(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】非侵襲的測定及び計算システム
(51)【国際特許分類】
G01K 17/00 20060101AFI20240424BHJP
G01K 7/18 20060101ALI20240424BHJP
G01K 7/02 20210101ALI20240424BHJP
G01K 1/024 20210101ALI20240424BHJP
【FI】
G01K17/00 Z
G01K7/18 A
G01K7/02 Z
G01K1/024
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023549111
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 US2022016549
(87)【国際公開番号】W WO2022177951
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522116351
【氏名又は名称】オメガ エンジニアリング, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OMEGA ENGINEERING, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケネス リービッグ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アネン
(72)【発明者】
【氏名】イェ ジュ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド アラン オースティン ジュニア
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056AE01
2F056AE05
2F056AE07
2F056NA01
(57)【要約】
非侵襲的測定装置は、容器又は導管内の媒体の温度を計算する。この装置は、容器又は導管の外面に配置され、外面の温(To)を測定する少なくとも1つの第1のセンサを含む。この測定装置はまた、外面に配置され、容器又は導管の壁を通って移動する熱流束(q’’)を測定する少なくとも1つの第2のセンサを含み、測定装置は、第1のセンサ及び第2のセンサに動作可能に結合されたプロセッサをさらに含み、プロセッサは、第1のセンサ及び第2のセンサから温度(To)測定値及び熱流束(q’’)測定値を受信し、容器又は導管の物質の半径、厚さ及び熱伝導率を含む容器又は導管に関する入力変数に基づいて、容器又は導管内の前記媒体の温度を計算するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成された非侵襲的測定装置であって、
前記容器又は導管の外面と熱的に接する第1のセンサであって、前記外面の温度(To)を測定する第1のセンサと、
前記容器又は導管の前記外面と熱的に接している第2のセンサであって、当該容器又は導管の壁を通して移動する熱流束(q’’)を測定する第2のセンサと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに動作可能に結合されたプロセッサであって、当該第1のセンサ及び当該第2のセンサから温度(To)の測定値及び熱流束(q’’)の測定値を受け取り、前記容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成されたプロセッサと
を含む非侵襲的測定装置。
【請求項2】
前記表面温度センサは、抵抗温度(RTD)センサである
請求項1に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項3】
前記熱流束センサは、薄膜サーモパイルセンサである
請求項1に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項4】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記容器又は導管の前記外面上に配置される
請求項1に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項5】
前記計算される温度(Tcalc)が、次式により決定される
【数1】
ここで、
To:前記第1のセンサで測定された温度、
q’’:前記第2のセンサによって測定された、単位面積当たりの熱流束、
ro:前記容器又は導管の外壁の半径、
to:前記容器又は導管の肉厚、
ko:前記容器又は導管材の熱伝導率
hc:前記容器又は導管と前記非侵襲的測定装置との界面における熱伝導率
である
請求項4に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項6】
前記外面上に配置された熱界面材をさらに備え、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記界面材上に、並んで重ならない配置で配置される
請求項1に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項7】
前記計算される温度(Tcalc)が、次式により決定される
【数2】
ここで、
To:前記第1のセンサで測定された温度、
q’’:前記第2のセンサによって測定された、単位面積当たりの熱流束、
ro:前記容器又は導管の外壁の半径、
to:前記容器又は導管の肉厚、
ko:前記容器又は導管材の熱伝導率、
t1:前記熱界面材の肉厚、
k1:前記熱界面材の熱伝導率、及び
hc:前記容器又は導管と前記熱界面材との界面における経験的な熱接触伝導率
である
請求項6に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項8】
前記容器又は導管の前記外面に取り付けられるように構成されたハウジングをさらに備え、
前記ハウジングは、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、及び前記プロセッサを少なくとも部分的にその中に囲む内部チャンバを有する
請求項1に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項9】
前記測定装置の前記ハウジングを機械的ツールなしで前記容器又は前記導管に着脱するための選択的に調整可能な固定機構をさらに備える
請求項8に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項10】
前記固定機構は、閉位置と開位置との間でヒンジ部分を中心に回転可能な可撓性ストラップ及びラッチを含み、
前記閉位置において前記ラッチは、前記測定装置を前記容器又は導管に取り付けるため前記可撓性ストラップに張力を加え、
前記開位置において前記ラッチは、前記測定装置を前記容器又は前記導管から取り外すことを化膿するため前記可撓性ストラップに加えられる前記張力を解放する
