(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】印加される電磁放射によってRF信号インピーダンスを制御可能な導波通アセンブリを備えた半導体システム
(51)【国際特許分類】
H01P 5/04 20060101AFI20240423BHJP
H01P 1/15 20060101ALI20240423BHJP
H01P 1/22 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01P5/04 601Z
H01P1/15
H01P1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569730
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 CA2022050728
(87)【国際公開番号】W WO2022236404
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598063203
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(71)【出願人】
【識別番号】504368697
【氏名又は名称】ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ
【住所又は居所原語表記】10230 Jasper Avenue, Suite 4000, Edmonton, Alberta T5J 4P6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ペロウリス、ディミトリオス
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、オールデン
(72)【発明者】
【氏名】バーレイジ、ダグラス
(57)【要約】
半導体ウェハと一体化された導波通アセンブリが提供される。導波通アセンブリは、金属層でライニングされたウェハの内壁によって画定され、かつRF信号を導波通チャネルの内外に伝送するための少なくとも1つのポートを有する導波通チャネルを含む。導波通アセンブリはまた、導波通チャネル内に配置された半導体障壁5部材も含む。導波通アセンブリは、半導体デバイス用のエッチングおよび堆積プロセスを用いて作製され得る。使用中、障壁部材に印加される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に変化させることにより、障壁部材の電気コンダクタンスを変化させ、これにより、導波通チャネルを通るRF信号10の伝送に対する障壁部材の電気インピーダンスを変化させる。導波通アセンブリは、RF信号のスイッチング、減衰、ルーティング、フィルタリング、および変換のために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)信号を妨げるためのシステムであって、該システムは、半導体ウェハと一体化された導波路アセンブリを含み、
(a)金属層でライニングされたウェハの内壁によって画定される導波路チャネルであって、RF信号を前記導波路チャネルの内外に伝送するための少なくとも1つのポートを含む導波路チャネルと、
(b)前記導波路チャネル内に配置された少なくとも1つの半導体障壁部材であって、印加された電磁放射に応じて前記障壁部材の導波路電気コンダクタンスを変化させることにより前記導波路チャネルを通るRF信号の伝送に対する前記障壁部材の電気インピーダンスを変化させる、少なくとも1つの半導体障壁部材と
を含むシステム。
【請求項2】
前記導波路チャネルは、実質的に四角柱形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導波路チャネルは、実質的に円筒形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記導波路チャネルは、第1の導波路チャネル部分と、第2の導波路チャネル部分と、を含み、前記第1の導波路チャネル部分のチャネル高さは、前記第1の導波路チャネル部分の電気インピーダンスが、前記第2の導波路チャネルポート部分の電気インピーダンスよりも大きくなるように、前記第2の導波路チャネル部分のチャネル高さよりも高い、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記導波路チャネルは、第3の導波路チャネル部分と、第4の導波路チャネル部分と、第5の導波路チャネル部分と、を含み、前記第3の導波路チャネル部分は、前記第4の導波路チャネル部分と前記第5の導波路チャネル部分の間に配置され、前記第3の導波路チャネル部分のチャネル横幅は、前記第4および前記第5の導波路チャネル部分のチャネル横幅未満であり、少なくとも1つの障壁部材が、前記第3の導波路チャネル部分内に配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記導波路チャネルの少なくとも1つの出力ポートは、単一のポートからなる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステムであって、
(a)前記導波路チャネルの前記少なくとも1つのポートは、入力ポートと、第1の出力ポートと、該第1の出力ポートから離れて配置された第2の出力ポートと、を含み、
(b)前記導波路チャネルは、前記入力ポートから前記第1の出力ポートへの第1の経路を画定し、
(c)前記導波路チャネルは、前記入力ポートから前記第2の出力ポートへの、前記第1の経路とは別の第2の経路を画定し、
(d)前記少なくとも1つの障壁部材は、前記第1の経路内に配置された第1の障壁部材と、前記第2の経路内に配置された第2の障壁部材と
を含むシステム。
【請求項8】
前記導波路アセンブリは、前記第1の経路と前記第2の経路との間に配置された同調用スタブをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステムであって、
(a)前記導波路チャネルの前記少なくとも1つのポートは、入力ポートおよび出力ポートとを含み、
(b)前記導波路チャネルは、前記入力ポートから前記出力ポートへの第1の経路と該第1の経路から延びる短絡スタブ経路とを画定し、
(c)前記少なくとも1つの障壁部材は、スタブ経路内に配置される、システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの障壁部材は、前記スタブ経路内に配置された複数の障壁部材を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの障壁部材は、前記スタブ経路の長さに沿って整列された一列に配置された複数の障壁部材を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記金属層は、金、ニッケル、アルミニウム、クロム、タングステン、白金、または銀を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記障壁部材は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、窒化ガリウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、リン化インジウム、またはリン化ガリウムを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記導波路チャネルおよび前記障壁部材を画定する前記内壁は、同じ半導体材料を含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記導波路チャネルおよび前記障壁部材を画定する前記内壁は、異なる半導体材料を含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記障壁部材は、前記ウェハの前記内壁をライニングする金属層から前記窓まで延びる、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記障壁部材は、前記ウェハによって規定される平面方向に直交する方向に延びるポストの形態である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記ポストは、実質的に円形の断面形状を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの障壁部材は、一列またはアレイに配置された複数の障壁部材を含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記導波路アセンブリは、外部のソースから前記ウェハに放出される印加電磁放射によって前記障壁部材の励起を可能にするために、前記障壁部材を終端する電磁放射(ER)透過性半導体層を含む窓をさらに含む、請求項1乃至19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記ER透過性半導体層は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、インジウムスズ酸化物、または半導体支持体に組み込まれた透明金属メッシュ膜を含み、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記窓は、約0.083mm乃至約0.450mmの直径を有し、および/または前記印加電磁放射の波長(λ)の1/12未満の直径を有する、請求項20又は21に記載のシステム。
【請求項23】
前記窓は、前記ウェハの周囲の外面から凹んでいる、請求項20乃至22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれか一項に記載のシステムは、前記印加電磁放射を放出するための電磁放射(ER)エミッタをさらに含む、システム。
【請求項25】
前記ERエミッタは、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、または垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記ERエミッタは、UVスペクトル、可視光スペクトル、または赤外スペクトル内の電磁放射を放出するように構成される、請求項24又は25に記載のシステム。
【請求項27】
請求項24乃至26のいずれか一項に記載のシステムは、前記ERエミッタによって放出された電磁放射を前記障壁部材に光学的に結合するための光ファイバをさらに含む、システム。
【請求項28】
請求項1乃至27のいずれか一項に記載のシステムは、前記電磁放射ERエミッタに動作可能に接続され、かつ前記ERエミッタによって放出される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に制御するように構成されたマイクロコントローラ、スイッチ、または可変抵抗器を含む制御手段をさらに含む、システム。
【請求項29】
前記制御手段は、前記ERエミッタによって放出される電磁放射の周波数を変化させるように構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記制御手段は、前記ERエミッタによって放出される電磁放射の電力レベルを変化させるように構成される、請求項28又は29に記載のシステム。
【請求項31】
前記導波路チャネルは、前記導波路チャネルを画定する内壁をライニングする前記金属層の間において、前記障壁部材の半導体材料を除く半導体材料のない空間である、請求項1乃至30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記導波路チャネルは、前記導波路チャネルを画定する内壁をライニングする前記金属層の間において、前記障壁部材の半導体材料を除く半導体材料を含む、請求項1乃至30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
半導体ウェハの内部に画定された導波路チャネルを通る無線周波数(RF)信号の伝送に対するインピーダンスを変化させる方法であって、方法は、
(a)前記導波路チャネル内に配置された少なくとも1つの半導体障壁部材を設けるステップと、
(b)前記少なくとも1つの障壁部材に印加される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に変化させて、前記障壁部材の電気コンダクタンスを変化させることにより、前記導波路チャネルを通る前記RF信号の伝送に対する前記少なくとも1つの障壁部材のインピーダンスを変化させるステップと
を含む方法。
【請求項34】
