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特表2024-518586セパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】セパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20240423BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20240423BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/42
H01M50/443 C
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/414
H01M50/489
H01M50/411
H01M50/403 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570404
(86)(22)【出願日】2023-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2023075964
(87)【国際公開番号】W WO2023179248
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/144349
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310015629.2
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/083171
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】洪 ▲海▼▲藝▼
(72)【発明者】
【氏名】程 ▲暁▼楠
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ ▲艶▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 建瑞
(72)【発明者】
【氏名】汪 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲巣▼ 雷
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲義▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 成▲棟▼
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE01
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE06
5H021EE15
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
5H021HH06
(57)【要約】
本出願は、セパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置を開示し、ここで、セパレータは、基材と前記基材の少なくとも一部の表面に形成されるコーティングとを含み、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータであって、
基材と、
前記基材の少なくとも一部の表面に形成されるコーティングとを含み、
前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす、セパレータ。
【請求項2】
a/b値は、1-2.1、好ましくは1-1.4である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記複合粒子のDv50は、≧2.5μm、好ましくは2.5μm-10μm、より好ましくは3μm-8μmである、請求項1又は2に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記複合粒子は、第一の凝集体を含み、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの前記無機粒子を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項5】
0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である、請求項4に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記複合粒子は、一次粒子形態の無機粒子を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記一次粒子形態の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μmであり、好ましくは0.5μm-1μmである、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μm、好ましくは1μm-2μmである、請求項8に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nm、好ましくは100nm-200nmである、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μm、好ましくは5μm-8μmである、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項13】
前記複合粒子における前記無機粒子の含有量は、1wt%-50wt%であり、選択的に1wt%-40wt%であり、さらに選択的に2wt%-15wt%であり、最も好ましくは5wt%-15wt%である、請求項1から12のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項14】
前記突起の両面の高さは、15μm-60μmである、請求項1から13のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項15】
前記突起の表面は、前記第一の凝集体を有する、請求項1から14のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項16】
前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度は、20℃-80℃、好ましくは25℃-65℃である、請求項1から15のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項17】
前記複合粒子の前記コーティングにおける面積被覆率は、10%-25%である、請求項1から16のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項18】
前記無機粒子は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数を含み、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である、請求項1から17のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項19】
前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含む、請求項1から18のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項20】
前記接着剤ポリマーは、以下の第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つおよび反応性分散剤のうちの少なくとも一つにより形成されるコポリマーを含み、即ち、
第一のモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項21】
前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテル、グリセロールC4-C10アルキルモノエーテル、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステル、グリセロールC4-C10カルボン酸ジエステル、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルとグリセロールのうちの少なくとも一つを含む、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項22】
前記複合粒子と前記接着剤における固形分の質量比は、(80-90):(5-20)、好ましくは(85-90):(8-15)である、請求項1から21のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項23】
前記コーティングは、有機粒子をさらに含み、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリトリフルオロクロロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキサイド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とエチレンモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸類モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート類モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記有機粒子と前記複合粒子とは、前記コーティング表面に前記突起を形成する、請求項1から22のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項24】
前記有機粒子は、第三の凝集体を形成する、請求項23に記載のセパレータ。
【請求項25】
前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、好ましくは5.0μm-12μmである、請求項24に記載のセパレータ。
【請求項26】
前記第三の凝集体には、一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間には、隙間を有する、請求項24に記載のセパレータ。
【請求項27】
前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nm、好ましくは100nm-200nmである、請求項26に記載のセパレータ。
【請求項28】
前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20-90):(0-70)、好ましくは(45-90):(0-45)である、請求項23に記載のセパレータ。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか1項に記載のセパレータの製造であって、
基材を提供するステップ(1)と、
前記基材の少なくとも一部の表面に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成するステップ(2)とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす、セパレータの製造。
【請求項30】
請求項1から28のいずれか1項に記載のセパレータを含み又は請求項29に記載の方法で得られたセパレータを採用する、電池。
【請求項31】
請求項30に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、二次電池技術分野に属し、具体的にはセパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイスの電池コアの製造過程において、極板とセパレータは、移転中に避けられず位置ずれが発生し、軽い場合は極板が満充電後にしわになり、動力学性能に深刻な影響を与え、電池コアの安全性能を低下させ、深刻な場合は極板が互いに接触して乾式電池コアを廃棄することになる。そのため、一般的にはセパレータに接着コーティングを塗覆するが、従来の接着コーティングは、電池の動力学性能と安全性能が比較的低いことを招きやすい。
【発明の概要】
【0003】
背景技術に存在する技術問題に鑑みて、本出願は、セパレータを提供し、従来電池の動力学性能と安全性能を向上させることを目的とする。
【0004】
上記目的を実現するために、本出願の第一の態様は、セパレータを提供し、このセパレータは、基材と前記基材の少なくとも一部の表面に形成されるコーティングとを含み、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす。
【0005】
従来の技術に対して、本出願は、少なくとも以下のような有益な効果がある。本出願のセパレータコーティングには、複合粒子と接着剤とが含まれ、複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つのポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、複合粒子の高温造粒中の接着を回避し、セパレータイオン伝導能力を向上させるとともに、複合粒子の圧縮弾性率を向上させ、セパレータと極板との接着性が比較的適切であるようにすることができ、輸送中に、セパレータとセパレータとの間の接着力が過大にならず、それによってセパレータの後続の使用に影響を与えない。同時に本出願で採用された複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たしており、一方でこの架橋度条件を満たす複合粒子は、適切な圧縮弾性率を有し、セパレータコーティング上の突起がサイクル中に体積膨張に伴って陽極表面を塞ぐ状況を低減させ、電池のサイクル寿命を向上させることができ、他方で、この複合粒子が電解液に過大の膨潤が発生して過剰な電解液を消費することがないとともに、複合粒子の体積が過剰に膨張してセパレータ穴を塞ぐ状況を低減させる。また、電池が熱暴走して高温が発生した場合、複合粒子がコーティング表面に形成する突起は、大面積の接着膜構造を形成してイオン伝送チャンネルを減少又は遮断し、電池の熱拡散を遅延させることができ、それによって電池のサイクル性能と高温での安全性能を効果的に改善する。
【0006】
本出願のいくつかの実施の形態では、a/b値は、1-2.1、好ましくは1-1.4である。それによって、電池の安全性能と動力学性能を向上させることができる。
【0007】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子のDv50は、≧2.5μm、好ましくは2.5μm-10μm、より好ましくは3μm-8μmである。それによって、コーティング表面に突起構造を形成するのに有利であり、それによって電池コアの動力学性能を向上させる。
