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特表2024-5184661本以上のケーブルを保持するための保持装置、システム及び方法、並びにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】1本以上のケーブルを保持するための保持装置、システム及び方法、並びにその使用
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/32 20060101AFI20240423BHJP
   H02G 3/38 20060101ALI20240423BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20240423BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H02G3/32
H02G3/38
H02G3/22
F16L3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568705
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2022061659
(87)【国際公開番号】W WO2022238156
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/186,951
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】ボーン デニス
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ ダイアナ
【テーマコード(参考)】
3H023
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB04
3H023AC08
3H023AC35
3H023AD37
5G363AA16
5G363BA01
5G363BA07
5G363CB11
5G363CB14
5G363DA01
5G363DA15
(57)【要約】
本発明は、1本以上のケーブルを保持するための保持装置に関し、該保持装置は、凹部を有する少なくとも1つのエンドピースを有する支持ブラケットと、バックピースと、前記バックピースと協働するために前記支持ブラケットの凹部を通って移動するように構成されたロック装置と、1本以上のケーブルを受け入れるように構成された貫通開口部を有する少なくとも1つの圧縮可能モジュールと、を含み、前記少なくとも1つの圧縮可能モジュールは、前記支持ブラケットと前記バックピースとの間に配置され、前記ロック装置は、前記支持ブラケットのエンドピースを前記バックピースにロックし、前記少なくとも1つの圧縮可能モジュールを前記1本以上のケーブルの周囲に圧縮するように構成される。また、このような装置を含む保持システム、1本以上のケーブルを保持するための方法、及び該保持システムの使用を開示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する少なくとも1つのエンドピースを有する支持ブラケットと、
バックピースと、
前記バックピースと協働するために前記支持ブラケットの凹部を通って移動するように構成されたロック装置と、
1本以上のケーブルを受け入れるように構成された貫通開口部を有する少なくとも1つの圧縮可能モジュールと、を含み、
前記少なくとも1つの圧縮可能モジュールは、前記支持ブラケットと前記バックピースとの間に配置され、前記ロック装置は、前記支持ブラケットのエンドピースを前記バックピースにロックし、前記少なくとも1つの圧縮可能モジュールを前記1本以上のケーブルの周囲に圧縮するように構成される、1本以上のケーブルを保持するための保持装置。
【請求項2】
前記ロック装置は、前記バックピースに接続され、前記凹部を介して前記支持ブラケットのエンドピースと協働して、前記支持ブラケットを前記バックピースに向かって押し、前記圧縮可能モジュールを圧縮する、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
第1ロック装置及び第2ロック装置を含み、前記支持ブラケットは、第1凹部を有する第1エンドピースと、第2凹部を有する第2エンドピースとを含み、前記第1ロック装置は、前記バックピースに接続され、前記第1凹部を介して前記支持ブラケットの第1エンドピースと協働し、前記第2ロック装置は、前記バックピースに接続され、前記第2凹部を介して前記支持ブラケットの第2エンドピースと協働して、前記支持ブラケットを前記バックピースに向かって押し、前記圧縮可能モジュールを圧縮する、請求項1又は2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記支持ブラケットの2つのエンドピースの間に延在する細長い開口部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記細長い開口部は、複数の圧縮可能モジュールを受け入れるように構成される、請求項4に記載の保持装置。
