(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】一方向凍結を用いて調理可能な繊維状代替肉を生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A23J 3/24 20060101AFI20240423BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20240423BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240423BHJP
A23L 29/231 20160101ALI20240423BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20240423BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20240423BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20240423BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20240423BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20240423BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20240423BHJP
A23J 3/08 20060101ALI20240423BHJP
A23J 3/10 20060101ALI20240423BHJP
A23J 3/06 20060101ALI20240423BHJP
A23J 3/20 20060101ALI20240423BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A23J3/24
A23J3/00 503
A23L13/00 Z
A23L29/231
A23L29/238
A23L29/256
A23L29/262
A23L29/269
A23L29/281
A23J3/16
A23J3/08
A23J3/10 501
A23J3/06
A23J3/20
A23J3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572106
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 CA2022050817
(87)【国際公開番号】W WO2022241576
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523438326
【氏名又は名称】ニュー スクール フーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ブライソン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】グレッグソン クリストファー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ロウッソー デリック
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴリース オウケ
(72)【発明者】
【氏名】デ ヘナウ ラファエル
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AD36
4B042AE10
4B042AK01
4B042AK04
4B042AK07
4B042AK09
4B042AK10
4B042AP02
4B042AP18
4B042AP27
(57)【要約】
本開示は、一方向凍結を使用して「調理可能な」繊維状代替肉を生成するためのプロセスを提供する。このプロセスは、摂取可能なハイドロコロイドを、細長い氷晶の形成を誘導するための一方向凍結に供することを含み、細長い氷晶は、一方向に凍結したハイドロコロイドにおいて所与の方向に整列する。その後、細長い氷晶は、除去され、整列した氷晶を最初から含有している整列したチャネル内に位置するタンパク質及びサプリメント等の他の添加剤によって置き換えられる。所望のタンパク質添加量に達すると、タンパク質を添加されたハイドロコロイドが、タンパク質のうちのいくつかのゲル化を誘導するのに好適な条件に供され、整列した細長いチャネル内にタンパク質ゲルを形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状代替肉(fibrous meat analog)を生成するためのプロセスであって、
a)1つ以上の摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイド、並びに水からなる摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を調製することと、
b)前記バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結(directional freezing)に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を形成することと、
c)前記整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドに置き換えて注入されたゲルを生成することと、
d)前記注入されたゲルを、前記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかをゲル化するための好適な条件に供して、前記整列したチャネル内にゲル化タンパク質及び/又はハイドロコロイドを作製して繊維状食品を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、
(i)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び水を含む、ハイドロコロイドゲル、溶液若しくは分散液、
(ii)1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質及び水を含む、タンパク質ゲル、溶液若しくは分散液、又は
(iii)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質、並びに水を含む、複合ゲル、溶液若しくは分散液である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップa)及びc)の前記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドが、同じであるか、又は異なる、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記摂取可能なハイドロコロイドが、標準的なゼラチン及び/又は組換えゼラチン、寒天、アルギナート、カードラン、カッパ-カラギーナン、カッパ2-カラギーナン及びイオタ-カラギーナン、フルセララン、デンプン、加工デンプン、海藻抽出物、デキストリン、コンニャクグルコマンナン、メチルセルロース、ペクチン、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、又は多糖類のうちの1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
a)1つ以上の摂取可能なハイドロコロイド及び水からなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを調製することと、
b)前記摂取可能なハイドロコロイドゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを形成することと、
c)前記整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することと、
d)前記タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを、前記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するための前記好適な条件に供して、前記整列したチャネル内にゲル化タンパク質を作製することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
a)1つ以上の第1の摂取可能なタンパク質及び水からなる摂取可能なタンパク質ゲルを調製することと、
b)前記摂取可能なタンパク質ゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したタンパク質ゲルを形成することと、
c)前記整列した細長い氷晶を第2の摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入タンパク質ゲルを生成することと、
d)前記タンパク質注入タンパク質ゲルを、前記第2の摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するための前記好適な条件に供して、前記整列したチャネルにゲル化タンパク質を作製することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記摂取可能なタンパク質が、ゲル化性タンパク質、非ゲル化性タンパク質、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記摂取可能なタンパク質が、培養タンパク質、組換え動物タンパク質等の動物タンパク質、植物タンパク質、細菌タンパク質、酵母タンパク質等の真菌タンパク質、藻類タンパク質、又はそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記摂取可能なタンパク質が、哺乳動物の乳清タンパク質、カゼイン又はカゼイン塩(caseinate);ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質、ルビスコタンパク質、アオウキクサ(lemna)タンパク質、米タンパク質、アーモンドタンパク質、卵タンパク質、エンバクタンパク質、亜麻仁タンパク質、ユーグレナタンパク質、シゾキトリウム(schizochytrium)タンパク質、リョクトウタンパク質、エンドウ豆タンパク質、組換え哺乳動物乳清、培養哺乳動物乳清、組換え卵アルブミン、培養卵アルブミン、組換えゼラチン又はコラーゲン、培養ゼラチン又はコラーゲン、キャノーラタンパク質、ルピン(lupin)タンパク質、ソラマメタンパク質、コムギタンパク質、レンズマメタンパク質、アマランス(amaranth)タンパク質、ピーナッツタンパク質、モリンガ(moringa)種子タンパク質、カボチャ種子タンパク質、ヒヨコマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、ベニバナ種子タンパク質、マスタード種子タンパク質、クロレラタンパク質、及びスピルリナタンパク質、のうちのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップc)が、
(i)前記氷晶を融解させるのに好適な温度を有するステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶媒に浸漬することによって、前記一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液を解凍すること、
(ii)前記一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液を凍結乾燥させて、実質的に全ての前記水を除去し、次いで、乾燥したゲルを、ステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶液に浸漬すること、
(iii)前記氷晶を蒸発させ、次いで、前記乾燥したゲルを、ステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶液に浸漬すること、又は
(iv)前記注入されたゲルの一方の端部を真空下に置いて、前記氷晶を取り出し、ステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを、前記注入されたゲルの別の端部から前記整列した細長いチャネル内に引き込むこと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップc)が、前記一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を解凍することを含み、前記プロセスが、一方向凍結及び解凍の複数のサイクルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記一方向凍結プロセスの速度を変化させるために、前記材料にわたる温度勾配を制御することによって前記整列した細長いチャネルの直径を制御することを更に含み、前記整列した細長いチャネル内のゲル化タンパク質の直径が、前記整列した細長いチャネルの前記直径に比例する、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記整列した細長いチャネルの前記直径が、約20~約500ミクロンの範囲の直径を有する細長いゲル化タンパク質を得るように制御される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、溶液又は分散液であり、前記プロセスが、
(i)前記一方向に凍結した溶液若しくは分散液を前記好適な条件に更に供することによって、ステップc)の前に前記溶液若しくは分散液をゲル化すること、又は
(ii)ステップc)の前に、好適な溶液に浸漬することによって前記溶液若しくは分散液のゲル化を誘導すること、を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、溶液又は分散液であり、前記プロセスが、前記溶液又は分散液を一方向凍結と同時にゲル化することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記バイオポリマー溶液又は分散液が、第1及び第2のハイドロコロイドを含み、前記プロセスが、前記第1のハイドロコロイドをゲル化することと、前記バイオポリマーを一方向凍結に供し、その後、前記第2のハイドロコロイドをゲル化することと、前記氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることと、を含む、請求項14又は15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記好適な条件が、
(i)前記注入されたゲルを熱処理することであって、前記摂取可能なタンパク質が、少なくとも熱ゲル化性タンパク質を含む、熱処理すること、
(ii)塩若しくはイオンを前記注入されたゲルに浸透させることであって、前記塩が、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、浸透させること、
(iii)前記注入されたゲルのpHを、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を引き起こすのに好適な値に調整すること、
(iv)架橋剤を含有する溶液を前記注入されたゲルに浸透させることであって、前記架橋剤が、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、浸透させること、
(v)前記注入されたゲルを圧力処理して、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導すること、並びに/又は
(vi)前記注入されたゲルを好適な波長及び強度の放射線で照射して前記タンパク質の架橋を誘導し、それによって、前記摂取可能なタンパク質のうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導すること、を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記塩を浸透させることが、前記注入されたゲルを、前記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を可能にするのに十分な濃度の塩溶液と接触させることを含み、前記塩が、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、及びマグネシウム(Mg)、並びにそれらの任意の組み合わせの硫酸塩、クエン酸塩、塩化物、炭酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、ソルビン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、及びリン酸塩のうちのいずれか1つである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記注入されたゲルの前記pHを調整することが、酢酸、塩酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又はそれらの組み合わせを含む食品に安全なpH調整剤を添加することを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記架橋剤が、グルタルアルデヒド、タンニン、ゲニピン、燻煙液、又はそれらの組み合わせを含む化学的架橋剤である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項21】
前記架橋剤が、トランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13)、ソルターゼA(EC3.4.22.70)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)、ラッカーゼ(EC1.10.3.2)、ペルオキシダーゼ(EC1.11.1.x)、リシルオキシダーゼ(EC1.4.3.13)、アミンオキシダーゼ(EC1.4.3.6)、又はそれらの組み合わせを含む、酵素ベースの架橋剤である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項22】
前記摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、複数の層を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
交互の層が、同じ又は異なるバイオポリマー又はバイオポリマーブレンドで作製される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
寒天及びアルギナート溶液とアルギナート-油エマルションとの混合物を生成し、前記混合物をゲル化して皮膚層を生成することによって、肉又は魚の皮膚層を模倣する層を生成することを更に含む、請求項22又は23に記載のプロセス。
【請求項25】
各々が予め選択された厚さを有する複数のタンパク質注入バイオポリマーゲルを生成することと、肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料からなる間質層を調製することと、を更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記複数のタンパク質注入バイオポリマーゲルが、積層され、前記間質層に接着される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記間質層が、肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料を含み、タンパク質、ハイドロコロイド、水中油型エマルション、固体粒子、脂肪及びオレオゲルのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、請求項25又は26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記固体粒子が、二酸化チタン、タンパク質、炭酸カルシウム、デンプン、固体脂肪結晶及び藻類のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
i)前記バイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液の調製中に着色剤を添加すること、又は
ii)前記整列した細長い氷晶を、前記第2の摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドと前記着色剤との混合物に置き換えること、を更に含み、
前記着色剤が、カロテノイド、β-カロテン、アスタキサンチン、リコピン、ビキシン、アントシアニン、ベタラン、ヘモグロビン、ミオグロビン、ビート果汁抽出物、サフロールイエロー、ルテイン、クルクミン、カプサンチン、カプソルビン、ノルビキシン、アントシアニン、クルクミノイド、ウコン、フィコシアニン、メラノイジン、若しくはそれらの組み合わせを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、
摂取可能なバイオポリマーゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲルを形成することと、
前記凍結したバイオポリマーを少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液に浸すことによって、前記整列したチャネルを有する前記一方向に凍結したバイオポリマーゲルを解凍し、それによって、前記可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度未満の温度で、前記整列した細長い氷晶を融解させ、前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質に置き換えて、タンパク質注入バイオポリマーゲルを生成することと、
前記タンパク質注入バイオポリマーゲルを、前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度を上回る温度で加熱して、繊維状代替肉食品を形成するためのタンパク質繊維を作製することと、を含む、プロセス。
【請求項31】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、
a)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び水を含むハイドロコロイドゲル、
b)1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質及び水を含むタンパク質ゲル、又は
c)i)少なくとも2つの異なる摂取可能なハイドロコロイド、ii)少なくとも2つの異なる摂取可能なタンパク質、若しくはiii)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質、並びに水を含む複合ゲルである、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記バイオポリマーゲルが、多糖、標準的なゼラチン及び/又は組換えゼラチン、寒天、発酵由来のゼラチン、アルギナート、カードラン、カッパ-カラギーナン、カッパ2-カラギーナン及びイオタ-カラギーナン、フルセララン、デンプン、加工デンプン、デキストリン、コンニャクグルコマンナン、ペクチン、メチルセルロース、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、及びタラガムのうちの1つ以上を含む、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記凍結バイオポリマーの浸漬時間を変化させてタンパク質添加量を制御することを含む、請求項30~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質が、i)摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質であって、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液中の前記摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質の濃度が、約0.5~約30%の範囲である、摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質、又はii)摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質と非熱ゲル化タンパク質との混合物、を含む、請求項17及び30~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、前記摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質の前記ゲル化温度を上回る融解温度を有する、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍することは、前記摂取可能なゲル化性タンパク質を含有する溶媒の温度を、前記ハイドロコロイドゲル内の溶媒の融点から前記ハイドロコロイドゲルの融点までの範囲になるように調整することを含み、前記整列した細長い氷晶を前記摂取可能なタンパク質に置き換えることは、前記摂取可能なタンパク質を含有する前記溶媒の温度を、前記タンパク質溶液を含有する前記溶媒の凝固点から前記摂取可能なタンパク質のうちの前記少なくともいくつかのゲル化開始変性温度までの範囲になるように調整することを含む、請求項10及び30~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍することは、約0℃~約85℃、好ましくは約0℃~約45℃で行われる、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、摂取可能な非熱ゲル化タンパク質と、温度が上昇するにつれて前記摂取可能な非熱ゲル化タンパク質のゲル化を引き起こす熱誘導トリガー剤と、を更に含む、請求項17及び30~37のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記熱誘導トリガー剤が、塩、酵素、pH調整剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記熱誘導トリガー剤が、溶融性コーティング内にマイクロカプセル化された酵素である、請求項38に記載のプロセス。
