(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】円筒状ロッド用位置センサ
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20240423BHJP
G01D 5/14 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01B7/00 101H
G01D5/14 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570359
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 CA2022050738
(87)【国際公開番号】W WO2022236412
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523428899
【氏名又は名称】ハイドラ ダイン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HYDRA DYNE TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ステファン イー ボーナー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クロピニーウィシュ
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BA05
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA52
2F077AA20
2F077JJ03
2F077JJ08
2F077JJ23
2F077VV02
(57)【要約】
【解決手段】円筒状ロッドの軸方向位置を決定するための検知システムは、回転軸線を有する回転可能なテーパ状のシャフトであって、前記回転軸線が円筒状ロッドの並進移動軸線に対して直交するように位置決め可能であり、前記円筒状ロッドが軸方向に移動するときに前記円筒状ロッドによって回転可能であるように前記円筒状ロッドと摩擦係合可能なテーパ部を有する、該シャフトと、前記シャフトが前記円筒状ロッドと係合しているときに前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記円筒状ロッドとの摩擦係合を絶えず維持する付勢要素と、及び前記シャフトが前記円筒状ロッドによって回転されるときに前記シャフトの回転を検知するためのセンサであって、前記シャフトの前記回転は前記円筒状ロッドの前記軸方向の位置と相関しているものである、該センサと、を含む。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状ロッドの軸方向位置を決定するための検知システムであって、
回転軸線を有する回転可能なテーパ状のシャフトであり、前記回転軸線が前記円筒状ロッドの並進移動軸線に対して直交するように位置決め可能であり、また前記円筒状ロッドが軸方向に移動するときに前記円筒状ロッドによって回転可能であるように前記円筒状ロッドと摩擦係合可能なテーパ部を有するものである、該シャフトと、
前記シャフトが前記円筒状ロッドと係合しているときに前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記円筒状ロッドとの摩擦係合を絶えず維持する付勢要素と、及び
前記シャフトが前記円筒状ロッドによって回転させられるときに前記シャフトの回転を検出するためのセンサであり、前記シャフトの前記回転は前記円筒状ロッドの前記軸方向の位置と相関するものである、該センサと、
を備える、検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検知システムにおいて、
前記円筒状ロッドはシリンダのシリンダロッドであり、
回転可能なテーパ状の前記シャフトは前記シリンダのヘッド内の横方向穴に挿入可能であり、前記シャフトは、前記シャフトが前記横方向穴内にあるとき、前記シリンダロッドの外周の接線に平行な回転軸線を有し、
前記付勢要素は前記シャフトが前記横方向穴に挿入されているときに前記シャフトを付勢し、また、
前記センサは前記横方向穴に挿入可能である、
検知システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検知システムにおいて、前記センサは前記シャフトの回転位置を検出し、かつ、前記シャフトの回転数、前記円筒状ロッドの前記軸方向位置に相関する前記シャフトの前記回転位置及び前記回転数をカウントする、検知システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の検知システムにおいて、前記センサは、
前記シャフトに取り付けられ、前記シャフトの回転に伴って回転する磁石と、
前記磁石に近接するリニアエンコーダであって、前記磁石の回転が前記リニアエンコーダ内に変化する電気信号を誘導するものである、該リニアエンコーダと、
を含む、検知システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検知システムにおいて、前記リニアエンコーダは少なくとも1つのホール効果検知要素を含み、前記変化する電気信号は回転する前記磁石によって誘導される、検知システム。
【請求項6】
