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特表2024-518451熱膨張性粒子を有するチップペーパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】熱膨張性粒子を有するチップペーパー
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20240423BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240423BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568634
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 AT2022060153
(87)【国際公開番号】W WO2022236350
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】A50370/2021
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523412267
【氏名又は名称】タンパピアー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】TANNPAPIER GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】クナウゼダー, ベアンハルド
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB14
(57)【要約】
本発明は、熱の効果を使用して、少なくとも1つの突起(10)を備えることができるチップペーパー(1)に関し、前記チップペーパーは、チップペーパー(1)の基材内に、またはインプリントもしくはコーティング(2)の形態で設けられた熱膨張性粒子を含み、前記インプリントまたはコーティング(2)は、チップペーパー(1)の基材上に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱の作用によって少なくとも1つの隆起(10)を備えることができるマウスピースライニングペーパー(1)であって、前記マウスピースライニングペーパーが、前記マウスピースライニングペーパー(1)の基材または印刷もしくはラッカー層(2)に存在する熱膨張性粒子を含み、前記印刷またはラッカー層(2)が、前記マウスピースライニングペーパー(1)の前記基材上に配置されることを特徴とする、マウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項2】
前記マウスピースライニングペーパー(1)が少なくとも1つの隆起(10)を備え、前記隆起(10)が前記熱膨張性粒子によって形成され、前記マウスピースライニングペーパー(1)を加熱することによって前記熱膨張性粒子から前記隆起が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のマウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項3】
前記熱膨張性粒子が前記マウスピースライニングペーパー(1)の前記基材内に存在し、前記基材が紙であることを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載のマウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項4】
前記熱膨張性粒子が前記印刷またはラッカー層(2)内に存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のマウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項5】
前記マウスピースライニングペーパーが、熱膨張性粒子が存在する少なくとも1つの表面領域を有し、熱膨張性粒子が存在しない少なくとも1つの表面領域を有するように、前記熱膨張性粒子を含む前記印刷またはラッカー層(2)が、前記マウスピースライニングペーパー(1)上の限られた領域にのみ存在することを特徴とする、請求項4に記載のマウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項6】
熱膨張性粒子が存在する少なくとも1つの表面領域が、熱膨張性粒子が存在しない少なくとも1つの表面領域と光学的に同一であり、熱への曝露後に、前記領域が前記膨張性粒子によって区別可能になることを特徴とする、請求項5に記載のマウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項7】
