(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】パーキンソン病をスクリーニングアウトするための血液検査
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G01N33/68
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568347
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022028092
(87)【国際公開番号】W WO2022236069
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509278081
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ノース テキサス ヘルス サイエンス センター アット フォートワース
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF NORTH TEXAS HEALTH SCIENCE CENTER AT FORT WORTH
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】オブライアント シド イー.
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA36
2G045DA37
2G045FA32
2G045FA36
2G045FA40
2G045FB05
2G045FB13
(57)【要約】
一態様において、本開示は、パーキンソン病(PD,Parkinson’s disease)のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法に関する。別の態様において、本開示は、治験用のPDの薬剤についての臨床研究へのリクルートメントから対象を排除するための方法に関する。さらに別の態様において、本開示は、対象がPDを有することから除外されるかどうかを決定するために対象をスクリーニングするための方法であって、除外され得ない対象が、PDのための診断検査、PDのための治療、又はそれらの組合せを実施される、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法であって、
(a)前記対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;
(b)前記血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL,interleukin)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα,tumor necrosis factor alpha)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP,C-reactive protein)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1,soluble intracellular adhesion molecule)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M,alpha-2-microglobulin)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC,Chemokine (C-C Motif) Ligand 17)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1,soluble vascular cell adhesion molecule 1)、トロンボポエチン(TPO,thrombopoietin)、脂肪酸結合タンパク質(FABP,fatty acid binding protein)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M,beta-2-microglobulin)、血清アミロイドA1クラスター(SAA,serum amyloid A1 cluster)、テネイシンC、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1,tumor necrosis factor receptor 1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY,pancreatic polypeptide)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;
(c)(b)における前記1又は2以上のバイオマーカーの前記発現レベルを、前記対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより前記対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するステップ;並びに
(d)前記対象が、前記比較するステップに基づいてパーキンソン病についての診断検査から排除すべきであることを決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、前記診断検査が、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT,dopamine transporter)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、前記治療が、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT,catechol-o-methyl transferase)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B,monoamine oxidase type B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA,N-methyl-D-aspartate)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1又は2以上のバイオマーカーが、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが、電気化学発光を使用して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似する場合、対象が、パーキンソン病のための診断検査から排除され;又は
(ii)(b)における前記1若しくは2以上のバイオマーカーの前記発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しない場合、前記対象が、パーキンソン病のための診断検査から排除される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
治験用のパーキンソン病の薬剤についての臨床試験へのリクルートメントから対象を排除するための方法であって、
(a)前記対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;
(b)前記血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1)、トロンボポエチン(TPO)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、血清アミロイドA1クラスター(SAA)、テネイシンC、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;
(c)(b)における前記1又は2以上のバイオマーカーの前記発現レベルを、前記対象の代表的な統計サンプルと比較するステップ;並びに
(d)前記対象が、前記統計サンプルとの比較からパーキンソン病を有することが除外される場合、前記臨床試験へのリクルートメントから前記対象を排除するステップ
を含む、前記方法。
【請求項9】
(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップ
をさらに含み、前記診断検査が、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、及び詳細な神経心理学的検査から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップ
をさらに含み、前記治療が、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
1又は2以上のバイオマーカーが、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが、電気化学発光を使用して測定される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似する場合、対象が、臨床研究へのリクルートメントから排除され;又は
(ii)(b)における前記1若しくは2以上のバイオマーカーの前記発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しない場合、前記対象が、臨床研究へのリクルートメントから排除される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
対象がパーキンソン病を有することから除外されるかどうかを決定するために前記対象をスクリーニングするための方法であって、
(a)前記対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;
(b)前記血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1)、トロンボポエチン(TPO)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、血清アミロイドA1クラスター(SAA)、テネイシンC、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;
(c)(b)における前記1又は2以上のバイオマーカーの前記発現レベルを、前記対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより前記対象がパーキンソン病を有することから除外されるかどうかを決定するステップ;並びに
(d)パーキンソン病を有することから除外される対象を、パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病の治療、若しくはそれらの組合せから排除するステップ;又は
(e)パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病のための治療、若しくはそれらの組合せを、パーキンソン病を有することから除外されない対象に実施するステップ
を含む、前記方法。
【請求項16】
診断検査が、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
治療が、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
1又は2以上のバイオマーカーが、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが、電気化学発光を使用して測定される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しない場合、対象が、パーキンソン病を有することから除外されず;又は
(ii)(b)における前記1若しくは2以上のバイオマーカーの前記発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似する場合、前記対象が、パーキンソン病を有することから除外されない、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
(f)パーキンソン病を有することから除外されない対象を、パーキンソン病における専門家に差し向けるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法であって、
(a)前記対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;
(b)前記血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1)、トロンボポエチン(TPO)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、血清アミロイドA1クラスター(SAA)、テネイシンC、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;
(c)コンピューターを使用して、(b)における前記1又は2以上のバイオマーカーの前記発現レベルを、前記対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより前記対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するステップ;並びに
(d)コンピューターを使用して、前記対象が、前記比較するステップに基づいてパーキンソン病についての診断検査から排除すべきであることを決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項24】
(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、前記診断検査が、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、前記治療が、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、ステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
1又は2以上のバイオマーカーが、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが、電気化学発光を使用して測定される、請求項23に記載の方法。
