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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20240423BHJP
   F01M 11/03 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01D29/10 520Z
B01D29/10 501Z
B01D29/10 530B
B01D29/10 510C
F01M11/03 L
F01M11/03 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568564
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2022051164
(87)【国際公開番号】W WO2022233459
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】102021002428.1
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511004689
【氏名又は名称】ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ネンノ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ミヒャエル シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス モルゲンス
(72)【発明者】
【氏名】マルコ タッソーネ
【テーマコード(参考)】
3G015
4D116
【Fターム(参考)】
3G015BG16
3G015DA04
3G015EA07
4D116AA01
4D116AA07
4D116BB01
4D116BC14
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC77
4D116DD06
4D116EE01
4D116EE03
4D116EE04
4D116EE14
4D116FF14B
4D116GG02
4D116GG12
4D116QA54C
4D116QA54D
4D116QA54E
4D116QA54F
4D116QB03
4D116QB12
4D116QB16
4D116QB22
4D116QB24
4D116QB32
4D116QB35
4D116QB37
4D116QB40
4D116UU09
4D116VV04
(57)【要約】
少なくとも、互いに対して同軸に配置された2つのフィルタ部材12、14からなり、前記フィルタ部材がそれら自体の間に中空室16を画成する、フィルタ装置は、前記外側のフィルタ部材14の、前記中空室16を向いた内側18が少なくとも部分的に、空気泡などの、気泡のための分離装置20を有し、かつ前記中空室16がヘッド側で、このような気泡のための少なくとも1つの放出開口部22内へ連通している、ことを特徴としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、互いに対して同軸に配置された2つのフィルタ部材(12、14)からなり、前記2つのフィルタ部材がそれら自体の間に中空室(16)を画成する、フィルタ装置において、
外側の前記フィルタ部材(14)の、前記中空室(16)を向いた内側(18)が少なくとも部分的に、空気泡などの、気泡のための分離装置(20)を有し、かつ
前記中空室(16)がヘッド側で、このような気泡のための少なくとも1つの放出開口部(22)内へ連通している、ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記2つのフィルタ部材(12、14)が、互いに入れ子になって、基部側とヘッド側でそれぞれ終端キャップ(24、26)内に収容されており、かつ
