(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】パルスフィールドアブレーション用途におけるプレアブレーションパルスのためのシステム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548683
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 US2022015881
(87)【国際公開番号】W WO2022173875
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナサン、ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ボワーズ、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンス、コルト ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パレ、マイケル エイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK18
4C160KK24
4C160KK37
4C160KK63
4C160MM33
(57)【要約】
エレクトロポレーションアブレーション治療のためのシステム、デバイス、及び方法が開示され、このシステムは、組織へのアブレーションパルス送達のための少なくとも1つの電極を含むアブレーションデバイスに接続され得る、医療アブレーション治療のためのプレアブレーション信号及びパルス波形を生成するための信号発生器を含む。信号発生器は、プレアブレーション信号を生成してアブレーションデバイスの電極のサブセットに送達するとともに、送達に関連する電流を測定することで、その電流が1つ以上の所定の基準を満たすかどうかを判定することができる。信号発生器はまた、電流が1つ以上の所定の基準を満たすと判定した後、電圧パルスを生成し、パルス波形の形態でアブレーションデバイスに送達することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
患者の解剖学的構造内に配置されるように構成された電極のセットを含むアブレーションデバイスと、
信号発生器であって、
前記電極のセットに接続されたエネルギー源と、
前記電極のセットに接続された感知回路とを含む前記信号発生器と、
前記エネルギー源及び前記感知回路に動作可能に接続されたプロセッサであって、
前記エネルギー源を使用して、プレアブレーション信号のセットを生成し、
前記プレアブレーション信号のセットを、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第1のセットに送達し、
前記プレアブレーション信号のセットの送達を受けて、前記感知回路を使用して前記感知回路の電流感知抵抗器を通過する1つ以上の電流のセットを測定し、
前記電流のセットが所定の基準を満たしているかどうかを判定し、
前記電流のセットが前記所定の基準を満たすとの判定を受けて、パルス波形を生成し、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第2のセットに送達することで、電極のサブセットの前記第2のセットが組織をアブレーションするためのパルス電場を生成するように構成された前記プロセッサとを含む、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記電流のセットが前記所定の基準を満たさないとの判定を受けて、前記アブレーションデバイスを再配置するようにユーザに指示する警告を生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記電流のセットの平均値、前記電流のセットの分散、又は前記電流のセットの最小電流に対する最大電流の比のうちの少なくとも1つに基づくメトリックを計算すること、及び
前記メトリックが閾値よりも小さいか又は大きいかを判定すること
により、前記電流のセットが前記所定の基準を満たしているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記電流のセットの各電流が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定すること、前記電流のセットの各電流が所定の閾値よりも小さいかどうかを判定すること、又は、前記電流のセットの各電流が所定の値の範囲内にあるかどうかを判定することのうちの少なくとも1つに基づき、前記電流のセットが所定の基準を満たしているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記信号発生器は、電極チャネルのセットをさらに含み、前記電極チャネルのセットの各電極チャネルは、第1の複数のスイッチからの第1のスイッチ及び第2の複数のスイッチのうちの第2のスイッチを含み、
前記エネルギー源は、前記電極チャネルのセットの各電極チャネルの前記第1のスイッチのコレクタ端子に接続されており、
前記電流感知抵抗器は、前記電極チャネルのセットの各電極チャネルの前記第2のスイッチのエミッタ端子に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プレアブレーション信号のセットの各プレアブレーション信号は、単一の二相パルスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プレアブレーション信号のセットの各プレアブレーション信号は、複数の二相パルスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
電極のサブセットの前記第1のセットは、電極のサブセットの前記第2のセットと同一である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、電極のサブセットの前記第1のセットに前記プレアブレーションパルスのセットを所定の順序に従って送達するように構成されており、前記所定の順序において、前記プレアブレーションパルスのセットからの各プレアブレーションパルスは電極のサブセットの前記第1のセットの別個の電極のサブセットに送達される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プレアブレーションパルスのセットからの各プレアブレーション信号は、それぞれ第1の幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記パルス波形は、それぞれ第2の幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記第1の幅は前記第2の幅とは異なっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プレアブレーションパルスのセットからの各プレアブレーション信号は、それぞれ第1の振幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記パルス波形は、それぞれ第2の振幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記第1の振幅は前記第2の振幅よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記信号発生器はさらに、
抵抗器と、
開状態と閉状態との間で切り替わるように構成されたスイッチとを含み、
前記開状態において、前記スイッチは前記抵抗器を前記エネルギー源に接続するように構成されていることにより、前記抵抗器は、前記エネルギー源の電圧を低下させる電圧降下を生成することで、前記第1の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成し、
前記閉状態において、前記スイッチは前記抵抗器を前記エネルギー源から遮断するように構成されていることにより、前記第2の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記エネルギー源は第1のエネルギー源であり、前記信号発生器は、
前記第1のエネルギー源の電圧よりも高い電圧を有する第2のエネルギー源と、
第1の状態及び第2の状態の間で切り替わるように構成されたスイッチとをさらに含み、
前記第1の状態において、前記スイッチは、前記第1のエネルギー源を含む回路を閉じるように構成されていることにより、前記第1の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成し、
前記第2の状態において、前記スイッチは、前記第2のエネルギー源を含む回路を閉じるように構成されていることにより、前記第2の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号発生器は、
抵抗器及びコンデンサを含む抵抗器-コンデンサネットワークと、
スイッチとをさらに含み、
前記スイッチは、開状態と閉状態との間で、所定の周波数で急速に切り替わるように構成されていることにより、前記抵抗器-コンデンサネットワークは分圧器として機能し、前記コンデンサの両端の第1の電圧は、前記第1の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成するのに使用され、前記第1の電圧は前記エネルギー源の電圧よりも低く、
前記スイッチは、前記閉状態に維持されるように構成されていることにより、前記コンデンサの両端の第2の電圧は、前記第2の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成するのに使用され、前記第2の電圧は、前記エネルギー源の電圧と実質的に等しい、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記アブレーションデバイスは、スプラインのセットを含み、前記電極のセットは前記スプラインのセット上に分布しており、前記スプラインのセットは、展開されていない構成から、前記スプラインのセットが前記アブレーションデバイスの長手方向軸から外側へ湾曲する展開された構成へと移行するように構成されており、前記展開された構成における前記スプラインのセットは、患者の心臓内に配置されるように構成されており、
前記プロセッサは、前記電流のセットが前記所定の基準を満たさないとの判定を受けて、前記スプラインのセットのうちのスプラインのサブセットが不均一に分布していると判定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記アブレーションデバイスは、シース内にスライド可能に配置される単一の線形シャフトを含み、前記線形シャフトは前記電極のセットを支持する遠位部分を有し、前記線形シャフトは、前記電極のセットの1つ以上の電極を、アブレーションのために露出させるように前記シースの遠位側で可変長であり、
前記プロセッサは、前記電流のセットが前記所定の基準を満たさないとの判定を受けて、アブレーションに必要な最小限の数の電極が前記シースから露出されていないと判定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記感知回路は、前記電流感知抵抗器を通過する電流を示す信号を測定するように構成されており、前記信号発生器は、
前記感知回路に接続されたアナログフォトカプラであって、前記感知回路によって測定された信号から高電圧ノイズを分離するように構成された前記アナログフォトカプラと、
前記アナログフォトカプラが前記信号から前記高電圧ノイズを分離した後、前記信号をデジタル化し、その信号を前記プロセッサに渡すように構成されたアナログデジタルコンバータ(ADC)とをさらに含み、
前記プロセッサは、前記ADCから前記信号を受信した後、前記電流のセットが前記所定の基準を満たしているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
患者の解剖学的構造内に配置可能なアブレーションデバイスの電極のセットに接続された電流感知抵抗器と、
前記電極のセットのうちの電極の第1のサブセットに印加されるプレアブレーションパルスを受けて生成された電流を、前記電流感知抵抗器の両端で測定するように構成された電流測定回路と、
前記電流が所定の基準を満たすかどうか判定するように構成されるとともに、前記電流が前記所定の基準を満たすかどうかを示すデジタル出力を生成するように構成されたコンパレータと、
プロセッサであって、
前記電流が前記所定の基準を満たすことを示す前記デジタル出力を受けて、パルス波形を前記電極のセットのうちの電極の第2のサブセットに送達することで、電極の前記第2のサブセットがアブレーションのためのパルス電場を生成し、
前記電流が前記所定の基準を満たさないことを示す前記デジタル出力を受けて、電極の前記第2のサブセットへのパルス波形の送達を抑止するように構成された前記プロセッサと
を含む装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、電極の前記第2のサブセットへの前記パルス波形の送達をもたらすためにスイッチのセットを開閉させる命令を実行するように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記電流が前記所定の基準を満たさないことを示す前記デジタル出力を受けて、前記アブレーションデバイスを再配置するようにユーザに指示する警告を生成するようにさらに構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記コンパレータに接続されたデジタルフォトカプラをさらに含み、前記デジタルフォトカプラは前記デジタル出力から高電圧ノイズを分離するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記コンパレータは、前記電流が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定すること、前記電流が所定の閾値よりも小さいかどうかを判定すること、又は、前記電流が所定の値の範囲内にあるかどうかを判定することのうちの少なくとも1つにより、前記電流が前記所定の基準を満たすかどうかを判定するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記プロセッサは、ユーザから受信した入力に基づいて前記所定の基準を設定するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記入力は閾値又は値の範囲を含み、前記プロセッサは、