【請求項6】
前記支持ブラケットは、前記少なくとも1つの圧縮可能モジュールを支持するように構成されたボトムリップを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項7】
前記圧縮可能モジュールは、第1モジュール半体及び第2モジュール半体で形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項8】
前記モジュール半体は、ケーブルの寸法に適合するために、剥離可能な材料層を有する、請求項7に記載の保持装置。
【請求項9】
管状体と、前記管状体の内部に配置された、請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの保持装置とを含み、前記管状体は、前記保持装置にアクセスするための取り外し可能なパネルを含む、軸方向に延在する1本以上のケーブルを保持するための保持システム。
【請求項10】
第1保持装置及び第2保持装置を含み、前記第2保持装置は、前記第1保持装置に対して軸方向及び半径方向の両方に変位する、請求項9に記載の保持システム。
【請求項11】
前記管状体には、少なくとも1つの外部接地ラグ及び少なくとも1つの内部接地ラグが設けられる、請求項9又は10に記載の保持システム。
【請求項12】
前記保持装置のバックピースは、取付ブラケットにより前記管状体に配置される、請求項9~11のいずれか一項に記載の保持システム。
【請求項13】
前記管状体の上端部に取り付けられた湾曲管状要素を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の保持システム。
【請求項14】
前記管状体と前記湾曲管状要素との間にガスケットが配置され、前記ガスケットは、シール材料、膨張性材料、導電性材料及び/又は接着性材料を含む、請求項13に記載の保持システム。
【請求項15】
前記管状体は、表面と前記湾曲管状要素との間の延在部として設けられる、請求項13又は14に記載の保持システム。
【請求項16】
前記管状体は、後壁、前壁、及び前記前壁と前記後壁とを接続する側壁を含み、前記少なくとも1つの保持装置は、前記後壁及び/又は側壁に配置され、前記前壁及び/又は1つ以上の前記側壁は、前記少なくとも1つの保持装置にアクセスするための取り外し可能なパネルを含む、請求項15に記載の保持システム。
【請求項17】
管状体と、前記管状体の内部に配置された少なくとも1つの保持装置とを含む保持システムを準備するステップと、
前記管状体の第1端部を表面に取り付けるステップと、
ケーブルを圧縮可能モジュールの貫通開口部に配置するステップと、
前記ケーブルが配置された前記圧縮可能モジュールを前記保持装置の支持ブラケットに配置するステップと、
前記圧縮可能モジュールが配置された前記支持ブラケットをロック装置により前記保持装置のバックピースに締結することにより、前記圧縮可能モジュールをその中のケーブルの周囲に圧縮するステップと、
湾曲管状要素を前記管状体の第2端部に取り付けるステップと、を含む、1本以上のケーブルを保持するための方法。
【請求項18】
前記管状体の取り外し可能なパネルにより前記保持装置にアクセスするステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ロック装置を前記支持ブラケットのエンドピースの凹部に配置するステップと、前記圧縮可能モジュールを前記バックピースと前記支持ブラケットとの間に圧縮しながら、前記エンドピースを前記ロック装置により前記バックピースに締結するステップと、を含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記支持ブラケットを前記ロック装置により前記バックピースに押すステップを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記管状体の第1端部を床又は屋上に取り付けるステップを含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも部分的に上下方向に延在するケーブルを保持するための、請求項9~16のいずれか一項に記載の保持システムの使用。
【請求項23】