それぞれの前記放出開口部(22)が、前記ヘッド側の終端キャップ(26)内の、孔などの通路から形成されており、前記放出開口部が前記フィルタ部材(12、14)の間の前記中空室(16)を周囲(28)と接続している、ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記ヘッド側の終端キャップ(26)のそれぞれの放出開口部(22)が、あらかじめ定めることのできる間隔でカバーキャップ(34)によって上方を覆われている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記ヘッド側の終端キャップ(26)に対して前記カバーキャップ(34)が上方にかぶさる領域内に、環状間隙(50)が形成されており、前記環状間隙を介して放出開口部(22)から来るそれぞれの流体が、前記外側の中空円筒状のフィルタ部材(14)の外周側(52)へ案内されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記外側のフィルタ部材(14)の外周側(52)が、多孔の支持パイプ(54)から形成されている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記内側の中空円筒状に形成されたフィルタ部材(12)の内側に、前記ヘッド側の終端キャップ(26)の領域内で、流れ案内部材(48)が配置されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記ヘッド側の終端キャップ(26)が、前記流れ案内部材(48)の領域内で、前記カバーキャップ(34)と結合されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記2つのフィルタ部材(12、14)の終端キャップ(24、26)とカバーキャップ(34)が、流体タンク(64)内で使用するために、交換可能な構成ユニットを形成している、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記内側のフィルタ部材(12)が、前記中空室(16)の方向に多孔の支持パイプ(56)を有している、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記外側のフィルタ部材(14)の内側に、気体を退ける分離装置(20)が、格子構造、ネット構造又は織物構造から形成されている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも互いに対して同軸に配置されて、それらの間に中空室を画成する、2つのフィルタ部材からなる、フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧システムの構成部分としてのこの種概念のフィルタ装置は、従来技術である。弁、油圧ドライブ、制御部材などのような、安全上重要なコンポーネントの損傷を回避するために、重要な前提は、それぞれのフィルタ装置が濾過された媒体の変化しない品質を保証することである。したがってシステム内にあるフィルタ装置の完璧な機能は、駆動安全性のための基本条件である。
【0003】
すなわち、特許文献1(独国特許出願公開第10105612号明細書)は、フィルタハウジングと、その中に配置されている、粒子状の汚れを除去するためにあらかじめ定めることのできる方向を有する媒体によって貫流可能な、第1のフィルタ部材と、を有するフィルタ装置及び周辺装置を示している。この既知の解決においては、第1のフィルタ部材の他に他の第2のフィルタ部材が同軸の配置で設けられていること、それぞれのフィルタ部材が貫流方向に相前後して配置されていること、及び周辺装置が有効になった場合に、貫流方向において直接後に続く他の、内側に位置するフィルタ部材が媒体の濾過を行うことによって、周辺装置が応答し、かつ操作された場合に、他のフィルタ部材が媒体のためのメイン濾過を行う。というのは、いわゆるバイパスとしての周辺装置を介して、第1のフィルタ部材が実質的にもはや濾過プロセスのために提供されないからである。
【0004】
油圧オイルなどの流体を濾過する場合に、実際にはしばしば、流体内へ空気が侵入し、あるいはその他の気体が侵入し、それが流体の非圧縮性に負荷をかけ、それによって生じる欠点をもたらす。特に油圧循環の枠内で、流体は大体においてタンク内へ供給されてそこから再び取り出され、沈静化区間の形式のタンクにおいて流体からの脱気プロセスが必要である;ただ、技術において原則的に指向されるダウンサイジングの枠内で、タンク容積がだんだんと小さくなり、かつタンク内へ、そしてタンクからの、流体の循環サイクルがどんどん短くなるので、必要な範囲内で確実かつ信頼できる脱気を可能にするために、タンク内のストック時間がもはや充分ではないことが多い。
【0005】