【0008】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記ポリアクリレート粒子の間には、第一の凝集体を有し、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの前記無機粒子を含む。それによって、電池の動力学性能を高めることができる。
【0009】
本出願のいくつかの実施の形態では、0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である。それによって、セパレータの圧縮弾性率を高めることができる。
【0010】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子は、一次粒子形態の無機粒子を含む。
【0011】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μmであり、好ましくは0.5μm-1μmである。それによって、複合粒子が製作中に融合が発生してセパレータイオン輸送チャンネルを塞ぐことがないことを確保することができる。
【0012】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む。
【0013】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μm、好ましくは1μm-2μmであるである。
【0014】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含む。
【0015】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nm、好ましくは100nm-200nmである。それによって、セパレータコーティング全体のイオン伝導能力を高め、セパレータの抵抗を低減させ、電池コアの動力学性能を高めることができる。
【0016】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μm、好ましくは5μm-8μmである。それによって、極板間の応力を解放するための緩衝空間を提供し、応力の蓄積による捲回電池コアの曲がり角の破損を防止することができる。
【0017】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子における前記無機粒子の含有量は、1wt%-50wt%であり、選択的に1wt%-40wt%であり、さらに選択的に2wt%-15wt%であり、最も好ましくは5wt%-15wt%である。それによって、セパレータは、適切な圧縮弾性率を得る。
【0018】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記突起の両面の高さは、15μm-60μmである。それによって、電池安全性を向上させると同時に電池コアの動力学性能を改善することができる。
【0019】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記突起の表面は、前記第一の凝集体を有する。それによって、電池の動力学性能を向上させることができる。
【0020】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度は、20℃-80℃、好ましくは25℃-65℃である。
【0021】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子のコーティングにおける面積被覆率は、10%-25%である。それによって、セパレータのコーティングと極板との間の接着力を適切にし、電池コアの動力学性能を向上させることができる。
【0022】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記無機粒子は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数を含み、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である。
【0023】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含む。それによって、セパレータの感圧特性を向上させ、電池コアの動力学性能を向上させることができる。
【0024】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーは、以下の第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つにより形成されるコポリマーを含み、即ち、
第一のモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。
【0025】
それによって、前記接着剤ポリマーの適切な膨潤と接着を確保し、接着剤ポリマーが適切な膨潤、感圧性と接着性能を有するとともに、適切な弾性率を有することを保証し、電池コアの整形効果、動力学性能と安全性能を保証することができる。
【0026】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテル、グリセロールC4-C10アルキルモノエーテル、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステル、グリセロールC4-C10カルボン酸ジエステル、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルとグリセロールのうちの少なくとも一つを含む。本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子と前記接着剤における固形分の質量比は、(80-90):(5-20)、好ましくは(85-90):(8-15)である。それによって、電池のサイクル性能と安全性能を向上させることができる。
【0027】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記コーティングは、有機粒子をさらに含み、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリトリフルオロクロロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキサイド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とエチレンモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸類モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート類モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記有機粒子と前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成する。それによって、電池のサイクル性能と安全性能を向上させることができる。
【0028】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記有機粒子は、第三の凝集体を形成する。
【0029】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、好ましくは5.0μm-12μmである。
【0030】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記第三の凝集体には、一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間には、隙間を有する。それによって、セパレータのイオン電導率を向上させることができる。
【0031】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nm、好ましくは100nm-200nmである。
【0032】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20-90):(0-70)、好ましくは(45-90):(0-45)である。それによって、電池コストを削減すると同時にその安全性能とサイクル性能を高めることができる。
【0033】
本出願の第二の態様は、セパレータの製造方法を提供し、この方法は、基材を提供するステップ(1)と、前記基材の少なくとも一部の表面に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成するステップ(2)とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす。
【0034】
それによって、このセパレータは、優れた圧縮弾性率を有し及び極板との間に適切な接着性を有し、それによって電池のサイクル性能を高めると同時にその安全性能を向上させる。
【0035】
本出願の第三の態様は、電池を提供し、この電池は、本出願の第一の態様によるセパレータを含み又は本出願の第二の態様の方法によって製造されたセパレータを含む。本出願の電池は、本出願による上記セパレータ又は上記方法で製造されたセパレータを含むため、優れた安全性能と動力学性能を有する。
【0036】
本出願の第四の態様は、電力消費装置を提供し、この装置は、本出願の第三の態様による電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる。本出願の電力消費装置は、本出願による上記電池を含むため、少なくとも上記電池と同じ優位性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本出願の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願に使用される図面を簡単に紹介する。自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施の形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0038】
図1】本出願の一実施の形態におけるセパレータ断面形態(CP)画像。
図2】本出願の更なる実施の形態におけるセパレータ断面形態(CP)画像。
図3】本出願の一実施の形態におけるセパレータと正極板及び負極板とを積層した後の電池コアの捲回概略図である。
図4】本出願の一実施の形態におけるセパレータの構造概略図である。
図5】本出願の一実施の形態の電池の構造概略図である。
図6】本出願の一実施の形態の電池モジュールの構造概略図である。
図7】本出願の一実施の形態の電池パックの構造概略図である。
図8図7の分解図である。
図9】電池が電源として使用される電力消費装置の一実施の形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下では、発明を実施するための形態を結び付けながら、さらに本出願を記述する。理解すべきこととして、これらの具体的な実施の形態は、本出願を説明するためにのみ用いられ、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0040】
簡潔のため、本明細書は、いくつかの数値範囲のみを具体的に開示した。しかしながら、任意の下限は、任意の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成してもよく、及び任意の下限は、他の下限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成してもよく、同様に任意の上限は、他の任意の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成してもよい。なお、単独で開示された各点又は単一の数値は、それ自体が下限又は上限として他の任意の点又は単一の数値と組み合わせ又は他の下限又は上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成してもよい。
【0041】
本明細書の記述において、特に断りのない限り、用語である「又は(or)」は包括的である。つまり、フレーズである「A又は(or)B」は、「A、B、又はAとBとの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)が、Bが真である(又は存在する)条件と、AとBがいずれも真である(又は存在する)条件とのいずれも「A又はB」を満たしている。
【0042】
本明細書の記述において、説明すべきこととして、特に断りのない限り、「以上」、「以下」は、この数を含み、「一つ又は複数」における「複数」は、二つ及び二つ以上を意味する。
【0043】
別段の記載がない限り、本出願で使用された用語は、当業者が一般的に理解する公知の意味を有する。別段の記載がない限り、本出願に言及された各パラメータの数値は、当分野でよく使われる様々な測定方法で測定することができる(例えば、本出願の実施例による方法によってテストすることができる)。
【0044】
本出願の実施例は、セパレータを提供し、このセパレータは、基材と前記基材の少なくとも一部の表面に形成されるコーティングとを含み、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす。
【0045】
説明すべきこととして、コーティングが前記基材の少なくとも一部の表面に形成されることは、コーティングが基材の表面に直接接触すること、いわゆる「直接接触」、又は基材表面とコーティングとの間に他の層があること、いわゆる「間接接触」と理解されるべきである。同時に「少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し及び複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成する」ことは、セパレータをその厚さ方向に沿って裁断し、そして走査電子顕微鏡(SEM)を用いてセパレータコーティング断面を走査することにより、SEM図から分かるように、複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含むとともに、一部のポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し且つ複合粒子がコーティング表面に突起を形成することができる。
【0046】
具体的には、ZEISS Sigma300走査電子顕微鏡を用いてテストし、以下のようなステップ操作に従ってテストする。まず測定セパレータを6mm×6mmの測定サンプルに裁断し、2枚の導電性熱伝導性銅箔で測定サンプルを挟み、測定サンプルと銅箔との間を両面テープで接着固定し、測定サンプルと銅箔との間の隙間が小さいほど良いように、一定の400gの平らな鉄塊で1時間プレスし、そしてハサミでエッジを切りそろえ、導電性接着剤を持つ試料台に貼り付け、サンプルが試料台のエッジからわずかに突出すればよい。そして試料台をサンプルラックに入れてロックして固定し、IB-19500CPアルゴンイオン断面研磨計の電源を入れて10Pa-4Paまで真空引きし、アルゴンガス流量を0.15MPaに、電圧を8KVに、及び研磨時間を2時間に設定し、試料台を揺動モードに調整して研磨を開始し、研磨終了後、ZEISS Sigma300走査電子顕微鏡を用いて測定サンプルのイオン研磨断面形態(CP)画像を得る。
