(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】組換え重複ペプチド及びネイティブタンパク質を含むワクチン製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/215 20060101AFI20240423BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20240423BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240423BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K39/215 ZNA
A61K39/12
A61P31/14
A61P31/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570194
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 GB2022051175
(87)【国際公開番号】W WO2022238689
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517212569
【氏名又は名称】オックスフォード ヴァクメディックス ユーケー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD VACMEDIX UK LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シソン・ジアン
【テーマコード(参考)】
4C085
【Fターム(参考)】
4C085AA03
4C085BA51
4C085BA71
4C085BB11
4C085EE06
4C085FF11
(57)【要約】
本発明は、対象の免疫化及び/若しくは処置のための、ポリペプチド及びネイティブタンパク質若しくはその部分を含む製剤、組成物及びキット、又は当該ポリペプチド及びネイティブタンパク質若しくはその部分をコードするポリペプチド、並びに当該製剤、組成物及びキットを使用する処置の方法、並びに当該製剤、組成物及びキットの製造の方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の免疫化及び/又は処置のための製剤であって、
(i)第1のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が、前記ネイティブタンパク質配列に由来する第2の配列を含む、2つ以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、前記2つ以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列を更に含む、ポリペプチド;及び
(ii)前記ネイティブタンパク質配列又はその部分
を含む、製剤。
【請求項2】
前記2つ以上のペプチド断片が、1つ以上の重複配列を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記1つ以上の重複配列が、2アミノ酸長と31アミノ酸長との間であり、必要に応じて、前記1つ以上の重複配列が、少なくとも8アミノ酸長である、請求項1又は請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列が、外因性プロテアーゼ切断部位、必要に応じて、カテプシン切断配列、好ましくは、カテプシンS、より好ましくは、LRMK切断配列である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、3つ以上のペプチド断片、好ましくは、5つ以上のペプチド断片、より好ましくは、10個以上のペプチド断片を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
薬学的に許容可能な担体を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
アジュバント、好ましくは、一リン酸脂質A(MPL)、モンタニド、アラムベースのアジュバント、水中油又は油中水、より好ましくは、一リン酸脂質A、モンタニド、アラムベースのアジュバントを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記ポリペプチドの濃度が、10~10000μg/kgの間であり、前記ネイティブタンパク質配列又はその部分の濃度が、10~10000μg/kgである、請求項1から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記ネイティブタンパク質配列が、コロナウイルスのSタンパク質である、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記コロナウイルスが、ベータコロナウイルス、必要に応じて、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、必要に応じて、SARS-CoV-2である、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
前記コロナウイルスが、ヒトコロナウイルスである、請求項9又は10に記載の製剤。
【請求項12】
前記ポリペプチドの前記2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも2つが、前記Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含み、並びに/又は前記ネイティブタンパク質配列の前記部分が、前記Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
前記2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つが、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)に由来する配列を含み、及び/又は前記ネイティブタンパク質配列の前記部分が、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)を含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
前記2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つが、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインに由来する配列を含み、並びに/又は前記ネイティブタンパク質配列の前記部分が、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインを含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
前記ネイティブタンパク質配列が、以下のサバイビンアイソフォーム:
アイソフォーム1
アイソフォーム2
アイソフォーム3
アイソフォーム4
アイソフォーム5
アイソフォーム6
アイソフォーム7
のうちのいずれか1つから選択されるサバイビンである、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
前記2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つが、群:
【化1】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記ポリペプチドが、免疫応答を惹起する、又は免疫賦活性である、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
前記2つ以上のペプチド断片が、
【化2】
に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記ポリペプチドが、免疫応答、必要に応じて、T細胞応答を惹起する、請求項15又は16に記載の製剤。
【請求項18】
前記ネイティブタンパク質配列が、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6又はE7タンパク質である、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
前記ネイティブタンパク質配列が、
【化3】
である、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つが、群:
【化4】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項18又は19に記載の製剤。
【請求項21】
対象の免疫化及び/又は処置のための製剤であって、請求項1から20のいずれか一項に規定のネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び/又は請求項1から20のいずれか一項に規定のポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む、製剤。
【請求項22】
対象の免疫化及び/又は処置のための方法であって、前記対象に、請求項1から21のいずれか一項に記載の製剤を投与する工程を含む、方法。
【請求項23】
対象の免疫化及び/又は処置における使用のための組成物であって、前記組成物が、請求項1から21のいずれか一項に記載の製剤を含み、前記ポリペプチドが前記ネイティブタンパク質配列若しくはその部分と共に、又は前記ネイティブタンパク質配列若しくはその部分及び/若しくは前記ポリペプチドをコードする前記1つ以上のポリヌクレオチドが、共投与される、組成物。
【請求項24】
ワクチンを製造する方法であって、
請求項1から20のいずれか一項に規定のネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを、1つ以上の細胞においてin vitroで発現させる工程、並びに
前記ネイティブタンパク質配列又はその部分及び前記ポリペプチドを精製する工程
を含む、方法。
【請求項25】
精製されたネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドが、単一の製剤へと組み合わされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
対象の免疫化及び/又は処置のためのキットであって、
請求項1から20のいずれか一項に規定のネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又は前記ネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、及び
請求項1から20のいずれか一項に規定のポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド
を含む、キット。
【請求項27】
対象の免疫化及び/又は処置のための方法であって、
請求項1から20のいずれか一項に規定のネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又は前記ネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを投与する工程、及び
請求項1から20のいずれか一項に規定のポリペプチド、又は前記ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを投与する工程
を含む、方法。
【請求項28】
前記ネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又は前記ネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが、前記ポリペプチド又は前記ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドと、同時に、順次又は別々に投与される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、対象の免疫化及び/若しくは処置のための、ポリペプチド及びネイティブタンパク質若しくはその部分を含む製剤、組成物及びキット、又は当該ポリペプチド及びネイティブタンパク質若しくはその部分をコードするポリペプチド、並びに当該製剤、組成物及びキットを使用する処置の方法、並びに当該製剤、組成物及びキットの製造の方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
ワクチンの有効性は、当然のことながら、疾患を有効に軽減するワクチンの能力に重要である。ワクチンは、予防的であり得る(疾患に対して保護する)又は治療的であり得る(既存の疾患を処置する)。予防的ワクチンの場合、より有効なワクチンが望ましいということが基本であるが、一部の場合には、疾患を軽減するにあたり有効であるための、ワクチンの最低限の有効性閾値が存在する。例えば、最近の研究において、SARS-CoV-2流行をワクチンが有効に予防するには、唯一の介入としてのワクチンの有効性閾値が、感染の数のピークを99%低減させるのに、感染の予防にあたり少なくとも60%有効でなければならないことが示された(Bartschら、2020)。同じ研究は、集団の5%がウイルスに曝露されている活発な流行を消滅させるには、100%の接種率を仮定すると、ワクチンの有効性が、ピークを85%低減させるのに少なくとも60%でなければならず、接種率が75%に低下すると、有効性は80%まで上昇し、接種率が60%に低下すると、100%まで上昇することを示している。したがって、ワクチンの有効性を引き上げることは、特に、接種率が高い可能性が低い流行の初期段階に関して、望ましいだけでなく、必要であることは明らかである。
【0003】
がん免疫療法ワクチン技術等の治療的ワクチンの場合、単一の最も重要な因子は、抗原の選択であることが認知されている(Hollingsworth及びJansen、2019)。しかし、他の戦略が、かかるワクチンの有効性を引き上げるために試みられてきた。例えば、それらを、チェックポイント阻害剤、アジュバント、サイトカイン、化学療法剤等と組み合わせることによる。それにもかかわらず、かかる戦略は、有効性を安全に改善し、クリニックに進めるために克服する必要がある重要なハードルをなおも有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】CN112618707
【特許文献2】CN112480217
【特許文献3】CN112220920
【特許文献4】CN112226445
【特許文献5】CN111671890
【特許文献6】WO2007125371
【特許文献7】WO2016095812
【特許文献8】CN111560054
【特許文献9】CN111732637
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Oxford University Innovation、News & Publications、2020年5月28日、Oxford Vacmedix、「Oxford Vacmedix announces collaboration to develop vaccine and diagnostic tests for Covid-19」
【非特許文献2】Oncotarget、第8巻、2017、Caiら、「Protective cellular immunity generated by cross-presenting recombinant overlapping peptide proteins」、76516~76524頁