前記閾値又は前記値の範囲をデジタルアナログコンバータ(DAC)に渡し、前記DACが前記閾値又は前記値の範囲を表すアナログ信号を生成すること、
前記所定の基準は前記アナログ信号に基づいてコンパレータで設定されること
により、前記所定の基準を設定するように構成されている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記アナログ信号が前記コンパレータに渡される前に、高圧ノイズを前記アナログ信号から分離するように構成されたアナログフォトカプラをさらに含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
エネルギー源を使用して、プレアブレーション信号のセットを生成することと、
前記プレアブレーション信号のセットを、アブレーションデバイスの電極のセットのうちの電極のサブセットの第1のセットに送達することと、前記アブレーションデバイスは患者の解剖学的構造内の位置にあることと、
前記プレアブレーション信号のセットの送達を受けて、前記電極のセットに接続された感知回路を使用して、前記感知回路の電流感知抵抗器を通過する1つ以上の電流のセットを測定することと、
前記電流のセットが所定の基準を満たすかどうかを判定することと、
前記電流のセットが前記所定の基準を満たすとの判定を受けて、パルス波形を生成し、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第2のセットに送達することで、電極のサブセットの前記第2のセットが組織をアブレーションするためのパルス電場を生成することと
を含む方法。
【請求項27】
前記電流のセットが前記所定の基準を満たさないとの判定を受けて、前記アブレーションデバイスを再配置するようにユーザに指示する警告を生成することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記電流のセットが所定の基準を満たすかどうかを判定することは、
前記電流のセットの平均値、前記電流のセットの分散、又は前記電流のセットの最小電流に対する最大電流の比のうちの少なくとも1つに基づくメトリックを計算すること、及び
前記メトリックが閾値よりも小さいか又は大きいかを判定することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記電流のセットが所定の基準を満たすかどうかを判定することは、前記電流のセットの各電流が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定すること、前記電流のセットの各電流が所定の閾値よりも小さいかどうかを判定すること、又は、前記電流のセットの各電流が所定の値の範囲内にあるかどうかを判定することのうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記プレアブレーションパルスのセットは、前記プレアブレーションパルスのセットからの各プレアブレーションパルスが電極のサブセットの前記第1のセットの別個の電極のサブセットに送達される所定の順序に従って、電極のサブセットの前記第1のセットに送達される、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
パルス電場エネルギー送達は、パルスフィールドアブレーション(PFA)としても知られており、細胞膜の破壊を引き起こして細胞死をもたらすことができる局所的な高電場を生成する高電圧の短いパルスを利用する。このプロセスは不可逆的エレクトロポレーションとも呼ばれる。流体媒体(例えば、血液など)では、高電圧パルスにより電気分解が発生し、それに伴う気泡が発生し得る。場合によっては、パルスの振幅及び波形に応じて、電極端に非常に近い電場が高くなりすぎることで、局所的な熱効果を引き起こしたり、局所的なアークフラッシュ現象が発生したりする可能性があり、これらは心臓アブレーションなどの臨床用途には望ましくない場合がある。したがって、アブレーションエネルギーを送達する前に、デバイスが標的組織に対して適切に配置され、展開されることを確実にすることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0002】
本明細書では、不可逆的エレクトロポレーションによって組織をアブレーションするためのシステム、デバイス、及び方法について説明する。いくつかの実施形態では、システムは、患者の解剖学的構造内に配置されるように構成された電極のセットを含むアブレーションデバイスと;信号発生器であって:前記電極のセットに接続されたエネルギー源と、前記電極のセットに接続された感知回路とを含む前記信号発生器と;前記エネルギー源及び前記感知回路に動作可能に接続されたプロセッサであって:前記エネルギー源を使用して、プレアブレーション信号のセットを生成し;前記プレアブレーション信号のセットを、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第1のセットに送達し;前記プレアブレーション信号のセットの送達を受けて、前記感知回路を使用して前記感知回路の電流感知抵抗器を通過する1つ以上の電流のセットを測定し;前記電流のセットが所定の基準を満たしているかどうかを判定し;前記電流のセットが所定の基準を満たすとの判定を受けて、パルス波形を生成し、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第2のセットに送達することで、電極のサブセットの前記第2のセットが組織をアブレーションするためのパルス電場を生成するように構成された前記プロセッサとを含むことができる。
【0003】
いくつかの実施形態では、信号発生器又は別個の測定デバイスは、前記感知回路に接続されたアナログフォトカプラと、アナログデジタルコンバータ(ADC)とを含むことができ、前記アナログフォトカプラは、前記感知回路によって測定された信号から高電圧ノイズを分離するように構成されており、前記アナログデジタルコンバータ(ADC)は、前記アナログフォトカプラが信号から高電圧ノイズを分離した後、信号をデジタル化し、その信号を前記プロセッサに渡すように構成されており、前記プロセッサは、前記ADCから前記信号を受信した後、前記電流のセットが所定の基準を満たしているかどうかを判定するように構成されることができる。
【0004】
いくつかの実施形態では、信号発生器又は別個の測定デバイスは、患者の解剖学的構造内に配置可能なアブレーションデバイスの電極のセットに接続された電流感知抵抗器と;前記電極のセットのうちの電極の第1のサブセットに印加されるプレアブレーションパルスを受けて生成される、前記電流感知抵抗器を通る電流を測定するように構成された電流測定回路と;前記電流が所定の基準を満たすかどうかを判定し、前記電流が所定の基準を満たすかどうかを示すデジタル出力を生成するように構成されたコンパレータと;プロセッサであって:前記電流が所定の基準を満たすことを示す前記デジタル出力を受けて、電極の第2のサブセットがアブレーションのためのパルス電場を生成するように、前記電極のセットのうちの電極の第2のサブセットにパルス波形を送達させ;前記電流が所定の基準を満たさないことを示す前記デジタル出力を受けて、電極の前記第2のサブセットへのパルス波形の送達を抑止するように構成された前記プロセッサとを含むことができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、エネルギー源を使用して、プレアブレーション信号のセットを生成すること;前記プレアブレーション信号のセットを、患者の解剖学的構造内に配置されたアブレーションデバイスの前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第1のセットに送達すること;前記プレアブレーション信号のセットの送達を受けて、前記電極のセットに接続された感知回路を使用して前記感知回路の電流感知抵抗器を通過する1つ以上の電流のセットを測定すること;前記電流のセットが所定の基準を満たすかどうかを判定すること;及び、前記電流のセットが所定の基準を満たすとの判定を受けて、パルス波形を生成し、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第2のセットに送達することにより、電極のサブセットの前記第2のセットが組織をアブレーションするためのパルス電場を生成すること。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】いくつかの実施形態による、プレアブレーション電圧パルスのセットとそれに続くアブレーションパルスのセット又はアブレーション波形を概略的に示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による、それぞれ電極の別個のペアセットに印加されるプレアブレーション電圧パルスのセットを概略的に示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、プレアブレーション電圧パルスの複数のセットを示し、各セットは、電極の別個のペアセットにそれぞれ印加されるパルスを含む。
【
図3】いくつかの実施形態による、複数のプレアブレーション電圧パルスの複数のセットを示し、各セットは、電極の別個のペアセットに印加される。
【
図4A】いくつかの実施形態による、バスケット構成の展開可能なマルチスプラインカテーテルを概略的に示し、カテーテルの遠位部分は、様々な構成にわたって展開可能な複数のスプラインを備えている。
【
図4B】いくつかの実施形態による、展開可能なマルチスプラインカテーテルの展開されたバスケット構成の正面図の概略図であり、カテーテルの遠位部分は、様々な構成にわたって展開可能な複数のスプラインを含み、解剖学的制約のためにスプラインは不均一に配置されている。
【
図5】いくつかの実施形態による、展開可能なマルチスプラインカテーテルの展開された花型構成の正面図の概略図であり、カテーテルの遠位部分は、様々な構成にわたって展開可能な複数のスプラインを含み、解剖学的制約のためにスプライン又は花弁は不均一に配置されている。
【
図6A】いくつかの実施形態による、シースから延びる遠位部分に沿って複数の電極が配置され、すべての電極がシースの遠位端を越えて露出している線形フォーカルカテーテルを概略的に示す。
【
図6B】いくつかの実施形態による、シースから延びる遠位部分に沿って複数の電極が配置され、すべての電極ではないが一部の電極がシースの遠位端を越えて露出している線形フォーカルカテーテルを概略的に示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、電極のセットに印加するための高電圧パルスを生成し、関連する電流を測定するための回路トポロジーを示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、プレアブレーションパルスを生成するための概略的な回路トポロジーを示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、第1のコンデンサよりも低い電圧に充電された第2のコンデンサを使用するプレアブレーションパルスを生成するための別の概略的な回路トポロジーを示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、高速スイッチング及び抵抗器-コンデンサネットワークを利用するプレアブレーションパルスを生成するための別の概略的な回路トポロジーを示す。
【
図11】いくつかの実施形態による、電圧パルスに関連する電流の高速測定のための装置のブロック図である。
【
図12】いくつかの実施形態による、電圧パルスに関連する電流の超高速測定のための代替装置のブロック図である。
【
図13A】いくつかの実施形態による、アブレーションのためのシステムのブロック図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、組織アブレーションの方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本明細書に記載されるシステム、装置、及び方法は、組織に対するアブレーションデバイスの電極配置の十分性を決定し、そのような決定に基づいてアブレーションデバイスの動作を制御するように構成することができる。例えば、本明細書に記載のシステムは、プレアブレーションパルスを生成するように構成された信号発生器と、プレアブレーションパルスの電流を測定するように構成された測定回路とを含み得る。測定された電流を分析することで、組織に対する電極の分布を決定することができる。いくつかの実施形態では、その所与の電極ペアに送達される電流が、その電極ペアに高電圧を印加した状態で望ましい範囲内であること、又はその電流が過度に大きくないこと、又はその電流が最適な治療効果を得るための他の制約を満たすことを確実にすることが有用であり得る。これは、最適なアブレーション送達のためのデバイスの展開を評価するのに役立つ。本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法は、アブレーション送達前に適切なデバイス展開を確実にするために、アブレーション波形が送達される前に、プレアブレーション電流を送達及び測定する。
【0008】