【請求項41】
少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、水溶液又は水分散液を含む、請求項30~40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、約1℃~約60℃の温度を有する、請求項10及び30~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
タンパク質添加量が、前記摂取可能なバイオポリマーゲルと、前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液との体積比を変化させることによって更に変化する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項44】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルの前記一方向凍結のステップが、前記摂取可能なバイオポリマーゲルを、約マイナス2℃~約マイナス196℃の温度に予冷した基板と接触するように配置することによって行われる、請求項30~43のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、約100~約5000パスカルの範囲の弾性率を有するカッパ-カラギーナンハイドロゲルである、請求項30~44のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項46】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、約0.1%~約15重量%の範囲の寒天濃度を有する寒天ハイドロゲルである、請求項30~44のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項47】
少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、前記整列したチャネル内に拡散する摂取可能なサプリメントを更に含み、前記摂取可能なサプリメントが、アスコルビン酸(ビタミンC)、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB
6(ピリドキシン、ピリドキサール、及びピリドキサミン)、フォラシン、ビタミンB
12、ビオチン、パントテン酸、及びそれらの組み合わせを含む水溶性ビタミン;若しくはオメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸、若しくはそれらの組み合わせのエステルのエマルション;摂取可能なミネラル;並びに/又は抗酸化剤を含む、請求項30~46のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項48】
前記水溶液又は水分散液が、香味料、味物質、乳化剤、防腐剤、着色料、pH調整剤、質感調整剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項41に記載のプロセス。
【請求項49】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルを一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶の形成を誘導する前記ステップが、前記摂取可能なバイオポリマーゲルを予冷した基板と接触するように配置して1つの方向への一方向凍結を得ること、又は前記摂取可能なバイオポリマーゲルを2つの予冷した基板の間に配置することを更に含み、前記一方向凍結が、反対方向から進行する、請求項30~48のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項50】
熱ゲル化タンパク質と非熱ゲル化タンパク質との混合物において、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液中の前記摂取可能な熱ゲル化タンパク質の濃度が、約2~約10重量%、好ましくは約2~約15重量%、より好ましくは約2~約20重量%の範囲であり、残りは、前記タンパク質混合物の合計25重量%を占める非熱ゲル化タンパク質である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項51】
前記摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質注入バイオポリマーゲルを熱処理する前記ステップが、約40℃~約150℃の範囲の溶液温度で行われる、請求項17及び30~50のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項52】
前記注入されたゲルを、前記注入されたゲルからのタンパク質の漏出を防止するように作用する薬剤に更に曝露し、前記薬剤が、pH調整剤、塩、熱処理、化学的架橋剤、酵素架橋剤、ゲル化ハイドロコロイドの注入、及び前記タンパク質注入ハイドロコロイドゲルへのハイドロコロイドコーティングの塗布のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~51のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項53】
前記整列した細長い氷晶を置き換える前記ステップが、味物質及び/又は着色剤に置き換えることを更に含む、請求項1~52のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項54】
請求項1~53のいずれか一項に記載のプロセスによって生成された、繊維状代替肉食品。
【請求項55】
繊維状の哺乳動物の肉、鶏肉又はシーフードの代替食品である、請求項54に記載の食品。
【請求項56】
前記摂取可能なタンパク質が、前記食品中に約2重量%~約50重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、好ましくは約5重量%~約35重量%、好ましくは約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約25重量%、好ましくは約10重量%~約20重量%の範囲で存在する、請求項54又は55に記載の食品。
【請求項57】
前記ハイドロコロイドが、前記食品中に約0.2重量%~約10重量%、好ましくは約0.5重量%~約8重量%、好ましくは約0.5重量%~約5重量%の範囲で存在する、請求項54~56のいずれか一項に記載の食品。
【請求項58】
前記摂取可能なタンパク質が、追加のタンパク質含有量を得るように、摂取可能な熱ゲル化性タンパク質と非ゲル化性タンパク質との混合物を含む、請求項54~57のいずれか一項に記載の食品。
【請求項59】
存在するタンパク質の最大量が25重量%である場合、前記混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の最小量は2重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量は23重量%である、請求項58に記載の食品。
【請求項60】
存在するタンパク質の最大量が25重量%であり、前記混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の中間的な最小量が約8重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量が約17重量%である、請求項58に記載の食品。
【請求項61】
存在するタンパク質の最大量が25重量%であり、前記混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の中間的な最小量が約10重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量が約15重量%である、請求項58に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月21日に出願された米国特許出願第17/326,567号(現在はUS11,241,024として発行されている)、及び2022年2月8日に出願された米国特許出願第17/666930号の優先権を主張し、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ハイドロゲルの一方向凍結を使用して「調理可能な」繊維状代替肉(fibrous meat analog)を生成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
今後10年間で1,400億米ドル(世界の食肉市場の約10%)に達すると推定される植物性の代替品の成長によって、1.4兆ドルの世界の食肉産業は、前例のない混乱を経験している。肉又は魚の植物性の代用品は、ビーガン、ベジタリアン等の動物性タンパク質製品を食べることの倫理的な問題に取り組む多くの消費者によって需要が高まっている。肉又は魚に対して様々な食物アレルギーを持つ消費者も、植物性の代替品を探している。この産業の成長は今後数十年にわたって続くと予想されている。世界の食肉産業は、人口増加に対応するために2050年までに69%成長する必要がある。これは、動物性タンパク質が、植物性タンパク質と比較して、水の使用量、土地の使用量、及びGHG排出量の観点から、生産するために大幅に資源集約的であることを考えると、特に困難である。更に、地球上の野生魚種の90%は、すでに過剰漁獲又は最大限の能力で収穫されていると分類されている。これは、顧客、特別利益団体/NGO、及び政府からの圧力の高まりによって、植物性食品の機会が経時的に増加するばかりであることを意味している。地球の資源への負荷が高まっているため、食料安全保障の観点から、動物性タンパク質食品の代替品を用意することは、全ての国の最大の関心事である。
【0004】
動物性タンパク質から植物性タンパク質へと移行するための別の原動力は、ヒトに移ることが知られている動物性疾患の発生増加によって促進されている。これらは、動物からヒトに移る細菌によって引き起こされる人畜共通感染症(又は動物原性感染症)と呼ばれ、劣悪な農業慣行が動物とヒトとの密接な接触をもたらす世界の地域で特に問題となっている。動物によるヒトの感染には2つの様式があり、最も一般的なのは、動物からヒトへのウイルスの空中伝播に起因する、動物と密接に接触するヒトの間でのウイルス感染であり、他方は、ヒトによる動物の摂取及び消費に起因するものである。畜産に大きく依存している国々の経済にこれらの疾患が及ぼす影響は、これらの動物由来の病気が人間に伝染し始めたときの人的被害は言うまでもなく、壊滅的なものになり得る。
【0005】
おそらく、牛肉を摂取することによってヒトに伝染するこれらの疾患の中で最も顕著なのは、1985年に英国で牛において最初に同定された牛海綿状脳症(BSE)である。それはヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関連しており、ヒトへの伝染を引き起こしたのは感染した肉の消費であった。英国では約200人がこの疾患で死亡し、数百万頭の牛が殺処分された。BSEは、プリオンと呼ばれる希な伝染性物質によって引き起こされる神経障害であり、1970年代に牛に現れ始めた。主な原因は、レンダリングされた又は感染した牛からの肉骨粉(MBM)を含む動物飼料であることが特定された。10万頭超の牛が感染していることが確認された。MBMの使用は1988年に禁止されたが、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と呼ばれる希な疾患に関連していた。BSEに関連するバージョンは、変異型CJDと名付けられ、感染肉を食べた何年も後に、感染肉の消費者に現れる可能性があり、多くの場合は致命的であった。
【0006】
同様に、魚を摂取するヒトも疾病を生じる可能性がある。魚との接触に関連する人畜共通感染症は、主に細菌感染症である。これらには、Mycobacterium、Erysipelothrix、Campylobacter、Aeromonas、Vibrio、Edwardsiella、Escherichia、Salmonella、Klebsiella、及びStreptococcus iniaeが含まれる。これらの感染症によって必ずしも魚が病気に見えるとは限らないが、ヒトに深刻な疾病を引き起こす可能性がある。動物及び魚の人畜共通感染症の増加に対する地球温暖化の影響はいまだに定量又は理解されておらず、海洋温度及び周囲温度の上昇が人畜共通感染症のより多くの発生を引き起こす可能性があると考えることは非合理的だとは言えない。したがって、動物性タンパク質源で現在必要とされているほど多くのリソースを必要としない、より安全なタンパク質源からの肉及び/又は魚の植物性の代替品を見つけるための原動力が高まっている。
【0007】
残念ながら、本物の肉の味、食感、栄養プロファイル、及び調理挙動を十分に模倣することが困難であるため、今日の市場で植物性の肉代替品が大衆市場の顧客を惹きつけることは困難であることが証明されている。これらの製品は、製造業者からの研究開発投資の欠如を強調する基本配合及び不適合なプロセスを用いることがある。消費者調査では、消費者が肉製品と代替肉製品に関して購入を決定する際に、価格、味、及び利便性という3つの基準に主に依存することが指摘されている。したがって、植物性の肉代替品が本物の肉と同等の味を持たない場合、より高価である場合、かつ/又は用意するのにあまり便利でない場合、ニッチなベジタリアン及びビーガンセグメントにのみアピールする可能性が高い。
【0008】
代替タンパク質業界では、ほとんど全ての努力の焦点が、牛肉、鶏肉、及び豚肉をエミュレートする代替品に当てられており、代替の植物性シーフードにはあまり努力が向けられていない。植物性シーフードは、2019年の植物性の肉代替品の総売上高のわずか1%を占め、シーフードの総売上高(1.05億ドル)のわずか0.07%を占めている。植物性の肉市場全体が世界の肉売上高の10%に達すると予測されているのと同じように、植物性シーフード市場が2030年にシーフード市場全体の10%に達することができれば、200億ドルの価値がある。
【0009】
肉の筋肉繊維に似た繊維を生成する手段として一方向凍結を使用する方法が存在する。米国特許第4,423,083号では、タンパク質とハイドロコロイドとを組み合わせた後に凍結することによって繊維を生成するプロセスが記載されている。解凍すると、封鎖剤によって繊維が強化され、繊維構造が保持される。本明細書に開示されるプロセスでは、ハイドロコロイドゲルの一方向凍結が最初に行われ、封鎖剤を必要とせずにタンパク質溶液に浸漬する第2のステップが行われるため、封鎖剤の必要性が回避される。このことは、タンパク質等の他の成分、及び本明細書に開示されるような他のサプリメントを添加する前に、繊維の形成を制御するという柔軟性を非常に有利に与える。
【0010】
更に、米国特許第4,423,083号は、試料の最内部分の繊維特性を保持するために、封止溶液に浸漬する前に凍結塊をスライスして最大厚さ8mmの繊維束を生成する必要があることを開示している。本開示では、スライスの必要はなく、繊維構造は、封鎖剤なしで保存することができ、試料は、任意のサイズ又は形状であり得る。
【発明の概要】
【0011】
一態様では、繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、a)1つ以上の摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイド、並びに水からなる摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を調製することと、b)バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を形成することと、c)整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドに置き換えて注入されたゲルを生成することと、d)注入されたゲルを、摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかをゲル化するための好適な条件に供して、整列したチャネル内にゲル化タンパク質及び/又はハイドロコロイドを作製して繊維状食品を形成することと、を含む、プロセスが提供される。
【0012】
一実施形態では、摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液は、1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び水を含む、ハイドロコロイドゲル、溶液若しくは分散液、1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質及び水を含む、タンパク質ゲル、溶液若しくは分散液、又は1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質、並びに水を含む、複合ゲル、溶液若しくは分散液である。
【0013】
一実施形態では、ステップa)及びc)の摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドは、同じであるか、又は異なる。一実施形態では、摂取可能なハイドロコロイドは、標準的なゼラチン及び/又は組換えゼラチン、寒天、アルギナート、カードラン、カッパ-カラギーナン、カッパ2-カラギーナン及びイオタ-カラギーナン、フルセララン、デンプン、加工デンプン、海藻抽出物、デキストリン、コンニャクグルコマンナン、メチルセルロース、ペクチン、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、又は多糖類のうちの1つ以上を含む。
【0014】
一実施形態では、プロセスは、a)1つ以上の摂取可能なハイドロコロイド及び水からなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを調製することと、b)摂取可能なハイドロコロイドゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを形成することと、c)整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することと、d)タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを、摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するための好適な条件に供して、整列したチャネル内にゲル化タンパク質を作製することと、を含む。
【0015】
一実施形態では、プロセスは、a)1つ以上の第1の摂取可能なタンパク質及び水からなる摂取可能なタンパク質ゲルを調製することと、b)摂取可能なタンパク質ゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したタンパク質ゲルを形成することと、c)整列した細長い氷晶を第2の摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入タンパク質ゲルを生成することと、d)タンパク質注入タンパク質ゲルを、第2の摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するための好適な条件に供して、整列したチャネルにゲル化タンパク質を作製することと、を含む。
【0016】
一実施形態では、摂取可能なタンパク質は、ゲル化性タンパク質、非ゲル化性タンパク質、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、摂取可能なタンパク質は、培養タンパク質、組換え動物タンパク質等の動物タンパク質、植物タンパク質、細菌タンパク質、酵母タンパク質等の真菌タンパク質、藻類タンパク質、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、摂取可能なタンパク質は、哺乳動物の乳清タンパク質、カゼイン又はカゼイン塩(caseinate);ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質、ルビスコタンパク質、アオウキクサ(lemna)タンパク質、米タンパク質、アーモンドタンパク質、卵タンパク質、エンバクタンパク質、亜麻仁タンパク質、ユーグレナタンパク質、シゾキトリウム(schizochytrium)タンパク質、リョクトウタンパク質、エンドウ豆タンパク質、組換え哺乳動物乳清、培養哺乳動物乳清、組換え卵アルブミン、培養卵アルブミン、組換えゼラチン又はコラーゲン、培養ゼラチン又はコラーゲン、キャノーラタンパク質、ルピン(lupin)タンパク質、ソラマメタンパク質、コムギタンパク質、レンズマメタンパク質、アマランス(amaranth)タンパク質、ピーナッツタンパク質、モリンガ(moringa)種子タンパク質、カボチャ種子タンパク質、ヒヨコマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、ベニバナ種子タンパク質、マスタード種子タンパク質、クロレラタンパク質、及びスピルリナタンパク質、のうちのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0017】
一実施形態では、ステップc)は、氷晶を融解させるのに好適な温度を有するステップc)の摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶媒に浸漬することによって、一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液を解凍すること、一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液を凍結乾燥させて、実質的に全ての水を除去し、次いで、乾燥したゲルを、ステップc)の摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶液に浸漬すること、氷晶を蒸発させ、次いで、乾燥したゲルを、ステップc)の摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶液に浸漬すること、又は注入されたゲルの一方の端部を真空下に置いて氷晶を取り出し、ステップc)の摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを、注入されたゲルの別の端部から整列した細長いチャネル内に引き込むこと、を含む。一実施形態では、ステップc)は、一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を解凍することを含み、プロセスが、一方向凍結及び解凍の複数のサイクルを含む。一実施形態では、プロセスは、一方向凍結プロセスの速度を変化させるために、材料にわたる温度勾配を制御することによって整列した細長いチャネルの直径を制御することを更に含み、整列した細長いチャネル内のゲル化タンパク質の直径が、整列した細長いチャネルの直径に比例する。一実施形態では、整列した細長いチャネルの直径が、約20~約500ミクロンの範囲の直径を有する細長いゲル化タンパク質を得るように制御される。
【0018】
一実施形態では、バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液は、溶液又は分散液であり、プロセスは、(i)一方向に凍結した溶液若しくは分散液を好適な条件に更に供することによって、ステップc)の前に溶液若しくは分散液をゲル化すること、又は(ii)ステップc)の前に、好適な溶液に浸漬することによって溶液若しくは分散液のゲル化を誘導すること、を含む。一実施形態では、バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液は、溶液又は分散液であり、プロセスは、溶液又は分散液を一方向凍結と同時にゲル化することを含む。一実施形態では、バイオポリマー溶液又は分散液は、第1及び第2のハイドロコロイドを含み、プロセスは、第1のハイドロコロイドをゲル化することと、バイオポリマーを一方向凍結に供し、その後、第2のハイドロコロイドをゲル化することと、氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることと、を含む。
【0019】
一実施形態では、好適な条件は、注入されたゲルを熱処理することであって、摂取可能なタンパク質が、少なくとも熱ゲル化性タンパク質を含む、熱処理すること、塩若しくはイオンを注入されたゲルに浸透させることであって、塩が、上記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、浸透させること、注入されたゲルのpHを、上記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかのゲル化を引き起こすのに好適な値に調整すること、架橋剤を含有する溶液を注入されたゲルに浸透させることであって、架橋剤が、上記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、浸透させること、注入されたゲルを圧力処理して、上記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導すること、並びに/又は注入されたゲルを好適な波長及び強度の放射線で照射してタンパク質の架橋を誘導し、それによって、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導すること、を含む。
【0020】
一実施形態では、塩を浸透させることは、注入されたゲルを、上記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかのゲル化を可能にするのに十分な濃度の塩溶液と接触させることを含み、塩が、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、及びマグネシウム(Mg)、並びにそれらの任意の組み合わせの硫酸塩、クエン酸塩、塩化物、炭酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、ソルビン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、及びリン酸塩のうちのいずれか1つである。一実施形態では、注入されたゲルのpHを調整することは、酢酸、塩酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又はそれらの組み合わせを含む食品に安全なpH調整剤を添加することを含む。一実施形態では、架橋剤は、グルタルアルデヒド、タンニン、ゲニピン、燻煙液又はそれらの組み合わせを含む化学的架橋剤である。一実施形態では、架橋剤は、トランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13)、ソルターゼA(EC3.4.22.70)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)、ラッカーゼ(EC1.10.3.2)、ペルオキシダーゼ(EC1.11.1.x)、リシルオキシダーゼ(EC1.4.3.13)、アミンオキシダーゼ(EC1.4.3.6)、又はそれらの組み合わせを含む、酵素ベースの架橋剤である。
