(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】老化および慢性疾患を治療する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/194 20060101AFI20240423BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240423BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240423BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240423BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240423BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240423BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240423BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240423BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240423BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240423BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240423BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240423BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240423BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240423BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240423BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240423BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240423BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K31/194
A61P43/00 105
A61P3/00
A61P37/02
A61P39/06
A61P3/10
A61P3/04
A61P9/10 101
A61P9/10
A61P35/00
A61P21/00
A61P19/02
A61P29/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P37/08
A61P27/02
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P13/08
A61P15/00
A61P1/04
A61P3/06
A61P9/04
A61P1/16
A61P11/02
A61P11/00
A61P7/00
A61P17/02
A61P37/06
A61K9/127
A61K47/24
A61K47/34
A61K47/28
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/20
A61K47/32
A61K47/68
A61K39/395 C
A61P7/06
A61P7/04
A61P37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568751
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 US2022027595
(87)【国際公開番号】W WO2022240626
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517045370
【氏名又は名称】エル.イー.エー.エフ. ホールディングス グループ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】L.E.A.F. HOLDINGS GROUP LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ニイキザ,クレット
(72)【発明者】
【氏名】モヨ,ヴィクター,マンドラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC21
4C076CC26
4C076CC27
4C076DD04Z
4C076DD23D
4C076DD38D
4C076DD57Z
4C076DD63
4C076DD67D
4C076DD69Q
4C076DD70
4C076EE06Q
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4C076EE16Q
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4C206ZA45
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4C206ZA59
4C206ZA66
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4C206ZA89
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4C206ZA96
4C206ZB07
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4C206ZB11
4C206ZB13
4C206ZB15
4C206ZB21
4C206ZB26
4C206ZC21
4C206ZC33
4C206ZC35
4C206ZC37
4C206ZC52
(57)【要約】
本開示は、トランス-クロセチンを含む医薬組成物、ならびに該組成物を用いて老化ならびに循環器系疾患、糖尿病、肺疾患、肝臓疾患、および神経疾患を含む慢性疾患を治療する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
老化を治療する方法であって、複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
老化を治療する方法であって、1回用量以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを対象に投与した後、維持相において複数回固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1または2の方法であって、ここで該方法が、該対象において治療前と比較して内皮細胞の老化を無効にする、または緩徐化する、免疫細胞の老化を無効にする、または緩徐化する、慢性低酸素症のレベルを軽減する、および/または慢性炎症のレベルを軽減する、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該方法が、該対象において治療前と比較して内皮細胞の老化を無効にする、または緩徐化する、免疫細胞の老化を無効にする、または緩徐化する、慢性低酸素症のレベルを軽減する、および/または慢性炎症のレベルを軽減する、方法。
【請求項5】
請求項4の方法であって、ここで該1種類上の細胞老化マーカーおよび/または細胞老化関連分子が:
リポフスチンおよび/またはβ-ガラクトシダーゼの蓄積;p16INK4A、p21CIP1、TNFα、IL6、IL1ベータ、CXCL10、RANTES/CCL5、MCP-1、MMP3、および/またはPAI-1の発現;テロメア短縮、細胞老化特異的ヘテロクロマチン構造(SAHF)の形成、およびサテライトの老化関連膨化(SADS)の出現、およびテロメア関連DNA損傷フォーカスに関する1種類上のマーカーから選択される、方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該方法が、内皮細胞および免疫細胞の老化を遅延させる、または無効にする、内皮細胞および免疫細胞の老化に関連する過剰メチル化表現型を低減する、または無効にする、内皮細胞および免疫細胞の老化に関連するヒストンメチル化に対する変化を軽減する、または無効にする、内皮細胞および/または免疫細胞(例えば、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、NK細胞、および単球)のテロメア長を増加させる、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該方法が該対象における免疫老化を無効にする、または緩徐化する、方法。
【請求項8】
請求項7の方法であって、ここで該方法において:
[a]投与前と比較して該対象において末梢血ナイーブ細胞の数を増加させ、メモリー細胞の数を相対的に減少させる;
[b]該対象の免疫細胞において、投与前と比較してSA-β-ガラクトシダーゼ、Tim-3、Tigit、CTLA-4、CD57および/またはKLRG-1の発現を低下させる;
[c]該対象の免疫細胞において、投与前と比較してIL-7、インターフェロンガンマ、GzmB、パーフォリン、CD27、および/またはCD28の発現を増加させる;
[d]該対象において、投与前と比較して免疫細胞についての胸腺退縮を軽減する;
[e]該対象において、投与前と比較してテロメア長、テロメラーゼ活性、または免疫細胞の増殖活性を増加させる;
[f]該対象において、投与前と比較して免疫細胞におけるミトコンドリア生合成を増加させる;
または
[g]該対象において、投与前と比較して反応性酸素種および/または免疫細胞に関連する反応性酸素種に起因する損傷(例えば、免疫細胞のDNA、脂質類、および/または蛋白質に対する酸化的損傷)を減少させる、
方法。
【請求項9】
請求項7または8の方法であって、ここで該方法が:
[a]該対象において、投与前と比較してナイーブT細胞の数を増加させ、またはメモリーT細胞の数を減少させ、TCRの多様性を増加させ、エフェクターT細胞を増加させる、および/またはT細胞の抗原認識レパートリーを増加させる;
[b]該対象において、投与前と比較してMDSCの数および/または機能を低下させる;
[c]該対象において、投与前と比較して樹状細胞の抗原提示、飲食作用および/またはインターフェロン産生を増加させる;
[d]該対象において、投与前と比較してナイーブB細胞の数を増加させ、および/またはメモリーB細胞の数を減少させる;
または
[e]該対象において、投与前と比較してマクロファージの数を増加および機能を増強し、マクロファージの抗原提示および/または貪食を増強する、
方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法であって、メタボリック症候群、糖尿病、肥満、循環器系疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、高血圧症)、神経変性疾患、脳卒中、認知症、または癌から選択される加齢関連病態を治療する、方法。
【請求項11】
慢性疾患を治療する方法であって、治療を必要とする対象に複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含む、方法。
【請求項12】
慢性疾患を治療する方法であって、治療を必要とする対象に1回用量以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを投与した後に、維持相において複数回固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含む、方法。
【請求項13】
請求項11または12の方法であって、ここで該慢性疾患が、慢性軽度全身性炎症(CLGSI)、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、乾癬性関節炎、慢性炎症性腸疾患、または慢性炎症性低酸素症などの慢性炎症性疾患である、方法。
【請求項14】
請求項11または12の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、アトピー性皮膚炎、乾癬またはアレルギー性結膜炎などの自己免疫疾患である、方法。
【請求項15】
請求項11または12の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病などの変性疾患である、方法。
【請求項16】
請求項11または12の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、乳癌、前立腺癌または結腸直腸癌などの癌である、方法。
【請求項17】
請求項11または12の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、慢性心不全、肥満、糖尿病;動脈性高血圧症、高コレステロール血症、チアノーゼ性心疾患、心筋梗塞または脳卒中などの循環器系疾患または病態である、方法。
【請求項18】
請求項11または12の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、慢性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性気管支炎、間欠性低酸素症(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸)、嚢胞性線維症から選択される、方法。
【請求項19】
請求項11または12の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、骨粗しょう症、慢性アレルギー性鼻炎、喘息、慢性潰瘍、慢性腎疾患、慢性肝臓疾患、慢性低酸素症、高山病、および二次性赤血球増加症、慢性移植片拒絶反応、慢性臓器拒絶反応、慢性的な創傷治癒、慢性疲労症候群、および慢性疼痛から選択される、方法。
【請求項20】
請求項1~34のいずれか1項に記載の方法であって、ここでトランス-クロセチンの投与用量が、水溶液中のリポソームトランス-クロセチンを含み、およびここで該複数回固定投与用量が:
[a]化学式:
Q-トランス-クロセチン-Q
のトランス-クロセチンを封入するリポソームであって、
ここでQが、
(i)多価陽イオン性カウンターイオン、
または
(ii)一価陽イオン、
である、
リポソーム;
[b][a]の水溶液であって、ここでQが多価カウンターイオン(例えば、二価金属陽イオンまたは二価有機陽イオンなどの多価陽イオン)である、水溶液;
[c][b]の水溶液であって、ここでQが、Ca
2+、Mg
2+、Zn
2+、Cu
2+、Co
2+、およびFe
2+、プロトン化ジアミンなどの二価有機陽イオンから選択される少なくとも1種類の二価陽イオン、またはFe
3+などの三価陽イオンである、水溶液;
[d][a]にしたがう水溶液であって、ここでQが一価カウンターイオン(例えば、一価金属陽イオンまたは一価有機陽イオン)である、水溶液;
[e][d]にしたがう水溶液であって、ここでQがNH
4
+、Na
+、Li
+、およびK
+、またはプロトン化アミンなどの一価有機陽イオンから選択される少なくとも1種類の一価カウンターイオンである、水溶液;
[f][a]にしたがう水溶液であって、トランス-クロセチン酸マグネシウム(MTC)またはトランス-クロセチン酸カルシウム(CTC)を含む水溶液;
[g][a]~[f]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームトランス-クロセチン組成物が、50mg~900mg、100mg~700mg、100mg~600mg、またはそれらの間のいずれかの範囲の固定量である、水溶液;
[h][a]~[g]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームトランス-クロセチン組成物/脂質の比が1~1000g/M、約10~150g/mol、約20~100g/mol、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[i][a]~[h]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、重量(w/w)で少なくとも0.1%~97%重量またはそれらの間のいずれかの範囲でトランス-クロセチンを含む、水溶液;
[j][a]~[i]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームの直径が、20nm~500nm、20nm~200nm、または80nm~120nm、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[k][a]~[j]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームがリポソーム成分から形成される、水溶液;
[l][k]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソーム成分が、陰イオン性脂質、陽イオン性脂質および中性脂質のうちの少なくとも1種類を含む、水溶液;
[m][k]または[l]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソーム成分が、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種類を含む、水溶液;
[n][a]~[m]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、OxPAPCなどの酸化リン脂質を含む、水溶液;
[o][n]にしたがう水溶液であって、ここで該OxPAPCが、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガ-アルデヒドまたはオメガ-カルボキシル基を有する5炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、水溶液;
[p][a]または[o]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PC、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタンE2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-シクロ-ペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリル-コリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-イソプロスタンE2)-sn-グリセロ-4-ホスホ-コリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリンから選択されるOxPAPCを含む;または該OxPAPCがエポキシイソプロスタン含有リン脂質である、水溶液;
[q][p]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームがPGPCを含む、水溶液;
[r][a]~[q]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、0%~100%、0.1%~30%、1%~25%、5%~20%、または7%~15%(例えば、約10%のOxPAPC)、またはそれらの間のいずれかの範囲のOxPAPCを含む、水溶液;
[s][a]~[r]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、HSPE、コレステロール、PEG-DSPE-2000、およびOxPAPCを、モル比、2~5:1~4:0.01~0.3:0.05~1.5で含む、水溶液;
[t][a]~[s]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームがペグ化されている、水溶液;
[u][a]~[t]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで1種類以上のリポソーム成分が立体安定化剤をさらに含む、水溶液;
[v][u]にしたがう水溶液であって、ここで該立体安定化剤が、ポリエチレングリコール(PEG);ポリ-L-リジン(PLL);モノシアロガングリオシド(GM1);ポリビニルピロリドン(PVP);ポリ(アクリルアミド)(PAA);ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ホスファチジルポリグリセロール;ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド;両親媒性ポリN-ビニルピロリドン類;L-アミノ酸を基盤とするポリマー;オリゴグリセロール、ポリエチレングリコールを含む共重合体およびポリプロピレンオキシド、ポロクサマー188、およびポリビニルアルコールから成る群から選択される少なくとも1種類である、水溶液;
[w][v]にしたがう水溶液であって、ここで該立体安定化剤がPEGであり、該PEGの数平均分子量(Mn)が200~5000ダルトンである、水溶液;
[x][a]~[w]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが陰イオン性または中性である、水溶液;
[y][a]~[x]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームのゼータ電位が、-150~150mV、または-50~50mV、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[z][a]~[y]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームのゼータ電位がゼロ以下(例えば、-150~0、-50~0mV、-25~-1mV、-15~-1mV、-10~-1mV、または-5~-1mV、またはそれらの間のいずれかの範囲)である、水溶液;
[aa][a]~[z]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームのゼータ電位が、0超(例えば、0.2~150mV、または1~50mV、またはそれらの間のいずれかの範囲)である、水溶液;
[ab][a]~[z]、または[aa]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが陽イオン性である、水溶液;
[ac][a]~[ab]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、水溶液;
[ad][a]~[ac]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、デキストロース、マンニトール、グリセリン、塩化カリウム、または塩化ナトリウムなどの等張化剤を、任意選択的に0.1%超の濃度、または0.3%~2.5%またはそれらの間のいずれかの範囲の濃度で含む、水溶液;
[ae][ad]の水溶液であって、トレハロースまたはデキストロースを含む水溶液;
[af][ae]の水溶液であって、1%~50%のトレハロースを含む、水溶液;
[ag][af]の水溶液であって、デキストロース、任意選択的に1%~50%のデキストロースを含む、水溶液;
[ah][a]~[ag]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、HEPES緩衝性溶液中に5%のデキストロースを含む、水溶液;
[ai][a]~[ah]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、HEPES緩衝性食塩水(HBS)などの緩衝液を1~200mMの濃度で含み、pHが2~8またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[aj][a]~[ai]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、そのpHが5~8または6~7、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[ak][a]~[aj]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、6百万分子未満、500,000分子未満、200,000分子未満、100,000分子未満、50,000分子未満、10,000分子未満、または5,000分子未満のトランス-クロセチンを含む、水溶液;
[al][a]~[ak]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、10~100,000分子、100~10,000分子、または500~5,000分子、またはそれらの間のいずれかの範囲の分子数のトランス-クロセチンを含む、水溶液;
[am][a]~[al]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、
ここで
(i)該リポソームがトランス-クロセチン酸カルシウム(CTC)を含み;
(ii)トランス-クロセチン/脂質の比が、20~120g/mM(例えば、約25~100g/mM)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり;
(iii)該リポソームの直径が、80nm~120nm(例えば、90~110)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり、
および
(iv)該リポソームのゼータ電位が、-25~0mV(例えば、-15~0mV、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり;
[an][a]~[am]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該PDIが、0.020~0.075(例えば、0.030~0.050)またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
および/または
[ao][a]~[an]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームトランス-クロセチン組成物濃度が、2.0~10mg/ml(例えば、2~7.5、2.5~6mg/ml、または2mg/ml)またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液、
を含む、方法。
【請求項21】
請求項20の方法であって、ここで該リポソームが、PEGおよびリポソームの外側のいずれか一方または両方に付着する標的性部分をさらに含み、ここで該標的性部分が、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有する、方法。
【請求項22】
請求項21の方法であって、ここで該標的性部分が、PEGおよびリポソームの外側のいずれか一方または両方に共有結合で連結する、方法。
【請求項23】
請求項21または22の方法であって、ここで該標的性部分がポリペプチドである、方法。
【請求項24】
請求項21~23のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該標的性部分が抗体または抗体の抗原結合断片である、方法。
【請求項25】
請求項21~24のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該標的性部分が、抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合断片、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体、合成抗体、ペグ化抗体、および多量体抗体から成る群から選択される1種類以上を含む、方法。
【請求項26】
請求項21~25のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該標的性部分が、表面プラズモン共鳴分析を用いて測定した場合に0.5x10
-6~10x10
-4または0.5x10
-10~10x10
-6の範囲の解離平衡定数(Kd)で抗原に結合する、方法。
【請求項27】
請求項21~26のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該標的性部分が、対象の微小血管系に高発現する細胞表面抗原に対して親和性を有する、方法。
【請求項28】
請求項21~27のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該標的性部分が、EphRA2またはトランスフェリン受容体に特異的に結合する、方法。
【請求項29】
請求項21~28のいずれか1項に記載の方法であって、ここで投与するリポソームが、10~50、10~100、25~75、または30~200の標的性部分を含む、方法。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する、方法。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、投与する、方法。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、投与する、方法。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか1項に記載の方法であって、ここで100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)、または100mg~200mg(例えば、150mg~200mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で複数回、リポソームトランス-クロセチンを該対象に投与する、方法。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1項に記載の方法であって、ここで複数回固定用量の80mg~275mg、100mg~200mg、100mg~300mg(例えば、300mg)、120mg~160mg(例えば、140mg)、150mg~200mg、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか1項に記載の方法であって、ここで固定用量140mg、250mg、または140mgおよび250mgでリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与する、またはここで固定用量300mg、または140mgおよび300mgでリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与する、方法。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか1項に記載の方法であって、ここでリポソームトランス-クロセチンを含む固定用量を該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する、方法。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか1項に記載の方法であって、ここで100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)、または100mg~200mg(例えば、150mg~200mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか1項に記載の方法であって、ここで100mg~300mg(例えば、300mg)、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法。
【請求項39】
請求項1~38のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該投与するリポソーム組成物が、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソーム、および/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)またはそれらの間のいずれかの範囲;のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法。
【請求項40】
請求項1~39のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソーム、および/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法。
【請求項41】
請求項1~40のいずれか1項に記載の方法であって、ここで100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、または100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与し;ここで該固定用量で投与するリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソームおよび/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法。
【請求項42】
請求項41の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する、方法。
【請求項43】
請求項42の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法。
【請求項44】
請求項1~43のいずれか1項に記載の方法であって、ここで100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg(例えば、350mg)、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与し、ここで該投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)、またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソームおよび/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法。
【請求項45】
請求項44の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する、方法。
【請求項46】
請求項45の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法。
【請求項47】
請求項1~46のいずれか1項に記載の方法であって、ここで固定用量140mg、250mg、または300mgのリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与し;ここで該投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソームおよび/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法。
【請求項48】
請求項47の方法であって、ここで該固定用量を1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する、方法。
【請求項49】
請求項48の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が肝臓、腎臓、腸、心臓、または脳の不全または障害を有する、方法。
【請求項51】
請求項50の方法であって、ここで該対象が腎臓の障害(腎障害)を有する、方法。
【請求項52】
請求項50または51の方法であって、ここで該対象が肝臓疾患に関連する病態を有する、方法。
【請求項53】
請求項52の方法であって、ここで該対象が肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);アルコール性肝臓疾患、急性肝臓障害、または肝硬変に関連する病態を有する、方法。
【請求項54】
請求項1~53のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が循環器系疾患または病態を有する、方法。
【請求項55】
請求項54の方法であって、ここで該対象が心筋梗塞などの冠動脈疾患、突然の心臓死、心肺停止、高血圧症、肺動脈高血圧症、アテローム性動脈硬化症、または閉塞性動脈疾患から選択される少なくとも1種類の疾患または病態を有する、方法。
【請求項56】
請求項54の方法であって、ここで該対象が、レイノー病、末梢血管疾患、またはその他の血管障害(バージャー病、高安病、および心停止後症候群(PCAS)、慢性静脈機能不全、心臓疾患、鬱血性心不全、および慢性皮膚潰瘍など)から選択される少なくとも1種類の疾患または病態を有する、方法。
【請求項57】
請求項1~56のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が、心臓発作または脳卒中、あるいは心臓発作または脳卒中に関連する病態(例えば、虚血性および出血性脳卒中)を経験したことがある、現在経験している、あるいは経験するリスクがある、方法。
【請求項58】
請求項1~57のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が、ショックまたはショック関連病態(例えば、心原性ショック、血液量減少性ショック、敗血症ショック、神経原性ショック、およびアナフィラキシーショック)を経験したことがある、現在経験している、あるいは経験するリスクがある、方法。
【請求項59】
請求項1~58のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が、酸化窒素欠乏(例えば、鎌状赤血球病、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、溶血性貧血、サラセミア、他の赤血球障害、紫斑病(TTP)など)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、特発性血小板減少症(ITP)、別の血小板障害、凝固異常(播種性血管内凝固障害(DIC)など)、電撃性紫斑病、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、白血球増加症、および過粘稠度症候群、またはそれに関連する病態に関連する病態を経験したことがある、現在経験している、あるいは経験するリスクがある、方法。
【請求項60】
請求項1~59のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が、肺疾患または肺病態(例えば、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺線維症、肺出血、肺損傷、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびその他の呼吸器疾患)を有する、方法。
【請求項61】
請求項1~60のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が、腎臓疾患または腎病態(例えば、リポ多糖薬剤誘導性または毒素誘導性急性腎障害(AKI)および末期腎臓疾患)を有する、方法。
【請求項62】
請求項1~61のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が免疫不全である、方法。
【請求項63】
請求項1~62のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が化学療法を受けた、または受ける予定である、および/または免疫抑制を受けた、または受ける予定である(例えば、発熱性好中球減少症の対象)、方法。
【請求項64】
請求項1~63のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が高齢である、方法。
【請求項65】
請求項1~64のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該対象が重症である、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高齢者数増加の現象が、今日の世界が直面する最大の経済的、健康上、および社会的な課題であることはほぼ間違いない。おおよそ4千900万人のアメリカ人が65歳以上であり、予測では2060年に高齢者集団の数は9千8百万に増えると推定される。平均的には、65歳の人はあと19年間生きると予想される。米国における高齢者の主要な死亡原因は、慢性疾患、すなわち心臓疾患、癌、慢性下気道疾患、脳卒中、アルツハイマー病、および糖尿病であり、これらは全体で米国の総医療費の三分の二を占め、医療保険支出の93%である。
【0002】
老化を緩徐化する、あるいは老化の影響を軽減する、ならびに加齢関連疾患または障害を治療する新規治療様式の開発に対する満たされていない大きなニーズが存在するのである。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、トランス-クロセチンを含む医薬組成物ならびに該組成物を用いて健康を改善する方法、ならびに老化および慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、対象の健康を改善する、老化を治療する、および/または慢性疾患を治療する目的において複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを有効量で該対象に投与することを含む。
【0004】
いくつかの実施態様においては、本開示は、対象の一般的健康を改善する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象の健康を改善する目的において複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを有効量で該対象に投与することを含む。
【0005】
いくつかの実施態様においては、本開示は、対象の老化を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象の老化を治療する目的において複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを有効量で該対象に投与することを含む。
【0006】
いくつかの実施態様においては、本開示は、慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該慢性疾患を有する、または該疾患のリスクを有する対象に、該慢性疾患を治療する目的において複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを有効量で投与することを含む。
【0007】
好ましい一実施態様においては、本開示は、対象の老化および/または慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象に複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、ここで該固定用量は、100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、100mg~300mg、または100mg~200mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与する。
【0008】
好ましい一実施態様においては、本開示は、対象の老化および/または慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象に複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、ここで該固定用量は、75mg~450mg(例えば、100mg~450mg、100mg~200mg、200mg~400mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲であり、ここで各固定用量を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。好ましい一実施態様においては、本開示は、対象の老化および/または慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象に複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、ここで該固定用量は、200mg~400mg(例えば、250mg~350mg、250mg、300mg、または380mg)またはそれらの間のいずれかの範囲であり、ここで各固定用量を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。好ましい一実施態様においては、本開示は、対象の老化および/または慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象に複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、ここで該固定用量は、300mg~450mg(例えば、300mg~400mg、300mg、または380mg)またはそれらの間のいずれかの範囲であり、ここで各固定用量を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。いくつかの実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを月4回、月3回、月2回、または月1回投与する。
【0009】
別の好ましい一実施態様においては、本開示は、対象の老化および/または慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象に複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、ここで該固定用量は、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲であり、ここで各固定用量を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。一実施態様においては、固定用量120mg~160mg(例えば、140mg)のリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与するが、ここで各固定用量を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。一実施態様においては、固定用量120mg~160mg(例えば、140mg)のリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与するが、ここで各固定用量を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。いくつかの実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。
【0010】
一実施態様においては、本開示は、対象の老化および/または慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与することを含み、ここで該固定用量は、1.5mg~250mg、1.5mg~70mg、3mg~150mg、または5mg~240mgまたはそれらの間のいずれかの範囲であり、ここで各固定用量を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。
【0011】
本開示はまた、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを含む少なくとも1バイアルを含む製品を提供するが、ここで該固定用量は、1.5mg~250mg、1.5mg~70mg、3mg~150mg、または5mg~240mg、またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0012】
該提供するトランス-クロセチン医薬組成物および投与レジメンは、トランス-クロセチンの溶解度および安定性を大幅に増加させ、それによってその治療用途ならびに治療可能性が大幅に拡大される。意外なことに、トランス-クロセチンの薬物動態特性が、異なる様々な投与レジメンおいてその安全性および有効性を強調し、広い体重範囲にわたり安定したAUCおよびCmaxのレベルを示すことを、発明者らは発見したのである。トランス-クロセチンの薬物動態プロファイルは、薬物動態上の観点からトランス-クロセチンの固定用量投与方略を裏付けるものであった。
【0013】
該提供する医薬組成物および投与レジメンは、老化および/または慢性疾患の治療を改善する用途、および健康を改善する用途を有するものである。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物および投与レジメンは、老化関連病態の治療における用途を有する。いくつかの実施態様においては、該提供する医薬組成物および投与レジメンは、慢性疾患に関連する障害および病態の治療における用途を有する。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物および投与レジメンは、対象の健康の改善における用途を有する。該組成物を作成、送達、および利用する方法もまた提供する。
【0014】
いくつかの実施態様においては、本開示は以下を提供する:
[1]老化を治療する方法であって、複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを対象に投与することを含む方法;
[2]老化を治療する方法であって、1回用量以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを対象に投与した後、維持相において複数回固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含む方法;
