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特表2024-518613収差補正器および収差補正器を位置合わせする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】収差補正器および収差補正器を位置合わせする方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/153 20060101AFI20240423BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20240423BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/28 B
H01J37/147 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571548
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022062114
(87)【国際公開番号】W WO2022243048
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】17/324,444
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501493587
【氏名又は名称】アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】フィルンケス マチアス
(72)【発明者】
【氏名】ランパースベルガー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブロイアー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケメン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】プラゾット オフェンバーグ シェム イェホイダ
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB04
5C101EE08
5C101EE22
5C101EE53
5C101EE57
5C101EE64
5C101EE67
5C101EE68
5C101EE75
5C101EE76
5C101EE78
5C101GG18
5C101HH23
(57)【要約】
第1の磁極(210)およびさらなる磁極(211)を含む複数の磁極(210、211)と、複数の磁極を互いに磁気的に接続し、少なくとも第1の磁極に対して一定の間隔を有するリング(240)と、第1の磁場変調器(220)およびさらなる磁場変調器(221)を含む複数の磁場変調器(220、221)と、第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイド(450)とを有する収差補正器(101)が提供され、第1の磁場変調器は、軟磁性材料を含み、第1の磁場変調器は、第1の位置に配置され、第1の位置は、第1の磁極とリングとを分離する第1の空隙(230)に隣接するか、または内側リング面(241)にあるか、または第1の磁極の軸に沿って内側リング面の半径方向外側にあるかのうちの1つであり、第1のガイドは、第1の磁場変調器を第1の磁極の軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、
前記複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであって、少なくとも前記第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、
第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、
第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドと、
を備え、
前記第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、
前記第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、前記第1の位置が、前記第1の磁極と前記リングとを分離する第1の空隙に隣接する、内側リング面にある、前記第1の磁極の軸に沿って前記内側リング面の半径方向外側にある、のうちの1つであり、
前記第1のガイドが、前記第1の磁場変調器を、前記第1の磁極の前記軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する、
収差補正器。
【請求項2】
前記第1の磁極および前記さらなる磁極を駆動するように適合された電流源をさらに備える、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項3】
前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に維持するように配置された保持器をさらに備え、または前記第1のガイドが第1のアクチュエータを含む、請求項1または2に記載の収差補正器。
【請求項4】
前記第1の磁場変調器の前記第1の位置が、実質的に光軸の位置で測定された磁場に基づく、請求項1~3のいずれか1項に記載の収差補正器。
【請求項5】
前記第1の磁極、前記第1の磁場変調器、および前記リングが、前記第1の磁場変調器の前記第1の位置が、前記第1の磁極と前記リングとの間の第1の距離とは無関係であるように支持されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の収差補正器。
【請求項6】
前記第1の磁場変調器が前記複数の磁極の平面と実質的に平行な平面内に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の収差補正器。
【請求項7】
前記第1のガイドが第1の端部位置および第2の端部位置において前記第1の磁場変調器を支持するように構成され、前記第1の端部位置において、前記第1の磁極の前記軸に対して垂直な方向から見たときに、前記第1の磁場変調器と前記第1の磁極との重なりがゼロではない、請求項1~6のいずれか1項に記載の収差補正器。
【請求項8】
前記第1のガイドが少なくとも前記第1の空隙と同じ長さに沿った位置で前記第1の磁場変調器を支持するように適合されており、前記長さが前記第1の磁極の前記軸と平行なまたは一致する方向にある、請求項1~6のいずれか1項に記載の収差補正器。
【請求項9】
試料ステージと、
荷電粒子ビームを生成するように適合された荷電粒子源と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の収差補正器を含む荷電粒子ビーム操作システムと、
を備える、荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記第1の磁場変調器の前記第1の位置が、光軸における前記第1の磁極の磁場の測定された影響または測定された磁場に基づく、請求項9に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、
前記複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであって、少なくとも前記第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、
第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、
第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドと、
を備え、
前記第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、
前記第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、
前記第1のガイドが、前記第1の磁場変調器を、前記第1の磁極の軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する、
収差補正器。
【請求項12】
前記第1の磁場変調器が前記複数の磁極の平面と実質的に平行な平面内に配置されている、請求項11に記載の収差補正器。
【請求項13】
前記第1のガイドが第1の端部位置および第2の端部位置において前記第1の磁場変調器を支持するように構成され、前記第1の端部位置において、前記第1の磁極の前記軸に対する半径方向において、前記第1の磁場変調器と前記第1の磁極との交差がゼロではない、請求項11または12に記載の収差補正器。
【請求項14】
前記第1のガイドが第1の端部位置および第2の端部位置において前記第1の磁場変調器を支持するように構成され、前記第1の端部位置において、前記第1の磁極の前記軸に対して垂直な方向から見たときに、前記第1の磁場変調器と前記第1の磁極との重なりがゼロではない、請求項11~13のいずれか1項に記載の収差補正器。
【請求項15】
収差補正器の磁場を光軸と位置合わせする方法であって、前記収差補正器が、
第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、
前記複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであり、少なくとも前記第1の磁極に対して一定の間隔を有する、リングと、
第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、
第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドと、
を含み、
前記第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、