【0047】
一例によれば、本出願の複合粒子の製造は、以下のステップを参照すればよい。
【0048】
(1)ポリアクリレート粒子を製造するポリマーモノマーを提供し、ポリマーモノマーを重合させ、ポリアクリレートのポリマーを得、
(2)ステップ(1)で得られたポリアクリレートのポリマーに溶媒と無機粒子を加え、攪拌後に混合スラリーを得、
(3)ステップ(2)の混合スラリーを乾燥して溶媒を除去し、そして研磨、粉砕を経てた後に本出願に記載の複合粒子を得る。
【0049】
説明すべきこととして、ポリマーモノマーの重合は、当分野で一般的に使用される重合方法を用いて行われてもよく、例えばエマルジョン重合又は懸濁重合方式を用いて重合してもよい。
【0050】
いくつかの実施の形態では、ステップ(1)において、ポリマーモノマーの重合系に添加剤、例えば、乳化剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、重合開始剤、例えば過硫酸アンモニウムを加えてもよい。
【0051】
いくつかの実施の形態では、ステップ(1)において、ポリアクリレート粒子を製造するポリマーモノマーは少なくとも、
少なくとも一つのエステル結合を有し、選択的にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸グリシジル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にメタクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数である第一のポリマーモノマーと、
少なくとも一つのシアン結合を有し、選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリルのうちの一つ又は複数である第二のポリマーモノマーと、
少なくとも一つのアミド結合を有し、選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドのうちの一つ又は複数である第三のポリマーモノマーとのうちのポリマーモノマーを含む。
【0052】
それによって、ポリアクリレート粒子は、少なくとも上記3種類のポリマーモノマーを重合してなり、セパレータは、極板と適切な接着性を取得し、電池の動力学性能を向上させることができる。
【0053】
いくつかの実施の形態では、上記形成されたポリアクリレート粒子における第一のポリマーモノマーと、第二のポリマーモノマーと、第三のポリマーモノマーとの重量比は、(45-70):(10-25):(10-35)、例えば(50-70):(10-25):(10-35)、(55-70):(10-25):(10-35)、(60-70):(10-25):(10-35)、(65-70):(10-25):(10-35)、(45-70):(15-25):(10-35)、(45-70):(20-25):(10-35)、(45-70):(22-25):(10-35)、(45-70):(10-25):(15-35)、(45-70):(10-25):(20-35)、(45-70):(10-25):(25-35)、(45-70):(10-25):(30-35)、(45-70):(10-25):(32-35)などである。それによって、ポリアクリレート粒子が上記割合のポリマーモノマーを採用して重合してなる場合、前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度は、20℃-80℃の需要を満たすことができる。
【0054】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2)において、前記無機粒子は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数を含み、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である。
【0055】
本出願では、「複合粒子の架橋度a」とは、複合粒子におけるポリアクリレート粒子の架橋度であり、そのテスト方法は、以下のステップを採用してもよい。
【0056】
(1)秤量紙を2層積層して複合粒子を6g秤量し(秤量天秤は、Uni Bloc SHIMADZU AUY220万分の一の天秤を採用し)、
(2)秤量した複合粒子を105℃の真空オーブン(真空オーブンは、立佳LDZF-6090 サイズ450*450*450 RT~250℃を採用する)に置いて6h乾燥し、
(3)中速濾紙(中速濾紙は、新星定量中速濾紙を採用する)を2層積層して番号を付けるとともに、105℃の真空オーブン(真空オーブンは、立佳LDZF-6090を採用し、サイズ450*450*450 RT~250℃)に入れて6h乾燥し、
(4)複合粒子と秤量紙を真空オーブンから取り出した直後に即座にシール袋でパッケージングし、吸水を防止し、
(5)中速濾紙を真空オーブンから取り出した直後に即座に自封袋に入れて秤量し、中速濾紙と自封袋の総重量mを記録し、重量値は、小数4桁を残し、
(6)ステップ(4)で得られた複合粒子を小型破砕機(破砕機は、百信LG-01を採用し、パワー350W、細度30~300目、回転速度2500r/m、粉砕量500g/m)に注ぎ、蓋をし、締め付け、
(7)電源を入れ、電源スイッチをオンにし、ストップウォッチで30Sカウントした後に電源スイッチをオフにし、
(8)破砕機は、5min静置し、破砕機の中の粉末が沈降したら破砕機の蓋を回して開き、サンプルは、均一に粉末状を呈し、
(9)ブラシで破砕後のサンプルを自封袋に移転し、即座にシールし、
(10)遠沈管と遠沈管の蓋を天秤において皮をむいた後、乾燥皿からサンプル袋を取り出し、遠沈管に約2±0.2gのサンプルを注ぎ、即座に遠沈管の蓋をし、サンプルの実際の重量mを秤量し、
(11)50mlの遠沈管上の目盛りに従って50mlのジメチルカーボネート(DMC)を加え、
(12)遠沈管を60℃のオーブン(オーブンは、博迅GZX-9146MBEを採用し、容量129L、RT+5℃~300℃)に移転して12h保温し、
(13)遠沈管をオーブンから取り出した後にサンプルを中速濾紙に注ぎ、溶液を濾過し、濾過物を残し、
(14)大量のDMC溶液で遠沈管を洗い流し、サンプルが遠沈管に残留することを防止し、
(15)濾過物を105℃のオーブンで2h乾燥し、
(16)サンプルの焼成が完了した後にサンプルを対応する自封袋に入れて秤量し、
(17)秤をクリアし、濾過物、中速濾紙と自封袋の総質量を秤量し、質量mを記録し、
架橋度
に従って複合粒子の架橋度aを算出する。
【0057】
本出願では、「複合粒子の質量膨潤度b」とは、複合粒子におけるポリアクリレート粒子の質量膨潤度であり、そのテスト方法は、以下のステップを採用してもよい。
【0058】
(1)溶解:複合粒子粉末10gと90gのN-メチルピロリドン(NMP)を取って混合し、40℃で7h攪拌して溶解し、
(2)接着膜の製造:攪拌後の複合粒子粉末接着液を250mLのビーカーに置き、70℃の温度で8日間焼成し、乾燥した接着膜を得、
(3)膨潤率テスト:乾燥した接着膜3g程度の大きさを取り、接着膜の厚さは、2mmであり、その正確な質量を秤量してMとし、電解液(電解液溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)の質量比は、3:5:2であり、電解液溶媒とヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)とを1mol/Lの電解液に配置する)に浸漬し、70℃のオーブンに置いて焼成し、24h後にサンプル片を取り出して1h静置した後にきれいに拭いてその質量Mを秤量し、その質量膨潤度=
に従って複合粒子質量膨潤度bを算出する。
【0059】
任意の理論にも限定されたくないが、発明者は、多くの研究の結果、従来の技術では、一般的にセパレータ基材に接着コーティングを塗覆することで極板とセパレータとの間の位置ずれを低減させるが、従来の接着コーティングの接着力が大きすぎて、セパレータと極板との間の接着が強すぎて電池の動力学性能を低減させるとともに、接着コーティングの大きすぎる接着力によってセパレータ間の接着力も比較的大きくなり、セパレータの後続の使用に不利であることを発見した。同時に接着コーティングの圧縮弾性率が比較的低いため、電池コアが外力で圧縮されると、接着コーティングが崩壊しやすくなり、それによってセパレータ穴を塞ぐ可能性がある。また、接着コーティングは、電解液において膨潤が発生しやすく、それによって過剰な電解液が消費される。本出願のセパレータコーティングには、複合粒子と接着剤とが含まれ、複合粒子は、接着剤を介して基材と接着され、複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含むとともに、複合粒子における少なくとも二つのポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、一方で、複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含むとともに、複合粒子における少なくとも二つのポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、複合粒子における無機粒子の存在によって、ポリアクリレート粒子間は、造粒プロセスの高温処理によって接着しないが、接着後のポリアクリレート粒子がセパレータコーティングに用いられるとイオン伝送が阻害され、それによってセパレータのイオン伝導能力を低減させ、他方で、ポリアクリレート粒子は、その自体圧縮弾性率が比較的低いため、単独でセパレータコーティングに用いられると圧力作用でセパレータ穴を塞ぎやすくひいては陽極表面を塞ぎ、それによってイオン伝導を低減させ、電池の動力学性能を低減させるが、ポリアクリレート粒子の間に無機粒子を設置することによって、その圧縮弾性率を向上させ、セパレータ及び陽極の動力学性能がこの複合粒子の影響を受けないことを保証することができ、それによって電池の動力学性能を高める。同時に本出願で採用された複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たし、一方で、この架橋度条件を満たす複合粒子は、適切な圧縮弾性率を有し、セパレータコーティング上の突起がサイクル中に体積膨張に伴って陽極表面を塞ぐ状況を低減させ、電池のサイクル寿命を向上させることができ、他方で、この複合粒子が電解液に過大の膨潤が発生して過剰な電解液を消費することがないとともに、複合粒子の体積が過剰に膨張してセパレータ穴を塞ぐ状況を低減させる。また、前記複合粒子は、前記基材又は前記コーティング表面に突起を形成し、セパレータは、この突起を介して極板と接触し、一方で、捲回中に、突起は、適切な空間を提供して応力を解放し、極板の破損を防止し、安全性を向上させ、他方で、セパレータと極板との間に隙間を残し、電解液の流動と浸潤に有利であり、電池コアの動力学性能を改善する。上記条件の共同作用で、セパレータと極板との間に適切な接着力を有し、それによって電池の動力学性能を向上させるとともに、電池が熱暴走して高温が発生した場合、突起は、大面積の接着膜構造を形成してイオン伝送チャンネルを減少又は遮断し、電池の熱拡散を遅延させることができ、それによって電池のサイクル性能と高温での安全性能を効果的に改善する。
【0060】
本発明者は、深く研究した結果、本出願のセパレータが上記条件を満たすことに加えて、さらに選択的に下記条件のうちの一つ又はいくつかを満たす場合、電池の性能をさらに改善できることを発見した。
【0061】
いくつかの実施の形態では、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bは、a/bが1-2.1、例えば1-2、1-1.8、1-1.6、1-1.4、1-1.2などであることを満たす。一方でこの架橋度条件を満たす複合粒子は、適切な圧縮弾性率を有し、セパレータコーティング上の突起がサイクル中に体積膨張に伴って陽極表面を塞ぐ状況を低減させ、電池のサイクル寿命を向上させることができ、他方で、この複合粒子が電解液に過大の膨潤が発生して過剰な電解液を消費することがないとともに、複合粒子の体積が過剰に膨張してセパレータ穴を塞ぐ状況を低減させる。別のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bは、a/bが1-1.4であることを満たす。
【0062】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子のDv50は、≧2.5μm、例えば2.5μm-10μm、2.5μm-8μm、2.5μm-6μm、2.5μm-5μm、2.5μm-4μm、2.5μm-3μmなどである。それによって、一方で、このDv50範囲内を満たす複合粒子は、セパレータコーティングと極板との適切な接着力を提供することができ、他方で、コーティング表面に突起構造を形成するのに有利であり、それによって電池コアの動力学性能を向上させる。別のいくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子のDv50は、3μm-8μmである。
【0063】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、図1を参照すると、前記ポリアクリレート粒子の間には、第一の凝集体を有し、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの無機粒子を含む。それによって、一方で、複合粒子をあまり柔らかくしないようにし、それによって電池が膨張又は比較的大きい外力で、複合粒子と極板及び複合粒子と基材との間の作用が適切であることを確保し、それによって電池の動力学性能を向上させる。他方で、複合粒子が製作中に融合してイオン輸送チャンネルを塞ぐことがないことを確保することができるとともに、複合粒子の内部又は表面に無機粒子物質により形成された第一の凝集体が存在している時、高温、例えば≧45℃及び力を受けた状態≧0.4MPaの場合、複合粒子の球形体が軟化崩壊しないことを保証することによって、複合粒子と極板及び複合粒子とセパレータとの間の作用が適切であることを保証し、それによって電池のサイクル性能の悪化を抑制し、さらに電池の動力学性能を向上させる。
【0064】
いくつかの実施の形態では、0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である。それによって、セパレータの圧縮弾性率を高めることができる。
【0065】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは前記複合粒子は、一次粒子形態の無機粒子を含む。さらに、前記一次粒子形態の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μm、例えば0.01μm-0.8μm、0.05μm-1μm、0.1μm-1μm、0.2μm-1μm、0.3μm-1μm、0.4μm-1μm、0.5μm-1μm、0.6μm-1μm、0.7μm-1μm、0.8μm-1μm、0.9μm-1μmなどである。それによって、このDv50を満たす無機粒子は、セパレータが適切な圧縮弾性率を得るようにすることができ、それによって電池の動力学性能を高める。別のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の無機粒子のDv50は、0.5μm-1μmである。それによって、電池の動力学性能を高めることができる。