この問題に対処するために、従来技術において、たとえば、特許文献2(独国特許出願公開第102017000713(A1)号明細書)によれば、フィルタ装置のための脱気装置がすでに提案されており、その脱気装置はフィルタハウジング内に負圧を発生させ、かつフィルタハウジング内にある空気を吸出しにより、フィルタハウジングから、したがって流体から除去する。それによって、流体内で一緒に運ばれる空気によって、油圧ドライブ又は操作装置の強度と機能停止にいたるまでの弁の機能能力が損なわれる危険に対処される。
【0006】
既知のフィルタ装置は、脱気装置として特にジェットポンプを使用しており、そのジェットポンプは、特に歯車ポンプなどの油圧ポンプにより発生される媒体流を用いて操作される。ジェットポンプは、外部の媒体流により、あるいは好ましくはフィルタ装置の濾液から獲得される媒体流によって、操作することができる。この既知の解決は、気体搬出量の高さに関して、効率的である;ただ、そのために所定の装置技術的費用が必要であり、特に付加的に、脱気プロセスのために油圧ポンプを介してジェットポンプを操作するために、エネルギが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第10105612号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102017000713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この従来技術に基づいて、本発明の課題は、わずかな装置技術的費用で、付加的に脱気装置のための駆動エネルギを提供する必要なしに、油圧オイルなどの流体を有効に脱気することを可能にする、フィルタ装置を提供することである。このような課題は、その全体においてと請求項1の特徴を有するフィルタ装置が解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の特徴部分にしたがって、外側のフィルタ部材の、中空室を向いた内側が少なくとも部分的に、空気泡などの、気泡のための分離装置を形成し、かつ中空室がヘッド側において、このような気泡のための少なくとも1つの放出開口部内へ連通していることによって、ジェットポンプなどの、付加装置のための付加的な駆動エネルギなしで、粒子汚れを除去すべき流体の効果的な脱気がもたらされる。もっとも内側に位置するフィルタ部材は、実質的に言及された粒子濾過に用いられるが、好ましくは同軸に配置された、もっとも外側に位置するフィルタ部材は、2つのフィルタ部材の間の言及された中空室に向いて隣接する内側においてある種の空気泡合体を許す。その限りにおいてフィルタ装置は、もっとも内側に位置するフィルタ部材の内側へ未濾液を供給され、そのフィルタ部材は内側から外側へ貫流され、もっとも外側に位置するフィルタ部材も同様である。大体において、気泡又は空気泡は、純粋形状で存在せず、埋め込まれており、したがって多かれ少なかれ著しく気体又は空気を含む流体もしくは泡の構成要素であり、それぞれの放出開口部を通過した後に初めて、流体の脱気がもたらされ、流体成分は逆方向で装置の流体側へ放出される。
【0010】
外側のフィルタ部材の内側に設けられた、気泡のためのある種の阻止層を形成する、言及された分離装置によって、個々の空気泡の大きさに応じて歩進的に分割もしくは分類し、かつ比較的小さい空気泡をより大きくなるように合体することにより、ついに空気泡が上昇可能な大きさに達し、かつそれによって、たとえばストックタンク内の、流体表面で効果的に分離することができる。フィルタ装置のヘッド側における部材間のリング状の中空室の直径よりも小さい直径を有する、このような空気泡のためのそれぞれの放出開口部が、フィルタ部材複合体の平行な貫流を支援し、このような平行接続によって外側のフィルタ部材内の流れ速度が減少し、それが、改良された合体作用とそれに伴って空気分離をもたらすことが明らかにされている。言及された効果に関して、本発明に係るフィルタ装置は、フィルタ装置全体がタンク内の種々の流体水準の間に完全に統合されている、いわゆるイン・タンク解決のために効果的である。
【0011】
本発明に係るフィルタ装置の特に好ましい実施形態において、2つのフィルタ部材は互いに入れ子になって、基部側とヘッド側でそれぞれ終端キャップ内に収容されており、かつそれぞれの放出開口部は、ヘッド側の終端キャップ内に、孔などの、通路から形成されており、その孔がフィルタ部材の間の中空室を周囲と接続する。特に通路を孔として形成する、言及された形態において、空気泡の搬出の改良がもたらされ、それは、著しく空気を含む流体-泡-混合物の形式においても、可能である。その限りにおいて、基部側からヘッド側へ、脱気すべき流体によるフィルタ装置の貫流が行われる。