請求項9に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項11】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサを前記容器又は導管の前記外面に向かって付勢する張力ばねをさらに備える
請求項1に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項12】
前記測定装置の前記プロセッサに動作可能に結合されたIOコントローラをさらに備え、
前記IOコントローラは、入力装置から信号を受信し、出力装置に信号を送信する
請求項1に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項13】
前記入力デバイスが、前記第1のセンサ、前記第2のセンサのうちの1つ又は複数、及びアナログデジタル変換器のうちの1つ又は複数を含む
請求項12に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項14】
前記出力装置が、表示デバイス、プリンタ、プロッタ、及びデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つを含む
請求項12に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項15】
前記測定装置と、1つ又は複数のデータ処理装置及び1つ又は複数のデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つとの間の有線通信及び無線通信のうちの少なくとも1つのために、前記IOコントローラに動作可能に結合されたデジタル通信デバイスをさらに備える
請求項12に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項16】
前記1つ又は複数のデータ処理装置が、データ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つを含む入力を入力し、前記容器又は導管内の前記媒体の温度の計算に使用するために前記測定装置の前記プロセッサに前記入力を送るようにユーザによって動作可能な入力デバイスを含む
請求項15に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの入力は、前記容器又は導管の外壁径(ro)、壁厚(to)、及び材料熱伝導率(ko)のうちの少なくとも1つを含む
請求項16に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項18】
前記データ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つの入力は、前記容器又は導管と前記測定装置との界面における経験的熱接触コンダクタンス(hc)の値を含む
請求項16に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項19】
前記1つ以上のデータ処理装置は、前記測定装置の前記プロセッサから受け取ったデータ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つを、前記容器又は導管内の前記媒体の温度(Tcalc)の値を含めて、ユーザに提示するための出力装置を含む
請求項15に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項20】
容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成された非侵襲的測定装置であって、
前記容器又は導管の外面との界面で熱的に接触する第1のセンサであって、前記外面の温度Toを測定する第1のセンサ;
前記容器又は導管の外面との界面で熱接触する第2のセンサであって、当該容器又は導管の壁を通して移動する熱流束(q’’)を測定する第2のセンサと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに動作可能に結合されたプロセッサであって、当該第1のセンサからの温度(To)測定値と、当該第2のセンサからの熱流束(q’’)測定値と、前記容器又は導管と測定装置との界面での経験的な熱接触伝導率(hc)とを受信し、当該容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成されたプロセッサと
を含む、非侵襲的測定装置。
【発明の詳細な説明】
【著作権表示】
【0001】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護の対象となる資料を含む。著作権所有者は、米国特許商標庁のファイル又は記録に記載されているように、特許文書又は特許開示のいずれかの者によるファクシミリ複製に対して異議を申し立てることはないが、それ以外の場合は、すべての著作権を留保する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概ね、容器又は導管内の媒体の温度を非侵襲的に計算するための測定装置及び方法に関し、より詳細には、熱伝導原理を使用して、容器又は導管を貫通することなく、媒体の温度を計算するための測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術のこの説明は、本開示の文脈を全体的に提示するために提供される。特に明記しない限り、この節に記載された情報は、本特許文献に開示された特許請求の範囲に記載された発明に対する先行技術ではなく、本明細書に含めることによって先行技術を認めるものではない。
【0004】
多くの産業において、例えば、導管、例えば、パイプを通って移動する、又は容器内に保管される媒体、例えば、流体の圧力又は温度などのプロセス変数は、好ましい又は最適な方法でプロセス又はプロセスフローを監視及び/又は正確に制御することが知られているべきである。温度測定のためのいくつかの既存の解決策は、例えば、測定される媒体内に配置される浸漬温度プローブの使用を含む。一般的に言えば、浸漬プローブは、以下を含むがこれらに限定されない多くの欠点を有すると認識される。
・例えば、導管又は容器を切断すること、及び測定装置を運ぶための継手を溶接することを含む、新しい測定位置を追加するための比較的高い設置コスト。
・以前に設置された測定装置を別の位置に再配置又は再配置するための比較的高いコスト。
・サーモウェルが使用されない限り、プロセスラインは、測定装置の交換、較正、又は他の方法でメンテナンスを実施するために停止されなければならない。
・媒体が腐食性もしくは研磨性材料からなる場合、又は材料が比較的高い温度もしくは圧力である現在の状態を有する場合、材料が測定装置を損傷する可能性がある。又は
