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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-02
(54)【発明の名称】脂質を生産するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/24 20060101AFI20240424BHJP
   C07C 219/18 20060101ALI20240424BHJP
   C07C 219/06 20060101ALI20240424BHJP
   C07C 209/84 20060101ALI20240424BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240424BHJP
【FI】
C07C209/24
C07C219/18 CSP
C07C219/06
C07C209/84
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561176
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 IB2022053227
(87)【国際公開番号】W WO2022215002
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/173,335
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/216,895
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/324,162
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ンガ マイ ドゥー
(72)【発明者】
【氏名】シェーン アレン アイゼンバイス
(72)【発明者】
【氏名】オマール アブデルラーマン サルマン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC52
4H006AD17
4H006BA02
4H006BA25
4H006BA31
4H006BA55
4H006BA66
4H006BA69
4H006BB11
4H006BB12
4H006BB14
4H006BB17
4H006BC10
4H006BE20
4H006BJ20
4H006BN10
4H006BT12
4H006BT14
4H006BU32
4H006BU42
4H039CA71
4H039CB10
4H039CL25
(57)【要約】
本開示は、式Iの化学式を有する化合物[式中、RおよびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、Rは、i’)直鎖または分枝または環式、ii’)飽和または不飽和、およびiii’)置換または非置換炭化水素基であり、L、LおよびLは独立に、リンカーである]を生産するための方法を提供する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化学式を有する化合物
【化1】
[式中、
およびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
、LおよびLは独立に、リンカーである]
を生産するための方法であって、
a)R-(CO)-Clの化学式を有する第1のアシル塩化物を、HO-L-CH-OHの化学式を有する第1のジオールと反応させて、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有する第1のエステルアルコールを形成し、R-(CO)-Clの化学式を有する第2のアシル塩化物を、HO-L-CH-OHの化学式を有する第2のジオールと反応させて、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有する第2のエステルアルコールを形成するステップと、
b)前記第1のエステルアルコールを第1の酸化剤で酸化させて、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第1のエステルアルデヒドを形成し、前記第2のエステルアルコールを第2の酸化剤で酸化させて、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第2のエステルアルデヒドを形成するステップと;
c)前記第1および第2のエステルアルデヒドを、還元剤およびR-L-NHの化学式を有するアミンの存在下で還元して、式Iの化合物を形成するステップと
を含み、
式Iの化合物を形成する前に、前記第1のエステルアルコール、前記第2のエステルアルコール、前記第1のエステルアルデヒド、または前記第2のエステルアルデヒドのクロマトグラフィーによる単離および/または精製を含まず、および/またはクロマトグラフィーにより単離および/または精製された第1のエステルアルコール、第2のエステルアルコール、第1のエステルアルデヒド、または第2のエステルアルデヒドを使用することを含まない、方法。
【請求項2】
前記第1のアシル塩化物が、R-COOHの化学式を有する第1の脂肪酸を第1のオキシ塩化物と反応させることにより形成され、前記第2のアシル塩化物が、R-COOHの化学式を有する第2の脂肪酸を第2のオキシ塩化物と反応させることにより形成され、前記第1および前記第2のオキシ塩化物が独立に、塩化チオニル、塩化ホスホリル、塩化オキサリル、またはそれらの任意の組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の脂肪酸溶液を第1のオキシ塩化物溶液と接触させ、第2の脂肪酸溶液を第2のオキシ塩化物溶液と接触させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の脂肪酸および前記第1のオキシ塩化物を15℃~30℃の温度で反応させ、前記第2の脂肪酸および前記第2のオキシ塩化物を15℃~30℃の温度で反応させる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の脂肪酸および前記第1のオキシ塩化物をジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で反応させ、前記第2の脂肪酸および前記第2のオキシ塩化物をDMFの存在下で反応させる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のアシル塩化物および前記第1のジオールを第1の第3級アミンの存在下で反応させ、前記第2のアシル塩化物および前記第2のジオールを第2の第3級アミンの存在下で反応させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の塩基を、前記第1のエステルアルコールを含む第1のエステル化生成物混合物に添加して、第1の二相媒体を形成し、前記第1の二相媒体が、i)前記第1のエステルアルコールを含む第1の有機媒体、およびii)第1の水性媒体を含むステップと、
第2の塩基を、前記第2のエステルアルコールを含む第2のエステル化生成物混合物に添加して、第2の二相媒体を形成し、前記第2の二相媒体が、i)前記第2のエステルアルコールを含む第2の有機媒体、およびii)第2の水性媒体を含むステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のエステルアルコールの前記第1の酸化剤での前記酸化が、第1の酸化触媒を使用して触媒され、前記第2のエステルアルコールの前記第2の酸化剤での前記酸化が、第2の酸化触媒を使用して触媒される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のエステルアルデヒドを含む第1の酸化生成物混合物を洗浄するステップと、
前記第2のエステルアルデヒドを含む第2の酸化生成物混合物を洗浄するステップと
をさらに含み、
前記洗浄された第1の酸化生成物混合物中の前記第1のエステルアルデヒド、および前記洗浄された第2の酸化生成物混合物中の前記第2のエステルアルデヒドが、ステップ(c)において還元される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(c)における前記還元剤が水素(H)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2のエステルアルデヒドの前記還元が、塩基でクエンチされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式Iの化合物を抽出、沈殿、シリカゲルクロマトグラフィー、ポリマー樹脂クロマトグラフィー、またはそれらの組合せにより少なくとも部分的に精製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
式Iの化合物を形成する前に、前記第1のアシル塩化物または前記第2のアシル塩化物のクロマトグラフィーによる単離および/または精製を含まず、および/またはクロマトグラフィーにより単離および/または精製された第1のアシル塩化物または第2のアシル塩化物を使用することを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
式IIIの化学式を有する塩:
【化2】
[式中、
およびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i’)直鎖または分枝または環式、ii’)飽和または不飽和、およびiii’)置換または非置換炭化水素基であり、
、LおよびLは独立に、リンカーであり、
は、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、メシル酸イオン、トシル酸イオン、(1R)-(-)-10-カンファースルホン酸イオン、1,2-エタンジスルホン酸イオン、シュウ酸イオン、ジベンゾイル-L-酒石酸イオン、リン酸イオン、L-酒石酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、コハク酸イオン、またはマロン酸イオンである]。
【請求項15】
およびRが独立に、1~30個の炭素を含む分枝、飽和、非置換アルキル基である、請求項14に記載の塩。
【請求項16】
およびRが同じである、請求項14に記載の塩。
【請求項17】
およびLが同じである、請求項14に記載の塩。
【請求項18】
i)RおよびRが異なり、および/またはii)LおよびLが異なる、請求項14に記載の塩。
【請求項19】
前記塩が結晶化形態である、請求項14に記載の塩。
【請求項20】
式Iの化合物を、HXの化学式を有する酸と接触させるステップを含む、請求項14に記載の塩を形成するための方法。
【請求項21】
式Iの化合物
【化3】
[式中、
およびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
、LおよびLは独立に、リンカーである]
を精製する方法であって、クロマトグラフィーにより精製するステップと、式Iの化合物をn-ヘプタンおよび酢酸エチルの溶離混合物で溶離するステップとを含み、
前記クロマトグラフィーが、シリカゲルクロマトグラフィー、ポリマー樹脂クロマトグラフィー、またはそれらの組合せである、方法。
【請求項22】
前記シリカゲルクロマトグラフィー精製が、n-ヘプタンおよび酢酸エチルの前記溶離混合物を、酢酸エチルの濃度が漸増する勾配形態で供給するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月9日出願の米国特許仮出願第63/173,335号、2021年6月30日出願の米国特許仮出願第63/216,895号、および2022年3月28日出願の米国特許仮出願第63/324,162号の優先権、その優先権による利益を請求し、それらの内容全体が、全体で参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、脂質化合物またはその中間体またはその薬学的に許容できる塩を生産するための方法に関する。一部の態様は、脂質化合物またはその中間体の塩に関する。他の脂質と組み合わせた脂質および/またはその薬学的に許容できる塩を、核酸の細胞内送達のために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
核酸ベースの治療薬は大きな可能性を有する。遊離またはネイキッド核酸は一部の事例では、細胞をトランスフェクトするために使用することができるが(Wolffら、1990、Science、247、1465~1468)、これは概して、核酸を送達中の分解から保護する、標的組織への、およびそこでの分布を促進する、細胞取り込みを促進する、および/または好適な細胞内プロセシングを可能にする少なくとも第2の作用物質と共に核酸を製剤化するために有利であるか、または必要である。遊離RNAは、不安定で、ヌクレアーゼ消化を受けやすく、関連翻訳機構が存在する標的組織、細胞、および/または細胞内区画へのアクセスを獲得するには限定された能力を有し得る。
【0004】
陽イオン性脂質などの脂質は核酸の細胞内送達のために使用されてきた。カプセル化核酸を含有する脂質含有ナノ粒子は概して認容性が良好であり、患者における核酸の標的化送達のために使用することができる。例えば、米国特許第10,166,298号は、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、プラスミド、免疫刺激核酸、アンタゴミル、抗miR、miRNA模倣物質、スーパーmir、およびアプタマーなどの様々な核酸の標的化送達のために使用することができる様々な陽イオン性脂質を記載している。
【0005】
しかしながら、そのような脂質を生産するための現行の方法は多大な時間を必要とし得る。例えば、米国特許第10,166,298号に記載の脂質合成方法は、複数日にわたって実験室スケールで実行し、クロマトグラフィーによる反応中間体の単離および精製を必要とし得るステップを含み得る。クロマトグラフィーによる反応中間体の精製は最終生成物の純度を高め得るが、これらの精製ステップはプロセス全体を減速させ得、コストを上昇させ得、全プロセス効率を低下させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、核酸送達のために使用することができる脂質などの高純度の脂質を比較的早く、かつ高い費用効率で調製するための方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、陽イオン性脂質およびそれを生産するための中間体の生産と関連する上述の問題のうちの少なくとも一部の解決を開示する。一態様では、本出願人は、以前に達成されていたものよりも短い時間量で陽イオン性脂質および/またはそれを生産するための中間体の生産を開示する。一部の事例では、最終生成物および/またはそれを生産するための中間体を生産するために必要とされる時間量は、陽イオン性脂質を生産するために以前に使用されていたものとは異なる試薬および/または反応条件を使用する1つまたは複数の反応ステップにより、比較的短縮される。一部の事例では、最終生成物および/またはそれを生産するための中間体を生産するために必要とされる時間量は、反応プロセスにおいて次のステップを進める前に脂質中間体の一部または全部を精製する必要がないことにより、比較的短縮される。別の態様では、出願人は、高純度の陽イオン性脂質を生産することを開示し、その際、その方法は、クロマトグラフィーによるプロセスの脂質中間体の単離および精製、および/または下流の合成ステップにおける単離および/または精製された脂質中間体の使用を含まない。実施例において非限定的手法で示されているとおり、97%超の純度および90%超の収率を有する陽イオン性脂質は、プロセス中間体のいずれもシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーにより精製されなかった本明細書において出願人により開示される方法で生産することができる。本明細書において出願人により開示される方法の1つまたは複数のプロセスステップにおける化学反応は、クロマトグラフィーおよび/または他の分析技法を介してモニターすることができるが;しかしながら、本明細書において出願人により開示される方法は、一部の実施形態では、下流ステップにおいて、例えばカラムクロマトグラフィーにより単離および/または精製された中間体を使用することを除外する。別の態様では、本出願人は、陽イオン性脂質およびそれを生産するための中間体の塩を開示する。一部の事例では、塩は、薬学的に許容でき、環境的に安全であり、および/または改善された溶解性または不溶性、生物学的利用能、純度、および/または塩を除去および/または置換するステップを有する。
【0008】
当業者は、本明細書に記載の具体的な実施形態に対する多くの均等物が分かるか、またはルーチン以下の実験を使用して確認することができるであろう。そのような均等物は、次の態様に包含されることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
態様1は、式Iの化学式を有する化合物
【0010】
【化1】
[式中、
およびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
、LおよびLは独立に、リンカーである]
を生産するための方法であって、
a)R-(CO)-Clの化学式を有する第1のアシル塩化物を、HO-L-CH-OHの化学式を有する第1のジオールと反応させて、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有する第1のエステルアルコールを形成し、R-(CO)-Clの化学式を有する第2のアシル塩化物を、HO-L-CH-OHの化学式を有する第2のジオールと反応させて、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有する第2のエステルアルコールを形成するステップと、
b)前記第1のエステルアルコールを第1の酸化剤で酸化させて、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第1のエステルアルデヒドを形成し、前記第2のエステルアルコールを第2の酸化剤で酸化させて、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第2のエステルアルデヒドを形成するステップと;
c)前記第1および第2のエステルアルデヒドを、還元剤およびR-L-NHの化学式を有するアミンの存在下で還元して、式Iの化合物を形成するステップと
を含む方法を対象とする。
【0011】
態様2は、前記第1のアシル塩化物が、R-COOHの化学式を有する第1の脂肪酸を第1のオキシ塩化物を反応させることにより形成され、前記第2のアシル塩化物が、R-COOHの化学式を有する第2の脂肪酸を第2のオキシ塩化物と反応させることにより形成され、前記第1および前記第2のオキシ塩化物が独立に、塩化チオニル、塩化ホスホリル、塩化オキサリル、またはそれらの任意の組合せである、態様1に記載の方法である。
【0012】
態様3は、前記第1の脂肪酸および第1のオキシ塩化物の反応条件が、前記第1の脂肪酸および前記第1のオキシ塩化物を1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含み、前記第2の脂肪酸および第2のオキシ塩化物の反応条件が前記第2の脂肪酸および前記第2のオキシ塩化物を1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含む、態様2に記載の方法である。
【0013】
態様4は、第1の脂肪酸溶液を第1のオキシ塩化物溶液と接触させ、第2の脂肪酸溶液を第2のオキシ塩化物溶液と接触させる、態様2から3のいずれか1つに記載の方法である。
【0014】
態様5は、前記第1の脂肪酸溶液が前記第1の脂肪酸およびジクロロメタン(DCM)を含み、前記第2の脂肪酸溶液が前記第2の脂肪酸およびDCMを含み、前記第1のオキシ塩化物溶液が前記第1のオキシ塩化物およびDCMを含み、前記第2のオキシ塩化物溶液が前記第2のオキシ塩化物およびDCMを含む、態様4に記載の方法である。
【0015】