前記RF信号は、約1GHz乃至約300GHzの範囲の周波数を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記RF信号は、約26.5GHz乃至約40GHzの範囲の周波数を有するKa帯域にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ERエミッタによって前記少なくとも1つの障壁部材に印加される電磁放射のエネルギーレベルまたはパワーレベルのいずれか一方または両方を変化させることは、前記入力ポートと前記出力ポートとの間で少なくとも20dBの挿入損失をもたらす、請求項33乃至35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ERエミッタによって印加される電磁放射のパワーレベルを選択的に変化させることは、放出される電磁放射の強度をヌルパワーレベルと非ヌルパワーレベルとの間で変化させることを含む、請求項33乃至36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ERエミッタによって印加される電磁放射のパワーレベルを選択的に変化させることは、放出される電磁放射のパワーレベルを第1の非ヌルパワーレベルと、第1の非ヌルパワーレベルとは異なる第2の非ヌルパワーレベルとの間で変化させることを含む、請求項33乃至36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
請求項33乃至38のいずれか一項に記載の方法において、
(a)前記少なくとも1つの障害部材は、第1の障害部材および第2の障害部材を含み、
(b)前記ERエミッタによって前記少なくとも1つの障壁部材に印加される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に変化させることは、前記第2の障壁部材に印加される電磁放射のいずれか一方または両方を選択的に変化させることとは独立して、前記第1の障壁部材に印加される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に変化させること
を含む方法。
【請求項40】
前記ERエミッタによって印加される電磁放射は、UVスペクトル、可視光スペクトル、または赤外スペクトル内にある、請求項33乃至39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
無線周波数(RF)信号を妨げるための導波路アセンブリを製造する方法であって、前記導波路アセンブリは半導体ウェハと一体化されるものであり、前記方法は、
(a)前記ウェハの第1の部分および前記ウェハの別個の第2の部分を提供するステップと、
(b)前記ウェハの前記第1の部分の内面をエッチングするステップであって、
(i)前記RF信号を前記導波路チャネルの内外に伝送するための少なくとも1つのポートを含む導波路チャネルの壁と、
(ii)前記導波路チャネル内に配置された半導体障壁部材と
を画定すべくエッチングするステップと、
(c)前記導波路チャネルの前記壁をライニングすべく、前記ウェハの前記第1の部分の前記内面上に前記第1の金属層を堆積させるステップと、
(d)前記ウェハの前記第1の部分の前記内面上に堆積した前記第1の金属層を、前記ウェハの前記第2の部分の金属化された内面に接合するステップと
を含む方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法は、ステップ(c)の後かつステップ(d)の前に、前記障害部材を前記導波路チャネルに露出させるべく、堆積した前記第1の金属層をエッチングするステップをさらに含む方法。
【請求項43】
ステップ(a)の後かつステップ(d)の前に、前記ウェハの前記第2の部分の金属化された前記内面を設けるべく、前記ウェハの前記第2の部分の前記内面上に前記第2の金属層を堆積させるステップをさらに含む請求項41又は42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ内の導波通アセンブリ、微細作製プロセスを用いたその作製、ならびにRF信号のスイッチング、減衰、ルーティング、フィルタリング、および変換などの目的のために、印加される電磁放射によって導波通アセンブリを制御して、導波通アセンブリ内を伝送されるRF信号に対するインピーダンスを変化させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF:Radio frequency)スイッチは、信号ルーティング、冗長スイッチング、帯域選択、および位相シフトを含む様々な機能性を可能にする、現代のトランシーバシステムの基本的な構成要素である。特に、導波通スイッチは、典型的には、それらの低挿入損失および高パワー処理のために、ミリメートル波(mm-wave:millimeter-wave)からサブミリメートル波用途用に選択される[参考文献1]。
【0003】
電気機械式ロータおよびp-i-nダイオードスイッチ[参考文献2および19]、ならびに文献[参考文献3~5および20~21]に報告されているようなRF MEMSおよびマイクロ流体ベースのスイッチを含む、導波通スイッチング素子のいくつかの技術が開発されている。しかしながら、これらのアプローチのほとんどは、従来の金属機械加工された導波通を使用し、よって、大きく、重く、平面マイクロ波技術およびオンチップと一体化することが困難である。
【0004】
シリコン(Si)微細加工技術は、マイクロメートル許容誤差の高精度、サブミリメートル波帯域までおよびそれを超える高性能、ならびに平坦化技術との一体化を含む利点を提供する[参考文献10および22]。
【0005】
RF MEMSを使用する一体型導波通スイッチが提案されているが(参考文献4を参照)、自己作動、信頼性、およびスティクションの問題が、高パワー用途へのその使用を制限している。半導体内の固体プラズマの光生成によるマイクロ波およびミリメートル波信号の光制御は、高性能のスイッチングおよび位相シフト技術として有望であることが示されている[参考文献6~7]。光源のバイアスネットワークがRF信号から隔離されるだけでなく、プラズマ素子自体が、高パワー処理および線形性[参考文献23]、速いスイッチング時間[参考文献24]、ならびに低い挿入損失[参考文献25]を含む利点を提供する。文献における用途は、スイッチ、可変減衰器、および同調型移相器を含む[参考文献7~9]。
【0006】
従来技術は、導波通デバイスおよび関連するスイッチを開示している。
特許文献1(バリル(Baril)外、1985年3月26日)は、寸法がミリメートル波を伝搬可能な寸法であり、所与の容積のいわゆるリッジ空間を与えるステップを含み、そこには破壊電圧が高く、熱抵抗が低い半導体材料のバーが配置されており、その容積がリッジ空間の容積に等しい、矩形の導波通から形成された電磁波スイッチを開示している。
【0007】
特許文献2(ローゼン(Rosen)外、1992年3月24日)は、開口部を画定する壁を有する導波通を開示している。一方の壁における光透過性開口部が、レーザダイオードアレイのような光学的照明源からの光が、照明されるように配置された半導体スラブが位置する開口部を照明することを可能にする。アレイがスラブを照射すると、導波通の伝搬特性(位相速度および減衰定数)が変化する。よって、導波通を通過する連続波信号は減衰され、位相シフトされる。
【0008】
特許文献3(ベーコン(Bacon)外、1994年5月31日)は、導波通伝送線路の中心線と整列された空洞が中に配置された壁を有する導波通伝送線路と、導波通伝送線路に沿って伝搬するRF信号に対して、空洞と導波通伝送線との間に実質的に短絡インピーダンス特性を与えるための手段と、を含むRFスイッチ回路を開示している。
【0009】
特許文献4(ジェームス(James)、1998年12月8日)は、選択的に照明されてバッフルの電子特性をマイクロ波エネルギーの透過性から反射性に変化させる感光性バッフルを組み込んだマイクロ波装置を開示している。このバッフルは、ゲート、同調用素子、反射器などとして機能する。
【0010】
特許文献5(ブーテイ(Boutayeb)、2017年1月12日)は、基板一体型導波通スイッチおよび基板一体型導波通スイッチを動作させる方法を開示している。システムは、誘電体基板と、誘電体基板によって支持されているスイッチと、を含み、スイッチは、少なくとも1つの第1の伝送経路と、少なくとも1つの第1の伝送経路の各々における少なくとも1つの第1のスイッチング素子と、第2の伝送経路と、第2の伝送経路における少なくとも1つの第2のスイッチング素子と、を含む。
【0011】
当該技術分野では、微細加工された導波通チャネル内のミリメートル波周波数のRF信号用のスイッチ、このようなスイッチを製造する方法、および半導体デバイスにおいてRF信号をスイッチングする方法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4507632号明細書
【特許文献2】米国特許第5099214号明細書
【特許文献3】米国特許第5317293号明細書
【特許文献4】米国特許第5847672号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2017/0012335号明細書
【発明の概要】
【0013】
一態様では、本発明は、無線周波数(RF)信号を妨げるためのシステムを含み、システムは、半導体ウェハと一体化された導波通アセンブリを含む。システムは、(a)金属層でライニングされたウェハの内壁によって画定される導波通チャネルであって、RF信号を導波通チャネルの内外に伝送するための少なくとも1つのポートを含む導波通チャネルと、(b)導波通チャネル内に配置された少なくとも1つの半導体障壁部材であって、印加された電磁放射に応じて障壁部材の導波通電気コンダクタンスを変化させることにより導波通チャネルを通るRF信号の伝送に対する障壁部材の電気インピーダンスを変化させる、少なくとも1つの半導体障壁部材と、を含む。
【0014】
システムの実施形態では、導波通チャネルは、実質的に四角柱形状または実質的に円筒形状を有する。
システムの実施形態では、導波通チャネルは、第1の導波通チャネル部分と、第2の導波通チャネル部分と、を含み、第1の導波通チャネル部分のチャネル高さは、第1の導波通チャネル部分の電気インピーダンスが、第2の導波通チャネルポート部分イオンの電気インピーダンスよりも大きくなるように、第2の導波通チャネル部分のチャネル高さよりも高い。
【0015】
システムの実施形態では、導波通チャネルは、第3の導波通チャネル部分と、第4の導波通チャネル部分と、第5の導波通チャネル部分と、を含み、第3の導波通チャネル部分は、第4と第5の導波通チャネル部分の間に配置され、第3の導波通チャネル部分のチャネル横幅は、第4および第5の導波通チャネル部分のチャネル横幅未満であり、少なくとも1つの障壁部材が、第3の導波通チャネル部分内に配置される。
【0016】
システムの実施形態では、導波通チャネルの少なくとも1つの出力ポートは、単一のポートからなる。
システムの実施形態では、導波通チャネルの少なくとも1つのポートは、入力ポートと、第1の出力ポートと、第1の出力ポートから離れて配置された第2の出力ポートと、を含み、導波通チャネルは、入力ポートから第1の出力ポートへの第1の経路を画定し、導波通チャネルは、入力ポートから第2の出力ポートへの、第1の経路とは別の第2の経路を画定し、少なくとも1つの障壁部材は、第1の経路内に配置された第1の障壁部材と、第2の経路内に配置された第2の障壁部材と、を含む。導波通アセンブリは、第1の経路と第2の経路との間に配置された同調用スタブをさらに含み得る。
【0017】
システムの実施形態では、導波通チャネルの少なくとも1つのポートは、入力ポートおよび出力ポートを含み、導波通チャネルは、入力ポートから出力ポートへの第1の経路と第1の経路から延びる短絡スタブ経路とを画定し、少なくとも1つの障壁部材は、スタブ経路内に配置される。少なくとも1つの障壁部材は、スタブ経路内に配置された複数の障壁部材を含み得る。複数の障壁部材は、スタブ経路の長さに沿って整列された列に配置され得る。
【0018】
システムの実施形態では、金属層は、金、ニッケル、アルミニウム、クロム、タングステン、白金、または銀を含む。
システムの実施形態では、障壁部材は、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、窒化ガリウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、リン化インジウム、またはリン化ガリウムを含む。
【0019】
システムの実施形態では、導波通チャネルと障壁部材を画定する内壁は、同じ半導体材料または異なる半導体材料を含む。
システムの実施形態では、障壁部材は、ウェハの内壁をライニングする金属層から窓まで延びる。
【0020】
システムの実施形態では、障壁部材は、ウェハによって規定される平面方向に直交する横方向に延びるポストの形態である。ポストは、略円形の断面形状を有し得る。
システムの実施形態では、少なくとも1つの障壁部材は、一列またはアレイに配置された複数の障壁部材を含む。
【0021】
システムの実施形態では、導波通アセンブリは、外部のソースから前記ウェハに放出される印加電磁放射によって前記障壁部材の励起を可能にするために、障壁部材を終端する電磁放射(ER:Electromagnetic Radiation)透過性半導体層を含む窓をさらに含む。ER透過性半導体層は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、インジウムスズ酸化物、または半導体支持体に組み込まれた透明金属メッシュ膜を含み得る。窓は、導波通を通して伝送されるRF信号の波長(λ)の1/12未満の寸法を有し得る。使用の実施形態では、RF信号は、約1GHz~300GHzの周波数、または約1mm~約300mmの波長を有する。したがって、実施形態では、窓の寸法(例えば、直径)は、約0.083mm~約25mm、より具体的には約0.45mm以下であり得る。窓は、周囲のウェハの外面から凹んでいてもよい。