[3][1]または[2]の方法であって、ここで該方法が、該対象において治療前と比較して内皮細胞の老化を無効にする、または緩徐化する、免疫細胞の老化を無効にする、または緩徐化する、慢性低酸素症のレベルを軽減する、および/または慢性炎症のレベルを軽減する、方法;
[4][1]~[3]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該方法が、該対象において1種類上の細胞老化マーカー、細胞老化関連分子、および/または細胞老化関連分泌現象マーカーのレベルを低下させる、方法;
[5][4]の方法であって、ここで該1種類上の細胞老化マーカーおよび/または細胞老化関連分子が:
リポフスチンおよび/またはβ-ガラクトシダーゼの蓄積;p16INK4A、p21CIP1、TNFα、IL6、IL1ベータ、CXCL10、RANTES/CCL5、MCP-1、MMP3、および/またはPAI-1の発現;テロメア短縮、細胞老化特異的ヘテロクロマチン構造(SAHF)の形成、およびサテライトの老化関連膨化(SADS)の出現、およびテロメア関連DNA損傷フォーカスに関する1種類上のマーカーから選択される、方法;
[6][1]~[5]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該方法が、内皮細胞および免疫細胞の老化を遅延させる、または無効にする、内皮細胞および免疫細胞の老化に関連する過剰メチル化表現型を低減する、または無効にする、内皮細胞および免疫細胞の老化に関連するヒストンメチル化に対する変化を軽減する、または無効にする、内皮細胞および/または免疫細胞(例えば、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、NK細胞、および単球)のテロメア長を増加させる、方法;
[7][1]~[6]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該方法が該対象における免疫老化を無効にする、または緩徐化する、方法;
[8][7]の方法であって、ここで該方法において:
[a]投与前と比較して該対象において末梢血ナイーブ細胞の数を増加させ、メモリー細胞の数を相対的に減少させる;
[b]該対象の免疫細胞において、投与前と比較してSA-β-ガラクトシダーゼ、Tim-3、Tigit、CTLA-4、CD57および/またはKLRG-1の発現を低下させる;
[c]該対象の免疫細胞において、投与前と比較してIL-7、インターフェロンガンマ、GzmB、パーフォリン、CD27、および/またはCD28の発現を増加させる;
[d]該対象において、投与前と比較して免疫細胞についての胸腺退縮を軽減する;
[e]該対象において、投与前と比較してテロメア長、テロメラーゼ活性、または免疫細胞の増殖活性を増加させる;
[f]該対象において、投与前と比較して免疫細胞におけるミトコンドリア生合成を増加させる;
または
[g]該対象において、投与前と比較して反応性酸素種および/または免疫細胞に関連する反応性酸素種に起因する損傷(例えば、免疫細胞のDNA、脂質類、および/または蛋白質に対する酸化的損傷)を減少させる、
方法;
[9][7]または[8]の方法であって、ここで該方法が:
[a]該対象において、投与前と比較してナイーブT細胞の数を増加させ、またはメモリーT細胞の数を減少させ、TCRの多様性を増加させ、エフェクターT細胞を増加させる、および/またはT細胞の抗原認識レパートリーを増加させる;
[b]該対象において、投与前と比較してMDSCの数および/または機能を低下させる;
[c]該対象において、投与前と比較して樹状細胞の抗原提示、飲食作用および/またはインターフェロン産生を増加させる;
[d]該対象において、投与前と比較してナイーブB細胞の数を増加させ、および/またはメモリーB細胞の数を減少させる;
または
[e]該対象において、投与前と比較してマクロファージの数を増加および機能を増強し、マクロファージの抗原提示および/または貪食を増強する、
方法;
[10][1]~[9]のいずれか1項にしたがう方法であって、メタボリック症候群、糖尿病、肥満、循環器系疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、高血圧症)、神経変性疾患、脳卒中、認知症、または癌から選択される加齢関連病態を治療する、方法;
[11]慢性疾患を治療する方法であって、治療を必要とする対象に複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含む、方法;
[12]慢性疾患を治療する方法であって、治療を必要とする対象に1回用量以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを投与した後に、維持相において複数回固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを投与することを含む、方法;
[13][11]または[12]の方法であって、ここで該慢性疾患が、慢性軽度全身性炎症(CLGSI)、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、乾癬性関節炎、慢性炎症性腸疾患、または慢性炎症性低酸素症などの慢性炎症性疾患である、方法;
[14][11]または[12]の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、アトピー性皮膚炎、乾癬またはアレルギー性結膜炎などの自己免疫疾患である、方法;
[15][11]または[12]の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病などの変性疾患である、方法;
[16][11]または[12]の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、乳癌、前立腺癌または結腸直腸癌などの癌である、方法;
[17][11]または[12]の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、慢性心不全、肥満、糖尿病;動脈性高血圧症、高コレステロール血症、チアノーゼ性心疾患、心筋梗塞または脳卒中などの循環器系疾患または病態である、方法;
[18][11]または[12]の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、慢性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間欠性低酸素症(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸)、肺気腫、慢性気管支炎、および嚢胞性線維症から選択される、方法;
[19][11]または[12]の方法であって、ここで治療される慢性疾患が、骨粗しょう症、慢性アレルギー性鼻炎、喘息、慢性潰瘍、慢性腎疾患、慢性肝臓疾患、慢性低酸素症、高山病、および二次性赤血球増加症、慢性移植片拒絶反応、慢性臓器拒絶反応、慢性的な創傷治癒、慢性疲労症候群、多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺機能低下症および慢性疼痛から選択される、方法;
[20][1]~[34]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここでトランス-クロセチンの投与用量が、水溶液中のリポソームトランス-クロセチンを含み、およびここで該複数回固定投与用量が以下を含む、
方法:
[a]化学式:
Q-トランス-クロセチン-Q
のトランス-クロセチンを封入するリポソームであって、
ここでQが、
(i)多価陽イオン性カウンターイオン、
または
(ii)一価陽イオン、
である、
リポソーム;
[b][a]の水溶液であって、ここでQが多価カウンターイオン(例えば、二価金属陽イオンまたは二価有機陽イオンなどの多価陽イオン)である、水溶液;
[c][b]の水溶液であって、ここでQが、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+、プロトン化ジアミンなどの二価有機陽イオンから選択される少なくとも1種類の二価陽イオン、またはFe3+などの三価陽イオンである、水溶液;
[d][a]にしたがう水溶液であって、ここでQが一価カウンターイオン(例えば、一価金属陽イオンまたは一価有機陽イオン)である、水溶液;
[e][d]にしたがう水溶液であって、ここでQがNH4
+、Na+、Li+、およびK+、またはプロトン化アミンなどの一価有機陽イオンから選択される少なくとも1種類の一価カウンターイオンである、水溶液;
[f][a]にしたがう水溶液であって、トランス-クロセチン酸マグネシウム(MTC)またはトランス-クロセチン酸カルシウム(CTC)を含む水溶液;
[g][a]~[f]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームトランス-クロセチン組成物が、50mg~900mg、100mg~700mg、100mg~600mg、またはそれらの間のいずれかの範囲の固定量である、水溶液;
[h][a]~[g]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームトランス-クロセチン組成物/脂質の比1~1000g/M、約10~150g/mol、約20~100g/mol、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[i][a]~[h]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、重量(w/w)で少なくとも0.1%~97%重量またはそれらの間のいずれかの範囲でトランス-クロセチンを含む、水溶液;
[j][a]~[i]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームの直径が、20nm~500nm、20nm~200nm、または80nm~120nm、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[k][a]~[j]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームがリポソーム成分から形成される、水溶液;
[l][k]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソーム成分が、陰イオン性脂質、陽イオン性脂質および中性脂質のうちの少なくとも1種類を含む、水溶液;
[m][k]または[l]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソーム成分が、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種類を含む、水溶液;
[n][a]~[m]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、OxPAPCなどの酸化リン脂質を含む、水溶液;
[o][n]にしたがう水溶液であって、ここで該OxPAPCが、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガ-アルデヒドまたはオメガ-カルボキシル基を有する5炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である、水溶液;
[p][a]または[o]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PC、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタンE2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-シクロ-ペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリル-コリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-イソプロスタンE2)-sn-グリセロ-4-ホスホ-コリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリンから選択されるOxPAPCを含む;または該OxPAPCがエポキシイソプロスタン含有リン脂質である、水溶液;
[q][p]にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームがPGPCを含む、水溶液;
[r][a]~[q]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、0%~100%、0.1%~30%、1%~25%、5%~20%、または7%~15%(例えば、約10%のOxPAPC)、またはそれらの間のいずれかの範囲のOxPAPCを含む、水溶液;
[s][a]~[r]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、HSPE、コレステロール、PEG-DSPE-2000、およびOxPAPCを、モル比、2~5:1~4:0.01~0.3:0.05~1.5で含む、水溶液;
[t][a]~[s]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームがペグ化されている、水溶液;
[u][a]~[t]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで1種類以上のリポソーム成分が立体安定化剤をさらに含む、水溶液;
[v][u]にしたがう水溶液であって、ここで該立体安定化剤が、ポリエチレングリコール(PEG);ポリ-L-リジン(PLL);モノシアロガングリオシド(GM1);ポリビニルピロリドン(PVP);ポリ(アクリルアミド)(PAA);ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ホスファチジルポリグリセロール;ポリ[N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド;両親媒性ポリN-ビニルピロリドン類;L-アミノ酸を基盤とするポリマー;オリゴグリセロール、ポリエチレングリコールを含む共重合体およびポリプロピレンオキシド、ポロクサマー188、およびポリビニルアルコールから成る群から選択される少なくとも1種類である、水溶液;
[w][v]にしたがう水溶液であって、ここで該立体安定化剤がPEGであり、該PEGの数平均分子量(Mn)が200~5000ダルトンである、水溶液;
[x][a]~[w]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが陰イオン性または中性である、水溶液;
[y][a]~[x]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームのゼータ電位が、-150~150mV、または-50~50mV、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[z][a]~[y]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームのゼータ電位がゼロ以下(例えば、-150~0、-50~0mV、-25~-1mV、-15~-1mV、-10~-1mV、または-5~-1mV、またはそれらの間のいずれかの範囲)である、水溶液;
[aa][a]~[z]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームのゼータ電位が、0超(例えば、0.2~150mV、または1~50mV、またはそれらの間のいずれかの範囲)である、水溶液;
[ab][a]~[z]、または[aa]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが陽イオン性である、水溶液;
[ac][a]~[ab]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、水溶液;
[ad][a]~[ac]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、デキストロース、マンニトール、グリセリン、塩化カリウム、または塩化ナトリウムなどの等張化剤を、任意選択的に0.1%超の濃度、または0.3%~2.5%またはそれらの間のいずれかの範囲の濃度で含む、水溶液;
[ae][ad]の水溶液であって、トレハロースまたはデキストロースを含む水溶液;
[af][ae]の水溶液であって、1%~50%のトレハロースを含む、水溶液;
[ag][af]の水溶液であって、デキストロース、任意選択的に1%~50%のデキストロースを含む、水溶液;
[ah][a]~[ag]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、HEPES緩衝性溶液中に5%のデキストロースを含む、水溶液;
[ai][a]~[ah]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、HEPES緩衝性食塩水(HBS)などの緩衝液を1~200mMの濃度で含み、pHが2~8またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[aj][a]~[ai]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、そのpHが5~8または6~7、またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
[ak][a]~[aj]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、6百万分子未満、500,000分子未満、200,000分子未満、100,000分子未満、50,000分子未満、10,000分子未満、または5,000分子未満のトランス-クロセチンを含む、水溶液;
[al][a]~[ak]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームが、10~100,000分子、100~10,000分子、または500~5,000分子、またはそれらの間のいずれかの範囲の分子数のトランス-クロセチンを含む、水溶液;
[am][a]~[al]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、
ここで
(i)該リポソームがトランス-クロセチン酸カルシウム(CTC)を含み;
(ii)トランス-クロセチン/脂質の比が、20~120g/mM(例えば、約25~100g/mM)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり;
(iii)該リポソームの直径が、80nm~120nm(例えば、90~110)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり、
および
(iv)該リポソームのゼータ電位が、-25~0mV(例えば、-15~0mV、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり;
[an][a]~[am]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該PDIが、0.020~0.075(例えば、0.030~0.050)またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液;
および/または
[ao][a]~[an]のいずれか1項にしたがう水溶液であって、ここで該リポソームトランス-クロセチン組成物濃度が、2.0~10mg/ml(例えば、2~7.5、2.5~6mg/ml、または2mg/ml)またはそれらの間のいずれかの範囲である、水溶液、
である、方法。
[21][20]の方法であって、ここで該リポソームが、PEGおよびリポソームの外側のいずれかまたは両方に付着する標的性部分をさらに含み、ここで該標的性部分が、目的の標的細胞上の表面抗原に対して特異的親和性を有する、方法;
[22][21]の方法であって、ここで該標的性部分が、PEGおよびリポソームの外側のいずれか一方または両方に共有結合で連結する、方法;
[23][21]または[22]の方法であって、ここで該標的性部分がポリペプチドである、方法;
[24][21]~[23]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該標的性部分が抗体または抗体の抗原結合断片である、方法;
[25][21]~[24]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該標的性部分が、抗体、ヒト化抗体、抗体の抗原結合断片、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体、合成抗体、ペグ化抗体、および多量体抗体から成る群から選択される1種類以上を含む、方法;
[26][21]~[25]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該標的性部分が、表面プラズモン共鳴分析を用いて測定した場合に0.5x10-6~10x10-4または0.5x10-10~10x10-6の範囲の解離平衡定数(Kd)で抗原に結合する、方法;
[27][21]~[26]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該標的性部分が、対象の微小血管系に高発現する細胞表面抗原に対して親和性を有する、方法;
[28][21]~[27]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該標的性部分が、EphRA2またはトランスフェリン受容体に特異的に結合する、方法;
[29][21]~[28]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで投与するリポソームが、10~50、10~100、25~75、または30~200の標的性部分を含む、方法;
[30][1]~[29]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する、方法;
[31][1]~[30]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、投与する、方法;
[32][1]~[31]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、投与する、方法;
[33][1]~[32]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)、または100mg~200mg(例えば、150mg~200mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で複数回、リポソームトランス-クロセチンを該対象に投与する、方法;
[34][1]~[33]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで複数回固定用量の80mg~275mg、100mg~200mg、100mg~300mg(例えば、300mg)、120mg~160mg(例えば、140mg)、150mg~200mg、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg;
[35][1]~[34]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで固定用量140mg、250mg、または140mgおよび250mgでリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与する、またはここで固定用量300mg、または140mgおよび300mgでリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与する、方法;
[36][1]~[35]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここでリポソームトランス-クロセチンを含む固定用量を該対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する、方法;
[37][1]~[36]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)、または100mg~200mg(例えば、150mg~200mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法;
[38][1]~[37]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで100mg~300mg(例えば、300mg)、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法;
[39][1]~[38]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該投与するリポソーム組成物が、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソーム、および/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)またはそれらの間のいずれかの範囲;のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法;
[40][1]~[39]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソーム、および/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法;
[41][1]~[40]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、または100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与し;ここで該固定用量で投与するリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソームおよび/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法;
[42][41]の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する、方法;
[43][42]の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法;
[44][1]~[43]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg(例えば、350mg)、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与し、ここで該投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)、またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソームおよび/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)、またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法;
[45][44]の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する、方法;
[46][45]の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法;
[47][1]~[46]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで固定用量140mg、250mg、または300mgのリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与し;ここで該投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンが、80nm~120nm(例えば、90nm~110nm、または95nm~109nm)またはそれらの間のいずれかの範囲の直径を有するリポソームおよび/または-15~-1mV(例えば、-10~-1mV、または-5~-1mV)またはそれらの間のいずれかの範囲のゼータ電位を有するリポソームを含む、方法;
[48][47]の方法であって、ここで該固定用量を1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する、方法;
[49][48]の方法であって、ここで該固定用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する、方法;
[50][1]~[49]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が肝臓、腎臓、腸、心臓、または脳の不全または障害を有する、方法;
[51][50]の方法であって、ここで該対象が腎臓の障害(腎障害)を有する、方法;
[52][50]または[51]にしたがう方法であって、ここで該対象が肝臓疾患に関連する病態を有する、方法;
[53][52]にしたがう方法であって、ここで該対象が肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);アルコール性肝臓疾患、急性肝臓障害、または肝硬変に関連する病態を有する、方法;
[54][1]または[142]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が循環器系疾患または病態を有する、方法;
[55][143]の方法であって、ここで該対象が心筋梗塞などの冠動脈疾患、突然の心臓死、心肺停止、高血圧症、肺動脈高血圧症、アテローム性動脈硬化症、または閉塞性動脈疾患から選択される少なくとも1種類の疾患または病態を有する、方法;
[56][54]の方法であって、ここで該対象が、レイノー病、末梢血管疾患、またはその他の血管障害(バージャー病、高安病、および心停止後症候群(PCAS)、慢性静脈機能不全、心臓疾患、鬱血性心不全、および慢性皮膚潰瘍など)から選択される少なくとも1種類の疾患または病態を有する、方法;
[57][1]~[56]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が、心臓発作または脳卒中、あるいは心臓発作または脳卒中に関連する病態(例えば、虚血性および出血性脳卒中)を経験したことがある、現在経験している、あるいは経験するリスクがある、方法;
[58][1]~[57]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が、ショックまたはショック関連病態(例えば、心原性ショック、血液量減少性ショック、敗血症ショック、神経原性ショック、およびアナフィラキシーショック)を経験したことがある、現在経験している、あるいは経験するリスクがある、方法;
[59][1]~[158]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が、酸化窒素欠乏(例えば、鎌状赤血球病、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、溶血性貧血、サラセミア、他の赤血球障害、紫斑病(TTP)など)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、特発性血小板減少症(ITP)、別の血小板障害、凝固異常(播種性血管内凝固障害(DIC)など)、電撃性紫斑病、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、白血球増加症、および過粘稠度症候群、またはそれに関連する病態に関連する病態を経験したことがある、現在経験している、あるいは経験するリスクがある、方法;
[60][1]~[59]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が、肺疾患または肺病態(例えば、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺線維症、肺出血、肺損傷、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびその他の呼吸器疾患)を有する、方法;
[61][1]~[60]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が、腎臓疾患または腎病態(例えば、リポ多糖薬剤誘導性または毒素誘導性急性腎障害(AKI)および末期腎臓疾患)を有する、方法;
[62][1]~[61]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が免疫不全である、方法;
[63][1]~[62]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が化学療法を受けた、または受ける予定である、および/または免疫抑制を受けた、または受ける予定である(例えば、発熱性好中球減少症の対象)、方法;
[64][1]~[63]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が高齢である、方法;
および/または
[65][1]~[64]のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該対象が重症である、方法。
【0015】
いくつかの実施態様においては、本開示は、対象の一般的健康を改善する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象の健康を改善する有効量で固定用量のリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与することを含む。
【0016】
いくつかの実施態様においては、本開示は、対象の老化を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象の老化を治療する有効量で固定用量のリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与することを含む。
【0017】
本明細書中の用語「慢性疾患」は、1年間以上継続する病態であって、継続治療を必要とする、または日常生活の活動を制限する、あるいはその両方である病態を広く指す。心臓疾患、癌、および糖尿病などの慢性疾患は、米国において死亡および身体精神障害の主要な原因となっている。該提供する方法によって治療可能な慢性疾患としては、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、慢性変性疾患(多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病など)、慢性軽度全身性炎症(CLGSI)に関連する腫瘍(乳癌、前立腺癌および結腸直腸癌など)、肥満、糖尿病、動脈性高血圧症、骨粗しょう症、および慢性感染が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、該治療される慢性疾患は、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群および乾癬性関節炎、慢性炎症性腸疾患、慢性アレルギー性鼻炎、喘息、慢性潰瘍、慢性肺疾患、慢性心不全、慢性腎疾患、慢性肝臓疾患、慢性低酸素症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性気管支炎、慢性高山病、チアノーゼ性心疾患、嚢胞性線維症、および肥満、二次性赤血球増加症、慢性移植片拒絶反応、慢性臓器拒絶反応、慢性的な創傷治癒、慢性疲労症候群、慢性疼痛、および糖尿病から選択される。
【0018】
いくつかの実施態様においては、本開示は、慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該慢性疾患を有する対象または該慢性疾患のリスクを有する対象に、該慢性疾患を治療する有効量の固定用量リポソームトランス-クロセチンを複数回、投与することを含む。
【0019】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、慢性変性疾患である。いくつかの実施態様においては、該慢性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、および認知症から選択される。
【0020】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、慢性炎症性疾患である。いくつかの実施態様においては、該慢性疾患は、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群および乾癬性関節炎から選択される。
【0021】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、自己免疫疾患である。いくつかの実施態様においては、該慢性疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬およびアレルギー性結膜炎から選択される。
【0022】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群または乾癬性関節炎である。
【0023】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は自己免疫疾患である。いくつかの実施態様においては、該自己免疫疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬およびアレルギー性結膜炎から選択される。
【0024】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は変性疾患である。いくつかの実施態様においては、該変性疾患は、多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病から選択される。
【0025】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は癌である。いくつかの実施態様においては、該癌は、乳癌、前立腺癌、および結腸直腸癌から選択される。
【0026】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する方法にしたがって治療される対象は、慢性疾患に関連する1種類以上のリスク要因を有する、または有すると診断される。いくつかの実施態様においては、該対象は、喫煙、栄養不足、肥満、糖尿病、および過度のアルコール摂取から選択される少なくとも1種類のリスク因子を有する。
【0027】
いくつかの実施態様においては、本開示は、該提供されるトランス-クロセチン組成物を、別の治療剤との併用療法で投与する方法および投与レジメンを提供する。
【0028】
本明細書に記載される組成物および方法のさらに他の特徴および利点については、添付図面と共に以下の詳細な記述を読むことによりさらに明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】
図1Aは、トランス-クロセチンを封入するリポソームナノ粒子LEAF-4L121の模式図である。
【
図1B】
図1Bは、LEAF-4L121の透過電子顕微鏡像である。
【
図1C】
図1Cは、治療後1日目および30日目にLEAF-4L121のDLS測定を行い4℃における経時的安定性を確認したものである。
【
図1D】
図1Dは、血漿中におけるLEAF-4L121のトランス-クロセチン放出に関する測定であり、37℃のインキュベーション後30時間でプラトーに達する経時的持続放出を示している。4℃では放出が全く認められなかった。
【
図1E】
図1Eは、様々なLEAF-4L121濃度でHUVECを処理した後72時間後に実施した細胞生存率アッセイ(CellTiter-Glo)である。
【
図1F】
図1Fは、2μg/mLの遊離トランス-クロセチンと共にインキュベートしたHUVECの経時的なフローサイトメトリー分析である。%PO2は、BioTracker520低酸素状態緑色蛍光色素の計測値に基づいて評価した。
【
図1G】
図1Gは、フローサイトメトリーデータに基づく%PO2の定量である。
【
図1H】
図1Hは、120μg/mLのLEAF-4L121と共にインキュベートしたHUVECの経時的なフローサイトメトリーデータに基づく%PO2の定量である。
【
図1I】
図1Iは、24時間の時点における%PO2が様々なLEAF-4L121濃度の関数として表されている。
【
図3】コホート2における経時的なPaO2/FiO2比の変化である。
【
図4】コホート2の遊離型薬剤に関するPKプロファイルであるが、この情報に基づいてコホート4では用量変更を行った。
【
図5A】
図5Aは、コホート2においてトランス-クロセチン治療がPaO2/FiO2(mmHg)、正の呼気圧(PEP;cmH2O)、およびFIO2(該対象が吸入する酸素の濃度)に及ぼす経時的影響である。
【
図5B】
図5Bは、L4L-121がCOVID-19患者の酸素供給を効率的に改善することを示す。
【
図5C】
図5Cは、試験の主要なエンドポイント基準の検証である。
【
図5D】
図5Dは、最初のL4L-121注射の3日前および注射から3日後における、PaO2/FiO2比、PEP、PaCO2、ノルアドレナリンステータス、患者の姿勢、および人工呼吸状態を示す。平均補正SOFAスコア、ならびに心臓血管および呼吸に関するSOFAサブスコア。
【
図6A】
図6Aは、120μg/mLのLEAF-4L121と共にインキュベートしたHUVECの経時的なフローサイトメトリーデータに基づく%PO2の定量である。
【
図6B】
図6Bは、24時間における様々なLEAF-4L121濃度の関数として表されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願者は、意外なことに、例えば、トランス-クロセチン遊離酸ならびに一価カウンターイオンを含むトランス-クロセチン塩と比較して、多価トランス-クロセチン塩および多価カウンターイオンを含有するリポソームを含むリポソーム組成物などの医薬組成物が、薬物動態(例えば、半減期、安定性、および生体可用性)を実質的に改善すること、およびトランス-クロセチンの持続性放出によって薬剤曝露が劇的に増加することを発見した。該提供する医薬組成物は非毒性で、インビボ半減期が驚くほど長いものであり、老化および慢性疾患に関連する症状を無効にする/遅延させることが可能である。その特性は、老化および慢性疾患の治療において、本開示の組成物の長期投与を支持するものである。
【0031】
いくつかの実施態様において、本開示は、対象の一般的健康を改善する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象の健康を改善する有効量で固定用量リポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与することを含む。
【0032】
いくつかの実施態様においては、本開示は、対象の老化を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該対象の老化を治療する有効量で固定用量リポソームトランス-クロセチンを該対象に複数回投与することを含む。
【0033】
いくつかの実施態様においては、本開示は、慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、該慢性疾患を有する、または該疾患のリスクを有する対象に、該慢性疾患を治療する目的で有効量の固定用量リポソームトランス-クロセチンを複数回投与することを含む。
【0034】
本明細書中の用語「慢性疾患」は、1年間以上継続する病態であって、継続治療を必要とする、または日常生活の活動を制限する、あるいはその両方である病態を広く指す。心臓疾患、癌、および糖尿病などの慢性疾患は、米国において死亡および身体精神障害の主要な原因となっている。該提供する方法によって治療可能な慢性疾患としては、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、慢性変性疾患(多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病など)、慢性軽度全身性炎症(CLGSI)に関連する腫瘍(乳癌、前立腺癌および結腸直腸癌など)、肥満、糖尿病、動脈性高血圧症、骨粗しょう症、および慢性感染が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、該治療される慢性疾患は、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群および乾癬性関節炎、慢性炎症性腸疾患、慢性アレルギー性鼻炎、喘息、慢性潰瘍、慢性肺疾患、慢性心不全、慢性腎疾患、慢性肝臓疾患、慢性低酸素症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性気管支炎、慢性高山病、チアノーゼ性心疾患、嚢胞性線維症、および肥満、二次性赤血球増加症、慢性移植片拒絶反応、慢性臓器拒絶反応、慢性的な創傷治癒、慢性疲労症候群、慢性疼痛、および糖尿病から選択される。
【0035】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、慢性変性疾患である。いくつかの実施態様においては、該慢性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、および認知症から選択される。
【0036】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、慢性炎症性疾患である。いくつかの実施態様においては、該慢性疾患は、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群および乾癬性関節炎から選択される。
【0037】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、自己免疫疾患である。いくつかの実施態様においては、該慢性疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬およびアレルギー性結膜炎から選択される。
【0038】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は、関節リウマチ、リウマチ性多発性筋痛、線維筋痛、慢性疲労症候群または乾癬性関節炎である。
【0039】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は自己免疫疾患である。いくつかの実施態様においては、該自己免疫疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬およびアレルギー性結膜炎から選択される。
【0040】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は変性疾患である。いくつかの実施態様においては、該変性疾患は、多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病から選択される。
【0041】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する組成物の投与によって治療または予防される慢性疾患は癌である。いくつかの実施態様においては、該癌は、乳癌、前立腺癌、および結腸直腸癌から選択される。
【0042】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供する方法にしたがって治療される対象は、慢性疾患に関連する1種類以上のリスク要因を有する、または有すると診断される。いくつかの実施態様においては、該対象は、喫煙、栄養不足、肥満、糖尿病、および過度のアルコール摂取から選択される少なくとも1種類のリスク因子を有する。
【0043】
いくつかの実施態様においては、本開示は、該提供されるトランス-クロセチン組成物を、別の治療剤との併用療法で投与する方法および投与レジメンを提供する。
【0044】
本明細書に記載される組成物および方法のさらに他の特徴および利点については、添付図面と共に以下の詳細な記述を読むことによりさらに明確になるであろう。
【0045】
定義
他で特段に定義されるのでない限り、本明細書において用いるすべての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同一の意味を有する。提供する組成物の実施または試験において、本明細書に記載のものに類似、あるいは同等の方法および材料を用いることが可能であるが、好適な方法および材料については後述する。本明細書において言及する個々の公開物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照としてその内容全体が本明細書に組み入れられる。矛盾が存在する場合には、定義を含み本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、実例を示す目的のみにおいて提示されるものであり、限定を意図するものではない。
【0046】
開示の組成物および方法のその他の特徴および利点は、下記の開示、図面および請求項によって明らかになるであろう。
【0047】
実施態様が、本明細書において「を含む(comprising)」という表現で記載される場合にはいずれも、「を含む(containing)」、「~から成る(consisting of)」および/または「本質的に~から成る(consisting essentially of)」について記載される類似の実施態様もまた提供されるものであることを理解されたい。しかし、請求項において移行部として用いる場合には、それぞれ個別に解釈されるべきであり、また適切な法的および実際的な内容として解釈されるべきである(例えば、請求項において、移行部「を含む(comprising)」はより開放表現であると見なされるが、他方、「~から成る(consisting of)」はより排他的であり、「本質的に~から成る(consisting essentially of)」はその中間的位置にある)。
【0048】
