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特表2024-518543アゲラスタチンA誘導体および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】アゲラスタチンA誘導体および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/14 20060101AFI20240423BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C07D487/14 CSP
A61P35/00
A61P15/14
A61P25/00
A61P43/00 111
A61K31/4985
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570139
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022028759
(87)【国際公開番号】W WO2022240982
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/187,297
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514239372
【氏名又は名称】ベイラー ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロモ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュフォード,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ,ハオラン
(72)【発明者】
【氏名】カリステ,エムビア
(72)【発明者】
【氏名】ハル,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ジュアノー,モーガン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB05
4C050CC04
4C050DD02
4C050EE04
4C050FF01
4C050GG03
4C050GG04
4C050HH01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC02
(57)【要約】
アゲラスタチン化合物、アゲラスタチン化合物を作製する方法、およびアゲラスタチン化合物を使用する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、Br、CF、SF、SOCF、SOCH、CN、およびNOからなる群から選択され;
は、H、OH、F、Cl、Br、およびCNからなる群から選択され;かつ
はHである)
の化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩。
【請求項2】
、R、R、およびRがHであり、RがBrである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、およびRがHであり、RおよびRがBrである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
~Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびRが、水素およびハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ)から独立して選択され、R~Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式(I)の化合物を作製する方法であって、式(A)の化合物を、式(B)の化合物を介して式(I)の化合物に変換することを含み:
【化2】

前記式(A)の化合物を、
【化3】

と反応させて、アミド(a):
【化4】

をもたらし;
アミド(a)を前記式(B)の化合物に変換し、続いて閉環して7-ヒドロキシ化合物(b):
【化5】

をもたらし;
7-ヒドロキシ化合物(b)を、水性酸での処理によって、前記式(I)の化合物に変換する、
(式中、
Pは、アルコール保護基であり;
Rは、メチル基であり;
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、Br、CF、SF、SOCF、SOCH、CN、およびNOからなる群から選択され;
は、H、OH、F、Cl、Br、およびCNからなる群から選択され;かつ
はHである)
方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項8】
がんを処置する方法であって、治療有効量の、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項9】
前記がんが、乳がん(トリプルネガティブ乳がんもしくはエストロゲン受容体陽性乳がん)または神経膠芽腫である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対象におけるリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心との相互作用を通して、タンパク質合成を阻害する方法であって、有効量の、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心との相互作用を通してタンパク質合成を阻害するのに有効な量で、対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月11日に出願された米国出願第63/187,297号の利益を主張し、その全容が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
政府ライセンスの権利に関する申告
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)により授与された助成金番号R37 GM052964およびR35 GM134910の下で、政府援助を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
背景
アゲラスタチンA(AglA、図1、1)は、その独特な構造および広範囲の生物活性により、海洋アルカロイドのピロール-2-アミノイミダゾール(P-2-AI)ファミリーの最も卓越したメンバーの1つであり、合成化学者および生物学者の両方から大きな関心を集めている。1993年にPietraによって単離されて、この四環系の海洋アルカロイドは、白血病、乳がん、肺がんおよび神経膠芽腫を含む多様ながんの処置における薬物指標としての治療的可能性を実証した。ある研究では、AglAは、その過剰発現が悪性形質転換、がんの進行、および多様ながんにおける転移に関連すると考えられているオステオポンチン(OPN、SPP1によってコードされる)の阻害を実証した。さらに、OPNはまた、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、および原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫などの原発性脳腫瘍によっても著しく発現されるため、AglAは、その優れた血液脳関門の透過性のために、脳腫瘍の処置に特に魅力的なものとなっている。加えて、AglAはまた、グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3βの発現も阻害する。
【0004】
驚くべきことではないが、その発見以来、AglAの合成およびがん細胞株に向けての構造-活性-相関(SAR)プロファイルの開発に、広範な研究が行われてきた。多くの明快な合成戦略を特色とする、多数の全合成または形式的合成が報告されてきた。これらの研究により、生理活性の構造的必要要件の広範な理解および改善された効力を有する数種の新規な誘導体の開発が導かれてきた。最近、AglAの細胞標的が報告され、その強力な抗がん効果を説明する作用機構が解明された。HeLa細胞では、AglAは、リボソームのペプチジル転移中心(PTC)と結合し、タンパク質合成阻害をもたらし、最終的にアポトーシスに至る。その上、AglAと酵母リボソームのS80サブユニットとの複合体のX線構造により、AglAをベースとする新規な薬物指標を設計する可能性が開かれた。詳細には、X線構造により、多数の重要な水素結合およびn-nスタッキング相互作用およびまれなハロゲン-n相互作用が明らかとなった。AglAの生物模倣型合成もまた説明されており、それは、この種類のアルカロイドへの簡潔な参入をもたらし、非環式前駆物質から提案された生合成を支持した。
【0005】
アゲラスタチン誘導体の合成における進歩にもかかわらず、アゲラスタチン誘導体を作製するための新しい合成法、および改善された治療的特性を有する新しいアゲラスタチン誘導体に対する必要性が存在する。本開示は、これらの必要性を満たすことを探究し、さらに関連する利点を提供する。
【0006】
概要
本開示は、アゲラスタチン化合物(例えば、アゲラスタチンA誘導体)および該化合物を作製し使用する方法を提供する。
【0007】
一態様では、本開示は、式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、Br、CF、SF、SOCF、SOCH、CN、およびNOからなる群から選択され;
は、H、OH、F、Cl、Br、およびCNからなる群から選択され;かつ
はHである)
を有する7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物を作製する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、式(A)の化合物を、式(B)の化合物を介して式(I)の化合物に変換することを含む。
【0011】
【化2】
【0012】
さらなる態様では、本開示は、本明細書に記載の7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
本開示の別の態様では、がんを処置する方法が提供される。特定の実施形態では、本方法は、治療有効量の、本明細書に記載の7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0014】
本開示のさらなる態様では、対象におけるリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心との相互作用を通して、タンパク質合成を阻害する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、有効量の、本明細書に記載の7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心との相互作用を通してタンパク質合成を阻害するのに有効な量で、対象に投与することを含む。
【0015】
本発明の前述の態様および多くの付随する利点は、添付の図と合わせると、以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に認識され、同様により良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ビス-カルビノールアミン、ビス-ヒドロキシシクロペンタンコアの隠れた擬似C2対称性を明らかにしているアゲラスタチン(AglA)A~Eおよび非天然の誘導体、7-ヒドロキシAglA(7a)の構造を例示する図である。
図2A】MOEを使用した、AglA-酵母80Sリボソーム複合体の、X線構造を用いた7-ヒドロキシAglA(7a)のドッキングを例示する。C7-ヒドロキシルとU2875の間の、可能であるが弱い(3.52Å)水素結合を示す結合部位の全景(前景、rRNA;背景、タンパク質)。
図2B】7-ヒドロキシAglA(7a)およびU2875のピリミジンジオンの分離図である。
図3】MOEおよびDFT計算による、AglAおよび7-OH AglAのコンフォメーション探索を概略的に例示する図である。
図4】C7-ヒドロキシルの付加時に、後期段階のピロール変異を可能にする、隠れたC2対称要素に基づいたAglA(1)の逆合成解析の概略図である。
図5】ピロール由来のカルビノールアミン18a~18cの安定性研究の概略図である。
図6-1】ジブロモ7-ヒドロキシAglA 24(挿入図:ビス-カルビノールアミン22のX線構造)の合成の概略図である。
図6-2】ジブロモ7-ヒドロキシAglA 24(挿入図:ビス-カルビノールアミン22のX線構造)の合成の概略図である。
図7】分子内光延反応を通して、AglAコア構造に到達する試行の概略図である。
図8】塩基促進型アザ-マイケル閉環を介したAglAの合成の概略図である。
図9】13-ニトロAglA(37)の合成の概略図である。