請求項5に記載の検知システムにおいて、前記少なくとも1つのホール効果検知要素は、第2のホール効果検知要素に対して直交する向きで重ね合わされている第1のホール効果検知要素を含む、検知システム。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載の検知システムにおいて、前記磁石は永久磁石である、検知システム。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載の検知システムにおいて、前記磁石は前記シャフトの端部に埋め込まれている、検知システム。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載の検知システムにおいて、前記磁石は前記リニアエンコーダに対面する面を有し、前記面は、前記面の第1サイド側におけるN極と、及び前記第1サイド側とは反対側である前記面の第2サイド側におけるS極とを有する、検知システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の検知システムにおいて、前記付勢要素はばねを含む、検知システム。
【請求項11】
請求項10に記載の検知システムにおいて、前記ばねはコイル状伸張ばねである、検知システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の検知システムにおいて、前記シャフトの前記テーパ部は太い端部と細い端部との間でテーパ状をなしており、前記ばねは前記シャフトに係合して前記シャフトを前記細い端部の方向に絶えず付勢し、これにより、前記シャフト及び/又は前記円筒状ロッドが前記シャフトと前記円筒状ロッドとの摩擦係合によって摩耗しても、前記シャフトが横方向穴に挿入されているとき、前記ばねが前記シャフトの前記テーパ部と前記円筒状ロッドとの前記摩擦係合を維持し続ける、検知システム。
【請求項13】
ヘッドと、
バレルと、
グランドと、
シリンダのストロークにわたり移動可能なシリンダロッドと、並びに
前記ストローク中に前記シリンダロッドの軸方向位置を決定するための検知システムであって、
前記ヘッド内の横方向穴に挿入されている回転可能なテーパ状のシャフトであり、前記シャフトの回転軸線は前記シリンダロッドの外周に対する接線に平行であり、前記シャフトのテーパ部は前記シリンダロッドと摩擦係合し、かつ、前記ストローク中の前記シリンダロッドの軸方向の移動が前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの摩擦係合に起因して前記回転軸線を中心に前記シャフトを回転させるものである、該シャフト、
前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの前記摩擦係合を絶えず維持する付勢要素、及び
前記シャフトの回転を検知するセンサであり、前記シャフトの前記回転は前記シリンダロッドの前記軸方向位置と相関するものである、該センサ、
を含む、該検知システムと、
備える、シリンダ。
【請求項14】
請求項13に記載のシリンダにおいて、前記センサは前記シャフトの回転位置を検出し、かつ、前記シャフトの回転数、前記シリンダロッドの前記軸方向位置に相関する前記回転位置及び前記回転数をカウントする、シリンダ。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のシリンダにおいて、前記センサは、
前記シャフトに取り付けられて、前記シャフトの回転に伴って回転する磁石と、及び
前記磁石に近接するリニアエンコーダであって、前記磁石の回転が前記リニアエンコーダ内に変化する電気信号を誘導するものである、該リニアエンコーダと、
を含む、シリンダ。
【請求項16】
請求項15に記載のシリンダにおいて、前記リニアエンコーダは少なくとも1つのホール効果検知要素を備え、前記変化する電気信号は回転している前記磁石によって誘導される、シリンダ。
【請求項17】
請求項16に記載のシリンダにおいて、前記少なくとも1つのホール効果検知要素は第2のホール効果検知要素に対して直交する向きで重ね合わされている第1のホール効果検知要素を含み、前記第1のホール効果検知要素は前記シリンダロッドの絶対位置を決定するために使用され、前記第2のホール効果検知要素は前記シリンダロッドの増分位置を決定するために使用される、シリンダ。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか一項に記載のシリンダにおいて、前記磁石は永久磁石である、シリンダ。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか一項に記載のシリンダにおいて、前記磁石は前記シャフトの端部に埋設されている、シリンダ。
【請求項20】
請求項15~19のいずれか一項に記載のシリンダにおいて、前記磁石は前記リニアエンコーダに対面する面を有し、前記面は、前記面の第1サイド側におけるN極と、及び前記第1サイド側とは反対側である前記面の第2サイド側におけるS極とを有する、シリンダ。
【請求項21】
請求項13~20のいずれか一項に記載のシリンダにおいて、前記付勢要素はばねを含む、シリンダ。
【請求項22】
請求項21に記載のシリンダにおいて、前記ばねはコイル状伸張ばねである、シリンダ。
【請求項23】
請求項21又は22に記載のシリンダにおいて、前記シャフトの前記テーパ部は太い端部と細い端部との間でテーパ状をなしており、前記ばねは前記シャフトに係合して前記シャフトを前記細い端部の方向に絶えず付勢し、これにより、前記シャフト及び/又は前記シリンダロッドが前記シャフトと前記シリンダロッドとの前記摩擦係合によって摩耗しても、前記ばねが前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの前記摩擦係合を維持し続ける、シリンダ。
【請求項24】
請求項13~23のいずれか一項に記載のシリンダにおいて、前記横方向穴は前記シリンダの前記ヘッド内のロッドシールとロッドワイパとの間に位置している、シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2021年5月13日に出願された米国仮出願第63/188,144号の利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は可動円筒状ロッド、例えば、ロッド・イン・シリンダ・デバイス内のシリンダロッド、例えば、流体圧アクチュエータ(例えば、油圧シリンダ)及びリニアアクチュエータの位置を決定(測定)することに関する。
