(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】触媒床モジュールを含む反応器システム及びガス流中に含有される窒素酸化物の選択的接触還元のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 53/94 20060101AFI20240423BHJP
B01J 35/56 20240101ALI20240423BHJP
B01J 23/22 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01D53/94 222
B01J35/56 301Z
B01J23/22 A ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569654
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022028521
(87)【国際公開番号】W WO2022240834
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリンク,ワッシム
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC04
4D148BA07X
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4G169EC28
4G169EE07
4G169FA01
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4G169FA06
4G169FB14
4G169FB23
4G169FB30
4G169FB36
4G169FB67
(57)【要約】
ガス流を触媒組成物と接触させることができる反応器は、第1の複数の発泡体触媒ブロックを含む第1のグループであって、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第1の背面を有する第1の表面積を有する第1の前面と、対向する第1の底部側を有する第1の頂部側と、対向する第1の別の側面を有する第1の側面とによって境界付けられている、第1のグループと、第1のグループに隣接し、第2の複数の発泡体触媒ブロックを有する第2のグループであって、前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第2の背面を有する第2の表面積を有する第2の前面と、対向する第2の底部側を有する第2の頂部側と、対向する第2の別の側面を有する第2の側面とによって境界付けられている、第2のグループと、を有する触媒床モジュールを含む。第1の複数の発泡体触媒ブロックの第1の背面と、第2の複数の発泡体触媒ブロックの第2の背面とは、互いに離間して対向している。反応器はまた、第1のグループと第2のグループとの間に配置され、離間関係を維持し、第1の複数の発泡体触媒ブロックと第2の複数の発泡体触媒ブロックとの間に封止容積を形成することができる封止フレームと、支持表面及び開口部を有し、第1のグループ及び第2のグループを支持することができる支持フレームとを含む。第1のグループ及び第2のグループは、開口部が第1のグループと第2のグループとの間に封止容積に隣接して配置されるように支持表面に固定され、封止容積及び開口部がガス流のための通路を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流を触媒組成物と接触させるように構成された反応器であって、
触媒床モジュールであって、
第1の複数の発泡体触媒ブロックを含む第1のグループであって、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第1の背面を有する第1の表面積を有する第1の前面と、対向する第1の底部側を有する第1の頂部側と、対向する第1の別の側面を有する第1の側面とによって境界付けられている、第1のグループと、
前記第1のグループに隣接し、第2の複数の発泡体触媒ブロックを含む第2のグループであって、前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第2の背面を有する第2の表面積を有する第2の前面と、対向する第2の底部側を有する第2の頂部側と、対向する第2の別の側面を有する第2の側面とによって境界付けられ、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックの前記第1の背面及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの前記第2の背面が、互いに離間関係で対向する、第2のグループと、
前記第1のグループと前記第2のグループとの間に配置され、前記離間関係を維持し、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックと前記第2の複数の発泡体触媒ブロックとの間に封止容積を形成するように構成された封止フレームと、
支持表面及び開口部を備え、前記第1のグループ及び前記第2のグループを支持するように構成された支持フレームであって、前記第1のグループ及び前記第2のグループが、前記開口部が前記第1のグループと前記第2のグループとの間に前記封止容積に隣接して配置されるように前記支持表面に固定され、前記封止容積及び前記開口部が、ガス流のための通路を提供する、支持フレームと
を含む触媒床モジュールと、
供給入口及び処理済みガス出口を有する反応ゾーンを画定する容器であって、前記反応ゾーンが前記触媒床モジュールを含み、前記処理済みガス出口が前記通路に流体連結されている、容器と
を備える反応器。
【請求項2】
前記封止フレームが、横断要素及び延長リムバイパス要素を含み、前記横断要素が、前記封止容積を取り囲み、前記離間関係を維持することを支持し、前記延長リムバイパス要素が、ある長さにわたって前記横断要素から外向きにかつ前記横断要素に直交して延在し、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックのうちの1つ以上の触媒ブロックの前記第1の背面の第1の外縁に沿って第1の気密シールを形成し、前記第2の複数の発泡体触媒ブロックのうちの1つ以上の触媒ブロックの前記第2の背面の第2の外縁に沿って第2の気密シールを形成することを支持し、前記第1の複数の発泡体触媒ブロック及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックのうちの前記1つ以上の触媒ブロックが、前記第1のグループ及び前記第2のグループの外周の少なくとも一部を形成する、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記第1の複数の触媒ブロックの一部の前記第1の前面、前記第1の頂部側、前記第1の底部側、前記第1の側面及び前記第1の別の側面と、前記第2の複数の触媒ブロックの一部の前記第2の前面、前記第2の頂部側、前記第2の底部側、前記第2の側面及び前記第2の別の側面とが、実質的に開放されており被覆されておらず、それによって、それぞれ、前記第1の複数の発泡体触媒ブロック及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックへのガス流を可能にし、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックの前記一部及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの前記一部が、それぞれ、前記第1のグループ及び前記第2のグループの外周の一部を形成する、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記第1の複数の発泡体ブロックの前記第1の背面が、前記第1の外縁以外は実質的に開放されており被覆されておらず、それによって前記封止容積内へのガスの流れを可能にし、前記第2の複数の発泡体ブロックの前記第2の背面が、前記第2の外縁以外は実質的に開放されており被覆されておらず、それによって前記封止容積内へのガス流を可能にする、請求項2に記載の反応器。
【請求項5】
前記第1の外縁が前記第1の表面積の1~40%を被覆し、前記第2の外縁が前記第2の表面積の1~40%を被覆する、請求項2に記載の反応器。
【請求項6】
触媒床モジュールであって、
第1の複数の発泡体触媒ブロックを含む第1のグループであって、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第1の背面を有する第1の表面積を有する第1の前面と、対向する第1の底部側を有する第1の頂部側と、対向する第1の別の側面を有する第1の側面とによって境界付けられている、第1のグループと、
前記第1のグループに隣接し、第2の複数の発泡体触媒ブロックを含む第2のグループであって、前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第2の背面を有する第2の表面積を有する第2の前面と、対向する第2の底部側を有する第2の頂部側と、対向する第2の別の側面を有する第2の側面とによって境界付けられ、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックの前記第1の背面及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの前記第2の背面が、互いに離間関係で対向する、第2のグループと、
前記第1のグループと前記第2のグループとの間に配置され、前記離間関係を維持し、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックと前記第2の複数の発泡体触媒ブロックとの間に封止容積を形成するように構成された封止フレームであって、前記封止フレームが、前記封止容積を取り囲み、前記離間関係を維持するように構成された横断要素と、ある長さにわたって前記横断要素から外向きにかつ前記横断要素に直交して延在する延長リムバイパス要素とを含む、封止フレームと、
支持表面及び開口部を備える支持フレームであって、前記支持フレームが、前記第1のグループ及び前記第2のグループを支持するように構成され、前記第1のグループ及び前記第2のグループが、前記開口部が前記第1のグループと前記第2のグループとの間に前記封止容積に隣接して配置されるように前記支持表面に固定され、前記封止容積及び前記開口部が、ガス流のための通路を提供する、支持フレームと
を備える、触媒床モジュール。
【請求項7】
前記延長リムバイパス要素が、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックのうちの1つ以上の触媒ブロックの前記第1の背面の第1の外縁に沿って第1の気密シールを形成し、前記第2の複数の発泡体触媒ブロックのうちの1つ以上の触媒ブロックの前記第2の背面の第2の外縁に沿って第2の気密シールを形成し、前記第1の複数の発泡体触媒ブロック及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの前記1つ以上の触媒ブロックが、前記第1のグループ及び前記第2のグループの外周の少なくとも一部を形成する、請求項6に記載の触媒床モジュール。
【請求項8】