図10】さまざまながん細胞株に対する、AglA誘導体の細胞毒性(EC50、μM)を要約する表である。
図11】MOEによる7-OH脱-ブロモAglA(24)のコンフォメーション探索、および相対的エネルギーを決定するための後続のDFT計算を例示する図である。
図12】代表的な置換基RおよびRをアゲラスタチンA化合物に導入するための逆合成解析の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本開示は、アゲラスタチン化合物(例えば、アゲラスタチンA誘導体)、および該化合物を作製し使用する方法を提供する。
一態様では、本開示は、式(I):
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、Br、CF、SF、SOCF、SOCH、CN、およびNOからなる群から選択され;
は、H、OH、F、Cl、Br、およびCNからなる群から選択され;かつ
はHである)
を有する7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を提供する。
【0020】
一実施形態では、本開示は、式(I)の化合物を提供し、式中、R、R、R、およびRはHであり、RはBrである。
【0021】
別の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物を提供し、式中、R、R、およびRはHであり、RおよびRはBrである。
【0022】
さらなる実施形態では、本開示は、式(I)の化合物を提供し、式中、R~Rは水素である。
【0023】
他の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物を提供し、式中、RおよびRは、水素およびフルオロ、水素およびクロロ、または水素およびブロモから独立して選択され、R~Rは水素である。これらのうちの特定の実施形態では、Rは水素であり、Rはフルオロであり、これらのうちの他の実施形態では、Rはフルオロであり、Rは水素である(すなわち、両者はジアステロオマーである)。
【0024】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物を作製する方法を提供する。本明細書に記載の方法は、アゲラスタチン足場への置換基R~Rの導入を提供する。
【0025】
置換基RおよびRは、フラン(例えば、15)またはシクロペンタノン(例えば、12~14)中間体の同化によって、生成物アゲラスタチンに組み込まれ得る。図4~6および12を参照されたい。Rおよび/またはRにおけるフルオロ原子の導入のための逆合成解析を、図12に示す。
【0026】
および/またはRにおける、フルオロ、クロロ、またはブロモを含むモノハロゲンまたはジハロゲンの導入は、セレクトフルオルのようなフッ素の求電子源、またはクロロもしくはブロモの場合には、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミド、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはClもしくはBrの他の求電子源を用いて、図12に示されるように4-シクロペンテン-1,3-ジオンのハロゲン化、または本明細書に記載の合成に示されるように、さらに高度のシクロペンタノンのハロゲン化によって達成される。例えば、フッ素化誘導体に関して、ジオンを塩基(例えば、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド)で処理して、エノレートを形成し、次に、セレクトフルオルと反応させて、1個または2個のフルオロ基を導入する。
【0027】
本開示は、モノハロジアステレオマーを提供し:
【0028】
【化4】
【0029】
式中、
(1)XはFであり、XはHであり;
(2)XはHであり、XはFであり;
(3)XはClであり、XはHであり;
(4)XはHであり、XはClであり;
(5)XはBrであり、XはHであり;かつ
(6)XはHであり、XはBrであり;
~Rは、上に記載された通りである。
【0030】
置換基R、RおよびRは、ピロール(例えば、11、16)中間体の同化によって、生成物アゲラスタチンに組み込まれ得る。図4~6、8および12を参照されたい。
【0031】
合成図式の詳細は、図4~6、8、9、および12に示され、以下の実験手順に記載される。
【0032】
特定の実施形態では、本方法は、式(A)の化合物を、式(B)の化合物を介して式(I)の化合物に変換することを含む。
【0033】
【化5】
【0034】
本方法の特定の実施形態では、式(A)の化合物を、
【0035】
【化6】
【0036】
と反応させて、アミド(a):
【0037】
【化7】
【0038】
をもたらし;
アミド(a)を式(B)の化合物に変換し、続いて閉環して7-ヒドロキシ化合物(b):
【0039】
【化8】
【0040】
をもたらし;
7-ヒドロキシ化合物(b)を、水性酸での処理によって式(I)の化合物に変換し、
式中、
Pは、アルコール保護基であり;
Rは、メチル基であり;
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、H、F、Cl、およびBrからなる群から選択され;
は、Br、CF、SF、SOCF、SOCH、CN、およびNOからなる群から選択され;
は、H、OH、F、Cl、Br、およびCNからなる群から選択され;かつ
はHである。
【0041】
さらなる態様では、本開示は、本明細書に記載の7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
本開示の別の態様では、がんを処置する方法が提供される。特定の実施形態では、本方法は、治療有効量の、本明細書に記載の7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む。特定の実施形態では、がんは、乳がん(トリプルネガティブ乳がんもしくはエストロゲン受容体陽性乳がん)または神経膠芽腫である。
【0043】
本開示のさらなる態様では、対象におけるリボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心との相互作用を通して、タンパク質合成を阻害する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、有効量の、本明細書に記載の7-ヒドロキシアゲラスタチン化合物、もしくはその立体異性体、ラセミ体、または薬学的に許容される塩を、リボソームのペプチジルトランスフェラーゼ中心との相互作用を通してタンパク質合成を阻害するのに有効な量で、対象に投与することを含む。
【0044】
上記のように、本開示は、改善された溶解度を有するアゲラスタチンA(AglA)誘導体、および本明細書に記載の戦略に基づき、隠れたC2-対称につながるn-n相互作用をさらに精査するための、ピロール部分をより容易に変化させやすく、合成標的としての7-ヒドロキシAglA(7a)および関連誘導体の着想へとつながる合成戦略を提供する。
【0045】
構造的に、AglAは、中心C環に、シン-アンチ-シンの関係で結合する4個の窒素原子を持つ。C7-ヒドロキシル基の付加によって、AglAに擬似対称性が付与され、第2のカルビノールアミンをもたらし、ペンダントケトンへのピロール窒素の付加から誘導され、ヒドロキシル置換ジヒドロピラジノンに至る(図1、7a)ことが認識された。付加的なヒドロキシル基の付加によって、また、結合部位に付加的な水素結合をもたらす可能性もある一方、AglAに対してより大きい水溶解度(clogP:7-OH AglA(7a)、-2.13;AglA(1)、-1.23)も付与されることが推測される。本出願人らは7-OH AglAをリボソーム-AglA複合体のX線構造へとドッキングさせ(McClary,B.;Zinshteyn,B.;Meyer,M.;Jouanneau,M.;Pellegrino,S.;Yusupova,G.;Schuller,A.;Reyes,J.C.;Lu,J.;Guo,Z.;Romo,D.;Yusupov,M.,Green、R.;Liu,J.O.Cell Chem.Bio.2017、第24巻、605~613)、Molecular Operating Environment(MOE)ソフトウェアを使用して、ウラシル2875(U2875)のピリミジンジオンとC7-OHの間に、AglAと類似する低エネルギーポーズで形成され得る、可能性のある弱い(拡張、3.52Å)水素結合を見出した。
【0046】
本出願人らはまた、C7-ヒドロキシルの導入によって、AglAの全般的トポロジーに著しい影響が及ぼされることがないことを確認し、かつ7-OH AglAによって、AglAに対応する低エネルギーのコンフォメーションもまた達成可能であることを確認することを望んだ。分子動力学およびMOEにおける最小化ならびに密度汎関数理論(DFT)計算もまた、AglAと7-OH AglAの両方に関して、これらの他の場合では極めて剛性である分子のシクロペンタン環(C-環)によって取り入れられたエンベロープコンフォメーションによってのみ異なる、2つの同様の低エネルギーのコンフォマー(A/BおよびA’/B’)を示した(図3を参照されたい)。AglAの場合には、2つの最低エネルギーのコンフォマーA/Bは、約4~5kcal/molの差があった。7-OH AglAの2つのコンフォマーA’/B’に関する、25℃で約0.5kcal/mol(MOE)のΔGは、これらが両方とも、生理学的温度で容易に到達可能であり、1つのエンベロープコンフォメーションは、AglAのより低エネルギーのコンフォメーションに対応することを示唆している。
【0047】
これらの予備的コンピュータ研究は、分子のこの領域をより容易に変化させ、アゲラスタチンの公知のSARを拡張する、後期段階のピロール環化戦略を含む、本出願人らが記載した合成戦略を支持した。これは、7-ヒドロキシAglAの合成を探索するための、この標的とした誘導体に見出される記載された隠れたC2-対称要素に基づき、さらなる起動力をもたらし、本出願人らの逆合成戦略の基礎を形成している(図4)。加えて、この戦略はC7-カルビノールアミン7a/7bの還元に続き、再び、ピロール環に変異を有する非-C7-ヒドロキシル化AglA誘導体をもたらす可能性もある。C7-カルビノールアミンは、ケトン前駆物質9のピロールNHの分子内環化から誘導される。二環式尿素9は、次に、3つの小部分:ピロール11、アジド12およびN-イソシアン酸メチル(10)から、イソシアネートを用いるアシル化、続いてケトン上の環化を通して合成され得る。アジド12は、アジリジン13の環開裂によって導入され得て、これは次に、公知のシクロペンテノンヨージド14から誘導され、報告された手順((a)Saitman,A.;Theodorakis,E.A.Org.Lett.2013、15巻、2410~2413.(b)Yang P.;Yao M.;Li J.;Li Y.;Li A.Angew.Chem.Int.Ed.2016、第55巻、6964~6968.(c)Truax,N.J.;Ayinde,S.;Van、K.;Liu,J.O.;Romo,D.Org.Lett.2019、第21巻、7394~7399)によって、フルフラールから容易に入手できる。
【0048】
カルビノールアミンは、理論的には可逆的に形成され、アルデヒドとアミンの成分の平衡状態で存在することができる。ピロロカルビノールアミンは、ピロールのアルデヒドまたはケトンへの求核的付加によって形成され、適度に安定であり、精製および単離が可能で、アルデヒド保護基として役立つが、塩基を用いる処理時に、そのカルボニルピロール前駆物質にまた戻り得る。AglAのC5-カルビノールアミンは、ヒドロキシイミダゾリジノンをもたらし、主に閉環状の形態で存在することが周知である。しかしながら、本出願人らはペンダントケトンへのピロール窒素付加の環化から誘導される、提案されたヒドロキシジヒドロピラジノン7に関する同じ平衡については確信がなかった。この疑問に取り組むために、本出願人らはジヒドロピラジノンをもたらす、そのようなケトピロール由来のカルビノールアミンの安定性を精査するために、最初にモデル研究を実施した。
【0049】
