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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】微粉化脂質
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/23 20060101AFI20240423BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240423BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K31/23
A61K45/00
A61P27/04
A61K9/10
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/28
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/36
A61P43/00 121
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568533
(86)(22)【出願日】2021-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2021030443
(87)【国際公開番号】W WO2022235252
(87)【国際公開日】2022-11-10
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】523419059
【氏名又は名称】エムシーエーエル セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ガデク,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA94
4C076BB22
4C076BB24
4C076BB25
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB32
4C076CC10
4C076DD26Z
4C076DD41
4C076DD46
4C076DD70
4C076EE09
4C076EE11
4C076EE27
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE48
4C076FF36
4C084AA19
4C084MA23
4C084MA58
4C084NA03
4C084ZA33
4C084ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA22
4C206DB06
4C206DB47
4C206MA01
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA43
4C206MA78
4C206NA03
4C206ZA33
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、活性脂質剤を含む微粉化粒子を含む薬物送達ビヒクルに関し、特に、sn-1-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールおよびその異性体のようなエーテル脂質を含む微粉化脂質粒子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質粒子組成物であって、
活性脂質剤を含んだ固体非極性脂質粒子であって、局所投与に適した水性緩衝ビヒクル中に安定に懸濁された50ミクロン未満の平均粒径を有する固体非極性脂質粒子を含むことを特徴とする、脂質粒子組成物。
【請求項2】
前記固体非極性脂質粒子が80℃未満の融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の脂質粒子組成物。
【請求項3】
前記固体非極性脂質粒子が20~80℃の融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の脂質粒子組成物。
【請求項4】
前記固体非極性脂質粒子が30~60℃の融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の脂質粒子組成物。
【請求項5】
前記固体非極性脂質粒子が20ミクロン未満の平均粒径を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項6】
前記固体非極性脂質粒子が10ミクロン未満の平均粒径を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項7】
前記活性脂質剤が非極性エーテル脂質であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項8】
前記固体非極性脂質粒子が、以下からなる群より選択される活性脂質剤を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物:
【化1】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である;
【化2】

ここで
は水素(すなわちH)である;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【化3】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である。
【請求項9】
前記固体非極性脂質粒子が、以下からなる群より選択される活性脂質剤を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物:
【化4】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
【化5】

ここで
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【化6】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである。
【請求項10】
前記固体非極性脂質粒子が、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-グリセロール、sn-2-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロール、1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-グリセロール、sn-1-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロールおよびそれらの混合物からなる群から選択される活性脂質剤を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項11】
前記固体非極性脂質粒子が、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)または1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)およびそれらの混合物からなる群から選択される活性脂質剤を含むことを特徴とする、請求項10に記載の脂質粒子組成物。
【請求項12】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の脂質粒子組成物。
【請求項13】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の脂質粒子組成物。
【請求項14】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の脂質粒子組成物。
【請求項15】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および5%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の脂質粒子組成物。
【請求項16】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および2%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の脂質粒子組成物。
【請求項17】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および1%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の脂質粒子組成物。
【請求項18】
前記固体非極性脂質粒子が、非極性のモノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、コレステロールエステルを含むワックスエステル、ステロール、遊離脂肪酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の追加の脂質をさらに含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項19】
前記水性緩衝ビヒクルが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、3%以下(ビヒクルのw/w)のポリソルベート80および0.3%以下(ビヒクルのw/w)のキサンタンガムを含み、6.5~8.0のpHおよび260~320mOsm/Lの浸透圧を有することを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項20】
懸濁粒子が、懸濁液からの相分離に対して室温で6ヶ月間安定であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項21】
懸濁粒子が、室温で6ヶ月間保存中に1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定であることを特徴とする、請求項20に記載の脂質粒子組成物。
【請求項22】
懸濁粒子が、懸濁液からの相分離に対して室温で24ヶ月間安定であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項23】
懸濁粒子が、室温で24ヶ月の保存中に1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定であることを特徴とする、請求項22に記載の脂質粒子組成物。
【請求項24】
組成物が無菌であることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項25】
組成物が保存剤を含むことを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項26】
懸濁液が保存剤を含まないことを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項27】
前記水性緩衝ビヒクルが、眼科的に許容される担体であることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項28】
前記水性緩衝ビヒクルが、緩衝剤、強壮剤、湿潤剤、増粘・粘性剤、密度調整剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される薬剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項29】
前記固体非極性脂質粒子中の活性脂質剤が、点眼剤として投与された後、一定期間、個々の分子として固体非極性脂質粒子から放出されることを特徴とする、請求項1~28のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項30】
個々の分子が1時間から24時間の期間放出されることを特徴とする、請求項29に記載の脂質粒子組成物。
【請求項31】
懸濁液が滴下ディスペンサーで提供されることを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項32】
ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙液蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療する方法であって、
有効量の活性脂質剤を含む請求項1から31のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物を対象の眼に局所投与することを含む、方法。
【請求項33】
治療を必要とする前記対象は、米国における、正常な健康な集団のTBUTの通常の臨床範囲未満の涙液膜破断時間を有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙水蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療に使用するための、請求項1から31のいずれか一項に記載の脂質粒子組成物。
【請求項35】
50ミクロン未満の平均粒径を有する固体非極性脂質粒子を含む薬物送達ビヒクルであって、前記粒子は、前記固体非極性脂質粒子を形成する脂質以外の活性薬剤を含むことを特徴とする、薬物送達ビヒクル。
【請求項36】
前記固体非極性脂質粒子が80℃未満の融点を有することを特徴とする、請求項35に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項37】
前記固体非極性脂質粒子が20~80℃の融点を有することを特徴とする、請求項35に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項38】
前記固体非極性脂質粒子が30~60℃の融点を有することを特徴とする、請求項35に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項39】
前記固体非極性脂質粒子が20ミクロン未満の平均粒径を有することを特徴とする、請求項35から38のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項40】
前記固体非極性脂質粒子が10ミクロン未満の平均粒径を有することを特徴とする、請求項35から39のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項41】
前記固体非極性脂質粒子が、以下からなる群より選択されるエーテル脂質を含むことを特徴とする、請求項35から40のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル:
【化7】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である;
【化8】

ここで
は水素(すなわちH)である;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【化9】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である。
【請求項42】
前記固体非極性脂質粒子が、以下からなる群より選択されるエーテル脂質を含むことを特徴とする、請求項35から41のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル:
【化10】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
【化11】

ここで
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【化12】

ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである。
【請求項43】
前記固体非極性脂質粒子が、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-グリセロール、sn-2-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロール、1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-グリセロール、sn-1-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロールおよびそれらの混合物からなる群から選択されるエーテル脂質を含むことを特徴とする、請求項35から42のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項44】
前記固体非極性脂質粒子が、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)または1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)およびそれらの混合物からなる群から選択されるエーテル脂質を含むことを特徴とする、請求項43に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項45】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物およびそれらの混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項44に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項46】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項44に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項47】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項44に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項48】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および5%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項44に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項49】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および2%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項44に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項50】
エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および1%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする、請求項44に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項51】
前記固体非極性脂質粒子が、非極性のモノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、コレステロールエステルを含むワックスエステル、ステロール、遊離脂肪酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の追加の脂質をさらに含むことを特徴とする、請求項35から50のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項52】
前記活性薬剤が、市販薬(OTC)または処方箋の局所眼科薬、ドライアイ治療用のOTCまたは処方箋の局所眼科薬、NMDA拮抗薬、抗細菌薬、抗ヒスタミン薬、充血除去薬、抗炎症薬、抗寄生虫薬、ミオティック、交感神経刺激薬、抗コリン薬、アドレナリン薬、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、アメーバ駆除剤、トリコモナゾール剤、鎮痛剤、散瞳剤、抗緑内障剤、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断薬、手術の補助剤として使用される眼科薬剤、キレート剤、抗悪性腫瘍薬、抗高血圧薬、筋弛緩薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β遮断薬、α2-アゴニスト、サイクロプレンギック、プロスタグランジンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項35から51のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項53】
前記固体非極性脂質粒子が、生理学的に許容される担体中の水性懸濁液として製剤化されることを特徴とする、請求項35から52のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項54】
