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特表2024-518568缶ネッキングマシンの自動低速ポジショニングシステム及び方法
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  • 特表-缶ネッキングマシンの自動低速ポジショニングシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】缶ネッキングマシンの自動低速ポジショニングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/26 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B21D51/26 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570220
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022027825
(87)【国際公開番号】W WO2022240646
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】17/320,672
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコーリー,イアン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,ステフェン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】サンダース,ジュニア,ジョナサン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ハイド,アンドリュー シー.
(57)【要約】
【解決手段】缶ボディにネッキング工程を施すシステムは、ネッカーマシンとポジショニングシステムとを含む。ネッカーマシンは、フレームと、缶ボディにネッキング工程を実行するためにフレームに対して相対的に移動可能な複数の構成要素を有する処理機構と、処理機構をフレームに対して相対的に動かすために処理機構に動作可能に結合されたシャフトを有する駆動モータとを含む。ポジショニングシステムは、シャフトの回転変位を監視するために駆動モータに関連付けられたエンコーダと、エンコーダ及び駆動モータと通信するコントローラと、を含む。コントローラは、ユーザから入力を受け取り、その入力は、フレームに対する処理機構の所望の動きを示すものである。コントローラは、処理機構の所望の動きが達成されるように、エンコーダからのフィードバックを使用して駆動モータを動作させるように構成及びプログラムされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶ボディにネッキング工程を施すシステムにおいて、
ネッカーマシンであって、
フレームと、
前記フレームに対して移動可能な複数の構成要素を有する処理機構であって、缶ボディにネッキング工程を行うように構成された処理機構と、
前記フレームに対して前記処理機構を動かすために、前記処理機構に動作可能に結合されたシャフトを有する駆動モータと、
を備えているネッカーマシンと、
ポジショニングシステムであって、
前記シャフトの回転変位を監視するために前記駆動モータに関連付けられたエンコーダと、
前記エンコーダ及び前記駆動モータと通信するコントローラと、
を備えているポジショニングシステムと、
を備えており、
前記コントローラは、
前記フレームに対する前記処理機構の所望の動きを示す入力をユーザから受け取り、
前記エンコーダからのフィードバックを使用して前記駆動モータを動作させて、前記処理機構の所望の動きを達成する
ように構成及びプログラムされている、システム。
【請求項2】
前記コントローラは、ヒューマンマシンインターフェースを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ポジショニングシステムは、ユーザからの入力を受け取るように構成されたヒューマンマシンインターフェースを更に備えており、前記コントローラは、前記ヒューマンマシンインターフェースと通信するモータコントローラを備えている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理機構の所望の動きは、前記フレームに対する前記処理機構の構成要素の動きの方向及び大きさを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポジショニングシステムは、前記コントローラと通信する遠隔入力デバイスを更に備えており、前記遠隔入力デバイスは、前記ユーザからの入力を受け取って、前記入力を前記コントローラに提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記遠隔入力デバイスは、ユーザによって2つの回転可能な向きの何れかに停止位置から回転変位されるように構成されたノブ又はダイヤルを備えており、各回転可能な向きは、前記処理機構の部分の動き方向に対応しており、何れかの方向の回転変位は、前記処理機構の部分の速度に対応している、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは更に、前記遠隔入力デバイスのノブ又はダイヤルがユーザによって前記停止位置から回転させられている間だけ前記駆動モータを動作させるように構成及びプログラムされている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記駆動モータは、通常のネッキング工程を実行する一方で前記処理機構を前記フレームに対して動かすようなサイズ及び構成にされた主駆動モータを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記駆動モータは第二駆動モータを備えており、
前記システムは、前記処理機構に動作可能に結合された主駆動モータであって、通常のネッキング工程を実行する一方で、前記フレームに対して前記処理機構を動かすようなサイズ及び構成を有する主駆動モータを更に備えており、
前記第二駆動モータは、通常のネッキング工程を行うのに必要なサイズよりも小さいサイズである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理機構の所望の動きは、前記フレームに対する前記処理機構の構成要素の所望の最終ポジショニングに対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記エンコーダは第1のエンコーダを備えており、
