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特表2024-518608形状記憶合金製低プロファイルポート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】形状記憶合金製低プロファイルポート
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61M37/00 560
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571384
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021033383
(87)【国際公開番号】W WO2022245357
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】デンスリー、ブライオン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ホイ、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、イアン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】フィウメフレッド、ダイアナ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA75
4C267GG02
4C267GG21
(57)【要約】
本明細書で開示する実施形態は、リザーバを画定する本体と、ポートシステムとを備えるポートシステムに関する。本体又はポートシステムが形状記憶材料により形成され、拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能である。潰れた形態でのポート本体又はリザーバによって、皮下配置のため及び又はアクセスイベントとアクセスイベントの間の縮小したポートの全体サイズ又は外側プロファイルを提供することができる。このポートは、必要とする切開部位がより小さいため、必要な縫合を少なくするか又は全く不要とし、患者の回復時間や患者の快適性を改善し、瘢痕化を低減し、審美性を向上させる。潰れた形態でのポートステムは、カテーテル管腔よりも小さくなることができ、カテーテル管腔よりも大きくポートステムとカテーテルとの間に流体密封シールを容易にする拡張した形態に移行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下アクセスシステムであって、
管腔を画定するカテーテルと、
ポートと、を備え、
ポートは、
カテーテルと係合してカテーテルとの流体連通を提供するように構成されたポートステムと、
形状記憶材料を含み、ポートステムと流体連通したリザーバを画定する本体であって、本体は、拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態はより小さな全体のプロファイルを画定する、本体と、
リザーバを覆って配置され、リザーバへの経皮的アクセスを提供するように構成された、針で貫通可能なセプタムと
を備える、皮下アクセスシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
ポートステムは、形状記憶材料を含み、拡張した形態と潰れた形態との間を移行するように構成されている、皮下アクセスシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
潰れた形態にあるポートステムは第1の外側ステム径を画定し、拡張した形態にあるポートステムは第2の外側ステム径を画定し、第2の外側ステム径は第1の外側ステム径より大きい、皮下アクセスシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第1の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より小さく、第2の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より大きい、皮下アクセスシステム。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
形状記憶材料は、金属、複合材、又は合金を含み、ニッケル、チタン、亜鉛、銅、金、鉄、アルミニウム、銅アルミニウムニッケル合金、ニッケルチタン合金、又はニチノールのうちの1つを含有する、皮下アクセスシステム。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
拡張した形態にある本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にある本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する、皮下アクセスシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである、皮下アクセスシステム。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