床を通って、又は建物内から建物の屋上まで延在するケーブルを保持するための、請求項9~16のいずれか一項に記載の保持システムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1本以上のケーブルを保持するための保持装置に関する。このような保持装置は、一般的に、ケーブルを所定の位置に保持し、通常、仕切りを貫通するケーブルのトランジットとともに用いられ、当該仕切りは、例えば、建物の床若しくは屋根などの仕切り又は他のタイプの仕切りであり、当該仕切りでは、ケーブルが仕切りの一側から他側、例えば、床間、建物内から屋上まで配線されている。例えば、このような保持装置は、建物内から屋上まで送られるケーブルを保持するために使用することができる。また、このような保持装置は、ケーブルを他の位置、例えば、キャビネット、ダクト、シャフト又はその他の適切な位置に保持するために使用することができる。また、本発明は、1本以上のケーブルを保持するための保持システム及び保持方法に関する。また、本発明は、そのようなシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルのトランジットを屋上及び他の位置に取り付けることは、困難である場合がある。通常、ケーブルの周囲に適切なシールを設け、ケーブルを所定の位置に組織的に保持することが望ましい。更に、操作者の取付プロセスを簡素化することが好ましい。従来の技術手段の問題は、ケーブルを様々なタイプのシステムにおける他の機器に接続する前に、通常、ケーブルを他のケーブル又はより小さくて柔軟なケーブルに移行する必要があることである。ケーブルを変える必要がある場合には、別の問題が生じる。したがって、ケーブルを保持し、屋上などにケーブルトランジットを取り付けるための従来技術の装置及びシステムに関しては改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術よりも改善された新規な保持装置及びシステムを提供することである。この目的は、添付の独立請求項に記載された技術、関連する従属請求項に定義された好ましい実施形態によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、1本以上のケーブルを保持するための保持装置が提供される。前記保持装置は、凹部を有する少なくとも1つのエンドピースを有する支持ブラケットと、バックピースと、前記バックピースと協働するために前記支持ブラケットの凹部を通って移動するように構成されたロック装置と、1本以上のケーブルを受け入れるように構成された貫通開口部を有する少なくとも1つの圧縮可能モジュールと、を含み、前記少なくとも1つの圧縮可能モジュールは、前記支持ブラケットと前記バックピースとの間に配置され、前記ロック装置は、前記支持ブラケットのエンドピースを前記バックピースにロックし、前記少なくとも1つの圧縮可能モジュールを前記1本以上のケーブルの周囲に圧縮するように構成される。本発明に係る保持装置により、ケーブルを安全かつ組織的で確実に保持するとともに、ケーブルの取付を容易かつ効率的に行うことができる。ロック装置と協働する、凹部を有するエンドピースを有する支持ブラケットの構成により、ユーザは、圧縮可能モジュールを容易に圧縮して、ケーブルを所定の位置に保持し、支持ブラケットをロック装置によりバックピースにロックすることができる。保持装置は、ケーブルの重量を保持し、その荷重を支持する。例えば、保持装置は、少なくとも部分的に上下(鉛直、vertical)方向に延在する1本以上のケーブルの重量を維持する。例えば、保持装置は、圧縮可能モジュールの下方のケーブルの重量を維持する。また、保持装置は、ケーブルに沿う軸方向と、半径方向との両方向における振動を低減するか又は最小限に抑えることができ、当該振動は、保持装置内の、ケーブルを保持する圧縮可能モジュールに吸収される。
【0005】
ロック装置は、カムレバーロック装置であってもよく、これにより、圧縮可能モジュールを同時に圧縮しながら支持ブラケットをバックピースに向かって迅速かつ容易に押すことができる。代替的に、ロック装置は、締め付け時に支持ブラケットをバックピースに向かって押すための頭部を有するネジ又はボルトであってもよい。したがって、確実に締め付けるために、ロック装置の締め付けは、電動工具などの工具を使用して容易に行うことができる。
【0006】
