(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】安定なインタフェースシステム及び組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240423BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20240423BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N33/53 T
G01N33/531 B
G01N33/50 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513863
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022027900
(87)【国際公開番号】W WO2022235955
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523422222
【氏名又は名称】サルス・ディスカバリー・エル・エル・シー
(71)【出願人】
【識別番号】523416335
【氏名又は名称】フラムボー・ダイアグノスティクス・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビービー,デイブ
(72)【発明者】
【氏名】マクミン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】マリンズ,ブリアナ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーリック,ジェイ
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045BA11
2G045BB31
2G045CB01
2G045DA12
2G045DA36
2G045FB02
2G045FB03
(57)【要約】
流体、標的及び関連する組成物の通過及びポジショニングを可能にする孔を有する関連する構造物質(複数可)並びに関連する構造物質を用いて安定化された流体相、層又は界面を含む、標的(複数可)をポジショニングするための安定化された界面システム及び組成物。流体領域が、当該標的(複数可)の通過を可能にする少なくとも1つの孔を有する固体又は半固体の構造物又は物質を使用して互いに対して安定化される、相又は層内に異なる特性を有する2つ以上の流体領域を含む、検出のための標的(複数可)をポジショニングするための混和性界面システム及び組成物であって、安定化により、バルク流体運動より勝る拡散を介した流体構成要素の物質輸送を可能にする混和性界面システム及び組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも2つの流体、(b)少なくとも1つの孔を有する少なくとも1つの関連する構造物質及び(c)前記関連する構造物質で安定化された少なくとも1つの流体相、層又は界面を含む、相、層又は界面を安定化するためのシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流体相又は層が、水性、油及び気体から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの流体相又は層が、固体又は半固体粒子を含有する、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記孔のサイズが、標的、又は別の物質(例えば、固相)に結合した標的が、外力の適用あり又はなしで通過することを可能にする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記外力が磁力である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体相、層又は界面と関連し、前記流体相、層又は界面を好む多孔性構造物質によって安定化された2つ以上の流体、流体相、層又は界面を含む、組成物。
【請求項7】
前記少なくとも2つの流体のうちの1つ以上が、水性である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも2つの流体のうちの1つ以上が、油である、請求項6又は請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも2つの流体のうちの1つ以上が、気体である、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記多孔性構造物質が親水性である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記多孔性構造物質が疎水性である、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記多孔性構造物質が、疎水性を好む接触角を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
前記多孔性構造物質が、親水性を好む接触角を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
2つ以上の流体を含むシステム又は装置において流体相、層又は界面を安定化させる方法であって、安定化構造物を前記流体相、層又は界面と関連付けることを含む、方法。
【請求項15】
相又は層内に異なる特性を有する2つ以上の流体領域を含む組成物であって、前記流体領域が、少なくとも1つの孔を有する固体又は半固体構造物又は物質を使用して互いに対して安定化され、安定化が、拡散による流体構成要素の物質輸送がバルク流体運動より勝ることを可能にする、組成物。
【請求項16】
相又は層内に異なる特性を有する2つ以上の流体領域を含む組成物であって、前記流体領域が、標的(複数可)の通過を可能にする少なくとも1つの孔を有する固体又は半固体構造物又は物質を使用して互いに対して安定化され、安定化が、拡散による流体構成要素の物質輸送がバルク流体運動より勝ることを可能にする、組成物。
【請求項17】
前記固体又は半固体構造物又は物質が、1つの孔を含む又は1つの孔から本質的になる、請求項15又は請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記固体又は半固体構造物又は物質が、1つより多くの孔を含む又は1つより多くの孔から本質的になる、請求項15又は請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
異なる密度及び/又は密度勾配の間に移行部を有する流体を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、引力、対流力又は乱流力が前記2つの流体間の均質化/バルク混合及び移行部標的分子の迅速な分離を誘導するような寸法を有する容器に保持される、請求項15~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、拡散を介した標的分子の輸送が対流を介した前記分子の輸送より勝る又は優位であるように、流体力学抵抗性が増加し、圧力差の供給源から生じる速度が低減されるような寸法を有する容器に保持される、請求項15~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
移行部の分離が、数秒~数分、数時間又は数日にわたって生じる、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
多孔性固体又は半固体構造物又は物質が、メッシュ、ゲル又は固体又は半固体粒子の凝集体を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記相又は層が、水性層若しくは相、油層若しくは相及び/又は気層若しくは相である、請求項15~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記相又は層のうちの少なくとも1つが、エマルジョンを含む、請求項15~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
標的をポジショニングする又は単離する方法における、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム又は請求項6~25のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する宣言
本出願は、2021年5月5日に出願された米国仮特許出願第63/184,334号に対する優先権を主張するものであり、その内容全体を、全ての目的のため参照により本明細書に組み込む。
【0002】
政府支援の宣言
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた、R43 OD023021-01A1下の政府支援で成された。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0003】
参照による組み込み
本明細書に言及される、全ての米国特許、米国特許出願、刊行物、外国特許、外国及びPCT公開出願、文献並びに他の文書、参考文献及び刊行物並びにそこから付与された任意の特許又は複数の特許において引用された参考文献として列挙されたもの全ては、その全体を参照により本明細書に組み込む。組み込まれた情報は、本文及び他の内容全てが、本出願において繰り返されているかのように本出願の一部であり、出願された本出願の本文及び内容の一部として扱われる。
【0004】
技術分野
本発明は、概して、物質の分離、単離、精製、同定、検出及び定量に関する。
【0005】
標的をポジショニング及び/又はプロセシングするためのシステム、装置、組成物及び方法が、本明細書に提供される。標的は、ポジティブ(例えば、検出又は測定のため、標的を移動させ又は単離することによる)及びネガティブ(1つ以上又は全ての非標的をポジショニングする又は除去することによる)を含む、いくつもの方法でポジショニングされ得る。本発明のシステム、装置及び方法を使用して、標的又は標的が付着している物質を、本発明のシステム、装置及び方法を使用して移動、分離、単離、検出、同定、分析、スクリーニング、定量又は精製することができる。本発明のシステム、装置及び方法は、試料中の標的又は分析物(細胞、タンパク質、DNA、RNA又は病原体若しくは病原体の一部、例えば、タンパク質、核酸などを含む)の単離及び/又は検出のためのシステム、装置及び方法を含む。特に、互いに密接して安定化された1つ以上の油及び/又は1つ以上の水性相及び/又は1つ以上の気相を含むシステム及び装置が、本明細書に提供される。本発明のシステム、装置及び方法は、多くの用途を有する。例えば、それらは、試料又は他の混合物から標的又は標的分析物を単離、分離、移動、精製、混合、結合及び/又は続いてその存在又は量を検出するために使用され得る。標的のポジショニングは、本発明の方法、装置又はシステムを用いて、標的を単離、分離若しくは移動させることによって又は標的に結合した物質を単離、分離若しくは移動させることによってなされ得、ポジティブ又はネガティブになされ得る。一部の態様では、1つ以上の相又は層を通じて標的又は分析物を引き寄せるために、磁力、電気力又は加速に基づく力を使用して(例えば、重力を介して若しくは遠心分離機を介して)、標的又は分析物を含有する、含有し得る又は含有することが疑われる若しくは疑われ得る試料又は混合物から、標的又は分析物を移動させ又は精製するために使用され得る、1つ以上の安定化された油及び/又は1つ以上の安定化された水性相及び/又は1つ以上の気相を含むシステム及び装置が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、システム及び装置は、標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬を含む。定量は、標的に対してポジティブ-ネガティブ、半定量的又は定量的であってもよい。単離又は精製は、完全又は部分的であってもよい。標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム若しくは装置の1つ以上の一部若しくは部分、システム又は装置の1つ以上の水性相若しくは層及び/若しくは油相若しくは層、システム若しくは装置の基相若しくは層、システム若しくは装置の下相、層若しくは階層、又はシステム若しくは装置の終結相、層若しくは階層若しくは末端相、層若しくは階層(垂直方向若しくは緯度方向の実施形態において)、又は継ぎ目、接合点若しくは接合部(非垂直方向若しくは非緯度方向の実施形態では水平方向若しくは経度方向若しくは他の相/層方向の)に含有され得る。
【背景技術】
【0006】
以下は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。情報のうちのいずれかは、ここで記載される若しくは請求される発明の先行技術である若しくは関連であること、又は具体的若しくは暗黙的に言及されている任意の刊行物若しくは文書が、記載される又は請求される発明の特許性を評価するのに使用され得る先行技術又は参考文献であることを認めるものではない。
【0007】
複雑なバックグラウンドから標的又は分析物(例えば、核酸、タンパク質、細胞全体若しくは混入物)を移動、単離、精製、分離、同定、定量又はそれ以外の方法で操作する能力は、診断学、生物学的研究、バイオマーカーの発見、法医学などにおける多くの一般的な分析又は他のプロセスにとって重要な必要条件である。しかしながら、例えば、分析物精製プロセスを含む従来のプロセスは、時間がかかり、高価で、手間がかかるなどであり得る又はそうであり、しばしば、このようなプロセス、例えば、分析プロセスにおけるボトルネックとなる。さらに、いくつかの方法論は、試料を損傷する又は試料の望ましくない損失若しくは一貫性のない収量を引き起こす。したがって、標的又は標的分析物の単離、分離及び精製並びに試料からの分析物又は他の標的の続く迅速な検出、同定、定量を含む、標的の操作のための改善されたシステム、方法及び装置が必要とされており、本明細書に提供される。
【発明の概要】
【0008】
(簡潔な要旨)
本明細書に記載され、請求される本発明は、この発明の概要に記される、記載される又は参照されるものを含むが、これらに限定されない、多くの特質及び実施形態を有する。それは、全てを網羅することを意図したものではなく、本明細書に記載され、請求される本発明は、この導入で同定される特性又は実施形態に限定されない又は該特性又は実施形態によって制限されず、例示のみを目的に含まれ、限定を目的に含まれるものではない。
【0009】
本発明は、標的をポジショニングする力の操作によるプロセシング工程の自律的操作をもたらす多層システム及び装置を含む。多層システムは、容器内にあってもよい。
【0010】
一態様では、本発明は、試料の添加、結果を得る及び/又は読み取るための力(例えば、磁力)の適用のみを必要とする単一の装置において行われる自律的試料調製(例えば、溶解、洗浄及び/又は固相標的結合)並びに試験(例えば、PCR、LAMPなど)を提供する。一部の実施形態では、本発明は、閲覧、分析及び/又は格納(例えば、コンピュータ若しくは電話に)のため結果を伝えるための手段を任意選択的に含む。
【0011】
一部の態様では、試料から標的を単離又はポジショニングし、標的をプロセシングするためのシステム、方法及び装置並びに組成物が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、対象の標的は、標的自体である。一部の実施形態では、対象の標的は、固相に結合した標的又は固相自体である。
【0012】
一部の実施形態では、システム、方法又は装置は、容器内で互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの油相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの油相又は層は、少なくとも1つの水性相と関連する親水性多孔性物質及び/又は少なくとも1つの油相と関連する疎水性多孔性物質によって容器内で安定化される。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相は、幾何学的特徴又は1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって容器内で安定化される。
【0013】
システム、方法又は装置が少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの油相又は層を含む一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの油相又は層のみが、安定化される。システム、方法又は装置が1つより多くの水性相又は層及び1つ以上の油相又は層を含む一部の実施形態では、水性相又は層のうちの1つのみが、安定化される。システム、方法又は装置が1つより多くの水性相又は層及び1つ以上の油相又は層を含む一部の実施形態では、水性相又は層のうちの1つより多く又は全てが、安定化される。例えば、4つの水性相又は層を有する本発明の実施形態では、1つ、2つ、3つ又は4つ全てが、安定化され得る。システム、方法又は装置が1つより多くの水性相又は層及び1つ以上の油相又は層を含む一部の実施形態では、油相又は層のうちの1つのみが、安定化される。システム、方法又は装置が1つより多くの油相又は層及び1つ以上の水性相又は層を含む一部の実施形態では、油相又は層のうちの1つより多く又は全てが、安定化される。例えば、4つの油相又は層を有する本発明の実施形態では、1つ、2つ、3つ又は4つ全てが、安定化され得る。
【0014】
装置、システム又は方法が、水性相若しくは層及び/又は複数の油相若しくは層、例えば、1~6つの水性相又は層及び1~6つの油相又は層を含む本発明の別の実施形態では、水性相若しくは層のうちの1~6つ及び/又は油相若しくは層のうちの1~6つが、安定化され得る。
【0015】
一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相又は層は、該少なくとも1つの水性相又は層と関連する親水性多孔性物質によって安定化される。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法は、油相若しくは層又は安定化された油相若しくは層を含まない。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法はまた、気相又は層を含む。一部の実施形態では、気相又は層は、例えば、空気又は不活性な気体を含む。一部の実施形態では、気層は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン又はオガネソンなどを含む。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの油相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された油相若しくは層を含む。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの油相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された油相若しくは層並びに少なくとも1つの気層又は相を含む。一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも2つの安定化された水性相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された水性相を含む装置、システム又は方法は、入れ物又は容器内にある。
【0016】
一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの油相又は層は、該少なくとも1つの油相又は層と関連する疎水性多孔性物質によって安定化される。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法は、水性相若しくは層又は安定化された水性相若しくは層を含まない。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法はまた、気相又は層を含む。一部の実施形態では、気相又は層は、例えば、空気又は不活性な気体を含む。一部の実施形態では、気層は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン又はオガネソンなどを含む。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの水性相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された水性相若しくは層を含む。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの水性相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された水性相若しくは層並びに少なくとも1つの気層又は相を含む。一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも2つの安定化された油相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された油相を含む装置、システム又は方法は、入れ物又は容器内にある。
【0017】
一部の実施形態では、最も少ない1つの水性相若しくは層又は少なくとも1つの油相若しくは層は、多孔性物質を使用して入れ物又は容器内で安定化される。該物質は、該装置又はシステムを通じて望ましい物質の移動を可能にするよう選択される。多孔性物質は、メッシュであってもよい。一部の実施形態では、最も少ない1つの水性相又は層のうちの1つ以上は、少なくとも1つの親水性多孔性物質又はメッシュで安定化される。一部の実施形態では、最も少ない1つの油相又は層のうちの1つ以上は、少なくとも1つの疎水性多孔性物質又はメッシュで安定化される。一実施形態では、多孔性物質並びに/又は疎水性及び/若しくは親水性メッシュは、少なくとも1つの予め決められた孔サイズ、孔サイズのセット又は孔サイズの範囲を有する。一部の実施形態では、水性相又は層及び油相又は層は、容器内で互いに近接して安定化される。
【0018】
一部の実施形態では、該相又は層のうちの1つ以上は、安定化されており、相又は層は、複数の密度及び/又は密度勾配を有する流体を含有する。
【0019】
一部の実施形態では、1つ以上の相又は層は、システムに存在する場合、物質の幾何学的特徴又は親水性/疎水性多孔性物質の密度、界面化学及び多孔度から選択される1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって、システム又は装置内、例えば、容器内で安定化され得る。
【0020】
一部の実施形態では、システム、装置及び方法は、標的をポジショニングするために設計され、使用される。例として、本発明のシステム、装置又は方法を使用して、1つ以上の標的を、本発明のシステム、装置及び方法を使用して、移動、分離、単離、検出、同定、分析、スクリーニング、定量又は精製することができる。本発明のシステム、装置及び方法は、試料中の分析物の単離及び/又は検出のためのシステム、装置及び方法を含む。一部の実施形態では、システム、方法又は装置は、互いに密接して安定化された1つ以上の油及び/又は1つ以上の水性相及び/又は1つ以上の気相を含む。これらのシステム及び装置は、多くの用途を有する。例えば、それらは、試料又は他の混合物から標的又は標的分析物を単離、分離、移動、精製、混合、結合及び/又は続いてその存在又は量を検出するために使用され得る。
【0021】
標的は、いくつも方法で、ポジティブ又はネガティブにポジショニングされ得る。標的は、例えば、標的を単離すること(例えば、検出又は測定のため)によってポジティブにポジショニングされ得る。標的は、例えば、1つ以上又は全ての非標的をポジショニング又は除去することによってネガティブにポジショニングされ得る。
【0022】
一部の実施形態では、例えば、本発明の方法、装置又はシステムを使用して標的又は標的に結合した物質を単離、分離、移動又は結合することによって標的をポジショニングすることは、ポジティブになされ得る。
【0023】
一部の実施形態では、例えば、本発明の方法、装置又はシステムを使用して標的又は標的に結合した物質を単離、分離、移動又は結合することによって標的をポジショニングすることは、ネガティブになされ得る。
【0024】
一部の態様では、1つ以上の層を通じて標的又は分析物を引き寄せるために、磁力、電気力又は加速に基づく力を使用して(例えば、重力を介して若しくは遠心分離機を介して)、標的又は分析物を含有する、含有し得る又は含有することが疑われる若しくは疑われ得る試料又は混合物から、標的又は分析物を移動させ又は精製するために使用され得る1つ以上の安定化された油及び/又は1つ以上の安定化された水性相及び/又は1つ以上の気相を含むシステム及び装置及び方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、システム及び装置は、標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬を含む。定量は、標的に対してポジティブ-ネガティブ、半定量的又は定量的であってもよい。単離は、完全又は部分的であってもよい。標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム又は装置内に含有され得る。
【0025】
一部の実施形態では、本発明のシステム、装置、組成物及び方法は、自律的操作のプロセシング工程を含む。一部の実施形態では、本発明は、層/界面を通じて移動され得る任意の固相(例えば、常磁性粒子)のプロセシング/曝露/修飾を提供する。一態様では、それぞれの工程は、例として常磁性粒子が相、層又は界面を通過するように、精製/分離工程として機能する。他の態様では、常磁性粒子が、例えば、相、層又は界面内にあるとき、他の機能性が生じ得る(例えば、固相の化学的修飾、固相の溶出など)。一部の実施形態では、固相は、標的が付着されている(例えば、直接的又は間接的に関わらず、固定、結合、拘束又は隔離されている)固体支持体である。しかしながら、標的が付着しているものであれば何でも、「固相」として機能し得る。半固体も固相として機能し得る。固相は、常磁性粒子を含む。本発明の相又は層を安定化させるために使用されるメッシュ又は他の多孔性固体支持構造物は、固相であり得る。一部の実施形態では、標的は、固相、例えば、細胞であり得る。他の態様では、それぞれの工程は、精製/分離工程として機能し、例として、試料の非標的要素は、相、層又は界面を通過し、標的(固体、半固体又は固相、例えば、常磁性粒子に付着した)は残り、一方、非標的要素は、離れる。これは、ネガティブセレクションの一例である。
【0026】
一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相は、該1つの油相若しくは層又は少なくとも1つの水性相若しくは層のいずれかの浮力が打ち勝たれ、少なくとも1つの油相と疎水性多孔性物質又は少なくとも1つの水性相と親水性多孔性物質の間の表面張力より小さくなるように、該少なくとも1つの水性相又は層と関連する親水性多孔性物質、該少なくとも1つの油相又は層と関連する疎水性多孔性物質によって、かつ相又は層の界面化学又は表面エネルギーを調節することによって容器内で安定化される。
【0027】
一部の実施形態では、複数の水性相若しくは層及び複数の油相及び/又は気相若しくは層は、システムに存在する。一部の実施形態では、システムは、1つ以上の気相又は層と共に又はなしで、第一の水性相又は層、第二の水性相又は層、第一の油相又は層及び第二の油相又は層を含む。一部の実施形態では、相又は層は、第一及び第二の水性相又は層が、互いに直接接触せず、第一及び第二の油相又は層が、互いに直接接触しないように、容器内で交互にスタックされる。
【0028】
一部の実施形態では、容器は、試料の容器への添加を可能にする上部開口部を備える。一部の実施形態では、水性相は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、油相は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、本発明の装置又はシステムは、上部又は底部のない装置、例えば、本発明のシステムを含有するインサートへの試料の添加を可能にする。相及び/又は層は、このような実施形態で望ましいようにポジショニングされ、試料は、「第一」相若しくは層又は「試料受容」相若しくは層として指定される層又は相に添加され得る。
【0029】
一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相は、溶解バッファーを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相は、洗浄バッファーを含む。
【0030】
一部の実施形態では、システムは、常磁性粒子(PMP)をさらに含む。一部の実施形態では、PMPは、容器内に収容される。PMPは、凍結乾燥される又は液体形態であってもよい。一部の実施形態では、PMPは、少なくとも1つの水性相内に収容される。一部の実施形態では、PMPは、標的又は標的分析物に結合し、「標的結合」PMP(又は他の標的捕獲固相)と称され得る。一部の実施形態では、標的結合PMP又は他の標的結合固相は、標的又は標的分析物に結合し、「標的結合」PMP(又は他の標的捕獲固相)と称され得る。一部の実施形態では、標的結合PMP又は他の標的結合固相は、標的結合剤、例えば、抗体、抗体フラグメント、一本鎖Fvなどとコンジュゲートされ、標的に向けられ、PMP標的化剤として使用される。他の有用な標的結合剤は、オリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的結合オリゴヌクレオチドは、mRNA(例えば、mRNA上のポリAテールに結合するポリdT配列)又はRNA若しくはDNAの特異的配列を標的化する配列を含む。
【0031】
一部の実施形態では、第一の水性相又は層、第二の水性相又は層、第一の油相又は層及び第二の油相又は層を含む、試料から標的分析物を単離するためのシステムが、本明細書に提供される。一部の実施形態では、相又は層は、第一及び第二の水性相又は層が、互いに直接接触しておらず、第一及び第二の油相又は層が、互いに直接接触していないように、容器内で交互にスタックされる。一部の実施形態では、相又は層は、第一の水性相又は層と関連する親水性多孔性物質、第二の水性相又は層と関連する親水性多孔性物質、第一の油相又は層と関連する疎水性多孔性物質及び第二の油相又は層と関連する疎水性多孔性物質によって容器内で安定化される。一部の実施形態では、相又は層は、流体層を支持構造物と関連付ける流体保持力が、それがなければ機能的な層構成又は相の順序を乱し得る他の力(例えば、浮力又は運動量の変化)よりも優位であるように、界面化学を調節することによって容器内でさらに安定化される。
【0032】
一部の実施形態では、容器は、容器への試料の添加を可能にする上部開口部を備える。一部の実施形態では、第一の水性相又は層は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、第一の油相又は層は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、第一の水性相又は層は、溶解バッファーを含む。一部の実施形態では、第二の水性相又は層は、洗浄バッファーを含む。一部の実施形態では、本発明の装置又はシステムは、上部又は底部のない容器又は装置、したがって、例えば、その側面と一体化した底部を含有しない本発明のシステムを含有するインサートへの試料の添加を可能にする。第一及び第二の水性相並びに第一及び第二の油相又は層は、このような実施形態で望ましいようにポジショニングされ、試料は、「第一」相若しくは層又は「試料受容」相若しくは層として指定される層又は相に添加され得る。
【0033】
システムは、常磁性粒子(PMP)をさらに含んでもよい。PMPは、容器内に収容されてもよい。一部の実施形態では、PMPは、凍結乾燥される。一部の実施形態では、PMPは、液体形態である。一部の実施形態では、PMPは、第一の水性相内に収容される。
【0034】
本明細書に記載される実施形態のうちのいずれかでは、システムは、磁石をさらに含んでもよい。容器は、複数ウェルのプレートを含んでもよい。システムは、試料をさらに含んでもよい。試料は、生物学的試料又は下水試料であってもよい。一部の実施形態では、生物学的試料は、鼻咽頭試料、口腔咽頭試料、口腔スワブ試料、口腔スポンジ試料、鼻スワブ試料、中鼻甲介試料又は唾液試料を含む。
【0035】
本明細書に記載されるシステムは、任意の望ましい標的又は物質を単離する方法で使用され得る。一部の実施形態では、標的は、核酸である。一部の実施形態では、標的は、ウイルス核酸である。例えば、標的は、SARS-CoV-2核酸であってもよい。一部の実施形態では、標的は、タンパク質(例えば、ホルモン又は任意の他のタンパク質)、炭水化物、糖脂質、細胞、循環腫瘍細胞などである。一部の実施形態では、例えば、PMP(直接的又は間接的のいずれかで付着する)であってもよい、本明細書に記載される「固相」に結合し得る任意の物質は、本発明のシステム、装置、組成物及び方法のうちの1つ以上における標的であり得る。
【0036】
標的の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム又は装置の1つ以上の一部又は部分に含有されてもよい。一部の実施形態では、標的の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム又は装置の1つ以上の水性相若しくは層及び/又は油相若しくは層に含有され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステム及び装置は、容器の基相若しくは層又は底部表面に収容された標的を検出するための試薬をさらに含む。一部の実施形態では、標的の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム又は装置の下相、層又は階層であるが、基層より上に含有される。一部の実施形態では、標的の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬の1つ以上又は全ては、システム若しくは装置の終結相、層若しくは階層若しくは末端相、層若しくは階層(垂直方向若しくは緯度方向の実施形態において)、又は継ぎ目、接合点若しくは接合部(非垂直方向若しくは非緯度方向の実施形態では水平方向若しくは経度方向若しくは他の相/層方向の)に含有される。
【0037】
標的を検出するための試薬は、ループ介在等温増幅(LAMP)又は逆転写酵素ループ介在等温増幅(RT-LAMP)アッセイのための試薬を含み得る。一部の実施形態では、LAMP又はRT-LAMPアッセイは、比色分析アッセイ又は蛍光アッセイである。他の実施形態では、標的を検出するための試薬は、PCR、RT-PCR、qPCR、qtPCR、マルチプレックスPCR、アセンブリーPCR又は非対称PCRなどのための試薬を含む。他の実施形態では、標的を検出するための試薬は、イムノアッセイのための試薬を含み、それは、標的又は標的分析物を検出する又は測定するために抗体及び/又は抗体フラグメントを使用し得る。一部の実施形態では、イムノアッセイは、酵素イムノアッセイ、ELISA(直接ELISA、間接ELISA、サンドイッチELISA及び競合的ELISAを含む、酵素結合免疫吸着測定法)、IEMA(酵素免疫測定法)、ラジオイムノアッセイ、蛍光免疫測定、化学発光イムノアッセイ(CLIA)並びに計数イムノアッセイ(CIA)である。PCR反応液を収容する容器は、例えば、装置の底部の単純なカップ形状であり得る、又は一部の実施形態では、反応液を収容する容器の幾何学的特徴は、熱サイクリングがより効率的であるような形状であり得る。例えば、一部の実施形態では、反応液を収容する容器は、熱のより迅速な伝達を促進する(すなわち、反応の温度サイクルを促進するために温度が伝導されなければならない距離を低減する)ために高いアスペクト比を有することができる。一部の実施形態では、反応液を収容する容器は、マイクロ流体チャンネルを含む、該チャンネルから本質的になる又は該チャンネルからなる。一部の実施形態では、反応液を収容する容器は、装置の残りの部分と異なる物質で作られる。一部の実施形態では、反応液を収容する容器は、その中に統合された加熱要素を有する。
