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特表2024-518606医療システム、デバイス、及び関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】医療システム、デバイス、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/50 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61B17/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571376
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022029591
(87)【国際公開番号】W WO2022245795
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/190,030
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カミングス、ネイサン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】フロンティン、ジュディス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン、ジャレド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG36
4C160MM43
(57)【要約】
医療デバイスは、ルーメン及び中心の長手方向の軸線を有する第1の本体と、第1の本体のルーメン内に少なくとも部分的に配置される第2の本体と、アームアセンブリとを含んでもよい。アームアセンブリは、第1の本体に連結され、第1の本体の遠位に延在する第1のアームと、第2の本体に連結され、第2の本体の遠位に延在する第2のアームとを含んでもよい。第1のアームの遠位端部分は、第2のアームの遠位端部分に連結されてもよい。第2の本体の遠位移動により、第1のアーム及び第2のアームが中心の長手方向の軸線から離れるように半径方向外向きに移動するように構成されてもよい。第1の本体に対する第2の本体の近位移動により、第1のアーム及び第2のアームが中心の長手方向の軸線に向かって半径方向内向きに移動するように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンと中心の長手方向の軸線とを有する第1の本体と、
前記第1の本体の前記ルーメン内に少なくとも部分的に配置された第2の本体と、
アームアセンブリであって、
前記第1の本体に連結され、前記第1の本体の遠位に延在する第1のアームと、
前記第2の本体に連結され、前記第2の本体の遠位に延在する第2のアームであって、前記第1のアームの遠位端部分が前記第2のアームの遠位端部分に連結される前記第2のアームとを含む前記アームアセンブリとを備える医療デバイスであって、
前記第1の本体に対する前記第2の本体の遠位移動により、前記第1のアームの前記遠位端部分及び前記第2のアームの前記遠位端部分が前記中心の長手方向の軸線から離れるように半径方向外向きに移動されるように構成され、
前記第1の本体に対する前記第2の本体の近位移動により、前記第1のアームの前記遠位端部分及び前記第2のアームの前記遠位端部分が前記中心の長手方向の軸線に向かって半径方向内向きに移動されるように構成される、前記医療デバイス。
【請求項2】
前記第1の本体から近位方向に延在する第1の制御ワイヤと、前記第2の本体から近位方向に延在する第2の制御ワイヤとをさらに備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
アームアセンブリが第1のアームアセンブリであり、
第2のアームアセンブリであって、
前記第1の本体の遠位部分に連結され、前記第1の本体の遠位に延在する第3のアームと、
前記第2の本体の遠位部分に連結され、前記第2の本体の遠位に延在する第4のアームであって、前記第3のアームの遠位端部分が前記第4のアームの遠位端部分に連結される前記第4のアームとを含む前記第2のアームアセンブリと、
第3のアームアセンブリであって、
前記第1の本体の遠位部分に連結され、前記第1の本体の遠位に延在する第5のアームと、
前記第2の本体の遠位部分に連結され、前記第2の本体の遠位に延在する第6のアームであって、前記第5のアームの遠位端部分が前記第6のアームの遠位端部分に連結される前記第6のアームとを含む前記第3のアームアセンブリとをさらに備える医療デバイスであって、
前記第1の本体に対する前記第2の本体の遠位移動により、前記第3のアームの前記遠位端部分、前記第4のアームの前記遠位端部分、前記第5のアームの前記遠位端部分、及び前記第6のアームの前記遠位端部分が前記中心の長手方向の軸線から離れるように半径方向外向きに移動されるように構成され、
前記第1の本体に対する前記第2の本体の近位移動により、前記第3のアームの前記遠位端部分、前記第4のアームの前記遠位端部分、前記第5のアームの前記遠位端部分、及び前記第6のアームの前記遠位端部分が前記中心の長手方向の軸線に向かって半径方向内向きに移動されるように構成される、請求項1又は請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第1のアームアセンブリ、前記第2のアームアセンブリ、及び前記第3のアームアセンブリが、前記中心の長手方向の軸線の周囲でそれぞれから等間隔で離間される、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記第1の本体が円筒形であり、第1のルーメンを含み、前記第2の本体が円筒形であり、第2のルーメンを含み、前記第1のルーメン内に配置される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第1のアーム及び前記第2のアームが、長方形であり、前記中心の長手方向の軸線に直交する長方形の断面を有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記第1のアーム及び前記第2のアームは、前記第1の本体の最遠位端が前記第2の本体の最遠位端と整列する時に、直線形態にあるように構成される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記第1の本体の前記遠位部分に連結される円筒形スリーブをさらに備え、前記第1のアーム及び前記第2のアームが、前記円筒形スリーブを介して延在し、前記円筒形スリーブの遠位端から出る、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記円筒形スリーブは、それぞれが前記円筒形スリーブを通して長手方向に延在する第1のルーメンと、第2のルーメンとを含み、前記第1のアームが前記第1のルーメン内に配置され、前記第2のアームが前記第2のルーメン内に配置される、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