前記ポジショニングシステムは、前記フレームに対する前記処理機構の第1の構成要素の回転位置を監視するために、前記第1の構成要素に関連付けられた第2のエンコーダを更に備えており、
前記第2のエンコーダは、前記第1の構成要素の回転位置を前記コントローラに伝えるために、前記コントローラと通信可能であり、
前記コントローラは、前記処理機構の第1の構成要素の回転位置から前記処理機構の他の構成要素の回転位置を決定するように構成及びプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理機構の所望の動きは、前記フレームに対する前記処理機構の特定の構成要素の所望の最終的な回転位置に対応しており、
前記コントローラは、
前記第2のエンコーダによって提供される前記第1の構成要素の回転位置から、前記特定の構成要素の初期回転位置を決定し、
前記特定の構成要素の所望の回転位置と前記特定の構成要素の初期回転位置との間の回転変位を決定し、
前記第1のエンコーダからのフィードバックに従って前記回転変位が達成されるまで、前記第1のエンコーダからのフィードバックを使用して前記駆動モータを動作させる
ようにプログラムされている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記駆動モータは、通常のネッキング工程を実行する一方で、前記処理機構を前記フレームに対して移動させるようなサイズ及び構成にされた主駆動モータである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記駆動モータは第二駆動モータを備えており、前記システムは、前記処理機構に動作可能に結合されており、通常のネッキング工程を実行する一方で前記フレームに対して前記処理機構を動かすようなサイズ及び構成にされた主駆動モータを更に備えており、前記第二駆動モータは、通常のネッキング工程を実施するのに必要なサイズよりも小さいサイズである、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ポジショニングシステムは、前記コントローラと通信する安全エンコーダを更に備えており、前記安全エンコーダは、前記フレームに対する前記構成要素の回転加速度及び/又は回転速度の一方又は両方を監視するために、前記処理機構の構成要素に関連付けられている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示されており、特許請求の範囲に記載される概念は、ポジショニングシステムに関しており、より詳細には、缶ネッキングマシン用ポジショニングシステムに関する。開示されており、特許請求の範囲に記載される概念はまた、このようなシステムを含む缶ネッキングマシンと、缶ネッキングマシンをポジショニングする方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
缶ボディは通常、ボディメーカーで作られる。即ち、ボディメーカーは、限定ではないが円盤又はカップなどのブランクを伸ばされた缶ボディへと成形する。缶ボディは、ベースと付随する側壁とを含む。側壁は、ベースの反対側にある端部で開放している。ボディメーカーは通常、缶ボディを作るために複数のダイを通るようにブランクを移動させるラム/パンチを含む。缶ボディは、限定ではないが、トリミング、洗浄、印刷、フランジング、及び検査などの更なる処理のためにラム/パンチから排出されて、パレットに配置され、そのパレットはその後、充填機に送られる。充填機において、缶は、パレットから取り外され、充填され、それらの上に缶エンドを置かれ、そして、典型的には、消費者に販売するために様々な数量(例えば、6パック、12パック、又は他のマルチ缶ケースなど)で再梱包される。
【0003】
ボディメーカーで成形される缶ボディには、ダイネッキングマシン(一般に、単にネッカーマシンと称される)で更に成形されるものがある。ネッカーマシンは、缶ボディ側壁の一部、即ち、側壁の開放端の断面積を減少させるように構成されている。即ち、缶エンドを缶ボディに結合する(そして、充填する)前に、缶ボディ側壁の開口端の直径/半径は、缶ボディ側壁の他の部分の直径/半径に対して低減される。ネッカーマシンは、直列に配置された幾つかの処理及び/又は成形モジュールを含む。即ち、処理モジュール及び/又は成形モジュールは、互いに隣接して配置されており、搬送アセンブリは、隣接する処理モジュール及び/又は成形モジュール間で缶ボディを移動させる。
【0004】
ネッカーマシンのメンテナンスを行う際には、大抵の場合、特定の方法でマシンをポジショニングすることが要求される。このようなポジショニングは、通常、マシンの後部にある何らかの手動機構によって達成され、当該手動機構は、オペレータが手動でマシンを調節することを可能にする。このようなマシンの手動調節には、主として2つの欠点がある。第一に、手動調節機構は通常、マシンの後部にあるパワートレインに取り付けられている。これは、マシンを手動調節しているオペレータはマシンの配置を見ることができず、マシンが適切な配置に達したことを知らせるために別のオペレータが必要であることを意味する。第二に、マシンの手動調節は手間のかかる作業であって、かなりの労力と時間を必要とする。
【発明の概要】
【0005】
開示される概念の実施形態は、既存の機構に対する他の利点の中でもとりわけ、上述の問題に対する解決策を提供する。開示される概念の一態様として、缶ボディにネッキング工程を行うシステムが提供される。そのシステムは、ネッカーマシンであって、フレームと、当該フレームに対して移動可能な複数の構成要素を有する処理機構であって、缶ボディにネッキング工程を行うように構成された処理機構と、フレームに対して処理機構を動かすために、当該処理機構に動作可能に結合されたシャフトを有する駆動モータと、を備えているネッカーマシンと、ポジショニングシステムであって、シャフトの回転変位を監視するために駆動モータに関連付けられたエンコーダと、エンコーダ及び駆動モータと通信するコントローラと、を備えているポジショニングシステムと、を備えており、コントローラは、フレームに対する処理機構の所望の動きを示す入力をユーザから受け取り、エンコーダからのフィードバックを使用して駆動モータを動作させて、処理機構の所望の動きを達成するように構成及びプログラムされている。
【0006】
コントローラは、ヒューマンマシンインターフェースを備えてよい。
【0007】
ポジショニングシステムは、ユーザからの入力を受け取るように構成されたヒューマンマシンインターフェースを更に備えており、コントローラは、ヒューマンマシンインターフェースと通信するモータコントローラを備えてよい。
【0008】
処理機構の所望の動きは、フレームに対する処理機構の構成要素の動きの方向及び大きさを含んでよい。