【0038】
本発明の装置、システム、方法及び組成物は、生体分子、タンパク質、ホルモン、核酸、薬物などを含む、任意の分子標的を試験する又はアッセイするのに使用することができる。一部の実施形態では、本発明の装置、システム、方法及び組成物は、本明細書に記載されるもの又は本明細書に言及されるものを含むが、これらに限定されない、標的を移動、分離、単離、精製、同定、検出及び/又は定量するために使用される。
【0039】
一部の実施形態では、本発明は、試料適用空間、カートリッジ上部、カートリッジ底部、標的の検出又は定量のための試薬及びエンクロージャを含む、試料中の標的の存在又は量を決定するためのフロースルーアッセイを含む使い捨てのカートリッジにおいて、エンクロージャと共に又はエンクロージャ内で、標的結合常磁性粒子(又は他の標的結合担体物質)、水性相/層又は気相/層若しくは油相/層又は両方と関連する多孔性(例えば、標的透過性)構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの気相若しくは層又は油相若しくは層、並びに任意選択的に磁石を利用することを含むことを特徴とする、使い捨てのカートリッジを提供する。他の相及び/又は代わりの相が、使用される又は含まれてもよい(例えば、水性相又は層を伴う又は伴わない2つの油相)。
【0040】
一部の実施形態では、本発明は、試料適用部分、コンジュゲート部分、試験部分、及びフローアッセイ装置又はカートリッジの異なる部分中の予め固定化された試薬を含むフローアッセイ(例えば、ラテラルフロー、バーティカルフロー)装置又はカートリッジにおいて、標的結合常磁性粒子(又は他の標的結合担体物質)、水性相又は気相若しくは油相又は両方と関連する多孔性(例えば、標的透過性)構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの気相若しくは層又は油相若しくは層、並びに磁石を利用することを含むことを特徴とする、フローアッセイ装置又カートリッジを提供する。他の相及び/又は代わりの相が、使用される又は含まれてもよい(例えば、水性相又は層を伴う又は伴わない2つの油相)。一部の実施形態では、改善されたフロー装置は、使い捨てのポイントオブケアカートリッジ又は装置として使用するよう設計され及び/又は構成される。
【0041】
一部の実施形態では、本発明は、試料中の標的物質の存在、濃度又は量を決定するための免疫測定免疫測定アッセイであって、第一の標識された結合剤、当該標的物質、及び固体担体に結合している第二の結合剤の三元複合体を形成することを含み、試料中の物質の存在又は量は、固体担体に結合した標識された結合剤の量又は反応していない標識された結合剤の量のいずれかを測定することによって決定される、免疫測定アッセイにおいて、標的結合固相粒子(又は他の標的結合担体物質)、水性相若しくは層又は気相若しくは層若しくは油相若しくは層又は両方と関連する多孔性構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの気相若しくは層又は油相若しくは層を利用することを含むことを特徴とする、免疫測定アッセイを提供する。他の相及び/又は代わりの相が、使用される又は含まれてもよい(例えば、水性相又は層を伴う又は伴わない2つの油相)。一部の実施形態では、固相は、常磁性粒子であり、改善されたアッセイは、磁石を含む又は使用する。一部の実施形態では、結合剤のうちの1つ以上は、抗体、抗体フラグメント、オリゴヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、ペプチドミメティック、天然若しくは化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド又は標的の捕獲を助ける他の適当な剤である。一部の実施形態では、免疫測定アッセイは、単一の容器に収容される。
【0042】
一部の実施形態では、本発明は、核酸配列の増幅及び配列の検出を含む、試料中の標的物質の存在又は量を決定するための核酸増幅試験において、標的結合常磁性粒子(又は他の標的結合担体物質)、水性相若しくは層又は気相若しくは層若しくは油相若しくは層又は両方と関連する多孔性構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの気相若しくは層又は油相若しくは層、並びに任意選択的に磁石を利用することを含むことを特徴とする、核酸増幅試験を提供する。一部の実施形態では、核酸増幅試験は、PCR又はRT-PCRである。一部の実施形態では、核酸増幅試験は、等温である。一部の実施形態では、等温核酸増幅試験は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ニッキングエンドヌクレアーゼ増幅反応(NEAR)、転写介在増幅(TMA)、ループ介在等温増幅(LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)又は鎖置換増幅(SDA)である。一部の実施形態では、この核酸増幅試験は、単一の容器に収容される。
【0043】
標的又は標的分析物の検出又は測定のためのアッセイの1つ以上の工程を行うのに有用な本発明の一部の実施形態では、装置又はシステムの相又は層のうちの1つ以上は、いくつかの異なるバッファーのうちの1つ以上を含み得る。一部の実施形態では、1つ以上の相又は層は、コーティングバッファー、ブロッキングバッファー、安定化バッファー、洗浄バッファーを含む又は試料希釈剤として作用する若しくは含む。一部の実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、検出シグナルを生成するために使用される。一部の実施形態では、本発明の装置、システム又は方法を使用して行われるアッセイは、磁力で発動されるイムノアッセイを含み、ここで、標的又は標的分析物の移動又はポジショニングは、磁性粒子を使用した磁気分離を使用して達成される。一部の実施形態では、これらの実施形態で使用される粒子は、抗体又は抗体フラグメントの付着によって化学的に修飾されるマグネタイトの中心から作製される。一部の実施形態では、アッセイのうちの1つ以上又は全ての要素は、標的又は標的分析物を単離する又は精製するために使用される。
【0044】
一部の態様では、試料から標的を単離する方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムに試料を添加すること及びシステムに磁力を適用することを含む、試料から標的を単離する方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、試料は、システムに磁力を適用する前に、常磁性粒子と接触される。一部の実施形態では、PMPは、システムに生物学的試料を添加する前に、生物学的試料と接触される。常磁性粒子と試料を接触させることは、1つ以上の標的とPMPの複合体を生じ、システムに磁力を適用することは、容器の底部表面に向かってシステム内の相を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せる。
【0045】
一部の実施形態では、方法は、生物学的試料中の標的を検出することをさらに含む。一部の実施形態では、システムは、容器の底部表面に収容された標的の検出のための試薬をさらに含み、標的を検出することは、複数の多孔性物質を通じて、標的の検出のための試薬に標的とPMPの複合体を引き寄せることを含む。一部の実施形態では、試薬は、ループ介在等温増幅(LAMP)又は逆転写酵素ループ介在等温増幅(RT-LAMP)アッセイのための試薬を含む。一部の実施形態では、標的を検出することは、LAMP又はRT-LAMPアッセイ中に生成されるシグナルを検出することを含む。一部の実施形態では、LAMP又はRT-LAMPアッセイは、比色分析アッセイ又は蛍光アッセイである。
【0046】
一部の実施形態では、試料は、生物学的試料又は下水試料である。例えば、生物学的試料は、鼻咽頭試料、口腔咽頭試料、口腔スワブ試料、口腔スポンジ試料、鼻スワブ試料、中鼻甲介試料又は唾液試料であり得る。他の実施形態では、試料は、血液、脳脊髄液、尿、組織、生検組織などである。対象の標的を含有する又は含有することが疑われる任意のタイプの試料が、本発明のシステム及び方法において使用することが企図される。一部の実施形態では、生物学的試料は、感染症を有することが疑われる対象から得られる。一部の実施形態では、対象は、ウイルス感染症を有することが疑われる。例えば、対象は、ウイルス上気道感染症を有することが疑われ得る。一部の実施形態では、対象は、SARS-CoV2、SARS、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス又は呼吸器多核体ウイルスなどの感染症を有することが疑われる。一部の実施形態では、標的は、ウイルス核酸を含む。例えば、標的は、SARS-CoV-2核酸を含み得る。
【0047】
一部の実施形態では、本発明は、安定化された界面システムを提供する。一部の実施形態では、安定化された界面システムは、(a)少なくとも2つの流体、(b)少なくとも1つの孔を有する少なくとも1つの関連する構造物質及び(c)当該関連する構造物質で安定化された少なくとも1つの流体相、層又は界面を含む。
【0048】
一部の実施形態では、本発明は、当該流体相、層又は界面と関連し、当該流体相、層又は界面を好む、標的透過性構造物質によって安定化された流体相、層又は界面を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、構造物質は、1つ以上の標的の通過を可能にするように選択される。一部の実施形態では、構造物質は、1つ以上の標的の移動又はポジショニングを可能にするように選択される。一部の実施形態では、本発明は、標的を移動させるか、ポジショニングするために使用される安定化された界面システムを提供する。
【0049】
一部の実施形態では、本発明は、標的をポジショニングするためのシステム又は装置において流体相、層又は界面を安定化させる方法であって、当該流体相、層又は界面と標的透過性安定化構造物を関連付けることを含む、方法を提供する。
【0050】
一部の実施形態では、本発明は、混和性界面システム、方法及び関連する組成物を提供する。一部の実施形態では、混和性界面システムは、相又は層内に異なる特性を有する2つ以上の流体領域を含む組成物を含み、流体領域は、拡散による流体構成要素の物質輸送がバルク流体運動より勝ることを可能にする少なくとも1つの孔を有する固体又は半固体構造物又は物質を使用して互いに対して安定化される。
【0051】
一部の実施形態では、混和性界面システム組成物は、相又は層内に異なる特性を有する2つ以上の流体領域を含み、流体領域は、1つ以上の孔を有する固体又は半固体構造物又は物質を使用して互いに対して安定化され、安定化は、拡散による流体構成要素の物質輸送がバルク流体運動より勝ることを可能にする。
【0052】
混和性界面システム、方法及び関連する組成物の一部の実施形態では、構造物質は、1つ以上の標的の通過を許可するように選択される。一部の実施形態では、構造物質は、1つ以上の標的の移動又はポジショニングを許可するように選択される。一部の実施形態では、本発明は、標的をより多く又はポジショニングするために使用される混和性界面システムを提供する。
【0053】
一部の実施形態では、例えば、安定化された界面システム及び/又は混和性界面システム及び/又は関連する組成物を使用したポジショニングは、積極的なポジショニング(例えば、磁力、回転力、加速力、補助重力などを含む、外力を使用した)を使用して達成することができる。一部の実施形態では、ポジショニングは、消極的であり、外力を使用することなく(例えば、拡散、単純重力、浸透などによる)行われ得る。
【0054】
一部の実施形態では、試料は、父系を決定するために使用される試料である。一部の実施形態では、試料は、出生前又は出生後スクリーニングにおいて使用するためのものである。
【0055】
一部の実施形態では、本発明のシステム又は装置は、ブルートゥース対応可能である又は別の通信機能(例えば、WiFi、NFCなど)で対応可能である。一部の実施形態では、システム若しくは装置結果又は本明細書に記載される方法からの結果は、ブルートゥース又は他の通信機能を介して別の装置(例えば、電話、タブレット、CPU、コンピュータなど)に送信される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本明細書に記載されるシステムの一実施形態を示す。システムは、容器の底部表面に収容された標的のLAMPベースの検出のための試薬を含む。システムは、複数の(2)多孔性物質を含む。システムは、溶解バッファー及び洗浄バッファーを含む。図に示す通り、システムは、上部から底部に以下の順序、(1)やし油、(2)溶解バッファー(関連するガラスメッシュを有する)、(3)やし油(関連する多孔性(「ポレックス」)物質を有する)、(4)洗浄バッファー(関連するガラスメッシュを有する)、(5)やし油(関連する多孔性(「ポレックス」)物質を有する)、(6)LAMP反応のための試薬(関連のガラスメッシュを有する)で、層で構成される。それぞれの多孔性物質は、親水性ガラスメッシュであってもよい。あるいは、一方の多孔性物質が、ガラスメッシュであってもよく、他方の多孔性物質が、合成疎水性ポリマーメッシュであってもよい。生物学的試料は、PMPと混合され、その後容器に添加され得る。磁石は、容器の底部に適用され、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触される。容器を適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い、その後、得られたシグナルを測定し得る。この実施形態では、得られたシグナルは、比色分析のものである。一部の実施形態では、PMPは、標的結合剤、例えば、抗体、抗体フラグメント、一本鎖Fvなどとコンジュゲートされ、標的に向けられ、PMP標的化剤として使用される。本発明の実施形態は、望ましい数だけ相又は層を含むことができ、それぞれの相又は層は、相又は層を好むそれらの構造物質を含む、関連する構造物質(例えば、望ましい多孔度を有する物質を含む)を有する又は有さない。
【
図2A】
図2Aは、本明細書に記載されるシステムの一実施形態の側面図を示す。容器は、複数ウェルのプレートを備える。1つのウェルは、油(黄色)と関連するスタックされた多孔性物質を含有する。図中、多孔性物質は、「ポレックス」と本明細書で称される、合成疎水性ポリプロピレンポリマーメッシュ及び親水性ガラスメッシュである。システムは、7つのメッシュ物質を含有する。上部から底部で、層は、以下、(1)溶解バッファー(青色の水性層)(親水性ガラスメッシュによって安定化される)、(2)ポレックス(油相を安定化する)、(3)洗浄バッファー(赤色の水性層)(ガラスメッシュによって安定化される)、(4)「ポレックス」、(5)洗浄バッファー(青色の水性層)(親水性ガラスメッシュによって安定化される)、(6)「ポレックス」及び(7)LAMP試薬(赤色の水性層)(親水性ガラスメッシュによって安定化される)である。
【
図2B】
図2Bは、常磁性粒子の適用及び磁気プルダウン後の、
図1に記載されるシステムの底面図及び上面図を示す。示されるシステムのうちの3つ全ては、油(黄色)及びウェルの底部のガラスメッシュを含有する。(1)油と関連する合成ポリプロピレンポリマーメッシュ(「ポレックスパッド」として言及される)、(2)多孔性物質なし(例えば、水性又は油層のみ;「+対照」)並びにガラスメッシュ及び合成ポリプロピレンポリマーメッシュ(「ガラスメッシュ+ポレックスパッド」)を含む3つのシステムの比較が示される。図に示す通り、合成ポリプロピレンポリマーメッシュ(例えば、「ポレックス」パッド)とポレックスパッドとガラスメッシュの組み合わせの両方が、ビーズが、多孔性物質を通過することを可能にする。「+対照」条件は、100%のビーズ透過率がどのように見えるかを示す。
【
図3】小さな穴がガラスメッシュ物質に生成されたときの、磁気ビーズプルダウン後の底面図及び上面図を示す。1mmの穴により、プルダウンが有意に速く、ビーズのかたまりが大きくなった。0.5mmの穴により、プルダウンが速くなった。
【
図4】本明細書に記載されるシステムの別の実施形態を示す。
図1のように、システムは、最終又は末端層、例えば、容器の底面表面上又は底面表面に向かう若しくは底面表面の層に収容された標的のLAMPベースの検出のための試薬を含む。この特定の実施形態では、システムは、容器の底部にLAMP試薬を保持し、多孔性物質が上に載るためのフィルム表面をもたらすためのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)O-リングを備える。この実施形態では、多孔性物質は、疎水性であるポリプロピレン(PP)メッシュを含む。システムは、複数の多孔性物質を備える。この例では、2つの多孔性物質が示される(例えば、2つの層)。それぞれの多孔性物質は、PPメッシュなどを含む、PPメッシュから本質的になる又はPPメッシュからなり得る。あるいは、例えば、一方の物質は、PPメッシュ(疎水性)を含み得、他方の物質は、ガラスメッシュ(親水性)を含み得る。本実施形態でのシステムはまた、溶解バッファー及び洗浄バッファーを備える。図に示す通り、システムは、上部から底部に以下の順序、(1)鉱油、(2)溶解バッファー(親水性ガラスメッシュ/布)、(3)多孔性物質(疎水性PPメッシュ)、(4)洗浄バッファー(親水性ガラスメッシュ)、(5)多孔性物質(疎水性PPメッシュ)、(6)PTFEO-リング及びLAMP又は他の反応のための試薬で、層で構成される。生物学的試料は、標的が結合するPMPと混合され、その後容器に添加される。磁石は、容器の底部に適用され、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、例えば、LAMP試薬と接触される。容器を適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い、その後、得られたシグナルを測定し得る。この実施形態では、得られたシグナルは、比色分析のものである。
【
図5】容器の底部表面にLAMP試薬を保持しているPTFE O-リングを含有する、
図4に記載されるシステムの画像を示す。図に示す通り、「+PPメッシュ+ガラスメッシュ」と標識されたシステムは、上部から底部に以下の順序、(1)ポリプロピレンメッシュを有する鉱油、(2)ガラスメッシュを有する水、(3)ポリプロピレンメッシュを有する鉱油、(4)LAMP試薬を保持しているPTFE O-リングで、層で構成される。図に示す通り、「+PPメッシュ」と標識されたシステムは、上部から底部に以下の順序、(1)ポリプロピレンメッシュを有する鉱油、(2)LAMP試薬を保持しているPTFE O-リングで、層で構成される。図に示す通り、「対照」と標識されたシステムは、上部から底部に以下の順序、(1)LAMP試薬を保持しているPTFE O-リングで、層で構成される。ビーズプルダウン後の画像が示され、これは、標的とPMPの複合体が、O-リングの中心にプルダウンされ、これにより、LAMP試薬と接触することを示している。LAMP試薬が位置する場所を示す赤色が示される。
【
図6】本発明のシステムの別の実施形態を示す。この実施形態では、システムは、容器の底部にLAMP試薬を保持するための特注のグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)インサートを備える。システムは、複数の多孔性物質を含む。この例では、2つの多孔性物質が示される(例えば、2つの層)。それぞれの多孔性物質は、例えば、PPメッシュを含み得る。あるいは、一方の物質は、PPメッシュを含み得、他方の物質は、ナイロンメッシュを含み得る。システムは、溶解バッファー及び洗浄バッファーを含む。図に示す通り、システムは、上部から底部に以下の順序で、(1)鉱油、(2)水性溶解バッファー(親水性ナイロンメッシュによって安定化される)、(3)鉱油と関連する多孔性物質(例えば、PPメッシュ)、(4)水性洗浄バッファー(ナイロンメッシュによって安定化される)、(5)鉱油と関連する多孔性物質(例えば、PPメッシュ)及び(6)PETGインサート内に保持されるLAMP反応のための試薬で、層で構成される。試料、例えば、生物学的試料は、標的が、試料中に存在する場合、結合するPMPと混合され、その後容器に添加される。磁石は、容器の底部に適用され、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触される。容器を適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い、その後得られたシグナルを測定して、存在する場合、標的の量の存在を決定してもよい。この実施形態では、標的が存在し、得られたシグナルは、比色分析のものである。
【
図7】本明細書に記載されるシステムの実施形態を使用した、磁気ビーズプルダウン後の比色分析LAMPアッセイの結果を示す。生物学的試料は、PMPと混合され、システムに添加された(「ビーズ由来のテンプレート」として言及される)。データは、対照及び対照プラスPETGインサートと比較される。示される通り、システムにより、十分な標的とPMPの複合体のプルダウン(ウェル中で茶色のスポットとして目に見える)及び標的の首尾良い比色分析LAMPベースの検出が可能になった。
【
図8】SARS-CoV-2についてのプライマーを使用して検出限界(LOD)を決定するための比色分析LAMPアッセイの結果を示す。
【
図9】唾液試料由来の首尾良い標的とPMPの複合体を示す画像を示す。システムは、PETGインサートを備えていた。多孔性物質は、ポリプロピレン及びナイロンメッシュを含んでいた。唾液試料は希釈され、溶解バッファーは、試料に直接添加された。試料は、55℃まで15分間加熱され、続いて98℃まで3分間加熱された。試料は、室温まで冷却され、PMPと混合され、容器に添加された(例えば、多孔性物質及び洗浄バッファーを含有する複数ウェルのプレートのウェルに添加された)。磁石を容器の底部に適用して、精製層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せた。
【
図10】本明細書に記載され、請求される本発明のシステム及び方法の一実施形態の概要を示す図式である。容器の底部表面に収容された望ましい標的のLAMPベースの検出のための試薬を含有する容器が、調製され得る。試薬は、インサート(例えば、PETGインサート)又はO-リングを含む、適当な手段によって底部表面に固定され得る。システムは、容器内に洗浄バッファー及びスタックされた複数の多孔性物質を備える。システムは、上部から底部に、(1)鉱油と関連するポリプロピレンメッシュ、(2)ナイロンメッシュと関連する洗浄バッファー、(3)鉱油と関連するポリプロピレンメッシュ、(4)ナイロンメッシュと関連する洗浄バッファー、(5)鉱油と関連するポリプロピレンメッシュ及び(6)LAMP試薬を有するPETGインサートを備える。容器は、複数ウェルのプレートに予めパッケージングされてもよく、プレートのそれぞれのウェルは、単一容器の内容物を含有する。この複数ウェルのプレートは、キットにパッケージングされ得る。システムは、磁石をさらに備える。この場合、磁石は、アレイ内のそれぞれの磁石が、複数ウェルのプレート中の単一のウェルと整合するようなアレイである。生物学的試料は、溶解され、常磁性粒子と混合され、複数ウェルのプレートに添加され、磁気アレイは、プレートの底部に近接した適当な位置に配置されて、精製層を通じて(例えば、多孔性物質及び洗浄バッファーを通じて)標的とPMPの複合体が引き寄せられ、LAMP試薬と接触される。プレートは、65℃でインキュベートされ、シグナル(例えば、比色分析、蛍光などのシグナル)が測定される。
【
図11A】分析物の単離及び検出のための本発明のシステムの実施形態を示す。
図11Aは、水性相(i)中の常磁性粒子を示す。システム下での磁力の適用は、油相(ii、iii及びiv)からシステムの底部表面に向かって常磁性粒子(例えば、標的とPMPの複合体)を引っ張り出す。
図11Bは、システムを保持している容器を示す。容器の底部表面は、分析物の検出のための試薬を含有する(赤色で示される)。水性及び油相は、浮力及び流体保持力(例えば、湿潤、表面張力、毛細管現象)を含む力によって安定化される。
図11Cは、本明細書に記載され、請求される本発明のシステムの実施形態を使用した、分析物を単離し、検出するための例示的なプロセスを示す。
【
図11B】分析物の単離及び検出のための本発明のシステムの実施形態を示す。
図11Aは、水性相(i)中の常磁性粒子を示す。システム下での磁力の適用は、油相(ii、iii及びiv)からシステムの底部表面に向かって常磁性粒子(例えば、標的とPMPの複合体)を引っ張り出す。
図11Bは、システムを保持している容器を示す。容器の底部表面は、分析物の検出のための試薬を含有する(赤色で示される)。水性及び油相は、浮力及び流体保持力(例えば、湿潤、表面張力、毛細管現象)を含む力によって安定化される。
図11Cは、本明細書に記載され、請求される本発明のシステムの実施形態を使用した、分析物を単離し、検出するための例示的なプロセスを示す。
【
図11C】分析物の単離及び検出のための本発明のシステムの実施形態を示す。
図11Aは、水性相(i)中の常磁性粒子を示す。システム下での磁力の適用は、油相(ii、iii及びiv)からシステムの底部表面に向かって常磁性粒子(例えば、標的とPMPの複合体)を引っ張り出す。
図11Bは、システムを保持している容器を示す。容器の底部表面は、分析物の検出のための試薬を含有する(赤色で示される)。水性及び油相は、浮力及び流体保持力(例えば、湿潤、表面張力、毛細管現象)を含む力によって安定化される。
図11Cは、本明細書に記載され、請求される本発明のシステムの実施形態を使用した、分析物を単離し、検出するための例示的なプロセスを示す。
【
図12】本明細書に記載される単回使用システムである、ポイントオブケア(POC)の図を示す。この実施形態は、容器の底部表面に収容されたLAMPベースの(又はRT-LAMP)検出のための試薬を含む。この実施形態では、容器の底部表面は、LAMPベースの検出のための試薬で満たすことができる複数のウェルに容器の底部分を分割する隔壁を含み、これにより、標的の異なる部分、すなわち、空間的に分けられた多重についてアッセイする。この実施形態では、上部から底部に、システムは、PMPを有する溶解/結合バッファー(「抽出バッファー+PMP」)、ポリプロピレンメッシュを有する固化ワックス及びLAMP試薬を含む。この実施形態では、試料は、標的又は疑わしいものを含有する、生物学的試料であり、唾液である。この実施形態では、試料は、PMPを含有する溶解/結合バッファーに添加され、混合される。ワックスの溶融温度より上に加熱し、容器の底部へ磁場を適用する際、ワックスが溶融し、これにより、標的PMPが引き下ろされて、複数のLAMP試薬と接触することが可能になる。容器を適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイが行われ得る。
【
図13】本明細書に記載されるシステムの一実施形態の写真(左)及び切断図(右)を示す。単回使用システムであるポイントオブケア(POC)のこの実施形態は、容器の底部表面に収容されたLAMPベースの(又はRT-LAMP)(緑色)検出のための試薬を含む。システムは、溶融可能なワックス層(黄色)及び複数の多孔性ポリプロピレン物質(「メッシュ」)(灰色)を含む。システムは、PMPを有する溶解/結合バッファー(「PMP/試料混合物」)を含む。図に示す通り、システムは、上部から底部に以下の順序、PMPを有する溶解/結合バッファー、多孔性物質、LAMP反応のための試薬で、層で構成される。それぞれの多孔性物質は、ポリプロピレンメッシュなどであり得る。あるいは、一方の多孔性物質は、ナイロンメッシュであり得、他方の多孔性物質は、合成疎水性ポリマーメッシュなどであり得る。試料、例えば、生物学的試料は、容器に添加され得る。磁石は、容器の底部に適用され、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触させる。容器を適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い得る。
【
図14】本明細書に記載されるシステムの別の実施形態を示す。
図13と同様に、POCの一実施形態であるこの実施形態では、単回使用のシステムは、試料の取得からLAMP再構成までの対応するワークフローと共に示される。この実施形態では、凍結乾燥されるLAMP(又はRT-LAMP)は、ビーズ形態又は容器の底部表面に分配されているかのいずれかで、容器の底部表面に収容される。システムは、溶融可能なワックス層(黄色)、LAMP再構成バッファー、複数の多孔性ポリプロピレン物質(「メッシュ」)(灰色)及びPMPを有する溶解/結合バッファー(「PMP/試料混合物」)を含む。一部の実施形態では、PMP及び溶解/結合バッファーの塩成分は、溶融可能なワックス層に凍結され、試料再構成バッファーは、ワックスの溶融の際、再構成バッファー、塩成分及びPMPが合わさるような装置に別々に収容される。一部の実施形態では、穿刺可能な膜膜が、容器の上部に貼り付けられる。ワークフローのこの実施形態では、生物学的試料(例えば、唾液、痰、尿、血液など)は、別々のチューブに採取される。次いで、チューブ及び容器(LAMP試薬及び複数の多孔性物質を収容している)は一緒に取り付けられ、溶解/結合バッファー(「試料バッファー」)及びPMPが、生物学的試料と混ざるのを可能にする穿刺可能な膜膜を穿刺する。システムの反転及びワックスの溶融温度より上でのシステムの加熱の際、LAMP混合物及びLAMP再構成バッファーが混ざる。
【
図15】本明細書に記載され、請求される本発明のシステム及び方法の一実施形態の概要を示す図式である。この実施形態では、システムは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、生物学的試料(例えば、唾液、痰、尿、血液、細胞培養培地など)中の標的を検出するための試薬を含有する。システムは、上部から底部に、ナイロン多孔性物質を有する抗体コンジュゲートPMPから部分的になる一次抗体結合バッファー、ポリプロピレン多孔性物質を有する鉱油、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)にコンジュゲートした二次抗体を含む二次コンジュゲート抗体結合バッファー(又はバッファー)、ポリプロピレン多孔性物質を有する固化ワックス層及び酵素基質(例えば、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を含有する基質溶液を含む。この実施形態では、生物学的試料は、システムの上部に添加され、一次抗体結合バッファーと混合され、これにより、標的が一次抗体に結合するのが可能になる。磁場は、容器の底部に適用され、これにより、標的とPMPの複合体が、鉱油層を通じて二次コンジュゲート抗体結合バッファーに引っ張り出される。温度が、二次コンジュゲート抗体結合バッファーの凍結温度より上かつワックス層の溶融温度より下である場合、標的とPMPの複合体は、温度が、ワックス溶融温度より上に上昇するまで、二次コンジュゲート抗体結合バッファーにとどまる。この層でのインキュベーションにより、二次コンジュゲート抗体が、標的とPMPの複合体と結合するのが可能になる。この実施形態では、温度が、ワックスの融点より上に上昇するとき、コンジュゲート二次抗体-標的とPMPの複合体は、基質溶液に引っ張り出される。基質溶液に入ると、コンジュゲート二次抗体-標的とPMPの複合体は、基質上での酵素反応を触媒することができ、これにより、標的の検出が可能になる。
【
図16】本明細書に記載され、請求される本発明のシステム及び方法の一実施形態の概要を示す図式である。この実施形態では、システムは、生物学的試料(例えば、唾液、痰、尿、血液、細胞培養培地など)中の細胞ベースの標的(例えば、循環腫瘍細胞(CTC)、好中球、T細胞、間葉系幹細胞など)を単離し、検出するための試薬を含有する。この実施形態では、細胞ベースの標的は、CTCである。システムは、上部から底部に、ナイロン多孔性物質を有する抗体-コンジュゲートPMPから部分的になるCTC結合バッファー、ポリプロピレン多孔性物質を有する鉱油、フルオロフォア(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)など)にコンジュゲートした抗体から部分的になる蛍光抗体結合バッファー、ポリプロピレン多孔性物質を有する固化ワックス層及び水溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水など)を含む。この実施形態では、標的細胞を含有する生物学的試料は、システムの上部に添加され、CTC結合バッファーと混合され、標的細胞が、抗体-PMPに結合することを可能にする。磁場は、容器の底部に適用され、これにより、標的とPMPの複合体が、鉱油層を通じて、蛍光抗体結合バッファーに引っ張り出される。温度が、蛍光抗体結合バッファーの凍結温度より上かつワックス層の溶融温度より下である場合、標的とPMPの複合体は、温度が、ワックス溶融温度より上に上昇するまで、蛍光抗体結合バッファーにとどまる。この層でのインキュベーションにより、蛍光抗体が、標的とPMPの複合体に結合することが可能になる。この実施形態では、温度が、ワックスの融点より上に上昇するとき、蛍光抗体-標的とPMPの複合体は、水中に引っ張り出される。水溶液に入ると、標的細胞は、蛍光顕微鏡を使用してカウントすることができる。
【
図17】チューブ中の相及び層並びにメッシュ安定化界面を示す。
図17aは、試験管内に含有される、安定化されていない水相又は層(青色)より上の、「メッシュ安定化界面」として描かれた油安定化相又は層(黄色)を示す。油より高密度の流体である第二の水性流体(「水(赤色に染色される)」)(赤色)が、システムに添加されるとき、油相及び「赤色の」水相は、反転するが、安定化油層の存在のため、底部の水層とは混ざらない。一部の実施形態では、別の安定化油層は、
図17aのシステムに添加することができ、これにより、
図17bに描かれるもののように、2つの油層間に試験管内の大量の油が閉じ込められる。
【
図18】本明細書に記載されるシステムの実施形態を示す。システムは、多孔性構造物質と近接した、電荷結合素子(CCD)又は他の光学検出器を備えた密封容器内に安定化疎水性層(黄色)を含む。疎水性流体に浸漬された多孔性構造物質は、規則的に配列された円形の孔を有する。システム内の疎水性流体の体積を調節することによって、光レンズの複雑なセットを形成することができる。システム内の疎水性流体の体積に応じて、光の倍率を増加させる又は減少させることができる。
【
図19】単一及び複数の安定化水性相若しくは層又は油相若しくは層を含む、異なるSIFT配置の実施形態の例を示す。これらの図は、単一の断面として示され、言い換えると、断面は、ページ内外の寸法で一定のままである必要はない。断面要素のねじれ若しくは曲がり、例えば、又は断面要素の位置若しくは寸法の変更は、異なる断面位置で生じ得る。