前記第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、前記第1の位置が、前記第1の磁極と前記リングとを分離する第1の空隙に隣接するか、または内側リング面にあるか、または前記第1の磁極の軸に沿って前記内側リング面の半径方向外側にあるかのうちの1つであり、
前記方法が、
前記第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップであり、前記第1の位置が、前記第1の磁極の前記軸に実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った複数の位置のうちの1つである、ステップを含む、
方法。
【請求項16】
前記第1の磁極の第1の偏向感度を測定するステップと、前記さらなる磁極のうちの少なくとも1つの第2の偏向感度を測定するステップと、前記第1の感度と前記第2の感度が実質的に等しくなるように、前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光軸と実質的に一致する位置で回転磁場センサを用いて磁場を測定するステップと、前記測定された磁場に基づいて寄生多重極場を識別するステップと、前記寄生多重極場が最小になるように前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の磁極を駆動するステップと、磁場センサを用いて前記第1の磁極の磁場を測定するステップとをさらに含み、前記第1の磁場変調器が前記第1の位置にあるとき、前記第1の磁極の前記測定された磁場が、前記さらなる磁極のうちの少なくとも1つ、または前記さらなる磁極のすべてと等しい、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記収差補正器の励磁をウォブリングさせるステップと、前記ウォブリング中のイメージシフトが最小になるように前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
荷電粒子カラム内で前記収差補正器を稼働させるステップをさらに含み、前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップが前記稼働中に行われる、請求項15~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、収差補正器に関し、詳細には、複数の磁極とリングとを有する収差補正器に関する。より詳細には、本明細書に記載の実施形態は、複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングとを有する収差補正器に関する。実施形態は、収差補正器を有する荷電粒子ビーム装置および収差補正器の磁場を位置合わせする方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡、微細加工装置、半導体製造装置などの荷電粒子線装置では、偏向器や収差補正器には、単一段または多段の多極子(双極子、四極子、六極子、八極子など)が用いられている。前述の装置を用いて、10マイクロメートル程度の精度の加工や、サブマイクロメートル領域の精度の観察を行うことができる。
【0003】
このような用途では、装置の分解能がサブナノメートル領域にあることが有利である。収差補正器では、磁場成形多重極素子の不完全性により、達成可能な分解能を制限する収差が生じる可能性がある。
【0004】
特に、球面収差補正器および色収差補正器などの収差補正器では、関与する多重極場が非常に強くなる可能性があり、このような補正器の不正確さは、電場および磁場プロファイルの不完全性につながる可能性があり、その結果、装置の達成可能な性能を制限する残留収差が生成される。
【0005】
したがって、製造および組立において高い精度が求められる。例えば、磁気収差補正器の磁気回路を構成する磁極および他の構成要素の位置決めの精度が求められる。これは、このような位置決めの不正確さが寄生多重極場を引き起こし、ビームのぼけの原因となるからである。加えて、精度を向上させるための解決策は、多くの場合、特に大量生産において、再現性およびコストに悪影響を及ぼす複雑さの増加を伴う。
【0006】
例えば、特許文献米国特許第9,287,084B2号には、磁極と磁気リングとの間に配置され、磁極とリングとの間の間隔を調整する調整部材が記載されている。しかしながら、このような解決策は、磁気回路の一部にしか対処していない。さらに、構成部品を追加すると、典型的には、製造および組立の複雑さが増加し、さらなる不正確さの原因が導入される。さらに、システムが十分に良好な状態で組み立てられたとしても、このような解決策は、メンテナンスの問題、例えば、システムの構成部品の機械的な位置決めの劣化につながる動作寿命中の振動には対処していない。
【0007】
したがって、必要な精度以上を確実に達成することができ、同時に大量生産が可能な収差補正器、および収差補正器の磁場を位置合わせする方法を提供することが有益である。特に、性能の低下につながる(製造、組立、動作中などの)不正確さの様々な原因に確実に対処することができる収差補正器および収差補正器の磁場を位置合わせする方法を提供することが有益である。
【発明の概要】
【0008】
上記に鑑みて、独立請求項によって定義される発明が提供される。本明細書に記載の態様によると、収差補正器および収差補正器の磁場を位置合わせする方法が提供される。実施形態のさらなる態様、利点、および特徴は、従属請求項、説明、および添付の図面から明らかである。
【0009】
本明細書に記載の一態様によると、第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであって、少なくとも第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドとを有する収差補正器が記載され、第1の磁場変調器は軟磁性材料を含み、第1の磁場変調器は第1の位置に配置され、第1の位置は、第1の磁極とリングとを分離する第1の空隙に隣接する、内側リング面にある、第1の軸極の軸に沿って内側リング面の半径方向外側にある、のうちの少なくとも1つであり、第1のガイドは、第1の磁場変調器を、第1の磁極の軸に実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する。
【0010】
さらなる態様によると、第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであって、少なくとも第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドとを有する収差補正器が記載され、第1の磁場変調器は軟磁性材料を含み、第1の磁場変調器は第1の位置に配置され、第1のガイドは、第1の磁場変調器を、第1の磁極の軸に実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する。
【0011】
本明細書に記載されるさらなる態様によると、収差補正器の磁場を光軸と位置合わせする方法が説明され、収差補正器は、第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであって、少なくとも第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドとを有し、第1の磁場変調器は、軟磁性材料を含み、第1の磁場変調器は、第1の位置に配置され、第1の位置は、第1の磁極とリングとを分離する第1の空隙に隣接するか、または第1の磁極の軸に沿って内側リング面にあるか、または内側リング面の半径方向外側にあるかのうちの1つであり、本方法は、第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップを含み、第1の位置は、第1の磁極の軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った複数の位置のうちの1つである。
【0012】
実施形態は、開示された方法を実行するための装置も対象とし、個々の方法動作を実行するための装置部品を含む。これらの方法は、ハードウェア構成要素、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータによって、両者の任意の組合せによって、または任意の他の様式で行われてもよい。さらに、実施形態は、記載される装置を動作させる方法も対象とする。
【0013】
本明細書に記載の実施形態と組み合わせることができるさらなる利点、特徴、態様、および詳細は、従属請求項、説明、および図面から明らかである。
【0014】
本発明の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した実施形態のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって得ることができる。添付の図面は、1つまたは複数の実施形態に関するものであり、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本明細書に記載の実施形態による収差補正器の断面図である。
図2】本明細書に記載の実施形態による収差補正器の断面図である。
図3】本明細書に記載の実施形態による収差補正器の断面図である。
図4】本明細書に記載の実施形態による磁場変調器の拡大図である。
図5】本明細書に記載の実施形態による磁場変調器の拡大図である。
図6】本明細書に記載の実施形態によるバランス抵抗器の概略図である。
図7】本明細書に記載の実施形態による荷電粒子ビーム装置の概略図である。
図8】本明細書に記載の実施形態による収差補正器の磁場を位置合わせする方法を示す流れ図である。