本出願人らはピロールカルボン酸アミド17a~cを合成し、対応するカルビノールアミンとピロロケトンの間の平衡を研究した(図5)。2-アジドシクロペンタノンの還元およびピロール-1H-カルボン酸との縮合により、アミド17bを得た。EtNを用いるケトン17bの処理時に、環化により、対応するカルビノールアミン18bを73%収率で得た(>19:1 dr、600MHz H NMR)。カルビノールアミン18bは、非常に安定であり、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し得て、CDOD中で数日間安定であった。NEt/CHClで周囲温度(22℃)において16時間再処理すると、少量のみの開環状態のケトピロール17bが生成し、11:1の平衡比(18b/17b)をもたらし、H NMRにより判断して、環化形態が優勢であった。同様に、4-ブロモピロール由来のカルビノールアミン18cは、中性条件下で安定であるが(例えばCDOD中)、NEt/CHCl中で22℃において、18cと17cの混合物を8:1比でもたらし、再び環化形態が優勢であった。対照的に、5-ブロモピロール類似体17aは、標的とした7-ヒドロキシAglAを最も厳密に模倣し、閉じた形態18aは優勢ではなかった。前駆物質ケトピロール17aは、17bおよび17cと同様の条件下で、18aに環化しなかっただけでなく、たとえ環式カルビノールアミン18aが、カルビノールアミン18bの臭素化を通して標的とされたとしても、ブロム化された付加物18aは、CDOD中で迅速に開環し、17a/18aの混合物を8.7:1の比で形成し、ケトピロール17aが優勢であった。全般に、これらの結果は、ピロール環のC5上に存在する置換基が、環式カルビノールアミンには不利であることを示唆しているため、本出願人らは最初に非臭素化C7-OH AglA 7bを探求した。
【0050】
ラセミ体7-ヒドロキシ-13-脱-ブロモAglA(24)の合成は、公知のヨウ化物14のアジリジン化から開始し、フルフリルアルコールから3工程で得ることができる(図6)((a)Saitman,A.;Theodorakis,E.A.Org.Lett.2013、第15巻、2410~2413.(b)Yang P.;Yao M.;Li J.;Li Y.;Li A.Angew.Chem.Int.Ed.2016、第55巻、6964~6968.(c)Truax,N.J.;Ayinde,S.;Van,K.;Liu,J.O.;Romo,D.Org.Lett.2019、第21巻、7394~7399)。塩基性条件下でのp-トルエンスルホンアミドを用いるアジリジン化は、Maycockの方法によって、アジリジン13を組み入れた(Silva,S.;Rodrigues,P.;Bento,I.;Maycock,C.D.J.Org.Chem.2015、第80巻、3067~3074)。次に、アジドアニオンを用いるアジリジン開裂を研究したが、アジリジンと派生アジドの両方の、酸性と塩基性の両方の条件に対する不安定性が観察された。広範な実験後に、トリメチルシリルアジドが、アジリジン開環に最適であることが見出された。これは、アジドシクロペンタノン12を、ジアステレオマーの混合物(43%、dr 1.2:1)としてもたらし、中間体シリルエノールエーテルの非選択的なa-プロトン化に起因すると思われた。所望の非-ジアステレオマー12bは、カラムクロマトグラフィーによって単離され、一方、所望されないジアステレオマー12aは、アセトニトリル中で6日間、4Åモレキュラーシーブに付することによって再平衡化し、約1:1比となり得て、付加的な量の所望の非-ジアステレオマーの単離に至った。N-イソシアン酸メチル(10)の存在下でのアジド12aの水素化により、二環式中間体20は、単一工程で公知の環化を通して、環式尿素を与えた。ピロール部分を導入するために、N-トシル基を、SmI/HO/NEtを使用して開裂し(Ankner T.;Hilmersson、G.Org.Lett.2009、11、503~506)、一級アミン21を提供した。ピロール2-カルボン酸とカルボン酸リチウムとの後続するアミドカップリングは、最初は問題が多く、アミドカップリング用の典型的な有機溶媒(例えば、CHCl、DMF)に、ほんの一部しか可溶しないことが判明した一級アミン21の不溶性に起因して、完了まで進めることができなかった。最終的に、DMF中のアミン21の懸濁液が、約100℃に加熱すると完全に溶解し、均質溶液を提供することが見出された。周囲温度に冷却した後、カップリングは支障なく進行し、所望のアミド22を82%収率でもたらした。
【0051】
TBSエーテルの脱保護を、MeOH中のHClを用いて達成し、これはメトキシアミナール22としてヘミアミナールを遮蔽することにも役立つ。Swern酸化は中間体ケトンをもたらし、これは過剰のトリエチルアミンの存在下で環化し、カルビノールアミン23を46%収率で直接もたらした。これは、この平衡が、C7-カルビノールアミンの環状形態に優勢であることを示唆した本出願人らのモデル研究と一致し(図5、18bを参照のこと)、これは、カルビノールアミン23のX線結晶解析によってさらに確認された(挿入図、図6)。興味深いことに、固体状態におけるコンフォメーションは、コンフォメーション探索を通して見出されたより低エネルギーのコンフォメーション(上記を参照)に対応する。メトキシアミナール15の加水分解を穏やかな条件下で達成して、標的とした7-ヒドロキシ-13-脱-ブロモAglA(24)をもたらし、CDODまたはDMSO-d中に周囲温度(22℃)で7日間保存された場合、H NMRによって決定されたように非常に安定であることが見出された。
【0052】
モノ-カルビノールアミン23を、AglAのコア構造に変換する取り組みにおいて、本出願人らはいくつかの直接的方法を探求したが;直接的還元は、多様なLewis酸/水素化物の添加条件下で好結果を生むことはなかった。代替的に、本出願人らはアミン21から誘導されたアルコール25aおよび25bを直接的分子内立体反転置き換えし(25a、bを参照されたい)、光延反応を通してB環を形成することを考えた。しかしながら、環化は実際に起こったが、オキサゾリン26bの場合にX線結晶解析によって確認されたように、求核原子として作用し、オキサゾリン26aおよび26bをもたらしたのはアミド酸素原子であった(図7)。
【0053】
次に、本出願人らはAglAに対する本出願人らのこれまでの生物模倣型戦略で利用して成功した、B環を形成するための代替的戦略(Reyes,J.C.P.;Romo,D.Angew.Chem.,Int.Ed.2012、第51巻、6870~6873)、すなわち、5-エキソ、アザ-マイケル閉環を考えた。C6~C7アルケンを直接組み入れるために試みたアルコール25aの脱水は、複数の副反応(示されず)に起因して、非常に低い収率であった。したがって、本出願人らは初期の中間体、シリルエーテル20に戻って、メトキシカルビノールアミンの生成および脱シリル化後に、本出願人らはGrieco脱離を通して、必要なC6~C7アルケンを導入し、シクロペンテン28を2工程で42%収率で得た(図8)。SmIを用いるトシル基の開裂およびピロール酸クロリドを用いるアシル化によりアミド30がもたらされ、これをカルビノールアミン31に加水分解し、本出願人らのこれまでのAglAの生物模倣型合成と同じ中間体を得た。カルビノールアミンにシリカゲルを用いて穏やかな加熱を施し、アザ-マイケル付加を開始させ、これは再びAglAをもたらすことに成功した。しかしながら、容易に拡張できなかったため、本出願人らはこの転換のための代替の反応条件を探究した。本出願人らはカルビノールアミン31の開環したC環エノンの濃縮を、穏やかな塩基性条件下で達成することができた場合、所望のアザ-マイケル反応を容易にすることを予期した。さまざまな塩基を用いるいくつかの実験後、本出願人らは化学量論量未満の量の塩基、すなわちMeOH中の0.25当量のKCOが、公知の3,4-ビス-epi-AglA(34)と共に、43%収率で(2工程)AglA(33)を与えることを見出した。両方の生成物のスペクトルは、これまでに報告されたものと一致した。
【0054】
AglAのこれまでのSAR研究は、ピロール部分の電子吸引基が誘導体(例えば、Cl、CF)の効力に有益であることを示してきた(Stout,E.P.;Choi,M.Y.;Castro,J.E.;Molinski,T.F.J.Med.Chem.2014、第57巻、5085~5093。Jouanneau,M.;McClary,B.;Reyes,J.C.P.;Chen,R.;Chen,Y.;Plunkett,W.;Cheng,X.;Milinichik,A.Z.;Albone,E.F.;Liu,Jun O.Bioorg.&Med.Chem.Lett.2016、第26巻、2092~2097)。この観察は、リボソームペプチジル転移中心のA-部位に結合したAglAのX線構造において、リボソームRNAからのヌクレオチド塩基で観察されたn-nスタッキングと一致する。したがって、本出願人らは医薬化学的展望から、ニトロ基の潜在的障害にもかかわらず、この後期段階のピロール環化戦略の有用性を実証するために、電子吸引性ニトロ基を標的とした。重要なアザ-マイケル環化のための基体は、アミン29から容易に調製され、AglAに関して上に記載されたものと同様の手法であるが、穏やかな酸性条件下でさえも容易に起きることが見出された、二環式イミダゾリジノン29のC1、C5におけるビス-エピマー化(34を参照のこと)を回避するために、ニトロ置換されたピロール35のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルを使用した(図9)。同様の様式で、アザ-マイケル環化は支障なく進行して、13-ニトロAglA(37)を2工程にわたり41%収率で与えた。興味深いことに、このAglA誘導体27は、反応混合物から淡黄色固体として沈殿し、単純濾過およびメタノールでの洗浄により、ニトロAglA誘導体37を純粋形態で得た。
【0055】
合成された新規なAglA誘導体の細胞毒性は、4つのがん細胞株に対して(-)-AglAおよび(±)-AglAの両方と比較して決定された(図10)。ビス-カルビノールアミン24は、C13-ブロモ置換基を欠いており、MCF7、Caco2、およびMDA-MB-231細胞株に対する活性を250μMまで示さなかった。これは、X線構造で観察された明らかなハロゲン-p相互作用、およびAglAと比較して、13-脱-ブロモAglA HeLa細胞の効力におけるこれまでに実証された約500倍の低下に基づくと、驚くべきことではない。残念ながら、本出願人らのモデル研究によって示唆されたように(上記を参照、図5、17a)、7-OH AglA(24)は、C5-ブロモ置換基を持ち、主に開環したケトピロール互変異性体として存在することが見出され、これが不安定性をもたらすため、アッセイできなかった。しかしながら、ビス-カルビノールアミン24に関して、神経膠芽腫細胞株、U87に対して、測定可能なEC50値(171.0±8.0μM)を得ることができた。オキサゾリン26aは、研究したいずれの細胞株に対しても活性を示さなかった。
【0056】
7-OH AglA(24)の脱-ブロモ変異体の低減した生理活性に促されて、この誘導体のコンフォメーション解析を実施した(図11)。特に興味深かったのは、AglAと比較したC-環シクロペンタンのコンフォメーション優位性の比較であった。実際、エンベロープ環コンフォマーA’’は、AglAの最低エネルギーのシクロペンチルコンフォマーAより低いエネルギーであると決定され(i1E=3.4kcal/mol)(図3を参照のこと)、したがって、AglA-様のエンベロープコンフォマーのより低い濃度が、低減した細胞毒性に寄与している可能性がある。
【0057】
本開示は、ピロール部分の後期段階の変異を可能にする重要な特色を有するAglAのビス-カルビノールアミン誘導体(例えば、C7-ヒドロキシジブロモAglA(24))をもたらす、隠れた対称要素に基づいた新規な合成戦略を提供する。この設計は、AglA-リボソーム複合体のX線構造および分子モデル化によって導かれた。標的とした7-ヒドロキシAglAは、主に開環したケトピロール形態中に存在し、不安定であることが見出されたが、7-ヒドロキシ脱-ブロモAglAは、合成および単離することができた。加えて、最終の6-エキソ-トリグ、アザ-マイケル閉環のための新しい条件のセットが開発され、これを利用して13-ニトロAglA(37)に到達した。新しいAglA誘導体の生物活性を、4つのがん細胞株に対して測定し、新規のC5-ニトロAglAは、結腸がん株、Caco-2以外の、研究された全ての細胞株に対して活性を示した(1.16~35.4μM)。しかしながら、7-OH脱-ブロモAglA(24)は、決定的なC5-ブロモ置換基が欠落しているにもかかわらず、試験した神経膠芽腫細胞株に対して細胞毒性を示した(U87、EC50=171.0±8.0μM)。
以下の実施例は、例示的目的のために提供され、制限するものではない。
【実施例
【0058】
実施例
一般情報
