(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】冷凍システム、膨張弁アセンブリ及び冷凍システム制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240423BHJP
F25B 41/31 20210101ALI20240423BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F25B49/02 510D
F25B41/31
F25B1/00 101D
F25B1/00 101E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570207
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 CN2022093002
(87)【国際公開番号】W WO2022237909
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110530306.8
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511102675
【氏名又は名称】浙江三花汽車零部件有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン、 ヨンシャン
(57)【要約】
本発明は、冷凍システム、膨張弁アセンブリ及び冷凍システム制御方法に関し、この冷凍システムは、バイパス通路、第2の温度センサー、及び、コントローラを含み、バイパス通路は、第1の通路と第2の通路とを連通し、バイパス通路は、バイパス通路の入口と出口との間に位置する絞り部を有し、第2の温度センサーの感知ヘッドは、バイパス通路内に設けられ、絞り部とバイパス通路の出口との間に位置し、出口に近接して設けられ、システムが作動する場合に、第2の温度センサーの感知ヘッドが位置するところのバイパス通路内の作動媒体が飽和状態にあり、コントローラは、第1の温度センサーと第2の温度センサーの検知結果を取得し、検知結果の差を確定し、差に基づいて圧縮機の入口での過熱度を確定し、本発明により、冷凍システムは、圧縮機の入口での過熱度を確定するために圧力センサーに依存する必要があるという問題を解決し、製造コストの低減に有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(10)、凝縮器(20)、膨張弁(30)、蒸発器(40)、第1の通路(50)、第1の温度センサー(60)及び第2の通路(70)を含み、前記第1の通路(50)は、前記蒸発器(40)と前記圧縮機(10)とを連通し、前記第1の温度センサー(60)の感知ヘッドは、前記第1の通路(50)に設けられ、前記第2の通路(70)は、前記凝縮器(20)と前記蒸発器(40)との間に位置し、前記膨張弁(30)は、前記第2の通路(70)で絞り箇所を形成することが可能である冷凍システムであって、
出口が前記第1の通路(50)に連通し、入口が前記第2の通路(70)に連通し、入口と出口との間に位置する絞り部(81)を有するバイパス通路(80)と、
感知ヘッドが前記バイパス通路(80)内に設けられ、かつ、前記絞り部(81)と前記バイパス通路(80)の出口との間に位置し、かつ、前記出口に近接して設けられる第2の温度センサー(90)と、
をさらに含むことを特徴とする冷凍システム。
【請求項2】
前記第1の温度センサー(60)と前記第2の温度センサー(90)の検知結果に基づいて、前記圧縮機(10)の入口の過熱度を確定することが可能であるコントローラをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記コントローラは、第1の温度センサー(60)と第2の温度センサー(90)の検知結果の差に基づいて、前記圧縮機(10)の入口の過熱度を確定することが可能であることを特徴とする請求項2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記膨張弁(30)は、弁ボデー(31)と弁体(32)を含み、
前記弁ボデー(31)は、弁口(312)を有する第1の孔路(311)を有し、
前記弁体(32)は、前記弁口(312)に対して移動可能であり、
前記弁体(32)は、前記第1の孔路(311)の流通面積を調整可能であり、
前記第1の孔路(311)は、前記第2の通路(70)の一部であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記弁ボデー(31)は、第2の孔路(313)を有し、
前記第2の孔路(313)は、前記第1の通路(50)の一部であり、
