(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】膨張粒状材料を製造するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
F27B 1/10 20060101AFI20240423BHJP
F27B 1/14 20060101ALI20240423BHJP
C04B 14/02 20060101ALI20240423BHJP
C04B 14/18 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F27B1/10
F27B1/14
C04B14/02 C
C04B14/02 B
C04B14/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568459
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2022062553
(87)【国際公開番号】W WO2022238362
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518193065
【氏名又は名称】オムヤ インターナショナル エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヌーバッチャー,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ツェルンコ,ハラルド
【テーマコード(参考)】
4K045
【Fターム(参考)】
4K045AA01
4K045BA05
4K045GA15
4K045GB19
4K045GD11
(57)【要約】
本発明は、砂粒状の鉱物材料(1)から膨張剤を用いて膨張粒状材料(2)を製造するためのデバイスに関し、上端(5)および下端(6)を有する炉シャフト(4)を有する炉(3)を備え、搬送部(7)は、2つの端部の間に延び、搬送方向(10)に互いに離れて配置された複数の加熱ゾーン(8)を通過し、2つの端部の一方において少なくとも未膨張の材料を2つの端部の他方の方向に炉シャフト内に充填するために、少なくとも1つの供給手段も設けられる。本発明によると、炉シャフト内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも1つのスクレーパブレード(12)を有する少なくとも1つの回転可能シャフトインサート(11)が設けられ、スクレーパブレード(12)は、炉シャフトの内壁(13)との間に、間隙幅(18)を有する少なくとも1つの間隙(14)を形成し、デバイスの動作状態において少なくとも1つのシャフトインサートの回転中、固結物の厚さ(16)がそれぞれの間隙幅より大きい場合、内壁上の固結物(15)を少なくとも部分的に除去するように設計される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂粒状の鉱物材料(1)から膨張剤を用いて膨張粒状材料(2)を製造するため、たとえばパーライト砂(1)または黒曜石砂から膨張剤として結合水を用いて膨張粒状材料(2)を製造するためのデバイスであって、上端(5)および下端(6)を有する略垂直に立つ炉シャフト(4)を有する炉(3)を備え、前記2つの端部(5、6)の間に搬送部(7)が延び、更に、搬送方向(10)に見て前記搬送部(7)の最後の半分、好適には最後の3分の1で前記材料(1)を膨張させるために、前記炉シャフト(4)の前記2つの端部(5、6)の一方において少なくとも前記未膨張の材料(1)を前記炉シャフト(4)の前記2つの端部(6、5)の他方の方向に前記炉シャフト(4)内に充填するように適合された少なくとも1つの供給手段が設けられ、前記炉シャフト(4)内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも1つのスクレーパブレード(12)を有する少なくとも1つの回転可能シャフトインサート(11)が設けられ、前記スクレーパブレード(12)は、前記炉シャフト(4)の内壁(13)との間に、間隙幅(18)を有する少なくとも1つの間隙(14)を形成し、前記デバイスの動作状態において前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)の回転中、固結物(15)の厚さ(16)が前記それぞれの間隙幅(18)より大きい場合、前記内壁(13)上の前記固結物(15)を部分的に除去するように設計され、前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)は、前記炉シャフト(4)の長手方向軸(21)に平行に延びる少なくとも1つの回転軸(20)、好適には前記長手方向軸(21)と一致する前記少なくとも1つの回転軸(20)を中心として回転可能であり、
前記搬送部(7)は、搬送方向(10)に互いに離れて配置された複数の加熱ゾーン(8)を通過し、前記加熱ゾーン(8)の各々は、前記材料(1)を少なくとも臨界温度まで加熱し、前記砂粒(1)を膨張させるために互いに独立して制御され得る少なくとも1つの加熱素子(9)を備えることと、前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)の各々は、前記少なくとも1つのスクレーパブレード(12)が径方向(24)に平行な方向部分を有して突出する基体(22)を備え、前記径方向(24)は、前記それぞれのシャフトインサート(11)の前記回転軸(20)に垂直な平面にあり、前記それぞれの回転軸(20)を始点としてそこから離れる方向を向いており、前記それぞれの基体(22)は、少なくとも前記径方向(24)に見て、実質的に閉じていることとを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)は、前記炉シャフト(4)の前記上端(5)の領域に回転可能に取り付けられ、好適には、前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)は、前記炉シャフトの前記下端(6)の領域に浮動可能に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)は、複数、好適には最大8つ、特に好適には2~4つのスクレーパブレード(12)を有することを特徴とする、請求項1~2の1項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