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▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】患者経路の再構築および集約
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240423BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569860
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022028749
(87)【国際公開番号】W WO2022240973
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/187,211
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SWIFT
3.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】アルコーン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ベル,セリア
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア-アルカルデ,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】カマスゴー,マリーイ・イリサベト・ストベ
(72)【発明者】
【氏名】ビダル・オカボ,エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ギャレリック,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マグヌス,カルステン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
患者データ管理のための技法は、データベースから患者の病歴データを取得するステップを含み、病歴データは、患者の各患者についての1つまたは複数の診断イベント、1つまたは複数の処置イベント、および臨床転帰イベントの履歴を含む。各患者について、病歴データに基づいて、コンピューティングシステムは、1つまたは複数の診断イベント、1つまたは複数の処置イベント、および臨床転帰イベントのノードを含むグラフを含む患者経路を生成する。コンピューティングシステムは、インターフェースを介して、患者の患者経路のサブセットを選択するための1つまたは複数の基準を受け取る。コンピューティングシステムは、1つまたは複数の基準に基づいて、患者経路のサブセットを表すグラフを選択する。コンピューティングシステムは、患者経路のサブセットをマージされたグラフに集約する。コンピューティングシステムは、マージされたグラフをインターフェースに表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
データベースから、患者の病歴データを取得するステップであって、前記病歴データが、前記患者の各患者についての1つまたは複数の診断イベント、1つまたは複数の処置イベント、および臨床転帰イベントの履歴を含む、患者の病歴データを取得するステップと、
各患者について、かつ前記病歴データに基づいて、ノードと前記ノードを接続するエッジとを含むグラフを含む患者経路を生成するステップであって、前記ノードが、前記1つまたは複数の診断イベント、前記1つまたは複数の処置イベント、および前記臨床転帰イベントを表し、前記エッジが、前記ノードによって表される前記イベント間の時間的関係を表す、患者経路を生成するステップと、
インターフェースを介して、前記患者の前記患者経路のサブセットを選択するための1つまたは複数の基準を受け取るステップと、
前記1つまたは複数の基準に基づいて、前記患者経路の前記サブセットを表すグラフを選択するステップと、
前記患者経路の前記サブセットを、
前記患者経路の前記サブセット間で、前記グラフのノードの複数のセットを識別することであって、ノードの各セットが、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表す、前記グラフのノードの複数のセットを識別すること、
前記グラフのノードの前記複数のセットの各セットをマージすること、および
2つのマージされたノード間の前記エッジを単一のエッジにマージすること
によって、マージされたグラフに集約するステップと、
前記マージされたグラフを前記インターフェースに表示するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
診断イベントのタイプが、イベントにおいて患者が診断される疾患に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処置イベントのタイプが、患者に施される治療、または前記患者に施される外科手術のうちの少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記臨床転帰イベントのタイプが、前記1つまたは複数の処置イベント後の所定の時間における患者の生存、または前記1つまたは複数の処置イベント後の前記所定の時間における前記患者の死亡のうちの1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同じタイプの診断イベント、前記同じタイプの処置イベント、または前記同じタイプの臨床転帰イベントを表すノードが、異なる時間に発生するイベントを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者のうちの数人の患者によって共有される1つまたは複数の共通患者経路を識別するステップと、
各共通患者経路を、前記共通患者経路を共有する前記数人の患者のカウントに関連付けるステップと、
関連付けられた前記カウントに基づいて各患者経路をランク付けするステップと、
ある数の上位にランク付けされた患者経路を前記患者経路の前記サブセットとして選択するステップと
をさらに含み、
前記1つまたは複数の基準が前記数を指定する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記患者のうちの数人の患者によって共有される1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを識別するステップと、
各共通タイプの処置イベントを、前記共通タイプの処置イベントを共有する前記患者のパーセンテージに関連付けるステップと、
前記患者のしきい値パーセンテージに関連付けられた1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを含む前記患者経路の前記サブセットを選択するステップと
をさらに含み、
前記1つまたは複数の基準が前記しきい値パーセンテージを指定する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
数人の前記患者によって共有される1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを識別するステップと、
各共通タイプの処置イベントを、前記共通タイプの処置イベントを共有する前記患者のサブセットに関連付けるステップと、
前記患者経路の前記サブセットに含まれるように第1の共通タイプの処置イベントおよび第2の共通タイプの処置イベントを選択するステップと
をさらに含み、
前記第1の共通タイプの処置イベントが前記患者の第1のサブセットによって共有され、
前記第2の共通タイプの処置イベントが、前記第2の共通タイプの処置イベントを受ける前に前記第1の共通タイプの処置イベントも受けている前記患者の第2のサブセットによって共有され、
前記第1の共通タイプの処置イベントおよび前記第2の共通タイプの処置イベントが、前記第2のサブセットと前記第1のサブセットとの間のパーセンテージがしきい値パーセンテージを超えることに基づいて、前記患者経路の前記サブセットに含まれるように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各患者について前記患者経路におけるイベントのシーケンスに基づいて前記患者をクラスタ化して、複数の患者クラスタを生成するステップをさらに含み、
前記患者経路の前記サブセットを表す前記グラフを前記選択するステップが、前記患者クラスタにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記イベントをカテゴリにグループ化するステップであって、前記マージされたグラフが前記カテゴリにさらに基づく、前記イベントをカテゴリにグループ化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記患者経路の前記サブセットの各患者経路について1つまたは複数のメトリックを決定するステップと、
前記インターフェースにおいて、前記マージされたグラフと同時に前記1つまたは複数のメトリックを表示するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
患者経路の前記1つまたは複数のメトリックが、前記患者経路を共有する患者の数、前記患者経路の1つもしくは複数の診断イベントおよび1つもしくは複数の処置イベントの総コスト、または前記患者経路における最初の診断イベントと臨床転帰イベントとの間の総時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マージされたグラフが第1のマージされたグラフであり、
前記グラフが第1のグラフであり、
前記患者の前記患者経路が第2のグラフによって表され、
前記方法は、
同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表す前記第2のグラフのノードをマージされたノードにマージし、2つのマージされたノード間の前記エッジを単一のエッジにマージすることに基づいて、前記患者の前記患者経路を表す第2のマージされたグラフを生成するステップと、
前記第2のマージされたグラフを前記インターフェースに表示するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のマージされたグラフが、前記第1のマージされたグラフを表示する前に前記インターフェースに表示される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者のそれぞれが、前記データベース内の患者識別子に関連付けられ、
前記マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントを表す各マージされたノードが、前記患者の病歴データ内に前記マージされたノードによって表される前記イベントを有する各患者の前記患者識別子に関連付けられ、
前記方法は、
前記インターフェースを介して、第1のタイプの処置イベントを表す第1のマージされたノードの選択を受け取るステップと、
前記第1のマージされたノードに関連付けられた第1の患者識別子を決定するステップと、
前記第1の患者識別子を使用して、前記データベースから患者の第1のサブセットの病歴データを取り出すステップと、
前記患者の第1のサブセットの前記病歴データを処理して第1の処理結果を生成するステップと、
前記第1の処理結果を前記インターフェースに表示するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の処理結果が、前記患者の第1のサブセットの生存曲線を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記インターフェースを介して、第2のタイプの処置イベントを表す第2のマージされたノードの選択を受け取るステップと、
前記第2のマージされたノードに関連付けられた第2の患者識別子を決定するステップと、
前記第2の患者識別子を使用して、前記データベースから患者の第2のサブセットの病歴データを取り出すステップと、
前記患者の第1のサブセットの前記病歴データを処理して第2の処理結果を生成するステップと、
前記第1の処理結果および前記第2の処理結果を前記インターフェースに表示して、前記患者の第1のサブセットと前記患者の第2のサブセットとの間の比較を提供するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントまたは同じタイプの臨床転帰イベントを表す各マージされたノードが、前記患者の病歴データ内に前記マージされたノードによって表される前記イベントを有する各患者の前記患者識別子、および前記患者が最初に疾患と診断されたときからの前記イベントの時間に関連付けられ、
前記方法は、前記マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントまたは同じタイプの臨床転帰イベントを表す各マージされたノードに関連付けられた前記患者識別子と前記イベントの前記時間とに基づいて、前記マージされたグラフに表される各患者のイベントの進行を時間に関して表示するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
患者の医療データを受け取るステップと、
前記患者の前記医療データを前記患者の第1のサブセットの医療データと比較するステップと、
前記第1の処理結果および前記比較の結果に基づいて、前記患者についての臨床予測を実行するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載の方法の動作を実行するようにコンピュータシステムを制御するための複数の命令を記憶するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータ製品。
【請求項21】
システムであって、
請求項20に記載のコンピュータ製品と、
前記コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するための1つまたは複数のプロセッサと
を備える、システム。
【請求項22】
請求項1から19のいずれかに記載の方法を実行する手段を備えるシステム。
【請求項23】
請求項1から19のいずれかに記載の方法を実行するように構成されたシステム。
【請求項24】
