(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】磁気浮上装置及び回転子位置調整方法
(51)【国際特許分類】
F16C 32/04 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
F16C32/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570094
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 CN2022129573
(87)【国際公開番号】W WO2023116228
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111574244.7
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523427010
【氏名又は名称】蘇州蘇磁智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU SUPERMAG INTELLIGENT TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】G4-701, Artificial Intelligence Industrial Park, No. 88, Jinjihu Avenue, Suzhou Industrial Park, Suzhou Area, China (Jiangsu) Pilot Free Trade Zone, Suzhou, Jiangsu 215000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】尹 成科
【テーマコード(参考)】
3J102
【Fターム(参考)】
3J102AA01
3J102BA02
3J102BA18
3J102DA02
3J102DA10
3J102DA11
3J102DA30
(57)【要約】
磁気浮上装置及び回転子位置調整方法を提供する。固定子(2)の軸方向(Z)において、固定子(2)の永久磁石固定子本体(20)は固定子(2)の第1磁性固定子基板(21)と第2磁性固定子基板(22)との間に介在して配置される。第1磁性固定子基板(21)は、第1基板本体(210)、第1基板本体(210)から回転子(1)へ突起する第1突出部(211)及び第2突出部(212)を含み、第1突出部(211)に第1磁気浮上コイル(211c)が巻き付けられ、第2突出部(212)に第2磁気浮上コイル(212c)が巻き付けられる。固定子(2)の軸方向(Z)において、第1突出部(211)は第2突出部(212)よりも高いことで、第1突出部(211)と第1磁気浮上コイル(212)は回転子(1)に上向きの力を印加するが、第2突出部(212)と第2磁気浮上コイル(212c)は回転子(1)に下向きの力を印加する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、
永久磁石固定子本体、第1磁性固定子基板及び第2磁性固定子基板を含み、固定子の軸方向において前記永久磁石固定子本体は前記第1磁性固定子基板と前記第2磁性固定子基板との間に介在して配置される固定子と、を含み、
前記固定子は前記回転子の周りに設置されるか又は前記回転子は前記固定子の周りに設置され、
前記第1磁性固定子基板は第1基板本体、前記第1基板本体から前記回転子へ突起する第1突出部及び第2突出部を含み、前記第1突出部に第1磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記第2突出部に第2磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高いことで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における上向きの力を印加し、前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における下向きの力を印加するようになる磁気浮上装置。
【請求項2】
前記した前記固定子の軸方向において前記第1突出部が前記第2突出部よりも高いことは、
(1)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面よりも高い場合、
(2)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面と同じ高さである場合、及び
(3)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面と前記第2突出部の下面との間に位置する場合のいずれか1つを含む請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項3】
前記回転子は、回転子本体、前記回転子本体から前記固定子へ突出する第1フランジ及び第2フランジを含み、前記第1フランジは前記第1磁性固定子基板に対応し、前記第2フランジは前記第2磁性固定子基板に対応し、
前記回転子の初期浮上状態において、前記固定子の軸方向において前記第1フランジの中線は前記第1突出部の上面と前記第2突出部の下面との間隔の中線と略面一であり、
前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における上向きの力が前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における下向きの力よりも大きい場合、前記回転子は前記初期浮上状態から前記固定子の軸方向に沿って上向きに移動し、
前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における上向きの力が前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における下向きの力よりも小さい場合、前記回転子は前記初期浮上状態から前記固定子の軸方向に沿って下向きに移動する請求項1又は2に記載の磁気浮上装置。
【請求項4】
前記固定子の軸方向において、前記第1突出部及び前記第2突出部それぞれの厚さは前記第1フランジの厚さ以上である請求項3に記載の磁気浮上装置。
【請求項5】
前記第1磁性固定子基板は複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部を含み、
前記第1基板本体は円形内縁を有し、複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って設置される請求項1-4のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項6】
複数の前記第1突出部は、前記円形内縁の周方向におけるサイズが互いに等しく、複数の前記第2突出部は、前記円形内縁の周方向におけるサイズが互いに等しい請求項5に記載の磁気浮上装置。
【請求項7】
隣接する2つの前記第1突出部の間に1つの前記第2突出部が設置され、隣接する2つの前記第2突出部の間に1つの前記第1突出部が設置され、
複数の前記第1突出部の数は複数の前記第2突出部の数に等しく、
複数の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項5又は6に記載の磁気浮上装置。
【請求項8】
複数の前記第1突出部それぞれの前記円形内縁の周方向におけるサイズは複数の前記第2突出部それぞれの前記円形内縁の周方向におけるサイズに等しい請求項7に記載の磁気浮上装置。
【請求項9】
隣接する2つの前記第1突出部の間に1組の前記第2突出部が設置され、隣接する2組の前記第2突出部の間に1つの前記第1突出部が設置され、
1組の前記第2突出部はN個の前記第2突出部を含み、N≧2であり、
前記第2突出部の数は前記第1突出部の数のN倍であり、
複数の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数組の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項5又は6に記載の磁気浮上装置。
【請求項10】
隣接する2つの前記第2突出部の間に1組の前記第1突出部が設置され、隣接する2組の前記第1突出部の間に1つの前記第2突出部が設置され、
1組の前記第1突出部はM個の前記第1突出部を含み、M≧2であり、
前記第1突出部の数は前記第2突出部の数のM倍であり、
複数組の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項5又は6に記載の磁気浮上装置。
【請求項11】
隣接する2組の前記第1突出部の間に1組の前記第2突出部が設置され、隣接する2組の前記第2突出部の間に1組の前記第1突出部が設置され、
1組の前記第2突出部はN個の前記第2突出部を含み、N≧2であり、1組の前記第1突出部はM個の前記第1突出部を含み、M≧2であり、NはMに等しいか又は等しくなく、
複数組の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数組の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項5又は6に記載の磁気浮上装置。
【請求項12】
前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の厚さは前記第2突出部の厚さに等しい請求項1-11のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項13】
前記固定子の軸方向において、前記第1突出部と前記第2突出部は重ならない請求項1-12のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項14】
前記第1磁性固定子基板は、前記第1突出部を含む第1サブ基板と、前記第2突出部を含む第2サブ基板を含み、前記固定子の軸方向において前記第1サブ基板が前記第2サブ基板に積層され、前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高いようになる請求項1-13のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項15】
前記第1突出部を含む前記第1サブ基板の形状及びサイズと前記第2突出部を含む前記第2サブ基板の形状及びサイズはいずれも同じである請求項14に記載の磁気浮上装置。
【請求項16】
前記第1基板本体は円形内縁を有し、
前記第1突出部の内縁は第1弧状であり、前記第2突出部の内縁は第2弧状であり、前記第1弧状は第1円形の一部であり、前記第2弧状は第2円形の一部であり、
前記第1円形及び前記第2円形はいずれも前記円形内縁の同心円である請求項1-15のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項17】
前記第1円形のサイズは前記第2円形のサイズに等しい請求項16に記載の磁気浮上装置。
【請求項18】
前記第2磁性固定子基板は、第2基板本体、及び前記第2基板本体から前記回転子へ突起する複数の歯部を含み、各歯部に磁気回転コイルが巻き付けられる請求項1-17のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項19】
前記第2基板本体に付加磁気浮上コイルが巻き付けられ、該付加磁気浮上コイルは前記磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている請求項18に記載の磁気浮上装置。
【請求項20】
前記第2磁性固定子基板は、前記第2基板本体から前記回転子へ突起し、前記第3磁気浮上コイルが巻き付けられる第3突出部及び第4磁気浮上コイルが巻き付けられる第4突出部をさらに含み、前記第3磁気浮上コイルと前記第4磁気浮上コイルは前記付加磁気浮上コイルとして機能し、前記固定子の前記軸方向において前記第3突出部は前記第4突出部よりも高いことで、前記第3突出部及び第3磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における上向きの力を印加し、前記第4突出部と前記第4磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向下向きの力を印加するようになる請求項19に記載の磁気浮上装置。