前記第1の複数の触媒ブロックの一部の前記第1の前面、前記第1の頂部側、前記第1の底部側、前記第1の側面及び前記第1の別の側面と、前記第2の複数の触媒ブロックの一部の前記第2の前面、前記第2の頂部側、前記第2の底部側、前記第2の側面及び前記第2の別の側面とが、実質的に開放されており覆われておらず、それによって、それぞれ、前記第1の複数の発泡体触媒ブロック及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックへのガス流を可能にし、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックの前記一部及び前記第2の複数の発泡体触媒ブロックの前記一部が、それぞれ、前記第1のグループ及び前記第2のグループの外周の一部を形成する、請求項7に記載の触媒床モジュール。
【請求項9】
前記第1の複数の発泡体ブロックの前記第1の背面が、前記第1の外縁以外は実質的に開放されており被覆されておらず、それによって前記封止容積内へのガスの流れを可能にし、前記第2の複数の発泡体ブロックの前記第2の背面が、前記第2の外縁以外は実質的に開放されており被覆されておらず、それによって前記封止容積内へのガス流を可能にする、請求項7に記載の触媒床モジュール。
【請求項10】
NO濃度、NO2濃度、又は両方の化合物の濃度を含むガス流中に含有される酸化窒素化合物の選択的接触還元のためのプロセスであって、
前記ガス流を容器によって画定された反応ゾーンに導入することであって、前記反応ゾーンが、第1の複数の触媒ブロックを備える第1のグループ及び第2の複数の触媒ブロックを備える第2のグループを有する触媒床モジュールと、前記第1のグループと前記第2のグループとの間に配置され、離間関係を維持し、前記第1の複数の発泡体触媒ブロックと前記第2の複数の発泡体触媒ブロックとの間に封止容積を形成するように構成された封止フレームとを備え、前記第1の複数の触媒ブロック及び前記第2の複数の触媒ブロックの各触媒ブロックが、対向する背面を有する前面と、対向する底部側を有する頂部側と、対向する別の側面を有する側面とを備え、前記第1のグループ及び前記第2のグループの外周を形成する前記第1の複数の触媒ブロック及び前記第2の複数の発泡触媒ブロックの前記頂部側、側面、及び別の側面が被覆されておらず、前記第1の複数の触媒ブロック及び前記第2の複数の触媒ブロックが、前記酸化窒素組成物を除去するように構成されている、導入することと、
前記ガス流の流れを、前記第1のグループ及び前記第2のグループの前記外周を形成するそれぞれ第1の複数の発泡体触媒ブロック及び第2の複数の発泡体触媒ブロックの各々の前記前面、前記頂部側、前記側面、及び前記別の側面に導くことであって、前記封止フレームが、前記封止容積を取り囲み、前記離間関係を維持するように構成された横断要素と、ある長さにわたって前記横断要素から外向きにかつ前記横断要素に直交して延在する延長リムバイパス要素とを備え、前記延長リムバイパス要素が、前記ガス流の前記流れを、前記頂部側、前記側面、及び前記別の側面から前記封止容積内に導くように構成される、導くことと、
脱NOx除去反応条件下で前記ガス流を前記触媒床モジュールに通過させることと、
前記NO濃度、前記NO
2濃度、又は両方の化合物の前記濃度と比較して、NO若しくはNO
2、又は両方の濃度が低減された、処理済みガス流を回収することと
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触媒床モジュールを有する横方向流反応器を含むシステム、及び排気ガス流中に含まれる窒素酸化物の選択的接触還元のためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
横方向流反応器システムは、多くの異なる触媒用途で使用されている。これらの中には、火力発電所及び廃棄物焼却プラントのボイラーなどの供給源からの排気ガス流の酸化窒素化合物の除去、又は脱NOx処理がある。排気流には、ある濃度の一酸化窒素(NO)、二酸化窒素NO2、又はその両方(個々に又はまとめてNOxと呼ばれる)が含まれる。NOxは、選択的接触還元法(SCR法)を使用して除去することができ、この方法は、排気ガスを還元剤(例えば、アンモニア)及び横方向流反応器システムの触媒成分と接触させることによって、NOxを二原子窒素(N2)及び水に還元する。SCR法で使用される横方向流反応器システムの触媒成分は、典型的には、チタニア(TiO2)を含む担体上に担持されたバナジウム(V)、モリブデン(Mo)又はタングステン(W)のいずれかの酸化物を含む。
【0003】
国際公開第2009/083593号パンフレットは、窒素酸化物(NOx)を含有するガス流からNOxを除去するために使用される反応器を開示している。反応器は、横方向流反応器セクションを含む。反応器の横方向流反応器セクションは、複数の固定触媒床を含み、各固定触媒床は、上端及び下端並びに対向する側面壁を有する。各固定触媒床の上端及び下端は、固定触媒床の上端及び下端へのガスの流れを防止するために閉鎖板で閉鎖される。各固定触媒床の側面壁は、部分的に開放されたままであり、固定触媒床へ流入し固定触媒床を通過するガスの横方向の流れに対して透過性を維持する。固定触媒床は、各固定触媒床の間に空間の通路を画定するように離間して配置される。閉鎖板は、離間して配置された固定触媒床によって画定される空間の通路の上部を交互に閉鎖し、それによって通路への上部開口部を交互に提供する。閉鎖板は、上部閉鎖板によって封止されていない離間した固定触媒床によって画定された通路の底部を交互に閉鎖し、それによって通路の底部開口部を交互に提供する。
【0004】
横方向流反応器セクションの構造的配置は、ガスの上から下への流れを、上部開口部を有する通路内へ入り、固定触媒床の側面壁を横方向に横切って貫通して、底部開口部を有する通路から出るように導くことを提供する。横方向流反応器セクションは、固定触媒床の頂部側及び底部側を閉鎖板によって封止して、これらの位置での固定触媒床へのガスの流れを防止する必要があることに留意することが重要である。
【0005】
固定床の触媒成分は、ガス流中に含有される窒素酸化物の接触還元を提供する任意の好適な触媒であってもよい。これらの触媒組成物の中でも、チタニア担体と、バナジウム、モリブデン及びタングステンから選択される1種以上の金属の化合物とを含むものが好ましい。触媒は三葉形、施条三葉形又は円筒形の形態であることが好ましい。しかしながら、発泡体触媒の使用については言及も示唆もない。
【0006】
国際公開第2017/112618号パンフレットは、ガス流からNOxを除去するための横方向流反応器システムを開示している。横方向流反応器システムは、国際公開第2009/083593号パンフレットに開示されている横方向流反応器セクションの構造的特徴と同様の構造的特徴を有する。しかしながら、国際公開第2017/112618号パンフレットの横方向流反応器システムで使用される固定触媒床は、三葉形、旋条三葉形又は円筒形の形態の触媒粒子の固定床の代わりに、セラミック又は金属ブロック発泡体触媒支持体を含む。国際公開第2017/112618号パンフレットは、触媒成分がその上に担持されたセラミック又は金属発泡体ブロックの形態の離間した固定触媒床を有する横方向流反応器セクションを開示している。固定触媒床は、上端及び下端の両方で閉じられている。閉鎖板は、ガス流が固定触媒床をバイパスするのを防止する。閉鎖板は、離間して配置された固定触媒床によって画定された空間の上部通路及び底部通路を交互に閉鎖して、固定触媒床を通るガスの横方向の流れを導く。横方向流反応器セクションは、固定触媒床の頂部側及び底部側を閉鎖板によって封止して、これらの位置での固定触媒床へのガスの流れを防止する必要があることに留意することが重要である。
【0007】
米国特許第9,504,958号明細書は、ガス状流体を処理するための触媒フィルタモジュールを開示している。モジュールは、封止された金属フレーム構造内で互いに離間して配置されたブロック形状のフィルタ及び触媒要素を含む。触媒要素は、上流供給面と下流排出面とを含み、下流排出面は、モジュールから触媒要素から受け取った濾過され処理されたガスを通過させるための開放端を有する排出チャネル内に処理されたガスを排出する。
【0008】
米国特許第6,419,889号は、ガス流中に存在する酸化窒素化合物(NOx)の低温変換に有用な高活性及び高選択性触媒を開示している。この触媒は、好ましくは担体をバナジウム、モリブデン及びタングステンからなる群から選択される金属の化合物と接触させることによって触媒金属を含浸させた高表面積チタニア担体を含む。触媒は0.5~10重量%の金属を含有する。好ましい触媒組成物は、三葉形、施条三葉形又は円筒形の形態である。その高い活性及び選択性を提供する触媒の特徴は、そのバイモーダルな細孔分布である。しかしながら、開示された触媒と組み合わせて使用される反応器及び触媒モジュールの構成は記載されていない。
【0009】
特開2006-212515号公報には、窒素酸化物(NOx)を含有する排気ガスを、還元剤及び脱硝触媒に排気ガスを接触させてNOxを窒素と水に還元する選択的接触還元法を用いて処理するための脱硝触媒が開示されている。脱硝触媒は、高表面積の発泡体を用いて、骨格表面に酸化チタンと酸化バナジウムの薄膜を担持する。脱硝触媒は、様々なタイプの装置で使用可能な様々な形状に成形することができる。この日本公報は、触媒層と、触媒層を通って排気ガスが流れるようにする形状とを含む、ある特定の形状と装置配置とを開示しており、サイドストリーム法と呼ばれることもある。触媒形状の上下には、排気ガスの流れ方向を規制するガス流入防止板が配置されている。
【0010】
排気ガス流からの窒素酸化物除去に使用するための改良された、より低コストの触媒反応器システムを開発することが継続的に望まれている。これらの改良された触媒反応器システムは、低温で、触媒反応器システム全体の圧力降下を低く抑えながら、高いNOx変換率を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2009/083593号
【特許文献2】国際公開第2017/112618号
【特許文献3】米国特許第9,504,958号明細書
【特許文献4】米国特許第6,419,889号明細書
【特許文献5】特開2006-212515号公報
【発明の概要】
【0012】
したがって、一実施形態では、ガス流を触媒組成物と接触させることができる反応器は、第1の複数の発泡体触媒ブロックを含む第1のグループであって、第1の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第1の背面を有する第1の表面積を有する第1の前面と、対向する第1の底部側を有する第1の頂部側と、対向する第1の別の側面を有する第1の側面とによって境界付けられている、第1のグループと、第1のグループに隣接し、第2の複数の発泡体触媒ブロックを有する第2のグループであって、第2の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第2の背面を有する第2の表面積を有する第2の前面と、対向する第2の底部側を有する第2の頂部側と、対向する第2の別の側面を有する第2の側面とによって境界付けられている、第2のグループと、を有する触媒床モジュールを含む。第1の複数の発泡体触媒ブロックの第1の背面と、第2の複数の発泡体触媒ブロックの第2の背面とは、互いに離間して対向している。反応器はまた、第1のグループと第2のグループとの間に配置され、離間関係を維持し、第1の複数の発泡体触媒ブロックと第2の複数の発泡体触媒ブロックとの間に封止容積を形成することができる封止フレームと、支持表面及び開口部を有し、第1のグループ及び第2のグループを支持することができる支持フレームとを含む。第1のグループ及び第2のグループは、開口部が第1のグループと第2のグループとの間に封止容積に隣接して配置されるように支持表面に固定され、封止容積及び開口部がガス流のための通路を提供する。
