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特表2024-518531巻き込み式外科用ドレン及び使用のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】巻き込み式外科用ドレン及び使用のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240423BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61M27/00
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570081
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022029171
(87)【国際公開番号】W WO2022241206
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/188,385
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426460
【氏名又は名称】アーリー バード メディカル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】グリーンハルジ,イー・スコット
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160HH00
4C267AA03
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB27
4C267CC25
4C267JJ05
(57)【要約】
本明細書には、反転可能多孔性メッシュを含む「巻き込み式」外科用ドレンとして構成された陰圧ドレンが記載されており、反転可能多孔性メッシュは、治療される身体領域内に均一な陰圧を拡げるために反転可能多孔性メッシュから外へ陰圧が印加されるようにする展開構成を有する。反転可能多孔性メッシュは、その後、組織をひどく破壊することなく装置の中へ後退させることができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ドレンシステムであって、
第1のルーメンを有する第1の細長部材と、
前記第1のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材と、
第1端を前記第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を前記第2の細長部材の遠位端領域へ結合された反転可能多孔性メッシュであって、前記反転可能多孔性メッシュが前記第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように展開される展開構成と、前記反転可能多孔性メッシュが反転され前記第1のルーメンの中へ後退させられる引込構成と、を有する反転可能多孔性メッシュと、
近位真空ポートから、前記反転可能多孔性メッシュが前記展開構成にあるときに前記ギャップ内に位置決めされる1つ又はそれ以上の遠位真空開口部まで延びる真空チャネルと、を備える外科用ドレンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
オクルーダルーメンが貫通しているオクルーダ、を更に備え、前記オクルーダはチャネルを封止するために半径方向外方に展開するように構成されており、更に前記第2の細長部材は前記第2のルーメンに対して滑動可能に配置されている、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダは前記第1の細長部材の外側表面へ結合されている、システム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダは封止性の膜が結合された展開可能メッシュを備えている、システム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダはバルーンを備えている、システム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダは、遠位方向に駆動されたときに当該オクルーダを展開させ且つ近位方向に駆動されたときに前記オクルーダを折り畳むように構成された滑動可能な近位端を備えている、システム。
【請求項7】
請求項2に記載のシステムであって、
前記オクルーダを展開及び収縮させるように構成されたアクチュエータ、を備えるシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記第1の細長部材は可撓性の及び/又は湾曲した管を備えている、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは、編み、織り、又は編組材料を備えている、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは不織布材料を備えている、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュはファブリックを備えている、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは24本を上回るストランドを有する編組ポリマーモノフィラメントを備えている、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは凝固促進材料を備えている、システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記真空ポートは前記第1の細長部材の近位端領域にあり、前記真空チャネルは前記第1のルーメン内を延び、前記第1の細長部材の遠位端から外へ抜ける、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記真空ポートは前記第2の細長部材の近位端領域にあり、前記真空チャネルは前記第2の細長部材の第2のルーメンを通って延びて当該第2の細長部材の遠位端領域を貫く1つ又はそれ以上の側壁チャネルから出る、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1の細長部材と前記第2の細長部材の間の1つ又はそれ以上のシール、を更に備えるシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、
前記1つ又はそれ以上のシールはOリングを備えている、システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第1の細長部材と前記第2の細長部材の相対位置をロックするように構成された1つ又はそれ以上のロック、を更に備えるシステム。
【請求項19】
外科用ドレンシステムであって、前記システムは、
第1のルーメンを有する第1の細長部材であって、可撓性である及び/又は湾曲している第1の細長部材と、
前記第1のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材と、
第1端を前記第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を前記第2の細長部材の遠位端領域へ結合された反転可能多孔性メッシュであって、前記反転可能多孔性メッシュが前記第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように展開される展開構成と、前記反転可能多孔性メッシュが反転され前記第1のルーメンの中へ後退させられる引込構成と、を有する反転可能多孔性メッシュと、
近位真空ポートから、前記反転可能多孔性メッシュが前記展開構成にあるときに前記ギャップ内に位置決めされる1つ又はそれ以上の遠位真空開口部まで延びる真空チャネルと、
オクルーダルーメンが貫通しているオクルーダであって、前記オクルーダはチャネルに対してシールを形成するように半径方向外方に展開するように構成されており、更に前記第2の細長部材は前記第2のルーメンに対して滑動可能に配置されている、オクルーダと、を備える、外科用ドレンシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダは前記第1の細長部材の外側表面へ結合されている、システム。
【請求項21】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダは封止性の膜が結合された展開可能メッシュを備えている、システム。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダはバルーンを備えている、システム。
【請求項23】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記オクルーダは、遠位方向に駆動されたときに当該オクルーダを展開させ且つ近位方向に駆動されたときに前記オクルーダを折り畳むように構成された滑動可能な近位端を備えている、システム。
【請求項24】
請求項19に記載のシステムであって、
前記オクルーダを展開及び収縮させるように構成された近位アクチュエータ、を更に備えるシステム。
【請求項25】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは、編み、織り、又は編組材料を備えている、システム。
【請求項26】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは不織布材料を備えている、システム。
【請求項27】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュはファブリックを備えている、システム。
【請求項28】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは24本を上回るストランドを有する編組ポリマーモノフィラメントを備えている、システム。
【請求項29】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記反転可能多孔性メッシュは凝固促進材料を備えている、システム。
【請求項30】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記真空ポートは前記第1の細長部材の近位端領域にあり、前記真空チャネルは前記第1のルーメン内を延び、前記第1の細長部材の遠位端から外へ抜ける、システム。
【請求項31】
請求項19に記載のシステムにおいて、
前記真空ポートは前記第2の細長部材の近位端領域にあり、前記真空チャネルは前記第2の細長部材の第2のルーメンを通って延びて当該第2の細長部材の遠位端領域を貫く1つ又はそれ以上の側壁チャネルから出る、システム。
【請求項32】
請求項19に記載のシステムであって、
前記第1の細長部材と前記第2の細長部材の間の1つ又はそれ以上のシール、を更に備えるシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムにおいて、
前記1つ又はそれ以上のシールはOリングを備えている、システム。
【請求項34】
請求項19に記載のシステムであって、
前記第1の細長部材と前記第2の細長部材の相対位置をロックするように構成された1つ又はそれ以上のロック、を更に備えるシステム。
【請求項35】
身体領域を排流する方法であって、前記方法は、
反転可能多孔性メッシュの遠位端を前記身体領域の中へ位置決めする工程であって、前記反転可能多孔性メッシュは、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を前記第1の細長部材のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材の遠位端領域へ結合されている、反転可能多孔性メッシュの遠位端を位置決めする工程と、
前記身体領域内で前記第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように前記反転可能多孔性メッシュを展開する工程と、
前記身体領域内に真空を維持するためにシールを作成する工程と、
前記展開された反転可能多孔性メッシュの前記ギャップの中へ開口する1つ又はそれ以上の真空ポートから陰圧を印加する工程と
前記反転可能多孔性メッシュを前記第1の細長部材の前記ルーメンの中へ引き入れながら前記反転可能多孔性メッシュを反転させるように前記第2の細長部材を近位方向に後退させる工程と、
前記身体領域内に前記陰圧を維持する工程と、を備える、身体領域を排流する方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
前記反転可能多孔性メッシュを展開する工程は、前記第1の細長部材の前記遠位端領域と前記第2の細長部材の前記遠位端領域の間の距離を縮める工程を備える、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、
前記部材間の距離を縮める工程は、前記第1の細長部材を前記第2の細長部材の上で遠位方向に動かす工程と前記第2の細長部材を前記第1の細長部材内で近位方向に動かす工程の一方又は両方を備える、方法。
【請求項38】
請求項35に記載の方法において、
前記反転可能多孔性メッシュを展開する工程は、当該反転可能多孔性メッシュを1つの方向に別の方向より多く展開する工程を備える、方法。
【請求項39】
請求項35に記載の方法において、
前記シールを作成する工程は、前記第1の細長部材の近位領域上に位置決めされたオクルーダを展開する工程を備える、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、