拡張した形態にある本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にある本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積よりも小さい、皮下アクセスシステム。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する、皮下アクセスシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかのいずれかである、皮下アクセスシステム。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2のリザーバ容積は第1のリザーバ容積よりも小さい、皮下アクセスシステム。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第1の温度にある本体は、潰れた形態から拡張した形態に移行することができ、第2の温度にある本体は、拡張した形態から潰れた形態に移行することができる、皮下アクセスシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第1の温度は98.6°F(37℃)以上であり、第2の温度は98.6°F(37℃)未満である、皮下アクセスシステム。
【請求項14】
請求項12に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第1の温度は98.6°F(37℃)より高く、第2の温度は98.6°F(37℃)以下である、皮下アクセスシステム。
【請求項15】
請求項12~14のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第2の温度にある本体は、可塑変形可能となるように構成される、皮下アクセスシステム。
【請求項16】
請求項12~15のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
第1の温度にある本体はオーステナイト相にあり、第2の温度にある本体はマルテンサイト相にある、皮下アクセスシステム。
【請求項17】
請求項1~16のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
潰れた形態にある本体は、本体の外面に配置された折り畳み部分を備える、皮下アクセスシステム。
【請求項18】
請求項17に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
折り畳み部分は、本体の外面に配置された複数のひだを備え、これらのひだは、本体の拡張した形態と潰れた形態との間の移行を可能にするように構成されている、皮下アクセスシステム。
【請求項19】
請求項1~18のうちいずれか一項に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
本体は、形状記憶材料で形成されたフレーム構造、外殻構造、ハニカム構造、又は外骨格構造のうちの1つを含む、皮下アクセスシステム。
【請求項20】
請求項19に記載の皮下アクセスシステムにおいて、
形状記憶材料とは異なるものであって、形状記憶材料上に配置されて連続した外側プロファイルを形成する第2の材料をさらに含む、皮下アクセスシステム。
【請求項21】
ポートを製造する方法であって、
リザーバ及びリザーバ開口部を画定する本体を形成することであって、本体は、形状記憶材料を含み、拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態は、より小さな全体のプロファイルを画定することと、
リザーバと流体連通するステム管腔を画定するステムを形成することと、
針で貫通可能なセプタムをリザーバ開口部と結合させることであって、針で貫通可能なセプタムはリザーバへの経皮的アクセスを提供するように構成されることと
を備える、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
ポートステムは、形状記憶材料を含み、拡張した形態と潰れた形態との間を移行するように構成されている、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
潰れた形態にあるポートステムは第1の外側ステム径を画定し、拡張した形態にあるポートステムは第2の外側ステム径を画定し、第2の外側ステム径は第1の外側ステム径より大きい、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、
第1の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より小さく、第2の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より大きい、方法。
【請求項25】
請求項21~24のうちいずれか一項に記載の方法において、
形状記憶材料は、金属、複合材、又は合金を含み、ニッケル、チタン、亜鉛、銅、金、鉄、アルミニウム、銅アルミニウムニッケル合金、ニッケルチタン合金、又はニチノールのうちの1つを含有する、方法。
【請求項26】
請求項21~25のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にある本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるポート本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである、方法。
【請求項28】
請求項21~27のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にある本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にある本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積よりも小さい、方法。
【請求項29】