【0066】
説明すべきこととして、一次粒子及び二次粒子は、当分野で公知の意味を有する。一次粒子とは、凝集状態を形成していない粒子である。二次粒子とは、二つ以上の一次粒子が凝集してなる凝集状態の粒子である。
【0067】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む。それによって、複合粒子をあまり柔らかくしないようにし、それによって電池が膨張又は比較的大きい外力で、複合粒子と極板及び複合粒子と基材との間の作用が適切であることを確保し、それによって電池の動力学性能を向上させる。さらに、前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μm、例えば0.5μm-5μm、0.7μm-4.5μm、1μm-4μm、1.3μm-3.5μm、1.5μm-3.2μm、1.7μm-3μm、2μm-2.8μm、2μm-2.5μm、5μm-10μm、5μm-9μm、5μm-8μm、5μm-7μm、5μm-6μmなどである。別のいくつかの実施の形態では、前記第二の凝集体のDv50は、1m-2μmである。
【0068】
いくつかの実施の形態では、本出願の複合粒子では、前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含み、ここで、前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nm、例えば50nm-375nm、75nm-375nm、100nm-350nm、125nm-325nm、150nm-300nm、175nm-275nm、200nm-250nm、200nm-225nmなどであり、別のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、100nm-200nmである。前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μm、例えば3μm-15μm、4μm-12μm、5μm-10μm、5μm-8μm、5μm-7μm、5μm-6μmなどである。
【0069】
いくつかの実施の形態では、前記複合粒子における前記無機粒子の含有量は、1wt%-50wt%、例えば1wt%-48wt%、1wt%-45wt%、1wt%-40wt%、1wt%-35wt%、1wt%-30wt%、1wt%-25wt%、1wt%-20wt%、1wt%-15wt%、2wt%-15wt%、3wt%-15wt%、4wt%-15wt%、5wt%-15wt%、7wt%-15wt%、10wt%-15wt%、12wt%-15wt%などである。それによって、複合粒子における無機粒子の含有量を上記含有量範囲内に制御することで、一方で、ポリアクリレート粒子間は、造粒プロセスの高温処理によって接着せず、セパレータのイオン伝導能力を向上させ、他方で、セパレータは、適切な圧縮弾性率を有し、電池モジュールが力を受けた状態でセパレータコーティングと陽極との間に適切な作用力を有することを確保することができる。
【0070】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子における前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度は、20℃-80℃、例えば25℃-75℃、30℃-70℃、35℃-65℃、40℃-60℃、45℃-55℃、50℃-55℃である。前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度が上記温度を満たしている場合、複合粒子は、電解液膨潤に耐えられ、一方で、過剰な電解液を消費することなく、残留モノマーが電解液によって気泡化されてセパレータを塞ぐことによって電池コアの動力学性能に影響を与えることがなく、他方で、セパレータと極板との接着性能が大幅に低下しないとともに、極板が複合粒子によって圧損されて電池の安全性能に影響を与えにくい。別のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子における前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度は、25℃-65℃である。
【0071】
いくつかの実例によれば、前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度のテスト方法は、当分野で一般的に使用される方法で測定してもよく、例えばGB/T19466.2を参照して差示走査量熱法によってテストしてもよく、昇温レート10℃/min、空気雰囲気とする。
【0072】
いくつかの実施の形態では、前記複合粒子の前記コーティングにおける面積被覆率は、10%-25%、例えば12%-25%、15%-25%、17%-25%、19%-25%、20%-25%、22%-25%などである。発明者は、複合粒子のコーティングにおける面積被覆率が低すぎる(10%よりも低い)と、コーティング接着性が厳しく低下し、ベア電池コアにソフト電池コアの問題が発生し、整形してシェルに入れる要求を満たすことができず、複合粒子のコーティングにおける面積被覆率が高すぎる(25%よりも高い)と、電池コアの接着が大きすぎ、注液効率に深刻な影響を与えるとともに、電池コアのサイクル中に接着物質の膜形成の可能性が増加し、セパレータ穴を塞ぎ、動力学性能を悪化させることを発見した。別のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子の前記コーティングにおける面積被覆率は、15%-20%である。
【0073】
いくつかの例によれば、前記複合粒子の前記コーティングにおける面積被覆率は、広東基泰智能設備有限公司の被覆率テスト装置を用いて得られる。
【0074】
いくつかの実施の形態では、図2を参照すると、本出願のセパレータコーティング表面に突起を形成し且つこの突起の両面の高さは、15μm-60μm、例えば15μm-58μm、16μm-56μm、18μm-55μm、20μm-52μm、22μm-40μm、25μm-40μm、25μm-38μm、25μm-36μm、28μm-35μm、30μm-32μmなどである。それによって、この高さ範囲の突起は、一方でセパレータと極板との間に適切な空間を提供して応力を解放し、極板捲回中の破損を防止し、安全性を向上させることができ、他方で、セパレータと極板との間に適切な隙間を残して、電解液の流動と浸潤に有利であり、電池コアの動力学性能を改善する。さらに、突起の表面は、第一の凝集体を有する。それによって、この突起は、セパレータと極板との間に適切な接着性を提供することができ、それによって電池の動力学性能を高める。
【0075】
具体的には、基材の二つの対向する表面には、いずれもコーティングを形成し、両側のコーティング上の突起高さの和は、突起の両面の高さであるとともに、突起の両面の高さのテスト方法は、図3を参照すると、まず負極極板、セパレータと正極極板を電池コアとして順に積層した後に巻き取り(電池コアの最外層は、正極極板の凸面で終端する)、そしてCT機器(ZEISS-1500)を採用して捲回電池コアの曲がり角の負極極板のエッジから下方に15±1mm離れる位置を走査し、得られたCT図で水平&傾斜角(30-45°)に沿ってサンプリングし、最大隙間のある方向に線を引き、内5折りサンプリング位置は、最内層正極極板凸面から第5層の正極極板凸面までであり、4折り平均値を取り、6折り後のサンプリング位置は、内層正極極板凸面から外層正極極板凸面までであり、5折りごとに値を取ることを含む。
【0076】
内5層の隙間平均値=[CT測定距離-4*冷間プレス後の負極極板の厚さ*(1+負極極板の反発率)-4*冷間プレス後の正極極板の厚さ(1+正極極板の反発率)-8*セパレータの厚さ]/8
内6-10層以降の隙間平均値=[CT測定距離-5*冷間プレス後の負極極板の厚さ*(1+負極極板の反発率)-5*冷間プレス後の正極極板の厚さ(1+正極極板の反発率)-10*セパレータの厚さ]/10
ここで、負極極板の反発率=(シェル入れ前の負極極板の厚さ-冷間プレス後の負極極板の厚さ)/冷間プレス後の負極極板の厚さであり、
正極極板の反発率=(シェル入れ前の正極極板の厚さ-冷間プレス後の正極極板の厚さ)/冷間プレス後の正極極板の厚さであり、
セパレータ突起両面の高さ=(内5層の隙間平均値+内6-10層以降の隙間平均値)/2である。
【0077】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含む。接着剤ポリマーと可塑剤との両方の共同作用によって接着剤は、良好な感圧特性を有し、さらにセパレータは、良好な感圧特性を有することができ、その≦1MPaの作用での接着力が0.1N/m以下であるため、セパレータの巻き取り及び保管中の層間の接着を回避することができ、及びその≧2MPaの圧力作用で極板と明らかな接着作用が発生できるため、このセパレータを用いて電池コアを製造する時に、常温条件、適切な圧力で極板とセパレータとを密着させることができ、一方では、極板とセパレータとの間に位置ずれが発生して電池コアの廃棄につながり、電池コア性能への影響と安全リスクの発生を回避することができ、他方では従来の電池コア生産プロセスにおけるトンネル炉及び第二の複合プロセスを省略することができ、さらに生産空間と生産時間を節約し、エネルギー消費量を低減させ、電池コア生産の生産能力を明らかに高めることができ、同時に電池コアの整形性能、安全性能と動力学性能を高めることができ、さらにこの電池コアを含む二次電池、及びこの二次電池を含む電力消費装置の安全性能と動力学性能を高める。
【0078】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤に含まれる接着剤ポリマーと可塑剤との質量比は、(4-19):1、例えば(4-18):1、(4-15):1、(4-12):1、(4-11):1、(4-10):1、(4-8):1、(4-6):1であってもよい。接着剤に含まれる可塑剤の相対含有量が上記範囲内にあることで、極板とセパレータが比較的大きい接着力を取得することを保証できるとともに、セパレータの抵抗の増加、二次電池のサイクル性能の低下を招くことがない。
【0079】
ここで、可塑剤の含有量は、日本島津株式会社の計器型番STA449F3熱重量分析装置を採用してもよい。具体的な例として、テスト方法は、以下のとおりである。接着剤約10mgを取り、元の質量をM0とし、200℃まで昇温し、質量をM1とすると、可塑剤の含有量は、M0-M1であり、接着剤ポリマーの含有量は、M0-(M0-M1)である。テスト条件を、温度範囲-100-400℃、窒素ガス雰囲気、10℃/minに設定する。
【0080】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤は、コアシェル構造であってもよく、このコアシェル構造のコアとシェルには、いずれも接着剤ポリマーと可塑剤が含まれてもよく、ここで、コア構造における前記接着剤ポリマーと可塑剤との質量比は、(2-5):1、例えば(3-4):1であってもよく、シェル構造における前記接着剤ポリマーと可塑剤との質量比は、(6-10):1、例えば(7-9):1、(7-8):1であってもよい。コアシェル構造のコアとシェルとは、いずれも接着剤ポリマーと可塑剤から構成され、さらに圧力接着剤の感圧性能を向上させることができ、それによってセパレータの動力学性能をさらに高める。他方で、接着剤には、可塑剤が含まれ、一定の圧力作用(例えば1MPa-2MPa)で、可塑剤は、迅速に接着剤ポリマーとセパレータ主材との間に移行し、接着剤ポリマーを可塑化し、その分子鎖を伸展させ、負極極板における例えばSBR系接着剤、CMCの増粘剤、正極極板における接着剤、例えばPVDFと分子間水素結合作用が発生して界面の湿潤を高め、二つの界面間のリベット作用を補強することができる。≧2MPaの作用で核構造が破砕され、核における可塑剤が解放され、以上の作用をさらに向上させることができる。
【0081】
いくつかの実施の形態では、一部の前記可塑剤は、前記接着剤ポリマーにグラフトされている。例えば、前記可塑剤の重量を基準として、少なくとも5wt%の可塑剤は、前記接着剤ポリマーにグラフトされている。一部の前記可塑剤が前記接着剤ポリマーにグラフトされていると、サイクル中に可塑剤が電解液に大量に移行し、電解液の様々な機能添加剤を消費し、セパレータの抵抗値を増大させ、電池コアの動力学性能に影響を与えることを防止することができる。ここで、少なくとも5wt%の可塑剤が接着剤ポリマー主鎖にグラフトされている場合、セパレータと極板は、「切れているようでつながっている」作用を形成することができ、さらに常温接着の持久性を高め、反発を低減させることができるとともに、サイクル中に過剰な可塑剤が電解液に移行して、電池コア性能に影響を与えることがないことをさらに保証することができる。
【0082】
ここで、可塑剤の前記接着剤ポリマーにおけるグラフト率は、赤外テスト方法で検出してもよく、具体的には、それぞれ接着剤ポリマー、可塑剤、接着剤をテストしてそのフーリエ赤外スペクトログラムを得、接着剤1500cm-1-1700cm-1の位置に接着剤ポリマーと単独した可塑剤と異なるピークが現れ、このピークは、グラフトされた可塑剤を表し、ピーク下の面積は、グラフトされた可塑剤の量を表し、それによって可塑剤のグラフト率を計算して得られる。
【0083】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーの平均粒径は、0.5μm-3.0μm、例えば0.8μm-2.8μm、1μm-2.5μm、1.2μm-2.3μm、1.5μm-2μm、1.8μm-2μmであってもよい。本出願の平均粒径を満たす接着剤ポリマーは、それが複合粒子に均一に分布するのに役立ち、一定の圧力でそれと極板との接着の発揮に役立つ。いくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーの平均粒径は、0.8μm-2μmであってもよい。
【0084】
ここで、接着剤ポリマーの平均粒径は、規格GB/T 19077.1-2016を参照して、レーザー粒度分析計(例えばMalvern Master Size 3000)を用いて測定することができる。
【0085】
いくつかの実施例では、前記接着剤のDSC融点は、-50℃-100℃、例えば-45℃-95℃、-40℃-90℃、-35℃-85℃、-30℃-80℃、-25℃-75℃、-20℃-70℃、-15℃-65℃、-10℃-60℃、-5℃-55℃、0℃-50℃、5℃-45℃、10℃-40℃、15℃-35℃、20℃-30℃、25℃-30℃であってもよい。それによって、上記DSC融点を満たす接着剤は、常温での接着力を保証し、1MPaで接着力が大きすぎてセパレータの巻き取り接着を引き起こすことを回避できるとともに、常温2MPaで接着力が小さすぎてセパレータと極板との接着が弱くなり、電池コアの整形に不利であることを回避する。
【0086】