前記オクルーダを展開する工程は、生理食塩水で当該オクルーダを膨らませる工程を備える、方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法において、
前記オクルーダを展開する工程は、封止性の部材が結合されたメッシュを展開する工程を備える、方法。
【請求項42】
請求項35に記載の方法において、
陰圧を印加する工程は、前記第1の細長部材の遠位端から吸引を印加する工程を備える、方法。
【請求項43】
請求項35に記載の方法において、
陰圧を印加する工程は、前記第2の細長部材の前記遠位端領域の側壁を貫く1つ又はそれ以上の開口部から吸引を印加する工程を備える、方法。
【請求項44】
請求項35に記載の方法であって、
前記展開された反転可能多孔性メッシュの前記ギャップの中へ開口する1つ又はそれ以上の真空ポートから陰圧を印加するときに、前記反転可能多孔性メッシュから外へ陰圧を印加することによって、前記身体領域を圧縮するための前記真空の力を分配する工程、を更に備える方法。
【請求項45】
請求項35に記載の方法において、
前記身体領域内に前記陰圧を維持する工程は、前記反転可能多孔性メッシュが前記第1の細長部材の前記ルーメンの中へ引き入れられた後に1分又はそれ以上に亘って前記陰圧を維持する工程を備える、方法。
【請求項46】
請求項35に記載の方法において、
前記反転可能多孔性メッシュの前記遠位端を位置決めする工程は、当該反転可能多孔性メッシュの前記遠位端を前記子宮内に位置決めする工程を備える、方法。
【請求項47】
出血を低減するために子宮を収縮させる方法であって、前記方法は、
反転可能多孔性メッシュの遠位端を前記子宮の中へ位置決めする工程であって、前記反転可能多孔性メッシュは、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を前記第1の細長部材のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材の遠位端領域へ結合されている、反転可能多孔性メッシュの遠位端を位置決めする工程と、
前記子宮内で前記第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように前記反転可能多孔性メッシュを展開する工程と、
前記子宮内に真空を維持するためにシールを作成する工程と、
前記展開された反転可能多孔性メッシュの前記ギャップの中へ開口する1つ又はそれ以上の真空ポートから陰圧を印加する工程と、
前記反転可能多孔性メッシュを前記第1の細長部材の前記ルーメンの中へ引き入れながら前記反転可能多孔性メッシュを反転させるように前記第2の細長部材を近位方向に後退させる工程と、
子宮出血を軽減するために前記子宮内に前記陰圧を維持する工程と、を備える、子宮を収縮させる方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(優先権の主張)
[0001]本特許出願は、2021年5月13日出願の「巻き込み式外科用ドレン及び使用のための方法」(“ROLLING SURGICAL DRAINS AND METHODS FOR USE”)と題する米国仮特許出願第63/188,385号に対する優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
(参照による援用)
[0002]本明細書の中で言及される全ての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が参照により援用されることを特定的且つ個別に指示された場合と同程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
[0003]外科用ドレンは、創傷又は体腔からの流体(血液、膿など)及び/又はガスの除去を可能にするインプラントである。これには、経鼻胃チューブ、尿道カテーテル、血管アクセスポート、脳室腹腔シャント、及び陰圧外科用ドレンが含まれる。陰圧外科用ドレンは、より新しい能動的な外科用ドレンであり、他のタイプの外科用ドレンでは実現されない利点を提供するものと確信されている。
【0004】
[0004]一般に、外科用ドレンは、炎症仲介物質、細菌、異物、及び壊死組織を除去することによって、治癒過程を支援することができる。ドレンは、灌流を害したり疼痛を生じさせたりする可能性のある圧力を和らげ、それによって病的症状を軽減し炎症を低減することができ、またドレンは治癒中に流体の容易サンプリングを可能にすることによって潜在的な合併症についてのモニタリングを可能にし、更にドレンは死腔と関連づけられる合併症に対処するのに使用できる。能動的ドレンは創傷又は体腔から流体又はガスを引くのに断続的又は連続的な陰圧を使用する。典型的には、受動的ドレンは開システムであり、能動的ドレンはドレンによって作り出される陰圧に頼るので閉システムである。
【0005】
[0005]残念なことに、陰圧ドレンが組織腔部(自然のもの及び外傷に因り形成されたものの両方)内に均一な陰圧を提供するのは困難である場合が多く、というのも、圧力が印加された場所(複数場所)の周りでは組織が重なり合って潰れ、他の領域を圧力源から封鎖してしまうこともあるからである。加えて、陰圧ドレンは、組織から、特に損傷した組織及び治癒途上の組織から、更なる損傷を引き起こすことなく、また始まったばかりの治癒を台無しにすることなく、排液を除去するのが困難なこともある。
【0006】
[0006]陰圧ドレンは分娩後子宮出血の治療に特に役立つ可能性がある。分娩後子宮出血は、子宮筋が分娩後に十分な収縮を達成できず、前に子宮胎盤空間を循環していた血流を遮断できないときに起こり得る。この収縮欠如の状態は、アトニー(緊張の欠如)と呼ばれている。子宮筋は、典型的には、組織を通って走る動脈血管を効果的に締め付ける筋肉の収縮によって血流を遮断する。場合によっては、アトニーの結果、動脈血管が子宮の中へ出血し続けることになりかねない(即ち、分娩後子宮出血)。分娩後出血又は出産後の過剰な子宮失血は世界の妊産婦死亡の主要原因である。分娩後出血を制御できないと、女性は、複数回の輸血を受けることを、また重篤な場合は子宮全摘出術を受けることを余儀なくされる可能性がある。したがって、その様な分娩後出血を制御することが望ましい。現在の医療デバイス及び外科的処置は分娩後出血又は失血量を低減するには力不足であることが証明されており、及び/又は、それらは極めて侵襲的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮特許出願第63/188,385号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0007]必要とされているのは、限定するわけではないが子宮、創傷、及び体腔を含む軟組織内に、軟組織内の組織付着及び関連する治癒を台無しにすることなく均一な陰圧領域を生成し且つ持続させることのできる陰圧ドレンである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0008]本明細書に記載の外科用ドレン及び方法は、軟組織内に均一な陰圧領域を生成し且つ持続させることのできる陰圧ドレンを提供する。これらの装置(デバイス、システム、ドレンなど)は、「巻き込み式(rolling)」外科用ドレンと呼ぶことができ、典型的には、遠位の反転可能多孔性メッシュ(invertible porous mesh)が結合された一対の同軸に配置された細長部材を含んでいる。装置は、反転可能多孔性メッシュを通して吸引を印加するように構成されている。反転可能多孔性メッシュは、展性であってもよく、治療される軟組織領域内に陰圧(吸引)を分配することができる。装置は、陰圧が持続するように軟組織領域を封鎖するのに役立つ1つ又はそれ以上の一体型又は分離型のオクルーダを含んでいてもよい。反転可能多孔性メッシュが近位方向に後退しながらそれ自体に重なって反転するように反転可能多孔性メッシュを外側の細長部材の中へ引き入れる(例えば、内側の細長部材を引っ張る)ことによって、反転可能多孔性メッシュを軟組織領域から後退させることができる。この反転させてそれ自体の中へ巻き込む工程は極めて穏やかであるので、軟組織の付着及び治癒を台無しにすることなく反転可能多孔性メッシュの除去が可能になる。
【0010】
[0009]これらの装置は、何れの適切な組織に使用されてもよく、特に組織の排流及び適切な整列が望ましいとされる軟組織傷害に、又は陰圧が望ましいとされる場所に使用されることができる。特に、これらの装置及びそれらを使用する方法は、出産後の出血を低減するために子宮を収縮させるのに有用であるだろう。
【0011】
[0010]本明細書には、外科用ドレン装置(例えば、システム、デバイスなど)が記載されている。例えば、本明細書に記載されているシステムは、第1のルーメンを有する第1の細長部材(本明細書では外側の細長部材ともいう)と、第1のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材(本明細書では内側の細長部材ともいう)と、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を第2の細長部材の遠位端領域へ結合された反転可能多孔性メッシュであって、反転可能多孔性メッシュが第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように展開される展開構成と、反転可能多孔性メッシュが反転されて第1のルーメンの中へ後退させられる引込構成と、を有する反転可能多孔性メッシュと、近位真空ポートから、反転可能多孔性メッシュが展開構成にあるときのギャップ内に位置決めされた1つ又はそれ以上の遠位真空開口部まで延びる真空チャネルと、を備えている。
【0012】
[0011]これらの装置の何れかは、装置の他の部分(例えば、第1の細長部材)と一体であるか又は他の部分から分離されていて他の部分と係合するように構成されているかの何れかである展開可能/収縮可能なオクルーダを含んでいてもよい。典型的にオクルーダは、身体領域を排流し及び/又は身体領域を潰すために陰圧を身体領域へ印加することができるように、治療される身体領域内に遠位端(反転可能多孔性メッシュを含む)が封止されるよう装置の周囲にシールを形成する。ゆえに、オクルーダは、身体領域(例えば、管路、チャネル、切開など)の中への解剖学的アクセスを含めたアクセスを閉塞及び封鎖し得る半径方向に展開可能及び折り畳み可能な封止性の領域を含むものとすることができる。オクルーダは、シールを破壊することなくオクルーダを通して装置の他の構成要素の動作を許容するチャネル又はルーメンを有していてもよい。例えば、これらの装置の何れかは、オクルーダルーメンが貫通しているオクルーダを含んでいてもよく、その場合、オクルーダは、チャネルを封止するために半径方向外方に展開するように構成され、更に、第2の細長部材は第2のルーメンに対して滑動可能に配置される。
【0013】
[0012]幾つかの実施例では、装置(例えば、システム)は、以下を備える外科用ドレンシステムとして構成されていてもよく、即ち、第1のルーメンを有する第1の細長部材であって、可撓性である及び/又は湾曲している第1の細長部材と、第1のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材と、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を第2の細長部材の遠位端領域へ結合された反転可能多孔性メッシュであって、反転可能多孔性メッシュが第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように展開される展開構成と、反転可能多孔性メッシュが反転されて第1のルーメンの中へ後退させられる引込構成と、を有する反転可能多孔性メッシュと、近位真空ポートから、反転可能多孔性メッシュが展開構成にあるときにギャップ内に位置決めされる1つ又はそれ以上の遠位真空開口部まで延びる真空チャネルと、オクルーダルーメンが貫通しているオクルーダであって、オクルーダはチャネルに対してシールを形成するように半径方向外方に展開するように構成されており、更に、第2の細長部材は第2のルーメンに対して滑動可能に配置されている、オクルーダと、を備えるシステムとして構成されていてもよい。
【0014】
[0013]前述の様に、幾つかの実施例では、オクルーダは、装置の一部として一体に形成されていてもよい(又は、装置の第1の細長部材などへ結合されていてもよい)。例えば、オクルーダは第1の細長部材の外側表面へ結合されていてもよい。オクルーダは、封止性の膜が結合された展開可能メッシュとして構成されてもよく、代替的又は追加的には、オクルーダはバルーンを含んでいてもよい。例えば、展開可能メッシュオクルーダが、遠位方向に駆動されたときにオクルーダを展開し且つ近位方向に駆動されたときにオクルーダを折り畳むように構成された滑動可能な近位端を含むように構成されていてもよい。展開可能メッシュの遠位端は、第1の細長部材の外側表面へ結合されていてもよい。これらの装置の何れかは、オクルーダを展開及び収縮させるように構成されたアクチュエータを含んでいてもよい。アクチュエータは、近位方向に滑動させることができ且つ近位方向に後退させることのできるハンドルであってもよい。アクチュエータは、オクルーダを選択された量まで開口(又は閉鎖)させて保持するために増分的に調節可能であってもよい。
【0015】
[0014]幾つかの実施例では、第1の細長部材は可撓性の及び/又は湾曲した管を備えている。例えば、第1の細長部材は、解剖学的構造内の曲がりをナビゲートできるようにするために曲げる又は湾曲させることのできるポリマーシャフトを有していてもよい。幾つかの実施例では、第1の細長部材はその長さに沿って1つ又はそれ以上の領域を予め湾曲され又は予め曲げられている。幾つかの実施例では、第1の細長部材は、その長さの全部分又は一部分に亘って操舵可能である。例えば、第1の細長部材は、操舵を可能にする1つ又はそれ以上のテンドンを含んでいてもよい。第1の細長部材は、何れの適切な長さであってもよい。例えば、第1の細長部材は、約10~100cmの間(例えば、約15~80cmの間、約20~約50cmの間など)であってもよい。第1の細長部材はポリマー材料及び/又は金属材料で形成されていてもよい。