図9】本明細書に記載の実施形態による異なる磁場変調器のモデル化された効果を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、様々な実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例を各図に示す。図面の以下の説明の範囲内で、同じ参照番号は、同じ構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に関する差異のみが記載される。各例は、説明のために提供されており、限定を意味するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、さらなる実施形態をさらに生み出すために、他の実施形態上でまたは他の実施形態と併せて使用することができる。説明は、そのような修正および変形を含むことが意図されている。
【0017】
SEMカラムなどの荷電粒子ビーム装置の分解能を単純な円形レンズ系の限界を超えて向上させるために、収差補正器を使用して収差を補正することができる。一例では、収差補正器は多重極補正器である。収差補正器は、球面収差補正器、色収差補正器、コマ収差補正器、およびさらなる多重極補正器のうちの少なくとも1つを含むことができる。収差補正器は、複数の多重極段を含むことができる。各多重極段は、磁気多重極もしくは静電多重極、または磁気/静電複合多重極とすることができる。各多重極段は、典型的には、複数の極を含む。
【0018】
磁極は、(光軸109に近い)磁極ヘッド120と、励磁コイルを担持するロッド122とを含むと理解することができる。磁極ヘッド120は、磁極ヘッド支持体140内に取り付けられてもよい。磁極ヘッド支持体140は、非磁性材料であってもよい。ロッド122は、ロッド支持体142内に取り付けられてもよい。ロッド支持体142は、非磁性材料で作られていてもよい。磁気回路は、リング240によって閉じられていると理解することができる。リング240は、磁気ヨークと理解されてもよい。リング240は、複数の極を取り囲み、空隙が各極とリング240との間にあると理解することができる。空隙は、ミリメートルのオーダであってもよい。
【0019】
一実施形態によると、収差補正器101は、2段以上、例えば4段の多重極を含む。一実施形態によると、収差補正器101は、磁気四重極場、ならびに電気四重極場および八極子場を生成するために使用される。それに応じて、収差が補正される。有利なことに、荷電粒子ビーム装置の分解能が改善される。
【0020】
説明したように、光軸に位置合わせされた収差補正器が有益である。特に、公差が補償されるように光軸と位置合わせされた収差補正器が有益である。例えば、収差補正器の光軸との位置ずれを引き起こす組立、製造、および/または動作中に生じる公差が補償されることが有益である。
【0021】
収差補正器の位置合わせは、多重極場と光軸との位置合わせと理解することができる。各磁極が正確な量の磁束を光軸に向かって伝達するのが理想的である。実際には、磁束は、材料特性、磁気回路の空隙の機械的公差、および磁極ヘッド形状の機械的公差を含むいくつかの要因に左右される。このような公差により、光軸における磁束分布の歪みが生じ、光軸との位置合わせが最適ではなくなる可能性がある。
【0022】
このような公差を補償するための1つの方策は、各極に補助コイルを設けることである。しかしながら、これには、追加の低ノイズ電流源(具体的には、磁極ごとに1つの追加の補助コイル)と、各磁極の磁場を位置合わせするためのインフラが必要である。これらの公差を補償する別の方策は、電界を重畳させることである。しかしながら、補正電界が追加されると、電源により高い電圧バジェットも要求される。さらに、結果として得られる光路は、公差が大きい場合は不十分である。本開示では、機械的手段によってこのような公差を補償するための機械設計および方法が説明される。
【0023】
一態様によると、第1の磁極210およびさらなる磁極211を含む複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続するリング240であって、少なくとも第1の磁極210に対して一定の間隔を有するリング240と、第1の磁場変調器220およびさらなる磁場変調器221を含む複数の磁場変調器と、第1のガイド450およびさらなるガイド(図示せず)を含む複数のガイドとを有する収差補正器101が提供される。
【0024】
一例では、第1のガイド450は、第1の磁場変調器220の外面に形状嵌合する表面を含む。「形状嵌合」という用語は、嵌合する形態、例えば形状、サイズ、断面寸法を有すると理解することができる。一例では、第1のガイド450は、第1の磁場変調器220とリング240との間のインターフェースである。
【0025】
一例では、第1のガイド450は、第1の磁場変調器220の外面に適合したリング240の穴と理解することができる。さらなる例では、リング240の穴は、第1の磁場変調器220の外面の雄ねじに適合した雌ねじを備えることができる。さらなるガイド(図示せず)は、さらなる磁場変調器221のために、第1のガイド450の実施形態にしたがって構成されてもよい。
【0026】
さらに、一態様によると、第1の磁場変調器220は、軟磁性材料などの磁性材料を含み、第1の磁場変調器220は、第1の位置に配置され、第1の位置は、第1の磁極210とリング240とを分離する第1の空隙230に隣接して、第1の磁極210の軸219に沿って内側リング面241にあるか、または内側リング面241の半径方向外側にあるかのうちの少なくとも1つであり、第1のガイド450は、第1の磁場変調器220を、第1の磁極210の軸219に実質的に平行または一致する第1の軸に沿った位置に拘束する。
【0027】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、リング240は、第1の磁極210およびさらなる磁極211に対して一定の間隔または距離を有する。
【0028】
したがって、第1の軸429に沿って第1の磁場変調器220の第1の位置を調整することによって、第1の磁極210の磁気回路の磁気抵抗が調整される。それに応じて、磁極の磁束、したがって磁場が変調される。このようにして、収差補正器101の磁場を調整することができる。有利なことに、磁場の不完全性を引き起こす様々な公差が補正または最小化される。
【0029】
一実施形態によると、第1の磁極210およびさらなる磁極211を駆動するように適合された電流源670が設けられる。一例では,電流源670は,第1の磁極210の第1の励磁コイル350、およびさらなる磁極211のさらなる励磁コイル351を駆動するように適合されている。一例では、第1の磁極210およびさらなる磁極211は、電流源670によって駆動される。一例では、収差補正器101の第1の多重極段103の複数の磁極は、電流源670によって駆動される。
【0030】
電流源670は、単一の電流源、または同じ電流源と理解されてもよい。一例では、収差補正器101は、収差補正器101の第1の多重極段103の複数の磁極を駆動する第1の電流源と、収差補正器101の第2の多重極段の第2の複数の磁極を駆動する第2の電流源とを含む。一例では、第1の磁極210の第1の励磁コイル350およびさらなる磁極211のさらなる励磁コイル351は、直列に接続される。
【0031】
一例では、各極の巻線の数は、補正磁場を提供するために互いに対して構成することができる。一例では、収差補正器101の複数の磁極は、磁極の第1のサブセットおよび磁極の第2のサブセットを含む。一例では、極の第1のサブセットおよび極の第2のサブセットは、収差補正器101の軸に垂直な平面上にある。
【0032】
一例では極の第1のサブセットの各極は、収差補正器101の軸に垂直なx軸およびy軸上にあり、x軸とy軸は互いに垂直である。一例では、極の第2のサブセットの各極は、x軸とy軸との間にある。一例では、極の第1のサブセットはそれぞれ、N個の巻線を有する励磁コイルを有する。一例では、極の第2のサブセットはそれぞれ、N/2個の巻線を有する励磁コイルを有する。
【0033】
したがって、収差補正のための四重極場は、単一電流源670を用いて提供することができる。したがって、電流源670が第1の磁極210およびさらなる磁極211を駆動すると、第1の磁極210とさらなる磁極211の電気ノイズが、互いに相関し、互いに打ち消し合う。したがって、双極子偏向場につながる極の相関性のないノイズが回避される。有利なことに、望ましくない双極子場が回避され、所望の多重極場、例えば、四重極場もしくは八極子場またはより高次の場のみが提供される。
【0034】
一実施形態によると、第1のガイドは、第1のアクチュエータ(図示せず)を含む。一例では、さらなるガイドはさらなるアクチュエータを含む。一例では、さらなるガイドのそれぞれは、それぞれのアクチュエータを含む。一例では、第1のガイドは、ねじ機構および/または線形ガイドに結合されたアクチュエータを含む。ねじ機構は、親ねじ、ボールねじ、ローラねじ、またはねじジャッキであってもよい。線形ガイドは、ロッド、レール、スライド、線形軸受、線形筐体、線形溝、および線形陥凹部のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0035】
一例では、第1のガイドは、ねじ機構および/または線形ガイド(図示せず)を含む。一例では、第1の磁場変調器220は、アクチュエータによって位置決めされる。アクチュエータは、圧電アクチュエータ、電気モータ、カム機構、または櫛型駆動装置のうちの少なくとも1つであってもよい。別の例では、第1の磁場変調器220は、手動で(アクチュエータなしで)位置決めされる。
【0036】
したがって、第1の磁場変調器220の第1の位置は、効率的かつ再現可能なやり方で反復的に決定され得る。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易に補償され、磁場の不完全性が容易に補正または最小化される。
【0037】
一実施形態によると、第1の磁場変調器220の第1の位置は、実質的に光軸109の位置における磁場の測定に基づいて(決定されて)いる。光軸109における磁場は、収差補正器101の第1の磁極210およびさらなる磁極211の磁場と理解されてもよい。一例では、磁場は四重極場である。一例では、磁場は、収差補正器101の第1の多重極段103の磁場である。
