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▶ ディスペリックス オサケ ユキチュアの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ブレーズド格子を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G02B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023569921
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 FI2022050316
(87)【国際公開番号】W WO2022243598
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】20215575
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520184365
【氏名又は名称】ディスペリックス オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルティアイネン、イスモ
【テーマコード(参考)】
2H249
【Fターム(参考)】
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA37
2H249AA40
2H249AA62
2H249AA63
(57)【要約】
この開示は、ブレーズド格子を製造する方法100に関する。方法100は、基板、及び基板上に、パターン形成されたマスク層を準備するステップ110と、1次イオンが1次エッチング方向に加速され、基板に衝突するように、基板の1次乾式エッチングを実行するステップ120と、2次イオンが2次エッチング方向に加速され、基板に衝突するように、基板の2次乾式エッチングを実行するステップ150とを含む。格子断面上への、1次エッチング方向の1次投射と2次エッチング方向の2次投射とがそれぞれ、ブレーズ・ファセット方向と反ブレーズ・ファセット方向との一方と他方とに対して垂直に延出し、格子断面上へ、ブレーズ・ファセット方向に対して垂直な投射方向に加速されたイオンは、基板をエッチングするために、平行化されて、平行化されたイオン・ビームを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーズ・ファセット方向に面するブレーズ・ファセットと、反ブレーズ・ファセット方向に面する反ブレーズ・ファセットとを有する突条を備える、ブレーズド格子を製造する方法(100)であって、前記ブレーズ・ファセット方向及び前記反ブレーズ・ファセット方向が、格子断面に沿って延出し、前記方法が、
- 基板、及び前記基板上に、パターン形成されたマスク層を準備する工程(110)と、
- 1次イオンが、1次エッチング方向に加速されて、前記基板に衝突するように、前記基板の1次乾式エッチングを実行する工程(120)と、
- 2次イオンが、2次エッチング方向に加速されて、前記基板に衝突するように、前記基板の2次乾式エッチングを実行する工程(150)と
を含み、前記格子断面上への、前記1次エッチング方向の1次投射と、前記格子断面上への、前記2次エッチング方向の2次投射とがそれぞれ、前記ブレーズ・ファセット方向と反ブレーズ・ファセット方向との一方と他方とに対して垂直に延出し、前記格子断面上へ、前記ブレーズ・ファセット方向に対して垂直な投射方向に加速されたイオンが、前記基板をエッチングするために、平行化されて、平行化されたイオン・ビームを形成する、方法(100)。
【請求項2】
1次乾式エッチングを実行する前記工程(120)が、前記1次エッチング方向に沿って前記基板に延在する溝を形成するステップ(124)を含み、前記方法(100)が、格子間の形体を形成するために、第1の材料を前記溝内に堆積させる工程(130)を含み、2次乾式エッチングを実行する前記工程(150)が、前記格子間の形体をエッチング止めとして利用するステップ(154)を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記方法(100)が、2次乾式エッチングを実行する前記工程(150)の前に、前記基板の突条部分を露出させる工程(140)を含む、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
第1の材料を前記溝内に堆積させる前記工程(130)が、原子層堆積(131)ステップを含む、請求項2又は3に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記基板と前記マスク層との間の界面が、基部平面に沿って延在し、前記1次投射又は前記2次投射が、前記基部平面に対して垂直に延出する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記1次エッチング方向又は前記2次エッチング方向が、前記基部平面に対して垂直に延出する、請求項5に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記基板と前記マスク層との間の界面が、基部平面に沿って延在し、前記1次投射及び前記2次投射が、前記基部平面に対して斜めに延出する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
基板及びパターン形成されたマスク層を準備する前記工程(110)が、前記基板上に配置されたコーティングに複数の細長い貫通孔を設けて、マスク層を形成するステップ(111)を含み、前記複数の細長い貫通孔が、前記格子断面に対して垂直に延在する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記1次イオンが、1次エッチング状態の下で、前記マスク層との第1の1次化学反応性、及び前記基板との、前記第1の1次化学反応性よりも高い第2の1次化学反応性を示し、且つ/又は前記2次イオンが、2次エッチング状態の下で、前記マスク層との第1の2次化学反応性、及び前記基板との、前記第1の2次化学反応性よりも高い第2の2次化学反応性を示す、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記ブレーズド格子が、光を導波路内に結合するため、且つ/又は前記導波路の外へ結合するために、前記導波路の面上に形成される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記ブレーズド格子が、ナノインプリント用スタンプの接触面上に形成される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、回折格子に関する。この開示は、詳細には、ブレーズド格子に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の表面レリーフ回折格子、いわゆるバイナリ格子は、複数の突条及び溝を備え、突条の頂部と溝の底部とが、互いに平行に延在する。かかるバイナリ格子を製造するための、よく知られた製造工程が存在する。かかるバイナリ格子の場合、垂直入射光は回折され、その結果、負の回折次数と正の回折次数との両方で、等しい回折効率が生じる。この効果は、バイナリ格子の断面形状の鏡面対称性によって生じる。
