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特表2024-518605アドヒアランス/コンプライアンスモニタを有する吸入器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】アドヒアランス/コンプライアンスモニタを有する吸入器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240423BHJP
   A61M 13/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M13/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571359
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022063134
(87)【国際公開番号】W WO2022243220
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】21174149.1
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148433
【氏名又は名称】ヴェクトュラ・デリヴァリー・ディヴァイスィズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・スワンベリー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・メリニオティス
(72)【発明者】
【氏名】ダニー・モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ダンクリー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ヘインズ
(57)【要約】
本発明は、1つまたは複数のセンサを有するモニタを有する吸入器であって、モニタおよび吸入器が、吸入器に対してモニタが着脱自在にまたは恒久的に取り付けられ得るように構成可能である設置機構を備える、吸入器を提供する。設置機構は、主クリップ部材および副クリップ部材を有する構成可能な雄型設置部材と、スロットである対応する雌型設置部材と、を備え得る。このデザインは、取り外し可能な選択肢と固定する選択肢との両方を実現し、所望の構成を選定するために組み立て中に単純な追加のステップのみが必要となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、ケーシングおよび1つまたは複数のセンサを有するモニタと、を有する吸入器であって、
前記モニタが、少なくとも一対の相補的な設置部材を備える設置機構により、前記吸入器に取り付け可能であり、前記吸入器が、前記一対のまたは各対の設置部材のうちの一方の設置部材を備え、前記モニタが、前記一対のまたは各対の設置部材のうちの他方の設置部材を備え、前記設置部材のうちの少なくとも1つの設置部材が、構成可能であり、その結果、前記構成可能な設置部材の第1の構成において、前記モニタが前記吸入器上に着脱自在に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材の第2の構成において、前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置されることが可能である、吸入器。
【請求項2】
前記一対のまたは各対の設置部材が、雄型設置部材と雌型設置部材とを備える、請求項1に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項3】
前記モニタが、2つの雄型設置部材を有し、前記吸入器が、2つの雌型設置部材を有し、前記雄型設置部材のうちの1つの雄型設置部材が、構成可能である、請求項1または請求項2に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項4】
前記構成可能な雄型設置部材が、主クリップ部材と副クリップ部材とを備え、対応する前記雌型設置部材が、スロットである、請求項3に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項5】
前記第1の構成では、前記主クリップ部材が、前記スロットに係合し、前記副クリップ部材が、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合せず、その結果、前記モニタが、前記吸入器上に着脱自在に設置され、
前記第2の構成では、前記主クリップ部材が、前記スロットに係合し、前記副クリップ部材が、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合し、その結果、前記モニタが、前記吸入器上に恒久的に設置される、
請求項4に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項6】
前記副クリップ部材が、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合しない第1の位置から、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合する第2の位置まで移動可能である、請求項4または請求項5に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項7】
前記副クリップ部材が、前記吸入器の前記ハウジング内にある、または前記モニタの前記ケーシング内にある、オリフィスを介して移動可能である、請求項6に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項8】
前記主クリップ部材が、ボディとヘッドとを有し、対応する前記スロットが、リップと空隙とを有し、これらが、前記スロットの内部に前記主クリップ部材の前記ヘッドを保持するための戻り止め機構を共に形成する、請求項4から7のいずれか一項に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項9】
前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置される場合、前記副クリップ部材は、前記主クリップ部材が移動するのを防止し、その結果、前記戻り止め機構が解除され得ないようになる、請求項8に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項10】
前記副クリップ部材が、ヘッドを有し、前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置される場合、前記副クリップ部材の前記ヘッドが、ラチェットおよび爪としての前記主クリップ部材の上にあるステップに係合する、請求項9に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項11】