【0038】
一例では、第1の位置は、寄生多重極場が最小または実質的にゼロである場所である。一例では、寄生多重極場は、実質的に光軸109の位置における磁場の測定に基づいて決定される。一例では、第1の磁場変調器220の第1の位置およびさらなる磁場変調器の位置は、実質的に光軸109の位置で測定された寄生多重極場が最小または実質的にゼロである場所であってもよい。
【0039】
一例では、実質的に光軸109の位置における磁場の測定は、実質的に光軸109の位置に回転磁場センサを配置することによって行われる。一例では、磁場の測定値は、角度の関数であってもよい。一例では、磁場の測定値は、磁場センサの回転角の関数であってもよい。したがって、磁場の測定値は、複数の磁極に関して相関がある。例えば、磁場対角度の連続フーリエ解析に基づいて、寄生多重極場、例えば双極子、六極子、および八極子が識別され、第1の磁場変調器220の位置および/またはさらなる磁場変調器221の位置を調整することによって補償される。
【0040】
したがって、第1の磁場変調器220の第1の位置および/またはさらなる磁場変調器221の位置は、各磁極を個々に励磁する必要なしに決定することができる。したがって、特別な励磁装置は必要ではなく、同じ励磁装置を収差補正器101の位置合わせと動作の両方に使用することができる。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易に補償され、磁場の不完全性が容易に補正または最小化される。
【0041】
一実施形態によると、第1の磁極210、第1の磁場変調器220、およびリング240は、第1の磁場変調器220の第1の位置が第1の磁極210とリング240との間の第1の距離とは無関係であるように支持されている。
【0042】
一例では、第1の磁極210、第1の磁場変調器220、およびリング240は、収差補正器101のハウジングによって(および/または別個の要素によって)支持されている。別の例では、第1の磁極210およびリング240は、収差補正器101のハウジングによって(および/または別個の要素によって)支持され、第1の磁場変調器220は、リング240によって支持されている。したがって、第1の磁場変調器220の第1の位置は、第1の磁極210とリング240との間の第1の距離とは無関係であってもよい。
【0043】
したがって、第1の磁場変調器220の第1の位置は、第1の磁極210とリング240との間の第1の距離とは無関係に調整することができる。それに応じて、磁気抵抗を容易に調整することができ、磁場の不完全性を容易に補正または最小化することができる。
【0044】
一実施形態によると、複数の磁場変調器のうちの第2の磁場変調器、複数の磁極のうちの第2の磁極、およびリング240は、第2の磁場変調器の第2の位置が、第2の磁極とリング240との間の第2の距離とは無関係であるように支持されてもよい。
【0045】
一実施形態によると、複数の磁場変調器のそれぞれ、複数の磁極のそれぞれ、およびリング240は、磁場変調器のそれぞれの位置が、複数の磁極のそれぞれとリング240との間のそれぞれの距離とは無関係であるように支持されてもよい。
【0046】
したがって、収差補正器101の磁場の正確な(十分に制御された磁極固有の)位置合わせが可能である。したがって、収差補正器101の磁極の位置合わせを容易に行うことができる。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易に補償され、磁場の不完全性が容易に補正または最小化される。
【0047】
一実施形態によると、第1の磁場変調器220は、複数の磁極の平面に実質的に平行な平面内に配置される。一例では、第1の磁場変調器220の軸429は、第1の磁極210の軸219に平行である。一例では、第1の磁場変調器220は、第1の空隙230および/または第1の磁極210の上方もしくは下方に配置される。
【0048】
一例では、第1の磁場変調器220は、収差補正器101の軸に平行な方向に第1の空隙230および/または第1の磁極210から、例えば有限の距離だけ分離されている。一例では、第1の磁場変調器220は、収差補正器101の軸に平行な方向において第1の空隙230および/または第1の磁極210に隣接して配置されている。
【0049】
したがって、磁場変調器の位置の変化に対する磁気抵抗、ひいては磁束の変化の感度が低下する。したがって、システムは、位置合わせが容易になり、熱ドリフトまたは振動の影響を受けにくくなる。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易かつ確実に補償され、収差補正器の磁場と光軸との位置合わせがより良好に制御される。
【0050】
一実施形態によると、第1の磁場変調器を第1の位置に維持するように配置された第1の保持器321が設けられている。一例では、第1の保持器321は、取り外し可能な保持器、一時的な保持器、再使用可能な保持器、および/または多用途の保持器であってもよい。一例では、第1の保持器321は、ばね、ベルビルワッシャ、ばねロックワッシャ、ピン、クリップ、クランプ、またはくさびであってもよい。一例では、第1の保持器321は、第1の磁場変調器の表面に対して配置することができる。
【0051】
したがって、振動および/または熱効果によって引き起こされることがある磁場変調器の偶発的な移動および/または回転による位置ずれが最小限に抑えられるか、または回避される。有利なことに、収差補正器の光軸との位置合わせが確実に行われる。
【0052】
一実施形態によると、第1のガイドは第1の範囲(図示せず)を有し、第1の磁場変調器220が第1のガイドの第1の範囲の第1の端部に配置されたとき、第1の磁極210の軸219に垂直な方向における第1の磁場変調器220と第1の磁極210との重なり(見たときの)はゼロではない。一例では、第1ガイドの第1の端部は、第1の磁極210に隣接する。
【0053】
一実施形態によると、第1のガイドは第1の範囲(図示せず)を有し、第1の磁場変調器220が第1のガイドの第1の範囲の第2の端部に配置されたとき、第1の磁極210の軸219に垂直な方向における第1の磁場変調器220の第1の空隙230との重なり(見たときの)はゼロである。一例では、第1のガイドの第2の端部は、リング240に隣接する。
【0054】
第1のガイドの第1の範囲は、第1の磁極210の軸219に平行な方向における第1のガイドの寸法または長さと理解することができる。一例では、第1のガイドの軸429は、第1の磁極210の軸219と実質的に平行であるか、または一致する。
【0055】
一実施形態によると、第1の磁極210の軸219に平行な方向における第1のガイドの寸法は、第1の磁極210の軸219に平行な方向における第1の空隙230の寸法と少なくとも同じ長さである。
【0056】
一実施形態によると、第1のガイドは、第1の端部位置、第2の端部位置、および第1の端部位置と第2の端部位置との間の位置で第1の磁場変調器220を支持するように配置および/または構成されている。
【0057】
第1の端部位置は、半径方向内側の端部位置と理解することができる。第1の端部位置は、第1の磁極210の軸219に垂直な方向で(見たときの)第1の磁場変調器220と第1の磁極210との重なりがゼロでない位置と理解することができる。
【0058】
第1の端部位置は、第1の磁極210の軸219に対する半径方向における第1の磁場変調器220と第1の磁極210との交差がゼロではない位置と理解することができる。
【0059】
第1の端部位置は、第1の磁極210を第1の磁極210の軸219に対して半径方向に投影したとき、または第1の磁極210を第1の磁極210の軸219に対して垂直方向に投影したときに、第1の磁極210が第1の磁場変調器220を少なくとも部分的に横切るかまたは交差する第1の磁場変調器220の位置と理解することができる。
【0060】
有利なことに、第1の磁極210とリング240との間の磁気結合の範囲の上端が拡張される。したがって、変調範囲が、直線部分の範囲を含めて、増加する。したがって、より大きな公差をより良好に補償することができる。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易に補償される。
【0061】
第2の端部位置は、半径方向外側の端部位置と理解することができる。第2の端部位置は、第1の磁極210の軸219に対して垂直な方向で(見たときに)第1の磁場変調器220と第1の磁極210との重なりが、第1の磁場変調器220が第1の端部位置にあるときの第1の磁場変調器220と第1の磁極210との重なりよりも小さくなる位置と理解することができる。
【0062】
有利なことに、第1の磁極210とリング240との間の磁気結合の範囲の下端が拡張される。したがって、変調範囲が、直線部分の範囲を含めて、増加する。したがって、より大きな公差をより良好に補償することができる。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易に補償される。
【0063】
「半径方向内側」および「半径方向外側」という表現における半径方向は、光軸109から垂直にもしくは半径方向に延びる方法、または第1の磁極210の軸219に平行に延びる方向と理解されてもよい(「半径方向内側」は、第1の磁極210の磁極ヘッドに向かうものと理解されてもよく、「半径方向外側」は、第1の磁極210の磁極ヘッドから離れるものと理解されてもよい)。
【0064】
一例では、第2の端部位置は、第1の磁極210の軸219に対して垂直な方向で(見たときに)第1の磁場変調器220と第1の磁極210との重なりがゼロである位置と理解されてもよい。
【0065】
したがって、変調範囲が、直線部分の範囲を含めて、増加する。したがって、より大きな公差をより良好に補償することができる。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易に補償される。
【0066】