【0016】
[0015]第2の細長部材は、その長さの全部分又は一部分に沿って可撓性であってもよく、及び/又は曲がって(例えば、予め曲げられて又は予め湾曲されて)いてもよい。第2の細長部材は第1の細長部材内に滑動可能に配置されることから、第2の細長部材は、典型的には、第1の細長部材の内径(ID)よりも小さい外径(OD)を有する。第1の細長部材内での第2の細長部材の運動は、限定されていてもよく、及び/又は第2の細長部材と第1の細長部材の相対位置を解放可能に保持することのできる1つ又はそれ以上の(例えば複数)の「停止」位置を含んでいてもよい。
【0017】
[0016]第2の細長部材は、中実部材(例えば、バー、ロッド、ワイヤなど)として形成されていてもよいし、又は中空(例えば、カテーテル、管など)であってもよい。第2の細長部材は、ポリマー材料及び/又はステンレス鋼やニチノールなどの金属材料であってもよい。
【0018】
[0017]本明細書に記載の反転可能多孔性メッシュの何れかは、編み、織り、又は編組材料であってもよい。幾つかの実施例では、反転可能多孔性メッシュは、(例えば、流体及び生物学的デブリ(例えば、膿、凝固物など)の通過を可能にするのに十分な大きさの孔を通って大きな抵抗なく通過させるポリマー材料のシート又は層の様な不織布材料である。幾つかの実施例では、反転可能多孔性メッシュはファブリックである。反転可能多孔性メッシュは、モノフィラメント又はマルチフィラメントの様な、材料の複数のフィラメント(例えば、ストランド)で形成されていてもよい。例えば、反転可能多孔性メッシュは、24本以上のストランド(例えば、30本以上のストランド、34本以上のストランド、36本以上のストランド、38本以上のストランド、40本以上のストランド、42本以上のストランドなど)を有する編組ポリマーモノフィラメントを備えていてもよい。
【0019】
[0018]反転可能多孔性メッシュは、典型的には、流体及び何らかの固体生物学的デブリ(例えば、凝血塊、膿、凝固物)を容易に通過させるのに十分な広さである複数の開口部又は孔を有する。例えば、孔は、0.1mm以上の孔径(0.2mm以上、0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、1mm以上、1.1mm以上、1.2mm以上、 1.3mm以上、1.4m以上などの孔径)を有していてもよい。例えば、織り、編組、及び/又は編み反転可能多孔性メッシュでは、ストランド間の空間によって孔が形成されていてもよい。
【0020】
[0019]反転可能多孔性メッシュは、前述の様に展開構成へと展開させることができる。幾つかの実施例では、反転可能多孔性メッシュは、展開構成へと展開するように付勢されている。例えば、反転可能多孔性メッシュは、典型的に(反転されない限りは)反転可能多孔性メッシュによって形成されるチャンバ又はポケット内を延びている第2の細長部材から離れて反転可能多孔性メッシュが展開される展開構成へ形状設定できる形状記憶材料(例えば、ニチノールなど)で形成されていてもよい。
【0021】
[0020]反転可能多孔性メッシュは、例えば第1の細長部材の遠位領域と第2の細長部材の遠位端領域の間の距離を増加させることによって反転可能多孔性メッシュが第2の細長部材に堅く押しつけて引かれる送達構成を有していてもよい。反転可能多孔性メッシュの端はこれらの遠位端領域へ付着されているので、これは反転可能多孔性メッシュを効果的に引いて第2の細長部材に押し付けて折り畳ませ、位置決め時に望ましいとされるより幅狭のプロファイルを持たせることができるだろう。次いで、反転可能多孔性メッシュを反転させることなく半径方向外方に展開させる「展開」位置を設定するために第1の細長部材の遠位端と第2の細長部材の遠位端の間の間隔を縮めることによって、反転可能多孔性メッシュは展開構成へと変換されることができる。例えば、第2の細長部材の遠位端領域がわずかに近位方向に引かれてもよい。これは、反転可能多孔性メッシュを展開するように仕向けることになり、また場合によっては、反転可能多孔性メッシュが外方に展開するのを許容することになる。他の実施例では、それは反転可能多孔性メッシュをそれ自体の上に積重させることができる。展開された反転可能多孔性メッシュの構成は、次いで、反転可能多孔性メッシュが反転可能多孔性メッシュによって形成されたチャネル又はポケットの中へ(例えば、第2の細長部材を近位方向に引っ張ることによって)引き入れられた引込構成へと移行されてもよい。幾つかの実施例では、反転可能多孔性メッシュは、完全に反転され、第1の細長部材のルーメンの中へ引き入れられてもよい(その間、反転可能多孔性メッシュの第1端は遠位にて第1の細長部材の遠位端に付着したままである)。
【0022】
[0021]これらの装置の何れかは、それらの生物学的効能を強化するために1つ又はそれ以上の材料で被覆されていてもよい。例えば、これらの装置は、凝固促進材料、例えば、アプロチニン、トラネキサム酸(TXA)、イプシロン-アミノカプロン酸、及びアミノメチル安息香酸で被覆されていてもよい。ゆえに、本明細書に記載の反転可能多孔性メッシュの何れかは凝固促進材料を含んでいてもよい。
【0023】
[0022]真空ポートは、第1の細長部材の遠位端から外へ、及び/又は、第2の細長部材の遠位端領域を貫く1つ又はそれ以上の真空ポート開口部から外へ開口していてもよい。一般に、真空ポートは、反転可能多孔性メッシュが展開構成にあるときに反転可能多孔性メッシュ内に形成されるギャップ(例えば、チャンバ又はポケット)の中へ開口している。反転可能多孔性メッシュは、液体及び物質を容易に通過させるように構成された孔を含んでいるので、反転可能多孔性メッシュは、身体領域(例えば、子宮の様な体腔など)内に陰圧の力を分配するのに役立ち得る。展開構成にある反転可能多孔性メッシュは、そうでなければ身体領域の一部分だけを封じて均一排流を妨げてしまうことになる局所的な高陰圧領域を防止することができる。
【0024】
[0023]例えば、真空ポートは第1の細長部材の近位端領域にあってもよく、真空チャネルは第1のルーメン内を延び第1の細長部材の遠位端から外へ抜ける。幾つかの実施例では、真空ポートは第2の細長部材の近位端領域にあり、真空チャネルは第2の細長部材の第2のルーメンを通り第2の細長部材の遠位端領域を貫く1つ又はそれ以上の側壁チャネルから出る。
【0025】
[0024]一般に、装置(例えば、システム、デバイスなど)は、第1の細長部材と第2の細長部材の間に1つ又はそれ以上のシールを含んでいてもよい。シールは、第1の細長部材が第2の細長部材のルーメン内を多くの滑動力を要することなく滑動するのを可能にさせるように構成される(例えば、成形される、位置決めされる、適切な材料で形成されるなど)ことができる。例えば、シールは、Oリング(又は複数のOリング)であってもよく、Oリングは潤滑されていてもよいし又は潤滑されていなくてもよい。
【0026】
[0025]前述の様に、装置(例えば、システム)は、第1の細長部材と第2の細長部材の相対位置を保持するように構成されることができる。これは、第1の細長部材と第2の細長部材の相対位置を固定(例えば、解除可能に固定)するように構成されたロックの様なロック機構によって果たされてもよい。ロックは、保持力に打ち勝つために追加の力が印加されるまで相対位置を保持させることができる。例えば、ロックは、装置の近位端のラチェット要素(例えば、近位端のハンドル上又はハンドルの一部)であってもよい。
【0027】
[0026]本明細書には、ここに記載の装置の何れかを使用して身体領域から物質(例えば、流体)を除去する及び/又は身体領域を収縮させる方法も記載されている。これらの方法は、身体領域を排流し及び/又は身体領域を収縮させる方法であるとしてもよい。これらの方法は、出血を低減する方法であるとしてもよい。何れの適切な身体領域が、記載されている様に処置されてもよい。例えば、身体領域は子宮であってもよく、そうすると方法は出血を低減するために子宮を収縮させる方法であるとしてもよい。身体領域は創傷であってもよく、そうすると方法は創傷を排流することによって治癒を増進する方法、及び/又は出血を低減する方法、及び/又は治癒を増進する方法であるとしてもよい。例えば、これらの方法及び装置は、乳房手術、胸部創傷やヘルニアの治療(例えば、排流など)に続いて使用されてもよい。
【0028】
[0027]例えば、本明細書には以下の工程を備えた身体領域を排流する方法が記載されており、即ち、方法は、反転可能多孔性メッシュの遠位端を身体領域の中へ位置決めする工程であって、反転可能多孔性メッシュは、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を第1の細長部材のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材の遠位端領域へ結合されている、反転可能多孔性メッシュの遠位端を位置決めする工程と、身体領域内で第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように反転可能多孔性メッシュを展開する工程と、身体領域内に真空を維持するためにシールを作成する工程と、展開された反転可能多孔性メッシュのギャップの中へ開口する1つ又はそれ以上の真空ポートから陰圧を印加する工程と、反転可能多孔性メッシュを第1の細長部材のルーメンの中へ引き入れながら反転可能多孔性メッシュを反転させるように第2の細長部材を近位方向に後退させる工程と、出血を軽減するために身体領域内に陰圧を維持する工程と、を備える。
【0029】
[0028]前述の様に、幾つかの実施例では、方法は出血を低減するために子宮を収縮させる方法であり、方法は、反転可能多孔性メッシュの遠位端を子宮の中へ位置決めする工程であって、反転可能多孔性メッシュは、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を第1の細長部材のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材の遠位端領域へ結合されている、反転可能多孔性メッシュの遠位端を位置決めする工程と、子宮内で第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように反転可能多孔性メッシュを展開する工程と、子宮内に真空を維持するためにシールを作成する工程と、展開された反転可能多孔性メッシュのギャップの中へ開口する1つ又はそれ以上の真空ポートから陰圧を印加する工程と、反転可能多孔性メッシュを第1の細長部材のルーメンの中へ引き入れながら反転可能多孔性メッシュを反転させるように第2の細長部材を近位方向に後退させる工程と、子宮出血を軽減するために子宮内に陰圧を維持する工程と、を備える。
【0030】
[0029]これらの方法の何れかでは、反転可能多孔性メッシュを展開する工程は、第1の細長部材の遠位端領域と第2の細長部材の遠位端領域の間の距離を縮める工程を含んでもよい。第1の細長部材の遠位端領域と第2の細長部材の遠位端領域の間の距離を縮める工程は、第1の細長部材を第2の細長部材の上で遠位方向に動かす工程と第2の細長部材を第1の細長部材内で近位方向に動かす工程の一方又は両方を含んでもよい。
【0031】
[0030]反転可能多孔性メッシュを展開する工程は、反転可能多孔性メッシュを1つの方向に別の方向より多く展開する工程を含んでもよい。本明細書に記載のるデバイスの何れかでは、多孔性メッシュは、特に展開されたときに軟質展性であるとしてもよい。ゆえに、これらの方法の何れかは、治療される身体領域内に多孔性メッシュを適合させる工程を含んでもよく、即ち、これは多孔性メッシュを平坦化する工程を含むとしてもよい。
【0032】
[0031]本明細書に記載の方法の何れかでは、シールを作成する工程は、第1の細長部材の近位領域上に位置決めされたオクルーダを展開する工程を備えてもよい。オクルーダを展開する工程は、生理食塩水でオクルーダを膨らませる工程及び/又は封止性の部材が結合されたメッシュを展開する工程を備えてもよい。
【0033】
[0032]陰圧を印加する工程は、第1の細長部材の遠位端から吸引を印加する工程を備えてもよい。幾つかの実施例では、陰圧を印加する工程は、第2の細長部材の遠位端領域の側壁を貫く1つ又はそれ以上の開口部から吸引を印加する工程を備える。
【0034】
[0033]一般に、これらの方法は、展開された反転可能多孔性メッシュのギャップの中へ開口する1つ又はそれ以上の真空ポートから陰圧を印加するときに、反転可能多孔性メッシュから外へ陰圧を印加することによって、身体領域を圧縮するための真空の力を分配する工程を含んでもよい。
【0035】
[0034]身体領域内の陰圧は、何れかの適切な時間の長さに亘って維持されてもよい。例えば、陰圧は、反転可能多孔性メッシュが第1の細長部材のルーメンの中へ引き入れられた後、1分又はそれ以上(例えば、2分以上、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、25分以上、30分以上、45分以上、1時間以上、1.5時間以上、2時間以上、 3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上、又は8時間以上など)に亘って維持されてもよい。
【発明の効果】
【0036】
[0035]これらの方法の何れかでは、反転可能多孔性メッシュの遠位端は、例えば子宮内などの様な、治療されるべき組織内に位置決めされることができる。
【0037】
[0036]本明細書に記載の方法及び装置はすべて、何れかの組合せで、本明細書に記載の恩恵を実現するものと考えられ、また恩恵を達成するために使用され得る。
【0038】