組織へのアブレーションエネルギーの送達を制御するために、ステータス信号が出力され及び使用され得る。例えば、電極分布が所定の基準を満たさない場合、アブレーションエネルギーの送達を抑止することができる。アブレーションエネルギーの送達に先立って、デバイスの再展開/再配置を促すユーザ警告を出力することができる。本明細書に記載されるようなプレアブレーションパルスが生成され、関連する電流測定は、心臓アブレーション用のカテーテルなどの様々な介入デバイス又は低侵襲デバイスを用いて行われ得る。
【0009】
総じて、本明細書に記載されるシステム及びデバイスは、心臓(例えば、心臓の左心房)内の組織をアブレーションするように構成された1つ以上のデバイス(例えば、カテーテル)を含む。
図13Aは、いくつかの実施形態による、プレアブレーション信号及びアブレーション信号を送達するように構成されたシステム1300を示す。システム1300は、アブレーションデバイス1310、信号発生器1320、及び任意選択で感知システム1328、保護デバイス又はモジュール1329、及び診断デバイス1330を含み得る。アブレーションデバイス1310は1つ以上の電極1312を含み得、診断デバイス1330は1つ以上の電極1332を含み得る。アブレーションデバイス1310及び診断デバイス1330は、患者の体内BD内で使い捨て可能であってもよい。アブレーションデバイス1310は、プロセッサ1324、メモリ1326、及び入出力デバイス1327を含む信号発生器1320に接続され得る。いくつかの実施形態では、信号発生器1320は、アブレーションデバイス1310に送達することができるパルス波形を生成するためのエネルギーを蓄積するコンデンサバンクを含むことができる。いくつかの実施形態では、パルス波形の生成及び送達は、1つ以上のプロセッサ1324によって制御され得る。信号発生器の適切な例は、2017年4月27日に出願された「SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS FOR SIGNAL GENERATION」という名称の米国特許出願第9,987,081号明細書(現在、米国特許第9,987,081号として発行されている)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
1つ以上のプロセッサ1324のそれぞれは、一組の命令又はコードを実行(run)及び/又は実行(execute)するように構成された任意の適切な処理デバイスであり得る。プロセッサ1324は、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又は同様のもの(例えば、複数のプロセッサ及び/又は複数のタイプのプロセッサを含む組み合わせ)であり得る。基礎となるデバイス技術は、様々なコンポーネントタイプで提供され得、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合論理(ECL)などのバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコンコンジュゲートポリマー及び金属コンジュゲートポリマー金属構造)、アナログとデジタルの混合などである。いくつかの実施形態では、プロセッサ1324は、プレアブレーションパルス及び/又はアブレーション波形の生成及び/又はそのアブレーションデバイス1310への送達を制御するように構成することができる。
【0011】
メモリ1326は、データベース(図示略)を含んでもよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、イレーサブル・プログラマブル・リードオンリーメモリ(EPROM)、エレクトリカリ・イレーサブル・リードオンリーメモリ(EEPROM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリなどであってもよい。メモリ1326は、プロセッサ1324に、モジュール、処理及び/又は機能を実行させるための、例えば、プレアブレーションパルス及び/又はパルス波形生成のための命令を格納することができる。
【0012】
入出力デバイス1327は、入力を受信し、及び/又はユーザへの出力を生成するように構成された1つ以上のコンポーネントを含むことができる。例えば、入出力デバイス1327は、ディスプレイ、オーディオデバイス、タッチスクリーンデバイスなどのユーザインターフェースを含むことができる。入出力デバイス1327は、外部デバイス、例えば、アブレーションデバイス1310、診断デバイス1330、保護モジュール1329、及び/又は感知システム1328と通信するための1つ以上のインターフェースを含むことができる。
【0013】
アブレーションデバイス1310は、アブレーションエネルギーを組織に送達するように構成された任意の適切なデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス1310は、不可逆的エレクトロポレーションによって組織をアブレーションするためのパルス電場を生成するように構成された電極1312のセットを備えたカテーテルを含むことができる。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス1310は、複数の構成の間で移動可能又は移行可能であり得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス1310は、バスケット型構造、線状構造、花型構造、投げ縄状構造、バルーン型構造、及び/又はアブレーションエネルギーを組織に送達するための任意の他の適切な構造を有することができる。アブレーションデバイスの適切な例は、2018年4月27日に出願された「SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS FOR DELIVERY OF PULSED ELECTRIC FIELD ABLATIVE ENERGY TO ENDOCARDIAL TISSUE」という名称の国際出願番号PCT/US2018/029938、2020年4月3日に出願された「SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS FOR FOCAL ABLATION」という名称の国際出願番号PCT/US2020/026682、2020年6月16日に出願された「SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS FOR FOCAL ABLATION」という名称の国際出願番号PCT/US2020/037948、及び2018年9月12日に出願された「SYSTEMS,APPARATUSES,AND METHODS FOR VENTRICULAR FOCAL ABLATION」という名称の国際出願番号PCT/US2018/050660に記載されており、それぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
保護モジュール1329は、感知システム1328、診断デバイス1330、及び信号発生器1320に接続することができる。信号発生器1320は、アブレーションデバイス1310に接続されてもよく、高電圧信号を生成して電極1312に送達するように構成され得る。電極1312は、対象の心臓の心臓組織の近くに配置され得る。センサ1332を含む診断デバイス1330は、例えば心腔内の電極1312の近くに配置されてもよいし、対象の外表面上又はその近くに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス1310の電極1312への高電圧信号(例えば、パルスアブレーション波形)の送達は、センサ1332内に高電流及び/又は高電圧を誘導し得る。これらの大きなアンバランスな電流及び/又は電圧は、感知システム1328の動作を混乱させる可能性がある。したがって、アブレーションデバイス1310への高電圧信号の送達に関連する時間間隔中に、診断デバイス1330から感知システム1328を遮断するように保護モジュール1329を構成することにより、感知システム1328を、診断デバイス1330において誘導される高電流及び/又は高電圧から保護することができる。保護モジュール及び保護デバイスの適切な例は、2020年11月20日に出願された「SYSTEMS,APPARATUSES,AND METHODS FOR PROTECTING ELECTRONIC COMPONENTS FROM HIGH POWER NOISE INDUCED BY HIGH VOLTAGE PULSES」という名称の国際出願番号PCT/US20/061564に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
いくつかの実施形態では、感知システム1328は、診断デバイス1330に接続されると、診断デバイス1330のセンサ1332から測定された信号を受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、診断デバイス1330は、対象の身体からの電気信号を測定するように構成された電気生理学的(EP)カテーテルであり得る。いくつかの実施形態では、測定された信号は心電図(ECG)信号を含むことができる。いくつかの実施形態では、感知システム1328は、異所性活動及び/又はペーシング捕捉があるかどうかを検出し、1つ以上の信号を信号発生器1320に送信することで、1つ以上のパルス波形の送達を制御するように構成され得る。例えば、感知システム1328は、異所性活動の検出を受けて、信号発生器1320に異所性活動を通知する信号、及び/又は信号発生器1320に信号波形の生成を一時停止又は終了するように指示する信号を信号発生器1320に送信するように構成することができる。これに代えて又はこれに加えて、ペーシング捕捉の確認を受けて、感知システム1328は、ペーシング捕捉が確認されたことを信号発生器1320に示す信号、及び/又は信号発生器1320に信号波形の生成を開始するように指示する信号を信号発生器1320に送信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、異所性活動の検出やペーシング捕捉の確認などの感知機能のうちの1つ以上は、保護モジュール1329から受信した信号に基づいて信号発生器1320によって実行され得る。対象に関する情報を感知するためのコントローラ又はデバイスの適切な例は、2019年9月17日に出願された「SYSTEMS,APPARATUSES,AND METHODS FOR DETECTING ECTOPIC ELECTROCARDIOGRAM SIGNALS DURING PULSED ELECTRIC FIELD ABLATION」という名称の米国特許出願第16/573,704号明細書(現在、米国特許第10,625,080号として発行されている)に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
いくつかの実施形態では、信号発生器1320は、プレアブレーションパルス波形及び/又はアブレーションパルス波形を生成するように構成され得る。例えば、信号発生器1320は、プレアブレーション信号波形及び/又はアブレーションパルス波形を生成してアブレーションデバイス1310に送達する電圧パルス波形発生器であってもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ1324は、メモリ1326に格納された命令を実行し、かつ/又はメモリ1326に格納されたデータ及び/又は入出力デバイス1327から受信したデータを取り込むことで、所定のパラメータ(例えば、タイミング、振幅、パルス幅、遅延など)を有するプレアブレーション信号又はパルス波形を生成するために信号発生器1320を制御してもよい。メモリ1326は、信号発生器1320にプレアブレーションの展開検証及びパルス波形生成などのモジュール、処理及び/又は機能を実行させる命令を格納することができる。例えば、メモリ1326は、プレアブレーションデータ及びパルス波形データのうちの1つ以上を格納するように構成され得る。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルス及び/又はアブレーションパルスは、100V、200V、300V、400V、500V、1kV、5kV、10kV、又は20kVの振幅を、これらの間にあるすべての値及び範囲を含めて有することができる。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスはアブレーションパルス波形よりも小さい振幅を有することができる。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスはアブレーションパルス波形と同じ振幅を有することができる。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスはアブレーションパルス波形のパルスよりも小さいパルス幅を有することができる。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスは、アブレーションパルス波形のパルスと同じパルス幅を有することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1324は、電流感知抵抗器(図示略)で測定された信号を分析し、測定された信号に基づいてパルスアブレーション送達を制御するように構成され得る。例えば、電流感知抵抗器を含む感知回路は、アブレーションデバイス1310の電極1312を通過する電流の経路に接続することができ、感知回路を通過する電流は、プロセッサ1324によって処理及び/又は分析され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1324は、プレアブレーションパルスを生成してアブレーションデバイス1310の電極1312に送達するように信号発生器1320を制御することができ、感知回路を通過する信号は、それらが1つ以上の所定の尺度又は基準に適合するかどうかを判定するために、処理及び/又は分析され得る。