前記第1の温度センサー(60)は、前記弁ボデー(31)に固定接続されることを特徴とする請求項4に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記バイパス通路(80)の少なくとも一部は、前記膨張弁(30)内に設けられ、又は、前記バイパス通路(80)の少なくとも一部は、前記膨張弁(30)と前記蒸発器(40)との間に設けられ、又は、前記バイパス通路(80)の少なくとも一部は、前記蒸発器(40)内に設けられ、かつ、前記バイパス通路(80)と前記蒸発器(40)の本体部との間に断熱部を有することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷凍システム。
【請求項7】
前記バイパス通路(80)の少なくとも一部は、前記膨張弁(30)内に設けられ、
前記バイパス通路(80)の入口は、前記第2の通路(70)の絞り箇所よりも前記第2の通路(70)の入口に近く、又は、前記バイパス通路(80)の入口は、前記第2の通路の絞り箇所よりも前記第2の通路(70)の出口に近いことを特徴とする請求項6に記載の冷凍システム。
【請求項8】
前記バイパス通路(80)の前記第1の通路(50)に連通する一端は、前記弁ボデー(31)に位置することを特徴とする請求項4に記載の冷凍システム。
【請求項9】
冷凍システムに適用される膨張弁アセンブリであって、
膨張弁(30)、第1の温度センサー(60)、バイパス通路(80)、第2の温度センサー(90)及びコントローラを含み、
前記膨張弁(30)は、弁ボデー(31)と弁体(32)を含み、
前記弁ボデー(31)は、第1の孔路(311)と第2の孔路(313)を有し、
前記第1の温度センサー(60)の感知ヘッドは、前記第2の孔路(313)に設けられ、
前記弁体(32)と前記第1の孔路(311)とは、協働して絞りを形成することが可能となり、
前記バイパス通路(80)は、前記第1の孔路(311)と前記第2の孔路(313)とを連通し、
前記第2の温度センサー(90)の感知ヘッドは、前記バイパス通路(80)内に設けられ、前記バイパス通路(80)の前記第2の孔路(313)に近い側に位置することを特徴とする膨張弁アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の温度センサー(60)と前記第2の温度センサー(90)の検知結果に基づいて、前記第2の孔路(313)の出口での過熱度を確定することが可能であるコントローラを含むことを特徴とする請求項9に記載の冷凍システム。
【請求項11】
前記コントローラは、第1の温度センサー(60)と第2の温度センサー(90)の検知結果の差に基づいて第2の孔路(313)の出口での過熱度を確定することが可能であることを特徴とする請求項10に記載の冷凍システム。
【請求項12】
前記バイパス通路(80)は、前記第2の温度センサー(90)の前記第2の孔路(313)から離れる側に設けられる絞り部(81)を含むことを特徴とする請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の膨張弁アセンブリ。
【請求項13】
前記第2の温度センサー(90)は、前記バイパス通路(80)の端部に設けられ、前記第2の孔路(313)の壁面に近いことを特徴とする請求項12に記載の膨張弁アセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載の冷凍システムに適用される冷凍システム制御方法であって、
前記冷凍システム内の第1の温度センサー(60)と第2の温度センサー(90)の検知結果を取得すること、
前記第1の温度センサー(60)と前記第2の温度センサー(90)の検知結果の差を確定すること、
前記差に基づいて前記冷凍システムの圧縮機(10)入口での過熱度を確定すること、
を含むことを特徴とする冷凍システム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年05月14日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202110530306.8であり、発明の名称が「冷凍システム、膨張弁アセンブリ及び冷凍システム制御方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、援用されることで本出願に結合される。
【0002】
本発明は、空気調和という技術分野に関し、特に、冷凍システム、膨張弁アセンブリ及び冷凍システム制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術では、冷凍システムには、温度データを検知可能な温度センサーと圧力データを検知可能な圧力センサーを設置する必要がある。