【0013】
別の実施形態では、触媒床モジュールは、第1の複数の発泡体触媒ブロックを有する第1のグループであって、第1の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第1の背面を有する第1の表面積を有する第1の前面と、対向する第1の底部側を有する第1の頂部側と、対向する第1の別の側面を有する第1の側面とによって境界付けられている、第1のグループと、第1のグループに隣接し、第2の複数の発泡体触媒ブロックを有する第2のグループであって、第2の複数の発泡体触媒ブロックの各々が、対向する第2の背面を有する第2の表面積を有する第2の前面と、対向する第2の底部側を有する第2の頂部側と、対向する第2の別の側面を有する第2の側面とによって境界付けられている、第2のグループと、を含む。第1の複数の発泡体触媒ブロックの第1の背面と、第2の複数の発泡体触媒ブロックの第2の背面とは、互いに離間して対向している。触媒床モジュールはまた、第1のグループと第2のグループとの間に配置され、離間関係を維持し、第1の複数の発泡体触媒ブロックと第2の複数の発泡体触媒ブロックとの間に封止容積を形成することができる封止フレームを含む。封止フレームは、封止容積を取り囲み、離間関係を維持することができる横断要素と、ある長さにわたって横断要素から外向きにかつ横断要素に直交して延在する延長リムバイパス要素とを含む。触媒床モジュールは、支持表面及び開口部を有する支持フレームを更に含む。支持フレームは、第1のグループ及び第2のグループを支持することができ、第1のグループ及び第2のグループは、開口部が第1のグループと第2のグループとの間に封止容積に隣接して配置されるように支持表面に固定され、封止容積及び開口部がガス流のための通路を提供する。
【0014】
更なる実施形態では、NO濃度、NO2濃度、又は両方の化合物の濃度を有するガス流中に含有される酸化窒素化合物の選択的接触還元のためのプロセスは、容器によって画定された反応ゾーンにガス流を導入することを含む。反応ゾーンは、第1の複数の触媒ブロックを有する第1のグループ及び第2の複数の触媒ブロックを有する第2のグループを有する触媒床モジュールと、第1のグループと第2のグループとの間に配置され、離間関係を維持し、第1の複数の発泡体触媒ブロックと第2の複数の発泡体触媒ブロックとの間に封止容積を形成することができる封止フレームとを含む。第1及び第2の複数の触媒ブロックの各触媒ブロックは、対向する背面を有する前面と、対向する底部側を有する頂部側と、対向する別の側面を有する側面とを含む。第1のグループ及び第2のグループの外周を形成する第1及び第2の複数の発泡体触媒ブロックの頂部側、側面、及び別の側面は被覆されておらず、第1及び第2の複数の触媒ブロックは、酸化窒素化合物を除去することができる。プロセスはまた、ガス流の流れを、第1のグループ及び第2のグループの外周を形成するそれぞれ第1及び第2の複数の発泡体触媒ブロックの各々の前面、頂部側、側面、及び別の側面に導くことを含む。封止フレームは、封止容積を取り囲み、離間関係を維持することができる横断要素と、ある長さにわたって横断要素から外向きにかつ横断要素に直交して延在する延長リムバイパス要素とを含み、延長リムバイパス要素は、ガス流の流れを、頂部側、側面、及び別の側面から封止容積内に導くことができる。プロセスは、脱NOx除去反応条件下でガス流を触媒床モジュールに通過させることと、NO濃度、NO2濃度、又は両方の化合物の濃度と比較して、NO若しくはNO2、又は両方の濃度が低減された、処理済みガス流を回収することとを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】発泡体触媒ブロックの複数対のグループを有し、グループの各対が、封止フレームによって互いに離間され、グループの外周の一部を形成する発泡体触媒ブロックの上面及び側面が覆われていない、本開示の一実施形態による触媒床モジュールの斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、
図1の触媒床モジュールを有する横方向流反応器の一部の斜視図であり、その構成要素及び動作を示す図である。
【
図3】触媒発泡体ブロックと、延長リムバイパス要素のない封止フレームとを有する触媒床を通るモデル予測ガス流の滞留時間(ミリ秒(ms))の関数としての総質量ガス流分率%のプロットである。
【
図4】
図1の触媒床モジュールを通るモデル予測ガス流の滞留時間(ミリ秒(ms))の関数としての総質量ガス流分率%のプロットである。
【
図5】本開示の一実施形態による、
図2に示された垂直切断線5-5に沿って切断された
図2の横方向流反応器の斜視断面図であり、封止フレームは、横断要素及び延長バイパスリム要素を含む。
【
図6】本開示の一実施形態による、
図1の触媒床モジュールを有する横方向流反応器の側面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、
図6の切断線7-7によって示される平面及び視線方向で、横方向流反応器の一部を下から見た平面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、
図6の切断線8-8によって示される平面及び視線方向で、横方向流反応器の一部を上から見た平面図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、
図8の切断線9-9に沿って切断された横方向流反応器の一部の側断面図である。
【
図10A】本開示の実施形態による、複数の触媒ブロックを有する一対のグループの上から見た詳細図であり、この一対のグループは、触媒床モジュールの封止フレームによって離間されており、封止フレームの切断線10B-10B及び10C-10Cに沿った切断が示されている。
【
図10B】
図10Aの切断線10B-10Bによって示される平面及び視線方向での、
図10Aの一対のグループ及び封止フレームの断面図である。
【
図10C】
図10Aの切断線10C-10Cによって示される平面及び視線方向での、
図10Aの一対のグループ及び封止フレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
横方向流反応器(LFR)システムの特定の既存の構造設計は、一般に、システムの触媒床を通って横方向にガス流を導くために、ガス入口面及び出口面以外の固定触媒床の全ての側面が封止されることを必要とする。例えば、固定触媒床の側面を封止しない場合、ガス入口面を通って流れるNOx含有ガスは、出口面ではなく封止されていない側面を通って触媒床から出る場合がある。したがって、NOx含有ガスは、所望の脱NOx除去を達成するのに十分な時間、触媒床と接触しない場合がある。したがって、触媒床の頂部、底部、及び側部は封止又は被覆され、触媒床の前側(ガス入口側)及び後側(ガス出口側)のみが被覆されない状態である。すなわち、NOx含有ガスは、封止されていない開放側を通って触媒床をバイパスするため、NOx除去のための処理が行われない。しかしながら、完全に封止された側面の設計及び構造に関連する複雑さのため、既存の被覆固定触媒床構造体の製造にはコストがかかる。したがって、既存のシステムと比較して、LFRシステムの使用に伴う、NOx変換率の向上及び圧力降下の低減の利益を提供する、より低コストでより高効率の固定触媒床設計を有することが望まれる。
【0017】
本開示は、LFRシステムで使用される固定触媒床のためのより単純な構造設計を提供することによって、構築の複雑さ及びコストに関する問題のいくつかに対処する。このより単純な設計は、反応器内で処理されるガス流の横方向の流れのための通路を提供し、それを導くために必要な、横方向流反応器の触媒床の異なる側面の複雑な封止の要件のいくつかを排除し、その結果、触媒床内のガス流の所望の滞留時間がもたらされる。本明細書に開示される触媒床は、触媒床の側面が完全に封止されず、触媒床を通って流れるガス流が、所望の脱NOx除去を達成するのに十分な時間にわたって触媒床と接触したままであるように設計されたフレーム支持体を含む。本明細書に開示される固定触媒床は、異なる側面の封止を必要としないが、開示される構造設計は、触媒床の頂部、底部、及び側面が封止されていないか、又は他の方法で被覆されていないときに一般に生じる、NOx含有ガスの早期流出を軽減する。注目すべきことに、以下で更に詳細に説明するように、開示されたフレーム支持体を有する固定触媒床は、NOx含有ガス流の脱NOx処理のために横方向流反応器と組み合わせて使用される場合、予想外にも、より高いNOx変換率を提供する。更に、開示された触媒床は、LFRシステムで使用される従来の固定触媒床よりも構築が容易であり、コストがかからない。
【0018】
上記を念頭に置いて、
図1は、本明細書に開示されるフレーム支持体及び封止を有するLFRシステムで使用できる固定触媒床モジュール10の斜視図である。図示の実施形態では、触媒床モジュール10は、LFRシステムの発泡体触媒床を形成するグループで配置された複数の発泡体触媒ブロック12を含む。触媒床モジュール10は、軸方向軸又は方向2と、半径方向軸又は軸2に直交する方向と、円周方向軸又は軸2の周りの方向6とを有する。発泡体触媒ブロック12は、並べて積み重ねられた関係で配置され、支持フレーム14によって支持され、それによって触媒床25と呼ばれる発泡体触媒ブロック12の格子を形成する。支持フレーム14は、一体構造であってもよく、又は発泡体触媒ブロック12を含むように配置された任意の適切な締結具(例えば、ボルト、ねじ、クランプなど)によって一緒に保持された別個の構成要素(例えば、棒、管など)で構成されてもよい。支持フレーム14は、発泡体触媒ブロック12に取り外し可能に又は恒久的に連結することができる。触媒床モジュール10は、各グループ内に任意の数の発泡体触媒ブロック12を有することができる。例えば、発泡体触媒ブロック12は、1個、2個、3個、4個、5個、又はそれ以上の数を、並べて配置してもよいし、積み重ねて配置してもよいし、並べて積み重ねて配置してもよい。支持フレーム14は、任意の適切な取付け手段によって、各発泡体触媒ブロック12の前面15又は入口側に連結又は取り付けすることができる。非限定的な例として、支持フレーム14は、ボルト、クリップ、接着剤、締結具、又は任意の他の好適な取付け手段及びそれらの組合せを介して、触媒ブロック12に取り付けられてもよく、又は他の方法で連結されてもよい。
【0019】
発泡体触媒の側面全体が封止又は被覆された触媒モジュールを使用する既存のLFRシステムとは異なり、本開示の支持フレーム14は、触媒ブロック12の側面16が実質的に開放されている(すなわち、覆われていない、封止されていない)ように設計される。例えば、図示された実施形態に示されるように、触媒床モジュール10の最外周上の触媒ブロック12の側面16は、封止されておらず、他の方法で被覆されてもいない。特定の実施形態では、支持フレーム14の一部が触媒モジュール10の最外周上の触媒ブロック12の側面16、上面18及び底部側19の一部を覆うように、支持フレーム14の一部は、触媒床モジュール10の最外周上に位置する触媒ブロック12の周りを包むリップを有してもよい。例えば、支持フレーム14は、側面16及び上面18の一部の1%~5%を覆ってもよい。