前記印刷またはラッカー層(2)が、印刷インク、透明ラッカー層または着色ラッカー層であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のマウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項8】
箔要素(9)が前記少なくとも1つの隆起(10)の上方に存在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のマウスピースライニングペーパー(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの隆起(10)を有するマウスピースライニングペーパー(1)を製造するための方法であって、前記マウスピースライニングペーパー(1)の基材内または前記基材上の印刷もしくはラッカー層(2)内の熱膨張性粒子を含むマウスピースライニングペーパー(1)が、高温表面と接触させられるか、またはレーザービームによって照射され、その結果、前記マウスピースライニングペーパー(1)の前記高温表面と接触するか、または前記レーザービームによって加熱される領域内の前記熱膨張性粒子が膨張して、前記隆起(10)を形成することを特徴とする、方法。
【請求項10】
マウスピースライニングペーパー(1)の連続ウェブが、高温構造化表面を有するエンボスローラに沿って移動され、前記エンボスローラの構造の前記隆起が隆起(10)として前記マウスピースライニングペーパー(1)に転写されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
マウスピースライニングペーパー(1)の連続ウェブがホットスタンピング装置を通って移動され、前記ホットスタンピング装置によって箔要素(9)が前記マウスピースライニングペーパー(1)に取り付けられ、取り付け可能なフィルム要素(9)の領域に存在する前記マウスピースライニングペーパー(1)の熱膨張性粒子が膨張して隆起(10)を形成することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載のマウスピースライニングペーパー(1)を備えるエアロゾル生成消費物品であって、前記マウスピースライニングペーパー(1)を加熱した後、前記加熱された領域内の消費物品の外側に隆起(10)が存在することを特徴とする、エアロゾル生成消費物品。
【請求項13】
前記隆起(10)が、シンボル、構造またはコードの形態であることを特徴とする、請求項12に記載のエアロゾル生成消費物品。
【請求項14】
請求項1から8のいずれか一項に記載のマウスピースライニングペーパー(1)を製造するための装置であって、前記マウスピースライニングペーパー(1)を印刷またはコーティングするための機械と、前記マウスピースライニングペーパー(1)をホットスタンプするための機械と、を備え、前記各機械を介してバンドが搬送可能であり、前記バンドが、1つのエアロゾル生成消費物品ごとに複数のマウスピースライニングペーパー(1)の横方向に構成されることを特徴とする、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱膨張性粒子を有するマウスピースライニングペーパーに関する。
【0002】
本発明は、特に、紙巻タバコおよび非燃焼加熱消費物品用のマウスピースライニングペーパー、または、一般に、エアロゾル生成消費物品のマウスピースに関する。
【背景技術】
【0003】
略して「チップペーパー」または「チップ」と呼ばれることが多いマウスピースライニングペーパーは、フィルタ付き紙巻きタバコを喫煙するとき、または非燃焼加熱消費物品を加熱するときに人の唇が触れるエアロゾル生成消費物品の部分である。マウスピースライニングペーパーは、フィルタ部を包囲し、通常、消費物品の長手方向においてタバコロッドまたはエアロゾル生成基材の長手方向領域内に僅かに突出し、そこでタバコ紙またはエアロゾル生成基材の包装材を包囲する。マウスピースライニングペーパーは、エアロゾル生成消費物品の最も外側の包装材を形成し、タバコ紙とは対照的に、消費物品が使用されるときに燃焼されない。
【0004】
マウスピースライニングペーパーは、ほとんどの場合、実際には紙であるが、異なる材料のいくつかの層から形成された箔または複合材料とすることもできる。
【0005】
マウスピースライニングペーパーは、インプリントを含むことが多い。例えば、このインプリントは、コルクの模造とすることができる。しかしながら、唇が触れる領域が白色であるマウスピースライニングペーパーも使用される。
【0006】