【請求項21】
前記第1磁性固定子基板は前記第1基板本体から前記回転子へ突起する複数の歯部を含み、各歯部に付加磁気回転コイルが巻き付けられ、前記第1磁気浮上コイルと前記第2磁気浮上コイルは前記付加磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている請求項1-20のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項22】
前記第1突出部の内縁及び前記第2突出部の内縁に前記複数の歯部の一部がそれぞれ設置される請求項21に記載の磁気浮上装置。
【請求項23】
前記第1磁性固定子基板は、前記第1突出部を含む第1サブ基板と、前記第2突出部を含む第2サブ基板と、前記複数の歯部を含む第3サブ基板を含み、前記固定子の軸方向において前記第1サブ基板は前記第2サブ基板に積層され、前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高く、前記固定子の軸方向において前記第3サブ基板は前記第1サブ基板と前記第2サブ基板との間に介在して配置されるようになる請求項21に記載の磁気浮上装置。
【請求項24】
前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板は前記第2磁性固定子基板の下方に位置する請求項1-23のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項25】
前記固定子の軸方向において請求項1-24のいずれか一項に記載の磁気浮上装置の前記回転子の位置を調整するための回転子位置調整方法であって、
前記第1磁気浮上コイルに第1電流を印加し、前記第2磁気浮上コイルに第2電流を印加すること、
前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における上向きの力の大きさを制御するように前記第1電流を制御することと、
前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力の大きさを制御するように前記第2電流を制御することと、を含む回転子位置調整方法。
【請求項26】
前記第1電流を増加させ、及び/又は前記第2電流を減少させることで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向上向きの力を前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力よりも大きくし、前記回転子は上向きの合力を受けて前記固定子の軸方向上向きに移動することと、
前記第1電流を減少させ、及び/又は前記第2電流を増加させることで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向上向きの力を前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力よりも小さくし、前記回転子は下向きの合力を受けて前記固定子の軸方向下向きに移動することと、をさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1磁性固定子基板は複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部を含み、前記第1基板本体は円形内縁を有し、複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部は該円形内縁の周方向に設置され、
前記方法は、
複数の前記第1磁気浮上コイルに印加される前記第1電流の合計を増加させ、及び/又は複数の前記第2磁気浮上コイルに印加される前記第2電流の合計を減少させることで、複数の前記第1突出部と複数の前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向上向きの力を複数の前記第2突出部と複数の前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力よりも大きくし、前記回転子は上向きの合力を受けて前記固定子の軸方向上向きに移動することと、
複数の前記第1磁気浮上コイルに印加される前記第1電流の合計を減少させ、及び/又は複数の前記第2磁気浮上コイルに印加される前記第2電流の合計を増加させることで、複数の前記第1突出部と複数の前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向上向きの力を複数の前記第2突出部と複数の前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力よりも小さくし、前記回転子は下向きの合力を受けて前記固定子の軸方向下向きに移動することと、を含む請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
すべての目的のために、本願は、2021年12月21日に提出された中国特許出願第202111574244.7号に基づいて優先権を主張し、ここで上記中国特許出願に開示されている全内容が引用により本願の一部として組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本開示の少なくとも1つの実施例は磁気浮上の技術分野に関し、特に磁気浮上装置及び回転子位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0003】
浮上技術は主に磁気浮上、光浮上、音響浮上、気流浮上、電気浮上、及び粒子ビーム浮上等を含み、その中でも磁気浮上技術は比較的成熟している。磁気浮上技術では、固定子と回転子との磁気相互作用によって回転子を浮上させながら均一に回転させ、回転子と固定子間に接触や機械的摩擦がないため、磁気浮上技術は特に清浄度要件が高い場合に適用できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例では、磁気浮上装置を提供する。該磁気浮上装置は、回転子と、固定子とを含み、前記固定子は前記回転子の周りに設置されるか又は前記回転子は前記固定子の周りに設置され、前記固定子は永久磁石固定子本体、第1磁性固定子基板及び第2磁性固定子基板を含み、前記固定子の軸方向において前記永久磁石固定子本体は前記第1磁性固定子基板と前記第2磁性固定子基板との間に介在して配置される。前記第1磁性固定子基板は第1基板本体、前記第1基板本体から前記回転子へ突起する第1突出部及び第2突出部を含み、前記第1突出部に第1磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記第2突出部に第2磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高いことで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における上向きの力を印加するが、前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における下向きの力を印加する。
【0005】
たとえば、前記した前記固定子の軸方向において前記第1突出部が前記第2突出部よりも高いことは、(1)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面よりも高い場合、(2)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面と同じ高さである場合、及び(3)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面と前記第2突出部の下面との間に位置する場合のいずれか1つを含む。
【0006】
たとえば、前記回転子は、回転子本体、前記回転子本体から前記固定子へ突出する第1フランジ及び第2フランジを含み、前記第1フランジは前記第1磁性固定子基板に対応し、前記第2フランジは前記第2磁性固定子基板に対応し、前記回転子の初期浮上状態では、前記固定子の軸方向において前記第1フランジの中線は前記第1突出部の上面と前記第2突出部の下面との間隔の中線と略面一であり、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における上向きの力が前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における下向きの力よりも大きい場合、前記回転子は前記初期浮上状態から前記固定子の軸方向に沿って上向きに移動し、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における上向きの力が前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における下向きの力よりも小さい場合、前記回転子は前記初期浮上状態から前記固定子の軸方向に沿って下向きに移動する。
【0007】
たとえば、前記固定子の軸方向において、前記第1突出部及び前記第2突出部それぞれの厚さは前記第1フランジの厚さ以上である。
【0008】
たとえば、前記第1磁性固定子基板は複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部を含み、前記第1基板本体は円形内縁を有し、複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に設置される。
【0009】
たとえば、前記円形内縁の周方向における複数の前記第1突出部のサイズは互いに等しく、前記円形内縁の周方向における複数の前記第2突出部のサイズは互いに等しい。
【0010】
たとえば、隣接する2つの前記第1突出部の間に1つの前記第2突出部が設置され、隣接する2つの前記第2突出部の間に1つの前記第1突出部が設置され、複数の前記第1突出部の数は複数の前記第2突出部の数に等しく、複数の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置され、複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置される。
【0011】
たとえば、複数の前記第1突出部それぞれの前記円形内縁の周方向におけるサイズは複数の前記第2突出部それぞれの前記円形内縁の周方向におけるサイズに等しい。
【0012】
たとえば、隣接する2つの前記第1突出部の間に1組の前記第2突出部が設置され、隣接する2組の前記第2突出部の間に1つの前記第1突出部が設置され、1組の前記第2突出部はN個の前記第2突出部を含み、N≧2であり、前記第2突出部の数は前記第1突出部の数のN倍であり、複数の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置され、複数組の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置される。
【0013】
たとえば、隣接する2つの前記第2突出部の間に1組の前記第1突出部が設置され、隣接する2組の前記第1突出部の間に1つの前記第2突出部が設置され、1組の前記第1突出部はM個の前記第1突出部を含み、M≧2であり、前記第1突出部の数は前記第2突出部の数のM倍であり、複数組の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置され、複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置される。
【0014】