【0012】
フィルタ装置がタンク内に組み込まれている限りにおいて、フィルタ装置のヘッド側の部分はタンク流体水準の上方に位置するので、フィルタ装置の、流体水準の上に位置する部分は、油圧媒体からの、特に空気の、表面近傍かつしずかな流出を許す。その限りにおいて、流体表面への空気泡のための短い上昇路が与えられており、それが、迅速な分離を支援し、かつフィルタ装置のヘッド側の終端キャップ内の上述した通路が、外側のフィルタ部材の部材材料の方向づけに対して平行に、特に空気泡の形式の、分離された気体の通路化された放出を許す。すでに上述したように、それは本来の意味において著しく空気を含む流体もしくは泡であって、それが開口部から流出し、空気は流体表面への流れルート上で脱気することができる。
【0013】
本発明に係るフィルタ装置の他の好ましい実施形態において、ヘッド側の終端キャップのそれぞれの放出開口部の上方に、あらかじめ定めることのできる間隔をもってカバーキャップがかぶさっている。さらに好ましくは、カバーキャップがヘッド側の終端キャップの上方にかぶさる領域内に、一周する環状間隙が形成されており、それを介して、放出開口部から来るそれぞれの流体が、外側の中空円筒状のフィルタ部材の外周側へ案内されている。その限りにおいて、特に孔の形式の、通路を介して上方へ流れる流体は、ヘッド側の終端キャップの上にかぶさるカバーキャップの皿幾何学配置によって、均質に外側へ、外側のフィルタ部材の外側の支持パイプの方向へ案内され、そこで、そこから薄い、著しく空気を含むフィルムとして、特にそれぞれのタンク流体水準の方向へ流れ落ちる。このように薄いフィルムは、タンク内部内の周囲へむかって、空気泡を表面へ近づけ、それがその分離を支援する。
【0014】
好ましくは、外側のフィルタ部材の外周側は多孔の支持パイプから形成されており、かつ特に支持パイプの孔の形式の多孔性が、流れ落ちる際の制動作用をもたらし、それが滞留時間を増大させて、タンクの流体水準の上方の周囲空気への空気泡の放出も支援する。
【0015】
本発明に係るフィルタ装置の他の好ましい実施形態において、内側の中空円筒状に形成されたフィルタ部材の内側に、ヘッド側の終端キャップの領域内で流れ案内部材が配置されている。好ましくは、流れ案内部材は内側へ向かって細くなる円錐の形式で形成されており、その円錐の尖端が内側のフィルタ部材の中空室の内部へ連通し、かつその円錐は内側のフィルタ部材の内部の領域内で終端キャップの下方の望ましくない空気泡の集まりを阻止するために用いられる。
【0016】
この領域内で、好ましくはヘッド側の終端キャップが、したがって流れ案内部材の領域内で、好ましくは接着剤結合又はねじ結合の枠内で、カバーキャップと結合されている;しかしまた、カバーキャップと対応づけられた終端キャップとを、たとえば射出成形方法の枠内で、1つの構成部分としてて形成する可能性も存在する。
【0017】
本発明に係るフィルタ装置の他の好ましい実施形態において、2つのフィルタ部材の終端キャップとカバーキャップは、流体タンク内で効果的に使用するために交換可能な構成ユニットを形成する。特に外側のフィルタ部材は、フィルタ装置を使用する間、粒子汚れにさらされるので、このように消耗した構成ユニットを新しい部材と交換することが必要であり、それは、内側に位置するフィルタ部材にもかかわらず、少なくとも部分的に粒子汚れによって消耗する、外側のフィルタ部材についても言える。好ましくは、もっとも内側に位置するフィルタ部材のフィルタ細度は、もっとも外側に位置するフィルタ部材のそれよりも細かい。
【0018】
フィルタ装置を補強するために、好ましくは、内側のフィルタ部材が中空室の方向に、同様に多孔の支持パイプを有することができる。
【0019】
言及された分離装置のため、もしくは外側のフィルタ部材の内周側に、それに適した、あらかじめ定められた孔大きさ勾配を有する、たとえばフリースからなる、合体特性を備えた媒体層を使用することができ、その孔大きさ勾配は一番内側に位置する微小構造から流出側へ見て明らかに大きい構造へ移行し、それによって、流体が外側のフィルタ部材を貫流する際に、流体内に大体においてもっとも細かく分散している泡が、その限りにおいて放出層として構成されている媒体層の合体特性に基づいて体積的に大きい単位へまとめられる。好ましくは使用される、大体においてフリースの形式の繊維材料がポリエステル繊維を有することができ、それによって流体からの脱気プロセスが容易になる。
【0020】