前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置される場合、前記副クリップ部材の前記ヘッドが、前記スロットの内部に位置する、請求項10に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項12】
前記副クリップ部材が、可撓性ボディを有する、請求項4から11のいずれか一項に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項13】
前記副クリップ部材が、分離した構成要素であり、または取り外し可能なパートを有する、請求項4から11のいずれか一項に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項14】
吸入器のためのモニタであって、前記モニタが、1つまたは複数のセンサと、前記モニタを前記吸入器に取り付けるための少なくとも1つの構成可能な設置部材と、を有し、その結果、前記モニタが、前記構成可能な設置部材の第1の構成において、前記吸入器上に着脱自在に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材の第2の構成において、前記吸入器上に恒久的に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材が、主クリップ部材と副クリップ部材とを備える、モニタ。
【請求項15】
1つまたは複数のセンサを有するモニタと共に使用されるための吸入器であって、前記吸入器が、前記モニタを前記吸入器に取り付けるための少なくとも1つの構成可能な設置部材を有し、その結果、前記モニタが、前記構成可能な設置部材の第1の構成において、吸入器上に着脱自在に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材の第2の構成において、前記吸入器上に恒久的に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材が、主クリップ部材と副クリップ部材とを備える、吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入するための有効物質を収容する吸入器、ならびに、患者のアドヒアランスおよび/またはコンプライアンスを監視するための1つまたは複数のセンサを有するモニタに関する。特に、本発明は、吸入器に対してモニタが着脱自在にまたは恒久的に取り付けられ得るように、構成可能(configurable)な設置機構を有する、モニタを有する吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライパウダー吸入器(DPI:dry powder inhaler)などの吸入器は、例えば気道の局所性疾患を治療するために、または肺を介して薬物を血流まで送達するために、薬剤を投与するための魅力的な方法を実現する。薬剤は、一般に、複数のブリスターを有するストリップなどの、個別の投与量として提供される。通常、使用者がマウスピースにアクセスするためにキャップまたはカバーを開けて、パウダーを放出するためのボタンまたはレバーなどのアクチュエータを動作させて、最後にマウスピースを通して吸入を行うことにより、一回投与量が計量分配される。いくつかの吸入器(「開けて吸入して閉じる(open-inhale-close)」吸入器として知られている)では、カバー自体がアクチュエータであり、その結果、分離した作動レバーまたは作動ボタンが存在しない。吸入器は、通常、使用された一回投与量の数または使用されていない一回投与量の数を表示するドーズカウンターを有する。
【0003】
治療の有効性は、患者が正確におよび処方通りに吸入器を使用することに依存する。結果として、患者のアドヒアランス(つまり、患者が、例えば1日1回または1日2回などの、1日当たりの一回投与量の規定された数を摂取しているか否か)およびコンプライアンス(つまり、患者が自分の吸入器を適切に使用しているか否か(例えば、パウダーを吸入して、パウダーを肺に到達するための粒子に分散させるのに十分な強さで吸入したか否か))を監視することに対しての関心が高まっている。
【0004】
DPIは、通常、1か月分の薬剤(month’s supply of medication)を含む。アドヒアランス/コンプライアンスモニタは通常は高価なセンサ、電子機器などを収容することから、アドヒアランス/コンプライアンスモニタは、しばしば、吸入器に着脱自在に連結される分離した拡張モジュールとして提供される。したがって、吸入器内の薬剤が使い切られると、モニタが脱着され得、新しい吸入器に再び取り付けられ得る。例えば、特許文献1が、吸入器の頂部分および底部分の上に嵌め込まれるケーシングとして構成され得るDiskus(登録商標)ドライパウダー吸入器のためのアドヒアランスモニタを開示している。したがって、このモニタは装着したり取り外したりすることが容易である。特許文献2が外部ケーシングの形態であるモニタを開示しており、この外部ケーシングの中に吸入器が挿入される。モニタが、モニタを吸入器に固定するために締め付けられる摩擦ねじを有する。したがって、ねじを緩めることによりモニタが取り外し可能となる。
【0005】
代替として、モニタが吸入器に恒久的に取り付けられる可能性もあり、その結果、モニタは使用者により意図されずに取り外され得ないようになる。これにより、モニタが、吸入器の寿命を通してアドヒアランス/コンプライアンス情報を記録することが保証される。例えば、特許文献3が、Diskus(登録商標)タイプの吸入器のための内蔵モニタを開示している。このモニタは、ねじにより、カバーユニットの下で吸入器のケーシングに固定的に設置される。特許文献4が、吸入器のハウジング内部に位置する、Diskus(登録商標)タイプの吸入器のための一体型モニタを開示する。これらのモニタは取り外し可能ではない。
【0006】
したがって、多様な使用者のためにおよび/または多様な製品のために、取り外し可能に取り付けられるモニタおよび恒久的に取り付けられるモニタの両方が必要である。恒久的に取り付けられるように、またはモニタのデザインを変更するのを必要とすることなく取り外し可能となるように、容易に構成され得る、吸入器のためのモニタを提供することが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/204511号
【特許文献2】国際公開第2015/178907号
【特許文献3】欧州特許出願公開第3552647号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3551263号明細書
【特許文献5】国際公開第2013/175176号
【特許文献6】国際公開第2013/175177号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、この問題に対処し、第1の態様では、1つまたは複数のセンサを有するモニタを有する吸入器であって、モニタが、少なくとも一対の相補的な設置部材を備える設置機構により、吸入器に取り付け可能であり、一対のまたは各対の設置部材のうちの一方の設置部材が、吸入器上に位置し、一対のまたは各対の設置部材のうちの他方の設置部材が、モニタの上に位置し、設置機構、特に、設置部材のうちの1つまたは複数の設置部材が、構成可能であり、その結果、構成可能な設置部材の第1の構成において、モニタが吸入器上に着脱自在に設置されることが可能であり、構成可能な設置部材の第2の構成において、モニタが吸入器に恒久的に取り付けられる(つまり、吸入器上に設置される)ことが可能である、吸入器を提供する。