たとえば、隣接する2組の前記第1突出部の間に1組の前記第2突出部が設置され、隣接する2組の前記第2突出部の間に1組の前記第1突出部が設置され、1組の前記第2突出部はN個の前記第2突出部を含み、N≧2であり、1組の前記第1突出部はM個の前記第1突出部を含み、M≧2であり、NはMに等しいか又は等しくなく、複数組の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置され、複数組の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に均一に設置される。
【0015】
たとえば、前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の厚さは前記第2突出部の厚さに等しい。
【0016】
たとえば、前記固定子の軸方向において、前記第1突出部と前記第2突出部は重ならない。
【0017】
たとえば、前記第1磁性固定子基板は第1サブ基板及び第2サブ基板を含み、前記第1サブ基板は前記第1突出部を含み、前記第2サブ基板は前記第2突出部を含み、前記固定子の軸方向において前記第1サブ基板が前記第2サブ基板に積層され、それにより前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高い。
【0018】
たとえば、前記第1突出部を含む前記第1サブ基板の形状及びサイズと前記第2突出部を含む前記第2サブ基板の形状及びサイズはいずれも同じである。
【0019】
たとえば、前記第1基板本体は円形内縁を有し、前記第1突出部の内縁は第1弧状であり、前記第2突出部の内縁は第2弧状であり、前記第1弧状は第1円形の一部であり、前記第2弧状は第2円形の一部であり、前記第1円形及び前記第2円形はいずれも前記円形内縁の同心円である。
【0020】
たとえば、前記第1円形のサイズは前記第2円形のサイズに等しい。
【0021】
たとえば、前記第2磁性固定子基板は、第2基板本体、及び前記第2基板本体から前記回転子へ突起する複数の歯部を含み、各歯部に磁気回転コイルが巻き付けられる。
【0022】
たとえば、前記第2基板本体に付加磁気浮上コイルが巻き付けられ、該付加磁気浮上コイルは前記磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている。
【0023】
たとえば、前記第2磁性固定子基板は前記第2基板本体から前記回転子へ突起する第3突出部及び第4突出部をさらに含み、前記第3突出部に前記第3磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記第4突出部に第4磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記第3磁気浮上コイルと前記第4磁気浮上コイルは前記付加磁気浮上コイルとして機能し、前記固定子の前記軸方向において前記第3突出部は前記第4突出部よりも高いことで、前記第3突出部及び第3磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における上向きの力を印加し、前記第4突出部と前記第4磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における下向きの力を印加するようになる。
【0024】
たとえば、前記第1磁性固定子基板は前記第1基板本体から前記回転子へ突起する複数の歯部を含み、各歯部に付加磁気回転コイルが巻き付けられ、前記第1磁気浮上コイルと前記第2磁気浮上コイルは前記付加磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている。
【0025】
たとえば、前記第1突出部の内縁及び前記第2突出部の内縁に前記複数の歯部の一部がそれぞれ設置される。
【0026】
たとえば、前記第1磁性固定子基板は第1サブ基板、第2サブ基板及び第3サブ基板を含み、前記第1サブ基板は前記第1突出部を含み、前記第2サブ基板は前記第2突出部を含み、前記第3サブ基板は前記複数の歯部を含み、前記固定子の軸方向において前記第1サブ基板は前記第2サブ基板に積層され、それにより前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高く、前記固定子の軸方向において前記第3サブ基板は前記第1サブ基板と前記第2サブ基板との間に介在して配置される。
【0027】
たとえば、前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板は前記第2磁性固定子基板の下方に位置する。
【0028】
本開示の実施例では、前記磁気浮上装置の前記回転子の位置を前記固定子の軸方向に調整するための回転子位置調整方法を提供し、前記第1磁気浮上コイルに第1電流を印加し、前記第2磁気浮上コイルに第2電流を印加することと、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における上向きの力の大きさを制御するように前記第1電流を制御することと、前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における下向きの力の大きさを制御するように前記第2電流を制御することと、を含む。
【0029】
たとえば、前記方法は、前記第1電流を増加させ、及び/又は前記第2電流を減少させることで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における上向きの力を前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における下向きの力よりも大きくし、前記回転子は上向きの合力を受けて前記固定子の軸方向に沿って上向きに移動することと、前記第1電流を減少させ、及び/又は前記第2電流を増加させることで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における上向きの力を前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における下向きの力よりも小さくし、前記回転子は下向きの合力を受けて前記固定子の軸方向に沿って下向きに移動することと、をさらに含む。
【0030】
たとえば、前記第1磁性固定子基板は複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部を含み、前記第1基板本体は円形内縁を有し、複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部は該円形内縁の周方向に設置され、前記方法は、複数の前記第1磁気浮上コイルに印加される前記第1電流の合計を増加させ、及び/又は複数の前記第2磁気浮上コイルに印加される前記第2電流の合計を減少させることで、複数の前記第1突出部と複数の前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における上向きの力を複数の前記第2突出部と複数の前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における下向きの力よりも大きくし、前記回転子は上向きの合力を受けて前記固定子の軸方向に沿って上向きに移動することと、複数の前記第1磁気浮上コイルに印加される前記第1電流の合計を減少させ、及び/又は複数の前記第2磁気浮上コイルに印加される前記第2電流の合計を増加させることで、複数の前記第1突出部と複数の前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における上向きの力を複数の前記第2突出部と複数の前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における下向きの力よりも小さくし、前記回転子は下向きの合力を受けて前記固定子の軸方向に沿って下向きに移動することと、を含む。
【0031】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明し、明らかなように、以下の説明における図面は単に本発明のいくつかの実施例に関するものであり、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】
図1aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の分解構造模式図である。
【
図1b】
図1bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板の斜視構造模式
図1である。
【
図1c】
図1cは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板の斜視構造模式
図2である。
【
図2a】
図2aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における固定子の軸方向における第1突出部と第2突出部との相対位置関係の模式図である。
【
図2b】
図2bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における固定子の軸方向における第1突出部と第2突出部との相対位置関係の模式図である。
【
図2c】
図2cは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における固定子の軸方向における第1突出部と第2突出部との相対位置関係の模式図である。
【
図3a】
図3aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における複数の第1突出部及び複数の第2突出部の配列模式図であり、隣接する2つの第1突出部の間に1つの第2突出部が設置され、隣接する2つの第2突出部の間に1つの第1突出部が設置される。
【
図3b】
図3bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における複数の第1突出部及び複数の第2突出部の配列模式図であり、隣接する2つの第1突出部の間に1つの第2突出部が設置され、隣接する2つの第2突出部の間に1つの第1突出部が設置される。
【
図3c】
図3cは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における複数の第1突出部及び複数の第2突出部の配列模式図であり、隣接する2つの第1突出部の間に1つの第2突出部が設置され、隣接する2つの第2突出部の間に1つの第1突出部が設置される。
【
図4】
図4は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における複数の第1突出部及び複数の第2突出部の配列模式図であり、隣接する2つの第1突出部の間に1組の第2突出部が設置され、隣接する2組の第2突出部の間に1つの第1突出部が設置される。
【
図5】
図5は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における複数の第1突出部及び複数の第2突出部の配列模式図であり、隣接する2つの第2突出部の間に1組の第1突出部が設置され、隣接する2組の第1突出部の間に1つの第2突出部が設置される。
【
図6】
図6は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における複数の第1突出部及び複数の第2突出部の配列模式図であり、隣接する2組の第1突出部の間に1組の第2突出部が設置され、隣接する2組の第2突出部の間に1組の第1突出部が設置される。
【
図7】
図7は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板の分解構造模式図である。
【
図8a】
図8aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1サブ基板の構造模式図である。
【
図8b】
図8bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1サブ基板において第1突出部に第1磁気浮上コイルが巻き付けられた状態を示す図である。
【
図9a】