記スクレーパブレード(12)の少なくとも2つは、前記炉シャフト(4)の径方向中心(17)を中心とする周方向(19)に見て、互いに前後に配置されることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記スクレーパブレード(12)の少なくとも2つは、前記内壁(13)との間に、異なる間隙幅(18)を有する間隙(14)を形成することを特徴とする、請求項3~4の1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)を可変の回転速度で回転させるための少なくとも1つの駆動手段が設けられ、前記少なくとも1つの駆動手段は、前記回転速度を好適には0.125rpm~3rpmの範囲、特に好適には0.5rpm~2rpmの範囲に設定するように適合されることを特徴とする、請求項1~5の1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記それぞれの基体(22)は基本的に回転円筒形であり、好適には、前記それぞれの基体(22)の上流および/または下流で前記搬送方向(10)に見て、前記回転軸(20)に沿って前記基体(22)から離れる方向に先細りになるシャフト挿入部(23)が、前記それぞれの基体(22)に隣接する、特に前記それぞれの基体(22)と同一平面上にあることを特徴とする、請求項1~6の1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスクレーパブレード(12)は、前記間隙幅(18)を調整することが可能であるように伸長/収縮可能であり、および/または回動可能であるように、前記それぞれの基体(22)上に配置されることを特徴とする、請求項1~7の1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスクレーパブレード(12)は、好適には前記搬送方向(10)に平行に、実質的に直線状に延びることを特徴とする、請求項1~8の1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのスクレーパブレード(12)は、前記それぞれのシャフトインサート(11)の回転軸(20)を中心として少なくとも部分的に螺旋状または渦巻状に延びることを特徴とする、請求項1~9の1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記炉シャフト(4)の径方向中心(17)を中心とする周方向に見て、前記間隙幅(18)は異なることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの間隙(14)の前記間隙幅(18)は、前記搬送方向(10)に見て異なることを特徴とする、請求項1~11の1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記内壁(13)は、好適には高温鋼で作られた少なくとも1つの制限素子(27)によって形成されることと、前記少なくとも1つのシャフトインサート(11)は、前記少なくとも1つの制限素子(27)と同じ材料で作られていることとを特徴とする、請求項1~12の1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂粒状の鉱物材料から膨張剤を用いて膨張粒状材料を製造するため、たとえばパーライト砂または黒曜石砂から膨張剤として結合水を用いて膨張粒状材料を製造するためのデバイスに関し、このデバイスは、上端および下端を有する略垂直に立つ炉シャフトを有する炉を備え、2つの端部の間に搬送部が延び、更に、搬送方向に見て搬送部の最後の半分、好適には最後の3分の1で材料を膨張させるために、炉シャフトの2つの端部の一方において少なくとも未膨張の材料を炉シャフトの2つの端部の他方の方向に炉シャフト内に充填するように適合された少なくとも1つの供給手段が設けられ、炉シャフト内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも1つのスクレーパブレードを有する少なくとも1つの回転可能シャフトインサートが設けられ、スクレーパブレードは、炉シャフトの内壁との間に、間隙幅を有する少なくとも1つの間隙を形成し、デバイスの動作状態において少なくとも1つのシャフトインサートの回転中、固結物の厚さがそれぞれの間隙幅より大きい場合、内壁上の固結物を部分的に除去するように設計され、少なくとも1つのシャフトインサートは、炉シャフトの長手方向軸に平行に延びる少なくとも1つの回転軸、好適には長手方向軸と一致する少なくとも1つの回転軸を中心として回転可能である。
【背景技術】
【0002】
WO2013/053635A1号により、たとえば結合水などの膨張剤を含む砂粒状の鉱物材料を特に閉鎖セル内で膨張させるための方法およびデバイスが知られている。このプロセスにおいて、材料は、略垂直の炉シャフトを有する炉内に上から供給される。重力によって、材料は、炉シャフトを通りその上端から下端まで搬送部に沿って搬送方向に搬送される。搬送部は、搬送方向に互いに離れて配置された、材料を臨界温度まで加熱して砂粒を膨張させるために独立して制御可能な加熱素子を備えるいくつかの加熱ゾーンを通過する。膨張プロセスは等エンタルピー性であり、対応する検出可能な温度の低下を伴う。膨張粒状材料は、下端から排出される。炉シャフト内で生じる浮力は、特に炉シャフトの煙突効果によって引き起こされ、膨張前および膨張後で異なる密度による異なる効果を有するので、この種の膨張は、典型的には75μm以上、特に100μm以上の粒径を有する生の砂には適している。より微細な粒の場合、信頼できる膨張結果のためには浮力が大きくなりすぎる。また、粒径が微細である場合、軽量で密度の低すぎる粒子が長い間加熱ゾーンに浮遊し続けることにより、炉シャフトの内壁における凝集または「固結」のリスクが増加する。この場合、粒子は膨張後もエネルギを吸収し続け、冷却をもたらす等エンタルピー形状変化がないままで再び軟化するので、炉シャフトの内壁における凝集または固結のリスクが著しく増加する。比喩的に言うと、浮力に抗して微細な粒子を引っ張るほどの粗いと同時に重い粒子が存在しないため、この危険性は、粒帯が狭くなるにつれて増加する。
【0003】
