(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】大動脈プロテーゼ送達デバイスおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20240423BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20240423BHJP
【FI】
A61F2/966
A61F2/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569647
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 US2022028079
(87)【国際公開番号】W WO2022240680
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506074417
【氏名又は名称】ボルトン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】ロステッター,ティモシー
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC16
4C097MM09
4C267AA45
4C267BB01
4C267BB10
4C267BB19
4C267BB26
4C267BB40
4C267CC10
4C267DD08
(57)【要約】
ハブは、まっすぐなトラックに沿って摺動可能であり、イントロデューサーシースは、ハブに固定され、ハブから遠位に伸長する。近位ハンドルは、まっすぐなトラックに沿って長手方向に摺動可能であり、長手軸に沿った移動長さを有するらせん形トラックを画定する。ハブおよび近位ハンドルは噛み合い、ハブの周囲のハンドルの回転により、ハブの長手方向の移動およびイントロデューサーシース内で半径方向に拘束されるプロテーゼからのイントロデューサーシースの引き込みが引き起こされる。ハブは、まっすぐなトラックと共に近位に摺動可能であり、それにより、長手軸の周囲の近位ハンドルの回転の間のらせん形トラックに沿ったハブの移動およびまっすぐなトラックに沿った近位ハンドルの近位の長手方向の移動の少なくとも1つにより、プロテーゼからのイントロデューサーシースの引き込みが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 遠位ハンドル、ここで該遠位ハンドルは近位端および遠位端を有し、該近位端および遠位端は長手軸を画定する;
b) 遠位ハンドルから近位に、長手軸に沿って伸長するまっすぐなトラック;
c) まっすぐなトラックにあり、まっすぐなトラックに沿って摺動可能であるハブ;
d) ハブに固定され、ハブから遠位に伸長するイントロデューサーシース、ここで該イントロデューサーシースは遠位ハンドルから遠位に伸長する;
e) 遠位ハンドルの近位にあり、まっすぐなトラックに沿って長手方向に摺動可能である近位ハンドル、ここで該近位ハンドルは、長手軸に沿って長手方向の移動長さを有するらせん形トラックを画定し、近位ハンドルは、長手軸の周囲に回転可能であり、ハブおよび近位ハンドルは噛み合い、ハブの周囲の近位ハンドルの回転は、長手軸の長さおよび近位ハンドルに対するまっすぐなトラックに沿ったハブの長手方向の移動を引き起こし、近位ハンドルは、遠位ハンドルに対して固定されたままであり、ハブの移動の長さは、ハブのらせん形トラックの移動長さにより制限され、ハブおよびイントロデューサーシースは、近位ハンドルに対する直接の長手方向の力の回転および長手軸の周囲の近位ハンドルの回転の少なくとも1つにより、まっすぐなトラックに沿って近位に移動可能である、
を含む、大動脈プロテーゼ送達システム。
【請求項2】
ハブが持ち上がった縁を含み、ハブの持ち上がった縁は、近位ハンドルが長手軸の周囲に回転される場合に近位ハンドルのらせん形トラックをたどり、それによりハブおよびイントロデューサーシースの近位の移動が引き起こされる、請求項1記載の大動脈プロテーゼ送達システム。
【請求項3】
ハブの縁が、ハブからおよび長手軸から半径方向に外側に伸長し、らせん形トラックが、近位ハンドルの内部空間の少なくとも一部を画定する、請求項2記載の大動脈プロテーゼ送達システム。
【請求項4】
ハブが近位ハンドルの内部空間に閉じ込められる、請求項3記載の大動脈プロテーゼ送達システム。
【請求項5】
ハブ、遠位ハンドル、近位ハンドルおよびイントロデューサーシースを通って伸長するガイドワイヤカテーテルをさらに含む、請求項4記載の大動脈プロテーゼ送達システム。