【0003】
多くの用途、例えば、多くの導波路ベースのディスプレイ構造体では、1次又は複数の特定の回折次数への優先的な回折が望ましい場合があり、他の回折次数への回折は、光損失とみなされる場合がある。光を特定の回折次数に優先的に向けるためには、非鏡面対称の断面形状を有する格子を使用しなければならない。かかる非対称格子の一実例は、三角形又は鋸歯状の断面形状を有する、いわゆるブレーズド格子である。
【0004】
ブレーズド格子は、典型的には、グレースケール・リソグラフィに基づく工程を使用して製造される。かかる工程は、許容できる特性を有する格子を生成するよう改良されてきたが、グレースケール・リソグラフィを使用して生産されるブレーズド格子の形体、特に頂点は、典型的なグレースケール・リソグラフィ用レジストのコントラストが低いため、一般に比較的丸みを帯びている。理想的なブレーズド形状とのかかる差異は、グレースケール・リソグラフィを使用して生産されるブレーズド格子の回折効率を低下させ、且つ/又はかかる格子によって生じる、光散乱を増大させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮すると、ブレーズド格子に関する新しい解決策を開発することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、下記の詳細な説明でさらに説明される簡略化された形態での、概念の選択肢を紹介するために提示される。この概要は、特許請求の範囲に記載された主題の主要機能又は本質的な機能を、特定することを意図するものではなく、また特許請求の範囲に記載された主題の範囲を、限定するために使用することを意図するものでもない。
【0007】
この明細書では、ブレーズ・ファセット方向に面するブレーズ・ファセットと、反ブレーズ・ファセット方向に面する反ブレーズ・ファセット(anti-blaze facet)とを有する突条を備える、ブレーズド格子を製造する方法が提供され、ブレーズ・ファセット方向及び反ブレーズ・ファセット方向は、格子断面に沿って延出する。この方法は、基板及び基板上に、パターン形成されたマスク層を準備するステップと、1次イオンが1次エッチング方向に加速され、基板に衝突するように、基板の1次乾式エッチングを実行するステップと、2次イオンが2次エッチング方向に加速され、基板に衝突するように、基板の2次乾式エッチングを実行するステップとを含む。
【0008】
格子断面上への1次エッチング方向の1次投射(projection)と、格子断面上への2次エッチング方向の2次投射とはそれぞれ、ブレーズ・ファセット方向と反ブレーズ・ファセット方向との一方と他方とに対して垂直に延出し、格子断面上へ、ブレーズ・ファセット方向に対して垂直な投射方向に加速された(1次イオン及び2次イオンの)イオンは、基板をエッチングするために、平行化されて、平行化されたイオン・ビームを形成する。
【0009】
本開示は、添付図面を考慮して以下の詳細な説明を読むことにより、より適切に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ブレーズド格子を製造する方法を示す図である。
図2A】ブレーズド格子を製造する方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図2B】ブレーズド格子を製造する方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図2C】ブレーズド格子を製造する方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図2D】ブレーズド格子を製造する方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図2E】ブレーズド格子を製造する方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3A】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3B】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3C】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3D】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3E】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3F】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3G】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図3H】ブレーズド格子を製造する別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図4A】ブレーズド格子を製造するさらに別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図4B】ブレーズド格子を製造するさらに別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図4C】ブレーズド格子を製造するさらに別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図4D】ブレーズド格子を製造するさらに別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図4E】ブレーズド格子を製造するさらに別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
図4F】ブレーズド格子を製造するさらに別の方法の、一連の後続する段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
