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特表2024-518459呼吸の定量化のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】呼吸の定量化のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61B5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568672
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022028332
(87)【国際公開番号】W WO2022240747
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/186,318
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】515178513
【氏名又は名称】ヴァンダービルト ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ホッキング,カイル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブローフィ,コリーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】アルヴィス,ブレット ディー.
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS04
4C038SS05
4C038SS08
4C038SV00
4C038SX07
(57)【要約】
システムは、1つ又は複数のプロセッサ、ユーザインターフェース、センサ及びコンピュータ可読媒体を含み、コンピュータ可読媒体は、1つ又は複数のプロセッサにより実行されるとシステムにいくつかの機能を行わせる命令を格納する。これらの機能は、患者の血管に由来する振動を表す信号をセンサを介し生成すること;及び振動の振動数に関する振動の強度を指示する信号の強度スペクトルを生成することを含む。これらの機能はまた、患者の呼吸周波数に対応する強度スペクトルの第1のピークと患者の心拍数に対応する強度スペクトルの第2のピークとを識別することを含む。これらの機能はまた、第1のピークの第1の強度と第2のピークの第2の強度との比較を行うこと;及び比較を指示する出力をユーザインターフェースを介し生成することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のプロセッサ;
ユーザインターフェース;
センサ;及び
コンピュータ可読媒体
を含むシステムであって、
前記コンピュータ可読媒体は、前記1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、:
患者の血管に由来する振動を表す信号を前記センサを介し生成すること;
前記振動の振動数に関する前記振動の強度を指示する前記信号の強度スペクトルを生成すること;
前記患者の呼吸周波数に対応する前記強度スペクトルの第1のピークと前記患者の心拍数に対応する前記強度スペクトルの第2のピークとを識別すること;
前記第1のピークの第1の強度と前記第2のピークの第2の強度との比較を行うこと;及び
前記比較を指示する出力を前記ユーザインターフェースを介し生成すること
を含む機能を前記システムに行わせる命令を格納する、システム。
【請求項2】
前記センサは圧電センサ、光学センサ、圧力センサ、力抵抗センサ、トノメータ、超音波センサ、容量センサ又は圧力変換器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサはゴム、ポリマー、ポリユリア、及び/又はシリコーン内に封入される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサは前記振動を感知するために前記患者の皮膚へ押しつけられるように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記センサは前記振動を感知するために10mmHg~60mmHgに及ぶ正圧を介し前記患者の前記皮膚へ押しつけられるように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者の前記皮膚に対し前記センサを保持するように構成されたストラップをさらに含む請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記センサは前記振動を感知するために前記患者の手首、足首、外耳道、目又は首へ押しつけられるように構成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記血管は末梢静脈を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記血管は末梢動脈を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記信号は時間に関する前記センサの変位を指示する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記強度スペクトルを生成することは前記信号に対しフーリエ変換を行うことを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記強度スペクトルを生成することは前記信号に対し高速フーリエ変換(FFT)を行うことを含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のピークを識別することは0.1Hz~0.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も高い強度ピークであるとして前記第1のピークを識別することを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
0.1Hz~0.5Hzの前記範囲内の前記最も高い強度ピークであるとして前記第1のピークを識別することは前記第1のピークが前記0.1Hz~0.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も大きなエネルギー量を表すということを判断することを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記機能はさらに、前記第1のピークを識別する入力を前記ユーザインターフェースを介し受信することを含み、前記第1のピークを識別することは前記入力に基づき前記第1のピークを識別することを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記機能はさらに、前記第1のピークを識別する入力を追加センサから受信することを含み、前記第1のピークを識別することは前記入力に基づき前記第1のピークを識別することを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2のピークを識別することは0.5Hz~3.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も高い強度ピークであるとして前記第2のピークを識別することを含む、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
0.5Hz~3.5Hzの範囲内の前記最も高い強度ピークであるとして前記第2のピークを識別することは、前記第2のピークが前記0.5Hz~3.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も大きなエネルギー量を表すということを判断することを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記機能はさらに、前記第2のピークを識別する入力を前記ユーザインターフェースを介し受信することを含み、前記第2のピークを識別することは前記入力に基づき前記第2のピークを識別することを含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