【背景技術】
【0003】
ロッド・イン・シリンダ・デバイスでは、シリンダロッドがストロークを繰り返すときのシリンダロッドの軸方向位置を知ることがしばしば有益である。シリンダロッドの軸方向位置を決定するための検知システムを得るために様々な試みがなされてきた。例えば、特許文献1(US 7,757547)及び特許文献2(JP 2006226909)及び特許文献3(JP 2006258730)には全て、ローラーがシリンダロッドと係合して磁石を回転させ、エンコーダ内に信号を誘導する構成が記載されている。しかしながら、このような構成では、ローラーとシリンダロッドとの間に常に滑りが発生するため、継続的にセンサを再較正する必要がある。ローラーはシリンダロッドに対してシリンダの回転軸線に向かう方向に付勢されているので、シリンダロッドが一方向に曲がるとローラーが変位し、また、シリンダロッドが別の方向に曲がるとローラーとシリンダロッドとの接触が一時的に失われ、位置センサのカウントをスキップさせ、即座に検知システムの誤較正に至る。
【0004】
流体圧又は電気的に作動するロッド・イン・シリンダ・デバイスにおけるシリンダロッドのストローク中に、円筒状ロッド、例えばシリンダロッドの位置を決定するためのよりロバストなセンサ構成が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,757,547号明細書
【特許文献2】特開2006-226909号公報
【特許文献3】特開2006-258730号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
円筒状ロッドの軸方向位置を決定するための検知システムであって、回転軸線を有する回転可能なテーパ状のシャフトであり、前記回転軸線が円筒状ロッドの移動軸線に対して垂直になるように位置決め可能であり、また前記円筒状ロッドが軸方向に移動するときに前記円筒状ロッドによって回転可能であるように前記円筒状ロッドと摩擦係合可能なテーパ部を有するものである、該シャフトと、前記シャフトが前記円筒状ロッドと係合しているときに前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記円筒状ロッドとの摩擦係合を絶えず維持する付勢要素と、及び前記シャフトが前記円筒状ロッドによって回転させられるときに前記シャフトの回転を検知するためのセンサであり、前記シャフトの前記回転は前記円筒状ロッドの前記軸方向の位置と相関ものである、該センサと、を備える、検知システム。
【0007】
シリンダロッドの軸方向位置を決定するための検知システムであって、シリンダのヘッド内の横方向穴に挿入可能で回転可能なテーパ状のシャフトであり、前記シャフトが横方向穴内にあるときに前記シリンダロッドの外周に対する接線に平行な回転軸線と、前記シリンダロッドがシリンダ内を軸方向に移動するときに前記シリンダロッドによって回転可能であるように、前記シリンダロッドと摩擦係合可能な前記シャフトのテーパ部と、前記シャフトが前記横方向穴に挿入されているときに、前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの前記摩擦係合を絶えず維持する付勢要素と、及び前記横方向穴に挿入可能なセンサであり、前記シャフトが前記シリンダロッドによって回転されているときに前記シャフトの回転を検出し、前記シャフトの前記回転は前記シリンダロッドの前記軸方向位置と相関するものである、該センサと、を備える、検知システム。
【0008】
ヘッドと、バレルと、グランドと、シリンダのストロークにわたり移動可能なシリンダロッドと、並びに前記ストローク中に前記シリンダロッドの軸方向位置を決定するための検知システムであって、前記ヘッド内の横方向穴に挿入されている回転可能なテーパ状のシャフトであり、前記シャフトの回転軸線は前記シリンダロッドの外周に対する接線に平行であり、前記シャフトのテーパ部は前記シリンダロッドと摩擦係合し、かつ、前記ストローク中の前記シリンダロッドの軸方向の移動が前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの摩擦係合に起因して前記回転軸線を中心に前記シャフトを回転させるものである、該シャフト、前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの前記摩擦係合を絶えず維持する付勢要素、及び前記シャフトの回転を検知するセンサであり、前記シャフトの前記回転は前記シリンダロッドの前記軸方向位置と相関するものである、該センサ、を含む、該検知システムと、を備えるシリンダ。
【0009】
さらなる特徴は、以下の詳細な説明の過程で説明されるか、又は明らかになるであろう。本明細書に記載される各特徴は、記載される他の特徴のうちの任意の1つ以上との任意の組合せで利用されてもよく、当業者に明らかな場合を除き、各特徴は必ずしも別の特徴の存在に依存しないことを理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
理解をより明瞭にするため、好適な実施形態を例として以下に図面につきより詳細に説明する。
【
図1A】油圧シリンダのストローク中にシリンダロッドの軸方向位置を決定するための検知システムの第1実施形態を備える油圧シリンダの端面図を示す。
【