【0021】
一実施形態では、摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液は、複数の層を有する。一実施形態では、交互の層は、同じ又は異なるバイオポリマー又はバイオポリマーブレンドで作製される。一実施形態では、プロセスは、寒天及びアルギナート溶液とアルギナート-油エマルションとの混合物を生成し、混合物をゲル化して皮膚層を生成することによって、肉又は魚の皮膚層を模倣する層を生成することを更に含む。一実施形態では、プロセスは、各々が予め選択された厚さを有する複数のタンパク質注入バイオポリマーゲルを生成することと、肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料から作製された間質層を調製することと、を更に含む。一実施形態では、複数のタンパク質注入バイオポリマーゲルが、積層され、間質層に接着される。一実施形態では、間質層は、タンパク質、ハイドロコロイド、水中油型エマルション、固体粒子、脂肪及びオレオゲルのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料を含む。一実施形態では、固体粒子は、二酸化チタン、タンパク質、炭酸カルシウム、デンプン、固体脂肪結晶及び藻類のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む。
【0022】
一実施形態では、このプロセスは、i)バイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液の調製中に着色剤を添加すること、又はii)整列した細長い氷晶を、第2の摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドと着色剤との混合物に置き換えること、を更に含み、着色剤は、カロテノイド、β-カロテン、アスタキサンチン、リコピン、ビキシン、アントシアニン、ベタラン、ヘモグロビン、ミオグロビン、ビート果汁抽出物、サフロールイエロー、ルテイン、クルクミン、カプサンチン、カプソルビン、ノルビキシン、アントシアニン、クルクミノイド、ウコン、フィコシアニン、メラノイジン、若しくはそれらの組み合わせを含む。
【0023】
別の態様では、繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、摂取可能なバイオポリマーゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲルを形成することと、凍結したバイオポリマーを少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液に浸漬することによって、整列したチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲルを解凍し、それによって、可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度未満の温度で、整列した細長い氷晶を融解させ、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質に置き換えて、タンパク質注入バイオポリマーゲルを生成することと、タンパク質注入バイオポリマーゲルを、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度を上回る温度で加熱して、繊維状代替肉食品を形成するためのタンパク質繊維を作製することと、を含む、プロセスが提供される。
【0024】
また別の態様では、本明細書に記載されるプロセスによって生成された繊維状代替肉食品が提供される。
【0025】
本明細書に記載される実施形態に関する多くの更なる特徴及びそれらの組み合わせは、本開示を読んだ後に当業者に明らかとなるであろう。
【0026】
本開示の機能的及び有利な態様の更なる理解は、以下の詳細な説明及び図面を参照することによって実現することができる。
【0027】
ここで、図面を参照して、例としてのみ、実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】Yokoyama,F.,Achife,E.C.,Momoda,J.,Shimamura,K.及びMonobe,K.,1990.Morphology of optically anisotropic agarose hydrogel prepared by directional freezing.Colloid and Polymer Science,268(6),pp.552-558に開示されるような、予冷した基板と接触するハイドロゲルが凍結し始め、基板の平面に垂直な方向に成長する氷晶を形成し、塊全体が、今や濃縮されたハイドロゲルによって囲まれた細長い氷晶の形態で存在するまで、これらの整列した結晶の成長は冷却された基板から離れて進行する、一方向凍結を受ける等方性ハイドロゲルの概略図を示す。
【
図2】A及びBは、Yokoyama,F.,Achife,E.C.,Momoda,J.,Shimamura,K.及びMonobe,K.,1990.Morphology of optically anisotropic agarose hydrogel prepared by directional freezing.Colloid and Polymer Science,268(6),pp.552-558に開示されるような、一方向凍結/解凍アガロースハイドロゲルの横方向断面の偏光顕微鏡写真を示す。
【
図3A】光学顕微鏡を使用して、一方向凍結後の寒天-アルギナートハイブリッドゲル内の細長いチャネルの側面図を示す顕微鏡写真である。
【
図3B】光学顕微鏡を使用して、一方向凍結後の寒天-アルギナートハイブリッドゲル内の細長いチャネルの断面図を示す顕微鏡写真である。
【
図3C】一方向凍結及びその後の凍結乾燥後の寒天ゲルの細長い構造の断面図を示す走査型電子顕微鏡画像である。この画像の細長いチャネル内の氷は、凍結乾燥プロセスによって除去される。
【
図4A】交互の層が繊維状又は非繊維状である、層状の一方向に凍結したゲルの断面を示す光学写真である。
【
図4B】
図4Aと同様に、交互の層が繊維状又は非繊維状である、別の層状の一方向に凍結したゲルの断面を示す光学写真である。
【
図4C】
図4Aと同様に、交互の層が繊維状又は非繊維状である、別の層状の一方向に凍結したゲルの側面図を示す光学写真である。
【
図5A】サケ金型中の3重量%の寒天と0.15重量%の着色剤を示す光学写真である。右の図は、筋節中隔を追加した後の最終結果を示す。
【
図5B】小片に切断し、-15℃で一方向に凍結させた筋節-筋節中隔ゲルを示す光学写真である。
【
図5C】一方向に凍結させた直後の一片の筋節-筋節中隔ゲルを示す光学写真である。
【
図6】3重量%の寒天の筋節ゲルに5重量%のリョクトウと3重量%の寒天とからなる筋節中隔層を積層し、アルギナート-海藻ベースの皮膚を上に乗せたものの光学写真である。
【
図7A】寒天、アルギナート及び寒天-アルギナート複合ゲルを焼いている間の外観を示す光学写真である。
【
図7B】焼いた後のアルギナート、寒天、及び寒天-アルギナート複合ゲルの構造を示す光学写真である。
【
図7C】一方向凍結後の12重量%のジャガイモタンパク質ゲルの外観を示す光学写真である。
【
図8】15重量%のキャノーラ-ジャガイモタンパク質アルギン酸ナトリウムゲルを一方向に凍結させ、調理した後の繊維状の外観を示す光学写真であり、左側のパネルにはそのままの状態で示され、右側のパネルには引き裂かれた状態で示されている。
【
図9】一方向凍結後の、キャノーラ:ジャガイモタンパク質及び着色剤の1:1ブレンドを含有する、3重量%の寒天、0.75重量%のアルギナートのハイブリッドゲルを示す光学写真である。左側の試料を55℃に加熱し(「生の」外観をもたらす)、右側の試料をフライパンで後続の熱処理に供した(調理後の外観を示す)。
【
図10】焼いている間の、一方向に凍結した0.75重量%のアルギナート、7.5重量%の乳清、3重量%のジャガイモタンパク質複合ゲルを示す写真。
【
図11】
図4Aと同様に、交互の層が繊維状又は非繊維状であり、生成物が生/未調理及び半透明である、別の層状の一方向に凍結したゲルの側面図を示す光学写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の様々な実施形態及び態様を、以下に論じられる詳細を参照して説明する。以下の説明及び図面は、本開示を例示するものであり、本開示を限定するものであるとは解釈されない。本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、ある特定の場合には、本開示の実施形態の簡潔な説明を提供するために、周知又は従来の詳細は記載されない。
【0030】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、包括的かつ開放的であり、排他的ではないものとして解釈されたい。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語、並びにそれらの変形は、指定された特徴、ステップ、又は構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ又は構成要素の存在を排除するものであるとは解釈されない。
【0031】
本明細書で使用される「例示的」という用語は、「例、事例、又は例示として機能する」ことを意味し、本明細書に開示される他の構成よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、値の範囲の上限及び下限に存在し得る変動、例えば、特性、パラメータ、及び寸法の変動を包含することを意味する。1つの非限定的な例では、「約」及び「およそ」という用語は、プラス又はマイナス10パーセント以下を意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「繊維状代替肉」という語句は、魚及び肉(牛肉、ラム肉、豚肉、鶏肉等)を含む繊維構造を特徴とする食品をエミュレートする代替食品を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」は、天然タンパク質だけでなく組換えタンパク質を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「タンパク質変性」という用語は、タンパク質の構造をその天然状態から変化させることを意味する。例えば、これは、タンパク質分子内の分子内の結合、例えば、水素結合のうちのいくつかを破壊することによって達成することができる。例えば、熱処理の結果としての、これらの結合の破壊は、高度に規則正しいタンパク質構造がその天然又は天然の状態から変化することを意味する。このプロセスは、通常、タンパク質分子の中心に埋め込まれた疎水性側基の曝露、並びに分子間ジスルフィド結合のシフト又は形成を含み得る。これは、タンパク質凝集体の形成をもたらし得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「タンパク質ゲル」という語句は、水を固定化するタンパク質の3次元粘弾性ネットワークを意味する。例えば、これは、連続したネットワークを形成するのに好適な溶媒条件(例えば、イオン強度及びpH)で、タンパク質の変性温度を超えてタンパク質溶液を加熱することによって達成され得る。別の可能な経路は、タンパク質又はタンパク質凝集体の流体懸濁液又は分散液を作製することであり、溶媒条件(例えば、イオン強度又はpH)の変化によって、タンパク質又はタンパク質凝集体間の反発の低下に起因してタンパク質ゲルが形成される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「タンパク質ゲル化」及び「タンパク質のゲル化」並びに「ゲル化タンパク質」という語句は、例えば、タンパク質溶液の熱処理を介して、以前に定義されたように、タンパク質ゲルを作製するプロセスを意味する。「ゲル化タンパク質」は、ゲル化プロセスを経たある特定の体積のタンパク質を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「バイオポリマー」という用語は、繰り返しモノマーで構成され、生体によって産生されるか、又はタンパク質及び多糖類等の生体と生体適合性のある有機分子を意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「直径」という用語は、個々のチャネル又はファイバの断面幅を表すが、必ずしも円形の断面形状を意味するわけではない。
【0040】
本明細書で使用される場合、細長い氷晶は、高いアスペクト比を有する相分離された氷ドメインを指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ハイドロゲル」という用語は、大量の水を固定化することができる親水性バイオポリマー分子の3次元ネットワークを意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「タンパク質繊維」という語句は、肉又は魚に見られる筋肉繊維と同様のサイズ範囲で高いアスペクト比を有する細長いタンパク質ゲルを意味する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「繊維状」という語句は、タンパク質及び/又は多糖類繊維等のバイオポリマー繊維を含有することを意味する。
【0044】
本開示は、一方向凍結を用いることによって、「調理可能な」繊維状代替肉を生成するためのプロセスを提供する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示は、一方向凍結を用いることによって、「調理可能な」繊維状代替肉を生成するためのプロセスを提供する。
【0046】
本開示は、ハイドロコロイドゲル、タンパク質ゲル、又はハイドロコロイド及び/若しくはタンパク質の複合ゲル等のバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液の一方向凍結によって、繊維状代替肉を生成するための2段階プロセスを提供する。プロセスの第1のステップは、バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を一方向に凍結させることである。このプロセスは、肉様又は魚様の筋肉繊維の形成、及び、ハイドロゲル繊維を整列させる氷晶の形成に起因する、バイオポリマーゲル、溶液、又は分散ゲルへのテクスチャ変化を誘導する。第2のステップは、氷晶を摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドに置き換えて、注入されたゲルを形成することを含む。いくつかの実施形態では、第1のステップのタンパク質及び/又はハイドロコロイドは、第2のステップのタンパク質及び/又はハイドロコロイドと同じであるか、又は異なる。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1のステップは、ハイドロコロイドゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、ハイドロコロイドゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なハイドロコロイドに置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、ハイドロコロイドゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なタンパク質及びハイドロコロイドに置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、タンパク質ゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なハイドロコロイドに置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、タンパク質ゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、タンパク質ゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なタンパク質及びハイドロコロイドに置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、複合ハイドロコロイドゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、複合ハイドロコロイドゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なハイドロコロイドに置き換えることである。いくつかの実施形態では、第1のステップは、複合ハイドロコロイドゲルを一方向に凍結させることであり、第2のステップは、氷晶を摂取可能なタンパク質及びハイドロコロイドに置き換えることである。
【0048】
いくつかの実施形態では、ゲルを注入することは、予め選択された温度で特定の時間、タンパク質溶液にハイドロゲルを浸漬することを含み、そうすることで、整列した氷晶が、凹凸のあるハイドロゲル中の可溶性タンパク質によって置き換えられる。注入されたハイドロゲルのその後の加熱は、ゲル化を誘導する。タンパク質のゲル化温度を超える融解温度を有するハイドロコロイドを使用することは、製品のサイズ、構造、及び繊維化を維持するために好ましい。
【0049】
一実施形態では、プロセスは、選択されたサイズ及び形状の摂取可能な多糖類含有ハイドロゲルを一方向凍結に供して細長い氷晶の形成を誘導することを含み、細長い氷晶は、摂取可能なハイドロゲル中で所与の方向に整列し、氷晶を含有する凹凸のあるハイドロゲルを形成する。その後、凹凸のあるハイドロゲルを、予め選択された温度で、摂取可能な可溶性タンパク質を含有する溶液に浸漬し、そうすることで、氷晶が融解するにつれて、摂取可能な熱ゲル化タンパク質が、凹凸のあるハイドロゲル中に拡散して溶解した氷晶と置き換わる。凹凸のあるハイドロゲルを、所望のタンパク質添加量を与えるために必要な選択された期間、摂取可能な熱ゲル化タンパク質を含有する溶液に浸漬する。次いで、調理可能な繊維状代替肉食品を生成するために、タンパク質が浸透したハイドロゲルを、ゲル化を誘導して、ハイドロゲル内に繊維を形成するのに十分な温度で熱処理する。例示的な製品は、サケの切り身の代替製品である。
【0050】
別の実施形態では、プロセスは、1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び水からなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを一方向凍結に供して細長い氷晶の形成を誘導することを含み、細長い氷晶は、摂取可能なハイドロコロイドゲル中で所与の方向に整列する。その後、整列した細長い氷晶が摂取可能なタンパク質に置き換えられてタンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成し、それが後にゲル化を経て食品を作製する。
【0051】
一方向凍結
一方向凍結のプロセスは、水が凍結する方向を制御することによって材料を凍結させることを含む。ハイドロゲルの一方向凍結のステップは、選択されたサイズ及び形状のハイドロゲルを予冷した基板と接触するように配置し、繊維状ハイドロゲル構造を通って予冷した基板に対して垂直な方向に延びる氷晶の形成を誘導することによって行われ、予冷した基板は、約-2℃~約-196℃の範囲の温度に冷却される。
【0052】
図1並びに
図2A及び
図2Bを参照すると、ハイドロゲルの一方向凍結の主な概念が示される。ここでは、選択された質量及び形状のハイドロゲルが、冷却基板と接触して配置され、その上で細長い氷晶が、凍結前線に対して垂直に形成し始める。これにより、ハイドロゲルのバイオポリマー鎖を、予冷した基板に対して垂直に整列させて整列した繊維状ゲル構造を形成し、またこれによって、整列した繊維状ストランドによって互いに分離された整列した異方性の細長い氷晶の形成がもたらされ、細長い氷晶が所与の方向に整列し、整列した氷晶を含有する凹凸のあるハイドロゲルを形成する。
図3A、
図3B及び
図3Cから分かるように、整列した細長い氷晶がハイドロコロイドから除去又は移動されると、それらは整列した細長いチャネルを残す。これは、細長い氷晶が形成される際に水及び多糖類が初期溶液から相分離するにつれて、ハイドロコロイドのバイオポリマー鎖が、より小さい体積のより高い濃度へと一緒に押される凍結濃縮効果である。
【0053】
いくつかの実施形態では、このプロセスは、いくつかの例を挙げると、限定されないが、サケ、マス、マグロ、及びタラ等の多くの魚種に見られる典型的な筋肉繊維構造を模倣する繊維状の質感をもたらす。更にそれに限定されるものではないが、ビーフステーキ又はささみ等(これらに限定されない)の、繊維状の質感を特徴とする他の食品の類似物を作製するためにもこれを使用することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、限定されないが、整列した氷晶が融解するにつれて生成物中に拡散することができる摂取可能な可溶性タンパク質等の種を含有する水溶液又は水分散液の存在下で凹凸のあるハイドロゲルを解凍すると、その種が凹凸のある生成物中に拡散して融解した氷晶と置き換わる。
【0055】
一方向凍結金型
魚、鶏肉、豚肉、子牛肉、牛肉等であるかどうかにかかわらず、生成される異なる種類の繊維状代替肉食品の各々について、製品特有の一方向凍結金型が作製され得る。特定の種類の金型ごとにいくつかの可変パラメータが存在し、販売される商業製品に応じて変化させることができる。具体的には、各金型の形状は、生成される食品の形状をエミュレートするように調整され得る。魚の場合、形状は、丸魚の形状を反映することができるか、又は丸魚ではなく切り身の形状を反映することができる。サケの切り身は独特の形状を有し、金型は、この独特の形状を反映し得る。金型の深さは、最終製品の所望の厚さに応じて変化させることができる。同様に、多数のステーキ用切り身は異なる特徴を有し、このことが金型に反映され得、例えば、Tボーンステーキは、特徴的な「T」字形の椎骨を有し、金型の形状は、これを反映するように成形され得る。金型のサイズは、典型的な肉の切り身のサイズを現実的に反映するように作製することができる。これらの切り身は、1インチ以下から数インチまでの厚さの範囲であり得るため、これは、金型の深さに反映され得る。
【0056】
サケを例にとると、金型は、生成されるサケの切り身とほぼ同じサイズ及び形状であり得、ハイドロゲルで充填されたときに、最終製品がサケの切り身とほぼ同じサイズ及び形状を有するように成形された単一の基板を使用することができる。代替的に、内部にハイドロゲルを含んだ上部と下部を接続したときに、内部のサイズ及び形状が丸魚を模倣するように、上部及び下部の金型のサイズ及び形状を有することによって、丸魚を生成することができる。
【0057】
金型の形状、サイズ、深さのパラメータに加えて、別のパラメータは表面トポグラフィーである。平坦又は平面ではない独特の表面特性を有する食品の場合、非平面のトポグラフィーを反映するように金型を製造することができ、非平面の表面で包装すると、製品が非常に現実的に見えるようになる。金型は、繊維直径を制御するためにチャネル直径の変動を容易に制御するために金型に組み込むことができる機械的設計特性を組み込むことができることを理解されたい。非限定的な例は、金型の内面に鋭利な点を有することによって、氷晶の核生成(したがって、その数及びサイズ)を促進することである。別の方法は、ハイドロコロイド試料/金型が冷却浴中に降ろされる速度を変化させることであり得る。
【0058】
単一の予冷したプレートを一方向凍結プロセスに使用することができるが、ハイドロコロイド(又はタンパク質)塊の下に1つ、上に1つと、2つのプレートを使用することができることを理解されたい。
【0059】
生理学的に適合するハイドロゲル及びハイドロコロイド
いくつかの実施形態では、調理可能な繊維状代替肉を生成するためのプロセスは、食品に好適な摂取可能なハイドロコロイドゲル又はタンパク質ゲルを一方向に凍結させることを含む。ハイドロコロイドゲルは、多糖類ハイドロゲル、通常のゼラチン、組換えゼラチン、又はそれら両方の組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。ハイドロコロイドは、天然に存在してもよいか、組換えであってもよいか、又は実験室で育てられるか若しくは培養されてもよく、又は化学的若しくは酵素的に修飾されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、調理可能な繊維状代替肉を生成するためのプロセスは、摂取可能な多糖類含有ハイドロゲルを使用する。ハイドロゲルは、概して親水性である架橋ポリマー鎖のネットワークで構成される。ポリマー鎖間の相互作用は、架橋を引き起こし、3次元ネットワークの形成をもたらし、水性液体を半固体構造内に閉じ込める。バイオポリマー間の架橋は、化学的又は物理的のいずれかであり得、限定されないが、水素結合、疎水性又はイオン性相互作用、及び鎖の絡み合いからなる。これらの架橋は、ハイドロゲルネットワークの完全性が保持され、ポリマーが容易に溶解して溶液に戻らないように十分に強力である。ハイドロゲルは、高吸収性の天然又は合成ポリマーネットワークを特徴とし、90%超の水を容易に含有することができる。
【0061】
多糖類ハイドロゲルには多くの種類が存在する。そのようなハイドロゲルの非限定的な例としては、食用紅藻類から抽出された天然の直鎖硫酸化多糖類のファミリーであり、食品タンパク質に強く結合するための高い有効性を示す、カラギーナンが挙げられる。カラギーナンは、渦を巻いた螺旋構造を形成する、大きくて非常に柔軟な分子であり、室温で様々な異なるゲルを形成する能力を自身に付与するため、特に安定化剤及び増粘剤として食品産業で広く使用されている。