冷凍システムは、温度データと圧力データに基づいて、圧縮機の入口での過熱度を確定及び制御して、圧縮機に液冷媒が流入しないことを保障し、圧縮機が液冷媒によって損傷されることを回避することができるが、圧力センサーのコストは、高い。
【0004】
従来技術において、冷凍システムは、圧縮機の入口での過熱度を確定するために圧力センサーに依存する必要があり、製造コストが増加しており、この問題に対して、未だ有効な解决策が提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、製造コストの低減に有利な冷凍システム、膨張弁アセンブリ及び冷凍システム制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を実現するために、本発明は、以下のとおりであり、
冷凍システムは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器、第1の通路、第1の温度センサー及び、第2の通路を含み、前記第1の通路は、前記蒸発器と前記圧縮機とを連通し、前記第1の温度センサーの感知ヘッドは、前記第1の通路に設けられ、前記第2の通路は、前記凝縮器と前記蒸発器との間に位置し、前記膨張弁は、前記第2の通路で絞り箇所を形成することが可能である冷凍システムであって、
出口が、前記第1の通路に連通し、入口が、前記第2の通路に連通し、入口と出口との間に位置する絞り部を有するバイパス通路と、
感知ヘッドが前記バイパス通路内に設けられ、かつ、前記絞り部と前記バイパス通路の出口との間に位置し、かつ、前記出口に近接して設けられる第2の温度センサーと、
をさらに含む。
【0007】
さらに、本発明は、前記冷凍システムに適用される冷凍システム制御方法を開示し、
前記冷凍システム制御方法は、
前記冷凍システム内の第1の温度センサーと第2の温度センサーの検知結果を取得すること、
前記第1の温度センサーと前記第2の温度センサーの検知結果の差を確定すること、
前記差に基づいて前記冷凍システムの圧縮機の入口での過熱度を確定すること、
を含む。
【0008】
本発明の実施形態は、冷凍システム内にバイパス通路、第2の温度センサー、及び、コントローラを設け、バイパス通路は、第1の通路と第2の通路とを連通し、バイパス通路は、出口を介して第1の通路に連通し、バイパス通路は、入口を介して第2の通路に連通し、バイパ通路は、バイパス通路の入口と出口との間に位置する絞り部を有し、第2の温度センサーの感知ヘッドは、バイパス通路内に設けられ、かつ、絞り部とバイパス通路の出口との間に位置し、かつ、出口に近接して設けられることで、2つの温度センサーを利用して過熱度を取得することは、温度圧力センサーを利用して過熱度を取得することよりも、製造コストの低減に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで説明された図面は、本発明のさらなる理解を提供し、本発明の一部を構成し、本発明の説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明の不当な制限を構成するものではない。
図面は、以下の通りである。
【0010】
【
図1】本発明の第1実施例による冷凍システムの構成ブロック図である。
【
図2】本発明の第2実施例による冷凍システムの構成ブロック図である。
【
図3】本発明の実施例による冷凍システムの圧力-エンタルピー概略図である。
【
図4】本発明の第3実施例による冷凍システムの構成ブロック図である。
【
図5】本発明の第4実施例による冷凍システムの構成ブロック図である。
【
図6】本発明の第5実施例による冷凍システムの構成ブロック図である。
【
図7】本発明の第6実施例による冷凍システムの構成ブロック図である。
【
図8】本発明の第7実施例によるバイパス通路の構成概略図である。
【
図9】本発明の第8実施例によるバイパス通路の構成概略図である。
【
図10】本発明の第9実施例によるバイパス通路の構成概略図である。
【
図11】本発明の第10実施例による冷凍システムの作動媒体の流れ方向の概略図である。
【
図12】本発明の第11実施例による冷凍システムの作動媒体の流れ方向の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の第1実施例による冷凍システムの構成ブロック図であり、
図1に示すように、冷凍システムは、圧縮機10、凝縮器20、膨張弁30及び蒸発器40という4つの基本的なデバイスを含む。
さらに、圧縮機10は、冷凍サイクルの動力であり、圧縮機10は、電動機が絶えず回転することにより、蒸発器40内の作動媒体(例えば、この作動媒体は、冷却剤又は冷媒であり)を適時に抽出することができる。
