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▶ スペーラ,ダリオ マキシミリアンの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】プログラマブル材料
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/158 20170101AFI20240424BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240424BHJP
   H10N 30/85 20230101ALI20240424BHJP
   H10N 35/85 20230101ALI20240424BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240424BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
C01B32/158
B22F1/00 V
B22F1/00 W
H10N30/85
H10N35/85
H01L29/06 601D
G02B5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554872
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 IT2022050043
(87)【国際公開番号】W WO2022190150
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021000005720
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523285683
【氏名又は名称】スペーラ,ダリオ マキシミリアン
【氏名又は名称原語表記】SPERA, Dario Maximilian
【住所又は居所原語表記】Via dell’Accademia Albertina 7, Roma, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100180921
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】スペーラ,ダリオ マキシミリアン
【テーマコード(参考)】
2H148
4G146
4K018
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA11
2H148AA29
4G146AD22
4G146AD40
4K018AA24
4K018AB01
4K018AB07
4K018AC01
4K018BA01
4K018BA07
4K018BA08
4K018BA13
4K018BC12
4K018BD01
(57)【要約】
電気、磁気、機械、フォトニック、又は、熱刺激などのエネルギー刺激によってプログラム可能な保持材料が開示される。本発明に係る材料は、量子ドットと、少なくとも磁歪粉末、炭素質材料、圧電材料、及び/又は、焦電材料(粉末)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを刺激の手段とするプログラマブル材料であって、保持特性を有し、すなわち、量子ドット及びアップコンバートナノ結晶内に含まれる電荷の配向及び/又は量子状態を経時的に維持することが可能な材料であって、
磁歪粉末と、
30~40重量%の炭素質材料と、
30~40重量%のイオン性粉末と、;
20~40重量%の圧電性材料及び/又は焦電性材料とを備える、プログラム可能な材料。
【請求項2】
前記圧電性材料及び/又は焦電性材料は、トルマリン粉末、チタン酸バリウム及び/又は石英粉末である、請求項1記載のプログラマブル材料。
【請求項3】
前記イオン性粉末が、Mg粉末、Al粉末、Ag粉末、又はこれらの組み合わせである、請求項1又は2記載のプログラマブル材料。
【請求項4】
前記磁歪粉末は、Terfenol-D及び/又はGarfenolである、請求項1から3のいずれかに記載のプログラマブル材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマート材料の分野に関する。スマート材料は、用途に合わせて、外部刺激に応じてその特性を変化させる。特に、本発明は、エネルギー刺激によってプログラム可能であり、量子ドットを含む材料に関する。本発明に係る材料は、保持特性、すなわち、電荷の配向及び/又は量子状態を経時的に維持することができる保持特性を有する。
【0002】
本発明に係る材料は、例えば、表面または表皮を通して望ましい特性を有する電磁活性を導入して、修復効果又は治癒効果を達成するために使用される。
【0003】
本発明に係る材料は、生物学的、代謝的、化学的及び物理的効果により相互作用させるのに適している。
【背景技術】
【0004】
材料工学は、現在、ナノ・マイクロ技術のフロンティアを開拓し、大きな進歩を遂げている。
その一例が、いわゆるスマート材料であり、その中には、圧電材料、磁歪材料、形状記憶ポリマー、形状記憶合金、強磁性流体、フォトメカニクスなどが含まれる。
【0005】
別の前衛的なカテゴリーには、複合材料があり、優れた力学的特性と特定の特性:化学的特性、電磁的特性、医学的特性等を併せ持つ物質の開発が試みられている。具体的なカテゴリーの1つは、例えば、構造の自己モニタリング又は自己修復が可能な物質(例:セルフセンシングコンクリート)であり、土木工学においてますます一般的になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