【
図20】不飽和、飽和及び過飽和である好ましい流体の体積に浸漬された流体を好む多孔性構造物質を示す。好ましい流体の体積が、物質全体を通じて物質と関連するのに不十分である場合、それは、不飽和である体積とみなされる。不飽和の場合、好ましい流体は、典型的には、多孔性構造物質によって支持されたままであるが、好ましくない流体は、多孔性支持構造内の残りの空間を潜在的に満たすことができる。好ましい流体が、物質全体を通じて物質と関連することができる場合、好ましい流体の体積は、飽和とみなされる。飽和体積を超える好ましい流体の体積は、過飽和体積とみなされ、多孔性構造物質によって完全に含有されず及び/又は支持されない流体をもたらす。多孔性構造物質の上又は下の好ましい流体の領域は、概して、好ましい流体の支持体積より安定せず、対流又は乱流力又はバルク混合に供される。
【発明を実施するための形態】
【0057】
定義
本明細書で使用される場合、「容器」という用語は、本発明のシステムを保持する能力がある任意の装置、受器又は入れ物を意味し、本発明の方法が行われ得る任意の装置、受器又は入れ物を含む。一部の実施形態では、容器は、シリンダーである。一部の実施形態では、容器は、携帯可能である。入れ物及び容器は、例えば、記載されるシステムを保持する能力がある、任意の入れ物、容器、受器、ホルダー、キャリア、カートリッジ、ボトル、プレート(複数可)、ウェル(複数可)又は保存装置を含む。一部の実施形態では、外部ラベルの一部又は全てを不要にするために、入れ物は、ラベル又は製造時に浮き出し文字が刻まれた射出成型容器である。一部の実施形態では、容器は、使い捨て又は単回使用の容器である。入れ物及び容器は、外部又は内蔵又は追加された内部手段によって、冷却若しくは加熱される又は冷却若しくは加熱される能力があってもよい。入れ物及び容器は、製造、保存及び輸送中の、本発明の1つ以上の相及び層を含む、流体の安定性及び維持をもたらし得る。入れ物及び容器は、本発明のシステム及び方法の使用中の、流体の移動をもたらし得る。本発明のシステムを収容することができる又は本発明の方法を行うために使用することができる入れ物及び容器は、24ウェルのPCRプレート、96ウェルのプレート及び384ウェルのプレート並びに他のプレートフォーマットを含む、反応プレート及びマイクロタイタープレートを含む。入れ物及び容器は、電気的、光学的、機械的及び液体界面並びに検出及び定量試薬の使用を含む、有用性をもたらし得る。一部の実施形態では、容器は、試料の容器への添加を許可するための上部開口部を備える。一部の実施形態では、第一の水性相は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、第一の油相は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、第一の水性相は、溶解バッファーを含む。一部の実施形態では、第二の水性相は、洗浄バッファーを含む。本発明のシステム又は装置の一部の実施形態では、システムを含有する容器又は構築物は、一体型の底を有さない。一部の実施形態では、容器は、側面のみを有し、両端が開口している。1つのこのような実施形態では、容器は、インサートであり、その例は、
図11B及び11Cに示される。このような実施形態では、試料は、「第一」相若しくは層又は「試料受容」相若しくは層として指定される層又は相に添加され得る。
図11Cに示されるインサートの例では、末端層は、多孔性プラスチックスクリーンである。その側面と一体化した底部を含有しない容器又は装置への試料の添加を可能にする本発明の装置又はシステムの末端層は、システムを保持し、記載される通り実行されることを可能にするメッシュ又は任意の多孔性物質であり得る。一部の実施形態では、開口した端を使用して、システムから標的又は標的結合粒子(例えば、PMP)の除去を可能にする(例えば、磁石を使用して)。一部の実施形態では、標的又は標的結合粒子は、別の入れ物若しくは容器(例えば、複数ウェルのプレート)に、又は当該標的若しくは標的結合粒子を受け入れることができる検出器(例えば、リーダー、ブルートゥース対応リーダー若しくは機器など)に若しくは上に、又は表面又は多孔性物質(例えば、後の分析のための試料の乾燥及び輸送のためのスポットカードなど)に若しくは上に取り出される。
【0058】
本明細書で使用される場合、「相」又は「層」という用語は、互換的に使用され、1つ以上の他の物質によって結合された物質(本明細書に記載される通り、安定化又は非安定化)の領域を指す。相又は層は、水性層、油層、気層、エマルジョン層、粒子懸濁液層並びにこのような層の安定化バージョン又はシステム、装置若しくは方法で使用される他の層を含む。相又は層の例としては、水によって囲まれた空気の体積であろう。水及び空気は、混和性(ヘンリーの法則による)であるが、水の液体形態及び空気の気体形態は、概して、実質的に混合とはみなされない。本明細書に記載される安定化相又は層は、本発明の組成物である。安定化相又は層は、本発明の装置及びシステムを含み、本発明の方法において使用される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「油」という用語は、水に溶解しない、多数の物質、通常、液体又は半固体物質のいずれかを指す。この物質は、時に、油っこい物質であり、時に、植物、動物又は鉱物供給源由来であるが、油っこくない物質であることもできる。油は、炭素及びシリコーンベースのポリマー化合物、鉱油、シリコーン油、パラフィンワックス並びにフッ素系油などを含む。油はまた、油の混合物(例えば、異なる溶融温度を有するワックス;異なる鎖長を有するポリマー油;鉱油及びシリコーン油;など)を含む。油は、油と油のエマルジョンも含む。
【0060】
本明細書で使用される場合、「油層」又は「油相」という用語は、油を含み、実質的に疎水性であり、水性層と実質的には混合しない、本発明のシステム中の層を意味する。本発明のシステムにおける適当な油層は、例えば、鉱油、やし油、植物油を含む。言及された通り、他の油は、炭素及びシリコーンベースのポリマー化合物、鉱油、シリコーン油、パラフィンワックス並びにフッ素系油などを含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「界面」という用語は、隣接する領域、本体、物質、相又は層の間の共通の境界又は移行部を形成する表面を意味する。一部の実施形態では、界面は、本発明のシステム、装置及び方法における独立した相又は層が、互いに接触する点又は移行部を指す。例えば、液体の水から、水で飽和された空気、ある程度の非飽和レベルの水を有する空気に移行する、水の空気との混和性に起因して(すなわち、ヘンリーの法則及び拡散に基づく混合による)水と空気の間に移行部が存在する。相又は層内の移行部の一例は、密度の差が、中間レベルの塩分を有する領域の間の移行部を有する異なる特性を有する領域を可能にする、異なるレベルの塩分を有する水である。
【0062】
本明細書で使用される場合、「水性」という用語は、水ベース、水を含む、水を成分として使用する又は有することを意味する。一部の実施形態では、水性媒体又は領域は、水及び他の成分を含有する。溶解バッファー、洗浄バッファーなどは、本発明のシステム及び方法の実施形態に記載される水性層を含み得る。一部の実施形態では、水ベースの媒体は、塩若しくはイオン液体(例えば、硫酸アンモニウム、グアニジンイソチオシアネート、シアニン染料、テトラエチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウムなど)、極性溶媒(例えば、エタノール、フェノール、メタノール、アセトニトリルなど)、酸/塩基(例えば、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウムなど)、糖類(例えば、スクロース、グルコース、マンノースなど)又はポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、キチン、コラーゲンIなど)などの様々な濃度(例えば、1%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、99.9%)の他の水溶性物質を含有する。
【0063】
一部の実施形態では、本発明の装置、システム、方法及び組成物における相(複数可)、層(複数可)又は領域(複数可)は、エマルジョン、例えば、ある液体の液滴の、それが溶解又は混和しない別の液体への分散物であってもよい。
【0064】
一部の実施形態では、水ベースではない、例えば、100%エタノール、フェノール、アセトニトリル又は他の適合溶媒である非油性液体相又は層が使用されてもよい。これらは、「非油性/非水性」相又は層として言及され得る。
【0065】
水性層、相又は領域は、水ベースの層、相又は領域である。水性層は、水を含む。本明細書で使用される場合、一部の実施形態では、「水性層」又は「水性相」という用語は、任意の「非水性」物質、例えば、装置プラスチック、大気/気体物質、油、ワックスなどによって境界を付けられた又は囲まれた水性領域を意味する。一部の構築物では、水性層は、均質である必要はなく、1つの水性層中の異なる特性を有する複数の水性領域間の移行部を有することができ、例えば、層は、異なる密度を有する2つの水性媒体領域を含有し得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「多孔性」という用語は、気体若しくは液体を保持することができる又は本明細書に定義される標的(若しくは非標的)が、(固相若しくは他の担体又はその一部に結合しているか、結合していないかに関わらず)所望に応じて通過させる若しくは通過させないことを可能にする孔又は他の狭い空間を有することを意味する。「多孔性物質」若しくは構造又は「多孔性メッシュ」若しくは「多孔性層」への言及は、空の空間、すなわち、物質の構造を構成する原子の主骨格によって占有されていない空間を含む物質を意味する。標的(固相に結合している又は結合していない)が通過する物質は、多孔性物質の一例である。標的(固相に結合している又は結合していない)ではなく、非標的物質が通過しない物質も、多孔性物質の一例である。多孔性物質若しくは構造、多孔性メッシュ又は多孔性層は、単一の物質で構築される又は単一の物質からなる必要はなく、すなわち、それは、均質である必要はない。本発明のシステム、装置、方法及び組成物において使用するための多孔性物質若しくは構造、多孔性メッシュ又は多孔性層は、異なる物質を含んでもよく、すなわち、それは、不均一又は非均質であってもよい(例えば、一実施形態では、ポリスチレン及びナイロン又は空間的に可変の混合物を含む)。
【0067】
本明細書で使用される場合、「検出する」、「検出すること」又は「検出」という用語は、発見若しくは識別という一般的な行為又は検出可能に標識された組成物の特定の観察のいずれかを記載し得る。「検出すること」という用語は、試料中の標的に関して使用されるとき、試料中の標的の存在又は不存在のいずれかを検出することを指す。一部の実施形態では、試料中の標的を「検出すること」という用語は、標的が試料に存在することを決定することを指す。一部の実施形態では、試料中の標的を「検出すること」は、標的が試料に存在しない又は試料中に検出されるべき十分な量で存在しないことを決定することを指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「生物学的試料」という用語は、最も広い意味で使用され、対象から得られ得る多くの試料タイプを包含する。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得られ、流体(例えば、尿、血液、血液産物、痰、唾液など)、固体、組織(生検組織、腫瘍組織、骨髄などを含む)及び気体を包含し得る。生物学的試料は、唾液、血漿、血清などの血液産物を含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、鼻咽頭試料、口腔咽頭試料、口腔スワブ若しくはスポンジ試料、鼻スワブ試料、中鼻甲介試料又は唾液試料である。一部の実施形態では、生物学的試料は、唾液試料である。本明細書で使用される場合、「唾液試料」という用語は、例えば、対象から採取された唾液試料を含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、鼻咽頭(NP)試料である。「鼻咽頭試料」は、対象の鼻咽頭腔から採取された試料を指し、例えば、対象の鼻腔又は鼻咽頭に挿入されたスワブを使用して採取された標本を含む。生物学的試料は、本明細書に記載される方法を行う前に、様々な前処理工程に供され得る。例えば、生物学的試料は、凍結され、加熱され、種々の変性剤(例えば、チオシアン酸グアニジウム)と混合され、粘度低下試薬(例えば、DTT)と混合され、標的分解の阻害剤(例えば、タンパク質分解酵素阻害剤、RNAse阻害剤など)と混合され、様々なバッファーと混合され又は他の適当な前処理工程に供され得る。生物学的試料に添加される物質(例えば、変性剤、粘度低下試薬、標的分解の阻害剤、バッファーなど)のいずれかは、生物学的試料に添加され得る又は試料が採取される容器に存在する保存バッファーに存在し得る(例えば、試料採取チューブ又は他の採取装置若しくは容器中の保存バッファー内に存在する)。一部の実施形態では、試料は、微生物(例えば、生若しくは弱毒病原性又は疾患を引き起こす微生物)を含有する又は含有することが疑われる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、最も広い意味で使用され、多くの試料タイプを包含する。一部の実施形態では、「試料」は、上で記載された「生物学的試料」である。他の実施形態では、試料は、例えば、環境及び廃水に基づく疫学に有用である下水試料などの環境試料であり得る。したがって、一部の実施形態では、「試料」は、より大量の物質から採取される又は選択される物質の部分を指す。一部の実施形態では、試料は、標的を含有する又は含有することが疑われる任意の物質を指す。一部の実施形態では、試料は、全量の物質、例えば、血液である。一部の実施形態では、試料は、血液、脳脊髄液、尿、組織、生検組織などである。対象の標的を含有する又は含有することが疑われる任意のタイプの試料は、本発明のシステム及び方法において使用することが企図される。
【0070】
本明細書で使用される場合、基質、例えば、メッシュと相互作用している2つの流体の文脈における「好むこと」という用語は、界面の流体の基質との接触角を使用して定義することができる。例えば、界面での流体の固体表面基質との関連は、基質の表面特性及び液体と液体、液体と気体又は気体と気体である2つの流体の化学的特性によって決定される。流体と流体と物質の組み合わせについての接触角は、この相互作用の平衡を定量するために日常的に使用され、温度、圧力、表面電荷などの多くの因子によって影響され得る。接触角は、基質の表面と流体界面が基質と交差する流体界面の接線との間の角度である。「好ましい(preferred)」流体又は好ましい(with preference)流体は、接触角が、90°未満の流体である。一部の例では、これらの好むことは、疎水性を好むこと及び親水性を好むことの性質にある。一部は、接触角に基づいて分類することができる:例えば、(i)超親水性(0°≦θ<10°)、(ii)親水性(10°≦θ<90°)、(iii)疎水性(90°≦θ<150°)及び(iv)超疎水性(150°<θ≦180°)。一般に、超疎水性表面は、150°より高い水接触角及び5°より小さい滑り角を示す。これらの好むことは、安定化界面システム及び方法並びに関連する組成物を提供する本発明の他の実施形態とも関連する。基質、支持物質、メッシュ並びに多孔性基質及び多孔性支持物質及びメッシュは、好ましい界面に基づき選択され得、1つ以上の流体と関連する。これは、メッシュ及び流体を関連付けて、機能的性能を達成できるかどうかに影響する、流体の好みに基づく選択を含む。流体又は物質の性質である条件に応じて、流体(複数可)に対する物質の好みも変化する又は変更され得る(例えば、例えば、PP-水-鉱油対PP-水-シリコーン油、20℃でのPP-水-油対65℃でのPP-水-油などの、異なる層又は条件に対して異なる好みを有する物質が選択され得る)。一部の実施形態では、流体(例えば、空気を置き換えるために添加される油)又は条件(例えば、温度)は、本発明の方法の使用中又はその一部として変更される、スワップアウトされる又は交換され得る。例えば、水性相若しくは層は、油相若しくは層に置き換えられ得る又は温度は、性能若しくは使いやすさのために変更され得る。
【0071】
好ましい一部の基質は、多孔性物質である。好ましい一部の基質は、多孔性構造物質である。好ましい一部の基質は、メッシュである。一部の多孔性物質、多孔性構造物質及びメッシュは、親水性である。一部の多孔性物質、多孔性構造物質及びメッシュは、それらの親水性の程度について選択される。一部の多孔性物質、多孔性構造物質及びメッシュは、疎水性である。一部の多孔性物質、多孔性構造物質及びメッシュは、それらの疎水性について選択される。
【0072】
本明細書に記載されるシステム又は装置の構成要素に関して本明細書で使用される場合、「安定化された」という用語は、該構成要素が、それらの意図される目的(複数可)のため機能性を維持する又はシステムの輸送、保管及び/又は使用の経過にわたり互いに非混和性のままであることを示す。「非混和性」とは、均質な混合物を天然若しくは典型的に天然で又は典型的には形成しない構成要素を意味する。一般に、安定化された構成要素(例えば、相又は層)は、別の構成要素(例えば、別の相又は層)から機能的に離れたままである。機能的に離れているとは、それ自体が本発明のシステム、方法又は装置において機能を果たす又は果たし続ける相又は層を意味する。例えば、本明細書に記載されるシステムの水性及び油相又は層は、典型的には、互いに非混和性である(例えば、相又は層は、互いに実質的に分けられたままであり、均質な混合物を形成しない)。「安定化された」はまた、水性及び油層並びに/又は気相若しくは層のこの非混和性が、システム若しくは装置の寿命を通じて又は方法の実施中に残存することを示すために使用され得る。例えば、層を安定化するために使用される支持構造は、使用中に実質的に溶解し得(例えば、スクロースは、水性媒体の添加による湿潤後、メッシュ構造物にまず乾燥される)、これにより、流体の構造との関連性を望ましい方法で変化させ、流体の好みを潜在的に変化させる。界面は、相又は層間の共通の境界、相又は層間の移行部、相又は層内の移行部などであり得る。したがって、相又は層内の「安定化された」領域は、「非混和性」である必要はない。相又は層内の領域はまた、構成要素が、層又は相内で安定な移行部を形成する場合、安定化されたとみなされ得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「安定化された層又は相」は、少なくとも1つの他の流体に関するその層又は相の流体を好む支持構造と関連する層又は相(例えば、水性層若しくは相、油層若しくは相又は気層若しくは相)を指す。関連する層又は相に対する構造の好みは、層又は相(例えば、流体)の支持構造との関連を安定化させ、他の相(複数可)又は層(複数可)との相互作用中に相又は層が乱れるのを防ぐのを助ける。したがって、他の潜在的に乱れている相(複数可)若しくは層(複数可)又は流体(複数可)は、層若しくは相のシステムの一部である必要はない又は層若しくは相にすぐ隣接して位置する必要もなく、層若しくは相と時々関係するだけでよい(例えば、安定化は、典型的にはシステム内にない流体との不測の相互作用に対する安全対策として又は外来物質、例えば、試料をシステムに添加する際に使用され得る)。一部の実施形態では、安定化された層の支持構造は、本質的に多孔性であり、これにより、少なくとも一部の物質、例えば、1つより多くの望ましい物質が、構造を通過することを可能にする。支持構造は、必ずしも向き又は位置が固定又は結合されている必要はなく、主に好ましい流体の構造への関連を促進する役割を果たす。さらに、支持構造は、特定の相又は層と恒久的に関連付けられる必要はないが、システムから除去するために再配置され得る又は異なる相若しくは層と関連付けられ得る。相又は層は、それが関連していた相又は層から強制的に除去されるように、例えば、固体基質を操作することによって再配置され得る。これは、例えば、ネガティブに選択された標的を単離するために行われ得る。同様に、支持構造物によってもたらされる安定性により、安定化された相又は層が、必要な場合、再配置若しくは再配向される又は他の流体を通過することが可能になる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「関連する」とは、全体又は一部、関与する、組み合わされる又は結び付けられることを意味する。「関連する」という表現は、機能的に関連する又は結び付けられることを含む。一部の実施形態では、例えば、基質、固相又は構造物質(例えば、メッシュ)は、基質、固相又は構造物質が、相又は層と関連して本発明のシステム又は装置内に配置される又はポジショニングされる場所であればどこでも、相又は層に安定化機能をもたらす場合、相又は層と関連付けられる。基質、固相又は構造物質は、関連付けられる又は相若しくは層に安定化機能をもたらすために相又は層内で浸漬される必要はない。
【0075】
本明細書で使用される場合、「浸漬された」という用語は、全部又は一部の液体の表面下にあることを意味する。したがって、例えば、メッシュは、液相若しくは層中に全体的に浸漬されている若しくはその中にある又は相若しくは層にある、その近くにある若しくはその表面にある又はその中に部分的にあるだけで全体的にはない場合がある。相又は層は、多孔性基質、固相若しくは構造物質を含む又はそれらから本質的になり得る。相若しくは層は、油相若しくは層を含む若しくは油相若しくは層から本質的になる多孔性基質、固相若しくは構造物質であってもよい又は油層若しくは相は、多孔性基質、固相若しくは構造物質を含む若しくはそれらから本質的になり得る。一部の実施形態では、例えば、メッシュ(多孔性基質、固相又は構造物質の一例)は、全体的若しくは部分的に油中であることができ、又は油相若しくは層は、メッシュ内の油を含む若しくはメッシュ内の油から本質的になり得る。一部の実施形態では、例えば、メッシュ(又は他の多孔性基質、固相若しくは構造物質)は、全体的若しくは部分的に水性液体相若しくは層中にあることができ、又は水性相若しくは層は、メッシュ内の水性液体を含み得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「スタック」又は「スタックされた」という用語は、軸、例えば、容器内のY軸(例えば、垂直方向の様式で)又は容器内のX軸(例えば、水平方向の様式で)に沿って軸方向に互いに整列している(又は整列していない)、本明細書に開示されるシステム内の物質(例えば、水性相又は層、油相又は層、気相又は層、多孔質物質、疎水性メッシュ、親水性メッシュなど)を指す。層は、任意の望ましい3Dの向きにあってもよい。層は、平面である必要はなく、配置は、必要に応じたものであり得る。例えば、システムは、容器内で「スタックされている」複数の多孔性物質を含み得る。この用語は、多孔性物質が、スタック内で互いに直接接触していることを必ずしも示すものではない。むしろ、多孔性物質は、一部の領域では間隔をあけて又は直接接触していてもよく、他の領域では間隔をあけていてもよい。多孔性物質は、水性相若しくは層(例えば、洗浄バッファー、溶解バッファー)と関連する又は水性相若しくは層(例えば、洗浄バッファー、溶解バッファー)によって分けられ及び/又は油相若しくは層(例えば、鉱油、やし油)と関連する又は油相若しくは層によって分けられ得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、生物学的試料が得られる実体を指す。対象は、哺乳動物であってもよい。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物ではなく、無生物である。一部の実施形態では、対象は、環境である。
【0078】
「標的」という用語は、最も広い意味で使用され、試料内の任意の物質を含む、任意の望ましい物質を指す。標的は、一実施形態では、例えば、コンジュゲート抗体又は抗体フラグメントを介して、直接的又は間接的のいずれかで、常磁性粒子又は他の固相に結合し得、磁力の適用によって試料から引っ張り出され得る任意の物質を含む。一部の実施形態では、標的は、タンパク質(例えば、抗体、ホルモンなど)、炭水化物(例えば、グリコーゲン、キチンなど)、細胞全体、細胞構成要素(例えば、ミトコンドリア、エキソソーム、核など)又は核酸(例えば、DNA、RNAなど)である。一部の実施形態では、標的は、代謝産物、炭水化物、糖ペプチド又は脂質である。標的は、分析物を含む。標的はまた、対象ではなく、代わりに対象の物質を濃縮するために除去される(例えば、ネガティブセレクションにおいて)物質を含み得る。一部の実施形態では、標的は、例えば、移動、分離、単離、検出、同定、分析、スクリーニング、定量又は精製される物質である。
【0079】
「分析物」又は「標的分析物」という用語は、同定される又は測定されている任意の物質を指す。
【0080】
本発明のシステム、装置又は方法において使用するための「磁石」は、磁力を生じるための手段を指す。本明細書で使用される場合、磁石は、永久磁石、一時磁石及び電磁石を含む。
【0081】
詳細な説明
本発明は、標的をポジショニングするための力の操作によってプロセシング工程の自律的操作をもたらす、容器内に多層及び多相システムを含む。
【0082】
一態様では、本発明は、試料の添加、力(例えば、磁力)の適用及び一部の実施形態では、結果の読み取りのみを要求する、単一の容器において行われる試料調製及び標的試験(例えば、PCR、LAMPなど)のための必要なものがそろったシステム及び装置を提供する。
【0083】
一部の態様では、試料から標的を単離する又はポジショニングし、標的をプロセシングするためのシステム、方法及び装置が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、対象の標的は、標的自体である。一部の実施形態では、対象の標的は、固相に結合している標的である又は固相自体である。一部の実施形態では、標的は、単離され、検出される。一部の実施形態では、標的は、精製される。一部の実施形態では、標的は、定量される。一部の態様では、標的をポジショニングする及び/又はプロセシングするためのシステム、装置、組成物及び方法が、本明細書に提供される。標的又は標的が結合している物質は、ポジティブ(検出若しくは測定若しくは廃棄のため、例えば、標的を単離すること、又は試料から標的を取り出すことによる)及びネガティブ(1つ以上又は全ての非標的をポジショニングする又は取り出すことによる)を含む、いくつもの方法で本発明によりポジショニングされ得る。本発明のシステム、装置及び方法を使用して、標的は、本発明のシステム、装置及び方法を使用して移動、分離、単離、検出、同定、分析、スクリーニング、定量又は精製され得る。本発明のシステム、装置及び方法は、試料中の標的又は分析物(病原体若しくは病原体の一部、例えば、タンパク質、核酸などを含む)単離及び/又は検出のためのシステム、装置及び方法を含む。特に、互いに密接して安定化された1つ以上の油及び/又は1つ以上の水性相及び/又は1つ以上の気相を含むシステム及び装置が、本明細書に提供される。本発明のシステム、装置及び方法は、多くの用途を有する。例えば、それらは、試料又は他の混合物から標的又は標的分析物の存在又は量を単離、分離、移動、精製、混合、結合及び/又はその後検出するため使用され得る。
【0084】
一部の態様では、力を使用して、標的又は分析物を含有する、含有し得る又は含有することが疑われ得る試料又は混合物から標的又は分析物を移動させる又は精製するために使用され得る1つ以上の安定化された油及び/又は1つ以上の安定化された水性相及び/又は1つ以上の気相を含むシステム及び装置が、本明細書に提供される。力は、例えば、1つ以上の相又は層を通じて標的又は分析物を引き寄せるための磁力、電気力又は加速に基づく力(例えば、重力を介した若しくは遠心分離機を介した)を含む、任意の力を含む。
【0085】
一部の実施形態では、システム及び装置は、標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬を含む。定量は、標的に対してポジティブ-ネガティブ、半定量的又は定量的であってもよい。単離又は精製は、完全又は部分的であってもよい。標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム又は装置の1つ以上の水性相若しくは層及び/又は油相若しくは層中に、例えば、システム又は装置の基相又は層中にシステム又は装置の1つ以上の一部又は部分に含有され得る。一部の実施形態では、標的の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬の1つ以上又は全ては、システム又は装置の下相、層又は階層中だが、基層より上に含有される。一部の実施形態では、試薬の1つ以上又は全ては、システム若しくは装置の下相、層若しくは階層又はシステム若しくは装置の終結相、層若しくは階層若しくは末端相、層若しくは階層にある(垂直方向若しくは緯度方向の実施形態において)。一部の実施形態では、試薬のうちの1つ以上又は全ては、継ぎ目、接合点又は接合部にある(非垂直方向又は非緯度方向の実施形態では水平方向又は経度方向又は他の相/層方向の)。一部の実施形態では、標的の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム若しくは装置の終結相、層若しくは階層若しくは末端相、層若しくは階層(垂直方向又は緯度方向の実施形態において)又は継ぎ目、接合点又は接合部(非垂直方向又は非緯度方向の実施形態では水平方向又は経度方向又は他の相/層方向の)に含有される。これらは、試薬の配置の例であるが、可能な全ての配置を含むものではなく、システム若しくは装置の構造又は望ましい性能に照らして、所望又は適切な配置となる。
【0086】
本明細書に記載されるシステムは、任意の望ましい標的又は物質を単離する方法において使用され得る。一部の実施形態では、標的は、核酸である。一部の実施形態では、標的は、ウイルス核酸である。例えば、標的は、SARS-CoV-2核酸であり得る。一部の実施形態では、標的は、タンパク質(例えば、ホルモン又は任意の他のタンパク質)、炭水化物、糖脂質、細胞、循環腫瘍細胞などである。PMPに結合し得る(直接的又は間接的のいずれか)任意の物質は、本発明のシステム、装置、組成物及び方法のうちの1つ以上における標的であり得る。
【0087】
システム、方法又は装置が、少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの油相又は層を含む一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの油相又は層のみが、安定化される。
【0088】
システム、方法又は装置が、1つより多くの水性相又は層及び1つ以上の油相又は層を含む一部の実施形態では、水性相又は層のうちの1つのみが、安定化される。システム、方法又は装置が、1つより多くの水性相又は層及び1つ以上の油相又は層を含む一部の実施形態では、水性相又は層のうちの1つより多く又は全てが、安定化される。例えば、4つの水性相又は層を有する本発明の実施形態では、1つ、2つ、3つ又は全4つが、安定化され得る。システム、方法又は装置が、1つより多くの水性相又は層及び1つ以上の油相又は層を含む一部の実施形態では、油相又は層のうちの1つのみが、安定化される。システム、方法又は装置が、1つより多くの油相又は層及び1つ以上の水性相又は層を含む一部の実施形態では、油相又は層のうちの1つより多く又は全てが、安定化される。例えば、4つの油相又は層を有する本発明の実施形態では、1つ、2つ、3つ又は全4つが、安定化され得る。
【0089】
装置、システム又は方法が、水性相若しくは層及び/又は複数の油相若しくは層、例えば、1~6つの水性相又は層及び1~6つの油相又は層を含む別の実施形態では、水性相若しくは層のうちの1~6つ及び/又は油相若しくは層のうちの1~6つが、安定化され得る。
【0090】
一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相又は層は、該少なくとも1つの水性相又は層上に浸漬される、この中に浸漬される又はそれ以外の方法でこれに関連する親水性多孔性物質によって安定化される。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法は、油相若しくは層又は安定化された油相若しくは層を含まない。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法はまた、気相又は層を含む。一部の実施形態では、気相又は層は、例えば、空気又は不活性な気体を含む。一部の実施形態では、気層は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン又はオガネソンなどを含む。気体は、気体の混合物(例えば、空気;揮発性物質を有する空気;ヘリウム及びネオンなど)であり得る。気体は、プラズマ形態であってもよい。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの油相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された油相若しくは層を含む。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された水性相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの油相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された油相若しくは層並びに少なくとも1つの気層又は相を含む。一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも2つの安定化された水性相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された水性相を含む装置、システム又は方法は、入れ物又は容器内にある。一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも1つの安定化された水性相又は層及び少なくとも1つの気相又は層を含むが、油相又は層を含まない。
【0091】
一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの油相又は層は、該少なくとも1つの油相又は層と関連する疎水性多孔性物質によって安定化される。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法は、水性相若しくは層又は安定化された水性相若しくは層を含まない。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法はまた、気相又は層を含む。一部の実施形態では、気相又は層は、例えば、空気又は不活性な気体を含む。一部の実施形態では、気層は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン又はオガネソンなどを含む。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの水性相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された水性相若しくは層を含む。これらの実施形態のうちの一部では、少なくとも1つの安定化された油相又は層を含む装置、システム又は方法は、少なくとも1つの水性相若しくは層及び/又は少なくとも1つの安定化された水性相若しくは層並びに少なくとも1つの気層又は相を含む。一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも2つの安定化された油相又は層を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの安定化された油相を含む装置、システム又は方法は、入れ物又は容器内にある。一部の実施形態では、装置、システム又は方法は、少なくとも1つの安定化された油相又は層及び少なくとも1つの気相又は層を含むが、水性相又は層を含まない。