請求項21~28のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかのいずれかである、方法。
【請求項31】
請求項21~30のうちいずれか一項に記載の方法において、
拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2のリザーバ容積は第1のリザーバ容積よりも小さい、方法。
【請求項32】
請求項21~31のうちいずれか一項に記載の方法において、
第1の温度にある本体は、潰れた形態から拡張した形態に移行することができ、第2の温度にある本体は、拡張した形態から潰れた形態に移行することができる、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、
第1の温度は98.6°F(37℃)以上であり、第2の温度は98.6°F(37℃)未満である、方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法において、
第1の温度は98.6°F(37℃)より高く、第2の温度は98.6°F(37℃)以下である、方法。
【請求項35】
請求項32~34のうちいずれか一項に記載の方法において、
第2の温度にある本体は、可塑変形可能となるように構成される、方法。
【請求項36】
請求項32~35のうちいずれか一項に記載の方法において、
第1の温度にある本体はオーステナイト相にあり、第2の温度にある本体はマルテンサイト相にある、方法。
【請求項37】
請求項21~36のうちいずれか一項に記載の方法において、
潰れた形態にある本体は、本体の外面に配置された折り畳み部分を備える、方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、
折り畳み部分は、本体の外面に配置された複数のひだを備え、これらのひだは、本体の拡張した形態と潰れた形態との間の移行を可能にするように構成されている、方法。
【請求項39】
請求項21~38のうちいずれか一項に記載の方法において、
本体は、形状記憶材料で形成されたフレーム構造、外殻構造、ハニカム構造、又は外骨格構造のうちの1つを含む、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、
皮下アクセスシステムは、形状記憶材料とは異なるものであって、形状記憶材料上に配置されて連続した外側プロファイルを形成する第2の材料をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状記憶合金製低プロファイルポートに関する。
【背景技術】
【0002】
簡単に要約すると、本明細書で開示する実施形態は、潰すことが可能なリザーバを備えたポートシステム及びそれに関連する方法に関する。ポートは、リザーバを画定する本体を備えることができ、本体は、形状記憶材料、例えば金属、合金、又はニチノール、で形成される。ポート本体は、拡張した形態と潰れた形態との間を移行することができる。有利には、ポートは、潰れた形態に移行して、挿入するために及び/又はアクセスイベントとアクセスイベントの間に縮小した全体サイズ又は外側プロファイルを提供することができる。このポートは、必要とする切開部位がより小さいため、切開部位を閉鎖するために必要な縫合を少なくするか又は全く不要とし、患者の回復時間や患者の快適性を改善し、瘢痕化を低減し、審美性を向上させることができる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、皮下アクセスシステムが開示される。皮下アクセスシステムは、管腔を画定するカテーテルと、ポートとを具備し、ポートは、カテーテルと係合してカテーテルとの流体連通を提供するように構成されたポートステムと、形状記憶材料を含み、ポートステムと流体連通したリザーバを画定する本体であって、本体は、拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態はより小さな全体のプロファイルを画定する、本体と、リザーバを覆って配置され、リザーバへの経皮的アクセスを提供するように構成された、針で貫通可能なセプタムとを備える。
【0004】
いくつかの実施形態において、ポートステムは、形状記憶材料を含み、拡張した形態と潰れた形態との間を移行するように構成されている。いくつかの実施形態において、潰れた形態にあるポートステムは第1の外側ステム径を画定し、拡張した形態にあるポートステムは第2の外側ステム径を画定し、第2の外側ステム径は第1の外側ステム径より大きい。いくつかの実施形態において、第1の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より小さく、第2の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より大きい。いくつかの実施形態において、形状記憶材料は、金属、複合材、又は合金を含み、ニッケル、チタン、亜鉛、銅、金、鉄、アルミニウム、銅アルミニウムニッケル合金、ニッケルチタン合金、又はニチノールのうちの1つを含有する。
【0005】
いくつかの実施形態において、拡張した形態にある本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にある本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する。いくつかの実施形態において、第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである。いくつかの実施形態において、拡張した形態にある本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にある本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積よりも小さい。