一実施形態によると、第1のガイドおよび第1の磁場変調器220は、第1の磁場変調器220の第1の位置が第1の位置限界および第2の位置限界(図示せず)を有するように構成され、第1の位置限界が第1の磁極210の軸219に平行な方向において第1の空隙230の長さの少なくとも2倍の長さだけ第2の位置限界から分離されている。
【0067】
一例では、第1のガイドは、リング240に隣接して配置された線形軸受(図示せず)であってもよい。一例では、第1の磁場変調器220は、軟磁性材料を含み、第1の空隙230の長さの少なくとも2倍の長さを有するロッドである。別の例では、第1のガイドは、収差補正器101のハウジング内にまたはハウジングに隣接して配置されたねじ付き支持体(図示せず)であってもよい。一例では、第1の磁場変調器220は、第1の空隙230の長さの少なくとも2倍の長さを有する軟磁性材料のねじである。
【0068】
一例では、第1の位置限界は、第1の磁極210の軸219に平行な方向において第1の空隙230の長さの少なくとも3倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍の長さだけ第2の位置限界から分離されている。
【0069】
これにより、補正範囲を拡大することができる。特に、線形の挙動範囲が拡張され、磁場をさらに変調することができる。有利なことに、公差をより良好に補償することができ、収差補正器を光軸とより良好に位置合わせすることができる。
【0070】
本明細書に記載の他の実施形態および実施例と組み合わせることができる一実施形態によると、第1の磁場変調器220は、第1の多重極段103の複数の磁極の平面に実質的に平行な平面内に配置される。一例では、第1の磁場変調器220は、第1の多重極段103の複数の磁極の平面に実質的に平行な平面内にのみ配置可能である。
【0071】
一例では、第1の磁場変調器220は、リング240の平面に垂直な方向に、第1の磁極210からゼロでない距離に配置される。一例では、第1の磁場変調器220は、リング240の平面の上方または下方に配置される。
【0072】
「平行」という用語は、「間に連続的にゼロでない距離を有する」と理解されてもよい。「平行」という用語は、「平行であり、一致しない」と理解されてもよい。
【0073】
したがって、磁場変調器の磁場変調効果の感度が低くなる。それに応じて、補正の相対感度が低くなる可能性がある。特に、公差をより正確に補償することができる。有利なことに、磁場の不完全性が補正または最小化される。有利なことに、収差補正器の多重極場が光軸とより良好に位置合わせされる。
【0074】
一態様によると、試料ステージ786と、荷電粒子ビーム782を生成するように適合された荷電粒子源780と、収差補正器101を有する荷電粒子ビーム操作システム784とを有する荷電粒子ビーム装置707が提供される。
【0075】
一実施形態によると、第1の磁場変調器220の第1の位置は、光軸109と実質的に一致する位置における第1の磁極210の磁場の測定された効果に基づいて(決定されて)いる。一例では、磁場の効果はイメージシフトである。一例では、測定された効果は、第1の偏向極の測定された偏向感度である。一例では、第1の磁極210は駆動されるが、さらなる磁極211は駆動されない。一例では、第1の磁場変調器220が第1の位置にあるときに、磁場の不完全性が補正または最小化される。
【0076】
一例では、第1の位置は、第1の端部位置と第2の端部位置との間にある。一例では、第1の位置は、第1の端部位置と第2の端部位置との間の中心位置である。
【0077】
具体的な例では、第1の磁場変調器220は、初期位置に設けられる。さらなる磁場変調器221は、それぞれのさらなる初期位置に設けられてもよい。第1の磁場変調器220は、例えば、第1の磁極210の測定された偏向磁場強度または測定された偏向感度に基づいて再配置されてもよい。調整後、第1の磁場変調器220は、第1の位置にあってもよい。第1の磁場変調器220が第1の位置にあるとき、第1の多重極段103の磁場における磁場不完全性が補正または最小化される。
【0078】
一例では、第1の磁場変調器220の第1の位置およびさらなる磁場変調器の位置は、それぞれの磁極のそれぞれの磁場のそれぞれの効果が等しくなるような位置である。一例では、第1の磁極210の第1の位置およびさらなる磁極211の位置は、第1の磁極210の偏向感度がさらなる磁極211のそれぞれの偏向感度と等しくなるような位置である。
【0079】
したがって、新しいカラムを組み立てた後、磁場変調器によって公差が容易に補償される。有利なことに、収差補正器の位置ずれが容易に補償され、磁場の不完全性が補正または最小化される。
【0080】
一態様によると、収差補正器の磁場を光軸と位置合わせする方法が提供され、本方法は、第1の磁場変調器を第1の位置890に位置決めするステップを含み、第1の位置は、第1の磁極の軸と実質的に平行または一致する第1の軸に沿った複数の位置のうちの1つである。
【0081】
したがって、磁場変調器の位置を調整することによって、磁極の磁気回路の磁気抵抗が調整される。それに応じて、磁束、ひいては磁極の磁場が変調される。したがって、磁極の偏向感度を実質的に等しくすることができ、多重極段の磁場を光軸に位置合わせすることができる。したがって、磁場の不完全性が補正または最小化される。
【0082】
このようにして、収差補正器の磁気多重極場を調整することができる。有利なことに、収差補正器の位置ずれを引き起こす様々な公差が補償され、収差補正器が光軸と位置合わせされる。
【0083】
一実施形態によると、第1の磁極の第1の偏向感度が測定され、さらなる磁極のうちの少なくとも1つの第2の偏向感度が測定され(893)、第1の磁場変調器は、第1の感度と第2の感度が実質的に等しくなるように第1の位置に配置される(890)。
【0084】
一実施形態によると、第1の磁場変調器220の第1の位置は、第1の磁極210の測定された磁場に基づいて(決定されて)いる。磁場は、実質的に光軸109の位置で測定されてもよい。一例では、磁場は回転磁気センサで測定される。一例では、第1の磁極210は駆動されるが、さらなる磁極211は駆動されない。一例では、第1の磁場変調器220が第1の位置にあるときに、磁場の不完全性が補正または最小化される。
【0085】
一例では、第1の磁極の励磁が行われるか、または第1の磁極210が駆動される。一例では、第1の多重極段103の複数の磁極のうちのさらなる磁極211は、第1の磁極210の励磁が行われるかまたは駆動されている間、励磁が行われないかまたは駆動されない。それに応じて、第1の磁極が磁場を生成する。
【0086】
一例では、第1の磁極210の磁場は、回転磁場センサで測定される。一例では、回転磁場センサは、実質的に光軸の位置に配置される。一例では、第1の磁場変調器220の第1の位置は、第1の磁極210の測定された磁場に基づいて(決定されて)いる。
【0087】
一例では、第1の磁極210の測定された磁場に基づいて第1の磁場変調器220の第1の位置を調整または決定することが開示されている。一例では、第1の磁場変調器220が第1の位置にあるとき、第1の磁極210の測定された磁場は、さらなる磁極211のうちの少なくとも1つ、またはさらなる磁極211のすべてに等しい。
【0088】
一例では、回転磁場センサを使用して、個々に励磁された各磁極によって生成された磁場を測定する。一例では、磁場センサは、個々に励磁された第1の磁極および個々に励磁されたさらなる磁極によって生成される磁場を測定するために使用される。
【0089】
一例では、第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器は、第1の磁極およびさらなる磁極の磁場強度が実質的に等しくなるように配置される。
【0090】
一実施形態によると、実質的に光軸の位置にある回転磁場センサを用いて磁場が測定され(895)、測定された磁場に基づいて寄生多重極場が識別され、寄生多重極場が最小化されるように第1の磁場変調器が第1の位置に配置される(890)。
【0091】
一実施形態によると、収差補正器の励磁がウォブリングされ(897)、第1の磁場変調器は、ウォブリング中のイメージシフトが最小化されるように第1の位置に配置される(890)。「ウォブル(wobble)」という用語は、「平均値の周りで周期的に変化する」と理解されてもよい。
【0092】
一実施形態によると、収差補正器を、荷電粒子ビーム装置で稼働(commission)させ、稼働中に第1の位置における第1の磁場変調器の位置決め(890)が行われる。
【0093】
一部のさらなる例示的な実施例は、以下の通りである。
【0094】
例示的な実施例では、第1の磁場変調器220は、軟磁性材料のねじまたはロッドであってもよい。一例では、第1の磁場変調器220は、第1の磁極210がリング240に接近するリング240の部分内に配置される。一例では、第1の磁場変調器220は、ばねによって適所に保持されたねじである。一例では、クランプが第1の磁場変調器220を所定の位置に固定する。
【0095】
例示的な実施例では、第1の磁場変調器220は、雄ねじ山およびラチェット面を含む。一例では、第1の磁場変調器220のラチェット面に作用するばね付き爪が設けられている。したがって、第1の磁場変調器220の所定の位置が提供される。
【0096】
例示的な実施例では、第1の磁極210は、ロッド部分および磁極ヘッド部分を含み、ロッド部分が磁極ヘッド部分にねじ込まれ、磁極ヘッド部分からねじを外され得るように、それぞれがねじ山を有する。それに応じて、第1の空隙230のサイズを変化させることができる。一例では、第1の空隙230のサイズを決定するために、所定の厚さの少なくとも1つのシムが第1の空隙230に設けられている。
【0097】
例示的な実施例では、第1の磁場変調器220を作動させる。一例では、圧電ドライバが、第1の磁場変調器220に結合されている。一例では、アクチュエータが、リング240に、例えば、第1の磁極210の半径方向外側など、リング240の穴に配置されている。
【0098】
