-5(中国特許出願第CN113151534号明細書)、LP007-6(中国特許出願第CN113151533号明細書)、LP007-7(中国特許出願第CN112852991号明細書)、LP007-8(中国特許出願第CN113980958号明細書)、Ruifeng8、ND207、又はRuifeng125事象(中国特許出願第CN105017391号明細書を参照されたい)。
【0186】
実施形態では、第2の害虫防除剤は、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)以外の供給源に由来してもよい。例えば、第2の害虫防除剤は、アルファ-アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、パタチン、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、ウレアーゼ、アルファ-アミラーゼ阻害剤、孔形成タンパク質、キチナーゼ、レクチン、操作された抗体若しくは抗体断片、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)殺虫性タンパク質、ゼノラブダス(Xenorhabdus)属種(X.ネマトフィラ(X.nematophila)又はX.ボビエニー(X.bovienii)など)殺虫性タンパク質、フォトラブダス(Photorhabdus)属種(P.ルミネッセンス(P.luminescens)又はP.アシモビオティカ(P.asymobiotica)など)殺虫性タンパク質、ブレビバチルス(Brevibacillus)属種(B.ラテロスポルス(B.laterosporous)など)殺虫性タンパク質、リシニバチルス(Lysinibacillus)属種(L.スファエリクス(L.sphearicus)など)殺虫性タンパク質、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属種(C.サブツガエ(C.subtsugae)又はC.ピスシーナ(C.piscinae)など)殺虫性タンパク質、エルシニア(Yersinia)属種(Y.エントモファーガ(Y.entomophaga)など)殺虫性タンパク質、パエニバシラス(Paenibacillus)属種(P.プロピュライア(P.propylaea)など)殺虫性タンパク質、クロストリジウム(Clostridium)属種(C.ビフェルメンタンス(C.bifermentans)など)殺虫性タンパク質、シュードモナス(Pseudomonas)属種(P.フルオレッセンス(P.fluorescens)など)、及びリグニンなどであり得る。他の実施形態では、第2の薬剤は、フォトラブダス属(Photorhabdus)、ゼノラブダス属(Xenorhabus)、セラチア属(Serratia)、又はエルシニア属(Yersinia)からの殺虫性毒素複合体(Tc)に由来する少なくとも1つの殺虫性タンパク質であり得る。他の実施形態では、殺虫性タンパク質は、殺虫性細菌、例えば、フォトラブダス(Photorhabdus)属種に由来するADP-リボシルトランスフェラーゼであり得る。他の実施形態では、殺虫性タンパク質は、B.セレウス(B.cereus)からのVIP1及び/又はVIP2などのVIPタンパク質であり得る。なお更に他の実施形態では、殺虫性タンパク質は、殺虫性細菌に由来する二元毒素、例えば、B.ラテロスポルス(B.laterosporous)からのISP1A及びISP2A、又はL.スフェリカス(L.sphaericus)からのBinA及びBinBであり得る。なお更に他の実施形態では、殺虫性タンパク質は、前述の殺虫性タンパク質のいずれかの操作されたものであってもよく、又はそれらのハイブリッド若しくはキメラであってもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、目的の1つ以上の他の核酸は、1つ以上の除草剤耐性剤、例えば、PAT(ホスフィノトリシンN-アセチルトランスフェラーゼ)、AAD-1(アリルオキシアルカノエートジオキシゲナーゼ1)、EPSPS(5-エノールピルブルシキミ酸塩(enolpyruvulshikimate)-3-リン酸シンターゼ)、又はプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO、例えば、米国特許出願第US2019185873号明細書を参照されたい)の阻害剤をコードする。いくつかの実施形態では、除草剤耐性剤は、以下の事象のうちのいずれか1つ以上を含む:GA21(PCT公開第WO98/44140号を参照されたい)、NK603(米国特許第US6825400号明細書を参照されたい)、DAS40278(PCT公開第WO2011/022469号を参照されたい)、DBN9858(PCT公開第WO2016173508号を参照されたい)、MON87429(PCT公開第WO19/152316号を参照されたい)、LW2-2(中国特許出願第CN113278721号明細書を参照されたい)、及びT25(USDA/APHIS Petition 94-357-01 for Determination of Nonregulated Status for Glufosinate Resistant Corn Transformation Events T14 and T25,June 1995を参照されたい)。
【0188】
いくつかの実施形態では、目的の1つ以上の他の核酸は、1つ以上の酵素、例えば、アルファ-アミラーゼをコードする。いくつかの実施形態では、酵素は、3272事象(米国特許第US7635799号明細書を参照されたい)を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、目的の1つ以上の他の核酸は、以下の事象のうちの1つ以上を含む:MZDT09Y(例えば、米国特許第US9121033号明細書を参照されたい)、LY038(米国特許第US7157281号明細書を参照されたい)、BT176(Koziel et al.(1993)Biotechnology 11:194-200)、及びDP202216-6(米国特許出願第US2019320607号明細書を参照されたい)。