【請求項6】
a) イントロデューサーシースの遠位端内に半径方向に拘束される大動脈プロテーゼを、動脈を通って患者の大動脈瘤に送達する工程、ここでイントロデューサーシースの遠位端は動脈瘤の近位にある;
b) 遠位ハンドルの近位にあり遠位ハンドルと隣接し、近位ハンドルの内表面により画定されるらせん形トラックでハブと噛み合う近位ハンドルを回転させる工程、ここでハブはイントロデューサーシースの近位端に固定され、それによりハブを、近位ハンドル内に伸長するまっすぐなトラックに沿って最近位にかつ近位ハンドルに隣接する遠位ハンドルから遠位に移動させ、イントロデューサーシースは、大動脈瘤で大動脈プロテーゼから少なくとも部分的に引き込まれ、イントロデューサーシースによる半径方向の拘束を少なくとも部分的に解放する、
を含む、大動脈瘤を治療するための方法。
【請求項7】
イントロデューサーシースが大動脈プロテーゼから部分的に引き込まれ、該方法が、近位ハンドルに近位の長手方向の力を適用し、それによりハブをまっすぐなトラックおよびイントロデューサーシースに沿って近位に摺動させ、ステントグラフトからさらに引き引き抜く工程をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
大動脈プロテーゼが開窓を画定し、動脈瘤が、開窓が動脈分岐と整列されなければならない動脈分岐を含む動脈の一部にあり、該方法が、開窓と動脈分岐を整列させるように大動脈プロテーゼを回転的に方向づける工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
近位ハンドルに近位の長手方向の力を適用する工程が、大動脈プロテーゼの開窓と動脈分岐を整列させる後に実行される、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、2021年5月11日に出願された米国仮特許出願第63/186,954号の利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
大動脈瘤などの動脈病状はしばしば、開放外科的再構成、または代替的に、開放外科的修復の代わりに最小の侵襲性である血管内修復により治療される。しかしながら、血管内修復の成功裡の結果を最適化することは、患者の解剖学的構造の評価を必要とする。動脈またはより具体的には胸部または腹部大動脈瘤の場合は、動脈瘤の近位および遠位端にわたる適切なプロテーゼは、プロテーゼを大動脈に適切に固定して、エンドリークおよび大動脈内のプロテーゼの移動を最小化することにより、動脈瘤袋(aneurysm sack)の完全な排除を確実にする。外科医が手術する必要がある典型的に狭苦しい場所(close quarters)を考慮すると、大動脈プロテーゼの血管内送達に補助的なデバイスは、特に、それが大きな空間を占め、しばしば動脈瘤にわたる指定される設置場所で解放される前に必要とされるプロテーゼの正確な方向付けの間に容易に操作されない場合に、煩わしくあり得る。
【0003】
そのため、大動脈瘤などの大動脈病状を治療するための、新規の向上された血管内修復デバイスおよび方法のための必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明は、大動脈瘤ならびに生命維持に必要な臓器および組織に血液を供給する動脈分岐を有する大動脈能領域に関連する血管損傷、例えば胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤および胸腹大動脈瘤;ならびにより具体的に開窓が設けられた血管内大動脈修復を使用する傍腎(juxtarenal)大動脈瘤およびショートネック(short-neck)腹部大動脈瘤などの大動脈血管損傷の治療および修復における大動脈プロテーゼ送達システムおよびその使用方法に関する。
【0005】
一態様において、本発明の大動脈プロテーゼ送達システムは、遠位ハンドル、その遠位ハンドルの遠位端における近位端の間の長手軸に沿って伸長するまっすぐなトラック、まっすぐなトラックにあり、まっすぐなトラックに沿って移動可能であるハブ、およびハブに固定されハブから遠位に伸長するイントロデューサーシースを含み、イントロデューサーシースは、遠位ハンドルから遠位に伸長する。遠位ハンドルの近位にある近位ハンドルは、まっすぐなトラックに沿って長手方向に摺動可能である。近位ハンドルは、ハブの長手軸に沿った移動距離(length)を有し、長手軸の周囲に回転可能であるらせん形トラックを画定する。ハブおよび近位ハンドルは噛み合うので、ハブの周囲の近位ハンドルの回転は、長手軸および近位ハンドルに対するまっすぐなトラックの長さに沿ったハブの長手方向の移動を引き起こし、近位ハンドルは、遠位ハンドルに対して固定されたままである。ハブの移動の長さは、ハブのらせん形トラックの長さにより制限される。ハブおよびイントロデューサーシースは、近位ハンドルへの直接の長手方向の力の適用および長手軸の周囲の近位ハンドルの回転の少なくとも1つにより、まっすぐなトラックに沿って長手方向に移動可能である。