【0006】
いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する。いくつかの実施形態において、第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかのいずれかである。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2のリザーバ容積は第1のリザーバ容積よりも小さい。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1の温度にある本体は、潰れた形態から拡張した形態に移行することができ、第2の温度にある本体は、拡張した形態から潰れた形態に移行することができる。いくつかの実施形態において、第1の温度は98.6°F(37℃)以上であり、第2の温度は98.6°F(37℃)未満である。いくつかの実施形態において、第1の温度は98.6°F(37℃)より高く、第2の温度は98.6°F(37℃)以下である。いくつかの実施形態において、第2の温度にある本体は、可塑変形可能となるように構成される。いくつかの実施形態において、第1の温度にある本体はオーステナイト相にあり、第2の温度にある本体はマルテンサイト相にある。
【0008】
いくつかの実施形態において、潰れた形態にある本体は、本体の外面に配置された折り畳み部分を備える。いくつかの実施形態において、折り畳み部分は、本体の外面に配置された複数のひだを備え、これらのひだは、本体の拡張した形態と潰れた形態との間の移行を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態において、本体は、形状記憶材料で形成されたフレーム構造、外殻構造、ハニカム構造、又は外骨格構造のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、皮下アクセスシステムは、形状記憶材料とは異なるものであって、形状記憶材料上に配置されて連続した外側プロファイルを形成する第2の材料をさらに含む。
【0009】
また、ポートを製造する方法も開示される。この方法は、リザーバ及びリザーバ開口部を画定する本体を形成することであって、本体は、形状記憶材料を含み、拡張した形態と潰れた形態との間を移行可能であり、潰れた形態は、より小さな全体のプロファイルを画定することと、リザーバと流体連通するステム管腔を画定するステムを形成することと、針で貫通可能なセプタムをリザーバ開口部と結合させることであって、針で貫通可能なセプタムはリザーバへの経皮的アクセスを提供することと、を備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、ポートステムは、形状記憶材料を含み、拡張した形態と潰れた形態との間を移行するように構成されている。いくつかの実施形態において、潰れた形態にあるポートステムは第1の外側ステム径を画定し、拡張した形態にあるポートステムは第2の外側ステム径を画定し、第2の外側ステム径は第1の外側ステム径より大きい。いくつかの実施形態において、第1の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より小さく、第2の外側ステム径は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径より大きい。いくつかの実施形態において、形状記憶材料は、金属、複合材、又は合金を含み、ニッケル、チタン、亜鉛、銅、金、鉄、アルミニウム、銅アルミニウムニッケル合金、ニッケルチタン合金、又はニチノールのうちの1つを含有する。
【0011】
いくつかの実施形態において、拡張した形態にある本体は、第1のポート高さ、第1のポート幅、又は第1のポート長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にある本体は、第2のポート高さ、第2のポート幅、又は第2のポート長さのうちの1つを画定する。いくつかの実施形態において、第2のポート高さは第1のポート高さより低いか、第2のポート幅は第1のポート幅より小さいか、又は第2のポート長さは第1のポート長さより短いかのいずれかである。いくつかの実施形態において、拡張した形態にある本体は第1のポート体積を画定し、潰れた形態にある本体は第2のポート体積を画定し、第2のポート体積は第1のポート体積よりも小さい。
【0012】
いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは、第1のリザーバ高さ、第1のリザーバ幅、又は第1のリザーバ長さのうちの1つを画定し、潰れた形態にあるリザーバは、第2のリザーバ高さ、第2のリザーバ幅、又は第2のリザーバ長さのうちの1つを画定する。いくつかの実施形態において、第2のリザーバ高さは第1のリザーバ高さより低いか、第2のリザーバ幅は第1のリザーバ幅より小さいか、又は第2のリザーバ長さは第1のリザーバ長さより短いかのいずれかである。いくつかの実施形態において、拡張した形態にあるリザーバは第1のリザーバ容積を画定し、潰れた形態にあるリザーバは第2のリザーバ容積を画定し、第2のリザーバ容積は第1のリザーバ容積よりも小さい。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1の温度にある本体は、潰れた形態から拡張した形態に移行することができ、第2の温度にある本体は、拡張した形態から潰れた形態に移行することができる。いくつかの実施形態において、第1の温度は98.6°F(37℃)以上であり、第2の温度は98.6°F(37℃)未満である。いくつかの実施形態において、第1の温度は98.6°F(37℃)より高く、第2の温度は98.6°F(37℃)以下である。いくつかの実施形態において、第2の温度にある本体は、可塑変形可能となるように構成される。いくつかの実施形態において、第1の温度にある本体はオーステナイト相にあり、第2の温度にある本体はマルテンサイト相にある。