【0092】
一部の実施形態では、最も少ない1つの水性相若しくは層又は少なくとも1つの油相若しくは層は、多孔性物質を使用して、入れ物又は容器内で安定化される。該物質は、装置又はシステムを通じて望ましい物質の移動を可能にするよう選択される。多孔性物質は、メッシュであってもよい。一部の実施形態では、最も少ない1つの水性相又は層のうちの1つ以上は、少なくとも1つの親水性多孔性物質(複数可)又はメッシュ(複数可)で安定化される。一部の実施形態では、最も少ない1つの油相又は層のうちの1つ以上は、少なくとも1つの疎水性多孔性物質(複数可)又はメッシュ(複数可)で安定化される。一実施形態では、多孔性物質並びに/又は疎水性及び/若しくは親水性メッシュは、少なくとも1つの予め決められた孔サイズ、孔サイズのセット又は孔サイズの範囲を有する。一部の実施形態では、水性相又は層及び油相又は層は、容器内で互いに近接して安定化される。
【0093】
一部の実施形態では、1つ以上の相又は層は、システムに存在する場合、物質幾何学又は親水性/疎水性多孔性物質の密度、界面化学及び多孔度から選択される1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって、容器内で安定化され得る。
【0094】
別の態様では、本発明は、混和性界面システム及び方法並びに本明細書で「MIFT」として言及される、関連する組成物を提供する。一部のMIFT実施形態では、1つ以上の相又は層は、システムに存在する場合、物質幾何学又は例えば、親水性/疎水性多孔性物質の密度、界面化学、粘度、電気的若しくは表面電荷特性、磁気特性及び多孔度から選択される1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって、容器内で安定化され得る。一部の実施形態では、物質は、天然及び合成多孔性マトリックス(例えば、海綿、ナイロン泡沫、ポリプロピレンスポンジ、アガロースゲルなど)、天然及び合成多孔性物質(例えば、多糖メッシュ、ナイロンメッシュなど)を含む。物質幾何学を調節することの例としては、物質サイズ及び厚さ、孔サイズ(複数可)、孔分布(複数可)、多孔度(複数可)並びに孔接続性の程度又は均一性が挙げられる。界面化学を調節することの例としては、酸素プラズマ処理(すなわち、ヒドロキシル基の物質表面への付加)及びグリコシル化が挙げられる。粘度を調節することの例としては、異なる濃度のメチルセルロース又はポリエチレングリコールの使用が挙げられる。表面電荷を調節することの例としては、酸素プラズマ若しくはピラニア溶液を用いた異なるレベルの処理又はpH若しくは塩分の濃度若しくは勾配又は関連する流体中の界面活性剤のような電荷遮蔽分子の調節が挙げられる。物質の電気的特性を調節することの例としては、異なる誘電特性を有する物質の使用又は物質の電荷若しくは電流の適用が挙げられる。物質の磁気特性を調節することの例は、含まれる物質の濃度又は物質内の所定の物質濃度での物質の潜在的な多孔度(すなわち、孔体積の物質体積に対する比)を変更することによって、異なるレベルの強磁性、常磁性又は反磁性物質を包含することであろう。
【0095】
MIFTの一部の実施形態では、相又は層のうちの1つ以上の領域が、安定化される。一部の実施形態では、相又は層は、異なる特性又は特性の勾配を有する複数の領域を有する流体(例えば、異なる密度及び/又は密度勾配の間に移行部を有する流体)を含有する。移行部を含有する水性層内で、一方の流体が、他方の流体より高密度であると、例えば、容器のサイズが、十分に大きい場合、引力、対流力又は乱流力は、2つの流体の間の均質化/バルク混合及び移行部の迅速な分離を誘導する。容器のサイズが小さくなるにつれて、流体力学抵抗性は、増加し、拡散を介した粒子又は分子の輸送が、バルク流体運動(例えば、対流、移流など)から生じる輸送よりも優位である又は勝り得るように、圧力差(例えば、移流、対流など)の任意の供給源から生じる速度を低減することができる。一部の実施形態では、拡散優位である又は拡散が勝っている状態は、ペクレ数を使用して記載され得る。拡散優位である又は拡散が勝っている寸法で、移行部の溶解は、よりゆっくり、例えば、数分間から数時間又は数日間にわたり生じる。一部の態様では、輸送が、拡散優位である又は拡散が勝っているように、少なくとも1つの移行部を含有する水性層を安定化するためのシステム、装置及び組成物が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、これは、多孔性固体又は半固体の構造物又は物質(例えば、メッシュ、ゲル又は固体若しくは半固体粒子の凝集体)を使用して達成される。同じことは、油層若しくは相又は気層若しくは相などの他のタイプの相又は層についてなされ得る。この実施形態は、混和性界面システムとして言及され、相又は層内の異なる流体領域及び又は移行部の特性を安定化するために使用され得る。MIFT混和性界面システムは、記載される通り、全体的に安定化されてもよく、相又は層と関連する1つ以上の構造支持体を含有する必要はない。一部の実施形態では、流体領域又は移行部の安定性は、相若しくは層寸法の十分な低減又は相若しくは層内でのエマルジョンの包含によってもたらされ得る。混和性界面システムの一部の実施形態では、物質(例えば、標的結合粒子)は、相又は層の1つの流体領域に含まれ、別の流体領域にポジショニングされ得る(例えば、磁石を用いて又は重力及び粒子の密度を利用してPMPをポジショニングする)。このようなアプローチの一例は、水性洗浄バッファーの体積と別の物質(例えば、PMP)を含有する水性試料の体積の両方を保持するのに十分な深さを有する水性相又は層をもたらすことである。この例では、多孔性支持構造体に洗浄バッファーを添加し、重力が、流体のバルクを支持構造体の下半分にポジショニングすることを可能にし得る。この例では、PMPを有する水性試料は、例えば、次いで、多孔性支持構造に添加され得る。結果は、異なる特性を有する2つの水性領域を主に有する相又は層である。続いて、力(例えば、PMPの場合、磁場)の適用は、次いで、試料領域からの有意な混入物質又はキャリーオーバーなしで、洗浄バッファー領域に物質(例えば、標的結合PMP)を引き寄せるために使用され得る。このシステムの具体的な利点は、安定化された混和性水性流体が、キャリーオーバーをほとんど有さず、標的を移動させる若しくはポジショニングすることを妨げ得るエネルギー障壁をわずかに有するか、有さない(例えば、水性と油の界面を通じた標的結合PMPのポジショニングと比較して)試料を単離する又は洗浄する又は濃縮するための手段をもたらす。このような混和性界面システム及び組成物は、1つ以上の安定化された界面システムと統合されて、新たな機能性を生み出し得る。一部の実施形態では、本発明は、安定化された界面システムと組み合わせた混和性界面組成物を提供する。本発明は、組成物として並びに本発明の装置及びシステムにおいて使用するための複数のMIFT-SIFT組み合わせを含む。
【0096】
本発明の本発明の混和性界面システム及び組成物は、本明細書に記載される通り、組み立て、製造することができる。密度の異なる2つの混和性流体を含む、安定化された混和性層を生成するために、例えば、第一の流体が、容器に添加される。前記2つの流体を好む、多孔性支持物質は、該物質が、容器内部に圧縮して入れられ得、第一の流体に浸漬されるように、適切な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断される。次いで、第二の流体が、前記2つの流体を好む、別の多孔性支持物質と共に容器に添加され、適切な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断される。一部の実施形態では、支持物質は使用されない。
【0097】
別の態様では、本発明は、安定化された界面システム及び方法並びに時に、SIFTとして本明細書で言及される、関連する組成物を提供する。一部の実施形態では、システム及び方法の組成物は、安定な流体と流体の界面及び流体を好む少なくとも1つの孔を有する少なくとも1つの関連する構造物質を形成し得る少なくとも2つの流体を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの流体のうちの少なくとも1つは、水性流体である。一部の実施形態では、流体を好む少なくとも1つの孔を有する構造物質は、水性流体と関連する。一部の実施形態では、少なくとも2つの流体のうちの少なくとも1つは、油である。一部の実施形態では、流体を好む少なくとも1つの孔を有する構造物質は、油と関連する。一部の実施形態では、少なくとも2つの流体のうちの1つは、気体である。構造物質は、天然及び/又は合成物質(複数可)を含む、該物質から本質的になる又は該物質からなる。一部の実施形態では、構造物質の特徴のうちの1つ以上又は全ては、均一であってもよい。一部の実施形態では、構造物質の特徴のうちの1つ以上又は全ては、不均一であってもよく、例えば、構造物質は、固体から液体への相変化を経験してもよい(例えば、加熱の際に融解する、ワックスからなる多孔性構造物質)又はそれらは、試薬の添加の際に溶解し得る若しくは変化し得る(例えば、スクロースが溶解するにつれて、水性流体の添加後、物質の孔サイズを低減し、次いで孔サイズの再拡大を可能にするため、又はスクロースが溶解するにつれ、親水性スクロースの下層にあるより疎水性の物質若しくは代わりに、トリプシンの添加の際に質が低下するタンパク質からなる多孔性構造物質を露出するための、乾燥スクロースを帯びたメッシュなど)。安定化された界面システム及び方法の一部の実施形態では、構造物質中の孔又は複数の孔はそれぞれ、物質を通じた対象(例えば、標的)の少なくとも1つの流体及び少なくとも1つの実体の通過を可能にする開口部を含む。一部の実施形態では、構造支持体は、流体間の少なくとも1つの界面を安定化することができる。一部の実施形態では、物質は、天然及び合成構成要素(例えば、キチン、コラーゲンI、ポリプロピレン、ナイロンなど)を含む。
【0098】
安定化された界面システム及び方法/組成物の一部の実施形態では、構造物質は、メッシュである。一部の実施形態では、物質は、天然及び合成多孔性マトリックス(例えば、海綿、ナイロン泡沫、ポリプロピレンスポンジ、アガロースゲルなど)、天然及び合成多孔性物質(例えば、多糖メッシュ、ナイロンメッシュなど)を含む。物質幾何学を調節することの例としては、物質サイズ及び厚さ、孔サイズ(複数可)、孔分布(複数可)、多孔度(複数可)並びに孔接続性の程度又は均一性が挙げられる。界面化学を調節することの例としては、酸素プラズマ処理(すなわち、ヒドロキシル基の物質表面への付加)及びグリコシル化が挙げられる。粘度を調節することの例としては、異なる濃度のメチルセルロース又はポリエチレングリコールの使用が挙げられる。表面電荷を調節することの例としては、酸素プラズマ若しくはピラニア溶液を用いた異なるレベルの処理又はpH若しくは塩分の濃度若しくは勾配又は関連する流体中の界面活性剤のような電荷遮蔽分子の調節が挙げられる。物質の電気的特性を調節することの例としては、異なる誘電特性を有する物質の使用又は物質の電荷若しくは電流の適用が挙げられる。物質の磁気特性を調節することの例は、含まれる物質の濃度又は物質内の所定の物質濃度での物質の潜在的な多孔度(すなわち、孔体積の物質体積に対する比)を変更することによって、異なるレベルの強磁性、常磁性又は反磁性物質を包含することであろう。安定化された界面システム、組成物及び方法の一部の実施形態では、構造物質、構造物質の寸法は、それが関連する流体相又は層の寸法と同じ又はほぼ同じである。安定化された界面システム、組成物及び方法の一部の実施形態では、構造物質、構造物質の寸法は、それが関連する流体相又は層の寸法未満である。安定化された界面システム、組成物及び方法の一部の実施形態では、構造物質、構造物質の寸法は、それが関連する流体相又は層の寸法より大きい(例えば、相若しくは層又は相若しくは層内の折り/曲りの延出)。一部の実施形態では、2つ以上の異なる構造物質は、単一の相又は層内で使用されて、安定化された相又は層が生成され得る(例えば、ナイロン及びポリスチレンは、一緒に使用されて、水性相若しくは層又は同じ分子構成だが、異なる幾何学若しくは孔サイズの2つのメッシュが安定化され得るなど)。
【0099】
安定化された界面システム及び方法/組成物の一部の実施形態では、構造物質は、フィルムであってもよい。他の実施形態では、構造物質は、フレキシブル又は伸縮性であってもよい。例えば、相又は層の安定化に使用される多孔性メッシュは、曲がる若しくは硬い又は硬いとフレキシブルの間の転移(例えば、異なる温度の適用を介した)であってもよい。
【0100】
安定化された界面システム、組成物及び方法の一部の実施形態では、構造物質は、別の流体と比べて油を好む。一部の実施形態では、油と関連する多孔性構造物質は、疎水性である。本発明の安定化された界面システム及び方法における疎水性の程度は、多孔性構造物質、油と第二の流体の間で成る接触角に基づき選択される。一部の実施形態では、本発明の安定化された界面システム及び方法における疎水性の程度を選択するためのさらなる基準は、標的-PMPが、例えば、界面を横切って磁気的に引っ張り出されるのがより容易若しくは困難であり並びに/又は輸送及び保存のための全体的な装置安定性を考慮するように、界面を横切った表面張力の最適化を含む。一部の実施形態では、安定化された界面システム又は方法における構造物質(複数可)は、油層に浸漬される。
【0101】
安定化された界面システム、組成物及び方法の一部の実施形態では、構造物質は、水性流体を好む。一部の実施形態では、水性流体と関連する多孔性構造物質は、親水性である。本発明の安定化された界面システム及び方法における親水性の程度は、多孔性構造物質、油と第二の流体の間で成る接触角に基づき選択される。一部の実施形態では、本発明の安定化された界面システム及び方法における疎水性の程度を選択するためのさらなる基準は、標的-PMPが、例えば、界面を横切って磁気的に引っ張り出されるのがより容易若しくは困難であり並びに/又は輸送及び保存のための全体的な装置安定性を考慮するように、界面を横切った表面張力の最適化を含む。一部の実施形態では、安定化された界面システム又は方法における構造物質(複数可)は、水性層に浸漬される。
【0102】
安定化された界面システム及び方法/組成物の一部の実施形態では、安定な流体と流体の界面を形成し得る少なくとも2つの流体を含む組成物は、流体を好む少なくとも1つの孔を含む少なくとも1つの関連する構造物質を有する流体層を含む。一部の実施形態では、層は、水性及び油である。一部の実施形態では、1つより多くの層は、それらの関連する流体を好む少なくとも1つの孔を含む構造物質と関連する(例えば、安定化された水性層及び安定化された油層を有するシステム)。
【0103】
一部の実施形態では、安定化された界面システム/組成物は、後の保存、使用、プロセシング又は変換などのための1つ以上の安定化された界面システムを保護するのに十分な物質を含む上部物質及び/又は下部物質によって保護される、裏打ちされる又は結合される。一部の実施形態では、結合した1つ以上の安定化された界面システムは、安定又は保護された層又は構造物を形成する。一部の実施形態では、システムは、保護された層(例えば、ロール層)の形態で製造され、保存され又は輸送される。一部の実施形態では、上部及び/又は下部結合は、対象の実体が、基質(例えば、安定化された水性層の片面又は両面のポリプロピレンメッシュ保護層のような安定化された気層)を通じて移動することを可能にする多孔性基質を含む。対象の実体は、標的又は質量を有する任意の対象物であってもよい。対象の実体の例としては、光子、電子、原子、分子、タンパク質、タンパク質複合体又はシステムに入る前若しくはシステム内のある時点で化学反応、機械的破壊、放射性崩壊若しくは生物学的プロセスなどの熱力学的プロセスによって生成される粒子などの質量を有するあらゆるものが挙げられ得る。一部の実施形態では、保護層は、保存又は包装のため必要とされない(例えば、それ自体の上に巻かれる、水性層及び油層を含む2層システムは、蒸発及び混入などからの内部層の保護をもたらし得るなど)。
【0104】
一部の実施形態では、1つ以上の安定化された界面システムは、容器(例えば、複数ウェルのプレート、エッペンドルフチューブ、射出成型容器、インサート、カートリッジなど)内にある又は装置の表面に位置する。一部の実施形態では、安定化された界面組成物又はシステムは、容器を含む。一部の実施形態では、安定化された界面組成物又はシステムは、使用前の保存のため巻かれることを含む。
【0105】
一部の実施形態では、1つ以上の安定化された界面システムは、ラテラル又はバーティカルフローアッセイ(すなわち、「フローアッセイ」)の一部として組み込まれる。例えば、第二の疎水性パッドの下に位置する親水性試料パッドを有するラテラルフローアッセイは、水性試料流体が、試料パッドに添加されると、安定化された界面システムを生じる。例えば、試料は、標的結合PMPを含有することができ、磁石を使用して、疎水性上部層を通じて水性試料流体からPMPを単離し、これにより、試料洗浄を行うことができる。一部の実施形態では、2つより多くの物質層を使用して、機能性を付加することができる。例えば、システムは、標準的なラテラルフロー検出のための構成要素と関連して上部水性試料層、中部疎水性気層及び下部親水性気層を含む。試料層中の標的結合PMPは、下部親水性層に磁石を用いて再ポジショニングすることができる。次いで、水性流体は、親水性気層に添加され、これにより、気相の一部又は全てをより好ましい水性流体で置き換えることができる。水性流体は、続く、連結されたラテラルフロー構成要素による検出のための標的結合PMPから標的の溶出を可能にする酸/塩基/バッファー(又は他の物理的若しくは化学的放出機構)を含有することができる。同様に、標的PMP自体は、連結されたラテラルフロー構成要素における検出粒子として使用され、これにより、標的の放出の必要を排除し得る。同じく、この例では、ラテラルフロー構成要素は、安定化された界面システム(複数可)に最初に連結される必要はないが、後に連結することができる。これらの実施形態はまた、MIFTシステムに適用可能である。例えば、混和性界面システムを構築して、例えば、ラテラルフローアッセイの領域の通過から流体フローを大部分単離し、これにより、拡散が、バルク流体フローへの輸送より優位であることを可能にし得る。このようなシステムは、拡散を介したLFA内のバルク流体フローへの試薬の導入を延長するのに有用であり得る。これは、例えば、添加された物質が、ラテラルフロー構成要素と比較してはるかに小さい孔サイズを有するラテラルフローアッセイの部分の上部に、試薬を含んだ物質を添加することによって達成することができる。したがって、添加された物質中の流体抵抗性は、拡散ベースの輸送と比べて、試薬のラテラルフロー構成要素へのバルク流体輸送を有意に妨げる。同様に、ラテラルフロー構成要素中の流体構成要素は、添加された構成要素に拡散し、ラテラルフローアッセイにおいて透析を行うための粒子サイズによって選択され得る。MIFT及びSIFTシステムの使用は、他のアッセイフォーマット又は試料プロセシング工程のためにも同様に使用することができる。例えば、下流プロセシング工程に試料を供給するように設計された芯は、第一の層を使用して、バッファー溶液を安定化し、一方、第二の層により試料のバルク流体フローを可能にする2層MIFTシステムを備えることができる。この例では、バッファーは、時間をかけてゆっくり第二の層を通じて試料の流れに拡散して、試料を条件づける又は続く試料プロセシングを助ける(例えば、pHを調節/維持する若しくはブロッキング剤を導入する)ことができる。
【0106】
安定化された界面システム及び方法を含む構造物質並びにその組成物は、全体的な形状、寸法、厚さ、均一性又は向きに関して、本質的にいかなる制限も境界も有さない(例えば、物質は、多孔性微粒子、布タイプ、異なる物質のより小さなパッチ(例えば、10’s、100’s又は1000’s)からモノリシックに構築された又は一緒に結合された若しくは縫い合わされた端の数百ヤードであるキルティング又は多層/ラミネートデザイン、おおよそゴルフボールサイズのプラスチックの非晶質焼結多孔性ブロック、単一のオリフィス/孔を有するピペットチップ又は任意のその組み合わせなどであり得る)。物質の全体的な幾何学にも関わらず、孔幾何学は、不安定化する力/圧力(複数可)に対する安定化する流体と物質の相互作用力の大きさを評価するための、界面(複数可)の関連のある境界及び孔(複数可)の有効な直径を規定する。1つより多くの孔が、物質に存在する場合、寸法、幾何学又は表面特性に関して、孔の相対的位置又は孔の均一性若しくは不均一性に固有の制限はない。また、孔境界の境界線が連続又は離れているという制限もない。例えば、ダンベル形状の構造物は、1つの形状の境界線を有するにも関わらず、2つの孔を有効に規定することができる。同様に、銃眼の構造物は、単一の孔境界を生じるよう一緒に作用する多くの別々の支持境界線セグメント(すなわち、破線と類似)を有する単一の孔を規定することができる。対象である実体が、流体と流体の界面(複数可)のいずれか又は全てを通過することができる又は通過することができるべきであるかどうかに関して、固有の制限はない。対象である1つより多くの実体がある場合、対象となる実体の類似性若しくは非類似性又は実体の特徴のそれらの分布に固有の制限はない。
【0107】
別段特定されない限り、システムの構成要素の特徴に対する制限は、本発明の特定の用途によってのみ決定され、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0108】
比X(式1)は、流体と流体の界面に影響する別の力に対する表面張力の相対的な大きさを評価することを目的とする他の無次元量と同様に規定することができる。しかしながら、これらの力は、流体間の共有される界面の面積に作用するため、Xは、力の代わりに圧力の比として規定され(すなわち、圧力=力/面積)、式中、P表面張力は、流体界面の曲率から生じる圧力であり、P他は、任意の他の供給源から生じる圧力である。
【0109】
【0110】
例えば、空気によって囲まれた、均等な孔半径rを有する多孔性疎水性膜によって支持される、深さLの水(H2O)の静止体積の場合、Xは、式2となり、式中、γは、水の空気との表面張力である。
【0111】
【0112】
一部の実施形態では、構造物質中の孔(複数可)のサイズは、特定の用途のため望ましいレベルの境界安定性を達成するように選択される。一部の実施形態では、孔サイズは、多かれ少なかれ安定性が望まれる場合、界面の安定性を調整するために使用される設計因子である。例えば、用途が、界面が静止状態では安定であるが、さらなる不安定化する圧力が適用されるとき、不安定であることを要求する場合、Xの値は、静止状態では<1に設定され、さらなる不安定化する圧力が適用されるとき、>1に設定され、これにより、システムの許容可能な特徴的表面張力圧力(複数可)の範囲を制限する。
【0113】
界面(例えば、水性と空気の界面)を潜在的に不安定化し得る他の圧力の供給源は、遠心分離機に入れたとき又は衝突が急激な加速を誘導するとき又は容器に流体を注ぐときなどに経験するさらなる加速である、流体の深さから生じる圧力ヘッド(例えば、P=ρgh)を含む。実際、界面における圧力の空間的及び時間依存性変動を引き起こし得る激しい流体混合中に生じる音波又は流体力学などの、一部の不安定化する圧力は、空間的に不均一である。同じく、空間的に不均一な圧力は、流体境界における磁場中の常磁性粒子によって界面に適用することができる。このような状況では、界面の局所的不安定化が生じ得、これにより、界面の境界線によって規定される長さスケールより短い長さスケールで作用する。どのような幾何学又は状況又はシステムであっても、界面の安定性は、安定化する表面張力圧力(P)の大きさに対する不安定化する圧力(Pi)の相対的な大きさを考慮することによって評価することができる。一般に、界面は、表面張力の特徴的圧力が、本明細書に記載される安定化機能をもたらすように不安定化する圧力より十分に大きい(すなわち、X<1)場合、安定とみなされる。この量は、本発明が適用する異なるシステムにおける適用可能な範囲のパラメーターを確立するために使用することができる。
【0114】
本発明の一部の実施形態では、流体を好む多孔性構造物質は、好ましい流体の体積に浸漬される。流体の体積は、好ましい流体が、物質全体を通して又は物質全体にわたって物質と関連することができる場合、飽和しているとみなされ得る。典型的には、所定の多孔性構造物質を飽和することができる体積の範囲が存在する。体積が、物質全体を通して又は物質全体にわたって物質と関連するのに不十分である場合、それは、不飽和である体積とみなされる。不飽和の場合、好ましい流体は、典型的には、多孔性構造物質によって支持されたままであるが、好ましくない流体は、多孔性支持構造内の残りの空間と潜在的に関連することができる。飽和体積を超える体積は、過飽和体積とみなされ、これもまた使用され得る。ある場合では、これは多孔性構造物質によって十分に含有されない及び/又は十分に支持されない一部の流体を生じ得る一方、それは、製造などにおいて有利であり得る。したがって、例として、上部流体層は、意図的に過充填又は過飽和にされ得る(例えば、
図17を参照)。他の領域では、多孔性構造物質より上又は下の流体で過充填された領域の部分は、一般的に、好ましい流体の支持された領域又は体積より安定でない又は支持されておらず、バルク流体運動又は乱流力又はバルク混合の影響を受けやすい。この例では、過充填された領域は、有用であり得る(例えば、製造がより容易又は寛容)が、機能を阻害することなく最適でない可能性がある。一部の実施形態では、安定化された層又は相は、充填不足である、充填されている又は過充填されている。
図20を参照のこと。
【0115】
一部の実施形態では、安定化された界面システム及び方法並びに関連する組成物は、(1)少なくとも1つの孔を有する少なくとも1つの構造物質、(2)少なくとも2つの流体及び(3)少なくとも1つの安定化された界面、相又は層を含む。一部の実施形態では、孔のサイズにより、標的又は別の物質(例えば、固相若しくは他の担体物質)に結合した標的が、外力の適用なしで通過することが可能になる。他の実施形態では、標的又は別の物質(例えば、固相若しくは他の担体物質)に結合した標的は、外力(例えば、磁力、遠心分離)を使用して孔を通じて移動される。
【0116】
一部の実施形態では、MIFT(混和性界面システム)又はSIFT(安定化された界面システム)装置、方法及び組成物を使用して、物質、例えば、標的を移動させる又はポジショニングすることができる。一部の実施形態では、MIFT及び/又はSIFTシステム、装置、方法及び組成物を用いた移動又はポジショニングは、積極的な移動又はポジショニングであり得る(例えば、磁力、回転力、加速力、補助重力などを含む外力を使用する)。一部の実施形態では、MIFT及び/又はSIFTシステム、装置、方法及び組成物を用いた移動又はポジショニングは、消極的な移動又はポジショニングであり得、外力(例えば、拡散、単純重力、浸透などによる)を使用することなく行われ得る。
【0117】
システム性能は、一部の適用に利点(例えば、界面を安定化するために構造物質(複数可)を利用する装置の取り扱い又は輸送中の増加した安定性)をもたらすよう流体嗜好を変更することによって調整することができる。したがって、本発明の一部の実施形態では、少なくとも1つの他のシステム流体と比べて、システム構造物質と相互作用することが好ましい又はエネルギー的に好ましい少なくとも1つのシステム流体を含むことが有利である。実際、相互作用のエネルギー論(すなわち、相対的嗜好性)が異なれば異なるほど、界面はより安定する。例えば、油と比べて水に対する未処理のポリスチレンの嗜好性は、ポリスチレンを酸素プラズマ処理することで変化させることができ、ポリスチレンの水に対する嗜好性をさらに高め、安定性を向上させることができる。また、例えば、界面活性剤を本発明の使用前又は使用中に流体に添加して、流体と物質の相互作用に異なる影響を与え、これにより、界面(複数可)の安定性を変化させることができる。同様に、例えば、温度をまた使用して、相互作用のエネルギー論を変更することができる。
【0118】
さらに、一部の実施形態では、流体の一部又は全ては、固体と流体形態の間で1つ以上の転移を経験し得る(すなわち、「切り替え可能」である)。例えば、一部の実施形態では、室温で少なくとも1つの流体固体及び特定の適用のための操作温度で流体を有することが有利である。流体のうちの1つの固化により、界面が、不安定化する圧力の存在下で超安定になることが可能になり、一方、流体形態は、異なる適用への必要に応じて界面(複数可)を不安定化する力及び圧力の適用を可能にする。一部の実施形態では、固体と流体形態の間での転移は、温度を用いて達成される。他の実施形態では、それは、化学(例えば、元の流体の化学的性質を潜在的に変化させることができる液化剤)又は水和(例えば、乾燥スクロースの再水和)を用いて又は機械的手段(例えば、高密度コロイドの超音波液化)によって達成される。したがって、本発明者らは、切り替え可能な界面を生成するために使用され得る「切り替え可能な」流体とこのような界面を呼ぶ。一部の実施形態では、切り替え可能な流体は、システムの切り替え可能な動作を可能にする。例えば、感温性ワックスを使用して、水と安定な界面を生成し、ワックスと水性の界面の安定化のためポリプロピレン構造物質と相互作用することができる。このようなシステムでは、ワックスは、室温で固体であり、それが流体である場合より、界面に対してはるかに安定性をもたらすことができる。固体形態の場合、界面は、取り扱い及び輸送に対して堅牢であり、これにより、構造物質の孔を通じた対象の実体の通過を妨げる。熱の適用の際、ワックスは、流体となり、これにより、対象の1つ以上の実体が、構造物質中の孔を通過しなければならない適用が可能になるであろう。例えば、流体形態では、磁場中の常磁性粒子を使用して、表面張力の安定化影響に打ち勝ち、構造物質の孔を通じて、常磁性粒子及びその常磁性粒子に結合した任意の物質を輸送することができる。したがって、切り替え可能な流体及び界面の使用は、本発明にさらなる機能性及び柔軟性をもたらすことができる。
【0119】
一部の適用では、流体界面(複数可)の安定性の一貫したレベルが維持される。他の適用では、流体界面(複数可)の安定性のレベルは、界面(複数可)が意図的に不安定化されるまで、維持される。他の適用では、界面(複数可)の安定性は、制御可能かつ可逆的な様式で維持される又は不安定化される。上記の適用のいずれかでは、流体と流体の界面(複数可)は、システム内のある時点で確立若しくは生成される又は潜在的に脱確立若しくは分解され得る(例えば、システムを再構成するために流体を添加又は除去することによって)。一部の実施形態では、切り替え可能な流体を上記のシナリオで流体のうちのいずれかのため使用して、可能性のある配置の組み合わせセットを生成し得る。上記の配置のさらなる順列は、システム構成要素の異なる相対的位置並びに配置間での確立又は転移のタイミングを使用して生成することができる。
【0120】
支持構造の位相数学及び表面特性は、非限定的に重力、求心力、磁力、電気的力などの任意の外部で適用される力が、無視できるように調整することができる。本発明を用いて、当該技術分野は、もはやマイクロチャネル及び小さいチューブに拘束されないが、代わりに、相若しくは層と又は界面で関連する固体又は半固体、多孔性支持構造を用いて、ほぼあらゆる望ましい流体システムは、あらゆる寸法にわたり生成することができる。システム/組成物の実施形態では、位相数学及び界面化学は、支持構造についての主な定義特徴である(液体表面張力を変化させるため)。互いに接触した流体のうちの全てを有する流体システムが、望ましい場合、支持構造は、流体が、流れ/相互作用することができる少なくとも1つの開口部を含有する。この開口部は、標的又は標的結合粒子の通過を可能にするのに十分大きく、サイズスペクトルの反対側では、所望に応じて適用のための表面張力に勝る界面を確かにするのに十分小さい。これらのサイズの制約は、流体、物質特性並びに温度及び圧力などのシステム条件に依存する。本発明は、好ましい流体との関連が、本発明の適用中又は適用のため必要とされる支持構造体全体又は支持構造体にわたって維持される限り、支持構造体中の制限されていない数の開口部を可能にする。さらに、開口部又は孔の形状は、好ましい流体との関連が、本発明の適用中又は適用のため必要とされる支持構造体開口部若しくは孔全体又は支持構造体開口部若しくは孔にわたって維持される限り、問題ではない。
【0121】
別の態様では、本発明は、粒子の単離のためのメッシュ強化システムを提供する。粒子は、標的結合粒子を含むが、他の粒子、すなわち、標的結合粒子でない粒子である必要はない。標的に結合した粒子(例えば、標的に結合したPMP)の場合、粒子が、流体Aから流体Bに流体と流体の界面を通じてもたらされるとき、少量の流体Aは、キャリーオーバー流体として言及され得る標的に結合した粒子を用いて界面を通じて典型的にはもたらされる。キャリーオーバー流体は、典型的には、標的単離プロセス中で望ましくなく(例えば、qPCRの感度及び特異性の低減を引き起こす)、したがって、キャリーオーバーを低減するためのシステムは、有意な価値のものである。
図11A中の第二のグラフは、単離(SIFT)のポイントで安定化された界面への多孔性支持構造の包含が、特に、安定化されていない界面を使用した単離と比較したとき、キャリーオーバーを有意に低減することを示す。これらのグラフは、確認されたデータに基づく。
【0122】
典型的には、
図11A中の第一のグラフに示される通り、粒子は、流体と流体の界面を通じてもたらされるため、焦点は、界面(この場合、水性と油の界面)上に生じ、これにより、界面バリアに打ち勝ち、流体Bに入ることができる、大きな凝集体が形成される、単一の「谷」を生成するための粒子凝集体として界面を変形する。安定化された界面が使用されるとき、
図11A中の第二のグラフに示される通り、少なくとも2つの非常に重要かつ有用な作用がある。第一に、多くのより小さな「谷」が、単一の大きな谷の代わりに、界面に形成される。したがって、界面を通過するため、より小さな凝集体が形成される。これは、凝集体と関連する平均的なキャリーオーバー流体を低減する。これは、大きな凝集体のためであり、より小さな凝集体より小さい体積に対する表面比が存在する。凝集体の表面にある粒子は、より少ないキャリーオーバー流体と関連し、したがって、凝集体についてのより大きい体積に対する表面比が、キャリーオーバーの全体的な低減をもたらす。第二に、凝集体は、流体Aのバルクを押し出し、そこから分離されるため、谷が小さいほど、バルク流体から離脱する前に、流体Aのバルクに凝集体を接続する流体Aの尾部をつまむより大きな表面張力圧力を有する。これは、より安定な界面(安定化構造物を有さない)有する流体が、同様にキャリーオーバー流体を低減するという従前の観察によって支持される。
【0123】