【非特許文献3】https://dx.doi.org/10.1038%2Fs41564-020-0695-z
【非特許文献4】「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第2版、(1994)、A Wade及びPJ Weller編
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要求されるものは、更に重要な技術的ハードルを導入することも患者の安全性を損なうこともなしに、所与のワクチンの有効性を改善するアプローチである。驚くべきことに、本出願人らは、組換え重複ペプチドワクチンをネイティブタンパク質配列又はその部分若しくは断片と同時に導入することが、対象の免疫応答の規模の増加をもたらし、したがって、ワクチンレジメンの有効性の増加を示すことを見出した。これが、ワクチン組み合わせ治療アプローチへの広い一般的適用可能性を有し得ることを本出願人らは見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の概要
一態様では、本発明は、対象の免疫化及び/又は処置のための製剤であって、第1のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第2の配列を含む、2つ以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2つ以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列を更に含む、ポリペプチド;並びにネイティブタンパク質配列又はその部分、を含む、製剤を提供する。
【0008】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、1つ以上の重複配列を含む。一部の実施形態では、1つ以上の重複配列は、2アミノ酸長と31アミノ酸長との間であり、必要に応じて、1つ以上の重複配列は、少なくとも8アミノ酸長である。一部の実施形態では、1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列は、外因性プロテアーゼ切断部位、必要に応じて、カテプシン切断配列、好ましくは、カテプシンS、より好ましくは、LRMK切断配列である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、3つ以上のペプチド断片、好ましくは、5つ以上のペプチド断片、より好ましくは、10個以上のペプチド断片を含む。
【0009】
一部の実施形態では、製剤は、薬学的に許容可能な担体を更に含む。
【0010】
一部の実施形態では、製剤は、アジュバント、好ましくは、一リン酸脂質A(Monophosphate Lipid A)(MPL)、モンタニド(montanide)、アラムベースのアジュバント、水中油又は油中水、より好ましくは、一リン酸脂質A、モンタニド又はアラムベースのアジュバントを更に含む。
【0011】
一部の実施形態では、ポリペプチドの濃度は、10~10000μg/kgの間であり、ネイティブタンパク質配列又はその部分の濃度は、10~10000μg/kgの間である。
【0012】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、コロナウイルスのSタンパク質である。一部の実施形態では、コロナウイルスは、ベータコロナウイルス、必要に応じて、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、必要に応じて、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、コロナウイルスは、ヒトコロナウイルスである。一部の実施形態では、ポリペプチドの2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも2つは、Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含み、並びに/又はネイティブタンパク質配列の部分は、Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含む。
【0013】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)に由来する配列を含み、及び/又はネイティブタンパク質配列の部分は、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)を含む。
【0014】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインに由来する配列を含み、並びに/又はネイティブタンパク質配列の部分は、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインを含む。
【0015】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、以下のサバイビンアイソフォーム:アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、アイソフォーム4、アイソフォーム5、アイソフォーム6又はアイソフォーム7、のうちのいずれか1つから選択されるサバイビンである。一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、群:
【化1】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答を惹起する、又は免疫賦活性である。
【0016】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、
【化2】
に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答、必要に応じて、T細胞応答を惹起する。
【0017】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6又はE7タンパク質である。
【0018】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、
【化3】
である。
【0019】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、群:
【化4】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0020】
更なる態様では、本発明は、ネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、及び/又は第1のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第2の配列を含む、2つ以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2つ以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列を更に含む、ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、を含む、製剤を提供する。
【0021】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、1つ以上の重複配列を含む。一部の実施形態では、1つ以上の重複配列は、2アミノ酸長と31アミノ酸長との間であり、必要に応じて、1つ以上の重複配列は、少なくとも8アミノ酸長である。一部の実施形態では、1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列は、外因性プロテアーゼ切断部位、必要に応じて、カテプシン切断配列、好ましくは、カテプシンS、より好ましくは、LRMK切断配列である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、3つ以上のペプチド断片、好ましくは、5つ以上のペプチド断片、より好ましくは、10個以上のペプチド断片を含む。
【0022】
一部の実施形態では、製剤は、薬学的に許容可能な担体を更に含む。
【0023】
一部の実施形態では、製剤は、アジュバント、好ましくは、一リン酸脂質A(MPL)、モンタニド、アラムベースのアジュバント、水中油又は油中水、より好ましくは、一リン酸脂質A、モンタニド、アラムベースのアジュバントを更に含む。
【0024】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、コロナウイルスのSタンパク質である。一部の実施形態では、コロナウイルスは、ベータコロナウイルス、必要に応じて、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、必要に応じて、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、コロナウイルスは、ヒトコロナウイルスである。一部の実施形態では、ポリペプチドの2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも2つは、Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含み、並びに/又はネイティブタンパク質配列の部分は、Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含む。
【0025】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)に由来する配列を含み、及び/又はネイティブタンパク質配列の部分は、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)を含む。
【0026】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインに由来する配列を含み、並びに/又はネイティブタンパク質配列の部分は、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインを含む。
【0027】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、以下のサバイビンアイソフォーム:アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、アイソフォーム4、アイソフォーム5、アイソフォーム6又はアイソフォーム7、のうちのいずれか1つから選択されるサバイビンである。一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、群:
【化5】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答を惹起する、又は免疫賦活性である。
【0028】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、
【化6】
に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答、必要に応じて、T細胞応答を惹起する。
【0029】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6又はE7タンパク質である。
【0030】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、
【化7】
である。
【0031】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、群:
【化8】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0032】
本発明の更なる態様では、対象の免疫化及び/又は処置のための方法であって、対象に、以前の態様のうちのいずれか1つの製剤を投与する工程、を含む、方法が提供される。
【0033】
本発明の更なる態様は、対象の免疫化及び/又は処置における使用のための組成物であって、以前の態様の製剤を含み、ポリペプチドがネイティブタンパク質配列若しくはその部分と共に、或いはネイティブタンパク質配列若しくはその部分及び/又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドが、共投与される、組成物を提供する。
【0034】
本発明の更なる態様は、ワクチンを製造する方法であって、任意の以前の態様に記載されるネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを、1つ以上の細胞においてin vitroで発現させる工程、並びにネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドを精製する工程、を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、精製されたネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドは、単一の製剤へと組み合わされる。
【0035】
対象の免疫化及び/又は処置のためのキットであって、上述の態様のうちのいずれか1つのネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、及び上述の態様のポリペプチド、又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、を含む、キット。
【0036】
本発明の更なる態様は、対象の免疫化及び/又は処置のための方法であって、先行する態様のネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを投与する工程、及び先行する態様のポリペプチド、又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを投与する工程、を含む、方法を提供する。
【0037】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチドは、ポリペプチド又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドと、同時に、順次又は別々に投与される。
図面の説明
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、構築されたプラスミドpET30aのプラスミドマップを示す図である。
【
図2】
図2は、エシェリキア・コリ(E.coli)中へのROP遺伝子の首尾よい挿入を実証する、ベクタープラスミドpET30aの電気泳動分析を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、以下のSDS-PAGE分析を示す図である。(a)ROP-COVSの誘導率。レーン1は、誘導前である;レーン2は、最終濃度0.2mMになるようなIPTGによる誘導の4時間後である;レーンMは、分子量マーカー(14.4~94.0kDa)である。ROP-COVSは、IPTGによって有効に誘導される。
【
図3B】
図3Bは、以下のSDS-PAGE分析を示す図である。(b)ROP-COVSの精製。レーン1は、精製前のサンプルである;レーン2は、フロースルーである;レーン3は、48mMイミダゾールで溶出されている;レーン4は、78mMイミダゾールで溶出されている;レーン5及び6は、105mMイミダゾールで溶出されている;レーン7は、138mMイミダゾールで溶出されている;レーンMは、分子量マーカー(14.4~94.0kDa)である。レーン6~8は、95%を超える純度を有する。
【
図3C】
図3Cは、以下のSDS-PAGE分析を示す図である。(c)ROP-COVSの再フォールディング。
【
図4】