さらに、圧縮機10は、また、圧縮作用により作動媒体の圧力と温度を上昇させ、凝縮器20は、熱交換デバイスであり、外界環境媒体(例えば、この外界環境媒体は、空気又は水であり)により圧縮機10からの高温高圧の作動媒体を冷却し、作動媒体が凝縮器20を通過してから高圧常温の作動媒体に凝縮される役割を果たしており、高圧常温の作動媒体を低圧低温の蒸発器40に直接的に送り込むことができず、飽和圧力と飽和温度の一対一対応の原理により、作動媒体の圧力を下げると、これに伴って、作動媒体の飽和温度も下がるので、高圧常温の作動媒体を膨張弁30で絞り減圧して、低温低圧の作動媒体を得、そして、蒸発器40に送り込んで熱を吸収して蒸発させる。
蒸発器40は、熱交換デバイスでもあり、絞り後の低温低圧の作動媒体は、蒸発器40内で蒸発して蒸気となり、被冷却物体の熱量を吸収して、物体の温度を低下させ、降温、冷凍、冷藏等の目的を達成する。
冷凍システムは、圧縮機10、凝縮器20、膨張弁30及び蒸発器40という4つの基本的なデバイスに加えて、第1の通路50、第1の温度センサー60及び第2の通路70を含む。
そして、この第1の通路50は、蒸発器40と圧縮機10とを連通し、第1の温度センサー60は、第1の通路50内の温度を検出することができ、これにより、圧縮機10の過熱度を測定及び制御するために検出データの一部を提供して、圧縮機10の入口へ液体状態の作動媒体が流れないことを保証し、圧縮機10の液撃損傷を回避する。
第2の通路70は、凝縮器20と蒸発器40との間に位置し、膨張弁30は、弁ボデー31と弁体32を含む。
そして、弁体32と第2の通路70は、この第2の通路70内で絞り箇所を形成し、具体的には、弁体32は、第2の通路70の流通面積を調整して絞りの目的を達成するために、上下に移動する。
本実施例では、第2の通路70の少なくとも一部は、膨張弁30に成形され、具体的には、膨張弁30の弁ボデー31に位置することができる。
【0012】
図2は、本発明の第2実施例による冷凍システムの構成ブロック図であり、
図2に示すように、第1の通路50は、産業上の利用のために、膨張弁30に成形されることができ、本発明の実施例が提供した冷凍システムは、バイパス通路80と第2の温度センサー90をさらに含む。
そして、本実施例では、第1の通路50の少なくとも一部と第2の通路70の少なくとも一部は、いずれも膨張弁30に成形され、具体的には、膨張弁30の弁ボデー31に成形される。
そして、第2の通路70は、凝縮器20と蒸発器40との間に位置し、第1の通路50は、蒸発器40と圧縮機10との間に位置し、第1の温度センサー60の感知ヘッドは、第1の通路50内に位置し、バイパス通路80は、第1の通路50と第2の通路70とを連通する。
そして、第2の温度センサー90の感知ヘッドは、バイパス通路80内に位置し、かつ、バイパス通路80における第1の通路50に近接する側に位置している。
バイパス通路80は、断面が円形又はその他のいかなる形状の微小通路であればよく、第2の温度センサー90の感知ヘッド部分が第1の通路50の壁面から突出すると、蒸発器40の出口での過熱ガスCの影響を受けて、検出された温度が不正確になり、第2の温度センサー90の感知ヘッドが第1の通路50の壁面から離れすぎるとここでの圧力が第1の通路50内の圧力と等しくならず、最終的な過熱度の確定に影響を与えることを考慮する。
そのため、第2の温度センサー90は、蒸発器40の出口での過熱ガスCの影響を受けないように、バイパス通路80の端部に設けられ第1の通路50の壁面に近いことができる。
【0013】
説明すべきは、バイパス通路80の呼び径の大きさは、適切に選択する必要があり、具体的には、バイパス通路80の呼び径の大きさは、以下を満たす必要がある。
即ち、冷凍システムが作動する場合に、第2の温度センサー90の感知ヘッドが位置するところのバイパス通路80内の作動媒体が飽和状態にある。
そして、バイパス通路80の呼び径が小さすぎると、バイパスの流量が小さすぎて、作動媒体が第2の温度センサー90に到達することなく既に膨張弁30と環境によって加熱又は冷却され、過熱ガス又は過冷液体となる。
第2の温度センサー90により検出された作動媒体の温度は、気液二相流体の飽和温度ではなく、バイパス通路80の呼び径が大きすぎると、バイパスの流量が大きすぎるため、過剰な気液二相の作動媒体がバイパス通路80を通って第1の通路50に入り、この第1の通路50の過熱度を一定に保証する場合に、蒸発器40の出口のガスは、より大きな過熱度を必要とし、蒸発器40の作動効率を低下させる。
【0014】
さらに、冷凍システムの作動の場合に第2の温度センサー90での作動媒体が飽和状態にあるように、バイパス通路80の呼び径の大きさは、以下の手段で確定することが可能であり、即ち、加工工程において、バイパス通路80内の第2の温度センサー90の感知ヘッドの位置において、圧力センサーと温度センサーによってこの位置でのバイパス通路80内の作動媒体の圧力値と温度値を検知し、この圧力値及び温度値を飽和状態の温度及び圧力対応関係表における数値と照合する。