そうでないことが特に記載されていない限り、前述の図面のうちのいずれの図面も、この図面の実施例の特定の構造的側面を強調するために、一定の縮尺で描かれていない可能性があり、したがって、この図面の任意の要素が、この図面の他の要素に対して不正確な比率で描かれている可能性がある。
【0012】
図面に提示した実施例の対応する要素、例えば同一又は類似の要素は、同じ参照番号を使用して参照されている。前述の図面の対応する要素は、この図面の実施例の特定の構造的側面を強調するために、この図面内で互いに不均衡な場合がある。
【0013】
図1は、ブレーズ・ファセット方向に面するブレーズ・ファセットと、反ブレーズ・ファセット方向に面する反ブレーズ・ファセットとを有する突条を備える、ブレーズド格子を製造する方法100を示し、ブレーズ・ファセット方向及び反ブレーズ・ファセット方向は、格子断面に沿って延出する。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、図1の実施例の方法100と同一、類似、又は相異なっていてもよい。
【0014】
方法100は、図1の実施例では、基板及び基板上に、パターン形成されたマスク層を準備するステップ110と、1次イオンが1次エッチング方向に加速され、基板に衝突するように、基板の1次乾式エッチングを実行するステップ120と、2次イオンが2次エッチング方向に加速され、基板に衝突するように、基板の2次乾式エッチングを実行するステップ150とを含む。
【0015】
この明細書全体を通じて、「乾式エッチング」とは、イオンの衝撃にさらすことによる材料の除去を指すことができる。典型的な乾式エッチング技法には、反応性イオン・エッチング(RIE:Reactive Ion Etching)、深掘り反応性イオン・エッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)、誘導結合プラズマ反応性イオン・エッチング(ICP-RIE:Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching)、イオン・ミリング、イオン・ビーム・エッチング(IBE:Ion beam Etching)、反応性イオン・ビーム・エッチング(RIBE:Reactive Ion Beam Etching)、及びその変形が含まれる。
【0016】
この明細書において、特定のイオンが、特定の方向に「加速され」、基板に衝突するように、基板の乾式エッチングを実行することとは、イオンが、特定の方向に平均速度、例えばドリフト速度を加えられていることを指すことができる。かかるイオンは、典型的には、電場によって特定の方向に加速され得る。
【0017】
図1の実施例では、格子断面上への1次エッチング方向の1次投射と、格子断面上への2次エッチング方向の2次投射とはそれぞれ、ブレーズ・ファセット方向と反ブレーズ・ファセット方向との一方と他方とに対して垂直に延出し、格子断面上へ、ブレーズ・ファセット方向に対して垂直な投射方向に加速された(1次イオン及び2次イオンの)イオンは、基板をエッチングするために、平行化されて、平行化されたイオン・ビームを形成する。概ね、かかる1次エッチング方向及び2次エッチング方向により、そして基板をエッチングするために、ブレーズ・ファセット方向に対して垂直な、平行化されたイオン・ビームを利用することにより、より鋭利な、又はより丸みが少ない形体、例えば頂点及び/又はファセットを有する、ブレーズド格子を容易に製造することができる。
【0018】
本明細書において、「平行化されたイオン・ビーム」とは、コリメータから特定のエッチング方向、例えば1次エッチング方向又は2次エッチング方向へ伝播する、イオンのビームを指すことができる。追加的又は代替的に、コリメータから特定のエッチング方向へ伝播するイオン・ビームが、例えば、イオン・ビームが1次エッチング方向から4°、3°、又は2°の最大角度誤差を有する場合に、平行化されたイオン・ビームと呼ばれることがある。平行化されたイオン・ビームが、基板をエッチングするために形成される場合、かかる最大角度誤差は、基板の位置で決定され得る。
【0019】
1次乾式エッチングを実行する工程120は、破線を使用して図1に示しているように、任意選択で、1次エッチング方向に沿って基板に延在する溝を形成するステップ124を含んでもよく、方法100は、任意選択で、溝内に第1の材料を堆積させて格子間の形体(interstitial feature)を形成するステップ130を含んでもよく、2次乾式エッチングを実行する工程150は、任意選択で、格子間の形体をエッチング止めとして利用するステップ154を含んでもよい。概して、2次乾式エッチングを実行する際に、格子間の形体をエッチング止めとして利用すると、より鋭利でより丸みが少ない形体、並びに/又はより滑らか且つ/若しくはより均一なファセットを有する、ブレーズド回折格子を容易に製造することができる。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、かかる形体のうちの1つ又は複数を有しても、有していなくてもよい。
【0020】
この明細書において、「工程」とは、最終結果に至る一連の、1つ又は複数の工程を指すことができる。工程は、したがって、単一ステップの工程であっても、複数ステップの工程であってもよい。工程はさらに、複数の部分的工程に分割可能であってもよく、かかる複数の部分的工程のうちの個々の部分的工程は、共通のステップを共有していても、しないなくてもよい。
【0021】
本明細書において、「ステップ」は、予め定義された結果を達成するために取られる措置を、指すことができる。例えば、「原子層堆積ステップ」は、原子層堆積によって層が形成される工程のステップを指すことができる。
【0022】
方法100は、やはり破線を使用して図1に示しているように、任意選択で、2次乾式エッチングを実行する工程150の前に、基板の突条部分を露出させるステップ140を含んでもよい。概して、2次乾式エッチングを実行する工程の前に、基板の突条部分を露出させるステップにより、後処理ステップなしにブレーズド格子を容易に形成でき、これにより、2次乾式エッチングを実行する工程の際に、基板の解放された部分が除去される。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、2次乾式エッチングを実行する工程の前に、基板の突条部分を露出させるステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0023】