態様6は、前記第1の脂肪酸および前記第1のオキシ塩化物を15℃~30℃の温度で反応させ、前記第2の脂肪酸および前記第2のオキシ塩化物を15℃~30℃の温度で反応させる、態様2から5のいずれか1つに記載の方法である。
【0016】
態様7は、前記第1の脂肪酸および前記第1のオキシ塩化物をジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で反応させ、前記第2の脂肪酸および前記第2のオキシ塩化物をDMFの存在下で反応させる、態様2から6のいずれか1つに記載の方法である。
【0017】
態様8は、前記第1のオキシ塩化物、および/または前記第2のオキシ塩化物が塩化オキサリルである、態様2から7のいずれか1つに記載の方法である。
【0018】
態様9は、前記第1のアシル塩化物および前記第1のジオールを第1の第3級アミンの存在下で反応させ、前記第2のアシル塩化物および前記第2のジオールを第2の第3級アミンの存在下で反応させる、態様1から8のいずれか1つに記載の方法である。
【0019】
態様10は、前記第1および/または第2の第3級アミンがトリエチルアミンである、態様9に記載の方法である。
【0020】
態様11は、前記第1のアシル塩化物および前記第1のジオールを0.8:3.5~1.2:2.5のモル比で接触させ、前記第2のアシル塩化物および前記第2のジオールを0.8:3.5~1.2:2.5のモル比で接触させる、態様1から10のいずれか1つに記載の方法である。
【0021】
態様12は、前記第1のアシル塩化物および前記第1のジオールを15℃~30℃の温度で反応させ、前記第2のアシル塩化物および前記第2のジオールを15℃~30℃の温度で反応させる、態様1から11のいずれか1つに記載の方法である。
【0022】
態様13は、
第1の塩基を、前記第1のエステルアルコールを含む第1のエステル化生成物混合物に添加して、第1の二相媒体を形成し、前記第1の二相媒体が、i)前記第1のエステルアルコールを含む第1の有機媒体、およびii)第1の水性媒体を含むステップと、
第2の塩基を、前記第2のエステルアルコールを含む第2のエステル化生成物混合物に添加して、第2の二相媒体を形成し、前記第2の二相媒体が、i)前記第2のエステルアルコールを含む第2の有機媒体、およびii)第2の水性媒体を含むステップと
をさらに含む、態様1から12のいずれか1つに記載の方法である。
【0023】
態様14は、
i)前記第1の有機媒体を前記第1の水性媒体から分離するステップと、ii)前記第1の有機媒体を、4以下のpHを有する第1の洗浄液、および5~9のpHを有する第2の洗浄液で洗浄して、前記第1のエステルアルコールを含む洗浄された第1の有機媒体を形成するステップと、
i’)前記第2の有機媒体を前記第2の水性媒体から分離するステップと、ii’)前記第2の有機媒体を、4以下のpHを有する第3の洗浄液、および5~9のpHを有する第4の洗浄液で洗浄して、前記第2のエステルアルコールを含む洗浄された第2の有機媒体を形成するステップと
をさらに含み、前記洗浄された第1の有機媒体中の前記第1のエステルアルコールおよび前記洗浄された第2の有機媒体中の前記第2のエステルアルコールをステップb)において酸化させる、態様13に記載の方法である。
【0024】
態様15は、前記第1の塩基、および/または前記第2の塩基が水酸化ナトリウムである、態様13から14のいずれか1つに記載の方法である。
【0025】
態様16は、前記第1および/または第3の洗浄液が塩化水素を含む、態様14から15のいずれか1つに記載の方法である。
【0026】
態様17は、前記第1の酸化剤および/または前記第2の酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムを含む、態様1から16のいずれか1つに記載の方法である。
【0027】
態様18は、前記次亜塩素酸ナトリウムが炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムである、態様17に記載の方法である。
【0028】
態様19は、前記炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムを、炭酸水素ナトリウムを次亜塩素酸ナトリウムと0.2:1~0.5:1のモル比で接触させることにより形成する、態様18に記載の方法である。
【0029】
態様20は、前記第1のエステルアルコールおよび次亜塩素酸ナトリウムの反応条件が前記第1のエステルアルコールおよび次亜塩素酸ナトリウムを1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含み、前記第2のエステルアルコールおよび次亜塩素酸ナトリウムの反応条件が前記第2のエステルアルコールおよび次亜塩素酸ナトリウムを1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含む、態様17から19のいずれか1つに記載の方法である。
【0030】
態様21は、前記第1のエステルアルコールの前記第1の酸化剤での酸化が、第1の酸化触媒を使用して触媒され、前記第2のエステルアルコールの前記第2の酸化剤での酸化が、第2の酸化触媒を使用して触媒される、態様1から20のいずれか1つに記載の方法である。
【0031】
態様22は、前記第1の酸化触媒および/または第2の酸化触媒が独立に、臭化カリウムおよび/または2,2,6,6-テトラメチルピリジンN-オキシド(TEMPO)を含む、態様21に記載の方法である。
【0032】
態様23は、前記第1のエステルアルコールを15℃以下の温度で酸化させ、前記第2のエステルアルコールを15℃以下の温度で酸化させる、態様1から22のいずれか1つに記載の方法である。
【0033】
態様24は、
前記第1のエステルアルデヒドを含む第1の酸化生成物混合物を洗浄するステップと、
前記第2のエステルアルデヒドを含む第2の酸化生成物混合物を洗浄するステップと
をさらに含み、
前記洗浄された第1の酸化生成物混合物中の前記第1のエステルアルデヒド、および前記洗浄された第2の酸化生成物混合物中の前記第2のエステルアルデヒドが、ステップ(c)において還元される、態様1から23のいずれか1つに記載の方法である。
【0034】
態様25は、i)前記第1の酸化生成物混合物を4以下のpHを有する第1の酸化-洗浄液、およびチオ硫酸ナトリウムを含む第2の酸化-洗浄液で洗浄し、ii)前記第2の酸化生成物混合物を4以下のpHを有する第3の酸化-洗浄液、およびチオ硫酸ナトリウムを含む第4の酸化-洗浄液で洗浄する、態様24に記載の方法である。
【0035】
態様26は、前記第1の酸化-洗浄液および/または前記第3の酸化-洗浄液が塩酸を含む、態様25に記載の方法である。
【0036】
態様27は、前記第2の酸化-洗浄液および前記第4の酸化-洗浄液が独立に、チオ硫酸ナトリウム5重量%~15重量%を含む、態様25から26のいずれか1つに記載の方法である。
【0037】
態様28は、ステップ(c)において、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドをアミンと、1:1~3:1の全(第1および第2の)エステルアルデヒドおよびアミンモル比で接触させる、態様1から27のいずれか1つに記載の方法である。
【0038】
態様29は、前記全エステルアルデヒドおよびアミンモル比が2:1~2.5:1である、態様28に記載の方法である。
【0039】
態様30は、ステップ(c)における前記還元剤が水素化物を含む、態様1から29のいずれか1つに記載の方法である。
【0040】
態様31は、前記水素化物がトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである、態様30に記載の方法である。
【0041】
態様32は、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドを前記トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと、2:3~2:5の全(第1および第2の)エステルアルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムモル比で接触させる、態様31に記載の方法である。
【0042】
態様33は、前記第1および第2のエステルアルデヒドを水素化物で30℃以下の温度で還元する、態様30から32のいずれか1つに記載の方法である。
【0043】
態様34は、前記第1および第2のエステルアルデヒドの前記アミンおよび前記水素化物での還元が、塩基でクエンチされる、態様30から33のいずれか1つに記載の方法である。
【0044】
態様35は、還元されるエステルアルデヒド(全体)1モルあたり3~5モルの塩基をクエンチのために使用する、態様34に記載の方法である。
【0045】
態様36は、前記塩基が水酸化ナトリウムである、態様34から35のいずれか1つに記載の方法である。
【0046】
態様37は、前記塩基を含むアルカリ水溶液を、前記還元反応の反応媒体に添加して、前記還元反応をクエンチし、水相と、式Iの化合物を含む有機相とを含む二相生成物混合物を形成する、態様34から36のいずれか1つに記載の方法である。
【0047】
態様38は、有機溶媒を前記二相生成物混合物に添加するステップをさらに含む、態様37に記載の方法である。
【0048】
態様39は、前記有機溶媒がDCMを含む、態様38に記載の方法である。
【0049】
態様40は、ステップ(c)における前記還元剤が水素(H2)を含む、態様1から29のいずれか1つに記載の方法である。
【0050】
態様41は、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドの前記アミンおよび水素での還元を金属触媒で触媒する、態様40に記載の方法である。
【0051】
態様42は、前記金属触媒が炭素上の白金である、態様41に記載の方法である。
【0052】
態様43は、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドを25℃~45℃の温度で水素で還元する、態様40から42のいずれか1つに記載の方法である。
【0053】
態様44は、式Iの化合物を抽出、沈殿、シリカゲルクロマトグラフィー、ポリマー樹脂クロマトグラフィー、またはそれらの組合せにより少なくとも部分的に精製するステップをさらに含む、態様1から43のいずれか1つに記載の方法である。
【0054】
態様45は、前記抽出精製が、式Iの化合物を有機溶媒に溶解して式Iの溶液を得ること、式Iの溶液を水溶液で抽出することを含む、態様44に記載の方法である。
【0055】
態様46は、前記有機溶媒がn-ヘプタンである、態様45に記載の方法である。
【0056】
態様47は、前記水溶液が10~11のpHの10%メタノール水溶液を含む、態様45から46のいずれか1つに記載の方法である。
【0057】
態様48は、前記シリカゲルクロマトグラフィー精製が、シリカゲルクロマトグラフィーカラムを介してエタノール、イソプロパノール、n-ヘプタン、酢酸エチル、またはそれらの混合物を含む溶離液で式Iの化合物を溶離することを含む、態様44から47のいずれか1つに記載の方法である。
【0058】
態様49は、前記シリカゲルクロマトグラフィー精製が、式Iの化合物をn-ヘプタンおよび酢酸エチルの溶離混合物で溶離することを含む、態様48に記載の方法である。
【0059】
態様50は、前記シリカゲルクロマトグラフィー精製が、n-ヘプタンおよび酢酸エチルの溶離混合物を、酢酸エチルの濃度が漸増する勾配形態で供給することを含む、態様49に記載の方法である。
【0060】
態様51は、蒸留により式Iの化合物を精製するステップをさらに含み、
ステップ(c)において形成された式Iの化合物をn-ヘプタンと接触させて、n-ヘプタン溶液を形成するステップと;
前記n-ヘプタン溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、第1の蒸留残渣を形成するステップと;
前記第1の蒸留残渣をエタノールと接触させて、エタノール溶液を形成するステップと;
前記エタノール溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、式Iの化合物を含む第2の蒸留残渣を形成するステップと
を含む、態様1から50のいずれか1つに記載の方法である。
【0061】
態様52は、前記第2の蒸留残渣が5000重量百万分率(ppmw)未満のn-ヘプタンおよび50000ppmw未満のエタノールを含む、態様51に記載の方法である。
【0062】
態様53は、RおよびRが独立に、1~30個の炭素を含む分枝、飽和、非置換アルキル基である、態様1から52のいずれか1つに記載の方法である。
【0063】
態様54は、RおよびRが同じである、態様1から53のいずれか1つに記載の方法である。
【0064】
態様55は、RおよびRの両方が次の構造
【0065】
【化2】
を有する、態様1から54のいずれか1つに記載の方法である。
【0066】
態様56は、Rが-CHOH基である、態様1から55のいずれか1つに記載の方法である。
【0067】
態様57は、Lが-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様1から56のいずれか1つに記載の方法である。
【0068】
態様58は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様57に記載の方法である。
【0069】
態様59は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様1から56のいずれか1つに記載の方法である。
【0070】
態様60は、Lが、-(CHm1-X-(CHm2-の化学式を有し、m1およびm2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様1から59のいずれか1つに記載の方法である。
【0071】
態様61は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様53に記載の方法である。
【0072】
態様62は、Lが、-(CHの化学式を有し、mが、2~15の整数である、態様1から61のいずれか1つに記載の方法である。
【0073】
態様63は、LおよびLが同じである、態様1から62のいずれか1つに記載の方法である。
【0074】
態様64は、LおよびLの両方が-(CH-である、態様1から63のいずれか1つに記載の方法である。
【0075】
態様65は、Lが、-(CHk1-X-(CHk2-の化学式を有し、k1およびk2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様1から64のいずれか1つに記載の方法である。
【0076】
態様66は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様65に記載の方法である。
【0077】
態様67は、Lが、-(CH-の化学式を有し、kが1~15の整数である、態様1から66のいずれか1つに記載の方法である。
【0078】
態様68は、Lが、-(CH-である、態様1から67のいずれか1つに記載の方法である。
【0079】
態様69は、RおよびRが同じであり、LおよびLが同じであり、前記第1のアシル塩化物および第2のアシル塩化物が同じであり、同じ反応媒体中で形成され、前記第1のジオールおよび前記第2のジオールが同じであり、前記第1および第2のエステルアルコールが同じであり、同じ反応媒体中で形成され、前記第1および第2のエステルアルデヒドが同じであり、同じ反応媒体中で形成される、態様1から61のいずれか1つに記載の方法である。
【0080】
態様70は、式Iが、式II
【0081】
【化3】
である、態様1から69のいずれか1つに記載の方法である。
【0082】
態様71は、i)RおよびRが異なり、および/またはii)LおよびLが異なり、前記第1および第2のエステルアルコールが別々に形成され、前記第1および第2のエステルアルデヒドが別々に形成される、態様1から68のいずれか1つに記載の方法である。
【0083】
態様72は、前記式Iの化合物を、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドの前記アミンでの還元により形成される他の脂質から分離するステップを含んでもよい、態様71に記載の方法である。
【0084】
態様73は、R-(CO)-Clの化学式を有するアシル塩化物を生産するための方法であって、R-COOHの化学式を有する脂肪酸をオキシ塩化物と反応させるステップを含み、Rは、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、前記オキシ塩化物は、塩化チオニル、塩化ホスホリル、塩化オキサリル、またはそれらの任意の組合せである方法である。
【0085】
態様74は、前記脂肪酸およびオキシ塩化物の反応条件が、前記脂肪酸および前記オキシ塩化物を1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含む、態様73に記載の方法である。
【0086】
態様75は、脂肪酸溶液をオキシ塩化物溶液と接触させる、態様73から74のいずれか1つに記載の方法である。
【0087】
態様76は、前記脂肪酸溶液が脂肪酸およびDCMを含み、前記オキシ塩化物溶液が前記オキシ塩化物およびDCMを含む、態様75に記載の方法である。
【0088】
態様77は、前記脂肪酸およびオキシ塩化物を15℃~30℃の温度で反応させる、態様73から76のいずれか1つに記載の方法である。
【0089】
態様78は、前記脂肪酸およびオキシ塩化物をジメチルホルムアミド(DMF)を含む触媒の存在下で反応させる、態様73から77のいずれか1つに記載の方法である。
【0090】
態様79は、前記オキシ塩化物が塩化オキサリルである、態様73から78のいずれか1つに記載の方法である。
【0091】
態様80は、Rが、1~30個の炭素を含む分枝および飽和アルキル基である、態様73から79のいずれか1つに記載の方法である。
【0092】
態様81は、Rが、次の構造
【0093】
【化4】
を有する、態様73から80のいずれか1つに記載の方法である。
【0094】
態様82は、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有するエステルアルコールを生産するための方法であって、R-(CO)-Clの化学式を有するアシル塩化物を、HO-L-CH-OHの化学式を有するジオールと反応させるステップを含み、Rが、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、Lがリンカーである方法である。
【0095】
態様83は、前記アシル塩化物および前記ジオールを第3級アミンの存在下で反応させる、態様82に記載の方法である。
【0096】
態様84は、前記第3級アミンがトリエチルアミンである、態様83に記載の方法である。
【0097】
態様85は、前記アシル塩化物および前記ジオールを0.8:3.5~1.2:2.5のモル比で接触させる、態様82から84のいずれか1つに記載の方法である。
【0098】
態様86は、前記アシル塩化物および前記ジオールを15℃~30℃の温度で反応させる、態様82から85のいずれか1つに記載の方法である。
【0099】
態様87は、塩基を、前記エステルアルコールを含むエステル化生成物混合物に添加して、二相媒体を形成するステップをさらに含み、前記二相媒体がi)前記エステルアルコールを含む有機媒体と、ii)水性媒体とを含む、態様82から86のいずれか1つに記載の方法である。
【0100】
態様88は、前記有機媒体を前記水性媒体から分離するステップと、前記有機媒体を、4以下のpHを有する第1の洗浄液、および5~9のpHを有する第2の洗浄液で洗浄するステップとをさらに含む、態様87に記載の方法である。
【0101】
態様89は、前記塩基が水酸化ナトリウムである、態様87から88のいずれか1つに記載の方法である。
【0102】
態様90は、前記第1の洗浄液が塩化水素を含む、態様88から89のいずれか1つに記載の方法である。
【0103】
態様91は、Rが、1~30個の炭素を含む分枝、飽和および非置換アルキル基である、態様82から90のいずれか1つに記載の方法である。
【0104】
態様92は、Rが、次の構造
【0105】
【化5】