特に記載しない限り、全ての非-水性反応を、火炎乾燥ガラス器具中で、N雰囲気下で実行した。使用した全ての溶媒を、活性化モレキュラーシーブに基づく溶媒精製系を使用することで乾燥させた。トリエチルアミンを、使用前にCaH上で蒸留した。全ての他の市販試薬はそのまま使用した。H NMRスペクトルを、600MHz、500MHzまたは400MHzにおいて測定し、化学シフトを、CDCl(7.26ppm)またはCDOD(3.31ppm)に対して、ppmにおける8つの値として報告する。結合定数(J)をヘルツ(Hz)で報告し、多重度は従来の方法に従う。略語brs(幅広の1重項)、s、d、t、q、p、heptおよびm(またはこれらの任意の組み合わせ)は、共鳴の多重度、幅広の1重項、1重項、2重項、3重項、4重項、5重項、6重項および多重項を表す。appという表示は、観察されたが必ずしも予期されたものではない分裂に関する外見を表し、幅広は、付加的なより小さいカップリングに起因する可能性がある、識別することができないピークの幅の広がりを表す。重水素化溶媒(CDCl、77.16ppm、CDOD、49.00ppm、またはDMSO、39.52ppm)を、13C NMRスペクトル用の内部標準とした。フラッシュカラムクロマトグラフィーを、60Åシリカゲル(Silicycle、230~400メッシュ)を固定相として使用し、勾配溶媒システムまたは自動フラッシュクロマトグラフィーシステムを使用して実施した。高分解能質量スペクトルを、質量分析センター(Baylor大学)で取得した。薄層クロマトグラフィー(TLC)を、予備コーティングされたガラスバックを有するTLCプレート、Silica Gel F254(Silicycle、250μm厚)を使用して実施した。フーリエ変換赤外分光(FTIR)スペクトルを、NaClプレート上の薄膜として記録した。X線構造を、Baylor大学におけるX線回折研究室で取得した。
略語リスト
(COCl) 塩化オキサリル
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアルデヒド
DMP デス-マーチンペルヨージナン
DMSO ジメチルスルホキシド
HBTU ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム
NBS N-ブロモスクシンイミド
NEt トリエチルアミン
2-NOPhSeCN 2-セレノシアン酸ニトロフェニル
PBu トリブチルホスフィン
PPh トリフェニルホスフィン
SmI 二ヨウ化サマリウム
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム
TBSCl tert-ブチルジメチルシリルクロリド
THF テトラヒドロフラン
TMSN トリメチルシリルアジド
TsNH p-トルエンスルホンアミド
【0059】
実験手順
以下に、本明細書に記載の化合物の合成の説明を提供する。これらの合成の概略図を図4~9に例示する。
【0060】
【化9】
【0061】
メタノール(2.4mL)中のアジド15(Dede,D. Regioselective synthesis of functionalized salicylates,isotetronic acids,and alkylidene-isobenzofurans based on one-pot cyclization of enol ethers;Rostock、Germany、2008)(0.30g、2.4mmol、1.0当量)に、10%の炭素上パラジウム(133mg、0.28mmol、0.12当量)を添加した。3方向アダプタを介してフラスコに取り付けたHバルーンを接続し、フラスコを順次、真空下に置き、Hで充填した(3回)。ジエチルエーテル中の1Mの塩化水素(4.08mL、4.08mmol、1.7当量)を添加し、反応物を21時間撹拌した。炭素上パラジウムの第2部分(66.5mg、0.14mmol、0.06当量)およびメタノール(0.6mL)を添加し、新しい水素バルーンを用いて反応物をさらに17時間撹拌した。TLCは出発物質の消失を示唆し、混合物を、綿栓を通して濾過し、メタノールで洗浄し、真空中で濃縮して、アミン塩化水素塩15aを黒色固体(0.3g)として得て、これを次の工程で直接使用した。
【0062】
10mL丸底フラスコに、ピロール-1H-2-カルボン酸(214.2mg、1.93mmol、1.5当量)およびTHF(6.0mL)を入れた。この透明溶液に、ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU、731.2mg、1.93mmol、1.5当量)およびトリエチルアミン(0.54mL、3.87mmol、2.0当量)を周囲温度(22℃)で添加し、続いてDMF(1.5mL)を添加して、無色透明溶液を形成した。混合物を1時間撹拌し、次に0℃に冷却した。N,N-ジメチルホルムアルデヒド(3.3mL)中の、上記のように調製された15aの溶液(174.3mg、1.29mmol、1.0当量)を添加し、氷水浴を取り除くことで、反応物を周囲温度(22℃)まで加温しておいた。反応物をさらに6時間撹拌し、真空中で濃縮して溶媒を除去した。有機残留物をシリカでのMPLC(酢酸エチル/ヘキサン、0~60%)によって精製し、アミド17b(89.0mg、36%)を白色固体として得た。
【0063】
17b:白色固体。H NMR (400 MHz,CDOD) δ 6.91 (dd,J = 2.6,1.4 Hz,1H),6.79 (dd,J = 3.8,1.5 Hz,1H),6.16 (dd,J = 3.7,2.5 Hz,1H),4.37 - 4.13 (m,1H),2.45 - 2.33 (m,2H),2.32 - 2.22 (m,1H),2.14 - 2.02 (m,1H),2.00 - 1.80 (m,2H),2つのNHプロトンが観察されなかった; 13C NMR (100 MHz,CDOD) δ 217.6,163.5,126.4,123.1,112.0,110.2,58.1,36.7,30.32,19.41; IR (薄膜,cm-1) 1737,1626,1557,1519,1129; HRMS (ESI) C1013 [M+H]の計算値193.0972,実測値193.0979.
【0064】
【化10】
【0065】
10mL丸底フラスコに、5-ブロモピロール-1H-2-カルボン酸(118.8mg、0.625mmol、1.5当量)およびヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU、237.0mg、0.625mmol、1.5当量)を入れた。THF(2.0mL)を添加し、続いてトリエチルアミン(0.23mL、1.67mmol、4.0当量)を周囲温度(22℃)で添加した。DMF(0.5mL)を添加し、懸濁液は均質となった。混合物を1時間撹拌し、0℃まで冷却した。17bに関して上に記載されたように調製された、N,N-ジメチルホルムアルデヒド(1.1mL)中の15a(56.5mg、0.42mmol、1.0当量)の溶液を添加し、氷水浴を取り除くことで、反応物を周囲温度(22℃)まで加温しておいた。反応物をさらに1.5時間撹拌し、真空中で濃縮して溶媒を除去した。有機残留物をシリカでのMPLC(酢酸エチル/ヘキサン、0~60%)によって精製し、アミド17a(53.0mg、47%)を白色固体として得た。
17a:白色固体。H NMR (500 MHz,CDOD) δ 6.73 (d,J = 3.8 Hz,1H),6.13 (d,J = 3.8 Hz,1H),4.25 (dd,J = 11.3,8.7 Hz,1H),2.42 - 2.31 (m,2H),2.31 - 2.20 (m,1H),2.13 - 2.02 (m,1H),1.98 - 1.81 (m,2H),2つのNHプロトンが観察されなかった; 13C NMR (125 MHz,CDOD) δ 217.4,162.3,128.3,113.5,112.5,104.6,58.1,36.6,30.3,19.4; IR (薄膜,cm-1) 3183,1744,1623,1555,1455,1394; HRMS (ESI) C1011 79BrNNaO [M+Na] の計算値292.9896,実測値292.9901.
【0066】
【化11】
【0067】
10mL丸底フラスコに、4-ブロモピロール-1H-2-カルボン酸(130.3mg、0.69mmol、1.5当量)およびヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU、260.1mg、0.69mmol、1.5当量)を添加し、続いてTHF(2.0mL)およびトリエチルアミン(0.26mL、1.83mmol、4.0当量)を22℃で添加した。DMF(0.5mL)を添加し、懸濁液は透明溶液となった。混合物を1時間撹拌し、0℃まで冷却した。別の1.5ドラムバイアル中で、15a(62mg、0.46mmol、1.0当量)をDMF(1.1mL)に溶解し、この溶液をカニューレを介して反応容器に移し、次に、氷水浴を取り除くことで、反応物を周囲温度(22℃)まで加温しておいた。反応物をさらに1.5時間撹拌し、真空中で濃縮して溶媒を除去した。有機残留物を、シリカでのMPLC(酢酸エチル/ヘキサン、0~60%)によって精製し、アミド17c(17.0mg、14%)を灰色がかった白色の固体として得た。
17c:灰色がかった白色の固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 6.92 (br t,J = 1.3 Hz,1H),6.78 (d,J = 1.5 Hz,1H),4.25 (dd,J = 11.4,8.2 Hz,1H),2.41 - 2.34 (m,2H),2.27 (ddd,J = 19.7,11.0,9.3 Hz,1H),2.10 (m,1H),2.00 -1.84 (m,2H),1つのNHプロトンが観察されなかった; 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 217.3,162.3,127.1,123.0,113.5,97.5,58.1,36.6,30.2,19.4; IR (薄膜,cm-1) 3219,1746,1633,1563,1523; HRMS (ESI) C1079BrN [M-H]の計算値268.9931,実測値268.9935.
【0068】
【化12】
【0069】
ジクロロメタン(1.3mL)中のアミド17bの撹拌した溶液(13.0mg、0.068mmol、1.0当量)に、トリエチルアミン(28ul、0.20mmol、3.0当量)を周囲温度(22℃)で添加した。混合物を22時間撹拌し、反応物を濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール/ジクロロメタン0~15%)によって精製し、環式カルビノールアミン18b(9.5mg、73%)を白色固体として得た。
【0070】
18b:白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 7.21 (dd,J = 2.7,1.6 Hz,1H),6.88 (dd,J = 3.8,1.6 Hz,1H),6.29 (dd,J = 3.8,2.7 Hz,1H),3.88 (dd,J = 7.2,5.9 Hz,1H),2.32 (ddd,J = 13.9,9.6,5.7 Hz,1H),2.29 - 2.22 (m,1H),2.19 (ddd,J = 13.8,9.5,6.5 Hz,1H),1.87 (m,1H),1.78 (m,1H),1.67 (m,1H); OHおよびNHプロトンが観察されず; 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 161.8,123.4,122.3,115.3,111.5,90.5,62.7,38.3,32.1,20.5; IR (薄膜,cm-1) 3272,1633,1558,1458,1330; HRMS (ESI) C1012NaO [M+Na]の計算値215.0791,実測値215.0801.
【0071】
【化13】
【0072】
ジクロロメタン(0.2mL)中のアミド17cの撹拌した溶液(6.0mg、0.022mmol、1.0当量)に、トリエチルアミン(9mL、0.066mmol、3.0当量)を周囲温度(22℃)で添加した。混合物を28時間撹拌し、反応物を濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール/ジクロロメタン、0~15%)によって精製し、環化生成物18c(4.0mg、67%)を白色固体として単離した。
【0073】
18c:白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 7.23 (d,J = 1.8 Hz,1H),6.82 (d,J = 1.8 Hz,1H),3.88 (dd,J = 7.2,6.0 Hz,1H),2.31 (ddd,J = 13.7,9.5,5.6 Hz,1H),2.28 - 2.22 (m,1H),2.19 (ddd,J = 13.9,9.4,6.5 Hz,1H),1.92 - 1.84 (m,1H),1.84 - 1.73 (m,1H),1.68 (m,1H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 160.4,124.5,121.9,116.4,99.9,90.9,62.6,38.2,32.1,20.5; IR (薄膜,cm-1) 3295,1637,1553,1470; HRMS (ESI) C1010 79BrN [M-H]の計算値268.9931,実測値268.9935.