【0062】
これらのカラギーナンは、典型的には、約15重量%~約40重量%のエステル硫酸塩含有量を含み、これによりアニオン性多糖が生成される。硫酸塩の含有量に基づいて3つの異なるクラスに分類される。カッパ-カラギーナン(K-カラギーナン)は二糖類当たり1つの硫酸基を有し、イオタ-カラギーナン(I-カラギーナン)は2つ、ラムダ-カラギーナン(L-カラギーナン)は3つの硫酸基を有する。K-カラギーナンは、カリウムイオンの存在下で強くて硬いゲルを形成し、乳タンパク質と反応することを特徴とし、I-カラギーナンは、カルシウムイオンの存在下で柔らかいゲルを形成し、最後にL-カラギーナンは、ゲル化しないが、乳製品を濃縮するのに有用である。カラギーナンは、高分子量多糖類であり、主に交互に3連結されたb-D-ガラクトピラノース(G-単位)及び4連結されたa-D-ガラクトピラノース(D-単位)又は4連結された3,6-アンヒドロ-a-D-ガラクトピラノース(DA-単位)からなり、カラギーナンの二糖繰り返し単位を形成する。
【0063】
別のクラスの摂取可能なハイドロゲルとしては、赤藻類から得られるゼリー状物質である寒天ハイドロゲルが挙げられる。これは、直鎖多糖アガロースと、アガロペクチンと呼ばれるより小さな分子の不均一な混合物の、2つの成分の混合物である。これは、ある特定の種の藻類の細胞壁に支持構造を形成し、沸騰すると放出される。これらの藻類は寒天植物と呼ばれ、紅色植物門(赤藻類)に属する。
【0064】
寒天ハイドロゲルは、食品成分として、例えばゼラチンの植物性代用品、スープ、アイスクリーム、果物の保存食等の増粘剤として使用されている。寒天ハイドロゲルは、いくつかの例を挙げると、食欲抑制剤及び下剤等として、他の生理学的用途にも使用されている。寒天中のゲル化剤は、様々な種の紅藻類の細胞壁から単離された非分岐多糖である。当業者は、寒天及びカラギーナン等のこれらの成分が食品産業で広く使用されていることを認識するであろう。
【0065】
したがって、摂取可能なハイドロコロイドゲルの非限定的な例としては、寒天、発酵由来のゼラチン、アルギナート、カードラン、カッパ-カラギーナン、カッパ2-カラギーナン及びイオタ-カラギーナンからなる群から選択されるカラギーナン、フルセララン、デンプン(加工デンプン及びデキストリンを含む)、コンニャクグルコマンナン、ゲランガム、並びにキサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びタラガムを含む組み合わせが挙げられる。
【0066】
タンパク質
本発明のプロセスでは、ハイドロコロイド又はタンパク質ゲルに組み込まれるタンパク質は、天然に存在するタンパク質に限定されない。例えば、食品に好適な、組換えタンパク質、培養された(実験室で育てられた)タンパク質、化学的又は酵素的に修飾されたタンパク質が使用されてもよい。タンパク質は、動物タンパク質又は組換え動物タンパク質であり得る。タンパク質はまた、植物性、細菌性、真菌性、及び藻類性のタンパク質のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせであり得る。一例として、真菌性タンパク質は、酵母を含むことができる。藻類性タンパク質は、大型藻類及び微細藻類のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせであり得る。
【0067】
摂取可能なタンパク質の非限定的な例は、乳清タンパク質、ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質、ルビスコタンパク質、アオウキクサタンパク質、米タンパク質、アーモンドタンパク質、エンバクタンパク質、亜麻仁タンパク質、ユーグレナタンパク質、シゾキトリウムタンパク質、リョクトウタンパク質、エンドウ豆タンパク質、組換え乳清、培養乳清、組換え卵アルブミン、培養卵アルブミン、組換えゼラチン又はコラーゲン、培養ゼラチン又はコラーゲン、キャノーラタンパク質、ルピンタンパク質、ソラマメタンパク質、コムギタンパク質、レンズマメタンパク質、アマランスタンパク質、ピーナッツタンパク質、モランガ(moranga)種子タンパク質、カボチャ種子タンパク質、ヒヨコマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、ベニバナ種子タンパク質、マスタード種子タンパク質、クロレラタンパク質、及びスピルリナタンパク質、のうちのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0068】
分離乳清タンパク質(WPI)は、乳清から構成成分を分離することによって生成される栄養補助食品であり、また食品成分でもある。乳清タンパク質は、タンパク質の混合物であり、これらのうちのいくつかは非常に良好にゲル化するが、混合物中の他のものは、たとえゲル化したとしても、十分にはゲル化しない。乳清は、チーズ作製プロセスにおける牛乳の副産物であり、分離乳清、濃縮乳清、及び加水分解乳清を含む3つの異なる形態の乳清タンパク質を得るように処理することができる。これらのタンパク質形態の違いは、製品の組成、具体的にはタンパク質含有量に関連する。分離乳清は、最高量のタンパク質を含有し、無乳糖であり得るだけでなく、無炭水化物、無脂肪、及び無コレステロールであり得る。
【0069】
これらのタンパク質は、生体利用率が高く、体内に素早く吸収されるだけでなく、高濃縮分岐鎖アミノ酸(BCAA)を筋肉組織に高い濃度で有し、働く筋肉に燃料を供給することに加えてタンパク質合成を刺激するために使用されることを特徴とする。
【0070】
本発明の食品は本開示の例においてWPIの使用を含むが、当業者によって使用され得、かつ容易に識別され得る優れた熱ゲル化タンパク質を提供する多くの他の植物性タンパク質が、当業者によって理解されるであろう。非限定的な例としては、ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質単離物、ルビスコタンパク質、リョクトウタンパク質及びエンドウ豆タンパク質が挙げられる。熱ゲル化に関して有効であるために、タンパク質は以下の特性、溶解度(>85%)、粘度(好ましくは、室温で低粘度、及び>>50℃の温度で高粘度)、変性温度(約45~約85℃)及びゲル強度基準(G’>100パスカル)を有する。
【0071】
摂取可能な可溶性タンパク質は、好ましくは、天然の熱ゲル化タンパク質であり、これらが使用される場合、ハイドロゲル及び摂取可能な熱ゲル化タンパク質を含有する摂取可能な多糖類は、繊維状代替肉食品のサイズ、構造、及び繊維化を維持するために、ハイドロゲルがタンパク質のゲル化温度よりも高い融解温度を有するように選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、摂取可能な可溶性タンパク質は、摂取可能な非熱ゲル化タンパク質であり、この場合、温度が上昇するにつれてゲル化を引き起こす熱誘導性トリガー剤が含まれる。トリガー剤は、さもなければ非ゲル化であるタンパク質のゲル化を誘導する。トリガー剤は、タンパク質相又はハイドロゲル相のいずれかと予め混合することができる。熱誘導性トリガー剤は、塩、酵素、又はpH調整剤のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせであり得る。例えば、加熱によって誘導される溶融性コーティング内にマイクロカプセル化された塩、pH調整剤、又は酵素である。このマイクロカプセル化された材料は、いずれかの相に存在し得る。pH調整剤の非限定的な例としては、グルコノデルタラクトンが挙げられる。酵素ベースのトリガー剤の非限定的な例としては、トランスグルタミナーゼが挙げられる。塩ベースのトリガー剤の非限定的な例としては、リン酸カルシウムが挙げられる。
【0073】
タンパク質が熱ゲル化しているか否かにかかわらず、タンパク質含浸ハイドロゲル生成物を、内部温度が50~100℃まで上昇するように加熱し、タンパク質ゲル化を誘導する。これは、はるかに高い温度を使用する技術(いくつかの例を挙げると、オーブン、グリル、フライパン、ブロイラー等)を使用して行うことができる。この加熱ステップの目的は、従来の魚又は肉と同様の色及び/又は質感(好ましくは両方)の変化をもたらす加熱時の遷移を経験する製品を生成することである。
【0074】
凍結(又は融解)ハイドロゲルが浸漬される溶液は、100%の熱ゲル化タンパク質のみだけでなく、熱ゲル化タンパク質と非熱ゲル化タンパク質又はタンパク質加水分解物との混合物も含有することができる。熱ゲル化タンパク質の濃度は、総タンパク質含有量より少なくてもよい。例えば、15重量%の総タンパク質溶液のうち、5重量%は熱ゲル化タンパク質で、残りは非熱ゲル化タンパク質であってもよい。これらの量は非限定的であることに留意されたい。
【0075】
一実施形態では、水溶液又は水分散液中の摂取可能な可溶性総タンパク質の濃度は、約1~約35重量%の範囲である。より好ましくは、水溶液又は水分散液中の摂取可能な可溶性タンパク質の濃度は、約10~約30重量%の範囲である。より好ましくは、水溶液又は水分散液中の摂取可能な可溶性タンパク質の濃度は、約15~約25重量%の範囲である。
【0076】
タンパク質ゲルの直径を制御する
本発明の方法は、一方向凍結プロセスの速度を変更するために、摂取可能なハイドロゲルと接触する冷却面と表面上方の表面空気温度との間の相対温度を制御することによって、整列した細長いチャネルの直径を制御することを可能にする。整列したチャネルにおけるタンパク質ゲルの直径は、整列した細長いチャネルの直径に比例する。通常、凍結が速くなると、氷晶チャネルがより薄くなる。これを制御しているのは、より低い温度ではより速い、氷晶の核生成速度である。核生成速度が速い場合、より多くの氷核(したがってより多くの氷晶)が生じるため、各個々の氷晶がより薄くなる。
【0077】
氷の核生成は、凍結プロセスの最初の数秒で、また核形成が起こるより低温の表面で最も重要になる。ハイドロゲルのより深いところでは、これらの結晶は凍結前線とともに成長し、氷の核形成はそれほど重要ではない。結果として、結晶の厚さを制御するのは、その第1の凍結面での核生成の速度であり、これは、過冷却の量によって制御され、次に、その凍結面での温度及び温度低下の速度によって制御される。より薄い氷晶の場合、氷晶を移動すると、それに比例してより薄い整列したチャネルがその後に残り、タンパク質が充填されたときに、ゲル化性タンパク質のうちのいくつかがゲル化する際により薄いタンパク質繊維がもたらされる。
【0078】
好ましい実施形態では、整列した細長いチャネルの直径は、同じ範囲のタンパク質ゲル直径を得るために、チャネル内に位置するタンパク質ゲルに約20~約200ミクロンの範囲の直径を得るように制御される。例えば、サケのタンパク質繊維の直径は、およそ100ミクロンである。牛肉、鶏肉、豚肉等の肉のタンパク質繊維の直径は、典型的には、鶏肉では約30~50ミクロン、牛肉では約20~85ミクロンの範囲で変動する。
【0079】
細長い氷晶をタンパク質及び他の添加剤に置き換える方法
細長い氷晶を、タンパク質及び/又は他の成分、例えば香料、味物質、栄養補助食品等に置き換えるために用いられ得るいくつかの方法がある。一実施形態では、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることは、摂取可能なタンパク質によって置き換えられる氷晶を融解させるのに好適な温度を有する摂取可能なタンパク質を含有する溶媒に浸漬することによって、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍し、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することを含む。この実施形態では、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍することは、摂取可能なゲル化性タンパク質を含有する溶媒の温度を、水の融点からハイドロコロイドゲルの融点までの範囲になるように調整することと、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることは、摂取可能なタンパク質を含有する溶媒の温度を、タンパク質溶液を含有する溶媒の凝固点から摂取可能なタンパク質のうちの少なくとも1つのゲル化開始温度までの範囲になるように調整することを含む。典型的には、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍することは、ハイドロコロイドの種類に応じて約0℃~約85℃の範囲の温度で行われ、同様に、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることは、約0℃~約45℃の範囲の温度で行われ得る。
【0080】
タンパク質及び/又は他の成分を含有する溶媒は、水溶液であり得るか、又は代替的に、摂取可能なタンパク質が可溶性である食品に好適な非水溶媒であり得る。非水溶媒は、酢酸、ギ酸、エタノール、メタノール、プロパノール、及びそれらと水との混合物のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせであってもよい。溶媒が、摂取可能なタンパク質が可溶性である水溶液である場合、この溶液は、約1℃~約99℃の温度で保持され得る。また、約99℃~約130℃の範囲のより高い温度に加熱し、自己加圧式の閉鎖容器内で約0~1.7バールの範囲の圧力を加えてもよい。
【0081】
別の実施形態では、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えるプロセスは、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを、摂取可能なゲル化性タンパク質の存在下で、細長い氷晶を昇華させるのに好適な条件に供することを含む。これは、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを氷の昇華をもたらす真空に曝露し、昇華ハイドロコロイドゲルを摂取可能なタンパク質を含有する溶液に浸漬し、それによって摂取可能なタンパク質を含有する溶液を昇華ハイドロコロイドゲルに注入することを含むことができる。
【0082】
別の実施形態では、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えるプロセスは、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを凍結乾燥させて実質的に全ての水を除去し、次いで、乾燥したゲルを摂取可能なタンパク質を含有する溶液に浸漬することを含む。
【0083】
別の実施形態では、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えるプロセスは、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを、摂取可能なタンパク質を含有する溶液の存在下で、氷の蒸発を引き起こして実質的に全ての氷を除去するのに好適な条件に供することを含む。
【0084】
したがって、例えば、昇華(例えば、凍結乾燥)又は固相から液相への遷移(融解)、氷晶の蒸発といった、相変化を用いて氷晶を移動させる多数の方法が存在し、加えて、氷晶の任意の種類の物理的移動が用いられてもよいことを理解されたい。
【0085】
整列したチャネルにタンパク質ゲルを生成するのに好適な条件
タンパク質は、ゲル化性タンパク質又は非ゲル化性タンパク質として分類され得る。本発明の方法では、非ゲル化性であるタンパク質をゲル化性タンパク質と混合して、タンパク質含有量を増加させることができる。ゲル化性タンパク質のクラスには、特定のタンパク質のゲル化温度まで加熱するとタンパク質ゲルが形成される熱ゲル化性タンパク質が含まれる。しかしながら、タンパク質をゲル化する他の方法があるため、本発明の方法で使用されるタンパク質及び食品代替製品は、非熱ゲル化性タンパク質に限定されない。
【0086】
したがって、タンパク質がハイドロコロイド又はタンパク質ゲルに添加されると、タンパク質が熱ゲル化性でない場合にゲル化性タンパク質をゲル化するように誘導するいくつかの方法が使用され得る。一実施形態では、摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件は、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルに塩を浸透させることを含み得、塩は、摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導してタンパク質ゲルを生成するように選択される。この塩は、タンパク質注入ハイドロコロイドゲル又はタンパク質ゲルに塩溶液を注入することによって、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透させることができる。
【0087】
代替的に、塩は、結晶性固体としてタンパク質注入ハイドロコロイドゲルの表面に塩を添加することによってタンパク質注入ゲル中に浸透させることができ、次いで、タンパク質注入ハイドロコロイドゲル中に存在する任意の利用可能な水によって可溶化され、タンパク質注入ゲル中に拡散する。
【0088】
代替的に、塩は、タンパク質注入ゲルを、タンパク質注入ハイドロコロイドゲル中に拡散する濃縮塩溶液に浸漬することによって、タンパク質注入ゲルに浸透させることができる。塩は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)、並びにそれらの任意の組み合わせの硫酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩及びリン酸塩のうちのいずれか1つであり得る。
【0089】
注入されたタンパク質のゲル化を誘導する別の方法は、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルのpHを、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を引き起こすのに好適な値に調整することを含む。pHは、液体形態、溶液形態の、食品に好適なpH調整剤を添加すること、又は固体形態の可溶性pH調整剤を添加することによって調節され得る。pH調整剤は、酢酸、塩酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、ギ酸、酒石酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせであり得る。
【0090】
注入されたタンパク質のゲル化を誘導する別の方法は、酵素ベースの架橋剤を含有する溶液をタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透させることを含み、酵素ベースの架橋剤は、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される。酵素架橋剤は、トランスグルタミナーゼ、トランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13)、ソルターゼA(EC3.4.22.70)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)、ラッカーゼ(EC1.10.3.2)、ペルオキシダーゼ(EC1.11.1.x)、リシルオキシダーゼ(EC1.4.3.13)、及びアミンオキシダーゼ(EC1.4.3.6)のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0091】
注入されたタンパク質のゲル化を誘導する別の方法は、タンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するためのタンパク質注入ハイドロコロイドゲルの加圧処理を含む。この方法では、タンパク質注入ハイドロコロイドゲル食品が密封され、液体を含む硬質の密封区画に入れられ、液体が加圧される。
【0092】
注入されたタンパク質のゲル化を誘導する別の方法は、化学的架橋剤を含有する溶液をタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透させることを含み、化学的架橋剤は、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される。化学的架橋剤の非限定的な例は、グルタルアルデヒド、タンニン、ゲニピン、及び液体煙のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせである。
【0093】
注入されたタンパク質のゲル化を誘導する別の方法は、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルに、好適な波長及び強度の放射線を照射してタンパク質の架橋を誘導し、それによってゲル化を誘導することを含む。
【0094】
熱ゲル化性タンパク質と非熱ゲル化性タンパク質の混合物が、ハイドロコロイド又はタンパク質ゲルの整列したチャネルに添加される場合、ゲル化性タンパク質をゲル化するための上記方法の任意の組み合わせが使用され得ることが理解されるであろう。
【0095】
解凍された一方向凍結ハイドロコロイド
タンパク質及び任意の他の所望の添加剤を含有する溶液中での解凍を用いる実施形態では、種を含有する水溶液又は水分散液の存在下で凹凸のあるハイドロゲルを解凍すると、整列した氷晶が融解するにつれて、その種が凹凸のある生成物中に拡散して融解した氷晶と置き換わる。熱ゲル化タンパク質が融解した氷晶と置き換わる場合、以下のようないくつかのシナリオが可能である。
1)最初のシナリオでは、タンパク質注入ハイドロゲルは、タンパク質のゲル化温度を超える温度まで一定期間加熱され、全てではないが、タンパク質のうちのいくつかが変性する。これにより、タンパク質繊維が形成されるが、ハイドロゲルからの残りのタンパク質の漏出が回避されるのに十分である。
2)第2のシナリオは、解凍されたハイドロゲルが、ゲル化温度を超えるまで一定期間加熱され、全てではないにしてもほとんどのタンパク質がタンパク質繊維生成に関与するようにすることができることである。
3)第3のシナリオは、ゲル化が起こらないようにゲル化温度まで加熱しないが、代わりに、漏出を遮断するように作用する摂取可能な物質がハイドロゲル内に導入され、タンパク質注入ハイドロゲルが次いで密封されることである。
4)第4のシナリオでは、温度は、タンパク質がゲル化されてタンパク質繊維を形成する温度まで加熱されるだけでなく、温度は、代替食品を調理するために更に上昇させてもよく、それによって、次いで包装されてエンドユーザーに送られる、調理する必要はない「調理済み」の食品を生成する。
【0096】
一方向に凍結したハイドロゲルを解凍するステップを最初に行ってもよく、氷晶が融解して細長い整列したチャネルを後に残してから、解凍したハイドロゲルを水性タンパク質溶液に浸漬してもよく、そうすると空になったチャネルにタンパク質が流れ込む。
【0097】
タンパク質を浸透させた凹凸のあるハイドロゲルをタンパク質含有溶液中に浸漬するステップは、約0℃~約80℃、好ましくは約1℃~約7℃の範囲の予め選択された温度で行われ、また典型的な冷蔵庫温度である4℃で実施されてもよく、タンパク質を含有する溶液中に一方向に凍結したハイドロゲルを浸漬することによって解凍ステップと浸透ステップが同時に行われる場合、液体が水の凝固点を上回るため、温度は、整列した氷晶がゆっくりと融解し、それにつれてタンパク質及び任意の他の追加の成分が、融解する氷晶中に拡散してそれと置き換わるように選択される。
【0098】
解凍ステップと浸透ステップが別々に行われる場合、凍結したハイドロゲルを、水の融点(約0℃)からハイドロコロイドの融点(約85℃)の間の温度の空気中又は液体中に静置することによって、最初に解凍する。浸透ステップは、タンパク質溶液の凝固点(約0℃)からタンパク質のゲル化開始温度(約45℃だが、タンパク質に依存する)の間の任意の温度で行うことができる。
【0099】
タンパク質添加、及び任意の他の成分又は栄養補助剤の量は、時間依存的に凹凸のあるハイドロゲルに添加されるタンパク質及び他の成分の量を変化させるために、凹凸のあるハイドロゲルが摂取可能な可溶性タンパク質及び他の成分を含有する溶液に浸漬される選択された期間を変化させることによって制御される。タンパク質添加量は、浸漬液中のタンパク質濃度、及び凍結ハイドロゲルとそれが配置される浸漬液との間の重量又は体積の比によっても変化させることができる。存在し得るタンパク質の量の上限は、タンパク質の溶解限度であろう。
【0100】
摂取可能な多糖類含有ハイドロゲルがK-カラギーナンハイドロゲルである実施形態では、濃度依存的に膨潤及び収縮を緩和し、イオンの非存在下での合成と比較してK-カラギーナンゲルの剛性を増加させるために、また長期保存する際に、一方向に凍結したK-カラギーナンゲルにおける繊維状ハイドロゲル形成中に繊維を保存するために、摂取可能な可溶性タンパク質含有溶液又はハイドロゲルの内部(又はその両方)に特定のイオンを含めてもよい。
【0101】
ハイドロコロイドに対する摂取可能なタンパク質の比
繊維状代替肉食品において、一実施形態では、タンパク質は、約5重量%~約35重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドは、約0.2重量%~約10重量%の範囲で存在するため、タンパク質:ハイドロコロイドの比の範囲は、約35:0.2~約5:10、又は175~0.5、(50~17500%)である。
【0102】
より好ましい実施形態では、タンパク質は、約10重量%~約30重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドは、約0.5重量%~約8重量%の範囲で存在するため、タンパク質:ハイドロコロイドの比の範囲は、約30:0.5~約10:8、又は60~1.25、(125~6000%)である。
【0103】
最も好ましい実施形態では、タンパク質は、約10重量%~約20重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドは、約1重量%~約5重量%の範囲で存在するため、タンパク質:ハイドロコロイドの比の範囲は、約20:1~約10:5、又は約20~約2(200~2000%)である。
【0104】
ゲル化性タンパク質と非ゲル化性タンパク質の比