第1のアーム及び前記第2のアームが、前記中心の長手方向の軸線に向かって付勢される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記第2のアームが、前記中心の長手方向の軸線に向かって半径方向内向きに延在する突出部を含み、前記突出部は、前記第2のアームが前記中心の長手方向の軸線に平行であるとき、近位方向に面する表面を規定する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記第1のアームは、前記第1のアーム及び前記第2のアームが前記中心の長手方向の軸線に略平行であり、前記医療デバイスが中立形態にあるときに、前記第1のアームの近位端と遠位端との間の位置で前記第2のアームに接触し、前記第1のアームは、前記第1のアーム又は前記第2のアームのうちの少なくとも1つが前記中心の長手方向の軸線に対して角度をつけるように前記医療デバイスが開放形態又は閉鎖形態に移動されるときに、前記第1のアームの前記近位端と前記遠位端との間の位置で前記第2のアームから離間される、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記第1の本体の近位部分に連結されるシャフトをさらに備え、前記第1のアームが前記第1の本体の最遠位端に連結され、前記第2のアームが前記第2の本体の最遠位端に連結される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記第1の本体に対する前記第2の本体の遠位移動又は近位移動を容易にするように構成されるアクチュエータを含むハンドルアセンブリをさらに備える、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記第1のアームは、前記医療デバイスが閉鎖形態にあるときに、前記中心の長手方向の軸線に向かって湾曲され、
前記第2のアームは、前記医療デバイスが開放形態にあるときに、前記中心の長手方向の軸線から離れるように湾曲され、
前記第1のアームの近位端は、前記医療デバイスが開放形態にあるときに、前記第2のアームの近位端の遠位にあり、
前記第2のアームの前記近位端は、前記医療デバイスが閉鎖形態にあるときに、前記第1のアームの前記近位端の遠位にある、請求項1に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、一般に、患者から体内物質又は異物を把持すること、除去すること、移動させること、及びそれ以外の操作をすることを含む、体内物質の操作に関する。より具体的には、本開示の少なくとも特定の実施形態は、他の態様の中でも、患者の身体から物質を除去するためのシステム、デバイス、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食物塊は、食物が唾液で潤滑され、凝集性塊が形成されるときに、消化プロセスの一部として形成される。通常、食物塊は嚥下され、口から食道を通過し、胃内消化のために胃に入る。しかし、時々、食物塊は食道に詰まり、胃を通過しない。この場合、食道食物塊閉塞は、食道の閉塞によって引き起こされる。一部の食道の食物塊は、それ自体で又は薬剤の補助を用いて通過させられるものもあるが、一部の食道の食物塊は閉塞している食物を胃の中に移動させるか又はそれを食道から除去するために内視鏡の使用を必要とするものもある。現在、食道の異物の除去を補助するために様々なデバイスが使用されている。従来技術における欠点を克服するための新しい食物塊除去デバイス、システム、及び方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、特に、患者の身体から物質を移動及び/又は除去するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。本明細書で開示される態様の各々は、他の開示される態様のいずれかに関連して記載される特徴のうちの1つ以上を含み得る。
【0004】
一態様によると、医療デバイスは、ルーメン及び中心の長手方向の軸線を有する第1の本体と、第1の本体のルーメン内に少なくとも部分的に配置される第2の本体と、アームアセンブリとを含んでもよい。アームアセンブリは、第1の本体に連結され、第1の本体の遠位に延在する第1のアームと、第2の本体に連結され、第2の本体の遠位に延在する第2のアームとを含んでもよい。第1のアームの遠位端部分は、第2のアームの遠位端部分に連結されてもよい。第1の本体に対する第2の本体の遠位移動により、第1のアームの遠位端部分及び第2のアームの遠位端部分が中心の長手方向の軸線から離れるように半径方向外向きに移動されるように構成されてもよい。第1の本体に対する第2の本体の近位移動により、第1のアームの遠位端部分及び第2のアームの遠位端部分が中心の長手方向の軸線に向かって半径方向内向きに移動されるように構成されてもよい。
【0005】
他の態様では、医療デバイスは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1の制御ワイヤは、第1の本体から近位方向に延在してもよく、第2の制御ワイヤは、第2の本体から近位方向に延在してもよい。アームアセンブリは、第1のアームアセンブリであってもよく、医療デバイスは、第1の本体の遠位部分に連結され、第1の本体の遠位に延在する第3のアームと、第2の本体の遠位部分に連結され、第2の本体の遠位に延在する第4のアームとを含む第2のアームアセンブリをさらに含んでもよく、第3のアームの遠位端部分は、第4のアームの遠位端部分に連結される。医療デバイスは、第1の本体の遠位部分に連結され、第1の本体の遠位に延在する第5のアームと、第2の本体の遠位部分に連結され、第2の本体の遠位に延在する第6のアームとを含む第3のアームアセンブリをさらに含んでもよく、第5のアームの遠位端部分は、第6のアームの遠位端部分に連結される。第1の本体に対する第2の本体の遠位移動により、第3のアームの遠位端部分、第4のアームの遠位端部分、第5のアームの遠位端部分、及び第6のアームの遠位端部分が中心の長手方向の軸線から離れるように半径方向外向きに移動されるように構成されてもよい。第1の本体に対する第2の本体の近位移動により、第3のアームの遠位端部分、第4のアームの遠位端部分、第5のアームの遠位端部分、及び第6のアームの遠位端部分が中心の長手方向の軸線に向かって半径方向内向きに移動されるように構成されてもよい。第1のアームアセンブリ、第2のアームアセンブリ、及び第3のアームアセンブリは、中心の長手方向の軸線の周囲でそれぞれから等間隔で離間されてもよい。
【0006】