さらに、溝内に第1の材料を堆積する工程130は、任意選択で、原子層堆積ステップ131を含んでもよい。概して、溝内に第1の材料を堆積する工程が、原子層堆積ステップを含むことにより、より狭い溝内に、且つ/又は均一性を高めて、格子間の形体を容易に形成することができる。第1の材料を溝内に堆積させる工程は、他の実施例では、原子層堆積ステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0024】
やはり破線を使用して図1に示しているように、基板及びパターン形成されたマスク層を準備する工程110は、任意選択で、基板上に配置されたコーティングに複数の細長い貫通孔を設けて、マスク層を形成するステップ111を含んでもよく、複数の細長い貫通孔は、格子断面に対して垂直に延在する。基板及びパターン形成されたマスク層を準備する工程は、他の実施例では、基板上に配置されたコーティングに複数の細長い貫通孔を設けて、マスク層を形成するステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0025】
ブレーズド格子を製造する方法は、一実施例では、図1の実施例の方法100の工程に相当する工程を、実施するステップを含む。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、図1の実施例の方法100の、任意選択でない工程に相当する工程を、実施するステップを含んでもよい。ブレーズド格子を製造する方法は、概して、図1の実施例の方法100に関連して本明細書では開示されていない、任意の数の追加工程又はステップを含んでもよい。
【0026】
図1の実施例の方法100の工程のうちのいずれかに相当する工程を実施する、ブレーズド格子を製造する方法のステップは、固定された順序で実行する必要はない。しかし、方法100の、基板及びパターン形成されたマスク層を準備する工程110に相当する、工程を実施する任意のステップは、概して、1次乾式エッチングを実行する工程120及び2次乾式エッチングを実行する工程150のうちのいずれかに相当する、任意の工程を実施するステップより前に実行され得、方法100の、基板に延在する溝を形成する工程124に相当する工程を実施する、どんなステップも、概して、溝内に第1の材料を堆積させる工程130に相当する、どんな工程を実施するステップより前に実行され得、方法100の、溝内に第1の材料を堆積させる工程130に相当する工程を実施するどんなステップも、概して、格子間の形体をエッチング止めとして利用する工程154に相当する、どんな工程を実施するステップより前に実行され得る。
【0027】
図2Aから図2Eは、この明細書全体を通じ、総称して図2と呼ばれ、ブレーズ・ファセット方向212に面するブレーズ・ファセット211と、反ブレーズ・ファセット方向214に面する反ブレーズ・ファセット213とを有する突条210を備える、ブレーズド格子200を製造する方法の一連の後続する段階を概略的に示しており、一実施例によれば、ブレーズ・ファセット方向212及び反ブレーズ・ファセット213は、格子断面215に沿って延出している。図2では、格子断面215は、図2Aから図2Eの図面の平面に対して、垂直に延在する。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、図2の実施例の方法の段階と同様の、又は相異なる、一連の段階を含んでもよい。
【0028】
図2の実施例は、図1を参照して、且つ/又は図1と併せて開示された、実施例のいずれかに準拠することができる。図2の実施例は、追加的又は代替的に、以下で明示的には記載されていないが、概して、図1を参照して、且つ/又は図1と併せて開示された実施例のうちのいずれかの、任意の機能を有することができる。
【0029】
ブレーズド格子200は、図2Eを参照すると、複数の突条210を備え、複数の突条210の各突条は、ブレーズ・ファセット方向212に面するブレーズ・ファセット211と、反ブレーズ・ファセット方向214に面する反ブレーズ・ファセット213とを有する。ブレーズド格子は、他の実施例では、少なくとも1つのかかる突条、又は複数の、すなわち少なくとも2つのかかる突条を備えることができる。
【0030】
この方法は、図2A及び図2Bを参照すると、基板220と、基板220上に、パターン形成されたマスク層230とを準備するステップを含む。基板220及びパターン形成されたマスク層230を準備する工程は、基板220上にコーティング232を施すステップと、コーティング232に複数の細長い貫通孔231を設けてマスク層230を形成するステップとを含む。複数の細長い貫通孔231は、格子断面215に対して垂直に延在する。
【0031】
図2の実施例の基板220は、任意の好適な塗布方法、例えば回転コーティング、吹付けコーティング、及び/又はインクジェット印刷を使用して、高屈折率ポリマー材料で形成され得る。基板は、他の実施例では、任意の好適な材料を含んでもよく、任意の好適な工程を使用して形成されてもよい。
【0032】
図2の実施例のマスク層230は、電子ビーム蒸着によって堆積された酸化アルミニウム(AlO)で形成され得る。マスク層は、他の実施例では、任意の好適な材料、例えば、酸化アルミニウム(AlO/AlO)、酸化チタン(TiO/TiO)、酸化ケイ素(SiO/SiO)、及び/又は窒化ケイ素(Si/SiN)などの酸化物材料及び/又は窒化物材料を含む、無機材料を含んでもよく、任意の好適な工程、例えば、スパッタリング、蒸着、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)、誘導結合プラズマ化学気相蒸着(ICP-CVD:Inductively Coupled Plasma Chemical Vapor Deposition)、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)、及び/又はその変形を使用して形成され得る。
【0033】
図2の実施例の方法は、ブレーズド格子を製造する方法の一実例を構成することができ、これによりブレーズド格子は、光を導波路内に結合するために、且つ/又は導波路の外へ結合するために、導波路の面上に形成される。基板220は、したがって、導波路270の面271上に配置され得る。ブレーズド格子は、他の実施例では、任意の好適な用途における任意の好適な使用のために、例えば、光を導波路内に結合するため、且つ/又は導波路の外へ結合するために、導波路の面上に形成され得る。
【0034】
基板220が導波路270の面271上に配置される場合、図2の実施例のブレーズド格子200は、導波路270上に配置された追加の材料層に形成される。ブレーズド格子は、他の実施例では、光を導波路内に結合するため、且つ/又は導波路の外へ結合するために、導波路の面上に形成され、このブレーズド格子は、かかる追加の材料層上に配置されても、配置されなくてもよい。ブレーズド格子は、いくつかのかかる実施例では、導波路内に直接形成されてもよい。