図2A】油圧シリンダのストローク中にシリンダロッドの軸方向位置を決定するための検知システムの第2実施形態を備える油圧シリンダの端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、円筒状ロッド、好ましくはシリンダのシリンダロッドの軸方向位置を決定(測定)するための検知システムについて説明する。シリンダは、好ましくはロッド・イン・シリンダ・デバイス、例えば、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、リニア(線形)アクチュエータなどである。検知システムは、ロッド・イン・シリンダ・デバイスにおけるシリンダロッドのストローク位置を決定するために使用することができる。検知システムは、付勢されている回転可能なテーパ状のシャフトを備え、このテーパ状のシャフトが円筒状ロッドに接線方向に接触する。例えば、シリンダ・イン・ロッド・デバイスのストローク中の円筒状ロッドの軸方向の移動により、テーパ状のシャフトが回転する。
【0012】
回転可能なテーパ状のシャフトは、円筒状ロッドと摩擦係合するように付勢要素によって付勢される。いくつかの実施形態では、付勢要素としては、ばね、例えば、板ばね、コイルばね等々が挙げられる。好ましくは、付勢要素はコイル状伸張ばねがある。
【0013】
シャフトのテーパ部は、太い端部と細い端部との間で先細りしている。シャフトのテーパ部の半径方向の角度は、好ましくは3~10°、より好ましくは3~7°、さらにより好ましくは4~6°であり、例えば約5°である。好ましくは、付勢要素は、テーパ状のシャフトに係合して、テーパ状のシャフトを細い端部の方向に絶えず付勢し、テーパ状のシャフト及び/又は円筒状ロッドが円筒状ロッドとのシャフトの摩擦係合によって摩耗しても、付勢要素はテーパ状のシャフトを前進させて摩耗を補い、テーパ状のシャフトのテーパ部と円筒状ロッドとの摩擦係合を維持し続ける。摩耗によって付勢要素がテーパ状のシャフトをテーパ部の端部又は別の所定の箇所に移動したら、すぐにテーパ状のシャフトを交換する必要がある。しかしながら、ローラーとシリンダロッドとの間の滑りが一般的かつ繰り返し発生する問題のある特許文献1、特許文献2及び特許文献3のデバイスとは異なり、本デバイスにおけるテーパ状のシャフトは、テーパ状のシャフトが先細りしており、付勢要素が、テーパ状のシャフトのテーパ部を、円筒状ロッドの表面に対して接線方向に、及び/又は円筒状ロッドの移動軸線に直交する方向に、円筒状ロッドに対して付勢することにより、常に円筒状ロッドと強く摩擦係合する。さらに、テーパ状のシャフトがシリンダ・イン・ロッド・デバイスのシリンダのヘッドに使用される場合、テーパ状のシャフトの位置にあるシリンダロッドは、ストローク中に横方向に撓むことが抑制され、シリンダロッドに対するテーパ状のシャフトの滑りが低減又は防止される。また、テーパ状のシャフトの材料を慎重に選択し、テーパ状のシャフトのテーパ部に十分な長さを設けることにより、メンテナンス又は交換が必要になるまで、検知システムをより長期間使用することができる。
【0014】
検知システムには、テーパ状のシャフトの回転を検知するセンサが設けられている。テーパ状のシャフトの回転は、円筒状ロッドの軸方向位置に相関する。いくつかの実施形態では、センサは、シャフトの回転位置を検出し、シャフトの回転数、軸方向位置に相関する円筒状ロッドの回転位置及び回転数をカウントする。
【0015】
いくつかの実施形態では、センサは、シャフトに組み込まれている磁石と、シャフトの回転に伴って回転する磁石と、磁石に近接するリニアエンコーダとを備え、磁石の回転がリニアエンコーダ内に変化する電気信号を誘導する。いくつかの実施形態では、リニアエンコーダは、少なくとも1つのホール効果検知要素を備え、変化する電気信号は回転する磁石によって誘導される。これにより、テーパ状のシャフトの回転角度が並進移動するシリンダロッドの軸方向位置と相関し、シリンダロッドの軸方向位置を決定する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのホール効果検知要素は、第2のホール効果検知要素に対して直交する向きで重ね合わされている第1のホール効果検知要素を備え、第1のホール効果検知要素は、円筒状ロッドの絶対位置を決定するために使用され、第2のホール効果検知要素は、円筒状ロッドの増分位置を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、磁石は、リニアエンコーダに対面する面を有する。この面は、この面の第1サイド側におけるN極と、及び第1サイド側とは反対側であるこの面の第2サイド側におけるS極とを有することが好ましい。このようにして、磁石がテーパ状のシャフトと共に回転すると、磁石はリニアエンコーダ内に変化する電気信号を誘導する。いくつかの実施形態では、磁石はテーパ状のシャフトの端部内に埋設されている。磁石は、好ましくは永久磁石であるが、いくつかの実施形態では電磁石を使用することが可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、検知システムは好ましくはシリンダのヘッド内の横方向穴に挿入され、テーパ状のシャフトは接線方向にシリンダロッドと摩擦係合する一方、センサは横方向穴から突出する部分を有し、これにより、センサは電子通信要素(例えば、電線又はアンテナ)を通じて電子監視機器に容易に接続され得る。テーパ状のシャフトの回転軸線とセンサの長手方向軸線とは、実質的にリニアな単一の横方向穴がシリンダのヘッド内に機械加工され得るように、好ましくは平行であり、より好ましくは同一直線状にある。そのような構成は検知システムの構成要素の挿入と取り外しを容易にし、シリンダの外部から検知システムを点検補修することを容易にする。
【0017】