図4は、本発明のポリペプチドの一実施形態の例示的模式図を示す図である。
【
図5】
図5は、代理RBD-ACE2 ELISA中和アッセイを介して導出された血清中和データを示す図である。
【
図6】
図6は、代理RBD-ACE2 ELISA中和アッセイを介して導出された精製されたIgG中和データを示す図である。
【
図7】
図7は、精製されたマウスサバイビンの検出を示すSDS-Page及びウエスタンブロットを示す図である。
【
図8】
図8は、精製されたマウスROP-サバイビンの検出を示すSDS-Page及びウエスタンブロットを示す図である。
【
図9】
図9は、マウスサバイビンに結合する抗体を検出するためのマウス血清のELISAの結果を示すグラフを示す図である。
【
図10】
図10は、マウスROP-サバイビンに結合する抗体を検出するためのマウス血清のELISAの結果を示すグラフを示す図である。
【
図11】
図11は、ELISA形式での、プレートに結合したRBDに対する抗体滴定の結果を示すグラフを示す図である。
【
図12】
図12は、再刺激された免疫化したマウスの3つの群からの脾細胞を使用するELISPOTの結果を示すグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の詳細な説明
対象の免疫化及び/又は処置のための製剤であって、ポリペプチド又はネイティブタンパク質若しくはその部分単独のいずれかを超えたワクチン製剤の改善された有効性を提供する、ポリペプチド及びネイティブタンパク質配列又はその部分を含む、製剤が提供される。「改善された有効性」は、製剤が、対象に投与された場合に、当該対象において抗体及び/若しくはT細胞応答を生じることがより良くできる、又はより顕著な抗体及び/若しくはT細胞応答を生じることを意味し、これは、例えば、特異的抗体力価を測定すること、及び/又はT細胞応答を測定するためにELISpotアッセイを実施することによって、測定され得る。ポリペプチドは、ネイティブタンパク質配列に対する抗体を生成することが可能であり、一部の場合には、CD4+及びCD8+T細胞応答を更に刺激する組換え重複ポリペプチドを形成するために、プロテアーゼ切断部位を使用して連結された、ネイティブタンパク質に由来するペプチド断片を含む。
【0040】
Oxford University Innovation、News & Publications、2020年5月28日、Oxford Vacmedix、「Oxford Vacmedix announces collaboration to develop vaccine and diagnostic tests for Covid-19」は、Oxford Vacmedix UK Ltd.によって実施されたCovidワクチンプロジェクトに関する。
【0041】
CN112618707、CN112480217、CN112220920、CN112226445及びCN111671890は全て、当該分野におけるネイティブタンパク質に関する標準的なワクチン製剤に関する。
【0042】
Oncotarget、第8巻、2017、Caiら、「Protective cellular immunity generated by cross-presenting recombinant overlapping peptide proteins」、76516~76524頁は、組換え重複ペプチドタンパク質に関する技術的背景情報に関する。
【0043】
本発明、及び本明細書で使用される用語は、以下の定義の使用によってより良く理解され得る。
【0044】
「組換え」は、本明細書で使用される場合、細菌(例えば、エシェリキア・コリ細菌が含まれるがこれに限定されない)における遺伝子組換え技法によって製造された、天然に存在しない又は人工的に構築された任意のポリマー、必要に応じて、ポリペプチドを指す。
【0045】
「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、本明細書で使用される場合の「ペプチド」又は「ペプチド断片」よりも長い、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸の直鎖状鎖を指す。
【0046】
「ペプチド」は、本明細書で使用される場合、本明細書で使用される場合の「ポリペプチド」よりも短い、ペプチド結合によって連結された1つよりも多くのアミノ酸の直鎖状鎖を指す。
【0047】
「ペプチド断片」は、本明細書で使用される場合、より大きいポリペプチドの一片であるアミノ酸鎖(「ペプチド」)を指す。言い換えると、2つ以上のペプチド断片は、同じより大きいポリペプチドの断片である場合、より大きいポリペプチドの一次配列の全て又は一部を、一緒になって形成し得る。この場合、より大きいポリペプチドは、本発明の組換えポリペプチドであり得る。
【0048】
「タンパク質」は、本明細書で使用される場合、1つ以上のペプチド及び/又はポリペプチド(本質的にではないが、通常、100よりも多くのアミノ酸を有する)から主に構成され、3次元コンフォメーションへとフォールディングされた、又は3次元コンフォメーションとして提示される、分子実体を指す。
【0049】
「ワクチン」は、本明細書で使用される場合、対象において標的に対する保護的免疫記憶を生成することが可能な物質を指し、当該対象は、動物、必要に応じて、ヒトである。当該保護的免疫記憶は、完全な免疫及び/又は当該標的に関連する疾患の重症度若しくは症状における低減ということになり得る。
【0050】
「コロナウイルス」は、本明細書で使用される場合、The International Committee on Taxonomy of VirusesのワーキンググループであるCoronavirus Study Groupによって定義され、Coronaviridae Study Group of the International Committee on Taxonomy of Viruses (2020) https://dx.doi.org/10.1038%2Fs41564-020-0695-zにおいて使用される、コロナウイルス科のメンバーを指す。
【0051】
「ベータコロナウイルス」は、本明細書で使用される場合、The International Committee on Taxonomy of VirusesのワーキンググループであるCoronavirus Study Groupによって定義され、Coronaviridae Study Group of the International Committee on Taxonomy of Viruses (2020) https://dx.doi.org/10.1038%2Fs41564-020-0695-zにおいて使用される、ベータコロナウイルス属のメンバーを指す。ベータコロナウイルス属内に分類される亜種には、SARS-CoV、SARS-CoV-2及びMERS-CoVがある。
【0052】
「重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス」は、本明細書で使用される場合、The International Committee on Taxonomy of VirusesのワーキンググループであるCoronavirus Study Groupによって定義され、Coronaviridae Study Group of the International Committee on Taxonomy of Viruses (2020) https://dx.doi.org/10.1038%2Fs41564-020-0695-zにおいて使用される、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス種のメンバーを指す。重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス種内に分類される他の亜種には、SARS-CoV、SARS-CoV-2、SARSr-CoV BtKY72、SARSr-CoV RaTG13、SARS-CoV PC4-227、SARS-CoVGZ-02、Bat SARS CoVRf1/2004、Civet SARS CoVSz3/2003がある。
【0053】
「エピトープ」は、本明細書で使用される場合、適応免疫系によって、特に、抗体、B細胞及び/又はT細胞によって、受容体結合相互作用を介して認識される、ペプチド断片、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、炭水化物、脂質又は他のものの一部分を指す。
【0054】
「LRMK」は、本明細書で使用される場合、とりわけカテプシンSによって認識される切断部位である、Leu-Arg-Met-Lysアミノ酸配列を指す。一部の実施形態では、切断可能なリンカーが提供され、一部の更なる実施形態では、そのリンカーは、LRMKである。
【0055】
「外因性」は、本明細書で使用される場合、人工的に導入されたことを意味する。これはまた、現在人工的に導入されている位置では少なくとも、ネイティブ配列、例えば、野生型(任意のバリアントが含まれる)中に存在しないことを意味し得る。例えば、ポリペプチドは、ネイティブタンパク質中では連続しており、外因性プロテアーゼ切断部位、即ち、連続するネイティブ配列中には存在しない切断部位によって分離されている、2つの配列を含み得る。別の例として、SARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する配列を含むペプチド断片を含み、各ペプチド断片間に外因性プロテアーゼ切断部位を含むポリペプチドに関して、外因性プロテアーゼ切断部位は、現在位置するSタンパク質のアミノ酸配列内の位置において、SARS-CoV-2 Sタンパク質中に人工的に導入されている、又はSARS-CoV-2 Sタンパク質中では天然には見出されない、切断部位である。
【0056】
「重複」は、本明細書で使用される場合、好ましくは、1つのアミノ酸配列又はペプチド又はペプチド断片のC末端における部分配列が、別のアミノ酸配列又はペプチド又はペプチド断片のN末端における部分配列と同じ又は実質的に類似である、及び/或いは逆もまた同様であるような方法で、2つの異なるアミノ酸配列又はペプチド又はペプチド断片において同じ又は実質的に同じである、アミノ酸配列の一部分又は「部分配列」を指す。重複は、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列に反映されてもされなくてもよい。したがって、「重複するペプチド断片」が「少なくとも1つの重複を有するペプチド断片」を意味することは、当業者に明らかである。
【0057】
「同一性」は、本明細書で使用される場合、2つ以上のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を比較することによって決定される、2つの配列間の類似性の程度、言い換えれば、2つの配列が残基に関して互いにマッチする程度である。同一性は、2つの配列がマッチする程度の測定値を提供するために、2つの配列の類似性の程度を使用して決定され得る。ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を比較するための多数のプログラム、例えば(それらに限定されないが)、種々のBLAST及びCLUSTALプログラムが、当業者に周知である。パーセンテージ同一性は、配列同一性を定量するために使用され得る。パーセンテージ同一性を計算するために、2つの配列(ポリペプチド又はヌクレオチド)は、最適にアラインされ(即ち、2つの配列が、各対応する位置において最も高い数の同一な残基を有し、したがって、最も高いパーセンテージ同一性を有するように位置付けられ)、各位置におけるアミノ酸又は核酸残基は、その位置における対応するアミノ酸又は核酸と比較される。一部の場合には、最適な配列アラインメントは、それを第2の配列と最良にフィットさせるために、配列中にスペースを挿入することによって達成され得る。同一なアミノ酸残基又はヌクレオチドの数は、パーセンテージ同一性を提供する、例えば、比較されている2つの配列間で、10残基長の配列のうち9残基が同一である場合、パーセンテージ同一性は、90%である。パーセンテージ同一性は、一般に、比較されている2つの配列の全長に沿って計算される。
【0058】
「バリアント」は、本明細書でペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質に関して使用される場合、野生型ペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は少なくとも99%の同一性、必要に応じて、60~100%、65~100%、70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質を指す。バリアントが野生型とは異なる場合、これは、配列内のアミノ酸の置換に起因し得る、及び/或いは配列のいずれか若しくは両方の末端からの、又は更には配列の内部での、アミノ酸の付加又は喪失に起因し得る。「バリアント」は、そのゲノム配列中に1つ以上の変異を有するウイルスを指すために、ウイルスに関しても使用され得る(本明細書で「ウイルスバリアント」)。
【0059】
「広域作用性」は、本明細書で使用される場合、複数の異なるウイルス種、亜種及び/又はウイルスバリアントに対して有効なワクチン、治療薬又は抗体を指す。例示的な例として、広域作用性コロナウイルスワクチンは、亜種にわたって感染を予防するにあたり有効であり得る、例えば、SARS-CoV-2による感染及びSARS-CoVによる感染を予防し得る;別の例示的な例では、広域作用性コロナウイルスワクチンは、種にわたって感染を予防するにあたり有効であり得る、例えば、とりわけ、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS、HKU1及びOC43による感染を予防し得る。
【0060】
「~に由来する」は、本明細書で、及び全体を通じて、「~の一部分と同一な又は実質的に類似の」を意味する。タンパク質に由来する配列を有するペプチド断片は、当該タンパク質のアミノ酸配列の連続する部分と同一な又は実質的に類似のアミノ酸配列を含有するペプチド断片である。「実質的に類似の」は、本明細書で、及び全体を通じて、アミノ酸配列が、文脈から明らかなように、参照タンパク質配列、参照配列番号又はそれらの連続する部分若しくは部分配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は少なくとも99%の同一性、必要に応じて、70~100%、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有することを意味する。「少なくとも」は、本明細書で、及び全体を通じて、一部の実施形態では、最大で100%でありかつ100%を含む列挙されたパーセンテージを意味する。例えば、「少なくとも75%」は、一部の実施形態では、「75%~100%」を意味し得る。頻繁に、タンパク質に由来する配列を含むペプチド断片の核酸配列は、タンパク質のアミノ酸配列由来のペプチド断片のアミノ酸配列よりも高い程度まで、コロナウイルスタンパク質の核酸配列とは異なる。これは、ポリペプチドの調製及びその発現の最適化、例えば、コドン最適化の理由による。疑いを回避するために、これは、タンパク質のアミノ酸配列の連続する部分に対してそれが少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は少なくとも99%の同一性を有するという点において、タンパク質のアミノ酸配列に由来する、ペプチド断片のアミノ酸配列である。核酸配列は、アミノ酸についての遺伝コードの固有の冗長性に起因して、より高い程度まで異なり得、より低い配列同一性を有し得る。上記「~に由来する」の定義では、言及されるタンパク質は、ネイティブタンパク質配列、必要に応じて、野生型ネイティブタンパク質配列であり得る。
【0061】
