(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】熱放散のためのタンク及びそれを含む冷却システム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20240423BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H05K7/20 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023568543
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 AU2021051215
(87)【国際公開番号】W WO2022232863
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523419288
【氏名又は名称】フィルムス・メタル・テクノロジーズ・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】レビー、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】カーティス、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ブルズ、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カー、ハミッシュ
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322DA01
5E322DA04
5E322EA11
(57)【要約】
冷却システム(100)は、複数の冷却タンク(101)であって、冷却タンク(101)の各々は、液体冷却剤を収容するように構成される、複数の冷却タンク(101)と、複数の冷却タンク(101)に流体的に接続するように構成された接続パイプのセット(106)と、複数の冷却タンク(101)の中に液体冷却剤を供給するように、複数の冷却タンク(101)に流体的に接続されるインレットパイプのセット(102)と、複数の冷却タンク(101)から外へ、コンピューティングデバイス(520)から吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように、複数の冷却タンク(101)に流体的に接続されるアウトレットパイプのセット(103)と、インレットパイプのセット(102)の各々及びアウトレットパイプのセット(103)の各々に流体的に接続する熱交換器(104)と、アウトレットパイプのセット(103)の各々に流体的に接続する冷却剤ポンプ(105)と、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンタ内で動作するコンピューティングデバイスを冷却する冷却システムであって、
複数の冷却タンクであって、前記冷却タンクの各々は、液体冷却剤が前記コンピューティングデバイスから生じる熱を吸収して、前記コンピューティングデバイスを冷却するために、前記液体冷却剤を収容し、前記コンピューティングデバイスを前記液体冷却剤内に浸漬するようなサイズになるように構成される、前記複数の冷却タンクと、
前記複数の冷却タンクの各々内の前記液体冷却剤を実質的に同一のレベルに保持するように、前記複数の冷却タンクに流体的に接続するように構成された接続パイプのセットと、
インレットパイプのセットであって、前記インレットパイプのセットは、前記複数の冷却タンクの中に前記液体冷却剤を供給するように、前記複数の冷却タンクに流体的に接続される、前記インレットパイプのセットと、
アウトレットパイプのセットであって、前記アウトレットパイプのセットは、前記複数の冷却タンクから外へ前記コンピューティングデバイスから吸収された前記熱を運ぶ前記液体冷却剤を放出するように、前記複数の冷却タンクに流体的に接続される、前記アウトレットパイプのセットと、
前記インレットパイプのセットの中に前記液体冷却剤を供給するように、前記インレットパイプのセットの各々に流体的に接続し、前記アウトレットパイプのセットから、前記コンピューティングデバイスから吸収された前記熱を運ぶ前記液体冷却剤を受けるように、前記アウトレットパイプのセットの各々に流体的に接続する熱交換器であって、前記熱交換器は、前記熱を運ぶ前記液体冷却剤からの前記熱を放散するように構成される、前記熱交換器と、
前記アウトレットパイプのセットの各々に流体的に接続する冷却剤ポンプであって、前記冷却剤ポンプは、前記複数の冷却タンク、前記インレットパイプのセット、前記アウトレットパイプのセット、及び前記熱交換器内の前記液体冷却剤の循環を促進するように構成される、前記冷却剤ポンプと、
を備える、前記冷却システム。
【請求項2】
前記インレットパイプのセットは、メインインレットパイプと、前記メインインレットパイプから延び、前記メインインレットパイプに流体的に接続する複数の分岐インレットパイプとを含み、前記メインインレットパイプは、前記熱交換器に流体的に接続し、前記複数の分岐インレットパイプの各々は、前記複数の冷却タンクの1つに流体的に接続する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記アウトレットパイプのセットは、メインアウトレットパイプと、前記メインアウトレットパイプから延び、前記メインアウトレットパイプに流体的に接続する複数の分岐アウトレットパイプとを含み、前記メインアウトレットパイプは、前記冷却剤ポンプを介して前記熱交換器に流体的に接続し、前記複数の分岐アウトレットパイプの各々は、前記複数の冷却タンクの1つに流体的に接続する、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記接続パイプの各々は、2つの隣接する冷却タンクの間の流体接続を制御するための接続隔離弁を含む、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
複数の分岐インレットパイプの各々は、前記分岐インレットパイプが流体的に接続される前記冷却タンクの中に前記液体冷却剤が流れる速度を制御するための平衡弁を含む、請求項3~4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
複数の分岐アウトレットパイプの各々は、前記分岐アウトレットパイプが流体的に接続される前記冷却タンクから外へ流れる、前記熱を運ぶ前記液体冷却剤を停止するためのアウトレット隔離弁を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項7】
排出・充填システムを更に備え、前記排出・充填システムは、
排出・充填ポンプと、
冷却剤貯蔵器と、
メイン排出・充填パイプと、前記メイン排出・充填パイプから延び、前記冷却タンクの1つに流体的に接続される複数の分岐排出・充填パイプとを含む排出・充填パイプのセットと、を含み、
前記メイン排出・充填パイプは、前記排出・充填ポンプに流体的に接続され、前記排出・充填ポンプは、前記冷却剤貯蔵器に流体的に接続される、
請求項3~6のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記分岐排出・充填パイプの各々は、排出・充填弁を含む、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記排出・充填パイプのセットは、
前記メインアウトレットパイプに前記メイン排出・充填パイプを流体的に接続する排出相互接続パイプであって、前記排出相互接続パイプは、前記メイン排出・充填パイプと前記メインアウトレットパイプとの間の流体接続を制御するための排出相互接続弁を含む、前記排出相互接続パイプと、
前記メインアウトレットパイプに前記メイン排出・充填パイプを流体的に接続する充填相互接続パイプであって、前記充填相互接続パイプは、前記メイン排出・充填パイプと前記メインアウトレットパイプとの間の流体接続を制御するための充填相互接続弁を含む、前記充填相互接続パイプと、を更に含み、
その結果、前記液体冷却剤は、前記複数の冷却タンクの1つ以上から前記メインアウトレットパイプの中に排出されることができ、前記液体冷却剤は、前記メインアウトレットパイプから前記複数の冷却タンクの前記1つ以上の中に充填されることができる、
請求項7または8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記熱交換器が水の中に前記熱を放散するために、前記熱交換器の中に前記水を供給するように、前記熱交換器に流体的に接続される水供給パイプと、
前記熱交換器から、前記熱を有する前記水を放出するように、前記熱交換器に流体的に接続される水放出パイプと、
前記水供給パイプ及び前記水放出パイプに流体的に接続される冷却タワーであって、前記冷却タワーは、前記水供給パイプの中に前記水を供給し、前記水放出パイプから熱を有する前記水を受け、前記水供給パイプの中に前記水を供給する前に前記水から前記熱を放出して前記水を冷ます、ように構成される、前記冷却タワーと、
前記水供給パイプ、前記水放出パイプ、前記冷却タワー、及び前記熱交換器内の前記水の循環を促進するように、前記冷却タワー及び前記水供給パイプに流体的に接続される水ポンプと、
を更に備える、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記熱交換器は、
前記メインアウトレットパイプから、前記コンピューティングデバイスから吸収された前記熱を運ぶ前記液体冷却剤を受けるように、前記メインアウトレットパイプに流体的に接続され、前記メインインレットパイプの中に前記液体冷却剤を供給するように、前記メインインレットパイプに流体的に接続される冷却剤チャネルのセットと、
前記水供給パイプ及び前記水放出パイプに流体的に接続される水チャネルのセットであって、前記水チャネルのセットは、前記熱が前記液体冷却剤から前記水に放散されるために、前記冷却剤チャネルのセットから流体的に隔離されるが、前記冷却剤チャネルのセットに熱的に結合されるように構成される、前記水チャネルのセットと、
を含む、請求項10に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記冷却タワーは、前記水供給パイプに供給される前記水の温度を設定するための温度制御機構を含む、請求項11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記冷却タワーは、蒸発冷却タワーを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記複数の冷却タンクの各々は、
前記液体冷却剤を収容するように作業空間を形成するコンテナであって、前記コンテナは、冷却剤インレット、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材を含み、前記冷却剤インレットは、前記インレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、前記冷却剤アウトレットは、前記アウトレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、前記第1の接続部材は、前記接続パイプのセットの第1の接続パイプに流体的に接続するように構成され、前記第2の接続部材は、前記接続パイプのセットの第2の接続パイプに流体的に接続するように構成される、前記コンテナと、