それとは関係なく、より大きい空気泡を形成するのに適した、他の各種類の媒体層も阻止層として使用することができ、特にボリュームのある繊維の3Dマトリクスを脱気阻止層として用いることができる。
【0021】
特に、格子構造、ネット構造又は織物構造からも外側のフィルタ部材の内側に放出層を形成する可能性が存在し、このような放出層は、同一又は異なる種類の複数の媒体層から形成することもできる。すなわち脱気のために個別層として様々な開口幅を有する複数の格子構造又はネット構造が積み重ねて使用され、あるいは上述したように、適切なフリース又は3Dマトリクスを有するこのようなネット構造又は格子構造の組合せが使用される。
【0022】
以下、図面に示す実施形態を用いて、本発明に係るフィルタ装置を詳細に説明する。図は原理的かつ縮尺にとらわれない表示である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、フィルタ装置を縦断面で示している。
図2図2は、図1に示すフィルタ装置を、ヘッド側の終端キャップ及びカバーキャップなしで、部分的に切り開いて示す斜視図である。
図3図3は、図1と2に示すフィルタ装置を流体ストックタンク内の組み込み状況について著しく簡略化して示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、全体としてのフィルタ装置を縦断面で示している。このフィルタ装置は、共通の長手軸線10(図3を参照)に沿って互いに同軸に配置された2つのフィルタ部材12、14を有し、それらのフィルタ部材は内周側もしくは外周側でそれらの間に一周する環状の中空室16を画成している。外側のフィルタ部材14の、中空室16へ向いた内側18は、空気泡などの、気泡のための分離装置20を有しており、図の表示に示すように中空室16はヘッド側においてこのような気泡のための個々の放出開口部22へ連通している。2つのフィルタ部材12、14は互いに入れ子にされており、それぞれ基部側とヘッド側において共通の終端キャップ24、26内に収容されており、特に孔の形式の、通路からなるそれぞれの放出開口部22が、ヘッド側の終端キャップ26内に形成されており、それがフィルタ部材12、14の間の中空室16を周囲28と接続している。
【0025】
それぞれの終端キャップ24と26は、一体的に形成されており、かつリング形状の収容部30を有し、その中にそれぞれのフィルタ部材12、14の自由な前側が収容されている;特に上述した収容部30がある種の接着剤ベッドを形成し、それを介してそれぞれのフィルタ部材12、14の前側が終端キャップ24、26と堅固に結合されている。表示を簡単にするために、それぞれの接着剤ベッドは図では省かれており、それぞれの接着剤ベッドは個々の収容部30の境界ウェブ32の間に延びている。
【0026】
あらかじめ定めることのできる間隔をもって、ヘッド側の終端キャップ26のそれぞれの放出開口部22は皿状のカバーキャップ34によって覆われている。カバーキャップ34はその上側に、それ自体閉成された円形の表面を形成し、かつその一周する端部へ向かって、図1を見る視線方向に、下方へ張り出すように一周する端縁36を有しており、その端縁がもっとも外側を一周する境界ウェブ32に対して径方向の間隔を維持している。詳しく図示されない実施形態において、製造技術的視野から、張り出す端縁36を省く可能性も存在するので、上方の終端キャップ26とカバーキャップ34は、実質的に2つの互いに対して平行に形成された、気体を含む流体のためのガイド面を形成する。さらに、一周する端縁36の自由な前側の端部38は、もっとも外側に配置された境界ウェブ32の下方の端部40の上方で開口しており、その限りにおいて形成された、このウェブ32の自由な環状端縁40は、一周する端縁36の自由な終端側の環状端縁38に対して平行に延びている。長手軸線10に対して同軸に配置されて、カバーキャップ34はその下方の面に沿って突出部42を有し、その突出部がピン形状の延長部44によって流れ案内部材48の袋孔46内へ嵌入する。プレート形状の突出部42は、端縁側において袋孔46の上方にかぶさり、かつヘッド側の終端キャップ26の一部として流れ案内部材48の上側上に同一平面で添接する。その限りにおいて、長手軸線10に対して平行に見て、突出部42の軸方向の高さが、ヘッド側の終端キャップ26とカバーキャップ34の間の、その限りにおいてあらかじめ定めることのできる間隔を定め、かつその限りにおいて環状間隙50のための間隔寸法を定め、その環状間隙はその限りにおいてカバーキャップ34からヘッド側の終端キャップ26への広がりの領域内に形成されている。