支持ブラケットには、第1エンドピース及び第2エンドピースが配置されてもよく、第1エンドピース及び第2エンドピースのそれぞれに凹部が設けられ、第1エンドピースには、第1凹部が配置され、第2エンドピースには、第2凹部が配置される。エンドピースは、支持ブラケットの両端部に配置されてもよく、半径方向に外側へ延在してもよく、圧縮可能モジュールを貫通するケーブル(複数可)は、軸方向、例えば、上下(鉛直)方向に(vertically)延在する。例えば、エンドピースは、上下方向面内に延在するプレート又はプレート部であり、凹部は、下縁から上向きに延在し、ロック装置を受け入れるために底部からアクセス可能である。また、保持装置は、バックピースに接続され、第1凹部を介して支持ブラケットの第1エンドピースと協働する第1ロック装置と、バックピースに接続され、第2凹部を介して支持ブラケットの第2エンドピースと協働して、支持ブラケットをバックピースに向かって押し、支持ブラケットをバックピースにロックしながら、圧縮可能モジュールを圧縮する第2ロック装置とを含んでもよい。したがって、保持装置は、2つのロック装置を含んでもよい。例えば、ロック装置は、バックピースに締結され、支持ブラケットは、ロック装置が凹部に受け入れられるようにロック装置上で上からスライドすることができる。2つのロック装置は、頭部を有するネジであってもよく、当該頭部は、それを締め付けるための工具によりアクセスすることができる。代替的に、ロック装置のうちの少なくとも1つは、手動で締め付けられるカムレバーロック装置である。
【0007】
保持装置には、支持ブラケットの2つのエンドピースの間に延在する細長い開口部が配置されてもよい。したがって、支持ブラケットは、例えば、水平面内に並んで配置された複数の圧縮可能モジュールを受け入れるように配置されてもよく、それにより、保持装置は、複数のケーブルを平行に受け入れることができる。
【0008】
支持ブラケットには、支持ブラケットとバックピースとの間に配置された圧縮可能モジュールを支持するように構成されたボトムリップが配置されてもよい。したがって、圧縮可能モジュールは、取り付け中に、及びロック装置により締め付けてロックする前に所定の位置に保持される。
【0009】
圧縮可能モジュールは、単一のケーブル又は複数のケーブルのための貫通開口部を有し、モジュール半体で形成されてもよく、各モジュール半体は、他方のモジュール半体の溝に対向する溝を有し、これらの溝が貫通開口部を形成する。モジュール半体の溝には、貫通開口部がケーブルの寸法、例えば、ケーブルの直径に適合するように剥離可能な材料層が配置されてもよい。
【0010】
第2態様によれば、1本以上のケーブルを保持するための保持システムが提供される。この保持システムは、管状体と、少なくとも1つの保持装置とを含み、前記管状体は、前記保持装置にアクセスするための少なくとも1つの取り外し可能なパネルを含む。保持システムは、床又は屋上などの表面に取り付けられるように構成されてもよく、屋根上のケーブルのトランジット(transit)として一般に使用され、スワンネックフレーム又は単にスワンネックとしても知られている湾曲管状要素を含んでもよい。代替的に、保持システムは、スワンネックの有無にかかわらず、キャビネット、ダクト、又はエレベータ昇降路若しくは坑道などのシャフト、又は他の適切な位置に取り付けられてもよい。例えば、保持システムは、少なくとも部分的に上下方向に延在する1本以上のケーブルを保持するために使用される。保持システムにより、ケーブルの効率的な取付及び保持を実現することができる。また、建物内から屋上に送られるケーブルに対して、確実かつ効率的なケーブル保持を実現することができる。本発明に係るケーブル保持装置及びシステムを提供することにより、例えば、ケーブルを他の機器に接続するために、ケーブルをより小さくて柔軟なケーブルに移行する必要がないため、取付が簡素化される。保持システムは、従来のスワンネックを含んでもよく、当該スワンネックには、関連するケーブルの周囲をシールするために必要なシールモジュールが設けられてもよい。
【0011】
保持システムは、複数の保持装置、例えば、少なくとも1つの第1保持装置及び1つの第2保持装置を含んでもよく、これらの保持装置は、互いに軸方向及び半径方向の両方に変位することができる。例えば、第2保持装置は、第1保持装置に対して上下方向及び水平方向の両方向に変位する。例えば、第2保持装置は、第1保持装置の下方に配置され、取り外し可能なパネルにより近接して配置されてもよい。したがって、まず、第1保持装置を取り付け、次に、第2保持装置を取り付けることにより、第2保持装置のケーブルは、第1保持装置のケーブルの前方に及び平行に引き込まれる。
【0012】
第3態様によれば、1本以上のケーブルを保持するための方法が提供される。当該方法は、
管状体と、前記管状体の内部に配置された少なくとも1つの保持装置とを含む保持システムを準備するステップと、
前記管状体の第1端部を表面に取り付けるステップと、
ケーブルを圧縮可能モジュールの貫通開口部に配置するステップと、
ケーブルが配置された前記圧縮可能モジュールを前記保持装置の支持ブラケットに配置するステップと、
前記圧縮可能モジュールが配置された前記支持ブラケットをロック装置により前記保持装置のバックピースに締結することにより、前記圧縮可能モジュールをその中のケーブルの周囲に圧縮するステップと、