【請求項19】
(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似するとコンピューターによって決定される場合、対象が、パーキンソン病のための診断検査から排除され;又は
(ii)(b)における前記1若しくは2以上のバイオマーカーの前記発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しないとコンピューターによって決定される場合、前記対象が、パーキンソン病のための診断検査から排除される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/185,563号に対する米国特許法第119(e)条の優先権を主張し、その開示は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援研究の陳述
本発明は、国立衛生研究所によって付与されたAG054073及びAG058537の政府支援により行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
パーキンソン病(PD,Parkinson’s disease)は、米国(U.S,United States)における65歳以上の個人の1%超に影響を及ぼす2番目に一般的な神経変性疾患である。社会に対するPDのコストは、2005年に、U.S.において、年間230億ドルであると報告された。急速な老年人口の増加を考えると、これらのコストは、これからの数十年にわたって増加し続けるであろう。PDの最も正確な診断は、専門クリニックによってもたらされ、ここで、臨床評価及び高度な神経診断手順は、コストがかかり、多大な時間を必要とし、侵襲的である。U.S.において、プライマリーケアクリニックは、専門クリニックへの「ゲートキーパー」としての役割を果たし、これらの最前線のプライマリーケア開業医は、高度な診断手順のための紹介を提供する。しかしながら、プライマリーケアの平均診察時間は、おおよそ18分であり、詳細な神経学的検査を困難にする。
【0004】
2017年に、地域社会に暮らすPD患者及び一般開業医(GP,general practitioner)は、PDの管理におけるプライマリーケアの役割に対するその考えを理解するためにインタビューを受けた。GPが、熟練した知識又は技能を欠いており、進行性PD段階の患者におけるGPの役割を損なったと患者は感じたとして、患者とGPとの間の意見の不一致が見出された。他方で、GPは、初期段階の決定を行う際に、患者の自主性を尊重したが、より進行したPD段階において、GPのより積極的な役割が正当化されると感じた。研究の一結論は、専門ケアと併せて行われる場合に、GPによってもたらされるより全体的なアプローチから、患者は利益を受ける可能性が高いであろうというものであった。しかしながら、現在、日常的な活動において、患者のうちPDを除外し、したがってPDのためのさらなる診断検査を防止するために使用するための、プライマリーケア提供者のための迅速でコスト効率が良いスクリーニングツールは存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、PDを除外するため、並びに対象がパーキンソン病のためのより侵襲的及び/又は高価な検査を経験するのを防止するために対象をスクリーニングするためのより迅速でコスト効率が良い方法についての必要性が当技術分野において存在する。本開示は、この満たされていない必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本開示は、パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法であって、(a)対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;(b)血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL,interleukin)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα,tumor necrosis factor alpha)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP,C-reactive protein)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1,soluble intracellular adhesion molecule)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M,alpha-2-microglobulin)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC,Chemokine (C-C Motif) Ligand)、エオタキシン(eotaxin)3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1,soluble vascular cell adhesion molecule)、トロンボポエチン(TPO,thrombopoietin)、脂肪酸結合タンパク質(FABP,fatty acid binding protein)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M,beta-2-microglobulin)、血清アミロイドA1クラスター(SAA,serum amyloid A1 cluster)、テネイシン(tenacin)C、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1,tumor necrosis factor receptor 1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY,pancreatic polypeptide)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;(c)(b)における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを、対象の代表的な統計サンプル(statistical sample)と比較し、それにより対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するステップ;並びに(d)対象が、比較するステップに基づいてパーキンソン病についての診断検査から排除すべきであることを決定するステップを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態において、本方法は、(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、診断検査は、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT,dopamine transporter)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、本方法は、(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、治療は、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT,catechol-o-methyl transferase)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B,monoamine oxidase type B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA,N-methyl-D-aspartate)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、電気化学発光を使用して測定される。ある特定の実施形態において、(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似する場合、対象は、パーキンソン病のための診断検査から排除され;又は(ii)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しない場合、対象は、パーキンソン病のための診断検査から排除される。
【0007】
別の態様において、本開示は、治験用のパーキンソン病の薬剤についての臨床試験へのリクルートメントから対象を排除するための方法であって、(a)対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;(b)血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1)、トロンボポエチン(TPO)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、血清アミロイドA1クラスター(SAA)、テネイシンC、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;(c)(b)における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを、対象の代表的な統計サンプルと比較するステップ;並びに(d)対象が、統計サンプルとの比較からパーキンソン病を有することが除外される場合、臨床試験へのリクルートメントから対象を排除するステップを含む、方法に関する。ある特定の実施形態において、本方法は、(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、診断検査は、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、及び詳細な神経心理学的検査から選択される。ある特定の実施形態において、本方法は、(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、治療は、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せから選択される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、電気化学発光を使用して測定される。ある特定の実施形態において、(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似する場合、対象は、臨床研究へのリクルートメントから排除され;又は(ii)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しない場合、対象は、臨床研究へのリクルートメントから排除される。
【0008】
別の態様において、本開示は、対象がパーキンソン病を有することから除外されるかどうかを決定するために対象をスクリーニングするための方法であって、(a)対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;(b)血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1)、トロンボポエチン(TPO)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、血清アミロイドA1クラスター(SAA)、テネイシンC、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;(c)(b)における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを、対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより対象がパーキンソン病を有することから除外されるかどうかを決定するステップ;並びに(d)パーキンソン病を有することから除外される対象を、パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病の治療、若しくはそれらの組合せから排除するステップ;又は(e)パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病のための治療、若しくはそれらの組合せを、パーキンソン病を有することから除外されない対象に実施するステップを含む、方法に関する。ある特定の実施形態において、診断検査は、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、治療は、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、電気化学発光を使用して測定される。ある特定の実施形態において、(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しない場合、対象は、パーキンソン病を有することから除外されず;又は(ii)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似する場合、対象は、パーキンソン病を有することから除外されない。ある特定の実施形態において、本方法は、(f)パーキンソン病を有することから除外されない対象を、パーキンソン病における専門家に差し向けるステップをさらに含む。
【0009】