図9aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2サブ基板の構造模式図である。
【
図9b】
図9bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2サブ基板において第2突出部に第2磁気浮上コイルが巻き付けられた状態を示す図である。
【
図10a】
図10aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1突出部の内縁が第1円形の一部である模式図である。
【
図10b】
図10bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2突出部の内縁が第2円形の一部である模式図である。
【
図11a】
図11aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2磁性固定子基板の構造模式図である。
【
図11b】
図11bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2磁性固定子基板において磁気回転コイルと付加磁気浮上コイルが示される図である。
【
図12】
図12は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2磁性固定子基板の分解構造模式図である。
【
図13】
図13は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板の分解構造模式
図2である。
【
図14】
図14は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板の分解構造模式
図3である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら本発明の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。説明される本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施例はすべて本発明の保護範囲に属する。
【0034】
特に定義されない限り、ここで使用される技術用語又は科学用語は当業者が理解する通常の意味を有するものとする。本発明の特許出願明細書及び特許請求の範囲で使用される「第1」、「第2」及び類似する用語はいかなる順序、数又は重要性も示さず、単に異なる構成部分を区別するためのものである。「含む」又は「包含」等の類似する用語は該用語の前に出現する素子又は物品が該用語の後にリストされる素子又は物品及びその同等物をカバーすることを意味するが、ほかの素子又は物品を除外しない。「内」、「外」、「上」、及び「下」等は単に相対位置関係を示すためのものであり、説明対象の絶対位置が変化すると、該相対位置関係も対応して変化する可能性がある。
【0035】
本開示における図面は厳密には実際の縮尺に応じて描画されるものではなく、各構造の具体的なサイズ及び数について実際の必要に応じて決定することができる。本開示において説明される図面は単に模式図である。
【0036】
本開示の実施例は磁気浮上装置及び回転子位置調整方法を提供し、実際の必要に応じて固定子の軸方向において回転子の位置を簡単、柔軟かつ正確に調整することができ、磁気浮上装置の制御性が向上するとともに、磁気浮上装置の将来性が期待される。
【0037】
図1aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の分解構造模式図であり、
図1bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板の斜視構造模式
図1である。
図1a及び
図1bに示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置は、回転子1と、固定子2とを含み、固定子2は回転子1の周りに設置されるか又は回転子1は固定子2の周りに設置され、固定子2は永久磁石固定子本体20、第1磁性固定子基板21及び第2磁性固定子基板22を含み、固定子2の軸方向Zにおいて永久磁石固定子本体20は第1磁性固定子基板21と第2磁性固定子基板22との間に介在して配置され、第1磁性固定子基板21は第1基板本体210、第1基板本体210から回転子1へ突起する第1突出部211及び第2突出部212を含み、第1突出部211に第1磁気浮上コイル211cが巻き付けられ、第2突出部212に第2磁気浮上コイル212cが巻き付けられ、固定子の軸方向Zにおいて第1突出部211は第2突出部212よりも高いことで、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cは回転子1に軸方向Z上向きの力を印加するが、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cは回転子1に軸方向Z下向きの力を印加する。
【0038】
なお、図示の便宜上、すべての図面において固定子2が回転子1の周りに設置される場合が示されているが、特に断らない限り、本開示の実施例の説明は回転子1が固定子2の周りに設置される場合にも適用できる。
【0039】
たとえば、第1磁気浮上コイル211cには第1電流が流れ、第2磁気浮上コイル212cには第2電流が流れ、第1磁気浮上コイル211cと第1突出部211及び第2磁気浮上コイル212cと第2突出部212の作用下で回転子1の浮上を実現する。
【0040】
たとえば、本開示の実施例では、固定子2と回転子1は間隔をあけており、さらに、たとえば、回転子1の安定浮上状態では回転子1と固定子2は間隔をあけており、回転子1と固定子2は互いに接触せず、それによって機械的摩擦による発熱や汚染等の一連の問題を回避する。たとえば、固定子2と回転子1が間隔をあけている場合、固定子2と回転子1間の隙間には、必要に応じてほかの構造を設置してもよいし、ほかの構造を設置せずに固定子2と回転子1は空隙のみを介して隔てられるようにしてもよい。
【0041】
たとえば、
図1aに示すように、固定子2の軸方向Zにおいて、第1磁性固定子基板21は第2磁性固定子基板22の下方に位置する。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、固定子2の軸方向Zにおいて、第1磁性固定子基板21は第2磁性固定子基板22の上方に位置してもよい。通常、磁気浮上装置の上方には、実際の応用環境の必要に応じてほかの構造が設置され、設置の便宜上、固定子2の軸方向Zにおいて第1磁性固定子基板21が第2磁性固定子基板22の下方に位置することはより好ましい。
【0042】
なお、理解の便宜上、
図1aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の分解構造模式図であり、実際の構造では、第1磁性固定子基板21と第2磁性固定子基板22は永久磁石固定子本体20とそれぞれ直接接触し、永久磁石固定子本体20に固定され、回転子1は第1磁性固定子基板21、永久磁石固定子本体20及び第2磁性固定子基板22により共同で限定される収容キャビティ内に収容されるか、又は第1磁性固定子基板21、永久磁石固定子本体20及び第2磁性固定子基板22はともに回転子1により限定される収容キャビティ内に収容されることで、磁気浮上装置全体を扁平形状にする。
【0043】
たとえば、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に軸方向Z上向きの力を印加するとは、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する力は軸方向Z上向きの成分を有するが、軸方向Z下向きの成分を有しないことを意味し、さらに、たとえば、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する力は軸方向Z上向きの成分に加えて、固定子2の径方向の成分をさらに有する。たとえば、複数の第1突出部211が設置される場合、複数の第1突出部211及び複数の第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する力の軸方向Z上向きの成分は軸方向Z上向きの合力を形成する。たとえば、複数の第1突出部211が設置される場合、複数の第1突出部211及び複数の第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する力の固定子2の径方向の成分は互いに相殺して固定子2の径方向において回転子1をバランス状態にする。
【0044】
たとえば、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に軸方向Z下向きの力を印加するとは、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する力は軸方向Z下向きの成分を有するが、軸方向Z上向きの成分を有しないことを意味し、さらに、たとえば、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する力は軸方向Z下向きの成分に加えて、固定子2の径方向の成分をさらに有する。たとえば、複数の第2突出部212が設置される場合、複数の第2突出部212及び複数の第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する力の軸方向Z下向きの成分は軸方向Z下向きの合力を形成する。たとえば、複数の第2突出部212が設置される場合、複数の第2突出部212及び複数の第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する力の固定子2の径方向の成分は互いに相殺して固定子2の径方向において回転子1をバランス状態にする。
【0045】
本開示の実施例では、第1磁性固定子基板21は、第1基板本体210、第1基板本体210から回転子1へ突起する第1突出部211及び第2突出部212を含み、固定子の軸方向Zにおいて第1突出部211は第2突出部212よりも高いことで、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cは回転子1に軸方向Z上向きの力を印加するが、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cは回転子1に軸方向Z下向きの力を印加し、それによって第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力と、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力との大きさ関係を制御するだけで、固定子2の軸方向Zにおいて回転子2の位置を柔軟に調整することができる。たとえば、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cにより回転子1に印加される軸方向Z上向きの力が第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cにより回転子1に印加される軸方向Z下向きの力よりも大きいと、回転子1は軸方向Z上向きに移動し、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cにより回転子1に印加される軸方向Z上向きの力が第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cにより回転子1に印加される軸方向Z下向きの力よりも小さいと、回転子1は軸方向Z下向きに移動する。たとえば、第1磁気浮上コイル211cには第1電流が流れ、第2磁気浮上コイル212cには第2電流が流れる。たとえば、第1電流を増加させ、及び/又は第2電流を減少させることで、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力を第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力よりも大きく、回転子1は固定子2の軸方向Z上向きに移動し、移動距離は第1電流の増加幅及び/又は第2電流の減少幅に依存し、第1電流の増加幅及び/又は第2電流の減少幅が大きいほど、上向き移動の距離は大きい。たとえば、第1電流を減少させ、及び/又は第2電流を増加させることで、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力を第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力よりも小さくし、回転子1は固定子2の軸方向Z下向きに移動し、移動距離は第1電流の減少幅及び/又は第2電流の増加幅に依存し、第1電流の減少幅及び/又は第2電流の増加幅が大きいほど、下向き移動の距離は大きい。従って、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、実際の必要に応じて固定子2の軸方向Zにおいて回転子1の位置を簡単、柔軟かつ正確に調整することができ、それにより磁気浮上装置の制御性が向上するとともに、磁気浮上装置の将来性が期待される。