【0014】
いくつかの実施形態において、潰れた形態にある本体は、本体の外面に配置された折り畳み部分を備える。いくつかの実施形態において、折り畳み部分は、本体の外面に配置された複数のひだを備え、これらのひだは、本体の拡張した形態と潰れた形態との間の移行を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態において、本体は、形状記憶材料で形成されたフレーム構造、外殻構造、ハニカム構造、又は外骨格構造のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、形状記憶材料とは異なるものであって、形状記憶材料上に配置されて連続した外側プロファイルを形成する第2の材料をさらに含む。
【0015】
本開示のより具体的な説明を、添付の図面に図示されるその特定の実施形態を参照して行う。これらの図面は本発明の代表的な実施形態のみを描いており、そのためその範囲を制限すると見なしてはならないことは認識される。本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を使用することにより追加の特性および細部まで記述し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本明細書で開示される実施形態による、カテーテルに結合されたポートの斜視図。
図2A】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートの長手方向断面図。
図2B】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートの平面断面図。
図2C】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートの長手方向断面図。
図2D】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートの平面断面図。
図2E】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートの平面断面図。
図2F】本明細書で開示される実施形態による、折り畳み部分を備え、潰れた形態にあるポートの平面断面図。
図3A】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートの横方向断面図。
図3B】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートの横方向断面図。
図3C】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートの長手方向断面図。
図3D】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートの長手方向断面図。
図4A】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートステムの長手方向断面図。
図4B】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートステムの長手方向断面図。
図4C】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあるポートステムの横方向断面図。
図4D】本明細書で開示される実施形態による、潰れた形態にあり、折り畳み部分を備えたポートステムの横方向断面図。
図4E】本明細書で開示される実施形態による、拡張した形態にあるポートステムの横方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換することができる特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0018】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、一般的に、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0019】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0020】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0021】
本明細書に説明される実施形態の説明を助けるために、図1に図示されるように、長手軸はカテーテルの軸方向の長さに実質的に平行に延びている。横軸は長手軸に垂直に延び、横断軸は長手軸および横軸の両方に垂直に延びている。本明細書では、水平面が横軸と長手軸とに沿って延びている。垂直面が水平面と垂直に延びている。
【0022】
別途定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