したがって、流体キャリーオーバーに関する標的に結合した粒子の単離のため、示されるメッシュ強化システム(又は例えば、望ましい多孔度を有する別の構造支持体を使用した他のシステム、例えば、SIFTシステム)の性能は、支持構造物質(例えば、幾何学、孔サイズ、多孔度、孔幾何学の分布及び不均一性、安定化された界面のより大きなスケールの曲率若しくは位相数学など)又は利用される流体(例えば、水性-油、水性-気体、水-シリコーン油、水-フッ素系油、水-鉱油、界面活性剤の添加など)の調節を通じて調節することができる。同じく、安定化された層の全体的な厚さは増加され得る又は安定化された流体相又は層内の支持物質のさらなる層はまたキャリーオーバーを低減するために使用され得る。安定化された層が薄すぎる場合、安定化された層を通じてもたらされた凝集体が、安定化された層を通じて一時的(又は潜在的には永久的)な流体ブリッジを生成する可能性がある。ある場合(例えば、高いビーズ密度を有する一部の適用など)では、これは有利であり得、これにより、高い密度の粒子の安定した流れが、キャリーオーバーに対する高い標的比で粒子の迅速な単離をもたらすことが可能になる。流体ブリッジは、安定化された層を通して電気的導通を可能にするなどの他の目的を有してもよい。他の場合(例えば、より低いビーズ密度を有する一部の適用など)では、このような流体ブリッジは、不利とみなされ得、この場合、安定化された層の厚さを増加させることで、流体ブリッジを形成する可能性を低減又は排除することができる。多孔性支持構造体へのさらなる層又は深さはまた、他の利点をもたらし得る。例えば、孔サイズが小さくなるほど、支持物質の複数の層が使用される場合、流体Bに入る際に形成される大きい凝集体は、支持構造体の続く層で捕捉され、これにより、より小さい凝集体が、より大きい凝集体から単離され、キャリーオーバーをさらに低減する二次単離工程をもたらし得る。このようなメッシュによる粒子単離の強化は(標的結合の有無に関わらず)、医療診断、試料調製から農業及び大規模な生物化学工学用途まで、複数の産業にわたって有用である。
【0124】
このシステム並びに関連する装置、方法及び組成物により、標的ポジショニングをより迅速かつ効率的に進めることが可能になる。
図11Aを参照のこと。さらに、混入物が、従来の意味で洗い流される代わりに、基本的に排除される一方、一般的に、ビーズ間の中間の体積に限定される混入物のキャリーオーバーは、これらのシステム、装置、方法及び組成物を用いて低減され、最小化される。本発明の安定化された界面システム及び組成物は、本明細書に記載される通り、組み立てられ、製造され得る。安定化された層を生成するために、2つの非混和性流体のうちの第一の流体が容器に添加される。第一の流体を好む多孔性支持物質は、物質が、必要に応じて容器内に入ると位置に圧入され、第一の流体に浸漬されるように、適当な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断される。次いで、第二の流体が、容器に添加される。任意選択的に、適当な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断された、第二の流体を好む多孔性支持物質は、第二の流体中で関連付けられる(例えば、浸漬される)。
【0125】
一部の実施形態では、システム、装置及び方法は、標的をポジショニングするため設計され、使用される。例として、本発明のシステム、装置又は方法を使用して、1つ以上の標的は、本発明のシステム、装置及び方法を使用して移動、分離、単離、検出、同定、分析、スクリーニング、定量又は精製することができる。本発明のシステム、装置及び方法は、試料中の分析物の単離及び/又は検出のためのシステム、装置及び方法を含む。一部の実施形態では、システム、方法又は装置は、互いに密接して安定化された1つ以上の油及び/又は1つ以上の水性相及び/又は1つ以上の気相を含む。これらのシステム及び装置は、多くの用途を有する。例えば、それらは、試料又は他の混合物から標的又は標的分析物の存在又は量を単離、分離、移動、精製、混合、結合及び/又はその後検出するため使用され得る。
【0126】
標的は、多数の方法で、ポジティブ又はネガティブにポジショニングされ得る。標的は、例えば、試料から標的を移動若しくは単離又は除去すること(例えば、検出若しくは測定又は廃棄などのため)によって、ポジティブにポジショニングされ得る。標的は、例えば、1つ以上又は全ての非標的をポジショニング又は除去することによって、ネガティブにポジショニングされ得る。
【0127】
一部の実施形態では、本発明の方法、装置又はシステムを使用して、例えば、標的又は標的に結合した物質を単離、分離、移動又は結合させることによって、標的をポジショニングすることは、ポジティブになされ得る。
【0128】
一部の実施形態では、本発明の方法、装置又はシステムを使用して、例えば、標的又は標的に結合した物質を単離、分離、移動又は結合させることによって、標的をポジショニングすることは、ネガティブになされ得る。
【0129】
一部の態様では、1つ以上の層を通じて標的又は分析物を引き寄せるために磁力、電気力又は加速に基づく力(例えば、重力を介して若しくは遠心分離機を介して)を使用して標的又は分析物を含有する、含有し得る又は含有することが疑われる若しくは疑われ得る試料又は混合物から標的又は分析物を移動又は精製するために使用され得る1つ以上の安定化された油及び/又は1つ以上の安定化された水性相及び/又は1つ以上の気相を含むシステム及び装置及び方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、システム及び装置は、標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬を含む。定量は、標的に対してポジティブ-ネガティブ、半定量的又は定量的であり得る。単離は完全でも部分的であってもよい。標的又は分析物の検出、同定、分析、単離又は定量のための試薬のうちの1つ以上又は全ては、システム又は装置に含有されてもよい。
【0130】
一部の実施形態では、本発明のシステム、装置、組成物及び方法は、プロセシング工程の自律的操作である。一部の実施形態では、本発明は、層/界面を通じて移動され得る任意の固相(例えば、常磁性粒子)のプロセシング/曝露/修飾を提供する。一態様では、それぞれの工程は、例として、常磁性粒子が、相、層又は界面を通過する、精製/分離工程として機能する。他の態様では、常磁性粒子が、例えば、相、層又は界面内にあるとき、他の機能性が、生じ得る(例えば、固相の化学的修飾、固相からの溶出など)。言及された通り、固相は、標的が結合、付着又は固定されている(直接的若しくは間接的に関わらず)固体支持体である。固相は、常磁性粒子を含む。半固体は、固相として機能することができる。一部の実施形態では、標的が付着しているものは何でも、「固相」として機能し得る。メッシュ以外の多孔性固体支持構造体は、一般的には、固相とはみなされない。一部の実施形態では、標的は、固相、例えば、細胞であり得る。
【0131】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載されるシステム、装置又は方法を、特定のマトリックス中の特定の標的又は分析物に適用することである。
【0132】
一部の態様では、試料から標的を単離するためのシステム及び方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、本発明のシステム及び方法は、試料中の標的を検出する及び/又は定量するために使用される。一部の実施形態では、本発明のシステム及び方法は、試料中の標的の存在又は量を決定するため使用される。一部の実施形態では、システムは、少なくとも1つの水性相(例えば、水性層)及び少なくとも1つの油相(例えば、油層)を収容している容器を備える。水性相又は層及び油相又は層は、容器内で安定化され、一部の実施形態では、容器内で互いに密接又はそそれ以外の方法で機能的に近接して安定化され、間の距離は、システム、方法又は装置の機能のため望ましい又は必要とされる通りである。
【0133】
システムは、標的分析物の単離を促進するための任意の適当又は望ましい数の水性相若しくは層及び油相若しくは層及び/又は気相若しくは層を含んでもよい。一部の実施形態では、システムは、1つの水性相を含む。一部の実施形態では、システムは、1つより多くの水性相を含む。一部の実施形態では、システムは、1つの油相を含む。一部の実施形態では、システムは、1つより多くの油相を含む。一部の実施形態では、システムは、1つの水性相及び1つの油相を含む。一部の実施形態では、システムは、1つより多くの水性相及び1つより多くの油相を含む。一部の実施形態では、システムは、少なくとも2つの水性相及び少なくとも2つの油相を含む。一部の実施形態では、水性及び油相は、2つの水性相が、互いに直接接触せず、2つの油相が、互いに直接接触しないように、交互にスタックされる。一部の実施形態では、容器の上部に最も近い相(例えば、試料と最初に接触する相)は、水性相である。他の実施形態では、容器の上部に最も近い相は、油相である。例えば、一部の実施形態では、水性及び油相は、システムが、上部から底部に、第一の水性相、第一の油相、第二の水性相及び第二の油相を含むように、交互にスタックされる。他の実施形態では、システムは、上部から底部に、第一の油相、第一の水性相、第二の油相及び第二の水性相を含む。一部の実施形態では、システムは、少なくとも3つの水性相及び少なくとも3つの油相、少なくとも4つの水性相及び少なくとも4つの油相、少なくとも5つの水性相及び少なくとも5つの油相などを含む。一部の実施形態では、水性相のうちの1つ以上は、安定化される。一部の実施形態では、油相のうちの1つ以上は、安定化される。一部の実施形態では、水性相のうちの1つ以上及び油相のうちの1つ以上は、安定化される。
【0134】
一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相は、溶解バッファーを含む。一部の実施形態では、溶解バッファーは、第一の水性相(例えば、容器の上部に最も近い水性相)である。適当な溶解バッファーは、試料及び標的の性質に基づき選択される。したがって、試料は、試料が、システムの任意の他の構成要素と接触するようになる前に溶解バッファーと接触するように、システムに添加され得る。例えば、溶解バッファーは、生物学的試料が、複数の多孔性物質を通過する前に溶解バッファーと接触するように、複数の多孔性物質より上かつ容器に存在する任意の油相より上で、容器内に収容され得る。これは、試料内に含有される細胞の溶解を促進し、これにより、標的の存在又は量の単離、精製又は評価の前に、そこに含有される標的分析物の放出を促進する。他の実施形態では、第一の水性相は、第一の油相より下にある(例えば、第一の油相は、容器の上部に最も近い)。このような実施形態では、第一の油相は、試料を溶解して、標的分析物を放出する前に、試料から可能性のある混入物を除去するのを助ける。
【0135】
一部の実施形態では、溶解バッファーは、複数の多孔性物質の1つ以上の層の間(例えば、一方の多孔性物質と他方の多孔性物質の間)に収容され得る。一部の実施形態では、溶解バッファーは、複数の多孔性物質より上及び/又は複数の多孔性物質のうちの1つ以上の層の間に収容される。言い換えると、第一の水性相及び第二の水性相は、溶解バッファーを含み得る。一部の実施形態では、例えば、核酸の単離において、第一の溶解工程が行われ、続いて、溶解又は他のバッファーを用いた洗浄工程が行われる。一部の実施形態では、溶解バッファーは、システムに試料を添加する前に生物学的試料に添加される。例えば、溶解バッファーは、システムに試料を添加するために行われる1つ以上の前処理工程の一部として生物学的試料に添加され得る。
【0136】
任意の適当な溶解バッファーが使用されてもよい。一部の実施形態では、溶解バッファーは、塩(例えば、NaCl、KCl、(NH4)2SO4など)を含む。一部の実施形態では、溶解バッファーは、洗剤を含む。例えば、生物学的試料は、イオン性洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸塩、コール酸塩など)、非イオン性洗剤(例えば、トリトンX-100、DDM、ジギトニン、Tween20、Tween40、NP-40、Pluronic F-127)、双性イオン性洗剤又はカオトロピック洗剤を含み得る。一部の実施形態では、溶解バッファーは、0~5%洗剤(v/v)を含む。例えば、生物学的試料は、0%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%又は約5%洗剤を含み得る。洗剤は、哺乳動物細胞の溶解のため最も広範に使用される。細菌細胞を溶解するため、細胞壁は、細胞膜にアクセスするために破壊されなければならず、洗剤は、しばしばリゾチームと共に使用される。下流のアッセイのためウイルスを溶解するための剤は、ウイルス依存性であり、当該技術分野で知られている。溶解バッファーは、続く使用のため、適当なバッファーの添加により、適当な体積にされ得る。例えば、溶解は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス塩酸塩、生理食塩水などの添加により、適当な体積にされ得る。溶解バッファーは、望ましい標的の放出を促進するために、その中の内容物の分解を助けるための1つ以上の酵素又は化学薬剤を含んでもよい。例えば、溶解バッファーは、1つ以上のタンパク質分解酵素などの、1つ以上の酵素をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、溶解バッファーは、プロテイナーゼKを含んでもよい。溶解バッファーは、試料内の標的の分解を防止するための1つ以上の適当な試薬をさらに含んでもよい。例えば、適当な試薬及び/又は阻害剤(例えば、RNase阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤など)が、本明細書に記載されるシステムにおいて使用される前に溶解バッファーに添加され得る。
【0137】
一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相は、洗浄バッファーを含む。洗浄バッファーの目的は、一般的に、例えば、PMPにより、洗浄バッファー層に運ばれる試料の望ましくない構成要素を希釈することであり、ここで、PMPは、次の相又は層にPMPを移動させる前に使用される。別の目的は、例えば、次の層へそれを移動させる前にPMPに結合した望ましくない試料構成要素の離脱を促進することである。洗浄液又は洗浄バッファーを使用して、次の層にそれを移動させる前に洗浄層に運ばれる望ましくない試料構成要素を「軽減し」(例えば、化学的に)得る。
【0138】
一部の実施形態では、洗浄バッファーを含む水性相は、第一の水性相ではない(例えば、容器の上部に最も近い水性相ではない)。例えば、洗浄バッファーは、第二の水性相、第三の水性相、第四の水性相などであってもよい。一部の実施形態では、複数の水性相は、洗浄バッファーを含む。例えば、第一の水性相は、溶解バッファーを含んでもよく、第二及び第三の水性相は、洗浄バッファーを含んでもよい。一部の実施形態では、洗浄バッファーを含む水性相は、溶解バッファーを含む水性相より下、標的を検出するための試薬より上に存する。一部の実施形態では、洗浄バッファーは、水を含む。一部の実施形態では、洗浄バッファーは、エタノールを含む。一部の実施形態では、洗浄工程又は洗浄バッファーは、溶解バッファー又は洗浄バッファーと溶解バッファーの混合物を用いて行われる。
【0139】
一部の実施形態では、システムは、常磁性粒子をさらに含む。一部の実施形態では、1つ以上の水性相は、常磁性粒子(PMP)をさらに含む。一部の実施形態では、第一の水性相は、常磁性粒子をさらに含む。常磁性粒子は、標的分析物に結合し、これにより、1つ以上の標的とPMPの複合体を生成する。一部の実施形態では、PMPは、標的又は標的分析物に結合し、「標的結合」PMP(又は他の標的捕獲固相)として言及される。一部の実施形態では、標的結合PMP又は他の標的結合固相は、標的に向けられ、記載される、PMP標的化剤「標的結合」PMPとして使用される、標的結合剤、例えば、抗体、抗体フラグメント、一本鎖Fv、オリゴヌクレオチド、アプタマー、ペプチドミメティックなどとコンジュゲートされる。任意の適当な常磁性粒子が使用されてもよい。一部の実施形態では、常磁性粒子は、市販の売り主から購入されてもよい。使用される常磁性粒子の特定のタイプは、試料から単離されるべき標的に依存する。例えば、比較的広い表面範囲を有する粒子は、ウイルスRNAなどの核酸の結合に好ましくてもよい。一部の実施形態では、記される通り、1つ以上の常磁性粒子は、標的の捕獲/精製を補助するために機能化され得る。例えば、常磁性粒子の一部又は全ては、1つ以上の抗体、抗原結合フラグメント(例えば、サイズ、原子価及びFc内容物が変動し得る、IgG及びIgMの可変領域から生成される、例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、Fvなど)、一本鎖可変フラグメント(scFV)組み換え抗体フラグメント(rAbF)、アプタマー、ペプチド及びペプチドミメティック、天然及び化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド又は標的の捕獲を助けるための他の適当な剤を用いて機能化され得る。一部の実施形態では、異なる常磁性粒子は、常磁性粒子の1つの群が、試料との首尾良い相互作用及び/又は試料からの首尾良い単離を示すように機能することができるように、異なる標的のため機能化される(例えば、試料が首尾良く溶解されたこと、及び又はPMP及び試料が首尾良く混合され、その後単離されたことを示すための手段として、唾液中のヒトRNaseP RNA/DNAを標的化する粒子)。一部の実施形態では、常磁性粒子の異なるセットは、陽性対照又は陰性対照として機能し得る。一部の実施形態では、常磁性粒子は、SARS、コロナウイルス、SARS-CoV-2及び関連する標的の捕獲を助けるために1つ以上のスパイクタンパク質抗体を用いて機能化され得る。本明細書で使用される場合、常磁性粒子又はPMPへの言及は、機能化された常磁性粒子を含む。
【0140】
常磁性粒子は、凍結乾燥又は乾燥されてもよい。PMPは、凍結乾燥又は乾燥された混合物又は溶液に含有されてもよい。他の実施形態では、常磁性粒子は、液体製剤中にあってもよい。常磁性粒子は、試料と接触され、これにより、複数の標的とPMPの複合体を生成する。一部の実施形態では、常磁性粒子は、複数の多孔性物質を保持している容器内に収容される。例えば、PMPは、第一の水性相の一部であり得る。あるいは、常磁性粒子は、別々に(例えば、複数の多孔性物質とは別々の容器に)収容され得る。別々に収容されるとき、常磁性粒子は、容器に試料を添加する前、容器に試料を添加した後又は容器に試料を添加するのと同時に、複数の多孔性物質を収容している容器に添加され得る。例えば、PMPは、容器に存在する第一の水性相に添加され得る。一部の実施形態では、第一の水性相はまた、容器への試料の添加は、そこに含有される細胞の溶解及び水性層内に存在するPMPへの標的又は分析物の結合をもたらすように、溶解バッファーを含む。あるいは、常磁性粒子を試料と混合して、複数の標的とPMPの複合体を含む組成物を生成し得、組成物を容器に添加し得る。
【0141】
任意の適当な量のPMPが、試料と接触され得る。PMPが液体製剤に含有される実施形態では、常磁性粒子を含む任意の適当な体積の液体組成物は、試料と接触され得る。一部の実施形態では、PMPを含む液体組成物の体積は、試料の体積と等しい又は超えていてもよい。例えば、PMPを含む液体組成物の体積は、試料の体積の少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%又は少なくとも500%であってもよい。
【0142】
PMPの任意の適当な濃度を使用して、標的へのPMPの十分な結合(例えば、十分な数の標的とPMPの複合体の形成)を確かにし得る。凍結乾燥されたPMP製剤について、任意の適当な重量の凍結乾燥された生成物を使用して、試料と接触されるべきPMPの適切な濃度を確かにし得る。液体製剤について、PMPを含む液体組成物は、標的へのPMPの十分な結合(例えば、十分な数の標的とPMPの複合体の形成)を確かにするために任意の適当な濃度のPMPを含み得る。例えば、PMPは、約1~20%(v/v)で液体組成物に存在し得る。例えば、PMPは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は約20%(v/v)の量で液体組成物に存在し得る。
【0143】
一部の実施形態では、PMPを含む液体組成物は、試料のプロセシング/取り扱いのための他の適当な試薬を含有する。例えば、PMPを含む液体組成物は、1つ以上の洗剤、還元剤、バッファー、阻害剤、酵素(例えば、タンパク質分解酵素)、変性剤などを含有し得る。試料に存在する任意のさらなる試薬は、PMPを含む液体組成物にさらに存在し得る。例えば、液体組成物は、試料の粘度を減少するための1つ以上の試薬をさらに含んでもよい。例えば、液体組成物は、PMP及びDTTを含んでもよい。液体組成物は、試料プロセシング中に標的(例えば、標的核酸、標的タンパク質など)の分解を防ぐための他の適当なバッファー、阻害剤などを含み得る。PMPを含む液体組成物に存在し得る適当な阻害剤は、例えば、RNase阻害剤、タンパク質分解酵素阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤などを含む。凍結乾燥されたPMP製剤は、充填剤、安定剤及び他の適当な賦形剤を含む、凍結乾燥プロセスにおいて一般的に使用される他の適当な試薬を含有し得る。
【0144】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムは、少なくとも1つの油相をさらに含む。油相は、任意の適当な疎水性液体であり得る。一部の実施形態では、油相は、鉱油、やし油、植物油などを含み得る。一部の実施形態では、油相(例えば、軽油、やし油などの層)は、システムに存在する場合、複数の多孔性物質より上並びに洗浄バッファー及び/又は溶解バッファーより上に存する。したがって、試料は、溶解バッファーと接触する前に油の層を通過する。
【0145】
水性及び油相は、1つ以上の因子によって容器内で安定化され得る。一部の実施形態では、水性及び油相は、多孔性物質の使用によって、少なくとも部分的に安定化される。例えば、本明細書に記載されるシステムは、複数の多孔性物質を含んでもよい。複数の多孔性物質は、標的(例えば、標的とPMPの複合体)が、精製プロセス中に複数の多孔性層を通過するように、容器内にスタックされる。一部の実施形態では、多孔性物質は、スタック内で互いに直接的に接触しない。例えば、1つ以上の多孔性物質は、水性相(例えば、洗浄バッファー、溶解バッファー)又は油相(例えば、鉱油、やし油)によって分けられてもよい。一部の実施形態では、1つ以上の多孔性物質は、互いに直接的に接触する。
【0146】
任意の適当な多孔性物質が使用されてもよい。一部の実施形態では、多孔性物質は、親水性である。一部の実施形態では、親水性多孔性物質は、水性相若しくは層内である又は水性相若しくは層を含む。一部の実施形態では、多孔性物質は、疎水性である。一部の実施形態では、疎水性多孔性物質は、油相若しくは層内である又は油相若しくは層を含む。一部の実施形態では、多孔性物質は、繊維性ガラス物質である。例えば、多孔性物質は、繊維性親水性ガラスメッシュであり得る。一部の実施形態では、多孔性物質は、合成メッシュ物質である。例えば、多孔性物質は、ポリプロピレンメッシュ、ポリエチレンメッシュ、ポリエステルメッシュ、ナイロンメッシュ又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)メッシュを含んでもよい。一部の実施形態では、合成メッシュ物質は、疎水性である。一部の実施形態では、合成メッシュ物質は、親水性である。例えば、ナイロン-6は、親水性である例示的な合成メッシュ物質である。ナイロン-6及びナイロン-6キャピラリー-チャネル化ポリマー(C-CP)繊維は、親水性である。
【0147】
一部の実施形態では、多孔性物質のうちのそれぞれは、同じである。言い換えると、システムは、容器内にスタックされた複数の多孔性物質を含み、スタック中のそれぞれの層は、同じ多孔性物質を含む。他の実施形態では、多孔性物質のうちの1つ以上は、1つ以上の他の多孔性物質と異なる。言い換えると、システムは、容器内にスタックされた複数の多孔性物質を含み、スタック中の1つ以上の層は、別の層と異なる。
【0148】
様々な実施形態では、多孔性物質は、方法中に排除されることが望まれる試料における物質中の孔若しくは開口部のサイズ及び標的若しくは分析物のサイズ、担体若しくは固相(例えば、PMP)に結合した標的若しくは分析物のサイズ及び/又は要素のサイズに基づき選択される。一部の実施形態では、多孔性物質のうちの1つ以上における孔又は開口部のサイズは、1つ以上の他の多孔性物質におけるものと異なる。一部の実施形態では、多孔性物質のうちの1つ以上における孔又は開口部のサイズは、システム中の1つ以上の他の多孔性物質におけるものと同じである。
【0149】
一部の実施形態では、親水性多孔性物質は、少なくとも1つの水性相又は層と関連し、疎水性多孔性物質は、少なくとも1つの油相又は層と関連する。例えば、親水性多孔性物質(例えば、ガラスメッシュ、ナイロン)は、容器内の1つ以上の水性相又は層と関連し得、合成疎水性メッシュ物質は、少なくとも1つの油相又は層と関連し得る。一部の実施形態では、それぞれの水性相又は層は、親水性多孔性物質を含む又は親水性多孔性物質から本質的になり、それぞれの油相又は層は、疎水性多孔性物質を含む又は疎水性多孔性物質から本質的になる。一部の実施形態では、第一の水性相又は層は、溶解バッファーを含む又は溶解バッファーから本質的になり、第一の水性相又は層と関連する親水性多孔性物質(例えば、ガラスメッシュ、ナイロン)によって安定化される。一部の実施形態では、第一の水性相又は層及び少なくとも1つのさらなる水性相又は層は、親水性多孔性物質を含む又は親水性多孔性物質から本質的になる。例えば、第一の水性相又は層は、溶解バッファーを含む又は溶解バッファーから本質的になり得、第二の水性相又は層(及び潜在的に、第三の水性相若しくは層、第四の水性相若しくは層など)は、洗浄バッファー及び親水性多孔性物質を含む又は洗浄バッファー及び親水性多孔性物質から本質的になる。一部の実施形態では、少なくとも1つの油層は、疎水性メッシュ(例えば、疎水性合成メッシュ)によって安定化される。例えば、第一の油層、第二の油層、第三の油層などは、油層と関連する疎水性合成メッシュを含む又は油層と関連する疎水性合成メッシュから本質的になってもよい。
【0150】
一部の実施形態では、水性相又は層及び油相又は層は、1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって、少なくとも部分的に安定化される。例えば、水性相又は層及び油相又は層は、システムに存在する場合、親水性多孔性物質又は疎水性多孔性物質の密度、界面化学、表面自由エネルギー、流体保持力及び/又は多孔度を含む幾何学又は1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって安定化され得る。一部の実施形態では、水性相又は層及び油相又は層は、支持構造体と流体層を関連付ける流体保持力が、それがなければ機能的な層構成又は相の順序を乱し得る他の力(例えば、浮力)よりも優位であるように、適当な条件によって互いに密接して安定化される。例えば、水が、重力の存在下で水より低い密度である油の上部を覆う入れ物に導入される単純な2相システムにおいて、浮力は、油が、重力と比べて、水相の上部を覆う層を形成するように、システムを再構成する。疎水性安定化多孔性物質が、油の上部表面に存在し、水を導入する前に容器の壁に付着する場合、多孔性物質中の流体保持力は、浮力及び注ぐ行為から生じる力/圧力が、油層を上部位置に再配置することを防ぎ、これにより、油を水性層の下に維持することができる。
【0151】
一部の実施形態では、油相安定化は、異なる密度の油を使用することによって、調整、修飾又は選択される。油相はまた、表面張力及び/又は毛細管現象の力が、密度及び/又は加速(例えば、重力)から生じる力より優位である相又は層を生成することによって調整又は修飾され得る。
【0152】
水性相若しくは層又は潜在的な関連する支持構造の密度及び/又は表面特性は、層の安定性又は層の装置若しくは支持構造との関連を調整するよう調整することができる。一部の実施形態では、1つ以上の水性相又は層の密度及び/又は表面特性は、異なる塩又は異なる塩の量、界面活性剤などを含む水性相又は層を使用することによって調整又は修飾される。流体と関連する構造物の表面特性は、例えば、水のような流体に対する嗜好性を高めるためのポリスチレンメッシュの酸素プラズマ処理を介して同様に調整することができる。水性相又は層はまた、重液を含む相又は層を生成することによって修飾され得る。重液は、ポリタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム及びメタタングステン酸リチウムを含む。これらは全て、[H2W12O40]6-ポリアニオンをベースとする無機化合物であり、水に溶解して非常に高密度の溶液を形成し、高密度でない水性相又は層を形成するために希釈することができるが、純粋な水をベースとする相又は層よりも高密度である。一部の実施形態では、水性相又は層は、表面張力及び/又は毛細管現象の力が、密度及び/又は加速(例えば、重力)から生じる力より優位である相又は層を生成することによって修飾される。
【0153】
本発明のシステム、装置及び方法における相又は層の密度、機械的特性及び/又は表面特性はまた、物質の相変化、例えば、融解、沸騰、昇華などを用いて調整することができる。相又は層における浮力及び/又は表面張力を調整又は修飾するのに有用な相変化物質は、ポリエチレングリコール及びメトキシポリエチレングリコールなどのポリマー化合物を含む。一部の実施形態では、相変化物質は、ワックスの溶融温度より上の操作温度を有するパラフィンワックスなどであり得る。
【0154】
支持構造の多孔度は、変動する孔サイズ又は異なる孔サイズ範囲の特定の物質を使用することによって調整又は選択することができる。異なる孔サイズを有する一部の有用な多孔性物質(例えば、ニトロセルロース)が作製される。孔サイズはまた、その場で調整又は修飾され得る(例えば、膨潤若しくは分解するヒドロゲル又は乾燥糖類を含む多孔性物質を使用すること)。
【0155】
一部の実施形態では、標的は、ポジティブ又はネガティブにポジショニングされる。標的は、例えば、標的をポジショニング又は単離すること(例えば、検出若しくは測定のため)又は試料若しくは物質から標的を除去することによって、ポジティブにポジショニングされ得る。標的は、例えば、1つ以上又は全ての非標的をポジショニング又は除去することによって、ネガティブにポジショニングされ得る。一部の実施形態では、例えば、本発明の方法、装置又はシステムを使用して標的又は標的に結合した物質を単離、分離、移動又は結合させることによって、標的をポジショニングすることは、他の物質、例えば、生物学的試料又は他の試料中の物質から離して、標的又は標的に連結された物質をポジショニングすることによってポジティブになされる。
【0156】
一部の実施形態では、例えば、本発明の方法、装置又はシステムを使用して標的又は標的に結合した物質を単離、分離、移動又は結合させることによって、標的をポジショニングすることは、標的に結合した物質の標的から離して、非標的物質を除去することによってネガティブになされる。
【0157】
抗体ベースの細胞単離を使用した本発明の一部の実施形態では、例えば、ポジティブ又はネガティブセレクションのいずれかが、使用され得る。本発明の方法、装置又はシステムを使用して単離され得る細胞は、例えば、幹細胞、循環胎児細胞、循環腫瘍細胞などを含む。本発明をまた使用して、より大規模で多様なバックグラウンドを持つ細胞(例えば、血流、生検組織など)内又は患者間のばらつきによってマスクされ得る稀な細胞を単離し得る。とりわけ、本発明の方法、装置及びシステムは、ポジティブ又はネガティブのいずれかで、稀な標的細胞をバックグラウンドから分離する手段を提供する。
【0158】
ポジティブセレクションは、抗体を利用して、抗原依存性様式で細胞を捕獲し得、これにより、選択された細胞マーカーに特異的な捕獲された集団を得る(抗体、炭水化物受容体などを通じて)。正確ではあるが、ポジティブセレクションは、マーカーが、標的集団に特異的であり、従前にわかっている必要がある。識別マーカーが未知である又は異なるレベルで発現されても、異ならない(すなわち、隣接する細胞集団によって共有される)場合、ネガティブセレクションが使用され得る。本発明のネガティブセレクションの実施形態は、知られた非標的マーカーを利用して、バックグラウンド集団を枯渇させる。このアプローチでは、標的細胞は、捕獲されないままであり、ネガティブアプローチによる単離が可能となる。ネガティブセレクションの場合、標的は、標的自体(又は標的が結合している物質)を移動させるよりむしろ、他の物質を標的から離して移動させることによって他の物質から離れてポジショニングされる。
【0159】
本明細書に記載されるシステムは、システムの様々な構成要素(例えば、少なくとも1つの水性相(例えば、水性層)、少なくとも1つの油相(例えば、油層)、複数の多孔性物質など)を収容している容器を備える。任意の適当な容器が使用され得る。適切な容器は、システムの望ましい適用に基づき選択され得る。例としては、試験管、微量遠心菅、ディッシュ、スライド、プレート、複数ウェルのプレート(例えば、4ウェル、8ウェル、12ウェル、96ウェル、384ウェルなど)、フラスコ、バイアル、チャネルなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、容器は、複数の試料が、同時に処理され得るように、複数ウェルのプレートである。
【0160】
容器は、任意の適当なサイズであり得る。一部の実施形態では、小さい容器(例えば、複数ウェルのプレート)は、生物学的試料からの分析物の単離のため誂えられ得る。他の実施形態では、より大きな容器は、下水試料などの環境試料からの分析物の単離のため誂えられ得る。任意の適当な体積の水性及び油相は、選択された容器に依存して使用され得る。例えば、複数ウェルのプレートについて、比較的小さい体積の水性及び油相が、使用され得る(例えば、0.5ml未満)。しかしながら、容器のサイズが増加するにつれ、水性及び油相の体積は、適当に調整されることは理解される。
【0161】
一部の実施形態では、システムは、標的を検出するための試薬をさらに含む。一部の実施形態では、標的を検出するための試薬は、試料が、標的を検出するための試薬と接触する前に複数の多孔性物質を通過するように、容器の底部表面に対して、容器の底部表面に又は容器の底部表面上に収容される。例えば、標的の検出のための試薬は、適当な多孔性物質によって容器の底部表面上に安定化され得る。例えば、標的の検出のための試薬は、親水性多孔性物質(例えば、ガラスメッシュ、ナイロン)と関連付けられ、油相又は層の下にポジショニング又は安定化され得る。試薬は、構造多孔性物質、例えば、一部の実施形態では、親水性多孔性物質(例えば、ガラスメッシュ、ナイロン)によって容器の底部表面より上又は容器の底部表面で安定化され得る。一部の実施形態では、標的の検出のための試薬は、支持構造と関連付けられなくてもよい。例えば、試薬を安定化された油相又は層の下にポジショニングさせて、それを決まった場所に保持することができる。一部の実施形態では、試薬は、支持構造(例えば、多孔性ガラスメッシュ又はナイロンO-リングなどの非多孔性物質装置)と関連付けられ、安定化された油相又は層の下にポジショニングされる。例えば、標的又は複数の標的の検出のための試薬は、適当な物質を試薬の上部に添加してそれを決まった場所に保持することによって、容器の底部に保持される。一部の実施形態では、標的又は複数の標的の検出のための試薬は、試薬の上部に繊維性物質(例えば、ポリプロピレンメッシュ)を置くことによって、容器の底部表面に対して、容器の底部表面に又は容器の底部表面上に保持され得る。一部の実施形態では、試薬は、非メッシュ又は非多孔性物質装置、例えば、O-リング(例えば、PTFE O-リング)によって容器の底部表面上に保持される。
【0162】