請求項1から19のいずれかに記載の方法のステップをそれぞれ実行するモジュールを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が本明細書に参照によって援用される、2021年5月11日出願の米国仮特許出願第63/187,211号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
医療データ管理システムは、患者のイベントおよび記録に関連付けられた情報を記憶する。これらの記録は、患者の一連の診断、処置、および/または医学的転帰を反映し得る。このような記録は、なぜ、いつ、どこで、どのように患者がヘルスケアにアクセスするかについての情報を提供することができる。
【0003】
臨床ガイドラインは、一般に、ヘルスケアの特定の領域における診断、管理、および処置に関する決定および基準をガイドすることを目的とする文書を指す。臨床ガイドラインは、予防、診断、予後、投薬量を含む治療、特定の疾患に対するリスク/利益、および処置の費用対効果に関する最新のデータを提供し得る。ガイドラインにより、疾患の特定のステージにおけるすべての利用可能な(または既知の)決定/処置選択肢、およびそれらの起こり得る転帰を識別し得る。患者の現在の病状に基づいて、臨床医は、ガイドラインを参照して、異なる処置選択肢および起こり得る転帰を得ることができ、患者の処置選択肢を決定することができる。
【0004】
臨床ガイドラインは、患者に特定の処置を処方するための根拠を提供することはできるが、典型的には、患者のケアをどのように改善するかについての洞察を提供するものではない。例えば、臨床ガイドラインは、異なる処置選択肢および起こり得る転帰を提供することはできるが、現実世界の患者の転帰の洞察を提供するものではない。
【発明の概要】
【0005】
簡単な概要
本明細書に開示されるのは、患者の病歴データに基づいて、複数の患者の患者経路を再構築および集約するための技術である。各患者について、病歴データは、患者が疾患と最初に診断された診断イベント、診断イベントに続く1つまたは複数の処置イベント、および時間に関する臨床転帰イベントの履歴シーケンスを含むことができる。診断イベントは、例えば、バイオマーカ検査イベント、検査室検査イベントなどを含むことができる。さらに、履歴シーケンスは、1つまたは複数の処置後のフォローアップ検査イベントも含み得る。患者経路再構築および集約システムは、データベースから患者の病歴データを取得し、患者のそれぞれについて患者経路を表すグラフを生成することができる。グラフは、開始ノードと、終了ノードと、開始ノードと終了ノードとの間の診断イベント、1つまたは複数の処置イベント、および臨床転帰イベントを表すノードと、を含む複数のノードを含むことができ、ノードはエッジによって接続されている。
【0006】
患者経路再構築および集約システムは、患者の患者経路のサブセットを選択し、インターフェースを介してインターフェースに表示するための入力を受け取ることもできる。入力には、患者経路のサブセットを選択するための1つまたは複数の基準も含まれてもよい。入力に基づいて、患者経路再構築および集約システムは、患者経路のサブセットを表すグラフのサブセットを選択し、グラフのサブセットをマージされたグラフにマージすることができる。グラフィカルユーザインターフェース接続を介して入力を受け取ることができる。
【0007】
システムは、命令の一部として受け取った様々な基準に基づいて、マージされたグラフを作成するためのグラフのサブセットを選択することができる。例えば、基準は、患者が共有する最も一般的な患者経路の数(例えば、4、8、10など)を指定することもできる。次いで、システムは、最も一般的な患者経路の数をマージされたグラフにマージすることができる。別の例として、入力は、しきい値数/パーセンテージの患者によって共有される処置イベントなどの1つまたは複数の共通処置イベントを選択するための基準を含み得る。次いで、システムは、基準を満たす共通の処置イベントを有する患者経路のサブセットを選択することができる。別の例として、システムは、類似した特徴を有する患者のクラスタに基づいてグラフのサブセットを選択することができる。別の例として、システムは、イベントをより高いレベルのカテゴリにマージすることができる。
【0008】
一部の例では、システムは、患者経路のサブセットの追加の分析データを生成して、患者が受けた臨床ケアに対する臨床的および運用上の洞察を提供することができる。例えば、システムは、患者経路のサブセットのそれぞれについて様々なメトリックを生成し、インターフェースにメトリックを表示することができる。別の例として、システムは、特定の処置イベントを共有する患者のサブセットの病歴データを取り出すことができる。患者のサブセットの病歴データに基づいて、累積生存確率、臨床転帰予測、次の処置イベント予測などの追加の分析を行うことができ、分析の結果をインターフェースに表示することもできる。一部の例では、相互に排他的な患者のサブセットに関連付けられた判別処置イベントノードを特定し、選択することができる。ノードの選択に基づいて、相互に排他的な患者のサブセットの病歴データにアクセスし、比較することもできる。
【0009】
これらおよび他の例示的な実施形態を以下に詳細に説明する。例えば、他の実施形態は、本明細書に記載される方法に関連付けられたシステム、デバイス、およびコンピュータ可読媒体を対象とする。
【0010】
本開示の実施例の性質および利点のより良い理解は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して得られ得る。
【0011】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】患者経路の一例である。
図1B-1】臨床ガイドラインの例である。
図1B-2】臨床ガイドラインの例である。
図1B-3】臨床ガイドラインの例である。
図1B-4】臨床ガイドラインの例である。
図2】本開示の特定の態様による、経路再構築および集約システムの一例である。
図3A】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図3B】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図3C】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図3D】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図3E】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図3F】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図4A】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図4B】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図5A】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図5B】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムの内部構成要素の動作の例を示す図である。
図6A】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図6B-1】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図6B-2】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図6C】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図6D】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図6E】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図6F】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図6G】本開示の特定の態様による、図2の経路再構築および集約システムのグラフィカルユーザインターフェースの動作の例を示す図である。
図7】本開示の特定の態様による、患者経路を生成および表示する方法の例を示す図である。
図8】本明細書で開示される技術を実施するために利用され得る例示的なコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
患者経路は、患者の診断、処置、および医学的転帰のシーケンスを指すことができる。患者経路は、なぜ、いつ、どこで、どのように患者がヘルスケアにアクセスするかについての情報を提供することができる。患者の患者経路は、患者の臨床転帰(例えば、生存または死亡)を決定することができる、患者のために選択された1つまたは複数の処置に基づいて開発され得る。患者のための処置の選択は、典型的には、患者の病状および患者の病状を処置するための臨床ガイドラインに基づく。
【0014】
臨床ガイドラインは、典型的には、予防、診断、予後、投薬量を含む治療、特定の疾患に対する処置のリスク/利益、および費用対効果に関する最新のデータを提供する。ガイドラインは、疾患または処置の特定のステージにおいて、利用可能な(または既知の)すべての決定/処置の選択肢とその転帰を特定することもでき、疾患/処置の異なるステージにおいて、異なる選択肢/転帰をそれぞれ特定し得る。患者の現在の病状に基づいて、臨床医は、ガイドラインを参照して、異なる処置選択肢および起こり得る転帰を得ることができ、患者の処置選択肢を決定することができる。臨床ガイドラインの例には、National Comprehensive Cancer Network(登録商標)(NCCN)Clinical Practical Guidelines in Oncologyが含まれてもよい。
【0015】
臨床ガイドラインは、患者に特定の処置を処方するための根拠を提供することはできるが、患者に提供される臨床ケアを改善する際のその有用性は、いくつかの理由で制限されることがある。具体的には、臨床ガイドラインは、ある数の処置選択肢およびその転帰を列挙することはできるが、ガイドラインは、典型的には、どの処置選択肢が特定の患者にとって最良であるかについての洞察を提供しない。例えば、臨床医が患者にとって最良の処置/手術レジメを選択することができるように、生存率、コスト、期間などの様々なメトリックを、異なる処置および/または手術の選択肢間で比較することは、ガイドラインには典型的には提供されていない。さらに、ガイドラインは、臨床的および運用上の洞察を得るための情報も提供しない。例えば、臨床医は、臨床ケアにおける満たされていないニーズ、臨床ケアが臨床ガイドラインから逸脱している可能性などを特定するなど、臨床的な洞察を得ることはできない。さらに、臨床医は、臨床ガイドラインから、臨床ワークフローの非効率性、リソース管理の最適化の機会などを特定するなどの運用上の洞察を得ることもできない。
【0016】
本明細書に開示されるのは、患者の病歴データに基づいて、複数の患者の患者経路を再構築および集約するための技術である。各患者について、病歴データは、(1)疾患を有する患者を診断することに対応する診断(diagnostic)イベント(診断(diagnosis)イベントとも呼ばれる)、(2)診断イベントに続く1つまたは複数の処置イベント、および(3)臨床転帰イベントの履歴シーケンスを含むことができる。これらのイベントは、時間に関して記憶され得る(例えば、タイムスタンプされる)。処置イベントは、例えば、治療レジメ、手術レジメなどを含むことができ、そのそれぞれは、ある期間にわたって1つまたは複数の投薬および/または外科手術を施すことを含むことができる。臨床転帰イベントは、例えば、診断から所定の時点における生存または死亡を含むことができ、これは、特定の研究期間に基づき、診断の年に対して調整され得る。
【0017】
具体的には、患者経路再構築および集約システムは、データベースから患者の病歴データを取得し、各患者の患者経路を表すグラフを生成することができる。グラフは、開始ノードと、終了ノードと、開始ノードと終了ノードとの間の診断イベント、1つまたは複数の処置イベント、および臨床転帰イベントを表すノードと、を含む複数のノードを含むことができ、ノードはエッジによって接続されている。グラフは、異なるイベント間の時間的関係を表すこともでき、ノードの位置およびエッジの方向は、病歴データに反映されたイベントのタイミングに基づいている。一部の例では、患者経路再構築および集約システムは、時間的順序に従ってイベントを配置する患者の病歴記録をトラバースし、各イベントのノードを作成し、時間的順序に従ってノードをグラフに追加することができる。
【0018】
患者経路再構築および集約システムは、インターフェースを介して、患者の患者経路のサブセットを選択するための入力を受け取ることもできる。入力は、患者経路のサブセットを選択するための1つまたは複数の基準を含むことができる。入力に基づいて、患者経路再構築および集約システムは、患者経路のサブセットを表すグラフのサブセットを選択し、グラフのサブセットをマージされたグラフにマージすることができる。マージすることは、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表す異なるグラフのノードをマージノードにマージすること、および2つのマージノード間のエッジを単一のエッジにマージすることに基づくことを含むことができる。患者経路を集団レベルで見ることで得られる有用な情報がある(例えば、異なる経路の患者転帰、コスト、および処置時間の傾向)。しかしながら、一般に、このような視覚化は、大量の異なる患者データが関与しているため有用ではなく、結果として、雑然とした外観となり、そこから意味を見分けることは困難である。同じタイプのイベントを表すノードをマージすることによって、グラフは簡略化され、臨床医は、患者の処置を改善するのに有用な情報を見分けることができる。
【0019】