図1は、形状記憶材料を含み、皮下配置を容易にするために拡張した形態と潰れた形態との間で移行可能である本体を備えた血管アクセスデバイス、すなわち(「ポート」)100を示す。ポート100は、概して、リザーバ110を画定するポート本体150と、リザーバ110を覆って配置された針で貫通可能なセプタム120とを備えることができる。一実施形態において、セプタム120は、シリコーンゴム又は同様の適当な材料で形成され得る。使用時、リザーバ110は、針がセプタム120を貫通して、リザーバに流体的にアクセスすることによって、経皮的にアクセスされ得る。
【0023】
ポート100は、ステム軸線80に沿って延びるポートステム130をさらに備えることができ、ポートステム130は、リザーバ110と流体連通するステム管腔132を画定する。一実施形態において、ステム軸線80は、長手方向軸線にほぼ平行に延びることができる。ステム130は、患者の脈管構造にアクセスするように構成されたカテーテル90又は同様のデバイスに結合されるように構成され得る。カテーテル90は、内部を通って延びる管腔92を画定する長尺状本体を備えることができる。
【0024】
一実施形態において、本体150又はステム130のうちの一方は、第1の材料152を含むことができる。一実施形態において、第1の材料152は、金属、合金、亜鉛、銅、金又は鉄を含有する合金、複合材、銅アルミニウムニッケル合金、ニッケルチタン(NiTi)合金(「ニチノール」)などの形状記憶材料とすることができる。一実施形態において、本体150又はステム130のうちの一方は、非形状記憶材料、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材などのような第2の材料154を含むことができる。
【0025】
一実施形態において、本体150は、第1の材料152で全体的に形成され得る。一実施形態において、本体150は、第1の材料152で形成されたフレーム構造、外殻構造、「ハニカム」構造、又は「外骨格」構造を備えることができ、その上に配置されて連続した外側プロファイルを形成する1種以上の第2の材料154で形成された被覆又は「フィラー」材料を含むことができる。材料のこれら及び他の形態は、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0026】
一実施形態において、第1の材料152は、第1の形態と第2の形態との間を移行することができる。一実施形態において、第1の温度(例えば体温以上の温度)は、第1の材料152を第2の形態(例えば潰れた形態)から第1の形態(例えば拡張した形態)に移行させることができ、第2の温度(例えば体温未満の温度)は、第1の材料152を第1の形態(例えば拡張した形態)から第2の形態(例えば潰れた形態)に移行させることができる。
【0027】
一実施形態において、第2の温度(例えば体温未満の温度)にある第1の材料152は、第1の形態(例えば拡張した形態)から第2の形態(例えば潰れた形態)に塑性変形され得る。第1の温度(例えば体温以上の温度)にある第1の材料152は、第1の材料152を第2の形態(例えば潰れた形態)から第1の形態(例えば拡張した形態)に移行させることができる。
【0028】
一実施形態において、第1の(拡張した)形態にある第1の材料152は、オーステナイト相にあり得、第2の(潰れた)形態にある第1の材料152は、マルテンサイト相にあり得る。一実施形態において、第1の温度にある第1の材料152は、オーステナイト相にあり得、第2の温度にある第1の材料152は、マルテンサイト相にあり得る。
【0029】
一実施形態において、図2A図2Dに示すように、ポート本体150は、拡張した形態(図2A図2B)と潰れた形態(図2C図2D)との間を移行するように構成され得る。一実施形態において、拡張した形態にあるポート本体150の材料は、オーステナイト相にあり得、潰れた形態にあるポート本体150の材料は、マルテンサイト相にあり得る。
【0030】
図2Aは、拡張した形態にあるポート100の長手方向断面図を示す。図2Bは、拡張した形態にあるポート100の平面断面図を示す。図2Cは、潰れた形態にあるポート100の長手方向断面図を示す。図2Dは、潰れた形態にあるポート100の平面断面図を示す。
【0031】
一実施形態において、拡張した形態(図2A図2B)では、ポート本体150は、横断方向軸線、横方向軸線、及び長手方向軸線に沿ってそれぞれ延びる、第1のポート高さ(H1)、第1のポート幅(W1)、又は第1のポート長さ(L1)を画定することができる。しかしながら、これらの高さ、幅、又は長さは、それぞれ異なる軸線に沿って延びてもよいことが理解されるであろう。一実施形態において、拡張した形態にあるポート本体150は、第1の外側プロファイル又は外寸を提供する第1のポート体積(V1)を画定することができる。
【0032】
一実施形態において、潰れた形態(図2C図2D)では、ポート本体150は、第2のポート高さ(H2)、第2のポート幅(W2)、第2のポート長さ(L2)、又は第2の外側プロファイル若しくは外寸を提供する第2のポート体積(V2)を画定することができる。一実施形態において、第2のポート高さ(H2)は、第1のポート高さ(H1)より低くなり得る。一実施形態において、第2のポート幅(W2)は、第1のポート幅(W1)より小さくなり得る。一実施形態において、第2のポート長さ(L2)は、第1のポート長さ(L1)より短くなり得る。一実施形態において、第2のポート体積(V2)は、第1のポート体積(V1)より小さくなり得る。
【0033】