より細かい粒径を有する生の砂を膨張させるために、WO2016/191788A1号ならびにWO2018/191763A1号により、炉シャフトの下部から上部へ一定量の空気とともに材料を供給または注入し、炉シャフトを通して搬送することが知られている。非常に微細な粒子を吹入れと組み合わせて供給する場合、実質的に炉シャフト全体で均一な流れプロファイルを得るため、およびシャフト壁における凝集/固結をもたらす乱流を回避するために、異なる流れを同期化する必要があることが認識されている。そのような凝集/固結は、シャフトの連続的な「肥大」をもたらし、その結果、熱放射が妨げられ、不十分な膨張結果を招く。
【0004】
また、留意すべき点として、通常、粒径の粗い砂を膨張させる場合でも固結を完全に回避することは不可能であり、膨張結果に悪影響を及ぼし得る。
【0005】
US2625512A号、US2521190A号、およびUS2550877A号の各々には、パーライト砂を膨張させるための垂直炉シャフトを有する炉が記載される。パーライト砂は、上から炉シャフトに供給され、環状ガスバーナによって炉シャフトの上部で膨張のために加熱される。炉シャフト内に水冷却管が配置され、炉シャフトの内壁から固結した膨張パーライト砂を擦り落とすために炉シャフトの垂直軸の周囲で回転する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、固結に関連する上述の欠点を克服する、膨張粒状材料を製造するためのデバイスを提供することである。特に、好適には可能な限り広範囲の造粒に関して、均一かつ一定の膨張を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の核心は、炉シャフトの内壁における砂粒状の鉱物材料の固結(「凝集」)が不可避であるため、所定の膨張プロセスを実現するためには含まれなければならないという考察である。そのために、砂粒状の鉱物材料から膨張剤を用いて膨張粒状材料を製造するため、たとえばパーライト砂または黒曜石砂から膨張剤として結合水を用いて膨張粒状材料を製造するためのデバイスにおいて、デバイスは、上端および下端を有する略垂直に立つ炉シャフトを有する炉を備え、2つの端部の間に搬送部が延び、更に、搬送方向に見て搬送部の最後の半分、好適には最後の3分の1で材料を膨張させるために、炉シャフトの2つの端部の一方において少なくとも未膨張の材料を炉シャフトの2つの端部の他方の方向に炉シャフト内に供給するように適合された少なくとも1つの供給手段が設けられ、炉シャフト内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも1つのスクレーパブレードを有する少なくとも1つの回転可能シャフトインサートが設けられ、スクレーパブレードは、炉シャフトの内壁との間に、間隙幅を有する少なくとも1つの間隙を形成し、デバイスの動作状態において少なくとも1つのシャフトインサートの回転中、固結物の厚さがそれぞれの間隙幅より大きい場合、内壁上の固結物を部分的に除去するように適合され、少なくとも1つのシャフトインサートは、炉シャフトの長手方向軸に平行に延びる少なくとも1つの回転軸を中心として回転可能であり、少なくとも1つの回転軸は、好適には長手方向軸と一致しており、本発明によると、搬送部は、搬送方向に互いに離れて配置された複数の加熱ゾーンを通過し、加熱ゾーンの各々は、材料を少なくとも臨界温度まで加熱して砂粒を膨張させるために互いに独立して制御され得る少なくとも1つの加熱素子を備えること、および、少なくとも1つのシャフトインサートの各々は、少なくとも1つのスクレーパブレードが径方向に平行な方向部分を有して突出する基体を備え、径方向は、それぞれのシャフトインサートの回転軸に垂直な平面にあり、それぞれの回転軸を始点としてそこから離れる方向を向いており、それぞれの基体は、少なくとも径方向に見て、実質的に閉じていることが定められる。
【0008】
搬送方向は、垂直または鉛直方向に略平行であり、上部から下部へ、または逆に下部から上部へであってよい。これは、材料を上から供給する場合、および材料を下から供給する場合のいずれも、少なくとも1つのシャフトインサートが提供され得ることを意味する。上から供給する場合、膨張される材料は、重力によって搬送部に沿って少なくとも部分的に搬送され、炉シャフト内に粒子流が形成される。たとえば、この場合、膨張される材料のための供給手段としてシュートが提供され得る。下から供給する場合、膨張される材料は、通常、一定量の空気とともに炉シャフト内に供給され、炉シャフトを通って搬送される。この場合、供給手段はたとえば、炉シャフトの上流に連結され、炉シャフトの下端において一定量の空気とともに未膨張の材料を上端方向に炉シャフト内に吸引するように適合された、ファンと協働する吸引ノズルであってよい。空気量は、下部から上部へ流れる空気流を形成し、これによって、砂粒状の材料は、搬送部の上半分、好適には最上部3分の1で膨張されるために搬送部に沿って下部から上部へ炉シャフトを通過する粒子流の形態で搬送される。
【0009】
異なる加熱ゾーンの各々は少なくとも1つの加熱素子を有する必要があり、これらの加熱素子は独立して制御可能である必要があるため、加熱ゾーンを画定するために加熱素子が用いられ得る。
【0010】
完全性のために、搬送方向に見て、最後の半分が第2の半分であり、または最後の3分の1が第3の3分の1であることに留意する。
【0011】
本発明によると、固結物はプロセスを乱すものと見なされないが、その厚さは、膨張結果に均質化効果をもたらすために少なくとも1つのシャフトインサートによって制御される。少なくとも1つのスクレーパブレードを有するシャフトインサートは、スクレーパブレードと炉シャフトの内壁との間に間隙を形成する。典型的には、間隙幅は、2mm~5mmの範囲である。
【0012】
デバイスの動作状態において、材料が炉シャフトを通って搬送され、炉シャフト内で膨張する際、間隙は、短期間で固結した材料に覆われる。この固結物は、その後、少なくとも1つのシャフトインサートの回転に伴い少なくとも1つのスクレーパブレードによって継続的に除去され、「除去」とは、剪断、剥離、切断、押出し、または擦り落としを含む。
【0013】
固結物の厚さは、除去によって制限され、概ね一定に、正確には間隙幅付近の特定の範囲内に維持される。この概ね一定かつ概ね均一な固結物の厚さにより、加熱素子によって固結物を通して炉シャフト内に導入され得る概ね一定の放射強度が保証される。その結果、炉シャフト内に概ねまたは実質的に一定のエネルギが入力されることにより、均一な膨張がもたらされ、実質的にデバイスの動作を通して実質的に一定の膨張結果が保証される。
【0014】