湾曲管状要素を前記管状体の第2端部に取り付けるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明、添付図面及び従属請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、例として、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1】一実施形態に係る保持システムの斜視図である。
図2図1の保持システムの側面図である。
図3図1の保持システムの正面図である。
図4図1の保持システムの一部の内部を示す斜視図である。
図5図1の保持システムの一部の内部を示す斜視図である。
図6】一実施形態に係る保持装置を下から見た斜視図である。
図7図6の保持装置を上から見た斜視図である。
図8】一実施形態に係る湾曲管状要素の概略斜視図である。
図9】別の実施形態に係る湾曲管状要素の概略斜視図である。
図10】別の実施形態に係る図1の保持システムの内部の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~3に示すように、保持システム200が示される。保持システム200は、側壁240、250、前壁260及び後壁270で形成された管状体210を有する。壁は、実質的に矩形であるが、他の形状であってもよい。更に、壁240、250、260、270は、管状体210を形成するために、互いに取り外し可能に取り付けられてもよく、互いに一体化されてもよい。管状体210の端部に、それぞれ第1端部フランジ220及び第2端部フランジ230が配置される。例えば、管状体210は、矩形である。
【0017】
端部フランジ220、230は、管状体210に取り外し可能に取り付けられてもよく、管状体210に一体化されてもよい。端部フランジ220、230は、管状体210の開口部に対応する矩形の開口部221をそれぞれ有するという点でフレームに似ている。端部フランジ220、230は、管状体210の開口部の外周を取り囲む。例えば、端部フランジ220、230は、上記開口部の外周に沿って連続的に延在する。管状体の開口部と端部フランジの開口部とは、同じ寸法を有する必要がない。端部フランジ220、230は、締結手段223を受け入れるように構成された孔232を有し、締結手段223は、保持システム200を、例えば、スワンネック(swan neck)フレーム又は単にスワンネックとも呼ばれることが多い湾曲管状要素300(図1において破線で示される)及び建物の屋上又は他の表面(図示せず)に締結できる。図1において、締結手段が存在しない4つの孔232は、下端部フランジ230に見える。上端部フランジ220において、孔は、締結手段223によって覆われる。保持システムは、様々な方法で目標対象物又は目標表面に締結することができることを留意されたい。例えば、端部フランジ220、230の締結手段223は、ネジ、ボルト、接着剤、溶接継手などであってもよい。
【0018】
図1~3において、前壁260は、取り外し可能なパネル262によって覆われた開口部(図4に示される開口部261)を有する。取り外し可能なパネル262は、保持システム200の内部へのアクセスを提供するための箇所である。例えば、取り外し可能なパネルはまた、取り外し可能なパネルの内部を、保持システム200内のケーブルに悪影響を与える可能性のある塵、水、汚染物質又はその他のものに近づけないために設けられる。例えば、取り外し可能なパネル262は、管状体210にヒンジで取り付けられてもよい。壁における開口部は、取り外し可能なパネルを壁に取り付けるための孔(図示せず)によって取り囲まれる。締結手段264は、取り外し可能なパネル262を壁260に取り付けるために設けられる。取り外し可能なパネルの締結手段264は、例えば、ネジ又は他の機械的締結要素であってもよい。例えば、側壁240、250のうちの少なくとも1つは、管状体210の内部へのアクセスを提供する取り外し可能なパネルによって覆われた開口部を有する。したがって、前壁260及び側壁240、250のうちの少なくとも1つは、保持システム200の内部へのアクセスを提供する取り外し可能なパネルを有する。
【0019】
湾曲管状要素300、即ち、スワンネックは、図1~3において(図1及び3における破線で)、1本以上のケーブルが屋上又は他の仕切りを貫通するためのトランジットを提供する保持システム200の目的を説明するように示される。スワンネック300は、保持システム200の管状体210を貫通してその中に保持されるケーブル又はパイプのための通路を提供する中空要素である。湾曲管状要素の端部などの一部分には、ケーブルの周囲をシールするための複数の圧縮可能モジュールなどを受け入れるように構成されたスペースが設けられる。保持システム200は、建物の屋上とスワンネック300との間の延在部として機能する。図1~3に見られるように、スワンネックは、保持システム200の上端部フランジ220に取り付けられる。一実施形態において、スワンネック300は、保持システムに含まれる。