【0035】
「導波路」は、この開示では、光導波路を指すことができる。導波路は、追加的又は代替的に、2次元導波路を指すことができ、光は、この導波路の厚さ方向に沿って閉じ込められ得る。
【0036】
さらに、導波路の「面」は、特定の視線方向から見える、又は特定の視線方向に面する、この導波路の表面の一部を指すことができる。導波路の面は、追加的又は代替的に、内部全反射によってこの導波路内に光を閉じ込めるのに好適な、又は光を閉じ込めるよう構成された、表面を指すことができる。
【0037】
この方法は、図2Cを参照すると、白い点で概略的に示している1次イオン121が、1次エッチング方向122に加速され、基板220に衝突するように、基板220の1次乾式エッチングを実行するステップを含む。
【0038】
図2の実施例では、格子断面215上への1次エッチング方向122の1次投射123は、反ブレーズ・ファセット方向214に対して垂直に延出する。格子断面上への、1次エッチング方向の1次投射は、他の実施例では、ブレーズ・ファセット方向又は反ブレーズ・ファセット方向に対して、垂直に延出することができる。
【0039】
図2の実施例の1次乾式エッチングを実行する工程は、1次エッチング方向122に沿って基板220内に延在する、溝240を形成するステップを含む。1次乾式エッチングを実行する工程は、他の実施例では、かかる溝を形成するステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0040】
図2B及び図2Cに示しているように、基板とマスク層との間の界面222は、基部平面260に沿って延在し、1次投射123は、基部平面260に対して垂直に延出する。基部平面260は、格子断面215に対して垂直に延在する。概して、基部平面に対して垂直に延出する1次投射又は2次投射により、直立した反ブレーズ・ファセットを有するブレーズ格子の形成が可能となり得、これにより回折効率が向上する可能性がある。1次投射又は2次投射は、他の実施例では、基部平面に対して垂直に延出しても、垂直に延出しなくてもよい。
【0041】
本明細書において、「基部平面」とは、基板とマスク層との間の界面がそれに沿って延在する、仮想的な表面を指すことができる。基部平面は、例えば平坦な界面の場合には平面であってもよく、例えば湾曲した界面の場合には湾曲していてもよい。
【0042】
図2の実施例では、1次エッチング方向122は、格子断面215と平行に延出することができる。したがって、1次エッチング方向122は、基部平面260に対して垂直に延出することができる。概して、基部平面に対して垂直に延出する、1次エッチング方向又は2次エッチング方向により、反応性イオン・エッチング(RIE)及びイオン・ミリングを含む、より広範囲の乾式エッチング技法の利用が可能となり得る。1次エッチング方向又は2次エッチング方向は、他の実施例では、基部平面に対して垂直に延出しても、垂直に延出しなくてもよい。例えば、いくつかの実施例では、第1の投射及び第2の投射のそれぞれが、基部平面に対して斜めに延出してもよい。概して、基部平面に対して斜めに延出する1次投射及び2次投射により、傾斜した反ブレーズ・ファセットを有するブレーズ格子の形成が可能となり得、これにより、例えば、ブレーズ格子の回折効率を、容易に空間的に調節することができる。
【0043】
1次エッチング方向122は、基部平面260に対して垂直に延出できるので、図2の実施例の1次乾式エッチングを実行する工程は、RIEステップを含むことができる。RIEステップの際に、例えば酸素プラズマを使用して、基板220をエッチングすることができる。1次エッチング方向又は2次エッチング方向が、基部平面に対して垂直に延出する他の実施例では、1次乾式エッチングを実行する工程は、任意の好適なステップ、例えば、RIEステップ及び/又はイオン・ミリングのステップを含むことができる。
【0044】
この方法は、図2Dを参照すると、黒い点で概略的に示している2次イオン151が、2次エッチング方向152に加速され、基板220に衝突するように、基板220の2次乾式エッチングを実行するステップを含む。
【0045】
図2の実施例では、格子断面215上への、2次エッチング方向152の2次投射153は、ブレーズ・ファセット方向212に対して垂直に延出する。格子断面上への、2次エッチング方向の2次投射は、他の実施例では、ブレーズ・ファセット方向又は反ブレーズ・ファセット方向に対して、垂直に延出することができる。
【0046】
図2の実施例では、2次イオン151は、基板220をエッチングするために、平行化されて、平行化された2次イオン・ビームを形成する。他の実施例では、1次イオン及び/又は2次イオンは、基板をエッチングするために、平行化されて、平行化された1次イオン・ビーム及び/又は平行化された2次イオン・ビームを形成することができる。
【0047】
図2の実施例の、2次乾式エッチングを実行する工程は、RIBEステップを含むことができる。かかるRIBEステップの際に、例えば酸素イオンを使用して、基板220をエッチングすることができる。他の実施例では、イオンが、格子断面上へ、ブレーズ・ファセット方向に対して垂直な投射方向に加速され、このイオンが、基板をエッチングするために、平行化されて、平行化されたイオン・ビームを形成する、乾式エッチングを実行する工程は、任意の好適なステップ、例えばIBEステップ及び/又はRIBEステップを含むことができる。
【0048】
図2Eを参照すると、この方法は、後処理ステップをさらに含み、これにより、2次乾式エッチングを実行する工程の際に、基板220の解放された部分が除去され、複数の突条210を形成する。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、かかる後処理ステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0049】
図2の実施例の後処理ステップは、水浸漬ステップなどの湿式洗浄ステップとして実施することができる。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、後処理ステップを含み、これにより2次乾式エッチングを実行する工程の際に、基板の解放された部分が除去されて、1つ又は複数の突条を形成し、後処理ステップは、任意の好適なやり方で、例えば、水浸漬ステップなどの湿式洗浄ステップとして、実施することができる。
【0050】