本明細書中の単数形「a」、「an」、および「the」は、特段に単数であると明言されるのでない限り、あるいは複数形の包含を意図しないことが文脈から非常に明瞭でない限り、複数形を含むものである。単数形「a」、「an」、および「the」はまた、粒子集団における粒子の統計的平均組成、特性、またはサイズ(例えば、リポソームの平均直径、リポソームの平均ゼータ電位、リポソーム溶液中のリポソーム上の標的性部分の平均数、封入トランス-クロセチン分子の平均数)を含む。医薬組成物中のリポソームの平均粒子サイズおよびゼータ電位は、当該技術分野において公知の方法(動的光散乱など)を用いてが通常の方法で測定することができる。ナノ粒子組成物中の治療剤の平均量は、通常の方法、例えば、吸収分光法を用いて(例えば、紫外可視分光法)で測定するのであってもよい。
【0049】
本明細書中の用語「おおよそ」および「約」を1種類以上の目的値に関して用いる場合には、これらの用語は言及する参照値に類似した値を指すものである。特定の実施態様においては、用語「おおよそ」または「約」は、他で特段にそうではないことが明言されるのでない限り、あるいは文脈からそうでないことが明白でない限り、言及する参照値のいずれかの方向(超または未満)に関して、25%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以下の値の範囲を指す(ただし、そのような数が可能値の100%を超える場合を除く)。例えば、ナノ粒子組成物の脂質成分における所定の化合物の量に関して用いる場合には、「約」は言及する値の平均値+/-10%であり得る。例えば、所定の化合物を約40%含む脂質成分を含むナノ粒子組成物は、該化合物を30~50%含み得る。
【0050】
本明細書において「Aおよび/またはB」などの表現に用いる用語「および/または」は、AとBの両方;AまたはB;A(単独);およびB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの表現に用いる用語「および/または」は、以下の例のそれぞれを含むことが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0051】
本開示の実施態様がマーカッシュ群または代替物のその他の群分けについて記載される場合には、本開示の組成物または方法は、リストに示されている全群すべてを含むのみならず、その群の各メンバーを個別に含み、また主要群のうちの可能な全亜群を含み、さらに群のメンバーのうちの1種類以上を欠く主要群をも含むものである。本開示の組成物および方法は、本開示の組成物または方法の群メンバーのうちのいずれか1種類以上の明確な除外をも想定するものである。
【0052】
本明細書中の用語「複合体化した」は、トランス-クロセチンなどの生体高分子物質とシクロデキストリンまたはリン脂質などのポリマーの間の非共有結合性相互作用に関するものである。
【0053】
本明細書中の用語「シクロデキストリン」は、6~12グルコースユニットを含む非置換シクロデキストリン類、特に、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリンおよび/またはそれらの誘導体および/またはその混合物などの公知のシクロデキストリン類およびシクロデキストリン誘導体のいずれをも含む。本明細書において、特段にそうでないことを明言するのでない限り、「シクロデキストリン」は一般的に、トランス-クロセチンと複合体を形成可能な様々な数の(α-1,4)-連結D-グルコピラノシドユニットを含む親環状オリゴ糖または誘導体化環状オリゴ糖を指す。各シクロデキストリンのグルコピラノシドサブユニットは、2位および3位の位置に二次的な水酸基、および6位に一次の水酸基を有する。用語「親」、「非誘導体化」、または「不活性な」シクロデキストリンは、基本化学式C6H12O6を有するD-グルコピラノシドユニットを含むシクロデキストリンであって、さらなる化学的置換は含まないグルコース構造(例えば、6D-グルコピラノシドユニットから成るα-シクロデキストリン、7D-グルコピラノシドユニットから成るβ-シクロデキストリン、および8D-グルコピラノシドユニットから成るγ-シクロデキストリン)を有するシクロデキストリンを指す。親シクロデキストリンの物理的および化学的特性は、該水酸基を他の官能基で誘導体化することにより修飾し得る。特定の実施態様においては、該投与する組成物は、γ-シクロデキストリンと複合体化したトランス-クロセチンを含む。
【0054】
本明細書中の用語「結合した(conjugated)」は、トランス-クロセチンなどの生体高分子とポリエチレングリコールなどのポリマーまたは抗体または他のポリペプチドとの間の共有結合による結合を指す。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチンコンジュゲートは、非コンジュゲート型トランス-クロセチンと比較して、より長い半減期および/または標的特異性の強化を示す。
【0055】
本明細書中の用語「封入される」は、リポソームなどのポリマーに囲まれる、またはその内部に完全に含まれる生体高分子物質(例えば、トランス-クロセチン)の位置を指す。
【0056】
用語「リポソーム」は、脂質二重層で囲まれる内部相(すなわち、内部空間(内部溶液))を有する閉鎖性ベシクルを指す。リポソームは、小型単層ベシクル(SUV)などの小型の単一膜リポソーム、大型単層ベシクル(LUV)などの大型の単一膜リポソーム、巨大単層ベシクル(GUV)などのさらに大型の単一膜リポソーム、多重膜ベシクル(MLV)などの複数の同心性膜を有する多層リポソーム(例えば、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層、または10層)、または多小胞性ベシクル(MVV)などの不規則であって同心性ではない複数の膜を有するリポソームであり得る。リポソームおよびリポソーム製剤は、当該技術分野において公知である。リポソームを形成し得る脂質類としては、脂肪特性および脂肪様特性を有する全ての物質が挙げられる。リポソーム中の脂質を構成し得る脂質としては、グリセリド類、グリセロリン脂質類、グリセロホスフィノ脂質類、グリセロホスホノ脂質類、スルホ脂質類、スフィンゴ脂質類、リン脂質類、イソプレノリド類(isoprenolides)、ステロイド類、ステアリン類、ステロール類、アルケオ脂質類(archeo脂質s)、合成陽イオン性脂質および炭水化物含有脂質類が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0057】
「リポソーム組成物」は、リポソームおよびリポソーム内の内容物を含む調製組成物であるが、ここでリポソームは、特にリポソーム二重層を形成する脂質類、リポソームの二重層内部の脂質類以外の化合物、リポソームの水性内部の化合物および水性内部に関連する化合物、ならびにリポソーム外層に結合している化合物またはリポソーム外層に会合している化合物を含む。したがって、リポソームの脂質類に加えて、本明細書に記載のリポソーム組成物は、好適には、治療剤、免疫刺激剤、ワクチン抗原およびアジュバント、添加剤、担体および緩衝剤を含んでいてもよいが、これらのみに限定されるものではない。好ましい一実施態様においては、そのような化合物は、リポソーム組成物の安定性またはAGP取り込み効率を補完するものである、および/またはそれらにとって有意に悪影響を及ぼすものではない。
【0058】
用語リポソームの「内部相」、「内部空間」、および「内部核」は、同義語として用いられ、リポソームの脂質二重層に囲まれる(すなわち、それによって封入される)水性領域を意味する。リポソーム内部相の溶液を「内部溶液」とよぶ。対照的に、用語「リポソームの外部相」は、リポソームが液体に分散されている場合に、内部相および脂質二重層から離れた領域などのリポソームの脂質二重層に囲まれていない領域を指す。
【0059】
用語「カウンターイオン」は、陰イオン性または陽イオン性のカウンターイオンを指す。
【0060】
「陽イオン性カウンターイオン」は、電気的中性を維持するため、陰イオン性の原子または基と会合する正に荷電した原子または基を指す。陽イオン性カウンターイオンの例としては、無機陽イオン(例えば、金属陽イオン(例えば、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン、および遷移金属陽イオン))および有機陽イオン(例えば、アンモニウム陽イオン、スルホニウム陽イオン、ホスホニウム陽イオン、およびピリジニウム陽イオン)が挙げられる。「陰イオン性カウンターイオン」は、電気的中性を維持するため、陽イオン性の原子または基と会合する負に荷電した原子または基を指す。陰イオン性カウンターイオンの例としては、ハロゲン化物陰イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、およびI-)、NO3-、ClO4-、OH-、H2PO4
2-、HSO4-、スルホン酸陰イオン(例えば、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホナート、ベンゼンスルホン酸塩、10-樟脳スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホン酸塩、エタン-1-スルホン酸-2-スルホン酸塩など)、およびカルボン酸陰イオン(例えば、酢酸、エタノエート、プロパン酸塩、安息香酸、グリセリン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、およびグリコール酸塩)が挙げられる。カウンターイオンは、一価あるいは多価(例えば、二価、三価、四価など)であり得る。
【0061】
用語「イオン化可能」は、(a)正電荷または負電荷を有し(すなわち、「イオン化」)そのため反対電荷のカウンターイオンと会合する、または(b)より高いpHまたはより低いpHで電気的に中性であるがイオン化する少なくとも1種類の官能基を含む化合物を指す。したがって、イオン化可能化合物としては、第4級アンモニウム塩ならびに非荷電アミン類、およびカルボン酸部分ならびに非荷電カルボキシル基が挙げられる。
【0062】
用語「天然の」は、天然の供給源から単離されたものであるかまたは化学的に合成されたものであるかを問わず、天然に存在する化合物または組成物を指す。天然のカロテノイドモノカルボン酸およびジカルボン酸の例としては、クロセチン、ノルビキシン、アザフリン、およびアカパンカビキサンチンが挙げられる。
【0063】
本明細書中の「有効量」は、医学的に望ましい結果を与えるのに充分な薬剤用量を指す。有効量は、所望の結果、治療または予防する特定の疾患または病態、治療対象の年齢および身体的状態、病態の重症度、治療期間、(実施の場合には)同時療法または併用療法の性質、特定の投与経路、および医療保健専門家の知見および専門知識の範囲内である因子などによって異なる。「有効量」は、言及される目的に関連して通常の方法で実験的に決定することができる。
【0064】
ARDS、COPD、敗血症または肺の炎症などの肺疾患の場合には、薬剤の有効量は、例えば、pAO2/FiO2比が改善する(P/F比、例えば、少なくとも15%、20%、25%、PaO2/FiO2比が増加する、あるいは投与から24時間以内にPaO2/FiO2比が200mmHg超に増加する)身体的検査および呼吸速度の正常化、挿管および人工呼吸が必要になることを防ぐpCO2の正常化、(人工呼吸器装着者については)人工呼吸器に繋がれる日数の短縮、入院期間の短縮、集中治療室での治療日数の短縮、またはそれらの組み合わせによって示されるなど、肺機能を安定化または改善するものであってもよい。
【0065】
癌の場合には、薬剤の有効量は、例えば、癌細胞数を減少させる;腫瘍サイズを減少させる;末梢臓器への癌細胞浸潤を阻害する(すなわち、ある程度緩徐化させる、および好ましくは停止させる);腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度緩徐化させる、および好ましくは停止させる);腫瘍増殖をある程度阻害する;および/または該障害に関連する症状のうちの1種類以上をある程度緩和するものであってもよい。存在する癌細胞の増殖を阻止し得る、および/または存在する癌細胞を殺滅し得る程度において、該薬剤は細胞増殖抑制性および/または細胞毒性(傷害性)であってもよい。癌療法については、例えば、生存期間、進行のない生存期間(PFS)、奏効率(RR)、奏効の持続時間、および/または生活の質を評価することによって、インビボ有効性を評価することができる。
【0066】
本明細書中の表現「それを必要とする対象」は、老化および/または慢性疾患の1種類以上の症状または徴候を示す、または老化および/または慢性疾患の1種類以上の症状または徴候を有すると判定され、そのため特定の治療法を必要とする対象(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を意味する。いくつかの実施態様においては、該診断は任意の診断手段であり得る。本明細書に記載の方法および治療レジメンのいずれかにおいては、該対象はそれを必要とするものであり得る。いくつかの実施態様においては、用語「それを必要とする対象」は、例えば、治療前に、加齢関連疾患または病態の1種類以上の症状を示す(または示した)患者、および/または老化バイオマーカーおよび/またはSASPを示す患者を含む。いくつかの実施態様においては、用語「それを必要とする対象」は、例えば、治療前に、慢性疾患または病態の1種類以上の症状を示す(または示した)患者、および/または慢性疾患バイオマーカーを示す患者を含む。
【0067】
用語「過剰増殖性障害」、「増殖性疾患」、および「増殖性障害」は、本明細書において、インビトロまたはインビボを問わず腫瘍性増殖または肥厚成長など望ましくない過剰細胞または異常細胞の不要細胞増殖または非制御性細胞増殖に関連する同義語として用いられる。いくつかの実施態様においては、該増殖性疾患は、癌または腫瘍性疾患(良性または癌性を含む)および/またはいずれかの転移であるが、該癌、腫瘍および/または該転移はどの部位に位置するものであってもよい。いくつかの実施態様においては、該増殖性疾患は良性または悪性の腫瘍である。いくつかの実施態様においては、該増殖性疾患は非癌性疾患である。いくつかの実施態様においては、該増殖性疾患は、過形成、線維症(特に肺であるが、他の種類の線維症(腎線維症など)も含む)、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症および血管平滑筋の増殖(狭窄症または血管形成術後の再狭窄など)などの過剰増殖性病態である。
【0068】
「癌」、「腫瘍」、または「悪性腫瘍」は同意語として用いられ、細胞の非制御性異常増殖、罹患細胞が局所的に拡散、または血流およびリンパ系を経由して身体の他の部分に拡散する(転移する)能力、ならびに多くの特徴的な構造上の特性および/または分子特性のいずれかによって特徴付けられる多くの障害を指す。本明細書中の「腫瘍」は、悪性であるか良性であるかにかかわらず、全ての腫瘍細胞増殖と拡散ならびに全ての前癌状態および癌性の細胞と組織を指す。「癌性腫瘍」または「悪性細胞」は、分化せず、浸潤および転移が可能である特定の構造特性を有する細胞であると理解される。本明細書において提供するリポソームトランス-クロセチン組成物および/または投与レジメンを用いて治療可能な癌としては、例えば、肺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、頭頸部癌、胃癌、消化管の癌、結腸直腸癌、食道癌、子宮頸癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、胆嚢癌、膀胱癌、肉腫(例えば、骨肉腫)、脳腫瘍、中枢神経系の癌、および黒色腫などの非造血器悪性腫瘍;例えば、白血病、リンパ腫およびその他のB細胞悪性腫瘍、骨髄腫およびその他の形質細胞形成異常などの悪性血液疾患、または悪液質が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。トランス-クロセチン組成物を用いて治療するのであってもよい他の種類の癌および腫瘍は、本明細書において記載される、あるいは当該技術分野において公知である。用語「癌」、「癌性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性疾患」、および「腫瘍」は、本明細書において言及する場合には、相互に排他的ではない。
【0069】
「虚血」は、組織または臓器への血液供給の制限(組織灌流低下)に関するものであるが、これは細胞代謝に必要な酸素の欠乏を引き起こす。本明細書中の用語「虚血性傷害」は、細胞代謝に必要な酸素の欠乏に起因する損傷に関するものであり、また虚血に関連する病態に関するものであるが、そのような病態としては、虚血性脳卒中、末梢血管疾患、脳血管障害、腎臓疾患および虚血に関連する腎病理、再灌流、再灌流傷害、創傷に関連する虚血、組織灌流低下、虚血性再灌流傷害、一過性脳虚血、脳虚血再灌流、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、外傷性脳損傷、消化管虚血、肺塞栓、急性呼吸器不全、新生児呼吸窮迫症候群、周産期併存疾患(妊娠高血圧腎症および脳性麻痺に至らしめる病態など)を減らす産科急患、心筋梗塞、急性肢虚血または急性腸間膜虚血、冠動脈疾患、心臓性肝硬変、慢性鬱血性心不全、アテローム硬化性狭窄、貧血、血栓症、塞栓症、または片頭痛(例えば、慢性片頭痛または重度の偏頭痛障害)が挙げられるが、これらにのみに限定されるものではない。
【0070】
臓器「障害」または「不全」は、特定臓器がその期待される機能を果たさない病態を指す。外的な臨床介入なしに正常な恒常性を維持することができない場合には、臓器機能障害は臓器不全に進展する。臓器機能障害を判定する方法は、当該技術分野において公知であり、臓器不全順次評価スコア(SOFA)、多臓器機能障害(MOD)スコアおよびロジスティクス臓器機能障害(LOD)スコアを含むモニターおよびスコアが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0071】
「治療する(treating)」、または「治療(treatment)」、または「治療する(to treat)」などの用語は、(a)診断される病理学的障害または病態の症状を治癒する、緩徐にする、減弱する、軽減する、および/または該障害または病態の進行を停止させる治療的手段、および(b)標的障害または病態を予防する、および/またはその発生を緩徐化する予防的手段または防止手段、の両方を指す。所望の治療効果としては、老化および/または慢性疾患の発症または再発の予防、障害または病態に関連する症状の緩和、障害または病態の直接的または間接的病理学的影響の低減、転移の予防、障害または病態の進行速度の低下、老化および/または慢性疾患からの回復または老化および/または慢性疾患の緩和、および/または予後の向上または改善が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。したがって、治療を必要とする対象としては、例えば、すでに慢性疾患に罹患している対象、慢性疾患のリスクを有する対象、および慢性疾患の予防を行うべき対象が挙げられる。対象は、周知の医学的および診断的技術を用いて、例えば、慢性疾患に「罹患しているまたは罹患するリスクを有する」と判定される。特定の実施態様においては、対象が、例えば、該疾患または病態(例えば、老化および/または慢性疾患)に関連する症状の完全な、部分的な、または一過性の改善または消滅を示す場合には、本明細書において提供される方法にしたがって、該対象が良好に「治療」されるのである。治療は、本明細書において提供される開示の医薬組成物(例えば、リポソームトランス-クロセチン酸塩)単独、またはさらなる治療剤との組み合わせであり得る。
【0072】
用語「対象」および「患者」、および「動物」は、同義語として用いられ、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット、およびマウスなどの実験動物、およびその他の動物を指す。動物は、全脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物(ニワトリ、両生類、および爬虫類など)を含む。本明細書中の「哺乳動物」は、哺乳綱のいずれかのメンバーを指し、ヒトおよび非ヒト霊長類(チンパンジーおよびその他の類人猿およびサル種など);家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマなど);家畜哺乳動物(イヌおよびネコなど);齧歯類を含む実験室動物(マウス、ラットおよびモルモットなど)、および当該技術分野において公知の哺乳綱の他のメンバーが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。特定の一実施態様においては、該患者はヒトである。
【0073】
用語「高齢」は、中年を過ぎた高齢対象を指す。一実施態様においては、高齢の哺乳動物対象は、その哺乳動物種の通常の生存期間の三分の二を超えて生存している対象である。さらなる一実施態様においては、ヒトに関して、老人または高齢対象は、65歳超(70歳超、75歳超、80歳超の対象など)である。さらに別の一実施態様においては、マウスに関して、高齢マウスは、約14か月齢~約18か月齢である。
【0074】
治療剤(トランス-クロセチンおよび/または他の治療剤など)の「固定」または「均一」用量または「固定用量投与」または「均一用量投与」は、対象患者の体重(WT)または身体表面積(BSA)とは無関係に、ヒト患者などの対象に投与する用量を指す。したがって、該固定または均一用量は、mg/kgの用量またはmg/mの用量で表すのではなく、リポソームトランス-クロセチンおよび/または他の治療剤の絶対量で表すのである。
【0075】
いくつかの実施態様においては、該固定用量投与レジメンは、患者の体重(body weight)、体重(body mass)、年齢、性別、フレームサイズ、身長、一般的健康、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて、あるいは年齢、身長、性別、フレームサイズ、一般的健康とは無関係に2種類以上の固定用量に階層化することができる。例えば、該固定用量は、体重カテゴリーに含まれる対象、例えば、低体重、正常体重、または高体重の対象に好適な複数の(例えば、3種類の)固定用量に階層化することができる。一実施態様においては、体重に基づいて該固定用量を階層化する:低体重(例えば、100ポンド以下)、正常体重(例えば、100~190ポンド)、および高体重(例えば、190ポンド以上)のカテゴリー。別の一実施態様においては、12歳未満の小児、10歳~15歳の男の子、および12歳超の女性、および15歳超の男性の、年齢および性別のカテゴリーに基づいて該固定用量を階層化する。当業者であれば、体重に関連する因子を評価することが可能であり、対象を特定の体重カテゴリーに帰属させることができる。
【0076】
「負荷用量」は、治療の初期のステージにおいて対象に投与するトランス-クロセチン(例えば、リポソームトランス-クロセチン、遊離トランス-クロセチン、コンジュゲート化/複合体化トランス-クロセチン、またはそれらの組み合わせ)などの治療剤の量を指す。トランス-クロセチンの負荷用量は固定することもでき、あるいは非固定であってもよい。負荷用量の目的は、該対象において、維持投与のみの場合よりも迅速に治療剤を治療レベルに到達させることである。さらに、該負荷用量によって、維持投与に切り替えてから治療レベルを維持し得るに充分な治療剤(例えば、トランス-クロセチン)レベルに到達することが可能になる。さらに、該負荷用量によって、定常状態に到達させるべき治療剤を、比較的一定の治療レベルにすることが可能となる。治療剤の定常状態は、治療剤の総摂取がその排泄と動的平衡にある状態と見なすことができる。治療剤が治療レベルに達すれば、該負荷用量後には、固定維持用量で複数回投与する。該負荷用量濃度を増加させることによって、負荷用量間の時間間隔を延長することが可能となる。
【0077】
「維持用量」は、対象において治療剤の治療レベルを維持するために、治療期間を通じて該対象に投与するリポソームトランス-クロセチンなどの治療剤の量を指す。治療剤のそのような治療レベルは、該維持用量を投与する前に、本明細書に記載されるような1種類以上の負荷用量を該対象に投与することによって、より迅速に到達し維持される。通常、該維持用量を分散治療間隔で繰り返し投与する。いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチンの維持用量を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチンの維持用量を、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。
【0078】
用語「薬学的に許容可能な担体」は、医薬製剤中の有効成分以外の成分であって、対象にとって非毒性である成分を指す。薬学的に許容可能な担体としては、緩衝液、担体、添加剤、安定化剤、希釈剤、または防腐剤が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。薬学的に許容可能な担体としては、例えば、1種類以上の適合性の固体状または液体状の増量剤、希釈剤、または封入物質であって、ヒトまたはその他の対象への投与に好適な増量剤、希釈剤、または封入物質を挙げることができる。
【0079】
本明細書中の用語「治療剤」は、最も広義において、対象における所望の効果または有益な効果を提供可能な任意の薬剤を含む。したがって、この用語は、予防剤および治療剤の両方、ならびにそのような所望の効果を有する他の任意のカテゴリーの薬剤を含む。本開示の組成物および方法にしたがうトランス-クロセチンと共に、併用療法に用いる1種類また複数種類の治療剤は、対象の病態を治療する目的の薬剤を含み得る。
【0080】
用語「キット」は、本明細書において提供する方法および組成物を用いるために必要な1種類以上の要素のセットを指す。キット要素としては、リポソームトランス-クロセチンを含むトランス-クロセチン組成物、シクロデキストリン-トランス-クロセチン製剤、および本明細書に開示の遊離トランス-クロセチン製剤、試薬、緩衝液、容器および/または機材が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0081】
用語「放射線増感剤」は、腫瘍細胞を放射線療法に対してより感受性にする化合物を意味する。放射線増感剤の例としては、ミソニダゾール、メトロニダゾール、チラパザミン、およびトランス-クロセチンが挙げられる。
【0082】
製品
別の一実施態様においては、本開示は、本明細書に記載の老化および/または慢性疾患(例えば、本明細書に記載の老化および/または慢性疾患)の治療に有用な材料を含む製品を提供する。該製品は、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを含むバイアルおよび任意選択的に添付文書を含む。該バイアルは、各種の材料(ガラスまたはプラスチックなど)によって作られるものであってもよく、また穴を開けることのできる栓に取り付けた注射筒によって密閉されるのであってもよい。さらなる実施態様においては、該製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射筒などを含む商業的視点およびユーザーの視点から見て望ましい他の材料を含むのであってもよい。一実施態様においては、該製品は、固定用量のリポソームトランス-クロセチン(例えば、リポソームトランス-クロセチンまたはガンマシクロデキストリンと複合体化したトランス-クロセチン)を含むバイアルを含むが、ここで該固定用量は、例えば、おおよそ140mg、420mg、500mg、525mg、840mg、または1050mgのトランス-クロセチンである。一実施態様においては、該製品は、固定用量おおよそ140mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルを含む。一実施態様においては、該製品は、固定用量おおよそ250mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルを含む。一実施態様においては、該製品は、固定用量おおよそ300mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルを含む。一実施態様においては、該製品は、固定用量おおよそ140mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルおよび/または固定用量おおよそ250mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルを含む。一実施態様においては、該製品は、固定用量おおよそ140mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルおよび/または固定用量おおよそ300mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルを含む。
【0083】
さらなる特定の一実施態様においては、該製品は、固定用量おおよそ140mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルおよび/または固定用量おおよそ250mgのリポソームトランス-クロセチンを含む1つ以上のバイアルを含む。
【0084】
いくつかの実施態様においては、該製品は、添付文書をさらに含む。該添付文書は、複数回固定用量のリポソームトランス-クロセチン医薬組成物を投与することおよび/または本明細書において提供される本発明の投与レジメンにしたがう組成物を投与する指示を提供するものであってもよい。該添付文書はまた、本明細書に記載の老化および/または慢性疾患などの障害および病態を治療する薬剤調製および/または服用指示を提供するものであってもよい。
【0085】
医薬組成物
本明細書中の用語「医薬組成物」は通常、疾患または病態を治療または予防するための薬剤または検査または診断するための薬剤を指す。該提供する医薬組成物は、市販の出発材料、文献において公知の化合物を用いる、あるいは容易に調製される中間体から、標準合成法および当業者に公知の手段、または本明細書の内容を考慮すれば当業者には明らかな手段のいずれかを用いることによって、各種の方法で調製することができる。有機分子の調製および官能基転換および操作に関する標準的合成方法および手段は、関連する科学文献または当該技術分野の標準的な教科書から得ることができる。いずれか1種類または複数種類のソースに限定されるものではないが、以下のような古典的な教科書:
Smithらの「マーチ最新有機化学:反応、機構、および構造(March’s Advanced Organic Chemistry. Reactions, Mechanisms, and Structure)」第5版、John Wiley & Sons: New York、2001; Greene、T.W.、Wuts、P.G. M.の「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」第3版、John Wiley & Sons:New York、1999; R.Larockの「ラロック有機変換ガイド(Comprehensive Organic Transformations)」、VCH Publishers(1989); L.FieserおよびM.Fieserの「フィーザー有機合成試薬(Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons(1994);およびL.Paquette編「有機合成用試薬百科事典(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons(1995)は、有用であり、当業者には公知の有機合成の参考教科書とみなされる;これらの参考文献は、参照として本明細書に組み入れられる。以下の合成法に関する記載は、本開示の化合物を調製する一般的な手順を具体的に説明する意図のものであるが、これらのみに限定されるものではない。
【0086】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、
化学式:
【化1】
Q-トランス-クロセチン-Q
を有するトランス-クロセチンを含む:
ここでQは多価陽イオン性カウンターイオンである。いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は固定用量のリポソームトランス-クロセチンである。いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを含まない。
【0087】
いくつかの実施態様においては、Qは多価金属陽イオンである。さらなる実施態様においては、Qは多価遷移金属陽イオンである。いくつかの実施態様においては、Qは二価陽イオン性カウンターイオンである。さらなる実施態様においては、Qは二価金属陽イオンである。いくつかの実施態様においては、QはCa2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1種類のメンバーである。さらなる実施態様においては、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施態様においては、QはCa2+である。いくつかの実施態様においては、QはMg2+である。その他の実施態様においては、QはFe3+などの三価陽イオン性カウンターイオンである。いくつかの実施態様においては、Qは多価有機陽イオンである。さらなる実施態様においては、Qはプロトン化ジアミンなどの二価有機陽イオンである。該トランス-クロセチン組成物を含むリポソームおよび該リポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)もまた本明細書において提供する。いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、固定用量のリポソームトランス-クロセチンである。いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを含まない。
【0088】
いくつかの実施態様においては、本開示はトランス-クロセチンカルシウム(CTC)を含む医薬組成物を提供する。該CTCは、線状および/または環状で存在し得る(下に示す):
【化2】
該CTC組成物を含むリポソームおよび該リポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)もまた、本明細書において提供する。いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、固定用量のリポソームCTCである。いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は、固定用量のリポソームCTCを含まない。
【0089】
いくつかの実施態様においては、本開示はトランス-クロセチンマグネシウム(MTC)を含む医薬組成物を提供する。該MTCは、線状および/または環状で存在し得る(下に示す):
【化3】
該MTC組成物を含むリポソームおよび該リポソームを含む医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)もまた、本明細書において提供する。いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、固定用量のリポソームMTCである。いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は、固定用量のリポソームMTCを含まない。
【0090】
リポソーム組成物に含まれるリポソームの脂質類およびその他の成分は、任意の脂質、任意の脂質の組み合わせと比、または脂質類と他のリポソーム成分の組み合わせおよび当該技術分野において公知のそれらのそれぞれの比であり得る。しかし、非限定的であるが、本明細書中で考察されるトランス-クロセチン組成物などのいずれかの特定薬剤のリポソーム封入が、有用かつ機能的リポソーム製剤を作成するために実質的な通常的実験を含み得ることは、当業者であれば理解するであろう。一般的に、該提供するリポソームはいずれのリポソーム構造を有するものであってもよく、例えば、1種類以上の脂質二重層によって外側の媒体から隔離された内部空間を有する構造、あるいは膜が内部を隔離する親油性中心部を有する半透膜を持つ任意のマイクロカプセルなどが挙げられる。該脂質二重層は、親水性部分(親水性部)および疎水性部分(疎水性部)を特徴とする両親媒性分子の任意の配置であり得る。通常、二重層の両親媒性分子は、疎水性部分がシートの内を向き、他方親水性部分が外を向く2次元シート配置をとる。該提供するリポソームを形成する両親媒性分子は、任意の公知の両親媒性分子または今後発見される両親媒性分子、例えば、合成または天然起源の脂質類または生体適合性脂質類であり得る。該リポソームは、両親媒性ポリマーおよび界面活性剤、例えば、ポリメロソーム類(polymerosome)およびニオソーム類によっても形成し得る。本開示の目的においては、非限定的であるが、これらのリポソーム形成性材料もまた「脂質類」とよぶ。
【0091】
本明細書において提供するリポソーム組成物製剤は、液状形態、あるいは乾燥粉末または乾燥固形物などの乾燥形態であり得る。該乾燥粉末または乾燥固形物は、例えば、凍結乾燥条件下で1次の乾燥を行うのであってもよく、あるいは任意選択的に、該乾燥固形物または乾燥粉末は、1次の乾燥のみを2回行う、または1次と2次の乾燥の両方を行うのであってもよい。該乾燥形態においては、該粉末または固形物は、例えば、1%~6%の水分(例えば、2%~5%の水分または2%~4%の水分など)を有するのであってもよい。乾燥法の一例は、凍結乾燥(lyophilization)(凍結乾燥(freeze-dryingまたはcryodessicationともよばれる)である。本開示のいずれの組成物および方法も、リポソーム、凍結乾燥リポソーム、または凍結乾燥リポソームから再構成したリポソームを含み得る。いくつかの実施態様においては、該組成物および方法は、1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結防止剤を含む。これらの保護防止剤は、典型的には糖類(単糖類、二糖類、および多糖類)、ポリアルコール類、およびそれらの誘導体、グリセロール、またはポリエチレングリコール、トレハロース、マルトース、スクロース、グルコース、乳糖、デキストラン、グリセロール、またはアミノグリコシド類などのポリヒドロキシ化合物である。さらなる実施態様においては、該凍結乾燥保護剤または凍結防止剤は、リポソーム外部、リポソーム内部、またはリポソーム外部と内部の両方に最大10%または最大20%の溶液を含む。
【0092】
リポソームの特性は該リポソームの作成に用いる脂質類の性質の影響を受ける。リポソームの作成には様々な脂質類が用いられている。そのような脂質類としては、陽イオン性、陰イオン性、および中性脂質類が挙げられる。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン組成物(例えば、CTCおよびMTC)を含むリポソームは陰イオン性または中性である。その他の実施態様においては、該提供するリポソームは陽イオン性である。電荷(例えば、陰イオン性、中性または陽イオン性)の決定については、該リポソームのゼータ電位を測定することによって通常の方法で決定し得る。該リポソームのゼータ電位は、正、ゼロまたは負であり得る。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、-150~150mV、または-50~50mVまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位はゼロ以下である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、-150~0、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVまたはそれらの間のいずれかの範囲である。その他の実施態様においては、該リポソームのゼータ電位はゼロより高い。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mV、またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0093】
所望の用途に応じて、該リポソームの粒子サイズ(直径)を制御し得る。例えば、血管透過性/滞留性亢進(EPR)効果によって、注射用製品などとしての該リポソームを癌性組織または炎症組織に送達することを意図する場合には、リポソーム直径が20~500nm、30~175nm、または50~150nmまたはそれらの間のいずれかの範囲であることが好ましい。リポソームをマクロファージに運ぶ意図である場合には、リポソームの直径は、30~1000nm、または80~400nm、またはそれらの間のいずれかの範囲であることが好ましい。リポソーム組成物を経口調製剤または経皮製剤として用いる意図の場合には、リポソームの粒子サイズは数ミクロンに設定し得る。正常組織においては、血管壁は障壁として作用し(その理由は、血管壁が血管内皮細胞によって高密度に構成されることである)、特定のサイズの高分子およびリポソームなどのマイクロ粒子は組織内に分布することができないことに留意されたい。しかし、罹患組織では、血管壁が緩んでおり(その理由は、血管内皮細胞間に隙間を有することである)、そのため血管透過性が亢進して、高分子およびマイクロ粒子が血管外組織に分布し得る(浸透性増強)。さらに、正常組織ではリンパ系がよく発達しているが、罹患組織においては、リンパ系が発達せず、一旦取り込まれた高分子またはマイクロ粒子は一般的システムによっては再循環されず罹患組織に留まり(滞留性延長)ので、これがEPR効果の基盤となることが公知である(Wangら、Ann. Rev. Med. 63:185-198 (2012); Peerら、Nat. Nanotech. 2:751-760 (2007); Exp. Opin. Drug Deliv. 8:565-580 (2011); Huwylerら、Int. J. Nanomed. 3:21-29 (2008);Maruyamaら、Adv. Drug Deliv. Rev. 63:161-169 (2011);MusacchioおよびTorchilin、Front. Biosci. 16:1388-1412 (2011);Baryshnikov、Vest. Ross. Akad. Med. Nauk. 23-31 (2012);およびTorchilin、Nat. Rev. Drug Disc. 4:145-160 (2005))。したがって、リポソーム粒子サイズ(直径)を調整することによってリポソーム薬物動態を制御することが可能である。
【0094】
いくつかの実施態様においては、遺伝子形質転換剤として通常用いられる陽イオン性リポソームを作成するために、陽イオン性脂質を用いる。陽イオン性リポソーム上の正電荷によって、細胞表面の負電荷との相互作用が可能になる。該陽イオン性リポソームが細胞と結合した後、該リポソームは飲食作用によって細胞内部に輸送される。
【0095】
いくつかの好ましい実施態様においては、中性~陰イオン性のリポソームを用いる。好ましい一実施態様においては、陰イオン性リポソームを用いる。例えば、HSPCなどの中性脂質類およびPEG-DSPEなどのアニオン性脂質類の混合物を用いることによって、正常細胞に非特異的に結合する可能性が低い陰イオン性リポソームが形成される。腫瘍細胞への特異的結合は、例えば、葉酸受容体抗体など(例えば、葉酸受容体アルファ抗体、葉酸受容体ベータ抗体および/または葉酸受容体デルタ抗体を含む)の腫瘍を標的とする抗体を用いることによって、達成可能である。
【0096】
一例として、脂質類の少なくとも1種類(または複数種類)は、親水性部分および疎水性部分(典型的には親水性頭部および疎水性尾部)を有するものと定義される両親媒性脂質類である。該疎水性部分は典型的には疎水性相(例えば、二重層内)に配向するが、他方、親水性部分は典型的には水相(例えば、二重層の外部)の方向に配向する。該親水性部分は、極性基または荷電基(炭水化物、リン酸、カルボキシル基を持つ、硫酸、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、ヒドロキシおよび他の同様の基など)を含み得る。該疎水性部分は無極性基を含み得る;そのような基としては、長鎖飽和脂肪族炭化水素基および不飽和脂肪族炭化水素基および1種類以上の芳香族基、脂環式基または複素環式基で置換されている基が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。両親媒性化合物の例としては、リン脂質類、アミノ脂質類およびスフィンゴ脂質類が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0097】
典型的には、例えば、該脂質類はリン脂質類である。リン脂質類としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリンなどが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。コレステロール、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンなどの他の脂質膜成分を用い得ることを理解されたい。
【0098】
本明細書において提供するリポソームを含む脂質類は、陰イオン性および中性のリン脂質類を含む陰イオン性および中性(両性イオン性および極性を含む)の脂質類であり得る。中性の脂質類は、選択されるpHにおいて非荷電または中性の両性イオン性形態で存在する。生理的pHでは、そのような脂質類としては、例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド類およびジアシルグリセロール類が挙げられる。両性イオン性脂質類の例としては、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。陰イオン性脂質類は、生理的pHにおいて負に荷電している。これらの脂質類としては、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン類、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン類、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン類、リジルホスファチジル-グリセロール類、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、および中性脂質類に連結するその他の陰イオン性修飾基が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0099】
陰イオン性および中性の脂質類は、本明細書において非陽イオン性脂質と総称される。そのような脂質類はリンを含むのであってもよいが、それらのみに限定されるものではない。非陽イオン性脂質の例としては、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジル-エタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイル-ホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルグリセロール(POPG)、16-0-モノメチルPE、16-0-ジメチルPE、18-1-トランス-PE、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、l-ステアロイル-2-オレオイルホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジル-イノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド類、リン酸ジセチル、およびコレステロールが挙げられる。
【0100】
該リポソームは、リポソーム成分(liposomal component)(リポソーム成分(liposome component)ともよばれる)を用いる当該技術分野において公知のいずれかのリポソームアセンブリ法を用いて構築するのであってもよい。リポソーム成分としては、例えば、DSPE、HSPC、コレステロールおよびこれらの成分の誘導体などの脂質類が挙げられる。その他の好適な脂質類は、市販の、例えば、Avanti Polar Lipids社(アラバスター、アラバマ州、米国)の脂質類である。陰イオン性リポソームの作成に好適な利用可能な負または中性の荷電脂質類の部分的リストとしては、例えば、以下のうちの少なくとも1種類であり得る:
DLPC、DMPC、DPPC、DSPC、DOPC、DMPE、DPPE、DOPE、DMPA・Na、DPPA・Na、DOPA・Na、DMPG・Na、DPPG・Na、DOPG・Na、DMPS・Na、DPPS・Na、DOPS・Na、DOPE-グルタリル・(Na)2、テトラミリストイルカルジオリピン・(Na)2、DSPE-mPEG-2000・Na、DSPE-mPEG-5000・Na、およびDSPE-マレイミドPEG-2000・Naが挙げられる。
【0101】