【0009】
各対の設置部材は、雄型設置部材と雌型設置部材とを備え得る。
【0010】
モニタは、雄型設置部材を備え得、吸入器は、雌型設置部材を備え得、または、吸入器は、雄型設置部材を備え得、モニタは、雌型設置部材を備え得る。
【0011】
既存の吸入器上に後付け(着脱自在にまたは恒久的に)される既知のモニタとは対照的に、本発明の吸入器およびモニタは、最初から互いと共に使用されるように設計される。これにより、吸入器に対してモニタが着脱自在にまたは恒久的に取り付けられ得るように、設置機構を構成可能にすることが可能となる。この単一の基部のデザインは、取り外し可能な選択肢と固定する選択肢との両方を実現し、所望の構成を選定するために組み立て中に単純な追加のステップのみが必要となる。
【0012】
一実施形態では、モニタは、2つの雄型設置部材を有し、吸入器は、2つの雌型設置部材を有する。雄型設置部材の一方または両方が、モニタが吸入器に着脱自在にまたは恒久的に取り付けられ得る(つまり、モニタの上に設置され得る)ように、構成可能となり得る。
【0013】
構成可能な雄型設置部材は、主クリップ部材と副クリップ部材とを備えるクリップとなり得る。対応する雌型設置部材は、スロットとなり得る。
【0014】
第1の構成では、モニタが吸入器上に着脱自在に設置される場合、主クリップ部材は、スロットに係合し、副クリップ部材は、主クリップ部材および/またはスロットに係合しない。第2の構成では、モニタが吸入器上に恒久的に設置される場合、主クリップ部材は、スロットに係合し、副クリップ部材は、主クリップ部材および/またはスロットに係合する。
【0015】
副クリップ部材が構成可能となり得、例えば、主クリップ部材および/またはスロットに係合しない第1の位置から、主クリップ部材および/またはスロットに係合する第2の位置まで、移動可能となり得る。副クリップ部材は、例えば吸入器の組み立て中、吸入器のハウジング内にあるかまたはモニタのケーシング内にあるオリフィスを介して移動可能となり得る。代替として、副クリップ部材は、破壊可能/脱着可能なパートを取り外すことにより構成可能となり得る。
【0016】
主クリップ部材は、ボディと、爪として機能する拡大ヘッドと、を有し得、対応するスロットは、リップと空隙とを有し、これらが、スロットの内部に主クリップ部材のヘッドを保持するための戻り止め機構を形成し、その結果、モニタが吸入器上に設置され得るようになり、小さい力で(30N未満など)吸入器から脱着され得るようになる。
【0017】
副クリップ部材は、ヘッドを有し得、主クリップ部材は、ステップを有し得る。モニタが吸入器上に恒久的に設置される場合、副クリップ部材のヘッドは、ラチェットおよび爪としての主クリップ部材のステップに係合し得る。副クリップ部材のヘッドは、ラチェットとして機能する主クリップ部材の上にあるステップに係合する爪として機能し得る。
【0018】
モニタが吸入器上に恒久的に設置される場合、副クリップ部材は、戻り止め機構が解除され得ないようにするように主クリップ部材が移動するのを防止し得る。特に、副クリップ部材のヘッドがスロットの内部に位置し得、戻り止め機構に対して主クリップ部材のヘッドが打ち勝つのを防止し得る。したがって、モニタは大きい力(150N超など)を用いる場合のみ吸入器から脱着され得る。
【0019】
副クリップ部材は、可撓性ボディを有し得る。副クリップ部材は、分離した構成要素となり得る。副クリップ部材は、取り外し可能なパートを有し得る。
【0020】
第2の態様では、本発明は、吸入器のためのモニタであって、モニタは、1つまたは複数のセンサを有し、モニタは、モニタを吸入器に取り付けるための少なくとも1つの構成可能な設置部材を有し、その結果、モニタは、構成可能な設置部材の第1の構成において、吸入器上に着脱自在に設置され得るようになり、構成可能な設置部材の第2の構成において、吸入器上に恒久的に設置され得るようになり、少なくとも1つの構成可能な設置部材は、主クリップ部材と副クリップ部材とを備える、吸入器のためのモニタを提供する。
【0021】
第3の態様では、本発明は、1つまたは複数のセンサを有するモニタと共に使用されるための吸入器であって、吸入器は、モニタを吸入器に取り付けるための少なくとも1つの構成可能な設置部材を有し、その結果、モニタは、構成可能な設置部材の第1の構成において、吸入器上に着脱自在に設置され得るようになり、構成可能な設置部材の第2の構成において、吸入器上に恒久的に設置され得るようになり、少なくとも1つの構成可能な設置部材は、主クリップ部材と副クリップ部材とを備える、吸入器を提供する。
【0022】
次に、図を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】マウスピースが覆われるように、カバーが閉位置にある状態である、本発明による吸入器およびモニタを示す図である。
図1B】カバーが開位置にある状態である、図1Aの吸入器を示す図である。
図1C】カバーが閉じられた状態である、モニタを有しない、図1Aの吸入器を示す図である。
図1D】カバーが開いている状態である、モニタを有しない、図1Aの吸入器を示す図である。
図2A】モニタを示す図である。
図2B】モニタを示す図である。
図3】第1のクリップを示す図である。
図4A】第2のクリップを示す図である。
図4B】第2のクリップを示す図である。
図4C】第2のクリップを構成するためのオリフィスを示す図である。
図4D】第2のクリップを示す図である。
図5A】第2のクリップの第2の実施形態を示す図である。
図5B】第2のクリップの第2の実施形態を示す図である。
図6A】第2のクリップの第3の実施形態を示す図である。
図6B】第2のクリップの第3の実施形態を示す図である。
図7A】第2のクリップの第4の実施形態を示す図である。
図7B】第2のクリップの第4の実施形態を示す図である。
図8A】第2のクリップの第5の実施形態を示す図である。
図8B】第2のクリップの第5の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
吸入器の文脈では、「アドヒアランス」という用語は、通常、患者が、例えば1日1回または1日2回などの、1日当たりの一回投与量の規定された数を摂取しているか否かを意味するために使用される。「コンプライアンス」という用語は、通常、患者が自分の吸入器を適切に使用しているか否か(例えば、パウダーを吸入して、パウダーを肺に到達するための粒子に分散させるのに、十分な強さで吸入したか否か)を意味するのに使用される。結果として、モニタは、モニタの使用するセンサの種類およびセンサの構成手法に従ってアドヒアランスおよび/またはコンプライアンスを測定するように設計され得る。したがって、本明細書では、「モニタ」という用語は、アドヒアランスおよび/またはコンプライアンスに関連する情報を測定して入手するように設計された1つまたは複数のセンサを有するモジュールを意味する。しかし、モニタは、ブリスター/カプセルに穴を開けるかまたはブリスター/カプセルを開けること、パウダーの凝集状態を分解すること、または息作動式の機構を提供することなどの、薬剤を投薬することに関連する機能のうちのいずれの機能も実施しない。したがって、吸入器は、モニタが存在する場合でもまたは存在しない場合でも有効物質を計量分配するように動作する。