【0022】
システムの実施形態では、システムは、印加される電磁放射を放出するための電磁放射(ER)エミッタをさらに含む。ERエミッタは、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、または垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を含み得る。ERエミッタは、UVスペクトル、可視光スペクトル、または赤外スペクトル内の電磁放射を放出するように構成され得る。システムは、ERエミッタによって放出された電磁放射を障壁部材に光学的に結合するための光ファイバをさらに含み得る。システムは、電磁放射ERエミッタに動作可能に接続され、かつERエミッタによって放出される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に制御するように構成されたマイクロコントローラ、スイッチ、または可変抵抗器を含む制御手段をさらに含み得る。
【0023】
システムの実施形態では、導波通チャネルは、導波通チャネルを画定する内壁をライニングする金属層の間において、障壁部材の半導体材料を除く半導体材料のない空間であってもよく、または障壁部材の半導体材料を除く半導体材料を含んでもよい。
【0024】
別の態様では、本発明は、半導体ウェハの内部に画定された導波通チャネルを通る無線周波数(RF)信号の伝送に対するインピーダンスを変化させる方法を含み、方法は、(a)導波通チャネル内に配置された少なくとも1つの半導体障壁部材を設けるステップと、(b)少なくとも1つの障壁部材に印加される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に変化させて、障壁部材の電気コンダクタンスを変化させることにより、導波通チャネルを通るRF信号の伝送に対する少なくとも1つの障壁部材のインピーダンスを変化させるステップと、を含む。
【0025】
方法の実施形態では、RF信号は、約1GHz~約300GHzの範囲の周波数を有し、より具体的には、RF信号は、約26.5GHz~約40GHzの範囲の周波数を有するKa帯域にあってもよい。
【0026】
方法の実施形態では、ERエミッタによって少なくとも1つの障壁部材に印加される電磁放射のエネルギーレベルまたはパワーレベルのいずれか一方または両方を変化させることは、入力ポートと出力ポートとの間で少なくとも20dBの挿入損失をもたらす。
【0027】
方法の実施形態では、ERエミッタによって印加される電磁放射のパワーレベルを選択的に変化させることは、放出される電磁放射の強度をヌルパワーレベルと非ヌルパワーレベルとの間で変化させることを含む。
【0028】
方法の実施形態では、ERエミッタによって印加される電磁放射のパワーレベルを選択的に変化させることは、放出される電磁放射のパワーレベルを第1の非ヌルパワーレベルと、第1の非ヌルパワーレベルとは異なる第2の非ヌルパワーレベルとの間で変化させることを含む。
【0029】
方法の実施形態では、少なくとも1つの障壁部材は、第1の障壁部材および第2の障壁部材を含み、ERエミッタによって少なくとも1つの障壁部材に印加される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に変化させることは、第2の障壁部材に印加される電磁放射のいずれか一方または両方を選択的に変化させることとは独立して、第1の障壁部材に印加される電磁放射の周波数またはパワーレベルのいずれか一方または両方を選択的に変化させることを含む。
【0030】
方法の実施形態では、ERエミッタによって印加される電磁放射は、UVスペクトル、可視光スペクトル、または赤外スペクトル内にある。
別の態様では、本発明は、無線周波数(RF)信号を妨げるための導波通アセンブリを製造する方法であって、導波通アセンブリが半導体ウェハと一体化される、製造する方法を含み、方法は、(a)ウェハの第1の部分およびウェハの別個の第2の部分を提供するステップと、(b)ウェハの第1の部分の内面をエッチングして、(i)RF信号を導波通チャネルの内外に伝送するための少なくとも1つのポートを含む導波通チャネルの壁と、(ii)導波通チャネル内に配置された半導体障壁部材と、を画定するステップと、(c)導波通チャネルの壁をライニングすべく、ウェハの第1の部分の内面上に第1の金属層を堆積させるステップと、(d)必要に応じて、障壁部材を導波通チャネルに露出させるべく、堆積した第1の金属層をエッチングするステップと、(e)必要に応じて、ウェハの第2の部分に金属化された内面を設けるべく、ウェハの第2の部分の内面上に第2の金属層を堆積させるステップと、(f)ウェハの第1の部分の内面上に堆積した第1の金属層を、ウェハの第2の部分の金属化された内面に接合するステップと、を含む。
【0031】
図面では、同様の要素は同様の参照番号を割り当てられることがある。図面は必ずしも縮尺通りではなく、それよりも本発明の原理に重点が置かれている。さらに、図示される実施形態のそれぞれは、本発明の基本概念を利用する多数の可能な構成のうちの1つにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】Siポストの形態の障壁部材を含み、電磁放射(ER)エミッタを有する本発明の導波通アセンブリの一実施形態を含む半導体ウェハの厚さを通る概略断面図を示す。
【
図1B】
図1Aの導波通チャネルおよび障壁部材の概略等角図を示す。
【
図1C】
図1Bの線A’-A’に沿った
図1Aの導波通チャネルおよび障壁部材の断面図を示す。
【
図2A】オン状態にある(すなわち、電磁放射が障壁部材に印加されていない)ときの、
図1Aの障壁部材のHFSS(商標)分析の結果を示すチャートである。
【
図2B】オフ状態にある(すなわち、電磁放射が障壁部材に印加されている)ときに、照射される電磁放射の光パワーを増加させる場合の、
図1Bの障壁部材のHFSS(商標)分析の結果を示すチャートである。
【
図3A】Siポストおよびπ字形整合ネットワークの形態の障壁部材を含む、本発明の導波通アセンブリの上部ウェハ下面の実施形態のπ設計レイアウトを示す。寸法は全てμm単位で示す。
【
図3B】本発明の導波通アセンブリの底部ウェハの実施形態上への接合のために反転されたときの、
図3Aの上部ウェハの実施形態のπ設計レイアウトを示す。
【
図4】本発明の導波通アセンブリを製作するための本発明の方法の実施形態に対するプロセスフローを示す。
【
図5A】スイッチ領域、CPW-導波通遷移部、およびバックツーバック導波通を強調した、本発明の導波通アセンブリの上部ウェハ下面の一実施形態の写真である。
【
図5B】CPW-導波通遷移部、および共面導波通を強調した、本発明の導波通アセンブリの底部ウェハ上面の実施形態の写真である。
【
図5C】
図5Aに示す上部ウェハを
図5Bに示す底部ウェハと接合することによって形成された、本発明の導波通アセンブリの実施形態の写真である。寸法は全てμm単位で示す。
【
図5D】各障壁部材(Siポスト)の上方に配置された、上部ウェハの裏面にエッチングされた4つの穴に4本の光ファイバが挿入された状態で、2つのFormFactor社製|Z|プローブを使用した、テスト対象デバイス(Device-Under-Test:DUT)としての
図5Cの導波通アセンブリの測定を示す。
【
図6】
図5Cの導波通アセンブリの一実施形態およびそのバックツーバック導波通構造(
図6の挿入図(a)を参照)の、実測オン状態散乱パラメータと、HFSS(商標)を用いてシミュレーションされたオン状態散乱パラメータと、を示すチャートである。HFSS(商標)シミュレーションに対する銅の導電率は、ウェハ接合ステップ後に4点プローブを使用して測定することによって決定された2.3×107S/mとした。
【
図7】光ファイバ出力パワーを増加させる場合の、
図5Cの導波通アセンブリの実測オフ状態アイソレーション(|S21|)を示すチャートである。示す値は、
図5Aに示す障壁部材(Siポスト)の2×2アレイに対する各個々のファイバの出力部におけるパワーである。
【
図8A】T字形整合の固体プラズマ導波通スイッチとして使用することができる内部構造を示すために上層が除去されている、本発明の導波通アセンブリの別の実施形態のレイアウトの等角図を示す。
【
図8B】
図8Aの導波通アセンブリに対する等価回路図を示す。
【
図9A】π字形整合の固体プラズマ導波通スイッチとして使用することができる内部構造を示すために上層が除去されている、本発明の導波通アセンブリの別の実施形態のレイアウトの等角図を示す。
【
図9B】
図9Aの導波通アセンブリに対する等価回路図を示す。
【
図10】単極N投固体プラズマ導波通スイッチとして使用することができる、本発明の導波通アセンブリのレイアウトの実施形態の上面図を示す。
【
図11A】エバネッセントモード帯域通過フィルタ導波通スイッチとして使用することができる、本発明の導波通アセンブリのレイアウトの実施形態の等角図を示す。
【
図11B】
図11Aの導波通アセンブリのエバネッセントモード導波通チャネルの等価回路図を示す。
【
図11C】障壁部材がダーク(容量性)状態にあるときの、
図11Aの導波通アセンブリの障壁部材の等価回路図を示す。
【
図11D】障壁部材がエバネッセントモード導波通チャネル内でダーク(容量性)状態にあるときの、
図11Aの導波通アセンブリについての等価回路図を示す。
【
図12A】N極エバネッセントモード帯域通過フィルタ導波通スイッチとして使用することができる、本発明の導波通アセンブリのレイアウトの別の実施形態の等角図を示す。
【
図13A】光学的に同調可能かつ再構成可能な固体プラズマ導波通空洞共振器として使用することができる、本発明の導波通アセンブリのレイアウトの実施形態の等角図を示す。
【
図14】光学的に同調可能かつ再構成可能な固体プラズマ導波通空洞共振器として使用することができる、本発明の導波通アセンブリのレイアウトの別の実施形態の等角図を示す。
【
図15】光学的に同調可能な固体プラズマ導波通のインピーダンス整合ネットワークまたは移相器として使用することができる、本発明の導波通アセンブリのレイアウトの実施形態の上面図を示す。
【
図16】光学的に同調可能な固体プラズマ導波通のインピーダンス整合ネットワークまたは移相器として使用することができる、本発明の導波通アセンブリの別の実施形態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
定義
発明は、半導体ウェハ内の導波通アセンブリ、微細作製プロセスを用いたその作製、ならびに無線周波数(RF)信号のスイッチング、ルーティング、フィルタリング、および変換などの目的のために、印加される電磁放射によって導波通アセンブリを制御して、導波通アセンブリ内を伝送されるRF信号に対するインピーダンスを変化させる方法に関する。本明細書で明示的に定義されていない用語または表現はいずれも、当業者によって理解されるその一般に認められている定義を有するものとする。
【0034】
導波通アセンブリ。
図1Aは、本発明の導波通アセンブリの一実施形態を含む半導体ウェハ(10)の厚さを通る概略断面図を示す。
図1A~
図1Cでは、相互に直交する軸(X-Y-Z)のセットが空間的基準用に提供されている。ウェハ(10)と一体化された導波通アセンブリは、導波通チャネル(20)、半導体障壁部材(30)、および窓(40)を含む。ウェハ(10)および電磁放射(ER)エミッタ(100)が、本発明のシステムを形成する。
【0035】
半導体ウェハ。
ウェハ(10)は半導体材料で作られる。
図1Aに示す実施形態では、ウェハ(10)は、上から下に、窒化ケイ素、酸化ケイ素(SiO
2)、ドーパントを含んでも含まなくてもよい実質的に純粋なシリコン(Si<100>)、およびホウケイ酸ガラスの4つの半導体層を含む。他の実施形態では、ウェハ(10)は、単一の層または異なる複数の層に配置され得る異なる半導体材料(単数または複数)を含み得る。
【0036】
導波通チャネル。
導波通チャネル(20)は、RF信号の伝送を可能にするウェハ(10)の内部部分であり、この部分は、金属層(22)でライニングされたウェハ(10)の内壁によって画定されている。
【0037】
図1A~
図1Cに示す実施形態では、導波通チャネル(20)は、半導体材料がなく、金属層(22)の間が空気で満たされている空洞である。しかしながら、他の実施形態では、導波通チャネル(20)は、金属層(22)の間に半導体材料を含み得る。一実施形態では、金属層(22)間の半導体材料は、障壁部材(30)を形成する半導体材料と同じであってもよいが、障壁部材(30)が、金属層(22)間の空間に配置された構造的に別個の特徴であるように、金属層(22)間の空間を完全には満たしていなくてもよい。このような実施形態では、導波通チャネル(20)および障壁部材(30)は、バルク微細加工法を用いて形成され得る。基板一体型導波通チャネル(20)などの別の実施形態では、金属層(22)の間の導波通チャネル(20)を形成する半導体材料は、障壁部材(30)を形成する半導体材料とは組成が異なり得る。このような実施形態では、障壁部材(30)は、導波通チャネル(20)の作製後に導波通チャネル(20)内に挿入され、成長させられ、または堆積され得る。よって、光学的に刺激されていないとき、障壁部材(30)を形成する半導体材料の誘電率は、特定の用途によって必要とされ得るように、導波通チャネル(20)を形成する半導体材料の誘電率に整合されることもあれば、整合されないこともある。