を有する、態様82から91のいずれか1つに記載の方法である。
【0106】
態様93は、Lが、-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様82から92のいずれか1つに記載の方法である。
【0107】
態様94は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様93に記載の方法である。
【0108】
態様95は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様82から94のいずれか1つに記載の方法である。
【0109】
態様96は、前記ジオールが1,6-ヘキサンジオールである、態様82から95のいずれか1つに記載の方法である。
【0110】
態様97は、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有するエステルアルデヒドを生産するための方法であって、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有するエステルアルコールを酸化剤で酸化させるステップを含み、Rが、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、Lがリンカーである方法である。
【0111】
態様98は、前記酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムを含む、態様97に記載の方法である。
【0112】
態様99は、前記次亜塩素酸ナトリウムが、炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムである、態様98に記載の方法である。
【0113】
態様100は、前記炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムを、炭酸水素ナトリウムを次亜塩素酸ナトリウムと0.2:1~0.5:1のモル比で接触させることにより形成する、態様99に記載の方法である。
【0114】
態様101は、前記エステルアルコールおよび前記次亜塩素酸ナトリウムの反応条件が、前記エステルアルコールおよび前記次亜塩素酸ナトリウムを1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含む、態様98から100のいずれか1つに記載の方法である。
【0115】
態様102は、前記エステルアルコールの前記酸化剤での酸化が、酸化触媒を使用して触媒される、態様97から101のいずれか1つに記載の方法である。
【0116】
態様103は、前記酸化触媒が臭化カリウムおよび/または2,2,6,6-テトラメチルピリジンN-オキシド(TEMPO)を含む、態様102に記載の方法である。
【0117】
態様104は、前記エステルアルコールの酸化条件が15℃以下の温度を含む、態様97から103のいずれか1つに記載の方法である。
【0118】
態様105は、前記エステルアルデヒドを含む酸化生成物混合物溶液を、4以下のpHを有する第1の酸化-洗浄液、およびチオ硫酸ナトリウムを含む第2の酸化洗浄液で洗浄するステップをさらに含む、態様97から104のいずれか1つに記載の方法である。
【0119】
態様106は、前記第1の酸化-洗浄液が塩酸を含む、態様105に記載の方法である。
【0120】
態様107は、前記第2の酸化洗浄液がチオ硫酸ナトリウム5重量%~15重量%を含む、態様105から106のいずれか1つに記載の方法である。
【0121】
態様108は、Rが、1~30個の炭素を含む分枝および飽和アルキル基である、態様97から107のいずれか1つに記載の方法である。
【0122】
態様109は、Rが、次の構造
【0123】
【化6】
を有する、態様97から108のいずれか1つに記載の方法である。
【0124】
態様110は、Lが、-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様97から109のいずれか1つに記載の方法である。
【0125】
態様111は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様110に記載の方法である。
【0126】
態様112は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様97から111のいずれか1つに記載の方法である。
【0127】
態様113は、Lが、-(CH-である、態様82から95のいずれか1つに記載の方法である。
【0128】
態様114は、式Iの化学式を有する化合物
【0129】
【化7】
[式中、
およびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i’)直鎖または分枝または環式、ii’)飽和または不飽和、およびiii’)置換または非置換炭化水素基であり、
、LおよびLは独立に、リンカーである]
を生産するための方法であって、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第1のエステルアルデヒドおよびR-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第2のエステルアルデヒドを、R-L-NH-の化学式を有するアミンおよび還元剤の存在下で還元するステップを含む方法である。
【0130】
態様115は、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドを、前記アミンと、1:1~3:1の全(第1および第2の)エステルアルデヒドおよびアミンモル比で接触させる、態様114に記載の方法である。
【0131】
態様116は、前記全エステルアルデヒドおよびアミンモル比が2:1~2.5:1である、態様115に記載の方法である。
【0132】
態様117は、前記還元剤が水素化物を含む、態様114から116のいずれか1つに記載の方法である。
【0133】
態様118は、前記水素化物がトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである、態様117に記載の方法である。
【0134】
態様119は、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドを前記トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと、2:3~2:5の全(第1および第2の)エステルアルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムモル比で接触させる、態様114から118のいずれか1つに記載の方法である。
【0135】
態様120は、前記第1および第2のエステルアルデヒドを水素化物で30℃以下の温度で還元する、態様117から119のいずれか1つに記載の方法である。
【0136】
態様121は、前記第1および第2のエステルアルデヒドの前記アミンおよび前記水素化物での還元が、塩基でクエンチされる、態様114から120のいずれか1つに記載の方法である。
【0137】
態様122は、還元されるエステルアルデヒド(全体)1モルあたり3~5モルの塩基をクエンチのために使用する、態様121に記載の方法である。
【0138】
態様123は、前記塩基が水酸化ナトリウムである、態様121から122のいずれか1つに記載の方法である。
【0139】
態様124は、前記塩基を含むアルカリ水溶液を、前記還元反応の反応媒体に添加して、前記還元反応をクエンチし、水相と、式Iの化合物を含む有機相とを含む二相生成物混合物を形成する、態様121から123のいずれか1つに記載の方法である。
【0140】
態様125は、有機溶媒を前記二相生成物混合物を添加するステップをさらに含む、態様124に記載の方法である。
【0141】
態様126は、前記有機溶媒がDCMを含む、態様125に記載の方法である。
【0142】
態様127は、前記還元剤が水素(H)を含む、態様114から116のいずれか1つに記載の方法である。
【0143】
態様128は、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドの前記アミンおよび水素での還元を金属触媒で触媒する、態様127に記載の方法である。
【0144】
態様129は、前記金属触媒が炭素上の白金である、態様128に記載の方法である。
【0145】
態様130は、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドを25℃~45℃の温度で水素で還元する、態様127から129のいずれか1つに記載の方法である。
【0146】
態様131は、蒸留により式Iの化合物を精製するステップをさらに含み、
前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドの還元により形成された式Iの化合物をn-ヘプタンと接触させて、n-ヘプタン溶液を形成するステップと;
前記n-ヘプタン溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、第1の蒸留残渣を形成するステップと;
前記第1の蒸留残渣をエタノールと接触させて、エタノール溶液を形成するステップと;
前記エタノール溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、式Iの化合物を含む第2の蒸留残渣を形成するステップと;
を含む、態様114から130のいずれか1つに記載の方法である。
【0147】
態様132は、前記第2の蒸留残渣が5000重量百万分率(ppmw)未満のn-ヘプタンおよび50000ppmw未満のエタノールを含む、態様131に記載の方法である。
【0148】
態様133は、RおよびRが独立に、1~30個の炭素を含む分枝および飽和アルキル基である、態様114から132のいずれか1つに記載の方法である。
【0149】
態様134は、RおよびRが独立に、1~30個の炭素を含む分枝、飽和、非置換アルキル基である、態様114から133のいずれか1つに記載の方法である。
【0150】
態様135は、RおよびRが同じである、態様114から134のいずれか1つに記載の方法である。
【0151】
態様136は、RおよびRの両方が次の構造
【0152】
【化8】
を有する、態様114から135のいずれか1つに記載の方法である。
【0153】
態様137は、Rが-CHOH基である、態様114から136のいずれか1つに記載の方法である。
【0154】
態様138は、Lが-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様114から137のいずれか1つに記載の方法である。
【0155】
態様139は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様138に記載の方法である。
【0156】
態様140は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様114から139のいずれか1つに記載の方法である。
【0157】
態様141は、Lが、-(CHm1-X-(CHm2-の化学式を有し、m1およびm2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様114から140のいずれか1つに記載の方法である。
【0158】
態様142は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様141に記載の方法である。
【0159】
態様143は、Lが、-(CHの化学式を有し、mが、2~15の整数である、態様114から142のいずれか1つに記載の方法である。
【0160】
態様144は、LおよびLが同じである、態様114から143のいずれか1つに記載の方法である。
【0161】
態様145は、LおよびLの両方が-(CH-である、態様114から144のいずれか1つに記載の方法である。
【0162】
態様146は、Lが、-(CHk1-X-(CHk2-の化学式を有し、k1およびk2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様114から145のいずれか1つに記載の方法である。
【0163】
態様147は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様146に記載の方法である。
【0164】
態様148は、Lが、-(CH-の化学式を有し、kが1~15の整数である、態様114から147のいずれか1つに記載の方法である。
【0165】
態様149は、Lが、-(CH-である、態様114から148のいずれか1つに記載の方法である。
【0166】
態様150は、式Iが、式II
【0167】
【化9】
である、態様114から149のいずれか1つに記載の方法である。
【0168】
態様151は、i)RおよびRが異なり、および/またはii)LおよびLが異なり、前記式Iの化合物を、前記第1のエステルアルデヒドおよび前記第2のエステルアルデヒドの前記アミンでの還元により形成される他の脂質から分離するステップを含んでもよい、態様114から149のいずれか1つに記載の方法である。
【0169】
態様152は、式Iaの化学式を有する化合物
【0170】
【化10】
[式中、
は、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i’)直鎖または分枝または環式、ii’)飽和または不飽和、およびiii’)置換または非置換炭化水素基であり、
、およびLは独立に、リンカーである]
を生産するための方法であって、
a)R-(CO)-Clの化学式を有するアシル塩化物を、HO-L-CH-OHの化学式を有するジオールと反応させて、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有するエステルアルコールを形成するステップと、
b)前記エステルアルコールを酸化剤で酸化させて、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有するエステルアルデヒドを形成するステップと;
c)前記エステルアルデヒドを、還元剤およびR-L-NHの化学式を有するアミンの存在下で還元して、式Iaの化合物を形成するステップと
を含む方法である。
【0171】
態様153は、前記アシル塩化物を、R-COOHの化学式を有する脂肪酸をオキシ塩化物と反応させることにより形成し、前記オキシ塩化物が、塩化チオニル、塩化ホスホリル、塩化オキサリル、またはそれらの任意の組合せである、態様152に記載の方法である。
【0172】
態様154は、前記脂肪酸およびオキシ塩化物の反応条件が、前記脂肪酸およびオキシ塩化物を1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含む、態様153に記載の方法である。
【0173】
態様155は、脂肪酸溶液をオキシ塩化物溶液と接触させる、態様153から154のいずれか1つに記載の方法である。
【0174】
態様156は、前記脂肪酸溶液が前記脂肪酸およびDCMを含み、前記オキシ塩化物溶液が前記のオキシ塩化物およびDCMを含む、態様155に記載の方法である。
【0175】
態様157は、前記脂肪酸および前記オキシ塩化物を15℃~30℃の温度で反応させる、態様153から156のいずれか1つに記載の方法である。
【0176】
態様158は、前記脂肪酸および前記オキシ塩化物を、DMFを含む触媒の存在下で反応させる、態様153から157のいずれか1つに記載の方法である。
【0177】
態様159は、前記オキシ塩化物が塩化オキサリルである、態様153から158のいずれか1つに記載の方法である。
【0178】
態様160は、前記アシル塩化物および前記ジオールを第3級アミンの存在下で反応させる、態様152から159のいずれか1つに記載の方法である。
【0179】
態様161は、前記第3級アミンがトリエチルアミンである、態様160に記載の方法である。
【0180】
態様162は、前記アシル塩化物および前記ジオールを0.8:3.5~1.2:2.5のモル比で反応させる、態様152から161のいずれか1つに記載の方法である。
【0181】
態様163は、前記アシル塩化物および前記ジオールを15℃~30℃の温度で反応させる、態様152から162のいずれか1つに記載の方法である。
【0182】
態様164は、塩基を、前記エステルアルコールを含むエステル化生成物混合物に添加して、二相媒体を形成するステップをさらに含み、前記二相媒体が、i)前記エステルアルコールを含む有機媒体と、ii)第1の水性媒体とを含む、態様152から163のいずれか1つに記載の方法である。
【0183】
態様165は、前記有機媒体を前記水性媒体から分離するステップと、前記有機媒体を、4以下のpHを有する第1の洗浄液、および5~9のpHを有する第2の洗浄液で洗浄するステップとをさらに含み、前記洗浄された有機媒体中の前記エステルアルコールをステップb)において酸化させる、態様164に記載の方法である。
【0184】
態様166は、前記塩基が水酸化ナトリウムである、態様164~165のいずれか1つに記載の方法である。
【0185】
態様167は、前記第1の洗浄液が塩化水素を含む、態様165から166のいずれか1つに記載の方法である。
【0186】
態様168は、前記酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムを含む、態様152から167のいずれか1つに記載の方法である。
【0187】
態様169は、前記次亜塩素酸ナトリウムが、炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムである、態様168に記載の方法である。
【0188】
態様170は、前記炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムを、炭酸水素ナトリウムを次亜塩素酸ナトリウムと0.2:1~0.5:1のモル比で接触させることにより形成する、態様169に記載の方法である。
【0189】
態様171は、前記エステルアルコールおよび次亜塩素酸ナトリウムの反応条件が前記エステルアルコールおよび前記次亜塩素酸ナトリウムを1:1~1:1.5のモル比で接触させることを含む、態様168から170のいずれか1つに記載の方法である。
【0190】
態様172は、前記エステルアルコールの前記酸化剤での酸化が、酸化触媒を使用して触媒される、態様152から171のいずれか1つに記載の方法である。
【0191】
態様173は、前記酸化触媒が臭化カリウムおよび/または2,2,6,6-テトラメチルピリジンN-オキシド(TEMPO)を含む、態様172に記載の方法である。
【0192】
態様174は、前記エステルアルコールを15℃以下の温度で酸化させる、態様152から173のいずれか1つに記載の方法である。
【0193】
態様175は、前記第1のエステルアルデヒドを含む酸化生成物混合物を洗浄するステップをさらに含み、前記洗浄された酸化生成物混合物中の前記エステルアルデヒドが、ステップ(c)において還元される、態様152から174のいずれか1つに記載の方法である。
【0194】
態様176は、前記酸化生成物混合物を4以下のpHを有する第1の酸化-洗浄液、およびチオ硫酸ナトリウムを含む第2の酸化-洗浄液で洗浄する、態様175に記載の方法である。
【0195】
態様177は、前記第1の酸化-洗浄液および/または前記第3の酸化-洗浄液が塩酸を含む、態様176に記載の方法である。
【0196】
態様178は、前記第2の酸化-洗浄液がチオ硫酸ナトリウム5重量%~15重量%を含む、態様176から177のいずれか1つに記載の方法である。
【0197】
態様179は、ステップ(c)において、前記エステルアルデヒドを前記アミンと、1:1~3:1のモル比で接触させる、態様152から178のいずれか1つに記載の方法である。
【0198】
態様180は、前記エステルアルデヒドおよびアミンモル比が2:1~2.5:1である、態様179に記載の方法である。
【0199】
態様181は、ステップ(c)における前記還元剤が水素化物を含む、態様152から180のいずれか1つに記載の方法である。
【0200】
態様182は、前記水素化物がトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである、態様181に記載の方法である。