【0020】
図示の実施形態に示すように、触媒床25、28は、支持体22の表面20上に取り付けられ固定される。触媒床25、28は、これらに限定されないが、ボルト、クリップ、接着剤、溶接、ろう付け又は任意の他の適切な取付け手段及びそれらの組合せなどの任意の適切な取付け手段を使用して表面20上に固定することができる。図示の実施形態では、触媒床25、28は、触媒床モジュール10が表面20に直交するように、表面20上に取り付けられ固定される。しかしながら、他の実施形態では、触媒床25、28は、触媒床モジュール10が傾斜し、それによって触媒床モジュール10と表面20との間に鋭角が形成されるように、表面20上に取り付けられ固定される。
【0021】
支持体22は、触媒床モジュール10を通過して処理された処理済みガス流のための通路(又は出口)を提供する開口部24を含む。例えば、図示した実施形態に示すように、触媒床モジュール10は、離間した関係にある触媒ブロックグループ26a、26bを有する第1の触媒床25と、離間した関係にある触媒ブロックグループ29a、29bを有する第2の触媒床28とを含む。理解されるように、触媒床モジュール10は、任意の数の触媒床を有することができ、各触媒床は、離間した関係にある一対の触媒ブロックグループを有する。各触媒床25、28は、開口部24がそれぞれの触媒床25、28の各グループ26、29の間に位置するように支持体22上に配置される。
【0022】
図1の触媒床25、28の説明を容易にするために、触媒床25についてのみ言及する。理解されるように、触媒床モジュール10内の触媒床28及び任意の他の触媒床は、触媒床25と同様に配置され、機能する。図示された実施形態に示されるように、グループ26a、26bは、グループ26a内の各触媒ブロック12の背面30a又は出口側が、グループ26b内の対応する各触媒ブロック12の背面30bに面するように、離間され、背中合わせに配置される。2つのグループ26a、26bの間には、
図2を参照して以下に更に詳細に説明するように、開口部24と整列してグループ26a、26bの間に通路を形成する間隙がある。
【0023】
触媒床25は、グループ26a、26bの間に、触媒床25の最外周の一部に沿って延びる封止フレーム32を含む。例えば、図示の実施形態に示すように、封止フレーム32は、触媒床25の出口側(例えば、背面30)に隣接して配置され、グループ26の最外周に配置された触媒ブロック12の側面16、上面18、及び底部側19に当接し、それによって、触媒床25、28の出口側の周りにフレームを形成する。封止フレーム32は、グループ26a、26bを離間させたままにして、それらの間に開放空間(例えば、間隙)を形成することによって、グループ26a、26b間の離間関係を維持する。封止フレーム32はまた、開放空間を気密に封止して、発泡体触媒ブロック12の3つの側面と封止フレーム32とによって背面30(すなわち、出口側)の間に画定された封止容積を形成する。
【0024】
動作中、触媒床モジュール10を有するLFRは、矢印38によって示されるように、触媒床モジュール10の1つ以上の入口36に流入するNOx含有ガス流を受け取る。触媒床モジュール10の入口36は、それぞれのグループ26、29内の各触媒ブロック12の前面側15で触媒床25、28の間に配置される。例えば、図示の実施形態では、第1の触媒床25のグループ26bの触媒ブロック12の前面側15は、第2の触媒床28のグループ29の触媒ブロック12の前面側15に面している。すなわち、触媒床25、28は、支持体22上に背中合わせに離間して配置され、それによって、互いの間に入口36を画定する空間を形成する。
【0025】
NOx含有ガス流38は、軸方向2(例えば、触媒床モジュール10の頂部側)及び半径方向4(例えば、触媒床モジュール10の側部)から入口36に流入することができる。入口36内にある間に、NOx含有ガス流38は、軸方向2及び半径方向4に対して方向を変え、触媒床モジュール10のそれぞれの触媒床25、28内の触媒ブロック12の前面側15(すなわち、入口側)に流入し、それを通って流れる。例えば、図示の実施形態に示すように、触媒ブロック12の前面側15(又は入口側)へのNOx含有ガス流38の流れは、方向2に実質的に直交する方向4であり、それによって触媒床モジュール10を通って横方向に流れる。触媒ブロックを通過し、背面30(又は出口側)を通って出て、グループ26a、26b、29a、29bの間の通路に入った後、処理済みガス流は、流れ方向を変え、開口部24を通って2の方向で触媒床モジュール10を出る。
【0026】
開示されたシステムは、触媒床モジュール10が、全ガス流が触媒ブロック12の単一の面(すなわち、前面15又は入口側)に直接入る代わりに、ガス流38の少なくとも一部が触媒床25、28の上端、下端及び側端を通って流れることを可能にするため、完全な横方向の流れを提供しない。しかしながら、開示された触媒床モジュール10を有するLFRシステムは、LFRシステムを通るガス流のパターンが完全に横方向ではなくても、従来のLFRシステムの利点をもたらす。開示された触媒床モジュール10とは異なり、LFRシステムのための既存の触媒床モジュールは、それらの触媒床の上端、下端及び側端を封止して、それらの位置でのガス流入を防止し、ガス流を触媒床の単一面に横方向に導くことを試みている。一方、開示された触媒床モジュール10は、発泡体触媒ブロック12の端部を実質的に開放して被覆しないようにして、これらの位置で発泡体触媒ブロック12内へガスが流入することを可能にする。本明細書に開示される反応器システムのこの特徴は、触媒モジュール10内のNOx含有ガス流38の少なくとも一部の滞留時間を増加させることによって、脱NOxプロセス用途におけるNOx変換を予想外に向上させる。例えば、驚くべきことに、NOx含有ガス流38の一部は、触媒モジュール10の外周上の触媒ブロック12の頂部側18及び側面16を通って触媒床モジュール10を出て、その流れを反転させ、入口36に再び入り、前面15を横方向に通過した後、背面30を通って出ることが分かった。したがって、NOx含有ガス蒸気38の一部は、再流入する触媒ブロック12によって再処理され、それによってNOx含有ガス流38の滞留時間が増加し、NOx除去効率が向上する。
【0027】
上述したように、特定の既存のLFRシステムは、側面が封止又は被覆された発泡体触媒を有する触媒床モジュールを使用する。このような構成は、触媒床モジュールの複雑さ及び全体的な製造コストを増大させる。しかしながら、本明細書に開示される支持フレーム14及び封止フレーム32を使用することによって、触媒床モジュール10の最外周上の触媒ブロック12の側面16は、開放された(例えば、被覆されていない)ままであり、それによって、ガス流38は、頂部、底部、及び側部の両方を通して触媒床25、28に流入することができる。
【0028】
開示された触媒床モジュール10は、反応器内で使用される場合、ガス流38と、離間して配置された発泡体触媒ブロック12との接触を提供し、これは、反応器内の発泡体触媒ブロック12内へ流入しかつそれを通るガス流38の、実質的に横方向の流れを提供することができる。ガス流38は、発泡体ブロック12上に担持された触媒成分と接触する。「ガスの実質的に横方向の流れ」という語句によって意味されることは、本明細書に開示される反応器システムによって、ガス流38の少なくとも部分的な流れが、発泡体触媒ブロック12の封止されていない側面16へ流入しそこを通過することが可能になるという点で、開示される反応器システムが既存の従来の横方向流反応器システムとは異なるということである。一方、既存の横方向流反応器は、ガスの流れを触媒床又はブロックを通って横方向に導くために、入口面及び出口面以外の全ての側を気密に封止された触媒床又はブロックを有する。開示された触媒床モジュール10を使用する反応器システムは、発泡体触媒ブロック12の上面、底面、前面、及び側面を通るガスの流れを提供するという点で異なる。上述したように、開示された触媒モジュール10のこの独特な構造設計及び配置が、脱NOx操作においてNOx変換率の向上をもたらすことは予想外である。
【0029】
開示される触媒モジュール10は、LFRシステムの反応ゾーンの一部を形成して、NOx含有ガス流38のような、NO濃度若しくはNO2濃度のいずれか、又は両方の化合物の濃度を有するガス流中に含有される酸化窒素化合物の選択的接触還元のための低温低圧力降下プロセスを提供することができる。例えば、LFRシステムは、NOx含有ガス流38を受け取り、開示された触媒床モジュール10を有する反応ゾーンに導入する供給入口を含む。NOx含有ガス流38は、発電所、熱分解炉、焼却炉、冶金プラント、肥料プラント、及び化学プラントを含む複数の供給源から来る場合がある。これらのガス流は、10~10,000体積ppmの範囲の濃度の窒素酸化物、主に一酸化窒素を有する場合がある。NOx含有ガス流38はまた、1~200体積ppmの硫黄酸化物(主に二酸化硫黄)、1~10体積%の酸素、0.5~15体積%の二酸化炭素、及び5~40体積%の水蒸気を含有する場合がある。肥料プラントからのガス流は、典型的には、50体積%を超えるNO2濃度を有する。
【0030】
反応ゾーンに入ると、NOx含有ガス流38は、前面15、側部16、19、及び頂部側18を通って触媒床25、28に入り、実質的に横方向のガス流で触媒モジュール10の発泡体触媒ブロック12を通過する。NOx含有ガス流38は、脱NOx除去反応条件下で、発泡体触媒ブロック12の触媒成分と接触する。発泡体触媒ブロック12を通過して接触するNOx含有ガス流38には、還元剤が添加される。好ましい還元剤はアンモニア又はアンモニア放出化合物である。NOx含有ガス流38に添加される還元剤の量は、還元剤対NOxのモル比が、還元剤のスリップ量を最小限にしてNOx除去を最適化するために化学量論的に必要とされる比の付近、好ましくはそれをわずかに上回るような量であることが好ましい。好適な脱NOx除去反応条件としては、100~480℃、好ましくは110~400℃、より好ましくは110~350℃、最も好ましくは120~250℃の範囲の反応温度が挙げられる。反応圧力は、0.9~20barの範囲内とすることができる。ガスの1時間当たりの空間速度は、500~50,000Nm3/m3/時間の範囲である。
【0031】
上述したように、開示された触媒床モジュール10は、封止フレーム32によって離間されたグループ(例えば、グループ26、29)に配置された複数の発泡体触媒ブロック12を含む。封止フレーム32は、それぞれのグループ26、29の間の空間を封止又は包囲するだけでなく、各グループ26、29の最外縁上の各発泡体触媒ブロック12の側部16、頂部側18及び底部側19が実質的に覆われないままであることを可能にする。更に、本開示の封止フレーム32は、以下で更に詳細に説明するように、背面30を通って触媒ブロック12から出る前に、NOx含有ガス流38を発泡体触媒ブロック12内により深く侵入させることによって、発泡体触媒ブロック12の開放側16、18を通るNOx含有ガス流38の早期流出を阻止する。