[0037]例示としての実施形態を説明する以下の詳細な記述及び添付図面を参照することによって、本明細書に記載の方法及び装置の特徴及び利点のより深い理解が得られるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の1つの実施例を示す。
図1B図1Aと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の1つの実施例を示す。
図1C図1A図1Bと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の1つの実施例を示す。
図1D図1A図1Cと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の1つの実施例を示す。
図1E図1A図1Dと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の1つの実施例を示す。
図2A】本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の或る実施例を示す。
図2B図2Aと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の或る実施例を示す。
図2C図2A図2Bと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の或る実施例を示す。
図2D図2A図2Cと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンとして構成された装置の或る実施例を示す。
図3A】本明細書に記載の巻き込み式ドレン装置と共に使用され得る(又は一体化され得る)オクルーダの或る実施例を示す。
図3B図3Aと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレン装置と共に使用され得る(又は一体化され得る)オクルーダの或る実施例を示す。
図4A】本明細書に記載の巻き込み式ドレンシステムを形成するための、図3A図3Bに示されている様なオクルーダと巻き込み式ドレンとの使用を示す。
図4B図4Aと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンシステムを形成するための、図3A図3Bに示されている様なオクルーダと巻き込み式ドレンとの使用を示す。
図4C図4A図4B共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンシステムを形成するための、図3A図3Bに示されている様なオクルーダと巻き込み式ドレンとの使用を示す。
図4D図4A図4Cと共に、本明細書に記載の巻き込み式ドレンシステムを形成するための、図3A図3Bに示されている様なオクルーダと巻き込み式ドレンとの使用を示す。
図5A】本明細書に記載の、組織領域を治療する方法の1つの実施例を示す。
図5B図5Aと共に、本明細書に記載の、組織領域を治療する方法の1つの実施例を示す。
図6A】巻き込み式ドレンとして構成された装置の別の実施例を示す。
図6B図6Aと共に、巻き込み式ドレンとして構成された装置の別の実施例を示す。
図6C図6A図6Bと共に、巻き込み式ドレンとして構成された装置の別の実施例を示す。
図6D図6A図6Cと共に、巻き込み式ドレンとして構成された装置の別の実施例を示す。
図7A】本明細書に記載の反転可能多孔性メッシュの動作を示す。
図7B図7Aと共に、本明細書に記載の反転可能多孔性メッシュの動作を示す。
図7C図7A図7Bと共に、本明細書に記載の反転可能多孔性メッシュの動作を示す。
図8A】身体領域(例えば、手術領域又は創傷)内の巻き込み式外科用ドレン装置の或る実施例を示す。
図8B図8Aと共に、身体領域(例えば、手術領域又は創傷)内の巻き込み式外科用ドレン装置の或る実施例を示す。
図8C図8A図8Bと共に、身体領域(例えば、手術領域又は創傷)内の巻き込み式外科用ドレン装置の或る実施例を示す。
図9A】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図9B】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図9C】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図9D】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図10A】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図10B】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図10C】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図10D】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図11A】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図11B】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図11C】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図11D】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る反転可能多孔性メッシュ及び支持体(例えば、第2の細長部材)の実施例を示す。
図12A】巻き込み式ドレン装置の別の実施例の動作を示す。
図12B図12Aと共に、巻き込み式ドレン装置の別の実施例の動作を示す。
図12C図12A図12Bと共に、巻き込み式ドレン装置の別の実施例の動作を示す。
図13A】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る(単数又は複数の)陰圧チャネル及びポートの代替実施例を示す。
図13B】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る(単数又は複数の)陰圧チャネル及びポートの代替実施例を示す。
図13C】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る(単数又は複数の)陰圧チャネル及びポートの代替実施例を示す。
図13D】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る(単数又は複数の)陰圧チャネル及びポートの代替実施例を示す。
図14A】本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る封止性の領域/アンカ固定領域(例えば、オクルーダ領域)の別の実施例を示す。
図14B図14Aと共に、本明細書に記載の装置の何れかと共に使用され得る封止性の領域/アンカ固定領域(例えば、オクルーダ領域)の別の実施例を示す。
図15A】本明細書に記載されるオクルーダ領域の1つの実施例の動作を示す側面図である。
図15B図15Aと共に、本明細書に記載されるオクルーダ領域の1つの実施例の動作を示す端面図である。
図15C図15A図15Bと共に、本明細書に記載されるオクルーダ領域の1つの実施例の動作を示す側面図である。
図15D図15A図15Cと共に、本明細書に記載されるオクルーダ領域の1つの実施例の動作を示す端面図である。
図15E図15A図15Dと共に、本明細書に記載されるオクルーダ領域の1つの実施例の動作を示す側面図である。
図15F図15A図15Eと共に、本明細書に記載されるオクルーダ領域の1つの実施例の動作を示す端面図である。
図16A】軟質オブチュレータ部分を含む、本明細書に記載の巻き込み式ドレンの遠位端の或る実施例を示す。
図16B図16Aと共に、軟質オブチュレータ部分を含む、本明細書に記載の巻き込み式ドレンの遠位端の或る実施例を示す。
図17】遠位端にトロカールを含む、本明細書に記載の装置の或る実施例を示す。
図18A】本明細書でより詳細に説明される身体領域から流体を排流する方法の1つの実施例を概略的に示す。
図18B】出血を低減するために子宮を収縮させる方法の或る実施例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[0057]本明細書には、身体の領域から流体又は物質を除去するために身体の領域を排流するための及び/又は領域を収縮させるための方法及び装置が記載されている。この治療は、出血を防ぎ又は低減することができ、及び/又は、それ以外に治癒を促進することができる。これらの装置及び方法は、それらを使用する方法を含め、特に、軟組織内に均一な陰圧の領域を形成するのに有用であり、また軟組織の間から装置の一部分(例えば、反転可能多孔性メッシュ)を非外傷的に除去する間も陰圧を持続させるのに有用であるだろう。
【0041】
[0058]例えば、本明細書には、治療される身体領域内で展開させることのできる反転可能多孔性メッシュをドレンの一部として含む、外科用ドレンシステムを含めた装置であって、装置によって印加される陰圧(例えば、吸引)を治療される領域内に分配するのに使用することのできる装置が記載されている。例えば、陰圧は、反転可能多孔性メッシュによって形成される領域(例えば、チャンバ、ポケットなど)の外へ、メッシュの孔を通って印加されることができる。これらの装置は、更に、身体領域内で治療領域が陰圧を保持できるようにするシール又はクロージャを含むことができる。最後に、これらの装置は、陰圧が印加(及び維持)されたら、反転可能多孔性メッシュをそれ自体の上に反転させてデバイスの中へ引き込むことによって穏やかに除去できるように構成されている。
【0042】
[0059]これらの装置(システム及びデバイス)は、概して、装置が組織の中へ挿入されるときの外傷を防ぎ又は低減する相対的に小さいODを有する送達構成を含むものとすることができる。同様に、装置、特に陰圧を分配する反転可能多孔性メッシュは、陰圧を印加又は維持しながらも装置を身体領域から除去するために、それ自体の中へ及び装置の細長部材の中へ巻き戻すことによって後退させることができる。反転可能多孔性メッシュは穏やかに反転されるので、構造物などを引いて又は引きずって組織のポケットの様な組織領域から外へ出すことに比べると非常に低い力を生じさせ、その結果、疼痛及び/又は組織への外傷がより少なくなる。
【0043】
[0060]前述の様に、これらの装置は、概して、既存の外科用ドレン、具体的には陰圧を印加する能動的ドレンよりも効果的に陰圧を分配する反転可能多孔性メッシュを含むことができる。反転可能多孔性メッシュは、典型的には、展性であり、それが位置決めされる組織の領域に整合することができる。ここでより詳細に説明されてゆく様に、反転可能多孔性メッシュを含む装置は、手術中に手術部位閉鎖前に設置されてもよい。
【0044】
[0061]例えば、反転可能多孔性メッシュは、身体領域から流体を除去するために、押し出されることができ、又はそうでなければ進められ及び/又は位置決めされることができる。本明細書に記載の巻き込み式ドレンを用いて身体の何れの組織が治療されてもよい。特に、軟組織領域、例えば組織に形成された又は自然に存在するポケット、チャンバ、開口部などである。治療される軟組織は、トンネリング創傷、死腔、セローマ形成ポケット(外科創傷)などの様な身体の外科的に形成された又は外傷的に形成された領域であるとしてもよい。例えば、治療される軟組織は、腫瘍又は他の組織の除去によって形成された腔部であってもよい。幾つかの実施例では、治療される軟組織は、自然のオリフィス空間(膀胱、腸、胃、子宮、胸腔、肺、血管、他)などであってもよい。例えば、治療される軟組織は子宮であってもよい。
【0045】
[0062]反転可能多孔性メッシュは、まずそれを反転させ、それを装置の中へ引き戻すことによって除去されてもよい。剥離性除去力は、現在のドレンにとって必要とされる引きずり力よりも(1桁又はそれ以上)低くなるだろう。更に、本明細書に記載の装置は、反転性テキスタイル/ファブリック/シースで形成された反転可能多孔性メッシュを含むものとすることができる。反転可能多孔性メッシュ(例えば、ファブリック/シース)は、典型的には、内側のドレン(例えば、真空チャネルへ結合された真空ポート)と連通し、その結果、陰圧は反転可能多孔性メッシュから外へ印加される。これは、反転可能多孔性メッシュ(ファブリック/シースなど)が陰圧をより広大な面積へ分配すること及び/又は流体制御のためのより広い表面積を作成することを可能にするだろう。これらの反転可能多孔性メッシュの何れかは多孔質であってもよい。開孔率(例えば、反転可能多孔性メッシュが編み、織り、又は編組繊維で形成されている諸変形型では、フィラメント間の空間)は制御可能であり得る。これらの反転可能多孔性メッシュの何れかは、自己展開性であってもよい(例えば、ニチノール、ポリマーと混合されたニチノールなどの様な材料で形成されていてもよい)。
【0046】
[0063]本明細書に記載の装置の何れかは、軸方向の可撓性を有していてもよく、そうするとそれらは構造物又は不均一な体積の周りに曲げられることができる。幾つかの変形型では、膣管を通過させることによって子宮を治療する場合などの様に天然又は自然のチャネルを通って身体オリフィスの中へ装置が導入されてもよい。
【0047】