例えば、感知された信号を分析することで、それぞれが所定の最小値と最大値の範囲内にあることをチェックすることができる。いくつかの実施形態では、上記チェックは、所定の閾値(例えば、最大値)を超える信号がないと判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、所定の閾値(例えば、最小値)を下回る信号がないと判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、感知された信号の平均値などのメトリックを計算することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、感知信号の分散などのメトリックを計算すること、最小感知信号に対する最大感知信号の比などのメトリックを計算すること、又は、感知信号の何らかの他の一般に非線形の関数に基づいてメトリックを計算することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、これらの計算の任意の組み合わせ(例えば、本明細書で説明される計算のうちの1つ以上に基づくメトリック)を含むことができ、その後、計算されたメトリックが所定の範囲内にあるかどうか、あるいは、それらが適切な所定の閾値を下回るか上回るか(例えば、それよりも大きいか、又はそれよりも小さいか)を判定する。例えば、一実施形態では、上記チェックは、測定された電流の分散が特定の範囲内にあるかどうかを判定することであり得る。別の例として、一実施形態では、上記チェックは、最小電流に対する最大電流の比が閾値を下回っているかどうかを判定することであり得る。いくつかの実施形態では、この閾値は、約1より大きく約5未満、約1より大きく約10未満、約1より大きく約20未満であり得、それらの間にあるすべての部分値及び範囲も含み得る。一実施形態では、所定の範囲又は閾値は、例えば、入出力デバイス1327から受信される入力を介して、ユーザが調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、上記チェック及び/又は所定の範囲及び値は、使用されるアブレーションデバイスの種類、例えば線形アブレーションデバイスか、バスケット型デバイスか、投げ縄型デバイスかに応じて変化し得る。
【0018】
図13Bは、いくつかの実施形態による、プレアブレーション信号及びアブレーション波形を送達するように構成されたシステム1300’を示す。システム1300’は、アブレーションシステム1300を含む本明細書に記載の他のアブレーションシステムと構造的及び/又は機能的に同様の構成要素を含むことができる。例えば、システム1300’は、アブレーションデバイス1310’、信号発生器1320、保護モジュール1329、感知システム1328、及び診断デバイス1330を含むことができる。さらに、システム1300’は、マッピングシステム1353、信号発生器1320、及びアブレーションデバイス1310’に接続される保護モジュール1351を含むことができる。アブレーションデバイス1310’は、アブレーションデバイス1310と構造的及び/又は機能的に類似してもよいが、アブレーションデバイス1310’はさらに、例えば、アブレーションデバイス1310’の位置、場所、及び/又は向きを決定するために、磁場の電気を受けて信号を感知するように構成され得るセンサ1342(例えば、電極、センサ)を含むことができる。アブレーションデバイス1310’及び診断デバイス1330は、患者の身体BD内に配置され得る。アブレーションデバイス1310’は、プロセッサ1324、メモリ1326、及び入出力デバイス1327を含むことができる信号発生器1320に接続され得る。
【0019】
使用時に、信号発生器1320によって生成された信号波形は、例えば、いくつかの実施形態では、第2の保護モジュール1351を介してアブレーションデバイス1310’に送達され得る。アブレーションデバイス1310’のセンサ1342のうちの1つ以上から受信された信号は、例えば、保護モジュール1351を介して、マッピングシステム1353によって受信され得る。いくつかの実施形態では、保護モジュール1351は、保護モジュール1329(
図13Bにおいて、保護モジュール1329から保護モジュール1351までの点線で示される)のモジュール拡張であってもよい。例えば、単一の保護モジュールは、アブレーション送達時にデバイス内に誘導される高電圧及び高電流から、異なる電子デバイス、例えば、感知システム1329及び/又はマッピングシステム1353を隔離するように構成された複数のチャネルを含むことができる。したがって、保護モジュール1329、1351は信号保護デバイスの一部であり得る。いくつかの実施形態では、別個の保護モジュール1329及び1351を含む複数の保護デバイスを使用することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の保護モジュールは、信号発生器に取り付けられたアクセサリデバイスを形成することができる。
【0020】
マッピングシステム1353は、アブレーションデバイス1310’の位置、場所、及び/又は向きを決定するためにセンサ1342とともに使用することができる。例えば、マッピングシステム1353は、電場及び/又は磁場を発生させるためのフィールド発生器を含むことができる。電場及び/又は磁場により、センサ1342は、プロセッサ(例えば、プロセッサ1324又はマッピングシステム1353のプロセッサ(図示略))に送り返すことができる信号を受信することができる。次いで、プロセッサはその信号を処理することで、アブレーションデバイス1310’の位置、場所、及び/又は向きを決定する。マッピングシステムの適切な例、及び本明細書に記載のアブレーションデバイスとともにそれらをどのように使用できるかは、2020年2月7日に出願された米国特許出願第16/785,392号明細書、及び2020年11月23日に出願された国際特許出願第PCT/US20/61809号に記載されており、両方とも「METHODS,SYSTEMS,AND APPARATUSES FOR TRACKING ABLATION DEVICES AND GENERATING LESION LINES」という名称であり、それぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
システム1300、1300’は、例えば、それぞれが任意のタイプのネットワークである1つ以上のネットワークを介して他のデバイス(図示略)と通信し得る。ワイヤレスネットワークは、いかなる種類のケーブルによっても接続されていない、あらゆる種類のデジタルネットワークを指す。ただし、無線ネットワークは、インターネット、他の通信事業者の音声及びデータネットワーク、ビジネスネットワーク、及び個人ネットワークとのインターフェースを取るために有線ネットワークに接続する場合がある。有線ネットワークは通常、銅線の撚り線、同軸ケーブル、又は光ファイバーケーブルで伝送される。有線ネットワークには、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、インターネットのようなグローバルエリアネットワーク(GAN)、及び仮想プライベートネットワーク(VPN)など、様々な種類がある。以下、ネットワークとは、統合ネットワーキング及び情報アクセスソリューションを提供するために、通常はインターネットを通じて相互接続される、無線、有線、公衆及びプライベートデータネットワークの任意の組み合わせを指す。
【0022】
総じて、装置(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’などのカテーテル)の電極の空間的配置は、PFAエネルギー療法の送達において重要な役割を果たし得る。電極(例えば、電極1312)の分布又は配置の最適な範囲により、治療が安全かつ効果的に送達されることを確実にすることができる。例えば、局所的解剖学的構造、形状、及びデバイスの配置のうちの1つ以上は、デバイスの電極の準最適な分布をもたらす場合がある。本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法は、電極の準最適な分布を特定し、アブレーションデバイスの展開又は配置を最適化するためにアブレーションデバイスの位置を変更又は再配置するようにユーザに警告することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスが生成され、医療デバイス電極(例えば、電極1312)を介して組織に送達され得、関連する電流が測定されることで、アブレーションエネルギー送達を続行するかどうかの決定が可能になり得る。いくつかの実施形態では、測定された電流が所定の範囲内にある場合(例えば、電流が過度に大きくない場合)、又は所定の制約又は基準を満たしている場合、アブレーションエネルギー送達を続行され得る。いくつかの実施形態では、アブレーション送達は、測定された電流に基づいて所定の制約を満たした後、直ちに(例えば、わずかな時間遅延で)続行され得る。制約のうちの1つ以上が満たされない場合、アブレーションエネルギーの送達は行われず、メッセージがユーザに出力され得る(例えば、視覚的表示、可聴音)。いくつかの実施形態では、アブレーションシステムのユーザインターフェース表示(例えば、入出力デバイス1327)は、アブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)を再配置及び/又は再展開するようにユーザに促すことができる。アブレーションデバイスを再配置した後、プレアブレーションパルスの別のセットが、例えば、PFAの送達前にさらに再配置が必要かどうかを評価するために生成され得る。
【0024】
図1Aは、いくつかの実施形態による、プレアブレーション信号の後にアブレーション信号が続く例を概略的に示す。プレアブレーション信号は、プレアブレーション電圧パルス12のセット21と、それに続くアブレーションパルス16のセット25(アブレーション波形とも呼ばれる)を含むことができ、これらのパルスは、対象の解剖学的構造内の組織に係合するとともにパルスフィールドアブレーション発生器(例えば、信号発生器1320)に接続された医療デバイス(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)に送達される。プレアブレーションパルスセット21のプレアブレーション電流測定は、アブレーションパルス16のセット25が時間遅延23の後に送達されるかどうかを決定し得る。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルス21のセットの終わりとアブレーションパルス16のセット25の開始との間の時間遅延23は、約数マイクロ秒から約数ミリ秒、又は約数ミリ秒から約数秒の範囲であり得、それらの間にあるすべての範囲及び部分値も含み得る。
図1Aは、二相プレアブレーションパルス12及び二相アブレーションパルス16を示すが、他の実施形態では、プレアブレーションパルスのうちの1つ以上が単相パルスを含み得ることが理解されよう。
【0025】
図1Bは、プレアブレーション電圧パルスのセットの概略図であり、それぞれがアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)の電極サブセットの別個のペア又はグループに印加される。例えば、パルス112、115、116、及び118のそれぞれは、電極サブセットの別個のペアに印加される二相電圧パルスであり、各ペアのそれぞれのサブセットは反対の電気極性である。異なるペアの電極サブセットに印加される112及び115などの連続パルスは、時間遅延121によって隔てられ得る。時間遅延121は、約1マイクロ秒から約1ミリ秒、又は約数十ナノ秒から約数秒の範囲にあり得、それらの間にあるすべての値及び部分範囲も含み得る。いくつかの実施形態では、個々のプレアブレーションパルスを受信する電極サブセットの各ペアは、アブレーション送達中にパルス波形も受信できる電極サブセットペアである。あるいは、異なる電極サブセットはプレアブレーションパルス及びアブレーションパルス波形を受信することができる。例えば、電極のサブセットの第1のセットはプレアブレーションパルスを受信でき、電極のサブセットの第2のセットはアブレーション治療の送達のためのアブレーションパルス波形を受信することができる。各プレアブレーションパルス中に送達される電流は、本願に提示される後の図に関してより詳細に説明されるように測定され得る。
【0026】
図1Bは、4つの別個のパルス112、115、116、及び118を示すが、当業者には、任意の数のパルスを利用することができ、その数は測定に必要な電極サブセットの別個のペアの数に対応することは明らかである。例えば、いくつかの実施形態では、パルスの数は、アブレーションエネルギーを受け取る電極サブセットの数に対応し得る。あるいは、パルスの数は、アブレーションエネルギーを受け取る電極サブセットの数よりも多くても少なくてもよい。同様に、
図1Bは、二相プレアブレーションパルス112、115、116、及び118を示すが、プレアブレーションパルスは単相パルスを含んでもよい。
【0027】
図2は、複数セットのプレアブレーション電圧パルスの概略図であり、各セットは、アブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)の電極サブセットの別個のペア又はグループにそれぞれ印加される複数のパルスを含む。第1のパルスセット225は、それぞれ異なる電極サブセットのペアに印加される4つの二相パルス212、214、216、及び218を含む。例えば、第1のパルスセット225の後に、電極サブセットの別のペアにそれぞれ印加されるパルスを含む第2のパルスセット227が続き、その後に追加のパルスセットが続いてもよい。いくつかの実施形態では、個々のプレアブレーションパルスを受信する電極サブセットの各ペアは、アブレーション送達中にパルス波形も受信できる電極サブセットペアである。あるいは、異なる電極サブセットがプレアブレーションパルス及びアブレーションパルス波形を受信してもよい。例えば、電極のサブセットの第1のセットはプレアブレーションパルスを受信することができ、電極のサブセットの第2のセットはアブレーション治療の送達のためのアブレーションパルス波形を受信することができる。各プレアブレーションパルス中に送達される電流は、本願に提示される後の図に関してより詳細に説明されるように測定され得る。パルスセットを繰り返すことにより、各ペアリングされた電極サブセットについて複数の測定値を得ることができ、平均化やノイズ低減などに使用することができる。