別の態様において、本開示は、パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法であって、(a)対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;(b)血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1)、トロンボポエチン(TPO)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、血清アミロイドA1クラスター(SAA)、テネイシンC、TNRF1、及び任意の膵ポリペプチド(PPY)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;(c)コンピューターを使用して、(b)における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを、対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するステップ;並びに(d)コンピューターを使用して、対象が、比較するステップに基づいてパーキンソン病についての診断検査から排除すべきであることを決定するステップを含む、方法に関する。ある特定の実施形態において、本方法は、(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、診断検査は、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、本方法は、(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、治療は、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される。ある特定の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、電気化学発光を使用して測定される。ある特定の実施形態において、(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似するとコンピューターによって決定される場合、対象は、パーキンソン病のための診断検査から排除され;又は(ii)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しないとコンピューターによって決定される場合、対象は、パーキンソン病のための診断検査から排除される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の選択された実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読む場合に、より良好に理解されるであろう。本発明を説明する目的で、図面において、実例となる実施形態を示す。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の正確な配置及び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【
図1】訓練セットのサポートベクターマシン(SVM,support vector machine)に基づくパーキンソン病血液検査(PDBT,Parkinson’s disease blood test)の精度及び変数重要度プロットを示す図である。
【
図2】検査セットのSVMに基づくPDBTの精度及びROC曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のさまざまな実施形態の作製及び使用を下記で詳細に議論するが、本発明が、多種多様な特定の文脈において具体化することができる多くの適用可能な発明概念を提供することが認識されるべきである。本明細書において議論される特定の実施形態は、本発明を作製及び使用する特定の方法を単に説明するものであって、本発明の範囲を定めるものではない。
【0012】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を下記に定義する。本明細書において定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。「a」、「an」及び「the」等の用語は、単数形の実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例が説明のために使用され得るその一般的なクラスを含む。本明細書における専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載するために使用されるが、それらの使用法は、請求項において概要を述べるものを除いて、本発明の範囲を定めるものではない。
【0013】
神経変性疾患の鑑別診断は困難であるが、臨床治療及び管理のため、並びに治療的及び予防的試験を設計するために非常に重要である。診断検査及び治療の実施のために患者を専門クリニックに差し向けるために、適切な紹介が、プライマリーケア提供者から、通常必要である。しかしながら、以前の検討は、不適切な薬物療法が頻繁に実施されるのを伴って、プライマリーケア環境では、神経変性疾患の評価及び管理が、不十分であることを実証している。65歳超の者についての外来環境における平均の医師診察時間がおよそ18分であることを考えると、プライマリーケア提供者は、その患者内の神経の病気を除外するための迅速でコスト効率が良いスクリーニングを心底必要としており、その当然の結果として、専門家への適切な紹介を行うことができる。
【0014】
プライマリーケアクリニック環境内で実施することができる血液に基づくスクリーニングツールの利用可能性は、重大な影響を有する。臨床的な見地から、調査された医師の半分未満が、神経変性疾患のためのスクリーニングを重要であったと考えていたが、一般人及び介護人の大多数は、そのようなスクリーニングが非常に重要であったと考えていた。加えて、平均的な医師の診察は、外来環境において、老年患者について20分未満であり、手短な神経学的及び認知的評価であっても、そのために利用可能な時間は大幅に制限されている。したがって、プライマリーケア提供者は、可能性がある神経変性疾患の診断検査のための専門家への紹介から患者を除外するためのスクリーニングツールを心底必要としている。おびただしい量の検討が遂行され、神経変性疾患のための診断検査(MRI、fMRI、DTI、PET)の有用性を実証しているが、それらは、プライマリーケア環境において疾患を除外するためには法外なコスト及び時間がかかる。
【0015】
プライマリーケア環境内では、スクリーニング検査の役割は、追加の医療手順又は診断の追跡を必要としない患者を除外し、それによってストレス低減及びコスト抑制をもたらすことである。プライマリーケア環境において疾患を除外するためのスクリーニングとしての専門クリニックに基づく診断検査の適用は、容易に見えるが、そうではなく、下記に実証されるように、以前の手順は、プライマリーケア環境内で機能しないであろう。プライマリーケア環境において疾患を除外するための血液に基づくスクリーニングを実施する能力は重要であるが、専門クリニックと比較して疾患の存在の基準率の実質的な低さに起因して、非常に複雑であり、この低い基準率が検査結果の予測精度におびただしい影響を及ぼす。
【0016】
いくつかの最近の進展は、神経変性疾患を有する個体を検出するためのバイオマーカーに基づく検査の開発において行われており、アルツハイマー病(AD,Alzheimer’s disease)、PD、レビー小体型認知症(DLB,Dementia with Lewy Bodies)、及びダウン症のある成人のAD(DS-AD,AD among adults with Down Syndrome)を含む他の神経変性疾患から単一の疾患を識別する。過去数十年にわたって、神経変性疾患における診断的及び予測的有用性を有するバイオマーカーについての探索は、指数関数的に増加しており、検討の大部分は、神経画像処理及び脳脊髄(CSF,cerebrospinal)方法論に焦点を当てている。実際に、ドーパミントランスポーター単一光子放射CT[DaT-SPECT,dopamine transporter single photon emission CT]は、PDを診断するための検査として承認されている。血液に基づくバイオマーカーに加えて、研究は、CSFマーカーも神経変性疾患の鑑別診断における有用性を保持し得ることを示唆している。高度な神経画像処理、血液に基づくマーカー、及びCSF法は、PDのための診断検査として驚異的な可能性を有するが、侵襲性、アクセス性、コスト障壁、及び技術的妥当性により、今までのところ、そのような方法の有用性は診断検査適用に限定されている。これまでに、これらの方法は、プライマリーケア環境において疾患を除外するためのスクリーニングとして好適であると見出されていない。
【0017】
本開示は、一部分において、パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を除外するための方法に関する。一部の実施形態において、本開示は、対象のうちPDを除外するための方法を提供する。一部の実施形態において、開示される方法は、プライマリーケア環境において、対象のうちPDを除外するために使用することができる。一部の実施形態において、本方法は、IL-7、TNFα、IL-5、IL-6、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、FABP3、IL18、B2M、SAA、テネイシンC、TNFR1、及び任意にPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップを含む。
【0018】
一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-7を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TNFαを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-5を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-6を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、CRPを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-10を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、sICAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、第VII因子を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、I309を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、A2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TARCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、エオタキシン3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、sVCAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TPOを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、FABP3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL18を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、B2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、SAAを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TNFR1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、PPYを含む。
【0019】
一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC及びIL-6を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、及びI309を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABP3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、及びTARCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、及びTNFαを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、及びTPOを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、及びIL5を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、及び第VII因子を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、及びIL10を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、及びエオタキシン3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、及びSAAを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、及びIL18を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL18、及びsICAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL18、sICAM-1、及びCRPを含む。
【0020】
ある特定の実施形態において、選択されたバイオマーカーの発現レベルは、対象から得られた血液、血漿、又は血清試料において測定される。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、対象の代表的な統計サンプルにおける対応する1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルと比較され、ここで、比較を使用して、対象がパーキンソン病のための診断スクリーニングが是認されるか、又は対象がパーキンソン病のための診断検査から排除され得るかが決定される。一部の実施形態において、パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法は、プライマリーケア環境において行うことができる。
【0021】
別の態様において、本開示は、治験用のパーキンソン病の薬剤についての臨床試験へのリクルートメントから対象を排除するための方法に関する。一部の実施形態において、本方法は、IL-7、TNFα、IL-5、IL-6、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、FABP3、IL18、B2M、SAA、テネイシンC、TNRF1、及び任意にPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップを含む。