【0190】
本開示の核酸分子を含むトランスジェニック植物又は種子は、例えば、米国特許第5,849,320号明細書、及び同第5,876,739号明細書に記載されるように、殺虫剤又は殺虫性種子コーティングでも処理され得る。いくつかの実施形態では、本開示の殺虫剤若しくは殺虫性種子コーティング、及びトランスジェニック植物若しくは種子の両方は、同じ標的昆虫、例えば、鱗翅目害虫(例えば、ツマジロクサヨトウ)に対して活性である。したがって、いくつかの実施形態では、鱗翅目昆虫集団の防除を増強する方法であって、本開示のトランスジェニック植物又は種子を提供することと、植物若しくは種子を殺虫剤若しくは殺虫性種子コーティングに適用することとを含む方法が提供される。
【0191】
殺虫剤若しくは殺虫剤種子コーティングが異なる昆虫に対して活性である場合であっても、殺虫剤若しくは殺虫性種子コーティングは、鞘翅目昆虫に対して活性を有する殺虫剤若しくは殺虫性種子コーティングを本開示のトランスジェニック種子(いくつかの実施形態では、これは鱗翅目昆虫に対して活性を有する)に適用し、コーティングされたトランスジェニック種子が、鱗翅目及び鞘翅目害虫の両方の防除を生み出すことによって、昆虫防除の範囲を拡大するために有用である。
【0192】
核酸分子及びトランスジェニック植物の使用方法
いくつかの態様では、本開示はまた、本開示の核酸分子を産生し、使用する方法、及び核酸分子を含む細胞及び植物などの関連する組成物、並びにその使用も提供する。
【0193】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、限定されないが、以下のうちの1つ以上を含む少なくとも1つの鱗翅目害虫の防除を提供する:スポドプテラ(Spodoptera)属種、例えば、S.フルギペルダ(S.frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、S.リットラリス(S.littoralis)(エジプトコットンリーフワーム)、S.オルニトガリイ(S.ornithogalli)(イエローストライプトアーミーワーム)、S.プラエフィカ(S.praefica)(ウェスタンイエローストライプトアーミーワーム)、S.エリダニア(S.eridania)(サウザンアーミーワーム)、S.リチュラ(S.litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、S.コスミオイデス(S.cosmioides)(ブラックアーミーワーム)、S.エクセムプタ(S.exempta)(アフリカンアーミーワーム)、S.マウリチア(S.mauritia)(ローンアーミーワーム)、及び/又はS.エクシグア(S.exigua)(シロイチモジヨトウ);アワノメイガ(Ostrinia)属種、例えば、O.ヌビラリス(O.nubilalis)(ヨーロピアンコーンボーラー)、及び/又はO.フルナサリス(O.furnacalis)(アジアンコーンボーラー);プルテラ(Plutella)属種、例えば、P.キシロステラ(P.xylostella);アグロチス(Agrotis)属種、例えば、A.イプシロン(A.ipsilon)(ブラックカットワーム)、A.セゲトゥム(A.segetum)(コモンカットワーム)、A.グラディアリア(A.gladiaria)(クレイバックドカットワーム)、及び/又はA.オルトゴリア(A.orthogonia)(ペールウェスタンカットワーム);ストリアコスタ(Striacosta)属種、例えば、S.アルビコスタ(S.albicosta)(ウエスタンビーンカットワーム);ヘリコベルパ(Helicoverpa)属種、例えば、H.ゼア(H.zea)(アメリカタバコガ/ダイズポッドワーム)、H.プンクティゲラ(H.punctigera)(ニセアメリカタバコガ)、及び/又はH.アルミゲラ(H.armigera)(コットンボールワーム);ヘリオチス(Heliothis)属種、例えば、H.ウィレセンス(H.virescens)(タバコバッドワーム);ジアトラエア(Diatraea)属種、例えば、D.グランディオセラ(D.grandiosella)(サウスウェスタンコーンボーラー)、及び/又はD.サッカラリス(D.saccharalis)(サトウキビボーラー);トリコプルシア(Trichoplusia)属種、例えば、イラクサギンウワバ(T.ni)(キャベツルーパー);セサミア(Sesamia)属種、例えば、S.ノナグロイデス(S.nonagroides)(地中海アワノメイガ)、イネヨトウ(S.inferens)(ピンクステムボーラー)、及び/又はS.カラミスティス(S.calamistis)(ピンクステムボーラー);ペクチノホラ(Pectinophora)属種、例えば、ワタアカミムシガ(P.gossypiella)(ピンクボールワーム);コチリス(Cochylis)属種、例えば、C.ホスペス(C.hospes)(バンデッドサンフラワーモス);マンデュカ(Manduca)属種、例えば、タバコスズメガ(M.sexta)(タバコホーンワーム)、及び/又はトマトスズメガ(M.quinquemaculata)(トマトホーンワーム);エラスモパルパス(Elasmopalpus)属種、例えば、E.リグノセルス(E.lignosellus)(モロコシマダラメイガ);シュードプルシア(Pseudoplusia)属種、例えば、P.インクルデンス(P.includens)(ダイズシャクトリムシ);アンチカルシア(Anticarsia)属種、例えば、A.ゲンマタリス(A.gemmatalis)(ベルベットビーンキャタピラー);プラチペナ(Plathypena)属種、例えば、P.スカブラ(P.scabra)(グリーンクローバーワーム);ピエリス(Pieris)属種、例えば、P.