【0009】
ポジショニングシステムは、コントローラと通信する遠隔入力デバイスを更に備えてよく、当該遠隔入力デバイスは、ユーザからの入力を受け取って、当該入力をコントローラに提供するように構成されてよい。
【0010】
遠隔入力デバイスは、ユーザによって2つの回転可能な向きの何れかに停止位置から回転変位されるように構成されたノブ又はダイヤルを備えており、各回転可能な向きは、処理機構の部分の動き方向に対応しており、何れかの方向の回転変位は、処理機構の部分の速度に対応してよい。
【0011】
コントローラは更に、遠隔入力デバイスのノブ又はダイヤルがユーザによって停止位置から回転させられている間だけ駆動モータを動作させるように構成及びプログラムされてよい。
【0012】
駆動モータは、通常のネッキング工程を実行する一方で処理機構をフレームに対して動かすようなサイズ及び構成にされた主駆動モータを備えてよい。
【0013】
駆動モータは第二駆動モータを備えてよく、システムは、処理機構に動作可能に結合された主駆動モータであって、通常のネッキング工程を実行する一方で、フレームに対して処理機構を動かすようなサイズ及び構成を有する主駆動モータを更に備えてよく、第二駆動モータは、通常のネッキング工程を行うのに必要なサイズよりも小さいサイズであってよい。
【0014】
処理機構の所望の動きは、フレームに対する処理機構の構成要素の所望の最終ポジショニングに対応してよい。
【0015】
エンコーダは、第1のエンコーダを含んでもよく、ポジショニングシステムは、フレームに対する構成要素の回転位置を監視するために、処理機構の第1の構成要素に関連付けられた第2のエンコーダを更に含んでもよく、第2のエンコーダは、構成要素の回転位置をコントローラに通信するために、コントローラと通信してもよく、コントローラは、処理機構の第1の構成要素の回転位置から処理機構の他の構成要素の回転位置を決定するように構造化及びプログラム化されてもよい。
【0016】
処理機構の所望の動きは、フレームに対する処理機構の特定の構成要素の所望の最終的な回転位置に対応してよく、コントローラは、第2のエンコーダによって提供される第1の構成要素の回転位置から、特定の構成要素の初期回転位置を決定し、特定の構成要素の所望の回転位置と特定の構成要素の初期回転位置との間の回転変位を決定し、第1のエンコーダからのフィードバックに従って回転変位が達成されるまで、第1のエンコーダからのフィードバックを使用して駆動モータを動作させるようにプログラムされてよい。
【0017】
駆動モータは、通常のネッキング工程を実行する一方で、処理機構をフレームに対して移動させるようなサイズ及び構成にされた主駆動モータであってよい。
【0018】
駆動モータは第二駆動モータを備えており、システムは、処理機構に動作可能に結合されており、通常のネッキング工程を実行する一方でフレームに対して処理機構を動かすようなサイズ及び構成にされた主駆動モータを更に備えており、第二駆動モータは、通常のネッキング工程を実施するのに必要なサイズよりも小さいサイズであってよい。
【0019】
ポジショニングシステムは、コントローラと通信する安全エンコーダを更に備えてよく、当該安全エンコーダは、フレームに対する構成要素の回転加速度及び/又は回転速度の一方又は両方を監視するために、処理機構の構成要素に関連付けられてよい。
【0020】
開示される概念のこれらの及び他の目的、特徴、及び特質、構造の関連要素の動作及び作用に関する方法、並びに部品と製造の経済性との組合せは、添付の図面を参照して以下の説明と添付の特許請求の範囲とを考慮することで、より明らかになるであろう。添付の図面は本願の一部を構成し、各図において同じ符号は対応する部分を示す。しかしながら、図面は、例示及び説明のみを目的としており、開示される概念の制限を規定するものとして意図されないことは、明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
開示される概念の完全な理解は、添付の図面と併せて読むことで、例示的な幾つかの実施形態に関する以下の説明から得ることができる。
【0022】
図1図1は、開示される概念の例示的な実施形態に従って缶ボディにネッキング工程を行うためのシステムを部分的に示す概略図である。
図2図2は、図1のシステムのネッカーマシンによって部分的に形成されたような缶ボディの概略を示す断面図である。
図3図3は、開示される概念の別の例示的な実施形態に従って缶ボディにネッキング工程を行うためのシステムを部分的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面に示されており、以下の説明に記載されている具体的な要素は単に、開示される概念の例示的な実施形態に過ぎず、例示のためだけに非限定的な例として提供されることは理解される。従って、特定の寸法、向き、アセンブリ、使用される構成要素の数、実施形態の構成、及び本明細書に開示される実施形態のその他の物理的特徴は、開示される概念の範囲に関する限定とみなされるべきではない。
【0024】
本明細書で使用される方向表現、例えば、時計回り、反時計回り、左、右、上、下、上方、下方、及びその派生語は、図示される要素の向きに関連しており、請求項に明示されない限り請求項を限定するものではない。
【0025】
本明細書では、「ある」及び「その」の単数形は、文脈上特に明示されない限り、複数形を含む。
【0026】
本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように形成された、サイズ決めされた、配置された、結合された、及び/又は構成された構造を有することを意味する。例えば、「動くように構成された」部材は、別の要素に動作可能に結合されており、その部材を動かす要素を含んでいるか、或いは、当該部材は、別のやり方で別の要素又はアセンブリに応答して動くように構成されている。よって、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、機能ではなく構造を述べている。更に、本明細書では、「[動詞]するように構成された」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行するように意図及び設計されることを意味する。よって、特定された動詞を単に実行できるだけで、特定された動詞を実行するように意図及び設計されていない要素は、「[動詞]するように構成され」ていない。
【0027】
本明細書では、「関連する」は、要素が同じアセンブリの一部である、及び/又は共に動作する、又は何らかの方法で相互に作用することを意味する。例えば、自動車は4つのタイヤと4つのハブキャップとを有する。全ての要素が自動車の部品と結合されているが、各ハブキャップは特定のタイヤと「関連する」と理解される。