前記液体組成物が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、3%以下(ビヒクルのw/w)のポリソルベート80および0.3%以下(ビヒクルのw/w)のキサンタンガムを含む水中の固体微粉化脂質粒子の懸濁液であり、6.5~8.0のpHおよび260~320mOsm/Lの浸透圧を有することを特徴とする、請求項53に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項55】
前記懸濁液が、前記懸濁液中の固体非極性脂質粒子の相分離に対して室温で6ヶ月間安定であることを特徴とする、請求項53から54のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項56】
前記懸濁液が、室温で6ヶ月間保存中に1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定であることを特徴とする、請求項55に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項57】
前記懸濁液が、前記懸濁液中の固体非極性脂質粒子の相分離に対して室温で24ヶ月間安定であることを特徴とする、請求項53から56のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項58】
前記懸濁液が、室温で24ヶ月間保存中に1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定であることを特徴とする、請求項57に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項59】
前記懸濁液が無菌であることを特徴とする、請求項53から58のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項60】
前記懸濁液が保存剤を含むことを特徴とする、請求項53から59のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項61】
前記懸濁液が保存剤を含まないことを特徴とする、請求項53から59のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項62】
前記生理学的に許容される担体が、眼科的に許容される担体であることを特徴とする、請求項53から61のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項63】
前記眼科的に許容される担体が、緩衝剤、強壮剤、湿潤剤、増粘・粘性剤、密度調整剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される薬剤を含むことを特徴とする、請求項62に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項64】
前記活性薬剤が、点眼剤として投与された後、一定期間、前記活性薬剤の個々の分子として前記固体非極性脂質粒子から放出されることを特徴とする、請求項53から63のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項65】
前記個々の分子が1時間から24時間の期間放出されることを特徴とする、請求項64に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項66】
前記懸濁液が滴下ディスペンサーで提供されることを特徴とする、請求項53から65のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項67】
前記薬物送達ビヒクルが医療用挿入器具であることを特徴とする、請求項35から52のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項68】
前記医療用挿入器具が、生理学的に許容される材料から形成されることを特徴とする、請求項67に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項69】
前記生理学的に許容される材料がポリマーであることを特徴とする、請求項68に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項70】
前記生理学的に許容される材料が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロゲル、ポリメチルメタクリレート、およびシリコーンアクリレートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項68に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項71】
前記医療用挿入器具が、穿刺プラグ、コンタクトレンズ、および眼科用挿入器具からなる群から選択されることを特徴とする、請求項67から70のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項72】
前記医療用挿入器具が再充電可能であることを特徴とする、請求項67から71のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項73】
前記医療用挿入器具が単回使用であることを特徴とする、請求項67から71のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項74】
前記医療用挿入器具が粘膜表面に適合することを特徴とする、請求項67から73のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項75】
前記粘膜表面が、眼粘膜表面、膣粘膜表面、鼻粘膜表面、口腔咽頭粘膜表面、口腔粘膜表面、および直腸粘膜表面からなる群より選択されることを特徴とする、請求項74に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項76】
活性薬剤を、それを必要とする対象に送達する方法であって、
請求項35から75のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクルを前記対象に局所投与することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項77】
前記薬物送達ビヒクルが前記対象の粘膜表面に投与されることを特徴とする、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記粘膜表面が、眼粘膜表面、膣粘膜表面、卵管粘膜表面、呼吸器系粘膜表面、鼻粘膜表面、口腔咽頭粘膜表面、口腔粘膜表面、直腸粘膜表面、消化器系粘膜表面、および食道粘膜表面からなる群より選択されることを特徴とする、請求項76から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記薬物送達ビヒクルが前記粘膜表面下に適用または移植されることを特徴とする、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記粘膜表面が眼粘膜表面であり、前記薬物送達ビヒクルが結膜またはテノン嚢の下に移植または適用されることを特徴とする、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記薬物送達ビヒクルが、球後、腔内、硝子体内、脈絡膜上および網膜下送達経路からなる群から選択される送達経路によって眼粘膜表面に適用されることを特徴とする、請求項79から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状または状態、急速な涙液蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療する方法であって、
有効量の活性脂質剤を含む請求項35から75のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクルを前記対象の眼に局所投与することを含む、方法。
【請求項83】
治療を必要とする前記対象は、米国における、正常な健康な集団のTBUTの通常の臨床範囲未満の涙液膜破断時間を有することを特徴とする、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状または状態、急速な涙液蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療に使用するための、請求項35から75のいずれか一項に記載の薬物送達ビヒクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性脂質剤を含む微粉化粒子を含む薬物送達ビヒクルに関し、特に、sn-1-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールおよびその異性体のようなエーテル脂質を含む微粉化脂質粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライアイ症候群は、目の表面の十分な潤滑と水分の、慢性的な不足によって引き起こされる。ドライアイの結果は、わずかではあるが常に眼を刺激するものから、重大な炎症、さらには眼の前面の瘢痕化まで多岐にわたる。ドライアイの主要な形態である蒸発性ドライアイは、マイボーム腺の機能障害と関連しており、涙液脂質層の不全や不安定性が、他の後遺症の中でも特に蒸発量の増加や涙液膜の不安定性をもたらす可能性がある。このように、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全、およびその結果として生じる涙液膜の不安定性は、ドライアイにおける眼表面の潤滑不足と水分不足の両方に寄与している。総説については、Chadyaら、Meibomian gland disease: the role of gland dysfunction in dry eye disease、Ophthalmology.2017 Nov; 124(11 Suppl):S20-S26を参照し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
ドライアイ症候群、ドライアイ疾患、または単に「ドライアイ」と呼ばれることに加え、ドライアイを説明するために使用される代替医療用語がある。乾燥性角膜炎は、角膜の乾燥と炎症を指す。角結膜炎は、角膜と結膜の両方に影響を及ぼすドライアイを指す。
【0004】
ドライアイ症候群は、世界的に最も一般的な眼疾患の一つであり、眼科を受診する主な理由となっている。Journal of Global Health誌に掲載された総説の中で、研究者らは、ドライアイの有病率は、世界中のさまざまな集団において、5%から50%にも及ぶという研究結果を報告した。ドライアイ症候群の危険因子としては、高齢、女性、コンピューターの使用などが挙げられている。ドライアイ症候群の症状には、灼熱感、目のかゆみ、目の痛み、目の重さ、目の疲れ、目の痛み、目の乾燥感、目の充血、羞明、目のかすみなどがある。ドライアイの臨床的徴候には、シルマー(Schirmer)涙液試験で測定される涙液分泌量の減少、角膜のバイタル染色(例えば、フルオレセイン)で測定される角膜上皮の完全性の欠陥、涙液膜破断時間(TBUT)の減少で測定される涙液脂質層の不安定性を含む涙液膜の特に不安定性が含まれる。
【0005】
涙は、水性成分、ムチン成分、脂質成分で構成されている。まばたきをするたびに、水成分と脂質成分は密接に混合され、水成分と脂質成分は涙液膜の内側の水層と外側の脂質層に自己選別される。脂質層内では、極性脂質と非極性脂質が自己選別され、極性脂質は水層界面で単分子層を形成し、非極性脂質は空気と直接界面する涙液脂質層の厚い外層を形成する。涙液膜脂質層(TFLL)の非極性外層は、5~50分子の厚さであり得る。目の表面に十分で安定した涙の層があることは、目を健康で快適な状態に保ち、よく見えるようにするために不可欠である。涙液膜は目の表面を潤し、角膜を傷つけ、目の炎症や感染症を引き起こす可能性のあるほこり、ごみ、微生物を洗い流す。前述したように、正常な涙液膜は3つの重要な成分で構成されている:油性成分(脂質)、水性成分(房水)、粘液様成分(ムチン)。涙液の各成分は重要な役割を果たしている。例えば、涙液脂質は涙液膜の水層が早く蒸発しないようにし、潤滑性を高めるのに役立ち、ムチン(可溶性および細胞関連)は涙を角膜上皮の生活面に固定し、広げるのに役立つ。水性成分は角膜前涙液膜の最も厚い層で、免疫グロブリンやリゾチームを含む様々なタンパク質を含み、微生物のコロニー形成を防ぐ役割を果たす。涙液膜については、Yanez-Sotoら, Interfacial phenomena and the ocular surface, Ocul Surf.2014 Jul;12(3):178-201に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
各涙成分は、眼球上または眼球近傍の異なる腺によって産生される。油性成分は、まぶたにあるマイボーム腺や、ハーダリアン腺を持つ種(例えばウサギ)ではハーダリアン腺から産生される。房水成分は、上まぶたの外側の裏側にある涙腺から分泌される(ヒトの場合)。多くの脊椎動物は副涙腺も持っている(例えば、イヌの第3眼瞼に付随する副涙腺)。可溶性ムチンの成分は、白目(強膜)を覆う結膜の杯細胞によって産生される。これらの涙液成分の供給源のいずれかに問題があると、涙液が不安定になり、ドライアイになる可能性がある。
【0007】
当技術分野で必要とされているのは、ドライアイに対する効果的な治療法と、それらの治療法のための効果的な送達システムである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、活性脂質剤を含む微粉化粒子を含む薬物送達ビヒクルに関し、特に、薬物送達ビヒクルおよび活性脂質剤の両方として、sn-1-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールおよびその異性体、類縁体および同族体のようなエーテル脂質を含む微小化脂質粒子に関する。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、100ミクロン未満の平均粒径を有する結晶性および非晶質の固体微粉化脂質粒子を含む薬物送達ビヒクルを提供し、粒子は活性薬剤を含み、薬物送達ビヒクルは、治療用組成物、生理学的に適合する担体および医療用挿入デバイスから選択される群から選択される。
【0010】
第1の態様において、本発明は、脂質粒子組成物であって、活性脂質剤を含んだ固体非極性脂質粒子であって、局所投与に適した水性緩衝ビヒクル中に安定に懸濁された50ミクロン未満の平均粒径を有する固体非極性脂質粒子を含む脂質粒子組成物を提供する。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は80℃未満の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は20~80℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は30~60℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は20ミクロン未満の平均粒径を有する。いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、10ミクロン未満の平均粒径を有する。
【0012】
いくつかの好ましい実施形態において、活性脂質剤は非極性エーテル脂質である。
【0013】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、以下からなる群から選択される活性脂質剤を含む:
【0014】
【化1】
【0015】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である;
【0016】
【化2】
【0017】
ここで
は水素(すなわちH)である;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0018】
【化3】
【0019】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、以下からなる群から選択される活性脂質剤を含む:
【0021】
【化4】
【0022】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
【0023】
【化5】
【0024】
ここで
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0025】
【化6】
【0026】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである。
【0027】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-グリセロール、sn-2-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロール、1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-グリセロール、sn-1-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロールおよびそれらの混合物からなる群から選択される活性脂質剤を含む。いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)または1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)およびそれらの混合物からなる群から選択される活性脂質剤を含む。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0029】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、50%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および50%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、50%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および50%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および5%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および2%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および1%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0031】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、非極性のモノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、コレステロールエステルを含むワックスエステル、ステロール、遊離脂肪酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の追加の脂質をさらに含む。いくつかの好ましい実施形態において、水性緩衝ビヒクルは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、3%以下(ビヒクルのw/w)のポリソルベート80、および0.3%以下(ビヒクルのw/w)のキサンタンガムを含み、6.5~8.0のpHおよび260~320mOsm/Lの浸透圧を有する。
【0032】
いくつかの好ましい実施形態において、懸濁粒子は、懸濁液からの相分離に対して室温で6ヶ月間安定である。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁粒子は、室温で6ヶ月間保存する間、1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定である。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁粒子は、懸濁液からの相分離に対して室温で24ヶ月間安定である。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁粒子は、室温で24ヶ月の保存中に1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定である。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態において、組成物は無菌である。いくつかの好ましい実施形態において、組成物は保存剤を含む。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は保存剤を含まない。いくつかの好ましい実施形態において、水性緩衝ビヒクルは、眼科的に許容される担体である。いくつかの好ましい実施形態において、水性緩衝ビヒクルは、緩衝剤、強壮剤、湿潤剤、増粘・粘性剤、密度調整剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される薬剤をさらに含む。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子中の活性脂質剤は、点眼剤として投与された後、一定期間、個々の分子として固体非極性脂質粒子から放出される。いくつかの好ましい実施形態において、個々の分子は1時間から24時間の期間放出される。いくつかの好ましい実施形態では、懸濁液は滴下ディスペンサーで提供される。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙液蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療する方法であって、有効量の活性脂質剤を含む上記のような脂質粒子組成物を対象の眼に局所投与することを含む、方法を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、治療を必要とする対象は、例えば、米国または別の国における、正常な健康な集団のTBUT(涙液膜破断時間)の通常の臨床範囲未満の涙液膜破断時間を有する。いくつかの好ましい実施形態において、本方法は、TBUT、眼の快適性、眼の乾燥、重要な結膜または角膜の染色、およびシルマー涙試験からなる群から選択される1つ以上の症状または測定値における改善(例えば、対照と比較した場合、または患者によって報告された場合)を提供する。