その限りにおいてこの環状間隙50は、外周側において、一番外側に位置する上方の境界ウェブ32とカバーキャップ34の、下方に張り出して一周する端縁36との間に、変化しない間隔で連続している。その限りにおいて、それぞれの放出開口部22から来る流体は、環状間隙50を介して外側の中空円筒状のフィルタ部材14の外周側52へ案内される。特に外側のフィルタ部材14のこのような外周側52は、多孔の支持パイプ54から形成されており、その支持パイプはそのために、図示されるように対称に分配された孔を有している。他の比較可能に形成された支持パイプ56が、内側のフィルタ部材12のための外周側を形成する。
【0027】
特に図1がさらに示すように、長手軸線10に対して直径方向に互いに対向して複数の、たとえば2から12の、放出開口部22が設けられており、それらがヘッド側の終端キャップ26に設けられた中央の境界ウェブ32を完全に貫通し、それによって一周するように形成された環状間隙50とリング形状の中空室16との間に流体接続を形成している。その限りにおいて放出開口部22は、長手軸線10に対して同軸に仮想の円に沿って定められた径方向の間隔で均一に延びている。カバーキャップ34は、図示されない実施形態によれば、ヘッド側の終端キャップ26の一体的な構成部分とすることもできる。それぞれ中央の境界ウェブ32内の孔として形成された放出開口部22は、中空室16の上側に通路形状の延長部を形成し、かつ全体として同一の孔長さと同一の孔直径とを有している。基部側の終端キャップ24の一番内側に位置するリング形状の境界ウェブ32は、収容リング58を形成し、その中の底側にシールリング60(図3を参照)のための一周する溝が形成されている。このような収容リング58は、図3が示すように、図1と2に示すフィルタ装置を流入短管62上に固定するために用いられ、その流入短管は底側で通常の構造の流体タンクのタンクハウジング64と結合されているので、ここではそれについてこれ以上詳しく触れず、かつ特にタンクは図3内で著しく簡略化して4つの画成壁66のみによって示されている。さらに図1が示すように、流れ案内部材48がヘッド側で内側のフィルタ部材12の中空円筒状の内側へ案内されており、かつ長手軸線10の方向に円錐状に延びるようにして中空円筒状のフィルタ部材12の内部へ連通している。
【0028】
特に図2に示すフィルタ装置を部分断面で斜視図で示すように、2つのフィルタ部材12、14は襞をよせて形成されている。その限りにおいて形成される、襞をよせたフィルタマット構造は、フィルタの機能性にしたがって多層で構築することができ、それは従来技術において知られている。それぞれの襞寄せが、外側のフィルタ部材14のために外周側において外側の支持パイプ54に、そして内側に位置するフィルタ部材12のためには他の支持パイプ56に支持されている。一番内側に位置するフィルタ部材12は、主として粒子濾過に、言うなれば流体流から粒子状の汚れを除去するために用いられ、それに対して外側に位置するフィルタ部材14は、主として流体の脱気に用いられる。それぞれ選択された折りたたみ高さは、5から35mmの領域内にあり、かつ好ましくは2つのフィルタ部材12、14のために3から7層のフィルタマットが使用される。好ましくはそれぞれの部材12、14のための折りたたみ密度は、1から10折りたたみ/cmが選択される。外側のフィルタ部材14の内側18には、分離装置20が配置されており、その分離装置は好ましくは外側のフィルタ部材14のその他の折りたたみ複合体内に一緒に折りたたまれている;しかし、分離装置を、たとえば中空円筒状のボディ(図示せず)として、外側のフィルタ部材14の内周側18に沿って別体の構成部分として配置する可能性も存在する。このような中空円筒状のボディは、たとえば包囲するPET箔を有する支持パイプの形式で、合体させる支持構造によって形成することができる。しかし分離装置の折り込みが効果的であって、その分離装置は好ましくは格子構造、ネット構造又は織物構造の多数の層からなり、各層は10から1200μmのメッシュ幅を有することができる。それぞれ使用される層は、特殊鋼又はプラスチック材料からなることができる。フィルタ部材12、14のそれぞれの内周側には他の支持パイプは存在せず、かつそれぞれの部材12、4が内側から外側へ貫流されるので、その限りにおいてそれぞれの部材材料が外側の支持パイプ54、56に支持されれば充分である。したがってその限りにおいて分離装置20として、プラスチック又は特殊鋼からなるカスケード構造のワイヤ織物が用いられ、それが襞をよせられ、多層で構築されている。それぞれのワイヤ織物のために、以下の結合、ボディ結合、繻子織結合又はもっとも簡単な場合において平織り結合を使用することができる。特に以下のような結合種類が考えられる;2-2結合、4-1結合、5-1結合、2-1結合。2つの外側の層において、平織り結合(1-1結合)を使用すること、および複数の層のためにはいわゆる3ボディ結合もしくは2-1結合を使用すると、特に好ましいことが明らかにされている。