除去が「少なくとも部分的に」行われるということは、一方で、炉シャフトの長手方向軸に垂直な特定の平面において、長手方向軸を中心とする360°の角度範囲全体にわたり同時に除去が行われる必要はないというように理解すべきである。一方、ゼロより大きい間隙幅の間隙によって固結物の厚さ全体が(局所的に)除去されず、特定の厚さの固結物が故意に保持される場合のみ、「部分的に」という用語も実際には使用される。これは、間隙または間隙幅および厚さの両方がゼロより大きいと理解されることを意味する。
【0015】
実際には、製造公差により、間隙幅は、特定の間隙幅範囲内にあるか、またはわずかに異なり得ると理解すべきである。
【0016】
したがって、実際には、固結物の厚さもまた、厚さ範囲内にあるものと見なされる。また、炉シャフト内の特定の位置における特定の時点での固結物の実際の厚さは、動的プロセスの結果であり、これは、一方では新たな固結物が常に追加され、他方では除去されることにより、厚さが全ての位置で常時一定ではなく、時間および位置の点から特定の範囲内で変化することを意味する。したがって、少なくとも1つのスクレーパブレードによって除去が行われるまで、厚さが間隙幅より大きいエリアが一時的に生じ得る。
【0017】
炉シャフト内の砂粒が、主に、1または複数のスクレーパブレード、シャフトインサートのその他の部分、および固結物の間の明確に定義された移動範囲内で搬送部に沿って粒子流として移動するということも、均一な膨張または一定の定められた膨張結果に寄与する。したがって、炉シャフト内での砂粒の滞留時間、およびそれに伴う膨張プロセスまたは膨張結果は、非常に正確に規定または制御され得る。
【0018】
内壁自体は、固結物なしで、その厚さに関して特定の範囲内に維持されることが理解される。たとえば、内壁を形成するために、特にいわゆる鋼ライナの形態の制限素子が提供され得る。この文脈では、内壁が制限素子または鋼ライナで形成されるのではなく、制限素子または鋼ライナ上の1または複数の層によって形成されることも理論的には可能であるが、この層は、厚さが制御される固結物ではない。したがって、間隙は、その間隙幅とともに、固結物のない具体的な内壁に関して理解すべきである。
【0019】
間隙幅および固結物の厚さは、典型的には長手方向軸と一致する、炉シャフトの長手方向軸に垂直であり、炉シャフトの径方向中心から外側を向いた径方向に平行に測定され得る。通常、この径方向は、内壁に垂直である。
【0020】
少なくとも1つのシャフトインサートは、異なるシャフトインサートとの交換が容易であるように取外し可能に設計され得る。異なるシャフトインサートは、たとえば異なるスクレーパブレードによって、特に数および/または粗さおよび/またはその結果生じる間隙幅および/またはその結果生じる砂粒の移動範囲に関して互いに異なり得る。
【0021】
少なくとも1つのシャフトインサートは、炉シャフト内で生じる温度に耐え得る1または複数の材料で作られる。上記材料は、たとえば金属、特にステンレス鋼またはニッケル系合金、またはカーボンファイバやセラミック、特に高性能セラミックを含んでよい。
【0022】
留意すべき点として、少なくとも1つのシャフトインサートは、完全に炉シャフト内に配置される必要はなく、上端および/または下端において炉シャフトから部分的に突出し得る。炉シャフトから突出しているそれぞれの部分は、それぞれのシャフトインサートのベアリングおよび/または駆動に有利性を示し得る。
【0023】
ただし、少なくとも1つのシャフトインサートは、完全に炉シャフト内に配置され、その内部にのみ格納されることも考えられる。
【0024】
少なくとも1つのシャフトインサートは、炉シャフト全体、またはその全長、または搬送部全体に延びる必要もない。
【0025】
原則として、単一のシャフトインサートが提供され得る。これは、いくつかの部品またはセグメントから構成され得る。典型的には、この場合、シャフトインサートは、炉シャフトの長手方向軸と一致する回転軸の周囲を回転し得る。後者は、いくつかのシャフトインサートが提供される場合、搬送方向に見て、互いに前後に配置される場合にも同様である。この場合、たとえば、異なるシャフトインサートは異なる速度で回転し、および/または異なる間隙幅を形成することが考えられる。これらの場合、(炉シャフトの長手方向軸に垂直な)略円形断面を有する炉シャフト内のそれぞれのシャフトインサートの回転により、いずれの場合も、それぞれの少なくとも1つのスクレーパブレードと炉シャフトの内壁との間に環状間隙が効果的に生じる。したがって、本発明に係るデバイスにおいて、少なくとも1つのシャフトインサートは、炉シャフトの長手方向軸に垂直な少なくとも1つの回転軸、好適には長手方向軸と一致する少なくとも1つの回転軸を中心として回転可能であることが定められる。
【0026】
ただし、理論的には、いくつかのシャフトインサートの例では、これらが搬送方向に見て少なくとも部分的に互いに前後に配置される場合でも、いくつかの異なる回転軸も可能である。
【0027】
特に、搬送方向または長手方向軸に垂直な断面で見て、互いに隣り合って配置され、異なる回転軸を有するいくつかのシャフトインサートが提供されることも考えられ、いずれの場合も、回転軸は、炉シャフトの長手方向軸に平行に延びてよい。
【0028】
上記と同様に、本発明に係るデバイスの好適な実施形態において、少なくとも1つのシャフトインサートが、炉シャフトの上端の領域に回転可能に取り付けられ、好適には、少なくとも1つのシャフトインサートが、炉シャフトの下端の領域に浮動可能に取り付けられることが定められる。
【0029】
少なくとも1つのシャフトインサートが回転可能に取り付けられる炉シャフトの上端の領域は、炉シャフトの外側に配置され得る。構造的に単純で、特に安定した機械ベアリングであることに加えて、これもまた、シャフトインサートの構造的に単純な(回転)駆動を可能にする。
【0030】
デバイスの動作状態において、浮動ベアリング構成は、少なくとも1つのシャフトインサートの異なる回転速度において、搬送部に平行な全長にわたり、特に安定した、または一定の定められた間隙を保証する。これにより、特に正確に定められた厚さの固結物を実現することが可能であり、その結果、プロセスの均一性が特に高くなり、膨張結果に良い影響を及ぼす。
【0031】
少なくとも1つのシャフトインサートが浮動的に取り付けられる炉シャフトの下端の領域は、炉シャフトの外側に配置され得る。
【0032】
たとえば、浮動ベアリングのために、回転軸に沿って動くことができるように(「浮動的に」)取り付けられたセンタリングピンがシャフトインサートに設けられ得る。センタリングピンは、回転軸に沿って延び、特に回転軸に沿って測定された長さにおいて、シャフトインサートの全ての熱膨張に関して「浮動」または可動ベアリングが保証されるような寸法である。