[0064]反転可能多孔性メッシュは、丸状/筒状、平坦状、楕円状の円筒体であってもよい。前述の様に、これらの装置の何れかは展性であってもよい。例えば、反転可能多孔性メッシュは、編物、織物、編組物、不織布シート(例えば、ポリマー又は金属又は混合物)材料であってシートを貫いて形成された孔を有する材料である「ファブリック」などで形成されていてもよい。例えば、反転可能多孔性メッシュが編組材料で形成されている諸変形型では、編組は、何れの数のフィラメントを含んでいてもよく、例えば、24~144本/フィラメント(例えば、約24~128フィラメント、約32~98フィラメントなど)を含んでいてもよい。幾つかの実施例では、フィラメントは、PET、ナイロン、PP、ニチノール、鋼、エルジロイ、又はこれらの何らかの組合せの様な材料で形成されている。フィラメントは、0.003~0.025インチ(0.0762~0.635mm)直径のフィラメント(例えば、モノフィラメント又は複合フィラメント)の様な何れの適切な直径であってもよい。幾つかの実施例では、反転可能多孔性メッシュは、100~2000デニール(例えば、マルチフィラメント又はモノフィラメント)のフィラメント(編物、織物、編組など)で形成されている。
【0048】
[0065]本明細書に記載の巻き込み式ドレン装置は、異なる大きさ及び形状の軟組織領域を治療するために、様々な適切な大きさへスケーリングされ得る。例えば、幾つかの変形型では、反転可能多孔性メッシュ部分は、送達構成では10cmから100cmの間の長さ(例えば、近位遠位方向の長さ)とすることができる。巻き込み式ドレンが、貫通形成された孔を有する材料のシートで形成されている実施例では、シートは、スリット、穴、スロット、成形穴などがパターン状にシートを貫いて形成されたフィルムであってもよい。反転可能多孔性メッシュのパターン孔は、均一であってもよいし又は不均一であってもよく、パーセンテージとしての平均細孔密度(開孔率)50%以上(例えば、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上など)を有しているとしてもよい。
【0049】
[0066]したがって本明細書での使用に際し「メッシュ」という用語は、1本又はそれ以上のストランドによって形成された構造に限定されるものではなく、不織布材料で形成されていてもよい。反転可能多孔性メッシュを形成する材料は、タイベック(Tyvek)、濾紙などの様な多孔性濾材であってもよいし、又はそれは(最初は)無孔であり、それに孔が形成されてもよい。「メッシュ」という用語は、50%を上回る平均開孔率を有する材料であって、それ自体の上に反転することができるように十分に展性のある反転性構造へ形成され得る材料を指す。反転可能多孔性メッシュは、管状又は籠形状(例えば、両端が開口しているか又は一端(例えば遠位端)が閉じている)ように形成されていてもよい。反転可能多孔性メッシュは、反転可能多孔性メッシュの遠位端が付着される第2の内側の細長部材の外径よりも大きい内径を有する略管状(一端開口又は両端開口)へ成形されていて、第2の内側の細長部材は反転可能多孔性メッシュによって形成される内側の領域内に位置決めされることができる。
【0050】
[0067]反転可能多孔性メッシュの、内側の細長部材と反転可能多孔性メッシュの内部面の間の内側領域の空間は「ギャップ」と呼ばれてもよい。例えば、反転可能多孔性メッシュは、陰圧(吸引又は真空)が印加される内部空間を画定することができる。ここでより詳細に説明される様に、陰圧は、第2の内側の細長部材の長さの一部分に沿った1つ又はそれ以上の真空ポート(吸引インポートとも呼ばれる)から印加され、及び/又は第1の外側の細長部材の遠位端開口部から外へ印加されることができる。代替的又は追加的には、別個の真空ライン(例えば、管材の様な吸引ライン)が反転可能多孔性メッシュの内部空間の中へ挿入されてもよい。
【0051】
[0068]外科用ドレンシステムは、図1A図1Eに示されている様に、吸引(陰圧又は真空)が、第1の(例えば、外側の)細長部材の遠位端開口部から反転可能多孔性メッシュを通って印加されるように構成されることができる。図1A図1Eでは、外科用ドレンシステム100は、近位から遠位の方向に延びるルーメン103を有する第1の細長部材101(外側の細長部材として示す)を含んでいる。細長部材はカテーテルであってもよい。一般に、この細長部材は、治療される身体領域内で操縦され及び位置決めされることができるように任意の適切な長さとすることができる。例えば、細長部材は、長さが5cmから100cmの間(例えば、10cmから50cmの間、10cmから35cmの間など)であってもよい。細長部材は、ポリマー管の様な管であってもよい。細長部材は、直線状(図示の様に)であってもよいし又は湾曲していてもよく、固定された曲線(例えば、10~80度の間)を備えて湾曲しているものも含まれる。一般に、細長部材は可撓性であるとしてもよい。
【0052】
[0069]この実施例の外科用ドレンシステムは、更に、第1の外側の細長部材のルーメン内に滑動可能に配置された、例えば遠位方向及び近位方向に滑動させることのできる第2の細長部材(例えば、内側の細長部材)105を含んでいる。第2の細長部材は、中実であってもよいし又は中空であってもよく、第1の細長部材と同じか又はそれ以上に可撓性であってもよい。図1A図1Eの第2の細長部材はロッドとして示されているが、ワイヤ、マイクロカテーテルなどであってもよい。第1の細長部材及び/又は第2の細長部材の何れかは、例えばカット又はヒンジ領域を含むことによって、1つの方向に別の方向よりも優先的に曲がるように構成されていてもよい。
【0053】
[0070]これらの実施例の何れかでは、近位方向とはデバイスを動作させるユーザ(例えば、医師、外科医、医療技術者、看護師など)の手に向かう方向であり、遠位方向とはユーザの手から離れる方向であるとしてもよい。
【0054】
[0071]図1A図1Eに示されている装置は、更に、第1端(図1Aでは近位端)を第1の細長部材の遠位端領域109へ結合された反転可能多孔性メッシュ107を含んでいる。反転可能多孔性メッシュは、更に、第2端(図1Aでは遠位端)を第2の細長部材の遠位端領域へ付着されている。図1に示されている反転可能多孔性メッシュは、開口した孔を配置させたストランド又は繊維のパターンを含む編組又は織りメッシュとして概略的に示されている。一般に、反転可能多孔性メッシュは、編物、織物など、又は孔が形成された不織布材料のシートを含め、本明細書に記載の反転可能多孔性メッシュの何れであってもよい。図1Aでは、反転可能多孔性メッシュは、50%を上回る開孔率を有し(例えば、図示の概略図では、開孔率は95%を上回る)、孔は反転可能多孔性メッシュ全体に亘って折り畳みされている。反転可能多孔性メッシュは可撓性である。
【0055】
[0072]図1A図1Eに示されている装置は、更に、陰圧源(例えば真空源)への接続部として構成された近位真空ポート111を含む近位領域を含んでいる。幾つかの実施例では、真空ポートは、陰圧源接続用の管材などへ結合するための嵌合接続部(封止性嵌合接続部)とすることができる。吸引ポートと呼ばれることもある真空ポートは、場合によっては、開/閉用のロック(例えば、ルア型ロック)を(陰圧のオン/オフを可能にするため、及び/又はすでに印加されている圧力を維持又は保持するために)含んでいてもよい。図1A図1Eでは、真空ポートは、第1(例えば、外側の)細長部材の近位端領域の外側表面に形成されている。代替的には、真空ポートは細長部材から管又はチャネル(図示せず)を介して延びていてもよい。以下に図2A図2Cについて説明される様に、幾つかの実施例では、近位真空ポートは、第2の(内側の)細長部材へ結合され又は接続されていてもよい。幾つかの実施例では、第1の細長部材と第2の細長部材の両方の内側ルーメンが真空チャネルとして使用されていてもよい。図1A図1Eでは、第1の(外側の)細長部材の内側ルーメンが真空チャネルとして構成されている。
【0056】
[0073]一般に、第1の細長部材のルーメン103を真空チャネルとすることができ、又は専用の真空チャネル(図示せず)が第1の細長部材のルーメンを貫いて走っていてもよい。例えば、真空ポート111へ接続された管(図示せず)が真空チャネルとして構成されていて、真空チャネルの開口部が反転可能な多孔性メッシュ内に形成される空間の中へ開口するように第1の細長部材のルーメンの長さを延びていてもよい。代替的には、図1Aに示されている様に、第1の細長部材のルーメンが近位真空ポート111から第1の細長部材109の遠位端の1つ又はそれ以上の遠位真空開口部まで延びる真空チャネル104を形成している(例えば、真空チャネルと連続している)。この実施例では、ルーメンは、1つの(又は場合によっては複数の)シール113によって近位端を封止されている。図1Aでは、シールは、シール及び真空を真空チャネル内(この例では、第1の細長部材のルーメン内)に維持しながら、第2の細長部材105が外側の細長部材に対して遠位方向及び近位方向に滑動するのを可能にするOリングとして概略的に(断面によって)示されている。
【0057】
[0074]反転可能多孔性メッシュ107が第1の細長部材101の遠位端領域へ付着されているので、遠位真空開口部(吸引入口)は、反転可能多孔性メッシュのギャップ内に位置づけられる。ギャップは、図1B図1Cに示されている様に、反転可能多孔性メッシュが展開構成にあるときに形成される反転可能多孔性メッシュ内の領域である。
【0058】
[0075]図1Aは、反転可能多孔性メッシュが遠位方向に延び且つ第2の細長部材105が第1の細長部材101に対して遠位方向に延びた送達構成にある装置を示す。この構成では、反転可能多孔性メッシュは、図示の様に、第2の細長部材の外径に押し当てて(又は近くに)保持されることができる。幾つかの実施例では、装置は、これらの構成(例えば、送達構成、配備構成、引込構成、又はこれらのうちの何れか中間位置)の第1の細長部材と第2の細長部材の相対位置(及びひいては反転可能多孔性メッシュの構成)を保持するためにロック又はラッチ機構を含んでいてもよい。例えば、デバイスの近位端は、第1の細長部材を第2の細長部材に対して動かすように構成された、スライダ、ホイール、ダイヤルなどの様な制御器を有するハンドル(図示せず)を含んでいてもよい。ハンドルは、第1の細長部材と第2の細長部材の相対位置を、それらがユーザによって能動的に動かされるまで解放可能に保持するためのロック又はラッチを含んでいてもよい。
【0059】
[0076]一般に、図1Aに示されている装置は、図1B及び図1Cに示されている様に反転可能多孔性メッシュが第2の部材から外方に展開される配備構成へ変換されることができる。これは、第1の外側の細長部材を図1Bの矢印130によって示されている様に遠位方向に動かすことによって、又は第2の内側の細長部材を図1Cの矢印131によって示されている様に近位方向に動かすことによって、又はその両方によって達成され得る。展開構成では、反転可能多孔性メッシュは半径方向に第2の細長部材から外方に展開されているが反転されてはいない。図1B図1Cの両方では、反転可能多孔性メッシュが形状設定された(展開された)構成へ復帰するのを許容することによって、及び/又は、第1の細長部材及び/又は第2の細長部材を動かして反転可能多孔性メッシュの第1端と第2端の間の距離を縮めることによって、反転可能多孔性メッシュは部分的に展開されることができる。幾つかの実施例では、反転可能多孔性メッシュはそれ自体の上に積重したまま外方に展開し、或る時点にて(図1D及び図1Eを参照して説明される様に)反転可能多孔性メッシュはそれ自体の中へ反転することができ、但し、配備(例えば、展開)については、反転可能多孔性メッシュが展開はしても反転する前に停止するように第1の細長部材と第2の細長部材の相対運動は限定されていてもよい。反転可能多孔性メッシュは、外方に展開され、第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップ115を形成する。ギャップは不均一であり得る。反転可能多孔性メッシュは組織領域の中へと外へ展開されるので、展開しながら開口部に馴染むように幾分適合することができ、即ち、反転可能多孔性メッシュは第2の細長部材の周りに均一又は不均一に展開した展開構成へ付勢されることができる(例えば、形状設定されていてもよい)。しかしながら、形状設定されている場合でも、なおも圧縮する(以下図2Cに示され説明される)のに又はそれ以外に治療される身体領域の開口部の全体形状に整合するのに十分に展性であるとしてもよい。この組織領域内の流体及び物質は、まだ陰圧を印加していなくても孔を通って展開した反転可能多孔性メッシュによって形成される空間の中へ入ってくることはあるが、ひとたび陰圧が印加されると、空間内の流体及び物質(粒子、粘液、凝血塊、膿など)がギャップの中へ引き込まれ、(単数又は複数の)吸引ポートの中へ引き込まれることになる。これは、図1Cに概略的に示され、陰圧が体腔内の流体及び物質を反転可能多孔性メッシュ107を通して真空ポートの中へ引き入れていることが示されている(119、ぼかし矢印)。実際には、陰圧が軟組織を反転可能多孔性メッシュの周りに圧縮させ、即ち、反転可能多孔性メッシュは、1つ又はそれ以上の真空ポートの周りだけで組織が潰れることのないようにし、組織のより均一な圧縮を可能にすることができる。
【0060】
[0077]一般に、反転可能多孔性メッシュは組織領域に配備され、陰圧が印加される。本明細書に記載される使用方法の何れかでは、組織領域は、陰圧が軟組織内に維持されることを可能にするために(以下により詳細に説明されるように)遮断又は封鎖されることができる。前述の様に、反転可能多孔性メッシュは、陰圧の力を分配するのに役立つことができる。陰圧の印加中(又は場合によっては、陰圧の所望量が印加された後)に、陰圧を維持するシール又はオクルーダを含む装置を所定場所に残したまま反転可能多孔性メッシュを後退させてもよい。図1Dは、第2の(内側の)細長部材を引っ張って第1の(外側の)細長部材のルーメン103の中へ後退させられることによって、反転可能多孔性メッシュを遠位端から第1の細長部材の中へ後退させながら自身の中へ反転させることによる、反転可能多孔性メッシュの引込を示す。図示されている様に、反転可能多孔性メッシュの遠位端領域121は、第2の(内側の)細長部材の遠位端領域へ付着されているので、図示の様に反転可能多孔性メッシュをそれ自体の中へ反転させる123。
【0061】