いくつかの実施形態では、摂取可能なゲル化性タンパク質は、全てではないが、少なくともいくつかが熱ゲル化性である摂取可能なゲル化性タンパク質の混合物である。繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質の総量は、約5重量%~約35重量%の範囲で存在することができ、ハイドロコロイドは、約0.2重量%~約10重量%の範囲で存在することができる。より好ましい実施形態では、繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質の総量は、約10重量%~約30重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドは、約0.5重量%~約8重量%の範囲で存在する。最も好ましい実施形態では、繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質は、約10重量%~約20重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドは、約1重量%~約5重量%の範囲で存在する。
【0105】
熱ゲル化性及び非熱ゲル化性タンパク質の混合物では、良好なゲルを作製するための熱ゲル化性タンパク質の最小量は約5重量%、最大量は35重量%であり、最大総タンパク質が約35重量%である場合、最大非熱ゲル化タンパク質は約30重量%であり、したがって、非ゲル化:ゲル化の比は約30:5~約0:35であり、6~0、すなわち最大6に等しい。
【0106】
熱ゲル化性及び非熱ゲル化性タンパク質の混合物では、良好なゲルを作製するための熱ゲル化性タンパク質の中間的な量は約8重量%、最大値は25重量%であり、最大総タンパク質が35重量%である場合、最大非熱ゲル化タンパク質は27重量%であるため、非ゲル化:ゲル化の比は27:8~0:25=約3.5~0、すなわち最大3.5である。
【0107】
熱ゲル化性及び非熱ゲル化性タンパク質の混合物では、良好なゲルを作製するための熱ゲル化性タンパク質の商業的に実行可能な最小量は約10重量%、最大量は20重量%であり、存在する最大総タンパク質は30重量%であり、最大非熱ゲル化タンパク質は20重量%であるため、非熱ゲル化タンパク質:熱ゲル化タンパク質の比は20:10~0:20=2~0、すなわち最大2である。
【0108】
ハイドロゲルがK-カラギーナンハイドロゲルである場合、好ましくは、約0.1重量%~約15重量%の濃度範囲を有する。同様に、ハイドロゲルが寒天ハイドロゲルである場合、好ましくは、約0.1重量%~約15重量%の範囲の濃度を有する。これにより、約100~5000パスカルの弾性率が得られる。更なる成分又は栄養補助剤の非限定的な例としては、香味料、味物質、乳化剤、防腐剤、着色料及び質感調整剤のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせが挙げられる。追加の栄養補助剤は、オメガ-3、オメガ-6、オメガ-9脂肪酸のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせのエマルションを含み得る。オメガ3栄養補助剤に関して、好ましいモードは、限定されないが、トリグリセリド等の脂肪酸エステルの形態で主にオメガ3脂肪酸を使用するであろう。摂取可能な栄養補助剤の例としては、アスコルビン酸(ビタミンC)、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、及びピリドキサミン)、フォラシン、ビタミンB12、ビオチン、及びパントテン酸を含む水溶性ビタミンが挙げられる。ビタミンA、D、E及びKのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む水不溶性ビタミンも含めることができる。鉄、マグネシウム、マンガン、亜鉛及びカルシウムのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む摂取可能なミネラルが含まれてもよい。他の摂取可能な栄養補助剤には、限定されないがトコフェロール等の抗酸化剤が含まれる。
【0109】
凹凸のあるハイドロゲルに浸透させる熱処理タンパク質(及び任意選択的に)、他の栄養補助剤又は添加剤は、約4℃~約7℃の範囲の温度で包装及び保存され得るが、それらはより広い温度範囲で保存されてもよい。
【0110】
解凍されたハイドロゲルに異なるタンパク質を浸透させることができることを理解されたい。例えば、水溶性非ゲル化タンパク質が使用され得るかどうかにかかわらず、非動物源からの水溶性熱誘導ゲル化タンパク質を使用してもよい。水溶性熱誘導タンパク質は、キャノーラ、ルビスコ(アオウキクサ/ウォーター・レンティル等の様々な供給源)、ジャガイモ等の様々な植物タンパク質、又はゼラチン、β-ラクトグロブリン若しくは卵白アルブミン等の非動物宿主に発現される動物タンパク質であり得る。水溶性非ゲル化タンパク質は、豆類、コムギ又は藻類由来のものを含む様々な種類の加水分解タンパク質であり得る。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、又はカードラン等の可溶性熱ゲル化非タンパク質ポリマーを添加する可能性もあり得る。
【0111】
食品の事前調理
タンパク質を含有する繊維状代替肉食品を約50℃~約60℃の範囲の温度まで加熱することは、製品の「生の」外観を維持しながら、タンパク質注入後に発生する顕著な水漏れを阻止する十分なゲル化を提供するという点で有利である。次いで、この製品を包装して、食料品店等の製品を販売する店舗に出荷することができる。この形態では、購入後、消費者は60℃超で製品を調理するが、調理温度は特定の種類の食品に依存する。所望の代替肉又は代替魚を得るために、肉の種類ごとに質感が異なるため、それらは異なる加熱プロファイルを有する異なる製品用の異なるタンパク質/成分を使用して生成され、したがって、水分を密封するために加熱パラメータが変化し得るように、各食品を適切にエミュレートするために成分及び加工方法を変更する必要がある。いったん消費者の手に渡ると、異なる食品は異なるタンパク質、タンパク質レベル、ハイドロコロイド等を有するため、最終的な調理温度は食品によって様々である。
【0112】
一方、別の実施形態では、生成後、実際に製品を完全に調理し、製品を「調理済み」の食事として販売することが望ましい場合がある。例えば、調理済みの、すぐに食べられる代替食品は、戦場で食事を調理することが戦術的に推奨されない軍隊に、すぐに食べられる食事として容易に販売することができる。同様の論理は、調理済みの食事が必要な災害救援状況にも当てはまる。
【0113】
複合ハイブリッドハイドロコロイドゲル
ハイブリッドハイドロコロイドゲルの生成後の一方向凍結により、質感及び熱安定性が改善されることが、本発明者らによって観察されている。ハイドロコロイドゲルが生成されるいくつかのハイドロコロイドは、タンパク質がゲル化する前に調理すると崩壊しやすくなる可能性があり、かつ/又は繊維性の損失をもたらす可能性がある。2つ以上のハイドロコロイドを一緒にブレンドしてハイドロコロイドゲルを生成することで、この問題を解決することができる。
【0114】
複合ハイドロコロイドは、寒天と混合されたアルギナートを使用して生成される複合材料の非限定的な例を用いて(また、純粋なアルギナート及び寒天と比較して)示されるが、多数のハイドロコロイドが利用可能であるために多くの可能な複合材料が存在すること、また複合材料は、2つの異なるハイドロコロイドのみから生成されることに限定されないことが理解されるであろう。
【実施例】
【0115】
実施例1.複合ハイドロコロイド
3つの試料を調製した。第1の試料は純粋な寒天であり、第2の試料は純粋なアルギナートであり、第3の試料は寒天と混合したアルギナートから形成された複合材料である。後者については、アルギナートを、溶解するまで脱イオン水と混合し、その後、寒天粉末を添加し、混合物を85℃に加熱し、寒天を溶解するために撹拌しながら、この温度で約20分間保持した。溶解してから、温度を60℃に下げ、CaCO3を約20分間分散させた。(例えば、磁気撹拌器を使用して)積極的に混合しながらグルコノラクトン(GDL)を60℃で5分間混合物に溶解し、その後、試料を音波水浴に入れて気泡を除去した。次いで、得られた粘性複合材料を、約50℃の温度で、冷却板上の円筒形モールドに加える(約-15℃の温度で保持して、複合ゲルを一方向に凍結させる)。完全に一方向に凍結してから、一方向に凍結した生成物を約-18℃で約24時間凍結した状態で維持し、これによって繊維構造の完全性が改善されることが分かった。
【0116】
純粋寒天試料は、約2重量%の寒天であり、純粋アルギナート試料は、約0.5重量%のアルギナートであった。複合材料は、約2重量%の寒天+約0.5~約0.75重量%のNa-アルギナートを含んでいた。全ての試料は、CaCO3(0.17~約0.225重量%)及びGDL(約0.6~約0.8重量%)を含有していた。次いで、試料を、12重量%のジャガイモタンパク質、50mMのNaCl、及び約0.1重量%の着色剤を含有するタンパク質溶液中に4℃で一晩入れて氷晶を融解させ、タンパク質溶液を一方向凍結構造に注入する。翌日、水浴中に置かれたビーカーグラス中で、試料を55℃で20分間加熱した。
【0117】
タンパク質溶液に浸漬した後の純粋な寒天、純粋なアルギナート、及び寒天/アルギナート複合ゲルの比較は以下のとおりである。寒天ゲルと寒天-アルギナートゲルはどちらも比較的硬いゲルであったのに対し、アルギナートゲルは比較的柔らかかった。ジャガイモタンパク質を添加した複合寒天-アルギン酸ゲルは、ジャガイモタンパク質を添加した寒天ゲルよりもわずかに大きく、後者は前者よりも縮小したように見えた。約55℃での熱処理後、試料は著しくより軽く、より硬くなった。タンパク質を添加したゲルを同じフライパンに同じ時間入れ、同じ温度で焼き性能を試験した(
図7Aを参照)。寒天-アルギナート混合ゲルは、加熱中にその形状をより良好に維持したが、寒天ゲル及びアルギナートゲルはかなり縮小した。
【0118】
焼いた後、試料をまな板上に置き、寒天と寒天-アルギナートハイブリッドとの間の差を再び観察した(
図7Bを参照)。タンパク質を添加した複合寒天-アルギナートゲルは、寒天又はアルギン酸単独のいずれよりもその形状を良好に保持した。また、断面において、個々のハイドロコロイドで作製されたタンパク質を添加したゲルよりも、タンパク質を添加した複合寒天-アルギナートゲルの方がより魅力的な構造を示した。これは、(寒天に)アルギナートを添加すると、寒天単独よりも優れた耐熱性を有するゲルが得られ、フライパンで加熱したときに、繊維構造が保持された、より安定した構造がもたらされることを示している。
【0119】
一方向に凍結した寒天-アルギナートハイブリッドゲルを、光学顕微鏡を使用して(タンパク質添加前に)撮像した。写真は、整列した細長いチャネル(側面)及び断面を示している。
図3Aにおいて、ポリマーゲルのチャネルは、ほとんど中断されておらず、数100ミクロンの長さのチャネル、ひいては繊維構造のためのテンプレートをもたらすことが分かる。断面(
図3B)は、チャネルが直径約50~約200ミクロンであり、わずかに細長く、多糖の高密度「ラメラ」と交差していることを明らかにしている。
【0120】
これらの結果は、複合又はハイブリッドゲルが、単一のハイドロコロイドから生成された非複合材料と比較して、ある特定の製品特性を有利に改善することができることを示す。複合材料は、2つより多くの出発成分から調製することができることが理解されよう。本発明の複合材料は、アルギナート及び寒天に限定されず、実際には多くのそのような組み合わせが可能であることを理解されたい。
【0121】
より大きな/より複雑なマクロ構造の構築
肉/魚の結合組織をエミュレートする、より複雑な繊維状代替肉食品は、各々が、タンパク質/デンプン/ハイドロコロイド/水中油(O/W)エマルション/固体粒子(例えば、二酸化チタン、タンパク質、炭酸カルシウム、デンプン)/これらのいずれかの組み合わせを含むより薄い間質層によって分離された、複数層のハイドロコロイド/ハイブリッドハイドロコロイド/タンパク質+ハイドロコロイドゲルを作製する積層プロセスを介して複雑なマクロ構造を作製することによって生成される。
【0122】
このプロセスでは、積層構造に含まれる所望の数のハイドロゲルが調製される。このステップは、肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料からなる間質層を調製することと、間質材料を第1のハイドロコロイドゲルのうちの1つの表面に適用することと、第2のハイドロコロイドゲルを間質層の上に配置することと、所望の数の別個のハイドロコロイドゲルが一緒に積み重ねられるまで繰り返すこととを含む。典型的には、間質層の厚さは同じ厚さであるが、それらは全て同じ厚さを有する必要はないことを理解されたい。
【0123】
実施例2.層状ハイドロコロイドゲル
ゲルは、寒天と寒天-タンパク質混合物の交互の層を注ぐことによって作製した。両方の溶液を別々に調製し、15分間85℃に加熱し、70℃に冷却した。溶液を容器に注ぎ、約0.25cm~約2cmの層を作製した。各層を注ぐ間に、前の層の温度を、薄い層では約60秒間、より厚い層では120秒間冷却し、それによって溶液の粘度を増加させ、注ぐときに層が混合するのを防止した。この例では、各層の最適温度は約42℃であることが見い出された。
【0124】
得られた層構造を4℃で一晩放置し、間質層のゲル化を完了させた。これに続いて、マクロ構造を一度に一方向に凍結させ、その後、例えば、限定されないが、前述のように、タンパク質溶液中の一方向に凍結された積層構造の解凍によって、一方向に凍結したマクロ構造にその後タンパク質を注入した。タンパク質は、異なる配合の間質層にもかかわらず、積層の全てのハイドロゲル層にわたって分散する。
【0125】
ハイドロコロイドゲル層の非限定的な例としては、一方が筋切(筋肉繊維)を作製し、他方が筋節中隔(白色間質結合組織)を作製する、ハイドロコロイドゲルの交互の層を使用することが挙げられる。
【0126】
一方向凍結後、層は、例えば、タンパク質粒子等の粒子状物質を間質層に組み込むことによって、構造全体にわたって交互に繊維特性/非繊維特性を有することができ、これは、(
図4A及び
図4Bに見られるように)繊維の不良な形成をもたらす能力に影響を及ぼす。したがって、積層製品の繊維の性質を制御することが可能である。得られた積層製品では、(
図4Cに示すように)様々なゲル層が互いに接着するが、繊維層が内部で破断する前に応力下で互いから離れ、「薄片状」の質感をエミュレートする。
【0127】
これの変形例は、結合組織/脂肪層が位置する空間/仕切りを備えた、肉又は魚の切り身塊全体の視覚的な形態をエミュレートする、場合によっては3Dプリントされた、金型(
図5A、
図5B及び
図5Cを参照)を使用することを含み得る。ハイドロコロイドゲルが金型に加えられた後、ゲルが凝固し、その後、金型から取り出される。取り出した後、結合組織/脂肪層の仕切りが位置していた上部構造内の空隙又は間隙の空間を、液体形態の結合組織配合物で充填し、結合組織形成ゲルが凝固すると、単一のマクロ構造が生成される。次いで、このマクロ構造を一方向に凍結させ、その後、前述のプロセスのいずれかによって、タンパク質を注入する。脂質及び他の香味成分等の様々な添加剤を、間質層を介して、場合によっては水中油(O/W)エマルションを介して、及び/又は主ゲル層を通して添加してもよい。
【0128】
タンパク質ゲルを一方向に凍結させることにより、異なる質感を有する代替肉又は代替魚を生成するためのプロセス
異なる質感を有する様々な食品代替製品は、(ハイドロコロイドゲルではなく)タンパク質ゲルを使用して、その後、前述のようにそれを一方向に凍結させることで生成することができる。これにより依然としてタンパク質繊維が生成され、更にはハイドロコロイドゲルを使用して達成される異なる質感が得られる。最終的な食品を生成する他の全てのステップは、上記で考察されたハイドロコロイドゲルと同じである。
【0129】
実施例3.凹凸のある食品代替製品
12重量%のタンパク質、50mMのNaCl、pH7の溶液を約80℃で約30分間加熱することによって、熱凝固ゲル(熱ゲル化性タンパク質の溶液を加熱することによって作製されたタンパク質ゲル)を生成した。試料を冷蔵庫で約4℃に冷却した。タンパク質ゲルを、完全に凍結するまで一方向に凍結させ、その後、室温で放置して解凍した。解凍後、(
図7Cに見られるように)繊維状/薄片状の構造が観察された。タンパク質ゲルを産生するために使用され得るタンパク質としては、乳清タンパク質、ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質、ルビスコタンパク質、アオウキクサタンパク質、米タンパク質、アーモンドタンパク質、卵タンパク質、エンバクタンパク質、亜麻仁タンパク質、ユーグレナタンパク質、シゾキトリウムタンパク質、リョクトウタンパク質、エンドウ豆タンパク質、組換え哺乳動物乳清、培養哺乳動物乳清、組換え卵アルブミン、培養卵アルブミン、ゼラチン又はコラーゲン、培養ゼラチン又はコラーゲン、キャノーラタンパク質、ルピンタンパク質、ソラマメタンパク質、コムギタンパク質、レンズマメタンパク質、アマランスタンパク質、ピーナッツタンパク質、モランガ種子タンパク質、カボチャ種子タンパク質、ヒヨコマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、ベニバナ種子タンパク質、マスタード種子タンパク質、クロレラタンパク質、及びスピルリナタンパク質、のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
単一又は混合バイオポリマーの溶液を一方向に凍結させ、それに単一又は混合バイオポリマーを注入する
当業者は、第1のバイオポリマー溶液が、ハイドロコロイド溶液、タンパク質溶液、又は混合タンパク質ハイドロコロイド溶液であり得ることを理解するであろう。第2のバイオポリマー溶液は、ハイドロコロイド溶液、タンパク質溶液、又は混合タンパク質ハイドロコロイド溶液であり得る。
【0131】
タンパク質とハイドロコロイドの両方を含有する溶液を一方向に凍結させることにより、異なる質感を有する代替肉又は代替魚を生成するためのプロセス
ハイドロコロイド及びタンパク質からなる複合材料を生成し、一方向凍結に供することができる。得られた複合代替食品は、純粋なタンパク質注入タンパク質ゲル又はタンパク質注入ハイドロコロイドゲルよりもより繊維状の質感を形成する。一方向凍結に続いて、前述の方法のいずれかを用いて、整列した細長い氷晶をタンパク質に置き換えることができる。
【0132】
実施例4.ハイドロコロイド及びタンパク質複合体1
本実施例では、キャノーラと、ジャガイモタンパク質、アルギン酸ナトリウム、CaCO
3、及びGDLとのブレンドを使用してゲルを生成する。20重量%のタンパク質溶液を調製し、4℃で一晩保存する。アルギン酸ナトリウムを1重量%の濃度で溶液に溶解させる。15mM当量のCaCO
3を溶液中に20分間分散させ、続いて30mM当量のGDLを5分間溶解させる。次いで、混合物を超音波浴中で5分間脱気し、-15℃の冷却板上の金型に注ぎ入れる。完全に凍結したら、試料を-18℃で24時間保存し、次いで4℃で24時間解凍する。解凍された繊維状の食品代替製品をその後調理し、視覚的に鶏肉に近似した質感を得た(
図8)。
【0133】
単一又は混合バイオポリマーのゲルを一方向に凍結させ、それに単一又は混合バイオポリマーを注入する
当業者は、バイオポリマーゲルが、ハイドロコロイドゲル、タンパク質ゲル、又は混合タンパク質ハイドロコロイドゲルであり得ることを理解するであろう。バイオポリマー溶液は、ハイドロコロイド溶液、タンパク質溶液、又は混合タンパク質ハイドロコロイド溶液であり得る。
【0134】
タンパク質とハイドロコロイドの両方を含有するゲルを一方向に凍結させることにより、異なる質感を有する代替肉又は代替魚を生成するためのプロセス
ハイドロコロイド及びタンパク質からなる複合材料を生成し、一方向凍結に供することができる。得られた複合代替食品は、純粋なタンパク質注入タンパク質ゲル又はタンパク質注入ハイドロコロイドゲルとは異なる繊維状の質感を形成する。一方向凍結に続いて、前述の方法のいずれかを用いて、整列した細長い氷晶をタンパク質に置き換えることができる。
【0135】
実施例5.ハイドロコロイド及びタンパク質複合体2
本実施例では、20重量%の加水分解米タンパク質溶液を4重量%の寒天溶液と1:1の比で85℃で混合することによってゲルを生成する。均質な混合物を冷却し、ゲル化させ、一方向に凍結させる。次いで、ゲルを、12重量%のジャガイモタンパク質、50mM NaCl、及び約0.1重量%の着色剤を含有するタンパク質溶液中に4℃で一晩入れて氷晶を融解させ、タンパク質溶液を一方向凍結構造に注入した。翌日、試料を、水浴中に置かれたガラスビーカー内で、約55℃で約20分間加熱した。その結果、繊維状構造を有する生成物を得た。
【0136】
皮膚層の生成
繊維状代替肉食品の生成後、藻類シート(例えば、海苔)をアルギナート溶液又はアルギナート-油エマルション(
図6を参照)に浸漬し、これを繊維状代替肉食品の上に重ね、アルギナート溶液をゲル化した後、得られたゲルを部分的に乾燥させることによって、動物/魚の皮膚の層に似た藻類-ハイドロコロイド複合フィルムを生成してもよい。混合物をゲル化するための非限定的な方法は、2重量%の塩化カルシウム溶液に約2分間浸漬することである。皮膚のある製品は、皮膚が乾燥した状態又は湿潤した状態のいずれかで包装することができる。いずれにせよ、平衡化により、皮膚はある程度湿潤した状態になる。
【0137】
藻類とアルギナート溶液又はアルギナート-油エマルションとの混合物から生成される皮膚層の上記の例は、例示に過ぎず、非限定的である。皮膚層は、いくつかの例を挙げると、植物タンパク質、カラギーナン、フルセララン及びコンニャクを含む多くの材料で作製され得る。
【0138】
色の変化
タンパク質溶液の組成を色について最適化すると、
図9に示すように、熱処理の前と後(すなわち、「生」から「調理済み」)で顕著な色及び不透明度の変化があり、調理された肉様材料の現実的な外観が改善される。この場合、調理前の外観が左の画像に示され、フライパンで焼いた後、右の画像に示されるように、繊維状ゲルが収縮し、明るさが増加する。
図10は、フライパンで焼いている間に肉様材料の現実的な外観を改善することを示している。
図11は、未調理の状態であり、そのために半透明である生成物を示す。色及び不透明度の変化は、少なくとも部分的な変性及びその後のタンパク質の凝集によって生じる。可視光の波長よりも大きい凝集体の生成は、光の散乱を引き起こし、より不透明な外観をもたらす。この色は、調理プロセス中に化学変化を受ける場合があり、外観及び/又は不透明度の変化における同じシフトに更に寄与する。
【0139】
食品着色剤
模倣している肉製品のように見える最終的な色を有する繊維状代替肉食品を得るために、様々な食品着色剤をタンパク質と混合して、この混合物が細長い氷晶と置き換わるようにすることができる。例えば、生のサケの典型的なピンク色を有するサケの類似物を作製するために、限定されないが、以下の着色剤が使用され得る:カロテノイド、アスタキサンチン、リコピン、ビキシン、アントシアニン、サフロールイエロー、ルテイン、クルクミン、カプサンチン、カプソルビン、ノルビキシン、クルクミノイド、ウコン、フィコシアニン、メラノイジン、及びベタレイン。牛肉には、限定されないが、以下の着色剤が使用され得る:ヘモグロビン、ミオグロビン、アントシアニン、ザクロ果汁抽出物、ビート果汁抽出物、及びベタレイン。
【0140】
生の繊維状代替肉
繊維状代替肉食品の生成は、タンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するステップを伴うことが記載されているが、タンパク質注入ハイドロコロイドの生成時にはいずれのタンパク質もゲル化されていない「生の」繊維状代替肉が、出荷用に生成され得ることが理解されるであろう。このプロセスは、1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイドからなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを調製することを含み、次いで、ゲルが整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供され、整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを形成する。次に、氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成する。タンパク質注入ハイドロコロイドゲルの生成に続いて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルからのタンパク質の漏出を防止するように作用する摂取可能な物質をタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに導入して、生の繊維状代替肉食品を作製する。この生の繊維状代替肉食品は、次いで出荷のために包装される。
【0141】
タンパク質の漏出を防止するためにタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに導入される摂取可能な物質の非限定的な例としては、pH、塩、熱処理、化学架橋、酵素架橋、アルギン酸ナトリウム、カードラン、メチルセルロース等のゲル化ハイドロコロイドの注入、又はカルシウムゲル化アルギナート溶液等のハイドロコロイドコーティングの塗布が挙げられる。
【0142】
整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成するステップ、及びタンパク質の漏出を防止するように作用する摂取可能な物質をタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに添加するステップは、ゲル化したタンパク質のうちのいくつかを用いて類似物を作製するための上記と同じステップを使用して実行することができる。
【0143】
次いで、最終消費者は、消費のために製品を調理するか、又は代替的に、繊維状代替肉食品は、生で食べられるように設計されてもよい。そのような生の繊維状代替肉食品の非限定的な例としては、寿司又は他の生のシーフード製品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
バイオポリマー溶液及び分散液
本明細書に記載される繊維状代替肉を生成するいくつかの実施形態では、バイオポリマー溶液及び分散液は、タンパク質とは別個にゲル化される。いくつかの実施形態では、氷晶を摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドに置き換える前に、バイオポリマー溶液及び分散液がゲル化される。一実施形態では、バイオポリマー溶液及び分散液のゲル化は、摂取可能なタンパク質をゲル化するのと同じ好適な条件によって達成される。
【0145】