ブラシカエ(P.brassicae)(オオモンシロチョウ);パパイペマ(Papaipema)属種、例えば、P.ネブリス(P.nebris)(ストークボーラー);シューダレチア(Pseudaletia)属種、例えば、ヨトウムシ(P.unipuncta)(コモンアーミーワーム);ペリドローマ(Peridroma)属種、例えば、ニセタマナヤガ(P.saucia)(variegated cutworm);ケイフェリア(Keiferia)属種、例えば、K.リコペルシセラ(K.lycopersicella)(トマトピンワーム);アルトゲイア(Artogeia)属種、例えば、モンシロチョウA.rapae(imported cabbageworm);フトリマエア(Phthorimaea)属種、例えば、P.オペルクレラ(P.operculella)(ジャガイモキバガ);クリソデイキス(Chrysodeixis)属種、例えば、C.インクルデンス(C.includens)(ダイズルーパー);フェルチア(Feltia)属種、例えば、F.デュセンス(F.ducens)(デンジーカットワーム);ニカメトチョウ(Chilo)属種、例えば、C.スプレサリス(C.suppressalis)(ストライプトステムボーラー)、C.アガメムノン(C.Agamemnon)(オリエンタルコーンボーラー)、及びC.パルテルス(C.partellus)(スポッティドストークボーラー);クナファロクロシス(Cnaphalocrocis)属種、例えば、コブノメイガ(C.medinalis)(イネリーフフォルダー);コノゲテス(Conogethes)属種、例えば、モモノゴマダラノメイガ(C.punctiferalis)(イエローピーチモス);ミシムナ(Mythimna)属種、例えば、アワヨトウ(M.separata)(オリエンタルアーミーワーム);アセチス(Athetis)属種、例えば、コウスイロヨトウ(A.lepigone)(ツースポッティドアーミーワーム);ブセオラ(Busseola)属種、例えば、B.フスカ(B.fusca)(トウモロコシストークボーラー)、エティエラ(Etiella)属種、例えば、シロイチモジマダラメイガ(E.zinckenella)(パルスポッドボーラー)、レグミニボラ(Leguminivora)属種、例えば、マメシンクイガ(L.glycinivorella)(ダイズボッドボーラー);ハマキガ(Matsumuraeses)属種、例えば、マメヒメサヤムシガ(M.phaseoli)(アズキサヤムシガ);オミオデス(Omiodes)属種、例えば、O.インディカータ(O.indicata)(ダイズリーフフォルダー/ビーンリーフウェブワーム);ラチプルシア(Rachiplusia)属種、例えば、R.ヌ(R.nu)(サンフラワールーパー)、又は前述の任意の組合せ。いくつかの実施形態では、鱗翅目害虫は、少なくともS.フルギペルダ(S.frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)である。いくつかの実施形態では、鱗翅目害虫は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)(アワヨトウ)、スポドプテラ・リチュラ(Spodoptera litura)(ハスモンヨトウ/オリエンタルリーフワーム)、オストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)(アジアアワノメイガ)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、又は4つ)である。
【0194】
いくつかの実施形態では、方法は、別の殺虫性タンパク質、例えば、Vip3Aタンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象MIR162を含むVip3Aa、Cry1Fタンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象TC1507又はDP-4114を含むCry1Fa)、Cry1Aタンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象MON89034を含むCry1A.105)、及び/又はCry2タンパク質(例えば、限定されないが、トウモロコシ事象MON89034を含むCry2Ab)に対して抵抗性であるツマジロクサヨトウ害虫又はコロニーの防除を提供する。
【0195】
更なる実施形態では、鱗翅目害虫を防除する方法が提供され、方法は、有効量の、本開示の核酸分子を含む植物又は植物部位を害虫に送達させることを含む。有効であるために、本開示の核酸分子によって発現される殺虫性タンパク質は、害虫によって経口摂取される。いくつかの実施形態では、殺虫性タンパク質は、トランスジェニック植物中で害虫に送達され、ここで害虫は、トランスジェニック植物の1つ以上の部位を摂食し(摂取し)、それによってトランスジェニック植物中で発現される殺虫性タンパク質を摂取する。
【0196】
増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物を産生する方法も包含される。代表的な実施形態では、方法は、植物に本開示の核酸を導入し、この核酸分子が植物中で発現され、殺虫性タンパク質を産生し、それによって植物に増強された殺虫特性を付与することを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子を植物に導入する方法は、最初に植物細胞を本開示の核酸分子で形質転換することと、トランスジェニック植物をそれから再生することと、を含み、このトランスジェニック植物は、本開示の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、方法は、植物、組織培養物、又は植物細胞中に本開示の核酸を導入し、増強した殺虫特性を有する形質転換植物、形質転換組織培養物、又は形質転換細胞を得ることと、形質転換植物を成長させるか、又は形質転換組織培養物若しくは形質転換植物細胞から形質転換植物を再生することを含み、そのようにして増強した殺虫特性を有するトランスジェニック植物が産生される。