【0022】
一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-7を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TNFαを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-5を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-6を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、CRPを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL-10を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、sICAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、第VII因子を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、I309を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、A2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TARCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、エオタキシン3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、sVCAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TPOを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、FABP3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、IL18を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、B2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、SAAを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、TNFR1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、PPYを含む。
【0023】
一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC及びIL-6を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、及びI309を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABP3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、及びTARCを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、及びTNFαを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、及びTPOを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、及びIL5を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、及び第VII因子を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、及びIL10を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、及びエオタキシン3を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、及びSAAを含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、及びIL18を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL18、及びsICAM-1を含む。一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーは、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL5、第VII因子、IL10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL18、sICAM-1、及びCRPを含む。
【0024】
一部の実施形態において、1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、対象の代表的な統計サンプルにおける対応する1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルと比較され、ここで、比較を使用して、対象がパーキンソン病を有することから除外され得、したがって臨床試験から排除されるべきであるかが決定される。
【0025】
定義
他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の実行又は検査において使用することができるが、好ましい方法及び材料を記載する。
【0026】
本明細書において使用される場合、以下の用語のそれぞれは、本セクションにおけるそれに関連する意味を有する。
【0027】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書において、冠詞の目的語の1又は1超(すなわち、少なくとも1)を指すために使用される。例として、「元素(an element)」は、1元素又は1超の元素を意味する。本明細書において使用される「約」は、測定可能な値、例えば、量、時間等に言及する場合、そのような変動が開示される方法を行うのが適切である場合、特定された値からの±20%又は±10%、より好ましくは、±5%、さらにより好ましくは、±1%、またより好ましくは、±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0028】
本明細書において使用される場合、「プライマリーケアクリニック」、「プライマリーケア環境」、「プライマリーケア提供者」という語句は、ヘルスケアシステム内において、患者が接触する/診察を受ける主なポイントを指すために、互換的に使用され、患者が必要とし得る専門家と連係する。
【0029】
本明細書において使用される場合、「専門家」という語句は、特定の疾患、例えば、神経学的障害、精神障害、又はさらにより具体的には、運動障害若しくは記憶障害を専門とする、医療行為又は医師を指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、「スクリーニングアウトする」又は「除外する」という語句は、パーキンソン病(PD)を除外する、血液、血清、又は血漿検査を指す。逆に、PDを有することからスクリーニングアウトされない又は除外されない対象は、PDについての正確な診断検査について推奨されるであろう。そのため、本開示は、スクリーニング検査であり、診断検査ではない。本開示は、PDをスクリーニングアウトするためにプライマリーケア環境において使用することができる最初のスクリーニング血液検査をさらに提供する。
【0031】
本明細書において使用される場合、以下の略語を使用し、これらの遺伝子又は遺伝子産物の哺乳動物バージョンを含むことができるが、ある特定の実施形態において、遺伝子又は遺伝子産物は、ヒト遺伝子又は遺伝子産物である:IL7 - インターロイキン-7、TNFα - 腫瘍壊死因子アルファ、IL5 - インターロイキン-5、IL6 - インターロイキン-6、CRP- C反応性タンパク質、IL10 - インターロイキン-10、TNC - テネイシン(Tenascin)C、ICAM1 - 細胞内接着分子1、FVII - 第VII因子、I309 - ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド1、TNFR1 - 腫瘍壊死因子受容体1、A2M - アルファ-2-ミクログロブリン、TARC - ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17、エオタキシン3、VCAM1 - 血管細胞接着分子1、TPO - トロンボポエチン、FABP3 - 脂肪酸結合タンパク質3、IL18 - インターロイキン-18、B2M - ベータ-2-ミクログロブリン、SAA - 血清アミロイドA1クラスター、PPY - 膵ポリペプチド、DJ1 - パーキンソンタンパク質7、α-syn - α-シヌクレイン。
【0032】
本明細書において使用される場合、FABP及びFABP3は、互換可能である。
【0033】
本明細書において使用される場合、細胞内接着分子1(ICAM1、ICAM-1)は、可溶性細胞内接着分子1(sICAM1、sICAM-1)と互換可能である。
【0034】
本明細書において使用される場合、血管細胞接着分子1(VCAM1、VCAM-1)は、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM1、sVCAM-1)と互換可能である。
【0035】
本明細書において使用される場合、「神経疾患」という語句は、中枢神経系の疾患又は障害を指し、多くは、例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、軽度認知機能障害(MCI,mild cognitive impairment)、前頭側頭型認知症(FTD,Frontotemporal dementia)、レビー小体型認知症(DLB)、ダウン症(DS,Down’s syndrome)、並びに多発性硬化症及びニューロパチーを含む認知症及び神経疾患等の神経変性障害を含み得る。
【0036】
本明細書において使用される場合、「パーキンソン病患者」、及び「パーキンソン病と診断された個体」という用語はすべて、PDと診断されているか、又はパーキンソン病の診断を受けている個体を指す。
【0037】
本明細書において使用される場合、「パーキンソン病バイオマーカー」という語句は、パーキンソン病(PD)をスクリーニングアウトする/除外するために使用されるバイオマーカーを指す。
【0038】
本明細書において使用される場合、「パーキンソン病バイオマーカータンパク質」という用語は、パーキンソン病(PD)をスクリーニングアウトする/除外するために測定されるタンパク質バイオマーカーのレベルで機能的である任意のタンパク質バイオマーカー又は物質を指す。
【0039】
本明細書において使用される場合、「血液試料」は、血液、好ましくは、末梢血(又は循環血)に由来する、生体試料を指す。血液試料は、例えば、全血、血清、又は血漿であってもよい。ある特定の実施形態においては、試料が、容易に利用可能であり、多くの場合に、他の試料採取のために得られ、安定であり、あまり処理を必要とせず、そのため、冷却装置又は電力がほとんどない場所に理想的になり、容易に輸送可能であり、医療支援スタッフによって一般的に取り扱われているので、血清が、バイオマーカーのための供給源として好ましい。
【0040】
本明細書において使用される場合、「正常」な個体又は「正常」な個体由来の試料は、疾患、例えば、神経疾患を有していないことが医師によって評価されているか、又は評価されるであろう個体由来の、定量的データ、定性的データ、又はその両方を指す。多くの場合に、「正常」な個体はまた、評価される個体の試料と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年の範囲内で、年齢がマッチされる。
【0041】
本明細書において使用される場合、「治療」という用語は、特定の障害の症状の軽減、回復、及び/又は安定化、並びにその症状の進行の遅延を指す。例えば、PDの「治療」は、以下のいずれか1又は2以上を含む:(1)PDの1又は2以上の症状の消失、(2)PDの1又は2以上の症状の低減、(3)PDの症状の安定化(例えば、PDのより進行したステージに進行しない)、及び(4)PDの1又は2以上の症状の発生の遅延;並びに(5)PDの1又は2以上の症状の進行(すなわち、悪化)の遅延。
【0042】
本明細書において使用される場合、「神経認知評価」という語句は、認知状態又は認知機能障害を測定するために当業者に公知の1又は2以上の検査を記載するために使用され、限定されるものではないが、4点時計描画検査、言語流暢性検査、トレイルメイキング検査、リスト学習検査等を含み得る。当業者は、これらの検査を改変し得る方法、類似の認知機能を測定する新たな検査を本発明による使用のために開発及び実施し得る方法を認識し、知るであろう。
【0043】
説明
方法
一態様において、本開示は、パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法を提供する。ある特定の実施形態において、本方法は、(a)対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;(b)血液、血漿、又は血清試料において、IL-7、TNFα、IL-5、IL-6、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、FABP3、IL18、B2M、SAA、テネイシンC、TNFR1、及び任意にPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;(c)(b)における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを、対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するステップ;並びに(d)比較するステップが、対象がパーキンソン病のための診断検査から排除されることを示すことを決定するステップを含む。
【0044】