冷却空間及び戻り空間に前記作業空間を分離するように、前記コンテナの前記作業空間内で延びる分離パネルであって、前記冷却空間は、前記冷却剤インレットに流体的に結合され、前記戻り空間は、前記冷却剤アウトレット、前記第1の接続部材、及び前記第2の接続部材に流体的に結合され、前記分離パネルは、前記冷却剤インレットを介した前記冷却空間の中への前記液体冷却剤の供給に起因して、前記冷却空間内の前記液体冷却剤が前記戻り空間の中に流れるように構成され、前記冷却剤アウトレットは、前記戻り空間から外へ、前記コンピューティングデバイスから吸収された前記熱を運ぶ前記液体冷却剤を放出するように更に構成される、前記分離パネルと、
を含む、請求項13に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記複数の冷却タンクの各々の前記コンテナは、
第1のエッジと、前記第1のエッジに隣接する第2のエッジと、前記第2のエッジに隣接し、前記第1のエッジとは反対の第3のエッジと、前記第3のエッジを前記第1のエッジと接続する第4のエッジとを有する底部パネルと、
前記第1のエッジから延びる第1の側壁と、
前記第2のエッジから延びる第2の側壁と、
前記第3のエッジから延びる第3の側壁と、
前記第4のエッジから延びる第4の側壁と、を含み、
前記底部パネル、前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁、及び前記第4の側壁は、前記作業空間を形成する、
請求項14に記載の冷却システム。
【請求項16】
前記冷却剤インレット、前記冷却剤アウトレット、前記第1の接続部材、及び前記第2の接続部材は、前記底部パネル上に位置する、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項17】
前記分離パネルは、前記第1の側壁、前記第3の側壁、前記第4の側壁、前記底部パネル、及び前記分離パネルが前記冷却空間を形成し、前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁、前記底部パネル、及び前記分離パネルが前記戻り空間を形成するように、前記冷却空間及び前記戻り空間に前記作業空間を分離するように、前記第1の側壁及び前記第3の側壁に沿って前記底部パネルから延びる、請求項16に記載の冷却システム。
【請求項18】
前記分離パネルは、前記冷却空間内の前記液体冷却剤が前記戻り空間の中に流れることができるように、前記冷却空間が前記分離パネルの上で前記戻り空間と流体的に連通することを可能にする第1の高さを有する、請求項17に記載の冷却システム。
【請求項19】
前記冷却剤アウトレットは、前記底部パネルから延び、前記冷却剤アウトレットの上部開口が前記コンピューティングデバイスから吸収された前記熱を運ぶ前記液体冷却剤の中に浸漬されて、前記熱を運ぶ前記液体冷却剤が前記戻り空間から外へ流れることを可能にするように、前記分離パネルの前記第1の高さよりも低い前記上部開口を有する、請求項18に記載の冷却システム。
【請求項20】
前記複数の冷却タンクの各々は、複数の孔を含み、前記冷却剤インレットを覆って、前記液体冷却剤を均一に分散させ、前記冷却空間に入る前記液体冷却剤の圧力を調整するように、前記冷却空間内で延びる冷却剤分散パネルを更に含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項21】
前記冷却剤分散パネルの前記複数の孔の少なくとも一部は、前記コンピューティングデバイスの少なくとも1つと位置合わせされるように構成される、請求項20に記載の冷却システム。
【請求項22】
前記複数の孔の直径は、3ミリメートルである、請求項20~21のいずれかに記載の冷却システム。
【請求項23】
データセンタ内で動作するコンピューティングデバイスを冷却する冷却システムであって、
請求項3~22のいずれか一項に記載の第1のサブ冷却システムと、
請求項3~22のいずれか一項に記載の第2のサブ冷却システムと、
液体冷却剤が前記第1のサブ冷却システムのメインインレットパイプと前記第2のサブ冷却システムのメインインレットパイプとの間で流れることを可能にするように、前記第1のサブ冷却システムの前記メインインレットパイプを前記第2のサブ冷却システムの前記メインインレットパイプと流体的に接続するインレット相互接続パイプと、
熱を運ぶ前記液体冷却剤が前記第1のサブ冷却システムのメインアウトレットパイプと前記第2のサブ冷却システムのメインアウトレットパイプとの間で流れることを可能にするように、前記第1のサブ冷却システムの前記メインアウトレットパイプを前記第2のサブ冷却システムの前記メインアウトレットパイプと流体的に接続するアウトレット相互接続パイプと、
を備える、前記冷却システム。
【請求項24】
前記インレット相互接続パイプは、前記液体冷却剤が前記第1のサブ冷却システムの前記メインインレットパイプと前記第2のサブ冷却システムの前記メインインレットパイプとの間で流れる速度を制御するインレット相互接続弁を含む、請求項23に記載の冷却システム。
【請求項25】
前記アウトレット相互接続パイプは、前記熱を運ぶ前記液体冷却剤が前記第1のサブ冷却システムの前記メインアウトレットパイプと前記第2のサブ冷却システムの前記メインアウトレットパイプとの間で流れる速度を制御するアウトレット相互接続弁を含む、請求項24に記載の冷却システム。
【請求項26】
データセンタ内で動作するコンピューティングデバイスを冷却する冷却タンクであって、
液体冷却剤を収容するように、作業空間を形成するコンテナであって、前記コンテナは、冷却剤インレット、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材を含み、前記冷却剤インレットは、インレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、前記冷却剤アウトレットは、アウトレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、前記第1の接続部材は、接続パイプのセットの第1の接続パイプに流体的に接続するように構成され、前記第2の接続部材は、前記接続パイプのセットの第2の接続パイプに流体的に接続するように構成される、前記コンテナと、
冷却空間及び戻り空間に前記作業空間を分離するように、前記コンテナの前記作業空間内で延びる分離パネルであって、前記冷却空間は、前記冷却剤インレットに流体的に結合され、前記戻り空間は、前記冷却剤アウトレット、前記第1の接続部材、及び前記第2の接続部材に流体的に結合され、前記分離パネルは、前記冷却剤インレットを介した前記冷却空間の中への前記液体冷却剤の供給に起因して、前記冷却空間内の前記液体冷却剤が前記戻り空間の中に流れるように構成され、前記冷却剤アウトレットは、前記戻り空間から外へ流れる、前記コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ前記液体冷却剤を放出するように更に構成される、前記分離パネルと、
を備える、前記冷却タンク。
【請求項27】
前記コンテナは、
第1のエッジと、前記第1のエッジに隣接する第2のエッジと、前記第2のエッジに隣接し、前記第1のエッジとは反対の第3のエッジと、前記第3のエッジを前記第1のエッジと接続する第4のエッジとを有する底部パネルと、
前記第1のエッジから延びる第1の側壁と、
前記第2のエッジから延びる第2の側壁と、
前記第3のエッジから延びる第3の側壁と、
前記第4のエッジから延びる第4の側壁と、を含み、
前記底部パネル、前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁、及び前記第4の側壁は、前記作業空間を形成する、
請求項26に記載の冷却タンク。
【請求項28】
前記冷却剤インレット、前記冷却剤アウトレット、前記第1の接続部材、及び前記第2の接続部材は、前記底部パネル上に位置する、請求項27に記載の冷却タンク。
【請求項29】
前記分離パネルは、前記第1の側壁、前記第3の側壁、前記第4の側壁、前記底部パネル、及び前記分離パネルが前記冷却空間を形成し、前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁、前記底部パネル、及び前記分離パネルが前記戻り空間を形成するように、前記冷却空間及び前記戻り空間に前記作業空間を分離するように、前記第1の側壁及び前記第3の側壁に沿って前記底部パネルから延びる、請求項28に記載の冷却タンク。
【請求項30】
前記分離パネルは、前記冷却空間内の前記液体冷却剤が前記戻り空間の中に流れることができるように、前記冷却空間が前記分離パネルの上で前記戻り空間と流体的に連通することを可能にする第1の高さを有する、請求項29に記載の冷却タンク。
【請求項31】
前記冷却剤アウトレットは、前記底部パネルから延び、前記冷却剤アウトレットの上部開口が前記コンピューティングデバイスから吸収された前記熱を運ぶ前記液体冷却剤の中に浸漬されて、前記熱を運ぶ前記液体冷却剤が前記戻り空間から外へ流れることを可能にするように、前記分離パネルの前記第1の高さよりも低い前記上部開口を有する、請求項30に記載の冷却タンク。
【請求項32】
複数の孔を含み、前記冷却剤インレットを覆って、前記冷却空間に入る前記液体冷却剤の圧力を調整するように、前記冷却空間内で延びる冷却剤分散パネルを更に備える、請求項26~31のいずれか一項に記載の冷却タンク。
【請求項33】
前記冷却剤分散パネルの前記複数の孔の少なくとも一部は、前記コンピューティングデバイスの少なくとも1つと位置合わせされるように構成される、請求項32に記載の冷却タンク。
【請求項34】
前記複数の孔の直径は、3ミリメートルである、請求項32~33のいずれかに記載の冷却タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱放散に関し、特に、熱放散のためのタンク及びそれを含む冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタは通常、コンピューティングタスクを実行するために、数百、数千、または数万のコンピューティングデバイスまたはサーバをホストする。それらのコンピューティングデバイスは、動作の間に莫大な量の熱を生じさせる。コンピューティングデバイスから生じた熱は、コンピューティングデバイスが適切に動作するために放散されるべきである。そうでなければ、コンピューティングデバイスは、データセンタ内の蓄積した熱に起因して損傷を受け得る。したがって、冷却システムは、熱を放散するために、データセンタに設置されることが必要とされる。データセンタ内のコンピューティングデバイス及び冷却システムの両方は、電気を消費する。電力使用の効率性を測定するために、電力利用効率(PUE)が使用され、電力使用の効率性は、コンピューティングタスクを実行するコンピューティングデバイスまたはサーバに配送される電力に対する、データセンタによって消費される総電力の比率として定義される。例えば、データセンタは、10,000KWの総電力を消費し、この総電力は、サーバ及び他の機器、主に、サーバを冷却するための冷却システムに電力供給するために使用される。同時に、総電力からの8,000KWは、サーバに電力供給するために使用される。したがって、データセンタのPUEは、10,000KW/8,000KW=1.25である。通常、PUEが低くなることは、電気の浪費が少なくなること、オペレーティングコストが低くなること、及び競争的利点が大きいことを意味する。
【0003】
空冷及び浸漬冷却は現在、データセンタにおいて採用されている。浸漬冷却は、そのデータセンタにおいて空冷よりも有利であると共に、浸漬冷却は、冷却によるPUEよりもはるかに少ないPUEを有する。例えば、Green Revolution Cooling,Inc.及びAlibaba Groupにより開発された浸漬冷却システムは、2020年に、1.59の平均PUEと比較して、1.05のPUE及び1.07のPUEのそれぞれを達成してきた。更に、浸漬冷却システムは、同一の能力のために必要とするランドフットプリントを少なくし、それは、電力密度が大きいことを意味する。しかしながら、例えば、より低いPUE、より少ないランドフットプリント、またはより高い電力密度という、データセンタの動作のために提案された厳しい要件により、要件のなくとも一部を満たすための改善された冷却システムに対する必要性が存在する。