【0198】
代替的に、又は追加的に、導入する工程は、本開示の核酸分子を含む第1の植物を第2の植物(例えば、第1の植物とは異なる植物、例えば、本開示の核酸を含まない植物)と交配させて、任意に本開示の核酸分子を含む子孫植物を産生することを含み得る。したがって、トランスジェニック植物は、形質転換事象の直接の結果である植物、及び本開示の核酸分子を含むその子孫(あらゆる世代の)を包含する。
【0199】
本開示は、本開示のトランスジェニック植物を同定する方法を更に提供し、方法は、植物(又はそれらから派生する植物細胞、植物部位など)中の本開示の核酸分子の存在を検出し、それによって本開示の核酸分子の存在に基づいて、植物を本開示のトランスジェニック植物として同定することを含む。
【0200】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つの害虫(例えば、少なくとも1つの鱗翅目害虫)に対して増加した抵抗性を有するトランスジェニック植物を産生する方法を更に提供し、方法は、本開示の核酸分子又は本開示のベクターを含む種子を植え付けることと、種子からトランスジェニック植物を成長させることと、を含み、このトランスジェニック植物は、本開示の核酸を含む。
【0201】
本明細書に記載のトランスジェニック植物を産生する方法は、任意に、トランスジェニック植物から種子を収穫する更なる工程を含み、この種子は本開示の核酸を含む。任意に、種子は、本開示の核酸分子を含む更なるトランスジェニック植物を産生する。
【0202】
本開示は、本開示の方法によって産生されたトランスジェニック植物の植物部位、植物細胞、植物器官、植物培養物、種子、植物抽出物、収穫された産物及び加工された産物を更に提供する。
【0203】
更なる態様として、本開示はまた、種子を産生する方法も提供し、方法は、本開示の核酸分子を含むトランスジェニック植物を提供することと、トランスジェニック植物から種子を収穫することと、を含み、この種子は、本開示の核酸分子を含む。任意に、種子は、本開示の核酸分子を含む更なるトランスジェニック植物を産生する。代表的な実施形態では、トランスジェニック植物を提供する工程は、トランスジェニック植物を産生する種子を植え付けることを含む。
【0204】
ハイブリッド植物種子を産生する方法が更に提供され、方法は、本開示の核酸分子を含むトランスジェニック植物である第1の近交系植物を、異なる近交系植物(例えば、本開示の核酸分子を含まない近交系植物)と交配させることと、ハイブリッド種子を形成させることと、を含む。任意に、方法は、ハイブリッド種子を収穫することを更に含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド種子は、本開示の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ハイブリッド種子は、本開示の核酸分子を含むトランスジェニック植物を産生する。
【0205】
いくつかの実施形態では、本開示は、商品植物生産物を産生する方法を提供し、方法は、本開示の核酸分子を含むトランスジェニック植物を使用して、それらから当該商品植物生産物を産生することを含む。商品植物生産物の例としては、穀粒、デンプン、種子油、シロップ、穀物粉、食用粉、デンプン、シリアル、プロテインなどが挙げられる。そのような商品植物生産物を産生する方法は、当該技術分野において周知である。
【0206】
いくつかの態様では、本開示は、試料中の核酸分子の存在を検出する方法を提供し、方法は、(a)試料を、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の核酸分子を含む(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のうちのいずれか1つ以上を含む)DNAとの核酸増幅反応で使用される場合、核酸分子を診断するためのアンプリコンを産生する1対のプライマーと接触させることと、(b)核酸増幅反応を実施し、それによってアンプリコンを産生することと、(c)アンプリコンを検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、プライマー対は、第1のプライマー及び第2のプライマーであり、第1のプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に相補的である少なくとも10個(例えば、少なくとも10個、少なくとも15個、又は少なくとも20個)を含み、第2のプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上の逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプライマーは、10~50、10~40、10~30、又は10~20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、試料は、トウモロコシ植物部位又は細胞から得られた試料である。
【0207】