そして、測定された圧力値及び温度値がこの関係表における一対の圧力値及び温度値と同じ又は基本的に同じであれば、この場合のバイパス通路80の呼び径の大きさに従ってバイパス通路80を加工することができる。
【0015】
なお、この冷凍システムは、さらに、第1の温度センサー60と第2の温度センサー90の検知結果を取得し、第1の温度センサー60と第2の温度センサー90の検知結果の差を確定し、差に基づいて、圧縮機10の入口での過熱度コントローラ(図示せず)を確定するコントローラを含む。
【0016】
本発明の実施例は、コントローラが差に基づいて圧縮機10の入口での過熱度を確定することができる作動原理も提供し、この作動原理は、概略的な説明にすぎず、限定的な説明ではなく、作動原理は、以下の通りであり、
図2に示すように、圧縮機10は、ガス状の低温低圧の作動媒体ガスを高温高圧のガスに圧縮して吐出し、高温高圧のガス状の作動媒体が凝縮器20を通過する際に液化して、車外の空気によって熱量が奪われる。
そして、高圧液体状態の作動媒体Aは、膨張弁30の絞り作用で減圧されて低圧の気液二相流体Bとなり、一方の分岐路の低圧の気液二相流体は、蒸発器40で熱量を吸収して、過熱ガスCとなり、他方の分岐路の低圧の気液二相流体Bは、バイパス通路80に入り、バイパス通路80で絞られた後に圧力がさらに低下して、気液二相流体Dとなる。
バイパス通路80内の気液二相流体Dと蒸発器40の出口の過熱ガスCは、第1の通路50内で合流してガスEとなる。
そして、バイパス通路80は、第1の通路50に連通し、気液二相流体Dの圧力とガスEの圧力とほぼ等しいので、ガスEの飽和温度は、気液二相流体Dの飽和温度と同じであり、バイパス通路80の製造時に、気液二相流体Dが飽和状態となるように、呼び径の大きさを制御したので、気液二相流体Dの飽和温度は、気液二相流体Dの温度となる。
そのため、第1の通路50の過熱度は、ガスEの温度と気液二相流体Dの温度との差となることが可能である。
第1の温度センサー60は、周りのガスEの温度を検出し、第2の温度センサー90は、周りの気液二相流体Dの温度を検出するので、第1の通路50の過熱度は、第1の温度センサー60と第2の温度センサー90の検知結果の差となることが可能である。
第1の通路50は、圧縮機10の入口に連通し、この第1の通路50から圧縮機10までの距離と圧力降下を無視する場合に、第1の通路50の過熱度は、圧縮機10の入口での過熱度に近づけることができる。
【0017】
圧縮機10の液撃損傷を回避するために、第1の温度センサー60と第2の温度センサー90の検知結果の差が、設定値よりも大きいことを保証する必要があり、
図3は、本発明の実施例による冷凍システムの圧力-エンタルピー概略図である。
図3に示すように、圧縮機10の液撃損傷を回避するために、ガスEの圧力-エンタルピー概略図における位置は、圧力-エンタルピー概略図の実線の右側の領域にあるべきである。
また、凝縮器で冷却された作動媒体Aは、第2の通路で絞られて膨張した後に低温二相流体Bになり、一方の経路では、蒸発器を経て熱を吸収した後、過熱ガスCとなり、B点作動媒体の状態は、二相流体であり、B点の温度は、B点の飽和温度であるが、蒸発器40を経て圧力損失が発生するため、C点に対応する飽和温度は、B点よりも低いので、B点の温度をC点の飽和温度とすることができず、他方の経路の小流量の作動媒体は、バイパス通路80内でさらにDに減圧され、D点に対応する作動媒体は、まだ二相状態であり、その温度は、飽和温度である。
さらに、D点の圧力は、C点の圧力と等しく、C点に対応する作動媒体とD点に対応する作動媒体とが混合されたE点に対応する作動媒体は、D点の圧力とC点の圧力が基本的に変化しないように保持される。
さらに、E点に対応する作動媒体は、D点の二相状態流体によって冷却されるため、E点温度は、C点よりも僅かに低くなり、E点とD点との温度差は、圧縮機10の入口での過熱度であり、圧縮機10にとって最も重要なのは、C点の過熱度ではなく、E点の過熱度である。
【0018】
圧力センサーのコストは、温度センサーのコストよりも高いため、本発明は、第1の温度センサー60と第2の温度センサー90の検知結果を取得することにより、圧縮機10の入口での過熱度を確定し、従来技術において第1の温度センサー60と第2の圧力センサー90の検知結果を取得することにより、圧縮機10の入口での過熱度を確定することに比べて、より製造コストの低減に有利になり、同時に、温度が零度よりも低いと、温度センサーの精度は、圧力センサーの精度よりも高く、温度が零度零度よりも低い場合に、本発明の実施例によって確定された過熱度は、より正確である。