例示的な実施例では、第1の磁場変調器の直線運動範囲は、0.1mm~10mmの値である。一例では、第1の磁場変調器の位置決め精度は、少なくとも0.1mmまたは少なくとも0.01mmである。
【0099】
例示的な実施例では、第1の磁場変調器220は、第1の磁極210のロッド部分に対して軸から外れた位置に配置されている。一例では、第1の磁場変調器220は、第1の磁極210のロッド部分の下方および/または第1の励磁コイル350の下方に配置されている。磁極のロッド部分は、磁極の磁極片部分と理解されてもよい。したがって、第1の磁場変調器220の位置、例えば軸方向位置を変化させると、第1の磁極210とリング240との間で磁束が多く伝達されまたは少なく伝達され、それによって光軸109上の磁場に影響を及ぼす。
【0100】
例示的な実施例では、各磁極の偏向感度は、例えば走査型電子顕微鏡において、例えば一度に磁極のうちの1つのみに小さな電流を流したときのイメージシフトを観察することによって測定することができる。この目的のために、励磁コイルの直列接続を遮断することができ、各励磁コイルは個々に励磁される。一例において、各磁場変調器の位置は、各磁極に対して等しい偏向感度が観察されるように調整され得る。一例では、これは反復調整である。
【0101】
本明細書に記載される実施形態は、新しいカラムを組み立てた後に行われてもよい。公差が磁場変調器によって補償されると、磁束は、熱ドリフトまたは磁気ドリフトのような過渡的な影響を除けば一定のままであり、すべての磁極に等しく作用すると理解することができる。
【0102】
例示的な実施例では、磁極の位置合わせモードおよび動作モードが可能である。一例では、位置合わせモードにおいて、複数の磁極の励磁コイルが個々に励磁される。一例では、動作モードにおいて、電流源が複数の磁極の励磁コイルを同時に駆動する。
【0103】
例示的な実施例では、カラム全体を組み立てる前に、各多重極段の磁場が、光軸109に近接した回転磁場センサを用いて検出され、多重極に対する検出器の回転角度と相関付けられる。一例では、磁場対角度関数の連続フーリエ解析から、寄生多重極場、例えば双極子、六極子、および八極子を識別し、磁場変調器で補償することができる。本実施例では、個々の励磁は必要でない。
【0104】
例示的な実施例では、複数の磁極の複数の励磁コイルは、動作モードにおいて直列に接続される。一例では、磁気および電気多重極励磁がウォブリングされ、磁場変調器は、多重極効果およびイメージシフトが磁気および電気励磁の両方に対して最小化されるように調整される。したがって、電気多重極と磁気多重極の中心が位置合わせされる。
【0105】
磁気回路は、軟磁性材料、場合によっては同じタイプであるが、必ずしも同じタイプの軟磁性材料ではない異なる要素を含むことができることを理解されよう。光軸109における磁極の磁束、すなわち軸上磁束は、磁極とリング240との間の磁気抵抗によって強く決定されることが理解されよう。したがって、磁場調整は、磁場変調器、例えば、軟磁性材料のねじをリング240の近傍、例えば、磁極がリング240に接近する位置に導入することによって行うことができることが理解されよう。
【0106】
したがって、磁極とリング240との間の磁気抵抗を変化させることによって、磁極の磁束も変化させることができる。磁気抵抗が大きいほど、磁束は小さくなる。逆に、磁気抵抗が小さいほど、磁束は大きくなる。したがって、磁気抵抗を制御することによって、各磁極による光軸109での磁場を独立して調整することができる。
【0107】
すなわち、機械的または電気機械的な手段によって、磁極とリング240との間の磁気抵抗の微調整を行うことができる。例えば、磁場変調器は、磁気抵抗の微調整を行うことができる。磁場変調器は、可変または調整可能な磁場クランプであってもよい。
【0108】
有利なことに、収差補正を調整することで、光軸における正確な磁束分布を提供することができる。すなわち、収差補正器は、最適な補正を提供する。より詳細には、性能が向上した収差補正器が提供される。
【0109】
さらなる例示的な実施例は、以下の通りである。これらの例は、磁気多重極用のバランス抵抗器に関する。
【0110】
電気四重極場と磁気四重極場が重畳された多重極補正器(Cc-Cs)の場合、単一の電流源を使用して、直列に接続されたすべての励磁コイルを駆動することができる。励磁コイルは、四重極場を生成するために所定の巻数を有することができる。したがって、個々の励磁コイルにおける相関性のない電流変動に起因する双極子ノイズなどの電流ノイズの影響を最小限に抑えることができる。励磁コイルを直列に接続することで、個々の励磁コイルのノイズが相関することになるため、結果として「四重極ノイズ」のみとなる。
【0111】
すべての励磁コイルが直列に接続されている場合、多重極の機械的な不正確さ、磁束のばらつきにつながる材料の不均一性、および巻線の公差によって、望ましくない寄生多重極場がもたらされる可能性があることが理解されよう。
【0112】
非点収差補正用の四重極場を生成するために使用することができる偏向コイルおよび磁気八重極にバランス抵抗器が使用されてもよい。特に、バランス抵抗器は、多重極収差補正器101に関連して使用することができる。現在、収差補正器は、望ましくない残留収差を防ぐために最高の精度で製造されている。磁束の不均一性を制御するために、磁極の周りの半径方向の間隙を調整することが可能である。
【0113】
例示的な実施例では、1つまたは複数の並列の調整可能抵抗器(ポテンショメータ)を個々の励磁コイルに追加することができ、この抵抗器を使用して特定の範囲内で励磁コイルを流れる電流を調整することができる。並列抵抗器Rpは、励磁コイルの電流変動につながる電圧ノイズを導入する可能性がある。例えば、電流変動は以下のように記述される。電流変動、
【数1】
例示的な実施例では、温度T=300K、並列抵抗器Rp=5オーム、および周波数帯域幅Δf=10kHzの場合、励磁コイルのそれぞれに約5nAの電流ノイズが存在する可能性がある。kBはボルツマン定数である。
【0114】
機械的公差が非常に厳しく、補正器内のすべてが最高の精度で製造されたとしても、不均一性および不正確さに関連する残留収差が残る可能性があることが理解されよう。このような残留収差は、極に補正電圧を印加することによって、または補正磁場のための補助巻線を設けることによって補正することができる。
【0115】
しかし、補正器のノイズ要件を満たす大きな補正電圧は容易ではない。さらに、補助コイルには、システムのノイズを増やす追加の電源がさらに必要であり、製造しなければならない多く部品が必要となる。
【0116】
したがって、特に収差補正カラムの設計では、偏向コイルおよび/または磁気多重極にバランス抵抗器を使用することができる。
【0117】
例示的な実施例によると、第1の磁極210の第1の励磁コイル350と、第1の励磁コイル350と並列に接続された第1の調整可能な抵抗器660とが提供される。例示的な実施例によると、第1の調整可能な抵抗器660は、バランス抵抗器である。
【0118】
例示的な実施例によると、第1の調整可能な抵抗器660は、第1の励磁コイル350を流れる電流を調整するように調整される。したがって、第1の調整可能な抵抗器660が調整されると、第1の磁極210とリング240との間でより多くのまたはより少ない磁束が伝達されるように励磁が変化し、それによって光軸109上の磁場に影響を及ぼす。
【0119】
したがって、極の偏向感度を実質的に等しくすることができ、多重極段の磁場を光軸に位置合わせすることができる。したがって、磁場の不完全性が補正または最小化される。
【0120】
例示的な実施例によると、さらなる磁極211のさらなる励磁コイル351のそれぞれには、さらなる調整可能な抵抗器661が設けられている。さらなる調整可能な抵抗器661のそれぞれは、さらなる励磁コイル351のそれぞれと並列に接続されている。
【0121】
ここで図1を参照すると、収差補正器の断面図が示されている。収差補正器101は、光軸109に対して示されている。収差補正器101は、第1の多重極段103を含むように示されている。収差補正器101は、さらなる多重極段105を含むように示されている。一例では、第1の多重極段103は、複数の磁極を有する多重極段である。一例において、さらなる多重極段105は、静電極および/または磁極を有する多重極段を含む。
【0122】
ここで図2を参照すると、収差補正器の断面図が示されている。図示するように、収差補正器101は、第1の磁極210と、さらなる磁極211と、リング240とを有する。また、第1の磁場変調器220およびさらなる磁場変調器221も示されている。図から分かるように、第1の空隙230は第1の磁極210とリング240とを分離し、さらなる空隙231はさらなる磁極211とリング240とを分離している。また、第1の磁極210の軸219、および内側リング面241も見える。
【0123】
ここで図3を参照すると、収差補正器の断面図が示されている。図2と同様に、第1の磁極210、さらなる磁極211、第1の磁場変調器220、さらなる磁場変調器221、およびリング240が示されている。さらに、第1の励磁コイル350およびさらなる励磁コイル351が示されている。
【0124】
ここで図4を参照すると、磁場変調器の拡大図が示されている。第1の磁極210、第1の磁場変調器220、第1の空隙230、リング240が示されている。図から分かるように、第1の磁場変調器220は、第1の空隙230に隣接して、リング240の内側リング面241に、または内側リング面241の半径方向外側に配置されてもよい。図から分かるように、第1の磁場変調器220は、第1の磁極210の軸から延びる軸に沿った位置に配置されてもよい。
【0125】
図示する例では、第1の磁場変調器220は、ねじであってもよく、またはねじ機構を有してもよい。第1の磁場変調器220は、ばねとして示されている第1の保持器321とともに示されている。
【0126】