【0025】
「設置機構」という用語は、互いに係合することなどを目的とした相補的な形状を有する少なくとも一対の設置部材を使用して吸入器およびモニタを機械的に接続するための機構を意味し、各対のうちの一方の設置部材が吸入器上に位置し、他方の設置部材がモニタの上に位置する。これらの部材のうちの1つの部材(しばしば「雄型」と称される)が他方の部材(しばしば「雌型」と称される)の中に挿入されるか、爪を用いて他方の部材の中に取り付けられるか、またはフックを用いて他方の部材の中に取り付けられ、ならびに/あるいは他方の部材によって捕捉される。雄型部材が、相補的な雌型部材(スロットまたは他の空洞)に機械的に係合するように適合された特別な形状(ペグまたは他の突出部など)を有する。したがって、この設置機構は吸入器を基準とした所定の位置にモニタを位置させ、モニタを定位置で保持するための保持力を提供する。例えば、設置機構は、拡大ヘッドを備える突出部の形態であるクリップ(雄型構造部)と、リップを備える対応するスロット(雌型構造部)と、を備え得る。通常、雄型部材がある程度の可撓性を有し、着脱自在の構成において、解放することが容易であり、例えば、スナップ嵌合接続などの場合ではわずかにモニタを押し込んだりまたは引いたりすることにより、達成される。恒久的な構成では、雄型部材の移動が制限され、その結果、雄型部材が湾曲することができなくなり、それによりモニタが脱着することが防止される。
【0026】
「着脱自在に取り付けられる」という用語は、モニタが、例えば使用者の指を用いることにより、使用者によって取り外し可能となることを意図される、ことを意味する。この用語は、使用者によって取り外し可能とならないことを意図され、工具を用いるなどして非常に大きい力を加えることによってのみ取り外し可能となるモニタを意味しない。「取り外し可能」および「脱着可能」という用語は置換可能に使用される。
【0027】
「恒久的に取り付けられる」という用語は、例えば使用者の指を用いることにより、使用者によって取り外し可能となることを意図されないモニタを意味する。しかし、この用語は、モニタを取り外すことが完全に不可能であることを求めるものではない(したがって、例えば、恒久的に取り付けられたモニタは工具を使用することにより取り外し可能となる可能性がある)。
【0028】
「構成可能」という用語は、2つの異なる位置または状態を有するように設計された設置部材またはその構成要素を意味する。これらの状態は、特に吸入器およびモニタの組み立て中に、選択され得るかまたは変更され得る。選択または変更は、例えば、構成要素を移動させることにより(屈曲させる、湾曲させる、平行移動させる、など)、または、構成要素の脱着可能なパートを取り外すことにより(切り離す)、実施され得る。
【0029】
本発明の吸入器は、好適には、粉末薬剤を収容するブリスターのストリップと、ブリスターストリップを前進させるためのおよびブリスターを開けるための、アクチュエータによって動作させられる機構と、を有する。この開封機構は、適切には、マウスピースの下側に設置された穴あけ器である。アクチュエータが穴あけ器に位置合わせするようにブリスターを移動させるための割出機構を駆動し、ハウジングに対してマウスピースを移動させ、その結果、穴あけ器が位置合わせされたブリスターに穴をあける。アクチュエータは、ブリスターストリップの割り出しおよびブリスターの穴あけを引き起こすレバーであってよい。しかし、好適には、アクチュエータはカバーの一部として形成されるかまたはカバーに接続され得、その結果、カバーが回転することによりブリスターストリップが割り出され、ブリスターに穴があけられる。吸入器は、1回の作動で1つのブリスターを割り出してこのブリスターに穴をあけるように構成され得る。代替として、吸入器は、1回の作動で2つの(またはそれ以上の)ブリスターを割り出してこれらのブリスターに穴をあけてもよい。例えば、吸入器は、2つの(またはそれ以上の)異なる製剤または薬剤を同時に送達することもできる。
【0030】
しかし、本発明はこの種類の吸入器のみに限定されず、例えば、例えば特許文献5で説明されるように受動的なマウスピースカバーおよび分離した作動レバーを有する吸入器ともなり得るか、あるいは、ブリスターストリップの代わりとしてのブリスターディスク、または、リザーバDPIもしくはカプセルDPIを有する吸入器ともなり得る。さらに、本発明は、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI:pressurized metered dose inhaler)またはソフトミスト吸入器などの、他の種類の吸入器にも同様に適用され得る。
【0031】
本発明のモニタを有する吸入器が図1および図2に示される。図1Aは、モニタが取り付けられた状態であり、マウスピースカバーが閉位置にある状態である、吸入器を示す。図1Bは、マウスピースを可視とするためにマウスピースカバーが開位置にある状態である吸入器を示す。図1Cおよび図1Dは、モニタが取り外された状態であり、マウスピースカバーがそれぞれ閉位置および開位置にある状態である、吸入器を示す。
【0032】
図1に示される吸入器は、マウスピースカバーをブリスターストリップ割出機構およびさらには穴あけ器に選択的に連結する歯車機構を有する、特許文献6で説明される種類の「開けて吸入して閉じる」ドライパウダー吸入器である。閉位置から中間位置までカバーを移動させることにより割出機構がブリスターストリップを前進させる。次いで、未使用のブリスターが穴あけ器の下方の位置にくると、割出機構が係合解除される。マウスピースカバーを中間位置から完全な開位置まで移動させることにより穴あけ器が位置合わせされたブリスターに穴をあける。次いで、使用者が、穴をあけられたブリスター内のパウダーをエアロゾル化するマウスピースを通して吸入を行う。
【0033】
図1に示される吸入器1が、ブリスターストリップを収容するハウジングを形成するために一体に接合された2つのシェルパート2、3から構築される。モニタ40が吸入器の一方の側に取り付けられる。マウスピースカバー4がハウジングの上に設置される。カバー4が、マウスピースを覆って保護する閉位置(図1A)から、マウスピース5を露出させて使用者が一回投与量の薬剤を吸入するのを可能にする完全な開位置(図1B)まで、約100°回転させられ得る。カバーが吸入のための開位置にある場合、モニタがカバーの下に位置し、その結果、モニタが偶発的な損傷から保護される。
【0034】