米国特許第9307789号明細書は、ラッカー製の構造をマウスピースライニングペーパーに適用することを教示している。ラッカーの構造化された適用は、正確に動作する適用装置を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9307789号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、構造化されたマウスピースライニングペーパーおよび構造化されたマウスピースライニングペーパーを製造するための改良された方法を提供することである。
【0009】
この課題を達成するために、請求項1に記載のマウスピースライニングペーパーが提案される。
【0010】
マウスピースライニングペーパーは、熱の作用によって膨張されて隆起構造または少なくとも隆起を生成することができる熱膨張性粒子を含む。
【0011】
一実施形態では、熱膨張性粒子は、マウスピースライニングペーパーの基材に含まれる。
【0012】
基材は、好ましくは紙、特に30から60g/m、特に好ましくは30から50g/mの坪量を有するいわゆる原紙である。
【0013】
あまり好ましくないが、原紙に加えて、基材は、特にセルロース水和物から形成された箔を含むことができる。あまり好ましくないが、基材は、箔、特にセルロース水和物からなるか、またはいくつかの箔の積層体として存在することができる。これらの場合、熱膨張性粒子は、箔に含まれることができる。
【0014】
好ましくは、マウスピースライニングペーパーは、実際には紙であり、熱膨張性粒子は、特にそれらが製紙プロセス中に紙の繊維マトリックスに封入されるという点で、紙に含まれる。
【0015】
第2の実施形態では、熱膨張性粒子は、印刷またはコーティングに含まれる。熱膨張性粒子は、非フィルム形成印刷インクまたはフィルム形成透明ラッカーまたはフィルム形成着色ラッカーによって適用されることができる。
【0016】
粒子は、好ましくは、マウスピースライニングペーパーのウェブがホットスタンプ機のホットシリンダまたはホットエンボスローラに沿って搬送されるときに熱の作用によって膨張される。
【0017】
第1の実施形態では、加熱のみが行われ、その結果、ホットスタンプ機の従来の使用とは対照的に、ホットスタンピング箔は転写されない。
【0018】
第2の実施形態では、加熱に加えてまたは加熱とともにホットスタンピング箔が転写される。その結果、膨張した粒子によって形成された隆起領域上にホットスタンピング箔が存在する。箔は、隆起領域を光学的に強調する。
【0019】
膨張はまた、マウスピースライニングペーパーのウェブの標的化または構造化された加熱を可能にする他の機械、例えばサーマルプリンタ、特にサーマル点字プリンタを用いて実行されることができる。
【0020】
別の実施形態では、加熱は、マウスピースライニングペーパーがエアロゾル生成消費製品上に既に存在する場合に、マウスピースライニングペーパーに対して行われる。マウスピースライニングペーパーは、消費物品の外層を形成する。加熱は、消費物品が販売のために包装される前に行われることが好ましい。別の実施形態では、加熱は、消費物品が消費者によって使用されるときに、例えば、非燃焼加熱装置内で消費物品を加熱することによって行われる。
【0021】
一実施形態では、熱膨張性粒子を含む印刷またはコーティングがマウスピースライニングペーパーの連続面上に適用され、その後の構造は、構造化された加熱面によって加熱することによって形成される。
【0022】
一実施形態では、熱膨張性粒子を有する印刷またはコーティングは、マウスピースライニングペーパーに構造化された方法で適用される。この場合、その後の構造は、平坦な加熱面によって加熱することによって、またはマウスピースライニングペーパーを備えたエアロゾル生成消費物品を加熱することによって形成されることもできる。
【0023】
一実施形態では、連続領域に印刷またはコーティングが設けられ、この領域は、マウスピースライニングペーパーの側面全体に沿ってバンドの形態で延在し、熱膨張性粒子を有する環状領域がエアロゾル生成製品上に存在する。
【0024】
膨張は、好ましくは、熱および圧力によってエンボスローラのエンボス構造をマウスピースライニングペーパーに転写することによって、2つのローラ(エンボスローラおよび逆圧ローラ)の間に熱膨張構造が設けられたマウスピースライニングペーパーの連続的に移動するバンド上で行われる。
【0025】
一実施形態では、膨張性粒子は、ラッカーによって適用され、したがって、マウスピースライニングペーパー上のラッカー層に含まれる。
【0026】
ラッカーという用語は、あらゆる種類のフィルム形成物質を含む。
【0027】
第1の実施形態では、ラッカーは、硬化して透明ラッカー層を形成する透明ラッカーである。
【0028】
透明ラッカーは、ニトロセルロースラッカーであることが特に好ましい。
【0029】
透明ラッカーは、好ましくは、ニトロセルロースまたはエチルセルロースと、熱膨張性粒子と、エタノール、酢酸エチル、イソプロパノールを含む溶媒の群から選択される1つ以上の溶媒とを含む。言及された溶媒は、塗料が熱膨張性粒子、ニトロセルロースまたはエチルセルロース、有機溶媒および水を含むように、水溶液の形態で存在することができる。透明ラッカーはまた、エフェクト顔料を含むことができる。