いくつかの実例によれば、DSC融点は、当分野で公知の意味であり、当分野で公知の計器及び方法で測定してもよく、例えば、ドイツNETZSC社の計器型番がDSC 200F3であるDSC融点テスタを採用してもよい。具体的な例として、テスト方法は、以下のとおりである。約10mgのサンプルを取ってテストする。テスト条件を、温度範囲:-100-200℃、窒素ガス雰囲気、10℃/minに設定する。1回目の昇温を選択すると、吸収ピークに対応する温度は、該当するDSC融点である。
【0087】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーは、以下の第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つの反応モノマーにより形成されるコポリマーを含み、即ち、
第一のモノマー:その融点は、一般的に80℃よりも高く、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:その融点は、一般的に80℃以下であり、アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。選択的に、これらの反応性分散剤のアルコール分解度≧85%であり、平均重合度は、400-2000であり、好ましくはアルコール分解度≧88%であり、平均重合度は、500-1600である。
【0088】
それによって、このように構成される接着剤ポリマーは、適切な膨潤、感圧性と接着性能を有するとともに、適切な弾性率を有し、それによって電池コアは、優れた整形効果、動力学性能と安全性能を有する。
【0089】
説明すべきこととして、本出願では、用語である「アルコール分解度」とは、アルコール分解後に得られた製品における水酸基が元の基に占める百分率であり、単位がモル分率%である。例えば、元の基(エステル基)が100個で、アルコール分解後の水酸基が60個であれば、アルコール分解度は、60%である。
【0090】
説明すべきこととして、本出願では、用語である「平均重合度」とは、ポリマーが重合度の異なる同系ポリマー分子からなることであり、その重合度は、統計的に平均的な意義を有する。最よく使われる平均重合度を表す方法は、二つあり、分子数で平均して得られる重合度は、数平均重合度と呼ばれ、重量で平均して得られる重合度は、重量平均重合度と呼ばれる。本出願では前記「平均重合度」は、数平均重合度である。
【0091】
いくつかの実施の形態では、前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテル又はモノエーテル、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステル又はジエステル、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルとグリセロールのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、接着剤は、以下の合成方法で合成されてもよく、以下のステップを含む。
【0093】
ステップ1、溶媒(例えば脱イオン水)に、0.1質量%-1質量%(接着剤を合成する時に加える反応モノマー混合物(第一のモノマーと、第二のモノマーと、第三のモノマーと、反応性分散剤とを含む)、助剤(乳化剤と、安定剤と、水性開始剤とを含む)と可塑剤の総重量に対して、以下同じである)の乳化剤(例えばアリルスルホン酸塩)、2質量%-3質量%、数平均分子量≦1000であり、融点が0℃-30℃であるオリゴマー(例えばオクタデシルメタクリレート)を順に加え、ホモジナイザーの回転速度を8000r/min-12000r/min、例えば10000r/minに制御して分散させ、分散時間は、20min-60min、例えば50minであってもよく、分散反応温度は、20℃-40℃、例えば25℃であり、第一の混合液を得る。
【0094】
ステップ2、第一の混合液に1質量%-4質量%の安定剤を加え、例えば、ポリエチレンオキシド、アリルポリエーテルサルフェート、メチレンコハク酸(イタコン酸)、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウムとナノセルロースナトリウムのうちの少なくとも一つを含み、ホモジナイザーの回転速度を6000r/min-8000r/min、例えば6500r/minに制御して混合し、時間は、20min-60min、例えば30minであり、混合反応温度は、20℃-60℃、例えば45℃であり、第二の混合液を得る。
【0095】
ステップ3、第二の混合液に0.05質量%-0.5質量%の水性開始剤を加え、例えば、炭酸水素ナトリウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシピバレート、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルとアゾビスイソヘプトニトリルのうちの少なくとも一つを含む。ホモジナイザーの回転速度を8000r/min-12000r/min、例えば8000r/minに制御して混合し、時間は、20min-60min、例えば30minである。反応温度は、60℃-80℃、例えば72℃であり、第三の混合液を得る。
【0096】
ステップ4、ホモジナイザーの回転速度が100r/min-1000r/min、例えば400r/minである条件で、第三の混合液に35質量%-45質量%の反応モノマー混合物を段階的に均一に滴下し(60minでちょうど滴下が完了するように制御し)、反応時間は、80min-100min、例えば80minであり、第四の混合物を得る。
【0097】
ステップ5、第四の混合物を、反応温度が80℃-90℃、例えば84℃であり、ホモジナイザーの回転速度が12000r/min-18000r/min、例えば15000r/minである条件で反応させ続け、時間は、120min-240min、例えば180minであり、第五の混合物を得る。
【0098】
ステップ6、第五の混合物に10質量%-20質量%の可塑剤、例えばグリセロールを加え、反応温度を80℃-90℃、例えば84℃に制御し、ホモジナイザーの回転速度を12000r/min-18000r/min、例えば15000r/minに制御し、反応時間は、120min-240min、例えば180minであり、第六の混合物を得る。
【0099】
ステップ7、第六の混合物に0.05質量%-0.5質量%の水性開始剤、例えば過硫酸アンモニウム-炭酸水素ナトリウムを加える。ホモジナイザーの回転速度を8000r/min-12000r/min、例えば8000r/minに制御し、時間は、20-60min、例えば30minである。反応温度は、60℃-80℃、例えば72℃であり、第七の混合物を得る。
【0100】
ステップ8、ホモジナイザーの回転速度が100r/min-1000r/min、例えば400r/minである条件で、第七の混合物に30質量%-40質量%の反応モノマー混合物を段階的に均一に滴下し(60minでちょうど滴下が完了するように制御し)、反応時間は、100min-160min、例えば120minであり、第八の混合物を得る。
【0101】
ステップ9、第八の混合物に5質量%-20質量%の可塑剤、例えばグリセロールを加え、制御反応温度は、80℃-90℃、例えば84℃であり、ホモジナイザーの回転速度は、12000r/min-18000r/min、例えば15000r/minであり、時間は、120min-240min、例えば180minであり、第九の混合物を得る。
【0102】
ステップ10、第九の混合物の温度を50℃以下まで降温し、濾過して排出すると、コアシェル構造の接着剤を得る。当業者は、上記の方法を参照して(ステップ7-ステップ9を省略し、それに応じて添加する可塑剤と反応モノマー混合物との質量分数を変更する)非コアシェル構造の接着剤を合成して取得することもできる。
【0103】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子と前記接着剤における固形分の質量比は、(80-90):(5-20)、例えば(80-90):(6-20)、(80-90):(7-18)、(80-90):(8-15)、(80-90):(9-11)、(80-90):10、(81-89):(5-20)、(82-88):(5-20)、(83-87):(5-20)、(84-86):(5-20)、85:(5-20)である。発明者は、コーティングにおける複合粒子と接着剤とをこの割合で混合することで、一方で電池の安全性能とエネルギー密度を同時に向上させることができ、他方で、セパレータと極板との間の接着性を適切にし、それによって電池の動力学性能を向上させることを発見した。別のいくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子と前記接着剤の質量比は、(85-90):(8-15)である。
【0104】
いくつかの実施の形態では、図4を参照すると、本出願のセパレータコーティングでは、有機粒子をさらに含んでもよく、即ちセパレータコーティングは、複合粒子と、接着剤と、有機粒子とを含み、ここで、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリトリフルオロクロロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキサイド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とエチレンモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸類モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート類モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記有機粒子と前記複合粒子とは、前記コーティング表面に前記突起を形成する。それによって、電池のサイクル性能と安全性能を向上させることができる。
【0105】
いくつかの実施の形態では、図4を参照すると、本出願のセパレータコーティングの有機粒子は、第三の凝集体を形成する。ここで、前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μm、例えば5μm-28μm、5μm-25μm、5μm-22μm、5μm-20μm、5μm-18μm、5μm-15μm、5μm-12μm、5μm-10μm、5μm-8μm、5μm-6μmなどである。
【0106】
いくつかの実施の形態では、図4を参照すると、前記第三の凝集体には、一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間には、隙間を有する。この隙間をイオン伝送チャンネルとしてもよく、それによってセパレータのイオン電導率を向上させる。いくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nm、例えば50nm-375nm、75nm-375nm、100nm-350nm、125nm-325nm、150nm-300nm、175nm-275nm、200nm-250nm、200nm-225nmなどであり、別のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、100nm-200nmである。
【0107】
本出願では、Dv50とは、累計体積分布百分率が50%に達した時に対応する粒径であり、Dv10とは、累計体積分布百分率が10%に達した時に対応する粒径である。本出願では、複合粒子のDv10、複合粒子のDv50は、いずれもレーザー回折粒度分析法を採用して測定してもよい。例えば、規格GB/T 19077-2016を参照し、レーザー粒度分析計(例えばMalvern Master Size 3000)を用いて測定する。一次粒子形態の無機粒子のDv50、一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50、二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、セパレータSEM図から統計してもよく、例えば10Kxの倍率のセパレータSEM図を取り、各サンプルは、5個の並行サンプルを用い、各並行サンプルは、10個の位置を用い、各位置に20個の点を選択して統計し、最後に平均値をとると、対応する粒径である。第一の凝集体のDv50、第二の凝集体のDv50及び第三の凝集体のDv50は、前記セパレータのCP図を用いて統計してもよく、例えば5Kxの倍率のセパレータCP図を取り、各サンプルは、5個の並行サンプルを用い、各並行サンプルは、10個の位置を用い、各位置に20個の点を選択して統計し、最後に平均値をとると、対応する粒径である。
【0108】
いくつかの実施の形態では、前記複合粒子と有機粒子との質量比は、(20~90):(0~70)であり、例えば前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20~90):(5~65)、(20~90):(10~60)、(20~90):(20~50)、(20~90):(30~40)、(30~80):(0~70)、(40~70):(0~70)、(50~60):(0~70)、(30~80):(5~65)、(40~65):(10~55)、(45~60):(20~45)、(55~60):(30~45)である。それによって、電解液の浸潤性及び分布均一性を向上させ、電池の高温保管性能を改善し、電池の安全性能とサイクル性能を高めることができる。別のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(45~90):(0~45)である。それによって、電池の安全性能とサイクル性能を高めることができる。
【0109】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングには、他の有機化合物がさらに含まれてもよく、例えば、耐熱性を改善するポリマー、分散剤、潤湿剤及び他の種類の接着剤などが含まれてもよい。上記他の有機化合物は、コーティングにおいていずれも非粒子状の物質である。本出願は、上記他の有機化合物の種類に対して特に限定せず、良好な改善性能を有する任意の公知の材料を選択して使用することができる。
【0110】
いくつかの実施の形態では、単位面積のセパレータ上の単面コーティング重量は、0.2g/m-2g/m、例えば0.5g/m-1.8g/m、0.7g/m-1.5g/m、1g/m-1.5g/m、1g/m-1.2g/mである。
【0111】
本出願では、基材は、良好な化学安定性と機械安定性を有する多孔質構造の膜材料である。いくつかの実施の形態では、基材は、単層膜材料であってもよく、多層複合膜材料であってもよい。基材が多層複合膜材料である場合、各層の材料は、同じであっても又は異なってもよい。
【0112】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィドとポリエチレンナフタレンのうちの一つ又は複数を含む多孔質膜又は多孔質不織ウェブであってもよい。別のいくつかの実施の形態では、前記基材は、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む多孔質膜又は多孔質不織ウェブである。上記基材を選択してセパレータを製造することにより、基材が接着剤を介してコーティングと結合し、適度に緻密で、多孔質で且つリチウムイオンを伝導可能なセパレータを形成するのに有利である。