【0028】
図2は、各パルスセットにおける4つの別個のパルスを示すが、当業者には、任意の数のパルスを利用することができ、その数は測定に必要な電極サブセットの別個のペアの数に対応することは明らかである。例えば、パルスの数は、アブレーションエネルギーを受け取るペアリングされた電極サブセットの数に対応し得る。いくつかの実施形態では、測定目的に都合の良いように、任意の数のパルスセット又は繰り返しを実装することができる。いくつかの実施形態では、パルスセットの数は、約1セットから約15セットの範囲であり得、各セットは、電極サブセットの1つのペアに印加される少なくとも1つのパルスを含む。同様に、
図2は、二相プレアブレーションパルス212、214、216、218を示すが、プレアブレーションパルスは単相パルスを含んでもよい。
【0029】
図3は、複数のプレアブレーション電圧パルスの複数セットの概略図であり、各セットは、アブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)の別個のペアリングされた電極のセット(例えば、電極のサブセット)に印加される。
図3は、4つのパルスセット321、323、325、及び327を示す。第1のパルスセット321は、電極サブセットの第1のペアにそれぞれ印加される複数の二相パルス312を含み得る。第2のパルスセット323は、電極サブセットの第2のペアにそれぞれ印加される複数の二相パルス314を含み得る。第3のパルスセット325は、電極サブセットの第3のペアにそれぞれ印加される複数の二相パルス316を含み得る。第4のパルスセット327は、電極サブセットの第4のペアにそれぞれ印加される複数の二相パルス318を含み得る。各プレアブレーションパルス中に送達される電流は、本明細書でより詳細に説明するように測定することができる。各パルスセットにおいて、電極サブセットの特定のペアに印加されるパルスを繰り返すことにより、各ペアリングされた電極サブセットについて複数の測定値を得ることができ、平均化やノイズ低減などに使用することができる。
【0030】
図3は4つのパルスセットを示しているが、測定に必要な電極サブセットの別個のペアの数に応じて、任意の数のパルスセットを利用できることが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、パルスセットの数は、アブレーションエネルギーを受け取るペアリングされた電極サブセットの数に対応し得る。いくつかの実施形態では、測定目的に都合の良いように、任意の数のパルスセット又は繰り返しを実装することができる。いくつかの実施形態では、パルスセットの数は、約1セットから約15セットの範囲であり得、所与のセット内の各パルスは、電極サブセットの同じペアに印加される。同様に、
図3は、二相プレアブレーションパルス312、314、316、318を示しているが、プレアブレーションパルスは単相パルスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスのパルス幅は、アブレーションエネルギー送達で使用されるパルスのパルス幅と同じであり得る。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスのパルス幅は、アブレーションエネルギー送達に使用されるパルスのパルス幅よりも小さくてよい。いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスのパルス幅は、アブレーションエネルギーの送達に使用されるパルスのパルス幅よりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、
図1A~3に示されるプレアブレーションパルスのパルス幅は、約数ナノ秒から約数百マイクロ秒の範囲であり得る。
【0031】
図4Aは、展開可能なマルチスプラインカテーテル400として実装されるアブレーションデバイス(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)を概略的に示す。マルチスプラインカテーテル400は、バスケット構成で展開することができ、カテーテル400の遠位部分は、様々な構成にわたって展開され得る複数のスプラインを含む。いくつかの実施形態では、各スプラインは、エネルギー送達用に構成された1つ以上の電極を有することができ、各電極はスプラインの長さに沿って配置される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法は、国際出願番号PCT/US2018/29938に記載されるデバイス、システム、及び方法(参照により上記に組み込まれる)のうちの1つ以上を含み得る。バスケットカテーテル400は、遠位端423を含む第1のシャフト402(例えば、外側シャフト)を含み得る。第2のシャフト404(例えば、内側シャフト)は、第1のシャフト402を通って延在することができ、第2のシャフト404は、遠位キャップ418を含み得る。第2のシャフト404は、近位カテーテルハンドル(図示略)から展開されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ管腔421は、カテーテルデバイス400がガイドワイヤ上で目的の解剖学的領域に送達されるように、第2のシャフト404の長さを通って延在するように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、遠位スプライン406、408、410、412、及び414のそれぞれは、その長さに沿って配置された1つ以上の電極(図示略)を有する。例えば、電極の数は実装に応じて1~20の範囲であり得る。各スプラインは、その遠位端で遠位キャップ418に取り付けられ、その近位端で外側シャフトの遠位端423に取り付けられる。内側シャフト404が完全に伸長すると、スプラインは、内側シャフトとほぼ平行に延び、中央にわずかな凸面のみを有する展開されていない構成となる。カテーテルハンドルの制御装置を操作することによって内側シャフト404が引き込まれると、スプラインの端部が互いに近づき、スプラインが外側に撓み又は湾曲し、それによってバスケットが展開する。いくつかの実施形態では、内側シャフトの端部の遠位キャップは、外側シャフトのほぼ遠位端423の位置まで引き戻すことができ、その場合、バスケットのスプラインは花弁状に折り畳まれるか又は湾曲する。完全に展開されたバスケットは、国際出願番号PCT/US2018/29938(参照により上記に組み込まれる)に記載されるように、花の形状をとる。部分的に又は完全に展開されたスプラインは、左心房の肺静脈口などの、患者の解剖学的構造の一部に係合するために使用できる。適切に係合すると、パルスフィールドアブレーションが送達され得る。最適な治療送達のために、部分的に展開されたバスケット構成のスプライン、又は完全に展開された花型構成のスプラインは、内側シャフト404の長軸の周りにかなり均一に分布するであろう。スプラインの空間分布が著しく不均一であると、場合によっては、準最適な治療の送達や過剰な電流が発生する可能性がある。
【0033】
図4Bは、展開可能なマルチスプラインカテーテル400の展開されたバスケット構成の正面図の概略図であり、カテーテル400の遠位部分は、様々な構成にわたって展開することができる複数のスプラインを含み、スプラインは解剖学的制約により不均一な配置にある。
図4Bは、遠位端から見たスプラインバスケットを示しており、ここでは遠位キャップ418がスプライン406、408、410、412及び414とともに視認できる。遠位スプライン406、408、410、412及び414のそれぞれは、エネルギー送達のためにその長さに沿って配置された1つ以上の電極(図示略)を含み得る。例えば、電極の数は、約1個の電極から約20個の電極までの範囲であり得る。
図4Bに示すように、スプライン406及び408は第1の角度432を形成し、スプライン408及び414は第2の角度430を形成する。第2の角度430は第1の角度432よりも大きく、スプライン分布が著しく不均一であることを示している。このタイプの不均一なスプライン配置は、非円形の肺静脈の解剖学的構造450又は左心房に対する肺静脈の急なとび出し角度などの局所的な解剖学的制約の結果であり得る。この例では、不均一なスプライン分布でアブレーションが試みられ、スプライン分布の不均一性が1つ以上のプレアブレーションの電流解析チェックを不合格にするのに十分である場合、パルスフィールドアブレーションシステムは、アブレーション波形を送達せずにデバイスの再配置を促すユーザインターフェース上のユーザへのメッセージの出力(例えば、入出力装置1327の表示)を行うことができる。その後、ユーザは標的解剖学的構造からデバイスを外して再展開し、標的解剖学的構造に再度係合させ、1つ以上の透視ビューでスプライン分布の均一性を確認し、その後アブレーションエネルギーの送達を再度試みることができる。プレアブレーションパルスのセットの送達時に、プレアブレーション電流分析に合格した場合は、その後アブレーション波形が送達され得る。
【0034】
図5は、展開可能なマルチスプラインカテーテル500(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)の完全に展開された花型構成の正面図(例えば、遠位端からの図)の概略図であり、カテーテル500の遠位部分は、様々な構成にわたって展開できる複数のスプラインを含み、スプライン(花弁のように形成され得る)は、偏心した断面を有する肺静脈550などの解剖学的制約により不均一な配置であってもよい。
図5において、スプライン503、505、507、509、及び511は、各スプラインが花弁の形状をとるように展開される。いくつかの実施形態では、遠位スプライン503、505、507、509、及び511のそれぞれは、エネルギー送達のために、その長さに沿って配置された1つ以上の電極(図示略)を含み得る。いくつかの実施形態では、各スプライン上の電極の数は、約1個の電極から約20個の電極の範囲であり得る。頂端線521、522、523、524、及び525は、遠位キャップ518からスプライン503、505、507、509、及び511のそれぞれの頂点(例えば、遠位キャップ518から最も遠い各スプライン上の点)まで引かれ得る。スプライン503及び505によって形成される第1の角度515は、それぞれの頂端線521及び522の間の角度として測定され得る。スプライン509及び511によって形成される第2の角度519は、それぞれの頂端線524及び525の間の角度として測定され得る。第2の角度519は、第1の角度515よりも著しく大きく、それにより、肺静脈550による不均一な花弁分布を表すことができる。
【0035】
図4B及び5にそれぞれ示される不均一なスプライン(例えば、花弁)分布は、準最適な治療送達及び/又は過剰な電流をもたらし得る。そのような状況では、プレアブレーションパルスを用いて測定されたプレアブレーション電流の分布は、本明細書でより詳細に説明するように、アブレーションを続行するか、又はアブレーションを送達する前にデバイスを再配置するかの決定を促すことができる情報を提供することができる。
図4A、4B、及び5は、5つのスプラインを備えたバスケットを示しているが、これらの実施形態は非限定的であり、例示のみを目的として提供されている。他の数のスプライン、例えば約3本のスプラインから約16本のスプラインを有するバスケットの実施形態も、用途に応じて都合の良いように実装できることは明らかである。いくつかの実施形態では、1つ以上のスプライン電極を使用して、心臓の電気活動に対応する心電図データを記録することもできる。
【0036】
図6Aは、シースから延在する遠位部分に沿って複数の電極が配置され、すべての電極がシースの遠位端を越えて露出している、線形フォーカルカテーテル600(例えば、アブレーションデバイス1310、1310’)を概略的に示す。例えば、カテーテル621は、フォーカルカテーテル600を標的解剖学的位置などの関心領域までナビゲートするために、固定又は操向された湾曲を有し得るシース又は送達デバイス603を通って進むように構成され得る。カテーテル621は、シース603の遠位端605を越えて延びる遠位部分を含み得、複数の電極607、609、611と、カテーテル621の遠位端に配置された遠位先端電極613とを含み得る。
図6Aにおいて、カテーテル621の遠位電極607、609、611、613はすべてシース603の外側に露出している。
図6Aに示される例では4つの遠位電極が示されているが、異なる数の電極が実装されてもよい。例えば、他の実施形態は、パルスフィールドアブレーションエネルギー送達のために係合される約2個から約20個の電極を有することができる。
【0037】