【0074】
【化14】
【0075】
ジクロロメタン(0.32mL)中のカルビノールアミン18bの撹拌した溶液(3.0mg、0.016mmol、1.0当量)に、トリエチルアミン(6.6μl、0.047mmol、3.0当量)を添加した。H NMRによって監視しながら、反応物を周囲温度(22℃)で16時間撹拌し、ケトン18bと環式カルビノールアミン17bの混合物が、それぞれ12:1の比で形成したことが示され、この比はこの期間にわたり変化しないままであった。
【0076】
【化15】
【0077】
カルビノールアミン18cの撹拌した溶液(1.2mg、0.0044mmol、1.0当量)に、ジクロロメタン中のトリエチルアミンの溶液(0.1mL、該溶液は、19μlのトリエチルアミンと1.0mLのジクロロメタンを混合することによって作製された)を添加した。H NMRによって監視しながら、反応物を16時間撹拌し、ケトン18cと環式カルビノールアミン17cの混合物が、それぞれ8:1の比で形成したことが示され、この比はこの期間にわたり変化しないままであった。
【0078】
【化16】
【0079】
1.0ドラムバイアルに、17a(2.7mg、0.01mmol、1.0当量)およびジクロロメタン中のトリエチルアミンの溶液(0.23mL、0.03当量、3.0当量、該溶液は、19μlのトリエチルアミンと1.0mLのジクロロメタンを混合することによって作製された)を入れた。反応物を2日間撹拌し、H NMRは、ケトン17aと環式カルビノールアミン18aの、それぞれ1:0.11の比における混合物が形成したことが示され、この比はこの期間にわたり変化しないままであった。
【0080】
【化17】
【0081】
1.5ドラムバイアル中で、カルビノールアミン18b(2.6mg、0.014mmol、1.0当量)を、THF(0.14mL)およびMeOH(0.14mL)に溶解し、混合物を0℃まで冷却した。N-ブロモスクシンアミド(2.5mg、0.0142mmol、1.05当量)を添加し、反応物を周囲温度(22℃)まで加温しておいた。4時間撹拌した後、TLCは、出発物質がもう存在しないことを示し、シリカでのカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl、0~20%)によって、反応混合物を濃縮および精製して、18a/18c/17a(2.4mg、65%)の1:0.6:0.44の比における混合物を得た。この混合物を、CDOD中の5-ブロモ誘導体の安定性を精査するために、NMRによって監視した。6時間後、混合物は、18a/18c/17a=0.15:0.6:1.30の比を与え、この比は、16時間にわたり変化しないままであった。
【0082】
【化18】
【0083】
ヨウ化物14を、以下に記載された手順((a)Yang,P.;Yao,M.;Li,J.;Li,Y.;Li,A.Total Synthesis of Rubriflordilactone B.Angew.Chem.Int.Ed.2016、第55巻、6964~6968。(b)Saitman,A.;Theodorakis,E.A.Synthesis of a Highly Functionalized Core of Verrillin.Org.Lett.2013、第15巻、2410~2413。(c)Truax,N.J.;Ayinde,S.;Van,K.;Liu,J.O.;Romo,D.Pharmacophore-Directed Retrosynthesis Applied to Rameswaralide:Synthesis and Bioactivity of Sinularia Natural Product Tricyclic Cores.Org.Lett.2019、第21巻、7394~7399)によって調製した。
【0084】
【化19】
【0085】
50mLの丸底フラスコ中の、ジクロロメタン(無水、25mL)中のヨウ化物14(1.0g、2.96mmol、1当量)の撹拌した溶液に、1,10-フェナントロリン(598mg、3.32mmol、1.12当量)およびp-トルエンスルホンアミド(1.01g、5.91mmol、2当量)を添加した。次に、混合物を氷浴中で冷却し、炭酸セシウム(982mg、3.02mmol、1.02当量)を、5バッチで20分間にわたり添加し、淡黄色懸濁液を形成した。10分間撹拌した後、氷浴を取り除き、反応物を周囲温度(22℃)で5時間撹拌した。水(30mL)、ブライン(20mL)を添加することによって反応をクエンチし、ジクロロメタンで抽出した(30mL×3)。有機相を合わせて、ブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、シリカでの自動カラムクロマトグラフィー(湿式充填、アセトン/ヘキサン、0~40%)によって精製し、アジリジン13(0.68g、60%、回収された出発物質に基づいて70%)を灰色がかった白色固体として得て、ヨウ化物(0.14g)を回収した。
【0086】
ジクロロメタン(200mL)中の8.8gのヨードエノン14と共に1,10-フェナントロリン(5.24g)、p-トルエンスルホンアミド(8.89g)、および炭酸セシウム(8.63g)に反応を規模拡大した場合、これは、回収されたヨードエノン14(1.32g)と共にアジリジン13(5.05g、51%、BRSM60%)をもたらした。
【0087】
13:灰色がかった白色固体。H NMR (CDCl,400 MHz) δ 7.80 (d,J = 8.3 Hz,2H),7.36 (d,J = 8.3 Hz,2H),4.55 (d,J = 5.5 Hz,1H),3.71 (d,J = 4.5 Hz,1H),3.30 (d,J = 4.4 Hz,1H),2.50 (dd,J = 18.3,5.6 Hz,1H),2.45 (s,3H),1.93 (d,J = 18.3 Hz,1H),0.87 (s,9H),0.11 (s,3H),0.07 (s,3H); 13C NMR (100 MHz,CDCl) δ 205.2,145.6,134.2,130.2 (2),128.1 (2),68.5,48.1,44.9,43.5,25.8 (3),21.9,18.1,-4.6,-4.7; IR (薄膜,cm-1) 3069,2930,2857,1757,1337,1159,1086; HRMS (ESI) C1828SSi [M+Na]の計算値404.1322,実測値404.1327.
【0088】
【化20】
【0089】
350mLの圧力容器(密閉されたフラスコ)中のアジリジン13(5.05g、13.2mmol、1当量)の撹拌した溶液に、アセトニトリル(無水、104mL)、およびトリメチルシリルアジド(2.08mL、15.8mmol、1.2当量)を添加した。フラスコを密閉し、39℃で24時間加熱した。次に、褐色混合物を、アセトン/ヘキサン(湿式充填、0~50%)を使用したシリカでのMPLCによって濃縮および精製し、所望のジアステレオマー12b(1.5g、27%、BRSM47%)を黄色固体として得て、回収された出発物質13(2.25g、46%)と共に、所望されないジアステレオマー12a(0.87g、16%、BRSM27%)を黄色固体として得た。
12a:黄色固体。H NMR (600 MHz,CDCl) δ 7.75 (d,J = 8.2 Hz,2H),7.35 (d,J = 8.1 Hz,2H),4.95 (d,J = 3.0 Hz,1H),4.65 (見かけ上dt,J = 5.5,1.7 Hz,1H),4.23 (dd,J = 6.4,1.4 Hz,1H),3.57 - 3.40 (m,1H),2.69 (dd,J = 19.1,5.4 Hz,1H),2.44 (s,3H),2.42 (d,J = 19.2 Hz,1H),2.22 (d,J = 19.2 Hz,1H),0.84 (s,9H),0.09 (s,3H),0.07 (s,3H); 13C NMR (150 MHz,CDCl) δ 210.1,144.4,135. 7,130.1,127.4,70.1,62.8,58. 9,42.7,25.7,21.7,17.9,-4.8,-5.0; IR (薄膜,cm-1): 2113,1699,1162,833; HRMS (ESI) C1828NaOSSi [M+Na]の計算値447.1493,実測値447.1496.
【0090】
12b:黄色固体。H NMR (600 MHz,CDCl) δ 7.80 (d,J= 8.3 Hz,2H),7.33 (d,J = 8.2 Hz,2H),5.53 (d,J = 6.7 Hz,1H),4.25 (q,J = 7.1 Hz,1H),3.76 (見かけ上d,J = 8.9 Hz,1H),3.43 (dt,J = 9.1,6.8 Hz,1H),2.77 (ddd,J = 18.8,7.2,1.6 Hz,1H),2.43 (s,3H),2.26 (dd,J = 18.8,7.3 Hz,1H),0.82 (s,9H),0.04 (s,3H),0.03 (s,3H); 13C NMR (150 MHz,CDCl) δ 206.4,144.2,137.3,130.0 (2),127.3 (2),70.5,67.7,63.7,45.3,25.7 (3),21.7,18.0,-4.72,-4.73; IR (薄膜,cm-1): 3238,2110,1759,1328,1151; HRMS (ESI) C1828NaOSSi [M+Na]の計算値447.1493,実測値447.1496.
【0091】
【化21】
【0092】
100mLの丸底フラスコに、アジド12a(3.45g、8.12mmol)およびアセトニトリル(無水、68mL)を添加し、続いて4Aモレキュラーシーブ粉末(10.35g)を周囲温度(22℃)で添加し、混合物を6日間撹拌した。NMRは、2つのジアステレオマーの混合物が約1:1比で形成されたことを示す。混合物を濾過し、アセトニトリル(50m)で洗浄した。溶媒を真空中で濃縮し、アセトン/ヘキサン(湿式充填、0~50%)を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、所望のジアステレオマー12b(1.35g、39%収率)を得て、12a(1.15g、33%回収)を回収した。
【0093】
【化22】
【0094】
250mLの丸底フラスコに、12b(2.19g、5.16mmol、1.0当量)およびTHF(103mL)を入れ、続いて10%の炭素上パラジウム(1.19g、2.58mmol、0.5当量)を周囲温度(22℃)で入れた。H袋(バルブを装備)を接続し、フラスコを真空下に置き、Hで3回充填した。イソシアン酸メチル(0.35mL、5.67mmol、1.1当量)を添加し、別のHバルーンを接続した。反応物を周囲温度で48時間撹拌し、TLCは、出発物質がもう存在しないことを示した。混合物を綿栓を通して濾過し、THF(10mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物を、シリカでのMPLC(乾式充填、MeOH/CHCl 0~5%)によって精製し、20(1.7g、72%収率)を淡黄色固体として得た。
【0095】
20:淡黄色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 7.79 (d,J = 8.1 Hz,2H),7.39 (d,J = 8.2 Hz,2H),4.23 - 4.01 (m,1H),3.59 (dd,J = 2.9,1.0 Hz,1H),3.13 (ddd,J = 4.0,2.8,1.0 Hz,1H),2.71 (s,3H),2.43 (s,3H),2.16 (dd,J = 13.8,5.2 Hz,1H),1.99 (ddd,J = 13.8,4.5,1.2 Hz,1H),0.77 (s,9H),-0.05 (s,3H),-0.10 (s,3H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 160.7,145.0,138.9,130.9 (2),128.3 (2),96.4,77.0,69.3,69.0,42.8,26.2 (3),24.6,21.5,18.7,-4.9,-5.0; IR (薄膜,cm-1) 3093,1690,1327,1160,1083; HRMS (ESI) C2033NaOSSi [M+Na]の計算値478.1802,実測値478.1807.