他の態様では、医療デバイスは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1の本体は、円筒形であってもよく、第1のルーメンを含んでもよく、第2の本体は、円筒形であってもよく、第2のルーメンを含んでもよく、第1のルーメン内に配置されてもよい。第1のアーム及び第2のアームは、長方形であってもよく、中心の長手方向の軸線に直交する長方形の断面を有してもよい。第1のアーム及び第2のアームは、第1の本体の最遠位端が第2の本体の最遠位端と整列すると、直線形態にあるように構成されてもよい。医療デバイスは、第1の本体の遠位部分に連結された円筒形スリーブをさらに含むことができ、第1のアーム及び第2のアームは、円筒形スリーブを介して延在し、円筒形スリーブの遠位端から出ることができる。円筒形スリーブは、それぞれが円筒形スリーブを通して長手方向に延在する第1のルーメン及び第2のルーメンを含んでもよく、第1のアームは、第1のルーメン内に配置されてもよく、第2のアームは、第2のルーメン内に配置されてもよい。第1のアーム及び第2のアームは、中心の長手方向の軸線に向かって付勢されてもよい。第2のアームは、中心の長手方向の軸線に向かって半径方向内向きに延在する突出部を含んでもよく、突出部は、第2のアームが中心の長手方向の軸線に平行であるとき、近位方向に面する表面を規定してもよい。第1のアームは、第1のアーム及び第2のアームが中心の長手方向の軸線に略平行であり、医療デバイスが中立形態にあるとき、第1のアームの近位端と遠位端との間の位置で第2のアームに接触してもよく、第1のアーム又は第2のアームのうちの少なくとも1つが中心の長手方向の軸線に対して角度をつけるように、医療デバイスが開放形態又は閉鎖形態に移動されるとき、第1のアームは、第1のアームの近位端と遠位端との間の位置で第2のアームから離間されてもよい。
【0007】
他の態様では、医療デバイスは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。医療デバイスはさらに、第1の本体の近位部分に連結されるシャフトを含んでもよく、第1のアームは、第1の本体の最遠位端に連結されてもよい。第2のアームは、第2の本体の最遠位端に連結されてもよい。医療デバイスはさらに、第1の本体に対する第2の本体の遠位又は近位移動を容易にするように構成される、アクチュエータを含む、ハンドルアセンブリを備えてもよい。第1のアームは、医療デバイスが閉鎖形態にあるとき、中心の長手方向の軸線に向かって湾曲されてもよく、第2のアームは、医療デバイスが開放形態にあるとき、中心の長手方向の軸線から離れるように湾曲されてもよく、第1のアームの近位端は、医療デバイスが開放形態にあるとき、第2のアームの近位端の遠位にあってもよく、第2のアームの近位端は、医療デバイスが閉鎖形態にあるとき、第1のアームの近位端の遠位にあってもよい。
【0008】
別の態様では、医療デバイスは、近位端、遠位端、及び長手方向の軸線を有するシャフトと、シャフトの遠位端から遠位方向に延在し、その遠位端に第1の環状部材を含む第1のアームと、シャフトの遠位端から遠位方向に延在し、その遠位端に第2の環状部材を含む第2のアームと、ファイバアセンブリとを含んでもよい。ファイバアセンブリは、第1のリング部分及び第2のリング部分を介して延在する第1のファイバセグメントと、第1のリング部分及び第2のリング部分から近位に配置されるネットと、第2のファイバセグメントであって、第2のファイバセグメントの第1の端部が第1のファイバセグメントに連結され、第2のファイバセグメントの第2の端部がネットに連結される第2のファイバセグメントと、ネットに連結され、ネットからシャフトを介して近位方向に延在する第3のファイバセグメントとを含んでもよい。
【0009】
他の態様では、医療デバイスは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第3のアームは、シャフトの遠位端から遠位方向に延在してもよく、その遠位端に第3のリング部分を含み、ファイバアセンブリは、第1のストリングセグメントからネットまで延在する第4のファイバセグメントをさらに含んでもよく、第1のファイバセグメントは、第3のリング部分を介して延在し、第1のファイバセグメントは、閉ループを形成する。ネットは、三角形であってもよく、シャフトのルーメン内に移動されるように構成されてもよい。
【0010】
別の態様では、医療デバイスは、近位端、遠位端、及び中心の長手方向の軸線を有するシャフトと、シャフトの遠位端から遠位方向に延在し、その遠位端に第1のリング部分を含む第1のアームと、シャフトの遠位端から遠位方向に延在し、その遠位端に第2のリング部分を含む第2のアームと、ファイバアセンブリとを含んでもよい。ファイバアセンブリは、第1のリング部分及び第2のリング部分を介して延在する第1のファイバセグメントと、シャフトのルーメンを介して長手方向に延在する第2のファイバセグメントとを含んでもよい。第1のファイバセグメントの第1の端部は、第2のファイバセグメントの遠位端に連結されてもよく、第1のファイバセグメントの第2の端部は、第2のファイバセグメントの遠位端に連結されてもよい。いくつかの例では、第1のアーム及び第2のアームは、中心の長手方向の軸線から半径方向外向きに付勢されてもよい。
【0011】
上記の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示的で説明的なものにすぎず、請求する本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を示し、説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
図1A】本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスの遠位端の斜視図である。
図1B】本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスの遠位端の斜視図である。
図1C】本開示の態様による、体管腔内の例示的な医療デバイスの遠位端の斜視図である。
図2A】本開示の態様による、例示的な医療デバイスで使用するためのアームアセンブリの側面図である。
図2B】本開示の態様による、例示的な医療デバイスで使用するためのアームアセンブリの側面図である。
図2C】本開示の態様による、例示的な医療デバイスで使用するためのアームアセンブリの側面図である。
図3A】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位部分の斜視図である。
図3B】本開示の態様による、図3Aの医療デバイスの遠位部分の側面図である。
図3C】本開示の態様による、図3Aの医療デバイスの遠位部分の側面図である。
図4A】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの一部分の正面断面図である。
図4B】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位部分の側面図である。
図5】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位部分の側面図である。
図6】本開示の態様による、医療デバイス用の例示的なアームの側面図である。
図7】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの側面図である。
図8A】本開示の態様による、図7の医療デバイスと共に使用するための異なるケーブル構成の正面図である。
図8B】本開示の態様による、図7の医療デバイスと共に使用するための異なるケーブル構成の正面図である。