第1の磁場変調器220は、第1のガイド450によって支持されており、この第1のガイドは、図(図4または図5参照)では、リング240の一部またはリング240内の一部である。図示するように、第1のガイド450は、第1の磁場変調器220を、第1の磁極210の軸219と一致する第1の軸429に沿った位置に拘束する。図から分かるように、第1の軸429に沿って第1の磁場変調器220を調整することができる。
【0127】
第1の軸429は、方向または長さと理解されてもよい。代替としてまたは加えて、第1の軸429は、第1のガイド450の軸と理解されてもよい。
【0128】
第1の磁場変調器220は、第1の磁極210の軸219に沿って内側リング面241の半径方向外側に配置されてもよい。
【0129】
ここで図5を参照すると、磁場変調器の拡大図が示されている。図4と同様に、第1の磁極210、第1の磁場変調器220、第1の空隙230、リング240が示されている。第1の空隙230に隣接して、第1の磁極210の下方に、すなわち、複数の磁極の平面に平行な平面内に配置された第1の磁場変調器220が示されている。
【0130】
ここで図6を参照すると、バランス抵抗器の概略図が示されている。図示するように、第1の調整可能な抵抗器660は、第1の励磁コイル350に並列に接続されている。また、それぞれのさらなる励磁コイル351と並列に接続されたさらなる調整可能な抵抗器661も示されている。さらに、第1の磁極210の第1の励磁コイル350およびそれぞれのさらなる磁極211のさらなる励磁コイル351を駆動する電流源670が示されている。電流源670は、第1の励磁コイル350とさらなる励磁コイル351に直列に接続されて示されている。
【0131】
ここで図7を参照すると、荷電粒子ビーム装置の概略図が示されている。図示するように、荷電粒子ビーム装置707は、荷電粒子源780と、試料ステージ786と、収差補正器101を含む荷電粒子ビーム操作システム784とを含む。図示するように、荷電粒子源780は、荷電粒子ビーム782を生成するように適合されている。図示するように、試料ステージ786は、試料788を支持するように適合されている。光軸109が示されている。
【0132】
ここで図8を参照すると、収差補正器の磁場を位置合わせする方法を示す流れ図が示されている。本方法は、第1の偏向感度を測定することおよび第2の偏向感度を測定すること(893)、磁場を測定すること(895)、収差補正器の励磁をウォブリングさせること(897)、ならびに第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めすること(890)のうちの少なくとも1つを含むように示されている。
【0133】
ここで図9を参照すると、異なる磁場変調器のモデル化された効果を模式的に示すプロットが示されている。プロットは、双極子の大きさの相対変化(縦軸)対磁場変調器の位置の相対変化(横軸)を示す。「磁場変調器A」とラベル付けされた実線は、磁場変調器によって達成される双極子の大きさの相対的な変化を示し、磁場変調器の軸は、磁極の軸と一致する(磁場変調器は、複数の磁極の平面内にある)。「磁場変調器B」とラベル付けされた破線は、(図5に示される)複数の磁極の平面の上方または下方に配置された磁場変調器によって達成される双極子の大きさの相対的な変化を示す。磁場変調器Bは、磁場変調器Aよりも大きな双極子補正値を達成し、より直線的な振る舞いをすることが示されている。
【0134】
光軸109は、荷電粒子ビーム装置707の光軸109であると理解されてもよい。
【0135】
「実質的に垂直」という表現は、垂直の20度以内、10度以内、または5度以内の角度と理解されてもよい。「実質的に平行」という表現は、20度未満、10度未満、または5度未満の角度と理解されてもよい。
【0136】
第1の磁場変調器220の実施形態は、さらなる磁場変調器221のうちの1つまたは複数あるいはすべてに関連して開示されていることも理解されよう。第1の磁極210の実施形態は、さらなる磁極211のうちの1つまたは複数あるいはすべてに関連して開示されていることもさらに理解されよう。第1の多重極段103の実施形態は、さらなる多重極段105のうちの1つまたは複数あるいはすべてに関連して開示されていることもさらに理解されよう。
【0137】
さらに列挙される実施例は以下の通りである。
実施例1によると、収差補正器は、第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続し、少なくとも第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドとを含み、第1の磁場変調器は、軟磁性材料を含み、第1の磁場変調器は、第1の位置に配置され、第1の位置は、第1の磁極とリングとを分離する第1の空隙に隣接する、内側リング面にある、第1の磁極の軸に沿って内側リング面の半径方向外側にある、のうちの少なくとも1つであり、第1のガイドは、第1の磁場変調器を第1の磁極の軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する。
実施例2によると、収差補正器は、実施例1に記載によるものであり、第1の磁極およびさらなる磁極を駆動するように適合された電流源をさらに含む。
実施例3によると、収差補正器は、実施例1または2に記載によるものであり、第1の磁場変調器を第1の位置に維持するように配置された保持器をさらに含み、または第1のガイドは、第1のアクチュエータを含む。
実施例4によると、収差補正器は、実施例1~3のいずれか1項に記載によるものであり、第1の磁場変調器の第1の位置が実質的に光軸の位置における測定された磁場に基づいている。
実施例5によると、収差補正器は、実施例1~4のいずれか1項に記載によるものであり、第1の磁極、第1の磁場変調器、およびリングは、第1の磁場変調器の第1の位置が第1の磁極とリングとの間の第1の距離とは無関係であるように支持されている。
実施例6によると、収差補正器は、実施例1~5のいずれか1項に記載によるものであり、第1の磁場変調器が複数の磁極の平面と実質的に平行な平面内に配置されている。
実施例7によると、収差補正器は、実施例1~6のいずれか1項に記載によるものであり、第1のガイドが、第1の端部位置および第2の端部位置において第1の磁場変調器を支持するように構成され、第1の端部位置において、第1の磁極の軸に対して垂直な方向から見たときの第1の磁場変調器と第1の磁極との重なりがゼロではない。
実施例8によると、収差補正器は、実施例1~7のいずれか1項に記載によるものであり、第1のガイドが、少なくとも第1の空隙と同じ長さに沿った位置で第1の磁場変調器を支持するように適合され、その長さは、第1の磁極の軸に平行または一致する方向である。
実施例9によると、荷電粒子線装置は、試料ステージと、荷電粒子線を生成するように適合された荷電粒子源と、実施例1~8のいずれか1項に記載の収差補正器を含む荷電粒子線操作システムとを含む。
実施例10によると、荷電粒子ビーム装置は、実施例9に記載によるものであり、第1の磁場変調器の第1の位置が、光軸における第1の磁極の磁場の測定された影響または測定された磁場に基づいている。
実施例11によると、収差補正器は、第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続し、少なくとも第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドとを含み、第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、第1のガイドが第1の磁場変調器を、第1の磁極の軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する。
実施例12によると、収差補正器は、実施例11に記載によるものであり、第1の磁場変調器が複数の磁極の平面と実質的に平行な平面内に配置されている。
実施例13によると、収差補正器は、実施例11または12に記載によるものであり、第1のガイドが、第1の端部位置および第2の端部位置において第1の磁場変調器を支持するように構成され、第1の端部位置において、第1の磁極の軸に対する半径方向における第1の磁場変調器と第1の磁極との交差がゼロではない。
実施例14によると、収差補正器は、実施例11~13のいずれか1項に記載によるものであり、第1のガイドが、第1の端部位置および第2の端部位置において第1の磁場変調器を支持するように構成され、第1の端部位置において、第1の磁極の軸に対して垂直な方向から見たときの第1の磁場変調器の第1の磁極との重なりがゼロではない。
実施例15によると、収差補正器の磁場を光軸と位置合わせする方法であって、収差補正器が、第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであり、少なくとも第1の磁極に対して一定の間隔を有する、リングと、第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドと、を含み、第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、第1の位置は、第1の磁極とリングとを分離する第1の空隙に隣接するか、または第1の磁極の軸に沿って内側リング面にあるか、または内側リング面の半径方向外側にあるかのうちの1つであり、本方法は、第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップを含み、第1の位置は、第1の磁極の軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った複数の位置のうちの1つである。
実施例16によると、方法は実施例15に記載によるものであり、第1の磁極の第1の偏向感度を測定するステップと、さらなる磁極のうちの少なくとも1つの第2の偏向感度を測定するステップと、第1の感度と第2の感度が実質的に等しくなるように、第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む。