【0036】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙水蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療に使用するための、上記のような脂質粒子組成物を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、組成物の投与は、TBUT、眼の快適性、眼の乾燥、重要な結膜染色または角膜染色、およびシルマー涙試験からなる群から選択される1つ以上の症状または測定における改善(例えば、対照と比較して、または患者によって報告される)をもたらす。
【0037】
第2の態様において、本発明は、100ミクロン未満、好ましくは50ミクロン未満の平均粒径を有する固体非極性脂質粒子を含む薬物送達ビヒクルであって、粒子は、固体非極性脂質粒子を形成する脂質以外の活性薬剤(粒子中の脂質、例えば本明細書に記載されるエーテル脂質が第1の活性薬剤と称される場合、第2の活性薬剤と称することができる)を含む、薬物送達ビヒクルを提供する。
【0038】
いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は80℃未満の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は20~80℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は30~60℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は20ミクロン未満の平均粒径を有する。いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、10ミクロン未満の平均粒径を有する。
【0039】
他の好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、以下からなる群から選択されるエーテル脂質を含む:
【0040】
【化7】
【0041】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である;
【0042】
【化8】
【0043】
ここで
は水素(すなわちH)である;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0044】
【化9】
【0045】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、以下からなる群から選択されるエーテル脂質を含む:
【0047】
【化10】
【0048】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
【0049】
【化11】
【0050】
ここで
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0051】
【化12】
【0052】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである。
【0053】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-グリセロール、sn-2-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロール、1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-グリセロール、sn-1-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロールおよびそれらの混合物からなる群から選択されるエーテル脂質を含む。いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)または1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)およびそれらの混合物からなる群から選択されるエーテル脂質を含む。
【0054】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物およびそれらの混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0055】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および5%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および2%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および1%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0056】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、非極性モノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、コレステロールエステルを含むワックスエステル、ステロール、遊離脂肪酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の追加の脂質をさらに含む。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態において、活性薬剤は、市販薬(OTC)または処方箋の局所眼科薬、ドライアイ治療用のOTCまたは処方箋の局所眼科薬、NMDA拮抗薬、抗細菌薬、抗ヒスタミン薬、充血除去薬、抗炎症薬、抗寄生虫薬、ミオティック、交感神経刺激薬、抗コリン薬、アドレナリン薬、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、アメーバ駆除剤、トリコモナゾール剤、鎮痛剤、散瞳剤、抗緑内障剤、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断薬、手術の補助剤として使用される眼科薬剤、キレート剤、抗悪性腫瘍薬、抗高血圧薬、筋弛緩薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β遮断薬、α2-アゴニスト、サイクロプレンギック、プロスタグランジンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0058】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、生理学的に許容される担体中の水性懸濁液として製剤化される。いくつかの好ましい実施形態において、液体組成物は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、3%以下(ビヒクルのw/w)のポリソルベート80および0.3%以下(ビヒクルのw/w)のキサンタンガムを含む水中の固体微粉化脂質粒子の懸濁液であり、6.5~8.0のpHおよび260~320mOsm/Lの浸透圧を有する。
【0059】
いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は、懸濁液中の固体非極性脂質粒子の相分離に対して室温で6ヶ月間安定である。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は、室温で6ヶ月間保存中に1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定である。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は、懸濁液中の固体非極性脂質粒子の相分離に対して室温で24ヶ月間安定である。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は、室温で24ヶ月間保存中に1,2-EPRGの異性体1,3-EPRGへの<5%の異性化に対して化学的に安定である。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は無菌である。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は保存剤を含む。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は保存剤を含まない。いくつかの好ましい実施形態において、生理学的に許容される担体は、眼科的に許容される担体である。いくつかの好ましい実施形態において、眼科的に許容される担体は、緩衝剤、強壮剤、湿潤剤、増粘・粘性剤、密度調整剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される薬剤を含む。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態において、活性薬剤は、点眼剤として投与された後、一定期間、活性薬剤の個々の分子として固体非極性脂質粒子から放出される。いくつかの好ましい実施形態において、個々の分子は1時間から24時間の期間放出される。
【0062】
いくつかの好ましい実施形態では、懸濁液は滴下式ディスペンサーで提供される。
【0063】
いくつかの好ましい実施形態では、薬物送達ビヒクルは医療用挿入器具である。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は生理学的に許容される材料から形成される。いくつかの好ましい実施形態では、生理学的に許容される材料はポリマーである。いくつかの好ましい実施形態において、生理学的に許容される材料は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロゲル、ポリメチルメタクリレート、およびシリコーンアクリレートからなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、医療用挿入器具は、穿刺プラグ、コンタクトレンズ、および眼科用挿入器具からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は再充電可能である。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は単回使用である。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は粘膜表面に適合する。いくつかの好ましい実施形態では、粘膜表面は、眼粘膜表面、膣粘膜表面、鼻粘膜表面、口腔咽頭粘膜表面、口腔粘膜表面、および直腸粘膜表面からなる群から選択される。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、活性薬剤を、それを必要とする対象に送達する方法であって、上記のような薬物送達ビヒクルを対象に局所投与することを含む、方法を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、薬物送達ビヒクルは、対象の粘膜表面に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、粘膜表面は、眼粘膜表面、膣粘膜表面、卵管粘膜表面、呼吸器系粘膜表面、鼻粘膜表面、口腔咽頭粘膜表面、口腔粘膜表面、直腸粘膜表面、消化器系粘膜表面、および食道粘膜表面からなる群より選択される。いくつかの好ましい実施形態において、薬物送達ビヒクルは、粘膜表面下に適用または移植される。いくつかの好ましい実施形態において、粘膜表面は眼粘膜表面であり、薬物送達ビヒクルは結膜またはテノン嚢の下に移植または適用される。いくつかの好ましい実施形態において、薬物送達ビヒクルは、球後、腔内、硝子体内、脈絡膜上および網膜下送達経路からなる群から選択される送達経路によって眼粘膜表面に適用される。
【0065】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙液蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療する方法であって、有効量の活性脂質剤を含む上記のような薬物送達ビヒクルを対象の眼に局所投与することを含む、方法を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、治療を必要とする対象は、例えば、米国または別の国における、正常な健康な集団のTBUT(涙液膜破断時間)の通常の臨床範囲未満の涙液膜破断時間を有する。いくつかの好ましい実施形態において、本方法は、TBUT、眼の快適性、眼の乾燥、重要な結膜または角膜の染色、およびシルマー涙試験からなる群から選択される1つ以上の症状または測定値における改善(例えば、対照と比較した場合、または患者によって報告された場合)を提供する。
【0066】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙液蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、このような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療に使用するための、上記のような薬物送達ビヒクルを提供する。いくつかの好ましい実施形態において、組成物の投与は、TBUT、眼の快適性、眼の乾燥、重要な結膜染色または角膜染色、およびシルマー涙試験からなる群から選択される1つ以上の症状または測定における改善(例えば、対照と比較して、または患者によって報告される)をもたらす
さらに他の好ましい実施形態において、本発明は、その動物種またはヒトにおいて臨床的に認識される正常範囲を下回る涙液膜破断時間(TBUT)で同定され得るそのような治療を必要とする動物またはヒト対象の治療に使用するための、上記のような脂質粒子組成物または薬物送達ビヒクルを提供する。
【0067】
第3の態様において、本発明は、活性脂質剤を含み、50ミクロン未満の平均粒径を有する固体非極性脂質粒子を含む脂質粒子組成物を提供する。
【0068】
いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は80℃未満の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は20~80℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は30~60℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態では、固体非極性脂質粒子は20ミクロン未満の平均粒径を有する。いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、10ミクロン未満の平均粒径を有する。
【0069】
いくつかの好ましい実施形態において、活性脂質剤は非極性エーテル脂質である。
【0070】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、以下からなる群から選択される活性脂質剤を含む:
【0071】
【化13】
【0072】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である;
【0073】
【化14】
【0074】
ここで
は水素(すなわちH)である;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0075】
【化15】
【0076】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である。
【0077】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、以下からなる群から選択される活性脂質剤を含む:
【0078】
【化16】
【0079】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
【0080】
【化17】
【0081】
ここで
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0082】
【化18】
【0083】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニルである。
【0084】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-グリセロール、sn-2-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロール、1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-グリセロール、sn-1-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロールおよびそれらの混合物からなる群から選択される活性脂質剤を含む。いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)または1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)およびそれらの混合物からなる群から選択される活性脂質剤を含む。
【0085】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0086】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および5%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および2%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および1%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0087】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、非極性のモノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、コレステロールエステルを含むワックスエステル、ステロール、遊離脂肪酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の追加の脂質をさらに含む。
【0088】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は懸濁液として製剤化される。
【0089】
いくつかの好ましい実施形態において、固体非極性脂質粒子は、医療用挿入器具として提供される。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は生理学的に許容される材料から形成される。いくつかの好ましい実施形態では、生理学的に許容される材料はポリマーである。いくつかの好ましい実施形態において、生理学的に許容される材料は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロゲル、ポリメチルメタクリレート、およびシリコーンアクリレートからなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、医療用挿入器具は、穿刺プラグ、コンタクトレンズ、および眼科用挿入器具からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は再充電可能である。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は単回使用である。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は粘膜表面に適合する。いくつかの好ましい実施形態では、粘膜表面は、眼粘膜表面、膣粘膜表面、鼻粘膜表面、口腔咽頭粘膜表面、口腔粘膜表面、および直腸粘膜表面からなる群から選択される。
【0090】