いくつかの実施態様においては、該提供する組成物を、陽イオン性脂質を含むリポソームに製剤化する。一実施態様においては、該陽イオン性脂質は、以下の参考文献に記載される陽イオン性脂質から選択されるが、これらにのみに限定されるものではない:国際特許出願WO2012/040184、WO2011/153120、WO2011/149733、WO2011/090965、WO2011/043913、WO2011/022460、WO2012/061259、WO2012/054365、WO2012/044638、WO2010/080724、WO2010/21865およびWO2008/103276;米国特許第7,893,302号、第7,404,969号、および第8,283,333号;および米国特許出願第20100036115号および第20120202871号;これらの参考文献は、それぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる。別の一実施態様においては、該陽イオン性脂質が以下の参考文献に記載される化学式Aから選択されるのであってもよいが、これらにのみに限定されるものではない:国際特許出願WO2012/040184、WO2011/153120、WO201/1149733、WO2011/090965、WO2011/043913、WO2011/022460、WO2012/061259、WO2012/054365およびWO2012/044638;これらの参考文献は、それぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる。さらに別の一実施態様においては、該陽イオン性脂質は:国際特許出願WO2008103276の化学式CLI-CLXXIX;米国特許第7,893,302号の化学式CLI-CLXXIX;米国特許第7,404,969号の化学式CLI-CLXXXXII;および米国特許出願第20100036115号の化学式I~VIから選択されるのであってもよいが、これらにのみに限定されるものではない;これらの参考文献は、それぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる。非限定的例として、該陽イオン性脂質は、以下から選択されるのであってもよい:(20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、(17Z、20Z)-N,N-ジメチル-ヘキサコサ-17,20-ジエン-9-アミン、(1Z,19Z)-N5N-ジメチルペンタコサ-16、19-ジエン-8-アミン、(13Z、16Z)-N,N-ジメチルドコサ-13,16-ジエン-5-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチルヘニコサ-12,15-ジエン-4-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-6-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-7-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-10-アミン、(15Z、18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-5-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-4-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-9-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-8-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17,20-ジエン-7-アミン、(16Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-6-アミン、(22Z,25Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ-22,25-ジエン-10-アミン、(21Z,24Z)-N,N-ジメチルトリアコンタ-21,24-ジエン-9-アミン、(18Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17-エン-9-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-7-アミン、N,N-ジメチルヘプタコサン-10-アミン、(20Z,23Z)-N-エチル-N-メチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、1-[(11Z,14Z)-1-ノニルイコサ11,14-ジエン-1-イル]ピロリジン、(20Z)-N,N-ジメチル-ヘプタコサ-20-エン-10-アミン、(15Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-15-en-10-アミン、(14Z)-N,N-ジメチルノナコサ-14-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルノナコサ-17-エン-10-アミン、(24Z)-N,N-ジメチルトリトリアコンタ-24-エン-10-アミン、(20Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20-エン-10-アミン、(22Z)-N,N-ジメチル-ヘントリアコンタ-22-エン-10-アミン、(16Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16-エン-8-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘニコサ-12,15-ジエン-1-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]エプタデカン-8-アミン、1-[(1S,2R)-2-ヘキシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-21-[R1S、2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘニコサン-10-アミン,N,N-ジメチル-1-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]-メチル}シクロ-プロピル]ノナデカン-10-アミン,N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン-8-アミン、N,N-ジメチル-[(1R,2S)-2-ウンデシル-シクロプロピル]テトラデカン-5-アミン、N,N-ジメチル-3-{7-[(1S、2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン-1-アミン、1-[(1R,2S)-2-ヘプチルシクロプロピル]-N,N-ジメチルオクタデカン-9-アミン、1-[(1S,2R)-2-デシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルペンタ-デカン-6-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ペンタデカン-8-アミン、R--N,N-ジメチル-1-[(9Z、12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、S-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]ethyl}ピロリジン、(2S)-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-[(5Z-)-オクタ-5-エン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z、12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘプチルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(ノニルオキシ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン;(2S)-N,N-ジメチル-1-[(6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(11Z、14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(ペンチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-3-[(11Z、14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(11Z,14Z)-イコサ-11、14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル1-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z)-ドコサ-13-エン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(13Z)-ドコサ-13-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(9Z)-ヘキサデカ-9-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2R)-N,N-ジメチル-H(1-メチルオクチル)オキシ]-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2R)-1-[(3,7-ジメチルオクチル)オキシ]-N、N-ジメチル-3-R9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシl-プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(オクチルオキシ)-3-({8-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチル-シクロプロピル]-メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-{[-(2-オクチルオクチル]オキシ}-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミンおよび(11E、20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-11,20,2-トリエン-10-アミンまたはその薬学的に許容可能な塩または酸または立体異性体。
【0102】
一実施態様においては、該脂質は国際特許出願WO2012/170889に記載される脂質などの開裂可能脂質であってもよい;この参考文献はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0103】
該陽イオン性脂質は、当該技術分野において公知の方法を用いた通常の方法で合成することができる(例えば、国際特許出願WO2012/040184、WO2011/153120、WO2011/149733、WO2011/090965、WO201/1043913、WO2011/022460、WO2012/061259、WO2012/054365、WO2012/044638、WO2010/080724およびWO2010/21865を参照のこと;これらの参考文献は、それぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0104】
脂質誘導体は、例えば、少なくとも1種類以上の立体安定化剤および/または官能基のリポソーム成分への結合(好ましくは共有結合)を含み得るが、結合後には、該立体安定化剤および/または官能基をリポソーム成分の一部であると見なすべきである。官能基は、蛋白質などの別の部分にリポソーム成分を連結させる目的で利用することのできる基を含む。そのような官能基としては、少なくともマレイミドが挙げられる。これらの立体安定化剤としては、ポリエチレングリコール(PEG);ポリ-L-リジン(PLL);モノシアロガングリオシド(GM1);ポリビニルピロリドン(PVP);ポリ(アクリルアミド)(PAA);ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン);ホスファチジルポリ-グリセロール;ポリ[N-(2-ヒドロキシ-プロピル)メタクリルアミド];両親媒性ポリN-ビニルピロリドン類;L-アミノ酸を基盤とするポリマー;およびポリビニルアルコールから成る群のうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0105】
いくつかの実施態様においては、該提供するトランス-クロセチン組成物は脂質/ポリ陽イオン複合体として製剤化される。脂質/ポリ陽イオン複合体の形成は、当該技術分野において公知の方法および/または米国特許出願第2012/0178702号に記載のような方法を用いて達成するのであってもよい;この参考文献はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。該ポリ陽イオンとしては、ポリリジン、ポリオルニチンおよび/またはポリアルギニンおよび国際特許出願WO2012/013326に記載される陽イオンペプチド(これらにのみに限定されるものではない)などの陽イオン性のペプチドまたはポリペプチドが挙げられるが、これらにのみに限定されるものではない;上記参考文献はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。別の一実施態様においては、該提供するトランス-クロセチン組成物を脂質/ポリ陽イオン複合体として製剤化するが、該複合体はコレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(これらにのみに限定されるものではない)などの中性脂質をさらに含む。
【0106】
リポソームの成分はそれに結合するいずれかの分子(すなわち、化学/試薬/蛋白質)をも含み得るので、いくつかの実施態様においては、該提供するリポソームの成分は、少なくともDSPE、DSPE-PEG、DSPE-マレイミド、HSPC;HSPC-PEG;HSPC-マレイミド;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択されるメンバーを含む。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソームの成分としては、DSPE、DSPE-PEG、DSPE-マレイミド、HSPC;HSPC-PEG;HSPC-マレイミド;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドが挙げられる。好ましい一実施態様においては、該リポソームを構成するリポソーム成分としては、DSPE;DSPE-FITC;DSPE-マレイミド;コレステロール;およびHSPCが挙げられる。
【0107】
別の実施態様においては、本明細書において提供するリポソーム組成物のリポソームは、酸化リン脂質類を含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルコリン類および1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-2-リン酸塩から選択されるメンバーの酸化リン脂質を含む。いくつかの実施態様においては、該リン脂質類は不飽和結合を有する。いくつかの実施態様においては、該リン脂質類はアラキドン酸含有リン脂質類である。別の実施態様においては、該リン脂質類はsn-2-酸素化される。別の実施態様においては、該リン脂質類は非断片化形態である。
【0108】
いくつかの実施態様においては、本開示のリポソーム組成物のリポソームは、酸化1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(OxPAPC)を含む。本明細書中の用語「oxPAPC」は、l-パルミトイル-2-アラキドニル-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PAPC)の酸化によって生成した脂質類を指すが、該酸化によって、断片化または完全長の酸素化sn-2残基のいずれかを含む酸化リン脂質類の混合物が得られる。詳細に特徴付けされている酸化的断片化種はオメガ-アルデヒドまたはオメガ-カルボキシル基を有する5炭素sn-2残基を含む。アラキドン酸残基の酸化はまた、エステル化イソプロスタン類を含むリン脂質類をも生成する。oxPAPCの他の酸化物の中でも特に、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PC種が挙げられる。さらなる実施態様においては、該oxPAPCsはエポキシイソプロスタン含有リン脂質類である。さらなる実施態様においては、該oxPAPCは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタンE2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6-PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-シクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリル-コリン(PECPC)および/または1-パルミトイル-2-(エポキシ-イソプロスタンE2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)である。いくつかの実施態様においては、該リン脂質類は不飽和結合を有する。いくつかの実施態様においては、該リン脂質類はリン脂質類を含むアラキドン酸である。別の実施態様においては、該リン脂質類はsn-2-酸素化形態である。別の実施態様においては、該リン脂質類は非断片化形態である。
【0109】
いくつかの実施態様においては、本開示のリポソーム組成物のリポソームは、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリン;1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリンから選択される脂質を含む。さらなる実施態様においては、該リポソームはPGPCを含む。
【0110】
いくつかの実施態様においては、リポソーム脂質二重層の少なくとも1種類の成分は官能基化されている、または反応性である。本明細書の官能基化成分は、試薬および部分を該脂質に架橋する目的に利用可能な反応基を含む成分である。脂質が官能基化されている場合には、該脂質で構成されるリポソームもまた官能基化されている。いくつかの実施態様においては、該反応基は、架橋形成を目的として架橋剤(または他の部分)に反応する反応基である。リポソーム脂質二重層中の反応基は、該脂質上のいずれかの部位であって、架橋剤に接触可能であり、別の部分(例えば、立体安定化剤または標的性部分)に架橋される部位に位置する。いくつかの実施態様においては、該反応基は、例えば、リン脂質を含む該脂質の頭部基に存在する。いくつかの実施態様においては、該反応基はマレイミド基である。マレイミド基は、ジチオール架橋剤の存在下では互いに架橋され得る;そのようなジチオール架橋剤としては、ジチオスレイトール(DTT)が挙げられるが、これのみに限定されるものではない。
【0111】
上記のもの以外に、他の官能基化脂質類、他の反応基、および他の架橋剤の利用が、さらに意図されることを理解されたい。マレイミド基に加えて、意図される反応基の他の例としては、特に、第1級アミン類および第2級アミン類などのアミノ基、カルボキシル基、水酸基、アルデヒド基、アルキン基、アジド基、カルボニル類、ハロアセチル基(例えば、ヨードアセチル)、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル類、スルフィドリル基、およびピリジルジスルフィド基などの他のチオール反応基が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0112】
官能基化脂質類および非官能基化脂質類は、Avanti Polar Lipids社(アラバスター、アラバマ州)およびLipoid LLC社(ニューアーク、ニュージャージー州)を含む複数の市販品が入手可能である。
【0113】
いくつかの実施態様においては、該リポソームは、血液循環においてその滞留寿命を延長する立体安定化剤を含む。親水性ポリマー(ポリエチレングリコール(PEG))、糖脂質(モノシアロガングリオシド(GM1))などの1種類以上の立体安定化剤は、該リポソーム表面に直接隣接する空間を占め、この空間から他の高分子を排除する。そのため、リポソーム表面への血漿オプソニン類の近接と結合が妨害されるので、そのようなリポソームとマクロファージの相互作用、およびその他のいずれの除去機構も阻害され、血液循環におけるリポソームの滞留長寿が延長されるのである。いくつかの実施態様においては、該立体安定化剤または該複数の立体安定化剤は、PEGまたはPEGを含む組み合わせである。さらなる実施態様においては、該立体安定化剤は、数平均分子量(Mn)200~5000ダルトンのPEGまたはPEGを含む組み合わせである。これらPEGは、線状、分岐状、星状、または櫛状構造などの任意の構造であり得る;また、市販されている。
【0114】
いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物のリポソームは、ペグ化されている(例えば、ペグ化リポソームCTCおよびペグ化リポソームMTC)。いくつかの実施態様においては、該ペグ化リポソームは水溶性である。すなわち、該ペグ化リポソームは水溶液の形態である。
【0115】
該提供するリポソームの直径は特に限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、該リポソームの平均直径は、例えば、20nm~500nm(ナノメータ-)、または20nm~200nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームの平均直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0116】
いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物を含む溶液のpHは、pH2~8またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物を含む溶液のpHは、pH5~8、または6~7またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物を含む溶液のpHは、pH6~7またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物を含む溶液のpHは、6~7.5、6.5~7.5、6.7~7.5、または6.3~7.0またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0117】
別の実施態様においては、該提供するリポソーム組成物は緩衝化剤を含む。さらなる実施態様においては、緩衝化剤は、HEPES、クエン酸、またはリン酸ナトリウム(例えば、一塩基性および/または二塩基性のリン酸ナトリウム)から選択される。いくつかの実施態様においては、該緩衝化剤はHEPESである。いくつかの実施態様においては、該緩衝化剤はクエン酸塩である。いくつかの実施態様においては、該緩衝化剤はリン酸ナトリウム(例えば、一塩基性および/または二塩基性のリン酸ナトリウム)である。いくつかの実施態様においては、該緩衝化剤は、濃度が15~200mMまたはそれらの間のいずれかの範囲である。またさらなる実施態様においては、該緩衝化剤は、濃度が5~200mM、15~200、5~100mM、15~100mM、5~50mM、15~50mM、5~25mM、5~20mM、5~15mMまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該緩衝化剤は、5~200mMまたはそれらの間のいずれかの範囲の濃度のHEPESである。いくつかの実施態様においては、該緩衝化剤は、5~200mMまたはそれらの間のいずれかの範囲の濃度のクエン酸塩である。いくつかの実施態様においては、該緩衝化剤は5~200mMまたはそれらの間のいずれかの範囲の濃度の、リン酸ナトリウムである。
【0118】
別の実施態様においては、該リポソーム組成物は1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結防止剤を含む。いくつかの実施態様においては、該凍結防止剤はマンニトール、トレハロース、ソルビトール、またはスクロースである。いくつかの実施態様においては、該凍結乾燥保護剤および/または凍結防止剤は、該組成物中に1~20%、または5~20%重量パーセントまたはそれらの間のいずれかの範囲で存在する。
【0119】
別の実施態様においては、該提供するリポソーム組成物は等張化剤を含む。いくつかの実施態様においては、該等張化剤の濃度(重量パーセント)は、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1~15%、または1~50%またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物としては、糖(例えば、トレハロース、マルトース、スクロース、乳糖、マンノース、マンニトール、グリセロール、デキストロース、フルクトースなど)が挙げられる。さらなる実施態様においては、該糖の濃度(重量パーセント)は、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1%~15%、または1~50%またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0120】
いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物はトレハロースを含む。さらなる実施態様においては、トレハロースの濃度重量パーセントは、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1%~15%、5~20%、または1~50%またはそれらの間のいずれかの範囲である。またさらなる実施態様においては、トレハロースの濃度(重量パーセント)は1~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲である。別の一実施態様においては、トレハロースは約5%~20%の重量パーセントのトレハロース濃度で存在する、あるいは1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結防止剤の任意の組み合わせで総濃度5%~20%で存在する。いくつかの実施態様においては、リポソーム組成物のpHは、6~7.5、6.5~7.5、6.7~7.5、または6.3~7.0またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0121】
いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、デキストロースを含む。いくつかの実施態様においては、デキストロースの濃度重量パーセントは、0.1~20%、1~20%、0.5~15%、1~15%、5~20%、または1~50%またはそれらの間のいずれかの範囲である。特定の実施態様においては、デキストロースの濃度(重量パーセント)は、1~20%またはそれらの間のいずれかの範囲である。別の一実施態様においては、該デキストロースは1~20%重量パーセントのデキストロース濃度で存在する、あるいは1種類以上の凍結乾燥保護剤または凍結防止剤の任意の組み合わせで総濃度1%~20%、または5%~20%またはそれらの間のいずれかの範囲で存在する。
【0122】
いくつかの実施態様においては、本開示はトランス-クロセチン塩を封入するリポソームを含むリポソーム組成物を提供する。いくつかの実施態様においては、該リポソームはペグ化されている。いくつかの実施態様においては、該リポソームは標的型である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは非ペグ型であって標的型である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは非ペグ型であって非標的型である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、6百万未満、500,000未満、200,000未満、100,000未満、50,000未満、10,000未満、または5,000未満の数のトランス-クロセチン分子を含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、10~100,000、100~10,000、または1,000~5,000分子またはそれらの間のいずれかの範囲の分子数を含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、トランス-クロセチンおよび異なるカロテノイド類のうちの1種類以上を封入する。いくつかの実施態様においては、該非ペグ化型で標的型であるリポソームは、10~50、10~100、25~75、または30~200またはそれらの間のいずれかの範囲の数の標的性部分を含む。
【0123】
さらなる実施態様においては、該提供するリポソーム組成物は、トランス-クロセチン塩および1種類以上の薬学的に許容可能な水性担体を封入するリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム溶液はトレハロースを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム溶液は1%~50%重量のトレハロースを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム溶液は、濃度1~200mMおよびpH2~8またはそれらの間のいずれかの範囲のHBSを含む。いくつかの実施態様においては、リポソーム溶液のpHは5~8またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、リポソーム溶液のpHは6~7またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該提供するトランス-クロセチン塩は多価塩(例えば、二価、三価、または四価)である。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン塩はCTCである。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン塩はMTCである。
【0124】
該提供するリポソームは、少なくとも1種類の脂質二重層に囲まれる水性区画を含む。親水性頭部基を含む脂質類が水に分散されている場合には、ラメラとよばれる二重膜を自然に形成する。該ラメラは、脂質分子2枚の単層シートで構成されるが、それらのシートは互いに面する非極性(疎水性)表面および水性媒体に面する極性(親水性)表面を有している。用語「リポソーム」は、単一脂質二重層を構成し、一般的にその直径が、約20~約500nm、約50~約300nm、約50~約150nm、約30~約1000nm、約30~約175nm、約80~約400nm、または約80~約120nmである単層ベシクルを含む。リポソームはまた、一般的にその直径が0.5~10μmであり、水相の層と交互である2~数百の範囲である同心性脂質二重層を有する多重膜であり得る。いくつかの実施態様においては、リポソームは多重膜ベシクル(MLV)、大型の単層ベシクル(LUV)、および小型の単層ベシクル(SUV)を含み得る。該リポソームの脂質類は、陽イオン性、両性イオン性、中性、または陰イオン性、あるいはその混合物であり得る。
【0125】
該提供するリポソーム組成物中のリポソームのサイズは、ホスホ脂質組成物、その調製に用いる方法、およびについて意図するリポソームの治療用途に応じて、例えば、0.5nm~10μm、または20nm~5μmの範囲で変更し得る。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソームの中位径は、20nm~500nm、50nm~200nm、または20nm~200nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム中位径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、85~115nm、90~110nm、95~110nm、または95~105nm)である。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソームの中位径は、10~250nmまたはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、10~225nm、10~200nm、10~175nm、10~150nm、40~150nm、50~150nm、60~150nm、70~150nm、80~150nm、90~150nm、100~150nm、10~125nm、10~100nm、10~75nm、10~50nm、50~100nm、50~90nm、50~80nm、50~70nm、50~60nm、60~100nm、60~90nm、60~80nm、60~70nm、70~100nm、70~90nm、70~80nm、80~100nm、80~90nm、または90~100nm)である。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソームの中位径は、100~250nmまたはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、100~225nm、100~200nm、100~175nm、または100~150nm)である。その他の実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソームの中位径は、10~100nm、またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、約10~90nm、10~80nm、10~70nm、10~60nm、または10~50nm)である。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソームの中位径は、約500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、145nm未満、150nm未満、135nm未満、130nm未満、125nm未満、120nm未満、115nm未満、110nm未満、105nm未満、100nm未満、95nm未満、90nm未満、85nm未満、80nm未満、75nm未満、70nm未満、65nm未満、60nm未満、55nm未満、または50nm未満、45nm未満、または40nm未満である。動的レーザー光散乱法は、リポソーム直径の測定に用いられる当業者に公知の方法である。リポソーム直径(DLP)は、例えば、動的レーザー光散乱((Coulter N4粒子サイズ分析器)、Zetasizer Nano ZSP(マルバーン、英国)、およびELS-8000(Otsuka Electronics Co., Ltd.))を含む当該技術分野において公知の技術および設備のいずれかを用いた通常の方法で測定することができる。
【0126】
いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物は単分散サイズ(直径)の分布を有する。「単分散」および「均一サイズ分布」は、本明細書において同義語として用いられ、粒子の直径が同一またはほぼ同一である複数のリポソームナノ粒子またはマイクロ粒子を指す。本明細書中において、単分散分布は、粒子分布の75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、86%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%以上が、質量中位径85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%以内にある粒子分布を指す。
【0127】
いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソーム集団は比較的均一である。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソーム集団は不均一である。ナノ粒子組成物の均一性(例えば、該ナノ粒子組成物の粒子サイズ(直径)分布)を示すために多分散性指標を用いてもよい。低い(例えば、0.3未満)多分散性指標は一般的に狭い粒子サイズ分布を示す。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソーム集団の多分散性指標は、0~0.25、または0.01~0.1またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、0.001~0.2、0.005~0.1、0.005~0、0.005~0.09、0.009~0.09、0.01~0.08、0.02~0.09、または0.02~0.07またはそれらの間のいずれかの範囲)である。
【0128】
いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物中のリポソーム集団のリポソームは、脂質組成、脂質成分のモル比、サイズ、電荷(ゼータ電位)、標的リガンドおよび/またはそれらの組み合わせが異なる。
【0129】
ナノ粒子組成物のゼータ電位を用いて、該組成物の運動電位を示すのであってもよい。例えば、該ゼータ電位はナノ粒子組成物の表面電荷を表し得る。正または負の相対的に低電荷を有するナノ粒子組成物が一般的には望ましい;その理由は、より高度荷電の荷電種では、身体中の細胞、組織、および他の要素に対して望ましくない相互作用が起こり得るからである。いくつかの実施態様においては、ナノ粒子組成物のゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、または約+5mV~約+10mVであり得る。リポソームのゼータ電位は、例えば、動的光散乱(Zetasizer Nano ZSP(マルバーン、英国))およびレーザードップラー電気泳動を含む当該技術分野において公知の技術および設備を用いた通常の方法で測定可能である。
【0130】
トランス-クロセチンなどの治療薬および/または予防薬の封入効率は、提供の初期量に相対的な、封入された治療薬および/または予防薬の量、あるいは調製後のナノ粒子組成物の量で表す。該封入効率は高値であることが望ましい(例えば、100%に近い)。該封入効率は、例えば、該ナノ粒子組成物を含む溶液中の治療薬および/または予防薬の量を、封入されなかった治療薬および/または予防薬の除去前後で比較することによって決定するのであってもよい。本明細書に記載のリポソーム組成物に関して、トランス-クロセチンの封入効率は、少なくとも50%、例えば、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であり得る。いくつかの実施態様においては、該封入効率は少なくとも80%である。特定の実施態様においては、該封入効率は少なくとも90%である。特定の実施態様においては、該封入効率は少なくとも95%である。特定の実施態様においては、該封入効率は少なくとも98%である。
【0131】
別の実施態様においては、該提供するリポソーム組成物は、トランス-クロセチン塩を封入するリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該提供するリポソーム組成物におけるトランス-クロセチン/脂質の比は、1~1000g/molまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物におけるトランス-クロセチン/脂質の比は、10~200g/mM、10~150g/mM、10~100g/mM、20~200g/mM、20~150g/mM、20~100g/mM、30~200g/mM、30~150g/mM、30~100g/mM、40~200g/mM、40~150g/mM、40~100g/mM、50~200g/mM、50~150g/mM、または50~100g/mMまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチン/脂質の比は、30~90g/mMまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチン/脂質の比は、30~50g/mM、40~60g/mM、50~70g/mM、60~80g/mM、または70~90g/mMまたはそれらの間のいずれかの範囲である。別の実施態様においては、該リポソーム組成物におけるトランス-クロセチン/脂質の比は、20~120g/mM(例えば、約25~100g/mM)またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0132】
いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は両性イオン緩衝液を用いて緩衝化する。好適には、該両性イオン緩衝液はアミノアルカンスルホン酸または好適な塩である。アミノアルカンスルホン酸緩衝液の例としては、HEPES、HEPPS/EPPS、MOPS、MOBSおよびPIPESが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。好ましくは、該緩衝液は、市販の注射製品に用いる緩衝液など、ヒトヘの使用に好適な薬学的に許容可能な緩衝液である。より好ましくは、該緩衝液はHEPESである。該リポソーム組成物は好適にはAGPを含み得る。
【0133】
いくつかの実施態様においては、HEPESを用いて該リポソーム組成物を緩衝化する。いくつかの実施態様においては、pHが約7のHEPESを用いて該リポソーム組成物を緩衝化する。
【0134】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、陽イオン性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、ゼロよりも高いゼータ電位を有するリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームの直径は、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、50nm~200nm、または50nm~150nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該陽イオン性リポソームの直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%w/w以上のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物を調製する工程において、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、75%、80%、85%、90%、95%、または97%のリポソームトランス-クロセチン出発材料が該リポソーム組成物のリポソーム中に封入される。別の実施態様においては、該リポソームに封入されるトランス-クロセチンは、該リポソーム内でHEPES緩衝性溶液中に存在する。さらなる実施態様においては、該リポソームは、少なくとも1種類のOxPAPCを含む。
【0135】
いくつかの実施態様においては、該提供する医薬組成物は、陰イオン性または中性のリポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、ゼータ電位がゼロ以下のリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、-150~0、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mVまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該陰イオン性または中性のリポソームの直径は、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。その他の実施態様においては、該陰イオン性または中性のリポソームの直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該陰イオン性リポソームの直径は、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。さらなる実施態様においては、該陰イオン性リポソームの直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該中性リポソームの直径は、20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nm、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該中性リポソームの直径は、80nm~120nm、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%w/w以上のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物を調製する工程において、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%w/w以上のトランス-クロセチンの出発材料が該リポソーム中に封入される。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%w/w以上の該トランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該陰イオン性または中性のリポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%w/w以上の該トランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、リポソーム組成物は、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%w/w以上の該トランス-クロセチンを含む。別の実施態様においては、該陰イオン性または中性のリポソームに封入されるトランス-クロセチンは、該リポソーム内でHEPES緩衝性溶液中に存在する。さらなる実施態様においては、該リポソームは少なくとも1種類のOxPAPCを含む。
【0136】
いくつかの実施態様においては、該提供する医薬組成物は、少なくとも1種類のOxPAPCを含むリポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施態様においては、該OxPAPCは、酸化型および/または断片化酸素化sn-2残基含有リン脂質である。いくつかの実施態様においては、該OxPAPCは、オメガ-アルデヒドまたはオメガ-カルボキシル基を含む5炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質である。いくつかの実施態様においては、該OxPAPCは、HOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択される酸化リン脂質である。いくつかの実施態様においては、該OxPAPCは、エポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施態様においては、該OxPAPCはPGPCである。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3~20%、または5~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲のOxPAPCを含む陽イオン性リポソームを有する。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は陽イオン性リポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は中性リポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は陰イオン性リポソームを含む。別の実施態様においては、該リポソーム組成物は、直径が20nm~500nm、20nm~200nm、30nm~175nm、または50nm~150nmまたはそれらの間のいずれかの範囲であるOxPAPCを含む少なくとも1種類のリポソームを含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム組成物は、直径が80nm~120nm、またはそれらの間のいずれかの範囲であるOxPAPCを含む少なくとも1種類のリポソームを含む。
【0137】
いくつかの実施態様においては、該提供する医薬組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む陽イオン性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3~20%、または5~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲のOxPAPCを含む陽イオン性リポソームを有する。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、約10%のOxPAPCを含む陽イオン性リポソームを有する。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のPGPCを含む陽イオン性リポソームを有する。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3~20%、または5~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲のPGPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、約10%のPGPCを含む陽イオン性リポソームを有する。
【0138】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む陰イオン性または中性のリポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3~20%、または5~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲のOxPAPCを含む陰イオン性または中性のリポソームを有する。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、約10%のOxPAPCを含む陰イオン性または中性のリポソームを有する。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のPGPCを含む陰イオン性または中性のリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3~20%、または5~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲のPGPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、約10%のPGPCを含む陰イオン性または中性のリポソームを有する。