【0030】
透明ラッカー組成物は、好ましくは、0.25g/mから2g/m、特に好ましくは0.5g/mから1g/mの量で適用される。
【0031】
第2の実施形態では、ラッカーは、硬化して着色ラッカー層を形成する着色ラッカーである。
【0032】
着色ラッカーは、ニトロセルロースまたはエチルセルロース、熱膨張性粒子および着色顔料、ならびにエタノール、酢酸エチル、イソプロパノールを含む溶媒の群から選択される1つ以上の溶媒を含む。言及された溶媒は、着色ラッカーがニトロセルロースまたはエチルセルロース、着色顔料ならびに有機溶媒および水を含むように、水溶液の形態で存在することができる。着色ラッカーはまた、添加剤および/または充填剤を含有することができる。
【0033】
着色ラッカーはまた、エフェクト顔料を含むことができる。
【0034】
着色ラッカー組成物は、好ましくは0.25g/mから8g/m、特に好ましくは1g/mから4g/mの量で適用される。
【0035】
着色ラッカーは、単色コーティングの形態で表面に適用される。コーティングは、互いに離間したバンドまたは複数のバンドとして存在することができる。着色ラッカー組成物は、好ましくは8から16秒、特に10~14秒の粘度を有する。粘度値は、4mmのカップ直径(EN ISO 2431バージョン1993-02-15にかかるISOカップ4mm)を有するフローカップ試験を使用して決定される。
【0036】
透明ラッカーまたは着色ラッカーは、好ましくはグラビア印刷、特に輪転グラビア印刷によって適用される。
【0037】
ラッカー層は、好ましくは1層、より好ましくは2層で適用される。
【0038】
ラッカーは、マウスピースライニングペーパーの原紙に直接適用されることが好ましい。
【0039】
原紙は、好ましくは30から60g/m、特に好ましくは30から50g/mの坪量を有する。
【0040】
ラッカーは、好ましくは、原紙の未処理表面に適用される。したがって、原紙は、好ましくはコーティングされない。
【0041】
一実施形態では、コーティングは、白色原紙上に存在する着色ラッカーの1つ以上のバンドの形態で行われる。コーティングされたマウスピースライニングペーパーは、好ましくは、少なくとも1つの白色領域と、着色層を有する1つの領域とを有し、これらは、好ましくは、エアロゾル生成消費物品の周方向にバンドの形態で延在する。
【0042】
一実施形態では、膨張性粒子は、水性印刷インクによって適用され、したがって、マウスピースライニングペーパーに対する印刷に含まれる。
【0043】
水性印刷インクは、好ましくは15から60秒、特に好ましくは16~35秒、特に16~21秒の粘度を有する。
【0044】
水性印刷インクは、好ましくは0.25g/mから8g/m、特に好ましくは1g/mから4g/mの量で適用される。
【0045】
マウスピースライニングペーパーは、好ましくは、コルクの外観を模倣するカラーインプリントを含む。
【0046】
既に説明したように、カラーインプリントは、一実施形態では着色ラッカー層である。
【0047】
第2の実施形態では、カラーインプリントは、例えば着色インクまたは印刷インクの形態の非フィルム形成コーティングまたは印刷とすることができる。上述したように、着色コーティング上に透明ラッカーが適用されることができる。透明ラッカー層は、好ましくは、マウスピースライニングペーパー全体にわたって連続的に存在するか、または1つもしくはいくつかのバンド状着色層に位置合わせされる。膨張性粒子は、着色インクもしくは印刷インクおよび/または透明ラッカー層に含まれることができる。
【0048】
着色インクおよび/またはラッカーの適用は、原紙の連続的に移動する材料ウェブ上で行われる。適用後、材料ウェブは、好ましくは乾燥装置を通って移動される。
【0049】
加熱乾燥機、特に熱風乾燥機および/または加熱ローラは、好ましくは乾燥装置として使用される。あまり好ましくないが、赤外線エミッタが追加または代替として使用されることもできる。
【0050】
乾燥は、好ましくは、粒子の膨張温度未満の温度で行われる。
【0051】
膨張性粒子が限られた領域にまたは構造化された方法で適用された印刷またはラッカー層に含まれる場合、乾燥はまた、膨張温度を超えてわれることもでき、その結果、乾燥中に隆起が形成される。
【0052】
ラッカー層が乾燥した後、材料ウェブは、ボビン上に巻き上げられるか、またはエンボス加工装置または熱箔機に直接供給されて、熱膨張構造を製造する。構造が製造された後、材料ウェブは、ボビン上に巻き上げられるか、または構造化された材料ウェブは、紙巻きタバコ製造機に供給される。
【0053】
マウスピースライニングペーパーには、熱箔機の箔要素、特に金属箔要素が設けられることができる。これらは、特に細いバンドまたはロゴとして適用される。