【0096】
【化23】
【0097】
500mLの丸底フラスコに、20(0.83g、1.82mmol、1.0当量)を入れ、フラスコを真空下に置き、アルゴンで3回充填した。脱気したDI水(凍結-ポンプ-融解法による、0.98mL、54.7mmol、30当量)およびヨウ化サマリウム溶液(THF中、0.078M、234mL、18.2mmol、10当量)を、順次、周囲温度(22℃)で添加した。トリエチルアミン(CaH上で新しく蒸留、5.1mL、36.4mmol、20当量)を、10分間にわたり滴下添加した。TLCは、出発物質が全て消費されたことを示した。反応混合物を濾過し、液相を収集し、一方、固体を6つの遠心分離管に移し(10mL/管)、各管において10mLのCHOH-CHCl(10%、v/v)で抽出した。懸濁液を遠心分離にかけ、透明な上澄み液を収集し、一方、固体は再び抽出した。TLCで生成物がもう見られなくなるまで、このプロセスを6~10回繰り返した。有機溶液を合わせて濃縮し、残留物を、シリカでのMPLC(ELSD検出器を備える、乾式充填法)によって、CHOH/CHCl(0~10%)を用いて精製し、アミン21(0.5g、73%)を白色粉末として得た。
21:白色固体;H NMR (600 MHz,CDOD) δ 4.02 (見かけ上q,J = 6.5 Hz,1H),3.33 (d,J = 5.5 Hz,1H),2.84 (見かけ上t,J = 5.9 Hz,1H),2.75 (s,3H),2.27 (dd,J = 13.4,6.0Hz ,1H),1.91 (dd,J = 13.3,7.2 Hz,1H),0.90 (s,9H),0.11 (dd,J = 11.0,1.4 Hz,6H); 13C NMR (150,MHz,CDOD) δ 161.0,94.7,77.2,67.91,67.85,44.0,26.3 (3),24.5,18.8,-4.6,-4.7; IR (薄膜,cm-1) 2920,1660,1467; HRMS (ESI) C1328Si [M+H]の計算値302.1894,実測値302.1898.
【0098】
【化24】
【0099】
100mLの丸底フラスコに、ピロール-2-カルボン酸(191.6mg、1.73mmol、2.0当量)、DI水(17mL)を入れ、続いて水酸化リチウム一水和物(74.5mg、1.78mmol、2.06当量)を入れた。混合物を15分間撹拌し、固体を溶解した。次に、溶液を高真空下で乾燥させ、ピロールカルボン酸リチウムを白色固体として得た。この固体に、DMF(20mL)およびヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU、654.0mg、1.73mmol、2.0当量)を添加し、混合物を周囲温度(22℃)で1時間撹拌した。別の100mLフラスコに、アミン(260mg、0.86mmol、1.0当量)およびDMF(無水、60mL)を順次添加し、混合物を約100℃で加熱し、透明溶液となった。混合物を冷却して周囲温度(22℃)に戻し、酸、ピロール-2-カルボン酸およびHBTUを含むフラスコに、カニューレを介して添加した。TLC解析がアミン21の完全消費を示すまで、混合物を18時間撹拌した。反応物を高真空下に置いて溶媒を除去し、有機残留物を、シリカでのMPLC(乾式充填)によって、酢酸エチル/ヘキサン(0~100%)、続いてメタノール/ジクロロメタン(0~10%)を使用して精製し、アミド21a(278.8mg、82%収率)を白色固体として得て、これは次工程に直接持ち込んだ。
【0100】
21a:白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 6.92 (dd,J = 2.5,1.4 Hz,1H),6.83 (dd,J = 3.7,1.4 Hz,1H),6.17 (dd,J = 3.7,2.5 Hz,1H),4.70 (s,1H),4.37 (dt,J = 7.3,6.5 Hz,1H,1H),4.00 (dd,J = 7.1,5.9 Hz,1H),3.64 (d,J = 5.9 Hz,1H),2.78 (s,3H),2.31 (dd,J = 13.4,6.3 Hz,1H),1.99 (dd,J = 13.4,7.9 Hz,1H),0.85 (s,9H),0.08 (s,3H),0.04 (s,3H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 163.7,161.1,126.8,123.1,111.9,110.2,94.0,75.1,66.8,66.3,44.3,26.2,24.4 (3),18.8,-4.6,-4.8; IR (薄膜,cm-1): 3318,1671,1637,1408,1070; HRMS (ESI) C1830NaOSi [M+Na]の計算値417.1929,実測値417.1932.
【0101】
【化25】
【0102】
粗製の21a(398mg、0.755mmol、1.0当量)の撹拌した溶液に、メタノール(18.0mL)を添加し、続いて1Nの塩酸水溶液(0.75mL、0.75mmol、1.0当量)を添加した。濁った懸濁液となったが、反応が進行するにつれて透明となった。6時間撹拌した後、TLCは出発物質の完全消費を示し、反応物をpH7の緩衝剤で中和した。次に、反応物を濃縮し、残留物を、シリカでのMPLC(乾式充填、メタノール/ジクロロメタン(0~10%))によって精製し、アルコール22(193.4mg、87%)を白色固体として得た。
【0103】
22:白色固体。H NMR (500 MHz,CDOD) δ 6.92 (dd,J = 2.6,1.4 Hz,1H),6.86 (dd,J = 3.8,1.4 Hz,1H),6.17 (dd,J = 3.7,2.5 Hz,1H),4.22 (ddd,J = 9.2,8.2,6.8 Hz,1H),3.91 (dd,J = 8.3,6.5 Hz,1H),3.74 (d,J = 6.4 Hz,1H),3.07 (s,3H),2.73 (s,3H),2.36 (ddd,J = 13.3,6.8,0.9 Hz,1H),2.00 (dd,J = 13.4,9.2 Hz,1H); 13C NMR (125 MHz,CDOD) δ 164.3,161.7,126.6,123.1,112.1,110.2,97.8,72.9,66.7,61.5,49.6,43.5,24.6; IR (薄膜,cm-1): 3290,1679,1625,1405,1064; HRMS (ESI) C1318NaO [M+Na]の計算値317.1220,実測値317.1224.
【0104】
【化26】
【0105】
2.0ドラムバイアル中で、アルコール22(31.0mg、0.11mmol、1.0当量)をTHF(1.2mL)およびジメチルスルホキシド(無水、0.12mL)に溶解し、混合物を-78℃に冷却した。別の1.0ドラムバイアル中で、塩化オキサリル(21uL、0.24mmol、2.0当量)をジクロロメタン(0.6mL)に溶解し、混合物を-78℃に冷却し、DMSO(21uL、0.03mmol、2.8当量)を添加した。30分間撹拌した後、この溶液を、22を含む2.0ドラムバイアルに、カニューレを介して-78℃において移した。反応物を1時間撹拌し、新しく蒸留したトリエチルアミン(0.15mL、1.07mmol、10当量)を添加し、反応物を-30℃まで1時間内に加温した。トリエチルアミンの第2のバッチ(0.15mL、1.07mmol、10当量)を添加し、反応物を周囲温度(22℃)まで加温し、18時間撹拌した。反応物を綿栓を通して濾過し、THF(1mL)で洗浄し、有機相を合わせて高真空下で濃縮し、DMSOを除去した。残留物を、シリカでのカラムクロマトグラフィー(乾式充填)によって、メタノール/ジクロロメタン(0~10%)を使用して精製し、カルビノールアミン23(14.2mg、46%)を灰色がかった白色の固体として得た。
【0106】
23:灰色がかった白色固体。H NMR (500 MHz,CDOD) δ 7.22 (dd,J = 2.8,1.6 Hz,1H),6.93 (dd,J = 3.8,1.6 Hz,1H),6.30 (dd,J = 3.8,2.7 Hz,1H),3.80 (d,J = 4.4 Hz,1H),3.74 (d,J = 4.5 Hz,1H),2.98 (s,3H),2.76 (s,3H),2.75 (d,J = 13.5 Hz,3H),2.63 (d,J = 14.4 Hz,1H); 13C NMR (125 MHz,CDOD) δ 161.9,161.3,123.3,123.2,116.2,111.7,98.0,87.4,69.1,62.9,49.8,46.8,24.8; IR (cm-1,薄膜): 3251,1687,1646,1557,1459,1315,1072; HRMS (ESI): C1316NaO [M+Na]の計算値315.1064,実測値315.1066.
【0107】
【化27】
【0108】
1.5ドラムバイアルに、アミナール23(6.8mg、0.023mmol、1.0当量)、THF(1.5mL)および0.5Nの塩酸水溶液(23uL、0.012mmol、0.5当量)を入れた。反応物を周囲温度(22℃)で3時間撹拌した。次に、反応物を、pH7緩衝剤を用いてpH7に調整し、真空中で濃縮した。残留物を、シリカでのカラムクロマトグラフィー(乾式充填)によって、メタノール/ジクロロメタン(0~10%)を使用して精製し、ヘミアミナール24(3.3mg、51%、回収された出発物質に基づいて65%)を白色固体として得て、23(1.5mg、22%)を回収した。
【0109】
24:白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 7.22 (dd,J = 2.7,1.6 Hz,1H),6.93 (dd,J = 3.8,1.6 Hz,1H),6.31 (dd,J = 3.8,2.7 Hz,1H),3.77 (見かけ上d,J = 4.4 Hz,1H),3.59 (d,J = 4.4 Hz,1H),2.80 (s,3H),2.73 (d,J = 14.3 Hz,1H),2.60 (d,J = 14.4 Hz,1H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 161.4,161.2,123.23,123.19,116.1,111.7,93.7,88.0,69.2,69.0,47.4,24.5; IR (薄膜,cm-1): 3305,1679,1643,1557,1462; HRMS (ESI): C1214NaO [M+Na]の計算値301.0907,実測値301.0910.
【0110】
【化28】
【0111】
アミド22の合成に関する記載と同様の手順に従い、5-ブロモピロール-2-カルボン酸(109.9mg、0.58mmol、3.8当量)、DI水(3mL)、水酸化リチウム一水和物(25.0mg、0.59mmol、3.92当量)、ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU、219.4mg、0.58mmol、3.8当量)、およびDMF(16.6mL)を使用し、反応物を36時間撹拌した。シリカでのカラムクロマトグラフィーによりメタノール/ジクロロメタン(0~10%)を使用して、22a(57.7mg、80%)を白色固体として得た。
【0112】
22a:白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 6.77 (見かけ上d,J = 3.8 Hz,1H),6.14 (見かけ上d,J = 3.9 Hz,1H),4.29 (q,J = 6.8 Hz,1H),3.97 (t,J = 6.2 Hz,1H),3.80 (d,J = 5.6 Hz,1H),3.08 (s,3H),2.73 (s,3H),2.29 (dd,J = 13.6,6.2 Hz,1H),2.03 (dd,J = 13.6,7.3 Hz,1H),0.85 (d,J = 1.4 Hz,9H),0.07 (s,3H),0.05 (s,3H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 162.5,161.7,128.6,113.4,112.5,104.6,98.6,74.8,66.4,60.7,49.7,43.7,26.2 (3),24.7,18.8,-4.6,-4.8; IR (薄膜,cm-1) 3271,1687,1632,1396,1102,1082; HRMS (ESI): C1930 79BrNSi- [M-H]の計算値485.1225,実測値485.1246.