一部のパルスフィールドアブレーション用途では、ペアリングされた電極サブセットを使用してアブレーションエネルギーを送達する場合、双極アブレーションエネルギー送達のために少なくとも最小限の数の電極を係合することが望ましい場合がある。例えば、双極アブレーション送達スキームは、線形フォーカルカテーテルを使用するパルスフィールドアブレーションに使用され得る。例えば、本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法は、国際出願番号PCT/US2020/37948(参照により上記に組み込まれる)に記載されるデバイス、システム、及び方法のうちの1つ以上を含み得る。パルスフィールドアブレーションエネルギー送達のために最小限の数の電極にエネルギーを送達すると、治療送達が容易になり、過度に大きな局所電流密度とそれに伴う熱の影響を回避できる。例えば、一部の心臓用途では、少なくとも最小限の数の電極を、シース603を超えて血液プール内に延長させることができ、遠位カテーテル先端電極613をアブレーション部位に配置して、損傷生成のために局所的アブレーションエネルギーをその部位に送達することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル600は、心腔内でカテーテル先端の位置を追跡するように構成された位置センサ(例えば、電磁気式)を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテル先端の位置は、心腔の解剖学的マップ又は電気解剖学的マップ上に表示され得る。
【0038】
図6Bは、複数の電極が遠位部分に沿って配置され、電極の全部ではなく一部がシース603から延びている線形フォーカルカテーテル600を概略的に示す。例えば、カテーテル621は、フォーカルカテーテル600を標的解剖学的位置などの関心領域までナビゲートするために、固定又は操向された曲線を有し得るシース又は送達デバイス603を通過する。シース603の遠位端605を越えて延びるカテーテル621の部分は、その長さに沿って配置された3つの電極609、611、及び遠位先端電極613を含み得るが、電極607はシース603の内部にあり露出していない。この例では、最適なパルスフィールドアブレーションエネルギー送達のために4つの電極が係合される。いくつかの実施形態では、
図6Aに示される構成は、準最適である可能性があり、電極607が露出していないため、パルスフィールドアブレーションエネルギー送達による不十分な損傷生成をもたらす可能性がある。このような状況では、プレアブレーションパルスを用いて測定されたプレアブレーション電流は、アブレーションを続行するか、又はアブレーションエネルギーを送達する前にデバイスを再配置するかの決定を促すことができる情報を提供することができる。例えば、露出した電極の数は、プレアブレーションパルスの電流を測定することによって決定することができ、所定の数の電極を確実に露出させるために、デバイスを再配置及び/又は再展開するようにユーザに促すことができる。露出された電極の数が不十分な場合、プレアブレーションパルスのセットの測定された電流により、デバイスの再展開が促され得る。いくつかの実施形態では、パルスフィールドアブレーションシステムは、アブレーション波形の送達を抑止しながら、ユーザにデバイスの再配置を要求するメッセージをユーザインターフェース上に表示することができる。ユーザは、視覚化を使用して(例えば、蛍光透視法などのイメージングモダリティの下で)標的解剖学的構造からデバイスを外し、デバイスを再展開するために標的解剖学的構造に再係合させ、アブレーション電極の露出を確実にすることができる。アブレーション波形は、所定のチェックに合格した後続のプレアブレーション信号電流測定値のセットに基づいて送達され得る。
【0039】
図6A及び6Bは、4つの電極を有する線形カテーテルを示すが、図示される電極の数は非限定的であり、例示の目的でのみ提供される。都合に応じて、他の数の電極、例えば、約2個の電極から約20個の電極を有する実施形態も可能であることは明らかである。
【0040】
図7は、いくつかの実施形態による、パルスフィールドアブレーション及び関連する電流の測定のために、電極のセットに高電圧パルスを生成するための回路図を示す。
図7に示される回路図は、例えば信号発生器1320などの信号発生器に接続され得るか、又はその一部であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法は、国際出願番号PCT/US2018/19552(参照により上記に組み込まれる)に記載されているデバイス、システム、及び方法のうちの1つ以上を含み得る。
図7は、充電電源回路(図示略)を使用して所定の電源電圧に充電するように構成されるとともに、プレアブレーションパルス送達及び/又はパルスフィールドアブレーションエネルギー送達のために電極に放出するためのエネルギーを蓄積するように構成されたコンデンサバンク704として実装されるエネルギー源を示す。いくつかの変形例では、コンデンサ704は、パルスフィールドアブレーションで損傷を生成するために約500Vから約10,000V又はそれ以上の間の電圧に充電することができる。いくつかの変形例では、アブレーション波形は、一連の上部ハーフブリッジスイッチ711及び731(例えば、トランジスタ)及び下部ハーフブリッジスイッチ713及び733(例えば、トランジスタ)によって生成され得、対応する上部及び下部トランジスタは、双極エネルギー送達のための望ましい電極のペアリングに応じてフルブリッジ回路を形成するためにペアリングされ得る。出力707、709は、対応する電極(図示略)に接続される。各上部トランジスタ711及び下部トランジスタ713は、スイッチを開閉することで所定のパルス波形出力を提供するための、対応する上部ドライブ回路715及び下部ドライブ回路717を有し得る。駆動FPGA722として実装されるプロセッサ(例えば、
図13A及び13Bを参照して説明したプロセッサ1324の任意のもの)は、スイッチ(例えば、スイッチ711、713、731、733)を、例えばプレアブレーションパルス波形の送達、又はアブレーション波形(通常、プレアブレーションパルス波形とは異なる)の送達のいずれかのために、所定のパルス波形を電極に出力するために適切なタイミングで開閉する命令を実行するように構成される。コンデンサアース又は下部端子へのリターンパスは、例えば、電流感知抵抗器720及び対応するパルス電流測定回路725を含む感知回路のコンポーネントを通過し得る。通常、コンデンサバンク704は、アブレーションエネルギー送達のためにパルスフィールドアブレーションシステムのユーザインターフェース(例えば、入出力デバイス1327の一部)上でユーザによって提供される電圧入力に基づいて充電され得る。いくつかの実施形態では、例えば抵抗損失を考慮して、コンデンサ電圧は、ユーザインターフェース上でユーザによって提供されるアブレーション電圧入力よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションエネルギー送達に使用される電圧振幅は、プレアブレーションパルスに使用される電圧振幅であってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、プレアブレーションパルスの電圧振幅は、アブレーションパルスの電圧振幅よりも小さくてもよい。
図8は、いくつかの実施形態による、プレアブレーションパルスを生成するための概略回路図を示す。この回路は、スイッチ808及び抵抗器810のネットワークに接続されたコンデンサバンク(例えば、コンデンサバンク(704))などのコンデンサ807として実装されるエネルギー源を含み得る。スイッチ808は、開状態と閉状態との間で切り替わることができる。スイッチ808は、低電圧のプレアブレーション電圧パルスが出力されるときは開いている。例えば、抵抗器810はコンデンサ807に接続され、電源電圧812(例えば、パルススイッチ711、713に供給される電圧)がコンデンサ807のコンデンサ電圧よりも小さくなるように電圧降下を生成する。アブレーションパルスが出力されるとき(例えば、測定されたプレアブレーションパルス電流のチェックで所定の基準に合格すると)、電源電圧812がコンデンサ807のコンデンサ電圧と同じになるように、電流経路がスイッチを直接通過し、抵抗器810を通過しないようにスイッチ808は閉じられ得る。いくつかの実施形態では、スイッチ808は、ソリッドステートスイッチ(例えば、IGBT、MOSFET)又はリレーのうちの1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、抵抗器810は、変化し得る抵抗、例えば、ユーザによって提供された入力に基づいて設定され得る抵抗を有することができる。
【0042】
図9は、いくつかの実施形態による、第1のコンデンサよりも低い電圧に充電される第2のコンデンサを使用してプレアブレーションパルスを生成するための別の概略回路図を示す。この回路は、第2のコンデンサ903及びスイッチネットワーク905として実装される第2のエネルギー源に接続されたコンデンサバンク(例えば、コンデンサバンク(704))などの第1のコンデンサ901として実装される第1のエネルギー源を含み得る。第2のコンデンサ903は、第1のコンデンサ901の電圧よりも低い電圧に充電することができ、より低い電圧のプレアブレーションパルスに使用することができる。スイッチ905は、第1の位置と第2の位置との間で切り替わるように構成することができる。いくつかの実施形態では、スイッチ905は、プレアブレーションパルスが所望されるときに、第2のコンデンサ903を含む回路を閉じる閉位置911(例えば、第1の位置)に設定され得る。第2のコンデンサ903のより低い電圧は、プレアブレーション信号又はパルスを送達するために電源電圧917(例えば、パルススイッチ711、713に供給される)に対応する。アブレーションパルスが出力されるとき(例えば、測定されたプレアブレーションパルス電流のチェックで所定の基準に合格すると)、スイッチ905は、開位置909(例えば、第2の位置)に設定され得、それによって、第1のコンデンサ901の電圧がアブレーションパルスを送達するために電源電圧917(例えば、パルススイッチ711、713に供給される)に対応するように、第1のコンデンサ901を含む回路が閉じられる。いくつかの実施形態では、スイッチ905は、ソリッドステートスイッチ(例えば、IGBT、MOSFET)及びリレーのうちの1つ以上であり得る。
【0043】
図10は、いくつかの実施形態による、高速スイッチング及び第2のコンデンサを使用してプレアブレーションパルスを生成するための別の概略回路図を示す。この回路は、抵抗器1006及び第2のコンデンサ1008を有するスイッチ1004などの抵抗器-コンデンサネットワークに接続されたコンデンサバンク(例えば、コンデンサバンク(704))などの第1のコンデンサ1002として実装されるエネルギー源を含み得る。スイッチ1004は、プレアブレーションパルスが出力されるときに開構成と閉構成との間で急速に切り替わることができるMOSFETデバイスなどのソリッドステートデバイスを含み得る。抵抗器1006は、抵抗器1006の両端の電圧降下を制限するために約10オーム台又はそれ以下の抵抗を有し得る。さらに、時定数(RC)がプレアブレーションパルス又はアブレーションパルスのいずれかに使用されるパルス幅よりも短くなるように、抵抗器1006及び第2のコンデンサ1008の値を選択することができる。
【0044】
例えば、プレアブレーションパルスが出力されるとき、スイッチ1004は、次のような周波数fでオン状態とオフ状態との間で急速に切り替わる(例えば、閉状態と開状態との間で切り替わる)ことができる。
【0045】
【0046】
ここで、Rは抵抗器1006の抵抗値であり、Cはコンデンサ10008の静電容量の値である。次いで、RC回路は、第2のコンデンサ1008の両端の正味電圧が第1のコンデンサ1002の電圧よりも小さい分圧器のように動作することができる。いくつかの実施形態では、第2のコンデンサ1008の両端の電圧は、プレアブレーションパルスの電源電圧1012(例えば、パルススイッチ711、713に供給される)に対応する。アブレーションパルスが出力されるとき(例えば、測定されたプレアブレーションパルス電流のチェックで所定の基準に合格すると)、スイッチ1004は閉じたままで、第1のコンデンサ1002の電圧は、(抵抗値Rが小さく、時定数RCが、アブレーションパルスに使用されるパルス幅よりもはるかに短いという制約を考慮すると)アブレーションパルスの送達のためにパルススイッチ711、713に提供される電源電圧におおよそ対応することができる。
【0047】
図11は、いくつかの実施形態による、電圧パルスに対応する電流の測定(例えば、プレアブレーション信号の送達)のためのブロック図を提供する。電流感知抵抗器(例えば、電流感知抵抗器720)を流れる電流は、1100で、測定回路によって(例えば、電圧降下の形で)感知され得る。信号は、1104で、例えば、適切なフィルタ、増幅器、又は他の電子コンポーネントによってフィルタリング及び増幅され得る。1106で、アナログフォトカプラが、低電圧回路から信号内の高電圧ノイズを分離する。1108で、高速アナログデジタルコンバータ(ADC)が信号をデジタル化することでデジタル出力を生成する。
【0048】
デジタル化された値又はデジタル出力は、1110で、マイクロコントローラ(例えば、