【0139】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、または少なくとも30%のOxPAPCを含む中性リポソームを含むリポソーム組成物である。いくつかの実施態様においては、該中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3~20%、または5~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲のOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、約10%のOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%または少なくとも30%のPGPCを含む。いくつかの実施態様においては、該中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、0.01%~35%、0.1%~30%、1%~25%、3%~20%、または5~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲のPGPCを含む。いくつかの実施態様においては、該中性OxPAPC含有リポソーム組成物は、約10%のPGPCを含む。
【0140】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、表面活性共重合体を含むリポソーム組成物である。表面活性共重合体は、ブロックポリマー非イオン性界面活性剤ともよばれ、1種類以上の活性水素原子を含む低分子量水溶性有機化合物に対する2つ以上のアルキレンオキシドの逐次付加によって合成される表面活性物質である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、ポロクサマー、メロキサポール、ポロクサミン、およびPLURADOT(登録商標)から選択される表面活性共重合体を含む。該リポソーム組成物中の表面活性共重合体は、リポソームに封入され得る、またはリポソームに組み込まれ得る、あるいは共有結合、イオン性相互作用、または他の結合相互作用によってリポソームに連結し得る;および/または該表面活性共重合体がリポソームに封入されず、組み込まれず、かつ該リポソーム組成物のリポソームに連結されないこともある(例えば、該表面活性共重合体リポソーム組成物から遊離しているのであってもよい)。
【0141】
いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、P188、およびP124などのポロクサマーを含むが、P182、P188、およびP234は細胞膜に結合し、虚血性傷害によって誘導された細胞透過性を顕著に低下させることが報告されている。本明細書に記載の実施態様はまた、臓器および細胞への酸素供給をより有効に増加させるが、これは再灌流傷害を軽減する手段で行われる。特定の理論または機序に限定することを意図するものではないが、ミトコンドリア機能不全および/または灌流不良および/または再灌流傷害に関連する代謝異常および酵素異常に起因する細胞内損傷を、上記の酸素送達が軽減するのだと考えられる。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、分子量2,000~20,000ダルトンのポロクサマーを含む。この分子量範囲内のポロクサマーは、潜在的毒性を最小化しながらも依然として水溶性である。いくつかの実施態様においては、該ポロクサマーの疎水性基はその分子量がおおよそ950~4,000ダルトンの範囲である。そのような実施態様においては、該親水性基がポロクサマーの重量でおおよそ45~95%を占めるのであってもよい。例示的な一実施態様においては、該疎水性基の分子量は1,750~3,500ダルトンで有り、該親水基は該分子の重量で50~90%を占める。
【0142】
いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、P108、P124、P138、P171、P181、P182、P185、P188、P234、P237、P288、およびP407から選択される少なくとも1種類のポロクサマーを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、P124、P182、P188、およびP234から選択される少なくとも1種類のポロクサマーを含む。
【0143】
特定の実施態様においては、該リポソーム組成物は、ポロクサマー188(P188)(プルロニックF68)を含む。
【0144】
別の実施態様においては、リポソーム組成物中のリポソームはペグ化型である。
【0145】
いくつかの実施態様においては、該提供する医薬組成物は非標的型リポソーム組成物である。すなわち、該リポソーム組成物中のリポソームは、対象とする標的細胞の表面上に発現するエピトープ(例えば、表面抗原上のエピトープ)に対する特異的親和性を有していない。さらなる実施態様においては、該非標的型リポソーム組成物はペグ化型である。
【0146】
一部の場合においては、標的部位におけるリポソーム蓄積は、癌組織などの特定の組織の浸透性増加および滞留特性に起因する可能性がある。そのような機構での蓄積は、部分的にはリポソームのサイズによる結果であることが多く、機能性を特異的標的とすることは必ずしも必要ではない。その他の実施態様においては、該提供するリポソームは標的剤を含む。一般に、該標的剤は、臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス、または細胞内領域に関連する標的などの対象とする標的に結合し得る。特定の実施態様においては、標的は癌性病態などの特定の病態に関連し得る。いくつかの実施態様においては、該標的要素は受容体などの唯一の特定標的に対して特異的であり得る。好適な標的としては、DNA、RNA、またはその修飾誘導体などの核酸を挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。また別の好適な標的としては、細胞外蛋白質、受容体、細胞表面受容体、腫瘍-マーカー、膜貫通蛋白質、酵素、または抗体などの蛋白質を挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。好適な標的としては、例えば、細胞表面上に存在し得る単糖、二糖、または多糖などの炭水化物を挙げることができる。
【0147】
特定の実施態様において、標的剤としては、標的リガンド(例えば、RGDを含むペプチド)、標的リガンドを模倣する低分子(例えば、ペプチド模倣性リガンド)、あるいは特定標的に特異的な抗体または抗体断片を挙げることができる。いくつかの実施態様において、標的剤としてさらに、葉酸誘導体、B-12誘導体、インテグリンRGDペプチド、NGR誘導体、ソマトスタチン誘導体またはソマトスタチン受容体に結合するペプチド、例えば、オクトレオチドおよびオクトレオテートなどを挙げることができる。いくつかの実施態様において、該標的剤としてアプタマーを挙げることができる。アプタマーは、対象とする標的に会合または結合するように設計することができる。アプタマーは、例えば、DNA、RNA、および/またはペプチドで構成され得る;アプタマーの特定態様は当該技術分野において公知である。(例えば、Klussman編「アプタマーハンドブック(The Aptamer Handbook)」、Wiley-VCH(2006);Nissenbaum、Trends in Biotech.26(8):442-449(2008)を参照のこと)。
【0148】
その他の実施態様においては、該リポソーム組成物は標的リポソームを含む。すなわち、該リポソームは、対象とする標的細胞上のエピトープ(例えば、表面抗原またはその他の分子)に特異的親和性を有する標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームの標的性部分は、共有結合で該リポソームに連結していない。その他の実施態様においては、該リポソームの標的性部分は、PEGおよび該リポソームの外部の一方または両方に連結している。さらなる実施態様においては、該標的リポソームはペグ化されている。該標的リポソームの標的性部分の機能としては、リポソームを目的の標的細胞に対しインビボまたはインビトロで標的化すること;該標的性部分が特異的親和性を有する表面抗原と相互作用すること、および該リポソームペイロード(例えば、トランス-クロセチン)を細胞の位置または内部に送達することが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、対象とする標的細胞は血液脳関門の細胞/組織である。いくつかの実施態様においては、対象とする標的細胞は、トランスフェリン受容体を発現する。いくつかの実施態様においては、対象とする標的細胞はトランスフェリン受容体を発現し、中性pHではTfRに対する高親和性を維持しながらも、エンドソームのpHにおいては該標的性部分が迅速解離を示す。いくつかの実施態様においては、該標的性部分は、高発現の細胞表面抗原に親和性を有する。いくつかの実施態様においては、該標的性部分は、微小血管系に高発現の細胞表面抗原に親和性を有する。いくつかの実施態様においては、該標的性部分は細胞表面抗原EphA2に親和性を有する。
【0149】
いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームは、抗体、低分子、ポリペプチド、アプタマー、葉酸、トランスフェリン(例えば、ラクトフェリン)、糖蛋白質、インテグリン、グルタチオン、および炭水化物から選択される標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、投与するリポソームは、10~50、10~100、25~75、または30~200標的性部分を含む。
【0150】
好適な標的性部分は、当該技術分野において公知であり、抗体、抗原結合抗体断片、足場蛋白質、ポリペプチド、およびペプチドが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、該標的性部分はポリペプチドである。さらなる実施態様においては、該標的性部分は、少なくとも3、5、10、15、20、30、40、50、または100アミノ酸残基を含むポリペプチドである。いくつかの実施態様においては、該標的性部分は抗体または抗原結合抗体断片である。さらなる実施態様においては、該標的性部分は、抗体、ヒト化抗体、および抗体の抗原結合断片、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体、合成抗体、ペグ化抗体、および多量体抗体のうちの1種類以上を含む。いくつかの実施態様においては、該標的性部分は、正常または非腫瘍性の細胞と比較して、腫瘍細胞などの標的細胞上に選択的に発現するエピトープに対して特異的親和性を有する。いくつかの実施態様においては、該標的性部分は、腫瘍細胞上には存在するが、非腫瘍細胞には存在しないあるいは接触不能である腫瘍細胞表面抗原のエピトープに特異的親和性を有する。いくつかの実施態様においては、該標的性部分は、BIACORE(登録商標)分析を用いて測定した場合に、0.5x10-6~10x10-4、0.5x10-10~10x10-6、または50x10-12~10x10-6の範囲の平衡解離定数(Kd)で目的のエピトープに結合する。さらなる実施態様においては、表面プラズモン共鳴技術を用いて該Kdを決定するが、この表面プラズモン共鳴技術では、該エピトープを含む抗原を固定化し、該標的性部分を被検物質とし、以下の条件を用いる:37℃で10mMのMES緩衝液、0.05%ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸モノエステル、および150mMのNaCl。
【0151】
別の実施態様においては、該リポソーム組成物は、免疫刺激剤、検出可能マーカー、およびマレイミドのうちの1種類以上を含むが、それらはPEGおよび該リポソームの外部のうちの少なくとも1つに配置される。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物のリポソームは陽イオン性である。その他の実施態様においては、該リポソーム組成物のリポソームは陰イオン性または中性である。別の実施態様においては、該リポソーム組成物のリポソームの直径は、20nm~500nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。さらなる実施態様においては、該リポソーム組成物のリポソームの直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物のリポソームはペグ化型である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物のリポソームは標的型である。さらなる実施態様においては、該リポソーム組成物のリポソームはペグ化型で標的型である。
【0152】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、リポソームに封入された、
化学式:
Q-トランス-クロセチン-Q
を有するトランス-クロセチン塩を含むが、
ここで
Qは、(a)多価カウンターイオンまたは(b)一価陽イオンである。
【0153】
いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、固定用量のリポソームトランス-クロセチンである。いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを含まない。
【0154】
いくつかの実施態様においては、Qは多価陽イオン性カウンターイオンである。いくつかの実施態様においては、Qは多価金属陽イオンである。さらなる実施態様においては、Qは多価遷移金属陽イオンである。いくつかの実施態様においては、Qは二価陽イオン性カウンターイオンである。さらなる実施態様においては、Qは二価金属陽イオンである。いくつかの実施態様においては、Qは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される少なくとも1種類のメンバーである。さらなる実施態様においては、QはCa2+またはMg2+である。いくつかの実施態様においては、QはCa2+である。いくつかの実施態様においては、QはMg2+である。いくつかの実施態様においては、Qは二価有機カウンターイオンである。その他の実施態様においては、QはFe3+などの三価陽イオン性カウンターイオンである。
【0155】
その他の実施態様においては、Qは多価有機カウンターイオンである。いくつかの実施態様においては、Qは二価有機陽イオンである。いくつかの実施態様においては、Qはプロトン化ジアミンなどの二価有機陽イオンである。
【0156】
さらなる実施態様においては、Qは一価陽イオン性カウンターイオンである。いくつかの実施態様においては、Qは一価金属陽イオンである。いくつかの実施態様においては、Qは、Na+、Li+、またはK+から選択される少なくとも1種類のメンバーである。いくつかの実施態様においては、Qは有機陽イオンである。いくつかの実施態様においては、Qはプロトン化アミン(例えば、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミン)などの一価有機陽イオンである。いくつかの実施態様においては、QはNH4
+、プロトン化ジアミンまたはプロトン化ポリアミンなどの有機陽イオンである。
【0157】
いくつかの実施態様においては、該リポソームは、6百万分子未満、500,000分子未満、200,000分子未満、100,000分子未満、50,000分子未満、または10,000分子未満のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、10~100,000、100~10,000、または1,000~5,000分子またはそれらの間のいずれかの範囲の分子数のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物のトランス-クロセチン/脂質の比は、1g/mol~約1000g/molまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン/脂質の比は、10~150g/mol、10~100g/mol、30~200g/mol、40~200g/mol、または50~200g/molまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームの直径は、20nm~500nm、または20nm~200nm、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームの直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームはリポソーム成分から形成される。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、陰イオン性脂質および中性脂質のうちの少なくとも1種類を含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種類を含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種類を含む。別の実施態様においては、該リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガ-アルデヒドまたはオメガ-カルボキシル基を含む5炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質であるOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームがHOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含む、あるいは該OxPAPCがエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタンE2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-シクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシイソプロスタンE2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソノナナイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームはPGPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、総脂質の0%~100%またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、対象とする標的細胞上の表面抗原(例えば、EphA2などのエフリン受容体またはトランスフェリン受容体)に特異的親和性を有する標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、該標的性部分はPEGおよび該リポソームの外部の一方または両方に連結するが、任意選択的に、ここで該標的性部分は、PEGおよびリポソームの外側のいずれかまたは両方に共有結合で連結する。いくつかの実施態様においては、該標的性部分はポリペプチドである。さらなる実施態様においては、該標的性部分は抗体または抗体の抗原結合断片である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200標的性部分、またはそれらの間のいずれかの範囲の数の標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは免疫刺激剤(1,6-β-グルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは立体安定化剤を含む。いくつかの実施態様においては、該立体安定化剤はポリエチレングリコールである(すなわち、該リポソームはペグ化型である)。いくつかの実施態様においては、該PEGの数平均分子量(Mn)は200~5000ダルトンである。別の実施態様においては、該リポソームは陰イオン性または中性である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、ゼロ以下である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、-150~0、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mV、またはそれらの間のいずれかの範囲である。その他の実施態様においては、該リポソームは陽イオン性である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、ゼータ電位がゼロよりも高いリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVまたはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0158】
いくつかの実施態様においては、本開示は、リポソームに封入されるトランス-クロセチン酸カルシウム(CTC)を含む医薬組成物を提供する。該CTCは直線状および/または環状で存在し得る(下に示す):
【化4】
いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、固定用量のリポソームCTCである。いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は固定用量のリポソームCTCを含まない。
【0159】
いくつかの実施態様においては、該リポソームは、6百万分子未満、500,000分子未満、200,000分子未満、100,000分子未満、50,000分子未満、または10,000分子未満のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、10~100,000、100~10,000、または1,000~5,000分子またはそれらの間のいずれかの範囲の分子数のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物のトランス-クロセチン/脂質の比は、1g/mol~約1000g/molまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン/脂質の比は、10~150g/mol、10~100g/mol、30~200g/mol、40~200g/mol、または50~200g/molまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームの直径は、20nm~500nm、または20nm~200nm、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームの直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームはリポソーム成分から形成される。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、陰イオン性脂質および中性脂質のうちの少なくとも1種類を含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種類を含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種類を含む。別の実施態様においては、該リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガ-アルデヒドまたはオメガ-カルボキシル基を含む5炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質であるOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームがHOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含む、あるいは該OxPAPCがエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタンE2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-シクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-イソプロスタンE2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームはPGPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、総脂質の0%~100%またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、対象とする標的細胞上の表面抗原に特異的親和性を有する標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、該標的性部分はPEGおよび該リポソームの外部の一方または両方に連結するが、任意選択的に、ここで該標的性部分は、PEGおよびリポソームの外側のいずれかまたは両方に共有結合で連結する。いくつかの実施態様においては、該標的性部分はポリペプチドである。さらなる実施態様においては、該標的性部分は抗体または抗体の抗原結合断片である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200標的性部分、またはそれらの間のいずれかの範囲の数の標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、500,000未満または200,000未満の分子数のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、10~100,000分子またはそれらの間のいずれかの範囲の分子数で含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは免疫刺激剤(1,6-β-グルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは立体安定化剤を含む。いくつかの実施態様においては、該立体安定化剤はポリエチレングリコールである(すなわち、該リポソームはペグ化型である)。いくつかの実施態様においては、該PEGの数平均分子量(Mn)は200~5000ダルトンである。別の実施態様においては、該リポソームは陰イオン性または中性である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、ゼロ以下である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、-150~0、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mV、またはそれらの間のいずれかの範囲である。その他の実施態様においては、該リポソームは陽イオン性である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、ゼータ電位がゼロよりも高いリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVまたはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0160】
いくつかの実施態様においては、本開示は、リポソームに封入されるトランス-クロセチン酸マグネシウム(MTC)を含む医薬組成物を提供する。該MTCは直線状および/または環状で存在し得る(下に示す):
【化5】
【0161】
いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は固定用量のリポソームCTCである。いくつかの実施態様においては、該投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は固定用量のリポソームCTCを含まない。
【0162】
いくつかの実施態様においては、該リポソームは、6百万分子未満、500,000分子未満、200,000分子未満、100,000分子未満、50,000分子未満、または10,000分子未満のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、10~100,000、100~10,000、または500~5,000分子またはそれらの間のいずれかの範囲の分子数のトランス-クロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン/脂質の比は、10~150g/mol、10~100g/mol、30~200g/mol、40~200g/mol、または50~200g/molまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、少なくとも0.1%~97%のトランスクロセチンを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームの直径は、20nm~500nm、または20nm~200nm、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームの直径は、80nm~120nmまたはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームはリポソーム成分から形成される。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、陰イオン性脂質および中性脂質のうちの少なくとも1種類を含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-マレイミド;HSPC;HSPC-PEG;コレステロール;コレステロール-PEG;およびコレステロール-マレイミドから選択される少なくとも1種類を含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム成分は、DSPE;DSPE-PEG;DSPE-PEG-FITC;DSPE-PEG-マレイミド;コレステロール;およびHSPCから選択される少なくとも1種類を含む。別の実施態様においては、該リポソームは、OxPAPCなどの酸化リン脂質をさらに含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、断片化酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、完全長酸素化sn-2残基を含む酸化リン脂質、および/またはオメガ-アルデヒドまたはオメガ-カルボキシル基を含む5炭素sn-2残基を含む酸化リン脂質であるOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームがHOdiA-PC、KOdiA-PC、HOOA-PCおよびKOOA-PCから選択されるOxPAPCを含む、あるいは該OxPAPCがエポキシイソプロスタン含有リン脂質である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、1-パルミトイル-2-(5,6-エポキシイソプロスタンE2)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(5,6PEIPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシシクロペンテノン)-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン(PECPC)、1-パルミトイル-2-(エポキシ-イソプロスタンE2)-sn-グリセロ-4-ホスホコリン(PEIPC)、1-パルミトイル-2-グルタロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC);1-パルミトイル-2-(9′オキソ-ノナノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリン;1-パルミトイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-コリン;1-パルミトイル-2-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;1-パルミトイル-2-アゼラオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;および1-パルミトイル-2-アセトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンから選択されるOxPAPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームはPGPCを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソーム脂質二重層内のOxPAPCは、総脂質の0%~100%またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、対象とする標的細胞上の表面抗原に特異的親和性を有する標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、該標的性部分はPEGおよび該リポソームの外部の一方または両方に連結するが、任意選択的に、ここで該標的性部分は、PEGおよびリポソームの外側のいずれかまたは両方に共有結合で連結する。いくつかの実施態様においては、該標的性部分はポリペプチドである。さらなる実施態様においては、該標的性部分は抗体または抗体の抗原結合断片である。いくつかの実施態様においては、該リポソームは、1~1000、50~750、100~500、または30~200標的性部分、またはそれらの間のいずれかの範囲の数の標的性部分を含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは免疫刺激剤(1,6-β-グルカンなど)をさらに含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームは立体安定化剤を含む。いくつかの実施態様においては、該立体安定化剤はポリエチレングリコールである(すなわち、該リポソームはペグ化型である)。いくつかの実施態様においては、該PEGの数平均分子量(Mn)は200~5000ダルトンである。別の実施態様においては、該リポソームは陰イオン性または中性である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、ゼロ以下である。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、-150~0、-50~0mV、-40~0mV、-30~0mV、-25~0mV、-20~0mV、-10~0mV、-9~0mV、-8~0mV、-7~0mV、-6~0mV、-5~0mV、-4~0mV、-3~0mV、-2~0mV、-1~0mV、または-8~2mV、またはそれらの間のいずれかの範囲である。その他の実施態様においては、該リポソームは陽イオン性である。いくつかの実施態様においては、該リポソーム組成物は、ゼータ電位がゼロよりも高いリポソームを含む。いくつかの実施態様においては、該リポソームのゼータ電位は、0.2~150mV、1~50mV、1~40mV、1~30mV、1~25mV、1~20mV、1~15mV、1~10mV、1~5mV、2~10mV、3~10mV、4~10mV、または5~10mVまたはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0163】
トランス-クロセチンコンジュゲート/複合体化剤
いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、以下の(1)および(2)を含む:
(1)化学式:
Q-トランス-クロセチン-Q
を有するトランス-クロセチンまたはトランス-クロセチン塩;
ここでQは、(a)一価陽イオンまたは(ii)多価陽イオン性カウンターイオンであり;
および
(2)トランス-クロセチンコンジュゲート/複合体化剤(例えば、シクロデキストリン)。
【0164】
いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、固定用量のコンジュゲート化/複合体化トランス-クロセチンである。いくつかの実施態様においては、該投与するコンジュゲート化/複合体化トランス-クロセチン組成物は、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを含まない。
【0165】
いくつかの実施態様においては、Qは一価カウンターイオン(例えば、一価金属陽イオンまたは一価有機陽イオン)である。さらなる実施態様においては、該一価カウンターイオンは、NH4
+、Na+、Li+、K+、またはプロトン化アミンなどの一価有機陽イオンから選択される。特定の実施態様においては、該一価カウンターイオンはNa+である。
【0166】
特定の実施態様においては、該組成物は、トランス-クロセチン酸ナトリウム(STC)を含む。
【0167】
いくつかの実施態様においては、Qは多価カウンターイオン(例えば、二価金属陽イオンまたは二価有機陽イオンなどの多価陽イオン)である。さらなる実施態様においては、該多価陽イオンは、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Cu2+、Co2+、およびFe2+から選択される二価の陽イオン、プロトン化ジアミンなどの二価有機陽イオン、またはFe3+などの三価陽イオンである。
【0168】
いくつかの実施態様においては、該提供する方法にしたがって投与する医薬組成物は、以下の(1)および(2)を含む:
(1)化学式:
Q-トランス-クロセチン-Q
を有するトランス-クロセチンまたはトランス-クロセチン塩;
ここでQは、(a)一価陽イオンまたは(ii)多価陽イオン性カウンターイオンであり;
および
(2)トランス-クロセチンコンジュゲート/複合体化剤(例えば、シクロデキストリン)。
ここで該リポソームトランス-クロセチン組成物の濃度は、5mg/ml~50mg/ml、またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、5mg/ml~45mg/ml、5mg/ml~40mg/ml、5mg/ml~35mg/ml、20mg/ml~30mg/ml、または10mg/ml~25mg/ml)である。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン濃度は、5、7.5、10、15、20、または25mg/mlであり、あるいはここで該リポソームトランス-クロセチン組成物の濃度は、0.5mg/ml~5mg/ml、またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、1mg/ml~5mg/ml、1.5mg/ml~4mg/ml、または2mg/ml~3.5mg/ml)である。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン濃度は、0.5、1、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5mg/mlである。
【0169】
さらなる実施態様においては、該コンジュゲート剤/複合体化剤はシクロデキストリンである。該シクロデキストリン類がトランス-クロセチンと共に複合体化可能である限り、該提供する医薬組成物に含まれるシクロデキストリンには特段の制限はない。
【0170】
特定の実施態様においては、該医薬組成物のシクロデキストリンは非誘導体化型である。
【0171】
他の特定実施態様においては、トランス-クロセチンとの複合体化を促進する目的で、該シクロデキストリンがイオン化可能な(例えば、弱塩基性および/または弱酸性の)官能基を含むように誘導体化する。
【0172】
イオン化可能化学基による修飾であって、シクロデキストリンの内部相から遠ざかる方向に配向させる修飾などの、シクロデキストリン水酸基の修飾は、シクロデキストリン類およびシクロデキストリン類と複合体化した治療薬剤の負荷を促進することが知られている。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物中のシクロデキストリンは、イオン化可能化学基で置換した少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10の水酸基を有する。用語「荷電シクロデキストリン」は、その水酸基のうち1つ以上が荷電部分で置換されているシクロデキストリンを指す。そのような部分はそれ自体が荷電基であり得る;あるいは、1つ以上の荷電部分で置換した有機部分(例えば、C1~C6アルキルまたはC1~C6アルキルエーテル部分)を含み得る。
【0173】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物におけるシクロデキストリン誘導体の「イオン化」部分または「荷電」部分は、弱イオン化可能なものである。弱イオン化可能部分は、弱塩基性または弱酸性のいずれかの部分である。弱塩基性官能基(W)のpKaは、CH3-Wの場合には、約6.0~9.0、6.5~8.5、7.0~8.0、7.5~8.0、およびこれら間のいずれかの範囲である。同様に、弱酸性官能基(X)のlog解離定数(pKa)は、CH3-Xの場合には、約3.0~7.0、4.0~6.5、4.5~6.5、5.0~6.0、5.0~5.5、およびこれら間のいずれかの範囲である。代表的な陰イオン性部分としては、カルボキシレート基、カルボキシメチル基、スクシニル基、スルホニル基、リン酸基、スルホアルキルエーテル基、硫酸塩炭酸基、チオ炭酸基、ジチオ炭酸基、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、硝酸基、およびホウ酸基が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。代表的な陽イオン性部分としては、アミノ、グアニジン、および第4級アンモニウム基が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0174】
別の一実施態様においては、該医薬組成物は、「ポリ陰イオン」または「ポリ陽イオン」である誘導体化シクロデキストリンを含む。ポリ陰イオンは2つ以上の負の荷電基を有する誘導体化シクロデキストリンであり、それによって3ユニット以上の正味が負のイオン性電荷となる。ポリ陽イオンは2つ以上の正の荷電基を有する誘導体化シクロデキストリンであり、それによって3ユニット以上の正味が正のイオン性電荷となる。
【0175】
別の一実施態様においては、該医薬組成物は、「荷電可能両親媒性物質」である誘導体化シクロデキストリンを含む。「荷電可能」は、両親媒性物質のpKがpH4~pH8または8.5であることを意味する。したがって、荷電可能両親媒性物質は弱酸または弱アルカリ性であり得る。本明細書において「両性」は、陰イオン性および陽イオン性の性質の両方があるイオン化可能基を有する誘導体化シクロデキストリンを意味するが、ここで:
(a)該陽イオン性および陰イオン性の両親媒性物質の少なくとも一方、および任意選択的に両方が荷電可能であり、pKが4~8~8.5である少なくとも1種類の荷電基を有する;
(b)pH4では該陽イオン電荷が優勢であり;
および
(c)pH8~8.5では該陰イオン電荷が優勢である。
【0176】
いくつかの実施態様においては、該「イオン化」または「荷電性」誘導体化シクロデキストリンは、ポリイオン性であるか、両親媒性であるか、あるいはそれ以外であるかにかかわらず、全体として、弱いながらイオン化可能である(すなわち、約4.0~8.5、4.5~8.0、5.0~7.5、5.5~7.0、6.0~6.5、およびそれらに含まれるいずれかの範囲のpKaiを有する)。
【0177】
シクロデキストリンのいずれか1つの、複数の、または全てのα-D-グルコピラノシドユニットにおいて、いずれか1つの、複数の、または全ての水酸基を、本明細書に示されるようなイオン化可能化学基に修飾し得る。各シクロデキストリン水酸基は化学反応性が異なるので、修飾部分との反応によって位置異性体および光学異性体の不定混合物が生成し得る。あるいは、均一産物を生成するように反応させるために、特定の化学によってα-D-グルコピラノシドユニットを事前修飾することが可能である。
【0178】
混合物中のシクロデキストリン誘導体に関する置換の総計を置換度という用語で表現する。例えば、置換度7の6-エチレンジアミノ-β-シクロデキストリンは、6-エチレンジアミノ-β-シクロデキストリン分子当たりのエチレンジアミノ基の平均数が7である6-エチレンジアミノ-β-シクロデキストリンの異性体分布によって構成される。シクロデキストリン誘導体混合物についての置換度は、質量分析または核磁気共鳴分光法を用いる通常の方法で決定することができる。
【0179】
一実施態様においては、シクロデキストリンの内側から遠ざかる方向に配向する少なくとも1か所のヒドロキシル部分を、イオン化可能化学基で置換する。例えば、少なくとも1つのα-D-グルコピラノシドユニットのC2、C3、C6、C2およびC3、C2およびC6、C3およびC6、および3種類すべてのC2~C3~C6ヒドロキシルをイオン化可能化学基で置換する。水酸基のそのような組み合わせのいずれも同様に、修飾シクロデキストリン中の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、最大で全部のアルファ-D-グルコピラノシドユニットと組み合わせることができ、また本明細書に示される任意の置換度で組み合わせることができる。そのような誘導体の1つは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE-CD)である。ベータシクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体(SBE-β-CD)は、親シクロデキストリンと比較して水に対する溶解度が有意に改善することが実証されている。
【0180】
該提供する医薬組成物において、トランス-クロセチンと複合体化可能なさらなるシクロデキストリン誘導体としては、スガマデクスまたはOrg25969が挙げられるが、この化合物においてγ-CDの6-ヒドロキシ基はカルボキシチオ酢酸エーテル結合、およびヒドロキシブテニル-β-CDで置換されている。シクロデキストリンのその他の形態としては、2,6-ジ-O-メチル-β-CD(DIMEB)、2-ヒドロキシルプロピル-3-シクロデキストリン(HP-β-CD)、無作為メチル化β-シクロデキストリン(RAMEB)、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン(SBE-β-CD)、およびスルホブチル-エーテル-γ-シクロデキストリン(SBEγCD)、スルホブチル化ベータ-シクロデキストリンナトリウム塩、スルホブチル化ベータ-シクロデキストリンナトリウム塩、(2-ヒドロキシプロピル)-アルファ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-γ-シクロデキストリン、2,6-ジ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(DIMEB-50ヘプタキス)、2,3,6-トリ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(TRIMEBヘプタキス)、メチル-ベータ-シクロデキストリン、オクタキス(6-デオキシ-6-ヨード)-γ-シクロデキストリン、およびオクタキス(6-デオキシ-6-ブロモ)-ガンマ-シクロデキストリンが挙げられる。
【0181】
いくつかの実施態様においては、該シクロデキストリンとトランス-クロセチンとの間の高い結合定数は好ましいものであり、治療剤のサイズに基づいてシクロデキストリン中のグルコースユニット数を選択することによって、高い結合定数を得ることができる(例えば、Albersら、Crit. Rev. Therap. Drug Carrier Syst. 12:311-337 (1995); Stellaら、Toxicol. Pathol. 36:30-42(2008)を参照のこと)。該結合定数がpHに依存する場合には、当該組成物のpHにおいて該結合定数が大きくなるように該シクロデキストリンを選択することができる。その結果、シクロデキストリン存在下での該リポソームトランス-クロセチンの溶解度(公称の溶解度)はさらに改善され得る。いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチンに対するシクロデキストリンの結合定数は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000以上である。いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチンに対するシクロデキストリンの結合定数は、100~1,200、200~1,000、300~750、およびそれに含まれるいずれかの範囲である。
【0182】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物のシクロデキストリン誘導体は、化学式I:
【化6】
の構造を有するが;
ここでnは4、5、または6であり;
ここでR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に、-H、直鎖状または分岐状C1~C8アルキレン基、または任意選択的に置換されてもよい直鎖状または分岐状C1~C6基であり、ここでR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の少なくとも1つが、直鎖状または分岐状C1~C8-アルキレン(例えば、C1-C8-(アルキレン)-SO3-基)である。
【0183】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物のシクロデキストリン誘導体は、化学式II:
【化7】
の構造を有するが;
ここでnは、4、5、または6であり;
ここでR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9が、それぞれ独立に、-O-または-O-(C2~C6アルキレン)-SO3基であり;ここでR1およびR2の少なくとも一方が、独立に-O-(C2~C6アルキレン)-SO3 -基であり;およびS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、およびS9が、それぞれ独立に薬学的に許容可能な陽イオンである。さらなる実施態様においては、該薬学的に許容可能な陽イオンは、Li
