(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ポリプロピレン樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 23/12 20060101AFI20240423BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20240423BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C08L23/12
C08K7/14
C08K5/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572132
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 KR2022008301
(87)【国際公開番号】W WO2023096046
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0162453
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523438898
【氏名又は名称】ビージーエフエコマテリアルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BGFecomaterials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】142 Sangduwon-gil, Jangan-myeon, Hwaseong-si, Gyeonggi-do 18586, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ド ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャ,スン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ス
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB121
4J002DL006
4J002EL148
4J002EX067
4J002EX077
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD317
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
本明細書は、重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、及び酸無水物を含むポリプロピレン樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂と、
ガラス繊維と、
反応性相溶化剤と、
酸無水物と、を含む、ポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項2】
前記ガラス繊維の平均粒径が5μm~1,000μmである、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ガラス繊維の平均長さが50μm~30,000μmである、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ガラス繊維の含有量が前記超高分子量ポリプロピレン樹脂100重量部を基準に30重量部~200重量部である、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項5】
前記ガラス繊維がEガラス繊維又はHガラス繊維である、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項6】
前記反応性相溶化剤及び前記酸無水物の含有量は、互いに同じ又は異なり、前記超高分子量ポリプロピレン樹脂100重量部を基準に0.1重量部~20重量部である、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項7】
前記反応性相溶化剤は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン[2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane]、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン[3-glycidoxypropyl methyldimethoxysilane]、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[3-glycidoxypropyl trimethoxysilane]、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン[3-glycidoxypropyl triethoxysilane]、[N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン[N-2-(aminoethyl)-3-aminopropylmethyldimethoxysilane]、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン[N-2-(aminoethyl)-3-aminopropyltrimethoxysilane]、3-アミノプロピルトリメトキシシラン[3-aminopropyltrimethoxysilane]、3-アミノプロピルトリエトキシシラン[3-aminopropyltriethoxysilane]、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン[3-triethoxysilyl-N-(1,3-dimethyl-butylidene)propylamine]、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン[N-phenyl-3-aminopropyltrimethoxysilane]、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩[N-(vinylbenzyl)-2-aminoethyl-3-aminopropyltrimethoxysilane hydrochloride]、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩[N-(vinylbenzyl)-2-aminoethyl-3-aminopropyltrimethoxysilane hydrochloride]、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項8】
230℃の温度、21.6kgの荷重下で測定された流動指数が1g/10分以上である、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項9】