【0029】
図3の表示は、流体ストックタンクのタンクハウジング64内の通常の組み込み状況を示しており、図3の表示によれば、フィルタ装置は全体として、その下方の収容リング58を介してタンクの流入短管62上に、特にリング58の付属の収容溝内のシールリング60を用いて密閉するように、取りつけられている。さらによく理解するため、かつ図3の例で、中くらいの充填状態68と最小の充填状態70が示唆されている。さらに、タンク内部から空気を搬出するために通気部材(図示せず)を、好ましくは上方のタンク壁66に、そして粒子状の汚れを除去されて脱気された流体のために、タンクの下側に排出部材を設けることができ、このような排出部材は、同様に簡単にするために、図示されていない。
【0030】
たとえば通常の油圧オイルの形式の、処理すべき流体は、フィルタ装置の駆動中に流入短管62を介して一番内側に位置するフィルタ部材12の内部へ流入し、流体が内側から外側へ、かつフィルタ部材12を通過して部材12、14の間の中空室16内へ達することによって、粒子状の汚れの浄化が行われる。このように浄化された流体は、その後、場合によってはさらに浄化されて、外側のフィルタ部材14も通過して、その限りにおいてタンクハウジング64の内部へ達することができる。このように流体が通過する際に、外側のフィルタ部材14上の格子状又はネット状の分離装置20も貫流され、このような分離装置20は、空気などの気体のためのある種の阻止層を形成し、その結果、最初は分散形式で流体内に細かく分配されていた気泡がまとまってより大きい泡となり、したがって図3を見る視線方向において上方へ、特に常にそれぞれタンク内に存在する流体水準68、70へ、上昇する。このように上方へ上昇する気泡もしくは空気泡は、その後、それぞれ上方の放出開口部22を介してタンクハウジング64の内部の空気側(周囲28)へ流出する。図3の表示が示すように、原則的にカバーキャップ34なしでも充分であって、それが設けられる場合にはそれなりの利点がもたらされ、特に分離さされた空気は相変わらず液体によって湿潤することができるので、その液体は好ましいやり方で泡としても、カバーキャップ34及び形成された環状間隙50を介して外部へ導出され、このような液体は、その後フィルタ部材14の外側の支持パイプ54を介して下方へ向かってタンクの液体側68、70へ流れ落ちることができる。
【0031】
さらに図3が示すように、リング形状の中空室16は互いに対して平行に延びるフィルタ部材12、14によって画成されているので、中空室16内に、上昇する空気泡のためのある種の平行流れが強制され、それが放出すべき気体のための流れ速度を上昇させ、それに伴って全体としてのフィルタ装置の分離出力を増大させる。そのために、ヘッド側の終端キャップ26の下側の円錐状に形成された流れ案内部材48も寄与し、その流れ案内部材は、内側のフィルタ部材12の中空円筒状の内側に場合によっては集まった空気を、それに対して外側に位置する放出開口部22の方向へ流れ案内の枠内で放出することを、もたらす。特にカバーキャップ34の皿状の幾何学配置によって、孔22を通して上方へ流れる流体(気体と共に液体)が均質に外側へ向かって外側の支持パイプ54の方向に案内される。すなわちこれは、従来技術に該当するものを持たない。
【0032】
終端キャップ24、26と対応づけられたフィルタ部材12、14との言及された接着の他に、通常の鋳造方法も使用され、かつ終端キャップ24、26も支持パイプ54、56も、普及している方法(切削、KS射出成形、3Dプリントなど)を用いても簡単かつコスト的に好ましいやり方で形成され、フィルタ装置のこのようなコンポーネントは金属材料及び/又はプラスチック材料から構成することができる。さらに、このフィルタ装置は、原則的に、気体を含むすべての流体のために使用可能であり、かつ油圧オイルから空気を放出することに限定されるものではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】