いくつかの好ましい実施形態において、脂質粒子は、好ましくは、第1の活性薬剤(すなわち、エーテル脂質)に加えて第2の活性薬剤を含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態において、活性薬剤は、市販薬(OTC)または処方箋の局所眼科薬、ドライアイ治療用のOTCまたは処方箋の局所眼科薬、NMDA拮抗薬、抗細菌薬、抗ヒスタミン薬、充血除去薬、抗炎症薬、抗寄生虫薬、ミオティック、交感神経刺激薬、抗コリン薬、アドレナリン薬、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、アメーバ駆除剤、トリコモナゾール剤、鎮痛剤、散瞳剤、抗緑内障剤、炭酸脱水酵素阻害剤、眼科診断薬、手術の補助剤として使用される眼科薬剤、キレート剤、抗悪性腫瘍薬、抗高血圧薬、筋弛緩薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β遮断薬、α2-アゴニスト、サイクロプレンギック、プロスタグランジンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0091】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、上記のような脂質粒子組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、粘膜に関連する疾患または障害を治療する方法を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、疾患または障害は、そのような治療を必要とする動物またはヒト対象において、ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙液蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害である。いくつかの好ましい実施形態において、組成物の投与は、TBUT、眼の快適性、眼の乾燥、重要な結膜染色または角膜染色、およびシルマー涙試験からなる群から選択される1つ以上の症状または測定における改善(例えば、対照と比較して、または患者によって報告される)をもたらす。
【0092】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、対象の粘膜の疾患または障害を治療するための、上記のような脂質粒子組成物の使用を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、疾患または障害は、そのような治療を必要とする動物またはヒト対象において、ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙水蒸発をもたらす不安定な涙液膜、および乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害である。いくつかの好ましい実施形態において、組成物の投与は、TBUT、眼の快適性、眼の乾燥、重要な結膜染色または角膜染色、およびシルマー涙試験からなる群から選択される1つ以上の症状または測定における改善(例えば、対照と比較して、または患者によって報告される)をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】本発明の実施形態で使用される脂質の合成に関する概略図である。
図2】本発明の固体微粉化脂質粒子の粒径(動的光散乱法により測定)を示すグラフである。
図3】異なる濃度のキサンタンガム賦形剤の存在下、安定に懸濁した固体微粉化粒子の写真である。
図4】ジェットミル微粉化後のMCAL-201の1,3-EPRGおよび1,2-EPRG異性体含有量(1.15モル% 1,3-EPRG)のNMR(核磁気共鳴)スペクトル分析を提供する。
図5】固体微粉化MCAL-201懸濁液を室温で6週間保存した後のMCAL-201の1,3-EPRGおよび1,2-EPRG異性体含量(0.0991モル% 1,3-EPRG)のNMR(核磁気共鳴)スペクトル分析を提供する。
図6】本発明の微粉化固体脂質粒子の投与が、5匹の健康なイヌにおいて、1回の投与後にTBUTの延長をもたらしたことを示すグラフを提供する。
図7】グリセロール骨格の炭素のsn-番号付けを特定する例示的な構造を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0094】
〔定義〕
「患者」、「対象」または「個体」は、互換的に使用され、ヒトまたはヒト以外の動物のいずれかを指す。これらの用語には、ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ブタなど)、伴侶動物(イヌ、ネコなど)、げっ歯類(マウス、ラットなど)などの哺乳類が含まれる。
【0095】
物質、化合物または薬剤を対象に「投与する」または「投与する」ことは、当業者に公知の様々な方法のいずれかを用いて実施することができる。例えば、化合物または薬剤は、局所的に、眼科的に、静脈内に、動脈内に、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、静脈内に、皮下に、舌下に、経口的に(摂取によって)、経鼻的に(吸入によって)、棘内に、脳内に、および経皮的に(例えば、皮膚管を通しての吸収によって)投与することができる。具体的な眼への投与経路としては、眼表面(角膜および/または結膜)への局所投与、結膜下投与、テノン嚢下投与、球後投与、腔内投与、硝子体内投与、脈絡膜上投与および網膜下投与が挙げられる。化合物または薬剤はまた、再充電可能なまたは生分解性の高分子装置、あるいは化合物または薬剤の徐放性、徐放性または制御放出を提供する他の装置、例えばパッチおよびポンプ、または製剤によって適切に導入することができる。高分子材料は、固形の移植可能な材料であってもよいし、眼表面との接触を長時間維持するように設計されていてもよい(市販の例としては、LACRISERT(商標)、ワールドワイドウェブのbausch.com/ecp/our-products/rx-pharmaceuticals/rx-pharmaceuticals/lacrisertを参照のこと)、または被験物質をゆっくりと放出する穿刺プラグ(例えば、ワールドワイドウェブのois.net/punctal-plugs-for-sustained-delivery/を参照のこと)または結膜に挿入されるOリング(例えば、https://www.aao.org/eye-health/news/new-glaucoma-treatment-ring-shows-promise)に形成または含まれる。治療用構築物に関する他の実施形態としては、温度、pH、またはイオン組成の変化によって重合が誘発されるヒドロゲルを形成する材料を局所的に適用したり、眼球内および/または眼球周辺に注入したりすることが例示されるが、これらに限定されない。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回以上の長期間にわたって行うことができる。いくつかの態様において、投与は、自己投与を含む直接投与と、薬剤を処方する行為を含む間接投与の両方を含む。例えば、本明細書で使用されるように、患者に薬物を自己投与するように、または薬物を他の者に投与させるように指示する医師、および/または患者に薬物の処方箋を提供する医師は、患者に薬物を投与している。
【0096】
「活性脂質剤」とは、粘膜表面に対して治療効果を有する脂質のことである。固体の結晶性または非晶質の活性脂質剤は、微粉化され、微粉化された固体の活性脂質剤の安定な懸濁液を支持するように張度、粘度および密度が調整された緩衝液に懸濁された場合、活性脂質剤の単量体分子の徐放性送達ビヒクルとしても作用することができる。
【0097】
薬物または薬剤の「治療上有効な量」または「治療上有効な用量」とは、対象に投与した場合に、意図した治療効果が得られる薬物または薬剤の量をいう。完全な治療効果は、必ずしも1回の投与で生じるとは限らず、一連の投与後に初めて生じることもある。したがって、治療上有効な量を、1回、複数回、毎日、毎週、またはその他の治療時間枠で、1回または複数回投与することができる。対象に対して必要とされる正確な有効量は、例えば、対象の大きさ、健康状態および年齢、ドライアイおよび/または他の眼障害のような治療される状態の性質および程度に依存する。当業者は、日常的な実験により、所与の状況に対する有効量を容易に決定することができる。
【0098】
本明細書において、「保存可能期間」という用語は、製品の製造日から薬剤が投与されるまでの期間を意味する。
【0099】
病態または患者を「治療する」とは、臨床結果を含む有益または所望の結果を得るための手段を講じることを指す。有益または所望の臨床的結果には、粘膜表面の欠乏、特に脂質欠乏、ならびに神経変性および外傷性脳損傷を含む神経細胞障害、ならびに疼痛および不快感に関連する1つまたは複数の症状の緩和、改善、または進行の遅延が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、治療は予防的であり得る。例示的な有益な臨床結果が本明細書に記載される。
【0100】
本明細書で使用される場合、化学式という用語は、化学物質中の原子および結合の空間的配置に関する情報を含むが、必ずしも正確な異性体、類縁体または同族体である必要はない。
【0101】
「アルキル」は、一価の直鎖、分岐または環状の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。好ましくは、アルキル基は、1~40個の炭素原子を有する直鎖ラジカルである。より好ましくは、5から31個の炭素原子、最も好ましくは15から23個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。典型的なアルキルラジカルとしては、ペンチル、ヘキシル、トリデカニル、テトラデカニル、ノナデカニル、ドコサニル、トリアコンタニル、ヘントリアコンタニルなどが挙げられる。好ましくは、この用語は、式CnH2n+1(式中、nは1~31の整数である)で表される非環式炭素または飽和非環式炭素鎖を示す。
【0102】
「アルケニル」は、1つ以上の、好ましくは1つの二重結合を有する、一価の、直鎖、分岐または環状の、不飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。好ましくは、アルケニルラジカルは2~40個の炭素原子を有する。より好ましくは、6から30個の炭素原子、最も好ましくは15から23個の炭素原子のアルケニルラジカルである。典型的なアルケニル基としては、ヘキセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ノナデセニル、ドコセニル、トリアコテニル、ヘントリアコテニルなどが挙げられる。好ましくは、この用語は、炭素-炭素二重結合を含み、式CnH2n-1(式中、nは2~40の整数である)で表される非環式炭素鎖を示す。好ましくは、アルケニル結合の形状は、細胞膜脂質に一般的に見られるシス配置またはZ配置である。
【0103】
「アルキレン」は、二価の、直鎖、分岐または環状の、飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。好ましくは、アルキレン基は1~12個の炭素原子を有する。この用語は、式CnH2n-2(式中、nは1~12の整数である)で表される非環式炭素または飽和非環式炭素鎖を示す。より好ましくは、1から7個の炭素原子、最も好ましくは1から4個の炭素原子の低級アルキレン、例えばメチレンである。
【0104】
本明細書で使用される用語「脂肪族」は、直鎖または分岐アルキル、アルケニルまたはアルキニルを意味する。アルケニルまたはアルキニルの実施形態は、脂肪族鎖中に少なくとも2個の炭素原子を必要とすることが理解される。脂肪族基は、典型的には1(または2)~30個の炭素、例えば1(または2)~20個の炭素を含む。
【0105】
本明細書で使用される場合、炭素原子の表記は、示された整数および任意の介在する整数を有してもよい。例えば、(C1-C4)-アルキル基中の炭素原子の数は、1、2、3、または4である。これらの指定は、適切な基中の原子の総数を指すことを理解すべきである。
【0106】
「薬学的に許容される塩」または「塩」は、本明細書において、治療上活性な非毒性の塩基および化合物の酸塩形態である、本開示による薬剤または化合物を指すために使用される。塩基として遊離形態で存在する化合物の酸付加塩形態は、前記遊離塩基形態を、無機酸、例えば、塩酸または臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの適切な酸で処理することによって得ることができる;または有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、環状酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸などである。
【0107】
〔詳細説明〕
本発明は、活性脂質剤を含む微粉化結晶または非晶質固体を含む薬物送達ビヒクルに関し、特に、sn-1-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールおよびその異性体のようなエーテル脂質を含む結晶または非晶質固体微粉化脂質粒子に関する。
【0108】
本開示は、前述の態様および実施形態のいずれか1つ以上が、互いに、および/または以下に提供される実施形態もしくは特徴のいずれかと組み合わされ得ることを企図する。
【0109】
粘膜は、固有の表面化学的性質を持つ上皮成分を有し、細胞の最表層は、微絨毛や微小突起の形でナノからミクロンスケールの地形的特徴を持つ。このような地形的特徴は、細胞成分と密接に関連しながら薄膜と相互作用し、薄膜の相対的安定性に寄与していると考えられる。眼表面の疾患状態では、これらの表面トポグラフィーの特徴が変化することが知られており、このような変化が薄膜の不安定性の一因となっている可能性がある。涙、唾液、消化管被膜、眼瞼、眼表面および眼周囲組織に関連する薄膜、呼吸器管(鼻腔、気管、気管支、気管支および肺胞)および頸・膣分泌物に関連する薄膜、ならびに女性の生殖管の残りの部分に関連する薄膜を含むがこれらに限定されない液体の薄膜は、すべての脊椎動物種の粘膜の細胞要素を覆っている。Tatematsu et al., Bone Marrow Transplant.2012 Mar;47(3):416-25. doi: 10.1038/bmt.2011.89.Epub 2011 May 16。
【0110】
粘膜を覆っている分泌液は、さまざまな供給源から分泌され、3つの大まかな分類の成分を持つ。グリコサミノグリカン(または粘液)層、タンパク質、糖、塩、浸透溶質などの可溶性種を含む水性成分、そして涙の場合は脂質を含む成分である。粘膜の薄膜は、粘膜に埋め込まれた細胞(または粘膜の近位にある細胞)、または腺構造に由来する。水は、特に脂質、ワックスおよび油との水の界面において、人体における潤滑の基礎を形成しているが、病的状態では添加剤なしでは十分な潤滑を提供できないことがある。生体潤滑の重要性は、加齢や疾患、特に体液の分泌や組成に影響を及ぼすような状況下で明らかになる。生体潤滑が不足すると、適切な発声、咀嚼、嚥下が妨げられ、腰や膝の関節軟骨表面の過度の摩擦や摩耗の原因となり、膣の乾燥を引き起こし、目が乾燥して炎症を起こす。1日平均28,800回のまばたきという行為は、最も頻繁に使用される摩擦面の相互作用であると考えられる。瞬きの平均時間は測定することができ、涙液膜と涙液脂質層の完全性によって制限される可能性がある。眼表面とまぶたの生体潤滑が不十分だと、まばたきの回数が増え、摩擦が大きくなり、炎症が起こす。これが長期化すると、ドライアイの背景にある炎症につながる。眼表面の生体潤滑の臨床的な改善は、まばたきの間隔が長くなる、まばたきが遅くなる、1分、1時間、1日あたりのまばたきの回数が減る、患者の快適性が向上する、涙液膜破断時間(TBUT)が長くなる、などで測定することができる。生体潤滑は、構造、脂質層、吸着タンパク質膜のグリコシル化の組み合わせによるものであり、生体潤滑が不十分な患者に生体潤滑を回復させる効果的な治療薬をデザインするための重要な手がかりとなる。Veeregowda et al.2012;7(8):e42600. doi: 10.1371/journal.pone.0042600.Epub 2012 Aug 15。
【0111】
非限定的な例として、眼表面を覆う涙液の広く受け入れられているモデルは、3つの主要成分から構成されるものであり、瞼縁に並ぶ腺(マイボーム腺または霰粒腺、およびウサギを含むハーデリアン腺を有する種ではハーデリアン腺からの分泌物)に由来する外側の脂質層;涙腺および副涙腺から分泌される水層(可溶性タンパク質の混在、脂質およびムチンの混在);および結膜および角膜上皮細胞に関連する杯細胞、および上皮細胞自体から生じるムチンに由来するムチン層である。
【0112】
ムチン成分は、角膜上皮のような眼表面の細胞要素のすぐ隣の層を形成し、最も表面の上皮細胞のグリコカリックスとある程度会合していると考えられ、また、より濃い水性成分中に混在している。ムチン成分は、細胞水層界面の表面張力に影響を与えることにより、涙液の安定性を維持するために重要であると考えられている。水層は涙液膜の最大の成分であり、涙液のpH、浸透圧、眼の健康を維持するための様々な溶質を含んでいる。免疫グロブリン、リゾチーム、トランスフェリン、抗菌ペプチド、その他の成分は、生体負担をコントロールし、感染リスクを低減するのに役立つ。この層にはムチンも混在している。さらに、成長因子、サイトカイン、その他の細胞活性因子も水層に含まれている。涙液脂質層の極性脂質は、荷電した頭部基を持つ脂質分子の単分子層で水層を覆っている。涙液外側の非極性脂質層は涙液の最も外側の層で、空気と直接接触している。この非極性脂質層は、臨床的に涙液膜破断時間として測定されるように、涙液膜全体に潤滑性と安定性を与え、涙液膜の水性成分の蒸発速度を低下させる。
【0113】
多くの疾患および状態が、粘膜の乾燥または機能不全と関連している。これらは、ドライアイ、ドライマウス、膣の乾燥、および呼吸器薄膜コーティングの欠陥/調節不全が関与する疾患によって例示されるが、これらに限定されない。必要とされているのは、粘膜の乾燥や機能障害を治療するための安全で効果的かつ柔軟な手段であり、また非疾患の粘膜の性能を改善することを目的とした治療法である。
【0114】
効果的な治療薬の開発に対する広範な課題は、粘膜表面の治療的利益を得るための疎水性分子の製剤化および送達、ならびに深部に横たわる組織/構造への治療的利益を得るために無傷の粘膜表面を横断しなければならない治療薬の送達である。本明細書に記載される発明の新規性および実用性は、低温融解結晶性および非晶質脂質およびワックスとして、または低融点結晶性および非晶質固体脂質およびワックスに埋め込まれた分子として、高度に疎水性分子を統合することであり、この分子は、脂質が本質的に不溶性である生体適合性の水性製剤から局所適用するための小微粒子として懸濁させるか、または製剤内に溶解させることができ、および/または低融点結晶性および非晶質固体もしくはワックスから治療上有益な化合物を制御放出するためのデバイスに統合することができる。さらに、これらの低温融解性結晶性および非晶質固体脂質およびワックスは、低温融解性脂質およびワックス内に捕捉された親水性または両親媒性化合物の制御送達手段を提供することが企図されている。例えば、活性脂質剤を含む微粉化固体粒子、特に、炎症性ドライアイおよび/または蒸発性ドライアイを含むドライアイの治療のために、シクロスポリンまたはXiidraのような第2の活性眼科薬剤と、sn-1-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールおよびその異性体のようなエーテル脂質を含む微粉化脂質粒子を含む薬物送達ビヒクルの場合である。sn-1-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールなどのエーテル脂質を含む微粉化結晶または非晶質固体脂質粒子は、クロロホルム中のエーテル脂質の40mg/mL溶液を真空チャンバー内で噴霧乾燥することにより調製することができる。この結果、10ミクロン未満の微粉化された非晶質固体脂質粒子が得られる。噴霧乾燥用のクロロホルム溶液に第2の活性薬剤(例えば、シクロスポリン、Xiidraまたは後述の第2の活性薬剤のいずれか)を添加すると、治療量のエーテル脂質と第2の活性薬剤の両方を含む噴霧乾燥された微粉化脂質粒子が得られる。あるいは、非晶質1,2-EPRG中の第2の活性薬剤のナノサイズ微粒子固体懸濁液は、第2の活性薬剤の懸濁ナノ化粒子を含むクロロホルムまたは他の適切な溶媒中の1,2-EPRGの溶液を噴霧乾燥微粉化することにより形成され得る。
【0115】
特定の局面において、本明細書に記載の薬物送達ビヒクルは、粘膜の障害に罹患している患者を治療するために使用することができる。本発明の薬物送達ビヒクルは、さらに、活性脂質剤または親油性薬物の粘膜への送達が投与経路として所望される場合の使用を見出す。このように、本発明は、対象の粘膜への活性脂質成分または他の親油性薬物の送達に有用な薬物送達ビヒクルを提供する。本発明は、特定の粘膜表面に限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、粘膜表面は、眼粘膜表面、膣粘膜表面、卵管粘膜表面、呼吸器系粘膜表面、鼻粘膜表面、口腔咽頭粘膜表面、口腔粘膜表面、直腸粘膜表面、消化器系粘膜表面、または食道粘膜表面である。本発明は、特定の送達経路に限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、送達経路は、局所投与からなる。いくつかの実施形態において、標的器官が眼である場合、好ましい送達経路には、結膜下、テノン嚢下、球後、腔内、硝子体内、脈絡膜上および網膜下送達経路に加えて、局所点眼が含まれる。