具体的には、システムは、2人の患者が同じ診断(例えば、同じタイプの癌および同じステージ)を受けている場合でも、2人の患者の2つの診断イベントの2つのノードが同じタイプの診断イベントを表すと判断し、2つのノードを同じタイプの診断イベントを表すマージノードにマージすることができる。さらに、システムは、2つのイベントが同じ治療/手術レジメを有する場合でも、2人の患者の2つの処置イベントの2つのノードが、同じタイプの処置イベントを表すと判断し、2つのノードを同じ処置イベントを表すマージノードにマージすることができる。さらに、システムは、同一タイプの臨床転帰イベント(例えば、生存または死亡)の2つのノードをマージし、2つのノードを、同じ臨床転帰イベントを表すマージノードにマージすることもできる。これらのすべての場合において、2つのノードは、ノードによって表されるイベントが同じまたは異なる期間内に発生するか否かにかかわらずマージされ得る。一部の例では、マージすることは、時間的に近いおよび/または多数のエッジによって接続された異なる診断/処置イベントを表すノードのペア、あるいはグラフィカルユーザインターフェースを介して入力の一部として選択されたノードを、単一のノードにクラスタ化することを含むこともできる。
【0020】
システムは、命令の一部として受け取った様々な基準に基づいて、マージされたグラフを作成するためのグラフのサブセットを選択することができる。例えば、基準は、すべてのグラフまたはすべての患者がマージされたグラフに含まれることを指定し得る。基準は、あるパーセンテージの患者(例えば、100%、70%、50%、10%など)のみがマージされたグラフに表されることを指定し得、システムは、指定されたパーセンテージの患者を表すグラフのサブセットを選択し、それらをマージされたグラフに含めることができる。別の例として、基準は、患者が共有する最も一般的な患者経路の数(例えば、4、8、10など)を指定することもできる。システムは、最も一般的な患者経路の数をマージされたグラフにマージすることができる。
【0021】
一部の例では、入力は、1つまたは複数の共通処置イベントを選択するための基準を含み得、システムは、1つまたは複数の共通処置イベントを有する患者経路のサブセットを選択することができる。例えば、基準は、具体的な処置レジメまたは具体的な手術レジメを指定し得、システムは、患者経路のサブセットの一部として、具体的な処置レジメまたは具体的な手術レジメの処置イベントノードを有する患者経路を選択することができる。別の例として、基準は、しきい値パーセンテージの患者によって共有される共通処置イベント、またはしきい値パーセンテージの患者が第1の共通処置イベントから第2の共通処置イベントに移行することを指定し得、システムは、基準を満たす共通処置イベントを有する患者経路のサブセットを選択することができる。
【0022】
一部の例では、システムは、患者経路のサブセットの追加の分析データを生成することができ、これは、患者が受けた臨床ケアに対する臨床的洞察および運用上の洞察を提供することができる。例えば、システムは、マージされたグラフに表された各患者経路および/または各イベントノードについて様々なメトリック(例えば、総時間、総コスト、患者の総数、患者の生存率、臨床ガイドラインからの逸脱(もしあれば)など)を生成し、インターフェースにメトリックを表示することができる。メトリックは、マージされたグラフ上にオーバーレイされ、および/または別個のグラフに表示され得る。メトリックを表示することにより、患者経路間の比較が可能になり、臨床的および運用上の洞察が得られる。例えば、患者経路の生存率を比較することによって、生存率を改善するための特定の処置/手術レジメを特定することができる。さらに、患者経路が、同じ病状を有する患者に異なる処置が処方されていることを示す場合、臨床ケアが臨床ガイドラインから逸脱している可能性を特定することもできる。さらに、患者経路の総コストおよび/または総時間を比較することによって、臨床ワークフローおよびリソース管理における潜在的な非効率性も特定することができる。
【0023】
加えて、システムは、異なる患者コホートの識別および分析をサポートすることもできる。例えば、マージされたグラフの共通イベントの各ノードを、患者のコホートと関連付けることができ、インターフェースでのノードの選択を介して患者のサブセットの病歴データにデータベースからアクセスすることができる。次いで、Kaplan-Meier(K-M)プロットを生成するための時間に対する累積生存確率などの様々な分析を、患者のコホートの病歴データに対して行うことができる。一部の例では、相互に排他的な患者のコホートに関連付けられた判別処置イベントノードを特定し、選択することができる。ノードの選択に基づいて、互いに排他的な患者のコホートの病歴データにアクセスし、比較することもできる。システムは、患者のコホートの分析結果に基づいて予測をさらに実行し得る。例えば、システムは、マージされたグラフ内に処置イベントを有するが、その患者の行程がまだ終わりに達していない患者の臨床転帰または次の処置ステップを、患者と処置イベントに関連付けられた患者のコホートとの間の類似性に基づいて予測し得る。
【0024】
開示された技術を用いて、システムは、患者の病歴データから患者経路を再構成し、インターフェース内の様々なメトリックとともに、マージされたグラフに患者経路を表示することができる。システムは、ユーザの入力に基づいて、患者経路のサブセットをユーザに選択的に表示して、関心のある患者経路の視覚化をユーザに提供することもできる。システムは、経路のメトリクデータ(例えば、時間、コスト、転帰など)を表示することにより、探索的分析および仮説作成をサポートすることもでき、これにより、患者が受けた臨床処置に対する臨床的および運用上の洞察を提供することができる。これらはすべて、将来の患者に提供される臨床ケアを改善することができる。
【0025】
I.患者経路開発の例
図1Aおよび図1Bは、患者経路100および臨床ガイドライン120の例を示す。患者経路は、患者の診断、処置、および医学的転帰のシーケンスを指すことができる。患者経路は、なぜ、いつ、どこで、どのように患者がヘルスケアにアクセスするかについての情報を提供することができる。臨床ガイドラインは、一般に、ヘルスケアの特定の領域における診断、管理、および処置に関する決定および基準をガイドすることを目的とする文書を指す。臨床ガイドラインは、予防、診断、予後、投薬量を含む治療、特定の疾患に対するリスク/利益、および処置の費用対効果に関する最新のデータを提供し得る。患者経路および臨床ガイドラインは両方とも、臨床医が患者の処置履歴、異なる処置選択肢、および起こり得る転帰を評価するために使用され得、これらは、患者の処置選択肢を決定するために使用され得る。
【0026】
A.患者経路の例
図1Aは、患者経路100の一例を示す。患者経路は、時間に関して、患者の一連の診断、処置、および臨床転帰を指すことができる。図1Aに示すように、患者経路100は、時間T0における臨床医による疾患診断102から開始することができる。疾患診断102の結果に基づいて、臨床医が処置選択肢104a、104b、または104cのうちの1つから処置レジメの決定を行うことができ、患者は、時間T1とT2との間に処置レジメを開始することができる。各処置選択肢は、治療(例えば、特定の薬剤の処方)、外科手術、またはその両方を含むことができる。任意に、処置後の患者の病状を分析することができ、時間T3とT4との間のステップ106において、患者は、処置レジメを継続するか、または異なる処置レジメを受けることができる。処置レジメが完了した後、時間T5で患者の医学的転帰108が発生する可能性がある。医学的転帰は、例えば、処置が完了した後の特定の期間(例えば、1年)内の患者の生存または死亡を含むことができる。
【0027】
患者のための処置レジメの選択は、その患者のその後の患者行程を決定する可能性があり、典型的には、患者の患者行程がどうあるべきかという先入観に基づいており、患者の病状および臨床ガイドラインに基づいていることが多い。臨床ガイドラインは、予防、診断、予後、投薬量を含む治療、特定の疾患に対するリスク/利益、および処置の費用対効果に関する最新のデータを提供し得る。ガイドラインにより、疾患の特定のステージにおけるすべての利用可能な(または既知の)決定/処置選択肢、およびそれらの起こり得る転帰を識別し得る。患者の現在の病状に基づいて、臨床医は、ガイドラインを参照して、異なる処置選択肢および起こり得る転帰を得ることができ、患者の処置選択肢を決定することができる。
【0028】
B.臨床ガイドライン例
図1Bは、前立腺癌処置のための臨床ガイドライン120の例を示しており、これは、National Comprehensive Cancer Network(登録商標)(NCCN)の腫瘍学臨床実践ガイドラインおよび急性冠状症候群(ACS)ガイドラインから引用され得る。図1Bに示すように、前立腺癌処置のための臨床ガイドライン120は、診断セクション122および処置セクション124を含むことができる。診断セクション122は、一般開業医および泌尿器科医が行う様々な検査および生検手術を含むことができ、処置セクション124は、放射線治療、前立腺切除術、アンドロゲン除去治療などの複数の代替処置選択肢を含む。処置セクション124の処置選択肢は、診断セクション122からのリスク評価に基づいて選択され得る。
【0029】
上述したように、臨床ガイドライン120は、前立腺癌患者に特定の処置を処方するための根拠を提供することができるが、患者に提供される臨床ケアを改善する際のその有用性は限定され得る。具体的には、臨床ガイドライン120には、ある数の処置選択肢が列挙されているが、どの処置選択肢が特定の患者にとって最良であるかについての洞察は提供されていない。例えば、臨床ガイドライン120は、臨床医が患者にとって最良の処置/手術レジメを選択することができるように、異なる処置および/または手術の選択肢間の生存率、コスト、期間などの様々なメトリックの比較を提供していない。さらに、臨床ガイドライン120は、臨床的および運用上の洞察を得るための情報も提供してない。例えば、臨床医は、前立腺癌患者の臨床ケアにおける満たされていないニーズの特定、および前立腺癌患者の臨床ケアが臨床ガイドライン120から逸脱している可能性を特定するなど、臨床的洞察を得ることができない。さらに、臨床医は、臨床ガイドライン120から、臨床ワークフローの非効率性、リソース管理最適化の機会などを特定するなど、運用上の洞察を得ることもできない。このような洞察は、本明細書に記載されるように、大集団の患者によって行われる患者経路を分析することから取得され得る。
【0030】
II.患者経路の再構築および集約
患者経路再構築および集約システムは、ユーザフレンドリな方法で複数の患者の推移を示す集約された患者行程を生成することができる。上記のように、個々の患者経路および臨床ガイドラインは、患者のための処置選択肢を評価する際に有用である。しかし、個々の経路および臨床ガイドラインでは、患者が集団レベルでどのように反応するかは示されていない。患者経路再構築および集約システムは、臨床医が、有用なデータおよび分析を様々なレベルに掘り下げるために対話することができる合理化された集約された患者経路を生成することによって、これらの問題および他の問題を解決し、これは、臨床医がより良い患者体験およびより良い転帰を提供するのに役立つ。
【0031】
A.患者経路の再構築および集約システム
図2は、上述した問題の少なくとも一部に対処することができる患者経路再構築および集約システム200の一例を示す。患者経路再構築および集約システム200は、患者データベース202から患者の病歴データを受け取り、患者のそれぞれについて患者経路を再構築することができる。個々の経路を再構成することで、患者のケア行程を経時的に示すことができ、これは、患者により良いケアを提供するのに役立つ。これらの経路は、集団レベルで集約され得、これによって複数の患者の傾向に関する有用な情報を提供する。臨床医に有用な情報を提供するのに役立つように、これらの集約された経路を有用で透明なものにするための様々な技術が記載されている。一部の例では、病歴データは、イベントログを含むこともできる。患者経路再構築および集約システム200は、患者経路のサブセットを選択的に表示するための入力を受け取ることもができる。
【0032】
患者経路再構築および集約システム200は、患者経路によって被る総時間および総コスト、患者経路を取る患者の総数、患者の生存率、臨床ガイドラインからの患者経路の逸脱の程度など、各患者経路に対して様々なメトリックを算出することもできる。患者経路再構築および集約システム200は、選択された患者経路のサブセットを用いてメトリックを表示することができる。患者経路再構築および集約システム200は、異なる患者コホートの識別および患者コホートの特性の分析などの追加の分析をサポートすることで、より多くの臨床的および運用上の洞察を提供し、臨床行程がまだ完了していない患者についての臨床予測をサポートすることなどもできる。
【0033】
具体的には、図2に示すように、患者経路再構築および集約システム200は、前処理モジュール203、経路再構築モジュール204、クラスタリングモジュール205、共通経路モジュール206、共通イベントモジュール208、経路選択モジュール210、マージモジュール212、分析モジュール220、およびグラフィカルユーザインターフェース230を含むことができる。経路再構築モジュール204は、異なる患者を一意に識別する患者識別子(ID)240、患者の病歴データ242、ならびに患者の財務記録244など、患者データベース202内の様々なデータを集約し、各患者について患者経路を表すグラフを生成することができる。グラフィカルユーザインターフェース230は、表示されたグラフに関連付けられた様々なメトリックとともに、グラフの一部または全部をマージされたグラフ形式で表示することができる。
【0034】
B.例示的な病歴データ
図3Aおよび図3Bは、病歴データ242および財務記録244の例、ならびに経路再構築モジュール204によって生成されたグラフの例を示す。図3Aに示すように、病歴データ242は、患者の患者識別子240(値Xを有する)に関連付けられ得、患者の病歴における患者の様々なイベント、ならびに医学的転帰イベント(例えば、生存/死亡)、および各イベントの時間を記憶するデータ構造(例えば、マッピングテーブル)を含むことができる。例えば、病歴データ242は、疾患A診断イベントを時間T0にマッピングするエントリ302、イベント0とラベル付けされた処置イベントを時間T1にマッピングするエントリ304、イベント1とラベル付けされた処置イベントを時間T2にマッピングするエントリ306、および医学的転帰イベント(生存または死亡であり得る)を時間T3にマッピングするエントリ308を含み得る。各処置イベントは、治療レジメ、手術レジメなどを含んでもよく、そのそれぞれが、マッピングされた時間(例えば、時間T1、T2など)によって表される期間にわたって、1つまたは複数の投薬および/または外科手術を施すことを含み得る。加えて、財務記録244は、処置イベント イベント0をコスト0によって表される金銭的コストにマップするエントリ312と、処置イベント イベント1をコスト1によって表されるコストにマップするエントリ314とを含むことができる。