【0046】
たとえば、永久磁石固定子本体20は永久磁石材料からなり、永久磁石材料の例として、サマリウムコバルト、ネオジウム鉄ボロン、フェライトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
たとえば、第1磁性固定子基板21及び第2磁性固定子基板22はいずれも磁性材料からなり、さらに、たとえば、該磁性材料は強磁性材料であり、よりさらに、たとえば、該強磁性材料は透磁率が真空透磁率よりも遥かに大きい軟磁性材料であり、その例として、鉄、コバルト、ニッケル及びその合金、炭素鋼、ケイ素鋼、工業用純鉄が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
たとえば、
図1a及び
図1bに示すように、第1突出部211と第2突出部212は固定子2の軸方向Zにおいて重ならず、このようにして、第1突出部211に巻き付けられる第1磁気浮上コイル211cと第2突出部212に巻き付けられる第2磁気浮上コイル212cが重なって第1磁性固定子基板21の軸方向Zの厚さが増加し、さらに磁気浮上装置全体の厚さが増加することを回避することができる。つまり、第1突出部211と第2突出部212は固定子2の軸方向Zにおいて重ならないことによって、磁気浮上装置全体の薄型化に有利である。しかし、なお、第1突出部211と第2突出部212は固定子2の軸方向Zにおいて重ならなくてもよいし、部分的に重なってもよいし、完全に重なってもよく、いずれも回転子1の軸方向Zの位置を調整することができる。
【0049】
たとえば、引き続き
図1aに示すように、磁気浮上装置の回転子1は回転子本体10、回転子本体10から固定子2へ突出する第1フランジ11及び第2フランジ12を含み、第1フランジ11は第1磁性固定子基板21に対応し、第2フランジ12は第2磁性固定子基板22に対応する。たとえば、回転子1は磁性材料からなり、磁性材料の例として、永久磁石材料又は強磁性材料が挙げられるが、これらに限定されない。よりさらに、たとえば、該強磁性材料は透磁率が真空透磁率よりも遥かに大きい軟磁性材料であり、その例として、鉄、コバルト、ニッケル及びその合金、炭素鋼、ケイ素鋼、工業用純鉄が挙げられるが、これらに限定されない。永久磁石材料の例として、サマリウムコバルト、ネオジウム鉄ボロン、フェライトが挙げられるが、これらに限定されない。第1フランジ11は第1磁性固定子基板21に対応し、従って、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力及び第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力はいずれも回転子1の第1フランジ11に直接作用し、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211c及び第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cと、第1フランジ11との相互作用によって回転子1を浮上させる。
【0050】
図2a、
図2b及び
図2cはそれぞれ本開示の実施例に係る磁気浮上装置における固定子の軸方向Zにおける第1突出部211と第2突出部212との相対位置関係の模式図である。たとえば、上記した固定子2の軸方向Zにおいて第1突出部211が第2突出部212よりも高いことは、(1)
図2aに示すように、固定子2の軸方向Zにおいて、第1突出部211の上面は第2突出部212の上面よりも高く、且つ第1突出部211の下面は第2突出部212の上面よりも高い場合、(2)
図2bに示すように、固定子2の軸方向Zにおいて、第1突出部211の上面は第2突出部212の上面よりも高く、且つ第1突出部211の下面は第2突出部212の上面と同じ高さである場合、及び(3)
図2cに示すように、固定子2の軸方向Zにおいて、第1突出部211の上面は第2突出部212の上面よりも高く、且つ第1突出部211の下面は第2突出部212の上面と第2突出部212の下面との間に位置する場合のいずれか1つを含む。
図2a、
図2b及び
図2cに示す場合、いずれも第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に軸方向Z上向きの力を印加するが第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に軸方向Z下向きの力を印加することを実現でき、それによって軸方向Z上向きの力と軸方向Z下向きの力との総合的作用で回転子の軸方向Zの位置を調整及び制御する。
【0051】
たとえば、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211c及び第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cをよりよく利用して回転子1の軸方向Zの位置を調整するために、回転子1が軸方向Zにおいて所定領域にあることは好ましい。引き続き
図2a、2b及び2cに示すように、軸方向Zにおける回転子1の第1フランジ11と第1突出部211及び第2突出部212との相対位置関係がさらに示される。たとえば、回転子1の初期浮上状態では、固定子2の軸方向Zにおいて回転子1の第1フランジ11の中線は第1突出部211の上面と第2突出部212の下面との間隔Dの中線と略面一であり、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cにより回転子1(具体的には、第1フランジ11)に印加される軸方向Z上向きの力が第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cにより回転子1(具体的には、第1フランジ11)に印加される軸方向Z下向きの力よりも大きい場合、回転子1は初期浮上状態から軸方向Z上向きに移動し、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cにより回転子1(具体的には、第1フランジ11)に印加される軸方向Z上向きの力が第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cにより回転子1(具体的には、第1フランジ11)に印加される軸方向Z下向きの力よりも小さい場合、回転子1は初期浮上状態から軸方向Z下向きに移動する。たとえば、回転子1の初期浮上状態とは、第1磁気浮上コイル211cに第1電流を流し且つ第2磁気浮上コイル212cに第2電流を流すことで回転子1の安定浮上を開始する直後の状態である。たとえば、回転子1の初期浮上状態では、第1磁気浮上コイル211cを流れる第1電流と第2磁気浮上コイル212cを流れる第2電流は同じである。
【0052】
たとえば、さらに、回転子1を簡単に制御して軸方向Zにおいて所定領域に位置させ、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211c及び第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cをよりよく利用して回転子1の軸方向Zの位置を調整するために、固定子2の軸方向Zにおいて、第1突出部211の厚さ211tは第1フランジ11の厚さ11t以上であり、第2突出部212の厚さ212tは第1フランジ11の厚さ11t以上である。たとえば、
図2aに示すように、第1突出部211の厚さ211tは第1突出部211の軸方向Zのサイズであり、第2突出部212の厚さ212tは第2突出部212の軸方向Zのサイズであり、第1フランジ11の厚さ11tは第1フランジ11tの軸方向Zのサイズである。
【0053】
たとえば、加工や製造及び制御の便宜上、固定子2の軸方向Zにおいて、第1突出部211の厚さ211tは第2突出部212の厚さ212tに等しい。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、固定子2の軸方向Zにおいて、第1突出部211の厚さ211tは第2突出部212の厚さ212tに等しくなくてもよい。
【0054】
なお、
図2a、
図2b及び
図2cは単に固定子2の軸方向Zにおける第1突出部211、第2突出部212及び第1フランジ1の相対位置関係を示す模式図であり、
図2a、
図2b及び
図2cにおいて、図示の便宜上、軸方向Zと垂直な径方向における第1突出部211、第2突出部212及び第1フランジ1の配列形態を考慮していない。
【0055】
図1cは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板の斜視構造模式
図2である。たとえば、
図1b及び
図1cに示すように、第1磁性固定子基板21は複数の第1突出部211及び複数の第2突出部212を含み、第1基板本体210は円形内縁210eを有し、複数の第1突出部211及び複数の第2突出部212は該円形内縁210eの周方向に設置される。複数の第1突出部211及び複数の第2突出部212が設置される場合、複数の付勢点から回転子1に作用力を印加することができ、それによって回転子1の制御効果を向上させる。たとえば、引き続き
図1b及び
図1cに示すように、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のサイズは互いに等しく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のサイズは互いに等しいことで、回転子1は力を均一に受けることができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のサイズは等しくなくてもよく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部212のサイズも等しくなくてもよく、実際の状況に応じて柔軟に設計することができる。第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のサイズが互いに等しく、且つ第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部212のサイズが互いに等しい場合、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のそれぞれのサイズは、たとえば、
図1bに示すように、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のそれぞれのサイズに等しく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のそれぞれのサイズは、たとえば、
図1cに示すように、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のそれぞれのサイズに等しくない。
【0056】
以上、
図2a~
図2cを参照しながら軸方向Zにおける第1突出部211及び第2突出部212の設置形態を説明したが、以下、
図3a~3c及び
図4~
図6を参照しながら第1基板本体210の周方向における第1突出部211及び第2突出部212の設置形態を説明する。なお、