【0004】
明細書の全体を通じた背景技術のいずれかの議論は、そのような背景技術が従来技術であることを認めること、そのような背景技術が公知であること、またはオーストラリアもしくはいずれかの他の国において本分野における一般的な知識の一部を形成すること、と何ら考えられるべきではない。
【発明の概要】
【0005】
データセンタ内で動作するコンピューティングデバイスを冷却する冷却システムが提供される。冷却システムは、
複数の冷却タンクであって、冷却タンクの各々は、液体冷却剤がコンピューティングデバイスから生じる熱を吸収して、コンピューティングデバイスを冷却するために、液体冷却剤を収容し、コンピューティングデバイスを液体冷却剤内に浸漬するようなサイズになるように構成される、複数の冷却タンクと、
複数の冷却タンクの各々内の液体冷却剤を実質的に同一のレベルに保持するように、複数の冷却タンクに流体的に接続するように構成された接続パイプのセットと、
インレットパイプのセットであって、インレットパイプのセットは、複数の冷却タンクの中に液体冷却剤を供給するように、複数の冷却タンクに流体的に接続される、インレットパイプのセットと、
アウトレットパイプのセットであって、アウトレットパイプのセットは、複数の冷却タンクから外へコンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように、複数の冷却タンクに流体的に接続される、アウトレットパイプのセットと、
インレットパイプのセットの中に液体冷却剤を供給するように、インレットパイプのセットの各々に流体的に接続し、アウトレットパイプのセットから、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を受けるように、アウトレットパイプのセットの各々に流体的に接続する熱交換器であって、熱交換器は、熱を運ぶ液体冷却剤からの熱を放散するように構成される、熱交換器と、
アウトレットパイプのセットの各々に流体的に接続する冷却剤ポンプであって、冷却剤ポンプは、複数の冷却タンク、インレットパイプのセット、アウトレットパイプのセット、及び熱交換器内の液体冷却剤の循環を促進するように構成される、冷却剤ポンプと、を含み得る。
【0006】
インレットパイプのセットは、メインインレットパイプと、メインインレットパイプから延び、メインインレットパイプに流体的に接続する複数の分岐インレットパイプとを含み得、メインインレットパイプは、熱交換器に流体的に接続し、複数の分岐インレットパイプの各々は、複数の冷却タンクの1つに流体的に接続する。
【0007】
アウトレットパイプのセットは、メインアウトレットパイプと、メインアウトレットパイプから延び、メインアウトレットパイプに流体的に接続する複数の分岐アウトレットパイプとを含み得、メインアウトレットパイプは、冷却剤ポンプを介して熱交換器に流体的に接続し、複数の分岐アウトレットパイプの各々は、複数の冷却タンクの1つに流体的に接続する。
【0008】
接続パイプの各々は、2つの隣接する冷却タンクの間の流体接続を制御するための接続隔離弁を含み得る。
【0009】
複数の分岐インレットパイプの各々は、分岐インレットパイプが流体的に接続される冷却タンクの中に液体冷却剤が流れる速度を制御するための平衡弁を含み得る。
【0010】
複数の分岐アウトレットパイプの各々は、分岐アウトレットパイプが流体的に接続される冷却タンクから外へ流れる、熱を運ぶ液体冷却剤を停止するためのアウトレット隔離弁を含み得る。
【0011】
冷却システムは、排出・充填システムを更に含み得、排出・充填システムは、
排出・充填ポンプと、
冷却剤貯蔵器と、
メイン排出・充填パイプと、メイン排出・充填パイプから延び、冷却タンクの1つに流体的に接続される複数の分岐排出・充填パイプとを含む排出・充填パイプのセットと、を含み、
メイン排出・充填パイプは、排出・充填ポンプに流体的に接続され、排出・充填ポンプは、冷却剤貯蔵器に流体的に接続される。
【0012】
分岐排出・充填パイプの各々は、排出・充填弁を含み得る。
【0013】
排出・充填パイプのセットは、
メインアウトレットパイプにメイン排出・充填パイプを流体的に接続する排出相互接続パイプであって、排出相互接続パイプは、メイン排出・充填パイプとメインアウトレットパイプとの間の流体接続を制御するための排出相互接続弁を含む、排出相互接続パイプと、
メインアウトレットパイプにメイン排出・充填パイプを流体的に接続する充填相互接続パイプであって、充填相互接続パイプは、メイン排出・充填パイプとメインアウトレットパイプとの間の流体接続を制御するための充填相互接続弁を含む、充填相互接続パイプと、を更に含み得、
その結果、液体冷却剤は、複数の冷却タンクの1つ以上からメインアウトレットパイプの中に排出されることができ、液体冷却剤は、メインアウトレットパイプから複数の冷却タンクの1つ以上の中に充填されることができる。
【0014】
冷却システムは、
熱交換器が水の中に熱を放散するために、熱交換器の中に水を供給するように、熱交換器に流体的に接続される水供給パイプと、熱交換器から、熱を有する水を放出するように、熱交換器に流体的に接続される水放出パイプと、
水供給パイプ及び水放出パイプに流体的に接続される冷却タワーであって、冷却タワーは、水供給パイプの中に水を供給し、水放出パイプから熱を有する水を受け、水供給パイプの中に水を供給する前に水から熱を放出して水を冷ます、ように構成される、冷却タワーと、
水供給パイプ、水放出パイプ、冷却タワー、及び熱交換器内の水の循環を促進するように、冷却タワー及び水供給パイプに流体的に接続される水ポンプと、を更に含み得る。
【0015】
熱交換器は、
メインアウトレットパイプから、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を受けるように、メインアウトレットパイプに流体的に接続され、メインインレットパイプの中に液体冷却剤を供給するように、メインインレットパイプに流体的に接続される冷却剤チャネルのセットと、
水供給パイプ及び水放出パイプに流体的に接続される水チャネルのセットであって、水チャネルのセットは、熱が液体冷却剤から水に放散されるために、冷却剤チャネルのセットから流体的に隔離されるが、冷却剤チャネルのセットに熱的に結合されるように構成される、水チャネルのセットと、を含み得る。
【0016】
冷却タワーは、水供給パイプに供給される水の温度を設定するための温度制御機構を含み得る。
【0017】
冷却タワーは、蒸発冷却タワーを含み得る。
【0018】
複数の冷却タンクの各々は、
液体冷却剤を収容するように作業空間を形成するコンテナであって、コンテナは、冷却剤インレット、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材を含み、冷却剤インレットは、インレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、冷却剤アウトレットは、アウトレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、第1の接続部材は、接続パイプのセットの第1の接続パイプに流体的に接続するように構成され、第2の接続部材は、接続パイプのセットの第2の接続パイプに流体的に接続するように構成される、コンテナと、
冷却空間及び戻り空間に作業空間を分離するように、コンテナの作業空間内で延びる分離パネルであって、冷却空間は、冷却剤インレットに流体的に結合され、戻り空間は、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材に流体的に結合され、分離パネルは、冷却剤インレットを介した冷却空間の中への液体冷却剤の供給に起因して、冷却空間内の液体冷却剤が戻り空間の中に流れるように構成され、冷却剤アウトレットは、戻り空間から外へ、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように更に構成される、分離パネルと、を含み得る。
【0019】
複数の冷却タンクの各々のコンテナは、
第1のエッジと、第1のエッジに隣接する第2のエッジと、第2のエッジに隣接し、第1のエッジとは反対の第3のエッジと、第3のエッジを第1のエッジと接続する第4のエッジとを有する底部パネルと、
第1のエッジから延びる第1の側壁と、
第2のエッジから延びる第2の側壁と、
第3のエッジから延びる第3の側壁と、
第4のエッジから延びる第4の側壁と、を含み得、
底部パネル、第1の側壁、第2の側壁、第3の側壁、及び第4の側壁は、作業空間を形成する。
【0020】
冷却剤インレット、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材は、底部パネル上に位置し得る。
【0021】
分離パネルは、第1の側壁、第3の側壁、第4の側壁、底部パネル、及び分離パネルが冷却空間を形成し、第1の側壁、第2の側壁、第3の側壁、底部パネル、及び分離パネルが戻り空間を形成するように、冷却空間及び戻り空間に作業空間を分離するように、第1の側壁及び第3の側壁に沿って底部パネルから延び得る。
【0022】
分離パネルは、冷却空間内が戻り空間の中に流れることができるように、冷却空間が分離パネルの上で戻り空間と流体的に連通することを可能にする第1の高さを有し得る。
【0023】
冷却剤アウトレットは、底部パネルから延び得、冷却剤アウトレットの上部開口がコンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤の中に浸漬されて、熱を運ぶ液体冷却剤が戻り空間から外へ流れることを可能にするように、分離パネルの第1の高さよりも低い上部開口を有し得る。
【0024】
複数の冷却タンクの各々は、複数の孔を含み、冷却剤インレットを覆って、液体冷却剤を均一に分散させ、冷却空間に入る液体冷却剤の圧力を調整するように、冷却空間内で延びる冷却剤分散パネルを更に含み得る。
【0025】
冷却剤分散パネルの複数の孔の少なくとも一部は、コンピューティングデバイスの少なくとも1つと位置合わせされるように構成され得る。
【0026】
複数の孔の直径は、3ミリメートルであり得る。
【0027】
データセンタ内で動作するコンピューティングデバイスを冷却する冷却タンクが提供される。冷却タンクは、
液体冷却剤を収容するように、作業空間を形成するコンテナであって、コンテナは、冷却剤インレット、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材を含み、冷却剤インレットは、インレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、冷却剤アウトレットは、アウトレットパイプのセットの1つに流体的に接続するように構成され、第1の接続部材は、接続パイプのセットの第1の接続パイプに流体的に接続するように構成され、第2の接続部材は、接続パイプのセットの第2の接続パイプに流体的に接続するように構成される、コンテナと、
冷却空間及び戻り空間に作業空間を分離するように、コンテナの作業空間内で延びる分離パネルであって、冷却空間は、冷却剤インレットに流体的に結合され、戻り空間は、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材に流体的に結合され、分離パネルは、冷却剤インレットを介した冷却空間の中への液体冷却剤の供給に起因して、冷却空間内の液体冷却剤が戻り空間の中に流れるように構成され、冷却剤アウトレットは、戻り空間から外へ流れる、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように更に構成される、分離パネルと、を含み得る。