短所として、これらの材料の各々は、特定の用途のために入念に設計され、そのために、これらの材料の製造コストを非常に高価なものにしている。なぜなら、これらの材料の応用できる分野が狭く、大量生産への投資に適さないからである。1つの応用分野に1つの構造が対応しているため、同じ材料を異なる用途に用いるには、ハードウェアに変更を加えなければならない。
【0007】
また、短所として、これらの材料は、特定の特性を備えさせるために、大変で、複雑で、高価な処理を必要とする。
【0008】
したがって、前述の欠点を克服することを可能にする材料の開発が必要と思われる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主な目的は、求められる用途に応じてエネルギー刺激により物理特性や化学特性を変化させるプログラマブル材料を作り出すことである。
【0010】
長所として、本発明に係るプログラマブル材料は、摩擦、移動、日光への曝露、熱、電場、磁場といった単純な作用によっても刺激を与えることが可能である。
【0011】
例えば、本発明に係るプログラマブル材料をウェアラブルデバイスに導入する場合、生体の熱に反応し、着用した者のための治療効果を有する電磁場を生成することも可能となる。
【0012】
別の応用例として、本発明に係る材料を食品上に置かれるラベルに適用することもできる。本発明に係る材料は、製造中に刺激を受けることにより、食品製品の電荷を配向させて、食品の酸化を還元し又は誘発し、その貯蔵寿命を延ばすことも可能となる。
【0013】
したがって、本発明は、上記の目的を達成するために、好ましい実施形態として、請求項1に係るエネルギー刺激によってプログラム可能な材料を提案する。この材料は、量子ドットを備え、保持特性、すなわち、量子ドットに含まれる電荷の配向及び/又は量子状態を経時的に維持することが可能な材料である。
【0014】
また、本発明に係る材料は、電気、イオン、電子、フォトニック電荷及び/又はそれらの組み合わせの特性をさらに含むことができる。
【0015】
ここで、プログラマブルとは、本発明に係る材料をエネルギー的に刺激することによって、当該材料の構成要素である電荷の全てまたは一部を速やかに配向することができることを意味する。
【0016】
さらに、本発明に係る材料の電荷は、求められる用途に応じて異なる配向をとることができるものであってもよい。
【0017】
あるいは、または電荷の配向と組み合わせて、本発明に係る材料の電荷は、同じ量子状態をとり、当該材料に明確なエネルギー表式を与え、求められる用途に必要な物理特性を与えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
長所として、プログラム可能性により、本発明に係る材料は、適用可能性が極めて高い。したがって、材料中に含まれる電荷の配向及び/又は量子状態に基づく無数の用途に使用可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係るプログラマブル材料は、保持特性があることで信頼性があり耐久性が高い。材料にプログラムされたエネルギー活性を表現する能力は、量子ドットの存在によって保証される。量子ドットの構造のおかげで、規定された配向と量子状態にプログラムされた内部の電荷は、励起されれば常に電荷自身がエネルギーの観点から表式され、プログラムされた機能を果たすことができる。
【0020】
好ましくは、使用される量子ドットは、グラフェン、イットリウム、GaAs中のInGaAs、ZnS中のCdSe、CdS中のPbSのうちのいずれかの量子ドットである。
【0021】
量子ドットは、R-基で化学的に官能化されていてもよい。このR-基は、-H、-OH、-C、アルカン、シクロアルカン、芳香族、ケトン、エステル、エーテル、または量子ドット結合形成に適した原子価を有する周期表の任意の元素、およびそれらの組み合わせのいずれかであってもよい。
【0022】
量子ドットの官能化は、官能基中の電荷のエネルギー準位及び/又は量子状態に影響を及ぼし、本発明に係るプログラマブル材料の適用分野を拡張することを可能にする。それによって、材料の適応範囲は理想的には無限である。さらに、プログラマブル材料は、炭素質材料、圧電材料、焦電材料、イオン粉末、及び/又は、イオン液体をさらに含むものであってもよい。
【0023】
炭素質材料は、例えば、30重量%~40重量%である。
圧電材料及び/又は焦電材料、好ましくはトルマリン粉末は、30~40重量%である。
【0024】
一例として、炭素質材料は、カーボンナノチューブ(CNT)からなる。
【0025】
イオン粉末は、好ましくはAl及び又はMg粉末であり、20~40重量%である。
【0026】
好ましくは、プログラマブル材料は、磁歪性粉末、例えば、Terfenol-D及び/又はGarfenolを含む。
【0027】
本発明に係るプログラマブル材料は、アップコンバートナノ結晶(UCN)を含むものであってもよい。
【0028】
UCNの長所として、例えば赤外線中の光子のような様々な低エネルギーのユニットで励起することが可能であり、数は少なくなるものの、より高エネルギーのユニットを放出する。
【0029】
本発明に係るプログラマブル材料は、蛍光材料、リン光材料、及び/又は、フルオロリン光材料を含むものであってもよい。
【0030】
従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を記載する。
【0031】
以上、本発明について記載したが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。添付の特許請求の範囲によって定義される保護の関連する範囲から逸脱することなく、当業者によって変更及び/又は修正が行われ得ることを理解されたい。

【国際調査報告】