モニタの内側面が、モニタがその上に設置される吸入器のハウジングの形状に適合する。外側面が、カバーの回転によって画定される曲線に一致する。言い換えると、外側面がカバーの回転軸を中心とする円の円弧として成形され、カバーの内部表面の半径よりわずかに小さい半径を有する。したがって、カバーが開けられると、カバーの内部表面とモニタの外側面との間に小さいクリアランスギャップ(約0.5mm~1mm)が存在する。これにより、カバーの下にモニタを嵌め込むのを可能にするという制約の範囲内でモニタのボリュームが最大となる。
【0035】
図1Cおよび図1Dが、モニタを有しない吸入器を示す。吸入器が、モニタを設置するための2つのスロット13、14を有する(第2のスロット14は図1Dではカバー4によって隠されていることから可視ではない)。ハウジングの壁12の中に、モニタが取り付けられていた2つのオリフィス10、11が存在する。オリフィス10、11の目的は、後で説明される。
【0036】
図2Aおよび図2Bが、回路基板および1つまたは複数のセンサを収容するケーシング41を有するモニタ40を示す。図2Aに示されるモニタの外部面が、マウスピースカバーが開けられたか否かを判断するのに使用されるセンサまたはスイッチ42を有する。図2Aに示されるモニタの外部面がオリフィス43をさらに有する。オリフィス43の目的は後で説明される。
【0037】
モニタの内側面(つまり、モニタが取り付けられている場合に吸入器に当接される側)が図2Bに示される。モニタが、モニタが吸入器に取り付けられている場合に吸入器上のオリフィス10の中まで突出する3つの光学センサ44を有する。光学センサがブリスターストリップの上にあるコード(例えば、印刷バーコード)を読み取り、その結果、モニタが、計量分配された一回投与量の数またはまだ計量分配されていない一回投与量の数を判断することができる。モニタが、内側面上の凹部内に位置する圧力センサ45をさらに有する。圧力センサがオリフィス11に当接され、オリフィス11がハウジング内のチャンネルを介してマウスピースに繋がっている。モニタがマウスピース内の圧力を測定することができ、それにより使用者の吸入を検出することができる。モニタ40が、吸入器に取り付けられる場合に吸入器のハウジング内の対応するスロット13、14の中に嵌め込まれてそれによりモニタを定位置で保持する2つのクリップ50、60をさらに有する。第1の(上側の)クリップ50が固く、第2の(下側の)クリップ60が可撓性を有する(しかし、上側クリップも同様に可撓性を有してもよく、下側クリップも固くてもよい)。
【0038】
モニタが、元の吸入器の中の薬剤が使い切られた後で脱着可能となるようにおよびひいては新しい吸入器に移され得るように、構成され得る。この着脱自在の構成では、モニタが30N未満の力で取り外され得、これは高齢の使用者または体の弱い使用者がモニタを脱着するのを可能にするのに十分に低いものである。代替として、モニタが、吸入器に恒久的に取り付けられるように構成され得る。この固定される構成では、モニタは、使用者が取り外すそうとすることに抵抗することができ、モニタを取り外すのには例えば150Nを超える力が必要となる。これらの2つの構成は、工場組み立てプロセス中に恒久的に設置される状態または着脱自在に設置される状態のいずれでも構成され得るように第2のクリップ60を設計することにより、単一のデザインから達成される。
【0039】
図3は、第1のスロット13および第1のクリップ50の領域内における、吸入器およびモニタの断面図である。図3は、モニタが吸入器に取り付けられている場合の第1のスロット13内の定位置にある第1のクリップ50を示す。第1のクリップ50がモニタのケーシング41から突出し、ネック51および拡大ヘッド52を有する。第1のスロット13がその下側側面にあるリップ15と、空隙16と、を有する。モニタを吸入器に取り付けるために、ヘッド52が最初に、リップ15を介してスロット13の中に挿入される。次いで、ヘッド52が下方に引かれ、挿入(後で説明する)のために第2のクリップを第2のスロットに一列に並べ、その結果、ヘッド52がリップ15の後方に位置するようになる。第1のクリップ50は高い剛性を有し、その結果、リップ15がヘッド52を定位置で保持するようになる。第2のクリップが第2のスロットから解放される場合、ヘッド52がリップ15の上まで自由に上昇することができるようになり、第1のクリップ50が第1のスロット13から取り外され得るようになる。
【0040】
図4Aは、第2のクリップ60を詳細に示している、モニタの下側パートの断面図である。第2のクリップ60が、概略平坦ボディ71および拡大ヘッド72を備える主クリップ部材70を有する。ボディ71がモニタのケーシング41の内部に位置し、ヘッド72がケーシングの外側に突出する。第2のクリップ60が、さらにケーシングの内部に位置する、弓形ボディ81およびヘッド82を備える副クリップ部材80をさらに有する。副クリップ部材80はボディが弓形形状であることから可撓性を有し、その結果、後で説明される手法によりヘッド82がケーシングの外側に突出することになる位置まで移動させられ得るようになる。
【0041】
図4Bは、取り外し可能な構成における第2のスロットに係合した第2のクリップを示す。この構成では、副クリップ部材が受動的なものであり、モニタのケーシングの内部に留まる。第2のスロット14が、その上側側面にあるリップ17と、空隙18と、を有する。モニタが吸入器に取り付けられている場合、主クリップ部材70のヘッド72がスロット14の中に挿入される。ヘッド72が逆「V字」形状のプロファイルを有し、その結果、ヘッドの前面73が隆起部74まで上方に傾斜し、ヘッドの後面75が隆起部74から下方に傾斜する。ボディ71が弾性を有し、その結果、ヘッド72がスロット14の中に挿入されるときにリップ17が傾斜前面73を押圧し、ヘッド72が下方に曲げられて空隙18の中に入り、最終的にリップ17が隆起部74の上を通過する。ボディ71の弾性により、後面75がリップの上を移動するときにヘッドが逆に上側に曲がる。したがって、リップ17は、弾性ボディ71と一体に、ヘッド72を保持するための戻り止め機構をスロット14の内部に提供し、ヘッド72が爪として機能する。これが、第1のスロット13内にある第1のクリップ50と共に、使用中に吸入器の上でモニタを定位置で保持する。
【0042】
この構成では、この挿入プロセスが可逆である:ヘッド72がスロット14から取り外されると、リップ17が傾斜後面75を押圧し、ヘッド72が下方に曲げられて空隙18の中に入り、最終的に隆起部74がリップ17の上に乗る。ボディ71の弾性により、前面73がリップの上を移動するときにヘッドが逆に上側に曲がる。したがって、リップの上をヘッド72が通過するようにつまりこの戻り止め機構によりヘッドに加えられる保持力に打ち勝つためにボディ71を曲げるためには十分な力がモニタに加えられなければならない。第2のクリップが第2のスロットから解放されると、モニタが短い距離で上方に移動させられ得、その結果、第1のクリップが第1のスロットから取り外され得るようになる。このようにして、例えばすべての投与量が吸入された後、モニタが比較的小さい力(30N未満など)で吸入器から脱着され得る。
【0043】