「少なくとも」は、本明細書で、及び全体を通じて、一部の実施形態では、ポリペプチド中に存在するペプチド断片の総数までであり、かかる総数を含む、ペプチド断片の列挙された数を意味する。例えば、14個のペプチド断片を有するポリペプチドでは、「少なくとも2つのペプチド断片」は、一部の実施形態では、「2~14個のペプチド断片」、又はそれらの間の任意の数を意味する。
【0062】
「重複配列」は、本発明のポリペプチドの2つ以上のペプチド断片中に存在するアミノ酸配列の一部分又は部分配列である。一部の実施形態では、1つのペプチド断片のC末端は、別のペプチド断片のN末端におけるアミノ酸配列と同じ又は実質的に類似のアミノ酸配列を含む。それは、重複配列が存在する場合、少なくとも2つのペプチド断片上で同じであるペプチド断片の少なくとも1つの部分が存在するはずであることを意味する。一部の実施形態では、重複配列は、2~40アミノ酸長であり、したがって、ペプチド断片の各重複部分は、2~40アミノ酸である。一部の実施形態では、重複配列は、2~31アミノ酸長である。他の実施形態では、重複配列は、4~30アミノ酸長である。他の実施形態では、重複配列は、6~20アミノ酸長である。好ましい実施形態では、重複配列は、8~17アミノ酸長である。一部の実施形態では、重複配列は、8、9、10又は11アミノ酸長である。一部の実施形態では、重複配列は、12アミノ酸長である。他の実施形態では、重複配列は、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15、16又は17アミノ酸長である。最も好ましい実施形態では、重複配列は、細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)(CD8+T細胞)応答の生成のためには、少なくとも8アミノ酸長である、及び/又はTヘルパー細胞(CD4+T細胞)応答の生成のためには、少なくとも12アミノ酸長である。
【0063】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、そのN末端配列又はそのC末端配列によって、ポリペプチド内の1つの他のペプチド断片の配列と重複する配列を含むペプチド断片を含む。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、そのN末端配列及びそのC末端配列によって、ポリペプチド内の2つの他のペプチド断片の配列と重複する配列を含むペプチド断片を含む。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、ポリペプチド内に含有されるいずれの他のペプチド断片の配列とも重複しない配列を含む1つ以上のペプチド断片を更に含む。
【0064】
いずれか1つのペプチド断片は、2~55アミノ酸長、より好ましくは、8~50アミノ酸長、より好ましくは、12~45アミノ酸、より好ましくは、20~40アミノ酸長であり得る。好ましい実施形態では、各ペプチド断片は、25~40アミノ酸長、より好ましくは、28~38アミノ酸長、更により好ましくは、29~37アミノ酸長である。好ましい実施形態では、各ペプチド断片は、29、30、31、32、33、34、35、36又は37アミノ酸長である。
【0065】
本発明の全ての実施形態では、ペプチド断片は、各直鎖状に隣接するペプチド断片間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によって、ポリペプチドを形成するようにタンデムで一緒に連結される。「直鎖状に隣接する」は、二次構造又はアミノ酸配列に関して直接連続するペプチド断片を意味すると本明細書で解釈される。したがって、1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列が、各ペプチド断片を分離する。ペプチド断片は、1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列によって接続される。本発明の一実施形態では、2つ以上のペプチド断片が、各直鎖状に隣接するペプチド断片間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によって、ポリペプチドを形成するようにタンデムで一緒に連結される。別の実施形態では、3つ以上のペプチド断片が、各直鎖状に隣接するペプチド断片間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によって、ポリペプチドを形成するようにタンデムで一緒に連結される。別の実施形態では、4~30、5~20個のペプチド断片、より好ましくは、10~15、11~14、12又は13個のペプチド断片が、各直鎖状に隣接するペプチド断片間に位置する少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位配列によって、ポリペプチドを形成するようにタンデムで一緒に連結される。
【0066】
投薬量が「μg/kg」で表される場合、これは、対象の体重1キログラム当たりのマイクログラム数での薬剤の質量を意味することを意図する。したがって、mg/kgは、対象の体重1キログラム当たりのミリグラム数での薬剤の質量を意味することが、当業者に明らかである。薬剤は、本明細書で列挙されるもの、即ち、ポリペプチド又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分のいずれかであり得る。当該治療的及び/又は予防的ポリペプチド及び/又はネイティブペプチド配列若しくはその断片は、哺乳動物対象、好ましくは、ヒトに提供され得る。更に、上記のいずれかをコードするポリヌクレオチドは、哺乳動物対象、好ましくは、ヒトへの投与のためにも想定される。
【0067】
第1の態様では、本発明は、対象を免疫化及び/又は処置するための製剤であって、第1のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第2の配列を含む、2つ以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2つ以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列を更に含む、ポリペプチド;並びにネイティブタンパク質配列又はその部分、を含む、製剤を提供する。或いは又は更に、一部の実施形態では、製剤は、対象をワクチン接種するためのものであり、ワクチン製剤である。ポリペプチドの第1の配列及び第2の配列、並びに任意の更なる配列は、上で概説したように、ネイティブタンパク質配列の全て又は一部のバリアントであり得る。ネイティブタンパク質自体は、例えば、その免疫原性を改善するために、野生型配列と比較して僅かに改変され得る。当業者は、一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列全体を提供するのではなく、その部分が提供され得ることを理解する。かかるその部分は、公知の抗原性部分、又は他の意味で機能的に関連する部分を含み得、これは、提供された部分が、ネイティブタンパク質配列の機能において重要な役割を果たすことが公知であること、又はネイティブタンパク質配列の免疫認識にとって他の意味で重要であり得ることを意味する。このように、ネイティブタンパク質配列の部分は、ネイティブタンパク質配列に対する免疫応答を生成する公知のエピトープを含み得る。理論に束縛されることは望まないが、ROPは、CD4+及びCD8+T細胞応答が含まれる強いT細胞応答を刺激し、CD4+は、抗体の発生を刺激することを助ける。T細胞から放出されたサイトカインは、非線形の様式でB細胞応答を刺激するので、T細胞とB細胞との間の相互作用は、強いB細胞応答を刺激する。免疫系を2つの抗原性タンパク質に曝露させることによって、応答の増幅が、免疫系の複数の経路の、異なってはいるが同時の活性化に起因して生じる。
【0068】
第1の態様を例示するために、製剤は、ネイティブタンパク質配列に由来する配列を各々が含む2つ以上のペプチド断片を含むポリペプチドを含み得、ネイティブタンパク質配列は、SARS-CoV-2コロナウイルスのスパイク(又は「S」)タンパク質である。このように、製剤は、2つ以上のペプチド断片を有するポリペプチドを含み、第1のペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列に由来する第2の配列を含み、これらか各々、プロテアーゼ切断部位配列によって分離される。製剤は、ネイティブタンパク質配列又はその部分を更に含む。この例示では、それは、上に概説されるポリペプチドだけでなく、製剤が更に、スパイクタンパク質又はその部分を含むことを意味する。更なる例示として、その部分は、例えば、宿主細胞中へのコロナウイルスの侵入において重要な役割を果たすことが公知のスパイクタンパク質の受容体結合モチーフであり得る。
【0069】
当業者は、かかる製剤が種々の方法で投与され得ることを理解する。最も一般的な投与経路は、注射によるものであるが、経口送達及び経鼻スプレー送達も想定される。注射される場合、送達は、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内又は真皮内であり得る。
【0070】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、1つ以上の重複配列を含む。例示的な例として、ポリペプチドは、ネイティブタンパク質配列に由来する2つのペプチド断片を含み得、第1のペプチド断片は、アミノ酸残基1~10を含み、第2のペプチド断片は、アミノ酸残基5~15を含むので、ポリペプチドは、両方の断片中に存在する配列5~10を含む重複配列を有する。これらの重複配列を含むポリペプチドは、組換え重複ポリペプチド(ROP)と呼ばれ得る。ROPは、従来のワクチンを超える利点を提供することが示されている(Caiら、2017、WO2007125371及びWO2016095812を参照されたい)。
【0071】
ポリペプチドは、少なくとも2つ以上のペプチド断片を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、3つ以上のペプチド断片、4つ以上のペプチド断片、5つ以上のペプチド断片、6つ以上のペプチド断片、7つ以上のペプチド断片、8つ以上のペプチド断片、9つ以上のペプチド断片、10個以上のペプチド断片、11個以上のペプチド断片、又は12個以上のペプチド断片を含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、12個よりも多くのペプチド断片を含み得る。3つ以上のペプチド断片が存在する場合、これらの各々は、ネイティブタンパク質配列のバリアントである又はネイティブタンパク質配列に由来するアミノ酸配列を有することが理解される。配列は、ペプチド断片間で同一であり得る、又は各ペプチド断片間で異なり得る。例示的な例として、第1のペプチド断片は、例えば、サバイビンアイソフォーム1からの残基1~10を含む第1のものを有し得、第2のペプチド断片は、残基11~20を含む第2の配列を有し得、第3のペプチド断片は、残基11~20を含む第1の配列を有し得る。
【0072】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、複数の重複配列を含み得る。例示的な例として、第1のペプチド断片は、残基1~10を含み得、第2のペプチド断片は、残基5~15を含み得、第3のペプチド断片は、残基11~20を含み得る。したがって、例示的な例では、ポリペプチド中に2つの重複配列、具体的には、第1及び第2のペプチド断片中の残基5~10、並びに第2及び第3のペプチド断片中の残基11~15が存在する。更に、又は或いは、1つ以上の重複配列が存在し得るが、ペプチド断片の全てが重複配列を含有する必要があるわけではない。例示的な例として、第1及び第2のペプチド断片は、残基5~10によって規定される重複配列を含有し得るが、第3のペプチド断片は、残基16~25を含み得、したがって、いずれとも重複しない。一部の実施形態では、ポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個又はそれよりも多くの重複配列を含み得る。
【0073】
任意の数の重複が存在し得、これは、ポリペプチドのペプチド断片の数及びサイズによってのみ制限される。
【0074】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、野生型ネイティブタンパク質配列(例えば、上に列挙したアイソフォーム、又はそれらのホモログのいずれか)に対して部分的配列同一性を有する配列を有するペプチド断片を含み得る。例示的な例として、少なくとも1つのペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列の関連する部分に対して少なくとも99%の同一性を有する配列を含み得る。或いは、少なくとも1つのペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列の関連する部分に対して少なくとも98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%又は10%の同一性を有する配列を含み得る。「関連する部分」は、問題のペプチド断片が基づくネイティブタンパク質配列の残基の連続するストリングを意味する。例示的な例として、ペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列の残基1~10に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む場合、10個の残基のうち9つは、ネイティブタンパク質配列の残基1~10と同一であり、1つは異なる。当業者は、パーセンテージ同一性がインタクトであることを条件として、任意の残基を入れ替えることができることを理解する。当業者は、重要な残基が維持されることを条件として、より低いパーセンテージ同一性が許容可能であることを更に理解する。
【0075】
2つ以上のペプチド断片の各々は、アミノ酸に関して任意の長さであり得る。2つ以上のペプチド断片の各々は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26 27、28、29、30、31、32、33、34、35又はそれ以上のアミノ酸長であり得る。ペプチド断片間の重複(即ち、重複配列)は、ペプチド断片の長さによって制限され得、これらの重複配列は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上のアミノ酸長であり得る。一部の実施形態では、1つ以上の重複配列は、2アミノ酸長と31アミノ酸長との間であり、必要に応じて、1つ以上の重複配列は、少なくとも8アミノ酸長である。
【0076】
ポリペプチドの2つ以上のペプチド断片は、タンパク質の配列全体をカバーする1つ以上の配列を含み得る。例示的な例として、ネイティブタンパク質配列が142アミノ酸の配列を有する場合、ポリペプチドは、2つのペプチド断片:ネイティブタンパク質配列の残基1~71に由来する配列を有する第1のペプチド断片、ネイティブタンパク質配列の残基72~142に由来する配列を有する第2の断片を含み得る。当業者は、任意の数の断片が、ポリペプチドが基づくネイティブタンパク質配列の全体をカバーするために使用され得ることを理解する。更なる例示的な例として、ポリペプチドは、3つのポリペプチド断片:ネイティブタンパク質配列の残基1~71に由来する第1の配列を有する第1のペプチド断片、ネイティブタンパク質配列の残基72~142に由来する第2の配列を有する第2のペプチド断片、及びネイティブタンパク質配列の残基50~120に由来する第3の配列を有する第3のペプチド断片を含み得る。
【0077】