図2は、本開示の触媒床モジュール10を有する反応器50の端部の斜視図である。反応器50の特定の特徴は示されていない。しかしながら、反応器50は、特に、例えば、発電所、熱分解炉、焼却炉、冶金プラント、肥料プラント、及び化学プラントにおいて発生する排気ガスからNOx又は他の有害ガスを処理及び除去するのに使用される任意の適切な反応器であってもよい。上述したように、触媒床モジュール10は、複数の触媒床25、28を含み、各触媒床は、並べて積み重ねられた複数の触媒ブロック12を含む触媒グループ26、29を有する。グループ26、29は、発泡体触媒ブロック12の他のグループと背中合わせに離間した関係で、支持表面20上に配向され、動作可能に固定される。グループ26、29の各々は同じ機能を提供する。この実施形態の説明を容易にするために、グループ29内の触媒ブロック12又は第2の触媒床28のみを参照する。各グループ29a、29bは、それぞれ複数の発泡体触媒ブロック12a、12bを含む。各触媒ブロック12は、触媒成分を担持する多孔質セラミック発泡体材料を含む。触媒成分は、好ましくは、無機酸化物担体と、バナジウム、モリブデン、タングステン及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の触媒金属とを有する。好ましい担体はチタニアである。
【0032】
多孔質セラミック発泡体材料は、ガス充填細孔の体積分率が大きいセラミック材料を有するセル状構造を有する。多孔質セラミック発泡体は、好ましくは、気泡の大部分がその気泡壁によって完全に囲まれておらず、気泡が他の気泡と相互接続されてネットワークを形成しているという点で開いている、連続気泡発泡体である。多孔性セラミック発泡体材料の多孔度は非常に高い多孔度である。例えば、発泡体の多孔度は、空隙空間が60%を超えるようなものである。一実施形態において、多孔質セラミック発泡体材料の空隙空間は、少なくとも75%~95%である。特に、多孔質セラミック発泡体の空隙空間は80%~90%である。空隙空間は、開放空間である構造体の体積を構造体(開口部及びセラミック)の総体積で割り、100を掛けたものとして定義される。
【0033】
セラミック発泡体としては、十分な強度を有し、NOx還元触媒に適した担体である任意のセラミック材料、例えば、コーディエライト、酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、又はそれらの混合物などを挙げることができる。セラミック発泡体の屈曲度は、好ましくは1.0より大きく、より好ましくは1.5より大きく、最も好ましくは2.0より大きい。屈曲度は、セラミック発泡体を通るガスが取る流路の長さを、セラミック発泡体の入口から出口までの最短直線経路の長さで割った比として計算することができる。直線チャネル経路は、1.0の屈曲度を有する。
【0034】
本明細書で使用されるセラミック発泡体は、約5ppi(1インチ当たりの孔数(pores per inch))~約50ppi、好ましくは約10ppi~40ppiを有する。より好ましくは、セラミック発泡体は10ppi~30ppiを有する。発泡体の1インチ当たりの孔数は、ガスが発泡体を通って流れる能力に影響を与える。発泡体の気泡サイズは、1インチ当たりの孔の数が少ないほど大きくなり、発泡体の気泡サイズは、1インチ当たりの孔の数が多いほど小さくなる。より大きなセル構造は、より小さなセル構造よりも大きなガス流を可能にする。セラミック発泡体を通るガス流をより多くするためには、1インチ当たりの孔数をより少なくすることが最も好ましい。1インチ当たりの孔数は、発泡体の構造的完全性によって制限される。
【0035】
各発泡体触媒ブロック12は長方形であり、6つの側面によって境界付けられており、6つの側面は、対向する背面30を有する前面15と、対向する底部側19を有する頂部側18と、側面16a及び対向する側面16bとを含む。触媒モジュール10内の発泡体触媒ブロック12は、それぞれ、その幅、高さ、及び深さ(厚さ)によって画定される。触媒ブロック12の深さ又は厚さは、それらの幅及び高さと比較して比較的小さい。典型的には、触媒ブロック12の幅又は高さのいずれかに対する触媒ブロック12の深さは、0.05:1~0.4:1、好ましくは0.08:1~0.3:1、最も好ましくは0.12:1~0.27:1の範囲である。理解されるべきであるように、発泡体触媒ブロック12は、正方形、三角形、多角形、又は任意の他の好適な形状等の任意の他の幾何学的形状を有してもよい。複数の触媒ブロック12を行及び列に一緒に配列して、グループ26を構成する単一の発泡体触媒ブロック構成要素として機能する触媒ブロック12の単一層を形成してもよい。グループ26の発泡体触媒ブロック構成要素は、互いに平行な向きで一緒に積み重ねられた触媒ブロック12の2つ以上の単一層を更に含んでもよい。積み重ねられた触媒ブロック12はまた、触媒モジュール10を構成するグループ26の単一の発泡体触媒ブロック構成要素として機能してもよい。グループ26は、発泡体触媒ブロック12の1、2、3、4、5、又はそれ以上の行及び列を有してもよい。グループ26aは、グループ26bに対して離間した関係にある。各グループ26a、26bは、並んで積み重ねられた関係で配置された複数の触媒ブロック12を含む。
【0036】
発泡体触媒ブロック12の幅、高さ及び深さが、それらの境界を画定する。したがって、各発泡体触媒ブロック12は、対向する背面30(すなわち、出口側)を有する表面積を有する前面15(すなわち、入口側)、対向する底部側19を有する頂部側18、及び対向する別の側面16bを有する側面16aによって境界付けられる。上述したように、触媒モジュール10は、2つの発泡体触媒ブロックグループ26a、26bを含み、それぞれのグループ26a、26b内の触媒ブロック12の背面30は、離間した関係で互いに対向している。封止フレーム32は、グループ26a、26b間の離間関係を維持し、封止容積を形成する。
【0037】
触媒床モジュール10の重要な要素の1つは、グループ26、29の各対の間に配置された封止フレーム32である。例えば、ここで
図2を参照すると、封止フレーム32は、それぞれのグループ26a、26b及び29a、29bの各々の触媒ブロック12の出口側(すなわち、背面30側)の間に離間した関係を維持して、開放空間54を提供する。封止フレーム32は、グループ26、29の各対の触媒ブロック12を離間した状態に維持するだけでなく、開放空間54を封止して、それぞれのグループ26、29の各々の触媒ブロック12の背面30及び封止フレーム32によって画定される気密封止容積56を提供する。本明細書で使用される場合、「気密シール」という語句は、NOx含有ガスが触媒ブロック及び/又は開放空間から早期に流出するのを防ぐシールを意味する。封止フレーム32は、開放空間54の3つの側部を覆い、開口部24を封止しない/被覆しないままにして、処理済みガス流(例えば、脱NOxを受けたガス流)が支持体22の開口部24を通って封止容積56から出ることができるようにする。上述したように、触媒ブロック12は、支持表面20に動作可能に固定される。例えば、開口部24は、開口部24を開放空間54と位置合わせするように、支持表面20に動作可能に接続されるか、又は支持表面20に組み込まれて、処理済みガス流を封止容積56から外部の目的地へ通過及び放出させる。
【0038】
開示された触媒床モジュール10の有利な態様は、触媒床モジュール10の周縁上の触媒ブロック12の6つの側面のうちの5つが、実質的に開放され被覆されていないため、これらの位置で発泡体触媒ブロック12内へのガス流に曝露されることである。すなわち、前面15、背面30、側部16、頂部側18、及び底部側19は、開放されているか、そうでなければ被覆されておらず、封止されていない。NOx含有ガス流38は、各発泡体触媒ブロック12に流入し、セラミック発泡体の深さを通過し、そこでセラミック発泡体上に担持された触媒と接触する。得られた処理済みガスは、発泡体触媒ブロック12から各前面15(すなわち、入口側)を通って、グループ26、29の対の間の封止容積56に入る。
【0039】
したがって、各それぞれの触媒ブロック12a、12bの頂部側18は、実質的に開放され被覆されておらず、NOx含有ガス流38が発泡体触媒ブロック12の頂部側18に流入することを可能にする。これは、側面16a、16a’及び別の側面16b、16b’、前面15a、15b及び底部側19a、19bについても同様である。これらの位置における発泡体触媒ブロック12の境界は、ガスの流入を可能にするために、実質的に開放されており被覆されていない。すなわち、NOx含有ガス流38は、側面16、前面15、及び頂部側18の長さ及び幅に沿った任意の位置で触媒ブロック12に流入することができる。触媒ブロック12の背面30又は出口側は、ガス流入を受け入れるように開いていない。上述したように、処理済みガス60は、背面30を通って触媒ブロック12を出て、封止容積56内に排出され、そこから封止容積を通って開口部24に向かって流れる。
【0040】
触媒床モジュール10のこの開放構造は、既存の封止された触媒床モジュールよりも製造コストが著しく低い。更に、本明細書に記載されるように、開示された触媒床モジュール10は、発泡体触媒ブロック12の使用と共に、脱NOxプロセス用途のために反応器50と組み合わせて使用される場合、NOxの除去を向上させる。開放設計でありながらも、開示された触媒床モジュール10を利用する反応器システムは、反応器を通るガスの実質的に横方向の流れを提供する。
【0041】
触媒床モジュール10の性能向上に寄与する1つの特徴は、封止フレーム32の構造的側面である。上述したように、封止フレーム32は、グループ26、29の各対の発泡体触媒ブロック12を離間した関係に保つことによって機能し、それぞれの触媒ブロック12の背面30(出口側)の外縁に沿って気密シールを形成することによって、開放空間54を気密に封止する。封止フレーム32は更に、ガスをバイパスさせ、発泡体触媒ブロック12の開放側(例えば、頂部側18、側部16、及び前面15)で流入するガスを、発泡体触媒ブロック12の中へ導き、その距離又は長さを通過させる機能を持つ。これは、流入するNOx含有ガス流38が封止容積56内へ直接通過し、それによってセラミック発泡体ブロックの触媒との接触を回避することを阻止する。したがって、封止フレーム32は、更に、触媒床25、28の周縁の触媒ブロック12の側面16に入るNOx含有ガス流38を、ブロック12内に距離62だけ移動させ、必要な反応を引き起こすのに十分長い期間、その触媒成分と接触させるように導くことによって機能する。
【0042】
封止フレーム32は、支持フレーム14と同様の格子状パターンを有することができ、横断要素64及び延長リムバイパス要素68又はフランジを含む。各グループ26、29内の発泡体触媒ブロック12は、支持フレーム14と封止フレーム32との間に挟まれている。
図2は、端から端まで測定された幅70を有する横断要素64と、横断要素64の外側表面から延長リムバイパス要素68の端部まで測定された長さ72にわたって、横断要素64の各端部から外向きに直交して延びる延長リムバイパス要素68とを含むチャネル状の形状を有する封止フレーム32を示す。すなわち、延長リムバイパス要素68はそれぞれ、横断要素64の両端から外向きに、かつ横断要素64の両端に直交して延在する。この実施形態では、封止フレーム32は、構造チャネル又はCチャネル又は平行フランジチャネルの形状と同様の形状を有することができる。チャネル形状は、横断要素64と、各々が横断要素64のそれぞれの端部から外向きに延在する2つの延長リムバイパス要素68とを含む。延長リムバイパス要素68は、触媒床29の周縁の触媒ブロック12をそれぞれの背面30の外縁に押し付ける。延長リムバイパス要素68の外面は、好ましくは平坦であり、それにより、触媒床28の周縁上のそれぞれの発泡体触媒ブロック12の背面30の一部の外縁に押し付けられたときに、気密シールを容易にする。