【0113】
【化29】
【0114】
メタノール(0.25mL)中の22a(12.5mg、0.026mmol、1.0当量)の撹拌した溶液に、塩酸(1N水溶液、31ul、0.031mmol、1.2当量)を周囲温度で添加した。反応物を3.5時間撹拌し、TLCによって示されるように出発物質はもう存在しなかった。反応物をpH7緩衝剤によってpH7に中和し、溶液を高真空下で濃縮した。残留物を、シリカでのMPLC(乾式充填、MeOH/CHCl 0~15%)によって精製し、アルコール25a(7.3mg、76%収率)を白色固体として得た。
【0115】
25a:白色固体。H NMR (500 MHz,CDOD) δ 6.81 (d,J = 3.9 Hz,1H),6.14 (d,J = 3.9 Hz,1H),4.20 (td,J = 8.9,7.0 Hz,1H),3.89 (dd,J = 8.3,6.5 Hz,1H),3.72 (d,J = 6.5 Hz,1H),3.07 (s,3H),2.73 (s,3H),2.36 (dd,J = 13.4,6.7 Hz,1H),1.99 (dd,J = 13.4,9.3 Hz,1H); IR (薄膜,cm-1) 3311,1670,1638,1529,1066; HRMS (ESI) C1317 79BrNNaO [M+Na]の計算値395.0325,実測値395.0327.
【0116】
【化30】
【0117】
1.5ドラムバイアルに、25a(7.0mg、0.019mmol、1.0当量)、トリフェニルホスフィン(20.0mg、0.076mmol、4.0当量)およびTHF(0.5mL)を入れた。混合物を5分間撹拌し、0℃に冷却した。THF(0.03mL)中のアゾジカルボン酸ジエチル(9uL、0.057mmol、3.0当量)の溶液を添加した。1時間撹拌した後、出発物質25aは、TLCで示されるように全て消費された。反応混合物を真空中で濃縮し、有機残留物を、シリカでのカラムクロマトグラフィー(乾式充填、メタノール/ジクロロメタン、0~10%)によって精製し、オキサゾリン26a(4.0mg、60%)を白色固体として得た。
【0118】
26a:白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 6.74 (d,J = 3.8 Hz,1H),6.18 (d,J = 3.8 Hz,1H),5.13 (td,J = 7.8,5.4 Hz,1H),4.39 (d,J = 7.9 Hz,1H),3.99 (d,J = 1.7 Hz,1H),3.12 (s,3H),2.86 - 2.49 (m,4H),2.19 (dd,J = 15.1,5.5 Hz,1H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 161.9,159.4,121.8,116.2,113.1,105.1,102.1,83.1,79.9,63.4,51.1,42.4,24.7; IR (薄膜,cm-1) 1683,1648,1434,1393,1075,1019; HRMS (ESI) C1316 79BrN [M+H]の計算値355.0400,実測値355.0410.
【0119】
【化31】
【0120】
22を作製する手順に従い、4-ブロモピロール-2-カルボン酸(16.6mg、0.087mmol、3.6当量)、DI水(0.4mL)、水酸化リチウム一水和物(3.7mg、0.087mmol、3.6当量)、ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HBTU、34mg、0.087mmol、3.6当量)、アミン21(7.3mg、0.024mmol、1.0当量)およびDMF(0.7mL)を使用し、反応物を18時間撹拌した。CHCl/MeOH(0~10%)を使用するシリカでのカラムクロマトグラフィーによって、22b(5.0mg、42%収率)を白色固体として得た。
【0121】
22b:白色固体。H NMR (400 MHz,CDOD) δ 6.92 (d,J = 1.6 Hz,1H),6.83 (d,J = 1.6 Hz,1H),4.59 (s,1H),4.36 (q,J = 7.2 Hz,1H),4.02 - 3.93 (m,1H),3.63 (d,J = 5.9 Hz,1H),2.77 (s,3H),2.30 (dd,J = 13.3,6.3 Hz,1H),1.98 (dd,J = 13.4,8.0 Hz,1H),0.85 (s,9H),0.06 (d,J = 11.2 Hz,6H).
【0122】
【化32】
【0123】
THF(1.0mL)中の22b(28mg、0.057mmol)の撹拌した溶液に、TBAF(THF中の1M溶液、0.11mL、0.11mmol、2.0当量)を周囲温度(22℃)で添加した。混合物を12時間撹拌し、TLCによって示されるように出発物質は全て消費された。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を、シリカでのカラムクロマトグラフィーによってMeOH/CHCl(0~10%)を使用して精製し、25b(15.0mg、70%収率)を無色油状物として得た。
【0124】
25b:無色油状物。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 6.93 (d,J = 1.6 Hz,1H),6.87 (d,J = 1.6 Hz,1H),4.20 (td,J = 9.0,6.9 Hz,1H),3.89 (dd,J = 8.4,6.6 Hz,1H),3.73 (d,J = 6.5 Hz,1H),3.07 (s,3H),2.73 (s,3H),2.36 (dd,J = 13.4,6.8 Hz,1H),1.99 (dd,J = 13.4,9.3 Hz,1H).
【0125】
【化33】
【0126】
1.0ドラムバイアルに、アルコール25b(2.8mg、0.0075mmol、1.0当量)、トリフェニルホスフィン(5.9mg、0.0225mmol、3.0当量)、およびTHF(0.2mL)を入れた。混合物を0℃に冷却し、アゾジカルボン酸ジエチルの保存溶液(DEAD、10ul、0.0225mmol、3.0当量)を添加した(DEADの保存溶液は、35ulのDEADを0.1mLのTHFに溶解することによって作製)。さらに2バッチのDEAD溶液(10ul)をその後1時間毎に添加し、25bは、TLCによって示されるように全て消費された。反応物を濃縮し、残留物を、シリカでのカラムクロマトグラフィー(乾式充填、メタノール/ジクロロメタン0~10%)によって精製した。生成物を、半分取HPLCによってさらに精製し、オキサゾリン26b(1.1mg、41%)を、特徴付け用に無色油状物として得た。
【0127】
26b:無色油状物。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 6.96 (d,J = 1.7 Hz,1H),6.76 (d,J = 1.7 Hz,1H),5.15 (td,J = 7.8,5.4 Hz,1H),4.41 (dd,J = 8.3,1.8 Hz,1H),3.99 (d,J = 1.8 Hz,1H),3.12 (s,3H),2.75 (dd,J = 15.1,7.5 Hz,1H),2.70 (s,3H),2.19 (dd,J = 15.1,5.4 Hz,1H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 161.9,159.3,123.7,121.1,116.1,102.1,98.0,83.3,79.9,63.4,51.1,42.4,24.7.
【0128】
【化34】
【0129】
100mLの丸底フラスコに、シリルエーテル20(1.40g、3.07mmol、1.0当量)およびメタノール(61mL)を入れた。混合物を0℃に冷却し、ジエチルエーテル中の1Mの塩酸溶液(0.31mL、0.31mmol、0.1当量)を滴下添加した。溶液を周囲温度(22℃)に1時間加温し、白色固体が形成した。THF(10mL)を添加し、固体を溶解した。0.5時間撹拌した後、TLCによって示されるように出発物質は全て反応し、反応物を真空中で濃縮して全ての溶媒を除去した。得られた固体をTHF(61mL)に再溶解し、この溶液を-20℃に冷却し、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)溶液(THF中の1M、3.38mL、3.38mmol、1.1当量)を添加し、反応物を周囲温度(22℃)まで加温し、21時間撹拌した。TLCによって示されるように、反応が完了し、真空中で濃縮した。残留物を、シリカでのMPLC(湿式充填、メタノール/ジクロロメタン0~10%)によって精製して、アルコール27(1.0g、92%)を白色固体として得た。
【0130】
27:白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 7.81 (d,J = 8.0 Hz,2H),7.38 (d,J = 8.0 Hz,2H),3.98 (q,J = 6.9 Hz,1H),3.70 (d,J = 5.0 Hz,1H),3.14 - 2.92 (m,4H),2.66 (s,3H),2.43 (s,3H),2.22 (dd,J = 13.6,6.3 Hz,1H),1.89 (dd,J = 13.6,7.8 Hz,1H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) 161.5,144.9,138.7,130.8 (2),128.4 (2),98.8,73.8,69.0,62.4,49.70,42.6,24.7,21.5.; IR (薄膜,cm-1) 3393,3147,1703,1159; HRMS (ESI) C1521NaO [M+Na]の計算値378.1094,実測値378.1099.
【0131】
【化35】
【0132】
25mLの丸底フラスコ中で、アルコール27(210mg、0.59mmol、1.0当量)を、無水N,N-ジメチルホルムアルデヒド(5.9mL)に溶解した。反応フラスコを水浴中で周囲温度に保持し、セレノシアン酸2-ニトロフェニル(536.7mg、2.36mmol、4.0当量)を添加し、混合物は透明赤色溶液になった。この溶液に、トリブチルホスフィン(0.59mL、2.36mmol、4.0当量)を滴下添加し、混合物を1時間保持し、TLCによって示されるように、27は全て消費された。次に、混合物を0℃に冷却し、メタノール(11.8mL)を添加した。周囲温度(22℃)で10分間撹拌した後、混合物を高真空下で濃縮して溶媒を除去し、残留物を、シリカでのMPLC(乾式充填、CHOH/CHCl、0~5%)によって精製し、セレニド中間体とトリブチルホスフィンオキシドの混合物(0.88g)を得た。この中間体を、続いてTHF(4.62mL)に0℃で溶解し、過酸化水素(35%、0.12mL、1.58mmol)を滴下添加した。周囲温度(22℃)まで1時間にわたり加温した後、混合物をさらに6時間撹拌した。亜硫酸ナトリウム(1.0g)の固体を添加し、反応物を5分間撹拌し、真空中で濃縮した。残留物を、シリカでのMPLC(乾式充填、MeOH/CHCl、0~10%)によって精製して、アルケン28とPOBuの混合物(284mg)を得た(約83.8mgの所望の生成物を含有、2工程にわたり42%)。生成物を、MPLC(乾式充填、アセトン/ジクロロメタン、0~50%)によって再精製して、特徴付け目的に、純粋28を淡黄色油状物として得た。
【0133】
28:淡黄色油状物。H NMR (400 MHz,CDCl) δ 7.77 (d,J = 8.2 Hz,2H),7.34 (d,J = 8.0 Hz,2H),6.04 (dd,J = 5.9,2.2 Hz,1H),5.66 (dd,J = 5.9,2.2 Hz,1H),5.14 (s,1H),5.03 (d,J = 8.6 Hz,1H),4.03 (dq,J = 8.5,2.3 Hz,1H),3.88 (q,J = 2.0 Hz,1H),3.15 (s,3H),2.72 (s,3H),2.44 (s,3H); 13C NMR (100 MHz,CDCl) δ 158.6,144.4,136.9,133.3,133.0,130.2 (2),127.3 (2),102.8,66.7,63.9,50.1,25.2,21.7; IR (薄膜,cm-1) 3374,1694,1447,1331,1160; HRMS (ESI) C1519NaO [M+Na]の計算値360.0988,実測値360.0991.