かかるポリペプチドは、任意の数の重複配列を含み得、任意の長さのペプチド断片を含み得、ポリペプチド配列は、ペプチド断片が、上で概説したネイティブタンパク質配列又はそのバリアントに由来することを条件として、任意の長さであり得る。ポリペプチドの各ペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列に由来する異なる配列であり得る。
【0078】
一部の実施形態では、本発明のポリペプチド及び/又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分は、免疫賦活性である。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドのペプチド断片のうちの1つ以上は、免疫賦活性である。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドのペプチド断片内に含まれる配列のうちの1つ以上は、免疫賦活性である。「免疫賦活性」は、本明細書で言及される場合、対象に投与された場合に免疫応答を刺激する、促す、引き起こす、及び/又は生じさせることを意味する。好ましい実施形態では、当該免疫応答は、適応免疫応答を含む。一部の実施形態では、当該適応免疫応答は、ポリペプチドに対する、並びに/又は1つ以上のペプチド断片及び/若しくはその中に含まれる配列に対する抗体の生成を含む。他の実施形態では、当該適応免疫応答は、CD8+及び/又はCD4+T細胞の活性化及び/又は増殖を含む。一部の実施形態では、当該適応免疫応答は、ポリペプチドに対する、並びに/又は1つ以上のペプチド断片及び/又はその中に含まれる配列に対する抗体の生成、並びに更に、CD8+及び/又はCD4+T細胞の活性化及び/又は増殖を含む。
【0079】
1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列が、本発明のポリペプチドの2つ以上のペプチド断片の各々の間に位置する。好ましい実施形態では、1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列は、ポリペプチドが投与される標的又は宿主又は対象又は患者中に存在するプロテアーゼの切断部位配列であり、その結果、ポリペプチドは、宿主内でそのペプチド断片へと切断され得る。一部の実施形態では、1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列は、外因性プロテアーゼ切断部位、必要に応じて、カテプシン切断配列、好ましくは、カテプシンS、より好ましくは、LRMK切断配列である。当該プロテアーゼは、細胞外で、又はより好ましくは、細胞内で作用し得る。当該プロテアーゼは、ポリペプチド又はそれをコードするポリヌクレオチドと組み合わせて送達される非宿主プロテアーゼであり得る。より好ましくは、当該プロテアーゼは、宿主プロテアーゼである。例示的な例として、ポリペプチドは、1つ以上のプロテアーゼ切断部位によって各々が分離された6つのペプチド断片を含み得、1つ以上のプロテアーゼ切断部位は、4つのカテプシンS切断部位、好ましくは、LRMKプロテアーゼ切断部位を含む。
【0080】
ある実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列の1つ以上の直鎖状抗体エピトープを含み、各ペプチド断片間に位置するプロテアーゼ切断部位配列を含む、少なくとも1つのペプチド断片を含む。各ペプチド断片間に位置する外因性切断部位は、ペプチド断片が所望の様式で遊離されるのを可能にするので、有用である。一部の実施形態では、外因性プロテアーゼ切断部位配列は、細胞内プロテアーゼに対するものであり、それにより、ペプチド断片がポリペプチドから細胞内で遊離されるのを可能にする。一部の実施形態では、少なくとも1つの直鎖状抗体エピトープは、中和エピトープである。一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、重複するアミノ酸配列を含む。これは、例えば、1つ以上の直鎖状抗体エピトープ配列が、1つのペプチド断片内に完全に含まれるが、他のペプチド断片が、当該直鎖状抗体エピトープの部分的配列を含むことを可能にし得る。一部の実施形態では、少なくとも1つのペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列の1つ以上のCD4+及び/又はCD8+T細胞エピトープを含む。ペプチド断片は、1つのエピトープのみ(直鎖状抗体エピトープであれCD4+又はCD8+T細胞エピトープであれ)を含み得る。等しく、ペプチド断片は、2つのエピトープの一部又は全て、例えば、直鎖状抗体エピトープの一部又は全て、及びT細胞エピトープの一部又は全てを含み得る。ペプチド断片は、エピトープを含まない場合がある。
【0081】
CD8+T細胞(「細胞傷害性Tリンパ球」、「CTL」とも)は、罹患細胞及び/又は感染細胞を標的化及び溶解する。従来、MHCクラスI分子は、CD8+T細胞の認識及び活性化のために細胞内起源の断片を提示すると理解されている;例えば、がん性細胞は、MHCクラスI細胞上に、異常に発現された細胞内タンパク質のプロテアソーム消化の断片化産物を提示し得る。CD4+T細胞は、T細胞及びB細胞が含まれる他の免疫細胞の活性化及び拡大増殖を助ける。従来、MHCクラスII分子は、提示のために抗原提示細胞によって内在化された細胞外起源の断片をCD4+T細胞に提示すると理解される。より最近、交差提示が、これらの従来の経路に加えて生じることが公知であることが示されており、それにより、内在化された細胞外断片は、MHCクラスI分子上に提示され得る。一部の実施形態では、ポリペプチドの少なくとも1つのペプチド断片は、ネイティブタンパク質配列の1つ以上のCD4+T細胞エピトープ及び/又は1つ以上のCD8+T細胞エピトープを含む。
【0082】
プロテアーゼによって切断された本発明のペプチド断片は、プロセシングされ得、例えば、MHCクラスI分子及びクラスII分子を介して、免疫系の細胞に提示され得る。本発明のペプチド断片に由来するアミノ酸配列は、それぞれMHCクラスI分子及びクラスII分子を介したそれらの提示を介して、CD8+及びCD4+T細胞を刺激する。
【0083】
一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、T細胞応答を刺激するにあたり非常に有効である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、CD8+T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、CD4+T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、本発明のポリペプチドは、CD8+T細胞応答及びCD4+T細胞応答の両方を刺激する。一部の実施形態では、ポリペプチドの2つ以上の断片は、T細胞エピトープを含む少なくとも1つの断片を含む。
【0084】
一部の実施形態では、ポリペプチド及びネイティブタンパク質配列は共に、CD4+及びCD8+T細胞応答を刺激する。本発明のポリペプチドは、重複ペプチド断片を含み、このことが、T細胞応答を更に強化する(Zhangら、2009)。更に、重複ペプチドの使用は、潜在的T細胞エピトープの範囲を、より包括的に提示する。
【0085】
集団内のT細胞受容体及びMHCレパートリーにおける遺伝的バリエーションは、CD4+及び/若しくはCD8+T細胞に提示される配列並びに/又はCD4+及び/若しくはCD8+T細胞によって認識される配列において、全集団的なバリエーションが存在し得ることを意味する。本発明の複数の重複ペプチド断片は、1つ以上のエピトープをタイル張りする(tile)能力又は1つ以上のエピトープのより広いカバー範囲を提供する能力を介して、及び免疫認識に代替的選択肢を提供することによって、このバリエーションを補い、HLAタイプ分けのいずれの必要性も低減させる。
【0086】
一部の実施形態では、ポリペプチド及び/又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分は、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNA、RNA、又は両方の混合物のいずれか)として提供される。疑いを回避するために、ポリペプチド及びネイティブタンパク質配列又はその部分は、単一のポリヌクレオチド上、又は異なるポリヌクレオチド上に提供され得る。かかるポリヌクレオチドは、本発明の方法のいずれかにおいて、ポリペプチド及び/又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分の代わりに使用され得る。例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ネイティブタンパク質配列をコードするポリヌクレオチドと共に対象に共投与され得、いったん投与されると、本発明のポリペプチド及びネイティブタンパク質配列の発現を引き起こし、その結果、ポリペプチド及びネイティブタンパク質配列の両方が、対象に有効に投与されたということになる。
【0087】
一部の実施形態では、製剤は、薬学的に許容可能な担体を更に含む。製剤に関して、ポリペプチドとネイティブタンパク質配列又はその部分とは、同じ体積の薬学的に許容可能な担体内で混合される。しかし、本発明の一部の態様では、ポリペプチドとネイティブタンパク質配列又はその部分とは、別々の体積の薬学的に許容可能な担体中に提供され、同時に、別々に又は順次投与されることを意図する。ポリペプチドとネイティブタンパク質配列又はその部分とが別々の体積中に提供される場合、上記製剤において記載される実施形態のいずれもが、その別々の体積中の各構成要素に等しく適用可能であることが理解される。更に、疑いを回避するために、別々の体積は、或いは又は更に、ポリペプチド及び/又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。
【0088】
本発明のポリペプチド及びネイティブタンパク質並びに/又は本発明のポリヌクレオチドは、送達ビヒクルによって対象に投与され得る。一実施形態では、薬学的に許容可能な送達ビヒクルは、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、MVA、HSVであるがこれらに限定されないウイルスベクターである。別の実施形態では、薬学的に許容可能な送達ビヒクルは、例えば、リステリア(Listeria)の種、サルモネラ(Salmonella)の種であるがこれらに限定されない細菌ベクターである。別の実施形態では、薬学的に許容可能な送達ビヒクルは、プラスミド、ナノ粒子、脂質粒子(lipoparticle)、ポリマー性粒子又はウイルス様粒子である。
【0089】
一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、必要に応じて、1つ以上の薬学的に許容可能な担体(又は賦形剤)を含む。本明細書に記載される医薬組成物の異なる形態に適切なかかる賦形剤の例は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第2版、(1994)、A Wade及びPJ Weller編中に見出され得る。組成物又は医薬組成物は、1つ以上の更なる成分を含み得る。一実施形態では、担体は、注射可能な送達に適切である。別の実施形態では、担体は、肺送達に適切である。別の実施形態では、担体は、経口送達に適切である。
【0090】
一部の実施形態では、製剤は、アジュバント、好ましくは、一リン酸脂質A(MPL)、モンタニド、アラムベースのアジュバント、水中油又は油中水、より好ましくは、一リン酸脂質A、モンタニド、アラムベースのアジュバントを更に含む。
【0091】
一部の実施形態では、ポリペプチドの濃度は、10~10000μg/kgの間であり、ネイティブタンパク質配列又はその部分の濃度は、10~10000μg/kgの間である。この文脈における濃度は、時折、用量濃度と呼ばれ、又は単に「用量」と呼ばれ、各用語は、相互交換可能に使用され得る。実際の用語では、この単位は、対象に投与されるポリペプチド又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分の量(μg)が、対象の体重(kg)に基づいて調整されることを意味する。例えば、対象が体重100kgである場合、その対象に提供されるポリペプチド及び/又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分の量は、1000μgと1000000μgとの間である。
【0092】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、コロナウイルスのSタンパク質である。一部の実施形態では、コロナウイルスは、ベータコロナウイルス、必要に応じて、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、必要に応じて、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、コロナウイルスは、ヒトコロナウイルスである。一部の実施形態では、ポリペプチドの2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも2つは、Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含み、並びに/又はネイティブタンパク質配列の部分は、Sタンパク質のS1及び/若しくはS2サブユニットに由来する配列を含む。
【0093】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)に由来する配列を含み、及び/又はネイティブタンパク質配列の部分は、S1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)、必要に応じて、受容体結合モチーフ(RBM)を含む。
【0094】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインに由来する配列を含み、並びに/又はネイティブタンパク質配列の部分は、S2サブユニットのHR2及び/若しくはHR1ドメインを含む。
【0095】
本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、2つ以上のペプチド断片を含み、そのうち少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多く)は、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、必要に応じて、SARS-CoV-2のSタンパク質に由来する配列を含む。本発明のある実施形態では、当該2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多く)は、S1サブユニットに由来する配列を含む。ある実施形態では、当該2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多く)は、S1サブユニットのRBDに由来する配列を含む。一部の実施形態では、当該2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多く)は、RBDの受容体結合モチーフ(「RBM」)に由来する配列を含む。本発明の別の好ましい実施形態では、当該2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多く)は、S2サブユニットに由来する配列を含む。ある実施形態では、当該2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多く)は、S2サブユニットのヘプタッドリピート2(「HR2」)ドメインに由来する配列を含む。別の実施形態では、当該2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多く)は、S2サブユニットのヘプタッドリピート1(「HR1」)ドメインに由来する配列を含む。当業者は、「~に由来する」が、上に概説された意味を有することを理解する。