【0028】
コンテナは、
第1のエッジと、第1のエッジに隣接する第2のエッジと、第2のエッジに隣接し、第1のエッジとは反対の第3のエッジと、第3のエッジを第1のエッジと接続する第4のエッジとを有する底部パネルと、
第1のエッジから延びる第1の側壁と、
第2のエッジから延びる第2の側壁と、
第3のエッジから延びる第3の側壁と、
第4のエッジから延びる第4の側壁と、を含み得、
底部パネル、第1の側壁、第2の側壁、第3の側壁、及び第4の側壁は、作業空間を形成する。
【0029】
冷却剤インレット、冷却剤アウトレット、第1の接続部材、及び第2の接続部材は、底部パネル上に位置し得る。
【0030】
分離パネルは、第1の側壁、第3の側壁、第4の側壁、底部パネル、及び分離パネルが冷却空間を形成し、第1の側壁、第2の側壁、第3の側壁、底部パネル、及び分離パネルが戻り空間を形成するように、冷却空間及び戻り空間に作業空間を分離するように、第1の側壁及び第3の側壁に沿って底部パネルから延び得る。
【0031】
分離パネルは、冷却空間内が戻り空間の中に流れることができるように、冷却空間が分離パネルの上で戻り空間と流体的に連通することを可能にする第1の高さを有し得る。
【0032】
冷却剤アウトレットは、底部パネルから延び得、冷却剤アウトレットの上部開口がコンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤の中に浸漬されて、熱を運ぶ液体冷却剤が戻り空間から外へ流れることを可能にするように、分離パネルの第1の高さよりも低い上部開口を有し得る。
【0033】
冷却タンクは、複数の孔を含み、冷却剤インレットを覆って、液体冷却剤を均一に分散させ、冷却空間に入る液体冷却剤の圧力を調整するように、冷却空間内で延びる冷却剤分散パネルを更に含み得る。
【0034】
冷却剤分散パネルの複数の孔の少なくとも一部は、コンピューティングデバイスの少なくとも1つと位置合わせされるように構成され得る。
【0035】
複数の孔の直径は、3ミリメートルであり得る。
【0036】
本発明の他の態様も本開示において開示される。
【0037】
本開示の範囲内に収まり得るいずれかの他の形式に拘わらず、添付図面を例としてのみ参照して、本発明の実施形態がここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】本開示に係る冷却システムの一実施例を例示する。
【
図1C】本開示に係る排出・充填システムを有する冷却システムを例示する。
【
図1D】本開示に係る排出・充填システムを有する冷却システムを例示する。
【
図1E】本開示に係る排出・充填システムを有する冷却システムを例示する。
【
図1F】本開示に係る排出・充填システムを有する冷却システムを例示する。
【
図2】本開示に係る冷却システムの一部を例示する。
【
図3】本開示に係るインレットパイプのセットの一実施例及びアウトレットパイプのセットの一実施例を例示する。
【
図4】本開示に係る冷却タワーの一実施例を例示する。
【
図5】本開示に係る例示的な冷却タンクの斜視図を例示する。
【
図6】本開示に係る例示的な冷却タンクの上面図を例示する。
【
図7】本開示に係る例示的な冷却タンクの正面図を例示する。
【
図9】(a)及び(b)は、本開示に係る本開示に係る例示的な冷却剤分散パネルを例示する。
【
図10A】本開示に係る1つよりも多いサブ冷却システムを含む冷却システムを例示する。
【
図10B】本開示に係る1つよりも多いサブ冷却システムを含む冷却システムを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
添付図面及び以下の説明では、異なる図面における同様の参照符号または同一の参照符号は、同一の要素または類似の要素を示すことに留意されるべきである。また、添付図面における寸法線及び関連する寸法は、例示のみを目的とし、それらの要素は、本開示の限定として解釈されるべきではない。
【0040】
図1Aは、本開示に係る冷却システム100の実施例を例示する。
図1Bは、
図1Aに示された冷却システム100の斜視図を例示する。
【0041】
冷却システム100は、データセンタ内で動作するコンピューティングデバイスを冷却するために使用されることができる。冷却システム100は、複数の冷却タンクを含む。1A及び1Bに示されるように、例示的な冷却システム100は、2つのデッキ、すなわち、上位デッキ及び下位デッキ上に32個の冷却タンクを含む。各々のデッキ上に16個の冷却タンクが配置され、各々のデッキ上の16個の冷却タンクは、2つの列に配置される。別の実施例として、冷却システム100は、2つのデッキ上の16個のタンクを含み得ると共に、8個のタンクが各デッキ上にある。本開示の範囲から逸脱することなく、冷却システム100がそれよりも多くのまたは少ないデッキまたは冷却タンクを含むことができ、異なる数の冷却タンクがデッキの各々上に配列されることができることに留意されるべきである。更に、本開示の範囲から逸脱することなく、各デッキ上の冷却タンクは、1つの列または2つよりも多くの列内に配置されることができる。下位デッキ上に設置される要素に関連する以下の説明は、上位デッキ、または存在する場合、他のデッキ(複数可)上に設置される要素にも適用される。デッキ上の冷却タンクの列に関連する以下の説明は、同一のデッキ上の冷却タンクの別の列にも適用される。別の実施例として、
図1A、1B、及び他の関連する図を参照して説明されるような冷却システム100は、サブ冷却システムとして使用され得、別の冷却システム100は、別のサブ冷却システムとして使用され得る。2つのサブ冷却システム100は、冷却システムを構成するように共に流体的に接続されることができる。1つよりも多いサブ冷却システム100を含むそのような冷却システムも、本開示において説明される。更に、本開示におけるパイプは、直線パイプ、屈曲パイプ、湾曲パイプ、または異なる形状にあるパイプの組み合わせであることができる。パイプはまた、流体的に接続される1つ以上のセグメントを含むことができる。パイプの1つ以上のセグメントは、同一の方向または異なる方向に向かって延びることができる。更に、パイプのセグメントへの言及は、パイプの構造を定義するものではないが、説明を容易にするために、パイプの異なる部分を示すものである。
【0042】
説明を容易にするために、下位デッキ上の複数の冷却タンクは、101として記載される。記載されないが、上位デッキ上の冷却タンクは、同一の構造を有し、下位デッキ上の冷却タンク101と同一の方法において作用する。冷却タンク101の各々は、コンピューティングデバイスを冷却するように、コンピューティングデバイスから生じる熱を液体冷却剤が吸収するために、液体冷却剤を収容し、液体冷却剤内にコンピューティングデバイス(
図1A及び1Bには示されないが、
図6~8には示される)を浸漬するようなサイズになるように構成される。冷却システム100及びデータセンタの動作の間、1つ以上のコンピューティングデバイスまたはサーバは、冷却タンク101の各々に配置され、コンピューティングデバイスから生じる熱は、コンピューティングデバイスの温度を低減させるように冷却タンク101内の液体冷却剤によって吸収される。結果として、コンピューティングデバイスの周りの液体冷却剤は、熱くなり、その温度が高くなる。液体冷却剤は、例えば、冷却オイルであることができる。
【0043】
冷却システム100はまた、インレットパイプのセット102を含む。インレットパイプのセット102は、複数の冷却タンク101に液体冷却剤を供給するように、複数の冷却タンク101に流体的に接続される。液体冷却剤は、インレットパイプのセット102を介して、冷却タンク101の底から冷却タンク101に供給される。
【0044】
冷却システム100はまた、アウトレットパイプのセット103を含む。アウトレットパイプのセット103は、複数の冷却タンク101から外へ、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように、複数の冷却タンク101に流体的に接続される。熱を運ぶ液体冷却剤は、アウトレットパイプのセット103を介して、冷却タンク101の底から冷却タンク101から外へ放出される。
【0045】
冷却システム100はまた、熱交換器104を含む。熱交換器104は、インレットパイプのセット102に液体冷却剤を供給するように、インレットパイプのセット102の各々に直接または間接的に流体的に接続する。熱交換器104はまた、アウトレットパイプのセット103から、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を受けるように、アウトレットパイプのセット103の各々に直接または間接的に流体的に接続する。熱交換器104は、熱を運ぶ液体冷却剤から熱を放散するように構成される。したがって、液体冷却剤の温度は低減し、液体冷却剤は、インレットパイプのセット102に供給され、次いで、複数の冷却タンク101内の液体冷却剤に浸漬されたコンピューティングデバイスを冷ますように複数の冷却タンク101に供給される。
【0046】
冷却システム100はまた、アウトレットパイプのセット103の各々に直接または間接的に流体的に接続する冷却剤ポンプ105を含む。冷却剤ポンプ105は、複数の冷却タンク101、インレットパイプのセット102、アウトレットパイプのセット103、及び熱交換器104内の液体冷却剤の循環を促進するように構成される。
【0047】
冷却システム100では、熱交換器104は、インレットパイプのセット102及びアウトレットパイプのセット103を介して、複数の冷却タンク101に流体的に接続する。更に、冷却剤ポンプ105は、アウトレットパイプのセット102を介して、複数の冷却タンク101に流体的に接続する。熱交換器104及び冷却剤ポンプ105が複数の冷却タンク101によって共有されることを理由に、そのような構造は、熱を放散し、液体冷却剤を循環させるために、複数の冷却タンク101がそれらの個々の熱交換器及びそれらの個々の冷却剤ポンプを有することを不要にする。したがって、冷却システム100は、データセンタの拡大縮小可能な展開を可能にする。そのような冷却システムを有するデータセンタは、1.03のPUEより低いもしくは更に低いPUE、またはより高い電力密度を達成することが可能であり、必要とするランドフットプリントを少なくする。
【0048】
図2は、本開示に係る冷却システム100の一部を例示する。
図3は、本開示に係る、インレットパイプのセット102の一実施例及びアウトレットパイプのセット103の一実施例を例示する。
【0049】
インレットパイプのセット102は、複数の冷却タンク101の下に延びるが、例示を容易にするためにその全てが
図3に示されない。インレットパイプのセット102は、メインインレットパイプ1021(
図2にも示される)と、メインインレットパイプ1021から延びる複数の分岐インレットパイプ1022とを含む。複数の分岐インレットパイプ1022は、メインインレットパイプ1021に流体的に接続する。メインインレットパイプ1021は、熱交換器104(
図2にも示される)に流体的に接続し、複数の分岐インレットパイプ1022の各々は、複数の冷却タンク101の1つに流体的に接続する。したがって、液体冷却剤は、熱交換器104及びインレットパイプのセット102(すなわち、メインインレットパイプ1021及び複数の分岐パイプ1022)を通じて、複数の冷却タンク101の中に流れる。複数の冷却タンク101を支持するための、複数の冷却タンク101の下に支持ラック(