いくつかの態様では、本開示は、試料中の核酸分子の存在を検出する方法を提供し、方法は、(a)試料を、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子を含むDNAとハイブリダイズし、この核酸分子を含まない対照トウモロコシ植物のDNAとは高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないプローブと接触させることと、(b)試料及びプローブを高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供することと、(c)プローブの核酸分子へのハイブリダイゼーションを検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、プローブは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上、或いはその逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個(例えば、少なくとも10個、少なくとも15個、又は少なくとも20個)の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プローブは10~50、10~40、10~30、又は10~20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、試料は、トウモロコシ植物部位又は細胞から得られた試料である。
【0208】
いくつかの態様では、本開示は、試料中の核酸分子の存在の診断に役立つアンプリコンを産生するための試料中の1対のポリヌクレオチドプライマーであって、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子の存在中で、一緒に機能する第1のポリヌクレオチドプライマー及び第2のポリヌクレオチドプライマーを含む1対のポリヌクレオチドプライマーを提供する。いくつかの実施形態では、試料は、トウモロコシ植物部位又は細胞から得られた試料である。いくつかの実施形態では、第1のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含み、第2のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上の逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個(例えば、少なくとも10個、少なくとも15個、又は少なくとも20個)の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプライマーは、10~50、10~40、10~30、又は10~20ヌクレオチド長である。
【0209】
いくつかの態様では、本開示は、上述の実施形態のいずれか、又は本明細書に記載の任意の他の実施形態の(例えば、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上を含む)核酸分子を検出するためのキットを提供し、キットは、核酸検出法においてプライマー又はプローブとして機能するのに十分な長さの連続したヌクレオチドの少なくとも1つの核酸分子を含み、この核酸分子は、試料中の標的核酸配列の増幅又は標的核酸配列へのハイブリダイゼーション、それに続くアンプリコンの検出又は標的配列へのハイブリダイゼーションの検出の際に、核酸分子の存在の診断に役立つ。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に対して相補的である少なくとも10個(例えば、少なくとも10個、少なくとも15個、又は少なくとも20個)の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は1対のプライマーを含み、第1のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上に対して相補的である少なくとも10個(例えば、少なくとも10個、少なくとも15個、又は少なくとも20個)の連続したヌクレオチドを含み、第2のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上の逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個(例えば、少なくとも10個、少なくとも15個、又は少なくとも20個)の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプライマーは、10~50、10~40、10~30、又は10~20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、配列番号1若しくは8~31のいずれか1つ、又は表3中の変異体のいずれか1つ以上、或いはその逆相補配列に対して相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含むプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、10~50、10~40、10~30、又は10~20ヌクレオチド長である。本開示のキットは、任意に、本明細書に記載される検出を実施するための試薬及び/又は説明書も含む。
【0210】
いくつかの態様では、本開示は、例えば、細胞又は植物中の本開示の核酸分子を修飾する方法を提供する。いくつかの実施形態では、修飾は、欠失、挿入(例えば、異種核酸配列の)、置換、重複、又は逆位、若しくはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、修飾は、核酸分子中に存在する選択可能なマーカーコード配列、例えば、PMI又はEPSPSコード配列の一部又は全部の欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、CRISPR-Casヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、又はそれらの組合せなどのヌクレアーゼを使用して導入される。
【0211】