いくつかの実施形態では、バイオポリマー溶液及び分散液は、一方向凍結と同じタイプ又はステップでゲル化される。一実施例では、アルギナートを室温で水に溶解し、続いて寒天を追加した。寒天を完全に溶解するために、この溶液を85℃に加熱した。次いで、この加熱された溶液を部分的に60℃に冷却し、この時点でCaCO3/GDL溶液を添加した。このCaCO3/GDLを含む部分的に冷却された溶液を、金型の凍結した表面上に注ぎ、完全に一方向に凍結させた。一方向に凍結した試料を浸漬液に入れ、金型中に4℃で一晩保存した。
【0146】
いくつかの実施形態では、バイオポリマー溶液及び分散液は、ハイブリッドハイドロコロイド溶液を含み、1つのハイドロコロイドが、第2のハイドロコロイドの前にゲル化される。一実施形態では、第1のハイドロコロイドは、第1のハイドロコロイドのみをゲル化するゲル化剤を使用してゲル化され、次いで、バイオポリマーが一方向に凍結される。その後、摂取可能なタンパク質を注入する前に、第2のハイドロコロイドをゲル化するゲル化剤中に解凍する。一実施例では、寒天及びアルギナート粉末を様々な濃度で乾燥ブレンドし、水に添加して寒天-アルギナート溶液を調製した。この溶液を90℃に加熱し、金型に注ぎ入れ、凝固させた。この段階で、寒天がゲル化する。寒天-アルギナートゲルを凍結面上に置き、一方向に凍結させた。凍結した試料を冷却した(<7℃)CaCl2溶液(>0.1重量%)に入れ、氷浴中で一晩保存し、アルギナートをゲル化した。
【0147】
上記の特定の実施形態は、例として示されており、これらの実施形態は、様々な修正及び代替形態を受け入れる余地があり得ることを理解されたい。特許請求の範囲は、開示される特定の形態に限定されることを意図するものではなく、むしろ、本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正、等価物、及び代替物をカバーすることを更に理解されたい。
【0148】
実施形態A
1.繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、多糖類ハイドロゲル等の摂取可能なバイオポリマーゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲル(凍結した多糖類ハイドロゲル)を形成することと、凍結したバイオポリマー(凍結した摂取可能な多糖類ハイドロゲル)を少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液に浸漬することによって、整列したチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲル(凍結した摂取可能な多糖類ハイドロゲル)を解凍し、それによって、可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度未満の温度で、整列した細長い氷晶を融解させ、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質に置き換えて、タンパク質注入バイオポリマーゲル(タンパク質注入多糖類ハイドロゲル)を生成することと(タンパク質添加量は浸漬時間に基づいて異なる)、タンパク質注入バイオポリマーゲル(タンパク質注入された摂取可能な多糖類ハイドロゲル)を少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度を上回る温度で加熱して、繊維状代替肉食品を形成するためのタンパク質繊維を作製することと、を含む、プロセス。
【0149】
2.少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質が、i)摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質であって、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液中の摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質の濃度が、約0.5~約30%の範囲である、摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質、又はii)摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質と非熱ゲル化タンパク質との混合物と、を含む、実施形態1のプロセス。
【0150】
3.摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)が、摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度を上回る融解温度を有する、実施形態1のプロセス。
【0151】
4.摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質が、分離乳清タンパク質(WPI)、ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質単離物、ルビスコタンパク質、リョクトウタンパク質及びエンドウ豆タンパク質のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせである、実施形態1のプロセス。
【0152】
5.少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液が、摂取可能な非熱ゲル化タンパク質と、温度が上昇するにつれて摂取可能な非熱ゲル化タンパク質のゲル化を引き起こす熱誘導トリガー剤と、を更に含む、実施形態1のプロセス。
【0153】
6.摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質注入バイオポリマーゲル(多糖類ハイドロゲル)を熱処理するステップが、約40℃~約150℃の範囲の溶液温度で行われる、実施形態1のプロセス。
【0154】
7.熱誘導トリガー剤が、塩、酵素、pH調整剤、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態5のプロセス。
【0155】
8.熱誘導トリガー剤が、溶融性コーティング内にマイクロカプセル化された酵素である、実施形態5のプロセス。
【0156】
9.摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)が、寒天、発酵由来のゼラチン、アルギナート、カードラン、カッパ-カラギーナン、カッパ2-カラギーナン及びイオタ-カラギーナン、フルセララン、デンプン、加工デンプン、デキストリン、コンニャクグルコマンナン、ゲランガム、並びにキサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びタラガムの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1のプロセス。
【0157】
10.少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液が、水溶液又は水分散液を含む、実施形態1のプロセス。
【0158】
11.少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質が、摂取可能な熱ゲル化タンパク質と、摂取可能な非熱ゲル化タンパク質とを含む混合物であり、少なくとも1つの摂取可能な可能性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液が、約15~約25重量%のタンパク質を含む、実施形態1のプロセス。
【0159】
12.溶液中の少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質の濃度が、約10~約30重量%の範囲である、実施形態1のプロセス。
【0160】
13.少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液が、約1℃~約60℃の温度を有する、実施形態1のプロセス。
【0161】
14.タンパク質添加量が、摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)と、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液との体積比を変化させることによって更に変化する、実施形態1のプロセス。
【0162】
15.摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)の一方向凍結のステップが、摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)を、約マイナス2℃~約マイナス196℃の温度に予冷した基板と接触するように配置することによって行われる、実施形態1のプロセス。
【0163】
16.摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)が、カッパ-カラギーナンハイドロゲルを含む、実施形態1のプロセス。
【0164】
17.摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)が、約100~約5000パスカルの範囲の弾性率を有するカッパ-カラギーナンハイドロゲルである、実施形態1のプロセス。
【0165】
18.摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)が、約0.1%~約15重量%の範囲の寒天濃度を有する寒天ハイドロゲルである、実施形態1のプロセス。
【0166】
19.少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液が、整列したチャネル内に拡散する摂取可能なサプリメントを更に含む、実施形態1のプロセス。
【0167】
20.水溶液又は水分散液が、香味料、味物質、乳化剤、防腐剤、着色料、pH調整剤、質感調整剤、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態10のプロセス。
【0168】
21.摂取可能なサプリメントが、オメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸、又はそれらの組み合わせのエステルのエマルションを含む、実施形態19のプロセス。
【0169】
22.摂取可能なサプリメントが、アスコルビン酸(ビタミンC)、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、及びピリドキサミン)、フォラシン、ビタミンB12、ビオチン、及びパントテン酸を含む水溶性ビタミンを含む、実施形態19のプロセス。
【0170】
23.摂取可能なサプリメントが、摂取可能なミネラルを含む、実施形態19のプロセス。
【0171】
24.摂取可能なサプリメントが、水不溶性ビタミンを含む、実施形態19のプロセス。
【0172】
25.摂取可能なサプリメントが、抗酸化剤を含む、実施形態19のプロセス。
【0173】
26.摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)を一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶の形成を誘導するステップが、摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)を予冷した基板と接触するように配置して1つの方向への一方向凍結を得ること、又は摂取可能なバイオポリマーゲル(摂取可能な多糖類ハイドロゲル)を2つの予冷した基板の間に配置することを更に含み、一方向凍結は、反対方向から進行する、実施形態1のプロセス。
【0174】
27.熱ゲル化タンパク質と非熱ゲル化タンパク質との混合物において、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液中の摂取可能な熱ゲル化タンパク質の濃度が約2~約10重量%の範囲であり、残りは、タンパク質混合物の合計25重量%を占める非熱ゲル化タンパク質である、実施形態2のプロセス。
【0175】
実施形態B
1.繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び水からなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを調製することと、摂取可能なハイドロコロイドゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを形成することと、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することと、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを、摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件に供して、整列したチャネル内にタンパク質ゲルを作製し、繊維状の肉、鶏肉、又はシーフードの代替食品を形成することと、を含むプロセス。
【0176】
2.ハイドロコロイドゲルが、多糖類ハイドロゲルである、実施形態1のプロセス。
【0177】
3.ハイドロコロイドゲルが、標準的なゼラチン、組換えゼラチン、又は両方の組み合わせである、実施形態1のプロセス。
【0178】
4.上記摂取可能なタンパク質が、ゲル化性タンパク質と非ゲル化性タンパク質との混合物である、実施形態1のプロセス。
【0179】
5.上記摂取可能なタンパク質が、ゲル化性タンパク質である、実施形態1のプロセス。
【0180】
6.上記摂取可能なタンパク質が、摂取可能な熱ゲル化性タンパク質と非熱ゲル化性タンパク質との混合物であり、上記摂取可能な熱ゲル化性タンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件が、上記タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを、上記熱ゲル化性タンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を可能にする温度に加熱することを含む、実施形態1のプロセス。
【0181】
7.上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかが、摂取可能な熱ゲル化性タンパク質であり、摂取可能な熱ゲル化性タンパク質をゲル化するのに好適な条件が、上記タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを加熱して、熱ゲル化性タンパク質のうちの少なくともいくつかの変性を誘導することを含む、実施形態1のプロセス。
【0182】
8.タンパク質注入ハイドロコロイドゲルが、タンパク質のゲル化温度に依存する温度でゲル化を誘導するように約40℃~約75℃の範囲の温度で熱処理される、実施形態7のプロセス。
【0183】
9.摂取可能な熱ゲル化性タンパク質が、1つ以上の異なる種類の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質、1つ以上の種類の非熱ゲル化性タンパク質、及び1つ以上の種類の非ゲル化性タンパク質を含む、実施形態6のプロセス。
【0184】
10.上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件が、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルに塩を浸透させることを含み、塩が、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、実施形態1のプロセス。
【0185】
11.塩が、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルに塩溶液を注入することによってタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透される、実施形態10のプロセス。
【0186】
12.塩が、結晶性固体としてタンパク質注入ハイドロコロイドゲルの表面に塩を添加することによってタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透され、次いで、タンパク質注入ハイドロコロイドゲル中に存在する任意の利用可能な水によって可溶化され、タンパク質注入ハイドロコロイドゲル中に拡散する、実施形態10のプロセス。
【0187】
13.塩が、タンパク質注入ハイドロコロイドゲル中に拡散する濃縮塩溶液と接触するようにタンパク質注入ハイドロコロイドゲルを配置することによってタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透され、それによって塩溶液の濃度がタンパク質のゲル化を可能にするのに十分である必要があり、必要とされる濃度は、タンパク質の種類及び塩の種類に依存する、実施形態10のプロセス。
【0188】
14.塩が、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)、並びにそれらの任意の組み合わせの硫酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、ソルビン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、及びリン酸塩のうちのいずれか1つである、実施形態10のプロセス。
【0189】
15.上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件が、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルのpHを、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を引き起こすのに好適な値に調整することを含む、実施形態1のプロセス。
【0190】
16.pHが、液体形態、溶液形態の、食品に好適なpH調整剤を添加すること、又は固体形態の可溶性pH調整剤を添加することによって調整される、実施形態15のプロセス。
【0191】
17.pH調整剤が、酢酸、塩酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、ギ酸、酒石酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせである、実施形態16のプロセス。
【0192】
18.上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件が、酵素ベースの架橋剤を含有する溶液をタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透させることを含み、酵素ベースの架橋剤は、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、実施形態1のプロセス。
【0193】
19.酵素架橋剤が、トランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13)、ソルターゼA(EC3.4.22.70)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)、ラッカーゼ(EC1.10.3.2)、ペルオキシダーゼ(EC1.11.1.x)、リシルオキシダーゼ(EC1.4.3.13)、及びアミンオキシダーゼ(EC1.4.3.6)のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、実施形態18のプロセス。
【0194】
20.上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件が、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するためのタンパク質注入ハイドロコロイドゲルの加圧処理を含む、実施形態1のプロセス。
【0195】
21.タンパク質注入ハイドロコロイドゲル食品が密封され、液体を含む硬質の密封区画に入れられ、液体が加圧される、実施形態20のプロセス。
【0196】
22.上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件が、化学的架橋剤を含有する溶液をタンパク質注入ハイドロコロイドゲルに浸透させることを含み、化学的架橋剤は、上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、実施形態1のプロセス。
【0197】
23.化学的架橋剤が、グルタルアルデヒド、タンニン、ゲニピン、及び液体煙のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせである、実施形態22のプロセス。
【0198】
24.上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件が、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルに、好適な波長及び強度の放射線を照射してタンパク質の架橋を誘導し、それによって上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化を誘導することを含む、実施形態1のプロセス。
【0199】
25.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることが、摂取可能なタンパク質によって置き換えられる氷晶を融解させるのに好適な温度を有する摂取可能なタンパク質を含有する溶媒に浸漬することによって、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍し、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することを含む、実施形態1のプロセス。
【0200】
26.一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍することが、摂取可能なゲル化性タンパク質を含有する溶媒の温度を、ハイドロコロイドゲル内の溶媒の融点からハイドロコロイドゲルの融点までの範囲になるように調整することを含み、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることは、摂取可能なタンパク質を含有する溶媒の温度を、タンパク質溶液を含有する溶媒の凝固点から上記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかのゲル化開始変性温度までの範囲になるように調整することを含む、実施形態25のプロセス。
【0201】
27.一方向に凍結したハイドロコロイドゲルの解凍が、約0℃~約85℃で行われる、実施形態26のプロセス。
【0202】
28.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることが、約0℃~約45℃で行われる、実施形態26のプロセス。
【0203】
29.溶媒が、摂取可能なタンパク質が可溶性である食品に好適な非水溶媒である、実施形態25のプロセス。
【0204】
30.溶媒が、酢酸、ギ酸、エタノール、メタノール、プロパノール、及びそれらと水との混合物のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせである、実施形態29のプロセス。
【0205】
31.溶媒が、摂取可能なタンパク質が可溶性又は分散性である水溶液である、実施形態25のプロセス。
【0206】
32.摂取可能なタンパク質を含有する水溶液が、約1℃~約99℃の温度である、実施形態31のプロセス。
【0207】
33.摂取可能なタンパク質を含有する水溶液が約99℃~約130℃の温度であり、解凍されたハイドロコロイドゲルに、自己加圧式の閉鎖容器内で約0~1.7バールの範囲の圧力を加えることを含む、実施形態31のプロセス。
【0208】
34.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることが、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを、摂取可能なゲル化性タンパク質の存在下で、細長い氷晶を昇華させるのに好適な条件に供することを含む、実施形態1のプロセス。
【0209】
35.一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを、細長い氷晶を昇華させるのに好適な条件に供することが、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを氷の昇華をもたらす真空に曝露し、昇華ハイドロコロイドゲルを摂取可能なタンパク質を含有する溶液に浸漬し、それによって摂取可能なタンパク質を含有する溶液を昇華ハイドロコロイドゲルに注入することを含む、実施形態34のプロセス。
【0210】
36.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることが、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを凍結乾燥させて実質的に全ての水を除去し、次いで、乾燥したゲルを摂取可能なタンパク質を含有する溶液に浸漬することを含む、実施形態1のプロセス。
【0211】
37.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることが、一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを、氷の蒸発を引き起こして実質的に全ての氷を除去するのに好適な条件に供し、次いで、乾燥したゲルを摂取可能なタンパク質を含有する溶液に浸漬することを含む、実施形態1のプロセス。
【0212】
38.摂取可能なタンパク質が、動物タンパク質である、実施形態1の方法。
【0213】
39.動物タンパク質が、組換え動物タンパク質を含む、実施形態35の方法。
【0214】
40.摂取可能なタンパク質が、植物性、細菌性、真菌性、及び藻類性のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせである、実施形態1の方法。
【0215】
41.真菌性タンパク質が、酵母を含む、実施形態40の方法。
【0216】
42.藻類は、大型藻類及び微細藻類のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせである、実施形態40の方法。