【0033】
本発明に係るデバイスの好適な実施形態において、少なくとも1つのシャフトインサートは、いくつかの、好適には8つ、特に好適には2~4つのスクレーパブレードを有することが定められる。これは、示された数が、(いくつかのシャフトインサートを設けるべきである場合)合計数および/またはシャフトインサートごとのスクレーパブレードの数と見なされ得ることを意味する。複数のスクレーパブレードは、精度の点で有利であり、これによって膨張プロセスが調整可能である。たとえば、複数のスクレーパブレードは、膨張プロセスに影響を及ぼすために搬送部に沿って異なる間隙をもたらすために使用され得る。
【0034】
それぞれのシャフトインサートのスクレーパブレードの数もまた、たとえばスクレーパブレードが収縮/伸長または挿入/取外し可能であるという点で、可変に設計され得る。
【0035】
特に、いくつかのスクレーパブレードが、炉シャフトの長手方向軸または径方向中心を中心とする周方向に見て互いに前後に配置される場合、径方向中心を中心とする角度範囲全体で特に均一な厚さの固結物が実現され得ることにより、特に均一な膨張または膨張結果がもたらされる。したがって、本発明に係るデバイスの特に好適な実施形態において、スクレーパブレードの少なくとも2つは、炉シャフトの径方向中心を中心とする周方向に見て互いに前後に配置されることが定められる。スクレーパブレードの2つより多く、特に全てのスクレーパブレードが、周方向に見て互いに前後に配置されてもよいことが理解される。
【0036】
いくつかのスクレーパブレードによる上述した設計可能性の増加によると、本発明に係るデバイスの特に好適な実施形態において、スクレーパブレードの少なくとも2つは、内壁との間に異なる間隙幅を有する間隙を形成することが定められる。この場合、間隙幅は、搬送方向に見て変動することができ、すなわち、異なる間隙幅を有する間隙が、搬送方向に見て少なくとも部分的に互いに前後に配置され得る。これは、たとえば、異なる温度のゾーンにおける砂粒の滞留時間に影響を及ぼし得る。
【0037】
代替または追加として、間隙幅は、周方向に見た場合に異なってよく、すなわち、異なる間隙幅を有する間隙が、周方向に見た場合に少なくとも部分的に互いに前後に配置され得る。このようにすると、たとえば、固結物を除去するプロセスは、所望の厚さを極めて正確に設定するために最適化され得る。
【0038】
温度および膨張される材料に依存して、固結物の厚さは、異なる速度で成長し得る。したがって、固結物の(部分的な)除去を加速、または任意選択的に減速する必要があり得る。特に後者は、炉シャフト内の所望の粒子流を設定するための有利性も示し得る。したがって、本発明に係るデバイスの好適な実施形態において、可変の回転速度で少なくとも1つのシャフトインサートを回転させるための少なくとも1つの駆動手段が提供され、回転速度は、好適には0.125rpm(「毎分回転数」)~3rpmの範囲、更に好適には0.5rpm~2rpmの範囲であることが定められる。たとえば、実際には、回転速度は、1rpm付近の範囲で設定され、または変化し得る。
【0039】
たとえば少なくとも1つの駆動シャフトを介して少なくとも1つのシャフトインサートに連結され得る適切な駆動手段は、それ自体が知られている。たとえば、駆動手段として電気モータが適切であり、回転速度を変化させるために歯車または可変比または減速が設けられ得る。少なくとも1つのシャフトインサートの回転速度を変化させるために周波数コンバータ(複数も可)によって回転速度が変化する1または複数の電気モータを使用することも考えられる。
【0040】
本発明に係るデバイスにおいて、少なくとも1つのシャフトインサートは、いずれの場合も、少なくとも1つのスクレーパブレードが径方向に平行な方向部分を有して突出する基体を有し、径方向は、それぞれのシャフトインサートの回転軸に垂直な平面にあり、それぞれの回転軸を始点として、そこから離れる方向を向いており、それぞれの基体は、少なくとも径方向に見て、実質的に閉じている。この径方向の定義によると、それぞれのシャフトインサートの回転軸に垂直な上記平面において、無限数の径方向が存在する。
【0041】
少なくとも1つのスクレーパブレードがそれぞれの基体から「曲がって」突出するように、他の方向成分がゼロでない場合が除外されることはない。ただし、好適には、他の方向成分はゼロである。
【0042】
「実質的に閉じている」という用語は、たとえば製造工程によってある程度存在することが不可避であり得るが無視できるわずかな程度の開口部が存在し得る点を除く閉鎖性を意味する。基体の特に径方向における閉鎖性により、砂粒が移動エリアから基体内に出られないことが保証される。したがって、砂粒は、定められたエネルギ入力を保証するために、内壁または固結物から所定の距離で移動範囲内に誘導され得る。
【0043】
本発明に係るデバイスの特に好適な実施形態において、それぞれの基体は基本的に回転円筒形状であり、好適には、それぞれの基体の上流および/または下流の搬送方向に見て、回転軸に沿って基体から離れる方向に先細りになるシャフト挿入部が、それぞれの基体に隣接し、特にそれぞれの基体と同一平面上にあることが定められる。ただし、原則として、他の形状の基体も考えられ、その場合、好適には回転体の形状、たとえば円錐形状または円錐台形状である。
【0044】
シャフト挿入部(複数も可)の先細りは、それぞれの基体から離れる方向であり、流れの点から非常に好ましいことが示される。これは、粒子流または砂粒がそれぞれのシャフト挿入部の円錐形状によって基体の方向、したがって移動範囲内に連続的に導かれ、移動範囲から、再び基体から離れる方向に連続的に導かれることを意味する。
【0045】
原則として、シャフト挿入部に関する多様な具体的形状が考えられる。好適には、シャフト挿入部は円錐状または円錐台状である。
【0046】
シャフト挿入部(複数も可)および基体は、シャフトインサートの異なるセグメント(「シャフト挿入部」)を表す。
【0047】