いくつかの実施形態では、修飾は、改変されたトランスジェニック細胞又は改変されたトランスジェニック植物を産生するために、本開示の宿主細胞又は植物、例えば、トウモロコシ細胞又はトウモロコシ植物で行われる。いくつかの実施形態では、修飾は、宿主細胞又は植物中でヌクレアーゼを発現させることによって(例えば、宿主細胞又は植物を、ヌクレアーゼをコードする発現カセットで形質転換することによって、或いは植物を、発現カセットなどを含有する別の植物と交配させることによって)行われる。いくつかの実施形態では、物理的方法、例えば、バイオリスティック(biolistics)/微粒子銃、プロトプラストトランスフェクション、ナノ粒子媒介性送達、エアロゾルビーム注入、又はウィスカー媒介性送達を通してなど、例えば、宿主細胞又は植物中へヌクレアーゼを移動させる試薬を使用して、ヌクレアーゼを宿主細胞又は植物に直接導入することによって行われる。いくつかの実施形態では、方法は、改変されたトランスジェニック宿主細胞から植物を産生して、改変されたトランスジェニック植物を産生することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、改変されたトランスジェニック植物を自家受粉するか、別の植物と少なくとも1世代(例えば、1世代、2世代、3世代、4世代以上)にわたって交配させ、それによって改変されたトランスジェニック子孫植物を産生することを更に含む。いくつかの実施形態では、本開示は、例えば、本明細書の方法によって産生されたそのような改変されたトランスジェニック細胞、改変されたトランスジェニック植物、又は改変されたトランスジェニック子孫植物を提供する。
【0212】
ある特定の実施形態では、核酸修飾は、(改変)ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)システムによって影響を受ける。ZFNシステムは、所望のDNA配列を標的とするように操作され得る、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることによって生成された人工制限酵素を使用する。ZFNを使用する方法の非限定的な例は、例えば、米国特許第6,534,261号明細書;同第6,607,882号明細書;同第6,746,838号明細書;同第6,794,136号明細書;同第6,824,978号明細書;同第6,866,997号明細書;同第6,933,113号明細書;及び同第6,979,539号明細書で見出すことができる。
【0213】
ある特定の実施形態では、核酸修飾は、大きな認識部位(12~40塩基対の二本鎖DNA配列)によって特徴付けられるエンドデオキシリボヌクレアーゼであるメガヌクレアーゼによって影響を受ける。メガヌクレアーゼを使用する方法の非限定的な例は、米国特許第8,163,514号明細書;同第8,133,697号明細書;同第8,021,867号明細書;同第8,119,361号明細書;同第8,119,381号明細書;同第8,124,369号明細書;及び同第8,129,134号明細書で見出すことができる。
【0214】
ある特定の実施形態では、核酸修飾は、CRISPR/Cas複合体又はシステムによって影響を受ける。ある特定の実施形態では、CRISPR/Casシステム又は複合体は、クラス2CRISPR/Casシステムである。ある特定の実施形態では、CRISPR/Casシステム又は複合体は、II型、V型、又はVI型CRISPR/Casシステム又は複合体である。CRISPR/Casシステムは、特異的配列を標的化するためにカスタマイズされたタンパク質の生成を必要としないが、むしろCasヌクレアーゼは特異的核酸標的を認識するためにRNAガイド(gRNA)によってプログラムされることができ、言い換えれば、Casヌクレアーゼは、当該短いRNAガイドを使用して目的の特異的核酸標的遺伝子座に動員され得る。
【0215】
一般に、本明細書で使用されるCRISPR/Cas又はCRISPRシステムは、CRISPR関連(「Cas」)ヌクレアーゼの発現、又はその活性の誘導に関与する因子を総称して指し、これらにはCas遺伝子をコードする配列、並びにtracr(トランス活性化型CRISPR)配列(例えば、tracrRNA又は活性な部分的tracrRNA)、tracrメイト配列(「ダイレクトリピート」及び内在性CRISPRシステムに関してtracrRNAプロセシング済み部分的ダイレクトリピートを包含する)、ガイド配列(内在性CRISPRシステムに関しては、「スペーサー」とも称される)、又は本明細書で使用される用語のような「RNA」(例えば、Cas9などのCasをガイドするためのRNA、例えば、CRISPR RNA、及び該当する場合、トランス活性化型(tracr)RNA、又はシングルガイドRNA(sgRNA)(キメラRNA))若しくはCRISPR遺伝子座に由来する他の配列、及び転写物のうちの1つ以上が挙げられる。一般に、CRISPRシステムは、標的配列の部位でCRISPR複合体の形成を促進する因子によって特徴付けられる(内在性CRISPRシステムに関して、プロトスペーサーとも称される)。CRISPR複合体の形成に関して、「標的細胞」は、そのガイド配列が相補性を有するように設計されている配列を指し、ここでは標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションが、CRISPR複合体の形成を促進する。
【0216】
ある特定の実施形態では、gRNAは、キメラガイドRNA又はシングルガイドRNA(sgRNA)である。ある特定の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列(又はダイレクトリピート)とを含む。ある特定の実施形態では、gRNAは、ガイド配列と、tracrメイト配列(又はダイレクトリピート)と、tracr配列と、を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるようなCRISPR/Casシステム又は複合体はtracr配列を含まず、及び/又はtracr配列の存在に依存しない(例えば、CasヌクレアーゼがCas12aである場合)。
【0217】