【0006】
別の態様において、本発明は、ステントグラフトなどの大動脈プロテーゼを外科的部位に送達する方法に関する。この態様において、イントロデューサーシースの遠位端内で動脈を通って患者の大動脈瘤へと半径方向に拘束される大動脈プロテーゼは、患者の大動脈瘤に送達され、ここでイントロデューサーシースの遠位端は動脈瘤の近位にある。遠位ハンドルの近位にありそれに隣接する近位ハンドルは回転され、ここで近位ハンドルは、近位ハンドルの内表面により画定されるらせん形トラックでハブと噛み合い、ハブは、イントロデューサーシースの近位端に固定され、それにより、ハブが、近位ハンドル内で伸長するまっすぐなトラックに沿って近位にかつ近位ハンドルに隣接する遠位ハンドルから遠位に移動するように回転され、イントロデューサーシースは、大動脈瘤で大動脈プロテーゼから少なくとも部分的に引き込まれ、イントロデューサーシースによる半径方向の拘束から少なくとも部分的に解放される。
【0007】
本発明は多くの利点を有する。例えば、送達デバイスのハンドルの長さは、イントロデューサーシースが遠位に伸長するハブの移動長さを制限することにより最小化される。より具体的に、近位ハンドルおよび遠位ハンドルが互いに対して隣接関係にある場合、イントロデューサーシースが遠位に伸長するハブの移動長さは、近位ハンドルの長さに制限され得る。さらに、それに沿ってハブが近位ハンドル内で移動し得るらせん形トラックを画定することにより、長手軸の周囲の近位ハンドルの回転は、近位ハンドル内のまっすぐなトラックに沿ったハブの移動、または代替的にまっすぐなトラックに沿った近位方向の近位ハンドルの引き込みを可能にする。そのため、ハブは、近位方向に移動され得、それによりイントロデューサーシースは、近位および遠位ハンドルが互いに隣接関係にある限り、近位および遠位ハンドルの累積の長手方向の長さを超えて送達デバイスの長さを伸長することなくイントロデューサーシース内に含まれる大動脈プロテーゼから引き込まれる。これは、外科的部位での大動脈プロテーゼの方向付けの間および大動脈プロテーゼの完全な解放の前に重要であり得る。さらに、プロテーゼの方向付けの際のイントロデューサーシースの引き込みは、近位ハンドルの回転により、より正確になり、これはてこの作用およびそのためにイントロデューサーシースの引き込みに対するより大きな制御を適用する。同時にまたは代替的に、外科医は、まっすぐなトラックに沿って外科医に向かう近位方向に近位ハンドルを単純に移動させ、それによりさらにハブをまっすぐなトラックに沿って、およびイントロデューサーシースを外科的部位からより直接的に引き込む選択肢を有する。近位ハンドルがまっすぐなトラックに沿って外科医に向かって近位に方向づけられる場合にのみ、送達デバイスの全体的な長手方向の寸法は、近位および遠位ハンドルの累積の長手方向の寸法を超えて長手方向に増加する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
前述のものは、同様の参照記号が異なる図面を通じて同じ部分を言及する添付の図面に図示されるように、例示的な態様の以下のより具体的な記載から明らかである。図面は、必ずしも一定の縮尺で作られておらず、代わりに態様の説明に重点が置かれる。
【
図1】
図1は、イントロデューサーシースの引き込み、それによるイントロデューサーシースにより半径方向に拘束されたプロテーゼの解放の前の本発明の大動脈プロテーゼ送達システムの一態様の見込み図(prospective view)である。
【
図2】
図2は、イントロデューサーシースによりかつその内に拘束されるプロテーゼからのイントロデューサーシースの引き込みの前の、
図1に示される開始部位での本発明の大動脈プロテーゼ送達システムの近位および遠位ハンドル部分の断面斜視図である。
【
図3】
図3は、近位ハンドル構成要素の回転、それによるプロテーゼからのイントロデューサーシースの引き込みの後の
図2に示される本発明の大動脈プロテーゼ送達システムの斜視図である。
【
図4】
図4は、プロテーゼからのイントロデューサーシースの引き込みの後の、