一部の実施形態において、本方法は、パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、診断検査は、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、及び詳細な神経心理学的検査から選択される。一部の実施形態において、本方法は、パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、治療は、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せから選択される。
【0045】
ある特定の実施形態において、対象は、老年対象である。他の実施形態において、対象は、中年対象である。一部の実施形態において、対象は、運動の変化の懸念(自己、医師、又はその他によって報告される)又はPDの家族歴を有する。ある特定の実施形態において、中年対象は、30歳以上である。ある特定の実施形態において、対象は、ヒト対象である。
【0046】
ある特定の実施形態において、試料は、血液試料である。一部の実施形態において、血液、血漿、又は血清試料は、プライマリーケア環境において、対象から得られる。
【0047】
一部の実施形態において、統計サンプルは、神経疾患又は障害を有さない30歳以上の個体の群を含む。他の実施形態において、統計サンプルは、神経疾患又は障害と診断されている30歳以上の個体の群を含む。一部の実施形態において、統計サンプルは、PDと診断されている30歳以上の個体の群を含む。一部の実施形態において、統計サンプルは、統計サンプルにおけるそれぞれの個体由来のIL-7、TNFα、IL-5、IL-6、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、FABP3、IL18、B2M、SAA、テネイシンC、TNRF1、及び任意にPPYから選択される1又は2以上のバイオマーカーについての発現レベルの測定値を含む。
【0048】
ある特定の実施形態において、神経疾患又は障害を有さない統計サンプルにおける個体由来の対応するバイオマーカーと比較した場合に対象の試料における1又は2以上のバイオマーカーの統計学的に類似する発現レベルは、PDについての対象の診断検査が必要ではないことを示す。別の実施形態において、PDと診断された統計サンプルにおける個体の対応するバイオマーカーと比較した場合に対象の試料における1又は2以上のバイオマーカーの統計学的に類似する発現レベルは、PDについての対象の診断検査が必要であることを示す。一部の実施形態において、対象の試料において測定された1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、統計サンプルにおける個体のそれぞれの群についての統計サンプルにおける対応するバイオマーカーの平均発現レベルと比較される。
【0049】
1又は2以上の測定されたバイオマーカーの発現レベルが、PDについての対象の診断検査が必要であることを示すある特定の実施形態において、対象は、診断検査のためにPD専門家に差し向けられる。1又は2以上の測定されたバイオマーカーの発現レベルが、PDを有することから対象を除外することを示す他の実施形態において、対象は、診断検査のためにPD専門家に差し向けられない。したがって、一部の実施形態において、開示される方法は、対象がPDを有するかを決定するために専門家が指図し得る侵襲的及び高価な検査を対象が経験するのを防止する。
【0050】
一部の実施形態において、血液、血漿、又は血清試料における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップは、テネイシンC;テネイシンC及びIL-6;テネイシンC、IL-6、及びI309;テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABP;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、及びTARC;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、及びTNFα;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、及びTPO;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、及びIL-5;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、及び第VII因子;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、及びIL-10;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、及びsVCAM-1;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、及びSAA;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、及びIL-18;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL-18、及びsICAM-1;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL-18、sICAM-1、及びCRPのそれぞれの発現レベルを測定するステップを含む。一部の実施形態において、上記の測定されるバイオマーカーのそれぞれの発現レベルは、統計サンプルにおける対応するバイオマーカーのそれぞれの発現レベルと比較されて、対象がパーキンソン病のためのさらなる検査から排除されるかが決定される。
【0051】
ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mの1又は2以上の発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mのそれぞれの発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7、並びに任意にFABP3のそれぞれの発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。
【0052】
ある特定の実施形態において、バイオマーカー測定値は、イムノアッセイ、酵素活性アッセイ、蛍光検出、化学発光検出、電気化学発光検出及びパターン形成アレイ、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応、抗体結合、蛍光励起分取、検出可能ビーズ分取、抗体アレイ、マイクロアレイ、酵素アレイ、受容体結合アレイ、アレル特異的プライマー伸長、標的特異的プライマー伸長、固相結合アレイ、液相結合アレイ、蛍光共鳴移動、及び放射性標識化からなる群から選択される方法によって得られる。一部の実施形態において、バイオマーカー測定値は、電気化学発光検出によって得られる。
【0053】
別の態様において、本開示は、治験用のパーキンソン病の薬剤についての臨床試験へのリクルートメントから対象を排除するための方法であって、(a)対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;(b)血液、血漿、又は血清試料において、IL-7、TNFα、IL-5、IL-6、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、FABP3、IL18、B2M、SAA、テネイシンC、TNRF1、及び任意にPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;(c)(b)における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを、対象の代表的な統計サンプルと比較するステップ;並びに(d)対象が、統計サンプルとの比較からパーキンソン病を有することが除外される場合、臨床試験へのリクルートメントから対象を排除するステップを含む、方法に関する。
【0054】
一部の実施形態において、本方法は、(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、診断検査は、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、及び詳細な神経心理学的検査から選択される。
【0055】
一部の実施形態において、本方法は、(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、治療は、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せから選択される。
【0056】
一部の実施形態において、ステップ(d)は、対象が、統計サンプルとの比較からパーキンソン病を有することが除外される場合、臨床試験へのリクルートメントのための追加の検査から対象を排除するステップと置き換えられる。一部の実施形態において、対象が、統計サンプルとの比較からパーキンソン病を有することが除外される場合、臨床試験へのリクルートメントのための追加の検査から対象を排除するステップは、対象が、統計サンプルとの比較からパーキンソン病を有することが除外される場合、臨床試験へのリクルートメントから対象を排除するステップに続く。
【0057】
ある特定の実施形態において、対象は、老年対象である。他の実施形態において、対象は、中年対象である。一部の実施形態において、対象は、運動の変化の懸念(自己、医師、又はその他によって報告される)又はPDの家族歴を有する。ある特定の実施形態において、中年対象は、30歳以上である。ある特定の実施形態において、対象は、ヒト対象である。
【0058】
ある特定の実施形態において、試料は、血液試料である。一部の実施形態において、血液、血漿、又は血清試料は、プライマリーケア環境において、対象から得られる。
【0059】
一部の実施形態において、統計サンプルは、神経疾患又は障害を有さない30歳以上の個体の群を含む。他の実施形態において、統計サンプルは、神経疾患又は障害と診断されている30歳以上の個体の群を含む。一部の実施形態において、統計サンプルは、PDと診断されている30歳以上の個体の群を含む。一部の実施形態において、統計サンプルは、統計サンプルにおけるそれぞれの個体由来のIL-7、TNFα、IL-5、IL-6、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、FABP3、IL18、B2M、SAA、テネイシンC、TNRF1、及び任意にPPYから選択される1又は2以上のバイオマーカーについての発現レベルの測定値を含む。
【0060】
ある特定の実施形態において、神経疾患又は障害を有さない統計サンプルにおける個体由来の対応するバイオマーカーの発現レベルと比較した場合に対象の試料における1又は2以上のバイオマーカーの統計学的に類似する発現レベルは、対象がPDを有することから除外されること、及び対象が臨床試験から排除されるべきであることを示す。別の実施形態において、PDと診断された統計サンプルにおける個体の対応するバイオマーカーと比較した場合に対象の試料における1又は2以上のバイオマーカーの統計学的に類似する発現レベルは、対象がPDを有することから除外されなかったこと、及び対象が臨床試験から排除されるべきではないことを示す。一部の実施形態において、対象の試料において測定された1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、統計サンプルにおける個体のそれぞれの群についての統計サンプルにおける対応するバイオマーカーの平均発現レベルと比較される。
【0061】
一部の実施形態において、PDを有することから除外されなかった対象は、臨床試験にリクルートされる前に、PDのための診断検査のために、専門家に差し向けられる。PDのための例示的な診断検査は、本明細書の他の場所において記載される。一部の実施形態において、PDを有するとして専門家によって診断された対象は、臨床試験にリクルートされるが、専門家がPDを有さないと決定した対象は、臨床試験にリクルートされない。
【0062】
一部の実施形態において、血液、血漿、又は血清試料における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップは、テネイシンC;テネイシンC及びIL-6;テネイシンC、IL-6、及びI309;テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABP;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、及びTARC;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、及びTNFα;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、及びTPO;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、及びIL-5;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、及び第VII因子;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、及びIL-10;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、及びsVCAM-1;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、及びSAA;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、及びIL-18;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL-18、及びsICAM-1;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL-18、sICAM-1、及びCRPのそれぞれの発現レベルを測定するステップを含む。一部の実施形態において、上記の測定されるバイオマーカーのそれぞれの発現レベルは、統計サンプルにおける対応するバイオマーカーのそれぞれの発現レベルと比較されて、対象がPDを有することから除外され、臨床試験から排除されるべきかが決定される。
【0063】
ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mの1又は2以上の発現レベルは、血液又は血清試料において測定される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mのそれぞれの発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7、並びに任意にFABP3のそれぞれの発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。
【0064】
ある特定の実施形態において、バイオマーカー測定値は、イムノアッセイ、酵素活性アッセイ、蛍光検出、化学発光検出、電気化学発光検出及びパターン形成アレイ、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応、抗体結合、蛍光励起分取、検出可能ビーズ分取、抗体アレイ、マイクロアレイ、酵素アレイ、受容体結合アレイ、アレル特異的プライマー伸長、標的特異的プライマー伸長、固相結合アレイ、液相結合アレイ、蛍光共鳴移動、及び放射性標識化からなる群から選択される方法によって得られる。一部の実施形態において、バイオマーカー測定値は、電気化学発光検出によって得られる。
【0065】
さらに別の態様において、本開示は、対象がパーキンソン病を有することから除外されるかどうかを決定するために対象をスクリーニングする方法であって、(a)対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;(b)血液又は血清試料において、インターロイキン(IL)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1)、トロンボポエチン(TPO)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、血清アミロイドA1クラスター(SAA)、テネイシンC、TNRF1、及び任意の膵ポリペプチド(PPY)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;(c)(b)における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを、対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより対象がパーキンソン病を有することから除外されるか又は除外されないかどうかを決定するステップ;並びに(d)パーキンソン病を有することから除外される対象を、パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病の治療、若しくはそれらの組合せから除外するステップ;又は(e)パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病のための治療、若しくはそれらの組合せを、パーキンソン病を有することから除外されない対象に実施するステップを含む、方法に関する。
【0066】
ある特定の実施形態において、対象は、老年対象である。他の実施形態において、対象は、中年対象である。一部の実施形態において、対象は、運動の変化の懸念(自己、医師、又はその他によって報告される)又はPDの家族歴を有する。ある特定の実施形態において、中年対象は、30歳以上である。ある特定の実施形態において、対象は、ヒト対象である。
【0067】
ある特定の実施形態において、試料は、血液試料である。一部の実施形態において、血液、血漿、又は血清試料は、プライマリーケア環境において、対象から得られる。
【0068】
一部の実施形態において、統計サンプルは、神経疾患又は障害を有さない30歳以上の個体の群を含む。他の実施形態において、統計サンプルは、神経疾患又は障害と診断されている30歳以上の個体の群を含む。一部の実施形態において、統計サンプルは、PDfと診断されている30歳以上の個体の群を含む。一部の実施形態において、統計サンプルは、統計サンプルにおけるそれぞれの個体由来のIL-7、TNFα、IL-5、IL-6、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、FABP3、IL18、B2M、SAA、テネイシンC、TNRF1、及び任意にPPYから選択される1又は2以上のバイオマーカーについての発現レベルの測定値を含む。
【0069】
ある特定の実施形態において、対象の血液、血漿、又は血清試料における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルに統計学的に類似しない場合、対象は、パーキンソン病を有することから除外されない。別の実施形態において、対象の血液、血漿、又は血清試料における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルに統計学的に類似する場合、対象は、パーキンソン病を有することから除外されない。一部の実施形態において、対象の試料において測定された1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルは、統計サンプルにおける個体のそれぞれの群についての統計サンプルにおける対応するバイオマーカーの平均発現レベルと比較される。
【0070】
一部の実施形態において、本方法は、パーキンソン病を有することから除外されない対象を、診断検査のためにPD専門家に差し向けるステップをさらに含む。
【0071】
一部の実施形態において、血液、血漿、又は血清試料における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップは、テネイシンC;テネイシンC及びIL-6;テネイシンC、IL-6、及びI309;テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABP3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、及びTARC;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、及びTNFα;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、及びTPO;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、及びA2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2M;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、及びIL-5;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、及び第VII因子;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、及びIL-10;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、及びsVCAM-1;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、及びSAA;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、及びIL-18;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、及びエオタキシン3;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL-18、及びsICAM-1;テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、B2M、IL-5、第VII因子、IL-10、sVCAM-1、エオタキシン3、SAA、IL-18、sICAM-1、及びCRPのそれぞれの発現レベルを測定するステップを含む。一部の実施形態において、上記の測定されるバイオマーカーのそれぞれの発現レベルは、統計サンプルにおける対応するバイオマーカーのそれぞれの発現レベルと比較されて、対象がパーキンソン病のための診断検査から排除されるかが決定される。
【0072】
ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mの1又は2以上の発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、FABP3、TARC、TNFα、A2M、TPO、及びB2Mのそれぞれの発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。ある特定の実施形態において、テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7、並びに任意にFABP3のそれぞれの発現レベルは、血液、血漿、又は血清試料において測定される。
【0073】
ある特定の実施形態において、バイオマーカー測定値は、イムノアッセイ、酵素活性アッセイ、蛍光検出、化学発光検出、電気化学発光検出及びパターン形成アレイ、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応、抗体結合、蛍光励起分取、検出可能ビーズ分取、抗体アレイ、マイクロアレイ、酵素アレイ、受容体結合アレイ、アレル特異的プライマー伸長、標的特異的プライマー伸長、固相結合アレイ、液相結合アレイ、蛍光共鳴移動、及び放射性標識化からなる群から選択される方法によって得られる。一部の実施形態において、バイオマーカー測定値は、電気化学発光検出によって得られる。
【0074】
一部の実施形態において、診断検査は、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態において、治療は、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0075】
キット
さらに別の態様において、本開示は、対象をスクリーニングして、対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するためのキットに関する。
【0076】
ある特定の実施形態において、キットは、対象から血液、血漿、又は血清試料を得る際の使用のための注射器及び針を含む。ある特定の実施形態において、キットは、取扱説明書を含む。
【0077】
ある特定の実施形態において、キットは、プライマリーケア環境における使用のために意図される。ある特定の実施形態において、キットは、電気化学発光検出における使用のための検出可能なマーカーを含む1又は2以上の試薬を含む。一部の実施形態において、検出可能なマーカーを含む1又は2以上の試薬は、電気化学発光を使用するマルチプレックスバイオマーカーアッセイプラットフォームにおける使用のために適応される。ある特定の実施形態において、検出可能なマーカーは、血液、血清、又は血漿試料において、本明細書の他の場所において記載される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するために使用される。ある特定の実施形態において、キットは、対象の試料における1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを「正常な」試料と比較するために、「正常な」血液、血漿、又は血清試料を含む。ある特定の実施形態において、キットは、対象の試料由来の1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルをPD試料と比較するために、PDと診断されている個体由来の血液、血漿、又は血清試料を含む。別の実施形態において、キットは、好適なプロセッサにおいて実行するための、アルゴリズム又はアルゴリズムを含むコードセグメントを含む。ある特定の実施形態において、アルゴリズムは、それぞれのバイオマーカーの測定された発現レベルを、対象の代表的な統計サンプルと比較する。ある特定の実施形態において、統計サンプルは、本明細書の他の場所において記載される。ある特定の実施形態において、キットは、対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定する方法についての説明書を含む。別の実施形態において、キットは、好適なプロセッサにおいて実行することができる第2のコードセグメントを含み、ここで、第2のコードセグメントは、対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定する。
【0078】
さらに別の態様において、本開示は、直販(DTC,direct-to-consumer)製品としての使用のためのキットに関する。ある特定の実施形態において、DTCキットは、対象がPDを有することから除外され得るかを決定するために、対象が、自身でプライマリーケア医に問い合わせることを可能にする説明書を含む。ある特定の実施形態において、説明書は、対象が、自身でプライマリーケア医に問い合わせるために使用することができるPDの一般的な早期の前兆の列挙を含む。ある特定の実施形態において、PDの1又は2以上の前兆を有する対象は、対象がPDを有することから除外され得るかを決定するために、プライマリーケア医を受診することが指示される。ある特定の実施形態において、本明細書の他の場所において開示される方法は、対象がPDを有することから除外され得るかを決定するために使用される。
【0079】
実験例
本発明を、以下の実験例を参照することによって詳細にさらに記載する。これらの実施例は、説明だけの目的で提供され、他に規定されない限り、限定することを意図するものではない。そのため、本発明は、以下の実施例に限定されるとして決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書において提供される教示の結果として明白になるありとあらゆる変形形態を包含すると解釈されるべきである。
【0080】
さらなる説明なく、当業者であれば、先行する記載及び以下の例示的な実施例を使用して、本発明の化合物を作製及び利用することができ、特許請求の範囲に記載された方法を実施することができると考えられる。以下の作業実施例は、したがって、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘し、本開示の残りの部分を決して限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0081】