【0116】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の薬物送達ビヒクルは、結晶性および非晶質の固体微粉化脂質粒子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子は100ミクロン未満の平均サイズを有する。いくつかのより好ましい実施形態において、結晶性および非晶質の固体微粉化脂質粒子は、50ミクロン未満の平均サイズを有する。いくつかのさらに好ましい実施形態において、結晶性および非晶質の固体微粉化脂質粒子は、20ミクロン未満の平均サイズを有する。いくつかのさらに好ましい実施形態において、結晶性および非晶質の固体微粉化脂質粒子は、10ミクロン未満の平均サイズを有する。いくつかの好ましい実施形態において、結晶性および非晶質の固体微粉化脂質粒子は、1~100、1~50、または1~10ミクロンの平均サイズを有する。いくつかの好ましい実施形態において、粒径は動的光散乱によって測定される。
【0117】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の微粉化脂質粒子は80℃未満の融点を有する。いくつかのさらに好ましい実施形態において、本発明の微粉化脂質粒子は60℃未満の融点を有する。いくつかのさらに好ましい実施形態において、本発明の微粉化脂質粒子は50℃未満の融点を有する。いくつかの他の好ましい実施形態において、固体の微粉化脂質粒子は20~80℃の融点を有する。
【0118】
微粉化脂質粒子の脂質組成は、所望の融点を提供するために変化させることができることが理解されよう。したがって、いくつかの好ましい実施形態において、本発明の微粉化脂質粒子は、モノグリセリド、ジグリセリド、エーテルエステルグリセロール、トリグリセリド、リン脂質、ワックスまたはステロールなどの1つまたは複数の担体脂質を含む。いくつかの実施形態において、脂質は、エステル結合またはエーテル結合のいずれかによってグリセロール骨格に結合している脂肪酸部分を含むことができる。
【0119】
微粉化粒子を調製するための様々な方法が当技術分野で知られている。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化粒子はジェットミルによって調製される。適切なジェットミルは、例えば、Hosokawa Micron Powder Systems, Summit, NJから入手可能である。供給製品、例えば本発明の脂質組成物は、ジェットミルの粉砕ゾーンに供給される。粉砕空気は、ノズルリングのLavalノズルを介してジェットミルに接線方向に噴射される。これにより、粉砕ゾーンで空気のスパイラルジェットが形成される。螺旋状の空気流の結果、粉砕機内に高圧が発生し、製品なしの運転では1 barの過圧になる。内蔵のインジェクターには圧縮空気が充填されているため、製品は機内の過圧に対抗して確実に機内に搬送される。
【0120】
供給された製品はノズルリングの近くを循環するため、ノズルから噴出する空気噴流によって繰り返し遮断される。粉砕は、ノズルジェット中を異なる速度で流れる粒子によって引き起こされる粒子間衝突の結果である。粉砕された材料は、空気とともに排出口へと運ばれる。スパイラルフローにより、細かい(すなわち、微粉化された)粒子のみが排出され、粗い粒子は粉砕機内に残るという分級が行われる。
【0121】
いくつかの好ましい実施形態において、微粉化粒子は、本発明の第2の活性薬剤を含むかまたは含まない脂質組成物の溶液を、ノズルを介して真空チャンバーに供給し、溶媒が蒸発して沈降して回収される5~50ミクロンサイズの非晶質固体粒子を得る噴霧乾燥によって調製される。このような噴霧乾燥装置のひとつはBuchi instruments社から販売されており、こちらのURLで紹介されている: https://static1.buchi.com/sites/default/files/downloads/Spray_Drying_Encapsulation_Solutions_brochure_en_D_0.pdf?56fa5df1e4976c154c3b11af6a45ff69b22d63e3。
【0122】
いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子は活性脂質剤を含む。活性脂質剤は、治療的もしくは予防的利益を付与するか、または疾患もしくは状態を治療する脂質分子である。本発明で使用する活性脂質剤としては、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エーテルエステルグリセロール、リン脂質、ワックスまたはステロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
いくつかの好ましい実施形態において、活性脂質剤はエーテル脂質である。適切なエーテル脂質は、米国特許第9,289,494号に詳細に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0124】
いくつかの好ましい実施形態において、活性脂質剤は、sn-1,2置換グリセロール、sn-2,3置換グリセロール、または1,2-置換ラセミグリセロール(すなわち、1,2-rac-グリセロール)であり、好ましくは、エーテル結合を介してグリセロールに結合した脂肪酸部分を含む。グリセロール骨格炭素の立体特異的番号付けsn-は、1,2-置換エーテル脂質について図7に示されており、そこでは、例えば、Rは、エーテル結合を介して結合したアルキルまたはアルケニルであり、Rは、エステル結合を介して結合したアルキルまたはアルケニルであり、Rは、-Hである。グリセリン骨格炭素のこのsn-番号付けは、本明細書で示される構造に適用される。
【0125】
いくつかの実施形態において、活性脂質剤は、以下から選択されるエーテル脂質である:
【0126】
【化19】
【0127】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニル、好ましくはC20アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニル、好ましくはC15アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である;
【0128】
【化20】
【0129】
ここで
は水素(すなわちH)である;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニル、好ましくはC15アルキルまたはアルケニルであり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニル、好ましくはC20アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0130】
【化21】
【0131】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニル、好ましくはC20アルキルまたはアルケニルである;
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニル、好ましくはC15アルキルまたはアルケニルであり;そして
は水素(すなわちH)である。
【0132】
いくつかの好ましい実施形態において、活性脂質剤は、sn-1,3置換グリセロールまたは1,3-置換ラセミ体グリセロール(すなわち、1,3-rac-グリセロール)であり、好ましくは、エーテル結合を介してグリセロールに結合した脂肪酸部分から選択される:
【0133】
【化22】
【0134】
ここで
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニル、好ましくはC20アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
、非置換のC5~C29、好ましくはC15アルキルまたはアルケニルである;
【0135】
【化23】
【0136】
ここで
、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニル、好ましくはC15アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニル、好ましくはC20アルキルまたはアルケニルであり;そして
【0137】
【化24】
【0138】
ここで
、非置換のC6~C30アルキルまたはアルケニル、好ましくはC20アルキルまたはアルケニルである;
は水素(すなわち、H)であり;そして
は、非置換のC5~C29アルキルまたはアルケニル、好ましくはC15アルキルまたはアルケニルである。
【0139】
いくつかの好ましい実施形態において、活性脂質剤は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-グリセロール、sn-2-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロール、1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)、sn-1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-グリセロール、sn-1-パルミトイル-3-O-エイコサニル-グリセロール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるエーテルエステルグリセロール脂質である。いくつかのさらに好ましい実施形態において、活性脂質剤は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)または1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)およびそれらの混合物からなる群から選択されるエーテル脂質である。
【0140】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、本発明の脂質分子のsn-位の一方は-OH基であり、2つのsn-位の他方はエーテル結合脂肪族鎖およびエステル結合脂肪族鎖を有するので、エーテル脂質はエーテルエステルグリセロールである。エーテル脂質が2つの脂肪族鎖を含む場合、異性体が可能であることは理解されよう。例えば、アルキルまたはアルケニルエーテルがジグリセリドのグリセロール骨格sn-1位に結合している場合、エステル結合を介してグリセロール骨格に結合している脂肪酸は、グリセロール骨格のsn-2位またはsn-3位のいずれかに存在することができる。同様に、エステル結合を介してグリセロール骨格に結合している脂肪酸がジグリセリドのsn-1位に存在する場合、グリセロール骨格に結合しているアルキルまたはアルケニルエーテルは、グリセロール骨格のsn-2位またはsn-3位のいずれかに存在することができる。これに関して、ジグリセリド分子を標識する場合、sn-1およびsn-3位置は分子の配向に依存することが当業者には明らかであろう。例えば、sn-1-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールおよびsn-3-O-エイコサニル-sn-2-パルミトイル-グリセロールは異性体である。
【0141】
活性脂質剤がエーテルエステルグリセロールである場合、活性脂質剤は二置換グリセロールの異性体の混合物であってもよく、その混合物はエーテルエステルグリセロール異性体の混合物のモル百分率によって特徴付けられることがさらに理解されよう。
【0142】
したがって、いくつかの好ましい実施形態において、エーテルエステル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物およびそれらの混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテルエステル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテルエステル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体または99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0143】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、50%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および50%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、50%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および50%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0144】
いくつかの好ましい実施形態において、エーテルエステル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、95%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および5%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテルエステル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、98%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および2%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。いくつかの好ましい実施形態において、エーテルエステル脂質異性体1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)と1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1、3-EPRG)との混合物は、99%(モル%)を超える1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)異性体および1%(モル%)以下の1-O-エイコサニル-3-パルミトイル-rac-グリセロール(1,3-EPRG)異性体を含むことを特徴とする。
【0145】
本発明の結晶性または非晶質の固体微粉化脂質粒子は、親水性、両親媒性または親油性活性薬剤のような他の活性薬剤を含んでいてもよい。これらの好ましい実施形態のいくつかにおいて、活性薬剤は、担体脂質と共に、担体脂質および活性脂質と共に、または活性脂質と共に配合され得る。
【0146】
活性脂質剤ではない適切な活性薬剤には、多くの異なるタイプの薬物分子が含まれる。好適な例示的薬剤分子を以下に記載する。分子全体、異性体、および活性を有することが知られている化合物の断片が、包含のために許容可能な化合物を表すことは、当業者に認識されるであろう。
【0147】
本発明の薬物送達ビヒクルに含めるのに適した活性薬剤としては、低分子薬物、タンパク質、RNAおよびDNAベースの治療剤などの生物学的薬剤、ならびに治療的もしくは予防的利益を有するか、または疾患もしくは状態を治療するために使用される他の分子が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、薬剤は、粘膜表面を被覆する薄膜を安定化する薬剤、潤滑剤、粘膜表面を被覆する薄膜の湿潤を増強する薬剤(例えば、プルロニック)、眼表面の治療のための眼科用薬剤、眼周囲組織の治療のための眼科用剤、後眼部組織および疾患の治療のための眼科用剤、コルチコステロイド、シクロスポリン、XiidraまたはFDAに承認されたドライアイ治療薬の他の有効成分から選択されるドライアイ治療のための眼科用剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、ポリペプチド抗菌剤、抗真菌剤、緩衝剤、ビタミンまたはミネラル、鎮痛剤、抗凝固剤、凝固剤、抗炎症剤、血管収縮剤、血管拡張剤、利尿剤、抗がん剤、栄養剤、成長因子、神経栄養剤、バイオフィルム破壊剤、房水排出および/または産生に影響を与えることにより眼圧に影響を与える薬剤、新生血管形成促進剤、新生血管形成阻害剤、細胞外マトリックス(ECM)剤、酵素剤、酵素阻害剤、ポリペプチド剤およびそれらの組み合わせから選択される。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗菌剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な抗菌剤としては、ロラカルベフ、セファレキシン、セファドロキシル、セフィキシム、セフチブテン、セフプロジル、セフポドキシム、セフラジン、セフロキシム、セファクロル、ネオマイシン/ポリミキシン/バシトラシンジクロキサシリン、ニトロフラントイン、ニトロフラントインマクロクリスタル、ニトロフラントイン/ニトロフランマクロ、ジリスロマイシン、ジェミフロキサシン、アンピシリン、ガチフロキサシン、ペニシリンVカリウム、シプロフロキサシン、エノキサシン、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸カリウム、クラリスロマイシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、アジスロマイシン、スパルフロキサシン、セフジニル、オフロキサシン、トロバフロキサシン、ロメフロキサシン、メテナミン、エリスロマイシン、ノルフロキサシン、クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、ドキシサイクリン、アミカシン硫酸塩、バンコマイシン、カナマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン硫酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、テトラサイクリン、フラミセチン、ミノサイクリン、ナリジクス酸デメクロサイクリン、トリメトプリム、ミコナゾール、コリスチメチン酸塩、ピペラシリンナトリウム/タゾバクタムナトリウム、パロモマイシン、コリスチン/ネオマイシン/ヒドロコルチゾン、アメーバ剤、スルフィソキサゾール、ペンタミジン、スルファジアジン、クリンダマイシンリン酸塩メトロニダゾール、オキサシリンナトリウム、ナフシリンナトリウム、塩酸バンコマイシン、クリンダマイシン、セフォタキシムナトリウム、コトリモキサゾール、チカルシリン二ナトリウム、ピペラシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム/クラブラン酸カリウムネオマイシン、ダプトマイシン、セファゾリンナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、ペニシリンGカリウムおよびナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、イミペネム/シラスタチンナトリウム、アストレオナム、シノキサシン、エリスロマイシン/スルフィソキサゾール、セフォテタン二ナトリウム、アンピシリンナトリウム/スルバクタムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セファマンドールナファート、ゲンタマイシン、スルフィソキサゾール/フェナゾピリジン、トブラマイシン、リンコマイシン、ネオマイシン/ポリミキシンB/グラミシジン、クリンダマイシン塩酸塩、ランソプラゾール/クラリスロマイシン/アモキシシリン、アラトロフロキサシン、リネゾリド、サブサリチル酸ビスマス/メトロニダゾール/テトラサイクリン、エリスロマイシン/過酸化ベンゾイル、ムピロシン、ホスホマイシン、イセチオン酸ペンタミジン、イミペネム/シラスタチン、トロレアンドマイシン、ガチフロキサシン、クロラムフェニコール、シクロセリン、ネオマイシン/ポリミキシンB/ヒドロコルチゾン、エルタペネム、メロペネム、セファロスポリン、フルコナゾール、セフェピム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、ネオマイシン/ポリミキシンB、ペニシリン系抗菌薬、リファンピン/イソニアジド、エリスロマイシンエストール酸塩、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、エリスロマイシンステアリン酸塩、アンピシリン三水和物、アンピシリン/プロベネシド、スルファサラジン、スルファニルアミド、スルファセトアミドナトリウム、ダプソン、ドキシサイクリン・ハイクリレート、トリメトプリム/サルファ剤、マンデル酸メテナミン、プラズマジド、ピリメタミン、ヒドロキシクロロキン、リン酸クロロキン、トリコモナイド、駆虫薬、アトバコン、バシトラシン、バシトラシン/ポリミキシンb、ゲンタマイシン、ネオマイシン/ポリミキシン/デキサメス、ネオマイシン硫酸/デキサメス、スルファセタミド/プレドニゾロン、スルファセタミド/フェニレフリン、トブラマイシン硫酸/デキサメス、トリブロモフェン酸ビスマス、銀イオン化合物、銀ナノ粒子、0価銀、多価銀、元素状銀、スルファジアジン銀および関連化合物などの銀含有化合物、クロルヘキシジン、バイオフィルム破壊剤(ガリウム、トリプトファン、イミダゾール誘導体、インドール誘導体、エモジン、フロレチン、イソリモン酸、7-エピクルスシアノン、カスベンジテルペン、カルバクロール、ケレリスリンなど)、エラグ酸、タンニン酸、ギンコネオール酸、レスベラトロール、ビニフェリン、ジフェニルジスルフィド、S-フェニル-L-システインスルホキシド、アホエン、臭素化フラノン、n-アシルホモセリンラクトン、スカイラマイシン、センブラノイド、カロラクトンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な抗ウイルス剤としては、アマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、インジナビル、リバビリン、エンフビルチド、エムトリシタビン、ラミブジン、硫酸アバカビルフォミビルセン、バラシクロビル、テノホビル、シドホビル、アタザナビル、アンプレナビル、メシル酸デラビルジン、ファムシクロビル、アデホビル、ジダノシン、エファビレンツ、トリフルリジン、イニジナビル、ラミブジンビダラビン、ロピナビル/リトナビル、ガンシクロビル、ザナミビル、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン、ラミブジン/ジドブジン、ネルフィナビル、ネルフィナビルメシル酸塩、ネビラピン、リトナビル、サキナビル、サキナビル、メシル酸サキナビル、リマンタジン、スタブジン、ドコサノール、ザルシタビン、イドクスウリジン、ジドブジン、ジドブジン/ジダノシン、バルガンシクロビル、ペンシクロビル、ラミブジン、オセルタミビルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗真菌剤が固体脂質粒子に組み込まれる。適切な抗真菌剤としては、アムホテリシンB、ナイスタチン、ナイスタチン/トリアムシノロン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、クロトリマゾール、クロトリマゾール/ベタメタゾン、エニルコナゾール、エコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、テルコナゾール、ブトコナゾール、チアベンダゾール、フルシトシン、ブテナフィン、シクロピロックスハロプロジン、ナフチフィン、トルナフテート、ナタマイシン、ウンデシレン酸、マフェニド、ダプソン、クリオキノール、クリオキノール/ヒドロコルチゾン、ヨウ化カリウム、スルファジアジン銀、ゲンチアナバイオレット、カルボルフクシン、シロファンギン、セルタコナゾール、ボリコナゾール、フルコナゾール、テルビナフィン、カスポファンギン、その他のアゾール系外用薬、グリセオフルビンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