ヘッド内の横方向穴はシリンダのヘッドを通る軸方向のシリンダ穴と部分的に交差し、これにより、シリンダロッドの外面は横方向穴内に部分的に突出し、回転可能なテーパ状のシャフトのテーパ部と係合する。さらに、テーパ状のシャフトは、横方向穴のテーパ状のシャフトが位置する領域における横方向穴の最小直径とほぼ同じ大きさの最大直径を、テーパ状のシャフトの回転を妨げることなく有する。したがって、テーパ状のシャフトは、シリンダロッドを越えて横方向に平行移動できず、テーパ状のシャフトの外面は、付勢要素がテーパ状のシャフトの太い端部をシリンダロッドに向かって付勢するにつれて、シリンダロッドの外面に摩擦係合することとなる。
【0018】
回転可能なテーパ状のシャフトは、テーパ状のシャフトの太い端部をセンサに近づけるか、又はセンサから遠ざけて、横方向穴内に挿入することができる。メンテナンス又は交換が必要な時、シリンダロッドはテーパ状のシャフトが単一の開口部から取り外されるのを妨げないため、テーパ状のシャフトの太い端部がセンサの近くにある時、横方向穴はヘッド内の単一の開口部及び閉じた遠位端部を有する閉じた穴であってもよい。テーパ状のシャフトの太い端部がセンサから遠くにある時、横方向穴は、横方向穴の両端部にヘッド内の開口部を有する貫通穴であることが好ましい。テーパ状のシャフトの太い端部がセンサから遠くにある時、ヘッド内に開口部が1つしかないと、テーパ状のロッドが横方向穴を通ってシリンダロッドを越えて移動できないため、テーパ状のシャフトがシリンダロッドの遠位側でトラップされる。そのため、シリンダ全体を開いてテーパ状のロッドにアクセスする必要がある。多くの場合、シリンダを破壊せずにシリンダを開放することは不可能だが、それでもシリンダ開放は有害である。
【0019】
横方向穴は、一般にシリンダの最もクリーンな部分であるため、シリンダのヘッド内のロッドシールとロッドワイパとの間に配置されることが好ましい。
【0020】
図1A~
図1Eを参照すると、油圧シリンダ50のための検知システム1の第1実施形態が示されている。油圧シリンダ50は、ヘッド51と、グランド(gland)54と、ヘッド51とグランド54との間のバレル60とを備え、シリンダ50内には円筒状のシリンダロッド52が配置されている。シリンダロッド52は、油圧流体圧力の影響下において、油圧シリンダ50のロッド端部とグランド端部との間で、シリンダ50内で軸方向に移動可能であり、シリンダロッド52は、シリンダ50の長手方向軸線に沿って前進ストローク及び後退ストロークを繰り返す。前進ストローク及び後退ストロークのサイクルを通じて、シリンダロッド52は、ヘッド51及びバレル60を通過してグランド54内に進入する。油圧シリンダ及び他のロッド・イン・シリンダ・デバイスの構造及び動作は、一般に知られている。
【0021】
ヘッド51には、ヘッド51の外面からシリンダロッド52を越えるようにヘッド51内へ延び、閉じた端部56でヘッド51内に終端する横方向穴55が設けられている。横方向穴55の開口部57は、シリンダロッド52に対して開口しており、横方向穴55は、シリンダロッド52の外面に対する接線方向を向くように配置されている。
図1B及び
図1Eに最もよく示されるように、横方向穴55は、ヘッド51内であって、環状ロッドワイパ58と環状ロッドシール59との間で油圧シリンダ50のロッド端部に配置されている。検知システム1は、横方向穴55に挿入され、2つのパーツ、すなわちシャフト組立体10とリニアエンコーダ組立体30とを備える。
【0022】
シャフト組立体10はステンレス鋼などの適切な材料から形成されているテーパ状のシャフト11を備え、テーパ状のシャフト11はテーパ部12を有し、テーパ部12の外面はシリンダロッド52の外面に摩擦係合し、テーパ状のシャフト11のテーパ部12の外面はシリンダロッド52の面に対して接線方向に指向するように配置される。テーパ状のシャフト11は、横方向穴55の長手方向軸線と平行な、好ましくは同一線上にある長手方向軸線TS-TS(
図1D参照)を有し、テーパ状のシャフト11の長手方向軸線は、テーパ状のシャフト11がその周りを回転することができる回転軸線である。テーパ状のシャフト11は、横方向穴55の開口部に近い方の太い部分と、横方向穴55の閉塞端部56に近い方の細い部分とを有する。
【0023】
テーパ状のシャフト11は、横方向穴55の閉塞端部56に近接するテーパ状のシャフト11の遠位端部において、ブッシュ又は軸受15によって横方向穴55内に回転可能に支持される。テーパ状のシャフト11はまた、横方向穴55の開口部に近いテーパ状のシャフト11の近位端部において、サポート軸受16によって横方向穴55内に支持される。テーパ状のシャフト11は、ブッシュ又は軸受15及びサポート軸受16上で回転することができる。サポート軸受16は、テーパ状のシャフト11のショルダ14に取り付けられ、ショルダ14は、テーパ状のシャフト11の近位先端部(基端部)13よりも幅広いテーパ状のシャフト11の一部である。テーパ状のシャフト11の基端部13の端面のポケットにはブロック状の磁石20が収容されており、磁石20はポケット内に圧着され保持されている。磁石20は横方向穴55の開口部に面する露出面21を有し、N極及びS極がこの面21の互いに対向する側面にあり、N極の一部及びS極の一部が横方向穴55の開口部に向かって対面する。
【0024】
リニアエンコーダ組立体30は、リニアエンコーダ31と、リテーナカプラ32と、リニアエンコーダ31を横方向穴55内で動かないように保持するためのプラグ36とを備える。リニアエンコーダ31は、プラグ36に螺合されているリテーナカプラ32に摩擦嵌合され、プラグ36及び横方向穴55は、リニアエンコーダ組立体30が横方向穴55に挿入されると、リニアエンコーダ組立体30が固定されるように設計されている。リニアエンコーダ31は、互いに直交する向きで重ね合わされた一対のホール効果検知要素(不図示)を収容するヘッド33を備える。リニアエンコーダ31は、横方向穴55に挿入され、ヘッド33の遠位面35と磁石20の露出面21との間に小さな間隙49を形成する。間隙49は、回転する磁石20がリニアエンコーダ31のヘッド33内のホール効果検知要素に電流を誘導することができるように十分に小さい。リニアエンコーダ31の近位端部は横方向穴55から突出し、この近位端部は監視機器との電子通信のために近位端部から延在している電子通信要素34を有する。