図8C】本開示の態様による、図7の医療デバイスと共に使用するための異なるケーブル構成の正面図である。
図9A】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの側面図である。
図9B】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの側面図である。
図9C】本開示の態様による、図9A及び図9Bの医療デバイスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、他の態様の中でも特に、患者の身体内の物質を操作するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。本開示の実施例は、胃腸系及びその様々な管腔に焦点を当てているが、本開示の態様は、泌尿器系、膵胆管等の任意の管腔を含む、任意の他の体管腔に適用され得る。ここで、本開示の態様を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同一又は類似の部分を参照するために、図面を通して同一又は類似の参照番号が使用される。用語「遠位」は、デバイスを患者に導入するときに使用者から最も遠い部分を示す。対照的に、用語「近位」は、デバイスを患者の中に留置するときにユーザに最も近い部分を示す。近位方向及び遠位方向は、図面全体を通して、遠位方向に対して「D」と標識された矢印、及び近位方向に対して「P」と標識された矢印で標識される。本明細書で使用される場合、用語「含む」、「含んでいる」、又はそれらの任意の他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は器具が、必ずしもそれらの要素のみを含むわけではなく、明示的に列挙されていない他の要素、又はそのようなプロセス、方法、物品、又は器具に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を対象とすることが意図されている。用語「例示的」は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。
【0014】
本開示の実施形態は、管腔内空間において標的物質を移動させるか、又はその移動を容易にするために使用され得る。特に、いくつかの実施形態は、体管腔の拡張及び物質の把持の両方のための把持デバイスを含む。
【0015】
図1Aは、食道などの体管腔102内に位置する食物塊などの物質101を示す。図1Bは、体管腔102内に配置された医療デバイス100を示す。医療デバイス100は、把持デバイスであってもよく、デバイス100の遠位部分におけるアーム104~106まで長手方向に延在するシャフト108を含んでもよい。シャフト108は、可撓性であってもよく、体管腔102内等の患者の体内を移動するように構成されてもよい。アーム104~106は、デバイス100の中心の長手方向の軸線150に向かって半径方向内向きに湾曲してもよく、アーム104~106は、非外傷性であるように構成されてもよい。1つ以上のアクチュエータが、デバイス100の近位端(図示無し)に配置されてもよく、1つ以上のアクチュエータは、アーム104~106の移動を制御してもよい。いくつかの実施例では、1つ以上のアクチュエータは、デバイス100のハンドルアセンブリ上に配置されてもよく、アーム104~106の移動を制御してもよい。いくつかの例では、アーム104~106の移動は、デバイス100に電子的に接続されたデバイスによって制御されてもよい。アーム104~106の各々は、軸線150から半径方向外向きに移動して、図1Bに示す開放形態になり得る。いくつかの例では、アーム104~106の半径方向外向きへの移動は、体管腔102を損傷することなく、体管腔102の一部の直径を拡張し得る。例えば、アーム104~106の各々は、軸線150に向かって半径方向内向きに湾曲しているので、軸線150から半径方向外向きへのアーム104~106の移動は、体管腔102の壁を貫通し得ない。
【0016】
ユーザがアーム104~106を開放形態に移動させた後、ユーザは、シャフト108を遠位方向に移動させ、物質101をアーム104~106の間に配置させることができる。アーム104~106の各々は、軸線150に向かって半径方向内向きに湾曲しているので、アーム104~106の各々の、軸線150に対して半径方向外面は、デバイス100が遠位方向に移動させられるとき、体管腔102の壁に沿って摺動し得る。物質101がアーム104~106の間に配置されると、ユーザは、1つ以上のアクチュエータを作動させて、アーム104~106の各々を軸線150に向かって半径方向内向きに移動させ、物質101を把持してもよい。
【0017】
図1Cは、アーム104~106が物質101を把持することができるように、図1Bのアーム104~106の位置に対して軸線150に向かって半径方向内向きに配置されたアーム104~106を示す。次に、ユーザは、シャフト108を近位方向に移動させて、アーム104~106及びアーム104~106によって把持された物質101を体管腔102の外に移動させることができる。他の例では、ユーザは、シャフト108を遠位方向に押して、アーム104~106及び物質101を、体管腔102を介して、例えば患者の胃の中に向かって遠位方向に移動させることができる。いくつかの例では、ユーザは、アーム104~106を軸線150から半径方向外向きに移動させて、体管腔102を拡張させることができる。例えば、アーム104~106は、体管腔102の内壁に接触し、体管腔102の内壁を軸線150から半径方向外向きに移動させ得る。これは、体管腔102を介して、胃等の患者の身体の別の領域の中への物質101の移動を容易にし得る。本明細書中に記載の医療デバイスのいずれかは、本明細書中上記に記載の態様で使用され得る。
【0018】
図2A~2Cは、例えば、図3を参照して記載するアームアセンブリ305~307として、本明細書に記載の医療デバイスのうちのいずれかに組み込まれ得るアームアセンブリ200を示す。アームアセンブリ200は、第1のアンカー209から遠位端204まで延在する第1のロッド202と、第2のアンカー210から遠位端204まで延在する第2のロッド203とを含んでもよい。第1のロッド202及び第2のロッド203は、可撓性であってもよく、直線形態(図2Bに示す)に向かって付勢されてもよい。第1のロッド202は、遠位端204で第2のロッド203に固定的に連結され得る。いくつかの例では、第1のロッド202は、第2のロッド203に溶接されてもよく、又は当技術分野で知られている任意の他の同様の手段を介して共に連結されてもよい。ユーザが第1のロッド202に対して第2のロッド203を移動させると、アームアセンブリ200が屈曲し得る。例えば、ユーザがアンカー210を近位方向に引いて第2のアーム203を近位方向に移動させると、図2Aに示すように、第1のアーム202及び第2のアーム203の両方が屈曲することができ、第1のアーム202が第2のアーム203に向かって屈曲することができる。