【0096】
重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス亜種の複数のウイルスバリアント及び/又は株、例えば、SARS-CoV-2(例えば、B.1.1.7、B.1.351、P.1、B.1.427、B.1.429)が存在すること、並びに新たなウイルスバリアントが出現し続けるであろうことが理解される。本発明のペプチド断片は、かかるウイルスバリアント株のいずれか又は複数に由来し得る。ペプチド断片のアミノ酸配列は、本発明の融合タンパク質を受けている対象に、新興のウイルスバリアント株に対する免疫保護を提供するために、新たな変異及びバリアントを示すように容易に調整され得る。
【0097】
RBDは、宿主受容体に結合するSタンパク質のS1サブユニットのドメインである。SARS-CoV-2のRBDは、少なくともヒト及びコウモリのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に強く結合する(Tai, W.ら、(2020))。SARS-CoVのRBDは、ACE2に結合する。MERS-CoVのRBDは、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)に結合する。SARS-CoV-2のRBDは、配列番号15又は16として示され得、一部の実施形態では、RBDは、SARS-CoV-2 Sタンパク質の残基318~541を含む(Yi, C.ら、(2020))。他の実施形態では、RBDは、SARS-CoV-2 Sタンパク質の残基319~529、331~524又は336~516を含み得る(Shang, J.ら、(2020);Tai, W.ら、(2020);Lan, J.ら、(2020))。SARS-CoVのRBDは、SARS-CoV Sタンパク質の残基306~527及び/又は318~510を含み得る;MER-CoV SのRBDは、MERS-CoV Sタンパク質の残基377~588を含み得る(Yi, C.ら、(2020);Tai, W.ら、(2020))。当業者は、上記からわかるように、残基番号によって規定されるRBDの境界が僅かに変動し得ることを理解する。したがって、RBDは、上で規定された残基を有するアミノ酸配列又はそのバリアントを含み得る。
【0098】
RBMは、Sタンパク質のS1サブユニットのモチーフであり、RBD内にあり、宿主受容体に結合する。SARS-CoV-2のRBMは、配列番号17として示され得、一部の実施形態では、SARS-CoV-2のRBMは、SARS-CoV-2 Sタンパク質の残基438~506を含む(Lan, J.、(2020))。当業者は、残基番号によって規定されるRBMの境界が僅かに変動し得ることを理解する。したがって、RBMは、上で規定された残基を有するアミノ酸配列又はそのバリアントを含み得る。
【0099】
HR1は、HR2ヘプタッドリピートと共に、融合のためにウイルスエンベロープを宿主細胞膜と非常に近接させる6-ヘリックスバンドル(6HB)を形成するヘプタッドリピートである。HR1は、配列番号35として示され得、一部の実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質の残基910~988を含む。他の実施形態では、HR1は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の残基912~984又は920~970を含み得る(Xia, S.ら、(2020))。SARS-CoVのHR1は、SARS-CoV Sタンパク質の残基902~952を含み得る。当業者は、残基番号によって規定されるHR1の境界が僅かに変動し得ることを理解する。したがって、HR1は、上で規定された残基を有するアミノ酸配列又はそのバリアントを含み得る。
【0100】
HR2は、HR2ヘプタッドリピートと共に、融合のためにウイルスエンベロープを宿主細胞膜と非常に近接させる6-ヘリックスバンドル(6HB)を形成するヘプタッドリピートである。HR2は、配列番号19として示され得、一部の実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質の残基1159~1211を含む。他の実施形態では、HR2は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の残基1163~1202を含み得る(Xia, S.ら、(2020))。SARS-CoVのHR2は、SARS-CoV Sタンパク質の残基1145~1184を含み得る。当業者は、残基番号によって規定されるHR2の境界が僅かに変動し得ることを理解する。したがって、HR2は、上で規定された残基を有するアミノ酸配列又はそのバリアントを含み得る。
【0101】
HR1領域及びHR2領域は、ウイルスエンベロープと宿主細胞膜との融合にとって重要な、コロナウイルスSタンパク質のS2サブユニットの重要な機能的領域である。重要な機能的領域に結合する又はそれに近づく、即ち、それに対する抗体は、立体的に又は他の方法で、当該領域のウイルス機能を遮断、妨害又は防止することができる。HR1及び/又はHR2の1つ以上の配列を提供することによって、本発明のポリペプチドは、宿主細胞中へのウイルス侵入を阻止する、HR1及び/又はHR2に対する中和抗体及び/又は広域作用性抗体の生成を刺激する。これは、例えば、CN111560054及びCN111732637に記載されるように、コロナウイルス自身のHR1及び/又はHR2への当該HR1及び/又はHR2配列の直接的結合を介したコロナウイルス侵入を直接阻害するための、HR1及び/又はHR2(ネイティブ形態であれステープルされた形態であれ)の単離されたアミノ酸配列の任意の使用、並びにコロナウイルス関連HR1-HR2 6HBの形成の引き続く阻止とは区別される。
【0102】
RBD及びRBMは、コロナウイルス-宿主受容体結合にとって重要な、コロナウイルスSタンパク質のS1サブユニットの重要な機能的領域である。重要な機能的領域に結合する、及びそれに対する抗体は、立体的に又は他の方法で、当該領域のウイルス機能を遮断、妨害又は防止することができる。RBD、必要に応じて更にRBMの1つ以上の配列を提供することによって、本発明のポリペプチドは、宿主受容体へのウイルスS1の結合を阻止する、RBD、及び必要に応じてRBMに対する中和抗体及び/又は広域作用性抗体の生成を刺激する。
【0103】
ネイティブタンパク質配列が、スパイクタンパク質又はその部分の配列である一部の実施形態では、本発明の2つ以上のペプチド断片は、以下に詳述される配列番号1~12の配列又はそのバリアントのうちのいずれか1つを含み得る。別の実施形態では、本発明の3つ以上のペプチド断片のうちのいずれか1つは、以下に詳述される配列番号1~12の配列又はそのバリアントのうちのいずれか1つを含み得る。別の実施形態では、ポリペプチドは、以下に詳述される配列番号1~12の配列又はそのバリアントのうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、又は12個を含む:
【化9】
【0104】
かかる実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、SARS-Cov-2のSタンパク質であり、以下のアミノ酸配列(Uniprotアクセッション番号P0DTC2)を有する:
【化10】
【0105】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列の部分は、以下の配列を有するSARS-CoV-2のSタンパク質のS1サブユニットである:
【化11】
【0106】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列の部分は、RBDであり、以下のアミノ酸配列、又はそのバリアントを有する:
【化12】
【0107】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列の部分は、以下のアミノ酸配列、又はそのバリアントを有するRBMである:
【化13】
【0108】
配列番号10~12は、SARS-CoV-2のSタンパク質のS2サブユニットに由来する配列を含む。一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列の部分は、以下のアミノ酸配列、又はそのバリアントを有するS2サブユニットである:
【化14】
【0109】
配列番号18は、配列番号13の残基686~1273からなる。
【0110】
配列番号10~12は、SARS-CoV-2のSタンパク質のS2サブユニットのHR2領域に少なくとも一部由来する配列を含む。一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列の部分は、以下のアミノ酸配列、又はそのバリアントを有するHR2領域である:
【化15】
【0111】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、SARS-CoV-2のSタンパク質のS2サブユニットのHR1領域に少なくとも一部由来する配列を含むペプチド断片を含む。一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列の部分は、以下のアミノ酸配列、又はそのバリアントを有するHR1領域である:
【化16】
【0112】
配列番号20は、配列番号13の残基910~988からなる。
【0113】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、以下のサバイビンアイソフォーム:
【化17】
のうちのいずれか1つから選択されるサバイビンである。
【0114】
これは、サバイビンアイソフォーム1(uniprot識別子O15392-1)に関するが、一部の実施形態では、配列は、サバイビンアイソフォーム2(uniprot識別子O15392-2、配列番号22)、3(uniprot識別子O15392-3、配列番号23)、4(uniprot識別子O15392-4、配列番号24)、5(uniprot識別子O15392-5、配列番号25)、6(uniprot識別子O15392-6、配列番号26)又は7(uniprot識別子O15392-7、配列番号27)のうちの1つ以上に由来し得る又はそのバリアントであり得る。
【0115】
【0116】
当業者は、核酸配列(DNA若しくはRNA、又は両方のミックス)が、上述のペプチドの各々について提供され得ること、及びこれを導くことが当業者にとって慣用的であることを理解する。例えば、配列番号21をコードするDNA配列は、以下に与えられる。
【化19】
【0117】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、群:
【化20】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答を惹起する、又は免疫賦活性である。
【0118】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片は、配列番号32及び/又は配列番号33に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ポリペプチドは、免疫応答、必要に応じて、T細胞応答を惹起する。
【0119】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、ヒトパピローマウイルス(HPV)のE6又はE7タンパク質である。
【0120】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列は、
【化21】
である。
【0121】
配列番号38は、ヒトパピローマウイルス16のE6ペプチドである(Uniprot識別子:P03126)。配列番号39は、ヒトパピローマウイルス16のE7ペプチドである(Uniprot識別子:P03129)。
【0122】
一部の実施形態では、2つ以上のペプチド断片のうちの少なくとも1つは、群:
【化22】
から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0123】
更なる態様では、本発明は、ネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、及び/又は第1のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第1の配列を含み、第2のペプチド断片が、ネイティブタンパク質配列に由来する第2の配列を含む、2つ以上のペプチド断片を含むポリペプチドであって、2つ以上のペプチド断片の各々の間に位置する1つ以上のプロテアーゼ切断部位配列を更に含む、ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを提供する。言い換えると、第1の態様のポリペプチド及び/又はネイティブタンパク質は、当該ポリペプチド及び/又はネイティブタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチドとして提供され得る。このように、第1の態様の実施形態のいずれもが、この態様に等しく適用可能であり、配列番号28を用いて上に例示したように、配列番号1~27及び29~43のいずれかのために要求されるポリヌクレオチドのコード配列を誘導することは、当業者にとって慣用的である。
【0124】
本発明の更なる態様では、対象の免疫化及び/又は処置のための方法であって、対象に、以前の態様のうちのいずれか1つの製剤を投与する工程、を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、ポリペプチド及びネイティブタンパク質配列又はその部分は、対象に、同時に、別々に又は順次投与される。
【0125】
本発明の更なる態様は、対象の免疫化及び/又は処置における使用のための組成物であって、以前の態様の製剤のポリペプチド及びネイティブタンパク質配列又はその断片を含み、ポリペプチドがネイティブタンパク質配列若しくはその部分と共に、或いはネイティブタンパク質配列若しくはその部分及び/又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドが、共投与される、組成物を提供する。
【0126】
本発明の更なる態様は、ワクチンを製造する方法であって、任意の以前の態様に記載されるネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを、1つ以上の細胞においてin vitroで発現させる工程、並びにネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドを精製する工程、を含む、方法を提供する。一部の実施形態では、精製されたネイティブタンパク質配列又はその部分及びポリペプチドは、単一の製剤へと組み合わされる。
【0127】
本発明の更なる態様は、対象の免疫化及び/又は処置のためのキットであって、上述の態様のうちのいずれか1つのネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、及び上述の態様のポリペプチド、又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、を含む、キットを提供する。一部の実施形態では、キットは、薬学的に許容可能な担体を更に含む。
【0128】
本発明の更なる態様は、対象の免疫化及び/又は処置のための方法であって、先行する態様のいずれかのネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを投与する工程、及び先行する態様のいずれかのポリペプチド、又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを投与する工程、を含む、方法を提供する。