【0025】
コイル状伸張ばね25は、テーパ状のシャフト11の近位端部13を取り囲む。コイル状伸張ばね25の遠位端部は、テーパ状のシャフト11のショルダ14とは反対側のサポート軸受16の近位端部上で、サポート軸受16に対して取り付けられている。コイル状伸張ばね25の近位端部は、プラグ36内に取り付けられている。コイル状伸張ばね25は、サポート軸受16とプラグ36との間に取り付けられているとき、圧縮状態にある。リニアエンコーダ組立体30は横方向穴55内に動かないように固定され、サポート軸受16はテーパ状のシャフト11のショルダ14上に取り付けられているので、コイル状伸張ばね25は、サポート軸受16、及び、その結果としてテーパ状のシャフト11、を横方向穴55の閉塞端部56に向かって絶えず付勢する。テーパ状のシャフト11を横方向穴55の閉塞端部56に向かって絶えず付勢することにより、テーパ状のシャフト11のテーパ部12の外面をシリンダロッド52の外面に向かって絶えず付勢する。これにより、テーパ状のシャフト11のテーパ部12は、テーパ状のシャフト11とシリンダロッド52との間の摩擦係合を増大させるのに十分な力を受けながら、シリンダロッド52と接線方向に接する状態を維持し、油圧シリンダ50の動作中にテーパ状のシャフト11とシリンダロッド52との間に滑りが生じるのを低減又は防止する。さらに、使用中にテーパ部12が摩耗しても、コイル状伸張ばね25がテーパ状のシャフト11をシリンダロッド52の外面に対して接線方向に絶えず付勢し、テーパ部12の徐々に太くなっている部分がシリンダロッド52と接触したままであることを保証するので、テーパ状のシャフト11はシリンダロッド52と接触し続ける。
【0026】
作動中、シリンダロッド52がロッド端部と油圧シリンダ50のグランド端部との間で軸方向に前後に並進移動するとき、テーパ状のシャフト11のテーパ部12とシリンダロッド52との摩擦係合により、テーパ状のシャフト11は回転軸線TS-TSを中心に回転し、それによって、磁石20は回転軸線TS-TSを中心に回転する。磁石20のN極及びS極は回転TS-TSにまたがるため、固定式リニアエンコーダ31内の固定式ホール検知要素に対するN極及びS極の相対位置が変化し、それによって、公知の方法で、シリンダロッド52の軸方向位置と相関する電気信号をホール検知要素に誘導する。
【0027】
図2Cから
図2Aを参照すると、油圧シリンダ150用の検知システム100の第2実施形態が示されている。油圧シリンダ150は、ヘッド151と、グランド154と、ヘッド151とグランド154との間のバレル160とを備え、シリンダ150内には円筒状シリンダロッド152が配置されている。シリンダロッド152は、油圧流体圧の影響下で、油圧シリンダ150のロッド端部とグランド端部との間でシリンダ50内を軸方向に移動可能であり、シリンダロッド152は、シリンダ150の長手方向軸線に沿って前進ストローク及び後退ストロークを繰り返す。シリンダロッド152は、前進ストローク及び後退ストロークのサイクルを通じて、ヘッド151及びバレル160を通過し、グランド154内に入る。油圧シリンダ及び他のロッド・イン・シリンダデバイスの構造及び動作は、一般に知られている。
【0028】
ヘッド151には、ヘッド151の外面の第1の開口部から、シリンダロッド152を越えるようにヘッド151を通って延び、第1の開口部とは反対側のヘッド151の外面の第2の開口部で終端する横方向貫通穴155が設けられている。横方向貫通穴155の開口部157は、シリンダロッド152に対して開口しており、横方向貫通穴155は、シリンダロッド152の外面に対する接線方向を向くように配置されている。
図2Bに最もよく示されているように、横方向貫通穴155は、ヘッド151内であって、環状ロッドワイパ158と環状ロッドシール159との間にある油圧シリンダ150のロッド端部に配置されている。検知システム100は、横方向貫通穴155内に挿入され、2つのパーツ、すなわちシャフト組立体110及びリニアエンコーダ組立体130を備える。
【0029】
シャフト組立体110はステンレス鋼などの適切な材料から形成されているテーパ状のシャフト111を備え、テーパ状のシャフト111はテーパ部112を有し、テーパ部112の外面はシリンダロッド152の外面と摩擦係合し、テーパ状のシャフト111のテーパ部112の外面はシリンダロッド152の面に対して接線方向に指向するように配置される。テーパ状のシャフト111は横方向貫通穴155の長手方向軸線と平行な、好ましくは同一直線上にある長手方向軸線を有し、テーパ状のシャフト111の長手方向軸線は、テーパ状のシャフト111がその周りを回転することができる回転軸線である。テーパ状のシャフト111は、リニアエンコーダ組立体130から遠い方の太い部分と、リニアエンコーダ組立体130に近い方の細い部分とを有する。
【0030】
テーパ状のシャフト111は、テーパ状のシャフト111の細い部分にある第1のサポート軸受116と、テーパ状のシャフト111の太い部分にある第2のサポート軸受117とによって、横方向貫通穴155内に回転可能に支持されている。テーパ状のシャフト111は、サポート軸受116、117上で回転することができる。
【0031】
第2のサポート軸受117は、テーパ状のシャフト111のショルダ114に取り付けられる。ショルダ114は、テーパ状のシャフト111の遠位端部119よりも幅広いテーパ状のシャフト111の一部である。ブロック状の磁石120は、テーパ状のシャフト111の基端部113の端面のポケット内に収容されている。磁石120は、ポケット内に圧着され保持されている。磁石120は、リニアエンコーダ組立体130に面する露出面を有し、N極及びS極は、露出面の互いに対向する側面にあり、N極の一部及びS極の一部がリニアエンコーダ組立体130の方を向いている。