【0020】
管状体210の側壁250には、外部接地ラグ251、例えば、第1外部接地ラグ251は、保持システム200を建物の地面に結び付けるように設けられる。
【0021】
図1に関して説明された同じ保持システム200は、それぞれ、図2及び図3の側面図及び正面図で示される。図3において、保持システム200を建物の地面に結び付けるように構成された第2外部接地ラグ241などの別の外部接地ラグ241が設けられる。
【0022】
図4において、図1~3に関して説明された保持システム200の一部が斜視図で示される。ここでは、上端部フランジ220には、ガスケット281が設けられる。例えば、ガスケット281は、シール材料、膨張性材料、接着性材料及び/又は導電性材料を含む。例えば、ガスケット281は、導電性ガスケットである。例えば、ガスケット281は、RF遮蔽、EMI遮蔽、接地又は結合を提供するように配置される。例えば、ガスケットは、自己接着性である。図示された実施形態において、ガスケット281は、湾曲管状要素300などの屋上から延在する一部に対向する端部フランジ220の上側にある自己接着性要素280に配置される。締結手段223は、シール材料及び端部フランジ220の両方に設けられた孔(図示せず)を貫通する。実際には、これらの締結手段223は、先述したスワンネックの対応する端部フランジ(図1における破線で示される)を貫通する。下端部フランジ230を建物の屋根に取り付けるための孔232が設けられる。例えば、上述したガスケット281と同様なガスケット282は、端部フランジ230と屋上との間で、自己接着性要素280などに配置される。
【0023】
管状体210の内部は、前壁260における開口部261を介して露出する。複数の締結手段264は、前壁260と前壁260の開口部261を取り囲むガスケット283との両方に設けられた孔(図示せず)を貫通する。図4において、前壁260における開口部261を介して見られるように、2つの保持装置100は、管状体210の内部に取り付けられる。実際には、保持システム200内に1つ以上の保持装置100が同時に配置されてもよい。これらの保持装置100は、以下の図6及び7を参照しながら詳細に説明される。保持装置の目的は、保持システム200を貫通する1本以上のケーブルを所定の位置に保持するとともに、必要に応じてケーブルの取付及びケーブルへのアクセスを容易にする方法を提供することである。前壁260の取り外し可能なパネル262及び/又は側壁240、250は、管状体210の内部への簡単なアクセスを可能にするために取り外し可能である。
【0024】
更に、内部接地ラグ252は、管状体210の側壁250の内側に取り付けられて、保持システム200を建物の地面に結び付ける。
【0025】
図4に示される管状体210の後壁270には、取外し可能な取付プレート272が配置される。取付プレート272は、図4に2つのみが示される締結手段274を介して締結される。実際には、取付プレート272を所定の位置に保持するための締結手段274は、3つ以上であってもよい。選択的に、後壁270には取付プレート272がない。例えば、取付プレート272は、図10に示すように、後壁270と間隔をあけて配置される。一実施形態において、取付プレート272は、電気的に絶縁されていない。
【0026】
図5において、前壁260及び側壁240が除去されることを除いて、図4に関して説明された特徴と同じ特徴が示される。これは、管状体210の内部がどのように見えるかを更に説明するためのものである。見られるように、保持装置100は、取付ブラケット290、291を介して後壁270に取り付けられる。取付ブラケット290、291は、ケーブルをそれらのそれぞれの保持装置100に取り付ける場合にケーブルにスペースを提供するために異なるサイズを有する。図4及び5において、取付ブラケット290、291は、後壁270に取り付けられ、管状体210の長手方向に沿って互いに離間しオフセットし、当該長手方向は、管状体の壁の長手方向と同じである。選択的に、取付ブラケットは、管状体210の側壁240、250に取り付けられ、保持装置100は取付ブラケットに取り付けられるように構成される。取付ブラケット290、291は、関連する壁に固定的に取り付けられてもよく、取り外し可能に取り付けられてもよい。したがって、図示された実施形態において、保持システム200は、第1保持装置及び第2保持装置100を含み、一方の保持装置が他方の保持装置の下方に配置され、一方の保持装置が他方の保持装置よりも前壁及びその取り外し可能なパネルに近接して配置される。
【0027】