プライマリーケアのためのパーキンソン病の血液検査
PDの検出のみならず、PDと他の神経変性疾患の鑑別にも血液に基づくバイオマーカーが有用であることを示す一連の研究が行われてきた。しかし、プライマリーケア環境においてPDを除外するための血液に基づくバイオマーカーの有用性を実証した研究は行われていない。今回、プライマリーケア環境における使用のためのPD血液検査(PDBT)の大規模相互検証が遂行された。
【0082】
方法
参加者及び参照データベース
パーキンソン病データ。ベースライン及び長期的アッセイを、以前に実施したDATATOP試験からの血清試料において遂行した。DATATOP研究は、PD進行に対するデプレニル10mg/日及び/又はトコフェロール(ビタミンE)2000IU/日の影響を試験するために設計された多施設のプラセボ比較臨床試験であった(レボドパと比較)。合計で656のベースラインPD血清試料が、現在の研究における使用のための必須データを有していた。PDのケースからの追加のn=190の血清試料は、PDの専門的評価からの研究データベースに既に含まれていた。したがって、n=846の総数のPDのケースが存在した。この研究に含まれたケースは、PD-認知症の診断を有していなかった。
【0083】
神経変性疾患血液検査参照データベース(NDRD,Neurodegenerative Disease Blood Test Reference Database)。複雑な疾患、例えば、神経変性疾患は、診断を行う場合に単一の要因だけではなく複数の要因(又は生物学的経路)を考慮する必要がある。以前の検討において、プライマリーケア環境における使用のために特異的なADを検出するための血液検査が作成された。この血液検査は、複数のバイオマーカーを考慮することで、任意の単一のマーカーよりも正確なアプローチが得られるという前提において発見及び検証された。この複数マーカーアプローチは、腫瘍学の分野において臨床使用に進んでいる複数のインビトロ診断(IVD,in vitro diagnostic)検査をもたらしている。しかしながら、そのような「アルゴリズム」を臨床に進展させるためには、適切な参照データベースを必要とし、これは、実際には、アルゴリズム自体と組み合わされる場合に、医療機器としてのソフトウェア(SAMD,Software as a Medical Device)としてFDA規制に包含されるであろう。したがって、NDRDが、作成され、公開された(O’Bryant, S. E. et al., “Comparing biological markers of Alzheimer’s disease across blood fraction and platforms: Comparing apples to oranges,” Alzheimer’s Dement. Diagnosis, Assess. Dis. Monit., 2016, 3:27-34)。このNDRDは、広範囲の疾患(例えば、AD、PD、DLB、対照)及び血液画分(血清及び血漿)にわたってn>5000の参加者からのデータを含有する。完全に非特定化されたデータのみがNDRDに含まれている。NDRDに含めるために、データは、(1)正確な診断のために、すべての参加者に対して包括的な認知評価を実施した、及び(2)IRB承認下で実施され、書面でのインフォームドコンセントが得られた、研究に由来した。
【0084】
対照:データベースにおける対照は、神経変性疾患の診断を有しておらず、正常な認知パラメーター内で神経心理学的検査が行われ、日常生活の活動における低下は報告されなかった。この研究の目的のために、血清データ由来の対照試料を利用した(対照n=2,291)。
【0085】
プロテオミクス
すべての血清試料を、血液の処理、分注及び再分注のためにHamilton Robotics EasyBloodを使用してアッセイした。カスタムHamilton Robotics StarPlusシステムを、すべてのプレートの調製のために利用した。プロテオミクスアッセイを、市販のキットを使用して、以前に公開された方法に従って、電気化学発光(ECL,electrochemiluminescence)を使用して、マルチプレックスバイオマーカーアッセイプラットフォームにおいて実行した。ECL技術は、電気的に刺激されたら光を発する標識を使用し、これは、非常に低濃度であっても多くの分析物の検出の感度を改善する。ECL測定は、ほとんどのアッセイについてゴールドスタンダードの従来のELISAよりも高い感度及び少ない容量を必要とするという性質が十分に確立されている。複数のコホートにわたるn>1,300試料のためのいくつかのタンパク質の分析性能及び診断(正常な認知、軽度認知機能障害、及びAD)が最近報告された。アッセイは、信頼性があり、優れた添加回収、希釈線形性、変動係数、及び検出限界を示す。アッセイ間及びアッセイ内の変動性が優れている。内部QCプロトコールは、バッチにわたって一貫した対照をアッセイすること、及びロットにわたってプールされた標準のアッセイを含んで、製造プロトコールに加えて実施される。合計で500μlの血清を利用して、以下のマーカーをアッセイ(単一検体)した:脂肪酸結合タンパク質(FABP)-3、ベータ2ミクログロブリン(B2M)、膵ポリペプチド(PPY)、C反応性タンパク質(CRP)、ICAM-1、トロンボポエチン、α2マクログロブリン(macroglobulin)(A2M)、エオタキシン(exotaxin)3、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、テネイシンC、インターロイキン(IL)-5、IL-6、IL-7、IL-10、IL-18、I-309、第7因子(第VII因子)、血管細胞接着分子1(VCAM 1)、TARC及び血清アミロイドa(SAA)。これらのアッセイの20,000超が、過去数年間にわたって実行され、すべてのCVは<10%であり、大多数は<=6%であった。
【0086】
統計分析
統計分析を、R (V 3.3.3)統計ソフトウェア、SPSS 24(IBM社)、及びSASを使用して実施した。サポートベクターマシン(SVM)分析を実施して、対照からPDのケースを区別した。SVMは、識別境界を規定する識別平面の概念に基づいており、主に、異なるクラス標識のケースを分離する多次元空間内に超平面を構築することによって分類タスクを行う分類子法である。診断の精度は、受信者動作特性(ROC,receiver operating characteristic)曲線を介して計算した。試料を、検査試料に由来する診断精度を有する訓練及び検査試料に無作為に分けた(70/30)。最後に、プライマリーケア環境においてPDを除外するPDBTの全体的な有用性の推定を提供するために、陰性適中率(NPV,negative predictive value;陰性のスクリーニング検査を有する対象が本当に疾患を有していない確率)を、2%、5%、10%、及び15%を含む基準率の範囲を使用して計算した。
【0087】
結果
試料の記述統計量を表1に提供する。試料の平均年齢63.8(SD=13.4)。PD群は、正常な対照群と比較して、より若く、男性である可能性がより高く、より高い教育レベル(p値<0.001)が報告された。
【0088】
【0089】
訓練試料において、合計で592のPD試料及び1604の対照試料が存在した。SVMを、初期分析及び内部変動のために、訓練試料内で5倍の内部相互検証で適用した。PDBTは、訓練セット内で、0.84のSN及び0.98のSPで、0.98のAUCを与えた。
図1は、診断精度の統計及び変数重要度プロットと一緒に、全体的な分類精度(正確及び不正確)を示す。
【0090】
次に、PDBTを、n=254のPDのケース及びn=687の対照からなる検査試料に直接適用した。PDBTは、0.79のSN及び0.97のSPで、0.964のAUCを与えた。
図2は、分類精度(正確及び不正確)及びROC曲線を提供する。
【0091】
最後に、どのようにしてPDBTをプライマリーケア環境においてPDを除外するためのスクリーニングツールとして行うかの判断力を提供するために、NPVを基準率の範囲について計算した。2%の基準率で、NPVは0.99であった。したがって、医師は、陰性の血液検査を有するPDを除外する際に、99%正確である。5%、10%及び15%の基準率についてのNPVは、それぞれ、99%、98%、及び96%であった。医師が、新たな運動の変化の発生を訴える成人について5%の基準率を使用する場合、5,000人の患者を診て、PDBTは、任意の追加の検査手順の必要性から4,660人の患者を除外するであろう。偽陰性のケースは53人のみ存在するであろう。
【0092】
選択される議論
データは、プライマリーケア環境においてPDを除外するためのスクリーニングとしてのPDBTの有用性を実証する。現在の研究において、データは、846のPD試料及び2,291の対照試料の総試料についてプールした。全体的に、PDBTの精度は、疾患を除外するために優れている(すなわち、>98%)。神経変性疾患のためのプライマリーケア環境におけるスクリーニング検査の目標は、疾患を除外することであり、これは、プライマリーケア環境において日常的に使用される大部分のスクリーニング検査の使用及び性能と一致する。
【0093】
PDBTについてのCOUは診断ではなく、むしろプライマリーケア環境内でPDを除外するためのスクリーニングツールである。プライマリーケアにおけるスクリーニング目的のPDBTの利用可能性は、驚異的な利益を保持する。第1に、これは、薬事未承認検査(LTD,laboratory developed test)として世界的に実施することができる迅速でスケーラブルな技術である。PDBTは、いくつかの研究及び多くの患者によってサポートされる実用的で客観的な情報を、プライマリーケア提供者に提供する。加えて、より早期に治療薬を実施することができると、患者にとってより有益になると思われる。プライマリーケア環境におけるPDBTの利用可能性は、迅速な紹介のためのツールを提供する。最後に、臨床試験のために、PDBTは、専門クリニックよりはるかに優れて、スクリーニング手順へのアクセスを劇的に拡大する手段を提供する。全体的に、現在の結果は、プライマリーケア環境においてPDを除外するためのCOUのためのPDBTの有用性を強くサポートする。
【0094】
当業者は、さまざまな上記に記載の方法のステップを、プログラムされたコンピューターによって行うことができることを容易に認識するであろう。ここで、一部の実施形態は、プログラム記録デバイス、例えば、デジタルデータ記録メディアを包含することも意図し、これは、機械又はコンピューター可読であり、命令の機械実行可能又はコンピューター実行可能プログラムをコードし、ここで、前記命令は、前記の上記に記載の方法のステップの一部又は全部を行う。プログラム記憶デバイスは、例えば、デジタルメモリ、磁気記憶メディア、例えば、磁気ディスク及び磁気テープ、ハードドライブ、又は任意に可読デジタルデータ記憶メディアであり得る。実施形態は、上記に記載の方法の前記ステップを行うためにプログラムされたコンピューターを包含することも意図する。
【0095】
「モジュール」として標識される任意の機能ブロックを含む、図に示されるさまざまな要素の機能は、専用ハードウェア及び適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用により提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はその一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって、提供され得る。また、「モジュール」という用語の明確な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すように解釈されるべきではなく、限定されないが、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP,digital signal processor)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC,application-specific integrated circuit)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA,field-programmable gate array)、プログラムを保存するためのリードオンリーメモリ(ROM,read-only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM,random access memory)、及び不揮発性ストレージを黙示的に含み得る。従来の及び/又はカスタムの他のハードウェアも含まれ得る。
【0096】
本明細書において議論される任意の実施形態を、本発明の任意の方法、キット、試薬、又は組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらにまた、本発明の組成物を使用して、本発明の方法を達成することができる。
【0097】
本明細書において記載される特定の実施形態が、実例として示されており、本発明の限定として示されていないことが理解されるであろう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな実施形態において用いることができる。当業者は、本明細書において記載される具体的な手順に対する多数の均等物を認識するか、又はルーチン実験だけを使用してそれを確認することができる。そのような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、請求項に包含される。
【0098】
本明細書において挙げられたすべての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する技術分野における当業者の技能レベルを示す。すべての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が、参照により組み込まれると具体的かつ個々に示されたのと同じ程度まで、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0099】