【0032】
リニアエンコーダ組立体130は、リニアエンコーダ131と、リテーナカプラ132と、リニアエンコーダ131を横方向貫通穴155内で動かないように保持するためのプラグ136とを備える。リニアエンコーダ131は、プラグ136に螺合されているリテーナカプラ132に摩擦嵌合され、プラグ136及び横方向貫通穴155は、リニアエンコーダ組立体130が横方向貫通穴155に挿入されると、リニアエンコーダ組立体130が固定されるように設計されている。リニアエンコーダ131は、互いに直交する向きで重ね合わされた一対のホール効果検知要素(不図示)を収容するヘッド133を備える。リニアエンコーダ131は、横方向貫通穴155内に挿入され、ヘッド133の遠位面と磁石120の露出面との間に小さな間隙149を形成する。間隙149は、回転する磁石120がリニアエンコーダ131のヘッド133内のホール効果検知要素に電流を誘導することができるように十分に小さい。リニアエンコーダ131の近位端部は横方向貫通穴155から突出し、この近位端部は監視機器との電子通信のために近位端部から延在している電子通信要素134を有する。
【0033】
コイル状伸張ばね125は、貫通穴155内のラム118を取り囲んでおり、ラム118は、テーパ状のシャフト111の遠位端部119に係合している。コイル状伸張ばね125の遠位端部は、貫通穴155内に挿入されたインサート115の縁に対して取り付けられており、インサート115はラム118を収容している。コイル状伸張ばね125の近位端部は、ラム118の縁に当接している。コイル状伸張ばね125は、インサート115の縁とラム118の縁との間に取り付けられている場合、圧縮状態にある。インサート115は、横方向貫通穴155内に動かないように固定され、テーパ状のシャフト111の遠位端部119及び第2のサポート軸受117がラム118と係合されているので、コイル状伸張ばね125は、テーパ状のシャフト111をリニアエンコーダ130に向かって絶えず付勢する。テーパ状のシャフト111をリニアエンコーダ130に向かって絶えず付勢することにより、テーパ状のシャフト111のテーパ部112の外面をシリンダロッド152の外面に向かって絶えず付勢する。これにより、テーパ状のシャフト111のテーパ部112は、テーパ状のシャフト11とシリンダロッド152との間の摩擦係合を増大させるのに十分な力を受けながら、シリンダロッド152と接線方向で接する状態を維持し、油圧シリンダ150の動作中にテーパ状のシャフト111とシリンダロッド152との間に滑りが生じるのを低減又は防止する。さらに、使用中にテーパ部112が摩耗しても、コイル状伸張ばね125がテーパ状のシャフト111をシリンダロッド152の外面に対して接線方向に絶えず付勢し、テーパ部112の徐々に太くなっている部分がシリンダロッド152と接触したままであることを保証するので、テーパ状のシャフト111はシリンダロッド152と接触し続ける。
【0034】
作動中、シリンダロッド152がロッド端部と油圧シリンダ150のグランド端部との間で軸方向に前後に並進移動するとき、テーパ状のシャフト111のテーパ部112とシリンダロッド152との摩擦係合により、テーパ状のシャフト111は回転軸線を中心に回転し、それによって、磁石120は回転軸線を中心に回転する。磁石120のN極及びS極は回転軸線にまたがるため、固定式リニアエンコーダ131内の固定式ホール検知要素に対するN極及びS極の相対位置が変化し、それによって、公知の方法で、シリンダロッド152の軸方向位置と相関する電気信号をホール検知要素内に誘導する。
【0035】
この説明を検討すれば新規な特徴が当業者には明らかになるであろう。しかしながら、特許請求の範囲は、実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての特許請求の範囲及び明細書の文言と一致する最も広い解釈が与えられるべきであることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状ロッドの軸方向位置を決定するための検知システムであって、
回転軸線を有する回転可能なテーパ状のシャフトであり、前記回転軸線が前記円筒状ロッドの並進移動軸線に対して垂直になるように位置決め可能であり、また前記円筒状ロッドが軸方向に移動するときに前記円筒状ロッドによって回転可能であるように前記円筒状ロッドと摩擦係合可能なテーパ部を有するものである、該シャフトと、
前記シャフトが前記円筒状ロッドと係合しているときに前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記円筒状ロッドとの摩擦係合を絶えず維持する付勢要素と、及び
前記シャフトが前記円筒状ロッドによって回転させられるときに前記シャフトの回転を検出するためのセンサであり、前記シャフトの前記回転は前記円筒状ロッドの前記軸方向の位置と相関するものである、該センサと、
を備える、検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検知システムにおいて、
前記円筒状ロッドはシリンダのシリンダロッドであり、
回転可能なテーパ状の前記シャフトは前記シリンダのヘッド内の横方向穴に挿入可能であり、前記シャフトは、前記シャフトが前記横方向穴内にあるとき、前記シリンダロッドの外周の接線に平行な回転軸線を有し、
前記付勢要素は前記シャフトが前記横方向穴に挿入されているときに前記シャフトを付勢し、また、