【0038】
この実施形態では、金属層(22)は、チタンと銅のミクスチャー(Ti/Cu)である。他の実施形態では、他の金属材料が使用されてもよく、非限定的な例としては、とりわけ、金、ニッケル、アルミニウム、クロム、タングステン、白金、および銀、ならびにそれらのミクスチャーが挙げられる。
【0039】
導波通チャネル(20)は、RF信号を導波通チャネル(20)の内外に伝送するための少なくとも1つのポートを有する。いくつかの実施形態では、導波通チャネル(20)は、RF信号の伝送のために入力ポートから出力ポートまで延びるように、少なくとも2つのポートを有する。
図1Aでは、例えば、導波通チャネル(20)は、(
図1Bおよび
図1Cでポート1およびポート2とラベル付けされているなどの)入力ポートおよび出力ポートが図面平面に垂直な方向に離隔されるように、図面平面に垂直な方向に長手方向に延びる。使用中、入力ポートから出力ポートへのRF信号の伝送は、金属壁(22)のインピーダンスにより導波通チャネル(20)に沿って案内される。
図1Bでは、RF信号(21)は、両方のポートのうちの(ポート1とラベル付けされている)一方のポートから導波通チャネル(20)に入るように示されている一方、別のRF信号(23)は、(ポート2とラベル付けされている)他方のポートに入るように示されている。RF信号(21)に関して、ポート1が入力ポートであると見なされる一方、ポート2は出力ポートであると見なされ、RF信号(23)に関して、ポート2が入力ポートであると見なされる一方、ポート1は出力ポートであると見なされることが理解されるであろう。
【0040】
他の実施形態では、導波通チャネル(20)は、そこを通ってRF信号が導波通チャネル(20)に入る入力ポートと、そこを通ってRF信号が導波通チャネル(20)を出る出力ポートとの両方として機能する1つのポートのみを有し得る。このようなシングルポート導波通チャネル(20)の非限定的な例が、
図13A、
図13B、および
図14の空洞共振器に示されている。このようなシングルポート導波通チャネルの別の例は、反射型移相器の実施形態(以下に説明される実施例9を参照)であり、代替実施形態(図示せず)では、この実施形態はシングルポート導波通チャネル(20)によって実装され得る。さらなる他の実施形態では、少なくとも1つのポートは、
図10に示す3ポート導波通チャネル(20)のように、3つ以上のポートを含み得る。
【0041】
図1Aおよび
図1Bの実施形態では、導波通チャネル(20)の空洞は、四角柱の形状を有する。一実施形態では、導波通チャネル(20)の横幅(W)は、特定の用途の所望の動作帯域幅、すなわち、TE
1、0単一モード帯域幅に従って選択される。(
図1Aおよび
図1Bでは、横幅は、ウェハ(10)の平面に平行であり、導波通チャネルのポート間のRF信号(21、23)の伝送方向に直交する方向の寸法であることに留意されたい)。他の実施形態では、導波通チャネル(20)の空洞は、他の形状および寸法を有し得る。
【0042】
半導体障壁部材。
半導体障壁部材(30)は、ウェハ(10)と一体になっている。障壁部材(30)は、導波通チャネル(20)内(例えば、導波通チャネル(20)の入力ポートと出力ポートとの間)に配置されており、よって、導波通チャネル(20)の入力ポートから出力ポートへのRF信号の伝送に障害を与える。
【0043】
図1Aの実施形態では、障壁部材(30)は、その高抵抗率および長いキャリア寿命のために選択された実質的に純粋なシリコン(Si<100>で表す)である。他の実施形態では、障壁部材(30)は、別の半導体材料を含み得る。
【0044】
当業者には理解されるように、半導体材料の電気コンダクタンスは、半導体材料に印加される電磁放射(ER)のエネルギーレベル、すなわち光子の周波数とともに増加する。印加される電磁放射のエネルギーレベルは、電子-正孔対を生成し、半導体材料の電気コンダクタンスを増加させるために、半導体バンドギャップエネルギーレベルより大きくなければならない。当業者にはさらに理解されるように、半導体材料はまた、半導体材料に印加される電磁放射(電磁放射周波数が半導体バンドギャップエネルギーを上回るエネルギーレベルを有する場合)の強度、すなわちパワーレベルの増加に応じても電気コンダクタンスが増加する。これは、パワーレベルの増加により、印加されるERの所与のエネルギーレベルに対して生成される電子正孔対の数が増加するためである。障壁部材(30)を形成するのに適した半導体材料、ならびに括弧内のそれらのバンドギャップエネルギーおよび対応する波長の非限定的な例は、以下を含む。シリコン、Si(1.12eV=1107nm)、ゲルマニウム、Ge(0.661eV=1876nm)、ガリウム砒素、GaAs(1.424eV=870.7nm)、窒化ガリウム、GaN(3.28eV=378nm)、シリコンゲルマニウム、SeGe(0.66~1.86eV=665.6~1879nm)、シリコンカーバイド、SiC(2.36~6eV=206.6~525.4nm)、リン化インジウム、InP(1.344eV=922.5nm)、リン化ガリウム、GaP(2.26eV=548.6nm)、およびその他のシリコン系半導体材料。各々がそれら自身の特定の属性セットを有する他のものを選択することもできる。例えば、当業者であれば、可視光スペクトル(約400~約700nmの波長)内ならびに赤外スペクトル(約700nm~約1mmの波長)内のERを印加することにより、シリコンの電気コンダクタンスを増加させ得ることを理解するであろう。対照的に、窒化ガリウムは、UVスペクトル(約10nm~約400nmの波長)内にあるバンドギャップエネルギーを有し、その電気コンダクタンスは、UVスペクトル内のERの印加によって増加させることができる。
【0045】
図1Aの実施形態では、障壁部材(30)は、ウェハ(10)によって規定される平面方向に対して横に(すなわち、直交して)延びる実質的に円筒形のポストの形態である。
図1Aの実施形態では、障壁部材(30)は、ウェハ(10)の内壁をライニングする金属層(22)から窓(40)まで延びる。他の実施形態では、障壁部材(30)は、障壁部材(30)が導波通チャネル(20)に障害を与える限り、異なる形態を有し得る。
【0046】
図1Aおよび
図1Bの実施形態では、障壁部材(30)は、後述するように、障壁部材(30)がスイッチとして使用されるとき、オフ状態でのアイソレーション効果を最大化するために、TE
1、0モードのピーク電界が位置する、導波通(20)の、その幅(W)の横方向(すなわち、入力ポートから出力ポートへのRF信号の伝送方向に垂直な方向)の略中心に配置される。他の実施形態では、障壁部材(30)は、導波通チャネル(20)内の異なる位置にあり得る。例えば、障壁部材(30)は、特定の設計用途に対してオフ状態のアイソレーションおよびオン状態の挿入損失の量を最適化するように、導波通チャネル(20)の横方向中心からずらすこともできる。
【0047】
障壁部材(30)は、導波通チャネル(20)と同じ材料内にモノリシックに構成することができ、よって、完全に一体化されているか、または別個の材料で構成し、後で導波通チャネル(20)に組み立てることができる。
【0048】
障壁部材(30)は、インピーダンス整合を改善するため、光源の形状に整合して効率を改善するため、または表皮深さを考慮するためなど、異なる設計目的のために導波通チャネル(20)内のその位置、サイズ、および形状に関してカスタマイズ可能である。
【0049】
窓。
窓(40)は、ウェハ(10)の外面に配置され、障壁部材(30)を終端する。
図1Aでは、ウェハ(10)は分離されているものとして示されている。他の実施形態では、ウェハ(10)は、集積回路(IC)チップ用のウェハのスタックを形成するように、ウェハ(10)の最上面に取り付けられた追加の上側ウェハ(図示せず)、またはウェハ(10)の最下面に取り付けられた追加の下側ウェハ(図示せず)と一体化され得る。このような実施形態では、ウェハ(10)の最上面または最下面は、ウェハのスタックの終端層を形成していないにもかかわらず、依然としてウェハ(10)の「外面」と見なされ得る。
【0050】
窓(40)は、障壁部材(30)を終端する電磁放射(ER)透過性半導体層を含み、これにより、ウェハの外部のERエミッタ(100)によって障壁部材(30)に電磁放射を印加することが可能になる。したがって、本明細書で使用される場合、「電磁放射透過性」または「ER透過性」は、UVスペクトル、可視スペクトル、または赤外スペクトル、すなわち、約10nm~約1mmの波長を有する電磁スペクトル内の任意の部分にある電磁放射が、半導体材料を透過して伝送されるのを可能にする半導体材料を指す。実施形態では、ER透過性半導体材料は光学的に透明なものであってもよい。本明細書で使用される場合、「光学的に透明」とは、可視スペクトル(すなわち、約400~約700nmの波長を有する電磁スペクトルの部分)内の電磁放射が、半導体材料を透過して伝送されるのを可能にする半導体材料を指す。
図1Aの実施形態では、窓(40)の光学的に透明な半導体材料は、その反射防止(AR:Anti-Reflective)特性のために有利であり得る窒化ケイ素である。他の実施形態では、窓(40)の光学的に透明な半導体材料は、その非限定的な実施形態が、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、または半導体支持体に組み込まれた光学的に透明な金属メッシュフィルムを含む、光周波数でAR特性を提供するだけでなく、RF信号に対する導電特性も提供する別の材料であり得る。さらなる別の実施形態では、窓(40)のER透過性半導体は、同様にAR特性を有するはずの、成長させられた、または堆積された二酸化ケイ素の層を含み得る。
【0051】
窓(40)の面積が十分に小さく、概ね導波通を通して伝送されるRF信号の波長(λ)の1/12よりも小さい(<λ/12)寸法(例えば、直径)を有する場合には、窓(40)は、導波通アセンブリの性能に対して無視できるほどの影響を有すると予想される。使用の実施形態では、RF信号は、約1GHz~300GHzの周波数、または約1mm~約300mmの波長を有する。したがって、実施形態では、窓の寸法(例えば、直径)は、約0.083mm~約25mm、より具体的には約0.45mm以下であってもよい。しかしながら、これらの波長は、RF信号が導波通内の誘電体としての空気を通って移動することを前提としていることが理解されるであろう。代わりに、RF信号が導波通のより高い誘電率の半導体材料を通して伝送されている場合、波長は、誘電率の平方根の逆数である係数分だけ低減し、これは、したがって、窓(40)の好適な寸法に影響を及ぼすであろう。
【0052】
図1Aの実施形態では、窓(40)は、ウェハ(10)の外面の残りの部分から凹んでいる。凹部は、ERエミッタ(100)によって放出された電磁放射を窓(40)に光学的に結合する(
図5Dに示されるような)光ファイバケーブル(16)を受け入れる受け入れ部(18)または穴を効果的に形成する。
【0053】
電磁放射(ER)エミッタ。
電磁放射(ER)エミッタ(100)は、励起されるべき障壁部材(30)の半導体材料のバンドギャップよりもエネルギーが大きい電磁放射を放出する任意のデバイスである。選択されるべき放出されたERの特定の波長は、障壁部材(30)を形成するために選択された特定の半導体材料に依存するであろう。例えば、障壁部材の半導体材料が(バンドギャップ波長約1100nmの)シリコンである場合、ERエミッタは、赤外スペクトル内の約915nmの波長のER放射を放出するレーザであり得る。実施形態では、ERエミッタは、(波長約10nm~約400nmの)UVスペクトル、(波長約400~約700nmの)可視スペクトル、または(波長約700nm~約1mmの)赤外スペクトル内の電磁放射を放出する。ERエミッタ(100)の非限定的な例としては、発光ダイオード(LED)、可視スペクトルまたは赤外スペクトル内のERを放出し得るレーザダイオード、または垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)が挙げられる。
【0054】
ERエミッタ(100)がLEDであるような実施形態では、LEDは、半導体デバイス用の微細作製プロセスを用いた作製によってウェハ(10)と一体であり得る。他の実施形態では、ERエミッタ(100)は、別個に形成され得、ウェハ(10)に取り付けられ得る。さらなる他の実施形態では、ERエミッタ(100)は、ウェハ(10)から物理的に分離されているが、光ファイバケーブル(16)などによって窓(40)に光学的に結合され得る(
図5Dを参照)。
【0055】