CRISPR-Casヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a、Cas12b、Cas12i、Cas13a(以前は、C2c2とも称された)、C2c3、Cas13b、又は前述のいずれかの変更されたバージョンなどの当該技術分野において既知の任意のそのようなヌクレアーゼであり得る。CRISPR-Casヌクレアーゼは、当該技術分野において周知である(例えば、Dong et al.Efficient Targeted Mutagenesis Mediated by CRISPR-Cas12a Ribonucleoprotein Complexes in Maize.Front.Genome Ed.(2021),vol.3,article 670529;Wei et al.TALEN or Cas9-Rapid,Efficient and Specific Choices for Genome Modifications.J.of Genetics and Genomics(2013),vol.40,pp.281-289;Sedeek et al.Plant Genome Engineering for Targeted Improvement of Crop Traits.Frontiers in Plant Science(2019),vol.10,article 114;及びZhang et al.Applications and potential of genome editing in crop improvement.Genome Biology(2018),vol.19,article 210を参照されたい)。
【実施例】
【0218】
実施例1:合成された構築物
転写エンハンサー、プロモーター、トランジットペプチド、及びターミネーター、並びにeCry1Gb.1Igの変異体の発現を駆動するこれらの遺伝子エレメントの変異体の異なる組合せを含有するバイナリーベクター構築物を構築した。これらの遺伝子エレメントを合成し、制限酵素に基づくクローニング法を通してバイナリーベクターに連結した。使用された全てのプロモーターは、中程度の、若しくは強力の構成的プロモーター又はウイルスプロモーターであった。所望の発現レベル及び有効性を試験するために、異なるコドン選択を有するeCry1Gb.1Ig遺伝子のバージョンを作製した。表1は、作製された構築物を示し、各コード配列(CDS)とともに遺伝子エレメント列挙する。表2は、表1で命名された遺伝子エレメントの各々を説明する。
【0219】
【0220】
【0221】
実施例2:ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)選択を用いたアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換
バイナリーベクター構築物の各々を用いて、トウモロコシトランスジェニック事象を作り出した。遺伝子改変されたトウモロコシを産生するためのトウモロコシ(Zea mays)の形質転換を、Zhongら(2018)(Advances in Agrobacterium-mediated Maize Transformation.In:Lagrimini L.(eds)Maize.Methods in Molecular Biology,vol 1676.Humana Press,New York,NY)に記載されるように、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)媒介性形質転換を介して、未成熟胚を使用して達成した。無害化(disarmed)pTiプラスミドpAL4404及びヘルパープラスミドpVGW7を含有するA.ツメファシエンス(A.tumefaciens)株LBA4404(recA-)を、トウモロコシの形質転換に使用した。pAL4404及びpVGW7プラスミドについての詳細な情報は、Hoekemaら(Nature.(1983)303:179-189)、Ishidaら(Nat Biotechnol(1996)14:745-750)、及びImayamaら(米国特許第10266835号明細書)によって記載されている。個々のバイナリーベクターを含有するA.ツメファシエンス(A.tumefaciens)株LBA4404(recA-)は、Liら(Plant Physiol(2003)133:736-47)によって記載されたように調製した。トウモロコシ形質転換については、温室で成長させたトウモロコシ近交系NP2222から未成熟胚を受粉後およそ9日で採取し、外植片として使用した(Zhong et al.,2018)。未成熟胚の単離、アグロバクテリウム(Agrobacterium)接種、及びアグロバクテリウム(Agrobacterium)と未成熟胚との共培養を、Zhongら(2018)に記載されるようにその中に記載されたバルク抽出法を使用して実施した。この方法を使用することによって、形質転換プラスミドの左及び右境界配列領域内の遺伝子エレメントが、植物細胞のゲノム中に効率的に導入及び組み込まれたが、一方、これらの境界配列領域の外側の遺伝子エレメントは導入されなかった。
【0222】
形質転換された組織及び推定上のトランスジェニック事象を、ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)選択可能なマーカーを含有する事象については、マンノース選択を備えた培地を使用して(Negrotto et al.,(2000)Plant Cell Rep.19:789-803.)、又は5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)酵素の改変されたバージョンを含有する事象については、2mMのN-(ホスホノメチル)-グリシン(TouchDown(登録商標))除草剤を選択剤として使用して、以前に記載されたように(Zhong et al.,2018)再生し、根付かせた。
【0223】