+、Na
+、またはK
+などのアルカリ金属;Ca
+2またはMg
+2などのアルカリ土類金属;およびアンモニウムイオンおよび(C1~C6)-アルキルアミン類、ピペリジン、ピラジン、(C1~C6)-アルカノールアミンおよび(C4~C8)-シクロアルカノールアミンの陽イオンなどのアミン陽イオンから選択される。いくつかの実施態様においては、R1およびR2の少なくとも一方が、独立に-O-(CH2)mSO3-基である-O-(C2~C6アルキレン)-SO3基であり;ここでmは2~6、好ましくは2~4(例えば、-O-CH2CH2CH2SO3-または-O-CH2CH2CH2CH2SO3-)であり;およびS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、およびS9が、それぞれ独立にHまたは薬学的に陽イオンであり、そのような陽イオンとしては、例えば、アルカリ金属(例えば、Li
+、Na
+、K
+)、アルカリ土類金属(例えば、Ca
+2、Mg
+2)、アンモニウムイオンおよび(C1~C6)-アルキルアミン類、ピペリジン、ピラジン、(C1~C6)-アルカノールアミン、および(C4~C8)-シクロアルカノールアミンの陽イオンなどのアミン陽イオンが挙げられる。
【0184】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、米国特許第6,133,248号、第5,874,418号、第6,046,177号、第5,376,645号、第5,134,127号、第7,034,013号、第6,869,939号;および国際特許出願WO02005/117911に開示されるシクロデキストリン誘導体を含む;これらの参考文献は、それぞれその内容が参照として優先的に本明細書に組み入れられる。
【0185】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物はスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む。いくつかの実施態様においては、該シクロデキストリン誘導体は、CAPTISOL(登録商標)(CyDex Pharma社、レネックサ、カンザス州)などのスルホブチルエーテル-3-シクロデキストリンである。スルホブチルエーテル-3-シクロデキストリンおよびその他のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン類を調製する方法は、当該技術分野において公知である。
【0186】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、シクロデキストリン誘導体を含むが、該医薬組成物中のシクロデキストリン誘導体は化学式III:
【化8】
の化合物であり;
ここでRは下記に等しい:
(a)(H)21-Xまたは(-(CH2)4-SO3Na)x、およびx=1.0~10.0、1.0~5.0、6.0~7.0または8.0~10.0;
(b)(H)21-Xまたは(-(CH2CH(OH)CH3)x、およびx=1.0~10.0、1.0~5.0、6.0~7.0または8.0~10.0;
(c)(H)21-Xまたは(スルホアルキルエーテル類)x、およびx=1.0~10.0、1.0~5.0、6.0~7.0または8.0~10.0;
または
(d)(H)21-Xまたは(-(CH2)4-SO3Na)x、およびx=1.0~10.0、1.0~5.0、6.0~7.0または8.0~10.0。
【0187】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、および/または2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、またはγ-シクロデキストリンを含む。特定の実施態様においては、該医薬組成物はγ-シクロデキストリンを含む。
【0188】
いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチン/シクロデキストリンのモル比は、1:1~20、またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、1:1~10、1:2~8、1:1~5、1:3~5、1:3、1:4、または1:5)である。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン/シクロデキストリンのモル比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、または1:15、またはl:>15である。
【0189】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物はγ-シクロデキストリンを含み、トランス-クロセチン/γ-シクロデキストリンのモル比は、1:1~20、またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、1:1~10、1:2~8、1:1~5、1:3~5、1:3、1:4、または1:5)である。いくつかの実施態様においては、該トランス-クロセチン/γ-シクロデキストリンのモル比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、または1:15、またはl:>15である。
【0190】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物におけるトランス-クロセチン/シクロデキストリンのモル比は1~20:1、またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、1~10:1、2~8:1、1~5:1、3:1、4:1、または5:1)である。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物中のトランス-クロセチン/シクロデキストリンのモル比は、3:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、または15:1、または>15:1である。
【0191】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物中のシクロデキストリン濃度は、1~15%、またはそれらの間のいずれかの範囲(例えば、5~10%)である。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物中のシクロデキストリン濃度は、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%である。
【0192】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物のpHは、6~10、7.5~9.5、または8~9(例えば、pH8.5)、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、pKAが溶液のpHの1単位以内または0.5単位以内であるpKAを有する緩衝液を1~200mM、1~100mM、1~80mM、またはそれらの間のいずれかの範囲の濃度で含む。さらなる実施態様においては、該医薬組成物は、グリシン、gly-gly、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリシン、ビシン、EPPS(HEPPS)、HEPBS、TABS、AMPD、またはホウ酸ナトリウム(例えば、グリシン、gly-gly、または重炭酸ナトリウム)から選択される緩衝液を含む。特定の実施態様においては、該医薬組成物は、グリシンまたは重炭酸ナトリウムを含む。
【0193】
いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は1種類以上の等張化剤を含む。実施態様においては、該等張化剤は、デキストロース、マンニトール、グリセリン、塩化カリウム、または塩化ナトリウムである。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、0.1%超の濃度、または0.3%~2.5%またはそれらの間のいずれかの範囲の濃度の等張化剤を含む。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、デキストロース、マンニトール、グリセリン、塩化カリウム、または塩化ナトリウムを0.1%超の濃度、または0.3%~2.5%、またはそれらの間のいずれかの範囲の濃度で含む。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、トレハロースまたはデキストロースを含む。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物はマンニトールを含む。
【0194】
製剤化および投与
該提供される組成物は、医薬組成物として全体的または部分的に製剤化が可能である。医薬組成物は、1種類以上のナノ粒子組成物を含んでいてもよい。例えば、医薬組成物は、1種類以上の異なる治療剤および/または予防剤を含む1種類以上のナノ粒子組成物を含むのであってもよい。医薬組成物は、1種類以上の本明細書に記載のような薬学的に許容可能な添加剤または補助的成分をさらに含むのであってもよい。医薬組成物および薬剤の製剤化および製造のための一般的な指針としては、例えば、「レミントン薬科学(Remington’s The Science and Practice of Pharmacy)」第21版、編集:A. R. Gennaro; Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, Md.、2006に記載のものが利用可能である。従来型の添加剤および補助的成分はいずれの医薬組成物においても用い得るが、ただしいずれかの従来型の添加剤または補助的成分がナノ粒子組成物の1種類以上の成分に対して不適合であり得る場合を除く。添加剤または補助的成分をナノ粒子組成物の成分と組み合わせた結果、望ましくない生物学的効果または有害効果をもたらし得る場合には、該添加剤または補助的成分は該ナノ粒子組成物の成分に対して不適合の可能性がある。
【0195】
いくつかの実施態様においては、1種類以上の添加剤または補助的成分が、ナノ粒子組成物を含む医薬組成物の総重量または容積の50%超を占めるのであってもよい。例えば、該1種類以上の添加剤または補助的成分は、医薬組成物の50%、60%、70%、80%、または90%以上を占めるのであってもよい。いくつかの実施態様においては、薬学的に許容可能な添加剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。いくつかの実施態様においては、添加剤は、ヒトにおける使用または獣医学的用途に関して承認されたものである。いくつかの実施態様においては、添加剤は米国食品医薬品局の承認を受けたものである。いくつかの実施態様においては、添加剤は医薬グレードである。いくつかの実施態様においては、添加剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および/または国際薬局方の標準を満たすものである。
【0196】
標準的なリポソーム作成法としては、「リポソーム:実践的アプローチ(Liposomes: A Practical Approach)」、V. P. Torchilin, Volkmar Weissig、オックスフォード大学出版局、2003に報告されている方法、および当該技術分野において公知の方法が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0197】
いくつかの実施態様においては、本開示は、医薬組成物および生理学的に(すなわち、薬学的に)許容可能な担体を提供する。本明細書中の用語「担体」は典型的には、治療剤などの薬剤のための希釈剤またはビヒクルとして用いる不活性物質を指す。この用語はまた典型的には、該組成物の凝集性の性質を弱める不活性物質を含む。典型的には、該生理学的に許容可能な担体は液体形態で存在する。液体担体の例としては、生理的食塩水、リン酸緩衝液、通常の緩衝性食塩水(135~150mM NaCl)、水、緩衝性水、0.4%食塩水、0.3%グリシン、安定性を増強する糖蛋白質類(例えば、アルブミン、リポ蛋白質、グロブリンなど)などが挙げられる。生理学的に許容可能な担体は、部分的には投与する特定組成物ならびに該組成物の投与に用いる特定方法によって決まるので、本明細書において提供する医薬組成物について非常に多様な好適な処方が存在する(例えば、「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第17版、1989を参照のこと)。
【0198】
該提供する組成物は、公知の従来型滅菌技術で滅菌するのであってもよく、あるいは無菌条件下で生産するのであってもよい。水溶液は、使用のためにパッケージ化することができる、あるいは無菌条件下で濾過して凍結乾燥することができ、この場合には、該凍結乾燥調製物を投与前に滅菌水溶液と組み合わせる。該組成物は、おおよそ生理的な条件にとって必要であるような、薬学的に許容可能な補助物質を含み得るが、そのような補助物質としては、pH調整剤および緩衝剤、等張化剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、およびオレイン酸トリエタノールアミンが挙げられる。安定化のために糖類もまた該組成物に含有させることができる(凍結乾燥トランス-クロセチン組成物の安定化剤など)。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、0.1%超の濃度、または0.3%~2.5%、0.5%~2.0%、0.5%~1.5%、0.5%~1.5%、0.6%~1.1%、またはそれらの間のいずれかの範囲の濃度の等張化剤を含む。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物は、デキストロース、マンニトール、グリセリン、塩化カリウム、または塩化ナトリウムなどの等張化剤を含む。さらなる実施態様においては、該医薬組成物は、デキストロース、マンニトール、グリセリン、塩化カリウム、または塩化ナトリウムを0.1%超の濃度、または0.3%~2.5%、0.5%~2.0%、0.5%~1.5%、0.5%~1.5%、0.6%~1.1%、またはそれらの間のいずれかの範囲の濃度で含む。
【0199】
例えば、関節内(関節内部)、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、および皮下経路などの非経口投与に好適な製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および(該製剤を、意図するレシピエントの血液と等浸透圧にする)溶質を含み得る水性および非水性の等浸透圧滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および防腐剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液があげられる。注射用溶液および懸濁液もまた、滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。いくつかの実施態様においては、該提供する医薬組成物は、例えば、静脈内点滴で、局所に、腹腔内に、膀胱内に、またはくも膜下腔内に投与する。特定の実施態様においては、該医薬組成物は、非経口投与または静脈内投与する。好ましくは、該医薬組成物を、非経口で、すなわち関節内に、静脈内に、皮下に、または筋肉内に投与する。その他の実施態様においては、該医薬調製剤を局所表面に適用するのであってもよい。
【0200】
いくつかの実施態様においては、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を静脈内点滴で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を静脈内点滴で、1日2回(例えば、12時間毎、+/-3時間)、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を静脈内点滴で、1日1回(例えば、24時間毎、+/-6時間)、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、投与する。
【0201】
特定の実施態様においては、100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量の1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、200mg~300mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、15分間~5時間またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、2時間~4時間またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて静脈内点滴で投与する。特定の実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、2時間~4時間またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて静脈内点滴で投与する。他の特定実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、200mg~300mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、2時間~4時間またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上の固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、静脈内点滴で3時間かけて投与する。特定の実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、3時間かけて静脈内点滴で投与する。他の特定実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、200mg~300mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、3時間かけて静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、1日2回(例えば、12時間毎、+/-3時間)、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を、1日1回(例えば、24時間毎、+/-6時間)、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、静脈内点滴で投与する。
【0202】
特定の実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、25mg~900mg、60mg~600mg、150mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、70mg~580mg、150mg~550mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、250mg、300mg、または380mg)、80mg~350mg、75mg~260mg、または25mg~250mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、550mg~600mg(例えば、560mgまたは580mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、100mg~400mg(例えば、100mg~200mg、200mg~300mg、200mg~300mg、140mg、300mgまたは380mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、300mg~450mg(例えば、380mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、250mg~350mg(例えば、300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴投与する。いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、100mg~200mg(例えば、140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、静脈内点滴投与する。いくつかの実施態様においては、該1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、15分間~5時間(例えば、1時間~3時間、2時間~4時間、2時間または3時間)またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて、静脈内点滴で投与する。特定の実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、250mg~350mg(例えば、300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、15分間~5時間(例えば、1時間~3時間、2時間~4時間、2時間または3時間)またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて、静脈内点滴で投与する。特定の実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、15分間~5時間(例えば、1時間~3時間、2時間~4時間、2時間または3時間)またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量のリポソームトランス-クロセチン組成物を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、静脈内点滴で対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量のリポソームトランス-クロセチン組成物を、1日2回(例えば、12時間毎、+/-3時間)、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、静脈内点滴で対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量のリポソームトランス-クロセチン組成物を、1日1回(例えば、24時間毎、+/-6時間)、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、静脈内点滴で対象に投与する。特定の実施態様においては、1回用量以上の用量回数のリポソームトランス-クロセチンを、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日以上の期間、1日4回、1日3回、1日2回、または1日1回の頻度で、250mg~350mg(例えば、300mg)の固定用量で、15分間~5時間(例えば、1時間~3時間、2時間~4時間、2時間または3時間)かけて、静脈内点滴で対象に投与する。
【0203】
特定の実施態様においては、1回用量以上の用量回数のリポソームトランス-クロセチンを、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日以上の期間、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日4回、1日3回、1日2回、または1日1回、静脈内点滴で1時間~4時間かけて対象に投与する。
【0204】
特定の実施態様においては、1回用量以上の用量回数のリポソームトランス-クロセチンを、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日以上の期間、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日4回、1日3回、1日2回、または1日1回、静脈内点滴で1時間~4時間かけて対象に投与する。
【0205】
特定の実施態様においては、1回用量以上の用量回数のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg))またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日、2日、3日、4日、または5日以上の期間、1日2回静脈内点滴で、1時間~3時間かけて対象に投与する。特定の実施態様においては、1回用量以上の用量回数のリポソームトランス-クロセチンを、200mg~800mg(例えば、200mg~600mg、200mg~400mg、240mg~320mg、600mg、または280mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日、2日、3日、4日、または5日以上の期間、24時間(+/-6時間)に1回、静脈内点滴で1時間~3時間かけて対象に投与する。
【0206】
特定の実施態様においては、1回用量以上の用量回数のリポソームトランス-クロセチンを、250mg~350mg(例えば、300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日、2日、3日、4日、または5日以上の期間、1日2回、静脈内点滴で1時間~3時間かけて対象に投与する。特定の実施態様においては、1回用量以上の用量回数のリポソームトランス-クロセチンを、500mg~700mg(例えば、600mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日、2日、3日、4日、または5日以上の期間、1日1回(すなわち、24時間(+/-6時間))、静脈内点滴で1時間~3時間かけて対象に投与する。
【0207】
いくつかの実施態様においては、1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、15分間~5時間またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、2時間~4時間またはそれらの間のいずれかの範囲の時間をかけて静脈内点滴で投与する。いくつかの実施態様においては、該1種類以上のリポソームトランス-クロセチン組成物を、3時間かけて静脈内点滴で投与する。
【0208】
いくつかの実施態様においては、該提供する医薬組成物(例えば、リポソーム組成物)を、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数回用量の密閉容器で提供する。
【0209】
いくつかの実施態様においては、該医薬調製剤を単位剤形で投与する。そのような形態においては、該調製剤を、適切な量の有効成分(例えば、トランス-クロセチン組成物)を含む単位用量にさらに分割する。該単位剤形はパッケージ化調製剤であり得るが、該パッケージは離散量の調製剤を含む。該組成物は、所望に応じて、他の適合性治療薬(例えば本明細書に記載のような治療薬)をも含み得る。
【0210】
いくつかの実施態様においては、本明細書で提供する医薬組成物は、100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、または100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲のトランス-クロセチン(例えば、リポソームトランス-クロセチン)を1回用量以上の回数で投与することができる。
【0211】
いくつかの実施態様においては、本明細書で提供する医薬組成物は、100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲のトランス-クロセチン(例えば、リポソームトランス-クロセチン)を1回用量以上の回数で投与することができる。いくつかの実施態様においては、複数の医薬組成物を1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。いくつかの実施態様においては、複数の医薬組成物を1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。
【0212】
いくつかの実施態様においては、本明細書で提供するトランス-クロセチン医薬組成物は、250mgのトランス-クロセチン(例えば、リポソームトランス-クロセチン)を1回用量以上の回数および/または140mgのトランス-クロセチンを1回用量以上の回数で投与する。いくつかの実施態様においては、1時間~48時間、1.5時間~24時間、2時間~18時間、4時間~16時間(例えば、12時間(+/-3時間))、または1時間~8時間(例えば、3時間)またはそれらの間のいずれかの範囲の時間間隔で、2回用量以上のトランス-クロセチン医薬組成物を対象に投与する。いくつかの実施態様においては、複数の医薬組成物を1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、または1日おきに1回、対象に投与する。
【0213】
特定の一実施態様においては、本明細書で提供する投与レジメン/治療法の第1日目に、200~300mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、12時間(+/-3時間)間隔で2回、静注点滴で1~3時間(例えば、2時間)かけて投与する。次いで、その第2日目以降、100~200mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、2回用量、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回で投与する。
【0214】
特定の一実施態様においては、本明細書で提供する投与レジメン/治療法の第1日目に、固定負荷用量250mgのリポソームトランス-クロセチンを、12時間(+/-3時間)間隔で2回用量、静注点滴で1~3時間(例えば、2時間)かけて投与する。次いで、その第2日目以降、固定維持用量140mgリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回で2回投与する。
【0215】
いくつかの実施態様においては、本明細書で提供するトランス-クロセチン医薬組成物を、100mg~920mg、400mg~650mg、600mg~900mg(例えば、600mg)、200mg~400mg(例えば、280mg)、または300mg~400mgの初期総日用量で24時間(+/-6時間)かけて投与する。いくつかの実施態様においては、2回用量以上の用量回数のトランス-クロセチン医薬組成物を、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。いくつかの実施態様においては、複数回用量の医薬組成物を、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、または1日おきに1回、対象に投与する。
【0216】
特定の一実施態様においては、本明細書で提供する投与レジメン/治療法の第1日目に、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~200mgまたは150mg~200mg、またはそれらの間のいずれかの範囲の固定負荷用量リポソームトランス-クロセチンを、12時(+/3時間)の間隔で2回、静注点滴で1~3時(例えば、時間)かけて投与する。次いで、その第2日目以降、200mg~700mg、300mg~400mgまたは200mg~400mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に1回以上投与する。
【0217】
特定の一実施態様においては、本明細書で提供する投与レジメン/治療法の第1日目に、100mg~460mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、12時間(+/-3時間)間隔で2回用量、静注点滴で1~3時間(例えば、2時間)かけて投与する。次いで、その第2日目以降、200mg~600mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に1回投与する。
【0218】
しかし、該用量は、該患者の要件、治療中の病態の重症度、および用いるトランス-クロセチン組成物に応じて変更するのであってもよい。例えば、特定患者における障害の種類およびステージまたは診断される病態を考慮して実験的に用量を決定することができる。該提供する医薬組成物(例えば、リポソームトランス-クロセチン組成物)について、患者に投与する用量は、患者において経時的に有益な治療応答が現れる程度に充分なものとなる必要がある。便宜的には、所望に応じて、該1日総用量を分割し、当日に分割投与するのであってもよい。
【0219】
特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを140mgの固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを140mgの固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0220】
別の特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)の固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。別の特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)の固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0221】
さらなる特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で対象に投与した後、リポソームトランス-クロセチンを140mgの固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する。さらなる特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で1日(第1日目)対象に投与した後、140mgの固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、該対象に投与する。またさらなる特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日(第1日目)、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与した後、リポソームトランス-クロセチンを140mgの固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、該対象に投与する。別の特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを300mgの固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。さらなる特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを300mgの固定用量で1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または1日1回、対象に投与した後、リポソームトランス-クロセチンを140mgの固定用量で1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する。さらなる特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを300mgの固定用量で、1日(第1日目)、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回投与した後、リポソームトランス-クロセチンを固定用量140mgで、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1~20日間、1~15日間、1~10日間、または1~5日間、対象に投与する。またさらなる特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを300mgの固定用量で1日(第1日目)投与した後、リポソームトランス-クロセチンを固定用量140mgで、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、対象に投与する。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを、急性肺苦痛を経験し(例えば呼吸困難を有する、頻呼吸、低酸素レベルに起因する精神錯乱などの症状を呈する)、および/または300mmHg未満のPaO2/FiO2比を有する対象(例えば、ヒト)に投与する。他の特定実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを、急性呼吸ARDSを経験し、および/または300mmHg未満のPaO2/FiO2比を有する対象(例えば、ヒト)に投与する。他の特定実施態様においては、患者のPaO2/FiO2比を増加させる目的で、該リポソームトランス-クロセチンを対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。さらなる実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%または50%増加させる。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも10%を増加させる。他の特定実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも25%を増加させる。他の特定実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも40%を増加させる。
【0222】
動物の毒性学的研究によって、リポソームトランス-クロセチンの用量制限毒性のない有効性は、25mg/kg程度の用量であることが示されている。本明細書に開示されるように、ヒトにおいて「リポソームトランス-クロセチンの用量制限毒性」は観察されておらず、ヒトにおいて7.5mg/kg程度の用量のリポソームトランス-クロセチンが投与されている。特定の実施態様においては、該投与する組成物はリポソームトランス-クロセチンを含み、固定用量で約100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、100mg~300mg、または100mg~200mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲で対象(例えば、ヒト)に投与される。いくつかの実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の一実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、24時間(+/-6時間)かけて1回、対象に投与する。
【0223】
本明細書に開示されているように、本発明者らは、意外なことに、トランス-クロセチンの薬物動態特性がその安全性を際立たせ、また異なる投与レジメンにわたってその有効性を際立たせるものであり、広い体重範囲でAUCおよびCmaxが安定なレベルを示すということを発見した。トランス-クロセチンの薬物動態プロファイルは、薬物動態上の観点から、トランス-クロセチンの固定用量投与方略を実現するものである。一実施態様においては、対象(例えば、ヒト)に投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンは、約5mg~900mg、60mg~600mg(例えば、580mg)、150mg~600mg、70mg~580mg、150mg~550mg、80mg~350mg、75mg~260mg、25mg~250mg、200mg~400mg、300mg~400mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の用量である。別の一実施態様においては、対象(例えば、ヒト)に投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンは、約100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg(例えば、300mg)、または225mg~275mg(例えば、250mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲の用量である。いくつかの実施態様においては、1回用量以上の用量回数の固定用量リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0224】
一実施態様においては、対象(例えば、ヒト)に投与する固定用量のリポソームトランス-クロセチンは、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)の固定用量である。一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを約140mgの用量で、対象(例えば、ヒト)に投与する。さらなる一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)の固定用量またはそれらの間のいずれかの範囲の用量で対象(例えば、ヒト)に投与し、さらに固定用量のリポソームトランス-クロセチンを約140mgの用量で該対象に投与する。いくつかの実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを1回用量以上の回数で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。
【0225】
一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、約300mgの用量で対象(例えば、ヒト)に投与する。一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、約40mgの用量で対象(例えば、ヒト)に投与する。さらなる一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを約300mgの用量で対象(例えば、ヒト)に投与し、さらに固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、約40mgの用量で該対象に投与する。いくつかの実施態様においては、1回用量以上の用量回数の固定用量リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0226】
一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、約100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象(例えば、ヒト)に投与する。一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、約100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象(例えば、ヒト)に投与する。一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを約300mgの用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象(例えば、ヒト)に投与する。一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)の用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象(例えば、ヒト)に投与する。一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、約140mgの用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象(例えば、ヒト)に投与する。さらなる一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを約300mgの用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象(例えば、ヒト)に投与し、さらに2回用量以上の固定用量リポソームトランス-クロセチンを約140mgの用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する。さらなる一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象(例えば、ヒト)に投与し、さらに2回用量以上の固定用量リポソームトランス-クロセチンを、約140mgの用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する。
【0227】
いくつかの実施態様においては、患者に投与するリポソームトランス-クロセチンの固定用量は、治療する障害または病態、治療する疾患の種類、疾患の重症度および経過、該トランス-クロセチンが予防目的あるいは治療目的で投与されるのかということ、以前の療法、患者の臨床病歴およびトランス-クロセチンに対する応答、および担当医の裁量に依存する。該固定用量は、1回または一連の治療にわたって該患者に好適に投与される。
【0228】
特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、急性肺苦痛を経験する(例えば、呼吸困難を有する、頻呼吸、精神錯乱(例えば、低酸素レベルに起因する)などの症状を呈する)および/またはPaO2/FiO2比が300mmHg未満または250mmHg未満である対象(例えば、ヒト)に投与する。他の特定実施態様においては、該トランス-クロセチンを、ARDSを経験するおよび/またはPaO2/FiO2比が200mmHg未満である対象(例えば、ヒト)に投与する。他の特定実施態様においては、患者のPaO2/FiO2比を増加させる目的で、トランス-クロセチンを対象に投与する。いくつかの実施態様においては、トランス-クロセチンの投与によって、患者のPaO2/FiO2比が5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与によって、患者のPaO2/FiO2比が10%~50%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加する。さらなる実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与によって、患者のPaO2/FiO2比が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%または50%増加する。
【0229】
特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、急性肺苦痛を経験する(例えば、呼吸困難を有する、頻呼吸、精神錯乱(例えば、低酸素レベルに起因する)などの症状を呈する)および/またはPaO2/FiO2比が300mmHg未満または250mmHg未満である対象(例えば、ヒト)に投与する。他の特定実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、ARDSを経験するおよび/またはPaO2/FiO2比が200mmHg未満である対象(例えば、ヒト)に投与する。他の特定実施態様においては、患者のPaO2/FiO2比を増加させる目的で、リポソームトランス-クロセチンを対象に投与する。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの投与によって、患者のPaO2/FiO2比が5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与によって、患者のPaO2/FiO2比が10%~50%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加する。さらなる実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与によって、患者のPaO2/FiO2比が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%または50%増加する。
【0230】