・プロセス材料がプローブ上に蓄積する場合、蓄積は、正確さ又は応答時間の課題を引き起こす可能性がある。浸漬プローブの使用におけるさらなる欠点は、測定構成における不正確さを含む可能性があり、例えば、正確さを保証するために、プローブの直径の約15倍の精度な浸漬長さが好ましく、プロセス圧力及びフローがプローブを損傷しないことを保証するために、ウェイク周波数計算が必要とされる。いくつかの実施形態では、サーモウェルの使用は、本明細書に示される課題及び欠点の多くを助けることができるが、サーモウェルは、例えば、応答時間の遅さ及び不正確さなどの他の課題を導入する。
【0005】
したがって、本発明者らは、導管又は容器を通って又はその中を移動する媒体の温度などのプロセス変数が、導管又は容器を貫通する必要なしに測定できるなら、多くの利点があることを決定した。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、1つの態様において、容器又は導管を貫通することなく、容器又は導管内の及び/又はそれを通過する媒体の温度を計算するように構成された非侵襲性測定装置にある。測定装置は、容器又は導管の外面と熱接触する第1のセンサを含む。第1のセンサは、外面の温度(To)を測定する。測定装置はまた、容器又は導管の外面と熱接触する第2のセンサを含む。前記第2のセンサは、前記容器又は導管の壁を通って移動する熱流束(q’’)を測定し、前記測定装置は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに動作可能に結合されたプロセッサをさらに含み、前記プロセッサは、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから前記温度(To)測定値及び前記熱流束(q’’)測定値を受信し、前記容器又は導管内の及び/又は前記導管を通過する前記媒体の温度を計算するように構成される。一実施形態において、熱界面材が、第1のセンサと、第2のセンサと、容器又は導管の外面との間に配置される。熱界面材は、例えば、容器又は導管とセンサとの間の境界/界面における不完全な熱伝達に起因して、センサと外面との間の熱接触を改善することが分かる。
【0007】
一実施形態において、表面温度センサは抵抗温度(RTD)センサであり、熱流束センサは薄膜サーモパイルセンサである。一実施形態において、プロセッサは、容器又は導管内の及び/又は容器又は導管を通過する媒体の温度の計算に経験的な熱接触コンダクタンス(hc)を用いる。熱伝導率(hc)は、容器及び/又は導管とセンサとの間の不完全な熱伝達に関連する項である。一実施形態において、熱伝導率(hc)は、例えば、容器及び/又は導管間の表面仕上げ及び/又は他の不整合の変動を考慮するために使用され、容器及び/又は導管及び測定装置の様々なタイプ(例えば、材料構成及び/又は仕上げ)間の熱伝達の試験から経験的に導出される。
【0008】
さらに別の実施形態では、測定装置は、容器又は導管の外面に取り付けられるように構成されたハウジングをさらに含む。ハウジングは、第1のセンサと、第2のセンサと、プロセッサとを少なくとも部分的に囲む内部チャンバを有する。一実施形態において、測定装置は、選択的に調整可能な固定機構をさらに含む。固定機構は、測定装置のハウジングを、機械的ツールなしで、容器又は導管に着脱するために使用される。一実施形態において、固定機構は、可撓性ストラップと、閉位置と開位置との間でヒンジ部分の周りを回転可能なラッチとを含む。閉鎖位置では、ラッチは、測定装置のハウジングを容器又は導管に取り付けるために、可撓性ストラップに張力を加える。開位置では、ラッチは、可撓性ストラップに加えられた張力を解放して、動きを可能にし、測定装置のハウジングを容器又は導管から取り外す。
【0009】
さらに別の実施形態では、非侵襲性測定装置は、測定装置と1つ又は複数のデータ処理装置及び1つ又は複数のデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つとの間で、直接及び/又は通信ネットワークを介して、有線通信及び無線通信のうちの少なくとも1つのためにIOコントローラに動作可能に結合されたデジタル通信デバイスを含む。一実施形態において、データ処理装置は、データ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つを含む入力を入力し、容器又は導管内の又はそれを通過する媒体の温度の計算に使用するために測定装置のプロセッサに入力を送るようにユーザによって動作可能な入力デバイスを含む。一実施形態において、データ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つの入力は、外壁半径(ro)、壁厚(to)、及び容器及び/又は導管の材料熱伝導率(ko)のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態において、少なくとも1つの熱伝導率(hc)は、容器及び/又は導管と非侵襲性測定装置との界面における経験的熱伝導率(h)を含む。一実施形態において、より多くのデータ処理装置は、容器又は導管内の媒体の温度(Tcalc)の値を含む、測定装置のプロセッサから受信したデータ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つをユーザに提示するための出力装置を含む。
【0010】
さらに別の実施形態では、非侵襲性測定装置は、容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成される。測定装置は、第1のセンサが外面の温度(To)を測定するように、容器又は導管の外面との界面で熱的に接触する第1のセンサを備える。測定装置はまた、容器又は導管の外面との界面で熱接触する第2のセンサを含む。前記第2のセンサは、前記容器又は導管の壁を通って移動する熱流束(q’’)を測定し、前記測定装置は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに動作可能に結合されたプロセッサをさらに含み、前記プロセッサは、前記第1のセンサからの温度(To)測定値、前記第2のセンサからの熱流束(q’’)測定値、及び前記容器又は導管と前記測定装置との界面における経験的熱接触伝導率(hc)を受信し、前記容器又は導管内の前記媒体の温度を計算するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態における、導管内の媒体の温度を計算するために導管の外面に取り付けられた非侵入型測定装置の簡略図。
【
図2】本発明の機械的構成要素を図示する一実施形態における、
図1の線2-2に沿って取られた導管の外面に取り付けられた非侵入型測定装置の部分断面図。
【
図3】一実施形態における、
図1の非侵入型測定装置の構成要素の簡略化された模式図。
【
図4A】一実施形態における、
図1の非侵襲性測定装置の構成要素の簡略化された機能図。
【
図4B】一実施形態における、