図3に示される態様の斜視断面図である。
【
図5】
図5は、近位ハンドルの回転なしの近位ハンドルへの直接の長手方向の力の適用によるまっすぐなトラックに沿ったハブの近位の移動後の
図2の近位および遠位ハンドルの斜視断面図である。
【
図6】
図6は、近位ハンドルの回転なしの近位ハンドルへの直接の長手方向の力の適用によるイントロデューサーシースの引き込み後の
図1に示される本発明の大動脈プロテーゼ送達システムの斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の特徴および他の詳細は、本発明の工程としてまたは本発明の部分の組合せとしてのいずれかで、特許請求の範囲においてより具体的に記載および指摘される。本発明の具体的な態様は、本発明の限定ではなく例示として示されることが理解される。本発明の主な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく種々の態様において使用され得る。異なる図面中に見られる同じ番号は同じ項目を示すことも理解される。
【0010】
本発明は一般的に、生命維持に必要な臓器および組織に血液を供給する動脈分岐を有する大動脈の領域を含む傍腎大動脈瘤およびショートネック腹部大動脈瘤などの大動脈瘤に関連のある血管損傷などの血管損傷の治療および修復における血管プロテーゼを送達するための大動脈プロテーゼ送達システムおよびその使用方法に関する。
【0011】
例示態様の説明を以下にする。
【0012】
患者に送達または植え込まれる、本明細書において「プロテーゼ」、「ステントグラフトプロテーゼ」または「脈管プロテーゼ」とも称されるステントグラフトを参照する場合、単語「近位」は、プロテーゼの一部またはプロテーゼの構成要素が患者の心臓に相対的に近いことを意味する。「遠位」は、プロテーゼの一部またはプロテーゼの構成要素が患者の心臓から相対的に遠くに離れることを意味する。
【0013】
しかしながらプロテーゼの送達もしくは植え込みに使用される送達システムまたは送達システムの構成要素について参照する場合、単語「近位」は、本明細書で使用する場合、送達システムを使用する臨床医により近いことを意味する。送達システムまたは送達システムの構成要素について参照する場合、「遠位」は、該用語が本明細書で使用される場合、送達システムを使用する臨床医からさらに遠く離れることを意味する。
【0014】
明確性のために、単語「最近傍」は、プロテーゼまたは送達システムのいずれかに関して上述の「近位」または「遠位」に起因する意味とは異なり、「近い」ことを意味する。
【0015】
本発明の大動脈プロテーゼ送達システムの一態様を
図1に示す。そこに示されるように、大動脈プロテーゼ送達システム10は、近位端14および遠位端16を有する近位ハンドル12ならびに近位端20および遠位端22を有する遠位ハンドル18を含む。イントロデューサーシース24は、近位端26および遠位端28を有し、それが取り付けられる遠位ハンドル18の遠位端22から遠位に伸長する。示されないプロテーゼは、イントロデューサーシース24の遠位端28内で半径方向に収縮される。ガイドワイヤカテーテル32は、近位ハンドル12、遠位ハンドル18およびイントロデューサーシース24を通って伸長する。
【0016】
イントロデューサーシース24がプロテーゼから引き込まれて曝露され得、それにより半径方向の収縮からプロテーゼを解放し得る2つの方法がある。
図2は、プロテーゼの展開前の開始位置での
図1に示される大動脈プロテーゼ送達システム10の近位部分の一態様の斜視断面図である。
図2に示されるように、近位ハンドル12および遠位ハンドル18は互いに対して隣接関係にあり、示されないプロテーゼは、イントロデューサーシース24の遠位端28内で半径方向に収縮されるが、ガイドワイヤカテーテル32の周囲に円周方向に(circumferentially)伸長する。
【0017】