【0054】
ホットスタンプは、箔要素が伝達要素からの圧力および熱によってマウスピースライニングペーパーに適用されるという点で、公知の方法にしたがって実行される。箔要素が設けられたマウスピースライニングペーパーの領域は、ホットスタンピングプロセスにおいてより強く加熱され、その結果、箔要素の下方に位置する熱膨張性粒子が膨張する。
【0055】
本発明はまた、マウスピースライニングペーパーを製造するための設備であって、
マウスピースライニングペーパーを印刷インクまたはラッカーによって印刷またはコーティングするための機械と、
マウスピースライニングペーパーをホットスタンプするための機械と、を備える。
【0056】
必要に応じて、マウスピースライニングペーパーをインクによってコーティングするための機械は、マウスピースライニングペーパーをラッカーによってコーティングするための機械の上流に配置されることができ、またはマウスピースライニングペーパーをラッカーによってコーティングするための機械はまた、追加の印刷インクによってコーティングするための手段を備えることができる。
【0057】
必要に応じて、マウスピースライニングペーパーを印刷するための機械であって、マウスピースライニングペーパーに多色のロゴを印刷する機械が存在することができる。
【0058】
マウスピースライニングペーパーは、それぞれの機械を介してバンドとして移動され、印刷インクまたはラッカーの適用およびホットスタンプは、好ましくはバンドの長手方向に連続的に行われる。
【0059】
有利な実施形態では、マウスピースライニングペーパーのバンドは、1つの機械から次の機械に移送されるのではなく、それぞれの機械の後にボビン上に巻き取られ、次の機械に移送される。
【0060】
マウスピースライニングペーパーを印刷インクまたはラッカーによってコーティングするための機械を通って移動するバンドは、移動方向に対して横方向に位置合わせされたいくつかのマウスピースライニングペーパーから構成され、移動方向を横断する、すなわちバンドの幅に沿ったマウスピースライニングペーパーの方向は、後に消費物品の長手方向に位置合わせされる。
【0061】
マウスピースライニングペーパーを印刷インクまたはラッカーによって印刷またはコーティングするための機械は、好ましくは、印刷インクまたはラッカー層が設けられた後にバンドを長手方向に切断する切断装置を備え、その結果、印刷インクまたはラッカーによってコーティングされたマウスピースライニングペーパーの少なくとも2つのより狭いバンドが得られる。より狭いバンドのそれぞれは、ボビン上に巻き取られる。
【0062】
より狭いバンドのこれらのボビンは、マウスピースライニングペーパーをホットスタンプするために機械に供給されることが好ましい。
【0063】
特に適切な熱膨張性粒子は、熱にさらされると膨張してより大きな体積を有する中空球を形成する膨張性マイクロスフェアである。膨張性マイクロスフェアは、気体または液体を含むことができ、気体は、熱の作用下で膨張し、または液体は、体積の増加とともに蒸発する。変形は不可逆的であり、冷却後も持続する。
【0064】
熱膨張性粒子は、熱可塑性ポリマー粒子またはゲル粒子であることが好ましい。
【0065】
粒子は、接触技術を使用して膨張されることが好ましい。高温表面の隆起構造は、マウスピースライニングペーパーに隆起構造として転写される。これは、表面の隆起構造が窪みとしてマウスピースライニングペーパーに転写される従来のエンボス加工プロセスとは対照的である。
【0066】
粒子の膨張はまた、例えば、膨張される部分領域をレーザービームによって加熱することによって、接触せずに行われることもできる。
【0067】
膨張性粒子は、好ましくは、100から250℃の膨張温度を有する。
【0068】
未膨張状態における膨張性粒子の平均粒径は、1μmから50μmであることが好ましい。膨張するとき、それらの直径は、好ましくは5倍から15倍増加する。
【0069】
ポリマー製の中空マイクロスフェアに加えて、膨張性雲母、膨張性黒鉛、パーライトなどの無機粒子が使用されることができる。
【0070】
一実施形態では、マウスピースライニングペーパーは、レーザービームによって選択的に加熱される。結果として、マウスピースライニングペーパーには、印刷またはコーティングの直後に、または包装前にレーザーによって紙巻きタバコ機または完成した紙巻きタバコに構造化表面が設けられることができる。レーザーは、熱膨張性粒子を含むマウスピースライニングペーパーの領域に隆起構造として、細線、ロゴ、コード、QRコード(登録商標)または会社シンボル(紋章の被膜、識別マークなど)を形成するために使用されることができる。レーザーは、マウスピースライニングペーパーの表面上で一列ずつ移動されることができ、レーザービームは、その後に隆起表面にのみ当たるか、または隆起表面でのみオンになる。レーザービームはまた、2つの座標に沿った所定の経路にしたがってマウスピースライニングペーパーの表面上を移動されることができる。レーザービームがマウスピースライニングペーパーの連続的に移動するウェブ上に照射される場合、マウスピースライニングペーパーの搬送方向を横切るレーザービームの移動は十分とすることができる。