前記センサは前記横方向穴に挿入可能である、検知システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検知システムにおいて、前記センサは前記シャフトの回転位置を検出し、かつ、前記シャフトの回転数、前記円筒状ロッドの前記軸方向位置に相関する前記シャフトの前記回転位置及び前記回転数をカウントする、検知システム。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載の検知システムにおいて、前記センサは、
前記シャフトに取り付けられ、前記シャフトの回転に伴って回転する磁石と、
前記磁石に近接するリニアエンコーダであって、前記磁石の回転が前記リニアエンコーダ内に変化する電気信号を誘導するものである、該リニアエンコーダと、
を含
み、
前記磁石は好ましくは永久磁石であり、
前記磁石は好ましくは前記シャフトの端部に埋設されている、検知システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検知システムにおいて、前記リニアエンコーダは少なくとも1つのホール効果検知要素を含み、
好ましくは第2のホール効果検知要素に対して直交する向きで重ね合わされている第1のホール効果検知要素を含み、前記変化する電気信号は回転する前記磁石によって誘導される、検知システム。
【請求項6】
請求項
4に記載の検知システムにおいて、前記磁石は前記リニアエンコーダに対面する面を有し、前記面は、前記面の第1サイド側におけるN極と、及び前記第1サイド側とは反対側である前記面の第2サイド側におけるS極とを有する、検知システム。
【請求項7】
請求項1
又は2に記載の検知システムにおいて、前記付勢要素はばねを含
み、前記ばねは好ましくはコイル状伸張ばねである、検知システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の検知システムにおいて、前記シャフトの前記テーパ部は太い端部と細い端部との間でテーパ状をなしており、前記ばねは前記シャフトに係合して前記シャフトを前記細い端部の方向に絶えず付勢し、これにより、前記シャフト及び/又は前記円筒状ロッドが前記シャフトと前記円筒状ロッドとの摩擦係合によって摩耗しても、前記シャフトが横方向穴に挿入されているとき、前記ばねが前記シャフトの前記テーパ部と前記円筒状ロッドとの前記摩擦係合を維持し続ける、検知システム。
【請求項9】
ヘッドと、
バレルと、
グランドと、
シリンダのストロークにわたり移動可能なシリンダロッドと、並びに
前記ストローク中に前記シリンダロッドの軸方向位置を決定するための検知システムであって、
前記ヘッド内の横方向穴に挿入されている回転可能なテーパ状のシャフトであり、前記シャフトの回転軸線は前記シリンダロッドの外周に対する接線に平行であり、前記シャフトのテーパ部は前記シリンダロッドと摩擦係合し、かつ、前記ストローク中の前記シリンダロッドの軸方向の移動が前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの摩擦係合に起因して前記回転軸線を中心に前記シャフトを回転させるものである、該シャフト、
前記シャフトの前記回転軸線と平行な方向に前記シャフトを付勢して、前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの前記摩擦係合を絶えず維持する付勢要素、及び
前記シャフトの回転を検知するセンサであり、前記シャフトの前記回転は前記シリンダロッドの前記軸方向位置と相関するものである、該センサ、
を含む、該検知システムと、
備える、シリンダ。
【請求項10】
請求項
9に記載のシリンダにおいて、前記センサは前記シャフトの回転位置を検出し、かつ、前記シャフトの回転数、前記シリンダロッドの前記軸方向位置に相関する前記回転位置及び前記回転数をカウントする、シリンダ。
【請求項11】
請求項
9又は
10に記載のシリンダにおいて、前記センサは、
シャフトに取り付けられ
、好ましくは埋設されて、前記シャフトの回転に伴って回転する磁石
、好ましくは永久磁石と、及び
前記磁石に近接するリニアエンコーダであって、前記磁石の回転が前記リニアエンコーダ内に変化する電気信号を誘導するものである、該リニアエンコーダと、
を含む、シリンダ。
【請求項12】
請求項
11に記載のシリンダにおいて、前記リニアエンコーダは少なくとも1つのホール効果検知要素を含み、前記変化する電気信号は回転している前記磁石によって誘導される、シリンダ。
【請求項13】
請求項
12に記載のシリンダにおいて、前記少なくとも1つのホール効果検知要素は第2のホール効果検知要素に対して直交する向きで重ね合わされている第1のホール効果検知要素を含み、前記第1のホール効果検知要素は前記シリンダロッドの絶対位置を決定するために使用され、前記第2のホール効果検知要素は前記シリンダロッドの増分位置を決定するために使用される、シリンダ。
【請求項14】
請求項
11に記載のシリンダにおいて、前記磁石は前記リニアエンコーダに対面する面を有し、前記面は、前記面の第1サイド側におけるN極と、及び前記第1サイド側とは反対側である前記面の第2サイド側におけるS極とを有する、シリンダ。
【請求項15】
請求項
9又は10に記載のシリンダにおいて、前記付勢要素はばねを含
み、前記ばねは好ましくはコイル状伸張ばねである、シリンダ。
【請求項16】
請求項
15に記載のシリンダにおいて、前記シャフトの前記テーパ部は太い端部と細い端部との間でテーパ状をなしており、前記ばねは前記シャフトに係合して前記シャフトを前記細い端部の方向に絶えず付勢し、これにより、前記シャフト及び/又は前記シリンダロッドが前記シャフトと前記シリンダロッドとの前記摩擦係合によって摩耗しても、前記ばねが前記シャフトの前記テーパ部と前記シリンダロッドとの前記摩擦係合を維持し続ける、シリンダ。
【請求項17】
請求項
9又は10に記載のシリンダにおいて、前記横方向穴は前記シリンダの前記ヘッド内のロッドシールとロッドワイパとの間に位置している、シリンダ。
【国際調査報告】