図4Cは、吸入器に取り付けられたモニタ40の外側側面の下側パートを示す。副クリップ部材80がオリフィス43を通して可視である。着脱自在に設置される構成から恒久的に取り付けられる構成へ変更するためには、棒がオリフィス43を通して挿入され(例えば、吸入器の組み立て中に)、その結果、棒が副クリップ部材のボディ81に接触して押圧する。副クリップ部材が湾曲し、その結果、ヘッド82が移動させられてモニタのケーシング41から離れて第2のスロット14の中に入る。
【0044】
図4Dは、固定された(つまり、恒久的に取り付けられた)構成における第2のスロットに係合した第2のクリップを示す。主クリップ部材70のヘッド72が、着脱自在の構成のために上で説明したように、スロット14のリップ17の後方に挿入される。次いで、副クリップ部材80がオリフィス43を介して押され(矢印で示されるように)、その結果、ヘッド82が主クリップ部材70のヘッド72の下方で空隙18の中に挿入される。主クリップ部材70のヘッド72の下側側面がステップ76を有する。副クリップ部材80のヘッド82の前面83が平坦部分84まで上方に傾斜し、後面85が平坦部分84から下方に延びるステップを形成する。弓形ボディ81が可撓性を有し、その結果、ヘッド82が空隙18の中に挿入されるときに傾斜前面83が主クリップ部材70のヘッド72の下側側面を押圧する。これによりヘッド82が下方に曲げられ、最終的にヘッド82がステップ76に到達する。ヘッド82がステップ76の上を通過すると、弓形ボディ81の弾性がヘッド82を上方に曲げてステップ76を越えさせて空隙18の中に入れる。このとき、ヘッド82がステップ76の後方に位置する。ヘッドの後面85が垂直であることを理由として(主クリップ部材70のヘッド72の後面75とは異なる)、ヘッド82がステップ76の後方で保持される。したがって、主クリップ部材70のヘッド72の上にあるステップ76および副クリップ部材80のヘッド82がラチェットおよび爪を提供する。副クリップ部材80のボディ81が主クリップ部材70のヘッド72の下方に位置し、使用者によりモニタが吸入器から取り外されようとするときにヘッド72が下方に曲げられるのを防止する。言い換えると、副クリップ部材80がヘッド82およびステップ76によって定位置でロックされ、これによりさらに、主クリップ部材70のヘッド72がリップ17の後方の定位置で保持される。したがって、モニタを取り外すにはより大幅に大きい力(150N超など)が必要となり、実質的にモニタは恒久的に取り付けられたことになる。
【0045】
代替的構成では、ステップ76がスロット14の下側表面の上に設けられてもよく、副クリップ部材80のヘッド82が下方に突出してもよく、その結果、副クリップ部材80がスロット14の中に挿入されるときにヘッド82が同様にステップ76の後方で保持されることになる。
【0046】
まとめると、副クリップ部材がスロットの中に挿入されていない場合(図4B)、副クリップが湾曲することができ、それにより30N未満の力でモニタを取り外すことが可能となる。固定される構成への変更を行うためには、例えばモニタが取り付けられた後の組み立てプロセス中に、副クリップ部材がスロットの中に挿入される。これにより第2のクリップが定位置でロックされ、その結果、第2のクリップが湾曲することができなくなり、それによりモニタが取り外されるのを防止する。このように、第2のクリップは、モニタを取り外すのに必要となる力を150N超にするように容易に構成され得る。
【0047】
使用者がモニタを使用しながら意図することなくまたは誤って着脱自在の構成から固定される構成への変更を行ってしまうことが可能であるべきではない。したがって、副クリップ部材は、組み立て中に押されて固定される構成となるのを可能にするのに十分な可撓性を有するべきであるが、例えばピンをアパーチャの中に入れることにより使用者によって押されて固定される構成となるのを不可にするのに十分な固さも有するべきである。適切には、副クリップ部材を押して固定される構成にするのに必要となる力は300N超である。
【0048】
モニタは、上で説明したように第1のクリップを第1のスロットの中に挿入して次いで第2のクリップを第2のスロット中に挿入することにより、吸入器に取り付けられ得る。代替として、第2のクリップが最初に第2のスロットの中に挿入されてもよく、次いで第1のクリップが第1のスロットの中に挿入されてもよい。モニタが吸入器に恒久的に取り付けられることになる場合、副クリップ部材を押してオリフィスを介して第2のスロット内の定位置に配置することにより、第2のクリップが固定される構成にされる。
【0049】
副クリップ部材は、図5および図6に示されるように、スロットの内部ではなくスロットの外側で主クリップ部材と相互作用することもできる。図5の実施形態では、主クリップ部材70がヘッド72の上ではくそのボディ71の上に位置するステップ76を有し、副クリップ部材80が、主クリップ部材70と相互作用しない位置(図5Aに示される着脱自在の構成)から、スロット14に入れることなくそのヘッド82をステップ76に係合させて主クリップ部材70を定位置で保持する位置(図5Bに示されるような恒久的に取り付けられる構成)まで、移動可能である。図6は代替的実施形態を示し、副クリップ部材80が、主クリップ部材70と相互作用しない位置(図6Aに示される着脱自在の構成)から、主クリップ部材70のボディ71を定位置で保持する位置(図6Bに示されるような恒久的に取り付けられる構成)まで、回転させられるリビングヒンジである。主クリップ部材の上にあるステップの代わりに、モニタのケーシングが、副クリップ部材80を定位置で保持する戻り止め構造部90を有する。
【0050】
代替的実施形態では、副クリップ部材が、第2のクリップの一体パートではなく、分離した構成要素である。したがって、着脱自在の構成のためにモニタを組み立てる場合、副クリップ部材が一切存在しない。反対に、モニタを固定される構成のために組み立てる場合、副クリップ部材がスロットの中に挿入される。副クリップ部材はモニタを吸入器上に設置する前の状態ではクリップ組立体の中に含まれ得、次いで、例えばアパーチャを通して棒を押して副クリップ部材をスロット内の定位置まで移動させることにより、スロットの中に挿入され得る。代替として、副クリップ部材自体がアパーチャを通して挿入されてスロットの中に入れられてもよい。着脱自在の構成では副クリップ部材が一切存在しないことから、使用者が、ピンをアパーチャの中に入れている場合でも、モニタを使用しながら着脱自在の構成から固定される構成への変更を意図することなく行ってしまう可能性がない。
【0051】
副クリップ部材は、移動可能である代わりに、高剛性であってもよい(したがって移動可能ではない)が、恒久的に取り付けられる構成から取り外し可能である構成への変更を行うために組み立ての前にまたはその最中に切り離され得るかまたは他のかたちで取り外され得るパートを有することができる。例えば、図7に示される実施形態では、副クリップ部材80が脱着可能なヘッド82を有する。ヘッドが存在する場合(図7A)、ヘッドが主クリップ部材70をスロット14内の定位置でロックし、その結果、モニタが吸入器上に恒久的に取り付けられる。ヘッドが取り外される場合(図7B)、主クリップ部材70をスロット14内でロックするものが存在せず、その結果、モニタが吸入器上に着脱自在に設置される。