図1の非侵襲性測定装置の構成要素の簡略化された機能図。
【
図5】
図1の非侵襲性測定装置からの温度(℃)対時間(秒)の測定値を、従来の浸漬温度探針からの測定値及び導管の外面に配置された従来の温度センサからの測定値と比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載されるように、本発明者らは、熱伝導原理を使用して、容器(例えば、タンク)又は導管(例えば、パイプ)内又は通過する媒体の、例えば、温度などのプロセスパラメータを計算するための、改善された非侵襲性測定装置及び方法を発見した。非侵襲的測定装置は、本明細書ではHANI(商標)センサと呼ばれる(HANI(商標)は、スペクトリス社の子会社であるオメガエンジニアリング社(ノーウォーク、米国コネチカット州)の商標である)。好ましい実施形態における、プロセスパラメータを計算するための非侵襲性測定装置及び方法は、規定された直径又は半径のパイプ上の例示的な設備と、パイプ内及び/又はパイプを通過する媒体の期間にわたって温度読取値を計算するためのアルゴリズムの実行とを使用して説明されるが、本発明はこの例示的な実施形態によって限定されないことを理解されたい。例えば、本発明は、容器又は導管の表面上の測定点(例えば、測定装置の設置点)において、平坦、正方形、長方形、長方形及び/又は円形の断面を有するものなどの様々な形状、サイズ、及び/又は材料組成のものを含む、容器又は導管の任意の構成における、又は任意の構成を通過する媒体の温度などのプロセスパラメータを計算するための非侵襲性測定装置及び方法に適用される。
【0013】
図1~
図4は、非侵襲性測定装置100の一実施形態を示す。
図1は、一般に12で示される媒体の温度を計算又は決定するための、例えばパイプ10などの容器又は導管に結合された非侵襲性測定装置100の簡略化された概略図であり、測定装置100又はその一部がパイプ10を貫通することなく、パイプ10の中にあるか及び/又は中を通過する。測定装置100は、パイプ10の概して10Aで示される外面に、又はその周りに取り付けられるように構成されたハウジング120を含む。例えば、
図1に示されるように、ハウジング120の122で全体的に示される部分は、パイプ10の外面10Aが、ハウジング120内に配置された測定装置100の、以下に詳細に説明される、処理コンポーネント140及び
図2及び
図3のセンシングコンポーネント160を含む測定装置100と熱接触するように、パイプ10の少なくとも一部分を受容するように適合される。
【0014】
図1に示されるように、選択的に調節可能な固定機構(全体的に130で示される)は、ハウジング120に取り付けられ、パイプ10の周りにハウジング120を固定するように配備可能である。一実施形態において、固定機構130は、可撓性ストラップ132及びラッチ134を含む。ストラップ132は、ハウジング120の部分122とは反対側のパイプ10の外面10Aの周りに配置される。一実施形態において、ストラップ132の一端は、ラッチ134の周りに解放可能に配置される。ラッチ134は、例えば、ラッチ134を固定機構130のヒンジ部136の周りで、矢印133で示す方向にハウジング120に向かって上方に回転させることによって、閉じられるか、又はロックされる。ラッチ134が閉位置又はロック位置に向かって回転すると、張力が加えられて、ストラップ132をパイプ10に対して締め付けて固定する。ラッチ134が開かれるか、又はロック解除されるとき、例えば、ヒンジ部分136を中心に、ハウジング120から離れるように、矢印133によって示される方向とは反対の方向に下方に回転すると、印加された張力が解放され、ストラップ132が緩められ、パイプ10に対して保持されないことを理解されたい。ラッチ134が開かれると、ストラップ132は、ハウジング120がパイプ10の周りに再配置され得るか、又はパイプ10から取り外され得るように、パイプ10の外面10Aの上を自由に通過するか、又はそれに沿って通過する。一実施形態において、ストラップ132の端部は、測定装置100が容器又は導管の外面からより容易に完全に取り外し可能であるように、ラッチ134から選択的に解放されてもよい。
【0015】
選択的に調整可能な固定機構130は、可撓性ストラップ132及びラッチ134を含むものとして上述されているが、ハウジング120を容器又は導管、例えば、パイプ10の周りに選択的に固定するための他の手段を提供することが本開示の範囲内であることを理解されたい。例えば、一実施形態において、固定機構130は、例えばハウジング120の部分122とは反対側の、パイプ10の少なくとも一部分を受け入れるように適合されたセグメントを含むことができる。セグメント及びハウジング120は、それぞれ、1つ又は複数の留め具、例えば、ボルト又はロッドを挿入することができる1つ又は複数の穴を含むことができる。各締結具は、ナットを受け入れるために、その外面にネジ山を有する。ナットが締結具に締め付けられると、ナット及び締結具は協働して圧縮力を加え、ハウジング120及びセグメントをパイプ10に対して固定する。締結具(例えば、ナット及びボルト)は、圧縮力を解放し、固定機構130及びハウジング120の再配置及び/又は除去のためのセグメントとハウジング120との間の間隙を可能にするために、部分的に又は完全に緩められ、又はねじが緩められ得る。上記の締結具はナット及びボルトとして説明されているが、当業者に知られている任意の他の連結手段を用いて、容器(例えば、タンク)又は導管(例えば、パイプ)の周りにハウジング120を選択的に固定することは、本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0016】
図1には詳細に示されていないが、ハウジング120は、引張ばね110、熱界面材116、ならびに測定装置100の処理140及びセンシングコンポーネント160を囲む内部チャンバ124を含むことを理解されたい。一実施形態において、熱界面材116は、例えば、比較的高い熱伝導率を有するシリコーン系ギャップフィラー材料から構成される。熱界面材116は、有利には、センシングコンポーネント160と容器又は導管(例えば、パイプ10)との間の間隙を充填するように変形し、外面10Aに適合し、それとの不整合な熱接触を排除するか、又は少なくとも実質的に最小限にする。例示的な材料としては、粘土、ペースト、又は弾性材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
図1の線2-2に沿った部分断面図である
図2に示すように、非侵襲測定装置100は、パイプ10の周囲に固定されている。測定装置100のハウジング120は、ハウジング120内に配置された測定装置100の構成要素をより明確に示すために、