【0201】
態様183は、前記エステルアルデヒドを前記トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと、2:3~2:5のモル比で接触させる、態様181から182のいずれか1つに記載の方法である。
【0202】
態様184は、前記エステルアルデヒドを水素化物で30℃以下の温度で還元する、態様181から183のいずれか1つに記載の方法である。
【0203】
態様185は、前記エステルアルデヒドの前記アミンおよび前記水素化物での還元が、塩基でクエンチされる、態様181から184のいずれか1つに記載の方法である。
【0204】
態様186は、還元されるエステルアルデヒド1モルあたり3~5モルの塩基をクエンチのために使用する、態様185に記載の方法である。
【0205】
態様187は、前記塩基が水酸化ナトリウムである、態様185から186のいずれか1つに記載の方法である。
【0206】
態様188は、前記塩基を含むアルカリ水溶液を、前記還元反応の反応媒体に添加して、前記還元反応をクエンチし、水相と、式Iaの化合物を含む有機相とを含む二相生成物混合物を形成する、態様185から187のいずれか1つに記載の方法である。
【0207】
態様189は、有機溶媒を前記二相生成物混合物を添加するステップをさらに含む、態様188に記載の方法である。
【0208】
態様190は、前記有機溶媒がDCMを含む、態様189に記載の方法である。
【0209】
態様191は、ステップ(c)における前記還元剤が水素(H)を含む、態様152から180のいずれか1つに記載の方法である。
【0210】
態様192は、前記エステルアルデヒドの前記アミンおよび水素での還元を金属触媒で触媒する、態様191に記載の方法である。
【0211】
態様193は、前記金属触媒が炭素上の白金である、態様192に記載の方法である。
【0212】
態様194は、前記エステルアルデヒドを25℃~45℃の温度で水素で還元する、態様191から193のいずれか1つに記載の方法である。
【0213】
態様195は、蒸留により式Iaの化合物を精製するステップをさらに含み、
ステップ(c)において形成された式Iaの化合物をn-ヘプタンと接触させて、n-ヘプタン溶液を形成するステップと;
前記n-ヘプタン溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、第1の蒸留残渣を形成するステップと;
前記第1の蒸留残渣をエタノールと接触させて、エタノール溶液を形成するステップと;
前記エタノール溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、式Iaの化合物を含む第2の蒸留残渣を形成するステップと
を含む、態様152から194のいずれか1つに記載の方法である。
【0214】
態様196は、前記第2の蒸留残渣が5000重量百万分率(ppmw)未満のn-ヘプタンおよび50000ppmw未満のエタノールを含む、態様195に記載の方法である。
【0215】
態様197は、前記第2の蒸留残渣が式Iaの化合物95重量%以上を含む、態様195から196のいずれか1つに記載の方法である。
【0216】
態様198は、Rが、1~30個の炭素を含む分枝および飽和アルキル基である、態様152から197のいずれか1つに記載の方法である。
【0217】
態様199は、Rが次の構造
【0218】
【化11】
を有する、態様152から198のいずれか1つに記載の方法である。
【0219】
態様200は、Rが、-CHOH基である、態様152から199のいずれか1つに記載の方法である。
【0220】
態様201は、Lが、-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様152から200のいずれか1つに記載の方法である。
【0221】
態様202は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様201に記載の方法である。
【0222】
態様203は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様152から202のいずれか1つに記載の方法である。
【0223】
態様204は、Lが-(CH-である、態様152から203のいずれか1つに記載の方法である。
【0224】
態様205は、Lが、-(CHk1-X-(CHk2-の化学式を有し、k1およびk2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様152から204のいずれか1つに記載の方法である。
【0225】
態様206は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様205に記載の方法である。
【0226】
態様207は、Lが、-(CH-の化学式を有し、kが1~15の整数である、態様152から206のいずれか1つに記載の方法である。
【0227】
態様208は、Lが、-(CH-である、態様152から207のいずれか1つに記載の方法である。
【0228】
態様209は、式Iaが、式II
【0229】
【化12】
である、態様152から199のいずれか1つに記載の方法である。
【0230】
態様210は、式IIIの化学式を有する塩:
【0231】
【化13】
[式中、
およびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i’)直鎖または分枝または環式、ii’)飽和または不飽和、およびiii’)置換または非置換炭化水素基であり、
、LおよびLは独立に、リンカーであり、
は、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、メシル酸イオン、トシル酸イオン、(1R)-(-)-10-カンファースルホン酸イオン、1,2-エタンジスルホン酸イオン、シュウ酸イオン、ジベンゾイル-L-酒石酸イオン、リン酸イオン、L-酒石酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、コハク酸イオン、またはマロン酸イオンである]である。
【0232】
態様211は、RおよびRが独立に、1~30個の炭素を含む分枝、飽和、非置換アルキル基である、態様210の塩である。
【0233】
態様212は、RおよびRが同じである、態様210から211のいずれか1つに記載の塩である。
【0234】
態様213は、RおよびRの両方が、次の構造
【0235】
【化14】
を有する、態様210から212のいずれか1つに記載の塩である。
【0236】
態様214は、Rが-CHOH基である、態様210から213のいずれか1つに記載の塩である。
【0237】
態様215は、Lが-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様210から214のいずれか1つに記載の塩である。
【0238】
態様216は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様215の塩である。
【0239】
態様217は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様210から216のいずれか1つに記載の塩である。
【0240】
態様218は、Lが、-(CHm1-X-(CHm2-の化学式を有し、m1およびm2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様210から217のいずれか1つに記載の塩である。
【0241】
態様219は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様218の塩である。
【0242】
態様220は、Lが、-(CHの化学式を有し、mが、2~15の整数である、態様210から219のいずれか1つに記載の塩である。
【0243】
態様221は、LおよびLが同じである、態様210から220のいずれか1つに記載の塩である。
【0244】
態様222は、LおよびLの両方が-(CH-である、態様210から221のいずれか1つに記載の塩である。
【0245】
態様223は、Lが、-(CHk1-X-(CHk2-の化学式を有し、k1およびk2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様210から222のいずれか1つに記載の塩である。
【0246】
態様224は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様223の塩である。
【0247】
態様225は、Lが、-(CH-の化学式を有し、kが1~15の整数である、態様210から224のいずれか1つに記載の塩である。
【0248】
態様226は、Lが、-(CH-である、態様210から225のいずれか1つに記載の塩である。
【0249】
態様227は、i)RおよびRが異なり、および/またはii)LおよびLが異なる、態様210から226のいずれか1つに記載の塩である。
【0250】
態様228は、前記塩が結晶化形態である、態様210から227のいずれか1つに記載の塩である。
【0251】
態様229は、態様210から228のいずれか1つに記載の塩を形成するための方法であって、前記式Iの化合物を、HXの化学式を有する酸と接触させるステップを含む方法。
【0252】
態様230は、式IVの化学式:
([R-C(O)-O-L-CH-O]x+
式IV
[式中、
は、1~30個の炭素原子を含有するi)直鎖または分枝、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、リンカーであり、
xは、1または2であり、
x+は、Na、K、Ca2+およびMg2+から選択されるカチオンである]
を有する塩である。
【0253】
態様231は、Rが、1~30個の炭素を含む分枝および飽和アルキル基である、態様230に記載の塩である。
【0254】
態様232は、Rが、次の構造
【0255】
【化15】
を有する、態様230から231のいずれか1つに記載の塩である。
【0256】
態様233は、Lが、-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様230から232のいずれか1つに記載の塩である。
【0257】
態様234は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様233の塩である。
【0258】
態様235は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様230から234のいずれか1つに記載の塩である。
【0259】
態様236は、Lが、
-(CH
の化学式を有する、態様230から235のいずれか1つに記載の塩である。
【0260】
態様237は、結晶化形態である、態様230から236のいずれか1つに記載の塩である。
【0261】
態様238は、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有する化合物を、M(OH)の化学式を有する塩基(式中、Mは金属である)と接触させるステップを含む、態様230から237のいずれか1つに記載の塩を形成するための方法である。
【0262】
態様239は、式(48)、(49)、もしくは(50)の化学式を有する化合物、
【0263】
【化16】
またはその塩である。
【0264】
態様240は、態様239に記載の化合物を作製する方法であって、
a)第1の脂肪酸を塩化オキサリルと反応させて、第1のアシル塩化物を形成し、第2の脂肪酸を塩化オキサリルと反応させて、第2のアシル塩化物を形成するステップと;
b)前記第1のアシル塩化物を第1のジオールと反応させて、第1のエステルアルコールを形成し、前記第2のアシル塩化物を第2のジオールと反応させて、第2のエステルアルコールを形成するステップと;
c)前記第1のエステルアルコールを酸化させて、第1のエステルアルデヒドを形成し、前記第2のエステルアルコールを酸化させて、第2のエステルアルデヒドを形成するステップと;
d)前記第1および第2のエステルアルデヒドをトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよび4-アミノ-1-ブタノールの存在下で還元して、式(48)、(49)、または(50)の化合物を形成するステップと
を含み、
前記第1および第2の脂肪酸が、
【0265】
【化17】
の式を有する方法である。
【0266】
態様241は、式Iの化合物
【0267】
【化18】
[式中、
およびRは独立に、1~30個の炭素原子を含むi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
は、i)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基であり、
、LおよびLは独立に、リンカーである]
を精製する方法であって、抽出、蒸留、沈殿、クロマトグラフィーによる精製、またはそれらの組合せを含む、方法である。
【0268】
態様242は、クロマトグラフィーにより精製するステップを含み、前記クロマトグラフィーが、シリカゲルクロマトグラフィー、ポリマー樹脂クロマトグラフィー、またはそれらの組合せである、態様241に記載の方法である。
【0269】
態様243は、前記抽出精製が、式Iの化合物を有機溶媒に溶解して式Iの溶液を得ること、式Iの溶液を水溶液で抽出することを含む、態様241から242のいずれか1つに記載の方法である。
【0270】
態様244は、前記有機溶媒がn-ヘプタンである、態様243に記載の方法である。
【0271】
態様245は、前記水溶液が10~11のpHで10%メタノール水溶液を含む、態様243から244のいずれか1つに記載の方法である。
【0272】
態様246は、前記シリカゲルクロマトグラフィー精製が、シリカゲルクロマトグラフィーカラムを介してエタノール、イソプロパノール、n-ヘプタン、酢酸エチル、またはそれらの混合物を含む溶離液で式Iの化合物を溶離することを含む、態様242から245のいずれか1つに記載の方法である。
【0273】
態様247は、前記シリカゲルクロマトグラフィー精製が、式Iの化合物をn-ヘプタンおよび酢酸エチルの溶離混合物で溶離することを含む、態様246に記載の方法である。
【0274】
態様248は、前記シリカゲルクロマトグラフィー精製が、n-ヘプタンおよび酢酸エチルの溶離混合物を、酢酸エチルの濃度が漸増する勾配形態で供給することを含む、態様247に記載の方法である。
【0275】
態様249は、蒸留が、
式Iの化合物をn-ヘプタンと接触させて、n-ヘプタン溶液を形成するステップと;
前記n-ヘプタン溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、第1の蒸留残渣を形成するステップと;
前記第1の蒸留残渣をエタノールと接触させて、エタノール溶液を形成するステップと;
前記エタノール溶液を温度30℃~45℃および/または圧力0~0.3バールで蒸留して、式Iの化合物を含む第2の蒸留残渣を形成するステップと
を含む、態様241から248のいずれか1つに記載の方法である。
【0276】
態様250は、前記第2の蒸留残渣が5000重量百万分率(ppmw)未満のn-ヘプタンおよび50000ppmw未満のエタノールを含む、態様249に記載の方法である。
【0277】
態様251は、RおよびRが独立に、1~30個の炭素を含む分枝、飽和、非置換アルキル基である、態様241から250のいずれか1つに記載の方法である。
【0278】
態様252は、RおよびRが同じである、態様241から251のいずれか1つに記載の方法である。
【0279】
態様253は、RおよびRの両方が次の構造
【0280】
【化19】
を有する、態様241から252のいずれか1つに記載の方法である。
【0281】
態様254は、Rが-CHOH基である、態様241から253のいずれか1つに記載の方法である。
【0282】
態様255は、Lが-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様241から254のいずれか1つに記載の方法である。
【0283】
態様256は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様255に記載の方法である。
【0284】
態様257は、Lが、-(CH-の化学式を有し、nが、2~15の整数である、態様241から254のいずれか1つに記載の方法である。
【0285】
態様258は、Lが、-(CHm1-X-(CHm2-の化学式を有し、m1およびm2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様241から257のいずれか1つに記載の方法である。
【0286】
態様259は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様258に記載の方法である。
【0287】
態様260は、Lが、-(CHの化学式を有し、mが、2~15の整数である、態様241から259のいずれか1つに記載の方法である。
【0288】
態様261は、LおよびLが同じである、態様241から260のいずれか1つに記載の方法である。
【0289】
態様262は、LおよびLの両方が-(CH-である、態様241から261のいずれか1つに記載の方法である。
【0290】
態様263は、Lが、-(CHk1-X-(CHk2-の化学式を有し、k1およびk2が独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xがリンカーである、態様241から262のいずれか1つに記載の方法である。
【0291】
態様264は、Xが、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である、態様263に記載の方法である。
【0292】
態様265は、Lが、-(CH-の化学式を有し、kが1~15の整数である、態様241から264のいずれか1つに記載の方法である。
【0293】
態様266は、Lが、-(CH-である、態様241から265のいずれか1つに記載の方法である。
【0294】
態様267は、RおよびRが同じであり、LおよびLが同じである、態様241から266のいずれか1つに記載の方法である。
【0295】
態様268は、式Iが、式II
【0296】
【化20】
である、態様241から267のいずれか1つに記載の方法である。
【0297】
態様269は、i)RおよびRが異なり、および/またはii)LおよびLが異なる、態様241から266のいずれか1つに記載の方法である。
【0298】
次には、本明細書を通じて用いられる様々な用語および語句の定義が含まれる。
【0299】
本明細書で使用される場合、「約」、または「およそ」という用語は、値が、その値を決定するために使用されたデバイスまたは方法での誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定した場合にその数字が誤差の標準偏差を有するであろう限り、本明細書で列挙される任意の数字に加えることができる。
【0300】
「重量%」、「体積%」、または「モル%」という用語は、構成成分を含む物質の全重量、全体積、または全モルに基づき、それぞれ構成成分の重量百分率、構成成分の体積百分率、または構成成分のモル百分率を指す。非限定的例では、物質100グラムにおける構成成分10グラムは、構成成分10重量%である。
【0301】
「実質的」という用語およびその変化形は、10%以内、5%以内、1%以内、または0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0302】
「阻害すること」もしくは「軽減すること」もしくは「予防すること」もしくは「回避すること」という用語またはこれらの用語のいずれかの変化形は、特許請求の範囲および/または本明細書において使用される場合、所望の結果を達成するための何らかの測定可能な低下または完全な阻害を含む。
【0303】
「有効な」という用語は、この用語が本明細書および/または特許請求の範囲において使用される場合、所望の、予測された、または意図された結果を達成するために適正であることを意味する。