【0113】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、10%-95%、例えば15%-90%、20%-85%、25%-80%、30%-75%、35%-70%、40%-65%、45%-60%、50%-55%の空隙率を有し、別のいくつかの実施の形態では、本出願のセパレータの基材は、35%-45%の空隙率を有する。それによって、セパレータのイオン伝導性能を向上させると同時に、正極極板、負極極板が接触する確率を低減させることができる。いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、0.1μm-50μm、例えば0.5μm-50μm、1μm-45μm、5μm-40μm、10μm-35μm、15μm-30μm、20μm-25μmの穴径を有する。別のいくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、0.1μm-5μmの穴径を有する。上記穴隙構造を有する基材を選択することにより、セパレータは、良好なイオン伝導性能を有し、正極極板、負極極板が直接接触する確率を低減させ、さらに電池コアの動力学と安全性能を高める。
【0114】
いくつかの実施の形態では、前記基材の厚さ≦10μmであり、例えば前記基材の厚さは、5μm-10μm、5μm-9μm、7μm-10μmであってもよい。前記基材の厚さを所定の範囲内に制御する場合、電池のサイクル性能と安全性能を確保する前提で、さらに電池エネルギー密度を向上させることができる。
【0115】
いくつかの実施例によれば、ポリアクリレート粒子、有機粒子と接着剤の物質種類は、当分野で既知の機器と方法を採用してテストしてもよい。例えば、材料の赤外スペクトルをテストし、それに含まれる特徴ピークを決定してもよく、それによって材料の種類を決定する。具体的には、当分野で公知の計器及び方法、例えば赤外分光計を用いて有機粒子に対して赤外スペクトル分析を行ってもよく、例えば米国ニコレット(Nicolet)社のIS10型フーリエ変換赤外分光計を採用して、GB/T6040-2002赤外スペクトル分析方法通則に従ってテストする。
【0116】
本出願の第二の態様は、セパレータの製造方法をさらに提供し、この方法は、
基材を提供するステップ(1)と、
前記基材の少なくとも一部の表面に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成するステップ(2)とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、前記無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす。
【0117】
具体的には、基材、複合粒子と接着剤は、上記記述と同じであり、ここでこれ以上説明しない。
【0118】
いくつかの実施の形態では、セパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングは、前記基材の一つの表面にのみ設置される。
【0119】
いくつかの実施の形態では、セパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングは、前記基材の二つの表面に同時に設置される。
【0120】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2)は、複合粒子と接着剤とを含むコーティングスラリーを提供するステップ(2-1)と、前記コーティングスラリーを前記基材の少なくとも一方側に塗布して乾燥し、前記セパレータを得るステップ(2-2)とを採用して行ってもよい。
【0121】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーにおける溶媒は、水、例えば脱イオン水であってもよい。
【0122】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーは、他の有機化合物をさらに含んでもよく、例えば、耐熱性を改善するポリマー、分散剤、潤湿剤、エマルジョン状の接着剤をさらに含んでもよい。ここで、他の有機化合物は、乾燥後のコーティングにおいていずれも非粒子状である。
【0123】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーは、有機粒子をさらに含んでもよく、前記有機粒子と前記複合粒子とは、共同でコーティング表面に前記突起を形成し、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリトリフルオロクロロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキサイド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とエチレンモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸類モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート類モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含む。
【0124】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-2)において、前記塗布は、コータを採用して実施される。
【0125】
本出願の実施例では、コータの型番に特別な制限がなく、市販のコータを採用してもよい。
【0126】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-2)において、前記塗布は、トランスファーコート、ロータリースプレーコート、浸漬コートなどのプロセスを採用してもよく、例えば前記塗布は、トランスファーコートを採用する。
【0127】
いくつかの実施の形態では、前記コータは、グラビアロールを含み、前記グラビアロールは、コーティングスラリーを基材に移転するために用いられる。
【0128】
上記各プロセスパラメータを所定の範囲内に制御することで、本出願のセパレータの使用性能をさらに改善することができる。当業者は、実際の生産状況に応じて、上記の一つ又はいくつかのプロセスパラメータを選択的に調整することができる。
【0129】
上記基材、複合粒子、接着剤と有機粒子は、いずれも市販から入手することができる。
【0130】
本出願の第三の態様は、電池を提供し、この電池は、上記第一の態様のセパレータ又は第二の態様を採用して製造されたセパレータを含む。
【0131】
電池とは、放電後に充電する方式で活物質をアクティブ化させて使用し続けることができる電池である。
【0132】
一般的には、電池は、正極極板と、負極極板と、セパレータと、電解質とを含む。電池の充放電中に、活性イオンは、正極極板と負極極板との間で往復して吸蔵と離脱する。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設置され、隔離の役割を果たす。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。
【0133】
[正極極板]
電池においては、前記正極極板は、一般的には正極集電体及び正極集電体上に設置される正極膜層を含み、前記正極膜層は、正極活物質を含む。
【0134】
前記正極集電体は、従来の金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい(金属材料を高分子基材上に設置して複合集電体を形成してもよい)。例として、正極集電体は、アルミニウム箔を採用してもよい。
【0135】
前記正極活物質の具体的な種類を制限せず、当分野において既知の電池正極に使用できる活物質を採用してもよく、当業者は、実際の需要に応じて選択することができる。
【0136】
例として、前記正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩及びそれぞれの改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。リチウム遷移金属酸化物の例は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物及びその改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例は、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料及びその改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。これらの材料は、いずれも商業的な方法によって入手することができる。
【0137】
上記各材料の改質化合物は、材料に対してドーピング改質及び/又は表面被覆改質を行うものであってもよい。
【0138】
前記正極膜層は、一般的にはさらに選択的に接着剤、導電剤と他の選択的な助剤を含む。
【0139】
例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、Super P(SP)、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0140】
例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water-based acrylic resin)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-醋酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0141】
[負極極板]
電池においては、前記負極極板は、一般的には負極集電体及び負極集電体上に設置される負極膜層を含み、前記負極膜層は、負極活物質を含む。
【0142】
前記負極集電体は、従来の金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい(例えば金属材料を高分子基材上に設置して複合集電体を形成してもよい)。例として、負極集電体は、銅箔を採用してもよい。
【0143】
前記負極活物質の具体的な種類を制限せず、当分野において既知の電池負極に使用できる活物質を採用してもよく、当業者は、実際の需要に応じて選択することができる。例として、前記負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコーン系材料とスズ系材料のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。前記シリコーン系材料は、シリコーン単体、シリコーン酸化物(例えば亜酸化ケイ素)、シリコーン炭素複合体、シリコーン窒素複合体、シリコーン合金のうちの一つ又は複数を含んでもよい。前記スズ系材料は、単体スズ、スズ酸化合物、スズ合金のうちの一つ又は複数を含んでもよい。これらの材料は、いずれも商業的な方法によって入手することができる。
【0144】
いくつかの実施の形態では、電池のエネルギー密度をさらに向上させるために、前記負極活物質は、シリコーン系材料を含んでもよい。
【0145】
前記負極膜層は、一般的にはさらに選択的に接着剤、導電剤と他の選択的な助剤を含む。
【0146】
例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0147】
例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water-based acrylic resin)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-醋酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0148】
例として、他の選択的な助剤は、増粘剤及び分散剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムCMC-Na)、PTCサーミスタ材料を含んでもよい。
【0149】
[電解液]
電池は、電解液を含んでもよく、電解液は、正極と負極との間でイオンを伝導する作用を果たす。前記電解液は、電解質塩と溶媒とを含んでもよい。
【0150】
例として、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiDFOB)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LiDFOP)及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム(LiTFOP)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0151】
例として、前記溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、エチルメチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0152】
いくつかの実施の形態では、電解液には、添加剤がさらに含まれる。例えば、添加剤は、負極膜形成添加剤を含んでもよく、正極膜形成添加剤を含んでもよく、さらに、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤を含んでもよい。
【0153】
いくつかの実施の形態では、電池は、リチウムイオン二次電池であってもよい。
【0154】
本出願の実施例は、電池の形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。図5は、一例としての四角形構造の電池1である。
【0155】
いくつかの実施の形態では、電池は、外装体を含んでもよい。この外装体正極極板、負極極板と電解質をパッケージングするために用いられる。
【0156】
いくつかの実施の形態では、外装体は、ケースとカバープレートとを含んでもよい。ここで、ケースは、底板と底板に接続される側板を含んでもよく、底板と側板は囲んで収容キャビティ形成する。ケースは、収容キャビティと連通する開口を具有し、カバープレートは、前記収容キャビティを密閉するように前記開口に蓋設されることが可能である。
【0157】
正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリを形成することができる。電極アセンブリは、前記収容キャビティにパッケージングされる。電解質は、電解液を採用してもよく、電解液は、電極アセンブリに浸潤される。電池に含まれる電極アセンブリの数は、一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調節することができる。
【0158】
いくつかの実施の形態では、電池の外装体は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースであってもよい。
【0159】
電池の外装体は、パウチ、例えば袋状パウチであってもよい。パウチの材質は、プラスチックであってもよく、例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0160】