重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、及び酸無水物を混合する段階を含む、請求項1乃至8のいずれか一項によるポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記混合物を混練する混練段階と、
前記混合物を押出する押出段階と、を含む、請求項9に記載のポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記混練段階は、180℃以上の温度及び200rpm以上の速度で行われる、請求項10に記載のポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれか一項によるポリプロピレン樹脂組成物を含む成形品。
【請求項13】
ASTM D638に準拠して測定された引張強度が140MPa以上である、請求項12に記載の成形品。
【請求項14】
ASTM D256規格に準拠して測定された衝撃強度が30kJ/m
2以上である、請求項12に記載の成形品。
【請求項15】
ASTM D648規格に準拠して測定された熱変形温度(HDT)が160℃以上である、請求項12に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ポリプロピレン樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン樹脂は、成形性、耐衝撃性、耐薬品性などに優れ、低比重、低価格という大きなメリットを有しており、安全性及び機能性が全て要求される部品であるバンパー、カウルクロスバー、ドアインナーパネル及び内蔵トリム類などの自動車内外装材に幅広く使われている。
【0003】
特に、自動車カウルクロスメンバーに使用される素材は、常温及び低温での優れた衝撃強度と高い耐熱性、高剛性を要求し、優れた衝撃強度を満足するために高含有量のゴム相が添加されなければならず、高剛性を確保するために一定含有量以上の充填剤を添加して使用してきた。
【0004】
また、単独重合されたホモポリプロピレンは、衝撃強度が低いため重合時にアルファオレフィン、例えば、エチレンと共に共重合することにより衝撃強度を補完する技術が用いられている。このようなエチレン・プロピレンブロックコポリマーは、優れた剛性及び衝撃特性のために自動車部品、家電機器、日常生活用品などの射出成形品及びシートなどに広く使用されている。
【0005】
しかし、前記エチレン・プロピレンブロックコポリマーは、結晶性エチレン・プロピレンコポリマーとの混練性が良くないという欠点がある。このような欠点を改善するための様々な方法があるが、現在まで満足できる衝撃強度の向上を示すポリプロピレン樹脂組成物は提供されていない。
【0006】
一般に押出及び射出用ポリプロピレン樹脂とは、大きさ2~3mm程度の均質性素材をいい、原素材が持っている物性の限界を克服し、多機能及び高性能の相乗効果を得るために互いに異なる素材を物理的/化学的方法で混成化した素材である。
【0007】
一定の温度と圧力の下でペレットが完全に溶け、スクリュー力によってノズルから吐出される。しかし、平均直径0.1~200μmのポリプロピレン樹脂の粒子は小さく、ペレット状を有しないため、シリンダー内で、溶融温度以上で溶融物は粘性のある流れ状態に入らずにゴムのような状態に維持され、シリンダー内に樹脂のブロック形態を示してノズルを介した流れ速度が低下してシリンダー内の圧力が上がり、樹脂が受ける熱的ストレスが加わって高分子連結環が割れてしまい、樹脂の物性を失うことになる。このような分子量の高いポリプロプレンの樹脂は、物理的機械強度が高いため、樹脂本来の特性をよく生かして加工すれば、優れた物性を有するポリプロピレンをベース素材として活用して複合素材に活用することができる。
【0008】
本発明は、100万以上の超高分子量のポリプロピレンをベースにゴム類の耐衝撃剤を使用せずに衝撃特性を満たし、ここに特に剛性補完能力及びホモポリプロピレンを用いて耐衝撃剤を使用しないことにより、剛性の低下がなく、高衝撃特性を有する樹脂組成物を提供しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許第10-1131634号公報
【特許文献2】韓国特許第10-1131361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書は、ポリプロピレン樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、及び酸無水物を含むポリプロピレン樹脂組成物を提供しようとする。
【0012】
本発明の他の実施形態は、重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、及び酸無水物を混合する段階を含む、前記ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法を提供しようとする。
【0013】
本発明の他の実施形態は、上述したポリプロピレン樹脂組成物を含む成形品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によるポリプロピレン樹脂組成物は、超高分子量ポリプロピレン樹脂の優れた物性を維持することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の超高分子量ポリプロピレン樹脂及びそれを含む組成物を用いて製造されたペレットを示す図である。
【
図2】実施例1の組成物を用いて製造されたペレットの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図5】実施例1の組成物を用いて成形された自動車外装用カウルクロスバー(Cowl Cross Bar)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態は、重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、及び酸無水物を含むポリプロピレン樹脂組成物を提供する。
【0018】
一般に、重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂は、物性に優れることが知られているが、流れ性が悪いため、製造工程性が著しく低下する。特に、樹脂同士が互いに凝集する現象が発生するため、押出機に投入する前に粉砕する工程を別途経なければならない工程上の問題があった。具体的には、樹脂混合後に樹脂を取り出す場合、樹脂が冷却されて樹脂が固まる現象が発生したうえ、ミーリング工程を行い、固まった樹脂を粉砕する工程が必要であった。この場合、冷却と粉砕過程において樹脂の物性が損傷又は低下するという問題が生じた。流れ性を改善するために添加剤を混入する技術が開発されているが、超高分子量ポリプロピレン樹脂本来の物性を低下させる問題として台頭してきた。
【0019】