他の実施形態では、標的を検出するための試薬は、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相を収容している容器と別々の容器に存在し得る。例えば、少なくとも1つの水性相、少なくとも1つの油相及びスタックされた多孔性物質を収容している容器は、標的を検出するための試薬を保持している別々の容器の上部又は容器内に置かれてもよい。例えば、少なくとも1つの水性相、少なくとも1つの油相及び多孔性物質を収容している容器は、インサートとして使用され、標的の検出のための試薬を保持している別々の容器内に置かれ得る。磁石は、標的とPMPの複合体が、インサート内に保持される物質を通じて引き寄せられ、標的を検出するための試薬と接触するように、標的の検出のための試薬を保持している容器下に置かれ得る。一部の記載された実施形態では、システムは、少なくとも1つの水性相又は層及び少なくとも1つの気相又は層を含有するが、油相又は層を含有せず、他の実施形態では、システムは、少なくとも1つの油相又は層及び少なくとも1つの気相又は層を含有するが、水性相又は層を含有しないことに留意されたい。
【0163】
システムの一部の実施形態では、磁石は、容器の一部である。使い捨ての用途のための実施形態を含む一部の実施形態では、例えば、磁石は、容器内に含まれる又は固定され得る(例えば、容器の側面、容器の底部など)。システムの他の実施形態では、磁石は、容器の底部又は側面外に付着又は固定され得る。システムの他の実施形態では、容器の底部又は容器の底部の部分は、磁石を含む。システムの他の実施形態では、容器の側面又は容器の側面の部分は、磁石を含む。
【0164】
他の実施形態では、使用される磁石は、備品、機器、ホルダー、PMPと比べて磁石をポジショニングするために使用されるツールなどの一部である。
【0165】
一部の実施形態では、標的の検出のための試薬は、核酸増幅(例えば、PCR、等温増幅など)及び/又は配列決定のための試薬を含む。一部の実施形態では、標的を検出するための試薬は、RT-PCR、qPCR、qtPCR、マルチプレックスPCR、アセンブリーPCR又は非対称PCRなどのための試薬を含む。他の実施形態では、標的を検出するための試薬は、標的又は標的分析物を検出又は測定するための抗体及び/又は抗体フラグメントを使用し得る、イムノアッセイのための試薬を含む。一部の実施形態では、イムノアッセイは、酵素イムノアッセイ、ELISA(直接ELISA、間接ELISA、サンドイッチELISA及び競合的ELISAを含む、酵素結合免疫吸着測定法)、IEMA(酵素免疫測定法)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光免疫測定、化学発光イムノアッセイ(CLIA)並びに計数イムノアッセイ(CIA)である。
【0166】
一部の実施形態では、本発明は、試料適用空間、カートリッジ上部、カートリッジ底部、標的の検出又は定量のための試薬及びエンクロージャを含む、流体の試料中の標的の存在又は量を決定するためのフロースルーアッセイを含む使い捨てのカートリッジにおいて、エンクロージャ内で、標的結合常磁性粒子、水性相若しくは油相又は両方と関連する多孔性構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相、並びに磁石を利用することを含むことを特徴とする、使い捨てのカートリッジを提供する。他の相及び/又は代わりの相が使用又は含まれてもよい。
【0167】
一部の実施形態では、本発明は、装置の異なる部分に、試料適用部分、コンジュゲート部分、試験部分及び予め固定化された試薬を含むフローアッセイ装置(例えば、ラテラルフロー、バーティカルフロー)において、標的結合常磁性粒子、水性相若しくは気相若しくは油相又は両方と関連した多孔性構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの気相又は油相並びに磁石を利用することを含むことを特徴とする、フローアッセイ装置を提供する。他の相及び/又は代わりの相が使用又は含まれてもよい。一部の実施形態では、改善されたフローアッセイ装置は、使い捨てのポイントオブケア装置又はカートリッジとして使用するため設計される。
【0168】
一部の実施形態では、本発明は、試料中の標的物質の存在又は濃度を決定するための免疫測定アッセイであって、第一の標識された結合剤、当該標的物質、及び固体担体に結合している第二の結合剤の三元複合体を形成することを含み、試料中の物質の存在又は量は、固体担体に結合した標識された結合剤の量又は反応していない標識された結合剤の量のいずれかを測定することによって決定される、免疫測定アッセイにおいて、標的結合常磁性粒子、水性相又は油相又は両方と関連する多孔性構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相、並びに磁石を利用することを含むことを特徴とする、免疫測定アッセイを提供する。他の相及び/又は代わりの相が使用又は含まれてもよい。一部の実施形態では、固相は、常磁性粒子である。一部の実施形態では、結合剤のうちの1つ以上は、抗体、抗体フラグメント、オリゴヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、ペプチドミメティック、天然若しくは化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド又は標的の捕獲を助けるための他の適当な剤である。他の実施形態では、標的結合常磁性粒子、水性相又は油相と関連付けられる多孔性構造物質の包含によって互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相の使用で改善されたアッセイは、IEMA、RIA、CIA、CLIA又は蛍光免疫測定である。
【0169】
一部の実施形態では、標的を検出するための試薬は、標的の1つの態様を同定するための試薬を含む。一部の実施形態では、標的を検出するための試薬は、標的の1つより多くの態様を同定するための試薬を含む。標的の態様は、例えば、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、核酸のエピジェネティックな修飾、核酸配列、細胞表面受容体、細胞タイプなどを含む。一部の実施形態では、標的の検出のための試薬は、1つより多くの標的又は1つ以上の標的の1つ以上の態様を同定するための試薬を含む。一部の実施形態では、1つより多くの標的を検出するための試薬は、システム若しくは装置の異なる物理的に分けられた部分又は本発明のシステム若しくは装置を含む容器の異なる一部に含有される。一部の実施形態では、複数の標的が単離され、これらの標的を検出するための複数のタイプの試薬は、単一の装置又はシステム内に含有される。例えば、実施例13を参照のこと。
【0170】
標的又は標的分析物の検出又は測定のためのアッセイの1つ以上の工程を行うのに有用な本発明の一部の実施形態では、装置又はシステムの相又は層のうちの1つ以上は、いくつかの異なるバッファーのうちの1つ以上を含み得る。一部の実施形態では、1つ以上の相又は層は、コーティングバッファー、ブロッキングバッファー、安定化バッファー、洗浄バッファーを含む又は試料希釈剤として働く若しくは試料希釈剤を含む。一部の実施形態では、抗体又は抗体フラグメントを使用して、検出シグナルを得る。一部の実施形態では、本発明の装置、システム又は方法を使用して行われるアッセイは、標的又は標的分析物の移動又はポジショニングが、磁性粒子を使用した磁気分離を使用して達成される磁気作動性イムノアッセイを含む。一部の実施形態では、これらの実施形態で使用される粒子は、抗体又は抗体フラグメントの付着によって化学的に修飾されているマグネタイトのコアからなる。一部の実施形態では、アッセイのうちの1つ以上又は全ての構成要素を使用して、標的又は標的分析物を単離又は精製する。
【0171】
一部の実施形態では、標的の検出のための試薬は、標的のループ介在等温増幅(LAMP)ベースの検出のための試薬を含む。一般に、LAMP反応液は、強い鎖置換活性及び高温に対する耐性を有するDNAポリメラーゼ並びに特定の構造物の最大6つのDNAオリゴヌクレオチドを有するDNAポリメラーゼを含む。RT-LAMP反応液は、逆転写酵素をさらに含む。可能性のある鋳型分子を有する試料が、反応に添加され、一定温度(例えば、65℃)で20~60分間インキュベートされる。オリゴヌクレオチドは、逆転写酵素のためのプライマーとして働き、DNAポリメラーゼのためのさらなるオリゴヌクレオチドは、DNA産物がその末端でループバックするように設計される。これらは、順に、DNAポリメラーゼのセルフプライミング鋳型として機能する。数個のRNA鋳型分子の存在下で、連鎖反応が開始され、添加された試薬(特に、デオキシヌクレオチド三リン酸)が使い果たされるまで続く。
【0172】
LAMPアッセイ又はRT-LAMPアッセイは、その迅速な性質、ワンチューブ処理及び高価な装置又はさらなる物質を必要としない結果の容易な可視化により、特に有用な実施形態である。特定の実施形態では、標的の検出のための試薬は、標的の存在量を検出するための比色分析アッセイのための試薬を含む。このような実施形態は、試料が対象の標的を含有するかどうかの容易な可視化を可能にする。一部の実施形態では、試料採取装置は、比色分析ループ介在等温増幅(LAMP)アッセイのための試薬を含有する。核酸がRNAである実施形態では、試料採取装置は、比色分析RT-LAMPアッセイのための試薬を含有し得る。一部の実施形態では、比色分析LAMPアッセイ(又は比色分析RT-LAMPアッセイ)のための試薬は、十分な核酸(例えば、LAMP又はRT-LAMP試薬が検出するように設計されている標的核酸)の存在下での試料における色の変化の評価を可能にする指示薬をさらに含む。適切な指示薬は、pH感受性指示薬及び金属感受性指示薬を含む。一部の実施形態では、肉眼で容易に可視化できるため、pH感受性指示薬(例えば、フェノールレッド)が使用されてもよい。特定の用途(例えば、酵素(フルオロメトリック、熱量測定、化学発光、増強化学発光)、ラジオメトリック、直接蛍光、時間分解蛍光、直接化学発光、燐光など)に最適なシグナル検出アプローチは、使用者によって決定される。シグナル増幅技術及び戦略もまた、本発明のシステム、装置、組成物及び方法において、マルチプレックス技術と同様に使用され得る。
【0173】
一部の実施形態では、標的の検出のための試薬は、定量的、半定量的又は予め決められた域値量のいずれかで標的を検出するため又は標的の量を決定するための蛍光アッセイのための試薬を含む。例えば、試料採取装置は、蛍光LAMP又は蛍光RT-LAMPアッセイのための試薬を含有し得る。任意の適当な蛍光色素は、蛍光シグナルが十分な核酸の存在下で生成されることを可能にするために蛍光LAMP又は蛍光RT-LAMPアッセイにおいて使用され得る。
【0174】
一部の実施形態では、標的の検出のための試薬は、「はい/いいえ」アッセイのための試薬を含む。
【0175】
一部の実施形態では、試薬は、真核生物細胞、ミトコンドリア及び葉緑体など由来の核酸を含む、細菌の核酸又は任意の生命形態若しくは複製単位由来の核酸の検出のため設計されたオリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)を含む。一部の実施形態では、核酸は、細菌の核酸である。一部の実施形態では、核酸は、ウイルス核酸である。一部の実施形態では、核酸は、合成又は遺伝子操作された供給源を含む、任意の供給源由来の核酸である。
【0176】
一部の実施形態では、試薬は、ウイルスRNAの検出のため設計されたオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、試薬は、例えば、SARS-CoV2、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス、肝炎ウイルス(A、B、C、D及び/若しくはE型肝炎ウイルスを含む)、ジカウイルス、エボラウイルス、結核菌、ボレリア・ブルグドルフェリ(borrelia burgdorferi)、ボレリア・マヨニイ(borrelia mayonii)、スタフィロコッカス(staphylococcus)菌、アスペルギルス(aspergillus)真菌(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を含む)又はストレプトコッカス(streptococcus)(ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)を含む)の検出のため設計されたオリゴヌクレオチドを含む。例えば、試薬は、SARS-CoV2、SARS、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルスなどから選択されるウイルス上気道感染症の検出のため設計されたオリゴヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、試薬は、SARS-CoV-2 RNA又はそのフラグメントの検出のためのオリゴヌクレオチドを含む。
【0177】
一部の実施形態では、システムは、磁石をさらに備える。磁石を使用して、スタックされた多孔性物質を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、分析物の検出のための試薬と接触させ、ゆえに、「精製磁石」として本明細書において言及され得る。精製磁石は、部分的又は完全な精製をもたらし得る。精製磁石は、標的とPMPの複合体の一部、大部分、実質的に全て又は全てをスタックされた多孔性物質を通じて引き寄せるために、適当な強度のものであり及び/又は容器の底部若しくは容器内の適当な近傍に位置し得る。例えば、精製磁石は、容器の下に位置してもよい。一部の実施形態では、システムは、複数の精製磁石(例えば、アレイ状に配置される)を備える。例えば、複数の精製磁石を使用して、複数の容器(例えば、分析物の単離及び検出が望まれる複数の試料を含有する複数ウェルのプレート)に同時又は順番に対応し得る。一部の実施形態では、磁石の第二のセットを使用して、精製磁石の均一性及び強度に影響を与える又は調整する。例えば、精製磁石がアレイパターンで配置されるとき、磁石の第二のセットをアレイの境界線周囲に位置させて、エッジ効果を低減し、これにより、アレイ中のそれぞれの精製磁石のより一貫した磁場を維持する。したがって、磁石の第二のセットは、「磁場安定化磁石」として本明細書で言及され得る。結合後、磁石は、複数の多孔性物質を収容する容器の基部などのシステムに適用され、これにより、スタックされた多孔性物質を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せて、試料内の他の構成要素から標的を精製又は実質的に単離し得る。多孔性物質の孔サイズは、他の望ましくない混入物が通過するのを防ぎながら、標的とPMPの複合体が孔を通過することを可能にするのに十分であるべきである。望ましくない混入物は、任意の供給源、例えば、元の試料、環境、アッセイ試薬、装置などの望ましくない構成要素由来であり得る。
【0178】
多孔性物質の孔サイズは、単離されるべき標的に依存して最適化され得る。一部の実施形態では、孔サイズは、0.5μM~.5mmの範囲にあり得る。
【0179】
本明細書に記載されるシステムを使用して、任意の望ましい試料から標的を単離し得る。一部の実施形態では、試料は、生物学的試料である。一部の実施形態では、生物学的試料は、鼻咽頭試料、口腔咽頭試料、口腔スワブ若しくはスポンジ試料、鼻スワブ試料、中鼻甲介試料又は唾液試料である。特定の実施形態では、生物学的試料は、唾液試料である。他の実施形態では、生物学的試料は、NP試料である。一部の実施形態では、試料は、環境試料である。例えば、試料は、下水試料であってもよい。一部の実施形態では、環境試料又は生物学的試料は、粗試料であり及び/又は1つ以上の標的分子は、本発明の方法の適用又は本発明の装置、システム、方法若しくは組成物による操作前に、試料から精製又は増幅されない。
【0180】
一部の実施形態では、生物学的試料は、固相若しくは溶解/結合バッファー及び固相(例えば、PMP)を有する又は有する溶解/結合バッファーとまず混合され、次いで容器内に存在し得る、システム又は装置に添加される。一部の実施形態では、システム又は装置は、溶解/結合バッファー及びPMPを既に含有し、生物学的試料がそれに添加される。スワブ(例えば、鼻咽頭試料、口腔咽頭試料、口腔スワブ試料、口腔スポンジ試料、鼻スワブ試料、中鼻甲介試料など)を介して取得された生物学的試料に関する一部の実施形態では、スワブが、浸漬され、溶解/結合バッファー(容器に既に含有される場合、PMP)に混合される。一部の実施形態では、生物学的試料は、別々の装置又は容器を使用して取得され、次いで、溶解/結合バッファー及び固相、例えば、PMPを既に含有する容器と連結される。2つの容器/装置の結合/接合は、システム又は装置への生物学的試料導入を促進する。一部の実施形態では、生物学的試料は、システム又は装置に添加される前に、特定の処理又は前処理工程を経験する。
【0181】
試料は、本明細書に記載されるシステムに試料を添加する前に、適当な容器(例えば、試料採取容器)に採取及び/又は保存され得る。試料を受け取り、試料を格納するのに適した任意のタイプの試料採取容器が使用され得る。試料採取容器の例としては、可逆的に取り外し可能なキャップを含有するチューブ、バッグ、シリンジ、スポイトなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、試料は、本明細書に記載されるシステムで使用される前に前処理される。例えば、試料は、試料採取容器において前処理されてもよい。別の例として、試料は、適当な第二の容器に移動され、当該第二の容器内で前処理されてもよい。
【0182】
一部の実施形態では、試料は、試料内の潜在的な病原体(例えば、ウイルス、細菌)を不活性化するために前処理されてもよい。例えば、試料は、本明細書に記載されるシステムで使用される前に前処理されてもよい。一部の実施形態では、試料は、試料内の細胞を溶解するために前処理され、これにより、続く検出のため標的(例えば、核酸)を放出し得る。このような実施形態では、前処理工程は、細胞溶解(例えば、核酸の放出)と試料内の潜在的な病原体の不活性化の両方を達成する。一部の実施形態では、試料は、凍結、加熱及び/又は変性剤の試料への添加によって前処理され得る。例えば、試料は、試料内の潜在的な病原体を不活性化するために適当な時間、十分な温度まで加熱することによって前処理されてもよい。例えば、試料は、約40℃以上に加熱されてもよい。例えば、生物学的試料は、約40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃又は100℃より高くまで加熱されてもよい。試料は、5分間、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間又は1時間より長いなどの適当な時間、加熱温度で維持され得る。特定の実施形態では、試料を98℃~100℃に5分間加熱して、1回の熱処理工程で細胞溶解とウイルス不活性化の両方を達成し得る。一部の実施形態では、試料の前処理は、試料内の潜在的な病原体を不活性化するための変性剤を添加することを含む。例えば、変性剤は、試料が接触される溶解バッファーに存在し得る。例えば、適当な変性剤は、グアニジンベースの変性剤(例えば、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジンなど)及び界面活性剤(例えば、トリトンX-100、tween20)を含む。一部の実施形態では、試料は、変性剤を含有しない。例えば、一部の実施形態では、試料(例えば、唾液試料)は、グアニジンベースの変性剤を含有しなくてもよい。一部の実施形態では、試料(例えば、唾液試料)は、0.3M未満のグアニジンベースの変性剤を含有する。例えば、試料(例えば、唾液試料)は、0.3M未満、0.25M未満、0.2M未満、0.15M未満、0.1M未満又は0.5M未満のグアニジンベースの変性剤を含んでもよい。
【0183】
特定の試料(例えば、唾液)の粘度は、試料の取り扱いを困難にする。さらに、異なる個体から採取された試料の粘度は変動し、対象間の試料採取のばらつきに潜在的な問題をもたらす。例えば、高い粘度を有する唾液試料は、粘度の低い唾液と比較して、望ましい容器(例えば、続く試料中の病原体の検出のため)に首尾良くピペッティングされる唾液の量が少なくなる可能性がある。これは、偽陰性結果を含む、ばらつき又は不正確な結果に対する潜在的な下流の問題をもたらし得る。一部の実施形態では、試料を前処理して試料の粘度を低下させ、これにより、続くプロセシング工程における試料の取り扱いを改善し得る。特定の実施形態では、前処理工程は、一工程で試料内の病原体を不活性化し、試料の粘度を低下させるために行われ得る。一部の実施形態では、粘度を減少させるための1つ以上の剤は、本明細書に記載されるシステムにおいて試料を使用する前に試料に添加され得る。一部の実施形態では、粘度を減少させるための剤は、還元剤である。適切な還元剤は、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)又は2-メルカプトエタノールを含む。
【0184】
任意の適当な量の還元剤が、試料に添加されてもよい(又は試料が採取の際に置かれる保存バッファーに存在する)。一部の実施形態では、還元剤は、試料が接触される溶解バッファーに存在する。一部の実施形態では、還元剤の適当な濃度は、0~500mMの範囲にあり得る。例えば、DTT又はTCEPの適当な濃度は、0~250mM(例えば、0mM、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM又は約250mM)の範囲にあり得る。例えば、ジチオスレイトール(DTT))を適当な濃度で生物学的試料(例えば、唾液試料)に添加して、試料の粘度を減少させてもよい。一部の実施形態では、DTTを添加して、唾液試料内の1×濃度を達成してもよい。別の例として、2-メルカプトエタノールの適当な濃度は、0~500mM(例えば、0mM、約25mM、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、300mM、約325mM、約350mM、約375mM、約400mM、約425mM、約450mM、約475mM又は約500mMの範囲にあり得る。
【0185】
一部の実施形態では、粘度低下剤(例えば、DTT)は、試料を加熱する(例えば、病原体を不活性化する及び/又は細胞溶解を誘導するため)前に試料に添加される。一部の実施形態では、粘度低下剤は、採取後、試料が添加される試料保存バッファーに存在し得る。一部の実施形態では、粘度低下剤は、試料を加熱後、試料に添加される。一部の実施形態では、粘度低下剤は、試料が接触される溶解バッファーに存在する。一部の実施形態では、試料の凍結を行い、試料の粘度を低減し得る。任意の適当な前処理工程又は前処理工程の組み合わせを行い、望ましい結果(例えば、細胞溶解、病原体不活性化及び/又は試料の粘度の低減)を達成し得る。
【0186】
試料は、適当な洗剤をさらに含んでもよい。例えば、試料は、イオン性洗剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸塩、コール酸塩など)、非イオン性洗剤(例えば、トリトンX-100、DDM、ジギトニン、Tween20、Tween40、Pluronic F-127)、双性イオン性洗剤又はカオトロピック洗剤を含み得る。一部の実施形態では、試料は、0~5%洗剤(v/v)を含む。例えば、試料は、0%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%又は約5%の洗剤を含み得る。洗剤は、試料(例えば、溶解バッファーの一部として試料と接触される)に添加され及び/又は試料が採取の際に添加される試料保存バッファーに存在し得る。
【0187】
一部の実施形態では、試料は、非イオン性洗剤(例えば、トリトンX-100)を含む。例えば、試料は、.001~.1%トリトンX-100を含んでもよい。試料は、適当なバッファーの添加により、続く使用に適当な体積にされ得る。例えば、試料は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ユニバーサル輸送培地(UTM)、生理食塩水などの添加により、適当な体積にされ得る。このようなバッファーは、試料に添加される又は採取の際に試料が添加される試料保存バッファーに存在してもよい。試料は、望ましい標的の放出を促進するために、その中の内容物の分解を助けるための1つ以上の酵素又は化学薬剤を含んでもよい。例えば、試料は、1つ以上のタンパク質分解酵素などの、1つ以上の酵素をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、試料は、プロテイナーゼKを含んでもよい。試料は、試料内の標的の分解を防止するための1つ以上の適当な試薬をさらに含んでもよい。例えば、適当なバッファー及び/又は阻害剤(例えば、RNase阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤など)が、本明細書に記載されるシステムにおいて使用される前に試料に添加され得る。
【0188】
本明細書に記載されるシステム、装置、組成物及び方法は、任意の試料又は供給源からの任意の望ましい標的の単離、検出、同定又は定量のため使用され得る。本発明の装置、組成物及び方法は、検出、定量などを含む、任意の目的のため任意の試料又は供給源から任意の望ましい標的をポジショニングするため使用され得る。
【0189】
一部の実施形態では、装置、システム及び/又は方法は、望ましい標的の単離及び続く検出のため使用される。一部の実施形態では、標的は、細胞である。一部の実施形態では、標的は、核酸(例えば、DNA、RNA若しくはmRNA及びrRNAを含む様々なそのサブタイプ)、タンパク質、代謝産物、炭水化物、糖ペプチド又は脂質である。例えば、標的は、DNA又はRNAであってもよい。一部の実施形態では、標的は、試料が得られた1つ以上の対象に感染している病原体から得られた核酸又はタンパク質(例えば、抗体、ホルモンなど)であってもよい。例えば、標的は、細菌の核酸(例えば、細菌のDNA若しくはRNA)又はウイルス核酸(例えば、ウイルスDNA若しくはRNA)であってもよい。別の例としては、標的は、病原体の感染に応答して対象によって産生される抗体であってもよい。
【0190】
一部の実施形態では、装置、システム及び/又は方法を使用して、試料分析によってアイデンティティー又は父系を決定する。一部の実施形態では、試料は、出生前又は出生後スクリーニングのため本発明の装置、システム及び/又は方法における使用のため用意される。
【0191】
一部の実施形態では、試料は、感染症を有することが疑われる対象から得られる。例えば、生物学的試料は、感染症を有することが疑われる対象から得られてもよい。一部の実施形態では、環境試料は、集団の1人以上のメンバーが、感染症を有することが疑われる範囲から得られ得る。例えば、下水を採取し、使用して、周囲の集団における1人以上のメンバーが、対象の感染症を有するかどうかを決定してもよい。対象又は集団の1人以上のメンバーは、試料において検出され得る病原体による任意の感染症又は個人に、試料において検出され得る抗体を産生させる感染症を有することが疑われ得る。一部の実施形態では、生物学的試料が得られる対象又は環境試料が採取される範囲に近い集団における1人以上の人は、SARS-CoV2、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス、肝炎ウイルス(A、B、C、D及び/若しくはE型肝炎ウイルスを含む)、ジカウイルス、エボラウイルス、結核菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、スタフィロコッカス菌、アスペルギルス真菌(アスペルギルス・ニガーを含む)又はストレプトコッカス(ストレプトコッカス・ピオゲネスを含む)を有することが疑われる。一部の実施形態では、対象又は集団のメンバーは、細菌感染症又はウイルス感染症を有することが疑われ得る。例えば、対象又は集団のメンバーは、上気道感染症を有することが疑われてもよい。例えば、対象又は集団のメンバーは、SARS-CoV-2、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ、呼吸器多核体ウイルスなどの感染を含む、ウイルス上気道感染症を有することが疑われ得る。
【0192】
本明細書に記載されるシステムは、試料から標的をポジショニング若しくは単離する方法及び/又は標的の検出、同定、定量又は精製(一部若しくは完全)方法における用途を見出す。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムは、試料中の標的を単離し、その後検出する方法における用途を見出す。例えば、一部の態様では、本明細書に記載されるシステムに試料を添加することを含む、試料から標的を単離する方法が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、試料は、溶解バッファーと接触させ、これにより、標的分析物を放出することによって溶解される。方法は、相又は層の向き、メッシュなどに依存して、容器の底部又は側面に磁力を適用すること、ゆえに、複数の多孔性物質を通じて標的分析物を引き寄せること、これにより、試料に存在する他の可能性のある混入物から標的を精製することをさらに含む。一部の態様では、試料中の標的を単離し、検出する方法が、本明細書に提供される。方法は、本明細書に記載される複数の多孔性物質及び標的の検出のための試薬を収容している容器を備えたシステムに試料を添加することを含む。方法は、容器の底部又は側面に磁力を適用すること、これにより、複数の多孔性物質を通じて標的を引き寄せ、容器の底部表面に収容された標的の検出のための試薬と接触させることをさらに含む。
【0193】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、試料は、システムに磁力を適用する前に、本明細書に記載される常磁性粒子又は機能化常磁性粒子(PMP)と接触される。試料を常磁性粒子と接触させることにより、1つ以上の標的とPMPの複合体を得て、システムに磁力を適用することにより、複数の多孔性物質を通じて容器の底部表面に標的とPMPの複合体を引き寄せる。一部の実施形態では、試料を、別々の容器において常磁性粒子と接触させ(例えば、混合し)、1つ以上の標的とPMPの複合体を含む組成物を得て、組成物は、その後複数の多孔性物質を収容している容器に入れられる(例えば、ピペッティングされる)。他の実施形態では、常磁性粒子は、複数の多孔性物質並びに水性及び油相(複数可)を収容している容器に収容される。例えば、凍結乾燥される常磁性粒子は、容器内に存在してもよい。常磁性粒子は、液体形態(例えば、溶解バッファーの一部として)で容器内に存在してもよい。このような実施形態では、容器に試料を添加することは、試料をPMPに接触させ、これにより、容器自体内で標的とPMPの複合体を得る。
【0194】
一部の実施形態では、試料は、本明細書に記載される溶解バッファーと接触される。上で記載された通り、溶解バッファーは、システムに試料を添加する前に試料と接触され得る又は溶解バッファーは、複数の多孔性物質を収容している容器内に存在し得る。試料を溶解バッファーと接触させることにより、試料の様々な構成要素からの標的の放出を可能にし、これにより、続く標的の単離及び/又は検出を促進する。
【0195】
一部の実施形態では、試料は、洗浄バッファーと接触される。上で記載された通り、洗浄バッファーは、複数の多孔性物質を収容している容器内に存在し得る。容器の底部表面への磁力の適用により、容器内に存在する洗浄バッファーを通じて標的(例えば、標的とPMPの複合体)を引き寄せ、これにより標的のさらなる精製を促進する。
【0196】
一部の実施形態では、方法は、試料から一部、全て又は実質的に全て(方法の目的のため望ましい若しくは要求される)の除去又は単離後標的を検出することをさらに含む。このような方法では、システムは、本明細書に記載される容器の底部(若しくは側面)表面、底部(若しくは側面)表面近く又は底部(若しくは側面)表面上に収容された標的を検出するための試薬を含む。標的とPMPの複合体は、水性相及び油相から並びに複数の多孔性物質を通じて引き寄せられ、標的の検出のための試薬と接触される。一部の実施形態では、適当なインキュベーション時間は、適当な温度(例えば、65℃で20~60分間)で通過することを可能にし、接触から得られたシグナルが、測定される。例えば、比色分析シグナル(例えば、着色変化)又は蛍光シグナルを測定して、ウェルが、標的を含有するかどうかを決定し得る。シグナル(例えば、着色変化、蛍光シグナル)の測定は、例えば、可視化によって(例えば、裸眼によって)生じ得る。あるいは、シグナルは、プレートリーダーなどの装置を使用して測定され得る。例えば、蛍光シグナルは、プレートリーダーを使用して測定され得る。一部の実施形態では、単離された標的とPMPの複合体は、標的のLAMPベースの検出のための試薬と接触され、接触から得られたシグナルが、測定される。例えば、シグナルは、比色分析シグナル(例えば、比色分析RT-LAMPアッセイからのシグナル)又は蛍光シグナル(例えば、蛍光RT-LAMPアッセイからのシグナル)であってもよい。
【0197】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、単一の試料で行われる。他の実施形態では、方法は、複数の試料で同時に行われる。一部の実施形態では、試料がプールされ、その後、本明細書に記載されるシステム及び方法で使用され得る。例えば、生物学的試料を、複数の別の個体から採取し、一緒にプールし、本明細書に記載される方法で使用して、集団が、病原体(例えば、SARS-CoV2)の感染のケースを有するかどうかを決定し得る。別の例として、複数の生物学的試料は、個体から採取され得、別の個体由来の複数の生物学的試料はプールして、本明細書に記載される方法で使用されるべき利用可能な試料の量を増加させ得る。このような実施形態は、例えば、個体が、一採取中に十分な体積の唾液をもたらすことができなくてもよい場合又は複数の試験が、同じ試料を使用して行われ得るときに有用であり得る。
【0198】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法工程は、自動化される。一部の実施形態では、本明細書に記載される試料調製工程は、自動化される。一部の実施形態では、本明細書に記載される検出工程は、自動化される。一部の実施形態では、結果の取得は、自動化される。一部の実施形態では、他の装置又は非使用者である第三者への結果の伝達は、自動化される。一部の自動化された実施形態では、本明細書に記載される工程及び/又は方法は、コンピュータによって実行され、コンピュータは、プロセッサー及びメモリーを含む。メモリーは、プロセッサーが所定のタスクを行うソフトウェアを含有し得る。例えば、メモリーは、プロセッサーが、マルチチャンネルピペットにピペットチップを装着させること、試料を吸引すること、生物学的試料をPMPと混合して1つ以上の標的とPMPの複合体を含む組成物を生成すること、組成物を本明細書に記載されるシステムに吸引すること、磁石を試料を収容している容器の底部表面若しくは他の表面(例えば、側面)に近接させること又は容器の表面及び複数の多孔性物質内若しくはこれらに近接する電磁石並びに特許請求される方法を実施するために必要な他の機能をオンにすることを指示するソフトウェアを含有し得る。
【0199】