いくつかの実施の形態では、電池は、電池モジュールに組み立てられることが可能であり、電池モジュールに含まれる電池の数は、複数であってもよく、具体的な数は、電池モジュールの応用と容量に応じて調節することができる。
【0161】
図6は、一例としての電池モジュール2である。図6を参照すると、電池モジュール2において、複数の電池1は、電池モジュール2の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、他の任意の方式で並べてもよい。さらには、締結具によってこれらの複数の電池1を固定することができる。
【0162】
電池モジュール2は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池1は、この収容空間に収容される。いくつかの実施の形態では、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの応用と容量に応じて調節することができる。
【0163】
図7と8は、一例としての電池パック3である。図7と8を参照すると、電池パック3には、電池ボックスと電池ボックスに設置される複数の電池モジュール2が含まれてもよい。電池ボックスは、上部筐体4と下部筐体5と含み、上部筐体4は、下部筐体5に蓋設され、電池モジュール2を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール2は、任意の方式で電池ボックスに並べられてもよい。
【0164】
[電力消費装置]
本出願は、電力消費装置をさらに提供し、前記電力消費装置は、電気エネルギーを提供するための前記電池を含む。具体的には、前記電池は、前記電力消費装置の電源としてもよく、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとしてもよい。前記電力消費装置は、移動体機器(例えば携帯電話、ノートパソコン)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラック)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムであってもよいが、それらに限らない。
【0165】
図9は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車である。
【0166】
別の例の電力消費装置として、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンであってもよい。この電力消費装置は、一般的には薄型化を要求し、電源として電池を採用してもよい。
【0167】
本出願の実施例によって解決される技術問題、技術案及び有益な効果をより明瞭にするために、以下では実施例と図面を結び付けてさらに詳細に説明する。明らかに、記述された実施例は、ただ本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。以下は、少なくとも1つの例示的な実施例の記述は、実際にはただ説明的なものであり、本出願及びその応用のいかなる制限にもならない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を伴わずに得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0168】
一、セパレータの製造
(1)PE基材を提供し、その厚さは、9μmであり、穴径は、50nmであり且つ空隙率は、38%である。
【0169】
(2)コーティングスラリーの配合:複合粒子、接着剤(そのガラス化移転温度は、約10℃であり、質量比が5:1である接着剤ポリマー(平均粒径は、1.1μmである)と可塑剤(ここで、可塑剤の重量に対して、8wt%の可塑剤は、接着剤ポリマーにグラフトされている)及び若干の脱イオン水を含み、ここで、接着剤ポリマーは、30%アクリル酸イソブチル+25%アクリル酸イソオクチル+5%メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル+15%スチレン+22%アクリロニトリル+3%ポリビニルアルコールコポリマーであり、可塑剤は、グリセロールである)(複合粒子と接着剤の固体質量比は、90:10である)と有機粒子を適量の溶媒脱イオン水に均一に混合し、固形分12%(重量を基準とする)のコーティングスラリーを得る。
【0170】
(3)ステップ(2)で配合されたコーティングスラリーをコータでPE基材の2つの表面に塗布した後に乾燥し、ここで、乾燥温度は、50℃であり、乾燥時間は、25sである。
【0171】
ここで、上記複合粒子は、下列ステップを採用して製造される。
【0172】
a、室温で、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル29wt%、アクリル酸n-ブチル35wt%、メタクリル酸メチル5wt%、トリメチロールプロパントリアクリレート1wt%、アクリロニトリル20wt%とアクリルアミド10wt%の重量百分率の割合で必要なモノマーを均一に攪拌して混合し、混合モノマーを得、
b、機械攪拌装置、温度計と凝縮管が入っている10Lの四口フラスコに混合モノマー2kg、ラウリル硫酸ナトリウム乳化剤60g、過硫酸アンモニウム開始剤20gと脱イオン水2.40kgを加え、1600rpmの回転速度で30min攪拌乳化し、そして窒素ガス保護で75℃まで昇温し、4h反応した後、濃度が1wt%であるNaOH水溶液を用いてpH=6.5に調節し、即座に40℃以下に降温して排出すると、エマルジョン状態の有機ポリマーが得られ、その固形分は、約45wt%であり、
c、上記有機ポリマー乾燥重量と酸化アルミニウムとを質量比9:1の割合で適量の脱イオン水に加え、1h攪拌して十分に混合した後、噴霧乾燥を経て溶媒を除去し、粉末を得た。そして研磨粉砕を経て、Dv50が5μmである複合粒子を得る。
実施例で使用された材料は、いずれも市販から入手されてもよい。例えば、
有機粒子は、乳源東陽光弗樹脂有限公司から購入されてもよく、
接着剤は、四川茵地楽科技有限公司から購入されてもよく、
基材は、上海恩捷新材料有限公司から購入されてもよい。
【0173】
セパレータ1-50の製造プロセスにおける対応するパラメータを表1-5に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
【表2】
【0176】
【表3】
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【0179】
二、電池の製造
実施例1
1、正極極板の製造
正極活物質であるLiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811)、導電剤カーボンブラック(Super P)、接着剤であるポリビニリデンフルオライド(PVDF)を質量比96.2:2.7:1.1で適量の溶媒N-メチルピロリドン(NMP)に均一に混合し、正極スラリーを得、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔に塗布し、乾燥、冷間プレス、ストリップ、裁断の工程を経て、正極極板を得た。正極面密度は、0.207mg/mmであり、圧密密度は、3.5g/cmである。
【0180】
2、負極極板の製造
負極活物質である人造黒鉛、導電剤であるカーボンブラック(Super P)、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を質量比96.4:0.7:1.8:1.1で適量の溶媒脱イオン水に均一に混合し、負極スラリーを得、負極スラリーを負極集電体銅箔に塗布し、乾燥、冷間プレス、ストリップ、裁断の工程を経て、負極極板を得た。負極面密度は、0.126mg/mmであり、圧密密度は、1.7g/cmである。
【0181】
3、セパレータ
セパレータは、上記製造されたセパレータ1を採用した。
【0182】
4、電解液の製造
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)を質量比3:5:2で混合し、有機溶媒を得、十分に乾燥した電解質塩LiPFを上記混合溶媒に溶解し、電解質塩の濃度は、1.0mol/Lであり、均一に混合した後に電解液を得た。
【0183】
5、電池の製造
正極極板、セパレータ、負極極板を順番に積層し、セパレータが正、負極極板の間に位置して隔離の役割を果たすようにし、そして捲回して電極アセンブリを得、電極アセンブリを外装体に置き、上記製造された電解液を乾燥後の二次電池に注入し、真空パッケージング、静置、化成、整形の工程を経て、二次電池を得た。
【0184】
実施例2-42及び比較例1-8の二次電池は、実施例1の電池の製造方法と似ており、相違点は、異なるセパレータを使用することであり、実施例2-42の二次電池は、セパレータ2-42を採用し、比較例1-8の二次電池は、セパレータ43-50を採用する。
【0185】
三、セパレータの接着性能評価
テストプロセスは、以下のとおりである。
【0186】
1.製造された長300mm×幅100mmのセパレータ及び上記で製造された正極極板と負極極板を選択した。
【0187】
2.セパレータの上下を紙で包み、ナイフダイスとプレス機を用いて54.2mm×72.5mmのサンプルに切り抜いた。
【0188】
3.切り抜いたセパレータサンプルと正極極板整とを整然と積層し、上下にそれぞれ大きさ130mm×130mmのテフロン(teflon)を敷き、積層したサンプルを200mm×200mmのボール紙の中間に置き、また150mm×160mmのボール紙を1枚被せた。
【0189】
4.積層したサンプルを平板プレスに入れて圧力を調整し、気圧を調整しておき、平板プレス圧力=3500KG±10KG(接触面積は、約50mm×100mmであり、換算後の実際の圧力は、約7MPaである)、T=25℃に設定し、時間を10sに設定し、プレスした。
【0190】
5.ナイフダイスとプレス機を用いて熱プレスしたサンプルを72.5mm×15mmの小片に切り抜いた。
【0191】
6.正極極板の一面を両面テープで鋼板に貼り付けて固定し、別の面にセパレータが接着されており、両面テープを用いて幅15mmのA4紙をセパレータと貼り合わせて、テストサンプルの製作が完了した。
【0192】
7.高鐵(Gotech)引張機をオンにし、パラメータを順に、接着力テスト、速度50mm/min、開始治具ピッチ40mmに設定した。
【0193】
8.テストサンプルを治具の間に置き、鋼板の末端を下コレットに固定し、A4紙を上コレットに固定した。上下端コレットは、それぞれ治具でクランプされた。
【0194】
9.コンピュータデスクトップストレッチする操作界面をクリックし、力、変位などをクリアし、そして「開始」をクリックして、約5mmのプリストレッチを行い、プリストレッチ後、力、変位などを再びクリアし、テストを開始した。テストの際に、極板を固定する鋼板を固定し、引張機は、A4紙を上方に引張り、セパレータと正極極板とを剥離させた。
【0195】
テストが完了したら、完全なデータをエクスポートして保存した。
【0196】
10.各組は、少なくとも5本のテストサンプルを測定するとともに、5本のテストサンプルの接着力テストの曲線繰り返し性が比較的に良い場合、次の組のテストを行った。そうでなければ、5本のテストサンプルの繰り返し性が比較的に良くなるまで、テストを再実施する必要があった。
【0197】
11.テスト完了後、接着強度(N/m)-変位曲線を作成し、100番目から300番目のデータ点の平均値を接着力とし、測定して得られた接着力をFとした。
【0198】
12.ステップ1~11を繰り返し、ここで、ステップ4において圧力を1500Kg±10KG(換算後の実際の圧力は、約3MPaに相当する)に変更し、温度Tを95℃に変更し、得られた接着力をF2とした。
【0199】
四、セパレータ圧縮弾性率テスト方法:
サンプル前処理:
1、ナイフダイスでセパレータを切り抜き、積層順序は、ナイフダイス/白紙/セパレータ/白紙/ブリケットであり、1回に5層を切り抜き、100層を一組とし、3組の並行サンプルを作成し、サンプルサイズは、60*70mmであり、
2、ギロチンで切り抜いてサイズ90*200mmのアルミニウムプラスチックフィルムを得、
3、アルミニウムプラスチックフィルムを長手方向に沿って二つ折りにし、切り抜いたセパレータサンプルをグリーン接着剤で四辺の中心位置を固定し、Pocket袋に入れ、
4、トップシーラを用いて、サイドシールしてサンプルの2つの長辺をシールし、真空抜きしてトップをパッケージングし、シーラの加熱温度は、185℃であり、
5、パッケージングされたサンプルの中心位置にスペーサを置き、枠を描いてマークし、
6、万分尺を用いてマーク位置内のセパレータの厚さを、長辺4つの点、短辺3つの点で測定した。
【0200】
サンプルテスト:
1、インサイチュ膨張テストシステムIEST SWE2110をオンにし、操作ソフトウェアMISS、圧力補正をオンにし、圧縮実験(過渡性)、厚さ補正を選択し、
2、サンプルを上下治具に置き、上治具を移動させ、上治具がサンプルの枠を描いてマークする位置にあることを確保し、
3、MISSソフトウェアをクリックすると実験を開始し、テストが完了した後に、サンプルの厚さM1を測定し、マーカーでサンプルの上下両面の治具の圧痕位置をマークし、
4、ステップ2-3を繰り返し、再びテストした。
【0201】
データ処理:
1、応力=圧力*10/治具面積、変形量=初期厚さ(M1)-リアルタイム厚さ、歪み=変形量/初期厚さ、
2、歪みを横座標とし、応力を縦座標とし、応力-歪み曲線を作成し、応力/歪み曲線3MPa-5MPa線形フィッティングにより、セパレータ圧縮弾性率が得られた。
【0202】
五、セパレータの抵抗性能評価
テストプロセスは、以下のとおりである。
【0203】
(1)セパレータの準備:各測定セパレータを大きさの同じなサンプル(45.3mm*33.7mm)に裁断し、サンプルを60℃の環境に置いて少なくとも4h焼成し、そして25℃百級のクリーニンググローブボックスに迅速に転入して予備とし、
(2)対称電池閉じ込め性Pocket袋(対称電池閉じ込め性アルミニウムプラスチック袋(アルミニウムプラスチック袋は、パウチセル用のポリプロピレンとアルミニウム箔を複合した汎用商品である))の製造:Cu Foil対Cu Foil(銅箔対銅箔)を集電体として組み立てた空白対称電池を採用した。このPocket袋の閉じ込め性は、グリーン接着剤中間打ち抜きによって実現された。Pocket袋は、使用する前に60℃の環境で少なくとも4h焼成し、そして上記(1)に記載の25℃百級のクリーニンググローブボックスに迅速に転入して予備する必要があり、
(3)対称電池の組み立て:陽極極板を電極として、上記(1)に記載のグローブボックスにおいてそれぞれ異なるセパレータレイヤ数(1、2、3、4、5層)のある5組の対称電池サンプルを元の位置で組み立て、各組のサンプルは、5つの並行サンプルがあり、簡易パッケージング機でPocket袋をサイドシールし、ピペットガンで注液し(300μL)、ボトムシールし、
(4)組み立てられた対称電池への治具の取り付け:電解液がセパレータに十分に浸潤するように、組み立てられた対称電池を上記(1)に記載のグローブボックスに一晩置き、翌日、金属治具を取り付け、治具の圧力を0.7MPaに制御し、