図3a~3c及び
図4~
図6において、図示の便宜上、第1突出部211及び第2突出部212の実際の形状を考慮しておらず、単に第1突出部211は中実円で示され、第2突出部212は中空円で示されている。
【0057】
たとえば、
図3a~3cに示すように、隣接する2つの第1突出部211の間に1つの第2突出部212が設置され、隣接する2つの第2突出部212の間に1つの第1突出部211が設置され、複数の第1突出部211の数は複数の第2突出部212の数に等しく、複数の第1突出部211は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置され、複数の第2突出部212は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置される。例として、
図3aにおいて第1突出部211の数と第2突出部212の数がいずれも2つであることが示され、
図3bにおいて第1突出部211の数と第2突出部212の数がいずれも3つであることが示され、
図3cにおいて第1突出部211の数と第2突出部212の数がいずれも4つであることが示され、しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、第1突出部211の数と第2突出部212の数について、必要に応じて任意に設定することができる。
図3a~3cにおいて、複数の第1突出部211と複数の第2突出部212は1つずつ交互に設置され、複数の第1突出部211は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置され、複数の第2突出部212は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置されることで、回転子1は周方向に力を均一に受けることができ、それによって回転子1の制御効果を向上させる。よりさらに、たとえば、複数の第1突出部211及び複数の第2突出部212はともに第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置されることで、回転子1は周方向に力をより均一に受けることができる。よりさらに、たとえば、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のそれぞれのサイズは第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のそれぞれのサイズに等しいことで、回転子1は周方向に力をより均一に受ける。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、複数の第1突出部211は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に不均一に設置されてもよく、複数の第2突出部212は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に不均一に設置されてもよく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のそれぞれのサイズは第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のそれぞれのサイズに等しくなくてもよく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のサイズは等しくなくてもよい、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のサイズは等しくなくてもよく、これらの場合でも回転子1の軸方向Zの位置を調整することができる。
【0058】
たとえば、
図4に示すように、隣接する2つの第1突出部211の間に1組の第2突出部が設置され、隣接する2組の第2突出部の間に1つの第1突出部211が設置され、1組の第2突出部はN個の第2突出部を含み、N≧2であり、第2突出部212の数は第1突出部211の数のN倍であり、複数の第1突出部211は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置され、複数組の第2突出部は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置される。たとえば、
図4において、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のそれぞれのサイズは第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のそれぞれのサイズよりも大きい。
【0059】
たとえば、
図5に示すように、隣接する2つの第2突出部212の間に1組の第1突出部が設置され、隣接する2組の第1突出部の間に1つの第2突出部212が設置され、1組の第1突出部はM個の第1突出部211を含み、M≧2であり、第1突出部211の数は第2突出部212の数のM倍であり、複数組の第1突出部は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置され、複数の第2突出部212は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置される。たとえば、
図5において、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のそれぞれのサイズは第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のそれぞれのサイズよりも小さい。
【0060】
たとえば、
図6に示すように、隣接する2組の第1突出部の間に1組の第2突出部が設置され、隣接する2組の第2突出部の間に1組の第1突出部が設置され、1組の第2突出部はN個の第2突出部212を含み、N≧2であり、1組の第1突出部はM個の第1突出部211を含み、M≧2であり、NはMに等しいか又は等しくなく、複数組の第1突出部は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置され、複数組の第2突出部は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に均一に設置される。たとえば、
図6において、NはMに等しく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のそれぞれのサイズは、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のそれぞれのサイズに等しい。
【0061】
図4~
図6の場合、いずれも回転子1は周方向に力を均一に受け、回転子1の制御効果を向上させることができる。たとえば、
図4~
図6において、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のサイズは等しく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のサイズは等しい。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、
図4~
図6において、複数の第1突出部211は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に不均一に設置されてもよく、複数組の第2突出部は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に不均一に設置されてもよく、複数組の第1突出部は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に不均一に設置されてもよく、複数の第2突出部212は第1基板本体210の円形内縁210eの周方向に不均一に設置されてもよく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第1突出部211のサイズは等しくなくてもよく、第1基板本体210の円形内縁210eの周方向における複数の第2突出部212のサイズは等しくなくてもよく、これらの場合でも回転子1の軸方向Zの位置を調整することができる。
【0062】
引き続き
図1bに示すように、第1磁性固定子基板21は、第1基板本体210、第1基板本体210から回転子1へ突起する第1突出部211及び第2突出部212を含み、該構造の実現形態は多数ある。例として、本開示の実施例は1つの簡便な形態を説明する。
図7は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板21の分解構造模式
図1である。
図7に示すように、第1磁性固定子基板21は第1サブ基板21a及び第2サブ基板21bを含み、第1サブ基板21bは第1突出部211を含み、第2サブ基板21bは第2突出部212を含み、固定子2の軸方向Zにおいて第1サブ基板21aは第2サブ基板21bに積層され、それにより固定子2の軸方向Zにおいて第1突出部211は第2突出部212よりも高い。第1サブ基板21aを第2サブ基板21bに積層する過程で、軸方向Zの周りに第1サブ基板21a又は第2サブ基板21bを回転させるだけで
図3a~
図3c及び
図4~
図5のいずれか1つに示される周方向配列を非常に簡単に実現することができる。たとえば、加工や製造及び制御の便宜上、第1突出部211を含む第1サブ基板21aの形状及びサイズと第2突出部212を含む第2サブ基板21bの形状及びサイズはいずれも同じであり、つまり、軸方向Zの周りに第1サブ基板21a又は第2サブ基板21bを回転させることで、第1サブ基板21aと第2サブ基板21bを完全に重ねることができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、第1突出部211を含む第1サブ基板21aの形状及びサイズと第2突出部212を含む第2サブ基板21bの形状及びサイズは異なってもよく、この場合でも回転子1の軸方向Zの位置を調整することができる。
【0063】
たとえば、
図8a及び
図8bはそれぞれ第1サブ基板21aの構造模式図を示し、
図8bにおいて、第1突出部211に第1磁気浮上コイル211cが巻き付けられ、
図9a及び
図9bはそれぞれ第2サブ基板21bの構造模式図を示し、
図9bにおいて、第2突出部212に第2磁気浮上コイル212cが巻き付けられる。たとえば、
図7、
図8a、
図8b、
図9a及び
図9bにおいて、第1サブ基板21aの第1突出部211以外の部分と第2サブ基板21bの第2突出部212以外の部分はともに第1基板本体210を構成する。
【0064】
たとえば、
図1b、
図10a及び
図10bに示すように、第1基板本体210は円形内縁210eを有し、第1突出部211の内縁は第1弧状であり、第2突出部212の内縁は第2弧状であり、第1弧状は第1円形C1の一部であり、第2弧状は第2円形C2の一部であり、第1円形C1及び第2円形C2はいずれも第1基板本体210の円形内縁210eの同心円である。この場合、回転子1の制御効果を向上させることができる。さらに、たとえば、第1円形C1のサイズは第2円形C2のサイズに等しいことで、回転子1の制御効果をさらに向上させることができる。なお、固定子2の軸方向Zにおいて、第1突出部211は第2突出部212よりも高いため、従って、第1円形C1は第2円形C1よりも高い。
【0065】
図11a及び
図11bはそれぞれ本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2磁性固定子基板22の構造模式図である。
図11a及び
図11bに示すように、第2磁性固定子基板22は第2基板本体220、及び第2基板本体220から回転子1へ突起する複数の歯部221を含み、各歯部221に磁気回転コイル221cが巻き付けられる。磁気回転コイル221cの作用下で回転子1の回転を実現する。以上のように、第2磁性固定子基板22は回転子の第2フランジ12に対応し、従って、回転子1に対する第2磁性固定子基板22及び磁気回転コイル221cの作用力は回転子1の第2フランジ12に直接作用し、第2磁性固定子基板22及び磁気回転コイル221cと第2フランジ12との相互作用によって回転子1を回転させる。