本明細書に記載される本発明は、試料から標的を単離するためのシステムを含み、システムは、容器内で互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相を含む。このシステムの一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相は、少なくとも1つの水性相内に浸漬された親水性多孔性物質及び/又は少なくとも1つの油相内に浸漬された疎水性多孔性物質によって容器内で安定化される。このシステムの一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相は、システムに存在する場合、親水性/疎水性多孔性物質の浮力、界面化学及び多孔度から選択される1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって、容器内で安定化される。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相は、少なくとも1つの水性相内に浸漬された親水性多孔性物質、少なくとも1つの油相に浸漬された疎水性多孔性物質によって及び少なくとも1つの油相の浮力が、少なくとも1つの水性相の表面張力より小さくなるように、界面化学を調節することによって、容器内で安定化される。これらの実施形態のいずれかでは、システムは、第一の水性相、第二の水性相、第一の油相及び第二の油相を含んでもよい。本明細書に記載されるシステムのこれらの実施形態のいずれかでは、相は、第一及び第二の水性相が、互いに直接接触せず、第一及び第二の油相が、互いに直接接触しないように、容器内で交互にスタックされ得る。これらの実施形態のいずれかでは、システムは、容器を含む装置で提供され、容器は、容器への試料の添加を可能にするための上部開口部を備えてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、システムは、インサートを含む装置において提供され、インサートは、インサートへの試料の添加を可能にするための上部開口部を備えてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相は、試料が添加されるインサートの部分に最も近い。一部の実施形態では、少なくとも1つの油相は、容器の上部開口部に最も近い。一部の実施形態では、少なくとも1つの油相は、試料が添加されるインサートの部分に最も近い。これらの実施形態のいずれかでは、少なくとも1つの水性相は、溶解バッファーを含む、溶解バッファーから本質的になる又は溶解バッファーからなり得る。これらの実施形態のいずれかでは、少なくとも1つの水性相は、洗浄バッファーを含む、洗浄バッファーから本質的になる又は洗浄バッファーからなり得る。これらの実施形態のいずれかでは、システム、装置、容器又はインサートは、常磁性粒子(PMP)を含み得る。一部の実施形態では、PMPは、容器内に収容される。請求項のシステムでは、PMPは凍結乾燥若しくは乾燥されている、又は液体形態である。一部の実施形態では、PMPは、少なくとも1つの水性相内に収容される。1つより多くの水性相又は層を用いた一部の実施形態では、PMPは、水性相又は層の1つより多く又は全て内に収容される。一部の実施形態では、PMPは、少なくとも1つの油相又は層内に収容される。1つより多くの油相又は層を有する一部の実施形態では、PMPは、油相又は層の1つより多く又は全て内に収容される。これらの実施形態のいずれかでは、システムは、磁石又は磁力をもたらすための他の装置をさらに備える。
【0200】
本明細書に記載される本発明は、試料から標的分析物を単離するためのシステムを含み、システムは、第一の水性相、第二の水性相、第一の油相及び第二の油相を含み、(a)相は、第一及び第二の水性相が、互いに直接接触されておらず、第一及び第二の油相が、互いに接触されないように、容器内で交互にスタックされ、(b)相は、(i)第一の水性相内に浸漬された親水性多孔性物質、(ii)第二の水性相内に浸漬された親水性多孔性物質;(iii)第一の油相に浸漬された疎水性多孔性物質;及び(iv)第二の油相に浸漬された疎水性多孔性物質によって容器内で安定化される。
【0201】
このシステムの一部の実施形態では、相は、それぞれの油相の浮力が、それぞれの水性相の表面張力より小さくなるように及び/又はそれぞれの油相の浮力が、それぞれの親水性多孔性物質の水保持力より小さくなるように、界面化学を調節することによって容器内でさらに安定化される。一部の実施形態では、容器は、容器への試料の添加を可能にするための上部開口部を備える。第一の水性相若しくは層又は第一の油相若しくは層のいずれかは、容器の上部開口部に最も近くてもよい。第一の水性相又は層は、溶解バッファーを含む又は溶解バッファーから本質的になり得る。このシステムの一部の実施形態では、第二の水性相は、洗浄バッファーを含む。このシステムの一部の実施形態では、システムは、PMPをさらに含む。このシステムの一部の実施形態では、PMPは、容器内に収容される。一部の実施形態では、PMPは、凍結乾燥される又は乾燥若しくは液体形態であってもよい。一部の実施形態では、PMPは、第一の水性相若しくは第二の水性相又は両方内に収容される。一部の実施形態では、PMPは、第一の油相若しくは第二の水性相又は両方内に収容される。これらの実施形態のいずれかでは、システムは、磁石又は磁力をもたらすための他の装置をさらに備える。一部の実施形態では、容器は、複数ウェルのプレートを備える。一部の実施形態では、容器は、インサートを備える。一部の実施形態では、インサートは、複数ウェルのプレートに挿入することができる。一部の実施形態では、容器は、単回使用の装置を備える。
【0202】
本発明のシステム、装置、方法及び組成物は、標的を移動、単離(全部若しくは一部で)、精製(全部若しくは一部で)、検出及び/又は定量するために使用され得る(さらに、そのための試薬を含み得る)。標的及び/又は分析物は、例えば、小分子、タンパク質、ペプチド、免疫グロブリン(例えば、IgA、IgM、IgG、IgE、ラムダ軽鎖、カッパー軽鎖)、酵素、脂質、受容体(例えば、Her2受容体)、核酸(例えば、DNA、イントロン、エクソン、非コードエレメント、RNA、rRNA、mRNA、microRNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、オーファン非コードRNA(oncRNA)、循環病原体DNA及び循環病原体RNA、抗原(例えば、PSA)、ホルモン(例えば、テストステロン)並びに循環腫瘍細胞(例えば、転移性乳がん、前立腺がん及び結腸直腸がんと関連する上皮起源の循環腫瘍細胞)、循環内皮細胞、細胞小胞、エキソソーム、細菌クオラムセンシング分子を含む、がん及び他の細胞を含む。標的及び分析物は、分子及び組織学的バイオマーカー、スクリーニングマーカー(一次、二次及び標的化)、診断バイオマーカー、予後バイオマーカー、予測バイオマーカー、薬力学的/応答バイオマーカー、感受性/リスクバイオマーカー、モニタリングバイオマーカー及び安全性バイオマーカーを含む、バイオマーカーを含む。
【0203】
任意の細菌、ウイルス又は他の病原体は、本発明のシステム、装置、方法又は組成物を使用して、試験、単離、分離、精製、同定、検出又は定量され得る。一部の実施形態では、試験、単離、分離、精製、検出又は定量のためのウイルス標的は、コロナウイルス科(Coronaviridae)のウイルス、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)のウイルス、カリシウイルス科(Caliciviridae)のウイルス、フラビウイルス科(Flaviviridae)のウイルス、トガウイルス科(Togaviridae)のウイルス、ボルナウイルス科(Bornaviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)のウイルス、ニューモウイルス科(Pneumoviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、アレナウイルス科(Arenaviridae)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)又はデルタウイルスである。他の実施形態において、ウイルスは、コロナウイルス、SARS、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス、風疹ウイルス、ロスリバーウイルス、シンドビスウイルス、チクングニアウイルス、ボルナ病ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒト呼吸器多核体ウイルス、狂犬病ウイルス、ラッサウイルス、ハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、インフルエンザウイルス又はD型肝炎ウイルスである。一部の実施形態では、ウイルスは、新系統に進化又は変異した上記のウイルス(又は別のウイルス)のうちの1つ以上である。一部の実施形態では、ウイルスは、ヒトによって生成された、変異された又は操作されたウイルスである。
【0204】
一部の実施形態では、本発明は、本発明のシステム、装置、方法又は関連する組成物を使用して、ウイルス疾患アウトブレイク及び/又はウイルス進化をモニタリング又は評価する方法を提供する。
【0205】
一部の実施形態では、本発明の装置、システム、方法及び組成物は、ウイルス抗原、ウイルス核酸及び/又はウイルス特異的抗体、細菌及び/若しくは他の病原体特異的抗原、核酸並びに/又は抗体について試料をスクリーニングする方法において使用される。
【0206】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼ不活性化工程は、標的核酸のアッセイ、試験、スクリーニング、分離、単離、精製、同定、検出及び/又は定量における本発明の装置、システム、方法又は組成物において行われる又は用いて行われる。一部の実施形態は、熱不活性化、化学不活性化、超音波不活性化などを含む。一部の実施形態では、本発明のシステム、装置、方法及び組成物を使用して試験若しくはアッセイするための標的又は他のプロトコールは、腫瘍マーカー(例えば、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、ベータ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)、膀胱腫瘍抗原(BTA)、クロモグラニンA(CcA、神経内分泌腫瘍)、ガストリン(ガストリノーマ)、5-HIAA(カルチノイド腫瘍)ALK遺伝子再配列及び過剰発現、BCL2遺伝子再配列、BRCA1及びBRCA2遺伝子変異);がん遺伝子及び部分配列;例えば、プログラム死リガンド1;ER/PR、CA15-3及びCA27.29(乳がん);EGFR、KRAS及びUGT1A1(結腸直腸がん)を含むがんマーカー;HER-2/neu(乳がん及び胃がん);c-KIT/CD117胃腸間質腫瘍、粘膜黒色腫、急性骨髄性白血病及び肥満細胞疾患);CD20、CD30、FIP1L1-PDGFRalh、フィラデルフィア染色体、PML/RAR-アルファ、TPMT、UGT1A1(白血病、リンパ腫);EML4/ALK、EGFR、KRAS(肺がん)、BRAF(黒色腫)、CA125、CA125 II及びHE4(卵巣がん);BRAF V600変異(例えば、皮膚黒色腫、結腸直腸がん及び非小細胞肺がん);CA19-9並びにCA19-9 XR(膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん及び胃がん);カルシトニン(甲状腺髄様がん);癌胎児性抗原(CEA)(結腸直腸がん及び他のがん;CD19並びにCD22(B細胞リンパ腫及び白血病);CD20(非ホジキンリンパ腫);CD25(非ホジキン(T細胞)リンパ腫);CD30(古典的ホジキンリンパ腫、B細胞及びT細胞リンパ腫);CD33(急性骨髄性白血病);染色体17p欠損(慢性リンパ性白血病);染色体3、7、17及び9p2(膀胱がん);核マトリックスタンパク質22、フィブリン/フィブリノーゲン(膀胱がん);サイトケラチンフラグメント21-1(肺がん);サイクリンD1(CCND1)遺伝子再配列又は発現(リンパ腫、ミエローマ);デス-ガンマ-カルボキシプロトロンビン(DCP)(肝細胞癌);遺伝子変異(例えば、DPD、EGFR、FGFR2、FGFR、FLT3、IDH1、IDH2、JAK2、KRAS及びMYD88遺伝子変異);遺伝子再配列(例えば、IRF4遺伝子、ROS1遺伝子及びT細胞受容体遺伝子再配列);遺伝子融合(例えば、NTRK遺伝子融合及びPML/RARα融合遺伝子);PCA3 mRNA、PSA遊離及び総PSA(前立腺がん);HER2/neu遺伝子増幅又はタンパク質過剰発現(乳がん、卵巣がん、膀胱がん、膵臓がん及び胃がん);乳酸脱水素酵素(胚細胞腫瘍、リンパ腫、白血病、黒色腫及び神経芽腫);MYC遺伝子発現、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、末端トランスフェラーゼ(TdT)(リンパ腫、白血病);ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)(神経芽腫);並びに例えば、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)(転移性前立腺がん)、がんにおいて失われた腫瘍抑制因子(例えば、BRCA1、BRCA2);心血管及び心臓代謝マーカー(例えば、C反応性タンパク質(CRP)、高感度心筋トロポニンI並びに心筋トロポニンT(例えば、cTnI及びcTnT)を含むトロポニン、B型ナトリウム利尿ペプチド(例えば、BNP及びNT-proBNP)、D-ダイマー、テトラネクチン、血清サイクリン依存性キナーゼ9)、CK-MB、ガレクチン-3、アディポネクチン、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質、心臓型脂肪酸結合タンパク質、リポカリン-2、線維芽細胞成長因子19及び21、レチノール結合タンパク質4、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1、25-ヒドロキシビタミンD及びプロタンパク質転換酵素スブチリシン/9型ケキシン(PSCK9)、リポカリン-2、H-FABP、A-FABP)、トリグリセリド、高密度リポタンパク質(HDL)-コレステロール及び低密度リポタンパク質(LDL)-コレステロールなど;成長因子(例えば、TGFβ、FGF-19、FGF-21、EGF、PDGF);並びに炎症性バイオマーカー(例えば、インターフェロン及びサイトカイン(例えば、TNFα、IL-1、IL-6及び他のインターロイキン)、アルファ-1アンチトリプシン、アルファ-1糖タンパク質、抗CCP、ASO(抗ストレプトリジン)、補体C3、補体C4、CRP、IgA、IgE、IgG、IgM)、プロカルシトニン、PCT(BRAHMS)、リウマチ因子)、ケモカイン(例えば、G-CSF、GM-CSF)、RPB-4、PAI-1、25-ヒドロキシビタミンDなど)を含む。一部の実施形態では、標的は、ホルモン、アミロイド及び他の受容体(例えば、IFN受容体、IL-6受容体、IL-10ファミリー受容体、TGFβファミリー受容体、ケモカイン受容体);タンパク質シグネチャー(例えば、5-タンパク質シグネチャー(OVA1))並びに遺伝子シグネチャー(例えば、17-、21-、46-及び70-遺伝子シグネチャー)を含む。他の実施形態では、標的は、細菌、ウイルス及び真菌を含む、疾患ベクターを含む。一部の実施形態では、標的は、細菌、ウイルス及び/又は真菌核酸を単独、一緒に又はマルチプレックス形式で含む。
【0207】
他の標的は、活性B-12、B12、フェリチン、葉酸、ハプトグロビン、ホモシステイン、鉄、トランスフェリン及びUIBC(不飽和鉄結合能)を含む。これらの標的は、例えば、貧血のアッセイ又は検査において使用され得る。
【0208】
他の標的は、活性アルカリホスファターゼ、カルシウム、インタクトなPTH(インタクトなPTH)、マグネシウム、リン及びビタミンDを含む。これらの標的は、例えば、骨リモデリングの評価及び骨形成に影響を与えるミネラル経路に関与する障害の同定を含む、骨疾患又は障害についてのアッセイ又は試験において使用され得る。
【0209】
他の標的は、乳がん、結腸がん、胃腸がん、肝臓がん、卵巣がん、膵臓がん、精巣がん及び前立腺がん並びに記された他のものを含む、多くの種類のがんについて検査するための検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。さらなるがん関連の標的は、CYFRA 21-1(サイトケラチン19フラグメント)、ペプシノーゲンI及びペプシノーゲンII並びにPIVKA-II(プロトロンビンの循環前駆体及び肝細胞癌マーカー)並びにproGRP(プロガストリン放出ペプチド)並びにSCC(扁平上皮がん関連抗原)を含む。
【0210】
他の標的は、糖尿病を含むグルコース機能に影響を与える代謝性疾患について検査するための検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。それらは、C-ペプチド、クレアチニン、クレアチニン(酵素)、フルクトサミン、グルコース、ヘモグロビンA1c、インスリン及びマイクロアルブミンを含む。
【0211】
他の標的は、乱用された薬物の存在及び処方薬の毒性レベルについて検査するための検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。標的は、アセトアミノフェン、アンフェタミン/メタンフェタミン、バルビツール酸塩、ベンゾジアゼピン、カンナビノイド、コカイン、エクスタシー、メタドン、エタノール、メタノール、鎮静剤、PCP(フェンシクリジン)、サリチル酸塩及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を含む。
【0212】
他の標的は、生殖能力及び/又は妊娠状態を評価するための生殖内分泌学的検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。それらは、DHEA-S、エストラジオール、FSH、hCG(総ベータ-hCGを含む)、LH(黄体形成ホルモン)、プロゲステロン、プロラクチン、SHBG(性ホルモン結合グロブリン)、テストステロン(遊離テストステロン、付着型テストステロン及び/又は総テストステロン)を含む。本発明のシステム、装置、方法及び組成物を使用して行われ得るアッセイは、そのテストステロン第2世代アッセイを含む。
【0213】
他の標的は、感染性疾患の検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。それらは、CMV IgG、CMV IgM、CMV IgG結合活性、風疹IgG、風疹IgM、トキソプラズマIgG、トキソプラズマIgM、トキソプラズマIgG結合活性を含む。
【0214】
標的はまた、抗HAV IgG、抗HAV IgM、抗HBc IgM、抗HBe、抗HBs、抗HCV、HBeAg(HBsAg定量及び定性を含む)並びにHCVAgを含む、肝炎標的を含む。他の感染性疾患の標的は、シャーガス(寄生虫クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)による)、EBV EBNA-1-IgG、EBV VCA IgG、EBV VCA IgM、梅毒TOPを含む。他の標的は、抗HTLV-I/HTLV-II(レトロウイルス)を含む。
【0215】
他の標的は、肝機能及び/又は肝疾患を評価又は診断するために本発明のシステム、装置、方法及び組成物を使用した検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。これらの標的は、アルブミン(BCB及びBCP)、アルカリホスファターゼ、アルファ-1アンチトリプシン、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、ALT、活性化(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、アンモニア、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、AST、活性化(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、胆汁酸、コリンエステラーゼ、コリンエステラーゼ/ジブカイン、直接ビリルビン、総ビリルビン、GGT(ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ)、乳酸脱水素酵素並びにPIVKA-II(デス-ガンマ-カルボキシプロトロンビン)を含む。
【0216】
他の標的は、外傷性脳損傷(mTBI[UCH-L1+GFAP])を評価又は診断するために本発明のシステム、装置、方法及び組成物を使用した検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。
【0217】
他の標的は、甲状腺障害を評価又は診断するために本発明のシステム、装置、方法及び組成物を使用した検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。それらは、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(抗TPO)及び抗サイログロブリン(抗TG)抗体、遊離T3(トリヨードチロニン)、総T3、遊離T4(チロキシン)、総T4、TSH(甲状腺刺激ホルモン)並びにT取り込み(主に、甲状腺結合グロブリン、チロキシン結合プレアルブミン及びアルブミンからなる甲状腺ホルモン結合部位の数についての情報をもたらす、甲状腺ホルモン取り込み)を含む。
【0218】
他の標的は、腎臓疾患又は障害を評価又は診断するために本発明のシステム、装置、方法及び組成物を使用した検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。これらの標的は、ベータ-2-ミクログロブリン、クレアチン、クレアチン(酵素)、シスタチンC、マイクロアルブミン、NGAL(好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン)、タンパク質(尿/CSF)、尿窒素及び尿酸を含む。
【0219】
他の標的は、移植患者における拒絶を予防し、毒性を低減するのを助けるために、本発明のシステム、装置、方法及び組成物を使用した検査又はアッセイにおいて使用するための標的を含む。標的は、サイクロスポリン、シロリムス及びタクロリムスを含む。
【0220】
他の標的は、タンパク質アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、トランスフェリン、セルロプラスミン、ハプトグロビン、Lp(a)及びプレアルブミンを含む。
【0221】
他の標的は、処置モニタリング及び精密医療、例えば、患者のサブグループに合わせた医学的決定、処置、診療又は製品の作製を助けるための任意の治療薬(複数可)を含む。対象における使用、対象における治療活性又は対象についての適合性のモニタリング又は評価のための標的は、任意の市販の治療薬又は治療薬候補(臨床試験候補を含む)を含む。それらは、例えば、アミカシン、ジギトキシン、ジゴキシン、リチウム、メトトレキサート、ステロイド(例えば、プロゲステロン)、フェニトイン、キニジン、テオフィリン、抗けいれん剤(例えば、バルプロ酸)、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗生物質(例えば、トブラマイシン、バンコマイシン)を含む。
【0222】
一部の実施形態では、装置、システム、方法又は組成物は、診断方法において(又は診断方法として)使用される。診断方法は、病原体、心血管及び神経学的現象並びにがんを含む疾患、障害及び状態(例えば、がんの早期検出)を含む標的についての診断方法、アッセイ及び検査並びに本明細書において開示又は言及される標的のいずれかに向けられた他の方法、アッセイ及び検査を含むが、これらに限定されない。
【0223】
本発明の装置、システム、方法及び組成物は、任意のアッセイフォーマット若しくは装置において又は任意のアッセイフォーマット若しくは装置を用いて使用することができる。フォーマットは、試料が重複して測定される複数ウェルのプレート(例えば、8、24、48、96及び384ウェルプレート)などの上で手動又は半自動で行われる直接、間接及びサンドイッチアッセイを含む。それらは、本明細書に記載又は言及されるイムノアッセイのいずれかを含む、任意のイムノアッセイを含む。それらは、リガンドと受容体の間の結合を測定する任意のリガンド結合アッセイ、抗体抗原結合を検出する任意のイムノアッセイ及びある刺激に対する応答において生物学的活性を測定する任意のバイオアッセイにおいて又はこれらのイムノアッセイ又はバイオアッセイのため、本発明の装置、システム、方法及び組成物の使用を含む。
【0224】
一部の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの流体を好む関連付けられた支持構造(例えば、多孔性メッシュ)を用いて安定化された流体と流体の界面及び/又は流体相若しくは層を含むことを特徴とする、任意のアッセイ又はアッセイ装置又はアッセイフォーマットを含む。
【0225】
一部の実施形態では、検出又は定量又は標的のための試薬は、容器の底部表面、底部表面近く又は底部表面上に収容され得る。一部の実施形態では、標的を検出するための試薬は、ループ介在等温増幅(LAMP)又は逆転写酵素ループ介在等温増幅(RT-LAMP)アッセイのための試薬を含む。一部の実施形態では、LAMP又はRT-LAMPアッセイは、比色分析アッセイ又は蛍光アッセイである。
【0226】
本発明は、試料から標的を単離するための方法におけるシステム又は装置の使用を含む。本発明の別の実施形態は、試料から標的を単離する方法を含み、方法は、(a)容器内で互いに近接して安定化された少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相を含むシステムに試料を添加すること;並びに(b)システムに磁力を適用することを含み、試料は、システムに磁力を適用する前に常磁性粒子(PMP)と接触され、試料を常磁性粒子と接触させることにより、1つ以上の標的とPMPの複合体を生成し、システムに磁力を適用することにより、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相を通じて、容器の底部表面に向けて標的とPMPの複合体を引き寄せる。方法の一部の実施形態では、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油相は、少なくとも1つの水性相内に浸漬された親水性多孔性物質及び/若しくは少なくとも1つの油相内に浸漬された疎水性多孔性物質によって並びに/又はシステムに存在する場合、親水性/疎水性多孔性物質の浮力、界面化学及び多孔度から選択される1つ以上の化学的若しくは物理的な物質の特徴を調節することによって、容器内で安定化される。方法の一部の実施形態では、方法は、例えば、第一及び第二の水性相が、互いに直接接触せず、第一及び第二の油相が、互いに直接接触しないように、容器内で交互にスタックされ得る又はされ得ない、2つ以上の水性相又は層及び2つ以上の油相又は層のシステムの使用を含む。容器、インサート、PMP、洗浄バッファー、溶解バッファーなどに関する他の実施形態並びに試料及び試薬は、上記の通りである。
【0227】
試料から標的を単離する本発明の別の方法実施形態では、方法は、(a)第一の水性相、第二の水性相、第一の油相及び第二の油相を含むシステムに試料を添加すること、相又は層は、第一及び第二の水性相が、互いに直接接触せず、第一及び第二の油相が、互いに直接接触しないように、容器内で交互にスタックされ、相又は層は、第一の水性相内に浸漬された親水性多孔性物質、第二の水性相内に浸漬された親水性多孔性物質、第一の油相内に浸漬された疎水性多孔性物質及び第二の油相内に浸漬された疎水性多孔性物質によって容器内で安定化されること;並びに(b)システムに磁力を適用すること、試料は、システムに磁力を適用する前に常磁性粒子(PMP)と接触させ、常磁性粒子と試料を接触させることにより、1つ以上の標的とPMPの複合体を生成し、システムに磁力を適用することは、相を通じて、容器の底部表面に向けて標的とPMPの複合体を引き寄せること、を含む。この方法の一部の実施形態では、相は、それぞれの油相の浮力が、それぞれの水性相の表面張力より小さく及び/又はそれぞれの油相の浮力が、それぞれの親水性多孔性物質の水保持力より小さくなるように、界面化学を調節することによって容器内でさらに安定化される。この方法の一部の実施形態では、容器は、試料の添加を可能にするための上部開口部を備える。この方法の一部の実施形態では、第一の水性相若しくは層又は第一の油相若しくは層は、容器の上部開口部に最も近い。この方法の一部の実施形態では、第一の水性相若しくは層又は第二の水性相若しくは層又は両方は、溶解バッファーを含む又は溶解バッファーから本質的になる。この方法の一部の実施形態では、第一の水性相若しくは層又は第二の水性相若しくは層又は両方は、洗浄バッファーを含む又は洗浄バッファーから本質的になる。この方法の一部の実施形態では、第一の水性相若しくは層又は第二の水性相若しくは層は、溶解バッファーを含む又は溶解バッファーから本質的になり、第一の水性相若しくは層又は第二の水性相若しくは層は、洗浄バッファーを含む又は洗浄バッファーから本質的になる。この方法の一部の実施形態では、全てのPMPは、容器内に収容される。この方法の一部の実施形態では、全てのPMPは、1つ以上の水性相若しくは層及び/又は油相若しくは層内に収容される。この方法の他の実施形態では、一部のPMPは、容器内に収容され、一部は、方法の間で試料若しくは容器又は両方に添加される。一部の実施形態では、試料は、生物学的試料、環境試料(例えば、下水試料)、唾液試料、スワブ試料、感染症を有することが疑われる対象から得られる試料である。一部の実施形態では、対象は、ウイルス感染症、ウイルス上気道感染症又は例えば、SARS-CoV2、SARS、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザ及び呼吸器多核体ウイルスから選択される感染症を有することが疑われる。特定の実施形態では、標的は、ウイルス核酸を含む。一部の実施形態では、標的は、SARS-CoV-2、B型肝炎、C型肝炎、HIV、西ナイルウイルス、ヘルペス及び/又はインフルエンザ核酸を含む。
【0228】
一部の実施形態では、水性相及び層、気相及び層並びに油相及び層、安定化構造物並びに本明細書に記載される他の構成要素を含む流体相及び層は、特定の予め規定された設計ガイドラインを使用してシステム、装置及び方法を形成するように保持体(例えば、入れ物、容器、インサートなど)において一緒に設計され、取り込まれる。それぞれの構成要素についての設計ガイドラインは、例えば、保持体設計(すなわち、単一ピース体、複数ピース体、モジュール体、単一読み取りチャンバー、複数読み取りチャンバーなど)、製造プロセス(例えば、射出成形、ブロー成形、ホットスタンピング、鋳造、機械加工など)、相並びに層(例えば、水性、油、気体、ブレンド、混合物及びエマルジョンなど)、構造物質(例えば、ポリプロピレンメッシュ、ナイロンメッシュ、ガラスメッシュ、多孔性プラスチックスクリーン、PVDF、ポリスチレン若しくは他の安定化構造物)、物質の多孔度、機能的要件(例えば、試料サイズ、試薬体積、検出テクノロジー、結果までの時間、インキュベーション、加熱など)、安全性/取り扱い要件(例えば、自己封じ込め、規制当局の承認、使いやすさなど)などの1つ以上の因子、及びアッセイの場合、アッセイ要件(例えば、結合アッセイ、競合的結合アッセイ、単一工程のアッセイ、2工程のアッセイなど)に依存し得る。
【0229】
サンドイッチELISAアッセイにおいて本発明を使用するための
図15に描かれる本発明の実施形態は、例えば、以下の構築のための物質及び方法を含む。この実施形態は、以下の物質、容器(例えば、96ウェルマイクロタイタープレート、射出成型物品など)、疎水性多孔性構造物質(例えば、ポリプロピレンメッシュなど)、親水性多孔性構造物質(ナイロンメッシュなど)、約35℃の溶融温度を有するパラフィンワックス、鉱油、一次抗体結合バッファー(緩衝化構成要素、塩成分、洗剤、タンパク質構成要素などを含有する)、標的に対する抗体にコンジュゲートした常磁性粒子、二次コンジュゲート抗体結合バッファー(酵素、例えば、HRP、アルカリホスファターゼなどにコンジュゲートした二次抗体を含有する)、緩衝化構成要素、塩成分、洗剤、タンパク質構成要素など)並びに基質溶液(例えば、TMB、パラ-ニトロフェニルリン酸塩など)を使用する。安定化された層及び他のアッセイ構成要素の構築及び確立は、以下の通りである、基質溶液は、容器の底部(表面)にまず添加される。次いで、容器は、35℃より上に加熱され、液体パラフィンワックスが添加される。疎水性多孔性構造物質は、物質が、容器内に圧入されるように、適当な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断され、液体パラフィンに添加される。次いで、容器は、室温(例えば、22℃)にされ、これにより、パラフィンがワックスに凝固する。親水性多孔性構造物質(例えば、ナイロン)は、適当な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断され、二次コンジュゲート抗体結合バッファーにまず浸漬され、次いで容器に入れられる。鉱油は、疎水性多孔性構造物質と共に容器に添加され、適当な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断される。最後に、一次抗体結合バッファー及び標的に対する抗体にコンジュゲートした常磁性粒子が、次いで、適当な寸法(例えば、直径、厚さなど)に切断された親水性多孔性構造物質(例えば、ナイロン)と共に容器に添加される。
【0230】
他の実施形態では、アッセイは、RT-LAMPアッセイなどである。一部の実施形態では、RT-LAMPのための試薬は、容器の底部表面上に乾燥又は凍結乾燥される。一部の実施形態では、安定化された相は、適当な透過性物質(例えば、接触角、孔サイズ、多孔度などに基づく)を望ましい流体にまず浸漬することによって確立され、次いで容器に入れられる。一部の実施形態では、層は、乾燥フォーマットで構築され、これにより、相又は層と関連するのに適当な多孔性物質は、望ましい流体に浸漬され、当該流体から取り出され、次いで凍結される(例えば、ワックス浸漬、水凍結など)。次いで、これらの構成要素は、層中の容器に添加される。一部の実施形態では、過剰な流体は、容器に添加され、関連する流体を有する及び有さない多孔性構造物質は、流体に添加される。一部の実施形態では、多孔性構造物質は、容器にまず入れられ、流体が添加される。一部の実施形態では、温度を変更して、構築する目的のため流体相を調整する。一部の実施形態では、周囲圧力を変更して、構築する目的のため流体相を調整する。一部の実施形態では、周囲気体組成物を調整して、構築を目的とする。一部の実施形態では、試薬は、容器内で乾燥又は凍結乾燥される。一部の実施形態では、固体構成要素(例えば、塩結晶、PMPなど)は、さらなる安定化された相が、上部に層形成される前に、安定化された相に添加される。一部の実施形態では、安定化された相の構築は、自動化様式で行われる。
【0231】
一部の実施形態では、使い捨ての装置若しくはアッセイ若しくはカートリッジ及び/又はポイントオブケア装置若しくはアッセイ若しくはカートリッジを含む本発明の装置又はシステムを、ブルートゥース機能性を装着(例えば、ブルートゥースラジオを備えたチップ)して、ブルートゥース装着装置(例えば、電話又はコンピュータ)への結果の伝達を可能にする。一部の実施形態では、システム若しくは装置の結果又は本明細書に記載される方法からの結果は、ブルートゥース又は他の通信機能(例えば、Wifi、近接場伝達、セルラーネットワークなど)を介して別の装置(例えば、電話、タブレット、CPU、コンピュータ、画像化装置、保存装置など)に伝達される。
【0232】