[0078]図1Eでは、反転可能多孔性メッシュ107は、完全に反転され131、第1の細長部材101のルーメン内に保持されていることが示されている。図1Eは、反転され第1のルーメンの中へ後退させられた引込構成にある反転可能多孔性メッシュを示す。
【0062】
[0079]図2A図2Dは、図1A図1Eに示されたものと同様の装置の別の実施例を示すが、第2の(内側の)細長部材に複数の真空ポートを有しており、したがって第2の細長部材のルーメンは真空チャネルの役目を果たす。代替的には、第2の細長部材に別個の真空チャネル(例えば、図示されない可撓性の管)が存在していてもよい。
【0063】
[0080]図2Aでは、装置200は、第1のルーメン203を有する第1の(例えば、外側の)細長部材201を含んでおり、第1の細長部材は可撓性であり及び/又は湾曲しているものとされ、図2Aでは第1の細長部材は可撓性であるが直線状である。装置は、更に、第1のルーメンに滑動可能に配置された第2の(例えば、内側の)細長部材205を含んでいる。反転可能多孔性メッシュ207は、第1端を第1の細長部材の遠位端領域208へ付着され、第2端210を第2の細長部材の遠位端領域へ付着されている。図2Aでは、反転可能多孔性メッシュは、第1(近位)端が第2(遠位)端から離隔され、その結果反転可能多孔性メッシュが第2の(内側の)細長部材に近接して引かれた送達状態にある装置と共に示されている。図2Bでは、反転可能多孔性メッシュは展開されていて、装置は、反転可能多孔性メッシュが半径方向に第2の細長部材205から外に展開されて第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップ215を形成した展開構成にある。図1Dでの様に、反転可能多孔性メッシュは引込構成では完全に反転され第1の細長部材のルーメンの中へ引き込まれることがきる。
【0064】
[0081]図2A図2Bでは、装置は、第2の(内側の)細長部材205の近位端の近位真空ポート211から第2の細長部材の遠位端の複数の遠位真空開口部229まで延びる真空チャネル204を示す。真空開口部は、この実施例では第2の細長部材の長さに沿って配置されていて、反転可能多孔性メッシュによって形成される空間内、例えば反転可能多孔性メッシュが展開構成にあるときに形成されるギャップ215内に位置決めされる。
【0065】
[0082]図2Cは、図2A図2Bの装置の遠位端面図(図1A図1Eの装置の同じ図と同様又は同一)であり、展開された反転可能多孔性メッシュは、対称完全展開構成(例えば、体外)にある反転可能多孔性メッシュに関して同じ視点(遠位端面図)を示す図2Dに比べると圧縮されている。図2Cでは、反転可能多孔性メッシュ207は、第2の細長部材205の遠位端領域へ結合されている。
【0066】
[0083]これらの装置の何れかはオクルーダを含んでいてもよい。オクルーダは、装置によって身体領域の中へ送達される陰圧が維持されるように身体領域を封鎖することができる。オクルーダは、例えば第1の細長部材又は他の領域へ一体的に付着されることを含め、同じ装置の一部であってもよいし、又はオクルーダは、図1A図1E及び図2A図2Dに示される様な巻き込み式外科用ドレンを含むシステムの(単数又は複数の)他の部分と係合する別個の構成要素であってもよい。図3A図3Bは、装置のオクルーダ300部分の或る実施例を示す。一般に、オクルーダは、外科用ドレンの他の構成要素の通過を許容する細長管状体345(例えば、カテーテル本体)を含んでいてもよい。本明細書に記載のオクルーダの何れかは、装置が治療しようとする身体の領域を封鎖するべく展開するようにアクティブ化させることのできる展開可能/折り畳み可能閉塞性シール341領域を含んでいてもよい。図3A図3Bでは、閉塞性シール341は、図3Aに示されている折り畳み構成から図3Bに示されている展開構成へ展開させることのできる展開可能バルーンとして示されている。図4Aは、図1A図1E及び図2A図2Dに示されているものと同様の巻き込み式外科用ドレン402に係合している図3A図3Bのオクルーダ300を示す。この実施例では、巻き込み式外科用ドレンは、反転可能多孔性メッシュ407が第2の細長部材に押し当てて保持された状態(巻き込み式外科用ドレンは送達構成にある)でオクルーダのルーメンの中へ挿入されることができ、オクルーダの中へ挿入されたら、1つ又はそれ以上のシール343(図3A図3B及び図4A図4DにOリングとして示されている)に押し当てて保持される。一般に、オクルーダは、それを貫通するオクルーダルーメン347を含んでおり、オクルーダは、チャネルに対してシールを形成するために半径方向外方に展開するように構成されており、更に第2の細長部材は第2のルーメンに対して滑動可能に配置されている。ゆえに、オクルーダが組織に対して封止しているとき、巻き込み式外科用ドレンは身体領域内に封止されることになる。幾つかの実施例では、展開可能オクルーダは、本明細書に記載されている様に封止するべく展開することのできる発泡体、スポンジ、又は他の材料であってもよい。オクルーダは、展開可能要素(例えば、発泡体、フレーム、バルーンなど)を覆って流体不透過性膜を含んでいてもよい。
【0067】
[0084]図4B図4Dは、図4Aに示されているオクルーダ300及び巻き込み式外科用ドレン402を含む装置の動作を示す。図4Bでは、巻き込み式外科用ドレンは、オクルーダから出て遠位方向に延ばされており、オクルーダとドレンは一体に、治療される身体領域の中へ挿入されることができる。代替的に、幾つかの実施例では、オクルーダが最初に身体の中へ挿入され、巻き込み式外科用ドレンが挿入されてもよい。したがって、オクルーダは導入器の役目を果たすこともあり、及び/又は視覚化と共に使用されることもある。
【0068】
[0085]図4Cでは、オクルーダのオクルーダ閉塞性シール341は、封止構成へと展開されている。閉塞性シールは、機械的に、例えば以下により詳細に例示される様に展開可能なフレーム又はメッシュを含むことによって展開されてもよいし、及び/又は流体(気体、液体など、例えば生理食塩水)を充填することによって展開されてもよい。閉塞性シールの直径はより大きく、デバイスが導入された組織に対して封止できるようになっている。封止され及び/又は所定位置にアンカ固定されたら、巻き込み式外科用ドレンを上述の様に作動させることができる。例えば、図4Dでは、反転可能多孔性メッシュ407は外へ配備されていることが示されている。この実施例では、第1の細長部材401の遠位端は、オクルーダからわずかに外に延びていて、真空ポートは、上述の様に反転可能多孔性メッシュ内の細長部材の遠位端にあるとしてもよい。代替的又は追加的に、図2A図2Bに示されている様に第2の(内側の)細長部材405を貫いて1つ又はそれ以上の真空ポートが形成されていてもよい。
【0069】
[0086]例えば、図5Aは、本明細書に記載されている様に治療され得る身体内の軟組織領域551の一例を示す。軟組織領域は、手術部位(例えば、一例として腫瘍除去部位)であってもよいし、膣管の一部分を含む分娩後子宮の様な身体管腔であってもよい。
【0070】
[0087]装置は、例えば装置の遠位端をチャネル又は管路552を通して挿入することによって、治療されるべき軟組織領域の中へ挿入され、装置は上述の様に展開されることができる。図5Bでは、装置は、装置を軟組織内に封止するためにオクルーダの閉塞性シール341が展開された状態で示されており、その結果、装置によって真空(陰圧)を印加することができ、軟組織領域551は陰圧下に保持されることになる。軟組織領域内では、反転可能多孔性メッシュ407は、反転可能多孔性メッシュを通って真空を印加できるように外方に展開されることができる。
【0071】
[0088]図6A図6Dは、巻き込み式外科用ドレンが、第1の細長部材601へ結合された一体型オクルーダ(閉塞性シール部分)641を含んでいる、本明細書に示された装置の別の実施例を示す。この実施例では、オクルーダの閉塞性シール部分641は、シールされた管状のシート又はメッシュ(例えば、織物、編物、編組、不織布シートなど)によって形成されている。例えば、メッシュは、ラミネートポリマーシートを含んでいてもよい。閉塞性シール部分の遠位端622は第1の(例えば外側の)細長部材601の表面へ固定されており、オクルーダ配備部材661が第1の細長部材601の上に滑動可能に配置されている。図6Bに示されている様に、オクルーダ配備部材661を遠位方向(矢印681によって示す)に駆動することによって、オクルーダを外方に配備及び展開してシールを形成させることができる。
【0072】
[0089]図6Aに示されている装置は、反転可能多孔性メッシュ607も含んでいる。上述の様に、メッシュは、孔を有する編物、織物、又は編組材料(又は不織布材料の多孔性シート)で形成されていてもよい。1つの実施例では、反転可能多孔性メッシュは、例えば48ストランド/本を使用するポリプロピレン(例えば、0.015~0.02インチ(0.381~0.508mm))フィラメントの編組モノフィラメントで形成されている。反転可能多孔性メッシュは、図6Bの矢印685によって示されている様に第2の(例えば、内側の)細長部材605を引っ張ることによって作動させることができる。反転可能多孔性メッシュは、ロック(例えば、ラチェット式ロック)を使用して、上記の様に所定場所にロックされてもよい。同様に、オクルーダも、オクルーダを展開構成に解放可能にロックするためのロック機構を含んでいてもよい。
【0073】
[0090]本明細書に記載の装置の何れかでは、装置の遠位端は、丸形、円錐形、尖形などをした軟質先端678を含んでいてもよい。図6Aは寸法例も示しており、これらの寸法は説明のみを目的とし、より大きくてもよく(スケールアップ/ダウンを含む)又はより小さくてもよい。
【0074】
[0091]図6C図6Dは、図6A図6Bの装置の、反転可能多孔性メッシュ除去時の動作を示す。図6Cでは、メッシュは、第2の細長部材605を近位方向に後退させることによって除去される。この実施例では、反転可能多孔性メッシュは、第1の細長部材の中へ反転させて引き入れることによって除去されるが、但し、吸引がオフにされた(陰圧オフ)後、及び、オクルーダ641によって適用されたシールを例えば図6Cに示されている様にオクルーダ配備部材を近位に滑動させることによって除去した後に、反転可能多孔性メッシュが除去される。図6Dは、完全に引っ込められた図6Aの装置を示す。その後、デバイス全体が組織から除去されてもよい。
【0075】
[0092]オクルーダを含んでいるこれらの装置の諸変形型では、オクルーダは機械的なプラグ(例えば、閉塞性シール部分)として構成されてもよい。ブラダ又はバルーン(水圧によって膨らまされる/萎まされる)が使用されてもよいが、幾つかの実施例では、図6A図6Dに示されている様に、オクルーダは代わりに機械的に作動させるようになっていてもよい。機械的アクティブ化は、直感的であってオクルーダを動作させるユーザが直に感じ取ることのできる展開力に対する圧力の直接関係を提供することができる。これらの機械的に作動させるオクルーダはまた、バルーンを満たしたり空にしたりする必要がないので比較的速くアクティブ化され得る。
【0076】
[0093]反転可能多孔性メッシュ(ドレンメッシュ又は単にドレンと呼ばれることもある)の展開は、軟組織(例えば、1つの実施では子宮)全体を通してより折り畳みされたより低い応力の真空負荷を生成することができる。また、デバイスは、上述の様に装置の中へ反転させることによって、外傷をはるかに少なくして除去されることができる。
【0077】
[0094]これらの実施例の何れかでは、細長部材(第1の例えば外側の細長部材と第2の例えば内側の細長部材の両方)の細長部材は、可撓性、半剛性、又は剛性であってもよい。例えば、それらは、ポリウレタン又はシリコーンで形成された細長い管状部材であってもよい。これらの装置は、曲げ可撓性を保持しながら適度に高い柱力を有するように構成されていてもよい。オクルーダは、図6A図6Dに概略的に示されている様に、編組プラグの様なプラグとして形成されていてもよい。この機械的に配備されるシール又はプラグは、短縮時に潰れることなく機械的力を働かせるように、押す又は引くことによって作動させることができる。編物、織物、又は編組材料のストランドから形成されたプラグでは、繊維を覆うフィルムは可撓性が高くてもよく、例えば、1000%を超える伸びを有し、また非常に細くてもよい(例えば、0.1mm以下、例えば0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下などの様な超薄肉であってもよい)。
【0078】
[0095]一般に、反転可能多孔性メッシュは、展開時(例えば、長さ短縮時)には非常に高い開孔率を有していて、組織への陰圧の作用によって楕円形(図2Cに示す)になるように軟質であってもよい。軟質遠位先端は、オブチュレータとして構成されていて、例えばシリコーンバンパとして形成されていてもよい。
【0079】
[0096]巻き込み式反転可能多孔性メッシュは、陰圧を比較的均等により大きな表面積へ分配することができる。具体的には、反転可能多孔性メッシュは、身体領域の中へ挿入されたらより広い有効範囲を有するように展開させることができるので、面積は最大化され得る。したがって、反転可能多孔性メッシュは、除去時の組織接着及び/又は組織損傷を防ぐことができる。特に、メッシュが1本又はそれ以上のフィラメント(例えば、場合によってはモノフィラメント構造を有する)から形成されている反転可能多孔性メッシュの実施例は、概して、低い表面積を有しており、他の外科用ドレンと違って、反転させて内方に巻き込んで剥がすことによって組織を剪断することなく除去されることができる。
【0080】
[0097]反転可能多孔性メッシュは、例えば湾曲状(例えば、「c」形状、バナナ形状、テーパなど)の様な任意の適切な形状へ付勢(予付勢)することを含め、任意の適切な形状へ形成されていてもよい。
【0081】