【0028】
本明細書では、「結合アセンブリ」は、2つの又は2つを超えるカップリング若しくはカップリング構成要素を含む。カップリング又は結合アセンブリの構成要素は概して、同じ要素又は他の構成要素の一部ではない。よって、「結合アセンブリ」の構成要素は、以下の説明で同時に記載されないことがある。
【0029】
本明細書では、「カップリング」又は「カップリング構成要素」は、結合アセンブリの1又は複数の構成要素である。つまり、結合アセンブリは、互いに結合されるように構成された少なくとも2つの構成要素を含む。結合アセンブリの構成要素は、相互に適合可能であると理解される。例えば、結合アセンブリでは、一方のカップリング構成要素がスナップソケットである場合には、他方のカップリング構成要素はスナッププラグであって、一方のカップリング構成要素がボルトである場合には、他方のカップリング構成要素はナット又はねじ穴である。更に、要素の通路は、「カップリング」又は「カップリング構成要素」の一部である。例えば、2枚の木製のボードが、それらの通路を通って延びるナット及びボルトによって結合されているアセンブリにおいて、ナット、ボルト、及び2つの通路は夫々「カップリング」又は「カップリング構成要素」である。
【0030】
本明細書では、「締結具」は、2つ以上の要素を結合するように構成された別個の構成要素である。よって、例えば、ボルトは「締結具」であるが、さねはぎ(tongue-and-groove)継ぎは「締結具」ではない。つまり、さねはぎ要素は、結合されている要素の一部であって、別個の構成要素ではない。
【0031】
本明細書では、2つ以上の部品又は構成要素が「結合される」という表現は、リンクが発生する限り、それらの部品が、直接的、又は間接的に、即ち、1つ以上の中間部品又は構成要素を介して、共に接合される又は動作することを意味する。本明細書では、「直接結合される」は、2つの要素が互いに直接接触して結合されることを意味する。本明細書では、「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら移動するように結合されることを意味する。本明細書では、「調節可能に固定される」は、2つの構成要素が互いに一定の全体的な向き又は位置を維持しながら1つのものとして移動するように結合し、限られた範囲又は1つの軸を中心に動くことができることを意味する。例えば、ドアノブはドアに対して「調節可能に固定」されており、ドアノブは回転可能であるが、通常、ドアノブはドアに対して1つの位置に固定される。更に、リトラクタブルペンのカートリッジ(ペン先及びインクタンク)は、ハウジングに対して「調節可能に固定」されており、カートリッジは収納位置と伸長位置の間を移動するが、ハウジングに対する姿勢は概ね維持される。従って、2つの要素が結合されると、これらの要素の全ての部分が結合される。しかしながら、第1の要素の特定の部分が第2の要素に結合される、例えば、車軸の第1の端部が第1の車輪に結合されるというような記載は、第1の要素の特定の部分が、第1の要素の他の部分に比べて第2の要素により近く配置されることを意味する。更に、重力によってのみ別の物体上の適所に載置されている物体は、上側の物体がそれ以外の方法でほぼ適所に保持されない限り、下側の物体に「結合」されていない。つまり、例えば、テーブル上の本はテーブルに結合されていないが、テーブルに糊付けされた本はテーブルに結合されている。
【0032】
本明細書では、「着脱可能に結合される」又は「一時的に結合される」という表現は、ある構成要素が別の構成要素に実質的に一時的に結合されることを意味する。つまり、2つの構成要素は、構成要素どうしの接合又は分離が容易であり、構成要素にダメージを及ぼさないように結合される。例えば、限られた数の、容易にアクセス可能な締結具、即ち、アクセスが難しくない締結具によって相互に固定された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ており、溶接された、又はアクセスが困難な締結具によって接合された2つの構成要素は、「着脱可能に結合され」ていない。「アクセスが困難な締結具」は、締結具へのアクセス前に1又は複数の他の構成要素を取り外す必要がある締結具のことであり、「他の構成要素」は、限定はされないが、例えばドアなどのアクセス手段ではない。
【0033】
本明細書では、「動作可能に結合される」は、第1の位置と第2の位置の間で、又は第1の配置と第2の配置の間で移動可能な複数の要素又はアセンブリが、第1の要素が一方の位置/配置から他方の位置/配置に動き、第2の要素も両者の位置/配置間で動くように結合されることを意味する。なお、逆が成り立たないように、第1の要素が別の要素に「動作可能に結合され」てもよい。
【0034】
本明細書では、2つの又は2つを超える部品又は構成要素が相互に「係合する」という表現は、それらの要素が、直接的に、或いは、1又は複数の中間要素若しくは構成要素を介して相互に力を及ぼすこと、又は付勢することを意味する。更に、移動する部品について、本明細書では、移動する部品は、ある位置から別の位置への移動中に別の要素に「係合し」てよく、及び/又は、一旦記載された位置に至ると別の要素に「係合し」てよい。故に、「要素Aは、要素の第1の位置に移動すると、要素Bに係合する」と、「要素Aは、要素の第1の位置にあると、要素Bに係合する」とは等価の表現であり、この表現は、要素Aは、要素の第1の位置に移動する間に要素Bに係合する、及び/又は要素の第1の位置にある間、要素Bに係合することを意味すると理解される。
【0035】
本明細書では、「作動的に係合する」は、「係合し、移動する」ことを意味する。つまり、「作動的に係合する」は、移動可能又は回転可能な第2の構成要素を動かすように構成された第1の構成要素について使用される場合、第1の構成要素が、第2の構成要素を動かすために十分な力を加えることを意味する。例えば、ねじ回しは、ねじと接触させて配置できる。力がねじ回しに加えられないと、ねじ回しは、単にねじに「一時的に結合される」だけである。軸方向の力がねじ回しに加えられると、ねじ回しがねじに押しつけられて、ねじに「係合する」。しかしながら、回転力がねじ回しに加えられると、ねじ回しは、ねじに「作動的に係合し」て、ねじを回転させる。更に、電子部品の場合、「作動的に係合する」とは、ある部品が制御信号又は電流によって別の部品を制御することを意味する。
【0036】
本明細書では、「対応する」は、2つの構造構成要素が相互に類似したサイズと形状を有し、最小摩擦量で結合できることを示す。故に、部材に「対応する」開口は、その部材が最小摩擦量で開口を通過できるように、部材よりも僅かに大きいサイズを有する。この定義は、2つの構成要素が「ぴったりと」嵌まる場合には変更される。かかる状況では、構成要素間の寸法差が更に小さくなることで、摩擦量が増加する。開口を画定する要素及び/又は開口に挿入される構成要素が、変形可能又は圧縮可能な材料から作られている場合、開口は、開口に挿入される構成要素よりも僅かに小さくてよい。表面、形状、及び線に関して、2つ以上の「対応する」表面、形状、又は線はほぼ同一のサイズ、形状、及び輪郭を有する。