図2に見られ得るように、遠位ハンドル18は近位端20および遠位端22を有する。近位端20および遠位端22は長手軸34を画定する。まっすぐなトラック36は、遠位ハンドル12から近位にかつ長手軸34に沿って伸長する。ハブ38は、まっすぐなトラック36にあり、まっすぐなトラック36に沿って摺動可能である。縁40はハブ38にある。イントロデューサーシース24は、ハブ38に固定され、そこから遠位に伸長する。長手軸34に沿ったハブ38の長手方向の移動の長さは、まっすぐなトラック36の長さによって制限される。ハブ38の移動はまた、近位ハンドル12のらせん形トラック42に沿った移動に制限される。イントロデューサーシース24は遠位ハンドル18から遠位に伸長する。近位ハンドル12は、遠位ハンドル18の近位にあり、まっすぐなトラック36に沿って長手方向に摺動可能である。近位ハンドル12の内側表面44は、長手軸34に沿った長手方向の移動長さを有するらせん形トラック42を画定する。近位ハンドル12は長手軸34の周囲に回転可能である。近位ハンドル12およびハブ38は噛み合い、ハブ38の周囲の近位ハンドル12の回転は、近位ハンドル12に対して長手軸34の長さおよびまっすぐなトラック36に沿ってハブ38を長手方向に移動させ、近位ハンドル12は遠位ハンドル18に対して長手方向に固定されたままである。
図2に示されるように、ハブ38の縁40は近位ハンドル12のらせん形トラック42に嵌合し、それにより長手軸34の周囲の近位ハンドル12の回転の結果として、ハブ38をまっすぐなトラック36に沿って移動させる。
【0018】
図3は、長手軸34の周囲の近位ハンドル12の回転(
図3)による、近位端30および遠位端50を有するプロテーゼ46からのイントロデューサーシース24の引き込み(
図4)後の
図1および2に示される大動脈プロテーゼ送達システム10の近位ハンドル12および遠位ハンドル18の斜視断面図であり、近位ハンドル12は遠位ハンドル18に対して隣接関係にある。
図2から
図3への移行に示される本発明の大動脈プロテーゼ送達システム10の使用方法の一態様において、ハブ42およびまっすぐなトラック36に対する近位ハンドル12の回転は、ハブ38の縁40を近位ハンドル12のらせん形トラック42に沿って移動させる。結果的に、近位ハンドル12の回転の方向に応じて、ハブ38はまっすぐなトラック36に沿って近位方向に移動する。イントロデューサーシース24はハブ38に固定され、そのために近位ハンドル12の回転によるまっすぐなトラック36に沿ったハブ38の近位の移動は、
図4に見られるようにイントロデューサーシース24の引き込みおよび結果的なプロテーゼ46の曝露を引き起こす。
【0019】
代替的に、イントロデューサーシース24は、近位ハンドル12に対して近位方向48に直接の長手方向の力を適用することにより、長手軸34の周囲に近位ハンドル12を回転することなくプロテーゼ46から引き込まれ得る。本発明の大動脈血管送達システム10の使用方法のこの態様において、ハブ38は、まっすぐなトラック36に沿って近位に移動させられ得、それにより、近位ハンドル12に対して近位方向48に、外科医に向かってまっすぐなトラック36に沿って直接の長手方向の力を適用することによりプロテーゼ46からイントロデューサーシース24を引き込む。具体的に
図3から
図5への移行に見られ得るように、近位ハンドル12は、遠位ハンドル18から離れて、それにより近位ハンドル12の遠位端16を遠位ハンドル18の近位端20から遠ざける。この態様において、遠位ハンドル18からの近位ハンドル12の長手方向の分離は、
図6に見られ得るように、プロテーゼ46からのイントロデューサーシース24の引き込みおよびイントロデューサーシース24による半径方向の収縮からのプロテーゼ46の解放を引き起こす。
【0020】
血管部位でプロテーゼ46などのプロテーゼを植え込むための本発明の使用方法の種々の態様がある。最初に、近位ハンドル12および遠位ハンドル18は、イントロデューサーシース24を方向づけるように操作され得、これは、イントロデューサーシース24の遠位端28で、プロテーゼ46を大動脈瘤にわたる外科的部位へと半径方向に収縮している。
図1~6を参照すると、次いでイントロデューサーシース24は、プロテーゼ46から少なくとも部分的に引き込まれ得、それによりイントロデューサーシース24内の半径方向の収縮からプロテーゼ46を少なくとも部分的に解放する。一態様において、近位ハンドル12が回転され、それによりイントロデューサーシース24が部分的に引き込まれる。イントロデューサーシース24を引き込むための近位ハンドル12の回転は、ハブ38の縁40を内側表面44近位ハンドル12により画定されるらせん形トラック42に沿って移動させることにより強化され、それによりプロテーゼ46に対してイントロデューサーシース24の位置に対する制御が提供される。かかる制御は、最適な設置場所に対するプロテーゼ46の近位端50の方向付けの間に特に重要である。一旦プロテーゼ46の近位端50の位置が最適化され、プロテーゼ46の近位端50の設置を可能にするようにイントロデューサーシース24が十分に引き込まれると、イントロデューサーシース24の引き込みは継続され得る。イントロデューサーシース24の継続される引き込みは、近位ハンドル12の回転、それによる近位ハンドル12のらせん形トラック42に沿ったハブ38の継続的な移動による、または代替的に近位方向48のまっすぐなトラック36に沿った近位ハンドル12の方向付け、それによる近位ハンドル12の位置とプロテーゼ46に対するイントロデューサーシース24の引き込みの程度の間の直接的な関係を可能にすることによることのいずれかで実行され得る。