図2の実施例では、1次エッチング状態の下で(すなわち、1次乾式エッチングを実行する工程において)、1次イオン121は、マスク層230との第1の1次化学反応性、及び基板220との、第1の1次化学反応性よりも高い第2の1次化学反応性を示すことができる。さらに、2次エッチング状態の下で(すなわち、2次乾式エッチングを実行する工程において)、2次イオン151は、マスク層230との第1の2次化学反応性、及び基板220との、第1の2次化学反応性よりも高い第2の2次化学反応性を示すことができる。概して、基板のエッチングに、かかる反応性イオンを利用することにより、乾式エッチング工程の選択性が高まる可能性があり、さらに、より鋭利でより丸みの少ない形体を有するブレーズド格子を、容易に製造することができる。かかる反応性イオンが利用される乾式エッチング技法の実例には、RIE、DRIE、ICP-RIE、RIBE、及びこれらの変形が含まれる。他の実施例では、1次イオンが、1次エッチング状態の下で、マスク層との第1の1次化学反応性、及び基板との、第1の1次化学反応性よりも高い第2の1次化学反応性を、示しても示さなくてもよく、且つ/又は2次イオンが、2次エッチング状態の下で、マスク層との第1の2次化学反応性、及び基板との、第1の2次化学反応性よりも高い第2の2次化学反応性を、示しても示さなくてもよい。
【0051】
図3Aから図3Hは、この明細書全体を通じ、総称して図3と呼ばれ、ブレーズ・ファセット方向212に面するブレーズ・ファセット211と、反ブレーズ・ファセット方向214に面する反ブレーズ・ファセット213とを有する突条210を備える、ブレーズド格子200を製造する方法の一連の後続する段階を概略的に示しており、一実施例によれば、ブレーズ・ファセット方向212及び反ブレーズ・ファセット213は、格子断面215に沿って延出している。図3では、格子断面215は、図3Aから図3Hの図面の平面に対して、垂直に延在する。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、図3の実施例の方法の段階と同様の、又は相異なる、一連の段階を含んでもよい。
【0052】
図3の実施例は、図1及び図2のいずれかを参照して、且つ/又は図1及び図2のいずれかと併せて開示された、実施例のいずれかに準拠することができる。図3の実施例は、追加的又は代替的に、以下で明示的には記載されていないが、概して、図1及び図2のいずれかを参照して、且つ/又は図1及び図2のいずれかと併せて開示された実施例のうちのいずれかの、任意の好適な機能を有することができる。
【0053】
この方法は、図3Aから図3Cを参照すると、基板220及び基板220上に、パターン形成されたマスク層230を準備するステップを含み、準備するステップは、基板220上にコーティング232を施すステップと、コーティング232に複数の細長い貫通孔231を設けて、マスク層230を形成するステップとを含み、この方法はまた、白い点で概略的に示されている1次イオン121が、1次エッチング方向122に加速され、基板220に衝突するように、基板220の1次乾式エッチングを実行するステップを含む。
【0054】
図3の実施例では、格子断面215上への、1次エッチング方向122の1次投射123は、反ブレーズ・ファセット方向214に対して垂直に延出する。さらに、図3の実施例の1次乾式エッチングを実行する工程は、1次エッチング方向122に沿って基板220内に延在する、溝240を形成するステップを含む。
【0055】
基板及びパターン形成されたマスク層を準備し、図3の実施例の1次乾式エッチングを実行する工程は、図2を参照しながら上記で開示されたものに従って実施できるので、これらの工程のさらなる詳細は、簡潔及び簡略にするために、ここでは省略される。
【0056】
この方法は、図3D及び図3Eを参照すると、第1の材料250を溝240内に堆積させて格子間の形体251を形成するステップと、第1の材料250を溝240内に堆積させる工程の前に、パターン形成されたマスク層230を除去するステップとを含む。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、溝内に第1の材料を堆積させて、格子間の形体を形成するステップを含んでも、含まなくてもよい。実施例では、ブレーズド格子を製造する方法が、溝内に第1の材料を堆積させ、格子間の形体を形成するステップを含む場合、この方法は、第1の材料を溝内に堆積する工程の前に、パターン形成されたマスク層を除去するステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0057】
図3の実施例の第1の材料250は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)で堆積される、酸化アルミニウム(AlO又はAlO)であってもよい。マスク層は、他の実施例では、任意の好適な工程を使用して形成され得る、任意の好適な材料、例えば、酸化アルミニウム(AlO/AlO)、酸化チタン(TiO/TiO)、酸化ケイ素(SiO/SiO)若しくは窒化ケイ素(Si/SiN)、又はこれらの混合物などの、酸化物材料又は窒化物材料を含むことができる。第1の材料は、概して、任意の好適な堆積方法、例えば、スパッタリング、蒸着、化学気相蒸着(CVD)、PECVD、誘導結合プラズマ化学気相蒸着(ICP-CVD)、原子層堆積(ALD)、及び/又はその変形を使用して堆積され得る。
【0058】
この方法は、図3Fを参照すると、2次乾式エッチングを実行する工程の前に、基板220の突条部分221を露出させるステップを含む。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、2次乾式エッチングを実行する工程の前に、基板の突条部分を露出させるステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0059】
図3の実施例では、基板220の突条部分221を露出させる工程は、追加の乾式エッチングのステップを含むことができる。言い換えると、突条部分221を覆う第1の材料250の少なくとも一部を、乾式エッチング法を使用してエッチングすることができる。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、基板の突条部分を露出させるステップを含み、突条部分を露出させるこの工程は、任意の好適なやり方で実施することができる。
【0060】
この方法は、図3Gを参照すると、黒い点で概略的に示している2次イオン151が、2次エッチング方向152に加速され、基板220に衝突するように、基板220の2次乾式エッチングを実行するステップを含む。2次イオン151は、基板220をエッチングするために、平行化されて、平行化された2次イオン・ビームを形成する。
【0061】