【0304】
「a」または「an」という言葉の使用は、特許請求の範囲または本明細書において「含むこと(comprising)」、「含む(including)」、「含有すること(containing)」、または「有すること(having)」という用語のいずれかと合わせて使用される場合、「1つの」を意味することもあるが、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは1つよりも多く」の意味とも矛盾しない。
【0305】
「および/または」という語句は、「および」または「または」を意味する。例示すると、A、B、および/またはCには、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの組合せ、AおよびCの組合せ、BおよびCの組合せ、またはA、B、およびCの組合せが含まれる。言い換えると、「および/または」は、包括的な「または」として機能する。
【0306】
「含むこと(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの「含むこと」の任意の形)、「有すること(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの「有すること」の任意の形)、「含むこと(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む「include」などの「含むこと」の任意の形)または「含有すること」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの「含有すること」の任意の形)は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。
【0307】
本明細書において本出願人により開示される組成物、プロセス、およびシステムは、本明細書を通じて開示されている特定の成分、構成成分、組成物、ステップなどを「含む」、「それから本質的になる」、または「それからなる」ことができる。
【0308】
本明細書で使用される場合の「炭化水素」という用語は、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール基を指す。基(例えば、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール)は、置換または非置換、飽和または不飽和、分枝または非分枝、環式または非環式であり得る。
【0309】
「アルキル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、別段に述べられていない限り、完全に飽和、一不飽和、またはポリ不飽和であってよい直鎖(すなわち、非分枝)または分枝炭素鎖を意味する。不飽和アルキル基には、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合(アルケニル)を有するものおよび1つまたは複数の炭素-炭素三重結合(アルキニル)を有するものが含まれる。基-CH(Me)、-CHCH(Et)、-CHCHCH(n-Pr)、-CH(CH(iso-Pr)、-CHCHCHCH(n-Bu)、-CH(CH)CHCH(sec-ブチル)、-CHCH(CH(iso-ブチル)、-C(CH(tert-ブチル)、-CHC(CH(neo-ペンチル)はすべて、アルキル基の非限定的例である。
【0310】
「ヘテロアルキル」または「置換アルキル」という用語は、単独で、または別の用語との組合せで、別段に述べられていない限り、少なくとも1個の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を有する直鎖または分枝鎖を意味する。一部の事例におけるヘテロ原子は、1つまたは複数のF、Cl、Br、I、O、N、S、P、およびSiからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、ヘテロ原子は、1つまたは複数のOおよびNからなる群から選択される。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、末端、またはアルキル基が分子の残りの部分に結合している位置に位置してよい。最大2個のヘテロ原子が連続してよい。次の基はすべて、ヘテロアルキル基の非限定的例である:トリフルオロメチル、-CHF、-CHCl、-CHBr、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHCF、-CHOC(O)CH、-CHNH、-CHNHCH、-CHN(CH、-CHCHCl、-CHCHOH、CHCHOC(O)CH、-CHCHNHCOC(CH、および-CHSi(CH。ヘテロアルキル基は飽和または不飽和であってよい。
【0311】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクリル」という用語は,単独で、または他の用語との組合せで、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式バージョンを意味する。加えて、ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に結合している位置を占めていてよい。
【0312】
「アリール」という用語は、ポリ不飽和、芳香族炭化水素置換基を意味する。アリール基は、単環式または多環式(例えば、縮合しているか、または共有結合している2から3またはそれ以上の環)であってよい。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有するアリール基を指す。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合していてよい。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが含まれる。上記のアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれについての置換基は、下記の許容される置換基の群から選択される。
【0313】
本明細書に記載の場合、「置換されている」または「置換されている基」は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、ホルミル、カルボキシ、オキソ、カルバモイル、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、(アルキル)アミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクリル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立に選択される1個または複数の置換基を含む基を指し得る。ある特定の態様では、置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、ホルミル、カルボキシ、カルバモイル、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、(アルキル)アミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクリル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールから独立に選択される1個または複数の置換基でさらに置換されていてよい。例示的な置換基には、これに限定されないが:-OH、オキソ(=O)、-Cl、-F、Br、C1-4アルキル、フェニル、ベンジル、-NH、-NH(C1-4アルキル)、-N(C1-4アルキル)、-NO、-S(C1-4アルキル)、-SO(C1-4アルキル)、-CO(C1-4アルキル)、および-O(C1-4アルキル)が含まれる。
【0314】
「アルコキシ」という用語は、構造-OR’を有する基を意味し、R’は、置換されていてもよいアルキルまたはシクロアルキル基である。「ヘテロアルコキシ」という用語は同様に、構造-ORを有する基を意味し、Rは、ヘテロアルキルまたはヘテロシクリルである。
【0315】
「アミノ」という用語は、構造-NR’R”を有する基を意味し、R’およびR”は独立に、水素または置換されていてもよいアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。「アミノ」という用語には、第1級、第2級、および第3級アミンが含まれる。
【0316】
本明細書で使用される場合の「オキソ」という用語は、炭素原子に二重結合している酸素を意味する。
【0317】
本明細書で使用される場合の「アルキルスルホニル」という用語は、式-S(O)-R’を有する部分を意味し、R’はアルキル基である。R’は、指定の数の炭素(例えば、「Cアルキルスルホニル」)を有し得る。
【0318】
本明細書で使用される場合、「ニトロ」という用語は、-NOを意味し;「ハロ」という用語は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを指定し;「メルカプト」という用語は-SHを意味し;「シアノ」という用語は-CNを意味し;「アジド」という用語は-Nを意味し;「シリル」という用語は-SiHを意味し、「ヒドロキシル」という用語は-OHを意味する。
【0319】
本明細書で使用される場合の「薬学的に許容できる塩」という用語は、生体に対して実質的に非毒性である化合物の塩を指す。典型的な薬学的に許容できる塩には、化合物と、化合物上に存在する置換基に応じて無機もしくは有機酸、または有機塩基との反応により調製される塩が含まれる。
【0320】
薬学的に許容できる塩を調製するために使用することができる無機酸の非限定的例は、塩酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸および同様のものを包含するか、またはそれらを除外し得る。薬学的に許容できる塩を調製するために使用することができる有機酸の例は、シュウ酸、炭酸、クエン酸、コハク酸、フェニル-ヘテロ原子置換アルカン酸、脂肪族および芳香族硫酸ならびに同様のものなどの脂肪族モノ-およびジカルボン酸を包含するか、またはそれらを除外し得る。したがって、無機または有機酸から調製される薬学的に許容できる塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヨウ化水素酸塩、フッ化水素酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、および同様のものを包含するか、またはそれらを除外し得る。
【0321】
好適な薬学的に許容できる塩は、化合物を、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチンおよび同様のものなどの有機塩基と反応させることにより形成することもできる。薬学的に許容できる塩は、本明細書において出願人により開示される化合物の一部で見い出されるカルボン酸またはスルホン酸基と、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、もしくはカルシウムなどの無機カチオン、またはイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、およびイミダゾリウムなどの有機カチオンとの間で形成される塩を包含するか、またはそれらを除外し得る。
【0322】
本明細書において出願人により開示される化合物のいずれかの塩の一部を形成する特定のアニオンまたはカチオンは一部の事例では、その塩が全体として薬理学的に許容される限り、重要ではないことは認められるべきである。しかしながら、一部の事例では、特定の塩の使用が、ある特定の溶媒における溶解性もしくは生物学的利用能の上昇もしくは低下、下流ステップにおいてアニオンもしくはカチオンを除去する、もしくは保持する能力の上昇、対象に投与するための安全性の上昇、環境的に危険な廃棄物の減少、および/または中間体および/または最終生成物の環境的安全性の上昇などの利点をもたらす。
【0323】
薬学的に許容できる塩の追加の例ならびにそれらの調製および使用方法は、参照により本明細書に援用されるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use(2002)に示されている。
【0324】
本発明の他の目的、特徴および利点は、次の図面、詳細な説明、および実施例から明らかになるであろう。しかしながら、それらの図面、詳細な説明、および実施例は、本発明の具体的な実施形態を示しているが、実例として示されているにすぎず、限定的であることを意味するものではないことは理解されるべきである。加えて、本発明の意図および範囲内での変化および変更は、当業者には、この詳細な説明から明らかになるであろうことが企図されている。さらなる実施形態では、具体的な実施形態からの特徴を、他の実施形態からの特徴と組み合わせることができる。例えば、ある実施形態からの特徴を、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。さらなる実施形態では、追加の特徴を、本明細書に記載の具体的な実施形態に加えることもできる。
【0325】
説明
陽イオン性脂質およびそれを生産するための中間体を生産するための方法を記載する。その方法は、エステルアルコールおよびエステルアルデヒドまたはエステルアルコールおよびエステルケトンの中間体形成を介して、陽イオン性脂質を形成することを含み得る。一部の事例では、最終生成物および/またはそれを生産するための中間体を生産するために必要とされる時間量が、陽イオン性脂質を生産するために以前に使用されていたものとは異なる試薬および/または反応条件を使用する1つまたは複数の反応ステップにより、以前に達成されたよりも比較的短縮される。一部の事例では、最終生成物および/またはそれを生産するための中間体を生産するために必要とされる時間量は、反応プロセスにおいて次のステップを進める前に脂質中間体の一部または全部を精製する必要がないことにより、比較的短縮される。別の態様では、高純度の陽イオン性脂質を生産する方法を開示し、その際、その方法は、クロマトグラフィーによるプロセスの脂質中間体の単離および精製、および/または下流の合成ステップにおける単離および/または精製された脂質中間体の使用を含まない。別の態様では、陽イオン性脂質およびそれを生産するための中間体の塩を開示する。一部の事例では、塩は、薬学的に許容でき、環境的に安全であり、および/または改善された溶解性または不溶性、生物学的利用能、純度、および/または塩を除去および/または置換するステップを有する。
【0326】
本発明のこれらの、および他の非限定的態様を次のセクションにおいてさらに詳細に論述する。
【0327】
I. 式Iの化学式を有する化合物
ある特定の態様は、式Iの化学式を有する化合物を生産するための方法を対象とする。式Iの化合物は、陽イオン性脂質を形成し得る。
【0328】
【化21】
【0329】
およびRは独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の炭素原子を含有する炭化水素基であり得る。ある特定の態様では、RおよびRは独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の炭素原子を含有するi)直鎖または分枝または環式、ii)飽和または不飽和、およびiii)置換または非置換炭化水素基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、直鎖、飽和、置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、直鎖、飽和、非置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、直鎖、不飽和、置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、直鎖、不飽和、非置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、分枝、飽和、置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、分枝、飽和、非置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、分枝、不飽和、置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、分枝、不飽和、非置換アルキル基である。ある特定の態様では、RおよびRは独立に、分枝、飽和、非置換アルキル基である。一部の特定の態様では、RおよびRは独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を独立に含有する1つまたは複数の分枝を含有する分枝、飽和、非置換アルキル基であり、アルキル基は、(例えば、全体で、分枝に、および主鎖に)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の炭素原子を含有し得る。一部の特定の態様では、RおよびRは独立に、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を含有する分枝、および7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個の炭素原子を含有する主鎖を含有する分枝、飽和、非置換アルキル基であり、アルキル基は、(例えば、全体で、分枝に、および主鎖に)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の炭素原子を含有し得る。ある特定の態様では、RおよびRは同じである。ある特定の態様では、RおよびRは異なる。
【0330】
【化22】
【0331】
ある特定の態様では、Rおよび/またはRは独立に、式(1)~(10)のいずれか1つの構造を有する。ある特定の態様では、RおよびRは同じであり、それぞれが式(1)~(10)のいずれか1つの構造を有する。ある特定の態様では、RおよびRの両方が式(6)の構造を有する。ある特定の態様では、本明細書に開示の1個または複数のRおよび/またはR基が除外される。
【0332】
ある特定の態様では、Lは、-(CHn1-X-(CHn2-の化学式を有し、n1およびn2は独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xはリンカーである。一部の態様では、Xは、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である。一部の態様では、Xは-HC=CH-である。Xの-HC=CH-は、EまたはZ配置であってよい。一部の態様では、Xは-C-である。ある特定の態様では、Xは結合であり、n1およびn2の合計はnに等しく、Lは、-(CH-の化学式を有する。一部の態様では、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。
【0333】
ある特定の態様では、Lは、-(CHm1-X-(CHm2-の化学式を有し、m1およびm2は独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xはリンカーである。一部の態様では、Xは、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である。一部の態様では、Xは-HC=CH-である。Xの-HC=CH-は、EまたはZ配置であってよい。一部の態様では、Xは-C-である。ある特定の態様では、Xは結合であり、m1およびm2の合計はmに等しく、Lは-(CH-の化学式を有する。一部の態様では、mは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。
【0334】
一部の態様では、LおよびLは同じである。一部の態様では、LおよびLは異なる。一部の態様では、Lは-(CH-であり、Lは-(CH-であり、nおよびmは同じである。一部の態様では、Lは-(CH-であり、Lは-(CH-であり、nおよびmは異なる。一部の特定の態様では、LおよびLの両方が-(CH-である。一部の態様では、Lは、-(CHn1-HC=CH-(CHn2-であり、Lは、-(CHm1-HC=CH-(CHm2-である。一部の態様では、Lは、-(CHn1-HC=CH-(CHn2-であり、Lは、-(CH-である。一部の態様では、Lは、-CH-HC=CH-(CH-であり、Lは、-(CH-である。