追加センサをさらに含む請求項1乃至18のいずれか一項に記載のシステムであって、前記機能はさらに、前記第2のピークを識別する入力を前記追加センサから受信することを含み、前記第2のピークを識別することは前記入力に基づき前記第2のピークを識別することを含む、システム。
【請求項21】
前記比較を行うことは前記第2の強度に対する前記第1の強度の比を計算することを含む、請求項1乃至20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記出力を生成することは前記出力が前記比を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記比較を行うことは前記第1の強度に対する前記第2の強度の比を計算することを含む、請求項1乃至20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記出力を生成することは前記出力が前記比を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記機能はさらに、前記患者の一酸化炭素の肺拡散能(DLCO)を前記比較に基づき判断することを含み、前記出力を生成することは前記出力が前記DLCOを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記機能はさらに、前記患者の肺胞換気量で除算した一酸化炭素の肺拡散能(DLCO/VA)を前記比較に基づき判断することを含み、前記出力を生成することは前記出力が前記DLCO/VAを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記機能はさらに、前記比較に基づき前記患者の肺の予備吸気量(IRV)を判断することを含み、前記出力を生成することは前記出力が前記IRVを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記機能はさらに、前記比較に基づき前記患者の肺の深吸気量(IC)を判断することを含み、前記出力を生成することは前記出力が前記ICを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記信号を生成することは、吸気圧により前記患者の静脈系にかかる陰圧の逆行性伝達を介し生成される振動を前記信号が表すように、前記信号を生成することを含む、請求項1乃至28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記機能はさらに、前記比較に基づき前記患者への酸素補給を施行すべきかどうかを判断することを含み、前記出力を生成することは前記患者への酸素補給を施行するべきかどうかを前記出力が指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記機能はさらに、前記比較に基づき前記患者の最大酸素摂取量(VO max)を判断することを含み、前記出力を生成することは前記出力がVO maxを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記機能はさらに、前記比較に基づき前記患者の呼吸仕事量を判断することを含み、前記出力を生成することは前記出力が前記呼吸仕事量を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記機能はさらに、前記比較に基づき前記患者の肺の胸腔内圧を判断することを含み、前記出力を生成することは前記出力が前記胸腔内圧を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項1乃至32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
患者の血管に由来する振動を表す信号をセンサを介し生成すること;
前記振動の振動数に関する前記振動の強度を指示する前記信号の強度スペクトルを生成すること;
前記患者の呼吸周波数に対応する前記強度スペクトルの第1のピークと前記患者の心拍数に対応する前記強度スペクトルの第2のピークとを識別すること;
前記第1のピークの第1の強度と前記第2のピークの第2の強度との比較を行うこと;及び
前記比較を指示する出力をユーザインターフェースを介し生成すること
を含む方法。
【請求項35】
前記信号を生成する間前記患者の皮膚へ前記センサを押しつけることをさらに含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記センサを前記皮膚へ押しつけることは10mmHg~60mmHgにおいて前記センサを前記皮膚へ押しつけることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記センサを前記皮膚へ押しつけることは前記患者の手首、足首、外耳道、目又は首へセンサを押しつけることを含む、請求項34乃至36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記血管は末梢静脈を含む、請求項34乃至37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記血管は末梢動脈を含む、請求項34乃至37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記信号は時間に関する前記センサの変位を指示する、請求項34乃至39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記強度スペクトルを生成することは前記信号に対しフーリエ変換を行うことを含む、請求項34乃至40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記強度スペクトルを生成することは前記信号に対し高速フーリエ変換(FFT)を行うことを含む、請求項34乃至41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のピークを識別することは0.1Hz~0.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も高い強度ピークであるとして前記第1のピークを識別することを含む、請求項34乃至42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記0.1Hz~0.5Hzの範囲内の前記最も高い強度ピークであるとして前記第1のピークを識別することは、前記第1のピークが前記0.1Hz~0.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も大きなエネルギー量を表すということを判断することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1のピークを識別する入力を前記ユーザインターフェースを介し受信することをさらに含む請求項34乃至44のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1のピークを識別することは前記入力に基づき前記第1のピークを識別することを含む、方法。
【請求項46】
前記第1のピークを識別する入力を追加センサから受信することをさらに含む請求項34乃至45のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1のピークを識別することは前記入力に基づき前記第1のピークを識別することを含む、方法。
【請求項47】
前記第2のピークを識別することは0.5Hz~3.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も高い強度ピークであるとして前記第2のピークを識別することを含む、請求項34乃至46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記0.5Hz~3.5Hzの範囲内の前記最も高い強度ピークであるとして前記第2のピークを識別することは前記第2のピークが前記0.5Hz~3.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も大きなエネルギー量を表すということを判断することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第2のピークを識別する入力を前記ユーザインターフェースを介し受信することをさらに含む請求項34乃至48のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2のピークを識別することは前記入力に基づき前記第2のピークを識別することを含む、方法。