【0217】
43.摂取可能なゲル化性タンパク質は、動物性タンパク質、組換えタンパク質、培養タンパク質、植物性タンパク質、細菌性タンパク質、真菌性タンパク質、及び藻類性タンパク質のうちのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせであり、これらは全て食品に好適である、実施形態1の方法。
【0218】
44.摂取可能なタンパク質が、乳清タンパク質、ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質、ルビスコタンパク質、アオウキクサタンパク質、米タンパク質、アーモンドタンパク質、卵タンパク質、エンバクタンパク質、亜麻仁タンパク質、ユーグレナタンパク質、シゾキトリウムタンパク質、リョクトウタンパク質、エンドウ豆タンパク質、組換え哺乳動物乳清、培養哺乳動物乳清、組換え卵アルブミン、培養卵アルブミン、組換えゼラチン又はコラーゲン、培養ゼラチン又はコラーゲン、キャノーラタンパク質、ルピンタンパク質、ソラマメタンパク質、コムギタンパク質、レンズマメタンパク質、アマランスタンパク質、ピーナッツタンパク質、モランガ種子タンパク質、カボチャ種子タンパク質、ヒヨコマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、ベニバナ種子タンパク質、マスタード種子タンパク質、クロレラタンパク質、及びスピルリナタンパク質、のうちのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態1の方法。
【0219】
45.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質が、約5重量%~約35重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.2重量%~約10重量%の範囲で存在する、実施形態1の方法。
【0220】
46.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質が、約10重量%~約30重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.5重量%~約8重量%の範囲で存在する、実施形態1の方法。
【0221】
47.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質が、約10重量%~約20重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約1重量%~約5重量%の範囲で存在する、実施形態1の方法。
【0222】
48.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質が、約5重量%~約35重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.2重量%~約10重量%の範囲で存在する、実施形態6の方法。
【0223】
49.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質が、約10重量%~約30重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.5重量%~約8重量%の範囲で存在する、実施形態6の方法。
【0224】
50.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質が、約10重量%~約20重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約1重量%~約5重量%の範囲で存在する、実施形態6の方法。
【0225】
51.摂取可能なゲル化性タンパク質が、追加のタンパク質含有量を得るように、摂取可能な熱ゲル化性タンパク質と非ゲル化性タンパク質との混合物である、実施形態1の方法。
【0226】
52.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質の総量が、約5重量%~約50重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.2重量%~約10重量%の範囲で存在する、実施形態51の方法。
【0227】
53.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質の総量が、約10重量%~約30重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.5重量%~約8重量%の範囲で存在する、実施形態51の方法。
【0228】
54.繊維状代替肉食品中に、摂取可能なタンパク質の総量が、約15重量%~約25重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約1重量%~約5重量%の範囲で存在する、実施形態51の方法。
【0229】
55.存在するタンパク質の最大量が25重量%である場合、混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の最小量は2重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量は23重量%である、実施形態51の方法。
【0230】
56.存在するタンパク質の最大量が25重量%であり、混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の中間的な最小量が約8重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量が約17重量%である、実施形態51の方法。
【0231】
57.存在するタンパク質の最大量が25重量%であり、混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の中間的な最小量が約10重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量が約15重量%である、実施形態51の方法。
【0232】
58.一方向凍結プロセスの速度を変化させるために、材料にわたる温度勾配を制御することによって整列した細長いチャネルの直径を制御することを更に含み、タンパク質繊維の直径が、整列した細長いチャネルの直径に比例する、実施形態1の方法。
【0233】
59.整列した細長いチャネルの直径が、約20~約200ミクロンの範囲の直径を有するタンパク質繊維を得るように制御される、実施形態58の方法。
【0234】
60.摂取可能なハイドロコロイドゲルが、1つ以上の異なる種類の摂取可能なハイドロコロイドからなる摂取可能な複合ハイドロコロイドゲルである、実施形態1の方法。
【0235】
61.2つ以上の異なる種類のハイドロコロイドが、多糖類ハイドロコロイド、ゼラチン、又は組換えゼラチンのうちの少なくとも1つの種類である、実施形態60の方法。
【0236】
62.上記摂取可能な複合ハイドロコロイドゲルが、上記2つ以上の異なる種類のハイドロコロイドの均質な混合物から生成される、実施形態60の方法。
【0237】
63.上記摂取可能な複合ハイドロコロイドゲルが、交互の層が異なるハイドロコロイド又はハイドロコロイドブレンドで作製される層状構造を有する、実施形態60の方法。
【0238】
64.上記摂取可能な複合ハイドロコロイドゲルが、交互の層が同じハイドロコロイド又はハイドロコロイドブレンドで作製される層状構造を有する、実施形態61の方法。
【0239】
65.摂取可能なハイドロコロイドゲルを、タンパク質の非存在下で一方向凍結及び解凍の複数のサイクルに供することを更に含む、実施形態25の方法。
【0240】
66.摂取可能なハイドロコロイドゲルを、タンパク質の存在下で一方向凍結及び解凍の複数のサイクルに供することを更に含む、実施形態25の方法。
【0241】
67.寒天及びアルギナート溶液とアルギナート-油エマルションとの混合物を生成し、混合物をゲル化して皮膚層を生成し、皮膚層を部分的に乾燥させた後、皮膚層を繊維状代替肉食品の上に重ねることによって、肉又は魚の皮膚層を模倣する層を生成することを更に含む、実施形態1の方法。
【0242】
68.a)肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料からなる間質層を調製し、上記間質材料をタンパク質注入ハイドロコロイドゲルのうちの1つの表面に適用するステップと、b)別のタンパク質注入ハイドロコロイドゲルを間質層の上に配置するステップと、c)複数のタンパク質注入ハイドロコロイドゲルが一緒に積み重ねられるまでステップa)及びb)を繰り返すステップと、を含む、予め選択された厚さの複数のタンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することを更に含む、実施形態1の方法。
【0243】
69.肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料の間質層が、タンパク質、ハイドロコロイド、水中油型エマルション、固体粒子、脂肪及びオレオゲルのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、実施形態68の方法。
【0244】
70.固体粒子が、二酸化チタン、タンパク質、炭酸カルシウム及びデンプン、固体脂肪結晶及び藻類のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、実施形態69の方法。
【0245】
71.繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、摂取可能なタンパク質ゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したタンパク質ゲルを形成することと、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えてタンパク質注入タンパク質ゲルを生成することと、タンパク質注入タンパク質ゲルを、摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件に供して、整列したチャネルにタンパク質繊維を作製して繊維状代替肉食品を形成することと、を含む、プロセス。
【0246】
72.摂取可能なタンパク質が、乳清タンパク質、ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質、ルビスコタンパク質、アオウキクサタンパク質、米タンパク質、アーモンドタンパク質、エンバクタンパク質、亜麻仁タンパク質、ユーグレナタンパク質、シゾキトリウムタンパク質、リョクトウタンパク質、エンドウ豆タンパク質、組換え乳清、培養乳清、組換え卵アルブミン、培養卵アルブミン、組換えゼラチン又はコラーゲン、培養ゼラチン又はコラーゲン、キャノーラタンパク質、ルピンタンパク質、ソラマメタンパク質、コムギタンパク質、レンズマメタンパク質、アマランスタンパク質、ピーナッツタンパク質、モランガ種子タンパク質、カボチャ種子タンパク質、ヒヨコマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、ベニバナ種子タンパク質、マスタード種子タンパク質、クロレラタンパク質、及びスピルリナタンパク質、のうちのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態71の方法。
【0247】
73.摂取可能なタンパク質が、摂取可能なタンパク質ゲルを構成する同じ摂取可能なタンパク質から作製される、実施形態71の方法。
【0248】
74.氷晶と置き換わる摂取可能なタンパク質が、ゲル化性タンパク質と非ゲル化性タンパク質との混合物を含む、実施形態71の方法。
【0249】
75.摂取可能なタンパク質が、ゲル化性タンパク質と非ゲル化性タンパク質との混合物を含む、実施形態71の方法。
【0250】
76.摂取可能なタンパク質ゲルが、異なるタンパク質の混合物を含む摂取可能な複合タンパク質ゲルである、実施形態71の方法。
【0251】
77.タンパク質ゲルのゲル強度を増加させるために、摂取可能なタンパク質ゲルを、タンパク質の非存在下で一方向凍結及び解凍の複数のサイクルに供することを更に含む、実施形態71の方法。
【0252】
78.タンパク質ゲルのゲル強度及びタンパク質ゲルのタンパク質含量を増加させるために、摂取可能なタンパク質ゲルを、タンパク質の存在下で一方向凍結及び解凍の複数のサイクルに供することを更に含む、実施形態71の方法。
【0253】
79.繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、1つ以上の異なる種類の摂取可能なハイドロコロイド及び1つ以上の異なる種類の摂取可能なタンパク質からなる摂取可能な複合ゲルを調製することと、摂取可能な複合ゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結した複合ゲルを形成することと、整列した細長い氷晶を、摂取可能なタンパク質、ハイドロコロイド及び複合材料のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせに置き換えて、摂取可能なタンパク質注入複合ゲルを生成することと、摂取可能なタンパク質注入複合ゲルを、摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件に供して、整列したチャネルにタンパク質繊維を作製して繊維状代替肉食品を形成することと、を含む、プロセス。
【0254】
80.タンパク質の非存在下で、摂取可能なタンパク質注入複合ゲルを一方向凍結及び解凍の複数のサイクルに供することを更に含む、実施形態71の方法。
【0255】
81.タンパク質の存在下で、摂取可能なタンパク質注入複合ゲルを一方向凍結及び解凍の複数のサイクルに供して、摂取可能なタンパク質注入複合ゲルのゲル強度及び摂取可能なタンパク質注入複合ゲルのタンパク質含有量を増加させることを更に含む、実施形態71の方法。
【0256】
82.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成するステップが、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質とハイドロコロイドとの混合物に置き換えることを含む、実施形態1の方法。
【0257】
83.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入タンパク質ゲルを生成するステップが、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質とハイドロコロイドとの混合物に置き換えることを含む、実施形態71の方法。
【0258】
84.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成するステップが、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質とハイドロコロイドとの混合物に置き換えることを含む、実施形態79の方法。
【0259】
85.1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイドからなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを調製するステップが、摂取可能なハイドロコロイドゲルの調製中に着色剤を添加すること、又は整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質と着色剤との混合物に置き換えることを含み、着色剤は、繊維状代替肉食品がその類似物である実際の肉製品の色を反映する色を繊維状代替肉食品に与えるように選択される、実施形態1の方法。
【0260】
86.着色剤が、カロテノイド、β-カロテン、アスタキサンチン、リコピン、ビキシン、アントシアニン、ベタラン、ヘモグロビン、ミオグロビン、ビート果汁抽出物、サフロールイエロー、ルテイン、クルクミン、カプサンチン、カプソルビン、ノルビキシン、アントシアニン、クルクミノイド、ウコン、フィコシアニン、及びメラノイジンからなる群から選択される、実施形態85の方法。
【0261】
87.肉又は魚の皮膚層を模倣する層を生成するステップが、繊維状代替肉食品がエミュレートしている実際の食品をエミュレートする外観及び味を皮膚層に与えるために、上記混合物に味物質及び着色剤を添加することを含む、実施形態67の方法。
【0262】
88.単一のハイドロコロイド若しくはハイドロコロイドの群、又は単一のハイドロコロイド若しくはハイドロコロイドの群、及び単一のタンパク質若しくはタンパク質の群の溶液を、同時一方向凍結及びゲル化に供し、整列した細長い氷晶の形成を誘導して、整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したゲルを形成する、実施形態1の方法。
【0263】
89.氷晶が、タンパク質及びハイドロコロイドを含有する溶液又は分散液に置き換えられる、実施形態1の方法。
【0264】
90.細長い氷晶を置き換えるステップが、細長い氷晶を、タンパク質と着色剤との混合物に置き換えることを含み、着色剤が、繊維状代替肉食品に予め選択された色を与えるように選択される、実施形態1のプロセス。
【0265】
91.上記1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイドと水及び摂取可能なタンパク質との混合物を調製するステップ、摂取可能なハイドロコロイドゲルを一方向凍結に供するステップが、1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド、水及びタンパク質からなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを一方向凍結に供することを含む、実施形態1のプロセス。
【0266】
92.実施形態1の方法に従って生成された、繊維状代替肉食品。
【0267】
93.繊維状代替肉食品を包装して、消費者によって調理される消費者に出荷するための食品を形成することを含む、実施形態92の繊維状代替肉食品。
【0268】
94.請求項71に記載の方法に従って生成された、繊維状代替肉食品。
【0269】
95.繊維状代替肉食品を包装して、消費者によって調理される消費者に出荷するための食品を形成することを含む、実施形態94の繊維状代替肉食品。
【0270】
96.実施形態79の方法に従って生成された、繊維状代替肉食品。
【0271】
97.繊維状代替肉食品を包装して、消費者によって調理される消費者に出荷するための食品を形成することを含む、実施形態96の繊維状代替肉食品。
【0272】
98.調理することができるタンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品であって、タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品が、摂取可能なタンパク質注入ハイドロコロイドゲルを含み、タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品中に、タンパク質が、約2重量%~約50重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.2重量%~約10重量%の範囲で存在する、タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品。
【0273】
99.タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品中に、摂取可能なタンパク質が、約10重量%~約30重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約0.5重量%~約8重量%の範囲で存在する、実施形態98の製品。
【0274】
100.タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品中に、摂取可能なタンパク質が、約15重量%~約25重量%の範囲で存在し、ハイドロコロイドが、約1重量%~約5重量%の範囲で存在する、実施形態98の製品。
【0275】
101.タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品が、繊維状の哺乳動物の肉、鶏肉、又はシーフードの代替食品のうちのいずれかである、実施形態98の製品。
【0276】
102.タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品が、タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品によって模倣される食品を模倣する外観及び味を与えるように選択された摂取可能な成分で形成された皮膚層を更に含む、実施形態98の製品。
【0277】
103.タンパク質豊富な食用の繊維状の食品代替製品が、半透明の外観を有し、調理されると半透明から不透明に変化することを特徴とする、実施形態98の製品。
【0278】
104.繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、1つ以上の摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイド及び水からなる摂取可能なバイオポリマーゲル又は溶液又は分散液を調製することと、摂取可能なバイオポリマーゲル又は溶液又は分散液を、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したゲル又は溶液を形成することと、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドに置き換えて、タンパク質及び/又はハイドロコロイド注入ゲルを生成することと、上記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイド注入ゲルを、摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかをゲル化するのに好適な条件に供して、整列したチャネル内にタンパク質及び/又はハイドロコロイドゲルを作製し、タンパク質を含有する繊維状代替肉を形成することと、を含む、プロセス。
【0279】
105.繊維状代替肉食品を生成するためのプロセスであって、1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイドからなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを調製することと、摂取可能なハイドロコロイドゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを形成することと、整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することと、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルからのタンパク質の漏出を防止するように作用する薬剤に曝露することと、出荷のために繊維状代替肉食品を包装することと、を含む、プロセス。
【0280】
106.タンパク質の漏出を防止するように作用する薬剤が、pH調整剤、塩、熱処理、化学的架橋剤、酵素架橋剤、ゲル化ハイドロコロイドの注入、及びタンパク質注入ハイドロコロイドゲルへのハイドロコロイドコーティングの塗布のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、実施形態105のプロセス。
【0281】
107.整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えるステップが、整列した細長い氷晶を、摂取可能なタンパク質、味物質及び着色剤の混合物に置き換えて、繊維状代替肉食品に生のシーフード製品の外観及び味を与えることを含む、実施形態105のプロセス。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状代替肉(fibrous meat analog)を生成するためのプロセスであって、
a)1つ以上の摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイド、並びに水からなる摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を調製することと、
b)前記バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結(directional freezing)に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を形成することと、
c)前記整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドに置き換えて注入されたゲルを生成することと、
d)前記注入されたゲルを、前記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドのうちの少なくともいくつかをゲル化するための好適な条件に供して、前記整列したチャネル内にゲル化タンパク質及び/又はハイドロコロイドを作製して繊維状食品を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、
(i)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び水を含む、ハイドロコロイドゲル、溶液若しくは分散液、
(ii)1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質及び水を含む、タンパク質ゲル、溶液若しくは分散液、又は
(iii)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質、並びに水を含む、複合ゲル、溶液若しくは分散液である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップa)及びc)の前記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドが、同じであるか、又は異なる、請求項