実施形態では、ERエミッタ(100)は、ERエミッタ(100)によって障壁部材(30)に印加される電磁放射エネルギーのエネルギーレベルまたはパワーの一方または両方を選択的に制御するための制御手段(102)に動作可能に接続されており、これにより、後述するように、導波通チャネル(30)を通るRF信号の伝送に対する障壁部材(30)のインピーダンス効果の選択的制御が可能になる。適切な制御手段(102)は当業者に公知であり、非限定的な例としては、とりわけ、マイクロコントローラ、ERエミッタ(100)に供給されるパワーを制御するための可変抵抗器、ERエミッタ(100)の複数のER放出素子のうちの1つを選択的に制御するためのスイッチ、色可変LED、および制御された方法で変化させ得る波長を有する波長可変レーザが挙げられる。導波通アセンブリが複数の障壁部材(30)を含む実施形態では、制御手段は、障壁部材(30)のうちの1つに印加される電磁放射のエネルギーレベル(すなわち、周波数)および/または強度(すなわち、パワーレベル)を、障壁部材(30)のうちの別の1つに印加される電磁放射の周波数および/またはパワーレベルとは独立して、選択的に変化させるように構成され得る。例えば、各障壁部材(30)は、複数のERエミッタ(100)のうちの異なる1つに関連付けられ得、このエミッタは、他のERエミッタ(100)とは独立して、エネルギーレベルおよび/またはパワーに関して制御されることができる。さらに、制御手段は、ウェハ(10)ならびにERエミッタ(100)の熱管理を改善するために、ERエミッタ(100)がパルス化される(例えば、電磁放射を間欠的に放出する)ように制御することができる。
【0056】
障壁部材の使用および動作原理。
一般に、ERエミッタ(100)によって障壁部材(30)に印加される電磁放射のエネルギーレベルおよび/またはパワーレベルは、障壁部材(30)の電気コンダクタンスを変化させ、したがって導波通チャネル(20)内のRF信号の伝送に対する障壁部材(30)のインピーダンスを変化させることを目的として、障壁部材(30)の電磁励起を制御するために、制御手段(102)によって選択的に変化させられ得る。これは、導波通チャネル(30)内のRF信号のスイッチング、減衰、ルーティング、フィルタリング、および変換などの導波通アセンブリの例示的使用のために行われ得る。本発明は、RF信号の周波数によって限定されない。非限定的な実施形態では、RF信号は、ミリメートル波帯域(約1GHz~約300GHz)内、より具体的には、Ka帯域(約26.5GHz~約40GHz)内にあり得る。
【0057】
図1Bおよび
図1Cは、
図1Aの導波通アセンブリの導波通(20)および障壁部材(30)(Siポスト)を示す。
図1Aに示すウェハ(10)の他の部分は、導波通アセンブリの動作原理を説明するために省略されている。
【0058】
導波通チャネル(20)を通したRF信号の伝送に対する障壁部材(30)の減衰効果は、電磁放射源(100)によって障壁部材(30)に印加される電磁放射エネルギーのエネルギーレベル(周波数)および/またはパワーレベルによって制御することができる。説明の便宜上、以下の論述では、ERエミッタ(100)が「オフ」である(例えば、電磁放射を放出していない)場合および「オン」である(すなわち、電磁放射を放出している)場合を使用して効果を説明する。ERエミッタ(100)から放出される電磁放射の強度(パワーレベル)を、異なる非ヌルエネルギーレベル間でおよび/またはパワー間で変化させることにより、中間効果が生成され得る。よって、ERエミッタ(100)によって放出される電磁放射のエネルギーレベルおよび/またはパワーを、制御手段(102)を使用して選択的に制御することができる場合、導波通チャネル(20)内のRF信号の伝送に対する障壁部材(30)の減衰効果を選択的に、場合によっては連続的に、調整することができる。
【0059】
ERエミッタ(100)が「オフ」であるとき、障壁部材(30)は、ERエミッタ(100)が「オン」であるときと比較して絶縁状態にある。別の言い方をすれば、ERエミッタ(100)が「オン」であるとき、障壁部材(30)は、ERエミッタ(100)が「オフ」であるときと比較して導電状態にある。障壁部材(30)が絶縁状態にあるとき、障壁部材(30)は、マイクロ波RF信号およびミリメートル波RF信号が導波通チャネル(20)の入力ポートから出力ポートへ低い挿入損失で通過することを可能にする。よって、障壁部材(30)は「オン状態」にあると見なされ得る。逆に、障壁部材(30)が導電状態にあるとき、障壁部材(30)は導波通チャネル(20)内で短絡分路のように挙動して、入射してくるマイクロ波RF信号およびミリメートル波RF信号を反射し、よって、導波通チャネル(20)の入力ポートから出力ポートへのRF信号の伝送の相対的に高いアイソレーションを提供する。よって、障壁部材(30)は「オフ状態」にあると見なされ得る。
【0060】
詳述すると、
図1Cに示すように、窓(40)を通過したERエミッタ(100)から放出される光子は、障壁部材(30)に入射し、障壁部材(30)を吸収する。光子のエネルギーが十分である(例えば、エネルギーがSiのバンドギャップよりも大きいhν>E
g≒1.12eV)場合、これは、障壁部材(30)内で自由キャリアを生成するであろう。これにより、障壁部材(30)は、容量性負荷から導電性負荷に変化し、導波通チャネル(20)内でのミリメートル波の伝送または反射を可能にする。
【0061】
障壁部材(30)の頂部における入射光パワーを、光生成される自由キャリア濃度に関連付け、よって、障壁部材(30)内のバルクDC導電率に関連付けるために、半導体における電子と正孔の生成および再結合に関する連続性と電荷中性の方程式が使用される[参考文献11]。定常状態では、自由キャリアの空間分布が一定である場合、連続方程式は以下のように表すことができる。
【0062】
D
eff▽
2n-n/τ
eff+g=0 (1)
ここで、nは自由キャリアの総数、D
effは実効拡散係数、τ
effは実効キャリア寿命、gは生成率である[参考文献12]。
図1Cに示すように、光励起が障壁部材30の表面に垂直であり、生成率が障壁部材30のSiに関して
【0063】
【0064】
方向に指数関数的に減衰する1次元の場合を仮定すると、gは以下のように表すことができる。
g(y)=αPopt(1-R)λopte-αy/hc (2)
ここで、αは吸収係数、Rは光励起波長λoptにおけるSiの反射率、Poptはλoptにおける光パワー密度、hはプランク定数、cは光の自由空間速度である[参考文献12]。Poptの関数として総キャリア濃度nを解くと、半導体の生成されるバルクDC伝導率は、以下のように計算することができる。
【0065】
σDC=qμeffn (3)
ここで、μeffは電子と正孔の両方の実効移動度、qは基本的な単位電荷である[参考文献11]。自由キャリアの横方向拡散を減少させるために、障壁部材(30)は、拡散長LD=√(Deffτeff)より小さい直径にエッチングされてもよい。これは、障壁部材(30)の領域内に自由キャリアを閉じ込めるのに役立ち、1D理論的アプローチを正当化する[参考文献12]。
【0066】
図1Bおよび1Cに示す障壁部材(30)(Siポスト)の導電性を増加させる効果は、HFSS(商標)(高周波構造シミュレータソフトウェア、アンシス社(Ansys,Inc.)(米国ペンシルバニア州キャノンズバーグ(Canonsburg,Pennsylvania,USA))から入手可能)を用いてシミュレーションしたものである。
図2Aでは、光励起のないオン状態散乱パラメータが示されており、すなわち、半導体障壁部材(30)は、光源が表面を照らしていないか、または表面に入射していないダーク状態にある。障壁部材(30)は、分路誘電体または容量性負荷として挙動する。電磁波は、導波通チャネル(20)を通過することができる。
【0067】
図2Bに示す特定の実施形態では、障壁部材(30)の頂部に入射する光パワーを増加させるにつれて、オフ状態アイソレーションの量が増加し、350~400S/mの導電率で最大に達する。導電率のさらなる増加により、システムの総損失が改善する。他の設計または実施形態では、達成されるアイソレーションの量は、増加することも、減少することも、または同一であることもできる。半導体障壁部材(30)に、半導体材料のバンドギャップエネルギーを超える電磁放射が印加されると、障壁部材(30)は導体として挙動する。
【0068】
よって、電磁波は、障壁部材(30)内の導電率の実現値に関連する印加される光エネルギーの量に応じて、ほとんどが障壁部材(30)によって吸収または反射される。障壁部材(30)を(半導体の選択に固有の)正確な光子エネルギーの電磁放射で励起することにより、固体プラズマを形成することができ、印加された電磁放射エネルギーの量に応じて、障壁部材(30)の電気的特性を誘電性から導電性に変化させる。本明細書で使用される場合、「固体プラズマ」は、可動荷電粒子を有する固体状態の物質を指す。障壁部材(30)または複数の障壁部材(30)の配置および設計を慎重に選択することにより、導波通チャネル(20)内の電界および磁界をカスタマイズされた非常に柔軟なやり方で摂動させることができ、シングルポート構成、ダブルポート構成、またはマルチポート構成において多種多様な調整可能かつ再構成可能な伝達機能を可能にする。本明細書で説明される固体プラズマを使用するマイクロ波およびミリメートル波導波通アセンブリの利点は、高いパワー処理、高い線形性、速いスイッチング速度、低い挿入損失、および事実上無制限の寿命を含み、これらは全て、他の平面回路または非平面回路およびシステムと組み合わせ可能な高度に一体化されたフォームファクタ内で実現される。さらに、電磁放射制御システム(すなわち、ERエミッタ(100))のDCバイアスネットワークは、RF信号経路から隔離されており、導波通アセンブリの入力または出力に現れる制御電圧スイッチングに起因する不要な過渡電流を除去し、性能を改善する。
【0069】
障壁部材(30)によるオフ状態アイソレーションは、以下の方法のうちの1つ以上を用いて改善することができる。第1の方法として、障壁部材(30)のサイズを大きくしてもよいが、分路容量性負荷の増大によりオン状態挿入損失が犠牲になる。この増加した分路容量性負荷は、T字形整合およびπ字形整合のスイッチネットワークを含む技法を用いて整合して、オン状態挿入損失を大幅に改善することができる。第2の方法として、障壁部材(30)の形状は、特定の方法で構成してオフ状態アイソレーションを改善することができる。第3の方法として、π字形整合領域によるオン状態容量性負荷の増加を補償する必要性を念頭に置き、追加の障壁部材(30)を追加してオフ状態アイソレーションを改善することができる。
【0070】
上述したように、T字形整合またはπ字形整合回路を使用して、オン状態の半導体障壁部材(30)の分路容量性負荷を整合させて、妥当な帯域幅にわたって挿入損失および反射損失を改善することができる。T字形整合およびπ字形整合回路の設計の詳細は、参考文献13に記載されており、本発明におけるそれらの応用例は、以下の実施例において説明される。
【0071】
導波通アセンブリの作製。
導波通アセンブリは、半導体デバイス用の微細作製プロセスを用いて作製される。一実施形態では、半導体ウェハ(10)と一体化された導波通アセンブリを製造する方法は、以下のステップを含む。説明の目的で、以下の例でさらに説明される
図4を参照する。
【0072】
最初に、方法は、ウェハ(10)の第1の部分とウェハ(10)の別個の第2の部分と、を提供することを含む。
図4の例では、ウェハ(10)の第1の部分は上部ウェハによって示されており、ウェハ(10)の第2の部分は底部ウェハによって示されている。
【0073】
次に、方法は、ウェハ(10)の第1の部分の外面をエッチングして、窓(40)用の受け入れ部を画定することを含む。
図4の例では、このステップは(ステップc)として示されている。
【0074】
次に、方法は、窓(40)用の光学的に透明な半導体材料の層を堆積することを含む。
図4の例では、このステップは(ステップd)として示されている。
次に、方法は、ウェハ(10)の第1の部分の内面をエッチングすることを含む。エッチングは、RF信号用の入力ポートから出力ポートまで延びる導波通チャネル(20)の壁を画定するために行われる。エッチングはまた、ウェハ(10)の第1の部分の外面において、光学的に透明な半導体層を含む窓(40)から導波通チャネル(20)の入力ポートと出力ポートとの間の導波通チャネル(20)内に延びる半導体障壁部材(30)を含む導波通スイッチを画定するためにも行われる。
図4の例では、このステップは(ステップ1f、1h、1i)として示されている。
【0075】
次に、方法は、ウェハ(10)の第1の部分の内面上に第1の金属層を堆積させて、導波通チャネル(20)の壁をライニングすることを含む。
図4の例では、このステップは(ステップ1j)として示されている。
【0076】
次に、方法は、堆積された第1の金属層をエッチングして、障壁部材(30)を導波通チャネル(20)に露出させることを含む。
図4の例では、このステップは(ステップ1l)として示されている。
【0077】
次に、方法は、ウェハ(10)の第2の部分の内面上に第2の金属層を堆積させて、ウェハ(10)の第2の部分の金属化された内面を提供することを含む。