【請求項50】
前記第2のピークを識別する入力を追加センサから受信することをさらに含む請求項34乃至48のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2のピークを識別することは前記入力に基づき前記第2のピークを識別することを含む、方法。
【請求項51】
前記比較を行うことは前記第2の強度に対する前記第1の強度の比を計算することを含む、請求項34乃至50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記出力を生成することは前記出力が前記比を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記比較を行うことは前記第1の強度に対する前記第2の強度の比を計算することを含む、請求項34乃至52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記出力を生成することは前記出力が前記比を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記患者の一酸化炭素の肺拡散能(DLCO)を前記比較に基づき判断することをさらに含む請求項34乃至54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記出力を生成することは前記出力が前記DLCOを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記患者の肺胞換気量で除算した一酸化炭素の肺拡散能(DLCO/VA)を前記比較に基づき判断することをさらに含む請求項34乃至56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記出力を生成することは前記出力が前記DLCO/VAを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記比較に基づき前記患者の肺の予備吸気量(IRV)を判断することをさらに含む請求項34乃至58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記出力を生成することは前記出力が前記IRVを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記比較に基づき前記患者の肺の深吸気量(IC)を判断することをさらに含む請求項34乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記出力を生成することは前記出力が前記ICを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記比較に基づき最大酸素摂取量(VO max)を判断することをさらに含む請求項34乃至62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記出力を生成することは前記出力がVO maxを指示するように前記出力を生成することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記比較に基づき前記患者の呼吸仕事量を判断することをさらに含む請求項34乃至64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記出力を生成することは前記出力が前記呼吸仕事量を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記比較に基づき前記患者の肺の胸腔内圧を判断することをさらに含む請求項34乃至66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記出力を生成することは前記出力が前記胸腔内圧を指示するように前記出力を生成することを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記比較に基づき前記患者の治療を始めること、調節すること、又は停止することをさらに含む請求項34乃至68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記治療を始めること、調節すること、又は停止することは前記患者の酸素治療の供与量、頻度又は継続期間を調節することを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記治療を始めること、調節すること、又は停止することは前記患者の持続気道内陽圧(CPAP)治療を始めること、調節すること、又は停止することを含む、請求項56乃至70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記患者は肺疾患を経験している、請求項34乃至71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記肺疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、拘束性慢性肺疾患、COVID-19、睡眠時無呼吸、気管支拡張症、喘息、肺水腫、鬱血、気胸、肺炎、アレルゲンへの反応、医薬過剰服用/副作用、気道閉塞、肺水腫、脳血管発作、脊髄損傷、オピオイド過剰服用/誤用、吸入傷害、ギラン-バレー症候群、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、嚢胞性繊維症、敗血症、呼吸窮迫症、低酸素又は肺線維症である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記信号を生成することは、吸気圧により前記患者の静脈系にかかる陰圧の逆行性伝達を介し生成される振動を前記信号が表すように前記信号を生成することを含む、請求項34乃至73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記機能はさらに、前記患者への酸素補給を施行すべきかどうかを前記比較に基づき判断することを含み、前記出力を生成することは前記患者への酸素補給を施行するべきかどうかを前記出力が指示するように前記出力を生成することを含む、請求項34乃至74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
請求項1乃至33のいずれか一項に記載のシステムにより少なくとも部分的に行われる請求項34乃至75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
請求項1乃至33のいずれか一項に記載のシステムにより実行されると請求項34乃至75のいずれか一項に記載の方法を前記システムに行わせる命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照のためその全体を本明細書に援用する2021年5月10日申請の米国仮特許出願第63/186,318号からの優先権を主張する国際出願である。
【0002】
[0002] 次の文書も参照のため本明細書に援用する:Respiratory Non-Invasive Venous Waveform Analysis for Assessment of Respiratory Distress in Coronavirus Disease 2019 Patients: An Observational Study, Alvis, Bret MD; Vaughn, Lexie MD; Schmeckpeper, Jeffrey MD, PhD; Huston, Jessica MD; Case, Marisa RN; Semler, Matthew MD; Lindenfeld, JoAnn MD; Brophy, Colleen MD; Hocking, Kyle PhD, doi: 10.1097/CCE.0000000000000539。