図2には示されていないことを理解されたい。例えば、一実施形態において、熱界面材116は、パイプ10の外面10Aの周りでセンシングコンポーネント160の下に配置され、パイプ10とセンシングコンポーネント160との間の熱接触を改善する。センシングコンポーネント160は、パイプ10の外面10Aと熱接触する、以下に詳細に説明する第1のセンサ162及び第2のセンサ164のうちの少なくとも1つを含む。引張バネ110は、第1のセンサ162及び第2のセンサ164が、容器又は導管、例えば、パイプ10の外面10Aと、界面材116が使用用途に提供される場合には、熱界面材116と良好な熱接触状態にあることを確実にするために、外面10Aに向かって下方に圧縮可能な力を提供する。一実施形態において、ハウジング120の下面(例えば、壁又は床)に凹部(図示せず)が設けられ、引張ばね110を受容し、そこから下向きの圧縮力を方向付けるのを助けて、センサ162及び164ならびに熱界面材116(使用される場合)をパイプ10の外面10Aに対して保持する。
【0018】
一実施形態において、測定装置100を設置する直前にパイプ10又は容器の外面10Aを洗浄して、パイプ10又は容器の外面10Aに配置された、パイプ10と測定装置100との間の良好な動作的な熱接触、例えば、油、埃、埃、破片、錆等からの干渉がないものを確実にすることが好ましい実施として見られる。一実施形態において、第1のセンサ162及び第2のセンサ164を並べて(例えば、実質的に同じ環境条件に曝露するための共通の測定位置内に隣接して)配置するが、重なり合う配置ではないようにすることも好ましいことを理解されたい。また、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のセンサ162及び/又は少なくとも1つの第2のセンサ164のうちの1つ又は複数を、例えば、2つ以上の第1のセンサ162及び/又は2つ以上の第2のセンサ164から構成することが好ましく、そこからの測定値を合計し、平均して、それぞれ第1のセンサ162及び第2のセンサ164の出力を提供することができることを理解されたい。
【0019】
図3に示す一実施形態において、非侵襲性測定装置100の処理コンポーネント140は、記憶装置144及び入出力(IO)コントローラ146に動作可能に結合されたプロセッサ又はCPU142を含むことができる。記憶装置144は、その中に記憶され、プロセッサ142によって実行される熱伝導アルゴリズムHC144Aを含み、容器(例えば、タンク)もしくは導管(例えば、パイプ)内の、及び/又は容器もしくは導管(例えば、パイプ10)を通過する媒体12の、例えば、温度などのプロセスパラメータを計算又は決定する。
図3に示されるように、IOコントローラ146は、入力装置150に動作可能に結合され、そこから信号を受信し、そこに信号を送信するために出力装置170に動作可能に結合される。一実施形態において、入力装置150は、センシングコンポーネント160を含む。例えば、一実施形態において、センシングコンポーネント160は、センサ1として概略的に示される第1のセンサ162のうちの少なくとも1つと、センサ2として概略的に示される第2のセンサ164のうちの少なくとも1つとを含む。一実施形態において、少なくとも1つの第1のセンサ162は、例えば、1つ又は複数の抵抗温度(RTD)センサなどの1つ又は複数の温度センサから構成される。一実施形態において、少なくとも1つの第2のセンサ164は、1つ又は複数の熱流束センサから構成される。一実施形態において、入力装置150はまた、IOコントローラ146に信号を提供するために、センシングコンポーネント160(例えば、第1のセンサ162及び第2のセンサ164)から入力信号を受信するためのアナログ-デジタル変換器(ADC)156を含む。
【0020】
本明細書に記載され、
図3及び
図4A及び
図4Bに示されるように、非侵襲性測定装置100の第1のセンサ162及び第2のセンサ164は、それぞれ、導管(例えば、パイプ10)の外部(例えば、外面10A)上の温度To及び導管(例えば、パイプ10)の壁(例えば、
図2、
図4A及び
図4Bに示される壁10C)を通って移動する熱流束q’’を測定するように協働する。第1のセンサ162からの温度To測定値及び第2のセンサ164からの熱流束q’’の測定値は、第1のセンサ162及び第2のセンサ164から、プロセッサ142によって実行される熱伝導アルゴリズムHC144Aへの入力としてプロセッサ142に通信され、パイプ10の内部における媒体12の温度Tcalcを計算又は決定する。
【0021】
本明細書に記載されるように、温度Tcalcは、熱界面材116が導管(例えば、パイプ10)の外面10Aに対して配置されない用途において、以下の式(式1)を使用して計算される。
【数1】
ここで、
To:センサ162によって測定される温度(℃)、
q’’:センサ164によって測定されるパイプ壁10C内を移動する単位面積当たりの熱流束(w/m
2)
ro:パイプ外壁10Cの半径(m)、
to:管壁面10Cの厚さ(m)、
ko:管材熱伝導率[w/(m*℃)]、及び
hc:パイプ10と測定装置100の界面における熱伝導率の経験値。
【0022】
容器又は導管の特定の構成では、例えば、測定装置100の設置又は測定点における容器又は導管の断面が1つ又は複数の平坦な側壁(例えば、導管又は容器が非円形)を含むとき、容器又は導管は丸みを有さないので、ro*ln(ro/r-to)項はtoに近づくことを理解されたい。
【0023】
別の実施形態では、例えば、熱界面材116が導管(例えば、パイプ10)の外面10Aに対して配置される使用用途では、温Tcalcは、以下の式(式2)を使用して計算される。
【数2】
ここで、
To:センサ162によって測定される温度(℃)、
q’’:センサ164によって測定されるパイプ壁10C内を移動する単位面積当たりの熱流束(w/m
2)
ro:パイプ外壁10Cの半径(m)、
to:管壁面10Cの厚さ(m)、
ko:管材熱伝導率[w/(m*℃)]、
t1:熱界面材116の肉厚(m)、
k1:熱界面材116の熱伝導率[w/(m*℃)]、及び
hc:パイプ10と熱界面材116との界面における熱伝導率の経験値。
【0024】
再度、容器又は導管の特定の構成において、例えば、測定装置100の設置又は測定点における容器又は導管の断面が1つ又は複数の平坦な側壁(例えば、導管又は容器が非円形)を含む場合、容器又は導管は丸みを有さないので、ro*ln(ro/r-to)項はtoに近づくことを理解されたい。