【0035】
前処理モジュール203は、患者データベース202からデータを取り出し、さらなる処理のためにデータを準備することができる。例えば、前処理モジュール203は、病歴データ242および/または財務記録244を表形式に変換し得る。前処理モジュール203は、関心のある変数を選択し得る。前処理モジュール203は、イベントをカテゴリ395にマージすることができる。例えば、血中グルコースレベル、癌病期分類、および生検結果に関連付けられたイベントはすべて、バイオマーカのより高いレベルのカテゴリ395にグループ化される。特定の薬物および化学治療を施すことに関連付けられたイベントは、処置のより高いレベルのカテゴリ395に分類される。これらのより高いレベルのカテゴリ395内で、前処理モジュールは、より低いレベルのカテゴリ395を識別することもできる。例えば、バイオマーカ内には、放射線学的、分子学的、組織学的、および生理学的などの異なるタイプのバイオマーカが存在する。前処理モジュール203は、各カテゴリ内のバイオマーカイベントを識別し、より低いレベルのカテゴリ395(例えば、分子バイオマーカ)および/またはより高いレベルのカテゴリ395(例えば、バイオマーカ)の両方について、イベントを一緒にグループ化することができる。
【0036】
経路再構築モジュール204は、病歴データ242および財務記録244をトラバースし、患者によって行われる患者経路を表すグラフを生成することができる。グラフは、イベントを表すノードと、ノードを接続する方向エッジとを含むことができる。経路再構築モジュール204は、イベントの時間的順序に従って病歴データ242をトラバースし、各イベントのノードを作成し、時間的順序に従ってノードおよびエッジをグラフに追加することができる。経路再構築モジュール204は、病歴データ242および財務記録244をトラバースすることによって、時間およびコストなどの様々なメトリックを計算し、そのメトリックをエッジと関連付けることもできる。経路再構築モジュール204は、グラフを経路データベース209に戻して記憶することもできる。
【0037】
C.例示的な患者経路グラフ
図3Bは、病歴データ242および財務記録244に基づいて経路再構築モジュール204によって生成されたグラフ320の例を示す。図3Bに示すように、グラフ320は、患者識別子(ID)240(値Xを有する)に関連付けられ得、開始ノード322と、疾患A診断イベントを表すイベントノード324、処置イベント0を表すイベントノード326、処置イベント1を表すイベントノード328、医学的転帰イベント(生存または死亡)を表すイベントノード330を含むイベントノードと、終了ノード332とを含むことができる。ノードは、ノードとイベントとの間の時間的関係を表す方向エッジで接続されてもいる。例えば、開始ノード322は、エッジ342aによって疾患A診断イベントノード324に接続されている。処置イベント0ノード326は、エッジ342bによって疾患A診断イベントノード326に接続され、処置イベント1ノード328は、エッジ342cによって処置イベント0ノード326に接続され、医学的転帰イベントノード330は、エッジ342dによって処置イベント1ノード328に接続され、一方、終了ノード332は、エッジ342eによって医学的転帰イベントノード330に接続されている。
【0038】
各エッジは、前のノードの出口エッジおよび後のノードの入口エッジとなることができ、エッジの方向は、疾患A診断イベントノード324が処置イベント0ノード326に先行し、処置イベント1ノード328に先行し、さらに、医学的転帰イベントノード330に先行することも示す。また、エッジのうちの一部は、時間およびコストなどのメトリックに関連付けられ得る。例えば、エッジ342bは、ΔTa(例えば、図3Aの時間T1とT0との差)によって表され得る、疾患A診断イベントと処置イベント0との間に経過した移行時間345に関連付けられている。さらに、エッジ342cは、ΔTb(例えば、図3Aの時間T2とT1との差)によって表され得る、処置イベント0と処置イベント1との間に経過した移行時間347と、処置イベント0に関連付けられた金銭的コストであるコスト0と等しくなり得るコスト349とに関連付けられている。さらに、エッジ342dは、ΔTc(例えば、図3Aの時間T3とT2との差)によって表され得る、処置イベント1と医学的転帰イベントとの間に経過した移行時間351と、処置イベント1に関連付けられた金銭的コストであるコスト1に等しくなり得るコスト353とに関連付けられている。経路再構築モジュール204は、次いで、グラフを経路355として経路データベース209に記憶することができる。
【0039】
D.患者経路のクラスタリング
図2に戻って参照すると、クラスタリングモジュール205は、経路再構築モジュール204によって生成された個々の患者経路に基づいて患者をクラスタ化することができる。一部の実施態様では、クラスタリングモジュール205は、患者をクラスタ化し、類似の軌道を有する患者のコホートを構築する。クラスタは、類似する一連のイベントに基づいて構築される。例えば、クラスタリングモジュールは、患者経路グラフ内のイベントの順序、患者経路グラフ内の1つまたは複数のイベント間の時間、あるいは患者の軌跡を表す他の要因に基づいて患者をクラスタ化する。別の例として、個々の患者経路は、自然言語処理(NLP)技術を使用して比較され、クラスタ化する患者を識別するために使用される類似性スコアを与えることができる。例えば、ベースラインモデルであるWord Mover’s Distance(WMD)と、Hierarchical Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise(HDBSCAN)やSpectral clustering and Uniform Manifold Approximation and Projection(UMAP)の次元削減を組み合わせることで、類似した患者経路を識別することができる。
【0040】
E.共通経路
共通経路モジュール206は、複数の患者によって共有される共通患者経路を識別し、共通患者経路のメトリックを生成することができる。一部の実施態様形態では、共通経路モジュール206は、クラスタリングモジュール205によって識別されたクラスタに基づいて共通の患者経路を識別する。各クラスタは別々に評価されてもよく、これにより、クラスタには類似した経路を有する患者が含まれるため、プロセスが簡略化される。以下に記載されるように、共通経路のサブセットは、グラフィカルユーザインターフェース230による表示のために提供され得る。共通経路モジュール206は、2つの患者経路が、同じシーケンスの診断イベント、処置イベント、および医学的転帰イベントを有する場合、2つの患者経路が同一であると判定することができ、シーケンスは患者経路を表すグラフ内のイベントの順序によって定義されている。各個々の患者経路は、特定の日付、時間、および場所において特定の患者識別子を有する患者に施される処置のタイプなどの、特定の患者に関連付けられたイベントを含み得る。これらのイベントは、特定の患者または特定のイベントに特有ではない様々なイベントタイプに分類される。例えば、診断イベントのタイプは、あるイベントにおいて患者が診断される疾患に基づく。別の例として、処置イベントのタイプは、患者に施される治療または患者に施される外科手術に基づく。別の実施例として、臨床転帰イベントのタイプは、1つまたは複数の処置イベント後の所定の時間における患者の生存、または1つまたは複数の処置イベント後の所定の時間における患者の死亡に基づいてもよい。
【0041】
1.共通経路の例
図3Cは、共通経路モジュール206の例示的な動作を示す。図3Cに示すように、(X0の)患者ID240を有する患者の患者経路は、開始ノード322、疾患A診断イベントノード324、処置イベント0ノード326、医学的転帰(死亡)ノード328、および終了ノード330を含むグラフ320によって表され得、各ノードは、エッジ333、334、336、および338によって接続されている。エッジ333は移行時間ΔTa1に関連付けられてよく、エッジ334は移行時間ΔTb1に関連付けられてよく、エッジ336は移行時間ΔTc1に関連付けられてよい。加えて、(X1の)患者ID240を有する患者の患者経路は、開始ノード342、疾患A診断イベントノード344、処置イベントノード346、医学的転帰(死亡)ノード343、および終了ノード350を含むグラフ340によって表され得、各ノードは、エッジ352、354、356、および358によって接続されている。エッジ352は移行時間ΔTa2に関連付けられてもよく、エッジ354は移行時間ΔTb2に関連付けられてもよく、エッジ356は移行時間ΔTc2に関連付けられてもよい。
【0042】
図3Cの例では、共通経路モジュール206は、グラフ320および340が、同じ疾患Aの診断のイベント(ノード324および344によって表される)、同じ処置のイベント(ノード326および346によって表される)、および同じ医学的転帰イベント(ノード328および343によって表される死亡)を含む、同じシーケンスのイベントを有する両方のグラフに基づいて、共通患者経路を表すと判断し得る。この判断に基づいて、共通経路モジュール206は、グラフ320および340の情報を集約することに基づく共通患者経路を表すグラフ360を作成することができる。例えば、グラフ360は、共通開始ノード362、共通疾患A診断イベントノード364、共通処置イベント0ノード366、共通医学的転帰(死亡)ノード368、および共通終了ノード370を含み、各ノードは、エッジ372、374、376、および378によって接続されている。各ノードは、共通の患者経路を共有する患者の患者ID240(例えば、X0、X1)に関連付けられている。さらに、エッジ372、374、376、および378のそれぞれは、グラフ320および340のエッジおよび関連付けられた情報をマージすることによって形成される。例えば、エッジ372は、ΔTa1とΔTa2の平均とすることができる移行時間ΔTa_yに関連付けられている。さらに、エッジ374は、ΔTb1とΔTb2の平均とすることができる移行時間ΔTb_yに関連付けられている。さらに、エッジ376は、ΔTc1とΔTc2の平均とすることができる移行時間ΔTc_yに関連付けられている。コスト(図3Cには図示せず)などのエッジに関連付けられた他の情報も平均化することができ、グラフ360内のマージされたエッジに関連付けられるようになる。グラフ360は、共通経路ID380(図3CではYとラベル付けされている)にも関連付けられている。
【0043】
2.共通経路記録の例
共通経路を識別した後、共通経路モジュール206は、様々なメトリックおよびイベントを各共通経路に関連付ける記録を(例えば、テーブルの形態で)生成し、その記録を経路データベース209に記憶することができる。図3Dは、共通経路記録382の例を示す。図3Dに示すように、共通経路記録382は、各共通経路ID(例えば、Y0、Y1など)を、診断イベント、処置イベント、医学的転帰イベント、IDと関連付けられた共通患者経路を共有する患者の総数(例えば、N0、N1など)、および共通患者経路の総コスト(例えば、総コスト0、総コスト1など)と関連付けてよい。各共通患者経路の患者の総数は、共通患者経路を表すグラフ(例えば、グラフ360)の共通イベントノードに関連付けられた一意の患者識別子の数をカウントすることによって取得され得、各共通患者経路の総コストは、グラフの各マージされたエッジに関連付けられた平均コストを合計することによって取得され得る。共通経路記録382は、経路データベース209にも記憶され得る。一部の例では、共通経路記録382は、共通の診断イベント、処置イベント、医学的転帰イベントを表すノード間を通過するエッジをカウントすることによっても作成され得る。
【0044】
F.共通イベント
図2に戻って参照すると、共通イベントモジュール208は、共通の患者経路を共有しない患者によって共有される共通のイベントノード(診断、処置、医学的転帰)を識別し、共通イベントノードを、患者経路の一部としての共通イベントノード、ならびに共通イベントノードに接続された他のイベントノードを有する患者の患者IDに関連付ける記録を作成することができる。
【0045】
図3Eおよび図3Fは、共通イベントモジュール208の例示的な動作を示す。共通イベントモジュール208は、経路355および/または共通経路記録382に記憶された患者経路のグラフをトラバースすることができる。図3Eは、患者ID X0およびX1と関連付けられ、処置イベント0aと関連付けられたノード385と、処置イベント1と関連付けられたノード386と、医学的転帰イベント(生存)と関連付けられたノード387とを含む、グラフ384、ならびに患者ID X2およびX3と関連付けられ、処置イベント0bと関連付けられたノード389と、処置イベント1と関連付けられたノード390と、医学的転帰イベント(死亡)と関連付けられたノード391とを含む、グラフ388を図示する。
【0046】
共通イベントモジュール208は、両方のグラフが処置イベント1を表すノード(ノード386および390)を有すると判断し、処置イベントノード385および389からの入口エッジと、医学的転帰イベントノード387および391への出口エッジとを有する、処置イベント1を表す共通イベントノード392を作成することができる。共通イベントモジュール208は、共通イベントノード392を患者ID X0、X1、X2、およびX3と関連付けることもできる。加えて、図3Fを参照すると、共通イベントモジュール208は、各共通イベントノードを、共通イベントノードID、入口ノード(入口エッジが接続される)、および出口ノード(出口エッジが接続される)、ならびに共通イベントノードに関連付けられた患者IDと関連付ける共通イベントノード記録394(例えば、表)を作成することもできる。共通イベントノードが処置に関連付けられている場合、共通イベントノード記録394は、共通イベントノードに関連付けられた具体的な処置レジメおよび/または具体的な手術レジメに関する情報をさらに記憶し得る。例えば、図3Fでは、共通イベントノード記録394において、共通イベントノード392は、共通イベントノードID「Z0」が割り当てられ、患者ID X0、X1、X2、およびX3に関連付けられている。共通イベントノード392は、入口ノードとしての処置イベントノード385および389(イベントノードID「Z1」および「Z2」によって表される)と、出口ノードとしての医学的転帰イベントノード387および391(イベントノードID「Z3」および「Z4」によって表される)とにさらに関連付けられる。共通イベントノード記録394は、経路データベース209にも記憶され得る。