先細りのシャフト挿入部(複数も可)もまた、好適には、少なくとも径方向に見て基本的に閉じている。これにより、砂または粒状材料が、それぞれのシャフト挿入部のエリア内でシャフトインサートに入り込まず、搬送方向に平行な方向部分を有する炉シャフトを通ってシャフトインサートと固結物(任意選択的に内壁)との間のみを移動し得ることが保証される。原則として、シャフトインサートは、径方向には制限がないが、砂粒子がシャフトインサートに入らないように基本的に閉じていることが定められ得る。好適には、シャフトインサートは、材料および重量を節減するために、内部空間を有する中空体として設計される。シャフトインサートの内部に存在し、温度によって膨張(または収縮)する空気やガスが、シャフトインサートの内部から(または内部へ)通過することを可能にし、圧力の均等化をもたらすために、シャフトインサートに、特に基体および/またはシャフト挿入部(複数も可)に小さな圧力解放開口部が設けられ得る。
【0048】
膨張プロセスの調整可能性を高めるために、本発明に係るデバイスの特に好適な実施形態において、少なくとも1つのスクレーパブレードは、間隙幅を調整することができるように、それぞれの基体上で伸長可能/収縮可能および/または回動可能であることが定められる。間隙幅を小さくするための伸長または間隙幅を大きくするための収縮は、径方向における、または径方向に対する方向成分で行われ得る。
【0049】
回動は、いずれの場合も、好適には長手方向軸またはそれぞれの回転軸に平行な回動軸を中心として行われる。それぞれのスクレーパブレードの回動運動によって間隙幅が変化する、それぞれの回動軸の他の配置も当然考えられる。
【0050】
少なくとも1つのスクレーパブレードの設計を特に単純にするために、本発明に係るデバイスの好適な実施形態において、少なくとも1つのスクレーパブレードは、基本的に直線に、好適には搬送方向に平行に延びることが定められる。
【0051】
特に、それぞれのスクレーパブレードは、炉シャフトの長手方向軸またはそれぞれのシャフトインサートの回転軸に平行に延びてよい。
【0052】
砂または粒状材料が移動範囲を通らなければならない経路を特に長くし、それによって炉シャフト内の粒状物の熱処理を特に長時間実行可能にするために、本発明に係るデバイスの好適な実施形態において、少なくとも1つのスクレーパブレードは、それぞれのシャフトインサートの回転軸を中心として少なくとも部分的に螺旋状または渦巻状に延びることが定められる。個々のスクレーパブレードが回転軸の周囲全体に延びる必要はなく、360°よりも実質的に小さな角度範囲をカバーするだけでもよい。
【0053】
上記によると、いくつかのシャフトインサートの例では、理論的には螺旋状スクレーパブレードは、少なくとも部分的に異なる回転軸を中心として螺旋状に延びてもよい。
【0054】
留意すべき点として、いくつかのスクレーパブレードの例では、直線状に延びるスクレーパブレードおよび螺旋状に延びるスクレーパブレードの両方、すなわちいくつかの直線状に延びるスクレーパブレードおよび/またはいくつかの螺旋状に延びるスクレーパブレードが設けられ得る。砂または粒状材料の移動エリアは、対応して多様に設計され得る。
【0055】
留意すべき点として、上述したものと同様に、間隙幅は、少なくとも1つの螺旋状に延びるスクレーパブレードの適切な設計によって周方向に見た場合に異なるように作られてよく、すなわち、本発明に係るデバイスの特に好適な実施形態において、間隙幅は、炉シャフトの径方向中心を中心とする周方向に見た場合に異なることが定められる。この場合、螺旋状に延びるスクレーパブレードおよび内壁によって形成された間隙の間隙幅の相違は、螺旋形状または渦巻形状によって、搬送方向に見た場合にももたらされる。上述したように、径方向中心は、典型的には炉シャフトの長手方向軸と一致する。これは、単一の螺旋状に延びるスクレーパブレードのみが設けられる場合でも、周方向に見た場合、また搬送方向に見た場合にも間隙幅が異なり得ることを意味する。
【0056】
上記によると、本発明に係るデバイスの好適な実施形態において、搬送方向に見て、少なくとも1つの間隙の間隙幅が異なることが定められる。これは、直線状に延びるスクレーパブレードでも、少なくとも部分的に螺旋状に延びるスクレーパブレードでも実現され得る。
【0057】
特に、これにより、異なる膨張段階が考慮されること、および搬送方向に沿った炉シャフトの様々なセクションでの滞留時間が影響を受けることが可能である。たとえば、搬送方向に見て連続的に大きくなる、または小さくなる間隙幅が実現され得る。
【0058】
本発明に係るデバイスの好適な実施形態において、内壁は、好適には高温鋼で作られた少なくとも1つの制限素子によって形成されること、および、少なくとも1つのシャフトインサートは、少なくとも1つの制限素子と同じ材料で作られることが定められる。上記材料の選択により、制限素子とシャフトインサートとで同じ性能要件の実現が保証される。また、同じ材料の選択により、熱膨張係数も同じになることによって、異なる熱膨張に起因する歪みを回避することができ、一定の間隙形状または間隙サイズが保証され得る。
【0059】
好適には、炉は、制限素子の裏側で径方向に見た場合、1または複数の他の材料、特に断熱材料で構成される。
【0060】
高温鋼は、周知の種類のステンレス鋼である。
【0061】
一方、制限素子により、炉シャフト内に供給された材料が、径方向に見て制限素子の裏側に配置された加熱素子と接触しないことを構造的に単純な方法で保証することが可能である。他方では、少なくとも1つの制限素子によって、炉シャフトの所望の、特に円形の断面形状は、非常に容易に、可能な限り正確に実現され、かつ必要に応じて異なる用途に適合され得る。
【0062】
制限素子のための材料の的確または適切な選択により、制限素子の機能が損なわれ、または損傷を負うことなく、実際に役割を果たす全ての温度範囲で使用されることが可能である。パーライトまたは黒曜石を膨張させる場合、特に金属材料が考慮される。この文脈では、特に高い焼成温度を必要とする他の項物に関して、金属ではなく、たとえばカーボンファイバや(高性能)セラミックなどの他の適切な材料で制限素子を製造することも考えられる。
【0063】
上述したように、シャフトインサートは、いくつかの部品またはセグメントで構成され得る。これらは、特にシャフトインサートの取付けおよび取外し中、組立ておよび分解することができ、それぞれのプロセスを簡略化する。これは、特に基体にも適用される。したがって、本発明に係るデバイスの特に好適な実施形態において、基体は、互いに取外し可能に連結された複数の部分セグメントから構成されることが定められる。これにより、取付けおよび取外しの際、基体を困難なく組立ておよび分解することが可能である。部分セグメントの取外し可能な連結は、それ自体が既知の方法で、たとえばねじ止めによって実現され得る。
【0064】