図3には示されない)も存在し得る。メインインレットパイプ1021は、支持ラックに固定され得る。
【0050】
複数の分岐インレットパイプ1022の各々は、分岐インレットパイプ1022が流体的に接続される冷却タンク101の中に液体冷却剤が流れる速度を制御するための平衡弁1023を含む。分岐インレットパイプ1022内の液体冷却剤は、液体冷却剤が熱交換器104から外へポンプ105によってポンプで汲み出されるにつれて、分岐インレットパイプ1022が熱交換器104に近くなる場所で、より高い圧力を有する。分岐インレットパイプ1022内の圧力は、分岐インレットパイプ1022が熱交換器104からどの程度離れるかに応じて、メイン冷却剤インレット1021に沿って降下する。複数の分岐インレットパイプ1022上の平衡弁1023は、均一の速度でそれらの対応する分岐インレットパイプ1022を介して、液体冷却剤が個々の冷却タンク101の中に流れることを保証するように構成される。平衡弁(複数可)1023はまた、例えば、
図1C~1Fに示される排出・充填システム120を参照して説明されるように、必要に応じて、1つ以上の冷却タンク101が動作要件及びサービス性のために排出される必要があるとき、冷却タンク101の1つ以上を隔離するように閉鎖されることができる。
【0051】
アウトレットパイプのセット103は、複数の冷却タンク101の下で延びる。アウトレットパイプのセット103は、メインアウトレットパイプ1031(
図2にも示される)と、メインアウトレットパイプ1031から延びる複数の分岐アウトレットパイプ1032とを含む。複数の分岐アウトレットパイプ1032は、メインアウトレットパイプ1031に流体的に接続する。メインアウトレットパイプ1031は、冷却剤ポンプ105を介して、熱交換器104に流体的に接続する。
図2に示されるように、冷却剤ポンプ105は、冷却剤ポンプ105の中に熱を運ぶ液体冷却剤を引き出すためのポンプインレット1051と、ポンプ105から熱を運ぶ液体冷却剤を放散するためのポンプアウトレット1052とを含む。メインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1は、冷却剤ポンプ105のポンプインレット1051に流体的に接続されると共に、メインアウトレットパイプ1031の第2のセグメント1031-2は、冷却剤ポンプ105のポンプアウトレット1052に流体的に接続される。複数の分岐アウトレットパイプ1032の各々は、複数の冷却タンク101の1つに流体的に接続する。したがって、熱を運ぶ液体冷却剤は、アウトレットパイプのセット103(すなわち、メインアウトレットパイプ1031及び複数の分岐アウトレットパイプ1032)並びに冷却剤ポンプ105を介して、複数の冷却タンク101から外へ熱交換器104に戻り流れる。液体冷却剤内の熱は、熱交換器104によって放散され、次いで、液体冷却剤は、インレットパイプのセット102(すなわち、メインインレットパイプ1021及び複数の分岐パイプ1022)を介して、熱交換器104から複数の冷却タンク101の中に流れる。メインアウトレットパイプ1031は、支持ラックに固定され得る。分岐アウトレットパイプ1032の各々は、アウトレット隔離弁1033を有し得る。アウトレット隔離弁(複数可)1033は、
図1C~1Fに示される排出・充填システム120を参照して説明されるように、動作要件及びサービス性のために、冷却システム100の一部を隔離し、または分岐アウトレットパイプ1032が流体的に接続された冷却タンク(複数可)101から外へ流れる、熱を運ぶ液体冷却剤が流れることを停止するように、閉鎖されることができる。
【0052】
図3に示されるように、冷却システム100は更に、接続パイプのセット106を含む。接続パイプのセット106は、実質的に同一のレベルで複数の冷却タンク101の各々内で液体冷却剤を保持するように、複数の冷却タンク101を流体的に接続するように構成される。接続パイプのセット106の各々は、冷却タンク101の底部において、2つの隣接する冷却タンク101を接続する。例えば、2つの接続パイプ106は、冷却タンク101の底部において冷却タンク101に流体的に接続される。
図3に示されるように、2つの接続パイプ106の一方は、一方の側上で隣接する冷却タンク101に冷却タンク101を流体的に接続すると共に、2つの接続パイプ106のもう一方は、他方の側上でもう一方の隣接する冷却タンク101に冷却タンク101を流体的に接続する。それらの接続パイプ106の各々は更に、2つの隣接する冷却タンク101の間の流体接続を制御するための接続隔離弁1061を有し得る。接続隔離弁1061は、冷却タンク101の各々内の液体冷却剤の容積を調節するように、開放または閉鎖されることができる。特に、接続隔離弁1061は、実質的に同一のレベルで冷却タンク101の各々内で液体冷却剤を保持するように、開放または閉鎖されることができる。接続隔離弁1061はまた、動作要件及びサービス性のために冷却システム100の一部を隔離するように閉鎖されることができる。実施例として、冷却タンク101に流体的に接続される2つの接続パイプ106の接続隔離弁1061は、冷却タンク101を隔離するように閉鎖されることができる。このようにして、液体冷却剤は、冷却タンク101とその隣接する冷却タンク101との間で流れることを停止する。結果として、液体冷却剤は、
図1C~1Fに示される排出・充填システム120を参照して説明されるように、サービス目的のために、冷却タンク101から排出されることができ、または冷却タンク101の中に充填されることができる。
【0053】
冷却システム100は更に、
図1C~1Fに示されるように、排出・充填システム120を含むことができる。
【0054】
図1Cは、排出・充填システム120を有する冷却システム100を例示する。
図1Cに示されるように、排出・充填システム120は、排出・充填ポンプ130と、冷却剤貯蔵器140と、排出・充填パイプのセット150とを含む。冷却剤貯蔵器140は、液体冷却剤を貯蔵する。排出・充填ポンプ130は、冷却剤貯蔵器140及び排出・充填パイプのセット150に流体的に接続される。
図1Dは、排出・充填パイプのセット150を例示するための冷却システム100の上部部分斜視図である。
図1Eは、排出・充填パイプのセット150を例示するための冷却システム100の底部部分斜視図である。
図1Fは、排出・充填パイプのセット150を例示するための冷却システム100の別の底部部分斜視図である。
【0055】
排出・充填システム120は、1つ以上の冷却タンク101から液体冷却剤を排出し、1つ以上の冷却タンク101の中に液体冷却剤を充填するように構成される。このようにして、1つ以上の冷却タンク101がサービスされる必要がある場合、排出・充填システム120は、1つ以上の冷却タンク101から液体冷却剤を排出する。サービスが終了した後、排出・充填システム120は、1つ以上の冷却タンク101の中に液体冷却剤を充填する。1つ以上の冷却タンク101を排出及び充填する工程は、以下の実施例を参照して以下で説明される。
【0056】
排出及び充填の実施例1
排出・充填パイプのセット150は、メイン排出・充填パイプ1501と、複数の分岐排出・充填パイプ1502とを含む。メイン排出・充填パイプ1501は、排出・充填ポンプ130に流体的に接続され、排出・充填ポンプ130は次いで、冷却剤貯蔵器140に流体的に接続される。メイン排出・充填パイプ1501は、1つ以上のセグメントを含み得る。特に、2つのデッキと、各デッキ上の冷却タンク101の2つの列を含む例示的な冷却システム100では、メイン排出・充填パイプ1501は、排出・充填ポンプ130に流体的に接続される第1のセグメント1501-1と、第1のセグメント1501-1から延びる第2のセグメント1501-2と、第2のセグメント1501-2から延びる第3のセグメント1501-3(下位デッキに対する)と、第2のセグメント1501-2から延びる第4のセグメント1501-4(上位デッキに対する)と、第3のセグメント1501-3から延びる第5のセグメント1501-5(下位デッキ上の第1の列に対する)と、第3のセグメント1501-3から延びる第6のセグメント1501-6(下位デッキ上の第2の列に対する)と、第4のセグメント1501-4から延びる第7のセグメント1501-7(上位デッキ上の第1の列に対する)と、第4のセグメント1501-4から延びる第8のセグメント1501-8(上位デッキ上の第2の列に対する)とを含む。本開示の範囲から逸脱することなく、冷却システム100は、異なる数のセグメントを有し得ることに留意されるべきである。実施例として、冷却システム100が1つのデッキ(例えば、下位デッキ)のみを含み、デッキが冷却タンク101の1つの列(例えば、第1の列)のみを含む場合、メイン排出・充填パイプ1501は、第1のセグメント1501-1、第2のセグメント1501-2、第3のセグメント1501-3、及び第5のセグメント1501-5のみを含み得る。
【0057】
分岐排出・充填パイプ1502の各々は、メイン排出・充填パイプ1501、特に、第5のセグメント1501-5、第6のセグメント1501-6、第7のセグメント1501-7、または第8のセグメント1501-8から延び、例えば、冷却タンク101の底部で、冷却タンク101の1つに流体的に接続される。分岐排出・充填パイプ1502の各々はまた、分岐排出・充填パイプ1502と対応する冷却タンク101との間の流体接続を制御する、排出・充填弁1503を含む。排出・充填弁1503が開放される場合、分岐排出・充填パイプ1502は、冷却タンク101に流体的に接続される。他方で、排出・充填弁1503が閉鎖される場合、分岐排出・充填パイプ1502は、冷却タンク101と流体的に切断される。
【0058】
冷却システム100が標準動作にあるとき、全ての排出・充填弁1503が閉鎖され、冷却タンク101と排出・充填システム120との間の流体接続が切断される。1つ以上の冷却タンク101がサービスされる必要がある場合、冷却剤ポンプ105が停止される。特に、サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101が上位デッキ上に位置する場合、上位デッキに対する冷却剤ポンプ105が停止される。サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101が下位デッキ上に位置する場合、下位デッキに対する冷却剤ポンプ105が停止される。サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101が両方のデッキ上に位置する場合、両方の冷却剤ポンプ105が停止される。冷却剤ポンプ(複数可)105が停止された後、サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101に接続される1つ以上の排出・充填弁1503は、排出・充填システム120に、特に、対応する1つ以上の分岐排出・充填パイプ1502に1つ以上の冷却タンク101を流体的に接続するように開放される。また、対応する平衡弁(複数可)1023、アウトレット隔離弁(複数可)1033、及び接続隔離弁(複数可)1061は、1つ以上の冷却タンク101を隔離するように閉鎖される。排出・充填ポンプ130は次いで、サービス性のために、1つ以上の冷却タンク101から冷却剤貯蔵器140の中に液体冷却剤を排出することを開始する。特に、液体冷却剤は、対応する1つ以上の分岐排出・充填パイプ1502を介して、1つ以上の冷却タンク101から外へ流れ、サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101が位置する場所に応じて、メイン排出・充填パイプ1501の第5のセグメント1501-5、第6のセグメント1501-6、第7のセグメント1501-7、及び第8のセグメント1501-8の1つ以上の中に流れる。