【0129】
一部の実施形態では、ネイティブタンパク質配列若しくはその部分、又はネイティブタンパク質配列若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチドは、ポリペプチド又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチドと、同時に、順次又は別々に投与される。
【0130】
かかる方法は、この方法に従う使用のための組成物であって、上記のような、ポリペプチド、ネイティブタンパク質若しくはその部分、及び/又はポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、及び/又はネイティブタンパク質若しくはその部分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、を含む、組成物も提供することが理解される。
【0131】
ある特定の実施形態では、ネイティブタンパク質配列が、コロナウイルス由来ではない、特に、RBD、RBM並びに/又はS1及び/若しくはS2ペプチド配列ではないことが、当業者によって理解される。ある特定の実施形態は、コロナウイルス、HPV及び/又はサバイビンに関し得るが、本発明は、それに対する免疫原性応答を生じさせることが望ましい任意の数のネイティブタンパク質配列にわたって広く適用可能であることが理解される。本開示を理解している当業者は、本発明に従う高度に免疫原性のワクチン製剤を産生するために、適切なROPを誘導することができ、それを、それが基づくネイティブタンパク質又はその部分と組み合わせることができる。
【実施例1】
【0132】
SARS-CoV-2タンパク質に対するROPを、ネイティブスパイクタンパク質配列の部分と組み合わせる
ポリペプチドワクチン(「ROP-COVS」)を、宿主細胞中へのウイルス侵入に最も積極的に関与するSARS-CoV-2タンパク質ドメインに対して設計した。これは、以下のアミノ酸配列を有する:
【化23】
【0133】
このROP-COVSは、カテプシンSのLRMK切断配列を介して各々が隣に連結された12個のペプチド断片(「PF」)を含む組換えポリペプチドであり、その結果、PFは、カテプシンSによる消化の際に細胞内で遊離され得る。各PFは、ROP内の連続するアミノ酸位置に従って、1~12と番号付けされ、PF1は、N末端に最も近いOSPであり、PF12は、C末端に最も近いOSPである。PFの配列は、以下の通りである:
【化24】
【0134】
各PFは、少なくとも1つの他のPFと、その配列の一部分(別名「重複」)を共有する。例えば、PF2のアミノ酸1~15は、PF1のアミノ酸16~30、即ち、いわゆる重複を含む;PF3のアミノ酸1~15は、PF2のアミノ酸16~30、即ち、別のいわゆる重複を含む。
【0135】
1. 遺伝子配列設計
PF1~9を、SARS-CoV-2 S1受容体結合ドメイン(「RBD」)(配列番号15又は16)をタイル張りし、RBDのいくつかの全体的又は部分的抗体及びT細胞エピトープを含むように選択した。PF10~12を、SARS-CoV-2 S2 HR2領域のC末端(配列番号19)及びS2の近位領域(配列番号18のアミノ酸483~543)をタイル張りし、それらの全体的又は部分的抗体及びT細胞エピトープを含むように選択した。各PF又は「ペプチド断片」は、LRMK配列によって隣に連結される。得られた設計されたROP-COVSは、
図4に模式的に示される。N末端His
6タグを、ROP-COVSの精製のために付加した。
【0136】
得られたHisタグ化ROP-COVSタンパク質をコードする、エシェリキア・コリのコドン最適化された遺伝子配列は、配列番号45として示される。
【0137】
【0138】
この遺伝子配列を、DH5αエシェリキア・コリにおけるクローン性増幅を介してクローニングし、コロニーPCRを介して同定し、pET30aベクター中に挿入した(プラスミドY0028023-1を形成する、
図1)。
【0139】
2. タンパク質産生
2.1 発現
プラスミドY0028023-1を、BL21(DE3)エシェリキア・コリ中に形質転換した。電気泳動分析により、ROP-COVS遺伝子が首尾よく挿入されたことが確認された(
図2)。50mLのLB培地(50μg/ml硫酸カナマイシンを含有する)を含有するフラスコ(250mL)を、培養に使用した。株を、1:500の割合で接種した。細菌を、回転振盪(150rpm)しながら37℃で一晩インキュベートした。細胞培養物を、1:100の割合で、1.2Lの2YT培地(50μg/ml硫酸カナマイシンを含有する)中に移した。OD600値が0.8に達したら、IPTGを、0.2mMの最終濃度になるように添加して、ROP-COVSの発現を誘導した。細菌を、200rpmで回転振盪しながら37℃でインキュベートした。
【0140】
細菌を、4500rpmで30分間の遠心分離によって回収した。SDS-PAGEを使用して、誘導率を分析し、4時間のインキュベーション後の首尾よい誘導を実証した(
図3A)。
【0141】
2.2 封入体の収集
回収した濡れた細菌を、再懸濁し、10ml/gの洗浄率及び4500rpm、4℃、30分間の遠心分離条件で、0.9% NaClで1回洗浄した。洗浄後、濡れた細菌を、溶解緩衝液(20mM Tris-HCl、300mM NaCl、20mMイミダゾール、1% Triton X-100、1mM DTT、1mM PMSF、pH8.0)で10ml/gで溶解させ、ペレットを、60サイクル(3秒間のオン及び5秒間のオフ)にわたる超音波処理によって溶解させた。
【0142】
溶解後、可溶性画分及び不溶性画分を、SDS-PAGEによって分析したところ、標的タンパク質ROP-COVSが、細胞において封入体として発現されたことが示された。封入体を、9500rpmで30分間の遠心分離によって収集した。上清を廃棄した。次いで、封入体を、洗浄緩衝液1(20mM Tris-HCl、300mM NaCl、1% Triton X-100、2mM EDTA、5mM DTT、pH8.0)で2回、洗浄緩衝液2(20mM Tris-HCl、pH8.0)で1回洗浄した。
【0143】
2.3 精製
封入体を、緩衝液A(20mM Tris-HCl、300mM NaCl、8M尿素、pH8.0)中に溶解させ、4℃で一晩磁気的に混合した。懸濁物を遠心分離(18000rpm、30分間、4℃)に供して、溶解されていない画分を除去した。上清を、緩衝液Aで予め平衡化したNi-NTAカラム(Smart-Lifesciences社)中にロードした。標的タンパク質を含有する画分を、300mM NaClを含有する20mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)中0~300mMのイミダゾール勾配を用いて溶出させた。SDS-PAGEを使用して、精製の結果を分析した(
図3B)。
【0144】
2.4 再フォールディング
95%を超える純度を有する画分(
図3Bのレーン6~8のもの)を収集した。再フォールディングのために透析を使用した:画分を、再フォールディング緩衝液1(1×PBS、4mM GSH、0.4mM GSSG、0.4M L-アルギニン、1M尿素、5%グリセロール、0.5%サルコシル、pH7,4)に対して最初に透析し、次いで、再フォールディング緩衝液2(1×PBS、5%グリセロール)に対して透析した。SDS-PAGEを使用して、再フォールディング結果を分析した(
図3C)。
【0145】
2.5 SARS-CoV-2 RBMの産生
一部の実施形態では、RBMをROP-COVSと共に共投与する。SARS-CoV-2 RBM(配列番号17)を、標準的な手順に従ってエシェリキア・コリから発現させ、標準的な手順に従ってアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。
【0146】
3. ワクチン接種、及び免疫応答の実証
3.1 BALB/cマウスの調製
40匹のマウス(SPFグレード、5~6週、雌性)を、Changzhou Cavens Co., Ltd.社から購入した。それらを新たな環境に適応させるために、マウスを、ワクチン接種前に1週間飼育した。
【0147】
3.2 ワクチン接種
RBMをROP-COVSと共に共投与する。マウスを、3つの群に分割し、以下のTable 2に従ってワクチン接種した。マウスに、0日目、14日目及び21日目にワクチン接種した。各マウスに、抗原(又は対照としてのSタンパク質(配列番号13))とMPLとの総混合物100μlを皮下注射した。MPLの用量は、指示書に従った。最終ワクチン接種の3日後である24日目の時点で、全てのマウスを屠殺した。
【0148】
【0149】
3.3 代理中和アッセイ(ELISA)
上記プロトコールに従ってワクチン接種したマウスから、3.3に従ってマウス血清を抽出及び分離した。hACE2-RBD結合相互作用とのIg競合に基づくELISAベースの代理中和アッセイを、以下のプロトコールに従って実施した:
1. プレートを20μg/ml RBD、100μl/ウェルでコーティングし、4℃で一晩インキュベートする。
2. プレートをPBSTで洗浄する。プレートを2.5% BSA、200μl/ウェルでブロッキングし、37℃で1時間インキュベートする。
3. プレートをPBSTで洗浄する。マウス血清を、1:100、1:200、1:400、1:800及び1:1600に希釈した。異なる希釈を有する血清を、50μl/ウェルでプレート中に添加した。次いで、20μg/ml ACE2-hFcを、プレート中に50μl/ウェルで添加した。プレートを37℃で30分間インキュベートした。
4. プレートをPBSTで洗浄する。100μl/ウェルの抗hFc抗体(HRPコンジュゲート化)を添加した。プレートを、室温で30分間インキュベートした。
5. プレートをPBSTで洗浄する。100μl/ウェルTMB基質を添加し、5~10分間おいた。
6. 50μl/ウェルの15% H2SO4を、プレート中に添加した。OD値を450nmで読み取った。
【0150】
代替的なELISAベースの代理中和アッセイも、例えば、Tan, C.W.ら、(2020)に記載される通り、適切である。
【0151】
結果は
図5に示される。ROP-COVSによるワクチン接種は、Sタンパク質によるワクチン接種よりも高い中和抗体力価を刺激する(より低い吸光度によって示される)。ROP-COVS及びRBMの両方によるワクチン接種は、最も高い中和抗体力価を生じる。データは、ネイティブ配列の部分と当該ネイティブ配列に基づくROPとの組み合わせが、ROP単独又はネイティブタンパク質単独よりも高い、hACE2-RBD結合相互作用の阻害を生じることを示している。これは、組み合わせアプローチによって産生された抗体が、より高い親和性のものであるか、又はより多く産生されるかであることを意味し、この場合、全長スパイクタンパク質を、対照として使用した。スパイクタンパク質は、その中に潜在的により多くのエピトープを有するより長いアミノ酸配列を含有して、免疫応答を刺激するので、RBM+ROPが、スパイクタンパク質単独よりも大きい免疫応答を生じることは、驚くべきことである。しかし、高度に免疫原性のROP構造+スパイクタンパク質の部分(RBM)の組み合わせは、いずれか単独よりもはるかに高い抗体力価を生じるようである。
【0152】
この代理中和アッセイを、標準的なプロトコールに従って、マウス血清から精製されたIgGを使用して反復した。結果は
図6に示される。100μg/ml以下の濃度では、ROP-COVSに応答した中和力価は、Sタンパク質よりも高い。ROP-COVSとRBMとの組み合わせによるワクチン接種は、全てのIgG濃度において、最も高い中和抗体力価を再度刺激する。
【0153】
3.4 中和アッセイ
マウスを、レジメン1及び/又は2に従ってワクチン接種し、3.3に従って血清を抽出及び分離する。中和アッセイを、例えば、Nie, J.ら又はSchmidt Fらに記載されるような標準的なプロトコールに従って、シュードタイプ化又はキメラSARS-CoV-2ウイルス粒子を用いて実施する。より好ましくは、中和アッセイを、Amanat, F.らに記載される標準的なプロトコールを使用して、BSL-3において複製コンピテントなSARS-CoV-2を使用して実施する。
【0154】
結果は、ROP-COVSをワクチン接種したマウス及びROP-COVS+RBMの組み合わせをワクチン接種したマウスによって産生された抗体が、ウイルスの侵入及び/又は複製を遮断することを示している。結果は、ROP-COVS+RBMの組み合わせが、中和抗体の生成について、ROP-COVS単独よりも強力であることを示している。
【0155】
3.5 T細胞応答のELISPOT分析
脾臓を、屠殺したマウス(レジメン1及び/又は2に従ってワクチン接種されている)から抽出し、メッシュを介して濾し、マウス脾細胞分離培地(Solarbio社)にロードし、1000gで22分間遠心分離し、その後、層状になったリンパ球を、細胞培養培地を有する新たなチューブに移す。細胞を、RPMI 1640によって2回洗浄する。1ウェル当たり2.5×105個の脾細胞を、ELISPOTアッセイにおいて刺激のために使用する。CD4+又はCD8+T細胞を、microbeadsキット(Miltenyi社、Germany)を製造業者の指示書に従って使用する陰性又は陽性選択によって精製する。アッセイを、ELISPOTキット(Mabtech社、Sweden)を使用して実施する。
【0156】
簡潔に述べると、脾細胞を、抗5 IFN-γ-Abで事前コーティングしたプレート(Millipore社)中で、5μg/ウェルのSARS-CoV-2 Sタンパク質又はROP-COVSで一晩再刺激する。細胞を廃棄し、ビオチン化抗IFN-γ抗体を室温で2時間添加し、その後、アルカリホスファターゼ(ALP)コンジュゲート化ストレプトアビジンと共に室温でもう1時間インキュベートする。発色後、反応を、プレートを水道水で洗浄することによって停止させ、プレートを風乾する。スポットを、ELISPOTリーダー(CTL社)を用いて計数する。結果は、ROP-COVSが、顕著なCD4+及びCD8+T細胞応答を刺激できることを示している。
【0157】
3.6 前臨床試験
in vivo前臨床試験は、標準的なプロトコールに従って実施することができる(例えば、Munoz-Fontela, C.らを参照されたい)。中和抗体力価及びELISpotアッセイPMBC T細胞応答を測定する。結果は、単独での、又はRBMと組み合わせたROP-COVSによるワクチン接種が、保護的抗SARS-CoV-2免疫応答を生じることを示している。
【実施例2】
【0158】
サバイビン-ROPをネイティブペプチドサバイビンと組み合わせる
材料及び方法
上記のようにネイティブタンパク質配列をポリペプチドと組み合わせるアプローチを検証するために、マウスサバイビンと、マウスサバイビンに対する免疫応答を生じさせる能力を有する組換え重複ペプチド(ROP)とを使用するマウスモデルを使用した。以下の配列がHisタグと共に含まれるが、これが必要に応じたものであり、除去され得る又は別のタグで置き換えられ得ることが理解される。
【0159】
1. 配列:
本明細書で使用されるマウスサバイビン配列は、以下の通りである:
マウスサバイビン:
【化26】
【0160】
ROPの配列は、以下の通りである:
マウスROP-サバイビン:
【化27】
【0161】
2. 動物