【0066】
たとえば、引き続き
図11a及び
図11bに示すように、第2基板本体220に付加磁気浮上コイル220cが巻き付けられ、該付加磁気浮上コイル220cは磁気回転コイル221cよりも回転子1から離れている。この場合、付加磁気浮上コイル220cは上記第1磁気浮上コイル211c及び第2磁気浮上コイル212cとともに回転子1の浮上を実現する。付加磁気浮上コイル220cの周方向ピッチは磁気回転コイル221cの周方向ピッチよりも大きく、従って、付加磁気浮上コイル220cは磁気回転コイル221cよりも回転子1から離れているように設置されることで、付加磁気浮上コイル220cの磁場分布に対する磁気回転コイル221cの影響を回避することができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、付加磁気浮上コイル220cは磁気回転コイル221cよりも回転子1に近接してもよい。
【0067】
たとえば、第2磁性固定子基板22は、回転子1から離れるように第2基板本体220から凹んだ複数の溝222を含み、付加磁気浮上コイル220cは第2磁性固定子基板22の隣接する2つの溝222間に位置する部分に巻き付けられる。
【0068】
図12は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第2磁性固定子基板22の分解構造模式図である。たとえば、
図12に示すように、第2磁性固定子基板22は第2基板本体220から回転子1へ突起する第3突出部223及び第4突出部224をさらに含み、第3突出部223に第3磁気浮上コイル223cが巻き付けられ、第4突出部224に第4磁気浮上コイル224cが巻き付けられ、第3磁気浮上コイル223cと第4磁気浮上コイル224cは上記付加磁気浮上コイル220cとして機能し、固定子2の軸方向Zにおいて第3突出部223は第4突出部224よりも高いことで、第3突出部223及び第3磁気浮上コイル223cは回転子1に軸方向Z上向きの力を印加するが、第4突出部224及び第4磁気浮上コイル224cは回転子1に軸方向Z下向きの力を印加する。なお、加工や組立の便宜上、
図12において第2磁性固定子基板22は3層構造として設置されているが、本開示の実施例はこれに限定されない。以上のように、第2磁性固定子基板22は回転子の第2フランジ12に対応し、従って、第3突出部223と第3磁気浮上コイル223cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力と、第4突出部224と第4磁気浮上コイル224cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力はいずれも回転子1の第2フランジ12に直接作用し、第3突出部223と第3磁気浮上コイル223c及び第4突出部224と第4磁気浮上コイル224cと、第2フランジ12との相互作用によって回転子1を浮上させる。第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力と、第3突出部223と第3磁気浮上コイル223cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力とは軸方向Z上向きの合力を形成し、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力と、第4突出部224と第4磁気浮上コイル224cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力とは軸方向Z下向きの合力を形成し、軸方向Z上向きの合力と軸方向Z下向きの合力との大きさ関係を制御することによって、回転子1の軸方向Zの位置を調整する。
【0069】
たとえば、固定子2の軸方向Zにおける第3突出部223、第4突出部224、及び第2フランジ12の相対位置関係について、固定子2の軸方向Zにおける第1突出部211、第2突出部212、及び第1フランジ11の相対位置関係を参照すればよいため、ここでは詳細説明を省略する。
【0070】
たとえば、第3突出部223及び第4突出部224の周方向の配列形態、厚さ、サイズ等について、第1突出部211及び第2突出部212の周方向の配列形態、厚さ、サイズ等をそれぞれ参照すればよいため、ここでは詳細説明を省略する。
【0071】
図1a及び
図1bにおいて、第1磁性固定子基板21は磁気浮上コイル(具体的には、第1磁気浮上コイル211c及び第2磁気浮上コイル212c)のみを含むが、磁気回転コイルを含まず、しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、第1磁性固定子基板21は、磁気浮上コイルに加えて、磁気回転コイルをさらに含んでもよい。
図13は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板21の分解構造模式
図2であり、
図14は本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板21の分解構造模式
図3である。
図13及び
図14に示すように、第1磁性固定子基板21は、第1基板本体210から回転子1へ突起する複数の歯部210tを含み、各歯部210tに付加磁気回転コイル210tcが巻き付けられ、第1磁気浮上コイル211c及び第2磁気浮上コイル212cは付加磁気回転コイル210tcよりも回転子1から離れている。上記磁気回転コイル221cと付加磁気回転コイル210tcとの共同作用の下で、回転子1の回転が実現される。第1フランジ11は第1磁性固定子基板21に対応し、従って、回転子1に対する第1磁性固定子基板21及び付加磁気回転コイル210tcの作用力は第1フランジ11に直接作用し、第1磁性固定子基板21及び付加磁気回転コイル210tcと回転子1の第1フランジ11との相互作用によって回転子1を回転させる。たとえば、第1磁気浮上コイル211c及び第2磁気浮上コイル212cのそれぞれの周方向ピッチは付加磁気回転コイル210tcの周方向ピッチよりも大きく、従って、第1磁気浮上コイル211c及び第2磁気浮上コイル212cは付加磁気回転コイル210tcよりも回転子1から離れているように設置されることで、第1磁気浮上コイル211c及び第2磁気浮上コイル212cの磁場に対する付加磁気回転コイル210tcの影響を回避することができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、第1磁気浮上コイル211c及び第2磁気浮上コイル212cは付加磁気回転コイル210tcよりも回転子1に近接して設置されてもよい。
【0072】
たとえば、
図13に示すように、第1突出部211の内縁及び第2突出部212の内縁に複数の歯部210tの一部がそれぞれ設置される。加工や製造の便宜上、
図13に示される第1磁性固定子基板21は2層構造を有し、すなわち、第1磁性固定子基板21は第1サブ基板21a及び第2サブ基板21bを含む。
【0073】
たとえば、
図14に示すように、第1磁性固定子基板21は第1サブ基板21a、第2サブ基板21b及び第3サブ基板21cを含み、第1サブ基板21aは第1突出部211を含み、第2サブ基板21bは第2突出部212を含み、第3サブ基板21cは複数の歯部210tを含み、固定子2の軸方向Zにおいて第1サブ基板21aは第2サブ基板21bに積層され、それにより固定子2の軸方向Zにおいて第1突出部211は第2突出部212よりも高く、且つ固定子2の軸方向Zにおいて第3サブ基板21cは第1サブ基板21aと第2サブ基板21bとの間に介在して配置される。比較したところ、
図14における第1磁性子基板21は
図13における第1磁性子基板21よりも加工され易く、
図13における第1磁性子基板21は
図14における第1磁性子基板21よりも薄く、それによって磁気浮上装置全体の薄型化に有利である。
【0074】
上記説明からわかるように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211c、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212c、及び複数の歯部210tと付加磁気回転コイル210tcは永久磁石固定子本体20の同一側に位置し、複数の歯部221と磁気回転コイル221c、及び付加磁気浮上コイル220cは永久磁石固定子本体の同一側に位置する。以上のように、回転子1の第1フランジ11は第1磁性固定子基板21に対応し、回転子1の第2フランジ12は第2磁性固定子基板22に対応し、従って、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211c、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212c、及び複数の歯部210tと付加磁気回転コイル210tcが回転子1に印加する作用力はほぼすべて回転子1の第1フランジ11に直接作用し、複数の歯部221と磁気回転コイル221c、及び付加磁気浮上コイル220cが回転子1に印加する作用力はほぼすべて回転子1の第2フランジ12に直接作用する。
【0075】
本開示の実施例では、固定子2の軸方向Zにおいて上記磁気浮上装置の回転子1の位置を調整するための回転子位置調整方法をさらに提供する。たとえば、該回転子位置調整方法は、第1磁気浮上コイル211cに第1電流を印加し、第2磁気浮上コイル212cに第2電流を印加することと、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが前記回転子1に印加する軸方向Z上向きの力の大きさを制御するように第1電流を制御することと、第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力の大きさを制御するように第2電流を制御することと、を含む。
【0076】
たとえば、本開示の実施例に係る回転子調整方法は、第1電流を増加させ、及び/又は第2電流を減少させることで、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力を第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力よりも大きくし、回転子は上向きの合力を受けて固定子2の軸方向Z上向きに移動することと、第1電流を減少させ、及び/又は第2電流を増加させることで、第1突出部211と第1磁気浮上コイル211cが回転子1に印加する軸方向Z上向きの力を第2突出部212と第2磁気浮上コイル212cが回転子1に印加する軸方向Z下向きの力よりも小さくし、回転子は下向きの合力を受けて固定子2の軸方向Z下向きに移動することと、を含む。たとえば、回転子1が固定子2の軸方向Z上向きに移動する距離は第1電流の増加幅及び/又は第2電流の減少幅に依存し、第1電流の増加幅及び/又は第2電流の減少幅が大きいほど、上向き移動の距離は大きい。たとえば、回転子1が固定子2の軸方向Z下向きに移動する距離は第1電流の減少幅及び/又は第2電流の増加幅に依存し、第1電流の減少幅及び/又は第2電流の増加幅が大きいほど、下向き移動の距離は大きい。従って、本開示の実施例に係る回転子位置調整方法は、実際の必要に応じて固定子2の軸方向Zにおいて回転子1の位置を簡単、柔軟かつ正確に調整することができ、それにより磁気浮上装置の制御性が向上するとともに、磁気浮上装置の将来性が期待される。
【0077】