【0071】
レーザービームの経路および/またはレーザービームのオンオフパターンは、マウスピースライニングペーパーに異なる形状の隆起が形成されることができるように個別にプログラムされることができる。一実施形態では、ウェブ方向に互いに続くマウスピースライニングペーパーの隆起は、それらの形状もしくは位置に関して、またはコードが存在する場合にはそれらの意味に関して、互いに異なることができる。一実施形態では、ウェブ方向に対して横方向に位置合わせされたマウスピースライニングペーパーの隆起は、それらの形状または位置に関して、またはコードが存在する場合にはそれらの意味に関して、互いに異なることができる。
【0072】
別の実施形態では、マウスピースライニングペーパーは、限られた領域でのみラッカーまたは水性印刷インクを備え、熱膨張性粒子は、ラッカーまたは印刷インクに含まれる。結果として、膨張性粒子は、マウスピースライニングペーパー上の限られた領域にのみ存在し、その結果、マウスピースライニングペーパーは、膨張性粒子を有する少なくとも1つの領域と、膨張性粒子を有しない少なくとも1つの領域とを有する。領域のうちの少なくとも1つは、シンボル、コード、またはパターンとして存在することができる。ラッカーまたは水性印刷インクは、透明とすることができ、または背景の色とすることができ、またはこのラッカーまたはこの水性印刷インクを備えていないマウスピースライニングペーパーの領域の色とすることができる。その結果、膨張性粒子を有する領域は、膨張性粒子を有しない領域から光学的に区別されることができない。加熱後、膨張性粒子を有する領域は、他の領域からレリーフとして目立つため、加熱するだけで領域は触知性になり、その結果、おそらく視覚的にも区別可能になる。
【0073】
加熱は、使用前、使用中、または使用後に、マウスピースライニングペーパーのウェブ材料上、紙タバコ機上、または完成したエアロゾル生成消費物品上で行われることができる。
【0074】
この実施形態は、このセキュリティ特徴を有しない偽造製品を検出するために、最初は認識することができず、加熱によって検出可能にされることができるセキュリティ特徴を実装することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明を図面を用いて以下に説明する:
【0076】
図1】本発明にかかる例示的なマウスピースライニングペーパーのフィルタ付き紙巻きタバコへの適用を示している。
図2】本発明にかかる例示的なマウスピースライニングペーパーの非燃焼加熱消費物品への適用を示している。
図3】本発明にかかる例示的なマウスピースライニングペーパーのフィルタ付き紙巻きタバコへの適用を示している。
図4】本発明にかかる例示的なマウスピースライニングペーパーを示している。
図5】レーザーによる隆起の生成を示している。
図6】本発明にかかる別の例示的なマウスピースライニングペーパーを示している。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、ラッカー層または印刷2を含む本発明にかかるマウスピースライニングペーパー1を備えたフィルタ付き紙巻きタバコの例示的な構造を示している。マウスピースライニングペーパー1またはラッカー層または印刷2の基材は、熱膨張性粒子を含む。
【0078】
従来のフィルタ付き紙巻きタバコは、エアロゾル生成基材のロッド4を包囲するタバコ紙3をさらに備え、これは、フィルタ付き紙巻きタバコの場合、通常タバコロッドと呼ばれる。従来のフィルタ付き紙巻きタバコは、フィルタ6を包囲するフィルタ紙5をさらに備える。対象のマウスピースライニングペーパー1は、フィルタなしの紙巻きタバコに設けられることもできる。
【0079】
図2は、ラッカー層または印刷2を備える本発明にかかるマウスピースライニングペーパー1を備えた非燃焼加熱消費物品の例示的な構造を示している。マウスピースライニングペーパー1またはラッカー層または印刷2の基材は、熱膨張性粒子を含む。
【0080】
従来の非燃焼加熱消費物品は、エアロゾル生成基材のロッド4と、中空部分7と、冷却部分8と、フィルタ6と、をさらに備える。これらの部分は、それぞれ、独自の包装材を含んでも含まなくてもよい。
【0081】