【0037】
本明細書では、「一体」という文言は、単一の片又はユニットとして作製されている構成要素を意味する。つまり、別個に作製された後に互いにユニットとして結合された複数の片を含む構成要素は、「一体型」構成要素又は「一体型」構造体ではない。
【0038】
本明細書では、「幾つか」という用語は、1又はそれを超える整数(即ち、複数)を意味する。即ち、例えば、「幾つかの要素」という語句は、1つの要素又は複数の要素を意味する。「幾つかの[x]」は、単一の[x]を含むことに特に留意のこと。
【0039】
本明細書では、「[x]が第1の位置と第2の位置との間を移動する」、又は「[y]が、第1の位置と第2の位置との間で[x]を移動させるように構成される」という表現において、「[x]」は、要素又はアセンブリの名称である。更に、[x]が複数の位置の間で移動する要素又はアセンブリである場合、「その」という代名詞は、「[x]」、即ち、「その」という代名詞の後に言及される要素又はアセンブリを意味する。
【0040】
本明細書では、「缶」及び「容器」という用語は、中身(限定ではなく、例えば、液体、食品やその他の適切な物質)を収容するように構成された任意の既知の又は適切な容器を指すためにほぼ置換可能に使用されており、限定ではないが、ビールやソーダ缶などの飲料缶だけでなく食料缶も明確に含む。
【0041】
本明細書では、「[要素、点、又は軸]を中心に配置される」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に延びる」、又は「[要素、点、又は軸]を中心に[X]度」などの表現における「中心に」は、それを中心に囲う、延びる、又は測定されることを意味する。測定値に関連して又はそれに類似した状況で使用される場合、「約」は、「おおよそ」、即ち、当業者によって理解される、測定値に関する近似的な範囲を意味する。
【0042】
本明細書では、「駆動アセンブリ」は、処理モジュールにおいて前後に延びる回転シャフトに動作可能に結合された要素を意味する。「駆動アセンブリ」は、処理モジュールにおける前後に延びる回転シャフトを含まない。
【0043】
本明細書では、「延設された」要素は、延出方向に延びる長手方向軸及び/又は長手方向線を本質的に含む。
【0044】
本明細書では、「一般的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「一般的な方法で」を意味する。
【0045】
本明細書では、「実質的に」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して「ほとんど」を意味する。
【0046】
本明細書では、「にて」は、当業者によって理解されるように、修飾される用語に関連して位置及びその近傍を意味する。
【0047】
本明細書では、用語「コントローラ」は、データ(例えば、ソフトウェアルーチン及び/又はそのようなルーチンで使用される情報)を格納、検索、実行及び処理することができるプログラマブルアナログ及び/又はデジタルデバイス(関連する記憶部又は部分を含む)を意味するものとし、限定ではないが、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルシステムオンチップ(PSOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ、或いは、任意の他の適切な処理デバイス又は装置が含まれる。記憶部は、コンピュータの内部記憶領域のようなデータ及びプログラムコードの記憶域用である、限定ではないが、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、FLASH、記憶レジスタを提供する同様なもののような様々な種類の内部及び/又は外部記憶媒体のうちの任意の1又は複数であってよく、例えば、非一時的な機械可読媒体であってよく、或いは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってよい。
【0048】
開示される概念の例示的な実施形態に従って、缶ボディにネッキング工程を実行するためのシステム8を部分的に示す概略図が図1に示されている。システム8は、ネッカーマシン10とポジショニングシステム50とを含む。ネッカーマシン10の一般的な要素及び動作の簡単な説明が本明細書で提供されるが、類似したネッカーマシン及びその動作の詳細な説明は、2019年5月9日に出願された米国特許出願第16/407,292号(本願と発明者が共通している)に提供されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。ネッカーマシン10は例示的な目的のためにのみ提供されており、開示された概念は他のネッカーマシンにも適用できることを理解されたい。本明細書に開示される概念によるポジショニングシステムが使用され得るネッカーマシンのその他の例は、限定ではないが、例えば、米国特許第8,464,567号、第8,601,843号、第9,095,888号及び第9,308,570号に記載されており、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
先の背景技術において既述したように、ネッカーマシン10は、図2に例示したような缶ボディ1の一部の直径を縮小するように構成されている。本明細書では、「ネッキング」とは、缶ボディ1の一部の直径/半径を小さくすることを意味する。即ち、図2に示すように、缶ボディ1は、上向きに付随する側壁3を有するベース2を含む。缶ボディベース2及び缶ボディ側壁3は、概ね囲まれた空間4を規定する。後述する実施形態では、缶ボディ1は、略円状及び/又は細長い円筒である。これは一つの例示的な形状であって、缶ボディ1が他の形状を有してよいことは理解される。缶ボディは長手方向軸5を有する。缶ボディ側壁3は第1の端部6及び第2の端部7を有する。缶ボディベース2は第2の端部7にある。缶ボディの第1の端部6は開放している。缶ボディの第1の端部6は、当初は、缶ボディ側壁3と実質的に同じ半径/直径を有する。ネッカーマシン10での成形工程に続いて、缶ボディの第1の端部6の半径/直径は、缶ボディ側壁3の他の部分の半径/直径よりも小さくなっている。
【0050】