【0047】
G.経路選択
図2に戻って参照すると、経路選択モジュール210は、1つまたは複数の選択基準を指定する入力を受け取り、選択基準に基づいて患者経路のサブセットを選択し、経路データベース309から選択された患者経路を表すグラフを取り出し、次いで、グラフィカルユーザインターフェース230に表示するためのグラフを提供することができる。一部の例では、入力は、グラフィカルユーザインターフェース230を介して受け取ることもできる。
【0048】
経路選択モジュール210は、異なるタイプの基準に基づいて選択を実行するために、共通経路フィルタリングモジュール250および共通イベントフィルタリングモジュール252を含むことができる。具体的には、共通経路フィルタリングモジュール250は、患者が共有する最も一般的な患者経路の数(例えば、4、8、10など)を指定する入力を受け取ることができる。次いで、共通経路フィルタリングモジュール250は、共通経路記録382を参照し、数が最も多い患者に関連付けられた共通患者経路の数を識別し、患者の数に基づいて共通患者経路をランク付けし、ある数の上位にランク付けされた共通患者経路を表すグラフを取り出すことができる。別の例として、入力は、あるパーセンテージの患者(例えば、100%、70%、50%、10%など)のみが共通患者経路に表されることを指定し得る。共通経路フィルタリングモジュール250は、共通経路モジュール206に、指定されたパーセンテージの患者の患者経路のサンプルに基づいて共通患者経路のサンプルを生成し、グラフィカルユーザインターフェース230に表示するために共通患者経路のサンプルのグラフを提供するように命令することもできる。一部の例では、経路選択モジュール210は、共通経路記録382から共通患者経路のメトリックデータを取得し、グラフィカルユーザインターフェース230に表示するためにそれらのデータを提供することもできる。
【0049】
加えて、共通イベントフィルタリングモジュール252は、1つまたは複数の共通処置イベントを選択するための基準を指定する入力を受け取ることができ、システムは、1つまたは複数の共通処置イベントを有する患者経路のサブセットを選択することができる。例えば、基準は、具体的な処置レジメまたは具体的な手術レジメを指定し得る。共通イベントフィルタリングモジュール252は、共通イベントノード記録394を参照し、指定された処置/手術レジメを有する共通処置イベントノードを識別し、識別された共通処置イベントノードの入口ノードおよび出口ノードを識別することができる。共通イベントフィルタリングモジュール252は、診断イベントおよび医学的転帰イベントを表すノードに到達するまで、共通イベントノード記録394内の識別されたノードの入口ノードおよび出口ノードを追跡することもできる。別の例として、基準は、しきい値パーセンテージの患者によって共有される共通処置イベント、またはしきい値パーセンテージの患者が第1の共通処置イベントから第2の共通処置イベントに移行することを指定し得、共通イベントフィルタリングモジュール252は、追跡の一部として、しきい値パーセンテージを満たさない移行/エッジをフィルタ除去することができる。次に、共通イベントフィルタリングモジュール252は、処置イベントノード、診察イベントノード、および医学的転帰イベントノードを含む、共通イベントノード記録394から識別されたノードを表すグラフを、表示のためにグラフィカルユーザインターフェース230に提供することができる。
【0050】
一部の例では、マージモジュール212は、経路選択モジュール210によって提供されたグラフを受け取り、それらをグラフィカルユーザインターフェース230に表示するためのマージされたグラフにマージすることができる。マージ動作は、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表す異なるグラフのノードをマージノードにマージすることと、2つのマージノード間のエッジを単一のエッジにマージすることに基づくこととを含むことができる。グラフをマージすることによって、マージされたグラフは、よりコンパクトになり得、視覚化がより容易になり得る。
【0051】
H.マージ
一部の例では、マージモジュール212は、前処理モジュール203によって決定されたカテゴリに基づいてグラフをマージする。マージモジュール212は、より高いレベルのカテゴリ(例えば、バイオマーカ)に基づいて経路を作成することができる。マージモジュール212は、経路内のより低いレベルのカテゴリ(例えば、分子バイオマーカ)をネストし、そこに個々のバイオマーカを配置することができる。
【0052】
図4Aは、マージモジュール212による例示的なマージ動作を示す。図4Aに示すように、経路選択モジュール210は、グラフ402、グラフ422、グラフ442、およびグラフ462を提供することができる。各グラフは、単一の患者の患者経路、または共通経路モジュール206によって生成された共通の患者経路を表すことができる。グラフ402は、エッジ414、416、418、および420によって接続された、開始ノード404、疾患A診断イベントノード406、処置イベント0ノード408、医学的転帰イベント(死亡)ノード410、および終了ノード412を含む。グラフ422は、エッジ434、436、438、および440によって接続された、開始ノード424、疾患A診断イベントノード426、処置イベント1ノード428、医学的転帰(生存)ノード430、および終了ノード432を含む。さらに、グラフ442は、エッジ454、456、458、および460によって接続された、開始ノード444、疾患A診断イベントノード446、処置イベント0ノード448、医学的転帰イベント(生存)ノード450、および終了ノード452を含む。加えて、グラフ462は、エッジ474、476、478、および480によって接続された、開始ノード464、疾患A診断イベントノード466、処置イベント1ノード468、医学的転帰イベント(生存)ノード470、および終了ノード472を含む。
【0053】
マージモジュール212は、グラフ402、422、442、および462をトラバースし、それらをマージされたグラフ482にマージすることができる。マージ動作は、同じ診断イベント、同じ処置イベント、または同じ臨床転帰イベントを表すノードをマージノードにマージすることと、2つのマージノード間のエッジを単一のエッジにマージすることに基づくこととを含むことができる。図4Aに示すように、マージモジュール212は、それぞれが同じ疾患A診断イベントを表すノード406、426、446、および466を、疾患A診断イベントを表すマージノード483にマージすることができる。加えて、マージモジュール212は、処置イベント0を表すノード408および448をマージノード484にマージし、処置イベント1を表すノード428および468をマージノード485にマージすることができる。さらに、マージモジュール212は、死亡イベントを表すノード410および470をマージノード486にマージし、生存イベントを表すノード430および450をマージノード487にマージすることができる。マージモジュール212はまた、開始ノードおよび終了ノードを、単一の開始ノード488および単一の終了ノード489にそれぞれマージすることもできる。一部の実施態様では、そのノードと関連付けられた患者の数などの追加の情報がノードに記憶される。
【0054】
加えて、マージモジュール212は、エッジもマージする。マージの一部として、時間、コスト、患者の総数などのエッジに関連付けられたメトリックをマージされたエッジに組み合わせる(例えば、平均する、追加するなど)ことができる。例えば、エッジ414、434、454、および474は、エッジ490にマージされ、エッジ416および456は、エッジ491にマージされ、エッジ436および476は、エッジ492にマージされ、エッジ420および480は、エッジ493にマージされ、エッジ440および460は、エッジ494にマージされる。一方、処置イベントノードと医学的転帰イベントノードとの間のエッジ418、438、458、および478は、マージされたグラフ482に保持される。
【0055】
一部の例では、マージモジュール212は、各イベントノードを、そのイベントノードを共有する患者の患者IDに関連付けることもできる。以下に記載されるように、患者と共有イベントノードとの関連付けは、追加の分析および視覚化効果をサポートすることができる。例えば、図4Bを参照すると、患者C0、C1、C2、およびC3のコホートが、グラフ402、422、442、および462によって表される患者経路をそれぞれ共有すると仮定すると、マージモジュール212は、マージされたグラフ482の疾患A診断イベントノード483をコホートC0、C1、C2、およびC3に関連付けることができる。さらに、マージモジュール212は、処置イベント0ノード484をコホートC0およびC2に関連付け、処置イベント1ノード485をコホートC1およびC3に関連付けることができる。マージモジュール212は、生存イベントノード487をコホートC0およびC3に関連付け、死亡イベントノード486をコホートC1およびC2に関連付けることもできる。
【0056】
I.分析
分析モジュール220は、マージモジュール212によって生成されたマージされたグラフに対して追加の分析を行うことができる。例えば、図5Aを参照すると、分析モジュール220は、マージされたグラフ482に表される各患者(または各患者コホート)の経過を時間とともに追跡することができる。追跡は、患者とマージされたグラフ内の各ノードとの関連付け、ならびにエッジに含まれる時間情報に基づくことができる。一部の例では、グラフィカルユーザインターフェース230は、マージされたグラフ482において患者の経過を時間に対して表示するように構成され得る。例えば、グラフィカルユーザインターフェース230は、患者XおよびYが、時間T2において、それぞれ、処置イベント0ノード484および処置イベント1ノード485にいることを表示することができる。さらに、グラフィカルユーザインターフェース230は、患者XおよびYが、時間T3において生存イベントノード487および死亡イベントノード486にそれぞれいることを表示することもできる。図5Aの分析モジュール220の出力は、異なる患者経路の様々なメトリック(例えば、時間、生存率など)の視覚化を改善するために、時間に対するグラフ内の患者の経過を示すために、マージされたグラフ482のアニメーション表示をサポートすることができる。
【0057】
一部の例では、分析モジュール220は、前処理モジュール203によって生成されたカテゴリ395を使用して、ネスト化された経路視覚化を生成する。前処理モジュール203によって生成されたより高いレベルおよび/またはより低いレベルのカテゴリを使用して、分析モジュール220は、カテゴリに基づいて表示されるように経路を編成することができる。これは、(例えば、図6Gに示すように)経路内の異なる種類のイベントを明確に示す、よりユーザフレンドリな視覚化を生成するために使用され得る。一部の実施態様では、ユーザ(例えば、医師)は、バイオマーカ試験などのより高いレベルのカテゴリにスクロールまたはズームし、経路内の異なるタイプのバイオマーカを視認することができる。
【0058】
一部の例では、分析モジュール220は、生存率分析などの追加の分析をサポートするために、特定のイベントノードに関連付けられた患者の病歴データにアクセスすることができる。例えば、図5Bを参照すると、処置イベント0ノード484および処置イベント1ノード485は、相互に排他的な患者のコホートに関連付けられた判別ノードとすることができる。分析モジュール220は、処置イベント0ノード484に関連付けられたコホートC0およびC2の患者の病歴データと、処置イベント1ノード485に関連付けられたコホートC1およびC3の患者の病歴データとを取り出し、カプラン-マイヤー(K-M)プロット502を生成することができる。一部の例では、調整されたコックス回帰モデル曲線も生成することができる。次いで、処置に関与したコホートのK-Mプロットを分析して、例えば、ノード484および485によって表される処置/手術レジメの有効性を決定することができる。さらに、分析モジュール220は、K-Mプロット502に基づいて予測を実行することもできる。例えば、ノード484および485によって表される処置選択肢のどちらを選択するかを決定している患者の場合、患者の特性を、コホートC0、C1、C2、およびC3の特性と比較することができ、患者と最も類似する特性を有するコホートのK-Mプロットを使用して、例えば、コホートによって取られた同一の処置を受けた後の患者の生存率の予測を可能にする仮説を生成することができる。これらのインタラクティブな機能を使用して、臨床医が関連する属性を調査するために情報に基づいた意思決定を行うこと、ならびに、患者の生存確率を向上させ、および/または患者の将来計画を立てる能力を向上させ、患者の生活の質を向上させるための行動(例えば、処置)の指針を決定することを支援することができる。インターフェースと対話して追加の分析を表示することによって、臨床医は、インターフェースをナビゲートして追加のメトリックを表示することによって、臨床ケアが臨床ガイドラインから逸脱している可能性、ならびに臨床ワークフローおよびリソース管理が非効率である可能性を特定することができる。
【0059】
III.グラフィカルユーザインターフェース