例えば、第1のアンカー209及び第2のアンカー210が互いに対して移動し得るように、第1のアンカー209は、第1のデバイスの表面上に配置されてもよく、第2のアンカー210は、第1のデバイスとは異なる第2のデバイスの表面上に配置されてもよい。ユーザがアンカー210を遠位方向に押して第2のアーム203を遠位方向に移動させると、図2Cに示すように、第1のアーム202及び第2のアーム203の両方が屈曲することができ、第1のアーム202は第2のアーム203から離れるように屈曲することができる。図2Bは、中立位置にある第1のアーム202及び第2のアーム203の両方を示し、第1のアーム202は、第2のアーム203に実質的に平行であり、第1のアーム202及び第2のアーム203の両方は、実質的に直線形態にある。図2Aに示す位置から開始して、ユーザがアンカー210を遠位方向に移動させ、一方でアンカー209が移動しない場合、アームアセンブリ200は、図2Aに示す位置から図2Bに示す中立位置へ、次に図2Cに示す位置へと移行し得る。第1のアーム202及び第2のアーム203は、ロッドに限定されず、近位-遠位方向の力を受けるのに十分な剛性と、本明細書に記載するように屈曲するのに十分な可撓性とを有する任意の部材であり得ることが理解されるであろう。
【0019】
図3A~3Cは、第1の本体301と、第1の本体301と同心の第2の本体302とを含む例示的な医療デバイス300を示す。第1の本体301及び第2の本体302はそれぞれ、円筒形であってもよく、第1の本体301及び第2の本体302の一方又は両方を通して長手方向に延在するルーメン340を含んでもよい。第1の本体301及び第2の本体302はそれぞれ、最遠位端320を有してもよく、いくつかの実施例では、最遠位端320は、中心の長手方向の軸線350の周囲に円周方向に延在してもよい。第2の本体302は、第1の本体301内で近位-遠位方向に移動するように構成されてもよい。第1の本体301は、第2の本体302の、軸線350に対して半径方向外向きの面に接触する、軸線350に対して半径方向内向きの面を有することができる。第1の本体301は、第1の本体301の近位端において第1の制御ワイヤ309に連結してもよく、第2の本体302は、第2の本体302の近位端において第2の制御ワイヤ310に連結してもよい。制御ワイヤ309、310の各々は、第1の本体301及び第2の本体302からデバイス300の近位部分まで近位方向に延在してもよい。いくつかの例では、制御ワイヤ309、310の各々は、デバイス300の近位端においてデバイス300のハンドルアセンブリに連結してもよい。医療デバイス300は、デバイス300の近位部分における1つ以上のアクチュエータの作動を介して移動するように構成されてもよい。制御ワイヤ309、310の各々は、可撓性であってもよく、第1の本体301及び第2の本体302を近位方向及び遠位方向に移動させるために十分に剛性であってもよい。いくつかの実施例では、第1の本体301は、内視鏡又は他の医療デバイスの遠位端に固定的に連結されてもよい。
【0020】
医療デバイス300は、3つのアームアセンブリ305~307をさらに含んでもよい。3つのアームアセンブリ305~307が図3A~3Cに示されているが、医療デバイス300はそのように限定されず、任意の数のアームアセンブリ305~307を含むことができる。各アームアセンブリ305~307は、第1の本体301及び第2の本体302の各々の遠位端320から遠位方向に延在し得る。アームアセンブリ305は、第1のアーム311の近位端で第1の本体301に連結した第1のアーム311と、第2のアーム314の近位端で第2の本体302に連結した第2のアーム314とを含むことができる。いくつかの例では、第1のアーム311及び第2のアーム314は、長方形であってもよく、アームの長手方向の軸線に垂直に取られた長方形の断面を有してもよい。他の例では、第1のアーム311及び第2のアーム314は、円筒形又は任意の他の適切な形状であってもよい。第1のアーム311の最遠位端356は、第2のアーム314の最遠位端356に連結してもよい。他の例では、第1のアーム311及び第2のアーム314は、一体であってもよく、ニチノール又は他の適切な物質等の物質の単一片を折り畳み、次に、物質の一片の第1の端部を第1の本体301に連結し、物質の一片の第2の端部を第2の本体302に連結することによって形成されてもよい。いくつかの例では、アームアセンブリ305~307の各々は同じ長さであってもよく、他の例では、アームアセンブリ305~307は異なる長さであってもよい。
【0021】
図3Aに示す中立位置では、第1のアーム311及び第2のアーム314は、実質的に直線であってもよく、デバイス300の中心の長手方向の軸線350に実質的に平行であってもよい。他の例では、第1のアーム311及び第2のアーム314は、中立位置にあるとき、軸線350に対して0度以外の角度を形成する軸線に沿って、例えば、軸線350を横断するように延在してもよい。アームアセンブリ305が中立位置にあるとき、第1のアーム311の、軸線350に対して半径方向内向きの面は、第2のアーム314の、軸線350に対して半径方向外向きの面に接触し得る。
【0022】
アームアセンブリ306は、最遠位端357で共に結合された第1のアーム312及び第2のアーム315を含んでもよく、アームアセンブリ307は、最遠位端358で共に結合された第1のアーム313及び第2のアーム316を含んでもよい。アームアセンブリ306、307の各々は、アームアセンブリ305に関連して本明細書に記載される特徴のいずれかを有し得る。アームアセンブリ305~307は、第1の本体301の最遠位端320及び第2の本体302の最遠位端の周囲に均等に離間されてもよく、又は互いに他の相対位置で離間されてもよい。図3Aに示す中立位置では、アームアセンブリ305~307の各々は、実質的に直線であり、軸線350に対して実質的に平行であり得る。
【0023】
図3Bに示すように、第2のシリンダ302が第1のシリンダ301に対して遠位方向に押されるとき、アーム314~316の各々の近位端がアーム311~313の各々の近位端に対して遠位に位置付けられ得るように、各アームアセンブリ305~307は、軸線350から半径方向外向きに移動され得る。アーム314~316は、軸線350から半径方向外向きに湾曲していてもよく、アーム311~313は実質的に直線であってもよい。代わりに、アーム314~316及びアーム311~313は全て、軸線350から半径方向外向きに湾曲してもよい。図3Bは、アームアセンブリ305~307が物質を受容するように構成される、医療デバイス300の開放形態を図示する。第1のアーム311~313が第2のアーム314~316に対して近位方向に移動されると、アーム311~316の各対(例えば、アーム311、314の対、アーム312、315の対、及びアーム313、316の対)の間に空間が形成され得る。この形態は、各アームアセンブリ305~307の最遠位端356、357、358は、軸線350に対して半径方向外向きに移動することができる。アームアセンブリ305~307は、金属、ポリマー、混合物、又は他の適切な物質を含んでもよい。
【0024】