図13A及び13Bを参照して説明したプロセッサ1324などのプロセッサ)によって受信され、分析のためにバッファリングされ得る。測定された電流の1つ以上のサンプル(デジタル化された値又はデジタル出力の形式のもの)をマイクロコントローラで分析することで、電流測定値を調整することができる。例えば、複数のプレアブレーションパルスが所与の電極サブセットのペアに送達される場合、対応する複数の電流測定値は、例えば、平均化、外れ値の破棄及びその後の平均化、加重平均化などの、当技術分野で知られているいくつかの方法に従ってフィルタリング又は調整され得る。数ペアの電極サブセットに送達されるプレアブレーションパルスからの測定電流は、そのような電流が1つ以上の所定の基準を満たすかどうかを判定するためにマイクロコントローラによって分析され得る。例えば、測定電流は、それらが所定の最小値と最大値の範囲内にあるかどうかを判定するために分析され得る。いくつかの実施形態では、上記基準は、所定の閾値(例えば、最大値)を超える測定電流がないと決定すること、又は所定の閾値(例えば、最小値)よりも小さい測定電流がないと決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記基準は、例えば、測定電流の平均値などのメトリックを計算することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記メトリックは、測定電流の分散を計算すること、最小測定電流に対する最大測定電流の比を計算すること、又は測定電流の非線形関数の出力を大まかに計算することのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、上記基準は、本明細書で説明される計算の任意の組み合わせを含み、計算された量が所定の範囲内にあるかどうかをさらに判定することができる。例えば、所定の基準は、測定電流の分散が所定の範囲内にあるかどうかを判定することを含み得る。別の例として、所定の基準は、最小電流に対する最大電流の比が閾値を下回るかどうかを判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、所定の範囲又は閾値は、ユーザが調整可能であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラは、1112で、パルス及び波形の生成を駆動する駆動FPGA(例えば、FPGA722)と接続される。測定されたプレアブレーション電流の所定の基準のいずれかが満たされない場合、マイクロコントローラは、アブレーションエネルギーの送達を抑止するため、及び/又は(例えば、警告を生成することによって)ユーザに警告するために、信号をFPGAに送信し得る。例えば、マイクロコントローラは、アブレーションエネルギー送達前にデバイスを再配置又は再展開することをユーザに要求するメッセージ又は警告をグラフィカルユーザインターフェース(例えば、入出力デバイス1327の一部)上に出力することができる。プレアブレーションパルスの所定の基準が満たされている場合、FPGAはアブレーションエネルギーを送達するように命令され得る。アブレーションエネルギーの送達が完了すると、FPGAはアブレーションエネルギーの送達が正常に完了したことを示すメッセージをマイクロコントローラに送信できる。このようにして、プレアブレーションパルス送達とその後のアブレーション送達を途切れることなく行うことができる。測定電流の基準及び対応する閾値を適切に選択することにより、デバイスの展開が適切なときにアブレーションエネルギーを途切れることなく送達することができる。
【0050】
図12は、いくつかの実施形態による、電圧パルスに関連する電流の超高速測定のために構成された電流測定デバイスのブロック図を示す。このような測定は、例えば、プレアブレーションパルスが非常に短いパルス(数マイクロ秒未満)であり、アナログデジタルコンバータが十分な読み出し速度で利用できない場合、又は十分な数のチャネルが利用できない場合に役立ち得る。
図12に関して説明される特定のコンポーネントは、
図11に関して説明したものと構造的及び/又は機能的に同様のものとすることができる。したがって、このような説明が
図11に関して提供されていることを踏まえ、
図12に関する一部の説明は省略され得る。
図12において、電流感知抵抗器(例えば、電流感知抵抗器720)を通過するプレアブレーションパルス電流は、1204で、測定回路によって(電圧降下の形で)感知される。1206で、信号は、例えば適切なフィルタ、増幅器、及び/又は他の電子回路を介して、フィルタリング及び増幅される。1208で、信号は、コンパレータ(例えば、差動増幅器)で受信され、そこでアナログ信号が、例えば、電流測定値が所定の基準を満たしていること、例えば、所定の範囲内又はウィンドウ内であるか、あるいは所定の閾値の上又は下であることを確実にするためにチェックされる。1210で、この比較の結果は、低電圧回路を高電圧ノイズから分離するように構成されたデジタルフォトカプラを通過する。次に、1212で、信号は駆動FPGA(例えば、
図7の駆動FPGA722)で受信される。電流が所定の基準を満たす場合、例えば、所定の範囲内であるか、あるいは所定の閾値の上又は下である場合、1208で、FPGAは、マイクロコントローラ(例えば、
図13A及び13Bを参照して説明したようなプロセッサ1324などのプロセッサ)に通知し、1214でアブレーション波形の送達に進み得る。電流が所定の範囲内にない場合、又は1208で所定の閾値チェックに合格しない場合、FPGAはマイクロコントローラに通知し、アブレーションエネルギーの送達を抑止することができる。例えば、マイクロコントローラは、アブレーションエネルギーを送達する前にデバイスを再配置又は再展開することをユーザに要求するメッセージ又は警告をグラフィカルユーザインターフェース(例えば、入出力デバイス1327の一部)上に出力することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、電流値の所定の範囲(又はウィンドウ)は、ユーザが調整可能とすることができる。ユーザによるアブレーション要求に応じて、マイクロコントローラは電流値又は電流閾値の入力範囲を駆動FPGAに送信し、その後、1216で、アナログ信号に変換するためデジタルアナログコンバータ(DAC)に送信することができる。電流値又は電流閾値のアナログ範囲は、あらゆる高電圧ノイズから低電圧回路(デジタルアナログコンバータなど)を確実に分離するために、1218でアナログフォトカプラを通過し、その後、コンパレータを通過することができる。1208で、アナログ信号を使用してコンパレータ内のウィンドウ範囲又は閾値を設定することができる。電流値の所定の範囲又はウィンドウ、あるいは閾値がユーザによって調整可能でない実施形態では、所定の値又はデフォルト値がマイクロコントローラに格納され、ウィンドウコンパレータにおけるウィンドウ範囲が本明細書で説明されるのと同じ方法で設定され得る。
【0052】
ここに開示される装置及び方法は、アブレーションエネルギーの送達に先立って、デバイスの展開又は配置を検証することができる。特定のデバイスの実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者によって決定されるように、制限なく、都合に応じて他のデバイスの実施形態も実施できることは明らかである。
【0053】
図14は、組織アブレーションの例示的な方法1400である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプレアブレーション信号の電流を測定し、デバイスがアブレーションエネルギーを送達するか、又はアブレーション送達前に再配置されるかを決定するために使用することができる。方法1400は、1402で、アブレーションエネルギー送達のために(例えば、左心房又は右心房あるいは左心室又は右心室などの心内膜腔内に)デバイス(例えば、デバイス400、500、600、1310、1310’)を標的解剖学的構造に配置することを含む。1404で、プレアブレーション信号が生成され、デバイスに適用されることで、適切なデバイスの配置/展開が確認され得る。例えば、プレアブレーション信号のセットが、信号発生器(例えば、信号発生器1320)によって生成され得る。各プレアブレーション信号は、例えば所定の順序に従って、電極チャネルのサブセット又は電極のサブセットに送達され得る。1406で、プレアブレーション電流(例えば、本明細書に記載の感知抵抗器又は測定回路を通過する電流)は、電極チャネルのサブセット又は電極のサブセットに送達されるプレアブレーション信号ごとに測定され得る。1408で、デバイスの配置/展開が、測定されたプレアブレーション電流に基づいて所定のセットのチェック又は基準に合格するかどうかの判定が行われ得る。例えば、本明細書に記載されるように、測定されたプレアブレーション電流は、それぞれが所定の最小値と最大値の範囲内にあることをチェックするために分析され得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、所定の最大値を超えるプレアブレーション電流がないと判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、所定の最小値を下回るプレアブレーション電流がないと判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、プレアブレーション電流の平均値などのメトリックを計算することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、プレアブレーション電流の分散などのメトリックを計算すること、最小プレアブレーション電流に対する最大プレアブレーション電流の比などのメトリックを計算すること、又は、プレアブレーション電流の何らかの他の一般に非線形の関数に基づいてメトリックを計算することを含み得る。いくつかの実施形態では、上記チェックは、これらの計算の任意の組み合わせ(例えば、これらの計算の1つ以上に基づいて1つ以上のメトリックを計算すること)を含むことができ、その後、計算されたメトリックが所定の範囲内にあるかどうか、あるいは、それらが適切な所定の閾値を下回るか上回るかを判定する。例えば、一実施形態では、上記チェックは、測定された電流の分散が特定の範囲内にあるかどうかを判定することであり得る。別の例として、一実施形態では、上記チェックは、最小電流に対する最大電流の比が閾値を下回るかどうかを判定することであり得る。いくつかの実施形態では、この閾値は、約1より大きく約5未満、約1より大きく約10未満、約1より大きく約20未満であり得、それらの間にあるすべての部分値及び範囲も含み得る。測定された電流が1つ以上の所定の基準を満たさない場合、1402で、ユーザは、デバイスを再配置するように促され(例えば、警告され)得る。デバイスが適切に配置されている場合、1410で、アブレーションエネルギーが、例えばアブレーションパルス波形の形態でデバイスに送達され得る。デバイスは次の標的解剖学的位置に移動することができ、1412でアブレーション治療が完了するまで、手順はこのように継続される。
【0054】
アブレーションパルス波形は、例えば、2019年5月7日に出願された「SYSTEMS,APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」という名称の国際特許出願第PCT/US2019/031135(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、パルスフィールドアブレーションエネルギーの送達を最適化するために、複数のレベルの階層を含むことができる。いくつかの実施形態では、このように実施される組織アブレーションは、心房細動及び/又は心室細動及び健康な組織への損傷のリスクを低減するために、異所性心臓活動の非存在下で、ペーシングされた心拍動又は自然な心臓ECG活動と同期して送達され得る。本明細書に記載される任意のアブレーションデバイス(例えば、デバイス400、500、600、1310、1310’)、又は他の様々なアブレーションデバイスを、パルスフィールドアブレーションエネルギーを送達するための少なくとも1つの電極とともに、本明細書で述べた方法を適宜使用して、組織をアブレーションするために使用可能であることが理解されよう。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるアブレーションデバイス(例えば、デバイス400、500、600、1310、1310’)は、心外膜及び/又は心内膜アブレーションに使用され得る。適切なアブレーションカテーテルの例は、国際出願番号PCT/US2019/014226(参照により上記に組み込まれる)に記載されている。
【0056】
本明細書で使用される「エレクトロポレーション」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を変化させるために、細胞膜に電場を印加することを指す。本明細書で使用される「可逆的エレクトロポレーション」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を一時的に変化させるために、細胞膜に電場を印加することを指す。例えば、可逆的エレクトロポレーションを受けている細胞の細胞膜には、電場を除去すると閉じる1つ以上の細孔の一時的及び/又は断続的な形成が見られる。本明細書で使用される「不可逆的エレクトロポレーション」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を永続的に変化させるために、細胞膜に電場を印加することを指す。例えば、不可逆的エレクトロポレーションを受けている細胞の細胞膜には、電場を除去しても持続する1つ以上の細孔の形成が見られる。
【0057】
本明細書に開示されるエレクトロポレーションエネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的エレクトロポレーションに関連する電場閾値を低下させることによって、組織へのエネルギー送達の安全性、効率及び有効性を向上させることができ、したがって、送達される総エネルギーが減少した、より効果的なアブレーション損傷を生じさせることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される電圧パルス波形は階層的であり、入れ子構造を有し得る。例えば、パルス波形は、関連するタイムスケールを有するパルスの階層的なグループを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法、システム、及びデバイスは、国際出願番号PCT/US2019/014226(参照により上記に組み込まれる)に記載される方法、システム、及びデバイスのうちの1つ以上を含み得る。
【0058】
本明細書の例では、別個の単相波形と二相波形を特定しているが、波形階層のいくつかの部分が単相であり、他の部分が二相であるような組み合わされた波形も生成され得ることが理解される。階層構造を有する電圧パルス波形は、異なるアノード-カソードサブセットにわたって印加することができる(任意選択で時間遅延を伴う)。特定の図に記載されているステップは、必要に応じて組み合わせたり修正したりできることを理解されたい。
【0059】