【0043】
横断要素64は、各グループ29内の2つの向かい合う発泡体触媒ブロック12の間の空間の封止を提供し支持して、封止容積を提供し、一対のグループ29の間の離間関係を維持する。典型的には、気密シールは、延長リムバイパス要素68の嵌合面と、触媒床28の周縁上のそれぞれの触媒ブロック12の背面30の部分の外縁とを気密様式で接合するための機械的封止手段によって提供される。機械的封止手段は、ガスケット、接着性シーラント、又は任意の他の適切なタイプのシールなど、任意の適切なタイプの機械的シールから選択することができる。
【0044】
背面30の外縁は、発泡体触媒ブロック12の背面30に押し付けられた延長リムバイパス要素68の平坦面によって被覆された各背面30の表面積によって画定される。延長リムバイパス要素68は、触媒床28の周縁に配置された触媒ブロック12a、12bの背面30の外縁に沿って気密メカニカルシールを形成する。外縁は、触媒床28のそれぞれのグループ29a、29bの各背面30の総表面積の1~40%を覆う。
【0045】
図2には、第1の触媒床25の一部の部分図が更に示されている。第1の触媒床25の発泡体触媒ブロック12のグループ26は、発泡体触媒ブロック12のグループ29が支持表面20に貼り付けられるのと同様の方法で支持表面20上に配置される。発泡体触媒ブロック12の追加のグループ26は、発泡体触媒ブロック12のグループ29と離間して並んで積み重ねられた関係にあり、開放容積74を提供する。
【0046】
開放容積74は、グループ29bの発泡体触媒ブロック12bに隣接するグループ26の発泡体触媒ブロック12の前面15(すなわち、入口側)、支持表面20、及びグループ29bの発泡体触媒ブロック12bの前面16bによって画定される。発泡体触媒ブロック12のグループ26はまた、触媒モジュール10の発泡体触媒ブロック12のそれぞれのグループ(例えば、グループ26b)に対して離間して並んで積み重ねられた関係にある。開放容積74は、NOx含有ガス流38の流れを受け入れるように開放されている。反応器50の動作時、開放容積74はNOx含有ガス流38で満たされ、NOx含有ガス流38は、開放容積74から、触媒モジュール10のグループ26、29内のそれぞれの発泡体触媒ブロック12の前面15及び底部側19に流入する。
【0047】
図示のように、図示の実施形態では、NOx含有ガス流38は、触媒床モジュール10の周縁に配置されたグループ26、29内の各発泡体触媒ブロック12の5つの面又は側面(例えば、前面15、側面16、頂部側18及び底部側19)に流入する。封止フレーム32は、それぞれのグループ26、29内の発泡体触媒ブロック12の各背面30内への、及び封止容積54内への直接のガス流を遮断する。代わりに、封止フレーム32は、発泡体触媒ブロック12の前面15、頂部側18、底部側19及び側面16を通るNOx含有ガス流38の流れを導き、その結果、NOx含有ガス流38は各発泡体触媒ブロック12の深さにわたって実質的に横方向に流れ、封止フレーム32によって外縁が封止されていないそれぞれのグループ26、29内の各発泡体触媒ブロック12の背面30を通って出る。
【0048】
既存の触媒モジュールには見られない開示された触媒モジュール10の特徴は、発泡体触媒ブロック12の上端部(上面18)、下端部(底部側19)及び側端部(側面16)が、既存の触媒モジュールに典型的に見られるように、NOx含有ガス流38の流入を防止するために封止されていないことである。上端部、下端部及び両側端部は、実質的に開放されており被覆されていないので、面15、30に加えて上端部、下端部及び側端部を通って各発泡体触媒ブロック12にガスが流入することができる。既存の触媒モジュールに典型的なこととして、発泡体触媒ブロックの前面(すなわち、入口側)は、発泡体触媒ブロック内へのガス流を可能にするように実質的に開放されており被覆されていないが、頂部側、底部側、及び側部は、覆われるか、又は封止される。発泡体触媒ブロックの頂部側、底部側及び側面を覆うことによって、ガスは前面にのみ流入し、背面から出る。発泡体触媒ブロックの前面へのガスの流れは、横方向のガス流を提供するガスの流れ方向である。ガスは、前面で発泡体触媒ブロックに流入し、発泡体触媒ブロックの深さを通って横方向に通過し、発泡体触媒ブロックの背面(すなわち、出口側)から出て封止容積に入る。次いで、得られた処理済みガスは、封止容積から底部側開口部及び支持表面開口部を通って流れ、次いで触媒モジュールから離れてLFRを出る。
【0049】
開示された封止フレーム32なしで、NOx含有ガス38が、触媒ブロック12の開放された上端、下端及び側端を通って直接、触媒ブロック12の2つのグループ26、28の間の封止容積に入ることを可能にすると、NOx含有ガス38が触媒に十分に接触せず、良好なNOx変換が得られないことが分かった。これは、これらの位置に流入するガスの多くが、十分に深くまで触媒ブロックに浸透せず、必要なNOx変換を促進するためのその触媒との十分な接触時間を提供できないためである。ガスが上面、底面及び側面に流入し、次いで、触媒ブロックのいかなる有意な深さにも侵入することなく、2つの触媒ブロック間の空間によって画定される容積に直接入ることが起こる。例えば、
図3は、滞在(滞留)時間に対する総質量流量分率%のプロット75であり、封止されていない/被覆されていない前部、頂部、底部、及び側面を有する発泡体触媒ブロック(例えば、発泡体触媒ブロック12)と、延長リムバイパス要素(例えば、延長リムバイパス要素68)を含まない封止フレームとを有する触媒床を通るガス流についてのモデル予測データを示す。図示のプロット75に示すように、総質量流量の約15%は、110ミリ秒(ms)以下の滞留時間を有しており、これは部分的なバイパスを示す。対照的に、封止されていない/被覆されていない前部、頂部、底部、及び側面を有する発泡体触媒ブロック(例えば、発泡体触媒ブロック12)と、延長リムバイパス要素(例えば、延長リムバイパス要素68)を有する封止フレーム(例えば、封止フレーム32)とを有する触媒床を通るガス流のモデル予測データは、
図4のプロット76によって示されるように、160msを超える滞留時間を有する。
【0050】
開示された触媒モジュール10の構造設計は、触媒ブロックの開放され封止されていない頂部、底部及び側端部を使用することによって引き起こされる問題を解決する。これは、横断要素64及び延長リムバイパス要素68を有する封止フレーム32を使用して行われる。封止フレーム32は、グループ26、28の最も外側の部分に配置された発泡体触媒ブロック12の背面30(すなわち、出口側)の外縁の周りに気密シールを提供し、NOx含有ガス38がバイパスして触媒床モジュール10の周縁の発泡体触媒ブロック12から早期に出るのを阻止することによって、問題を解決する。
【0051】
触媒床25、28の最外周における触媒ブロック12の背面30の外縁は、封止フレーム32の延長リムバイパス要素64によって被覆され封止される背面30の表面積の量によって画定される。発泡体触媒ブロック12の背面30の外縁の表面積被覆率は、延長リムバイパス要素の長さを設定することによって決定され、調整される。延長リムバイパスによる外縁の被覆率は、発泡体触媒ブロック12の背面30の総表面積の少なくとも1%、総表面積の40%未満であるべきである。好ましくは、延長リムバイパス要素によって覆われる外縁は、発泡体触媒ブロックの表面積の5%~30%の範囲である。最も好ましくは、被覆された外縁は、発泡体触媒ブロック12の表面積の10%~20%の範囲である。
【0052】
延長リムバイパス要素68は、触媒モジュール10の発泡体触媒ブロック12の開放頂部側18、底部側19及び側端16に直接流入して通過するNOx含有ガス38が、延長リムバイパス要素68をバイパスして発泡体触媒ブロック12間の封止容積54に入る前に、発泡体触媒ブロック12の長さを貫通して通過するように機能する。これにより、NOx含有ガス38は、ガス流に含まれるNOx化合物の反応変換を可能にするのに十分な距離及び時間にわたって、発泡体触媒ブロック12の触媒と接触する。この構成が、発泡体触媒ブロックの上端、下端及び側端が完全に封止されているか、又は本明細書に開示されている封止フレーム32を用いずに封止されていない触媒モジュールよりも、高いNOx変換率をもたらすことは予想外である。
【0053】
図5は、
図2に示す反応器50の断面の斜視図である。
図5は、
図2の反応器50を垂直切断線5-5に沿って切断した部分を示す。
図5では、発泡体触媒ブロック12bを分離し、封止フレーム32を切断して、封止容積56の開放空間54内の構造的特徴を露出させている。更に、発泡体触媒ブロック12aの背面30aが示されている。封止フレーム32は、横断要素64(図示せず)と、背面30aの外縁に押し付けられる延長リムバイパス要素68とを含む。矢印60によって示されるように、処理済みガスは背面30aから開放空間54内に流出し、開放空間54は、封止フレーム32と、支持表面20によって形成される封止と、発泡体触媒ブロック12aの背面30a及び発泡体触媒ブロック12bの背面30bとによって形成される封止容積56を構成する。処理済みガス60は、封止容積56から支持表面20の開口部24を通って流れる。
【0054】
図6は、本開示の一実施形態による、複数の触媒床モジュール10を有するLFR反応器200の一実施形態の側面図である。LFR反応器200は、LFR反応器200の一部を構成する発泡体触媒ブロック210の4つのグループ202、204、206、208を含む。発泡体触媒ブロック210の各グループ202、204、206、208は、並んで積み重ねられた関係で支持表面212に配向され、動作可能に固定される。また、発泡体触媒ブロック210の各グループ202、204、206、208は、発泡体触媒ブロック210の他のグループと同じ機能を提供し、実質的に同じ構造を有する。したがって、発泡体触媒ブロック210のグループ202、204、206、208のうちの1つに対する本明細書における説明は、発泡体触媒ブロック210の他のグループの各々にも同様に適用される。したがって、
図6の説明を容易にするために、グループ202についてのみ言及する。
【0055】
発泡体触媒ブロック210のグループ202は、第1の発泡体触媒ブロック214及び第2の発泡体触媒ブロック216を含む。各発泡体触媒ブロック214、216は長方形であり、6つの側面によって境界付けられている。発泡体触媒ブロック214、216は、互いに離間して平行に配置されている。しかしながら、他の実施形態では、発泡体触媒ブロック214、216は、平行ではなく互いに対して傾斜していてもよい。
【0056】
第1の発泡体触媒ブロック214は、対向する第1の前面220(入口側)を有する第1の背面218(出口側)と、対向する第1の底部側226を有する第1の頂部側224と、第1の側面228及び対向する第1の別の側面(図示せず)とを含む。第2の発泡体触媒ブロック216は、第1の発泡体触媒ブロック214と離間した関係で配置されている。第2の発泡体触媒ブロック216は、対向する第2の前面236(入口側)を有する第2の背面234(出口側)と、対向する第2の底部側240を有する第2の頂部側238と、第2の側面242及び対向する第2の別の側面(図示せず)とを含む。