図6A図6Fは、グラフィカルユーザインターフェース230の動作の例を示す。図6Aに示すように、グラフィカルユーザインターフェース230は、患者経路のマージされたグラフを表示するためのディスプレイインターフェース602、ならびに入力インターフェース604、606、および608を含むことができる。入力インターフェース604は、ディスプレイインターフェース602に表示されるある数の最も一般的な患者経路についての入力を提供することができ、入力インターフェース606は、一般的な患者経路に表されるあるパーセンテージの患者についての入力を提供することができる。さらに、入力インターフェース608は、マージされたグラフに表示されるメトリック(例えば、患者(症例)の数、時間、およびコスト)を選択するための入力を提供することができる。図6Aにおいて、グラフィカルユーザインターフェース230は、患者データベース202内のすべての患者のすべての患者経路の完全にマージされたグラフを表示するように構成される。
【0060】
図6Bは、グラフィカルユーザインターフェース230の別の例示的な動作を示す。図6Bに示すように、グラフィカルユーザインターフェース230は、共通経路モジュール206、経路選択モジュール210、およびマージモジュール212の出力に基づいて、上位5つの最も一般的な患者経路をマージされたグラフ610として表示するための入力インターフェース604からの入力と、各ノードおよびエッジに関連付けられた患者の数を表示するためのインターフェース608からの入力とを受け取ることができる。グラフィカルユーザインターフェース230は、各共通患者経路について、患者の総数、総コスト、および総時間を含む、様々なメトリックのグラフ612も表示する。
【0061】
図6Cおよび図6Dは、分析モジュール220の出力に基づくグラフィカルユーザインターフェース230の例示的な動作を示す。図6Cおよび図6Dに示すように、グラフィカルユーザインターフェース230は、分析モジュール220の出力に基づいてアニメーションモードで動作することができる。グラフィカルユーザインターフェース230は、マージされたグラフ610によって表される共通患者経路における患者の経過の時間を選択するための、時間スライダの形態とすることができる入力インターフェース614をさらに含む。図6Cおよび図6Dでは、エッジ上の各ドット(例えば、X0およびX1)は、症例/患者を表すことができ、患者は、入力インターフェース614によって選択された異なる時間の間に、マージされたグラフ610内の1つのイベントノードから別のイベントノードに移動する。例えば、図6Cに示すように、患者X0およびX1は、疾患の診断から6ヶ月の時点で、処置イベントノード616によって表されるFOLFOX処置(薬物フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)、およびオキサリプラチン(エロキサチン)で構成される化学治療レジメ)をまだ開始していないが、図6Dでは、患者X0およびX1は、疾患の診断から1年の時点でFOLFOX処置を完了している。
【0062】
図6Eおよび図6Fは、分析モジュール220の出力に基づくグラフィカルユーザインターフェース230の他の例示的な動作を示す。図6Eに示すように、グラフィカルユーザインターフェース230は、2つの患者コホートを識別するために2つの判別ノードを選択するための入力を受け取る入力インターフェース620を含む。2つの判別ノードは、2つの処置イベントノード、2つの診断ノードなどとすることができる。図6Dに戻って参照すると、処置イベントノード616は、FOLFOX処置に関連付けられ、一方、処置イベントノード622は、FOLFOXおよびベバシズマブ処置に関連付けられ、それぞれ、相互に排他的な患者のセットを含む。処置イベントノード616および622の選択に基づいて、2つのコホート(コホート1およびコホート2)が識別され、それらの医療データは、分析モジュール220によってアクセスされ得る。図6Eでは、2つのコホートの人口統計情報624が表示されており、図6Fでは、2つのコホートのK-Mプロット626が表示されている。
【0063】
図6Gは、ネストされた経路を示すグラフィカルユーザインターフェース230のビューの別の例を示す。(例えば、図6Bに示すような)経路マップの視覚的提示を改善するために、患者経路再構築および集約システム200は、異なるカテゴリに属するノードをグループ化する。例えば、図6Gに描写されるように、ノードは、3つの高レベルのカテゴリ、すなわち、処置方針A 632、バイオマーカ634、および処置方針2 636にグループ化されている。これらの高レベルのカテゴリ632、634、636のそれぞれの中には、それぞれのイベントがある。イベントAおよびEは、具体的な第1選択の処置(例えば、施された異なる薬物または治療)であり、イベントB、C、H、I、およびFは、特定のバイオマーカ(例えば、血糖、前立腺特異抗原など)であり、イベントDおよびGは、具体的な第2選択の処置である。
【0064】
図6Gに示す例では、ノード接続は、複数の患者経路における順序付けられた一連のイベントに基づいて、上述したように生成され得る。さらに、ノードは、カテゴリの異なるレベルを反映するようにグループ化されている。異なるカテゴリにグループ化されたイベントを示すことによって、経路内の異なる種類のイベントを明確に示す、よりユーザフレンドリな視覚化が提供される。ユーザ(例えば、医師)は、バイオマーカ試験などのより高いレベルのカテゴリにスクロールまたはズームし、経路内の異なるタイプのバイオマーカを閲覧することができる。これは、ユーザが様々なレベルに掘り下げ、グラフを容易にナビゲートして関心のある情報を取得するのに役立つ。
【0065】
IV.方法
図7は、患者の病歴データに基づいて、複数の患者の患者経路を再構築および集約する方法700の例を示す。方法700は、例えば、図2の患者経路再構築および集約システム200によって実行され得る。
【0066】
ステップ702において、システムは、データベース(例えば、患者データベース202)から、患者の病歴データを取得し、病歴データは、患者の各患者についての1つまたは複数の診断イベント、1つまたは複数の処置イベント、および臨床転帰イベントの履歴を含む。診断イベントは、例えば、患者が疾患を有すると診断されるイベントを含むことができる。処置イベントは、例えば、治療レジメ、手術レジメなどを含むことができ、これらのそれぞれは、ある期間にわたって1つまたは複数の投薬および/または外科手術を施すことを含むことができる。臨床転帰イベントは、例えば、診断から所定の時点における生存または死亡を含むことができ、これは、特定の研究期間に基づき、診断の年に対して調整され得る。病歴データには、大量の複雑なデータが含まれる可能性がある。例えば、病歴データは、100人を超える患者、500人を超える患者、1,000人を超える患者、または5,000人を超える患者のデータを含むことができる。各患者について、病歴データは、数十または数百の異なるイベントを含むことができる。
【0067】
一部の実施態様では、システムは、病歴データを前処理し、これには、データをフォーマットすること(例えば、表形式で、特定の数値または用語を標準化することなど)が含まれてもよい。一部の例では、前処理は、イベントをカテゴリにグループ化することを含む。これには、処置、バイオマーカなどのより高いレベルのカテゴリを含めることができる。代替として、または加えて、これには、分子バイオマーカ、薬物処置などのより低いレベルのカテゴリを含めることができる。
【0068】
ステップ704において、システムは、各患者について、かつ病歴データに基づいて、ノードとノードを接続するエッジとを含むグラフを含む患者経路を生成し、ノードは、1つまたは複数の診断イベント、1つまたは複数の処置イベント、および臨床転帰イベントを表し、エッジは、ノードによって表されるイベント間の時間的関係を表す。図3Bは、システムによって生成された患者経路の例を示す。一部の例では、患者経路再構築および集約システムは、時間的順序に従ってイベントを配置する患者の病歴記録をトラバースし、各イベントのノードを作成し、時間的順序に従ってノードをグラフに追加することができる。上述したように、数千のイベントが存在する可能性があり、その結果、数千のノードが数千のエッジによって接続される。
【0069】
一部の実施態様では、システムは、各患者について患者経路におけるイベントのシーケンスに基づいて患者をクラスタ化して、患者クラスタを生成する。例えば、トレースクラスタリングは、患者経路のイベントのシーケンスに適用され、類似のシーケンスに従う患者のクラスタを作成する。(例えば、図6Aに示すように)従来の複数患者経路がスパゲッティのように見える理由の一部は、患者データのばらつきであり、これは、データセットのサイズおよび処置経路が異なる患者の両方から生じる。経路構築アルゴリズムを適用する前に「類似した」患者を一緒にクラスタ化することによって、システムは、類似した患者の処置経路をより小さなグループとして作成する。
【0070】
ステップ706において、システムは、インターフェースを介して、患者の患者経路のサブセットを選択するための1つまたは複数の基準を受け取る。ユーザは、インターフェースと対話して基準を構成する。図6Bは、インターフェースの一例を示す。例えば、基準は、すべてのグラフまたはすべての患者がマージされたグラフに含まれることを指定し得る。基準は、あるパーセンテージの患者(例えば、100%、70%、50%、10%など)のみがマージされたグラフに表されることを指定し得る。別の例として、基準は、患者が共有する最も一般的な患者経路の数(例えば、4、8、10など)を指定することもできる。一部の例では、入力は、1つまたは複数の共通の処置イベントを選択するための基準を含み得る。例えば、基準は、具体的な処置レジメまたは具体的な手術レジメを指定し得る。別の例として、基準は、共通の処置イベントがしきい値パーセンテージの患者によって共有されること、またはしきい値パーセンテージの患者が第1の共通の処置イベントから第2の共通の処置イベントに移行することを指定し得る。
【0071】
ステップ708において、システムは、1つまたは複数の基準に基づいて、患者経路のサブセットを表すグラフを選択する。指定された基準に基づいて、システムは、対応するグラフを識別し、選択する。例えば、基準は、マージされたグラフに表されるあるパーセンテージの患者を指定し、システムは、指定されたパーセンテージの患者を表すグラフのサブセットを選択する。別の例として、基準は、1つまたは複数の共通の処置イベントを指定する。システムは、1つまたは複数の共通の処置イベントを有する患者経路のサブセットを表すグラフを選択することができる。別の例として、基準は、具体的な処置レジメまたは具体的な手術レジメを指定し、システムは、具体的な処置レジメまたは具体的な手術レジメの処置イベントノードを有するグラフを選択する。
【0072】
一部の例では、1つまたは複数の基準は、患者の数を指定する。システムは、その数の患者によって共有される1つまたは複数の共通の患者経路を識別する。システムは、各共通患者経路を、共通患者経路を共有する数人の患者のカウントに関連付ける。システムは、関連付けられたカウントに基づいて各患者経路をランク付けする。システムは、患者経路のサブセットとして、ある数の上位にランク付けされた患者経路を選択する。
【0073】
一部の例では、1つまたは複数の基準は、しきい値パーセンテージの患者を指定する。システムは、数人の患者によって共有される1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを識別する。システムは、各共通タイプの処置イベントを、共通タイプの処置イベントを共有する患者のパーセンテージと関連付ける。システムは、しきい値パーセンテージの患者に関連付けられた1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを含む患者経路のサブセットを選択する。
【0074】
一部の例では、システムは、共通タイプのイベントを識別することに基づいて、患者経路のサブセットに含めるイベントを選択する。例えば、システムは、数人の患者によって共有される1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを識別する。システムは、各共通タイプの処置イベントを、共通タイプの処置イベントを共有する患者のサブセットに関連付ける。システムは、患者経路のサブセットに含まれるように第1の共通タイプの処置イベントおよび第2の共通タイプの処置イベントを選択する。第1の共通タイプの処置イベントは、患者の第1のサブセットによって共有され、第2の共通タイプの処置イベントは、第2の共通タイプの処置イベントを有する前に第1の共通タイプの処置イベントも有する患者の第2のサブセットによって共有される。第1の共通タイプの処置イベントおよび第2の共通タイプの処置イベントは、しきい値パーセンテージを超える第2のサブセットと第1のサブセットとの間のパーセンテージに基づいて、患者経路のサブセットに含まれるように選択される。
【0075】
一部の実施態様では、患者経路のサブセットを表すグラフは、患者クラスタに基づいてさらに選択される。例えば、1つの患者クラスタが選択され、ステップ710がその患者クラスタに対して実行され、次いで、別の患者クラスタが選択され、ステップ710がその患者クラスタに対して実行され、以下同様である。これは、患者のクラスタは患者経路が類似しているため、マージプロセスを簡略化し、改善することができる。
【0076】
ステップ710において、システムは、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表すグラフのノードをマージノードにマージすることによって、および2つのマージノード間のエッジを単一のエッジにマージすることに基づいて、患者経路のサブセットをマージされたグラフに集約する。集約の例を図3Cに示す。
【0077】
システムは、患者経路のサブセット間で、グラフのノードの複数のセットを識別し、ノードの各セットは、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表し、グラフのノードの複数のセットの各セットをマージする。具体的には、システムは、2人の患者が同じ診断(例えば、同じタイプの癌および同じステージ)を有する場合、2人の患者の2つの診断イベントの2つのノードが同じタイプの診断イベントを表すと判断し、2つのノードを同じ診断イベントを表すマージノードにマージすることができる。さらに、システムは、2人の患者の2つの処置イベントの2つのノードが、2つのイベントが同じ治療/手術レジメを有する場合、同じタイプの処置イベントを表すと決定され得ると決定し、2つのノードを、同じ処置イベントを表すマージノードにマージすることができる。さらに、システムは、同一タイプの臨床転帰イベント(例えば、生存または死亡)の2つのノードをマージし、2つのノードを、同じ臨床転帰イベントを表すマージノードにマージすることもできる。これらのすべての場合において、2つのノードは、ノードによって表されるイベントが同じまたは異なる期間内に発生するか否かにかかわらずマージされ得る。例えば、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表すノードは、異なる時間に発生するイベントを表す。一部の例では、マージすることは、時間的に近いおよび/または多数のエッジによって接続された異なる診断/処置イベントを表すノードのペア、あるいはグラフィカルユーザインターフェースを介して入力の一部として選択されたノードを、単一のノードにクラスタ化することも含むことができる。