液体冷却剤は次いで、メイン排出・充填パイプ1501の第3のセグメント1501-3及び/または第4のセグメント1501-4を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、メイン排出・充填パイプ1501の第2のセグメント1501-2及び第1のセグメント1501-1を通じて流れ、冷却剤貯蔵器140の中に排出される。液体冷却剤が1つ以上の冷却タンク101から排出された後、サービスは、技術者によって実行されることができる。サービスが終了した後、排出・充填ポンプ130は、サービスされた1つ以上の冷却タンク101の中に液体冷却剤を充填するように、逆方向で始動する。特に、液体冷却剤は、冷却剤貯蔵器140から外へ流れ、メイン排出・充填パイプ1501の第1のセグメント1501-1及び第2のセグメント1501-2を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101が位置する場所に応じて、メイン排出・充填パイプ1501の第3のセグメント1501-3及び/または第4のセグメント1501-4を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、メイン排出・充填パイプ1501の第5のセグメント1501-5、第6のセグメント1501-6、第7のセグメント1501-7、及び第8のセグメント1501-8の1つ以上を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、対応する1つ以上の分岐排出・充填パイプ1502を介して、1つ以上の冷却タンク101の中に充填される。液体冷却剤が1つ以上の冷却タンク101の中に戻り充填された後、対応する1つ以上の排出・充填弁1503は、冷却タンク101と排出・充填システム120との間の流体接続を切断するように閉鎖される。また、閉鎖された対応する平衡弁(複数可)1023、アウトレット隔離弁(複数可)1033、及び接続隔離弁(複数可)1061が開放され、冷却剤ポンプ(複数可)105が始動する。このようにして、冷却システム100は、標準動作に戻る。
【0059】
上記排出・充填システム120はまた、冷却システム100を初期化するとき、冷却剤貯蔵器140に貯蔵される液体冷却剤で冷却システム100の全ての冷却タンク101を充填するために使用されることができる。
【0060】
上記排出・充填システム120による問題は、1つの冷却タンク101(または、いくつかの冷却タンク101)のみがサービスされる必要があり場合でさえ、冷却剤ポンプ(複数可)105は、停止される必要があるということである。結果として、両方の冷却剤ポンプ105が停止される場合、冷却システム100全体の標準動作が中断され得、または、冷却剤ポンプ105の一方が停止される場合、冷却システム100の1つのデッキの標準動作が中断され得る。問題に対する解決策は、排出及び充填の実施例2において説明される。
【0061】
排出及び充填の実施例2
排出・充填パイプのセット150は更に、メインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1にメイン排出・充填パイプ1501を流体的に接続する排出相互接続パイプ1504を含み、メインアウトレットパイプ1031は、冷却剤ポンプ105のポンプインレット1051に流体的に接続する。例示的な冷却システム100では、排出相互接続パイプ1504は、冷却剤ポンプ105のポンプインレット1051の近くで、メイン排出・充填パイプ1501からメインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1まで延びる。例示的な冷却システム100では、排出相互接続パイプ1504は、上位デッキ及び下位デッキの両方に対し、メインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1にメイン排出・充填パイプ1501を接続する。排出相互接続パイプ1504は、メイン排出・充填パイプ1501とメインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1との間の流体接続を制御するための、排出相互接続弁1505を含む。例示的な冷却システム100では、排出相互接続パイプ1504が上位デッキ及び下位デッキの両方に対してメインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1にメイン排出・充填パイプ1501を接続することを理由に、排出相互接続パイプ1504は、2つの排出相互接続弁1505を含む。
【0062】
排出・充填パイプのセット150は更に、メインアウトレットパイプ1031の第2のセグメント1031-2にメイン排出・充填パイプ1501を流体的に接続する充填相互接続パイプ1506を含み、メインアウトレットパイプ1031は、冷却剤ポンプ105のポンプアウトレット1052に流体的に接続する。例示的な冷却システム100では、充填相互接続パイプ1506は、冷却剤ポンプ105のポンプアウトレット1052の近くで、メイン排出・充填パイプ1501からメインアウトレットパイプ1031の第2のセグメント1031-2まで延びる。例示的な冷却システム100では、充填相互接続パイプ1506は、上位デッキ及び下位デッキの両方に対し、メインアウトレットパイプ1031の第2のセグメント1031-2にメイン排出・充填パイプ1501を接続する。充填相互接続パイプ1506は、メイン排出・充填パイプ1501とメインアウトレットパイプ1031の第2のセグメント1031-2との間の流体接続を制御するための、充填相互接続弁1507を含む。例示的な冷却システム100では、充填相互接続パイプ1506が上位デッキ及び下位デッキの両方に対してメインアウトレットパイプ1031の第2のセグメント1031-2にメイン排出・充填パイプ1501を接続することを理由に、充填相互接続パイプ1506は、2つの充填相互接続弁1507を含む。
【0063】
冷却システム100が標準動作にあるとき、排出相互接続弁(複数可)1505は、メイン排出・充填パイプ1501とメインアウトレットパイプ1031の間の流体接続を切断するように閉鎖される。充填相互接続弁(複数可)1507はまた、メイン排出・充填パイプ1501とメインアウトレットパイプ1031との間の流体接続を切断するように閉鎖される。1つ以上の冷却タンク101がサービスされる必要がある場合、サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101に接続される1つ以上の排出・充填弁1503は、排出・充填システム120に、特に、対応する1つ以上の分岐排出・充填パイプ1502に1つ以上の冷却タンク101を流体的に接続するように開放される。排出相互接続弁(複数可)1505も開放される。更に、対応する平衡弁(複数可)1023、アウトレット隔離弁(複数可)1033、及び接続隔離弁(複数可)1061は、1つ以上の冷却タンク101を隔離するように閉鎖される。このようにして、冷却タンク101内の液体冷却剤は、メインアウトレットパイプ1031の中に、特に、メインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1の中に排出される。特に、液体冷却剤は、対応する1つ以上の分岐排出・充填パイプ1502を介して、1つ以上の冷却タンク101から外へ流れ、サービスされることになる1つ以上の冷却タンク101が位置する場所に応じて、メイン排出・充填パイプ1501の第5のセグメント1501-5、第6のセグメント1501-6、第7のセグメント1501-7、及び第8のセグメント1501-8の1つ以上の中に流れる。液体冷却剤は次いで、メイン排出・充填パイプ1501の第3のセグメント1501-3及び/または第4のセグメント1501-4を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、メイン排出・充填パイプ1501の第2のセグメント1501-2及び排出相互接続パイプ1504を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、メインアウトレットパイプ1031の第1のセグメント1031-1の中に排出される。液体冷却剤は次いで、冷却剤ポンプ105のポンプインレット1051を介して、冷却剤ポンプ105の中に排出され、冷却剤ポンプ105のポンプアウトレット1052を介して、熱交換器104に放出される。液体冷却剤は次いで、冷却システム100内で他の冷却タンク101に分散される。このアプローチが、少数のサービスされることになる冷却タンク101を排出するために使用されるので、少数の冷却タンク101内の液体冷却剤は、他の冷却タンク101内の液体冷却剤のレベルを実質的に上昇させない。液体冷却剤が1つ以上の冷却タンク101から排出された後、排出相互接続弁(複数可)1505が閉鎖され、1つ以上の排出・充填弁1503も閉鎖される。冷却剤ポンプ105がサービスの間に動作を停止しないことを理由に、これは、冷却剤ポンプ105がサービスの間に冷却システム100の中に空気を吸入することを防止するものである。次いで、サービスが技術者によって実行されることができる。
【0064】
サービスが終了した後、充填相互接続弁(複数可)1507は、メインアウトレットパイプ1031にメイン排出・充填パイプ1501を流体的に接続するように開放され、1つ以上の排出・充填弁1503は、排出・充填システム120に1つ以上の冷却タンク101を流体的に接続するように開放される。このようにして、メインアウトレットパイプ1031内の液体冷却剤は、サービスされた1つ以上の冷却タンク101の中に充填される。特に、液体冷却剤は、冷却剤ポンプ105のポンプアウトレット1052に流体的に接続するメインアウトレットパイプ1301の第2のセグメント1301-2から外へ流れ、充填相互接続パイプ1506を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、メイン排出・充填パイプ1501の第1のセグメント1501-1及び第2のセグメント1501-2を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、1つ以上の冷却タンク101が位置する場所に応じて、メイン排出・充填パイプ1501の第3のセグメント1501-3及び/または第4のセグメント1501-4を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、メイン排出・充填パイプ1501の第5のセグメント1501-5、第6のセグメント1501-6、第7のセグメント1501-7、及び第8のセグメント1501-8の1つ以上を通じて流れる。液体冷却剤は次いで、対応する1つ以上の分岐排出・充填パイプ1502を介して、1つ以上の冷却タンク101の中に充填される。液体冷却剤が1つ以上の冷却タンク101の中に戻り充填された後、対応する1つ以上の排出・充填弁1503は、冷却タンク101と排出・充填システム120との間の流体接続を切断するように閉鎖され、充填相互接続弁(複数可)1507も、メイン排出・充填パイプ1501とメインアウトレットパイプ1031との間の流体接続を切断するように閉鎖される。また、閉鎖された対応する平衡弁(複数可)1023、アウトレット隔離弁(複数可)1033、及び接続隔離弁(複数可)1061が開放される。このようにして、冷却システム100は、標準動作に戻る。このアプローチが、少数のサービスされた冷却タンク101をメインアウトレットパイプ1031内の液体冷却剤で充填するために使用されるので、少数の冷却タンク101の中に充填される液体冷却剤は、他の冷却タンク101内の液体冷却剤のレベルを実質的に低下させない。