図1を参照すると、例示のネッカーマシン10は概して、横に並べられて互いに結合された、缶ボディ1に工程を実行する複数のモジュール(全体が11で示される)を含む。例示のネッカーマシン10は6つのそのようなモジュール11を含んでいるが、所与のネッカーマシンに含まれるモジュール11の数は、一般に、加工/形成される缶ボディの詳細とその最終的な所望の形状とに依存しており、故に、モジュール11の数は、開示された概念の範囲から変化することなく変更されてよいことは理解されるべきである。複数のモジュール11は、ネッカーマシン10の第1の端部に配置された送込モジュール12を含む。送込モジュール12は、缶ボディ1を受け入れるための送込アセンブリ13を含む。複数のモジュール11はまた、送込モジュール12から直列に並んで延びる複数の成形/処理モジュール14を含む。複数のモジュール11は、送込モジュール12からネッカーマシンの反対側の端部に配置された排出モジュール15で終了し、複数の処理モジュール14は、送込モジュール12と排出モジュール15とによって境界を定められる。排出モジュール15は、ネッカーマシン10からネック付き缶を排出するための出口アセンブリ16を含む。以下、処理/成形モジュール14は、用語「処理モジュール14」によって特定されて、一般的な処理モジュール14を指すこととする。
【0051】
処理モジュール14は、互いに隣接して、且つ、一連の処理モジュール14の両端に配置された送込モジュール12及び排出モジュール15と直列に配置される。ネッカーマシン10によって処理される缶ボディ1の各々は、上流の場所から一連の処理モジュール14を通って同じ順序で移動する。ネッカーマシン10を通る缶ボディ1の移動は、搬送アセンブリ18によって行われる。搬送アセンブリ18は、幾つかの主駆動モータ21(何れも概略的に示す)によって駆動される駆動機構20によって駆動される。図1に示す例では、単一の主駆動モータのみが、駆動機構20及び搬送アセンブリ18を駆動するために使用される。図1に示す例では、当技術分野で知られているため、本明細書では詳細に説明されない歯車列が、駆動機構20として使用されている。使用される主駆動モータ21の数や、これらと組み合わせて使用される特定の駆動機構20は、開示される概念の範囲を変えることなく変更されてよいことは理解されよう。例えば、限定ではないが、米国特許出願第17/021,401号及び第17/319,689号(2020年9月15日と2021年5月14日に出願され、両方とも本願と共通の発明者を有する)の各々の内容は参照により組み込まれ、本明細書に開示される概念を容易に適用できるネッカーマシンの駆動機構のその他の幾つかの例を提供する。
【0052】
引き続き図1を参照すると、処理中、缶ボディ1は、経路、以下「ワーク経路9」をたどる。即ち、ネッカーマシン10の要素は、「上流」のUS場所から「下流」のDS場所まで缶ボディ1が移動するワーク経路9を規定する。本明細書では、「上流」は概して、送込モジュール12/送込アセンブリ13により近いことを意味し、「下流」は、排出モジュール15/出口アセンブリ16により近いことを意味する。ワーク経路9を規定する要素に関して、それらの要素の各々は、「上流側」端部及び「下流側端部」を有しており、缶ボディは、「上流側」端部から「下流側端部」へと移動する。故に、本明細書では、「上流側」又は「下流側」の要素又はアセンブリというような、或いは、「上流側」又は「下流側」の場所にあるというような、アセンブリ、サブアセンブリ等の性質/特定は、固有のものである。更に、本明細書では、「上流側」又は「下流側」の要素又はアセンブリというような、或いは、「上流側」又は「下流側」の場所にあるというような、アセンブリ、サブアセンブリ等の性質/特定は、相対的な言い回しである。
【0053】
動作中、缶ボディの加工/成形は、各処理モジュール14の回転可能なタレット22で行われる。つまり、用語「タレット22」は、総称的にタレットを特定する。各処理モジュール14は、タレット22に関連する回転可能なスターホイール24を含む。用途に応じて、スターホイール24は、開示される概念の範囲から変更されることなく、「非真空式スターホイール」(即ち、スターホイールのポケットに真空を適用するように構成された真空式アセンブリを含まないか、又はそれに関連しないスターホイール)、或いは、代替的に「真空式スターホイール」(即ち、スターホイールポケットに真空を適用するように構成された真空式アセンブリを含むか、又はそれに関連しているスターホイール)であってよい。さらに、各処理モジュール14は、典型的には、1つのタレット22と1つのスターホイール24とを含む。
【0054】
搬送アセンブリ18は、隣接する処理モジュール14間で、そして、送込モジュール12から排出モジュール15に向けて缶ボディ1を移動させるように構成されている。搬送アセンブリ18は、複数の回転可能なスターホイール26を含んでおり、各スターホイール26は、個々の処理モジュール14、送込モジュール12、又は排出モジュール15の一部である。スターホイール24と同様に、スターホイール26も用途に応じて、開示された概念の範囲から逸脱することなく、「真空」又は「非真空」タイプとすることができる。
【0055】
複数の処理モジュール14は、異なるタイプの缶ボディ1をネッキングするように、及び/又は構成が異なる缶ボディをネッキングするように構成されてよいことに留意のこと。従って、複数の処理モジュール14は、特定の用途の必要性に応じてネッカーマシン10に加えられる、又は、ネッカーマシン10から取り出されるように構成されている。これを達成するために、ネッカーマシン10は、複数の処理モジュール14が取り外し可能に結合されるフレームアセンブリ30を含んでいる。あるいは、フレームアセンブリ30は、複数の処理モジュール14が互いに一時的に結合されるように構成されるように、複数の処理モジュール14の夫々に組み込まれた要素を含んでいる。フレームアセンブリ30は、上流側端部32及び下流側端部34を有する。更に、フレームアセンブリ30は、延設された部材、パネル部材(何れも符号なし)、又はそれら両方の組合せを含む。周知のように、互いに結合された又は延設された部材に結合されたパネル部材は、ハウジングを形成する。従って、本明細書では、ハウジングはまた、「フレームアセンブリ30」として識別される。
【0056】
ネッカーマシン10を作動させると、送込アセンブリ13が個々の缶ボディ1を搬送アセンブリ18に供給し、搬送アセンブリ18が各缶ボディ1を最上流の処理モジュール14から最下流の処理モジュール14まで各処理モジュール14を通して順次移動させる。より具体的には、各缶ボディ1は、スターホイール26からスターホイール24、成形工程が行われるタレット22へと移動し、前述のスターホイール24に戻って、下流側の次のスターホイール26へと移動する。概して、各処理モジュール14は、缶ボディ1が複数の処理モジュール14を通って移動するにつれて缶ボディ第1の端部6(図2)の断面積を徐々に減少させるように缶ボディ1を部分的に成形するように構成されている。それら処理モジュール14は、限定ではないが特定のダイのような、単一の特定の処理モジュール14に固有の幾つかの要素を含んでいる。処理モジュール14のその他の要素、例えばタレット22及びスターホイール24、26は、処理モジュール14の全て又は大半において共通している。このような処理は、缶ボディ1がワーク経路9に沿って全ての処理モジュール14を通過し、出口アセンブリ16を介してネッカーマシン10を出るまで継続する。