【0052】
図8に示される別の実施形態では、副クリップ部材が存在せず、代わりに、主クリップ部材70のヘッド72が取り外し可能な歯77を有し、取り外し可能な歯77は、存在する場合、主クリップ部材70を定位置でロックするために(図8A)スロット14の下側側面の上にあるリップ19に係合し、その結果、モニタが吸入器に恒久的に取り付けられる。前の実施形態と同様に、組み立て前に歯を取り外すことにより主クリップ部材70がスロット14内でロックされることが防止され(図8B)、その結果、モニタが着脱自在に設置される。
【0053】
図1から図4に示される実施形態では、2対の設置部材が存在する。しかし、吸入器およびモニタが1対の設置部材のみを有してもよく(例えば、クリップなどの1つの雄型設置部材、および、スロットなどの1つの雌型設置部材)、代替として吸入器およびモニタが3対以上の設置部材を有してもよい。
【0054】
図1から図4に示される実施形態では、モニタがクリップ(雄型設置部材)を有し、吸入器がスロット(雌型設置部材)を有する。これは、吸入器から突出するクリップが存在しないことで、モニタを用いずに吸入器を使用する場合に吸入器を保持することがより快適となる、という利点を有する。さらに、第2のクリップを固定される構成にするために、モニタのケーシング内にあるアパーチャを通して副クリップ部材にアクセスすることが容易である。それでも、代わりに、モニタがスロットを有して吸入器がクリップを有することもできる。
【0055】
設置部材のうちの1つの設置部材を構成可能にすることのみが必要となるが、設置部材のうちの複数の部材またはすべての設置部材が構成可能となってもよい。例えば、上で説明される実施形態では、第2の(下側の)クリップのみが構成可能である。しかし、第1の(上側の)クリップが、代替としてまたは加えて、構成可能となってもよい。2つ以上の構成可能な設置部材を有することは、固定される構成においてはモニタを取り外すのに大きい力が必要となる、という利点を有するが、構成可能な設置部材の数を増大させることにより組み立てのコストおよび複雑さを増大させる可能性がある。
【0056】
図1から図4に示される実施形態では、第1の(非構成可能な)クリップおよび第1のスロットが、クリップの拡大ヘッドおよびスロットのリップによりモニタを定位置で保持するのを支援する。これは、モニタを定位置で保持する2対の設置部材により堅固な取り付けが実現される(着脱自在の構成または固定される構成のいずれでも)、という利点を有する。しかし、これは必須ではなく、別の実施形態では、単純に、第1のクリップおよびスロットが、保持することを実現することなくモニタを吸入器の上の定位置に配置するのを支援し得る。例えば、クリップが単純な突出部となり得(拡大ヘッドを有しない)、スロットがリップを有さなくてよい。この実施形態では、第2の(構成可能な)クリップのみがモニタを吸入器の上で保持することになる。
【0057】
図1から図4に示される実施形態では、構成可能な設置部材が雄型設置部材である。しかし、雌型設置部材が、代替としてまたは加えて、例えば、主クリップ部材を定位置でロックするために、空隙の中まで移動させられ得る、可撓性のまたは移動可能な副スロット部材を有することにより、構成可能となってもよい。
【0058】
本発明は、単純な組み立てプロセスを利用して吸入器に着脱自在にまたは恒久的に取り付けられ得るモニタを提供する。恒久的な構成を作り出すことは単純な追加のステップ(例えば、棒を用いて構成要素を押すこと)のみを必要とし、例えば、溶接ステップまたは接着ステップを必要としない。
【0059】
モニタが、患者の吸入器の使用に関連するセンサから読み取られた情報を処理および/または保存するように構成された制御装置およびメモリ(例えば、適切なマイクロプロセッサ)を有し得る。モニタが、アドヒアランス/コンプライアンス情報をコンピュータまたはスマートフォンなどの外部デバイスに送信する(例えば、ブルートゥース(登録商標)を介して)ための通信手段を有し得る。次いで、情報が、例えばスマートフォンアプリなどの適切なソフトウェアにより患者および/または医療専門家に対して表示され得る。情報は、加えてまたは代替として、後続の調査(interrogation)のためにモニタに保存され得るか、あるいは、例えばオンラインヘルスプラットフォーム(online health platform)に無線で送信され得る。
【0060】
薬剤は、例えば、呼吸器系疾患の治療のための、吸入によって投与されるのに適する薬剤である。薬剤は、薬学的に活性な物質の以下のクラスのうちの1つまたは複数のクラスを含み得る:抗コリン作用薬、アデノシンA2A受容体作用薬、β2-作用薬、カルシウム拮抗薬、IL-13阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4-阻害剤、キナーゼ阻害剤、ステロイド、CXCR2、プロテイン、ペプチド、Anti-IG-Eなどの免疫グロブリン、特定のDNAおよびRNA内の核酸、モノクローナル抗体、小分子阻害剤、ならびにロイコトリエンB4拮抗薬。薬剤は、微細賦形剤などの賦形剤および/または担体粒子(例えば、ラクトース)、ならびに/あるいは、添加剤(ステアリン酸マグネシウム、リン脂質、またはロイシンなど)を含み得る。
【0061】
適切なβ2-作用薬は、例えば硫酸アルブテロールなどの、アルブテロール(サルブタモール)、例えばカルモテロール塩酸塩などのカルモテロール、フェノテロール、ホルモテロール、例えばミルベテロール塩酸塩などのミルベテロール、例えば硫酸メタプロテレノールなどメタプロテレノール、オロダテロール、プロカテロール、例えばサルメテロールキシナホ酸塩などのサルメテロール、例えば硫酸テルブタリンなどのテルブタリン、例えばビランテロールトリフェニル酢酸などのビランテロール、または、例えばインダカテロールマレイン酸塩などのインダカテロールを含む。適切なステロイドは、ブデソニド、例えばベクロメタゾンジプロピオン酸などベクロメタゾン、シクレソニド、例えばフルチカゾンフランカルボン酸などのフルチカゾン、例えばモメタゾンフランカルボン酸などのモメタゾンを含む。適切な抗コリン作用薬は、例えばアクリジニウム臭化物などのアクリジニウム、例えばグリコピロニウム臭化物などのグリコピロニウム、例えばイプラトロピウム臭化物などのイプラトロピウム、例えばオキシトロピウム臭化物などのオキシトロピウム、例えばチオトロピウム臭化物などのチオトロピウム、例えばウメクリジニウム臭化物などのウメクリジニウム、ダロトロピウム臭化物、または、tarafenacinを含む。
【0062】
有効材料は、サルメテロールキシナホ酸塩およびフルチカゾンプロピオン酸エステル;ブデソニドおよびホルモテロールフマル酸塩水和物;グリコピロラートおよびインダカテロールマレイン酸塩;グリコピロラート、インダカテロールマレイン酸塩、およびモメタゾンフランカルボン酸;フルチカゾンフランカルボン酸およびビランテロール;ビランテロールおよびウメクリジニウム臭化物;フルチカゾンフランカルボン酸、ビランテロール、およびウメクリジニウム臭化物などの、二重または三重の組合せを含み得る。