いくつかの実施態様においては、100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、または100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、対象(例えば、ヒト)に投与する。いくつかの実施態様においては、100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを投与する。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを140mgの固定用量で投与する。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを250mgの固定用量で投与する。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを250mgの固定用量および140mgの固定用量で投与する。いくつかの実施態様においては、該固定用量のリポソームトランス-クロセチンを1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。特定の一実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを対象に1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。特定の一実施態様においては、140mgの固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。別の特定の一実施態様においては、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。さらなる特定の一実施態様においては、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日(第1日目)、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または1か月に1回、対象に投与した後、140mgの固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、該対象に投与する。さらなる特定の一実施態様においては、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日(第1日目)、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与した後、140mgの固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1~20日間、1~15日間、1~10日間または1~5日間、該対象に投与する。またさらなる特定の一実施態様においては、100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日(第1日目)、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与した後、140mgの固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも20%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも25%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも30%増加させる。
【0231】
いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを2.5mg/kg~7.5mg/kgまたはそれらの間のいずれかの範囲の用量で、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。特定の一実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1日1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを週1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1か月に1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを2.5mg/kg~7.5mg/kgまたはそれらの間のいずれかの範囲の用量で1日1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを2.5mg/kg~7.5mg/kgまたはそれらの間のいずれかの範囲の用量で、1日1回、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも20%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも25%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも30%増加させる。
【0232】
いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを約2.5mg/kgの用量で1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回投与する。特定の一実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1日1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを週1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1か月に1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを約2.5mg/kgの用量で1日1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを約2.5mg/kgの用量で、1日1回1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも20%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも25%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも30%増加させる。
【0233】
特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、約5mg/kgの用量で1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1日1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを週1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1か月に1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを約5mg/kgの用量で1日1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、約5mg/kgの用量で1日1回、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも20%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも25%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも30%増加させる。
【0234】
特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、約7.5mg/kgの用量で1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1日1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを週1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1か月に1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを約7.5mg/kgの用量で1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1日1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを週1回投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンを1か月に1回投与する。特定の実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンを、約5mg/kgの用量で1日1回、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、投与する。いくつかの実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも20%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも25%増加させる。さらなる特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、4回、3回、2回、または1回のトランス-クロセチン治療後に、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも30%増加させる。
【0235】
該固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、最適に1回または一連の治療期間にわたって該患者に投与する。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、約50mg~約600mg(例えば、50mg~300mg、150mg~350mg、または150~550mg)である。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、80mg~140mg、140mg~220mg、または220mg~450mgのトランス-クロセチンである。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、25mg~900mg、60mg~600mg、150mg~600mg、70mg~580mg、150mg~550mg、200mg~400mg、300mg~400mg、80mg~350mg、75mg~260mg、または25mg~250mg、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0236】
特定の実施態様においては、固定用量のリポソームトランス-クロセチンを、最適に一連の治療期間にわたって該患者に投与する。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、約50mg~約600mg(例えば、50mg~300mg、150mg~350mg、または150~550mg)である。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、80mg~140mg、140mg~220mg、または220mg~450mg、またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg(例えば、550~600、560mg、または580mg)、100mg~500mg、100mg~400mg(例えば、200mg~400mg、250mg~350mg、300mg~400mg、250mg、300mg、350mg、または380mg)、または100mg~300mg(例えば、120mg~160mgまたは140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲である。いくつかの実施態様においては、リポソームトランス-クロセチンの固定用量は、100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲である。
【0237】
一実施態様においては、1回用量以上の負荷用量のトランス-クロセチンの後に、固定維持用量トランス-クロセチンを複数回用いる。別の一実施態様においては、1回用量以上の固定負荷用量のトランス-クロセチンの後に、固定維持用量のトランス-クロセチンを複数回用いる。その他の実施態様においては、複数の同一固定用量のトランス-クロセチンを該患者に投与する。一実施態様においては、100mg~550mg(例えば、100mg~300mg、150mg~550mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量(負荷用量)のリポソームトランス-クロセチンの後に、おおよそ100mg~400mg(例えば、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量(維持用量)のトランス-クロセチンを用いる。特定の実施態様においては、固定負荷用量トランス-クロセチンを2回用量、24時間以内に投与する。いくつかの実施態様においては、固定維持用量トランス-クロセチンを複数回用量、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の実施態様においては、固定維持用量トランス-クロセチンを2回用量、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0238】
別の一実施態様においては、1回以上の負荷用量リポソームトランス-クロセチンの後に、複数回固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを用いる。
一実施態様においては、1回以上の負荷用量リポソームトランス-クロセチンの後に、複数回用量の固定維持用量リポソームトランス-クロセチンを用いる。その他の実施態様においては、複数回の同一用量リポソームトランス-クロセチンを該患者に投与する。一実施態様においては、200mg~920mg(例えば、908mg、300mg、または250mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲の用量(負荷用量)のリポソームトランス-クロセチンの後に、複数回用量(維持用量)100mg~350mg(例えば、200mg~350mg、または300mg)、100mg~200mgまたは150mg~200mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量のリポソームトランス-クロセチンを用いる。いくつかの実施態様においては、2回の負荷用量200mg~920mgまたはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、それぞれの間の間隔を24時間以内として対象に投与する。いくつかの実施態様においては、複数回の固定維持用量100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間またはそれ以上の期間、対象に投与する。特定の実施態様においては、維持用量リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する。別の特定の一実施態様においては、維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、週1回、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する。別の特定の一実施態様においては、維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1か月に1回、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、該対象に投与する。
【0239】
一実施態様においては、固定負荷用量100mg~550mg(例えば、100mg~300mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または550mg)またはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを対象に投与した後に、1回以上の固定維持用量75mg~350mg(例えば、100mg~350mg、100mg~200mg、150mg~200mg、120mg~160mg、または140mg)またはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、該対象に投与する。いくつかの実施態様においては、2回の固定負荷用量リポソームトランス-クロセチンを、それぞれの間の間隔を24時間以内として対象に投与する。いくつかの実施態様においては、2回以上の固定維持用量リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の実施態様においては、固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0240】
一実施態様においては、固定用量100mg~350mg(例えば、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを対象に投与した後、固定用量100mg~350mg(例えば、120mg~160mg、140mg、250mgまたは300mg)またはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与する。特定の実施態様においては、2回以上の固定用量100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、それぞれの間の間隔を24時間以内として該対象に投与する。いくつかの実施態様においては、固定用量100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。いくつかの実施態様においては、固定用量100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。特定の実施態様においては、2回の固定用量100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。特定の実施態様においては、2回の固定用量100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0241】
一実施態様においては、固定用量(負荷用量)がおおよそ225mg~275mg(例えば、250mg)のリポソームトランス-クロセチンを対象に投与した後、固定用量がおおよそ120mg~160mg(例えば、140mg))(維持用量)のリポソームトランス-クロセチンを、対象に投与する。特定の実施態様においては、2回の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、それぞれの間の間隔を24時間以内として対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0242】
一実施態様においては、固定用量(負荷用量)がおおよそ250mgのリポソームトランス-クロセチンを対象に投与した後、固定用量がおおよそ140mg(維持用量)のリポソームトランス-クロセチンを複数回、該対象に投与する。特定の実施態様においては、2回の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを24時間以内に、該対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0243】
別の一実施態様においては、75mg~300mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に複数回投与する。特定の実施態様においては、75mg~300mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で2回、リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0244】
別の一実施態様においては、100mg~250mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に複数回投与する。特定の実施態様においては、100mg~250mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で2回、リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0245】
別の一実施態様においては、300mg~400mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回、対象に複数回投与する。特定の実施態様においては、300mg~400mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で2回、リポソームトランス-クロセチンを、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回の頻度で、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、または12か月間、あるいは1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、または6年間、またはそれ以上の期間、対象に投与する。
【0246】
好適には、本明細書で提供する維持用量の組成物は、対象において維持相全体を通じてトランス-クロセチンを比較的一定の治療レベルに維持する。維持用量を投与する期間は、リポソームトランス-クロセチンを治療レベルに維持する所望の時間の長さに依存する。好適には、該維持用量の投与は、治療期間にわたって規則的間隔で実施する。好適な一実施態様においては、該維持用量間の時間間隔は、該負荷用量間の時間間隔よりも長い。
【0247】
一実施態様においては、本明細書で提供するリポソームトランス-クロセチン組成物の固定維持用量における濃度は、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり、対象に維持用量を投与する時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。別の一実施態様においては、2回以上の固定維持用量リポソームトランス-クロセチンの濃度は、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲であり、対象に投与する維持用量の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0248】
治療法及び用途
リポソームトランス-クロセチン組成物などの、本明細書で提供するトランス-クロセチン医薬組成物の利用は、障害および病態についての従来の治療法よりも利点がある;そのような障害および病態としては、HIV/AIDS、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)、結核、マラリアおよびその合併症(脳マラリアなど)などの感染および感染性疾患、重度の貧血、アシドーシス、急性腎不全およびARDS、敗血症、炎症(例えば、慢性炎症性疾患);虚血(虚血性脳卒中、冠動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管障害、虚血関連腎病理、および創傷に関連する虚血などの虚血性病態を含む);ショック(例えば、出血性ショック);脳卒中、循環器系疾患、腎臓病理、創傷治癒、代謝性疾患;癌などの過剰増殖性疾患;および免疫系、心臓血管系、消化剤、神経、呼吸器、および内分泌系の障害が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、本開示は、そのような治療または予防を必要とする対象における老化および/または慢性疾患を治療する方法を提供するが、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。対象の老化および/または慢性疾患の治療のための治療薬剤の製造における、本明細書で提供する医薬組成物(例えば、固定用量のトランス-クロセチンの医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量および/または投与レジメン))の用途もまた、本明細書において提供する。治療薬剤に用いる固定用量のトランス-クロセチンの医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量および/または投与レジメン)についても同様である。
【0249】
一実施態様において、本開示は、対象の虚血性病態または低酸素病態の治療に用いるトランス-クロセチン医薬組成物および投与レジメンを提供するが、ここで該治療は、有効量のリポソームトランス-クロセチン組成物および/または本明細書において提供される投与レジメン(例えば、固定用量のリポソームトランス-クロセチンの投与レジメン)で該対象に投与することを含み、それによって該対象における虚血性病態または低酸素病態を治療する。
【0250】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の虚血性病態または低酸素病態の治療に用いる固定用量のリポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まず対象に該リポソームトランス-クロセチン組成物を投与し、ここで全負荷用量を12時間(+/-3時間)以内または24時間(+/-6時間)以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、80mg~275mg、100mg~200mg、120mg~160mg(例えば、140mg)、200mg~300mg、または225mg~275mg(例えば、250mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンをさらに該対象に投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0251】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の虚血性病態または低酸素病態の治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、およびここで全負荷用量を3時間以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量リポソームトランス-クロセチンを100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する維持相において該対象にリポソームトランス-クロセチンをさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0252】
別の一実施態様においては、本開示は、対象のCOPDの治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、およびここで各負荷用量を1~3時間かけて点滴によって投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で、該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0253】
別の一実施態様においては、本開示は、対象のCOPDの治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で、該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、ここで全負荷用量を12時間(+/-3時間)以内または24時間(+/-6時間)以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量で、該対象に投与する維持相において、該対象にリポソームトランス-クロセチンをさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0254】
別の一実施態様においては、本開示は、対象のCOPDの治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与し、およびここで全負荷用量を3時間以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する維持相において、該対象にリポソームトランス-クロセチンをさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0255】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の敗血症の治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の負荷用量のトランス-クロセチンを、100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まず該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を対象に投与し、およびここで各負荷用量は点滴により1~3時間かけて投与し、次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~460mg(例えば、100mg~400mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~200mg、120mg~160mg、300mg、250mg、または140mg)の固定用量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0256】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の敗血症の治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、1、2、または3回以上の用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~460mg(例えば、250mgまたは300mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まず該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を点滴により1~3時間かけて該対象に投与し、およびここで複数回用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~350mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~200mg、120mg~160mg)、またはそれらの間のいずれかの範囲の固定用量で、該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0257】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の慢性感染の治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まずリポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、ここで各負荷用量は点滴により1~3時間かけて投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。いくつかの実施態様においては、該感染は細菌感染(例えば、腸内細菌科菌種(複数菌種)、肺炎連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、または緑膿菌に起因する慢性感染)、ウイルス感染(例えば、インフルエンザウイルス、またはコロナウイルス(COVID-19など)に起因する慢性感染)、または真菌感染である。特定の実施態様においては、該感染はウイルス(例えば、COVID-19)に起因する。
【0258】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の慢性感染の治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、およびここで全負荷用量を12時間(+/-3時間)以内または24時間(+/-6時間)以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。いくつかの実施態様においては、該感染は細菌感染(例えば、腸内細菌科菌種(複数菌種)、肺炎連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、または緑膿菌に起因する慢性感染)、ウイルス感染(例えば、インフルエンザウイルス、またはコロナウイルス(COVID-19など)に起因する慢性感染)、または真菌感染である。特定の実施態様においては、該感染はウイルス(例えば、COVID-19)に起因する。
【0259】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の慢性感染の治療に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~350mg、またはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、およびここで次いで、全負荷用量を3時間以内に投与し、およびここで複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~350mg、またはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。いくつかの実施態様においては、該感染は細菌感染(例えば、腸内細菌科菌種(複数菌種)、肺炎連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、または緑膿菌に起因する慢性感染)、ウイルス感染(例えば、インフルエンザウイルス、またはコロナウイルス(COVID-19など)に起因する慢性感染)、または真菌感染である。特定の実施態様においては、該感染はウイルス(例えば、COVID-19)に起因する。
【0260】
一実施態様においては、本開示は、対象の酸素送達増強に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、およびここで各負荷用量は点滴により1~3時間かけて投与し、およびここで次いで、複数回の定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mgの固定用量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0261】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の酸素送達増強に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、およびここで全負荷用量を12時間(+/-3時間)以内または24時間(+/-6時間)以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0262】
別の一実施態様においては、本開示は、対象の酸素送達増強に用いる固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、ここで1、2、または3回以上の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する負荷相において、まず該リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与し、ここで全負荷用量を3時間以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔は、1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0263】
別の実施態様においては、本開示は、虚血を有する、または虚血を発症するリスクのある対象において酸素送達を増加させる方法を提供するが、ここで該方法は、有効量の本明細書において提供されるリポソームトランス-クロセチン組成物(固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物など)を該対象に投与することを含み、それによって該対象における組織および/または臓器への酸素送達を増加させる。いくつかの実施態様においては、該対象は虚血を有する、あるいは虚血を発症するリスクを有する。いくつかの実施態様においては、外科手術(例えば、移植;切断四肢、身体部分または軟組織の再接合;移植手術、および血管外科手術)の前、手術中、または手術後に、有効量の該医薬組成物を該対象に投与する。いくつかの実施態様においては、創傷、熱傷、電気的損傷、または電離放射線に対する曝露を有する、もしくはそれらのリスクを有する対象に、有効量の該医薬組成物を投与する。いくつかの実施態様においては、末梢血管疾患、冠動脈疾患、脳卒中、血栓症、凝固、慢性血管閉塞症または血管障害(例えば、糖尿病、高血圧症、または末梢血管疾患に続発する)、または脳虚血、肺高血圧(成人または新生児);鎌状赤血球病;新生内膜過形成または再狭窄(血管形成術後またはステント植込み術後)を有する、もしくは発症するリスクを有する対象に有効量の該医薬組成物を投与する。いくつかの実施態様においては、ミオパシー、腎臓疾患;喘息または成人呼吸窮迫症候群;アルツハイマーおよび頭蓋内血流不良に続発する他の認知症に罹患している、あるいは発症するリスクを有する対象に有効量の該医薬組成物を投与する。いくつかの実施態様においては、該方法は、固定用量のトランス-クロセチン(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量および/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。対象の酸素送達を増加させる治療薬剤の製造における、固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物などの本明細書で提供する医薬組成物の用途もまた本明細書において提供する。治療薬剤に用いる固定用量のトランス-クロセチンの医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量および/または投与レジメン)についても同様である。いくつかの実施態様においては、該投与する医薬組成物は表面活性共重合体を含む。さらなる実施態様においては、該リポソーム組成物は、P188、P124、P182、P188、またはP234などのポロクサマーを含む。またさらなる実施態様においては、該リポソーム組成物はポロクサマーP188を含む。
【0264】
新生児対象または高齢対象において酸素送達を増加させる方法もまた本明細書に開示するが、ここで該方法は、本明細書において提供する医薬組成物(固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物など)を該対象に投与することを含み、それによって該対象の組織および/または臓器への酸素送達を増加させる。いくつかの実施態様においては、該対象は高齢(例えば、65歳超、70歳超、75歳超、または80歳超のヒト対象)である。いくつかの実施態様においては、該対象は呼吸器病態または疾患(例えば、COPD、呼吸窮迫症候群または成人呼吸窮迫症候群)に罹患している、あるいは発症するリスクを有する。いくつかの実施態様においては、該対象は変性障害(認知症またはアルツハイマー病など)に罹患している、あるいは発症するリスクを有する。いくつかの実施態様においては、該方法は、固定用量のトランス-クロセチン(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量および/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。高齢対象の酸素送達を増加させる治療薬剤の製造における、本明細書で提供する医薬組成物(固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物など)の用途もまた、本明細書において提供する。治療薬剤に用いる固定用量のリポソームトランス-クロセチン組成物についても同様である。
【0265】
別の実施態様においては、本開示は、虚血/再灌流傷害を有する、あるいは発症リスクを有する対象の酸素送達を増加させる方法を提供するが、ここで該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物など)を該対象に投与することを含み、それによって該対象において組織および/または臓器への酸素送達を増加させる。いくつかの実施態様においては、外科手術(例えば、移植;切断四肢、身体部分または軟組織の再接合;移植手術、および血管外科手術)の前、手術中、または手術後に、有効量の該医薬組成物を該対象に投与する。いくつかの実施態様においては、該虚血/再灌流傷害は、梗塞症、アテローム性動脈硬化症、血栓症、血栓塞栓症、脂質塞栓症、出血、ステント、外科手術、血管形成術、外科手術中の血管バイパス術、臓器移植、全身性虚血、およびそれらの組み合わせから選択される病態に起因するものである。いくつかの実施態様においては、該虚血/再灌流傷害は、心臓、肝臓、腎臓、脳、腸、膵臓、肺、骨格筋およびそれらの組み合わせの群から選択される臓器または組織において起こる。いくつかの実施態様においては、該虚血/再灌流傷害は、臓器機能障害、梗塞、炎症、酸化的損傷、ミトコンドリア膜の潜在的損傷、アポトーシス、再灌流関連不整脈、心臓性失神、心臓における脂質毒性、虚血性瘢痕形成、およびそれらの組み合わせの群から選択される。特定の実施態様においては、該虚血/再灌流傷害は心筋梗塞に起因するものである。いくつかの実施態様においては、末梢血管疾患、冠動脈疾患、脳卒中、血栓症、凝固、慢性血管閉塞症または血管障害(例えば、糖尿病、高血圧症、または末梢血管疾患に続発する)、または脳虚血、肺高血圧(成人または新生児);鎌状赤血球病;新生内膜過形成または再狭窄(血管形成術後またはステント植込み術後)を有する、もしくは発症するリスクを有する対象に有効量の該医薬組成物を投与する。いくつかの実施態様においては、ミオパシー、腎臓疾患;喘息または成人呼吸窮迫症候群;アルツハイマーおよび頭蓋内血流不良に続発する他の認知症に罹患している、あるいは発症するリスクを有する対象に有効量の該医薬組成物を投与する。いくつかの実施態様においては、該方法は、固定用量のトランス-クロセチン(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量および/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。対象の酸素送達を増加させる治療薬剤の製造における、固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物などの本明細書において提供する医薬組成物の用途もまた本明細書において提供する。治療薬剤に用いる固定用量のトランス-クロセチン(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量および/または投与レジメン)についても同様である。
【0266】
別の一実施態様においては、本開示は、対象において治療剤の有効性を増強する用途の固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、これは、1、2、または3回以上の固定負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で対象に投与する負荷相において、治療剤による治療を受ける、受ける予定である、または既に受けた対象にリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、およびここで全負荷用量を3時間以内に投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~350mgまたはそれらの間のいずれかの範囲の量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0267】
別の一実施態様においては、本開示は、対象において治療剤の有効性を増強する用途の固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、これは、1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、1の固定用量40mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、治療剤による治療を受ける、受ける予定である、または既に受けた対象にリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、およびここで各負荷用量を点滴で1~3時間かけて投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0268】
別の一実施態様においては、本開示は、対象において治療剤の有効性を増強する用途の固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を提供するが、これは、1、2、または3回以上の負荷用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~550mg(例えば、100mg~460mg、100mg~350mg、100mg~300mg、100mg~200mg、150mg~550mg、150mg~200mg、225mg~275mg、140mg、250mg、300mg、380mg、または580mg)の固定用量で該対象に投与する負荷相において、治療剤による治療を受ける、受ける予定である、または既に受けた対象にリポソームトランス-クロセチンを投与することを含み、およびここで各負荷用量を点滴で1~3時間かけて投与し、およびここで次いで、複数回の固定維持用量のリポソームトランス-クロセチンを、100mg~400mg(例えば、100mg~300mg、100mg~200mg、120mg~160mg、300mg、または140mg)の固定用量で該対象に投与する維持相において、リポソームトランス-クロセチンを該対象にさらに投与し、およびここで1、2、3、4、または5回以上の投与、または全維持用量の投与の時間間隔が1日1回、週2回、週1回、月4回、月3回、月2回、または月1回である。
【0269】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または内毒素血症に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。
【0270】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または敗血症に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該対象は軽度内毒素血症性疾患を有する。
【0271】
いくつかの実施態様においては、本開示は、敗血症を発症するリスクを有する対象を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該対象は免疫不全または免疫抑制状態である。いくつかの実施態様においては、該対象は重症である。いくつかの実施態様においては、該対象は高齢者または新生児である。いくつかの実施態様においては、該対象は発熱性好中球減少症を有する。いくつかの実施態様においては、該対象は慢性感染を有する。
【0272】
いくつかの実施態様においては、本開示は、火傷患者である対象の老化および/または熱傷に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。
【0273】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または感染に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該感染は細菌感染(例えば、緑膿菌感染、黄色ブドウ球菌感染(例えば、MRSA)、結核菌感染、腸球菌感染(例えば、VRE))またはそれに関連する病態である。いくつかの実施態様においては、該感染は真菌感染(例えば、侵襲性カンジダ症などのカンジダ感染症)またはそれに関連する病態である。いくつかの実施態様においては、該感染は寄生虫感染(例えば、住血吸虫症、およびヒトアフリカトリパノソーマ症)またはそれに関連する病態である。いくつかの実施態様においては、該感染はマラリアまたはそれに関連する病態(脳マラリア、重度の貧血、アシドーシス、急性腎不全およびARDSなど)である。いくつかの実施態様においては、該感染はウイルス感染(例えば、COVID-19、エボラ、デングおよびマールブルク)またはそれに関連する病態(ARDS、インフルエンザ、麻疹、およびウイルス性出血熱)である。
【0274】
いくつかの実施態様においては、本開示は、対象において貧血を治療するためのトランス-クロセチン組成物および投与レジメンを提供するが、これは[1]~[65]のいずれか1項に記載の方法にしたがう投与レジメンにおいて、貧血を既に経験した、現在経験している、経験すると思われる、または経験するリスクを有する対象に、リポソームトランス-クロセチン組成物を投与することを含むものである。いくつかの実施態様においては、急性失血性貧血(例えば、急速大量出血に起因する貧血)または関連する病態を有する対象にトランス-クロセチンを投与する。いくつかの実施態様においては、慢性失血性貧血(例えば、長期の中等度失血または血液の欠乏に起因する貧血)または関連する病態を有する対象にトランス-クロセチンを投与する。
【0275】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/またはショックに関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は心原性ショックに関連する。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は血液量減少性ショックに関連する。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は敗血症ショックまたは他のタイプの血液分布異常性ショックに関連する。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は神経原性ショックに関連する。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態はアナフィラキシーショックに関連する。特定の実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、該対象における心拍数の低下、血液アシドーシスの軽減、および/または臓器損傷の軽減に関連する。特定の実施態様においては、ショックまたはショックに関連する病態の発症から1時間以内または4時間以内、12時間以内、18時間以内または24時間以内、または48時間以内にトランス-クロセチンを投与する。
【0276】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または酸化窒素欠乏に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該疾患または障害は、鎌状赤血球病、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、溶血性貧血、サラセミア、他の赤血球障害、またはそれに関連する病態である。いくつかの実施態様においては、該疾患または障害は、血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、特発性血小板減少症(ITP)、または/およびその他の血小板障害、またはそれに関連する病態などの紫斑病である。いくつかの実施態様においては、該疾患または障害は、播種性血管内凝固障害(DIC)、電撃性紫斑病、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、白血球増加症、過粘稠度症候群、またはそれに関連する病態などの凝固異常である。