「a」又は「an」という語の使用は、請求項及び/又は本明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「1」を意味することができるが、これは、「1又は2以上」、「少なくとも1」及び「1又は1超」の意味とも一致する。請求項における「又は」という用語の使用は、選択肢のみを指すか、又は選択肢が相互排他的であることが明示的に示されない限り、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、選択肢のみ及び「及び/又は」を指す定義をサポートする。本明細書全体を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いられるデバイス、方法についての固有の誤差変動、又は研究対象間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0100】
本明細書及び請求項において使用される場合、「含む(comprising)」(並びに含む(comprising)の任意の形態、例えば、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(並びに有する(having)の任意の形態、例えば、「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含む(including)」(並びに含む(including)の任意の形態、例えば、「含む(includes)」及び「含む(include)」)又は「含有する(containing)」(並びに含有する(containing)の任意の形態、例えば、「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」)という語は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法のステップを排除しない。本明細書において提供される組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「含む(comprising)」は、「から実質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」と置き換えられることがある。本明細書において使用される場合、「から実質的になる(consisting essentially of)」という語句は、特定された整数又はステップ、及び特許請求の範囲に係る発明の特性又は機能に著しい影響を及ぼさないものを必要とする。本明細書において使用される場合、「からなる(consisting)」という用語は、列挙された整数の存在(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスのステップ、又は限定)又は整数の群(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスのステップ、又は限定)のみを示すために使用される。
【0101】
本明細書において使用される「又はそれらの組合せ」という用語は、この用語に先行するリストされている項目のすべての並べ替え及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCの少なくとも1つを含むことが意図され、特定の文脈において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含むことが意図される。この例を続けると、1又は2以上の項目又は用語の反復、例えば、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等を含有する組合せが明確に含まれる。当業者は、文脈から他が明らかではない限り、典型的には、任意の組合せにおける項目又は用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0102】
本明細書において使用される場合、近似値の語、例えば、限定されないが「約」、「実質的な」又は「実質的に」は、そのように修飾される場合、必ずしも絶対的又は完全ではないことが理解される条件を指すが、当業者にとって、提示されている条件の指定を保証するのに十分に近いと考えられる。記載が変更され得る程度は、どのような大きさの変化が設けられ得るかに依存し、当業者は、依然として、未修飾の特徴の必要とされる特性及び能力を依然として有すると、修飾された特徴を認識し得る。一般に、先行する議論に従うが、「約」等の近似値の語によって修飾される本明細書における数値は、述べられた値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%変更され得る。
【0103】
加えて、本明細書におけるセクションの見出しは、37 CFR 1.77の示唆との整合性のため、又はそうでなければ構成上の手がかりを提供するために提供される。これらの見出しは、本開示から発行され得る任意の請求項において示される発明を限定又は特徴付けるものではない。具体的に、及び例として、見出しは「発明の分野」を指すが、そのような請求項は、いわゆる技術分野を記載するこの見出しの下の言語によって限定されるべきではない。さらに、「発明の背景」セクションにおける技術の記載は、その技術が本開示における任意の発明に対する先行技術であることの自白として解釈されるべきではない。「概要」も、発行された請求項に示される発明の特徴付けとみなされるべきでもない。さらにまた、本開示における単数形の「発明」への任意の言及は、本開示において単一の新規な点だけが存在することを主張するために使用されるべきではない。複数の発明は、本開示から発行される複数の請求項の限定に従って示されてもよく、そのような請求項は、したがって、それによって保護される発明及びそれらの等価物を定義する。すべての例において、そのような請求項の範囲は、本開示に照らしてそれら自体の長所に関して考慮されるべきであるが、本明細書に示される見出しによって拘束されるべきではない。
【0104】
本明細書において開示され、特許請求の範囲に記載される組成物及び/又は方法のすべては、本開示に照らして、過度の実験なく、作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法を、好ましい実施形態の観点から記載したが、当業者には、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法、並びに本明細書において記載される方法のステップ又は一連のステップに変形形態を適用することができることは明らかであろう。当業者に明らかなすべてのそのような類似の置換及び改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲及び概念内であるとみなされる。
【0105】
特許庁、及び本出願において発行される任意の特許の任意の読者が本明細書に添付の請求項を解釈する際に役立つように、出願人は、「のための手段」又は「のためのステップ」という語が特定の請求項において明示的に使用されていない限り、添付の請求項はその出願日に存在するので、添付の請求項のいずれかが米国特許法第112条第6項、第112条第(f)項又はその同等のものを行使することをそれらが意図していないことに留意したい。
【0106】
請求項のそれぞれについて、それぞれの従属請求項は、前にある請求項が、請求項の用語又は要素に適した先行詞を提供する限り、それぞれ及びすべての請求項について独立請求項及び前にある従属請求項の両方に従属することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病のための診断検査についての必要性から対象を排除するための方法であって、
(a)前記対象から血液、血漿、又は血清試料を得るステップ;
(b)前記血液、血漿、又は血清試料において、インターロイキン(IL,interleukin)-7、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα,tumor necrosis factor alpha)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP,C-reactive protein)、IL-10、可溶性細胞内接着分子(sICAM-1,soluble intracellular adhesion molecule)、第VII因子、I309、アルファ-2-ミクログロブリン(A2M,alpha-2-microglobulin)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC,Chemokine (C-C Motif) Ligand 17)、エオタキシン3、可溶性血管細胞接着分子1(sVCAM-1,soluble vascular cell adhesion molecule 1)、トロンボポエチン(TPO,thrombopoietin)、脂肪酸結合タンパク質(FABP,fatty acid binding protein)、IL-18、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M,beta-2-microglobulin)、血清アミロイドA1クラスター(SAA,serum amyloid A1 cluster)、テネイシンC、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1,tumor necrosis factor receptor 1)、及び任意の膵ポリペプチド(PPY,pancreatic polypeptide)からなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップ;
(c)(b)における前記1又は2以上のバイオマーカーの前記発現レベルを、前記対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより前記対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するステップ;並びに
(d)前記対象が、前記比較するステップに基づいてパーキンソン病についての診断検査から排除すべきであることを決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
(e)パーキンソン病のための診断検査を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、前記診断検査が、神経学的検査、MRI、ドーパミントランスポーター(DAT,dopamine transporter)スキャン、脳超音波、PETスキャン、詳細な神経心理学的検査、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(f)パーキンソン病のための治療を回避する、開始しない又は中止するステップをさらに含み、前記治療が、レボドパ、ドーパミンアゴニスト、グルタミン酸アゴニスト、抗コリン剤、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT,catechol-o-methyl transferase)阻害剤、モノアミンオキシダーゼB型(MAO-B,monoamine oxidase type B)阻害剤、ドーパミン療法、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA,N-methyl-D-aspartate)アンタゴニスト、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1又は2以上のバイオマーカーが、テネイシンC、IL-6、I309、IL-7、及びFABPからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
テネイシンC、IL-6、I309、及びIL-7からなる群におけるそれぞれのバイオマーカーの発現レベルが測定され、任意にFABP、TNFα、IL-5、CRP、IL-10、sICAM-1、第VII因子、I309、A2M、TARC、エオタキシン3、sVCAM-1、TPO、IL-18、B2M、SAA、及びPPYからなる群から選択される1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1又は2以上のバイオマーカーの発現レベルが、電気化学発光を使用して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(i)(b)における1若しくは2以上のバイオマーカーの発現レベルが、パーキンソン病を有さない統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似する場合、対象が、パーキンソン病のための診断検査から排除され;又は
(ii)(b)における前記1若しくは2以上のバイオマーカーの前記発現レベルが、パーキンソン病と診断されている統計サンプルにおける個体の群から得られた対応する1若しくは2以上のバイオマーカーの平均発現レベルと統計学的に類似しない場合、前記対象が、パーキンソン病のための診断検査から排除される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(e)対象が
、統計サンプルとの比較からパーキンソン病を有すること
から除外される場合
、臨床試験へのリクルートメントから前記対象を排除するステップ
を
さらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(i)パーキンソン病を有することから除外される対象を、パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病の治療、若しくはそれらの組合せから排除するステップ;又は
(
ii)パーキンソン病のための診断検査、パーキンソン病のための治療、若しくはそれらの組合せを、パーキンソン病を有することから除外されない対象に実施するステップ
を
さらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(c)
が、コンピューターを使用して、(b)におけ
る1又は2以上のバイオマーカー
の発現レベルを
、対象の代表的な統計サンプルと比較し、それにより前記対象がパーキンソン病を有することから除外され得るかどうかを決定するステップ
であり、及び
(d)
が、コンピューターを使用して、前記対象が、前記比較するステップに基づいてパーキンソン病についての診断検査から排除すべきであることを決定するステップ
である、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】