実施例17によると、方法は、実施例15または16に記載によるものであり、光軸と実質的に一致する位置で回転磁場センサを用いて磁場を測定するステップと、測定された磁場に基づいて寄生多重極場を識別するステップと、寄生多重極場が最小化されるように第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む。
実施例18によると、方法は、実施例15~17のいずれか1項に記載によるものであり、第1の磁極を駆動するステップと、磁場センサを用いて第1の磁極の磁場を測定するステップとをさらに含み、第1の磁場変調器が第1の位置にあるとき、第1の磁極の測定された磁場は、さらなる磁極のうちの少なくとも1つ、またはさらなる磁極のすべてに等しい。
実施例19によると、方法は、実施例15~18のいずれか1項に記載によるものであり、収差補正器の励磁をウォブリングさせるステップと、ウォブリング中のイメージシフトが最小化されるように第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む。
実施例20によると、方法は、実施例15~19のいずれか1項に記載によるものであり、荷電粒子カラム内で収差補正器を稼働させるステップをさらに含み、第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップが稼働中に行われる。
【0138】
上記は特定の実施形態を対象としているが、その基本的な範囲から逸脱することなく他のさらなる実施形態が考案されてもよく、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、
前記複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであって、少なくとも前記第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、
第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、
第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドと、
を備え、
前記第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、
前記第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、前記第1の位置が、前記第1の磁極と前記リングとを分離する第1の空隙に隣接する、内側リング面にある、前記第1の磁極の軸に沿って前記内側リング面の半径方向外側にある、のうちの1つであり、
前記第1のガイドが、前記第1の磁場変調器を、前記第1の磁極の前記軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する、
収差補正器。
【請求項2】
前記第1の磁極および前記さらなる磁極を駆動するように適合された電流源をさらに備える、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項3】
前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に維持するように配置された保持器をさらに備え、または前記第1のガイドが第1のアクチュエータを含む、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項4】
前記第1の磁場変調器の前記第1の位置が、実質的に光軸の位置で測定された磁場に基づく、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項5】
前記第1の磁極、前記第1の磁場変調器、および前記リングが、前記第1の磁場変調器の前記第1の位置が、前記第1の磁極と前記リングとの間の第1の距離とは無関係であるように支持されている、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項6】
前記第1の磁場変調器が前記複数の磁極の平面と実質的に平行な平面内に配置されている、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項7】
前記第1のガイドが第1の端部位置および第2の端部位置において前記第1の磁場変調器を支持するように構成され、前記第1の端部位置において、前記第1の磁極の前記軸に対して垂直な方向から見たときに、前記第1の磁場変調器と前記第1の磁極との重なりがゼロではない、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項8】
前記第1のガイドが少なくとも前記第1の空隙と同じ長さに沿った位置で前記第1の磁場変調器を支持するように適合されており、前記長さが前記第1の磁極の前記軸と平行なまたは一致する方向にある、請求項1に記載の収差補正器。
【請求項9】
試料ステージと、
荷電粒子ビームを生成するように適合された荷電粒子源と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の収差補正器を含む荷電粒子ビーム操作システムと、
を備える、荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記第1の磁場変調器の前記第1の位置が、光軸における前記第1の磁極の磁場の測定された影響または測定された磁場に基づく、請求項9に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、
前記複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであって、少なくとも前記第1の磁極に対して一定の間隔を有するリングと、
第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、
第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドと、
を備え、
前記第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、
前記第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、
前記第1のガイドが、前記第1の磁場変調器を、前記第1の磁極の軸と実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った位置に拘束する、
収差補正器。
【請求項12】
前記第1の磁場変調器が前記複数の磁極の平面と実質的に平行な平面内に配置されている、請求項11に記載の収差補正器。
【請求項13】
前記第1のガイドが第1の端部位置および第2の端部位置において前記第1の磁場変調器を支持するように構成され、前記第1の端部位置において、前記第1の磁極の前記軸に対する半径方向において、前記第1の磁場変調器と前記第1の磁極との交差がゼロではない、請求項11または12に記載の収差補正器。
【請求項14】
前記第1のガイドが第1の端部位置および第2の端部位置において前記第1の磁場変調器を支持するように構成され、前記第1の端部位置において、前記第1の磁極の前記軸に対して垂直な方向から見たときに、前記第1の磁場変調器と前記第1の磁極との重なりがゼロではない、請求項11又は12に記載の収差補正器。
【請求項15】
収差補正器の磁場を光軸と位置合わせする方法であって、前記収差補正器が、
第1の磁極およびさらなる磁極を含む複数の磁極と、
前記複数の磁極を互いに磁気的に接続するリングであり、少なくとも前記第1の磁極に対して一定の間隔を有する、リングと、
第1の磁場変調器およびさらなる磁場変調器を含む複数の磁場変調器と、
第1のガイドおよびさらなるガイドを含む複数のガイドと、
を含み、
前記第1の磁場変調器が軟磁性材料を含み、
前記第1の磁場変調器が第1の位置に配置され、前記第1の位置が、前記第1の磁極と前記リングとを分離する第1の空隙に隣接するか、または内側リング面にあるか、または前記第1の磁極の軸に沿って前記内側リング面の半径方向外側にあるかのうちの1つであり、
前記方法が、
前記第1の磁場変調器を第1の位置に位置決めするステップであり、前記第1の位置が、前記第1の磁極の前記軸に実質的に平行なまたは一致する第1の軸に沿った複数の位置のうちの1つである、ステップを含む、
方法。
【請求項16】
前記第1の磁極の第1の偏向感度を測定するステップと、前記さらなる磁極のうちの少なくとも1つの第2の偏向感度を測定するステップと、前記第1の感度と前記第2の感度が実質的に等しくなるように、前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光軸と実質的に一致する位置で回転磁場センサを用いて磁場を測定するステップと、前記測定された磁場に基づいて寄生多重極場を識別するステップと、前記寄生多重極場が最小になるように前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の磁極を駆動するステップと、磁場センサを用いて前記第1の磁極の磁場を測定するステップとをさらに含み、前記第1の磁場変調器が前記第1の位置にあるとき、前記第1の磁極の前記測定された磁場が、前記さらなる磁極のうちの少なくとも1つ、または前記さらなる磁極のすべてと等しい、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記収差補正器の励磁をウォブリングさせるステップと、前記ウォブリング中のイメージシフトが最小になるように前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップとをさらに含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
荷電粒子カラム内で前記収差補正器を稼働させるステップをさらに含み、前記第1の磁場変調器を前記第1の位置に位置決めするステップが前記稼働中に行われる、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】