【0057】
例示的なネッカーマシン10を通して缶ボディ1を移動させるために、タレット22及びスターホイール24の各々は、個々の処理、即ち第一駆動シャフト40によって第1の回転速度で時計回りに回転する一方で、スターホイール26の各々は、個々の移送、即ち第二駆動シャフト42によって第2の回転速度で反時計回りに回転する。各処理モジュール14の第一駆動シャフト40及び第二駆動シャフト42の各々のこのような回転は、駆動機構20によって、より詳細には幾つかの主駆動モータ21によって提供される。説明上、駆動機構20によって駆動されるネッカーマシン10の全ての構成要素(即ち、送込アセンブリ13、出口アセンブリ16、搬送アセンブリ18、タレット22、スターホイール24、スターホイール26、駆動シャフト40、駆動シャフト42、及び、本明細書に記載されている又は記載されていないその他の構成要素)を、集合的に「処理機構」と称する。
【0058】
本明細書の背景技術の欄で既に説明したように、ネッカーマシン10のような缶ネッカーマシンのメンテナンスを行う場合、注意を要する特定の構成要素が(例えば、最良のアクセスのためになど)必要に応じてポジショニングされるように、ネッカーマシン10の前述の処理機構が特定の状態でポジショニングされることがしばしば要求される。マシンの後部にある手動機構のみを利用し、オペレータがマシンを手動で選択的に可動構成要素をポジショニングするような従来の機構とは異なり、開示された概念の実施形態は、自動及び/又は手動の電子調節機構を提供することによって、そのような機構を改良する。大抵の用途において、このような電子調節機構は、電力が利用できない場合(例:停電、初期設定など)にマシンのメンテナンスが必要になる場合に備えて、従来の手動機構に追加されるものであって、故に、従来の手動機構に完全に置き換わるものではないであろう。しかしながら、用途によっては、以前の手動機構の代わりに電子調節機構が使用されてよい。図1に示す例では、このような電子調節機能はポジショニングシステム50によって提供される。
【0059】
ポジショニングシステム50は、コントローラを含んでおり、このコントローラは、図1に示す例示の実施形態では、入力キー、スイッチ、或いは、当該技術分野で一般的に知られているようなその他の電気的又は電気機械的入力手段(符号なし)を有するヒューマンマシンインターフェース(HMI 52)の形態である。さらに、HMIは、当該技術分野において一般的に知られているような、視覚的及び/又は聴覚的に検出可能な出力手段を含んでよい。HMI 52は、通常、ネッカーマシン10に又はその付近に設置されて、ネッカーマシン10の基本的な操作機能を制御するために用いられてよい。ポジショニングシステム50は更に、出力シャフトの特定の回転位置/変位に関する情報を提供するために、ネッカーマシン10の主駆動モータ21の出力シャフト(符号なし)の周囲に配置された位置エンコーダ54(概略的に示されている)を含む。図1に示す例では、位置エンコーダ54は、当業者に一般的に知られているようなロータリエンコーダであるが、開示した概念の範囲から逸脱することなく、主駆動モータ21の出力シャフトの回転位置/変位を決定/監視するための他の適切な機構を採用できることは理解される。図1に示す例では、位置エンコーダ54は、駆動モータ20又はその付近に設けられたローカルモータコントローラ56(概略的に示す)と通信する。ローカルモータコントローラ56は、HMI 52と通信している。このような機構では、モータコントローラ56は、HMI 52から受け取った指令に基づいて、主駆動モータ21の動作を制御する。あるいは、幾つかの実施形態では、HMI 52は、モータコントローラ56として機能して、主駆動モータ21を直接制御し、位置エンコーダ54から情報を受信してよく、別個のモータコントローラ56が不要にされてよい。
【0060】
ポジショニングシステム50は、第2の位置エンコーダ62(概略的に示す)を更に含んでよく、第2の位置エンコーダ62は、処理機構に沿ったある場所に配置されて、HMI 52及び/又はモータコントローラ56の一方又は両方と通信する。第2の位置エンコーダ62は、主駆動モータ21が駆動機構20を駆動する場所からできるだけ遠くに配置されることが好ましい。図1に示す例では、第2の位置エンコーダ62は、出口アセンブリ16の駆動シャフト(符号なし)の角度位置を監視するように配置されているが、第2の位置エンコーダ62は、開示される概念の範囲を逸脱することなく、処理機構の他の構成要素を監視するように配置されてもよいことを理解のこと。第2の位置エンコーダ62は、ネッカーマシン10の残りの部分に対する処理機構の現在の位置を提供する。換言すれば、第2の位置エンコーダ62は、既知の基準位置に対する処理機構のある回転構成要素の角度位置を提供し、タイミングが合わせられる(timed)処理機構におけるその他の構成要素の位置を決定するのに十分な情報がHMI 52及び/又はモータコントローラ56に提供される。
【0061】
ポジショニングシステム50の安全な動作を保証するために、ポジショニングシステム50は、典型的には(必ずしも必要ではないが)、当業者に一般的に知られているような安全エンコーダ60(概略的に示す)を含んでおり、安全エンコーダ60は、HMI 52及びモータコントローラ56の一方又は両方と通信する。安全エンコーダ60は、ネッカーマシン10の処理機構内のどこかの回転構成要素の速度を監視するように配置されており、予め決められた安全でない加速度及び/又は安全でない速度を処理機構が経験して、処理機構が停止されるべき場合に表示を出す。図1に示す例では、安全エンコーダ60は、排出モジュール15に最も近いタレット22のシャフト(符号なし)を監視するように示されているが、安全エンコーダ60は、開示される概念の範囲を逸脱することなく、処理機構における別の構成要素を監視するように配置されてよいことを理解のこと。
【0062】