一実施形態において、図2E図2Fに示すように、ポート本体150の第2の潰れた形態は、外側プロファイルに配置された折り畳み形態を含むことができる。図2Eは、拡張した形態にあるポート100の平面断面図を示す。図2Fは、折り畳み部分を含む潰れた形態にあるポート100の平面断面図を示す。一実施形態において、ポート本体の折り畳み部分は、ポート本体150の外面がより小さなプロファイル(外形)、体積、又はサイズに潰されることを可能にし得る。一実施形態において、図2Fに示すように、折り畳み部分は、ほぼ垂直に延びてポート本体150の外面を小さな水平周長内に配置できるようにする複数のひだを備えることができる。参考のため、拡張した形態にあるポート本体150の水平周長を破線で示す。一実施形態において、折り畳み部分は、第1の材料152、1つ以上の第2の材料154、又はこれらの組み合わせから形成され得る。
【0034】
図3A図3Dは、潰すことが可能なリザーバ110を備えたポート100の実施形態を示す。図3Aは、拡張した形態にあるポートの横方向断面図を示す。図3Bは、潰れた形態にあるポートの横方向断面図を示す。図3Cは、拡張した形態にあるポートの長手方向断面図を示す。図3Dは、潰れた形態にあるポートの長手方向断面図を示す。
【0035】
一実施形態において、拡張した形態では、リザーバは、横断方向軸線、横方向軸線、及び長手方向軸線に沿ってそれぞれ延びる、第1のリザーバ高さ(RH1)、第1のリザーバ幅(RW1)、又は第1のリザーバ長さ(RL1)を画定することができる。しかしながら、これらの高さ、幅、又は長さは、それぞれ異なる軸線に沿って延びてもよいことが理解されるであろう。一実施形態において、リザーバ110は、第1のリザーバ容積(RV1)を画定することができる。
【0036】
一実施形態において、潰れた形態では、リザーバ110は、第2のリザーバ高さ(RH2)、第2のリザーバ幅(RW2)、第2のリザーバ長さ(RL2)、又は第2のリザーバ容積(RV2)を画定することができる。一実施形態において、第2のリザーバ高さ(RH2)は、第1のリザーバ高さ(RH1)より低くなり得る。一実施形態において、第2のリザーバ幅(RW2)は、第1のリザーバ幅(RW1)より小さくなり得る。一実施形態において、第2のリザーバ長さ(RL2)は、第1のリザーバ長さ(RL1)より短くなり得る。一実施形態において、第2のリザーバ容積(RV2)は、第1のリザーバ容積(RV1)より小さくなり得る。一実施形態において、リザーバ110の第2のリザーバ容積(RV2)は、ゼロ容積、又は僅少の容積を画定することができる。
【0037】
一実施形態において、ポート本体150は、第1の温度(例えば、体温、又は98.6°F(37℃)以上)に晒され、第1の形態、例えば拡張した形態、を提供することができる。ポート本体150は、第2の温度(例えば体温未満、又は98.6°F(37℃)未満)に晒され、第2の形態、例えば潰れた形態、を提供することができる。使用時、ポート100が患者の外部に配置されるときには、ポート100は潰れた形態を画定することができる。有利には、潰れた形態は、より小さな全体のプロファイル、サイズ、又は体積を提供することができ、相対的により小さな挿入部位を通して皮下に配置され得る。有利には、挿入部位が小さいほど、挿入部位を閉鎖するために必要な縫合が少なくなるか、又は不要となり、瘢痕化の低減、回復時間の改善、患者の快適性の改善、審美性の向上がもたらされ得る。一実施形態において、ポート100が皮下に配置されるときには、ポート100は、第1の温度、例えば、体温、又は98.6°F(37℃)以上、に晒され、潰れた(第2の)形態から拡張した(第1の)形態に移行することができる。有利には、ポート100が皮下に配置されると、温度変化により、ポート100は使用の準備が整った拡張した形態に移行され得る。
【0038】
一実施形態において、拡張した形態にあるポート100は、ポート100が第2の温度(例えば98.6°F(37℃)未満)にある間、第2の潰れた形態に塑性変形され得る、すなわち、第2の潰れた形態への展延性を有し(malleable)得る。ポート100は、ポート100が皮下に配置されるまで、潰れた形態であり続けることができる。皮下に配置されるとき、第2の温度から第1の温度(例えば98.6°F(37℃)以上)への温度変化により、ポート100は、第2の潰れた形態から第1の拡張した形態に移行して戻ることができる。有利には、ポート100は、より小さな全体のプロファイルに塑性変形されて、相対的に小さな切開部部位を通じた皮下配置を可能にすることができる。皮下に配置されると、ポート100は、温度変化によってトリガされて、潰れた形態から使用の準備が整った拡張した形態に移行することができる。
【0039】
一実施形態において、第1の温度は、体温より高いか、又は98.6°F(37℃)より高い温度にあり得る。したがって、ポート100は、本明細書で記載するように、患者の外部で拡張した形態から潰れた形態に移行され得る。皮下に配置されると、ポート100は潰れた形態であり続けることができる。使用時、臨床医は、皮下に配置されたポート100の位置に隣接した肌表面に温熱パッド、又は同様のデバイスを当てることができる。温熱パッドは、ポートを体温より高いか又は98.6°F(37℃)より高い温度に加温することができ、ポート100を潰れた形態から使用の準備が整った拡張した形態に移行させることができる。処置が完了したら、ポート100を体温まで冷ますことができ、ポート100は潰れた形態に移行することができる。一実施形態において、ポート100は体温に冷ますことができ、ポート100は、皮膚を介した触接によって潰れた形態に塑性変形されて、より低いプロファイルを提供することができる。有利には、ポート100は、皮下配置後、使用と使用の間に、潰れた形態を維持することができ、より低いプロファイルを提供し、皮膚の伸張を低減し、瘢痕化を低減し、患者の快適性及び審美性を向上させることができる。ポート100にアクセスする必要があるとき、ポート100は、加熱によって拡張した形態に選択的に移行され得る。
【0040】