図4の例では、このステップは(ステップ2a)として示されている。
【0078】
最後に、方法は、ウェハ(10)の第1の部分の内面上に堆積された第1の金属層をウェハ(10)の第2の部分の金属化された内面に接合することを含む。
図4の例では、このステップは(ステップ3)として示されている。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は、導波通アセンブリ、その作製、ならびに導波通スイッチ、導波通型可変減衰器、エバネッセントモード帯域通過フィルタ導波通スイッチ、同調可能な導波通空洞共振器、インピーダンス整合ネットワーク、および分散型移相器としてのその使用の例示的な実施形態の特定の態様を示す。特許請求の範囲から逸脱することなく、さらなる実施形態および使用が可能である。
【0080】
実施例1-導波通アセンブリレイアウト。
図3Aおよび
図3Bでは、導波通アセンブリの微細作製のためのレイアウトが示されている。寸法は全てμm単位で示す。レイアウトは、Ka帯域内で動作するように選択されたもので、導波通の全幅が7.112mm(WR28)である。20dBを超えるアイソレーションを達成するために、HFSSを用いた一連の最適化研究の後、各々直径が400μmの障壁部材(30)(Siポスト)の2×2アレイが、銅を含む金属層(22)によって画定された導波通チャネル(20)内に配置される。他の実施形態では、導波通アセンブリの性能を修正するために、より多くのまたはより少ない障壁部材(30)が設計に追加され得る。この実施形態では、障壁部材(30)の円形断面は、ERエミッタ(100)を窓(40)に光学的に結合するために使用される光ファイバ(16)(
図5Dを参照)の円形断面に整合するように選択される。これは、光ファイバ(16)の出力から最も多くの光子が障壁部材(30)によって捕捉されることを確実にするのに役立つ。障壁部材(30)(Siポスト)が光励起によって完全に導電性になることを確実にするために、拡散長L
D内に収まるように、200μmの高さが選択される。これは、次に、この特定の設計に対する導波通チャネル(20)の高さを決定する。さらに、オン状態における障壁部材(30)(Siポスト)の容量性負荷効果により、整合を改善するためにπ字形スイッチ構成が選択される[参考文献13]。
【0081】
長手方向の長さが550μm、深さが220μmの(π字形整合とラベル付けされている)スロット24を設けることによって、この領域内の導波通チャネルの深さを増加させることにより、障壁部材(30)(Siポスト)の列の間の高インピーダンス部分が形成される。
【0082】
図3Bに示すように、次いで、ウェハ(10)の上部部分(12)が反転され、ウェハ(10)の底部部分(14)に接合される。障壁部材(30)(Siポスト)の真上の上部ウェハの裏面にエッチングされた受け入れ部(18)(穴)に挿入された4本の光ファイバ(16)は、障壁部材(30)を励起するためのERエミッタ(100)の光結合を提供する。
【0083】
実施例2-導波通アセンブリの作製のプロセスフロー。
図4は、
図3Aおよび
図3Bに示すレイアウトによる導波通アセンブリの作製プロセスを示す。深掘り反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive-Ion Etching)を使用するSi微細加工が、小さい特徴部と大きい特徴部の両方を高精度で達成するその能力のために選択される[参考文献10]。プロセスは、厚さ675μmの高抵抗率真性Siウェハに1.2μmの熱酸化膜が成長させられ(ステップ1a)、上面および裏面DRIEマスク用に両側でパターニングされる(ステップ1b)ことから始まる。次に、光ファイバ(16)用の受け入れ部(18)が、DRIEを使用して裏側にエッチングされ(ステップ1c)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD:Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)窒化物が、窓(40)用の反射防止コーティングとして堆積される(ステップ1d)。次に、2つの異なる上面エッチング深さを達成するために、AZ1529(商標)(独国ウルムに所在のマイクロケミカルズ社(MicroChemicals GmbH,Ulm,Germany))フォトレジストが上面酸化物の上にパターニングされ(ステップ1e)、高インピーダンスπ字形整合スロット(24)がエッチングされる(ステップ1f)。レジストが剥離され(ステップ1g)、主導波通チャネル(20)がエッチングされる(ステップ1h)。障壁部材30(Siポスト)の電気的接続を改善するために、上面酸化物マスクが剥離される(ステップ1i)。スパッタリングされた100/1000nmのTi/Cu層の堆積により、上面導波通チャネルが金属化され(ステップ1j)、障壁部材(30)(Siポスト)の側壁からの金属は、AZ1529(商標)フォトレジストをパターニングすること(ステップ1k)および湿式化学エッチング(ステップ1l)によって除去される。ネガティブフォトレジストまたは画像反転フォトレジストを、ポジティブフォトレジストAZ1529(商標)の代わりに使用して、障壁部材(30)(Siポスト)の側壁をパターニングすることができる。次に、個々のサンプルがダイシングされる(ステップ1m)。
【0084】
図5Aは、接合ステップの前の、
図4のプロセスフローの(ステップ1a~1m)に従って製造された上部ウェハ片の写真である。
図5Aは、導波通チャネル(20)および4つの障壁部材(30)(Siポスト)を含むスイッチ領域、ならびにスイッチング損失抽出用のバックツーバック導波通構造を示す。
【0085】
この実施形態では、厚さ1.1mmのホウケイ酸ガラスウェハが底部キャリアウェハとして選択された。40/1000nmのTi/Cu層が、MicroChem LOR 5B(商標)(米国マサチューセッツ州ニュートンに所在のマイクロケム社(MicroChem Corp.,Newton,Massachusetts,USA))リフトオフレジスト、およびAZ1512(商標)(独国ウルムに所在のマイクロケミカルズ社(MicroChemicals GmbH,Ulm,Germany))の2層リフトオフプロセスを用いてパターニングされ、個々の試料がダイシングされる(ステップ2a)。
【0086】
図5Bは、接合ステップの前の、
図4のプロセスフローの(ステップ2a)に従って製造された底部ウェハ片の写真である。
図5Aおよび
図5Bは、共面導波通-導波通(CPW-導波通)遷移(32)領域を示す。共面導波通遷移領域は、共面導波通(31)、すなわち、プリント回路基板技術を使用して作製でき、マイクロ波周波数信号を搬送するように構成された電気平面伝送線路を収容する。
【0087】
図5Cは、Cu-Cu熱圧着接合を用いる
図4の接合ステップ(ステップ3a)に従って、上部ウェハ片と底部ウェハ片とを接合した後の、作製された導波通アセンブリの写真である。
図5Cは、光ファイバ(16)用の受け入れ部(18)(穴)の位置、および遷移部を含む導波通アセンブリの最終寸法を示す。
【0088】
要約すると、この実施形態では、障壁部材(30)(Siポスト)が、深掘り反応性イオンエッチングを使用して導波通チャネル(20)内にパターニングされる。導波通チャネル(20)は、物理気相堆積を用いて金属化され、障壁部材(30)上の金属コーティングは、フォトリソグラフィを用いて除去される。ウェハ(10)の一部分は、熱圧着接合を用いてウェハ(10)の別の金属化されたキャリア部分に接合され、ウェハ(10)内に導波通アセンブリを形成する。深掘り反応性イオンエッチングを用いるシリコン微細加工プロセスの選択により、他の集積回路またはシステムとの直接一体化とともに、用途の必要性に応じた導波通チャネル(10)および障壁部材(30)(Siポスト)のカスタマイズ可能な設計による低コストで高精度の作製が可能になる。他の実施形態では、水酸化カリウム(KOH:Potassium Hydroxide)または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:TetraMethyl Ammonium Hydroxide)を使用する異方性エッチングを含む他の半導体微細加工プロセスも適用可能である。本発明の方法に適用し得るシリコン構造の異方性エッチングの他の方法については、参考文献15も参照されたい。
【0089】
実施例3-固体プラズマスイッチまたは可変減衰器。
図5Dは、
図5Cに示すCPW-導波通領域におけるRF信号の伝送に対する導波通スイッチの影響を特徴付けるための、
図5Cに示す導波通アセンブリのテストセットアップの写真である。
図5Dは、テスト対象デバイス(DUT)として一体化された導波通アセンブリ付きのウェハ(10)を示す。
【0090】
図5Dは、4本の光ファイバ(16)が、障壁部材(30)(Siポスト)の真上に位置する受け入れ部(18)(穴)に挿入されている測定プローブ(50)を示す。ERエミッタ(図示せず)が、Siに対する高い量子効率の範囲内のものとなる波長λ
opt=915nm(hν
opt=1.36eV)の電磁放射を放出した[参考文献14]。
【0091】
図6は、導波通アセンブリが「オン状態」にあるとき、すなわち、障壁部材(30)が印加される電磁放射を受けていないときの実測散乱パラメータと、シミュレーションされた散乱パラメータと、をプロットしている。35GHzでは、実測挿入損失は2.86dBであり、反射損失は29.2GHzから41.6GHzまで20dBより大きく、両方ともCPW-導波通遷移を含む。遷移損失を抽出するために、
図5Aに示すようなバックツーバック導波通も測定され、その散乱パラメータを
図6の挿入図(a)に示す。35GHzでの実測バックツーバック挿入損失2.34dBとともに、スイッチ自体の抽出された損失は0.52dBである一方、30GHz~40GHzの帯域全体にわたるスイッチ素子の正味の影響は0.88dB未満である。
【0092】
図7は、各光ファイバ(16)の出力における光パワーを増加させたことにより、導波通アセンブリが「オフ状態」にあるとき、すなわち、障壁部材(30)がERエミッタ(100)からの電磁放射にさらされているときの実測アイソレーション(|S
21|)をプロットしている。35GHzでは、50.1mWの光パワーに対して実測アイソレーションは20dBである一方、166.7mWの光パワーに対して実測アイソレーションは25dBである。これは、この周波数範囲に対する顕著なアイソレーションであり、ミリメートル波スイッチ用途に対する導波通アセンブリの可能性を明確に実証している。これらの結果は、上述した動作原理と一致している。すなわち、障壁部材(30)に加えられる電磁放射のエネルギーレベルが増加するにつれて、それらのコンダクタンスが増加する。これは、入射してくるマイクロ波およびミリメートル波信号を障壁部材(30)が反射する効果を増大させ、よって、導波通チャネル(20)の入力ポートから出力ポートへのより高いアイソレーションを提供する。
【0093】
図7は、光パワーを増加させるにつれて、光パワーのさらなる増加がもはやアイソレーションの著しい変化をもたらさない飽和点が存在することを示す。(上記)方程式(1)~(3)を使用すると、25dBアイソレーションの場合の平均DCバルク導電率は約281S/mとなる。光パワーを増加させることは、ポストの導電率を増加させることにより、システムにおける総損失をさらに改善するであろう。
【0094】
結果は、半導体ウェハ10の導波通チャネル20内で、Ka帯域のRF信号用の導波通スイッチとして障壁部材30が使用されていることを実証している。実測オフ状態アイソレーションは、30~40GHzの帯域全体にわたって20dBより大きかった。抽出された実測オン状態挿入損失は、35GHzで0.52dBであった。導波通スイッチは、高性能かつ高パワー処理を必要とする通信またはレーダシステム用の半導体微細加工法による導波通内でのミリメートル波信号のスイッチングに有用である。
【0095】
障壁部材(30)の入力インピーダンスが導波通チャネル(20)の特性インピーダンスに整合するように、導波通チャネル内の半導体障壁部材(30)を設計し、障壁部材(30)に入射する光パワーを調整することができる。よって、半導体障壁部材(30)に入射する電磁エネルギーは、オフ状態にある障壁部材(30)によって完全に吸収され、非常に限られた量のパワーが反射されるかまたは伝送されることが可能である。吸収型スイッチは、反射される高パワーが上流のRF構成要素または機器に損傷を与え得る用途において有用である。
【0096】
さらに、半導体障壁部材(30)に入射する光パワーの量を調整することにより、可変量のオフ状態アイソレーションを達成することができる。よって、障壁部材(30)を用いて可変減衰器を設計することができる。減衰器は、マイクロ波またはミリメートル波信号レベルが制御される必要がある用途の場合、すなわち、高い信号レベルが下流の構成要素または機器を保護するために低減される必要がある用途の場合に使用できる。可変減衰器は、信号レベルを連続的に変化させる必要がある用途の場合、信号レベルを連続的に平準化する必要がある用途の場合、またはさらには信号レベルをたまに1回だけ変化させる必要があるが、構成要素全体を交換しない方がはるかに安価である用途の場合、すなわち固定減衰器の場合に極めて有用である。