【0277】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または炎症に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、上記の炎症に関連する疾患または病態は軽度炎症である。いくつかの実施態様においては、上記の炎症に関連する疾患または病態は全身性炎症である。いくつかの実施態様においては、上記の炎症に関連する疾患または病態は急性炎症性疾患または慢性炎症性疾患である。
【0278】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または循環器系疾患または病態に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、循環器系の疾患または病態は冠動脈疾患である。いくつかの実施態様においては、上記の循環器系の疾患または病態は、心筋梗塞、突然の心臓死、心肺停止、高血圧症、肺動脈高血圧症、アテローム性動脈硬化症、閉塞性動脈疾患、レイノー病、末梢血管疾患、その他の血管障害(バージャー病、高安病、および心停止後症候群(PCAS)など)、慢性静脈機能不全、心臓疾患、鬱血性心不全、または慢性皮膚潰瘍である。心臓血管の健康を評価する方法およびバイオマーカー(例えば、通常のトロポニン類(cTnIおよびcTnT)、虚血変性アルブミン(IMA)、B型ナトリウム利尿ペプチドおよびN末端proBNP、全血コリン、および非エステル化遊離脂肪酸(FFAu)のレベル)、および心臓血管損傷および疾患、ならびに治療レジメンの有効性については、当該技術分野において公知である。
【0279】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または肝臓疾患、傷害、または病態に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該肝臓疾患または病態は肝臓の虚血/再灌流傷害である。いくつかの実施態様においては、該肝臓疾患または病態は肝切除または肝臓移植である。いくつかの実施態様においては該肝臓疾患または病態は肝硬変である。いくつかの実施態様においては、該肝臓疾患または病態は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施態様においては、該肝臓疾患または病態はアルコール性肝臓疾患である。いくつかの実施態様においては該肝臓疾患または病態は急性肝臓障害である。肝臓の健康を評価する方法およびバイオマーカー(例えば、肝酵素ALT、AST、ALP、およびLDHのレベル)、ならびに肝臓の傷害および疾患、ならびに治療レジメンの有効性については、当該技術分野において公知である。
【0280】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または肺疾患または病態に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は急性呼吸促迫症候群(ARDS)である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は肺線維症である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は肺気腫である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は喘息である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は肺出血である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は喘息である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は肺損傷(例えば、急性肺障害(ALI))である。いくつかの実施態様においては、該肺疾患または病態は肺癌である。いくつかの実施態様においては、該病態は嚢胞性線維症である。
【0281】
いくつかの実施態様においては、急性肺苦痛を経験する(例えば、呼吸困難、頻呼吸、低酸素レベルに起因する精神錯乱を有するなどの症状を呈する)および/またはPaO2/FiO2比が300mmHg未満または250mmHg未満である対象(例えば、ヒト)に、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を投与する。別の実施態様においては、PaO2/FiO2比が300mmHg未満~200mmHg以上である対象に該医薬組成物を投与する。別の実施態様においては、PaO2/FiO2比が300mmHg未満~250mmHg以上である対象に該医薬組成物を投与する。さらなる実施態様において、該医薬組成物はリポソームトランス-クロセチンを含む。
【0282】
いくつかの実施態様においては、急性呼吸ARDSを経験する、および/またはPaO2/FiO2比が200mmHg未満である対象(例えば、ヒト)に、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を投与する。さらなる実施態様において、該医薬組成物はリポソームトランス-クロセチンを含む。
【0283】
いくつかの実施態様においては、患者のPaO2/FiO2比を増加させるために、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を対象(例えば、ヒト)に投与する。いくつかの実施態様においては、該医薬組成物の投与によって、患者のPaO2/FiO2比が5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加する。さらなる実施態様においては、該医薬組成物の投与によって、患者のPaO2/FiO2比が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%または50%増加する。さらなる実施態様において、該医薬組成物はリポソームトランス-クロセチンを含む。さらなる実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を5%~75%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。さらなる実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を10%~50%またはそれらの間のいずれかの範囲で増加させる。さらなる実施態様においては、該リポソームトランス-クロセチンの投与は、患者のPaO2/FiO2比を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%または50%増加させる。
【0284】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または腎臓疾患または病態に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該腎臓疾患または病態はリポ多糖誘導性急性腎障害(AKI)である。いくつかの実施態様においては、該腎臓疾患または病態は末期腎臓疾患を伴うまたは伴わない慢性腎不全である。腎臓の健康を評価する方法およびバイオマーカー(例えば、N-アセチル-β-グルコサミニダーゼ(NAG)、α1-ミクログロブリン(α1M)、シスタチン-C(Cys-C)、レチノール結合蛋白質(RBP)、微量アルブミン、腎傷害分子-1(KIM-1)、クラステリン、インターロイキン-18(IL18)、システインリッチ蛋白質(Cyr61)、オステオポンチン(OPN)、脂肪酸結合蛋白質(FABP)、フェチュイン-A、および好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)のレベル)、ならびに腎傷害および疾患、および治療レジメンの有効性については、当該技術分野において公知である。
【0285】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または血管疾患に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は冠動脈疾患である。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は高血圧症である。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態はアテローム性動脈硬化症である。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は心停止後症候群(PCAS)である。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は、閉塞性動脈疾患、末梢血管疾患、慢性静脈機能不全、慢性皮膚潰瘍、またはレイノー病である。いくつかの実施態様においては、血管疾患に関連する障害または病態は心臓疾患である。さらなる実施態様においては、該障害または病態は鬱血性心不全である。いくつかの実施態様においては、血管疾患に関連する障害または病態は虚血性腸疾患である。
【0286】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または心臓発作または脳卒中に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とするおよび/または心臓発作または脳卒中のリスクを有する対象に対して行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該障害または病態は虚血性脳卒中である。いくつかの実施態様においては、該障害または病態は出血性脳卒中である。心臓発作および脳卒中を評価する方法およびバイオマーカー(例えば、血液中のB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性蛋白質(CRP)、GlycA、CK-MB、心臓トロポニン、ミオグロビン、低密度リポ蛋白質コレステロールおよびヘモグロビンA1c(HgA1c)、リポ蛋白質関連ホスホリパーゼA2、グリア線維性酸性蛋白質、S100b、ニューロン特異的エノラーゼ、ミエリン塩基性蛋白質、インターロイキン-6、マトリックス金属プロテアーゼ(MMP)-9、D-二量体、およびフィブリノーゲンのレベル)、および治療レジメンの有効性については、当該技術分野において公知である。
【0287】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または神経系に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は疼痛(例えば、慢性疼痛)である。いくつかの実施態様においては、該疾患または病態は神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病)である。いくつかの実施態様においては、神経系に関連する障害または病態は神経損傷である。
【0288】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または炎症性腸疾患に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該障害または病態はクローン病である。いくつかの実施態様においては、該障害または病態は潰瘍性大腸炎である。
【0289】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または2型糖尿病または糖尿病素因に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、該障害または病態は代謝性疾患である。いくつかの実施態様においては、該障害または病態はインスリン抵抗性である。いくつかの実施態様においては、該障害または病態は糖尿病性血管疾患(例えば、網膜症および腎症などの微小血管疾患)である。いくつかの実施態様においては、該障害または病態は糖尿病性神経障害である。いくつかの実施態様においては、該障害または病態はで潰瘍、糖尿病性壊死、または壊疽である。
【0290】
いくつかの実施態様においては、本開示は、ミオパシー、慢性微小血管疾患、または細小血管障害、または加齢性黄斑変性症(AMD)などの微小血管機能障害に関連する障害を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象に行うものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン])を該対象に投与することを含む。
【0291】
いくつかの実施態様においては、本開示は、老化および/または硬化症に関連する慢性疾患を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療または予防を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、硬化症に関連する障害または病態は全身性硬化症である。
【0292】
いくつかの実施態様においては、本開示は、内毒素血症を治療する方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様においては、内毒素血症は、歯周病(例えば、歯周炎または歯肉の炎症)、慢性アルコール依存症、習慣性喫煙、移植、または新生児壊死性腸炎、または新生児耳感染などの病態に関連する。
【0293】
いくつかの実施態様においては、本開示は、LPS、内毒素および/またはその他の全身性炎症トリガーの全身性レベルを低下させる方法を提供するが、ここで該方法は、そのような治療を必要とする対象において行われるものであり、該方法は、本明細書で提供する有効量の医薬組成物(例えば、[1]~[65]のいずれか1項に記載される方法にしたがって投与するトランス-クロセチン用量において固定用量であるトランス-クロセチンおよび/または投与レジメン)を該対象に投与することを含む。
併用療法
【0294】
本明細書において提供するトランス-クロセチン組成物および投与レジメンは、単独あるいは1種類以上の他の治療薬との併用療法で投与を行うことができる。いくつかの実施態様においては、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を別の一治療剤との併用療法で投与する。組み合わせは同時投与するのであってもよく、例えば、同一リポソーム組成物中、送達担体中(例えば、リポソーム)、個別のものを混合して混合剤として同時に、または個別のものを同時に;あるいは個別のものを逐次的に投与することによって組み合わせるのであってもよい。上記の表現は、組み合わせ治療薬を治療用混合物として一緒に投与すること、およびまた組み合わせ薬剤を個別にではあるが、同時に投与する、例えば、異なる静脈注入ラインから同一対象に投与する方法を含む。「組み合わせ(併用)」投与は、別の治療剤の前または後に該リポソームトランス-クロセチン組成物に分離投与することをさらに含む。併用療法を用いる治療法もまた提供する。いくつかの実施態様においては、別の治療剤を対象に投与する前(例えば、別の治療剤の投与の5分~72時間、15分~48時間、または30分~24時間前、または別の治療剤の投与から12時間以内、9時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内、または1時間以内)に、単回以上の用量のトランス-クロセチンを該対象に投与する。さらなる実施態様においては、該別の治療剤は、放射線、化学療法剤、免疫治療剤、または酸素療法である。
【0295】
本明細書において提供するトランス-クロセチン医薬組成物および投与レジメンは、単剤療法および併用療法の両方の癌療法に用途を有する。いくつかの実施態様においては、本明細書で提供するリポソームトランス-クロセチン組成物および/または投与レジメンは、1種類以上の化学療法剤との併用療法において投与される(例えば、癌細胞に対する化学療法の有効性を増強する目的、および化学療法誘導性骨髄抑制および貧血の効果を緩和する目的)。該併用療法としては、例えば、併用投与または同時投与、個別の製剤または単一医薬製剤を用いて、およびいずれかの順序で行う連続投与を挙げることができ、ここで好ましくは、両方の(または全部の)活性物質が同時にその生物学的活性を発現する期間が存在する。したがって、該トランス-クロセチンの投与の前または後に該化学療法剤を投与するのであってもよい。この実施態様においては、少なくとも1回の化学療法剤投与と少なくとも1回のリポソームトランス-クロセチン投与との間のタイミングは、好ましくはおおよそ1週間、3日間、24時間、12時間、6時間以内である。いくつかの実施態様においては、化学療法剤の前(例えば、該化学療法剤の投与の5分前~72時間前、15分前~48時間前、または30分前~24時間前、または該化学療法剤の投与前の12時間以内、9時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内、また1時間以内)に、該固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物を該対象に投与する。
【0296】
あるいは、該化学療法剤および該トランス-クロセチンを単一製剤または個別の製剤として該患者に同時に投与する。該化学療法剤および該トランス-クロセチン(例えば、リポソームトランス-クロセチン)の組み合わせによる治療によって、該対象において相乗的、あるいは相加的以上の治療的上の利点が得られることがある。
【0297】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供のリポソームトランス-クロセチン組成物および/または投与レジメンは、一化学療法剤との併用療法において投与される(例えば、癌細胞に対する化学療法の有効性を増強する目的、および化学療法誘導性骨髄抑制および貧血の効果を緩和する目的)。
【0298】
いくつかの実施態様においては、本明細書において提供のリポソームトランス-クロセチン組成物および/または投与レジメンを、免疫療法との併用療法において投与する。いくつかの実施態様においては、免疫治療剤の投与前(例えば、該免疫治療剤の投与の5分前~72時間前、15分前~48時間前、または30分前~24時間前、または該免疫治療剤の投与前の12時間以内、9時間以内、6時間以内、4時間以内、2時間以内、または1時間以内)に、1種類以上の提供するトランス-クロセチン組成物を対象に投与する。
【0299】
いくつかの実施態様においては、放射線照射の前(例えば、該放射線照射の5分前~72時間前、15分前~48時間前、または30分前~24時間前、または該放射線照射前の12時間以内、9時間、6時間以内、4時間以内、2時間以内、または1時間以内)に、1種類以上の提供するトランス-クロセチン組成物を対象に投与する。
【0300】
有効物質投与のためのキット
別の一実施態様においては、本開示は、提供のトランス-クロセチン組成物(例えば、固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物)を、障害または病態の治療を目的として対象に投与するキットを提供する。いくつかの実施態様においては、本開示は、治療剤を対象に送達するキットを提供するが、該キットは、
(a)提供のトランス-クロセチン組成物(例えば、固定用量リポソームトランス-クロセチン組成物)を含む第1の組成物;
および
(b)例えば、試薬、緩衝液、添加剤、または該対象への投与前には、個別に保存される別の治療剤を含む第2の組成物、
を含む。そのようなキットは、典型的には低酸素症または炎症関連病態などの病状の治療に必要な2種類以上の成分を含む。いくつかの実施態様においては、該キットは、例えば、提供の固定用量トランス-クロセチン組成物、試薬、緩衝液、容器および/または設備を含む。該トランス-クロセチン組成物および製剤は凍結乾燥形態のこともあり得るが、その場合には投与前に再構成を行う。いくつかの実施態様においては、該キットは、患者の病状の治療に用いる1種類以上の成分を含むパッケージ化アセンブリを含む。例えば、パッケージ化アセンブリは、治療用トランス-クロセチン組成物を収納する個別容器および患者に投与する前に該組成物と混合することのできる他の添加剤または治療剤を含むのであってもよい。いくつかの実施態様においては、特定患者に必要な治療または診断に応じて、特定成分および/またはパッケージ化アセンブリを、医師が選択および適合化するのであってもよい。
【0301】
実施例
実施例1:トランス-クロセチンカルシウムリポソームの作成
トランス-クロセチンリポソームを調製するために異なる2種類のタイプのトランス-クロセチンを用いた;すなわち、トランス-クロセチン遊離酸(TC)およびそのナトリウム塩であるトランス-クロセチンナトリウム(STC)である。トランス-クロセチンのリポソーム封入は下記の手段によって行った。
【0302】
多層性二重(多重膜)ベシクル(MLV)の作成
最初に、リポソーム脂質膜の脂質成分を秤量し組み合わせ、エタノール中の濃縮溶液(温度約65℃)とした。一調製物においては、用いた脂質は、水素化大豆ホスファチジルコリン、コレステロール、およびDSPE-PEG-2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000])であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPEのモル比はおおよそ3:2:0.15であった。別の一調製物においては、用いた脂質は、HSPC、コレステロール、PEG-DSPE-2000、および1-パルミトイル-2-グルタリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPE:PGPCのモル比はおおよそ2.7:2:0.15:0.3であった。次いで、酢酸カルシウムを125mMまたは250mMの濃度で水性緩衝液(pH7.0)に溶解した。この酢酸カルシウム溶液を65℃に加熱した。
【0303】
ピペットを用いて、上記のエタノール脂質溶液を酢酸カルシウム溶液に加えた。この工程では、磁気撹拌子を用いて溶液をよく撹拌した。脂質が液晶状態(脂質転移温度(Tm=51℃~54℃)未満の温度になると起こり得るゲル状態に対立するものとして)となるように、混合は高い温度(63℃~72℃)で実施した。その結果、脂質が水和して内部空間に酢酸カルシウムを含む複数の二重層(多重膜)ベシクル(MLV)を形成した。
【0304】
フィルター押し出しを用いたMLVの小型化
積層(トラックエッチングしたポリカーボネート)膜を2回通過させる高圧押し出しによって、MLVを所望サイズの単層(単二重層)ベシクルに断片化した。この積層膜は、200nmの細孔径を有する2層および100nmの細孔径を有する6層を有するものであった。脂質膜の可塑性を確保する目的で押し出し工程中の温度をTm超に維持した。押し出しの結果、大型で、サイズおよび層状構造が不均一のMLVは、それらの内部空間に酢酸カルシウムが密封された小型で均一(100~120nm)の単層ベシクル(ULV)となった。後方散乱検出器(90°)を備えたMalvern Zetasizer Nano ZS装置(サウスボロー、マサチューセッツ州)を用いて、プラスチック製のマイクロキュベット中のベシクルの流体力学的サイズ(直径)を25℃で測定した。この試料は、分析前に製剤マトリックス中において50倍希釈した。
【0305】
酢酸カルシウムを含むULVの作成後、リポソーム外酢酸カルシウムは、SEC(PD10カラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィー)またはTFF(タンジェンシャルフロー透析濾過)を用いて除去した。浸透圧のバランスを調整するためにリポソームに等張化剤を添加した(最終濃度:125mM酢酸カルシウムのリポソームでは5%デキストロース、および250mM酢酸カルシウムのリポソームでは10%デキストロース)。酢酸カルシウム勾配の生成後、好ましくは24時間以内にトランス-クロセチン充填処理を実施した。上記調製したリポソーム溶液の脂質含有量をリン酸アッセイにより測定した。
【0306】
10%デキストロース(250mM酢酸カルシウムのリポソームの場合)で1mg/mLトランス-クロセチン溶液を調製し、そのpHを8に調整した。このトランス-クロセチン溶液を、異なる薬剤/脂質比(100g/mM、80g/mM、60g/mM、または40g/mM)で酢酸カルシウムリポソーム溶液と混合した。次いで、この混合物を充分撹拌しながら65℃で30分間加熱した後、氷/水浴を用いて室温に急冷した。この工程は、室温で一晩、混合物を撹拌することでも代替することができる。
【0307】
トランス-クロセチン分子(電荷のない中性型)がリポソーム脂質二重層を越える運動は、生成した酢酸カルシウム勾配に支配される(換言すれば、酢酸が拡散で外に出るが、トランス-クロセチンが拡散で内部に入る)。次いで、トランス-クロセチンがイオン化するため、カルシウムと共に(カルシウム塩の形態(トランス-クロセチンカルシウム、CTC)として)沈殿を形成した;それによってリポソーム内部に捕捉された。
【0308】
リポソームの精製
リポソーム外トランス-クロセチンは、SEC(PD10カラム)またはTFFを用いて除去した。本実施例では、SECに用いた緩衝液はHBS(HEPES緩衝性食塩水、pH6.5)であった。精製完了の時点で、0.22ミクロンのフィルターを用いてフィルター滅菌を実施した。後方散乱検出器(90°)を備えるMalvern Zetasizer Nano ZS装置(サウスボロー、マサチューセッツ州)を用いて、プラスチック製のマイクロキュベット中のベシクルの流体力学的サイズ(直径)を25℃で測定した。この試料は分析前に希釈した。
【0309】
【0310】
実施例2:Nanoassemblr(登録商標)による酢酸カルシウムリポソームの調製
酢酸カルシウム充填リポソームを、下記の手段によって調製した。まず、リポソーム脂質膜の脂質成分を秤量して組み合わせ、エタノール中の濃縮溶液とした(温度約65℃)。一例においては、用いた脂質類は、水素化大豆ホスファチジルコリン、コレステロール、およびDSPE-PEG-2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ-(ポリエチレングリコール)-2000])であった。
【0311】
HSPC:コレステロール:PEG-DSPEのモル比は、おおよそ3:2:0.15であった。他の一例においては、用いた脂質類は、HSPC、コレステロール、PEG-DSPE-2000、および1-パルミトイル-2-グルタリル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PGPC)であった。HSPC:コレステロール:PEG-DSPE:PGPCのモル比は、おおよそ2.7:2:0.15:0.3であった。
【0312】
次いで、酢酸カルシウムを125mMまたは250mMの濃度で水性緩衝液(pH7.0)に溶解した。この酢酸カルシウム溶液を65℃に加熱した。上記のエタノール脂質溶液および酢酸カルシウム溶液を個別に注射筒内に移した。Precision NanoSystemsのNanoAssemblr(登録商標)デバイスを用いて、2種類の溶液をマイクロ流体チャンネルに注入し、そこを通過させることによって混合した。脂質が液晶状態(脂質転移温度(Tm=51℃~54℃)未満の温度になると起こり得るゲル状態に対立するものとして)となるように、混合は高い温度(63℃~72℃)で実施した。脂質溶液と水溶液の比ならびに混合流速により、リポソームのサイズを制御することができる。
【0313】
実施例1:COVID-19に起因する急性呼吸促迫症候群の患者におけるリポソームトランス-クロセチンの臨床試験
COVID-19疾患に起因する急性呼吸促迫症候群の患者においてリポソームトランス-クロセチンの安全性および有効性を評価する第II相臨床試験を開始した。この試験において投与するリポソームトランス-クロセチン組成物は、本質的に国際特許出願WO2019213538に記載されるような方法で調製した;この参考文献はその全体が参照として本明細書に組み入れられる。この臨床試験は、COVID-19による重度急性呼吸促迫症候群(ARDS)に罹患した患者であって、人工呼吸補助を受けている患者をリポソームトランス-クロセチンで治療する非盲検第II相試験であった。この試験の目的は、リポソームトランス-クロセチン治療を受けた患者の2つのコホートにおいて、25%を超えるPaO2/FiO2の改善を評価することであった。第1のコホートでは、0.25mg/kgの用量でトランス-クロセチンを受容の患者では、3時間毎に静脈内(IV)ボーラス投与した。第2のコホートでは、トランス-クロセチンを含むリポソーム製剤による治療を行った。該リポソーム製剤によって遊離型薬剤の徐放が可能となり、1日1回以下の頻度の投与が実用可能か否かを試験した。最適用量および最適スケジュールを決めるために、薬物動態学的評価を実施した。主たる結果尺度としては、PaO2/FiO2比において少なくとも25%増加(時間枠:24時間)を示す患者の割合が挙げられる。副次的な結果尺度としては、(1)200mmHg超のPaO2/FiO2比を有する患者の割合(時間枠:24時間、48時間および72時間)、および(2)全死因死亡率(時間枠:28日)が挙げられる。
【0314】
これまでの登録患者から取得したデータを本明細書に開示する。さらに安全性および有効性を実証する目的で、さらなる8~10患者をコホート4の投与に登録予定である。
【0315】
試験薬剤物質および活性部分はトランス-クロセチンであり、薬剤品はリポソームトランス-クロセチン注射であった。トランス-クロセチンはカロテノイドであり、拡散勾配を越えて血漿中または水中の酸素拡散を増加させる能力を有することが示されている(Gainer、Expert Opin. Investig. Drugs、17(6):917-924(2008);Gainerら、 Circ. Shock、41(1):1-7(1993);Royら、Shock、10(3):213-217(1998);Dharら、Mol.Cell.Biochem.278(1-2):139-146(2005))。
【0316】
天然産物型のクロセチン類には、複数の臨床的に有益な特性が認識されており、そのような特性としては、低酸素病態における酸素輸送および内毒素血症関連臨床病態の管理が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。クロセチン類、特にトランス-クロセチン塩の亜群および以前に調べられているトランス-クロセチンナトリウム(トランス-クロセチン酸ナトリウム(TSC)ともよばれる)は固有の特性を有し、その特性により水分子間にさらなる水素結合を形成させることで血漿中の水の構造を変化させる。コスモトロピック効果ともよばれるトランス-クロセチンのこの「秩序形成効果」の結果として、トランス-クロセチンは、血漿中において酸素ならびにグルコースなどの他の低分子の拡散を改善するのである。
【0317】
トランス-クロセチンの臨床開発には問題が生じた;その理由は、2種類の主要因子のために、その酸素拡散促進効果が一過性となることであった。溶解度が低いこと:遊離型薬剤としてのトランス-クロセチン酸一価金属塩(TSCなど)は、おそらくクロセチン(遊離酸)についての溶解度の問題を克服する目的で設計されたと考えられる。半減期が短いこと:TSC半減期はおおよそ30分であり、そのため臨床背景においては酸素拡散の促進が一過性効果となる。トランス-クロセチンのリポソーム封入によって、半減期が顕著に長い安定な製剤が得られた(マウスPK試験において、TSCの30分と比較してt1/2が2~6時間)。
【0318】
重症COVID-19の患者は、急性呼吸促迫症候群(ARDS)の特徴を示すことが多い。これらの患者では通常、人工呼吸器による呼吸支援が必要である。しかし、多くの患者が広範な肺損傷のない重度の低酸素症を早期に示す。この低酸素症(「無症候性低酸素症」ともよばれる)を示す患者は、必ずしもARDSを示すわけではない。そのような患者は、低酸素症を補うために呼吸疲労を感じるまでより速く呼吸し、突然卒倒する。COVID-19の状況において人工呼吸を受ける患者が相対的に高い死亡率であることが報告されており、それによって証明されるように、上記のような患者においては人工呼吸が役に立たないこともある。
【0319】
特定の理論に限定されるものではないが、リポソームトランス-クロセチンは主に以下の2つの様式で身体において低酸素症を改善し得る:
(1)ARDSなどの病態において、勾配を越えて酸素の拡散性を増加させることによって肺胞毛細血管インターフェイスにおける酸素拡散速度を増加させる;
および
(2)酸素が赤血球を離れ、血漿および間質を通じて移動し、組織および個々の細胞に到達する際の酸素拡散速度を増加させる。このレベルにおけるこの酸素拡散の生物学的プロセスが損なわれた場合に、無症候性低酸素症が起こり得る。
【0320】
この試験の主たる目的は、リポソームトランス-クロセチンの安全投与レジメンを決定すること、およびリポソーム封入トランス-クロセチンによる治療を受けた患者において、PaO2/FiO2が25%超改善することの測定による暫定効力、ならびにリポソーム封入トランス-クロセチンの安全性および薬物動態プロファイルを評価することであった。
【0321】
下の表に記載するように、現在までに4つのコホートの患者において3種類の投与スケジュールを試験した。いずれの用量も静脈内点滴により90分間かけて投与した。
【0322】
【0323】
安全上の懸念のない臨床試験においてトランス-クロセチン酸ナトリウム(TSC)を調べたのであるが、本試験はリポソーム形態のトランス-クロセチンを調べる初めての臨床試験であった。
【0324】
リポソーム封入トランス-クロセチンで治療する第1のコホートにおいては、投与レジメンが安全か否か、および有効性に必要とされる曝露が得られるか否かを評価するため、選択用量2.5mg/kg/日について6名の患者を登録した。前臨床評価に基づけば、遊離トランス-クロセチンの標的治療範囲は0.4~49μg/mLでなければならない。主成分として2mg/kg/日はヒトに安全投与される用量であったので、封入化型では全体の遊離型薬剤量の90%が経時的に放出されるとの予想に基づいて、リポソームトランス-クロセチンについて2.5mg/kg/日の用量を選択した。
【0325】
第1のコホートでは、2.5mg/kg/日のリポソームトランス-クロセチンを90分間かけて点滴することにより6名の患者を治療した。30サイクルの投与では、全く有害事象が認められなかった。総薬剤PKにより、負荷用量の要件を示すバランス点に到達するためには3サイクル必要であることが示された(
図2)。
【0326】
6名の患者の第2のコホートでは、第1日目に5mg/kgの負荷用量で治療した後、引き続き2.5mg/kg/日を用いた(表1)。この負荷用量では、第1日目から達成すべき標的治療範囲に到達し、上記のコホート1の知見に一致してPKパラメータが維持された(表2)。また、安全上の懸念は全く認められなかった。
図2に示されるように、5mg/kgの負荷用量では、より強い活性シグナルが得られた。
【0327】
【0328】
透析を必要とする腎機能不全の患者4名のサブセットを、第3のコホートに含めた。このサブセットの患者では、異なる薬物動態プロファイルが観察された。総薬剤PKは、コホート3の患者における分配量の減少を示した。これは、患者血漿と透析液との間で薬剤の再バランス化に起因する可能性が最も高かった(表4)。
【0329】
コホート2の患者における第1日目の遊離型薬剤PKは、H16およびH24において遊離型薬剤濃度が非常に低いことを示した(5.2~0.3μg/mLの範囲にある)(
図4)。PKシミュレーションは、12時間毎のリポソームトランス-クロセチン投与がより適切であることを示唆した。さらに、第2日目およびそれ以降の維持用量2.5mg/kg/日では、H24の場合の半分において活性が閾値未満の遊離型薬剤濃度を示した(0~1.44の範囲の中央値0.58μg/mL)。まとめると、これらの結果は、負荷用量を7.5mg/kgに増加させた後、これ以降12時間毎に5mg/kgの用量とする決定を支持するものであった。
【0330】
7.5mg/kgの負荷用量の後に、これ以降12時間毎に5mg/kgとする改訂投与スケジュールで、コホート4の2名の患者を治療した。コホート4のこれら2名の患者は、グレードIIの有害事象を経験した;すなわち、肝臓の生物学的障害のない総ビリルビンの増加である。このことは、トランス-クロセチンの色とビリルビンの測定に用いた比色法との間の干渉の可能性があったとする説明が成り立ち、測定アーティファクトの可能性を示唆する。有効性に関しては、コホート2において両名の患者が、経時的にPaO2/FiO2比の改善および人工呼吸のレベルおよび強度の減少を示した(正の呼気圧(PEP;cmH2O)およびFIO2の低下に反映されるなど)(
図5A~5D)。
【0331】
L4L-121の安全性試験
様々なビリルビン定量評価方法によるさらなる調査を実施した後に、本発明者らは、観察されるビリルビン上昇がTCとアッセイ間の干渉およびビリルビンレベル定量に用いたプロトコルに起因するアーティファクトであると結論づけた。L4L-121の投与に関係する他の有害事象(AE)は全く報告されていない(データ非提示)。
【0332】
コホート4において、総薬剤のPKプロファイルは上記の知見と一致するものであった。投与間の遊離型薬剤濃度は、H8およびH12において生物学的活性の境界内に維持されていた(8.6~4.6μg/mLの範囲>0.49μg/mL)。負荷用量後のCmaxは活性上マージンを超えていた(59および88μg/mL>49μg/mL)が、維持用量後のCmaxはマージン内であった(34.7~44μg/mL<49μg/mL)。リポソーム型の混入によって遊離型薬剤濃度値が過大評価となる可能性もあり、それを考慮する必要があるかもしれない。
【0333】
まとめとして、以下の用量によるヒトへの投与を報告する:
コホート1:2.5mg/kgを1日1回;
コホート2およびコホート3:5mg/kgの負荷用量の後に、第2日目およびそれ以降で2.5mg/kgを1日1回;
および
コホート4:7.5mg/kgの後に、12時間毎に5mg/kg。
【0334】
コホート1、2および3において有害事象も安全上の懸念も報告されていない。コホート4の両名の患者にはグレード2のビリルビンレベル上昇が見られたが、対応するその他の肝臓異常は認められなかった。これは多分アーティファクトであり、トランス-クロセチンの色とビリルビン測定に用いた比色法との間で起こり得る干渉による可能性が示唆される。
【0335】
1日の投与では、用量2.5mg/kgの場合に8時間の時点、および負荷用量5mg/kg用量の後に1日当たり2.5mg/kgの場合の12時間の時点で、多くの患者において遊離トランス-クロセチンが検出不能レベルであることが、観察される曝露から明らかとなった。このことは、コホート1、2および3に用いた1日1回の投与方略では、治療期間の大部分というわけでなくても、治療期間の少なくとも半分においては、多くの患者が治療量以下の薬剤レベルにしか曝露されていないことを示唆するものであった。
【0336】
腎障害を有する患者に観察されるPK曝露は、そのような患者は彼らの臨床病態に特異的な用量変更を必要とする可能性を示唆するのもであった。
【0337】
コホート4で試験した7.5mg/kgの負荷用量後、それ以降は12時間毎に5mg/kgの場合に、予備的データは、治療経過中における患者の薬剤への曝露は経時的に減少したが、それでも依然として治療範囲内の薬剤レベルであることを示唆した。
【0338】
【表4】
血液中の総薬剤濃度、(下段)血液中の放出トランス-クロセチン(遊離型薬剤)。表3は、試験の主要PKパラメータの概要を示す。遊離型薬剤および総L4L-121の両方で、全体的に、AUCおよびCmaxは用量依存性に増加した。
【0339】
コホート1、2および3の患者では、低曝露にもかかわらず、全コホートを通じて記録された24時間の時点およびそれ以降の応答で有望な活性が認められた。注目すべきことは、コホート2で、すべての患者において、96時間までにPaO2/FiO2比が25%超改善したことである。これらの応答は経時的に変動し、おそらく上記の最適以下のPK曝露による可能性が高い。対照的に、治療薬剤曝露がより高く持続性であるコホート4では、このコホートに登録した両患者において24時間の時点でPaO2/FiO2比に25%超の増加が観察された。
【0340】
COVID-19患者における有効性
この試験の主要な目的は、L4L-121治療によって、人工呼吸補助下のARDS患者においてPaO2/FiO2が25%以上の改善が得られることを示すことであった。全体として、L4L-121治療の最初の24時間経過中に患者の39%において25%超の増加が得られた。コホート2および3の全患者ならびにコホート1および4の患者の50%において、治療期間中のいずれかの時点でPaO2/FiO2比が25%超の改善となった。まとめると、患者の78%において、治療期間中のいずれかの時点でPaO2/FiO2比が25%超改善した(
図5A)。
【0341】
有効性の第2の指標として、総28日生存率が83%であることが明らかになった(
図1A)。L4L-121治療の5日間に、2名の患者(11%)が抜管した。
【0342】
1名の患者は8日目に死亡したが、最も強力な人工呼吸器による支持を必要とする患者の数は、8日目までにベースラインの患者13名(72%)から患者8名(44%)に減少し、また一般的に麻痺剤および鎮静剤の必要性も減少した。ARDS患者の呼吸の改善に用いる方略は、患者に腹臥位をとらせ酸素拡散を増加させることである。治療開始時に全4名の患者は腹臥位であったが、5日目の治療の最後までには、すべての患者を再び仰臥位に戻し、総体的に安楽となるように改善した(
図5B)。
【0343】
興味深いことに、酸素化のパラメータに注目すると、PaO2/FiO2比はL4L-121治療後に経時的に増加する傾向を示し、治療から2日後にはその増加がより顕著であった(
図5B)。ノルアドレナリンを必要とする患者の数はL4L-121治療の3日目までに、13名の患者(患者の72.2%)からベースラインの5名(27.8%)に減少した。
【0344】
全体として、L4L-121治療後に、平均の全体的臓器不全順次評価(SOFA)スコアが8日目までにベースラインから2点超減少する傾向が観察された(
図5C)。治療に伴うSOFAスコアの減少は、患者の臨床状態の全体的改善に関する臨床所見を説明するのに役立つものであり、L4L-121治療が、呼吸器系に観察される恩恵に加えて他の臓器の灌流をも改善する可能性を示唆するものである。臨床的に有望な転帰は、L4L-121治療後に経時的に観察される平均心臓血管SOFAサブスコアの減少に反映される(
図5C)。心臓血管のSOFAサブスコアのこの減少は、心臓血管機能の全体的改善および患者身体の全体的な灌流能の改善を示唆するものである。
【0345】
COVID-19および敗血症などの病態において、全身性酸素欠乏または低酸素症をもたらすARDSは、特に重症例における主たる死亡原因であることが分かっている。低酸素症は、COVID-19患者および他のARDS関連病態(敗血症など)における臨床転帰の一連の自己亢進的予後不良因子に関連付けられている。
【0346】
現在、重症COVID-19患者の治療選択肢は、人工呼吸および対症療法に限られており、生存率転帰が低いのである。
【0347】
インビトロの結果および敗血症マウスモデルによる前臨床治療評価では、TCの再酸素化活性が実証され、L4L-121製剤による酸素拡散増強および曝露最適化を示している。これらの前臨床データによって、本発明者らは、この新規リポソームプラットフォームを評価する早期承認臨床試験を実施することが可能となった。
【0348】
この試験の登録患者は、SARS-CoV-2感染によって悪化した転帰に関連する基礎併存症で、治療前に平均で約12日間ICU入院していた。さらに、この試験に含まれる患者の100%が凝固活性の増加を示し、この治療患者集団が重症であり、臓器灌流に問題があったと予想されることをさらに強調するものである。
【0349】
これら患者の39%において、24時間の時点でPaO2/FiO2比が25%超の改善となる主要評価項目を満たしていた。さらに、最大で患者の78%において、治療期間中にPaO2/FiO2比が25%超に達していた。またさらに、治療中の呼吸機能改善に関する他のマーカーとしては、FiO2の必要性の全体的低下およびPaCO2の若干の低下、強度人工呼吸の減少、鎮静剤および麻痺薬使用の減少、および腹臥位をとることを必要とする患者数の減少が挙げられる。さらに、総SOFAスコアおよびサブスコアにおいて観察される改善は、L4L-121治療によって微小循環が改善するため他の臓器の灌流が改善し、それによって呼吸器系に観察される恩恵に加え多臓器機能を向上させる可能性を示すものであった。まとめると、これらの所見は、COVID-19患者の治療において、より広く見れば、多臓器機能障害が疾病率および死亡率に対する重要な寄与因子となる、敗血症などの類似の基礎病態生理を伴う、他の特に満たされていない医療ニーズのある状況において、L4L-121は潜在的に臨床的恩恵をもたらすことを示唆するのである。
【0350】
この試験においては、28日生存率が83%に観察されたが、これは特に有望なことである。注目すべきことは、類似の患者集団において、デキサメタゾンを用いない、および用いた標準的治療法による治療後に観察される生存率が、それぞれ57%および69%であったことである(回復試験)15。24時間で最大12.5mg/kg用量を投与するL4L-121の臨床利用では、関連する有害事象(AE)は、現在のところ全く認められていない。結論としては、COVID-19によるARDS患者であって、人工呼吸を必要とするARDS患者の治療におけるL4L-121の全体的なリスク/利点プロファイルは、現在承認された薬剤のないこの高リスク患者集団にとって、好ましいものであると思われる。この現在進行中の試験による知見は有望ではあるが、予備的で標本サイズも小型である。しかしそれでも、パンデミックの状況に関連する緊急的必要性を鑑みれば、フランスにおいては2020年11月17日以来この化合物の日常的使用に関する一時的承認が得られているのである。
【0351】
実施例2:HUVEC細胞におけるLEAF-4L121の持続性再酸素化効果
まず、インビトロで内皮細胞(HUVEC)におけるLEAF-4L121の再酸素化特性評価を試みた。72時間処理後の生存率アッセイによりHUVECにおけるLEAF-4L121のIC50を測定した(CellTiter-Glo、Promega)。1mg/mLまでの濃度では毒性は全く観察されず、IC50は1136±21μg/mLであった(
図1E)。次に、遊離TCまたは様々な濃度のLEAF-4L121のいずれかで処理する24時間前に、HUVECを低酸素状態(1%PO2)でインキュベートした。連続的低酸素条件下の細胞を遊離TCで処理した場合には、予想通り、処理から30分後のフローサイトメトリーで迅速な再酸素化効果を示した(5μg/mLのTCで、最大15%PO2)(
図1Fおよび
図1G)が、本発明者らは、遊離TCの効力の急速な経時的消失もまた観察した(処理から3時間後に5%PO2に戻った)(
図1FおよびG)。対照的に、経時的LEAF-4L121処理では(
図1H)、リポソーム製剤が、遊離TCを用いた処理と同程度の迅速さで酸素レベルを増加させることが分かった。LEAF-4L121のこの迅速な酸素化効果は、ペイロードの一部が初期速放性(最初の6時間でおおよそ25%)であり、その後リポソームからのTC放出がより持続性に長時間にわたって起こることを含む、リポソームのTC二相性放出によるものである可能性が高い。これらのデータによって、HUVEC細胞の効率的再酸素化効果を示すのが75μg/mL~120μg/mLの濃度範囲であることも明らかである(
図6A)。
【0352】
本開示の方法を、現在のところ最も実際的で好ましい実施態様と考えられる実施態様に関連して説明したのであるが、本開示に含まれる方法が本開示の実施態様にのみ限定されるものではないことを理解されたい;そのような限定ではなく、むしろ付属の特許請求項の趣旨および範囲内に含まれる様々な変更および同等構成をすべて含むことが意図されるのである。
【0353】
2018年5月3日付け出願の米国特許出願第62/666,699号、2020年4月9日付け出願の米国特許出願第63/007,884号、2020年4月9日付け出願の米国特許出願第63/007,777号、2020年4月9日付け出願の米国特許出願第63/007,878号、2020年5月22日付け出願の米国特許出願第63/029,362号、2020年5月24日付け出願の米国特許出願第63/029,362号の各開示内容は、それぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0354】
2021年4月9日付け出願の国際特許出願PCT/2021/026703、PCT/2021/026704、PCT/2021/026683、PCT/2021/026532、PCT/2021/026654、およびPCT/2021/026513;ならびに2020年8月27日付け出願の米国特許出願第63/071,312号、2020年8月11日付け出願の米国特許出願第63/064,300号、2020年7月27日付け出願の米国特許出願第63/057,203号の各開示内容は、それぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0355】
2020年7月27日付け出願の米国特許出願第63/057,208号、2020年7月27日付け出願の米国特許出願第63/057,203号、2020年8月10日付け出願の米国特許出願第63/063,809号、2020年8月11日付け出願の米国特許出願第63/064,281号、および2020年8月11日付け出願の米国特許出願第63/064,300号の各開示内容は、それぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0356】
公開物、特許、特許出願、インターネットサイト、および本明細書に引用のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列の両方を含むアクセッション番号/データベース配列はいずれも、その内容全体が参照として本明細書に組み入れられるが、それらは、個々の各公開物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベース配列が、具体的かつ個別的に参照として組み入れられるのと同程度にすべての目的において本明細書に組み入れられるものである。
【国際調査報告】