【0134】
【化36】
【0135】
100mLの丸底フラスコに、28(0.24gのPOBuを含有する0.8gの混合物、0.56g、1.66mmol、1.0当量)を入れ、フラスコを真空下に置き、アルゴンで3回充填した。脱気した水(凍結-ポンプ-融解法による、0.6mL、33.2mmol、20当量)およびヨウ化サマリウム溶液(THF中、0.1M、166mL、16.6mmol、10当量)を、順次、周囲温度(22℃)で添加した。トリエチルアミン(CaH上で新しく蒸留、6.9mL、49.8mmol、30当量)を、10分間にわたり滴下添加した。TLCは、出発物質が全て消費されたことを示した。反応物を濾過し、母液を収集し、一方、固体を収集し、6つの10mL遠心分離管に移し、各管において10mLのCHOH-CHCl(20%、v/v、1%のNEtを含有)で抽出した。TLCで生成物がもう見られなくなるまで、このプロセスを6~10回繰り返した。液体を収集し、濃縮して、残留物を、シリカでのMPLC(ELSD検出器を装備、乾式充填、1%のNEtを含有する0~10%CHOH/CHCl)によって精製して、アミン29(214.4mg、71%)を無色油状物として得た。
【0136】
29:無色油状物。H NMR (400 MHz,CDOD) δ 6.04 (dd,J = 6.4,1.4 Hz,1H),6.00 (dd,J = 6.0,2.0 Hz,1H),3.73 (d,J = 2.1 Hz,1H),3.68 (d,J = 2.2 Hz,1H),3.18 (s,3H),2.72 (s,3H); 13C NMR (100 MHz,CDOD) δ 161.4,138.9,131.3,105.2,66.3,64.9,50.2,25.3; IR (薄膜,cm-1) 3280,2360,2341,1698; HRMS (ESI) C13NaO [M+Na]+の計算値206.0900,実測値206.0900.
【0137】
【化37】
【0138】
1.0ドラムバイアル中で、アミン29(24.2mg、0.13mmol、1.0当量)を、ジクロロメタン(0.6mL)に溶解し、トリエチルアミン(55ul、0.4mmol、3.0当量)を添加し、混合物を-20℃に冷却した。別の1.0ドラムバイアル中で、2-ブロモ-1H-ピロール(37.6mg、0.2mmol、1.5当量)を、ジクロロメタン(0.7mL)に15℃で溶解し、N,N-ジメチルホルムアルデヒド(0.5滴)を添加し、続いて塩化オキサリル(25μl、0.30mmol、2.25当量)を添加した。混合物を30分間撹拌し、基体29およびトリエチルアミンを含む他のバイアルに、-20℃でカニューレにより移した。混合物は、濁った淡黄色溶液になった。15分間撹拌した後、反応物を周囲温度まで加温した。メタノール(1.0mL)を添加し、20分間撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残留物を、シリカでのMPLC(乾式充填)によって、メタノール/ジクロロメタンを0~5%使用して精製し、アミド30を白色固体として得た(27mg、58%)。
【0139】
30:白色固体。H NMR (500 MHz,CDSOCD) δ 12.23 (s,1H),8.34 (d,J = 7.4 Hz,1H),7.19 (d,J = 2.0 Hz,1H),6.84 (dd,J = 3.8,2.2 Hz,1H),6.22 - 6.08 (m,2H),5.95 (dd,J = 5.9,2.1 Hz,1H),4.61 (tt,J = 4.6,2.3 Hz,1H),3.78 (t,J = 2.3 Hz,1H),3.06 (s,3H),2.62 (s,3H); 13C NMR (125 MHz,CDSOCD) δ 159.1,158.4,135.2,131.3,127.6,112.4,110.9,102.6,102.3,62.6,61.8,49.1,24.7 ; IR (薄膜,cm-1) 3325,2258,1691,1628,1440,1056; HRMS (ESI) C13H15BrN4NaO3 + [M+Na]+の計算値377.0220,実測値377.0222.
【0140】
【化38】
【0141】
10mLの丸底フラスコ中で、THF(4.1mL)中の30の撹拌した溶液(14.7mg、0.041mmol、1.0当量)に、0℃で、塩酸塩水溶液(aqueous hydrochloride solution)(0.1M、0.2mL、0.02mmol、0.5当量)を添加した。反応物を10分間撹拌し、周囲温度(22℃)まで30分間加温した。2時間撹拌した後、反応物を冷却して0℃に戻し、飽和NaHCO溶液を添加してpHを7に調整し、溶媒を高真空下で除去して、粗製の中間体31を淡黄色固体として得た。
【0142】
粗製の31を無水メタノール(1.3mL)に溶解し、混合物を0℃に冷却した。飽和KCO/MeOH溶液(45uL、0.01mmol、0.25当量)を添加し、反応物を周囲温度(22℃)まで1時間加温した。次に、固体を濾過し、メタノールで洗浄した(0.5mL×2)。母液を合わせて濃縮し、残留物を、シリカでのカラムクロマトグラフィー(乾式充填、0~10%メタノール/ジクロロメタン)によって精製して、アゲラスタチンAを灰色がかった白色の固体として得た(1.7mg)。反応物からの固体ケーキを乾燥させ、DMSO(1.0mL)に再溶解し、綿栓を通して濾過した。DMSOを高真空下で除去して、アゲラスタチンA(4.3mg)を灰色がかった白色の固体として純粋形態で得た(合わせた収率:43%)。
【0143】
33:灰色がかった白色固体。H NMR (600 MHz,CDOD) δ 6.91 (d,J = 4.1 Hz,1H),6.33 (d,J = 4.1 Hz,1H),4.60 (見かけ上dt,J = 12.1,6.1 Hz,1H),4.09 (d,J = 5.5 Hz,1H),3.88 (s,1H),2.81 (s,3H),2.65 (dd,J = 13.1,6.5 Hz,1H),2.10 (t,J = 12.6 Hz,1H); 13C NMR (150 MHz,CDOD) δ 161.4,161.1,124.1,116.0,113.8,107.2,95.7,67.4,62.2,57.5,54.4,40.0,24.2.データは、既報告のものと一致した。
【0144】
【化39】
【0145】
10mL丸底フラスコに、アミン29(53.0mg、0.29mmol、1当量)およびDMF(無水、2.9mL)を入れた。この溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン(無水、0.20mL、1.43mmol、5.0当量)を添加した。35の固体(87.9mg、0.35mmol、1.2当量)を1バッチで添加し、混合物を、周囲温度(22℃)まで1時間加温しておいた。さらに5時間撹拌した後、TLCによって示されるように、出発物質は全て消費された。反応混合物に、CHOH(1.0mL)を添加し、固体が沈殿した。固体を濾取し、CHOH(0.2mL)で洗浄して、生成物36を淡黄色固体として得た(62.0mg、67%)。生成物は、次工程用に十分に純粋である。
【0146】
36:淡黄色固体。H NMR (500 MHz,CDSOCD) δ 12.77 (s,1H),8.76 (d,J = 7.5 Hz,1H),7.92 (d,J = 1.7 Hz,1H),7.55 (d,J = 1.7 Hz,1H),7.23 (d,J = 1.9 Hz,1H),6.18 (dd,J = 5.9,2.0 Hz,1H),5.96 (dd,J = 5.9,2.1 Hz,1H),4.63 (dq,J = 7.1,2.3 Hz,1H),3.82 (t,J = 2.4 Hz,1H),3.07 (s,3H),2.62 (s,3H); 13C NMR (125 MHz,CDSOCD) δ 158.9,158.4,136.3,134.8,131.6,126.5,122.9,105.8,102.4,62.7,61.5,49.1,24.7; IR (薄膜,cm-1) 1677,1638,1331,1045; HRMS (ESI) C1315NaO [M+Na]の計算値344.0965,実測値344.0966.
【0147】
【化40】
【0148】
THF(1.5mL)および1,3-ジオキサン(1.8mL)中の、36の撹拌した懸濁液(10.6mg、0.033mmol、1.0当量)に、0℃で、HCl水溶液(0.1M、0.17mL、0.017mmol、0.5当量)を添加した。反応物を10分間撹拌し、周囲温度(22℃)まで加温した。さらに1時間撹拌した後、反応が完了し、飽和NaHCO溶液を添加してpHを8に調整し、溶媒を高真空下で除去して、固体を粗製の中間体として得た。
【0149】
粗製の中間体を、メタノール(1.7mL)およびN,N-ジメチルホルムアルデヒド(0.2mL)に溶解し、混合物を0℃に冷却した。飽和KCO/MeOH溶液(KCOをMeOH中で一晩撹拌することによって新しく調製、37uL、0.0083mmol、0.25当量)。30分後、別のバッチのKCO/MeOH溶液(144uL、約0.033mmol、1.0当量)を添加し、反応物を周囲温度(22℃)まで加温し、20時間撹拌して、淡黄色固体が沈殿した。固体を濾過し、メタノールで洗浄した(1.0mL×3)。固体ケーキを乾燥させ、DMSO(0.5mL)に再溶解し、綿栓を通して濾過した。液体を収集し、高真空下で乾燥させて、所望の37を淡黄色固体として高純度で得た(4.4mg、2工程にわたり41%)。
【0150】
37:淡黄色固体。H NMR (500 MHz,CDSOCD) δ 8.43 (s,1H),8.22 (d,J = 1.9 Hz,1H),7.15 (d,J = 1.9 Hz,1H),7.09 (d,J = 2.5 Hz,1H),4.69 (dt,J = 11.3,5.8 Hz,1H),3.93 (d,J = 5.2 Hz,1H),3.70 (s,1H),2.64 (s,3H),2.58 (dd,J = 13.0,6.5 Hz,1H),2.15 (dd,J = 13.0,10.8 Hz,1H); 13C NMR (125 MHz,CDSOCD) δ 158.4,157.1,136.1,124.2,123.2,107.1,93.4,65.6,60.4,54.2,39.9,23.7; IR (薄膜,cm-1) 3184,1654,1494,1373,1307; HRMS (ESI) C1212 [M-H]の計算値306.0844,実測値308.0846.
【0151】
がん細胞株細胞毒性アッセイ
がん細胞株(MDA-MB-231、MCF7、Caco2、またはU87)を、96-ウェルプレートに、1ウェル当たり2,000細胞でプレーティングし、37℃で24時間、5%のCOにおいてインキュベートした。AglAおよび誘導体をDMSOに溶解し、適切な濃度に希釈し、化合物溶液または当量濃度の溶媒(ビヒクル)をプレートに添加し、37℃で72時間、5%のCOにおいてインキュベートした。製造業者のプロトコルに従い、20μLのCellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(MTS、Promega)、またはCellTiter-Blue(登録商標)Cell Viability Assay(resazurin、Promega)を添加した。プレートを、37℃で1~4時間、5%のCOにおいて発色させ、AccuSkan Go(Fisher Scientific)で490nmにおいて、またはVarioSkan Lux Multimode Microplate Reader(Fisher Scientific)で560nm励起および590nm発光において評価した。
【0152】
例示的な実施形態を例示および説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行うことができることが理解されよう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】