非燃焼加熱消費物品のロッド4は、包装材を燃焼させることなく加熱されるため、マウスピースライニングペーパー1は、非燃焼加熱消費物品の全長にわたって延在することができる。マウスピースライニングペーパー1は、複数の層で設計されることができ、例えば、少なくともロッド4の領域に内部アルミニウム層を有することができる。図示されているものとは対照的に、非燃焼加熱消費物品の部分領域にわたってのみ延在するマウスピースライニングペーパー1はまた、非燃焼加熱消費物品に取り付けられることもでき、この場合、ロッドおよび必要に応じて他の構成要素6、7、8のための追加の包装材が存在してもよい。
【0082】
非燃焼加熱消費物品は、電子装置(非燃焼加熱装置)によって加熱されることができ、ロッド4を有する非燃焼加熱消費物品は、マウスピースライニングペーパー1およびインプリントまたはラッカー層2がユーザの唇のために露出されるように、最初に装置に導入される。図示のように、ロッド4が存在する領域、または装置に供給される領域には、印刷またはラッカー層2は存在しない。
【0083】
非燃焼加熱消費物品の別の公知の実施形態では、非燃焼加熱消費物品は、ロッド4の前に、特に炭素の形態の熱源を有する。
【0084】
熱膨張性粒子を含む印刷またはラッカー層2は、熱源の領域またはロッド4の領域に配置されることができ、その結果、インプリントまたはラッカー層2が限られた領域または構造化された方法でのみ存在する場合、消費物品が使用されるときに隆起構造が形成される。
【0085】
図1および図2に示すように、印刷またはラッカー層2は、マウスピースライニングペーパー1の部分領域にわたってのみ延在し、例えば、ロッド4から外方に面するエアロゾル生成消費物品の後端部にのみ配置される。
【0086】
マウスピースライニングペーパー1は、印刷またはラッカー層2が設けられていない領域に存在することができる、または印刷またはラッカー層2および原紙を貫通することができる穿孔を含むことができる。
【0087】
別の実施形態では、マウスピースライニングペーパー1は、図3に示すように、表面全体にわたって印刷またはラッカー層2を備えることができる。
【0088】
図2から図4に示すように、マウスピースライニングペーパー1は、箔要素9をさらに備えることができ、それによって、これは、印刷またはラッカー層2の上に、または印刷またはラッカー層2によって覆われていない領域に適用されることができる。
【0089】
印刷またはラッカー層2は、透明ラッカー層または着色ラッカー層または非フィルム形成印刷インクのカラーインプリントとすることができる。
【0090】
透明ラッカー層の場合、これは、白い原紙上、またはカラー印刷もしくはカラーコーティングされた原紙上にあることができる。透明ラッカー層は、着色印刷または着色コーティングよりも広い領域を覆うことができる。
【0091】
着色ラッカー層の場合、着色ラッカー層自体がマウスピースライニングペーパーの着色コーティングまたは着色領域を形成する。
【0092】
図4では、ベース紙、印刷またはラッカー層2、および3つの箔要素9を備える単一のマウスピースライニングペーパー1のストリップが上から見た図で示されている。印刷またはラッカー層2は、点線領域によって示されている。
【0093】
マウスピースライニングペーパー1または印刷またはラッカー層2の原紙が熱膨張性粒子を含むため、表面に触覚的に知覚可能な構造が製造されることができる。図1から図4では、本発明の範囲内で製造されることができる例示的な隆起10が示されている。
【0094】
図1の例では、熱膨張性粒子は、例えば、マウスピースライニングペーパー1の原紙または基材にのみ含まれ、特にその中に封入される。マウスピースライニングペーパー1の小領域が加熱されると、熱膨張性粒子はこの小領域内で膨張し、マウスピースライニングペーパー1の原紙または基材に隆起10が生じる。これらの隆起10は、印刷またはラッカー層2を有しないマウスピースライニングペーパー1の領域に存在することができる。これらの隆起10はまた、インプリントまたはラッカー層2を有するマウスピースライニングペーパー1の領域に存在することができ、隆起10は、インプリントまたはラッカー層2の下方に形成される。
【0095】
図2の例では、熱膨張性粒子は、原紙またはマウスピースライニングペーパー1の基材および印刷またはラッカー層2に含まれる。これらの隆起10は、印刷またはラッカー層2を有しないマウスピースライニングペーパー1の領域に存在することができる。これらの隆起10はまた、インプリントまたはラッカー層2を有するマウスピースライニングペーパー1の領域に存在することができ、隆起10は、インプリントまたはラッカー層2の下方およびインプリントまたはラッカー層2内にある。熱の作用が小さな領域にわたって加えられる場合、消費物品の下側の小さな隆起10によって示されるように、粒子の膨張は、印刷またはラッカー層2に限定されることができる。
【0096】
図2では、マウスピースライニングペーパー1にホットスタンプによって適用された箔要素9のバンドも示されている。ホットスタンプ中の熱の作用の結果として、箔要素9のバンドの下方の粒子が膨張し、それにより、箔要素9のバンドと位置合わせされる隆起10が存在する。