【0025】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態では、熱界面材116が、パイプ10の外面10Aの周りに配置されて、パイプ10と、少なくとも1つの第1のセンサ162及び少なくとも1つの第2のセンサ164を含むセンシングコンポーネント160との間の熱接触(熱結合)を改善する。経験的熱接触伝導率hcは、容器(例えば、タンク)及び/又は導管(例えば、パイプ)と測定装置100のセンサ162及び164との間の不完全な熱伝達に関連する項である。この項は、例えば、容器(例えば、タンク)及び/又は導管(例えば、パイプ)の間の表面仕上げ及び/又は他の不整合の変動を説明するために使用される。hcという項は、容器(例えば、タンク)及び/又は導管(例えば、パイプ)の様々なタイプ(例えば、材料成分及び/又は仕上げ)と測定装置100との間の熱伝達を試験することから経験的に導かれる。熱界面材116が、パイプ10の外面10Aとセンシングコンポーネント160との間の熱伝導率を改善するにつれて、熱界面材116の好ましい性能は、熱接触伝導率、1/hc項を実質的に最小化する(例えば、項は0(ゼロ)に向かう傾向がある)。例えば、実験を通して、本発明者らは、経験的な熱接触コンダクタンス値hcは、表面仕上げが不良又は大まかな工業用導管(例えば、パイプ)については比較的小さく、熱伝達がより理想的である高研磨表面仕上げを有する衛生用パイプについては比較的大きいことを決定した。一実施形態において、経験的熱接触伝導率hcは、熱界面材116の成分に依存して、例えば、変化する。例えば、熱界面材116が、容器又は導管(例えば、パイプ10)の間の間隙充填材として十分に適した材料から構成される場合、経験的な熱接触伝導率値hcは、より高い値である。例えば、表1は、異なる種類の導管についての経験的な熱接触コンダクタンス値hcの一連の値を提供する。表1に値を示し、ここで、熱界面材116は、シリコーン系熱界面材からなり、導管は、比較的粗い表面仕上げを有する工業用パイプと比較して、比較的高研磨された衛生用パイプを含む。
【表1】
【0026】
再度
図3を参照すると、温度Tcalcがプロセッサ142によって決定されると、値は、例えば、ある期間にわたって計算された温度Tcalc値を示すための表示装置172、温度Tcalc値のうちの1つ以上を印刷又はグラフ化するためのプリンタ又はプロッタ(図示略)、又は温度Tcalc値を記憶するための記憶装置を含む、出力装置170のうちの1つに通信され得る。一実施形態において、非侵襲性測定装置100は、有線及び/又は無線デジタル通信のための手段、例えば、測定装置100の動作中にプロセッサ142内で使用されるか、又はそれによって生成される及び/又はパラメータを含む信号を、1つ又は複数のデータ記憶デバイス198を及び/又は1つ又は複数の処理装置190と、直接的に、又は例えば、ローカルエリアネットワーク又はインターネットなどのグローバルネットワークなどの通信ネットワーク180を介して通信する、例えば、データ、変数、及び/又はデータを含む信号から受信するように、IOコントローラ146に動作可能に結合された送信機/受信機148を含む。
【0027】
一実施形態において、出力装置170は、測定された温度に比例する業界で受け入れられている標準的な電流又は電圧信号を使用して、例えば、ローカルプロセス制御及び監視機器と直接又は通信ネットワーク180を介してインターフェースすることが可能なアナログ出力装置174を含む。アナログ出力装置174は、測定装置100の近傍に配置されてもよく、あるいは、アナログ出力174は、1つ又は複数の処理装置190に結合されてもよく、出力信号(例えば、Tcalc)は、通信ネットワーク180を介して通信される。一実施形態において、1つ又は複数の出力温度測定値、例えば、計算された温度Tcalcは、例えば、摂氏(℃)又は華氏(°F)温度測定値などの、1つ又は複数の工業的に受け入れられている測定基準単位で出力及び/又は提示される。
【0028】
一実施形態において、1つ又は複数の処理装置190は、1つ又は複数の汎用コンピュータ、ワークステーション、及び/又は、例えば、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、インターネット対応モバイル無線電話、又は同様のポータブルコンピューティングデバイスなどのポータブルコンピューティングデバイスから構成される。当業者に知られているように、処理装置190はそれぞれ、プロセッサ又はCPU192、コンピュータ可読媒体又はメモリ、ならびにデータ、情報、変数、及び/又はパラメータの入力のためのキーボード又は他の装置194Aを含む入力-出力装置194、入力及び出力信号を示すための表示194B、ならびにネットワーク180を介した通信を容易にするためのデバイスを含む。処理装置190の各々のプロセッサ192は、メモリに記憶されたプログラム命令を実行し、それにより、処理装置190の個々のものを操作する人々は、測定装置100のプロセッサ142からの出力信号を見ることができ、及び/又は熱伝導アルゴリズムHC144Aを実行するプロセッサ142への入力としてデータ、情報、変数及び/又はパラメータとして値を入力し、送信することができる。例えば、本明細書に記載されるように、入力は、例えば、以下に限定されるものではないが、検知温度の範囲及びその逸脱、容器(例えば、タンク)及び/又は導管(例えば、パイプ)の種類、大きさ、直径、及び材料構成(金属及び/又は非金属材料)を含む、例えば、式1及び式2において使用される変数及び/又はパラメータに対する調整を含むことができ、容器及び/又は導管外壁半径(ro)、壁厚(t)、及び材料熱伝導率(ko)などを含む。
【0029】
図5は、従来の浸漬温度探針及び導管の外面に配置された従来の温度センサ(例えば、測温センサ)からの測定値と比較した、本考案の非侵襲性測定装置100についての、縦軸の温度(℃)(例えば、約0℃~40℃の範囲)の測定値、及び横軸の時間(秒)(例えば、約-7~175秒の範囲)を示す時間-温度図である。
【0030】
図5に示される測定データ200は、液(例えば、媒体12)が(
図1、
図4A、及び
図4Bの矢印によって示されるように)パイプを通って移動している実験中に得られた。浸漬プローブは、パイプ内及び流体の経路内に配置される。例えば、抵抗型温度(RTD)センサなどの非侵襲性温度センサ及び本発明の非侵襲性測定装置100は、パイプの外面上に配置される。実験の間、流体の温度は、試験サイクルの間、約0(ゼロ)秒のマークで始まる約1℃から約39℃まで急速に変化し、測定データ200(データ点)が、浸漬プローブ、温度表面センサ、及び非侵襲性測定装置の各々から得られた。第1の線202は、浸漬プローブによって取られたデータ点(時間増分での温度測定値)をプロットする。第2の線204は、RTD表面センサによって取得されたデータ点をプロットする。第3の線206は、非侵襲性測定装置100、例えばHANI(商標)センサによって取得されたデータポイントをプロットする。
【0031】
浸漬プローブ(線202)が、流体との直接接触を考慮して、パイプ内の流体の実際の温度の比較的正確な表現であると仮定すると、
図5は、RTD表面センサの2つの表面実装測定技術と本発明の非侵襲性測定装置100とを比較する、パイプ内の流体の温度の非侵襲性測定の精度及び応答時間の著しい改善を図示する。例えば、線204に示すように、RTD表面センサは、緩慢な過渡応答を有することが分かり、定常状態の状態では数度不正確である。本明細書に記載されるように、同様の表面実装RTDセンサ(例えば、センサ162)が熱流束センサ(例えば、センサ164)と併せて使用され、第1のセンサ162及び第2のセンサ164の両方が、プロセッサ142によって実行される熱伝導アルゴリズムHC144Aへの入力を提供するとき、HANI(商標)センサ(すなわち、非侵襲性測定装置100)によって提供されるような(線206上に示されるようである)流体の結果としての計算された温度Tcalcは、浸漬プローブの線202によって表される管を通って移動する流体の実際の温度をより厳密に近似する。