いくつかの実施形態では、緩衝剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な緩衝剤としては、マレイン酸、リン酸、グリシン、クロロ酢酸、ギ酸、安息香酸、酢酸、ピリジン、ピペラジン、MES、ビス-トリス、炭酸塩、ACES、ADA MOPSO、Pピペラジン、MES、ビス-トリス、炭酸塩、ACES、ADA MOPSO、PIPES、リン酸、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、トリエタノールアミン、HEPSO、トリス、トリシン、ビシン、TAPS、ホウ酸塩、アンモニア、CHES、エタノールアミン、CAPSO、グリシン、炭酸塩、CAPS、メチルアミン、ピペリジン、リン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
いくつかの実施形態では、ビタミンまたはミネラルが固体脂質粒子に組み込まれる。好適なビタミンおよびミネラルとしては、ビタミンA、カロテノイド、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC/アスコルビン酸、B1/チアミン、B2/リボフラビン、B3/ナイアシンB5/パントテン酸、B6/ピリドキシン、B12/コバラミン、ビオチン、カルシウム、マグネシウム、リン、ナトリウム、塩化物、カリウム、ホウ素、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、セレン、亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
いくつかの実施形態では、鎮痛剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な鎮痛剤としては、アセトアミノフェン、アニレリジン、アセチルサリチル酸、ブプレノルフィン、ブトルファノール、フェンタニル、クエン酸フェンタニル、コデイン、ロフェコキシブ、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、塩酸ヒドロモルフォン、レボルファノール、塩酸アルフェンタニル、メペリジン、塩酸メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、アヘン、レボメタジル、ヒアルロン酸ナトリウム、スルホネート、モルヒネ、アヘン、レボメタジル、ヒアルロン酸ナトリウム、スルホネート、モルヒネ、アヘン、レボメタジル、ヒアルロン酸ナトリウム、クエン酸スフェンタニル、カプサイシン、トラマドール、レフルノミド、オキシコドン、オキシモルフォン、セレコキシブ、ペンタゾシン、プロポキシフェン、ベンゾカイン、リドカイン、デゾシン、クロニジン、ブタルビタール、フェノバルビタール、テトラカイン、フェナゾピリジン、スルファメトキサゾール/フェナゾピリジン、スルフィソキサゾール/フェナゾピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な抗凝固剤としては、クマリン、1,3-インダンジオン、アニシンジオン、フォンダパリヌクス、ヘパリン、レピルジン、アンチトロンビン、ワルファリン、エノキサパリン、ジピリダモール、ダルテパリン、アーデパリン、ナドロパリン、およびチンサパリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
いくつかの実施形態では、凝固剤が固体脂質粒子に組み込まれる。適切な凝固剤としては、第I因子(フィブリノゲン)、第II因子(プロトロンビン)、第III因子(トロンボプラスチン、組織因子)、第IV因子(カルシウム)、第V因子(不安定因子)、第VII因子(安定因子)、第VIII因子(抗血友病グロブリン、抗血友病グロブリン、抗血友病因子A)、第IX因子(血漿トロンボプラスチン成分、クリスマス因子、抗好血球性因子B)、第X因子(スチュアート因子、プロワー因子、スチュアート-プロワー因子)、第XI因子(血漿トロンボプラスチン前駆体、抗好血球性因子C)、第XII因子(ヘーゲマン因子、表面因子、接触因子)、および第XIII因子(フィブリン安定化因子、フィブリン安定化酵素、フィブリナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
いくつかの実施形態では、抗炎症剤が固体脂質粒子に組み込まれる。適切な抗炎症剤としては、ジクロフェナク(ボルタレン、アビトレン、オールボラン、アルミラル、アロンピン、アンフェナックス、アートライテス、ベタレン、ブレシン、ボラボミン、カタフラム、クロフェック、クロフェン、コルドラン、クリンフラム、ジクロマック、ジクロシアン、ジクスナールなどのNSAID、Difenac、Ecofenac、Hizemin、Inflamac、Inflanac、Klotaren、Lidonin、Monoflam、Naboal、Oritaren、Remethan、Savismin、Silino、Staren、Tsudohmin、Voltarol、Voren、Voveran、およびVurdonとして知られている)、ジフルニサル(Dolobid、Adomal、Diflonid、Diflunil、Dolisal、Dolobis、Dolocidとしても知られている、Donobid、Dopanone、Dorbid、Dugodol、Flovacil、Fruniget、Fluodonil、Flustar、Ilacen、Noaldol、Reuflos、およびUnisalとしても知られている)、エトドラク(Lodineとしても知られている)、フェノプロフェン(Nalfon、Fenoprex、Fenopron、Fepron、Nalgesic、およびProgesicとしても知られている)、フルルビプロフェン(AnsaidおよびOcuflurとしても知られている)、イブプロフェン(ルフェン、モトリン、アチェスンペイン、アドビル、ヌプリン、ドルゲジック、ゲンプリル、ハルトラン、イビフォン、イブレン、イブメド、イブプリン、イブプロ-600、イブプローム、イブタブ、イブテックス、イフェン、メディプレン、ミドール200、モトリン-IB、クランプエンド、プロフェン、ロ-プロフェン、トレンダー、アラキサン、ブロフェン、アルファム、Brufen、Algofen、Brufort、Amersol、Bruzon、Andran、Buburone、Anflagen、Butacortelone、Apsifen、Deflem、Artofen、Dolgit、Artril、Dolocyl、Bloom、Donjust、Bluton、Easifon、Ebufac、Emflam、Emodin、Fenbid、Fenspan、Focus、Ibosure、Ibufen、Ibufug、Ibugen、Ibumetin、Ibupirac、Imbun、Inabrin、Inflam、Irfen、Librofen、Limidon、Lopane、Mynosedin、Napacetin、Nobafon、Nobgen、Novogent、Novoprofen、Nurofen、Optifen、Paduden、Paxofen、Perofen、Proartinal、Prontalgin、Q-Profen、Relcofen、Remofen、Roidenin、Seclodin、Tarein、Zofen)、インドメタシン(別名Indameth、インドシン、アムノ、アンタルギン、アリューマチン、アルギレックス、アルテレキシン、アルトレキシン、アルトリノボ、バビロン、ボニドン、ブチシン、クロノインドシド、シダルゴン、コンフォルティド、コンフォルティンド、ドメシド、デュラメタシン、エレメタシン、イジシン、インブリロン、イナシド、インダシン、インデシン、インドキャップ、インドセン、インドシド、インドフレックスインドラグ、インドラー、インドメッド、インドミー、インドメタシナム、インドメチシナ、インドメチン、インドビス、インドックス、インドズ、インドレニン、インジロン、インフラゾン、インパン、ラウジット、リオメテース、メタセン、メチンドン、メトシッド、メゾリン、モビラン、ノボメタシン、ペラルゴン、リフロックス、リウマシッド、リウマシン、サリナクServindomet、Toshisan、およびVonumとしても知られる)、ケトプロフェン(Orudis、Alrheumat、Alrheumun、Alrhumat、Aneol、Arcental、Dexal、Epatec、Fastum、Keduril、Kefenid、Keprofen、Ketofen、Ketonal、Ketosolan、Kevadon、Mero、Naxal、Oruvail、Profenid、Salient、Tofen、およびTreosinとしても知られる)、ケトロラク(別名:トラドール)、メクロフェナム酸(別名:メクロフェン、メクロメン、モーベン)、メフェナム酸(別名:ポンステル、アルペイン、アプロスタール、ベノスタン、ボナボル、コスラン、ダイスマン、ダイスペン、エコパン、ライサルゴ、マニック、メファック、メフィクス、パルケメッド、ポンデックス、ポンスフェン、ポンスタン、Ponstyl、Pontal、Ralgec、Youfenam)、ナブメトン(別名Relafen)、ナプロキセン(別名Naprosyn、Anaprox、Aleve、Apranax、Apronax、Arthrisil、Artrixen、Artroxen、Bonyl、Congex、Danaprox、Diocodal、Dysmenalgit、Femex、Flanax、Flexipen、Floginax、Gibixen、Headlon、ララフレックス、レーザー、レニアルチル、ナファゾール、ナイキサン、ナリキサン、ナポトン、ナプレン、ナプレラン、ナプリウム、ナプリウス、ナプロンタグ、ナプルクス、ナプクセン、ナルマ、ナクセン、ナキシド、ノボナプロクス、ナイコプレン、パツセン、プレキサン、プロデキシン、ラーセン、ロクセン、サリチロン、シナルトリン、シントン、サトニー、シンフレックス、トーヘクセン、ベラドールVinsen、Xenar)、オキサプロジン(別名Daypro)、ピロキシカム(別名Feldene、Algidol、Antiflog、Arpyrox、Atidem、Bestocam、Butacinon、Desinflam、Dixonal、Doblexan、Dolonex、Feline、Felrox、Fuldin、Indene、Infeld、Inflamene、Lampoflex、Larapam、Medoptil、Novopirocam、Osteral、Pilox、Piraldene、Piram、Pirax、Piricam、Pirocam、Pirocaps、Piroxan、Piroxedol、Piroxim、Piton、Posidene、Pyroxy、Reucam、Rexicam、Riacen、Rosic、Sinalgico、Sotilen、Stopen、Zundenとしても知られる)、スリンダク(Clinoril、Aflodac、Algocetil、Antribid、Arthridex、Arthrocine、Biflace、Citireuma、Crisundac、Imbaral、Lindak、Lyndak、Mobilin、Reumofil、Sudac、Sulene、Sulic、Sulindal、Suloril、Sulreumaとしても知られる)、Tolmetin(Tolectin、Donison、Midocil、Reutol、Safitexとしても知られる)、Celecoxib(Celebrexとしても知られる)、Meloxicam(Mobicとしても知られる)、rofecoxib(別名Vioxx)、valdecoxib(別名Bextra)、アスピリン(別名Anacin、Ascriptin、Bayer、Bufferin、Ecotrin、Excedrin)、ロテプレドノールエタボネート、コルチゾン、プレドニン、デキサメタゾンなどのステロイド系抗炎症薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
いくつかの実施形態では、血管収縮剤が固体脂質粒子に組み込まれる。適切な血管収縮剤としては、エピネフリン(アドレナリン、サスフリン)、塩酸フェニレフリン(ネオシネフリン)、塩酸オキシメタゾリン(アフリン)、ノルエピネフリン(レボフェッド)、およびカフェインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
いくつかの実施形態では、血管拡張剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な血管拡張剤としては、ボセンタン(Tracleer)、エポプロステノール(Floran)、トレプロスチニル(Remodulin)、シタクセンタン、ニフェジピン(Adalat、Procardia)、ニカルジピン(Cardene)、ベラパミル(カラン、コベラ-HS、イソプチン、ヴェレラン)、ジルチアゼム(ディラコールXR、ディルティアXT、ティアメイト、ティアザック、カルディゼム)、イズラジピン(ダイナサーク)、ニモジピン(ニモトップ)、アムロジピン(ノルバスク)フェロジピン(プレンディル)、ニソルジピン(スラー)、ベプリジル(バスコール)、ヒドララジン(アプレゾリン)、ミノキシジル(ロニテン)、二硝酸イソソルビド(ダイラトレート-SR、イソビッド、イソネート、イソルビッド、イソルジル、Isotrate、Sorbitrate)、一硝酸イソソルビド(IMDUR)、プラゾシン(Minipress)、シロスタゾール(Pletal)、トレプロスチニル(Remodulin)、シクランデレート、イソクスプリン(Vasodilan)、ナイリドリン(Arlidin)、硝酸薬(デポニット、ミニトラン、ニトロビッド、ニトロディスク、ニトロデュール、ニトロール、経皮ニトロ)、ベナゼプリル(ロテンシン)、ベナゼプリルおよびヒドロクロロチアジド(ロテンシンHCT)、カプトプリル(カポテン)、カプトプリルおよびヒドロクロロチアジド(カポジド)、エナラプリル(バソテック)、エナラプリルおよびヒドロクロロチアジド(バセレティック)、ホシノプリル(モノプリル)、リシノプリル(プリンビル、ゼストリル)、リシノプリルおよびヒドロクロロチアジド(プリンジド、ゼストレティック)、モエキシプリル(ユニバスク)、モエキシプリルおよびヒドロクロロチアジド(ユニレティック)、ペリンドプリル(アセオン)、キナプリル(アキュプリル)、キナプリルおよびヒドロクロロチアジド(アキュレティック)、ラミプリル(アルテース)、トランドラプリル(マビック)、パパベリン(セレスパン、ジェナビド、パバビッド、パバビッドHP、パバセルズ、パバコット、パバゲン、パバリン、パバセド、パバチン、パバティム、パベロラン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
いくつかの実施形態では、利尿剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な利尿剤としては、アセタゾラミド(Diamox)、ジクロルフェナミド(Daranide)、メタゾラミド(Neptazane)、ベンドロフルメチアジド(Naturetin)、ベンズチアジド(Exna)、クロロチアジド(Diuril)、クロルタリドン(Hygroton)、ヒドロクロロチアジド(Esidrix、HydroDiuril、Microzide)、ヒドロフルメチアジド(Diucardin)、インダパミド(Lozol)、メチクロチアジド(Enduron)、メトラゾン(Zaroxolyn、Mykrox)、ポリチアジド(Renese)、キネタゾン(Hydromox)、トリクロルメチアジド(Naqua)、ブメタニド(Bumex)、エタクリン酸(Edecrin)、フロセミド(Lasix)、トルセミド(Demadex)、アミロリド(Midamor)、アミロライドおよびヒドロクロロチアジド(モジュレティック)、スピロノラクトン(アルダクトン)、スピロノラクトンおよびヒドロクロロチアジド(アルダクタジド)、トリアムテレン(ダイレニウム)、トリアムテレンおよびヒドロクロロチアジド(ダイアジド、マックスジド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
いくつかの実施形態では、抗癌剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な抗癌剤としては、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナグレリド、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンα、ダウノルビシン、ダウノマイシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エポエチンα、エストラムスチン、エトポシド、リン酸エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスリジンフルダラビン、フルタミド、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブ オゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ チウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンα2aインターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、イリノテカン、レフルノミド、レトロゾール、ロイコボリン、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、マイトタン、ミトキサントロン、ミコフェノール酸モフェチル、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ニルタミド、ノフェツモマブ、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペガデマーゼペガパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タクロリムス、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ゾレドロネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