本発明は、以下、典型的な実施形態を用いて詳しく説明される。図面は、典型例であり、本発明の概念を例示することが意図され、本発明を制限または決定的に再現することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】本発明に係るデバイスの第1の実施形態の概略断面図を示し、デバイスの炉の長手方向軸が断面に位置する。
【
図2】
図1のデバイスの上からの概略断面図であり、断面は長手方向軸に垂直である。
【
図3】本発明に係るデバイスの第2の実施形態の概略断面図であり、デバイスの炉の長手方向軸が断面に位置する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、膨張剤を用いて砂粒状の鉱物材料から膨張粒状材料2を製造するための発明に係るデバイスの第1の実施形態を示す。図示された典型的な実施形態において、膨張粒状材料2が製造される鉱物材料は、膨張剤として結合水を含むパーライト砂1である。
【0067】
デバイスは、上端5および下端6を有する略垂直に配置された炉シャフト4を有する炉3を備え、2つの端部5、6の間には、搬送方向10に互いに離間して配置されたいくつかの加熱ゾーン8を通る搬送部7が延びる。搬送方向10は、重力方向に略平行であり、原則として、重力方向に向いても重力方向に逆らってもよい。図示された典型的な実施形態において、搬送方向10は重力方向に逆らう方向、すなわち下端6から上端5に向いている。
【0068】
加熱ゾーン8の各々は、パーライト砂1を少なくとも臨界温度まで加熱し、パーライト砂粒1を膨張させるために互いに独立して制御され得る少なくとも1つの加熱素子9を有する。特に、加熱素子9は、電気加熱素子9であってよい。
【0069】
また、パーライト砂1を、搬送方向10に見て搬送部7の少なくとも最後の半分、好適には最後の3分の1で膨張させるために、炉シャフト4の両端5、6の一方において少なくとも未膨張のパーライト砂1を炉シャフト4の両端6、5の他方の方向に炉シャフト4内に供給するように適合された少なくとも1つの供給手段(不図示)が設けられる。図示された典型的な実施形態において、未膨張のパーライト砂1の供給は、下端6において上端5の方向に行われ、膨張粒状材料2は、上端5から出る。このための供給手段として、たとえばファンと協働する吸引ノズル(不図示)が設けられてよく、このノズルは、炉シャフト4の上流に連結され、炉シャフト4の下端6において一定量の空気とともに未膨張のパーライト砂1を上端5の方向に炉シャフト4内へ吸引するように構成される。これにより、一定量の空気は、下部から上部へ流れる空気流を形成し、それによってパーライト砂1は、搬送部7の上半分、好適には最上部3分の1で膨張されるように、搬送部7に沿って下部から上部への粒子流として搬送される。
【0070】
デバイスの動作状態において、一部が既に膨張した状態であり得るパーライト砂1の固結物15または塊が炉シャフト4の内壁13に生じる。
【0071】
本発明に係るデバイスの図示された典型的な実施形態において、いずれの場合も、炉シャフト4に配置された回転可能なシャフトインサート11が設けられ、シャフトインサート11の駆動シャフト28は、炉シャフト4の上端5から突出している。シャフトインサート11は、少なくとも1つのスクレーパブレード12を有し、これは、炉シャフト4の内壁13との間に間隙幅18を有する少なくとも1つの間隙14を形成し、デバイスの動作状態においてシャフトインサート11が回転すると、
図2を参照するように固結物15の厚さ16がそれぞれの間隙幅18よりも大きい場合、内壁13の間隙14内に配置された固結物15を部分的に除去するように構成される。
【0072】
間隙幅は、典型的には2mm~5mmの範囲である。
【0073】
これは、デバイスの動作状態において、パーライト砂1が炉シャフト4を通って搬送され、そこで膨張すると、短時間で隙間14が固結物15に覆われることを意味する。固結物15は、その後、シャフトインサート11の回転に伴い、少なくとも1つのスクレーパブレード12によって継続的に除去される。除去の結果、固結物15の厚さ16は概ね一定に、より正確には間隙幅18付近の特定の範囲内に制限および維持される。この固結物15の概ね一定で概ね均一な厚さ16により、加熱素子9によって固結物15を通して炉シャフト4内に概ね一定の放射強度が導入され得ることが保証される。その結果生じる、炉シャフト4への概ねまたは実質的に一定のエネルギ入力により、均一な膨張がもたらされ、(実質的にデバイスの動作を通して)実質的に一定の膨張結果が保証される。炉シャフト4内のパーライト砂粒1が、主に、少なくとも1つのスクレーパブレード12、その他のシャフトインサート11、および固結物15の間の明確に定義された移動範囲29内で搬送部7に沿って粒子流として動くという事実もまた、均一な膨張または一定かつ定義された膨張結果に寄与する。したがって、炉シャフト4内のパーライト砂粒1の滞留時間、およびそれに伴う膨張プロセスまたは膨張結果は、極めて正確に決定または制御され得る。
【0074】
図示された典型的な実施形態において、シャフトインサート11は、炉シャフト4の長手方向軸21に平行に延び炉シャフト4の径方向中心17と一致する回転軸20を中心として、回転方向26に回転可能であり、任意選択的に、回転方向26と逆にも回転可能である。
【0075】
一方、駆動シャフト28は、炉シャフト4の上端5の領域でシャフトインサート11を回転可能に支持する役割を果たす。炉シャフト4の下端6の領域において、シャフトインサート11は、たとえば回転軸20に沿って延び回転軸20と平行に可動支持されたセンタリングピン(不図示)によって、浮動可能に取り付けられる。
【0076】
一方、駆動手段(不図示)は、シャフトインサート11を回転させるために駆動シャフト28を係合してよい。図示された典型的な実施形態において、駆動手段は、可変の回転可能速度でシャフトインサート11を回転させるように配置され、回転速度は、好適には0.125rpm~3rpmの範囲、特に好適には0.5rpm~2rpmの範囲である。
【0077】
図示された典型的な実施形態において、シャフトインサート11は、略回転円筒状の基体を有し、そこから少なくとも1つのスクレーパブレード12が、径方向24に平行な方向部分を有して突出しており、径方向24は、シャフトインサート11の回転軸20に垂直な平面にあり、回転軸20を始点とし、そこから離れる方向を向いている。搬送方向10に見て、それぞれの先細りシャフト挿入部23は、基体22の上流および下流に配置され、基体22と同一平面上にある。いずれの場合も、先細り部分は、回転軸20に沿って基体22から離れる方向を向いている。駆動シャフト28は、搬送方向10に見て後方側のシャフト挿入部23に連結される。