図5のグラフに示されるように、線206は、過渡状態において改善された応答時間を有し、定常状態において改善された精度を有する。
【0032】
熱流束センサ、センサ164が、パイプ10の表面積にわたって熱流束を平均化する薄膜サーモパイルから構成される一実施形態において、このタイプの熱流束センサを採用する測定装置100のいくつかの利点は、以下を含む。
・安定性:ある領域にわたって平均熱流束をとることによって、測定されるエネルギー伝達率は、単一の点でとられた測定のものよりも安定していることが分かる。例えば、単一の点は、例えば、錆、材料の不完全性、表面接触の不完全性、材料の厚さの不完全性、及びパイプ10の内部上の材料の蓄積のような不整合性のために、パイプ10の表面上の高温又は低温のスポットによって影響を受け得る。
・モジュラリティ:本設計は、パイプ直径の範囲に対して同じ熱流束センサを使用することによって、モジュラ手法を可能にする。薄膜平均熱流束センサは、可撓性センサであり、したがって、それは、引張ばね(例えば、引張ばね110)と結合されたとき、パイプ直径が既知であり、正確でなければならない設計、したがって、パイプ直径を収容するのに特有の測定装置100の構築ではなく、多くの異なるパイプ直径に適用され得る。
・応答時間:熱流束センサが薄膜サーモパイル型で構成される場合、熱質量は非常に小さく、パイプ又は熱界面材に直接結合することができる。この比較的小さい熱質量及び直接結合は、より速いシステム熱応答時間を提供するために有利であると考えられ、これは、システムのより速い測定及び制御をもたらすことができる。従来の温度測定技術は、たとえそれらが非侵襲的測定システムにおいて使用されたとしても、本明細書に記載されるような熱流束センサを利用する利点を認識していないことが分かる。このように、従来のシステムは、測定装置100と比較して応答時間が遅いことが分かる。例えば、導管(例えば、パイプ10)内の流体の温度が急速に変化しているとき、熱流束センサ条件(例えば、式1及び/又は式2のq’’)は、システム全体が温度変化に反応することができる前に急速に変化する。これらの過渡温度変化条件では、熱流束センサ(例えば、センサ164)は、熱流束センサと結合されていない従来のRTD表面センサ(例えば、本明細書で説明される第1のセンサ162及び第2のセンサ164の構成及び協働)と比較して、非侵襲性測定装置100の応答時間を改善する。
【0033】
プロセッサ142によって実行される熱伝導アルゴリズムHC144A(式1及び/又は式2を含む)を用いてパイプ10の内部における媒体12の温度Tcalcを計算又は決定する非侵襲性測定装置100は、いくつかの実施形態では、ねじ、ボルト、又はツールを使用せずに、比較的容易に取り付け可能、移動可能、及び/又はデザインによって取り外し可能であることも理解されたい。例えば、一実施形態において、選択的に調節可能な固定機構130は、導管又は容器の様々な直径又は部分を包み、それに対して固定することができる(例えば、ラッチ134によって加えられる張力によってである)、張力を調節可能な可撓性ストラップ132を含む。本明細書に開示されるように、非侵襲性測定装置100は、既存の導管(例えば、パイプ)又は容器(例えば、タンク)に適合し、それと連動し、既存の導管又は容器に対する修正を必要としない。したがって、適応性は、開示された装置100の追加の有益な特徴として見られる。例えば、測定装置100に提供される変数又はパラメータは、ユーザが、例えば、ソフトウェア/アルゴリズム又は物理的(例えば、表示又はボタン)インターフェースを介して処理コンポーネント140にパイプ材料、直径、及び特性を指定することを可能にすることによって、パイプ材料及び寸法の大きな組み合わせに容易に適応可能である。一実施形態において、非侵襲性測定装置100及び熱伝導アルゴリズムHC144Aは、例えば、式1及び/又は式2において使用される変数及び/又はパラメータに対する調整を含み、これは、例えば、限定されないが、感知温度及びその偏差のレンジ、容器(例えば、タンク)及び/又は導管(例えば、パイプ)の種類、大きさ、径、ならびに容器及び/又は導管外壁半径(ro)、壁厚(to)、ならびに材料熱伝導率(ko)などを含む、ユーザ又はカスタマの特定アプリケーションに基づく。一実施形態において、熱伝導アルゴリズムHC144Aは、金属及び/又は非金属容器(例えば、タンク)及び/又は導管(例えば、パイプ)などと共に使用するために適合可能である。
【0034】
前述の説明は、本実施形態の単なる例示である。当業者は、本明細書に開示される実施形態から逸脱することなく、様々な代替形態及び修正形態を考案することができる。したがって、実施形態は、本開示及び添付の特許請求の範囲の1つ又は複数の範囲内に入る、そのような代替形態、修正形態、及び変形形態のすべてを包含することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成された非侵襲的測定装置であって、
前記容器又は導管の外面と熱的に接する第1のセンサであって、前記外面の温度(To)を測定する第1のセンサと、
前記容器又は導管の前記外面と熱的に接している第2のセンサであって、当該容器又は導管の壁を通して移動する熱流束(q’’)を測定する第2のセンサと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに動作可能に結合されたプロセッサであって、当該第1のセンサ
から温度(To)の測定値及び当該第2のセンサか
ら熱流束(q’’)の測定値を受け取り、前記容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成されたプロセッサと
を含
み、
前記計算される温度(Tcalc)が、次式により決定される
【数1】
ここで、
To:前記第1のセンサで測定された温度、
q’’:前記第2のセンサによって測定された、単位面積当たりの熱流束、
Fc:前記容器又は導管の断面構造の因子
to:前記容器又は導管の肉厚、
ko:前記容器又は導管材の熱伝導率
hc:前記容器又は導管と前記非侵襲的測定装置との界面における熱伝導率
である
非侵襲的測定装置。
【請求項2】
前記容器又は導管が円筒形であり、
因子Fcが次式で決定され、
【数2】
ここで、
ro:前記容器又は導管の外壁の半径、
to:前記容器又は導管の肉厚
であり、
前記計算される温度(Tcalc)が、次式により決定される
【数3】
請求項1に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項3】