図3Cは、各アームアセンブリ305~307が図3Aの中立位置に対して軸線350に向かって半径方向内向きに移動されるように、閉鎖形態にある医療デバイス300を示す。第2の本体302は、アーム314~316の各々の一部がアーム311~313の各々の近位に移動するように、第1の本体301に対して近位方向に移動され得る。閉鎖形態では、アーム314~316の各々は、実質的に直線であってもよく、アーム311~313の各々は、軸線350に向かって湾曲していてもよい。代わりに、アーム311~316は全て、軸線350に対して湾曲していてもよい。閉鎖形態では、アームアセンブリ305~307は、第1の本体301及び第2の本体302のルーメン340の遠位端を横断して延在してもよい。この場合、アームアセンブリ305~307は、ルーメン340の遠位開口部の一部分を遮断することができる。
【0025】
動作中、ユーザは、患者の体管腔を通して医療デバイス300を移動させてもよい。いくつかの例では、ユーザは、最初に、第1の本体301を、気管支鏡、内視鏡、結腸鏡、十二指腸内視鏡、又は他のスコープ又は挿入デバイスの遠位端に連結し、挿入デバイスの作用チャネルを介して制御ワイヤ309、310を配置してもよい。ユーザは、医療デバイス300を開口部(例えば、身体の切開又は自然開口部)の中に挿入してもよく、医療デバイス300を、体管腔を介して、患者の身体から除去されるべき物質を有する標的部位に移動させてもよい。いくつかの例では、ユーザは、中立位置において患者の身体を通して医療デバイス300を移動させてもよく、他の例では、ユーザは、アームアセンブリ305~307を開放形態に移動させ、医療デバイス300が配置される体管腔を拡張させてもよい。医療デバイス300が、物質が除去されるべき標的部位に配置されると、ユーザは、(例えば、図1Cに示すように)アームアセンブリ305~307を閉鎖形態に移動させ、アームアセンブリ305~307を使用して物質を把持してもよい。次に、医療デバイス300は、身体開口部を介して医療デバイス300によって把持された物質を除去するように、近位方向に移動されてもよい。代わりに、医療デバイス300を、管腔内で遠位方向に移動させることにより、身体の別の領域に物質を堆積させてもよい(例えば、食道から胃の中へ物質を移動させる)。
【0026】
図4Aは、アーム411、414を有する支持部材460の断面図を示す。図4Bは、支持部材460~462を組み込んだ医療デバイス400の代替の実施形態を示す。医療デバイス400は、医療デバイス300の特徴のうちのいずれかを含んでもよく、医療デバイス300と同様に動作してもよい。医療デバイス400は、アーム411~413及びアーム414~416を含むアームアセンブリ405~407と、第1の本体401と、第1の本体401に対して移動可能な第2の本体402と、制御ワイヤ409、410とを含んでもよい。図4Bに示すように、支持部材460~462は、各アームアセンブリ405~407の近位部分の周りに配置され得る。支持部材460~462の各々は、円筒形であってもよく、各アームアセンブリ405~407の長手方向長さの一部分であってもよく、支持部材460~462を通って長手方向に延在する2つのルーメン(例えば、図4Aに示す支持部材460の第1のルーメン470及び第2のルーメン471)を含んでもよい。いくつかの例では、支持部材460~462の各々は、第1の本体401の最遠位端420に固定的に連結されてもよい。
【0027】
本明細書に記載するように、図4Aは、支持部材460の中心の長手方向の軸線に直交する断面であり、ルーメン470内に位置付けられたアーム412及びルーメン471内に位置付けられたアーム415を示す。ルーメン470は、ルーメン471とは支持部材460の反対側に位置付けられてもよく、各ルーメン470、471は、支持部材460を通って長手方向に延在してもよい。例えば、ルーメン470、471は、支持部材460の中心本体を中心として互いに正反対であってもよい。他の例では、支持部材460は、両方のアーム411、414を受容する単一のルーメンのみを含んでもよい。支持部材461及び462は、支持部材460の特徴のうちのいずれかを有してもよい。支持部材460~462は、アームの各対(例えば、アーム411、414;アーム412、415;及びアーム413、416)を共に支持することを容易にしてもよく、医療デバイス400が閉鎖位置にあるとき(図4Bに示す)、各アームアセンブリ405~407の曲率半径を減少させてもよい。医療デバイス400は、アーム411~416が医療デバイス300のアーム311~316と同様の態様で開く及び/又は閉じることができるように、医療デバイス300と同様の態様で操作されてもよいことが理解されるであろう。
【0028】
図5は、内視鏡590に連結した例示的な医療デバイス500を示す。医療デバイス500は、アームアセンブリ505、506及び第1の本体501を含んでもよい。アームアセンブリ505はアーム511、514を含んでもよく、アームアセンブリ506はアーム512、515を含んでもよい。医療デバイス500は、医療デバイス100、300、400の特徴のうちのいずれかを有してもよく、医療デバイス300と同様に動作してもよい。第1の本体501は、内視鏡590(図5に示す)の遠位端に連結されてもよく、第2の本体(図示無し)は、アームアセンブリ505、506を作動させるために、第1の本体501のルーメンを介して近位方向及び遠位方向に移動してもよい。例えば、第2の本体は、医療デバイス300の第2の本体302に対する第1の本体301の移動と同様の様式で、アームアセンブリ505、506を作動させるように第1の本体501に対して移動し得る。いくつかの例では、第1の本体501は、内視鏡590に固定的に連結されてもよく、他の例では、第1の本体501は、内視鏡590に取り外し可能に連結されてもよい。制御ワイヤは、内視鏡590のルーメンを介して内視鏡590の近位部分まで延在してもよく、ユーザは、図3の医療デバイス300に関連して記載するように、制御ワイヤを作動させて、アームアセンブリ505、506を閉鎖形態、中立形態、又は開放形態の間で移動させてもよい。
【0029】
図6は、本明細書に開示される医療デバイス100、300、400、500のいずれかに組み込まれ得るアーム612の代替の実施形態を示す。アーム612は、湾曲した遠位部分660及び尖った最遠位端661を含む。湾曲した遠位部分660は、デバイス100、300、400、500が患者の体内で移動しているときに非外傷性であるように構成されてもよい。アーム612の隆起部665は、アーム612がアーム612の中立位置にあるとき、近位方向を向いてもよい。隆起部665は、組織に接触するアーム612の表面積を増大させてもよく、組織を把持して移動させるのを助けるように構成されてもよい。アーム612は、隆起部665から近位の位置で別のアームに連結し得る。湾曲した遠位部分660、最遠位端661、及び隆起部665は、本出願で論じられる医療デバイス300、400、500、700、900のいずれかに組み込まれてもよい。例えば、これらの特徴(例えば、湾曲した遠位部分660、最遠位端661、及び隆起部665)は、医療デバイス300のアームアセンブリ305~307の各々の最遠位端に組み込まれてもよい。湾曲した遠位部分660は内向きに湾曲している(医療デバイスの中心の長手方向の軸線に向かって内向きに湾曲するように配向されている)ので、遠位部分660は体管腔の表面を横切って摺動することができ、最遠位端661は、遠位部分660が内向きに湾曲しているので、体管腔の表面に接触しないことがある。例えば、湾曲した遠位部分660の曲率半径は、アーム612が完全に開いた位置にあるときに最遠位端661が体管腔の表面に接触しないように十分に小さくてもよい。最遠位端661は、アーム612が体管腔内の食物塊又は他の物質を越えて移動することを容易にしてもよく、隆起部665は、アーム612が近位方向に引っ張られるにつれて、食物塊又は他の物質を近位方向に移動させることを容易にしてもよく、隆起部665が食物塊又は他の物質に接触して、食物塊又は他の物質を「捕捉」するか、又は力を近位方向に加えることを可能にする。