いくつかの実施形態において、栄養剤が固体脂質粒子に組み込まれる。適切な栄養剤としては、アグリン、アンフィレグリン、アルテミン、カルジオトロフィン-1、EGFを含む上皮成長因子;線維芽細胞成長因子(例えば、FGF-1、FGF-2、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6、およびFGF-7);LIF、CSF1、CSF2、CSF3、エリスロポエチン、ECGFを含む内皮細胞成長因子;FGF-およびECGF関連増殖因子(例えば、内皮細胞刺激性血管新生因子、腫瘍血管新生因子、網膜由来増殖因子(RDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ブレーンダー由来増殖因子(BDGF-AおよびB)、アストログリア成長因子(AGF1および2)、卵巣由来成長因子、インスリン様成長因子(SSSR、線維芽細胞刺激因子(FSF)、胚性がん由来成長因子(ECDGF)などの断片));神経栄養成長因子(例例えば、神経成長因子(NGF)、ノイルチュリン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4、および毛様体神経栄養因子(CNTF));グリア成長因子(例えば、GGFI、GGFII、GGFIII、グリア成熟因子(GMF)、およびグリア由来神経栄養因子(GDNF));肝臓成長因子(例えば、ヘパトポエチンA、ヘパトポエチンB、およびHGFを含む肝細胞成長因子);前立腺由来成長因子(PGF)を含む前立腺成長因子;乳腺由来成長因子1(MDGF1)および乳腺腫瘍由来因子(MTGF)を含む乳腺成長因子;非ミオサイト由来成長因子(NMDGF)を含む心臓成長因子;メラノサイト刺激ホルモン(MSH)およびメラノーマ成長刺激活性(MGSA)を含むメラノサイト成長因子;血管新生因子(例えば、アンジオジェニン、アンジオトロピン、血小板由来ECGF、VEGF、およびプリオトロフィン);TGFαおよびTGFβを含む形質転換成長因子;TGF様成長因子(例えば、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、GDF1、CDGF、腫瘍由来TGF様因子、NDTGF、ヒト上皮形質転換因子);成長因子様特性を有する調節ペプチド(例えば、ボンベシンおよびボンベシン様ペプチドのラナテンシンおよびリトリン、アンジオテンシン、エンドセリン、心房性ナトリウム利尿因子、血管作動性腸管ペプチド、ブラジキニン);PDGF-A、PDGF-B、PDGF-ABなどの血小板由来成長因子;サブスタンスP、カルシトニン遺伝子制御ペプチド(CGRP)、ニューロペプチドYなどの神経ペプチド;ノルエピネフリン、アセチルコリン、カルバコールなどの神経伝達物質とその類似体;ヘッジホッグ、ヘレグリン/ノイレグリン、IL1、破骨細胞活性化因子(OAF)、リンパ球活性化因子(LAF)、肝細胞刺激因子(HSF)、B細胞活性化因子(BAF)、腫瘍抑制因子2(TIF2)、ケラチノサイト由来T細胞増殖因子(KDTCGF)、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、間質細胞由来サイトカイン(SCDC)、IL12、IL-13、IL-14、IL-15、インスリン、IGF-1、IGF-2、およびIGF-BPを含むインスリン様増殖因子;INF-α、INF-βおよびINF-γを含むインターフェロン;レプチン、ミッドカイン、腫瘍壊死因子(TNF-αおよびβ)、ネトリン、サポシン、セマフォリン、ソマトレム、ソマトロピン、幹細胞因子、VVGF、骨形態形成タンパク質(BMP)、接着分子、他のサイトカイン、ヘパリン結合成長因子、およびチロシンキナーゼレセプターリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、栄養剤は、α平滑筋アクチンのN末端ペプチドであり、筋線維芽細胞の収縮特性を阻害することが示されているAcEEEDのようなペプチドである。
【0162】
いくつかの実施形態では、細胞外マトリックス(ECM)剤が固体脂質粒 子に組み込まれる。適切なECM剤としては、細胞外マトリックスタンパク質、真核細胞株由来の再構成基底膜様複合体、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、VCAM-1、ビトロネクチン、およびゼラチン、細菌細胞外マトリックス、ゲルマトリックス、およびポリマーマトリックスのネイティブ構築物、ネイティブ構築物のフラグメント、および合成アナログが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、創傷活性薬剤は、RGD、EILDV、VCAM-1、およびそれらの組換えまたは合成アナログ、酵素、酵素阻害剤、およびポリペプチドによって例示されるが、これらに限定されないインテグリン結合配列である。
【0163】
いくつかの実施形態では、酵素剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適な酵素剤としては、エキソペプチダーゼおよびエンドペプチダーゼ(プロテアーゼおよびプロテイナーゼとしても知られる)が挙げられるが、これらに限定されず、セリンプロテアーゼであるキモトリプシン、トリプシン、エラスターゼ、およびカリクレイン、細菌酵素、システインプロテアーゼであるパパイン、アクチニン、ブロメライン、カテプシン、細胞質カルパイン、寄生体プロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、ペプシン系列のプロテアーゼであるペプシンおよびキモシン、リソソームカテプシンD、レニン、真菌プロテアーゼ、ウイルス性プロテアーゼ、エイズウイルスのレトロペプシン、メタロプロテアーゼ(MMP)、コラゲナーゼ、マゴット酵素、MMP1、MMP2、MMP8、MMP13、ゼラチナーゼ、MMP2、MMP9、MMP3、MMP7、MMP10、MMP11、MMP12が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
いくつかの実施形態では、酵素阻害剤が固体脂質粒子に組み込まれる。適切な酵素阻害剤としては、NSAIDS、アスピリン、カプトプリル、チオルファン、ホスホラミドン、テプロタイド、プロテアーゼおよびプロテイナーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤およびエキソペプチダーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド抗菌剤が固体脂質粒子に組み込まれる。好適なポリペプチド抗菌剤としては、α-ディフェンシンHNP1、2、3および4、並びにβ-ディフェンシンHBD-1、HBD-2、HBD-3、およびカテリシジンが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切なポリペプチド抗菌剤としては、マガイニン(例えば、マガイニンI、マガイニンII、キセノプシン、キセノプシン前駆体フラグメント、ケルレイン前駆体フラグメント)が挙げられる、マガイニンIおよびIIアナログ(例えば、PGLa、マガイニンA、マガイニンG、ペキシガニン、Z-12、ペキシガイニンアセテート、D35、MSI-78A、MG0(K10E、K11E、F12W-マガイニン2)、MG2+(K10E.F12W-マガイニン2)、MG4+(F12W-マガイニン2)、MG6+(f12W、E19Q-マガイニン2アミド)、MSI-238、逆マガイニンIIアナログ(例えば、53D、87-ISM、A87-ISM)、Ala-マガイニンIIアミド、マガイニンIIアミド)、セクロピンP1、セクロピンA、セクロピンB、インドリシジン、ナイシン、ラナレキシン、ラクトフェリシンB、ポリ-L-リシン、セクロピンA(1-8)-マガイニンII(1-12)、セクロピンA(1-8)-メリチン(1-12)、CA(1-13)-MA(1-13)、CA(1-13)-ME(1-13)、グラミシジン、グラミシジンA、グラミシジンD、グラミシジンS、アラメチシン、プロテグリン、ヒスタチン、ダーマセプチン、レンチウイルスの両親媒性ペプチドまたはアナログ、パラシンI、リコトキシンIまたはII、グロボマイシン、グラミシジンS、サーファクチン、ラリノマイシン、バリノマイシン、ポリミキシンB、PM2 ((+/-) 1-(4-aminobutyl)-6-benzylindane), PM2c ((+/-) -6-benzyl-1-(3-carboxypropyl)indane), PM3 ((+/-)1-benzyl-6-(4-aminobutyl)indane), tachyplesin, buforin I or II, misgurin、メリチン、PR-39、PR-26、9-フェニルノニルアミン、パラダキシン、Bac 5、Bac 7、セラトキシン、mdelin 1および5、ボンビン様ペプチド、PGQ、カテリシジン、HD-5、Oabac5α、ChBac5、SMAP-29、Bac7.5、ラクトフェリン、グラニュライシン、チオニン、ヘベインおよびノッティン様ペプチド、MPG1、1bAMP、スナキニン、脂質転移タンパク質、および植物ディフェンシンが挙げられるが、これらに限定されない。上記化合物の例示的配列を表1に提供する。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチドはL-アミノ酸から合成されるが、他の実施形態において、ペプチドはD-アミノ酸から合成されるか、またはD-アミノ酸を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド薬剤が固体脂質粒子に組み込まれる。適切なポリペプチド剤としては、抗体および免疫グロブリンならびにそれらのフラグメント、単鎖抗体、ヒト化抗体、フィブロネクチン、セロトニン、PAF、PDEGF、TNFa、IL1、IL6、IGF、IGF-1、IGF-2、IL-1、PDGF、FGF、KGF、VEGF、ブラジキニン、プロチモシンα、およびチモシンα1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
本発明の微粉化脂質粒子は、様々な薬物送達システムおよび装置に使用される。
【0168】
いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子は液体組成物中、最も好ましくは粘膜表面に適合する水性懸濁液中で提供される。本発明による「液体組成物」という用語は、ヒトまたは動物の身体に適用され得る、上記のような結晶性および非晶質の固体低融点微粉化粒子を含み、任意に上記で詳細に説明したような活性薬剤または活性脂質剤を含み得る、任意の水含有液体、溶液、または懸濁液を意味する。いくつかの好ましい実施形態において、液体組成物は、賦形剤、例えば、脂質、油、親油性ビタミン、滑沢剤、粘度剤、酸、塩基、酸化防止剤、安定剤、相乗剤、着色剤、増粘剤、-そして特定の場合に必要であれば-保存剤または界面活性薬剤およびそれらの混合物をさらに含む。
【0169】
有用な賦形剤は、微粒化プロセスにおいて低融点懸濁結晶性固体または非晶質固体に添加することができ、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ペンチレングリコール、流動パラフィン、トリグリセリド油などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの添加賦形剤は、治療上有益なものであってもよいし、低融点懸濁固体の融点または微粒化粒径を調整するために添加してもよい。その他の賦形剤は、粘度調整剤、安定性向上剤、治療上有益な添加剤として製剤の水性成分に添加することができる。
【0170】
有用な酸化防止剤としては、ビタミンEまたはビタミンE誘導体、アスコルビン酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、没食子酸エステル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)またはアセチルシステインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
いくつかの特に好ましい実施形態では、微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子は、眼科的に許容されるビヒクルまたは担体の水性懸濁液中で提供される。担体成分に含まれ得る他の成分としては、限定されないが、緩衝成分、強壮成分、保存剤成分、pH調整剤、人工涙液に一般的に見出される粘度増強成分、例えば1つ以上の電解質など、およびそれらの混合物が挙げられる。非常に有用な一実施形態では、担体成分は、有効量の緩衝剤成分、有効量の強壮剤成分、有効量の粘性成分、有効量の濃度成分、有効量の保存剤成分、および水のうちの少なくとも1つを含む。
【0172】
これらの追加成分は、好ましくは眼科的に許容されるものであり、眼科用組成物、例えば、ドライアイ症候群または他の眼障害を患う眼を治療するために使用される組成物、人工涙製剤などに従来から採用されている材料から選択することができる。
【0173】
本発明の組成物におけるこれらの追加成分の許容可能な有効濃度は、当業者に容易に明らかである。
【0174】
液体組成物は、単独で、または緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水、もしくは不活性担体化合物、グリセロール、鉱油、ワックスまたは類似の物質を含む薬学的に許容される物質と組み合わせて、本明細書に記載されるように、眼の眼表面または他の粘膜表面に投与することができる。
【0175】
上記の脂質化合物の投与量は、製剤および送達方法に従って最適化され、投与様式は従来のプロトコルによって決定され、ヒトの眼障害症状を効果的に治療する。
【0176】
微粉化脂質粒子を含む液体組成物は、治療用医薬品の局所投与のためのビヒクルとして利用することができる。好適な治療用医薬品は上述の通りであり、活性脂質化合物を含む活性化合物を含む。特に、本発明の液体組成物は、活性脂質剤、抗生物質剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗癌剤、抗緑内障剤、抗炎症剤、流涙、唾液分泌、または可溶性ムチンの放出刺激、および粘膜表面の湿潤性および/もしくは潤滑性を促進する細胞関連ムチンの発現刺激を促進する、挙げられるがこれらに限定されない分泌促進剤、鎮痛剤、免疫調節剤、巨大分子、またはそれらの混合物を含む任意の所望の治療剤、または治療剤の組み合わせを送達するための使用を見出す。
【0177】
いくつかの特に好ましい実施形態において、液体組成物中の微粉化脂質粒子を含む本発明の液体組成物に含まれ得る治療剤には、NMDA拮抗薬、抗ヒスタミン薬、抗寄生虫薬、ミオティック、交感神経刺激薬、抗コリン薬、局所麻酔薬、アメーバ刺激薬、トリコモノシダール薬、散瞳薬、炭酸脱水酵素阻害薬、眼科診断薬、眼科用薬剤が含まれるが、これらに限定されない、局所麻酔薬、アメーバ系薬剤、トリコモニダール系薬剤、散瞳薬、炭酸脱水酵素阻害薬、眼科診断薬、ドライアイの治療に使用される眼科薬剤(Xiidra、シクロスポリン、コルチコステロイドおよびステロイドを含むがこれらに限定されない)、手術のアジュバントとして使用される眼科薬剤、キレート剤、抗悪性腫瘍薬、診断薬、アドレナリン作動性麻酔薬、β遮断薬、α2-アゴニスト、サイクロプレンギック、プロスタグランジン、エース阻害薬、内因性サイトカイン、基底膜に影響を与える薬剤、内皮細胞の増殖に影響を与える薬剤、アドレナリン作動性作動薬または遮断薬、コリン作動性作動薬または遮断薬、アルドース還元酵素阻害薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗アレルギー薬、抗炎症薬、抗高血圧薬、鎮圧薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原虫薬、抗感染薬、抗腫瘍薬、代謝拮抗薬、血管新生阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、バンコマイシンなどのアミノグリコシド系抗生物質;クロラムフェニコールなどのアンフェニコール系抗生物質;セファゾリンHC1などのセファロスポリン系抗生物質;アンピシリン、ペニシリン、カルベニシリン、オキシシリン、メチシリンなどのペニシリン系抗生物質;リンコマイシンなどのリンコサミド系抗生物質;ポリミキシン、バシトラシンなどのポリペプチド系抗生物質;テトラサイクリンなどのテトラサイクリン系抗生物質;シプロフラキシンなどのキノロン系抗生物質など、クロラミンTなどのスルホンアミド系抗生物質;および親水性実体としてのスルファニル酸のようなスルホン類、抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、アジドチミジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシトシン、デキサメタゾン、シプロフラキシン、水溶性抗生物質、例えばアシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、アジドチミジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシシトシン;エピネフリン;イソフルフェート;アドリアマイシン;ブレオマイシン;マイトマイシン;アラ-C;アクチノマイシンD;スコポラミン;などの水溶性抗生物質、コデイン、モルヒネ、ケテロック、ナプロキセンなどの鎮痛剤,麻酔薬、例えばリドカイン;β-アドレナリン遮断薬またはβ-アドレナリン作動薬、例えばエフィドリン、エピネフリンなど、アルドース還元酵素阻害剤、例えばエパルレスタット、ポナルレスタット、ソルビニル、トルレスタット;抗アレルギー剤、例えばクロモリン、ベクロメタゾン、デキサメタゾン、フルニソリド;コルヒチン;抗アメーバ剤、例えばクロロキン、クロルテトラサイクリン;抗真菌剤、例えばアムホテリシンなど、酢酸アネコルタブのような抗血管新生化合物、ブリモニジン、アセトゾラミド、ビマトプロスト、チモロール、メベフノロールのような抗緑内障剤、メマンチン、α2アドレナリン受容体作動薬、2ME2、ビンブラスチン、ビンクリスチン、インターフェロンのような抗腫瘍剤、葉酸アナログ、プリンアナログ、ピリミジンアナログなどのα.β.およびγ.代謝拮抗薬、アザチプリン、シクロスポリン、ミゾリビンなどの免疫抑制薬、カルバコールなどの散瞳薬、アトロピンなどの散瞳薬、アプロチニン、カモスタット、ガベキサートなどのプロテアーゼ阻害剤、ブラジキニンなどの血管拡張剤、上皮成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、神経成長因子などの各種成長因子(それらの誘導体およびそれらの混合物を含む)が含まれる。
【0178】
液体組成物中に投与される有効量の微粉化脂質粒子は、定法により規定され、緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水、または不活性担体化合物、グリセロール、鉱油または同様の物質を含む、眼科用ビヒクルで利用される薬学的に許容される物質と組み合わせることができる。微粉化脂質粒子の投与量は、製剤および送達方法に従って最適化され、投与様式は、例えば眼障害または粘膜に関連する他の障害など、対象における関連する障害または症状を効果的に治療するために、従来のプロトコルによって決定される。
【0179】
いくつかの好ましい実施形態において、懸濁微粉化固体脂質粒子を含む液体組成物は、局所的に、例えば点眼薬として投与される。したがって、いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子を含む液体組成物は、容器、最も好ましくは滴下ディスペンサー中に提供される生理学的に適合性の担体中の脂質の安定な懸濁液である。好適な滴下ディスペンサーは当該技術分野で公知であり、米国特許第10,507,780号;第10,507,132号;第10,265,214号;第9,999,540号;第9,545,333号;第7,846,140号;第7,563,256号;第7,527,613号;第6,736,802号;第5,810,794号;第5,578,020号および第5,558,653号に記載されているものを含み、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0180】
さらにさらなる実施形態において、微粉化液体または固体脂質粒子を含む液体組成物は、滅菌単一使用容器、ブローフィルシール容器、pH5~8に緩衝化された水性成分中の微粉化液体または固体脂質粒子の保存または未保存微粉化懸濁液を含み、250~35mOsmol/Lの濃度を有する多用途容器を含む任意の数の容器からの滴下として眼表面に送達され得る。
【0181】
いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子を含む液体組成物は、微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子の懸濁液である。いくつかの好ましい実施形態において、液体組成物は、pH5~8、浸透圧250~350mOsm/L、粘度100以下のPBS中の安定な懸濁液として微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子を維持するための湿潤剤および増粘剤を含むPBSである。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は緩衝剤を含み、保存剤を含んでもよいし、保存剤を含まなくてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、懸濁液は安定化剤を含む。
【0182】