再生された苗木を、Inghamら(Biotechniques 31(1):132-4,136-40,2001)によって開発されたリアルタイムTAQMAN(登録商標)PCR分析によって、標的遺伝子及び植物選択可能なマーカー遺伝子(PMI又はEPSPS)の存在について試験した。標的遺伝子及び選択可能なマーカー(事象とも呼ばれる)について陽性の植物を、更に繁殖させるために温室に移した。バイナリーベクター24795(配列番号2)で形質転換された1つの植物において、発現カセット(配列番号1)は、cPMI-15のコード配列(配列番号7)中にサイレント突然変異を含有することが見出され、植物におけるわずかに改変された発現カセット配列(配列番号8)を作り出した。更なる配列決定の際に、追加の突然変異が表3に示されるように見出された(配列番号9~31も参照されたい)。配列決定の結果が得られた植物は、配列番号1を含有する他の植物のプールと比べて、有効性にいかなる重大な悪影響を及ぼしているようには見えなかった。
【0224】
【0225】
実施例3:形質タンパク質の検出のための定量的ELISA
異なる形質タンパク質の検出は、各タンパク質に対して産生された2つのモノクローナル抗体を使用した。トランスジェニック事象の葉から試料を採取し、0.05%のTween-20を含有するリン酸緩衝生理食塩水pH7.3(PBS)(PBST)中で抽出した。抽出物の総可溶性タンパク質(TSP)を、Pierce BCA Protein Assay(Thermo Scientific,Rockford,IL)を使用して測定した。高結合性ポリスチレンプレート(Nunc Maxisorp #430341)を、25mMのホウ酸塩、75mMのNaCl、pH8.5中の1μg/mlの特異的モノクローナル抗体(MAb)で、4℃にて一晩コーティングした。プレートをPBSTで5回洗浄した。ELISA希釈剤(1%のウシ血清アルブミンを含有するPBST)中の試料又は標準物をプレートに添加し(100μl/ウェル)、振盪しながら室温(RT)で1時間インキュベートし、5回洗浄した。ELISA希釈剤中で1/10,000に希釈したHRP標識二次MAbをプレートに添加し(100μl/ウェル)、振盪しながら周囲温度で1時間インキュベートし、前述のように洗浄した。基質テトラメチルベンジジン(SurModics,Eden Prairie,MN)を添加し(100μl/ウェル)、振盪しながら室温で15~30分間発色させた。1NのHCl(100μl/ウェル)を使用して、反応を停止させた。450nmでの吸光度を、マイクロプレートリーダー(BioTek Powerwave XS2,Winooski,VT)を使用して測定した。標準曲線を、4パラメータ曲線フィットを使用して、濃度対吸光度をプロットした。抽出効率を正規化するために、各分析物の濃度を総可溶性タンパク質(TSP)の濃度で割った。
【0226】
【0227】
構築物24530、24534、及び25628は、中程度若しくは強力なプロモーターであると予想されるプロモーターと形質タンパク質配列が対合していたとしても、驚くほど、形質タンパク質の発現が非常に低いか、全くない事象のみを産生した。
【0228】
実施例4:温室有効性の試験
構築物24795からの279のトランスジェニックトウモロコシ事象を、実施例3に記載されるようにELISA分析を介して、単一コピーtDNA挿入及び形質タンパク質の発現を有することを確認した。この集団から構築物24795からの45のトランスジェニックコーン事象同様に、表4に述べた他の構築物からのトランスジェニックトウモロコシ事象を、バイオアッセイ試験用に選択した。選択された事象は、低い、中程度の、及び高い発現力の混合物を含む広範囲のeCry1Gb.1Ig発現に相当した。葉の一部が植物から切り取られた切断葉バイオアッセイからなるバイオアッセイサンプリングを、滅菌水で湿らせたフィルターパッドを備えたペトリ皿に置き、およそ10匹のツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))の新生幼虫に寄生させた。アッセイを周囲の実験室温度でインキュベートし、寄生から5日後に採点した。各試料を、葉の防御の割合(スケール1~5)及び昆虫死亡率(スケール1~3)について採点した。1又は2の葉防御の割合(すなわち、切り取られた葉ディスクに対する5%未満の損傷)を受け、新生幼虫の100%の死亡率を達成した事象を有効であると見なし、構築物の性能のためのベンチマークとして使用した。試験した45の事象についてのバイオアッセイデータを、その形質遺伝子発現が類似した事象に外挿され、有効性及び発現規準を満たす合計で65の24795事象をもたらし、更なる特徴付けに進んだ。構築物23698、24530、24534、及び25628からの事象は有効性及び発現規準を満たさず、これらの構築物は、更に進めることはしなかった。
【0229】
実施例5:野外有効性試験
構築物24795からの24のトランスジェニックトウモロコシ事象を、アルゼンチンの野外サイクルで試験した。事象を、1つの列条試験区にそれぞれ3つの反復で植え付けた。葉面のツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))についての評点を、各列について8つの植物から評価した。葉面損傷を、0~9のDavisスケールを使用して評価した(Davis,F.M.& Williams,W.P.1992.Visual rating scales for screening whorl-stage corn for resistance to fall armyworm.Mississippi Agricultural & Forestry Experiment Station,Technical Bulletin 186,Mississippi State University,MS39762,USA)。上記構築物からの24の事象のうち14が、ツマジロクサヨトウに対して許容可能な有効性を有していた。
【配列表】
【国際調査報告】