たとえば、以上のように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、第1磁性固定子基板21は複数の第1突出部211及び複数の第2突出部212を含み、第1基板本体210は円形内縁210eを有し、複数の第1突出部211及び複数の第2突出部212は該円形内縁210eの周方向に設置される。たとえば、本開示の実施例に係る回転子位置調整方法は、複数の第1磁気浮上コイルに印加される第1電流の合計を増加させ、及び/又は複数の第2磁気浮上コイルに印加される第2電流の合計を減少させることで、複数の第1突出部と複数の第1磁気浮上コイルが回転子に印加する軸方向における上向きの力を複数の第2突出部と複数の第2磁気浮上コイルが回転子に印加する軸方向における下向きの力よりも大きくし、回転子は上向きの合力を受けて固定子の軸方向に沿って上向きに移動することと、複数の第1磁気浮上コイルに印加される第1電流の合計を減少させ、及び/又は複数の第2磁気浮上コイルに印加される第2電流の合計を増加させることで、複数の第1突出部と複数の第1磁気浮上コイルが回転子に印加する軸方向における上向きの力を複数の第2突出部と複数の第2磁気浮上コイルが回転子に印加する軸方向における下向きの力よりも小さくし、回転子は下向きの合力を受けて固定子の軸方向に沿って下向きに移動することと、をさらに含む。それによって、実際の必要に応じて固定子2の軸方向Zにおいて回転子1の位置を簡単、柔軟かつ正確に調整する。
【0078】
以上、本発明の例示的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に定められる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、
永久磁石固定子本体、第1磁性固定子基板及び第2磁性固定子基板を含み、固定子の軸方向において前記永久磁石固定子本体は前記第1磁性固定子基板と前記第2磁性固定子基板との間に介在して配置される固定子と、を含み、
前記固定子は前記回転子の周りに設置されるか又は前記回転子は前記固定子の周りに設置され、
前記第1磁性固定子基板は第1基板本体、前記第1基板本体から前記回転子へ突起する第1突出部及び第2突出部を含み、前記第1突出部に第1磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記第2突出部に第2磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高いことで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における上向きの力を印加し、前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における下向きの力を印加するようになる磁気浮上装置。
【請求項2】
前記した前記固定子の軸方向において前記第1突出部が前記第2突出部よりも高いことは、
(1)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面よりも高い場合、
(2)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面と同じ高さである場合、及び
(3)前記固定子の軸方向において、前記第1突出部の上面は前記第2突出部の上面よりも高く、且つ前記第1突出部の下面は前記第2突出部の上面と前記第2突出部の下面との間に位置する場合のいずれか1つを含む請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項3】
前記回転子は、回転子本体、前記回転子本体から前記固定子へ突出する第1フランジ及び第2フランジを含み、前記第1フランジは前記第1磁性固定子基板に対応し、前記第2フランジは前記第2磁性固定子基板に対応し、
前記回転子の初期浮上状態において、前記固定子の軸方向において前記第1フランジの中線は前記第1突出部の上面と前記第2突出部の下面との間隔の中線と略面一であり、
前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における上向きの力が前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における下向きの力よりも大きい場合、前記回転子は前記初期浮上状態から前記固定子の軸方向に沿って上向きに移動し、
前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における上向きの力が前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルにより前記回転子に印加され、前記軸方向における下向きの力よりも小さい場合、前記回転子は前記初期浮上状態から前記固定子の軸方向に沿って下向きに移動する請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項4】
前記固定子の軸方向において、前記第1突出部及び前記第2突出部それぞれの厚さは前記第1フランジの厚さ以上である請求項3に記載の磁気浮上装置。
【請求項5】
前記第1磁性固定子基板は複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部を含み、
前記第1基板本体は円形内縁を有し、複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って設置される請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項6】
隣接する2つの前記第1突出部の間に1つの前記第2突出部が設置され、隣接する2つの前記第2突出部の間に1つの前記第1突出部が設置され、
複数の前記第1突出部の数は複数の前記第2突出部の数に等しく、
複数の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項
5に記載の磁気浮上装置。
【請求項7】
隣接する2つの前記第1突出部の間に1組の前記第2突出部が設置され、隣接する2組の前記第2突出部の間に1つの前記第1突出部が設置され、
1組の前記第2突出部はN個の前記第2突出部を含み、N≧2であり、
前記第2突出部の数は前記第1突出部の数のN倍であり、
複数の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数組の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項
5に記載の磁気浮上装置。
【請求項8】
隣接する2つの前記第2突出部の間に1組の前記第1突出部が設置され、隣接する2組の前記第1突出部の間に1つの前記第2突出部が設置され、
1組の前記第1突出部はM個の前記第1突出部を含み、M≧2であり、
前記第1突出部の数は前記第2突出部の数のM倍であり、
複数組の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項
5に記載の磁気浮上装置。
【請求項9】
隣接する2組の前記第1突出部の間に1組の前記第2突出部が設置され、隣接する2組の前記第2突出部の間に1組の前記第1突出部が設置され、
1組の前記第2突出部はN個の前記第2突出部を含み、N≧2であり、1組の前記第1突出部はM個の前記第1突出部を含み、M≧2であり、NはMに等しいか又は等しくなく、
複数組の前記第1突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置され、複数組の前記第2突出部は前記円形内縁の周方向に沿って均一に設置される請求項
5に記載の磁気浮上装置。
【請求項10】
前記第1磁性固定子基板は、前記第1突出部を含む第1サブ基板と、前記第2突出部を含む第2サブ基板を含み、前記固定子の軸方向において前記第1サブ基板が前記第2サブ基板に積層され、前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高いようになる請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項11】
前記第1突出部を含む前記第1サブ基板の形状及びサイズと前記第2突出部を含む前記第2サブ基板の形状及びサイズはいずれも同じである請求項
10に記載の磁気浮上装置。
【請求項12】
前記第1基板本体は円形内縁を有し、
前記第1突出部の内縁は第1弧状であり、前記第2突出部の内縁は第2弧状であり、前記第1弧状は第1円形の一部であり、前記第2弧状は第2円形の一部であり、
前記第1円形及び前記第2円形はいずれも前記円形内縁の同心円である請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項13】
前記第2磁性固定子基板は、第2基板本体、及び前記第2基板本体から前記回転子へ突起する複数の歯部を含み、各歯部に磁気回転コイルが巻き付けられる請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項14】
前記第2基板本体に付加磁気浮上コイルが巻き付けられ、該付加磁気浮上コイルは前記磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている請求項
13に記載の磁気浮上装置。
【請求項15】
前記第2磁性固定子基板は、前記第2基板本体から前記回転子へ突起し、前記第3磁気浮上コイルが巻き付けられる第3突出部及び第4磁気浮上コイルが巻き付けられる第4突出部をさらに含み、前記第3磁気浮上コイルと前記第4磁気浮上コイルは前記付加磁気浮上コイルとして機能し、前記固定子の前記軸方向において前記第3突出部は前記第4突出部よりも高いことで、前記第3突出部及び第3磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向における上向きの力を印加し、前記第4突出部と前記第4磁気浮上コイルは前記回転子に前記軸方向下向きの力を印加するようになる請求項
14に記載の磁気浮上装置。
【請求項16】
前記第1磁性固定子基板は前記第1基板本体から前記回転子へ突起する複数の歯部を含み、各歯部に付加磁気回転コイルが巻き付けられ、前記第1磁気浮上コイルと前記第2磁気浮上コイルは前記付加磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項17】
前記第1突出部の内縁及び前記第2突出部の内縁に前記複数の歯部の一部がそれぞれ設置される請求項
16に記載の磁気浮上装置。
【請求項18】
前記第1磁性固定子基板は、前記第1突出部を含む第1サブ基板と、前記第2突出部を含む第2サブ基板と、前記複数の歯部を含む第3サブ基板を含み、前記固定子の軸方向において前記第1サブ基板は前記第2サブ基板に積層され、前記固定子の軸方向において前記第1突出部は前記第2突出部よりも高く、前記固定子の軸方向において前記第3サブ基板は前記第1サブ基板と前記第2サブ基板との間に介在して配置されるようになる請求項
16に記載の磁気浮上装置。
【請求項19】
前記固定子の軸方向において請求項
1に記載の磁気浮上装置の前記回転子の位置を調整するための回転子位置調整方法であって、
前記第1磁気浮上コイルに第1電流を印加し、前記第2磁気浮上コイルに第2電流を印加すること、
前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向における上向きの力の大きさを制御するように前記第1電流を制御することと、
前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力の大きさを制御するように前記第2電流を制御することと、を含む回転子位置調整方法。
【請求項20】
前記第1電流を増加させ、及び/又は前記第2電流を減少させることで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向上向きの力を前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力よりも大きくし、前記回転子は上向きの合力を受けて前記固定子の軸方向上向きに移動することと、
前記第1電流を減少させ、及び/又は前記第2電流を増加させることで、前記第1突出部と前記第1磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向上向きの力を前記第2突出部と前記第2磁気浮上コイルが前記回転子に印加する前記軸方向下向きの力よりも小さくし、前記回転子は下向きの合力を受けて前記固定子の軸方向下向きに移動することと、をさらに含む請求項
19に記載の方法。
【国際調査報告】