さらに他の好ましい実施形態では、薬物送達ビヒクルは医療用挿入器具である。本明細書で使用される場合、医療用挿入デバイスとは、眼、膣、直腸鼻、口など、対象の体内に挿入可能または対象の体上に挿入可能な、固体の三次元構造を指す。いくつかの好ましい実施形態では、医療用挿入器具は、器具の三次元構造に形成された微粉化脂質粒子から形成される。他の好ましい実施形態では、装置は生理学的に許容される材料から形成される。適切な生理学的に許容される材料としては、金属、ゲル、ポリマー、タンパク質性材料などが挙げられる。これらの実施形態において、装置は微粉化脂質粒子で被覆または含浸される。
【0183】
いくつかの好ましい実施形態において、生理学的に許容される材料は、生理学的に許容されるポリマーである。いくつかの好ましい実施形態において、生理学的に許容されるポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロゲル、ポリメチルメタクリレート、およびシリコーンアクリレートからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリ(乳酸/グリコール酸-PLGA)およびポリ(ε-カプロラクトン)のような、粘膜への適用に適した生物学的に許容可能なポリマーフィルムが好ましい。さらに他の好ましい実施形態において、生理学的に許容されるポリマーは、ブチリルトリヘキシルシトレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ-イソ-ノニル-1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、発泡PTFE、エチレンビニルアルコールコポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネート、高密度PE、高架橋PE、イソホロンジイソシアネート、低密度ポリ(エチレン)、ポリ(アミド)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(カプロラクトンジオール)、ポリ(D-乳酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(エチレン)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリエステルポリマーアロイ、ポリエーテルスルホン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルペンテン)、ポリ(プロピレン)、ポリスルホン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)、超高分子量PEからなる群から選択される。
【0184】
本発明の医療用挿入器具は、対象の身体の所望の領域への挿入に適合する任意の形状またはサイズであってよい。いくつかの好ましい実施形態では、挿入物は、シート、棒、球、部分球、管、円柱、三角形、円錐などの形状である。一部の好ましい実施形態では、挿入物が対象の眼の表面と接触するように配置される場合、挿入物は、好ましくは、穿刺プラグ、コンタクトレンズなどのレンズ、またはLACRISERT(商標)などの眼科用挿入物であってもよい。いくつかの実施形態では、医療用挿入器具は、本発明の微粉化脂質粒子が使用後に器具内に補充され、器具が再使用され得るように、再充電可能である。他の好ましい実施形態では、装置は単回使用装置である。
【0185】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の薬物送達デバイスは、対象の粘膜表面への活性薬剤の送達のための使用を見出す。例示的な粘膜表面としては、眼粘膜表面、膣粘膜表面、子宮頸管粘膜表面、卵管粘膜表面、呼吸器系粘膜表面、鼻粘膜表面、口腔粘膜表面、口腔粘膜表面、直腸粘膜表面、消化器系粘膜表面、および食道粘膜表面が挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
いくつかの実施形態において、薬物送達ビヒクルは粘膜表面に適用または投与される。いくつかの好ましい実施形態において、投与は局所的である。さらに他の好ましい実施形態では、投与は、球後、腔内、硝子体内、脈絡膜上および網膜下経路の送達である。いくつかの実施形態において、薬物送達ビヒクルは、粘膜表面下に適用または移植される。いくつかの好ましい実施形態において、粘膜表面は眼粘膜表面であり、薬物送達ビヒクルは結膜またはテノン嚢の下に移植または適用される。
【0187】
いくつかの好ましい実施形態では、活性薬剤は粘膜表面を経由して対象の体内に送達される。
【0188】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の薬物送達ビヒクルは、様々な障害、疾患および状態の治療における使用を見出す。いくつかの好ましい実施形態において、障害、疾患または状態は、粘膜表面に関連する。
【0189】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、ドライアイ、炎症性ドライアイ、蒸発性ドライアイ、マイボーム腺機能不全、およびそれに関連する症状、臨床的徴候または状態、急速な涙水蒸発をもたらす不安定な涙液膜、並びに乾燥性角結膜炎(ドライアイ)およびそれに関連する症状または臨床的徴候からなる群から選択される眼の疾患または障害を、そのような治療を必要とする動物またはヒト対象において治療する方法を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、治療を必要とする対象は、平均より少ない涙液膜破断時間測定値によって同定され得る。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子として製剤化された治療有効量の活性薬剤が、対象に、好ましくは眼の粘膜表面を介して投与される。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子は、眼科学的に許容される溶液中の懸濁液として眼に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子は、室温での保存可能期間が1日を超える、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子は、室温での保存可能期間が1週間を超える、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子は、室温での保存可能期間が1ヶ月を超える、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。いくつかの好ましい実施形態では、微粉化結晶性または非晶質固体脂質粒子は、室温での保存可能期間が1年を超える、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。
【0190】
いくつかの好ましい実施形態では、微粉化脂質粒子は、室温での保存可能期間が1日を超える、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子は、1週間を超える室温での保存可能期間を有する、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、微粉化脂質粒子は、1ヶ月を超える室温での保存可能期間を有する、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。いくつかの好ましい実施形態では、微粉化脂質粒子は、室温での保存可能期間が1年を超える、眼科的に許容される溶液中の化学的および物理的に安定な懸濁液として眼に投与される。さらに他の好ましい実施形態では、固体微粉化脂質粒子は、長期間にわたって涙液脂質層を含む涙液膜に活性脂質剤または他の活性薬剤を放出する。さらに他の好ましい実施形態では、固体微粉化脂質粒子は、1回の投与後12~24時間にわたって活性脂質剤または他の活性薬剤を涙液脂質層を含む涙液膜に放出する。さらに他の好ましい実施形態では、固体微粉化脂質粒子は、眼球表面に適用される1回の滴下後、12~24時間にわたって涙液脂質層を含む涙液膜に活性脂質剤または他の活性薬剤を放出する。さらに他の好ましい実施形態では、固体の微粉化脂質粒子は、体積が50マイクロリットル未満の1回の滴下後、24時間にわたって活性脂質剤または他の活性薬剤を涙液膜脂質層を含む涙液膜に放出する。さらに他の好ましい実施形態では、微粉化脂質粒子は、微粉化脂質粒子を長期間にわたって涙液脂質層を含む涙液膜に放出することができる挿入デバイスに埋め込まれるか、または注入される。このような装置は、穿刺プラグ、コンタクトレンズ、ヒドロキシプロピルセルロース挿入物(例えば、LACRISERT(商標))または他の類似の装置によって例示されるが、これらに限定されない。
【0191】
他の好ましい実施形態において、本発明の薬物送達デバイスは、口、鼻、または膣の乾燥、膣イースト菌感染症、呼吸器粘膜の疾患、カンジダ症、サーファクタント機能不全、ポリペプチド抗菌剤、ヘルペス(HSV-1およびHSV-2の両方によって引き起こされる)、粘膜類天疱瘡、口腔扁平苔癬、シェーグレン症候群、有毛白板症、尋常性粘膜天疱瘡、および慢性アフタ性口内炎を含む、粘膜の機能不全に関連する疾患または障害の治療における使用を見出す。これらの実施形態において、微粉化脂質粒子に製剤化された治療上有効な量の活性薬剤が、関連する粘膜に投与される。
【0192】
本発明は、例示した実施形態によって範囲を限定されるものではなく、これらの実施形態は、本発明の特定の態様の例示としてのみ意図される。本明細書上には、本発明を有利に使用することができる態様を例示する目的で、本発明に従って、活性薬剤を含む微粉化脂質粒子を用いて粘膜障害を治療する特定の方法が記載されているが、本発明はこれに限定されないことが理解されるであろう。例えば、本発明の方法および組成物は、記載されていない他の粘膜状態および障害を治療するために使用され得る。したがって、当業者に生じ得るあらゆる変形および改変は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲および趣旨内にあると考えられる。
【実施例
【0193】
〔実施例1 MCAL-201の合成〕
1-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG;本明細書ではMCAL-201と呼ぶ)は、4つの個別の化学的工程からなるプロセスを用いて製造される。固形原薬(DS)は、さらにジェットミルで処理され、微粉化粒子の懸濁液を安定化するためのポリソルベート80およびキサンタンガムを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)ビヒクルに懸濁するのに適した1~10μmサイズの微粉化固形粒子となる。
【0194】
MCAL-201医薬品(DP)は、35μLの点眼液として眼表面に直接投与するために、白色の単回使用高密度ポリエチレン(HDPE)スポイトバイアルに、微粉化(ジェットミリング)された固体MCAL-201の、滅菌された、保存加工がなされていない水性懸濁液として供給される。
【0195】
MCAL-201は、1-O-エイコサニル-2-パルミトイル-rac-グリセロール(1,2-EPRG)であり、以下の構造を有する:
【0196】
【化25】
【0197】
MCAL-201の一般的および物理化学的特性は以下の通りである:
1,2-EPRGの分子量は611.05g/mol
実験式: C3978
外観: 白色粉末
粒径: 1-10μm(微粉化後)
吸湿性: 低い
キラリティ: ラセミ体
エナンチオマー過剰: 0
融点: 57℃
溶解性: 水に不溶。クロロホルム(40mg/mL)およびヒマシ油(25mg/mL)に可溶。
【0198】
製造工程では、ラセミ体ソルケタールから始まる一連の個別合成工程を経て、2つのエナンチオマーの1:1ラセミ混合物として、医薬有効成分(API)であるMCAL-201を製造する。単位操作シーケンスを図1に示す。
【0199】
MCAL-201の420グラムのロットが製造された。分析証明書(CoA)は、MCAL201の薬物が1,2-EPRGと1,3-EPRGの99:1混合物であることを示している。このロットは、本明細書でさらに詳細に説明する非臨床試験で使用された。図1に記載された合成に続いて、MCAL-201はジェット粉砕または噴霧乾燥によってさらに処理され、PBSに懸濁された微粉化固体の動的光散乱(DLS)によって決定される1~10ミクロンの微粒子サイズ範囲になる(図2参照)。
【0200】
微粉化しないで、点眼剤としての送達のための水性製剤におけるMCAL-201を可溶化することは、水におけるMCAL-201の極端な不溶性ゆえに困難であることがわかった。しかし、MCAL-201の水溶性シクロデキストリン包接体の調製は、非臨床有効性試験で使用された。さらに、水性緩衝液中でミクロンサイズの液体粒子に乳化できるヒマシ油中のMCAL-201の溶液は、涙液脂質層にMCAL-201を直接送達するために使用することができる。
【0201】
これらのシクロデキストリンおよび乳化ヒマシ油製剤は、ドライアイの動物モデルにおいて有効であることが証明された。MCAL-201は、MCAL-201の2位からより熱力学的に安定な3位へのパルミトイル基のアシル移動が許容できないレベルであり、液体溶液相における長期的な化学的安定性を欠いていた。固相におけるMCAL-201の異性体安定性は、溶液中よりもはるかに高いことが観察された。このことが、涙と等張の水性製剤に懸濁された結晶または非晶質の微粉化固体粒子の懸濁液として、固体MCAL-201の送達の開発につながった。MCAL-201結晶性薬物はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に浮遊していたが、湿潤剤としてのポリソルベート80と、医薬品の密度と粘度を調整するキサンタンガムの助けを借りて、PBSに安定に懸濁できる1~10ミクロンの粒子に微粉化した後に懸濁することができた。
【0202】
〔実施例2 MCAL-201の微粉化〕
MCAL-201は結晶性固体(m.p.57℃)であり、粉雪のような流動性のある低密度のテクスチャーである。そのため、50gのMCAL-201原薬は、粉砂糖のような密度の高い液体または固体を500mL入れるように設計された瓶を満たす。MCAL-201には、噴霧乾燥とジェット粉砕という2つの微粉化方法が適しているようである。
【0203】
〔噴霧乾燥法:〕
クロロホルム(3% w/w)中のMCAL-201の溶液を、不活性ガス流中でBuchi B-290スプレードライヤーに噴霧し、10分間の時間枠で、85度の入口温度でエアロゾルを作成する。この速度は、固体微粉化粒子が、おそらく結晶融点より少なくとも10度低い非晶質固体粒子として形成されることを保証するために選択される。微粉化粒子の収集は、溶媒(クロロホルム)の多くが蒸発し、別々に凝縮された後、加圧された入口ガスから出口真空圧までのサイクロン流を持つチャンバー内で行われる。注入されたMCAL-201の50%は、収集チャンバー内で非晶質微粉化固体粒子を形成した。平均粒径は8.6ミクロンで、動的光散乱によって決定されたように、7ミクロンと11ミクロンの間の比較的緊密な粒径分散であった。これらの粒子は、残留クロロホルムが定量限界(ガスクロマトグラフィー)以下になるまで真空中で乾燥させた。
【0204】
同様に、シクロスポリン(0.33% w/w)を含むクロロホルム(3% w/w)中のMCAL-201の溶液を不活性ガス流中でBuchi B-290スプレードライヤーに噴霧し、10分間の時間枠で、85度の入口温度でエアロゾルを作る。微粉化された粒子の収集は、溶媒(クロロホルム)の多くが蒸発し、別々に凝縮された後、加圧された入口ガスから出口真空圧までのサイクロン流を持つチャンバー内で行われる。これらの粒子は、残留クロロホルムが定量限界(ガスクロマトグラフィー)以下になるまで真空中で乾燥させた。
【0205】
〔ジェット粉砕法:〕
結晶性固体MCAL-201は、MCAL-201粒子の高エネルギー粒子間衝突と破壊を誘発する高速ガスジェット(例えばスーパーソニック)下でスパイラルミルの粉砕チャンバーに供給された。これらの粒子は常に粉砕チャンバーの中心に向かってサイクロン流で掃引される。10ミクロン未満の粒子は、サイクロン気流によって捕集チャンバーに掃引される。かなりの量のMCAL-201がチャンバーの壁に付着したままである。平均粒径10ミクロン未満の微粉化されたMCAL-201が3ロット調製された。すべて1~15ミクロンの粒度分布を有し、最小の粒度分布は1~10ミクロンであった。このロットの平均粒径は3.56ミクロンであり、後述の懸濁液開発研究に持ち越された。
【0206】
〔実施例4 MCAL-201の製剤化〕
MCAL-201は、ウサギのハーデリアン腺の分泌液で最初に同定された非極性エーテル脂質である。これは、ウサギで観察される涙液脂質層の過安定性と長い瞬目間隔(例えば20分を超える)に関連する1-O-エーテル、2-エステルグリセリン(1,2-EPRG)クラスの非極性脂質である。MCAL-201は、cGMP条件下で化学合成され、ヒトに使用される。
【0207】
MCAL-201医薬品(DP)は、微粉化された固体MCAL-201粒子の乳白色の懸濁液である。0.1%懸濁液の各mLは、MCAL-201活性成分を1mg含んでいる。医薬品は、微粉化された固体MCAL-201の0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、0.3%、1%および5%懸濁液で製剤化できる。医薬品は、無菌のHDPEボトルに無菌充填され、1滴あたりの容量が35μLのスポイトチップと保護キャップが付いている。医薬品は保存または未保存である。容器の閉鎖システムは、DPを充填する前にガンマ線照射により別途滅菌される。
【0208】
例示的な製品バッチ組成物を表1に示す。
【0209】
【表1】
【0210】
MCAL-201は以下の強度で配合される:0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、0.3%、1%。微粉化したMCAL-201を湿潤剤としてのポリソルベート80と混合する。残りの賦形剤の適量を秤量し、260~320mOsm/Lを目標にPBSに溶解する。粘度および密度調整剤としての0.1~0.3%(w/v)キサンタンガムを含むPBSを、ホモジナイズしながらMCAL-201/ポリソルベート80混合物に添加し、0.001~10(またはTBD)mg/mLの懸濁薬剤を含む固体MCAL201の乳白色懸濁液を得る。pHは1N HClまたは1N NaOHで調整し、6.5~7.2のpHにする。最終ポリソルベート80濃度は3%以下、最終キサンタンガム濃度は0.1~0.3%である。懸濁液は、MCAL-201含有量、MCAL-201異性体含有量、粒度分布、pH、変性、浸透圧について分析される。製剤化された原液は、LDPEスポイトチップおよびポリプロピレンキャップクロージャーを含む7.5mL無菌HDPEボトルに無菌充填される。表2に医薬品の分析仕様を示す。
【0211】
【表2】
【0212】
結晶MCAL-201は、1~10ミクロンの結晶および非晶質固体粒子に微粉化されている(図2参照)。これらの粒子を湿潤剤としてのポリソルベート80(0.3% w/w)で処理すると、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH6~8、260~320mOsm/L)中のキサンタンガム(0.1~0.3% w/w、図3参照)の混合物中に微粉化粒子の懸濁液が得られ、安定に懸濁した局所ドロップまたは注射用懸濁液として投与するのに適している。微粉化懸濁液の、微粉化固体粒子の浮遊、沈降または凝集による微粉化粒子の分離に対する物理的安定性は、室温で6ヶ月を超えて実証されている。遠心分離および水による洗浄による製剤化薬剤からの微粉化固体粒子の回収は、微粉化プロセスに対するMCAL-201の化学的および異性体安定性(図4を参照)、および室温での懸濁製剤における6週間の微粉化MCAL-201の異性体安定性を示す(図5を参照)。
【0213】
〔実施例3 毒性および忍容性試験〕
投薬を受けたことがないイヌを対象に、MCAL-201の非GLP局所眼内投与の用量範囲探索薬理試験および毒性試験を実施した。主な試験目的は、イヌにおけるMCAL-201の局所眼内投与の忍容性を評価することであり、副次的な目的は、健康なイヌにおける薬理学的活性を支持するデータを得ることであった。
【0214】
ビヒクル、0.1、0.5、1、3、および10mg/mLのMCAL-201を35μLの液滴として両側からQD投与した場合(0.0035、0.0175、0.035、0.105、および0.35mg/眼/日)の効果を第I部で評価した。投与レジメンを3に要約する。
【0215】
【表3】
【0216】
評価した眼のエンドポイントを表4にまとめた。眼表面および前眼部の採点は、認定獣医眼科医がSPOTSシステムを用いて行った。SPOTSは評価濃度ごとに実施した。TBUTを測定するため、フルオレセインを眼球に注入し、眼球を手で閉じてから静かに開き、瞬きをシミュレートした。開眼から、フルオレセインの切れ目で示される均一な涙液膜の崩壊の最初の兆候までの時間間隔を秒単位で記録した。この手順を両眼で3回繰り返し、最初は右目、次に左目を行った。10mg/mLのMCAL-201をBID投与した後、最終投与から48時間後にもSPOTSを行った。
【0217】
【表4】
【0218】
MCAL-201の忍容性は良好であり、評価されたいずれの時間または濃度(最大10mg/mL OU BID 48時間)においても、眼または全身性の有害事象は認められなかった。MCAL-201は5頭の健康な成犬においてTBUTを延長した(図6)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】