(5)電気化学インピーダンス分光(EIS)の測定:
測定する前に、異なるセパレータレイヤ数のある対称電池を高低温箱に入れて25℃の恒温を半時間維持し、設定温度(25℃)でのEISを測定し(低温(例えば-25℃-0℃)の場合、恒温の時間を、それに応じて例えば2時間程度延長することができ)、
(6)フランスBio-Logic VMP3電気化学作動ステーションを採用し、電圧<5V、電流<400mA、電流精度:0.1%*100μAである。測定時、EISの測定条件を電圧周波数1MHz-1kHzに設定し、外乱電圧を5MVに設定し、治具の圧力を0.7MPaに制御し、
(7)EISデータの実部を負虚部に対してスキャッタグラムを作成するとともに、異なるレイヤ数と同じレイヤ数の並行サンプルのデータを1枚のグラフ上に描画して得られたEIS図をEIS生データと比較し、
(8)上記(7)で得られたEIS図から第一の象限以外の点を取り除き、新たなEIS図を得た。前記新たなEIS図において第一の象限のプロットを線形フィッティングし、関連式を得、y=0とすると、x値が得られ、必要な電解液のセパレータにおける抵抗値である。順に類推すると、測定して得られたEISデータを線形フィッティング処理すれば異なるレイヤ数の並行サンプル間の抵抗値が得られる。
【0204】
六、電池性能テスト
1、付勢力0.1Mpaでの二次電池のサイクル性能
(1)25℃サイクル性能
25℃で、実施例と比較例の製造で得られた二次電池を三枚の鋼治具で固定し、治具と電池との間に1mmの片側断熱パッドがあり、0.1MPaの付勢力を付加し、そして1C倍率の定電流で充電遮断電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cまで充電し、5min静置し、さらに0.33C倍率の定電流で放電遮断電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量をCとして記録した。この方法で電池を1500サイクル充放電し、1500サイクル後の電池容量をCとして記録した。
【0205】
電池の25℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%
(2)45℃サイクル性能
45℃で、実施例と比較例の製造で得られた二次電池を三枚の鋼治具で固定し、治具と電池との間に1mmの片側断熱パッドがあり、0.1MPaの付勢力を付加し、そして1C倍率の定電流で充電遮断電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cまで充電し、5min静置し、さらに0.33C倍率の定電流で放電遮断電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量をCとして記録した。この方法で電池を1500サイクル充放電し、この時の電池容量をCとして記録した。
【0206】
電池45℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%
2、付勢力0.5Mpaでの二次電池のサイクル性能
(1)25℃サイクル性能
25℃で、実施例と比較例の製造で得られた二次電池を三枚の鋼治具で固定し、治具と電池との間に1mmの片側断熱パッドがあり、0.5MPaの付勢力を付加し、そして1C倍率の定電流で充電遮断電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cまで充電し、5min静置し、さらに0.33C倍率の定電流で放電遮断電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量をCとして記録した。この方法で電池を1500サイクル充放電し、1500サイクル後の電池容量をCとして記録した。
【0207】
電池の25℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%
(2)45℃サイクル性能
45℃で、実施例と比較例の製造で得られた二次電池を三枚の鋼治具で固定し、治具と電池との間に1mmの片側断熱パッドがあり、0.5MPaの付勢力を付加し、そして1C倍率の定電流で充電遮断電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cまで充電し、5min静置し、さらに0.33C倍率の定電流で放電遮断電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量をCとして記録した。この方法で電池を1500サイクル充放電し、この時の電池容量をCとして記録した。
【0208】
電池45℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%である。
【0209】
表6には、測定して得られた実施例1-42と比較例1-8のセパレータと電池性能データが示される。
【0210】
【表6】
【0211】
表6から分かるように、25℃、7MPaで実施例1-42におけるセパレータが正極に対する接着力は、0.2N/m-1.5N/mの間にあり、95℃、3MPaで実施例1-42におけるセパレータが正極に対する接着力は、0.4N/m-5.5N/mの間にあるとともに、実施例1-42のセパレータの抵抗は、2.3Ω以下であり、圧縮弾性率は、50Mpa-82Mpaの間にあり、実施例1-42の電池の付勢力0.1MPaと付勢力0.5MPaでのサイクル容量保持率は、いずれも比較例1-8よりも優れており、それによって本出願を採用したセパレータと極板との間の接着力が適切であり、且つ抵抗が比較的低く、それによって電池の動力学性能と安全性能を向上させることができることを示した。
【0212】
最後に説明すべきこととして、以上の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述の各実施例を参照して本出願について詳細に説明したが、当業者は、依然として前述の各実施例に記載された技術案を修正し、又はそのうちの一部の又はすべての技術的特徴に対して同等の置き換えを行うことができるが、これらの修正又は置き換えによって、該当する技術案の本質が本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱することがなく、いずれも本出願の請求項と明細書の範囲に含まれるべきであると理解すべきである。特に、構造的衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各項の技術的特徴は、いずれも任意の方式で組み合わされてもよい。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれるすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0213】
1 二次電池
2 電池モジュール
3 電池パック
4 上部筐体
5 下部筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータであって、
基材と、
前記基材の少なくとも一部の表面に形成されるコーティングとを含み、
前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす、セパレータ。
【請求項2】
a/b値は、1-2.1、好ましくは1-1.4である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記複合粒子のDv50は、≧2.5μm、好ましくは2.5μm-10μm、より好ましくは3μm-8μmである、請求項1又は2に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記複合粒子は、第一の凝集体を含み、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの前記無機粒子を含む、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項5】
0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である、請求項4に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記複合粒子は、一次粒子形態の無機粒子を含む、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記一次粒子形態の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μmであり、好ましくは0.5μm-1μmである、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μm、好ましくは1μm-2μmである、請求項8に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含む、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nm、好ましくは100nm-200nmである、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μm、好ましくは5μm-8μmである、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項13】
前記複合粒子における前記無機粒子の含有量は、1wt%-50wt%であり、選択的に1wt%-40wt%であり、さらに選択的に2wt%-15wt%であり、最も好ましくは5wt%-15wt%である、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項14】
前記突起の両面の高さは、15μm-60μmである、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項15】
前記突起の表面は、前記第一の凝集体を有する、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項16】
前記ポリアクリレート粒子のガラス化移転温度は、20℃-80℃、好ましくは25℃-65℃である、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項17】
前記複合粒子の前記コーティングにおける面積被覆率は、10%-25%である、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項18】
前記無機粒子は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数を含み、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項19】
前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含む、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項20】
前記接着剤ポリマーは、以下の第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つおよび反応性分散剤のうちの少なくとも一つにより形成されるコポリマーを含み、即ち、
第一のモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項21】
前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテル、グリセロールC4-C10アルキルモノエーテル、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステル、グリセロールC4-C10カルボン酸ジエステル、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルとグリセロールのうちの少なくとも一つを含む、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項22】
前記複合粒子と前記接着剤における固形分の質量比は、(80-90):(5-20)、好ましくは(85-90):(8-15)である、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項23】
前記コーティングは、有機粒子をさらに含み、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリトリフルオロクロロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキサイド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とエチレンモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸類モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート類モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記有機粒子と前記複合粒子とは、前記コーティング表面に前記突起を形成する、請求項1または2に記載のセパレータ。
【請求項24】
前記有機粒子は、第三の凝集体を形成する、請求項23に記載のセパレータ。
【請求項25】
前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、好ましくは5.0μm-12μmである、請求項24に記載のセパレータ。
【請求項26】
前記第三の凝集体には、一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間には、隙間を有する、請求項24に記載のセパレータ。
【請求項27】
前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nm、好ましくは100nm-200nmである、請求項26に記載のセパレータ。
【請求項28】
前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20-90):(0-70)、好ましくは(45-90):(0-45)である、請求項23に記載のセパレータ。
【請求項29】
請求項1に記載のセパレータの製造方法であって、
基材を提供するステップ(1)と、
前記基材の少なくとも一部の表面に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成するステップ(2)とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間には、無機粒子を有し、前記複合粒子の架橋度aと電解液におけるその質量膨潤度bとは、a/b≧1且つa≧75%を満たす、セパレータの製造方法
【請求項30】
請求項1に記載のセパレータを含み又は請求項29に記載の方法で得られたセパレータを採用する、電池。
【請求項31】
請求項30に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる、電力消費装置。
【国際調査報告】