一実施形態において、ポート100は、第1の軸線に沿ってサイズを縮小し、第1の軸線に対してある角度をなして延びる第2の軸線に沿ってサイズを拡張するように塑性変形され得る。したがって、ポート本体150は、第1の平面で断面積を縮小するように塑性変形し、他の場合に拡張した形態で必要とされるよりも相対的に小さな切開部位を通り抜けることができる。例えば、ポート本体150は、横断方向軸線又は横方向軸線のうちの1つに沿って、塑性変形し、サイズを縮小するように構成されることができ、長手方向軸線に沿って拡張して、ポート本体150の断面積を横方向の垂直平面に沿って縮小させることができる。したがって、ポート100は、他の場合に拡張した形態で必要とされるよりも相対的に小さな挿入部位を通り抜けることができる。
【0041】
一実施形態において、図4A図4Eに示すように、ポートステム130は、第1の材料、例えば形状記憶材料、を含むことができ、潰れた形態(図4A図4C図4D)と拡張した形態(図4B、4E)との間を移行するように構成され得る。図4A図4Bは、長手方向断面図を示す。図4C図4Eは、遠位方向における、すなわちカテーテル90の方に向いた、ポートステム130を通る横方向断面図を示す。一実施形態において、拡張した形態にあるポートステム130の材料は、オーステナイト相にあり得、潰れた形態にあるポートステム130の材料は、マルテンサイト相にあり得る。
【0042】
図4A図4C図4Dに示すように、潰れた形態では、ポートステム130は第1の外側ステム径(SD1)を画定することができる。第1のステム径(SD1)は、弛緩状態におけるカテーテル90の第1の内側管腔径(CD1)より小さくなり得る。図4B及び図4Eに示すように、拡張した形態では、ポートステム130は、第2の外側ステム径(SD2)を画定することができる。第2のステム径(SD2)は、弛緩状態におけるカテーテル90の第1の内側管腔径(CD1)と同じか、又はそれより大きくなり得る。一実施形態において、潰れた形態にあるポートステム130は、ポートステム130が潰れた形態の第1の外側ステム径(SD1)と拡張した形態の第2の外側ステム径(SD2)との間を移行できるように構成された折り畳み部分(図4D)を備えることができる。
【0043】
使用時、ポートステム130が潰れた形態にある間に、カテーテル90は、ポートステム130をカテーテル管腔92と摺動可能に係合させることによって、ポートステム130に結合され得る。次に、ポートステム130は、潰れた形態(図4A図4C図4D)から拡張した形態(図4B図4E)に移行され得る。一実施形態において、ポートステム130は、本明細書で記載するように、温度変化によって、及び/又は塑性変形によって、拡張した形態から潰れた形態に移行され得る。一実施形態において、ポートステム130は、本明細書で記載するように、皮下に配置された状態から、温度変化によって潰れた形態から拡張した形態に移行され得る。拡張した形態において、ポートステム130は、弛緩状態におけるカテーテルの内側管腔径(CD1)より大きな第2の外径(SD2)を画定することができる。したがって、ポートステム130は、カテーテルの一部を第2の内側管腔径(CD2)に伸張させ、ポートステム130とカテーテルとの間に流体密封シールを提供することができる。
【0044】
有利には、ポートステム130は、ポートステムとカテーテル管腔との間に確実な締まり嵌めを提供することができる。さらに、カテーテルは、拡張した形態に移行する前にポートステム130と摺動可能に係合されることができ、相対的に小さな柱状力(columnar force)を必要とし、組織ポケットの制限された湿った環境内での滑りを軽減する。ポートステムは、係合されると、拡張した形態に移行されて、ポートステムとカテーテル管腔との間に緊密な締まり嵌めを提供することができる。
【0045】
一実施形態において、第1の温度により、ポート130を第1の拡張した形態から第2の潰れた形態に移行させることができ、第2の温度により、ポート130を第2の潰れた形態から第1の拡張した形態に移行させることができる。一実施形態において、ポート130は、第1の温度にある間、第1の拡張した形態から第2の潰れた形態に塑性変形され得る。次に、第2の温度により、ポートステム130を第2の潰れた形態から第1の拡張した形態に移行させることができる。
【0046】
一実施形態において、第1の温度は、体温未満、又は98.6°F(37℃)未満であり得る。第2の温度は、体温又は98.6°F(37℃)以上であり得る。したがって、患者の外部に配置されたポートステム130は、第1の温度に晒され、第2の潰れた形態に移行され得るか、又は塑性変形され得る。次に、ポート100は皮下に配置され得、ポートステム130はカテーテル管腔92と摺動可能に係合され得る。次に、ポートステム130は、第2の温度、すなわち体温又は98.6°F(37℃)以上に晒され、ポートステム130を潰れた形態から拡張した形態に移行させて、ポートステム130とカテーテル管腔92との間に流体密封シールを提供する。
【0047】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されるとともに、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態は、本明細書で提供された概念の範囲を制限することを意図するものではない。追加的な適応および/または変更が当業者に理解され得る。より広い態様では、これらの適応および/または変更もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱してよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
【国際調査報告】