【0065】
排出相互接続パイプ1504及び充填相互接続パイプ1506により、冷却剤ポンプ(複数可)105は、停止または再始動される必要がない。結果として、全体的または部分的な冷却システム100の動作は、中断されない。
【0066】
冷却システム100では、熱交換器104は、異なる方法で液体冷却剤内の熱を放散することができる。他の実施態様を排除することなく、実施例が以下で説明される。
【0067】
図1A及び2に示されるように、冷却システム100は更に、水供給パイプ107を含み、水供給パイプ107は、熱交換器104が熱を水の中に放散するために、熱交換器104の中に水(例えば、
図2に示されるように、冷水)を供給するように、熱交換器104に流体的に接続される。冷却システム100はまた、水放出パイプ108を含み、水放出パイプ108は、熱交換器104から熱を有する水(すなわち、
図2に示されるように、温水)を放出するように、熱交換器104に流体的に接続される。
【0068】
冷却システム100は更に、冷却タワー109を含む。
図4は、本開示に係る冷却タワー109の実施例を例示する。冷却タワー109は、水供給パイプ107及び水放出パイプ108に流体的に接続される。冷却タワー109は、水供給パイプ107の中に水を供給し、次いで、液体冷却剤からの熱を放散して、液体冷却剤の温度を低減させるように、熱交換器104に水を供給するように構成される。結果として、水は熱くなり、温水になる。冷却タワー109も、水放出パイプ108から熱を有する水(すなわち、温水)を受け、水から熱を放出して、水供給パイプ107の中に、次いで、熱交換器104の中に戻り水を供給する前に、水を冷ますように構成される。結果として、温水の温度が冷却タワー109において低下し、温水は冷水になる。冷水は次いで、水供給パイプ107に、次いで、熱交換器104に戻り供給される。
【0069】
図4に示されるように、冷却システム100は更に、1つ以上の水ポンプ110を含む。水ポンプ110は、水供給パイプ107、水放出パイプ108、冷却タワー109、及び熱交換器104内の水の循環を促進するように、冷却タワー109及び水供給パイプ107に流体的に接続される。
【0070】
冷却タワー109は、水から大気に熱を放出するための蒸発冷却タワーであり得る。冷却タワー109はまた、水供給パイプ107に供給される水の温度を設定するための、温度制御機構(
図4には示されない)を含み得る。
【0071】
熱交換器104は、異なる方法で、熱を冷却タワー109と交換することができ、他の実施態様を排除することなく、熱交換器104の実施例が以下で与えられる。
【0072】
熱交換器104は、メインアウトレットパイプ1031から、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を受けるように、メインアウトレットパイプ1031に流体的に接続される冷却剤チャネルのセットを含む。冷却剤チャネルのセットも、熱が放散された後に、メインインレットパイプ1021の中に液体冷却剤を供給するように、メインインレットパイプ1021に流体的に接続される。熱交換器104は更に、水供給パイプ107及び水放出パイプ108流体的に接続される水チャネルのセットを含む。水チャネルのセットは、冷却剤チャネルのセットから流体的に隔離されるが、熱が液体冷却剤から水に放散されるために、冷却剤チャネルのセットに熱的に結合されるように構成される。このようにして、液体冷却剤は水と混合されないが、液体冷却剤内の熱は液体冷却剤から水に放散されることができる。
【0073】
特に、熱を運ぶ液体冷却剤は、メインアウトレットパイプ1031を介して、熱交換器104の冷却剤チャネルのセットの中に流れ、水は、熱交換器104の水供給パイプ107を介して、水チャネルのセットの中に流れる。冷却剤チャネルのセットは、流体隔離及び熱伝達を維持するように、水チャネルのセットの近くに配置される。熱交換器104が熱伝導性材料、例えば、銅、ステンレス鋼などから成る場合、液体冷却剤内の熱は、例えば、熱交換器104の材料の熱伝導性に起因して、水に放出される。熱を有する水は、水放出パイプ108を介して、水チャネルのセットから外へ冷却タワー109に戻り流れる。次いで、熱は、冷却タワー109において、水から大気に放出される。熱が熱交換器104内の水に放散された後、熱交換器104内の液体冷却剤は、メインインレットパイプ1021に戻り供給され、次いで、複数の冷却タンク101内でコンピューティングデバイスを冷却するように、複数の冷却タンク101に供給される。
【0074】
冷却タンク101の実施例は、
図5~8において例示される。
図5は、本開示に係る冷却タンク101の斜視図を例示する。
図6は、本開示に係る冷却タンク101の上面図を例示する。
図7は、本開示に係る冷却タンク101の正面図を例示する。
図8は、本開示に係る冷却タンク101の左側面図を例示する。
【0075】
冷却タンク101は、コンテナ500を含む。コンテナ500は、液体冷却剤を収容するように、作業空間501を形成する。コンテナ500は、冷却剤インレット502、冷却剤アウトレット503、第1の接続部材504、及び第2の接続部材505を含む。冷却剤インレット502は、冷却タンク101に液体冷却剤を供給するように、インレットパイプのセット102の1つ、特に、分岐インレットパイプ1022の1つに流体的に接続するように構成される。冷却剤アウトレット503は、冷却タンク101から外へ熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように、アウトレットパイプのセット103の1つ、特に、分岐アウトレットパイプ1032の1つに流体的に接続するように構成される。第1の接続部材504は、接続パイプのセット106の第1の接続パイプ(
図5~8には示されない)に流体的に接続するように構成され、第2の接続部材505は、接続パイプのセット106の第2の接続パイプに流体的に接続するように構成される。第1の接続パイプは、隣接する冷却タンク101に(
図3に示されるように)冷却タンク101を流体的に接続し、第2の接続パイプは、別の隣接する冷却タンク101に(
図3に示されるように)冷却タンク101を流体的に接続する。
【0076】
冷却タンク101は更に、コンテナ500の作業空間501内で延びる分離パネル506を含む。分離パネル506は、冷却空間5011及び戻り空間5012に作業空間501を分離するよう構成される。
図5及び6に示されるように、冷却空間5011は、冷却剤インレット502に流体的に結合され、コンピューティングデバイス520(
図6~8に示される)は、動作の間に冷却空間5011内に配置される。戻り空間5012は、冷却剤アウトレット503、第1の接続部材504、及び第2の接続部材505に流体的に結合される。分離パネル506は、冷却剤インレット502を介した冷却空間5011の中への液体冷却剤の供給に起因して、冷却空間5011内の液体冷却剤が戻り空間5012の中に流れるように構成される。冷却剤アウトレット503は更に、戻り空間5012から外へコンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように構成される。
【0077】
液体冷却剤が冷却タンク101内で流れる方法は、
図7及び8を参照して説明され、特に、
図7及び8における矢印を参照されたい。
【0078】
初期化段階では、液体冷却剤、すなわち、冷たい冷却剤は、冷却剤インレット502を介して冷却空間5011の中に供給される。冷たい冷却剤は、冷却空間5011内に蓄積され、冷却空間5011内のコンピューティングデバイス520は、冷たい冷却剤内で浸漬される。冷却剤インレット502を介して冷却空間5011の中に供給される冷たい冷却剤が多いことにより、冷却空間5011内の冷たい冷却剤は、分離パネル506を越えて流れる。冷たい冷却剤は、戻り空間5012の中に流れ、各冷却タンク101の戻り空間5012を充填する。
【0079】
冷却システム100の初期化が完了し、コンピューティングデバイス520が動作し始めると、コンピューティングデバイス520の周りの冷たい冷却剤は、コンピューティングデバイス520の動作の間に熱くなり、熱を運ぶ液体冷却剤、すなわち、温かい冷却剤は、対流に起因して、冷却空間5011の上部まで移動する。
【0080】
冷却剤インレット502を介して冷却空間5011の中に供給される冷たい冷却剤が多いことにより、冷却空間5011内の温かい冷却剤は、分離パネル506を越えて流れ、戻り空間5012の中に流れる。温かい冷却剤は、その低い密度に起因して戻り空間2012の上部に残ると共に、初期化段階の間に戻り空間2012の中に流れる冷たい冷却剤は、その高い密度に起因して戻り空間2012の底部に残る。冷却剤アウトレット503は、戻り空間5012から外へ、温かい冷却剤、すなわち、熱を運ぶ液体冷却剤を放出するように、分離パネル506よりもわずかに低い。
【0081】
1つの実施形態では、
図5及び6に示されるように、冷却タンク101のコンテナ500は、底部パネル510を含み、底部パネル510は、第1のエッジ5101と、第1のエッジ5101に隣接する第2のエッジ5102と、第2のエッジ5102に隣接し、第1のエッジ5101とは反対の第3のエッジ5103と、第3のエッジ5103を第1のエッジ5101と接続する第4のエッジ5104とを有する。コンテナ500は更に、第1のエッジ5101から延びる第1の側壁530と、第2のエッジ5102から延びる第2の側壁540と、第3のエッジ5103から延びる第3の側壁550と、第4のエッジ5104から延びる第4の側壁560とを含む。底部パネル510、第1の側壁530、第2の側壁540、第3の側壁550、及び第4の側壁560は、作業空間501を形成する。冷却剤インレット502、冷却剤アウトレット503、第1の接続部材504、及び第2の接続部材505は、底部パネル510上に位置する。
【0082】
図5及び8に最良に示されるように、分離パネル506は、冷却空間5012及び戻り空間5012に作業空間501を分離するように、第1の側壁530及び第3の側壁550に沿って底部パネル510から延びる。したがって、第1の側壁530、第3の側壁550、第4の側壁560、底部パネル510、及び分離パネル506は、コンピューティングデバイス520が配置される冷却空間5011を形成する。第1の側壁530、第2の側壁540、第3の側壁550、底部パネル510、及び分離パネル506は、戻り空間5012を形成する。
【0083】
図7及び8に示されるように、分離パネル506は、分離パネル506の上で冷却空間5011が戻り空間5012と流体的に連通することを可能にする第1の高さを有する。第1の高さは、コンテナ500の側壁530、540、550、560の高さ未満である。したがって、
図7及び8における矢印によって示されるように、冷却空間5011内の液体冷却剤は、冷却空間5011の中への液体冷却剤の継続した供給に起因して、分離パネル506を越えて流れ、戻り空間5012の中に流れることが可能である。
【0084】
冷却剤アウトレット503は、底部パネル510から延び、上部開口5031を有する。上部開口5061は、分離パネル506の第1の高さよりもわずかに低く、その結果、温かい冷却剤がその低い密度に起因して、戻り空間5012の上部に残ることを理由に、冷却剤アウトレット503の上部開口5031は、コンピューティングデバイスから吸収された熱を運ぶ液体冷却剤、すなわち、温かい冷却剤の中に浸漬される。戻り空間5012内の残りの液体冷却剤、すなわち、冷たい冷却剤は、その高い密度に起因して、温かい冷却剤の下に残る。本開示では、温かい冷却剤は、異なる密度に起因して、温かい冷却剤の下の冷たい冷却剤と混合しない。