【0030】
図7は、医療デバイス700の遠位部分を示す。医療デバイス700は、医療デバイス100、300、400、500と同様に、物質745を把持するために使用されてもよい。医療デバイス700は、アーム705~707と、シャフト701を通して長手方向に延在する中央ルーメン767を含むシャフト701と、ネット731と、ネット731に連結した1つ以上のストリング721、723~726とを含み得る。用語「ストリング」は、任意のケーブル、ファイバ、ファイバ群、コード、又は同様の部材を含み得ることが理解されるであろう。各アーム705~707は、シャフト701の最遠位端712から遠位方向に延在してもよく、各アーム705~707は、シャフト701の最遠位端712に固定的に連結されてもよい。各アーム705~707は、シャフト701の中心の長手方向の軸線750に対して、シャフト701の半径方向外向き部分でシャフト701に連結され得る。各アーム705~707は、円筒形であってもよく、それぞれの対応するアーム705~707の最遠位端にリング部分715~717を含んでもよい。他の例では、各アーム705~707は、長方形の断面を有してもよく、及び/又は任意の適切な形状を有してもよい。リング部分715~717は、それを通って延在するルーメンを有する任意の他の適切な形状であってもよい。医療デバイス700は、3つのアーム705~707とともに示されているが、2、4、5、6、7、又は8つのアームなど、任意の他の数のアームが医療デバイス700に含まれてもよい。アーム705~707の各々は、長手方向の軸線750から半径方向外向きに湾曲した位置に付勢され得る。
【0031】
ストリング726は、断面が円形であってもよく、閉ループストリングであってもよく、リング715~717の各々を介して延在して、医療デバイス700の遠位端部分において円形形状を形成してもよい。ストリング726は、各アーム705~707の各リング部分715~717を通るストリング726の移動を可能にするような大きさであってもよい。第1のストリングセグメント723は、第1のリング部分715に近接してストリング726に連結されてもよく、第2のストリングセグメント724は、第2のリング部分716に近接してストリング726に連結されてもよく、第3のストリングセグメント725は、第3のリング部分717に近接してストリング726に連結されてもよい。ストリングセグメント723~725の各々は、ストリング726からネット731まで近位方向に延在し得る。ストリングセグメント723~725は、それらの遠位端を介してネット731の外周に連結されてもよく、互いから等距離のネット731上の位置で連結されてもよい。ストリングセグメント721は、結合点722によってネット731の中央部分に連結されてもよく、シャフト701のルーメン767を介して医療デバイス700の近位部分まで近位方向に延在してもよい。ネット731は、三角形の形状(図8A~8Cに示す)を有してもよく、アーム705~707の各々よりも長手方向の軸線750の近くに位置付けられてもよく、シャフト701のルーメン767内に適合するように構成されてもよい。いくつかの例では、ネット731は、ルーメン767の断面の寸法よりも大きい断面寸法を含んでもよい。ネット731は、ネット731がルーメン767内に適合し得るように、展開中に、折り畳まれ得るか、又は軸線750に向かって半径方向に移動され得ることが理解される。図7は、物質745がアーム705~707の間に配置された開放形態の医療デバイス700を示す。
【0032】
動作中、ユーザは、体管腔内の標的部位に医療デバイス700を配置してもよい。ユーザは、デバイス700を遠位方向に移動させて、物質745をアーム705~707の間に配置してもよい。ユーザが医療デバイス700を遠位方向に移動させると、ネット731は、物質745に接触してもよく、物質745をアーム705~707の間に位置付けられたままにしてもよく、これにより、把持のためにアーム705~707の間に物質745を集めることを容易にしてもよい。いくつかの例では、デバイス700が遠位方向に移動するときにネット731を押す物質745は、ユーザがストリング721を作動させることなく、アーム705~707を受動的に閉じてもよい。例えば、物質745は、医療デバイス700が遠位方向に移動するときにネット731を押してもよく、これは、各ストリングセグメント723~725を近位方向に移動させ、従って、ストリング726の一部分を近位方向に移動させてもよい。ストリング726の一部分が近位方向に移動されるとき、アーム705~707のリング部分715~717は、長手方向の軸線750に向かって、及び互いに向かって半径方向内向きに移動されてもよく、これは、医療デバイス700を開放位置から閉鎖位置に移行させる。他の例では、ユーザは、医療デバイス700を開放位置から閉鎖位置に移行させるために、ストリング721を近位方向に移動させることによって、ストリング721を能動的に作動させてもよい。ユーザがストリング721を近位方向に移動させることにより、各ストリングセグメント723~725は近位方向に移動されてもよく、ストリング726は近位方向に移動されてもよく、アーム705~707を共に引き寄せる。物質745がアーム705~707の間にある状態で、及び/又はネット731内に捕捉された状態で、医療デバイス700が閉位置に配置されると、ユーザは、デバイス700を患者の身体から取り外すことができる。
【0033】
図8A~8Cは、図7に示す医療デバイス700の代替のストリング構成の正面図を示す。具体的には、関連するストリング、ネット731、及びリング部分715~717のみが、純粋に説明の目的のために図8A~8Cに示されている。図8A~8Cに示すストリングアセンブリの各々は、ネット731から近位方向に延在するストリング721を含み得る。図8Aにおいて、第1のストリングセグメント835は、ネット731の第1の角に連結され、ループ部分715を介して延在して、ネット731の第1の角に戻る。第2のストリングセグメント836は、ネット731の第2の角に連結され、ループ部分716を介して延在して、ネット731の第2の角に戻る。第3のストリングセグメント837は、ネット731の第3の角に連結され、ループ部分717を介して延在して、ネット731の第3の角に戻る。図8Bは、ネット731の第1の角に連結され、ループ部分715及びループ部分716を介してネット731の第2の角まで延在する第1のストリングセグメント846を含むストリング構成を示す。第2のストリングセグメント847は、ネット731の第2の角に連結され、ループ部分716及びループ部分717を介して延在し、ネット731の第3の角にも連結される。第3のストリングセグメント848は、ネット731の第3の角に連結され、ループ部分717及びループ部分715を介して延在し、ネット731の第1の角にも連結される。