【0097】
実施例4-T字形整合の固体プラズマ導波通スイッチ。
図8Aを参照すると、半導体障壁部材(30)の前後に高インピーダンス導波通部分を挿入することにより、本発明のT字形整合回路を構成することができる。導波通チャネル(20)内の高インピーダンス部分は、所望の部分内の導波通壁の高さを高くさせることによって実現することができる。導波通チャネル(20)の特性インピーダンスは、チャネル高さに比例することが知られている[参考文献16を参照]。当業者に知られているように、「T字形整合」とは、2つの点、通常はソースと負荷との間のインピーダンスを整合させるために使用される電気回路を指し、この回路では、インダクタおよびキャパシタを
図8Bに示すような対応する概略図における文字「T」の形状に配置することができる。
【0098】
T字形整合は、導波通アセンブリの障壁部材(30)の全体サイズを実質的に大きくさせることなく、または障壁部材(30)の数を増加させることなく、固体プラズマ障壁部材(30)のオン状態における大きな分路容量性負荷に対する挿入損失および反射損失を改善するのに役立つ。しかしながら、T字形整合では、妥当な高インピーダンス部分によって整合させることができる最大分路容量性負荷が存在する。
【0099】
実施例5-π字形整合の固体プラズマ導波通スイッチ。
上述のように、
図3Aは、高インピーダンスπ字形整合部分が4つの障壁部材(30)(シリコンポスト)の間に配置されている導波通アセンブリの設計レイアウトを示す。
【0100】
図9Aは、分路容量性負荷として作用する2つの障壁部材(30)の間に高インピーダンス導波通部分を挿入することによって構成された別のπ字形整合回路を示す。オフ状態アイソレーションの量を最大化するために、π字形整合のインピーダンスは、約λ/4の長さで導波通チャネル(20)の特性インピーダンスに整合すべきである。π整合部分の長さ、および導波通アセンブリの全体サイズを小さくするために、π整合部分内の導波通チャネル(20)の下側壁の高さを高くすることにより、π字形整合部分のインピーダンスを増加させることができる。この設計は、オフ状態のアイソレーションがわずかに減少するが、スイッチのより小さいフォームファクタが得られるであろう。さらに、T字形整合回路と比較して、所与の分路容量性負荷に対して、π字形整合回路はいつでも解決策を持っている。π字形整合スイッチは、挿入損失が低い広いオン状態帯域幅、および高いオフ状態アイソレーションをもたらす。当業者に知られているように、「π字形整合」または「パイ字形整合」は、2つの点、通常はソースと負荷、の間のインピーダンスを整合させるために使用される電気回路を指し、この回路では、インダクタおよびキャパシタは、
図9Bに示すような対応する概略図における文字「π」の形状に配置することができる。
【0101】
実施例6-単極n投固体プラズマ導波通スイッチ。
図10を参照すると、提案された半導体障壁部材(30)とともに共同構造(詳細については参考文献17を参照)を使用して、単極N投固体プラズマ導波通スイッチを設計することができる。
図10では、共同給電構造は、ポート1からの入射波を導波通チャネル(20)のポート2およびポート3に向かう2つの別個の経路に分割する。等しいまたは等しくないパワー分割を設計することができる。ポート2とポート3の2つの分岐の間に配置されている同調用スタブ(60)を追加して、整合および帯域幅を改善することができる。実施形態では、同調用スタブ(60)はパターニングされ、導波通チャネル(20)側壁が金属層(22)でコーティングされるのと同じ方法で金属でコーティングされてもよく、または同調スラブ(60)は、同調可能な整合のために電磁放射で刺激される半導体障壁であってもよい。半導体障壁部材(30)が各経路に配置されて、各経路を通る信号のスイッチングを可能にする。半導体障壁部材(30)の配置および設計は、先に説明した実装形態に従って、オフ状態アイソレーションとともに、オン状態反射損失および挿入損失を最適化することができる。半導体障壁部材(30)を有する追加の経路(アームまたは分岐)または複数の共同給電構造を利用して、出力ポートの数を(
図10に示すような)2つからN個のポートを可能にするように増やすことができる。
【0102】
実施例7-エバネッセントモード帯域通過フィルタ導波通スイッチ。
オフ状態アイソレーションを大幅に改善し、かつDC電力効率を増加させるために、エバネッセントモード導波通スイッチ実装形態を利用することができる[参考文献18および19を参照]。
【0103】
図11Aを参照すると、その基本TE
1、0モードのカットオフ周波数より下で動作する(すなわち、エバネッセントモードで動作する)導波通チャネル(20)の狭幅導波通部分(26)が、基本TE
1、0モードのカットオフ周波数より上で動作する(すなわち、標準導波通単一モード領域内で動作する)導波通チャネル(20)の2つの導波通部分(28)の間に挿入されている。
【0104】
図11Bに示すように、カットオフより下で動作する導波通は、誘導負荷を持つT字形部分またはπ字形部分の等価回路のいずれか一方としてモデル化することができる。さらに、ダーク状態(すなわち、電磁放射励起なし)で動作する導波通チャネル(20)内の半導体障壁部材(30)は、
図11Cに示すように、分路内のコンデンサとしてモデル化することができる。
図11Aに示すように、半導体障壁部材(30)をエバネッセントモード導波通部(26)の内部に挿入することにより、
図11Dの等価図に示すように、その分路容量が
図11Bに示す分路インダクタンスと並列に結合して共振器要素を形成する。直列インダクタンスにより、共振器間の結合を提供することができる。よって、2つの標準導波通部分(28)の間に、フィルタリング伝達関数を形成することができる。複数の半導体障壁部材(30)を追加することにより、
図12Aに示すように、
図12Bに示す等価回路を持つ多極フィルタを構成することができる。
【0105】
半導体障壁部材(30)を電磁放射で励起することにより、固体プラズマが形成され、障壁部材(30)が導電性のものになり、導波通はフィルタからスイッチに変化し、電磁波の伝送を遮断する。導波通部分(26)の横幅が減少しているため、障壁部材(30)によって提供されるアイソレーションの量は、より大きな主導波通部分(28)内の同じサイズの障壁部材(30)と比較して増加する。これは、障壁部材(30)がより多くの入射電磁波を遮断するためである。さらに、狭幅導波通部分(26)内のエバネッセントモードの高い減衰も、スイッチによって達成されるアイソレーションの量を改善する。
【0106】
PINダイオードに対する固体プラズマスイッチング素子の利点は、単純な一体化、結合解除されたDCバイアスネットワーク、より高いパワー処理、およびより低い挿入損失である。
【0107】
実施例8-光学的に同調可能かつ再構成可能な固体プラズマ導波通空洞共振器。
この例では、空洞の共振周波数を調整するため、空洞からの入力/出力結合を調整するため、または2つの空洞間の共振器間結合を調整するため、すなわち帯域通過フィルタ応答のために、(長方形または円筒形のいずれか一方の)導波通チャネル(20)空洞の内側で、電磁放射によりその内部に固体プラズマが励起される半導体障壁部材(30)を利用することができる。
【0108】
実施形態の一例として、
図13Aおよび13Bを参照すると、半導体障壁部材(30)が円筒形の導波通チャネル(20)空洞内に配置されている。ここで、障壁部材(30)は、調整可能性を最大化するために空洞の中心内に位置決めされている。しかしながら、障壁部材(30)の位置の選択は、設計要件に基づいて変更することができ、空洞の内側に位置する共振電場または磁場への結合量を最適化することができる。半導体障壁部材(30)がダーク状態(すなわち、電磁放射励起がない状態)にあることで、空洞は障壁部材(30)によって誘電的に負荷され、その基本共振モードは特定の周波数でのものになるであろう。半導体障壁部材(30)が電磁放射によって励起されて内部に固体プラズマを生成すると、導波通チャネル(20)空洞内の電場または磁場は、その時点での導電性障壁部材(30)によって導入される新しい境界条件に基づいて再配向し、基本共振周波数がシフトするであろう。よって、導波通空洞共振周波数の同調を達成することができる。
【0109】
実施形態の別の例として、
図14を参照すると、導波通チャネル(20)の内側に挿入された半導体障壁部材(30)は、導波通空洞共振器の再構成可能な側壁として使用することができる。
図14に示すように、矩形導波通チャネル(20)空洞は、電磁放射によって励起されて固体プラズマを形成するときに、導波通チャネル(20)の新しい側壁を電気的に形成し、よって、導波通チャネル(20)空洞の共振長およびその基本共振周波数を変化させるように配置された4つの半導体障壁部材(30)を有する。異なる形状の導波通チャネル(20)空洞、すなわち円筒形導波通空洞も、この実施形態に適用することができる。さらに、半導体障壁部材(30)のサイズ、数、および形状は、特定の設計用途に合わせて最適化することができる。
【0110】
実施例9-光学的に同調された固体プラズマ導波通のインピーダンス整合ネットワークおよび移相器。
図15では、導波通チャネル(20)は、ポート1からポート2への一次経路(27)から離れて延びる短絡導波通スタブ経路(29)を含む。スタブ経路(29)を使用して、導波通チャネル(20)部分の入力と出力インピーダンスを同調させることができ、よって、同調可能または再構成可能インピーダンス整合ネットワークを作り出すことができる。例えば、
図15では、H面短絡導波通スタブ経路(29)への入力に半導体障壁部材(30)を配置することにより、スタブ経路(29)の入力インピーダンスを再構成することができ、よって、導波通ポート1および2を見込む入力/出力インピーダンスを変更することができる。追加のスタブ経路(29)(図示せず)を追加して、ダブルスタブ、トリプルスタブ、またはマルチスタブインピーダンス整合ネットワークを作ることができる。
【0111】
図16を参照すると、複数の半導体障壁部材(30)を、短絡導波通スタブ経路(29)に沿って異なる長さに配置することができ、よって、導波通スタブ経路(29)を見込む入力インピーダンスの量を再構成し、追加の同調状態を可能にすることができる。
【0112】
導波通部分に装荷される複数の再構成可能な固体プラズマ短絡導波通スタブ経路(29)を利用することにより、分散型導波通移相器を設計することができる。
図15に示すように、各導波通スタブ経路(29)内の半導体障壁部材(30)の電磁励起により、ポート1とポート2との間の透過係数の位相の量が、設計通りにある程度シフトするであろう。異なるスタブ(29)をオンまたはオフに切り替えることにより、増減する位相変化の量を生成することができる。さらに、単一のスタブ(29)によって導入される位相変化の量は、
図16に示すように、複数の半導体障壁部材(30)を使用することによって調整することができる。
【0113】
本発明の固体プラズマスイッチング素子を使用すると、反射型移相器およびスイッチドライン型移相器を含む、他のタイプの導波通移相器トポロジを実現することができる。
解釈。
【0114】
本明細書に添付されている特許請求の範囲に記載の全ての手段またはステップと機能要素の、対応する構造、材料、行為、および等価物は、具体的に特許請求されている他の要素と組み合わせて機能を実行するためのあらゆる構造、材料、行為を含むことが意図される。
【0115】
本明細書における「1つの実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、記載の実施形態が特定の態様、特徴、構造、または特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしもその態様、特徴、構造、または特性を含むわけではないことを示す。さらに、このような語句は、本明細書の他の部分で言及されているのと同じ実施形態を指す場合があるが、必ずしもそうである必要はない。さらに、特定の態様、特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明されている場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、このようなモジュール、態様、特徴、構造、または特性を他の実施形態に用いるかあるいは結び付けることは、当業者の知識の範囲内である。言い換えれば、明らかなまたは固有の非適合性があるか、または具体的に除外されない限り、任意のモジュール、要素、または機能を異なる実施形態の任意の他の要素または機能と組み合わせることができる。
【0116】
さらに、特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように作成することができることに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙または「否定的な」限定の使用に関連して、「単に」、「のみ」などの排他的な用語の使用のための先行詞としての役割を果たすことが意図される。用語「好ましくは」、「好ましい」、「好む」、「任意選択で」、「してもよい、し得る」、および同様の用語は、言及されている項目、条件、またはステップが本発明の任意選択の(必須ではない)特徴であることを示すために使用される。