雌性C57BL/6マウスを、Changzhou Kavins Experimental Animal Co. LTD.社から購入した。動物は、特定病原体なしであり、到着時におよそ6~7週齢であった。受け取りの際に、動物の梱包を解き、ケージに入れた。毛、四肢及び開口部の評価が含まれる健康検査を、各動物に対して実施した。各動物を、姿勢又は運動における任意の異常な徴候についても試験した。動物を、透明なポリカーボネートプラスチックケージ(260mm×160mm×120mm)中に収容した;1ケージ当たり2~5匹の動物。寝床材料は、トウモロコシ穂軸寝床(照射済、Shandong Goodway Biotechnology Co., Ltd.社、China)であり、1週間に1回交換した。部屋に、1時間当たり15~25回の換気の速度で、HEPA濾過空気を供給した。温度を20~26℃(68~79°F)で維持した。照明は、12時間の明期にわたる蛍光灯(08:00~20:00)及び12時間の暗期であった。動物は、げっ歯類飼料(Shuck Beta Co., Ltd.社、China)に自由にアクセスさせた。自治体の上水道からの水を、逆浸透又は高圧滅菌器によって濾過した。
【0162】
3. 発現/精製
N末端Hisタグ化ROP-サバイビン又はサバイビンタンパク質の発現を、OD600が0.5~0.8に達した時点で、0.2mM IPTGによって誘導した。誘導を、15℃で16時間実施した。
【0163】
細菌溶解物を調製するために、細菌を、20mM PB(pH7.2、300mM NaCl、20mMイミダゾール、1% Triton X-100、1mM DTT及び1mM PMSFを含有)中に懸濁し、超音波処理した。封入体(IB)を、20mM PB(pH7.2、300mM NaCl、1% Triton X-100、2mM EDTA及び5mM DTTを含有)によって洗浄した。最後に、洗ったIBを、20mM PB(pH7.2、300mM NaCl、8M尿素及び20mMイミダゾールを含有)で溶解した。15,000rpmで1時間の遠心分離後、上清を、Ni2+-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)アガロースカラムにアプライし、50mMイミダゾールを含有する緩衝液Aで洗浄し、100mMイミダゾールを含有する緩衝液Aで溶出させた。再フォールディングを、4℃下で実施した。溶出されたタンパク質を、4mM GSH、0.4mM GSSG、0.4M L-アルギニン、1M尿素及び5%グリセロールを含有する1×PBS(pH7.4)に最初に緩衝液交換し、次いで、透析によってPBSに緩衝液交換した。再フォールディング後、タンパク質溶液を、0.22μmフィルターによって濾過し、-80℃で貯蔵した。
【0164】
4. ワクチン接種
マウスを、体重に従って4つの群にランダム化し、以下の表のように3回ワクチン接種した:
【0165】
【0166】
5. ELISA
精製されたマウスサバイビン又はマウスROP-サバイビン(4μg/ml)を、4℃で一晩、PBS中で平底96ウェルマイクロタイタープレート(Corning-Costar社)上にコーティングした。ウェルを、5% BSAで室温で1時間ブロッキングした。この後、マウス血清(PBS中に1:10000希釈した)と共に室温で1時間インキュベートした。結合を、HRPコンジュゲート化抗マウスIgG二次抗体を使用することによって検出した。洗浄後、プレートを、100μlのTMB基質溶液を添加することによって発色させた。反応を停止させ、450nmにおける吸光度を、分光器を使用して測定した。
【0167】
結果
マウスサバイビン及びマウスROP-サバイビンの精製
図7でわかるように、マウスサバイビンは、精製され、マウス抗His抗体を使用して検出可能であった。SDS-pageにおいて、レーン1は、適切な分子量(約66kDa)におけるBSA対照を示す線を示し、レーン2及び3は、適切な分子量(約16kDa)におけるマウスサバイビンを示すバンドを示す。ウエスタンブロットは、Hisタグ化マウスサバイビンが、マウス抗His抗体を使用して検出され得ることを示している。
【0168】
同様に、
図8は、マウスROP-サバイビンが、精製され、マウス抗His抗体を使用して検出可能であったことを示している。SDS-page(左側)において、レーン1は、適切な分子量(約66kDa)におけるBSA対照を示す線を示し、レーン2及び3は、適切な分子量(約33kDa)におけるマウスROP-サバイビンを示すバンドを示す。ウエスタンブロットは、Hisタグ化マウスROP-サバイビンが、マウス抗His抗体を使用して検出され得ることを示している。
【0169】
マウスサバイビンに対する抗体の検出
図9は、上記の、単独での、又はマウスサバイビンと組み合わせたマウスROP-サバイビンの投与が、マウス血清中の、マウスサバイビンコーティングされたプレートに結合する抗体をはるかに高いレベルで生じることを示している。ELISA結果は、MPL及びPBSのみの群と比較して、マウスROP-サバイビンで免疫化した群及びマウスROP-サバイビン+マウスサバイビンで免疫化した群の両方において有意に高い吸光度が存在したことを示しており、これは、免疫応答が、単独の、又はマウスサバイビンと組み合わせたROP-サバイビンに対して生じたことを示している(P<0.0001、事後検定と共に一元配置ANOVA)。
【0170】
注目すべきことに、マウスROP-サバイビンとマウスサバイビンとの共投与は、ROP-サバイビン単独で処置したマウスと比較して、2つの組み合わせで処置したマウスからのマウス血清において有意に高い吸光度を生じた(P<0.01、事後検定と共に一元配置ANOVA)。これは、組み合わせ処置が、免疫応答を促進するにあたりROP-サバイビン単独よりも有効であることを示している。
【0171】
マウスサバイビンに対する抗体の検出
図10は、上記の、単独での、又はマウスサバイビンと組み合わせたマウスROP-サバイビンの投与が、マウス血清中の、マウスROP-サバイビンコーティングされたプレートに結合する抗体をはるかに高いレベルで生じることを示している。ELISA結果は、MPL及びPBSのみの群と比較して、マウス-ROP-サバイビンで免疫化した群及びマウスROP-サバイビン+マウスサバイビンで免疫化した群の両方において、有意に高い吸光度が存在したことを示しており、これは、免疫応答が、単独の、又はマウスサバイビンと組み合わせたROP-サバイビンに対して生じたことを示している(P<0.0001、事後検定と共に一元配置ANOVA)。
【0172】
マウスサバイビンコーティングされたプレートに対するELISAと同様、注目すべきことに、マウスROP-サバイビンとマウスサバイビンとの共投与が、ROP-サバイビン単独で処置したマウスと比較して、2つの組み合わせで処置したマウスからのマウス血清において有意に高い吸光度を生じたようである(P<0.001、事後検定と共に一元配置ANOVA)。これは、組み合わせ処置が、マウスサバイビン及びマウスROP-サバイビンタンパク質の両方に対する増加した抗体応答を提供するようであることを示している。
【実施例3】
【0173】
HPV16 E7-ROPをネイティブE7ペプチドと組み合わせる
材料及び方法
上記のようにネイティブタンパク質配列をポリペプチドと組み合わせるアプローチを検証するために、HPV16由来のE7ペプチドと、HPV16 E7に対する免疫応答を生じさせる能力を有するHPV16 E7に由来する組換え重複ペプチド(ROP)とを使用するマウスモデルを使用する。以下のROPはHisタグ化されるが、ROPは、当該Hisタグなしに生成され得ることが理解される。
【0174】
6. 配列:
Hisタグ化HPV16E7タンパク質
【0175】
【0176】
Hisタグ化HPV16E7-ROP
【0177】
【0178】
7. 動物
雌性C57BL/6マウスを、Changzhou Kavins Experimental Animal Co. LTD.社から購入する。動物は、特定病原体なしであり、到着時におよそ6~7週齢である。受け取りの際に、動物の梱包を解き、ケージに入れる。毛、四肢及び開口部の評価が含まれる健康検査を、各動物に対して実施する。各動物を、姿勢又は運動における任意の異常な徴候についても試験する。動物を、透明なポリカーボネートプラスチックケージ(260mm×160mm×120mm)中に収容する;1ケージ当たり2~5匹の動物。寝床材料は、トウモロコシ穂軸寝床(照射済、Shandong Goodway Biotechnology Co., Ltd.社、China)であり、1週間に1回交換する。部屋に、1時間当たり15~25回の換気の速度で、HEPA濾過空気を供給する。温度を20~26℃(68~79°F)で維持する。照明は、12時間の明期にわたる蛍光灯(08:00~20:00)及び12時間の暗期である。動物は、げっ歯類飼料(Shuck Beta Co., Ltd.社、China)に自由にアクセスさせた。自治体の上水道からの水を、逆浸透又は高圧滅菌器によって濾過する。
【0179】
8. 発現/精製
N末端Hisタグ化ROP-HPV16E7又はHPV16E7タンパク質の発現を、OD600が0.5~0.8に達した時点で、0.2mM IPTGによって誘導する。誘導を、15℃で16時間実施する。
【0180】
細菌溶解物を調製するために、細菌を、20mM PB(pH7.2、300mM NaCl、20mMイミダゾール、1% Triton X-100、1mM DTT及び1mM PMSFを含有)中に懸濁し、超音波処理する。封入体(IB)を、20mM PB(pH7.2、300mM NaCl、1% Triton X-100、2mM EDTA及び5mM DTTを含有)によって洗浄する。最後に、洗ったIBを、20mM PB(pH7.2、300mM NaCl、8M尿素及び20mMイミダゾールを含有)で溶解する。15,000rpmで1時間の遠心分離後、上清を、Ni2+-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)アガロースカラムにアプライし、50mMイミダゾールを含有する緩衝液Aで洗浄し、100mMイミダゾールを含有する緩衝液Aで溶出させる。再フォールディングを、4℃下で実施する。溶出されたタンパク質を、4mM GSH、0.4mM GSSG、0.4M L-アルギニン、1M尿素及び5%グリセロールを含有する1×PBS(pH7.4)に最初に緩衝液交換し、次いで、透析によってPBSに緩衝液交換する。再フォールディング後、タンパク質溶液を、0.22μmフィルターによって濾過し、-80℃で貯蔵する。
【0181】
9. ワクチン接種
マウスを、体重に従って4つの群にランダム化し、以下の表のように3回ワクチン接種する:
【0182】
【0183】
10. ELISA
精製されたHPV16E7又はROP-HPV16E7(4μg/ml)を、4℃で一晩、PBS中で平底96ウェルマイクロタイタープレート(Corning-Costar社)上にコーティングする。ウェルを、5% BSAで室温で1時間ブロッキングする。この後、マウス血清(PBS中に1:10000希釈した)と共に室温で1時間インキュベートする。結合を、HRPコンジュゲート化抗マウスIgG二次抗体を使用することによって検出する。洗浄後、プレートを、100μlのTMB基質溶液を添加することによって発色させる。反応を停止させ、450nmにおける吸光度を、分光器を使用して測定する。
【0184】
結果
結果は、HPV16E7及びROP-HPV16E7が、首尾よく精製され、BSAを対照として機能させて、SDS-Page及びウエスタンブロットによって抗His抗体を使用して特異的に検出され得ることを示している。
【0185】
更に、結果は、上で概説したELISAを使用して、ROP-HPV16E7とHPV16E7との組み合わせが、ROP-HPV16E7単独を使用して免疫化したマウスから生じるものよりも、マウス血清中で検出される抗体応答を生じさせるにあたりより有効であることを示している。
【実施例4】
【0186】
SARS-CoV-2ワクチン製剤に対する抗体生成のELISA測定
【0187】
免疫化
免疫化群(以下)1群当たり10匹のマウスを、以下のように、0日目、14日目、21日目及び28日目に皮下注射によって免疫化した:
群1 - ROP-COVS 100ug
群2 - RBM 50μg
群3 - ROP 50μg+RBM 50μg
群4 - PBS(陰性対照)
【0188】
35日目に、マウスから、血清のELISA試験のための調製において採血して、上記ワクチン接種プロトコールに応答した抗体生成を決定した。
【0189】
このアッセイにおいて免疫化に使用したRBMは、配列番号51に対応する。このアッセイにおいて免疫化に使用したROPは、配列番号44に対応する。
【0190】
抗体のELISA測定
96ウェルプレートを、4℃で一晩、1ウェル当たり100μlの、PBS中2μg/mlのRBD(配列番号50)溶液でコーティングした。次いで、プレートをPBSで洗浄し、その後、1ウェル当たり200μlの、BSAの2.5%(w/v)溶液と共に、37℃で1時間インキュベートした。プレートを、PBSで再度洗浄し、その後、異なる血清力価で希釈したマウス血清100μlを、各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。プレートを、1ウェル当たり50μlの、PBS中1:20000のヤギ抗マウス-HRP抗体の添加の前に洗浄し、室温で30分間インキュベートした。
【0191】
プレートを、100μlのTMB発色溶液の添加の前に洗浄し、その後、製造業者の指示書に従って、5~10分間インキュベートした。50μlの停止溶液を各ウェルに添加し、その後、分光器でOD450nmで吸光度を測定した。
【0192】
図11は、ELISAの結果を示す。グラフは、各免疫化群について、異なる血清希釈についての450nmでの吸光度を示す。RBM又はROP単独のいずれかと比較して、RBM及びROPの両方で免疫化した群において、より高い吸光度が存在したことが明らかである。予期したように、陰性対照群では、吸光度はほとんど存在しなかった。ROPとRBMとの間の相乗効果は、50μg RBM及び50μg ROPが、50μg RBM単独又は100μg ROP単独よりも高い吸光度を生じたという事実によって示され、差異は、希釈力価のうち4つについて、統計的に有意であった(p<0.05)。更に、組み合わせ群は、希釈に対して抵抗性であり、1:102400、1:409600及び1:1638400の希釈において、他の3つの群よりも有意に高い吸光度を有する。これは、組み合わせアプローチによって生じた抗体応答が、より高い親和性の抗体に関与しているかそのより大きい存在量に関与しているかのいずれかであることを示している。50μgのRBMと組み合わせたROPのより低い用量(50μg)の応答は、100μgのROPよりも高い応答を生じ、これは、単なる相加効果によっては説明できないので、相乗効果が実証されている。
【実施例5】
【0193】
サバイビンワクチン製剤で免疫化したマウスからの脾細胞の再刺激
脾細胞を、以下の表に従って3週間の期間にわたって毎週皮下で免疫化したマウスから、標準的なプロトコールに従って単離した:
【0194】
【0195】
各群からの脾細胞(1ウェル当たり2×10
5個の細胞)を、ELISPOTアッセイにおいて、PBS中のROP、サバイビン又はPHAのいずれかの5μg/ウェルで再刺激した。陰性対照は、刺激なしではあるが、同じPBS緩衝液を添加した。結果は
図12に示される。
【0196】
結果は、ROP-サバイビン+サバイビン群からの脾細胞が、サバイビンのみでワクチン接種した群よりも、ROP-サバイビン(p<0.001)及びサバイビン(p<0.01)による再刺激の際に、より大きい応答を生じることを示している。これは、ROP-サバイビン+サバイビンでワクチン接種したマウスが、いずれかのワクチン単独で免疫化したマウスと比較して、サバイビンベースの抗原で負荷した場合に、より大きい免疫応答を生じることを示している。サバイビンと組み合わせたROPは、強いT細胞応答を生じ、これは、ネイティブタンパク質単独又はROP単独を超える組み合わせアプローチの相乗効果を一部説明する。ROP T細胞応答は、組み合わせアプローチにおいてネイティブタンパク質に対する抗体応答を増幅して、いずれかの抗原単独を超えそれを上回る効果を生じる。
【0197】
【配列表】
【国際調査報告】