【0003】
連邦資金拠出陳述
[0003] 本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)により授与された発令番号BA-R01HL148244-01及び発令番号KH-R44HL140669-01下の政府支援によりなさされた。政府は本発明におけるいくつかの権利を有する。
【背景技術】
【0004】
背景
[0004] 新規コロナウイルス(SARS-CoV-2)は経済システム及び健康医療システムの両方に影響し続ける地球規模パンデミックを生じた。SARS-CoV-2を有するほとんどの患者は穏やかな症状だけを経験するが一部の感染者は命を脅かす呼吸不全を経験することになる。COVID-19及び他の原因による呼吸窮迫症の評価及び管理は疾病の重症度に依存する。残念ながら、誰の徴候が軽いままとなるか及び誰が重症呼吸不全に進むことになるかを知ることは困難であり、従って、病院環境における観察をしばしば必要とする。迅速且つ効果的なトリアージが、早期治療及び病院資源の効果的割り当てに関してクリティカルであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
[0005] 本開示の第1の態様は、1つ又は複数のプロセッサ;ユーザインターフェース;センサ;及びコンピュータ可読媒体を含むシステムであり、コンピュータ可読媒体は、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、患者の血管に由来する振動を表す信号をセンサを介し生成すること;振動の振動数に関する振動の強度を指示する信号の強度スペクトルを生成すること;患者の呼吸周波数に対応する強度スペクトルの第1のピークと患者の心拍数に対応する強度スペクトルの第2のピークとを識別すること;第1のピークの第1の強度と第2のピークの第2の強度との比較を行うこと;及び比較を指示する出力をユーザインターフェースを介し生成することを含む機能をシステムに行わせる命令を格納する。
【0006】
[0006] 本開示の第2の態様は、患者の血管に由来する振動を表す信号をセンサを介し生成すること;振動の振動数に関する振動の強度を指示する信号の強度スペクトルを生成すること;患者の呼吸周波数に対応する強度スペクトルの第1のピークと患者の心拍数に対応する強度スペクトルの第2のピークとを識別すること;第1のピークの第1の強度と第2のピークの第2の強度との比較を行うこと;及び比較を指示する出力をユーザインターフェースを介し生成することを含む方法である。
【0007】
[0007] 本開示の第3の態様は、システムにより実行されると、患者の血管に由来する振動を表す信号をセンサを介し生成すること;振動の振動数に関する振動の強度を指示する信号の強度スペクトルを生成すること;患者の呼吸周波数に対応する強度スペクトルの第1のピークと患者の心拍数に対応する強度スペクトルの第2のピークとを識別すること;第1のピークの第1の強度と第2のピークの第2の強度との比較を行うこと;及び比較を指示する出力をユーザインターフェースを介し生成することを含む機能をシステムに行わせる命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体である:。
【0008】
[0008] 本明細書において説明される量又は測定値を参照する用語「約」又は「ほぼ」により、列挙された特性、パラメータ又は値は正確に実現される必要がないが、偏差又は変動(例えば公差、測定誤差、測定精度限度、及び当業者に知られた他の要因を含む)は特性が提供するように意図された効果を排除しない量だけ発生し得る、ということを意味する。
【0009】
[0009] 論述されたフィーチャ、機能及び利点は、様々な例において独立に実現され得るか、又はそのさらなる詳細が以下の説明及び図面を参照して分かり得るさらに他の例において組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な説明
図1】[0010]一例によるシステムのブロック線図である。
図2】[0011]一例によるシステムの正面図である。
図3】[0012]一例による方法のブロック線図である。
図4】[0013]一例による患者の血管に由来する振動の強度スペクトルを示す。
図5】[0014]一例による計算されたメトリックと入院状態とCOVID-19状態との間の関係を示す。
図6】[0015]一例による呼吸数及び酸素飽和と入院状態及びCOVID-19状態との関係を示す。
図7】[0016]一例による計算されたメトリックと肺病との関係を示す。
図8-1】[0017]一例による計算されたメトリックの予測能力を示す。
図8-2】[0017]一例による計算されたメトリックの予測能力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
[0018] 本開示は一般的に、外部センサを介する末梢静脈波形の測定を通し患者に発生している呼吸歪み及び/又は呼吸窮迫のレベルを判断するために(例えば内科医、看護婦又は別のユーザにより)使用されるシステムに関する。この測定システム及び方法は、限定しないがウイルス性肺炎、細菌性肺炎、人工呼吸器からの離脱、酸素支援治療を必要とする疾病、睡眠時無呼吸、喘息、COPD、拘束性肺疾患、閉塞性肺疾患、肺炎、アレルゲン、医薬過剰服用/副作用、気道閉塞、肺水腫、脳血管発作、脊髄損傷、オピオイド過剰服用/誤用、吸入傷害、ギラン-バレー症候群、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)、嚢胞性繊維症、心的外傷、敗血症、心筋腺/拘束性呼吸器疾患、及び/又は自律機能関連疾患を含む慢性及び急性の両方である呼吸状態及び疾病に適用可能である。
【0012】
[0019] 非侵入性静脈波形解析(NIVA:Non-Invasive Venous waveform Analysis)は成人及び子どもの両方における血管容積状態を評価するための有望な監視手法である。NIVAは通常、静脈波形信号を捕捉するために手首の手掌面上の圧電センサの使用を含む。次に、この信号は周波数領域への高速フーリエ変換により2つの成分へデコンボルート(deconvolute)される。心臓成分(f0)及び心臓成分の高調波は肺毛細管楔入圧(PCWP:pulmonary capillary wedge pressure)を代表する値(容積評価のための最も一般的なデータ点)を導出するために使用される。
【0013】
[0020] 容積状態と侵襲性測定の必要性とを評価するための信号がCOVID-19患者から収集された。事後解析が、静脈波形の呼吸成分(fR0)と、呼吸成分と酸素支援治療のための必要性との関係とを解析し評価するために使用された。静脈波形の呼吸成分の使用は、酸素療法を必要とする危険性があるCOVID-19を有する患者を識別するための迅速、非侵入性、低費用試験を提供し得る。
【0014】
[0021] 次に、本開示は、本開示の例示的実施形態が示される添付図面を参照して以下により十分に説明されることになる。本開示は様々な形式で具現化され得るが、本明細書に記載された実施形態に限定されると考えるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細且つ完全となるように提供されており、本開示の範囲を当業者に十分に伝えることになる。同様の参照符号は、本明細書を通して同様の要素を指す。
【0015】
[0022] 図1はシステム100のブロック線図である。システム100は1つ又は複数のプロセッサ102、命令106を格納する非一時的コンピュータ可読媒体104、通信インターフェース108、ディスプレイ110、ユーザインターフェース112及びセンサ114を含む。システム100の部品同士はシステムバス、ネットワーク又は他の接続機構116により結合される。
【0016】