自動ポジショニングモードと手動ポジショニングモードという2つの動作モードが、ポジショニングシステム50によって提供されるが、これらは、以前は、手動調節機構では不可能であった。自動ポジショニングモードでは、ユーザ(例えば、オペレータ及び/又はメンテナンス担当者)は、HMI 52を介してネッカーマシン10の処理機構の構成要素に関するポジショニング要求を出す。例えば、そのような要求は、特定のタレット22において、所定のサービス位置に配置される特定のタレットポケットをユーザが選択することから構成されてよい。第2の位置エンコーダ62によって提供される開始位置情報を使用して、(特定の実施形態に応じて)HMI 52及び/又はモータコントローラ56は、ユーザが指示する所望のポジショニングに処理機構を動かすために必要な主駆動モータ21のシャフトの回転変位を決定する。次に、主駆動モータ21は、HMI 52及び/又はモータコントローラ56によって以前に決定されたシャフトの所望の回転変位が(位置エンコーダ54によって測定されて)得られるまで、主駆動モータ21のシャフトの角度変位を監視する位置エンコーダ54によって提供されるフィードバックに従って、モータコントローラ56(又は特定の実施形態によってはHMI 52)を介して駆動される。所望の位置を与える/入力するためにHMI 52を使用する代わりに、HMI 52及び/又はモータコントローラ56(図1に示す)の一方又は両方と(例えば、任意の適切な有線又は無線手段を介して)通信する遠隔入力デバイス58(ポジショニングシステム50の構成要素として設けられてもよい)を介して入力が提供されてもよい。図1に示す例では、遠隔入力デバイス58は、E-ストップ、有効ボタン、速度調節ボタン(例えば、+と-)(全て符号なし)を含む電子ハンドホイールである。このような遠隔入力デバイス58を使用することで、ユーザは、ネッカーマシン10の処理機構の動きを、HMI 52のみを使用しては実用的ではない又は可能でないかもしれない(そして、既知の調節機構を使用する場合には間違いなく不可能である)好ましい場所から観察することが可能となる。好ましい場所から処理機構の動きを観察することは(ユーザは一般にその動作中に自由に移動できるため)、処理機構及びネッカーマシン10全般のトラブルシューティングに非常に役立つ。
【0063】
手動ポジショニングモードでは、ユーザは、処理機構を移動させる所望の速度及び方向を入力し、これに応じて主駆動モータ21が動作する。このような入力は、再度ユーザがネッカーマシン10の構成要素の動きを観察できるように、通常、遠隔入力デバイス58を介して行われる。この入力に基づいて、モータコントローラ56(又はHMI 52)は、主駆動モータ21の閉ループ速度制御に使用される位置エンコーダ54からの回転速度のフィードバックに基づいて主駆動モータ21を動作させる。主駆動モータ21の動作は、ネッカーマシン10の処理機構が所望のポジショニングに達したことをオペレータが指示するまで継続する。このような指示は、ユーザによって提供された明確な入力の形態であってよく、又は、ユーザが入力を提供しなくなることによってもよい。例えば、(図1に示されたような)開示される概念の一実施形態では、遠隔入力デバイス58は、ユーザが2つの回転可能な向きの何れかに停止位置から所望の量だけ回転させることができるノブ又はダイヤル(符号なし)を含んでおり、回転可能方向は処理機構の動き方向(故に、主駆動モータ21の駆動方向)に対応し、何れかの方向の回転変位は処理機構の所望の速度(故に、主駆動モータ21の駆動速度)に対応している。この例では、ユーザによってノブが変位位置に保持されている間、主駆動モータ21は、ユーザによって提供される入力に対応する方向及び速度で(位置エンコーダ54からの閉ループフィードバックを用いて)動作する。ノブが停止位置に戻ると(ユーザがノブを初期位置に戻すか、ユーザがノブを放すとノブは自動的に初期位置に戻る)、主駆動モータ21の動作が停止し、それに伴って処理機構の動作も停止する。手動ポジショニングモードでは、危険な状態が発生しないことを確実にするために、安全エンコーダ60が処理機構の加速度/速度を監視する。手動ポジショニングモードでは、第2の位置エンコーダ62は処理機構のポジショニングを監視し、自動ポジショニングモードが次に使用されるときのために処理機構の実際のポジショニングを知ることができる。
【0064】
開示される概念の別の例示の実施形態に従って缶ボディにネッキング工程を行うためのシステム108を部分的に示す概略図を図3に示されている。システム108は、(図1に関して前述したような)ネッカーマシン10と、(開示される概念の別の例示的な実施形態に従う)ポジショニングシステム150とを含む。ポジショニングシステム150は、駆動機構20及び処理機構を移動させるために主駆動モータ21を利用しないことを除いて、前述のポジショニングシステム50と同様の構成であり、従って、同様の構成要素を含む/含んでよい。代わりに、ポジショニングシステム150は、ネッカーマシン10の調節機構(概略的に48で示されている)に動作可能に結合された第二駆動モータ121(概略的に示されている)を利用する。第二駆動モータ121は、ネッカーマシン10で行われる通常の処理動作中は駆動機構20の駆動には使用されないため、主駆動モータ21よりも小さなサイズ/出力である。ポジショニングシステム50の主駆動モータ21に関する構成と同様に、第二駆動モータ121は、HMI 52及び/又は第二モータコントローラ156(概略的に示される)の一方又は両方によって制御/駆動されてよく、何れの構成でも、(図1に関して前述した位置エンコーダ54と主駆動モータ21の構成と同様な)第二駆動モータ121のシャフト(符号なし)の周りに配置された位置エンコーダ154(概略的に示す)と、第2のエンコーダ62(図1で前述したように配置される)とを使用する。図3に示す構成に含まれるように示されているが、安全エンコーダ60は、第二駆動モータ121の出力が大幅に低下するため、ポジショニングシステム150の一部として必要ではなく、通常は含まれない。図1に示すポジショニングシステム50の実施形態と関連して先に説明した同じ2つの動作モードは、ポジショニングシステム150でも同様に実施することができることから、ここでは詳細を説明しない。
【0065】
故に、前述の例示的な実施形態から、本明細書に開示される概念の実施形態は、今まで利用できなかったネッカーマシンの可動構成要素を所望の位置に電気的にポジショニングするための構成を提供することが理解されるべきである。このような構成は、そのようなマシンでの作業に関する安全性を向上させる一方で、ダウンタイムを削減する。
【0066】
開示された概念の具体的な実施形態が詳細に説明されたが、本開示の全体的な教示に照らしてそれらの詳細に対する様々な修正及び代替がなされ得ることは当業者には理解されるであろう。従って、開示された特定の構成は、例示的なものに過ぎず、添付の特許請求の範囲の全範囲及びそのあらゆる均等物に与えられるべき開示された概念の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】