【0335】
一部の態様では、i)RおよびRは異なり、ii)LおよびLは同じである。一部の態様では、i)RおよびRは同じであり、ii)LおよびLは異なる。一部の態様では、i)RおよびRは同じであり、ii)LおよびLは同じである。一部の態様では、i)RおよびRは異なり、ii)LおよびLは異なる。
【0336】
は、i)置換または非置換、ii)直鎖、分枝またはシクロ炭化水素、およびiii)飽和または不飽和炭化水素基であってよい。一部の態様では、Rは置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の炭素原子を含有する。ある特定の態様では、Rは、-OH、-OC(O)-R、-C(O)OR、-CN、-NC(O)R、-OR置換を含有する置換アルキル基であり、R、R、R、およびRは独立に、1~5個の炭素を含有するアルキル基である。一部の特定の態様では、Rは、末端-OH基を含有する置換アルキル基である。ある特定の態様では、Rは、-CHOH、-CHOHCHOH、-CH(CHCH)CHOH、-CHOHCHCH、-CH(CH2OH)CHOH(CH14CH、-OC(O)CH、-C(O)OCHCH、-CN、-NC(O)CH、-OCH、または
【0337】
【化23】
である。
【0338】
ある特定の態様では、Lは、-(CHk1-X-(CHk2-の化学式を有し、k1およびk2は独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、Xはリンカーである。一部の態様では、Xは、結合、-HC=CH-、-C≡C-、-C-、-O-、または-S-である。ある特定の態様では、Xは結合であり、k1およびk2の合計はkに等しく、Lは、-(CH-の化学式を有する。一部の態様では、kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。一部の態様では、kは0であってよく、N(窒素)とRとの間に直接結合が存在する。一部の特定の態様では、kは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、Rは-CHOH基である。
【0339】
一部の特定の態様では、i)RおよびRは独立に、分枝、飽和、非置換アルキル基であり、ii)Lは、-(CH-であり、Lは、-(CH-であり、nおよびmは独立に、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり、iii)Lは、-(CH-であり、kは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、iv)Rは、-CHOH基である。一部の特定の態様では、i)RおよびRは同じであり、両方とも分枝、飽和、非置換アルキル基であり;ii)Lは、-(CH-であり、Lは、-(CH-であり、nおよびmは同じであり、両方とも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり、iii)Lは、-(CH-であり、kは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、iv)Rは、-CHOH基である。
【0340】
一部の態様では、i)RおよびRは独立に、分枝、飽和、非置換アルキル基であり、ii)Lは、-(CHn1-X-(CHn2-であり、n1およびn2は独立に、0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、Xは、-HC=CH-、-C≡C-、または-C-であり、iii)Lは、-(CH-であり、mは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり、iv)Lは、-(CH-であり、kは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、v)Rは、-CHOH基である。
【0341】
ある特定の態様では、式Iの化合物は、式(11)~(50)のいずれか1つの構造を有する。
【0342】
【化24-1】
【0343】
【化24-2】
【0344】
【化24-3】
【0345】
【化24-4】
【0346】
【化24-5】
【0347】
【化24-6】
【0348】
【化24-7】
【0349】
【化24-8】
【0350】
【化24-9】
【0351】
【化24-10】
【0352】
【化24-11】
【0353】
【化24-12】
【0354】
【化24-13】
【0355】
ある特定の態様では、式Iの化合物は、式(13)の構造を有する。ある特定の態様では、1つまたは複数の本明細書に記載の式Iの化合物が式Iの化合物から除外される。
【0356】
II. 式Iの化合物およびその塩およびその中間体を調製する方法
式Iの化合物は、i)R-COOHの化学式を有する第1の脂肪酸を第1のオキシ塩化物と反応させて、R-(CO)-Clの化学式を有する第1のアシル塩化物を形成し、R-COOHの化学式を有する第2の脂肪酸を第2のオキシ塩化物と反応させて、R-(CO)-Clの化学式を有する第2のアシル塩化物を形成するステップと;ii)第1のアシル塩化物を、HO-L-CH-OHの化学式を有する第1のジオールと反応させて、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有する第1のエステルアルコールを形成し、第2のアシル塩化物を、HO--L-CH-OHの化学式を有する第2のジオールと反応させて、R-C(O)-O-L-CH-OHの化学式を有する第2のエステルアルコールを形成するステップと;iii)第1のエステルアルコールを第1の酸化剤で酸化させて、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第1のエステルアルデヒドを形成し、第2のエステルアルコールを第2の酸化剤で酸化させて、R-C(O)-O-L-CHOの化学式を有する第2のエステルアルデヒドを形成するステップと;iv)第1および第2のエステルアルデヒドを、還元剤およびR-L-NHの化学式を有するアミンの存在下で還元して、式Iの化合物を形成するステップにより調製することができる。R、R、R、L、L、およびLは前記で定義したとおりであり得る。
【0357】
第1のアシル塩化物および第2のアシル塩化物は同じ反応媒体中で、または別々に形成することができる。第1のエステルアルコールおよび第2のエステルアルコールは、同じ反応媒体中で、または別々に形成することができる。第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは、同じ反応媒体中で、または別々に形成することができる。ある特定の態様では、i)RおよびRは同じであり;ii)LおよびLは同じであり;iii)第1の脂肪酸および第2の脂肪酸は同じであり;iv)第1のオキシ塩化物および第2のオキシ塩化物は同じであり;v)第1のジオールおよび第2のジオールは同じであり;vi)第1の酸化剤および第2の酸化剤は同じであり;vii)第1のアシル塩化物および第2のアシル塩化物は同じであり、同じ反応媒体中で形成され;viii)第1のエステルアルコールおよび第2のエステルアルコールは同じであり、同じ反応媒体中で形成され;ix)第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは同じであり、同じ反応媒体中で形成される。ある特定の態様では、i)RおよびRは異なり;ii)LおよびLは同じか、または異なり;iii)第1のアシル塩化物および第2のアシル塩化物は別々に形成され;iv)第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは別々に形成され、v)第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは別々に形成される。ある特定の態様では、i)RおよびRは同じであり;ii)LおよびLは異なり;iii)第1のアシル塩化物および第2のアシル塩化物は同じ反応媒体中で、または別々に形成され;iv)第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは別々に形成され、v)第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは別々に形成される。ある特定の態様では、i)RおよびRは異なり、および/またはii)LおよびLは異なり、方法は式Iの化合物を、第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドをアミンで還元することにより形成される他の脂質から分離することを包含してもよいし、または除外してもよい。
【0358】
ある特定の態様は、本明細書に記載の(例えば、式Iまたは式50の)陽イオン性脂質、それを生産するための中間体(例えば、アシル塩化物、エステルアルコール、エステルアルデヒド、および/またはエステルケトン)、脂質の薬学的に許容できる塩、および/または中間体の薬学的に許容できる塩を対象とする。ある特定の態様は、本明細書に記載の陽イオン性脂質、それを生産するための中間体(例えば、アシル塩化物、エステルアルコール、エステルアルデヒド、および/またはエステルケトン)、脂質の薬学的に許容できる塩、および/または中間体の薬学的に許容できる塩を含有する組成物であって、脂質および中間体が本明細書に記載の方法で合成されている組成物を対象とする。ある特定の態様では、組成物は、式(13)の構造を有する脂質、またはその薬学的に許容できる塩を含有する。ある特定の態様は、本明細書に記載の陽イオン性脂質、それを生産するための中間体(例えば、アシル塩化物、エステルアルコール、エステルアルデヒド、および/またはエステルケトン)、脂質の薬学的に許容できる塩、および/または中間体の薬学的に許容できる塩の使用を対象とする。
【0359】
A. アシル塩化物の形成。
アシル塩化物は、スキームIにより形成することができる。オキシ塩化物は、塩化チオニル、塩化ホスホリル、塩化オキサリル、またはそれらの任意の組合せであり得る。ある特定の態様では、オキシ塩化物は塩化オキサリルである。ある特定の態様では、化学量論的過剰のオキシ塩化物を使用し、脂肪酸(例えば、第1および/または第2の脂肪酸)およびオキシ塩化物の反応条件は、脂肪酸およびオキシ塩化物を1:1、1:1.01、1:1.02、1:1.03、1:1.04、1:1.05、1:1.06、1:1.07、1:1.08、1:09、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、または1:1.5のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のモル比で接触させることを含む。化学量論的過剰のオキシ塩化物はアシル塩化物の収率を上昇させ得る。ある特定の態様では、脂肪酸を含有する溶液をオキシ塩化物を含有する溶液と接触させる。一部の態様では、オキシ塩化物溶液は、1種または複数の有機溶媒をさらに含有する。ある特定の態様では、オキシ塩化物溶液はジクロロメタン(DCM)を含有する。一部の態様では、脂肪酸溶液は1種または複数の有機溶媒をさらに含有する。ある特定の態様では、脂肪酸溶液はDCMを含有する。一部の事例では、安全でない高い速度でのガス放出を回避するなど、ガス放出の速度を制御する速度で、オキシ塩化物を反応物に添加する。
【0360】
一部の態様では、脂肪酸およびオキシ塩化物の反応条件は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の反応温度を含む。
【0361】
一部の態様では、脂肪酸およびオキシ塩化物反応を触媒で触媒する。一部の特定の態様では、触媒はジメチルホルムアミド(DMF)である。ある特定の態様では、脂肪酸1モルあたり0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、または0.01モルのいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のDMFを脂肪酸およびオキシ塩化物と接触させる。ある特定の態様では、アシル塩化物の収率は、95、96、97、98、99、もしくは99.5%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、もしくはいずれか2つの間、またはその中で推論可能な任意の範囲である。ある特定の態様では、本明細書に記載の1つまたは複数のステップおよび/または試薬(例えば、アシル塩化物を形成するためのもの)が除外される。
【0362】
【化25】
【0363】
B. アシル塩化物からのエステルアルコールの形成
エステルアルコールは、スキームIIによりアシル塩化物およびジオールから形成することができる。ある特定の態様では、方法は、i)アシル塩化物が形成される反応媒体(例えば、脂肪酸およびオキシ塩化物の反応媒体)からの、カラムクロマトグラフィーなどによるアシル塩化物の単離および/または精製、および/またはii)単離および/または精製された(例えば、カラムクロマトグラフィーにより)アシル塩化物とジオールとの反応を除外する。アシル塩化物およびジオールを、第3級アミンの存在下で反応させることができる。ある特定の態様では、第3級アミンはトリエチルアミンである。ある特定の態様では、化学量論的過剰のジオールをアシル塩化物およびジオールの反応で使用する。ある特定の態様では、アシル塩化物およびジオールの反応条件は、アシル塩化物およびジオールを0.8:3.5、0.8:3.4、0.8:3.3、0.9:3.2、0.9:3.1、1:3、1:2.9、1:2.8、1.1:2.7、1:1、1:2.6、または1:2.5のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその間の任意の範囲もしくは値)のモル比で接触させることを含む。ある特定の態様では、アシル塩化物およびジオールの反応条件は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の温度を含む。
【0364】
一部の態様では、方法はさらに、塩基を、アシル塩化物およびジオールの反応により形成されたエステル化生成物混合物に添加することを含む。エステル化生成物混合物は、i)エステルアルコール、ii)任意選択で、オキシ塩化物および/またはジオールなどの未反応の反応物、およびiii)任意選択で、脂肪酸およびオキシ塩化物、および/またはアシル塩化物およびジオールの反応で形成された副生成物および/または副産物を含有し得る。一部の態様では、i)、ii)、またはiii)の1つまたは複数が除外される。塩基は、過剰のオキシ塩化物(例えば、塩化オキサリル)およびジオール(例えば、1,6-ヘキサンジオール)から生成されるオキサレート不純物などのエステル化生成物混合物からの未反応の反応物、副生成物、および/または副産物の少なくとも一部を除去し得る。ある特定の態様では、塩基を含有するアルカリ水溶液をエステル化生成物混合物に添加して、二相媒体を形成する。二相媒体はエステルアルコールを含有する有機相と、水相とを含有し得る。ある特定の態様では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある特定の態様では、アルカリ水溶液は、10、11、12、13、または14のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)などのpH10以上を有する。ある特定の態様では、二相媒体を還流加熱する。例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の温度で還流させる。
【0365】
ある特定の態様では、還流の後に、有機相(例えば、エステルアルコールを含有する)、および水相を分離し、有機相を、4、3、2、1、0.01のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)などのpH4以下を有する第1の洗浄液、および5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、または9のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のpHを有する第2の洗浄液で洗浄する。ある特定の態様では、第1の洗浄液は、塩化水素の水溶液などの塩化水素を含有する。有機相を、第1の洗浄液および第2の洗浄液で任意の好適な順序で洗浄する。
【0366】
ある特定の態様では、アシル塩化物およびジオールの反応でのアシル塩化物変換率は、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、99.95、99.99、または100%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、もしくはいずれか2つの間、またはその中で推論可能な任意の範囲などの97%超である。アシル塩化物およびジオールの反応からのエステルアルコール収率は、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、もしくはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)であり得る。ある特定の態様では、本明細書に記載の1つまたは複数のステップおよび/または試薬(例えば、アシル塩化物からエステルアルコールを形成するための)を除外する。
【0367】
【化26】
【0368】
C. アシル塩化物からのエステルケトンの形成
エステルケトンは、スキームIIIによりアシル塩化物およびケトンアルコールから形成することができ、zは、0~10の範囲の整数であり、ケトンアルコールは任意選択で、5~10個の炭素原子の炭素環式環を包含し、炭素原子(z=0)またはアルコールヒドロキシル基を持つアルキル基(z=1~10)は、炭素環式環中のいずれかの非ケトン含有炭素原子に結合していてよい。一部の態様では、ケトンアルコールは4-ヒドロキシシクロヘキサン-1-オンである。ある特定の態様では、方法は、i)アシル塩化物が形成される反応媒体(例えば、脂肪酸およびオキシ塩化物の反応媒体)からの、カラムクロマトグラフィーなどによるアシル塩化物の単離および/または精製、および/またはii)単離および/または精製された(例えば、カラムクロマトグラフィーにより)アシル塩化物とエステルアルコールとの反応を除外する。アシル塩化物およびケトンアルコールを、第3級アミンの存在下で反応させることができる。ある特定の態様では、第3級アミンはトリエチルアミンである。ある特定の態様では、化学量論的過剰のケトンアルコールをアシル塩化物およびケトンアルコールの反応で使用する。ある特定の態様では、アシル塩化物およびケトンアルコールの反応条件は、アシル塩化物およびケトンアルコールを0.8:3.5、0.8:3.4、0.8:3.3、0.9:3.2、0.9:3.1、1:3、1:2.9、1:2.8、1.1:2.7、1:1、1:2.6、または1:2.5のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその間の任意の範囲もしくは値)のモル比で接触させることを含む。ある特定の態様では、アシル塩化物およびケトンアルコールの反応条件は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の温度を含む。
【0369】