[0023] 1つ又は複数のプロセッサ102は、非一時的コンピュータ可読媒体104へ結合されるマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マルチコアプロセッサなどの任意のタイプのプロセッサであり得る。
【0017】
[0024] 非一時的コンピュータ可読媒体104は、データ又はプログラムを一時的又は恒久的ベースで格納するために使用される他のデバイスの中でも、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)のような揮発性メモリ、又は読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、磁気若しくは光ディスク、若しくはコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)のような不揮発性メモリなどの任意のタイプのメモリであり得る。
【0018】
[0025] 加えて、非一時的コンピュータ可読媒体104は命令106を格納する。命令106は本明細書において説明される機能又は方法の任意のものをシステム100に行わせるために1つ又は複数のプロセッサ102により実行可能である。
【0019】
[0026] 通信インターフェース108はシステム100内の通信及び/又はシステム100と1つ又は複数の他のデバイスとの間の通信を可能にするためのハードウェアを含む。例えば、ハードウェアは送信器、受信器及びアンテナを含み得る。通信インターフェース108は、1つ又は複数の有線又は無線通信プロトコルに従って、1つ又は複数の他のデバイスとの通信を容易にするように構成され得る。例えば、通信インターフェース108は、1つ又は複数の電気電子学会(IEEE)801.11標準規格、ZigBee標準規格、ブルートゥース標準規格などの1つ又は複数の無線通信規格に従ってシステム100の無線データ通信を容易にするように構成され得る。別の例として、通信インターフェース108は1つ又は複数の他のデバイスとの有線データ通信を容易にするように構成され得る。
【0020】
[0027] ディスプレイ110はデータを表示するように構成された任意のタイプのディスプレイ部品であり得る。一例として、ディスプレイ110はタッチスクリーンディスプレイを含み得る。別の例として、ディスプレイ110は、液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)ディスプレイなどの平面パネルディスプレイを含み得る。
【0021】
[0028] ユーザインターフェース112はデータ及び制御信号をシステム100へ提供するために使用される1つ又は複数のハードウェアを含み得る。例えば、ユーザインターフェース112は、他の可能なタイプのユーザ入力デバイスの中でも、マウス若しくはポインティングデバイス、キーボード若しくはキーパッド、マイクロホン、タッチパッド、又はタッチスクリーンを含み得る。一般的に、ユーザインターフェース112は、システム100により提供される(例えば、ディスプレイ110により表示される)グラフィクユーザインターフェース(GUI)とオペレータが相互作用することを可能にし得る。
【0022】
[0029] センサ114は通常、圧電センサ、光学センサ、多重化光学アレイ、圧力センサ、力抵抗センサ、トノメータ(tonometer)、超音波センサ、容量センサ又は圧力変換器の形式をとる。例えば、センサ114は、1つ又は複数のプロセッサ102と無線で通信する又は有線接続を介し通信する圧電センサであり得る。追加的に又はその代わりに、センサ114はストラップを介し患者の皮膚へ固定可能である及び/又はゴム、ポリマー、ポリユリア、及び/又はシリコーン内に封入される。
【0023】
[0030] 図2はシステム100の正面図である。示されるように、システム100は、有線接続を介し1つ又は複数のプロセッサ102(示されない)と通信するセンサ114を含む。また、図2に示されるのはユーザインターフェース112及びディスプレイ110である。
【0024】
[0031] 図3は方法300のブロック線図である。図3に示すように、方法300はブロック302、304、306、308及び310により示される1つ又は複数の操作、機能又は行為を含む。ブロックは連続的順番で示されているが、これらのブロックはまた、並列に及び/又は本明細書において説明されるものとは異なる順番で行われ得る。また、様々なブロックは、望ましい実装形態に基づきより少ないブロックへ合成され得る、追化ブロックへ分割され得る、及び/又は除去され得る。
【0025】
[0032] ブロック302では、方法300は、システム100が患者の血管に由来する振動を表す信号をセンサ114を介し生成することを含む。様々な例では、血管は末梢静脈又は末梢動脈である。振動は通常、血管の壁に対して流れる血液により生成される振動、又は血液のような液体が血管のような導管を貫流するときに本質的に存在する振動を含む。脈動流は、血液を動脈側から進ませた結果だけでなく、血液が静脈系を介し右心により引き出された結果である。例えばセンサ114が圧電センサである場合、信号は時間に関する振動により引き起こされるセンサ114の変位を表し得る。センサ114により生成される信号は、吸気圧により患者の静脈系にかかる陰圧の逆行性伝達を介し生成される振動を表し得る。
【0026】
[0033] 通常、センサ114は、システム100が信号を生成している間ストラップ、極微針、吸引陰圧、又は別の制約若しくは取り付けデバイスにより患者の皮膚に押しつけられる(例えば10mmHg~60mmHgの背圧で)。様々な例では、センサ114は手首、足首、目又は首において皮膚に押しつけられる。他の例では、センサ114は外耳道内へ挿入される。
【0027】
[0034] ブロック304では、方法300は、システム100が振動の振動数に関する振動の強度を指示する信号の強度スペクトルを生成することを含む。システム100は通常、信号に対しフーリエ変換(例えば高速フーリエ変換(FFT))を行うことにより強度スペクトルを生成する。図4は強度スペクトルの3つの例を示す。
【0028】
[0035] 図4は、O支援必要性の低リスク~高リスク(左から右へ)を有する患者からの代表的信号を示す。生信号は時間領域(最上)から周波数領域(最下)へ変換される。脈拍数(f)の相対振幅と比較した呼吸数(fR0、基本周波数)の相対振幅がRIVA呼吸指標(RIVA-RI:RIVA Respiratory Index)を計算するために使用される。RIVA-RIはfR0とfとの相対振幅の比に基づき計算される:RIVA-RI=fR0/f
【0029】
[0036] 図4のパネルAは健常対照患者を表す。3つの容易に認識可能なピークが約1.4Hz(f)、2.8Hz及び4.2Hzに示される。1.4Hz(f)におけるピークは患者の心拍の基本周波数又は第1高調波であり、2.8Hzにおけるピークは患者の心拍の第2高調波であり、及び4.2Hzにおけるピークは患者の心拍の第3高調波である。患者の呼吸数の基本周波数又は第1高調波である約0.5Hz(fR0)に小さなピークがある。
【0030】
[0037] 図4のパネルBは、酸素補給治療のための必要性がないCOVIDの陽性患者を表す。約1.4Hz(f)、2.8Hz及び4.2Hzに3つの容易に認識可能なピークが示される。1.4Hz(f)におけるピークは患者の心拍の基本周波数又は第1高調波であり、2.8Hzにおけるピークは患者の心拍の第2高調波であり、及び4.2Hzにおけるピークは患者の心拍の第3高調波である。患者の呼吸数の基本周波数又は第1高調波である約0.5Hz(fR0)に小さなピークがある。
【0031】
[0038] 図4のパネルCは、酸素補給治療の必要性を有するCOVID陽性患者を表す。約1.8Hz(f)及び3.6Hzに2つの容易に認識可能な心拍のピークが示される。1.8Hz(f)におけるピークは患者の心拍の基本周波数又は第1高調波であり、及び3.6Hzにおけるピークは患者の心拍の第2の高調波である。患者の呼吸数の基本周波数(fR0)又は第1高調波である約0.5Hzに大きなピークがある。
【0032】
[0039] ブロック306では、方法300は、システム100が患者の呼吸周波数に対応する強度スペクトルの第1のピークと患者の心拍数に対応する強度スペクトルの第2のピークとを識別することを含む。
【0033】