2次乾式エッチングを実行する工程は、図3の実施例では、格子間の形体251をエッチング止めとして利用するステップを含む。2次乾式エッチングを実行する工程は、他の実施例では、格子間の形体をエッチング止めとして利用するステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0062】
図3の実施例では、格子間の形体251は、突条部分221から反ブレーズ・ファセット方向214に配置される。格子間の形体は、他の実施例では、突条部分から、ブレーズ・ファセット方向に配置されてもよく、又は反ブレーズ・ファセット方向に配置されてもよい。他の実施例では、格子断面上への、2次エッチング方向の2次投射が、ブレーズ・ファセット方向及び反ブレーズ・ファセット方向のうちの一方に対して垂直に延出し、格子間の形体は、突条部分から、ブレーズ・ファセット方向及び反ブレーズ・ファセット方向のうちの他方へ配置され得る。
【0063】
この方法は、図3Hを参照すると、後処理ステップをさらに含み、これにより、格子間の形体251が除去される。かかるステップは、例えば湿式エッチング・ステップとして実施することができる。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、かかる後処理ステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0064】
図4Aから図4Fは、この明細書全体を通じ、総称して図4と呼ばれ、ブレーズ・ファセット方向212に面するブレーズ・ファセット211と、反ブレーズ・ファセット方向214に面する反ブレーズ・ファセット213とを有する突条210を備える、ブレーズド格子200を製造する方法の一連の後続する段階を概略的に示しており、一実施例によれば、ブレーズ・ファセット方向212及び反ブレーズ・ファセット213は、格子断面215に沿って延出している。図4では、格子断面215は、図4Aから図4Fの図面の平面に対して、垂直に延在する。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、図4の実施例の方法の段階と同様の、又は相異なる、一連の段階を含んでもよい。
【0065】
図4の実施例は、図1から図3のいずれかを参照して、且つ/又は図1及び図2のいずれかと併せて開示された、実施例のいずれかに準拠することができる。図4の実施例は、追加的又は代替的に、以下で明示的には記載されていないが、概して、図1から図3のいずれかを参照して、且つ/又は図1から図3のいずれかと併せて開示された実施例のうちのいずれかの、任意の機能を有することができる。
【0066】
この方法は、図4Aを参照すると、基板220と、基板220上に、パターン形成されたマスク層230とを準備するステップを含む。図2の実施例の方法は、ブレーズド格子を製造する方法の一実例を構成することができ、これによりブレーズド格子は、ナノインプリント用スタンプの接触面上に形成される。したがって、図2の実施例の基板220は、接触面281を有するナノインプリント用スタンプ280であってもよい。
【0067】
ナノインプリント用スタンプ280は、図4の実施例では、単結晶シリコンで形成され得る。ナノインプリント用スタンプは、他の実施例では、任意の好適切な材料で形成されるか、又は任意の好適な材料を含んでもよい。ナノインプリント用スタンプは、例えば、いくつかの実施例では、相異なる材料で形成された複数の積層体を備えてもよい。
【0068】
図4Aに示しているように、基板220とマスク層230との間の界面222は、格子断面215に対して垂直に延在する、基部平面260に沿って延在する。
【0069】
この方法は、図4Bを参照すると、白い点で概略的に示している1次イオン121が、1次エッチング方向122に加速され、基板220に衝突するように、基板220の1次乾式エッチングを実行する。1次イオン121は、図4の実施例では、基板220をエッチングするために、平行化されて、平行化された1次イオン・ビームを形成する。1次イオンは、他の実施例では、基板をエッチングするために、平行化されて、平行化された1次イオン・ビームを形成しても、形成しなくてもよい。
【0070】
図4の実施例では、格子断面215上への、1次エッチング方向122の1次投射123は、ブレーズ・ファセット方向212に対して垂直に延出する。さらに、図4の実施例の1次乾式エッチングを実行する工程は、1次エッチング方向122に沿って基板220内に延在する、溝240を形成するステップを含む。
【0071】
この方法は、図4Cを参照すると、溝240内に第1の材料250を堆積させて、格子間の形体251を形成するステップを含む。ブレーズド格子を製造する方法は、他の実施例では、溝内に第1の材料を堆積させて、格子間の形体を形成するステップを含んでも、含まなくてもよい。
【0072】
図4の実施例では、第1の材料250を溝240内に堆積させる工程は、原子層堆積ステップを含む。言い換えると、溝240内に堆積される第1の材料250の少なくとも一部は、原子層堆積を使用して堆積される。図3の実施例の第1の材料250は、酸化アルミニウム(AlO又はAlO)であってもよい。溝内に第1の材料を堆積させる工程は、他の実施例では、原子層堆積ステップを含み、任意の好適な種類の第1の材料を使用することができる。
【0073】
この方法は、図4Dを参照すると、2次乾式エッチングを実行する工程の前に、基板220の突条部分221を露出させるステップを含む。基板220の突条部分221を露出させる工程は、図4の実施例では、例えば、突条部分221を覆うマスク層230及び第1の材料250を除去する、リフトオフ・ステップを含むことができる。
【0074】
この方法は、図4Eを参照すると、黒い点で概略的に示している2次イオン151が、2次エッチング方向152に加速され、基板220に衝突するように、基板220の2次乾式エッチングを実行するステップを含む。2次乾式エッチングを実行する工程は、格子間の形体251をエッチング止めとして利用するステップを含む。格子間の形体251は、突条部分221からブレーズ・ファセット方向212に配置されている。
【0075】
図4の実施例では、2次エッチング方向152は、格子断面215と平行に延出することができる。2次エッチング方向152は、したがって、基部平面260に対して垂直に延出することができる。2次エッチング方向152は、基部平面260に対して垂直に延出できるので、図4の実施例の1次乾式エッチングを実行する工程は、RIEステップを含むことができる。
【0076】
この方法は、最後に、図3Fを参照すると、後処理ステップをさらに含み、これにより、格子間の形体251が、例えば湿式エッチングによって除去される。