【符号の説明】
【0063】
1 吸入器
2 シェルパート
3 シェルパート
4 マウスピースカバー
5 マウスピース
10 オリフィス
11 オリフィス
12 壁
13 スロット
14 スロット
15 リップ
16 空隙
17 リップ
18 空隙
19 リップ
40 モニタ
41 ケーシング
42 スイッチ
43 オリフィス
44 光学センサ
45 圧力センサ
50 クリップ
51 ネック
52 拡大ヘッド
60 クリップ
70 主クリップ部材
71 概略平坦ボディ
72 拡大ヘッド
73 前面
74 隆起部
75 後面
76 ステップ
80 副クリップ部材
81 弓形ボディ
82 ヘッド
83 前面
84 平坦部分
85 後面
90 戻り止め構造部
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、ケーシングおよび1つまたは複数のセンサを有するモニタと、を有する吸入器であって、
前記モニタが、少なくとも一対の相補的な設置部材を備える設置機構により、前記吸入器に取り付け可能であり、前記吸入器が、前記一対のまたは各対の設置部材のうちの一方の設置部材を備え、前記モニタが、前記一対のまたは各対の設置部材のうちの他方の設置部材を備え、前記設置部材のうちの少なくとも1つの設置部材が、構成可能であり、その結果、前記構成可能な設置部材の第1の構成において、前記モニタが前記吸入器上に着脱自在に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材の第2の構成において、前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置されることが可能である、吸入器。
【請求項2】
前記一対のまたは各対の設置部材が、雄型設置部材と雌型設置部材とを備える、請求項1に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項3】
前記モニタが、2つの雄型設置部材を有し、前記吸入器が、2つの雌型設置部材を有し、前記雄型設置部材のうちの1つの雄型設置部材が、構成可能である、請求項1または請求項2に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項4】
前記構成可能な雄型設置部材が、主クリップ部材と副クリップ部材とを備え、対応する前記雌型設置部材が、スロットである、請求項3に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項5】
前記第1の構成では、前記主クリップ部材が、前記スロットに係合し、前記副クリップ部材が、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合せず、その結果、前記モニタが、前記吸入器上に着脱自在に設置され、
前記第2の構成では、前記主クリップ部材が、前記スロットに係合し、前記副クリップ部材が、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合し、その結果、前記モニタが、前記吸入器上に恒久的に設置される、
請求項4に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項6】
前記副クリップ部材が、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合しない第1の位置から、前記主クリップ部材および/または前記スロットに係合する第2の位置まで移動可能である、請求項4に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項7】
前記副クリップ部材が、前記吸入器の前記ハウジング内にある、または前記モニタの前記ケーシング内にある、オリフィスを介して移動可能である、請求項6に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項8】
前記主クリップ部材が、ボディとヘッドとを有し、対応する前記スロットが、リップと空隙とを有し、これらが、前記スロットの内部に前記主クリップ部材の前記ヘッドを保持するための戻り止め機構を共に形成する、請求項4に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項9】
前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置される場合、前記副クリップ部材は、前記主クリップ部材が移動するのを防止し、その結果、前記戻り止め機構が解除され得ないようになる、請求項8に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項10】
前記副クリップ部材が、ヘッドを有し、前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置される場合、前記副クリップ部材の前記ヘッドが、ラチェットおよび爪としての前記主クリップ部材の上にあるステップに係合する、請求項9に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項11】
前記モニタが前記吸入器上に恒久的に設置される場合、前記副クリップ部材の前記ヘッドが、前記スロットの内部に位置する、請求項10に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項12】
前記副クリップ部材が、可撓性ボディを有する、請求項4に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項13】
前記副クリップ部材が、分離した構成要素であり、または取り外し可能なパートを有する、請求項4に記載のモニタを有する吸入器。
【請求項14】
吸入器のためのモニタであって、前記モニタが、1つまたは複数のセンサと、前記モニタを前記吸入器に取り付けるための少なくとも1つの構成可能な設置部材と、を有し、その結果、前記モニタが、前記構成可能な設置部材の第1の構成において、前記吸入器上に着脱自在に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材の第2の構成において、前記吸入器上に恒久的に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材が、主クリップ部材と副クリップ部材とを備える、モニタ。
【請求項15】
1つまたは複数のセンサを有するモニタと共に使用されるための吸入器であって、前記吸入器が、前記モニタを前記吸入器に取り付けるための少なくとも1つの構成可能な設置部材を有し、その結果、前記モニタが、前記構成可能な設置部材の第1の構成において、吸入器上に着脱自在に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材の第2の構成において、前記吸入器上に恒久的に設置されることが可能であり、前記構成可能な設置部材が、主クリップ部材と副クリップ部材とを備える、吸入器。
【国際調査報告】