[0040] 図4のパネルA、パネルB及びパネルCを参照すると、システム100は、患者の呼吸周波数(fR0)(例えば基本呼吸周波数)に対応する第1のピークと患者の心拍数(f)(例えば基本心拍周波数)に対応する第2のピークとを識別する。システム100は第1のピークと第2のピークとを自動的に又は手動で識別する。
【0034】
[0041] 例えば、システム100は、第1のピーク(fR0)を0.1Hz~0.5Hzの範囲(基本呼吸周波数がその中に在ると予測される範囲)内の任意のピークのうちの最も高い強度ピークであるとして自動的に識別し得る。いくつかのケースでは、患者の呼吸数は幾分不規則になり得、単一周波数の代わりに、ある範囲の周波数に対応する、より広いが強くない強度ピークに到る。従って、システム100は、第1のピーク(fR0)が0.1Hz~0.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も大きなエネルギー量(例えば強度スペクトルの曲線下面積)を表すことを判断することにより、第1のピーク(fR0)を識別し得る。
【0035】
[0042] 同様に、システム100は、第2のピーク(f)を0.5Hz~3.5Hzの範囲(基本心拍周波数がその中に在ると予測される範囲)内の任意のピークの最も高い強度ピークであるとして自動的に識別し得る。いくつかのケースでは、患者の心拍数は幾分不規則になり得、単一周波数の代わりに、ある範囲の周波数に対応する、より広いが強くない強度ピークに到る。従って、システム100は、第2のピーク(f)が0.5Hz~3.5Hzの範囲内の任意のピークのうちの最も大きなエネルギー量(例えば強度スペクトルの曲線下面積)を表すことを判断することにより、第2のピーク(f)を識別し得る。
【0036】
[0043] いくつかの例では、システム100は、第1のピーク(fR0)を基本呼吸周波数に対応するものとして明示的に識別する入力を、ユーザインターフェース112を介し受信する。具体的には、ユーザはタッチスクリーンジェスチャを使用することにより第1のピーク(fR0)を識別し得る。これに関連して、システム100はユーザインターフェース112を介し受信された入力に基づき第1のピーク(fR0)を識別する。
【0037】
[0044] 同様に、システム100は、第2のピーク(f)を基本心拍周波数に対応するとしてユーザインターフェース112を介し明示的に識別する入力を受信する。具体的には、ユーザはタッチスクリーンジェスチャを使用することにより第2のピーク(f)を識別する可能性がある。これに関連して、システム100は、ユーザインターフェース112を介し受信された入力に基づき第2のピーク(f)を識別する。
【0038】
[0045] さらに他の例では、システム100は、第1のピーク(fR0)を識別する入力をニューモグラフなどの追加センサから受信する。従って、システム100は、受信された入力に基づき第1のピーク(fR0)を識別する。即ち、追加センサから受信された入力は呼吸数を明示的に指示し、システム100は、受信された入力により指示される呼吸数に基づき、第1のピーク(fR0)を識別する。
【0039】
[0046] 同様に、システム100は第2のピーク(f)を識別する入力をパルスセンサなどの追加センサから受信する。従って、システム100は受信入力に基づき第2のピーク(f)を識別する。即ち、追加センサから受信された入力は心拍数を明示的に指示し、システム100は、受信された入力により指示される心拍数に基づき、第2のピーク(f)を識別する。
【0040】
[0047] ブロック308では、方法300は、システム100が第1のピークの第1の強度と第2のピークの第2の強度との比較を行うことを含む。例えば、システム100は、第2のピーク(f)の第2の強度に対する第1のピーク(fR0)の第1の強度の比又は第1のピーク(fR0)の第1の強度に対する第2のピーク(f)の第2の強度の比を計算する。
【0041】
[0048] 第2のピーク(f)の第2の強度に対する第1のピーク(fR0)の第1の強度の比が大きければ大きいほど、患者が酸素補給治療を必要とする又は必要とすることになるという可能性がより高くなる。
【0042】
[0049] ブロック310では、方法300は、比較(例えば第2のピーク(f)の第2の強度に対する第1のピーク(fR0)の第1の強度の比又は第1のピーク(fR0)の第1の強度に対する第2のピーク(f)の第2の強度の比)を指示する出力を、ユーザインターフェース112を介しシステム100が生成することを含む。
【0043】
[0050] 様々な例では、システム100は、比の値を様々な健康な(例えば、呼吸)メトリックの値に対してマッピングする表又は等式を使用する。例えば、様々な健康メトリックが上に論述された比とどのように相関するかを指示するデータが実験的に収集され得る。いくつかの統計的技法が、健康メトリックのそれぞれと計算された比との間の関係を定義する数学的関数を定義するために使用され得る。従って、システム100は、計算された比に基づき様々なメトリックの値を指示する出力を生成し得る。
【0044】
[0051] 例えば、出力は、次のもののうちの1つ又は複数を指示し得る:患者の肺の一酸化炭素の拡散能力(DLCO:diffusing capacity of the patient’s lung for carbon monoxide)、肺胞換気量で除算した患者の肺の一酸化炭素の肺拡散能(DLCO/VA)、患者の肺の予備吸気量(IRV:inspiratory reserve volume)、最大酸素摂取量(VO max)、呼吸仕事量、胸腔内圧、又は患者の肺の深吸気量(IC:inspiratory capacity)。従って、出力を生成する前に、システムは、呼吸周波数に対応する第1の強度と心拍数に対応する第2の強度との比較に基づき、DLCO、DLCO/VA、IRV、VO max、呼吸仕事量、胸腔内圧又はICのうちの1つ又は複数を判断し、及びこれに応じて出力を生成し得る。
【0045】
[0052] 自発呼吸では、呼吸仕事量の成分は次のものを含む:1)肺の弾性収縮力を克服するために及び胸壁及び腹を移動させるために呼吸筋により必要とされる仕事量、2)気道抵抗及び肺粘性を克服するために必要とされる仕事量、並びに3)慣性を克服するために必要とされる仕事量。増加された呼吸仕事量は、呼吸数に対応する第1の強度と心拍数に対応する第2の強度との増加された比に相関があると考えられる。
【0046】
[0053] 患者の治療又は療法は比較の結果(即ちシステム100により生成された出力)に基づき開始、調節、又は停止され得る。例えば、患者の酸素補給治療及び/又は持続気道内陽圧(CPAP:continuous positive airway pressure)治療の供与量、頻度又は継続期間はシステム100の出力に基づき変更され得る。
【0047】
[0054] 様々な例では、患者は、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)、睡眠時無呼吸、気管支拡張症、喘息、肺水腫、鬱血、気胸、肺炎、アレルゲン、医薬過剰服用/副作用、気道閉塞、肺水腫、脳血管発作、脊髄損傷、オピオイド過剰服用/誤用、吸入傷、ギラン-バレー症候群、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)、嚢胞性繊維症、敗血症、呼吸窮迫症、急性呼吸窮迫症候群、特発性肺線維症、又は肺線維症などの肺疾患を経験しており、及び対応治療は比較の結果により通知され得る。
【0048】
[0055] 心拍数に対応する第2の強度に対する呼吸数に対応する第1の強度の比(RIVA-RI)が0.6より大きいことは、COVID-19+患者の酸素支援療法の将来必要性を予測する際の92%感度(95%CI、61.52%~99.79%)及び47%特異度(95%CI、28.34%~65.67%)を生じた。
【0049】
[0056] 健常対照患者は特発性肺線維症を有する患者と比較して著しく低いRIVA-RI値を示した。
【0050】
[0057] 各成人(N=4、年齢=38歳、34歳、22歳、21歳)がそのVO maxに達すると、RIVA-RIは0.03の中央ベースラインから0.78の値まで増加した(このことは、RIVA-RIが、酸素要求量を増加することに対して増加するということを示唆する)。