【0034】
図8Cは、ネット731の第1の角に連結され、リング部分715、リング部分716、及びリング部分717を介して延在し、ネット731の第2の角に連結される第1のストリングセグメント856を含む、医療デバイス700用の別のストリング構成を示す。第2のストリングセグメント857は、ネット731の第3の角に連結され、リング部分716、リング部分717、及びリング部分715を介して延在し、ネット731の第1の角に連結される。第3のストリングセグメント858は、ネット731の第2の角に連結され、リング部分717、リング部分715、及びリング部分716を介して延在し、ネット731の第3の角に連結される。図8A~8Cに示すストリング構成の各々は、医療デバイス700に関して上述した方法で動作することができる。ネット731は三角形の形状で示されているが、ネット731はそのように限定されず、長方形、正方形、円形、楕円形、又は任意の他の適切な形状であってもよい。
【0035】
図9A及び図9Bは、医療デバイス900の別の実施形態の遠位部分の側面図を示す。医療デバイス900は、シャフト901と、遠位リング部分915~917を含むアーム905~907と、ストリングセグメント935~937とを含み得る。医療デバイス900は、医療デバイス700の特徴のいずれかを有してもよく、医療デバイス700と同様に動作してもよい。アーム905~907の各々は、シャフト901の遠位部分においてシャフト901に固定的に連結されてもよく、各アーム905~907は、シャフト901から遠位方向に延在してもよい。各アーム905~907は、各アーム905~907がデバイス900の中心の長手方向の軸線950から離れて延在する位置に向かって付勢されてもよい。3つのアーム905~907が示されているが、医療デバイス900は、2、4、5、6、7、8などの任意の数のアームを有してもよい。
【0036】
いくつかの例では、医療デバイス900は、アーム905~907に移動可能に連結した3つの別個のストリングセグメント935~937を含むことができる。ストリングセグメント935~937の各々は、シャフト901のルーメン(図示無し)内の位置でそれらの近位端で共に連結されてもよく、シャフト901のルーメンを介してシャフト901の近位端まで近位方向に延在する単一のストリングセグメント(図9Cにストリング990として示す)に連結されてもよい。図9Cは、ストリングセグメント935~937を見やすくするために、シャフト901及びアーム905~907の近位部分が除去されたデバイス900の正面図を示す。第1のストリングセグメント935は、アーム905に隣接して、シャフト901内の近位位置からリング部分915及びリング部分916を介して延在し、近位方向に戻ってアーム906に隣接して、シャフト901のルーメン内の近位位置まで延在し得る。第2のストリングセグメント936は、アーム906に隣接して、シャフト901のルーメン内の近位位置からリング部分916及びリング部分917を介して延在し、近位方向に戻ってアーム907に隣接して、シャフト901のルーメン内の近位位置まで延在し得る。第3のストリングセグメント937は、アーム907に隣接して、シャフト901のルーメン内の近位位置からリング部分917及びリング部分915を介して延在し、近位方向に戻ってアーム905に隣接して、シャフト901のルーメン内の近位位置まで延在し得る。図9A及び9Bは、シャフト901のルーメン内に延在するストリングセグメント935~937の各々を示すが、他の例では、ストリングセグメント935~937の各々は、シャフト901の最遠位端の遠位の位置で共に連結されてもよい。医療デバイス900は、ユーザがストリングセグメント990を近位方向に引くと、開放形態(図9Aに示す)から閉鎖形態(図9Bに示す)に移行するように構成されてもよい。
【0037】
動作中、ユーザは、患者の体管腔内の標的領域に医療デバイス900を配置してもよく、次に、アーム905~907が開放形態にある間に、医療デバイス900を遠位方向に移動させ得る。ユーザは、食物塊などの物質945をアーム905~907の間に位置付けることができる。いくつかの例では、ユーザは、ストリングセグメント990を近位方向に引っ張ることによって、アーム905~907の位置を調整し、アーム905~907と中心の長手方向の軸線950との間の距離を減少させてもよい。物質945がアーム905~907の間に位置付けられると、ユーザは、ストリングセグメント990を近位方向に引っ張ることができ、これにより、ストリングセグメント935~937を近位方向に移動させ、アーム905~907を軸線950に向かって半径方向内向きに引っ張ることができる。医療デバイス900を開放形態から閉鎖形態に移行させることによって、アーム905~907は、物質945を把持するように物質945に向かって移動させられ得る。ストリングセグメント935~937の各々がループ部分915~917を互いに向かって移動させるので、アーム905~907は、図9Bに示すように、閉鎖形態にあるときに物質945の周りで屈曲及び/又は湾曲してもよい。物質945がデバイス900によって把持及び/又は保持されると、ユーザは、デバイス900を近位方向に移動させ、患者の身体から物質を除去してもよい。他の例では、ユーザは、デバイス900を遠位方向に移動させて、物質945を患者の胃などの患者の身体の異なる領域に移動させることができる。
【0038】
前述のデバイス及びシステムの各々は、体内の物質を把持、操作、及び/又はそれ以外に移動させ、及び/又は体管腔を拡張するために使用されてもよい。前述のデバイスのいずれも、内視鏡又は十二指腸内視鏡等の挿入デバイスとともに使用されてもよい。前述の方法のいずれかにおいて、ユーザは、内視鏡撮像技法を使用して1つ以上の医療デバイスを視認してもよく、患者の食道又は他の体管腔から食物塊又は他の物質を除去するために使用されてもよい。
【0039】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイス及び方法において様々な修正及び変更が行われ得ることが当業者には明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書の考察及び本明細書に開示された特徴の実施から当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は例示的なものにすぎないと考えられることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】