【0078】
一部の実施態様形態では、システムは、イベントのカテゴリに基づいてマージされたグラフを生成する。例えば、システムは、図6Gに示すように、より高いレベルのカテゴリの経路を生成し、これらのより高いレベルのカテゴリ内で、バイオマーカイベントが一緒にグループ化され、処置イベントが一緒にグループ化されるなどである。
【0079】
ステップ712において、システムは、マージされたグラフをインターフェースに表示する。マージされたグラフの例が図6A図6Dに示されている。マージされたグラフに加えて、システムは、患者経路のサブセットの追加の分析データを生成および表示することもでき、これは、患者が受けた臨床ケアに対する臨床的洞察および運用上の洞察を提供することができる。例えば、システムは、マージされたグラフに表される各患者経路および/または各イベントノードについて様々なメトリックを生成し、インターフェースにメトリックを表示することができる。メトリックは、例えば、患者経路を共有する患者の数、患者経路の1つまたは複数の診断イベントおよび1つまたは複数の処置イベントの総コスト、患者経路における最初の診断イベントと臨床転帰イベントとの間の総時間、患者の生存率、および臨床ガイドラインからの逸脱(もしあれば)を含むことができる。メトリックは、マージされたグラフ上にオーバーレイされ、および/または別個のグラフに表示され得る。
【0080】
一部の例では、システムは、(例えば、図6Gに示すように)ネストされた経路を有するマージされたグラフを表示する。マージされたグラフは、より高いレベルのカテゴリ、イベントレベルのノード、および場合によってはより低いレベルのカテゴリを含む。システムは、ユーザ入力を受け取り、より高いレベルのカテゴリにズームアウトするか、またはイベントレベルノードにズームインすることができる。これにより、経路マップの視覚的提示および解釈可能性が改善される。
【0081】
一部の例では、システムは、異なる患者コホートの識別および分析をサポートすることもできる。例えば、マージされたグラフ内の共通のイベントの各ノードは、患者のコホート(例えば、マージされたグラフから識別された類似の患者のグループ)に関連付けることができる。患者のサブセットの病歴データは、インターフェースでのノードの選択を介してデータベースからアクセスされ得る。患者のコホートについてのデータに対して様々な分析を行うことができる。
【0082】
一部の例では、システムは、処理結果に基づいて臨床予測を行うことができる。例えば、システムは、患者の医療データを受け取り、患者の医療データを患者の第1のサブセットの医療データと比較し、第1の処理結果および比較結果に基づいて患者についての臨床予測を行う。例えば、患者の識別されたコホートは、生存の確率を予測するために使用される。具体的な例として、予測機械学習モデルは、特定の患者の医学的転帰を予測するための臨床予測を行うように訓練され得る。例えば、ランダム生存フォレスト(RSF)モデルを以前の患者のデータ、ならびにそれらの生存統計に基づいて訓練して、(例えば、進行期癌の)診断からの時間の関数として新規患者の生存確率を予測することができる。予測は、例えば、将来の計画を立てる能力を向上させるために、新規患者に提供され得る。これは、患者の生活の質を向上させる可能性を有する。代替としてまたは加えて、システムは、時間に対する累積生存確率を決定して、カプラン-マイヤー(K-M)プロットを生成する。K-Mプロットを表示することもできる。加えてまたは代替として、システムは、患者のコホートの属性および医学的転帰を出力することができる。これは、特定の患者に対する臨床判断を容易にするのに役立つ場合がある。例えば、システムは、コホート内の患者の属性の比較とともに、患者のコホートの属性の要約を出力することができる。このような出力により、臨床医は関連する属性を調査し、患者の生存確率を向上させるために、行動(例えば、処置)の指針を決定することができる。
【0083】
一部の例では、システムは、複数のマージされたグラフを生成して表示する。例えば、ステップ710で生成されるマージされたグラフは、第1のマージされたグラフであり、グラフは、第1のグラフである。患者の患者経路は、(例えば、患者の異なるグループについての)第2のグラフによって表される。システムは、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表す第2のグラフのノードをマージノードにマージすることと、2つのマージノード間のエッジを単一のエッジにマージすることとに基づいて、患者の患者経路を表す第2のマージされたグラフを生成する。システムは、第2のマージされたグラフをインターフェースに表示する。例えば、第2のマージされたグラフは、第1のマージされたグラフを表示する前にインターフェースに表示される。
【0084】
一部の例では、システムは、マージされたグラフと対話することによって追加の情報を取り出し、表示するためのユーザ入力を受け取ることができる。例えば、患者のそれぞれは、データベース内の患者識別子に関連付けられる。マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントを表す各マージノードは、患者の病歴データ内にマージノードによって表されるイベントを有する各患者の患者識別子に関連付けられる。システムは、インターフェースを介して、処置イベントのタイプを表すマージノードの選択を受け取る。システムは、マージノードに関連付けられた患者識別子を決定する。システムは、患者識別子を使用して、データベースから患者のサブセットの病歴データを取り出す。システムは、患者のサブセットの病歴データを処理して処理結果を生成し、処理結果をインターフェースに表示する。処理結果は、例えば、患者のサブセットの生存曲線を含み得る。これは、追加のマージノードの選択を受け取ったことに応答して繰り返され得る(例えば、第2のタイプの処置イベントを表す第2のマージノードの選択を検出すると、システムは、第2の患者識別子を使用してプロセスを繰り返し、第2の処理結果を生成する)。
【0085】
一部の例では、マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントまたは同じタイプの臨床転帰イベントを表す各マージノードは、患者の病歴データ内にマージノードによって表されるイベントを有する各患者の患者識別子、および患者が最初に疾患と診断されたときからのイベントの時間に関連付けられる。システムは、マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントまたは同じタイプの臨床転帰イベントを表す各マージノードに関連付けられた患者識別子とイベントの時間とに基づいて、マージされたグラフに表された各患者についてのイベントの経過を時間に関して表示する。
【0086】
本明細書に記載される技術は、臨床医が大量のデータを効率的に理解するのに役立てることができる、改善された視覚化を提供する。例えば、図6Aに示すスパゲッティのような患者経路を使用すると、臨床医は、可能であるとしても、示されるすべてのデータの意味を理解し、有用な情報を見分けるために、多大な時間およびエネルギーを費やす必要がある。対照的に、図6Gに示すマージされたグラフを使用すると、臨床医は、患者が取っている様々な経路を整理された形ではっきりと見ることができる。さらに、ユーザインターフェースにより、臨床医は、イベントの異なるカテゴリ(例えば、処置イベント、バイオマーカなど)に掘り下げることができ、これによって、マージされたグラフの解釈可能性をさらに助ける。
【0087】
一部の態様では、ユーザインターフェースにより、ユーザは、マージされたグラフと対話し、異なる患者または患者のコホートに対してデータを掘り下げることができるという利点も提供する。また、システムは、生存確率、時間、およびコストなどの追加のメトリックを計算し、表示することができる。これは、関連する属性を調査し、患者の生存確率を向上させ、および/または患者の将来計画を立てる能力を向上させ、患者の生活の質を向上させるための行動(例えば、処置)の指針を決定するために、情報に基づいた決定を行うために使用され得る。追加の利点は、インターフェースをナビゲートして追加のメトリックを見ることによって、臨床ケアが臨床ガイドラインから逸脱している可能性、ならびに臨床ワークフローおよびリソース管理が非効率である可能性を特定する能力を含む。
【0088】
V.コンピュータシステム
本明細書で言及されるコンピュータシステムはいずれも、任意の適切な数のサブシステムを利用し得る。このようなサブシステムの例が図8のコンピュータシステム800に示されている。一部の実施形態では、コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含み、サブシステムは、コンピュータ装置のコンポーネントとすることができる。他の実施形態では、コンピュータシステムは、それぞれが内部コンポーネントを有するサブシステムである複数のコンピュータ装置を含むことができる。コンピュータシステムは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話、ならびに他のモバイルデバイスを含むことができる。一部の実施形態では、クラウドインフラストラクチャ(例えば、Amazon Web Services)、グラフィカル処理ユニット(GPU)などが、開示された技術を実装するために使用され得る。
【0089】
図8に示すサブシステムは、システムバス75を介して相互接続されている。プリンタ74、キーボード78、記憶装置79、ディスプレイアダプタ82に結合されたモニタ76などの追加のサブシステムが示されている。I/Oコントローラ71に結合する周辺機器および入力/出力(I/O)デバイスは、入力/出力(I/O)ポート77(例えば、USB、FireWire(登録商標))などの当技術分野で知られている任意の数の手段によって、コンピュータシステムに接続され得る。例えば、I/Oポート77または外部インターフェース81(例えば、イーサネット、Wi-Fiなど)を使用して、コンピュータシステム10をインターネットなどの広域ネットワーク、マウス入力装置、またはスキャナに接続することができる。システムバス75を介した相互接続により、中央処理装置73は、各サブシステムと通信し、システムメモリ72または記憶装置79(例えば、ハードドライブなどの固定ディスク、または光学ディスク)からの複数の命令の実行、ならびにサブシステム間の情報の交換を制御することができる。システムメモリ72および/または記憶装置79は、コンピュータ可読媒体を具現化し得る。別のサブシステムは、カメラ、マイクロフォン、加速度計などのデータ収集装置85である。本明細書で言及されるデータはいずれも、あるコンポーネントから別のコンポーネントに出力され得、ユーザに出力され得る。
【0090】
コンピュータシステムは、例えば、外部インターフェース81によって、または内部インターフェースによって互いに接続された、複数の同じコンポーネントまたはサブシステムを含むことができる。一部の実施形態では、コンピュータシステム、サブシステム、または装置は、ネットワークを介して通信することができる。このような場合、あるコンピュータをクライアントとみなし、別のコンピュータをサーバとみなすことができ、それぞれを同じコンピュータシステムの一部とすることができる。クライアントおよびサーバはそれぞれ、複数のシステム、サブシステム、またはコンポーネントを含むことができる。
【0091】
実施形態の態様は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路またはフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、および/または一般的にプログラム可能なプロセッサとともにコンピュータソフトウェアを使用して、モジュール方式または統合方式で、制御ロジックの形態で実装され得る。本明細書で使用される場合、プロセッサは、シングルコアプロセッサ、同じ集積チップ上のマルチコアプロセッサ、または単一の回路基板上のもしくはネットワーク化された複数の処理ユニットを含む。本明細書で提供される開示および教示に基づいて、当業者は、ハードウェアおよびハードウェアとソフトウェアの組合せを使用して本発明の実施形態を実施するための他のやり方および/または方法を知り、理解するであろう。
【0092】
本出願に記載されるソフトウェア構成要素または機能はいずれも、例えば、Java、C、C++、C#、Objective-C、Swift、またはPerlもしくはPythonなどのスクリプト言語などの任意の適切なコンピュータ言語を使用して、例えば、従来技術またはオブジェクト指向技術を使用して、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装されてもよい。ソフトウェアコードは、記憶および/または送信のためにコンピュータ可読媒体上に一連の命令またはコマンドとして記憶されてもよい。適切な非一過性のコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブまたはフロッピーディスクなどの磁気媒体、またはコンパクトディスク(CD)もしくはデジタル多用途ディスク(DVD)などの光学媒体、フラッシュメモリなどを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、このような記憶デバイスまたは伝送デバイスの任意の組合せであってもよい。
【0093】