本発明者らは、超高分子量ポリプロピレン樹脂の物性を低下させることなく、流れ性が改善されて工程性も向上したポリプロピレン樹脂組成物を開発した。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記ポリプロピレン樹脂組成物は、ガラス繊維を含むことにより、超高分子量ポリプロピレン樹脂の軽量性は維持するが、機械的強度を大きく向上させることができる。具体的には、前記ガラス繊維をポリプロピレン樹脂と複合化して樹脂の機械的強度を大幅に向上させることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記ポリプロピレン樹脂組成物は、反応性相溶化剤を含むことにより、組成物の湿潤性及び含浸性を向上させ、機械的強度を向上させることができる。具体的には、前記ガラス繊維をポリプロピレン樹脂によく複合させることで、本発明が意図しようとする目的を達成することができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記ガラス繊維の平均粒径が5μm~1,000μm、5μm~15μm、7μm~14μm、8μm~13μm、8μm~12μm、又は9μm~11μmであり得る。前記ガラス繊維の平均粒径の測定方法は、-30℃の状態で試験片の断面を出して試験片内のガラス繊維の粒径をSEMで測定したものである。上記の数値範囲では、ガラス繊維の含まれたポリプロピレン樹脂組成物の流れ性を妨げることなく、機械的強度を効果的に向上させることができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記ガラス繊維の平均長さが50μm~30,000μm以下であり得る。具体的には、80μm~5,000μm、100μm~4,800μm、150μm~4,600μm、4,000μm~4,400μm、4,000μm~4,200μmであり得る。上記の数値範囲で、ガラス繊維の含まれたポリプロピレン樹脂組成物の流れ性を妨げることなく、機械的強度を効果的に向上させることができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、前記ガラス繊維の粒径と長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認することができる。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記ガラス繊維の含有量は、前記超高分子量ポリプロピレン樹脂100重量部を基準に30重量部~200重量部、50重量部~180重量部、又は100重量部~150重量部であり得る。上記の数値範囲で、ガラス繊維の含まれたポリプロピレン樹脂組成物の流れ性を妨げることなく、機械的強度を効果的に向上させることができる。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記ガラス繊維は、Eガラス繊維、Cガラス繊維、Aガラス繊維、Hガラス繊維、Gガラス繊維又はSガラス繊維であり得る。また、ガラス繊維は、上記の2種類以上を併用してもよい。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記ガラス繊維は、Eガラス繊維又はHガラス繊維であり得る。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記反応性相溶化剤、及び前記酸無水物の含有量は、互いに同じでも異なってもよく、前記超高分子量ポリプロピレン樹脂100重量部を基準に0.1重量部~20重量部であり得る。また、0.1重量部~15重量部又は0.1重量部~10重量部であり得る。上記の数値範囲で、反応性相溶化剤又は酸無水物による湿潤性及び含浸性の効果が増加することができる。
【0029】
本発明の一実施形態において、前記ポリプロピレン樹脂組成物は、中和剤を含むことができる。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記中和剤の含有量は、前記超高分子量ポリプロピレン樹脂100重量部を基準に0.1重量部~20重量部であり得る。また、0.1重量部~15重量部又は0.1重量部~10重量部であり得る。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記中和剤は、合成ハイドロタルサイト(synthetic hydrotalcite)であり得る。
【0032】
本発明の一実施形態において、前記ポリプロピレン樹脂組成物は、顔料、染料、カーボンブラック、酸化防止剤又は触媒の添加剤をさらに含むことができる。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記反応性相溶化剤は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン[2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane]、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン[3-glycidoxypropyl methyldimethoxysilane]、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン[3-glycidoxypropyl trimethoxysilane]、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン[3-glycidoxypropyl triethoxysilane]、[N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン[N-2-(aminoethyl)-3-aminopropylmethyldimethoxysilane]、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン[N-2-(aminoethyl)-3-aminopropyltrimethoxysilane]、3-アミノプロピルトリメトキシシラン[3-aminopropyltrimethoxysilane]、3-アミノプロピルトリエトキシシラン[3-aminopropyltriethoxysilane]、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン[3-triethoxysilyl-N-(1,3-dimethyl-butylidene)propylamine]、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン[N-phenyl-3-aminopropyltrimethoxysilane]、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩[N-(vinylbenzyl)-2-aminoethyl-3-aminopropyltrimethoxysilane hydrochloride]、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩[N-(vinylbenzyl)-2-aminoethyl-3-aminopropyltrimethoxysilane hydrochloride]、及びこれらの組み合わせよりなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、230℃の温度、21.6kgの荷重下で測定された流動指数が1g/10分以上であり得る。具体的には、1g/10分~50g/10分、1g/10分~10g/10分、1g/10分~5g/10分、又は1g/10分~3g/10分であり得る。上記の数値範囲で、組成物の流動性が優秀に維持され、外観に優れるうえ、強度に優れた成形品を得ることができる。