[0098]図7A図7Cは、反転可能多孔性メッシュ770の1つの実施例の動作を示す。図7Aでは、反転可能多孔性メッシュは静止状態で示されている。この実施例では、反転可能多孔性メッシュは管状形状を有しており、即ち、両端が開口している。幾つかの実施例では、一端(例えば、遠位端)は閉じられていてもよい。図7Bに示されている様に反転可能多孔性メッシュが長手方向に圧縮されたとき、反転可能多孔性メッシュは更なる圧縮に抵抗する詰まった柱を形成し、この構成では、反転可能多孔性メッシュは最大限に展開されている。反転可能多孔性メッシュは、組織内で半径方向に圧縮されることができる(例えば、図2C参照)。静止形態(図7A)と展開形態(図7B)の両方で孔は大きく、反転可能多孔性メッシュ全体に亘って延びていて、流体及び物質(例えば、血液、膿など)が、殆ど又は全く抵抗なく反転可能多孔性メッシュに進入できるようにしている。図7Bでは、フィラメントは、図示される様に一体に押し詰められて積重されたフィラメントの柱体を形成している。反転可能多孔性メッシュの端を引くことは、更に、図7Cに示されている様に管をそれ自体に重ねて及びそれ自体を通って巻き込むように駆動し、フィラメントを矢印によって示されている様に積重された柱体の内側で積重解除させることができる。
【0082】
[0099]図8A図8Cは、本明細書に記載の装置を動作させる方法の1つの実施例を示す。図8Aでは、組織808は流体、膿、及び/又はデブリで満たされている可能性のある死腔809の領域を含んでいる。本明細書に記載されている様に、巻き込み式ドレン装置が、例えば手術中又は手術後の組織内に設置されることができる。例えば、装置(この実施例では、図2A図2Dに示されているものと同様の装置)が死腔809の中へ挿入されてもよい。図8Bに示されている様に、巻き込み式ドレン部分(例えば、反転可能多孔性メッシュ807)は、所定場所に入ったら、例えば第2の細長部材(内側の部材)を矢印889によって示されている様に近位方向に引き寄せることによって展開されてもよい。所定場所に入ったら、説明されている様に遠位真空開口部を通して陰圧が印加されてもよく、すると物質が反転可能多孔性メッシュ内の空白になったギャップの中へ引き込まれる。これは、流体を除去し、死腔体積を図8Cに示されている様に実質的に縮小させることができる。この実施例では、反転可能多孔性メッシュ807が、(例えば、第2の細長部材805を近位方向に引くことによって)反転され、細長部材の中へ巻き込まれて組織から除去されてゆくと、その結果、組織は図示の様にその後ろで閉じることができる。
【0083】
[0100]図9A図9D図10A図10D、及び図11A図11Dは、第2の細長部材の一部分の上の、断面図に表された反転可能多孔性メッシュの異なる実施例を示す。異なる反転可能多孔性メッシュ及び異なる第2の細長部材プロファイルが使用され得る。例えば、図9A図9Aでは、第2の細長部材(中空として構成されていてもよく、図示しない真空チャネルの一部を形成していてもよい)と反転可能多孔性メッシュの両方が長方形又は「平坦な」構成を有していてもよい。図9Aでは、反転可能多孔性メッシュは、送達構成での様に第2の細長部材の外側表面を抱き込んでいることが示されている。図9Bでは、反転可能多孔性メッシュは、展開構成での様に第2の細長部材から半径方向外方に展開されたところが示されている。図9D及び図9Dは、同様の長方形/平坦な第2の細長部材プロファイルを示すが、反転可能多孔性メッシュは円形構成(図9C)又はシート構成(図9D)として示されている。図10A図10Dは、円形断面を有する第2の細長部材を示しており、図10Aでは、反転可能多孔性メッシュは送達構成(第2の細長部材を抱き込んでいる)で示されている。図10B図10Cは、配備/展開構成にある反転可能多孔性メッシュを示す。図10Bでは、反転可能多孔性メッシュは、(この形状へ予め設定することによって、又は組織の圧縮によって)楕円形になっている。図10Cでは、反転可能多孔性メッシュは半径方向外方に一杯まで展開されている。図10Dは、反転可能多孔性メッシュが一対のファブリックシートを含んでいる或る実施例を示す。図11A図11Dは、第2の細長部材が「+」形状として形成されていて4つのチャネルドレンを形成している実施例を示す。図11Aは、送達構成にある反転可能多孔性メッシュ及び第2の細長部材を通る断面を示す。図11B図11Cは、配備/展開構成にある反転可能多孔性メッシュを示す。図11Bでは、反転可能多孔性メッシュは、(この形状へ予め設定することによって、又は組織の圧縮によって)楕円形になっている。図11Cでは、反転可能多孔性メッシュは半径方向外方に一杯まで展開されている。図11Dは、反転可能多孔性メッシュが一対のファブリックシートを含んでいる或る実施例を示す。
【0084】
[0101]図12A図12Cは、本明細書に記載の外科用ドレンシステムの巻き込み式ドレンの別の実施例を示す。図12A図12Cでは、第2の(例えば、内側の)細長部材は、ドレン管(例えば、真空チャネル)として構成されていて、近位真空ポート(図示せず)から複数の遠位真空開口部まで延びている。ゆえに、第2の細長部材は、ドレン管であってもよく(又はドレン管を含んでいてもよく)、丸、平坦を含む何れかの適切な断面プロファイルを有し、チャネルを含み、及び/又は、可撓性であってもよいし又は堅くてもよい。幾つかの実施例では、第2の細長部材はトロカールにとって利用し易いものであってもよい。
【0085】
[0102]図12Aでは、第2の細長部材1205は遠位端領域を反転可能多孔性メッシュ1207へ付着されている。反転可能多孔性メッシュは、更に、外側カフ1201へ接続されている。外側カフは、以上に図1A図1E及び図2A図2Dに示されている第1の細長部材の一部であってもよい(又は、第1の細長部材へ結合されていてもよい)。ゆえに、反転可能多孔性メッシュは、外側カフ1201を図12Bに示されている様に遠位方向に前進させることによって、図12Bに示されている様に展開させることができる。最後に、反転可能多孔性メッシュは、図12Cに示されている様に、身体領域からの除去のために反転され、それ自体の中へ引き込まれることができる。
【0086】
[0103]幾つかの変形型では、第2の細長部材によって形成される「ドレン管」は、図13A図13Dに示されている様に複数のチャネルを含んでいてもよい。図13Aでは、第2の細長部材の遠位端は、遠位真空開口部を形成する複数の開口部1229をそれぞれに含む複数(例えば、2、3、4など)のチャネル又は分岐を有するドレン管を形成している。図13Bは、図示の様にそれぞれがドレン管を覆う2つの個別の反転可能多孔性メッシュ1207被覆を有する図13Aの多チャネルドレン管を示しており、反転可能多孔性メッシュは図示の様にドレン管の遠位端(例えば、第2の細長部材の遠位端)と外側カフ1201の遠位端に付着されている。図13Cは、図示の様にドレン管を覆う単一の反転可能多孔性メッシュ1207を有する図13Aの多チャネルドレン管を示しており、反転可能多孔性メッシュは図示の様にドレン管の遠位端(例えば、第2の細長部材の遠位端)と外側カフ1201の遠位端に付着されている。最後に、図13Dは、第2の細長部材1205の遠位端に3つのドレン管を含んでいるバージョンを示す。
【0087】
[0104]図14A及び図14Bは、プラグ/アンカとして構成された装置のオクルーダ部分の別の実施例を示す。図14Aでは、オクルーダ(閉塞性シール部分)1441は、編組管(層1)とフィルム又は膜(層2)の2つの層を含むプラグ又はアンカとして構成されている。編組管の圧縮によって生じる半径方向の圧力が図14Bに示されている様にアンカ/プラグ1441を展開、開放する。この実施例では、オクルーダの閉塞性シール部分の近位端と遠位端は第1の近位カフ1456と第2の遠位カフ1454へそれぞれ結合されている。これらのカフは、第2の(例えば、内側の)細長部材1405に対して軸方向に可動である。第1のカフ及び/又は第2のカフは、幾つかの実施例では、第1の(例えば、外側の)細長部材と接続されていてもよい(又は一体であってもよい)。図14A図14Bでは、反転可能多孔性メッシュ1407も、一端を第2のカフ1454へ結合され、他端を第2の細長部材へ結合されており、図12A図12C及び図13A図13Dに示されているものと同様のドレンとして構成されていてもよい。図14A図14Bに示されている実施例では、第1のカフ1456及び第2のカフ1454の各々は、テンドン又はケーブルの様な1つ又はそれ以上の制御器によって別々に保持され又はアクティブ化される(軸方向に動かされる)ようになっていてもよい。
【0088】
[0105]図15A図15Fは、陰圧シールとして構成された装置の封止性プラグ/アンカ(オクルーダ)部分の動作を示す。図15Aでは、装置の遠位部分はオクルーダ(閉塞性シール部分)1541を含んでいる。オクルーダの閉塞性シール部分は、随意的な開口部/穴1546を含んでいる。同様に、閉塞性シール部分は、閉塞性シール部分を形成する膜の下に1つ又はそれ以上のドレン孔1567を有していてもよい。図15Bは、図15Aに示されている装置の部分の端面図を示す。図15C及び図15Dは、同じ装置のオクルーダ(閉塞性シール部分)1541が例えば手動又は自動の何れかで作動されるところを示す。オクルーダは、ドレン孔1567を通して陰圧を印加することによって自動的に作動するようになっていてもよく、陰圧は封止のために組織を引き寄せ、それが次にアンカを作り出し(アンカの動きを止め)、余分な流体の除去後の組織を封止する。代替的には、アンカ/プラグは、手動で、遠位カフ1554を相対位置にロックしたまま第1の(例えば、近位の)カフ1556を遠位方向に押し出すことによって(及び/又は、遠位カフも近位方向に動かすことによって)アクティブ化されるようになっていてもよい。図15Dは、展開されたオクルーダを通る断面を示す。
【0089】
[0106]幾つかの実施例では、ロック式オクルーダは、図15E及び図15Fに示されている様にカフを所定位置にロックするべく形態(conformation)を変化させるように構成されていてもよい。図15Eでは、近位カフと遠位カフをできる限り近寄らせて駆動し、オクルーダ1541の形態を図示の漏斗形状へと駆動することによって、オクルーダ領域は完全にアンカ固定されることになる。この漏斗形状は、解放可能で安定したプラグ又はシールの役目を果たすことができる。
【0090】
[0107]一般に、本明細書に記載の装置は、オブチュレータとして構成された先端領域を含んでいてもよい。図16A図16Bは、巻き取られた反転可能多孔性メッシュ1607と共に第1の細長部材の中へ通される軟質オブチュレータ1678を遠位端に含んでいる装置の或る実施例を示す。図16Aでは、装置は送達構成にあり、反転可能多孔性メッシュは内側の部材のODに押し当てて保持されるように引き張られている。図16Bでは、反転可能多孔性メッシュは配備済みであり、それ自体の中へ巻き込まれ装置の中へ後退させられるところである。軟質の遠位先端(オブチュレータ)は、反転可能多孔性メッシュと共に第1の細長部材のルーメンの中へ後退させることができる。
【0091】
[0108]代替的に又は追加的に、装置の遠位端は図17に示されている様にトロカール1708として構成されていてもよい。この実施例では、装置は、組織横断トンネリングに使用され得る金属及び/又はポリマーで形成されたトロカールを含んでいる。
【0092】
[0109]一般に、本明細書に記載の装置は、身体の領域(例えば、創傷、体腔など)を排流するのに使用され得る。例えば、図18は、本明細書に記載の装置を使用して遂行され得る身体領域を排流する方法の1つの実施例を概略的に示す。例えば、図18Aでは、身体領域を排流する方法は、反転可能多孔性メッシュの遠位端を身体領域の中へ位置決めする工程1801を含むことができる。反転可能多孔性メッシュは、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を第1の細長部材のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材の遠位端領域へ結合されていてもよい。次いで、反転可能多孔性メッシュは、例えば第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成するように、身体領域内で展開されることができる1803。身体領域内で反転可能多孔性メッシュを展開する工程の前又は後の何れかに、方法は、身体領域内に真空を維持するためにシールを作成する工程1805を含んでもよい。次いで、反転可能多孔性メッシュを通して陰圧が印加される1807(例えば、展開された反転可能多孔性メッシュのギャップの中へ開口する1つ又はそれ以上の真空ポートから陰圧を印加することによる)。身体領域が排流され及び十分な陰圧が印加されたら、反転可能多孔性メッシュを反転させることによって(例えば、反転可能多孔性メッシュを反転させるように反転可能多孔性メッシュが付着されている第2の細長部材を近位方向に引くことによって)、反転可能多孔性メッシュは身体領域から除去(後退)される1809。排流するのに十分な及び場合によっては組織を互いの上へ及び/又は互いに押し当てて引き付けさせるのに十分な陰圧を印加している間か又は印加した後の何れかに、反転可能多孔性メッシュはデバイス本体の中へ反転され又は引き入れられることによって後退させられてもよい。陰圧は、一定時間(例えば、10分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間以上など)に亘って維持されることができる1811。
【0093】