【0077】
上記で説明した実施例は、互いに組み合わせて使用できることを理解されたい。実施例のうちのいくつかを組み合わせて、さらなる実施例を形成することができる。
【0078】
当業者には、技術の進歩に伴い、本発明の基本的な考え方が、様々な手法で実現され得ることが明らかである。したがって、本発明及び本発明の実施例は、上記で説明した実例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で変更することができる。
【0079】
上記で説明した便益及び利点はいずれも、1つの実施例に関係する場合もあれば、いくつかの実施例に関係する場合もあることが理解されよう。実施例は、記載された問題の一部若しくはすべてを解決するもの、又は記載された便益及び利点の一部又はすべてを有するものに、限定されるものではない。
【0080】
「comprising」という用語は、この明細書では、1つ又は複数の追加の機能又は作用の存在を排除することなく、その後に続く機能又は作用を含むことを、意味するために使用される。「1つの」アイテムへの言及は、そうしたアイテムのうちの1つ又は複数を指すことが、さらに理解されよう。
【符号の説明】
【0081】
100 方法
110 基板及びパターン形成されたマスク層を準備するステップ
111 コーティングに複数の細長い貫通孔を設けるステップ
120 1次乾式エッチングを実行するステップ
121 1次イオン
122 1次エッチング方向
123 1次投射
124 基板に延在する溝を形成するステップ
130 溝内に第1の材料を堆積させるステップ
131 原子層堆積
140 突条部分を露出させるステップ
150 2次乾式エッチングを実行するステップ
151 2次イオン
152 2次エッチング方向
153 2次投射
154 格子間の形体をエッチング止めとして利用するステップ
200 ブレーズド格子
210 突条
211 ブレーズ・ファセット
212 ブレーズ・ファセット方向
213 反ブレーズ・ファセット
214 反ブレーズ・ファセット方向
215 格子断面
220 基板
221 突条部分
222 界面
230 マスク層
231 貫通孔
232 コーティング
240 溝
250 第1の材料
251 格子間の形体
260 基部平面
270 導波路
271 面
280 ナノインプリント用スタンプ
281 接触面
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーズ・ファセット方向に面するブレーズ・ファセットと、反ブレーズ・ファセット方向に面する反ブレーズ・ファセットとを有する突条を備える、ブレーズド格子を製造する方法(100)であって、前記ブレーズ・ファセット方向及び前記反ブレーズ・ファセット方向が、格子断面に沿って延出し、前記方法が、
- 基板、及び前記基板上に、パターン形成されたマスク層を準備する工程(110)と、
- 1次イオンが、1次エッチング方向に加速されて、前記基板に衝突するように、前記基板の1次乾式エッチングを実行する工程(120)と、
- 2次イオンが、2次エッチング方向に加速されて、前記基板に衝突するように、前記基板の2次乾式エッチングを実行する工程(150)と
を含み、前記格子断面上への、前記1次エッチング方向の1次投射が、反ブレーズ・ファセット方向に対して垂直に延出し、前記格子断面上への、前記2次エッチング方向の2次投射、前記ブレーズ・ファセット方向に対して垂直に延出し、前記格子断面上へ、前記ブレーズ・ファセット方向に対して垂直な投射方向に加速されたイオンが、前記基板をエッチングするために、平行化されて、平行化されたイオン・ビームを形成し、
前記方法(100)が、2次乾式エッチングを実行する前記工程(150)の前に、前記基板の突条部分を露出させる工程を含まず、前記マスク層が、無機材料を含む、方法(100)。
【請求項2】
1次乾式エッチングを実行する前記工程(120)が、前記1次エッチング方向に沿って前記基板に延在する溝を形成するステップ(124)を含み、前記方法(100)が、格子間の形体を形成するために、第1の材料を前記溝内に堆積させる工程(130)を含み、2次乾式エッチングを実行する前記工程(150)が、前記格子間の形体をエッチング止めとして利用するステップ(154)を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
第1の材料を前記溝内に堆積させる前記工程(130)が、原子層堆積(131)ステップを含む、請求項に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記基板と前記マスク層との間の界面が、基部平面に沿って延在し、前記1次投射又は前記2次投射が、前記基部平面に対して垂直に延出する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記1次エッチング方向又は前記2次エッチング方向が、前記基部平面に対して垂直に延出する、請求項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記基板と前記マスク層との間の界面が、基部平面に沿って延在し、前記1次投射及び前記2次投射が、前記基部平面に対して斜めに延出する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
基板及びパターン形成されたマスク層を準備する前記工程(110)が、前記基板上に配置されたコーティングに複数の細長い貫通孔を設けて、マスク層を形成するステップ(111)を含み、前記複数の細長い貫通孔が、前記格子断面に対して垂直に延在する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記1次イオンが、1次エッチング状態の下で、前記マスク層との第1の1次化学反応性、及び前記基板との、前記第1の1次化学反応性よりも高い第2の1次化学反応性を示し、且つ/又は前記2次イオンが、2次エッチング状態の下で、前記マスク層との第1の2次化学反応性、及び前記基板との、前記第1の2次化学反応性よりも高い第2の2次化学反応性を示す、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記ブレーズド格子が、光を導波路内に結合するため、且つ/又は前記導波路の外へ結合するために、前記導波路の面上に形成される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記ブレーズド格子が、ナノインプリント用スタンプの接触面上に形成される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法(100)。
【国際調査報告】