【0035】
本発明の別の実施形態において、重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、及び酸無水物を混合する段階を含む、上述したポリプロピレン樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記ガラス繊維は、ガラス繊維集束物の形態で供給できる。前記ガラス繊維の集束個数は、900~1500個、より好ましくは900~1100個であり得る。上記の数値範囲でガラス繊維の分散性と工程性が改善できる。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、又は酸無水物の供給は、電動フィーダー(feeder)又はポッパー(popper)を使用することができる。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記混合物を混練する混練段階と、前記混合物を押出する押出段階と、を含むことができる。
【0039】
本発明の一実施形態において、前記混練段階又は押出段階は、溶融混練押出機を使用することができ、2つ以上の原料供給口を含むことができる。このとき、前記ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、反応性相溶化剤、又は酸無水物は、同じ又は異なる供給口から供給できる。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記混練段階は、180℃以上の温度及び200rpm以上の速度で行われることができる。前記温度は180℃~200℃であり、速度は200rpm~300rpm又は200rpm~250rpmであり得る。前記温度は、混練段階が行われる押出機内の温度を意味し、前記速度は、押出機スクリューの1分当たりの回転数(rpm)を意味する。上記の温度範囲で、押出機内の温度が十分な滞留時間の間、超高分子量ポリプロピレン樹脂の溶融点(Tmが約170℃以上の温度)に維持されるので、ポリプロピレン樹脂が十分に溶融することができる。
【0041】
本発明の別の実施形態は、上述したポリプロピレン樹脂組成物を含む成形品を提供する。前記成形品の適用分野は、例えば、車両用カウルクロスメンバー、ドアインナーパネルを含む自動車部品、スイッチ、バルブなどの低比重、高耐衝撃を要求する電気電子部品、自動車部品、精密機械部品などがあるが、これに限定されない。
【0042】
本発明の一実施形態において、前記成形品のASTM D638に準拠して測定された引張強度が140MPa以上であり得る。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記成形品のASTM D256規格に準拠して測定された衝撃強度が30kJ/m2以上であり得る。
【0044】
本発明の一実施形態において、前記成形品のASTM D648規格に準拠して測定された熱変形温度(HDT)が160℃以上であり得る。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明を説明する。ただし、本発明の権利範囲が下記実施例の範囲に限定されるものではなく、本発明をより詳細に説明するために導入されるものである。
【0046】
実施例1
分子量200万g/molの超高分子量ポリプロピレン樹脂100重量部、白色で平均直径10μmのH-Glassガラス繊維120重量部、反応性相溶化剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethoxysilane)0.5重量部、酸無水物(無水マレイン酸(Maleic anhydride))0.3重量部、及び中和剤として合成ハイドロタルサイト(synthetic hydrotalcite)0.8重量部を二軸押出機に投入して一連の溶融及び混練工程を行うことにより、ポリプロピレン樹脂組成物を製造した。このとき、溶融温度は180℃であり、混練速度は300rpmであった。
【0047】
また、製造前の超高分子量ポリプロピレン樹脂(
図1の左側)及び製造されたポリプロピレン樹脂組成物を用いて製造されたペレット(
図1の右側)の写真を示した。
【0048】
また、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、ガラス繊維が超高分子量ポリプロピレンによく含浸されたことを確認した(
図2)。また、前記ガラス繊維の粒径(
図4)と長さ(
図3)を示した。
【0049】
一方、前記製造されたポリプロピレン樹脂組成物を用いて自動車外装用カウルクロスバー(Cowl Cross Bar)を成形し、
図5に示した。
【0050】
<実施例2~4>
下記表1の組成に変更した以外は、前記実施例1と同様の方法でポリプロピレン樹脂組成物を製造した。
【0051】
<比較例1及び2>
下記表1の組成に変更した以外は、前記実施例1と同様の方法でポリプロピレン樹脂組成物を製造した。
【0052】
【0053】
<実験方法>
次の測定方法に従って各プロピレン樹脂組成物の物性を試験した。
1)比重:ASTM D792
2)引張強度:ASTM D638(試験片の破断時まで最大強度を測定)
3)伸び:ASTM D638(試験片の破断時まで延性特性を測定)
4)曲げ強度:ASTM D790(試験片から発生する最大強度を測定)
5)曲げ弾性率:ASTM D790(試験片に加えられた応力と歪みが応力に線比例する領域で加えられた応力が作る歪みに対する比率の測定)
6)衝撃強度:ASTM D256(Notched)
7)熱変形温度(HDT):ASTM D648(1.82MPa)
8)分子量測定方法
-ゲルクロマトグラフィー(GEL PERMEATION CHROMATOGRAPHY)方法を使用し、GPC分析機器の条件は、次の通りである。
-展開溶媒:TCB+0.04% BHT(after drying with 0.1% CaCl2)
-カラム:PLgel guard(7.5×50mm)+2*PLgel mixed-B
-カラム温度:160℃
-検出器:RI-detector
-Standard:ポリスチレン
【0054】
<実験例1>
【0055】
【0056】
上記の結果から、実施例のポリプロピレン樹脂組成物は、ガラス繊維を含むことにより、引張強度及び曲げ強度が優れることが分かる。これに対し、ガラス繊維を含まない比較例1のポリプロピレン樹脂組成物は、上記の物性が著しく低下することを確認した。一方、反応性相溶化剤を含まない比較例2のポリプロピレン樹脂組成物と、酸無水物を含まない比較例3のポリプロピレン樹脂組成物も引張強度、曲げ強度及び曲げ弾性率が減少することを確認することができた。
【0057】
上記の結果から、重量平均分子量が100万g/mol以上の超高分子量ポリプロピレン樹脂にガラス繊維と反応性相溶化剤を含む場合、物性が改善できることを確認した。
【0058】
<実験例2>
【0059】
【0060】
上記の結果から、溶融押出温度が220℃以上の高温である場合、ポリプロピレン樹脂の高分子鎖が破壊されて機械的物性が低下することを確認することができた。具体的には、溶融押出温度が220℃以上であるとき、ポリプロピレン樹脂の引張強度、伸び及び屈曲弾性率が低下することを確認することができ、特に、230℃であるときに衝撃強度が著しく減少することを確認することができた。
【国際調査報告】