[0110]例えば、本明細書に記載の装置及び方法は、特に出血、例えば出産後の子宮からの出血を治療するのに使用され得る。図18Bは、本明細書に記載の、出血を低減するために子宮を収縮させる方法の1つの実施例を概略的に示す。図18Bでは、方法は、最初に、反転可能多孔性メッシュの遠位端を子宮の中へ位置決めする工程1851を含むことができる。反転可能多孔性メッシュは、第1端を第1の細長部材の遠位端領域へ結合され、第2端を第1の細長部材のルーメン内に滑動可能に配置された第2の細長部材の遠位端領域へ結合されていてもよい。次いで、反転可能多孔性メッシュは、子宮内で展開されることができる1853。この展開は、配備構成から、装置の第2の細長部材の周りに少なくとも部分的にギャップを形成する展開構成へ移行する工程を含んでもよい。反転可能メッシュを展開する工程の前、間、又は後の何れかに、子宮内に真空を維持するために例えば膣管内にシールが形成されてもよい1855。次いで、反転可能多孔性メッシュによって画定される空間内から、例えば展開された反転可能多孔性メッシュのギャップの中へ開口している1つ又はそれ以上の真空ポートから、陰圧が印加されてもよい1857。その後、反転可能多孔性メッシュを第1の細長部材のルーメンの中へ引き入れながら反転可能多孔性メッシュを反転させるように第2の細長部材が近位方向に引かれてもよい1859。最後に、方法は、子宮出血を軽減するために子宮内に陰圧を維持する工程を含んでもよい1861。
【0094】
[0111]本明細書に記載の方法(ユーザインターフェースを含む)の何れかは、ソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェアとして実装されてもよく、プロセッサ(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)によって実行されることのできる命令のセットであってプロセッサによって実行されたときにプロセッサに諸工程のうちの何れか、つまり限定するわけではないがユーザと通信する工程、分析する工程、パラメータ(タイミング、頻度、強度などを含む)を修正する工程、決定する工程、警告する工程など、を含む工程のうちの何れかの遂行を制御させる命令のセットを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体として記述されてもよい。
【0095】
[0112]前述の概念及び以下により詳細に論じられる追加の概念の全ての組合せ(但し、その様な概念が相互に矛盾しないことを前提とする)は、本明細書に開示されている発明の主題の一部であるものと考えられ、本明細書に記載の恩恵を実現させるのに使用され得るものと理解されたい。
【0096】
[0113]本明細書で或る特徴又は要素が別の特徴又は要素「上」にあるという場合、それは直接的に他方の特徴又は要素上にあることもあれば、介在する特徴及び/又は要素が存在していることもある。対照的に、或る特徴又は要素が「直接的に」別の特徴又は要素「上」にあるという場合、介在する特徴又は要素は存在していない。同じく理解しておきたいこととして、或る特徴又は要素が別の特徴又は要素へ「接続されている」、「付着されている」、又は「結合されている」という場合、それは、直接的に他方の特徴又は要素へ接続されている、付着されている、又は結合されていることもあれば、介在する特徴又は要素が存在していることもある。対照的に、或る特徴又は要素が別の特徴又は要素へ「直接的に接続されている」、「直接的に付着されている」、又は「直接的に結合されている」という場合、介在する特徴又は要素は存在していない。特徴及び要素は、1つの実施例に関して説明され又は示されていても、その様に説明され又は示されている特徴又は要素は他の実施例へ適用することができる。当業者には理解される様に、構造又は特徴が別の特徴に「隣接して」配置されているとの言及について、構造又は特徴は隣接する特徴と重なり合う部分又は下に横たわる部分を有していることもある。
【0097】
[0114]本明細書で使用されている用語遣いは、専ら特定の実施例を説明することが目的であり、発明を限定しようとするものではない。例えば、本明細書での使用に際し、原文の単数を表す冠詞「a」、「an」、及び「the」の対訳である「或る」、「一」、及び「当該」は、別途文脈によって明白に指示されない限り、複数形も含むものとする。更に理解しておきたいこととして、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されているときには、記載の特徴、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指示するが、1つ又はそれ以上の他の特徴、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しない。本明細書での使用に際し、「及び/又は」という用語は、関連付けて挙げられている品目の1つ又はそれ以上から成るありとあらゆる組合せを含み、「/」として簡約されることもある。
【0098】
[0115]「下」、「下方」、「下側」、「上」、「上側」などの様な空間的関係用語は、本明細書では、図に例示されている1つの要素又は特徴の別の(単数又は複数の)要素又は(単数又は複数の)特徴に対する関係性を説明する場合の記述を容易にするために使用されることがある。理解しておきたいこととして、空間的関係用語は、図中に描かれている向きに加え、使用時又は動作時のデバイスの異なる向きも網羅するものとする。例えば、図中のデバイスが反転された場合、他方の要素又は特徴の「下」又は「裏」と記述されている要素は他方の要素又は特徴の「上」に向き付けられることになる。したがって、例示としての「下」という用語は、上の向きと下の向きのどちらも網羅することがある。デバイスはそれ以外の向きである(例えば、90度回転されている又は他の向きにある)こともあり、ここに使用されている空間的関係記述子は相応に解釈され得る。同様に、「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」などの用語は、本明細書では、別途明確に指示されない限り、解説のみを目的として使用される。
【0099】
[0116]「第1」及び「第2」という用語は、本明細書では、様々な特徴/要素(工程を含む)を説明するのに使用されることがあり、これらの特徴/要素は、別途文脈によって指示されない限り、これらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用されることがある。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下に論じられている第1の特徴/要素が第2の特徴/要素と呼称されることもあり得るし、また同様に以下に論じられている第2の特徴/要素が第1の特徴/要素と呼称されることもあり得る。
【0100】
[0117]本明細書及び付随の特許請求の範囲全体を通して、文脈上別段の必要がない限り、「備える」という語ならびに「備えた」及び「備えている」の様な変化形は、様々な構成要素が方法及び物品(例えば、組成物及びデバイスを含む装置ならびに方法)に共同で採用され得ることを意味する。例えば、「備えている」という用語は、何れかの記載の要素又は工程の包含を含意するが、何れかの他の要素又は工程の除外を含意しないことを理解しておきたい。
【0101】
[0118]概して、本明細書に記載の装置及び方法は、包含的であるものと理解されるべきであるが、構成要素及び/又は工程のすべて又はサブセットが、代替的には排他的であることもあり、様々な構成要素、工程、サブ構成要素、又はサブ工程「から成る」又は代替的には「から本質的に成る」と表されることもある。
【0102】
[0119]実施例での使用を含め本明細書及び特許請求の範囲での使用に際し、別途明確に指示されない限り、すべての数は、たとえ「約」又は「大凡」という語が明示的に登場していなくてもその様な語によって前置きされているかのように読まれることができる。「約」又は「大凡」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するときに、記述の値及び/又は位置が値及び/又は位置の合理的な期待範囲内であることを示唆するために使用され得る。例えば、数値は、記載の値(又は値の範囲)の+/-0.1%、記載の値(又は値の範囲)の+/-1%、記載の値(又は値の範囲)の+/-2%、記載の値(又は値の範囲)の+/-5%、記載の値(又は値の範囲)の+/-10%などである値を有するとしてもよい。本明細書で与えられる何れかの数値はまた、別途文脈によって指示されない限り、約又は大凡の当該値を含むものと理解されたい。例えば、「10」という値が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に列挙されている何れかの数的範囲は、その中に包含されるすべてのサブ範囲を含むものとする。同じく、値が開示されているときには、当業者によって適切に理解されるところの、値「以下」、「値以上」、及び値間の可能な範囲も開示されているものと理解する。例えば、「X」という値が開示されている場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示されていることになる。更に出願全体を通して、データは多数の異なる形式で提供されること、及び、このデータは、終点及び始点ならびにデータ点の任意の組合せについての範囲を表現するものと理解する。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点「15」が開示されている場合、10及び15より大きい、10及び15以上、10及び15未満、10及び15以下、及び10及び15に等しい、も開示されていると見なされ、同様に10と15の間も開示されているとみなされるものと理解する。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されているものと理解する。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、及び14も開示されていることになる。
【0103】
[0120]様々な説明目的の実施例が以上に記載されているが、様々な実施例には特許請求の範囲によって記述されている発明の範囲から逸脱することなく多くの変更の何れかがなされてもよい。例えば、様々な記載の方法工程が遂行される順序は、多くの場合、代替的な実施例では変更される可能性があり、また他の代替的な実施例では1つ又はそれ以上の方法工程がそっくり省略されることもあるだろう。様々なデバイス及びシステムの実施例の随意的な特徴が一部の実施例には含まれ他の実施例には含まれないこともあるだろう。したがって、前述の説明は、主に例示を目的として提供されており、特許請求の範囲に示されているところの発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0104】
[0121]本明細書に含まれる実施例及び例示は、主題が実践され得る具体的な実施形態を一例として示すものであり、限定として示しているのではない。述べられている様に、他の実施例が利用され及びそこから導き出され、その結果、この開示の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的な置き換え及び変更がなされる可能性がある。発明の主題のその様な実施例が本明細書では「発明」という用語で個別に又は集合的に言及されることがあり、それは単に便宜上のことであり、実際に2つ以上の発明又は発明概念が開示されている場合にこの出願の範囲を何れかの単一の発明又は発明概念に自発的に限定しようとするものではない。ゆえに、本明細書には特定の実施例が例示され及び説明されているが、同じ目的を実現するように計算された何れかの配設が、示されている特定の実施例の代わりに用いられてもよい。この開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応型又は変化型を網羅することを意図している。当業者には、上記説明を再考することで、上記実施例及び本明細書に具体的に記載されていない他の実施例の組合せが明らかであろう。
【符号の説明】
【0105】
100 外科用ドレンシステム
101 第1の細長部材
103 ルーメン
104 真空チャネル
105 第2の細長部材
107 反転可能多孔性メッシュ
109 第1の細長部材の遠位端領域
111 近位真空ポート
113 シール
115 ギャップ
119 陰圧
121 反転可能多孔性メッシュの遠位端領域
123 メッシュのそれ自体の中への反転
130 遠位方向
131 近位方向
200 装置
201 第1の(例えば、外側の)細長部材
203 第1のルーメン
204 真空チャネル
205 第2の(例えば、内側の)細長部材
207 反転可能多孔性メッシュ
208 第1の細長部材の遠位端領域
210 反転可能多孔性メッシュの第2端
211 近位真空ポート
215 ギャップ
229 遠位真空開口部
300 オクルーダ
341 展開可能/折り畳み可能閉塞シール
343 シール
345 細長管状体
347 オクルーダルーメン
401 第1の細長部材
402 巻き込み式外科用ドレン
405 第2の細長部材
407 反転可能多孔性メッシュ
551 身体内の軟組織領域
552 チャネル又は管路
601 第1の細長部材
605 第2の(例えば、内側の)細長部材
641 一体型オクルーダ(閉塞性シール部分)
661 オクルーダ配備部材
678 軟質先端
681 遠位方向
685 第2の(例えば、内側の)細長部材の引かれる方向
770 反転可能多孔性メッシュ
805 第2の細長部材
807 反転可能多孔性メッシュ
808 組織
809 死腔
889 近位方向
1201 外側のカフ
1205 第2の細長部材
1207 反転可能多孔性メッシュ
1229 開口部
1405 第2の(例えば、内側の)細長部材
1407 反転可能多孔性メッシュ
1441 オクルーダ(閉塞性シール部分)
1454 第2の遠位カフ
1456 第1の近位カフ
1541 オクルーダ(閉塞性シール部分)
1546 開口部/穴
1554 遠位カフ
1556 第1の(例えば、近位の)カフ
1567 ドレン孔
1607 反転可能多孔性メッシュ
1678 軟質オブチュレータ
1708 トロカール
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
【国際調査報告】