【0057】
図6の側面図は、第1の側面228及び第2の側面242を観察者に面するように示しており、対向する第1の別の側面及び第2の別の側面は、側面228、242の反対側に示され、見えない状態である。各発泡体触媒ブロック214、216の6つの側面のうちの5つは、これらの位置で発泡体触媒ブロック214、216内へのガス流にさらされるように、実質的に開放され、覆われていない状態で示されている。
【0058】
封止フレーム246は、第1の発泡体触媒ブロック214と第2の発泡体触媒ブロック216との間に存在し、発泡体触媒ブロック214、216を離間した状態に保つことによって、それらの間の離間関係を維持する。封止フレーム246はまた、発泡体触媒ブロック214、216間の開放空間を封止して、第1の背面218、第2の背面234、及び封止フレーム246によって画定される気密封止容積250を提供する機能もある。封止フレーム246は、発泡体触媒ブロック214、216の間の開放空間の3つの側面を被覆し、封止容積250から離れるガス流の通路を提供することができる底側開口部252は残している。
【0059】
第1の発泡体触媒ブロック214及び第2の発泡体触媒ブロック216は、開口部254を画定しかつ含む支持表面212に動作可能に固定される。底側開口部252は、底部側開口部252を開口部254と位置合わせして、封止容積250から外部の目的地へのガス流の通過を提供するように、支持表面212に動作可能に接続されるか、又は支持表面212に組み込まれる。したがって、開口部254は底部側開口部252と共に構成され、封止容積250から底部側開口部252及び開口部254を通って外部目的地へガス流を通過させる能力を提供する。
【0060】
封止フレーム246は、第1の発泡体触媒ブロック214と第2の発泡体触媒ブロック216との間の離間関係を維持する。封止フレーム246は更に、第1の背面218及び第2の背面234の外縁に沿って気密シールを形成することによって、2つの発泡体触媒ブロック214、216によって画定される開放空間を気密に封止する。封止フレーム246はまた、第1の発泡体触媒ブロック214及び第2の発泡体触媒ブロック216の開放側で流入するガスを、発泡体触媒ブロック214、216の中へ導き、その距離又は長さを通過させる。これは、流入するガスが封止容積250内に直接通過し、それによって、セラミック発泡体ブロックの触媒との接触を回避することを防止する。封止フレーム246は、セラミック発泡体ブロックの側面に入るガスを、セラミック発泡体ブロック内へ一定距離を移動するように導くことを提供し、それにより、ガスは、必要な反応を引き起こすのに十分長い時間、触媒成分と接触する。
【0061】
封止フレーム246は、横断要素258と延長リムバイパス要素260とを含む。封止フレーム246は、横断要素258と、横断要素258の各端部から外向きに延在する延長リムバイパス要素260とを含むチャネル状形状を有する。延長リムバイパス要素260は、第1の背面218及び第2の背面234の外縁を押圧する。
【0062】
第1の背面218及び第2の背面234の外縁は、発泡体触媒ブロック214、216の背面218、234に対して押し付けられる延長リムバイパス要素260の平坦面によって覆われる各背面218、234の表面積によって画定される。延長リムバイパス260は、第1の背面218の第1の外縁に沿って第1の気密メカニカルシールを形成し、第2の背面234の第2の外縁に沿って第2の気密メカニカルシールを形成する。第1の外縁は、第1の背面218の総表面積の1~40%を被覆し、第2の外縁は、第2の背面234の総表面積の1~40%を被覆する。
【0063】
発泡体触媒ブロック210の各グループ202aは、他のグループ202bと同様の方法で、離間して積み重ねられた横方向の関係で、支持表面212上に配置され、貼り付けられる。発泡体触媒ブロック210の追加のグループ204、206、208は、発泡体触媒ブロック210のグループに対して離間して並んで積み重ねられた関係にあり、開放容積272を提供する。
【0064】
開放容積272は、第2の発泡体触媒ブロック210の第2の前面236と、支持表面212と、発泡体触媒ブロック216の隣接するグループ204の発泡体触媒ブロック280の第1の前面274とによって画定される。開放容積272は、ガス流を受け入れるために開放されている。LFR反応器200の動作時、開放容積272はガス282で満たされ、ガス282は、開放容積272から、発泡体触媒ブロック210のグループ202の第2の前面236及び第2の底部側240、並びに発泡体触媒ブロック210の隣接するグループ204の第2の前面274及び第2の底部側240に流入する。
【0065】
図6の破線の矢印線は、LFR反応器200の発泡体触媒ブロック214、216へのガス282の流れを表す。図示のように、ガス282は、各発泡体触媒ブロック214、216の5つの面又は側面(例えば、前面220、236、274、底部側240、側面228、242、対向する側面及び頂部側224、238)に流入する。封止フレーム246は、発泡体触媒ブロック210の各背面218、234及び封止容積250への直接のガス流(例えば、ガス282)を防止する。代わりに、封止フレーム246は、発泡体触媒ブロック210の前部、頂部、底部、及び側面を通るガス282の流れを導き、その結果、ガス282が各発泡体触媒ブロック210の深さにわたって実質的に横方向に流れ、封止フレーム246によって外縁で封止されていない各発泡体触媒ブロック210の背面218、234を通って処理済みガス284として出る。図示の実施形態は4つのグループ202、204、206、208のみを示しているが、LFR反応器200は、本開示の範囲から逸脱することなく、4つより多い又は少ないグループを有してもよいことを理解されたい。
【0066】
図7は、
図6の切断線7-7によって示される平面及び視線方向で、LFR反応器200を下から見た平面図を示す。ガス(例えば、処理済みガス284)が通過することのできるアパーチャを各々が提供する4つの開口部254をその中に画定する、支持表面又は板212が示されている。開口部254は、支持表面212の反対側で底部側開口部252と位置合わせされて、封止容積250からのガス流の通路を提供する。
【0067】
第1の発泡体触媒ブロック214は、第1の前面220と、第1の側面228と、第1の別の側面230と、第1の頂部側224とを有する。第2の発泡体触媒ブロック216は、第2の前面236と、第2の側面242と、第2の別の側面244と、第2の頂部側238を有するように示されている。発泡体触媒ブロック214、218の第1の背面218及び第2の背面234は、封止フレーム246が2つを離間した関係に維持した状態で互いに対向している。2つの発泡体触媒ブロック214、216のそれぞれの背面218、234と、封止フレーム246とが一緒になって、封止容積250を画定する。
【0068】
LFR反応器200の動作中、ガス(例えば、ガス282)は下方に流れ、開放容積272及び発泡体触媒ブロック210のグループ202、204、206、208を取り囲む容積を満たす。ガスは、各発泡体触媒ブロック210の開口側に入り、発泡体触媒ブロック210の深さを横方向に通過して封止容積(例えば、封止容積250)に入り、そこからガスは、底部側開口部252(隠れている)及び開口部254(隠れている)を通って外部の目的地に出る。封止フレーム246の延長リムバイパス要素260は、発泡体触媒ブロック210の所望の長さを通してガス流を導くことによって、発泡体触媒ブロック210を通るガスの横方向の流れを支持する。
【0069】
図8は、
図7の切断線8-8によって示される平面及び視線方向で見た、LFRモジュール200の上面図又は平面図を示す。支持表面212上のLFRモジュール200の全体を構成する発泡体触媒ブロック210の4つのグループが示されている。発泡体触媒ブロック210の各グループは、第1の発泡体触媒ブロック214及び第2の発泡体触媒ブロック216を含む。発泡体触媒ブロック214及び216並びに封止手段246の各々の上端は、観察者に面する。
【0070】
図9は、
図8の切断線9-9に沿って切断されたLFR反応器200の一部の側断面図である。LFR反応器200の発泡体触媒ブロック210の4つのグループ202、204、206、208の断面図が示されている。発泡体触媒ブロック210のグループ202、204、206、208の各々は、並んで積み重ねられた関係で支持表面212に固定される。
【0071】
第1の発泡体触媒ブロック214の第1の背面218と、第2の発泡体触媒ブロック216の第2の背面234とは、離間した関係で対向している。封止フレーム246は、離間関係を維持し、それぞれの発泡体触媒ブロック210の背面218、234の外縁に沿って気密シールを形成して、封止容積250を提供する。封止容積250は、第1の背面218と、第2の背面234と、封止手段246とによって三方に画定される開放空間を含み、これらは封止容積250からのガス流(例えば、処理済みガス284)の通過を提供することができる底部側開口部252を共に提供する。
【0072】
封止フレーム246は、横断要素258と、横断要素258の各終端部から外向きに延在し、各終端部に直交する延長リムバイパス要素260とを含むチャネル状形状を有する。延長リムバイパス要素260は、それぞれの発泡体触媒ブロック214、216の第1の背面218及び第2の背面234の外縁を押圧する。
【0073】
第1の背面218及び第2の背面234の外縁は、発泡体触媒ブロック214、216の背面218、234に対してそれぞれ押し付けられる延長リムバイパス要素260の平坦面によって覆われる各それぞれの背面218、234の表面積によって画定される。延長リムバイパス要素260は、第1の背面218の外縁に沿って第1の気密メカニカルシールを形成し、第2の前面234の外縁に沿って第2の気密メカニカルシールを形成する。発泡体触媒ブロック210の背面218、234の外縁の表面積被覆率は、ガス流を導くのに必要な外縁の被覆率を提供するように延長リムバイパス要素260の長さを設定することによって決定され、調整される。
【0074】
封止フレーム246はまた、第1の発泡体触媒ブロック214及び第2の発泡体触媒ブロック216の開放側で流入するガス282を、発泡体触媒ブロック214、216の中へ導き、その距離又は長さを通過させる。これは、流入するガス282が封止容積250内に直接通過し、それによって、セラミック発泡体ブロック214、216の触媒との接触を回避することを阻止する。封止フレーム246はまた、セラミック発泡体ブロック214、216の側面に入るガス282を、セラミック発泡体ブロック内へ一定距離を移動するように導くことを提供し、それにより、ガス282は、必要な反応を引き起こすのに十分長い期間、触媒成分と接触する。
【0075】
したがって、延長リムバイパス要素260は、ガス282が、それぞれの発泡体触媒ブロック214、216の開放頂部(第1の頂部側224及び第2の頂部側238)と、底部(第1の底部側226及び第2の底部側240)と、側端部(
図8に示す第1の側面228、第1の別の側面230、第2の側面242、及び第2の別の側面244)とに直接流入し、それらを通って流れるように機能する。延長リムバイパス要素260は、ガス282が発泡体触媒ブロック210の長さを貫通して通過した後で、延長リムバイパス要素260をバイパスして封止容積250に入るようにする。これにより、ガス282は、ガス流中に含まれる成分の反応を可能にするのに十分な距離及び時間にわたって、発泡体触媒ブロック210の触媒と接触する。