図6及び7を参照すると、前に図4及び5に示された保持装置100は、それぞれ下面及び上面から斜視図で示される。保持装置100は、2つのエンドピース111、112を有する支持ブラケット110を有する。支持ブラケット110のエンドピースのそれぞれは、対応する凹部113、114を有し、ロック装置121、122がこれらの凹部を移動するか又はスライドする。保持装置100は、バックピース120を更に有する。取り付けられる場合、支持ブラケット110は、ロック装置121、122によりバックピース120に押し付けられる。例えば、ロック装置121、122は、カムレバーロック装置である。しかしながら、支持ブラケット110をバックピース120に対して締め付けるか又は押し付けて締め付け位置にロックできる限り、他のタイプのロック装置も同様に使用することができる。代替的に、ロック装置121、122は、支持ブラケット110をバックピース120に締め付けるためのネジ又はボルトであってもよい。例えば、支持ブラケット110は、第1プレート部を含み、当該第1プレート部は、各端部が第1プレート部に垂直に延在する側プレート部(side plate portion)に接続され、側プレート部は、エンドピース111、112に接続され、エンドピースは、第1プレート部に平行に延在する。したがって、エンドピースは、第1プレート部の平面に平行な平面内に延在し、側プレート部は、第1プレート部とエンドピース111、112との間に延在する。代替的に、支持ブラケット110は、単一のロック装置121(凹部を通って移動する(run through)位置とエンドピースと協働する位置との間で回転してもよい)と協働する単一のエンドピース111を含み、反対端部は、ヒンジ(ヒンジは、ケーシング内で上下方向にスライドする栓(spigot)を含んでもよい)又は同様なものによってバックピース120に取り付けられてもよい。
【0028】
保持装置100は、少なくとも1本のケーブル又はパイプを保持するように構成される。それは、1つ以上の圧縮可能モジュール130を保持することによって実現することができる。好ましくは、保持装置100は、複数のモジュールを保持するために配置される。図6及び図7の両方において、複数の圧縮可能モジュール130は、保持装置100の長さに沿って配置される。モジュール130は、2つのモジュール半体131、132で形成され、各モジュール半体は、その一側に溝、例えば、半円筒状溝を有する。複数の剥離可能な層140、141、142、143などは、上記溝の中で互いに重ねて配置される。剥離可能な層140、141、142、143などは、モジュール130の内径が、モジュール130に受け入れられるケーブル、ワイヤ又はパイプの外径に適合するために除去されるように構成される。
【0029】
圧縮可能モジュール130を保持装置100に取り付ける間に、2つのモジュール半体131、132は、それぞれの溝が互いに対向した状態で組み立てられる。同時に、モジュール半体131、132は、ケーブル又はパイプが受け入れられる中央貫通開口部150を有するモジュール130を形成する。例えば、開口部は、円筒状である。したがって、モジュール130がケーブル又はパイプを受け入れる場合、複数の層140、141、142、143などは、必要に応じて剥離される。パイプ及び/又はケーブルがそれぞれモジュール130内に配置された場合、図6及び7から見られるように一緒にモジュール130を囲む支持ブラケット110及びバックピース120は、ロック装置121、122によって互いに向き合うように締め付けられる。ロック装置121、122の締め付けにより圧縮可能モジュール130は、保持装置100内に一方向に圧縮されるが、支持ブラケット110とバックピース120との間に他の方向に拡張する。概して言えば、ロック装置121、122の締め付けにより、モジュール130が保持装置100及びケーブル又はワイヤ又はパイプに対して圧縮されることを引き起こす。例えば、圧縮可能モジュール130は、ゴム又は圧縮可能なプラスチック材料で製造される。
【0030】
特に図6に見られるように、支持ブラケット110は、圧縮可能モジュール130を所定の位置に保持するように構成されたボトムリップ115を有する。これにより、モジュール130を支持ブラケット110に取り付ける操作者又はユーザは、モジュールが支持ブラケット110の細長い開口部に深く挿入されすぎたり、上記開口部から落ちたりすることを心配する必要がない。例えば、ボトムリップ115の寸法は、最大直径のケーブル又はパイプが、ボトムリップ115に干渉することなく圧縮可能モジュール130を貫通することができるように設定される。例えば、ボトムリップ115は、半径方向、例えば、水平面内に延在する。したがって、ボトムリップ115は、圧縮可能モジュール(複数可)130の底部を支持するように配置される。例えば、ボトムリップ115は、支持ブラケット110の内側下端部に沿って延在し、例えば、支持ブラケット110の内側下端部全体に沿って連続的に延在する。