【0078】
基体22ならびにシャフト挿入部23は、パーライト砂粒1がシャフトインサート11に入ることができないように、実質的に閉じた形状である。したがって、粒子流25は、搬送部7に沿って専ら移動範囲29内を移動可能であり、粒子流25は、シャフト挿入部23の先細り形状によって、流れを促進するように移動範囲29の内外に導かれる。好適には、シャフトインサート11は内部が空洞であり、基体22および/またはシャフト挿入部23に、より小さな圧力解放開口部が設けられてよく、シャフトインサート11の内部に存在し温度によって膨張(または収縮)する空気またはガスが、シャフトインサート11の内部から(または内部へ)通過することにより、圧力均等化をもたらすことを可能にする。
【0079】
図示された典型的な実施形態において、シャフトインサート11は、内壁13を形成する制限素子27と同じ材料、すなわち高温鋼で作られる。これにより、シャフトインサート11が、内壁13と同じように、デバイスの動作状態において膨張中に炉シャフト4内で生じ得る温度に容易に耐え得ることが保証される。また、同じ材料の選択により、熱膨張の係数も同じになり、異なる熱膨張に起因する歪みが回避され、一定の形状またはサイズの間隙14が保証される。制限素子27によって内壁13を形成することによって、長手方向軸21に垂直な炉シャフト4の内壁13または(明確な)断面の幾何学形状を明確に定義される方法で形成することができ、上記断面は、図示された典型的な実施形態において、実質的に円形である。
【0080】
図1に示す第1の典型的な実施形態において、基体22から径方向24に均一に突出し、径方向中心17を中心とする周方向19に見て互いに前後に配置された4つのスクレーパブレード12が設けられ、スクレーパブレード12間の角度間隔は実質的に一定である。これにより、スクレーパブレード12は、略直線的に、搬送方向10に平行に延びる。したがって、径方向中心17を中心として対称的に配置され、搬送方向10に平行に直線的に延びる4つの移動範囲29が存在する。
【0081】
それに応じて、間隙幅28は、搬送方向10に見て基本的に一定である。シャフトインサート11の回転により、スクレーパブレード12と、炉シャフト4の明確な円形断面を画定する内壁13との間に環状の間隙が生じ、間隙幅18は、周方向19に見た場合に基本的に一定である。
【0082】
したがって、粒子に生じ得る乱流を考慮せず、純粋に幾何学的な観点から、粒子流25内のパーライト砂粒1は、移動範囲29を通り搬送方向10に平行な直線に沿って移動し得る。
図2において、移動範囲29の上記の対称配置が示され、明確性のために、粒子流25は2つの移動範囲29内にのみ示される。
【0083】
図3に示す第2の典型的な実施形態は、スクレーパブレード12の設計のみが第1の典型的な実施形態と異なっている。
【0084】
したがって、特に例外が明記されない限り、第1の典型的な実施形態に関して上述したものは、第2の典型的な実施形態にも類似的に適用されるため、ここでは繰り返さない。
【0085】
図3から分かるように、第2の典型的な実施形態において、基体22から径方向24に均一に突出し、各々がシャフトインサート11の回転軸20を中心として螺旋状に延びる2つのスクレーパブレード12が設けられる。その結果、2つの螺旋状または渦巻状スクレーパブレード12は、互いに入れ子状になっている。
【0086】
したがって、その結果生じる2つの移動範囲29もまた、回転軸20を中心として螺旋状または渦巻状に延びる。その結果、パーライト砂粒1が粒子流25内で移動範囲29を通って移動する際、それぞれの螺旋形状または渦巻形状を辿らなくてはならず、これにより、純粋に幾何学的な観点から、第1の典型的な実施形態に比べて、炉シャフト4を通るパーライト砂粒1の経路は大幅に長くなる。したがって、炉シャフト4内のパーライト砂1の熱処理は、比較的長くなり、膨張結果を更に最適化するために、更に精度が高くなり得る。
【0087】
また、留意すべき点として、図示された第2の典型的な実施形態において、間隙幅28もまた、搬送方向10に見た場合に基本的に一定である。同様に、シャフトインサート11の回転により、スクレーパブレード12と、炉シャフト4の明確な円形断面を画定する内壁13との間に環状間隙が生じ、間隙幅18は、周方向19に見た場合に基本的に一定である。
【0088】
最後に、留意すべき点として、第2の典型的な実施形態において、回転方向26の選択は、炉シャフト4内のパーライト砂粒1の滞留時間、およびそれに伴う膨張結果に更に影響を及ぼす可能性を提供する。
図3に示すものとは対照的に、スクレーパブレード12の特定のねじ形状と相互作用する回転方向26は、回転軸26に沿った対応するねじの動きの方向が搬送方向10と逆になるようなものであり、これにより、パーライト砂粒1の経路が再び効果的に低減され得る。実際、純粋に理論的な観点から、「適切な」回転速度および適切な流速により、粒子流25内のパーライト砂粒1の搬送方向10に平行な直線移動が実際に生じ得ることが考えられる。逆に、第2の典型的な実施形態において、
図3に示す回転方向26は、螺旋状または渦巻状の粒子流25が強制されることにより、滞留時間の延長をもたらす。
【0089】
回転方向26に関する更なる態様は、スクレーパブレード12の特定の螺旋形状を考えることにより、固結物15が主にブレードの上側で擦り落とされるか下側で擦り落とされるかが決定され、
図3において、搬送方向10に見た場合、ブレードの下側がブレード10の上側の正面にある。好適には、
図3に示すように、回転方向26は、ブレードの上側が剥離機能を担うように選択され、この理由は、固結物15が重力によってそれぞれの剥離ブレード12上に残らず、空気流に移動し、膨張粒状材料2とともに排出されるためである。
【符号の説明】
【0090】
1 パーライト砂
2 膨張粒状材料
3 炉
4 炉シャフト
5 炉シャフトの上端
6 炉シャフトの下端
7 搬送部
8 加熱ゾーン
9 加熱素子
10 搬送方向
11 シャフトインサート
12 スクレーパブレード
13 炉シャフトの内壁
14 間隙
15 固結物
16 固結物厚さ
17 炉シャフトの径方向中心
18 間隙幅
19 周方向
20 回転軸
21 炉シャフトの長手方向軸
22 基体
23 先細りシャフト挿入部
24 径方向
25 粒子流
26 回転方向
27 制限素子
28 駆動シャフト
29 移動範囲
【国際調査報告】