一部の実施形態では、コンピュータシステムは、本開示の方法を行うようにプログラムされる又はそれ以外の方法で構成される(又は本発明の装置若しくはシステムと関連付けられる若しくはこれを備える)。一部の実施形態では、CPU又はコンピュータは、プログラム又はソフトウェアに具現化され得る機械読み取り可能な指示のシーケンスを実行することができる。指示は、メモリロケーションに格納され得る。指示は、CPUに指示することができ、その後、本開示の方法を実施するようにCPUをプログラム又はそれ以外の方法で構成することができる。CPUによって実行される操作の例としては、試料添加、PMP(若しくは他の標的結合固相物質(複数可))の添加、安定化界面構造物の移動、装置又はシステムへの(若しくは方法における)磁力又は他の力の適用、加熱、冷却又は熱サイクリングを挙げることができる。CPUは、集積回路などの回路の一部であることができる。システムの1つ以上の他の構成要素は、回路に含めることができる。ある場合では、回路は、特定用途の集積回路である。
【0233】
コンピュータシステムはまた、メモリー又はメモリロケーション(例えば、ランダムアクセスメモリー、読み取り専用メモリー、フラッシュメモリー)、電子記憶装置(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムを用いて通信するための通信インタフェース並びにキャッシュ、他のメモリー、データ記憶装置及び/又は電子ディスプレイアダプタなどの周辺装置も含むことができる。記憶装置は、データを格納するためのデータ記憶装置(又はデータリポジトリ)であることができる。コンピュータシステムは、通信インタフェースの助けを借りて、コンピュータネットワークに動作可能に連結することができる。ネットワークは、インターネット、インターネット及び/若しくはエクストラネット又はインターネットと通信するイントラネット及び/若しくはエクストラネットであることができる。ネットワークは、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にする、1つ以上のコンピュータサーバーを含むことができる。ネットワークは、コンピュータシステムの助けを借りるいくつかの場合では、ピアツーピアネットワークを実装することができ、コンピュータシステムに連結された装置が、クライアント又はサーバーとして動作することを可能にし得る。
【0234】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。それは、網羅的であること又は開示された正確な形態に本開示を限定することを意図するものではなく、修飾及び変形は、上記の教示に照らして可能である又は本開示の実施から獲得され得る。実施形態は、本開示の原理を説明するために、当業者が、企図される特定の用途に適した様々な実施形態で、様々な修飾を伴って本開示を利用できるように、本開示の実用的な応用として選択され、説明された。本開示の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲及びその均等物によって定義されることが意図される。
【実施例】
【0235】
[実施例1] SARS-CoV-2 RNAのLAMPベースの検出のためのシステム及び方法
この実施例に記載するシステム及び装置及び方法は、容器の底部表面上に収容した標的のLAMPベースの検出のための試薬を含む。システムは、2つの多孔性物質、溶解バッファー及び洗浄バッファーを含む。
図1に示す通り、システムを、この実施形態では、上部から底部に以下の順序、(1)やし油、(2)ガラスメッシュを有する溶解バッファー、(3)ポレックスメッシュを有するやし油、(4)ガラスメッシュを有する洗浄バッファー、(5)ポレックスメッシュを有するやし油及び(6)ガラスメッシュを有するLAMP反応のための試薬で層で構成する。
【0236】
それぞれの多孔性物質は、親水性ガラスメッシュであってもよい。あるいは、一方の多孔性物質は、ガラスメッシュであってもよく、他方の多孔性物質は、合成疎水性ポリマーメッシュであってもよい。
【0237】
一部の実施形態では、生物学的試料を、PMPなどと混合し、その後容器に添加する。一部の実施形態では、
図12に示す通り、試料である唾液などは、本発明の容器に既に存在する、PMPを有する溶解/結合バッファーに直接添加することができる。一部の実施形態では、
図12及び
図13に示すものと同様に、やし油を、固化ワックスで置き換える。これらの実施形態では、システムを、この実施形態では、上部から底部に以下の順序、(1)PMPを有する溶解/結合バッファー、(2)ポリプロピレンメッシュと関連する固化ワックス、(3)空間的に多重のRT-LAMP試薬で層で構成する。一部の実施形態では、
図12及び
図13におけるものと同様に、システムは、次の工程を行う前に、ワックスの溶融温度より上に加熱する必要がある。磁石を容器の底部に適用し、これにより、標的-PMPを引き寄せ、SARS-CoV-2 RNAは、この場合、層を通じて、LAMP試薬と接触して複合体を形成する。一部の実施形態では、
図13及び
図14に示すものと同様に、磁石を容器の側面に適用し、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触させる。容器を、適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い、その後、得られたシグナルを測定し得る。この実施形態では、得られたシグナルは、比色分析のものである。
【0238】
[実施例2] 層化された水性相及び油相を有するシステム及び装置
本発明の装置の側面図を
図2Aに示す。容器は、複数ウェルのプレートを備える。1つのウェルは、油と関連するスタックした多孔性物質を含有する(黄色)。図中、多孔性物質は、図において「ポレックス」として言及する合成疎水性ポリプロピレンポリマーメッシュ及び親水性ガラスメッシュである。システムは、7つのメッシュ物質を含有する。上部から底部に、層は、以下の通りである:(1)溶解バッファー(青色の水性層)(ガラスメッシュによって安定化)、(2)ポリプロピレンポリマーメッシュ(ポレックス)(油相を安定化する)、(3)洗浄バッファー(赤色の水性層)(ガラスメッシュによって安定化)、(4)ポリプロピレンポリマーメッシュ(ポレックス)、(5)洗浄バッファー(青色の水性層)(ガラスメッシュによって安定化)、(6)ポリプロピレンポリマーメッシュ(ポレックス)、(7)LAMP試薬(赤色の水性層)(ガラスメッシュによって安定化)。
【0239】
[実施例3] 異なる固体基質及び層を有する装置
図2Bは、常磁性粒子及び磁気プルダウンの適用後の、上の実施例1において記載し、
図1に示すシステムの底面図及び上面図を示す。合成ポリマーメッシュ、合成ポリプロピレンポリマーメッシュ及びガラスメッシュを含み、多孔性物質を含まない(例えば、水性又は油層のみ)システムの比較を示す。
図2Bに示す通り、合成ポリマーメッシュ(例えば、ポレックスパッド)とポレックスパッドとガラスメッシュの組み合わせの両方は、常磁性粒子が多孔性物質を通過することを可能にする。
【0240】
[実施例4] 修飾した方法及びシステム
多孔性物質に対するさらなる修飾が、ビーズプルダウンをさらに強化するためになされているかどうかを試験するために、小さい穴を、ガラスメッシュ物質において生成し、本明細書に記載するシステムにおいて使用した。
図3は、これらの小さな穴が、ガラスメッシュ物質に生成したとき、磁気ビーズプルダウン後の底面図及び上面図を示す。図に示す通り、1mmの穴により、有意に迅速なプルダウン及びビーズのより大きなかたまりが可能になり、0.5mmの穴により、より迅速なプルダウンが可能になった。したがって、さらなる孔を多孔性物質に生成して、必要とする標的とPMPの複合体の単離を促進し得る。
【0241】
[実施例5] 固体基質のバリエーション
本明細書に記載するシステムの別の実施形態を
図4に示す。
図1と同様に、システムは、容器の底部表面(層)上に収容した標的のLAMPベースの検出のための試薬を含む。この実施形態では、システムは、容器の底部上にLAMP試薬を保持し、多孔性物質がその上に載るための堅い表面をもたらすためのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)O-リングを備える。この実施形態では、多孔性物質は、ポリプロピレン(PP)メッシュを含む。システムは、複数の多孔性物質を含む。この例では、2つの多孔性物質を示す(例えば、2つの層)。それぞれの多孔性物質は、PPメッシュを含み得る。あるいは、一方の物質は、PPメッシュを含み得、他方の物質は、ガラスメッシュを含み得る。システムは、ウイルス溶解バッファー及び洗浄バッファーを含む。
【0242】
図4に示す通り、システムを、上部から底部に以下の順序、(1)鉱油、(2)ウイルス溶解/RNA結合バッファー(ガラス布/メッシュ)、(3)鉱油(PPメッシュ)、(4)洗浄バッファー(ガラス布/メッシュ)、(5)鉱油(PPメッシュ)、(6)PTFE O-リング及びLAMP反応のための試薬で、層で構成する。
【0243】
この実施形態では、生物学的試料を、例えば、PMPと混合し、その後、容器に添加する。磁石を、容器の底部に適用し、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触させる。容器を、適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い、その後、得られたシグナルを測定し得る。この実施形態では、得られたシグナルは、比色分析のものである。
【0244】
[実施例6] LAMP試薬を備えたシステム及び装置
容器の底部表面上にLAMP試薬を保持しているPTFE O-リングを含有する、
図4に説明するシステムの画像を
図5に示す。ビーズプルダウン後の画像が示され、これは、SARS-CoV-2 RNA標的とPMPの複合体が、O-リングの中心にプルダウンされ、これにより、LAMP試薬と接触することを示している。LAMP試薬を含む場所を示すために赤色を示す。
【0245】
[実施例7] 親水性固体基質を評価するためのシステム
本明細書に記載するシステムの別の実施形態を
図6に示す。この実施形態では、システムは、容器の底部上にLAMP試薬を保持するためのCNC練りグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)インサート(安定化親水性構造物)を含む。この特注のPETGインサートを、
図7に示す96ウェルプレートのウェルの正確な幾何学に合わせて製造した。システムは、複数の多孔性物質を含む。この例では、2つの多孔性物質を示す(例えば、2つの層)。それぞれの多孔性物質は、PPメッシュを含み得る。あるいは、一方の物質は、PPメッシュを含み得、他方の物質は、親水性ナイロンメッシュを含み得る。メッシュの多孔度は、一般的に、標的とPMPの複合体が、一方の側から他方の側に自由かつ安定に通過することができるようになるようなものである。システムは、溶解バッファー及び洗浄バッファーを含む。
【0246】
図に示す通り、システムを、上部から底部に以下の順序、(1)鉱油、(2)溶解バッファー(ナイロンメッシュによって安定化)、(3)鉱油(PPメッシュによって安定化)、(4)洗浄バッファー(ナイロンメッシュによって安定化)、(5)鉱油(PPメッシュによって安定化)及び(6)PETGインサート内に保持したLAMP反応のための試薬で層で構成する。
【0247】
生物学的試料をPMPと混合し、その後、容器に添加する。磁石を、容器の底部に適用し、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触させる。容器を適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い、その後、得られたシグナルを測定し得る。この実施形態では、得られたシグナルは、比色分析のものである。
【0248】
[実施例8] PETGインサートを有するシステム及び装置
この実施例では、本明細書に記載するシステムを使用した、磁気ビーズプルダウン後の比色分析LAMPアッセイを、
図7に示す通り行った。比色分析RT-LAMP反応試薬を、鉱油を含有する平底96ウェルポリプロピレンプレートのウェルにピペッティングした。生物学的試料を、PMPと混合し、システムに添加した(「ビーズ由来の鋳型」として言及する)。「対照」ウェルにおいて、PETGインサートは存在せず、実験ウェル(例えば、「+PETGインサート」、「ビーズ由来の鋳型」)において、PETG洗浄液が存在した。反応液は、SARS-CoV-2に特異的なDNA配列を標的化する、「新しいプライマー」セット又は「古いプライマー」セットのいずれかである、DNAプライマーを含有するものであった。「相飛躍機序…(2×水洗浄)」条件ウェルにおいて、上部から底部に、ウェルは、鉱油+ポレックスメッシュ、水+ガラスメッシュ層、別の鉱油+ポレックスメッシュ層、別の水+ガラスメッシュ層、第三の油+ポレックスメッシュ層及び最後に、PETG洗浄液+LAMP反応液を含有していた。
【0249】
「対照」及び「+PETGインサート」条件について、SARS-CoV-2鋳型又は水を、それぞれ、「+」又は「-」ウェルに直接ピペッティングした。「相飛躍機序…(2×水洗浄)」条件について、SARS-CoV-2鋳型(「+」)又は水(「-」)のいずれかを含有する生物学的試料を、PMPと混合し、システムに添加した(「ビーズ由来の鋳型」として言及する)。
【0250】
データを、対照及び対照プラスPETGインサートと比較する。
図7に示す通り、システムにより、十分な標的とPMPの複合体のプルダウン(ウェル中で茶色のスポットとして目に見える)及び標的の首尾良い比色分析LAMPベースの検出が可能になった。ポジティブ反応又はSARS-CoV-2 DNAを検出するものは、黄色になり、一方、ネガティブ反応は、ピンク色のままである。示す通り、システムにより、十分な標的とPMPの複合体のプルダウン(ウェル中で茶色のスポットとして目に見える)及び標的の首尾良い比色分析LAMPベースの検出が可能になった。
【0251】
[実施例9] SARS-CoV-2を用いたシステム及び方法の検出限界
異なる数の「洗浄層」を有するSARS-CoV-2についてのプライマーを使用した検出限界(LOD)を決定するための比色分析LAMPアッセイの結果を、
図8に示す。ウェルの全てにおいて、SARS-CoV-2に特異的なDNAプライマーを含有する、比色分析RT-LAMP試薬を、鉱油と共にPETGインサート又は単にウェル自体(「プレ濃縮」ウェル)のいずれかにピペッティングした。SARS-CoV-2 DNAをプレ濃縮し、図の左側に列挙したコピー数で「プレ濃縮」ウェル中のLAMP反応液に直接添加した。「濃縮した」条件ウェルは、3つの洗浄層(上部から底部に、鉱油+ポレックスメッシュ層、水+ガラスメッシュ層、第二の鉱油+ポレックスメッシュ層、第二の水+ガラスメッシュ層、第三の油+ポレックスメッシュ層、第三の水+ガラスメッシュ層、第四の鉱油+ポレックスメッシュ層及び最後に、PETG+RT-LAMP試薬)又は2つの洗浄層(上部から底部に、鉱油+ポレックスメッシュ層、水+ガラスメッシュ層、第二の鉱油+ポレックスメッシュ層、第二の水+ガラスメッシュ層、第三の油+ポレックスメッシュ層及び最後に、PETG+RT-LAMP試薬)のいずれかを含むシステムからなっていた。これらのウェルに、SARS-CoV-2 DNAを、図の左側に列挙した量で、唾液試料及びPMPを有する溶解/結合バッファーに添加し、次いでこの混合物を、ウェルの上部に添加した。PMPのLAMP反応液との接触への磁気プルダウン後、96ウェルプレートを、65℃のオーブンに入れ、0分、20分及び35分で画像化のため取り出した。
【0252】
[実施例10] 唾液試料を用いたシステム及び装置
この実施例では、本発明の装置及びシステムを使用して、唾液試料から標的とPMPの複合体を首尾良く単離した。上部から底部に、システムは、鉱油+ポリプロピレンメッシュ層の上部に水+ナイロンメッシュ層又は水を充填したPETGインサートの上部に単に鉱油+ポリプロピレンメッシュ層のいずれかを含んでいた。唾液試料をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、溶解バッファーを試料に直接添加した。試料を、55℃まで15分間加熱し、続いて98℃まで3分間加熱して、感染性物質を熱不活性化した。試料を室温まで冷却し、PMPと混合し、容器に添加した(例えば、多孔性物質及び洗浄バッファーを含有する複数ウェルのプレートのウェルに添加した)。磁石を容器の底部に適用して、精製層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せた。システムに示す通り、磁石サイズ及びしたがって磁場強度は、十分なビーズ-プルダウンを達成するのに極めて重要である。さらに、この図は、希釈していない唾液が、全体的なビーズ-プルダウンに関して、希釈した唾液より良好に機能することを示す。結果を
図9に示す。
【0253】
[実施例11] 96ウェル容器のためのシステム及び装置
この実施例では、容器の底部表面に収容した望ましい標的のLAMPベースの検出のための試薬を含有する、容器を調製する。試薬を、インサート(例えば、PETGインサート)又はO-リングを含む、適当な手段によって底部表面に固定し得る。システムは、容器内に洗浄バッファー及びスタックされた複数の多孔性物質を備える。システムは、上部から底部に、(1)鉱油と関連したポリプロピレンメッシュ、(2)ナイロンメッシュと関連した洗浄バッファー、(3)鉱油と関連したポリプロピレンメッシュ、(4)ナイロンメッシュと関連した洗浄バッファー、(5)鉱油と関連したポリプロピレンメッシュ及び(6)LAMP試薬を有するPETGインサートを含む。容器を、複数ウェルのプレートに予めパッケージングしてもよく、プレートのそれぞれのウェルは、単一容器の内容物を含有する。この複数ウェルのプレートを、キットにパッケージングし得る。
【0254】
システムは、磁石をさらに備える。この場合、磁石は、アレイ内のそれぞれの磁石が、複数ウェルのプレート中の単一のウェルと整合するようなアレイである。例えば、生物学的試料を溶解し、常磁性粒子と混合し、複数ウェルのプレートに添加し、磁気アレイをプレートの底部に近い適当な位置に入れて、精製層を通じて(例えば、多孔性物質及び洗浄バッファーを通じて)標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触させる。プレートを65℃にインキュベートし、シグナル(例えば、比色分析又は蛍光シグナル)を測定する。
図10は、この実施形態の例示的な概要を示す図式である。
【0255】
[実施例12] インサートを有するシステム及び装置
分析物の単離及び検出のための、この場合の本発明のシステムの別の概要。
図11Aは、水性相(i)中の常磁性粒子を示す。システム下での磁力の適用は、システムの底部表面に向かって油相(ii、iii及びiv)を通じて常磁性粒子(例えば、標的とPMPの複合体)を引っ張り出す。
【0256】
図11Bは、システムを保持している例示的な容器を示す。容器の底部表面は、分析物の検出のための試薬を含有する(赤色で示す)。水性相及び油相を、浮力と比較して固体基質接着及び表面張力を介して流体保持力を最大化又はそれ以外の方法で最適化することによって安定化する。
【0257】
図11Cは、システムを収容するためのインサートを使用して、本明細書に記載するシステムを使用して分析物を単離及び検出するための例示的なプロセスを示す。
【0258】
[実施例13] 複雑な生物学的試料からの標的のLAMPベースの検出
このシステムを、複雑な生物学的試料からの標的のLAMPベースの検出において使用するため設計する。システムは、異なる表面特性を有する複数の多孔性物質及び容器の底部表面に収容した標的のLAMPベースの検出又はRT-LAMPベースの検出のための試薬を含む。システムはまた、溶解/結合バッファーを含み、洗浄バッファーを含有することができる。
【0259】
LAMP試薬が液体形態であり、生物学的試料に依存するとき、システムを、上部から底部に以下の順序、(1)鉱油(任意選択)、(2)溶解/結合バッファー、(3)疎水性多孔性物質(及び関連する鉱油)並びに(4)LAMP(RT-LAMP)反応のための試薬、で層で構成し得る。他の実施形態では、層1~3の順序は、任意選択であり、所望に応じて再構成してもよい。
【0260】
一部の実施形態では、鉱油を、操作温度で融解する固化ワックスで置換する。
【0261】
水性洗浄層の包含が、有益又は必要であると考えられる場合、次いで、システムを、上部から底部に以下の順序、(1)鉱油(任意選択)、(2)溶解/結合バッファー、(3)疎水性多孔性物質(及び関連する鉱油)、(4)親水性多孔性物質(洗浄バッファー)、(5)別の疎水性多孔性物質(及び関連する鉱油)並びに(6)LAMP反応のための試薬で、層で構成する。他の実施形態では、層1~4の順序は、任意選択であり、所望に応じて再構成してもよい。
【0262】
液体の代わりに、乾燥バージョンのLAMP試薬を使用するとき、システム層を、以下の順序、(1)鉱油(任意選択)、(2)溶解/結合バッファー、(3)疎水性多孔性物質(及び関連する鉱油)、(4)水性再構成バッファー、鉱油並びに最後に(5)乾燥させたLAMP試薬、で構成する。乾燥LAMP試薬を有するこの最終配置では、装置を加熱するまで、油/ワックスを固化して、再構成バッファー及び乾燥lamp試薬を別々に維持することができ、これにより、水性再構成バッファーが乾燥試薬と組み合わさり、次いで湿ったLAMP試薬を使用する従前の配置を模倣することを可能にしなければならない。他の実施形態では、層1~4の順序は、任意選択であり、所望に応じて再構成してもよい。
【0263】
それぞれの多孔性物質は、疎水性メッシュ(ポリプロピレン又は他の合成若しくは天然ポリマー)であり得る。あるいは、一方の多孔性物質は、ガラスメッシュであり得、他方の多孔性物質は、合成ポリマーメッシュであり得る。生物学的試料を例えば、PMPと混合し、その後、容器に添加し得る又はPMPは、既に結合バッファー中にあり、生物学的試料を単に添加し、容器に直接混合することができる。一部の実施形態では、複雑な生物学的試料中に含有している生物学的構成要素の溶解を、超音波処理を使用して行う。一部の実施形態では、超音波振動をもたらすために使用するソノトロードを、装置本体に外部で適用する。一部の実施形態では、ソノトロード又は類似の装置を、本発明の標的ポジショニング装置の本体に統合する。磁石を、容器の底部に適用し、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、LAMP試薬と接触させる。
【0264】
一部の実施形態では、LAMP試薬と接触した装置本体の部分を、空間的に多重化した反応を促進するために、1つより多くのコンパートメントに分ける。容器を適当な温度(例えば、65℃)でインキュベートして、LAMPアッセイを行い、その後、得られたシグナルを測定し得る。この実施形態では、得られたシグナルは、比色分析、比濁分析又はフルオロメトリックなどであり得る。
【0265】
[実施例14] 複雑な生物学的試料からの標的のRT-qPCRベースの検出
この実施例では、本発明のシステムを、複雑な生物学的試料からの標的のRT-qPCRベースの検出における使用のため設計する。このシステムは、システムの底部層又は容器の底部表面上に収容した標的のPCRベースの検出又はRT-PCRベースの検出のための試薬を含む。PCR反応液を収容している容器は、装置の底部で単純なカップ形状であることができる又は一部の実施形態では、反応液を収容している容器の幾何学は、熱サイクリングが、より効率的になるようなものであり得る。例えば、一部の実施形態では、反応液を収容している容器は、熱のより迅速な伝達を促進するために高いアスペクト比を有し得る(すなわち、反応の温度サイクルを促進するために温度が伝導されなければならない距離を低減する)。一部の実施形態では、反応液を収容している容器は、マイクロ流体チャンネルを含む、マイクロ流体チャンネルから本質的になる又はマイクロ流体チャンネルからなる。一部の実施形態では、反応液を収容している容器を、装置の残りの部分として異なる物質から製造する。一部の実施形態では、反応液を収容している容器は、その内部に統合した加熱要素を有する。システムは、異なる表面特性を有する複数の多孔性物質を含むことができる。システムは、溶解/結合バッファーを含み、洗浄バッファーを含有することができる。潜在的な層配置は、RT-qPCR試薬を、LAMP試薬(液体形態又は乾燥のいずれか)の代わりに使用するであろうことを除き、LAMPのものと一致する。等温反応であるLAMP/RT-LAMPとは異なり、RT-qPCR試薬を有する容器を、適当な温度(例えば、95℃で10秒間、60℃で30秒間)で熱サイクル処理して、PCR(RT-PCR)アッセイを行い、その後、得られたシグナルを測定し得る。この実施形態では、得られたシグナルは、フルオロメトリックである。
【0266】
[実施例15] 次世代配列決定のための複雑な生物学的試料からの標的の単離
この実施例では、本発明のシステムを、配列決定のため、複雑な生物学的試料からの標的の単離のため設計する。このシステムは、容器の底部表面に向けて又は容器の底部表面上に収容した標的の次世代配列決定(NGS)のための試薬を含む。しかしながら、LAMP/RT-LAMP及びRT-qPCRの実施形態と異なり、この実施形態を、標的物質の単離、開始増幅反応及び輸送のため使用するであろうし、必ずしも、任意の終点検出を含むことは必要でなない。代わりに、単離した物質を、ほとんど全ての下流プロセスのため使用することができる。
【0267】
事実、NGSの適用は、単離した物質を、潜在的には、本発明の装置の外側の下流プロセスにおいて使用してもよい、多くの潜在的な適用の一つにすぎない。実際、分析物(例えば、細胞、タンパク質、核酸又は糖タンパク質)及び適用(がん細胞の列挙、質量分析のためのタンパク質の単離又はラテラル若しくはバーティカルフロー装置での検出)に依存して、可算数の潜在的な下流使用を可能にする。したがって、NGSを単に、1つの関連のある例としてここで使用する。NGSの場合、単離した核酸を、配列決定のための下流装置を用いて使用する。NGSは、時に等温を必要とする又は配列決定の前に、物質の事前増幅のため熱サイクリングを必要としてもよい。したがって、本発明のシステム、装置又は方法を使用して、配列決定装置における物質の輸送前に、単離した物質を事前増幅してもよい。事前増幅をまた、最初の単離及び輸送後に記載した装置の外側で行うことができる。
【0268】
NGSの場合、一部の実施形態では、NGSのため単離した分析物を安定化又は緩衝するための試薬を収容している容器は、取り外すことができる。一部の実施形態では、NGSのための試薬を収容している容器は、NGS試薬の新しい容器への輸送を促進する。層配置の従前の記載と同様に、NGS試薬は、液体形態であってもよい又は乾燥させ、再構成バッファーの層で再構成してもよい。一部の実施形態では、NGS試薬を、容器の底部の取り外し可能な要素の表面に接着させる。一部の実施形態では、本発明の装置を、磁石が、分析物をマイクロタイタープレートに引っ張り出すことができるように、マイクロタイタープレート(48ウェル、96ウェル、384ウェル)を用いて界面に配列する。これらの実施形態では、NGS試薬を、マイクロタイタープレートのウェルに収容し得、本発明の方法の他の構成要素を収容している本発明の装置を、ウェルの上部に入れる。一部の実施形態では、NGSのための試薬を収容している容器は、単純なカップである又は一部の実施形態では、反応液を収容している容器の幾何学は、熱サイクリングが、より効率的になるようなものであり得る。一部の実施形態では、NGS試薬を収容している容器は、熱のより迅速な伝達を促進するために高いアスペクト比を有する。一部の実施形態では、反応液を収容している容器は、マイクロ流体チャンネルを含む、マイクロ流体チャンネルから本質的になる又はマイクロ流体チャンネルからなる。
【0269】
一部の実施形態では、反応液を収容している容器は、装置の残りの部分と異なる物質で作られている。一部の実施形態では、反応液を収容している容器は、その中に統合した加熱要素を有する。システムは、異なる表面特性を有する複数の多孔性物質を含む。システムは、溶解/結合バッファーを含み、洗浄バッファーを含有することができる。生物学的試料に依存して、システムを、例えば、上部から底部に以下の順序、(1)鉱油、(2)溶解/結合バッファー、(3)疎水性多孔性物質(鉱油)及び(4)NGSのための試薬で、層で構成し得る。水性洗浄層の包含が、有益又は必要であると考えられる場合、システムを、例えば、上部から底部に以下の順序、(1)鉱油、(2)溶解/結合バッファー、(3)疎水性多孔性物質(鉱油)、(4)親水性多孔性物質(洗浄バッファー)、(5)別の疎水性多孔性物質(鉱油)及び(6)NGSのための試薬で、層で構成し得る。それぞれの多孔性物質は、疎水性メッシュ(例えば、ポリプロピレン又は他の合成若しくは天然ポリマー)を含み得る。あるいは、一方の多孔性物質は、ガラスメッシュを含み得、他方の多孔性物質は、合成ポリマーメッシュを含み得る。
【0270】
生物学的試料をPMPと混合し、その後、容器に添加し得る又はPMPは、既に結合バッファー中にあり、生物学的試料を単に添加し、容器に直接混合することができる。磁石を、容器の底部に適用し、これにより、層を通じて標的とPMPの複合体を引き寄せ、NGS(RT-PCR)試薬と接触させる。容器を、適当な温度(例えば、95℃で10秒間、60℃で30秒間)で熱サイクル処理して、NGSの開始工程を行い得る。
【0271】
[実施例16] サンドイッチELISA
本発明の一部の実施形態では、安定化した界面を使用して、一次抗体結合バッファー、コンジュゲートした二次抗体結合バッファー及び基質溶液をそれぞれの層を分ける鉱油及び固化ワックス層(MT=35℃)と共に含む生物学的試料上でサンドイッチELISAを行うために使用される試薬を分割し、安定化する。
図15を参照のこと。
【0272】
このアッセイ実施形態では、生物学的試料を添加して、試料が、バッファー、一次捕獲抗体(標的特異的)にコンジュゲートした常磁性粒子(PMP)及び他の様々な構成要素を含む一次抗体結合バッファーを含有する装置内の最上部の層と混合することを可能にする。インキュベーション期間後、磁力を、鉱油層を通じて、バッファー、二次コンジュゲート抗体(HRP又は他の酵素)並びに他の様々な構成要素を結合する最適な抗体と標的を確立する塩及び緩衝構成要素を含む二次抗体結合バッファーに、ビーズを引っ張り出す多孔性メッシュに垂直に適用する。この層の下層にある固体ワックス層の存在のため、ビーズは水性層で停止する。二次抗体結合バッファーにおいて、酵素にコンジュゲートした抗体は、一次抗体/PMPが既に結合している、標的上の他の領域に結合することが可能になる。インキュベーション期間後、温度を、ビーズを、基質溶液に引っ張り出すことを可能にする(すなわち、別のESP洗浄)、ワックス層の溶融温度より上まで上げることができる。この層では、酵素基質を、伝統的な手段を使用して測定することができる、蛍光又は比色分析産物に変換する。
【0273】
このアッセイの別のフォーマットでは、装置の上部の層は、標的並びにHRPを用いて標識した一次抗体又は他の基質変換酵素に結合することができる両方のPMPを含有する。次いで、標的を、基質溶液を含有する最終バッファーに単離する。酵素は、基質を、伝統的な手段を介して検出のための蛍光又は比色分析産物に変換する。
【0274】
[実施例17] CTC捕獲
本発明の別の実施形態では、安定化した界面を使用して、鉱油又は溶融温度約35℃を有する固体ワックスのいずれかによって全て分ける、CTC結合バッファー、非CTCからCTCを区別するためのバッファー標識試薬及び最終水性体積を含む血液ベースの試料(抹消血単核細胞(PBMC))から循環腫瘍細胞(CTC)を単離するために必要な試薬を分割し、安定化する。
図16を参照のこと。
【0275】
このアッセイでは、全血又はPBMCのいずれかである血液ベースの試料を、1つ又は多孔性メッシュを含有するウェルの上部に添加する。添加すると、試料は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、捕獲抗体(CTC特異的標的)にコンジュゲートした常磁性粒子(PMP)並びにCTC実行可能性を保存するのを助ける及び最適な結合条件を確立するのを助ける塩及びバッファーなどの他の様々な構成要素を含むCTC結合バッファーを含有する最上部の層と混ざる。インキュベーション期間後、磁力を、鉱油層を通じて、蛍光抗体結合バッファー中にビーズを引っ張り出す多孔性メッシュに垂直に適用する。この層の下層にある固体ワックス層の存在のため、ビーズは水性層で停止する。蛍光抗体結合バッファーにおいて、蛍光でタグ付けした抗体が、捕獲したCTC上の標的に結合することが可能になる。インキュベーション期間後、温度を、ワックス層の溶融温度より上に上げて、ビーズを水性相(PBS)に引っ張り出すことを可能にする(すなわち、別のESP洗浄)。この層では、CTCを、蛍光顕微鏡を介してカウントすることができる。
【0276】
[実施例18] 他の方法及び装置のためのインプット
生試料から精製した試料へ迅速に移行する能力は、複雑さ及びコストのため、ほとんどのアッセイプラットフォームにおいてボトルネックである。本明細書に記載する本発明は、生試料(例えば、血液、尿、唾液、血漿)から直接別の装置又は方法のインプットなどの最終目的地に標的を単離するための簡単な解決策を提供する。一部の実施形態では、これは、マイクロタイタープレートであってもよい。他の実施形態では、本発明の装置は、マイクロ流体装置の試料充填チャンバーを形成することができる。標的のマイクロ流体装置チャンバーへの単離及び輸送後、マイクロ流体対照を使用して、その後、必要に応じて試料を処理することができる。
【0277】
別の実施形態では、PMPをマイクロウェルプレートに輸送することができるのと同様に、PMPを、ラテラルフローアッセイ(LFA)又は同様のアッセイ(例えば、バーティカルフローアッセイ)に輸送することができ、ここで、分析物を次いで検出することができる。例えば、PMPを、LFAの試料パッドに輸送することができる。低pH溶出をLFAに適用して、IgGを介してPMPに結合した分析物を溶出することができる。試料パッド物質の孔サイズは、PMPのLFA下への遊走を防ぐことができる又はより小さい孔サイズの別の物質との続く接合部で濾過してもよい。次いで、溶出した物質を、乾燥した中和バッファーを含んだ次のパッド上に流して、pHを再正規化することができる。次いで、溶出液を、コンジュゲート又はビオチン化抗体を含んだパッド物質に再水和し、これにより、コンジュゲート/Abが、溶出した標的を結合し、検出のため下流に流れることが可能になり得る。下流の検出を、フローアッセイ設計の分野で知られている様々な方法で行うことができる。同じく、本発明の装置、システム又は方法を使用して、類似のバーティカルフローアッセイに標的を単離することができる。
【0278】
[実施例19] 安定な輸送のための核酸の単離
本発明の装置、システム及び方法を使用して、LFA試料パッドに標的を単離することもでき、それをまた使用して、安定な保存及び輸送のための乾燥のため、パッド上に標的を単離することができる。少ない体積の血液(μLのもの)からバックグラウンドの混入物を含有するであろう乾燥した血斑とは異なり、本発明の装置、システム又は方法を使用して単離した標的は、ずっとより大きな体積の血液(mLのもの)からの単離した標的を表し、物質が混入している大部分を除去する。
【0279】
[実施例20] SIFT対応、調整可能、レンズマイクロアレイ
SIFTのこの実施形態では、規則的な間隔の孔を含む疎水性流体を好む単一の多孔性構造物質を使用して、CCD検出器上の画像を拡大することができる調節可能な光学レンズのアレイを生成する。このシステムでは、疎水性相又は層を前述の疎水性多孔性構造物質を横切って確立する。疎水性層の圧力及び/又は体積(又は物質のカラム内のSIFT膜の位置)を調節することによって、高度に調整可能な平凸レンズを生成することができる。このレンズ(文字「A」)の前に対象物を置くことにより、CCD検出器上の拡大した化合物画像を得る。
【国際調査報告】