【0097】
図3および図4では、熱膨張性粒子は、例えば、印刷またはラッカー層2のみに含まれ、特に印刷またはラッカー層2に封入されることが示されている。この場合、マウスピースライニングペーパー1の加熱は、印刷またはラッカー層2内の粒子を膨張させ、その結果、基材、特に原紙は、隆起10を有しない。したがって、印刷またはラッカー層2が設けられていない基材の領域の図4に示す箔要素9は、隆起10を生成しない。図3および図4に示すように、隆起10は、印刷またはラッカー層2に存在し、箔要素9の取り付けの有無にかかわらず局所熱の作用によって形成されることができる。既に述べたように、箔要素9は、マウスピースライニングペーパー1上にバンドの形態で、または図4にも示すように、例えば点またはロゴの形態で局所的に区切られた箔要素9として存在することができる。
【0098】
図3および図4はまた、点状に存在し、箔要素9によって覆われていない、印刷またはラッカー層2の隆起10を示している。ドットは、点字文字に対応して配置されることができる。ドットまたは他の形状は、印刷またはラッカー層2の表面全体にわたって規則的なパターンとして延びることもできる。
【0099】
当然ながら、図1および図2の実施形態では、マウスピースライニングペーパー1の基材または原紙に、隆起10または隆起10としての点字文字の規則的なパターンも存在することができる。
【0100】
図5に示すように、隆起構造または少なくとも1つの隆起10は、熱膨張性粒子が存在する連続領域に、この領域上を移動されるレーザービームによって加熱することによって形成されることができる。図5の例では、レーザービームによってレタリングABCが隆起構造として記載されている。熱膨張性粒子は、基材または印刷もしくはラッカー層2内に存在することができる。図5の例はまた、マウスピースライニングペーパー1が着色印刷なしで存在することができ、熱膨張性粒子が原紙または無色印刷または透明ラッカー層2内に存在することを示している。この無色印刷または透明ラッカー層2は、マウスピースライニングペーパー1の表面全体または1つ以上の部分領域に存在することができる。レーザービームのエネルギーに応じて、マウスピースライニングペーパー1に色変化を引き起こす可能性もあり、その結果、構造は、触覚的にのみ、または追加的に色で周囲領域から目立つ。
【0101】
レーザービームの代わりに、隆起構造または少なくとも1つの隆起10は、ホットスタンプによって、またはテンプレートの開口部を介して加熱することによって形成されることができる。
【0102】
図6に示すように、マウスピースライニングペーパー1上には、限られた領域にのみ、熱膨張性粒子を含む印刷またはラッカー層2が存在することができる。図6の例では、2つの領域または構造が印刷またはコーティングされており、それぞれがレタリングABCとして示されている。マウスピースライニングペーパー1またはそれぞれの領域を加熱することにより、両方の領域または一方の領域のみに隆起構造または隆起10が生成されることができる。図示のように、熱膨張性粒子を有する領域は、周囲の表面と色が異ならないことが好ましい。これは、透明印刷もしくはラッカー塗装によって、または背景色もしくは周囲部分の色である着色印刷もしくはラッカー塗装を使用することによって行われることができる。図6の例では、点線領域は、コルクを模倣した印刷を表している。したがって、この領域の印刷またはラッカー層2は、透明またはコルク模倣印刷の色のいずれかとすることができる。
【0103】
消費中に燃焼しないエアロゾル生成消費物品の最も外側の包装材という意味でのマウスピースライニングペーパー1は、ロッド4の領域に存在するように、非燃焼加熱消費物品に取り付けられることができる。マウスピースライニングペーパー1は、好ましくは、熱膨張性粒子を含む印刷またはラッカー層2を有する領域を有し、この領域は、熱膨張性粒子を含まない領域によって囲まれるかまたは散在され、熱膨張性粒子を有するこの領域は、加熱中に非燃焼加熱装置によって加熱される。
【0104】
例は、純粋に説明的なものとして理解されるべきである。熱膨張性粒子によって形成された隆起10を有するマウスピースライニングペーパー1は、任意の種類のエアロゾル生成消費物品上に、例えば葉巻またはシガリロ用の包装材として、または手巻き式紙巻タバコ用の包装材のシートとして存在することができる。
【0105】
マウスピースライニングペーパー1は、印刷またはラッカー層2がエアロゾル生成消費物品の外側に位置するように、エアロゾル生成消費物品上に配置されるべきである。印刷またはラッカー層2が部分領域にのみ存在する場合、これは、ロッド4から外方に面して、または非燃焼加熱消費物品のロッド4の領域に配置されることができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】