一部の態様では、方法はさらに、塩基を、アシル塩化物およびケトンアルコールの反応により形成されたエステル化生成物混合物に添加することを含む。エステル化生成物混合物は、i)エステルケトン、ii)任意選択で、オキシ塩化物および/またはケトンアルコールなどの未反応の反応物、およびiii)任意選択で、脂肪酸およびオキシ塩化物、および/またはアシル塩化物およびケトンアルコールの反応で形成された副生成物および/または副産物を含有し得る。一部の態様では、i)、ii)、またはiii)の1つまたは複数が除外される。塩基は、過剰のオキシ塩化物(例えば、塩化オキサリル)およびケトンアルコール(例えば、4-ヒドロキシシクロヘキサン-1-オン)から生成されるオキサレート不純物などのエステル化生成物混合物からの未反応の反応物、副生成物、および/または副産物の少なくとも一部を除去し得る。ある特定の態様では、塩基を含有するアルカリ水溶液をエステル化生成物混合物に添加して、二相媒体を形成する。二相媒体はエステルケトンを含有する有機相と、水相とを含有し得る。ある特定の態様では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある特定の態様では、アルカリ水溶液は、10、11、12、13、または14のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)などのpH10以上を有する。ある特定の態様では、二相媒体を還流加熱する。例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の温度で還流させる。
【0370】
ある特定の態様では、還流の後に、有機相(例えば、エステルケトンを含有する)、および水相を分離し、有機相を、4、3、2、1、0.01(またはその中で推論可能な任意の範囲)のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間などのpH4以下を有する第1の洗浄液、および5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、または9のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のpHを有する第2の洗浄液で洗浄する。ある特定の態様では、第1の洗浄液は、塩化水素の水溶液などの塩化水素を含有する。有機相を、第1の洗浄液および第2の洗浄液で任意の好適な順序で洗浄する。
【0371】
ある特定の態様では、アシル塩化物およびケトンアルコールの反応でのアシル塩化物変換率は、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、99.95、99.99、または100%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、もしくはいずれか2つの間、またはその中で推論可能な任意の範囲などの97%超である。アシル塩化物およびケトンアルコールの反応からのエステルケトン収率は、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、もしくはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)であり得る。ある特定の態様では、本明細書に記載の1つまたは複数のステップおよび/または試薬(例えば、アシル塩化物からエステルケトンを形成するための)を除外する。
【0372】
【化27】
【0373】
D. エステルアルコールからのエステルアルデヒドの形成
エステルアルデヒドは、スキームIVによりエステルアルコールから形成することができる。(例えば、上記のとおり合成された)エステルアルコールを酸化剤で酸化させると、エステルアルデヒドを形成することができる。ある特定の態様では、方法は、i)洗浄された有機相、例えば、第1および第2の洗浄液での洗浄後に得られる有機相からの、カラムクロマトグラフィーなどによるエステルアルコールの単離および/または精製、および/またはii)(カラムクロマトグラフィーなどにより)単離精製されたエステルアルコールの酸化を除外する。ある特定の態様では、洗浄された有機相中のエステルアルコールを酸化剤と接触させて、エステルアルデヒドを形成する。
【0374】
酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウムを含有し得る。ある特定の態様では、次亜塩素酸ナトリウムは、炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムである。炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムは、炭酸水素ナトリウムを次亜塩素酸ナトリウムと、0.2:1~0.5:1のモル比で接触させることにより形成することができる。エステルアルコール、および炭酸水素ナトリウム処理された次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸ナトリウムを1:1、1:1.01、1:1.02、1:1.03、1:1.04、1:1.05、1:1.06、1:1.07、1:1.08、1:1.09、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、または1:1.5のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のモル比で接触させることができる。ある特定の態様では、エステルアルコールの酸化を酸化触媒で触媒する。一部の特定の態様では、酸化触媒は臭化カリウムおよび/または2,2,6,6-テトラメチルピリジンN-オキシド(TEMPO)である。ある特定の態様では、酸化反応条件は、エステルアルコールを、エステルアルコール1モルあたり0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、または0.15のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のモルの臭化カリウムおよび/または、エステルアルコール1モルあたり0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.011、0.012、0.013、0.014、または0.015のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のモルのTEMPOと接触させることを含む。
【0375】
エステルアルコールを、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0、-1、-2、-3、-4、および-5℃のいずれか1つに等しい、高くともいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)などの15℃以下の温度で酸化させる。15℃以下の温度でのエステルアルコールの酸化で、エステルアルコールの過剰還元を減少および/または予防することができる。ある特定の態様では、エステルアルコール(例えば、エステルアルコールを含有する洗浄された有機媒体)および酸化剤を、接触により形成される反応媒体の温度を15℃以下に維持するために十分な速度で接触させる。
【0376】
ある特定の態様では、酸化剤でのエステルアルコールの酸化により形成される酸化生成物混合物を第1の酸化-洗浄液および第2の酸化-洗浄液で洗浄する。酸化生成物混合物は、酸化により形成されるエステルアルデヒドを含有し得る。第1の酸化-洗浄液は、4、3、2、1、0.01(またはその中で推論可能な任意の範囲)などのpH4以下を有し得る。ある特定の態様では、第1の酸化-洗浄液は塩化水素を含有する。第2の酸化-洗浄液は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15重量%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間のチオ硫酸ナトリウムを含有し得る。第1および第2の酸化-洗浄液での洗浄は、任意の好適な順序で行うことができる。エステルアルコールの酸化からのエステルアルデヒド収率は、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)であり得る。第1および第2の酸化-洗浄液での洗浄は、オキシ塩化物、触媒(例えば、DMF)、第3級アミン、酸化剤、および/または酸化触媒などの未反応の反応物の少なくとも一部を酸化生成物混合物から除去することを含み得る。ある特定の態様では、本明細書に記載の1つまたは複数のステップおよび/または試薬(例えば、エステルアルコールからエステルアルデヒドを形成するためのもの)を除外する。
【0377】
【化28】
【0378】
E. エステルアルデヒドからの式Iの化合物の形成
式Iの化合物は、スキームVにより第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドから形成することができる。第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは同じであっても、または異なってもよく、上記のとおり形成することができる。ある特定の態様では、方法は、i)洗浄された酸化生成物混合物、(例えば、酸化生成物混合物を第1および第2の酸化-洗浄液で洗浄した後に得られるもの)からの、カラムクロマトグラフィーなどによるエステルアルデヒド(例えば、第1および第2のエステルアルデヒド)の単離および/または精製、および/またはii)(例えば、カラムクロマトグラフィーなどにより)単離精製されたエステルアルデヒドの還元を除外する。ある特定の態様では、洗浄された酸化生成物混合物中のエステルアルデヒドをアミンおよび還元剤と接触させて、エステルアルデヒドを還元し、式Iの化合物を形成する。一部の態様では、エステルアルデヒドとアミンとの間の反応は還元的アミノ化反応である。一部の態様では、第1のエステルアルデヒドのアルデヒド炭素および第2のエステルアルデヒドのアルデヒド炭素は、それぞれLおよびLの一部であるか、またはその一部となる。一部の態様では、エステルアルデヒドをアミンと、1:1、1.5:1、1.9:1、2:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、または3:1のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のエステルアルデヒド(全部、例えば、第1および第2)およびアミンモル比で接触させる。一部の特定の態様では、エステルアルデヒドをアミンと、2:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、または2.5:1のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のエステルアルデヒド(全部)およびアミンモル比で反応させる。
【0379】
一部の態様では、第1のエステルアルデヒドおよび第2のエステルアルデヒドは異なり、還元反応における第1および第2のエステルアルデヒドのモル比は、1:2、3:4、4:5、0.9:1、1:1、1:0.9、5:4、4:3、または2:1のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間である。一部の特定の態様では、還元反応における第1および第2のエステルアルデヒドのモル比は、0.9:1、1:1、または1:0.9(またはその中で推論可能な任意の範囲)である。
【0380】
一部の態様では、還元剤は水素化物を含有する。一部の特定の態様では、水素化物はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。ある特定の態様では、エステルアルデヒド(全部)をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと、2:3、2:3.5、2:3.9、2:4、2:4.1、2:4.2、2:4.3、2:4.4、2:4.5、2:4.6、2:4.7、2:4.8、2:4.9、または2:5のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)のモル比で接触させる。一部の態様では、エステルアルデヒドを、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10℃のいずれか1つに等しい、高くともいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)などの30℃以下の温度で水素化物で還元する。
【0381】
一部の態様では、アミンおよび水素化物でのエステルアルデヒドの還元は、塩基でクエンチされる。ある特定の態様では、還元されるエステルアルデヒド(全部)1モルあたり3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5モルのいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の塩基をクエンチのために使用する。ある特定の態様では、塩基は水酸化ナトリウムである。ある特定の態様では、塩基を含有するアルカリ水溶液を還元反応の反応媒体に添加して、還元反応をクエンチし、水相と、式Iの化合物を含有する有機相とを含有する二相生成物混合物を形成する。一部の事例では、塩基の使用は、反応を完了させるために酢酸および乾燥剤(分子ふるい)を使用する必要を取り除く。一部の事例では、方法は、このステップでの酸および/または乾燥剤の使用を除外する。
【0382】
エステルアルデヒドの変換率は(それぞれ)、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)であり得る。一部の態様では、エステルアルデヒドの還元からの式Iの化合物の収率は、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、または98%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間である。
【0383】
一部の態様では、方法はさらに、有機溶媒を二相生成物混合物に添加することを包含する、または除外する。一部の特定の態様では、方法は、DCMを二相生成物混合物に添加することを包含する。
【0384】
ある特定の態様では、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物を還元剤として使用する場合、方法は、還元反応媒体への(例えば、還元されるエステルアルデヒドの0.05モル当量未満、0.01モル当量未満、または0.005モル当量未満、または0.001モル当量未満の量で添加される)酢酸および/または乾燥剤(例えば、分子ふるい)の添加を除外する、または実質的に除外する。
【0385】
ある特定の態様では、還元剤は水素(H)を含有する。アミンおよび水素でのエステルアルデヒドの還元を金属触媒で触媒することができる。一部の態様では、金属触媒は白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、および/またはイリジウム(Ir)触媒を含有する。一部の特定の態様では、金属触媒は炭素上の白金(Pt)を含有する。一部の態様では、エステルアルデヒドを、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の温度で水素で還元する。
【0386】
【化29】
【0387】
ある特定の態様では、方法はさらに、式Iの化合物の精製を含む。一部の態様では、式Iの化合物を抽出により精製する。抽出溶媒は、有機溶媒、無機溶媒、またはその組合せを使用していてよい。一部の態様では、溶媒は、n-ヘプタン、メタノール、もしくは水溶液、またはその組合せである。一部の態様では、溶媒は10%メタノール水溶液である。一部の態様では、式Iの化合物はn-ヘプタン中に含まれ、極性不純物を除去するために10%メタノール水溶液で抽出される。一部の態様では、続いて、または別法で、式Iの化合物をシリカゲルクロマトグラフィーまたはポリマー樹脂クロマトグラフィーにより精製する。一部の態様では、抽出母液をクロマトグラフィーステップのための供給物として使用する。一部の態様では、抽出母液を、クロマトグラフィーステップのための供給物として供給する前に濃縮する。ある特定の態様では、生成物溶液(例えば、還元的アミノ化反応のクエンチを介して形成されるもの)中の式Iの化合物をシリカゲルクロマトグラフィーまたはポリマー樹脂クロマトグラフィーにより精製して、精製された式Iの化合物を形成する。
【0388】
ある特定の態様では、方法はさらに、蒸留による式Iの化合物の精製を包含または除外する。ある特定の態様では、二相生成物混合物の有機相中の式Iの化合物を蒸留する。一部の態様では、抽出ベースの精製からの蒸留母液を蒸留する。ある特定の態様では、シリカゲルクロマトグラフィーカラムまたはポリマー樹脂クロマトグラフィーの溶離から得られた溶液を蒸留する。一部の態様では、式Iの化合物の精製は、抽出、シリカゲルまたはポリマー樹脂クロマトグラフィー、および/または蒸留による精製を包含する。一部の態様では、蒸留プロセスは、式Iの化合物をn-ヘプタンと接触させてn-ヘプタン溶液を形成するステップと、n-ヘプタン溶液をi)30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の温度および/またはii)0、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、または0.3バールのいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の圧力で蒸留して、第1の蒸留残渣を形成するステップと、第1の蒸留残渣をエタノールと接触させてエタノール溶液を形成するステップと、エタノール溶液をα)30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45℃のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の温度、および/またはβ)0、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、または0.3バールのいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間(またはその中で推論可能な任意の範囲)の圧力で蒸留して、式Iの化合物を含む第2の蒸留残渣を形成するステップとを包含する。ある特定の態様では、二相生成物混合物の有機相中の式Iの化合物をn-ヘプタンと接触させて、n-ヘプタン溶液を形成する。第2の蒸留残渣はi)5000重量百万分率(ppmw)未満、または4000ppmw未満、または3000ppmw未満、または2000ppmw未満、または1000ppmw未満のn-ヘプタンおよび50000ppmw未満、または40000ppmw未満、または30000ppmw未満、または20000ppmw未満、または10000ppmw未満、または5000ppmw未満のエタノールを含有し得る。ある特定の態様では、第2の蒸留残渣は、95、96、97、98、99、または99.5重量%のいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、またはいずれか2つの間の式Iの化合物を含有する。ある特定の態様では、本明細書に記載の1つまたは複数のステップおよび/または試薬(例えば、エステルアルデヒドから式Iの化合物を形成するためのもの)を除外する。
【0389】
ある特定の態様では、陽イオン性脂質は、式(48)、(49)、もしくは(50)の化学式、またはその塩を有する。式(48)、(49)、もしくは(50)の陽イオン性脂質は、本明細書に記載の化合物Iの合成方法と同様の方法を使用して合成することができ、スキームIにおける第1および/または第2のジオールはそれぞれ、(式(48)では)シス-3-ヘキセン-1,6-ジオール、(式(49)では)トランス-3-ヘキセン-1,6-ジオール、または(式(50)では)1,4シクロヘキサンジオールであり得る。ある特定の態様では、方法は、a)第1の脂肪酸を塩化オキサリルと反応させて、第1のアシル塩化物を形成し、第2の脂肪酸を塩化オキサリルと反応させて、第2のアシル塩化物を形成するステップ(例えば、スキームIに記載の条件による)と;b)第1のアシル塩化物を第1のジオールと反応させて、第1のエステルアルコールを形成し、第2のアシル塩化物を第2のジオールと反応させて、第2のエステルアルコールを形成するステップ(例えば、スキームIIに記載の条件による)と;c)第1のエステルアルコールを酸化させて、第1のエステルアルデヒドを形成し、第2のエステルアルコールを酸化させて、第2のエステルアルデヒドを形成するステップ(例えば、スキームIIIに記載の条件による)と;d)第1および第2のエステルアルデヒドをトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよび4-アミノ-1-ブタノールの存在下で還元して、式(48)、(49)、または(50)の化合物を形成するステップ(例えば、スキームIVに記載の条件による)とを含み、第1および第2の脂肪酸は式