本開示における例及び図示は例示的な目的のものであり、本発明の範囲から逸脱することなく、スプラインの数、電極の数などの逸脱及び変形を、本明細書の教示に従って構築及び展開できることを理解されたい。サンプリング頻度、時間間隔などの特定のパラメータは、本明細書の説明では例示のみを目的として示されているが、当業者であれば、本開示で提示される教示に基づき、用途に応じて都合の良いように様々なパラメータの他の値を使用できることを理解されたい。
【0060】
本明細書で使用される場合、「約」及び/又は「およそ」という用語は、数値及び/又は範囲とともに使用される場合、総じて、記載された数値及び/又は範囲に近い数値及び/又は範囲を指す。場合によっては、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値の±10%以内を意味し得る。例えば、場合によっては、「約100[単位]」は、100の±10%以内(例えば、90から110)を意味し得る。「約」及び「およそ」という用語は、同じ意味で使用される場合がある。
【0061】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装動作を実行するための命令又はコンピュータコードを有する非一時的なコンピュータ可読媒体(非一時的なプロセッサ可読媒体とも呼ばれ得る)を備えたコンピュータ記憶製品に関する。コンピュータ可読媒体(又はプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的な伝播信号(例えば、空間又はケーブルなどの伝送媒体上で情報を運ぶ伝播電磁波)を含まないという意味で非一時的である。メディア及びコンピュータコード(コード又はアルゴリズムとも呼ばれ得る)は、特定の目的のために設計及び構築されたものであり得る。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気記録媒体;コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、ホログラフィックデバイスなどの光記録媒体;光ディスクなどの光磁気記録媒体;搬送波信号処理モジュール;及び、プログラムコードを記憶及び実行するように特別に構成されたハードウェアデバイス、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、リードオンリーメモリ(ROM)、及びランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される他の実施形態は、例えば、本明細書に開示される命令及び/又はコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0062】
本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び/又は方法は、ソフトウェア(ハードウェア上で実行される)、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールには、例えば、汎用プロセッサ(又はマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)が含まれ得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、及び/又はその他のオブジェクト指向、手続き型、又はその他のプログラミング言語及び開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得る。コンピュータコードの例には、マイクロコード又はマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、Webサービスの生成に使用されるコード、及びインタプリタを使用してコンピュータによって実行される高レベルの命令を含むファイルが含まれるが、これらに限定されない。コンピュータコードの追加の例には、制御信号、暗号化コード、及び圧縮コードが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書における特定の例及び説明は本質的に例示であり、当業者によって、実施形態は本明細書に教示される内容に基づいて本発明の範囲から逸脱することなく開発され得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
患者の解剖学的構造内に配置されるように構成された電極のセットを含むアブレーションデバイスと、
信号発生器であって、
前記電極のセットに接続されたエネルギー源と、
前記電極のセットに接続された感知回路とを含む前記信号発生器と、
前記エネルギー源及び前記感知回路に動作可能に接続されたプロセッサであって、
前記エネルギー源を使用して、プレアブレーション信号のセットを生成し、
前記プレアブレーション信号のセットを、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第1のセットに送達し、
前記プレアブレーション信号のセットの送達を受けて、前記感知回路を使用して前記感知回路の電流感知抵抗器を通過する1つ以上の電流のセットを測定し、
前記電流のセットが所定の基準を満たしているかどうかを判定し、
前記電流のセットが前記所定の基準を満たすとの判定を受けて、パルス波形を生成し、前記電極のセットのうちの電極のサブセットの第2のセットに送達することで、電極のサブセットの前記第2のセットが組織をアブレーションするためのパルス電場を生成するように構成された前記プロセッサとを含む、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記電流のセットが前記所定の基準を満たさないとの判定を受けて、前記アブレーションデバイスを再配置するようにユーザに指示する警告を生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記電流のセットの平均値、前記電流のセットの分散、又は前記電流のセットの最小電流に対する最大電流の比のうちの少なくとも1つに基づくメトリックを計算すること、及び
前記メトリックが閾値よりも小さいか又は大きいかを判定すること
により、前記電流のセットが前記所定の基準を満たしているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記電流のセットの各電流が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定すること、前記電流のセットの各電流が所定の閾値よりも小さいかどうかを判定すること、又は、前記電流のセットの各電流が所定の値の範囲内にあるかどうかを判定することのうちの少なくとも1つに基づき、前記電流のセットが所定の基準を満たしているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記信号発生器は、電極チャネルのセットをさらに含み、前記電極チャネルのセットの各電極チャネルは、第1の複数のスイッチからの第1のスイッチ及び第2の複数のスイッチのうちの第2のスイッチを含み、
前記エネルギー源は、前記電極チャネルのセットの各電極チャネルの前記第1のスイッチのコレクタ端子に接続されており、
前記電流感知抵抗器は、前記電極チャネルのセットの各電極チャネルの前記第2のスイッチのエミッタ端子に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プレアブレーション信号のセットの各プレアブレーション信号は、単一の二相パルスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プレアブレーション信号のセットの各プレアブレーション信号は、複数の二相パルスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
電極のサブセットの前記第1のセットは、電極のサブセットの前記第2のセットと同一である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、電極のサブセットの前記第1のセットに前記プレアブレーションパルスのセットを所定の順序に従って送達するように構成されており、前記所定の順序において、前記プレアブレーションパルスのセットからの各プレアブレーションパルスは電極のサブセットの前記第1のセットの別個の電極のサブセットに送達される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プレアブレーションパルスのセットからの各プレアブレーション信号は、それぞれ第1の幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記パルス波形は、それぞれ第2の幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記第1の幅は前記第2の幅とは異なっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プレアブレーションパルスのセットからの各プレアブレーション信号は、それぞれ第1の振幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記パルス波形は、それぞれ第2の振幅を有する少なくとも1つのパルスを含み、前記第1の振幅は前記第2の振幅よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記信号発生器はさらに、
抵抗器と、
開状態と閉状態との間で切り替わるように構成されたスイッチとを含み、
前記開状態において、前記スイッチは前記抵抗器を前記エネルギー源に接続するように構成されていることにより、前記抵抗器は、前記エネルギー源の電圧を低下させる電圧降下を生成することで、前記第1の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成し、
前記閉状態において、前記スイッチは前記抵抗器を前記エネルギー源から遮断するように構成されていることにより、前記第2の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記エネルギー源は第1のエネルギー源であり、前記信号発生器は、
前記第1のエネルギー源の電圧よりも高い電圧を有する第2のエネルギー源と、
第1の状態及び第2の状態の間で切り替わるように構成されたスイッチとをさらに含み、
前記第1の状態において、前記スイッチは、前記第1のエネルギー源を含む回路を閉じるように構成されていることにより、前記第1の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成し、
前記第2の状態において、前記スイッチは、前記第2のエネルギー源を含む回路を閉じるように構成されていることにより、前記第2の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号発生器は、
抵抗器及びコンデンサを含む抵抗器-コンデンサネットワークと、
スイッチとをさらに含み、
前記スイッチは、開状態と閉状態との間で、所定の周波数で急速に切り替わるように構成されていることにより、前記抵抗器-コンデンサネットワークは分圧器として機能し、前記コンデンサの両端の第1の電圧は、前記第1の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成するのに使用され、前記第1の電圧は前記エネルギー源の電圧よりも低く、
前記スイッチは、前記閉状態に維持されるように構成されていることにより、前記コンデンサの両端の第2の電圧は、前記第2の振幅を有する前記少なくとも1つのパルスを生成するのに使用され、前記第2の電圧は、前記エネルギー源の電圧と実質的に等しい、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記アブレーションデバイスは、スプラインのセットを含み、前記電極のセットは前記スプラインのセット上に分布しており、前記スプラインのセットは、展開されていない構成から、前記スプラインのセットが前記アブレーションデバイスの長手方向軸から外側へ湾曲する展開された構成へと移行するように構成されており、前記展開された構成における前記スプラインのセットは、患者の心臓内に配置されるように構成されており、
前記プロセッサは、前記電流のセットが前記所定の基準を満たさないとの判定を受けて、前記スプラインのセットのうちのスプラインのサブセットが不均一に分布していると判定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記アブレーションデバイスは、シース内にスライド可能に配置される単一の線形シャフトを含み、前記線形シャフトは前記電極のセットを支持する遠位部分を有し、前記線形シャフトは、前記電極のセットの1つ以上の電極を、アブレーションのために露出させるように前記シースの遠位側で可変長であり、
前記プロセッサは、前記電流のセットが前記所定の基準を満たさないとの判定を受けて、アブレーションに必要な最小限の数の電極が前記シースから露出されていないと判定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記感知回路は、前記電流感知抵抗器を通過する電流を示す信号を測定するように構成されており、前記信号発生器は、
前記感知回路に接続されたアナログフォトカプラであって、前記感知回路によって測定された信号から高電圧ノイズを分離するように構成された前記アナログフォトカプラと、
前記アナログフォトカプラが前記信号から前記高電圧ノイズを分離した後、前記信号をデジタル化し、その信号を前記プロセッサに渡すように構成されたアナログデジタルコンバータ(ADC)とをさらに含み、
前記プロセッサは、前記ADCから前記信号を受信した後、前記電流のセットが前記所定の基準を満たしているかどうかを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【国際調査報告】