【0031】
図8及び9を参照しながら、湾曲管状要素300の異なる実施形態、即ち、スワンネックを説明する。スワンネック300は、上述した1本以上のケーブルのための貫通部である。スワンネック300は、ケーブルを受け入れるための少なくとも1つの入口開口部310を有する。入口開口部310は、例えば、上述した圧縮可能モジュール130と同様であってもよいシールモジュールを受け入れるために配置される。例えば、上端部などの第1端部には、スワンネック300の入口開口部310は、複数の圧縮可能モジュール及びくさび形又は同様の形態の従来の圧縮ユニットなどの圧縮ユニットを受け入れるためのフレーム320、例えば、略矩形フレームを含み、選択的に、圧縮可能モジュール又はその列の間に配置されるステープレートを含む。図8の実施形態において、スワンネック300は、ケーブルを受け入れるための単一のフレーム320を有する。代替的に、スワンネック300には、複数の開口部フレーム、例えば、2つ、3つ又はそれ以上のフレーム320が設けられる。図9の実施形態において、スワンネック300は、上述したように、ケーブルが配置されたシールモジュールを受け入れるための、並んで配置された第1フレーム320a及び第2フレーム320bを含む。
【0032】
スワンネック300は、上述したように、管状体210に取り付けられるように配置される。図示された実施形態において、スワンネック300は、第2端部に端部フランジ330を含み、第2端部は、下端部であり、フレーム320を有する第1端部に対向する。端部フランジ330は、例えば、孔340を貫通するネジによって、又は他の締結装置によって、管状体210の第1端部フランジ220に取り付けられるために配置される。選択的に、ガスケット281は、スワンネック300の端部フランジ330と管状体210の第1端部フランジ220との間に配置される。
【0033】
スワンネック300は、第1端部と第2端部との間で湾曲し、第1上端部及び第2下端部は、異なる平面内に配置される。したがって、スワンネック300は、端部フランジ330とフレーム320との間で湾曲する。例えば、スワンネック300は、少なくとも45度、少なくとも60度湾曲するか、又は第1端部の平面と第2端部の平面が互いに垂直となるように約90度湾曲する。例えば、第2底平面及び端部フランジ330は、実質的に水平方向に延在する。入口開口部310内に配置されたケーブルは、全体としてスワンネック300の曲線に従い、スワンネック300は、フレーム320内の圧縮可能モジュールを通って入るケーブルの荷重を効率的に支持する。上述した保持装置100と組み合わせたスワンネック300の耐荷重性により、ケーブルの効率的かつ確実な保持システムが得られることが見出された。
【0034】
図10に示すように、図4に関して説明した保持システム200と同様な部分は、別の実施形態において示される。同様の番号は、同様の要素を指す。図10において、取付プレート272は、少なくとも1つの締結手段274’、例えば、ネジ又は同様な取外し可能な締結手段によって、後壁270に取り付けられる。取付プレート272は、例えば、スペーサ要素によって、後壁270から距離を置いて配置されて、後壁270と取付プレート272との間にスペースを形成する。上記スペースは、例えば、ケーブル、接続部などを受け入れるために配置される。
【0035】
図10の実施形態において、ネジが、支持ブラケット110を保持装置100のバックピース120(図6及び7を参照)に締め付けるためのロック装置122’として使用されてもよい。したがって、図4~7に示すカムレバーロック装置121、122の代わりに、図10のロック装置122’は、支持ブラケット110をバックピース120(図6及び7を参照)に締め付けるためのネジである。ロック装置122’は、ロック装置122’のネジ山をバックピース120の対応する開口部内に回転させるための電動工具などの工具によって締結されてもよい。例えば、ロック装置122’は、従来の方法で上記工具によって係止され操作される頭部、例えば、従来の多角形ボルト頭部を含む。例えば、ロック装置122’は、工具によって前面開口部261を通ってアクセス可能であるため、工具によって、前面開口部261を通って締め付けることができ、締め付けを解除することができる。
【0036】
図示された実施形態において、メッシュ又は同様なものなどの取り外し可能又は破壊可能な保護部242が、保持システム200の底部に配置されて、取り付け又は組み立て中に部品又は破片が意図せずに保持システム200に落ちることを防止する。例えば、保護部242は、ケーブルが保持システム200を貫通して引き出される前に切断することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】