【0390】
【化30】
を有し、第1のジオールは、(式48では)シス-3-ヘキセン-1,6-ジオール、(式49では)トランス-3-ヘキセン-1,6-ジオール、または(式50では)1,4シクロヘキサンジオールであり、第2のジオールは1,6ヘキサン-ジオールである。
【0391】
III. 陽イオン性脂質およびその中間体の塩
陽イオン性脂質の塩は、式IIIの化学式:
【0392】
【化31】
[式中、R、R、R、L、L、およびLは、上記で定義されたとおりであり得る。Xはアニオンであり得る]を有し得る。ある特定の態様では、Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、メシル酸イオン、トシル酸イオン、(1R)-(-)-10-カンファースルホン酸イオン、1,2-エタンジスルホン酸イオン、シュウ酸イオン、ジベンゾイル-L-酒石酸イオン、リン酸イオン、L-酒石酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、コハク酸イオン、またはマロン酸イオンであり得る。
【0393】
一部の特定の態様では、塩は、式Vの構造
【0394】
【化32】
を有する。
【0395】
塩は、式Iの化合物を、HXの化学式を有する酸と接触させることにより形成することができる。ある特定の態様では、酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、(1R)-(-)-10-カンファースルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、シュウ酸、ジベンゾイル-L-酒石酸、リン酸、L-酒石酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、またはマロン酸である。ある特定の態様では、陽イオン性脂質の塩は結晶化形態である。ある特定の態様では、1種または複数の本明細書に記載の(例えば、式IIIの)塩を除外する。
【0396】
ある特定の態様は、陽イオン性脂質の生産において生産される中間体の塩を対象とする。一部の態様では、塩は、式IVの化学式:
([R-C(O)-O-L-CH-O]x+
式IV
を有する。
[式中、RおよびLは、上記で定義したとおりであり得る。Mx+は、カチオンであり得、xは、整数であり得る]。ある特定の態様では、xは1または2であり、Mx+は、Na、K、Ca2+およびMg2+である。ある特定の特別な態様では、Rは、式(6)の構造を有し、および/またはLは-(CH-である。(例えば、式IV)の塩は、R-C(O)-O-L-CH-OHの化合物をM(OH)の化学式を有する塩基と接触させることにより形成することができる。一部の特別な態様では、塩基は、NaOH、KOH、Ca(OH)、および/またはMg(OH)である。ある特定の態様では、(例えば、式IVの)塩は結晶化形態である。ある特定の態様では、本明細書に記載の1種または複数の(例えば、式IVの)塩が除外される。
【0397】
IV. 式Iの化合物、その中間体、およびその塩;ならびに式Iの化合物、その中間体、およびその塩を含有する組成物の使用
ある特定の態様は、本明細書に記載の陽イオン性脂質、それを生産するための中間体(例えば、アシル塩化物、エステルアルコール、および/またはエステルアルデヒド)、脂質の薬学的に許容できる塩、および/または中間体の薬学的に許容できる塩の使用を対象とする。ある特定の態様は、本明細書に記載の陽イオン性脂質、それを生産するための中間体(例えば、アシル塩化物、エステルアルコール、および/またはエステルアルデヒド)、脂質の薬学的に許容できる塩、および/または中間体の薬学的に許容できる塩を含有する組成物を対象とする。本明細書に記載の陽イオン性脂質、および中間体は、本明細書に記載の方法を使用して合成することができる。
【0398】
他の脂質との組合せでもよい陽イオン性脂質および/またはその薬学的に許容できる塩を、治療薬の細胞内送達のために使用することができる。ある特定の態様では、治療薬は核酸であり得る。ある特定の態様では、核酸はメッセンジャーRNA(mRNA)、ヌクレオシド修飾mRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、プラスミド、免疫刺激核酸、アンタゴミル、抗miR、miRNA模倣物質、スーパーmir、および/またはアプタマーであり得る。一部の特別な態様では、核酸は、アンチセンス、プラスミドDNA、および/またはヌクレオシド修飾mRNAであり得る。
【0399】
ある特定の態様は、本明細書に記載の陽イオン性脂質、それを生産するための中間体(例えば、アシル塩化物、エステルアルコール、および/またはエステルアルデヒド)、脂質の薬学的に許容できる塩、および/または中間体の薬学的に許容できる塩;および治療薬を含有する医薬組成物を対象とする。ある特定の態様では、陽イオン性脂質、中間体および/またはその薬学的に許容できる塩は、脂質ナノ粒子形態であり得る。脂質ナノ粒子は、少なくとも1つの長さをナノメートルの桁(例えば、1~1,000nm)で有し得て、1種または複数の脂質を含み得る。一部の態様では、脂質ナノ粒子は、中性脂質、荷電脂質、ステロイド、およびポリマーコンジュゲート脂質から選択される1種または複数の添加剤をさらに包含または除外し得る。一部の態様では、ヌクレオシド修飾RNAなどの治療薬を、脂質ナノ粒子の脂質ポーションまたは脂質ナノ粒子の脂質ポーションの一部もしくは全部により包囲された水性空間中でカプセル化し、それにより、宿主生体または細胞の機構、例えば、不利な免疫応答により誘導される酵素的分解または他の望ましくない作用から保護する。ある特定の態様では、脂質ナノ粒子はおよそ30nm~約150nm、約40nm~約150nm、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、約70nm~約100nm、約80nm~約100nm、約90nm~約100nm、約70~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nmのいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、もしくはいずれか2つの間、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nmのいずれか1つに等しい、低くてもいずれか1つ、高くてもいずれか1つ、もしくはいずれか2つの間の平均直径を有し、実質的に非毒性である。ある特定の実施形態では、ヌクレオシド修飾RNAは、脂質ナノ粒子中に存在する場合、水溶液において、ヌクレアーゼによる分解に対して耐性がある。
【0400】
本明細書に記載の組成物の投与は、同様の効用を提供するために許容される薬剤の投与様式のいずれかを介して実施することができる。医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸剤、ゲル剤、マイクロスフェア、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体の製剤に製剤化することができる。そのような医薬組成物を投与する典型的な経路には、限定ではないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、直腸、膣、および鼻腔内が含まれる。本明細書で使用される場合の非経口という用語には、皮下注射剤、静脈内、筋肉内、皮内、胸骨内注射、または注入技法が含まれる。本明細書に記載の医薬組成物を、患者に組成物を投与したときに、そこに含有される活性成分が生物学的に利用可能であり得るように製剤化する。対象または患者に投与される組成物は、1つまたは複数の投薬量単位の形態を取り、例えば、錠剤は単一の投薬量単位であってよく、エアロゾル形態の化合物の容器は複数の投薬量単位を保持してよい。投与される組成物はいずれにしても、本明細書に記載の教示に従って目的の疾患または病態を処置するために、本開示の範囲内の治療有効量の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を含有することとなる。
【0401】
本開示の範囲内の医薬組成物は、固体または液体の形態であってよい。一態様では、担体は微粒子であるので、組成物は例えば、錠剤または散剤形態である。担体は液体であってよく、その際、組成物は、例えば、経口シロップ剤、注射液、または例えば、吸入投与において有用であるエアロゾルである。経口投与が意図されている場合、医薬組成物は好ましくは、固体または液体のいずれかであり、半固体、半液体、懸濁液、およびゲル形態は、固体または液体のいずれかとして本明細書において考慮される形態に包含される。経口投与用の固体組成物として、医薬組成物は散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム剤、ウェハ剤または同様の形態に製剤化することができる。そのような固体組成物は典型的には、1種または複数の不活性な希釈剤または食用担体を含有することとなる。加えて、次の1種または複数が存在し得るか、または排除され得る:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトース、またはデキストリンなどの添加剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、トウモロコシデンプンおよび同様のものなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバーなどの香味剤;および着色剤。医薬組成物がカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態である場合、これは、上記の種類の物質に加えて、ポリエチレングリコールまたはオイルなどの液体担体を含有し得る。医薬組成物は、液体、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、溶液、乳剤または懸濁剤の形態であってよい。液体は、2つの例として、経口投与のため、または注射により送達するためのものであってよい。経口投与が意図されている場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、色素/着色剤、および香味増強剤の1種または複数を含有する。注射により投与されることが意図されている組成物では、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤、および等張化剤の1種または複数が包含または除外され得る。
【0402】
液体医薬組成物は、それが溶液、懸濁液または他の同様の形態であるかに関わらず、次の補助剤の1種または複数を包含または除外し得る:注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒として役立ち得る合成モノまたはジグリセリドなどの不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性を調節するための作用物質;スクロースまたはトレハロースなどの凍結保護物質として機能する作用物質。非経口製剤を、ガラスまたはプラスチックから作製されたアンプル、使い捨てシリンジ、または多回投与用バイアル内に封入することができる。生理食塩水が好ましい補助剤である。注射用医薬組成物は好ましくは、無菌である。
【0403】
非経口または経口投与のいずれかが意図されている液体医薬組成物は、好適な投薬量が得られるような量の化合物を含有すべきである。
【0404】
医薬組成物は、薬学分野で周知の方法論により調製することができる。例えば、注射により投与されることが意図されている医薬組成物は、溶液を形成するように脂質ナノ粒子を滅菌蒸留水または他の担体と組み合わせることにより調製することができる。界面活性剤を添加して、均一な溶液または懸濁液の形成を促進することができる。界面活性剤は、水性送達系への化合物の溶解または均一な懸濁を促進するように、本明細書の教示と一致する化合物と非共有結合で相互作用する化合物である。
【0405】
本開示の範囲内の組成物、またはそれらの薬学的に許容できる塩を、使用される具体的な治療薬の活性;治療薬の代謝安定性および作用時間;患者の年齢、体重、全身健康、性別、および食事;投与様式および時間;排泄速度;薬物の組合せ;特定の障害または病態の重症度;ならびに治療を施される対象を含む様々な因子に応じて変動する治療有効量で投与する。
【実施例
【0406】
本発明をさらに、次の実施例を参照することにより詳細に記載する。これらの実施例は、説明を目的として提供されるにすぎず、別段に指定されていない限り、限定的であることを意図したものではない。したがって、本発明は、次の実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書において提供される教示の結果として明らかになるであろうあらゆるすべての変形形態を包含すると解釈されるべきである。
【0407】
(実施例1)
2-ヘキシルデカン酸および1,6-ヘキサンジオールからのエステルアルコールの生産。
エステルアルコール(C-2)を、スキームE1により形成した。
【0408】
【化33】
【0409】
エステルアルコール(C-2)を形成するために使用される物質ならびに生産される中間体アシル塩化物(C-1)および(C-2)の量を表1に列挙する。当量には、Equiv.およびeqが使用されている。
【0410】
【表1】
【0411】
エステルアルコール(C-2)を表2に列挙されているステップにより合成した。
【0412】
【表2-1】
【0413】
【表2-2】
【0414】
上記方法からのエステルアルコール(C-2)の収率は78~82%であった。
【0415】
(実施例2)
エステルアルコール(C-2)の酸化からのエステルアルデヒド(C-3)の生産。
スキームE2により、実施例1で形成されたエステルアルコール(C-2)を酸化させてエステルアルデヒド(C-3)を形成した。
【0416】
【化34】
【0417】
エステルアルコール(C-2)を酸化させるために使用される物質および(C-2)の生産量を表3に列挙する。当量には、Equiv.およびeqが使用されている。
【0418】
【表3】
【0419】
エステルアルコール(C-2)を表4に列挙されているステップにより酸化させて、エステルアルデヒド(C-3)を合成した。
【0420】
【表4-1】
【0421】
【表4-2】
【0422】
上記方法からの(C-3)の収率は95~98%であった。
【0423】
(実施例3)
トリアセトキシ水素化ホウ素を使用するエステルアルデヒド(C-3)の還元からの陽イオン性脂質の合成。
スキームE3により、実施例2で合成されたエステルアルデヒド(C-3)の一部をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよび4-アミノ-1-ブタノールで還元して、陽イオン性脂質(C-4)を形成した。
【0424】
【化35】
【0425】
エステルアルデヒド(C-3)の還元および脂質(C-4)の合成のために使用される物質、さらには脂質(C-4)の量を表5に列挙する。当量には、Equiv.およびeqが使用されている。
【0426】
【表5】
【0427】
エステルアルデヒド(C-3)を表6に列挙されているステップにより還元して、脂質(C-4)を形成することができる。
【0428】
【表6-1】
【0429】
【表6-2】
【0430】
上記の方法からの(C-4)の収率は90%であった。
【0431】
(実施例4)
陽イオン性脂質(C-4)のための精製方法
粗製の陽イオン性脂質(C-4)をn-ヘプタンに溶解し、溶液を10%メタノール水溶液で、10~11のpHで抽出して、極性不純物を除去した。抽出されたn-ヘプタン相を最小体積まで蒸留して、クロマトグラフィーステップのための粗製のC-4供給物を得た。
【0432】
シリカゲルをクロマトグラフィーカラムに装入した。90/10(体積/体積)のn-ヘプタン/EtOAc溶液をカラムをコンディショニングするために使用した。次いで、n-ヘプタン溶液中の粗製の陽イオン性脂質(C-4)をカラムに移し、n-ヘプタンですすいだ。シリカゲルクロマトグラフィー精製を、n-ヘプタンおよび酢酸エチルの溶離混合物を酢酸エチルの濃度が漸増する勾配形態で供給することにより行った。カラムを初めは6カラム体積(CV)の90/10(体積/体積)のn-ヘプタン/EtOAc溶液、続いて、5CVの80/20(体積/体積)のn-ヘプタン溶液、最後に10CVの70/30(体積/体積)のn-ヘプタン/EtOAc溶液または3CVの50/50(体積/体積)のn-ヘプタン/EtOAcおよび3CVの100%EtOAcで溶離した。カラムからの溶離液を、分析される画分で収集した。少量の生成物を含有するか、または生成物を含有しない画分を廃棄容器に移した。有意な生成物を含有した画分を貯留し、真空蒸留により最小体積に濃縮した。濃縮物を炭素で処理し、次いで、真空蒸留により濃縮して、精製化合物を得た。精製化合物はオイル様であり、この実行では、下記の代替のクロマトグラフィーステップを使用する実行によるよりも、およそ43%多い陽イオン性脂質(C-4)が得られた。
【0433】
代替のクロマトグラフィーステップでは、3CVのイソプロピルアルコール(IPA)/MeOH中7NのNH中のシリカのスラリーをクロマトグラフィーカラムに装入した。0.5/15/85(体積/体積)のIPA/EtOAc/n-ヘプタン溶液を、カラムをコンディショニングするために使用した。
【0434】
次いで、n-ヘプタン溶液中の粗製の陽イオン性脂質(C-4)をカラムに移し、n-ヘプタンですすいだ。シリカクロマトグラフィー精製を、IPA/EtOAc/n-ヘプタンの溶離混合物を酢酸エチルの濃度が漸増する勾配形態で供給することにより行った。カラムを、初めに5CVの0.5/15/85(体積/体積/体積)のIPA/EtOAc/n-ヘプタン溶液、続いて、8CVの0.5/25/75(体積/体積/体積)のIPA/EtOAc/n-ヘプタン溶液で溶離した。カラムからの溶離液を、分析される画分で収集した。少量の生成物を含有するか、または生成物を含有しない画分を廃棄容器に移した。有意な生成物を含有した画分を貯留し、真空蒸留により最小体積に濃縮した。濃縮物を炭素で処理し、次いで、真空蒸留により濃縮して、精製化合物を得た。
【0435】
【表7】
【0436】
(実施例5)
n-ヘプタンおよびエタノールでの陽イオン性脂質(C-4)の蒸留
実施例3で形成された陽イオン性脂質(C-4)をn-ヘプタンおよびエタノールで蒸留して、(C-4)を97%超の純度で得た。蒸留方法のために使用される物質および生産された(C-4)の量を表8に列挙する。蒸留ステップを表9に列挙する。Equiv.およびeqは当量を表す。下記の蒸留ステップは、陽イオン性脂質(C-4)の精製において使用される単独の精製ステップであってよいか、または上記で列挙された抽出およびクロマトグラフィーステップのいずれかまたは両方と併せて使用することができる。
【0437】
【表8】
【0438】
【表9】
【0439】
蒸留後に得られた陽イオン性脂質(C-4)の純度は97%であった。
【0440】
(実施例6)
水素(H)を使用するエステルアルデヒド(C-3)の還元からの脂質の形成
スキームE4により、実施例2で形成されたエステルアルデヒド(C-3)の一部を4-アミノ-1-ブタノールと組合せ、白金-炭素(Pt-C)触媒上で水素(H)で還元して、陽イオン性脂質(C-4)を形成した。粗製の陽イオン性脂質(C-4)を、上記の抽出、カラムクロマトグラフィー、および/または蒸留ステップを使用することにより精製することができる。
【0441】
【化36】
【0442】
(実施例7)
トリアセトキシ水素化ホウ素を使用するエステルアルデヒド(C-3)の還元からの陽イオン性脂質(C-7)の合成
スキームE4により、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(反応性アミノ化条件)を使用して、実施例2において合成されたエステルアルデヒド(C-3)を1当量の4-アミノ-1-ブタノールと反応させて、陽イオン性脂質(C-5)を形成した。第二級アミン(C-5)を反応性アミノ化条件下でエステルケトン(C-6)と反応させて陽イオン性脂質(C-7)を形成した。
【0443】
【化37】
【国際調査報告】