【0076】
図10Aは、封止フレーム246によって離間されたグループ202、204、206、208の、上から見た詳細図を提示する。
図10Bは、切断線10B-10Bに沿った切断によって示される平面及び視線での、グループ202、204、206、208の断面図を示す。
図10Cは、切断線10C-10Cに沿った切断によって示される平面及び視線での、グループ202、204、206、208の断面図を示す。
【0077】
図10Aを参照すると、グループ202、204、206、208及び封止フレーム246を上から見た平面図が示されている。破線は、表面下の横断要素258及び延長リムバイパス要素260を示す。また、封止フレーム246の上面の下にあり、第1の発泡体触媒ブロック214と第2の発泡体触媒ブロック216との間に挟まれているのは、封止容積250である。第1の発泡体触媒ブロック214の第1の背面218と、第2の発泡体触媒ブロック216の第2の背面234とは、離間した関係で対向しており、封止フレーム246と共に封止容積250を形成する。
【0078】
図10Bは、断面10B-10Bの詳細図であり、第1の発泡体触媒ブロック214の第1の背面218と、第2の発泡体触媒ブロック216の第2の背面234とに関連したチャネル形状の封止フレーム256を示す。更に、封止フレーム256の横断要素258及び延長リムバイパス要素260が示されている。
【0079】
図10Cは断面10C-10Cの詳細図であり、第1の発泡体触媒ブロック214の第1の背面218との封止フレーム246の関係を示すための、中央で垂直に切断されたグループ202の立面図を示す。封止フレーム246の横断要素258及び延長リムバイパス要素260が示されている。封止フレーム246は、グループ202の最外周を形成する発泡体触媒ブロック14の外縁に沿って第1の発泡体触媒ブロック214に当接して連結され、それによって発泡体触媒ブロック214を縁取りする。延長リムバイパス要素260は、第1の背面218の外縁を押圧して気密シールを提供する。処理済みガスは、第1の発泡体触媒ブロック214を実質的に横方向に通過し、第1の背面218から封止容積250内に出る。
【0080】
以下の実施例は、本発明を例示し、その利点を実証する。しかしながら、この実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0081】
触媒発泡体ブロックの作製
上述したように、触媒床モジュール10は、セラミック発泡体の上及び/又は中に配置された触媒成分を有する発泡体触媒ブロックのグループ26、29を含む。セラミック発泡体は、ポリウレタン発泡体などのポリマー発泡体の構造を、アルミナ(Al2O3)及びジルコニア(ZrO2)などのセラミック材料の水性スラリーでコーティングし、続いて含浸された発泡体を乾燥及び焼成してセラミック材料のみを残すことによって作製することができる。か焼は、1000℃を超える温度で空気中で行われる。典型的には、か焼は、1000℃~2000℃の範囲の温度で行われる。スラリーは、直径が0.1μm~10μmの範囲のセラミック粒子及び水を、適切な量の湿潤剤、分散安定剤及び粘度調整剤と共に含有する。か焼によってポリマーは蒸発又は燃焼し、焼結したセラミックが後に残る。
【0082】
か焼及び焼結の後、残ったセラミック発泡体は、網状構造とも呼ばれる相互接続された内部蛇行細孔構造を有する。この構造は、ハニカムチャネルなどの他のタイプの支持体と比較して、発泡体を通るガスの乱流を提供し、セラミック発泡体によって支持された任意の触媒とのガスの接触を改善する。触媒成分は、チタニア担体及び触媒金属の粒子のスラリーのウォッシュコートとしてセラミック発泡体に塗布されることが望ましい。セラミック発泡体に塗布するのに最も好ましい触媒は、米国特許第6,419,889号明細書に記載されているものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
触媒成分のチタニア担体は、チタニア粉末を水及びしゃく解剤と混合して押出可能なペーストを形成することによって作製することができる。押出可能なペーストは、円筒形及び三葉形などの任意の好適な形状の押出物に押出され、乾燥された後、650℃未満、好ましくは350℃~600℃の温度でか焼される。次いで、押出物を、バナジウム、モリブデン及びタングステンからなる群から選択される金属の1種以上の金属化合物と接触させる。押出物に金属化合物の水溶液を含浸させることが好ましい。金属をチタニア担体に組み込んだ後、それを乾燥させ、次いで350~550℃の範囲のか焼温度、0.5~6時間の範囲のか焼時間でか焼する。チタニア担体触媒は、窒素吸着で測定した表面積が約50m2/g~約150m2/gの範囲である。触媒は、最大で約100nmの直径を有する細孔に存在する細孔容積の90%超を有するバイモーダルな細孔分布を有してもよく、ここで、細孔容積は、約1nm~約100nmの直径を有する細孔に存在する細孔容積であると見なされる。
【0084】
上述したように、発泡体触媒ブロック12は、任意の適切な含浸法又はウォッシュコーティング法によってセラミック発泡体の上又は中に組み込まれた触媒成分を含む。反応器システムが脱NOx用途で使用される場合、触媒成分は、好ましくは、バナジウム、モリブデン、タングステン及びそれらの組合せからなる群から選択される金属で含浸されたチタニアを含む。
【0085】
上述のチタニア担持触媒を使用して、ウォッシュコートとしてセラミック発泡体に塗布されるスラリーを作製することができる。担持された触媒を粉砕又は製粉して、0.1μm~10μmの範囲の直径を有する粒子を形成する。この粉末を、水及び適切な量の湿潤剤、分散安定剤及び粘度調整剤と混合して、ウォッシュコートとしてセラミック発泡体に塗布されるスラリーを得る。次いで、洗浄された被覆セラミック発泡体を更に乾燥させ、か焼して、反応器システムの横方向流反応器モジュールの構成要素として使用される発泡体触媒ブロックを生成する。
【実施例】
【0086】
この実施例は、比較用の完全封止型横方向流脱NOx反応器(比較反応器)と、本開示の実施形態による、開放型横方向流脱NOx反応器(本発明の反応器)とを代表するように実験用に設計された発泡体触媒反応器モジュールについて述べる。発泡体触媒反応器モジュールを、それらの脱NOx性能について試験した。この試験から得られた比較結果の概要が提示されており、これは、完全に封止された反応器設計に対する、側面開放型反応器設計によってもたらされる脱NOx変換率の改善を示している。
【0087】
比較反応器は、300mm(W)×300mm(L)×100mm(H)の寸法を有する正方形の発泡体触媒ブロックを含んでいた。比較反応器は、4つの側面(例えば、頂部、底部、及び両方の側面)で完全に封止し、ガス状供給物が発泡体触媒ブロックの前面へ入り、発泡体触媒ブロックの深さを通過するように構成した。処理済みガスは、発泡体触媒ブロックから、前面に対向する背面を通過した。
【0088】
発泡体触媒反応器モジュールの各発泡体触媒ブロックの構成要素は、バナジウム含浸チタニアの粒子又は粉末のスラリーでウォッシュコートされた多孔質セラミック発泡体ブロックであった。バナジウム含浸チタニア触媒は、米国特許第6,419,889号明細書に開示されている方法に従って調製し、ウォッシュコートとして塗布するための水性スラリーの調製に使用される粉末に製粉した。バナジウム含浸チタニアは、含浸チタニアの約3.2重量%の量のバナジウムを含有していた。発泡体触媒ブロックは、ウォッシュコートされた多孔質セラミック発泡体の乾燥後に約50重量%のバナジウム含浸チタニアを含有していた。
【0089】
本開示の一実施形態による反応器は、正方形の発泡体触媒ブロックの4つの側面のうちの1つがガス供給物に対して開放されていることを除いて、比較反応器と同じ設計であった。これにより、ガス状供給物が発泡体触媒ブロックの側面及び触媒ブロックの前面を通過することができた。本明細書に開示される(例えば、前面並びに頂部、底部、及び側面が開放され封止されていない)触媒床モジュールを有する工業規模の反応器をシミュレートするために、ベンチスケール試験反応器で使用される触媒床モジュールは、触媒床モジュールの前面の総表面積(SAF1)に対する開放側(SAS1)の総表面積の比(SAS1:SAF1)が、本開示の触媒床モジュールを有する工業規模の反応器の前面の総表面積(SAF2)に対する開放側の総表面積(SAS2)の比(SAS2:SAF2)にほぼ等しくなることが必要であった。比SAS1:SAF1=SAS2:SAF2は、ベンチスケール試験反応器内の触媒床モジュールの4つの側面のうちの1つ及び前面を開放及び封止しないことによって達成された。例えば、一対の発泡体触媒ブロックグループを有する触媒床モジュールを有する工業規模の反応器の場合、各グループは、総寸法が1392×100ミリメートル(mm)であり、4つの開放側(例えば、頂部、底部、及び両方の側部)、及び開放前面を有し、4つの開放側の総表面積は、約5600cm2であり、前面の総表面積は、19,600cm2であり、その結果、SAS2:SAF2比は0.286となる。工業規模の反応器における触媒床モジュールのSAS2:SAF2比を一致させるために、ベンチスケール試験反応器は、寸法が300×300×10mmで1つの開放側及び開放前面を有する発泡体触媒ブロックを有する必要があり、単一の開放側の総表面積は約300cm2であり、前面の総表面積は900cm2であり、その結果SAS1:SAF1比は0.333となり、これは、工業規模反応器の触媒床モジュールに対応するSAS2:SAF2比0.286と実質的に等しい。
【0090】
2つの反応器モジュールの脱NOx性能試験には、天然ガスバーナーを使用した。ガスは200ppmのNOx濃度を有し、18,000hr-1の空間速度を提供する速度で反応器に導入された。脱NOx反応器への供給ガスに19%アンモニア水溶液を、供給ガス中のNH3の初期濃度が300ppmとなる量で注入した。各反応器のNOx変換性能を、140℃、160℃、180℃、200℃及び220℃の5つの異なる入口温度で試験した。
【0091】
脱NOx反応器の性能試験の結果の概要を以下の表1に示す。
【0092】
【0093】
表1に示されたデータは、側面開放型発泡体触媒反応器モジュールが、全ての入口反応器温度条件で、比較用の完全封止型発泡体触媒反応器モジュールよりも高いNOx変換率を提供することを示している。この結果は予想外である。なぜなら、全供給ガス流を、発泡体触媒ブロックの奥行き全体を通過させることによって、供給ガスと発泡体触媒ブロックとより良好に接触し、したがってより良好な反応が得られると考えられていたからである。それよりも、供給ガス流の少なくとも一部が発泡体触媒ブロックの側面を通過できるようにすることによって、より良好なNOx変換がもたらされる。NOx変換率の差は、入口温度が上昇するにつれて小さくなることに留意されたい。しかし、それでもなお、より高い反応器入口温度であっても、側面開放型発泡体触媒反応器モジュールは、完全封止型発泡体触媒反応器モジュールよりも高いNOx変換率を提供する。より入口反応器温度が低いと、NOx変換率の差は著しく広がる。これらのデータは、供給ガスを反応器の発泡体触媒ブロックの側面に流入させることにより、全供給ガス流を脱NOx反応器の発泡体触媒ブロックの前面に導くことと比較して、NOx変換率が向上することを実証している。
【国際調査報告】