【0021】
本発明の大動脈血管送達システム10の使用方法の別の態様において、イントロデューサーシース24は、遠位ハンドル18に隣接する間の近位ハンドル12の回転、その後の近位方向48の近位ハンドル12の直接的な引き抜きによるイントロデューサーシース24のさらなる引き込みにより、部分的に引き込まれ得る。イントロデューサーシース24のさらなる引き込みは完了され得、それによりプロテーゼ46は十分にまたは部分的のみに曝露される。近位ハンドル12およびそのためのハブ38のまっすぐなトラック36に沿った直接的な引き抜きによるさらなる引き込みが部分的である場合、近位ハンドル12は、近位ハンドル12を遠位ハンドル18との隣接関係に戻すように回転され得、次いでそれを遠位ハンドル18と隣接関係にしながら、イントロデューサーシース24の引き込みを続けるようにさらに回転される。この方法において、近位ハンドル12のらせん形トラック42に沿ったハブ38の縁40の移動により提供されるてこの作用および制御は、間隔を空けて適用され得、プロテーゼ46の植え込みの経過の間の近位方向48の近位ハンドル12の直接的な引き抜きにより可能にされるより迅速な引き込みにより中断され得る。それにより大動脈血管送達デバイス10の部分の全体的な長さは植え込みの間に最小化され得る。
【0022】
外科的部位でのプロテーゼの完全な解放後、大動脈プロテーゼ送達システム10は、患者から引き込まれ得る。外科的部位に対するプロテーゼ46の近位端50の方向付けは、例えばプロテーゼ46に開窓が設けられ、プロテーゼ46により画定される少なくとも1つの開窓と動脈分岐血管を整列するために回転的に方向づけなければならない場合に特に重要である。例えば送達されるプロテーゼ46が、予め植え込まれたプロテーゼの開窓を通って方向づけられなければならず、分岐血管に方向づけられなければならない分岐プロテーゼである場合に、イントロデューサーシース24の引き込みに対する制御のための選択肢も有利であり得る。
【0023】
本明細書に引用される全ての特許、公開された出願および参照文献の関連のある教示は、それらの全体において参照により援用される。米国特許第8,292,943号:第7,763,063号;第8,308,790号;第8,070,790号;第8,740,963号;第8,007,605号;第9,320,631号;第8,062,349号;第9,198,786号;第8,062,345号;第9,561,124号;第9,173,755号;第8,449,595号;第8,636,788号;第9,333,104号;第9,408,734号;第9,408,735号;第8,500,792号;第9,220,617号;第9,364,314号;第9,101,506号;第8,998,970号;第9,554,929号;第9,439,751号;第9,592,112号;第9,655,712号、第9,827,123号、第9,877,857号、第9,907,686号;第10,105,248号;第10,307,275号;第10,524,893号;第10,390,932号;第10,213,291号;第10,646,365号;第10,390,932号;第10,898,357号;米国特許出願第14/272,818号;第15/478,424号;第15/604,032号;第16/507,304号;第15/672,404号;第16/414,292号;PCT/US2017/025849;第16/379,423号;第16/379,490号;第16/379,354号;第16/391,843号;第16/391,995号;第16/392,443号;第16/414,208号;第16/414,132号;第16/433,654号;第16/433,823号;第16/513,559号および第17/200,213号の関連のある教示も、それらの全体において参照により援用される。
【0024】
例示的態様が特に示され、記載されているが、添付の特許請求の範囲に包含される態様の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本発明においてなされ得ることが当業者に理解される。
【国際調査報告】