【0085】
冷却剤アウトレット503は、温かい冷却剤が戻り空間5012から外へ流れることを可能にする。言い換えると、冷却剤アウトレット503は、冷却タンク101から外へ温かい冷却剤を放出し、温かい冷却剤は次いで、冷却剤アウトレット503に流体的に接続される分岐アウトレットパイプ1032(
図5~8には示されない)の中に流れる。
【0086】
冷却タンク101は更に、冷却剤分散パネル507を含む。
図9(a)及び(b)は、本開示に係る冷却剤分散パネル507の実施例を例示する。
図9(b)は、
図9(a)の部分的な図である。
【0087】
冷却剤分散パネル507は、複数の孔5071を有するプレートである。冷却剤分散パネル507は、冷却剤インレット502を覆うように、冷却空間5011内で延びる。
図7及び8に示されるように、冷却剤分散パネル507は、底部パネル510にわたって位置付けられ、底部パネル510と実質的に並列である。冷却剤インレット502は、冷却剤分散パネル507と底部パネル510との間に位置する。冷却剤分散パネル507は、冷却剤分散パネル507と底部パネル510との間の第1の部分に冷却空間5011を分割し、冷却剤分散パネル507にわたる第2の部分に冷却空間5011を分割する。液体冷却剤は、冷却剤インレット502を介して、冷却空間5011の第1の部分の中に流れ、次いで、複数の孔5071を通じて、冷却空間5011の第2の部分の中に流れる。コンピューティングデバイス520は、複数の孔5071を通じて流れる液体冷却剤内で浸漬されることになる冷却剤分散パネル507にわたって(特に、冷却空間5011の第2の部分内で)配置される。複数の孔5071は、液体冷却剤を均一に分散させ、冷却空間5011に入る液体冷却剤の圧力を調整するように配置される。したがって、複数の孔5071は、液体冷却剤を均一に分散させることによって、冷却剤インレット502を介して冷却空間5011の中に流れる液体冷却剤の集中を回避することが可能であり、冷却空間5011内のコンピューティングデバイス520への液体冷却剤の影響が低減されることができる。実施例として、複数の孔の各々は、3ミリメートルの直径を有する。1つの実施形態では、冷却剤分散パネル507の複数の孔5071の少なくとも一部は、コンピューティングデバイス520に液体冷却剤を導くように、コンピューティングデバイス520のうちの少なくとも1つと位置合わせされるように構成される。
【0088】
図10A及び10Bは、本開示に係るデータセンタ内で動作するコンピューティングデバイスを冷却するための冷却システム200を例示する。冷却システム200は、1つよりも多いサブ冷却システム、特に、第1のサブ冷却システム210及び第2のサブ冷却システム220を含み、第2のサブ冷却システム220は、第1のサブ冷却システム210の隣に配置される。サブ冷却システム210、220の各々は、上記説明されたような冷却システム100である。
【0089】
冷却システム200は更に、インレット相互接続パイプ230を含み、インレット相互接続パイプ230は、液体冷却剤が第1のサブ冷却システム210のメインインレットパイプ1021と第2のサブ冷却システム220のメインインレットパイプ1021との間で流れることを可能にするように、第1のサブ冷却システム210のメインインレットパイプ1021を第2のサブ冷却システム220のメインインレットパイプ1021と流体的に接続する。
【0090】
上記説明されたような冷却システム100(または、210、220)は、2つのデッキ、すなわち、
図1A~
図1F、
図10A及び10Bに示された例示的な冷却システム100における上位デッキ及び下位デッキを含み得、冷却システム200は、2つのインレット相互接続パイプ230を含み得、一方のインレット相互接続パイプ230は、第1のサブ冷却システム210の上位デッキに対するメインインレットパイプ1021を第2のサブ冷却システム220の上位デッキに対するメインインレットパイプ1021と流体的に接続し、もう一方のインレット相互接続パイプ230は、第1のサブ冷却システム210の下位デッキに対するメインインレットパイプ1021を第2のサブ冷却システム220の下位デッキに対するメインインレットパイプ1021と流体的に接続する。
【0091】
本開示の範囲から逸脱することなく、冷却システム100(または、210、220)は、より多くのデッキを含み得る。これは、冷却システム200が、サブ冷却システム210、220の対応するデッキに対するメインインレットパイプ1021を流体的に接続するためのより多くのインレット相互接続パイプ230を含み得ることを意味する。
【0092】
冷却システム200は更に、アウトレット相互接続パイプ240を含み、アウトレット相互接続パイプ240は、熱を運ぶ液体冷却剤が第1のサブ冷却システム210のメインアウトレットパイプ1031と第2のサブ冷却システム220のメインアウトレットパイプ1031との間で流れることを可能にするように、第1のサブ冷却システム210のメインアウトレットパイプ1031を第2のサブ冷却システム220のメインアウトレットパイプ1031と流体的に接続する。
【0093】
上記説明されたような冷却システム100(または、210、220)は、2つのデッキ、すなわち、
図1A~
図1F、
図10A及び10Bに示された例示的な冷却システム100における上位デッキ及び下位デッキを含み得、冷却システム200は、2つのアウトレット相互接続パイプ240を含み得、一方のアウトレット相互接続パイプ240は、第1のサブ冷却システム210の上位デッキに対するメインアウトレットパイプ1031を第2のサブ冷却システム220の上位デッキに対するメインアウトレットパイプ1031と流体的に接続し、もう一方のアウトレット相互接続パイプ240は、第1のサブ冷却システム210の下位デッキに対するメインアウトレットパイプ1031を第2のサブ冷却システム220の下位デッキに対するメインアウトレットパイプ1031と流体的に接続する。
【0094】
本開示の範囲から逸脱することなく、冷却システム100(または、210、220)は、より多くのデッキを含み得る。これは、冷却システム200が、サブ冷却システム210、220の対応するデッキに対するメインアウトレットパイプ1031を流体的に接続するためのより多くのアウトレット相互接続パイプ240を含み得ることを意味する。
【0095】
このようにして、第1のサブ冷却システム210及び第2のサブ冷却システム220の一方の冷却剤ポンプ105または熱交換器104は、例えば、サブ冷却システム210または220内の液体冷却剤の循環または熱交換を停止し得る、故障(故障検出工程の結果として)、計画されたメンテナンス、試験レジームなどに起因して、作動しなくなり、第1のサブ冷却システム210及び第2のサブ冷却システム220のもう一方の冷却剤ポンプ105及び熱交換器104は、サブ冷却システム内の液体冷却剤の循環または熱交換を促進するために使用されることができる。
【0096】
インレット相互接続パイプ230は、第1のサブ冷却システム210のメインインレットパイプ1021と第2のサブ冷却システム220のメインインレットパイプ1021との間で液体冷却剤が流れる速度を制御するインレット相互接続弁2301を含む。
【0097】
アウトレット相互接続パイプ240は、第1のサブ冷却システム210のメインアウトレットパイプ1031と第2のサブ冷却システム220のメインアウトレットパイプ1301との間で熱を運ぶ液体冷却剤が流れる速度を制御するためのアウトレット相互接続弁2401を含む。
【0098】
実施例として、冷却システム200が標準動作にあるとき、インレット相互接続弁(複数可)2301及びアウトレット相互接続弁(複数可)2401は全て、第1のサブ冷却システム210と第2のサブ冷却システム220との間の流体接続を切断するように閉鎖される。第1のサブ冷却システム210の冷却剤ポンプ105または熱交換器104が異なる理由に起因して作動を停止する場合、インレット相互接続弁(複数可)2301及びアウトレット相互接続弁(複数可)2401は、第1のサブ冷却システム210と第2のサブ冷却システム220との間の流体接続をもたらすように開放される。このようにして、第1のサブ冷却システム210内の液体冷却剤の循環は、第2のサブ冷却システム220の冷却剤ポンプ105及び熱交換器104によって促進される。
【0099】
サブ冷却システム210、220が1つよりも多いデッキ、例えば、上位デッキ及び下位デッキを含む別の実施例として、第1のサブ冷却システム210の上位デッキに対する冷却剤ポンプ105または熱交換器104が、異なる理由に起因して作動を停止する場合、上位デッキに対するインレット相互接続弁(複数可)2301及びアウトレット相互接続弁(複数可)2401は、第1のサブ冷却システム210の上位デッキと第2のサブ冷却システム220の上位デッキとの間の流体接続をもたらすように開放される。このようにして、第1のサブ冷却システム210の上位デッキ上の液体冷却剤の循環は、第2のサブ冷却システム220の上位デッキに対する冷却剤ポンプ105及び熱交換器104によって促進される。
【0100】
サブ冷却システム210、220がより多くのデッキを含む別の実施例として、第1のサブ冷却システム210の特定のデッキに対する冷却剤ポンプ105または熱交換器104が、異なる理由に起因して作動を停止する場合、特定のデッキに対するインレット相互接続弁(複数可)2301及びアウトレット相互接続弁(複数可)2401は、第1のサブ冷却システム210の特定のデッキと第2のサブ冷却システム220の対応するデッキとの間の流体接続をもたらすように開放される。このようにして、第1のサブ冷却システム210のこの特定のデッキ上の液体冷却剤の循環は、第2のサブ冷却システム220の対応するデッキに対する冷却剤ポンプ105及び熱交換器104によって促進される。
【0101】
これらの実施形態への様々な修正は、説明及び添付図面から当業者にとって明かである。本明細書で説明される様々な実施形態と関連付けられた原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、説明は、添付図面と共に示された実施形態に限定されることを意図していないが、本明細書で開示または提案される原理及び新規且つ発明的な特徴と一貫した、最も広い範囲をもたらすことが意図される。したがって、本開示は、本開示及び添付の請求項の範囲内に収まる全ての他のそのような改編、修正、及び変形を持ち続けることが予期される。
【0102】
本発明に倣う請求項では、及び本発明の先述の説明では、明確な言語または必要な示唆に起因して文脈により別に解釈される場合を除き、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、包括的な意味で使用され、すなわち、述べられる特徴の存在を指定するために使用されるが、本発明の様々な実施形態における更なる特徴の存在または追加を排除しない。
【0103】
本明細書で使用されるように、用語:「を含むこと(including)」または「を含む(which includes)」または「を含む(that includes)」のいずれか1つは、以下の用語に倣うが、その他を排除しない、少なくとも要素/特徴を含むことを意味する非限定用語でもある。よって、「を含むこと(including)」は、同義であり、「含むこと(comprising)」を意味する。
【0104】
関連出願の相互参照
本特許出願の優先件出願、2021年5月7日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021901373号の全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】