【0117】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形への言及を含む。「および/または」という用語は、この用語が関連付けられている項目のいずれか1つ、項目の任意の組合せ、または項目全体を意味する。「1つ以上」という語句は、特にその用法の文脈で読めば、当業者には容易に理解される。
【0118】
「約」という用語は、指定された値の±5%、±10%、±20%、または±25%の変動を指すことがある。例えば、「約50」パーセントは、いくつかの実施形態では、45~55パーセントの変動を有し得る。整数範囲に関して、用語「約」は、範囲の各端において、列挙される整数より大きいおよび/または小さい1つまたは2つの整数を含むことができる。本明細書において別段の指示がない限り、「約」という用語は、組成物または実施形態の機能性に関して等価である、列挙されている範囲に近い値および範囲を含むことが意図される。
【0119】
当業者には理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供するという観点から、本明細書に列挙される全ての範囲はまた、ありとあらゆる可能な部分範囲およびそれらの部分範囲の組合せ、ならびに範囲を構成する個々の値、特に整数値を包含する。列挙されている範囲は、その範囲内の各特定の値、整数、小数、または同一値を含む。記載されているどの範囲も、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1に分割できるものであると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書に上述の各範囲は、下位3分の1、中間3分の1、上位3分の1などに容易に分割することができる。
【0120】
また、当業者には理解されるように、「最大で~まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「より多い」、「あるいはそれより多い」などのような言語は全ての、列挙されている数を含み、このような用語は、上述のように、続いて部分範囲に分割できる範囲を指す。同様に、本明細書に列挙されている比率はいずれも、より広い比率内に入る全ての下位比率も含む。
【0121】
参考文献
以下の刊行物は、以下の参照番号によって示されるように、本明細書中で参照される。
1.U. Shah外,“A 500-750 GHz RF MEMS waveguide switch”,IEEE Trans. Terahertz Sci. Technol, vol. 7, no. 3, pp. 326-334, May 2017.
2.“QuinStar Technology Inc.,”,[Online],[令和3年2月1日検索],インターネット<URL:https://quinstar.com/shop/control-products-ferrite/waveguide-pin-switches-single-33 double-throw/waveguide-pin-switches-double-throw-qss-qsd/>
3.D. Psychogiou外,“Millimeter- wave phase shifter based on waveguide-mounted RF-MEMS”,Microw. Opt. Technol. Lett., vol. 55, no. 3, pp. 465-468, Mar. 2013.
4.N. Vahabisani and M. Daneshmand,“Monolithic millimeter-wave MEMS waveguide switch”,IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 63, no. 2, pp. 340- 351, Feb. 2015.
5.C. H. Chen and D. Peroulis,“RF design, power handling, and hot switching of waveguide water-based absorptive switches”,IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 57, no. 1, pp. 2038-2046, Aug. 2009.
6.C. Gamlath, D. Benton, and M. Cryan,“Microwave properties of an inhomogeneous optically illuminated plasma in a microstrip gap”,IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 63, no. 2, pp. 374-383, Feb. 2015.
7.C. H. Lee, P. S. Mak, and A. P. Defonzo,“Optical Control of Millimeter-Wave Propagation in Dielectric Waveguides”,IEEE J. Quantum Electron., vol. 16, no. 3, pp. 277-288, 1980.
8.A. W. Pang, C. D. Gamlath, and M. J. Cryan,“An optically controlled coplanar waveguide millimeter- wave switch”,IEEE Microw. Wirel. Components Lett., vol. 28, no. 8, pp. 669-671, 2018. 9. J. Ren, Z. Jiang, P. Fay, J. L. Hesler, C. Y. E. Tong, and L. Liu,“High-performance WR-4.3 optically controlled variable attenuator with 60-dB range”,IEEE Microw. Wirel. Components Lett., vol. 28, no. 6, pp. 512-514, Jun. 2018.
10.A. Krivovitca, U. Shah, O. Glubokov, and J. Oberhammer, “Micromachined silicon-core substrate-integrated waveguides at 220-330 GHz”,IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. PP, pp. 1-9, 2020.
11.D. A. Neamen, Semiconductor Physics and Deviecs: Basic Principles, 4th ed. New York: McGraw-Hill, 2012.
12.A. Kannegulla, M. I. Bin Shams, L. Liu, and L.-J. Cheng,“Photo-induced spatial modulation of THz waves: opportunities and limitations”,Opt. Express, vol. 23, no. 25, pp. 32098-32112, Dec. 2015.
13.G. M. Rebeiz, RF MEMS Theory, Design, and Technology. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons, Inc., 2003.
14,S. M. Sze, Semiconductor Devices: Physics and Technology, 2nd ed. New York: John Wiley & Sons, Inc., 2002.
15.米国特許第6531068号明細書,発明の名称“Method of anisotropic etching of silicon”,2003年3月11日発行,ラーマー(Laermer)外
16.P. A. Rizzi, Microwave Engineering: Passive Circuits. Englewood Cliffs, NJ: Prentice Hall, 1998.
17.S. H. Shehab, N. C. Karmakar, and J. Walker,“Substrate-integrated- waveguide power dividers”,IEEE Antennas Propag. Mag., vol. 62, no. 4, pp. 27-38, Aug. 2020.
18.G. F. Craven and C. K. Mok,“The design of evanescent mode waveguide bandpass filters for a prescribed insertion loss characteristic”,IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 19, no. 3, pp. 295-308, Mar. 1971.
19.T. Sickel, P. Meyer, and P. W. Van Der Walt,“An in situ tunable diode mounting topology for high-power X-band waveguide switches”,IEEE Trans. Microw. Theory Tech., vol. 55, no. 2, pp. 281-285, 2007.
20.Z. Baghchehsaraei and J. Oberhammer,“Parameter analysis of millimeter-wave waveguide switch based on a MEMS-reconfigurable surface”,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vol. 61, no. 12, pp. 4396-4406, Dec 2013.
21.L. Pelliccia, F. Cacciamani, P. Farinelli, and R. Sorrentino,“High-Q tunable waveguide filters using ohmic RF MEMS switches”,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vol. 63, no. 10, pp.3381-3390, Oct 2015.
22.J. Campion, Y. Li, H. Zirath, J. Oberhammer, A. Hassona, Z. S. He, B. Beuerle, A. Gomez-Torrent, U. Shah, S. Vecchiattini, R. Lindman, and T. S. Dahl,“Toward industrial exploitation of THz frequencies: integration of SiGe MMICs in silicon- micromachined waveguide systems”,IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology, vol. 9, no. 6, pp. 624-636, Nov 2019.
23.A. W. Pang, S. Bensmida, and M. J. Cryan,“Nonlinearity and Power Handling Characterization of an Optically Reconfigurable Microwave Switch”,in IEEE MTT-S International Microwave Symposium Digest, Philadelphia, PA, Jun 2018, pp. 420-422.
24.E. K. Kowalczuk, C. J. Panagamuwa, and R. D. Seager,“Design and operation influences regarding rise and fall time of a photoconductive microwave switch”,in Loughborough Antennas and Propagation Conference, LAPC, Loughborough, UK, Nov 2013, pp. 149-154.
25.A. Fisher, Z. Missen, T. Jones, and D. Peroulis,“A fiber-free DC-7GHz W integrated semiconductor plasma switch”,in IEEE International Microwave Symposium, IMS, Atlanta, GA, Jun 2021, pp. 1-4.
【国際調査報告】