【0019】
本実施例では、
図2に示すように、バイパス通路80は、膨張弁30の弁ボデー31内に開設される。
他のいくつかの実施例では、
図1に示すように、バイパス通路80は、部分的に膨張弁30の弁ボデー31内に開設され、部分的に管路構造を形成してもよく、他のいくつかの実施例では、
図4は、本発明の第3実施例による冷凍システムの構成ブロック図であり、
図4に示すように、バイパス通路80は、蒸発器40内に形成されてもよく、かつ、バイパス通路80と蒸発器40の本体部との間に断熱部が設けられることで、この蒸発器40内の温度がバイパス通路80内の作動媒体の温度に影響を与えることを回避する。
他のいくつかの実施例では、
図5は、本発明の第4実施例による冷凍システムの構成ブロック図であり、
図5に示すように、バイパス通路80は、膨張弁30と蒸発器40との間に設けられてもよく、独立した管路構造となる。
【0020】
本実施例では、
図2に示すように、バイパス通路80は、まっすぐであり、他のいくつかの実施例では、
図6は、本発明の第5実施例による冷凍システムの構成ブロック図であり、
図6に示すように、バイパス通路80は、折曲状であってもよい。
【0021】
具体的には、バイパス通路80の少なくとも一部が膨張弁30内に設けられた場合に、バイパス通路80は、第2の通路70の軸方向におけるいずれか一方側に設けられてもよい。
即ち、バイパス通路80は、第2の通路70の絞り箇所の前側又は後側に設けられてもよい。
図7は、本発明の第6実施例による冷凍システムの構成ブロック図であり、
図7に示すように、バイパス通路80は、第2の通路70の入り口側に設けられてもよい。
作動媒体は、状態Bからではなく、状態Aからバイパス通路80に進入し始めるため、バイパス通路80の両端の圧差がより大きくなるので、バイパス通路80が第2の通路70の入り口側に設けられた場合に、バイパス通路80をより長く及び狭くすることができる。
【0022】
さらに、気液二相流体Dを飽和状態の要求に達しやすくなるように、バイパス通路80の圧力降下を顕著にするために、バイパス通路80内には絞り部81が設けられることができ、かつ、この絞り部81は、第2の温度センサー90の第1の通路50から離れる側に設けられる。
この第2の温度センサー90は、絞り部81よりも広い広領域内に位置して、第2の温度センサー90の検知位置における大きな圧力降下を回避し、
図8は、本発明の第7実施例によるバイパス通路80の構成概略図であり、
図9は、本発明の第8実施例によるバイパス通路80の構成概略図であり、
図10は、本発明の第9実施例によるバイパス通路80の構成概略図である。
図8から
図10に示すように、この絞り部81は、任意の形状であってもよく、任意選択で、加工を容易にするために、この絞り部81は、規則的な形状に設定されることができる。
【0023】
図11は、本発明の第10実施例による冷凍システムの作動媒体の流れ方向の概略図であり、
図12は、本発明の第11実施例による冷凍システムの作動媒体の流れ方向の概略図である。
図11と
図12に示すように、バイパス通路80が膨張弁30の外に設けられる場合に、このバイパス通路80は、膨張弁30の第2の通路70の上流に設けられてもよいし、又は、バイパス通路80は、膨張弁30の第2の通路70の下流に設けられてもよい。
【0024】
以上に記載した実施例の各技術的特徴は、任意の組み合わせが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについて説明しないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が存在しない限り、本明細書に記載された範囲にある。
【0025】
以上に記載の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を表現しただけであり、その説明は、より具体的かつ詳細であるが、これによって発明特許の範囲に対する制限と理解することはできない。
本発明の考えから逸脱しないことを前提として、さらに若干の変形及び改良が可能であり、これらは、いずれも本出願の保護範囲に属することである。
従って、本特許の保護範囲は、添付の請求項に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0026】
10 ・・・圧縮機;
20 ・・・凝縮器;
30 ・・・膨張弁;
31 ・・・弁ボデー;
311 ・・・第1の孔路;
312 ・・・弁口;
313 ・・・第2の孔路;
32 ・・・弁体;
40 ・・・蒸発器;
50 ・・・第1の通路;
60 ・・・第1の温度センサー;
70 ・・・第2の通路;
80 ・・・バイパス通路;
81 ・・・絞り部;
90 ・・・第2の温度センサー。
【国際調査報告】