1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記摂取可能なハイドロコロイドが、標準的なゼラチン及び/又は組換えゼラチン、寒天、アルギナート、カードラン、カッパ-カラギーナン、カッパ2-カラギーナン及びイオタ-カラギーナン、フルセララン、デンプン、加工デンプン、海藻抽出物、デキストリン、コンニャクグルコマンナン、メチルセルロース、ペクチン、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、タラガム、又は多糖類のうちの1つ以上を含む、請求項
1に記載のプロセス。
【請求項5】
a)1つ以上の摂取可能なハイドロコロイド及び水からなる摂取可能なハイドロコロイドゲルを調製することと、
b)前記摂取可能なハイドロコロイドゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列した細長いチャネルを有する一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを形成することと、
c)前記整列した細長い氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを生成することと、
d)前記タンパク質注入ハイドロコロイドゲルを、前記摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するための前記好適な条件に供して、前記整列したチャネル内にゲル化タンパク質を作製することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
a)1つ以上の第1の摂取可能なタンパク質及び水からなる摂取可能なタンパク質ゲルを調製することと、
b)前記摂取可能なタンパク質ゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したタンパク質ゲルを形成することと、
c)前記整列した細長い氷晶を第2の摂取可能なタンパク質に置き換えて、タンパク質注入タンパク質ゲルを生成することと、
d)前記タンパク質注入タンパク質ゲルを、前記第2の摂取可能なタンパク質のうちの少なくともいくつかをゲル化するための前記好適な条件に供して、前記整列したチャネルにゲル化タンパク質を作製することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記摂取可能なタンパク質が、ゲル化性タンパク質、非ゲル化性タンパク質、又はそれらの組み合わせを含む、請求項
1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記摂取可能なタンパク質が、培養タンパク質、組換え動物タンパク質等の動物タンパク質、植物タンパク質、細菌タンパク質、酵母タンパク質等の真菌タンパク質、藻類タンパク質、又はそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記摂取可能なタンパク質が、哺乳動物の乳清タンパク質、カゼイン又はカゼイン塩(caseinate);ダイズタンパク質、ジャガイモタンパク質、ルビスコタンパク質、アオウキクサ(lemna)タンパク質、米タンパク質、アーモンドタンパク質、卵タンパク質、エンバクタンパク質、亜麻仁タンパク質、ユーグレナタンパク質、シゾキトリウム(schizochytrium)タンパク質、リョクトウタンパク質、エンドウ豆タンパク質、組換え哺乳動物乳清、培養哺乳動物乳清、組換え卵アルブミン、培養卵アルブミン、組換えゼラチン又はコラーゲン、培養ゼラチン又はコラーゲン、キャノーラタンパク質、ルピン(lupin)タンパク質、ソラマメタンパク質、コムギタンパク質、レンズマメタンパク質、アマランス(amaranth)タンパク質、ピーナッツタンパク質、モリンガ(moringa)種子タンパク質、カボチャ種子タンパク質、ヒヨコマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、ベニバナ種子タンパク質、マスタード種子タンパク質、クロレラタンパク質、及びスピルリナタンパク質、のうちのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップc)が、
(i)前記氷晶を融解させるのに好適な温度を有するステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶媒に浸漬することによって、前記一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液を解凍すること、
(ii)前記一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液を凍結乾燥させて、実質的に全ての前記水を除去し、次いで、乾燥したゲルを、ステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶液に浸漬すること、
(iii)前記氷晶を蒸発させ、次いで、前記乾燥したゲルを、ステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを含有する溶液に浸漬すること、又は
(iv)前記注入されたゲルの一方の端部を真空下に置いて、前記氷晶を取り出し、ステップc)の前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドを、前記注入されたゲルの別の端部から前記整列した細長いチャネル内に引き込むこと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップc)が、前記一方向に凍結したバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液を解凍することを含み、前記プロセスが、一方向凍結及び解凍の複数のサイクルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記一方向凍結プロセスの速度を変化させるために、前記材料にわたる温度勾配を制御することによって前記整列した細長いチャネルの直径を制御することを更に含み、前記整列した細長いチャネル内のゲル化タンパク質の直径が、前記整列した細長いチャネルの前記直径に比例する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記整列した細長いチャネルの前記直径が、約20~約500ミクロンの範囲の直径を有する細長いゲル化タンパク質を得るように制御される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、溶液又は分散液であり、前記プロセスが、
(i)前記一方向に凍結した溶液若しくは分散液を前記好適な条件に更に供することによって、ステップc)の前に前記溶液若しくは分散液をゲル化すること、又は
(ii)ステップc)の前に、好適な溶液に浸漬することによって前記溶液若しくは分散液のゲル化を誘導すること、を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記バイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、溶液又は分散液であり、前記プロセスが、前記溶液又は分散液を一方向凍結と同時にゲル化することを含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記バイオポリマー溶液又は分散液が、第1及び第2のハイドロコロイドを含み、前記プロセスが、前記第1のハイドロコロイドをゲル化することと、前記バイオポリマーを一方向凍結に供し、その後、前記第2のハイドロコロイドをゲル化することと、前記氷晶を摂取可能なタンパク質に置き換えることと、を含む、請求項
14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記好適な条件が、
(i)前記注入されたゲルを熱処理することであって、前記摂取可能なタンパク質が、少なくとも熱ゲル化性タンパク質を含む、熱処理すること、
(ii)塩若しくはイオンを前記注入されたゲルに浸透させることであって、前記塩が、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、浸透させること、
(iii)前記注入されたゲルのpHを、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を引き起こすのに好適な値に調整すること、
(iv)架橋剤を含有する溶液を前記注入されたゲルに浸透させることであって、前記架橋剤が、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導するように選択される、浸透させること、
(v)前記注入されたゲルを圧力処理して、前記摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導すること、並びに/又は
(vi)前記注入されたゲルを好適な波長及び強度の放射線で照射して前記タンパク質の架橋を誘導し、それによって、前記摂取可能なタンパク質のうちの前記少なくともいくつかのゲル化を誘導すること、を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記塩を浸透させることが、前記注入されたゲルを、前記摂取可能なタンパク質及び/又はハイドロコロイドのうちの前記少なくともいくつかのゲル化を可能にするのに十分な濃度の塩溶液と接触させることを含み、前記塩が、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、及びマグネシウム(Mg)、並びにそれらの任意の組み合わせの硫酸塩、クエン酸塩、塩化物、炭酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、ソルビン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、及びリン酸塩のうちのいずれか1つである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記注入されたゲルの前記pHを調整することが、酢酸、塩酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又はそれらの組み合わせを含む食品に安全なpH調整剤を添加することを含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記架橋剤が、グルタルアルデヒド、タンニン、ゲニピン、燻煙液、又はそれらの組み合わせを含む化学的架橋剤である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項21】
前記架橋剤が、トランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13)、ソルターゼA(EC3.4.22.70)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1)、ラッカーゼ(EC1.10.3.2)、ペルオキシダーゼ(EC1.11.1.x)、リシルオキシダーゼ(EC1.4.3.13)、アミンオキシダーゼ(EC1.4.3.6)、又はそれらの組み合わせを含む、酵素ベースの架橋剤である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項22】
前記摂取可能なバイオポリマーゲル、溶液、又は分散液が、複数の層を有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
交互の層が、同じ又は異なるバイオポリマー又はバイオポリマーブレンドで作製される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
寒天及びアルギナート溶液とアルギナート-油エマルションとの混合物を生成し、前記混合物をゲル化して皮膚層を生成することによって、肉又は魚の皮膚層を模倣する層を生成することを更に含む、請求項
22に記載のプロセス。
【請求項25】
各々が予め選択された厚さを有する複数のタンパク質注入バイオポリマーゲルを生成することと、肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料からなる間質層を調製することと、を更に含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記複数のタンパク質注入バイオポリマーゲルが、積層され、前記間質層に接着される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記間質層が、肉及び/又は魚の結合組織をエミュレートするように選択された材料を含み、タンパク質、ハイドロコロイド、水中油型エマルション、固体粒子、脂肪及びオレオゲルのうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、請求項
25に記載のプロセス。
【請求項28】
前記固体粒子が、二酸化チタン、タンパク質、炭酸カルシウム、デンプン、固体脂肪結晶及び藻類のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
i)前記バイオポリマーゲル、溶液、若しくは分散液の調製中に着色剤を添加すること、又は
ii)前記整列した細長い氷晶を、前記第2の摂取可能なタンパク質及び/若しくはハイドロコロイドと前記着色剤との混合物に置き換えること、を更に含み、
前記着色剤が、カロテノイド、β-カロテン、アスタキサンチン、リコピン、ビキシン、アントシアニン、ベタラン、ヘモグロビン、ミオグロビン、ビート果汁抽出物、サフロールイエロー、ルテイン、クルクミン、カプサンチン、カプソルビン、ノルビキシン、アントシアニン、クルクミノイド、ウコン、フィコシアニン、メラノイジン、若しくはそれらの組み合わせを含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
繊維状代替肉を生成するためのプロセスであって、
摂取可能なバイオポリマーゲルを、整列した細長い氷晶の形成を誘導する一方向凍結に供して、前記整列した細長い氷晶が位置する整列したチャネルを有する一方向に凍結したバイオポリマーゲルを形成することと、
前記凍結したバイオポリマーを少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する溶液に浸すことによって、前記整列したチャネルを有する前記一方向に凍結したバイオポリマーゲルを解凍し、それによって、前記可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度未満の温度で、前記整列した細長い氷晶を融解させ、前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質に置き換えて、タンパク質注入バイオポリマーゲルを生成することと、
前記タンパク質注入バイオポリマーゲルを、前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質のゲル化温度を上回る温度で加熱して、繊維状代替肉食品を形成するためのタンパク質繊維を作製することと、を含む、プロセス。
【請求項31】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、
a)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び水を含むハイドロコロイドゲル、
b)1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質及び水を含むタンパク質ゲル、又は
c)i)少なくとも2つの異なる摂取可能なハイドロコロイド、ii)少なくとも2つの異なる摂取可能なタンパク質、若しくはiii)1つ以上の異なる摂取可能なハイドロコロイド及び1つ以上の異なる摂取可能なタンパク質、並びに水を含む複合ゲルである、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記バイオポリマーゲルが、多糖、標準的なゼラチン及び/又は組換えゼラチン、寒天、発酵由来のゼラチン、アルギナート、カードラン、カッパ-カラギーナン、カッパ2-カラギーナン及びイオタ-カラギーナン、フルセララン、デンプン、加工デンプン、デキストリン、コンニャクグルコマンナン、ペクチン、メチルセルロース、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、及びタラガムのうちの1つ以上を含む、請求項
30に記載の方法。
【請求項33】
前記凍結バイオポリマーの浸漬時間を変化させてタンパク質添加量を制御することを含む、請求項
30に記載のプロセス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質が、i)摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質であって、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液中の前記摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質の濃度が、約0.5~約30%の範囲である、摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質、又はii)摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質と非熱ゲル化タンパク質との混合物、を含む、請求項
30に記載のプロセス。
【請求項35】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、前記摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質の前記ゲル化温度を上回る融解温度を有する、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍することは、前記摂取可能なゲル化性タンパク質を含有する溶媒の温度を、前記ハイドロコロイドゲル内の溶媒の融点から前記ハイドロコロイドゲルの融点までの範囲になるように調整することを含み、前記整列した細長い氷晶を前記摂取可能なタンパク質に置き換えることは、前記摂取可能なタンパク質を含有する前記溶媒の温度を、前記タンパク質溶液を含有する前記溶媒の凝固点から前記摂取可能なタンパク質のうちの前記少なくともいくつかのゲル化開始変性温度までの範囲になるように調整することを含む、請求項
30~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記一方向に凍結したハイドロコロイドゲルを解凍することは、約0℃~約85℃、好ましくは約0℃~約45℃で行われる、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、摂取可能な非熱ゲル化タンパク質と、温度が上昇するにつれて前記摂取可能な非熱ゲル化タンパク質のゲル化を引き起こす熱誘導トリガー剤と、を更に含む、請求項
30~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記熱誘導トリガー剤が、塩、酵素、pH調整剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記熱誘導トリガー剤が、溶融性コーティング内にマイクロカプセル化された酵素である、請求項38に記載のプロセス。
【請求項41】
少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、水溶液又は水分散液を含む、請求項30~
35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、約1℃~約60℃の温度を有する、請求項
30~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
タンパク質添加量が、前記摂取可能なバイオポリマーゲルと、前記少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液との体積比を変化させることによって更に変化する、請求項33に記載のプロセス。
【請求項44】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルの前記一方向凍結のステップが、前記摂取可能なバイオポリマーゲルを、約マイナス2℃~約マイナス196℃の温度に予冷した基板と接触するように配置することによって行われる、請求項30~
35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、約100~約5000パスカルの範囲の弾性率を有するカッパ-カラギーナンハイドロゲルである、請求項
32に記載のプロセス。
【請求項46】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルが、約0.1%~約15重量%の範囲の寒天濃度を有する寒天ハイドロゲルである、請求項
32に記載のプロセス。
【請求項47】
少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液が、前記整列したチャネル内に拡散する摂取可能なサプリメントを更に含み、前記摂取可能なサプリメントが、アスコルビン酸(ビタミンC)、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB
6(ピリドキシン、ピリドキサール、及びピリドキサミン)、フォラシン、ビタミンB
12、ビオチン、パントテン酸、及びそれらの組み合わせを含む水溶性ビタミン;若しくはオメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸、若しくはそれらの組み合わせのエステルのエマルション;摂取可能なミネラル;並びに/又は抗酸化剤を含む、請求項30~
35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項48】
前記水溶液又は水分散液が、香味料、味物質、乳化剤、防腐剤、着色料、pH調整剤、質感調整剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項41に記載のプロセス。
【請求項49】
前記摂取可能なバイオポリマーゲルを一方向凍結に供して、整列した細長い氷晶の形成を誘導する前記ステップが、前記摂取可能なバイオポリマーゲルを予冷した基板と接触するように配置して1つの方向への一方向凍結を得ること、又は前記摂取可能なバイオポリマーゲルを2つの予冷した基板の間に配置することを更に含み、前記一方向凍結が、反対方向から進行する、請求項30~
35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項50】
熱ゲル化タンパク質と非熱ゲル化タンパク質との混合物において、少なくとも1つの摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質を含有する前記溶液中の前記摂取可能な熱ゲル化タンパク質の濃度が、約2~約10重量%、好ましくは約2~約15重量%、より好ましくは約2~約20重量%の範囲であり、残りは、前記タンパク質混合物の合計25重量%を占める非熱ゲル化タンパク質である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項51】
前記摂取可能な可溶性熱ゲル化タンパク質注入バイオポリマーゲルを熱処理する前記ステップが、約40℃~約150℃の範囲の溶液温度で行われる、請求項
30~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項52】
前記注入されたゲルを、前記注入されたゲルからのタンパク質の漏出を防止するように作用する薬剤に更に曝露し、前記薬剤が、pH調整剤、塩、熱処理、化学的架橋剤、酵素架橋剤、ゲル化ハイドロコロイドの注入、及び前記タンパク質注入ハイドロコロイドゲルへのハイドロコロイドコーティングの塗布のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~
9及び30~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項53】
前記整列した細長い氷晶を置き換える前記ステップが、味物質及び/又は着色剤に置き換えることを更に含む、請求項1~
9及び30~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項54】
請求項1~
9及び30~35のいずれか一項に記載のプロセスによって生成された、繊維状代替肉食品。
【請求項55】
繊維状の哺乳動物の肉、鶏肉又はシーフードの代替食品である、請求項54に記載の食品。
【請求項56】
前記摂取可能なタンパク質が、前記食品中に約2重量%~約50重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、好ましくは約5重量%~約35重量%、好ましくは約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約25重量%、好ましくは約10重量%~約20重量%の範囲で存在する、請求項
54に記載の食品。
【請求項57】
前記ハイドロコロイドが、前記食品中に約0.2重量%~約10重量%、好ましくは約0.5重量%~約8重量%、好ましくは約0.5重量%~約5重量%の範囲で存在する、請求項
54に記載の食品。
【請求項58】
前記摂取可能なタンパク質が、追加のタンパク質含有量を得るように、摂取可能な熱ゲル化性タンパク質と非ゲル化性タンパク質との混合物を含む、請求項
54に記載の食品。
【請求項59】
存在するタンパク質の最大量が25重量%である場合、前記混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の最小量は2重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量は23重量%である、請求項58に記載の食品。
【請求項60】
存在するタンパク質の最大量が25重量%であり、前記混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の中間的な最小量が約8重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量が約17重量%である、請求項58に記載の食品。
【請求項61】
存在するタンパク質の最大量が25重量%であり、前記混合物中の摂取可能な熱ゲル化性タンパク質の中間的な最小量が約10重量%であり、非熱ゲル化性タンパク質の最大量が約15重量%である、請求項58に記載の食品。
【国際調査報告】