このようなプログラムはまた、インターネットを含む様々なプロトコルに準拠した有線、光、および/またはワイヤレスネットワークを介した送信に適合されたキャリア信号を使用して符号化され、送信されてもよい。したがって、このようなプログラムで符号化されたデータ信号を使用して、コンピュータ可読媒体を作成し得る。プログラムコードで符号化されたコンピュータ可読媒体は、互換性のあるデバイスとともにパッケージ化されるか、または(例えば、インターネットダウンロードを介して)他のデバイスとは別個に提供されてもよい。このようなコンピュータ可読媒体はいずれも、単一のコンピュータ製品(例えば、ハードドライブ、CD、またはコンピュータシステム全体)上またはその中に存在してもよく、システムまたはネットワーク内の異なるコンピュータ製品上またはその中に存在してもよい。コンピュータシステムは、本明細書で言及される結果のいずれかをユーザに提供するためのモニタ、プリンタ、または他の適切なディスプレイを含み得る。
【0094】
本明細書に記載される方法はいずれも、ステップを実行するように構成され得る1つまたは複数のプロセッサを含むコンピュータシステムを用いて全体的にまたは部分的に実行されてもよい。したがって、実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかのステップを実行するように構成されたコンピュータシステムを対象とすることができ、潜在的に異なる構成要素がそれぞれのステップまたはステップのそれぞれのグループを実行する。番号付けされたステップとして提示されているが、本明細書の方法のステップは、同時にまたは異なる順序で実行され得る。加えて、これらのステップの一部は、他の方法からの他のステップの一部とともに使用されてもよい。また、ステップのすべてまたは一部は任意であってもよい。さらに、いずれの方法のいずれのステップも、これらのステップを実行するためのモジュール、ユニット、回路、または他の手段を用いて実行され得る。
【0095】
特定の実施形態の具体的な詳細は、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、任意の適切な様式で組み合わせられてもよい。しかしながら、本発明の他の実施形態は、各個々の態様、またはこれらの個々の態様の特定の組合せに関する特定の実施形態を対象とし得る。
【0096】
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、例示および説明のために提示された。網羅的であること、または本発明を記載された厳密な形態に限定することは意図されておらず、上記の教示に照らして多くの修正および変形が可能である。
【0097】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」という記述は、そうでないことが具体的に示されない限り、「1つまたは複数の」を意味することが意図されている。「または(or)」の使用は、「包括的論理和(inclusive or)」を意味するものであり、そうでないことが具体的に示されない限り、「排他的論理和(exclusive or)」を意味することが意図されている。「第1の」構成要素への言及は、第2の構成要素が提供されることを必ずしも必要としない。さらに、「第1の」または「第2の」構成要素への言及は、明示的に規定されない限り、言及された構成要素を特定の位置に限定しない。
【0098】
本明細書に説明されるすべての特許、特許出願、刊行物、および説明文は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により組み込まれる。いずれも先行技術であると認められるものではない。
図1A
図1B-1】
図1B-2】
図1B-3】
図1B-4】
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B-1】
図6B-2】
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
データベースから、複数の患者の病歴データを取得するステップであって、前記病歴データが、前記複数の患者のそれぞれの患者毎の1つまたは複数の診断イベントと、1つまたは複数の処置イベントと、臨床転帰イベントとについての履歴を含む、ステップと、
それぞれの患者毎に前記病歴データに基づいて、ノードと前記ノードを接続するエッジとを含むグラフを含む患者経路を生成するステップであって、前記ノードが、前記1つまたは複数の診断イベントと、前記1つまたは複数の処置イベントと、前記臨床転帰イベントとを表し、前記エッジが、前記ノードによって表される前記イベント間の時間的関係を表す、ステップと、
インターフェースを介して、前記複数の患者における前記患者経路のサブセットを選択するために、1つまたは複数の基準を受け取るステップと、
前記1つまたは複数の基準に基づいて、前記患者経路のサブセットを表すグラフを選択するステップと、
前記患者経路のサブセットを、
前記患者経路のサブセット間で、前記グラフのノードの複数のセットを識別することであって、ノードの各セットが、同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表すことと、
前記グラフのノードの前記複数のセットの各セットをマージすることと、
2つのマージされたノード間の前記エッジを単一のエッジにマージすることと、
によって、マージされたグラフに集約するステップと、
前記マージされたグラフを前記インターフェースに表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
診断イベントのタイプが、イベントにおいて患者が診断される疾患に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処置イベントのタイプが、患者に施される治療、または該患者に施される外科手術の少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記臨床転帰イベントのタイプが、前記1つまたは複数の処置イベント後の所定の時間における患者の生存、または前記1つまたは複数の処置イベント後の前記所定の時間における前記患者の死亡のうちの1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同じタイプの診断イベント、前記同じタイプの処置イベント、または前記同じタイプの臨床転帰イベントを表すノードが、異なる時間に発生するイベントを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の患者のうちの数人の患者によって共有される1つまたは複数の共通患者経路を識別するステップと、
各共通患者経路を、前記共通患者経路を共有する前記数人の患者のカウントに関連付けるステップと、
前記関連付けられたカウントに基づいて各患者経路をランク付けするステップと、
ある数の上位にランク付けされた患者経路を、前記患者経路のサブセットとして選択するステップと
をさらに含み、
前記1つまたは複数の基準が前記数を指定する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の患者のうちの数人の患者によって共有される1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを識別するステップと、
各共通タイプの処置イベントを、前記共通タイプの処置イベントを共有する前記患者のパーセンテージに関連付けるステップと、
前記患者のしきい値パーセンテージに関連付けられた1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを含む前記患者経路のサブセットを選択するステップと
をさらに含み、
前記1つまたは複数の基準が前記しきい値パーセンテージを指定する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
数人の前記患者によって共有される1つまたは複数の共通タイプの処置イベントを識別するステップと、
各共通タイプの処置イベントを、前記共通タイプの処置イベントを共有する前記患者のサブセットに関連付けるステップと、
前記患者経路のサブセットに含まれるように第1の共通タイプの処置イベントおよび第2の共通タイプの処置イベントを選択するステップと
をさらに含み、
前記第1の共通タイプの処置イベントが前記患者の第1のサブセットによって共有され、
前記第2の共通タイプの処置イベントが、前記第2の共通タイプの処置イベントを受ける前に前記第1の共通タイプの処置イベントも受けている前記患者の第2のサブセットによって共有され、
前記第1の共通タイプの処置イベントおよび前記第2の共通タイプの処置イベントが、前記第2のサブセットと前記第1のサブセットとの間のパーセンテージがしきい値パーセンテージを超えることに基づいて、前記患者経路の前記サブセットに含まれるように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各患者について前記患者経路におけるイベントのシーケンスに基づいて前記患者をクラスタ化して、複数の患者クラスタを生成するステップをさらに含み、
前記患者経路のサブセットを表す前記グラフを選択する前記ステップが、前記患者クラスタにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記イベントをカテゴリにグループ化するステップをさらに含み、
前記マージされたグラフが前記カテゴリにさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記患者経路のサブセットにおけるそれぞれの患者経路毎に1つまたは複数のメトリックを決定するステップと、
前記インターフェースにおいて、前記マージされたグラフと同時に前記1つまたは複数のメトリックを表示するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
患者経路の前記1つまたは複数のメトリックが、前記患者経路を共有する患者の数、前記患者経路の1つもしくは複数の診断イベントおよび1つもしくは複数の処置イベントの総コスト、または前記患者経路における最初の診断イベントと臨床転帰イベントとの間の総時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マージされたグラフが第1のマージされたグラフであり、
前記グラフが第1のグラフであり、
前記患者の患者経路が第2のグラフによって表され、
当該方法が、さらに、
同じタイプの診断イベント、同じタイプの処置イベント、または同じタイプの臨床転帰イベントを表す前記第2のグラフのノードを、マージされたノードにマージすることと、マージされた2つのノード間の前記エッジを単一のエッジにマージすることとに基づいて、前記患者の患者経路を表す第2のマージされたグラフを生成するステップと、
前記第2のマージされたグラフを前記インターフェースに表示するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のマージされたグラフが、前記第1のマージされたグラフを表示するのよりも前に、前記インターフェースに表示される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者のそれぞれが、前記データベース内の患者識別子に関連付けられ、
前記マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントを表す各マージされたノードが、前記患者の病歴データ内に前記マージされたノードによって表される前記イベントを有する各患者の前記患者識別子に関連付けられ、
当該方法が、
前記インターフェースを介して、第1のタイプの処置イベントを表す第1のマージされたノードの選択を受け取るステップと、
前記第1のマージされたノードに関連付けられた第1の患者識別子を決定するステップと、
前記第1の患者識別子を使用して、前記データベースから患者の第1のサブセットの病歴データを取り出すステップと、
前記患者の第1のサブセットの前記病歴データを処理して、第1の処理結果を生成するステップと、
前記第1の処理結果を前記インターフェースに表示するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の処理結果が、前記患者の第1のサブセットの生存曲線を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記インターフェースを介して、第2のタイプの処置イベントを表す第2のマージされたノードの選択を受け取るステップと、
前記第2のマージされたノードに関連付けられた第2の患者識別子を決定するステップと、
前記第2の患者識別子を使用して、前記データベースから患者の第2のサブセットの病歴データを取り出すステップと、
前記患者の第1のサブセットの前記病歴データを処理して、第2の処理結果を生成するステップと、
前記第1の処理結果および前記第2の処理結果を前記インターフェースに表示して、前記患者の第1のサブセットと前記患者の第2のサブセットとの間の比較を提供するステップと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントまたは同じタイプの臨床転帰イベントを表す各マージされたノードが、前記患者の病歴データ内に前記マージされたノードによって表される前記イベントを有する各患者の前記患者識別子と、前記患者が最初に疾患と診断されたときからの前記イベントの時間とに関連付けられ、
当該方法が、さらに、
前記マージされたグラフ内の同じタイプの処置イベントまたは同じタイプの臨床転帰イベントを表す各マージされたノードに関連付けられた前記患者識別子と前記イベントの前記時間とに基づいて、前記マージされたグラフに表される各患者のイベントの進行を時間に関して表示するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
患者の医療データを受け取るステップと、
前記患者の前記医療データを、前記患者の第1のサブセットの医療データと比較するステップと、
前記第1の処理結果および前記比較の結果に基づいて、前記患者についての臨床予測を実行するステップと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載の方法の動作を実行するようにコンピュータシステムを制御するための複数の命令を記憶するコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】