前記表面温度センサは、抵抗温度(RTD)センサである
請求項
2に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項4】
前記熱流束センサは、薄膜サーモパイルセンサである
請求項
2に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項5】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記容器又は導管の前記外面上に配置される
請求項
2に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項6】
前記容器又は導管の前記外面に取り付けられるように構成されたハウジングをさらに備え、
前記ハウジングは、前記第1のセンサ、前記第2のセンサ、及び前記プロセッサを少なくとも部分的にその中に囲む内部チャンバを有する
請求項
2に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項7】
前記測定装置の前記ハウジングを機械的ツールなしで前記容器又は前記導管に着脱するための選択的に調整可能な固定機構をさらに備える
請求項
6に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項8】
前記固定機構は、閉位置と開位置との間でヒンジ部分を中心に回転可能な可撓性ストラップ及びラッチを含み、
前記閉位置において前記ラッチは、前記測定装置を前記容器又は導管に取り付けるため前記可撓性ストラップに張力を加え、
前記開位置において前記ラッチは、前記測定装置を前記容器又は前記導管から取り外すことを化膿するため前記可撓性ストラップに加えられる前記張力を解放する
請求項
7に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項9】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサを前記容器又は導管の前記外面に向かって付勢する張力ばねをさらに備える
請求項
2に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項10】
前記測定装置の前記プロセッサに動作可能に結合されたIOコントローラをさらに備え、
前記IOコントローラは、入力装置から信号を受信し、出力装置に信号を送信する
請求項
2に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項11】
前記入力デバイスが、前記第1のセンサ、前記第2のセンサのうちの1つ又は複数、及びアナログデジタル変換器のうちの1つ又は複数を含む
請求項
10に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項12】
前記出力装置が、表示デバイス、プリンタ、プロッタ、及びデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つを含む
請求項
10に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項13】
前記測定装置と、1つ又は複数のデータ処理装置及び1つ又は複数のデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つとの間の有線通信及び無線通信のうちの少なくとも1つのために、前記IOコントローラに動作可能に結合されたデジタル通信デバイスをさらに備える
請求項
10に記載の非侵襲性測定装置。
【請求項14】
前記1つ又は複数のデータ処理装置が、データ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つを含む入力を入力し、前記容器又は導管内の前記媒体の温度の計算に使用するために前記測定装置の前記プロセッサに前記入力を送るようにユーザによって動作可能な入力デバイスを含む
請求項
13に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの入力は、前記容器又は導管の外壁径(ro)、壁厚(to)、及び材料熱伝導率(ko)のうちの少なくとも1つを含む
請求項
14に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項16】
前記データ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つの入力は、前記容器又は導管と前記測定装置との界面における経験的熱接触コンダクタンス(hc)の値を含む
請求項
14に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項17】
前記1つ以上のデータ処理装置は、前記測定装置の前記プロセッサから受け取ったデータ、情報、変数、及びパラメータのうちの少なくとも1つを、前記容器又は導管内の前記媒体の温度(Tcalc)の値を含めて、ユーザに提示するための出力装置を含む
請求項
13に記載の非侵襲的測定装置。
【請求項18】
容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成された非侵襲的測定装置であって、
前記容器又は導管の外面と熱的に接する第1のセンサであって、前記外面の温度(To)を測定する第1のセンサと、
前記容器又は導管の前記外面と熱的に接している第2のセンサであって、当該容器又は導管の壁を通して移動する熱流束(q’’)を測定する第2のセンサと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに動作可能に結合されたプロセッサであって、当該第1のセンサ及び当該第2のセンサから温度(To)の測定値及び熱流束(q’’)の測定値を受け取り、前記容器又は導管内の媒体の温度を計算するように構成されたプロセッサと、
前記外面上に配置された熱界面材と
を備え、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記界面材上に、並んで重ならない配置で配置され、
前記計算される温度(Tcalc)が、次式により決定される
【数4】
ここで、
To:前記第1のセンサで測定された温度、
q’’:前記第2のセンサによって測定された、単位面積当たりの熱流束、
Fc:前記容器又は導管の断面構造の因子
ko:前記容器又は導管材の熱伝導率、
t1:前記熱界面材の肉厚、
k1:前記熱界面材の熱伝導率、及び
hc:前記容器又は導管と前記熱界面材との界面における経験的な熱接触伝導率
である
非侵襲的測定装置。
【請求項19】
前記容器又は導管が円筒形であり、
因子Fcが次式で決定され、
【数5】
ここで、
ro:前記容器又は導管の外壁の半径、
to:前記容器又は導管の肉厚
であり、
前記計算される温度(Tcalc)が、次式により決定される
【数6】
請求項18に記載の非侵襲的測定装置。
【国際調査報告】