【0051】
[0058] 酸素支援療法のための必要性により定義された呼吸窮迫症を経験する患者から収集されたデータは、心臓静脈波形振幅に対する呼吸静脈波形振幅の著しい上昇(即ちRIVA-RIの増加)を実証した。
【0052】
[0059] 予備観察研究からのデータは、COVID-19+患者の酸素支援療法の将来の必要性を予測する際に、0.6以上のRIVA-RI値が、92%感度及び47%特異度を有するAUC=0.64を有したということを示唆する。
【0053】
[0060] 追加例
[0061] コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は経済及び健康医療の両方を損なってきた地球規模のパンデミックに至った。コロナウイルスパンデミックは呼吸監視におけるイノベーションの欠如を際立たせた。伝統的肺活量測定、パルス酸素測定、及び呼吸数をカウントする様々なやり方以外に、呼吸生理学情報を取得するために利用可能な非侵入性監視は現在存在しない。これらの技術は数十年間の間存在してきた。このパンデミックは、急性呼吸窮迫症を経験する患者を適切に監視及びトリアージするためにより多くのことが必要であるということを証明した。呼吸器疾患に伴う主課題の1つは、呼吸器疾患が命を脅かす呼吸不全に急速に到り得るということである。COVID-19、伝統的ウイルス/細菌性肺炎、喘息、及び/又は任意の他の急性又は慢性肺疾患によるかどうかにかかわらず、穏やかな症状を有する患者は通常、自宅で回復し得、従って健康医療システムにさらなる負担をかけない。残念ながら、誰の徴候が穏やかなままであることになるか及び誰が重症呼吸不全に急性的に進むことになるかを知ることは、困難であり、従って病院環境における観察をしばしば必要とする。呼吸不全から呼吸障害への突然の悪化は主要関心事のままであり、野放図の病院トリアージをしばしば生じる。呼吸器疾患のユニークな特性と、主として肺系統に主に影響を与えるウイルスパンデミックにおいて存在し得る多大な取扱い件数とが、迅速且つ効果的トリアージが早期治療と病院資源の効果的割り当てにとって重要であるということを暗示している。
【0054】
[0062] 末梢静脈波形は、圧電センサを使用することにより手首において非侵襲性的に捕捉され得る。これらは解析のための信号処理及び信号増幅を一般的に必要とする低振幅波形である。次に、フーリエ変換が、波形の窓を束ね及び周波数(時間の代わりに)領域においてデータを提示するために使用され得る。これは、呼吸に対応する約0.2Hz(「fR0」と名付けられた)(12回呼吸/分に等しい)における低振幅波形に到る。この波は、静脈系全体にわたる右心房/大静脈からの吸気中に負の胸腔内圧の逆行性伝達に起因する可能性が高い。心拍数に等しい約1Hzにおける追加ピーク波形が存在する。基本心拍数のこの信号及び高調波は容積状態の評価を可能にするアルゴリズムを開発するために使用されてきた。
【0055】
[0063] 呼吸信号(fR0)の振幅の重み付け寄与は、呼吸非侵入性静脈波形解析-呼吸指標(RIVA-RI:Respiratory non-Invasive Venous waveform Analysis-respiratory index)を生成するために脈拍数の周波数(f)の振幅へ比率的に正規化され得る。図5に示すように、酸素支援療法を必要とした50人のCOVID-19+患者が酸素支援を必要としなかったCOVID-19+患者と比較された。
【0056】
[0064] 病院に入院し及び入院中に酸素支援を必要としたCOVID-19陽性患者(COVID-19+)のRIVA-RI(メディアン=0.27、n=34)はCOVID-19陰性対照患者のRIVA-RI(メディアン=0.06、n=34)より高く(p<0.01、95%CI 0.4008~2.037)、酸素支援を必要としたCOVID-19+患者のRIVA-RI(p=0.02、95%CI 0.1023~1.939)もまた、退院時におけるそれらの同じ患者のRIVA-RI(メディアン=0.12、n=24)より高かった。RIVA-RIは、入院中に酸素支援を必要としたCOVID-19+患者と入院中に酸素支援を必要としなかったCOVID-19+患者(メディアン=0.2、n=11)とに関し異なっていなかった(p=0.09、95%CI -0.1242~2.265)。統計分析はグループ間の複数回の比較により完了された。星(*)を有する水平バーは統計的有意差を実証する。COVID-19陽性患者の入院中の酸素支援(B)の必要性を予測するためのRIVA-RIの能力は0.64(95%CI、0.48~0.81)のAUCを実証した。≧0.6のRIVA-RI値において、結果は、COVID-19陽性患者の入院中の酸素支援の必要性を予測するための92%感度(95%CI、61.52%~99.79%)及び47%特異度(95%CI、28.34%~65.67%)だった。上の省略形は以下のように定義される:COVID 19+=SARS-CoV-2ウイルスに関して陽性;COVID-19-=SARS-CoV-2ウイルスに関して陰性;O=酸素;RIVA-RI=呼吸非侵入性静脈波形解析-呼吸指標;AUC=曲線下の面積。
【0057】
[0065] 酸素支援療法を必要とした患者は、退院RIVA-RI(メディアン=0.12、n=24)と比較して著しく高い(p=0.02、95%CI 0.1023~1.039)メディアンRIVA-RI(メディアン=0.6、n=34)及び健常対照群(メディアン=0.06、n=34)のメディアンRIVA-RIより著しく高い(p<0.01、95%CI 0.4008~2.037)メディアンRIVA-RIを有した(図3)。COVID-19+患者の入院中の酸素支援療法の必要性を予測するRIVA-RIの能力はAUC=0.64(95%CI、0.48~0.81)を実証した。ROC曲線に関するキーポイントは、≧0.6のRIVA-RI値がCOVID-19+患者の酸素支援療法の将来必要性を予測する際の92%感度(95%CI、61.52%~99.79%)及び47%特異度(95%CI、28.34%~65.67%)を有するということを実証した。図6に示すように、パルス酸素測定法(SpO)により判断された呼吸数(RR)も酸素飽和もこの研究ではCOVID-19患者における酸素支援療法必要性とのいかなる関係も実証しなかった。
【0058】
[0066] 入院中に酸素支援を必要とするCOVID-19陽性患者(COVID-19+)(n=34)と入院中に酸素支援無しのCOVID-19陽性患者(n=11)との間又は入院するCOVID-19陽性患者(n=34)と退院するCOVID-19陽性患者(n=27;p=0.66、95%CI -1.944~4.974)との間の呼吸数(A)の有意差はなかった(p=0.13、95%CI -0.7309~8.28)。入院中に酸素支援を必要としたCOVID-19+患者は、入院中に酸素支援を必要としなかったCOVID-19陽性患者(n=12)より入院中に(n=34;p<0.01、95%CI 2.536~8.727)及び退院時に(n=27;p<0.01、95%CI 0.8066~7.426)著しく低い酸素飽和(B、SpO)を有した。統計分析はグループ間の複数回の比較により完了された。星(*)を有する水平バーは統計的有意差を実証する。
【0059】
[0067] 概念研究の追加証明は、肺機能検査(PFT:pulmonary function test)を受けている又は右心カテーテル検査(RHC:right heart catheterization)を受ける慢性肺状態を有する患者においてなされた。図7に示すように、肺疾患(COPD、肺線維症又は肺気腫:「肺診断」)を有する8人の患者からの及び10人の対照者における静脈波形の呼吸成分の遡及的分析は、肺病を有する患者において著しく上昇されたRIVA-RI(p<0.05)を提供した。
【0060】
[0068] 図7は、対照者と肺病(A)及び特発性肺線維症(B)のRIVA-RIを有する患者との間のRIVA-RIの差のボックスプロットを示す。静脈波形は右心カテーテル検査を受ける患者においてNIVAデバイスにより取得された。肺疾患(COPD、肺線維症又は肺気腫:「肺診断」)を有する8人の患者からの及び10人の対照者における静脈波形の呼吸成分の遡及的分析は、肺病を有する患者(A)において著しく上昇されたRIVA-RI(p<0.05)を提供した。IPFにおいて調査されると、RIVA-RIは、肺健常対照群(N=33、メディアン=0.06、IQR 0.03~0.13)と比較して(N=5、メディアン=0.18、IQR 0.14~0.54)であった。省略形は以下のように定義される:RIVA-RI=呼吸非侵入性静脈波形解析-呼吸指標;IPF:特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)。(*)=統計的に有意<0.05。肺病の臨床診断を有する被験者において及びIPFの臨床診断を有する患者においてRIVA-RIの上昇があった。
【0061】
[0069] RIVA-RIは特発性肺線維症(N=5、IPF)の臨床診断を有する患者において調査され、比較はIPFと健常対照群との間の有意性を判断するために行われた。健常対照患者は特発性肺線維症を有する患者と比較して著しく低いRIVA-RI値(IPF;p<0.05)を示した。RIVA-RIと肺機能検査(例えばFEV1、FVC、DLCO)に関連付けられた任意の特定値との間に著しい相関はなかった、これは、RIVA-RIはPFTにより取得されたものとは異なるユニークな値を提供するということを示唆する。従って、上昇されたRIVA-RIは特に慢性肺疾患及び拘束性疾患(IPF)に関連付けられた。
【0062】
[0070] 最後に、RIVA-RIが、VO maxを有する4人の健康成人患者において同時に取得された。VO max(mL/kg/min)は、有酸素(酸化的リン酸化)プロセスの強度を指し、及び強度を増加させる際のエクササイズ中の酸素の輸送及び利用の最大容積を表す。これは特定個人の到達可能な最大酸素摂取量である。人間のVO maxにおいて、任意の追加アデノシン三リン酸(ATP:additional adenosine triphosphate)要求は、他の非O依存代謝経路(無酸素(解糖)経路など)から及びピルビン酸塩の分解から来なければならない。VO maxは最大肺機能を実質的に模擬する。同様に、患者の呼吸状態は肺炎又はCOVID-19+に対し派生的に悪化するので、酸素を輸送及び利用するそれらの能力は、酸素支援療法の必要性及びATPの補償代謝経路へのより多くの依存性を悪化させる。各成人(N=4、年齢=38歳、34歳、22歳、21歳)がそのVO maxに達すると、RIVA-RIは、RIVA-RIが0.03の中央ベースラインから酸素要求量を増加することに対してRIVA-RIが増加するということを示唆する0.78の値まで増加した。
【0063】
[0071] これらを総合すれば、これらのデータは、RIVA-RIが休息時及び身体活動(又は行使、仕事、運動)中の酸素を輸送及び使用する能力を測定するということを示唆する。従って、RIVA-RIは、急性及び慢性COVID-19疾病を有する患者の診断及び管理の手助けをするために、肺疾患に起因する機能的限界の範囲内で、傾向を判断しそれに追随するために使用され得る。
【0064】
[0072] 手首の手掌面上の圧電センサを使用することにより静脈波形を捕捉、処理及び解析することは、監視するためにユニークな生理学的信号及び静脈波形(静脈圧測定だけでなく)を使用する。アルゴリズム(高速フーリエ変換)による一連の波形(「時間の経過に伴う時間の窓」)のディコンボリューションは、吸気圧により静脈系にかかる陰圧の逆行性伝達により形成された波から導出された呼吸信号の存在を実証する。脈拍数(f)及び呼吸信号(fR0)の周波数の振幅の重み付け寄付が、呼吸指標(「RIVA-RI」)を生成するために使用された。RIVA-RIを使用して生成された予備データは、末梢静脈波形内の呼吸信号の特性が最初の医療接触点、生理学的監視のための非侵入性デバイス、及び呼吸器疾患(COVID-19を有する患者を含む)の重症度分類を提供するために使用される可能性があるということを示唆する。
【0065】
[0073] COVID-19患者における入院及び/又は呼吸支援のレベルの必要性を判断するために使用される現在の臨床的意思決定は、呼吸数(RR、バイタルサイン)、SpO(パルス酸素測定法により取得された末梢毛細管酸素飽和)、及び臨床判断に基づく。RIVA-RIは酸素補給療法の必要性を予測するための予測値を有する一方で、RR及びSpOの両方はCOVID-19患者における酸素療法の必要性を検出できなかった(図6を参照)。パルス酸素測定法の導入は医学的監視における大きな進歩だったが、急性疾患の監視における特異度の欠如を実証するSpOにおける問題が残る。呼吸数は臨床結果を予測するための非常に重要なバイタルサインであるということが見出されたが;使用のその限界及び不正確な測定については繰り返し述べておく。従って、RIVA-RI値は、呼吸生理学の量的重症度分類(急性呼吸不全を監視するための臨床的に意味のある情報)を提供するための及び呼吸窮迫症を有する患者における酸素療法の必要性をトリアージするのを助けるための第1の手法になるだろう。
【0066】
[0074] 慢性肺疾患を有する患者において静脈波形を精査する際、上昇されたRIVA-RIは拘束性慢性肺疾患(IPF、図7を参照)に関連付けられる。COVID-19及び/又はCOVID-19に伴う長期人工呼吸器使用は慢性肺線維症及び肺機能の慢性損傷に到り得(「長いCOVID」の1つの側面)、これは、RIVA-RIがCOVID-19患者の長期追跡調査において有用であり得るということを暗示する。これらの予備データは、RIVA-RIがCOVID-19などの重症呼吸器疾患のスペクトル全体にわたって使用される可能性があるということを示唆する。
【0067】
[0075] 注意深い臨床的分析により、RIVA-RIはこのような肺線維症などの他の急性及び慢性呼吸疾患を家庭で、診療所において、及び病院環境において監視する際に追加の将来使用を有するだろう可能性が高い。RIVA-RIは、特に、必要とされる酸素支援のレベル(酸素、CPAP、人工呼吸器)を判断する際に、入院患者における呼吸状態を監視するための、及び、呼吸状態が改善するにつれてどのように酸素支援のレベルを適切に低減するかを判断するのを支援するための、さらなる可能性を有する可能性が高い。家庭環境においてRIVA-RIを使用する能力、並びにフォトダイオード及び圧電センサを備えるリストバンドデバイスが提供する可能性がある追加監視可能性(RR、SpO、心拍数及び容積状態)は、RIVA-RIが、COVID-19と将来における多種多様な他の呼吸器疾患とを有する患者における遠隔医療アプリケーションのための主要生理学的監視である可能性があるということを示唆する。使い易さ(使い捨て手首パッチ又は再使用可能リストバンド)、診療現場可用性(point of care availability)、非侵入性、及びユニーク且つ革新的な呼吸監視としての精度、位置RIVA-RI。
【0068】
[0076] 図8は豚モデルにおけるオレイン酸注入の時間の経過に伴うPaOに対するRIVA-RIとSpOに対するRIVA-RIとの関係を示す。急性呼吸窮迫症は肺動脈中へのオレイン酸の直接注入を通して引き起こされるので、RIVA-RIはPaO(A)及びSpO(B)が減少するにつれて増加する。RIVA-RIが、オレイン酸注入の経過にわたって色スペクトルにおいて視覚化されると、RIVA-RI値の増加が注入の40分後に見られ得、呼吸窮迫症の進展全体にわたって増加する。省略形は以下のように定義される:RIVA-RI=呼吸非侵入性静脈波形解析呼吸指標、PaO=酸素分圧、SpO=酸素ヘモグロビン飽和、min=分。
【0069】
[0077] 上記実行のすべては図8に示されるデータにおいて成功裡に実証された。本モデルは、COVIDを有する患者における他の呼吸監視措置(RR及びSpO)の変更に先立ってRIVA-RIにおける増加を実証した。データはまた、RIVA-RI増加がPaOにおける減少の前に及び豚モデルにおけるSpOの減少の充分前に発生したことを示した。後続治療酸素支援の必要性を予測し、ARDS/COVID-19治療戦略に対するRIVA-RI応答を判断するための、RIVA-RIの能力が確認される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
【国際調査報告】